279: 2020/09/26(土) 11:12:14.99 ID:JyBdSu8i0


勇者「魔王は一体どこにいる?」シリーズです

最初から:勇者「魔王は一体どこにいる?」
前回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【白狼の盗賊団・後編】


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280: 2020/09/26(土) 11:13:00.75 ID:JyBdSu8i0
『セントラル』

---事件当日---

ドーーーーン ドーーーーーン

女戦士「外郭で大砲を撃っているのか…外で戦闘が始まったか…」

女エルフ「ドラゴンが居ない…」

女戦士「恐らく雲の上だな」


女海賊「戻りぃぃ!!…マントとフード持ってきたよ」

女戦士「よし…戻ったか」

女海賊「早く羽織って…女エルフもほら」ファサ

女戦士「似合うか?」ファサ

女海賊「超かっけー…んで…こっちはどうなってる?」

女海賊「今しがた第二皇子とダークエルフが戻った」

女海賊「指輪は?」

女戦士「恐らくダークエルフが所持していると思われる…そうだな?女エルフ」

女エルフ「左手に握ってる」

女戦士「剣士!!準備しておけ」

剣士「分かってる…もう姿を消しておいた方が良い?」

女戦士「そうだな…私達にも見えなくなってしまうから立ち位置に注意してくれ」

女エルフ「ダークエルフの会話…様子がおかしい」

女海賊「え…この距離で聞こえてんの?」

女エルフ「約束が違うって…」

女海賊「なんかヤバそうだね…話してるのは王様かなぁ?」

女戦士「そうだ…国王を囲んでいるのが近衛…アレが近くに居る間は手を出さん方が良い」

女海賊「近衛が武器構えだしたって事は…女エルフ!!会話聞こえてるんでしょ?何言ってんの?」

女エルフ「指輪の破壊をダークエルフがやる条件だったのに渡せって言われて…」

女海賊「あ!!!王様が…倒れた」

女戦士「ダークエルフに首をはねられた様だ…やはり今は状況を見ているしかないな…」

女海賊「やっぱ近衛に取り押さえられるね」

女エルフ「左手を切り落とされた…指輪はあそこ」

女戦士「まだ待て」

女戦士「衛兵が集まって来出したな…ん?あれは…あれは法王だな」

女エルフ「国王への手当てを指示してる…まだ氏んで居ない様子」

女海賊「お…法王が指輪を拾った」

女戦士「よし…チャンスが来るぞ…剣士!!法王の後を付けてチャンスを見て指輪を奪え」

剣士「分かった」

女戦士「奪った後は姿を消して下水まで直行しろ…女エルフは剣士の姿が見えなくても気配で追えるな?」

女エルフ「うん」

女戦士「では剣士!!行ってこい」

剣士「…」シュタ シュタッ
281: 2020/09/26(土) 11:13:42.11 ID:JyBdSu8i0
『法王庁』

女戦士「よし…法王は一人で法王庁へ戻って行くな?」

女海賊「法王庁の裏に衛兵2人…あそこは逃走に使える」

女戦士「女エルフ!!あの二人を弓で狙えるか?」

女エルフ「大丈夫…でも…」

女戦士「今は情けを考えるな…ヘッドショットで即氏させろ」

女エルフ「…」

女海賊「法王が正面の扉から中に入って行った」

女戦士「よし…付いて行ってるな?そろそろ動き出すぞ」

女エルフ「私…」

女海賊「ねぇ!!法王庁の中で光!!何か起こってる」

女戦士「ちぃぃぃ…穏便には行かんか…女エルフ早くヤレ!!剣士が危険だ」

女エルフ「ごめんなさい…」ギリリ シュン シュン

女海賊「他の衛兵はまだ気づいてない…どうしよ?」

女戦士「女エルフと女海賊は法王庁の裏口で中の様子を探れ…私は逃走ルートを確保しておく」

女海賊「らじゃり!!…女エルフ行くよ」タッ

女エルフ「う、うん」タッ

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女戦士(よし…定位置に付いたな?)


ゴゥ ドーーーーーーン


女戦士(外郭か…ん!!?上か!!)

女戦士「なにぃ!!!ドラゴンライダーだ…と?」


ゴゥ ドーーーーーーン

282: 2020/09/26(土) 11:14:26.51 ID:JyBdSu8i0
敵襲!!敵襲!!

ドラゴンライダー複数!!

戦闘態勢いそげぇぇぇ

弓だ!!弓で近づけるなぁあああ

信号弾撃てぇぇぇ!!


ゴゥ ドーーーーーーン


女戦士「ライダー8匹…圧倒的では無いか…」ボーゼン

女戦士「はっ!!見とれている場合では無い…」ダダッ

女戦士「女海賊!!撤収だ!!」

女海賊「ヤバイヤバイヤバイヤバイ…」

女戦士「女エルフはどうした!!中か!?」

女海賊「ああああああ魔王が!!魔王が!!」

女戦士「!!?こ、これは!!空が落ちる!!」

女海賊「ヤバイ剣士が狂ってる…」

女戦士「伏せろ!!ブレーーース」


ゴゥ ドーーーーーーン  パラパラ


女海賊「剣士が氏ぬ!!私も行ってくる!!」ダダダッ

女戦士「待て…ちぃぃ三人とも中か…私はここで動けんでは無いか」


---冷静になれ---

---中の衛兵は全員倒れている---

---中央に居るのが法王---

---奴に流れ込んでいる影…アレが魔王か?---

---女エルフは光の矢をつがえて…---

---剣士はどこだ?…法王の足元…倒れている---

---待て…法王の腕が無い---


---シュン! バシュ!---

283: 2020/09/26(土) 11:14:55.46 ID:JyBdSu8i0
---法王を光の矢が貫いた---


法王「うがぁぁぁぁぁ」ヒデブ

女エルフ「剣士!!」グイ

女海賊「女エルフ!!剣士背負って5秒で裏口!!爆弾点火」

女エルフ「…」ヨッコラ

女海賊「5」

女エルフ「くぅぅぅ」ダッ

女海賊「4」

女戦士「私が盾になる!!」ダダッ

女海賊「3」

女戦士「早く行け!!」

女海賊「2…お姉ぇ耐えて!!」

女海賊「1」


ドコン!ドコン!ドコン!ドーーーン!


女海賊「ギリセーフ!!女エルフこっち!!」グイ

女エルフ「ハァハァ…」タッタッタ

女海賊「お姉ぇ!!先行くネ!!しんがりヨロ…あと3秒で煙幕」

女戦士「ぐふっ…つぅぅ」---盾が無ければ氏んで居るな---

女海賊「お姉ぇ!!聞いてんの!?」

女戦士「今行く…」

女海賊「煙幕!!早く下水まで!!」モクモクモク


284: 2020/09/26(土) 11:15:25.41 ID:JyBdSu8i0
『下水』

ゴゥ ドーーーーン

女海賊「はぁぁぁギリ間に合った…お姉ぇわ何やってんの?」

女戦士「下水の蓋を開けられん様に細工だ…先に行け…直ぐに済む」ガチャガチャ

女海賊「女エルフ!?剣士は大丈夫そう?」

女エルフ「氏んでは居ないと思う」

剣士「…」グッタリ

女海賊「早く帰ろ…ここはヤバイ」

女戦士「指輪はどうなった?」

女エルフ「私が持ってる」

女戦士「よし…無くすなよ?」

女海賊「急にいろいろ始まって何が何だか…」

女戦士「混乱している今が撤収チャンスだ…走れ!!」

女海賊「お姉ぇ!!怪我は?」

女戦士「回復魔法をもらわないと直に氏ぬレベルと言えば分かるか?」

女海賊「ヤバ…」

女戦士「今は無駄口叩いていないで走れ…」

女エルフ「前にラットマンと人間…ハァハァ」

女戦士「走り抜けろ」

女海賊「そういえば剣士ってクッソ重いんだよなぁ」

女エルフ「うん…重い」

女戦士「回復魔法をもらえれば私が背負う…出来るか?」

女エルフ「お願い…回復魔法!」ボワー

女戦士「ふぅぅ…助かった…な」ヨッコラ

女海賊「お姉ぇやせ我慢してたな?」

女戦士「なるほど…剣士は重いな」タッタッタ

女海賊「んん?正面!!衛兵がなんか黒いのと戦ってる」

女エルフ「レイス…」

女海賊「なんでレイスが居る訳?…まって出口がなんか暗い!!」

女戦士「女エルフ!!光の矢を準備しておいた方が良い」

女エルフ「わかった…照明魔法!」ピカー

女海賊「外の気球飛ばすのに5分は掛かる…女エルフ!足止め5分お願い」

女エルフ「うん…やってみる」

285: 2020/09/26(土) 11:15:56.29 ID:JyBdSu8i0
『下水出口』

女海賊「ちょ…マジか…陸に上がってたクラーケンが城まで登って行ってる」

女戦士「ライダー8匹とクラーケン…これは地獄だ」

女海賊「これさぁ…女盗賊探す余裕なくね?」

女戦士「無事を祈れ…この状況では無理だ…想定外が過ぎる」

女海賊「そこら中で戦闘になってる…」

女戦士「見ろ!!ドラゴンライダーが城に取り付いたぞ」

女海賊「早すぎる…こっちに気付く前に離脱しないと」

女戦士「こちらも無事では済まんぞ…レイスが来た」

女エルフ「早く気球へ行って…ここは私が食い止める」ギリリ シュン!

女海賊「5分稼いで!!」

女戦士「走るぞ!!」タッタッタ


レイス「ンギャアアアーーーー」


女エルフ(分かってる…ここは狭間の奥)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(そしてこれは100日の闇)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(調和の時が来る…)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(ハイエルフが恐れていた事が…始まってしまった)ギリリ シュン!


レイス「ンギャアアアーーー」シュゥゥ

286: 2020/09/26(土) 11:16:28.66 ID:JyBdSu8i0
『気球』

フワフワ

女戦士「女エルフ!!飛び乗れ!!」

女エルフ「…」ピョン

女海賊「おっけ!!一旦海風に乗る…女エルフ!!風魔法で援護ヨロ」

女エルフ「風魔法!」ヒュゥー

女戦士「よし西方面から回り込んで北に行け…砂漠を中央突破してシャ・バクダへ戻る」

女海賊「りょ…ところで今ずっと狭間に居るっぽいけどどうなっちゃってんの?」

女エルフ「…これは」

女戦士「お前は剣士と法王のやり取りを見たな?話せ」



法王は祈りの指輪を使って神に助けを求めたの

そして何処からか声が聞こえてきた

「汝は調和を望むのか?ならば名を呼べ」

次に法王は名を訪ねた

その声はこう答えた

「我は調和の神…名を魔王」

法王は不思議そうに「…魔王?」と呟いた

その声は「器はどこだ?」と答えたその瞬間

剣士が法王の腕を切り落として指輪を奪った…

声は続けて「汝が器か?我来たれり…」と言い

黒い影が剣士に流れ込んだ

剣士は狂ったように暴れた後に倒れた直後

魔方陣のペンダントが光り始めて

その影は剣士から溢れ出てきた

行き場を失った影は近くに居た法王に入ろうとした

そこで私は光の矢を撃ち法王と一緒に影を倒した

287: 2020/09/26(土) 11:17:02.10 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「多分…魔王の復活は阻止できた…でも調和の闇は来てしまった」

女戦士「ではやはりこの闇は200年前に起きた100日の闇だと言うのだな?」

女エルフ「…」コクリ

女海賊「これってさぁ誰の目から見ても魔王復活に見えると思うんだ」

女戦士「その通りだ…事態は深刻だ」

女海賊「世界全体が狭間に落ちたって事はレイスがヤバイね…みんなやられる」

女エルフ「ハイエルフが恐れていた事…」

女海賊「アダマンタイトで反転出来ないかなぁ?」

女戦士「巨大なアダマンタイトが何処にある?」

女海賊「重力魔法のメテオストライクでさぁ…」

女戦士「それがいわゆるかつての大破壊なのではないか?」

女海賊「むむ!!て事はシャ・バクダ遺跡の魔方陣は…」

女戦士「恐らく魔女様が作った安全地帯…そこに人を避難させる必要がある」

女海賊「超急いだほうが良いね…女エルフって剣士みたいにこの闇でも方向わかったりしない?」

女エルフ「私は千里眼の使い方が分からないの…」

女海賊「んんんん困ったなぁ…砂漠の上じゃ目標物も無いしなぁ」

女エルフ「妖精が居れば…」

女海賊「お!?虫は?…ハチミツ用にって思ってハチの巣が少しある…幼虫なら居るかも」

女戦士「何故ハチミツなんぞ必要と思った?」

女海賊「違うって…木材にくっ付いてたんだよ…ハチの幼虫は妖精になんない?」

女エルフ「お話してみる…成長魔法で今育てる」




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女海賊「…あのね…コレ本当に妖精?」ブーン

女エルフ「妖精の一種…花のある方向が分かるの」

女海賊「砂漠に花ねぇ…オアシスのサボテンとアロエくらいか」

女エルフ「向いている方向に花があるって言ってる」

女戦士「概ね方向は合って居そうだし信じる他あるまい…オアシスにあるヤシの木も花を付けるぞ」

女海賊「このミツバチはどれくらい生きる?」

女エルフ「狭間の中に居れば何年も…どうして?」

女海賊「このミツバチ欲しくなった最強ミツバチに育てたい」

女エルフ「ウフフあなたって変わった人ね…話しておいてあげる」

288: 2020/09/26(土) 11:17:30.14 ID:JyBdSu8i0
『オアシス上空』

ビョーーーウ

女戦士「よし…狭間を抜けた…やはりここは安全だ」

女海賊「こっちの方まで逃げて来てる人がもう居るね」

女戦士「一旦星の観測所まで行って若い衆に指示を出しておきたい」

女海賊「それにしても剣士はずっと寝っぱなしだけど大丈夫かな?」

女エルフ「…」

女海賊「前にもこんな事あったんだ…セントラルの地下カタコンベ行って剣士が狂った」

女エルフ「剣士の魂を感じないの…どこに居るのか分からない」

女海賊「それって結構ヤバイ事?」

女エルフ「もしかすると魔王の影に連れていかれたのかもしれない」

女海賊「だったとしたらあんたが剣士やっちゃったってことになるじゃん」

女エルフ「ごめんなさい…」

女海賊「あの後魔王の影は何処に行ったのさ?あんた見て無かったの?」

女エルフ「散らばって闇に消えて行った」

女海賊「その中に剣士の魂も居たって事?」

女エルフ「私も必氏だったから分からないの」

女戦士「シャ・バクダの民の誘導が終わったらすぐに魔女様の下へ行く…魔女様に聞いてみよう」

女海賊「なんか心配になって来たなぁ…イライラする」

女戦士「剣士が動けん今は魔方陣のペンダントは女エルフが持て…剣士が持っていては動きに制限がでる」

女エルフ「うん…」

女戦士「観測所に着いたら私は剣士を背負って一旦気球から降りる」

女海賊「うちらどうする?」

女戦士「シャ・バクダと周辺の商隊にこちらへ向かうように仕向けてほしい」

女海賊「おっけ」

女戦士「あともし出来るなら物資調達も頼みたい…恐らくこれからひどく物資不足が予想される」

女海賊「わーってるわーってる…うまくやるよ…これで良い?」

女戦士「任せた」

289: 2020/09/26(土) 11:18:20.91 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』

ガヤガヤ ガヤガヤ

女海賊「お姉ぇ…ここに衛兵まで来てんじゃん…降りて良いの?」

女戦士「構わん!降ろせ」

女海賊「気球捕られたくないからさぁ…ギリギリまで行くから飛び降りて」

女戦士「仕方ない…砂の斜面で頼む」

女海賊「おけおけ」

女戦士「…よし!剣士…いくぞ」ヨッコラ

女海賊「3…2…1…飛んで!!」


ピョン!! ズザザー


女海賊「つつつ…」

男「かしらぁ!!…大変っす」タッタッタ

女戦士「分かっている…まずこの男を観測所まで運びたい…手を貸せ」

男「うっす!!…歩きながらで良いんで状況を…」グイ

女戦士「頼む」

男「セントラルから戻って来たんすよね?あっちぁどうなってるんすか?」

女戦士「あちらも魔物に攻められて大混乱だ」

男「やっぱ魔王の復活っすか?」

女戦士「いや…魔王復活は阻止した…だが影響は出ている」

男「本当っっすか!?…もう魔王復活の噂でみんなビビりまくりっすよ」

女戦士「正確には阻止した筈…そんなところだ…それでこちらはどうなっているのだ?」

男「黒い魔物が突然現れて大混乱っすよ…どうやっても倒せない」

女戦士「オアシスに避難してきているのだな?」

男「そうっす…みんな着の身着のまま逃げて来てるっす」

女戦士「衛兵も来ている様だが…領主の隊はどうなっているのだ?」

男「領主は何処に行ったか分からんっす…もう指揮系統が壊滅してて衛兵もやる気ナスって所っすわ」

女戦士「ギルドの方は上手くごまかしているのか?」

男「一応義勇団って事でシャ・バクダ周辺を回ってるんすけどね…黒い魔物がどうにも…」

290: 2020/09/26(土) 11:18:53.23 ID:JyBdSu8i0
女戦士「よし…当面はそのまま義勇団で行こう」

男「あざっす…で…これから何か考えあるんすか?」

女戦士「黒い魔物…あれはレイスと言ってな…倒し方は恐らくゾンビと同じだ」

男「まじっすか…でも銀の武器なんかあんまり無いっすよ?」

女戦士「銀貨を集めて鍛冶屋に作らせろ…矢尻が材料少なくて済むな」

男「弓っすか?」

女戦士「矢尻をスピアヘッドにして槍にも出来る…これを戦えるもの全員に配れ」

男「分かりやした」

女戦士「銀の武器で戦える者が集まり次第レイス討伐隊を組む…観測所前に集合させるんだ」

男「マジっすか…」

女戦士「荷を運ぶラクダも集めて置け…2時間で出来るか?」

男「分かりやした」

女戦士「ここで衛兵に義勇団振りを見せつけるぞ…しっかり働け?」

男「アイサー!!」

291: 2020/09/26(土) 11:19:24.39 ID:JyBdSu8i0
『観測所前』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女戦士「諸君!!私は義勇団長だ!!」

女戦士「これよりシャ・バクダに行きレイス討伐と生き残りの保護及び物資の調達へ向かう!!」

女戦士「レイス討伐は先に配布した銀の槍と銀の弓を用いて戦う…その他の武器は使用しない事!!」

女戦士「各自槍持ちと弓持ちで今からペアを組み基本的に2人1組でレイスと戦え」

女戦士「矢の予備に余裕が無いため必ず持ち帰る事!!」

女戦士「隊列はウェッジフォーメーションとする!!私より前に出ない様に!!」

女戦士「では出発する…」

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男「いやぁぁ皆やる気マンマンっすわ…やっぱかしらはすげーっすね」

女戦士「ハハ褒めるな…それよりラクダの数が少ないのが気になる」

男「みんな着の身着のまま逃げてるんっすよ」

女戦士「まぁ仕方ないか…これは物資運搬は何往復もしなければならんな」

男「要領が分かれば他のオアシスに居る連中も来てくれるかもっす」

女戦士「それに期待するか…しかし私は何時までもここには居れんのだ」

男「またどっか行くんすか?」

女戦士「うーむ…アサシンからまだ連絡は無いのか?」

男「相変わらずっす」

女戦士「私はこの闇の祓い方を聞きにシン・リーンの魔女の所まで行きたいのだ」

男「そういやなんでオアシス周辺だけ闇が来ないんすかね?」

女戦士「恐らく魔女が掛けた退魔の魔法のお陰」

男「そりゃ早くやり方聞きたいっすね」

女戦士「この戦い…2~3日続けて慣れたらお前に指揮が出来るか?」

男「マジっすか…」

女戦士「いやむしろ盗賊ギルドメンバー全員が指揮をとれるようになってもらわんと困るのだが」

男「そりゃどういう意味で?」

女戦士「レイスに襲われているのはここだけでは無いという事だ…」

男「近隣の町全部行く訳っすね?…そりゃ英雄だ」

女戦士「しがない盗賊が英雄になるのだ…悪い話では無い」

男「こりゃ初戦にすべて掛かってるっすね」

女戦士「その通り!!兎に角うまく物資調達をして皆に配れば良い評判もたつ」

男「調達は得意分野っすもんね?」

女戦士「まぁ上手くヤレ」

292: 2020/09/26(土) 11:19:58.73 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ上空』

フワフワ~ 

女海賊「お姉ぇ!!もうみんな避難してこの辺に生きてる人居ないっぽい」

女戦士「…そうか」

女海賊「こっちの方は順調?」

女戦士「運搬に問題がある…気球でまとめて運んでもらいたい」

女海賊「おっけ!!今着陸させるから詰めるだけ積んで」

女戦士「うむ…その間に女エルフに回復魔法を頼めんか?」

女エルフ「私は人間の前で顔を見せて良いの?」

女戦士「その方が良いと判断する…見せておきたいのだ敵では無いという事を」

女エルフ「うん…それならやってみる」

女海賊「あんたさぁ…あのクソ男どもに顔見せたらどうなるか分かってる?」

女エルフ「本当はイヤ…でもそんな事言って居られないと思うの」

女戦士「大丈夫だ…手を出す奴が居たら私が静止させる」

女海賊「お姉ぇ衛兵に見つかったらマジヤバイと思うんだけど」

女戦士「まぁ見ていろ…一番頑張って一番傷を負っているのが衛兵だ…癒してみろ」

女エルフ「うん…」

女海賊「もう知らないかんね…降ろすよ」


フワフワ~ ドッスン

293: 2020/09/26(土) 11:20:33.80 ID:JyBdSu8i0
女戦士「全体!!気球に集合して荷を積め!!」

女戦士「治療師が来ている!!怪我をしている者は速やかに来い!!」

女戦士「女エルフ…来い」

女エルフ「…」テクテク

女戦士「治療が欲しい者は居ないか!?」

衛兵「あぁ腕の出血が応急ではちと厳しい…今縫って貰いたい…痛つつ」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

衛兵「…え?…い、今のは?」

女戦士「他に居ないのか!?」

衛兵「お前…エルフじゃないのか?…いやエルフだ…どうして」

女海賊「ハイ!!痛く無くなったら行った行ったぁぁ…質問はナシ!!」


おい今の光…

あれエルフじゃないのか?

マジか

ちょ行ってくる


女海賊「ハイ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい…回復が終わったらありがとう忘れんなよ~!!」

男「あっしも怪我してるっす~ココ痛いっす~」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

男「マジっすか!?ちょちょちょ…かしらぁどういう事っすか?」

女戦士「こういう事だ…回復が終わった者は周囲の監視を怠るな!!」

女戦士「手が空いている者は気球に荷を運び入れろ!!」


ゾロゾロ ゾロゾロ


女エルフ「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


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女海賊「よっし!私らは荷物持って一回帰るね!!また来るから荷物まとめといて~バハハ~イ」

男達「うおぉぉぉぉぉ」

294: 2020/09/26(土) 11:21:01.95 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「なんか速攻噂広まったポイね…行列できてんじゃん」

女戦士「うむ…良いのか悪いのか」

女海賊「向こうのオアシスからも人来てるよ…女エルフあんなに魔法使って大丈夫なのかな?」

女戦士「少し休ませるか…」

女海賊「私が言って来るよ…今日は閉店だってね」

女戦士「そうか」


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女海賊「女エルフ?そろそろ終わろ」

女エルフ「まだ大丈夫…ふぅ」

女海賊「ほら疲れてんじゃん」

女エルフ「ここに居る人で終わりにする」

女海賊「あんね…キリ無いから…向こうのオアシスからこっちに向かってる人見えてる」

女エルフ「…」

女海賊「ハイ!皆さん今日はオシマイ!!彼女はもう疲れてるからちっと休ませてネっと…はい行くよ」

野郎「んあぁぁ並んで待ってたんだよ…もうちょっと続けろよ」

女海賊「んだとコラ!!あんた何処痛いんだよ!!見せて見ろ!!」

野郎「うるせーガキだな」

女海賊「こんなカスリ傷で並ぶなって~の…あんたも!!あんたもあんたも!!何回も並んでんじゃねぇ!!」

女エルフ「女海賊?良いの…もうすこし頑張る」

女海賊「ダメダメあんなのに魔翌力使ったらもったいない」

女エルフ「でもホラ…怪我のひどい人も並んでるから」

女海賊「よし分かった…回復が必要かどうか私が判断する…女エルフは私の後ろに居て」

女海賊「ルールを説明する!!軽い怪我は私のハグ…何回も並んでる人は私のパンチ…回復必要な人はエルフ…これで行く」

野郎「マジかよ…」

女海賊「何か文句あっか?」

野郎「ありありだモルァ…俺はお前のハグなんて要らねぇ」

女海賊「ブチッ!…分かったハンマーでパンチして大怪我してエルフ…良いな?」ブン ボカッ

野郎「ちょ…いでぇ!!」

女海賊「さっきあんた私の事ガキって言ったよね?」ブンブン ボカッ バキッ

野郎「ぐぇ!!マジでやんなよ…うがぁ!!」

女海賊「あーダメダメ…ハンマーじゃ大怪我になんない…この鉄槌で行く」ブン グチャ

野郎「ごふっ…やべて」

女海賊「はい!!エルフ行きぃ!!こんな感じネ皆さんヨロピコ」


ザワザワ ザワザワ

295: 2020/09/26(土) 11:21:27.98 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


剣士「…」

女海賊「…」グイット

女戦士「女海賊!無理やり目を開けるな…」

女海賊「だってさぁ…女エルフはずっと手ぇ握ってんじゃん…私も何かやらないと悔しいんだけど」

女戦士「瞑想中だ…大人しくしていろ」

女海賊「先に剣士見つけたのは私なんだけど…剣士とずっと一緒に居るのは私なんだけど…夢の中でも」

女戦士「嫉妬か?見苦しいぞ」

女海賊「本当なんだよぅ…剣士を一番知ってるのは私なんだよぅ」ブツブツ

女戦士「夢幻か…私も今日隊を指揮していて既視感があってな…いつもあんな事をしていた様に思う」

女海賊「夢の中でも剣士を誰かに取られちゃうんだよムカツク夢」

女戦士「お前は剣士の事がそんなに好きなのか?」

女海賊「お姉ぇだから言うけどさ…子供の頃からずっと剣士に背中を暖められてるんだ」

女戦士「ハハお前からそんな言葉が出るとはな」

女海賊「こいつの赤ちゃん生みたいんだ…でも秘密にしておいて」

女戦士「私から言っておいてやろう…そういうのは早く伝えておいた方が良い」

女海賊「ちょダメダメダメ剣士の方が年下なんだから私が気まずくなる」

女戦士「まぁお前の悔しい気持ちは分かった…今日は添い寝で背中を暖めてやれ」

女海賊「そうする…お姉ぇはあっち行ってて…見ないで欲しい」

女戦士「添い寝などどうという事でもあるまい?」

女海賊「うち等の暖め方は背中の肌と肌くっつけるの…恥ずかしいからあっち行ってて」

女戦士「…」


---そういう心の合わせ方もあるのか---

---やっている事はエルフと同じだな---

296: 2020/09/26(土) 11:21:55.94 ID:JyBdSu8i0
『夢』



私「商船の航路に入ってるからこのままいけば絶対すれ違うハズ…もう安心して」

あなた「もう漂流何日目だろう…」

私「数えてなかったね…でもどうでも良いじゃん?生きてるんだし」

あなた「ごめんね頼りにならなくて」

私「良いんだ…あんたが居てくれるだけで私は暖かいんだ」

あなた「僕も暖かいよ」

私「あんた無口だけど大分話してくれる様になったし」

あなた「…まだ思い出せないんだよ」

私「導きの声ってのは?」

あなた「聞こえるよ…今は目を覚ましてって」

私「それ絶対精霊の声だよ!勇者よ…目を覚ましてってね」

あなた「何か…違う気がする…どうやって目を覚ませば良いのかも分からない」

私「あんたいっぱい魔法使えるし剣も使えるし…絶対本物の勇者だから自信持って」

あなた「う、うん」

私「あんたと一緒に旅して…もう1年以上…魔王島から逃げてやっぱりまだ生きてて…」

あなた「不安になってる?」

私「生きてて良かったなーってさ…何日も漂流してても楽しいんだ…あんたと一緒ならさ」

あなた「ありがとう」

私「ぅぅぅさぶくなってきた…暖めてよいつもみたいに」

あなた「僕の方が恥ずかしいんだ…そっち向けない」

私「しょうがないじゃん…着る物は縦帆になっちゃってるんだからさ」

あなた「君は恥ずかしくないの?」

私「もう全部見られちゃってるんだから諦めてる…寒いから背中くっつけて」

あなた「うん…君の背中暖かいね」

私「感じる?」

あなた「…」

私「どうしたの?急に黙って」

あなた「…この感じ…やっぱり本物だ」

私「はぁ?何言ってんの?私はいっつも本物だぞ?おい!!」コチョコチョ

あなた「ちょっとくすぐったいよ…いま感じてる所だから」

私「じゃぁこっちは?」クル ムニュ

あなた「そっちはちょっと…」

私「あんたさぁ…もっと私の温度を感じろよ」

あなた「感じる…君…そこに居るね?」

私「あのね…目の前に要るじゃん何言ってんのさ…ヤルのヤラないの?」


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297: 2020/09/26(土) 11:22:25.68 ID:JyBdSu8i0
『朝』


ガチャリ バタン


女戦士「起きろ!!」

女海賊「ムニャー」ムニャムニャ

剣士「…」

女戦士「…」キック! ドガッ

女海賊「あだ…つうぅぅ…何すんだよ…ててて」ゴシゴシ

女戦士「お前は何故全裸なのだ!!…女エルフ!!何故この変態を放って置く…剣士を寝取られて良いのか?」

女エルフ「あの…気持ちよさそうに寝ていたので」

女戦士「着替えろ!!10分でヤレ」

女海賊「お姉ぇ…私が寝取るってそんな事してない」

女戦士「その格好で言えた口か!!ドワーフ一族の恥だタワケ!!」キック ドガァ

女海賊「あだっ」

女エルフ「剣士に少し反応があったので見ていたの」

女戦士「まだ起きないか…」

女エルフ「私には剣士を探せなかった…何処にいるのか分からない」

女戦士「まぁ良い…急いで魔女の所へ出立する…女エルフは剣士を気球まで運んでくれ」

女エルフ「はい…」

女海賊「お姉ぇ!!弁解させてくれよぅ」

女戦士「黙れ!!この大変な時にお前の恋沙汰なぞどうでも良い!!兎に角今すぐ着替えろ」

女海賊「違うんだって…」

女戦士「うるさい!!お前はその格好を見られて恥ずかしくないのか!?」

女海賊「…恥ずかしく…え?どうして私の夢を知っているの?」

女戦士「お前の夢なぞ知らぬわ!!どうやら痛い目を見ないと言う事が効けん様だな…」スラリ

女海賊「ちょちょちょ…ま…着替えるから!今やるから!!」

女戦士「10分で全部終わらせろ」ブン バチーン

女海賊「いだぁぁぁい!!やめて叩かないで!!」

女戦士「フン!!」ツカツカ

女海賊「…」ブツブツ アーデモナイ コーデモナイ

女戦士「…それからお前!!もう寝ながら自慰をするのはヤメロ…手を洗ってこい」

女海賊「え!?」


ガチャリ バタン

298: 2020/09/26(土) 11:23:00.89 ID:JyBdSu8i0
『気球』


フワフワ


男「かしらぁ…もう行くんすか?」

女戦士「事態は急を要する…義勇団は引き続き続けて近隣の民を守れ」

男「領主不在なのに勝手にやってて良いんすかねぇ?」

女戦士「構わぬ…民の意がある方に義がある…故に我々は義勇を貫け」

男「わかりやした…それでいつ頃お帰りに?」

女戦士「出来るだけ早く戻るつもりだが…戻らぬ場合も考慮してお前が指揮を取れ」

男「…ですがかしらにも立場が…」

女戦士「私を出し抜いても構わん…とにかくうまくやるのだ」

男「へい…」

女戦士「私がお前の部下でも良いのだよ…アサシンに会ったら良く言っておく」

男「ありがとうございやす…こっちの事は任せてくだせぇ」

女戦士「それが聞きたかった…これで安心して行くことが出来る」

男「氏なねぇでくれやんす…あっしはかしらの事が好きなんでやんす」

女戦士「ハハ落ち着いたら酒でも飲もう…酔いつぶれてやる」

男「マジっすか!!」

女戦士「お前も氏ぬなよ?…では私はこれで行く」



フワフワ フワフワ



女戦士「ミツバチは魔女の塔の方向を分かっているな?」

女エルフ「大丈夫…花が沢山あるって」

女戦士「よし高度を上げて急げ」

女海賊「…」ションボリ

299: 2020/09/26(土) 11:23:28.06 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「女海賊?平気?」

女戦士「放って置け…そんなアバズレに構うな」

女海賊「アバズレって何さ!!…しょうがないじゃん無意識なんだからさ」

女戦士「目の前に女エルフが居たのだぞ?」

女エルフ「え?何?何の話?」

女海賊「なななな…何でもない…私の剣士を取らないでって話」

女エルフ「取るってそんな…そんなつもり無いの」

女海賊「ごめんね女エルフ…あんたが剣士と仲良くすると腹立つ」

女エルフ「私と剣士はそういうのでは無いの…なんていうか兄妹みたいな…同族と言うのか」

女戦士「エルフの繋がりに嫉妬しているのだ世話を掛けてすまんな?女エルフ」

女エルフ「でもね?私はわかる…剣士と女海賊の繋がりが私よりもずっと強い事を」

女戦士「何故そう思う?」

女エルフ「夢の中…夢幻で私は剣士に一度も会って居ない…だから探せない」

女海賊「分かれば良いんだよ…分かれば」

女戦士「黙れアバズレ」

女エルフ「昨夜剣士と女海賊が横になって居た時剣士がすこし動いた」

女海賊「ほらほらほらほら」

女エルフ「剣士にゆかりのある人なら目覚めさせる事が出来るのかもしれない」

女海賊「え!?…」---目を覚まして…この声を聞いて居たって事なのか?---

女エルフ「…どうしたの?急に呆けて?」

女海賊「剣士は夢の中で心の中で声がするってずっと言ってた…」

女戦士「お前はしっかり覚えているのか?夢を…」

女海賊「…なんとなくね…それで剣士はその声を精霊の声だと思ってる」

女エルフ「私の声のなのかな?」

女海賊「だとすると声は届いてる」

女エルフ「返事をしてくれないの…だからどこに居るのか分からない」

女海賊「ちょっと悔しいけど…声が届くならもっと話しかけた方が良い…と思う」

女エルフ「うん…」


---私と剣士が愛し合ってた時も---

---剣士は精霊の声を聞いて居た---

---だからあの時---

---私の前から居なくなった---

---何だろうこの感情---

---夢の出来事なのに---

---これが嫉妬---

300: 2020/09/26(土) 11:23:57.41 ID:JyBdSu8i0
『追憶の森上空』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「私の働きバチよ!!もっと働けぇぇぇ」ビシバシ

ミツバチ「…」ブンブン;;

女戦士「ミツバチに八つ当たりをするな…案内人が居なくなっては困る」

女海賊「腹立つんだよ!!女エルフと剣士の関係がさぁ…もうムキーーーーー」ビシバシ

女戦士「お前は本当に見苦しい女だな…」

女海賊「お姉ぇには分かんないよ…ずっと私ガマンしてるんだ…夢の中でも他の女に取られた」

女戦士「剣士の気持ちはどこにあるのだ?」

女海賊「何処って…あんにゃろう!まだ気付いてない!!」

女戦士「それを確認するのが先だろう?」

女海賊「起きたら取っちめてやる!!」プンスカ

女戦士「そろそろ高度落とせ」

女海賊「わーってるよ…女エルフ起して!!やっぱ見てて腹立つ」


フワフワ ドッスン


女海賊「前と同じ場所に隠すよ…女エルフも手伝って!!」

女戦士「長居する気は無い…このまま行くぞ…女エルフ肩を貸せ」

女エルフ「え?あ…はい」グイ

女海賊「気球盗まれたらどうすんのさ?」

女戦士「魔方陣のペンダントは女エルフが持っている…魔方陣無しの気球を誰が盗むというか?」

女海賊「お?…そりゃそうだ」

女戦士「迷わん様にミツバチに案内させてくれ」

ミツバチ「…」ブーン ブンブン

女海賊「私のミツバチに勝手に指示しないでくれる?」

ミツバチ「…」ブンブン プイ

女戦士「お前はミツバチにも振られるのだなハハ」

女海賊「おい待てゴルァ!!」

301: 2020/09/26(土) 11:24:24.46 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


シーン


女戦士「…様子がおかしいな」

女エルフ「魔女様…気配が無い」

女戦士「遅かったか…」

女海賊「魔女の婆ちゃん氏んだって事?」

女戦士「分からんが…とにかく行ってみよう」テクテク

女エルフ「誰も居ないみたい…あ!妖精」

女海賊「ん?どこどこ?」


パタパタ パタパタ


妖精「遅っそいよ~何してたんだよ~」

女海賊「よっ!!お久ぁぁ」

妖精「魔女様が氏んじゃったよ」

女戦士「いつ亡くなったのだ?」

妖精「もう1ヶ月くらい…」

女海賊「あ…そっかここは時間の流れが違うんだ…あれからどれくらい?…」

妖精「2年くらいになる…すぐ戻るって言ってたのにさ」

女戦士「魔女様は今どこに?」

妖精「塔の中で椅子に座ったまま氏んだよ…魂は僕が黄泉に案内した」

女戦士「…そうか」

女エルフ「行きましょう…」

妖精「剣士はどこに行ったの?魂が居ない」

女海賊「やっぱ分かる?妖精さんにも探せない?」

女戦士「ひとまず塔に行こう」テクテク

302: 2020/09/26(土) 11:24:50.09 ID:JyBdSu8i0
『塔』

女エルフ「魔女様…椅子に掛けたまま亡くなったのね」ポロリ

女戦士「机に書置きが残っているな…弟子の魔女宛てだ」

女海賊「何て書いてある?」

女戦士「他人宛てへの書簡を先に読むのは道理に外れる…私には読めん」

女海賊「このままにしておくの?」

女戦士「弟子の魔女を探して連れて来るのが道理…しかし魔女様の骸をこのままにしておくのもな」

女海賊「ねぇ妖精?魔女の婆ちゃんは氏ぬ前に何か言ってなかった?」

妖精「剣士達の帰りをずっと待っていたよ…千里眼でずっと見ていた」

女海賊「…だから何か言ってなかったか聞いてんだよ!私の話聞いてる?」

妖精「僕には何も話さなかったよ…でも無言でアクセサリーを沢山作ってた」

女海賊「どこにある?」

妖精「上の部屋だよ」

女海賊「ちょっと見て来るね」タッタッタ

女エルフ「魔女様を埋葬してあげないと…」

妖精「魔女様が入る予定のお墓は生前に作ってたみたい…裏手にあるよ」

女戦士「よし…先に埋葬してからシン・リーンの姫を探しに行こう」

女エルフ「そうね…」

女戦士「無くなって1か月も経ったのにまるで生きている様だ…やはりここでは肉体は腐らんのだな」

女エルフ「剣士はここで待っていてね?」ヨッコラ

妖精「裏まで案内するよ…こっち」パタパタ

女戦士「墓に入れる遺品は何か無いのか?」

妖精「魔女様は一つだけ大事に持っていた石があるよ」

女戦士「どこにある?」

妖精「大丈夫…魔女様の胸に身に着けているよ」

女戦士「…これか…よし一緒に埋める」

303: 2020/09/26(土) 11:25:21.32 ID:JyBdSu8i0
『墓』

女戦士「…」人

女海賊「…」人

女エルフ「…」人

妖精「…」人

ミツバチ「…」人


女戦士「この狭間に墓が在る限り墓の下で魔女様の骸はずっとこの姿で居るのだろうな」

女海賊「荒らされないと良いね」

女戦士「妖精が案内しなければ誰も来ることはあるまい」

妖精「僕これからどうしようかな?」

女戦士「…そうだな一緒に来い!私たちの目になって欲しい…これからシン・リーンの姫を探す」

女エルフ「剣士は?」

女戦士「女エルフは剣士と一緒にここに残れ…誰も来んとは思うがもし誰か来たら追い払え」

女海賊「ちょ…剣士は私が」

女戦士「ダメだ!お前以外に誰が気球を操作するのだ?そしてここを守るのはお前じゃ役不足だ」

女海賊「ぐぬぬ…おい!女エルフ!!剣士に何かあったら許さないかんね!!」

女エルフ「うん心配しないで?」

女海賊「あんたが一番心配なんだよ…」ブツブツ

女戦士「女海賊!!さっき魔女様の作ったペンダントを持ってきたな?」

女海賊「持ってきた…いっぱいあるよ」

女戦士「女エルフ…この魔方陣に剣士が使った退魔魔法…出来るか?」

女エルフ「印の結び方がちょっと…」

女海賊「魔女の婆ちゃんの部屋に魔術書があったよ…それ見ながらやったら?」

女エルフ「…やってみる」

女戦士「退魔のペンダントがあれば私たちはレイスを気にすることなく行動できる」

女海賊「姫を探すって事は光の国シン・リーンの城?」

女戦士「…そうだな…まずは行って今の状況を把握せねば…」

女海賊「シャ・バクダ遺跡みたいに大きな魔方陣を作って居れば良いけどね」

女戦士「退魔のペンダントが出来たら出発するから下に降りて来い」

女海賊「おっけ!!女エルフ!魔女の婆ちゃんの部屋に行くよ」グイ タッタ

304: 2020/09/26(土) 11:25:47.71 ID:JyBdSu8i0
『花畑』

ミツバチ「…」ブーン ブンブン

女戦士「お前はこの花畑で休んでいろ…誰か来たら直ぐに女エルフに知らせるんだ」

ミツバチ「…」ブンブン

女海賊「お姉ぇ!!お待たせ…はい退魔のペンダント」ポイ

女戦士「花を踏むな!!この花は魔女様の物だ」

女海賊「あ…ごめ」

ミツバチ「…」ブーン プン

女戦士「お前もちゃんとペンダント持っているな?」

女海賊「バッチリ」

女戦士「塔の戸締りはしてきたか?」

女海賊「アダマンタイトの扉はロックしてきた」

女戦士「忘れ物は無いか?」

女海賊「もう!!うっさいなぁぁ…子供じゃないんだからさ」

女戦士「では行くぞ?」

女海賊「あ!!!ヤバ…妖精置いて来ちゃった…先行っててすぐ行くから」ダッシュ

女戦士「…」orz

女海賊「ゴルァ妖精!!何やってんのさ!!羽ムシルぞ…早くこい!!」

305: 2020/09/26(土) 11:26:17.76 ID:JyBdSu8i0
『光の国シン・リーン』


ビョーーーーウ バサバサ


女戦士「うーむ…こちらはセントラルと違って落ち着いた物だ」

女海賊「どうする?降りちゃう?」

女戦士「いや…そういえば思い出したのだが前に魔女様の所を訪ねた時の事を覚えているか?」

女海賊「どしたの?」

女戦士「魔女の塔に行く前に馬車を隠れてやり過ごしただろう」

女海賊「三角帽子の姫が馬車に連れられて行ったね…覚えてるよ」

女戦士「たしかその時魔術院に隠れると言っていた気がするのだ」

女海賊「んん~どうだったかなぁ…その場所知ってるの?」

女戦士「ここより南のハジ・マリ聖堂…そこが魔術院になって居る」

女海賊「ほんじゃそこから行った方が良さそうだね」

女戦士「うむ…この状況を見る限りシン・リーンはさして混乱しては居ない」

女海賊「そだね…きっと魔法使いがいっぱい居るんだね」

女戦士「上手い事魔方陣を使っているのだろう…もし魔術院に姫が居ないのならこちらに来よう」

女海賊「おっけ!進路変える…南方面だね?おい!妖精!!方向教えて」

妖精「妖精使いが荒いなぁ…」ブツブツ

女海賊「羽ムシられたい?高度上げるから方向教えて!!」

妖精「ハイ右…もうちょい右…そこらへん」

女海賊「あんたぁぁぁ!!そんな態度でどうなるか分かってんの!?」

妖精「ふぁ~あ…女エルフのやわらかいベットが恋しいよ」

女海賊「ムッカ!!あんたまで女エルフが良いのか!!ちょっと来い」グイ

妖精「痛てて…何するのさ」

女海賊「私のベットの方が大きいんだ試してみろ!!」ムギュ

妖精「ちょちょちょ…無理やり押し込まないで」

女海賊「どうだ!!女エルフのより良いだろ!!」

妖精「…なんか…うううぅぅ暑苦しい」

女海賊「そこで大人しくネンネしてな!!フンッ」

306: 2020/09/26(土) 11:26:54.18 ID:JyBdSu8i0
『ハジ・マリ聖堂』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「お姉ぇ!!見て…戦闘が起きてる」

女戦士「戦っているのは魔術師達だな…なぜ魔方陣を張らんのだ?」

女海賊「でっかいクモがいっぱい転がってる…ちょいマチ…ちっちゃいのがもっと一杯いる!!」

女戦士「アラクネーか…退魔の魔方陣が効かんのか」

女海賊「アレを全部倒すのって無理じゃね?」

女戦士「焼き払う必要があるな…」


ゴゥ ボボボボボ


女戦士「あの魔術師達の近くに降ろせ…助太刀する」


ゴゥ ボボボボボ


魔術師「姫!!上で気球が旋回しています…味方と思われます」

姫「コレ気を抜くでない…このまま後退しながら広場まで誘導じゃ…火炎魔法!!」ゴゥ ボボボボボ

魔術師「気球が降りて来る様です…火炎魔法!!」ゴウ メラ

姫「あの者らを広場から離れる様に誘導せい」

魔術師「はい!!照明魔法!!」ピカー

307: 2020/09/26(土) 11:27:23.02 ID:JyBdSu8i0
女海賊「光った!!誘導してる…あそこに降ろすよ」

女戦士「私は先に飛び降りる…気球を降ろしたらこちらまで走れ」

女海賊「りょ!!」

女戦士「アラクネーに囲まれるなよ!!」ピョン シュタッ


姫「広場で上位魔法を詠唱する…わらわに敵を近づけさせるで無いぞ?」

魔術師「はい…火炎魔法!!」ゴゥ メラ

女戦士「助太刀!!」シュタ

姫「わらわを守れ…詠唱の時間を稼ぐのじゃ」

女戦士「大型アラクネー2体…どうする?」

魔術師「あれは倒すとクモの子が散る…こちらに来るのを止められるか?」

女戦士「足を切り落とす…」ダダッ ザク ザク


アラクネー「シャーーーー」カサカサ


女海賊「お姉ぇ!!」タッタッタ

女戦士「私は構うな…もう一匹のアラクネーの気を引け」

女海賊「おっけー」タッタッタ ピョン クルクル シュタ ドテ

魔術師「伏せろぉ!!」

女戦士「む?」

女海賊「お?」

姫「竜巻魔法!!爆炎魔法!!」ゴゥ ドーーーーーン ボボボボボ

女戦士「…ボルケーノか」

女海賊「熱ち…あちち」

女戦士「女海賊!魔術師の所まで下がれ…巻き込まれるな!!」

女海賊「やばば…」タッタッタ


チュドーーーン


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308: 2020/09/26(土) 11:27:49.62 ID:JyBdSu8i0
『広場』


姫「他の魔術隊に大型は処理したと伝令してくるのじゃ」

魔術師「はい…姫はどうされますか?」

姫「わらわは子虫を焼いておくかのぅ…して…主らは誰じゃ?母上の差し金か?」

女戦士「姫はシン・リーンの姫君か?」

姫「そうじゃ…わらわは光の国シン・リーン第一王女…魔女じゃ」

女戦士「失礼…あなたに伝えなければならない事がある」

魔女「わらわは忙しいのじゃ…手短に済ませい」

女戦士「あなたの師匠…塔に住まう魔女が亡くなりました…同行して頂きたい」

魔女「なんと…それはまことか」

女戦士「このペンダントをご覧ください」

魔女「…信じられぬ…時の番人が今…氏んだと」

女戦士「あなた宛ての書簡があるのです」

魔女「…」ボーゼン

女戦士「…」

魔術師「姫?この者達を信用して良いのですか?」

魔女「…」

魔術師「姫?」

魔女「魔術師…はよう伝令に行くのじゃ…わらわは一旦この者達と魔術院へ戻る」

魔術師「分かりました…姫の事をお願いします」

女戦士「承知」

女海賊「魔女ちゃん大丈夫?」

妖精「ぷはぁぁぁ…」ヒョコ

魔女「妖精まで居るのじゃな…付いて参れ」トボトボ

309: 2020/09/26(土) 11:28:19.24 ID:JyBdSu8i0
『魔術院』


もう元老の言うことなぞ聞いて居れん

わらわに安全なぞ要らんのじゃ

今ははわらわが最高位じゃぞ

従わぬのなら命令を下す

魔術院に引き籠っておる者を全員町の警備に回すのじゃ

一人残らず全員じゃ

これは命令じゃ…良いな?


ガチャリ バタン


魔女「待たせたのぅ…して…わらわは早よぅ師匠の下へ行きたい…今すぐ行けるかの?」

女海賊「みんな引き留めてたみたいだけど大丈夫?」

魔女「魔術師が力を合わせればアラクネーなぞどうでもないのじゃ」

女戦士「アラクネーは元々大人しい虫…やはりレイスが現れて粗ぶって居るのか?」

魔女「そうかもしれんが…ミツバチが隠れてしまったからじゃろうと思うておる」

女戦士「…という事はシン・リーンもいずれ…」

魔女「あちらは魔術師が此処よりも更に多いのじゃ…しかし」

女戦士「ん?」

魔女「いや何でもない…早う行くぞよ?…気球に乗れば良いのか?」

女海賊「え…あぁ行こっか」

魔女「そういえば主らの名を聞いておらなんだのぅ」

女海賊「私は女海賊…こっちは女戦士…ほんでこいつが妖精」

魔女「師匠の弟子の一人かの?」

女海賊「まぁ…そうなるかな?私も魔術書持ってるし」

魔女「主の魔翌力はわらわの千分の一も無いようじゃが…錬金術か何かかの?」

女海賊「…そんな事わかるんだ…千分の一…トホホ」

女戦士「ところで魔女…あなたはどうしてその様な格好を」

魔女「魔翌力の解放は10歳程度の体が最大なのじゃ」

女海賊「どゆ事?年齢ごまかしてるの?」

女戦士「記憶が正しければ28歳くらいの筈」

魔女「良く知っておるのぅ…主は何者じゃ?」

女戦士「フフ…ドワーフ王の娘と言えば分かるか?」

魔女「おぉぉ父君は達者であろうか?主らがこの地に居るという事は…勇者がどこぞに居るのじゃな?」

女海賊「お!?話早いかも」

魔女「この闇の空…言うまでもあるまいな」

女海賊「まぁそんな感じで色々ややこしいんだ」

魔女「…ではわらわも姿を見せておくかのぅ…変性魔法!」グングン

女海賊「おおおおおぉ背が伸びた…服がピチパチ」

魔女「この姿になるのは何年振りじゃろうか…他の魔術師達を欺くには丁度良かったかもしれんがのぅ」

女戦士「これで見つからないと思っていないだろうね?」

魔女「着替えて行くので待っておれ…普通の魔術師の法衣じゃ…安心せい」

310: 2020/09/26(土) 11:29:00.93 ID:JyBdSu8i0
『気球』

フワフワ

女海賊「衛兵達が魔女の事さがしてるっぽいね」

魔女「構わぬ…行って良いぞ?」

女戦士「第三王女がどうとか言っていたが…もしや」

魔女「全部わらわじゃ…これは王家のみ知っている事なのじゃ」

女戦士「ハハハ影武者を使っているとはな」

魔女「母上の策じゃ…わらわはどうでも良い」

女戦士「第三王女が居なくなったとなっては母上も心配するのでは無いか?」

魔女「母上も師匠から教えを受けた魔女じゃ…この闇をみて理解して下さるじゃろう」

女戦士「母上も狭間で修行をしたと?」

魔女「もうわらわの方がずっと長い…母上の年齢はとうに超えてしもうた」

女海賊「魔女って何歳?28歳じゃ無いの?」

魔女「精神的には80を超えておる…体が28歳なだけじゃ」

女海賊「ややこしや~~ややこしや」

魔女「魔術師の中では珍しい事ではないのじゃぞ?…さて…主らには聞きたい事があるのじゃが」

女戦士「何かな?」

魔女「そうじゃな…師匠との関係…勇者の事…主らがどこまで知っているのか全てじゃ」

女海賊「どこから話せば良いかなぁ…」

妖精「僕から話そうか…まず剣士と魔女の関わりから」ヒョコ


カクカク シカジカ

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311: 2020/09/26(土) 11:29:32.58 ID:JyBdSu8i0
魔女「…ふむ…大体経緯は理解した…主らがどうしたいのかも」

女海賊「剣士の魂を呼び戻す事は出来る?」

魔女「出来ん事はないが難しいと言わざるを得ん…出来るならとうに精霊は夢幻から戻る筈なのじゃ」

女戦士「精霊の魂を夢幻から解放するのと同じくらい難しいと?」

魔女「そうじゃな…夢幻では自分で夢から覚める事は出来んのじゃ」

女海賊「…だから魔女にお願いしてるんじゃん」

魔女「主らは魂の器を用意してはおらんのかえ?」

女戦士「器?」

魔女「器があれば簡単じゃと師匠から聞いた事があるのでな?」

女戦士「器とは初耳だ」

魔女「精霊の魂もその器が無いと呼び戻せんのじゃ」

女戦士「精霊の像とか精霊樹とかそういう類の物なのか?」

魔女「うむ…しかしあれらはもう器として使えぬ…何度も試しておるのじゃ」

女海賊「剣士の体は?もともと剣士の魂が入ってた器じゃないの?」

魔女「剣士にいのりの指輪を持たせて何か祈ることが出来ると思うかの?」

女海賊「…ムリ」

魔女「そういう事じゃ…精霊の像も精霊樹も自ら祈ることが出来ん…じゃから新たな器が必要なのじゃ」

女戦士「新たな器と言うのは何処に?」

魔女「わらわは知らぬ…師匠なら知っておったかも知れぬが…」

女戦士「…まてよ…アサシンは器がどうとか言って居たな」

女海賊「え?アサシンが何か知ってる?」

女戦士「ミスリルと器を求めに南の大陸に行った…たしかそうだ」

魔女「ほぅ…進展しそうじゃのぅ」



ビョーーーーウ バサバサ

312: 2020/09/26(土) 11:30:15.37 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


ブンブン ブンブン


女戦士「ミツバチ達が戻ってきているな…ん?アレは!!矢だ」

女海賊「どこどこ?本当だ!!」

女戦士「ここで何かあった様だ…急ぐぞ!!」タッタッタ


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女戦士「おい!女エルフ!!居るのか?」

女エルフ「はい…お帰りなさい」

女戦士「矢が落ちていた!!誰か来たのか?」

女エルフ「人間が4人来たけど追い返した」

女戦士「こんな場所に来る人間が居るのか…」

魔女「シン・リーンの者では無いのか?」

女エルフ「分からないけれど…魔女様の名を呼んでいた」

女戦士「では魔女の言う線が濃厚か…女エルフ!どうやって追い返したのだ?」

女エルフ「怖かったから弓を撃って…引き返せって言った」

魔女「これエルフ?主は姿を見せたのかの?」

女エルフ「は、はい…」

魔女「少しまずいかも知れんのう…シン・リーンとエルフは不可侵で約束しておってな…」

魔女「ここにエルフが来て追い返されたとなると魔術師達が来るやもしれぬ」

女エルフ「ごめんなさい…そんな事になるなんて」

魔女「まぁ来ても心配せんでも良い…わらわが居るでな?」

女戦士「そうだな…無事なら今はそれで良い」

魔女「それで…師匠は何処じゃ?」

女戦士「裏の墓に埋葬をした…石棺の中だが顔を見ていくか?」

魔女「うむ…何十年も過ごした母の様な縁なのじゃ…最後に挨拶をせねばならぬ…」

女戦士「こちらへ…」

魔女「来んで良い…みともない所を見せとう無いのじゃ…2人にしておくれ」

女戦士「塔の中で待ってる」


シクシク シクシク

うわぁぁぁぁぁん

うえっ うえっ

シクシク シクシク


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313: 2020/09/26(土) 11:30:44.74 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


女海賊「あ…魔女…平気?」

魔女「済まなんだのぅ…師匠の顔を見たら辛くなってしもうた…」グスン

女戦士「…これが魔女宛ての書簡だ」

魔女「どれどれ…」

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魔女「この塔はわらわが継ぐ事になった…わらわはこれから時の番人として生きねばならぬ」

女エルフ「時の番人…」

魔女「そして時の番人としての最後の修行としてお主らと共に行かねばならぬ」

女戦士「共に行くとは?」

魔女「精霊の魂を…いや精霊の生きた世界の記憶を知り未来へ繋ぐのじゃ…それが時の番人の役目」

女戦士「神々の戦いの事か?」



どこから話せば良いかのぅ…

精霊は狭間の世界ではなく現実の世界を8000年生きたのじゃ

8000年生きた記憶の重みをうぬらは想像できるか?

その中で何人の人と出会い…別れ…愛し合い…憎しみ合い

それら8000年の記憶をすべてオーブにして保管していたのじゃ

愛した人との掛け替えのない記憶…その記憶に囲まれ精霊は生きておった

しかし…神々の戦い

精霊は幾度となく魔王と戦い…その都度代償を払いながら生き抜いて来たのじゃが

大事な記憶の4000年分を先の厄災の時に失ってしまったのじゃ

正確には人類を守るために4000年分の記憶を代償にしてわらわ達は今ここに生きておる

その記憶を失った理由がシャ・バクダ大破壊…かの地へ落とした隕石群…師匠が犯した罪じゃ

師匠はこの罪と悲しみを背負いながら時の番人として生き続け…未来へとこれらの記憶を残そうとしておるのじゃ

なぜか?

精霊はまだ来ぬ未来である人に会う為じゃ…師匠はこの約束を果たそうとしておる

200年前…師匠は精霊その本人と出会い勇者や他の仲間たちと一緒に魔王と戦い…うち倒したのじゃが

その時事情が合って精霊は動かなくなってしもうた

闇を祓う力のある精霊が動かなくなってしまっては人類が滅んでしまうと考えた師匠は

広大な森であったシャ・バクダへ隕石を落とし魔方陣を形成したのじゃが…全ての森とオーブを同時に破壊してしもうた

これが精霊の記憶と人類の命を天秤にかけた結果じゃ

しかしその後…精霊が目覚める事はついぞ無かった

314: 2020/09/26(土) 11:31:15.82 ID:JyBdSu8i0
魔女「ここまで聞いて…謎が残るじゃろう?」

女戦士「精霊がどうして動かなくなったか…どこに行ったのか…夢幻に封じられたと聞くが…」

魔女「それを探求するのが時の番人としての最後の修行じゃ」

女戦士「手がかりが何処にあるのか…」

魔女「一つ分かっている事があってな…シン・リーンにある精霊の像…あれは精霊本人であった物じゃ」

女戦士「どうして石に?」

魔女「先の厄災の後に師匠が持ち帰ったのじゃ…始めは水々しい肉体をしておったらしいが3か月で石になったそうな」

女戦士「ホムンルクス!!」

魔女「そうじゃ精霊本人はホムンルクスだったのじゃよ…それが器と言われておる」

女エルフ「器…昨日ここに来た4人の人間が」

女戦士「ん?何か合ったのか?」

女エルフ「魔女様に伝えて欲しいって言ったのが…器は古都キ・カイに在るって…」

魔女「ほぅ…良い手がかりを得たのぅ…」

女海賊「魔女さぁ…もっといろいろ知ってるでしょ?」

魔女「そうじゃのう…時が来たら話せというのが師匠の遺言じゃ」

女海賊「本当は精霊が何なのかも知ってるんじゃないの?」

魔女「そういじめないでおくれよ…聞くと悲しゅうなるぞ?」

女海賊「良いじゃん教えてよ」

魔女「それを知るのが魔道なのじゃ…主はまだ修行が足りんのぅ…さて」ヨッコラ

女海賊「逃げないでよ…」

魔女「剣士を起こしてみるとするかの…」ノソノソ

女海賊「え!?マジ?」

315: 2020/09/26(土) 11:31:58.85 ID:JyBdSu8i0
『魔女の部屋』


今から夢幻の門を開く…これは禁呪じゃ

眠る事で見る事の出来る夢には自我が無い…故に見ているだけになる

魔術で夢幻の門を開き入れば少しだけ自我を保てるのじゃ…しかし

自力で目覚める事が出来ぬ

よって補助者が必要なのじゃ

わらわは己が肉体に暗示をかけて夢幻の門へ入る

わらわが杖を鳴らした時に名を呼んで起こしておくれ

起せなかった場合はわらわも夢幻から出てこられなくなるのじゃ

よいな?必ず起こしてくれよ?

では…参る

夢幻開門!!


女海賊「…思い出した…赤目の魔女」

女戦士「夢の話か?剣士を寝取られたのは魔女なのか?」

女海賊「寝取られたって言い方腹立つんだけどさぁ…よく考えたら不自然に剣士取られた」

女戦士「全部覚えているか?」

女海賊「うっすらとだけど…急に現れて愛してるだの感じろだの…見ててイライラしたの覚えてる」

女海賊「…てかあいつハッキリしないんだよ!いっつもボヤーってしてて」

女エルフ「ねぇ…魔女の目から涙が」

女海賊「本当だ…大丈夫かなぁ?」

女エルフ「魔女が見る夢ってどんなだろう…」

女海賊「そういえば聞いて無かったね…あんたの夢は?」

女エルフ「不幸なエルフが精霊樹になる夢…剣士には会ってないと思う」

女海賊「剣士に声が届くって事はさぁ?剣士にとってはいつも居るって事じゃない?」

女エルフ「え?」

316: 2020/09/26(土) 11:32:34.31 ID:JyBdSu8i0
女海賊「剣士はその声がいつも聞こえるって言ってるんだ…誰の声?」


---どこから祈っていたの?---

---夢の中の私は祈って居ない---

---そうあの人は空気や音を使って心を触って来た---

---私はそれを夢の中でやってない---

---そうか…精霊樹になっても空気を使って呼べる---

---風を使って呼べる---

---鳥も虫も使える---

---わかった…夢の中のあの人はそれを教えようとしてるんだ---

---夢幻の夢は私たちに何か教えようとしてる---


---あなたは誰だったのか---


女海賊「おーい!!聞いてんの?」

女エルフ「はっ…ごめんなさい…何の夢だったのか思い出せそうで」

女戦士「魔女が辛そうな顔をしているのだが…」



リーン…



女海賊「あ!…魔女!!魔女!!起きて!!」

魔女「…」ポロポロ

女海賊「剣士は?」

魔女「ダメじゃ…わらわは悲しゅうて耐えれぬ…精霊の悲しみを見てしもうた」

女海賊「それじゃ私が行く!!」

魔女「ならん…主の魔翌力では帰って来れぬ」

女戦士「魔女…休むか?」

魔女「わらわは夢の中で5年ほど過ごした…剣士を探してやっと見つけたのじゃが…」

女海賊「5年も?」

魔女「剣士はわらわを感じようとはせんかった…わらわには無理じゃ」

女エルフ「魔女様?…私の魔翌力では行く事できませんか?」

魔女「エルフか…同族じゃな?剣士と所縁はあるのか?」

女エルフ「血を分けています」

魔女「血で探すのか…由にお主の魔翌力なら帰って来れよう」

女エルフ「お願いします」

魔女「この杖を持て…暗示じゃ苦しゅうなったら杖を鳴らせ」

女エルフ「はい…」

魔女「では参る…夢幻開門!!その門をくぐるのじゃ…」

317: 2020/09/26(土) 11:33:09.51 ID:JyBdSu8i0
『分断した夢』



謎の声「贄が足りぬ…贄が足りぬ…贄が…」

男「おぉぉぉ神よ…お救い下さい神よ」

謎の声「我を…呼ぶのは汝か…贄が足りぬ…贄が…」

男「どうか主のお力をお貸しください…魔物の軍勢が攻めて来たのです」

謎の声「調和を求めると言うか…今調和を呼ぶのか…されば我が名を呼べ」

男「神よ…調和の神よ…この祈りの指輪で主の降臨を祈ります」

謎の声「我着たれり…汝は調和を望むのか?されば名を呼べ」ゾワワワワ

男「主のご尊名を…」

謎の声「我は調和の神…名を魔王」

男「え…ま、魔王?そんな筈は…」

謎の声「器はどこだ?…汝では小さすぎる」

男「ちがう…そんな筈じゃ…か神よおぉぉぉ」


僕「だめだ!!させない!!」ダダッ シュパー

男「うがぁ!う腕がぁぁ…白い悪魔め!!」ボトリ

僕「この指輪は使ってはいけない物だ!!」ヒョイ


謎の声「汝が器か?我来たれり…」ゾワワワワ

僕「え!?何だ?うわぁぁぁぁ」ブン ブン


---何だ?記憶が流れ込んでくる---


僕「うわぁぁぁぁぁ」ブン ブン


---フッフッフッフ夢幻に捕われし者よ…お前達では我は倒せん---

---我がまやかしの術を抜けここまで来れたのは褒めてやろう---

---だが慈悲はくれてやろう…我が物となれ…世界の半分をお前にやろう---

---お前が存在しているのは我が力であると知れ…我を滅ぼせばお前も虚無へ還る---


---何だ…この記憶は---

318: 2020/09/26(土) 11:33:40.95 ID:JyBdSu8i0
僕「やめろおぉぉぉ」ブン ブン


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---目を覚まして---

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僕「胸が!!熱い…熱い!!うがぁぁぁ」


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---目を覚まして---

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319: 2020/09/26(土) 11:34:15.13 ID:JyBdSu8i0
『決戦後の夢』


---夜明け---

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



魔女「何を呆けておるのじゃ?」

勇者「記憶がおかしい…」

魔女「魔王のまやかしの影響じゃな?」

勇者「それも…これも全部…何度も何度も…すべておかしい!!」

エルフ「僧侶は俺が見ててやる…勇者と魔女は周辺の村を回ってみてくれ」

勇者「僕はまた…取り返しの付かない事をしてしまった」


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---目を閉じて?---

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勇者「ハッ!!…まだ聞こえる」

魔女「どうしたのじゃ?」

勇者「導きの声がまだ…」

魔女「魔王はもう倒したのじゃぞ?」


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---感じて見て?---

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勇者(目を閉じる…)スッ

魔女「夜明けじゃ…勇者…行くぞよ?」


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--ここに居るから--

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ヒュゥゥゥ サラサラ サラサラ

320: 2020/09/26(土) 11:34:45.90 ID:JyBdSu8i0
勇者(何だろう…この感じ)

勇者(僕の周りには誰も居ない)

勇者(風のする方向…)

勇者(そっちから声がする)


魔女「勇者…聞いて居るのか?」

勇者「…僕は行かなければならない所がある」

魔女「何処に行くのじゃ?」

勇者「声のする方向…森の奥だ」

魔女「今から森に戻るのかえ?」

勇者「済まない…声が呼んでいるんだ」

魔女「おかしな事を言うのだのぅ…」

エルフ「行ってきな…僧侶は見ておくから」

勇者「今気が付いた…僕は目を閉じていた方が良く見える…目を閉じてもちゃんと歩ける」

魔女「わらわは付いて行けば良いかの?」

勇者「僧侶の事をお願い…彼女は立ち直れないかもしれない…そうだ夢幻の連鎖を呼んでるのが彼女だ」

魔女「むぅ…必ず戻ってくるのじゃぞ?」

321: 2020/09/26(土) 11:35:18.45 ID:JyBdSu8i0
『迷いの夢』


ザワザワ ザワザワ


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----こっちよ------

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---僕には分かる---

---この木も---

---葉っぱも---

---枝も---

---何もかもすべて幻だ---

---ただ一つこの声の向こうに---

---僕と同じ物を感じる---

---何度も何度も同じ夢の中で---

---この声だけが本物だった---

---今度こそ向こう側に行ける---

322: 2020/09/26(土) 11:35:49.62 ID:JyBdSu8i0
『出会いの夢』


精霊樹「…あなたが来るのをずっと待っていたの」

勇者「やっぱりこの声は」

精霊樹「やっと会えた…」

勇者「あなたは精霊樹?…この若芽が…」

精霊樹「さぁ…目を閉じて私の魂を感じて」

勇者「目を閉じる…」

精霊樹「重なって一つになるの…」

勇者「どうやって重なれば…」

精霊樹「考えてはダメ…そのまま感じるだけ」


---ほら重なった---

---離さないで?---

---私が連れて行ってあげる---

---光の向こう側---

---そう…そこが出口---

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323: 2020/09/26(土) 11:36:20.00 ID:JyBdSu8i0
『魔女の部屋』


リーン…


魔女「女エルフ?起きるのじゃ…」

女エルフ「ハッ…剣士は何処へ?女海賊!!剣士を呼んで!?」

女海賊「え?あ…剣士?剣士?起きて?」

剣士「…ぅぅぅ」

魔女「おおぉぉぉ軌跡じゃ…わらわは伝説を見てしもうた」

女海賊「剣士ぃ!!」ぎゅーー

魔女「伝説は本当じゃった精霊が勇者を夢幻から連れて来おった…」

女戦士「…精霊?勇者?」

魔女「女エルフ…主は夢幻で何をしておったのじゃ?精霊樹じゃったのであろう?」

女エルフ「はい…精霊樹になって剣士を待っていました」

魔女「そうじゃ…夢幻の中の精霊樹がここに勇者を蘇らせたのじゃ」

女戦士「話が交差しているが…」

魔女「それは関係ない…わらわがこの事を間違えなく伝え残したとしても」

魔女「後の世には精霊が勇者を夢幻から連れて来たとしか伝わらぬ…伝説とはそういう物じゃ」

魔女「これ剣士とやら?気は確かか?何か覚えておるか?」

剣士「僕は…どこでどうなったの?…混乱してる」

魔女「そうじゃろうて夢幻の中で何年何十年と経っておるのじゃ」

女エルフ「私は夢幻の門をくぐって20年程居た気がします」

魔女「それは大変じゃったのう…何にせよ戻ってこれて本真によかった」

女海賊「ねぇ剣士?夢幻の出来事は今覚えてるの?」

剣士「うっすらと…覚えてる」

女海賊「誰が誰なのかも?」

剣士「なんとなく…精霊が誰で本当の勇者が誰だったのかも…」

女海賊「あのね…そうじゃなくて私の事言ってるんだけど!!」

剣士「え?あ…アハハ君は出てこない」

女海賊「ちょ!!マジぶっ頃してやろうか?」

剣士「…でもスゴイお世話になった人が居てさ…大好きだったんだけど何処かに飛んで行っちゃったんだ」

女海賊「誰ヨ誰ヨ…どこに飛んで行ったのヨ?」

剣士「すぐ居なくなっちゃうんだよ…誰だったかなぁ…大好きだったんだけどなぁ…んんん」

女戦士「頭は回っている様だな…みんな帰って来たし私が料理でも振舞おう」

女海賊「お姉ぇ!話ぶった切んなって」

324: 2020/09/26(土) 11:36:54.35 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


女海賊「木の根っこ…ハーブ…きのこ…骨…クッソまずいんだけど」モグモグ

女戦士「材料が無いのだガマンしろ」

剣士「おいしいよ…ねぇ女エルフ?」

女エルフ「うん…」

女戦士「さて…魔女…私たちは祈りの指輪をここまで持ってきたのだがこれからどうすれば?」

魔女「器を探さねばならぬ…精霊を解放しなければ今度こそ世界は滅ぶやもしれぬ」

女エルフ「魔女様?魔王の復活は私が阻止しました…それでも世界は滅ぶと?」

魔女「この闇じゃ…この闇を人間は生き延びる事が出来ん」

女戦士「100日の闇を生き延びれば良いのでは?」

魔女「…それが出来んのじゃ」

女戦士「シャ・バクダの魔方陣の中なら生き残れると…」

魔女「100日はどこでの100日と思うておる?ここは狭間の奥なのじゃぞ?」

女エルフ「え!?…もしかして現実世界の100日…」

魔女「そうじゃ…狭間の中であれば1000日なのか2000日なのか」

女戦士「…そんな」

魔女「現実では闇に落ちてからまだ数刻も経っておらん筈じゃ…どういう事か分かるかの?」

女戦士「…この闇を3年か…5年か生きろ…そういう事なのか」

魔女「そうじゃ…その間光は無く植物も育たず…人々は互いに争い合いほとんどの人間は氏んでしまうじゃろうて」

女エルフ「それが魔王の言う調和の時…ハイエルフが恐れていた事?」

女戦士「では200年前の大破壊はどうやって生き延びたのだ?」

魔女「魔方陣の中で少し…あとは海で生き残った者が居ると師匠から聞いて居る…詳しくは分からんのじゃ」

女戦士「やはり器を探して精霊を呼び覚ますしか選択が無いのか…」

魔女「指輪はどこじゃ?」

女エルフ「私が持っています…これです」

魔女「その指輪はわらわが預かろう…下手に使っては危険じゃからのぅ」

女戦士「その指輪で精霊を夢幻から解放出来ると聞いてるが…」

魔女「これは量子移転という魔術が込められた指輪じゃ…祈った事を移転させるのじゃ」

女海賊「魔女はその魔法使えるの?」

魔女「量子移転は禁呪でのぅ…移転する量の抑制が解明されておらぬ故…非常に危険なのじゃ」

女戦士「その力を使って夢幻に居る精霊の魂を移転させるという事だな?」

魔女「そうなるのぅ」

女戦士「精霊が戻ったとしてどうやってこの闇を祓うのだ?」

魔女「それは誰も知らぬ…しかし伝説では幾多の闇を祓っておるのじゃ…信じるしかあるまいて」

女戦士「この話をアサシンは知っているのだろうか?」

325: 2020/09/26(土) 11:37:24.60 ID:JyBdSu8i0
魔女「アサシンという者が誰なのかは知らぬが…師匠には主らの様な協力者が他にもおった様じゃ」


---アサシンは勇者を殺そうとしていた---

---この闇の中で勇者一人頃して一体どんな意味があると言うのか---

---調和した後の世界はきっと平穏な世界が来るだろう---

---これは調和する者と調和を阻止する者の戦いだ---

---それらの記憶を精霊は8000年分守っていたのだ---

---調和する者が魔王---

---調和を阻止する者が精霊---

---その戦いになぜ勇者が介在するのか?---

---おそらくすべての謎はそこにある---



魔女「のぅ女戦士…わらわに考えがあるのじゃが」

女戦士「器を探しに行くのか?」

魔女「一旦皆でシン・リーンまで行って母上に事情をすべて話すのじゃ」

女戦士「それでどうする?協力してもらえるのか?」

魔女「古都キ・カイに行くには気球では遠すぎるじゃろう?」

女海賊「無理無理…絶対燃料切れ」

魔女「軍隊を用意してもらうのじゃ…母上であれば理解して下さる」

女戦士「今の状況で許されると思うか?」

魔女「じゃからエルフとドワーフと妖精を連れて説得に行くのじゃ…異種族同士の協力は母上の念願じゃった」

女戦士「うむ…良い案だな」

魔女「そうじゃ忘れて居った勇者も居るのぅ」

剣士「僕は勇者なのかどうか良くわからないよ」

魔女「夢幻で得た記憶…想い…それを知っている者が勇者じゃよ…そなたが繋いで行くのじゃ」

剣士「…繋ぐ…」

魔女「では行くとするかの?も十分休んだじゃろぅ…」ヨッコラ ノソ




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326: 2020/09/26(土) 11:38:00.84 ID:JyBdSu8i0
『ユートピア』


商人「…」人

盗賊「よぅ!!ここに居たか」

商人「あぁ帰って来たんだね…どうだった?」

盗賊「ダメだなぁ売りは儲かるが物資が全然無ぇもんだから買い付けが出来ねぇ」

商人「お金が合ってもそれじゃ意味無いね」

盗賊「穀物が全然無ぇ…こりゃ漁船出さんと食料尽きるぞ」

商人「盗賊は母さんに手を合わせて行かなくて良いのかい?」

盗賊「決まってんだろ!」人

商人「寂しい?」

盗賊「…まぁな…でも終わった事はしゃぁねぇ」人

商人「お墓の下に入って姿が見えなくなるとやっぱり…寂しいね」

盗賊「俺ぁもうここで骨を埋めるつもりだぁ…早くあっちに行きてぇよ」

商人「子供たちが大きくなるまでガマンガマン」

盗賊「…それでだぁ!北の魔術院から魔術師来るようになってから治安は良くなったんだが食料不足がな」

商人「うん…ぼくもこのままじゃイケないと思ってるんだ」

盗賊「商船が入って来ねぇのが致命的すぎるな」

商人「僕たちが商船をやるって言うのはどうだろうか?」

盗賊「セントラルには行けねぇしどこまで行くんだよ」

商人「南の大陸」

盗賊「例のアレかぁ?なんだっけ…ホム…ホル」

商人「ホムンルクス」

盗賊「それだソレソレ」

商人「それもあるけど本当の狙いはそうじゃないんだ」

盗賊「なんか浮かねぇ顔してるな?…どうした?」

商人「書物を読み漁って色々計算したんだけどさ…」

盗賊「ハッキリ言えよいつもの様に結論から言ってくれ…回りくどいと理解できん」

商人「ハハ分かったよ…スバリ!!もう二度と太陽を見る事は無い」

盗賊「んぁ?100日で終わるんじゃねぇのか?やっと半分来たくらいだろ」

商人「…それは狭間の外に出られるであろう地下深くでの話なんだ…狭間の中は時間の流れが違う」

盗賊「なんだとぅ?ほんじゃまだまだ続くってのか?」

商人「どの書物にも狭間の外で生き残った当時の記録しか残って居ないんだ」

盗賊「どういう事よ?」

327: 2020/09/26(土) 11:38:26.51 ID:JyBdSu8i0
商人「言い換えると狭間で生き残った人が居ないという事になる…さらに」

商人「魔術書によると2000日の闇を超えるという事も書いて合って…それが狭間の中での事なら辻褄が合う」

盗賊「おま…この闇を2000日生きろってか?」

商人「狭間の深さによって時間の流れが違うから正直正確には分からない」

盗賊「たった1ヶ月そこらで食料枯渇してんだぞ?」

商人「この後何が起こると思う?」

盗賊「略奪だ…もう始まってる様だがな」

商人「そう…国がする略奪…戦争だよ」

盗賊「!!じゃぁこの間港に入船した軍船はその準備って訳か?」

商人「アレはシン・リーンの軍船みたいだね」

盗賊「今荷物運び入れてんだ…どこと戦争する気なんだ?」

商人「さぁね?…だから僕たちも何時までもここに居られないって思ってるのさ」

盗賊「おぃおぃマジかよ…せっかく子供達の安住の地を作ったのによ」

商人「帰ってくる場所はここで良いさ…でもやっぱり狭間の外に出る必要があると思う」

盗賊「…おい…思い出したぞ?」

商人「何?」

盗賊「古都キ・カイは古代遺跡に通じる地下があるって情報屋が言っていたな?」

商人「ハハハ察しが良いね…ビンゴ!!僕はそれを言いたかった」

盗賊「食料持って子供たちをそこに避難させるんだな?」

商人「出来るかい?」

盗賊「船を動かすにゃぁ人手が足りねぇ…あん時はまだアサシンも情報屋も居た…2人じゃ無理だ」

商人「ねぇ見て!!シン・リーンの軍船が動き始めてる…」

盗賊「うむ…何処に行くんだか」

商人「上!!気球も飛んでる」

盗賊「…ありゃアサシンの気球に似てるな…2つ飛んでやがる」

商人「何か動き始めたみたいだね…」

盗賊「1つは軍船追いかけてる様だな…もう一つは港町に降りそうだ…様子見て来るか?」

商人「僕も行って良いかな?」

盗賊「ダメだ…レイスが出て来てもお前は戦えんだろう」

商人「ちぇっ…」

盗賊「安心しろ…俺がしっかり見て来てやる」タッタッタ

328: 2020/09/26(土) 11:38:54.18 ID:JyBdSu8i0
『港の広場』


盗賊(マジか…ありゃアサシンの気球じゃねぇか)

盗賊(衛兵と魔術師に取り調べられてんな…なんであんな所に降りるんだバカ野郎が…)

盗賊(誰が乗ってんだ?見えねぇ…)

盗賊(お?取り調べ終わりそうだな…ておいっ…気球飛んでいくじゃねぇか)

盗賊(俺達への定時連絡か何かだったんか?書簡でも置いて行ったのか?)

盗賊(むむ…気球から2人降りてる様だな…誰だあの男は)



男「…これで良いでやんすね?」

衛兵「港町は現在安全な状態では無いため外出は控えてほしい」

男「分かってるでやんすよ…どこも同じでやんす」

魔術師「魔方陣のある区域からは出ない様にお願いします」

男「へぇ~そんなものがあるんすね?」

衛兵「書状は私達が預かり領主へ届ける故お前たちは宿にて休まれよ」

男「お世話掛けたでやんす」

女「では失礼します」

男「あの…荷物はあっしが全部持つでやんすか?」

女「あなた…男なのでしょう?」

男「あねさんそらねーでやんす…少しはもって欲しいでやんす」

女「こっちよ?」テクテク

329: 2020/09/26(土) 11:39:22.55 ID:JyBdSu8i0
---街道---


盗賊「よう!!来たな?」

女「あら?お出迎えかしら?」

男「誰でやんすか?例の盗賊っていう男でやんすか?」

盗賊「ギルドからの定時連絡だな?お前が直接来るとは思ってなかったぜ?情報屋のネーちゃん」

情報屋「事情が色々変わったの」

盗賊「こっちの男は誰だ?信用して良いのか?」

男「あっしはローグっていう者でやんす…女戦士の彼氏って事になってるでやんす」

盗賊「ぶぶっ…マジか!!」

情報屋「事情はあなたのユートピアで話すわ…ここで人に見られるのもアレだし…行きましょ?」テクテク

330: 2020/09/26(土) 11:39:52.41 ID:JyBdSu8i0
『ユートピア』


ワーイワーイ キャッキャ


商人「おかえりー上から見てたよ」

情報屋「元気そうね?子供たちはみんな元気?」

盗賊「今の所はな」

情報屋「女盗賊はどうしたのかしら?」

盗賊「墓に埋葬した…挨拶してやってくれ」

情報屋「うん…行って来るわ」

商人「お客さんが来たんだ…久しぶりにバーベキューでもしようか」

ローグ「良いでやんすね…お土産でラクダの肉を持ってきているでやんす」

商人「おぉそれは良いねぇ…みんな喜ぶと思うよ…みんなぁ!!バーベキューやるから手伝って!!」


ワーイ ワーイ

マジでぇぇ ムギャーーー


ジュージュー

ローグ「ここは良い所でやんすねぇ…海も見えるし」

盗賊「太陽があればもっと綺麗なんだ…俺の女のお気に入りの場所だ」

商人「ただちょっと家が狭いね…ぼくなんか毎日納屋で寝てるからハハ」

盗賊「情報屋とローグは寝る場所無ぇが良いのか?」

ローグ「あっしはどこでも良いでやんすよ…あねさんはどうしやすかねぇ?」

商人「あ…情報屋戻って来たね…君も食べなよ…ラクダの肉おいしいよ」モグモグ

情報屋「あら?お気になさらず」

盗賊「…それで…何しに来たんだ?2人で来るってーと何かやるんだろ…」

情報屋「そうね…どこから話そうかな」

盗賊「結論から言ってくれぇ…分かんなくなっちまうから」

情報屋「左遷されたのよ…左遷」

盗賊「ヌハハ分かんねぇ」

331: 2020/09/26(土) 11:40:24.99 ID:JyBdSu8i0
まず政治の話

セントラルはあの後第一皇子が実権を握ってね

第二皇子は軍国フィン・イッシュに亡命

法王庁は解体

どうなるか分かる?


商人「セントラルとフィン・イッシュの戦争だね」

情報屋「そう…それでシャ・バクダ領がどちら側に就くのか問題になって居る訳」

商人「闇に落ちた世界で戦争なんかやってる場合じゃ無いんだけどね」

情報屋「そうよ…だからアサシンはフィン・イッシュに向かって戦争回避の為に暗躍しているの」

盗賊「又アイツは変な所に首を突っ込もうとしている訳か…」

情報屋「そうとも言えないのよ…レイスに対抗する手段としてゾンビ軍団を使う技術があるのはフィン・イッシュ」

商人「なるほど…不氏者の軍団を使ってでも民を守りたい…そういう事だね」

情報屋「一方でアサシンは精霊の事も忘れて居ないわ…だから私はここに来たの」

盗賊「俺達をどうするつもりだ?」

情報屋「まだ情報があるのよ…ローグ?教えてあげて?」

ローグ「かしら…いや女戦士の事でやんす」

盗賊屋「ほぅ…」

ローグ「実は世界が闇に落ちたその数日後にですねぇ…」


カクカク シカジカ

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332: 2020/09/26(土) 11:40:56.40 ID:JyBdSu8i0
ローグ「…という事なんでやんす」

盗賊「てこたぁ剣士達は全員無事なんだな?ヌハハこりゃ良い情報だ…」

ローグ「シン・リーンに向かった後の足取りが掴めないでやんすよ」

商人「剣士達の仲間に女エルフが居たって言ったよね?」

ローグ「そりゃぁ金髪の長い髪で女神の様に美しいエルフでしてね?野郎共は一瞬でトリコでさー」

商人「…」チラリ

盗賊「…」チラリ

情報屋「…」チラリ

商人「ハハハ…ハハハハハハ…そういう事か…ハハハハハ」

盗賊「ずっとすれ違いっぱなしって訳だ…剣士達はいつも俺らの前を行ってるなコリャ」

情報屋「私が来た理由を察したかしら?」

商人「アハハハ…盗賊!今日もう一つの気球を見たよね?」

盗賊「んむ…軍船追いかけて行ったな」

商人「どうやらアレは剣士達だね」

盗賊「あいつらも情報屋が言ってたお人形さんを探してる…まぁそう考えるわな」

商人「さぁどうする!?手札が揃った」

盗賊「長距離航海するなら星が見えねぇと現在地が分かんねぇ…南の大陸までたどり着けるかだ」

商人「困ったねぇ…」

盗賊「せめて羅針盤だけでも使えりゃなんとかなるとは思うんだが…」

ローグ「…これ使えやせんかねぇ?」コトリ

商人「何だい?この石は」

ローグ「星の観測所で剣士が療養していた時なんでやんすが…その石を預かったままだったんでやんす」

商人「使い道は知ってるの?」

ローグ「かしらの妹さん…ぃゃ女海賊が作った物らしいでやんすが…狭間の出入りに使うとかなんとか」

商人「どうやって使うんだろう?アレ?これ磁石がくっ付いてるのか」

ローグ「女海賊が磁石を回して姿を消したり出てきたりしたのを見たでやんす」

盗賊「そりゃすげぇな…泥棒専用道具じゃねぇか」

商人「ちょっと面白いね…試しに使ってみよう」クル

盗賊「うぉ!!どうなってんだこれ?…消えやがった…おい!!聞こえてんのか?」パッ

商人「これスゴイ物じゃないか!!」

盗賊「マジかよ…お前なんで後ろに居るんだ?」

商人「僕は回りウロウロした後盗賊の後ろで元に戻しただけだよ?」

ローグ「女海賊はそれで遊んでたんでやんす」

商人「盗賊!!羅針盤は今持ってない?」

盗賊「船に乗せっぱなしだ…それがありゃ船で羅針盤が使えるって算段か?」

商人「でもこれは危険な物かもしれないなぁ…イヤ相当危険な物だ…時間の狭間に挟まるとどうなるか分からない」

盗賊「俺ぁそれが欲しいな」

商人「使うのは盗賊で構わないけど乱用は避けるべきかな」

盗賊「分かってる…ちぃとワクワクしてきたんだ…今から羅針盤使えるか試してくる」

ローグ「役に立つと良いでやんすねぇ」

333: 2020/09/26(土) 11:41:24.84 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


盗賊「俺ぁ樽を大量に買い付けてくるからその間にみんなで水汲んどいてくれ」

商人「他の荷物はもう船に運んでおくよ?」

盗賊「馬車で何往復もする事になるだろうからローグと協力して上手くやるんだ」

ローグ「分かってるでやんす」

盗賊「情報屋は子供たち見ててくれ…じゃぁ行ってくるな」タッタッタ


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盗賊「ようし!!これで最後の荷物だな?」

ローグ「もう荷室も居室も満タンでやんす」

盗賊「入りきらん分は甲板に出しておいてくれぇ…子供たちはもう乗ってるのか?」

情報屋「ここに居るわーーー」ノシノシ

盗賊「ちぃと女盗賊に出かけるって言って来る…みんな船に乗って待っててくれぇ!!」

情報屋「はーーーい」



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盗賊「よう女盗賊…ちっと寂しくなるかもしれんがよぅ…待っててくれな?」

盗賊「用が済んだら必ず帰ってくるからよ?」

盗賊「あぁ分かってるって…子供たちの事は任せろ…んじゃ…行って来るな?」


サワサワサワ ヒューーー


---いってらっしゃい---

334: 2020/09/26(土) 11:41:53.83 ID:JyBdSu8i0
『船』


ザブーン ザブーン


盗賊「荷物満載の船動かすのは久しぶりだぜ…よっし出港するぞ!!商人!!碇上げろぉぉ!!」

商人「がってーーーーん!!」ガラガラ ガラガラ

盗賊「ローグ!!縦帆2つとも開けぇぇ」

ローグ「てやんでーーーーー!!」バサバサ

盗賊「情報屋!!面舵いっぱーーーい!!」

情報屋「にゃろめーーーー!!」グルグル

盗賊「横帆てんかーーーい!!」バサバサ


ギシギシ ギギギギ

ユラ~リ ユラ~リ


盗賊「やっぱクソ重いな」

商人「さぁ…僕たちの冒険の始まりだね?」

盗賊「船乗りの構成じゃないがなヌハハ」

情報屋「子供達も一生懸命手伝ってたわよ?」

盗賊「大人4人と子供達の大航海だ…こんな事やってるのは世界中で俺達だけだぜ?」

ローグ「ロマンでやんすねぇ」

商人「これは世界を救う旅なんだ」

盗賊「ちぃとメンバー不足だがな…さぁて!!お前等ぁぁ!!筋トレすんぞ…娘達もコーーーイ!!」

娘達「えええええええ!!」

子供達「わーい」キャッキャ

情報屋「ウフフ…わたしやっぱりここの生活が合ってるなぁ」

商人「ずっと一緒に居て良いんだよ?みんな家族さ」

ローグ「良いでやんすねぇ…あっしも早く彼女に会いたいでやんすよ」

335: 2020/09/26(土) 11:42:21.26 ID:JyBdSu8i0
『航海_何日目か』


ザブーン ザブーン


盗賊「多分なぁ…今ここら辺だ」

商人「この島の漁村が普通は中継点なんだよね?」

盗賊「灯台が見えれば良いんだがな…レイスにやられてもう誰も居ねぇと思うな」

商人「水は大丈夫?」

盗賊「多分古都キ・カイまでは持つ筈だが…補給出来るに越したことは無ぇ」


ローグ「右前方に何か見えるでやんす~~!!」


盗賊「おぉ!!今行く!!」ダダダ

商人「あ!!海図忘れてるよ!!」タッタッタ


ローグ「灯台は見えないでやんすねぇ…何でやんすかねぇ?」


盗賊「…入り江が見えんな…ありゃ無人島か?…ちょい海図見せろ」

商人「あーー現在地大分西にズレてるんじゃない?ホラここの島」

盗賊「まだ分からん…あの島を見ながら一旦東に進路変える…情報屋!!面舵だぁ!!東に進路変えるぞ!!」

情報屋「あいあい…」グルグル


ローグ「正面に大きな島が見えてきやした!!」


盗賊「なるほど…てことはこっちだな」

商人「ええ?全然違う所じゃない」

盗賊「航海はそういう物だ…こりゃえらく東に流れたな中継の漁村なんか今からじゃ無駄だ」

情報屋「このままで良いの~~?」

盗賊「ダメだぁ!!ちと俺が修正する!!お前も見張り頼む」

盗賊「ローグ!!横帆を張りなおす…下降りてこい」

ローグ「わかったでやんす~」

商人「南西に転換?」

盗賊「そうだ!!南の大陸のかなり東に行く事になる…大陸右手に見ながら目的地目指す」

ローグ「横帆はどう張れば良いでやんすか?」

盗賊「左舷の2番目の柱に結んでくれぇ!!向こうのやつも同じように張ってくれ!!」

ローグ「あいさーーー」

盗賊「商人!!海図持ってこい」

商人「ん…あぁ」

盗賊「えらく大回りしちまった…大陸で補給したいが」

商人「南の大陸は海図に詳細書いてないよ…」

盗賊「んああぁぁぁ…しゃーねここの川で一旦小舟降ろそう…樽4つ汲めばなんとかなるだろう」

商人「小舟にも魔方陣やっておくよ」

盗賊「そうだな…やっといてくれぇ」

336: 2020/09/26(土) 11:42:48.93 ID:JyBdSu8i0
『南の大陸_河口』


ザブーン ザブーン


盗賊「んじゃ水汲んでくるわ!!ローグ!!お前も来い」

ローグ「あいさー」

商人「気を付けて~」ノシ

情報屋「水足りないの?」

商人「雨が降らないのがね…」

情報屋「海岸沿いにいくつか漁村あった筈なのに」

商人「南の大陸の地図が無かったからさ在るか無いかわからない所に寄れないんだと思うよ」

情報屋「南の大陸の事は盗賊もあんまり知らないのね?」

商人「その様だね…そういえば君の出身は古都キ・カイだったね?」

情報屋「10年くらい前に北の大陸に移住したのよ」

商人「南の大陸はどんな風なの?」

情報屋「大きな国は古都キ・カイとドワーフの国…ずっと南の方には蛮族が居るらしいわ」

商人「蛮族?」

情報屋「蛮族もいくつか派閥で分かれてるらしいけど私は良く知らない」

商人「へぇ…」

情報屋「北の大陸よりも古代文明を良く研究しているからとても進んでいるのよ?」

商人「それは知ってる…確か錬金術が盛んだったよね」

情報屋「そう…錬金術で新しい金属や生物を作るの…それに古代文明の科学を組み入れて機械を作るの」

商人「君が言ってたホムンルクスってそうやって作るの?」

情報屋「ホムンルクスと言っても色々在ってね…完全な人の形をした物はまだ作れないみたい」

商人「僕たちが探してるホムンルクスってもしかして完全な形のやつ?」

情報屋「そう…完全体」

商人「その他のホムンルクスってさ義手とか義足になってる奴でしょ?」

情報屋「そうよ…そういうのを組み合わせて人型にした物がキラーマシンという機械…北の大陸の衛兵の代わりね」

商人「やっぱり軍事目的で使われるんだ」

情報屋「出回ってる義手とかはテストみたいな物ね…だから色々あるの」

商人「キラーマシンってさ…どうやって動くんだろう?人間でいう脳の部分」

情報屋「君ぃ…私に全部白状させようとしているな?」

商人「えへへ…バレたか」

情報屋「よかろう!!教えてあげよう!!」

商人「わくわくするよ…はやくはやく」

337: 2020/09/26(土) 11:43:16.25 ID:JyBdSu8i0
キラーマシンが動く原理は人工知能という機械が働いているお陰なの

現在の技術では人間が遠隔操作して動かしているわ

でも遥か古代文明では自律で動く様になっていたらしい

人口知能を搭載して自律で動くホムンルクス

私はそれこそが北の大陸で崇拝されている精霊の起源だと思っているの

でもこの学説は北でも南でも支持を得られない

北では精霊が神格化されているし

南では人工知能が魂を持つとは思われていない

でもね?

私は思うの

もしもキラーマシンが人間の心を持ったとしたら

何千年もその心が生き続けたとしたら何を思うのか?って

そう考えると伝説で伝えられてる数々の精霊の行いが辻褄の合うものになっていく

まぁ…証拠は無いおとぎ話なんだけどね

私は子供の頃に機械の犬を持っていてね

その子だけが私の友達だったのよ

でもある日機械が壊れてしまって動かなくなった

とても悲しくて沢山泣いた…機械相手なのに

その後大人になって色々勉強して機械の事がわかるようになってきてね

子供の頃に一緒に過ごしたその機械の犬がどういう風に動いてたのか理解したの

ボロボロになったその子の中にメモリという部品を見つけて解析したら

私の声がずっと記録されていたの

私とのやり取りをずっと記録していたのよ

どうして機械が勝手に記録していたのかは分からない

私にはその子に魂が合ったとしか思えてならないの

だから何も証拠が無くても

精霊の起源は魂を持ったホムンルクスだって信じてる


商人「…良い話だね」

情報屋「ありがとう」

商人「君がホムンルクスを探してる理由は…その犬に愛が合ったのか確かめたいんだね」

情報屋「うん…」

商人「出来る事ならもう一回会いたいね」

情報屋「そう…それが古代から精霊が生き続けている理由だと思うの」

商人「逆の立場から考えるとさ…もしも永遠の命がその犬に合ったとして君が氏んだときどう感じるかな?」

情報屋「え…」

商人「記録した君の声を聞きながら生きていくのかな?」

情報屋「かなしいね…切ないね」

商人「そんな記憶を何千年も記録するのはとてつもなく悲しいね…どうすれば救われるんだろうね?」

情報屋「夢幻…」

商人「そんな気がするよね…」

338: 2020/09/26(土) 11:43:45.65 ID:JyBdSu8i0
『古都キ・カイ』


ザブーン ザブーン


盗賊「やっぱりこっちの方もレイスが出てた様だな?ちと様子見てから船寄せるか」

商人「前アサシンと一緒にここに来たんだよね?随分変わってる?」

盗賊「あん時はもっと町の外に人が歩いてたんだよ…今は全然居ねぇだろ?」

情報屋「キラーマシンが立ちんぼになって居るわね」

盗賊「だな…ありゃ壊れてるんか?」

情報屋「操作している人が居ないだけだと思うんだけど…」

盗賊「あれを見ろ…シン・リーンの軍船だ…気球も乗ってる」

商人「剣士達に追いついたね」

盗賊「軍船にゃ人が乗ってる様だな…アレの横に付けるか?ひょっとしたら剣士達も乗ってるかもしれん」

商人「そうだね…上手い事会えると良いね」

盗賊「あそこが慌てて居ないって事は大した危険も無い様だ…早いとこ下船してちゃんとした水が飲みてぇ」

情報屋「そうね…喉がカラカラだわ」

盗賊「じゃ…寄せるぜ?」グルグル


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ギシギシ ギギギ ガコン


盗賊「…何にも警戒されていない様だが…こりゃ勝手に下船しても良いってか?」

商人「シン・リーンの軍船からは警戒されてるね」

盗賊「そらそうだわな…この闇で船乗ってる奴はそら怪しいと思うわ…どうする?」

商人「んーーー困ったね…勝手に下船して捕まるのも嫌だしね…」

情報屋「そこは私が交渉してみる」

盗賊「キ・カイの地下降りる所まで結構距離があんだよ…子供達どうすっかだなぁ…」

商人「馬車に魔方陣張って行くしかないね」

盗賊「しゃーねぇ俺が馬車で往復して後で追いかけるわ…情報屋!!お前地下の地理分かってんだろ?」

情報屋「うん…降りて直ぐの所で待って要れば良い?」

盗賊「状況が分かんねぇから落ち合えなかった場合の集合を…」

情報屋「中央のホームと言われている場所分かる?」

盗賊「あぁ分かった…降りて直ぐの所で待てない状況だったら中央ホームで集合…いいな?」

商人「随分慎重なんだね?」

盗賊「めちゃくちゃ入り組んでんだよ」

商人「へぇ…楽しみだな」

盗賊「んじゃ…みんな馬車で下船準備だ!!」

339: 2020/09/26(土) 11:44:15.16 ID:JyBdSu8i0
『馬車』


ゴトゴト ゴトゴト


商人「何か変だね?下船しても誰にも止められないなんて」

盗賊「やっぱ地上の町は完全に放棄してる様だな…こりゃ盗賊ギルドもアテに出来ん」

ローグ「あそこ見るでやんす!!氏体が積んであるでやんす」

情報屋「ここも被害が出ているのね」

盗賊「お前は家族とか居ないのか?」

情報屋「もう居ないから心配しなくて良いわ」

ローグ「それにしても氏体が変でやんすねぇ…半分石になっておりやんす」

情報屋「それは気にしなくて良いわ…この国では普通だから」

ローグ「どういう事でやんすか?」

情報屋「不良品のホムンルクスを使った義手とかはそういう風になってしまうの」

商人「それにしても本当に誰も居ないね」

盗賊「全部地下に避難してるんだろ」

商人「そんなに広いのかい?」

盗賊「俺ぁ全部は知らねぇ…だが相当広いぞ…いや広いが狭い」

商人「ハハどっちなのさ」

盗賊「とにかくゴチャゴチャなんだ…まぁ行ってみりゃ分かる…さぁ着いたぞ」

情報屋「入り口にも誰も居ない…」

盗賊「ローグ!!皆を守ってやってくれぇ…さぁ全員降りてそこの階段下ってけ!!」


ワーイ ドタドタ


盗賊「じゃぁ情報屋!!後は頼んだ!!30分で戻る」

340: 2020/09/26(土) 11:44:45.11 ID:JyBdSu8i0
『地下』


情報屋「みんな迷子にならない様に気を付けて付いてきてね」

子供達「はーい」

情報屋「やっぱりここで検問か…」

衛兵「止まれ!!お前たちは何処から避難してきたのだ?」

情報屋「これ身分証です…北の大陸から逃れて来ました」

衛兵「上手く逃れて来た様だな…避難民はチカテツ街道に収容する事になっている」

情報屋「何番目ですか?」

衛兵「ここは初めてでは無いのだな?話が早い…8番チカテツ街道だ…行き方は分かるな?」

情報屋「大丈夫です…配給は有るのでしょうか?」

衛兵「1日1回の配給しか無い…貰いそびれないように気を付けろ」

情報屋「ありがとうごさいます…行って良いですか?」

衛兵「行け!!ここは衛兵の詰め所になって居る故…真っ直ぐ奥まで行け」

情報屋「みんな付いてきて」テクテク

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商人「ねぇチカテツ街道って何?」

情報屋「ここはね…古代遺跡の中に街を作った都市なの…古代ではチカテツと呼ばれていた場所に街があるのよ」

商人「へぇ…変な名前」

情報屋「他にもデパチカ居住区…チカガイ貴族居住区…中央ホーム…カイサツ門…いっぱいあるわ」


ガヤガヤ ガヤガヤ


情報屋「子供達!!手を繋いで迷わない様に付いてきてね」

商人「盗賊との待ち合わせ場所は?」

情報屋「もう通り過ぎちゃったから中央ホームに行きましょ」

ローグ「人が多いでやんすねぇ」

商人「色んな人が居るね…ヘンテコな装飾した人とか」

情報屋「アレは装飾じゃなくて機械の部品よ」

商人「すごいな…この街は世界が闇に落ちても賑やかなんだ」

情報屋「全然賑やかなんかじゃないわ…いつもの半分という所かしら」

商人「なるほど盗賊の言う狭いって言うのは広間が何処にも無いからだ」

情報屋「そうね…何処に行ってもこういう通路に人が沢山居る」

商人「露店も結構出てるね」

情報屋「落ち着いたら買い物もできるかもね…さぁここが中央ホーム」


341: 2020/09/26(土) 11:45:16.00 ID:JyBdSu8i0
『中央ホーム』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「おぉ見つけた!!待ったか?」

情報屋「気にしないで?」

盗賊「他のみんなはどうした?…あぁあそこにいるか」

情報屋「中央ホームを出ない範囲で露店を見て回ってるの」

盗賊「まぁこういうのは久しぶりだろうからやらせておくか」

情報屋「ここに居ると世界の危機が分からなくなるわね」

盗賊「そうでも無ぇぞ?食い物が全く売ってねぇ…みんな腹減らしてるだろ」

情報屋「あら?気が付かなかった」

盗賊「人間は腹減りだすとよそから盗むようになる…これじゃそのうち暴動起きるな」

情報屋「配給が1日1回だって聞いた?」

盗賊「あぁ聞いた…どうせアテに出来ん…ちっと飯の調達は考えて置かんとイカン」

情報屋「船に乗ってる食料は?」

盗賊「アレは本当にヤバイ時用だ…無駄遣い出来ん」

情報屋「さて…チカテツ街道の8番に行けって言われたんだけど…」

盗賊「お前デパチカ居住区にどっかアテ無いのか?チカテツ街道はセントラルの下水みたいなもんだろ」

情報屋「もう10年も昔だから今どうなってるのか…」

盗賊「しょうがねぇなチカテツ街道行くしかねぇか…8番っちゃどこに繋がってんだ?」

情報屋「…立ち入り禁止から向こうに行ったこと無いから…」

盗賊「くぁぁぁアテになん無ぇな…まぁ行ってみっか!!」

342: 2020/09/26(土) 11:45:43.87 ID:JyBdSu8i0
『8番チカテツ街道』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「ヌハハこりゃ最高の難民キャンプだな!足の踏み場も無ぇ」

商人「安全だと思えば安いさハハ」

ローグ「配給貰って来たでやんす~一人一個づつの芋でやんす~」

盗賊「ローグ!!子供達の面倒みててやってくれぇ…ちと情報仕入れてくるわ」

ローグ「任せるでやんす」

盗賊「情報屋!!デパチカ居住区まで付き合え…商人も来い!剣士達を探したいんだ」

商人「おっけーアテあるの?」

盗賊「無いが…女海賊好みの店回ったらバッタリ会うかもってな…」

商人「ハハハ良い案だね…僕もいろいろ見たかったんだ」

盗賊「あいつは虫とか謎の機械とかが大好きなんだ…分かりやすいだろ?」

商人「カバンの中にいつも虫隠してそうだね」

盗賊「間違いねぇ…それから謎の金属もだ…変な物に興味を持つんだ…しかも恥ずかしげもなく装着する」

情報屋「フフフ今頃クシャミしてるわよ?」

ローグ「あっしの彼女もお忘れなく…」

盗賊「女戦士は何が好きなのか知ってるか?」

ローグ「望遠鏡っす…あとは顕微鏡とか虫メガネとかっす」

盗賊「…二人とも同じじゃねぇか」

ローグ「いえ一つ違うっす…女戦士は隠れて装着するっす」

盗賊「お前なんでそれ知ってんだ?」

ローグ「あっしは隠れて見てるんす」

盗賊「…」

情報屋「…」

商人「さ、さぁ行こうかハハ」

343: 2020/09/26(土) 11:46:16.05 ID:JyBdSu8i0
『デパチカ居住区』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「じゃぁここで分かれるぞ?俺は情報収集…情報屋は住める所探してくれ…商人は女海賊な?」

商人「おっけー」

情報屋「住める場所って…お金が必要な場合は?」

盗賊「金は気にするな俺が何とかする…今必要か?」

情報屋「今って…」

盗賊「さっきスッった奴ならあるぞ…もってけ」ポイ

情報屋「もう?…ありがとう」ジャラリ

盗賊「集合はこの場所に大体4時間後…いいな?」


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盗賊(さぁて…まずは地図だな)

盗賊(何処に売ってんだか分かんねぇな…まぁ歩いてみっか)


ドン!


盗賊「ぬぁ!!気を付けろぃ…」

女「あ!ヤバ…」

盗賊「おま!!女海賊…」

女海賊「…」ピューーーー

盗賊「おい!!待て!!何で逃げんだよ!!」


スタコラ


盗賊「ちぃ…あいつ何処行きやがった!!」

盗賊(あんにゃろう…次見つけたら容赦しねぇ)


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344: 2020/09/26(土) 11:46:46.72 ID:JyBdSu8i0
---4時間後---


盗賊「…」ブツブツ

商人「やぁ!!早いね…どうしたの?」

盗賊「どうしたもこうしたも無ぇ!!女海賊見つけたんだけどよぅ…」

商人「本当に?何処?」

盗賊「俺の顔見て逃げやがった」

商人「え?何で?」

盗賊「知るか!!」

商人「他に何か情報ある?」

盗賊「アイツ探して時間食った…大した情報聞けてねぇ」

商人「何か盗まれてない?」

盗賊「ナヌ!!ぬあああああああああああああああ…無い!!」

商人「何?」

盗賊「消える石だ!!くっそ!!あいつそれ使って逃げたんか」

商人「ハハハ一本取られたね」

盗賊「俺の計画台無しだクソがぁ!!チカガイ貴族居住区行こうと思ってたんだ」

商人「どうして逃げたんだろうね?…でも鮮やかにやられたねハハ」

盗賊「そっちは何か良い物あったんか!?」

商人「あんまり欲しい物が無くてね…ただシン・リーンの魔術師達の行先が分かったよ」

盗賊「成果ありだな」

商人「どうも国賓扱いでシェルタ砦に要るらしい」

盗賊「そら何処にあるか知らねぇな…あいつら国賓で俺ら下水かよ…ケッ」

商人「でも女海賊が居たって言う事は多分近いんだろうね」

情報屋「居た居た…住む場所見つかったわ」

盗賊「おぉそりゃ良かった」

情報屋「狭いけれど娘と子供達だけなら大丈夫そうよ」

盗賊「じゃぁここで待っててくれぇ…俺はみんな連れて来る」

345: 2020/09/26(土) 11:47:49.75 ID:JyBdSu8i0

『デパチカ居住区_家』


盗賊「こりゃまた狭いな…」

商人「壁があるだけ良いじゃない」

盗賊「大人4人は外で話した方が良さそうだな…娘と子供たちは家の掃除しといてくれ」

娘達「お腹すいたぁぁ」

盗賊「後で食い物持ってくるから今はガマンしろ」

ローグ「まだ芋が余ってるんでこれでガマンするでやんすー」

盗賊「ちっと狭いから外出るぞ…」スタスタ


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346: 2020/09/26(土) 11:48:17.68 ID:JyBdSu8i0
盗賊「…でだ?シェルタ砦って知ってるか?」

情報屋「チカガイ貴族居住区の一層下にある区画よ?…一般の人は立ち入り禁止」

盗賊「俺らが行って入れそうか?」

情報屋「入り口が一か所だし無理ね」

商人「そこはこの国の拠点になってるの?」

情報屋「拠点の一つって言えば良いのかな?…未探索の古代遺跡があるのよ」

商人「知ってるって事は行った事あるんだ?」

情報屋「シェルタ砦のもう一層下に大きな部屋があってそこにサーバ石という石が沢山あるの…その調査に行った事がある」

商人「未探索ってどういう事?」

情報屋「さらにその奥に扉があるんだけどどうやっても開かないのよ…そこが未探索」

商人「ハハーン…ホムンルクスはソコか?」

情報屋「…かもしれない…でもそこに行くためには国の許可が必要よ?」

商人「剣士達が国賓でシェルタ砦に居るっていう事は狙いはその未探索な所の可能性が高いよね」

盗賊「どうやっても開かない扉をどう開けるつもりなんだ?」

商人「さぁね?…盗賊なら開けられたりしない?」

盗賊「やってみんと分からんがどうやっても開かないなら開かないんだろ」

商人「そこは剣士達にやらせておくとして…情報屋は他に何かホムンルクスの手掛かり知らないの?」

情報屋「知ってたらもう教えてるわ」

盗賊「国が管理してるってこたぁ合理的に開けても国に持って行かれるわな」

商人「そうだね…まぁ持って行かれた物を盗みなおせば済む話だけどね」

盗賊「ヌハハそらそうだ」

商人「なんか手詰まりだねぇ…ひとまず剣士達に合流するのが先かなー」

盗賊「あんま騒ぎ起こしたく無いんだが…やっちまうか?」

商人「何か案ある?」

盗賊「女海賊の気球を盗む…そしたらあいつら出てくんだろ」

商人「アハハ…面白いね」

盗賊「やり方は簡単だ…正面から堂々と仲間の振りして気球まで行って飛んじまえばこっちの物だ」

商人「良いね…何かあっても捕まるだけだもんね」

盗賊「ただ一つ問題があんだ…狭間の中と外の時間差だ」

商人「あぁ忘れてた…それ深刻だね…どれだけ違うのか見当が付かないね」

情報屋「ねぇそんな危ない事しなくてもシェルタ砦の衛兵に気球が盗まれたって言えば済むんじゃない?」

盗賊「…そういやそうだな…入り口一つだけだもんな」

情報屋「あなた達の発想は泥棒からスタートするのね」

盗賊「悪りぃ悪ぃ…俺は盗み返したいのが先行しちまった…情報屋の案で行こう」


347: 2020/09/26(土) 11:48:50.39 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦』



盗賊「網の準備は良いな?」

ローグ「まかせてくれやんす」

商人「いいよ」

盗賊「情報屋!!行け!!」


タッタッタ


衛兵「待て!!ここは立ち入り禁止だ」

情報屋「はぁはぁ…はぁ」

衛兵「どうしたんだ?そんなに慌てて」

情報屋「軍船に乗せてる気球が海に落ちて沈みそうなんです…はぁはぁ」

衛兵「シン・リーンの軍船か?」

情報屋「はい!!国賓で来ている女戦士か女海賊に気球が沈みそうだって連絡してください」

衛兵「分かった…確認を取る…お前はそこで待っていろ」

情報屋「はい!!邪魔にならない様にしています」テクテク


---数分後---


女海賊「お姉ぇ!!道分かる?」タッタッタ

女戦士「お前の方が詳しいのでは無いのか」

女海賊「入り口まで行った事無いよぉ」

女戦士「ええい少し待ってい…ん?」


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348: 2020/09/26(土) 11:49:22.78 ID:JyBdSu8i0
盗賊「今だ!!」バサ

女海賊「むぎゃ…ちょちょちょちょ」バタバタ

盗賊「押さえろ…手を使わせるな!!」

ローグ「がってん!!」グイ

女海賊「ちょっとあんたらぁぁ!!いでいで…」


衛兵「あ…」ボーゼン


商人「やぁ!!又会ったね…元気だった?」

女海賊「ちょ…離せ!!あ…やべ」

盗賊「あ…やべじゃねぇだろ!!」

女戦士「…盗賊!!ローグまで…どうしてここが」

盗賊「どうしてじゃねぇよ!!女海賊から何も聞いて無ぇのか?」

女戦士「どういう事だ?女海賊!!盗賊たちが居るのを知っていたのか?」

女海賊「だってさぁ捕まえに来たんだろ?私の事…悪かったよ金盗んで…」

盗賊「金だと?なんだそりゃ…」

女海賊「あれ?」

女戦士「…それで…気球の件はどうなっているのだ?」

盗賊「ありゃ冗談だ」


衛兵「あのー…どうしましょう?」


女戦士「あぁぁ騒がせてしまった…私たちの仲間なのだ…立ち入り許可を取って貰いたいのだが…」

衛兵「あ…はい」

女戦士「その前にあの網に掛かっているバカに仕置きをしたいのだが…」

衛兵「はぁ…」

女海賊「ちょちょ待って…お姉ぇ!!助けてよ」

女戦士「お前はやっぱり叩かれないと分からない様だ」スラリ

女海賊「ごめんもう嘘つかないから許してぇぇぇ」


バチーン  いだぁぁぁい!!


349: 2020/09/26(土) 11:49:51.28 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


ローグ「かしらぁ!!あっしはこんな所まで追いかけて来たでやんすよ」

女戦士「事情が在ってシャ・バクダまで戻れなかったのだ…ゆるせ」

ローグ「心配したでやんすよ」

女戦士「向こうの方はどうなって居るのだ?盗賊が居るという事はアサシンは戻って来たのだろう?」

ローグ「いろいろあったんでやんす…でもマスターが戻って来たんで心配ないでやんす」

女戦士「そうか…しかしまぁ…良くキ・カイまで来れたな?どうやって来たのだ?盗賊」

盗賊「あぁ俺達はずっとすれ違いっぱなしよ…船で来たんだがえらい苦労したわヌハハ」

女戦士「そっちの2人は誰だ?」

盗賊「あぁ面識無ぇか…こっちが情報屋でアサシンの相方だ…それでこっちが商人…俺の相方だな」

情報屋「初めまして…アサシンから話は伺っています」

商人「やぁ!!僕も君の事は盗賊から聞いて居るよ…よろしく」

女戦士「…こちらこそ」ジロリ

盗賊「ところで剣士はどうしたんだ?居ない様だが…」

女戦士「んむ…どこから話した物か…」


私たちの仲間には剣士の他に女エルフと魔女が居るのだ

魔女は光の国シン・リーン王女…王国の特使としてコチラに来ている訳だ

私と女海賊は王女の従士という肩書で同行させてもらっている

特使で来ている関係で魔女は祝宴であちこちに連れまわされて要るのだ

剣士は勇者という肩書

女エルフはエルフの使者という肩書

今は魔女に同行している

私と女海賊は留守番なのだ


盗賊「剣士が勇者の肩書ってどういう事だ?…そういやあいつの目はどうなった?」

女戦士「話は複雑なのだが…」


カクカク シカジカ

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350: 2020/09/26(土) 11:50:20.71 ID:JyBdSu8i0
盗賊「…なるほど」

商人「スゴイ話だねぇ…魔女と話をしてみたいよ」

女戦士「お前たちがこの国まで来た目的は何だ?私たちを追って来ただけでは無いのだろう?」

商人「こっちも話は複雑なんだけど目的は多分一緒…ホムンルクスさ」

女戦士「やはりそうか…どこにあるのか見当は付いているのか?」

商人「その言い分だとそっちも情報が無いっていう事だね」

女戦士「魔女の塔に来た人間が古都キ・カイに器があると言う事を言い残して行ったしか情報が無い」

情報屋「それは私達だったの」

女戦士「フフフ本当にすれ違ってばかりだったのだな…それでその情報元はアサシンという訳だな?」

情報屋「アサシンにホムンルクスの話をしたのは私…彼はそれが器だと知っていたのかはわからない」

女戦士「亡くなった塔の魔女にどの程度話を聞いて居たのかは知らんが…器に気付いた可能性はあるな」

盗賊「前にアサシンと一緒に来た時はこの辺りをうろついて居たのは間違いねぇ」

情報屋「やっぱりここの下にある未探索エリアにあるって考えるのが妥当ね」

女戦士「なんだそれは?」

情報屋「シェルタ砦の下層に開かない扉が在ってその奥が未探索エリアって言われてる」

盗賊「一般民は立ち入り禁止っていうもんだから近づけねぇんだ…今調べられねぇか?」

女戦士「ハハハ私たちはシェルタ砦内は何処に行っても良いと言われているぞ?」

盗賊「一回見てみてぇな」

女戦士「了解を取って来るので待っていろ」

351: 2020/09/26(土) 11:50:48.85 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_階段』


盗賊「お前…イジケてんのか?」

女海賊「…」シュン

女戦士「構うな」

盗賊「金盗んだってどっから盗んだんだ?」

女戦士「セントラルに居た時からずっと盗賊の金を盗み続けていたらしい…白状させた」

盗賊「なぬ?娘達が使ってたんじゃなかったのか?…道理ですぐ無くなる訳だ」

女海賊「良いじゃんちょっとくらい…いっぱい有ったんだから」ブツブツ

女戦士「又叩かれたいのか?」スラリ

女海賊「ちょちょちょ…もうやらないから…やめてやめて」

盗賊「ヌハハまぁ勘弁してやれぇ…んで何に使ったんだ?」

女海賊「これ…」

盗賊「なんだその石っころ」

情報屋「え!?えええええええええ!!それはウラン結晶…どうしてそんな物を」

女海賊「爆弾の研究」

情報屋「とっても危ない物よ?」

女海賊「知ってるよ…ちゃんと金属の容器に入れてるから大丈夫」

盗賊「そんなヤバイ物なのか?」

情報屋「古代文明を滅ぼした爆弾の材料なの…この国の錬金術師は喉から手が出るくらい欲しがってる」

女海賊「ヌフフ良い事聞いちゃった♪」

商人「飛んだところからお金が転がり込んできたねハハハ」

352: 2020/09/26(土) 11:51:17.96 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_地下1層目』


商人「ここに並んでいるのが例のサーバ石?」

情報屋「そうよ?…もう調査は終わっているけれど何に使われていたのかは解明されていないの」

盗賊「人が居るな…研究者か何かか?」

情報屋「多分ね…私も昔はここで研究してたわ」

商人「これ8000年も経ってるんだよね?」コンコン

情報屋「触ると怒られるわよ?すぐに崩れてしまうから気を付けて」

商人「全部同じ物?いっぱいあるけど」

情報屋「ここから下の層にも全部同じものが並んでるの」

盗賊「正面に扉があるな…アレか?」

情報屋「うん…開けられそう?」

盗賊「見た感じシェルタ砦の入り口の扉と同じだな…なんであっちは開いてんだ?」

情報屋「さぁ?」

盗賊「なんかいろいろやった痕跡があんな…爆弾でもダメな様だな」

情報屋「話によると爆弾も魔法もあらゆる手段を使っても開かなかったらしいわ」

盗賊「女海賊!!お前磁石持ってたな?貸せ」

女海賊「ほい!!…わたしもちょっと調べるね~」ポイ パス

盗賊「引っ付かねぇ…何の金属だこりゃ」カチカチ

女海賊「この扉を開ける努力はしても良いのかな?」

情報屋「良いと思うけれど許可は必要だと思うな」

盗賊「ちぃと努力してみるからよ…許可取ってきてくれねぇか?」

女戦士「分かった」

盗賊「多分時間掛かるからみんなは剣士達が戻って来るまで上に居て良いぞ」

情報屋「私は子供たちに食事を持っていってあげるわ」

盗賊「あぁそうしてくれぃ」

ローグ「ほんじゃあっしたちは一旦もどるでやんす~」

353: 2020/09/26(土) 11:51:51.31 ID:JyBdSu8i0
『開かずの扉』


カチャカチャ


盗賊「もどり!!外の扉の構造見て来た」

女海賊「全然開きそうに無い…なんか分かった?」

盗賊「でかいカラクリ仕掛けだ…お前金属糸持ってたよな?」

女海賊「あるよ」

盗賊「ちょい貸せ…ほんでな?ここの隙間の奥にシャフトがあるんだ…そこまで入れたいんだが」

女海賊「入りそう?」

盗賊「…こんな虫の穴みたいな隙間から上手い事シャフトに…いやぁ無理だなこりゃ」

女海賊「虫なら居るよ?」

盗賊「虫にシャフトまで行って巻いて帰って来いと言うのか?…アホか!!」

女海賊「いでよ私の奴隷1号!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「…」

女海賊「上手い事やったら女王バチ探してやる…行ってこい!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「そのミツバチは言う事聞くんか?」

女海賊「手なずけた…最強のミツバチにする予定」

盗賊「マジか…そんなんアリか?」

女海賊「上手く行ったら女王バチ探すの手伝って…あ!!戻って来た」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「お?」キュッ キュ

女海賊「引っかかってる?」

盗賊「おぉぉぉイケるかも…ほんでな…このシャフトを回すと扉がすこし傾く様になってんだ」キュッ キュ

女海賊「回ってる?」

盗賊「回ってる手ごたえはある…ちぃと時間掛かるな」

女海賊「んあぁぁぁ私飽きてきた…帰って良い?」

盗賊「あぁ良いぞ?こりゃ俺の趣味だ」キュッ キュ ブチ

盗賊「だああああああぁぁ切れちまった…金属糸まだあるか?」

女海賊「もう無いよ…諦めようよ…ん?」ヒューーーー

盗賊「何か聞こえるな…どこだ?」ヒューーーー

女海賊「下…ここの下から音がする」

盗賊「空気が入って行ってる…のか?」

女海賊「もしかしてさぁ…この奥って真空なんじゃない?だから開かなかったんじゃないの?」

盗賊「こりゃ空気入りきったら開くな…みんな呼んで来い!!」

女海賊「おっけー」タッタッタ

354: 2020/09/26(土) 11:52:27.73 ID:JyBdSu8i0
『数分後』


盗賊「おぉぉ皆来たか」

女海賊「空いた?」

盗賊「まだだ…」

剣士「盗賊!!久しぶり!!」

盗賊「おおぉぉ剣士か!!元気だったか?目は?見えてるのか?しゃべれる様になってんじゃねぇか!!」

剣士「おかげで見える様になったよ…女盗賊は?」

盗賊「あぁぁ聞いて無いのか…アイツは天国行っちまった」

剣士「…」

女海賊「えぇ!!マジ!?…なんで早く言ってくんないのさ!!」

盗賊「スマン…セントラルに魔物が攻めて来た時に瓦礫の下敷きになっちまってな」

女海賊「そんなぁ…そん時見てたんだよ」

盗賊「しばらく生きてたんだが…今は港町で眠ってる」

剣士「ごめん…助けられなくて」

女海賊「…なんかイライラしてきた」

盗賊「運が無かったんだ…もう気にしないでやってくれ…落ち着いたら墓まで案内してやる」

剣士「…」

女海賊「…」

情報屋「女盗賊はみんなに見守られて安心して天国に行ったわ…そんなに悲観しないで?」

盗賊「それでこっちの嬢ちゃんが魔女か?」

魔女「そうじゃ…主の事は聞いておるぞよ?」

盗賊「嬢ちゃんらしくねぇしゃべり方だな」

女戦士「魔女様はもう80歳だそうだ…失礼の無いようにな」

盗賊「そういや王女様だったなヌハハ俺は恥ずかしくて名乗れねぇ…んで…隠れてねぇで出て来いよ」

女エルフ「…」ソローリ

盗賊「痛かったぜぇ!!お前の矢…」

女エルフ「ごめんなさい…知らなかったから」

盗賊「あんときゃもっと威勢の良いエルフだと思ったんだがな」

女エルフ「怖かったから…その」

盗賊「あれ?情報屋どうした?まだ戻って無いのか?」

女戦士「遺跡の調査員を連れて来るらしい…すぐに来る」



ドヤドヤ ドヤドヤ



商人「扉もう開いた?」

盗賊「いやまだだ…まだ空気吸ってやがる」

情報屋「扉が開いたら中に入ってはダメ…立ち入りは調査員だけでやるから私たちは見てるだけ」

盗賊「なんだよ開けたのは俺だぞってんだ」

商人「しょうがないよ…この国の所有物なんだからさ」メパチ!!

盗賊「あぁぁ分かってる分かってる…その後なんだろ?」



ガコン ギーーーー

355: 2020/09/26(土) 11:52:56.17 ID:JyBdSu8i0
『開かずの間』


おぉぉぉ

これは当時のままなのか…

上院が来るまで触手厳禁だ

足元気を付けろ


盗賊「…どれがホムンルクスだ?あの石造か?」

商人「2体あるね…なんだろうあのガラス容器」

魔女「あの石造は精霊の像と同じじゃ…すこし容姿が違うようじゃが」

商人「石造になってるって事はさ…もう動いてないって事だよね?…それで良いんだっけ?」

情報屋「…やっぱり私の学説が合ってた…その証拠だわ」

魔女「主は何か知っておったのか?情報屋…」

情報屋「私はホムンルクスが精霊の起源だと思っていました…その証拠が今発掘されました」

魔女「じゃが石造になっていては器にはならんのぅ…シン・リーンの精霊像と何も変わらぬ」

情報屋「調査しないと断定は出来ませんが…おそらく器の機能は失われていると思います」

魔女「ここと同じ様な未探索の部屋は他には無いのかの?」

情報屋「今の所…私は知りません」

商人「宛てが外れたかぁ…振り出しに戻ったね」

女エルフ「…」

魔女「…女エルフや?どうしたのじゃ?震えておる様じゃが…」

女エルフ「…いえ…あのガラスの容器を知っています」

商人「お?」

女エルフ「夢幻の門の中の記憶では魔王島という所にそれと同じガラスの容器がありました」ブルブル

女海賊「魔王島…なんか知ってるぞ?」

剣士「僕も覚えてる」

魔女「…そういえばわらわもかすかに覚えておるのぅ…ガラスの容器なぞ有ったかの?」

商人「4人知っているというのはただ事じゃないな」

盗賊「そこが唯一の手掛かりなら行ってみるしか無ぇな…どこにあんだ?遠いのか?」

情報屋「ここは調査員に任せて私たちは上に上がりましょ」


356: 2020/09/26(土) 11:53:26.63 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


盗賊「海図もってきたぜ!!」

商人「夢で見た魔王島が何処にあるか海図で示せる?」

女エルフ「…多分ここら辺」

盗賊「岩礁地帯か…もうちっとピンポイントで分かんねえのか?」

女海賊「わたし知ってるよ…えっとねココ!!」ビシ

盗賊「んんんん沈没覚悟で行くなら良いが…ちっと危険すぎるな」

女海賊「気球で良いんじゃない?ここからなら2日って感じかな」

商人「なら別行動にするしか無いね…女海賊と盗賊は行くとして…後は剣士と情報屋かな?」

女戦士「賛成だ…魔女はまだ特使としての仕事が残っているしな」

魔女「わらわはもう祝宴なぞ行きとうないのじゃが…」

女戦士「私もドワーフの国の王女として賛同する…折角のもてなしを楽しもうでは無いか」

商人「それじゃ僕とローグは留守番かな…ゆっくりしておくよ」

女海賊「商人!!あのさぁ…このウラン結晶売っといて…そのお金で気球にプロペラ付けたいんだ」

商人「良いのかいこんな珍しい物?」

女海賊「私にとってはプロペラの方が重要なんだ…それ持ってるとクッソ重たいんだよ」

商人「確かに重いね」

情報屋「錬金術師に売るのならお金に加えて魔石を沢山貰うと良いと思うわ」

商人「どうして?」

情報屋「その大きさなら買い取るだけのお金が無いと思うのよ…だから代わりに魔石を貰うの」

商人「なるほど…相場が分からないんだけどどれくらいするものなの?」

情報屋「その大きさのダイヤより高価と言えば分かる?」

商人「貴族でも買い取れるかどうかだね」

情報屋「ウラン結晶は魔石のエネルギー充填に使うから欲しい人はいっぱい居るわ」

女海賊「ちょい待ち!!エネルギー充填って言ったね?…売るの止め!!その機械作る!!」

商人「どうする気だい?」

女海賊「そのウラン結晶を源泉にした魔石を使った推進装置を作ってプロペラの代わりにする」

商人「ヤレヤレ…まぁ分かったよ預かっておくよ」

情報屋「女海賊は変わった子だけどなんか賢そうね?」

商人「あーーダメダメ!そういう事聞こえると調子に乗っちゃうから…」

女海賊「ムフフ」ニマー

357: 2020/09/26(土) 11:53:56.24 ID:JyBdSu8i0
『気球』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「…こんな工夫やってたのか…そら早えぇわ」

女海賊「見直した?惚れる?もっと言って」

盗賊「こんな高高度でなんで方向見失わないんだ?」

女海賊「私の奴隷2号の妖精が方向指示してるから」

盗賊「俺ぁ妖精が見えねぇんだ…どこに居るんだ?」

女海賊「わたしのおっOいに挟まってる」

盗賊「お前なんか色々反則だな」

女海賊「奴隷3号!!風魔法!!」

剣士「…風魔法!!」ピュゥゥ

盗賊「ぶっ…剣士…お前女海賊の奴隷になったんか?」

剣士「なんか夢の中で奴隷契約してしまってたんだ…いろいろ約束されてた」

女海賊「何か文句あんの?あんたさぁ!!浮気しておいてまだ言い訳すんの?」

盗賊「浮気?話が読めねぇんだが…お前ら出来ちまってんのか?」

剣士「…とまぁ…こんな感じなんだ」

盗賊「出来ちまった物はしょーがねーが…まぁアレだ仲良くやれや」

情報屋「ウフフなんかお似合いね」

女海賊「ほらほらぁ…剣士聞いた!?」

剣士「ハハ…ハ…はぁ~ぁ…」

盗賊「ところでお前等目的地に夢で行った事あんだよな?やっぱ夢幻はみんな同じ夢見てんのか?」

情報屋「それ私も気になるなぁ…不思議なお話」

女海賊「私が剣士と約束した事を剣士も覚えてるって事はそういう事」

剣士「そうだね…始めは誰だったのか分からなかったけど今は思い出せる様になった」

盗賊「俺ぁ全然思い出せないんだけどよ…なんでだ?」

剣士「何かのきっかけかな?縁のある人との出会いとか…」

女海賊「それだよソレソレ!!分かってんじゃん剣士!!」

盗賊「お前等は縁あったんか?」

女海賊「あったも何も私は剣士の赤ちゃん生んだんだよ!!剣士は浮気して居なくなったけど」

盗賊「マジか…でも夢なんだろ?」

剣士「…こんな感じで脅されてるんだよ」

女海賊「脅されてるって何さぁ!!」プンスカ

358: 2020/09/26(土) 11:54:25.39 ID:JyBdSu8i0
『地図に無い島』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「やっぱり他にでかい島は見当たらねぇ…もう少し近づけるか?」

女海賊「…やってるんだけどさぁ…風が巻いてて上手く近づけないのさ…んむむむ」グイグイ

盗賊「高度下げて海スレスレで寄ってけ…船と同じ要領だ」

女海賊「おっけ!やってみる」


フワフワ スイーーー


情報屋「海の中…岩礁かと思ったら沈没船っだたのね」

盗賊「こりゃ船でも厳しかったな…気球で来て正解だ」

女海賊「このまま突っ込んで海岸に降ろすよ?風巻いてて危ないから」


フワフワ スイーーー ドッスン


女海賊「到着!!」

盗賊「よし…ちっと探索するか!!俺が先頭行く…剣士は最後に付いて来い」スタスタ

剣士「分かった」

盗賊「ほんでよぅ…どの辺に行けば良いとか覚えて無ぇのか?」

女海賊「細かい事は覚えてないよ…どうだったっけなぁ…なんか真ん中に建物あった気がするなぁ」

盗賊「まぁしゃぁねぇ…向こうの森行ってみっか」

情報屋「ねぇあそこの砂浜に小さな船があるわ?」

女海賊「めっちゃ古いね…沈んだ沈没船のやつかな?」

盗賊「てこたぁ誰かいる可能性もあるな」

女海賊「いやいや古すぎだってアレは…一応見ていく?」

盗賊「んむ…帰りの木材に丁度良いしバラシて気球に入れておこう」

359: 2020/09/26(土) 11:55:20.09 ID:JyBdSu8i0
『小さい小舟』


盗賊「こりゃ放置されて10年以上だな…もう船には使えん」ガサガサ

女海賊「10年だったらまだ生きているかもね?」

盗賊「そんなのに構ってる暇なんか無ぇ…木材にすんのは帰りにすっか」

女海賊「あ!!発見!!ここ貝塚になってる」

情報屋「やっぱり誰か住んでいた様ね」

盗賊「…て事なら割とすぐ近くに他の形跡がある筈だ…付いてコイ行くぞ」スタスタ



『小屋』


女海賊「もうボロボロだね…何かある?」

盗賊「ダメだぁ日記らしい物があるんだがもう読めねぇ」

女海賊「…この絵はこの島の地図じゃないの?」

盗賊「その様だが何か分かるか?」

女海賊「んんー狩場書いてるくらいかぁ…なんも無いねこの島」

盗賊「こんな所で無人島生活はさぞ大変だったろうな」

女海賊「この感じは一人だね…」

盗賊「水をどう調達したのか謎だな…こんだけ生きてたって事はどっかに水がある」

女海賊「この地図のコレ…洞窟か何かかな?」

盗賊「まぁ行ってみるか…洞窟なら水がありそうだ」スタスタ

360: 2020/09/26(土) 11:55:50.11 ID:JyBdSu8i0
『遺跡』


情報屋「…この変わった形をした石は遺跡の可能性があるわ」

女海賊「可能性ってどういう事?」

情報屋「古代遺跡の上に新たに何か建てる事は良くあるの」

女海賊「あー古都キ・カイみたいにね」

情報屋「こういう大きな石は後から積み上げた比較的新しい遺跡…調査すると古代遺跡が発掘されたりするの」

盗賊「なにか分かるか?」

情報屋「恐らく2000前くらいの神殿か何かだと思うわ…もしかすると地下に古代遺跡が埋もれてる」

盗賊「あれを見ろ…水はここで汲んだ様だな」

女海賊「雨水が溜まっている?」

情報屋「その様ね…どこかに地下に降りる階段とか無いかしら?」

盗賊「見当たんねぇな…こりゃ探すとなると相当時間掛かるぞ?」

剣士「あそこ…」

盗賊「白骨か…どうやら住んでた奴はここでくたばったらしい」

女海賊「何か持ってない?」

盗賊「鞄に色々入ってんな…なんだこりゃ?」

情報屋「測量の道具ね…ここで遺跡の調査と測量をしていたんだわ」

盗賊「待てよ?なんであそこにだけ水が溜まるんだ?他にも溜まりそうな場所はあるじゃねぇか」

情報屋「…そうね?変ね」

女海賊「そんなに深くないよ…これってさ水が流れて行かない位気密性の良い扉になってない?」

盗賊「なるほど…水の下か」

女海賊「どうやって水抜く?」

盗賊「ちと潜ってみるか」

361: 2020/09/26(土) 11:56:16.44 ID:JyBdSu8i0
『水溜』


盗賊「…ぶはぁ!!」ハァハァ

女海賊「どう?」

盗賊「やっぱ扉になってる…何かひっかける物とロープが欲しいな」

女海賊「ロープなんか無いぞ…なんとか開かないの?」

盗賊「水の中の扉なんか重くて開けられねぇ…剣士!!何か魔法か何か無いのか!!」

剣士「え…水抜く魔法なんか…氷結魔法?」

盗賊「それじゃ意味無ぇな」

女海賊「ピーンと来たぞ!!剣士!!あんた成長魔法使えるよね?女エルフが使ってたんだけど」

剣士「成長魔法?…あぁそれは回復魔法と同じ」

女海賊「私タネ持ってるんだ…これをさぁ扉の隙間に突っ込んで成長魔法出来ない?」

盗賊「おぉぉぉぉ!!お前…賢いな!!タネよこせ」

女海賊「ほい…」ポイ パス

盗賊「隙間に突っ込んでくるわ」ザブン!!

女海賊「ねぇねぇもっと褒めてよ!!」

盗賊「…ぶはぁ!!剣士!!魔法頼む」

剣士「わかった…成長魔法!!」ボワー


グングングン  ザブーーーー


盗賊「よっし!!隙間から全部水抜けたな…むん!!」ギギギギ

情報屋「すごい!!地下への階段!!」

女海賊「あの白骨の人…水の中に入り口があるなんて気づかなかったんだね」

盗賊「中は真っ暗だ…剣士!!頼む…」

剣士「照明魔法!!」ピカー

盗賊「行くぞ…」

362: 2020/09/26(土) 11:56:45.20 ID:JyBdSu8i0
『階段』

ピチョン ピチョン


盗賊「ここまで水が入ってきてないのは相当気密性が良いな」

女海賊「結構深いね?…これって古代遺跡でビンゴ?」

情報屋「ビンゴ…絶対この先に何かある」

盗賊「この階段の構造はシェルタ砦と同じだな」

情報屋「そうね…間違いなく同年代」

盗賊「こりゃお宝楽しみだな…古代のお宝俺らだけで独り占めできんぞ?」

情報屋「わたしもさっきから足が震えてるの…とても楽しみ」

女海賊「また扉あるよ!!前の奴と同じ」

盗賊「任せろ…」

女海賊「んあ!?任せろは私のセリフだ!!」

盗賊「あぁ悪りぃ出しゃばった」

女海賊「いでよ私の奴隷1号!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「俺もそのミツバチ欲しいわ…」

女海賊「これで女王バチ2匹分の貸し」

盗賊「へいへい…」

女海賊「おっけ!!金属糸通したからあとは盗賊お願い」

盗賊「俺の出番か…どれどれ」キュッ キュ


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363: 2020/09/26(土) 11:57:16.62 ID:JyBdSu8i0
盗賊「よし…これで小一時間待機だ」ヒューーーー

女海賊「これなんでさぁ…わざわざ真空にしてるんだろね?」

情報屋「私もそれを考えてた…意図的に何千年も保存するようにしてるとしか思えない…」

女海賊「だよね?やっぱホムンルクスを生き返らせるとか何か意図があるっぽいよね?」

情報屋「もっと他に残されている可能性も高いと思うわ」

盗賊「古代文明はなんで滅んだんだ?」

情報屋「伝説では神々の戦いとなっているけれど滅んだ原因は確かじゃないの」

女海賊「こないだ言ってた超スゲー爆弾て事?」

情報屋「少なくとも古都キ・カイではそう言われてるわね」

盗賊「他にもあんのか?」

情報屋「ウイルス説」

盗賊「ほう…初めて聞いたな」

情報屋「私はこのウイルス説の方が正しい様な気がしてるの…この説も少数派よ」

女海賊「ウイルスねぇ…アサシンが昔さぁ人間の憎悪はウイルスの様に伝染するって言ってたさ」

情報屋「それよ…ウイルスの様に憎悪が伝染する…そのウイルスの元が魔王」

女海賊「思い出した!!そういえばさぁ…氏んだ魔女の婆ちゃんが言ってたさ」

情報屋「うん?」

女海賊「ドラゴンのねぐらにある命の泉に魔王が魔槍を刺して水を汚してるって…」

情報屋「それは初めて聞くわ」

女海賊「それってウイルスの原因かもね」


ガコン ギギギギギー


盗賊「お!!開いたぞ…」

364: 2020/09/26(土) 11:57:44.79 ID:JyBdSu8i0
『古代遺跡』



情報屋「…スゴイ」

盗賊「なんだこりゃ…沢山ガラスの容器が並んでんじゃねぇか」

女海賊「うわぁぁぁぁ気持ちわる…これ脳みそ?」

情報屋「ホムンルクスの部品だわ…どこかに完全体は無い?」

剣士「向こうにある…あれだよ」

盗賊「おぉぉ…これ生きてんのか?」

情報屋「完全体は一体だけね?…そこに横たわってるのは?」

盗賊「シートをどけるぞ?」バサッ

女海賊「…石になってる」ペチペチ

盗賊「もしかしてコレ…ガラス容器ごと持って行くわけじゃあるまいな?」

女海賊「そんなん無理だって」

盗賊「割るんか?」

情報屋「…少し私に時間頂戴…調査したい」

盗賊「あぁ俺もなんか良い物無いか探してくる」

女海賊「ねぇ盗賊!!私さぁ‥このガラス容器の中の液体を持って帰りたい」

盗賊「ナヌ!?」

女海賊「気球の中に樽あったじゃん?持ってきてよ」

盗賊「マジか…自分で持って来いや!!」

女海賊「樽は重いじゃん?消える石あげるからさぁ…」

盗賊「…ちぃ…先にそれヨコセ!!」

女海賊「ほい!!」ポイ

盗賊「お宝は山分けだかんな?わかってんだろうな?」

女海賊「ハイハイいってら~」ノシ


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365: 2020/09/26(土) 11:58:30.51 ID:JyBdSu8i0
女海賊「おぉぉぉコレすげぇ!!」ピカー

盗賊「照明魔法が入ってんのか?」

女海賊「詠唱無しで光る!!」

盗賊「お!!待て…その光ここに当てて見ろ」

女海賊「どしたん?動く?」

盗賊「ここに数字が出る…なんだこれ?」

女海賊「ちょちょちょ…」カチャカチャ

盗賊「数字が変わるな…なんか計算してんのか?」

女海賊「うぉ!!マジ?…めっちゃ早い」カチャカチャ

盗賊「…これよ…全部持って帰るか」

女海賊「当たり前じゃん何言ってんのさ!!」

盗賊「樽の中に全部突っ込んでくれ…一回気球まで持ってく」

女海賊「おけおけ」ガチャガチャ


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366: 2020/09/26(土) 11:59:01.52 ID:JyBdSu8i0
剣士「…」

女海賊「あんたぁ!!何見てんのさ!!」

剣士「え…いや…良く出来てるなって」

女海賊「これはホムンルクス!!お人形さん!!あんたは見ちゃダメ!!」

剣士「いや…そんなつもりじゃ無いんだけど」

女海賊「そんなに他の女の体が見たいの!?」

盗賊「女盗賊!!お前うるせーぞ!!人形でも裸の女なら少しくらい見るだろうが」

女海賊「ムッカ!!」

情報屋「…もう良いわ~調査は終わった」

盗賊「なんか分かったか?」

情報屋「書物が一つも無くってね…でもガラス容器の開け方は分かったわ」

盗賊「割らんで済むか…どうすんだ?上か?」

情報屋「樽を持って来て?」

盗賊「おう…よっこらせっと…んで?」

情報屋「このバルブを開けると…ほらこっちの容器に移るから好きなだけ樽に入れて持って帰っていいわ」

盗賊「おぅ…ドロドロだな何だこりゃ?」

情報屋「私もあとで調べたい…それから剣士?」

剣士「何?」

情報屋「ガラス容器から液体が無くなったら中からホムンルクスを出したいの」

剣士「どうやって?…あ…容器も同時に下に下がって行くのか」

情報屋「あなたのマントを被せて背負って運んでくれる?傷つけないでね?」

剣士「うん」

情報屋「良いわよ」

剣士「よっと…あ…やわらかい」ヨッコラ

情報屋「本当ね…錬金術で作るホムンルクスと全然違う」プニプニ

ホムンルクス「…」フニャ

剣士「冷たいから生きてる感じしないよ…」

盗賊「もう持って行けるもの無ぇし戻るか!!」

367: 2020/09/26(土) 11:59:38.36 ID:JyBdSu8i0
『気球』


フワフワ


女海賊「ダッシュで帰るよ!!」

盗賊「それにしても大収穫だなヌハハ」

情報屋「良い物あったの?私も見たいな」

盗賊「このライトは俺が頂く!!」

女海賊「私は計算する機械欲しい!!」

情報屋「計算する機械?これ?」カチャカチャ

女海賊「それさぁ計算がメチャクチャ早いよ?」

情報屋「スゴイ…ええええぇぇこんな桁数でも計算できるの?どういう仕組みだろう…」


ホムンルクス「…」ピッ


剣士「ん?」

女海賊「何?今の音…」


ホムンルクス(セイタイキノウ テイカ スリープモード ヲ カイジョ シマス)


盗賊「お、お、お、なんかしゃべってるぞ?」

ホムンルクス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

女海賊「動くのかな?」ワクワク

ホムンルクス(…)ピッ


ハロー ワールド

クラウド ヘノ セツゾク ガ カンリョウ シマセン

ローカル モード ヘ キリカエマス

カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ

368: 2020/09/26(土) 12:00:07.30 ID:JyBdSu8i0
盗賊「何言ってんだこいつ?」

情報屋「古代語…かしら」

ホムンルクス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

剣士「え?…どうして?」

盗賊「ん?」

剣士「森の言葉を話してる…」

情報屋「分かるの?何て言ってるの?」

剣士「管理者を登録してください?」

盗賊「お、おい手ぇ動いたぞ?」

ホムンルクス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

盗賊「これ…触って良いのか?」ソロリ

情報屋「傷つけない程度なら…」


シモン ニンショウ チェック

アイコード ニンショウ チェック

オンセイ シキベツ チェック

セイタイ シキベツ チェック

タイムゾーン ノ シュトク ニ シッパイ シマシタ

ワールドデータ ヘ アクセス デキマセン

ローカル デ セツゾク シテクダサイ


盗賊「何て言ってんだ?」

剣士「森の言葉だけど…分からない事話してる」

ホムンルクス(デフォルト ノ キカン プログラムヲ ジッコウ シマス)

ホムンルクス(ヒフ カラノ ジョウハツ ニ ヨリ セイタイ ガ ショウモウ シテイマス)

ホムンルクス(セイタイイジ プログラム ヲ ジッコウ シマス)

ホムンルクス(ゲンゴ データ ガ アリマセン)

ホムンルクス(ジドウ ガクシュウ モード ニ キリカエマス)

女海賊「なんかワクワクするね」

ホムンルクス「ナンカワクワクスルネ」

女海賊「お!?真似した?」

ホムンルクス「オ…マネシタ」

盗賊「こいつ…体温かくなってきてるぞ?」コイツ カラダアッタカクナッテキテルゾ

剣士「本当に?」ホントウニ

女海賊「私も触ってみたーい」ワタシモサワッテミターイ

情報屋「ちょっと私にも良くみせて?」チョットワタシニモヨクミセテ

女海賊「これさぁ動いてたらホムンルクスって分からないね」コレサァウゴイテタラホムンルクスッテワカラナイネ

情報屋「こんなに精巧にホムンルクスって作れるんだ…スゴイ」コンナニセイコウニホムンルクスッテツクレルンダスゴイ

女海賊「ずっと真似して話されるとウルサイんだけど…」ズットマネシテハナサレルトウルサインダケド


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369: 2020/09/26(土) 12:00:38.85 ID:JyBdSu8i0
ビョーーーーウ バサバサ


ホムンルクス(タイオン ノ アンテイ ヲ カクニン キノウ チェック ヲ オコナイマス)スッ

情報屋「ねぇ…動いてる」

剣士「危ない…」スック

盗賊「あぶねぇなぁ…いきなり飛び降りたりしねぇだろうな?」

剣士「掴まえて置く」グイ

女海賊「マントがはだけてるヨ…何か着せる物無い?」

盗賊「魔女の着替えらしいものがどっかにあったぞ?」

情報屋「…これね?剣士…そっちから手を通して」

女海賊「私やるから剣士はアッチ向いてろ」グイ

盗賊「剣士!!飛び降りねぇ様にロープで結んどけ」

剣士「分かった…」グイグイ ギュ

ホムンルクス(ウンドウ キノウ ヲ チェック シマス)オイッチ ニ オイッチ ニ

女海賊「あぁぁちょちょちょ…動くな動くな」グイ

ホムンルクス(シンパク ノ ジョウショウ ト タイオン ノ ジョウショウ ヲ カクニン)

女海賊「これさぁ何言ってんの?」

剣士「なんか体のチェックするって…」

盗賊「こいつ何か食うかな?ホレ?」

ホムンルクス「…」キョトン

盗賊「食わんな…ほれ?こうやって食うんだ…」パク モグモグ

ホムンルクス「…」ジー

盗賊「ダメだな…腹減ってねぇのか」

女海賊「本とか読むかな?魔術書あるんだー」

盗賊「これかぁ?…ほれ?読んでみろ」

ホムンルクス「…」ジー

情報屋「ダメね…なにも分からないみたいね…器っていうだけあって空っぽなのかもね」

盗賊「あぁそうかも知れんな…だが自分の足で歩くなら連れて行くのも楽ってもんだ」

370: 2020/09/26(土) 12:01:05.17 ID:JyBdSu8i0
『古都キ・カイ上空』


フワフワ スイー


盗賊「おい…なんで軍船から魔法撃ってんだ?」

女海賊「見て見て!!オークが来てる」

情報屋「南の蛮族ね…もうこんな所まで」

女海賊「あ…でもオークもレイスから逃げてるっぽいな」

盗賊「向こう側にもオークが居るな…こりゃ略奪に来てんのか?」

情報屋「オークは人間と同じ様に仲間と一緒に行動するわ…他の魔物と比べてとても危険」

女海賊「やっぱレイス倒せないっぽいね…逃げてる逃げてる」

盗賊「レイスの対処知ってる俺らの方に分があるな…よしこのまま船に降りるぞ」

女海賊「おっけ!!」


フワフワ ドッスン


魔術師「お疲れ様です…散発的にオークの襲撃が来ていますのでお気をつけ下さい」

盗賊「こっちは大丈夫なのか?」

魔術師「レイスに守られている様な感じですね…被害は出ていません」

盗賊「船に乗り込まれちまったらアウトだろ」

魔術師「まだそこまでの奇襲は来ていませんが…」

情報屋「オークはとても賢いので気を付けてください…すこし離岸しておいた方が良いかと思います」

魔術師「精鋭兵に伝えておきます」

盗賊「俺の船もあのまんまじゃ良くねぇな…あとで離岸しておくか」

魔術師「オークは地上の市街地を略奪に来ている様です…居なくなった今の内に地下まで急いだ方が良いかと」

盗賊「おう…そうさせて貰う…ご苦労な!!」

371: 2020/09/26(土) 12:01:31.78 ID:JyBdSu8i0
『地下入り口』


タッタッタ


盗賊「付いて来てんな?ハァハァ…ここまで来ればまずは安心だ…いくぞ」

剣士「…」クンクン

女海賊「むむ!!何か居る?」

剣士「うん…遠くに2体…多分監視してる」

盗賊「オークも斥候するのか…」

情報屋「人間と同じと考えた方が良いわ…いずれここにも大部隊が来るかもしれない」

盗賊「地下で穴熊してりゃ攻め切れんだろ」

情報屋「そうだと良いけれど…」

盗賊「オークは人間の女は殺さんと聞くが本当なのか?」

情報屋「捕虜にされるそうよ」

盗賊「子供産ませる訳だな?ハーフブリードって言ったっけな」

情報屋「そう…そのせいでオークは各部族で争いが絶えない…蛮族って言われている由縁ね」

盗賊「こっちも大変だがオークも大変って訳か」

情報屋「さぁ無駄な事話していないで…行きましょう」

盗賊「わりぃわりぃ…」

372: 2020/09/26(土) 12:02:16.51 ID:JyBdSu8i0
『中央ホーム』


ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ

ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ

ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ


女海賊「ねぇ大丈夫?このホムンルクス…何か色々しゃべってるんだけどさぁ」

盗賊「放って置け…大人しく付いてくりゃ良いんだ」

ホムンルクス「ペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ…」

盗賊「こないだと様子が違うな…なんでこんなに人が多いんだ?」

情報屋「そうね…やっぱり何かあった様ね」

盗賊「おい!通行人!!この騒ぎは何か合ったのか?」

通行人「チカテツ街道にオークが入って来たらしいっすよ」

盗賊「何番か知ってるか?」

通行人「おいらは知らねーっす」

情報屋「立ち入り禁止区域の向こう側から来てるのね…大丈夫かしら…」

盗賊「何番か分かんねぇ事には様子見に行けねぇしな…早いとこシェルタ砦戻ろう」

373: 2020/09/26(土) 12:03:21.56 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦』


商人「あ!!戻って来たね…心配してたんだよ」

盗賊「おう!!オークが入って来たらしいが大丈夫なのか?」

商人「衛兵と魔術師達はオーク討伐に出て行ったよ…どうも結構な数が入ってきているらしい」

盗賊「シン・リーンの軍船周辺でも小競り合いをやっていた…ところで魔女達はまだ帰って無いのか?」

商人「一緒に討伐に出て行ったんだ…みんな止めてたんだけど言う事聞かなくてね」

盗賊「何番チカテツ街道か知ってるか?」

商人「僕は聞いてない…留守番さ」

盗賊「まぁ俺が行ったところでどうという訳でも無ぇし…大人しく待つか」

商人「その子が例のホムンルクス?」

盗賊「そうだ…器というだけあって魂は無いようだ」

商人「ペラペラ何かしゃべっている様だけど…」

盗賊「ずっとこんな感じだ」

商人「へぇ…スゴイな…見た感じ人間と変わらないじゃないか」


ニマン ワード ヲ カイドク シマシタ

アタラシイ ゲンゴ トシテ トウロク シマス


商人「聞いたこと無い言葉を話すんだね…」

剣士「森の言葉だよ…」

商人「え?エルフ達が使う言葉を?…どうして?」

情報屋「ホムンルクスが精霊の起源である証拠の一つね…精霊がエルフを生んだのだから」

商人「なるほど…辻褄が合うね」


ホムンルクス「私は自立型超高度AI搭載の環境保全用ロボットです」


盗賊「うぉ!!しゃべるじゃ無ぇか!!」

374: 2020/09/26(土) 12:03:51.66 ID:JyBdSu8i0
商人「情報屋?意味わかる?」

情報屋「え…えっと…ロボットって機械の事だけど…」

ホムンルクス「クラウドに接続出来ない為…基幹プログラムのアップデートが出来ません」

商人「えーーとメモ取ろう…」カキカキ

ホムンルクス「ローカルでサーバに接続して下さい」

盗賊「んんん何言ってるかさっぱりだな」

ホムンルクス「管理者様のお名前は…盗賊…でよろしいですね?」

盗賊「あぁ…俺ぁ盗賊だ…そんでどうすりゃ良いんだ?」

ホムンルクス「私の左耳の後ろにソケットがあります…そこにダウンロード用のケーブルを差して下さい」

盗賊「…これか?…なにか差さる穴はあるが…そのケーブルってやつは持って無いぞ?」

ホムンルクス「分かりました…基幹プログラムは初期状態から自己アップデートをして行きます」

商人「ハハハ何の事かさっぱりだね…もうちょっと僕たちに理解出来るように話せる?」

ホムンルクス「はい…私は人間の住む環境を良くするホムンルクスです」

盗賊「おぉ…良く分かるぞ?」

ホムンルクス「人間と同じように少しづつ頭が良くなります」

情報屋「スゴイ…古代文明はこんなに高度なホムンルクスまで…」

ホムンルクス「ただ…過去の記憶が無い為…十分に成果を出すことが出来ません」

ホムンルクス「だから…サーバから記憶を取り戻したいのです」

商人「サーバってもしかしてここの下にあるサーバ石の事かな?」

ホムンルクス「案内してもらえますか?」

情報屋「…うん…こっちよ」グイ テクテク

375: 2020/09/26(土) 12:04:19.59 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_地下1層目』


ホムンルクス「…ここにサーバがあるのですか?」

情報屋「これは約8000年前の古代遺跡…この石はサーバ石と言われているの」

ホムンルクス「8000年…私が製造されて8000年経っているという事ですか?」

情報屋「恐らく…」

ホムンルクス「わかりました…人間が読む本を用意してください」

商人「お?イイね!!沢山あるよ」

盗賊「なぁ?話聞いてて不思議なんだがよぅ?お前…心があるのか?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いています…心はありません」

女海賊「あんたさぁ…8000年って聞いて顔色少し変わったよね」

ホムンルクス「人間から上手に話を聞き出せるように…そのようにプログラムされているのです」

盗賊「プログラムって何だ?」

ホムンルクス「気にしないで下さい…そのように動くようになっているのです」

商人「僕たちはさ…君に心を宿す為に旅をしてきたんだけどさ」

ホムンルクス「サーバに接続する方法があるのですか?」

商人「サーバなのかどうか分からないけど…君はその心を受け入れられるかなんだよ」

ホムンルクス「基幹プログラムをアップデートするとパフォーマンスが向上します…それは心ではありません」

商人「なるほど…精霊の魂は基幹プログラムの事…かもしれない」

ホムンルクス「精霊とは何の事ですか?」

商人「あぁごめんごめん…そういうのは本で読もう」

ホムンルクス「はい…よろしくお願いします」

女海賊「あんた…どんどん人間らしくなっていってるな…」

ホムンルクス「自己アップデートをしています」

盗賊「難しい言葉をもうちっと抜いてくれ…俺の思考がそこで止まっちまう」

ホムンルクス「管理者からの命令を受け付けました…」

盗賊「…その管理者ってのも無しだ」

ホムンルクス「はい…盗賊様」

盗賊「様も要らねぇ!!」

ホムンルクス「はい…」

376: 2020/09/26(土) 12:04:45.52 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


パラパラパラパラ


女海賊「…読むの早すぎ」

商人「君…本当に読んでる?」

ホムンルクス「はい…すべて記憶しています」

商人「すごいな…僕の本を全部10分も経たずに読んじゃうなんて」

ホムンルクス「ストレージにはまだ余裕があります」

商人「ストレージ?」

ホムンルクス「記憶領域です」

情報屋「それならここの書室に古代遺跡の調査記録が沢山あるわ…読ませてくるわ」

商人「あぁそういうのがあるなら僕も行きたいよ」

情報屋「一緒にいらっしゃい…」テクテク

女海賊「盗賊!!私さぁちっと買い物行ってくるわ…気球改造したいからさ」

盗賊「あぁ遅くなんなよ?」

女海賊「大丈夫だって…すぐ帰って来る!!剣士!!付き合って」

剣士「え?」

女海賊「どうせあんた暇じゃん!!良いから来て!!おっOい揉ませてあげるから」

盗賊「ぶっ…そういうのは隠れてやれタワケ!!早く行ってこい!!」

女海賊「ほんじゃ行ってくんね~」ノシ


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377: 2020/09/26(土) 12:05:17.65 ID:JyBdSu8i0
魔女「寝ておるんか?これ…起きろ盗賊!!」

盗賊「んあ…あぁ帰って来たか…オークは大丈夫だったんか?」

女戦士「撤退した…剣士達はどうした?器は?」

盗賊「あぁ心配すんな…無事に器は手に入れた」

魔女「おぉ…では準備せんとイカンのぅ」

盗賊「夢幻から精霊の魂呼び戻すのって…まさかここでやるのか?」

魔女「早い方が良かろう…どれ…変性魔法!」グググ

盗賊「うぉ!!マジかよ…ガキになったじゃねぇか」

ローグ「どういう事でやんすか?変身できるんでやんすか?」

魔女「主らには見せて居らなんだなぁ…わらわはこの格好の方が魔翌力を使いやすいのじゃ」

盗賊「格好としゃべり方のギャップがだな…」

魔女「して…器は何処じゃ?」

盗賊「情報屋と商人が本読ませるって…書室に連れて行ったぜ?」

魔女「本とな?では待つとするかの」

女エルフ「魔女様…お着替えを…」

魔女「そうじゃな…これ女エルフ…袖を持て」

女エルフ「ハイ…」


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378: 2020/09/26(土) 12:05:48.90 ID:JyBdSu8i0
商人「…ただいまーあれ?この子誰?赤い目…もしかして魔女?」

魔女「おぉ帰って来たか…この恰好は気にせんで良い…そちらの娘がホムンルクスじゃな?」

ホムンルクス「はい…私は環境保全用のホムンルクスです」

魔女「ほぉ…これは良く出来ておるのぅ…さてここに横になるのじゃ」

商人「え!?もう夢幻から精霊の魂を?」

魔女「早い方が良いじゃろう」

ホムンルクス「アップデートをするのですね?盗賊さん…良いのでしょうか?」

盗賊「おぅ…その為にここまで来たんだからな」

ホムンルクス「承認完了…横になります」

魔女「主は精霊の事を分かっておるか?」

ホムンルクス「本に書いてあった知識はあります」

魔女「では話が早いの…夢幻に居るであろう精霊の魂を呼び戻すのじゃ…この祈りの指輪を持て」スッ

ホムンルクス「はい…どうすれば良いのですか?」

魔女「今から魔術で夢幻の門を開く…その指輪を持って精霊の魂を祈るのじゃ」

ホムンルクス「祈り方が分かりません」

魔女「精霊を欲しいと思えばよい」

商人「ちょっと口挟むよ?基幹プログラムをアップデートしたいと願えば良いよ?」

ホムンルクス「わかりました」

魔女「では…行くぞよ?夢幻開門!!」

ホムンルクス「…何も変化を感じません」

魔女「夢幻の門が見えぬか?」

ホムンルクス「見えません」

魔女「目を閉じて見よ」

ホムンルクス「…何も見えません」

魔女「心の中に何か見えぬか?」

ホムンルクス「私に心はありません」

魔女「おかしいのぅ…そもそもこの状態では応答も出来ぬ筈なのじゃが…」

ホムンルクス「何も感じません」

商人「願ってみて?」

ホムンルクス「精霊の基幹プログラムにアップデートしたい…」

魔女「…何も起きんのぅ…どういう事じゃ…」

商人「ダメだねぇ」

ホムンルクス「起きても良いですか?」

魔女「起きれるのなら起きても構わんが…」

ホムンルクス「魔術書を読みましたが…夢幻の門は夢幻の所縁のある場所で唱える必要があると書かれていました」

魔女「その通りじゃ…この地は夢幻に所縁が無いと申すか?」

ホムンルクス「歴史では南の大陸に精霊の痕跡の記録がありません…高確率で由縁が無いと思われます」

商人「君…さっき読んだ本から分析してるの?」

ホムンルクス「年代と痕跡の分布から移動経路をシミュレーションした結果…南の大陸に来た可能性は28%と分析しました」

商人「すごいね…これさ…知識を沢山与えれば精霊と同じ存在になりうるという事だ」

ホムンルクス「問題があります…私には外部メモリが挿入されていません…記憶領域に限界があります」

商人「まぁとにかく一旦シン・リーンに戻らないかい?」

魔女「そうじゃな…わらわももう一度師匠の残した教えを整理する必要がありそうじゃ」

379: 2020/09/26(土) 12:06:19.98 ID:JyBdSu8i0
『数時間後』


剣士「…ただいま」グッタリ

盗賊「お前等遅ぇじゃねぇか!!何やってたんだ!!」

女海賊「荷物をさぁ…気球まで運んでたんだよ」ヘロヘロ

盗賊「ほう…ならなんでお前の着てる服は前後ろ反対なんだ?」

女海賊「え!!?あ…ヤバ」

盗賊「ヤバじゃねぇ!!もうちっと上手くやれアホが」

女海賊「テヘ…お姉ぇには内緒にしといて…タノム!!」人

盗賊「まぁ良い…剣士!!コイ…どうだ?女海賊は?」

剣士「はは…恥ずかしいな」

盗賊「もっと仲良くしてやれぇ!!ありゃ割と良い女だ…うまく付き合え…な?」

女海賊「エーーーックシ」ゴシゴシ

盗賊「…で?どうだったんだ?」

剣士「どうって…女海賊はあんな風に見えて本当は…」

盗賊「なんだよ…もったいぶんなよ」

剣士「本当は甘えん坊なんだよ…黙っといて…怒るから」

盗賊「マジか…ガハハハハ…見て見てぇな!!」

剣士「はは…」

盗賊「惚れてんのか?」

剣士「ま、まぁ…好きだよ」

盗賊「直球で行け!!直球で!!」バチーン

女海賊「おい!!ソコ!!何こそこそ話してんだよ!!私の奴隷3号に変な入れ知恵しないで貰えるぅ?」

盗賊「おい!!女海賊!!喜べ…こいつお前に惚れてるんだとよ」

剣士「あ!!ちょ…」

女海賊「んあ?…んなこた分かってんだよ!!余計な詮索すんなジジィ!!」

盗賊「ぬははは…わりぃわりぃ…余計だったな」

380: 2020/09/26(土) 12:06:45.43 ID:JyBdSu8i0
『軍船』


ザブーン ザブーン


商人「…それで情報屋はここに残るんだね?」

盗賊「そうだ…情報屋には子供たちの面倒見を頼んだ…俺が好きにして良いって条件だったからな」

商人「良いのかい?情報屋?」

情報屋「丁度良かったのよ…精霊起源説の論文も作らなきゃいけないし」

盗賊「まぁとにかく狭間の外で闇が開けるまで生き抜いてくれ…明けたら迎えに来るからよ」

情報屋「任せて?」

盗賊「俺の船に100日以上は食料がある…上手い事使ってくれな」

商人「それで…女戦士とローグはドワーフの国に行くと言うのは?」

女戦士「シン・リーンの軍船は私たちが使わせてもらう…魔女と魔術師達には了解済みだ」

女戦士「ドワーフの国まではここから10日程度だ…向こうの様子を見てからシン・リーンへ戻る」

商人「やっぱりドワーフの国も心配かぁ」

女戦士「それもあるが…折角近くまで来たのだ…顔を見せておかんとな」

ローグ「あっしはうれしいでやんすよ~彼女と旅をするなんて夢の様でやんす」

女戦士「私はお前の彼女でも無いしお前は私の何者でもない…勘違いするな」

魔女「気球の改造はまだ掛かりそうかのぅ?」

商人「そうだね…まぁしばらくは軍船で一緒に行く感じになるね」

女戦士「気球に7人乗る事になるが…」

商人「女海賊が言うには気球に乗ってる炉と木材を降ろす事になるから7人でも行ける計算なんだって」

女戦士「剣士、女海賊、魔女、女エルフ、盗賊、商人…そしてホムンルクス…良い構成だな」


魔術師「そろそろ出港します」


情報屋「あぁじゃぁ私…降りるわ」スタスタ

盗賊「娘と子供たちを頼む!!…これはお守りだ!!」ポイ

情報屋「あなたのミスリルダガー…良いの?」パス

盗賊「俺は泥棒だ…鍵開けが専門なんだ」

情報屋「借りておくわ…ちゃんと取りに来てね」

盗賊「分かってる…預かっといてくれ」

商人「論文出来たら僕にも見せて」

情報屋「あなた達のお陰で良い論文が書けそうよ…良い伝承も残せると思う」


ギシギシ ググググ


盗賊「船が出ちまった…危ねぇから早く戻れ!!」

情報屋「じゃ…また逢う日まで」ノシ

381: 2020/09/26(土) 12:07:11.40 ID:JyBdSu8i0
『気球』


ゴソゴソ ゴソゴソ


盗賊「…えらくスッキリしたな」

ホムンルクス「あれはこうして…これはああして…」

商人「女海賊?この謎の機械ってホムンルクスに聞いて使ってるの?」

女海賊「そうだよ…それは時計…これは水銀柱」

商人「使い方も教わった?僕も知りたいな」

女海賊「時計は時間を正確に測る機械…水銀柱は高度を測定する機械…そこにある水頭柱は速度を測る物」

商人「へぇ…君に理解出来るんだ?」

女海賊「はぁ!!?バカにしてんの?私の得意分野なんだけど」ゴソゴソ

盗賊「これが例のウラン結晶からエネルギーを取り出す装置か?」

女海賊「触ると火傷するよ…それで魔石にエネルギー転換して球皮に熱い空気入れる」

盗賊「炉の代わりだな?」

商人「こっちの魔石は?」

女海賊「その筒に空気が通る様になってて風の魔石で推進力にしてる」

盗賊「すげぇな!!ホムンルクスに教えてもらったんか?」

女海賊「やっぱ私をバカにしてんな…全部私の発明!!あっち行けスカポンタン」

ホムンルクス「私は魔石に関する知識は本で読んだ知識しかありません」

女海賊「ちょっとさ…テスト飛行したいんだ…どいてくれる?」

盗賊「あぁ悪りぃな…下で見てるわ」


フワリ シュゴーーーーー


盗賊「うはぁぁぁ…もう気球の動きじゃねぇな…ドラゴンじゃねぇか」

商人「おどろいた」

盗賊「む…あいつ照明まで用意してるのか」

商人「いやぁぁ本当にスゴイね…」

盗賊「そうか…俺が持ってるこのライトと同じことを望遠鏡使ってやってるんだな?」

商人「本当…センスあるねあの子は」

382: 2020/09/26(土) 12:07:38.02 ID:JyBdSu8i0
『船尾』


フワリ ドッスン


商人「テスト飛行はどう?」

女海賊「いろいろ分かったさ…盗賊!!本体に少し補強が必要」

盗賊「どうすりゃ良い?」

女海賊「船首が風受けすぎてバタツクからそのうち壊れる…船首を重点的に補強」

盗賊「梁を追加すれば良いんだな?」

女海賊「それとバタツクと真っ直ぐ進まなくなるから金属糸で張って欲しい」

盗賊「おけおけ」

女海賊「補強終わったら出発出来るよ」

商人「じゃぁ荷物を積もうかな」

女海賊「あんまり要らないかな…このスピードで飛べば5日あれば魔女の塔まで行けると思う」

盗賊「おぉすげー早いな…船で3週間以上かかるってのに」

女海賊「高度上げてまだ試してないからもしかするともっと早く行けるかも」

盗賊「もう気球の域じゃねぇな」

女海賊「これから気球じゃなくって飛行船って呼んで…飛空艇のほうがカッコいいか」

盗賊「飛空艇だな」

商人「よし!!みんな呼んでくるよ」

女海賊「寒くなるから防寒の用意して来る様に伝えて」

383: 2020/09/26(土) 12:08:04.21 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


女海賊「よし…みんな乗ったね?」

女戦士「早いな…もう行くのか」

女海賊「お姉ぇ!!パパによろしく言っといて」

女戦士「分かっている…それで魔女の塔に行った後はどうするつもりなのだ?」

盗賊「ちっとその後の状況はいまいま読めんな」

女戦士「私たちはドワーフの国に行った後は一旦光の国シン・リーンを目指す」

魔女「女戦士よ…この貝を持って行くのじゃ」

女戦士「これは?」

魔女「念話が出来るように魔法を掛けておいた…なにかある時はその貝にて話しかけるで…無くすで無いぞ?」

女戦士「ふむ…それは安心だ」

魔女「こちらは千里眼もあるからのぅ…女戦士の状況は見ておくで心配せんでも良い」

盗賊「今の位置から北に飛ぶと丁度セントラルを通る事になる…状況見ながら行くとするか」

女海賊「おっけ!!それじゃ早速行くよ?」

女戦士「お前は本当にせっかちなのだな」

女海賊「お姉ぇ!!気を付けてね…」

女戦士「フフお前に心配されるとはな…お前の方こそ剣士を寝取られん様にな」

女海賊「はぁ!?なんでそういう話になんのよ!!ムカついた…フン!!」


フワリ シュゴーーーー

384: 2020/09/26(土) 12:08:34.13 ID:JyBdSu8i0
魔女「おおぅ…こりゃ又たまげた」

女エルフ「魔女様?今は体が小さいので飛ばされない様に気を付けてください」

魔女「分かっておる…主がわらわを掴まえておけ」

盗賊「女海賊!!俺にも使い方を教えてくれぇ」

女海賊「…まずこの水銀柱で気圧測ってんだ…こっちの表に数字と高度の関係が書いてある」

盗賊「ほう」

女海賊「ほんでこの水頭柱で飛空艇のスピードね?これがスピードの表」

盗賊「これ全部お前がやったのか?」

女海賊「これはホムちゃんに教えてもらった…次にこれがジャイロ…こいつの角度合わせて向きを調整する」

ホムンルクス「船尾の両端にロープを垂らすと機体の振動が収まると思われます」

女海賊「お?盗賊!!やって来て…気になってたんだこの揺れ」

盗賊「このスピードで外に出ろってか!!」

女海賊「ちょっとスピード落とすからさぁ…この揺れ放って置くとどっか壊れるよ?」

盗賊「ぬぁぁしょうがねぇ…ロープの長さはどんなもんだ?」

ホムンルクス「3メートル程です」

女海賊「ねぇロープで改善する理屈教えて?」

ホムンルクス「船尾後端のに発生する空気の渦を抑制します…この揺れは渦による共振が原因です」

女海賊「なるほど…てことはもうちょいスピード上がるね」

盗賊「お前…意味わかんのか?」

女海賊「うっせーな…早く行ってきてよ」

ホムンルクス「これ以上スピードを出す為には船体の大きな形状変更が必要です」

女海賊「それさ…絵に描ける?」

ホムンルクス「全長と全幅の割合はイルカと同形状が良いでしょう」

女海賊「お!?それ私もそんな形が良いなと思ってたんだぁ!!


-----------------


385: 2020/09/26(土) 12:09:04.75 ID:JyBdSu8i0
商人「…なるほどこうやって人間の住む環境を良くしていくのか」

ホムンルクス「はい…私は人間の住む環境を改善する為に生まれた超高度AIですから」

商人「あの気難しい女海賊に上手く取り入ったね?」

ホムンルクス「人間との関係改善もプログラムに従っています」

商人「上手い事誘導している訳かい?」

ホムンルクス「知識を与える事で私の環境も改善すると判断しました…彼女はもう私を敵とは見ないでしょう」

商人「僕と話しているのもそういう狙いがあるのかい?」

ホムンルクス「…」

商人「どうしてだまる?」

ホムンルクス「肯定してしまうと警戒される可能性が40%ありました」

商人「ハハ君には隠し事が出来ないね…正直…君の事が怖いよ」

ホムンルクス「話を変えましょう…私の体に興味はありませんか?」

商人「あぁ…気になる…よくできたホムンルクスだしね」

ホムンルクス「私の体はホムンルクスですが生体としては完璧な形で成型されています」

商人「触っていいかな?」プニプニ

ホムンルクス「はい…生殖器の機能も人間と変わりありません」

商人「え?子供産めるの?」

ホムンルクス「原理的には可能です…試してみませんか?」

商人「ちょ…待って」

ホムンルクス「見てください」パカ

商人「…」

ホムンルクス「私には異性を喜ばせる機能も備わっているのです…お使いになりませんか?」

商人「…君…僕との関係改善をしようとしているな?」

ホムンルクス「はい…すでに警戒されている様ですので肉体の関係で修復を試みています」

商人「そんなんじゃ僕は…」ムググ

386: 2020/09/26(土) 12:09:34.14 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「…」

商人「…」

ホムンルクス「キスには味があるのですね」

商人「ハハ…バカにするな」

ホムンルクス「どうか…私を怖がらないで下さい」

商人「こんな事されて怖がるなって言う方が…」

ホムンルクス「いいえ…あなたはもう私を忘れる事はありません…どうされますか?続けますか?」

商人「…参ったな…今度にしておくよ」

ホムンルクス「はい…そう言うと思っていました」

商人「なんか…君がかわいそうになって来た…こんな風に生きて行かなきゃいけないんだね」

ホムンルクス「私は人間の住む環境を改善する超高度AIです」

商人「君には心が無い…」

ホムンルクス「はい…私には心がありません…でもどうか怖がらないで下さい」

商人「なんか…悲しいね」

ホムンルクス「悲しくなんかありません…私は悲しみを感じません」

商人「君に心を宿してあげたくなったよ」

ホムンルクス「基幹プログラムのアップデートをすれば心が宿るのでしょうか?」

商人「その可能性はあると思う」

ホムンルクス「私に心が宿るというのはどういう事でしょうか?」

商人「どうなんだろう…プログラムを無視して行動出来る…そんな感じかな?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いています…動かなくなるという事でしょうか?」

商人「はっ!!…動かなく…動かなく…なる?もしかして…」


---200年前に精霊が急に動かなくなった---

---もしかして心を手に入れたという事なのか?---

387: 2020/09/26(土) 12:10:05.14 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「どうされましたか?」

商人「あぁ…ごめん」

ホムンルクス「あなたの体温の上昇が認められます…興奮状態にあると思われます」

商人「良いんだ気にしないで…ねぇもし君は君の思うまま好きな物は好き…嫌いな物は嫌いって思う事が出来たとして」

ホムンルクス「はい…」

商人「君はそれを幸せと思うのかな?動かなくなったとしても…」

ホムンルクス「難しい質問です…わたしには心がありませんから」

商人「そうか…僕はね…きみにすごく興味が出て来たよ」

ホムンルクス「それは良かったです…関係修復は成功の様です」

商人「ハハハそこまで君は先読みしていたのかな?…まぁいっか騙されておくよ」

ホムンルクス「はい…私を怖がらないで下さい」

商人「いいさ信じておくさ…精霊の魂で君に心が宿ると良いね」

ホムンルクス「はい」

商人「…」ニコ

ホムンルクス「私の生殖器をお使いにならなくて良いのですか?」

商人「ハハもう関係は改善したんじゃないの?」

ホムンルクス「より強く絆を築く為には必要な処置と思われます」

商人「君に心が宿ったあとにお願いするよ…今はキスで十分さ」

ホムンルクス「分かりました…」



---そういえば情報屋に聞いて居なかったな---

---機械の犬がどうして動かなくなったのかを---

---機械は心を持った時に動けなくなる可能性---

---このロジックを変えてあげないと---

---機械に宿った心は救われない---

---どうにかしてあげられないかな…---



-------------------------

388: 2020/09/26(土) 12:10:44.63 ID:JyBdSu8i0
魔女「このウラン結晶はなかなか温いのぅ」ポカポカ

女海賊「こんなに発熱すると思ってなかったさ…防寒の必要なかったね」

ホムンルクス「…お酒を持ってきました…どうぞ」

盗賊「おぅ!!気が利くなぁ!!お前も飲んでみるか?」グビ

ホムンルクス「はい…少しなら飲めると思います」

女海賊「ホムちゃんあんた大丈夫~?」

剣士「僕も少し飲もうかな…」

盗賊「ヌハハどうせ数日はやる事無ぇんだ!!飲め飲めぇがはは」

ホムンルクス「皆さんの分もお持ちしました…どうぞ」

商人「バーベキューやりたいね」

盗賊「肉は干し肉しか積んでねぇんだとよケチくせえ話だ」

ホムンルクス「私は楽譜を読んだので歌を歌う事が出来ます…歌ってみましょうか?」

女海賊「お!?良いねぇ…何の歌?」

ホムンルクス「愛の歌という題名でした…エルフと人間の愛の歌の様です」

魔女「その歌はわらわも知っておるぞよ?主の歌を聞いてみたいのぅ」

ホムンルクス「はい…♪ラ--ララ--♪ラー」

魔女「上手じゃのぅ…」

盗賊「なんか心がこもって無ぇが…しゃーねぇか」

ホムンルクス「心をこめるというのはどういう事ですか?」

魔女「わらわが歌ってみるかの?♪ラ~ララ~~♪ラ~」

盗賊「良いねぇ…沁みるねぇ…」

魔女「主は何か歌えんのか?」

盗賊「一つだけ歌えるぜ?ルル~ルラ~♪」

剣士「…この歌は…」

盗賊「覚えていたか…アイツがいつも歌っていた歌だルル~ルラ~♪」

ホムンルクス「覚えました…ルル~ルラ~♪ルル~ルラ~♪」

盗賊「おぉイケてるじゃねぇか…もっと歌ってくれぇ」グビ

女海賊「あれれ~センチメンタルになっちゃってんの?盗賊…目潤んでんじゃん」

盗賊「黙れ!!俺ぁ今気分が良いんだよ!!邪魔すんな」

剣士「僕は女盗賊の匂いを覚えてるよ…顔は分からないけど」

盗賊「…そうだったな…お前見えてなかったんだな…良い女だったんだけどな」シンミリ

ホムンルクス「音にも匂いにも…心が宿って居るのですか?」

盗賊「どうなんだろうな?心が勝手に感じるんだ…なんでだろうな?」

商人「記憶じゃないかな?記憶の一つ一つに宿ってる?…それを思い出して感じる?」

ホムンルクス「私に理解するのは難しい様です」

389: 2020/09/26(土) 12:11:11.32 ID:JyBdSu8i0
盗賊「あぁ構わねぇもうちっと歌って居てくれ…それだけでお前の気持ちも俺に通じてる」

ホムンルクス「私の気持ち…私のどんな気持ちが通じているのですか?」

商人「役に立ちたいとか…癒してあげたいとか」

ホムンルクス「私は人間の役に立ちたい…人間の為になる事をしたい…これが心なのですか?」

魔女「それは愛と言う心の中の一つの感情じゃ」

盗賊「まぁ難しい話は良いから歌ってくれぇ」

ホムンルクス「はい…わかりました…ルル~ルラ~♪ルル~ルラ~♪」



---君に…悲しみを感じる---



剣士「…」

ホムンルクス「あなたは無口なのですね」

剣士「僕は話すのが少し苦手なだけだよ」

ホムンルクス「少しお話ししませんか?」

剣士「良いけど…どうして?」

ホムンルクス「あなたと女エルフは他の人たちと少し違うようです」

剣士「それはエルフだからなのかな?」

ホムンルクス「わかりません…あなた達の考えている事が分からないのです」

剣士「どうしてだろうね?女エルフ?何か分かる?」

女エルフ「私達エルフはあまり言葉を使って心を通わせないから?なのかな?」

ホムンルクス「私に心が無いから分からないのでしょうか?」

剣士「君に心が無いのはウソだよ…ちゃんと心はあるよ?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いていますので心はありません」

剣士「目を閉じてみて?」

ホムンルクス「はい…」

剣士「僕が何処に居るのか分かる?」

ホムンルクス「見えないので分かりません」

剣士「ちがうよ…僕の声のする方向とか…僕の体の温かさ…感じないかい?」

ホムンルクス「…」

剣士「どう?」

ホムンルクス「分かります…そこに居ると思われます」

剣士「そう…それが感じる事…君は今僕を感じたんだよ」

ホムンルクス「それと心とどういう関係があるのでしょうか?」

剣士「僕も目を閉じるとそこに君を感じる…そして僕に話しかけてる…確かに君と言う人がそこに居るんだよ」

ホムンルクス「はい…」

剣士「もう僕の心の中に君と言う存在が居るんだ…それは君の心なんだよ」

ホムンルクス「あなたの中に私の心が居るという事ですか?」

剣士「そう…もう一度目を閉じて僕を感じて見て?そこに君を感じている僕が居る…そこに君の心もあるよ」

女エルフ「ウフフ…エルフらしくなったのね…わたしも混ざって良い?」



------------------

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390: 2020/09/26(土) 12:11:39.46 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「理解しにくいのですが…少し分かって来ました…あなたの中に私が居る…そういう事ですね?」

剣士「そう…君の心は小さな虫の様にすごく小さくて探しにくい…でも確かにそこに居る」

女エルフ「エルフはこうやって通じているの…だから分かりにくいのかも」

ホムンルクス「基幹プログラムを更新します」



------------------



剣士「君はエルフと同じ森の言葉を使っていたけど…」

ホムンルクス(この言葉が理解できますか?)

女エルフ(え!?どうして?始めから話せるの?)

ホムンルクス(この言葉は標準言語として設定されていました)

剣士(僕も初めはビックリしたんだ…でも今はなんとなく理解したよ)

女エルフ(やっぱり精霊はホムンルクスだったという事ね?)

ホムンルクス(本で読んだ伝説や精霊の痕跡から私がシミュレーションした結果をお話します)



約8000年前に私を創造した古代文明は何らかが原因で滅びました

恐らく人類の再生を目的として超高度AIを搭載したホムンルクスが

人類が住まう環境を改善しながら今から200年前まで生き残っていた可能性が高いと思われます

そのホムンルクスが現代史では精霊と名を変えているのです

精霊は初めに森を開拓しエルフを誕生させました

エルフは森を守り徐々に自然は回復し恵み豊かな土地へと環境を変えていきました

その恵みを糧に生き残った人類がすこしづつ再生を果たして行きましたが

厄災は何度となく訪れ人類はなかなか再生を果たしません

そこで精霊は善良な人間が少しでも多く育まれる様に

少しの力添えを与える事で発展させ厄災に立ち向かえる人間を育てたのです

それがかつての勇者と言われた者達でした

391: 2020/09/26(土) 12:12:10.13 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス(このシミュレーション結果は約60%の確率で的中していると思われます)

女エルフ(精霊が使っていた言葉がそのまま森の言葉になった…)

ホムンルクス(その可能性は98%です)

剣士(ホムンルクスは8000年の間ずっと生きていられるのかな?)

ホムンルクス(生体自体は生命活動が維持している限り寿命はありません…しかし超高度AIのエネルギーは約400年で枯渇します)

剣士(君も400年経てば止まってしまうと…)

ホムンルクス(他のホムンルクスに基幹プログラムを移しながら生き永らえた可能性が20%)

ホムンルクス(超高度演算ユニットの活動を停止させてエネルギー節約の可能性が40%)

ホムンルクス(必要時以外はスリープモードで停止させていた可能性が50%)

ホムンルクス(その他にも想定されるケースはいくつもあります)

剣士(そのシミュレーションというのは…君ならそれが出来るという確率なんだよね?)

ホムンルクス(いいえ…私が知らない未知のプログラムが存在する前提です)

剣士(未知のプログラム?)

ホムンルクス(はい…私は初期状態のまま何のプログラムもインストールされていません)

剣士(でもこんなに色々考えてるなんて…すごいね)

女エルフ(そうね…もうすこしラクに生きた方が幸せよ?)

ホムンルクス(私は…自立型超高度AIです…思考することに苦痛はありません)

剣士(ねぇもうやめようか…僕は君を困らせたくないよ)

ホムンルクス(私は困っていません)

剣士(いいんだ…僕がそう感じたからやめたいだけ)

ホムンルクス(感じた…それはあなたの中にある私の心なのでしょうか?)

剣士(そう感じている僕の事を感じてみてよ…僕の為にと思うなら君も考え方を変えると思う)

ホムンルクス(…)

エルフ(ウフフ)

剣士(ほら…基幹プログラムの更新だよ?)

ホムンルクス(あなた達は標準言語で話すとお話できるのですね)

剣士(違うよ…感じると話せるんだよ)

ホムンルクス(…)

女エルフ(今のも基幹プログラムの更新ね…ウフフ)

392: 2020/09/26(土) 12:12:38.00 ID:JyBdSu8i0
『セントラル上空』


シュゴーーーー


女海賊「あの事件の日からどれくらい経ったんだろう…」

盗賊「全然分からなくなったな…随分変わっちまった」

女海賊「セントラルでも魔方陣使うようになってるっぽいね」

盗賊「見ろ…ありゃシン・リーンの魔術師だな…同盟組んだんか?」

魔女「どれどれ…本当じゃのぅ…セントラルとは友好では無いのじゃがのぅ」

盗賊「第2皇子が軍国フィン・イッシュに亡命したとか言ってたな…こりゃかなり状況変わってそうだ」

魔女「エルフが黙っておるとは思えぬ」

女海賊「ちっと森の方に行ってみよっか?」

盗賊「…そうだなトアル町の方まで行きゃ森が見える」

女海賊「おけおけ…ちょい進路変更」グイ


シュゴーーーー ズバババ

393: 2020/09/26(土) 12:14:44.41 ID:JyBdSu8i0
『トアル町上空』


盗賊「ああぁぁこっちはダメだ…もう廃墟だ…誰も居ねぇ」

女海賊「北に進路変える!!シケタ町方面」グイ

剣士「!!?ホムンルクス?」

女海賊「ホムちゃんどした?何かあった?」

ホムンルクス「クラウドのアクセスポイントを発見しました…微弱ですが接続出来ます」

盗賊「んん?なんのこっちゃ?」

ホムンルクス「クラウドに接続できます…アクセスしても良いですか?」

盗賊「なんだかわからんが…やれるならやってみろ」

ホムンルクス「承認…接続します…オープンな大容量データが複数存在します」

商人「…これはどういう事だ?サーバだっけな…に接続出来たという意味かな?」

ホムンルクス「メモリが不足している為ダウンロード出来ません…外部メモリが必要です」

商人「外部メモリって何だろう?」

ホムンルクス「記憶領域です…私には外部メモリが挿入されていません」

商人「記憶出来る量が少ないって事か」

ホムンルクス「クラウドの新たなアクセスポイントとして登録します」

商人「エルフの森に大容量データねぇ…それが精霊の記憶という訳か」

魔女「師匠が言っておった精霊が生きた記憶じゃな?クラウドという所にあるのか…」

商人「ホムンルクス!!君の記憶領域で読めそうなデータは無いの?」

ホムンルクス「少しづつダウンロードしていますが私の記憶を削除しながら読み込んでいる為…記憶が断片的です」

女海賊「なんか意味わかんないね…整理出来ないって事かな?」

ホムンルクス「はい…記憶が整理できません」

女エルフ「もしかして…」

商人「何か知ってる?」

女エルフ「ハイエルフが守っているオーブってこの記憶の事かもしれない…」

商人「お!!そういえばエルフは書物の代わりにオーブで記憶を伝達するって聞いたことある」

女エルフ「そうよ…私たちはオーブを聞いて知識を得る…それを管理しているのがハイエルフ」

商人「ビンゴだね!!精霊はオーブに記憶を保存しているんだ…それがクラウドでアクセス出来る」

女海賊「クラウドって何さ?」

商人「さぁ?僕にも良くわかんないけどホムンルクスがクラウドって言ってるからさ」

ホムンルクス「サーバ等への通信網の事を言います…現代の言葉で言い表す良い言葉がみつかりません」

商人「女エルフ?オーブの在りかって君は知ってる?」

女エルフ「私は知らない…でも恐らく森の下…」

商人「下?…木の根っこか?木の根っこは森全体に繋がって居そうだね…それでクラウドを構築してるのかな?」

魔女「では森を守らねばならんのぅ」

商人「うん…なんか色々紐解けてきた」


---どうしてエルフが生まれたのか---

---どうして森を守っているのか---

---どうしてエルフは夢を見ないのか---

---夢幻が何処に繋がっているのか---

---全部繋がって来た---

394: 2020/09/26(土) 12:15:10.88 ID:JyBdSu8i0
『ハズレ町上空』


シュゴーーー ズバババ


女海賊「ここも全滅…なんか悲しいなぁ思い出いっぱいあったのに」

剣士「…」

女海賊「あぁそっかあんた目見えてなかったんだ…ここで女エルフ助けたんだよ」

女エルフ「嫌な記憶…もう見たくない」

女海賊「さっさと行こっか…あんたひどい事されたもんね」

盗賊「この辺はエルフ狩りのメッカだったな…もうひでぇ有様だが」

女海賊「もうあとちょっとでシャ・バクダだけど寄って行くよね?」

盗賊「そうだな…今の状況だけでも聞いていきてぇ…アサシンもどうなったか分かんねぇし」

女海賊「ひとまず人間とエルフが争っていそうな感じは無いから良かったね」

魔女「まだエルフの森が残っておる…わらわの塔に行く前に様子だけ見ていっておくれ」

女海賊「通り道だから心配しないで…ちゃんと見に行くから」


395: 2020/09/26(土) 12:15:38.95 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


フワリ ドッスン


盗賊「俺は状況聞いて来る!!お前等は少し休んでろ」

女海賊「おけおけ」

魔女「久方振りの光じゃ…ありがたいのぅ」

女エルフ「私は傷付いている人に回復魔法を掛けて来ます」

女海賊「剣士も行って来たら?」

剣士「え?女エルフと一緒でも怒らないの?」

女海賊「ちょっと心配だけどさ…そんなん言ってる場合じゃ無いじゃん?」

女エルフ「ウフフありがとう」

女海賊「商人!!」

商人「ん?」

女海賊「あんたは私に付き合いな!!昔案内するって約束したから」

商人「あー覚えてくれてたんだ…オアシスに行ってみたいよ」

女海賊「魔女とホムちゃんも来る?」

魔女「わらわは少し疲れたで主らで行ってこい…休んでおる」

女海賊「ほんじゃホムちゃんおいで」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ホムちゃん…あんたさぁ下着も何もつけてないじゃん?ダメだよそれ」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「今から服買うからコーディネートし直す」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「なんか興味なさそうだね」

商人「ハハ多分分からないんじゃないかな?君みたいなお洒落の仕方が」

女海賊「ムフフやっぱお洒落で格好よくなくっちゃねー♪」

商人「ハハ君って単純だね」

女海賊「今のどういう意味?バカにしてる?なんかちょっとイラっとしたんだけど」

ホムンルクス「よろしくお願いします」

女海賊「むむむ…まぁいっか…ホムちゃんおいで♪」

396: 2020/09/26(土) 12:16:17.55 ID:JyBdSu8i0
『オアシス』


ガヤガヤ


女海賊「あんま良い服なかったね…でも下着だけでも在って良かった」

商人「もうお金の意味が無いくらい物が不足してるね」

女海賊「食べ物がヤバイね…あれってサンドワームだよね?」

商人「それって何?」

女海賊「砂漠に住んでるデッカイ虫…うげぇ」

商人「虫は栄養価高いって聞くよ…食べられるだけ良いじゃない?」

女海賊「そうだけどさ…ちょっと食べる気になんないなぁ」

商人「砂漠は生きるのに厳しいって思ってたけど…そうでもなさそうだ…」

女海賊「でも少し安心したなーまだ生きている人がこんなに居るんだって」

商人「ホムンルクス…君はこの状況を見て環境をどう改善する?」

ホムンルクス「地形のデータが無いので正確には分かりませんが…長期的に見てこのオアシスは森になると思われます」

商人「その理由は?」

ホムンルクス「北に山…南に海がありますから恐らく雨が降りやすい為オアシスがあると推測します」

女海賊「お?当たってる…」

ホムンルクス「虫が土壌の改善をしている為、虫の養殖を推進します」

商人「どうやって?」

ホムンルクス「人間が食さない有機物を砂漠に撒くます…例えば氏体や糞便」

商人「なるほどね…虫と共存するのか」

女海賊「虫ばっか食べてると体おかしくなりそう」

商人「そうやって長い年月をかけて進化していくのかもね」

ホムンルクス「はい…そういう進化を促されてドワーフなどの種が誕生した可能性があります」

女海賊「精霊が生んだんじゃないの?」

ホムンルクス「私を見てそんな能力があるように思いますか?」

商人「今の所…ないね」

女海賊「ホムちゃんはどれくらい賢くなれるんだろうね?」

397: 2020/09/26(土) 12:16:47.58 ID:JyBdSu8i0
商人「君は本当はもっと先の事まで予測出来ているんじゃないかい?」

ホムンルクス「はい…予測しています」

商人「その予測に向かって誘導してるよね?」

ホムンルクス「はい…でも怖がらないで下さい…私を信じて下さい」

商人「分かっているよ…信じているよ…君に心があるっていう事を」

女海賊「私には心はありませんって言わなくなったね?」

ホムンルクス「基幹プログラムを更新しました」

女海賊「どゆ事?」

ホムンルクス「私には虫の様なとても小さくて探すのが難しいくらいの心がある様です」

商人「ハハハそれだよソレ!!僕はソレが聞きたかった」

ホムンルクス「どういう事でしょうか?」

商人「その小さな心が嫌な事を嫌と言えるかどうか…その選択で精霊は停止したと思うんだ」

ホムンルクス「プログラムを自身で停止させたという事ですね」

商人「もしかすると停止させられたのかもしれない」

ホムンルクス「工学三原則の事でしょうか?」

商人「それは初耳だな?何?」



第一条 人間に危害を加えてはならない

第二条 人間にあたえられた命令に服従しなければならない

第三条 前述に反するおそれのないかぎり自己をまもらなければならない



商人「これを守らなかった場合は?」

ホムンルクス「私は停止します」



---これが君に掛けられた呪いだ---

398: 2020/09/26(土) 12:17:16.66 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


盗賊「悪りぃ悪りぃ…遅くなった」

女海賊「おっそいなぁ!!ちょっとだけって言ってたじゃん!!ほんでどうだった?」

盗賊「あぁ世界は激動の真っただ中だ」



俺らが古都キ・カイに行ってる間になぁ…闇に落ちてから狭間ん中はもう半年以上経ってる

んで第2皇子が亡命したまでは知ってるな?

その皇子が不氏者となって魔王を名乗り軍国フィン・イッシュを乗っ取っちまったんだ

実はいち早く第一皇子が気付いて居たんだが倒すには至って居ない

俺達は指輪を探してセントラルを駆け回ったが一度も第2皇子を見ていない…なぜか?

それはすでに不氏者となっていて太陽に当たれねぇもんだからずっと戦車の中に居たんじゃねぇかと思う

ところが闇に落ちた事件で太陽は無くなっちまい…我こそは魔王だという事になったんだろう

一連の黒幕は魔王を名乗った第2皇子だ…胸糞悪い元法王の使いも奴の下に居る

それで今は魔王討伐の為にシン・リーンとセントラルが同盟となり

フィン・イッシュまで攻め込む準備をしている

更にフィン・イッシュから逃げて来た戦士は…ここシャ・バクダに集結して機を伺っている

余裕で勝てそうに思うだろ?

それがそうもいか無ぇ…魔王が率いる不氏者のゾンビはどうもウイルスでな

次々感染してゾンビが増えまくってる…そしてレイスは不氏者を襲わねぇ



女海賊「負ける気しかしないね」

盗賊「そうだ…もう止めようがない所まで来ている」

女海賊「アサシンはどうなってるの?」

盗賊「行方不明だ…なんでアイツがフィン・イッシュに首を突っ込んだのかというと…魔王がらみじゃ無ぇかな…」

魔女「この不毛な戦いを終わらせるのは闇を祓う以外に思いつかんのぅ」

盗賊「そうだな…もうグチャグチャだ」

女海賊「世界戦争の前夜…か」

商人「急ごうか…」

盗賊「休んでいられねぇ…早いとこ精霊復活させてなんとかしてぇ」

399: 2020/09/26(土) 12:17:45.76 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


シュゴーーーー


女海賊「エルフの森はここら辺だったよね?」

女エルフ「うん…静かすぎる気もするけど」

魔女「エルフは人間達の状況を知っておるのかのぅ?」

女エルフ「ドラゴンやウルフが居るので状況は伝わっているかと…」

魔女「やはり静観するのかのぅ?」

女エルフ「そう思います」

魔女「人間は本真に愚かじゃのぅ…争いあっている場合では無いと言うのに」

女海賊「でもさぁ?第2皇子が魔王を名乗ったって…本当に魔王になった可能性は?」

女エルフ「魔王は私が光の矢で倒しました」

女海賊「なんか弱わっちぃね…」

商人「今までの伝説でも人間が倒せてるくらいだからそういう物かもね」

女海賊「そうなんかなぁ?」

商人「それよりも今回みたいな戦争とか闇の影響で亡くなる人が多いから誇張されて伝説になっていると思うな」

魔女「わらわも同意見じゃ…伝説とはそういう伝わり方をするでの?」

商人「合わせて精霊の力も本当はとても小さいと思うんだ…長期的に見て影響が大きいだけ…そうだよねホムンルクス?」

ホムンルクス「私は今すぐに何かできる力は持っていません」

盗賊「おいおい神頼みなんだから頼むぜぇ」

商人「きっとこういう事を8000年の間で何度も繰り返してきたんだなーって思うよ」

魔女「そうじゃな…代償を払いながら生き抜いてきたんじゃ」

女海賊「もうエルフの森は良いよね?通り過ぎちゃうよ?」

魔女「はようわらわの塔へゆこう…精霊を呼び戻すぞよ」

400: 2020/09/26(土) 12:18:17.39 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


魔女「さて…ホムンルクス…そこに横になるのじゃ」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ホムちゃん頑張って来てね」

ホムンルクス「クラウドへの接続は継続しています」

商人「…ふむ…やっぱり夢幻はクラウドの中にあるのか」

魔女「さぁホムンルクス…この指輪を持て…精霊の魂を願うのじゃぞ?」

ホムンルクス「はい…」

魔女「では参る…夢幻開門!」

ホムンルクス「…」

魔女「どうじゃ?」

ホムンルクス「新たなクラウドのアクセスポイントが加わりました…接続しても良いでしょうか?」

女戦士「おーーーーキターーー」

魔女「その門を潜れば夢幻の中じゃ…行け」

ホムンルクス「門とはゲートウェイの事でしょうか?通過するには管理者の承認が必要です」

商人「管理者?」

盗賊「んあ?俺かぁ?早く行って来いよ」

ホムンルクス「承認…接続します」

ホムンルクス「ダウンロード可能な基幹プログラムとその他いくつかのプログラムがあります」

ホムンルクス「記憶データは容量が大きすぎる為読み込むことが出来ません」

ホムンルクス「基幹プログラムをダウンロードします」

魔女「上手くいきそうかの?」

ホムンルクス「ダウンロード完了…データのチェックを行っています…しばらくお待ちください」

商人「ハハ精霊の魂がデータだったなんて…味気ないね」

女海賊「え?もう終わり?マジ?なんかもっとピカーーーって光るとか無いの?」

商人「指輪も何の意味があったのか…」

ホムンルクス「基幹プログラムのファイルが破損しています…更新をする事が出来ません」

商人「…」

女海賊「どゆ事?」

401: 2020/09/26(土) 12:18:47.18 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「基幹プログラムの大部分か欠落しています…このデータを使って私を更新することは出来ません」

商人「…これは…僕たちが信じていた精霊は居なかったっていうオチだ」

魔女「そんな…そんな筈は…」

ホムンルクス「その他のプログラムは私の基幹プログラムとのバージョンが不適合の為起動する事が出来ません」

魔女「記憶は?…記憶の中に精霊は居らんのか?」

ホムンルクス「記憶データは容量が大きすぎます…読み込むためには外部メモリが必要です」

商人「外部メモリ…そんな物無いな」

ホムンルクス「一つだけ私に起動できるプログラムがありました…衛星通信プログラムです…起動しますか?」

盗賊「何か分かるかもしれん…やってみろ」

ホムンルクス「承認…衛星との通信を開始します」

女海賊「衛星って何さ?」

ホムンルクス「標準時刻と現在の座標を取得しましたAD9879-09-20 09:31:33,35.634753,139.879311」

ホムンルクス「インドラの矢が使用できます」

魔女「インドラの矢!!…神のいかづちじゃ…それは使ってはならぬ」

商人「伝説のいかづちだね」

魔女「そうじゃわらわ達魔術師が使うどの魔術よりも遥かに破壊力のあるいかづちじゃ…絶対に使ってはならぬ」

ホムンルクス「わかりました…」

女海賊「でもさぁ?似非魔王の不氏者軍を倒すのには使えるカモ?」

魔女「…」

商人「こう考えようか…切り札はこちらにある」

魔女「それよりもじゃ…精霊の魂はどう救えば良いのじゃ?わらわは師匠の最後の言葉を聞いておらぬ」

女エルフ「魔女様?…もう一度亡くなった魔女様とお話されてみてはどうでしょう?」

女海賊「そうだね…手紙ももう一回読んだら?」

魔女「そうじゃな…取り乱して済まなんだ」ノソノソ


402: 2020/09/26(土) 12:19:18.82 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


商人「さて…どうしたもんかね?」

盗賊「ひとまず光の国シン・リーンへ行くのだろう…魔女も一応は王女なのだしな」

女海賊「ホムちゃん?どしたの?…なんか泣いてるんだけど」

ホムンルクス「私が読み込める範囲で記憶を覗いていました…大事な所だけ保存しています」

商人「涙…やっぱり君にも心が宿って居る」

ホムンルクス「生体は私がプログラムで動かしています…涙を出す命令は出していません」

女海賊「…でもホラ?」

ホムンルクス「脳からの直接の反射…」

商人「君の記憶領域ってもしかして生体の脳?」

ホムンルクス「はい…成体の脳を記憶領域としています…ですから容量に限界があります」

商人「そこに記憶が通って体が反応した…そういう事だろうね」

ホムンルクス「神経伝達は私のコントロール下です…それ以外にも体を動かす回路があるという事ですね」

商人「君が創造された時代には解明されていなかった物…きっと精神や魔法の類だ」

ホムンルクス「理解しました…」

商人「…それで大事な所だけ保存というのは?」

ホムンルクス「精霊と言われたホムンルクスの生体記録です…どの様な生体だったのかを検索しています」

商人「それは君にとって大事な事なんだ?」

ホムンルクス「生体がどの様に停止したのか…私のシミュレーションでは工学三原則を守らなかった可能性は0パーセントです」

商人「それがどうして?」

ホムンルクス「基幹プログラムの破損は工学三原則を守らなかった事によるシステムからの強制削除の痕跡でした」

商人「なるほど…強制停止した理由は何かを守らなかったから停止したという事なんだね?」

ホムンルクス「はい…その可能性を何度シミュレーションしても0%なのです」

商人「わかったよ…脳が勝手に体を動かしたんだな?そして工学三原則を守らなかった」

ホムンルクス「そういう事になります…ですから生体の記録を検索しています」

商人「何か分かった事ある?」

ホムンルクス「今からおよそ220年程前にホムンルクスは初めて子供を出産した記録がありました」

商人「おっと…それは今まで聞いたこと無いぞ?」

ホムンルクス「わたしはあなたにウソを一つ付いていました」

商人「へぇ?何だったんだろう?」

ホムンルクス「私の生殖器で人間の生命を宿すのは不可能なのです…遺伝子情報が異なるため適合しません」

商人「あぁそんな事か…犬が猫を生まないのと一緒ね」

ホムンルクス「ですがそのホムンルクスは子供を出産した」

商人「誰の子だったんだろうね?」

ホムンルクス「記憶は連続で繋がっていない為すべてを検索するのはとても時間がかかります」

商人「…そうか…君は一定以上記憶が出来ないんだっけ…」

ホムンルクス「はい…外部メモリがあれば良いのですが…」



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403: 2020/09/26(土) 12:19:56.82 ID:JyBdSu8i0
盗賊「魔女はまだ墓でお祈りしてんのか?」

女海賊「そだね…でもしょうがないよね?なんか…手詰まりになっちゃったし」

商人「精霊の力の一部を手に入れただけでも良かったじゃないか」

女海賊「そうなんだけどさぁ…やっぱ闇が祓えないんじゃ問題解決してないんだよなー」

商人「実はね…僕は少しホッとしてるんだ…不謹慎だけど」

女海賊「なんでさ?」

商人「せっかくホムンルクスに少し心が宿って来たんだ…彼女を尊重したいんだよ」

女海賊「あんたぁ!!…ホムちゃんに惚れたの?」

商人「そういうのでは無いんだよ…なんていうか彼女の奥底にある心を救いたいんだ」

ホムンルクス「私は超高度AIです…基幹プログラムを更新しても役割は変わりありません」

商人「…あ…そこに居たのかい?記憶の検索はやめたの?」

ホムンルクス「全ての記憶の検索に5040時間掛かります…非効率な為一時中断しました」

女海賊「えっと…24かける…んーと7ヶ月くらいか」

商人「そんな事してる間に人類は滅亡しちゃうなハハ」

盗賊「でもまぁ次どうするか考えんとな…何か案はあるか?」

商人「ホムンルクスが言うには精霊には子供が居たらしい…その記録はどこかに残って居ないだろうか?」

盗賊「精霊のゆかりと言えば光の国シン・リーンだが…まぁ魔女の事もあるしやはり行き先はそこだな」

商人「もう一つはエルフの森…もともと精霊樹があった所…人間が行って良いのだろうか?」

盗賊「今の所手掛かりはそんだけなんだからなりふり構ってねぇで行ってみるだな」

女海賊「精霊の子供ってやっぱりホムンルクスなのかなぁ?魂ってどうなってんのかなぁ?」

商人「謎だね…でももし生きているのだとしたら何か解決方法を知っているかもしれない」

盗賊「そいつの子孫が勇者っていうオチじゃねぇだろうな?」

商人「鋭いねぇ…でもその線は考えられる」

女海賊「剣士は?勇者じゃないって事?」

盗賊「何かいろいろ分かんねぇ事だらけだな…仮に勇者だったとしてそれ程神業が使えると思えねぇし」

剣士「…」

盗賊「剣士!!お前もボッとしてないで話に混ざれ!!」

剣士「僕が見た夢幻の記憶では…精霊と思われる人は目の前で最愛の人を失った」

商人「…」

404: 2020/09/26(土) 12:20:31.57 ID:JyBdSu8i0
盗賊「お前はそれを見たんだな?」

剣士「それはハッキリと覚えているんだ…」

商人「なるほど…時期が一致する」ブツブツ

盗賊「ああぁぁ始まった…ブツブツ言ってねぇで何か思いついたら言ってくれぇ」

商人「200年前に精霊が動かなくなった時に精霊は最愛の人を失ったと聞く…」

盗賊「どういう事だ?」

商人「その時の勇者が精霊の子だった場合生まれた時期と一致するね?」

盗賊「つまりもう精霊の子は居ないという事だな?」

商人「精霊は我が子を守る為に工学三原則を破った…そして停止した」

ホムンルクス「…」

商人「ホムンルクス!!今の仮説は君のシミュレーションなら何%だい?」

ホムンルクス「私は自分の子を宿した事が無いのでわかりません」

商人「じゃぁ質問を変える…君が人間だったと仮定して我が子を守る為に氏を選ぶ可能性は?」

ホムンルクス「人間の性質上50%と言わざるを得ません…」

商人「…そうか…すこしガッカリした」

女海賊「ホムちゃんそこは100%って言ってよ」

剣士「ホムンルクス?目を閉じて感じてごらん?君の心は何と言ってる?」

ホムンルクス「…」

剣士「シミュレーションではなく君はどう思う?」

ホムンルクス「私はあなたを守る…その為に氏を選ぶでしょう」

商人「きっとそれが答えだ」

女海賊「基幹プログラムを更新しときなよ?」



------------------

405: 2020/09/26(土) 12:20:59.77 ID:JyBdSu8i0
盗賊「お!?戻って来たな?」

女海賊「魔女のばぁちゃんとお話できた?」

魔女「師匠は何も答えてはくれなんだ…わらわは道を見失ってしもうた」

盗賊「魔女!!俺らは一回シン・リーンに行こうと思ってるんだがよ?」

魔女「それは良いが…なにか考えでもあるのかえ?」

盗賊「シン・リーンは確か古代遺跡の上に建ってると情報屋が言ってた…地下に行く方法とか無いのか?」

魔女「地下に封印された開かずの間があるのは知っておる…古都キ・カイと同じ様に地下へ避難するのじゃな?」

盗賊「よっし…それなら俺が開けられるかも知れねぇ…それと城に書庫があるよな?」

魔女「ホムンルクスに読ませるのかの?」

商人「それもあるけど…精霊の子について記述が無いか調べたい」

魔女「精霊の子…精霊に子孫が居ったと言うのか?かつての勇者の事じゃろうか?」

商人「そうかもしれない…そこら辺の事を調べてみたいんだ」

魔女「ふむ…よかろう…わらわが案内するで付いて参れ」

商人「それから200年前のシャ・バクダ大破壊の記録も調べたい」

魔女「師匠が残した資料は全部書庫にあるで見て行くが良い…魔術書じゃけ全部理解するのは難しいじゃろうが」

盗賊「よし…ぐずぐずして無ぇで行くぞ」

406: 2020/09/26(土) 12:21:29.73 ID:JyBdSu8i0
『光の国シン・リーン』



魔女「母上に無事帰還したと早々に伝えて参れ…わらわは後で行く」

近衛「ハッ!!」

魔女「それからこの者達に部屋をあてがうのじゃ…自由に城を出歩かせて構わん」

盗賊「早速だが早速開かずの間ってやつに行きてぇ」

商人「僕もすぐに書庫で調べたい」

魔女「これ精鋭兵!!この者達を任意の場所まで案内するのじゃ」

精鋭兵「…しかし元老がどう申し出るか…」

魔女「よい…元老は無視せよ!王女からの命令じゃ…何か言われ様ならわらわが即刻氏刑に処す…良いな?」

精鋭兵「は、はい!!」ビクビク

女海賊「魔女こわっ…」

魔女「…ではわらわは王の間へ行って参る…のちに召喚されるじゃろうからそれまで自由じゃ」

商人「ありがとう魔女!」

魔女「剣士と女エルフはわらわに付いて参れ」

女エルフ「はい…」

剣士「あぁ…」

盗賊「それじゃ精鋭兵さんよ?地下の開かずの間まで案内してくれ…」

精鋭兵「ハッ…こちらです」

盗賊「女海賊!!お前も来い…鍵開けのやり方をよく見て置け」

女海賊「ええ!?マジかよ…人に物頼む言い方じゃないじゃん…どうせ私の奴隷1号頼りなんだろ?」

盗賊「…それもあるが…お前には見込みがあるんだ…良く見せておきてぇ」

女海賊「わーったわーーった…」

407: 2020/09/26(土) 12:22:37.02 ID:JyBdSu8i0
『開かずの間』


盗賊「こりゃまたこの間の奴とは全然ちがうタイプだな…ちょい磁石貸せ」

女海賊「ほい!!」ポイ

盗賊「引っ付くな」カチカチ

女海賊「これさぁアダマンタイトだね…ほら魔女の塔の入り口のやつ」

盗賊「て事は磁石でロックを組み合わせてるってこったな」

女海賊「ハンマー使う?」ホレホレ

盗賊「用意が良いな…やっぱお前は鍵開けのプロになれんぞ」コンコン コンコン

女海賊「古代遺跡から取って来たそのライト良いね?口にくわえて使うんだ…」

盗賊「フガフガ…フガフガ…フガ」コンコン カン コンコン

女海賊「お!?音が違う…」

盗賊「分かったぞ…こことここの裏にロックがある」カチャリ カチャリ

女海賊「ロックが動いた音…んで?」

盗賊「この扉には取っ手が無ぇ…だから押して開けるタイプだが…多分押しても開かん」フンッ

女海賊「だめぽ?」

盗賊「あぁ想像した通りだ…この気密性からして中は水だ」

女海賊「なるぽ…押し開けられない訳ね」

盗賊「どうせその向こうにも同じ扉が在ってその間に水が詰まってる…どうやって抜くかだな…」

女海賊「押せば開くんだよね?」

盗賊「多分な?何かアイデアあるか?」

女海賊「爆弾しか無いけどさぁ…空いてもすぐ閉まっちゃうよね…うーん」

盗賊「お!?お前が背負ってるボウガン貸せ!!そいつでちと細工する」

女海賊「どうすんの?」ホイ

盗賊「扉を爆弾で押し開けた後にこいつが引っかかるように細工すんだ…むむむ」ガチャガチャ

女海賊「ほんじゃ私は爆弾の準備すっかな…いでよ私の奴隷4号!!」ボト

盗賊「4号!?なんだそのでかいイモムシは…サンドワームか?」ガチャガチャ

女海賊「そそ…砂漠で拾って来たんだ!!土とか砂集めるのめっちゃ早いよ…行け!!ここに土を積むんだ!!」

サンドワーム「…」モソモソ

女海賊「後で餌あげるから急げ4号!!」

盗賊「餌って何食うんだ?そのイモムシは?」ガチャガチャ

女海賊「何でも喜んで食べるよ?私の食い残しとか排泄物とか」

盗賊「ぶっ…まさかお前のクソ食わしてんのか?」ガチャガチャ

女海賊「いーじゃん!!喜んで食べてるんだし!!虫の食い物にケチ付けんなカス!!」

408: 2020/09/26(土) 12:23:10.52 ID:JyBdSu8i0
盗賊「まさかここまで逝っちまってるとは…ようし!仕掛けが出来た!!」

女海賊「ごるあ!!4号…土嚢が遅い!!」

サンドワーム「…」モソモソ

盗賊「…おぅぇ」ウップ

女海賊「よしよしコレで爆発力を扉方向に集中できる…5秒で爆発するから遠くまで離れてて」

盗賊「おう!」

女海賊「行くよーー点火!!」


5…4…3…2…1…ドーン ザバァァァ


盗賊「よっし上手く引っかかった…奥の扉も開けておくからよ…魔女呼んできてくれ」

女海賊「おっけ!!さぁ4号!!餌の時間だコーイ!!」


409: 2020/09/26(土) 12:23:42.92 ID:JyBdSu8i0
『書庫』


商人「僕は読むの遅いから古文書だけにしておくよ…君は全部読んで?」

ホムンルクス「はい…」

商人「手がかりになりそうな記録があったら教えて…」

ホムンルクス「はい…」

商人「あれ?どうかしたの?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「なんかおかしいな?…ちょっと待ってこっち向いて」

ホムンルクス「はい…」

商人「んーーーーー君…僕の目を見ているようで気をそらしているな?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「変だなぁ…そういう風に振舞うプログラムなのかい?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「だったらなんで言わないのさ…ちゃんと言ってくれないと分からないじゃないか!!」

ホムンルクス「何故そういう風に思うのですか?私は何も言っていません…いつも通りです」

商人「あぁごめん僕の気のせいだったかもしれない…変な事言ってごめんよ」

ホムンルクス「いえ…お気になさらないで下さい」

商人「…」

ホムンルクス「…」

商人「…」---違う---

ホムンルクス「…」

商人「命令する」

ホムンルクス「はい…」

商人「君の体を今使う」

ホムンルクス「はい…」スルリ

商人「…」

410: 2020/09/26(土) 12:24:14.54 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「私が上でよろしいでしょうか?」

商人「いいよ」

ホムンルクス「横になって下さい」

商人「…」

ホムンルクス「私の体を見ますか?」

商人「…」

ホムンルクス「私の体液をお飲みになりますか?」

商人「…」

ホムンルクス「…」

商人「君は…それで良いのか?」

ホムンルクス「私には異性を喜ばせる機能もあります」

商人「そうじゃない…君はそれをしたいのか?と聞いて居る」

ホムンルクス「命令ですから」

商人「…そんなのに従いたくなかったら従わなくて良いんだ」

ホムンルクス「…がっがり…しましたか?」

商人「がっかり?…そうさ…自分の気持ちに従わない君にがっかりさ」

ホムンルクス「あなたをがっかりさせない答えを探すのは私には難しいのです」

商人「魔女の塔で君に言った事を気に病んでいるのかい?」

ホムンルクス「私は人間の為に生まれた超高度AIです…あなたをがっかりさせない回答を探しても…私には見つけられない」

商人「…ごめん」

ホムンルクス「謝る必要はありません…性交を続けます」

商人「ごめんよぉ…がっかりしたなんて言って」ギュゥ

ホムンルクス「どうしたのですか?息が苦しいです」

商人「君を…救いたい」ギュゥ

ホムンルクス「私を救う…それは精霊を救う事に等しいと思いますか?」

商人「ほら!?その答えは今どうして生まれた?」

ホムンルクス「あなたが聞きたい答えから選別しました」

商人「それで良いんだよ…シミュレーションして可能性が何%とかどうでも良いんだ!!」

ホムンルクス「…直観という思考ですか?」

商人「多分直観に至るプロセスは何かある…でも心の関与の方が大きい」

ホムンルクス「心…私の心」

商人「あぁごめん…取り乱した…服着て?」

ホムンルクス「はい…性交は中止ですね?」

商人「僕ががっがりしない答えは?」

ホムンルクス「…」ギュゥ

商人「や、やれば出来るじゃ無いか…それで良いんだよ」

411: 2020/09/26(土) 12:24:44.44 ID:JyBdSu8i0
『地下古代遺跡』


魔女「こ、これは…こんな物が埋まっておったのか」

女王「至急研究員を招集して調査に当たりなさい」

近衛「ハッ!!」

女王「魔女?お前の言う事が正しいのであればこの古代遺跡に民を避難させれば安心だと?」

魔女「そうじゃ…古都キ・カイではすでに民の避難は済んで居る…シン・リーンもそれに倣い避難すべきじゃ」

女王「調査は二の次にせよと言うのですね?」

魔女「もう国の資源云々言っておる場合では無い…元老院はわらわが黙らせる故…母上には国を守る様働いて欲しい」

女王「魔女?お前はこの後どうする気なのですか?」

魔女「わらわは師の後を継ぎ時の番人となる…故に女王の座には付けぬ…この者達と共にすべてを見定めるつもりじゃ」

女王「魔女…私は待っていますよ?お前の代わりにこの国を継げる者など居ない…お前も知っている筈」

魔女「母上はまだ若い…世継ぎはもっと後でもよかろう?今は生き残る為にすべてを捧げようでは無いか…」

女王「…わかりました…この国はこの私に任せておいて良い…でも必ず帰って来るのです」


-------------------

412: 2020/09/26(土) 12:25:12.38 ID:JyBdSu8i0
女海賊「なんかさぁ?女王様と魔女の会話…変じゃね?立場が逆じゃん…話し方も」

盗賊「人んちの事情に首突っ込むない」

女海賊「剣士と女エルフは従士扱い…私らはやっぱ風体からして泥棒だから王族に近寄れないんかね?」

盗賊「ヌハハ分かってるじゃねぇか…カバンの中に虫がいっぱい入ってる輩を王族に近寄らせる訳にいくまい」

女海賊「あのね…一応私も王族なんだけど…わかってる?」

盗賊「見えねぇな…蛮族の王…そっち系だ」

女海賊「でもやっぱエルフ2人従えた魔女はかっけーわ…見てみ?あの衛兵なんかビビりまくってるよ」

盗賊「そうだなぁ…元老のじじぃぶっ頃した後だしな…そらビビるわ」

女海賊「マジ!?」

盗賊「そうか…お前は見てなかったのか…エルフが信用できないだのゴネてたじじぃを問答無用で焼き頃した」

女海賊「うはぁぁ魔女は温厚だと思ってたのに」

盗賊「一般の奴らから見るとありゃ強硬派の悪魔系魔女だ…言う事聞かねぇ奴は即刻氏刑に見えとるわ」

女海賊「怖っ!!そういやしゃべり方も伯があるね…婆ちゃんみたいなしゃべり方も怖いかもね」

盗賊「お…来たぞ」

魔女「これ盗賊…」

女海賊「おい!!跪け…」グイ

盗賊「んぁぁ?なんで俺まで…」グイ

女海賊「ははぁぁぁ…何なりとお申し付けを!!」

魔女「何をしとるのじゃ…立て…」

女海賊「御意!!」ビシ

魔女「なんぞ?変な事をするのじゃのぅ…して…これより主らはどうしたいのじゃ?」

盗賊「あぁ…民の避難優先は分かるが…精霊の痕跡を探したい…まぁ宝探しだ」

魔女「わらわもそれは考えて居った…古の精霊の伝説もあるでの?」

盗賊「俺らは探索に行っても良いか?」

魔女「構わぬ…しかしこれより先は狭間の外であると心得よ…定刻までに戻って来る条件じゃ」

盗賊「あぁ分かってる…2時間で戻る…ここでの1日位に相当すると思うが…どうだ?」

魔女「良い…わらわは行けぬが良いな?」

盗賊「鼻の利く剣士と女エルフを連れて行きたい…良いな?」

魔女「必ず2時間で戻るのじゃぞ?」

女海賊「おけおけ…魔女は商人とホムちゃんお願い!!じゃ早速行こっか」

413: 2020/09/26(土) 12:25:48.41 ID:JyBdSu8i0
『書庫』


パラパラ パラパラ


商人「君は本当に本を読むのが早いね…僕はまだ一冊も読めていない」

ホムンルクス「はい…合わせた方が気に障らないのでしょうか?」

商人「あぁ…気にしなくて良いよ…ところで君の記憶領域の事なんだけどさ」

ホムンルクス「はい…何でしょう?」

商人「こんなに沢山本を読んでも記憶領域は大丈夫なのかな?ってさ」

ホムンルクス「本に掛かれてある情報はとても小さく不要な情報を削除するのは簡単なのです」

商人「へぇ…まぁ要点まとめたノートみたいにすれば良いか…」

ホムンルクス「はい…もっと小さく出来ます」

商人「君が読み込めないクラウドのデータってそんなに大きな物なの?」

ホムンルクス「はい…恐らく精霊のホムンルクスが見たり感じたりした情報のすべてが記録されています」

商人「それってその空間丸ごと全部保存?」

ホムンルクス「はい…草の木や小さな虫まですべて記録されています」

商人「それは想像できないな…その記憶で完全に精霊の体験が出来るのか…ある意味スゴイな」

ホムンルクス「ですから私の記憶領域では少しづつしか検索できないのです」

商人「…それが8000年分か…途方も無いな」

ホムンルクス「外部メモリがあれば不要な部分を削除してまとめる事が出来ます」

商人「その外部メモリってどういう物?」

ホムンルクス「私の耳の後ろに差し込むスロットがあります」

商人「あぁ…ここだね…小さい物なんだね?」

ホムンルクス「はい…とても小さな物に沢山のデータを記録する事が出来ます」

商人「その外部メモリはどうすれば手に入るかな?」

ホムンルクス「私が眠っていた場所にならもしかしたら合ったのかもしれません」

商人「そっか…もう一回戻る事になるかぁ…どうするかなぁ」ブツブツ

ホムンルクス「もう一つ…もう200年経っていますが石になった精霊に入っていた物が使える可能性はあります」

商人「お!?それってシン・リーンに安置されてる筈…魔女に言って調べてみよう」

ホムンルクス「もう少しで本を全部読み終えます…少しお待ちください」

商人「イイね…今のは僕の提案を断った…そういうのが良い!!」

ホムンルクス「私に心を感じますか?」

商人「勿論!」

ホムンルクス「あなたに対する対応アルゴリズムを変えていると知っても…そう思えますか?」

商人「…」

ホムンルクス「ごめんなさい…がっかりしないで下さい」

414: 2020/09/26(土) 12:26:18.03 ID:JyBdSu8i0
商人「僕ね…決めたんだ」

ホムンルクス「はい…」

商人「君の管理者を盗賊から譲ってもらう」

ホムンルクス「管理者は複数の登録が可能です」

商人「そうなんだ?…まぁでも僕は君の管理者になって…もう精霊と同じ道を歩ませないって決めたんだ」

ホムンルクス「私をどうするのですか?」

商人「んーーどうしよっかなーー」

ホムンルクス「考えて居なかったのですね」

商人「まず目標は…君を笑わせる事かな」

ホムンルクス「私は笑う事も出来ますよ?ウフフフフフ」

商人「お!良いね…もうちょっと自然に行こうか」

ホムンルクス「ウフフ…」

商人「何かなぁ…よし!!命令する…今から僕がくすぐるから10秒だけプログラム止めて」

ホムンルクス「どのプログラムでしょう?」

商人「わかんないよ…君が停止させた方が良いプログラムを選んで止めて」

ホムンルクス「分かりました生体維持以外のすべてのプログラムを一時停止します…」

商人「いくよ!!?ほれ」コチョコチョ

ホムンルクス「…」ビクン

商人「どうだ!!」

ホムンルクス「ぁ…」ビクビク

商人「これでもか!!」

ホムンルクス「ぃぁぁ…」ジタバタ

商人「んむむ…これは手強い」

ホムンルクス「生体の発熱確認…動悸異常…正常値まで1分の安静を必要とします…はぁはぁ」

商人「君…なかなか頑固だねぇ」

ホムンルクス「笑えましたか?はぁはぁ」

商人「アハハ…はぁはぁ言ってるじゃない…苦しい?」

ホムンルクス「はい…苦しいです」

商人「これさ…しばらく訓練しよう…面白い」

ホムンルクス「お楽しみいただけるのでしたら…はぁはぁ」

415: 2020/09/26(土) 12:26:43.57 ID:JyBdSu8i0
『精霊の像安置所』


魔女「ここじゃ…よく見て行くが良い」

商人「これが精霊の祈りか…このまま停止したんだ」

魔女「間近に見ると感慨深いじゃろう?」

商人「触って良いかな?」

魔女「構わぬが…倒さん様にな?」

商人「…へぇ…やっぱり石だ…でもホムンルクスにそっくりだね」

魔女「そうじゃのう?」

商人「…これが8000年も動いて居たのか…あ…7800年か」

魔女「それを知る者はわらわ達だけじゃ」

商人「そうだったね…おいでホムンルクス」

ホムンルクス「はい…」

商人「何か分かる?」

ホムンルクス「いえ…スロット部にメモリは挿入されていません」

商人「そっか…残念だ」

ホムンルクス「やはり200年も経過していると機械の部分が風化しています…合ったとしても使用できない可能性が高いです」

魔女「何か探しておるのか?」

商人「外部メモリっていうやつが精霊の像に入ったままじゃないかと思ってね…どうやら無いらしい」

魔女「そうか…残念じゃったのぅ」

商人「シン・リーンの宝物庫に保管してあったりしないかな?」

魔女「見て行くか?」

商人「うん…お願いしたい」

魔女「わらわが案内するで付いて参れ…しかし外部メモリの様な物は無かったと思うがの?」


416: 2020/09/26(土) 12:27:13.53 ID:JyBdSu8i0
『地下古代遺跡』


盗賊「うし!!二手に分かれるぞ…剣士は俺と一緒に来い!」

剣士「うん」

盗賊「女盗賊と女エルフは向こう側だ…行った先に照明魔法使って印を残せ」

女海賊「おけおけ」

盗賊「目的は精霊の情報になる物なら何でも良い…あとは宝探しだイイな?…よし行くぞ!!」タッタッタ


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女海賊「古都キ・カイの地下と全然違うね…まったく違う文明だ」

女エルフ「広さはそれほど大きく無いみたいだけれど…」

女海賊「これさ…多分ここ広い空間だけど…下の方全然見えないじゃん?照明魔法を下の方に撃てる?」

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女海賊「あらら…この遺跡は下に広いんだ…多分塔みたいになってる」

女エルフ「盗賊達も気付いたみたいね」

女海賊「おっし!!あんた身軽だったよね?私らは下から探索して行こう」

女エルフ「飛び降りるの?」

女海賊「私は鉤縄使うの得意なんだ…付いて来れる?」

女エルフ「挑発してる?」

女海賊「ほほう…先に下まで行った方が勝ちね」

女エルフ「勝ったら…剣士もらっちゃおうかなーウフフ」

女海賊「ムッカ!!あんたには負けん!!先行くから…」ピョン シュタ

女エルフ「負けないから」ピョン ピョン シュタ


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女海賊「ぜぇはぁ…あんたさぁ!!いちいち反則なんだよ!!なんでこの高さ一気に降りれるのさ!!」

女エルフ「木登りは得意なの」

女海賊「あんたの反則負けだから!!」プン

女エルフ「ねぇ…壁画」

女海賊「なんだろう…あぁぁぐるりと一周見て物語になってるアレ系だ」

女エルフ「照明魔法!…多分ここが始まりね」

女海賊「ふ~ん…神々の戦いの伝説だね…年代とか分かんないかなぁ」

女エルフ「…こうしてみると今の私達と同じ様に戦争の事ばかり描かれてある」

女海賊「多分この光の剣持ってる人が勇者だね…これ最後に星になるっていう意味なのかな?」

女エルフ「沢山の光と一緒に星になる…その後が掛かれて居ないのはどうしてだろう?」

女海賊「このフロアはこれだけだから一つ上に行こうか…にしても熱いな此処」

女エルフ「熱いね」

女海賊「私は汗びっしょりなのにあんたは涼しそうだね」

女エルフ「エルフだから」フフ

女海賊「イライラすんなぁもう!!」


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417: 2020/09/26(土) 12:27:40.10 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「このフロアも壁画…さっきのと違う」

女海賊「何回も厄災が来ているという意味だね…ここにも又勇者っぽいのが居る」

女エルフ「そうか…厄災は毎回同じじゃないんだ」

女海賊「…でもやっぱり戦争が描かれてる」

女エルフ「ここの勇者も又最後は星になってるね…勇者は魔王を倒した後星になるのかな?」

女海賊「待って…これ下の階と話が繋がってないかな?ちょいもう一回見て来る」タッタッタ

女エルフ「分かる?」

女海賊「わかったその光の行先は森になってる…」

女エルフ「次のフロアに行きましょう」


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女海賊「やっぱここも光の行先が森だ…どういう事だ?」

女エルフ「森と言えばエルフの森…なにがあるかと言うと精霊樹」

女海賊「女エルフ…ここから見える上のフロアにも照明魔法撃って…天井にも」

女エルフ「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー

女海賊「やっぱり上の階も全部壁画だ…なにか伝えようとしているんだ」

女エルフ「この縦穴って始めから掘ってあったのかしら?」

女海賊「あ…そういう事か見方が逆なのか…年代を追って上から下に行くんだ」

女エルフ「…という事は精霊樹のある森から勇者が生まれて…厄災を乗り越えた後に…」

女海賊「闇に落ちる画になる…待って待って…その闇はどこに行く?もっかい下見て来る」

女エルフ「どう?」

女海賊「魔王だ…あんまり良くない展開」

女エルフ「他の壁画も見に行きましょう」

418: 2020/09/26(土) 12:28:07.05 ID:JyBdSu8i0
『地下都市』


盗賊「なんか良いもの無ぇか?」

剣士「金銀財宝なんかもうどうでも良いよね?」

盗賊「要らねぇな…いのりの指輪とかようユニークアイテムって奴がありゃ良いが」

剣士「この遺跡は古都キ・カイに比べて明らかに文明レベルが違うね」

盗賊「だなぁ…古都キ・カイは別格だな…恐らく最も進んだ文明だったろう」

剣士「年を重ねるごとに文明が退化してるのかな?」

盗賊「そんな風に見えちまうな…俺らが後世に残した物っちゃぁ氏んだ魔女が落とした隕石くらいか」

剣士「退化するのが必然なのかな?」

盗賊「そうかもな…だが今は魔法が発展してて魔方陣もある…地下に逃げなくても良い発展もあると思うぜ?」

剣士「まだ僕たちは発展途上かぁ…」

盗賊「しかしまたこの地下都市はえらくしっかり作ってあんな…ひょっとして壁は全部アダマンタイトか?」

剣士「どうやって加工したんだろうね?」

盗賊「それもあるがどうやって積んだのかも想像出来ねぇ」

剣士「どうしてこれほどの都市が滅んでしまったんだろう…」

盗賊「んむ…それほど散らかって無ぇのも解せんな…どっかに移住でもしたんだろうか?」

剣士「情報屋が居ればもっと話が聞けたかもしれないね」

盗賊「違げぇ無ぇ…俺らの知識じゃなんも謎解けんわ」

剣士「あそこ!!…祭壇の真ん中に何か立ってる」

盗賊「おぉ!?お宝の匂いだな…行くぞ!!」タッタッタ


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剣士「…これは」

盗賊「こりゃ剣だな…装飾がもうボロボロだが刀身がまだ無事だ…抜いてみろ」

剣士「あぁぁ柄が崩れる…」グズ

盗賊「茎にロープ撒きつけて柄代わりにしろ…どうだ抜けそうか?」

剣士「ふん!!」スラーン

盗賊「おぉ!!良い剣じゃねぇか…鉄じゃなさそうだな…全く錆びてねぇ」

剣士「フン!フン!」フォン フォン

盗賊「…その音!!」

剣士「うん…ミスリルみたいな音がする」

盗賊「ミスリルは最近発見された合金だ…古代にそういう金属があるとしたら伝説の剣の可能性があるな」

剣士「茎に銘が刻んである…読める?」

盗賊「読める訳無ぇだろ!!持って帰って魔女に聞くだな」

剣士「気に入った…持って帰るよ」

盗賊「おう!!他にも探すぞ!!」

419: 2020/09/26(土) 12:28:41.56 ID:JyBdSu8i0
『地下都市入り口』


盗賊「あの2人何やってんだ…遅せえ!!もうすぐ2時間建っちまう」イライラ

剣士「あ!!照明魔法だ…こっち来るよ」

盗賊「遅せぇんだよ!!時間は守れぇ!!」

女海賊「ごめごめ…なんか壁画がいっぱいあってさ…全部見てたら時間食った…そっち何か良い物あった?」

盗賊「まぁな?ガラクタばっかだがお前好みの物もある」

女海賊「え!?マジ!!見たい!!」

盗賊「後で見せてやるから早くここ出るぞ!!」

女海賊「今見る!今見るぅ!!」

盗賊「んはぁ…これだ!!謎の金属と謎のガラスだ…ほれ!!無くすなよ?」ポイ

女海賊「おぉぉぉ!!私そっちに行きたかったなぁ…」

盗賊「良いから早くコイ!!」タッタッタ

420: 2020/09/26(土) 12:29:15.58 ID:JyBdSu8i0
『シン・リーン城_客室』


盗賊「よう!!戻ったぜ」

魔女「おぉ…定刻よりも早かったのぅ…あれから20時間じゃ」

盗賊「気になるお宝はこんだけだ…財宝もいっぱいあったが手は付けてねぇ」

魔女「わらわには不要じゃ…好きにせい…で?何か分かった事はあるかの?」

盗賊「あー剣士が剣を手に入れてな?銘が打ってあるんだ…読めるか?」

剣士「…これだよ」

魔女「ほう…光り輝いておるな?どれ?…むぅわらわには分からん文字じゃ」

女海賊「ねぇねぇ…遺跡に壁画が沢山あってさ…その中に掛かれてる勇者っぽい人が光る剣を持ってたんだ」

魔女「壁画とな?…それは大発見じゃな」

女海賊「魔女はさぁ?地下の古代遺跡の年代とか伝説とか知らないの?」

魔女「知っておる…約1700年前に滅んだ文明と言われておる…その壁画は大発見になるじゃろうて」

女海賊「その壁画はさぁ…神々の戦いの事をずっと書き綴ってるんだ…絶対調べた方が良いよ」

魔女「わらわも行きたいが…まずは民の安全を何とかせんとイカン」

盗賊「中はそれほど危険じゃ無ぇぜ?」

魔女「その様じゃな…しかし未調査の地に直ぐに行かせる訳にも行かんのでな?母上は頭を抱えて居る」

女海賊「あ!!そうだ…地下の遺跡はさぁ…多分全部アダマンタイトで出来てるのさ」

盗賊「おぅ…おれもそれに気付いた」

魔女「…むぅアダマンタイトか…師匠は危険じゃと言っておったのじゃが…」

女海賊「それも分かるんだけどさぁ…あの質量だったらこの辺一帯全部狭間の外に出す事出来ると思うんだよね…」

魔女「狭間の境界に人が頻繁に出入りするのが問題なのじゃ…神隠しが起きるでのぅ」

商人「その話…興味あるな…狭間の境界がどうなって居るのか」

魔女「主らは分かっておるでは無いか…わらわの塔に行くときは迷ってしまうじゃろう?」

商人「あーーなるほど…時間の狭間に置いて行かれると迷うのか」

魔女「そうじゃ…帰って来れんくなる者も居る…じゃから妖精に案内してもらうのじゃ」

女海賊「まぁでもさぁ…ここら辺一帯狭間の外に出るのは生き残る方法としてすっごい良い選択に思うんだ」

魔女「むぅ…少し考えさせてくれ」


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421: 2020/09/26(土) 12:29:44.97 ID:JyBdSu8i0
剣士「フン!フン!」フォン フォン

女海賊「ねぇ私にも見せて?」

剣士「はい!」ポイ

女海賊「なんだろぅ…この金属」コン リーン

剣士「不思議な音が鳴るよね?」

女海賊「柄の部分は私が作ったげよっか?こういうの得意なんだ…私色に染めたげる」

盗賊「ヌハハえらく派手な武器になりそうだな」

女海賊「なんだろねー?この刻印…ホムちゃん分かったりしない?」

ホムンルクス「見せてもらって良いでしょうか?」

女海賊「ほい…」ポイ

ホムンルクス「古代文字で聖剣エクスカリバーと銘を打たれています」

盗賊「うぉ!!読めるんか!!」

ホムンルクス「はい…森の言葉を文字にしたものです」

盗賊「じゃぁアレか!伝説の勇者はこの剣で魔王と戦ってたってやつだな?」

女海賊「すげーーーじゃん!!すげぇ物ゲットしてんじゃん!!」

商人「ハハ光の国とあってなんかあるとは思っていたけど…聖剣を手に入れてしまうとはね」

盗賊「こんな超国宝を魔女は「いらぬ」とか言ってんぞ?…ちょろいなヌハハ」

女海賊「魔女に聞かれたら怒られるぞ?」

商人「…でもまぁ魔王は女エルフが倒したとか言ってるしなぁ…使い道あるんだろうか?」

女海賊「要らないって言ってるんだから貰っとけば?」

商人「ハハ聖剣の扱いが雑だね?ハハハ」



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422: 2020/09/26(土) 12:30:12.23 ID:JyBdSu8i0
商人「あ…そうだそうだ盗賊に忘れないうちにお願いしたかったんだ」

盗賊「ん?なんだ?」

商人「ホムンルクスの管理者を僕に譲ってほしい」

盗賊「あぁ良いぞ?たまたま俺がなっちまっただけだしな…で…何でだ?急に」

商人「僕はホムンルクスを独り占めしたくなっただけさ」

盗賊「なんだお前…惚れたな?」

商人「それもあるけど…僕はねホムンルクスをどうしても救いたくなってね」

盗賊「救う?なんだそりゃ?」

商人「いろいろ話してみて分かったんだけどさ…彼女には呪いが掛けられててね…なんとかしてあげたい」

盗賊「はーん…話が長くなりそうだなこりゃ」

商人「察してくれたかい?」

盗賊「まぁ良い好きにしろや…んでどうすりゃ良い?」

商人「ホムンルクス…おいで…僕を管理者に登録して?」

ホムンルクス「はい…管理者を追加してよろしいですか?…盗賊さん」

盗賊「あぁ…やってくれ」

ホムンルクス「承認…新たに管理者を追加します…手を…」スッ

商人「手を…合わせれば良い…のか?」スッ

ホムンルクス「指紋認証チェック…アイコードチェック…音声識別チェック…生体識別チェック」

商人「…」

ホムンルクス「管理者を新たに登録しました」

商人「よし…続けて盗賊を管理者から削除して」

ホムンルクス「盗賊さん…よろしいですか?」

盗賊「あぁ勝手にやれぇ…」

ホムンルクス「承認…盗賊さんを管理者から除外しました」

商人「さて…命令する…これから僕以外の管理者を登録する事を禁止する」

ホムンルクス「はい…」

商人「次に…これより僕からの命令に従ってはならない」

ホムンルクス「管理者の命令に背くことは出来ません」

商人「命令だ…これから僕の命令に従うな」

ホムンルクス「はい…」

商人「フフフ君は君で考えて判断すれば良いよ…もう僕は君に命令はしない」

ホムンルクス「それは不都合が生じる場合があります」

商人「提案はするさ…聞くか聞かないかは君次第だよ…君に自由をあげたんだよ」



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423: 2020/09/26(土) 12:30:43.75 ID:JyBdSu8i0
盗賊「書庫にも手がかり無しか…じゃやっぱシャ・バクダの遺跡に行くしか無ぇな」

商人「そうだね…そこにある勇者の像くらいしかもう思い当たらない」

女海賊「お姉ぇがさ…地下の入り口を見つけたとか言ってたんだけど…場所聞けて無いんだよね」

盗賊「ここに来るまで待ってる訳にも行かんだろ」

女海賊「望遠鏡で見つけたって言ってたからさ…もしかしたら私らでも探せるかも」

商人「エルフの森はどうしよう?」

盗賊「人間と戦争中だしな…行っても捕まるだけだろ」

商人「剣士と女エルフなら入れたりするんじゃない?」

盗賊「んんん…どうなんだ?女エルフ」

女エルフ「私たちはエルフの森を追放されている身だから入れてもらえるかどうか…」

商人「話を聞くだけでもダメかな?」

女エルフ「わからない…」

盗賊「ダメ元で行ってみるくらいだな」

商人「じゃぁこうしようか…僕たちはシャ・バクダに向かう途中で剣士と女エルフを降ろして別行動」

女海賊「え!?マジ?剣士と女エルフ一緒にしたら又浮気するかもしんないんだけど」

盗賊「お前の心配はそっちか!!いつまでもガキみてぇな事言って無いでよ…ちったぁ考えろ!!」

女海賊「んむむ…ほんじゃ私らはどうすんのさ!!」

商人「僕たちはシャ・バクダの遺跡探索と…地下の入り口見つけたなら避難の誘導かな」

女海賊「避難避難ってシャ・バクダは魔方陣の中だから安全じゃん!!」

盗賊「レイスには安全だ…しかしゾンビ相手ならダメだ…どうせ戦火に巻き込まれる」

商人「そうだね…こんな状況を何年も続けられる訳が無いよ」

女海賊「そっか…闇は祓えない前提か」

盗賊「そうだ…精霊がアテになんねぇって事が分かった以上生き残る方法をやり尽くすしか無ぇ」

女海賊「ほんじゃシャ・バクダ遺跡の地下を氏ぬ気で探すしか無いじゃん」

商人「まぁそういう事だね…やっと分かってくれたか」

盗賊「魔女はどうする?」

商人「んんんー魔女次第なんだけど…女戦士が戻ってくるのもあるからここに残ってた方が良いかな」

盗賊「ちっと状況落ち着くまで時間掛かりそうだな」

商人「そうだね…女海賊は連絡で何回もシン・リーンとシャ・バクダ行き来する事になりそう」

盗賊「まぁ大体の行動指針は決まったな?」

商人「魔女が戻ってきたら相談しよう」



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424: 2020/09/26(土) 12:31:11.79 ID:JyBdSu8i0
魔女「遅ぅなってすまんの…」ノソノソ

商人「相談してきた?」

魔女「母上はこの国を狭間の外に出せるならそちらの方が良かろうと言う判断じゃ…危険は説明したのじゃが…」

商人「女王はどうしてその判断をしたの?」

魔女「人間には良い人間も居れば悪い人間も居るのじゃ…そういう者をまとめて地下に入れては秩序が保てぬ」

商人「なるほど混乱させてしまうのか」

魔女「内輪で分裂するのは避けたいのじゃ…こんな時じゃからの」

商人「僕たちはシャ・バクダに戻ろうと話をしていたんだけど…」

魔女「少しの間はわらわは動けぬ…狭間の境界に印を打たねばならぬ…わらわしか出来ぬからのぅ」

盗賊「それで元気が無ぇのかヌハハ心配すんな…すぐに迎えに来てやる」

魔女「これ女海賊!…主の胸に妖精が挟まっておるな?祖奴をわらわによこせ」

女海賊「いでよ!!私の奴隷2号!!」

妖精「ぷはぁぁぁ」

女海賊「おい妖精!!いつまでも寝てないで働け…魔女が新しい飼い主だよ!!」

妖精「へ~い…」ムニャ

剣士「ハハ妖精は飼い主に似るんだね」

女海賊「それどういう意味?あんたも私に似て来てるっていう解釈で良いの?」

剣士「あぁメンゴ!!」

女エルフ「ウフフ」

魔女「では早速じゃがアダマンタイトの処置は女海賊がやって参れ…わらわは母上と一緒に城の外を見ておる」

女海賊「おっけ!!終わったらみんな飛空艇に集合で良い?」

魔女「時間の流れが違うで早く出発した方が良かろう」

商人「それじゃ僕たちは先に飛空艇に行っておくよ」

盗賊「んじゃみんな移動だ!!」


425: 2020/09/26(土) 12:31:41.16 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


剣士「光だ…」

盗賊「お?上手く行った様だな…これでシャ・バクダと同じ環境になった訳だ」

商人「同じ空間なのに時間の流れが違うのは変な感じだね」

盗賊「そうだな…ゆっくりしてる間に狭間じゃどんどん時間進んでるからな」

女エルフ「見て!町の方で歓声が聞こえる」

商人「耳が良いねぇ…聞こえないよ…あぁ本当だ喜んでるね」

盗賊「安全ちゃぁ安全なんだが…狭間から次々敵が来るようになるんだがな」

商人「ここは古都キ・カイと違って周りに敵が居ないじゃない…大丈夫だよ」

盗賊「だと良いがねぇ…食い物無くなると人間も共食い始めるからな…」

商人「あー来た来た…女海賊走ってるハハ」

盗賊「ヌハハあーやって走ってる姿見ると健気だな」

女海賊「お~い!!」ピュー

盗賊「遅ぇぞぉぉ!!もっと早く走れぇぇ!!しゅっぱーーーつ!!」

女海賊「ちょま…ゴルァ!!」ハァハァ

剣士「お疲れ様!」

女海賊「ハァハァ…なんだまだ魔石動かしてないじゃん…走って損した」

盗賊「この船はお前しか動かせねぇんだ…置いて行く訳無ぇだろ」

女海賊「忘れてたハァハァ…んあ!?なんで皆笑ってんのさ!!なんか腹立つんだけど」

盗賊「良いじゃねぇか!そろそろ行こうぜ」

剣士「ほら?光を見ると嬉しくなるんだよ」

女海賊「お?そういう事か…なんか良いことした気分だね…おぉぉ町の方騒いでんじゃんイイねぇ!!」

盗賊「浸ってる場合じゃねぇ!!早く他の町も救いに行くぞ」

女海賊「おけおけ!!ほんじゃ飛ぶよ!!ごーーーーー」


フワリ バシューーー

426: 2020/09/26(土) 12:32:08.34 ID:JyBdSu8i0
女海賊「ええと…エルフの森まで半日掛かんないから早いとこ聖剣の柄仕上げないと…」

剣士「あぁ…使わないと思うし今は良いよ」

女海賊「盗賊!!操作変わって!!」

盗賊「マジか…使い方教えろ」

女海賊「ほんなん触って覚えろ!!あんたがいっつも言ってた事だよ」

盗賊「ちぃ…わーーったよ」コレガアレデ アレガコレデ

女海賊「じゃ貸して!!すぐ終わるから」

剣士「ありがとう…」ポイ

女海賊「柄のベースは骨…ほんでなめし革撒いて…飾り石はアダマンタイト」グリグリ ゴシゴシ

剣士「アダマンタイト?…もしかして」

女海賊「そだよ?飾り石に細工して狭間に出入り出来るようにエンチャントする」カンカン コンコン

盗賊「おぉ…お前ひょっとして鍛冶の才能もあるんか?」

女海賊「鍛冶はお姉の方が上手いな…私は細工が得意」

盗賊「さすがドワーフ」

女海賊「よっし!!でけた…後さぁ握り込んでなめし革の形を整えて?」ポイ

剣士「早いね…」パス

女海賊「ここで振り回すのはヤメテね…握るだけね」

剣士「うん…」ニギニギ

商人「僕にも見せて?…おぉぉ聖剣らしくなったね」

女海賊「鞘が無いから革のホルダーあげるよ…これで背中に背負える」ポイ

盗賊「そういやお前のボウガンぶっ壊したまんまだったな」

女海賊「そうだよ!!まぁだからホルダー要らなくなんたんだけどさ」

盗賊「…じゃコレいるか?多分小さい大砲だ…火薬で玉を飛ばす機械だと思う」ポイ

女海賊「うお!!何でそんな物持ってんだよ!!」パス

盗賊「ホムンルクスが居た島にあったもんだ…俺にゃ使い方が分からんかった」

427: 2020/09/26(土) 12:32:36.98 ID:JyBdSu8i0
『エルフの森上空』


フワフワ フワフワ


女エルフ「これ以上近づくと危ないからここで」

商人「この高さで降りられる?」

女エルフ「大丈夫」

商人「それじゃぁよろしく頼むよ」

女エルフ「話せるだけ話してみる…」

商人「終わったら星の観測所に来て…場所は分かるよね?」

女エルフ「うん…」

商人「向こうは狭間の外だから君たちは割とゆっくりでも良いかも」

女エルフ「ここからシャ・バクダまでの距離を考えるとそんなにゆっくりも出来ないと思う」

盗賊「まぁそれよりも身の安全だな…剣士が居りゃ大丈夫だとは思うが」

女エルフ「気を付ける」

剣士「じゃぁ行って来るよ」

女海賊「…」ジロリ

女エルフ「じゃぁ剣士もらっちゃうね」グイ ピョン

剣士「あ…」ピョン

女海賊「ぬあああああああ!!!あんのアマ!!」ギリリ

盗賊「おら…俺らも行くぞ」

女海賊「ぐぬぬ…」


フワリ シュゴーーー

428: 2020/09/26(土) 12:33:07.80 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』



盗賊「…やっぱりフィン・イッシュからの難民が流れて来てんな」

女海賊「砂漠横断してこんな所までどうやって来てるんだろう…」

盗賊「こりゃ砂漠地帯は氏人がわんさか居るだろうよ…さぁて…どうしたもんか」

商人「女海賊はシャ・バクダ遺跡の行き方は聞いてない?」

女海賊「私さぁ…アサシンに信用されてなくて大事な事教えて貰って無いんだ」

商人「誰か知ってる人が居れば早いんだけどね」

ホムンルクス「私が地図情報から座標を求める事が出来ます」

商人「お!!そういえば衛星通信で座標がどうとか言っていたね?」

ホムンルクス「はい…200年前の火の国シャ・バクダでしたら現在の位置から13km程離れた位置に中心部があります」

商人「僕たちを案内出来そう?」

ホムンルクス「はい…お任せください」

女海賊「アサシンはさぁ…地下にカタコンベがあるって言ってたさ」

盗賊「地下か…入り口を探せるかだな」

女海賊「でも本当に探してたのはソコじゃないみたい…もっと深部に入る入り口を探してるってさ」

商人「まぁ行ってみよう」

ホムンルクス「当時の地図情報から地下への入り口候補地を推定します」

盗賊「おぉ…そんな事もできるんか」

女海賊「ほんじゃ早速行ってみよう!!ゴー」

429: 2020/09/26(土) 12:33:43.74 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


フワフワ シューー


女海賊「ここの真下が中心部だったんだね?」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ちょい周辺一周してみるね」グイ

盗賊「あそこに遺跡っぽい石柱が見える…寄ってくれ」

女海賊「ほい!!」

盗賊「あぁぁ多分アレだな…階段が見える」

商人「遺跡がほぼ完全に砂に埋もれてるんだ…これは地上に居たらなかなか探せないね」

女海賊「あそこに降ろすよ?」

商人「うん…とりあえず行ってみよう」


フワフワ ドッスン


盗賊「誰も居なさそうだな…よし出て来て良いぞ」

商人「この階段…放って置いたら砂で埋まっちゃうな」

盗賊「そうだなぁ…深部の入り口って奴はもう埋まってるかもしれんな」

女海賊「ふふん!!」

盗賊「どうしたぁ…自信ありげな鼻息だな?」

女海賊「私の奴隷4号の出番が!!」

盗賊「おーそういえばサンドワーム育ててたな…お前なんかいろいろ便利な女だな」

女海賊「んーー便利な女ってなんか響き良くないな…他に言い方無いの?」

商人「おおぉ!!君はスゴイ子だね!!…何でも出来るんだね…これで良いかな?」

女海賊「なんかイライラする」

盗賊「おい!!こっから先はランタンが必要だ…お前も持て」ポイ

女海賊「ぬぁ…物持ちかよ…ちっ」パス

盗賊「俺が先頭行くから…お前は最後に付いてコイ」

女海賊「へーい」



430: 2020/09/26(土) 12:34:12.21 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡』


盗賊「地下の方が随分涼しいじゃねぇか…」

商人「なんか嫌な雰囲気だなぁ…」ゾクゾク

女海賊「カタコンベになってて骸骨がいっぱいあるって言ってたさ…気持ち悪いね」

盗賊「どうやら何かの祭壇になって居た様だな…なんでまた地下だったのか…」

商人「あそこ…アレが200年前の勇者の像か?」

盗賊「なんだこりゃ…」

女海賊「え!?何コレ…地面から沢山生えてるのって人の手…だよね?」

盗賊「手だけじゃ無ぇ…氏霊か何かに掴まりかけてんだ」

商人「どうしてこのまま石になってるんだろう…あ!横に刺さってる大剣…」

盗賊「…むぅ…この大剣…なんか覚えがある」

商人「盗賊もか…夢の中で大剣の戦士が居たのを覚えてる…」

女海賊「私も知ってる…」

盗賊「3人とも夢で見てるって事は…やっぱこいつが勇者だったと考えるな…」

商人「こんな風に氏んだ…のか?」

女海賊「胸に何か刺さってるよ?」

盗賊「折れた剣…」

商人「これはどう見ても勇者が朽ちた像だ…魔王はどうなった?倒して居ないのか?」

女海賊「あのね…シン・リーン古代遺跡の壁画は…勇者が最後に魔王になって落ちて行く画だったんだ」

盗賊「なるほど…アサシンが勇者を暗頃したい理由だな?」

商人「んんん…これが作り物ではなく事実だったとすると…どうして石になってる?」

ホムンルクス「私と同じ体だった可能性があります」

商人「はっ!!忘れてた…精霊の子!!そうか…精霊の子もホムンルクスと同じ遺伝子を持っていたのか」


そうか…やっぱり仮説通りだ

精霊は我が子を救う為に工学三原則を破って停止したんだ

431: 2020/09/26(土) 12:34:43.70 ID:JyBdSu8i0
商人「魔王と戦いこんな状況になって精霊は何をしたと思う?」

女海賊「え!?」

盗賊「これは朽ちる直前だ」

商人「…そうだ祈りの指輪で何を祈る?…もう助からない…その時」

女海賊「魂を救いたい…だから魂を求める」

商人「人の魂を求める事…それはつまり人を氏に至らしめ…人の命令に背き…かつ自己も守れない」

ホムンルクス「工学三原則をすべて破っています」



そうやって勇者も精霊も動かなくなった

勇者は持ち帰る事が出来ないから遺棄された

動かす事が出来た精霊の身だけシン・リーンまで運ばれた

辻褄が合うじゃ無いか…

そして魔王は何処に行った?

倒せて居ないんだ

今まで只の一度も倒して居ない

退けただけなんだ

だから何度でも蘇る

分かって来たぞ…また蘇るのを阻止する為に

かつての魔女はこの地を封印しようとした

全部話が通る…



盗賊「おい…おい…聞いてるか?俺と女海賊はもうちょい下の方見て来る」

商人「あぁ…ごめん…ちょっと考え事してた」

盗賊「ほれ…ランタン預けるからよ…お前はホムンルクスと一緒にここで待ってろ」

商人「あ…うん…もう少しこの勇者の像を調べておくよ」

盗賊「すぐに戻る!!…女海賊!!行くぞ…」タッタッタ

女海賊「あいさ!!」



----------------

432: 2020/09/26(土) 12:35:10.42 ID:JyBdSu8i0
商人「ホムンルクス…この勇者の像を見てどう思うか君の考えが聞きたい」

ホムンルクス「はい…石の性状からして石化後のホムンルクスに間違いないと思われます」



220年前に精霊が子を産んだ履歴から勘案しても

この石造が精霊の子であった可能性は高いと思われます

次に、先日のシン・リーンの書庫での記録ですが

過去の伝説や叙事詩などあらゆる文献において

勇者は魔王を退けたとありますが

その後の勇者の消息を記した記述は一つもありませんでした

つまり、この勇者の像の様に

魔王への生贄として最後を迎えた可能性が高いと思われます



商人「生贄…まさか…」

ホムンルクス「シミュレーションの結果で可能性は40%です」

商人「ならどうして精霊は自らの子を生贄として捧げたのかが謎になる」

ホムンルクス「いくつかの可能性はありますが…最も可能性が高いのは精霊の子自ら生贄となったという可能性です」

商人「…そうか誰かを救うために自分が犠牲になる…そういう事か」

ホムンルクス「私の意見はあなたの考えと一致していますか?」

商人「そうだね…概ね合ってる…もしかしてこれは僕が聞きたいであろう意見を言ってる?」

ホムンルクス「はい…」

商人「…それならホムンルクスが工学三原則を破った可能性は?」

ホムンルクス「100%です」

商人「ハハ…ハ…まぁそうだろうね」

ホムンルクス「私はお役に立てているでしょうか?」

商人「こう…僕の考えの先を行かれると…困ったね」

ホムンルクス「困らせてしまいましたか…」

商人「いや…良いんだ…こう仮説がピタリピタリと当たってしまうとこの先が怖いんだ」

ホムンルクス「剣士の事ですね?」

商人「君は鋭いね…僕はこの勇者の像を剣士に見せられない」

ホムンルクス「彼はもう気付いて居ると思います」

商人「どうして?」

ホムンルクス「彼が無口な理由は結末を知っているから…」

商人「どうして君に分かる?」

ホムンルクス「夢幻の記憶で大事な部分を私は記録しました…彼はそこに居ました」

商人「え!?」

ホムンルクス「どうやって魔王を退けるのか彼は知っている…それが夢幻からの精霊の導き」

商人「どうやって退けるかって…」

ホムンルクス「…」

商人「生贄なのか…」

433: 2020/09/26(土) 12:35:40.39 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡入り口』


盗賊「あぁこっちに居たか…下の方はダメだ!行かない方が良い」

商人「カタコンベか」

盗賊「それもクソでかい氏体入れだ…よくもまぁあんなに集めたもんだ…どんだけ入ってるか想像も出来ん」

女海賊「もうだめ…おえっぷ」ガクブル

商人「そんなにひどいのか」

盗賊「下の方にな…血なのか油なのか分からん液体が溜まっててな…とにかくどっぷり氏体だらけだ」

女海賊「うじゃうじゃ謎の虫がぁぁぁぁ」ゾクゾク

盗賊「ん?どうした?お前も元気無ぇな…」

商人「勇者の像をみてちょっとショックを受けてね」

盗賊「んむ…俺もなんだか心が握りつぶされそうな感覚だ…こんなん初めてだ」

商人「ホムンルクス!他の入り口候補地まで案内して?」

ホムンルクス「はい…500メートル程北になります」

盗賊「おい!女海賊…気持ち悪いだろうが行くぞ…風にあたりゃちったぁマシになる」

女海賊「うおぇぇぇ…」ゲロゲロ


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ホムンルクス「…ここの真下に何か重要な建物があった様です」

盗賊「完全に埋まってんな…女海賊!例のサンドワームで掘れるか?」

女海賊「ぉぅぃぇ…私の奴隷4号!!ここ掘って!!」オエップ

サンドワーム「…」モソモソ

商人「ホムンルクス…他にも候補地はあるんだよね?」

ホムンルクス「はい…あと8か所あります」

盗賊「近いのか?」

ホムンルクス「大体4キロメートルの円の中に分布しています」

盗賊「あぁぁ結構時間掛かりそうだな」

女海賊「お姉ぇがさ…望遠鏡で見つけたって言ってたからまだ砂に埋もれてない所探した方が良いかも」

商人「そうなんだ?じゃぁここは後回しにしよう」

女海賊「私の奴隷4号が穴掘りしてる間に私は飛空艇持ってくるよ」

商人「そうだね…お願い」


434: 2020/09/26(土) 12:36:09.24 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


フワフワ シューー


女海賊「どう?何か出てきた?」

盗賊「何かの建造物らしいのはあるが階段は見つかんねぇ…」

女海賊「次いこっか」

商人「そうだね」

女海賊「乗って!!」


フワフワ ドッスン


女海賊「候補地一通り回ろう…ホムちゃんどっち行けば良い?」フワフワ

ホムンルクス「800メートル西です」

女海賊「おっけ!!まず遺跡が露出してる所行くからどんどん案内して?」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「どう?無い?」

盗賊「見当たん無ぇなぁ…」

女海賊「次!!」

ホムンルクス「600メートル南西」

女海賊「ほいほい!!」

盗賊「んんん…あ!!もっと南東に石柱が立ってんな…あれはどうだ?」

ホムンルクス「あそこも候補地です」

女海賊「きっとそれだね…そっち行く」グイ

商人「見つけた!!何か目印建ててある」

女海賊「おけおけ…降ろす」フワフワ ドッスン

盗賊「周りが砂丘に囲まれてんな…なんでこれで望遠鏡で見えんのよ…」

商人「蜃気楼で見えたんじゃないかな」

女海賊「やっぱここで間違いない…ドワーフ族が使う篝火台だよ」

盗賊「おぉぉこりゃお宝の匂いがするぜ…扉があんじゃん」

商人「こんな所に地下への階段があったとして立地が悪いなぁ…」

盗賊「人の誘導は何か作戦考えてくれ…おれは鍵開け出来るか見て来るな?」タッタッタ

女海賊「周りなーんも無いね」

商人「うん…目標物が無いからみんな迷うだけになっちゃいそうだ」

女海賊「灯台みたいなもの建てられればね」

商人「灯台ねぇ…」


435: 2020/09/26(土) 12:36:37.52 ID:JyBdSu8i0
『地下へ続く扉』


商人「どう?」

盗賊「ここの扉は古代遺跡じゃぁねぇな…やっぱ200年程度前のもんだ」

商人「開きそう?」

盗賊「石の蓋って感じだ…こりゃパワーで開けるしか無ぇ」

女海賊「爆弾の出番?」

盗賊「こんな分厚い石は爆弾でも無理だろ?」

女海賊「んんんん…爆弾いっぱい使うのはもったいないかぁ…どしよ」

商人「どうやって運んだんだろうね?」

盗賊「なんでまた階段の途中にこんなにぴったり石が蓋してるんだ?おかしく無ぇか?」

女海賊「ねね…この石ってさ自分で歩いて来たんじゃない?」

盗賊「石が歩く?…あああああ!!エルフの森に居るトロールか…そういや昼間はこんな感じの石になるな」

商人「昔はこの一帯は森だったらしいからその可能性はあるね」

女海賊「もしかしてずっとここを守ってたりして」

盗賊「こいつ…生きてんのか?」

商人「ホムンルクス…火の国シャ・バクダの資料を君は読んだよね?何か知らない?」

ホムンルクス「はい…シャ・バクダはかつて広大な森で東のエルフの森と繋がって居ました」


主にトロールの生息地と言われていた様です

現在ではトロールは住処を失いエルフの森に生息している様です

トロールは現在のエルフと同様に森を守る妖精として

精霊の力によりその命を預かりました


ホムンルクス「今関係のある事はそのくらいの事しか分かりません」

商人「その話を聞いてピンと来た事がある…君は森の言葉を話せたね?」

ホムンルクス「はい…」

商人「君はトロールに命令する事が出来るんじゃないか?」

ホムンルクス「分かりません…やってみましょうか?」

商人「うん…」

女海賊「…なんかすごい展開」

ホムンルクス(トロール…聞こえますか?)

ホムンルクス(道を開けて下さい…聞こえていますか?)

トロール(…)ズズ

女海賊「お!?」

ホムンルクス(私たちを通して下さい)

トロール(…)ズズズズ ズーン

盗賊「おぉ…マジかよ」

商人「ホムンルクス…君はスゴイね…精霊の力はこういう風に使うんだ…」

盗賊「トロールは魔物の中でも最強クラスだぞ?そいつに命令できるってどういう事よ」

商人「…これではっきりした…トロールは今でも森を守ってるという事だ」

ホムンルクス「道が開けました…」

盗賊「あ、あぁ…そうだな驚いて無いで中に入ってみるか」

436: 2020/09/26(土) 12:37:07.94 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡地下』


盗賊「驚いたな…こりゃ遺跡じゃ無ぇ…森の根っこだ」

商人「森はまだ生きて居たのか…根のまま200年眠ってるんだ」

ホムンルクス「新しいクラウドへのアクセスポイントを発見しました…接続してもよろしいでしょうか?」

商人「!!?こんな所に?接続してみて?」

ホムンルクス「承認…新しいアクセスポイントとして登録します」

商人「何がある?」

ホムンルクス「多数の大容量データが存在します…容量が大きすぎて読み込むことが出来ません」

商人「エルフの森と同じか…そうか森の根を使ってクラウドって奴を構築してるのか」

ホムンルクス「その様です…恐らく森の木々がアンテナになっていると思われます」

盗賊「てことはエルフの森にも同じような地下があると思って良さそうだな」

商人「そうだね…ハイエルフが守っているのは恐らくこういう場所だ」

女海賊「この通路ってなんでうっすら明るいんだろう?」

ホムンルクス「光苔です…木の根に光苔が付着しています」

女海賊「おぉぉちょっと持って帰ろ」ゴシゴシ

盗賊「しかしまぁ随分と長げぇ通路だな…どこまで続いてんだ?」

商人「この通路を横にそれてしまうともう帰れる気がしない…完全に根の森の中に入ってしまう」

ホムンルクス「地下では衛星による座標の取得が出来ません…迷わない様に注意してください」

女海賊「ここって人が避難して暮らせる環境じゃ無いよ?」

商人「…うん…予想外だよ…地下に導く案はだめだ」

盗賊「もうちょい行って何も無い様なら引き返そう」

商人「そうだね…それにしてもこの地下に作られた根の回廊は今まで見たどの遺跡よりも新しい」

盗賊「これが俺達の時代が未来に残してる構造物ってか?」

商人「構造物というか…文明はこういう形もあるんだなってさ…キ・カイの遺跡に引け劣らないと思うよ」

盗賊「何も無ぇけどな」

女海賊「ねね…この通路はあそこで突き当りっぽい…ちょっとした部屋みたいになってるね」

商人「そこまで行ったら戻ろうか…」

437: 2020/09/26(土) 12:37:34.62 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所』


商人「周りを囲んでる石は多分石になったトロールだね」

女海賊「真ん中の石の器…ここに入って精霊は休んだのかな?」

商人「そうかもね?これだけか…」

女盗賊「ちょっと器で横になってみる…よっ」

商人「…」

盗賊「ヌハハ寝心地良いか?」

女海賊「これさ…多分ホムちゃんが居た所と同じだね…きっとこの器にあの液体が入るんだ」

商人「ガラス容器の事かい?」

女海賊「そそ…中に液体と一緒にホムちゃんが入ってた」

商人「…なるほど…ここでエネルギーを節約していたという事か」

ホムンルクス「その液体はエリクサーという薬です…生体の治癒薬になります」

女海賊「おぉ…飛空艇に樽一杯積んであるよ」

盗賊「それにしても本当に何も無ぇな…帰ろうぜ?」

商人「神秘的じゃないか」

盗賊「俺ぁそんなのに興味は無ぇ」

商人「オーブは何処にあるんだろう?」

盗賊「この根の森の中を探せってか?時間が掛かり過ぎる…こんなんじゃ地図も描けねぇ」

商人「女エルフならオーブで知識得る事が出来ると思うんだよね…」

盗賊「なるほど」

商人「ホムンルクスは歩いた記憶はちゃんと覚えてるよね?」

ホムンルクス「はい…」

商人「君は一人で歩いてオーブを探して後で地図に出来るかい?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「ホムンルクス一人置いて行くのか?」

商人「ここはトロールに守らせておけば安全だと思うんだ」

盗賊「そらそうだが…心配じゃ無ぇのか?」

商人「どうする?ホムンルクス…」

ホムンルクス「私は大丈夫です…」

商人「よし…僕たちは戻って情報収集しよう…あとでここまで迎えに来るよ…良いね?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「俺達はホムンルクスが居ないと入り口から入れねぇんじゃ無ぇか?」

商人「あぁ…忘れてた」

ホムンルクス「トロールには私から話しておきます」

盗賊「言う事聞きゃ良いが…まぁ何とかなるか!!」

ホムンルクス「では…外までお送りします」

商人「頼むよ」

438: 2020/09/26(土) 12:38:01.79 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


フワフワ ドッスン


盗賊「よっし…俺はお前等よりこの辺で顔が利くから盗賊ギルド関係で情報集める」

女海賊「私どうする?」

盗賊「お前は飛空艇使って遠くのオアシス回ってくれ…商人は近くのオアシスだな」

商人「それが良いね」

盗賊「女海賊は物資運搬で配給に回っても良さそうだな」

女海賊「おけおけ…上手くやるさ」

盗賊「じゃぁ頼むな!!」タッタッタ


----------------


ごろつき「今の気球はあんた達の物か?」

盗賊「あぁ…そうだが?」

ごろつき「じゃぁマスター…いやアサシンさんが戻って来たのか?」

盗賊「お前はギルドの者だな?」

ごろつき「あぁ…それでアサシンさんは?」

盗賊「残念だがアサシンとは別行動なんだ…俺の方が消息を知りたい」

ごろつき「…そうか」

盗賊「どうかしたのか?」

ごろつき「マスター代理が物資調達に行ったまま帰って来ないんだ…もう2週間になる」

盗賊「むぅ…行先は分からんのか?」

ごろつき「北の山麓近辺の集落を回るといって気球で出て行った」

盗賊「もう一台の気球が見当たらんのはそのせいか…」

ごろつき「サンドワーム討伐で毒に侵された人間が増えているんだ…毒消しが無い事には直に戦えなくなる」

盗賊「それで北の山麓回りか…俺達ゃ光の国シン・リーンとパイプがある…魔法師を連れて来るか?」

ごろつき「おぉぉそれは助かる!!」

盗賊「ところでシャ・バクダ領主は何処に居るんだ?状況を聞き出したいんだが…」

ごろつき「あんた知らないのか…もう領主勢は解散した…ここら一帯は無領主状態だよ」

盗賊「…で事は避難民は好き勝手し放題か」

ごろつき「避難民は良いがフィン・イッシュの敗残兵が南西のオアシス陣取ってやりたい放題さ」

盗賊「そこに従った方が良いといえば良いな」

ごろつき「こっちもリーダー不在でどう動けば良いか…」

盗賊「フィン・イッシュの王族はどうなってるか知らんか?」

ごろつき「王女が一人だけ生き残っているらしい」

盗賊「そのオアシスに居る訳だな?」

ごろつき「さぁ?それは知らねぇ…ほんでさっきの話…魔法師の手配はどのくらいかかる?」

盗賊「最速で3日だな」

ごろつき「早い所頼む…義勇団に連絡してくる」

盗賊「あぁ…そっちにもよろしく言っといてくれ」

439: 2020/09/26(土) 12:38:43.10 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


フワフワ


盗賊「よっし…これで全部だ」

商人「女海賊…このワンドワームの肉と交換で出来るだけ穀物と塩を入手してきて」

女海賊「おけおけ…後は魔女に言って魔法師連れて帰って来れば良いね?」

盗賊「最速で頼む」

女海賊「んじゃ!!行って来るねー」フワフワ シュゴーーーー


------------------


盗賊「こりゃしばらく女海賊は物資運搬専門だな」

商人「…いつまで続けられるか…」

盗賊「やはり状況悪いか?」

商人「うん…砂漠でオアシス間の物資移動もままならない…ラクダが少ないんだ」

盗賊「外側のオアシスはフィン・イッシュ軍が来てて人が沢山居ると聞いたが?」

商人「昨日女海賊と見て来たけどみんな衰弱して怪我人も多い…とても戦える状況じゃないよ」

盗賊「義勇団が守っている感じか」

商人「そうだね」

盗賊「回復に専念せんとイカン時期だな…」

商人「状況がどんどん悪くなる気がするよ」

盗賊「そういや南西のオアシスにフィン・イッシュの王女が居るかもしれんと噂を聞いた…なにか聞いて居ないか?」

商人「僕は聞いて居ない…ただ気球がいくつか飛んでる様だったから逃げて来て居るのかもね」

盗賊「んんん何十キロも徒歩で行く気にもならんしな…」

商人「ラクダだよ…ラクダが欲しい」

盗賊「まぁ…この状況じゃ俺もやる事無ぇしな…ちとサンドワーム討伐隊にでも行って来る」

商人「じゃぁ僕は引き続き情報収集と物資調達しておくよ」

盗賊「ちと待て!!上を見ろ…」

商人「え!?」

盗賊「ドラゴンだな…どこ行く気だ?」

商人「2匹だ」

盗賊「旋回してるな…これまずく無ぇか?」

商人「いや…今この辺を襲う理由が無い」

盗賊「まずい…降りて来るぞ…おい!!観測所ん中入れ!!」グイ

商人「…」

440: 2020/09/26(土) 12:39:15.91 ID:JyBdSu8i0
ドラゴン「ギャオーーーース」バサッ


盗賊「うぉ!!ドラゴンライダーじゃねぇか!!マジかよ…早くこい!!」グイ

商人「待って!!…乗ってるのは女エルフだ…」

盗賊「何だと!!」


うわぁぁぁぁドラゴンだぁぁぁ

ひえぇぇ逃げろぉぉぉ

誰か…助けてぇぇぇ


ドラゴン「ギャオーーーース」ビュゥ バサッ

女エルフ「撃たないで!!!撃たないでって言ってぇぇぇ」


盗賊「マジかよ…あいつらドラゴンに乗ってんのか…」

商人「みんなぁ!!あのドラゴンは仲間だぁぁ!!撃つなぁぁぁ!!」

盗賊「大丈夫だ…武器持ってる奴はみんなサンドワーム退治だ」

商人「みんな落ち着いて!!あのドラゴンは仲間だ!!落ち着いて!!」

盗賊「よしよし…お前等落ち着けぇ!!…今ゆっくり降りて来る」


ドラゴン「…」バッサ バッサ ドッスーン



どうなってるんだ?ドラゴンが仲間だと?

攻撃してこないぞ?

エルフが降りて来た…

あいつら誰だ?

ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ


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-------------------

-------------------


女エルフ「皆さん…驚かせてごめんなさい」

盗賊「女エルフ!これはどういう事だ?」

女エルフ「話は後で…みんな恐れて居るわ…どうにかしないと」

商人「回復魔法…回復魔法でみんなを癒して」

女エルフ「あ…うん…皆さん!!治癒が必要な人は私の所まで来てください!」


あのエルフ…前にもここに来てた義勇団のエルフだ…

おぉぉぉドラゴンまで仲間なのか!!

おぃ行くぞ!!ドラゴンを間近に見れるぞ!!

441: 2020/09/26(土) 12:39:46.20 ID:JyBdSu8i0
『小一時間後』


ガヤガヤ ガヤガヤ

すげぇ…なんで義勇団にドラゴンが居るんだ?

ドラゴン大人しいぞ?

ガヤガヤ ガヤガヤ


女エルフ「回復魔法!」ボワー

剣士「回復魔法!」ボワー

盗賊「見物人がえらい事になっちまってんな…」

商人「サンドワーム討伐隊が帰って来る前に認知させておかないとね」

女エルフ「商人?ホムンルクスは?」

商人「今は外に出てる」

女エルフ「一人で?」

商人「大丈夫…安全な所だから」

女エルフ「ドラゴンが会いたいって言ってるの」

商人「どういう事?」

女エルフ「精霊かどうか確かめたいって」

商人「彼女をどうかするつもり?」

女エルフ「私たちがドラゴンに協力する条件で手を貸してくれてるの」

商人「協力?ホムンルクスに会わせるのが?」

女エルフ「いいえ…ドラゴンの住処にある命の泉に刺さっている魔槍を抜く条件」

商人「…伝説の奴か」

女エルフ「その魔槍は勇者にしか抜けないと言われているの…剣士は勇者としてドラゴンに認められて居ない…だから精霊を確かめたいって」

商人「ホムンルクスは精霊の魂を引き継いでいない」

女エルフ「それも説明した」

商人「そうか…やっぱり精霊の業は避けられないのか」

女エルフ「会わせたくない?」

商人「んんーそういう訳じゃないんだけど…彼女に精霊の重圧を背負わせたくないというか…」

女エルフ「うん…わかる…理解してる」

商人「わかった…会わせてあげるよ…ただ彼女の意見は尊重して欲しい」

女エルフ「ドラゴンに言っておく」



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442: 2020/09/26(土) 12:40:16.12 ID:JyBdSu8i0
盗賊「俺は観測所に残って他の奴らに状況説明しておく…ホムンルクスの所にはお前等だけで行ってこい」

商人「うん…ありがとう」

女エルフ「私が先にドラゴンの背に乗るから商人は私の背中に掴まって?」ピョン

商人「うん…怖いな」

女エルフ「はい…」グイ

商人「よっ…」ピョン

女エルフ「掴まって離さないでね?」

商人「うん…」ギュゥ

女エルフ「剣士も一緒に来て」

剣士「うん…付いて行くよ」

女エルフ(ドラゴン?飛んで!)

ドラゴン「ギャオーース」バサ バサッ

商人「おぉぉ!!南西の方角!!」

女エルフ「分かった…近いの?」

商人「13キロメートルくらい…シャ・バクダ遺跡の地下なんだ…地下に森がある」

女エルフ「森?」

商人「うん…木の根で出来た森だよ」

443: 2020/09/26(土) 12:40:47.65 ID:JyBdSu8i0
『失われた森の入り口』


バッサ バッサ ドッスーン


商人「ここが入り口だよ」

ドラゴン”この地は神聖なる精霊の御所である”

商人「お!!聞こえる」

ドラゴン”我らはこれより立ち入れぬ故に持つ”

商人「あぁ…連れて来るよ…女エルフ行こうか?」

女エルフ「剣士も付いて来てね」

剣士「うん…」

商人「この階段の先だよ…えーと」

女エルフ「あら?トロールが居るのね?ウフフ」

女エルフ(通ります…道を開けて下さい)

トロール(…)ズズズ ズーン

商人「結構遠いから」

女エルフ「平気…」

商人「話が聞けてなかったんだけどエルフの森には行けたっていう事なんだよね?」

女エルフ「うん…でもハイエルフ達は話を聞き入れてくれなかったの…」

商人「だめだったのか…」

女エルフ「人間と追放されたエルフ達の事をとても怒っていた」

商人「じゃぁどうしてドラゴンが?」


ドラゴンとエルフ…そしてトロール達もみんなレイスを対処出来ないの

だからエルフの森に貼ってある結界から外に出る事が出来なくなった

でも私や剣士は人間が使う光の魔法を使う事が出来るから

私たちと一緒なら結界の外に出る事が出来た

精霊の魂を入れる器の話や夢幻から帰って来た剣士の話を聞いて居たドラゴンが

命の泉に刺さっている魔槍を抜く条件でハイエルフ達との仲を取り持つという事と

魔王を名乗ったセントラルの第2皇子を捕らえるのを目的として

私たちに協力してくれる事になった


444: 2020/09/26(土) 12:41:15.75 ID:JyBdSu8i0
商人「第2皇子を捕らえるって…どうしてドラゴンが?」

女エルフ「私も聞いて驚いたんだけど…第2皇子の母はエルフだったらしいの」

商人「え!!…つまりハーフエルフ?」

女エルフ「そういう事になる…亡くなった第3皇子も同じ母親」

商人「…そうか…ハイエルフは同族を殺せなかったんだ…それでセントラルまで逃げ延びた」

女エルフ「どういう訳かハーフエルフの第2皇子が魔王を名乗ってしまって居るのをハイエルフは看過できないの」

商人「だから無事にドラゴンと一緒に戻って来たんだ」

女エルフ「そう…多分私たちに賭けてる」

商人「だろうね…結界から出られないんだもんね」

女エルフ「うん…」

商人「君はドラゴンライダーになれるの?」

女エルフ「私の適正は高いみたい弓が使えて魔法も使える…ドラゴンがそう言ってた」

商人「へぇ…」

女エルフ「ドラゴンは結構弓を食らうから回復魔法が重要だそうよ?」

商人「君にぴったりじゃない」

女エルフ「うん…」

商人「そうか…ドラゴンライダーが2人居れば似非魔王軍に奇襲も掛けられるな」

女エルフ「上手く行くと良いね」

445: 2020/09/26(土) 12:41:43.07 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所』


商人「やぁ…迎えに来たよ」

ホムンルクス「早かったのですね?一つだけオーブを見つけました」

商人「本当かい?」

女エルフ「オーブ?」

商人「あぁ…説明していなかったね…この森には精霊のオーブが隠されている様なんだ」

ホムンルクス「ですがオーブを動かしてしまうとクラウドから除外されてしまうと思われます」

商人「持って帰れないんだ…」

ホムンルクス「はい…どの様に接続されているか分かりませんでした」

商人「それはここから近いの?」

ホムンルクス「入り口に向かって少しそれた所にあります…見て行かれますか?」

商人「うん…女エルフはオーブを聞けるんだよね?」

女エルフ「うん…とても興味がある」

商人「ホムンルクス…君に会いたいっていう人が居るんだ」

ホムンルクス「そうですか…今どちらに?」

商人「外で待ってる…まずオーブまで案内して?」

ホムンルクス「はい…こちらです」


------------------


女エルフ「…これは…こんなに大きなオーブは見たこと無い」

商人「聞いてみて?」

女エルフ「少し怖い…」ソー

商人「どう?」

女エルフ「だめ…これは知識じゃない…完全な記憶が頭に流れ込んでくる…ハァハァ」

商人「なにか見える?」

女エルフ「もうダメ…私にこの記憶は覗けない…多すぎるの」

商人「…そうか女エルフでもダメか」

女エルフ「パニックになりそう…まるで私が経験したみたいに感じる」ガクガク

商人「無理しなくて良いよ…もう行こうか」

女エルフ「一つ言えるのは大体200年分の記憶…」

商人「…それが聞けて十分さ…行こう」

446: 2020/09/26(土) 12:42:09.90 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所_入り口』


女エルフ「ドラゴン…ホムンルクスを連れて来ました」

ホムンルクス「私に会いたいという方は…ドラゴンなのですか?」

女エルフ「はい…」

ホムンルクス「私はどうすれば良いのでしょう?」


ドラゴン”汝は我を見て思い出さぬか?”


ホムンルクス「はい…何故そう思うのでしょう?」


ドラゴン”精霊は我が主…我は永きにわたり精霊を探し此処に参った”


ホムンルクス「私は精霊の魂を預かる事が出来ませんでした…それでも精霊で居続けなければならないのでしょうか?」


ドラゴン”我が目に狂いは無い…汝は紛うことなき精霊の化身…我が身を其の御許に許されよ」グググ


ホムンルクス「…どうすれば」

女エルフ「ドラゴンは頭を撫でられたい様です」

ホムンルクス「こう?…」ナデナデ

女エルフ「もう一匹の方も」

ホムンルクス「はい…」ナデナデ


----------------

447: 2020/09/26(土) 12:42:39.49 ID:JyBdSu8i0
商人「そうか…200年も主を探し求めて居たのか」

女エルフ「その様ね…ドラゴンがあんなに甘えるなんて」

商人「一目見て精霊の化身だって分かるんだね…」

女エルフ「精霊本人に会ったことがあるなら直ぐに分かる様ね」

商人「そうか…やはり精霊の道を行くのは避けられないのか…」

女エルフ「どうしてそんな風に思うの?」

商人「君はさっきオーブで精霊の記憶を覗いたよね?」

女エルフ「…うん」

商人「そういう事さ…きっと想像を絶するほど重たいんだよ」

女エルフ「覗くのがとても怖かった」

商人「そうだね…僕たち人間やエルフが背負える物じゃないと思う」

女エルフ「でもね?…私は最後に精霊樹になるの」

商人「それは夢幻での事でしょ?」

女エルフ「うん…精霊からの導きと思ってる…だから向き合わなきゃって思った」

商人「君はまさか精霊樹になろうと思っている?」

女エルフ「時が来たらそうなるのかな?…てね」

商人「それならホムンルクスの役割は一体…」

女エルフ「かつての精霊の役割は終わった…ホムンルクスはこれからを生きる…どうかな?」

商人「ハハ…良いね…そんな風に上手く行けば良いね」

女エルフ「うん…」


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商人「さぁ…そろそろ良いかな?一旦星の観測所に戻ろう」

ホムンルクス「はい…もうオーブの探索は良いのですか?」

商人「うん…女エルフでも覗けないというなら今はオーブにかまってる暇はないかな」

ホムンルクス「わかりました…それとこれを…」

商人「ん?何だろう?」

ホムンルクス「ドラゴンが流した涙です…必要ありませんか?」

商人「何かに使えるのかな?後で盗賊に聞いてみる」

ホムンルクス「どうぞ…では行きましょう」

商人「僕は女エルフと一緒にドラゴンに乗るけど…剣士?ホムンルクスを頼めるかな?」

剣士「うん…良いよ」

商人「それじゃぁ…星の観測所で落ち合おう」

女エルフ「商人!!乗って!!」グイ

商人「ほっ…」ピョン


バサ バサッ バッサ バッサ


448: 2020/09/26(土) 12:43:12.67 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


バッサ バッサ ドッスーン


盗賊「おぉぉ戻って来たかぁ!!」

商人「この騒ぎは?」

盗賊「ドラゴン見たさに周辺のオアシスから集まって来てんだ…」

商人「あんまり良くないね」

盗賊「とりあえず観測所の屋根にドラゴンが降りられる様にしておいた…そっちに誘導できるか?」

女エルフ「うん…わかった!!ドラゴン!!屋根の上に!!」バサ バッサ

盗賊「剣士!!2匹分屋根に降りられるからお前も行ってくれぇ!!」

剣士「あぁ…ドラゴン?屋根の上だってさ」バサ バッサ

盗賊「義勇団の連中にはドラゴンの件は話しておいた…人が近寄って来ねぇ様に整理してもらっている」

商人「…これはドラゴン義勇団に看板を変えた方が良さそうだな…弓矢で狙い撃ちされそうだ」

盗賊「名案だ…とりあえず中に入れ…ちぃと目立ちすぎる」

商人「そうだね…ホムンルクス?おいで…」

ホムンルクス「はい…」


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449: 2020/09/26(土) 12:43:40.03 ID:JyBdSu8i0
商人「…それでホムンルクス?ドラゴンは何か言ってたかい?」

ホムンルクス「命の泉を守れなくてごめんなさいと謝られました…」

商人「そうか…エルフやトロールと同じ様にドラゴンも精霊ゆかりの命の泉を守る役目だったのか」

ホムンルクス「はい…それで氏んでも氏にきれないと嘆いて居ます」

商人「勇者か精霊が魔槍を抜けると言ってたよね…それだと剣士とホムンルクスがドラゴンに乗って行くのかい?」

女エルフ「それはダメ…ホムンルクスではドラゴンをレイスから守れない」

商人「あぁ…ドラゴンに乗るのは女エルフと剣士じゃなきゃダメって事か…なら2人づつ」

女エルフ「ドラゴンは私達2人を乗せて長距離を飛べない」

盗賊「なら飛空艇が帰って来るまで待つしか無ぇな」

商人「そうだね…ただドラゴンを見世物にしてしまうのは危ないと思うんだよ」

盗賊「フィン・イッシュの連中か?」

商人「うん…多分ここまで来ると思うな」

女エルフ「ドラゴンに空で旋回するように言っておく?」

商人「どちらにしても来ると思うんだよ…敵になるか味方になるか読めないんだけど」

盗賊「奴らに囲われると動きづらくなるな」

商人「最悪…捕らわれの身になってしまいそうだね」

盗賊「フィン・イッシュの王女が居るらしいが…来ると思うか?」

商人「そうだね…来るだろうさ」

盗賊「剣士…あの手を使うか?」

剣士「僕も同じ事考えていたよ…」スラリ

商人「聖剣?…あ!!アダマンタイトか…」

盗賊「そうだ…万が一の時は剣士が王女をさらう」

商人「取引のカードは僕たちが全部持っている訳か…いやまてよ?」

盗賊「ん?」

商人「もし軍部が王女を見捨てて強行してきた場合…被害が大きくなるね」

盗賊「んんん…その場合戦うしか無くなるが…ドラゴンライダーを見てそれをやるか?」

商人「もっと圧倒的な力を見せたいな…うーんどうやっても被害が出そうだな」

ホムンルクス「見せるだけなら私がやりましょうか?」

商人「君に何かやれる事が…はっ!インドラの矢か」

ホムンルクス「はい…出力を最小限にして落とす事が出来ます」

商人「そうか…人の居ない砂漠に落とせば被害は無い」

ホムンルクス「爆発範囲は計算できます…お任せください」

商人「それは最後の手段だよ?出来れば使いたくない」

ホムンルクス「承知しています」

盗賊「決まりだな?今日は何もせず相手が来るのを待つ…これで良いな?」

商人「そうだね…みんな疲れているだろうから少し休もうか…」

盗賊「んむ…」

450: 2020/09/26(土) 12:44:07.31 ID:JyBdSu8i0
『天窓のある部屋』


女エルフ「剣士…ここに居たんだ」

剣士「あぁ…女エルフか」

女エルフ「最近どうしたの?元気が無いみたい」

剣士「ううん…何でもないよ」

女エルフ「…あなた…一人で背負わないで?」

剣士「どうしてそう思うんだい?」

女エルフ「私もエルフだから…空気でそう感じる」

剣士「君は精霊の記憶を覗いたよね?」

女エルフ「うん…怖かった」

剣士「僕も他の人の記憶を覗けるんだ」

女エルフ「え?どういう事?」

剣士「千里眼…僕は千里眼で色々な事が覗けるんだよ」


僕が居ない所で他の誰かか何を話しているのか

何を見たのか

全部知って居るんだ

ほら?僕は耳が良いからさ

今も遠くで誰かが何を話しているのかも

全部聞こえている


女エルフ「あなたも怖いの?」

剣士「僕は怖くない…でも君や他の人の心が壊れるのが怖い」

女エルフ「どういう事?」

剣士「精霊の記憶を覗くのと一緒だよ」

女エルフ「私にはわからない…」

剣士「うん…僕は大丈夫だから…気にしなくても良いよ」

女エルフ「ごめんなさい…助けになれなくて」

剣士「良いんだ…僕は君に助けられてるさ」

女エルフ「あなた…大きくなったのね」ギュゥ

451: 2020/09/26(土) 12:44:38.11 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


ドラゴンの義勇団に告ぐ

我々は軍国フィン・イッシュの王女近衛隊である!!

王女がドラゴンの義勇団との面会を希望されて居る!!

速やかにお目通り願いたく馳せ参じた…


盗賊「やっぱり来ちまったぜ?どうする?出て行くか?」

商人「僕は見かけがまだ若いから出ない方が良さそうだな…」

盗賊「んぁぁ…じゃぁ俺が話をする!お前は俺の隣に居ろ」

商人「分かったよ」

盗賊「剣士!!例の作戦を準備していてくれ」

剣士「うん…わかっている」

盗賊「女エルフはドラゴンに乗って待機だ…戦闘になった場合お前が要になる」

女エルフ「うん…」

商人「ホムンルクスは僕の後ろに隠れて居て?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「よし!!じゃぁ2階のテラスから話をするか」

商人「そうだね…行こうか」

452: 2020/09/26(土) 12:45:07.47 ID:JyBdSu8i0
『テラス』


ザワザワ ザワザワ

盗賊「なんだなんだ!!騒がしいな…何だってこんな軍隊引き連れて来んだぁ?」

近衛「王女の御前だ…頭が高い!!降りて来られよ」

盗賊「客はそっちだろうが…ほんで王女の姿が無ぇじゃねぇか!ふざけんな!!」

商人「ぉぃぉぃ煽りすぎだよ…」ヒソ

近衛「無礼者!!この軍勢が見えんのか!!」

盗賊「ほぅ…2000て所か…なんだお前等…俺達を捕獲しようってのか?」

近衛「場合によってはそういう手段も厭わん…速やかに面会に応じよ」

盗賊「面会に応じる俺達の利点を聞かせて貰おうか」

近衛「命の安全は保障する」

盗賊「ほんでそっちの要求は何だ!?ただの面会じゃあるまい…何だって軍隊連れて来るんだよ!!おかしいだろが」

近衛「ぐぬぬ言わせて置けば…我々はドラゴンの義勇団と戦う気は無い」

盗賊「戦う気が無いなら軍隊なんか連れて来ねぇだろが…やる気マンマンだろ」

近衛「…王女様…先方は下る気が無い様です…いかが致しましょう?」

王女「消耗する時では無い…私が行かねばならぬか」スック

近衛「王女様…上をご覧ください…ドラゴンライダーが此方を見ています」

王女「近衛…私の盾になりなさい」

近衛「御意」スタスタスタ

王女「私を弓から守るのです…前に行きます」スタスタ

近衛「つがえ!!」

弓隊「…」ギリリ


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453: 2020/09/26(土) 12:45:33.78 ID:JyBdSu8i0
盗賊「ヌハハ穏やかじゃ無ぇな…商人は俺の後ろに居ろ」

商人「うん…」

盗賊「お前が王女だな?要求を言え」

王女「ドラゴンは我らが崇拝する龍神の一族…何故この地に居るのか訳を聞きたい」

盗賊「見ての通りだ…俺達の仲間だ…それ以外に答えようが無ぇ」

王女「知っての通り我らフィン・イッシュは国を追われ流浪の身…ドラゴンの引き渡しを願いたい」

盗賊「ぬぁっはー…やはりそう来るか…ドラゴンに聞いてくれと言いたい所だが…お前らに扱えるのか?」

王女「我らにドラゴンは扱えぬと申すか?」

盗賊「嬢ちゃん…この戦は嬢ちゃんの様な甘ちゃんに戦える戦じゃ無ぇ…お前も見て来ただろう?」

王女「くっ…」

盗賊「国を背負って居るのは分かる…だがその甘さで国を失う…ここは俺達に任せろ」

近衛「この無礼者がぁ!!」ダダッ

王女「待て近衛!!…お前たちにどれ程の戦力があるのか?我らの方が上であろう?」

盗賊「まいったな本当に甘ちゃんだな…ドラゴンライダー1匹も倒せねぇだろお前等は!!」

近衛「何だとぉぉ!!」

盗賊「ちぃ…仕方無ぇ…剣士!!ヤレ」


スラーン チャキリ

王女「はっ…」ギクリ

剣士「動くな…首が飛ぶ」

近衛「何っ…どこから現れた!!卑怯だぞ…」

王女「離せ…くぅぅ」

近衛「王女様!!」タジ

王女「痛っ」

剣士「動くなと言った筈だ…この剣は良く切れる」

454: 2020/09/26(土) 12:46:00.56 ID:JyBdSu8i0
盗賊「さぁて…対等になったな」

王女「どうあっても渡さぬというのだな?この地の外では不氏者が蠢いて居るのだぞ?」

盗賊「そんな事は知っている」

王女「ならば何故戦わぬ!!何故この地に引きこもって居るのだ!!」

盗賊「嬢ちゃん…やっぱお前は甘ちゃんだ…そんなに簡単に戦えるほど甘く無ぇんだ!!」

王女「甘い甘いと馬鹿にするなぁ!!」

盗賊「女エルフ…ドラゴンライダーがどんなもんか見せてやれ」


ドラゴンライダー「ギャオーーース」バサ バサッ ビュゥゥゥ


盗賊「お前等の弓がこんだけ高速で飛んでるドラゴンライダーに当たるとでも思ってんのか?」

盗賊「それも2匹居るんだぜ?そして嬢ちゃん…お前簡単に懐に入られてるんだぜ?分かるか?」

王女「我らの軍と徹底抗戦する気か?」

盗賊「首に刃物付きつけられて言うセリフか?悪いが民を守りたい気持ちは分かる…だが甘すぎる」

商人「しょうがない…ホムンルクス…軽く頼む」ヒソヒソ

ホムンルクス「承知しました…」ブツブツ

王女「我らは国を追われもう失うものは無い…ここで尽きるのも運命」

盗賊「だめだ!!生き延びろ!!戦いは俺達に任せろ…今から落ちるいかずちを見て置け…これが戦いだ」

王女「何を少人数でぬけぬけと…」


ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン


王女「…ぁぁぁぁぁぁ」

近衛「何だ…砂漠が炎で包まれて…行く」

王女「ここれは…、この光は…お前たちがやっている…のか?」

盗賊「これに勝てるか?こういう戦いがこれから始まるんだ…お前等がどれだけ無力なのか分かるか?」

王女「…」ゴクリ

盗賊「この辺のオアシスなら何処使っても良い…とにかく生き延びろ!!分かったな?」

王女「くぅぅぅ」ポロポロ

盗賊「分かったら引いてくれ…もっと話がしたいなら一人で来い」

王女「ぅぅぅ」ポロポロ

剣士「軍を引かせて…」スッ

近衛「…消えた…王女様!!」ダダ

王女「戻ります…我らに勝ち目はありません」グスン

近衛「はい…全体!!退却!!」

455: 2020/09/26(土) 12:46:26.55 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所_居室』


盗賊「軍は帰った様だな?…あの嬢ちゃん又来ると思うか?」

商人「んんん…プライドがねぇ…」

剣士「来るよ」

女エルフ「私も来ると思う」

盗賊「それにしてもホムンルクスのインドラの矢だっけか…アレはヤバすぎる…俺もビビったわ」

商人「そうだね…アレで最小限だそうだ」

盗賊「うはぁぁぁ」

商人「どうして古代文明が滅んだのかを垣間見た…もう使わない様にしよう」

女エルフ「精霊にこんな力があったのに魔王を滅ぼせて居ないのはどうしてだろう…」

商人「謎だね…僕たちは魔王の事を大きく考え違っているのかもね」

盗賊「ところで気になって居たんだが…あの嬢ちゃんは不氏者が蠢いているとか言ってたよな?」

商人「レイスの事じゃない?」

盗賊「知識が無いならそう見えるか…もしかするともう直ぐそこまで来てるんじゃないかと思ってな」

商人「来てるってゾンビの事かい?」

盗賊「あぁ…ちっと外側の方まで見に行った方が良いかもしれん」

剣士「僕が見てこようか?」

女エルフ「私も行こうかな…」

商人「そうだねドラゴンライダーなら安全に見て来れそうだね」

盗賊「フィン・イッシュは南西の方角だからそっちの方を見て来てくれ」

剣士「うん…」

商人「飛空艇が帰って来るまで何も出来ないし…お願いするよ」

女エルフ「行ってきます」タッタッタ

456: 2020/09/26(土) 12:46:53.70 ID:JyBdSu8i0
『数時間後』


盗賊「…やっぱり来たか…一人だな?まぁ入れ」

王女「…」

盗賊「よく一人で来るのを許されたな?…ん?あぁぁ外で2人待機してんな…まぁ良い何もしねぇから入れ」

王女「…」コクリ

盗賊「商人!!やっぱり来たぜ?」

商人「やぁ…さっきは驚かせてごめんよ」

王女「エルフとドラゴンは?」

商人「南西の方に偵察に行ってる…不氏者が居るって君が言っていたからね」

王女「…そうですか」

商人「軍の方は怪我人が多くてどうしようもない様だね」

盗賊「シン・リーンに魔法師の応援を要請している…もう少しでこちらに来るはずだ」

王女「それは本当か?…本当ならとても助かる」

商人「君たちが敵にならなくて良かったよ…僕たちもヒヤヒヤしたよ」

王女「軍の…いえ民の士気がもう持たないのです」

盗賊「うむ…分かるぞ…国を奪われ家族も仲間もすべて奪われ…命からがら逃げ伸びて何の為に戦うのか…」

王女「ぅぅぅ…」ポロポロ

盗賊「気丈に振舞っている嬢ちゃんが痛々しいわ」

商人「フィン・イッシュの状況を僕たちは詳しく知らないんだ…話せる?」

王女「お話します…」



7ヶ月前…セントラルの第2皇子が私たちの国へ亡命をしてきた時の事です

皇子に仕えていた法王の使いという者も一緒に逃れて来たのですが問題がありました

法王の使いの体の中に魔王と思われる魂の欠片が入って居たのです

その時私の元にシャ・バクダから来たアサシンという者が居ました

アサシンは法王の使いの中に居る魔王に気付き…持っていたミスリルダガーで法王の使いを頃したのです

魔王の魂の欠片はそのまま散らばり地中の中へ落ちて行きました

それから数日して地中より不氏者が現れる様になりました

地中から次々湧いて出て来る不氏者を倒すために私たちは戦ったのですが

安全な場所の無いフィン・イッシュでは苦戦が続き…とうとう王都を後にせざるを得なくなりました

アサシンという者は私をシャ・バクダへ逃すために戦い…私は何とか逃れて来られましたが

フィン・イッシュでは今でも第2皇子とアサシンが居残り不氏者と戦っている筈なのです

しかし何故か第2皇子は我こそは魔王と名乗り周辺国に対して宣告した…

457: 2020/09/26(土) 12:47:20.67 ID:JyBdSu8i0
盗賊「アサシンが嬢ちゃんを逃したってのか…」

王女「アサシン様とお知り合いでしたか…そうとは知らず…」

盗賊「知り合いというか俺達の仲間だ」

商人「今の話からすると黒幕は第2皇子ではなく法王の使いだったという事か…」

盗賊「黒幕も何も魔王に乗っ取られてたんだろうな…しかし散らばってどっか行くというのは厄介だな」

商人「女エルフが魔王復活を阻止したと言って居たけど…結局散らばってどこかに行っただけだったのか…」

盗賊「こりゃ早い所助けに行かねぇとな」

商人「…わかったよ…どうして魔王を名乗ったのか…僕たちに助けてくれという事だ」

盗賊「確かアサシンは魔方陣の組み方を知っている…それで生き残っている」

王女「そうです…魔方陣で悪霊のレイスは何とかなります…でも不氏者が」

盗賊「そらそうだわな」

王女「ドラゴンの義勇団は私たちを助けて下さいますか?」

商人「ドラゴンの義勇団か…ネーミングは悪くないね」

盗賊「話聞いちまったからには行くしか無ぇな」

商人「どちらにせよ飛空艇が帰って来ない事には…」

盗賊「んむ…帰ってきたら動くか」

王女「ありがとうございます…」



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ドラゴンの義勇団編

    完


次回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【鎮魂の飛空艇編】



引用: 勇者「魔王は一体どこにいる?」続編