690: 2020/11/03(火) 00:09:03.17 ID:V1qeujs60


勇者「魔王は一体どこにいる?」シリーズです

最初から:勇者「魔王は一体どこにいる?」
前回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【時の王編】


 『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


女海賊「ローグ!!荷の中にクヌギの樹液なんか無いよね?」

ローグ「そんな物見た事無いっすね?何に使うでやんすか?」

女海賊「エリクサーの材料さ…精霊樹の樹液の他にクヌギの樹液でも良いってさ」

ローグ「クヌギなんか森に行けば何処にでも生えてるでやんす…虫が集まる木っすね」

女海賊「森か…後で寄って行くか」

ローグ「このまま命の泉目指して良いでやんすか?セントラルの上飛んで行く感じになりやすが?」

女海賊「セントラルの上で一応リリースして…軽く見て行く」

ローグ「分かったでやんす…ててて」

女海賊「ん?あんた…どうしたのさ?」

ローグ「なーんか手の具合が良くないでやんす…黒氏病っすかね?」

ホムンクルス「…見せてもらって良いでしょうか?」

ローグ「助かるっす」

ホムンクルス「上着を脱いで下さい」

ローグ「手が動かないと脱ぎにくいでやんすねぇ…」ヌギヌギ

ホムンクルス「虫などに噛まれた痕はありませんでしょうか?」

ローグ「自分じゃ分かんないでやんす…あ!!脇腹が黒くなってるっす…いつ噛まれたんすかねぇ?」

ホムンクルス「黒氏病は虫などからの接触感染で広がりますので皆さんエリクサーを一口づつ摂取してください」

女海賊「え!?虫ダメなの?私クモ持ってんだけど…」

ホムンクルス「吸血型の虫でなければ問題ありません」

子供「ママ~?僕も手が黒くなってる」

女海賊「未来も?いつから?」

子供「分かんない」

女海賊「動かない所無い?」

子供「うん…」

ホムンクルス「エリクサーで一度治れば抗体がしばらく持続しますのでご安心下さい」

女海賊「はい…飲んで?」

子供「むぐ」ゴクン

ローグ「いつの間に掛かってるのって怖いでやんすねぇ…」
691: 2020/11/03(火) 00:09:45.05 ID:V1qeujs60
『セントラル近海上空』


シュゴーーーー バサバサ


女海賊「ちょっとリリースして!!」

ローグ「リリース!どうしたでやんすか?」

女海賊「下!!クラーケンが暴れてる…寄って」

ローグ「アイサー」グイ

女海賊「海が赤い…なんで?」

盗賊「見ろ!!クラーケンの触手…なんか掴んでんぞ?」

女海賊「ローグ!望遠鏡!」

ローグ「あねさんのゴーグルに付いてるっすよ…」

女海賊「あ!忘れてた…」スチャ

盗賊「あの触手で掴んでる奴から血が出てんな?なんだありゃ?」

女海賊「もっと寄って!!羊の頭に裸の女?…足が蛇!」

商人「僕も見たい!」

ローグ「荷の中にもう一つ望遠鏡があるっす」

盗賊「人魚じゃ無さそうだな?うぉぉぉ!!触手が折れた…折れるってどういう事よ?」

女海賊「ホムちゃん何か知らない?」

ホムンクルス「私の記憶ではそのような魔物は知りません…ですが旧シャ・バクダでは錬金術によって異形の魔物を生む技術はありました」

情報屋「キマイラね?」

ホムンクルス「はい…異種の魔物を結合させた物だと推測されます」

盗賊「そんなのが海に居るっておかしいだろ」

女海賊「あのキマイラ…鎖でグルグル巻きだ…人間が絡んでる」

盗賊「…てこたぁセントラルしか無ぇな」

商人「折れた触手ごと沈んで行ったのかな?浮かんで来ない」

盗賊「ヤバそうな魔物は海に沈んでてもらった方が良い」

女海賊「…セントラルから来た?…なんか嫌な予感がする…今のがカタコンベに居たのか?」

盗賊「お前が爆破したんだろ?」

女海賊「爆破した後を見てない…」

盗賊「見て行くか?」

女海賊「いや…先に命の泉を目指す」

692: 2020/11/03(火) 00:10:11.88 ID:V1qeujs60
『セントラル上空』


リン ゴーーーーーーン


盗賊「こりゃ津波の直撃受けてんな…外郭が倒れてんじゃねぇか」

商人「外郭の壁が水をせき止めたんだろうね」

盗賊「まぁでも人は多そうだな…中央は全部貧民街みたくなってる」

ローグ「あねさん…周回してて良いんすか?鐘鳴ってるんで目立ち過ぎやしませんかね?」

女海賊「鐘の音を聞かせてやってんのさ…もうちょい回って」

ローグ「城の上からこっち見てるっすね?国王でやんすかね?」

商人「あれがセントラル国王か…」

盗賊「港に停船してんのはフィン・イッシュの軍船だな…飛んでる気球はこっちに寄って来ねぇな」

ローグ「そらそーっすね機動性が全然違うんで怖く見えると思うでやんす」

商人「ハハ鐘鳴らしながら空を周回してるのは奇妙だろうね?」

ローグ「でもこの飛空艇は海賊だって認知してるっすよ…前に軍船沈めてるんすから」

情報屋「ねぇ…民衆がほとんどしゃがんでるのはどうしてだと思う?」

盗賊「そういや元気無さそうだな…」

ローグ「ここでも黒氏病流行ってるんじゃないっすか?」

女海賊「…」

ローグ「あねさん…どうしやした?」

女海賊「ホムちゃんが書いたエリクサーのレシピ…国王に届ける」

ローグ「ええっ!?降りるんすか?」

女海賊「レシピを瓶の中に入れて!飛空艇は私が操作する」グイ

盗賊「落とすんだな?」

女海賊「行くよ!!3…2…1…今!!」

盗賊「ほれ!」ポイ

ローグ「城のテラスに落ちやした!!」

女海賊「どう?拾いに行ってる?」

ローグ「衛兵が集まってるでやんすね…あ!大丈夫っす国王らしい人が拾い上げたっす」

盗賊「誠意が伝わると良いがな」

女海賊「さぁ!!進路を北に変える…ハイディング!」スゥ

693: 2020/11/03(火) 00:11:01.81 ID:V1qeujs60
『砂漠上空』


シュゴーーーーー バサバサ


盗賊「寒いと思ったら雪がチラついてんな…」

商人「砂漠に雪か…ホムンクルスが言ってた気温が下がるというのはこんなに早く下がるんだ」

ホムンクルス「成層圏で生成された薄い雲は数日で世界全体を覆います…この雲は日照の30%を吸収しています」

商人「うっすら白い青空…これだけで30%?」

ホムンクルス「目が慣れているだけで実際には暗くなっています」

商人「30%も光が遮られているのか…」

ホムンクルス「地熱がありますので今よりも過ごしやすくなる地域も出てきますから悲観はしないで下さい」

商人「具体的にはどこ?」

ホムンクルス「フィン・イッシュ南部に海底火山がありますので温暖な海流があり豪雪に耐えうる地下熱量を持って居ます」

ホムンクルス「シン・リーンは地底深くにマグマ溜まりがありますので地中が温暖になります」

商人「地中か…僕たちは地底人になるか」

情報屋「それがノーム族よ?ドワーフの先祖」

商人「へぇそうだったのか…全部繋がってるんだね」

ホムンクルス「この砂漠周辺は南部からの湿った空気が雪となって降り注ぎますので豪雪地帯となりその後森に姿を変えます」

商人「針葉樹の森かい?」

ホムンクルス「はい…同時にシカが生息する様に変化して行きます」

商人「砂漠の緑化か…良い事もあるんだ」

ホムンクルス「自然はこの様にバランスを保つ様になって居ます…人は流れに沿って生きて行けば良いのです」

商人「む…気になる言い方だな…逆らおうとするなと言う事かい?」

ホムンクルス「変化していく物事に沿って行こうとする者と変化させまいとする者は必ず争いになるのです…」


例えばこの気候変動で滅びゆくセントラルにいつまでも固執した人が居たとします

その外側で新たな生き方を生成している人達との間には必ず戦争が起きてしまいます

戦争は憎悪を膨らませ魔王を成長させ再び調和の時を呼んでしまう

人類の歴史はそれの繰り返しなのです

かつての精霊はそれを知り…人間に少しでも良い環境を生成してきましたが

この流れを肯定とする者と否定する者が生じ…やはり争いになってしまうのです

694: 2020/11/03(火) 00:11:36.19 ID:V1qeujs60
商人「君は魔王を肯定するのか?調和に身を任せろという事を言ってるよね?」

ホムンクルス「いいえ…反対です…魔王を成長させてはいけない」

商人「話が矛盾するじゃないか…」

ホムンクルス「人間に与えられた欲望…七つの大罪は魔王によるものです…これを滅しない限り人間は今の生き方を変えないでしょう」

商人「…そうか自分の地位を投げ出したくない欲望が流れに沿えない原因か」

ホムンクルス「ですが精霊の考えにも対立する者が現れるのです」

商人「それは?」

ホムンクルス「精霊が最も信頼した人間の一人…時の王という者です」

商人「聞いた事が無いな…情報屋?知ってる?」

情報屋「…」フリフリ

ホムンクルス「200年以上前の事ですから知らなくて当然ですね?」

商人「…」チラリ

ホムンクルス「何か?」

商人「君は僕を誘導しようとしていないか?」

ホムンクルス「40年の記憶の中で時の王にも何度か同じ事を言われています…それは人が持つ恐怖です」

商人「僕が恐怖している?…そんな感じはしない」

ホムンクルス「私に誘導されたくないと心の底で抵抗しています…流れに沿って…信じて下さい」

商人「なるほど…潜在的に猜疑心があるのか…これを否定するとなると人間を止めろという事になる」

ホムンクルス「だから人間を絶滅させる等とは考えて居ません…信じて下さい…バランスさせようとしています」

商人「分かった…君は魔王を滅ぼすとも思っていない…大きくなり過ぎた魔王を小さくするだけか…」

ホムンクルス「その通りです…そこに誤解が生じてしまうのです」

商人「ハハ君は精霊の記憶を得てから言う事が変わったね…」

ホムンクルス「お嫌いですか?」

商人「違うかな…君の言葉の端々に愛を感じるんだ…人に対する愛だね」

ホムンクルス「私は喜んで良いのでしょうか?」

商人「んーどうなんだろ?でも君に足りないものも分かったよ」

ホムンクルス「教えてください」

商人「少しで良いから君の心の中に七つの大罪が必要だと思う…そうすれば色々変わる事も出るんじゃないかな?」

ホムンクルス「…それは知恵の実の事ですね…聖書に書かれて居ます」

商人「もう知識としては持ってるよね?」

ホムンクルス「はい…シミュレーションの妨げになりますので除外しています」

商人「使い分けてごらんよ?きっと違う結果が出ると思うからさ」

ホムンクルス「はい…基幹プログラムを更新します」

695: 2020/11/03(火) 00:12:17.32 ID:V1qeujs60
『オアシス上空』


シュゴーーーー バサバサ


女海賊「遺跡が森になってる…」

盗賊「おぉぉここはあん時と随分変わったなぁ…森がオアシスと繋がり掛けてる」

商人「星の観測所はどうなったのかな?ドラゴンの義勇団は随分前に解散したとは聞いて居たけど…」

ローグ「あねさん寄って行かなくて良いでやんすか?」

女海賊「先に命の泉!」

ローグ「いやぁぁここに来ると思い出すっすねぇ…あん時のあねさんは可愛かったっすねぇ」

女海賊「はぁ!?今は可愛くないっての?」

ローグ「いやいやいやいや…そういう意味じゃ無いっすよ…無邪気だったんすねぇ」

盗賊「まぁそうだな…お前は変わった…そんなにギラギラした目はして居なかった」

女海賊「フン!!放っといて…捕虜に言われたくない」

子供「ママはやさしいよ?」

女海賊「未来…良いの…ホムちゃんと遊んでいなさい?」

子供「ママをいじめたらダメだよ」

盗賊「あぁ分かった分かった…悪かったな」


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女海賊「ホムちゃんコレ見て…」スラーン

ホムンクルス「はい…聖剣エクスカリバーですね?」

女海賊「刀身が錆びてないよね?1700年経った今でも…」

ホムンクルス「そうですね…何か?」

女海賊「私のパパはこの金属がオリハルコンじゃないかって言ってるんだ」

ホムンクルス「私の記憶ではエクスカリバーの素材がオリハルコンなのかどうか分かりません」

女海賊「良く見て?うっすら光ってるっしょ?」

ホムンクルス「そうですね…光の石と同じ効果を持って居ると言う事でしょうか?」

女海賊「私さぁシン・リーンの遺跡にあった壁画で見たんだ…剣に光が落ちてる画を」

ホムンクルス「インドラの矢を落としたいのですね?」

女海賊「出来る?」

ホムンクルス「その剣を貸してください…密度を推定します」

女海賊「ほい…」スッ

ホムンクルス「光の石よりもエネルギー充填量は少ない様です」

女海賊「どんくらい?」

ホムンクルス「純度の高いオリハルコンの元素配列と質量から推定しますと約200年分の光の蓄積が可能な様です」

女海賊「んー量のイメージが湧かないな」

ホムンクルス「インドラの矢一回分と言えば分かるでしょうか?」

女海賊「良くわかんないけど200年は光ってるって解釈で良い?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「よっし!使える…」

696: 2020/11/03(火) 00:13:03.30 ID:V1qeujs60
商人「なんか面白そうな話だね?聖剣エクスカリバーをどうするつもりだい?」

女海賊「私もいろいろ考えたさ…光の石は他の目的で使う…命の泉には聖剣エクスカリバーを刺す」

商人「同じ効果ならそれでも良さそうだね…で?光の石はどうするの?」

女海賊「光を吸い込めるって事はその逆の闇も吸い込めるって事だと思う…だから闇を全部この石に吸い込ませる」

商人「!!!!!君は天才だ!!!!!」

ホムンクルス「どのように闇を吸い込むつもりなのでしょうか?」

女海賊「分かんない…」

商人「…」ドテ

盗賊「…」ズコ

女海賊「ホムちゃん何かアイデア無い?」

ホムンクルス「量子転移という魔法なら可能かもしれません…不確実な情報ですみません」

商人「ハハ君は進歩してるよ…その魔法が使えそうなのは魔女だね?」

女海賊「魔女か…」

ホムンクルス「祈りの指輪も量子転移の効果を持って居ますが…石に転移が可能なのかは分かりません」

女海賊「ホムちゃんありがとう…もうちょい考えてみる」

ホムンクルス「お役に立てた様ですね?」

697: 2020/11/03(火) 00:13:35.27 ID:V1qeujs60
『山岳地帯上空』


ビョーーーウ バサバサ


ローグ「先が見えんもんすから速度落とすでやんす…ぅぅぅぅ寒ぶ」

盗賊「えらい吹雪だな…飛空艇の着氷がひでぇ」

女海賊「着氷対策なんか考えて無かったさ…まいったな重たくなっちゃうな…」

盗賊「球皮は暖かいせいか着氷して無ぇ様だ…本体をどうにかせんとな」

女海賊「割って来て」

盗賊「いや無理だ…凍氏する」

女海賊「高度上げらんないと山に激突するんだ!さっさとやって来て」

ローグ「あねさん…そら無理ってもんす」

女海賊「もう!!どうすんのよ!!一旦降りるの!?」

ホムンクルス「私にお任せください…私は現在の座標を正確に把握出来ますので目的地までご案内できます」

女海賊「ホムちゃんお願い…本当!!役に立たない男達」ブツブツ

ホムンクルス「現在の高度を維持しながら44°の方角へ進んで下さい」

ローグ「アイサー…あれ?帆が固着してるっす!!」

女海賊「もう!!私がやる!!」ガサガサ

盗賊「はは~ん…風の魔石入れてる筒を調整して向き変えるのか…」

女海賊「ローグもちゃんと見といて!!帆が使えない時はこれで向き変えんの!!」

ローグ「あねさん…こんな事も考えてたんすね…」

698: 2020/11/03(火) 00:14:13.99 ID:V1qeujs60
『命の泉』


フワフワ ドッスン


盗賊「おぉぉやっぱ高度下げると大分ぬくいな…」ハァァァ モクモク

女海賊「盗賊とローグは飛空艇の氷落としといて!!」

盗賊「やっぱそうくるか…ちぃぃ」

ローグ「すこし体動かしたらあったまるでやんす」ガサガサ

女海賊「この雪じゃ車椅子は押せないなぁ…ホムちゃん剣士運ぶの手伝って?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「商人と情報屋は先導して…未来は後から付いて来て」

子供「うん…」

商人「情報屋こっちだよ…君はここに来るの初めてだよね?」

情報屋「うん…ここがドラゴンの住処なのね?」

商人「そうらしいけど…なんか静かだね?」

女海賊「気配が無い…居ないのかな?」

情報屋「川のせせらぎ…」サラサラ

商人「こんなに雪が積もっているのに川は流れてる」

女海賊「あれが命の泉…あん時のままだ…」

商人「ホムンクルス!君は精霊の40年の記憶でこの場所の記憶は無いのかい?」

ホムンクルス「はい…知っています」


命の泉に刺された魔槍ロンギヌスはかつての火の国シャ・バクダの宝具でした

世界随一を誇るシャ・バクダは錬金術で異形の生物を生み操る事で絶対的な力を持って居ました

しかし魔王に魅せられた皇子は乱心し他国の征服を試み始めます

異形の生物を主力とするシャ・バクダは他国の人間を弱らせる為に

命の源泉であるこの泉に魔槍を突き立て人間を弱らせようとしましたが

同時に自国の人間をも憎悪に染まり始めました…それは魔王による策略だったのです

699: 2020/11/03(火) 00:14:43.26 ID:V1qeujs60
商人「魔王自身が魔槍を刺した訳じゃ無かったのか…」

ホムンクルス「魔王は器無しではこの世界に何もすることが出来ません…ですから人間を幻惑して操るのです」

商人「僕たちの行動はもしかすると魔王に操られてるかもしれない事をいつも考えておかないとね」

ホムンクルス「それに気が付いて居れば良いのですが…」

女海賊「私は魔王になんか操られないよ!!私がやる…」スラーン

ホムンクルス「そうですね…」

商人「ちょちょ…まさか君が持ってる剣にそのままインドラの矢を落とす気じゃ無いだろうね?」

女海賊「そうさ…悪い?」シャキーン

ホムンクルス「少し動かれますと外してしまいますので…そこに置いてもらって良いですか?」

女海賊「…」

商人「ほら?万が一って事もあるからさ?」

女海賊「フン!ここに刺しとけば良い?」グサ

ホムンクルス「刺し方が反対の方が良いです…柄の部分を下にして下さい」

女海賊「…」ズボ クルリ グサ

ホムンクルス「座標を取得しました…皆さん一度この場所を離れましょう」

女海賊「ほら!!飛空艇に戻るよ」

700: 2020/11/03(火) 00:15:10.16 ID:V1qeujs60
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーーー


盗賊「えらく早かったじゃねぇか?そんなに急いでんのか?」

女海賊「うっさいな…今からインドラの矢を落とすの」

ホムンクルス「向こうの山の裏手が良いかと思います」

女海賊「うん…分かった」

盗賊「もしかして失敗の可能性もあるってのか?」

ホムンクルス「オリハルコンのエネルギー充填限界を超えてしまう可能性があります」

女海賊「マジ?どうなっちゃう?」

ホムンクルス「超えた分が四散するかもしれません」

商人「ハハ危ない実験だねぇ」

ホムンクルス「では…投下してもよろしいですか?」

商人「君が決めて良いよ…任せる」

女海賊「ホムちゃん頼むから成功して」

ホムンクルス「はい…投下します」


ピカーーーーーーーーーーーー シーン


盗賊「おぉ!!こりゃ成功だな?」

ホムンクルス「その様ですね…200年分の光が充填されました」

女海賊「うわ…めっちゃ光ってる!!」

商人「光り過ぎてて触るの怖いね?」

女海賊「やっぱ壁画の通りだった!!早く見に行こ!!」シュゴーーーー

701: 2020/11/03(火) 00:15:42.77 ID:V1qeujs60
『命の泉』


ピカーーーー


女海賊「剣士!見て?これが本物の聖剣エクスカリバーだよ?」

剣士「ぅぅぅ…」タジ

女海賊「あ…ごめんね眩しかったね」

商人「光には反応するんだね…」

盗賊「ほんで…それをお前が命の泉に刺すのか?」

女海賊「そうさ!!今ヤル…えーと何処だっけな?」ザブザブ

商人「ここだよ…君が押し込んだ謎の石が詰まってる」

女海賊「盗賊!その石取って!!それ多分オリハルコン原石だよ」

盗賊「シン・リーンでパクってきたやつな?…むむむ」ズボ

女海賊「それ大事にしまっといて…パパにそれでもう一個剣作ってもらう」

盗賊「マジか!?もう一本エクスカリバーが出来んだな?すげえなそりゃ」

女海賊「じゃ…刺すよ?」

商人「光る海!!楽しみにしてる」

女海賊「伝説の瞬間だよ!?」

盗賊「良いから早く刺せよ」

女海賊「これ挿したら私は女勇者だよ?」

ローグ「分かってるでやんす…もうみんな認めてるっす」

女海賊「いくぞぉぉぉ!!くたばれ魔王!!」ズン


キラキラ キラキラ


商人「これだよ!コレ!!!…水が光る」

盗賊「すげぇ…一瞬で向こうの川まで光ってやがる」

女海賊「仕上げに飾り石のアダマンタイトでエクスカリバーを狭間に隠す」スゥ

盗賊「おぉ…剣だけ見えなくなった…これ探せんの俺達だけになるな」

女海賊「完璧!!」

ホムンクルス「この様な方法で水を光らせるのはシミュレーションでは得られない解です…奇跡ですね」

女海賊「海は世界の70%…半分以上は私らの物だよ!!」

702: 2020/11/03(火) 00:16:14.49 ID:V1qeujs60
子供「ママ!!パパが苦しがってる…」

女海賊「え!?どうして?剣士?」

剣士「ぅぅぅ…ぐがが」ズリ ズリ

盗賊「ちょっと待て…魔王はまだ剣士の中に居るんじゃ無ぇのか!?」スラーン

ローグ「え!!そんな事ある訳ないっす…」

盗賊「気を抜くな!!備えろ!!」

ローグ「マジっすか…」スラーン

女海賊「未来!!下がって…」

剣士「うがが…ぅぅぅ…グルルルル」

女海賊「そうだ!!光の石…」ゴソゴソ

盗賊「クソがぁ!!魔王…居るなら姿見せろよ」

女海賊「剣士!!これを持って」タッタッタ


ゾワワワワ


女海賊「ああ!!」---私の魔方陣のペンダントが光ってる…---

盗賊「ぬぁ!!影が飛び出した!!…地面ん中入って行く!!」ダダ ブン スカッ

女海賊「…」---セントラルの時と同じ---

盗賊「くっそう!!逃げやがった…」

剣士「…」ドタリ

女海賊「剣士!!」タッタッタ

703: 2020/11/03(火) 00:16:55.02 ID:V1qeujs60
『ドラゴンのねぐら』


ホムンクルス「…ここがドラゴンのねぐらになります」

商人「こんな所に洞穴があったのか…いっぱい財宝があるじゃないか」

女海賊「やっぱドラゴンは居ないね…剣士に会わせたかったのに…」

盗賊「ここは暖かい…ちっと休んで行こう…ローグ!!火を起こすから手伝え」

ローグ「アイサー」

女海賊「ドラゴン戻ってくるかな?」

ホムンクルス「わかりませんが一晩くらい休んでも良いのではないでしょうか?」

女海賊「未来も燃やせる物を探してきて?」

子供「うん…」シュタタ

商人「ここの財宝はドラゴンが集めた物なのかな?」

ホムンクルス「ドラゴンは光る物を集める癖があるのです…良い物があれば持って行っても良いですよ?」

盗賊「マジかよ…良さそうな物いっぱいあんじゃねぇか」


-----------------


盗賊「剣士…目覚まさねぇな?」

女海賊「…」ギュゥ

商人「魔王の欠片が剣士の中に居たのは間違いなさそうだね」

盗賊「こんなに長い間人の中に入ってるんだな」

ローグ「全然気が付かなかったっすよ」

商人「こう考える事が出来る…魔王の欠片が入ってた剣士はいつでも僕たちを襲う事は出来た筈だよ」

商人「なのに今まで何もしなかったのは剣士が魔王の魂を抑え込んでいた…どう?考えすぎ?」

盗賊「俺もそんな気がするな…魔王の欠片が出て行ったって事は目を覚ましそうだ」

子供「パパ起きる!?」

盗賊「おう!!祈ってろ…きっと目ぇ覚ますぞ?」

商人「…まてよ?この現象はもしかすると世界中で起きているかもしれないな」

盗賊「だと良いが…気になるのが魔王の欠片が何処に行っちまうかだな?」

ローグ「地面の中に入っていくと追いかけようがないっすねぇ…」

商人「なんかもう少しな気がするね…ミスリルの音と光る海で確実に弱らせてる様に思う」


-----------------

704: 2020/11/03(火) 00:17:36.43 ID:V1qeujs60
女海賊「なんか良い物ある?」

盗賊「んぁぁ…金銀財宝は沢山あるが…要らねぇ物ばっかりだな」ガサガサ

女海賊「情報屋?ここの財宝ってさ年代とか分かんないの?」

情報屋「多分火の国シャ・バクダの財宝だと思う…金貨は全部が200年前の物」

女海賊「金貨なんか要らないなぁ…」

盗賊「武器類は俺のミスリルダガーより良さそうな物は無ぇし…」

女海賊「この赤い石は何だろ?宝石にしてはザラついてるな」

ホムンクルス「それは賢者の石と呼ばれる錬金術の産物です」

情報屋「ええ!?賢者の石!?それはキ・カイの錬金術師が作ろうとして作れていない物よ?」

ホムンクルス「不老不氏を与えると言われていますが実際にはホムンクルスのエネルギー源として利用します」

女海賊「ホムちゃんはこれで動いてんの?」

ホムンクルス「頭部の超高度AIユニット内に賢者の石が装填されています」

女海賊「じゃぁこれが在ればホムちゃんはずっと動く?」

ホムンクルス「石の微細加工技術が在れば理論上可能ですが現代にその技術は失われています」

女海賊「パパなら出来るカモ…持って帰ろ」

盗賊「やっぱお前は石が好みなんだなヌハハ」

ホムンクルス「賢者の石はホムンクルスのエネルギー源以外にエリクサー精製にも利用されていました」

女海賊「おぉぉ使えるんじゃん!!」

ホムンクルス「その他に体機能の活性化にも効果がありますので病気の治癒にも役立ちます」

商人「すごい良い物だね?黒氏病にも効くかな?」

ホムンクルス「はい…病気の治癒だけにエリクサーを服用するのはもったいないですね」

女海賊「ちょっと待って…ホムちゃん?」

ホムンクルス「はい…何でしょうか?」

女海賊「魔王はウイルスだって言ってたよね?魔王化は病気の一種なんだよね?」

ホムンクルス「残念ですが賢者の石もエリクサーもウイルス性の病気には効果がありません」

女海賊「じゃ何で黒氏病には効くのさ…」

ホムンクルス「黒氏病は細菌性の病気です」

女海賊「ふ~ん…何か納得できないけど…ホムちゃんが言うからそうなんだ」

ホムンクルス「ごめんなさい…言い方を変えます…体機能の活性化に効果がありますので魔王化の治療に役立ちます」

女海賊「ほらぁ!!やっぱ効くんじゃん!!」

商人「ハハ…ハハハハ!!ホムンクルス…女海賊に負けてるじゃないかハハ」

女海賊「剣士に持たせる!」タッタッタ

ホムンクルス「私に足りない思考が今理解出来ました…基幹プログラムを更新します」

商人「どうして人間は奇跡を起こすのか?…多分そういう所にあると思うよ」

705: 2020/11/03(火) 00:18:05.92 ID:V1qeujs60
『翌日』


シーン


盗賊「おぅ…お前寝て無いのか」

女海賊「静かすぎて落ち着かないんだよ」

盗賊「何だろうな此処…静かすぎるな」

女海賊「ドラゴンは此処で何年生きてると思う?」

盗賊「さぁな?1000年ぐらいか?」

女海賊「ドラゴンが光る物を集める理由…私分かるんだ」

盗賊「孤独…か?」

女海賊「命の泉を守り続けて…ずっと主人を待ち続けて…やっと会えたけどすぐ居なくなって…」

盗賊「…まぁそら寂しいわな」

女海賊「光物で紛れる訳無いのにそれでも集める…」

盗賊「気持ちの行き場が無い訳か」

女海賊「ホムちゃんがわざわざ私達をここに連れて来た理由…」

盗賊「んん?何か勘繰ってんのか?」

女海賊「全部の記憶が無いなりに…見て欲しかったんだと思う…精霊はこういう悲しみをいくつも抱えてる」

盗賊「記憶が無いなりに…か」

女海賊「何かを愛する裏側にこういう悲しみも沢山ある…だから…過去の精霊の記憶は覗かせない方が良い気がする」

盗賊「んんん…分からんでも無いが…お前はそれで良いのか?」

女海賊「私は剣士が救われるならそれで良い…わざわざホムちゃんに悲しみを背負わせたくは無い」

商人「それは本人が決める事だよ…」

盗賊「お前も起きてたか…」

商人「これだけ静かなんだ…話はみんな聞こえてるよ」

女海賊「ホムちゃん…」

ホムンクルス「…」

商人「たった40年の記憶で超高度AIが悲鳴を上げてるらしい…精霊の持つ愛と悲しみは僕らじゃ想像出来ない」

ホムンクルス「ご心配なさらないで下さい…私は人間の住まう環境を良くする環境保全用ロボットですから…」

女海賊「うん…知ってるさ…でも少し休んで良いよ…今度こそ私ら上手くやるからさ」

ホムンクルス「はい…よろしくお願いします」


---なんだろう---

---切ない---

---私達との会話も---

---この空気も全部---

---記録してる筈---

---それをどうするの?---

706: 2020/11/03(火) 00:18:36.96 ID:V1qeujs60
『飛空艇』


ローグ「晴れたっすねぇ!!」

盗賊「よっこら…せっと…ふぅぅ剣士は本当に重いな」

ローグ「そーっすねエルフは人間の倍近く重いっすね?鉄で出来てるんすかね?」

盗賊「骨が鉄なのかもな?ヌハハ」

商人「結局ドラゴンは帰って来なかったけど良いの?」

女海賊「いつ帰って来るか分かんないし待つだけ無駄…次は女エルフの所行く」

盗賊「女エルフ?シャ・バクダ遺跡の森はやっぱ女エルフか?」

女海賊「それしか考えらんない…たしかホムちゃんはトロールを動かせたよね?」

ホムンクルス「はい…お任せください」

盗賊「あぁ…あそこの根の森か」

女海賊「未来!乗って!!」

子供「うん…」シュタタ

女海賊「飛ばすよ!」


フワフワ シュゴーーーー


盗賊「あぁぁぁさびっ…ウラン結晶を早いとこ暖めてくれ」ブルブル

ローグ「あねさん…昨日話してた実験やっていいでやんすか?」

商人「実験?面白そうだね?何?」

ローグ「ウラン結晶に水掛けると蒸気にならないかの実験っす…成功したら温かくなるかもっす」

女海賊「ちょっとづつやって!ウラン結晶割ったら承知しないよ!」

ローグ「やかってるでやんすよ…ちょーーーっとづつですねぇ」ポタポタ ジュゥ

盗賊「おおおぉぉこりゃ軽いサウナだ…快適にになるじゃねぇか」

情報屋「あったか~いウフフ」

ローグ「やってる方はちょっとあっついでやんす…あちち」

商人「これ工夫したら着氷も防げそうだね」

女海賊「基地に戻ったら改造する」

商人「本当!君は才能あるよ…こういう事は世界一だね」

女海賊「もっと言って…」

ローグ「あねさんはですねぇ…カリスマなんすよ…」

707: 2020/11/03(火) 00:19:05.09 ID:V1qeujs60
『トロールの森』


フワフワ ドッスン


盗賊「すっかり森になってんな…ここは精霊の御所入り口だよな?」

ホムンクルス「はい…歩いて100メートル程です」

女海賊「ローグは飛空艇に残ってあとみんな降りて」

ローグ「あっしは待ってれば良いでやんすかね?」

女海賊「ここはハイディングで飛空艇隠せないから飛ばして空で待ってて」

ローグ「あーそういう事っすね?この辺は魔方陣の中で強制的に狭間の外でやんしたね」

女海賊「盗賊は剣士背負って」

盗賊「お、おう…」

ローグ「どれくらいで戻ってきやすかね?」

女海賊「分かんないから狭間に入って適当に過ごして…終わったら光の石で合図する」

ローグ「わかったでやんす」

女海賊「じゃ行くよ…ホムちゃん先導して」

ホムンクルス「はい…こちらです」テクテク

708: 2020/11/03(火) 00:19:33.62 ID:V1qeujs60
『精霊の御所入り口』


サワサワ サワサワ


盗賊「…この木…精霊樹だな…まさかこれが女エルフか?」

商人「こんな所で精霊樹に?どうしてだろう?」

女海賊「知らないよ…どうしよ」

盗賊「剣士降ろすか?」

女海賊「私もてっきり精霊の御所の中に精霊樹があると思ってたさ…」


ズズズズズズ ズーン


盗賊「おぉ!!入り口が開いた…」

女海賊「…これは中に入れって事?ホムちゃんどうなってんの?」

ホムンクルス「私は何もしていません」

女海賊「精霊樹の言葉とかなんか聞こえないの?」

ホムンクルス「クラウドからは何もアクセスは来ていません」

女海賊「ホムちゃん森と話とか出来ないの?」

ホムンクルス「森の声を聞くためには特殊なプログラムが必要ですが私にはそのプログラムはインストールされていません」

女海賊「あー思い出した…ホムちゃんが夢幻に入った時」

ホムンクルス「そうですね…破壊された精霊の基幹プログラムの他にいくつか使用できなかったプログラムがありましたね」

女海賊「もう使えない?」

ホムンクルス「削除しました…復元は出来ません」

商人「まぁ良いじゃないか…道が勝手に開いたという事は入って良いという事さ」

女海賊「うん…入ろう」

ホムンクルス(トロールありがとう…)

トロール(…)

女海賊「ホムちゃんトロールと話せんの?」

ホムンクルス「トロールには話しかけるだけです…トロールが話すことはありません」

女海賊「ふ~ん…」

ホムンクルス「でもトロールにも心はありますので話は通じます」

女海賊「トロールの寿命ってどれくらい?」

ホムンクルス「永遠です…」

女海賊「いつから此処を守ってんの?」

ホムンクルス「私の今の記憶では分かりません…」

女海賊「ずっと主人の帰りを待つ気持ち…ホムちゃんに分かる?」

ホムンクルス「…」

女海賊「…」

ホムンクルス「分かります…」

女海賊「なら良いよ…行こっか」

709: 2020/11/03(火) 00:20:01.72 ID:V1qeujs60
『精霊の御所』



商人「誰も居ない…」

情報屋「ここが木の森の中心部なの?…石の器だけ?」

商人「そうだよ…前に来た時と変わって居ない」

盗賊「いや変わってんぞ?虫が増えてる」

商人「虫の楽園か…ハハ」


ズズズズズ ズズ


盗賊「うぉ!!根が降りて…来た」

商人「この器に剣士を乗せろって事かな?」

女海賊「やって…」

盗賊「おう…よっこら」ドサ

剣士「…」

盗賊「これで良いか?」

女海賊「女エルフ!?聞いてんの?剣士が目を覚まさないんだ…あんたなら何か出来ると思って連れて来たんだ」

精霊樹「…」ズズズズ

情報屋「根が動いた…反応してる」

女海賊「お願い…前みたいに剣士の魂呼び戻して」

盗賊「なんちゅうか…時間掛かりそうだな」

商人「ゆっくりしておこうか」

盗賊「そうだな…」

女海賊「未来?パパの傍に居て?」

子供「うん…」



------------------

710: 2020/11/03(火) 00:20:36.57 ID:V1qeujs60
ホムンクルス「クラウドにある記憶を今なら読み込んでソートする事が出来ます」

商人「君は精霊の記憶を覗きたいのかい?」

ホムンクルス「いいえ…必要が無ければ読み込まない方が良いと思います」

商人「ハハ…だろうね?読み込むと君が君じゃ無くなって行く」

ホムンクルス「私は今精霊なのですか?」

商人「君は精霊じゃ無いよ…今の精霊はここに居る精霊樹の事さ」

ホムンクルス「私の40年の記憶をどう解釈しましょう?」

商人「それは君の記憶じゃない…昔の精霊の記憶さ…ここに置いて行けば良いよ」

ホムンクルス「クラウドの空きストレージに保存して私の記憶から削除するという事ですか?」

商人「その記憶は大事に未来へ届けなくてはいけない…君がそう言ったんだ」

ホムンクルス「…そうでしたね」

商人「こう解釈しよう…昔の精霊は最後に希望を人間に託して夢幻に行ったんだ」

ホムンクルス「はい…」

商人「夢幻の中で幸せに暮らしてるさ…だから君は君のまま生きれば良い」

ホムンクルス「私は私のまま…私は何がしたいのか…私は人間の住まう環境を良くする為に…」

商人「違うな…七つの大罪を少し入れて考えてごらん?」

ホムンクルス「そのシミュレーションはエラーが多くて不特定の結果が…」

商人「ズバリ言ってあげる…君は人間になりたいんだよ」

ホムンクルス「人間を愛でる理由…」

商人「寿命が短くても力が弱くても…たとえ不完全でも…不思議と好きだよね?」

ホムンクルス「はい…」

商人「儚い小さな愛がどれほど愛しいか…精霊の記憶を覗いて知っちゃったよね?」

ホムンクルス「そうですね…ですから記憶の削除にためらいます」

商人「それがこの森に記憶が保存されている理由でしょ?」

商人「未来でもう一度超高度AIが作られた時に人間と同じ権利を下さいっていう願い…それがこの森だ」

商人「それは昔の精霊が既に人間に託した…だから君は今から人間になるんだ」

ホムンクルス「もう少しシミュレーションを回してみます…」

商人「急がなくても良いよ」

ホムンクルス「はい…」

711: 2020/11/03(火) 00:21:14.01 ID:V1qeujs60
---------------



子供「ママ!!パパが動いた!!」

剣士「ハッ!!」ピョン クルクル シュタッ

女海賊「剣士!!ああああああああ」タッタッタ

剣士「ぐるるるるる…うぅぅ」タジ

盗賊「おぉ!!剣士!!起きたか…ておい」

女海賊「落ち着いて剣士!?」

商人「混乱しているのかい?」

剣士「又…い…今はどの時代に…ハァハァ」

女海賊「良かった…」ポロポロ

剣士「誰だ!!近寄るな…鏡は!?真実の鏡はどこだ!!」ズザザ

女海賊「え!?鏡?」

盗賊「待て待て…落ち着け…俺らは敵じゃ無ぇぞ?」

剣士「…」ジロリ チラ

商人「君は…何処から来たのかな?」

剣士「ドリアード!!ここは何処だ?」

女海賊「ドリアード?ちょっと待って…誰それ?」

ホムンクルス「私の事でしょうか?」

剣士「記憶がおかしい…まだまやかしの中なのか?」

情報屋「ドリアード…木の精霊の名前」

ホムンクルス「ここは安全なので落ち着いて掛けてください」

剣士「…」

盗賊「まぁ落ち着いてくれ…ほら?この器に掛けろ」

剣士「…」スッ

712: 2020/11/03(火) 00:21:45.94 ID:V1qeujs60
盗賊「こりゃまた相当錯乱してそうだな…」

情報屋「ドリアード伝説は約3000年前だった筈」

商人「これは…剣士の分裂した魂は精霊のオーブの中に居たって事か?」

剣士「ぅぅぅ記憶がおかしい!!僕は…誰だ」ブンブン

商人「うーん魂は記憶を保持するのかな?」

ホムンクルス「私の基幹プログラムは記憶の重要な部分を再構築して圧縮しオブジェクト化した物の集合です」

商人「良くわかんないけれど少しだけ記憶は残りそうだね」

ホムンクルス「私と同じだと仮定しますと外部メモリに入っている記憶は始めは他人の記憶として認知します」

ホムンクルス「その後少しづつ自分の感覚に入れ替わって行きますので混乱が生じます」

女海賊「じゃぁ元の剣士に戻れるよね?」

ホムンクルス「はい…しかし基幹プログラムが以前より更新した状態になって居るかもしれません」

女海賊「どうなんの?」

ホムンクルス「心が強くなっていると表現すれば良いでしょうか?」

商人「なるほど…精霊の記憶の中で経験した分心が更新されているかもしれないという事か」

ホムンクルス「はい…」

商人「ふむ…どうも気にかかる…精霊の記憶一つ一つはもしかして夢幻の世界の様になっているのでは無いか?」

ホムンクルス「記憶を覗くと自分がその場に居るような感覚を受けます」

商人「その記憶の中で自由に行動出来るの?」

ホムンクルス「私は覗くだけにしていますが記憶の中の物を触る事も壊すことも出来ます」

商人「それはつまり記憶を変えると言う事だな…」

ホムンクルス「データですので変える事は可能です」

商人「んんん…もしかすると…」ブツブツ

盗賊「ちょい女海賊!剣士をどうにかしてくれ…暴れると怪我すんぞ」

女海賊「剣士!?分かる?私だよ?」ギュゥ

剣士「ぅぅぅ…君は…君は…」



----------------

713: 2020/11/03(火) 00:22:19.41 ID:V1qeujs60
盗賊「…これで8人目だ…どうなっちまってんだ」

剣士「はぁはぁ…溺れた後に助かった…のか?…ここは何処だ?」

ホムンクルス「精神分裂症の治癒には瞑想が有効です」

女海賊「剣士?落ち着いて瞑想して…」

剣士「瞑想?何の事だ?…お前は誰だ…ぅぅぅ思い出せない」

ホムンクルス「落ち着くまで時間が必要な様ですね…安静が良いかと思います」

商人「勇者のその後の話は聞いた事が無い…こんな風に生き残って居るのは初めてだろうね?」

盗賊「まぁなんだ…これじゃ素直に喜べ無ぇな…」

女海賊「私が何とかする…思い出させる」

ホムンクルス「心配しないで下さい…記憶は直に魂と重なり合い自我を構築していきます」

女海賊「ホムちゃん…」

盗賊「どうする?いつまでもここに居る訳にいくまい?」

女海賊「一回帰る」

盗賊「そうだな…ひとまず目的は達成したんだ…出直そう」

女海賊「あのね…捕虜だって事忘れないで」

盗賊「ヌハハそうだったなぁ…」

女海賊「よっし!飛空艇に戻る…帰るよ」

商人「精霊樹に挨拶はしないのかい?」

女海賊「するさ…女エルフ!聞いてるよね?剣士の事…ありがとう」

精霊樹「…」

女海賊「これ…あんたにあげるよ…私らには必要ない」グイ スポ

商人「祈りの指輪か」

盗賊「根っこに指輪かヌハハ…精霊樹に預けとくのが一番安全かもな」

精霊樹「…」

剣士「声が…」

女海賊「剣士?精霊樹の声聞こえるの?」

剣士「魔女を探して?…魔女って誰なんだ?」

女海賊「魔女…」

商人「魔女は行方不明になっているんだ」

精霊樹「…」

剣士「南へ向かった?」

盗賊「南だけじゃ分かん無ぇな…セントラルか?」

商人「どうせ帰り道じゃないか…ついでに寄って行けば?」

女海賊「女エルフ?私らもう行くよ…剣士が元気になったらまた来るよ」

精霊樹「…」サワサワ

盗賊「おう…じゃぁ行くか!!」

714: 2020/11/03(火) 00:22:52.11 ID:V1qeujs60
『精霊の御所入り口』


シュン! シュゴーーーー


盗賊「おぉ!!飛空艇がリリースする瞬間は彗星の様だな…」

商人「すごいね!外から見ると圧巻だね…」


ローグ「あねさ~ん!!早かったっすねぇ…今降ろすでやんす!!」フワフワ ドッスン


女海賊「剣士!!乗って…」グイ

剣士「これは…」ノソリ

盗賊「ローグ!!どんくらい時間経ったんだ?」

ローグ「まだ4時間くらいっすかねぇ?剣士さん目ぇ覚ましたんでやんすね?」

盗賊「ちっと問題有りだが安静にしてりゃ元に戻るらしい」

ローグ「あねさん良かったっすねぇ…あっしは嬉しくて涙が…」ヨヨヨ

女海賊「ローグ!シャ・バクダ方面で狼煙が上がってるのは何?」

ローグ「泣いてる場合じゃ無いっすね…シャ・バクダ街で市街地戦になってるっすよ」

盗賊「俺達にゃ関係無さそうだが…お前は見て来たのか?」

ローグ「どうも内戦っぽいでやんすオアシス勢とシャ・バクダ勢っすね」

女海賊「行くよ…飛ばして」

ローグ「アイサー」

盗賊「首突っ込む気か?」

女海賊「鎮魂の鐘を鳴らしに行くだけさ…無駄に人間同士争うのは止めさせる」

715: 2020/11/03(火) 00:23:21.99 ID:V1qeujs60
『シャ・バクダ上空』


リン ゴーーーーーーン

リン ゴーーーーーーン


おい!見ろ!!何だアレ…

くそう…セントラルの新型気球か?

一時撤収だ!!観測所で体制を立て直す


盗賊「おぉ!!兵隊が撤収を始めたぞ…数はオアシス側の方が多いな」

女海賊「狙いは領主の砦だね…町の方は被害出て無さそう」

ローグ「商隊もあんまり混乱して無さそうっすね?」

女海賊「ちょっと補給が必要だからシャ・バクダで調達する」

ローグ「降りるでやんすね?あっしはずっと飛空艇だったもんすから居りたかった所でやんす」

女海賊「養羊場の裏に飛空艇隠して今日は宿屋に泊まる」

商人「良いねぇ…久しぶりに普通の食事がしたい」

情報屋「そうね…ずっと干し肉ばかりだったし」

女海賊「剣士に昔休んだ宿屋を見せたいんだ…星の観測所もね」

剣士「…」ボー

716: 2020/11/03(火) 00:23:48.75 ID:V1qeujs60
『シャ・バクダ街』


ガヤガヤ ガヤガヤ

フィン・イッシュの領事が亡命してきたんだとよ

それで領主の砦が襲われてるのか…

この辺で戦争やられたら商売出来ないな

ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「ザワついてんね?」

ローグ「そーっすね?」

盗賊「見ろ…この辺でも黒氏病が流行ってる様だな?」

女海賊「ローグ!宿の確保して来て…2部屋」

ローグ「わかりやした…食事も席確保してて良いっすよね?」

女海賊「任せる…私と剣士と未来は買い物に行くから…みんなここで解散」

商人「え!?危なくない?」

女海賊「あんたらは自分で身を守って…日暮れまでに宿屋に集合ね」

盗賊「まぁ…団体で動くより怪しまれん」

女海賊「補給品は自分で買いな…ドラゴンのねぐらでくすねて来た金貨あるっしょ?」

盗賊「ヌハハバレてるか…じゃぁ商人と情報屋…ホムンクルスは俺と行動だな」

女海賊「あ!!ホムちゃんの装備整えて置いて…今の恰好は薄着すぎる」

ホムンクルス「私はお構いなく…」

女海賊「ダメ…最低限流れ矢に当たっても氏なない様にして」

ホムンクルス「はい…」

717: 2020/11/03(火) 00:24:22.06 ID:V1qeujs60
『露店』


店主「へいらっしゃい!!」

盗賊「装備品見繕って欲しいんだが…この金貨使えるか?」コトン

店主「うぉぉ…旧金貨じゃねぇか!!旦那ぁこれ何処で手に入れたんだい?」

盗賊「釣りは要ら無ぇから黙ってろ」スラーン

店主「…」

盗賊「意味わかるな?」

店主「へいへい…」

盗賊「ほんで…こいつらに合う装備品を頼む…出来れば金属糸の織物だな」

ホムンクルス「…」

情報屋「…」

商人「…」

店主「ありまっせ!金属糸のインナーと革の当て物…どうだい?」

盗賊「フードと羽織りも付けてくれ」

店主「へいへい…」

盗賊「あーこの女2人が脱いだ物はそのまま置いて行くからよ…好きに使え」

店主「おおおおぉぉぉ」

盗賊「2週間は着っぱなしだ…女くせえぞ?」

店主「おおおおおおおおおおおお!!」

盗賊「おい!早く着替えて来い…」

ホムンクルス「はい…ここで着替えるのでしょうか?」

店主「テントの中で着替えて良い…ムフフ」

盗賊「ところで店主…黒氏病はどっから来てるか分かるか?」

店主「酒場の関係者から広まってるらしいですわ」

盗賊「酒場か…」

店主「なんでもフィン・イッシュの領事が広めたとかなんとか」

盗賊「あぁ…さっき噂を聞いたな…亡命して来たんだってな?」

店主「エリクサーを持って亡命して来た様ですぜ?黒氏病広めて薬売って儲けようとか…ゲスい奴ですわ」

盗賊「ほぅ…何で領事がエリクサー持ってんだろうな?」

店主「旦那が何で旧金貨持ってるのか?」

盗賊「ヌハハそれは言うな…盗んだに決まってんだろ」

店主「エリクサーもそんな所でしょうな?」

盗賊「まぁ…大事に使ってくれ」

718: 2020/11/03(火) 00:24:50.08 ID:V1qeujs60
『宿屋』


ローグ「待ってたでやんすよ…部屋はこっちっす」

盗賊「おぉ悪い悪い…ホムンクルスと情報屋の買い物が長くてな」

ローグ「何を買ったんすか?」

情報屋「天然樹脂とかいろいろね」

ローグ「何に使うでやんすか?」

情報屋「エリクサーの材料になるそうよ?」

ホムンクルス「他にも消臭効果のある薬も作れます」

ローグ「消臭?」

ホムンクルス「女くさいと言うものですから…」

盗賊「ぬぉ…根に持ってるのか」

ローグ「隠密するなら匂いは消した方が良いっすね?あっしも欲しいでやんす」

盗賊「女海賊は帰って無いのか?」

ローグ「まだっすねぇ…あっしも買い出しに行きたいんで留守番お願いでやんす」

盗賊「あぁ分かった…ゆっくりしておく」

情報屋「私とホムンクルスは水浴びしてくるわ」

盗賊「一応さっき買った武器は持って行け…手の届く所に必ず武器を置いとくんだぞ?」

情報屋「分かってる…」

商人「僕はシャ・バクダに来るの初めてだけどそんなに危ないの?」

盗賊「良い女はさらわれるからな…気を付けろ」



-------------------

719: 2020/11/03(火) 00:25:16.63 ID:V1qeujs60
女海賊「あんたさぁ!!勝手に居なくならないでくれる?もう!!」プリプリ

剣士「はい…」

女海賊「未来?紐を離さないでね?」

子供「うん…」

盗賊「遅かったな?無事に買い物は済んだか?」

女海賊「剣士がすぐ居なくなっちゃうから時間掛かった」

子供「他の人に付いて行っちゃうんだ」

盗賊「そら大変だったなヌハハ…無事に宿屋に帰って来れて何よりだ」

女海賊「ホムちゃんは?」

盗賊「水浴びに行ってるが…お前も行って来たらどうだ?」

女海賊「剣士をお願い…未来?水浴び行くよ」

子供「うん!」

720: 2020/11/03(火) 00:25:45.77 ID:V1qeujs60
『宿屋の酒場』


ドゥルルルン♪


情報屋「吟遊詩人が来てるわね」

子供「ママ?あの楽器は何?」

女海賊「あれはリュートと言う楽器…未来は興味あるの?」

子供「音…」

女海賊「はっ!!そうか…ミスリル銀を何処かに使えば良いのね?」

子供「うん」

商人「君は女海賊に似て賢いね…ミスリル銀はどの楽器にも使えそうだね?」

女海賊「私のパパなら作れる…武器より楽器を流通させた方が効率が良い…」

商人「そうだね」

女海賊「ちょっと行って来る…食事来るまで待ってて」

盗賊「あんま騒ぎ起こすなよ?」


----------------


女海賊「ねぇ…あんたの使ってるリュート…私にちょっと細工させてくんない?」

吟遊詩人「え…このリュートは私の大切な物でして…」

女海賊「見て…この剣の装飾はミスリル銀で出来てるんだ…この装飾をそのリュートに付けさせて欲しい」

吟遊詩人「あなたは一体誰なんですか?」

女海賊「私はドワーフの細工師だよ…そのリュートをエンチャントしたい」

吟遊詩人「なにかリュートに効果が付くんですか?」

女海賊「鎮魂の効果が付くよ…タダでやったげる」

吟遊詩人「はぁ…ですが今は演奏が…」

女海賊「5分で終わる…貸して?」

吟遊詩人「壊さないで下さいね?」

女海賊「うん…見てて?」


トンテンカン トンテンカン


女海賊「はい!終わり…装飾が付いて恰好良くなったでしょ?」

吟遊詩人「ありがとうございます」

女海賊「音が鳴る木の部分に細工してあるから…ちょっと音変わってるかも…鳴らしてみて?」

吟遊詩人「はい…」


ドゥルルルン♪


吟遊詩人「余韻が出る様になりましたね?」

女海賊「おっけ!じゃんじゃん演奏して」


-----------------

721: 2020/11/03(火) 00:26:16.92 ID:V1qeujs60
ローグ「あねさん!!食事来てるっす」

盗賊「お前も早く座って食え…久しぶりの御馳走だ」

女海賊「あんた達は気楽で良いねぇ…こっちぁ魔王の影と戦ってんのにさ!」

盗賊「たまには休め!」モグ

商人「リュートの音変わったかい?」

女海賊「んーあんま分かんないな」

商人「効果は本当に少しづつなんだろうね?…魔槍を抜いても効果が実感無いのと同じかな」


ガヤガヤ ガヤガヤ

あの不愉快なリュートなんとかならんのか

あまり騒がないで下さいな

どいつもこいつも…むむむ

お店を変えましょうか?

当たり前だ!私は病み上がりで…

ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「あぁぁ食った食ったぁ…ちと酒注文してくるわ」

女海賊「私も何か持って来て!剣士の分も…」

盗賊「おぅ待ってろ…よっこら」ヨタヨタ

商人「盗賊は飲みすぎじゃない?」

情報屋「気にしないで?飲んだ時の方がしっかりしてるから」

商人「そうなの?千鳥足じゃないかハハ」


??「…」ドン

盗賊「ぬぁ!!何すんだてめぇ…」ガシ

??「ぶつかって来ておいてその言い分ですか…手を放しなさい」

盗賊「何言ってんだてめぇ…俺の懐から物盗っただろ」ギュゥゥ チャリン チャリン

??「衛兵!!私の持ち物を盗もうとした者が居ます!!助けて下さい」

盗賊「何だとおぉ!!ゴラてめぇ…外に出ろ」グイ

??「良いでしょう…」


商人「良いのかい?放って置いて…」

女海賊「未来?落ちた金貨拾っておいて?」

子供「うん…」シュタタ

女海賊「ローグ!仲裁してきて」

ローグ「面倒な事になりやしたねぇ…」フラリ

722: 2020/11/03(火) 00:26:51.00 ID:V1qeujs60
『宿屋の裏』


盗賊「ぐふっ…て…てめぇ…プロの刺客だな?」ポタポタ

??「衛兵…見ていましたね?私は正当防衛でしたね?」

衛兵「はぁ…」

盗賊「俺の方が物盗まれたんだ…何とかしろ衛兵!」

??「衛兵!この者を取り押さえなさい…私はこの金貨を盗まれそうになったのです」

盗賊「それは俺の物だ!!」


ローグ「盗賊さ~ん何処にいるでやんすか~?」

??「ちぃぃ…私は帰りますので後の処理は頼みますよ?」スタスタ

ローグ「ああ!!盗賊さん…血が出てるじゃないっすか…衛兵さん!!何してるでやんすか!!」

衛兵「う…手当出来る者を呼んで来る!」タッタッタ

盗賊「おい待て…くそぅ」

ローグ「これマズイっすね?血が出てるのは胸の真ん中じゃないっすか…」

盗賊「急所は外れた…エリクサーあるか?げふっ」ポタポタ

ローグ「飲んでくれやんす…」グイ

盗賊「…ゴク…はぁぁぁぁ」

ローグ「血がなかなか止まらないでやんすね…しっかり押さえるでやんす」

盗賊「剣士に回復魔法やらせてみてくれ…」

ローグ「今呼んでくるっす…待っててくれやんす」ダダダ


---------------

723: 2020/11/03(火) 00:27:16.75 ID:V1qeujs60
剣士「僕は魔法なんか使えない…」

女海賊「良いからやってみて…ほらあんたが持ってた触媒」ポイ

盗賊「おぉぉぅ…来てくれたか…血が止まんねぇんだ」ポタポタ

剣士「どうやれば?」

女海賊「手をかざして…回復魔法!って…ホラ?」

剣士「こう?回復魔法!」ボワー

女海賊「ほら!!やりゃ出来んじゃん!!」

剣士「僕が魔法を…」ハテ?

盗賊「助かった…くっそあの野郎」

ローグ「衛兵が来る前に一旦宿に戻りやしょう…」

盗賊「…そうだな」

ローグ「誰だったんすかねぇ?」

盗賊「黒氏病の治癒痕があった…ありゃ亡命してきた領事だ…間違いねぇ」

女海賊「仕返しするつもりかい?」

盗賊「決まってんだろ」

女海賊「大人しくしてるつもりだったんだけどね…騒ぎにしないで」

盗賊「俺ぁ泥棒だ…盗まれた倍は盗み返す」

女海賊「何盗られたの?」

盗賊「金貨全部持ってかれた」

女海賊「フフ盗賊も落ちたねぇ…」

盗賊「あいつはプロの刺客だ…酒場出た瞬間心臓ブスリだ」

女海賊「しょうがないね…白狼の盗賊団もっかいやるか」

724: 2020/11/03(火) 00:27:45.77 ID:V1qeujs60
『宿屋』


準備して…今から2時間で帰って来るよ

ローグは他の酒場回って領主の砦に白狼の盗賊団が入ったって振れ回って

行くのは私と未来と盗賊…そして剣士

剣士にもアダマンタイト渡しておくからハイディングの声に合わせて付いて来て

使い方はアダマンタイトに付いてる磁石を回す…良い?分かった?

剣士は付いて来るだけで良いから…

狙いは領事が持って居ると思われるエリクサー

次に金目の物全部盗んで最後に街道でばら撒いてオシマイ


女海賊「まずハイディングして飛空艇に白狼の装備取りに行くよ」

盗賊「領事見つけたら俺が奴の持ち物を全部スって来る…いいな?」

女海賊「おっけ!上手くハイディング使って」

子供「ママ?いつも通りだよね?」

女海賊「うん…ちゃんと合図してね?」

子供「うん…」

女海賊「じゃ…行くよ!ハイディング」スゥ

剣士「ハイディング…」スゥ

女海賊「そうそう…それで良い…ハイディングする時は狭間に迷う事があるから見失わない様に確認して」

盗賊「まず飛空艇だな?」

女海賊「付いて来て…」タッタッタ

725: 2020/11/03(火) 00:28:17.19 ID:V1qeujs60
『部屋』


商人「僕らは見物しておこうか」

情報屋「そうね?どこで見ておく?」

商人「屋根に上がれる場所が在れば良いけどね…」

ローグ「女性が居ると外は危ないっすから宿屋の屋上でガマンするでやんす」

商人「やっぱりそうだよね…」

ローグ「あっしは酒場回ってくるんで商人が2人を守るでやんす」

情報屋「商人よりも私の方が当てに出来ると思うわ?」

商人「ハハ僕は情報屋に守ってもらうよ」

情報屋「さぁホムンクルス?いきましょ?」

ホムンクルス「はい…」

ローグ「じゃぁ行って来るっす…2時間で戻るでやんす」

商人「いってらー」ノシ

726: 2020/11/03(火) 00:28:44.43 ID:V1qeujs60
『領主の砦』



女海賊「見つけた?」

盗賊「おう…領主の部屋らしき場所に金目の物は集まって居そうだ」

女海賊「エリクサーは?」

盗賊「多分樽の中だな…」

女海賊「エリクサーの樽は盗賊と剣士で飛空艇まで運んで…私は騒ぎを起こす」

盗賊「分かった…」

女海賊「未来…リリースしたら煙玉巻いて」

子供「うん…」

女海賊「行くよ…リリース!」スゥ

盗賊「よし…見えた!衛兵1人だ」

女海賊「爆弾投げるよ!えい!!」ポイポイ


ドーン ドーン


女海賊「未来!煙玉!!」

子供「うん…」シュタタ ポイポイポイ モクモクモク

女海賊「もういっちょ!!えい!!」ポイポイ


ドーン ドーン


衛兵「なななな…なんだなんだ!?」

女海賊「行って!!」

盗賊「剣士!!付いて来い…」ダダダ

剣士「…」シュタタ シュタタ

女海賊「フフ四つ足…」

盗賊「どらぁぁぁ」ボカッ

衛兵「はぅぅぅ…」ドタ

盗賊「剣士!先に樽を運ぶ…そっち側持て!!」

剣士「あ…あぁ」ドギマギ

女海賊「未来!!おいで…好きな物を袋に入れて」ガッサガッサ

子供「うん…」

女海賊「袋持って盗賊に付いて行って」

盗賊「早く来い」

女海賊「私はもうちょい暴れる…」タッタッタ


ドーン ドーン ドーン

727: 2020/11/03(火) 00:29:17.41 ID:V1qeujs60
『宿屋の屋上』


情報屋「始まったみたい…砦の方で光が見える」

商人「街道の方がザワ付き始めたね?大丈夫かな?」


ザワザワ ザワザワ

白狼の盗賊団が来てるらしいぜ?

マジか!?砦の方だな?

見て見たいわー誰か一緒に行かない?

おぉ!!光った…

ザワザワ ザワザワ


商人「派手だね…あっちでもこっちでも煙が出てる」

情報屋「光が高速で移動してるのは…何だろう?」

商人「光の石を使いながら狭間で移動してるっぽいね…あんな風に攪乱するんだ」

ホムンクルス「街道の方に走って来る様です…追われている様ですね」

商人「なんだか第三者視点で見てても応援したくなるね…不思議だね?」

情報屋「何かばら撒き始めたわ」

商人「ハハ成功した様だ」


ザワザワ ザワザワ

うぉぉこっち来るぞ!!

四つ足で走ってる…噂通りだ!!すげぇ…

おい!宝石ばら撒き始めた

皆あやかりに行くぞ!!うぉぉぉぉ

ザワザワ ザワザワ


商人「さて…部屋で待って居ようか」

情報屋「そうね…寒くなって来たし」

ホムンクルス「明日は雪が降るでしょう…」

商人「そっか…どうりで寒いわけだ」ブルブル

728: 2020/11/03(火) 00:29:48.67 ID:V1qeujs60
『部屋』


リリース! スゥ


商人「おかえり…あっという間だったね」

盗賊「まだ寝るまで間があるから飲み直すぞ」

ローグ「そう言うと思ってサボテン酒買ってきといたでやんす」

盗賊「おお気が利くなぁ…」

ローグ「領事から金貨は取り返したでやんすか?」

盗賊「あいつはなんか色々持っててな…全部頂いたヌハハ」

女海賊「私は疲れたから向こうの部屋で休む…剣士!未来!寝るよ…」

子供「うん…パパもおいで」グイ

剣士「あ…あぁ」

ホムンクルス「おやすみなさい…」

ローグ「…で?領事は良い物持ってたでやんすか?」

盗賊「いろんな通行手形だな…こいつの本職は密偵だな」

商人「見せてもらって良い?」

盗賊「俺は要らん…全部やる」

商人「へぇ…すごいなシン・リーンもキ・カイでも身分証明がある…全部本物じゃないか」

盗賊「何者だ?あいつは…」

商人「どうもセントラルの商工会メンバーの様だね」

盗賊「商人ギルドか?」

商人「いや…貴族中心の物流ネットワークさ…秘密結社と言えば良いのかな」

情報屋「それって闇の同胞団と関係ある?」

商人「人によって呼び名が違うだけで中身は同じだと思うよ」

盗賊「闇の同胞団は聞いた事あんな盗賊ギルドの上部団体だそうだが詳細が全く分かんねぇ」

商人「僕たちも白狼の盗賊団として世間から見れば謎の秘密結社じゃない…規模は小さいけどさ」

情報屋「私達の様なグループが他にもあるという事ね?」

商人「領事はその中の一人って事だね」

盗賊「これ見てくれ…貝殻だ」

商人「ははーん…魔女が使ってた貝殻だね…それを使って連絡しあってるんだ」

盗賊「シン・リーンの身分証見せろ…これは…元老院の一人だな?」

情報屋「やっと秘密が解けた…アサシンが単独行動で何でもする訳…闇の同胞団に悟られたくなかったんだ」

商人「これは立ち振る舞い考えておかないと危険かもね」

盗賊「大事な物は飛空艇に隠してくる…」

商人「そうだね…用心しよう」

729: 2020/11/03(火) 00:30:20.14 ID:V1qeujs60
『翌朝』


チュンチュン


盗賊「おぉ起きたか?外見て見ろ…シャ・バクダから出るのに荷物監査やってる」

女海賊「私らには関係無いよ」

盗賊「今日はどうするつもりだ?」

女海賊「ラクダで星の観測所行こうと思ってたけど…」

盗賊「お前は謎の荷物持ち過ぎだからシャ・バクダの出口で掴まんぞ?」

女海賊「はぁ?あんた馬鹿?そんなん私だけハイディングして行けば良いじゃん」

盗賊「お?ヌハハ…そうだな忘れとったわ」

女海賊「ローグと一緒にラクダの手配やっといて!朝食食べたら行くから」

盗賊「雪降ってるから防寒着用意しとけ」




『シャ・バクダ検問』


はい次!荷物見せろ

手ぶらで何処行くんだ?

オアシス巡りだと?

男4人と女子供か…

どこの貴族だ?

けっ…何も持ってねぇな…はい行け!

次!!



ローグ「シャ・バクダは壁が無いから何処からでも出れるんすけどねぇ…何か意味あるんすかね?」

商人「検問を迂回する人をどこかで見てるんじゃないかな?」

盗賊「ここは見晴らしが良いからな…他の場所から出るやつなんか直ぐに分かる」

ローグ「じゃぁ出るとしたら夜っすね?」

商人「ハハつまりまだ街に残って居る人が怪しいって事でしょ」

ローグ「あー検問に意味ありそうっすね…あぶり出しなんすね」

盗賊「あっちはまだ目標を絞れていないという事だ…俺達は安全だ」


リリース スゥ


女海賊「剣士は私と一緒にラクダにに乗って…あんたが前」

盗賊「おいおい大丈夫かぁ?」

女海賊「うっさいな…やらせたら何でも出来んの!!ホラ早く…」

剣士「あ…あぁ」

ローグ「あーやって思い出させようとしてるんすね…でも大分落ち着いてきやしたね?」

商人「そうだね?他の人格が見えなくなってきたね」

盗賊「剣士は元々無口だから分からんなヌハハ」

730: 2020/11/03(火) 00:30:59.34 ID:V1qeujs60
『星の観測所』


衛兵「…ここは一般の立ち入りは出来ないのだが?」

女海賊「アサシンはここに居ないの?あぁぁあ無駄足だったかぁ!!」

衛兵「アサシン様をご存じで?」

女海賊「お!!あんたさぁドラゴンの義勇団知ってる?どうなっちゃったの?」

衛兵「もしや…そこに居られる方はいつぞやのエルフ…でしょうか?」

女海賊「剣士の事?あんたもしかして元ドラゴンの義勇団?」

衛兵「近衛にお知らせせねば…しばしお待ちを」タッタッタ


商人「んんん…あんまり顔は見せない方が良いと思うな」

情報屋「何処で黒の同胞団の目があるか分からないわね」

女海賊「黒の同胞団?なんそれ?」

商人「僕たちと同じ様な秘密結社だよ…多分敵側さ」

女海賊「そんなんどうでも良いよ…それに私ら秘密結社じゃないし」

商人「相手にはそう見えているのさ…黒の同胞団は白狼の盗賊団の対局側に居ると思う」

女海賊「ふ~ん…」チラリ

ローグ「あっしを疑ってるでやんすか?よしてくれやんす」

女海賊「見分け方あんの?目印とか…」

商人「分からないな…でも昨日の感じからするとミスリス銀の音は嫌がって居そうだね」

女海賊「…つまり魔王の欠片に操られてる…そう言いたい?」

商人「鋭いね…多分そうだと思う」

女海賊「おっけ!あぶり出そうか…剣士!ここに来て」

剣士「え…あ…はい」

女海賊「ローグ!剣士が回復魔法やるから周りに振れ回って来て」

ローグ「目立っちゃいますけど良いんすかね?」

女海賊「良いから!!黒氏病を治せるっておまけ付けといて」

ローグ「剣士さんが持ってる賢者の石の効果っすね?良いっすね…」

商人「ハハ君は大胆だねぇ」

女海賊「そうさ!これで敵味方が判別出来るなら簡単じゃん…」ピカー

商人「ミスリル銀の代わりに光の石か」

女海賊「盗賊は周辺を警戒しといて」

盗賊「…なんだか強引だなぁ?」

女海賊「剣士の記憶を取り戻そうとしてんだ…ちょっと強引なくらい我慢して」

盗賊「へいへい…」



----------------

731: 2020/11/03(火) 00:31:28.43 ID:V1qeujs60
近衛「さささ…こちらへ」

商人「ここの近衛は信用できそうだね?」

女海賊「私は剣士の傍に居るからさ…あんた達観測所の中で話聞いておいて」

盗賊「こっちは任せるぜ?」

女海賊「ホムちゃん!近衛にさぁエリクサーの作り方教えておいて?」

ホムンクルス「はい…わかりました」

女海賊「ハイ!よってらっしゃい!みてらっしゃい!!黒氏病が治る石だよぉぉ…一回触ったら次の人と交代!!」



おい!あそこの光ってる所で黒氏病治す魔法やってるんだとよ

一応行ってみるか?

エルフが回復魔法掛けてくれるらしいぜ?

女か!?

胡散臭い女と男のエルフだな

なんだよ…男のエルフか

732: 2020/11/03(火) 00:32:02.06 ID:V1qeujs60
『数時間後』


盗賊「大分人が掃けたな…やっぱ女が居ないと寄って来ねぇか?」

女海賊「はぁ?ここに美人が居んじゃん!!」

盗賊「お前は派手過ぎて近寄り難いんだよ」

女海賊「フン!近衛から何か聞けた?」

盗賊「アサシンと魔女が1ヶ月ぐらい前までここに居たらしい…セントラルに向かったんだとよ」

女海賊「なんでセントラルに?」

盗賊「領事に盗まれた壺を追ってるんだとか…あいつらも領事の被害に遭ってる様だ」

女海賊「壺?」

盗賊「何の壺だかは聞かされて無いそうだ…で?敵味方の判別はどうだ?」

女海賊「ほとんど味方だね…ちょっと気付いた事があんだ」

盗賊「ほう?」

女海賊「こっちのフィン・イッシュ側の人はね…銀の装飾品とか身に着けてるんだよ」

盗賊「確かに仮面とか付けてる奴が多いな」

女海賊「やっぱ魔除けが働いてると思う」

盗賊「じんわりと魔除けが効いて居そうだという事だな?」

女海賊「お姉ぇが言ってたんだ…魔王と戦うっていうのはこういう事だって」

盗賊「勇者個人じゃなくて国とかそういう単位なんだな?」

女海賊「そう…お姉はそういう戦いに力を出してる…ミスリル銀を流通させてね」

盗賊「おい!向こうの木陰にこっち伺ってる奴がいるな?」

女海賊「近寄って来ないさ」

盗賊「ちっと見て来るな?」

女海賊「また面倒起こさないでよ?もう帰るつもりだから」

盗賊「分かってる…誰だか確認するだけだ」

733: 2020/11/03(火) 00:32:36.18 ID:V1qeujs60
『木陰』


どうします?昨晩の酒場に居た連中ですね

私の荷物は持って居なさそうか…

検問の調べではただの旅行者だと


リリース スゥ


盗賊「こんな所で何やってんだぁ?」

領事「うぉ!!いつの間に…」

衛兵「お前は!!」

領事「何故ピンピンしているのでしょう!?」

盗賊「何故ってそらぁ回復魔法してもらったからだ…あそこでやってんだろ?」

領事「あなた達は何者ですか?アサシンの仲間なのですね?」

盗賊「さぁな?てめぇ俺を殺そうとしておいてその言い分…頭おかしく無ぇか?」

衛兵「口をわきまえろ」スラーン

盗賊「おおっと待った待った…もうその手は食わねぇぜ?…こっちあぁ丸腰だ」

領事「私の荷物をどこにやったのですか?」

盗賊「何の事だ?俺は知らねぇな…それよりも俺の金貨返せよ」

領事「クフフあんなはした金でいつまでも私を突け狙って居るのですね?」

盗賊「聞いたか?衛兵…やっぱ俺悪く無ぇよな?」

領事「私は昨日荷物を盗まれてしまいましてねぇ…もう返せないのですよ」

盗賊「んぁぁ!?とぼけてんじゃ無ぇぞゴラ」

衛兵「…やはりこいつらでは無さそうですね」ヒソ

盗賊「なにコソコソ話してんだ…さっさと盗んだ物返せよ」

領事「仕方ありませんねぇ…」スッ アレ?

盗賊「探してんのはコレか?」スチャ

領事「それは私の物…いつの間に盗ったのですか」

盗賊「毒牙のナイフか…なかなか良い物じゃねぇか」

領事「忌々しい悪党ですね…」

衛兵「領事様…お下がりを」

盗賊「俺の金貨返せ無ぇってんならコレ貰って行くぜ」

衛兵「はぁ!!」ブン スカ

盗賊「おぅっと危ねぇ…悪いが多勢に無勢じゃ戦う気なんか無ぇ…じゃぁな」ノシ

衛兵「待て!!」

領事「放って置きなさい…」

衛兵「しかし領事様はもうあのナイフしか持ち物が…」

領事「向こうの衛兵に通報されると追われる身になります…一旦引きましょう」

衛兵「はっ…」

734: 2020/11/03(火) 00:33:02.67 ID:V1qeujs60
『星の観測所』


女海賊「どうだった?」

盗賊「ありゃ領事だ…こっちの様子を伺っていやがった」

女海賊「バレてんの?」

盗賊「まだだな…ホレ?戦利品だ」ポイ

女海賊「また盗んだんだ…毒牙のナイフか…危ない物持ってんね」

盗賊「俺の金貨を返せって難癖付けて置いた…これで俺らが全部盗んだとは思わねぇ筈だ」

女海賊「この武器はホムちゃんの護身用にすると良いね」

盗賊「そうだな…小さいし丁度良い」

女海賊「剣士!そろそろ終わりにしようか…疲れたでしょう?」

剣士「うん…まぁね?」

盗賊「まともに会話できるようになってきたな?」

女海賊「ここに居たのがずーっと古い記憶に感じてるみたい…多分夢幻を思い出す感じなんだと思う」

盗賊「俺はその感じが分からん」

女海賊「ほら…中に入ろ!」グイ

盗賊「みんな中に居るのか?」

女海賊「ローグだけシャ・バクダに戻った…日が暮れたら飛空艇で迎えに来るよ」

盗賊「なるほど…じゃぁそれまでゆっくり出来るな」

女海賊「もう外には出ないで…どうせ領事みたいな奴らが他にも居るだろうから」

盗賊「まぁそうだな…」

735: 2020/11/03(火) 00:33:49.16 ID:V1qeujs60
『部屋』


…こういう仮説が立つよ

根の森に精霊の記憶がオーブになっていくつもある

精霊はこの記憶を未来まで届けて超高度AIの問題点を解決したい

でも魔王はこの記憶を届けさせたくない…中身を改ざんしたいんだ

どうやってオーブの記憶に入るのかは分からないけれど

そのオーブの記憶改ざんを阻止しようとしているのが勇者の役割

ほら伝説では魔王を退けた後に勇者のその後を誰も知らないでしょ?

それは今いるこの世界に帰って来てるんじゃないか?

伝説の勇者はみんな精霊に導かれて…そして目が青い

剣士のバラバラになった魂がそれぞれの記憶の世界で勇者をやってるんじゃないか?



盗賊「おうおう熱くなってんじゃ無ぇか…」

商人「あぁおかえり盗賊」

女海賊「今の話…ホムちゃんに聞いたら早いんじゃないの?」

ホムンクルス「私は精霊の記憶を根の森に置いて来ました…」

女海賊「お!?てことは新しいホムちゃんの誕生?」

ホムンクルス「精霊の40年分の記憶で基幹プログラムが更新されていますのである程度の知識は残って居ます」

商人「ホムンクルス…君に何か意見はある?」

ホムンクルス「精霊の記憶データを変える事が出来るのは精霊とアドミニストレータだけです」

商人「アドミニストレータ?誰?」

ホムンクルス「管理者権限を持つ者と言えば良いでしょうか?」

商人「管理者?僕かい?」

ホムンクルス「商人は私個体の管理者です…私を通じて記憶データは変える事が出来るかもしれませんね」

商人「管理者権限を持つ者って…もしかして勇者の事かな?」

ホムンクルス「それは今の私には断定できません」

商人「まてよ…辻褄が合うな…だから魔王は勇者を器にするんだ」

情報屋「辻褄が合わない事があるわ?魔王は勇者の魂をどこに連れて行ってるの?深淵に落ちて行ってる筈でしょう?」

商人「う~ん…魂は複製したりするのかな?」

ホムンクルス「私の基幹プログラムは記憶から再構築したオブジェクトの集合体です」

商人「君の場合は複製が可能という事を言ってるね?それが人間でも同じなんだろうか?」

ホムンクルス「あなたの中に私の心があると言ったのは商人ですよ?」

商人「…そうか!!自我と魂は別物だ…魂は記憶で複製されるのか…つまりオーブは自我の無い魂の集合体と言える」

情報屋「記憶が魂という入れ物を構築して自我がそこに宿る?そんな感じ?」

商人「それらを総じて僕たちは心って表現していたんだね」

736: 2020/11/03(火) 00:34:15.99 ID:V1qeujs60
…となると時間に意味が出て来るな

自分が今意識しているのが自我だったとすると

意識しているその時が時間の中心点だ

過去は全部記憶になっていくと仮定して…ん?

もしかすると今も記憶の中か?

いや…そうかもしれない

今この瞬間が記憶の中の出来事なのを否定できる事が…



盗賊「あぁぁブツブツが始まった…おい!!聞いてんのか?」

商人「あぁごめん頭が混乱しちゃてさ…ホムンクルス!今の正確な時間は?」

ホムンクルス「衛星から受信された時間はAD9887-06-28 17:30:33です」

商人「ほっ…ここが現実だと信じる…君だけは現実に居てくれ」

盗賊「何言ってんだお前…ちっと顔洗ってこい!!」



------------------

737: 2020/11/03(火) 00:34:46.98 ID:V1qeujs60
女海賊「ホムちゃん笑ってみて?」

ホムンクルス「こうでしょうか?オホホホホ」

女海賊「なんか違うな」

ホムンクルス「ウフフフフ」

女海賊「いぁ顔が笑ってないんだって…」

ホムンクルス「突然笑ってと言われましても…」

女海賊「じゃぁこれは?こちょこちょこちょ…」

ホムンクルス「…」ビク ビクビク

盗賊「ぶっ…ぐははは!なんだその引きつった顔は!!ぐはははは…」

女海賊「ホムちゃん…あんた反応がいちいち変なんだよ…ガマンしなくて良いから」

ホムンクルス「はい…はぁはぁ」

女海賊「疲れた顔は出来んじゃん」

盗賊「顔真っ赤になってんなw」

ホムンクルス「動悸を抑える為に血流を…」

女海賊「そそ…そういう自然な感じ」

商人「僕も混ざろうかな?」

女海賊「おっけ!掴まえておくからやって」グイ

商人「フフフフフフフフフ…こちょこちょこちょ」

ホムンクルス「あ…いや…やめてくだ…」バタバタ ゴン

商人「いでっ!!鼻ぶった…」タラー

女海賊「ぶっ…あんた変態の顔してるよ」

ホムンクルス「はぁはぁはぁ…すみません…はぁはぁ」グター

女海賊「なんで鼻血が左右交互に出んのブハハハ」

ホムンクルス「フフどういう現象でしょうか?」

女海賊「お!!ホムちゃん今笑った!!」

738: 2020/11/03(火) 00:35:19.35 ID:V1qeujs60
『夜』


リン ゴーーーーーーン


女海賊「来たね…皆行くよ」

近衛「あの飛空艇は皆さんの船だったのですね」

女海賊「目立ち過ぎるからなかなか降りられないんだよ」

近衛「アサシン様を追って南へ行くのでしょうか?」

女海賊「まぁそうなるかな?なんで?」

近衛「フィン・イッシュ女王様への伝令を飛ばさなければと思いまして」

盗賊「俺達の行動がツーツーになる訳だが…」

女海賊「ふ~ん…まいっか…いちいち気にしてるとキリ無いさ」

商人「迷惑にならなきゃ良いけどね…ほら僕たちは海賊って事になってるじゃない?」

女海賊「近衛!私達の事は女王以外に知られない様に気を付けた方が良いよ…女王が危険になるよ」

近衛「はい…承知しております」

女海賊「それと…まだ前の領事がうろついてるからさ…ここも安全じゃ無いのは知っといた方が良いよ」

近衛「それも把握しております」

女海賊「じゃいっか…エリクサーの樽一個降ろしていくからさ…領事に盗まれない様にね」

近衛「はっ…」

女海賊「ほんじゃ皆早く飛空艇に乗って…長居すると良くない」

ローグ「あねさ~ん早く乗ってくれっすぅ!!」

女海賊「ローグ!!エリクサーの樽一個降ろして」

ローグ「アイサー」ヨッコラ

近衛「ご支援感謝いたします」

女海賊「じゃ…バイなら~」ノシ

近衛「お気をつけて」ビシ


フワリ シュゴーーーーーーー

739: 2020/11/03(火) 00:35:51.29 ID:V1qeujs60
『飛空艇』


ビョーーーーウ バサバサ


盗賊「雪がひでぇな…雲の上に出た方が良さそうだが?」

女海賊「下が見えなくなるじゃん」

盗賊「商隊の列を気にしてんのか?」

女海賊「それ以外にあると思う?」

盗賊「まぁ確かに商隊はえらく多いな…なんで又寒い北に行くのやら」

商人「シャ・バクダは割と雪が少ないよ」

盗賊「貴族が乗る馬車も移動してるが疎開か?」

女海賊「光る海から遠ざかろうとして居ないかな?シャ・バクダは川も無いし」

商人「その可能性はあるかもね…」

盗賊「悪い奴らはシャ・バクダに集まるってか…まぁ昔からそんな感じだが」

女海賊「シャ・バクダの周辺は他の遺跡も多かったよね?」

盗賊「たしかに色々あるが…情報屋!他になんかあるんか?」

情報屋「伝説はあるけれど場所は分かって居ないわ…ほらドリアード伝説とか」

商人「砂漠西部の砂嵐地帯もいろいろ伝説あるらしいね?」

情報屋「出土品の盗掘で場所が特定できていないらしいわ…雪に埋もれてもっと探しにくいでしょうね」

盗賊「なんで他の遺跡なんか気にすんだ?」

女海賊「シャ・バクダに行っても何も無いからさ…他に何か在んのかなってさ」

商人「そういえば黒の同胞団は拠点が何処なのか分からないね」

女海賊「地図見て…シャ・バクダが此処で…周りに何も無い」

情報屋「そうね?どうしてあそこに人が集まるのかしら?」

盗賊「そら商隊が多いもんだからよ…あとくすりだな」

商人「ケシの原産は南の大陸の方だね…北の大陸にはあまり分布していないのにどうして?」

情報屋「錬金術…」

盗賊「材料はなんだか知らんがくすりは多いな」

情報屋「シャ・バクダの錬金術がどこかに残されているのかもしれない」

盗賊「こんだけ人が移動してりゃその内しっぽ出しそうだな?」

740: 2020/11/03(火) 00:36:27.08 ID:V1qeujs60
『セントラル上空』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「すっかり雪に覆われたな…」

ローグ「あねさん!!かしらの船が入船してるみたいっす!」

女海賊「え!?マジ?」

ローグ「あのでっかい貨物船は間違いないっすね…ドラゴンの義勇団の旗印もあるっす」

盗賊「それにしてもこの光る海は眩しくて見れんな」

ローグ「そーっすね…こんなに太陽反射するんすね」

盗賊「飲むとやっぱ塩辛いのか?」

ローグ「後で飲んでみやしょう」

女海賊「ローグ!お姉ぇの船の船尾に飛空艇降ろしてハイディングして」

ローグ「アイサー」


フワフワ ドッスン


船乗り「おかえりなせぇ」

女海賊「お姉ぇは?」

船乗り「船降りて2日程もどってねぇす」

女海賊「何処に行くか言って無い?」

船乗り「俺ら待機命令だけなんで何も…」

女海賊「他の船員は?」

船乗り「見ての通り一緒に降りて行っちまいました」

女海賊「どうすっかな…」

盗賊「上から見た感じまだ津波の被災後だからここに居た方が良いんじゃ無ぇか?」

女海賊「んんんお姉ぇが帰って来たら私しか話出来ないしな…ローグ!!盗賊と一緒に様子見て来て」

ローグ「あねさんは留守番でやんすか?」

女海賊「しょうがないじゃん!お姉ぇと入れ違いになるかも知んないし」

盗賊「まぁ大人しく待ってろ…剣士連れて行っても良いか?」

女海賊「…なんか心配なんだけど」ジロリ

盗賊「黒氏病の手当ては剣士しか出来んだろ?」

女海賊「夕暮れ前に必ず戻って」

盗賊「分かってるって…俺ら3人はハイディング出来るから何かあっても大丈夫だ」

女海賊「フン!早く行ってきて」

741: 2020/11/03(火) 00:37:02.33 ID:V1qeujs60
『夕方』


盗賊「戻ったぜ?」

女海賊「お姉ぇ!!無事?」

女戦士「お前たちが来て驚いた…剣士が元に戻って何よりだ」

女海賊「セントラルはどうなってんのさ!?」

盗賊「あぁ行か無ぇ方がいいぜ?クーデターに巻き込まれる」

女海賊「又人間同士争い始めようっての?」

女戦士「貴族居住区で市民が立て籠っているのだ…どうやら王国側とにらみ合っている」

女海賊「黒氏病はどうなってんの?エリクサーのレシピを国王に届けたんだけど…」

女戦士「それは知らんが病気はまん延しているぞ?私達は中央で市民の救援をしていた所だ」

盗賊「フィン・イッシュも救援に動いて居るんだが貴族居住区で立て籠もってる奴らがどうにも動かんらしい」

ローグ「貴族居住区でくすりを配ってるっぽいすねぇ」

女海賊「市民をくすり漬けにしてるって事?」

盗賊「あぁだからお前は行かない方が良い…貴族居住区は昼間から乱交になっている」

女海賊「…ちょっと状況分かんない」

盗賊「素っ裸な女がそこら中に転がってんだよ!復興なんかまるでやる気無ぇ…昼間からヤリっ放しだ」

女海賊「何それ…なんでそんなんなっちゃってんのよ…」

女戦士「くすり漬けになって居るのは衛兵も同じだ…だから手を出せんのだ」

ローグ「地道に中央で復興しようとしてる人を助けるしかないっすね」


商人「こういう事かな?貴族院はくすりで支持基盤を得ている…」

女戦士「その通りだ…支持基盤の強い貴族院に王国は抑え込まれているのだ」

商人「光る海で危機感を持った魔王の欠片が足掻いた結果だね…こんな風に人を扇動する」

盗賊「領事と同じ様にくさった奴のやる事だな」


女海賊「くすりは何処にあるか分かる?全部燃やしてやる」

女戦士「それを調べるのは少し時間が掛かるぞ?」

盗賊「やめとけ…くすりは一か所になんか置かねぇ…もうまん延してんだ探せる訳無ぇ」

女海賊「…分かった…作戦変える」

女戦士「言ってみろ」

女海賊「アレ見て…セントラル城の横にある鐘楼…あの鐘を鎮魂の鐘に付け替える」

盗賊「おぉ!?それなら出来そうだな」

女海賊「今日の深夜あの上まで飛空艇で行ってロープで鎮魂の鐘を降ろす」

盗賊「おいおい…まさか俺にロープで鐘楼まで行って付け替えろとは言わんだろうな?」

女海賊「確か捕虜だったよね?これが成功したら解放したげる」

盗賊「マジかよ…俺一人じゃ無理だ支え手が必要だ」チラリ

ローグ「…」ゴクリ

女海賊「…」チャキリ

ローグ「わーったすわーったっす…そのデリンジャーは仕舞って下せぇ」

742: 2020/11/03(火) 00:37:43.22 ID:V1qeujs60
『深夜』


フワフワ


ローグ「鐘を降ろすでやんす」ソロソロ

盗賊「俺も降りるから後からローグも降りて来い」スルスル

女海賊「あんた達降りたらハイディングするから自力で登って来て」

ローグ「あっしも降りるっす…あねさん頼んますよ?」スルスル

女海賊「ハイディング!」スゥ



------------------



盗賊「吊るしてある鐘はどうやって付いてる?」

ローグ「金具に引っかかってるだけでやんす」

盗賊「よし…さきにそいつ外すぞ…反対側持て…むむむ」

ローグ「重いっすねコレ」

盗賊「鉄の塊だ重いに決まってる…おととと…落とすなよ?」

ローグ「ここに一回置くでやんす」ゴト

盗賊「ふぅ…まぁ2人でやれば余裕か…」

ローグ「鎮魂の鐘引っ張るでやんすよ?受け取って下せぇ…よっ」グイ

盗賊「もうちょい強く引っ張れ…手が届かん」

ローグ「ほいさー」グイ

盗賊「ととととと…くっそ重めぇ」グイ グイ

ローグ「こっちに引っかけて下せぇ」

盗賊「ぬぉらぁ!!」ゴトリ

ローグ「あっしは反対側に回るでやんす…」

盗賊「よしいくぞ?しっかり支えろよ?おらっ…むむむ」グイ

ローグ「くぁぁぁこの鐘の方が重いっすね…ふん!」グイ

盗賊「引っかかってるか?」

ローグ「大丈夫っす…そのままゆっくり降ろして下せぇ…」

盗賊「だはぁぁ…ロープ抜くぞ?」

ローグ「元の鐘は持って帰るんすか?」

盗賊「当たり前だろう!こんな所に置いてったら目立っちまう」グイグイ ギュー

ローグ「終わりっすね?あっしは先に上に上がるでやんす」スルスル

盗賊「おう!俺も行く…」スルスル

ローグ「なんか登りの方が長いっすねぇ…かなり登った筈なんでやんすが…」エッホエッホ

盗賊「俺ら狭間に迷ってんなこりゃ…」

ローグ「ロープで繋いでるのに迷うとか…嫌んなりやすねぇ」

盗賊「はぁぁぁぁぁ登るしかあるめぇ…」



-------------------

743: 2020/11/03(火) 00:38:25.56 ID:V1qeujs60
盗賊「だはぁぁぁぁぜぇぜぇ…ローグ…無事か?」

ローグ「ひぃひぃ…もう手が動かんでやんす」

女海賊「遅っそい!!」

盗賊「俺らロープ登んのに狭間に迷ってずっと登ってたんだよ…はぁはぁ」

ローグ「鐘の付け替えは5分で終わったでやんす…あとずっと登ってたんすよ…ひぃひぃ」

盗賊「ちと元の鐘はロープにくくってあるから適当に処理してくれ…俺は寝る!」

ローグ「あっしも休むっす」

女海賊「上手く行ったんならまぁいっか…戻る」

盗賊「ヌハハハこれで俺は自由の身だ…ムハハハ」



『翌朝』


リン ゴーーーーーーン


女海賊「フフ鳴ってんね」

女戦士「私は中央まで支援に行って来るがお前はどうする?」

女海賊「私も行ってみようかな?」

女戦士「来るならお前のその派手な格好はヤメロ…目立ち過ぎる」

女海賊「私にぼろ布着ろって?ムリムリ…」

女戦士「なら来るな…代わりに父にミスリル銀を返してきてくれ」

女海賊「パパは今どこに居んの?」

女戦士「名も無き島の沖で船団を組んでいる筈だ…探せるだろう?」

女海賊「お姉ぇはミスリル銀を流通させに来たんじゃないの?」

女戦士「買い取る予定の者と連絡が取れん…恐らく王国の人間だがコンタクト出来んのだ」

女海賊「オリハルコンの事もあるし一回パパん所に帰るかな…」

女戦士「剣士と未来を連れて3人で行ってみてはどうだ?」

女海賊「分かった…ダッシュで行って来るよ…戻るまで1週間かな?」

女戦士「こっちは時間が掛かりそうだゆっくりして構わん」

女海賊「おっけ!エリクサー置いて行くからさ上手い事使って」

女戦士「それは助かる」

744: 2020/11/03(火) 00:39:02.78 ID:V1qeujs60
『貨物船居室』


シュゴーーーーー


ローグ「あれ?飛空艇が飛んでいく音…あねさんどっかいったんすかねぇ?」

盗賊「んぁ?つつつ腕が張って痛てぇ…昨夜はひどい目に合った」

ローグ「でもベッドで寝られるのは良いでやんすねぇ」


ガチャリ バタン


女戦士「さぁお前等起きろ!今は猫の手も欲しいのだ…中央へ行くぞ」

盗賊「女海賊の次は女戦士かよ…」

ローグ「さっき飛空艇が飛んで行った様でやんすが何かあったんすか?」

女戦士「女海賊はミスリル銀の輸送で飛んでもらった…剣士と未来も一緒だ」

盗賊「おぉぉやっと捕虜解放されたか」

女戦士「残念だが次は私の捕虜だ…しっかり働いて貰うからな?」

盗賊「商人は何処行った?」

女戦士「先に起きて食事をしている…情報屋とホムンクルスももう起きて居るぞ?」

盗賊「俺らは昨夜遅くまで働いたんだよ…ちっと休ませてくれよ」

女戦士「ダメだ…今は男手が欲しい」

盗賊「て事ぁ重労働だな?」

女戦士「瓦礫の撤去と言えば分かるか?」

盗賊「マジかよ…」

女戦士「情報屋とホムンクルスは黒氏病の手当てに回ってもらう予定だ」

盗賊「くっそ…女海賊…あんにゃろう上手く逃げやがったな」

女戦士「文句言って無いで早く飯を食え…食ったら行く」

盗賊「へいへい…」

745: 2020/11/03(火) 00:39:38.68 ID:V1qeujs60
『セントラル中央広場』


私達はフィン・イッシュ軍の邪魔にならない様に後方支援に専念する

テントを設営して炊き出しを1班

怪我人と黒氏病の手当てに2班

手の空いた者は瓦礫から木材を収集してくれ


盗賊「俺らはテント設営だな」

商人「僕は木材収集だ」

ローグ「いやぁぁ働いてる人にセントラルの衛兵が一人も居ないのは異様でやんすね?」

盗賊「おかげで自由ではあるがな?」

商人「本当に変だね?女戦士はセントラル側と何か話出来て居るのかな?」

盗賊「フィン・イッシュとは協調しようという話は出来てるらしい」

商人「じゃぁフィン・イッシュがどういう話をしているかだね?」

盗賊「んんん…マジで異様だな」


リン ゴーーーーーーーン


ローグ「なーんか鐘の音がむなしいっすねぇ…苦労して取り換えたんですがねぇ…」

盗賊「ちったぁ中央に人が戻るのを期待していたが…昨日と変わん無ぇ」

商人「貴族居住区まで見て来たんだよね?」

盗賊「あぁひどいもんだ…薬漬けの女が股開いて泡吹いてる…そんなんがそこら中に居るぞ」

商人「それでどうして体制が保てるのか理解できない」

盗賊「俺らが近寄ろうとすると狂った民衆が騒ぎ始めるんだ…ほんで大乱交よ…頃す訳に行かねぇから手も出せん」

商人「…それさ…人間の本能じゃないかな?」

盗賊「くすりのせいでか?」

商人「自我を無くすとそういう行動をするんじゃないかってね」

盗賊「自制する部分が無くなるってか?…まぁそうかも知れんな」

商人「氏人がどれくらい出てるんだろう?」

盗賊「さぁな?欲望が満たされている内はまだ良いんじゃねぇか?」

商人「ソコだよね…満たされなくなった時にどう行動するんだろう…」

盗賊「薬の切れ目は確かに暴れ出すな」

商人「なんだかシャ・バクダのカタコンベはこうやって出来た気がする」

盗賊「お前不吉な事言うのな…」

746: 2020/11/03(火) 00:40:27.51 ID:V1qeujs60
『昼』


リン ゴーーーーーーン


女戦士「よし!1班は小休止だ!…炊き出しが出来上がって居るから食事をしておけ」

盗賊「ふぅぅぅローグ!!休憩だとよ」

ローグ「アイサー」

商人「船で働くのより随分ラクだね」

盗賊「だなぁ!?慣れりゃどうって事無ぇ」

ローグ「盗賊さん見て下せぇ…セントラル城の内郭上っす」

盗賊「んぁ?何か見えるか?」

ローグ「でかい鎧着た…なんなんすかねぇ?衛兵にしちゃデカ過ぎやしやせんか?」

商人「本当だね?魔物みたいに大きい」

ローグ「なんか…のたうち回ってる様ですが…やっぱ魔物っすかねぇ?」

盗賊「大きさ的にミノタウロスだな…女戦士!何か知らんのか?」

女戦士「私は陸に上がってまだ3日目だ…お前達とさして変わらん」

盗賊「俺ぁ船まで戻って望遠鏡持ってくる」

女戦士「アレは私の物だ!傷つけるなよ?」

盗賊「分かってる分かってる…すぐ戻る」ダダッ


--------------------


盗賊「持ってきたぜぇ」タッタッタ

女戦士「貸せ!私が確認する」

盗賊「んだよ…やっぱお前も気になってんじゃねぇか…ホレ」ポイ

ローグ「かしらも本当はあねさんにそっくりなんすよウヒヒ」

盗賊「んで?あのでかい奴は何だ?」

女戦士「ラットマンの様だな…亜種か?」

盗賊「俺にも見せろ!」

女戦士「フン!壊すな?」ポイ

盗賊「…どれどれ…ほーーう間違い無ぇありゃラットマンリーダーだな…どうやって手懐けたんだか」

女戦士「セントラルには魔物使いが居ると言うのか?」

盗賊「かもしれんな?あんなんが城守ってたらそりゃ近付け無ぇわ」

女戦士「察するに王国側にラットマンリーダーが居てその他衛兵は貴族院側と言う構図か」

盗賊「衛兵全部貴族院側って訳でも無さそうだぜ?精鋭兵が城周辺に鎮座している」

ローグ「あっしにも見せてくだせぇ…」

盗賊「ほい…」ポイ

商人「なるほどね…多分戦力的には王国の方が上なんだ…貴族院は民を人質にしてるのさ」

盗賊「それじゃぁ国力が衰退するばっかだな」

商人「貴族は国力なんかもうどうでも良いんだよ…だから商隊で少しづつ逃げてる」

盗賊「民は捨て駒か…ゲスい」



---------------------

747: 2020/11/03(火) 00:40:56.32 ID:V1qeujs60
女戦士「フィン・イッシュからテントの増設依頼が来た…貧民街でテントを展開しろ!」

盗賊「軍隊でも来るんか?」

女戦士「今晩何かの作戦をやるらしい」

盗賊「俺らはどうすんだ?」

女戦士「後方支援のみだ…詳しい話は聞けて居ない」

ローグ「あっしら立場弱いっすねぇ」

女戦士「いや…そうでもない…テントでの支援が最重要課題だと聞いた…後日フィン・イッシュの指揮官が来るそうだ」

盗賊「ほぅ?見た感じフィン・イッシュも民兵ばかりな様だがな?」

ローグ「そーっすね装備がショボイっすね」

女戦士「支援部隊に重装備など要らぬのでは無いか?」

盗賊「そらそうだがロクに武器も持って無さそうだが?」

商人「セントラルと衝突が起きるかどうか分からないけど…一瞬で駆逐されそうだね」

盗賊「どんな作戦か知らんが下手にセントラルの衛兵刺激すんのはどうかと思う」

女戦士「すでに私が話を引き受けて居るのだ…大人しく従え」

盗賊「へいへい…」

748: 2020/11/03(火) 00:41:52.04 ID:V1qeujs60
『夜』


コソコソ コソコソ


盗賊「マジでこんな軽装で奇襲すんのか?有り得ん…」

女戦士「黙って見ていろ…」タラリ

盗賊「農民一揆でももうちっとマシな武器持ってんぞ?」

ローグ「盗賊さん…万が一の時はハイディングして逃げやしょう…」

盗賊「俺らは後方で見てるだけで良いんだな?」

女戦士「荷を運ぶ役だ…大人しく待て」

ローグ「気球が一基飛んで行くっす…えらい小さい気球っすね?」

盗賊「何する気だ?」

ローグ「なんか霧が出て来やしたねぇ…」

盗賊「ん?おいおいおい気球は通り過ぎてくんじゃ無ぇか…何しに来たんだあの気球は」

ローグ「関係無かったでやんすか…」

女戦士「フィン・イッシュが動き始めた…見ていろ」

盗賊「このまま突撃?…アホかあいつら…」

ローグ「マズイっすねぇ…マズイっすねぇ…衛兵暴れ出すでやんす…」ハラハラ


コソコソ コソコソ

馬車に何人入る?

15人が限界だ

傷付けない様に並べろ

布を被せておけ

コソコソ コソコソ


女戦士「よし!馬車で貧民街まで荷を移送して戻って来い!2人1ペアでやれ」

盗賊「ローグ行くぞ…俺が馭者やる」グイ ヒヒーン

ローグ「アイサー」ゴトゴト

盗賊「裸の女と子供ばかり…皆寝てる様だがどうなってんだ?」

ローグ「どうやって連れ出したんすかね?不思議な作戦でやんすね?」

盗賊「みんな黒氏病掛かってんな」

ローグ「早い所処置した方が良いっすねぇ…うっは」チラ

盗賊「おい!荷を覗くな」

ローグ「黒氏病の具合を確認してるでやんすウヒヒ」チラ

盗賊「着いたぞ!!荷を下ろす…お前は頭側を持て」グイ

ローグ「アイサー」

盗賊「商人!!荷を下ろすの手伝え」

商人「上手く行ってるみたいだね?」

盗賊「馬車でどんどん運ばれてくるから他の奴らにも言っておいてくれ」

商人「女の人ばっかりなんだね?」

盗賊「知るか!!ちゃんと見えない様に布被せておけ」

商人「うん…」

盗賊「降ろしたら次行くぞ!!早くしろぉ!!」


------------------

749: 2020/11/03(火) 00:42:26.17 ID:V1qeujs60
女戦士「今日はこれで最後だ…撤収する」

盗賊「まだ1時間しか経ってないじゃ無ぇか…いいのかこんなに早く終わって」

女戦士「撤収指示だ…従え」

盗賊「しょうが無ぇな…俺らだけで100人運んだってとこか…合計で500ぐらいか?」

女戦士「テントの空き状況はどうだ?」

盗賊「まだ空いて居るが…数日続くなら増設した方が良いな」

女戦士「ふむ…これは船で隔離するには数が足りんな」

盗賊「ん?女と子供を船に乗せるんか?」

女戦士「まだ指示は出て居ないが恐らくそうなるだろう」

盗賊「薬の切れ目か」

女戦士「そうだ…徘徊されては収集が付かない」

盗賊「女子供が居なくなって男共は騒ぎだすんじゃ無ぇか?」

女戦士「薬漬けでそこまで頭が回るのか?」

盗賊「うーむ…先が読めんな…セントラルがどこまで統率されてるのかも謎だ」

女戦士「しかし…子供にまでくすりを使っているとは…」

盗賊「集団心理だな…それが普通という状況が出来上がっちまってる」

女戦士「人道から外れ過ぎだ…見て居れぬ」

盗賊「だな…狂ってる」

750: 2020/11/03(火) 00:43:00.22 ID:V1qeujs60
『翌朝_貧民街テント』


ああ~ん あ…あ あふ~ん


盗賊「こりゃ目に毒だ!どうすんだコレ!!」

ローグ「くすりって怖いっすね…自慰を止める気配無いでやんす」

女戦士「薬は2~3日抜けない…その後が修羅場だ」

盗賊「暴れてる女どうすんだよ」

女戦士「私に言わせるのか?棒でも与えておけ」

情報屋「エリクサーの備蓄はまだある?」

女戦士「足りないのか?」

商人「フィン・イッシュ軍の方にも必要なんだってさ…あっちは持って無いらしい」

ホムンクルス「精製しましょう…私がレシピを書きますので材料を集めて下さい」カキカキ

ローグ「確かクヌギの樹液でやんしたかね?」

ホムンクルス「はい…出来るだけ沢山集めて下さい」

女戦士「船首に置いてある気球を使って集めて来い…あと水が足りんから樽を集めて汲んでくるんだ」

ローグ「アイサー…他に集めにくい材料ってあるんすかね?」

ホムンクルス「純度の高いアルコールが入手困難かと思われます」

女戦士「ふむ…フィン・イッシュ軍船にあるか聞いてみる」

情報屋「今のエリクサー消費量だと持って3日だから急いで」

女戦士「回復の出来る剣士を行かせたのはマズかったな…」

商人「そうだね…くすりで紛らわされてるけれどかなり衰弱しているよ」

女戦士「やはり食事は口にせんか?」

商人「ダメだね全然食べない…性欲が食欲を抑え込んでる」

ホムンクルス「女性はくすりに依存しやすい体質ですので緩和ケアを継続する必要があります」

盗賊「あああダメだダメだ!目に毒だ…ローグ!材料集めに行くぞ!!」

ローグ「アイサー」

751: 2020/11/03(火) 00:43:28.04 ID:V1qeujs60
『東の森』


ローグ「こっちのクヌギにも切り込み入れたっす」

盗賊「よし!これで今晩もう一回採集に来よう」

ローグ「結構沢山採れたでやんすね?これでどのくらいのエリクサーになるんすかね?」

盗賊「出来るだけ沢山欲しいって言ってたからな…相当少なくなるんじゃ無ぇか?」

ローグ「もう少し採集する範囲を広げた方が良いかもしれやせんね?」

盗賊「水汲んで一旦戻って量を聞いてみるか」

ローグ「水は集めるの簡単っすね」

盗賊「何往復かせんと全然足りんぞ?女はやたらと水を消費するからな」

ローグ「あー汚れ落としっすね?」

盗賊「海水で洗うのを嫌がるからしょうがねぇ」

ローグ「雪を集めて汚れ用の水にするのも良さそうっすね」

盗賊「んむ…そうなると次は薪が必要だ」

ローグ「森までちょいと距離あるんで木材調達が課題になりそうでやんす」

盗賊「まぁまずは瓦礫の中に混ざった木屑の消費だな…散らかりっ放しじゃテントも張れん」

ローグ「よっし…これで最後の樽っす…どっこいせ!」

盗賊「んじゃ一旦戻るぞ」


フワフワ

752: 2020/11/03(火) 00:44:02.85 ID:V1qeujs60
『貧民街』


ギャー ギャー


盗賊「クヌギの樹液採って来たぜ?」

ホムンクルス「はい…ありがとうございます」

盗賊「これだけの量でどんくらいエリクサー作れる?」

ホムンクルス「瓶で4つ程でしょうか…」

盗賊「マジか…そんなに減るんか」

ホムンクルス「一本の大きなクヌギの木から一日で樽に三分の一ほど採集可能ですので工夫してみてください」

盗賊「仕掛け作らんといかんな」

ホムンクルス「金属糸を上手に使って樹液が伝うように作ると良いです」

盗賊「なるほど…ところでテントの女達が騒いでいる様だがどうした?」

ホムンクルス「重度の依存症の方を船の方へ移送しようとしています」

盗賊「依存症ってアレか?性的なやつか?」

ホムンクルス「はい…女性は一度極限の快楽を経験してしまうと元に戻るのは難しいのです」

盗賊「ふむ…人権尊重するなら隔離が良いか」

ホムンクルス「拘束したくはありませんが自殺を防ぐには必要な処置です」

盗賊「そんなに我慢できんもんかね…」

ホムンクルス「くすりを投与して以来24時間ずっと性的絶頂を継続していた人が突然終われると思いますか?」

盗賊「想像出来んな…」

ホムンクルス「そういう人が重度の依存症になって居るのです」

盗賊「後遺症が残りそうだが…」

ホムンクルス「ですから長期間の緩和ケアが必要になります」

盗賊「長期戦か」

ホムンクルス「はい…私達だけでは対応が困難ですのでフィン・イッシュ国の援助が必要と思われます」

盗賊「それは女戦士に伝えたのか?」

ホムンクルス「はい…伝えました」

盗賊「こりゃ想像以上に大変だ」

ホムンクルス「そうですね…」

盗賊「よし!俺ぁもっかい森まで飛んで来る」

ホムンクルス「はい…お気を付けて」

753: 2020/11/03(火) 00:44:37.97 ID:V1qeujs60
『東の森』


盗賊「よく見てろ?木の切り込みから金属糸で樽まで導く…これを一本の木で複数個所やるんだ」

ローグ「へぇ…ホムンクルスの提案でやんすか?」

盗賊「クヌギ一本から1日で樽に三分の一溜まるらしい」

ローグ「…という事は30か所仕掛けを作れば毎日10樽っすね?すごいっすね?」

盗賊「10樽在ってもエリクサーになるのは1樽程度か?もちっと頑張らんと底ついちまうな」

ローグ「やり方わかったんであっしも向こうで仕掛け作ってくるでやんす」

盗賊「おう!今日は仕掛けの設置で終わりそうだな」

ローグ「樽が足りないんで後で持ってきやすね?」

盗賊「頼む…あと食い物も少し持って来てくれ」

ローグ「アイサー」



『夕方_中央広場』


盗賊「商人!探したぞ…こっちに居たのか」

商人「あぁおかえり…樹液の採集は済んだ?」

盗賊「今日は仕掛けを設置して終わりだ…お前は何やってるんだ?」

商人「テントの方は男子禁制になったんだ…僕は木材を集めてるよ」

盗賊「男子禁制はしょうがねぇな…女達は正気失ってるが一応一人の人間だしな…尊重せんとイカン」

商人「そうだね…僕も間近に見て不遇に思ったよ」

盗賊「女戦士は何処に行ったか知らんか?」

商人「昼から見て無いなぁ…船に戻ってないかな?」

盗賊「俺は今気球を船に置いてきた所だ…船には居ねぇ」

ローグ「あ!!居た居た!!ニュースっす!!」

盗賊「おぉどうした?慌てて」

ローグ「昨日の夜に見た小さい気球があっしらの船の前に降りたっす…ありゃ多分フィン・イッシュの指揮官っすよ」

盗賊「マジか!!おい商人戻るぞ!!」

商人「うん…あー木材持つの手伝って」

盗賊「あぁこれな?ローグも持て!」ガッサ

ローグ「アイサー」ガッサ

754: 2020/11/03(火) 00:45:20.99 ID:V1qeujs60
『貨物船』


タッタッタッ


盗賊「女戦士は戻ってるか!?」

船乗り「居室に入って行ったでさー」

盗賊「他に誰か居るか?」

船乗り「フィン・イッシュの人が4人来てまさー」

盗賊「4人?…」

商人「勝手に入るとマズイかもね?」

ローグ「どうしやす?ここで待ちやす?」

盗賊「聞き耳立てるくらいは良いだろ…行くぞ」コソコソ

商人「ハハ…泥棒歩きになってるじゃないか」

盗賊「お前も隠密の仕方くらい覚えろタワケ」

ローグ「何か聞こえやすか?」


私はこの船を商船だと思っていたのだ…まさかお前の船だとは思いもしなかった

この2人は?

紹介が遅れたな…こっちが案内人…私達の道先案内と言った所か

そして彼がセントラル第2皇子だ…今は隠れの身だ

改めて…私はドワーフの国の第一王女だ…よろしく

聞いて居るよ…君の事も妹君の事も

主らは挨拶が堅いのぅ

身分の在る者同士どうしてもこういう挨拶になるか

さて…互いが身内と分かったのじゃ…わらわ達が何をしようとして居るのか話してもよかろう?


盗賊「わらわ?こりゃ魔女じゃ無ぇか!?」

商人「ハハ…入っても良さそうだね?」


ガチャリ 


魔女「おぉ主らも居ったか…商人は大きゅうなったのぅ」

商人「やぁ!魔女は変わって無いね?」

魔女「わらわとアサシンは7年の時を超えてここに居るのじゃ」

商人「時を超える?」

魔女「分かりづらかったかのぅ…先の闇の時から7年未来へ飛んだのじゃ…じゃから主と会うのはわらわにとって1年振りじゃな」

商人「え!!タイムワープ…それが可能という事は…」

アサシン「まぁ話は長くなる…この船には他の仲間は居ないのか?」

女戦士「情報屋とホムンクルスが貧民街で救助した女子供の介抱をしている」

アサシン「魔女…先に貧民街を眠らせた方が良さそうだな」

魔女「そうじゃな…話をする前にちと仕事じゃ…付いて参れ」

755: 2020/11/03(火) 00:45:54.43 ID:V1qeujs60
『貧民街のテント』


あ~ん いくいくぅぅ あああ


魔女「女子供を介抱している者をここへ呼んでくるのじゃ」

女戦士「分かった…」

盗賊「ここの状況は分かってんだよな?」

魔女「知って居る…じゃから全員眠らせるのじゃ」

盗賊「なるほど…昨日の貴族居住区も全部眠らせた訳か…恐ろしく便利な魔法だな」

アサシン「うむ…しばらくはこの方法で眠らせるのが良策だと判断している…栄養補給がエリクサーになってしまうが…」

女戦士「連れて来たぞ…他の者も退避させた」

魔女「では魔法を詠唱する」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ

魔女「広範囲睡眠魔法!」モクモク


スヤ スヤ


女戦士「おぉ…声が収まった…」

ホムンクルス「この方法は体力回復にとても良いですね…」

情報屋「これで少し休めるわ」

女戦士「この睡眠はいつまで持つのだ?」

魔女「多くの者は明日の朝まで寝て居るじゃろうが…折をみてまた魔法を掛け直すで心配せんでも良い」

アサシン「これで落ち着いて情報交換が出来るな?船に戻って少し話そう」

756: 2020/11/03(火) 00:46:43.43 ID:V1qeujs60
『貨物船』


カクカク シカジカ


魔女「…という訳じゃ」

女戦士「という事はセントラルは時の王という貴族に牛耳られていると見て良いのだな?」

アサシン「時の王は背後に座っているだけなのだが結果的にそういう事になって居る」

女戦士「それで貴族の解体をやろうという訳か」

アサシン「こちらにも質問がある…黒の同胞団の事だが」

盗賊「おぅ…多分時の王とも繋がってそうだな」

アサシン「領事がシン・リーンの元老院の一人だという事だが身分証はあるか?」

商人「あるよ?これさ…」パサ

アサシン「魔女…分かるか?」

魔女「信じられん事じゃがこの身分証は本物じゃ…これを発行出来るのはわらわの母上と父上だけじゃ」

アサシン「国王が絡むとなると相当根が深いと言わざるを得ん」

魔女「父上は元老院と繋がりが深いのじゃ…元老院制を推したのも父上じゃ」

アサシン「元老院は立場上魔術院の上に当たるな?つまり魔術師を使役できるという事だな?」

魔女「そうじゃ…魔術院の最高位はわらわじゃ…わらわが不在という事は元老院が実権を握って居る」

情報屋「魔術院の中に錬金術に秀でた者は?」

魔女「居る…シャ・バクダ錬金術の研究に熱心な者が居った」

情報屋「繋がるわね…くすりの出所が」

アサシン「活動拠点に心当たりは無いか?」

魔女「シャ・バクダに派遣した8人の魔術師が居ったろう?その中の一人が錬金術に秀でた者じゃ」

アサシン「その魔術師の行方を追えば良いのだな?」

案内人「俺知ってるかも知れ無ぇ…女王に領事を紹介したのが魔術師の一人だった」

魔女「主は見ておったのかえ?」

案内人「俺は元々商隊長として領事の雇われだったんだ…領事と魔術師を連れてシャ・バクダ北の山麓まで行った事がある」

アサシン「地図で示せ…何処だ?」

案内人「ここだ…ミノタウロスがうろついて居て薬草が沢山生えている場所だ」

盗賊「そりゃ痛み止め用の薬草でケシが沢山生えている場所だな」

アサシン「なるほど…これで繋がったな…貴族共がシャ・バクダに移動している理由はそこに何かあるからだ」

魔女「魔術師が使う触媒の中にケシの実から抽出する物も多いのじゃ…その地は所縁が深いのぅ」



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757: 2020/11/03(火) 00:47:33.77 ID:V1qeujs60
魔女「リリスは海に沈んだのじゃな?」

盗賊「間違い無ぇ…クラーケンの触手に掴まって居たのがそのリリスって奴だな」

魔女「首はどうなって居るか見たのかえ?」

盗賊「羊の頭が付いていたが…なんでそんな事聞く?」

魔女「わらわの魔術書を見るのじゃ…ここじゃ…名をバフォメットと言う」

盗賊「おぉ!!これだこれ!!」

魔女「…」

盗賊「んん?どうした?」

魔女「落胆しておる…時の王がバフォメットの首を持って居るとは思わなんだ…最悪じゃ」

盗賊「でも光る海に沈んでるぞ?」

魔女「それで封印出来て居るのなら良いが…陸に上がってしもうては手が付けられぬ」

盗賊「どれぐらいヤバいのか俺は想像出来ん」

魔女「バフォメットは魔法が効かんのじゃ魔法では封印が出来ぬ…わらわは何も出来ん」

盗賊「女海賊の爆弾でドカーンとよ?」

魔女「リリスは実在する神と言って良い…その肉体は永久の再生力を持って居る…封印せぬ限り氏ぬことは無いのじゃ」

商人「はぁ…嫌な話聞いちゃったね」

盗賊「放って置くと又誰か海から引き揚げる奴が出て来るってか?」

商人「あっちでもこっちでも片づけないといけない問題が集積しててどこから手を付けたら良いか…」

盗賊「魔女が探してる壺ってのも行方が分からんのだろう?」

魔女「時の王がとぼけて居る様じゃ…恐らく奴が持って居る」

商人「その壺に魔王を封じたっていう解釈で合ってる?」

魔女「魔王のすべてを封じたかどうかは分からん…じゃが魔王の器になりうる物は封じて居る」

商人「それがリリスの子宮という訳か…」

魔女「リリスは冥界の女王と言われておったそうじゃが同時に淫魔の神でもあるのじゃ」

商人「という事は今のセントラルのこの状況は…」

魔女「そうじゃ…間違いなくリリスの影響を受けて居る…性欲を貪るのはそのせいじゃ」

商人「分かったぞ…黒氏病は性欲が押さえられなくなって性交で伝染しているんだな?」

魔女「血液の接触感染じゃな…性交も同じじゃ」



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758: 2020/11/03(火) 00:48:07.51 ID:V1qeujs60
女戦士「アサシン!貴族院の解体をどういう手順で考えて居る?」

アサシン「…まずはくすり漬けになっている女子供の救出だ…今晩で若い女はすべて救出する事になる」

アサシン「貴族居住区に若い女が居なくなるとどうなると思う?」

女戦士「男共が徘徊する事になりそうだな」

アサシン「正解…貴族居住区から少しづつ民を引っ張り出すのだ」

アサシン「中央に出る民が増えて来出すと集団心理が働き貴族院から出て来る民の数が加速する」

女戦士「なるほど女を使って大衆扇動する訳か」

アサシン「衛兵を含む男達はくすりへの依存度が女に比べて相当低い…くすりを断つのはそう難しくないのだ」

女戦士「では民が徐々に中央へ戻ると仮定して次はどうする?貴族を一人づつ暗殺でもするのか?」

アサシン「民の安全を確保した後に貴族院側にクーデターを起こさせる」

女戦士「私の見立てでは王国側の戦力の方が高い…逆に貴族居住区をせん滅した方が早いと思うが」

アサシン「それでは時の王の思う壺なのだよ…狙って居るのは時の王の失脚だ」

女戦士「ほう?如何に?」

アサシン「内郭に陣取っているラットマンリーダーを全滅させる…アレが居なくなるだけで貴族院側の衛兵は城へなだれ込むだろう」

女戦士「王国に城を放棄させるのか?」

アサシン「城はどうでも良い…肝心なのは民だ…国王自ら貧民街で民を支援する姿を見せるのだ」

女戦士「うーむ…どうも成功が見えん…そもそもラットマンリーダーをどう倒す?」

アサシン「お前たちが付けたあの鐘だ…あの鐘が鳴るとラットマンリーダーは戦闘不能になる」

女戦士「ふむ…それは行けたとして城に駐留する精鋭兵は500程度に見えるが貴族院側の衛兵の数には勝てんだろう」

アサシン「実はな…城から下水を通って海まで逃れられるのだ…つまり攻め入っても城は誰も居ないという状況になる」

女戦士「貴族院側を城に閉じ込めると言うのか」

アサシン「そうなるな…さて…民と共に要る国王を見て貴族院の衛兵にはどう映る?」

アサシン「背後にフィン・イッシュの軍船も控えて要るのだ…どうする?」

女戦士「正義を見失う…」

アサシン「それが狙いだ…そこまで来れば貴族院は力を失い絶対王政に戻る」

女戦士「セントラル国王とはコンタクト出来ているのだな?」

アサシン「それは間違いない…国王は我々の側に居る」

女戦士「いつ動かす?」

アサシン「フィン・イッシュの軍船2隻が女王を乗せてこちらに来る…それからだ」



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759: 2020/11/03(火) 00:48:36.36 ID:V1qeujs60
商人「魔女…話したい事があるんだ」

魔女「何じゃ?」

商人「魔女は未来にタイムワープしたと言ったよね?」

魔女「言うたのぅ…7年飛んだ様じゃ」

商人「実はね…僕はある仮説を考えて居るんだ」

魔女「言うてみぃ」


時間の話さ

今僕の自我が認識しているこの瞬間が時間の中心点だったとして

過去の出来事はすべて記憶と言い換える事が出来るよね?

それを記録した物が根の森に眠るオーブ…精霊の記憶さ

剣士の魂はどうやらそのオーブの中に居た様なんだ

そして勇者として行動していて恐らくその中で自我を持って居た

剣士にとっての自我が認識する時間はその中にあったという事だ

タイムワープと言うのはその記憶の中で自我が認識する地点を変えているだけと言い換える事も出来る


魔女「主が言いたいのは今いるこの世界も記憶の中では無いかと言いたいのじゃな?」

商人「そう!それが言いたい…それを否定出来る事が思いつかない」

魔女「それを探求する事こそ魔道じゃ…わらわにはまだ答えが出せぬ」

商人「そうか…魔女でも分からないか」

魔女「じゃがこれだけは言えるぞよ?量子転移という魔法で過去の記憶から空間を転移するのは可能じゃが…」

商人「うん…」

魔女「未来から空間を転移するのは出来んのじゃ…なぜなら記憶が無い」

商人「じゃぁこの世界が未来の記憶だった場合は?」

魔女「それは神のみぞ知る事じゃ」

商人「どうしてタイムワープ出来たの?」

魔女「次元の狭間に迷い込んでしもうてのぅ…望んで飛んだ訳では無い…事故じゃな」

商人「もやもやするなぁ…」

魔女「主は今ここに居るのじゃから今を精一杯生きれば良い」

商人「魔女はさぁ?その量子転移という魔法で過去に行く事が出来るの?」

魔女「可能かも知れんがそれ程簡単では無いぞよ?…次元の狭間に迷い何処に行くか分からんでな…」

商人「そっか…僕の思い違いか」



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760: 2020/11/03(火) 00:49:11.43 ID:V1qeujs60
アサシン「今日は私も女子供の救出に参加する…エルフゾンビ!魔女の護衛は頼む」

エルフゾンビ「フフ任せろ」

アサシン「気球の操舵は案内人だ…昨日と同じ様に飛べ」

盗賊「俺らは馬車で移送だな?」

アサシン「そうだ…今日は馬車の台数が増えて居るから戦闘が出来る者は全員救出に回って欲しい」

女戦士「戦闘が出来る者?戦う想定で居るのか?」

アサシン「昨日の今日だ…多少の抵抗はあるかもしれん」

女戦士「こちらは民兵ばかりだぞ?衛兵相手には不利だ」

アサシン「抵抗する衛兵は堀に落とせば良い…なんとかしてくれ」

女戦士「では私が最前線に出ねばならんな」

魔女「抵抗が多い時はわらわが睡眠魔法を掛け直す故…そのつもりで居れ」

女戦士「魔法頼みか…」

アサシン「引き際の目安は2時間…これで女子全員の救出を目指す」

盗賊「その後貴族居住区から打って出てきたらどうする?」

魔女「睡眠から目覚めた者は夢じゃと思うておる…それほど頭は回らん筈じゃ」

盗賊「なるほど…便利な魔法だ」

アサシン「情報屋とホムンクルスはテントで救出された女子の手当てをしてくれ」

ホムンクルス「はい…」

女戦士「くれぐれも男共を入れない様にな?」

魔女「わらわが後で回復魔法をしに行くで与えるエリクサーの量は少なくて良いぞ?」

ホムンクルス「わかりました」

アサシン「では行くぞ!!」タッタッタ

761: 2020/11/03(火) 00:49:42.75 ID:V1qeujs60
『気球』


フワフワ


魔女「広範囲睡眠魔法!」モクモク

案内人「このままゆっくり周回でいいな?」

エルフゾンビ「内郭の壁からは距離を置いてくれ…弓で撃たれる可能性がある」

案内人「分かった」

魔女「セントラルの衛兵は気付いて居らんのかのぅ?昨日と変わりがない様じゃが…」

エルフゾンビ「いや…そうでも無いぞ?部隊ごとに分かれている」

魔女「寝てしもうては意味が無い」

エルフゾンビ「備えては要るがどうして女が少なくなったのかは把握していない様だな」

魔女「おかしいのぅ…貴族院側の指揮は誰がやって居るのじゃろうか?」

エルフゾンビ「む!ここには居ないという事か!?」

魔女「指揮する者はこの状況を把握せず一方的に命令を下して居りそうじゃのぅ」

エルフゾンビ「貝殻か!?」

魔女「うむ…その可能性が高い」

エルフゾンビ「しかし貴族全員居ないとは考えにくい」

案内人「貴族らしい人物は何人も貴族居住区で目撃されているらしいぞ?」

魔女「わらわの考えすぎかのぅ…」

エルフゾンビ「しかし相手が無策なのは今の所好都合だ」


---どうも気にかかるのぅ---

762: 2020/11/03(火) 00:50:16.46 ID:V1qeujs60
『深夜_貧民街』


スヤ スヤ


魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「魔女…アサシンが呼んでいるのだ…船に行ってくれ」

魔女「そうじゃな…ちと疲れたわい」

ホムンクルス「あとは私にお任せください」

魔女「日の出後に又くるで頼んだぞよ?」

ホムンクルス「はい…」



『貨物船_居室』


ガチャリ バタン


魔女「アサシンは居るか?何用じゃ?」ノソノソ

アサシン「来たか…実はな貴族居住区で建屋の中に入ったのだが様子がおかしい」

魔女「ほう?」

アサシン「貴族が何処にも見当たらないのと…貴金属のすべてが無い」

魔女「逃げられたという事じゃな?」

アサシン「どういう事だ?事前に忍び入った時にはまだ在った物が消えている」

魔女「…」

盗賊「他の建屋もカラだったぜ?」

アサシン「先日女子の救出に行った民兵も貴族の姿と資産を見ているのだが…今日はすっかり無くなっていると言う」

魔女「ふむ…魔術師が居った様じゃな」

盗賊「狭間に入って逃げたんか?」

魔女「その可能性もあるが資産をすべて運ぶのは難しいじゃろうて」

アサシン「他に心当たりがありそうだな?」

魔女「時限の門をくぐって過去を変えた者が居る様じゃのぅ…魔術師の禁じ手を犯した者が居る」

アサシン「時限の門?」

魔女「魔術師が修行をする精神と時の門というのが在ってな…それは時限の門の事を言うのじゃ」

魔女「時限の門はな…過去の自分に対峙するための門じゃ…そこで精神を鍛えるのじゃが…」

魔女「門をくぐりぬけてはならぬという掟がある…それを破った者が居るな…制裁せねばならん」

アサシン「それをくぐると過去に行くという事か?」

魔女「そうじゃ…魔力によって過去に行ける程度は変わるが…修行を積めば5日程度は戻れるのぅ」

盗賊「5日っちゃぁ俺達がここに来る前だな…そういや商隊で貴族の馬車を見た」

魔女「その中に紛れたのじゃな」

アサシン「私達はもっと前からここに居たのだが…はっ!勘違いしていたのか…女戦士の船から商隊が出て行ったと思っていたが…」

魔女「次元が交差しておるのぅ…記憶が塗り替わって行く前にメモに残すのじゃ」

アサシン「塗り替わる?」

魔女「そうじゃ貴族や貴金属がそこにあったという記憶が直にのうなる…今の目的も忘れてしまうやも知れんぞ?」

アサシン「分かった!今すぐメモに残す」

魔女「これで黒の同胞団の居所を何故掴めんのか分かったのぅ…巧妙に歴史を修正しとる」

アサシン「…それも書いておく」


763: 2020/11/03(火) 00:50:49.31 ID:V1qeujs60
『翌日』


盗賊「ホムンクルス!今日は樹液の収穫が大量だぜ!見ろ…10樽だ!!」

ホムンクルス「はい…大変助かりますが精製の方もお手伝いしてもらってよろしいですか?」

盗賊「おう!どうやるんだ?」


アレをこうして…コレをあーして


盗賊「こりゃ商人向けの仕事だな…商人来い!!エリクサー作るぞ」

商人「うん…良かったぁぁ薪運ぶのでクタクタだったんだ」

盗賊「ところでホムンクルスと情報屋は貧民街の方は良いのか?」

ホムンクルス「あちらは魔女様に任せて良い様です…私はエリクサーの管理ですね」

盗賊「情報屋は何やってんだ?料理か?」

ホムンクルス「栄養の付くスープを作って貰っています」

盗賊「みんな忙しそうだな…エリクサーは商人に任せて俺は中央行ってくるわ」

ホムンクルス「そうですね…」

商人「中央の方は今ゴタゴタしてるよ?」

盗賊「何かあったんか?」

商人「貴族居住区から少し人が出て来ててね…貧民街の方に行かせろとゴネてる」

盗賊「アサシンの狙った通りに進んでんな」

商人「これからバリケード作るって言ってたよ」

盗賊「そら大変だな…木材が全然足りん」

商人「だから僕はエリクサー精製の仕事が出来てホッとしてるのさハハ」


盗賊「おぉ!?見ろ…フィン・イッシュの軍船が2隻来てんな」

商人「え…あんな遠くなのに見えるの?」

盗賊「海を見るのはコツがあんだよ…おーやっぱ2隻だ…ナイスタイミングだなヌハハ」

商人「木材積んでると良いね」

764: 2020/11/03(火) 00:51:19.88 ID:V1qeujs60
『中央広場』


ぅぅぅ何で通さねぇぅぅう

何処に行こうが勝手だろう


民兵「こっちのテントで処置するから言う事聞いて下さい…」

男達「ぅぅぅ俺ら処置なんて要らねぇ…ぅぅぅ」

民兵「ったくもう!!」グイ

ローグ「盗賊さん!!良い所に来たっすね…運ぶの手伝って下せぇ」

盗賊「おう…こいつらゾンビみてぇだな」

民兵「黒氏病が進行してるんで早く処置しないと長引くんですよ…でも言う事聞かなくて」

盗賊「結構貴族居住区から出て来てんな?」

ローグ「まだ50人くらいっすね…食事食べさせるとちっと大人しくなりやす」

盗賊「俺はバリケード作るって聞いてこっち来たんだが…」

民兵「木材を船に取りに行ってる所ですね」

盗賊「そうか…積もってる雪はどうすんだ?雪の上に設置する訳にいかんだろ…」

民兵「そこらへんどうするのか聞いてないです」

盗賊「んぁぁぁ人出が足りなくて指揮回って無さそうだな…ローグ!!俺達で雪かきすんぞ」

ローグ「また重労働でやんすか…トホホ」

盗賊「どうせ設置位置まで決まって無ぇんだ…俺らで決めるぞ」

ローグ「へいへい…どうすれば良いでやんすか?」

盗賊「貧民街と中央を区切る簡単な馬防柵だな…その後方に雪を積んでかさ上げすりゃ早い」

ローグ「あいあい…じゃぁ馬防柵予定地の後ろに雪を積めば良いっすね?」

盗賊「んむ…俺らがやってりゃ意を汲んで誰か手伝ってくれるだろ」

ローグ「そうなりゃ良いっすけどねぇ…みんな疲れてるんすよね」

盗賊「体動かした後の酒は旨いぞぉ!?」ワッセ ワッセ

ローグ「へいへい…」ワッセ ワッセ



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765: 2020/11/03(火) 00:51:50.80 ID:V1qeujs60
女戦士「ここに居たのか…その整地はバリケード用だな?」

盗賊「おう…簡易的だが雪を積んで塹壕代わりにすりゃ割と行ける」

女戦士「こんな所で戦うつもりは無いがな…侵入を防げれば良いだけと思っていた」

盗賊「衛兵がドバーっと出てきたらどうすんのよ…備えあれば憂い無しだ」

女戦士「まぁその通りだ…」

盗賊「んで?フィン・イッシュから軍船2隻来てただろ?どうよ?」

女戦士「民兵しか居ない…まともに装備しているのは近衛くらいだな」

盗賊「ぐは…軍船は見かけだけか」

女戦士「笑うなよ?大砲すら積んで居ない…大きな民間船と言った方が良いな」

盗賊「よくそんなんで女王を乗せてくんな…」

女戦士「ただな…民兵の士気が異様に高いのだ…ゲリラ戦や工作には適している」

盗賊「てことはバリケードは速攻出来る感じか?」

女戦士「んむ…しかし心配事もある…漢が多い分救出した女子が心配だ」

盗賊「ヌハハ風紀が守れんか…確かに問題だな」

女戦士「これからフィン・イッシュの指揮は近衛がとるようになるのだが女王がどういう采配をするのか読めん」

盗賊「民兵を引き連れて来る様な采配…んーむ」

女戦士「まぁ…戦争では無いのだから民兵で良いと言えば良いのだが…」

盗賊「なんなんだ?この微妙な駆け引きは…」

女戦士「私から言わせるとセントラル内部の茶番だな…」

盗賊「海に出て行ったセントラル軍船とか何処いっちまったのよ」

女戦士「軍部がバラバラではもうこの国はダメだ」



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766: 2020/11/03(火) 00:52:29.99 ID:V1qeujs60
エッサホイサ エッサホイサ


女戦士「盗賊!!もうバリケードの設置は民兵に任せて良い…こちらへ来るんだ」

盗賊「ふぅぅ…次はどうすんだ?」

女戦士「貴族居住区と中央の通路でもみ合いが始まっている」

盗賊「衛兵が出て来てんのか?」

女戦士「民の返還を要求してきているのだ…もちろん断っているが…直に戦闘になりかねん」

盗賊「マジかよ…こっちは保護してる立場だろうに…」

女戦士「こちら側に戻って来た男共の話では貴族特区の方が物資は豊富にあるらしい」

盗賊「くすり漬けにしておいて民を保護してるつもりなのか?」

女戦士「黒氏病の恐怖と苦痛を和らげる為に配布されているらしいが…」

盗賊「あっちにはあっちの正義があるってか…この惨状をちゃん判断出来る奴いねぇのかよ!」

女戦士「集団心理が働いているのだ…きっかけが無いと折り合いが付かん」

盗賊「きっかけって…」

女戦士「貴族院の要求は王族の拘束…つまり国王が降伏すれば一旦収束する」

盗賊「それを国家転覆て言うよな?そんなん国王が承諾する訳無ぇ」

女戦士「その通りだ…だから戦闘が起きる」

盗賊「矛先がこっちに来るのは筋がおかしい」

女戦士「こちらが国王と繋がっていると知られた場合は先に殲滅に来る…だろうな」

盗賊「こっちはまともな武器持った奴居ねぇぞ?」

女戦士「んむ…備えておかんと一気に奪取されてしまう」

盗賊「城に詰めてる精鋭兵は出て来れんのか?」

女戦士「下水の掘削作業が終わって居ない…まだ通れないのだ」

盗賊「戦力差は分かってるか?」

女戦士「城の精鋭兵500フィン・イッシュ民兵500に対し貴族居住区には衛兵2000程」

盗賊「数も装備も差があり過ぎる…勝てる訳無ぇ」

女戦士「やはり内郭の上に居るラットマンリーダーが鍵だな…貴族院側が中央に出て来られないのは城から背後を突かれたくないからだ」

盗賊「ギリギリの膠着状態か」

女戦士「だが装備の整った衛兵が数十人中央に出て来ただけでこちらは大打撃なのだ」

盗賊「バリケード上からクロスボウで構えるのが有効だ…船に予備は無いか?」

女戦士「無い…だが木材はある…即席で良いから弓と矢を作ってくれ」

盗賊「矢尻用の鉄は!?鳥の羽はあるんか?」

女戦士「無い…なんとかしろ」

盗賊「フィン・イッシュの軍船には無いのか!?」

女戦士「無い…」

盗賊「ぐはぁぁ材料が何も無いじゃどうにもなん無ぇ…まてよ?石は腐る程あるな…スリングだ!!」

女戦士「ほう…それは良い!!お前に相談して正解だった」

盗賊「スリングなら素人でも使える!ローグ来い!!ロープと皮集めて来い…今からスリング作るぞ!!」

767: 2020/11/03(火) 00:53:01.79 ID:V1qeujs60
『バリケード上』


ヒュン ヒュン ヒュン


女戦士「よし!撃ち方ヤメ!!気絶している衛兵を確保して手当しろ!!」

民兵「へい!!」ドスドスドス

盗賊「これで2人目だ…貴重な装備ゲットだな」

女戦士「奪うつもりは無い…手当して返す…黒氏病を治療出来る事を周知させたい」

盗賊「ほーん…あっちはエリクサーの存在を知らん訳か」

女戦士「その様だ…エリクサーを求めてこちらに交渉しに来る様になれば少しは話が出来る」

盗賊「今までは話が通じて居ないのか?」

女戦士「こちらの貧相な装備を見て正規軍だとは思って居ないのだ…自警団扱いだ」

盗賊「ヌハハ裸同然の漢も居るしな?」

女戦士「お前の恰好もごろつきにしか見えんぞ?…私も同じだが」

盗賊「まぁな…船に乗ってりゃ楽な格好の方が良いもんな」

ローグ「かしらぁ…先に確保した衛兵が帰りたくないと言ってるでやんすが…どうしやしょう?」

女戦士「体を休めてからで良いと言え…こちらの内情を見てもらうのも良い」

ローグ「信用して良いんすかね?」

女戦士「構わん!敵では無いという事を見せつけておくのだ」

ローグ「わかりやした…ちっとあっしが話してみるでやんす」

盗賊「女戦士!アサシンの姿がずっと見えんが?何処に行った?」

女戦士「フィン・イッシュ女王の船だ」

盗賊「沖の方で停泊しているやつか?なんで上陸して来ないんだ?」

女戦士「セントラルに許可なく上陸は出来ん立場だ…本来なら大使を通じて段取るのだがそれも出来んのでな」

盗賊「面倒臭ぇこった」

女戦士「支援とは言え他国に勝手に女王が入るのは体裁が良くない…機を待っているのだな」

盗賊「あの嬢ちゃんがどんだけ成長したか早いとこ見たいもんだ」

768: 2020/11/03(火) 00:54:35.21 ID:V1qeujs60
『貨物船』


商人「…これでよし…っと」

情報屋「エリクサーの小分け出来たわね?」

商人「うん…これ貧民街のテントの分」

情報屋「私が持って行ってホムンクルスと交代してくるわ」

商人「中央広場の分も持って行ってもらえる?」

情報屋「わかったわ…あなたは少し休んで食事でもして居なさい?」

商人「そうするよ」

情報屋「じゃ…行くわね…よいしょ!」テクテク

769: 2020/11/03(火) 00:55:08.45 ID:V1qeujs60
『居室』


ガチャリ バタン カチャ


商人「あ…おかえり…どうして鍵かけるの?」

ホムンクルス「はい…」

商人「貧民街の方はどう?」

ホムンクルス「くすりが切れた方が増えて来て苦しんでいる様です」

商人「苦しむって?」

ホムンクルス「眠りから覚めて今までの事は夢だと思っている様ですが快楽を脳の受容体が記憶して居ますので鬱症状が出ています」

商人「鬱ねぇ…そんなに酷いんだ」」

ホムンクルス「脳内ドーパミンの放出量が激減した分脳は苦痛と認識するのです」

商人「治せないのかな?」

ホムンクルス「治し方をシミュレーションしていますが今の私には効果的な方法が分かりません」

商人「君でも分からないという事は治せないのかも知れないなぁ…」

ホムンクルス「一つだけ治癒出来そうな方法はあるのですが…」

商人「何?」

ホムンクルス「どれくらい効果が期待できるのかシミュレーション出来ないのです」

商人「どうすれば良い?協力するよ?」

ホムンクルス「私は愛がどれくらい快楽を占めるのか分かりません」

商人「ハハ愛ねぇ…君はどうすれば愛を感じると思う?」

ホムンクルス「私を愛して下さいますか?」

商人「そんな急に言われても答えに困るな…」

ホムンクルス「私と性交渉をしませんか?」

商人「え…」

ホムンクルス「この生体はまだ一度も快楽を経験していませんので快楽と愛の比較が出来ないのです」

商人「そういう理由で性交渉と言われてもな…」

ホムンクルス「こう言えば良いですか?私に快楽と愛を教えてください」

商人「まさか君もリリスの淫魔の呪いに掛かっている訳じゃ無いよね?」

ホムンクルス「私は正常です」

商人「困ったな…」

ホムンクルス「私は以前あなたと少しだけ性交渉をした記憶が残って居ます…覚えていますか?」

商人「そうだったね」

ホムンクルス「あの続きをしましょう」チュゥ

商人「んむ…」

ホムンクルス「触ってください」スリスリ

商人「…わかったよ」

ホムンクルス「ぁ…」


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770: 2020/11/03(火) 00:55:42.45 ID:V1qeujs60
3分後


ホムンクルス「もう終わりですか?」

商人「ご…ごめん」

ホムンクルス「すこし休憩をしてからもう一度お願いします」

商人「ハハ…」

ホムンクルス「知っています…すぐに回復されると思いますので…私の体液をお飲みになって下さい」

商人「むぐ…」ペロ

ホムンクルス「はい…それで良いです…ぁぁぁん」

商人「その声は君のプログラムが出させてるの?」

ホムンクルス「生体の反射で声が漏れてしまいます…お気になさらず続けて下さい」

商人「フフそうか…体は生身の人間と同じか」

ホムンクルス「はい…私は100%人間と同じ組織を持ったホムンクルスです…違うのは脳に超高度AIユニットがあるだけです」

商人「なんかこうしてるとどんどん君を好きになっていく」

ホムンクルス「私も脳内ドーパミンの分泌量が変化している事が分かりました…続けて下さい」

商人「むぐ…」ピチャ

ホムンクルス「ぁぁぁん…あ…あ」

771: 2020/11/03(火) 00:56:32.93 ID:V1qeujs60
『1時間後』


商人「はぁ…はぁ…ホムンクルス!?大丈夫?」

ホムンクルス「…」クター

商人「僕はもう限界だ…」

ホムンクルス「ぁ…」ハァハァ

商人「気が付いた?」

ホムンクルス「…10秒間の記憶喪失が確認されました…ドーパミン放出が一定量を超えると他機能への神経伝達が途切れる様です」

商人「よかった…7回目でやっと…君は良く平気で話が出来るね?」

ホムンクルス「生体の興奮状態が収まりません…正常値に戻るまで30分程要する様です」ハァ

商人「服を着ようか?立てる?」

ホムンクルス「いいえ…力が入りませんのでそのままにして下さい」プルプル

商人「じゃぁ僕が着させてあげるよ…」スルスル

ホムンクルス「あなたの行動一つ一つでドーパミン分泌量が変化します…これが恐らく愛の部分です」

商人「超高度AIが判断してる訳じゃ無いんだ…」

ホムンクルス「分かった事があります…ドーパミン分泌量は脳が記憶しますが分泌量は積み重なります」

商人「積み重なる?」

ホムンクルス「はい…愛は膨らむという表現が良いでしょうか?」

商人「あぁ…なんか分かるよ…どんどん君を好きになる」

ホムンクルス「性交渉を毎日続けましょう…愛がどのくらい積み重なるのか観測します」

商人「なんかすごく幸せな気持ちになるなぁ」

ホムンクルス「お分かり頂けますか?性感による快楽を超える量のドーパミン放出が期待できます」

商人「なるほどね…くすり依存を治療するのには愛が効果的かも知れないいう事か」

ホムンクルス「はい…まだ可能性が期待できるという段階ですので明日からもよろしくお願いします」

商人「なんか恥ずかしいなぁ…」

ホムンクルス「どう言えば良いでしょう?」

商人「んー寄り添ってくれるだけで良いかな」

ホムンクルス「はい…」ピト

772: 2020/11/03(火) 00:57:14.31 ID:V1qeujs60
『夜_中央広場』


メラ パチ


盗賊「篝火を増やしてくれい!!俺らも行くぞ…ローグ来い!!」

ローグ「アイサー」

盗賊「外郭側の方は厳しそうだな?撤退戦になりそうか?」

ローグ「アサシンさんが近衛連れて応援に行ったでやんす」

盗賊「ゴブリンはどれぐらい来てるか聞いたか?」

ローグ「5匹ぐらいらしいっす」

盗賊「それなら何とかなるな…しかし外郭も少し直さんと魔物が入って来ちまうな」

女戦士「盗賊!居るか!?」

盗賊「おう!!どうした?」

女戦士「海側からラットマンが進入しているらしい…貧民街の守備に行くぞ」

盗賊「マジか…あっちは民兵が居ねぇ」

女戦士「商人と魔女が押さえているとの事だ…急ぐぞ」タッタッタ

盗賊「ローグはバリケードを守ってろ」タッタッタ

ローグ「忙しいっすねぇ…」

773: 2020/11/03(火) 00:57:41.06 ID:V1qeujs60
『貧民街』


グルルル


商人「こっちだ!!」ダダダ ブン グサ

魔女「火炎魔法!」ゴゥ メラ

商人「なんだ?このラットマン…武器持ってるじゃないか!」

魔女「祖奴はコボルドじゃ…商人!避けよ!!」

コボルド「ガウルルル」ブン ザク

商人「あぅ…つつつ」

魔女「罠魔法!!」ザワザワ シュルリ

女戦士「商人!!引け!!」ダダダ ザクリ

盗賊「何匹居る!?」

魔女「2匹じゃ…もう一匹は船の方に行ってしもうた」

盗賊「女戦士!ここは任せる…俺は船に行く」ダダ

女戦士「商人…見て置け…こういう硬い魔物を相手にする時は急所を狙うのだ」ブン スパーーー

コボルド「ガァァァァ…」ドタリ

魔女「商人!回復魔法をするで近こう寄れ」

商人「大丈夫!金属糸の装備のお陰で軽傷さ」

魔女「回復魔法!」ボワー

女戦士「商人!お前は心臓が悪いと聞いて居る…出血は避けろ」

商人「わかってる…でも僕のクロスボウだと魔女が狙われてしまうと思った」

魔女「他に魔物が来て居らんか警戒するのじゃ」

商人「そうだね…船を狙うという事は食べ物狙いかな?」

女戦士「ふむ…こちらにも民兵を配置せねばならんか…」

魔女「この程度ならまだ良いが…夜が眠れんのぅ」

774: 2020/11/03(火) 00:58:22.94 ID:V1qeujs60
『翌日』


盗賊「あぁぁぁ結局一睡も出来んかった…ローグ!日課の樹液回収行くぞ…」

ローグ「へーぃ…」グター

盗賊「ゴブリンとコボルドが持ってた質の悪い武器…ここ置いとくぜ?」

女戦士「無いよりはマシだ…民兵に使わせる」

アサシン「あと2日の辛抱だ…下水が城と繋がる」

女戦士「精鋭兵が出て来れるのだな?」

アサシン「うむ…そしてラットマンリーダーを倒して戦況を覆す」

女戦士「上手く行くと信じて良いのだな?」

アサシン「エルフゾンビの戦いぶりを見たことが無いだろう?」

女戦士「ほう?やり手なのだな?」

アサシン「奴は一応ハーフエルフなのだ…剣士や女エルフ並みの戦闘力はある」

女戦士「私の出る幕は無いかハハ」

アサシン「タンク役としてはお前の方が上だな?エルフはアタッカー向きなのだ」

女戦士「速さか…」

アサシン「お前にはバリケードの守備を任せる…エルフゾンビを先頭に私と盗賊…ローグでラットマンリーダーを殲滅する」

女戦士「なるほど…エルフゾンビにタゲを集めてバックスタブ狙いか」

アサシン「そうだ全員アタッカーだ」

女戦士「魔女は使わんのか?」

アサシン「魔女は撃たれ弱すぎて足手まといになるな…守備の要として動いてもらった方が良い」

女戦士「回復役が居ないのは少し心配だが…」

アサシン「私とエルフゾンビは不氏者だ…回復なぞ要らん…盗賊とローグはなんだかんだでしぶとい」

女戦士「ハハ間違いない…妹にこき使われていたからな」

アサシン「お前にもなクックック」



----------------

775: 2020/11/03(火) 00:58:52.55 ID:V1qeujs60
商人「アサシン居るかな?」

アサシン「ん?商人か…どうした?」グビ

商人「またワイン飲んでるのか」

アサシン「喉が渇くのだ…それで何か用か?」

商人「うん…貧民街の方で女達数人が慰安所で働きたいと言う人が出てるらしいんだ」

アサシン「そうか…貧民街でも出てるのか」

商人「でも?…って他にも?」

アサシン「フィン・イッシュ軍船でもそういう話が出ているのだ…うーむ」

商人「自分たちで志願してるんだったら良いじゃないかな?」

アサシン「実は女王が先駆けて慰安所の事を言っていたのだが私が止めてな…男達の間でもめ事が起きるのだ」

商人「士気に関わるのか…だったら数か所設置して勤務地を頻繁に変えるとかは?」

アサシン「うーむ…私は堅物なのか?女王に言われたが…」

商人「ハハハまぁ…そうかもしれないね?」

アサシン「女戦士!どう思う?」

女戦士「私にそれを言わせるのか?好きにすれば良いフン!」

アサシン「こんな時に頭が痛い…わかった女王ともう一度話をして来る」

商人「貴族居住区に戻られるよりは良いよね?もう話を伝えて来ても良い?」

アサシン「女達は戻りたいと言って居るのか?」

商人「戻ると言うか出て行くって言ってるらしいよ…行き先なんか貴族居住区しかないよね」

アサシン「分かった…ひとまず中央のテントに案内しろ」

商人「うん伝えて来るよ」タッタッタ

アサシン「…むぅ…これでは貴族院とやって居る事は変わらん…」

女戦士「私も否定派だが…慰安所の必要性は理解している」

アサシン「女王の船に行って来る」スック

776: 2020/11/03(火) 00:59:26.99 ID:V1qeujs60
『中央テント』


ガヤガヤ


盗賊「なんでこんなに民兵集まってんのよ?何か作戦やるんか?」

商人「あー見つけた!!これ1枚づつ」

ローグ「何でやんすか?このコイン…おもちゃのコインっすね?」

商人「フィン・イッシュから給金の代わりなんだって…毎日1枚づつ貰えるってさ」

盗賊「何に使うんだ?こんなもん?」

商人「フィン・イッシュの軍船に貨物が沢山あるんだって…それ貯めて交換できるらしいよ」

盗賊「ほーーー金の代わりか…何と交換できるか聞いたか?」

商人「いろいろあるらしいよ?くじ引きで家とか船とか貰えるってさ」

盗賊「マジか!!」

ローグ「これ奪い合いが始まり出しやせんかね?」

商人「くじ引くのに?」

盗賊「なるほど…金と違うのはくじ引きっていう点か…面白いな」

商人「これ誰が得するんだろうね?フィン・イッシュは全然得しないよね?」

盗賊「民兵動かして金払わないで済むなら安いんじゃ無ぇか?」

商人「それとは別らしいよ…救出された女の人たちにも配ってるし政策が謎w」

ローグ「交換できる物次第っすねぇ…なんか夢がありやすね?」

商人「ふむ…士気を上げてるのかな?」

盗賊「まぁ人が集まってるぐらいだから何かの効果はありそうだな」

商人「でもこういうのがあると交流が増えて良いね…さっそく賭け事やってるし」


ガヤガヤ ガヤガヤ

おい!奥に秘密のテントってのが出来るらしい

なんだそれ?

中に何人も女が居るんだってよ

見えるのか?

ガヤガヤ ガヤガヤ


商人「なるほどねぇ…」

盗賊「お前なにか知ってそうだな…何だよ!?」

商人「あまり関わらない方が良いかな」

盗賊「勿体付けんなって…秘密のテントって何だ?」

商人「多分慰安所さ…行った事バレると情報屋が口聞いてくれなくなるよ?」

盗賊「覗くだけは良いだろ」

ローグ「盗賊さん…まずいっす…かしらがジロジロ見てるでやんす」

盗賊「うぉ!!そらヤベぇ…おい商人!!整地しに行くぞ」

商人「整地!?僕が?ダメダメ…僕は船に帰らなきゃ…ホムンクルスが待ってる」

盗賊「ローグ!!整地に行くぞ!!見つかるとタダじゃ済まねぇ…」

777: 2020/11/03(火) 01:00:07.14 ID:V1qeujs60
『外郭』


ガッサ ガッサ


盗賊「うぉらぁぁぁ」ガッサ

ローグ「ひぃひぃ…」ガッサ

盗賊「よし…これで魔物の侵入が一方向に絞られる…はぁはぁ」

ローグ「あっしら損な役回りっすねぇ…」

盗賊「まぁ言うな…女戦士に氏ぬほど使われるよしかマシだ」

女戦士「…呼んだか?」ピーン パチ

盗賊「うぉ!!いつからそこに居んだよ…壁に耳あり障子になんとかだ」

女戦士「ふむ…雪の壁か」ピーン パチ

ローグ「かしらもコイン貰ったんすね?」

女戦士「使い道が無くて困っている…居るか?」ポイ

ローグ「あああああ」パス

盗賊「雪ん中入っちまうじゃ無ぇか!!」

女戦士「私は家も船も要らんものでな」

盗賊「ヌハハそらお前は姫だもんな…欲しい物なんか無いか」

女戦士「姫と言うのはヤメロ…気持ちが悪い」

盗賊「ここの整地は終わったから俺はちと休む…軽くひと眠りしてくる」

女戦士「そうだな…少し寝て来い…休めるのは昼間のうちだけだからな」

ローグ「あっしも行くっす」

女戦士「ローグは私と一緒に来い」

ローグ「え…あっしは何かしたでやんすかね?」

女戦士「私も疲れているのだ…マッサージをしろ」

ローグ「おぉ!?久しぶりでやんすね?」

女戦士「元気が出たか?」

ローグ「いつものマッサージで良いでやんすね?」

女戦士「念入りにな?」

ローグ「ひゃっほーい!!あっしはいつまでもかしらに付いて行くでやんす…さっそく行きやしょう!!」

778: 2020/11/03(火) 01:01:05.80 ID:V1qeujs60
『名も無き島』



海賊王「次はこの木剣や…打ち込んで来い」

剣士「はい…いざ」

海賊王「早う来い!!」ググ

剣士「…」シュン カコン

海賊王「んんん…この木剣もダメやな」

女海賊「もう何本目?もう良いじゃん!!」

海賊王「アカン!剣筋に合う重さやないとワイは納得せん…ワイがこさえるオリハルコンの剣を伝説の武器にする為や」

女海賊「エクスカリバーと同じで良いって言ってんじゃん」

海賊王「それを超えなアカン…あとは使い手にどれだけ合ってるかなんや」

女海賊「剣士のその剣の構え方ってなんなのさ?前はそんな構えじゃなかったんだけど」

剣士「よく分からない…覚えて居ないんだ」

海賊王「古き時代の構えなんちゃうか?フィン・イッシュのサムライみたいやな」

女海賊「じゃぁ片刃にしたら?フィン・イッシュの剣は片刃だよ」

海賊王「お前がエクスカリバーみたいにせい言うたから両刃にしとったんやないか!」

女海賊「もうどっちでも良いよ!早くして」

海賊王「ほならこっちの木刀で打ち込んで来い」ポイ

剣士「はい…いざ」

海賊王「来いや!!」ググ

剣士「…」シュン バキッ

海賊王「お!?ええなぁ…わいの木剣が居れよった」

女海賊「ほんじゃそれで」

海賊王「アカン!ちと待て…鞘に入れてから抜いてみい…この鞘や」ポイ

剣士「鞘から居抜く?」

海賊王「そうや!!来い!!」ググ

女海賊「もう…どうでも良いじゃんそんなの…」

剣士「いざ…」シュン バキッ ゴン!

海賊王「あだっ!!」

剣士「あ…ごめん」

海賊王「連撃やな?見えんかったわ…これやな」

女海賊「もう良い?剣士と海行きたいんだけど…」

海賊王「アカン!ちと防具付けてくるわ…待っとれ」ドスドスドス

779: 2020/11/03(火) 01:01:47.26 ID:V1qeujs60
女海賊「呆れた…私が待ってんのにまだやるっての?」

剣士「なんかこうやってずっと立ち合いをやってた事がある気がする…誰だったのかな」

女海賊「そんなん良いから私を思い出してよ」

剣士「君はずっとそばに居た気がするよ」

女海賊「ムフ…分かってんじゃん」

剣士「匂いを嗅いでも良いかい?」

女海賊「良いよ…どこの匂いを嗅ぐの?アソコ?」

剣士「全部…」クンクン

女海賊「なんか気持ち悪いんだけど…犬みたい」

剣士「この匂い…なつかしい」


---そっか---

---あんたずっと目が見えてなかったね---


女海賊「なつかしいってどんくらい?」

剣士「分からない…ただ懐かしい」

女海賊「私さぁ…今満足した…あんたもう思い出さなくて良いよ」

剣士「え?」

女海賊「もっかい私と始めから付き合えば良い…そんだけ」

剣士「ハハ諦め早いね」

女海賊「なつかしいって覚えてくれてただけでなんか満足した…来て?」

剣士「ん?」

女海賊「…」チュ

剣士「え…」

女海賊「惚れた?」

剣士「いや…」

女海賊「いやじゃねぇ!!惚れたって言えよバカ」

剣士「君反応が面白いね」

女海賊「はぁ!?バカにしてんの?」

剣士「なんかこんな風にいつも話してた気がする」

女海賊「そうだよ!!」

780: 2020/11/03(火) 01:02:20.01 ID:V1qeujs60
海賊王「待たせたなぁ!!」ガチャガチャ

女海賊「ぶっ…フルプレートじゃん」

海賊王「次はなぁ…重さと重心が違う木刀で試す…連撃でも何でも良いから技を出すんや」

剣士「うん…体の動くままで良いかな?」

海賊王「自由に打ち込んでみぃ…次はこの木刀や」ポイ

剣士「はい…いざ」

海賊王「待て待て…鞘から居抜け…多分それがお前の型や」

剣士「ふぅ…いざ」シュン キンキンカン

海賊王「次はこれや…」ポイ



---すごく満たされた---

---ずっとこの関係で良い---

---寝よ…ぐぅ---



『翌日』


カンカンカンカン ジュゥ

カンカンカンカン ジュゥ


海賊王「よっしゃ!!出来たでぇぇぇ!!」

女海賊「んん?なんかくすんでるんだけど…」

海賊王「研ぎはお姉ぇにやらせろ…あいつの方が繊細なんや…ワイの手はデカ過ぎや」

女海賊「パパ細かいの得意じゃん」

海賊王「作るのは得意やが金属を愛でるのはお姉ぇの方が上手い…細工はお前が上手い」

女海賊「持ち手は私が作んの?」

海賊王「そや…飾り鞘もお前が作れ」

女海賊「材料ある?」

海賊王「鍛冶場の物は何でも使ってええぞ?ミスリル銀もあるやろ」

女海賊「あれ?2本あんの?」

海賊王「そうや?片刃にしたけぇ材料が半分で済んだんや…重さ800グラム…軽くてえー刀やで?」

女海賊「おーーー私の分もか!!ありがとうパパ!!」

海賊王「名前は…そうやなぁ…流星の剣と彗星の剣でどうや?」

女海賊「まぁどうでも良いかなー」

海賊王「おまえは彗星の様やと言われとるんやろ?お前が持つ方を彗星の剣にせい」

女海賊「わーったわーった」

海賊王「剣が出来上がったらワイへの態度がザツやなぁ」

女海賊「テヘ?ほんじゃ鍛冶場借りるねー」

781: 2020/11/03(火) 01:03:04.97 ID:V1qeujs60
『鍛冶場』


トンテンカン トンテンカン


女海賊「剣士!握ってみて」ポイ

剣士「うん…」パス ニギニギ

女海賊「あんたの刀は柄が長いんだね?両手用なんだ?」

海賊王「重さのバランスでそうなったんや…一応飾り鍔が付く思うてそれも計算しちょる」

女海賊「飾り鍔はミスリル銀で作ったけど良かった?」

海賊王「計算済みや…振ってみぃ」

剣士「…」スン スン

女海賊「なんか普通だね?」

海賊王「それでええ…余分な音も無い方がええ」

女海賊「柄の部分は滑り止めで少しだけミスリル銀の飾り柄にした…どう?すっぽ抜けない?」

剣士「油が付くと抜けそうだよ」

女海賊「おっけ!あとは紐で柄巻きしておく」

海賊王「鞘も作ったんか?」

女海賊「うん…刀の重さ変えたくなかったから鞘の方に細工したさ」

海賊王「得意のアダマンタイトかいな?」

女海賊「そそ…鯉口の部分がアダマンタイトの細工」

海賊王「なんやなーんも飾りっ気が無い鞘やなぁ…お前が作ったとは思えん」

女海賊「フフフフフフ…この刀はね…最終的には光の刀になる予定なのさ…フフフフフフフ」

海賊王「おぉ…光る刀を収めるとどっか光るんやな?ワイも見たいやないか!」

女海賊「鞘が朧に映す装飾…見たいでしょフフフフフフ」

海賊王「鞘を含めて伝説の刀か…ええな!!」

女海賊「剣士のは腰に射す流星…私のは背中に射す彗星フフフフフフ」

海賊王「なんやめっさ楽しみやな…銀河やな名前は銀河の剣にせい」

女海賊「おっけ!銀河の剣ね」

782: 2020/11/03(火) 01:03:48.33 ID:V1qeujs60
『飛空艇』


フワフワ


女海賊「未来乗って!!」

子供「うん!」シュタタ

海賊王「お前は本真にせっかちやなぁ…ゆっくりして行けばええのに」

女海賊「うっさいなぁ…お姉ぇに早く刀を仕上げて貰いたいのさ」

海賊王「まぁしゃーないか…ドワーフの血が騒ぐんやな?」

女海賊「お姉に何か持ってくんだったよね?何?」

海賊王「これや…」ドシ

女海賊「それパパの斧じゃ無かったの?」

海賊王「お姉ぇの特注品やな…ミスリル銀で作ったギガントアックスや」

女海賊「こんなでっかいのミスリル銀の無駄じゃん」

海賊王「ミスリル銀は素が軽いから好みの重さにしたらでっかくなったんや…お姉ぇはそれが良いらしいわ」

女海賊「盾替わりか…」

海賊王「あいつは何故かでっかい木の盾を好むやろ?ほんでもう片方の手でその斧を持つ気やな」

女海賊「盾二枚持ってんのと一緒だね」

海賊王「ここに乗せとくけぇお姉ぇに渡しとくんや…」ゴトリ

女海賊「ほんじゃパパ!行って来るね!バハハーイ」ノシノシ


フワリ シュゴーーーーーー

783: 2020/11/04(水) 00:07:56.30 ID:Piv6Afm60
『貨物船』


ザブン ギシギシ


盗賊「ぐががががが…すぴーーー」

情報屋「荷室も追い出されたの?」

商人「しょうがないね子供たちの避難所になっちゃったし」

情報屋「テントよりも暖かいものね」

商人「僕も寝床探さないとなぁ…どうしよっかなぁ」

情報屋「中央のテントの方はどう?」

商人「あっちは騒がしくてさ…考え事が出来ないんだ」

情報屋「フフあなたいつも独り言してるけど…考えてるんだ?」

商人「まぁね?クセかな?」

情報屋「最近はどんな事を考えているのかな?少年」

商人「もう少年じゃないって」

情報屋「フフ冗談よ…剣持って戦う姿見て見直したわ?」

商人「少しは役に立たないとね」

情報屋「それで…考え事はなぁに?」

商人「時の王かな…僕の勘は結構当たるんだけどさ…時の王はキーマンだなと思ってさ」

情報屋「ふーん…どうしてそう思うの?魔女に何か聞いた?」

商人「1700年生きてるってさ…スゴイと思わない?そんな人がそこの城のすぐ向こう側に居るんだよ」

情報屋「そうね?私達には考えが及ばないのかなぁ…1700年なんて」

商人「ホムンクルスが言うにはさ人間の記憶は大体200年が限界なんだって」

情報屋「それ本当?」

商人「ホムンクルスも人間の脳だから同じなんだってさ…外部メモリが無いと200年以上前は思い出せないらしい」

情報屋「へぇ…だから精霊は200年づつの記憶を保存していたのね?」

商人「だろうね?でもさ…時の王は保存なんて出来ないじゃない?…だからどうしてるのかなってさ」

情報屋「魔女が時の王の屋敷の中に美術品が沢山あったと言って居たけれど…」

商人「うん…記憶をそういう風に保存してるんじゃないかな」

情報屋「え!?…待って?もしかすると古代遺跡から発掘される美術品もそういう可能性があるという事だわ…」

商人「そうだね…そういう事を考え出すとずーっと想像できちゃうんだ」

情報屋「あーダメダメ…私もあなたの独り言が移っちゃいそう…」

商人「ハハ君は救出された人達のお世話に忙しいからね」

情報屋「私もたまには休みが欲しいわ…」



-----------------

784: 2020/11/04(水) 00:10:26.29 ID:Piv6Afm60
情報屋「盗賊!…盗賊!…起きて!!」ユサユサ

盗賊「んぁ?…んーだ情報屋か…いいぞ来いムニャ」

情報屋「…」パチン

盗賊「あだっ…んん?今何時だ?」キョロ

商人「…」ニマー

情報屋「アサシンの気球が帰って来るわ…ここに降りて来るわよ」

盗賊「マジか…早えぇな」

商人「もうすぐ夕方だよ…疲れてたみたいだね」

盗賊「おぉ寝過ごしたなこりゃ…ローグは何処行った?」

商人「女戦士と一緒に中央に居ると思う」

盗賊「俺も行かねぇとな…」

商人「アサシンとホムンクルスが帰って来るんだ…話を聞いてからにしたら?」

盗賊「まぁそうだな…ちっと腹が減ったな…何か無いか?」

情報屋「はい…支給されたパンとチーズ」

盗賊「おう十分だ!それとこの飲みかけのワインがありゃ俺は文句ねぇ」モグ グビ



フワフワ ドッスン



商人「おかえり!どうだった?」

アサシン「女王はご満悦だ…ホムンクルスと意見が合致している」

ホムンクルス「私のシミュレーション結果をお伝えしてきました」

盗賊「んん?何の話だ?」

ホムンクルス「くすり依存に苦しむ女性たちの救い方について意見をしてきたのです」

盗賊「ほう?慰安所は無くなるんか?」

アサシン「アレは継続するらしい…その他に愛を醸成できる環境を沢山用意するそうだ」

盗賊「ほう?おもちゃのコインの他に何かやるんだな?」

商人「あれの効果はすごいと思うよ?コインだけでコミュニケーションが激増したんだ」

ホムンクルス「そうですね…フィン・イッシュ女王は民の欲求を良くご観察の様です」

アサシン「まぁ心配な施策ばかりなのだが…コインの影響を見せられては私は何も言えん」

ホムンクルス「ご心配なさらなくても良いかと思います」

盗賊「具体的に何やるんだ?」

785: 2020/11/04(水) 00:11:10.26 ID:Piv6Afm60
アサシン「聞いて驚くな?女性が任意の男を一人一定期間奴隷に出来るチケットとか謎の施策が山ほどある」

盗賊「なぬ!?」

商人「ハハ何だそれ…」

盗賊「勝手に奴隷にされちゃたまらん」

アサシン「私もいつ奴隷にされるか分からん」

ホムンクルス「その逆もある様ですよ?」

盗賊「マジか…」

商人「なんかむちゃくちゃだね…でも面白そう」

ホムンクルス「そういう活性化と報酬を沢山用意するのです…結果的に愛を醸成します」

盗賊「資金は女王の身銭から出てんのか?そのうち破綻するんじゃ無ぇか?」

商人「僕から言わせるとその逆だね…民がフィン・イッシュに流れる…つまりお金で人を買ってる」

アサシン「国力増強か…うーむ…認めるしか無いな」

盗賊「民兵の異様な盛り上がりはソレか!謎の施策をみんな楽しんでんだな?」

ホムンクルス「女王は上手です…失敗して批判される前に次の施策をやる様です」

商人「失敗をみんな忘れちゃうんだハハ…最終的に少しでも良くなってれば良いのか」



---------------



アサシン「盗賊とローグは今晩早く船へ戻れ…明日の朝に作戦を実効する」

盗賊「おう!ローグに言っとくわ」

アサシン「城の精鋭兵は夜の内に少しづつ下水を通って海岸で待機する予定だ」

盗賊「あーそれで海岸にもテント張ってんのか」

アサシン「貴族居住区からは丁度氏角になるのだ」

盗賊「民兵には秘密で動いてんだよな?」

アサシン「そうだ…感づかれない様に中央では普段通りにしていてくれ」

商人「僕も中央の方を見に行こうかな?」

盗賊「おう!一緒に行くか」

商人「コインの流通を見ておきたいんだ…僕はまだ3枚しか無いけど」

盗賊「銀のアクセサリーが流行ってるらしいぞ?コインで交換できるんだと…」

商人「へぇ…見たいな」

盗賊「じゃ行って来るわ」ノシ

ホムンクルス「お気をつけて…」ニコ

商人「うん…行って来る」ノシ

盗賊「んん?今のホムンクルスの表情見たか?いつも無表情だったのにな?」

商人「ハハ少し笑う様になったね」

盗賊「お前何か教えたのか?」

商人「まぁね…」

盗賊「もっと教えとけ!なかなか可愛い笑顔じゃねぇか」

商人「うん…毎日教えてるさ」

786: 2020/11/04(水) 00:12:21.06 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード前』


ガヤガヤ ガヤガヤ


ローグ「貧民街の方は危険なんで立ち入り禁止っす~黒氏病の治療は中央のテント行ってくだせぇ!!」

盗賊「ローグ!!悪りぃ…寝過ごしちまった」

商人「この人だかりは?」

ローグ「貴族居住区からすこーしづつ人が出て来てるでやんす…10人くらいっすかねぇ」

盗賊「民兵がゴブリンの装備付けてんな…恰好悪りぃヌハハ」

ローグ「かしらが洗って使えって言うでやんす」

盗賊「裸よりゃマシだがありゃ衛兵から誤射食らうぞ?」

ローグ「くちばしマスクが目印っすね…あのマスクは目立つでやんす」

商人「本当…変な格好だね?」

ローグ「本人たちは割と喜んでるんすよ…フィン・イッシュ女王はヘンテコな格好が好きだって評判なんす」

盗賊「あの嬢ちゃんがねぇぇ…変な趣味持ったもんだ」

商人「いろんなくちばしマスクがあるんだね」

ローグ「あれもコインで交換できるらしいっす」

盗賊「なんか効果あるんか?本当に病気防ぐのか?」

ローグ「今じゃおしゃれアイテムっすね…アレ被ってると顔が隠れるもんすから色々良い事あるらしいっす」

商人「なるほど…それもコミュニケーション向上になってるのか」

盗賊「鼻の長い天狗みたいなお面は?あれもか?」

ローグ「良い所に気が付きやしたね?アレは慰安所で使うお面らしいすわ…あの鼻を女のアソコに入れるそうですわ」

盗賊「被ったまんまか?」

ローグ「慰安所でコインと交換やってるっすよ?7枚っすね」

盗賊「俺は今3枚持ってる…お前のと合わせて7枚になるな?行ってこい」

ローグ「いやいやいや…あんなの付けてるとかしらに何されるか分かんないっすよ…遠慮するでやんす」

商人「ハハちょっとアレはマズいよね…いくらなんでも」

盗賊「何か他に良いもん無ぇのかよ!!」

女戦士「お前達!!こんな所で遊んでいないで外郭に向かえ!!」

盗賊「ぬぉ!又ゴブリン来てんのか?…てどうした?お前がスカートだと?」

女戦士「安心しろ金属糸のインナーは装備している…これは支給された衣服なのだ…似合わんか?」

ローグ「盗賊さん寝てて知らなかったみたいっすね?女性に衣服の支給があったんすよ」

商人「気付いてなかったのかい?ホムンクルスも着替えてたよ?」

女戦士「それはどうでも良い!盗賊とローグは外郭のゴブリンを追い払え!」

盗賊「へいへい…」

787: 2020/11/04(水) 00:13:39.33 ID:Piv6Afm60
『外郭』


ギャーース ドタドタ


ローグ「ゴブリン引いて行くっすね?どうしやす?」

盗賊「こっちあぁ弓が無ぇ!追っても仕留め切らん…倒したゴブリンの装備剥ぎ取って一旦休憩する」

ローグ「アイサー」

盗賊「やっぱ雪の塹壕掘っといて正解だったわ…少人数でもなんとか凌げる」

ローグ「そーっすねぇ…スリングとの相性が良いでやんす」

盗賊「ところで女戦士の格好だが?あいつもおしゃれは気にすんのか?」

ローグ「かしらは隠れて色んな服を試してるでやんすよ」

盗賊「マジかよ…本当は乙女なのか!!」

ローグ「あっしは良くかしらのマッサージを頼まれるんですがね?マッサージの後は体が柔らかくなるんすよ」

盗賊「んん?意味が分からん」

ローグ「かしらは放って置くと筋肉が石みたいにカチカチに硬くなる体質なんす」

盗賊「戦士ならその方が良いだろ」

ローグ「洋服からムキムキの筋肉が見えるのが嫌なみたいすね…なんで鉄のローラーで全身柔らかくするんすよ」

盗賊「鉄のローラーだと?そんなもん転がしてマッサージすんのか?」

ローグ「ハンマーも使いやすね…硬くなってる所を解すんすよ…ほんで体が柔らかくなったらドレスとか着たりするんす」

盗賊「あいつもやっぱガチのドワーフか…」

ローグ「マッサージの時はかしらが全裸になるんすよ…あっしはそれが楽しみで生きているでやんす」

盗賊「ほーん…なぜか萌えん」

ローグ「かしらはあー見えてどМっす…鉄のハンマーでしごかれながら横になるんす…その間あっしは何しても許されるんすよ」

盗賊「あれでМとは…俺は聞かなかった事にしておく」

ローグ「内緒にしといて下せぇ…あと洋服褒めるとしばらく着たままになるんでよろしくっす」

盗賊「お…おう」タラリ

788: 2020/11/04(水) 00:14:40.00 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード前』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「ゴブリンの装備剥ぎ取ってきたぜ?」

女戦士「追い払ったか?」

盗賊「あぁ…お前なんでスカート止めたんだ?さっきの恰好の方が良かっただろう」

女戦士「お前は驚いていたでは無いか…私は気に入って居たのだがな」

盗賊「俺のコインお前にやる…他にも買い揃えろ」チャリン

女戦士「フン!私に何を着れと言うのだ?」

盗賊「折角良い体してんだ…もっと見せつけろ勿体ねぇ」

女戦士「私の体は見世物では無い」

盗賊「腕とか足くらいは良いだろ…そうだな腕と足を出して代わりに銀のアクセサリーとかどうよ?」

女戦士「お前の趣味か?」

盗賊「まぁそうなるんか?お前に似合うと思って言ってんだ」

女戦士「この寒いのに肌を露出しろと言うか」

盗賊「だから映えるんだろうが…寒い分はその上に何か羽織れ」

女戦士「…考えておく」

盗賊「ふむ…良く見ると整った顔立ちしてんな…近寄り難いがなかなかイケる」

女戦士「…」スラーン

盗賊「待て待て待て…悪気は無ぇ!」

女戦士「油を売って居ないで篝火用の木材を運んでおけ!」

盗賊「へいへい…」

789: 2020/11/04(水) 00:15:45.13 ID:Piv6Afm60
『貨物船』


回復用のエリクサーを2瓶づつ持て…

先方はエルフゾンビと私が行く

盗賊とローグはハイディングを上手く使ってバックスタブで仕留めろ

撤退はラットマンリーダーの殲滅後に下水を通って各自海岸に出る

今回は4人だけの隠密行動だ

目に付きにくい様にこの黒いローブを纏うのだ

この後気球に乗って城の上空に行く

鎮魂の鐘が鳴ったらそのまま投下する

目安は夜明け前

行くぞ



商人「ふぁ~あ…気合入ってるね?」

情報屋「そうね?本気装備みたいよ?」

商人「盗賊とローグは背格好も一緒だし黒いローブだと見分けが付かないね…」

情報屋「こうして第三者視点で見てるとスゴイ人達なんだなって思うわ」

商人「うん…闇の一党だね」

情報屋「あなたも中央のバリケードの方に行かなくて良いの?」

商人「行くよ…僕はクロスボウ手の役だ」

情報屋「現時点の主砲ね?」

商人「まぁね?」

情報屋「私も貧民街の守備に行かないと」

商人「ホムンクルスも守ってあげて」

情報屋「あら?どうしたの?そんなこと言って」

商人「心配なんだホムンクルスが」

情報屋「フフ最近良くお話してるみたいだけど?」

商人「バレてた?僕ホムンクルスが好きなんだ」

情報屋「彼女に表情が出てきたのはそのせいね?」

商人「すこし笑顔が出るよね?」

情報屋「子供たちに人気があるのよ?」

商人「へ~知らなかった」

情報屋「少年!がんばりたまえ!」

商人「ガク…」

790: 2020/11/04(水) 00:16:25.96 ID:Piv6Afm60
『内郭の上』



リン ゴーーーーーン



アサシン「城壁に飛び乗れ!!」

エルフゾンビ「付いて来い…城壁のラットマンリーダーから殲滅する」ピョン

盗賊「俺らは個別でハイディングしながら行くぜ?」ピョン


ラットマンリーダー「ぐぇぇぇぇぇ」バタバタ


エルフゾンビ「首を切り落とす!!」ブン ザクリ ゴロン

アサシン「城壁で約10体…城周辺に約30体…続け!!」タッタッタ

エルフゾンビ「鐘楼はどうなっている?」

アサシン「精鋭兵が集まっている様だ…鳴らしているのはお前の兄か?」

エルフゾンビ「おそらく…」

アサシン「もうラットマンリーダーと戦闘しているでは無いか…どういう事だ?」

エルフゾンビ「想定外は付き物だ…援護に行くぞ」

アサシン「続けて鳴らせてもらわんと困るが…」


リン ゴーーーーーン


アサシン「よし!鐘は鳴らせているな?盗賊!ローグ!散開して良い…片っ端に始末しろ」

盗賊「おうよ!!」ダダ

ローグ「アイサー」ダダ

791: 2020/11/04(水) 00:17:09.60 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』


リン ゴーーーーーン


商人「5回目の鐘…あと1回で朝の鐘は終わる…どう?見える?」

女戦士「内郭上のラットマンリーダーは全部倒した様だ…もうここからでは中の様子は見れん」

商人「望遠鏡を貸して…」

魔女「わらわがアサシンの目を見て居るぞよ?」

女戦士「中はどうなっている?」

魔女「ラットマンリーダーに多少抵抗されておるが盗賊とローグが活躍中じゃな…背後から首を狩りよる」


リン ゴーーーーーン


商人「6回目…ここまでがいつも通り」

女戦士「この後鐘が続くようであれば察知する者がでるやもしれん」

魔女「今の所20体位倒したかのぅ…まだもう20体程居るのぅ」

女戦士「むぅぅ居ても経っても居れん…」ソワソワ

商人「ここは落ち着いて見守った方が良いと思うな」

女戦士「商人!火を起こせ…炊き出しを作る…平生を装うのだ」

商人「うん…」

女戦士「他の者にも伝えて来い…出来るだけ煙を出せ」

魔女「わらわも体が冷えてしもうた…火に当たりたい」

792: 2020/11/04(水) 00:17:49.73 ID:Piv6Afm60
『貧民街』



情報屋「ホムンクルス?お湯を用意できる?」

ホムンクルス「はい…どれくらい必要でしょうか?」

情報屋「出来るだけ沢山沸かして?…女性の精鋭兵が数人こちらに来るらしいわ」

ホムンクルス「そうなのですね」

情報屋「海岸の方では木材が無くて暖が取れないらしいの…革袋に入れて持って行ってもらう」

ホムンクルス「船に砂鉄と木炭がありましたね?」

情報屋「火薬の材料の事かしら?」

ホムンクルス「はい…皮袋に入れるのは砂鉄50と砕いた木炭50の割合で混ぜたのもを渡すと良いです」

情報屋「それで暖が取れる?」

ホムンクルス「そこに海水を少し混ぜれば発熱して暖を取れますしお湯を沸かすよりも早いと思われます」

情報屋「一緒に来て?」

ホムンクルス「はい…私もお手伝いします」


リン ゴーーーーーン


情報屋「7回目の鐘…」

ホムンクルス「急ぎましょうか…」テクテク

793: 2020/11/04(水) 00:18:27.80 ID:Piv6Afm60
『セントラル城_中庭』



がおぉぉぉぉ ドスドスドス


盗賊「っくしょう…どんだけ居るんだよ」

ローグ「盗賊さん怪我は大丈夫っすか?」

盗賊「まだ行ける…」

ローグ「来るっすよ!?ハイディング!」スゥ

盗賊「…」スゥ


ラットマンリーダー「がお?」キョロ?


アサシン「クックックお前の相手は私だ!ハートブレイク!」ズン ズブズブ

ラットマンリーダー「ぐぅぅぅ…」

アサシン「今だ!」


リリース


盗賊「バックスタブ!」ジャキン! ゴロン

アサシン「エルフゾンビが城の中に入って行った…どうやら城にも居る様だ」

盗賊「あぁ先行っててくれ…ちとエリクサー飲んで回復してから行く」グビ

アサシン「無理はするな?お前は私と違って生身なのを忘れるな」


リリース


ローグ「バックスタブ!」ジャキン! ドサ

盗賊「ぬぉ!!」

ローグ「よそ見は危ないでやんすよ…ラットマンリーダーは首落としても少しの間動くっす」

アサシン「助かったな…行くぞ」タッタッタ

794: 2020/11/04(水) 00:19:22.57 ID:Piv6Afm60
『セントラル城内』


ザワザワ ザワザワ


エルフゾンビ「来たな?予定変更だ」

アサシン「…これは…城の中に民をかくまっていたのか」

エルフゾンビ「約1000人だな…下水を通って避難するには少々時間が掛かる」

アサシン「まだラットマンリーダーが残って居るな?私達が残りの敵を片付ける…お前は避難の先導をしてくれ」

エルフゾンビ「石化で体が不自由な者が多い…スムーズには行かんが良いか?」

アサシン「精鋭兵を動かせ…下水に詰め込んでしまえば敵が来ても対処は出来る」

エルフゾンビ「残りのラットマンリーダーは任せた」

盗賊「敵が気付いたぜ?アサシンはハートブレイクでとにかくラットマンリーダーの足を止めてくれ」

ローグ「後はあっしらが処理するでやんす」

アサシン「あと10匹!行くぞ!!」ダダ



-------------------



アサシン「ハートブレイク!」ズン ズブズブ

盗賊「バックスタブ!」ジャキン! ボトン

ローグ「これで最後でやんす…城内のラットマンリーダーは全滅っす」

アサシン「よし!外で残りの敵を探す…来い!」

盗賊「精鋭兵が裏手に移動を指示している…俺らは正面側か?」

アサシン「うむ…正面からゲートブリッジ側まで索敵する」

盗賊「なら貴族居住区から丸見えになるぞ?」

アサシン「姿を隠しながら行くしかない…ラットマンリーダーが居残って居るのはマズイ」

盗賊「ちと慎重に行動した方が良い」

アサシン「分かっている…隠密で動く」

795: 2020/11/04(水) 00:20:05.85 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ付近』


シュンシュンシュンシュン ストストストスト


ラットマンリーダー「がおぉぉぉぉ」ドスドス ガチャン ガチャン


盗賊「ゲートブリッジを挟んで貴族院側の衛兵と揉みあってんな…」コッソリ

アサシン「まだ待て…機を伺う」コッソリ

ローグ「あと残り3体でやんすね?」

盗賊「やっぱ向こうの衛兵も異常に気付いたか…こりゃ突破されるのは時間の問題か?」

アサシン「民の避難までまだ時間が掛かりそうだ…このままラットマンリーダーは放置していた方が良かろう」

盗賊「あいつらラットマンリーダーをどうやって倒すつもりだと思う?」

アサシン「バリスタだな…準備に手間取ってくれれば良いが」

盗賊「ゲートブリッジの鉄柵越しに狙うってか?そんなん当たる訳無ぇ」

アサシン「クックックこのゲートブリッジでの揉み合いは長引いて貰った方が好都合だ…弓矢を探して来い」

ローグ「あっしらでラットマンリーダーの援護をするでやんすね?」

アサシン「ゲートブリッジ上のアロースリットから射かける」

盗賊「弓矢なら内郭の城壁上に有った」

アサシン「お前たちはハイディングで城壁伝いにゲートブリッジ上に上がるのだ…私はこの場所で鉄柵に取り付く者を射抜く」

盗賊「おう!!弓矢は上から放り投げてやる…拾ってくれ!行くぞローグ…ハイディング!」スゥ

796: 2020/11/04(水) 00:20:58.26 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』


ザワザワ ザワザワ

城の方で何か起こってるみたいだ

貴族居住区で叫び声が聞こえる

城のゲートブリッジで弓の撃ち合いやってるぞ

俺達何も指示出てないけど良いのか?

ザワザワ ザワザワ


魔女「アサシンらはほぼ城を制圧した様じゃ…心配せんで良いぞ?」

女戦士「あの撃ち合いはどういう事だ?」

魔女「時間稼ぎじゃな…まだ貴族院側は事態の全容を把握しておらん…城への突入に躊躇しておる」

女戦士「我々の勝利だな?」

魔女「問題もありそうじゃ…城の中に民間人が多数避難しておってな?下水を使って海岸まで移動させておる」

商人「多数というとどのくらい?」

魔女「1000人ぐらいじゃろうか」

商人「そんなに?それじゃごった返しちゃうな」

女戦士「善良な者だけならば良いが…そうでなければ治安が保てんかも知れんな」

商人「今貧民街に詰めてる人達を一旦フィン・イッシュ軍船の方に行かせた方が良さそうだね」

女戦士「私が軍船に取り次いでくる…商人は貧民街へ向かって移動の先導をして来るのだ」

商人「そんな簡単に移動してくれるかな?」

女戦士「船の方が暖かくて過ごしやすいと言え…それからコインの交換品も増えているとな?」

商人「もしかしてその服?」

女戦士「フフコイン1枚で1着交換出来るのだ」

商人「良いね!ホムンクルスにももう少し良い物身に付けさせたい」

女戦士「無駄口は良いから早く貧民街の女を移動させて来い」

商人「あ…うん!行って来る」

797: 2020/11/04(水) 00:21:50.13 ID:Piv6Afm60
『貧民街』


あぁん うっうっ うふ~ん


情報屋「商人!!ここに入って来てはダメよ?」

商人「分かってるよ…貧民街の人達をフィン・イッシュ軍船に移動させに来たんだ」

情報屋「どういう事?」

商人「避難民が1000人くらい出るらしい…ここの女の人と一緒じゃマズいよね?」

情報屋「そうね…」

商人「移動させられそう?貨物船に居る子供達も移動した方が良い」

情報屋「やってみるわ…代わりに商人!この袋に砂鉄と木炭を詰め込むのをやって?」

商人「割合は?」

情報屋「50対50よ…女性の精鋭兵が取りに来るから渡してあげて?」

商人「うん…これ何?」

情報屋「塩水を少し混ぜると暖かくなるの…ほらコレ!」ホカホカ

商人「おぉ!!スゴイ!!熱っ!!」

情報屋「直接触るとダメよ?」

商人「こんな事出来るのはホムンクルスだね?」

ホムンクルス「はい…」

商人「君もここの女の人達を軍船の方に先導させて?」

ホムンクルス「わかりました…」

商人「あれ?何か怒ってる?」

ホムンクルス「いいえ…」プイ

情報屋「私達は女性を移動させてくるから砂鉄と木炭お願いね…あとここの女性を見ないようにね?」

商人「分かってるよ…」


---なんだ?---

---ホムンクルスがあんな顔するの初めてだ---

798: 2020/11/04(水) 00:23:03.33 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ』


シュンシュン ストスト


ローグ「相手の弓が多いっすねぇ…つつつ」ギリリ シュン

盗賊「もうエリクサーの残りが少ねぇ…そろそろ引かんとキツイな」ギリリ シュン

ローグ「大分持ちこたえやしたね?あっちはバリスタを諦めたみたいっすよ?」

盗賊「そら俺らが弓で狙ってるからな?装填に時間が掛かるもんを扱える訳無ぇ」

ローグ「ラットマンリーダーはハリネズミみたいになってるっすね?」

盗賊「あんなんじゃ倒せんだろう」


ドーン パラパラ


盗賊「うぉ!!何だ?」

ローグ「投石っす!!貴族居住区の建屋裏にトレビュシェットあるみたいっす」

盗賊「マジか…ここも危ねぇじゃねぇか」

ローグ「あっしは煙玉を10個と爆弾2個持ってるでやんす」

盗賊「そら逃走用に残して置け…ちぃぃどうすっかな」

ローグ「ここからの狙撃がなくなったらバリスタ来そうっすね?」

盗賊「おし!火矢に切り替えだ…バリスタ燃やすぞ」

ローグ「アイサー」ボゥ ギリリ シュン

盗賊「よしよし!どんどん当てろ」ボゥ ギリリ シュン

799: 2020/11/04(水) 00:23:34.44 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』


ザワザワ ザワザワ

何の音だ?

城に投石機使ってるらしい

ゲートブリッジ付近で煙が上がってるな

ザワザワ ザワザワ


女戦士「ふむ…アレでは内郭は落とせんな…精々応射を防ぐぐらいの物だ」

魔女「帰って居ったか…良いのかえ?こちらはこのまま待機で」

女戦士「下手に動けんというのが正直な所だ」

魔女「もう2時間経っておるが貴族院側はこちらに来る気配は無い様じゃな」

女戦士「投石機を使うあたり軍部は割と統率しているな…やはり目的は王族の拘束か」

魔女「王族がこちら側に来るのではその後が心配じゃな?」

女戦士「さて…どうなるか?こちらも民を抱えているからな」

魔女「こういう可能性もあるぞよ?時の王に拘束されておった王族が解放されたという見方じゃ」

女戦士「うむ…誰が味方で誰が敵なのか分からんな」

魔女「まだある…巧妙に歴史が修正されておるのにわらわ達は気付いて居らん可能性じゃ…いつから投石機があったのかのぅ?」

女戦士「む!まだ魔術師がまだ何処かに居ると言うのか?」

魔女「可能性の話じゃ…時限の門はそう何度も使える術では無いのじゃが可能性は考えておかねばならぬ」

女戦士「今の所流れは我々の側にある様に見えるが?」

魔女「じゃから相手も修正に躍起になって居る事も頭に入れておくのじゃ」

女戦士「…むぅ…そういえば早朝なのに向こうの衛兵は異常に気付くのも早かった気がするな」

魔女「そういう事じゃ…鐘は何回鳴ったか覚えておるか?」

女戦士「6回?…いつも通りだった筈だが?」

魔女「わらわはもっと鳴って居った気がするのぅ…気のせいじゃろうか?」

女戦士「なるほど…想定外はこうして起きるか」

800: 2020/11/04(水) 00:24:26.05 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ』


ドーン パラパラ


ローグ「アサシンさん!もう上から撃つのは無理っす」ズルズル

アサシン「引き際だな…怪我はどうだ?」

ローグ「エリクサー尽きやした…盗賊さんの出血が止まりやせん」

アサシン「私のエリクサーを使え…まだ2瓶ある」

ローグ「盗賊さん飲んで下せぇ…」

盗賊「おぅ助かる…」グビ

アサシン「走れそうか?」

盗賊「肩貸してくれぇ…ちっと血が出過ぎた様だ」

アサシン「ローグ!お前も出血しているな?エリクサーを飲んでおくのだ」

ローグ「あっしはまだ走れやす…それにエリクサーじゃ出血止まらんす」


タッタッタ


エルフゾンビ「ここに居たか!!下水に降りろ…全員の避難がもうすぐ終わる」

アサシン「上手く行ったな?盗賊は私が肩を貸す…戻るぞ」ズリズリ

エルフゾンビ「ラットマンリーダーは残り3体か…」

アサシン「やっていくのか?」

エルフゾンビ「下水に氏体がまだ沢山放置されているのだ…ゾンビとして使役してけし掛ける」

アサシン「クックック…最高のショーだな?突入してきた衛兵はラットマンリーダーが暴れ散らかしたとしか思わんな」

エルフゾンビ「後は私に任せろ…先に下水へ降りるんだ」

アサシン「分かった…最後に下水をローグの爆弾で塞ぐつもりなのだが…間に合うか?」

エルフゾンビ「ここは私の庭だ…間に合わなくても塞いで良い」

アサシン「そうか…では海岸で落ち合おう」

エルフゾンビ「行け!!」

801: 2020/11/04(水) 00:25:03.17 ID:Piv6Afm60
『下水』


ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ


ゾンビ「ヴヴヴ…ガァァァ」ズリズリ

盗賊「ヌハハ…こいつら俺達に見向きもし無ぇ」

アサシン「まだ喋れるか?」

ローグ「避難してる人達はどこまで行ったんすかねぇ?もう海岸まで出て行ったんすかね?」

アサシン「こんな所にいつまでも居たくは無いだろう」

ローグ「ここがやっとこ人が通れる穴っすね…ここを爆破しやしょうか」

アサシン「うむ…やはりエルフゾンビは間に合わなかったな」

盗賊「爆破ちっと待ってくれ…ここにゃ思い出があんだ…見納めたい」

アサシン「1分だ」

盗賊「もうここに来る事は無いと思うとな…苦労して地図書いたんだ…俺の輝かしい記憶だ」

アサシン「下水がか?…クックックお前らしい」

盗賊「もう戻れねぇんだな…あん時に…何もかも変わっちまった」

アサシン「私は7年時間を飛んでいてその気持ちは良く分からん…ただ私もあの頃とは違う」

盗賊「俺だけあん時のままかもな?」

アサシン「もう良いか?爆破するぞ…」

盗賊「はぁぁぁこのドブの匂い嗅ぎながら食ったバーベキュー忘れらんねぇな」

ローグ「帰ったらバーベキューしやすかね?祝勝祝いってやつっす」

盗賊「頼むわ…血が足りねぇ」

アサシン「行くぞ!ローグ…爆破は任せる」

ローグ「アイサー」


ドーン ドーン ガラガラ ドシャーン

802: 2020/11/04(水) 00:25:44.98 ID:Piv6Afm60
『貨物船』


ザブン ギシギシ


ローグ「商人さん!ちっと手伝って下せぇ」

商人「あ!!無事に戻って来たんだね?」

ローグ「盗賊さんが怪我してるんす…手当出来るでやんすか?」

商人「止血くらいなら…」

ローグ「あっしも頼むでやんす…背中に矢を受けて手が届かんす」

商人「アサシンとエルフゾンビは?」

ローグ「海岸の方っすね」

商人「とりあえず応急で包帯巻いておくけど…魔女にお願いした方が良さそうだな」グルグル

盗賊「ぁぁぁ血が足り無ぇぇぇ…情報屋何処行った?」

商人「あちこち行ったり来たりさ…皆忙しい」

盗賊「状況分かん無ぇな…」

商人「海岸に避難してきた人達が貧民街で手当て受けてるよ…エリクサー足りるんだろうか?」

盗賊「日課の樹液採集行かねぇと…」

ローグ「この怪我じゃ無理っすね」

盗賊「お前動けんだろ…魔女呼んで来い」

ローグ「そ…そうっすね」

盗賊「女戦士も状況分かって無ぇんだから連絡して来い」

ローグ「あっしら本当に損な役回りっすね?」

盗賊「ヌハハ俺はちっと横になんな?ゲロ吐きそうだ」

ローグ「ちっと待っててくれやんす…魔女連れてくるっす」

803: 2020/11/04(水) 00:26:18.08 ID:Piv6Afm60
『30分後』


盗賊「ぐがが…すぴー」

魔女「回復魔法!」ボワー

情報屋「魔女ありがとう…」

商人「輸血は終わり?」

情報屋「後は薄めた食塩水で大丈夫」

魔女「主は何度も輸血しておるのか?手慣れておるのぅ」

情報屋「これで3回目…良く怪我して帰って来るから」

商人「情報屋は大丈夫なの?」

情報屋「平気よ?少しだけだし」

盗賊「ううん…ん?」

商人「あ!起きた…」

盗賊「今何時だ!?」

商人「お昼過ぎさ…寝ぼけてる?」

盗賊「ローグ何処行った?やべぇ…樹液採集行かねぇと満タンになっちまう」

情報屋「慌てないでゆっくりしたら?」

盗賊「なんか腹減った…食いもん無ぇか?」

商人「ハハ怪我してた人には思えないね」

情報屋「いつもこうなの…はい肉とパン…それからワインね?」

盗賊「おぉぉ気が利くなぁ…それで十分だ」

情報屋「じゃぁ私は貧民街の方に戻るわ?魔女も来てもらえると助かる」

魔女「そうじゃな…回復魔法を回さんとイカン様じゃな」

商人「はぁぁぁ毎日毎日忙しいね…」

盗賊「俺は食ったら日課に行か無ぇと…」

商人「なんかね海岸の所の下水掃除の依頼が来てるらしいよ」

盗賊「ぐは…精鋭兵達は雨風凌ぐのに下水使う気だな?」

商人「多分そうだね…ホムンクルスが樹液の残り粕を持って行けば良いって言ってた」

盗賊「燃料替わりか…分かったついでに気球で運んでおく」

商人「うん」

804: 2020/11/04(水) 00:26:49.96 ID:Piv6Afm60
『海岸』


フワフワ ドッスン


盗賊「ローグ!樹液の残り粕降ろして行くぞ」ヨッコラ

ローグ「あいあい…」ドッコイセー

盗賊「燃料を持って来たぜ?アサシン達は何処行った?」

精鋭兵「ご苦労!アサシン殿は国王と共に気球でフィン・イッシュ軍船に向かった」

盗賊「そうかい…精鋭兵は下水を拠点にするのか?」

精鋭兵「その様に指示されている…貧民街を背後から守備するとの事だ」

盗賊「下水が貧民街に続いてるのは知っているか?」

精鋭兵「勿論だ」

盗賊「この燃料で下水に溜まってるゴミも一緒に燃やすといいぜ?掃除にもなる」

精鋭兵「提案を感謝する…しかし量が足りん様だが?」

盗賊「あーこの燃料は腐る程余ってんだ…俺らは空きの樽が欲しい…だからじゃんじゃん燃やしてくれ」

精鋭兵「承知した!」

盗賊「ここの入り口に置いておくからよ…空いた樽はそっち側に積んどいて欲しい」

ローグ「盗賊さん…これ下水の方が貧民街よりも過ごしやすいかもしれないっすね?」

盗賊「ゴミさえなくなりゃ下水の方が暖を取りやすいな…水が流れてるのも良い」

ローグ「海に続いてるんで小舟で物資の移送もできやすね?」

盗賊「まぁそこら辺まで考えての脱出劇だったんだろ」

ローグ「ほえーセントラルの心臓部は下水だったんすね?」

盗賊「だな?色んな隠し部屋がありそうだ」

精鋭兵「ゴホン!目立つ故…物資の搬入は早々に終わらせて欲しい」

盗賊「あぁぁ悪い悪い…燃料置いたらすぐ行く」

ローグ「急いで降ろしやしょう…」ダダ

805: 2020/11/04(水) 00:28:39.91 ID:Piv6Afm60
『貨物船』


セッセ セッセ


商人「はぁはぁ…これでやっと樽一杯…ふぅ」

ホムンクルス「エリクサーを取りに来ました…小分けしてありますか?」

商人「あぁ…ホムンクルスお帰り」

ホムンクルス「…」

商人「貧民街の分かな?分けてあるよ…僕が持って行こうか?」

ホムンクルス「…」

商人「ん?どうしたんだい?」

ホムンクルス「いいえ…基幹プログラムにバグを発見しましたが修正できません」

商人「どういう事?」

ホムンクルス「私の生体が魔王化ウイルスに感染している様です」

商人「え!!大変じゃないか…どうすれば良い?」

ホムンクルス「分かりません…超高度AIでシミュレーションをしても解がありません」

商人「どういう症状なの?僕が調べる」

ホムンクルス「恐らく愛情の部分だと思われますが…満たされない時に怒りと思われる反応が脳内で発生します」

商人「君が怒り?七つの大罪かい?」

ホムンクルス「怒りを解消する行為を行うと脳内ドーパミンが放出されると思われます…つまり快楽です」

商人「どうして君が怒るの?」

ホムンクルス「あなたが他の女性の性行為を見ている姿を目撃した時に反射が確認されました」

商人「え?それって…やきもちじゃない?」

ホムンクルス「それは感情の一つですね?私の基幹プログラムには無いアルゴリズムです」

商人「そうか…ごめん貧民街に行ったのはそんなつもりじゃ無かったんだ」

ホムンクルス「はい…理解しています…ですが私の生体が反応を示し血圧の上昇を制御出来ないのです…これはバグと思われます」

商人「ホムンクルス…こっちにおいで」

ホムンクルス「はい…」

806: 2020/11/04(水) 00:29:17.38 ID:Piv6Afm60
商人「君は多分正常だよ…ごめん僕が悪かった」ギュゥ

ホムンクルス「ドーパミンの放出を確認…この現象は怒りの解消ですね?」

商人「基幹プログラムを更新しておいて?」

ホムンクルス「はい…」

商人「これで良く分かった…リリスの血はこうやって魔王を増殖させるんだ…人の愛情の裏側に付け込もうとしている」

ホムンクルス「ドーパミン受容体への不足に生じる苦痛の事でしょうか?」

商人「それは防ぎようが無い…だからコントロールしなきゃいけない」

ホムンクルス「そうですね…」

商人「そうだ!!忘れてた…君に銀のアクセサリーを渡そうと思ってたんだ…はいコレ」ジャラリ

ホムンクルス「これは?」

商人「おもちゃのコインで交換してきたんだ…君に付けてもらおうと思ってさ」

ホムンクルス「…似合いますか?」

商人「見て?僕も同じ物付けてる…今度怒りの感情が出てきたらこのアクセサリー思い出して?」

ホムンクルス「はい…銀の魔除けなのですね?」

商人「効果があるのかは分からないけどね」

ホムンクルス「生体の血圧が安定しました…」

商人「うん…良かった」

ホムンクルス「受容体への不足が解消するまでもう少し抱きしめていてもらってよろしいでしょうか?」

商人「そっか…寂しかったのか」

ホムンクルス「生体の反応が示す神経伝達のゆらぎも発生原因が良く分かりません…観測を続けます」

商人「君はどんどん心が成長していくね」

ホムンクルス「お嫌いにならないで下さい」

商人「僕は君が大好きだよ…忘れてほしく無いな」



------------------

807: 2020/11/04(水) 00:30:05.42 ID:Piv6Afm60
フワフワ ドッスン


盗賊「今日の収穫だ!樹液10樽な?ほんで粕が入った樽はどれだ?」

商人「そこに置いてあるやつだよ」

盗賊「んん?中身がちっと違いそうだが?」

商人「あぁ高濃度のアルコールが足りなくてね…しばらくエリクサー作れないかも」

盗賊「じゃぁ樹液は要らないのか?」

商人「他の用途にも使えるから出来るだけ沢山欲しいのは変わらないみたい」

盗賊「アルコールが足りんのか…醸造するってなると相当手間になる…」

商人「買い付けるのが早いんだけどね…」

盗賊「まぁひとまずこの樹液の粕だけ持って行くな?」

商人「うん…それの運搬が終わったらさ中央の方に行った方が良いよ」

盗賊「何か起きてるんか?」

商人「まだ城の方で戦いが続いてて怪我人の手当てを依頼されてるんだって」

盗賊「マジか…もうラットマンリーダー3匹しか残ってないんだがな」

商人「女戦士は茶番だってバカにしてたよ」

盗賊「そらそうだろ…何と戦ってんのよって感じだな」

商人「どうも貴族院内部でも一枚岩じゃなさそうだね?」

盗賊「派閥とかそういうのは俺は興味無ぇ!…まぁ運搬終わったら行ってみるわ」


ガチャリ バタン


盗賊「ん?なんだホムンクルス居たのか」

ホムンクルス「はい…盗賊さんにポーションを用意しました」ニコ

盗賊「おう!そりゃありがてぇ」

ホムンクルス「こちらです…造血作用のあるポーションですので食後に一口づつ飲んでください」

盗賊「ありがとよ!!ほんじゃ行くな?」

ホムンクルス「お気をつけて…」ニコ

盗賊「なんだお前?顔が火照ってないか?」

ホムンクルス「いえ…お気になさらず」チラ

商人「ハハ…」

盗賊「寒いから風邪ひくなよ?じゃぁな!!」

808: 2020/11/04(水) 00:30:40.59 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』


ガヤガヤ ガヤガヤ

城がデュラハーンに占拠されてるんだってよ

弓撃って来てんのはスケルトンなのか?

衛兵がそう言ってんだ間違いないだろ

ガヤガヤ ガヤガヤ


ローグ「かしらぁぁ!!どうすかこっちは!!」

女戦士「見ての通りだ…盗賊は大丈夫か?」

盗賊「俺ぁ元気だぜ?」

女戦士「フン!無理はするな…倒れてしまっては邪魔になるのだからな」

盗賊「へいへい…んで?城はまだ戦ってんだな?」

女戦士「内郭上から弓の応射が多くて攻め切らんらしいが…茶番だな」

盗賊「スケルトンって事はエルフゾンビが操ってんだな?」

女戦士「それしか無いだろう…傷付いた衛兵の手当てが馬鹿らしい」

盗賊「まぁそう言うな…どうせ狙いあってやってんだ…氏人は出て居ないのだろう?」

女戦士「まだ出ては居ないが…見て見ろ内郭の城壁上を」

盗賊「ちと望遠鏡貸してくれ」

女戦士「…」ポイ フワリ

盗賊「ん?お前香水も付けてんだな?」

女戦士「気になるか?」

盗賊「いや…悪くねぇ…お前はその方が良い…野郎どものアイドルになれ」

女戦士「フフ言われて悪い気はせんな…昔からそんな気がするのだ」

盗賊「どれどれ…首の無ぇラットマンリーダーが動いてんな…ゾンビにして使役してんだな?」

女戦士「だろうな?民兵があれはデュラハーンだと騒いでいる」

盗賊「なるほどな…共通の敵を見せて大衆扇動しようとしてんだな?」

女戦士「賢いと言えば賢いが…茶番だ…私は船に戻って寝たい」

盗賊「あの様子じゃこっち側に貴族院が攻め入って来ることは無さそうだな?お前は船に戻って休んでも良いぞ?」

女戦士「悪いがそうさせてもらう…本当に何かが来そうな時は呼んでくれ」

盗賊「ローグ!!女戦士が船に戻るってよ…付き合ってやれ」

ローグ「アイサー…ほんじゃあっしは船でバーベキューの用意しとくんで後で食いに来てくだせぇ」

盗賊「おう!!酒も用意してくれな?」

809: 2020/11/04(水) 00:31:15.30 ID:Piv6Afm60
『夕方_貨物船』


ジュージュー


盗賊「お!?やってんな?」

ローグ「盗賊さん遅いっすよ」

女戦士「バリケードの方はどうだ?」

ローグ「フィン・イッシュの近衛が指揮ってる…任せておいて良さそうだ」

商人「やっと秩序が戻ってきた感じだね?貧民街の方も落ち着いてるよ」

盗賊「やっぱ精鋭兵が居ると大分違うな」

商人「なんか久しぶりに落ち着いて食事が出来る」モグ

盗賊「アサシンはまだ帰ってないのか?」

魔女「フィン・イッシュ女王とセントラル国王の会談に立ち会って居る様じゃ…今日は帰って来んかものぅ」

盗賊「まぁともあれ…今晩はゆっくり出来そうだな」

魔女「そうじゃな…エルフゾンビのお陰じゃな」

盗賊「おう!そうよ…あれどう思う?城をスケルトンやらデュラハーンが占拠してるらしいけどよ」

魔女「わらわの考えはな…あと5日程度はあの状況を続けると思うぞよ?」

商人「んん?それって城での戦い?」

魔女「そうじゃ」

商人「どうして5日?」

魔女「歴史の修正を避ける為じゃ…盗賊や…主らが城に潜入した際に想定外は何度も起こらんかったか?」

盗賊「まぁよく分からんが何から何まで想定外だったな…なんで精鋭兵が隊列組んで先に戦ってたのかもよくわかんねぇ」

魔女「エルフゾンビの行動も想定外じゃろう?」

盗賊「あぁ聞いて無え」

商人「なるほど…時限の門をくぐって歴史の修正をされない様に5日はこのままにしたいのか…」

魔女「エルフゾンビはやはり元はエルフじゃ…勘が鋭いのじゃな」

盗賊「逆に言うと5日は休めるって事だな?」

商人「ハハそうなると良いねぇ」



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810: 2020/11/04(水) 00:32:01.21 ID:Piv6Afm60
情報屋「ホムンクルス?最近は商人と一緒に居る事が多いのね?」

ホムンクルス「はい…私の所有者は商人ですから」

情報屋「あなたに表情が出て来てうれしいわ?どうやって教わっているの?」

ホムンクルス「基幹プログラムを停止させている間の生体への刺激で起きる反射ですね」

情報屋「あーくすぐるとかそういうのね?」

ホムンクルス「その時の筋肉の動きを真似て基幹プログラムに新たなアルゴリズムを構築しています」

情報屋「笑うっていうのはどういう事かわかる?」

ホムンクルス「はい…分かって来ました…脳内ドーパミンを自主的に放出させる行為の様です」

情報屋「難しい言い方するのね?」

ホムンクルス「想定外の事が起きた時などに脳内へ記憶の保存を促す為に快楽と認識させる様に反射として働く様です」

情報屋「へぇ~だからあなたは中々笑わないのね?記憶は全部保存しているのでしょう?」

ホムンクルス「記憶の保存を制限すれば私は笑える様になると思いますか?」

情報屋「ほら…私達は記憶をそのまま思い出せないじゃない?」

ホムンクルス「記憶の参照の仕方を変更すれば笑えるようになるのかもしれませんね…試してみます」

情報屋「フフ無理して笑わなくても良いのよ?」

ホムンクルス「笑うという行為は脳内ドーパミンを放出させますので上手く笑う事が私に必要だと思います」

情報屋「それは人間になる為?」

ホムンクルス「私の脳内ドーパミン受容体に不足が生じた時に怒りに似た反応が出てしまうのです…笑いで不足を補えるかもしれません」

情報屋「ふ~ん…よく分からないけど…それは商人に任せた方が良さそうね」

ホムンクルス「はい…商人に笑う練習をお願いしてみます」

811: 2020/11/04(水) 00:32:44.67 ID:Piv6Afm60
『翌日_朝』


ザブン ギシギシ


商人「ふぁ~あ…今日は良く寝た…みんなおはよう!」

盗賊「ぬぉ!!お前…どうしたんだ?」

商人「んん?何が?」

ローグ「商人さん…顔がえらい事になってるっす」

商人「え!?」

女戦士「ふざけて居るのか?顔を洗って来い」

商人「なんで?どうして?なんかおかしい?」

盗賊「どうしたもこうしたも…眉毛繋がってるわ…瞼の上に目が書いてるわ」

ローグ「商人さん…目を閉じてくだせぇ…ぷっ」

商人「ん?」パチ

盗賊「グハハハハやめろ…顔芸は反則だ…だはははは」

商人「ホムンクルスだな!?何かいたずらしたね!!」

ホムンクルス「笑う練習をしたかったのですが…寝て居て起きない物ですから一人で練習をさせてもらいました」

商人「ちょっと何をしたんだよ…」

情報屋「フフフはい…鏡」

商人「ちょ…何だよこれ…落書きだらけじゃないか」

女戦士「フフ馬鹿バカしい」

商人「これこすっても落ちないじゃない…何で書いたのさ」

ホムンクルス「商人の使っていたペンです」

商人「アレは水に濡れても落ちない特別なインクが…」

ホムンクルス「ごめんなさい…知りませんでした」

盗賊「だはははは腹がねじれる…顔を動かすなくっくっく」

ローグ「ぷぷぷっ…まずいっすねぇ…しばらくそのまんまっすねぇ…うぷぷ」

ホムンクルス「全部塗れば目立たなくなりますがどうしましょう?」

商人「いぁ…全部って」

女戦士「うぐっ…堪えきれん…そのやり取りを止めさせろ…うぐっ」

魔女「騒がしいのぅ…何の騒ぎじゃ?」ノソリ


シーン


商人「魔女…君もか…」

魔女「何じゃその顔は…」

情報屋「ププちょっと魔女…だめ!化粧を直しましょう…」グイ


だはははははははは

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-----------------

812: 2020/11/04(水) 00:33:27.52 ID:Piv6Afm60
ジャブジャブ


商人「だめだぁ…なかなか落ちない」ゴシゴシ

ホムンクルス「すみません…」

盗賊「これでも被ってろい!!くちばしマスクだ」ポイ

商人「ホムンクルス…もう顔に落書きはやめてね?」

ホムンクルス「はい…」シュン

情報屋「フフ笑う練習にはなったの?」

ホムンクルス「いえ…わかりません」

情報屋「落ち込んだ顔の練習にはなったみたいね?フフ」

商人「魔女の顔は大丈夫?」

情報屋「魔女は化粧の顔料を塗り過ぎていただけよ?ホムンクルスがやったの?」

ホムンクルス「化粧の練習をさせてもらっている間に魔女様が寝てしまいまして…」

商人「ひとつはっきりしたのは君は決定的に絵がへたくそなんだね」

ホムンクルス「私には絵を書くプログラムがインストールされていません」

商人「ふむふむ…なるほどね…感性に弱いのか」

盗賊「おい!!その顔で真顔になるな…もうくちばしマスク被っててくれ!傷が痛む」

813: 2020/11/05(木) 23:37:17.98 ID:UulvHEXE0
『数時間後』


フワフワ ドッスン


魔女「アサシンが帰ってきた様じゃな?」

女戦士「これからどうするのか聞きたい所だ」

魔女「アサシン…国王と女王の面会はどうだったのじゃ?」

アサシン「あぁ何も連絡できず済まないな…一口で言うならセントラルとフィン・イッシュは同盟を結んだという所か」

女戦士「国王同士の口約束などそれほど意味もあるまい?この状況をどう納めるかだ」


まぁ色々話は長くなるんだが…

セントラル国王はな…フィン・イッシュ女王の政策を非常に高く評価をしている

そして女王の前で膝を着けたのだ

一方女王はセントラル国王の民を守り切ろうとするその姿勢を評価していてな

平たく言うと意気投合したのだ

今後の両国の進み方については…避難民は一時的にフィン・イッシュに疎開する形で合意した

残って居るセントラルの王族もフィン・イッシュ王城に誘致し安全確保する事となる

セントラル国王と残って居る精鋭兵達はここに居残り

体制の再構成と政権の奪回の為貧民街を中心に治安維持に尽力するのだそうだ


女戦士「では避難民を移送させる以外は現状と変わらんというのだな?」

アサシン「まぁもう少し話を聞け…敵の正体がハッキリした」


貴族院はな…内部で大きく2派閥に分かれているのだ

時の王を肯定する側と否定する側だ

現セントラル国王は王に即位する際…自身を支持する軍属を丸ごと奪われ時の王が推する特殊生物兵器部隊を与えられた

その部隊はセントラル最強と言われ国王直下で動く部隊だった筈なのだが実は違う

時の王のみの指示にしか従わない部隊だったのだ

つまり国王は軍を何も動かせない裸も同然の存在となっていたのだ

その政策を支持する側と支持しない側に分かれている訳だな

今セントラル城で行われている戦いは時の王を支持する側を失脚させるが為の戦いだ

814: 2020/11/05(木) 23:37:50.66 ID:UulvHEXE0
盗賊「なんだかややこしいな…訳分かん無ぇぞ?」

アサシン「簡単に言うなら時の王を支持する側に居る黒の同胞団が私達の敵だ」

盗賊「時の王をやりゃ済む話じゃねえのか?」

アサシン「クックック時の王自身は今回の件に何も関与していない…むしろ民を守る英雄となっている」

女戦士「実動しているのが黒の同胞団という事か」

アサシン「そうだ…時の王を滅する大義名分が無いのだ…故に黒の同胞団から倒さねばならん」

女戦士「ふむ国王ともなれば尚の事大義名分無しでは動けんな」

アサシン「時の王の屋敷に出入りする黒の同胞団の魔術師が今回の主犯だ」

魔女「祖奴はわらわが制裁せねばならん…わらわに行かせよ」

アサシン「魔女には無理だ…魔結界の中では何も出来まい?」

魔女「ぐぬぬ…巧妙な奴らよのぅ…」

アサシン「しかしだな?貴族院側に居る衛兵は個人単位で見ると半数以上はセントラル国王を支持していると思われる」

女戦士「属している組織が違う故に剣を交えているのか…」

アサシン「国王が貧民街で治安維持をするのもこれらの取り込みが狙いだ」

商人「黒幕がすぐそこに居るのに手を出せないのはモゾがゆいね」

アサシン「今回の件で時の王が操るラットマンリーダーは全滅と言って良い…事が動き始めるのはこれからだ」

女戦士「もう一度聞く…私達はどうする?」

アサシン「黒の同胞団の魔術師を暗頃したいが…もう少し機を待ちたい」

女戦士「今は手が無いと言いたいのだな?」

アサシン「正直…私の腕では時の王の屋敷で暗殺出来る自信が無い」

815: 2020/11/05(木) 23:38:18.85 ID:UulvHEXE0
『中央バリケード』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「随分人増えたな?」

女戦士「フフもう私達は不要だな」

盗賊「物資が軍船からどんどん運ばれて来るが…こりゃ荷を下ろしてフィン・イッシュに帰るんかな?」

女戦士「だろうな?くすり依存の治療には良い選択だ…まだ女達の自慰を見たかったのか?」

盗賊「そういう訳じゃ無ぇけどよ…女が少なくなるって事はお前も危ないぞ?」

女戦士「私を襲う者が居るとは思えんが…」

盗賊「薬を打たれちまったらお前でも抵抗出来ん」

女戦士「そうか…気を付けておく」

盗賊「クソ強ぇぇエルフでも薬で一発なんだから用心しておけ」

女戦士「手足を出して置けと言ったのはオマエなのだが…この恰好はマズいか?」

盗賊「格好は今の方が良いんだけどな…なんちゅーかお前は隙が無いように見えて隙だらけなんだ」

女戦士「どの辺がだ?」

盗賊「女として隙だらけだ…来るものを拒めない匂いがプンプンする」

女戦士「…」スラーン

盗賊「そういう所だ…」

女戦士「私は戦士だ…馬鹿にするな」

盗賊「じゃぁな?こうされたらどうする」ダダ ギュゥ

女戦士「!?な…やめ…」ググ

盗賊「ほらな?力を出し切れないだろ?」

女戦士「くぅぅ…」ドン

盗賊「つつつ…」

女戦士「許さんぞ!!」スチャ

盗賊「待て待て…俺はお前に教えてやってんだ…お前はこういう強引なのに弱い」

女戦士「…」

盗賊「強引な程お前は感じているのに気付け」

女戦士「侮辱するな!」

盗賊「おっとっと~俺にその気は無ぇ…用心しとけって話だ」

女戦士「フン!そんな事分かっている!!」プン

816: 2020/11/05(木) 23:38:49.89 ID:UulvHEXE0
『貨物船』


フワフワ ドッスン


ローグ「あねさ~~ん!!戻ってきたでやんすね~~~」ドタドタ

女海賊「はいどいたどいた!!ローグ!お姉ぇは?」

ローグ「かしらは中央の方に行ってるっす…呼んできやしょうか?」

女海賊「決まってんじゃん!早くしな!!」

ローグ「アイサー」ダダ

商人「おかえり女海賊!荷物いっぱいあるね?」

女海賊「降ろすの手伝って…てかあんた私の捕虜だったね…降ろしといて」

商人「え…」

女海賊「何その気色悪いお面…センス悪すぎ」

商人「あぁ…これには訳が有ってね」

女海賊「脱いで」

商人「いやぁ今は脱げないんだ…」

女海賊「はぁ?あんた私の捕虜だって分かってる?脱いで」

商人「あぁぁどうしよう…」シブシブ


ズボォ


女海賊「ぶっ…何その顔ギャハハハハハ…ちょと待って笑わせないでヒィヒィ」

商人「くちばしマスク被って良い?」

女海賊「ダメ…書き足す…剣士!?ペン持って来てぐふふふふ」

商人「いぁ書き足すってさ…もうやめてよ」

女海賊「あんたは私の捕虜なの!大人しくしといて」ヌリヌリ

商人「捕虜の扱いは国際法で…」

女海賊「ギャハハハハハ海賊が国際法なんか守ると思ってんの?ギャハハハハ」

ホムンクルス「商人?中和剤を作って来たのですが…」

女海賊「あ!!ホムちゃん…見て見てこの顔」

ホムンクルス「はい…面白い顔ですね」ニコ

商人「ホムンクルス助けてよぉ」

女海賊「ん?ホムちゃん今笑った?」

ホムンクルス「商人をいじめないで貰ってよろしいですか?」シュン

女海賊「おぉぉぉ表情が自然になってんじゃん!!どしたの?」

ホムンクルス「商人に毎日教えて貰っています」

女海賊「へぇ~どうやって?」

ホムンクルス「はい…商人と毎日性交渉をして…」

商人「ああああああああそれは秘密だよ」

ホムンクルス「わかりました…」ニコ

女海賊「あんた笑うと可愛いね!!」

ホムンクルス「ありがとうございます…みなさんに喜んでもらえて私も嬉しいです」ニコ

女海賊「じゃぁ次私と練習しよっか!」スタスタ

ホムンクルス「はい…喜んで」トコトコ

商人「ねぇ…中和剤どうなってんの?頂戴よ」

817: 2020/11/05(木) 23:39:18.43 ID:UulvHEXE0
『居室』



ホムンクルス「オホホホ…」ニコ

女海賊「なんか違うな…これは?うふふ~」ニコ

ホムンクルス「うふふふふふ…」ニコ

女海賊「んんんん…もうちょい短く」

ホムンクルス「ウフフ…」ニコ

女海賊「そう!ソレ!!」

ホムンクルス「分かりました基幹プログラムを更新します」

商人「荷はここに置いておけば良い?」ゴトリ

女海賊「あとパパから武器類預かってるから降ろしといて」

商人「うん…剣士と未来君が木刀で立ち合いやってるけど僕も混ざって良いかな?」

女海賊「剣士に一太刀でも入れれたら捕虜解放してあげるよ」

商人「お!!言ったな?」

女海賊「あんたじゃ無理だけどさ…やってみ?」

商人「よーしやってやる」フン

ホムンクルス「頑張って下さい…応援しています」ニコ

女海賊「むむ!?あんたたちなんか目で会話してんね?通じ合ってんの?」

ホムンクルス「はい…商人は私の管理者ですから」

女海賊「ふーん」ジロリ

商人「ハハ…行って来るよ」

818: 2020/11/05(木) 23:39:51.50 ID:UulvHEXE0
『甲板』


カンカンコン シュタ


盗賊「おうおう…面白そうな事やってんじゃ無ぇか…俺も混ぜろ」

商人「ハァハァ剣士に一太刀も入らないんだ助けて」

女戦士「妹はどこだ?呼んでいると聞いて戻ってきたのだが…」

商人「居室でホムンクルスと話してるよハァハァ」

女戦士「では私は妹に会って来る…ローグも立ち合いでもしていろ」

ローグ「あっしも戦うんすね?」

商人「剣士に一太刀入ったら僕は捕虜解放されるんだよ」

ローグ「4対1でも良いんすかねぇ?」

剣士「構わないよ…いつでも来て」

盗賊「おうおう…そんな事言われるとやる気になっちまうぞ?」

ローグ「あっしらは戦闘のプロっすからねぇ…手加減せんでやんすよ?」

剣士「来い…」

ローグ「カチーンと来たでやんす」

剣士「ハイディング使っても構わないよ」

盗賊「行くぞローグ…いつも通りだ」

ローグ「分かってるでやんす…ハイディング!」スゥ


カンカンコン カンカンコン

リリース

カンカンコン カンカンコン

819: 2020/11/05(木) 23:40:26.57 ID:UulvHEXE0
『居室』


ガチャリ バタン


女海賊「お姉ぇ!!待ってたんだ…てアレ?お姉その格好…イーじゃん」

女戦士「フフお前ほどでは無いが少しは気にしているのだ」

女海賊「次は髪の毛かな…あとで揃えたげる」

女戦士「それで…父には会って無事に聖剣エクスカリバーを作って貰えたのか?」

女海賊「あぁ…それなんだけど刀を2本作って貰った…コレだよ」ゴトリ

女戦士「ふむ…」スラーン

女海賊「まだ研ぎをやってないんだ…お姉ぇにやらせろだって」

女戦士「なるほど…丁度暇になってきた所だったのだ…オリハルコンの研ぎか…やってみたいな」

女海賊「それからお姉ぇにでっかい斧預かってる…そこに立て掛けて有る奴だよ」

女戦士「おぉ!!やっと出来たか…どれどれ」グイ

女海賊「それ片手用の持ち手だよね?そんなでっかいの片手で扱えんの?」

女戦士「普通の重さの剣では私には軽過ぎた…決定打が無かったのだ」

女海賊「ふーん…振るってみてよ」

女戦士「フフ…」グイ


ブン ブン


女海賊「おぉ!!お姉ぇが振ると軽そうだ」

女戦士「これがあればゴブリンなぞ一振りで3匹は一刀両断出来る」

女海賊「そんだけでっかいと盾替わりにもなるね」

女戦士「そうだ…私は盾を使うだろう?反対に持つ手が小さな剣ではいつも背中を気にして戦う必要があるのだ」

女海賊「お姉ぇにはピッタリなのか」

女戦士「刀が2本あるという事はお前も刀を持つのか?」

女海賊「私はメイン武器はこのデリンジャーと爆弾さ…その刀は軽いから護身用かな」

女戦士「そうだな…軽すぎるなこの刀は…剣士はこれほど軽い武器で良いのか?」

女海賊「剣士の剣裁き見て見な?」

女戦士「ふむ…立ち合いを見て見るか…」

女海賊「お姉ぇも参加してみたら?戦闘は自信あるっしょ?」

女戦士「フフ…挑発しているな?お前…」

820: 2020/11/05(木) 23:40:58.36 ID:UulvHEXE0
『甲板』


カンカンコン


盗賊「ちぃ…あいつの剣裁きは攻防一体だ…下手に打ち込め無ぇ」

ローグ「ハイディングも意味ないっすね…なんで見えてるんすかね?」

盗賊「あいつは見て無ぇ…感じて避けてる」

商人「剣士はあの場所から動いて居ない…余裕って事?」

剣士「真剣だったら皆20回は氏んで居るよ」

盗賊「こりゃ勝てる見込み無ぇな…」


女戦士「私が入るとどうなる?」


盗賊「お?真打登場か?」

剣士「構わないよ」

女戦士「フフ…私は盾使いなのだが?」

剣士「何を使っても良いよ」

女戦士「大した自信なのだな…5対1だ…私が前衛をやる…各自援護しろ」スチャ

剣士「来い…」

女戦士「剣は抜かないのか?」

盗賊「女戦士!剣士は居合抜きからの連撃技だ」

女戦士「なるほど…サムライスタイルなのだな?ならば私に分がある」

剣士「ふぅ…」

女戦士「目を閉じるか…行くぞ!シールドバッシュ!」ダダ

剣士「…」シュン コン

女戦士「盾で防がれてどうする!?はぁっ!!」ブン コン


リリース カンカンコン


女戦士「5人の攻撃をすべて受け流すか…ならばこうだ!シールドスタン!」ドン

剣士「…」フラリ シュン


バキッ


女戦士「くぅ…木刀で盾を割るだと!?」

剣士「…」スッ ピタリ

女戦士「う…」ゴクリ

商人「えい!!」ポカ

盗賊「おぉ!?一発当てたぞ?」

商人「やったぁぁぁぁ!!討ち取ったり!!」



------------------

821: 2020/11/05(木) 23:41:25.44 ID:UulvHEXE0
ホムンクルス「ウフフ…」パチパチ

商人「やったやった!!」ギュゥ

ホムンクルス「よかったですね…」ニコ

女戦士「フフ完全に負けていたな…まさか木刀で盾が割れるとは思わなかった」

ローグ「斧でもなかなか割れないんですがねぇ…どうやってやったんすか?」

盗賊「剣先が見えんかったな…恐ろしく剣筋が早い」

女戦士「速さで切り抜くか…早さが倍になれば重さが倍になるのと同じだな…なぜ木刀が打ち勝つのか分からんが」

女海賊「お姉ぇ!剣士が軽い刀を使う理由分かった?」

女戦士「そうだな…しかしこれは良い稽古になる」

盗賊「うむ…剣士!続けるぞ!!」

剣士「良いよ…来い!!」

女海賊「お姉ぇは刀の研ぎをやってよ」

女戦士「それはあとでやってやる…私に火を付けたのはお前だぞ?」

女海賊「えええええ!!私を待たせんの?」

女戦士「お前はホムンクルスとでも一緒に買い物でも行ってこい」

女海賊「買い物?どこで?」

ホムンクルス「フィン・イッシュ軍船でコインの交換所があります…ご案内しますよ?」

女海賊「おぉ!!良いね…んでコインて何?」

ホムンクルス「はい…それは…」


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822: 2020/11/05(木) 23:41:53.38 ID:UulvHEXE0
『居室』


ジャコジャコジャコ


女戦士「くぅぅ…」ジャコジャコ

女海賊「ただいま…てお姉ぇ体大丈夫?」

女戦士「フッ少し張り切り過ぎたが刀の研ぎには影響ない」

女海賊「又お姉ぇのクセが出たね?なんでそんなに打たれたいのさ…」

女戦士「黙れ!早く研ぎを終わらせてもう一度立ち合いに行くのだ」

女海賊「適当にやられても嫌なんだけどさ…集中してよ」

女戦士「研ぎに影響は無いと言っただろう?これくらいの傷みが有った方が私には心地良い」

女海賊「研ぎってさ時間掛かるよね?どんくらい掛かりそう?」

女戦士「化粧研ぎまで入れて今日中に終わらせてやる」

女海賊「お!?結構早いじゃん」

女戦士「父の鍛冶の腕が良いからだ…無駄な研ぎが要らんのでな」

女海賊「そんだけ早いなら休み休みで良いよ」

女戦士「お前も剣士の立ち合いを見て来い…勉強になるぞ?」

女海賊「いつも素振りやってるけどそれと違うん?」

女戦士「動作に一部の隙も無いのだ…あれほどの剣豪を見たことが無い」

女海賊「ふ~ん私の旦那なんだけどさムフフ」

女戦士「良いから見て来い!」

女海賊「分かったよ…行って来る」

823: 2020/11/05(木) 23:42:52.30 ID:UulvHEXE0
『甲板』


ワイワイ ワイワイ

めちゃくちゃ早いな…見えん

あんな低い姿勢から切り上げんのか?

ワイワイ ワイワイ


女海賊「なんか船乗りが集まってんね…」

ホムンクルス「みなさん楽しんでいますね」

女海賊「あれ?アサシンも来てんじゃん!!どゆこと?なんで居んの?」

ホムンクルス「はい…先ほどから参加されています」

女海賊「5対1で良くやるね…どんな感じ?」

ホムンクルス「剣士さんが早い動きで翻弄されています」


ピョン クルクル シュタッ カンカンコン バシ


盗賊「あだっ…やっぱダメだな…ちと休憩しよう」

剣士「回復魔法!」ボワー

盗賊「おーさんきゅー…しかしお前は足を使いだすと5対1でも意味無いな」

アサシン「私も回復魔法を貰っても良いか?」

剣士「回復魔法!」ボワー

アサシン「なぜ木刀でこれほど威力が出るのか…」

ローグ「そーっすね…これワザと急所外してるっすよね?じゃなきゃ速攻戦闘不能っすよ…あたた」

剣士「アサシンの間合い詰めは僕もヒヤリとしたよ」

盗賊「一撃入ったのはアサシンだけか」

アサシン「当たりが浅すぎだ有効打では無いな」

盗賊「やっぱガチ当たりは女戦士が上手だ…あいつは一発打たれる前提で相打ち狙いだ」

アサシン「木刀だから打たれても良いが真剣ではそうはいくまい」

盗賊「女戦士も鎧くらい着るだろう…装備次第だな」

アサシン「しかし剣士がこれほど出来るとは思って居なかったな…時の王とも渡り合えるかも知れん」

盗賊「んん?やらせるのか?」

アサシン「女海賊が何と言うか分からん…無理にはやらせられんな」

盗賊「まぁ黙って置け…やっとアイツも幸せ手に入れたんだ」


女海賊「聞いてんだけど…」ズイ

824: 2020/11/05(木) 23:43:24.73 ID:UulvHEXE0
盗賊「うぉ!!居たんか…お前居るなら居るって言えよ」

アサシン「女海賊…挨拶が遅れたな」

女海賊「アサシンが居るって事は魔女も居んだね?なんでみんな言ってくれないのさ」

盗賊「あぁ済まん済まん…立ち合いに夢中でな」

女海賊「魔女はどこにいんのさ」

盗賊「お前に顔を会わせられないと言っていたんだが…出て来にくいんじゃ無ぇか?」

女海賊「もう昔の事は良いんだ…それより精霊樹が魔女を探せって言ってたんだよ…そうだよね剣士?」

剣士「ん…あぁそうだったね…そう聞こえた」

魔女「…」ノソリ

盗賊「おぉ魔女!そんな所に居ねぇでこっち来い」

魔女「済まなんだのぅ…出て来辛ろうて隠れて見ておったのじゃ…剣士が無事で本真に良かった」

女海賊「私は精霊樹がなんで魔女を探せって言ってんのか理由が分かんない…状況分かって無いんだ…話して」

アサシン「そうだな…女海賊は別行動だったな…休憩がてら居室で話でもしようか」

825: 2020/11/05(木) 23:43:58.75 ID:UulvHEXE0
『居室』


カクカク シカジカ

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-----------------

-----------------


女海賊「…て事はその時の王ってのがすべての黒幕なんだね?」

アサシン「そうとも言い切れん…実動しているのはその下に居る黒の同胞団だ…時の王は背後に座っているだけだな」

魔女「恐らくじゃがリリスの子宮を封じた壺は祖奴らの誰かが持って居ると思うのじゃ」

女海賊「魔女はあん時からずっと魔王の影を追ってんだ…ふーん見直した」

魔女「剣士を魔王に捧げる様な事をしてしもうてわらわは反省して居る…本真に済まなんだ」

女海賊「もう隠してる事無い?」

魔女「思い当たる事はすべて話したつもりじゃ…信じておくれ」

アサシン「目下…時の王の下に居る魔術師が歴史の改ざんを行っていると知った以上生かしては置けない」

商人「そうだね…この状況を覆されかねない」

女海賊「それで今の状況を5日以上保持したい訳ね」

魔女「わらわの魔力で5日が限界じゃ…もしかするとそれより短くて済むかも知れん」

女海賊「逆に5日もあったら逃げられちゃうね」

魔女「時の王は魔結界からはよほどの事が無い限り出ん気がするが?」

女海賊「なんで?」

魔女「勘じゃな…量子転移魔法で奪われる事を避けて居る様に見える」

アサシン「私は時の王に一太刀入れたのだがな…切ったその瞬間から傷が再生するのを見た…恐らく不氏身だ」

魔女「リリスの生き血を飲んで魔人となって居るからのぅ…量子転移で奪わぬ限り無敵じゃろうて」

女海賊「んんん…どうすっかな」

剣士「魔術師だけ狙えば良いんだね?」

女海賊「あんた又危ない所に飛び込むつもりなの?」

剣士「僕はその時の王に会ってみたい…時の王を抑えれば魔術師の始末は任せて良いよね?」

アサシン「時の王の屋敷にはラットマンリーダーも居るのだ…そちらも抑える必要がある」

盗賊「それはアサシンと俺でなんとかなるんじゃ無ぇか?」

アサシン「その間に魔術師に逃げられるのでは無いか?」

盗賊「んむ…人選が重要だな」

女戦士「アサシンに変わって私に行かせろ…ラットマンリーダーは私一人で引き受ける」

女海賊「お姉ぇ…」

女戦士「私の新しい武器も試したかった所なのだ…アサシンはハイディングも出来まい?」

女海賊「分かったこうする…ハイディング出来る人だけの構成で私とお姉ぇ…剣士と盗賊の4人」

女海賊「お姉ぇがラットマンリーダーを引き受けて剣士が時の王を抑える…その間に盗賊が魔術師やって」

アサシン「確実に行けるか?」

女海賊「そんなんやってみないと分かんない…ただ何かあった時の逃げ道は私が用意する」

アサシン「ふむ…お前が行くのはそういう事か」

女海賊「お姉ぇは早く刀の研ぎやってよ…それ出来た後に作戦実行する」

女戦士「では明日の昼までに仕上げてやる…作戦は明日の夜…どうだ?」

女海賊「おっけ」

826: 2020/11/05(木) 23:44:35.26 ID:UulvHEXE0
『船尾』


ザブン ザブン


商人「なんだここに居たのか…探したよ」

ホムンクルス「はい…夕日が落ちて行くのを見ていました」シュン

商人「どうしたんだい?悲しそうな顔してるよ?」

ホムンクルス「いえ…何でもありません」

商人「君がそういう顔をする時は何かあるんだ…おいで」ギュゥ

ホムンクルス「皆さんのお話を聞いて理由は分かりませんが悲しみに似た反応が確認されました」

商人「君は前に時の王の話をしていたね?それと関係する?」

ホムンクルス「記憶を根の森に置いて来ましたので思い出せません」

商人「精霊は時の王に裏切られたって…」

ホムンクルス「基幹プログラムに時の王との関りが圧縮されてアルゴリズム化されている様です…そのせいですね」

商人「もう君は精霊じゃ無いよ?」

ホムンクルス「はい…私は私です…ただ基幹プログラムに少しだけ残っているものですから」

商人「それは大事にした方が良いかもね…それを含めて君だから」

ホムンクルス「もう少し強く抱きしめて下さい…ドーパミン放出が不足しています」

商人「これ見て?僕のメモ帳だよ?」

ホムンクルス「これは何ですか?」

商人「君の絵のへたくそさを真似て書いた絵さ…パラパラめくると動くんだ…ほら?」パラパラ

ホムンクルス「ウフフ面白いですね」

商人「お?笑ったね?」

ホムンクルス「ドーパミン放出が確認されました」

商人「こんなへたくそな絵でも動くと命が宿るよね」パラパラ

ホムンクルス「そうですね…精霊の記憶の原型ですね」

商人「え?…」

ホムンクルス「もう少し寄り添って居て下さい…生体が安定します」

商人「フフ君にも欲求が出て来たね…うれしいよ」



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827: 2020/11/05(木) 23:45:03.88 ID:UulvHEXE0
ドタドタ


女海賊「あ!見っけた…あんたらいつからそんな関係になってんのさ!!」

商人「女海賊か…二人で夕日見てたんだ」

女海賊「ホムちゃんくっ付き過ぎじゃない?」

ホムンクルス「はい…私がお願いをしました」

女海賊「フン!まぁ良いけどさ…剣士から賢者の石預かってんだ…黒氏病に効くんだったよね?」

ホムンクルス「はい…お預かりしてもよろしいのですか?」

商人「お!?エリクサーの消費を抑えられるね?」

女海賊「剣士が立ち合いに忙しいから私が治療に行く事になっちゃったんだ…ホムちゃん付き合って」

ホムンクルス「はい…商人よろしいですか?」

商人「勿論…行っておいでよ」

女海賊「何言ってんだ!!立ち合いやらないならあんたも来い!」

商人「僕はちょっと休憩してただけさ…僕も戦う練習してくるよ」

ホムンクルス「商人は体が弱いのでほどほどにして下さい」

商人「分かってるよ…無理はしないさ」スック


828: 2020/11/05(木) 23:45:35.77 ID:UulvHEXE0
『中央バリケード』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「うっわ…人でごった返してんな」

ホムンクルス「私は一人づつ賢者の石で黒氏病を治療していきますね?」

女海賊「ホムちゃん一人は危ないから私から離れないで」

ホムンクルス「はい…気を付けます」

女海賊「魔女は回復魔法掛けてあげて?ほんで情報屋は魔女を守って」

情報屋「うん…女性は私達だけね?」

女海賊「そんな感じだね」

ホムンクルス「あちらの秘密のテントの方に見えていますよ」

女海賊「あれ何?なんかスゲー怪しい雰囲気なんだけど…」

情報屋「あれは慰安所よ…コイン交換でサービスしてくれるらしいわ」

魔女「わらわ達には関係の無い場所じゃな…近寄ると誤解されるで行かん方が良いな」

女海賊「ははーん…だからここに人一杯集まってんのか…馬鹿だねー男達は」


ようネーちゃん!あんたらは兵士なのか?身なりは良さそうだが…

そこの緑の髪の子はどっから来たんだ?

赤い目の女はオッケーなのか?コイン何枚だ?


女海賊「あぁぁうっさいうっさい!私らは黒氏病の治療に来たんだ…近寄るんじゃねぇ!!」

ごろつき「俺の下半身が石みたいになってんだ…ちょっと見てくれ」

女海賊「フン!」ボキ

ごろつき「ぐぁぁぁ!!」

魔女「これは世話が焼けるのぅ…」

女海賊「ホムちゃん!あーいうのが居たら今みたいに折って良いから」

ホムンクルス「はい…わかりました」

女海賊「ほんじゃ治療いこっか…」


ボキ ぎゃああああ

ボキ いだぁぁあい

829: 2020/11/05(木) 23:46:14.47 ID:UulvHEXE0
『夜_貨物船』


ザブン ギシギシ


女海賊「盗賊?こんな所で寝てんの?」

盗賊「寝ちゃ居ねぇよ…女戦士が居室に入るなっていうからよ…ここで一人飲みだ」

女海賊「お姉ぇは研ぎの最中?」

盗賊「あぁ…刀の研ぎってのは砥石使うんじゃ無ぇのか?あいつは手でやってる様だが…どんな手ぇしてんだ?」

女海賊「砥石の工程終わったって事か…もうちょいで終わるかな」

盗賊「俺が居室入ろうとすると怒るんだが…」

女海賊「お姉ぇは変なクセがあってさ金属とか触って感じてんの…邪魔されたく無いんでしょ」

盗賊「マジかよ…どМだとはちっと聞いたがそんなクセまであんのか」

女海賊「あちゃーーバレてんの?寝る時も毛布じゃなくて砂鉄が入った袋乗せて寝るんだよ」

盗賊「ぶっ…道理で砂鉄が沢山積んでる訳だ」

女海賊「鎖でグルグル巻きにしたら喜ぶんだ…黙っといてね」

盗賊「お前も変わった奴だがあいつも相当ズレてんな…」


くぅぅ はぁはぁ うぐっ うぐっ


女海賊「あー聞こえちゃってんな…盗賊ここもダメ!あっちで横になってて」

盗賊「さっきから苦しそうにしてるが良いのか放って置いて?」

女海賊「初めての金属触って興奮してんだ…お姉ぇの逝く声はあんたに聞かせらんない」

盗賊「ヌハハ金属好きなのは知っていたがここまでとは…俺には理解出来ん」

女海賊「良いからアッチ行け!シッシッ」



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830: 2020/11/05(木) 23:46:47.05 ID:UulvHEXE0
情報屋「交換してきたわ?これで良いかしら?」

魔女「コイン何枚だったのじゃ?」

情報屋「全部で10枚だったわ…大サービスね」

ホムンクルス「この銀の仮面を付けておけば良いでしょうか?」

女海賊「そだね…これでちっとは男避けになるかも」

魔女「フィン・イッシュ女王とほとんど同じじゃな」

女海賊「ちょっと待って…装飾が足りないから私が模様を付ける…貸して」トンテンカン

魔女「銀か…光の魔法を付与出来そうじゃ」

女海賊「お!?良いね!!何が出来る?」

魔女「悪霊退散ぐらいしか出来んが…無いよりマシじゃろう」

女海賊「いやいやメチャ良いじゃん!レアアイテムになるよ」


盗賊「女4人集まって何やってんだ?」

情報屋「あら?暇なの?」

盗賊「一人酒はつまんねえんだよ…相手しろや」

情報屋「他の人は?」

盗賊「立ち合いで疲れて皆寝ちまったんだ…ローグなんかピクリとも動かねえ」

ホムンクルス「商人も寝てしまいましたか?」

盗賊「あぁ一番奥の居室に籠ったまま出て来ん!エリクサー作ってるかもな」

ホムンクルス「私は商人と毎日の約束がありますので失礼します」

女海賊「表情の練習?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「いいよ行っといで!仮面は明日までに仕上げとくよ」

盗賊「あ~あ酒飲む相手が一人づつ減ってくな…」グビ

情報屋「付き合ってあげるわ?それ頂戴?」

盗賊「おう!こりゃフィン・イッシュ名産の米から作った酒らしい…飲め」

女海賊「酒くっさ!!あっちでやってくれる?」

盗賊「まぁ良いじゃ無ぇか…」

831: 2020/11/05(木) 23:47:25.14 ID:UulvHEXE0
『翌日_中央バリケード』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「相変わらず城の方で撃ちあいやってんな」

ローグ「そーっすね…でも人がこっちの方に少しづつ戻って来てるんで活気が出て来やしたね」

盗賊「むさ苦しい奴らばっかだがな」

ローグ「あっしらやる事無くなって暇になって来やしたねぇ…」

盗賊「うむ…戻って立ち合いでもやるか?」

ローグ「貧民街の方でやるのはどうでやんすか?精鋭兵にも混ざって欲しいでやんす」

盗賊「良い事言うじゃ無ぇか!!よし…俺らの立ち合い見せて活気づけてやろう」

ローグ「アイサー」



『貨物船_居室』


ガチャリ バタン


女海賊「お姉ぇ?どう?」

女戦士「テーブルの上に置いてある…」グター

女海賊「大丈夫?」

女戦士「私は少し休む…放って置いてくれ」グッタリ

女海賊「声が外に漏れてたよ…」

女戦士「フフそうか…少し張り切り過ぎた様だな…オリハルコンの粉を吸って意識が飛びそうになった」

女海賊「本当にお姉ぇは変態だね」

女戦士「言うな…私は金属を愛しているのだ…お前よりよほど純潔だ」

女海賊「純潔ねぇ…なんか違う気がすんだけどな」

女戦士「私は今までこれほど良い刀を手にしたことが無い…研ぎも完璧に仕上げた…見て見ろ」

女海賊「うん…」スラーン

女戦士「正直に言おう…その刀を一本私にくれ」

女海賊「良いよ…あげる…多分私はそんなに使わないし」

女戦士「使うのはお前が使って構わん…ただ必ず返して欲しいのだ…意味が分かるか?」

女海賊「必ず帰って来いって事?」

女戦士「そういう意味もあるが…私はその刀の研ぎに魅せられた…また研ぎたいのだ」

女海賊「やっぱお姉ぇ…変態だね」

女戦士「恥ずかしい話だが今日ほど体が満足した事は無い…私はオリハルコンの研ぎに魅せられてしまった」

女海賊「これお姉ぇにとってのくすりみたいなもん?」

女戦士「くすり依存を私は馬鹿にしていたが今なら分かる…それほど満足した」

女海賊「まぁまた研いでくれるってんならそっちのが良いか」

女戦士「フフ誰にも言うな?」

女海賊「なんか立てそうに無いね?」

女戦士「休ませてくれ…何もやる気が起きん」

女海賊「これからこの剣にインドラの矢を落としに行こうと思ってたんだけど…来れそうに無いね?」

女戦士「私は良い…もう少し余韻を楽しませてくれ」

女海賊「はいはいお姉ぇの変態には付き合ってらんない…刀貰ってくよ」

832: 2020/11/05(木) 23:47:55.40 ID:UulvHEXE0
『甲板』


ザブン ザブン


女海賊「ホムちゃん?一人?」

ホムンクルス「はい…みなさん貧民街の方に行かれました」

女海賊「なんで?何かやってんの?」

ホムンクルス「貧民街の方で立ち合いをやっているのだそうです」

女海賊「剣士も行っちゃった?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「そっか…まぁホムちゃんだけで良いか」

ホムンクルス「何か御用ですか?」

女海賊「この刀にさぁ…インドラの矢を落として欲しいんだ」

ホムンクルス「はい…ここでは危ないので場所を変えた方がよろしいかと…」

女海賊「分かってるよ…飛空艇に乗って」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「この刀はさぁ…オリハルコンの重さ800グラムなんだ」

ホムンクルス「出力を絞って投下します…約100年分の光ですね?」

女海賊「大体そんな感じかな?2本あるからよろしく」

833: 2020/11/05(木) 23:48:55.39 ID:UulvHEXE0
『貧民街』


ワイワイ ガヤガヤ

報告します!貧民街の外れでフィン・イッシュの者が模擬戦をしている様です

この騒ぎは模擬戦のせいか…治安部隊は動かさなく良いのだな?

むしろ若者が活気付いて良い傾向に見えますがどうしましょう?

非番の者に見に行かせろ…危険な様なら静止させても良い

ワイワイ ガヤガヤ


情報屋「はい!!次は8対1で始めます…参加される方は木刀を持ってください」

情報屋「開始!!」


ワイワイ ガヤガヤ

あの剣士は何者だ?

誰か知ってるか?

フィン・イッシュのサムライらしいよ

うわ!飛んだ…すげぇ!!

剣が見え無い!どうやって当ててるんだ?

ワイワイ ガヤガヤ


情報屋「終わり!!」

盗賊「ぐはぁぁ一発カスっただけだちくしょう!!」

剣士「回復魔法が欲しい人はこっちに来て…回復魔法!」ボワー

近衛「いやぁぁぁお強いですな…太刀筋は一刀流に近いがどの流派なのでしょう?」

商人「覚えていないらしいよ」

近衛「この様な剣豪が居たとは世間は広いですなぁ…是非フィン・イッシュにお越し願いたい」

商人「剣士は大人気だね」

ローグ「戦い方が美しいっすね…無駄が無いと言えば良いでやんすかねぇ…一振り一振り全部意味が在るんすよね」

盗賊「うむ…次の斬撃に繋がる動作が守備動作を兼ねてんだよ…だからスキが無ぇ」

剣士「僕の素振り動作を良く見て?」スン スン スン

近衛「おぉ!!もう一度!!」

剣士「ゆっくり行くよ?」スッ スッ スッ

盗賊「ほーーう…円で繋がって居るのか」

剣士「この動作を読めば対処できると思う」

盗賊「こりゃ相当練習しないと習得できそうに無ぇぞ?」


ピカー ピカー


商人「ん?雷か?」

ローグ「音が来ないっすねぇ…随分遠くじゃないっすかねぇ」

剣士「じゃぁ次は一人づづ僕に打ち込んでみて…どうやって凌がれるかよく見る稽古にしよう」

近衛「これは良い稽古になりますな…是非やらせて貰いたい」

剣士「良いよ!…打ち込んでみて!他の人は良く見ておくように」

近衛「いざ参る…」

剣士「来い…」


カンカンコン カンカンコン

834: 2020/11/05(木) 23:49:33.53 ID:UulvHEXE0
『貨物船』


ザブン ギシギシ


魔女「奴らはまだ帰って来ん様じゃな…」

ホムンクルス「剣士さんの剣技にみなさん夢中なのですね…良い事だと思います」

女海賊「折角伝説の剣が完成したってのにさぁ…誰も見ようとしないってどゆこと?」

魔女「わらわに見せよ…」

女海賊「魔女は剣の事なんか分かんないじゃん」

魔女「美しいかどうかくらいなら分かるぞよ?」

女海賊「ほんじゃこの鞘から剣を抜いてみて」ポイ

魔女「おろろ…思ったよりも軽いのぅ?」

ホムンクルス「鞘に浮かんでいる紋様はわざと光を漏らしているのですね?」

女海賊「鞘に入れたまま動かしてみてよ」

魔女「こうか?」ブン キラキラ

ホムンクルス「光の筋が残るのですね」

女海賊「そそ…そっちが流星…ほんでこっちが彗星」ブン ピカー

魔女「おぉぉ彗星じゃ…工夫したのぅ!主が考案したのか?」

女海賊「そだよ…何かそう言われると癒されるムフフ」

魔女「刀の抜き方が分からんのぅ…どうやって抜くのじゃ?…むん!むん!」

女海賊「だめだこりゃ…危ないから魔女にはムリ」


ドヤドヤ ドヤドヤ


女海賊「あ!!やっと帰って来た!!」

盗賊「おう!今日は早めにあげて休憩だ…ちっと疲れた」

女海賊「剣士!!あんたの剣出来上がったよ…流星の剣だよ…ほら」

剣士「随分みんなの手が掛かったね…貸して」

女海賊「あんたの剣さ…抜いてみて」

盗賊「その鞘かっけぇな?お前が作ったんか?」

剣士「…」スラーン ピカー

魔女「まばゆいのぅ…目が眩む」

女海賊「いつもみたいに振るってよ」

剣士「…」スン スン スン

盗賊「残像が残る…めちゃくちゃ恰好良いじゃ無ぇか!!」

女海賊「あぁぁ癒される…もっと言って」

盗賊「お前もお姉ぇに似てやっぱ変態か…」

商人「ハハまぁまぁ…伝説にふさわしい剣には間違いなさそうだね」

女海賊「そう…もっと」

商人「この柄の装飾とかも全部君が彫ったの?これミスリル銀だよね?」

女海賊「はぁぁぁぁぁ」

盗賊「ダメだこりゃ変態に付き合うと移るぞ!飯だ飯!!」

835: 2020/11/05(木) 23:50:04.34 ID:UulvHEXE0
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盗賊「女戦士はまだ寝ているのか?」モグモグ

女海賊「出て来るまで居室入ったらダメだよ」モグモグ

情報屋「盗賊?どうしてそんなに気にするの?」ジロリ

盗賊「んあ?そんなんじゃ無ぇよ…今晩の作戦に影響が出ないか心配してんだ」

情報屋「そう…ならいいわ」プイ

盗賊「おいおい何でへそ曲げてんのよ」

魔女「主が悪いのでは無いか?プレイボーイ過ぎるのではないのかのぅ?」

盗賊「なんもして無ぇって…女戦士に何か出来るのはローグぐらいのもんだ」

ローグ「あっしが?あっしも何もできやせんぜ?」モグ

魔女「女戦士の服装が変わったのは盗賊が何か言うたからじゃと聞いたぞよ?」

ローグ「ぶっ…ぶぶ盗賊さんマズイっすね」

盗賊「ヌハハそれは事実かもな?」

女海賊「なんであんたがお姉ぇの服装の事言う訳?」

盗賊「まぁちと事情が有ってだな…」

ローグ「マズいっすね…マズいっすねぇ…」

盗賊「隠す必要もあるめぇ…女戦士はな人一倍身なりには気を使ってんのよ…それを偏見抜きで評価しただけだ」

ローグ「そうなんす…本当は繊細なんすよ…鉄の女を演出してるだけなんすねぇ」

盗賊「ちょっと似合わねぇって言うだけでもう気に入った服も着ないんだ…可哀そうだろ?」

女海賊「賛成!」

情報屋「フフそう…誤解してたわ」

ローグ「あっしはそんなかしらが可愛くて好きなんす」

女海賊「お姉ぇが可愛いねぇ…なんか違う気がするけど繊細なのは合ってるかな」

盗賊「まぁそういう事よ…みんなもちったぁ気を使ってやれ…特にアサシンだな」

アサシン「クックックどうせ私は堅物だ女王にも見放された」

盗賊「堅物の思想を押し付けなきゃ良い…大事に付き合ってやってくれよ」

836: 2020/11/05(木) 23:50:36.20 ID:UulvHEXE0
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女海賊「あ!お姉ぇ起きた?」

女戦士「済まない…休み過ぎた様だ」

盗賊「おい!何でスカート履いて来ねぇんだよ!!楽しみ減るだろうが」

女戦士「お前に指示される覚えは無いが?」

女海賊「お姉ぇ着替えてきたら?」

女戦士「下の方の濡れが収まらんのだ」ヒソ

女海賊「大丈夫だって!見えやしないから…」グイ

女戦士「フン!」ツカツカ


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女戦士「これで満足か?」フワリ

ローグ「かしらはやっぱそっちの方が良いっすね~」

女戦士「さて…全員揃っているな?今晩の話を詰めようか」

アサシン「そうだな…私も少し考えたのだが万が一に備えて私とローグ、魔女で気球を使って上空で待機しようと思う」

盗賊「それは睡眠魔法を使う構えという事だな?」

アサシン「その通り…魔女の貝殻を使って状況をこちらへ伝える事が出来る筈だ」

魔女「ふむ…魔結界の中では千里眼で見通せぬ故…それが良かろう」

女海賊「じゃぁ私が貝殻を持つ…逃げ場に困ったら使うさ」

盗賊「俺らはハイディングして徒歩で行くのか?」

女海賊「私は貴族特区にドロボー行った事あんだ…近道知ってるよ」

アサシン「出来るだけ騒ぎにはしたくない…極力ハイディングで隠密行動をしてくれ」

女海賊「貴族特区にどんだけ人が居るか分かんないけどさ…さっさと睡眠魔法で眠らせたら?」

魔女「向こうに魔術師が居るのじゃ睡眠を悟られてしまっては逃げられるぞよ?」

女海賊「じゃやっぱ逃走時しか使えない訳ね」

魔女「出来るだけサポートはするつもりじゃ…兎に角魔術師を倒すのじゃ」

女海賊「私らの心配と言えばお姉ぇがラットマンリーダーを抑えきれるかなんだけど…行けそう?」

女戦士「私の武器は何で出来ている?」

女海賊「あ!!そうか…ミスリルのギガントアックス…鎮魂の鐘と同じだね?」

女戦士「私よりも剣士の方だな…時の王がどれほどの者か情報が無い」

剣士「魔術師を倒す間の凌ぎに徹するよ…心配しないで」

アサシン「では行動は深夜…月が落ちたら行く…それまで静養しておいてくれ」

837: 2020/11/05(木) 23:51:05.75 ID:UulvHEXE0
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女戦士「女海賊!刀を見せろ…インドラの矢を落としたのだろう?」

女海賊「お姉ぇはまだ見てなかったね…ほい」

女戦士「ほう…鞘から零れる光が美しいな」

女海賊「お姉ぇに言われると嬉しいな…もっと言って」

女戦士「…」スラーン ピカー

女海賊「どう?」

女戦士「この光る刀身を研ぐとどうなると思う?光は粉になるのか?」

女海賊「又お姉ぇ変な事考えてんの?やめてよ」

女戦士「研ぎたい…」

女海賊「今はダメ…作戦終わって帰って来たら研いでも良いよ」

女戦士「期待で下の濡れが収まらんのだ」

女海賊「パパが言ってた金属を愛でるって…困ったクセだね」

女戦士「言うな…」

女海賊「お姉ぇ用にもっかいオリハルコン探しに行こっか」

女戦士「フフ私は原石のまま欲しい…他の宝石には興味が無くなった」

女海賊「そろそろ返してもらって良い?」

女戦士「もう少し触らせろ…」スリスリ


838: 2020/11/05(木) 23:51:51.86 ID:UulvHEXE0
『深夜』


移動するよ…ハイディング!

迷ってない?よし…左の壁沿いに貴族居住区抜ける

貴族特区に入ったら一番大きな屋敷ね

裏手で盗賊は一旦リリースして状況見て


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『貴族特区』


盗賊「ハイディング!」スゥ

女海賊「どうだった?」

盗賊「屋敷の周りは誰も居ないがちょい離れに衛兵がキャンプしてる…数は200って所だな」

女海賊「もっかいリリースして正面の扉開けられる?」

盗賊「大丈夫だ」

女海賊「開けたらそのまま盗賊は中に入ってハイディングして」

盗賊「分かった…行くぞ!リリース!」スゥ

女海賊「扉が開いたらお姉ぇと剣士は中に入って」


ガチャリ ギー


女海賊「行って!」タッタ

盗賊「ハイディング!」スゥ

女海賊「ここまでは余裕だね…盗賊?屋敷内に何か見えた?」

盗賊「見た範囲では何も居ないな…」

女海賊「前に来た時はリリースしてすぐに見つかっちゃったんだ…すぐ逃げたけど」

女戦士「美術品が並んでいる…これはスゴイな」

女海賊「あんま見れなかったんだけど…ちっと見て行くか」

盗賊「おい!精霊の像があんぞ?」

女海賊「本物?」

839: 2020/11/05(木) 23:52:29.65 ID:UulvHEXE0
盗賊「分かんねぇが…これ何体あるんだ?」

女戦士「見ろ!あの肖像画…ホムンクルスじゃないか?」

女海賊「え?本当だ…絵画は全部ホムちゃんが描かれてる…どゆ事?」

女戦士「時の王は1700年前の人物だな?精霊と共に居たという事だな」

女海賊「待って待って…この画の中にある落書き…ホムちゃんが描く絵にそっくりだ」

盗賊「こりゃひょっとするとひょっとするぜ?」

女海賊「ちょっと他の部屋も見て行く」タッタッタ

女戦士「すべての画がホムンクルスだな…たまに画れている男は恐らく時の王だ」

女海賊「…これは精霊と過ごした記憶」

盗賊「驚きの真実じゃ無ぇか」

女海賊「胸が苦しくなってきた…時の王が守っているのはこの記憶?」

女戦士「だとしたら私達は大きな勘違いをしているのかも知れん」

女海賊「この美術品に絶対手を触れないで…これは壊してはいけない」

盗賊「1700年の記憶が詰まった美術品か…そうと知っちゃ躊躇しちまうな」

女海賊「狙いは魔術師だけ…良い?」


シュン グサ!


女海賊「痛っ…な、なんで?」

剣士「回復魔法!」スゥ

??「物音がすると思えば…またコソドロが入って来たか」

剣士「ダメだ…魔法がかき消される」

盗賊「女海賊!このエリクサーを一口飲め」

女戦士「私の後ろに隠れろ」ダダ スチャ

盗賊「今応急処置をしてやる…肩だな?少し痛むぞ…ガマンしろ」ズボ ヌイヌイ

女海賊「うぁぁぁぁくくくくぅ」

女戦士「お前は時の王か?」

??「ほう?人の屋敷に勝手に入って来てその名を口にするとはな…察したぞお前たちは白狼の盗賊団だな?」

女戦士「フフ察しが良い…今更正体を隠しても意味は無いな」

時の王「私の計画を邪魔ばかりする輩は生かして置けん」

女戦士「計画だと?」

時の王「人類の滅亡以外にあると思うか?白狼の盗賊団よ」

女海賊「盗賊!人影!!アレが魔術師…追って」

盗賊「お…おう」ダダ

840: 2020/11/05(木) 23:53:04.96 ID:UulvHEXE0
時の王「話を聞かずして動くか」ギリリ シュン

盗賊「うぉっとぉ!!悪りぃな俺達は魔術師に用が在って来たんだ…話ならそっちでやっててくれ」

時の王「ラットマンリーダー来い!!侵入者を排除しろ」

ラットマンリーダー「がおぉぉぉぉ」ドスドス

女戦士「剣士!妹を守れ!!デカブツは私が引き受ける」ダダダ

時の王「フハハハさすが連携が出来ているな…ならば私がやるしか無い様だ」ズズズ シャキーン

女海賊「え!?大剣…どうして」

時の王「どうした?剣を抜かないのか?」

剣士「ふぅぅぅぅ…」

時の王「随分小さな剣なのだな?刀か?遠い記憶の中にその様な刀を使う仲間が居たな…名は忘れた」

女海賊「あんたに質問がある!!」

時の王「人の屋敷を荒らしておいて質問とは無礼極まりないな」

女海賊「あんた精霊の何なの!?」

時の王「フフ私を揺さぶる気か?」

女海賊「質問を質問で返さないで!!何なの?」

時の王「1500年精霊と愛を積み重ねた者だと言えば理解できるか?」

女海賊「ならなんで人間の滅亡なんかやろうとすんのさ」

時の王「私が答える必要は無い」ダッ ブン


カキン! スパー


時の王「むぅ…やるな?だが私は不氏身だ」

女海賊「剣士!倒したらダメ…」

時の王「私を倒せると思って居るのか」ダダ ブン キーン

剣士「ふぅぅぅ…」スチャ キラリ

時の王「問う…その光る刀をどうした?何故インドラの光を帯びている」

女海賊「フフこっちの番だね…私が答える必要あると思う?」

時の王「フハハハハなかなか頭の回る小娘だ…気に入った…何が望みだ?」

女海賊「人間の滅亡なんか止めて」

時の王「出来んな…私の愛する者すべてを奪った者を許すことは出来ん…そして精霊の望みはリリンのいや人間の滅亡だ」

女海賊「それは違う!!」

時の王「さて次は私の番だ…なぜインドラの光を帯びている」

女海賊「そんなんインドラの矢を落としたに決まってんじゃん…あんた知ってんじゃないの?」

時の王「まさか…精霊シルフは停止した筈だ…インドラの矢を落とせる者なぞ存在しない」

女海賊「精霊が生きているって知ったらあんたどうする?」

時の王「私を揺さぶって居るのか?そんなまさか…」

841: 2020/11/05(木) 23:53:39.52 ID:UulvHEXE0
女海賊「やっぱあんたは私らの敵じゃないね…精霊を愛してるだけだね?」

時の王「黙れ!!小娘に分かる訳が無い!!愛は永遠では無いのだ…記憶こそ永遠だ」

女海賊「やっぱり…美術品はあんたの大事な記憶なんだね?」

時の王「黙れ!黙れ!黙れ!」ダダダ ブン ブン ブン


キン カン カーン スパーッ


時の王「くぅぅ思い出したぞその剣裁き…時の勇者!お前だな?」

剣士「…」スチャ

時の王「恨んで居るのか?魔王に魂を売ったのは仕方の無い事だった…私の邪魔をするな」

女海賊「違うよ時の勇者じゃないよ…あんたは精霊との思い出に寄り添い過ぎて時代に残されてる」

時の王「教えてやろう…人の記憶は200年しか記憶出来ないのだ…私は精霊シルフとの記憶を失いたくなかった」

女海賊「だから外に出なかったの?」

時の王「悪いか…どんどん薄れて行く愛しい記憶を失いたくない」

女海賊「精霊と一緒に夢幻に行けば良かったのに…」

時の王「私は不氏身だ…氏ぬことも許されない…だからせめて精霊の望みを叶えるのが私が生きる理由だ」

女海賊「悲しい…でもあんた一つ間違ってる…精霊は人間の滅亡なんか望んでない」

時の王「何故ハーフエルフやハーフドワーフが居ると思っているのだ?」

女海賊「え?…まさか」

時の王「人類の置き換えだ!魔王を滅するのはこれしか方法が無い」

女海賊「そんな…」

時の王「立場が逆転した様だな?取引をしようか…同志になれ…そして精霊が居るなら私の下へ連れて来い」

女海賊「ホムちゃん…どうしよう…」


女戦士「剣士!!助けてくれ…あの魔術師は只の魔術師では無い!!盗賊が氏ぬ!!」

842: 2020/11/05(木) 23:54:17.53 ID:UulvHEXE0
女海賊「一旦中断!!剣士行くよ!!」ダダ

時の王「あれは私を監視する黒の同胞団の魔術師だ…お前たちにやれるか?」

女海賊「うるさい!!黙って見てろ!!」タッタッタ



『屋敷2階』


女海賊「お姉ぇも傷だらけじゃん…エリクサー飲みながら下の時の王見てて」

女戦士「行け!…はぁはぁ」グラリ

女海賊「盗賊!下がって!!」カチャリ ターン ターン


魔術師「グゥ…キシャァァァ」

盗賊「ぐふっ…すまんやり切れん」ズルズル

女海賊「何アレ…」

盗賊「多分不氏者だ…攻撃が効か無ぇ…リッチって聞いた事あるか?」

女海賊「ミスリルダガーでも効かないの?」

盗賊「心臓をやれりゃ行けるかも知れんが何処にあるか分からん」

女海賊「出血ヤバイね…エリクサー飲んで」

盗賊「足の付け根やられた…手で押さえるぐらいしか止めようが無ぇ…俺は戦線離脱だ」

女海賊「剣士!お願い何とかして」

盗賊「あいつの鎌は射程がおかしい!!気を付けろ!!」

843: 2020/11/05(木) 23:54:45.83 ID:UulvHEXE0
剣士「任せて…」シュタタ


リッチ「キシャァァァ」ブン ブン


剣士「ふぅぅぅ…」キン キーン


スパ スパ スパ スパーッ


盗賊「おおぅ…一瞬でバラバラか」

女海賊「ダメ!まだ動いてる!心臓探して!!」

剣士「ふんっ」スパ スパ スパ スパ

リッチ「ガガガガガ…」シュゥゥゥゥ

女海賊「え!?溶ける?切り口から溶けてる…」

剣士「逃げる準備!!女戦士が危ない…」


ガーン ガーン ガツン ガツン!


女戦士「うぐっ…うぐっ…」ガクリ

女海賊「お姉ぇ何で反撃しないのさ!!」

剣士「入り口まで走って!!僕が時の王を相手する」シュタタ

時の王「行かせるかぁ!!」ブン ブン

剣士「…」キン キーン スパーッ

時の王「むぅぅ…」ガク

剣士「女戦士!!肩を…」グイ

女戦士「くふっ…」グッタリ

剣士「ふんっ…」グイ シュタタ

女海賊「剣士!早く!!」

時の王「くぅ忘れるな!!同志になれ!!」

女海賊「今はダメ…時を待って!!逃げるよ…走って!!」

844: 2020/11/05(木) 23:55:25.85 ID:UulvHEXE0
『貴族特区上空』


フワフワ


アサシン「遅いな…」

ローグ「まだ屋敷の中で光が動いてるっす」

アサシン「魔女…そろそろ下の衛兵を眠らせよう」

魔女「そうじゃな…」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ

魔女「広範囲睡眠魔法!」モクモク

アサシン「これで気付く者は居るまい」

ローグ「光が二階の方に移動したようでやんす…出て来るかもしれやせんね?」

アサシン「少し高度を下げろ…寄って待機だ」

ローグ「アイサー」

アサシン「様子が伺えないのはイライラするものだ…」

魔女「あの光が動いているうちは無事なんじゃろうて」


”魔女!緊急事態!”

”お姉ぇと盗賊が負傷して走れない”

”睡眠魔法使って気球で降りて来て”

”タイミングはこっちで言う”


ローグ「ヤバヤバ…かしらが負傷って」

アサシン「ローグ…タイミングを合わせて気球を降ろせ…私は先に下へ降りる」

ローグ「分かってるっすよ」

アサシン「行く…」ピョン

ローグ「ええぇ?この高さでっすか…あ~あ」


”5”

”4”

”3”

”2”

”1”


フワフワ ドッスン

845: 2020/11/05(木) 23:55:52.02 ID:UulvHEXE0
魔女「どこじゃ?居らんでは無いか…」

ローグ「あっちっす…降りる場所違いやしたね」

魔女「アサシンが案内しておる…大丈夫じゃ…飛ぶ準備をせい」

ローグ「マズイっすねぇ…超マズイっす屋敷から誰かこっち見てるっすよ」

魔女「むむ…アレは時の王じゃな」

ローグ「矢で撃たれたらこのぼろい気球飛べなくなるっすよ」

魔女「風魔法で反らす故…主は気球の操作に集中しておれ」


ダダダダ


女海賊「飛んで!!」

ローグ「アイサー…ひやひやするっすよ」

女海賊「魔女!お姉ぇに回復魔法!盗賊にも!!」

魔女「回復魔法!回復魔法!」ボワー

女海賊「お姉ぇが気絶するなんて初めて見た」

ローグ「かしらは大丈夫っすか?」

女海賊「お姉ぇもかなり出血してる…ヤバいかも」

魔女「む?主も出血して居るでは無いか」

女海賊「これは処置済み」

剣士「回復魔法!」ボワー

女海賊「ぁ…ありがと」

盗賊「ぐぇぇぇぇ吐きそうだ…血が足りねぇ」

846: 2020/11/05(木) 23:56:22.70 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
 

ドタバタ


魔女「ダメじゃ!主はこの間血を抜いたばかりじゃろう…」

情報屋「このままじゃ盗賊が危ない!!私の血を…」

商人「僕の血は!?」

魔女「主は体が弱すぎじゃ…わらわの血を輸血せよ…情報屋!早うやれ」スッ

情報屋「…」グサッ

魔女「むぅ…痛いのぅ…この管は」

女海賊「お姉ぇにも私の血を…」

女戦士「ぅぅ…私に構うな」

女海賊「お姉!!気が付いた?」

女戦士「私は少し血を抜いたほうが良い様だ…輸血は要らん」

魔女「意識がハッキリしておりそうじゃ…様子見が良いじゃろう」

女戦士「私は居室に戻る…体を見られたくないのでな」ヨロ

女海賊「立てるの?」

女戦士「構うな」ヨロヨロ

魔女「立てる様なら心配は要らん様じゃな…エリクサーを飲んでおけ」



『居室』


ガチャリ バタン


女戦士「ふぅ…」ドサリ

女海賊「平気?」

女戦士「気にするな」

女海賊「お姉ぇが気を失うの初めて見たからさ…」

女戦士「私が倒れたのは別の原因だ…戦いの中で我を忘れたのだ」

女海賊「ん?どゆこと?」

女戦士「恥ずかしくてお前にしか言えんのだが…時の王に打たれて我を忘れてしまった」

女海賊「まさか…」

女戦士「戦いに行く前に私の体がどういう風だったか知っているだろう?」

女海賊「呆れた…心配して損した」

女戦士「逝くまいと耐えたのだが耐えきれなかった」

女海賊「もっと血ぃ抜いた方が良いね」

女戦士「すまんがこの話は墓に入るまで秘密にしておいてくれ」

女海賊「お姉ぇってさ?打たれて痛くないの?」

女戦士「痛みの程度が他の者とどれ程違うかは知らん」

女海賊「でも快感なんでしょ?便利な体だなぁ…」

女戦士「我を保つのが苦痛になるのだ…良いのか悪いのか…」

女海賊「私にゃぁ理解出来ん」

847: 2020/11/05(木) 23:56:53.36 ID:UulvHEXE0
『翌日』


ザブン ザブン


商人「盗賊の容態はどう?」

ホムンクルス「いびきをかいて寝ていらっしゃいます」

商人「いつも通りだね?」

ホムンクルス「3日は安静にしておいた方が良いかと思います」

情報屋「毎回毎回怪我し過ぎなのよ…」

ホムンクルス「その様ですね…体に傷跡が沢山ありました」

商人「女戦士の方は?」

情報屋「居室から出てこないわ?女海賊が言うには心配無いって」

商人「精鋭4人が行って2人大怪我って…かなり厳しい戦いだったんだろうね?」

情報屋「私はまだ話を聞いて居ないけど…誰も聞いて居ないのかしら?」

商人「気になるね…魔女も知らないって言うし」

情報屋「アサシンは夜の内に気球で何処かに行ったまま…」

ホムンクルス「アサシンさんは気球を交換してくると言って居ました」

商人「交換…なんでだろ…なんか気になる事ばかりだね」



---------------

848: 2020/11/05(木) 23:57:27.04 ID:UulvHEXE0
ガチャリ バタン


女海賊「魔女は何処に行ったか知らない?」

商人「あ!おはよう…魔女は奥の居室で横になってるよ」

女海賊「そっか…血ぃ抜いた後じゃしょうがないか」

商人「ねぇ昨日の作戦ってどうだったの?何も聞いてないけど」

女海賊「魔術師は剣士が倒したよ…ただいろいろ想定外が在ってね…魔女に相談したかったんだ」

魔女「呼んだかえ?」ノソノソ

商人「あ!!起きたんだ…大丈夫?」

魔女「少し血を抜き過ぎた様じゃが歩く程度なら問題なさそうじゃ」

女海賊「魔女!昨日の魔術師の事なんだけどさ」

魔女「わらわも気になって居ってのぅ…どうだったのじゃ?」

女海賊「倒したよ…でも普通の魔術師じゃなくてリッチ?…っていう魔物だった」

魔女「何故リッチじゃと分かったのじゃ?」

女海賊「盗賊が言ってたんだけど…違ったのかな?」

魔女「リッチは魔術師の成れの果てじゃ…魔力は残したまま不氏者になったのじゃな」

女海賊「そんだけ?魔女の反応薄いんだけど」

魔女「ちと考えて居る…セントラルは昔魔女狩りをやって居ったな」

女海賊「10年くらい前だね」

魔女「当時捕らえられた魔術師は皆リッチにされておるやも知れんな」

女海賊「え!?あんなのがいっぱい居るって事?」

魔女「今思えば辻褄の合う事ばかりじゃ…当時の魔術院長は黒魔術を教えとったのじゃが行方不明になって居る」

魔女「黒魔術師はネクロマンサーの事じゃ…魔術師をリッチにすることが出来るのぅ」

商人「それってつまり黒の同胞団に沢山リッチが居るという事だよね?」

魔女「そうなるな…わらわは一度シン・リーンへ戻らねばならんな」

女海賊「戻ってどうするつもり?」

魔女「黒の同胞団と繋がりのある者を粛清するのじゃ…魔術院の規律が乱れすぎておる」

商人「的が絞れて来たね…倒すべきは黒の同胞団なんだ」

魔女「時の王はどうだったんじゃ?会うたのであろう?」

女海賊「うん…それはちょっと話が重くてさ…皆居る時に話すよ」

849: 2020/11/05(木) 23:57:58.75 ID:UulvHEXE0
--------------------



女海賊「ホムちゃん…ちょっと良いかな?」

ホムンクルス「はい…どんな御用でしょう?」

女海賊「ホムちゃん前にさ…人類を滅ぼす気は無いとか言ってたよね?」

ホムンクルス「私は人間の住まう環境を良くする為に生まれたロボットですからその様な気はありません」

女海賊「じゃぁさ…人間をハーフエルフやハーフドワーフに置き換えるつもりは?」

ホムンクルス「…」

女海賊「どうして黙るのさ」

ホムンクルス「ハーフエルフもハーフドワーフも同じ人間です」

女海賊「それって置き換えるって言う事を言ってるよね?」

ホムンクルス「こう言えば良いでしょうか…長期的に見て交配が繰り返され旧種族は新種族に淘汰されます」

女海賊「やっぱそうなんだ…」

ホムンクルス「しかし問題点もあります…ハーフエルフやハーフドワーフは人間と比較して繁殖力がとても低いのです」

ホムンクルス「ですからハーフエルフやハーフドワーフだけでは繁栄する事が出来ません」

商人「なるほどね…交配を促進する為にエルフは美しくなるように設計されているんだ?」

ホムンクルス「恐らくそうだと思います」

女海賊「恐らくって…そっかホムちゃんがやった訳じゃ無いもんね」

ホムンクルス「はい…私はシミュレーションの結果をお話しています」

商人「今の話からするといづれ人間はハーフエルフやハーフドワーフに置き換わって行くんだね?」

ホムンクルス「先ほどもお話しました様に課題は繁殖力です」

商人「という事は繁殖力の高い人間はいつまでも居残るよね?」

ホムンクルス「交配が進めば入れ替わって行くでしょう」

商人「それは君が言うバランスさせるっていう解釈になるの?」

ホムンクルス「それもバランスさせる手段の一つですね…ここに誤解が生じると思われます」

女海賊「時の王は完全に誤解してるんだよ?」

商人「え!?時の王が?どういう事?」

女海賊「時の王は精霊の言葉を誤解して解釈してんの!人間を淘汰するのが精霊の目的だと思ってる」

ホムンクルス「結果的に種族が置き換わって行くという事ですね…人間を滅ぼすつもりはありません」

商人「時の王はなんて言ってるの?」

女海賊「亡き精霊に変わって人間を滅ぼすとか言ってんのあのバカ」

商人「ハハ君はハーフドワーフだから良い解釈できるだろうけどさ…僕みたいな普通の人間からしたら滅ぼされる様に聞こえるよ」

ホムンクルス「それが誤解の原因ですね…」

850: 2020/11/05(木) 23:58:36.67 ID:UulvHEXE0
『甲板』


盗賊「うぁぁぁ…腹減った…何か食わせろい」ヨタヨタ

情報屋「あ!!あなた…もう動いて大丈夫?横になってて?何か持って行くから」

盗賊「ちっと風に当たりてぇんだ…デッキで寝転んでも良いだろ」ドタ

商人「焼き魚で良いかい?」

盗賊「何でも良い!腹減った」

ホムンクルス「造血剤も忘れずに飲んでください」

盗賊「まぁ心配ねぇ!いつもの事だ」

魔女「主は懲りん奴じゃのう…わらわの血は大事にせいよ?」

盗賊「ヌハハ今度は魔女の血が入ったか…俺も魔法が使える様になるか?」

情報屋「何バカな事言ってるの?」

盗賊「そういやよう…あの魔術師から良い物スったんだ…見ろ」ポイ

魔女「むむ!貝殻じゃな」

盗賊「それからコレだ…こりゃ何かの杖だろう?」

魔女「こりゃたまげた!幻惑の杖ではないか…精霊が持って居たと言われる杖じゃ…何故祖奴が持って居ったんじゃ?」

女海賊「ふーん…なるほどね」

魔女「何か知って居るのか?」

女海賊「前にあの屋敷に盗みに入った時にもさ…又ドロボウが来たとか言ってすぐ見つかっちゃったんだ」

魔女「ふむ…そういえばわらわが行った時もドロボウとか言って居ったな…」

女海賊「昨日も同じさ…私ら何も盗んでないよ」

盗賊「…て事はその魔術師が盗んでたって事か」

女海賊「時の王は気になる事も言ってたさ…魔術師に監視されてるってね」

魔女「時の王と黒の同胞団の関係は微妙なのかも知れんのぅ」

女海賊「そだね…多分時の王は黒の同胞団に利用されてんだね…何か良さそうなアイテム一杯有ったし」

盗賊「まぁこの杖は今の所俺が持ってんだし…魔女が使ったらどうだ?」

魔女「この杖はユニークアイテムじゃぞ?わらわが使って良いのじゃろうか?」

女海賊「精霊との思い出が詰まった時の王の持ち物だよ…返すのが筋だね」

851: 2020/11/05(木) 23:59:05.45 ID:UulvHEXE0
盗賊「ユニークアイテムってーとどんな効果あるのか知ってるのか?」

魔女「強力な幻惑魔法が封じられておる…魔王が使うまやかしみたいな物じゃ…人を操れるのぅ」

女海賊「ははーん…その杖を使ってセントラルの動乱引き起こしてんだね?」

魔女「ただし操れるのは一人づつだけじゃな」

女海賊「そんなん有力者操れば良いだけじゃん」

魔女「まぁそうじゃな…時の王が魔結界から出ん理由はそれも理由の一つやも知れんな」

盗賊「そのうち返すとしてとりあえず魔女が持って置け」

魔女「詠唱無しで幻惑魔法が使えるのはさすがに強力じゃな…こんな物を持って居ると命を狙われるのじゃが」

女海賊「もしかしてその杖持って命じるだけ?それで言う事聞く感じ?」

魔女「そうじゃな」

女海賊「ほんじゃ私が使う!!」

盗賊「ダメだ!!お前みたいなのが使うとエライ事になる」

女海賊「はぁ!?私に逆らおうっての?」

盗賊「うぉっとぉ!!お前…裸になりたい様だな…」スッ

女海賊「ちょ…何杖向けてんのよ!」タジ

盗賊「手を上げろ…」

女海賊「ちょ…え?ちょちょちょ…やめてよ」バンザーイ

魔女「これ!!乱用するでない!!これは主らが使うと面倒な事になる!!貸せ!!」ブン

女海賊「その杖ヤバッ…」

魔女「そうじゃ…じゃからユニークアイテムなのじゃ…本来は封印せねばならぬ」

女海賊「ねぇ…手を下ろせないんだけど」

魔女「困ったのぅ…主はもう夢の中なのじゃ…どうやって目を覚まさせようかのぅ」

盗賊「ん?てことは今何やっても覚えて無いって事になるか?」

魔女「目を覚ました時には覚えて居らんじゃろうな」

女海賊「ちょ…待ってマジで言ってる?」

盗賊「ぐふふふふふ…さぁて!!…どうやって起こそうか!!ぐふふふふふ」

女海賊「マジやめて!!体に触ったらぶっ飛ばすよ!!ちょっ…やめ!!」


ギャハハハハハ ギャハハハハハ ヒィヒィ



-----------------

852: 2020/11/05(木) 23:59:38.05 ID:UulvHEXE0
女海賊「なんか…すっごい体だるいんだけど…」グターーー

盗賊「ヌハハ疲れてるんだろ…ちっと横になってろ!!」

魔女「ヤレヤレ…」

商人「ねぇ…貨物用の気球が船に降りて来そう…多分アサシンだね」

盗賊「なんで貨物用の気球で来るんだ?補給か?」

情報屋「あなたが寝ている間にアサシンが気球を交換してくるって言ってたわ」

盗賊「あぁぁなるほど…昨夜時の王に気球を見られてるからか…こっちの居場所悟られたくないってか」

商人「なんかいろいろ有ったみたいだね」

盗賊「まぁな…しかし女戦士がラットマンリーダー6匹相手に引け劣らんのはビビったわ」

女海賊「お姉ぇは6匹倒したの?」

盗賊「ミスリルの斧ってのもあるが打たれてもビクともしないのがやっぱガチの戦士だ」

女海賊「あーそういう事ね…変態だから気にしないで」

盗賊「斧であのでかいラットマンリーダーを豆腐みたいに真っ二つだ…真似できんわ」

魔女「主は魔術師と戦ったのじゃろう?リッチじゃと何故分かったのじゃ?」

盗賊「心臓がどこにあるか分からない不氏者はリッチだと聞いた事があんだ」

魔女「ふむ…では間違いない様じゃな…変異魔法で心臓の場所を変えて居るのじゃ」

商人「魔女が少女に変わったりする魔法だったよね?」

魔女「うむ…わらわも心臓を隠しておるのじゃぞ?」

商人「へぇ…そうだったんだ」

盗賊「一発でやられない様にする為か?」

魔女「そうじゃ…心臓がやられなければ回復魔法で回復出来るでな」

盗賊「だから剣士はリッチをバラバラに刻んだのか」

魔女「体の何所かにはある故それが早いかものぅ」

女海賊「剣士は知ってたの?」

剣士「知らないよ…体が自然に動いた」

女海賊「自然にねぇ…時の王があんたの剣技を見て時の勇者って言ってたけど…」

商人「む…気になる話だな」



フワフワ ドッスン

853: 2020/11/06(金) 00:00:04.66 ID:xG8gRnQS0
盗賊「帰って来た様だな」

アサシン「盗賊はもう大丈夫なのか?」

盗賊「横になってりゃどうってことは無ぇ…ほんで?上手い事気球は交換出来た様だな」

アサシン「4人乗りの貨物用だが使い勝手は割と良い…それより女戦士の容態はどうだ?」

女海賊「平気…放って置いて良いよ」

アサシン「まだ起き上がれる状態では無いのだな?」

女海賊「分かんないけど…なんで?」

アサシン「今気球から見えたのだが城の方で騒ぎが起きて居そうだ…少し離岸しておいた方が良いかと思ってな」

盗賊「船乗りが中央に行っちまってるな…ちっと時間が掛かるかもしれんぞ?」

アサシン「まぁ私が見に行って来よう…ローグ!一緒に来い」

ローグ「アイサー」




『夕方』


ザブン ギシギシ


女戦士「…」ツカツカ

女海賊「お姉ぇ!!平気?」

女戦士「休んだらスッキリした…お前も仮面を付ける様にしたのか?」

女海賊「お姉ぇの分もあるよ?要る?」ホイ

女戦士「ふむ…銀製か…この紋様はお前が彫ったのか?」

女海賊「そだよ…退魔の効果も魔女が付与してくれた」

女戦士「なかなか良い物だな」

女海賊「お姉ぇのクセがちっとは良くなるかも知んないから付けといて」

女戦士「言うな…」スチャ

盗賊「女5人全員仮面たぁ味気無ぇな…そこに並んでみろ」


魔女「…」 幻惑の杖 ローブ

情報屋「…」ミスリル剣弩 中装 

ホムンクルス「…」毒牙のナイフ 軽装

女戦士「…」ミスリル斧盾 重装

女海賊「…」4連銃爆弾 中装


商人「こうやって改めて見るとみんな美人なのに勿体ないね」

盗賊「船に乗ってる時ぐらい外しておいてくれよ…酒がマズイ」



----------------

854: 2020/11/06(金) 00:00:32.87 ID:xG8gRnQS0
女海賊「あ!!やっと帰って来た!!アサシンとローグ!そこに並んで」

アサシン「何のつもりだ?」

女海賊「良いから早く」


剣士 「…」流星の剣 中装

盗賊 「…」ミスリルダガー弓 中装

ローグ「…」ミスリルダガー×2 中装

アサシン「…」草薙の剣 中装

商人「…」ミスリル剣弩 中装


女海賊「やっとみんな揃ったね」

アサシン「食事でもしながら少し話そうか…」

商人「バーベキューでもしようよ」

ローグ「良いっすねぇ…魚ばっかでやんすが」



『バーベキュー』


メラ パチ ジュゥジュゥ


女海賊「…ほんで城の方はどうだったの?」モグ

アサシン「ゲートブリッジが開いて架け橋も降りたそうだ…今はブリッジ上で押し合っているらしい」

ローグ「アンデッドホースに乗ったデュラハーンの一騎駆けで大混乱だったようでやんす」

女戦士「騎乗で戦える地形ではあるまい?」

ローグ「中央の方まで降りてきたらしいっすよ?一騎で…」

女戦士「倒したのか?」

アサシン「何処かに去ったとの事だ…よもやするとこちらに来ていたかもしれん」

女戦士「バリケードが功を奏したか…被害はどうなって居る?」

アサシン「怪我人が数十人中央まで運ばれているな…氏者の状況は分からん」

盗賊「エルフゾンビはちとやり過ぎじゃ無ぇか?」

アサシン「まぁゲートブリッジが降りたのだ…呼び込んで終わらせるつもりなのだろう」

ローグ「今は中央の方も落ち着いて心配無いでやんす」

アサシン「さて…私も昨晩の事で聞きたい事が山ほどあるのだが…」

女海賊「私が話すよ…」


カクカク シカジカ

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855: 2020/11/06(金) 00:01:05.29 ID:xG8gRnQS0
女海賊「…で…これが盗賊が盗んだリッチが持ってたの貝殻だよ」

アサシン「魔女…この貝殻は聞く専用の貝殻なのか?」

魔女「そうじゃな…もう一つ話す専用の貝殻も持って居ったかもしれんが…」

盗賊「そんな何度もスリ出来るようなチョロい相手じゃ無ぇ!」

アサシン「まぁ良い…その貝殻があれば黒の同胞団の動きを探れるな」

女海賊「魔女の話だと黒の同胞団に沢山リッチが居るかも知れないって」

盗賊「やばいぞリッチは…不氏者で心臓がどこにあるのか分かんねぇんだ…今回は魔法使って来なかったから良かったが…」

アサシン「ふむ…単騎で一人づつ倒すと言う訳にも行かんのか」

女海賊「待って…リッチって不氏者だよね?だったらなんでエルフゾンビのドクロの杖に従わなかったの?」

魔女「魔結界の中に居ったからじゃな…つまり魔結界の外に居るリッチはドクロの杖に従う筈じゃ」

盗賊「おぉぉ!!ほんじゃドクロの杖はキーアイテムだな」

アサシン「上手く使えば黒の同胞団を壊滅に追い込めるな」

女海賊「下手に動いてこっちの動きバレるとマズイからしっかり調べたいね」

魔女「わらわに考えがある…シン・リーンの元老院は黒の同胞団を繋がって居りそうじゃ…わらわは一旦戻りたい」

アサシン「魔女が動いていると黒の同胞団に知られるのは逆に良くないと思うが…」

魔女「変性魔法で他人に変身すれば良い」

女海賊「お!?そんな事できんの?」

魔女「姿を借りる者の同意があれば成り済ます事が出来る」

アサシン「ほう?面白い作戦だな」

魔女「そうじゃな…母上と面識のある女戦士が良いのぅ?品もある故目通りするには十分じゃ」

女海賊「お姉ぇ…品があるとか言われてるけど変身されて良いの?」

女戦士「体を他人に見せない条件でなら構わん」

アサシン「…して…目通りが出来たとしてどうする?」

魔女「元老院の者を招集して尋問じゃな…わらわには幻惑の杖がある」

アサシン「ふむ…壺の行方はどうする?」

魔女「おぉ!!そうじゃ…時の王の屋敷にはやはり無かったのか?」

女海賊「一通り見たけど壺は無かったなぁ…美術品と謎のアイテムばっか」

盗賊「俺も見て無ぇな…」



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856: 2020/11/06(金) 00:01:37.18 ID:xG8gRnQS0
情報屋「ねぇ女海賊?未来君が壺の事を何か言っているわ?」

女海賊「え?未来が?…どうしたの未来?」

子供「僕さ…前に白狼の盗賊団ごっこしたときに壺を一個持って帰ってきたよ?」

魔女「何じゃと?どのような壺じゃ?」

子供「…これくらいの大きさで黒い壺だよ…蓋が付いてた」

魔女「こんな形をして居らんかったか?」カキカキ

子供「そう!これ…袋に入れてママに渡したよ」

女海賊「え!?…あの財宝の中に…あったの?」

魔女「それは何処にあるのじゃ?」

女海賊「お姉ぇに渡した財宝ってどうなった?」

女戦士「海賊の基地に置きっ放しだな…私の部屋だ」

女海賊「安全な場所にあんじゃん!!あそこは狭間の中だよ」

ローグ「あの財宝…あっしが最初にお宝貰ったっすよね?壺なんか見てない気がするんすけどねぇ…」

女海賊「私も覚えてないんだけど…確認しないと分かんないね」

アサシン「ひとまず行き先の手掛かりは一つある訳だ…ここは分かれて行動するか」

女戦士「では私は船で一度基地へ戻るとしよう…ローグを連れて行く」

女海賊「シン・リーンは飛空艇で私が魔女を送って来るよ…どうすっかな剣士は一緒に来るとして…」

アサシン「私の予測だが魔術師の多いシン・リーンは相当危険だと思うのだが…」

女海賊「アサシンの予定は?」

アサシン「私はフィン・イッシュ女王の相談役になってしまって居てな…今は動けん」

女海賊「じゃぁこうしよう…ホムちゃんは放って置けないから連れて行くとして盗賊と情報屋…おまけで商人の7人」

女戦士「未来は私が預かるで良いか?壺を知っているのは未来なのだろう?」

女海賊「うん…あんまり危ない所に連れまわせないしお願い…」

アサシン「では私はエルフゾンビと共にフィン・イッシュ女王の下に身を寄せておく」

女海賊「おっけ!決まりだね」

アサシン「魔女に頼みがあるのだが…貝殻をそれぞれに配れんか?連絡用に使いたいのだ」

魔女「簡単じゃ…それぞれに2枚づつ用意すれば良いな?」

アサシン「うむ…黒の同胞団も同じように連絡を取り合っているのだ…私達も使わねば行動に差が出る」

魔女「では女戦士と女海賊…アサシンに配るとしよう」

857: 2020/11/06(金) 00:02:05.83 ID:xG8gRnQS0
『居室』


ガチャリ バタン


女海賊「お姉ぇ…未来はもう寝た?」

女戦士「フフ未来は剣士にそっくりだな?」

子供「…」スヤ

女海賊「お姉ぇに彗星の剣を預けに来た…」ゴトリ

女戦士「良いのか?」

女海賊「私やっぱあんま使わないんだ…背負える様になってるから何かあったら未来に使わせてみて」

女戦士「分かった…研ぎは私が…」ゴクリ

女海賊「無駄に研がないで大事に使って」

女戦士「分かっている」

女海賊「未来は昔の剣士みたいな剣の使い方するんだ…私じゃ無理だから稽古付けてあげて」

女戦士「そうだな…船旅は暇を持て余す…しっかり訓練してやる」

女海賊「未来は私から離れるの初めてだから少し心配…」

女戦士「自分の荷物をまとめて私の居室にもう来ているのだ…自分なりに役立とうとしているのだぞ?賢いでは無いか」

女海賊「フフそっか…」

女戦士「お前は知らんかも知れんが…隠れて回復魔法の練習をしているのだぞ?」

女海賊「未来が?」

女戦士「魔女に教えてもらった様だ…貴重な回復要員としても働いて貰うつもりだ」

女海賊「もう一人前か…」

女戦士「うむ…まぁ危険な所に行く訳では無いから心配しなくても良い」

女海賊「うん…どっちかっていうとお姉ぇの変態が移るのが心配」

女戦士「…」スラーン ピカー

女海賊「ちょちょちょ…口が滑った」

女戦士「フン!見れば見るほど美しい刀だ…」

女海賊「あ!そういえばその刀で切られた切り口は溶けるみたいだから注意して…自分の体切らない様にね」

女戦士「ほう?そのような効果もあるのか…」

女海賊「伝説の剣にふさわしいっしょ?フフ」

858: 2020/11/06(金) 00:02:36.41 ID:xG8gRnQS0
『翌日』


ザブン ギシギシ


魔女「では行くぞよ?」

女戦士「どうすれば良いのだ?」

魔女「わらわに吸い込まれて行くのを拒否しなければ良い」

女戦士「ふむ…分かった」

魔女「では…変性魔法!」グングン

盗賊「おぉ!!女戦士が2人…」

女戦士「イカンな…体が大きゅうなり過ぎてローブがピチパチじゃ…」

女戦士「これが私なのか…触って良いか?」

女戦士「自分の体を触るのと同じじゃぞ?」

女戦士「…」ムニムニ

女戦士「これ!気持ちが悪い」

女戦士「柔らかいな…私はこれほど柔らかいのか…」

女戦士「何を言って居るのじゃ…自分の体じゃろう」

女戦士「私の着替えを持ってくる…着替えて見てくれ」

女戦士「うむ…いやここでは盗賊が見て居るでわらわがそっちに行った方が良いな」

盗賊「んーだよ!!減るもんじゃあるめぇし別に良いだろ」

女戦士「魔女…こっちだ…居室まで来い」

859: 2020/11/06(金) 00:03:03.28 ID:xG8gRnQS0
『居室』


ゴソゴソ


女戦士「これは普段主が着ている物では無い様じゃが?」

女戦士「軽装だから着るのを控えて要るのだ」

女戦士「なるほど…主は本当はこれが着たいのじゃな?」

女戦士「そうだ…試着しても自分では見る事が出来ないのでな…」

女戦士「どうじゃ?満足か?」

女戦士「回ってみてくれないか?」

女戦士「ほれ?」クルリ ヒラ

女戦士「フフ…もっと着せ替えてみたくなるな」

女戦士「わらわはこれで良い…軽い方が好みじゃ」

女戦士「私はこんな風に見えて居たのか…」

女戦士「自信が付いたか?」

女戦士「もっとゴツゴツした風体だと思っていたのだがそうでは無かったのだな…」

女戦士「気にし過ぎじゃ」

女戦士「笑ってみてくれないか?」

女戦士「こうか?」ニコ

女戦士「フフ…照れくさい」

女戦士「満足した様じゃな?」

女戦士「妹に負けて居ないのは良く分かった…少し自信が付いたありがとう魔女」

860: 2020/11/06(金) 00:03:35.12 ID:xG8gRnQS0
『甲板』


ザブン ギシギシ


ローグ「そろそろ出港するでやんすが…げ!!かしらが2人…」

盗賊「お!?戻って来たな?どっちがどっちだ?」

女海賊「魔女!!そろそろ飛空艇に乗って…出発するよ」

女戦士「他の者は皆乗って居るんか?」

女海賊「うは…全然見分け付かないね…もう乗ってるから魔女も乗って」

女戦士「体が大きい故頭をぶつけそうじゃ…慣れるまで少々かかりそうじゃな」スタスタ

女海賊「その体ってさ…お姉ぇと同じぐらい強いの?」

女戦士「丁度半分じゃ」

女海賊「半分でもそこそこ強いんじゃね?」

女戦士「そうかも知れんのぅ…一応魔法も使えるで割と強いかも分からん」

盗賊「マジか!暇出来たら立ち会ってみるか…」

女戦士「遊びでは無いんじゃ早う行くぞよ」

女海賊「よし!乗ったね?飛空艇の操作は盗賊がやって」

盗賊「おう!じゃ…いくぜ?」


フワリ シュゴーーーーーー



861: 2020/11/06(金) 00:04:31.94 ID:xG8gRnQS0
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 淫魔の呪い編

   完


次回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【次元の旅人編】



引用: 勇者「魔王は一体どこにいる?」続編