423: 2013/07/14(日) 17:09:28.40 ID:c7XYuKUC0


勇者「魔王は一体どこにいる?」シリーズです

最初から:勇者「魔王は一体どこにいる?」
前回:勇者「魔王は一体どこにいる?」リメイク【その2】


 ---砂漠の町---

女海賊「!!?来た!!遅っそい!!もう」プン

僧侶「あ!女海賊さんみーっけウフフ」

騎士「酒場に行く手間が省けた」

女海賊「あんたら遅すぎなんだよ!!アタシは待つのがキライなの!!」プン

僧侶「ねぇねぇ女海賊は大丈夫だったの~?」

女海賊「エルフの森の上をさぁ~王国の気球が飛びまわってるなんて聞いてなかったさ」

僧侶「あれ~??王国は気球を禁止してた筈だけどなぁ~」

女海賊「禁止してるのは始まりの国の上空だけでしょ!?」

僧侶「平気だったの~?」

女海賊「アタシの飛行船はあんな気球の10倍速いから大丈夫!」

僧侶「ねぇねぇ馬は乗せれるかなぁ?」

女海賊「それは・・無理・・というか臭いのがダメ」

僧侶「ええええええ~」

女海賊「てか僧侶!あんたも臭い!何日アソコ洗ってないのよ!」

僧侶「!!?」ギクリ

女海賊「早く宿屋で綺麗にしてきて!じゃないと飛行船に乗せてあげない」

僧侶「う、うん・・行って来る~」

424: 2013/07/14(日) 17:10:04.75 ID:c7XYuKUC0
---飛行船---

女海賊「ハイハイ!乗った乗ったぁ!!」

僧侶「うわぁ~飛行船に色塗ったの~?」

女海賊「あんた達があんまり遅いからアタシ色にしたの」

魔女「これはトカゲを模擬しとるのか?」

女海賊「トカゲじゃなくてドラゴンよ!!中はピンク色」

魔女「目がチカチカするのぅ」

女海賊「良いから早く乗って!!人に見られると面倒臭いの」

僧侶「は~い!!」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



女海賊「ふぅ・・間に合った」

僧侶「え?どうかしたの?」

女海賊「砂漠のリザードマンの動きが変なの・・群れで移動してるみたい」

僧侶「砂漠の町は大丈夫かなぁ?」

女海賊「町まで来るかと思ったけど・・違うみたいね・・どこに向かってるんだろ」

騎士「・・見えるかい?」

女海賊「ほら・・あそこ」

騎士「南を目指してる・・かな」

魔女「中立の国は南の方角じゃろう?」

女海賊「そう!だから早く行かなくちゃいけないの」

僧侶「中立の国までは飛行船で2日くらい?」

女海賊「そんなもんかな」

僧侶「商隊で行くと20日くらい掛かるのにね~」

女海賊「飛行船は高度上げると超速いから」

425: 2013/07/14(日) 17:10:32.37 ID:c7XYuKUC0
---

僧侶「ねぇねぇ見て見て~ドラゴンさんの群れも南の方角に飛んでる~」

女海賊「!!?どこだい?」

僧侶「下の方~」

女海賊「・・・7匹居るネ」

僧侶「何かあるのかなぁ?」

女海賊「ちょっと待って・・方角は・・・中立の国の進路からは少しずれてる」

僧侶「ズレた先に何があるの~?」

女海賊「いや・・・海だよ?」

僧侶「その先は~?」

女海賊「ずっと先には機械の国があるけど・・遠いヨ」

騎士「・・・・・」

魔女「何か・・動き出したかのぅ」





---中立の国のとある倉庫---

フワフワ ドッスン

女海賊「はろはろ~」

囚人「女海賊か・・手伝って行け」

女海賊「また飛行船作ってるの?」

囚人「お前に一基盗られたからもう一基作っている」

女海賊「アタシは忙しいの!魔女を商人の所に連れて行かないと」

囚人「それは騎士と僧侶にまかせて良い・・」グイ

女海賊「ちょちょ・・ちょっとぉ~」

僧侶「ウフフ~先行ってるね~」

囚人「次の飛行船は縦帆だけで軽量化する・・そっちを引っ張れ」

女海賊「ちょ・・アタシは忙しいから・・」

囚人「だまってヤレ」

女海賊「もう!!」

426: 2013/07/14(日) 17:11:02.82 ID:c7XYuKUC0
---商人ギルド---

商人「やぁ!無事に戻ってきたね・・遅かったじゃないか」

僧侶「うん・・色々あって」

商人「でも丁度良い時に戻ったね・・魔女の愛しき人が中立の国に来てるらしい」

魔女「!!?それは本当か?・・どこじゃ?」

商人「今盗賊と女盗賊が宿屋と船まで捜しに行ってる」

魔女「おおぅ・・やっと会えるか」

商人「終わりの国の調査に向かっているらしい」

僧侶「どうして~?」

商人「終わりの国が滅んだ噂が始まりの国まで届いたのさ・・調査隊に入っているって話だよ」

魔女「ここで待っておれば良いのか?」

商人「それが・・終わりの国まで海路で行くか陸路で行くのかが分かっていない」

商人「もし陸路で行く場合もう出発してしまった可能性もある」

僧侶「陸路だったらどうするの~?」

商人「ハハ心配しなくてももう考えてあるよ・・それより・・」

僧侶「ん??」

商人「中立の国はもう危ない・・早くこの国を出たい」

僧侶「どういう事かなぁ~?」

商人「どうやら僕達は王国から指名手配されてるんだ」

僧侶「ええええええ??もう町を歩けない?」

商人「そうだね・・目立った事は出来ないよ・・だから先に秘密基地に行っておいて」

僧侶「わかった~」



427: 2013/07/14(日) 17:11:38.65 ID:c7XYuKUC0
---秘密基地---

魔女「早よう愛しき人に会いたいのぅ・・」ソワソワ

僧侶「もうすぐだよ・・魔女」



ガチャリ バタン



商人「まだ盗賊達は戻って来てないかな?」

僧侶「戻ってないよ~」

商人「じゃぁ先に・・魔女に見てもらいたい物がある・・コレさ」パサ

魔女「・・・コレは魔族が使う文字じゃ・・わらわは読めんがの」

商人「読める人を知らないかい?」

魔女「エルフの長老なら読めるやもしれん・・一応魔族じゃ」

商人「魔女はこの地図が何か想像つくかい?」

魔女「・・・何じゃろうのぅ?」

商人「僕は魔王が残した予言の書だと思ってるんだけど・・内容が分からなくてね」

僧侶「そういえばさぁ~複製されたものが各王国にあるって商人言ってなかったっけ~?」

商人「そうだね・・翻訳された物も各王国にあると思うよ」

僧侶「それなら終わりの国に探しに行った方が早いカモ~」

商人「ハハその通りだよ・・それを今から言おうとしてたんだ」



ガチャリ バタン



盗賊「ハァハァ・・帰ったぜ」

女盗賊「ダメね・・ハァハァ例の人は船には乗ってないわ」

商人「どうしたんだい?息を切らして」

盗賊「もう自由に動き回れねぇ・・俺の顔は割れてしまってる」

商人「囚人も危ないな」

盗賊「そうだな・・早くここを離れた方が良い・・この秘密基地も時期にバレる」

商人「物資は海賊船に積み終わったかな?」

盗賊「それは終わった・・どうする?」

商人「ゆっくり出来ないね・・囚人の所に行こう」



428: 2013/07/14(日) 17:12:06.92 ID:c7XYuKUC0
---とある倉庫---

タッタッタ

盗賊「囚人!!終わったか!?」

囚人「女海賊の働きが悪くてな・・もう少しだ」

女海賊「もう!!アタシに力仕事なんかさせるなよ!!」プン

囚人「良いからソコを押さえてろ」

盗賊「どうやらすぐに出発しなきゃならねぇ様だ」

囚人「そうか・・あと1時間待て」

商人「じゃぁこうしよう・・盗賊と女盗賊!秘密基地に火をつけて来てくれないか?」

盗賊「良いのか?」

商人「時間を稼ぎたい・・もう戻ることも無いと思う」

盗賊「わかった!・・女盗賊行くぞ!」

女盗賊「フフ忙しいわね」

囚人「騎士!お前も手伝ってくれ・・ロープを張るのに力がいる」

騎士「わかった・・」




---

女海賊「今度の飛行船はどんなの?」

商人「横帆無しで軽量化してるんだ・・操作は難しいけど低空で小回りが利く筈」

女海賊「速さは?」

商人「どうかな?横帆の抵抗が無い分早くなるかもね」

女海賊「こっちの方が欲しくなってきた!!」

商人「僕達にあんな派手な飛行船に乗れと言うのかい?ハハハ」

女海賊「軽い分垂直上昇が出来る?」

商人「どうだろうね?やってみないとね」

女海賊「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい~~」

商人「わかったよ・・事が済んだら使って良いよ」

女海賊「いえ~~~い!!」



429: 2013/07/14(日) 17:12:44.33 ID:c7XYuKUC0
---

商人「女海賊は海賊王にこの手紙を渡して・・作戦が書いてある」

女海賊「うん!!じゃぁ先に飛ぶね」



ボボボボボボボ フワフワ プシュー



僧侶「盗賊さんと女盗賊さん遅いなぁ・・」

商人「彼等なら大丈夫さ・・・囚人!飛べる準備は良いかな?」

囚人「大丈夫だ・・ロープを切れば真っ直ぐ上に上がる」

僧侶「来た!!来た来た・・早く乗ってぇ~」

商人「追われてるな・・」

僧侶「早く~~乗ってぇぇ!!」



盗賊「ハァハァ・・」ダダダ

女盗賊「ハァハァ・・」ダダダ



囚人「ロープを切れ!!」

騎士「・・・」ブン! スパ!



??「まてぇ~~~!!」

??「なんだあの気球は!?」



フワフワフワ



盗賊「ギリギリセーフ・・ハァハァ」

女盗賊「フフフ・・ハハハハハ」

盗賊「なかなかヤルじゃねぇか!相棒!」

女盗賊「ハァハァ・・あんたもね!」

商人「さて・・中立の国はもう見納めだよ・・みんな良く見ておいて」

僧侶「塩の香りをもっと嗅いでおけばよかったなぁ~」

商人「今日はこの飛行船でバーベキューでもしよう!お酒もあるよ」

僧侶「わ~い!!ウフフ」



430: 2013/07/14(日) 17:13:13.59 ID:c7XYuKUC0
---飛行船---

ジュージュー

僧侶「おいひい~♪」モグモグ



商人「じゃぁみんな食べながら聞いてくれるかな・・」モグモグ

商人「これから行くのは終わりの国だよ・・魔女の愛しき人の先回りをする」

商人「それから・・終わりの国で亡くなった衛兵達の埋葬と・・予言の書を翻訳した物を探したい」

商人「海賊王には衛兵達の埋葬の為に応援してくれと手紙を出しておいた」



盗賊「ゾンビがウヨウヨしてるんじゃねぇか?」

商人「ソコは抜かりない・・銀製の武器を用意してある」

盗賊「俺達がゾンビ退治して海賊が氏体の片付けって感じか?」

商人「そうだね・・あと戦利品の略奪も海賊にお願いする」



魔女「わらわの愛しき人は本当に来るんじゃろうな?」

商人「間違いないよ・・必ず来る」

僧侶「ねぇねぇ・・そういえばさぁ・・砂漠のリザードマンとドラゴンさんがね?」モグモグ

商人「ん?」

僧侶「群れで南の方に移動してたの~女海賊が言うには海に向かってるって~」モグモグ

商人「海に?・・・そういえば海賊王もクラーケンがおかしいって言ってたな」

盗賊「気になる話だな」

商人「次海賊王に会ったら話を聞いて見よう」



431: 2013/07/14(日) 17:14:04.31 ID:c7XYuKUC0
---夜---

騎士「・・・・・」

魔女「騎士や・・おぬしは言葉が少なくなったのぅ」

騎士「これから起こる事を少し知っているんだ・・」

魔女「商人には話したか?」

騎士「いや・・話せない」

魔女「わらわには話せるか?」

騎士「・・魔女も知っているのかい?」

魔女「わらわは定めを受け入れておる・・人間はすでに魔王の呪いに捕われて生きておる」

騎士「どうして急に思い出したのか・・」

魔女「お主は囚われの身の間魔王の心を少し覗いたのじゃろぅ」

騎士「憎悪が溢れて来た・・でも僧侶の回復魔法で我に返った・・」

魔女「それだけか?」

騎士「他には何も・・」キラリン

魔女「ん?それは何じゃ?」

騎士「・・これはエルフの娘が使ってた銀のアクセサリー」



ガバッ!!



商人「・・・・・」

魔女「商人・・聞いておったのか」

商人「呪いを解く方法はソレだ!・・銀が必要なんだ!」

騎士「銀?」

商人「ドラゴンが命の源を修復するには銀が必要だと言ってた・・・これが呪いを解くって事だ」

騎士「あふれ出てくる憎悪と混じって記憶も思い出すんだ」

商人「どんな記憶かは言いたくなったら言ってくれれば良いよ」ブツブツ



”そういえば銀ってどうやって作るんだ?

”ドワーフが生んだんだ・・

”だからドワーフは滅ぼされた?

”今銀を作ることが出来るのは・・終わりの国と機械の国・・それから始まりの国

”そうか!!憎悪が僕達を突き動かしてる・・

”機械の国は自分達を守るためにゴーレムを・・

”始まりの国はキマイラを・・

”でもそれをドラゴン達は許さない



432: 2013/07/14(日) 17:14:31.20 ID:c7XYuKUC0
---翌日---

ビョーーーーウ バサバサ

商人「さぁみんな一人ずつ銀の装備を持って」

盗賊「なんだ?何するんだ?」

商人「良いから早く・・出来ればその装備をずっと持ってて欲しい」

盗賊「じゃぁ俺は銀の短剣だな」

女盗賊「私もね・・」

薬剤師「あたしはアクセサリーかな」

囚人「俺は剣だ」

魔女「わらわは腰巻かのぅ」

商人「僕は筆ペンかな」

僧侶「わたしは~?」

商人「君はもう銀のロザリオがあるよね?・・じゃぁ僧侶!一人ずつ回復魔法をお願い」

僧侶「は~い♪回復魔法!回復魔法!回復魔法!・・・」ボワー




---

盗賊「・・・なんだ?何のおまじないだ?」

商人「これで僕達は皆呪いが払われた筈・・何か変わった事はないかい?」

盗賊「ん~む・・何も変わってないが・・」

商人「ハハハ何も感じないね・・でもこれで間違った判断をしなくなるかもしれない」

盗賊「・・なんのこっちゃ」

商人「僕は良く寝てる間夢を見るんだ」

盗賊「俺も夢は見るが・・何か関係あるのか?」

商人「さぁね?わからないよ・・でもこれで悪夢を見なくなるかもしれないな~って」

盗賊「悪夢・・そういやあんまり良い夢は見たことが無ぇな」

魔女「わらわの夢は愛しき人を失う夢ばかりじゃ」

薬剤師「あたしも良い夢は見たことが無いよ・・気にしてなかったけど」

僧侶「私は夢なんか見たこと無いよ~ウフフいつもぐっすり」

盗賊「・・・だろうなお前のイビキのせいで俺は悪い夢を見る」

僧侶「ええええええ?そんなにイビキひどいの~?」

盗賊「特に酒を飲んだ後だな・・騎士は良くガマンしてる」

僧侶「そんなぁ~・・」モジモジ

433: 2013/07/14(日) 17:15:01.46 ID:c7XYuKUC0
---

ビョーーーーウ バサバサ

盗賊「よし!!じゃぁ高度下げるぞ!!」

僧侶「ねぇねぇ!あの黒い塊って何かなぁ?」

盗賊「んん?・・・なんだありゃ動いてるな」

商人「どこだい?・・・あれはカラスの群れ・・かな?」

盗賊「ぬははカラスか・・いかにもって感じだな」

商人「大分荒らされてそうだね」

盗賊「終わりの国の城に直接降りるぞ?」

商人「うん・・そうして」

魔女「・・ひどい有様じゃのぅ・・数年前に来た時とはえらい変わり様じゃのぅ」

商人「多分誰も生き残ってないよ」

囚人「いや・・わからんぞ・・城には地下がある」

僧侶「うわぁぁ・・ゾンビがいっぱい~」

盗賊「町の方はゾンビだらけだな・・城までは上がって来てないが」

商人「盗賊!あそこの広間に着陸しよう」

盗賊「わかった」




---終わりの国---

フワフワ ドッスン

盗賊「やっぱりここまではゾンビは来ない様だな」

商人「騎士と僧侶は手当り次第にゾンビを掃除して来てくれるかな?」

騎士「・・・武器はどうしよう?」

商人「銀の槍が有った筈・・それでゾンビの心臓を突いて来て」

騎士「わかった」

商人「盗賊と女盗賊は町の状況を見てきて!使えそうな物資とかね」

女盗賊「わかったわ」

商人「囚人は城の中を案内して・・予言の書を探すのと生存者が居ないか調べよう」

囚人「付いて来い」

商人「夕暮れまでにはみんな戻って来てね」



434: 2013/07/14(日) 17:16:33.82 ID:c7XYuKUC0
---街道---

ヴヴヴヴヴヴヴ

騎士「・・・フン!」ブシュ

僧侶「いっぱい居るねぇ~」

騎士「歩いてゾンビ退治するのは手間が掛かる・・フン!」ブシュ

僧侶「お馬さん居ないかなぁ・・」

騎士「!!?そうだ・・城の宿舎に馬小屋が有るかも知れない」

僧侶「行ってみようよ~」

騎士「そうだね」

タッタッタ




---馬小屋---

ブルル~ ガフガフ

僧侶「居たぁ~!!ウフフ」

騎士「・・この馬だけ生き残ってる」

僧侶「回復魔法してあげる~回復魔法!」ボワー

騎士「牧草と水をあげないと」ガッサ ガッサ



ブルル~ ヒヒ~ン もしゃもしゃ



僧侶「ウフフ~食べてる食べてるぅ~」

騎士「僧侶はまだ馬に近づかないで・・警戒してる」

僧侶「すごく大きなお馬さんだね~」

騎士「丈夫な馬じゃなきゃ生き残れなかったんだと思う」

僧侶「ねぇねぇあそこにあるのってお馬さんに着せる物かなぁ?」

騎士「ん?あぁ・・この馬用の鞍だね・・軍馬の様だね」

僧侶「お腹空いてたんだね~・・・いっぱい食べてね~」

騎士「僕が馬に寄るから何かあっても僧侶は動かないで」

僧侶「は~い」




騎士「よしよし・・もう大丈夫だ・・解放してあげる」


ブルル~ ガフガフ ガシャン ガシャン

---

---

---


435: 2013/07/14(日) 17:17:10.42 ID:c7XYuKUC0
---

僧侶「お、おさまった?・・大分暴れたね」

騎士「やっと納得してくれた」

僧侶「お馬さん乗せてくれるかなぁ?」

騎士「大丈夫!もう落ち着いてる」グイ

僧侶「わたしも乗って良い?」

騎士「おいで」グイ

僧侶「わぉぉ~大きいぃ~ウフフ」

騎士「僧侶は精霊の加護の祈りをしておいてくれるかな?」

僧侶「は~い!」

騎士「行くよ!」グイ パカパカ

パカラッ パカラッ




---街道---

パカラッ ブシュ! ブシュ!

騎士「ゾンビは何体居るんだろう・・キリが無い」

僧侶「もう暗くなってきたよ~」

騎士「そろそろ帰ろうか」

僧侶「うん・・お腹も減ったよぅ」

騎士「これはしばらくゾンビ退治が続きそうだ」

僧侶「明日もがんばろ~」





---城門---

盗賊「おお!!馬が居たのか!!丁度良かった手伝ってくれ」

僧侶「どうしたの~?」

盗賊「暗くなる前に食料を町から運びたい」

僧侶「え?どうして~?」

盗賊「城の地下にまだ衛兵達が生き残ってたんだ・・えらく衰弱してる」

僧侶「本当に~?何人くらい居るの?」

盗賊「よく分からんが100人以上は居るんじゃねぇか?・・怪我人ばかりだ」

僧侶「たいへんだぁ~」

盗賊「治療は薬剤師がやってる・・まず食料を運ばねぇと!来てくれ」



パカパカパカ



盗賊「この荷車を引っ張って城まで運んでくれ」

騎士「わかった」

盗賊「俺はもう少し集めてから戻る」

436: 2013/07/14(日) 17:17:43.52 ID:c7XYuKUC0
---城---

商人「やぁ!戻ったね」

僧侶「ねぇねぇ衛兵さんが見つかったって・・」

商人「・・早速だけど僧侶は衛兵達に回復魔法を掛けて欲しい」

僧侶「うん!わかった~」

商人「一人ずつ銀のロザリオを持たせてから回復してあげて」

僧侶「オッケ~ウフフ」

商人「それから衛兵達の治療を薬剤師と交代してきてくれるかな?」

僧侶「は~い」

商人「薬剤師には魔女の料理を手伝ってもらいたいんだ・・どうやら魔女の料理が怪しい」

僧侶「え?」

商人「見た目の話さ・・栄養はありそうだけどやっぱり魔女は魔女だ」

僧侶「どういう意味~?」

商人「魔女っぽい料理なんだよ・・なんというかブツ切りで煮込むみたいな・・」

僧侶「ウフフ~わかった~」



---

僧侶「!!?んま~~~い!!」モグモグ

商人「見た目は別にして・・魔女の料理おいしいね」モグモグ

盗賊「本当だな!!」モグモグ

薬剤師「衛兵達も喜んで食べてるみたい」

商人「衛兵達の様子はどうかな?」

薬剤師「怪我の方はもう良いからあとは栄養かな」

商人「動けないのは変わらないか・・海賊達が来たら辺境の村まで運んでもらおう」

薬剤師「それが良いと思う」

商人「盗賊!町の様子はどうだい?」

盗賊「ゾンビ退治に数週間はかかりそうな数居るぞ・・・1000体以上だな」

商人「物資は?」

盗賊「大分焼けてしまってるが金属製の物はほとんど使える・・食料は100人居るとすると1週間分だな」

商人「城の備蓄と合わせて10日って所かぁ」

魔女「わらわの愛しき人はいつ来るのじゃ?」

商人「陸路で向かってる筈だから・・あと2週間くらいかな」

盗賊「海賊船待ちだな」

商人「先に女海賊が飛行船で来てくれると助かるなぁ・・」

囚人「あの娘は行動が読めん」

商人「ハハそうだね・・他に食料を確保するとしたら・・」

盗賊「よし!俺と女盗賊で近くの森まで行って狩りをしてくる」

商人「大丈夫かい?」

盗賊「騎士が馬を見つけた・・馬で荷車を引かせれば大物の獲物も狩れる」

商人「じゃぁ明日から頼むよ」

437: 2013/07/14(日) 17:18:15.39 ID:c7XYuKUC0
---翌日---

商人「じゃぁ皆!作戦通り頼むよ」

盗賊「まかせろ!」

商人「僕は城で予言の書を探す」

僧侶「ねぇねぇカラスが沢山来てる~」

商人「カラスも食料目当てかな?」

薬剤師「カラスはあたしにまかせて」

商人「何するつもりだい?」

薬剤師「リーダーのカラスだけ餌付けすれば言う事聞く様になると思う」

商人「へぇ・・そんな事できるんだ?」

薬剤師「カラスは色々な病気を持ってるから飼いならして見たかったの」

商人「君は又変な趣味を持ってるんだね」

薬剤師「これも研究よ」




---

ヴヴヴヴヴヴヴ

パカラッ パカラッ ブシュ!ブシュ!

騎士「それにしてもこんなに沢山のドラゴンの涙を使ったんだろうか・・」

僧侶「違うと思うなぁ~」

騎士「どうしてそう思う?」

僧侶「ほら~衛兵さんと同じ装備のゾンビが居るもん」

騎士「む!!?そうか・・伝染してるのか」

僧侶「あとで薬剤師に相談しないとね~」

騎士「どうやって伝染するんだ?」

僧侶「カラスかも~」

騎士「なるほど・・それで薬剤師が興味持ってたのか」

僧侶「わたしって賢い~?」

騎士「見直したよ」

僧侶「惚れた~?ウフフ」

騎士「・・・・・」

僧侶「惚れたって言ったらもっと癒してあげるよ~」

438: 2013/07/14(日) 17:18:47.40 ID:c7XYuKUC0
---数日後---

商人「・・・なんて事だ・・でたらめばかりじゃないか」

僧侶「なんて書いてあるの~?」

商人「この予言の書には・・



勇者は人間を裏切り世界を滅ぼすと書いてある

他にはドワーフの滅亡や銀の生産

始まりの国の滅亡、中立の国の滅亡、終わりの国の滅亡、機械の国の滅亡

エルフの森での戦争、ドラゴンの襲撃、クラーケンの襲撃

新たな武器や病気の誕生・・・まことしやかに書いてあるけど・・



盗賊「見方によっては全部当たってるんじゃないか?」

商人「いや・・どれ一つ具体的な数字や方法は書いてない」

盗賊「それを予言と言うんじゃないか?」

商人「僕に言わせるとこんなの只の暗示だよ」

盗賊「暗示?」

商人「そうさ・・魔王が残した予言の書というだけで国王達は信じてしまっている・・ただの暗示さ」

魔女「人間は頼るものが無い時に暗示に従うものじゃ・・」

盗賊「その予言の書の地図にある×印は何だ?」

商人「ここに記述は無いけど後から書き足した物に見える」

騎士「・・僕は知っている」

商人「どういう事だい?」

騎士「そこは人間が最後に戦う場所・・最後に疫病で人間達は滅びる」

商人「騎士がどうしてそんな事を?」

魔女「騎士は僧侶によって魔王の心から解放された時に思い出したと言うておる」

騎士「人間がすべて滅んだ後・・気が付いたら又初めに戻っているんだ」

商人「この世界は幻?・・・また予定通りに事が進んでいく?」

僧侶「呪いは解けた筈なのにね~」

商人「そうさ!僕達はもう呪いに縛られない・・ここから先は僕達の世界だ!」

盗賊「こういう考えが出来るのも呪いが解けたおかげかもな」

薬剤師「・・ねぇ・・最後に疫病で皆氏ぬって言ったよね?」

騎士「僕が思い出した過去だとそうだよ」

薬剤師「あたし何となく分かる・・もしあたしのスライムが攻撃されたら吸い取った毒が散らばると思う」

商人「・・・・・」

薬剤師「スライムを増やせば毒が散らばっても又吸わせれば良いと思うんだけど」

商人「少し考えたい・・」

439: 2013/07/14(日) 17:19:19.74 ID:c7XYuKUC0
---1週間後---

盗賊「海賊船が来たぞぉ!!4隻来てる!!」

商人「女海賊は来てないかい?」

盗賊「こっち向かって飛んで来てる」

商人「付いたら伝令を頼みたいんだ・・呼んでくれるかな?」

盗賊「分かった!!」



フワフワ ドッスン



女海賊「はろはろ~調子はどう~?」

盗賊「・・お前・・飛行船改造したのか?」

女海賊「わかるぅ~?あんた達と同じにしたの~待ちきれなくって」

盗賊「さすが囚人が見込むだけあるな・・一人でやったのか?」

女海賊「アタシの奴隷どもにやらせたに決まってるじゃない」

盗賊「そ、そうか・・それより商人が呼んでるぞ」

女海賊「はいは~い」フリフリ




---

商人「やぁ!女海賊!頼みがあるんだ」

女海賊「何?」

商人「衛兵100人程を辺境の村まで送るように海賊王に伝えて欲しいんだ」

女海賊「100人!?海賊船4隻じゃ足りないネ」

商人「乗ってる海賊達を降ろしても無理かな?」

女海賊「ん~~パパに聞いてみるね」

商人「あと君のパパとも少し話がしたい」

女海賊「りょうか~い!!飛行船に乗せてくるネ」

商人「たのむよ」

女海賊「それとさぁ~アタシの飛行船も見て!!改造したんだ」

商人「お!?見せてもらおうかな」ヨッコラ

女海賊「アタシの研究だとさ~縦帆は2つで十分みたい」

商人「へぇ~すごいじゃないか」

女海賊「スピードが出るから羽も少し小さくしたんだ!小型帆船並みに小回り利くよ」

商人「君はこの筋で大成しそうだね」

女海賊「もう海賊やめて空賊になるよ」

商人「ハハハ良いね」


440: 2013/07/14(日) 17:19:53.61 ID:c7XYuKUC0
---

海賊王「なんや商人!?困った事あるんか?」

商人「わざわざ呼んですまないね・・ちょっと海の様子が聞きたいんだ」

海賊王「その話か・・なんや機械の国の船がちぃとおかしいわ」

商人「この間はクラーケンの動きもおかしいって・・」

海賊王「そうや!多分・・機械の国の船は終わりの国を目指しとる感じや」

商人「ここに!?」

海賊王「あの船はめちゃくちゃ遅いんだが来週辺りにはここまで来るで?」

商人「そうか・・衛兵100人は辺境の村まで送れそうかな?」

海賊王「あと2隻必要や・・娘に伝令させよか?」

商人「間に合うかな?」

海賊王「5日で来れると思うわ・・娘の飛行船がめちゃめちゃ速ようてなガハハ」

商人「じゃぁ頼むよ・・あと終わりの国の略奪は海賊に任せたよ」

海賊王「そら良えなぁ!!武器が欲しかった所や」

商人「自由に持って行って構わないよ」

海賊王「ガハハ~野郎共も喜ぶわ!」

商人「あと氏体の埋葬で人手を回して欲しい・・1000体くらいゾンビの氏体が出る」

海賊王「穴は大砲で掘ったるわ!そこに埋めりゃえぇ」

商人「イイネ!それもお願い」



---

ドカン! ドカン! ドカン!

盗賊「うはぁ・・穴掘り早えぇな・・」

海賊達「氏体埋めるぞぉ~!!」

盗賊「埋めたら土もかぶせてやってくれぇ!!墓標も立てたい!!」

海賊達「わかってらぁ!!」エッサ ホイサ



ドカン! ドカン! ドカン!

カー カー バサバサ バサバサ

魔女「薬剤師や・・カラスは言う事聞くんか?」

薬剤師「言う事は中々聞かないけど・・ホラ・・一応リーダーの言う事は聞くみたい」

魔女「エサ次第かの?」

薬剤師「そうね・・全部のカラスから病気を吸い取るのはちょっと無理かな」

魔女「やはりカラスがゾンビにする病気を持っておるんか?」

薬剤師「そうだと思う・・これだけ広がってしまってはもう手遅れね」

魔女「カラスが渡り鳥では無いのが救いかのぅ」

薬剤師「時期に渡り鳥にも感染すると思う」

魔女「厄介じゃのぅ」

薬剤師「もう少し慣らして集めれるようになったら・・魔女に焼いてもらうしか・・」

魔女「仕方ないのぅ・・」

441: 2013/07/14(日) 17:20:31.62 ID:c7XYuKUC0
---2週間後---

パカラッ パカラッ ブシュ! ブシュ!

騎士「!!?あっちの方で音がする」

僧侶「どこ~聞こえないよ~?」

騎士「シッ!・・」

僧侶「あんな遠くの音が聞こえるの~?」

騎士「・・・・・」



ゴーン バシュ ビシ



??「どうなってる!?」

??「気をつけろ!!こいつら氏なないぞ」

??「・・・・・」

??「逃げるか?」

??「おい!待て!何する!?」



ダダダ ズン!!



??「た、倒した?」

??「・・・・・」

??「よし!僕らは援護しながら進もう」

??「回復は任せた!」



僧侶「ねぇねぇ魔女の愛しき人じゃない?」

騎士「多分そうだ」

僧侶「どうするの~?」

騎士「行く・・精霊の加護を!」



パカラッ パカラッ



442: 2013/07/14(日) 17:21:06.35 ID:c7XYuKUC0

剣士「だ、誰か来た!!」

魔法剣士「・・・・・」

レンジャー「む!」ギリリ

戦士「気を付けろ!」



ブルル~ ガフガフ



剣士「誰だ!!?」

騎士「ここは危ない」

レンジャー「魔王の使いか!?」ギリリ

戦士「く、黒騎士だな」

魔法剣士「・・・・・」

僧侶「違うの~」

剣士「ハッ!!姫が捕われている!!」

僧侶「姫!?」ニマーリ

騎士「・・・・・」

剣士「姫をどうするつもりだ!?」

騎士「付いて来い・・ここは危ない」



ヴヴヴヴヴヴ ガァ

剣士「ゾンビが!!」ヒラリ

戦士「くそう!数が多い」

騎士「・・・」グイ パカラッ パカラッ

レンジャー「来たぞ!!」ギリリ シュン シュン

騎士達にレンジャーの攻撃は通じない

レンジャー「何ぃ!!はじき返した!!」

騎士「城へ向かえ!!」パカラッ ブシュ!

剣士「逃げるのかぁ!!」ダダダ


443: 2013/07/14(日) 17:21:39.90 ID:c7XYuKUC0
---

剣士「戦士!馬車の馭者を頼む!僕達はゾンビを倒しながら城に向かう」

戦士「わかった・・すこし離れて追従する」

剣士「レンジャーは矢を温存して」

レンジャー「わかってるよ」

剣士「魔法剣士が先頭でお願い!僕は援護に回る」

魔法剣士「・・・・・」

剣士「やっぱり終わりの国は魔王軍に飲まれたというのは本当だったんだ・・」

レンジャー「それにしてもこのゾンビ達も魔王軍の仕業か?」

魔法剣士「・・・違う」

剣士「!?何か知ってるのか?」

魔法剣士「・・・」ダダダ ズン!

剣士「急ごう・・姫が心配だ」




---終わりの国---

剣士「そんな・・ひどい・・ひどすぎる」

レンジャー「廃墟だ・・な」

戦士「アレを!!カラスの大群が城に集まってる」

剣士「魔王が居るのか!?」

戦士「・・そんな筈は・・」

レンジャー「!!!人影だ!!城に向かってる」

剣士「慌てないで気を付けて行こう」

魔法剣士「・・・・・」




---城門---

剣士「門が開きっぱなしだ」

レンジャー「さっきの人影はどこに?」

戦士「ここにはゾンビが居ない」

レンジャー「嫌な予感がするな」

剣士「王国からの密書は誰に渡せば・・」

レンジャー「行ってみるしかないね」

剣士「ゴクリ・・」

戦士「衛兵が居ないという事は・・この国はもう・・」

剣士「入るよ!」


444: 2013/07/14(日) 17:22:12.56 ID:c7XYuKUC0
---城---

商人「待っていたよ」

剣士「お、お前は一体何者だ!?」

商人「ハハハ誰だと思う?」

レンジャー「魔王か!?それとも魔王の側近か!?」

商人「やっぱりそう思うよねハハハ・・・騎士!!門を閉めて!!」



ガラガラガラ ガシャーン



剣士「ハッ!!さっきの黒騎士・・・と姫?」

レンジャー「しまったぁぁ!!逃げ道を塞がれた!!」

商人「君達は勘違いしてるんだよ」

剣士「なんだって!?終わりの国を滅ぼしたのはお前達じゃないのか!?」

商人「それはドラゴンがやったのさ」

レンジャー「ドラゴンだって!?」

商人「囚人!!魔女を呼んできてくれないか?」

囚人「わかった・・」スタスタ

剣士「何をするつもりだ!」

商人「君達に会わせたい人が居てね」

レンジャー「・・・どう見ても魔王と側近と黒騎士・・魔女にカラス使い・・魔王軍に違いない!」

商人「話を聞いて欲しい」

レンジャー「剣士!これはまやかしだ!世界の半分をやるとか言うに決まってる!」

剣士「話ってなんだ!?」

レンジャー「だめだ剣士!!騙されるな!!」

商人「結論から言うよ・・同志になって欲しい」

レンジャー「そら見ろ!!俺達は騙されないぞ!!」

商人「ハハハじゃぁこう言えば良いのかな?『勇者よ我が物になれ!』」

魔法剣士「・・・」ピク

商人「魔法剣士!君は本物の勇者だね?」

魔法剣士「・・・」

商人「僕達はこの世界が幻だと知っているんだ・・そして呪いの解き方も知っている」

魔法剣士「・・僕は」

商人「僧侶!回復魔法を掛けてあげて」

僧侶「は~い!!」

剣士「え!?君は姫では・・」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


445: 2013/07/14(日) 17:22:46.86 ID:c7XYuKUC0
---

剣士「な、何を・・」

レンジャー「え!?」

戦士「ハッ・・」

勇者「どうなってる・・」



商人「武器を置いて欲しい」

囚人「魔女を連れて来たぞ」

魔女「おおおぉぉぉぉ・・わらわの愛しき人じゃ・・」ノソノソ

勇者「・・君は・・夢に出てくる人か?」

魔女「うわぁぁぁぁん会いたかった・・もう離さぬ」ガシッ

勇者「・・ちょ」

剣士「な、なんだぁ?」

レンジャー「え!?なんでこうなる?」

戦士「これは一体・・」

僧侶「魔女~鎖で繋いであげるぅ~~」ガチャ ガチャ

魔女「うおぉぉぉぉんひっくひっく・・うえぇぇぇぇん」ポロポロ

勇者「ど、どうすれば」オロオロ

僧侶「だっこしてあげれば良いの~ウフフ」

魔女「わらわを忘れたのか?200年待ったぞよ?もうわらわを離さないでおくれ」ポロポロ

レンジャー「なんか魔王との対面が台無しになってないか?」

商人「ハハハ良いじゃないかバーベキューでもしよう」

盗賊「おい!!上に上がって来い!準備できてるぜ!!」

僧侶「は~い!」

戦士「・・何がなんだか・・」

剣士「拍子が抜けた」

レンジャー「こ、これはまやかしに違いない!!みんな騙されるな!!」

盗賊「良いから早く来いよ!!肉が焦げる!!」



446: 2013/07/14(日) 17:23:22.90 ID:c7XYuKUC0
---

ジュージュー

剣士「・・・と言う事は終わりの国はもう・・」

商人「ドラゴンに襲撃される前に辺境の村に避難したんだ」

剣士「この状況を始まりの国にどう説明すれば・・」

商人「噂通りドラゴンに滅ぼされたで良いじゃないかな?」

剣士「預かっている密書はどうしよう・・」

商人「君はその中身を見たのかい?」

剣士「見てないです」

商人「ハハ正直なんだね」

剣士「悪い事はキライなんです」

商人「じゃぁ密書はそのまま返品かな・・ただ・・」

剣士「ただ?」

商人「君達はもう始まりの国へは帰らない方が良い」

戦士「!!?俺は任務が残ってる」

商人「任務?・・君は始まりの国の衛兵かな?」

戦士「そうだ!」

商人「ハハハ良い事を教えてあげよう・・君の上官は僕達の仲間さ」

戦士「なんだと!?どういう事だ!?もしかしてお前達は隊長の言う海賊の一味か?」

商人「ん~海賊みたいなものかもね・・一応バッチもあるよホラ」

戦士「・・・隊長から直々に貰った指令の中にバッチを持つ海賊に出会った時に渡す手紙が・・」

商人「ああ・・きっと僕達の事だよ」

戦士「これだ・・」ゴソゴソ パサ



”例の物が完成したようだ

”自体が悪化する前に処分を願う



戦士「渡せば分かるはずだと・・これは何の事だ?」

騎士「・・・・・」---エルフの娘---

商人「・・やらなきゃいけない事が山積みだね」

戦士「なんだ!?言っている事が分からん!」

商人「やっぱり君達には一緒に手伝って貰いたい・・」



ヒュルルル~ バーン ピカーーーー



盗賊「!!!おい!!!何かの合図だ!!!」



447: 2013/07/14(日) 17:24:15.14 ID:c7XYuKUC0
---

商人「女海賊からの信号かな!?皆外に出よう!!」タッタッタ

盗賊「おい!!緊急事態だ!!全員外に出ろ!!」

僧侶「ふぁ~い!」モグモグ



タッタッタ 



盗賊「ちっ・・もう日暮れで良くみえねぇ」

女盗賊「飛行船がこっちに・・・え!?海岸を見て!!」

盗賊「どこだ!?・・・機械の国の船か?・・お、おい!!10隻は来てるぞ!!」

商人「盗賊!飛行船の用意を!!」

盗賊「わかった!!」

剣士「え!?な、なんだアレ?ドラゴンか?」

女盗賊「アレは飛行船よ!!今は私たちの指示に従って!!」

商人「・・機械の国はどうやら僕達を魔王軍だと思ってる様だね」

女盗賊「そのようね・・早く逃げないといけない」



フワフワ ドッスン



女海賊「大変!大変!パパの船があと10分で出港するから早く乗ってぇ~!!」

商人「騎士と僧侶は馬に乗って海賊船へ!!」

商人「剣士達も馬車を船に乗せるんだ・・騎士の後に付いて行って!!」

商人「残りは飛行船で・・」

薬剤師「・・待って!!カラスを処分させて!!」



カァーカァー ザワザワ バサバサ



盗賊「うお!!すげぇ数のカラスが・・」

商人「魔女!?カラスを焼けるかい?」

勇者「・・火炎地獄!」ゴゥ ゴゴゴゴゴ

魔女「火炎地獄!」ゴゥ ボボボボボ



ギャーギャー ドサドサドサ



商人「うゎ・・すごいな・・空が焼ける・・」

薬剤師「あぁ・・心が痛む・・」

商人「よし!!皆後で海賊船で落ち合おう!」

盗賊「早く飛行船に乗れぇ!!」

女海賊「アタシの飛行船は土足禁止ねぇ~」



448: 2013/07/14(日) 17:25:41.70 ID:c7XYuKUC0


ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



---飛行船---

盗賊「おい!見ろ!!巨人が大量に上陸してる」

商人「海賊船は大丈夫そうかい?」

盗賊「あぁ・・日が暮れてるのが幸いしてるな」

商人「ゴーレムはどれくらいの数かな?」

盗賊「どんどん船から出てくるぞ・・今のところ50体位か?」

商人「終わりの国を制圧に来た様だね・・間一髪だったね」

盗賊「あんな大軍じゃたまったもんじゃねぇな」

商人「機械の国のゴーレムはもっと居る筈・・何年も前からトロールの密売が続いてる」

盗賊「お前が知ってる数でどれくらいだ?」

商人「僕が知ってるだけで100くらいかな?捕まえるのが簡単だからもっと居ると思う」

盗賊「見つからないうちに海賊船に向かうぜ?」

商人「そうだね」


449: 2013/07/14(日) 20:44:20.61 ID:c7XYuKUC0
---海賊船---

フワフワ ドッスン

盗賊「アバズレ娘の飛行船はなかなか器用な事するな・・」

商人「僕達が降りれる様にしてくれてるんじゃないかい?」

盗賊「まぁ・・そうなんだろうがロープ切れたら飛んでっちまうぞ?」

商人「ハハそんなこと気にする子に見えないよ」

盗賊「・・アレに乗るときどうするつもりかね?」

商人「ロープを伝って行くしか・・」

盗賊「落ちたら海だぜ?」

商人「それも考えて無いんじゃないかい?あの子は・・」

盗賊「ヌハハさすが海賊王の娘だな」

商人「僕はその心臓がうらやましいよ」




---

女海賊「・・・あんたさぁ・・こっちは心配してたんだよ!?」

勇者「・・・」

女海賊「行くなら行くって言ってくれないとアタシも面子ってもんが・・」

僧侶「まぁまぁ・・おちついて~」

女海賊「あんたもあんたよ!!みんなしてイチャ付いて!!」イラ

盗賊「よう!何揉めてんだ!?口うるさい女に絡まれてるのか?」

女海賊「!!!カチン!!!盗賊も女盗賊と出来ちゃってるワケ?」

盗賊「ヌハハお前には関係無ぇだろ!ガキは黙ってろ」

女海賊「ムキーーー」

囚人「女海賊!お前は俺が鍛えてやる」

女海賊「アタシはそんな暇無いの!」

囚人「良いからこっちに来い」グイ

女海賊「ちょちょ・・何すんのよー!!」

囚人「今から飛行船の改造だ」

女海賊「はぁ?またアタシに力仕事させようってんの?」

囚人「お前の経験が必要だ」

女海賊「アタシは忙しいの!あんた一人で・・」

囚人「黙って付いて来い」グイ

女海賊「もう!!離してよ!!」


450: 2013/07/14(日) 20:45:01.53 ID:c7XYuKUC0
---

商人「・・・早速だけどちょっとやりたい事があるんだ・・出来るだけ急ぎたい」

商人「明日の朝に命の泉に向かいたい」

商人「命の源に突き刺さってる魔槍を抜きたいんだ」

商人「確証は持てないんだけど勇者なら魔槍を抜けるかもしれない」

商人「あの魔槍を抜かない限りこの世界は呪いから解放されない」

商人「剣士、レンジャー、戦士はこれからどうしたい?」

戦士「・・俺は任務があるから始まりの国へ戻らなくてはならない」

商人「剣士とレンジャーは?」

剣士「僕は・・」

レンジャー「俺は決めた!女海賊に惚れた!・・なぁ剣士も行くよな?」

剣士「う~ん・・構わないけど・・前後関係が良く分からなくて」

商人「それは追々分かって来るよ」

戦士「この海賊船はどこに向かってるんだ?」

商人「中立の国方面さ・・途中で下船して始まりの国行きの民間船に乗れば戻れるよ」

戦士「そうか・・俺は戻って隊長に報告を・・」

商人「そうだ!!隊長に返事をしておいて貰いたい・・『例の件は了解した』ってね」

戦士「わかった・・お前達の事は・・」

商人「すべて隊長に話してから指示を貰って欲しい・・良いね?」

戦士「お前達は一体何者なんだ?」

商人「世界を救おうとする者達だよ・・君の上官も同じさ・・その下に居る君も同じ筈」

戦士「敵では無いんだな?」

商人「そう信じてる」

451: 2013/07/14(日) 20:45:46.52 ID:c7XYuKUC0
---翌朝---

盗賊「こっちの飛行船には騎士、僧侶、勇者、魔女、商人、薬剤師が乗ってくれ」

盗賊「女海賊の飛行船には剣士、レンジャー、囚人、女盗賊・・それから荷物を多めに積んでくれ」

盗賊「夜は魔女の照明魔法を目印にして付いて来い」

盗賊「じゃぁ行くぞ!!」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



盗賊「うお!上昇が早いな」

商人「女海賊の研究の成果だよ・・縦帆2つだけで良いらしいよ」

盗賊「そりゃ楽になるな」

商人「球皮の後端にも羽を付けてるんだ・・なぜか速度が増すらしい」

盗賊「あのアバズレ見かけによらずしっかり研究してるんだな」

商人「いや・・けっこう賢いよ」

盗賊「ん~む目は悪くねぇのにわざわざ眼帯してる奴がか?」

商人「ハハあの眼帯には秘密があるんだってさ」

盗賊「なぬ!?」

商人「小さい穴が開いてて遠くが見えやすくなるらしい」

盗賊「なんと!?」

商人「賢いだろう?」



452: 2013/07/14(日) 20:46:29.16 ID:c7XYuKUC0
---飛行船---

ビョーーーーウ バサバサ

商人「やっと少し落ち着いて話が出来るね・・勇者」

勇者「・・・・・」

商人「君の事が知りたいんだ」

勇者「・・・・・」

商人「ハハまず僕達の事から話した方がよさそうだね・・どこから話そうかな」

騎士「僕から話す・・僕はもともと選ばれた勇者として・・」

---

---

---

---

---

商人「・・という訳さ・・ややこしいでしょ?」

騎士「そんな中僕はこの世界が幻だという事に気が付いた」

商人「勇者はどう思ってる?・・この世界を」

勇者「・・分からない・・僕は昔の記憶が無い・・ただ精霊の声は聞こえる」

商人「精霊の声?・・どんな風に聞こえるのかな?」

勇者「耳を澄ませると精霊の声がする・・心の中で導かれる」

商人「導きねぇ・・」




僕はいつの間にか・・気が付いたら旅をしていた

その昔の記憶は無い

精霊の声に導かれていつの間にかここに居る

その声・・いや・・音は僕に常に『呪いを解く鍵を探せ』と語りかけていた

そんな旅の最中僕は常に命を狙われ

心の中の声に導かれるまま終わりの国まで来て

あなた達と出会った




商人「よく分からないな・・君は本当に勇者なのかい?」

勇者「今、精霊の声はハッキリと聞こえる『魔王を探せ』と」

商人「魔王が何処に居るか知っているのかい?」

勇者「知らない・・でもあなた達と一緒に居ることは導きだと思っている」

騎士「・・この世界に魔王は居ない」

商人「でも200年前には居るんだ・・きっと君はソコに行く事になる」

魔女「・・・・・」

商人「・・・魔女」


453: 2013/07/14(日) 20:46:57.67 ID:c7XYuKUC0
---

僧侶「魔女は子供みたいに勇者に甘えてるね」

騎士「魔女が魔女じゃないみたいだ」

商人「200年待ったんだ・・そっとしておこう」

僧侶「ねぇねぇわたしも甘えて良いかなぁ~ねぇねぇ」

商人「ハッ!!・・そうだ・・僧侶!君は精霊の声は聞いた事あるのかな?」

僧侶「ほぇ?精霊の声?ウフフ~わたしが精霊カモ~なんてね~」

商人「まじめに答えてよ」

僧侶「ん~~どうかなぁ・・始めて命の泉に行った時は『呪いをどうやって解くんだろう?』って思ったけど・・」

商人「思ったけど?」

僧侶「それって精霊の声だったのかなぁ?」

商人「ん~~~なんか違うね」

僧侶「今は『魔王は何処に居るのかな?』って思ってるけど・・それも違う?」

商人「ん~~~それもなんか違うね・・ほら声が聞こえるとか姿が見えるとか・・」

僧侶「わたしはね~夢も見たこと無いの~」

商人「夢?」

僧侶「うん!寝たら一瞬で朝になる感じ~ウフフ」

商人「ハハハ良い体質だね」

盗賊「イビキだけは勘弁してくれ」

僧侶「ええええええ」



454: 2013/07/14(日) 20:47:37.66 ID:c7XYuKUC0
---

ビョーゥ バサ バサ

騎士「・・・・・」

商人「騎士?考え事かい?」

騎士「風の音・・声かな?・・を聞いてる」

商人「君は精霊の声は聞こえないのかい?」

騎士「良く分からない・・でも聞こえているのかもしれない」

商人「かもしれないって?」


勇者の言う『呪いを解く鍵を探せ』と

僧侶の言う『呪いをどうやって解くんだろう?』

これは同じ様な意味になる

勇者の『魔王を探せ』と

僧侶の『魔王は何処に居るのかな?』も同じ

耳を澄ませると風や水・・あらゆる物から伝わって来るのは

それに似た感覚


騎士「僕は幽閉されている間ずっと銀のアクセサリーを指で弾く音を聞いていた」

商人「・・・・・」

騎士「銀の音を聞くと不思議と心が安らいだ」

騎士「今思えばそれは心の闇・・『呪いを解く方法を探してた』と言い換えれる」

商人「それが精霊の声?・・・僕にも聞こえるかな?」

騎士「耳を澄ませるだけだよ・・他に何も要らない」

商人「・・・・・」

騎士「・・・・・」

商人「・・・今は聞こえるかい?」

騎士「風の音だけだよ・・」

商人「なにか感じる物は?」

騎士「空間を感じる・・その中に僕は何かを探してる」

商人「・・・なるほど・・魔王を探してると言い換えれるのか・・深いな」



ヒューゥ



455: 2013/07/14(日) 20:48:03.30 ID:c7XYuKUC0


---

商人「・・・古文書によると200年前よりずっと前に命の泉を汚染したと書いてる」

騎士「そこに刺さってる魔槍を抜けば良いのかい?」

商人「多分ね・・ただドラゴンは普通の人間には抜けないと言ってた」

盗賊「勇者なら抜けるっていう保障は無いな・・無駄足にならなきゃ良いが」

僧侶「ドラゴンさんでも抜けなかったのかなぁ?」

商人「さぁね?・・でも僕の勘は結構当たるんだ」

盗賊「勇者!責任重大だな!ヌハハ」

勇者「・・・」

盗賊「ん~む・・騎士に比べると勇者は大分キャシャな体付きだが・・」

商人「ハハハそうだね・・見るからに騎士の方が適任に見える」

盗賊「まぁ一人ずつ試してみるだな・・意外とあのアバズレ娘が抜いたりするかもしれん」




---

盗賊「んむ~やっぱり女海賊の飛行船の方が少し速い」

商人「同じ様にしてる筈なんだけどね・・なんでだろう?」

盗賊「違うのは派手さだけなんだがな・・」

商人「あっちはドラゴンに似せてウロコみたいな物を貼り付けてるよね」

盗賊「あんなもんじゃ速さは変わらんだろ」

商人「いや・・そうでもないよ・・魚は水中を早く泳げるじゃないか・・それと同じかも」

盗賊「なぬ!!」

商人「本当・・あの子はあなどれないね」

盗賊「おいおい・・偶然だろ」


456: 2013/07/14(日) 20:48:31.62 ID:c7XYuKUC0
---砂嵐地帯---

ビョーーーーウ バサバサ

盗賊「ちぃと揺れるぜ」

騎士「何か出来る事はあるか?」

盗賊「そうだな・・女海賊の飛行船が付いて来てるか見ておいてくれ」

騎士「分かった」



女海賊「はろはろ~!!」

騎士「!!?」

盗賊「な、なんだ?」

騎士「すぐ真後ろに居る!!」

盗賊「おま・・!!危ねぇだろ!!」

女海賊「ロープ受け取ってね~!アタシの奴隷1号!お願が~い!!」

レンジャー「任せろ!!」ギリリ シュン トス

盗賊「うお!!あぶねぇ!!バカヤローこのアバズレがぁ!!当たったらどうすんだ!!」

女海賊「じゃね~ベロベロバー」ノシ

盗賊「おい!騎士!矢に付いてるロープを結んでおいてくれ」

騎士「もうやってる」

商人「ハハハさすがだね女海賊・・やり方が手際良い」



盗賊「・・んん?揺れなくなったな」

商人「船も連結すると揺れが小さくなるよ・・多分女海賊の飛行船はこっちより少し速度落としてる」

盗賊「ロープを張って安定させてるのか?」

商人「きっとそうだ」

盗賊「んむむ・・認めるしかねぇな・・あのアバズレめ」



457: 2013/07/14(日) 20:49:01.17 ID:c7XYuKUC0
---山頂---

ビョーーーーウ バサバサ

商人「はぁはぁ・・」

薬剤師「商人!ゆっくり意識的に大きく呼吸して」

商人「すーーはーーすーーはーー」

盗賊「やっぱり標高が高い所は心臓に良くないな」

騎士「そんなに心臓が悪化してるのか・・」

薬剤師「ここに来るのはこれで最後にした方が良いと思う」

盗賊「もうすぐ山頂だ!」

騎士「なんて高い山なんだ・・」

僧侶「騎士はここに来るの始めてだったね~世界のすべてが見えそうな感じだよ~ウフフ」

騎士「世界のすべて・・か」

盗賊「命の泉の前に直接降りる!」



フワフワ ドッスン




---命の泉---

シーン・・・

僧侶「ドラゴンさんは居ないね~」

盗賊「んむ・・商人!俺が背負ってやる・・来い!」ヨッコラ

商人「す、すまない」

僧侶「女海賊の飛行船も降りてきた~」

盗賊「あぁ・・後から付いて来るだろう・・俺達は先に行こう」

騎士「なんて静かな所なんだ」

僧侶「足元気をつけてね~小さなお花が咲いてるの~ウフフ」

薬剤師「あ!!癒し苔を摘んで行かないと・・」

僧侶「え?このお花は癒し苔って言うの~?」

薬剤師「癒し苔は不老長寿の薬が作れるの・・」

僧侶「へ~・・・不老長寿ってなに~?」

薬剤師「不老長寿と言っても寿命を少し長くするくらいの効果しか無いけど・・商人には良い薬になる」

盗賊「そりゃ良い!!少し貰って行ってもバチは当たらんだろ」

薬剤師「うん!少し摘んで行くから先に行ってて」


458: 2013/07/14(日) 20:49:41.80 ID:c7XYuKUC0

サラサラサラ

勇者「ここが・・命の泉?」

商人「そうさ・・泉の真ん中に魔槍が突き立ってる筈・・抜いて見て」

勇者「・・やってみる」

魔女「わらわも一緒に行くぞよ」

勇者「一緒にやろう」ジャブジャブ



勇者「・・これが魔槍か・・なんて大きな槍だ」

魔女「行くぞよ?」

勇者「・・むん・むんん・・むんんん・・くはぁ」

商人「・・・だめかい?」

勇者「抜けない」

商人「くそう!!」バチャン!

盗賊「お、おい!暴れるなよ」

商人「すまない・・僕の思い違いだったみたいだ・・これで世界が救われると思った」

盗賊「・・・・・」

商人「くそう!!くそう!!くそう!!どうすれば良いんだ!!」バチャン!バチャン!

盗賊「落ち着け!!」

商人「はぁ・・はぁ・・ゲホッゲホッ」



459: 2013/07/14(日) 20:50:21.27 ID:c7XYuKUC0

騎士「僕がやってみる」

僧侶「わたしも手伝う~」

騎士「僧侶には僕の腰を支えて欲しい」

僧侶「わかった~」

騎士「・・・」---すべての力を出し切る---

僧侶「準備良いかなぁ?」

騎士「スーーハーー・・・フンッ!!!」ボコ

盗賊「うお!!足がめり込んでやがる」

騎士「んがあああああああ!!!!」ズブズブ

僧侶「あわわ・・」ガシッ

騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ボキボキ

商人「!!!」



ズボッ



盗賊「ぬ、抜けた・・」

商人「僧侶!騎士に回復魔法を!手足の骨が折れてる」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

盗賊「魔槍が・・灰になっていく・・」サラサラ・・

商人「騎士!!命の源の傷跡に銀を埋め込んで!!」

騎士「銀?・・・」---銀のアクセサリー---


---リーン---


商人「それを魔槍が刺さっていた穴に!!」

騎士「・・エルフの娘」ズボ グイ グイ

商人「僧侶!命の源に回復魔法を!!」

僧侶「え?あ・・うん!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



シーン・・・

460: 2013/07/14(日) 20:50:52.84 ID:c7XYuKUC0
---

盗賊「・・な、なんか変わったか?」

騎士「・・・」ガクッ ザブン!

僧侶「!!?騎士・・回復魔法!」ボワー

商人「多分これで良い・・僕達は魔王の呪いを解いた筈」



サラサラサラ



商人「きっとこれで世界は救わ・・れる・・さ」

盗賊「!!?おい・・商人!!大丈夫か?」

商人「・・・・・」

盗賊「まずい・・」

僧侶「横にしてあげた方が良いかも~」

盗賊「そ、そうだな・・」

勇者「薬剤師を呼んでくる」タッタッタ

盗賊「・・・呼吸が弱い!!どうすりゃ良いんだ!?」

僧侶「心臓は無事かなぁ?」

盗賊「だめだ!止まりそうだ・・僧侶!回復魔法を!」グッ グッ グッ

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



461: 2013/07/14(日) 20:51:27.92 ID:c7XYuKUC0
---

フワフワ ドッスン

女海賊「やっと着いたぁ~はろはろ~」

盗賊「おぉ!!良い所に来た!!女海賊の飛行船の荷物を俺の飛行船に積み替えてくれ!」

女海賊「何よ!!アタシは今着いたばかりなの!!」

盗賊「商人が倒れた・・お前の飛行船で早く地上まで降ろして欲しい」

女海賊「!!?マジ?・・・心臓止まってる?」

盗賊「止まりそうだ」

女海賊「大変!!そんなマッサージじゃダメ!!アタシがやるから盗賊は荷物積み替えて!!」ニヤリ

盗賊「わ、わかった!!マッサージ頼む」ダダダ

女海賊「お~い!!アタシの奴隷1号と2号!!荷物を降ろして!!」

レンジャー「・・げげ・・まただよ」

剣士「は、はい・・今降ろします」

女海賊「あららららら・・・顔が真っ青だ」グッグッグッグッ



タッタッタッタ



薬剤師「商人は!?・・・・まだ間に合う・・マッサージ休まないでね」ゴソゴソ

女海賊「何するつもり?」

薬剤師「これは強心薬・・もしもの時にだけ使うの!僧侶!!水をすくってきて!」

僧侶「は~い!!」ジャブ ジャブ

薬剤師「少しづつ口の中へ・・」

僧侶「おくちア~~ン」チョロチョロ

薬剤師「うん!それで良い」

僧侶「お水が太陽の光でキラキラ光ってる~」

薬剤師「本当ね・・この泉の水は光でキラキラするんだね」



462: 2013/07/14(日) 20:52:09.17 ID:c7XYuKUC0
---

盗賊「よし!!荷物積み替え終わった!!騎士!!商人をゆっくり運んでくれ」

騎士「わかった」ヨッコラ

盗賊「奥だ!風通しの良い所に寝かせてくれ!」

薬剤師「マッサージはあたしに任せて」グッグッグッ

盗賊「女海賊!一番近い町は砂漠の町だ!急いで山を降りてソコへ向かってくれ」ポイ

女海賊「忙しいなぁ・・ん?これは?」パス

盗賊「商人ギルドの地下の鍵だ・・裏に入り口がある」

女海賊「そこに運べば良いのね?」

盗賊「囚人も一緒に行ってやってくれ・・俺はあっちの飛行船で砂漠の町に向かう」

囚人「わかった」

盗賊「じゃぁ後は頼む・・」

薬剤師「待って!!癒し苔をもう少し採ってきて欲しいの」

盗賊「わかった・・残った奴らで摘み取っておく」

女海賊「お~い!アタシの奴隷1号と2号も速く乗って~!!」

レンジャー「げげ・・」

剣士「はぅ・・」

女海賊「全速力で行くよ!!」



ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



463: 2013/07/14(日) 20:52:43.47 ID:c7XYuKUC0
---

盗賊「じゃぁ俺達は癒し苔を摘み取ってから行こう」

僧侶「もう女盗賊が先に摘み行ってるよ~」

盗賊「そうか・・俺に摘めるだろうか」

僧侶「盗賊さんはジャマになると思う~飛行船の準備でもしておいて~ウフフ」

盗賊「そうか・・・ん?命の泉がきらめいてる・・・水って本当は光を反射する物なのか?」

僧侶「どうかなぁ~?眩しいね~」

騎士「呪いは解けたようだ」

僧侶「でも世界中に広がるまで時間がかかりそうだね~」

盗賊「まぁ・・これで商人の作戦は成功だな」

僧侶「そういえばさぁ・・商人が取り乱すの始めて見たなぁ・・」

盗賊「アイツは自分の命がもう残り僅かなのを知ってるんだろ・・だから失敗したくないんだ」

僧侶「呪いが解けて良かったね~」

盗賊「これで世界が救われると尚良いんだがな」

騎士「・・まだやる事が残っている」

盗賊「キマイラとゴーレムか・・」

騎士「急がないと」



464: 2013/07/14(日) 20:53:10.51 ID:c7XYuKUC0
---飛行船---

ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー

僧侶「ねぇねぇ砂漠の町までここからどの位?」

盗賊「3日って所だ」

僧侶「その間どうしよっかな~・・・あ!!商人が読んでた古文書だぁ」

盗賊「お前に読めるのか?」

僧侶「試しに読んでみるね~ウフフ」

盗賊「まぁ3日は暇になるな」

騎士「僕にも見せて」

僧侶「一緒に見よ~」パラパラ




文字は読めないから挿絵だけ見るね~

この絵はエルフかな?

耳が長いから多分そうだね~

これは?精霊かな?

かなぁ?女神様?

こっちは魔王かな

槍を持ってるからそうかも~

この杖をついてるのは誰だろ?

誰かな?・・文字が読めないと分からないね

・・・だめだぁ眠たくなった・・むにゃ

467: 2013/07/14(日) 22:12:52.73 ID:c7XYuKUC0
---砂漠の町---

ガヤガヤ ガヤガヤ

盗賊「どうしたってんだ・・えらく賑わってんな」

女盗賊「様子がおかしいわね・・私は聞き込みしてから後で商人ギルドの地下に行くわ」

盗賊「おう!頼む・・俺達は先に行こう」

僧侶「砂漠の町に似合わない格好の人がいっぱ~い」

騎士「お祭りか何かな?」

盗賊「いや・・こんな時期に祭りは聞いたことが無い・・そんな事より商人が心配だ」

僧侶「そうだね~早く行こう~」



468: 2013/07/14(日) 22:13:31.10 ID:c7XYuKUC0
---商人ギルド地下---

タッタッタ ガチャリ バタン

盗賊「帰った!どうだ?商人の具合は?」

薬剤師「ハッ・・癒し苔は集まった?」

僧侶「いっぱいあるよ~♪ウフフ」

薬剤師「頂戴!今から薬を作る」

盗賊「具合は良くねぇのか?」

囚人「一度も目を覚ましていない」

盗賊「呼吸は・・・してるな」

囚人「心臓も今は安定している」

盗賊「栄養が足りんか?・・目を覚まさん事にはな・・」

僧侶「女海賊達は~?」

囚人「中立の国を経由して海賊船に行くと言って出て行った」

盗賊「何かあったのか?」

囚人「中立の国から市民が避難してきている」

盗賊「・・それで人が多いのか」

僧侶「何かあったのかなぁ?」

囚人「機械の国のゴーレムが大軍で駐留しているらしい」

盗賊「何!?」

囚人「それに合わせてリザードマンとドラゴンも来ている」

盗賊「おいおい!大変な事になってるじゃねぇか!!」

囚人「だから女海賊は偵察に行った・・すぐ戻るとも言っていたが・・」




薬剤師「薬が出来たわ・・飲ませるの手伝って」

僧侶「は~い」

薬剤師「あたしが首を押さえるから僧侶はゆっくり口の中に入れて」

僧侶「うん・・」チョロチョロ

薬剤師「・・そう」んぐ んぐ

僧侶「これだけで良いの?」

薬剤師「それで全部・・沢山あっても少ししか抽出出来ないの」

僧侶「効くと良いね~」

薬剤師「そうね」



469: 2013/07/14(日) 22:14:32.14 ID:c7XYuKUC0
---

魔女「わらわと勇者は少し町に出てくるぞよ」

盗賊「そうだな・・飛行船が長かったからな・・気分転換して来い」

僧侶「いいないいな~」

盗賊「勇者!気をつけろよ?」

勇者「分かってる・・町を散策したら戻ってくる」

魔女「わらわは勇者と一緒に町で買い物をするのが夢じゃった」

盗賊「ぬはは・・じゃぁ金貨も持って行け!」ジャラリ

魔女「それには及ばぬ・・少しの金貨で良いのじゃ」

盗賊「そうか・・まぁ楽しんで来い」




---夜---

女盗賊「・・・中立の国の王が急病で亡くなったそうよ」

盗賊「急病・・まさか暗殺じゃねぇだろうな?」

女盗賊「そのまさかの線が強そう・・今は王子が統治してるけど政治には弱いみたい」

盗賊「なんだって急に・・」

女盗賊「始まりの国の情報が中立の国にリークしてるって話は前に聞いたことがあったわ」

盗賊「お前は誰がリークしてたか知ってるのか?」

女盗賊「私の調べでは・・始まりの国の執政・・黒い噂が絶えない」

盗賊「ん~む・・暗殺された線がやっぱり強いな」

女盗賊「機械の国は中立の国と友好だから・・」

盗賊「場合によっちゃ戦争になりかねんな・・」

女盗賊「中立の国はドラゴンを退けるだけの戦力を持ってるのかしら?」

盗賊「いや・・あそこは武力を持たない国だ・・今はゴーレム頼りだろうな」

女盗賊「・・そのゴーレムはどれくらいの火力を?」

盗賊「1体で6匹の子ドラゴンと互角に戦える・・」

女盗賊「!!!え?・・・そんなのが100体以上も?ウソでしょ?」

盗賊「俺はこの目で見た」

女盗賊「信じられない・・それなら半分の50体でも始まりの国と戦争出来るわね」

盗賊「・・ところがだ・・始まりの国のキマイラはもっとすげぇ」

女盗賊「魔女騒動の時の?」

盗賊「そうだ・・3分で中立の国の城をバラバラに出来る・・いや・・消す事が出来る」

女盗賊「・・・・汗が出てきた」


470: 2013/07/14(日) 22:15:48.61 ID:c7XYuKUC0
---翌日---

バタバタバタ

薬剤師「商人が目を覚ましたの!!」

盗賊「本当か!?」

薬剤師「誰か食事をお願いできる?」

僧侶「わたしが作ってあげよ~か~?ウフフ」

盗賊「・・・お前はダメだ・・女盗賊できるか?」

女盗賊「流動食で良いのかしら?」

薬剤師「うん。お願い!!他の人はまだ商人を刺激する事は言わないでね?」

盗賊「わかってる!今話しできるか?」

薬剤師「うん。色々聞きたがってる」

盗賊「おい!騎士!行くぞ」




---

商人「やぁ・・どれくらい経ったのかな?」

盗賊「1週間だ・・具合はどうだ?」

商人「お腹が減ってるよ」

盗賊「今女盗賊が食事を作ってくれてる・・少し待て」

商人「夢を見たんだ・・僕は始めて良い夢を見たよ」

盗賊「どんな夢だ?」

商人「走ってる夢さ・・ほら・・僕は走ったことが無いから」

盗賊「気持ちよかったか?」

商人「最高だったよ・・思いっきり走っても苦しくないんだ」

盗賊「まぁ・・走ると疲れるがなヌハハ」

商人「あと海の夢も見たんだ」

盗賊「海?」

商人「海が太陽できらめくんだよ・・眩しくて目が開けられない・・そんな夢さ」

盗賊「それは時期に正夢になる」

商人「どういう事だい?」

盗賊「命の泉の呪いが解けてからきらめく水が湧くようになった」

商人「本当かい!?見たかったな」

盗賊「心配するな・・呪いは解けた」

商人「良かった・・きらめく海を見るまで僕は氏ねないなぁハハハ」

盗賊「んむ・・薬剤師が不老長寿の薬を作ってお前に飲ませた・・しばらくは大丈夫だろう」

商人「そうか・・生かされてるのか・・ありがたい」

盗賊「まぁ今は体力を付けないとな」

商人「そうだね・・がんばるよ」

471: 2013/07/14(日) 22:16:16.14 ID:c7XYuKUC0
---

商人「騎士・・君には感謝しないといけないね」

騎士「僕に?」

商人「正直僕は勇者じゃないと魔槍は抜けないと思っていたんだ・・君が抜くのは予想外だったよ」

盗賊「ヌハハそうだな・・まさか自分の手足の骨が折れるまでやるとはな」

商人「ドラゴンは力では抜けないと言ってたんだよ」

盗賊「それを無理やり抜いた訳か」

商人「君は魔王を超える力を持っているのかも知れないね」

僧侶「わたしも手伝ったの忘れてないかなぁ?」

商人「ハハそうだったね・・僧侶の力かもしれないね」

盗賊「まぁ結果オーライだな」

僧侶「ねぇねぇ商人が読んでた古文書なんだけどさぁ・・」

商人「ん?何かあったかい?」

僧侶「ほらほら~?ここの項見て~」パラパラ

商人「精霊と魔王の項かい?」

僧侶「うん!精霊さんって女神様なの?」

商人「女神というか見た目は女性だね・・ここの項に書いてあるのは精霊と魔王の戦いの事さ」

僧侶「戦いがあったんだぁ~」

商人「精霊は魔王に封印されたと書いてるよ」

僧侶「へぇ~・・じゃぁ勇者はどうして精霊の声が聞こえるのかなぁ?」

商人「さぁね?でも封印された先は夢幻の世界となってるからソコから話しかけるのかもね」

騎士「夢幻?・・夢・・幻・・」

商人「ハハこの世界だと思っているのかい?考えすぎだよ・・今僕達はここに居る・・現実さ」

盗賊「んむ・・俺は俺だ!現実に違いない」



472: 2013/07/14(日) 22:16:45.71 ID:c7XYuKUC0
---数日後---

商人「ほっ・・」スタッ

盗賊「おい!もう起き上がって良いのか?」

商人「少し元気が出てきたんだ・・落ち着かなくてね」

盗賊「薬剤師!!良いのか!?」

薬剤師「少しなら良いと思う」

商人「バーベキューが食べたいなぁ」

盗賊「ん~む・・外は暑いぞ?俺達がバーベキューになっちまう」

商人「ハハやっぱり地下は快適だねぇ」

薬剤師「汗をかくのは心臓に負担だから控えめにして欲しい・・」

商人「そういえば女海賊を見ないなぁ・・どうしてるんだい?」

盗賊「あのアバズレは海賊船に一回戻ると言って出て行った・・もうすぐ戻る筈だが」



ガチャリ!!ドタドタ



女海賊「はぁはぁ・・大変!!」

盗賊「!!!女海賊・・待て!!商人はまだ体調が悪い・・こっちに来い」

女海賊「そんな事言ってる場合じゃ・・」

盗賊「良いから来い!!」グイ

女海賊「なによ~!!」



商人「・・・盗賊!待て・・・何か隠してるね?」

盗賊「・・・・・」

商人「僕の体調は気にしなくて良いよ・・話して」



473: 2013/07/14(日) 22:17:29.97 ID:c7XYuKUC0
---

女海賊「始まりの国がエルフと戦争を始めて・・中立の国に駐留してたゴーレム達が移動を始めた」

商人「・・・どういう事だい?初めから話して欲しい」



終わりの国に来ていたゴーレムの大軍はゾンビを片付けた後中立の国へ向かったの

程なくして中立の国の国王が暗殺されて混乱の中ゴーレム達が到着し駐留する形になった

同時にドラゴンとリザードマンが中立の国を襲撃するようになり難民が砂漠の町に避難

その間始まりの国ではエルフとの関係が悪化して戦争状態になって

機械の国のゴーレム達は今そこに向かおうとしてる

始まりの国から見るとエルフの他にゴーレムも乗じてる様に見える



商人「・・・最悪のシナリオじゃないか・・キマイラが動き始める」

女海賊「海賊達は今難民を辺境の村に移送するのに手一杯」

商人「くそう・・」バンッ

盗賊「商人!落ち着いてくれ・・」

商人「わかっているよ・・どうするか少し考えたいかな」



騎士「僕に考えがある・・」

商人「!?何か良い方法が?」

騎士「キマイラを・・・エルフの娘を森へ返す」

商人「そんな事が出来るのかい?」

騎士「エルフのオーブを使えば言う事を聞くかもしれない・・元はエルフの娘だ」

商人「・・・成功する自信は?」

騎士「自信は無い・・でもエルフの娘を森へ返す気構えは持っている」

商人「気構えって・・」

騎士「約束したんだ・・森へ返してあげるって」

商人「言う事を聞かなかったら?」

騎士「僕が責任を持って止めを刺す」

商人「君に出来るかい?」

騎士「エルフの娘を守れなかったのは僕だ・・責任は取る」

商人「わかった・・それで行こう・・いづれ通る道だね」



474: 2013/07/14(日) 22:18:29.40 ID:c7XYuKUC0
---

商人「まず海賊王の船に行こう!ここから2~3日だよね?」

女海賊「アタシが案内する!」

商人「ゴーレムの移動速度からすると始まりの国まで・・」

女海賊「エルフの森を直接横断してるから今日から数えて10日くらい」

商人「ギリギリ間に合う感じかな」

女海賊「ここから直接行った方が良いかも・・4~5日で行ける筈」

商人「騎士には馬が必要だよ」

女海賊「馬なんて始まりの国で買えば良いじゃない!」

商人「・・今は戦争中だよ・・馬が買える訳ないよ」

女海賊「キィィィィィいらいらする!!」

商人「それと・・君達をむやみに危険に晒す訳にも行かないよ」

女海賊「え!?アタシは行くよ!!」

商人「君はまだキマイラを見たことが無いね?・・・飛行船なんか一発で落とされる」

女海賊「あたらなければどうという事・・」

商人「君はこれからリーダーになる人間だと言う事を忘れないで欲しい」

女海賊「え!!?アタシがリーダー?」

商人「僕達にも海賊達にも・・それから難民達にも君が必要さ」

女海賊「・・・」



---飛行船---

盗賊「忘れ物は無いな!?」

騎士「乗った!」

盗賊「よし!行くぞ」



ボボボボボボ フワフワ プシュー



商人「やっぱり上から見ると随分人が避難してきてるね」

盗賊「中立の国からだと船に乗れなかった奴は砂漠の町に来るしかないだろ」

商人「女海賊から聞いたけどドラゴンじゃゴーレムに歯が立たないって・・」

盗賊「あぁ海賊王の船で見たことがある・・ゴーレム1体とドラゴン6匹で互角だ」

商人「ブレスと爪だけじゃ攻めきれないのか・・」

盗賊「ゴーレムの着てる鎧を引っ剥がせば太陽の光で石になるんだがな」

商人「中身はトロールかぁ・・鎧に穴を開けれればなぁ」

盗賊「穴か・・」

薬剤師「硫黄があれば鉄を溶かす薬を作れるよ」

商人「本当かい?」

薬剤師「とても危険な薬・・ほとんどの金属を溶かしてしまう」

盗賊「硫黄か!?・・心当たりがある・・辺境の村の裏山は火山だ・・硫黄も少し見かけた」

商人「よし!海賊達に取ってきてもらおう」

475: 2013/07/14(日) 22:18:57.82 ID:c7XYuKUC0

---

盗賊「見ろ!ドラゴンが飛び回っている」

僧侶「どこどこ~?」

盗賊「下だ!!この望遠鏡を使え」ポイ

僧侶「うふふのふ~ドレドレ」

盗賊「馬鹿!!反対だ」

僧侶「えへへ~・・・ドラゴンさん中立の国に近づけないみた~い」

盗賊「ゴーレムは見えるか?」

僧侶「わお~大きな大砲持ってる~・・・あ!!港に大きな船が居るよ~」

商人「ちょちょちょ・・見せて」グイ

僧侶「どう~?」

商人「・・・ゴーレムをどうやって操ってるんだ?操作してる人が見当たらない」

盗賊「そういえばそうだな」

商人「ゴーレムの頭の部分に人が入ってるのかな?・・いやそんなスペースがあるように見えない」

盗賊「まてよ・・そういえば機械の国の衛兵なんか見た事無いな」

商人「船の方にも人影が見えないなぁ・・・自律で動いてるのかな?」

盗賊「ん~む」

商人「まったく動かないゴーレムも居る・・本当にロボットみたいだ」

盗賊「そんな訳・・」

商人「もし頭部だけ交換出来るとしたら?・・・義手の様に」

盗賊「おいおい・・」

商人「石になってる間に頭部だけ交換・・簡単そうじゃないか?」

盗賊「いくらなんでも考えすぎだろ」

商人「・・でも不思議だ」




476: 2013/07/14(日) 22:19:43.92 ID:c7XYuKUC0
---

盗賊「海賊船が見えた!!良い位置に居るな」

商人「海はまだきらめいていない・・」

盗賊「もうしばらくかかるんじゃねぇか?」

商人「盗賊!女海賊の飛行船がどいたよ」

盗賊「よし!着陸する」




---海賊船---

フワフワ ドッスン

海賊王「えらいこっちゃなぁ・・」

商人「海賊王・・いつもすまないね」

海賊王「かまんかまん」

商人「今の状況はどうなってるのかな?」

海賊王「機械の国の船が陸沿いで始まりの国の方向へ動いてるわ」

商人「陸の方はどうなってるか分かる?」

海賊王「ここに来る前に見えんかったんか?」

盗賊「エルフの森を横断してるらしいが上からは見えんかったな」

海賊王「わいは陸の方はよう分からんな・・娘の方が詳しいわ」

女海賊「ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないみたい」

商人「・・と言う事は機械の国の船が目印になるんだね」

女海賊「多分ね」

商人「この海賊船で先回りするのは出来るかな?」

海賊王「それは出来るが・・危のうないか?」

商人「先回りして騎士達だけ降ろしたい」

女海賊「パパお願い!」

海賊王「しゃーないなぁ・・お前等ぁ!!進路変更や!!始まりの国へ全速力や!!」

海賊達「へ~い!!」



477: 2013/07/14(日) 22:20:28.75 ID:c7XYuKUC0
---

勇者「僕も騎士達と一緒に行きたい・・」

商人「・・今君を失う訳に行かないんだ」

勇者「役に立てるかも知れない」

商人「だめだよ・・騎士と僧侶の組み合わせは精霊の加護が出来る・・だから行けるかもしれない」

勇者「精霊の加護・・」

商人「それが無いと戦争の真っ只中には行かせられないよ」

盗賊「俺達はどうする?」

商人「僕と囚人だけで上空から騎士達を見守る・・あとの人は海賊船に残って」

盗賊「なにぃ!!」

商人「囚人も飛行船は動かせるよね?」

囚人「もちろんだ」

薬剤師「あたしも行く」

商人「君は・・・」

薬剤師「あたしが居ないと商人は生きられないよ?」

商人「わかった・・僕の命をお願い」

盗賊「俺達は待ってれば良いのか?」

商人「僕が不在の間は女海賊がリーダーさ」

盗賊「ななななんだと~う!!」

商人「女海賊には後の作戦を話しておく」

盗賊「ぐぬぬ」

商人「大丈夫だよ・・彼女は見た目よりずっと考えてるよ・・心配ないさ」




---

商人「・・・分かったね?」

女海賊「アタシにそんな忙しい事やらせる訳?」

商人「君の言う事はなんだかんだ皆聞くだろう?」

女海賊「それはアタシの美貌のせい!」

商人「ハハまぁ君の好きなようにして良いよ・・でも勇者だけは守って」

女海賊「わかった・・騎士達が戻るまで絶対祈りの指輪を使わせない」

商人「それで良い」

女海賊「アタシはアタシのやり方で動くかんね?」

商人「自信があればそれでも構わないよ・・ただ」

女海賊「ただ?」

商人「命を粗末にはしないで」

女海賊「そんな事分かってるわよ!」


478: 2013/07/14(日) 22:21:01.28 ID:c7XYuKUC0
---

盗賊「おい!商人!女海賊にどんな指示をしたんだ?」

商人「機械の国の船の足止めさ」

盗賊「足止め?」

商人「その他にも色々とやることを説明しておいた」

盗賊「足止めなんかどうやってやる」

商人「網だよ・・機械の国の船はスクリューと言う物を回して進むらしい」

盗賊「それに引っ掛けるのか?」

商人「そうだね・・女海賊の指揮で機械の国の進行方向に大量の網を撒いておくんだ」

盗賊「・・それでさっき飛んで行ったのか」

商人「ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないと行ったよね?」

盗賊「女海賊がそう言ってたな」

商人「それは理由がある気がするんだ・・船が止まればゴーレムも止まるかもしれない」

盗賊「なるほど・・他にはどんな指示を?」

商人「僕達が行った後の行動さ・・僕達が戻った場合、戻らなかった場合・・いろいろだよ」

盗賊「信用して良いんだな?」

商人「ハハハ大丈夫さ・・今のも実は彼女のアイデアだよ」

盗賊「ふむ・・」



479: 2013/07/14(日) 22:21:31.85 ID:c7XYuKUC0
---

僧侶「ねぇ・・騎士?エルフの娘の事気にしてるの?」

騎士「・・・・・」

僧侶「なんか胸がくるしいよぅ」

騎士「・・・ごめん」

僧侶「え!?どうして謝るの?何かあったの?」

騎士「違うんだ・・そういうのじゃないんだ」

僧侶「お願い話して・・わたし寝れないかも」

騎士「エルフの娘とは空気を使って会話が出来たんだ」

僧侶「え?・・空気?」

騎士「そう・・言葉意外に仕草や小さな音を使って表現するんだ・・エルフ特有の表現方法だよ」

僧侶「知らなかった・・そんな風に通じ合ってたなんて」

騎士「恋とかそういう気持ちじゃないよ・・エルフとは心を通わせる事が出来るんだ」

僧侶「・・・・・」

騎士「でも僕は見てしまった・・目の前でエルフの娘が心臓を取り出され・・血を一滴残らず抜かれ・・」

僧侶「え?え?え?」

騎士「頭を割って脳と骨髄をキマイラに移植する所を・・エルフの娘はその時・・抜け殻になった」

僧侶「そ、そんな事が・・」

騎士「アイツはエルフの娘の亡骸を役に立たないゴミだと言った・・そういう風にしたのはアイツなのに」

僧侶「・・・・・」

騎士「心が通じたエルフの娘はもう動くことは無い、泣かない、笑わない・・どうしても許せないんだ」

僧侶「ごめんね・・わたしが馬鹿だった」ポ口リ

騎士「僕はエルフの娘を森へ返すと約束した・・彼女はそれに空気の会話で答えてくれた」

僧侶「・・・貝殻」

騎士「他にももっと沢山の事を教わったよ・・だからこだわっているんだ・・必ず森へ返す」

僧侶「わたしも手伝う」

騎士「ありがとう」



480: 2013/07/14(日) 22:21:57.87 ID:c7XYuKUC0
---

ザザー ザザー

海賊王「接岸するぞぉぉ!!」

商人「騎士!僧侶!降りる準備を・・」

騎士「もう出来てる」

海賊王「ここは機械の国の船の半日前方やぁ!!お前等が降りたら即離岸する!!」

商人「僕達は騎士達を上空で見守るよ」

僧侶「煙玉と閃光玉の準備もオッケ~」

商人「何かあったらソレを使って教えて」

僧侶「は~い」

商人「海賊船に残った人は女海賊の指示に従ってね」

盗賊「分かってる!!」



ガコン! グラグラ



海賊王「騎士!!早よう降りろぉ!!」

騎士「じゃぁ行って来る」グイ パカパカ

商人「気をつけて!!上手くいったら僕達もエルフの長老の所へ向かうよ」

騎士「必ず連れて帰るよ」

海賊王「はよ行けえええ!!」


パカ パカ パカラッ パカラッ



481: 2013/07/14(日) 23:41:45.90 ID:c7XYuKUC0
---エルフの森南部---

パカラッ パカラッ

騎士「まだ時間がある・・馬に生きた牧草を食べさせる」

僧侶「船が長かったもんね~」

騎士「どうどう・・」グイ 



ブルル~ ガフ ガフ



騎士「上には飛行船が付いて来てるかい?」

僧侶「うん!遠くで旋回してる~」

騎士「エルフが急に襲ってくるかもしれないから気を付けて」

僧侶「精霊の加護してるから大丈夫~」

騎士「会話しながらでも出来るんだ」

僧侶「心の中でお祈り中~」

騎士「ここから東へ行けば森を抜けれる・・馬の休憩が終わったら森を抜けよう」



モシャモシャ ブルル~


482: 2013/07/14(日) 23:42:40.40 ID:c7XYuKUC0
---エルフの森の端---

パカラッ パカラッ

騎士「ハッ・・あれは・・森が燃えている・・もっと北か」

僧侶「ねぇねぇ!!おかしいよ?あそこに居るのゴーレムだよ?」

騎士「・・話が違う!!ゴーレムが1体・・か?」

僧侶「早く行った方が良いカモ~」

騎士「ハイヤ!」グイ



パカラッ パカラッ



騎士「機械の国の一人用の小さい気球も沢山居る・・森に火炎瓶を落としてるのか?」

僧侶「エルフは火が苦手って魔女が言ってた~」

騎士「どうやら機械の国もエルフを攻撃してる・・のか?」

僧侶「・・でもあのゴーレムってさぁ・・」

騎士「手当り次第に暴れてる感じだ」

僧侶「ねぇねぇ・・もしかしてさぁ・・船から離れると暴走するとか?」

騎士「・・・まさか」



”ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないと行ったよね?

”女海賊がそう言ってたな

”それは理由がある気がするんだ・・



騎士「そういえば・・ゴーレムは海岸線沿いをずっと移動してる」

僧侶「まさかのまさかカモ~」

騎士「女海賊が撒いた網が裏目に出るかもしれない・・」

僧侶「この状況ってさぁ~飛行船から見えるかなぁ?」

騎士「見えてる筈・・だけど森で暴れてるゴーレムは見えない」

僧侶「どうしよう・・」

騎士「あのゴーレムだけ片付けてみる・・どうなってるか確かめる」



パカラッ パカラッ



483: 2013/07/14(日) 23:43:24.20 ID:c7XYuKUC0
---

ゴスン ゴスン ギギー ドカン

ゴーレム「オーーーーーン」ゴゥ ボボボボ

騎士「僧侶!つかまって!ぶった切る!」パカラッ ブン! ザクン!

ゴーレムはダメージを受け片足を失った



グラリ ドスーン



僧侶「精霊の加護!」

ゴーレム「オーーーーーン」ゴゥ ボボボボ

騎士達は精霊の加護によりブレスを払いのけた

騎士「ゴーレムの反応が早い!加護が無ければ直撃だった」

僧侶「片足が無くても這って来る~」

騎士「・・・馬並みに早い!!僧侶!ゴーレムを良く見て!」

僧侶「大きな兜の中に光る目が一つ、全身土色の鎧、あとはあとは・・」アセアセ

騎士「頭の位置は手が届きそうかい?」

僧侶「這ってるうちは届きそう~」

騎士「折り返して交差するよ・・しっかりつかまって」

僧侶「は~い!」ギュ



パカラッ パカラッ ブン! ザクン!


ゴーレム「オーーーーーン」ドサッ

ゴーレムはダメージを受け頭部を失った

騎士「どうだ!?」

僧侶「だめぇぇぇ!!まだ動いてるぅぅぅ!!」

騎士「森を出る!!」パカラッ パカラッ

僧侶「ゴーレムさん早いよ~追いつかれるよ~」

ゴーレム「・・・」ドス ドス ドス ドス

騎士「太陽の光だ!!」パカラッ

僧侶「あ!!!動かなくなった・・」


484: 2013/07/14(日) 23:43:57.29 ID:c7XYuKUC0
---

ガチャン! バラバラ

騎士「・・・なるほど・・・頭部はトロールの物だ・・心臓を丸ごと機械の心臓に入れ替えてる」

僧侶「取り出せる~?」

騎士「ピカピカ光ってる・・なんだこれは?」グイ ブチブチブチ

僧侶「魔石と・・・機械?」

騎士「これは持って帰る・・まだ間に合うな・・僧侶!煙玉で飛行船を呼んで!!」

僧侶「わかった~火魔法」ポ チリチリ もくもくもくもく

騎士「すこし移動する!!」パカラッ パカラッ

僧侶「気が付いてくれるかなぁ?」

騎士「囚人は寝ないのを知ってるかい?」

僧侶「え?そうなの?」

騎士「すぐ来ると思う・・ゴーレムが見えた筈」




---

フワフワ ドッスン

商人「見てたよ・・どうしてゴーレムが?」

騎士「まずコレを・・ゴーレムの心臓に入ってた」

商人「・・この魔石は遠視の魔石だ・・遠隔操作してる様だね」

騎士「多分そうだと思う・・機械の国の船から離れると暴走してる様だ」

商人「暴走だって!?さっきのゴーレムは暴走してたのかい?」

騎士「1体だけで暴れ回ってた・・そして足が馬より速い」

商人「じゃぁ森が燃えてるのはもうゴーレムが一部来てるって事?」

騎士「暴走したゴーレムが暴れまわってる可能性がある」

商人「・・これはちょっと作戦を考え直さないと・・僕は一回海賊船に戻る!」

囚人「これを持っていけ・・煙玉と閃光玉だ」

商人「・・そうだね・・1時間に一回煙で居場所を教えて」

僧侶「何個あるの~?」

囚人「20個づつだ・・夜は閃光玉で知らせろ」

騎士「僕は北に向かう」

商人「待って!!この遠視の魔石も持って行って・・魔女が遠視魔法を使えるかもしれない」

騎士「僕が持てば良いかな?」

商人「遠視魔法があれば上空から君の目を通じて僕達にも様子が見れる」

騎士「わかった・・じゃぁ行く」グイ パカラッタ

485: 2013/07/14(日) 23:44:35.20 ID:c7XYuKUC0
---始まりの国城門---

執政「・・衛兵隊長!・・なぜ衛兵を出撃させん?」

隊長「衛兵は国を守るのが責務であります。衛兵が城を空けては国王様をお守りする事は出来ませぬ」

執政「今はエルフと戦である・・」

隊長「お言葉ですがエルフが森を出て始まりの国を侵略に来るとは思えませぬ」

執政「衛兵隊長は上官の意向に背くと言うのか?」

隊長「エルフとの関係をこじらせたのは執政殿であります。エルフの森の侵略を止めれば戦は終わります」

執政「・・・衛兵隊長の任を解くと言えば良いか?」

隊長「私は衛兵隊長としての責務を果たしており解任される覚えはありませぬ」

執政「ではただいまをもって・・」

隊長「それを職権乱用と言うのです・・精鋭兵!!これより発言を書記せよ!!」

精鋭兵「ハッ!!」

執政「・・・」

隊長「執政殿管轄の海兵及び空兵は下げた方が良いと思われます・・陸での行動は慣れておりませぬ」

執政「キマイラはただいまをもって我が管轄とする・・」

隊長「精鋭兵!!今の発言を国王様に報告しろ!!」

精鋭兵「ハッ!!」

執政「ふっふっふ・・すでに承認済みの話・・我が息子が育てたキマイラは息子が動かす」

隊長「・・・くっ・・執政!エルフをすべて焼き払うつもりか!?」

執政「口の聞き方に注意した方が良い・・衛兵隊長」

隊長「・・・・・」

執政「衛兵隊長はおとなしく城で見ているが良い・・もう衛兵は不要であると思い知る」

隊長「それは国王様の御意向・・か?」

執政「国王様はすでにご老体・・王子と我が息子がこれからこの国を采配するのだ」

隊長「王子はまだ子供では無いか!!・・ハッ・・まさか国王に毒を盛ったな!?」

執政「ふっふっふ冤罪を擦り付ける気か?証拠も無いのに下手な事を口にするな」

隊長「・・・・・」---この国は滅ぶ---

執政「せいぜい城の警備でもしていろ・・ふっふっふ」



486: 2013/07/14(日) 23:45:06.17 ID:c7XYuKUC0
---衛兵宿舎---

ツカツカツカ

隊長「衛兵!!駿馬を用意しろ!!」

衛兵「ハッ!!隊長はどこか行かれるのでありますか?」

隊長「戦地を直接見てくる・・すぐに戻る!!」

衛兵「私たちは待機で良いのでしょうか?」

隊長「市民を避難させる準備をしておけ・・避難先は港町だ」

衛兵「え!!?そんなに深刻な戦況でしょうか?」

隊長「事態が急変する可能性があるだけだ!黙って準備を進めろ」

衛兵「ハッ・・駿馬は城門前に準備しておきます!」

隊長「着替えて来る」




---城門前---

ヒヒ~ン ブルル~

衛兵「馬の足は速いですが全速力で長い距離は走らないで下さい・・戻って来れなくなります」

隊長「この馬だとエルフの森の国境までどれくらいだ?」

衛兵「2時間で行けます」

隊長「早いな」

衛兵「恐らく国で一番早い馬だと思います」

隊長「ご苦労だった・・任務へ戻れ」

衛兵「ハッ!」

隊長「では行って来る!」グイ


パカラッ パカラッ

487: 2013/07/14(日) 23:45:37.58 ID:c7XYuKUC0
---エルフの森国境---


パカラッ パカラッ


”・・・どういう事だ?機械の国の気球だと?

”森を焼き過ぎだ!!何をしてるんだ!!

”エルフは見当たらない・・・何と戦ってる?

”自軍は・・下がり始めてるか?

”エルフに押されてるのか?

”ハッ!!・・黒い騎士の一騎掛け・・何者だ?



オーーーーーーン



”・・巨人?・・1・2・3・・・いや森の中にまだ居る

”もしやアレは機械の国のゴーレムという奴か?

”なんでこんな所に・・・ゴーレムの足が速い!!

”まずい自軍に追いつく



ゴゥ ボボボボボ



”大砲からブレス!!?

”黒い騎士が・・一騎で立ち向かっている・・・

”ハッ!!エルフもゴーレムに弓を・・・

”自軍は下がる一方か

”あれは・・・ゴーレムの暴走か?

”くぅ・・キマイラの出撃は免れんか

”しかし何故機械の国が絡んでくる・・

”また執政が裏で手を引いているな・・愚か者め

”急いで戻らねば!!・・夜までには城へ到達しそうだ


パカラッ パカラッ



488: 2013/07/14(日) 23:46:22.40 ID:c7XYuKUC0
---


パカラッ パカラッ


騎士「見つけた!!」

僧侶「兵隊さんあぶな~い」

騎士「あれは追いつかれる・・ゴーレム3体か?」

僧侶「森の中にもっと居るみた~い」

騎士「足止めする!!」

僧侶「気をつけてね~精霊の加護もゴーレムに捕まえられたらダメカモ~」

騎士「・・・日暮れが近い」

僧侶「太陽の光がなくなるとゴーレムさん手を付けられなくなる~?」

騎士「森に住むトロールも動き出してしまう」

僧侶「え?トロールさんも?」

騎士「トロール・・いやゴーレムも夜は倒すことが出来ない」

僧侶「まずいカモ~」

騎士「つかまって!!」

僧侶「は~い」 ギュ



オーーーーーーーン



パカラッ ブン ザクリ ブシュ

ゴゥ ボボボボボボ



僧侶「だめぇ~つかまるよぅぅぅぅ」

騎士「3体同時は無理か・・森まで釣る」

僧侶「ゴーレムさん速いよぅ」


489: 2013/07/14(日) 23:46:51.60 ID:c7XYuKUC0

騎士「火の海をくぐる!精霊の加護を!」

僧侶「精霊の加護!」



ボーーーーメラメラ パカラッ ピョン



僧侶「みてぇ~エルフさんが他のゴーレムと戦ってる~」

騎士「1体だな・・援護する」パカラッ ブン ザクリ

ゴーレム「オーーーーーーン」ゴゥ ボボボボボボ

騎士「フンッ!フンッ!フンッ!」サクン ザクン ザクン

僧侶「ゴーレムさん手足全部無くなっても動いてる・・」

騎士「元はトロールだから・・また生えてくる筈」

僧侶「あ!!エルフさんがわたしたちに弓を向けてるよぅ」

騎士「エルフ達!!僕はエルフのオーブを持っている!!」

エルフ「!!?」

騎士「時期にゴーレムの大軍が来る!!ここは少し引いた方が良い!!」

エルフ「お前は仲間か?」

騎士「始まりの国の人間達は後退している!!一旦引いて夜明けを待て!!」

エルフ「・・・」

騎士「あのゴーレム達の中身はトロールだ・・夜は手が付けられない」

エルフ「トロールは我々の味方の筈」

騎士「心臓が入れ替えられている・・元のトロールの心は持っていない」

エルフ「!!?そんな事が・・」

騎士「早く戻って体制を整えるんだ!!日が昇れば勝機は有る!!」

エルフ「お前は名を何と言う?」

騎士「騎士だ!エルフの長老と魔女の仲間だ」

エルフ「覚えておく!・・・ここは下がる!川を越えて火を逃れる・・全員来い!!」スタスタスタ



僧侶「ああぁぁ・・暗くなって来たぁ」

騎士「僧侶!!今日最後の煙玉を!!」

僧侶「は~い!火魔法!」ポ チリチリ もくもくもくもく

騎士「僕達は一旦この森から逃れる・・・始まりの国方面へ向かう!!」グイ



パカラッ パカラッ


490: 2013/07/14(日) 23:47:29.93 ID:c7XYuKUC0
---


パシュ! ピカーーーーー


騎士「今日はここで野営しよう・・ここなら閃光玉の光も上からじゃないと見えなさそうだ」

僧侶「足元がゴツゴツしてる~」

騎士「仕方が無いよ・・ここは岩場だから・・風を避けてる分まだ良い」

僧侶「火は起こさなくて良いの?」

騎士「火が無いと寒くて休めない・・君に熾せるかい?」

僧侶「オッケ~任せて~」

騎士「じゃぁ僕は寝床を作る・・」ジャラリ

僧侶「だめぇ!!鎖で繋いでるから騎士も一緒にやるの~」

騎士「・・・」

僧侶「火魔法!フーフー」メラ パチ

騎士「慣れたもんだね」

僧侶「うふふのふ~」

騎士「じゃぁ次に草と木を少し集めないと・・・」

僧侶「・・・ねぇねぇ・・向こうの空が赤く光ってる」

騎士「森が燃えている・・」

僧侶「恐くなってきた~今日もだっこして寝るね~」

騎士「その方が暖かいね」

僧侶「ねぇねぇ今誰も居ないからさぁ~強くだっこして欲しいなぁ~」

騎士「・・・」ギュゥ

僧侶「・・こんな時に不謹慎かなぁ?・・でもねこうすると嫌なこと忘れるの~」

騎士「・・・・・」

僧侶「あったか~いウフフ」



491: 2013/07/14(日) 23:48:00.33 ID:c7XYuKUC0
---


ドーン ドーン


騎士「ハッ!・・まだ日が昇って居ないのに大砲の音」ガバッ

僧侶「むにゃ~もっとする~?いいよ~」

騎士「僧侶!寝ぼけてる場合じゃない!・・もう行こう」」

僧侶「ほえ?」キョロ キョロ

騎士「大砲の音がした!戦いが始まってる・・」

僧侶「まってぇ~」ヨロ

騎士「・・・肩を!」グイ

僧侶「ごめんねぇ~ウフフ」



ヒヒ~ン ブルル パカラッ




騎士「しっかりつかまってて」

僧侶「は~い!」

騎士「くそう!暗くて様子が見えない」

僧侶「閃光玉使って見る~?」

騎士「お願い!!」

僧侶「火魔法!」ポ チリチリ

騎士「投げて!!」

僧侶「え~い!!」ポイッ ピカーーーーーーー



492: 2013/07/14(日) 23:48:53.56 ID:c7XYuKUC0
---

騎士「始まりの国は攻城兵器を出してる・・」

僧侶「大きな弓みたいのがそうなの~?」

騎士「大砲とバリスタだ・・大砲で掘りを作ってる」

僧侶「満月が真上にあるから~・・」

騎士「まだ夜中だよ・・」



ドーン ドーン ドーン ドーン



騎士「ゴーレムの足を封じるつもりか・・」

僧侶「ゴーレムさんは見えなかったよー」

騎士「見えてるともう遅い

僧侶「商人達は飛行船で上に居るかなぁ?」

騎士「さっきの閃光玉が見えてると良いが・・」

僧侶「衛兵さん達にも見えちゃってるよね~?」

騎士「多分・・・ハッ!!空から火炎瓶が降り始めた」

僧侶「みて~火だるまのゴーレムさん?が見える~」

騎士「・・そうか・・トロールの回復力を封じるには火で炙り続けないといけないんだ・・だから森に火を・・」

僧侶「火だるまのゴーレムさん走ってくる~」

騎士「アレを倒してみる」グイ パカラッ



パカラッ ブン! ザクリ! ドサ



ゴーレム「オーーーーーーン」ズル ズル

騎士「やっぱり火で弱ってる」

僧侶「でもまだ動いてる~」

騎士「回復力を封じてるだけだ・・倒すには至ってない」

僧侶「どうすれば倒せるのかなぁ?」

騎士「心臓の機械を壊せば良さそうだけど・・懐まで入ると捕まってしまう」

僧侶「太陽の光が無いとダメかなぁ・・」

騎士「くそう・・夜明けまで長い・・」

僧侶「ねぇねぇ・・向こうの方!!火だるまのゴーレムさんがいっぱい出てくる~」

騎士「・・・・・すべて燃やし尽くされそうだ」



ピカー チュドーーーーーーン


493: 2013/07/14(日) 23:49:42.97 ID:c7XYuKUC0


騎士「うわぁ!!何だ!?・・」ドサーーーヒヒーン

僧侶「あわわわ」

騎士「僧侶!!大丈夫か!?」

僧侶「わたしは平気~お馬さんは?」

騎士「あそこだ!!驚いて逃げてる・・追いかけよう」

僧侶「今のゴーレムさん何処行ったかなぁ?」

騎士「バラバラだ・・キマイラのブレスだ!!」

僧侶「はぁはぁ・・待ってぇ~」

騎士「大丈夫!・・あの馬は肝が据わっている・・すぐに止まるよ」



ピカー チュドーーーーーーン

ピカー チュドーーーーーーン



---

パカラッ パカラッ

騎士「僧侶!精霊の加護をお願い」

僧侶「分かってる~」

騎士「ダメだ・・キマイラのブレスの狙いが定まっていない」

僧侶「火だるまのゴーレムさんが止まらないよぅ」

騎士「いや・・ゴーレムは攻撃される方向を目指して彷徨ってるだけだ・・今ので方向が定まってしまった」

僧侶「キマイラさんは何処~?」

騎士「・・・あそこの岩場の影・・行こう!!」



494: 2013/07/14(日) 23:50:14.15 ID:c7XYuKUC0
---岩場の影---

ピカー チュドーーーーーン

??「フハハハハ燃やせ燃やせぇ」

??「直撃しないとゴーレムを止めれません!!」

??「しっかり狙って撃てぇ」

??「しかし・・拘束具が邪魔で」

??「数を撃てぇ!!このキマイラは永久機関だハハハハ」

キマイラ「ヴォオオオオオオオオ」



ピカー チュドーーーーーーン



??「フハハハ圧倒的な火力じゃないかハハハ」

??「空を真っ二つに切り裂く勢いだ・・」

??「手足を失ってもゴーレムは向かって来ます!!」

??「直撃させれば問題無い!!撃て撃てぇ!!他の首も開放しろぉ!!」

??「3つ首で稼動するのですか!?」

??「そうだ!!すべて焼き払え!!ハハハ」

??「ハッ!!」



ピカー チュドーーーーーーン



??「フハハハ地獄のいかずちを食らえぇぇ!!」

??「誰か来ます!!・・・黒い騎士?・・です」

??「そんなのが居る話は聞いていないぞ?焼き払え!!」



495: 2013/07/14(日) 23:50:54.18 ID:c7XYuKUC0
---

僧侶「ハッ・・キマイラさんの首が動いた」

騎士「ブレスが来る!!」グイ パカラッタ



ゴゥ ゴーーーーーーーン



騎士「!!?アイツは・・魔王島に居た奴だ・・・・・うううう・・ハァハァ」---憎悪が湧いてくる---

僧侶「え?え?え?」

騎士「僧侶・・・回復魔法を・・く・・れ」

僧侶「回復魔法!」ボワー

騎士「ハァハァ・・」

僧侶「どうしたの~?」

騎士「アイツはエルフの娘を辱めた奴だ・・腹から憎悪が湧いてくる・・」

僧侶「わたしが癒してあげる~回復魔法!」ボワー

騎士「エルフの娘を助けないと・・」



ピカー チュドーーーーーーン



騎士「くぅぅ・・近づけない」パカラッ パカラッ

僧侶「ハッ・・見てあそこ・・隊長だよ」

騎士「え!?」



496: 2013/07/14(日) 23:51:36.84 ID:c7XYuKUC0
---

シュン ドス!!

??「ぐぁ・・・だ、誰だ!!」

隊長「そこまでだ!執政の息子め!キマイラは衛兵隊で管理する!」

執政の息子「フハハハこんな事をしてタダで済むと思っているのか?」

隊長「残念だがお前の父上は私が頃した・・お前も私に命乞いをするか?」

執政の息子「なに!?反逆者だ!!捕えろ!!」

兵隊「・・・・・」

隊長「無駄だ・・執政の息子!私は兵からの信頼が厚い・・反逆者はお前だ」

執政の息子「こっちには王子が付いている!!兵隊!!私の言う事が聞けないのか!!」

隊長「王子を薬漬けにしたのはお前の父の仕業だ・・国を売る反逆者め!」

兵隊「!!?王子を薬漬けに・・」

執政の息子「フハハハキマイラは私の物だ・・私の言う事しか聞かない」

隊長「黙れ!」ギリリ シュン ドス!

執政の息子「ぐぅ・・キマイラを使わないとゴーレムは防げない」

隊長「もっとマシな命乞いをしろ」ギリリ シュン ドス!

執政の息子「フフフハハハ・・拘束具を解放する」ガタリ ドサドサ

隊長「お前・・何を・・」

執政の息子「こ、これでキマイラは自由だ・・防いでみろフハハハハハ」



ヴォオオオオオオオオ ドス ドス



隊長「!!?兵隊!!全員下がれ!!夜明け前に全市民を避難させる!!」

兵隊「は、はい!!キ、キマイラは?」

隊長「手が付けられない・・・ハッ!!お前は!!」



497: 2013/07/14(日) 23:52:19.93 ID:c7XYuKUC0
---


パカラッ ブルル~ ガフガフ


騎士「・・・エルフの娘・・・助けに来た!」

僧侶「隊長~~キマイラさんの事は任せて~~」

隊長「お前達は誰だ!?」

僧侶「・・選ばれた勇者と・・私は隊長の部下の僧侶~」

隊長「なにぃ!!」

僧侶「詳しい話はまた今度~今は避難した方が良いと思うの~」

隊長「キマイラを知っているのか!?」

僧侶「うん!全部知ってる~隊長が海賊王の娘って事も~」

隊長「!!?・・・」

僧侶「隊長の妹さんの女海賊も仲間~」



ヴォオオオオオオオオ ドス ドス



隊長「暴走を始めた!!兵隊!!早く戻れ!!」

騎士「必ずキマイラは森へ返す!!ゴーレムはバリスタで心臓を貫けば止まる筈」

隊長「心臓か!?」

騎士「心臓に入ってる機械を壊せば良い」

僧侶「ゴーレムは海を越えれないからどうしてもダメな時は船で辺境の村まで逃げて~」

隊長「わかった!!キマイラを頼む!!行くぞぉ!!兵隊!!」



498: 2013/07/14(日) 23:52:52.09 ID:c7XYuKUC0
---

執政の息子「フハハハ無駄むだぁ・・私のキマイラは止められる訳・・」

騎士「・・・・・」ジャキリ

執政の息子「私を頃してもキマイラは止められん・・止めれるのは私だけだぁ」

僧侶「騎士!!やめて~!!」

騎士「すまない・・どうしても許せない」グイ

僧侶「だめぇぇぇぇ騎士もその人と同じになっちゃう・・」グイ

騎士「・・・・・」



ヴォオオオオオオオオ 




騎士「エ、エルフの娘・・」

執政の息子「フハハハ分かったぞ・・あの時ゴミを大事そうに持って帰った負け犬だな?」

僧侶「キマイラさん行っちゃう~」

執政の息子「どうだ?私の研究の成果は・・すばらしいだろう?世界を征服する力だ」

僧侶「そんな人放っておいて早く行こ~」グイ

騎士「・・・・・」グイ ブルル~ パカラッタ

執政の息子「フハハハハハ・・・」



499: 2013/07/14(日) 23:53:19.69 ID:c7XYuKUC0
---

ピカー チュドーーーーーーン


騎士「次々機械の国の気球が落とされて行く」

僧侶「キマイラさんに追いつける~?」

騎士「僧侶!近づいたらキマイラに回復魔法を!我を忘れてる・・」

僧侶「わかった~もうすこし近づいて~」

騎士「エルフの娘!!森へ帰ろう!!」パカラッ

キマイラ「ヴォオオオオオオオ」ピカー チュドーーーーン

騎士「ダメだ・・」

僧侶「回復魔法!」ボワー

騎士「止まらない・・エルフの娘~!!迎えに来たんだ!!森へ帰ろう!!」



ヴォオオオオオオオオ ドス ドス

ピカー チュドーーーーーーン


僧侶「・・・すご過ぎる・・森が・・無くなって行く」

騎士「キマイラを止めないと・・世界が破滅する」

僧侶「どうするの~?」

騎士「キマイラの前に回る!!」



パカラッ パカラッ



500: 2013/07/14(日) 23:53:53.74 ID:c7XYuKUC0
---

騎士「エルフの娘~!!止まってくれぇ!!」

キマイラ「ヴォオオオオオオ」ゴゥ ボボボボボボ

僧侶「いやぁ・・精霊の加護!」

騎士「くぅ・・エルフの娘!!目を覚ましてくれぇぇぇ」

僧侶「騎士ぃ!!エルフのオーブを!!」

騎士「エルフの娘!!このエルフのオーブを聞いてくれ・・森へ帰ろう!!」




ヴォオオオオオオオオ ドス ドス




僧侶「・・ダメ・・聞いてくれない」

騎士「助けに来たんだ・・一緒に森へ行こう・・もう森を破壊するのは止めよう」

キマイラ「ヴォオオオオオ」ゴゥ ボボボボボボ

僧侶「いやぁぁぁぁ・・」

騎士「くそぅ・・止められないのか・・」

僧侶「怒りで我を忘れてる?・・・憎悪?」

騎士「ハッ・・・僧侶!!銀のロザリオを貸して!!」

僧侶「え?え?・・・はい」

騎士「エルフの娘!!僕だ!!この音を聞いてくれぇ!!」


---キーン---


僧侶(え?銀のロザリオを鳴らした?・・・)

騎士「思い出してくれぇ!!僕はこの音の意味が分かった!!」

キマイラ「・・・・・」

騎士「これは君が教えてくれたんだ・・憎悪を祓う唯一の方法だ」

僧侶「動きが変わった・・・」

キマイラ「ヴォーーーーーン」

僧侶「泣き声も変わった・・」

騎士「もう頃し合いは十分だ!!森へ帰ろう!!」

僧侶「キマイラの目から血が流れてくるぅ~回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

騎士「行こう!付いて来れるね?」

キマイラ「ヴォーーーーーン」ノソ ノソ



501: 2013/07/14(日) 23:54:25.44 ID:c7XYuKUC0
---飛行船---

ビューーーー バサバサ

商人「キマイラのブレスが治まった・・魔女?見えるかい?」

魔女「ううぅぅぅ・・あれがエルフの娘かえ?」ポロポロ

商人「僕達にも見えるかな?」

魔女「わらわの目に映っておる筈じゃ」

商人「・・・移動してる?森に帰ろうとしてるのかな?」

魔女「そうじゃ・・エルフの娘は我を取り戻し森へ帰ろうとしておる・・ううぅぅ」ポロポロ

商人「ゴーレムはどうなってる!?」

囚人「バラバラになっても這って進もうとしている」

商人「もうすぐ夜明けだな・・海賊船に戻って次の手を打とう!太陽が出てる内に人を避難させないと!」

囚人「わかった・・海賊船に戻る」

商人「それにしても・・エルフの森南部はもうダメかな・・」

囚人「火災が酷すぎるようだ」

魔女「わらわが雨乞いをしてやろう」

商人「なにか必要な物あるかい?」

魔女「強い魔力が必要じゃ」

勇者「僕が手伝う・・魔女・・手を」ギュ



506: 2013/07/15(月) 23:04:02.12 ID:k8Cf0oz30
---森---

ポツ ポツ 

騎士「雨だ・・・」

僧侶「シクシク」

キマイラ「・・・・・」ノソ ノソ

騎士「・・これで森の火が収まれば良いけど」

騎士「もう直ぐ夜が明ける・・」

騎士「はっ!・・トロール達が南へ移動してる」

僧侶「え?・・どこ?」

騎士「森を守ろうとしてるんだ・・」

僧侶「おおき~い・・」

騎士「朝日が昇れば皆石になる」

僧侶「こっちに来たらどうするの?」

騎士「いや・・来ない」

僧侶「どうして分かるの?」

騎士「さぁ?・・なんとなく・・だけど自信が有る」

僧侶「あ・・明るくなって来た」

騎士「見てごらん・・トロール達が並び始めた」

僧侶「石の壁を作るのかなぁ?」

騎士「昼間の間はああやって侵入者を防いでるみたいだね」


507: 2013/07/15(月) 23:04:39.98 ID:k8Cf0oz30
---

グルルルル グルルルル

騎士「・・・・・」

キマイラ「グルル・・」ノソ ノソ

騎士「エルフの娘・・少し休むかい?」

キマイラ「ヴォーーーーン」ノソ ノソ

僧侶「あぁ・・行っちゃう」

騎士「・・・僧侶?君は少し休んで良いよ・・馬は僕が引いてあげる」

僧侶「騎士は歩くの~?」

騎士「あぁ・・エルフの娘のスピードに合わせる」

僧侶「大丈夫?」

騎士「自分の足で少し森を歩いてみたい」

僧侶「わかった~・・少し寝るね~ふぁ~あ・・」スヤ

騎士「エルフの娘・・待って!!・・僕も歩く」

キマイラ「・・・・・」ノソ ノソ




---キマイラは一度も足を休める事は無かった---

---振り向く事も無く---

---ゆっくり森の中を進む---

---僕もその後をひたすら着いて行く---

---それが僕達の会話だった---


508: 2013/07/15(月) 23:05:39.12 ID:k8Cf0oz30
---海賊船---

ザーザー ザーザー

海賊王「ひでぇ嵐や・・」

商人「海賊王!頼みがある・・始まりの国の港町まで海賊船は入れるかい?」

海賊王「そりゃ無理や・・港町に海賊船は寄るなと言われとる」

商人「また避難民が大勢出そうなんだ・・無理は承知で避難させて欲しい」

女海賊「白旗付けて入港したらいいでしょ?パパ」

海賊王「ん~む・・そやけどなぁ・・一般民が攻撃してくるかもしれんで?」

商人「海賊には民を助ける救世主になってもらいたいんだ」

海賊王「なぬ!!?救世主・・えー言葉や!!わいが救世主か?」

女海賊「・・そうそう!正義の義賊・・海賊王参上!!ってね」

海賊王「え~なぁ~!!ちぃと無理するわ!!」

商人「よし!!始まりの国からの避難民は港町まで歩いて2~3日・・しばらくは避難民を輸送してもらう事になる」

海賊王「行き先は辺境の村でええんか?」

商人「そうだね・・塩も向こうに置いて来て」

海賊王「そら忙しゅうなるなぁ」

商人「海賊船は全部で何隻あるのかな?」

海賊王「奪った商船と合わせて50隻はあるで~?」

商人「よし!騎士達はエルフの長老のところまでは1週間~10日かかる筈・・その間僕達は避難民の救出だ」

女海賊「中立の国に残ってるゴーレムも心配」

商人「ちょっと全数が把握出来ないけど・・暴走するとマズイね」

女海賊「20~30体でこの騒ぎだから・・倒せたのってそのうち数体でしょう?」

商人「太陽の光で動かなくなったら処置できる・・女海賊はそっちの処理できる?」

女海賊「心臓の機械を壊すんだよね?」

商人「そう!君の空賊?・・で協力して壊して欲しい」

女海賊「やっとアタシの凄さが分かったみたいね!!アタシの奴隷1号~20号までフル稼働したげる」

商人「ハハ頼むよ」



509: 2013/07/15(月) 23:06:20.54 ID:k8Cf0oz30
---

商人「夜明けだ・・盗賊!!始まりの国の上空まで行きたい」

盗賊「おう!忙しいな・・飛行船に乗れ」

商人「もうキマイラは居ないから多分飛行船でも大丈夫」

盗賊「始まりの国の上空でもか?」

商人「もしかすると他の気球から攻撃されるかもしれないけど・・飛行船なら逃げれるだろ?」

女盗賊「一応私が弓主担当するわ」

盗賊「囚人も弓使えるな?」

囚人「俺を誰だと思っている」

盗賊「ヌハハ元衛兵隊長も弓で頼む」

商人「機械の国の気球はただ森を焼くだけだ・・見つけ次第落とそう」

盗賊「・・・それにしてもひでぇ雨だな・・飛ぶぞ!!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



510: 2013/07/15(月) 23:06:49.95 ID:k8Cf0oz30
---飛行船---

ビョーーーウ バサ バサ

盗賊「雲から出るぞ・・他の気球に気をつけろ!」

女盗賊「沢山居るわ!!」

商人「勇者と魔女の魔法の射程は?」

魔女「弓とさほど変わらんが?」

商人「勇者と魔女も気球の撃墜をお願い・・・盗賊も弓主に回って」

盗賊「おう!それは良いが・・操舵は誰がやる」

薬剤師「あたしが飛行船動かしてあげる・・商人教えて?」

商人「・・縦帆は風を受けて揚力を飛行船に伝えるんだ」

薬剤師「ふむふむ・・」

商人「横風を受けて進むのが一番速く進む・・風上へは30度の角度でしか進めない」

盗賊「いや・・縦帆2本の角度によっちゃ15度まで飛べる・・慣れだ」

商人「・・という事らしい・・この飛行船は他の気球より高度が上げれるから割と安全に飛べる筈」

薬剤師「縦帆の操作はこのロープかな?」

盗賊「そのロープに繋いでるハンドルを回せ・・まぁやってみろ」

薬剤師「えい!」グリグリ

商人「いいね・・次は反対に旋回してみよう」



女盗賊「機械の国の気球しか居ないわ・・始まりの国の気球は一つも飛んでない」

盗賊「えらく小せぇ気球だな」

商人「一応羽付きだよ・・普通よりも早い筈」

女盗賊「・・機械の国の気球に見つけられたみたい・・追って来るわ」

商人「高度を上げながら折り返そう・・様子を見る」

盗賊「あっちは俺達のこと何だと思ってると思う?」

商人「さぁね?でもこんな大型の変な形した飛行船は怪しいだろうね」

女盗賊「何か撃って来てる・・反撃して良いかしら?」

商人「一発だけ球皮に当てて・・そうすれば帰るしかない」



511: 2013/07/15(月) 23:07:24.48 ID:k8Cf0oz30
---

シュン シュン シュン

盗賊「・・これであらかた片付いた・・戻って行くな」

薬剤師「どうすれば良いの?」

商人「追わない・・釣りかもしれないしね・・始まりの国の方向へ向かおう」

薬剤師「えい!」グルグル

盗賊「あの小せぇ気球は機械の国の船の方向に戻ってるのか?」

商人「そうだと思うけど・・すこし進路が違うね・・どこに行くんだろう?」

盗賊「ん~む・・どうやら女海賊の撒いた網は効果がなかった事になるな・・足止め出来ていない」

商人「・・かもしれないね」

薬剤師「雲が晴れてきた・・下が見えるよ」

盗賊「うはぁ・・ひでぇ・・」

商人「暗くて良く分からなかったけど・・草原と森があったとは思えない有様だ」

盗賊「ゴーレムは何処行った?」

女盗賊「所々にある石?」

商人「傷ついたゴーレムは光を受けて石になったかな?」

女盗賊「始まりの国が見えてきたわ」

商人「よし!もう少し近づこう」




---

ドーン ドーン ドーン

盗賊「大砲で堀を作ってやがる・・その後方にバリスタを配置・・まるで攻城戦だな」

商人「始まりの国も夜にゴーレムが来る事を分かってるね」

盗賊「おい!こっちの飛行船に気が付いたぞ」

商人「慌てているかな?手紙を書く」サラサラ

盗賊「こっちの様子を伺ってるな・・」

商人「皮袋に入れて煙玉と一緒に投下して・・できれば宿舎の近くが良い」

盗賊「隊長宛か?」

商人「この海賊のバッチも入れておこう」

盗賊「落とすぞ!!」カチッ チリチリ もくもくもくもく ポイ

商人「よし!始まりの国の北の森に行こう」



512: 2013/07/15(月) 23:07:59.62 ID:k8Cf0oz30
---衛兵宿舎前---

衛兵「隊長!!アレが煙玉を落として来ました!!」

隊長「よし!探しに行け!真っ直ぐ私の所へ持って来い!」

衛兵「ハッ!!」

隊長「他の者は堀の掘削を急げ!!」

隊長「市民は港町まで避難させろ」



タッタッタッタ



衛兵「隊長!!手紙とバッチが入っています!!」

隊長「見せろ!」パサ



”北の森で待つ

”同志より



隊長「衛兵!!駿馬を持ってこい!!指揮を精鋭兵と変わる!!」

衛兵「どうされるのでありましょうか?」

隊長「あの飛んでる奴らは味方だ!私を呼んでいる!」

衛兵「味方!?急いで駿馬を持ってきます」ダダダ



513: 2013/07/15(月) 23:08:31.58 ID:k8Cf0oz30
---林---

パカラッ パカラッ

隊長「煙!!あそこか・・」



商人「来たね・・まず飛行船に乗って」

隊長「ハァハァお前達が来ると問題が起こる」

商人「ハハこの問題は僕達のせいじゃないよ・・まず空から惨状を見てほしい」

盗賊「飛ばすぞ!!」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



隊長「この船はどうしたんだ?」

商人「僕達の手作りさフフ・・君の妹も同じ飛行船に乗っているよ」

隊長「妹?そうか・・無事なんだな」

商人「直ぐ会えるさ・・今はゴーレムの処理をしてる筈」

隊長「昨晩、黒い騎士に会った・・私の部下と一緒だった様だが・・」

商人「それは話が長くなるよ・・まずエルフの森がどうなってるか見てから話そう」



514: 2013/07/15(月) 23:09:01.02 ID:k8Cf0oz30
---エルフの森上空---


ビョーーーウ バサバサ


隊長「こ、これは・・ゴーレムの仕業なのか?」

商人「・・それとキマイラのブレスも・・かな?」

隊長「機械の国は始まりの国を侵略するつもりか?」

商人「恐らくそうだと思う・・中立の国の国王も暗殺された・・もう機械の国の手に落ちてる」

隊長「中立の国の国王が暗殺された?・・・」

女海賊「始まりの国の執政が関わってると思うわ・・」

隊長「・・あの愚か者め」

商人「キマイラはもう大丈夫さ・・森へ帰ったよ・・問題はゴーレムだ」

隊長「何体居るんだ?」

商人「・・100体近く居るはず」

隊長「なっ!!?そんな数が今晩始まりの国に?」

商人「いや・・全部が来るとは限らない・・ゴーレムは統率が取れていない」

隊長「暴走しているんだな?」

商人「そう・・コントロール不能で機械の国も慌ててる筈」

隊長「弱点は無いのか?」

商人「ゴーレムはドラゴン6匹と対等に戦える・・倒すには心臓の機械を破壊するしか無さそうだ」

隊長「・・・・・」

商人「日が出ている内に市民を避難させた方が良い・・海賊船が港町に入港する」

隊長「なんだと!?返り討ちに・・」

商人「だから君に会いに来た・・市民の避難を優先したい・・海賊船で辺境の村まで移送する」

隊長「なぜ辺境の村に?」

商人「ゴーレムは海を渡れない・・おそらくこの大陸はゴーレムにメチャクチャにされる」

隊長「・・・わかった・・私が指揮をする」

商人「始まりの国は市民が避難するまで時間を稼げば良い・・3日あれば港町まで移動できるよね?」

隊長「その後の食料はどうする?・・」

商人「海賊船には塩も乗ってる・・食料の心配はしなくて良い」

隊長「よしわかった・・ギリギリまで持たせてやる」

商人「さて・・次は僕達の話だ・・選ばれた勇者の話からしよう」

---

---

---

---

---


515: 2013/07/15(月) 23:09:41.49 ID:k8Cf0oz30
---

隊長「・・・あの黒い騎士はずっと私の元に居たのか・・そして僧侶も」

商人「そういう事になるね・・あの2人は何年も前からずっと近くに居るんだ」

隊長「そして・・魔法剣士・・いやお前が本物の勇者か?」

勇者「・・・・・」

隊長「フフフ・・ハハハ・・私の目は節穴だ・・なんという馬鹿者か」

商人「それは仕方が無い・・これからの事を考えよう」

隊長「大体理解した!!私は始まりの国へ戻らなければならない・・元の場所で下ろしてくれ」

商人「わかった・・隊長!君はまだ氏んではいけない人だ・・無理はしないように」

囚人「俺も降ろせ・・隊長を守ってやる」

隊長「・・・お前を知っているぞ・・終わりの国の衛兵隊長だな?」

囚人「今は囚人だ」

商人「良いね・・どうやら囚人は海賊王の娘達と相性が良い様だ」

囚人「あのワガママ娘よりはマシだ」

隊長「私の邪魔はするなよ!?」

囚人「俺はお前だけを守ってやる・・それで良いな?」

盗賊「元の林に着いたぜ?」



フワフワ ドッスン



商人「じゃぁ隊長と囚人!!気を付けて!!事が済んだら海賊王の船で会おう!!」ノシ




516: 2013/07/15(月) 23:10:33.11 ID:k8Cf0oz30
---飛行船---


ビョーーーーウ バサバサ


盗賊「次は港町で良いのか?」

商人「あぁ・・次は盗賊と女盗賊に飛行船を降りて貰う」

盗賊「避難民の誘導か?」

商人「それと物資の調達もだよ」

盗賊「金が無いぞ?」

商人「女盗賊の家にある」

女盗賊「え!?そんな物無い筈・・あるのは薬だけ・・」

商人「中身を確かめたかい?」

女盗賊「!!?どういう事?」

商人「あれはねフフ・・僕達は海賊に騙されて塩を掴まされたんだよ」

盗賊「なぬ!!?お前・・知ってたのか?」

商人「ハハ済まないね・・あの時は海賊も黙って薬を渡すほど僕達を信用してなかった」

女盗賊「フフフさすが闇商人ね」

盗賊「どうやってわかったんだ?」

商人「舐めただけさ・・僕が舐めた時ジロジロ見られたけどね」

盗賊「今なら塩は薬より高く売れる」

商人「そうだね・・皆困ってる筈・・それで物資を調達して海賊船に乗せて欲しい」

女盗賊「わかったわ・・運ぶのは盗賊が手伝ってよね?」




---港町---

商人「じゃぁよろしく頼む」

薬剤師「待って!もし硫黄が手に入るようだったら入手しておいて」

盗賊「硫黄か・・大砲の火薬作ってる所ならありそうか?」

薬剤師「あると思う」

商人「どれくらい必要なんだい?」

薬剤師「酸を作るのに必要なの・・ゴーレムの鎧を鎔かせると思う」

盗賊「できるだけ沢山って事か?」

薬剤師「あと・・空き瓶も必要」

盗賊「分かった・・飛行船に積んでる塩も持っていくぜ?」

商人「良いよ・・僕達は一回海賊船に戻るよ」

薬剤師「飛行船の操作はあたしに任せて」

商人「明日もう一回港町まで来るよ・・もうすぐ日が暮れてしまう・・急がないと」

盗賊「気をつけろよ!!」

商人「分かってるよ・・じゃぁ作戦通りお願い」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー


517: 2013/07/15(月) 23:11:04.42 ID:k8Cf0oz30
---飛行船---

ビョーーウ バサバサ

商人「勇者!君は照明魔法を使えるかい?」

勇者「使える」

商人「よし!今日の夜は勇者と魔女の照明魔法で始まりの国を援護する」

魔女「照明魔法をどうすれば良いのじゃ?」

商人「ゴーレムに当てる・・照明魔法はどれくらい持つかな?」

魔女「一晩は持つ筈じゃが・・遠く離れると効果が切れるやもしれん」

商人「僕達は上空で状況を見てるさ」

勇者「それにしても夜に戦なんて・・厄介だ」

商人「まだ満月なだけありがたいよ」

薬剤師「海賊船が見えた!降りるよ」

商人「僕も手伝う!」




---海賊船---

フワフワ ドッスン

女海賊「はろはろ~」

商人「やぁ・・ゴーレムの処理はどうだった?」

女海賊「20体くらい心臓取り出したよ」

商人「見れるかな?」

女海賊「今パパが分解してる」

商人「あ!そうだ!!今日君のお姉さんに会ったよ」

女海賊「え!!!オネエに?」

商人「今始まりの国の衛兵達を指揮してる・・3日はなんとか凌ぐつもりさ」

女海賊「その後は!?」

商人「市民を避難させた後に海賊船に乗る」

女海賊「早く逃げないと危ないよ・・」

商人「囚人が君のお姉さんを守るといって飛行船を降りた」

女海賊「あのオッサンが!?・・・なら大丈夫か」ホッ

商人「それよりゴーレムの心臓が見たいな」

女海賊「パパは船長室に居るよ!」



518: 2013/07/15(月) 23:11:32.68 ID:k8Cf0oz30
---船長室---

ガチャ ガチャ

海賊王「こりゃすげぇ・・応用すりゃ遠隔で義手の指も動かせるわ・・」

商人「海賊王!何か分かったかい?」

海賊王「すごいもんが入っとったわ・・魔石をエネルギーにした永久ポンプや」

商人「ハハ僕の心臓もそれにしたいな」

海賊王「そらムリやわ・・トロールやから交換出来るちゅうもんや」

商人「やっぱりその心臓で遠隔操作してるのかな?」

海賊王「そうやな・・雷の魔石も入っとってな・・どうやらこれでゴーレムを動かしとると思う」

商人「そんなことできるんだ・・」

海賊王「それよりこの永久ポンプの仕組みや・・金属が雷の魔石で伸縮しよる・・これを使えば・・」

商人「筋肉の代わりになる?」

海賊王「そうや!!・・これをゴーレムの体に埋め込んどるんや・・それで自由に動かせる」

商人「・・なるほどね・・雷に弱い訳か」

女海賊「でもゴーレムの鎧が本体へ雷が届かないようにしてる」

商人「鎧に穴が空けば雷で動きを止めれるってことでしょ?」

女海賊「どうやって鎧に穴を?」

商人「薬剤師が酸の薬を作れると言ってる・・硫黄が有れば良い・・ただ今日は間に合わない」

女海賊「海水は?海水を掛ければ本体に雷が効くかも」

商人「ふむ・・良いね!!」

女海賊「ゴーレム1体分の海水ならなんとかアタシの飛行船で運べる」

商人「ん~~~・・・1体か」

女海賊「突出したゴーレムだけやれば進行を遅らせれるかも・・」

商人「わかった・・今日はその手で行こう・・君は海水をゴーレムに掛ける役だ」

女海賊「海水を掛けたら閃光玉で知らせるネ」

商人「よし!なんとか今晩を乗り切ろう」




---

ヒュルルルルル~ ピカーーー

女海賊「信号弾だ・・アタシが見てくる」ダダダ

商人「もうすぐ日が落ちる・・今のうちに食事を済ませよう」

薬剤師「今日は長くなりそうね」

商人「また・・寝れないね」

薬剤師「交代で休むしか・・」

商人「寝れないのは始まりの国で守備してる衛兵達も一緒さ・・向こうはもっと必氏だよ」

薬剤師「・・・結局・・予言の通り戦争になってしまった」

商人「・・・・・大丈夫・・・僕に考えがある・・・このまま予言通りにはさせない」

勇者「・・・」

519: 2013/07/15(月) 23:12:02.64 ID:k8Cf0oz30
---

ダダダダ バタン

女海賊「機械の国の船がクラーケンの大軍に襲われてる!!」

商人「え!?」

女海賊「10匹は居るよ・・巻き添え食らわないうちに避難しないと」

海賊王「方角と距離を先に言えと教えたろうが!!どっちや?」

女海賊「10時の方向で10海里・・飛行船だと上がればすぐ見える」

海賊王「港町の方角に移動や!!クラーケンはそこまでは来ん!!」

商人「・・・まずいな・・又暴走し出すゴーレムが増える」

女海賊「アタシは海水汲んで上空で待機する!!」

商人「僕達もそろそろ行こう」

薬剤師「商人は飛行船で少し休んで・・操作はあたしがやるから」

商人「ハハそうも言ってられないさ」

勇者「僕も手伝う」

魔女「わらわも居るぞよ?」

商人「よし!行こう」




---飛行船---

ビョーーウ バサバサ

商人「まだゴーレムは見えないかな?」

薬剤師「エルフの森の火災は治まったみたい?」

商人「くすぶってるね・・」

勇者「暗くなってきて良く見えない」

薬剤師「少し高度下げた方が良い?」

商人「待って・・高度下げてしまうと速度が落ちる・・勇者!このビンの中に照明魔法出来るかい?」

勇者「照明魔法!」ピカー

商人「このビンを落としていく・・もっと作って」

魔女「照明魔法!」

勇者「照明魔法!」

商人「薬剤師!このまま北に進路を変えて・・ビンを順に落としていく」ポイ



520: 2013/07/15(月) 23:12:32.32 ID:k8Cf0oz30
---

商人「次はここから真っ直ぐ南だ・・これで2本の線が引ける」ポイ

薬剤師「賢い・・これで見やすいね」

商人「この線をまたいだゴーレムに接近して照明魔法を撃つ」

勇者「照明魔法だけで良いのかな?」

商人「余裕があったら他の魔法も撃てるかい?」

勇者「氷結魔法で足を止めれるかもしれない」

魔女「わらわは氷結魔法は使えん」

商人「それじゃ照明魔法は魔女が担当だね・・2人の合わせ技が頼りかな」

薬剤師「見て!森でまた火が出てる」

商人「暴走したゴーレムが動き出したかな?」

薬剤師「違う!!空から火が降ってる」

商人「・・・ドラゴンかな?」

薬剤師「飛行船危なく無いかな?」

商人「ドラゴンは賢いよ・・きっと僕達の動きもしっかり見てる」

薬剤師「この飛行船はここで旋回してて良い?」

商人「うん・・待とう」




---

勇者「彷徨ってるゴーレムが1体線をまたいだ」

薬剤師「高度下げるね」

商人「魔法が撃てる距離に入ったら構わず撃って」

魔女「・・・」

勇者「今だ!!」

魔女「照明魔法!」ピカー

勇者「氷結魔法!」ピシピシ

商人「高度上げて!!」

薬剤師「えい!」グルグル

商人「閃光玉を落とす!」カチ チリチリ ポイ ピカーーーーー

薬剤師「始まりの国から見えてるかな?」

商人「見えてる筈さ・・きっと僕達の行動も理解してくれてる」



ドーン ドーン ドーン



商人「ほらね?大砲でゴーレムを狙ってる」

勇者「ゴーレムの動きが止まらない・・」

商人「いや・・遅くなってる・・本当は馬より速い筈」



521: 2013/07/15(月) 23:13:04.86 ID:k8Cf0oz30
---

商人「この調子なら今晩は越せそうかな?」

勇者「いや・・あのゴーレムの進みが止まらない」



ピカーーーーーーーー



商人「あ!!女海賊が海水を掛けた合図だ!!薬剤師行こう!!」

薬剤師「えい!!」グルグル

商人「射程に入ったら雷魔法を!!」

勇者「雷魔法!」ガガーン!ピシピシ

商人「どうだ!?」

魔女「止まっておる・・」

勇者「雷魔法!雷魔法!雷魔法!」ガガガガガーン



ブン ブン ブン ブン

ドス ドス ドス ドス



商人「バリスタの大弓だ!!薬剤師!上昇!!」

薬剤師「えい!!」グルグル

勇者「ゴーレムが動かなくなった」

商人「やったか!?やっと1体・・・」

魔女「次のゴーレムが来てるぞよ?焼かれておるから分かりやすいのぅ」

商人「いや・・これからだ・・次々出てくる」

勇者「3体だ!!」



ドーン ドーン ドーン



---

---

---

---



522: 2013/07/15(月) 23:13:45.49 ID:k8Cf0oz30
---夜明け---

隊長「もう少しで夜明けだ!!それまで持ちこたえろ!!」

衛兵「ハッ!!」

隊長「バリスタ撃てえぇぇぇぇ!!」



ブン ブン ブン ブン

ドス ドス ドス ドス



隊長「堀に落ちたゴーレムに火を掛けろ!!」

衛兵「ダメです!!まだ向かって来ます」

隊長「心臓だ!!心臓を狙え!!」

衛兵「バリスタ隊までゴーレムが来てます!!」

隊長「くぅ・・・バリスタ隊引けぇぇぇ・・・ゴーレムに大砲を直撃させろぉぉ!!」



ドーン ドーン ドーン



衛兵「まだ動いてます!!」

隊長「全体城門まで引けぇぇ!!」

衛兵「隊長!!ドラゴンの形をした飛行船が来ます!!」



ザバーーーー ピカーーーー



隊長「待て!!大砲主!!ゴーレムが止まるのを待て・・心臓に直撃させろ!!」

衛兵「もう一基の飛行船が来ました!!」



ガガガガガガーン



隊長「今だ!!大砲主ど真ん中を撃てぇ!!」



ドーン ドーン ドーン



隊長「ゴーレムを倒した!!全体!!元の位置に戻れえぇぇぇ!!」

衛兵「隊長!!日の出です!!」

隊長「よし!!衛生兵は怪我人の処置を行え!救護班は倒れている者を運べ!!」

衛兵「ハッ!!」

隊長「各自食事を今のうちに済ませろ!!」



523: 2013/07/15(月) 23:14:27.96 ID:k8Cf0oz30
---飛行船---

ヒョーーーウ バサバサ

薬剤師「夜明けよ・・」

商人「結局倒せたゴーレムは4体だけ・・」

薬剤師「被害が大きすぎね」

商人「石になってるゴーレムはどれくらいかな?」

勇者「見当たらない・・森の中には少し居るかもしれない」

商人「これは・・3日持たせるのはキツイ・・かな」

薬剤師「硫黄が手に入れば酸を使って戦える」

商人「どれくらいで作れる?」

薬剤師「材料が揃えばすぐに出来る」

商人「よし!港町に行こう」

薬剤師「みんな少し休んでて・・」



---港町---

薬剤師「盗賊たちは何処に居るのかな?」

商人「多分女盗賊の家だと思う」

薬剤師「この町はまだ慌てた様子が無いね」

商人「対岸の火事くらいにしか思ってないんだろうね」

薬剤師「海賊船もまだ入港してないね」

商人「今日辺りから慌しくなるんじゃないかな?」

薬剤師「女盗賊の家はこっちで良いのかな?」

商人「多分・・この辺りだったと思う・・あそこかな?」


トントン トントン


薬剤師「居ないのかな?」

商人「盗賊!?僕だよ・・居ないのかい?」


ガチャリ


盗賊「誰かと思ったぜ」

商人「うわ・・・臭い・・・」

盗賊「硫黄の臭いだ・・この臭いが嫌で女盗賊は宿屋に泊まってる」

薬剤師「!!!今からここで酸を作る・・硫黄を燃やすから魔女・・手伝って?」

魔女「わらわに何か出来るんか?」

薬剤師「硫黄を燃やすのを手伝って欲しいの」

魔女「それは簡単じゃ」

薬剤師「それから盗賊!空き瓶と水を沢山持って来て・・商人は宿屋で少し休んで」

商人「あ、あぁ良いのかい?」

薬剤師「じゃぁ鍋に硫黄を入れるから順に燃やしていって・・」



524: 2013/07/15(月) 23:14:54.59 ID:k8Cf0oz30
---数時間後---

盗賊「うお!!・・ひどい臭いだ・・目に滲みる」

薬剤師「これで全部・・ビンで200本」

盗賊「これを飛行船に積めば良いか?」

薬剤師「うんお願い!絶対に割らないように」

盗賊「そんなに危ねぇ物なのか?」

薬剤師「その液体を被ると体が解けてしまうの」

盗賊「なぬ!?・・・もしつまづいたら?」

薬剤師「液体を被ったらアウト・・とても強い酸だから気をつけて」

盗賊「恐えぇ物運ばせるんだな」

薬剤師「うん・・それでゴーレムの鎧を鎔かせると思う」

盗賊「そうか・・鎧さえ無ければ昼間は行動出来ないんだな?」

薬剤師「多分・・」

盗賊「お前は宿屋に商人達を呼びに行ってくれ」

薬剤師「うん・・そうする」




---飛行船---

盗賊「よし!全部積んだぞ」

商人「盗賊ありがとう!」

薬剤師「出発して良いかな?」

勇者「飛行船の操作は僕がやるから薬剤師は少し休んだ方が良い」

薬剤師「操作できる?」

勇者「コツは見てたからきっと行ける」

薬剤師「あたしは少し寝るね」

商人「そうして・・君はずっと寝てないね」

勇者「出発する」グイ



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



525: 2013/07/15(月) 23:15:37.28 ID:k8Cf0oz30
---

勇者「見えた・・あれが海賊王の船だよね?」

商人「随分近くに来てたんだね」

魔女「女海賊の飛行船も見えるのぅ」

商人「着陸手伝うよ」




---海賊船---

フワフワ ドッスン

女海賊「おっそい!!何してたのよ!!」

商人「ごめんよ~ゴーレムを倒す最新兵器を持ってきたのさ」

女海賊「え!?」

商人「薬剤師が作った酸入りのビンだ・・これをゴーレムに当てれば鎧が溶ける」

女海賊「じゃぁ今のうちに・・」

商人「どうしたんだい?そんなに慌てて」

女海賊「動けるゴーレムがあちこちで暴れてるの!!」

商人「え!?どういう事かな?」

女海賊「機械の国の船がクラーケンに襲われてて身動き取れなくなってるの」

商人「沈没したのかい?」

女海賊「沈没はしてないけど・・多分中に乗ってる人が忙しいんだと思う」

商人「・・それで暴走するゴーレムが増えてる?」

女海賊「きっとそうよ・・アタシはその酸を持ってゴーレムに掛けてくる」

商人「ゴーレムは何処まで進行してるのかな?」

女海賊「行ってみないと分からないけど始まりの国にも行ってるかもしれない・・」

商人「女海賊に任せて良いのかい?」

女海賊「アタシに任せて!!アタシの奴隷1号!!来て!!」

レンジャー「・・またかよ」

女海賊「あんた弓使えるでしょ?ビンも一緒にくくり付けてゴーレムに当てて」

レンジャー「ビンなんか付けたら狙いが・・」

女海賊「外したらもう触らせてあげないから!!」

レンジャー「・・まだ触らせてもらってねーし」

女海賊「アタシの奴隷2号!!酸入りのビンを飛行船から降ろして」

剣士「またですか~トホホ」

女海賊「おわったらチューしてあげる」

レンジャー「何!!俺がやる!!」

商人「荷物降ろしたら僕達も上空で待機するよ」



526: 2013/07/15(月) 23:16:20.36 ID:k8Cf0oz30
---飛行船---

ビョーーーウ バサバサ

商人「女海賊飛んで行ったね・・」

勇者「商人も少し休んで」

商人「すまない・・そうさせてもらう」

魔女「飛行船はわらわと勇者にまかせて良いぞよ?」

商人「ありがとう・・少し寝るよ」




---暴走したゴーレムの数は増え---

---次第に戦いが激しさを増していった---





---2日後---

商人「・・・やっと・・夜が明けた・・」

勇者「ハァハァ・・」

魔女「はぁはぁ・・」

商人「市民の避難はほとんど終わった・・もうそろそろ限界かな」

薬剤師「まともにゴーレムの数を減らせるのは昼間だけね」

商人「まだ50体近く居る筈」

薬剤師「海賊船に戻りましょう・・すこし休まないと」

商人「女海賊に今日通達するよ・・始まりの国の衛兵を引かせよう」

薬剤師「女海賊に?」

商人「そうさ・・これから指揮を取るのは海賊王の娘2人だ・・」

薬剤師「どういう事?」

商人「あの2人には辺境の村に避難した人たちをまとめて貰う」

薬剤師「あたし達は?」

商人「騎士を追ってエルフの長老の所に行く」

薬剤師「なにか考えが?」

商人「フフ魔王の予言を変えてみせる」



527: 2013/07/15(月) 23:17:09.69 ID:k8Cf0oz30
---海賊船---


フワフワ ドッスン


海賊王「おう!!よう戻った」

商人「女海賊は?」

海賊王「船長室で寝とるわ・・起こすと機嫌悪うなるで?」

商人「急ぐんだ・・」ヨロ

海賊王「お前も寝た方が良いんちゃうか?」

商人「僕は後で寝るよ」




---船長室---

商人「女海賊!話がある」

女海賊「んあ?アタシは疲れてんの!!」

商人「君に最後の頼みだ・・君のお姉さんの所に行って始まりの国の兵を引かせる様に説得して欲しい」

女海賊「オネエに?」

商人「もう始まりの国は3日分程度の食料しか残ってないはず・・これ以上はムリだ」

女海賊「ゴーレム退治は?」

商人「これ以上の消耗は出来ない・・兵も疲れきっている」

女海賊「兵を引かせてどうするつもり?」

商人「辺境の村で建て直しをして欲しい・・君と君のお姉さんの2人でね」

女海賊「オネエと一緒に・・」

商人「もうゴーレムの進行は始まりの国だけじゃ無い筈だ・・被害が拡大する前に他の町の人も避難させないと」

女海賊「商人はどうするの?」

商人「僕は騎士を追ってエルフの森へ行く・・その後は各町で避難民を誘導するよ」

女海賊「もう行くの?」

商人「あぁ僕はもう行かないと・・君も速くお姉さんにこの事を伝えて」

女海賊「じゃぁアタシも寝てらんないね」

商人「ハハハもうすぐゆっくり寝れる」

女海賊「どういう事?」

商人「これは僕の賭けだ・・」

女海賊「商人は賭け事が弱いって僧侶に聞いたけど?」

商人「ハハハまいったな・・でもきっと上手くいくさ」

女海賊「わかった!!アタシがリードする」

商人「頼むよ・・」



528: 2013/07/15(月) 23:18:08.62 ID:k8Cf0oz30
---

海賊王「食料と水は飛行船に積んでおいたで」

商人「ありがとう・・後は指揮を女海賊に任せた」

海賊王「なぬ!!・・・そこはわしやろ~!!」

商人「女海賊は割りと人望厚いよ?」

海賊王「そらわいの娘やからな!!がはは」

商人「じゃぁ僕達はエルフの森に向かうよ・・次に会うのは辺境の村かな?」

海賊王「ムリすんなや?」

商人「大丈夫さ・・今までこの調子でやってきたんだ・・今度も上手くいく」

海賊王「しばらくは飛行船で休むとええ!!」

商人「そうするよ・・じゃぁ行くね」ノシ


ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



532: 2013/07/16(火) 22:47:43.94 ID:Ik+Q09d10
---飛行船---


ビョーーーーウ バサバサ


商人「ふぅ・・やっと休める」

勇者「僕が飛行船操作するから皆休んでて」

商人「ありがとう」

薬剤師「少し休んだら変わるね」

商人「今後の事は起きた後話すよ・・」

勇者「方向はこのままエルフの森を北で良いのかな?」

商人「そうだよ・・ほらここに地図がある・・ここら辺さ」

勇者「皆寝てて良いよ」



533: 2013/07/16(火) 22:48:15.98 ID:Ik+Q09d10
---

薬剤師「商人・・また読んでるの?」

商人「あぁこれね・・まだ古文書の解読が残ってるんだ」

薬剤師「何か新しいこと分かった?」

商人「いや・・解読はまだまだ時間が掛かるかな」

薬剤師「予言の書の方は全然見ないのね」

商人「ハハあんな物に興味は無くなったよ」

薬剤師「でも結局予言の通りになってるでしょう?」

商人「僕は信じたくない・・いや信じない」

薬剤師「ガンコね」

商人「・・・これからの事を話すよ・・勇者と魔女もよく聞いておいて」



まず魔女が持ってる祈りの指輪は僕がしばらく預かる

なぜかと言うと・・これからエルフの長老に会いに行く訳だけど・・

長老がその指輪を使って勇者から200年分の命を吸ってしまうのを防ぐ為さ

実は・・魔女が歌う『愛の歌』には秘密があってね

その歌は200年の時を越えて結ばれる愛の歌なんだけど

本当はエルフと人間の『愛の歌』なんだ・・歌詞が少し変えられてる

長老は勇者を200年前に送り、自分は若返る・・そして魔女を我が物にしたい・・

そんな祈りを込められた歌なんだよ



商人「これが今まで繰り返されてきたループさ」

魔女「・・・商人・・・それはまことか?」

商人「僕はその流れを断ち切る」

魔女「エルフの長老は信頼できるわらわの古き友じゃぞ?」

商人「魔王が汚した命の泉から沸く水を飲んでるのは人間だけじゃないよ」

魔女「信じられん・・・2年程長老と一緒に居ったが・・・そんな素振りは・・」

商人「長老は勇者を見つけたら連れて来いとは言わなかったかい?」

魔女「・・・言うておった」

商人「僕の勘は割りと当たるんだ・・指輪を預からせてもらっていいね?」



534: 2013/07/16(火) 22:48:45.19 ID:Ik+Q09d10
---

薬剤師「ねぇ商人?・・もし勇者が200年前に戻らなかったらどうなるんだろう?」

商人「さぁね?・・ただ勇者は僕達と一緒に居る・・彼が氏なない限りまだ続く」

薬剤師「え?どういう事?」

商人「魔王はね・・『予言の書』という形で勇者を居なかった事にしようとしてるのさ」

薬剤師「え?・・それで予言の書には『勇者が世界を滅ぼす』と書いてあるという事?」

商人「そうだよ・・そうやって憎悪に染まった人間を使って勇者を倒し・・無かった事にしようとしてる」

薬剤師「あなた・・それを前から気づいていたの?」

商人「僕が魔王ならそういう事も考えるって話だよ・・今勇者が氏ねば200年前の魔王は蘇る」

薬剤師「・・カードはあたし達に有る?」

商人「そう!!カードをいつ切るかは僕達が決める!!」

薬剤師「何か考えがあるの?」

商人「ある」

薬剤師「今は教えてくれないの?」

商人「それは騎士達が一緒の時に話すよ」




---

魔女「勇者?わらわは今幸せじゃ」

勇者「・・・・・」

魔女「何も言わんでも良い・・何も覚えが無くても良い・・ただわらわを感じてくれれば良い」

勇者「魔女・・・僕は・・」

魔女「何があってもわらわは勇者の元に有る・・それだけじゃ」

勇者「僕は前から魔女を知っていた・・」

魔女「それが感じる事じゃ・・もっとそばに寄っても良いか?」

勇者「・・・あ、あぁ」

魔女「もっとわらわを感じておくれ・・」



535: 2013/07/16(火) 22:49:21.90 ID:Ik+Q09d10
---エルフの森上空---

ビョーーーウ バサバサ

薬剤師「見て!ドラゴンがエルフの森から飛び立つ」

商人「あれは・・子ドラゴンだね」

薬剤師「ドラゴンとエルフの関係は?」

魔女「昔から関係は良い」

商人「そうだね古文書には1000年以上前から良い関係と書いてるよ」

薬剤師「ドラゴンがこっちに来る・・あわわ」

勇者「ドラゴンの背にエルフが乗ってる!」

薬剤師「あ!!他のドラゴンも飛び立った・・」

勇者「エルフが弓で飛行船を狙ってるぞ!・・・どうする?」

魔女「おとなしくしておった方が良い」

商人「ハハハとんだ出迎えだね・・どうしよう」

魔女「ゆっくり高度を下げるんじゃ・・こっちが何もせねば仕掛けては来ん」



ギャオース バッサ バッサ



商人「早いな・・ドラゴンに乗ったエルフは脅威だね・・」ゴクリ

薬剤師「完全に囲まれてるわ・・6匹・・旋回してる」

魔女「ゆっくり降りれば良い」

商人「ドラゴン達はエルフの所で羽を休めてるんだね」

魔女「その様じゃのぅ」

薬剤師「あそこの丘に降りるね」


536: 2013/07/16(火) 22:49:53.73 ID:Ik+Q09d10
---エルフの森---


フワフワ ドッスン


魔女「もう囲まれておるから武器は持たぬ様にな・・わらわが先に出る」ノソ

商人「頼むよ・・穏便にいきたいよ」



魔女「わらわはエルフの長老に会いに来た・・弓を下げてもらえんか?」

??「・・・」

魔女「先にエルフのオーブを持った騎士達も来ておろう?」

??「・・・」ヒソヒソ

魔女「わらわ達は武器を置いておる・・敵では無い」

??「・・・」ヒソヒソ

魔女「ここに勇者も連れて来ておる・・エルフの長老の所まで案内してもらえぬか?」



エルフ「我らは人間達と戦争中だ・・人間の扱いは掟通り縄を掛けさせてもらう」

魔女「それで構わぬ・・自ら目隠しをして待てば良いか?」

エルフ「下手に動くと射抜かれるのを忘れるな」

魔女「では目隠しをするまで見ておれ」



ゴソ ゴソ ゴソ ゴソ



魔女「4人とも目隠しが済んだぞよ?・・どうすれば良いのじゃ?」

エルフ「縄を掛けさせてもらう!おとなしく待て」

グイ グイ ギュー

エルフ「つまづかない様に付いて来い」



537: 2013/07/16(火) 22:50:20.96 ID:Ik+Q09d10
---長老の家---

トントン

エルフ「長老に会いに来た人間を連れて来ました」

長老「ほう・・名は聞いたか?」

エルフ「いえ・・まだ聞いて居りません」

魔女「わらわじゃ・・」

長老「やはり魔女であったか・・入れてやれ」

エルフ「はい」

カチャ パタン

エルフ「縄をほどいて良いのでしょうか?」

長老「解いてやってくれ」

エルフ「はい」スル スル スル



長老「魔女や・・わしの所に来たという事はアヤツを探し出したのだな?」

魔女「やっと・・愛しき人にめぐり会うた」

長老「どうだ?どのような気持ちだ?」

魔女「わらわはもう満足じゃ・・他に何も要らぬ」

長老「そうか・・それが人間の愛の結末か・・なんと儚い」



魔女「そうじゃ・・わらわ達より先に騎士達は来ておらんのか?」

長老「来ておるが・・今は変わり果てたエルフの娘を癒しに精霊樹まで行っておる」

魔女「精霊樹・・長老が遥か昔にわらわを連れて行った場所じゃな?」

長老「覚えておったか・・エルフの母なる樹」

魔女「帰りを待って居った方が良いかのう?」

長老「精霊樹は本来人間が行くべき場所ではないが・・魔女だけは許そう」

魔女「わらわ一人で行っても良いか?」

長老「これ・・エルフ・・魔女を精霊樹まで案内せい」

エルフ「はい」

長老「魔女の仲間達はここで待て・・他の者に示しが付かんのでな・・理解してくれ」

商人「はい」



538: 2013/07/16(火) 22:51:07.38 ID:Ik+Q09d10
---


カチャリ パタン


僧侶「やほ~魔女と交代してきたよ~ウフフ」

騎士「皆来たんだね」

商人「心配したけど・・無事にエルフの娘を返せたんだね」

騎士「ここに居ればエルフの娘もまた生まれ変わる事が出来るらしい」

商人「エルフは氏んでも新たにもう一度生まれるって言うけど・・」

騎士「心が有れば又生まれ変われるるんだ・・100年先か200年先か分からないけど」

僧侶「精霊樹にしばらく癒してもらうと良いかな~」

商人「・・・ところで」

騎士「??」

商人「僧侶にお願いがある」

僧侶「え?わたし?なになに?」

商人「君は銀のロザリオを持ってたよね?」

僧侶「うん!あるよ~」

商人「それを長老に渡して回復魔法を掛けてあげて欲しいんだ」

僧侶「え?どうしたの?怪我したの?」

商人「良いから・・長老に回復魔法してね」

僧侶「は~い」トコトコトコ



僧侶「ねぇねぇエルフの長老様~~!!」



---やっぱり間違いない---

---長老は勇者に見向きもしない---

---勇者の事をアヤツとも表現してる---



---

僧侶「ねぇねぇエルフの長老様~~わたしが癒してあげる~ウフフ」

長老「何をするつもりだ?」

僧侶「これ持ってぇ~・・・わたしの銀のロザリオ~」

長老「ほう・・良い物を持って居るな」さわさわ

僧侶「わたしが回復魔法をしてあげる~」

長老「回復魔法?・・わしは目こそ見えんが体に悪いところは・・」

僧侶「目が良くなるカモ~ウフフ~なんてね~」

長老「では回復してもらおう」

僧侶「いくよ~~~回復魔法!」ボワー

長老「・・・・・」

僧侶「おしま~い!!どう?わたしの癒し~」




539: 2013/07/16(火) 22:51:36.81 ID:Ik+Q09d10
---

長老「何か・・・いや気のせいか・・・」

商人「・・気のせいでは無いよ」

長老「何かしたのか?」

商人「長老を救ったのさ」

長老「救った?」

商人「これから起こすかもしれない罪から救った」

長老「何の事だ?」

商人「長老は魔女が持つ祈りの指輪の事を考えてなかったかな?」

長老「なぜそのような質問をする」

商人「僧侶は心の闇を癒す力を持っているんだ」

長老「心の闇・・」

商人「勇者に祈りの指輪を使って200歳分の命を吸おうと考えてなかったかな?」

長老「・・・・・」

商人「そうすればあなたは若返り・・魔女と余生を過ごせる」

僧侶「!!商人?突然何を言い出すの~?長老は悪いエルフじゃないよ~?」

商人「200年の時を越えたエルフと人間の愛の歌」

僧侶「え?え?え?・・どういう事?・・あの歌の事?」

商人「ここで勇者を200年前に送ってしまえばもう・・魔女は勇者を諦めるしかない」

長老「・・・・・」

商人「それが人間の愛の結末・・違うかい?」



540: 2013/07/16(火) 22:52:04.72 ID:Ik+Q09d10
---

長老「人間にここまで心を見破られているとは・・」

商人「長老はずっと魔女を愛し続けていたんだね」

長老「そうだ・・200年前・・突如勇者が現れ魔女の心を奪った」

商人「でもエルフの長老・・魔女はこの話をしても長老の事を最後まで信じていたよ」

長老「・・・」

商人「信頼出来る友だって・・最後まで祈りの指輪を僕に預ける事はしなかった」

長老「魔女・・」

商人「200年以上生きる魔女にとって長老は唯一心を許せる人だったって事だね」

長老「・・わしはなんと愚かな考えをしておったのか・・」

商人「その魔女から大切な物を奪ってしまう罪から救ったのさ」

長老「愛を知るのはわしの方だったか・・」

騎士「『人間は愛を知る定め』・・これの本当の意味は?」

長老「・・人間はすでに愛を知っておった様だ・・わしはそれを疑っておった」

商人「こういう猜疑心を生むのも魔王の掛けた呪いのせいだと思ってる」

長老「魔王の呪い・・」

商人「心配しなくてももう魔王が汚した命の泉の呪いは解いたよ」

長老「魔王が掛けた呪いは命の泉だけではない・・氏ぬ間際にも呪いを掛けておる」

商人「え!?」

長老「夢幻の呪い・・わしらはすでに200年以上夢を見続けておる」

騎士「・・やっぱりこの世界は幻」

長老「現実と夢の狭間・・せめて夢の中でだけでも魔女と結ばれるのがわしの夢だった」

商人「ちょ、ちょっとまって・・話が違うじゃないか・・今の僕達は幻なのかい?」

長老「幻であり現実でもあり・・それが夢幻」

商人「夢幻の世界から逃れる方法は!?」

長老「無い・・」

商人「・・・そんな」

長老「だが200年前は確かに現実・・祈りの指輪を使えば1人だけ現実に戻ることはできよう」

商人「・・もし勇者以外の人現実に戻したらどうなる?」

長老「魔王は蘇り・・再び世界は闇に閉ざされるであろう」

商人「長老はそれを知って勇者を200年前に送るつもりだった・・」

長老「いかにも・・それが魔王を封じる方法であり・・勇者の定めでもある」

商人「フフフ・・ハハハハハハハハ」



541: 2013/07/16(火) 22:52:35.90 ID:Ik+Q09d10
---

商人「悪いけどそうはさせないよ・・その流れは僕達が変える」

長老「魔王が蘇る事となるが・・それでも良いのか?」

商人「長老以外に祈りの指輪で勇者を200年前に送れる人を僕は知ってる」

長老「わしより年をとっている者は居らんはずだが?」

商人「それはどうかな?」

長老「誰だ?」

商人「フフかつての竜王・・ドラゴンは1000歳を超えている」

長老「・・・ドラゴンは人間の言う事は聞かん」

商人「勇者が氏ねば再びドラゴンは魔王の下僕となる・・・ガマンできるかな?」

長老「お主は勇者を頃すと申すか?」

商人「ハハハ勇者じゃなくても良い・・長老を頃すことだって出来る・・同じ事だろう?」

僧侶「商人!?本気なの~?」

商人「僕は本気さ」

長老「・・・さすがは魔女が認めた者達と言った所か・・・人間は不遇な時こそ知恵を出すのぅ」




---

商人「騎士・・君は辺境の村周辺で人間は最後まで戦うと言ったね?」

騎士「そうだね・・その後病気で滅びる記憶を思い出した・・」



・・つまり今までのループでは君は200年前に戻る人ではない

僕が思うに・・本当に200年前に戻る必要がある人は・・魔王を倒す勇者と

呪いを解くことが出来る僧侶・・そして僧侶を守る騎士の3人だよ

僕が知る限り浄化の能力を持ってる人は僧侶以外に知らない

もしかしたら魔王によって夢幻の世界に封印された精霊の生まれ変わりかもしれないとも思ってる

僧侶だけは夢を見ないとも言ってたしね

なにより・・命の源の魔槍を抜き・・呪いを解いたのも騎士と僧侶だ



商人「ドラゴンなら4人同時に200年分の命を吸える筈」

騎士「4人?」

商人「ハハ君達だけだと魔女がヘソを曲げちゃうだろ?そこは抜かりない」

勇者「・・・・」

商人「これで今までの流れを断ち切れる・・そして呪いも解かれ世界は救われる」



542: 2013/07/16(火) 22:53:12.96 ID:Ik+Q09d10
---

僧侶「あ!!魔女~おかえり~」

魔女「もどったぞよ・・」

僧侶「エルフの娘は一人にして平気?」

魔女「精霊樹に抱かれ眠っておる・・エルフは寝る事は無いんじゃが・・傷が深いのじゃろう」

僧侶「ねぇねぇ・・この後の事決まったよ~」

魔女「どうするのじゃ?」

商人「ドラゴンに願い事さ」

魔女「さて・・何を願うのか?」



長老「魔女・・こっちへ来い・・勇者も一緒で構わん」

魔女「なんぞ?」ノソ ノソ

長老「魔女・・わしは目が覚めた・・そなたには礼を言わねばならん」

魔女「何を言うておる」

長老「勇者・・魔女を頼む」

勇者「エルフの長老・・」

長老「わしらはもう会えぬ・・だがわしの事は忘れんでくれ・・それだけで良い」

魔女「どうしたんじゃ?長老らしく無いではないか?」



商人「魔女・・こういう事だよ・・騎士と僧侶、勇者と魔女の4人で200年前に戻る・・」

魔女「詳しく話せ」

---

---

---

---



543: 2013/07/16(火) 22:53:43.77 ID:Ik+Q09d10
---

商人「・・・もう僕達や長老とは一生会えなくなる・・・そういう事だ」

魔女「なんとも複雑な思いじゃ・・・騎士と僧侶はそれで良いのか?」

騎士「・・・・・」

僧侶「騎士と一緒ならわたしは大丈夫~ウフフ」

騎士「・・これは運命・・なの・かな?・・・僕が思い出した記憶は一体何だったんだろう・・」

商人「それは夢さ・・」

騎士「夢?・・幻・・それが夢幻か」

商人「運命は自分で切り開けば良い・・僕は予言になんか縛られない」

騎士「・・・・・」



---昔師匠に言われた言葉を思い出した---

---『前を向いて生きろ』---

---『絶対に途中で投げ出すな』---

---僕は思い出した記憶に縛られて---

---心の底で諦め掛けていた---



騎士「・・わかった・・行ってくる・・行ってすべてを変えてくる」

商人「頼むよ」

魔女「覚悟した様じゃな」

長老「魔女・・もう一度あの歌を聞かせてくれんか?」



魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」



544: 2013/07/16(火) 22:54:14.23 ID:Ik+Q09d10
---

魔女「ドラゴンは時期にエルフの村まで飛んでくるそうじゃ」

僧侶「長老がドラゴンさんを呼んでくれたの~?」

魔女「子ドラゴンに呼びに行かせたそうじゃ」

僧侶「長老は落ち込んで無かった~?」

魔女「落ち込んではおらぬ・・しきりに勇者の世話を焼いておったが要らぬおせっかいじゃ・・」

僧侶「ウフフ~本当に長老は魔女のこと愛していたんだね~」

魔女「じゃがもう会えんとなると少し寂しいのぅ」

僧侶「・・もう会えないかぁ・・盗賊、女盗賊、囚人、海賊王、隊長、女海賊、皆と会えなくなるのはなぁ・・」

魔女「一生忘れないという事も愛の一つなんじゃのぅ・・」

僧侶「なんか涙が出てくる~」ウルル



545: 2013/07/16(火) 22:54:58.47 ID:Ik+Q09d10
---夜---


サワワ サワワ


騎士「・・・・・」

僧侶「・・・・・」

騎士「・・・・・」

僧侶「騎士がどうして耳を澄ますのか分かった気がするよウフフ」

騎士「森の声を感じる」

僧侶「うん・・わかる」

騎士「君は何を感じる?」

僧侶「う~ん・・言葉で表せないなぁ~・・なんて言えば良いのかなぁ・・」

騎士「ハッ!!!!!」ガバッ

僧侶「???」

騎士「・・・呼んでる」

僧侶「え?」

騎士「これはエルフの娘だ!・・行かないと・・行こう!!」

僧侶「え?え?え?」

騎士「早く行かないと・・一緒に来て!」タッタッタ





546: 2013/07/16(火) 22:55:29.94 ID:Ik+Q09d10
---精霊樹---


サワワ サワワ


僧侶「ハァハァ・・」

騎士「はぁ・・はぁ・・」

僧侶「どうしたの?何かあるの?」

騎士「・・・・・」

キマイラ「・・・・・」

僧侶「・・寝てる?」

騎士「・・・・・」

キマイラ「・・・・・」

騎士「・・寿命が来た」

僧侶「え?・・寿命?」

騎士「キマイラの寿命は3分・・・エルフの心臓でも数週間しか無かったんだ・・」

僧侶「寿命で・・氏んだ?」

キマイラ「・・・・・」

僧侶「そんな・・長老は生まれ変われるって・・」

騎士「・・・・・」

僧侶「生まれ変われるって言ったのにぃ・・」ポロ



サワワ サワワ



騎士「・・生まれ変わったよ」

僧侶「どこ?・・・居ないよ?」

騎士「足元を見てごらん」

僧侶「・・樹の芽」

騎士「それはエルフの娘の生まれ変わりだ・・彼女は森に生まれ変わった」

僧侶「・・・・・」

騎士「森になって戦おうとしてる」



サワワ サワワ


547: 2013/07/16(火) 22:56:14.46 ID:Ik+Q09d10
---翌日---

僧侶「シクシク」

商人「・・そうか・・エルフの娘が森になったか・・」

魔女「それが定めじゃ・・エルフの娘は定命を迎え・・森となった」

薬剤師「感慨深いわ・・」

騎士「・・・・・」

商人「騎士・・君から決意を感じる」

騎士「・・・・・」



ギャオース 



僧侶「あ・・ドラゴンさんの声・・」

商人「来たな・・行くよ!!」



548: 2013/07/16(火) 22:57:39.85 ID:Ik+Q09d10

商人「待っていたよ・・ドラゴン」


ドラゴン”我を召喚するのは汝か?”


商人「取引したいんだ・・」


ドラゴン”我らは人間と取引はせぬ”


商人「祈りの指輪の事だ」


ドラゴン”破壊せよ”


商人「この指輪で僕達4人の命を200年分吸って欲しい」


ドラゴン”出来ぬ”


商人「勇者が200年前に戻らないと・・魔王は復活する・・それでも良いのか?」


ドラゴン”・・・勇者が居るのか?”


勇者「・・僕が勇者だ」


ドラゴン”・・見覚えがある・・こんな所に居たか”


商人「勇者と騎士、僧侶、魔女の4人を200年前に送りたい」


ドラゴン”過去に戻るのは勇者だけでよかろう”


商人「それじゃダメなんだ・・夢幻の呪いを解けない」


ドラゴン”夢幻の呪いを解く術はあるのか?”


商人「命の源の魔槍を抜いたのは騎士と僧侶だよ」


ドラゴン”・・・そうか・・・魔王の呪いを解く術が揃っていると言うのだな?」


商人「4人の命を吸って800年分若返る・・悪い話じゃないと思う」


ドラゴン”我が竜王として力を取り戻す事になるが・・良いのだな?」


商人「フフフ・・良いさ・・ドラゴンはもう僧侶の浄化を受けている筈・・」


ドラゴン”よかろう・・汝らの力で魔王の呪いを解いて見せよ”


商人「200年前に戻して欲しい場所は・・」

魔女「わらわの塔の近く・・追憶の森が良い・・そこなら安全じゃ」

商人「・・という事らしい」


549: 2013/07/16(火) 22:58:20.44 ID:Ik+Q09d10
---

薬剤師「早く飛行船に乗って~」

商人「ここからだと森の町まで2日くらいかな?」

騎士「多分それくらいだと思う」

商人「あと2日と考えると・・正直感慨深い」

僧侶「その話は無しにしようよ~う」

騎士「別れの言葉も言わない様にしよう」

商人「ハハ君達もなかなか言うね」

僧侶「悲しくなって来たよぅ・・」

商人「そんな事ないさ・・この世界を救うのは君達に掛かってる・・上手くやってほしい」

僧侶「ねぇ・・商人?トランプしない?」

商人「ハハハいいね!みんなでやろう・・その後バーベキューでもしよう!」

薬剤師「出発するよ?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー


魔女「エルフ達が見送っておるぞよ?・・・」

商人「手を振っておこう」ノシ

僧侶「またね~~」ノシノシ




---飛行船---


ビョーーーウ バサバサ


僧侶「ドラゴンさん付いて来てる~?」

騎士「僕達よりも下を飛んでるよ」

商人「もうすぐ森の端だ・・まっすぐ魔女の塔まで行こう」

僧侶「ここら辺はまだ穏やかなんだね~」

商人「僕と薬剤師は勇者達を送った後、森の町の人たちの避難を促すよ」

騎士「どこに避難するつもり?」

商人「エルフの森を通って砂漠の町かな・・そのあと中立の国を目指す」

騎士「一般人にエルフの森が通れるかな?」

商人「さぁね?・・でもそこしか行ける場所がないよ」

薬剤師「ねぇ・・あれが魔女の塔?・・崩れてるけど・・」

商人「いよいよだね・・魔女・・追憶の森はどこかな?」

魔女「塔から歩いてすぐじゃ・・」

商人「じゃぁ魔女の塔の目の前に下りて良さそうだね」

薬剤師「高度下げるよ」


550: 2013/07/16(火) 22:58:57.60 ID:Ik+Q09d10
---魔女の塔---

フワフワ ドッスン

魔女「・・・」

商人「ここはいつ来ても花がいっぱいだ・・」

魔女「わらわに少し時間をくれんか?」

商人「良いけど・・どうしたのかな?」

魔女「勇者と2人で話がしたいのじゃ・・良いな?」

商人「分かったよ・・少し花見でもしてるよ」



勇者「・・・・・」

魔女「勇者・・・わらわは祈りの指輪で命を繋いでおる」

勇者「わかってる」

魔女「わらわの命はすでにもう無い・・命を吸えば灰になるじゃろう」

勇者「・・・・・」

魔女「じゃがわらわは勇者と常に共にあることを忘れんで欲しいのじゃ・・」

勇者「魔女・・・」

魔女「わらわは勇者と共に居れて幸せじゃった・・もう悔いは無い・・最後に強く抱いておくれ」

勇者「・・・・・」ぎゅぅぅぅぅぅぅ

魔女「・・・わらわは常に傍におるぞよ」



僧侶「!!?だっこしてる~いいないいな~騎士~わたしもだっこしてぇ~」

商人「シー・・そっとしておいてあげなよ」

僧侶「ねぇねぇ~騎士~」



551: 2013/07/16(火) 22:59:47.19 ID:Ik+Q09d10
---追憶の森---

商人「よし!準備は良いかな?・・・魔女・・祈りの指輪を」

魔女「・・・」スル

商人「さぁドラゴン!この指輪で魔王が居た200年前を思い出して欲しい」ポイ

ドラゴン”汝ら思い残す事は無いか・・”ガシ

魔女「勇者・・わらわを放さないでおくれ」

勇者「・・・・・」ぎゅぅ

僧侶「わたしも~」

騎士「・・・」ぎゅぅ

商人「フフ・・準備は良いみたいだ・・皆!さよならは言わないよ」

勇者「必ず魔王を倒してくる」

騎士「必ず世界を救ってくる」

僧侶「必ず呪いを解いてくる」

商人「頼むよ・・未来を作ってくれ」



ドラゴン「ギャオーース」



---

---

---

---

---



サラ サラ サラ サラ サラ



---魔女は灰となって消えた---



サラ サラ サラ サラ サラ


552: 2013/07/16(火) 23:11:55.47 ID:Ik+Q09d10


----------------

---200年前---

----------------




553: 2013/07/16(火) 23:12:40.20 ID:Ik+Q09d10
---追憶の森---

勇者「・・・・・」

騎士「・・・・・」

僧侶「・・・・・」



??「!!?ハッ・・・こ、光臨・・した」

勇者「・・・あなたは・・・魔女?」

??「わらわは光の国の姫じゃ・・勇者の光臨を待っておった・・」

勇者「僕達は魔王を倒す為に200年先の未来から来た」

姫「おぉぉ預言者の言った通りじゃ・・」

僧侶「姫?・・あれ?・・魔女は?」

勇者「魔女は・・僕の心の中に居る」

僧侶「え?え?え?」



??「姫!!その物たちは!?」

姫「エルフ!!この者たちは異世界から現れた勇者じゃ・・予言の通り・・わらわの元に現れた」

エルフ「勇者!?どいつだ?」

勇者「僕が勇者だ」

エルフ「青い瞳の勇者・・大剣を携えた騎士・・精霊の如き僧侶・・まさか本当に現れるとは・・」

姫「勇者達よ・・ついて参られよ・・預言者の墓まで案内してたもう」

僧侶「・・・たもう?」

騎士「僧侶・・良いから行こう」

僧侶「う、うん・・」



554: 2013/07/16(火) 23:13:10.50 ID:Ik+Q09d10
---光の都---


テクテク テクテク


騎士「!!?ここは森の中にあった遺跡だ・・」

僧侶「すご~い!!光の都だったんだぁ~」

姫「そうじゃ・・ここは光の都・・わらわはこの都の姫じゃ」

エルフ「姫!!この者たちを信用して良いのか?」

姫「構わぬ!!わらわの目に間違いは無い」

勇者「何処に連れて行くつもりかな?・・姫」

姫「わらわの光の塔の地下じゃ・・預言者がそこで眠っておる」

勇者「預言者?・・僕達が来ることは予言されていた?」

姫「そうじゃ・・半年程前に預言者が現れ異世界より勇者が光臨すると予言していったのじゃ」

勇者「眠ってるって・・どういう事かな?」

姫「預言者はほどなくして亡くなった・・墓で眠っておる」

勇者「どうして僕達をそこへ?」

姫「預言者の遺言じゃ」

エルフ「おい!!勇者!!姫の隣を歩くな!!」

姫「良い!!わらわは勇者の話が聞きたいのじゃ・・お前は後を付いて参れ」

エルフ「くぅ・・」

姫「わらわは魔法使いじゃ・・勇者と共に魔王を倒せと預言者は申しておった」

勇者「・・・そうか」

騎士「気になるね」

僧侶「きになる~」

姫「こっちじゃ・・この階段を下りるのじゃ」



555: 2013/07/16(火) 23:13:39.24 ID:Ik+Q09d10
---光の塔の地下---


シーン


僧侶「静か~うふふ」

勇者「・・・このお墓かな?」

姫「そうじゃ・・待っておれ・・勇者に渡せと預かっている物がある」

騎士「ますます気になる・・」

僧侶「お墓に杖が供えてある~」

エルフ「その杖は預言者が持っていた杖だ・・・杖が無ければ歩けなかった様だ」

僧侶「へぇ~おじいちゃんだったんだぁ」

エルフ「俺は見ていない・・話によると長旅でえらく衰弱していたそうだ」

騎士「お墓に手を合わせておこう・・」

僧侶「お祈りしてあげる~」

---

---

---

姫「勇者・・預言者からの預かり物を持ってきたぞよ・・」パサ

勇者「・・手紙?」

騎士「こ、これは・・・」





556: 2013/07/16(火) 23:14:21.99 ID:Ik+Q09d10

”やぁ・・元気にしてるかな?

”きっとこの手紙を読むのは君達からしたらすぐの事なんだろうね

”君達に大事なことを伝えたくて僕は長老に無理を言って

”僕1人で200年前よりもう少し昔に飛んだんだ

”君達が居なくなった後のことを先に書く

”君達が200年前に戻った後も元の世界は何の変化も無かったんだ

”世界中でゴーレムが暴れだし、魔王の予言どおり僕達は辺境の村で生き長らえた

”仲間が1人、又1人戦氏していく中で僕は古文書の解読を進めてやっとすべて解読した

”結論:命の源の呪いを解くのが遅すぎた

”呪いを解いてもすべての浄化まで数年掛かるらしい

”だから君達にもう一度命の源に刺さってる魔槍を抜いて呪いを解いてほしいんだ

”実は200年前の世界にはまだ銀が発見されていない

”でも君達は持ってる・・勇者が持つ銀の剣と僧侶が持つ銀のロザリオ

”魔王を倒す為には勇者の銀の剣で心臓を貫けば良い

”命の泉の呪いを解くのには僧侶が持ってる銀のロザリオを使えば良い

”それで未来は変わる筈だ

”ドラゴンのオーブをここに残すから役に立てて欲しい



騎士「・・・・・」

僧侶「・・・・」ポ口リ

勇者「まだ続きが・・」



”今この世界に来て僕はやっと目が覚めた・・ここが現実の世界

”そして君達の事も良くわかる・・勇者と精霊と導く者・・それが君達だ

”僕達のすべてが君達の心の中にある・・それこそが勇気だ

”やっとすべてが揃った・・世界を頼む

”夢幻の住民より




557: 2013/07/16(火) 23:21:51.88 ID:Ik+Q09d10
---

騎士「預言者がどういう風に亡くなったか教えて欲しい・・」



預言者がここに来た時には痩せ衰えておった・・

予言を残した数日後に眠るように息を引き取った

安らかな顔をしておった・・すべてを尽くしたかのようじゃった

預言者は他にも数々の事を語って言った

そのすべてを書き記し文書にしておる所じゃ

この先200年の予言も残して行っておる

希望に満ちた予言じゃ・・海が太陽できらめくと言っておった



僧侶「商人らしい・・」

騎士「・・そうか・・きらめく海を見せてあげたかった」

姫「わらわはどうすれば良いのじゃ?」

騎士「僕たちは預言者の言うとおり命の泉へ行かなければならない」

姫「共に行けば良いのか?」

エルフ「姫!!それは父上が許さない・・」

姫「わらわが言い聞かせる・・勇者・・国王の所へ参るぞよ」

勇者「え!?」

姫「予言の勇者が現れたと知ればわらわが共に行くのも許してくれる筈じゃ」

エルフ「姫・・」

姫「付いて参れ・・」

騎士「待って!!・・」

姫「なんじゃ?」

騎士「もう少し預言者の墓に居させて欲しい」

僧侶「わたしからもお願い・・」

姫「よかろう・・気が済むまで手を合わせるが良い」



558: 2013/07/16(火) 23:51:44.44 ID:Ik+Q09d10
---墓---


騎士「・・・商人?・・聞こえているかい?」

騎士「1人でこんな遠くまで大変だったね・・」

騎士「歩くの大変だったろう?」

騎士「君が成そうとしてた事は僕達が引き継ぐ」

騎士「君の想いは確かに受け取ったよ」

騎士「もし生まれ変わって又会えたら」

騎士「きらめく海でバーベキューでもしよう」

騎士「僕はまだやらなきゃいけない事が残ってる」

騎士「まずそれを片付けて来る」

騎士「君はゆっくり休んでて良いよ」

騎士「おやすみ」

---

---

---

---

---

姫「・・・もう良いか?」

僧侶「シクシク」

騎士「あぁ・・そろそろ行こう」

勇者「・・墓の横にある石像は何かな?」

姫「精霊の像じゃ・・ここを守っておる」

勇者「へぇ・・」

姫「では行くぞよ?・・付いて参れ」


スタスタ

561: 2013/07/18(木) 20:32:06.07 ID:yVKiJnX60
---王城---

王「・・・その者達が予言の勇者と申すのか?」

姫「そうじゃ・・わらわは予言の通り勇者と共に魔王を滅ぼしに行く」

王「う~む・・困ったオテンバ娘じゃのぅ」

姫「予言の通りであれば必ずや魔王を倒せる筈じゃ」

王「・・・・・ならぬ・・」

勇者「・・・・・」

王「国王たるもの信用の置けぬ者の予言を鵜呑みには出来ん」

姫「・・・父上」

王「勇者達よ・・済まぬが我が娘を同行させることは許す事が出来ん・・理解して下され」

姫「いやじゃ・・わらわは勇者と共に魔王を滅ぼすのじゃ!」

王「ならん!!・・エルフ!!姫を城へ閉じ込めよ!!お前に見張りを命ずる!!」

エルフ「ハッ!!!」

姫「なんという事じゃ・・父上は世界が魔王に滅ぼされても良いのか?」

王「そうは思っておらん・・だがお前が勇者と同行し役に立てるとも思ってはおらん」

姫「・・・・・」

王「勇者達よ・・見苦しい所を見せてしまった・・ここは一旦引取りを願いたい」

勇者「・・・あ・・・はい」

王「魔王討伐の旅に出るのであれば支度金と装備品を用意する故・・娘の代わりの者を雇って下され」

勇者「いえ・・失礼致しました・・」



562: 2013/07/18(木) 20:32:32.09 ID:yVKiJnX60
---城下---

僧侶「王様は厳しかったね~」

勇者「仕方が無いかな・・」

僧侶「わたし達だけで行くの?」

勇者「そうするしか無さそうだね」

騎士「馬を貰えただけでも良かったよ・・」

勇者「そうだね・・徒歩で命の泉まで行くのは厳しい」

僧侶「これからどうするの~?」

騎士「・・まず・・今どういう状況なのか把握しないと・・」

勇者「少し情報を集めよう・・」

騎士「ひとまず宿屋かな」

僧侶「何処にあるのかなぁ~?」

勇者「来たばかりで右も左も分からない・・」


ガヤガヤ ガヤガヤ


騎士「・・・ん~~どうやら宿屋に泊まれる状況では無さそうだ」

勇者「この人ごみは・・難民かな?」

騎士「そういう感じだね・・子供達まで武器を持ってる」

僧侶「慌しい感じ~」

勇者「誰かに今の状況を聞いてみようか」

僧侶「ねぇねぇ!あそこで食べ物を配ってるよ~」

勇者「食料の配給だね・・あそこの兵隊に事情を聞いてみよう」



563: 2013/07/18(木) 20:34:14.09 ID:yVKiJnX60
---配給所---

兵隊「・・・子供達から先に並んでくれぇ!!」

兵隊「順番に配るから慌てるなぁ!!」

兵隊「沢山は無いから大事しろよ!!」


ガヤガヤ ガヤガヤ


兵隊「次はお前か!?3人分だな?」

勇者「はい・・あの・・」

兵隊「なんだ?忙しいから手短にしろ!」

勇者「今魔王軍はどういう状況ですか?」

兵隊「時期に光の国まで攻めて来るらしい・・エルフの森の向こう側は全滅したそうだ」

勇者「ここの難民達はどこから?」

兵隊「近隣の町や村から避難してきている・・まともな戦力が残ってるのは光の国だけだ」

勇者「一番近い町はどこに?」

兵隊「南に歩いて10日だが・・お前達は何処から来たんだ?」

僧侶「ウフフ~遠い国から魔王を倒しに来たの~」

兵隊「ハッハッハそりゃ頼もしい!ここに攻めて来る前に倒してくれぇ!」

僧侶「は~い!!」

兵隊「ほら食料貰ったんなら行った行ったぁ!!こっちぁ忙しいんだ!!」

勇者「・・・行こうか」



564: 2013/07/18(木) 20:36:03.53 ID:yVKiJnX60
---街道---

騎士「貰った食料は大事にとって置こう・・保存食だから後で役に立つ」

勇者「そうだね」

僧侶「他にお店無いのかなぁ?」

騎士「お店らしい所は全部閉店になってる・・」

勇者「困ったね・・命の泉へ行けるだけの食料が調達出来そうに無い」

騎士「そうだ!森の町があった場所はどうなってるかな?」

勇者「馬で行けば直ぐだね」

僧侶「・・でももうすぐ日が暮れるよ?」

勇者「こうしよう・・僕はもう少しここで情報を集める・・騎士と僧侶は馬で走ってちょっと見てきて」

騎士「わかった・・僕は夜目が利く」

勇者「後でこの場所で合流しよう」

僧侶「オッケ~」




---林---

パカラッ パカラッ

騎士「・・・確かこの辺りの筈だけど・・」

僧侶「まだ何も無いんだね~」

騎士「無駄足だったかな・・」

僧侶「ねぇねぇ道沿いにさぁ~壊れた馬車が有るけど使えないかなぁ?」

騎士「・・本当だ・・荷物を運ぶのに良さそうだ」

僧侶「直せば使えるカモ~」


ガラガラ ゴトン


僧侶「使えそう?」

騎士「・・車輪は壊れてない・・とりあえず持って帰ろう」

僧侶「手で引っ張るの~?」

騎士「罠魔法でツタを出してくれるかな?・・馬に引かせる」

僧侶「ほ~い・・罠魔法!」ザワザワシュルリ

騎士「よし!もどって今晩は馬車で休もう」



565: 2013/07/18(木) 20:37:41.92 ID:yVKiJnX60
---街道---

騎士「勇者はまだ戻って来てないな・・今のうちに馬車を直しておく」

僧侶「何か手伝う~?」

騎士「破れた布の縫い合わせ出来るかい?」

僧侶「は~い」

騎士「僕は穴の空いた荷室を直すよ」


トンテン カンカン


勇者「・・騎士?僧侶?」

僧侶「あ!!勇者が戻ってきた~ウフフ」

勇者「どうしたんだい?この馬車」

僧侶「拾ってきたの~」

勇者「良い物拾ってきたね・・」

騎士「今日は馬車の中で休めそうだよ・・今修理してる」トンテン カン

僧侶「勇者は何か収穫あった~?」

勇者「姫からの手紙を預かった・・エルフが届けてくれたよ」

騎士「え?・・何って書いてある?」



”南の町で待て

”隙を見て城を抜け出す



僧侶「オテンバな魔女っ子だね~ウフフ」

騎士「エルフが見張りをしてるんじゃ?」

勇者「・・まぁ・・ここだと物資の調達が難しそうだから一回南の町へ行こう」

騎士「それが良い・・最低限の物資が無いと旅にもならない」



566: 2013/07/18(木) 20:38:34.90 ID:yVKiJnX60
---夜---

僧侶「夜になっても兵隊さん達が沢山警備してる~」

騎士「・・それだけ魔王軍の警戒をしてるんだね」

僧侶「難民さん達はみんな路地で寝泊りかぁ・・」

騎士「僕達は馬車の屋根が付いてるだけ良いね」

勇者「こういう状況がそれほど長く持つとは思えないな・・」

騎士「・・・急がないとね」

勇者「うん・・・明日は日が昇る前に出発しよう」




---翌朝---

勇者「馬車は僕が馭者をする・・騎士と僧侶は馬で周囲の警戒をしながら付いて来て」

騎士「分かった・・僧侶・・行くよ」

僧侶「ふぁ~い・・むにゃ」


パシン ヒヒ~ン ガラガラ

パカラッ パカラッ




---現実世界での旅が始まった---


567: 2013/07/18(木) 22:19:11.44 ID:yVKiJnX60
---林道---

騎士「ハッ!!」ガシュ!ザクリ!

勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン


騎士「見たことの無い魔物ばかりだ・・」

勇者「安全に野営できる所は無いかな?」

騎士「洞窟を探すしかない」

僧侶「また魔物が来たよ~」


勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

騎士「フンッ!!」ザクリ!


騎士「早く洞窟を探そう・・」

勇者「・・あそこの洞穴は!?」

騎士「行こう・・馬が入れたら今日はそこで野営しよう」




---洞穴---

カサカサ カサカサ

勇者「だめだ・・大きな蜘蛛が居る」

騎士「何匹居る?掃除する」

勇者「3匹・・」

騎士「誘き出せるかい?」

勇者「やってみる・・氷結魔法!」ピシピシ!

騎士「行く!!」ダダダ ザクリ!

僧侶「騎士!!危ない!!」

蜘蛛「シャーーーー」シュルシュルリ

騎士「うわ・・蜘蛛の糸か!」

騎士は蜘蛛の糸に絡まれて動けない

勇者「くぅ・・蜘蛛が騎士に近すぎて魔法が撃てない・・」

騎士「焼いてくれぇ!!僕は炎の耐性がある!!」

勇者「わ、わかった・・」

僧侶「あ!!」


シュン シュン ドス ドス


蜘蛛「グググ・・・」

蜘蛛は矢を受け倒れた


シュン シュン ドス ドス


勇者「だ、誰だ!?」



568: 2013/07/18(木) 22:20:04.80 ID:yVKiJnX60
---

エルフ「フン・・・」

姫「さすがはエルフじゃ・・」

エルフ「・・・・・」

姫「やっと追いついたぞよ・・南の町で探す手間が省けた」

勇者「魔女・・いや・・姫・・」

僧侶「ウフフ~お城から抜け出して来たの~?」

騎士「む~ん!!」ブチブチ

エルフ「うお!・・蜘蛛の糸を振り切った・・なんて奴だ・・」

騎士「助かったよ・・もう日が暮れてしまうから洞穴の中で話そう」

姫「そうじゃのぅ」

勇者「こっちだ!早く入って!」




---

ピチョン ピチョン

勇者「照明魔法!」ピカーーー

騎士「よし!何も居ない・・・馬と馬車を入れたら入り口をツタで塞ごう」

僧侶「塞いで良い~?」

騎士「頼むよ・・」

僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワザワ シュルシュルリ

姫「ほーー考えたのぅ・・」

僧侶「オッケ~ウフフ」



騎士「ふぅ・・やっとゆっくり出来る」

勇者「姫?城を抜け出して来て良かったのかい?」

姫「よい!!わらわは自分の事は自分で決めるのじゃ」

勇者「エルフは姫が逃げないように見張りをしてるんじゃ・・」

姫「エルフはわらわの言う事は何でも聞くのじゃ」

エルフ「・・・・・」

僧侶「お城に帰ったら叱られるカモ~ウフフ」

姫「・・・もうその話は良い・・なんとかなるじゃろう」

エルフ「姫・・父上が心配するからそろそろ戻った方が良い」

姫「その話はもう良いと言ったじゃろう!・・それからもう姫と呼ぶでない・・その名は聞き飽きた」

エルフ「・・ならなんて呼べば?」

僧侶「魔女~!!」

エルフ「魔女?」

魔女「うむ・・魔女で良いぞ・・わらわは魔法使いの魔女っこ姫じゃ」

僧侶「ウフフ~なんかオテンバ魔女って感じ~」



569: 2013/07/18(木) 22:22:15.49 ID:yVKiJnX60
---

メラメラ パチ

勇者「・・・じゃぁ南の町に行っても物資調達は難しい?」

魔女「そうじゃな・・」

騎士「森で狩りをしながら行くしか無いね」

魔女「これエルフ・・ここから西へ行ってエルフの森に入るのはどうじゃ?」

エルフ「・・それは・・まずい」

魔女「困ったのぅ」

騎士「どうまずい?」

魔女「エルフは森から追放されたのじゃ・・森には帰れんらしい」

騎士「困ったね・・他のエルフに遭遇しないように迂回しながら行けないかな?」

エルフ「エルフの里を迂回するとケンタウロスが居て危ない」

騎士「ケンタウロス?」

魔女「森に住まう魔物じゃ」

エルフ「ケンタウロスは槍を使う種と弓を使う種が居て槍を使う方は俺じゃ手に負えない」

騎士「ん~」

僧侶「わたしと騎士で相手してあげる~ウフフ」

エルフ「魔女が危険にさらされる・・」

魔女「他に方法は無いじゃろう?・・わらわの従士であればお主がわらわを守れば良い」

騎士「勇者も魔女を守ってあげて・・僕と僧侶でケンタウロスは何とかするよ」

エルフ「魔女を守るのは俺の役目だ!勇者の手助けは要らん!」

魔女「エルフ!言う事を聞くのじゃ・・急がねば魔王軍が攻めて来るぞよ?」



570: 2013/07/18(木) 22:22:42.56 ID:yVKiJnX60
---翌朝---

勇者「行き先を変更する・・ここから西に向かってエルフの森へ向かうよ」

僧侶「は~い」

魔女「エルフ!お主は馬車の馭者じゃ・・馬4頭で馬車を引け」

騎士「エルフの森に付くまでは今後の行動を相談しよう」

勇者「よし・・みんな準備できたね?」

僧侶「しゅっぱ~つ!!」


ガラガラ ガラガラ


騎士「さて・・エルフの森のあとどうするかだ・・」

勇者「エルフの森から命の泉までどれくらい掛かるかな?」

エルフ「真っ直ぐ進めば1ヶ月・・迂回すれば10日余分に掛かる」

騎士「真っ直ぐ行くとすると何がある?」

エルフ「エルフの里に入ってしまうから風下側から少し迂回したい」

騎士「なるほど・・」

エルフ「迂回しながら森を抜けた後は北に進路を変えて行けば良い」

騎士「森の中にケンタウロス以外の魔物は?」

エルフ「トロールの寝床を通る事になる・・襲われると厄介だ」

騎士「小動物の狩りは問題ないかな?」

エルフ「森の浅い所では問題無い・・トロールの寝床付近はダメだ・・トロールが怒り出す」

騎士「よし!森の入り口に付いたらまず狩りをして食料を確保しよう」



571: 2013/07/18(木) 22:23:59.29 ID:yVKiJnX60
---森の入り口---

騎士「シッ・・・」

エルフ「!??・・・」

騎士「・・・・・」

騎士「中型の動物の気配がする・・」

エルフ「どうして分かる・・・本当だ・・・お前も森の声を聞くのか?」

騎士「勇者!!魔法で仕留めれるか?」

勇者「やってみる・・」

エルフ「待て!・・俺がやる・・苦しませたくない」

騎士「出来るのか?」

魔女「ここはエルフに任せた方が良い・・一発で仕留めんと動物が苦しむでのぅ」

エルフ「ここで待ってろ!」サッ

僧侶「エルフさんすご~い・・足音がしない~ウフフ」

勇者「さすがエルフ・・」

騎士「・・・・・」(エルフ・・・か)


ギリリ シュン バシュ!


騎士「・・・仕留めた様だ」

僧侶「え?どこ~?」

騎士「音で分かる・・」

勇者「・・・行こうか」


グイ ヒヒ~ン ガラガラ


---

騎士「待った・・止まって!」

勇者「え?・・」

騎士「エルフが動物を弔ってる・・終わるまで待とう」

僧侶「エルフさんお祈りしてるのかなぁ?」

騎士「エルフは普通殺生は好まない・・彼に殺生をさせてるのは僕達だって忘れちゃいけないよ」

魔女「そうじゃな」

---

---

---

エルフ「・・・」クイ クイ

騎士「行こうか・・呼んでる」

僧侶「どうして分かるの~?」

騎士「なんとなくだよ・・」

僧侶「おいでって言えば良いのにね~」

騎士「エルフはそういうものだよ」



572: 2013/07/18(木) 22:25:05.95 ID:yVKiJnX60
---

僧侶「うわぁ・・大きな鹿さん・・」

勇者「今晩はここで野営しよう」

騎士「僕は干し肉を作ってる・・魔女は手伝って」

魔女「何をすれば良いのじゃ?」

騎士「火魔法で肉を燻す・・勇者とエルフは周囲を警戒してて」

勇者「わかった・・」

騎士「僧侶は辺りに罠を張って」

僧侶「は~い」




勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

エルフ「フンッ・・」ギリリ シュン



勇者「見たことの無い魔物だ・・」

エルフ「今のはガーゴイルという魔物だ・・夜になると活動する」

勇者「安全に野営できる所は無いのか?」

エルフ「洞窟を探すしかない」

僧侶「また来たよ~」

勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

エルフ(・・・勇者の魔法が凄い・・・)

勇者「フンッ!!」ザク!

エルフ(剣も使うのか・・)

勇者「近くに洞窟は無いか?・・」

エルフ「・・あそこの洞穴は!?」

勇者「騎士達を呼んでこよう・・今日はそこで野営だ」



573: 2013/07/18(木) 22:25:44.55 ID:yVKiJnX60
---森の洞穴---

ピチョン ピチョン

エルフ「・・ダメだバジリスクが居る」

騎士「何匹居る?掃除する」

エルフ「3匹・・バジリスクは毒を持っている・・近づくのは危険だ」

騎士「大丈夫・・勇者!洞窟の入り口を炎で塞いで」

勇者「わかった・・魔女は照明魔法で騎士を援護して」

騎士「行くよ!!」ダダダ



ザクリ! グサ! ガシュ!



エルフ「・・・バジリスクと目を合わせても石化しない?」

騎士「僕はドラゴンの耐性を持ってる・・毒も石化も効かない」

エルフ「ハハすごいな・・」

僧侶「ねぇねぇ今日はここで野営するの~?」

騎士「そうしよう・・僧侶!火を起こすの手伝って」

僧侶「は~い」

騎士「魔物の亡骸は燃やしてしまおう・・魔女!燃やせるかな?」

魔女「火魔法!」ゴゴゴゴゴ

騎士「焚き木を探さないと・・」

僧侶「あそこにあるよ~ウフフ」

騎士「・・よしなんとか一晩は持ちそうかな・・残りの肉を今日中に燻さないと・・」



574: 2013/07/18(木) 22:27:33.98 ID:yVKiJnX60
---

メラメラ パチ

騎士「ふぅ・・やっと休める」

勇者「こんなにも魔物が多いなんて・・」

エルフ「まだここは森の入り口・・奥に入ればもっと危険だ」

魔女「勇者達が居ればなんとかなりそうじゃ・・勇者・・わらわに高位魔法の使い方を教えておくれ」

勇者「魔女の魔力が持つかな?」

魔女「わらわはもっと勇者の役に立ちたいのじゃ」

勇者「わかったよ・・こっちに来て」



騎士「ん~この調子で魔物と戦いながら進むと命の泉まで随分掛かりそうだね」

エルフ「森を早く抜けたい・・騎乗で戦えれば・・」

騎士「森の中で騎乗戦闘は無理だ・・馬が足を傷つけてしまう」

僧侶「気球があったら良かったね~」

エルフ「気球?・・それは何だ?」

僧侶「空を飛べる乗り物~」

エルフ「空を飛ぶなんて・・」

騎士「この時代にはまだ無い様だね・・歩くしかない」

エルフ「この先に出てくる魔物は・・ケンタウロス、ゴブリン、トロール、ワーウルフ」

騎士「森を抜けた後は?」

エルフ「ミノタウロス、オーガ、ハーピー、リザードマン」

騎士「特に危険なのはどの魔物?」

エルフ「ミノタウロスとトロールは巨体で倒すのは困難だ」

僧侶「騎士なら巨人相手でも大丈夫だよ~」

エルフ「え!?そんな事ある訳・・・ハッ!!その手は!?」

騎士「これは義手だよ・・足も義足さ」ガチャリ ドサ

エルフ「・・・そんな体で戦ってたのか」

騎士「これは僕の大事な宝物だ」---夢幻の世界が実在していた証---

エルフ「驚くことばかりだ」

騎士「そうだ!・・エルフのオーブを持ってたんだった・・聴いてみるかい?」ポイ

エルフ「・・・オーブ・・なぜこのような物を・・」

騎士「話すと長くなるよ・・まず聴いてみて」


575: 2013/07/18(木) 22:28:06.50 ID:yVKiJnX60
---

僧侶「ねぇねぇ~エルフがおとなしくなっちゃったね~」

騎士「エルフのオーブには知識も詰まってると長老が言ってた」

僧侶「どんな知識なんだろうね~」

騎士「さぁね?・・」

僧侶「あ!!!それ~商人の口癖~ウフフ」

騎士「フフ僕達の心の中に生きてる・・か」

僧侶「うん!わたし皆のことちゃんと覚えてる~」

騎士「僕も覚えてるよ・・僕を突き動かしてるのは商人や盗賊達・・皆なんだって感じる」

僧侶「そうだね~・・もう会えないかなぁ?」

騎士「どうかな?」

僧侶「ウフフ~それも商人の口癖~」

騎士「思い起こせば商人は凄い人だった」

僧侶「でもね~トランプは弱いの~最後にジョーカー持つのはいつも商人だったよ~」

騎士「・・・それも運命・・かな?」

僧侶「眠たくなってきた~ふぁ~あ」

騎士「明日も沢山歩かないといけない・・もう休もう」

僧侶「ふぁ~い」



576: 2013/07/18(木) 22:31:02.01 ID:yVKiJnX60
---エルフの森南部---

ガシュ!ザクリ!

魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン



僧侶「あの2人息ピッタリ~ウフフ」

騎士「出番が無くなった」

僧侶「魔女の魔法も上達してるね~」

エルフ「・・・・・」

騎士「ケンタウロスはまだ見てないけど・・」

エルフ「いや・・うすぐケンタウロス達がこちらに気付く」

僧侶「そんなに危ないの~?」

エルフ「森を自由自在に走り回る・・弓を持つケンタウロス近づいては来ないが弓で突然襲い掛かってくる」

騎士「槍を持つ方は?」

エルフ「そいつはもっと危ない・・一気に接近して来る・・森でケンタウロスより機動力のある魔物は他に居ない」

騎士「エルフでも恐れるのか」

エルフ「恐れてる訳じゃない・・同胞と戦いたくないだけだ」

騎士「同胞?」

エルフ「ケンタウロスは元はエルフの仲間だ・・魔王によってケンタウロスは変わってしまった」

僧侶「どんな風に~?」

エルフ「ケンタウロスはエルフに比べて粗野で乱暴な戦士だ・・魔王の策略を見破る程の知性を持っていない」

騎士「戦いは避けた方が良いのか?」

エルフ「それは無理だ・・人間を目の敵にしている」

騎士「襲って来ない事を祈ろう」



577: 2013/07/18(木) 22:41:04.95 ID:yVKiJnX60
---

パカパカ ガラガラ

騎士「川沿いを行こう・・ここは遮蔽物が多すぎて魔物に近づかれてしまう」

エルフ「フフ気付いてたか・・もう狙われてる」

騎士「勇者と魔女は馬車から離れない様に」

勇者「わかってる」

騎士「僕と僧侶は騎乗で少し後から付いて行く」

エルフ「何をする気だ?」

騎士「相手が何体居るか知りたい・・少し誘ってみる」

エルフ「襲ってきたらどうする?」

騎士「なるようになるさ」



僧侶「ねぇねぇあそこの影に何か居るよ~」

騎士「分かってるよ・・反対側にも居る」

僧侶「わたしはお祈りしてるね~」

騎士「たのむよ・・」グイ パカ パカ



シュン シュン シュン



騎士「弓持ちケンタウロスが3体・・・馬車まで走るよ!つかまって!」グイ パカラッ

僧侶「は~い」

騎士「あ!!!まずい!!!馬車の方にも槍持ちケンタウロスが3体行ってる」

僧侶「後ろの弓持ったお馬さん?・・追いかけてくるよ~」

騎士「挟まれたか・・くそぅ・・槍持ちを1体片付ける!!」パカラッ パカラッ



ケンタウロス「マーーーーーー」パカラッ



エルフ「勇者!!槍持ちが来た!!」

勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

エルフ「だめだ!!もっと撃て!!それじゃ当たらない!!」

ケンタウロス「マーーーーーー」



パカラッ パカラッ ザクン!!



エルフ「うお!!ま・・真っ二つ?」



578: 2013/07/18(木) 22:41:52.55 ID:yVKiJnX60

騎士「後ろから弓持ちが3体来てる!!エルフ!!弓でけん制してくれぇ」

エルフ「分かった・・馬車を止める!」グイ ヒヒ~ン ブルル

騎士「勇者!馬車を囲む様に火魔法を!!」

勇者「火炎魔法!」ゴゴゴゴゴ

魔女「火炎魔法!」ボボボボボ

騎士「次の槍持ちが来る!凌いで!」グイ パカラッ

エルフ「・・・・」ギリリ シュン シュン

騎士「くそぅ・・森の中を飛ぶように速い・・」パカラッ パカラッ



ガツッ ヒヒ~ン ガッサー



僧侶「キャァァァ~」ズサー

騎士「ぐぁ・・槍持ちの突撃が早すぎる・・」ドサッ

僧侶「いった~い・・」

騎士「くそぅ!!僧侶!!僕から離れないで」



シュン シュン シュン ドス ドス ドス



騎士「なにぃ!!馬がやられる・・」

僧侶「あぁぁぁお馬さんが~回復魔法が届かないよぅ」



579: 2013/07/18(木) 22:42:19.50 ID:yVKiJnX60

騎士「おいで!!走ろう!」グイ

僧侶「来てる来てる来てるぅぅ~」

騎士「フンッ!!」ザクッ

ケンタウロスはダメージを受け前足を両方共失った

ケンタウロス「マーーーーーー」バタ バタ

騎士「行くよ!!早く」グイ タッタッタ

僧侶「あわわわ」



エルフ「あと4体・・ハッ!!そうだ!!ケンタウロスは冷気に弱い!!勇者!!冷気の魔法だ!!」

勇者「氷結魔法!」ピシピシ

エルフ「地面だ!地面を凍らせればケンタウロスは走れない」

勇者「魔女!!水魔法を頼む」

魔女「水魔法!」ザバー ビチャ ビチャ

勇者「氷結魔法!」ピシピシ カキーン



騎士「氷!!?うわわわわ・・・」ツルッ ドテーン

僧侶「うふふ~ツルツル~」

騎士「走りにくい・・」そろーり そろ~り

僧侶「這って行った方が良いカモ~」ノソ ノソ



エルフ「よし!ケンタウロスが逃げて行く」

勇者「もう大丈夫かな?」

魔女「馬を一頭失ってしまったのぅ」

エルフ「4頭居て良かった・・」

騎士「もうケンタウロスは去ったかな?ハァハァ・・」

エルフ「6匹中2匹もやられたら警戒する・・それもやられ方が酷い・・一刀で真っ二つにするとは・・」

騎士「この辺りは早く通り越したい・・先を急ごう」

エルフ「その方が良い・・馬1頭の被害で済んだのも運が良かったからだ」



580: 2013/07/18(木) 22:44:26.13 ID:yVKiJnX60
---

僧侶「弓のケンタウロスさんずっと付いて来る~」

騎士「弓の射程の外だよ・・様子を見てる」

エルフ「多分もう襲って来ない・・あいつらもそんなに馬鹿じゃないよ」

騎士「ただ・・今日は寝れそうにないな」

エルフ「もう少し先に行けば馬を走らせれるだけの林になる筈・・そこまで行けばもうすこしスピードアップできる」

騎士「野営は出来そうかな?」

エルフ「無理だ・・魔物を寄せ付けない工夫があれば良いが・・」

僧侶「わたしできるよ~ウフフ」

騎士「え!?僧侶が?何を?」

僧侶「わたしね~罠魔法のツタで編み物が出来るの~」

騎士「家でも作る気かい?」

僧侶「出来るカモ~」

騎士「よし・・一回試してみよう」




---林---

ザワザワ シュルリ

僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ

エルフ「・・・馬車も丸ごとツタの囲いに入れてしまうのか・・」

騎士「これどうやって外に出るんだい?」

僧侶「魔女の火魔法で燃やせば良いと思う~ウフフ」

騎士「なるほど・・これは良い寝床になるね」

エルフ「明日の朝魔物に囲まれてるって事は無いだろうね・・」

僧侶「そんな事考えたこと無い~!あとねあとね~魔女の水魔法と勇者の氷結魔法でさぁ~」

騎士「・・なるほど・・氷の壁を作ってしまうのか」

僧侶「そうそう~そしたら矢も通さないと思うんだ~」

エルフ「草と氷で出来た家か・・考えたな」

騎士「よし!今日はここで休もう・・勇者!火を起こして!僕は焚き木を集めてくる」

勇者「わかった・・火魔法!」ボッ

エルフ「俺は木の実でも探してくる」



581: 2013/07/18(木) 23:23:59.55 ID:yVKiJnX60
---

メラメラ パチ

エルフ「・・・ケンタウロスを凌いでしまえばもうそれほど恐いモノは無い・・ただ・・」

騎士「ただ?」

エルフ「ここはトロールの寝床・・襲われると・・」

騎士「トロールか・・そうだ僧侶?・・魔女とエルフに回復魔法を・・」

僧侶「は~い・・銀のロザリオも持ってねぇ~・・はい」

魔女「何をするつもりじゃ?」

僧侶「呪いを解くの~ウフフ回復魔法!」ボワー

エルフ「俺もか?・・」

僧侶「うん!!回復魔法!」ボワー

魔女「何か変わったかの?」

騎士「・・・これでトロールには襲われない」

エルフ「何故分かる?」

騎士「エルフ・・耳を澄ましてよく聴いて」

エルフ「???」



---キーン---



僧侶(銀のロザリオを鳴らした・・)

エルフ「・・・・・」

騎士「何を感じる?」

エルフ「光・・」

騎士「そう・・これで僕達は光の音を出すようになった・・だからトロールに襲われない」

エルフ「ハッ・・まてよ・・本当だ・・闇を感じない」

騎士「勇者が勇者たるのはこの音のお陰なんだ・・・勇者が持つ剣は振るたびにこの音が出る」

勇者「騎士・・・それにいつから気付いていたんだ?・・僕は知らなかった」

騎士「エルフの娘が教えてくれたんだ」

エルフ「・・・預言者の言っていた事はやっぱり本当だったのか・・」

魔女「だから言うておろう・・わらわはずっと信じておった」

騎士「この銀と・・僧侶の浄化の魔法で魔王の呪いを祓いに行くんだ・・命の泉まで」



582: 2013/07/18(木) 23:24:42.25 ID:yVKiJnX60
---

メラメラ パチ

エルフ「・・・・・」

騎士「・・・・・」

エルフ「お前も森の声を聞くんだな・・」

騎士「エルフほどには聞こえない」

エルフ「トロールが近くに来てる」

騎士「知ってる」

エルフ「様子を伺ってる」

騎士「明日の朝になればここの周りは大きな石だらけになる」

エルフ「トロールを味方に付けているのか・・」

騎士「今日はゆっくり眠れる・・トロールに守られながら」

エルフ「俺は眠らないからお前は休んで良い」

騎士「そうさせてもらうよ・・ありがとう」




---翌朝---

僧侶「わお~大きな石がい~っぱいウフフ」

勇者「・・・驚いた」

魔女「これは全部トロールかえ?」

エルフ「そうだ・・俺達を一晩中監視してた」

僧侶「ねぇねぇ大きな石の上に乗ってる小鳥さんってさぁ?昼間のトロールさん?」

騎士「・・そうだよ」

エルフ「・・・・・」

僧侶「昼間のトロールさんってかわいいね~」

勇者「さて・・馬も食事が終わったし・・そろそろ出発しよう」

僧侶「は~い」



583: 2013/07/18(木) 23:31:36.70 ID:yVKiJnX60
---

勇者「森を抜けるまで後どれくらい掛かる?」

エルフ「1週間~10日」

騎士「森を抜けた後は?」

エルフ「森は抜けないでそのまま北の山沿いに行く方が良い・・砂漠まで出るとリザードマンが居る」

騎士「山沿いの方が安全と言う事かな?」

エルフ「危険に変わりは無いけどリザードマン程の数は居ない・・ただミノタウロスが・・」

騎士「大きな牡牛だっけ?」

エルフ「人間を食らう牡牛だ・・魔王の手下の中で一番凶暴だと聞く」

騎士「魔王の手下・・やっと魔王に近づいてる感が・・」

勇者「それは倒していかないといけないね」

エルフ「倒せると・・思ってるのか?」

騎士「フフそれは少し違う・・倒さなきゃいけないと思ってる」

勇者「そうだよ・・倒せるか?ではなくて倒すつもりだ」

僧侶「ねぇねぇ~魔王って今何処にいるのかなぁ?」

エルフ「砂漠の南の果てに港町が合が半年前に魔王に占拠された・・今は多分そこに居る」

騎士「砂漠の南の果て?」

僧侶「始めて聞くな・・場所的に・・中立の国の所かな?」

騎士「よし・・この先どうするか見えて来た・・命の泉のあとはソコを目指そう」




---

”心の中で声がする

”商人ならこう考えるだろう

”盗賊ならこんな気構えを持つ

”囚人なら落ち着いて考える

”女盗賊ならこう切り抜ける

”薬剤師が考えそうなこと

”海賊王の娘達の声

”そして義手と義足が僕を支えている事も

”それが僕を突き動かすモノ

587: 2013/07/19(金) 21:08:58.06 ID:zrhErYKm0
---森の外れ---


ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!


エルフ「・・・・・」

勇者「・・・・・」

魔女「鬼の様じゃな・・」

エルフ「出番が無いと言うか・・手を出せない」

魔女「・・あれほどの戦士をわらわは見たことが無い・・まさに鬼人じゃ」

エルフ「2メートルの大剣で魔物が紙切れの様に・・これはミノタウロスも倒せるかもしれない・・」



騎士「エルフ!!上を飛んでるのは何だ!?」

エルフ「ガーゴイルの群れだ」

騎士「東に向かってる」

エルフ「光の国を目指してる?・・のか?」

騎士「勇者!魔女!魔法で誘ってくれ!!皆頃しにしてやる!!」

勇者「爆炎魔法!爆炎魔法!爆炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ ゴーン ゴーン ゴーン

魔女「照明魔法!」ピカーーーー

エルフ「お、おいっ!!・・・うわわわ」

騎士「気が付いた!!みんな隠れて!!」



バッサ バッサ バッサ

ガーゴイル「人間がこんな所にギャギャギャッ」

騎士「・・皆頃しにしてやる!!ガーゴイルを全部集めろ!!」

ガーゴイル「ギャギャギャッ人間の勇者如き我らが始末してやる」

騎士「全部掛かって来い!まとめて相手してやる」

ガーゴイル「この軍勢を見て気でも狂ったかギャギャギャッ」

騎士「100匹では少ない100万匹連れて来い!!」

ガーゴイル「ギャギャギャッ人間共を食らえぇぇぇぇ!!」バサッ バサッ



ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!

---

---

---

---

---


588: 2013/07/19(金) 21:09:28.52 ID:zrhErYKm0
---

エルフ「・・・・・」

勇者「・・・・・」

魔女「・・・ぜ・・全部1人で倒してしもうた」

ガーゴイル「ギャギャッ・・貴様・・何者・・」

騎士「ハァハァ・・お前だけは生かしてやる・・魔王に伝えに行け!勇者が現れたと!」

僧侶「ねぇ騎士?大丈夫?」

騎士「うおおおおおお!!」

ガーゴイル「・・・・・」ビクッ

騎士「早く行け・・お前を頃してしまいそうだ」

ガーゴイル「ギャギャギャ・・狂気の勇者が人間の中に居ると伝えておく」バサッ バサッ

僧侶「ねぇねぇ・・騎士~?」



騎士「すまない・・魔物を倒す度に我を忘れていってしまう・・」

僧侶「回復魔法!」ボワー

騎士「ありがとう・・でもこれは呪いとかじゃない」

僧侶「なんか騎士が騎士じゃないみたい~」

騎士「僕は多分勇者にはなれない・・心から溢れてくるモノを抑えきれないんだ」

僧侶「ねぇ騎士?相手は魔物でも頃すとか言わないで欲しいの・・」

騎士「あ、あぁ・・わかった」



”これは怒りなのか?

”いや・・ただ無性に

”迫り来るモノを倒したい衝動だ

”憎悪ではない

”ただ・・変えたい衝動

”変えなきゃいけない責任が生む衝動



589: 2013/07/19(金) 21:10:01.77 ID:zrhErYKm0
---山岳---

ビョーウ

エルフ「ここから先は草が生えない・・馬を連れて行くのはここまでだ」

勇者「歩き・・かな」

騎士「ここら辺は魔物が少ないから馬を放牧しておこう」

エルフ「それが良い・・ここから歩いて1週間で着く筈」

騎士「1週間か・・馬を1頭だけ連れて行けないか?」

エルフ「引いて行くなら」

騎士「2週間分の水と食料を背負って行くよりは良い」

エルフ「・・人間は不便だ」

騎士「僕は良いけど僧侶と魔女は飢えさせてはいけないよ」

エルフ「ハッ・・ドラゴンの耐性か・・飢えに耐性があるんだったな」

騎士「それだけじゃない・・彼女達も長旅で疲れている」

エルフ「山岳にはヤギが居る筈・・ヤギを狩れば食料の心配は要らない」

騎士「エルフ・・君は肉を食べれるのかい?」

エルフ「氏肉は食べない」

騎士「じゃぁ残りの肉は僕達がバーベキューで美味しく頂くよ」




590: 2013/07/19(金) 21:10:32.76 ID:zrhErYKm0
---


ジュージュー


僧侶「味は・・まぁまぁかな~」パク モグモグ

騎士「残りは塩漬けにして保存食に」ゴソゴソ

僧侶「ここら辺は魔物が出なくて案心だね~」モグモグ

エルフ「もう少し先に行くとミノタウロスの棲家がある」

勇者「・・それで魔物が少ない?」

エルフ「魔物もミノタウロスは恐れて近づかない」

騎士「じゃぁ明日は牛の肉でバーベキューだ」

魔女「!!?なんと・・お主は魔物を食らうつもりか!?」

騎士「冗談だよ」

僧侶「うふふ~盗賊さんがそういう事言いそうかな~」モグモグ

騎士「・・・・」

魔女「盗賊さんとな?」

騎士「僕の師匠さ・・最高の師匠だったんだ」

僧侶「盗賊さんも騎士の事を最高の弟子って言ってた~」モグモグ

魔女「会うてみたいのぅ・・」

僧侶「200年待てば合えるカモ~」モグモグ

騎士「・・・200年の時間差か・・・」




---もう会う事は無いだろう---

---ただ心の中で生きている---

---それが『夢幻』---



591: 2013/07/19(金) 21:11:05.68 ID:zrhErYKm0
---


テクテク テクテク


僧侶「あれ?鳥?」

エルフ「違う!ハーピーだ!ミノタウロスが近い」

騎士「どういう事だ?」

エルフ「ハーピーはミノタウロスの食い残しを漁る・・食い意地のはってる魔物だ」

騎士「よし・・皆は隠れて見てて・・僕が危なくなったら出てきて欲しい」

僧侶「え?え?わたしは?」

騎士「僧侶は僕と行く・・君とはいつも一緒だ」

僧侶「うふふ~のふ~ねぇねぇ愛してるのぉ~?」

騎士「良いから早く行くよ!!」グイ



タッタッタ



ハーピー「ギャーース」バサ バサ

騎士「お前に用は無い!!」ブン ザクリ!

ハーピー「ギャー・・」



ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!

ハーピー「ギャーース」バサ バサ



僧侶「ハーピーさん逃げた方が良いと思うの~」

騎士「ミノタウロス!!何処だぁ!!」

僧侶「あ・・・・」---騎士がまた我を失う---

騎士「ハァハァ」

僧侶「ねぇ騎士?」

騎士「・・見ろ・・人骨の山だ」

僧侶「え!?・・・そんな」

騎士「エルフの言う通り人間を食らう魔物だ・・」



ミノタウロス「グッフッフ何事だ?」ドス ドス



騎士「現れたな・・お前を倒しに来た」



592: 2013/07/19(金) 21:11:44.85 ID:zrhErYKm0

ミノタウロス「美味そうな人間が2匹・・・しかも若いジュルリ」

騎士「残念だが焼肉にされるのはお前の方だ!!」

ミノタウロス「グッフッフ我を誰か知らん様だ・・我は魔王様より・・」

騎士「だまれ!!」ブン ザクリ!

ミノタウロスはダメージを受けた

ミノタウロス「うがあぁぁ・・ゆるせん・・最後まで話を聞かず・・」

騎士「興味無い!」ブン ブシュ!

ミノタウロスはダメージを受けた

ミノタウロス「グッフッフ効かんわ・・・我が斧を受けて」

騎士「いちいちうるさい!!」ブン ザク!

ミノタウロスはダメージを受けた

ミノタウロス「うがあぁぁ・・我の力を見よ!!」ブン! ガキーン!!

騎士はミノタウロスの攻撃をパリーした

僧侶「あわわ・・」



エルフ「だまって見てて良いのか?」

勇者「まだ早い!」

魔女「ミノタウロスの傷が回復しておるぞよ?」

勇者「いや・・まだ騎士はピンチじゃない」



騎士「フンッ!」ブン ザクリ!

ミノタウロス「効かぬわ!!」ブン!

騎士「・・・」フラリ スッ

ミノタウロス「む・・ど、何処へ?」



ズブズブ ジョキリ ドサ



エルフ「うお!!ミノタウロスの首を切り落とした・・」

勇者「行こう!!首の無いミノタウロスが暴れだした・・」ダダダ



ドシーン ドシーン ブン ブン



騎士「どうして動く!?」ブン! ザクリ!

ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!

勇者「騎士!!ダメだ僕に任せて!!」ダダダ サクッ

勇者はミノタウロスの心臓を突いた



593: 2013/07/19(金) 21:12:14.12 ID:zrhErYKm0

騎士「・・・心臓・・」

勇者「離れて!!氷結魔法!!」ピシピシ カキーン

騎士「・・・・・」

エルフ「・・止まった」

勇者「・・騎士!君と同じ様な耐性を持った魔物は多分僕の銀の剣でしか倒せない」

騎士「ミノタウロスにも何かの耐性があったのか・・」

勇者「これでよく分かった・・騎士は魔物を倒す役で僕は止めを刺す役だ・・魔王もきっとそれで行ける」

僧侶「ねぇねぇミノタウロスさんの首が何か言ってる~気持ち悪いよぅ」

騎士「!!?」

ミノタウロス「おぼ・えてお・・け・・」パクパク

騎士「・・・」ブン! ベチャ!



勇者「騎士・・」

エルフ「容赦ない・・な」

僧侶「騎士ぃ~回復魔法!」ボワー

騎士「・・・あ、ありがとう僧侶・・僕はおかしくなってきているかい?」

魔女「お主が戦う姿は魔人の様じゃ・・この世のモノとは思えん・・人間の一線を越えておる」

騎士「心配を掛けてすまない・・大丈夫だよ」



僧侶「ねぇねぇ~あそこに滝があるよ~騎士は少し返り血を流した方が良いと思うの」

勇者「・・そうだね・・さすがに血まみれ過ぎる」




594: 2013/07/19(金) 21:12:45.36 ID:zrhErYKm0
---滝---


ザザザザザザザ


僧侶「わたしが流してあげる~ウフフ」

騎士「ありがとう・・」

僧侶「よいしょ・・」ゴシゴシ


”なんだろう・・

”これは狂気なのか?

”無心だったつもりなのに

”魔物を倒すたびに

”心がすり減る気がする

”戦ってる相手は魔物なのに



僧侶「おわったよ~ウフフ」

騎士「あ、あぁ」

僧侶「なにか考え事してたの~?」

騎士「いや何でもないよ」

僧侶「今日は水場で野営したいな~わたしも少し綺麗にしたいよぅ」

騎士「そうだね・・」

僧侶「臭うかなぁ~?」

騎士「そんな事無いよ」



595: 2013/07/19(金) 21:13:20.19 ID:zrhErYKm0
---夜---


メラメラ パチ


エルフ「ここから先はもう魔物が出る事は無いと思う」

勇者「植物も少なくなってきたね」

騎士「明日からは少しペースを落とさないと高山病に掛かる」

エルフ「さすが旅が長い・・その通りだ」

騎士「気分が悪くなったらそれ以上山を登る事は出来なくなる・・無理はしないように行こう」

エルフ「馬もこれ以上は坂道を上がれない・・ここに置いていくしか無い」

僧侶「ねぇねぇ~お星様が綺麗~」

騎士「あぁ・・本当だね」

僧侶「山の上に居るからなのかなぁ?」

騎士「多分そうだよ」

エルフ「今日は月が無い」

僧侶「お空はお星様で一杯なのに地面は真っ黒・・」

騎士「・・世界が闇に包まれているというのはこういう状態なのかもね」

僧侶「お月様でもあれば明るいのにね」

騎士「真っ暗闇の中で人は生きていけない・・だからこうやって焚き火を起こす」



メラメラ パチ



僧侶「ふ~ん・・そっか~不安になると火を使うのかぁ」

騎士「魔王はそういう人間の心を良く知っている・・だから呪いを掛けているんだ」

僧侶「命の泉の呪いの事?」

騎士「そう・・憎悪で支配して人々を不安にさせる」

僧侶「ねぇ?エルフが火を嫌う理由は?」

騎士「エルフは暗闇でも森の声を聞いて過ごせるんだ・・」

騎士「火で森が焼かれると森が苦しむ声がする・・その声はエルフにとって耐え難い声なんだと思う」

騎士「・・そうだろ?エルフ?」

エルフ「・・・・・」



596: 2013/07/19(金) 21:13:47.30 ID:zrhErYKm0
---山頂付近---


ビョーーウ


エルフ「はぁ・・・はぁ・・」

勇者「エルフ・・次変わるよ」

エルフ「はぁ・・・はぁ・・・さすがに魔女を背負って登るのは・・」

魔女「わらわは体力には自信が無くてな・・」

勇者「おいで・・」ヨッコラ

エルフ「もう少しで命の泉に到着する筈・・」

魔女「騎士は僧侶を背負っても息を切らしておらんぞ?」

エルフ「騎士は別格」

魔女「どんな鍛え方をしたのじゃろう?」

勇者「僕も良く知らない・・ただ騎士も色々修羅場を越えてるのは知ってる」

エルフ「命の泉にドラゴンは居るかな?」

魔女「ドラゴンは魔王の所に居るのでは無いか?」

エルフ「居てくれた方が帰りが楽かなと・・」

勇者「ドラゴンのオーブがあっても仲間になってくれるとは限らないね」



僧侶「あ!!音が聞こえる~!!騎士下ろしてぇ~」

騎士「命の泉の音かな?」

僧侶「多分そうだと思う~」

騎士「僧侶!走らない方が良いよ・・気分が悪くなると山を降りるまで直らない」

僧侶「わかった~ゆっくり歩く~」



597: 2013/07/19(金) 21:14:46.37 ID:zrhErYKm0
---命の泉---

サラサラサラ

僧侶「ドラゴンさん居ないみた~い」

騎士「やっと着いた・・魔槍を抜かないと」

エルフ「・・・始めて来た・・すごい!癒し苔が生えてる」

騎士「少し採って行くと良い・・確か・・」

僧侶「不老長寿の薬が作れるんだって~」

エルフ「!!良く知っているね・・それはエルフの秘伝の筈」

僧侶「そうだったんだ~ウフフ」




騎士「よし僧侶・・一緒に魔槍を抜こう」

僧侶「うん!!」

騎士「今度は腰を支えるんじゃなくて一緒に抜こう・・・多分君の力で魔槍が抜ける」

僧侶「は~い」

騎士「魔槍が抜けたら銀のロザリオを穴に詰めて回復魔法を頼むよ」

僧侶「オッケ~♪」



ジャブ ジャブ



僧侶「あの時と同じだね~」

騎士「そうだね・・あの時は商人が取り乱して・・」

僧侶「・・振り返ったら商人達が居たりして~」

騎士「・・・・いや・・今一緒に居る・・僕達の心の中に居る」

僧侶「感じる?」

騎士「魔槍を抜けと言ってるよ・・抜いた瞬間未来が変わる」

僧侶「・・・なんか恐いカモ~」

騎士「僕は全力で抜くよ!!全身の骨が折れても諦めない・・必ず抜いてやる」

僧侶「うん」

騎士「じゃぁ手を・・」---すべての力を出し切る---

僧侶「準備良いかなぁ?」

騎士「スーーハーー・・・フンッ!!!」ボコン!

騎士「んがあああああああ!!!!」ズブズブ

僧侶「あわわ・・」ガシッ

騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ボキボキ

僧侶「アレ?」---抜けない?---

騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」バキバキバキ

僧侶「え?え?え?回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー




598: 2013/07/19(金) 21:15:56.05 ID:zrhErYKm0

勇者「僧侶!!回復を休めないで!!全身が軋む音がする!!」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



ビシビシビシ ガガーン!!



エルフ「うお!!空が!!裂ける!!」

勇者「何が起きる!?」



『我が魔槍を抜こうとする者よ』

『それは我が物である』

『奪うからには裁き受けよ』




勇者「魔王の手が・・」

エルフ「空から手が降って来る・・」

魔女「呪いじゃ・・何かの呪いを掛けようとしておる・・」

勇者「騎士!!早く!!」ダダダ

騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ズボッ・・・

エルフ「抜けた・・」

勇者「僧侶!銀のロザリオを!!」

僧侶「え・・あ・・うん!」ジャラ ズボ グイ グイ

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



シーン・・・



---

---

---

---

---魔槍は砕け散った---

599: 2013/07/19(金) 21:16:27.70 ID:zrhErYKm0
---

勇者「うぅぅ気が遠くなる・・」ヨロ

僧侶「騎士ぃ~・・・」

騎士「・・・・・僕は・・大丈夫・・だ」---記憶が壊れていく---



”夢幻での記憶が無くなってゆく

”無かった事に・・・

”僕は・・・一体誰だ?


エルフ「見ろ!!空が晴れる!!」

魔女「おぉ!!水が!!きらめく水が湧き出したぞよ!!」

エルフ「!!?勇者達が倒れてる」

魔女「3人共倒れて居るな・・」

エルフ「おい!しっかりしろ!!勇者も・・」

魔女「どうしたんじゃ?気分が悪うなったか?」



騎士「う~ん・・」ヨロ

僧侶「ハッ・・・」フラ

勇者「くぅぅ・・」ガク


エルフ「大丈夫か?」

騎士「・・何が起こった?」

僧侶「むにゃ~何が起きたかなぁ?」ゴシゴシ

エルフ「魔槍は無事に抜けた・・魔王の手が振って来たが間に合った様だ」

勇者「つつつ・・無事に抜けて良かった」

魔女「おぉぉ見てみよ・・水が太陽の光できらめいておる・・」

エルフ「どうしたんだ?急に倒れて・・魔王の手に何かやられたか?」

勇者「いや・・よくわからない」

騎士「僧侶?・・君の思い出は無事かい?」

僧侶「え?え?なに?何の事?」

騎士「僕はどうしてここに居るんだ?・・・」

僧侶「どうして?・・って魔槍を抜きに・・」

騎士「・・商人達の記憶が無くなってゆく」

僧侶「え?商人?商人って誰?ねぇ・・・大丈夫?」





---世界が変わった---



600: 2013/07/19(金) 21:17:23.18 ID:zrhErYKm0
---


サラサラサラ


勇者「・・・なんて心地の良い音なんだろう」

魔女「予言の通りじゃ・・水が光できらめいておる」



エルフ「・・・騎士は大丈夫か?今日はここで一晩休もう」

僧侶「体の方は平気みたい~・・でもしゃべってくれないよぅ」シュン

騎士「・・・すまない・・・少し頭が混乱してる」

勇者「僕もだよ・・頭がクラクラする」

騎士「ちょっと混乱してて・・これからどうするんだっけ?」

エルフ「山を降りて砂漠の南の港町へ魔王を倒しに・・」

騎士「・・・それはどこだったっけ?」

エルフ「大分混乱してる様だ・・少し横になった方が良い」

騎士「・・・それから・・この手紙は・・何だったかな?」

エルフ「手紙?」

騎士「誰からの手紙だったか覚えが無いんだ・・夢幻の住人って誰だったかな?」

エルフ「騎士の持ち物の事なんて俺は知らん」

騎士「僧侶は?」

僧侶「ほえ?わたしはお花畑から生まれたの~ウフフ」




601: 2013/07/19(金) 21:17:55.51 ID:zrhErYKm0

”やぁ・・元気にしてるかな?

”きっとこの手紙を読むのは君達からしたらすぐの事なんだろうね

”君達に大事なことを伝えたくて僕は長老に無理を言って

”僕1人で200年前よりもう少し昔に飛んだんだ

”君達が居なくなった後のことを先に書く

”君達が200年前に戻った後も元の世界は何の変化も無かったんだ

”世界中でゴーレムが暴れだし、魔王の予言どおり僕達は辺境の村で生き長らえた

”仲間が1人、又1人戦氏していく中で僕は古文書の解読を進めてやっとすべて解読した

”結論:命の源の呪いを解くのが遅すぎた

”呪いを解いてもすべての浄化まで100年掛かるらしい

”だから君達にもう一度命の源に刺さってる魔槍を抜いて呪いを解いてほしいんだ

”実は200年前の世界にはまだ銀が発見されていない

”でも君達は持ってる・・勇者が持つ銀の剣と僧侶が持つ銀のロザリオ

”魔王を倒す為には勇者の銀の剣で心臓を貫けば良い

”命の泉の呪いを解くのには僧侶が持ってる銀のロザリオを使えば良い

”それで未来は変わる筈だ

”ドラゴンのオーブをここに残すから役に立てて欲しい

”今この世界に来て僕はやっと目が覚めた・・ここが現実の世界

”そして君達の事も良くわかる・・勇者と精霊と導く者・・それが君達だ

”僕達のすべてが君達の心の中にある・・それこそが勇気だ

”やっとすべてが揃った・・世界を頼む

”夢幻の住民より




---何回読み返しても思い出せない---



602: 2013/07/19(金) 21:18:25.74 ID:zrhErYKm0
---翌日---


サラサラサラ


勇者「じゃぁそろそろ山を降りよう」

魔女「エルフ!?癒し苔は採り終わったか?」

エルフ「十分採った」

勇者「下り道は何か杖みたいな物を持ってた方が良いよ」

エルフ「その通り・・膝に負担が掛かる」

僧侶「途中で枝でも拾って行こうね~ウフフ」

勇者「じゃぁ行こう!」




---山岳地帯---

僧侶「どれくらいでお馬さんの所に着くかなぁ?」ヨタヨタ

エルフ「途中で置いてきた馬の所なら今日中に着ける筈・・」

僧侶「もう膝がカックンカックンだよぅ・・」

勇者「転ばないように」

魔女「わらわも膝がガクガクじゃ・・」

エルフ「休憩すると歩けなくなるから辛抱して歩いて」

僧侶「あ!!お馬さんみ~っけ♪ウフフ」

エルフ「ダメダメ!もうすこし平坦な所じゃないと馬が足を怪我する」

勇者「荷物を持たせるだけかな」

僧侶「ひぃ・・ひぃ・・」




---

ヒヒ~ン ブルル

勇者「もう少し先に行くと魔物が出るから今日はこの辺で野営しよう」

僧侶「元来た滝の近くだぁ~ウフフ」

勇者「今のうちに水浴びすると良い」

僧侶「騎士~一緒にいこ~」

騎士「・・・あぁ」

僧侶「水浴びしたら元気になるカモ~」

勇者「行っておいで・・野営の準備はしておく」



603: 2013/07/19(金) 21:18:57.17 ID:zrhErYKm0
---滝---


ザザザザザザ


僧侶「うわぁ~きらめく水が流れてる~ウフフ」

騎士「・・・ここで血を洗ったのは覚えてる・・」

僧侶「どうしたの~?」

騎士「・・・昔の事が思い出せないんだ・・・追憶の森のより前にあった事が思い出せない」

僧侶「追憶の森?・・・え~っとぉ・・・アレ?」

騎士「僕たちはいつの間に旅してるんだろう?」

僧侶「アレレ~?」

騎士「命の泉で大事な事を何か忘れてしまった気がする・・」

僧侶「そういえばそうだなぁ~」ポリポリ

騎士「あの手紙の内容を見ると・・僕達は200年後から来てる様だ・・それが思い出せない」

僧侶「あ!!そういえば昨日始めて夢を見たんだ~ウフフ」

騎士「どんな夢?」

僧侶「騎士と始めてお酒を飲んだ夢~ウフフその後ね~一緒に寝るの~」

騎士「夢の中でまた寝る?」

僧侶「あとね~誰かとトランプする夢~わたしがいっつも勝つの~」

騎士「・・幸せな夢だね」




---夢か---



604: 2013/07/19(金) 21:19:31.34 ID:zrhErYKm0
---夜---


メラメラ パチ


勇者「・・・騎士?平気かい?」

騎士「大丈夫・・何事も無い」

勇者「ずっと考え事をしてる様だけど・・」

騎士「勇者!・・君はいつから勇者なんだ?」

勇者「え・・・僕は気が付いたら旅をしていた・・いつからと言われても・・」

騎士「君も同じか・・僕も気が付いたら旅をしてる」

勇者「魔王を倒すが僕の目的だった気がする・・心の中でそう感じる」

騎士「心の中・・」---そうか・・・記憶は無くても心が感じるのか---

勇者「騎士は何か感じないのかい?」

騎士「僕は・・・何かを託されてる・・・ハッ!!」ゴソゴソ パサ

勇者「!!?」

騎士「・・・やっぱりそうか!!」

勇者「手紙?どうしたんだい?」

騎士「僕は命の源の呪いを解く事を託されていた・・やっぱり僕は200後から来てる」

勇者「僕にもその手紙を見せてくれるかな?」

騎士「どうやって心で感じれば良いんだ?・・忘れてしまった・・」

勇者「自然と湧いてくるんだよ」

騎士「心?心・・心・・・僕の心は何処にある?」

勇者「・・やっぱり混乱してるみたいだね・・休んだ方が良い」

騎士「僕は何の為にここに居るんだ?どうして魔王を目指してるんだ?・・・」ブツブツ

---

---

---




605: 2013/07/19(金) 21:20:12.38 ID:zrhErYKm0
---荒野---

ガシュ! ザク! ズバ! ズン!

騎士「・・・」パカラッ ザクリ!

リザードマン「グエ・・」



エルフ「水場が見えて来た・・」

勇者「あのオアシスで休憩を・・ハァハァ」

エルフ「リザードマンが居なければ良いが・・」



パカラッ パカラッ



勇者「あ!!騎士!!」

魔女「行ってしもうた・・」

エルフ「後を追おう!」




---オアシス---

エルフ「・・・・・」

勇者「リザードマンを・・皆頃し・・か?」

エルフ「騎士が全部片付けてしまった様だ・・」

魔女「鬼じゃの・・」

勇者「騎士!・・少しここで休もう」

騎士「・・・・・」



ヒヒ~ン ブルル モシャモシャ



勇者「馬達にも良い休憩だね・・ここはまだ草が残ってる」

エルフ「今日はここで野営しよう」

勇者「ここら辺は本当に人が居ないね・・」

エルフ「このオアシスは昔は行商の拠点と言われてたがリザードマンに荒らされ放題・・」

勇者「ここから南の港町?・・までどのくらい掛かるのかな?」

エルフ「エルフの森沿いに南下して・・・馬なら2週間くらいだと思う」

勇者「思う?・・君は行ったことが無いのかい?」

エルフ「俺はエルフの森を追放された後、砂漠のあるここら辺には来た事が無い」

勇者「・・そうか」

エルフ「話で聞いた事がある程度しか知識が無い」



606: 2013/07/19(金) 21:20:42.89 ID:zrhErYKm0
---

僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ

勇者「もう囲いを作るのは慣れたもんだね」

僧侶「ウフフ~もっと言って~」

エルフ「やっぱり水場の近くは涼しい」

勇者「そうだね・・今日は良く寝れそうだ」

僧侶「あのねあのね~最近良く夢を見るの~」

魔女「どんな夢じゃ?」

僧侶「わたしがどこかの国の衛兵だったり~・・・海賊船に乗ってたり~・・・お空を飛んだり」

勇者「そういえば僕も空を飛ぶ夢は見るなぁ・・」

エルフ「長旅で疲れてるんじゃないか?」

僧侶「そうかなぁ~?」



騎士「・・・・・」

勇者「騎士?どうしたんだい?また考え事かな?」

騎士「心が何も感じなくなってしまった・・夢も見てない」

勇者「え?」

騎士「リザードマンをいくら倒しても彼らの痛みも感じれない」

魔女「鬼じゃ・・」

騎士「何の為に戦うのかも分からない・・ただ向かってくる敵を倒してる」

勇者「・・・」

騎士「僕の心が無くなってしまった・・」

僧侶「ねぇねぇ~騎士~わたしの事どう思ってるの~?」

騎士「すまない・・わからない」

僧侶「え~・・」

騎士「どうすれば夢を見れる?・・・夢で何かを思い出すかもしれない」

僧侶「どうかなぁ~?ぐっすり寝る?」

勇者「今晩の焚き火の番は僕達がやっておくよ・・騎士はゆっくり寝てみて」

騎士「・・・・・」



607: 2013/07/19(金) 21:21:10.56 ID:zrhErYKm0
---深夜---


サラサラサラ


(昼間と違って冷える・・)

(オアシスの湖に月が反射している)

(どこかで見た事がある)

(でも思い出せない)

(・・砂の声も)


サラサラサラ


(・・聞いたことが有る)

(感じるのは・・刹那)

(刹那を砂の音が掻き消していく・・)

(僕は誰だ?)



608: 2013/07/19(金) 21:21:50.63 ID:zrhErYKm0
---翌朝---


ギャオース


勇者「!!?」ガバッ

エルフ「!!?」

勇者「みんな起きて!!なにかの鳴き声が!!」

僧侶「むにゃー」ムクリ

エルフ「上だ!!ドラゴンが飛んでる!!」

勇者「大変だ!!火を消して水辺に!!水魔法!」ジャバー シュゥゥゥ

エルフ「魔女!!行くよ!!」グイ

魔女「エルフ!引っ張るな・・わらわは大丈夫じゃ」

騎士「・・・・・」グイ

僧侶「騎士?」

騎士「僧侶・・僕の後ろに」

勇者「騎士!!水辺に行こう!!」

騎士「僕は良い・・ドラゴンと話をする」

勇者「・・・君が持ってるドラゴンのオーブかい?」

騎士「あの手紙にはドラゴンのオーブを使えと書いてあった・・真相が知りたい」

勇者「ドラゴンが味方になるとは限らないよ?」

騎士「勇者は水場まで避難してて良いよ」

勇者「騎士!無茶はしない様に!」タッタッタ

騎士「わかってる」



ギャオース バッサ バッサ ドッスーン



609: 2013/07/19(金) 21:23:28.29 ID:zrhErYKm0
騎士「ドラゴン・・待ってた」


ドラゴン”我を見ても驚かぬか


騎士「心に穴が空いた・・何も感じなくなった・・ドラゴンを見ても驚きは無い」


ドラゴン”その大剣で我を斬るか?


騎士「ドラゴンのオーブを持っている」


ドラゴン”我は汝にオーブを渡した覚えは無い


騎士「オーブを聞く気が無いなら今すぐ斬る!」


ドラゴン”フォッフォッフォ・・人間に我を倒せる訳が無い


騎士「これでもか?」ブン!


ドラゴン”人間が扱うにしては分が過ぎる武器では無いか?


騎士「僕は自分が何者か分からない・・だからドラゴンのオーブを聞いて真相を教えて欲しい」


ドラゴン”我は人間と取引はせぬ


騎士「ならこの剣の錆びになってもらうだけだ・・」



ギャオース ゴゥ ゴーーン ボボボボボボ



僧侶「精霊の加護!」


ドラゴン”なんと!!精霊の加護を纏っておるのか・・


騎士「さて次はこっちの番だ・・」グイ ジャキリ


ドラゴン”待て!!・・・気が変わった・・・汝の持つオーブを我に・・


騎士「・・・・・」ポイ


ドラゴン”これはまさしくドラゴンのオーブ・・如何にしてコレを手にしたのだ?


騎士「まずオーブを聞いてからだ」


ドラゴン”・・・・・


---

---

---

---

---

610: 2013/07/19(金) 21:24:12.32 ID:zrhErYKm0
---

”夢幻の我が意思を確かに預かった・・

”汝は夢幻よりいずる導き手なり

”導き手とはすなわち人間で言う賢者であるが

”己が犠牲により夢幻の記憶を失った様だ

”だが案ずるな

”既に憎悪の呪いは解かれた

”導かれるまま魔王の元へ行けば良い

”魔王が滅べば

”夢幻は虚無へと還り

”新たな時代が来る



騎士「やっぱり僕は夢幻から来たのか・・」


ドラゴン”記憶を失った事は夢幻が虚無へ還った証


騎士「魔王は今何処に?」


ドラゴン”光の国


騎士「何!?」


ドラゴン”既に光の国を滅ぼし勇者の出現を待っている



勇者「・・僕が勇者だ」


ドラゴン”銀の剣・・それはこの時代にはそぐわぬ物・・それを聖剣と呼ぶ


勇者「僕が魔王を滅ぼす!」


ドラゴン”我が背に乗るが良い・・魔王の元へ導こう


勇者「魔女!!エルフ!!行こう!!」




ギャオース バッサ バッサ


611: 2013/07/19(金) 21:24:55.21 ID:zrhErYKm0
---ドラゴンの背---


バッサ バッサ バッサ


勇者「・・いよいよ魔王との決戦だ」


ドラゴン”魔王の側近には氏霊共が要る・・我とて無事では済まぬ


騎士「ドラゴンでも氏霊には歩が悪いのか?」


ドラゴン”氏霊共は聖剣でのみ倒せる・・導けるのは光の国付近まで・・あとは自力で目指せ


エルフ「氏霊・・・聞いたことが有る・・レイスだ・・夜の影から生まれるらしい」

僧侶「昼間なら大丈夫なのかなぁ?」

エルフ「昼間でも影の中に潜んでる・・影の中から現れ鎌で首を狩る・・」

僧侶「こわいな~」

勇者「よし・・こうしよう・・騎士と僧侶でレイスを引き付けて・・僕は止めを刺すのに専念する」

騎士「それが良い」

勇者「魔女とエルフは僕を援護して・・回復はエルフに任せる」


ドラゴン”一つ忠告して置こう・・魔王は祈りの指輪を持っている事を忘れるな


騎士「祈りの指輪?・・なんだソレは?」

エルフ「・・エルフの秘法・・祈りを叶える指輪だ」

騎士「それを奪えば良いのか?」

エルフ「使われる前に奪えるものなら奪った方が良い・・力を吸われてしまう」

僧侶「こっそり盗めないかなぁ~?」

エルフ「近寄ると危ない・・力を吸うためには接近する必要がある」

勇者「・・なるほど・・魔法の打ち合いになるのか」



612: 2013/07/19(金) 21:25:37.96 ID:zrhErYKm0
---

僧侶「ドラゴンさんはや~いウフフ」

エルフ「・・・もうエルフの森を抜ける」

勇者「もうすぐ日が暮れる・・決戦は夜になりそうだ」

騎士「東の空が赤い・・光の都が燃えている」

魔女「わらわの都が・・」

エルフ「・・・父上と母上が心配だ」


ドラゴン”既に残りの人間達は周辺の村に逃げている


騎士「・・・ドラゴン!お前が燃やしたな!?


ドラゴン”魔王の命令だ・・逆らう事は出来ない


勇者「何故そんなに魔王を恐れる?」


ドラゴン”我が卵を隠された


勇者「卵・・・」



バッサ バッサ ドッスーン



ドラゴン”勇者達よ・・我が出来るのはここまでだ


勇者「あとは自力で行く」


ドラゴン”我は空より新たな夜明けを見守る


エルフ「おい!早速何か来たぞ!」




騎士「影だ!影が動いてる・・・僧侶!行くよ!」ダダダ

613: 2013/07/19(金) 23:18:20.24 ID:zrhErYKm0
---

シュバ! ズン! ザク!

騎士「・・・実体が無い!!」

エルフ「レイスだけじゃない!・・ゴーストも居る」

僧侶「あの鎧を着たのって何~?」

魔女「光の国の兵士の鎧じゃ・・・操られておる」

エルフ「数が多すぎる!!」

勇者「僧侶!君の回復魔法は悪霊達に効果は無いかな?」

僧侶「やってみる~?」

勇者「失敗したら僕が倒す!やってみて」

僧侶「は~い♪回復魔法!」ドキュン!

エルフ「!!?穴が空いた・・」

勇者「行ける!!僧侶!!君の回復魔法は底なしだったね?」

僧侶「うふふのふ~回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ドキュン!ドキュン!ドキュン!

騎士「僕が引き付ける!」




---光の国入り口---

ドキュン! ドキュン! ドキュン!

騎士「レイスとゴースト以外の敵は僕がやる・・・」ダダダ ズン!

魔女「わらわは照明魔法じゃ・・照明魔法!」ピカーーー

勇者「僕は僧侶に近づく敵に止めを!」ダダダ シュバ!

エルフ「・・・見ろ!・・・光の都は全滅してる・・」

勇者「・・まず火を消さないと・・魔女!水魔法で火を消そう」

魔女「水魔法!」ザバー しゅぅぅぅ

勇者「水魔法!」ザバー しゅぅぅぅ

エルフ「どうやってこれほど破壊出来る?」

魔女「わらわの塔はまだ倒れて居らんようじゃ」

勇者「どこだ?」

魔女「塔が黒い影になって見えておる」



614: 2013/07/19(金) 23:19:04.65 ID:zrhErYKm0
---広場のあったらしき場所---

魔女「・・・なんという事じゃ・・・花が一本も残っておらん」

エルフ「魔女!だめだ・・1人で動かない方が良い」

魔女「おぉぉぉぉぅ・・」ポ口リ

僧侶「魔女!危ない~回復魔法!」ドキュン!

レイス「ンギャーーーー」シュゥゥゥ

勇者「魔女!自分の影が出来ないように照明魔法を!!」

魔女「わらわの影じゃと?・・・うぉ!影が動いておる!!照明魔法!」ピカーーー

エルフ「クソッ!!俺は何も出来ない・・」

勇者「エルフは騎士に回復魔法を!」

エルフ「回復魔法!」ボワー

騎士「フンッ・・・・」ズバ バシュ ズン

勇者「魔王は何処だ!?」

魔女「もう城は瓦礫の山じゃ・・わらわの塔しか残っておらぬ」

勇者「塔に何かあるのか?」

魔女「塔の地下は・・元は精霊の祠じゃったと聞いておる」

エルフ「魔女!それは初耳だ・・」

魔女「光の国の王家の秘密じゃ・・お前も知って居ろう精霊の像が安置されておる事を・・」

エルフ「ただの石像じゃなかったのか・・」

魔女「ともかくじゃ・・魔王は精霊の像を探しているに違いない」

勇者「早く行こう・・もうすぐソコだ」




615: 2013/07/19(金) 23:19:42.62 ID:zrhErYKm0
---追憶の森---

勇者「魔女・・塔の地下に降りる入り口はこっちなのかい?」

魔女「そうじゃ・・王家の秘密の通路じゃ」

僧侶「ここからじゃないと入れないの~?」

勇者「いや・・・ちょっと待てよ・・・なんだ?」

魔女「どうかしたのか?」

勇者「この状況に覚えがある・・」

騎士「・・・」

勇者「夢で見たのか?・・・精霊の像のある所までは魔王のまやかしを解かないといけない」

魔女「魔王はまやかしを得意とする・・」

僧侶「まやかしはどうやって解くの~?」

勇者「・・・思い出せない」

騎士「とにかく先に進もう」

勇者「ちょっと待って・・やっぱり何か足りない」

僧侶「アレ?エルフは?どこ~?・・ねぇ騎士~」

騎士「・・・・・」

---

---

---

---

---


616: 2013/07/19(金) 23:20:28.35 ID:zrhErYKm0
---光の塔の地下---


シーン


勇者「誰も居ない・・・」

魔女「エルフはどこに行ったのじゃ?」

僧侶「ここに来る途中の森でいつの間にか居なくなった~」

勇者「まずいな・・まずエルフを探さないと」

魔女「エルフはここの場所を知っておるぞよ?」

勇者「ちょっと一回戻ろう・・どうも魔王の気配がしない」

騎士「・・・・・」

勇者「シッ・・・外で誰かの声がする」

僧侶「え!?」



??「じゃぁそろそろ行こうか」

??「歩いて行くの?」



勇者「生きてる人が居る!!」



617: 2013/07/19(金) 23:20:58.64 ID:zrhErYKm0
---追憶の森---

タッタッタ

勇者「はぁはぁ・・誰か居るのか!?」

僧侶「待って~・・」



??「あ!!!どうして・・」

??「4人とも・・」



勇者「え!?」

僧侶「誰かなぁ?」

魔女「そなたらは誰じゃ?光の国の住人か?」



??「え?どうなってる?僕の考えが間違ってたのか?」ブツブツ



勇者「・・・やっぱり何かおかしい・・・これは魔王のまやかしか?」

騎士「夢幻・・」




---

??「大分混乱している様だね・・少し落ち着いて話をしよう」

勇者「今・・すぐソコに魔王が居る筈・・ここは危ない」

??「ちょっと待って・・魔王は居ないよ・・それよりどうして君達が戻ってきたかだ」

勇者「・・・どうなってる?」

??「騎士?ちょっと武器を置いてくれないか?恐いよ」

騎士「・・・・・」

??「まいったな・・こんなの想定してない・・ちょっと飛行船で落ち着いて話そう」

勇者「飛行船?」

??「僧侶も・・僕の事を覚えてないかい?」

僧侶「ん~~夢でトランプした~?」

??「だめだなこりゃ・・まぁついて来て」

魔女「エルフはどこじゃ?」

??「エルフ?・・まぁまぁ・・良いからとり合えず話をしよう」



618: 2013/07/19(金) 23:21:39.33 ID:zrhErYKm0
---飛行船---

勇者「・・・これは一体・・・」

??「薬剤師!なにか安定剤みたいな薬作れないかな?」

薬剤師「うん・・作ってあげる・・少し待ってて」

??「どこから話をしよう・・・えーと・・とり合えず僕は商人だ・・知ってるだろ?」

騎士「・・・・・」

商人「んーー察するに・・君達は上手くやってる様だけど・・どうしてここに戻ってきたかだ」

勇者「ここはまやかしの世界か?・・・・」

商人「まやかし?何のことかな?」

勇者「魔王のまやかしを解かなきゃいけない・・どうやって解くんだ?・・」

商人「ん?・・もしかして僕の古文書に書いてるこれの事かな?」パラパラ

勇者「古文書・・」

商人「ほら・・ここの精霊と魔王の項さ・・魔王のまやかしとは夢幻の事である・・これかな?」

勇者「夢幻?」

商人「精霊は魔王によって夢幻に閉じ込められた・・年代は分かっていない」

勇者「夢幻から出る方法は?」

商人「ん~・・君達4人を夢幻から解放した筈なんだけどなぁ・・?」

僧侶「ほえ?覚えてないよ~ウフフ」

勇者「・・その・・商人?君は僕達の事を知っているのか?」

商人「知っているも何もさっき君達を200年前に送った筈なんだけど・・どうしてこうなったか僕の方が知りたい」

勇者「僕達は君達の事を知らない・・」

商人「ハハハどういう事なんだろうね・・忘れてしまったのかな?」

僧侶「ねぇねぇ~私たちは何か変わった事ないかなぁ~?」

商人「全然変わってないよ?」

勇者「だめだ・・頭が混乱してる」

商人「・・・騎士!武器を収めて欲しいな・・斬られそうで恐いよ」

騎士「・・・・・」



619: 2013/07/19(金) 23:22:19.55 ID:zrhErYKm0

商人「ともあれ・・これからどうするか考え直さないとなぁ」

勇者「考え直す?」

商人「そうだよ・・君達を200年前に送れない事は想定していなかった」

魔女「勇者・・彼らはやはりわらわ達の仲間であったと思って良いのか?」

勇者「ん~~~どうなってるのか理解できない」

僧侶「わたしもわからないよ~ぅ」

勇者「商人・・君が言う200年前に僕達を送ったというのはどうやって送ったのかな?」

商人「この祈りの指輪で君達の命を200年分ドラゴンに吸ってもらった・・この答えで分かるかい?」

騎士「!!!!!」ジャキリ

商人「うわ!!ちょちょちょ・・騎士」

薬剤師「あ!!騎士!!やめて~!!」

騎士「・・・ドラゴンは言った・・・魔王は祈りの指輪を持っていると」

勇者「騎士!!待って!!」

騎士「心が何も感じない・・頃す」



ザクリ!!



商人「うがぁぁぁ・・・」

薬剤師「あああああああ商人!!」ダダダ

騎士「お前もだ・・・」ジャキリ

勇者「やめろ!!騎士!!」



ズン!!



薬剤師「きゃあぁ・・・」



---

---

---

---

---



サラ サラ サラ サラ サラ



---商人達は灰となって消えた---



サラ サラ サラ サラ サラ



620: 2013/07/19(金) 23:23:28.47 ID:zrhErYKm0
---

勇者「・・・消えた」

僧侶「え?え?え?」

魔女「なんと・・・」

騎士「これはまやかし・・」

勇者「まやかし・・・そうだ!!こえはまやかしだ・・」

騎士「魔女!早く精霊の像まで案内してくれ」

魔女「わ、わかった・・付いて参れ」ノソノソ



---光の塔の地下---

シーン

勇者「精霊の像は何処に?」

魔女「無い・・無い・・何処に行ったのじゃ?」

エルフ「魔女!!あそこだ!!」

魔女「か、鏡の中じゃ・・この鏡は真実の鏡と言う」

勇者「え?あ・・後ろに写ってる・・どうやってソコに行けば」

魔女「分からん・・本来であれば預言者の墓の横にある筈なんじゃ」

僧侶「ここでお祈りすればまやかしは解けるかなぁ?」

勇者「お祈りしてみてくれ」

僧侶「は~い♪」



”私が幸せでありますように

”私の悩み苦しみがなくなりますように

”私の願いごとが叶えられますように

”私に悟りの光が現れますように



”私の親しい人々が幸せでありますように

”私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように

”私の親しい人々の願いごとが叶えられますように

”私の親しい人々に悟りの光が現れますように



”生きとし生けるものが幸せでありますように

”生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように

”生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように

”生きとし生けるものに悟りの光が現れますように



騎士「・・・何か変わった事は?」

僧侶「ん~・・お腹が減ったくらい?ウフフ」

勇者「もう一回外に出て見よう」



621: 2013/07/19(金) 23:23:54.45 ID:zrhErYKm0
---追憶の森---

勇者「・・・なにも変わった所は無い・・・どうなってる?」

騎士「・・・・・」

魔女「だれか来るぞよ?」

勇者「シッ・・」



??「じゃぁそろそろ行こうか」

??「歩いて行くの?」



勇者「まただ!!」

騎士「行こう」タッタッタ

僧侶「まってぇ~」



商人「あ!!!どうして・・」

薬剤師「4人とも・・」



僧侶「商人と薬剤師?ウフフ~また会ったね~?」

商人「え?どうなってる?僕の考えが間違ってたのか?」ブツブツ

勇者「やっぱりこれは魔王のまやかし・・」

騎士「夢幻・・いや・・多分僕達の記憶だ」

商人「まやかし?夢幻?・・いやそんな事よりどうして君達が戻ってきたかだ」

勇者「どうする?」

商人「どうする?それはこっちの台詞だよ・・まいったな・・こんなの想定していない・・ちょっと飛行船で落ち着いて話そう」

僧侶「ねぇねぇ?商人さん?わたし達なにかおかしくない?」

商人「おかしいというか・・君に『さん』付けで呼ばれるのは少しおかしい」

僧侶「えへへ~おかしいのはわたしかなぁ~?ウフフ」

商人「・・まぁ・・とり合えずどういう事か話が聞きたい・・付いて来て」



622: 2013/07/19(金) 23:24:41.08 ID:zrhErYKm0
---飛行船---

商人「えーと・・200年前には飛べなかったのかな?」

勇者「ちょっと待って商人!君が持ってる古文書が見たい」

商人「あぁ・・ここにあるけど君に読めるのかい?」

勇者「読むのは商人にお願いする」

商人「・・・どの項かな?」パラパラ

勇者「精霊と魔王の項・・・その中に夢幻から出る方法は書いて無いかい?」

商人「それは書いていないよ・・でも長老は祈りの指輪でしか出れないと言ってたな」

勇者「その他には?」

商人「ちょっと待ってよ・・君ばかり質問してる・・僕の質問にも答えて欲しい」

勇者「商人?・・君は確か祈りの指輪を持っていたね?」

商人「持っているけど・・どうするんだい?・・また200年前に飛ぶのかな?」

勇者「それを貸して欲しい」

商人「貸すというか・・もともと魔女の物だけどね・・それよりどういう事なのか良く説明して欲しいな」

勇者「お願いだ・・急いでいるんだ・・祈りの指輪を貸して」

商人「・・・あぁ・・しょうがないね・・はい」

勇者「商人!!ありがとう!!」

商人「え!?どういう事だい?分からない事だらけだ・・」

騎士「僧侶・・・皆と手を繋ごう」

僧侶「うん!!わかった~♪」グイ

商人「ちょちょちょ・・僕にも何の事か教えて・・ズルイよ」

勇者「いくよ・・僕達を夢幻から解放したまえ!!」パシューーーー

商人「え!?」



---祈りの指輪は砕け散った---




サラ サラ サラ サラ サラ



---商人達は灰となって消えた---



サラ サラ サラ サラ サラ



623: 2013/07/19(金) 23:25:25.65 ID:zrhErYKm0
---追憶の森---

??「おい!しっかりしてくれぇ・・」

??「どうしたんだ!?ボヤッとしてないで・・」

勇者「・・・ハッ!!」

魔女「エルフ・・そこにおったか・・何処に行っておった?」

エルフ「ずっと一緒に居たじゃないか・・みんな目が覚めたか?」

勇者「エルフ!!僕達は今まで何してた?」

エルフ「この森でウロウロしてた・・おかしいと思って声かけたら目が虚ろに」

勇者「僕達は光の塔の地下には行ったのかな?」

エルフ「え!?何言ってるんだ・・今から行く所なんだろ?」

騎士「・・・魔王のまやかしから覚めた・・・」

僧侶「あうぅぅ・・あう・・あう・・」

勇者「僧侶?」

魔女「どうしたんじゃ?」

僧侶「騎士ぃ~~~」ぎゅぅぅぅぅぅ

騎士「僧侶・・どうした?」

僧侶「・・・わたし思い出したの・・・全部思い出したの・・・恐いよぅぅぅぅ」ぎゅぅぅぅぅぅ

勇者「え?何を?」

僧侶「今までのまやかしは全部私の夢・・夢幻の中に閉じ込められたわたしの夢・・」

騎士「・・・・・」

僧侶「騎士達は・・わたしの夢の中の人・・夢から覚めたら居なくなってしまうよぅ」

勇者「どういう事だ?・・今・・精霊が解放されたのか?」

僧侶「わたしは夢幻から出れないの・・置いて行かないで・・」ポロポロ

騎士「僧侶・・・」

勇者「魔王を倒せば夢幻は虚無へ還るとドラゴンが・・」

騎士「魔王は直ぐソコに居る・・倒す!!」

僧侶「いやぁぁぁ・・騎士はわたしの人ぉ~」ぎゅぅぅぅぅぅ

勇者「僧侶!祈ってくれ・・魔王を倒す」

僧侶「ふぇ~ん」シクシク

騎士「僕が先に行く!!」



624: 2013/07/19(金) 23:27:37.88 ID:zrhErYKm0
---光の塔の地下---



シーン



騎士「魔王!!見つけたぞ!!お前を倒す!!」



魔王「フッフッフッフ夢幻に捕われし者よ・・お前達では我は倒せん」

騎士「だまれ!!」

魔王「我がまやかしの術を抜けここまで来れたのは褒めてやろう」

騎士「お前を倒し!すべての呪いを解く!」

魔王「フッフッフッフそれは無理だ・・だが慈悲はくれてやろう・・我が物となれ・・世界の半分をお前にやろう」

騎士「残念だが世界を欲する心は持っていない・・魔王を目の前にして高ぶりも無い・・」

魔王「我に盗まれた心は欲しくないか?」

騎士「・・・・・」

魔王「お前は実態を持たぬ夢幻の住人・・その心は本来精霊の一部である・・だが今我の手に有る」

騎士「お前を倒しそれを奪う」

魔王「ハッハッハお前が存在しているのは我が力であると知れ・・我を滅ぼせばお前も虚無へ還る」



勇者「騎士!!魔王の言う事は聞くな!爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン

魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン



魔王「フハハハハ我に魔法は効かぬ・・」

エルフ「魔法がダメなら・・」ギリリ シュン シュン シュン ドス ドス ドス

魔王「エルフも我に逆らうか・・元はといえば悪の元凶はエルフでもある」

エルフ「なに!?」

魔王「エルフが生んだこの祈りの指輪が無ければ我が変わって世界を統治する必要も無かった」

エルフ「その秘伝を独り占めしておいて何を言う!!」ギリリ シュン ドス

魔王「そうしなければとうにエルフも人間も・・そして魔物も滅んでいた筈だ」

エルフ「エルフの英知を盗み人間の命を吸い世界に君臨する・・お前の望みは何だ!?」

魔王「我はこの汚れた世界をもう一度蘇らせる・・その為には人間は滅ばねばならん」



騎士「本音が出たな・・僕がお前の右手になった所で人間は滅びる・・そういう事だな?」

魔王「人間は夢幻の中で生きれば良い・・それで満足する生き物だ・・我が右手となればお前には夢幻をやろう」

騎士「夢幻を・・」

魔王「フハハハハ迷いが出たか?夢幻でその精霊と仲良く暮らす事も可能だ・・どうだ?」

騎士「・・・・・」クル ジャキリ



625: 2013/07/19(金) 23:28:15.55 ID:zrhErYKm0
勇者「騎士!やめるんだ!」

エルフ「お、おい!俺達に刃を向けるのか?」

魔王「フッフッフッフそれでこそ我が右手・・人間はもう不要だ・・頃して我が忠誠を誓え」




---

魔女「騎士!やめるのじゃ・・これも魔王のまやかしじゃ・・」

勇者(見ろ・・騎士の目を)ヒソ

エルフ(魔王をヤル気だな?)ヒソ



騎士「心を取り戻したい・・エルフ!武器を置け!!」

エルフ「こ、頃すつもりか?」

騎士「魔王は人間を滅ぼすと言った・・エルフを滅ぼすとは言ってない」

勇者「騎士!!」



ダダッ ズン!!



魔王「・・・・・」

騎士「お前も元は人間だな!?」ズブズブ

魔王「グッフッフ・・お前では我を倒すことは出来ぬ・・」グイ ズボッ

騎士「!!?うが・・」---心臓を貫いたのに・・---

魔王「お前には失望した・・その大剣で我が心臓を突いても無意味」

騎士「くそう!!」ブン ザクン! バシュ! ズン!

魔王「その力は我に匹敵するが・・・ただの人間では我を倒すことは出来ん」

騎士「勇者!!!来い!!!」

勇者「銀の剣を食らえ!!」シュ ズバ!

魔王「・・・ほぅ・・・お前は勇者だな?」

騎士「こっちも食らえ!!」ザクン! ズブズブ

魔王「仕方あるまい・・この人間の力を我に!』」

騎士「はぅ!!?」ガクリ



---全身の力が抜けた---



騎士「祈りの指輪か・・・」---義手と義足が重い---

僧侶「騎士?」

魔王「フハハハハお前の力のすべては我が一部となった・・もはや歯向かえまい」

騎士「くぅ・・・」ガチャリ

魔王「立つ事も出来まい・・・無能な人間なり」

僧侶「だめぇぇぇぇぇ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー




626: 2013/07/19(金) 23:29:02.50 ID:zrhErYKm0


勇者「くそう・・僕が行く!!魔女!!エルフ!!援護を・・」

魔女「行ってはならん・・祈りの指輪がある」

勇者「僕が勇者だ!!魔王!!覚悟しろ!!」



---

---義手の魔石の力も吸われた---

---義足も重くて動けない---

---自分の力だけで動く---

---なぜかすがすがしい---



騎士「くぅぅ・・ま、まだ動ける」ズル ズル

魔王「もうお前は用済みだ・・その大剣は我が使う」グイ ジャキリ

騎士「・・・・・」ズル ズル

魔王「次は勇者か・・お前にもチャンスをやろう・・我が右手となれば世界の半分をやろう」

勇者「世界の半分とは夢幻の事か?」

魔王「フッフッフその通りだ・・夢幻をお前が統治すれば良い・・悪い話では無い」

勇者「そんな気は無い!!この銀の剣でお前の心臓を貫く!!」

魔王「・・・では貫かれる前にお前の力も我が一部としてやろう」

騎士「ま・・て・・・」ズル ズル

魔王「まだ居たのか・・お前に用は無い」

騎士「・・・」フラリ スッ



---なぜか指が動く---

---スリだ---



魔王「勇者!我が物となれ・・」

勇者「断る!!」

魔王「ではいたしかたが無い・・」



騎士「『魔王のすべてを我が物に!!』」

魔王「!!?まさか・・・」ガクリ

魔王「人間ごときに・・・この魔王が・・」




騎士「勇者!!!今だ!!!」

勇者「騎士!?」



627: 2013/07/19(金) 23:29:29.44 ID:zrhErYKm0

---力が溢れる---

---魔力が溢れる---

---知恵が溢れる---

---記憶も溢れる---

---夢幻を思い出した---



勇者「ハァ!!!!」ダダダ サクッ



---

---

---

---

---

628: 2013/07/19(金) 23:30:11.85 ID:zrhErYKm0
---

騎士「ぐふっ・・・・・」

僧侶「ぁぁぁぁぁ」

魔女「勇者・・・」



勇者「騎士・・すまない・・今は君が魔王だった・・」

僧侶「ぁぁぁぁぁ・・・騎士?・・・騎士?・・・ど、どうしよう・・・」

騎士「・・・これで・・良い」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

騎士「僧侶・・・僕は思い出した・・・約束を守れなくて・・ごめん」

僧侶「だめええええええ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

騎士「君の癒しが・・溢れてくる憎悪を掻き消していく・・」

僧侶「え!?わたしが騎士を滅ぼしてる?」

騎士「良いんだ・・・僕のドラゴンの心臓もこれで終わりだ・・」

僧侶「だめ!だめ!だめ!騎士とわたしはもう結婚したの!!」

騎士「覚え・・ているよ・・・君を愛してた・・・愛が溢れてくる」

僧侶「いやあああああ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

騎士「君を置いていってしまって・・すまな・・い」

僧侶「騎士?・・・騎士?・・・だめ・・・ずっと一緒って約束したもん」

騎士「生ま・・れかわ・・ったら・・・一緒に・・な・・・・・・・ろう」ガク

僧侶「ぁぁぁぁぁ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」

---

---

---

---

---



629: 2013/07/19(金) 23:31:14.85 ID:zrhErYKm0
---


サラ サラ サラ サラ サラ


---魔王は灰となって崩れた---


サラ サラ サラ サラ サラ





---遠くでドラゴンの鳴き声がする---



630: 2013/07/19(金) 23:34:09.43 ID:zrhErYKm0
---夜明け---

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー




魔女「鏡の中の精霊の像が弔ってくれておる様じゃ・・」

勇者「僧侶・・僕達は生きてる人を探しに行かないと・・」

魔女「そっとしておくのじゃ・・」

エルフ「僧侶は俺が見ててやる・・勇者と魔女は周辺の村を回ってみてくれ」


勇者「エルフ・・すまない・・しばらく頼むよ」

魔女「夜明けじゃ・・勇者・・行くぞよ?」



僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



僧侶「・・・・・」

騎士「・・・・・」

僧侶「・・・・・」グイット

騎士「・・・・・」

僧侶「ねぇ・・いつもみたいに目を覚ましてよぅ・・」ポロポロ

僧侶「ずっと一緒って約束したのに・・・うぅぅぅぅ」ボロボロ

僧侶「またお花畑に行こうって約束したのにぃぃぃぃ」ボロボロ

僧侶「騎士?・・起きて?・・おねがい・・」

僧侶「いかないで!!置いて行かないで!!私を置いていかないでぇぇぇぇ」

僧侶「騎士ぃ!騎士ぃ!」ぎゅぅぅぅぅぅ

僧侶「おねがい!!神様!!おねがい!!私の愛しい人を助けて!!」

僧侶「あぁぁぁぁぁわたしも連れて行って・・・うぅぅぅ」

僧侶「おねがいだからぁぁぁ」ボロボロ

僧侶「はぁはぁ・・・・うぇっうぇっ」

僧侶「騎士ぃ!!騎士ぃ!!」ぎゅぅぅぅぅ

僧侶「だめぇぇぇぇぇ」




---カラン---


631: 2013/07/19(金) 23:35:06.95 ID:zrhErYKm0

僧侶「!!?ハッ・・・これは」




---祈りの指輪---




”これがあれば200年後に・・・又会える

”今度はわたしが魔女になる

”200年待てば又騎士に会える

”花を植えよう・・・一面の花畑になるまで

”わたし諦めれない

”絶対200年待つ・・







♪ラ--ララ--♪ラー



”愛の歌・・・200年後に実る愛の歌

”わたしは待つ



♪ラ--ララ--♪ラー



632: 2013/07/19(金) 23:36:20.22 ID:zrhErYKm0

----------------

---200年後---

----------------



633: 2013/07/19(金) 23:36:58.88 ID:zrhErYKm0
---魔女の塔---

♪ラ--ララ--♪ラー

魔女「旅人の方ですか?」

旅人「あ、はい・・」

魔女「お花を踏まないでね~ウフフ」

旅人「あ、すいません」

♪ラ--ララ--♪ラー




---

少女「・・・ねぇ・・手をつないでも良い~?」

青年「あ、あぁ良いよ。どうしたんだい?」

少女「なんとなく手を繋ぎたい感じ~ウフフ」グワシ

青年「見たことの無い石造が沢山あるね・・」

少女「そうだね~ココって何だったんだろーね~」

青年「この林道は良い香りがする・・花の香りかな?」

少女「あ!向こうにお花畑がある~早くいこ~」グイ グイ

青年「うわ!?スゴイ一面の・・・花だ」

少女「わ~いウフフ~」ルンルン

青年「あんまり遠くには行かないで」

少女「すご~~い!ど~ん」バタ

青年「花を荒らすなよ?」

少女「青年もおいでよ~大の字になって横になってみよ~よ~ウフフ」

青年「よっこら」バタ



634: 2013/07/19(金) 23:38:37.13 ID:zrhErYKm0
---

魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」

魔女「!!?ハッ・・・あれは・・・わたしの愛しの人」

魔女「やっと・・・やっと・・・うぅぅぅぅ」ポロポロ

魔女「行かないと・・・ハッ・・・」

魔女「・・・昔のわたしも居る」




----------------------------

チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ

---なんだか時間を忘れるね---

---そうだね~ウフフ~---

---手を繋いでも良い?---

---良いよ---

---なんかすごく幸せな感じ---

---心が満たされる感じ---

チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ

----------------------------




青年「あれ?泣いてるのかい?泣き虫だなぁ」

少女「どうして涙が出るんだろ?悲しくないのに」ゴシゴシ

青年「さてと・・」ヨッコラ

少女「私ずっとココに居た~い」

青年「え・・あ・・うん」

少女「ねぇ、あそこの瓦礫は何だろ~う」

青年「あれが・・元々は魔女の塔だったのかな?」

少女「シッ・・・何か聞こえる」



635: 2013/07/19(金) 23:39:25.23 ID:zrhErYKm0
---

魔女「騎士とわたし・・・うぅぅぅぅ」ポロポロ

魔女「騎士はわたしの愛しの人・・・今会いに行くの」ノソ ノソ

魔女「騎士ぃ!!200年待ったんだよ~」サラサラ

魔女「ねぇ~騎士ぃ~」サラサラ




サラ サラ サラ サラ サラ



---魔女は灰となって消えた---



サラ サラ サラ サラ サラ




少女「アレ~おかしいなぁ~歌が聞こえた気がするんだけどなぁ~・・・まぁいっか~ウフフ」

青年「涙が沢山出てるけど大丈夫かい?」

少女「どうしてかなぁ~止まらないの~」

青年「だっこしてあげようか?」

少女「うん!だっこ~ウフフ」ぎゅぅぅぅぅぅ

青年「もう少しここに居ようか」

少女「ねぇねぇずっと一緒に居ようね~」

青年「あぁ・・良いよ」




636: 2013/07/19(金) 23:39:54.31 ID:zrhErYKm0

---------

---Fin---

---------


637: 2013/07/20(土) 00:16:05.35 ID:q31n3A5Qo

638: 2013/07/20(土) 01:04:42.28 ID:YGWb6RNSo
うーんなんとも切ない終わり方

643: 2013/07/20(土) 19:10:56.21 ID:wZhjAeEBo
ドラクエ6とRAVEを混ぜたみたいな感じだったな
漫画の方が映える気がする

644: 2013/07/20(土) 20:56:02.21 ID:GkY2Lg8Lo

二部も待ってます


次回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【白狼の盗賊団・前編】



引用: 勇者「魔王は一体どこにいる?Ⅰ」