862: 2020/11/16(月) 11:27:40.10 ID:CUQQsgj40


勇者「魔王は一体どこにいる?」シリーズです

最初から:勇者「魔王は一体どこにいる?」
前回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【淫魔の呪い編】


 『飛空艇』

シュゴーーーーー


盗賊「ぬぁぁぁ…魚の干物ばっかじゃ力が出無ぇ!」カジ

女海賊「それしか無いんだから我慢して」

情報屋「干し芋ならあるわ?要る?」

盗賊「食い飽きたんだ…肉食わせろ肉!!」

商人「この先にトアル町があったよね?ちょっと補給して行かないかい?」

女海賊「肉売ってるアテあんの?」

商人「あそこは森の近くだし養羊場もあった筈だよ」

女海賊「2時間で買い物済ませて」

商人「分かった僕が買って来るよ…荷を持つのに情報屋も一緒に来てくれるかな?」

女戦士「わらわも行こうかのぅ…体に慣れておきたいでのぅ」

商人「助かるよ」

盗賊「魔女…その格好じゃ危ねぇから余ってる武器何か持ってけ」

情報屋「予備のミスリル剣があるわ?これで良いでしょう?」

女海賊「ダメダメ…魔女は剣の抜き方も知らないからトゲトゲのこん棒あったじゃん!アレにして」

盗賊「おぉそういや全然使って無ぇな…モーニングスターって武器だ」

女戦士「何でも良い…どうせ使わんじゃろう」

盗賊「持ってんのと持って無いのとじゃ男の寄り付き具合が全然違うぞ?用心しておけ…その格好じゃ目立つからな」
863: 2020/11/16(月) 11:28:21.72 ID:CUQQsgj40
『森の端』


フワフワ ドッスン


盗賊「こっから10分程西に行ったらトアル町だ…行けるか?」

商人「これくらいの雪なら大丈夫かな…行って来るよ」ギュッギュッ

女海賊「あと2時間もしたら日が落ちちゃうから急いで」

商人「うん!分かってるって…情報屋!魔女!行こう」


ザクザク ギュ ギュ


女海賊「ほんじゃ剣士と盗賊はちっと作業手伝って」

盗賊「なぬ?俺に働かせんのか?」

女海賊「大した作業じゃないって!船体の隙間をこの樹脂で埋めんの…やって」

盗賊「樹液の残り粕で作ったんか?…こんなんで埋めたら燃えやすくなるんじゃ無ぇか?」

ホムンクルス「大丈夫です…木材が長持ちする様になりますので出来るだけ全体に塗って下さい」

女海賊「…聞いた?ハイ働いて!!」

盗賊「へいへい…ラクは出来んな」



-----------------



トンテンカン トンテンカン


盗賊「何作ってんだ?」

女海賊「窓が布だと風入って寒いかんね…余ってる木材で木窓作ってんの」

盗賊「これ嵌め込んで行けば良いか?」

女海賊「金具に引っかけて押し込んどいて…すぐ開けれるかチェックもやっといて」

盗賊「窓全部こんなんでフタしたら暗くなら無ぇか?」

女海賊「大丈夫…ホラ」ピカー

盗賊「あぁなるほど…光の石な」

女海賊「あんたもどうせ暇なんでしょ?余ってる材料で何か作ってよ」

盗賊「ロープ組んでハンモックでも作るか…床に寝転ぶより温いかもしれん」

女海賊「良いね…やって」

ホムンクルス「立派な家になりますね」

女海賊「ほんじゃさ!ロープ張って布垂らして間仕切りも作ってよ…帆みたいに畳める様にしてさ…」

盗賊「おぉ!お前と剣士がイチャ付いてるのを見んで済むか」

ホムンクルス「間仕切りがあれば暖房性能が向上しますね…私がデザインしても良いでしょうか?」

女海賊「ホムちゃん良い案あるの?」

ホムンクルス「ウラン結晶の熱を均等に行きわたらせる工夫です…対流を上手に誘導します」

女海賊「良いね!!」

盗賊「ちっとやる気出て来たぞ…よーし」

ホムンクルス「はい…ここをこうして…あそこをこうして」

864: 2020/11/16(月) 11:28:49.72 ID:CUQQsgj40
『トアル町』


ガヤガヤ ガヤガヤ


商人「うわ…商隊の詰め所がごった返してる」

情報屋「セントラルがあんな風だからこの町が終点になっているのね」

商人「でも何かおかしいな…どうして馬が居ないんだろう?」

情報屋「もしかして雪で足止めかしら?」

商人「そんな感じだね」

女戦士「向こうを見てみぃ…大きなシカがソリを引いて居る」

商人「なるほど…わかったぞシカが少ないから商隊が停滞しているんだ」

情報屋「物資調達には丁度良かったわね?」

商人「うん…これはチャンスだよ」


多分寒さを凌ぐのに毛皮とか羊毛は高騰してる

その代わり肉とか角は安い筈だ

油は高い…物資滞留で海の物は安い


商人「一気に買っちゃおう!!まず人用のソリを2台手に入れよう」

情報屋「フフ急に元気になったわね」

商人「2時間しか無いんだ急ごう!!」タッタッタ


865: 2020/11/16(月) 11:29:20.41 ID:CUQQsgj40
『街道』


ガヤガヤ ガヤガヤ

木炭は要らんかね~木炭安いよ~

さぁもってけドロボー金属糸の織物安いよ~

シカの角バッファローの角なんでもありまっせぇ

冷凍肉どれもこれもたったの5銅貨!!

ガヤガヤ ガヤガヤ


女戦士「古代の金貨1枚でこれほど買い物できるのじゃな?」

商人「まだ銀貨余ってるよ…どうしようかな」

情報屋「また使う機会あるかも知れないし取って置いたら?」

商人「そうだね…もうソリ一杯だしね」

情報屋「ねぇ商人気付いてる?私達の事付けてる男の人4人…」

商人「君も気付いていたかぁ…困ったね」

情報屋「ソリを引いて町を出るのはすこし危険かも知れないわ」

商人「魔女?さっき買った盾は使えそう?」

女戦士「盾なぞ使った事が無いのじゃが…」

商人「あと30分…どうしようかな」

女戦士「わらわは魔法が使えるのじゃ…気にせんと行くぞよ?」

情報屋「大丈夫?その体でも暴漢4人相手だと心配だわ?」

商人「こうしようか…僕と情報屋がソリ引くからさ…魔女は僕たちを守って?」

女戦士「そうか?商人にこのソリが引けるのじゃろうか?」

商人「変わるよ…ふんっ!!」ススス

女戦士「大丈夫そうじゃな?…では戻るとするか」


ガヤガヤ ガヤガヤ

黒い馬に乗った騎士が走り抜けていったらしいぞ?

馬じゃこの雪ん中どうにもなえるめぇ

またセントラルの貴族じゃ無いのか

ガヤガヤ ガヤガヤ

866: 2020/11/16(月) 11:30:41.54 ID:CUQQsgj40
『町外れ』


スルスル スルスル


商人「ソリだと荷物運ぶのラクだなぁ…はぁはぁ」

情報屋「息切らしてるじゃないフフ」

商人「ちょっとした運動さ…それにしてもあの4人付いて来るね」

情報屋「どこで仕掛けて来るかね?」

女戦士「貝殻で剣士を呼んだ故…そのまま行って良いぞ」

商人「お!それを聞いて安心したよ」

情報屋「来た来た…4人走って来たわ」

女戦士「そのまま気付かん振りで行って良い」



野郎1「おいおい待ちやがれ!何処いくんだいネェちゃん」

野郎2「どういう事か分かる…」


ボカッ! グチャ


野郎2「はががが…いでぇぇ」

女戦士「うるさいのぅ…わらわは忙しいのじゃ主らに付き合うとる暇は無いのじゃ」

野郎1「やろう…女だと思って優しく声掛けてやってんのに…おい!お前等!!この女掴まえるぞ…」

野郎2「ってぇぇぇ」

野郎3「ソリ引いた2人はそのまま行っちまいますが…」

野郎1「そんなん後だ…ごるぁぁぁ!!」ダダ グイ

女戦士「これ!止めんか…」ジタバタ

野郎1「囲め囲め!!」グイ

野郎2「うひひひひ…なかなか力ありまっせこの女…んむむ」グイ

野郎1「あの小屋まで連れ込むぞ」グググ

女戦士「ふんっ」ゴン!

野郎1「ぐぁ…にゃろう!このまま脱がせ!!」

野郎2「うひひひひ…こいつ下着付けてませんぜ?」

女戦士「そこは触るでない…」ブン グチャ

野郎2「ひでぶ…」

野郎1「お前…血が…」

野郎4「おいおい!ヤバいぞ…誰か走ってくんぞ?」


シュタタ

867: 2020/11/16(月) 11:31:14.83 ID:CUQQsgj40
剣士「そこまでだ…手を放せ」

野郎1「誰だお前…どこから来やがった」スラーン

野郎4「こいつ刀に手ぇ掛けてる」スラーン

剣士「魔女…立てそうかい?」

女戦士「助かったわい」

剣士「僕が援護するからその盾で構えてみて」

女戦士「こうか?」スチャ

野郎1「やろう…やる気だな?」

剣士「構わずその武器で叩いても良さそうだよ…」


ブン! ボカ ボカ ボカ

うぎゃ! いだっ!


剣士「その先っぽの尖ってる所を当てれば良い」

女戦士「こうじゃな?」ブン! グチャ




『飛空艇』


メラメラ パチ


女海賊「お!?なんかいっぱい買って来たね」

商人「そうなんだよ…丁度商隊が沢山詰めててさ…良い物いっぱいあった」

女海賊「これ馬の毛皮?」

商人「そうそう!それすっごい安かったんだ…他の毛皮は高騰してた」

女海賊「ちょうど敷物無くて困ってたんだよ…盗賊!この毛皮を床の敷物にして」

盗賊「商人…飛空艇の中を見て見ろ!」

商人「おぉぉスゴイ!!ちょっとした隠れ家になるじゃないか」

ホムンクルス「中は暖かいですよ?」

女海賊「あ!!サメの肝油だ!!貴重品じゃん」

商人「それも安かったんだ…あと色んな動物の角も安かったから買って来た」

盗賊「肝心の肉はどうなった?忘れて居ないだろうな?」

商人「肉もすごい安かったから色んな肉買って来たよ」

情報屋「ちょうど焚火してるみたいだし早速焼いてみたら?」

女海賊「ちょちょちょ…焚火で肉を焼くときは焼き方があんだよ…剣にぶっ射して直火で焼くの」

盗賊「知ってらぁ!こうだろ?」スパッ ブス

女海賊「そうそう…それが山賊焼き…私も食お!」

情報屋「剣士と魔女の分も焼いておくわね」ジュゥ

盗賊「クソ旨めぇ!!」ガブガブ

ホムンクルス「造血剤を飲むのも忘れないで下さい」

盗賊「俺の造血剤は酒だ」

ホムンクルス「アルコールの分解は体に負担がありますので少しにして下さい」

盗賊「へいへい…」



868: 2020/11/16(月) 11:31:44.64 ID:CUQQsgj40
-----------------



商人「あ!剣士と魔女が帰って来た」

女海賊「平気?」

剣士「魔女一人で十分だったよ」

女海賊「お姉ぇの体に怪我は?…アレ?お姉ぇじゃないか…」

女戦士「わらわは大丈夫じゃ…ちと下の方を触られて気持ち悪いだけじゃ」

女海賊「え…お姉ぇの体触られたって事?」

女戦士「気にせんでも良い…それより良い匂いがするのぅ」

情報屋「剣士と魔女の分の肉が焼けてるわ?食べて?」

商人「冷凍になってるお陰で肉が新鮮だよ…おいしいから食べて」モグ

女戦士「久方ぶりの肉じゃな…もうずっと芋しか食しておらん」モグ

商人「寒くなったから皆毛皮が欲しいんだろうね…肉は本当に安かった」

女海賊「私ら毛皮は余ってて良かったね」

盗賊「昔お前が作った偽物の白狼毛皮な?毛布替わりにゃ丁度良い」

商人「あ!!そうそう金属糸の織物がめちゃくちゃ安かったんだ…女海賊が喜ぶと思って買ってきて置いた」

女海賊「お!?良いね!!魔女が軽装だからさ…後でインナー作ったげるよ」

女戦士「下着の代わりかえ?わらわは布の下着が苦手なのじゃ」

女海賊「大丈夫!スースーするから」

女戦士「では試してみるかのぅ」



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869: 2020/11/16(月) 11:32:20.03 ID:CUQQsgj40
剣士「そう!盾はそう構える」

女戦士「ふむふむ…」

剣士「盾の中に肩と肘と胴体を隠す…武器は相手から見えない様に」

女戦士「こうか?」

剣士「そのまま突っ込んで来てみて?」

女戦士「…」タタタ

剣士「そうそう…そうやって間合いを詰める…その後に縦振りか横振りの2択」

女戦士「ほい!」ブン

剣士「良いね!振り終わったら盾を使って殴る感じに繋げて見て」

女戦士「…」ブン ブン

剣士「まぁそんな感じかな…必ず盾で身を守るのを意識してね…もう一回やろうか」



女海賊「お姉ぇの体になったら魔女も戦いたくなるんかな?」

盗賊「ちったぁ戦える様になってないと又襲われるぜ?」

商人「なかなか様になってるじゃない」

盗賊「まぁ本物と比較したら全然キレが無い…てか先読みが無いから素人みたいなもんだな」

商人「先読みねぇ…それ言われると僕も素人だなぁ」

盗賊「乱取りで慣れるしか無いんだが…魔女にそれが出来るんかいな」



剣士「じゃぁ次!その木の棒で僕に当てて来てみて」

女戦士「良いのか?」

剣士「うん」

女戦士「では…」タタタ ブン カコン

剣士「続けて」


カンカン コン


870: 2020/11/16(月) 11:33:10.87 ID:CUQQsgj40
剣士「待って待って…どうして僕の避ける方向分かってる?」

女戦士「見えて居るからじゃが?」

剣士「あれ?魔女は何か訓練してる?」

女戦士「剣の訓練は初めてじゃ…魔術の訓練は何十年もやったがのぅ」

剣士「おかしいな…」ヒョイ ヒョイ

女戦士「普通じゃが?」

剣士「僕が動く前に魔女の目はそっちに向いてる…どうして?」

女戦士「詠唱短縮の効果じゃな」

剣士「どういう事?」

女戦士「魔術師は詠唱を短縮する為に少しだけ時空の先に居るのじゃ…わらわがノソノソ動く様に見えるのは主らに合わせて居るからじゃ」

剣士「それはどれくらい先?」

女戦士「1秒にも満たぬが…それほど影響があるのか?」

剣士「そういう事か…リッチと戦った時に違和感があったんだ」

女戦士「魔術師は精神と時の門でそういう修行をするのじゃ…相手よりどれだけ早く魔法を撃てるかが勝負じゃからな」

剣士「もう少し立ち合ってみよう」

女戦士「ふむ…いくぞよ?」



カンカンコン カンカンコン



盗賊「なんか俺もやりたくなってきたわ」ウズウズ

剣士「魔女は鍛えるとすごく強くなると思うよ」

盗賊「だな?俺がリッチの鎌の射程がおかしいと思ったのはそういう事だな?」

剣士「うん…1秒先に動かれてると思って戦わないといけない」

盗賊「1秒つったら連撃食らってもおかしく無ぇ」

女戦士「1秒も無いで安心せい…修行を極めても1秒には届かぬ」

剣士「それでも圧倒的有利だよ」

盗賊「見て避けるでは遅いな」

剣士「うん…感じて避けないといけない」




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871: 2020/11/16(月) 11:33:43.79 ID:CUQQsgj40
盗賊「暗くなって来たからそろそろ上がっとか無ぇと獣出んぞ」

女海賊「剣士!魔女!?飛空艇に入って…行くよ」

剣士「あぁごめん今行くよ」スタスタ

女戦士「良い運動じゃった…この体はよう動くから気持ちがええわい」

女海賊「剣士!残りの荷を入れて!!」

剣士「うん…よっこら…これは矢とボルトだね」

商人「安い物を手当たり次第に買っちゃったから」

情報屋「セントラルに物資が無いのは近隣に疎開したからだったのね」



”ハジ・マリ聖堂の魔術院が抵抗して占拠に時間が掛かりそうだ”

”兵団がセントラルに戻るのはもう少し待て”

”あのモウロクを上手く使ってなんとか収めろ…以上”



女海賊「ちょ…これ!!リッチが持ってた貝殻…」

女戦士「どういう事じゃ?セントラルの兵団がハジ・マリ聖堂に行って居るのか?…」

盗賊「こりゃどっかに行ってたセントラルの船団はシン・リーンに行ってんじゃ無ぇか?」

女戦士「戦う理由が無いでは無いか…国が接して居らんのじゃぞ?」

商人「シン・リーンとセントラルは元々戦争状態だよね?」

女戦士「ううむ…わらわがセントラル国王に密書を渡したのが黒の同胞団にバレてしもうたかのぅ…」

商人「その可能性もありそうだね…あと前にこの飛空艇でシン・リーンの船団を追い返した事もあるんだ…氏傷者ゼロで」

女海賊「海賊がシン・リーンの港町まで牽引したってパパが言ってた」

商人「だったらドワーフの国と繋がってる様にも見えてしまってるかもね」

女戦士「魔術院を落としたところでセントラルには何の利も無いと思うが…」

商人「セントラルじゃなくて貴族とか黒の同胞団の利益だろうね…何かありそう?」

情報屋「発掘された遺跡の遺物…ほら?聖剣エクスカリバーとか光の石とかいろいろ有ったでしょう?」

女戦士「ユニークアイテムを奪われまいと母上が抵抗しておるのじゃな?」

商人「流れ的にそんな感じだね」

女戦士「これは先にハジ・マリ聖堂に向かわねばならんな」

商人「魔女があんまり動いちゃうと相手に勘繰られる気がするなぁ」

女戦士「ホムンクルスや…森の東…ハジ・マリ聖堂付近は雪が積もっておりそうか?」

ホムンクルス「森の東側は山がありませんので豪雪地帯にはなりにくい様です…北の方へ行けば雪が降っているでしょう」

女戦士「アラクネーじゃな…アラクネーを起こして戦わせるのじゃ」

女海賊「お!?私ちっこいクモ持ってるよ…ホラ」モソモソ

女戦士「言う事聞くのであればそのクモにお願いしてみるのも手じゃな…無理やり起こすと怒らせてしまうで」

女海賊「やってみるよ」

872: 2020/11/16(月) 11:34:45.07 ID:CUQQsgj40
『森の上空』


シュゴーーーー


盗賊「一旦港町を見て行く感じで飛んで良いな?」

女戦士「うむ…船団の規模が見ておきたい」

商人「津波の被害がどうなってるのかも気になるね」

盗賊「湾になってっからな…セントラルと違って直撃は受けにく様には思う」

商人「セントラルは外郭がまずかったね…アレで海水をせき止めちゃったみたいだからさ」

盗賊「このままハイディングしながら行けば1日半ぐらいか?」

女海賊「もうちっと早い…明後日の日の出前には着くと思う」

盗賊「んじゃ夜間飛行は俺がやる…お前等は仲良く寝てて良いぞ」

女海賊「剣士!こっちこっち!!めちゃ快適になってるよ」

剣士「あぁ…」

商人「じゃぁ僕とホムンクルスは向こうを使うね…ホムンクルスおいで」

ホムンクルス「はい…」

女戦士「ではわらわと情報屋はウラン結晶で温まるかのぅ」



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シュコシュコ ゴリゴリ


女戦士「何を作っておるのじゃ?」

女海賊「皆の武器をボーンハンドルにしてんの…木より丈夫で軽いんだよ」

女戦士「見た目も良いのぅ?」

女海賊「でしょ?磨くともっと綺麗になるさ」

女戦士「角か…回復魔法をエンチャント出来そうじゃな」

女海賊「お!?良いじゃん!!やって」

女戦士「ほんの少しじゃがな…切り傷くらいは治るじゃろうて」

女海賊「盗賊が怪我ばっかりしてるから絶対エンチャントした方が良い」

女戦士「そうじゃな…回復魔法!」ボワー

女海賊「これさぁ…鞘も角で作ったらエンチャント出来る?」

女戦士「出来るぞよ?」

女海賊「回復魔法の頻度が減るんだったらやっといた方が良いね」

873: 2020/11/16(月) 11:35:15.89 ID:CUQQsgj40
女戦士「うむ…」

女海賊「剣士も魔法使えるけどエンチャントは無理?」

女戦士「エンチャントは変性魔法との複合魔法じゃから剣士には出来んのぅ」

女海賊「なるほど…材料を変身させてるのか」

女戦士「そうじゃ高位魔法じゃから何年も修行せねばならぬ」

女海賊「剣士が使える最強の魔法って何?」

女戦士「魔力依存じゃったら量子転移が最強じゃが危険じゃけ教えられんのぅ」

女海賊「それって祈りの指輪にエンチャントされてる魔法?」

女戦士「そうじゃな…万物を手に入れる事が出来るが制御が出来んのじゃ…わらわでも自由に使えぬ」

女海賊「ふ~ん」

情報屋「変性魔法を簡単にした物がシャ・バクダ錬金術よ」

女戦士「良く知って居るのぅ…物質の結合と変性じゃ…特殊な器具が必要になるがな」

女海賊「特殊な器具って何?」

女戦士「わらわは知らぬ…天秤の様な物じゃとは書物で読んでは居るが仕組みは何も知らん」

情報屋「キ・カイ錬金術はその器具が無いから何でも中途半端なの…今までの話からすると時の王が持って居た可能性が高い」

女戦士「リリスの首にバフォメットが付いておったのはそれが理由じゃろうな」

女海賊「時の王の屋敷には天秤みたいな物なんか無かったよ」

女戦士「黒の同胞団が盗んだんじゃろう?それしか考えられん」

女海賊「そんな大事な物盗まれて平気にしてるっておかしくない?」

女戦士「じゃから黒の同胞団にモウロクと呼ばれて居るのでは無いか?人は200年分しか記憶出来んらしいからのぅ」

女海賊「…そうか精霊との思い出以外は忘れて行ってるのか」

女戦士「そこに付け入られて居るのじゃな…哀れな男じゃ」

情報屋「シャ・バクダが滅んで200年以上…道具の使い道を忘れて行ってもおかしくないわね」

女戦士「そもそも器具があったとしても変性魔法の術を使う者が居らんとイカン…じゃから時の王一人では器具は使えんのじゃ」

女海賊「分かって来た…やっぱ時の王は上手く利用されてるだけなんだ…黒の同胞団に」

女戦士「うむ…時の王の指示通りに動いて居る様に見せてその実…利用されておるな」

女海賊「黒の同胞団のボスって誰?…」



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874: 2020/11/16(月) 11:35:45.98 ID:CUQQsgj40
トクン トクン トクン


女海賊「ちょっと商人!あんた裸で何やってんのさ」

商人「シーーーッ!」

女海賊「ホムちゃんも服がはだけ過ぎなんだけど」

ホムンクルス「商人の心臓の音を聞いて居ました…少し雑音が混ざっている様です」

商人「悪くはなって無い?」

ホムンクルス「恐らく心臓の膜に穴が開いていると思われます…塞ぐことが出来れば症状は改善します」

女海賊「あんた具合悪いの?」

商人「空気が薄い場所だとすこしだるくなるんだ」

ホムンクルス「血中酸素濃度が低下しているのですね…病状の悪化ではありません」

女海賊「魔女の変性魔法で心臓治せたりしないの?」

女戦士「わらわは何でも屋では無いぞよ?」

ホムンクルス「心臓の病状が進行する事はありませんがその他臓器への負担が心配ですね」

女海賊「ホムちゃん賢者の石持ってたよね?それでいつもくっついてたの?」

ホムンクルス「はい…賢者の石には体機能の活性化効果がありますから」

女海賊「おっけおっけ…なら良いよ」

商人「僕はホムンクルス無しじゃ生きていけないかもね」

女戦士「ではホムンクルスをしっかり守らねばイカンぞ?」

商人「だから剣の練習してるのさ」

女海賊「ふ~ん…まいっか」



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875: 2020/11/16(月) 11:36:14.10 ID:CUQQsgj40
トンテンカン トンテンカン


盗賊「ぬぁぁぁうるせぇな…今度は何作ってんのよ」

女海賊「秘密兵器…」キュッキュッ

盗賊「望遠鏡か?えらく細い様だが?」

女海賊「ホムちゃん!ミスリル銀磨いて鏡の入れ物にしたよ…これに光の石入れれば良いんだよね?」

ホムンクルス「はい…あとはレンズで集光して筒から出る様に調整してください」

盗賊「んん?光をその筒から発射するんか?」

ホムンクルス「簡単なインドラの矢を発射する装置ですね…鏡の中で光を蓄えて発射する仕組みです」

女海賊「これさ…ずっと使わないと光貯め過ぎて爆発したりしない?」

ホムンクルス「ご安心ください…一定量を超えると光の石に再吸収されます」

女海賊「あーーなるほど」

ホムンクルス「光の最充填にどれくらい時間がかかるか分かりませんので使って試してみてください」

女海賊「これ撃てるの一発だけ?」

ホムンクルス「そうですね」

女海賊「じゃぁ望遠鏡と合わせて狙いを外さない様に調整しないとなぁ…」

盗賊「2連式クロスボウみたいになってりゃ良いんだけどな」

ホムンクルス「光は重力で少しだけ曲がりますのでご注意下さい…計算式はメモに書いておきます」カキカキ

女海賊「んん?これって…そっか見えてる分も曲がってるのか…てことは遠くに見える物ほど誤差が大きくなるんだね」

ホムンクルス「はい…」

盗賊「どんだけ遠く狙うつもりなのよ…」

女海賊「望遠鏡で見える範囲に決まってんじゃん」

盗賊「おま…10キロも20キロも先の物に当てるつもりなんか?」

女海賊「悪い?」

盗賊「マジか…そんなんで狙われたら命がいくつあっても足りん…神の武器になるぞ」

ホムンクルス「長距離でしたら大気による光の減衰で大きな威力は期待出来ません…木を燃やす程度ですね」

盗賊「それでも人頃すにゃ十分だ」

女海賊「んーーこれ望遠鏡で補正するのムリだなぁ…目盛り書くだけにしよっかな」

ホムンクルス「対象との距離で補正する量を記した目盛りが簡単でしょう」

女海賊「おけおけ…あとは引き金工夫してブレ無いようにする」カチャカチャ



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876: 2020/11/16(月) 11:36:40.42 ID:CUQQsgj40
女海賊「飛空艇揺らさない様に安定飛行させて」

盗賊「おう!」

女海賊「じゃ…もっかい!!」シュン

盗賊「なんか撃ってんのか撃ってねぇのか分かんねぇな…当たったか?」

女海賊「ふむふむ距離2キロ程度でリンゴに当てられる…もうちょい調整必要かな」

盗賊「十分すぎるだろ」

女海賊「ダメダメ…私が納得しない」

女戦士「ううむ…やはりドワーフは伝説の武具を生み出すのじゃな」

女海賊「再充填で10分掛かんのがウザイ」

ホムンクルス「光の石を挟んで鏡の容器を左右に分けてみては如何でしょう?」

女海賊「2発撃てるって事ね?おっけ!もう一個容器作るわ…」

盗賊「おいおいまだやるんか…もう日が落ちる」

女海賊「ほんじゃ調整はまた明日…今から容器作って改造する」

女戦士「やる事があって良いのぅ」

情報屋「本当スゴイわね…」




『港町近海』


シュゴーーーーー


盗賊「全部で8隻だな…てことは4000人程度軍隊が出てる事になる…船に残ってる事考えると2000人ぐらいか」

女海賊「これ港町は占拠されちゃってんのかな?」

盗賊「港町に俺の隠れ家があんだけど寄ってか無ぇか?」

女海賊「飛空艇降りられんの?」

盗賊「大丈夫だ…納屋に小麦もある」

女海賊「ふむ…ちょっと行ってみようか」

商人「母さんのお墓もあるんだ…手を合わせて行って」

女海賊「女盗賊か…じゃぁ行かないとね」

盗賊「よっし!日が昇る前に降りる」


シュゴーーーーー

877: 2020/11/16(月) 11:37:15.44 ID:CUQQsgj40
『ユートピア』


フワフワ ドッスン


盗賊「降りろ!飛空艇は狭間に隠す」

情報屋「しばらく留守にしていたけど…変わって無いわね」

商人「女海賊!母さんの墓はこっちだよ」

盗賊「海がめちゃくちゃキレイなんだ見て行ってくれ」

情報屋「私は街に降りて少し情報を仕入れて来るわ?剣士を連れて行っても良いかしら?」

女海賊「剣士行ける?」

剣士「うん…」

情報屋「剣士が居れば安心…」


盗賊「ふぅ…女盗賊…帰って来たぜ?寂しかったか?」ナデナデ

女海賊「このお墓…あんたが作ったの?」

盗賊「なんだよ…飾りっ気が無いってか?」

女海賊「私が石に装飾掘っても良い?」

商人「ハハ良いじゃない?母さん喜ぶよ」

盗賊「あんま派手派手にすんなよ?」

女海賊「うっさいな…あんたも情報収集行って来たら?どうせ暇でしょ?」

盗賊「へいへい…情報屋!待ってくれ…俺も街に降りる」

情報屋「早く来て?今の内に酒場見ておきたいの」



----------------


コンコンコン コンコンコン


女戦士「ほう…シャ・バクダ王家の紋章じゃな?」

女海賊「うん…アサシンから女盗賊の本当の名前聞いて居たんだ」

女戦士「随分と離れた場所に来てしもうたな…まさかここに王の血筋の墓があるとは誰も気づくまい」

女海賊「私さぁ女盗賊が歌ってた歌をまだ覚えてんだ」

女戦士「どんな歌じゃ?」

女海賊「剣士を寝かせる時に歌ってたんだよ…すっごい簡単なんだけど…印象に残ってる」

女戦士「…むむ!!もしや…歌ってみよ」

女海賊「寝んね~ん寝~♪」

ルルル~♪

ララ~♪
 
女戦士「こんな所に伝わって居った様じゃな…その歌を忘れるでないぞ?」

女海賊「え?なんで?」

女戦士「それはキマイラを操る歌じゃ…必要になる時が来るやもしれん」

女海賊「リリスとかの事?」

女戦士「うむ…キマイラとして蘇ったリリスを操れる可能性があるのじゃ…ホムンクルスや?覚えたか?」

ホムンクルス「はい…今の歌は記憶に残って居ます」

女戦士「主も歌えるようにしておくのじゃ」

ホムンクルス「はい…わかりました」

878: 2020/11/16(月) 11:37:58.30 ID:CUQQsgj40
『日の出』


女海賊「はぁぁぁぁ時間忘れそう…ここって名もなき島みたいな感じ」

商人「朝食出来たよ…小麦でパンを焼いてきた…野菜と肉も挟んであるよ」

女戦士「おぉ良いのぅ」

商人「母さんの大好物だったんだ…毎日このパンを孤児院に持って来てくれた」

女海賊「あんがと…」モグ


チュンチュン


商人「あ!あんなところに鳥の巣が出来てる」

女戦士「女盗賊の友達かもしれんのぅ…」ポイポイ

女海賊「ここは平和だねー」


タッタッタ


盗賊「おぉぉ間に合った!!剣士!情報屋!早く来い…まだ日の出だな?」ハァハァ

女海賊「めちゃ綺麗だねココ」

盗賊「お!?墓もなかなか荘厳な感じになったな?」

女戦士「シャ・バクダの末裔にしては質素じゃが場所は最高じゃな」

盗賊「よう!!それより聞いてくれ…港町に新しい領主が来たらしいんだけどよ」

女戦士「元老の誰かじゃな…わらわが知って居るやもしれん」

盗賊「聞いて驚くな?そいつは魔術師の推薦でシャ・バクダから派遣されてる…どういう事かわかるか?」

女海賊「ぶっ!!…マジで?」

女戦士「最悪の者が領主になったと言うか…」

盗賊「女海賊ちょっとこっちの崖際に来てみろ…領主の砦が見えるんだ…その望遠鏡で覗いてみろ」

女海賊「え…どこ?」

盗賊「ギリギリ砦が見える…何か見えんか?」

女海賊「んんん…こんな朝っぱらから人なんか要る訳無いじゃん」

盗賊「あいつ何とかしねぇと又何かやらかすぞ?」

女戦士「これではっきりしたのぅ…内側から魔術院を滅しようとしておる様じゃな」

商人「魔術院さえ無くなれば女王の実権が無くなる?」

女戦士「元老院はまとまった兵を持って居らぬ…故にセントラル兵を使って居るな」

盗賊「こっちもぐちゃぐちゃだな」

879: 2020/11/16(月) 11:38:26.25 ID:CUQQsgj40
女戦士「まともなのはフィン・イッシュだけの様じゃ…しかしあの領主は処分せねばならん…どうしたもんか」

女海賊「あ!!裸のエルフが捕らえられてる…え?3人も?」

女戦士「どこじゃ?」

女海賊「物見の塔…窓から見える」

女戦士「千里眼で覗く…ふむ鎖で壁に繋がれておるな」

女海賊「距離1キロくらい…ホムちゃん!この距離で鎖は焼き切れるかな?」

ホムンクルス「2発同じ場所に当てれば切れるかもしれませんね」

女海賊「剣士!あんた鳥と話できたよね?」

剣士「え!?そんなのやった事無い…」

女海賊「良いから鳥と話してあのエルフに伝えさせて…鎖を見えやすい位置に移動させてって」

剣士「どうすれば良いか…」

女海賊「目ぇ閉じて!!鳥を何か感じない?」

剣士「目を…居るのは分かる…でもどうやって?」フッ

女戦士「今ので終わりじゃ…感じるだけで良いとエルフが言うておった」

女海賊「おけおけ飛んでった」



--------------------



女海賊「よしよし…窓に移動してる…撃つよ」シュン

盗賊「おぉ…」

女海賊「ヒット!」ガチャコン

盗賊「すげぇ仕組みだな」

女海賊「気が散る…黙ってて」シュン

女海賊「よっし!切れた!!」

女戦士「残りの2人も鎖の切断を要求して居りそうじゃ」

女海賊「うん分かってる…あと10分」

女戦士「これは魔法では無いで誰も気づけんのぅ」


880: 2020/11/16(月) 11:38:56.97 ID:CUQQsgj40
『20分後』


シュン


女海賊「おっけ!最後の鎖…やっぱ調整したら精度上がる」

女戦士「3人で逃げて行きよる」

盗賊「見えた…アレだな?もう見つかって追われてんな」

女戦士「エルフ3人じゃとよほどでは無い限り掴まえるのはムリじゃろう」

盗賊「まぁそうだな」

女海賊「チャンス!エルフ居なくなったの確認しに来た所を狙える…あのクソ領主の股間に当ててやる」

盗賊「そこは一発で倒せよ」

女戦士「元老の処分はわらわに任せよ…ここはお仕置きで良い」

女海賊「魔女?クソ領主はどこにいるか分かんない?」

女戦士「今衛兵の目を追って探して居る所じゃ…少し騒ぎになり始めて居る」




『10分後』


盗賊「おいおいおい…アレ領主じゃ無ぇか?今砦の方に向かっている…女連れてんな」

女海賊「外で豪遊かよ」

盗賊「砦ん中入っちまう前にやった方が良くねぇか?」

女戦士「今女の目を追って居る…間違いなくシャ・バクダに居った領事じゃな」

盗賊「砦の門が狙い目だ…開いて無ぇから立ち止まる筈だ」

女戦士「女の視線がおかしいのぅ…キョロキョロしておる」

女海賊「よし!門で立ち止まった…あの女邪魔!!」

女戦士「話をして居るが…金銭の揉め事…いやイカン!!領主はナイフを手にしておる」

女海賊「…もうちょい下がって…もうちょいもうちょい…」シュン


パン!


女戦士「うぉ!!血が飛び散りよった…」

女海賊「え?なんで?破裂して片足取れた」

ホムンクルス「水蒸気爆発ですね…血液が爆発したと思われます」

女海賊「ヤバこれ…」

盗賊「おい…騒ぎになる前にここを離れるぞ…飛空艇に乗れ」

女海賊「やっちゃったぁぁ…」

女戦士「直ぐ近くに魔術師が居るじゃろうから氏なんじゃろう…足を失のうたのは今までの罰じゃ」

盗賊「行くぞ!早くしろ!!」

881: 2020/11/16(月) 11:39:25.89 ID:CUQQsgj40
『飛空艇』


シュゴーーーーー


女海賊「光が当たって燃えるだけだと思ってたんだよ」

ホムンクルス「水分が無ければ燃えるだけで収まりますね」

女海賊「リンゴが破裂してたのはそういう事か」

ホムンクルス「はい…水分が水蒸気爆発を起こして威力が増大します」

盗賊「これ爆弾と変わんねぇだろ」

女海賊「ちょっと使いどころ考える…危なすぎ」

女戦士「神の武器じゃな」

盗賊「逆に言うと魔物は一発で倒せる訳だ…あの威力だと胴体に当てりゃ穴空くだろ」

商人「君はスゴイ武器を開発したね…インドラの銃…間違いなくユニーク武器に相当するよ」

女海賊「魔女どう?クソ領主は氏んで無い?」

女戦士「しぶとく生きとるのぅ…貝殻を使って何やら連絡しておる」

女海賊「狭間の中で貝殻の声って聞こえるんだっけ?」

女戦士「何か聞こえてから狭間を出ても遅くは無い」

商人「また何か指示が出るかもね」

女戦士「気にせずわらわ達は行動して居れば良いと思うな」

盗賊「ハジ・マリ聖堂は直ぐに着いちまうぞ?直行して良いんだよな?」

女戦士「すぐ北の林の中に飛空艇を隠せば良い…聖堂の下に街があるよってそこで宿じゃな」



----------------



女海賊「…おっけ?分かった?」ブツブツ

盗賊「ヌハハ…クモとおしゃべりか?」

女海賊「うっさいなけし掛けんよ?毒持ってるから」

盗賊「結構でかいじゃ無ぇか」

女海賊「ここまで育てたの」

女戦士「良いアラクネーじゃな…魔術師はアラクネーを飼う事もあるのじゃぞ?」

盗賊「目が4つか?」

女海賊「6つ…クリクリして可愛いっしょ?」

女戦士「アラクネーはここまで大きゅうなれば天敵が居らんくなるで飼いやすい…クマでも近寄らんな」

盗賊「おおぅ…そんなに毒強ぇぇのか」

女戦士「麻痺の効果と壊氏の効果じゃ…飛空艇を守るには最適かも知れんのぅ」

882: 2020/11/16(月) 11:39:58.28 ID:CUQQsgj40
『ハジ・マリ聖堂上空』


ビョーーーーウ バサバサ


商人「完全にセントラルに包囲されてるね…トレビュシェットまで作ろうとしてる」

女戦士「魔術院だけが孤立しとるんじゃな」

盗賊「だな?街の方は何も被害が無ぇ」

商人「ドンパチが無さそうだけどどうなってるんだろ?」

女戦士「わらわの教えを守っているならば専守防衛じゃ」

盗賊「こんなんじゃ守り切れんだろ」

女戦士「魔術師をなめてはイカンぞ?睡眠魔法も毒魔法も使えるのじゃぞ?」

商人「なるほどねーそれで制圧出来ないでいる訳だ」

女戦士「内側に敵が居らねばこの数で攻め切れる訳が無い…じゃが向こうにも魔術師が混ざって居るんじゃろうな」

盗賊「飛空艇はどこに降ろせば良いんだ?」

女戦士「北の林の中じゃ…アラクネーが居って人が近寄らん」

盗賊「あそこだな?降ろすぞ」ビュゥゥゥ




『北の林』


フワフワ ドッスン


盗賊「自分の荷物持って居りてくれ!最後に俺がハイディングで隠す」

情報屋「うっすら雪が積もってるわね?」

商人「ここは暖かいな…地面から湯気が出てる」

ホムンクルス「暖かい地下水が流れている様ですね…クモの様な地生生物の温床になるでしょう」

女海賊「…じゃぁ行って来て!」カサカサ

女戦士「アラクネーが出て来るか見ものじゃのぅ」

盗賊「俺らは街の方に降りてくんだよな?」

女戦士「ちと遠いが運動不足の解消と思って付いて参れ…2時間程歩く」

女海賊「マジ!?そんなに歩くの?」

商人「良い事思いついた!!ソリが2台あったじゃない?乗って行こう」

女海賊「お!?面白そう…持って来て」

商人「丁度緩い斜面になってるし薪にするくらいだったら使っちゃおう」

883: 2020/11/16(月) 11:40:30.74 ID:CUQQsgj40
『斜面』


シューーーーーー


女海賊「ひゃっほーーーい!!」

女戦士「およよよよ飛ばし過ぎでは無いか?およよよよ」


ゴツン ガッサーーーー ゴロゴロゴロ


女海賊「アハハ…アハハハハハ」

剣士「魔女!大丈夫かい?」

女戦士「ふがふが…ぺっぺっ…飛ばし過ぎじゃ!!」

女海賊「止まんなかったんだよ!!もう良いじゃん街まですぐそこだし」

女戦士「盗賊らは上手く滑って居るでは無いか」

盗賊「うぉぉぉい!!早くこぉぉぉい!!」

女戦士「もう主のソリにわらわは乗らぬ」プンスカ

女海賊「まぁまぁ早く行こ!!剣士?ソリ持って来て」ピュー

女戦士「ヤレヤレじゃな…」

剣士「ハハ…」


884: 2020/11/16(月) 11:40:57.16 ID:CUQQsgj40
『ハジ・マリ街道』


タッタッタ


町人「あんたら!!冒険者か?どっから来たんだ?」

盗賊「まぁそんな所だが…港町の方からここまで来た」

町人「ほーん…見た所手慣れの装備だな?」

盗賊「どうした?見知らぬ冒険者に声を掛けるったぁ何かあんだろ?」

町人「セントラルから来た兵隊がよぅ…魔物をけしかけて街の者に従うよう強制するんだ」

女戦士「それは聞き捨てならんな」

盗賊「魔物と言っても色々居るが…」

町人「頭が牛みたいなでっかい奴なんだ」

盗賊「そらミノタウロスだな…魔術師はどうしている?」

町人「ここらを守ってた魔術師はみんなあの聖堂の中に閉じこもってる」

女戦士「なぜその様な事になっておる?」

町人「領主の方針だよ…魔術院をシン・リーンに移設するらしいけど魔術師達が抵抗している」

女戦士「魔術師が居らん様になっては魔物からこの地を守る事なぞ出来んのじゃが…」

町人「兵隊を駐留させて経済成長させる狙いだとか」

盗賊「ほんで?俺達にミノタウロスを倒してくれって事なのか?」

町人「早い話そうなる…俺達武器持ってる奴が少ないんだピッチフォークくらいしか無い」

盗賊「ヌハハそれじゃミノタウロスは無理だな」

町人「それだけじゃ無いんだ…この辺は夜になるとグールが出て墓荒らしするんだ」

女戦士「うむ…そうじゃな魔術師が居らんとグールに支配されてしまうのぅ」

盗賊「人食い人種だっけか?ゾンビとか食らうんだよな?」

町人「知ってるなら話が早い」

女戦士「つまりじゃ…魔術師に帰って来てほしいのじゃろう?」

町人「まぁそこまで出来るとは思ってない…とりあえずあのでかい魔物を何とかしてほしい」

女戦士「わらわ達に任せて置け…全部解決してやるで」

盗賊「おいおいそんな事言って良いのか?」

女戦士「依頼は受けるよって主は宿に顔が効くのか?」

町人「宿のおかみは俺の幼馴染だ…何とか話をしても良い」

盗賊「そりゃ好都合だ…俺らが衛兵の目に付かない様にしてほしいもんだ」

町人「聞いてやる…付いて来い」

885: 2020/11/16(月) 11:41:29.46 ID:CUQQsgj40
『宿屋前』


女海賊「魔女あんな事言って良いの?もしかして私のインドラの銃頼りだったりする?」

女戦士「インドラの銃では無い…主の歌じゃ」

情報屋「ミノタウロスはシャ・バクダ錬金術の産物ね…つまりキマイラ」

女戦士「そうじゃ…主がミノタウロスを操るのじゃ…わらわは幻惑魔法でグールを操る」

商人「なるほどアラクネーとミノタウロスとグールで軍を追い払うつもりだね?」

盗賊「俺らは高見の見物って訳か」


ガチャリ 


町人「話は付いた…屋根裏を使って良い…来てくれ」

盗賊「ヌハハ屋根裏とは又隠れるのにベタな場所を…」

町人「正確には屋根裏に行ける部屋を使って良いって事だ…ただし」

盗賊「ん?」

町人「生活が掛かってるもんだから宿代はちゃんと払ってくれだって…」

商人「ハハお金は気にしなくて良いよ…ハイ」ジャラリ

町人「銀貨!!」

商人「口止め代も入ってるから秘密は守って」

町人「おい!おかみ!!てーへんだてーへんだ」



『宿屋』


盗賊「なかなか良い部屋じゃ無ぇか」

女海賊「屋根裏からセントラル軍のキャンプが望遠鏡で覗ける…ベスポジ!」

盗賊「情報収集は俺一人が良さそうだな」

情報屋「そうね?人が少ないし目立たない方が良いわね」

商人「僕はちょっと買い物に行きたいかな」

盗賊「商人は怪しまれそうに無いな…一緒に行くか」

情報屋「じゃぁ私達は水浴びでもして来るわ?」

商人「うん…じゃぁ行って来る」


886: 2020/11/16(月) 11:41:59.06 ID:CUQQsgj40
『夜』


盗賊「よう!戻って来たぜ?魔女はどうした?」

情報屋「魔女は一人で墓場の方に行ったわ…なにか情報あった?」

盗賊「酒場の方に非番の兵隊が結構来ててな…強行軍で大分疲れていそうだ」

女海賊「ははーんそれで動きがノロイんだ」

盗賊「お前はずっと望遠鏡で覗いてたのか?」

女海賊「ちょっとだけね…トレビュシェットの組み立ては材料無くて止まってるっぽいよ」

盗賊「ん?なんだこりゃ?角?」

女海賊「あーそれ余ってる角に魔女がエンチャント付けてくれてさ…好きなの身に付けといて」

盗賊「何のエンチャントだ?」

女海賊「回復魔法だよ…ほら私は羊の角を腰に引っかけてるよ」

盗賊「おぉどれでも効果同じか?」

女海賊「重さに比例するってさ…角は元々軽いからどれも同じじゃね?」

盗賊「じゃぁこれとこれだな」

情報屋「あなたすぐに怪我するから沢山持ってて」

盗賊「分かってるって」

女海賊「商人は何買って来たの?」

商人「あまり良い物無くてね…塩と胡椒…それからこれはアラクネーの牙かな」

女海賊「お?」

盗賊「お前変な物に興味あるのな…」

女海賊「貸して…ふむふむ」ブン

商人「骨とか角よりも硬いって言われたよ」

女海賊「盗賊の持ってる弓貸して…これ使ってコンポジットボウに改造できるよ」

盗賊「俺は小さい弓じゃ無いと使わねぇぞ?」

女海賊「おけおけ今より小さくて強力に出来る…金属糸頂戴」

盗賊「おう…」

887: 2020/11/16(月) 11:42:33.12 ID:CUQQsgj40
『翌朝』


チュンチュン


女戦士「ふぅふぅ…わらわはちと疲れたで寝る…あとは任せた」

女海賊「魔女が朝帰りなんて初めてだね」

盗賊「こりゃ起きるまで何も出来んな」

商人「ミノタウロスが街を回って来るのは昼前だって言ってたよね?」

盗賊「おぉそうだ…食い物を取りに毎日来るんだった」

女海賊「どうすっかな…魔女抜きで歌って良いのかな?」

剣士「行こうか…」

盗賊「何かあったら剣士がぶっ倒すだろ…どうせ暇なんだ行ってみろ」

商人「ミノタウロスが毎日肉を持って行っちゃうから皆困ってるらしいよ」

女海賊「おけおけ…剣士が居れば安心」




『街道』


シーン


女海賊「人が全然通って無い…隠れてるんだ」

剣士「匂い…」クンクン

女海賊「お?ミノタウロス来そう?」


ガラゴロガラゴロ ブゥブゥ


町人「おぉ!!ミノタウロスを倒しに?」

女海賊「ちょっと訳在ってね…」

町人「2人で倒すのか?」

女海賊「今日は様子を見に来ただけ…」

町人「そうか…」

女海賊「これがミノタウロスに与える餌?ブタが8匹…」

町人「もう家畜が残り少ないんだ…毎日これくらい要求される」


ドスドスドス

888: 2020/11/16(月) 11:42:59.24 ID:CUQQsgj40
ミノタウロス「おでの…肉…」

町人「来た!今日はこのブタだ」

ミノタウロス「グッフッフ足りんど?」

町人「これで勘弁してくれぇ」

ミノタウロス「お前…来い」

女海賊「うわ…くっさ!!」

ミノタウロス「女…旨い…お前でイイ」ズイ

剣士「下がって…」スチャ

ミノタウロス「お前…やるのか?」ズモモ ブン ブン

女海賊「これ歌う気無くなっちゃうんだけど…」

剣士「歌ってみて?」

女海賊「寝んね~ん寝~♪」

ルルル~♪

ララ~♪

ミノタウロス「変な人間…」ブン

剣士「何か指示出してみて」キーン

女海賊「全然効果無さそうじゃん!」

剣士「良いから何か指示だして」

女海賊「おい!牛ヤロウ!そのブタ持ってさっさと帰って!」

ミノタウロス「ほげ?」

剣士「…」タジ

ミノタウロス「今日はこれで…ガマン…明日またくる」

女海賊「おぉ!!いう事聞くじゃん!!」

剣士「これは魔女が使う幻惑魔法と同じだ…多分もう寝てる」

女海賊「へぇ…なんか良くわかんないけど結果オーライ?」


ドーン ドーン


女海賊「むむ!!聖堂の前で何か始まってる」

剣士「アラクネーが来たのかも…」

女海賊「見に行こう!!おい牛ヤロウ付いて来い!!」

ミノタウロス「ほげ?腹へった…」

女海賊「良いから付いて来い…いくよ!!」タッタッタ

889: 2020/11/16(月) 11:43:28.74 ID:CUQQsgj40
『宿屋』


ドーン ドーン


商人「爆発音!!何か起きてる…」ダダ

情報屋「見て!!聖堂の方…煙が上がってるわ」

盗賊「ホムンクルス!魔女を起こしてきてくれ…緊急事態だ」

ホムンクルス「はい…」

盗賊「剣士と女海賊は見えんか?」

情報屋「ミノタウロスに追いかけられてるわ…聖堂の方に逃げてる」

盗賊「いや剣士がミノタウロス相手に逃げる訳無ぇ…使役してんだ」

商人「セントラルのキャンプで誰か魔法使ってる」

情報屋「火柱…ボルケーノね?」

女戦士「何か起きとる様じゃな…」ゴシゴシ

商人「聖堂の下の方で戦闘が起きてるみたいなんだ」

盗賊「女海賊がミノタウロスの使役に成功して向かってる様だ…目を覗けるか?」

女戦士「千里眼!…ふむ…大型のアラクネーが2匹来て居るな…ちと早かったが作戦通りじゃな」

商人「セントラルのキャンプにも魔術師が居るみたいだよ…さっき火柱が見えた」

女戦士「そうか…ではグールも参戦させんとイカンのぅ…ちと出かけて来るで主らは宿屋から出てはイカン」

盗賊「おう…すぐ帰って来るか?」

女戦士「墓場まで行って帰って来るだけじゃ…そう掛からんで心配するな」

890: 2020/11/16(月) 11:43:59.16 ID:CUQQsgj40
『聖堂下』


ワーワー ワーワー

小さいのが入り込んでる!!

だめだぁ弓が効かない

でかいのは魔術師に任せろ

近づくな魔法に巻き込まれる

ワーワー ワーワー



女海賊「アラクネーに奇襲されて混乱してる!後ろの方まで伝達行って無いよアレ」

剣士「魔法を使ってるのは何人か分かる?」

女海賊「一人…ローブのやつ」

剣士「一人であの大きな魔法か」

女海賊「あんたもなんか色々使ってたじゃん」

ミノタウロス「腹へった…何かくわせろ」

女海賊「うっさいな!ちっと待ってろ」

剣士「ミノタウロスは兵隊を追い回す役でも良いかもね」

女海賊「牛ヤロウ!セントラルの兵隊を追い回して!その辺に転がってる食い物は何食っても良いから」

ミノタウロス「ほげ?ぶもおぉぉぉぉぉ…飯食う…肉にくぅぅ」ドスドス

女海賊「あいつくっさいんだよイライラする」


ゴーン ゴゴゴゴゴゴゴ


女海賊「あの魔術師何とかしないとアラクネーが焼かれちゃう…」

剣士「ハイディングで近づこう」

女海賊「おっけ!ハイディング!」スゥ

剣士「付いて来て…」タッタッタ

891: 2020/11/16(月) 11:44:36.11 ID:CUQQsgj40
『キャンプ』


女海賊「ちょっと待って!この先に隠れる所無いから一旦ここで様子見」

剣士「木の陰ね?」

女海賊「ちょい待ち…私登るから…よっ!ほっ!!」

女海賊「おし…リリース!」スゥ

剣士「リリース」スゥ

女海賊「おっけ!見える…あれ?あの魔術師…なんかでかい!!」

剣士「変性魔法で姿変えて居るんじゃない?」

女海賊「でかい鎌持ってる」

剣士「リッチだ」

女海賊「剣士アレだけ倒せる?」

剣士「倒さなきゃいけない…君はその銃でここから援護して」

女海賊「うん…ハイディング上手く使って」

剣士「行く!ハイディング!」スゥ


タッタッタ


剣士「リリース」スパ スパ スパ スパ

リッチ「うぐっ…回復魔法!」ボワー

リッチ「誰だ貴様!火炎弾!」ゴゥ ドーン

剣士「…」ヒラリ

リッチ「フン!自爆魔法!」バーン!!

剣士「うがぁ…」ドン ズザザ

リッチ「回復魔法!」ボワー

剣士「くそぅ…近寄れない」タジ

リッチ「フハハハ分かったぞお前は白狼の一味だな?」

剣士「…」---女海賊頼む!!---


シュン パーン


リッチ「ぬぁ!!」

剣士「ふんっ!!」スパ スパ スパ スパ


ザクン ザクン ブシュ スパ


リッチ「ぐぅぅぅぅ」シュゥゥゥゥ

剣士「ハイディング!」スゥ


892: 2020/11/16(月) 11:45:07.22 ID:CUQQsgj40
ワーワーワーワー

何だ?何が起こった?

指令が破裂した!!バラバラだ!!

後退!!後退!!

下がって立て直せぇぇ

ワーワーワーワー



-----------------



女海賊「剣士大丈夫?」

剣士「魔法の直撃食らった…範囲魔法が避けられない」

女海賊「見せて…肉の破片が沢山刺さってる」

剣士「抜けるかい?止血は自分で回復魔法する」

女海賊「この魔法って物理攻撃?」

剣士「そうだね…自爆してすぐに回復魔法された…あんな風に戦う相手が居るなら立ち回り変えなきゃ倒せない」

女海賊「抜くよ?」ズボォ ズボ

剣士「うぐぐ…回復魔法!」ボワー

女海賊「これ金属だ」

剣士「道理で…全部抜いて」

女海賊「むむむ」ズボ ズボ ズボォ

剣士「ぐぅぅぅぅ…回復魔法!」ボワー

女海賊「立てる?」

剣士「もう大丈夫…一旦宿屋に帰ろう」

893: 2020/11/16(月) 11:45:35.31 ID:CUQQsgj40
『宿屋』


女戦士「無事に戻って来た様じゃな?」

女海賊「あのゾンビみたいなのがグール?いっぱいいんね」

女戦士「ゾンビと違うて知能があってな集団で行動するのじゃ…まだ数が増えるぞよ?」

盗賊「今んところ軍隊も持ちこたえてる…こりゃ長引くかもしれんな」

剣士「セントラルにまだリッチが居るならひっくり返されるよ」

女戦士「リッチが居ったんか」

女海賊「そいつだけ倒したよ」

剣士「無詠唱の自爆魔法を使って来た…あんな魔法は魔女も使えるの?」

女戦士「使おうと思えば使えるが…わらわの体は生身じゃけ痛みで次の詠唱が出来んじゃろうな…不氏者じゃら可能な術じゃな」

女海賊「これ…肉の破片から出来た金属」

女戦士「うむ…体の一部を金属に変性させて爆発させるのじゃ」

剣士「こういう魔法を先読みで使われるなら僕はリッチと戦えない…何か対抗手段無い?」

女戦士「やはり修行をせんとイカンかものぅ…盾魔法もあるが効果は低い」

剣士「修行…どんな修行?」

女戦士「精神と時の門で時空を超える修行じゃな…魔術師は皆修行をする」

女海賊「それ何年もかかる修行だよね?」

女戦士「わらわの様に時空の少し先に居るようになるには何十年も掛るが…一瞬だけ時間を止める程度であれば習得できるやものぅ」

剣士「一瞬だけ?…それで十分だ!魔法を撃たれた一瞬だけ止まれば対処出来る」

女戦士「ふむ…時限の門を呼び出すには狭間の最も深い場所に居らねば成らぬ…シン・リーンに戻ったならば修行をさせてやろう」

剣士「頼むよ…」



-----------------

894: 2020/11/16(月) 11:46:12.54 ID:CUQQsgj40
女海賊「…」シュン

盗賊「何撃ってんだ?」

女海賊「他の近くの村にもミノタウロスが行ってるんだよ…これで2体目」

盗賊「各個撃破か…やっぱ役に立つなその武器」

女海賊「魔女?この辺の村っていくつあんの?」

女戦士「さぁ?20ぐらいあるのでは無いか?わらわは全部把握しておらん」

女海賊「あのミノタウロスは軍隊の食力調達要員ぽい…キャンプに食料積んである」

商人「つまりミノタウロス撃破で食料切れを起こすんだね?」

女海賊「そゆこと」

盗賊「軍にヘイト集まらない様に工夫してるんだろうがバレバレだな」

女海賊「ミノタウロスがどんだけ居るか知んないけど地道に数減らすのが良いと思うんだ」



”連絡…例の器具が到着した”

”材料が不足しているから屋敷から使えそうな物を持ち出せ”

”シン・リーン王女がセントラルに潜伏しているとの事だ”

”発見次第殺せ…以上”



商人「ハハまだリッチをやられた事に気付いて居ない…僕たちが先を行ってるじゃないか」

女海賊「リッチを倒すってつまりこういう事だよね…情報を断ってる」

女戦士「…おかしいのぅ」

商人「え?」

女戦士「貝殻を使って情報をやりとりして居るのであればこれほど情報が遅延することはありえん…こ奴ら…」

商人「どういう事?」

女戦士「本真に巧妙に忍んでおるな…こ奴らは5日程過去に潜んで居る」


今聞こえた声は大体5日程前の情報じゃ

前に聞こえた声もそうだったんじゃろう

今わらわ達が起こした行動を貝殻を使って5日程前に聞いて

常に歴史を塗り替えて居るんじゃ


女海賊「じゃこの貝殻あんま意味無いね」

女戦士「リッチは恐らく捨て駒じゃ…未来の出来事を報告させる駒じゃな」

盗賊「5日前つったら…時の王の屋敷に行く前日だな?何か有ったか?」

商人「貴族居住区から中央の方に人が流れてき始めた頃だね…もしかして…」

女戦士「今倒したリッチから貝殻を探して来れんか?」

女海賊「私探してこよっか?」

盗賊「今戦線が下がってるから探すなら今がチャンスだぞ」

女海賊「おけ!行って来る」

895: 2020/11/16(月) 11:46:42.03 ID:CUQQsgj40
-----------------



商人「魔女?さっきの話は過去に先回りされているっていう解釈で良い?」

女戦士「うむ…時限の門をくぐって過去に行った者が本丸じゃ…追うにはわらわ達も時限の門をくくらねばならんかも知れぬ」

商人「それって追いつめても既に居ないっていう状況が起きる?」

女戦士「そうじゃな…そうやって隠れ潜んで居るのじゃ…未来の出来事を知っての」

商人「今日起こった出来事は黒の同胞団には5日前に伝わってる…その結果が今…」

女戦士「とにかく主は出来事をメモに残せ…符合が合わん時には記憶が塗り替わって居る」

商人「過去に先回りか…」

女戦士「隠密で貝殻を使わせる事無く始末するのが最適じゃな…女海賊のインドラの銃が極めて重要じゃ」

商人「歴史の塗り替えってそんなに簡単かな?」

女戦士「そう簡単には変わらんじゃろうが逃げるぐらいは簡単じゃな」

商人「その結果行動が変わる可能性もあるよね?どうなっちゃう?」

女戦士「神隠しが起きる…次元の狭間に消えるのじゃ」

商人「それ危ないね」

女戦士「うむ…ややもするとこの次元が消滅しかねん」

商人「僕の自我は何処に行っちゃう?」

女戦士「気付いたら過去の自分じゃろうが何も覚えて居らんから今の自我とは違うのぅ」

商人「そういう事か…」




------------------


スン スン スン


剣士「ふぅぅ…」スン スン

女戦士「リッチに苦戦したのが悔しいのじゃな?」

剣士「僕じゃ倒せない…」

女戦士「主でもリッチの心臓の位置は分からんのか?」

剣士「良く集中すれば分かる…でもそんな余裕が無いんだよ」

女戦士「主のその刀は光を帯びて居るじゃろう?残像も残るな?」

剣士「それが?」

女戦士「光は魔法を反射するのじゃぞ?」

剣士「え?」

女戦士「魔法を反射する反射魔法は光属性じゃ…主にも使えるじゃろうが…それより剣筋の残像に身を隠してみよ」

剣士「こう?」スン スッ

女戦士「それで魔法から身を守って居る…物理攻撃は避けられんが…今までよりよかろう?」

剣士「そうか…光を纏うのか…」

女戦士「うむ…その効果は反射じゃ…反射した魔法は跳ね返る故に上手く使え」



------------------

896: 2020/11/16(月) 11:47:08.36 ID:CUQQsgj40
女海賊「魔女!!貝殻拾って来たよ!!6個あった」

女戦士「この貝殻はわらわが預かる」

女海賊「印が書いてあるね?これで使い分けてるんだね」

女戦士「外の状況はどうじゃ?」

女海賊「戦線が押し返されてる…ミノタウロスが他にも居たっぽくてさ」

女戦士「どうやらわらわ達はもうしばらくここに居らねばならん様じゃ」

女海賊「歴史の塗り替え?ひょっとしてミノタウロスの数が増えてるのって…」

女戦士「そうじゃ…主のインドラの銃が重要じゃ…悟られん様にミノタウロスの数を減らすのじゃ」

女海賊「おけおけ!もうちょい調整したかったんだ」

女戦士「絶対に見つかってはならんぞ?」



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盗賊「ホムンクルスは何処行った?」

商人「宿屋のおかみに気に入られて洗濯とか手伝ってるよ」

盗賊「良いのか?一人で出歩かせて?」

商人「魔女が普通に行動させろって…魔女が見てるから大丈夫じゃない?」

情報屋「ホムンクルスは賢者の石を持って居るでしょう?それで宿屋のおかみが調子よくなったみたいよ?」

盗賊「まぁ何も起きなきゃ良いけどよ」

情報屋「あなたも暇なら何かやったら?」

盗賊「やっと体の調子が良くなって来たんだ…そろそろ酒でも飲むか」

商人「酒?ハハやる事って酒飲む?」

盗賊「んんだうるせぇな…ちと酒買って来る」

商人「部屋に籠ってるのも何だし買い物なら僕も付き合うかな」

897: 2020/11/16(月) 11:47:36.20 ID:CUQQsgj40
『街道』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「お?人が集まってんな…向こうの戦闘見てんのか?」

商人「みんな武器持ってるね?どうしたんだろう?」


町人「あぁ冒険者さん達…」

盗賊「何やってんだ?」

町人「街の方まで魔物が来るかもしれないと思って待機してるんだよ」

盗賊「ピッチフォークに鎌…農民一揆スタイルだなヌハハ」

商人「向こうに落ちてる武器でも拾ってきたら?」

盗賊「聖堂の下あたりは兵隊が引いてんな…多分色々落ちてるだろうが…お前等も来るか?」

町人「ええ!?」

盗賊「まぁ慣れてないんじゃ逆に足手まといか…ちっと俺が行って拾ってきてやる」

商人「僕もあんまり走れないからここで待ってるよ」

盗賊「おう!すぐ戻って来るから…このソリ借りてくぜ?」タッタッタ

町人「一人で大丈夫ですかね?グールに掴まったら…」

商人「大丈夫だよ…彼はあんな感じの略奪が得意なんだ」



『30分後』


ズリズリ 


盗賊「おーい!!戦利品くさる程あんぞ」

商人「おぉ…食料じゃないか…それに弓と矢がこんなに沢山」

盗賊「全部持って帰ってくれ…俺はもっかい戦利品拾って来る」

町人「すごい…皆食べ物だ!!今すぐ持って帰ってみんなに食べさせて」


うぉぉぉぉ


盗賊「武器も好きなの取ってもう装備しとけ…じゃ俺は行って来る」タッタッタ

商人「ほらね?略奪大好きなんだあの人」

町人「これ兵隊に見つかったら大変な事にならないかな?」

商人「見つかんなきゃ良いんだよ…早く持って帰って!!」

898: 2020/11/16(月) 11:48:08.90 ID:CUQQsgj40
『夕方』


ヤンヤン ワイワイ


盗賊「おーし!!お前等ちったぁマシな装備になったな」

町人「でも良いんですかね?」

盗賊「自分らの街は自分らで守る気概を見せて見ろ!それが人を動かすんだぞ?」

町人「気概…」

商人「ハハまぁここの皆は山賊じゃ無いんだから無理は言わない方が良いね」

盗賊「折角戦利品で食料手に入ったんだからよ?上手い飯でも食わねぇか?」

町人「みんな…どうする?」

盗賊「腹が減っては戦は出来ん!!酒場にみんな集めて来いバーベキューを振舞うぞ」

商人「ここに立ちんぼになっててもしょうがないから行こうか」

町人「魔物が来たら…」

盗賊「大丈夫だ!みんなで戦えば何とかなる」

町人「う…」

盗賊「良いから付いて来い!!行くぞお前等ぁぁ!!」




『宿屋』



情報屋「向こうの酒場で盗賊がバーベキュー振舞ってるらしいわ」

女戦士「帰りが遅いと思うたらそういう事か」

情報屋「近くの住民が集まって来てるみたいだけど…やらせてて良いのかしら?」

女戦士「皆腹を空かせて居るのじゃ…盗賊なりの配慮じゃろう」

情報屋「フフ彼らしいわね…又お酒飲んで帰ってきそうね」

女海賊「私はミノタウロス狙って武器の調整やってるから皆行って来たら?」

女戦士「わらわは今晩も墓地の方へ行かねばならん」

女海賊「グールの使役?」

女戦士「うむ…グールを集める様に指示しておってな」

女海賊「お?もっと増えるんだ?」

女戦士「グール退治も兼ねて居るのじゃセントラルの兵にぶつけてのぅ」

女海賊「今の数じゃまだまだセントラルは引きそうにないね」

女戦士「うむ…主に掛かって居るな…新手の敵の数を出来るだけ減らせ」

女海賊「分かってるって…」

899: 2020/11/16(月) 11:48:38.55 ID:CUQQsgj40
『酒場前』


ワイワイ ガヤガヤ

遠慮すんなこのでかい肉もってけ

どうしたのこんなに?食べて良い?

手の空いてる奴は焼くの手伝え

芋はこっちよ~

ワイワイ ガヤガヤ


情報屋「どこで油売ってるかと思ったら…まるで山賊ね」

盗賊「おぉぉ良い所に来た!!そこの焼けた芋出して新しい芋突っ込んでくれ」

情報屋「お酒は手に入ったの?」

盗賊「まだだ…忙しくて買えてねぇ」

情報屋「近くで戦闘が起きてるっていうのに良いの?こんな事して」

盗賊「だからこういうのが必要なんだよ!!見て見ろ食ってる奴の目を…旨そうだろ?」

情報屋「フフ希望を配ってる…そういう事?」

盗賊「まぁそうだな…明日からちったぁマシな戦士が出て来るぞ?」

情報屋「あなた…今とても大事なタイミングって分かってやってる?」

盗賊「まぁな?5日前に何か出来るとしたら人を送ってくんだろ…俺はあやしい奴を探してんだ」

情報屋「さすがドロボーさん…見直したわ?」

盗賊「嗅ぎまわってる奴が出たら注意しろ…港町から馬でここまで2日…もう何が起こってもおかしくねぇ」

情報屋「そこまで読んでるか…私も少し情報集めて来るわ」




『翌日』


チュンチュン


女戦士「ふぃぃぃわらわは眠い…今日は起こさんでくれ…寝る」ドタリ

情報屋「盗賊!!魔女をベッドに運ぶの手伝って…重い」

盗賊「ヌハハそりゃ女戦士の体じゃ重いわな…ホレんむむ!こいつクソ重いな…どるぁ!!」ドサ

情報屋「今日はどうする予定?」

盗賊「俺は街の連中とちっと立ち合いでもやってみようと思ってな」

商人「僕は今日はゆっくりしておくよ」

盗賊「そうか?ほんじゃ剣士!!立ち合いやるから付き合え」

剣士「ん?あぁ良いよ」

盗賊「女海賊は屋根裏から狙撃だな?まぁ俺らも見える範囲でやるから見ててくれ」

女海賊「あんま面倒起こさないで」

盗賊「分かってる!!剣士…行くぞ」タッタッタ

900: 2020/11/16(月) 11:49:07.85 ID:CUQQsgj40
『街はずれ』


ヤンヤン


盗賊「よう!お前等!!今日も見張りか?」

町人「そうだよ…冒険者さんは何用で?」

盗賊「暇なもんだからよ…ちっとお前等と立ち合いでもやろうと思ってな」

町人「立ち合い?」

盗賊「戦闘の稽古みたいなもんだ…ホレこの木の棒を使ってチャンバラすんのよ」バラバラ

町人「立ち合いをやれば強くなれる?」

盗賊「慣れだな…俺ら2人対お前等全員でどうだ?棒で殴りかかって来い…一発当てたらお前等の勝ちだ」

町人「フフ面白そうだ」


よーし!腕試しだ…

この人数でやればいけるっしょ


盗賊「ワクワクしてくんだろ?かかって来い!」

町人「えい!!」タッ コン

盗賊「あぁ全然ダメだな…もっと気合入れて突っ込め」

町人「ふん!!」タッ コン


カンカンコン カンカンコン ベシ!


町人「あだっ!!」

盗賊「打ち返さんとは言って無ぇぜ?」

町人「みんな!!囲め!!」タッ コン


カンカンコン カンカンコン ベシ!

カンカンコン カンカンコン ベシ!

901: 2020/11/16(月) 11:49:50.31 ID:CUQQsgj40
『宿屋_屋根裏』


女海賊「立ち合いを始めたっぽい」

情報屋「怪しい人は近くに居ない?」

女海賊「今ん所居なさそうかな…」

情報屋「私は街に出て様子見て来るわ」

女海賊「うん…気を付けて」

ホムンクルス「お食事をお持ちしました」

女海賊「あ!ありがと…ホムちゃん完全に宿屋の人みたいになったね」モグ

ホムンクルス「体を動かしていた方が落ち着くのです」

女海賊「へぇ?運動不足だった?」

ホムンクルス「欲求不満なのでしょうか?ドーパミン受容体への供給が不足気味なのです」

女海賊「ホムちゃんが欲求不満?なんか食べたら?」

ホムンクルス「はい…お気遣いありがとうございます」




『街はずれ』


カンカンコン ビシッ


盗賊「そろそろ休憩っすっか!!」

町人「ひぃひぃ…全然当てられない」

盗賊「立ち合いやってりゃその内当てられる様になっからよ」

剣士「盗賊見て!馬車が一台入って来る」

町人「あれは定期的に来る商人達だよ」

盗賊「近くで戦闘やってんのによく馬車なんかで来たな」

町人「少し話をしてくる」タッタッタ

剣士「向こう側からも兵隊が2人こっちに来る」

盗賊「ちと様子見とくか…お前は剣の振り方教えてやっててくれ」

剣士「みんな!僕の真似して剣を振ってみて」ブン ブン ブン

剣士「大事なのは振り終わった後の肩と膝の位置…」ブン ブン ブン

剣士「今のを意識して一人づつ僕に打ち込んでみて」


カンカンコン カンカンコン


衛兵「君たちはここで何をしているのかね?」

盗賊「見ての通り戦闘の訓練だが?他に何に見えるんだ?」

衛兵「あぁ…これは失礼」

902: 2020/11/16(月) 11:50:49.36 ID:CUQQsgj40
盗賊「セントラルの衛兵が見回りかい?」

衛兵「まぁそんな所だが…こちらで怪しい魔術師など見て居らんか?」

盗賊「怪しいって何だよ…魔術師なら聖堂に居んじゃ無ぇのか?」

衛兵「では聖堂に居る魔術師が出てきているのは見ていないのか?」

盗賊「どうも魔術師に拘るんだな…見て無ぇよ」

衛兵「そうか…もし見かけたら近くの衛兵に声を掛けてほしい」

盗賊「あんたらこの街を魔物から守りに来たんじゃ無ぇのか?」

衛兵「ハハもちろん治安の維持はするつもりだ」

盗賊「たった2人でか?もうちっと衛兵居ないとクマも倒せんだろ」

衛兵「こちらも人出が足りんのだ察してくれ」


カンカンコン カンカンコン


衛兵「ふむ…民兵レベルか…精々精進すると良い」

剣士「…」ジロ

衛兵「何かね?」

剣士「…」ヒョイ ヒョイ

衛兵「この男は挑発しているのか?」

盗賊「あぁぁ剣士落ち着け」グイ

剣士「がるるる…わん」

盗賊「おいおい…ヤメロって」

衛兵「ハハ衛兵と揉めん様にすることだ…では」スタスタ

903: 2020/11/16(月) 11:51:54.03 ID:CUQQsgj40
『宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「戻ったぜ?みんな居るか?」

商人「情報屋が一人で出て行ったよ」

盗賊「あいつなら大丈夫か…」

商人「何かあった?」

盗賊「嗅ぎまわってる衛兵が2人来た…直にこの宿屋まで来るな」

剣士「あれは間違いなく魔術師だよ…魔女と同じ目の動きをしてた」

盗賊「屋根裏に隠れて居た方が良いな」

商人「じゃぁホムンクルスも連れて来る」

盗賊「ここに俺らを案内した町人がどんだけ秘密守れるかだな…すぐゲロっちまいそうだ」

女戦士「うぅぅん…むにゃ」

盗賊「魔女は徹夜で何やってんだか…かなりお疲れだな」


ガチャリ バタン


情報屋「あら?帰ってたのね?」

盗賊「おう…何か情報あるか?」

情報屋「馬車で街まで来た一行の馭者…多分密偵ね」

盗賊「やっぱりそうか」

情報屋「今晩この宿屋に宿泊すると思うわ…気を付けた方が良い」

盗賊「皆屋根裏に隠れてくれ…魔女だけベッドに寝かせておく」



『屋根裏』


女海賊「8体目…」シュン

盗賊「8対!?そんなにミノタウロス居んのか?どっから連れてくんだ?」

女海賊「そだね5日じゃ移動させられる範囲も限られてんだけどね」

盗賊「もしかするとセントラルは西の森ん中に拠点持ってるのかも知れんな…」

女海賊「でももう見当たんないかな」

盗賊「全部倒したんか?」

女海賊「多分ね…ホラ戦線随分後退してんじゃん?」

盗賊「撤退戦か…」

剣士「あともう2人…さっき見た衛兵の魔術師…あいつを何とかしないといけない」

女海賊「今街ん中嗅ぎまわってる衛兵は魔術師なんだ?」

剣士「リッチが衛兵に化けてるんだと思う…2人はとても対処出来ないよ」

女戦士「手は打ってあるで気にせんで良いぞ?」

盗賊「おぉ!!起きたか…手ってなんだ?」

女戦士「主らに回復魔法を付与した角を配ったであろう?」

剣士「え!?コレ?」

女戦士「魔法を使わんでも良い様にしたのじゃ…この街は既に魔結界の中じゃ…魔法が使えん」

盗賊「そういう事だったか…夜中の内に魔結界張ってたんだな?」

女戦士「もう少し泳がせて倒す相手が誰なのか見極めると良い…あまり籠らんでも良いぞ?」

904: 2020/11/16(月) 11:52:24.70 ID:CUQQsgj40
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町人「お~い!!助けてくれぇぇ」

女戦士「んん?どうしたのじゃ?」

町人「ゴブリンの襲撃なんだ…戦える人は助けてくれ」

盗賊「おぉそら大変だ」

女戦士「剣士は目立ってしまう故後方で待機して居れ…商人と情報屋も行けるかの?」

商人「大丈夫!丁度体を動かしたかった所さ」

女戦士「ではちと魔物退治に行ってくるかのぅ」ノソリ

盗賊「俺も新しい弓を試してみたかったんだ…魔女が戦う後ろで俺が弓を撃つ」

情報屋「フフいつもと真逆な位置取りね」

女戦士「わらわもちと腕試しじゃ…行くぞよ?」スタスタ



『街はずれ』


ゴブリン「グエーグエーギギギ」

盗賊「衛兵がこっち見てんな」ギリリ シュン

女戦士「わらわが盾で凌ぐで倒すのは任せたぞよ?」ダダ ボカ

盗賊「商人!魔女を盾にしてゴブリン倒して来い」ギリリ シュン

商人「うん!」ダダダ ザク

情報屋「衛兵は動く気配無いわね…」

盗賊「街を守る気なんか全然無ぇなありゃ…」ギリリ シュン


剣士「やっぱり見てられない…僕も弓で戦う」ギリリ シュン


盗賊「ヌハハお前が弓か…間違って魔女に当てんなよ?」

情報屋「じゃぁ私は前方で戦うわ…援護お願い!」ダダダ


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盗賊「矢は全部回収して持って帰れ…ゴブリンの装備は好きにして良い」

剣士「ゴブリンの氏体は全部埋める?」

盗賊「いつまでも見たく無ぇだろ?掘った穴にぶち込んどけ」

情報屋「見て?街の人が衛兵に抗議に行ってるわ?」

盗賊「そらそうだわな…ゴブリン襲撃を高見の見物していやがったんだ…反感買うだろ」

商人「僕たちは戦ってる背中見せるだけで良いのか…」

盗賊「おう!…手ぇ休めて無いで穴掘れ!!」ガッサ ガッサ

女戦士「わらわは疲れたぞい?まだ休めんのか?」ガッサ ガッサ

盗賊「動いた後の酒は旨いぞぉ?帰ったら魔女も飲むか?」

女戦士「主は毎日こんな事をして居るのじゃな…道理で丈夫な訳じゃ…」

盗賊「今日は弓使ってたから一撃も食らって無ぇ」

女戦士「前衛は弓の射線を気にしながら動くのを今日知ったわ…良い勉強になった」

盗賊「上手く立ち回れれば弓でバンバン倒せる…なかなか良い弓だぜ?この弓は」

905: 2020/11/16(月) 11:53:04.99 ID:CUQQsgj40
『酒場』


ヌハハ矢をつがえるの俺の倍ぐらい遅いんだ

ちょっと弓の扱い方教えてほしいかな

慣れだ慣れ!ずっと弓触ってろ


女海賊「はいみんな連れて来たヨ」

盗賊「おぉ!こっちこい好きな物飲め…ここらはハチミツ酒がおすすめだ」

情報屋「良いの?こんなに騒いでて?」

盗賊「酒場の店主がお礼をしたいって言うもんだからよ…甘えときゃ良いんだよ」

商人「大丈夫さ!お代はちゃんと払ってるし」

女海賊「ホムちゃんこっちおいで…これハチミツ酒」グビ

ホムンクルス「はい…頂きます」クイ

盗賊「はぁぁぁやっぱ酒飲んでる時が一番の楽しみだな…うぃ」

情報屋「例の馭者…こっちの話に聞き耳立ててるわね」ヒソ

盗賊「知ってらい!!まぁ見てろ…」

情報屋「なにかする気?」

盗賊「これが何だか分かるか?」スッ

情報屋「睡眠薬…」

盗賊「あいつが飲んでる酒にこいつがたっぷり入ってんだ…そろそろ効いて来るぞ?」


店主「旦那ぁ…こんな所で寝られると困るんだが…」


盗賊「おぅおぅおぅ…こいつは宿屋に泊ってる奴だな…俺が連れ帰ってやる」

店主「あぁ何から何まで済まんねぇ」

盗賊「いやいや気にすんな…俺の仲間をしっかり楽しませてやってくれぃ」

店主「本当に冒険者さん達のお陰でいろいろ助かってますわ」

盗賊「宿屋まで送ったらまた帰って来るからよ…酒用意しといてくれな?」

店主「お待ちしてまっす」



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906: 2020/11/16(月) 11:53:30.39 ID:CUQQsgj40
情報屋「戻ってきたわね?どうだった?」

盗賊「なーんも持って無ぇなアイツ…只の雇われだ」

情報屋「そう…魔術師じゃなくて良かったわ」

盗賊「タダな…毒を持って居やがった…使用済みだ」

女戦士「なぬ?今飲んで居る酒に毒が入っとると言うか?」

盗賊「かもな?」

ホムンクルス「ご安心ください…賢者の石は毒消しの効果もありますので」

盗賊「良かったな!みんな集まっといて」

情報屋「この街に来ている冒険者は私達だけだからどう動いても狙われるのね」

盗賊「そういう事だな…ただインドラの銃の事は何かの魔法だと思ってる様だな」

女戦士「そうじゃろうな…わらわでもそう考える」

盗賊「もう使わねぇ方が良い…武器も隠した方が無難だな」

女海賊「フフンこれ見て…」

盗賊「銃の先端にスピアヘッド?おぉ!!槍に偽装してんだな?」

女海賊「そそ望遠鏡外したら槍にしか見えないっしょ?」

盗賊「しかしまた錆び錆びのスピアヘッドだなヌハハ」

女海賊「飛空艇に戻ったらミスリル銀のスピアヘッドに付け替えるさ」

盗賊「ミスリル剣が余ってんだろ…それ付けて斬撃にも使える様にしとけ…パルチザン風だな」

女海賊「良いね!!」

女戦士「何でも作ってしまうのじゃな主は」

盗賊「こういうのがドワーフのスゲエ所だな…エルフとは全然違う」

女海賊「ムフもっと言って…エルフより凄いってもっと言って」




『宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「ふぅぅ食った飲んだ…満足満足!」

女戦士「むむ!物色された跡があるぞい?」

情報屋「何か無くなっている物は?」

女戦士「衣類が散らかって居るだけじゃが…気持ちが悪いのぅ」

盗賊「ここまで来てるって事は仕掛けて来るかもしんねぇな」

女戦士「そうじゃな…毒が効いて居らんのは不思議に見えるじゃろうな」

盗賊「氏んだ振りしてみっか?」

女戦士「ううむ…どうするかのぅ…」

剣士「僕が氏んだ振りしておくよ…鍵を開けて部屋に入って来る様なら切る」

女戦士「ではわらわも付き合うとするかの?他の者は屋根裏で寝て居れ」

907: 2020/11/16(月) 11:53:57.26 ID:CUQQsgj40
『深夜』


ヒソヒソ ヒソヒソ

恐らく相当な重力魔法の手練れだ

女4人の内誰かが高位魔術師だろう

男3人は無視して良い…

突入して直ぐに自爆魔法を展開しろ

行くぞ

ヒソヒソ ヒソヒソ


剣士「…」---聞こえる---

剣士「魔女?来るよ?」ヒソ

女戦士「主の耳で聞こえたのか?」

剣士「うん…どうする?」

女戦士「主は部屋の中で刀を振り回せるな?」

剣士「大丈夫」

女戦士「わらわは逃げ道を塞ぐ寄って主はとにかく切り刻め」

剣士「分かった」

女戦士「相手は人の皮を被ったリッチじゃ…手加減せんで良い」

剣士「来た…」



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908: 2020/11/16(月) 11:54:50.34 ID:CUQQsgj40
カチャリ

剣士「…」---鍵を持って居るのか---

衛兵1「2人倒れている…」ヒソ

衛兵2「他の者は屋根裏か?」ヒソ

衛兵1「宿屋のおかみからの情報道理だ」ヒソ

剣士「…」---ホムンクルスを気に入った振りだったのか---

衛兵1「お前は屋根裏に上がれ」ヒソ

女戦士「今じゃ!!」ダダ


衛兵1「何!!自爆魔法!」スゥ

衛兵2「自爆魔法!」スゥ

衛兵1「マズイ罠だ!!」


スパ スパ スパ スパ ボトン


衛兵1「ぐっぅ回復魔法!」スゥ

衛兵2「足が…無い」ドタリ


スパ スパ スパ スパ ボトン


女戦士「待て剣士!!こ奴らはもう手足が無い…何も出来ぬ」

衛兵1「ぐぅぅ謀られた…貴様らは何者だ」

女戦士「それはこちらの台詞じゃ…回復魔法が出来んでは只のダルマじゃのぅ」

衛兵1「その言葉…まさかシン・リーンの魔女」

女戦士「うぬら…魔術師の掟を破った報いはどうなるか知って居ろう」

衛兵2「体が…体が溶けていく…」

女戦士「何故リッチなぞになり居った?魔術院長が暗躍しておるか?」

衛兵1「グッフッフ気付くのが遅い…遅すぎる」

女戦士「何じゃと?」

衛兵1「どれほどの魔術師が王女へ助けを乞おうとしていたか知るまい…魔術院長は悪魔に魂を売ったのだ」

女戦士「うぬらも魂を売ったのじゃな?」

衛兵1「売らされたと言った方が正しいか…魔女狩りと称し仲間を次々と悪魔の餌にしていくのを止めるためだ」

女戦士「うぬらの行いがどれほどの人の命を奪って居るのか理解しておるのじゃろうな?」

衛兵1「笑止!それを一番理解していないのは王族だろうに!!」

女戦士「むぅぅ関係する元老の名を申せ」

衛兵1「それを知ってどうする?皆頃しか?やっている事は黒の同胞団と変わらんでは無いか」

女戦士「ほう?やはりその名が出る様じゃな…奴らが錬金術で何を生もうとして居るのか知らんとは言わせぬぞ?」

衛兵1「ぐぅぅ…」

女戦士「古の悪魔を復活させるのをわらわは止めさせるだけじゃ…どちらに義があると思うておる」

衛兵1「今となってはどちらも犠牲が多すぎる」

女戦士「否!義がどちらに有るか問うておる…魔術師の教えはうぬらも知って居ろう?」

衛兵1「うぐぐぐ…頃してくれ」

女戦士「それで良い…それが魔術師の選ぶ道じゃ…掟を破るとはそういう事じゃ」


スパ スパ スパ スパ

909: 2020/11/16(月) 11:55:26.39 ID:CUQQsgj40
衛兵1「うぐぅぅぅ」シュゥゥゥ

女戦士「剣士…盗賊を起こして飛空艇を持って来させよ…人に見られる前にシン・リーンへ向かうぞよ」

剣士「うん…」

女戦士「狭間に入って移動するのじゃ…出来るだけ早く出発する」



-----------------



女戦士「これ!起きよ!!早よぅ飛空艇に乗るのじゃ」バシバシ

女海賊「んあ?」パチ

女戦士「よだれを拭いて行け…垂れて居る」グイ

女海賊「ちょ…朝早すぎじゃない?」ヨタヨタ

剣士「僕が背負って行く」グイ

女戦士「忘れ物は無いかえ?」

情報屋「最後に見て行くから魔女も乗って?」

盗賊「おい!早くしろぉ!!飛ぶぞ!乗れぇ」

情報屋「よっ」ピョン


フワリ シュゴーーーー 


商人「どうしてそんなに慌てて行くの?」

剣士「宿屋のおかみも敵側なんだよ」

商人「え!?」

女戦士「これ以上一般の民に罪を重ねたく無いのじゃ…牙を剥かれる前にわらわ達が居らんくなれば済む」

商人「誰が敵で誰が味方か分かんないね…」

女戦士「わらわ達の行いでどれほど人の犠牲が出て居るのじゃろうか…」

盗賊「おいおいそれを考えたらキリが無いぜ?」

商人「セントラルの兵は少なくとも数百人は犠牲になってるだろうね…近隣の村も併せると…」

盗賊「まぁあの戦いを扇動したのは俺らだしな…責任が無いわけじゃ無ぇな」

商人「高みの見物をしているのは僕たちの方っていう見方もあるかぁ…」

女戦士「あのリッチになった衛兵はな…そのような中で仲間を守る為にリッチになる道を選んだのじゃ」

盗賊「あの生意気な口聞く衛兵がか?」

女戦士「そんな世の中を作ったのは王族だと抜かし居ったが…正論じゃな」



やっとわらわが師匠の元で修行をする事になった理由が分かったわ

権力抗争の中で王族が魔術院に入るのを嫌がったのじゃな

下らぬ権力抗争で多くの魔術師や民が苦しんで居るのをわらわは見て居らなんだ

結果リッチになる道を選んだ者が居る訳じゃ

910: 2020/11/16(月) 11:55:57.57 ID:CUQQsgj40
商人「その抗争を生んでいるのが黒の同胞団…」

女戦士「逆かも分からん…抗争の結果暗躍する黒の同胞団が生まれたのやも知れぬ」



恐らくこうじゃな…理由は分からぬが行方不明になった魔術院長は黒の同胞団に居るのは間違いなさそうじゃ

魔王や古の悪魔復活を目論む時の王に手を貸す形で暗躍して居ったのじゃ

その過程で魔術師の力が必要になり魔女狩りを行った…捕らえる為じゃのぅ

中にはリッチになる事を望み…変異魔法で貴族や衛兵に姿を替えておったのじゃろう

そうやって黒の同胞団が力を付けやがて時の王は不要になり今のような状況じゃ



女戦士「わらわはこの様な国の闇の部分から遠ざけられぬくぬくと師匠の下で修行をしておった」

商人「それは魔女の責任じゃない」

女戦士「知ってしもうたからには向き合わねばならぬ…わらわは王族じゃ」

商人「王…か…」



『飛空艇』


シュゴーーーーーー


盗賊「おい!お前のクモ増えてんじゃねぇか!!」

女海賊「あぁぁぁダメダメ!!クモの巣壊したらダメ!!」

盗賊「ここは俺の寝床だぞ?クモの巣なんかどうすんのよ?」

女海賊「研究するに決まってんじゃん!!あっち行ってシッシ!!」

商人「ハハ盗賊の寝床はやっぱり荷室だね」

盗賊「寒みーんだあそこは」

商人「書物読むなら荷室が良いけどね」

盗賊「それで剣士は魔術書なんか見てんのか?あいつ文字読めねぇだろ」

商人「挿絵を見るだけでもなにか勉強になるんじゃないの?」

女戦士「文字が読めんのでは高位魔法は無理じゃろうな」

商人「高位魔法って詠唱が長いやつ?」

女戦士「大体そうじゃ」

盗賊「なんでまた魔術書になんか興味持ったんだ?」

女戦士「魔法を使うリッチに勝てんからじゃろう」

盗賊「まぁ強すぎだなリッチは…近接も強えぇわおまけに魔法まで使うんじゃな」

女戦士「うむ…わらわでも無理じゃ」

商人「今の所だまし討ちしか無いんだ」

女戦士「そういつも上手く行く訳では無いしのぅ…今までは運よく倒せたと思って良い」

商人「女海賊の爆弾は?」

女戦士「倒せるかも知れんが周りへの被害が大きすぎでは無いか?」

盗賊「ヌハハ間違いねぇ…リッチ一体倒すのに城が吹っ飛ぶ」

女戦士「やはり剣士に魔術の修行をさせるのが早かろうて」



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911: 2020/11/16(月) 11:56:49.91 ID:CUQQsgj40

盗賊「シン・リーンまで今の位置からだとあと2日って所か?」

女海賊「そのまま直行で良いんだっけ?」

女戦士「見つかると厄介じゃからわらわの塔に飛空艇を隠すと良い」

盗賊「追憶の森だっけか…まぁ方向一緒だな…途中にいくつか馬宿あるが寄って行かんで良いか?」

女海賊「人に見られない方が良いかな」

女戦士「そうじゃな…」

女海賊「向こうに付いたらどうするつもり?」

女戦士「母上の膝元じゃ…城の正面から目通りを願うつもりじゃ」

商人「どういう身分で行くつもり?」

女戦士「この体は母上と面識がある故…ドワーフの国からの特使という事で良かろう」

商人「女王は魔女が生きてる事知ってるのかな?…ずっと行方不明だったよね?」

女戦士「知らぬ方が目通りが通りやすいかも知れんな」

盗賊「ところで女王に会ってどうするつもりなんだ?」

女戦士「母上に元老を全員集めて祝賀会を催すよう進言する…そして全員に尋問じゃ」

商人「尋問…もしかして幻惑の杖で?」

女戦士「そうじゃ…黒の同胞団と繋がりのある者はその場で処刑じゃ」

盗賊「うは…これが絶対王政か」

商人「なんか色々問題起こりそうだな…抵抗する人も出そうだ」

女戦士「考えておる…わらわに任せておけば良い」



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912: 2020/11/16(月) 11:57:16.64 ID:CUQQsgj40
商人「どうしたの?ボーっとして?」

女海賊「んあ?考え事…放っといて」

商人「君はね…なんか分かりやすいんだ…目がギラギラしてるよ」

女海賊「フン!私らいつの間に人間同士の争いに巻き込まれてんよね?」

商人「…そうだね」

女海賊「何と戦ってんの?って感じさ」

商人「ホムンクルスが言ってたよ…人間は何千年もこんな争いを繰り返してるって」

女海賊「時の王が人間に愛想尽かすのも分かる気がする」

商人「やっぱり魔王の影響だろうね」

女海賊「光る海もやったミスリルの音もやった…あと何すれば良いのさ」

商人「僕はね…着実に追い詰めてると思うんだ…もう少しだよ」

女海賊「フィン・イッシュは滅亡寸前…セントラルも崩壊寸前…次はシン・リーン?魔王の思惑通りになって無い?」

商人「魔王の思惑なのかな?憎悪に満たされた人間の思惑なんじゃない?」

女海賊「そんなの同じじゃん」

商人「僕はね…目的は人間が憎悪に満たされない様にする事だと思うんだよ」

女海賊「どういう意味?」

商人「魔王を倒すというのは手段の一つ…逆に人間を滅亡させるのも手段の一つ」

女海賊「じゃぁ光る海もミスリルの音も手段の一つだね」

商人「そう…手段は他にもある筈…それが結果的に魔王を封じてる」

女海賊「そっか…憎悪を膨らませてる黒の同胞団を倒すのも手段の一つか」

商人「魔王が何処に居るか分からないから一つ一つクリアしていくしか無いんだよね」

女海賊「でも嫌になんなぁ人間同士の争い見るの…」

商人「多分避けて通れない…僕らの道はその向こう側にある」




『追憶の森』


ビョーーーーウ バサバサ


盗賊「雪が降って地面がビタビタじゃねぇか…どこに降りる?」

女海賊「ドロの中に降りないで!」

女戦士「広範囲氷結魔法!」カキーン

盗賊「お?氷なら良いな…降りるぞ?」

女戦士「降りた後に汚れん様に森の中に押して隠すのじゃ」

盗賊「なんでこの辺は雪積もらんで沼地みたいになってんだ?」

ホムンクルス「地熱ですね…この周辺は地下にマグマ溜まりがあります」

女海賊「あぁぁそういやシン・リーン古代遺跡の地下めちゃ熱かったわ…思い出した」

ホムンクルス「寒冷化が進んでもこの一帯は地熱で影響が少ないと思われます」


フワフワ ドッスン


盗賊「飛空艇押すの手伝ってくれぇ!!」

女海賊「森の中だと地面ビタビタじゃないよ…こっちこっち」

913: 2020/11/16(月) 11:57:48.43 ID:CUQQsgj40
『魔女の塔』


シーン


女戦士「これは…」

盗賊「誰か荒らして行った様だな?」

女海賊「花はまだ少し残ってるよ」

女戦士「わらわは師匠の墓に行って来るで主らは塔の中を見て来るのじゃ」スタスタ

盗賊「まぁ何年も放ったらかしじゃしょうが無ぇな…行くか」

女海賊「アダマンタイトの扉が開いてる…コレ知ってる人じゃないと開けられないと思うんだけどさ」

盗賊「そういう事なんだろ」

商人「シン・リーンの女王が魔女を探しに来たっていう可能性もあるよね?」

盗賊「それならこんなに散らかしっぱなしにはしないんじゃ無ぇか?」

女海賊「中に入ろっか」スタスタ



『部屋』


女海賊「書物もハーブも何にも無い…全部持って行かれたっぽい」

情報屋「この塔…古代遺跡の一部ね」

女海賊「あ…情報屋は初めてだっけ?ここ来るの」

情報屋「聞いては居たけれど初めてよ?年代は約1700年前…多分近くに他の遺跡もある筈だわ」

女海賊「そういやシン・リーン古代遺跡も内壁がアダマンタイトだったっけな」

情報屋「繋がっているかもしれないわ…この塔に地下は無いのかしら」

女海賊「階段居りて行った先が崩れてるよ」

情報屋「きっと掘り出せば通路がありそうね」チラリ

盗賊「おいおいおい…ここは魔女の塔だ…勝手に掘る訳にいくめぇ」

女海賊「ちっと見に行ってみよっか」

914: 2020/11/16(月) 11:58:18.93 ID:CUQQsgj40
『階段』


盗賊「ここは物置になってんだな…なんだこれ?植木鉢か?」

情報屋「何かのハーブを育てて居た様ね」

盗賊「おい!女海賊!お前崩れてるって言ってたのはココの事だよな?」

女海賊「なんで?崩れてんじゃないの?コレ」

盗賊「崩れてたら壁がどっか崩壊すんだろ…どう見てもこりゃ土で埋めてんだ」

女海賊「ふ~ん掘ってみたら?」

盗賊「待て待て待て…魔女の塔を勝手に掘り起こす訳にイカン」

情報屋「フフ魔女が何て言うかね?」

盗賊「ここは行き止まりだ!戻るぞ!!」



『部屋』


女戦士「ぐぬぬ…許せぬ!ふぅぅ!ふぅぅ!」

盗賊「んん?その顔は…墓荒らしに合ってんだな?」

女戦士「そうじゃ…師匠の亡骸を持ち去った輩が居る」

商人「わざわざ掘り起こして行くって言う事は誰の墓なのか知ってたという事だね」

女戦士「この場所を知って居る者は限られる…わらわが把握して居らんのは数人じゃろう」

盗賊「氏体なんか何に使うんだ?」

女戦士「魔力が宿って居るのじゃ…錬金術の材料にする気じゃ」

商人「…という事はやっぱり黒の同胞団か」

女戦士「本真に心底憎いわ…しかし抑えねばならぬ…憎しみに染まってはならぬ…ぐぬぬ」

女海賊「魔女…はい」ピカー

女戦士「光の石…うむ…そうじゃ…師匠は心を闇に染めてはならぬと言うておった」

女海賊「これ魔女の婆ちゃんが座ってた椅子…座ってみたら?」

女戦士「そうじゃな…心が落ち着くやもしれんな」ノソリ


バキバキ ドタリ


盗賊「どわ!!その体じゃ重すぎたか…」

女海賊「うっぷ…んむむむ」

商人「ちょ…これは…」

女戦士「これは魔法じゃ…」


ギャハハハハハ ぶははははは

915: 2020/11/16(月) 11:58:53.77 ID:CUQQsgj40
『上階の部屋』


女戦士「ここなら良いじゃろう…時限の門!」シュワシュワ

剣士「光の渦…」

女戦士「これが時限の門じゃ…この先に入れば数刻前の自分に出会うじゃろう」

剣士「自分に会ってどうすれば?」

女戦士「自我を保て…数刻前の自分に取り込まれん様に自我を保つのじゃ…そして時空を我が物にせよ」



この修行は精神を相当消耗するで主は瞑想で回復させながら何度も修行せよ

始めは自我を保てず取り込まれてしまうじゃろう

混乱し自分が何処に居るのか分からん様になるが

何度も修行を重ねるうちに自我を保てるようになり

時空が何なのか分かるようになる



女戦士「主の魔力であれば…そうじゃな…100日もあれば習得出来よう」

剣士「100日も…」

女戦士「ここは狭間の奥じゃ…そして過去の自分に取り込まれ数刻は時間の巻き戻りもある」

剣士「そうか…外の世界ではそんなに時間が経たないという事か…」

女戦士「うむ…じゃがここには食べ物も何も無いでな…主は瞑想で回復させながら修行せい」

剣士「100日間飲まず食わず?」

女戦士「外に咲いて居る花の蜜を吸え…主はエルフじゃろう?」

剣士「分かった…やってみる」

女戦士「慣れてきたら過去の自分もある程度知識を持っとるで氏なん程度に戦ってみても良いぞ?」

剣士「なるほど…その差分を自分の物にするのか…」

女戦士「そうじゃ…繰り返す程少しだけ時空の先に居る事が出来る…次に会う時が楽しみじゃな…」



『部屋』


女海賊「あ…降りて来た」

女戦士「剣士はしばらく上の部屋で修行じゃ」

女海賊「置いて行くの?」

女戦士「一人で大丈夫じゃろう…わらわ達はシン・リーンへ向かうぞよ」

盗賊「城に直行か?」

女戦士「直ぐに目通りが効くか分からんでな…一度宿屋に身を置いた方がよかろう」

女海賊「おっけ!ほんじゃ行こっか」

情報屋「魔女?この塔の地下の事なんだけど…どうして埋めて居るの?」

女戦士「あの下には城へ繋がる通路があるのじゃ…勝手に入って来られん様に師匠が埋めたのじゃ」

盗賊「それが聞けて安心したぜ…こいつら俺に掘り出させようとしてんだ」

女戦士「隠れた通路は他にもあるのじゃぞ?」

盗賊「おっとっとぅ…俺は掘るのは御免だ…それ以上言うな」

女海賊「私オリハルコンもっと欲しいんだけどさぁ…」

盗賊「そんなもん自分で探せ…おら行くぞ!!」

916: 2020/11/16(月) 11:59:21.78 ID:CUQQsgj40
『シン・リーン城下』


タッタッタ


衛兵「早く中へ入れ!!」

盗賊「なんだ今の魔物は」

衛兵「イエティだ…城下までは入って来ない」

盗賊「ふぅぅ助かったぜ」

衛兵「お前たちは冒険者か?何処から来た」

盗賊「南の方からだ…見た所ここは冒険者が集ってそうだな?」

衛兵「魔物討伐の礼金狙いだ…ここの所イエティの他にスノーゴートやウェアウルフも出て居てな」

盗賊「そら俺らでも稼げそうだな」

衛兵「戦利品の交換所があるから詳しくはそこで聞いてくれ」

盗賊「ありがとよ…」



---------------



商人「城下の外に魔物が多い以外はいたって普通だね?」

盗賊「冒険者が他に多いってのは隠れるのには良いな」

女戦士「わらわが居らん間に環境が変わってしもうたのぅ…前はイエティなぞ居らんかったのじゃが」

ホムンクルス「寒冷化の影響で温暖な地に生物が集まっているのですね」

盗賊「ひとまず宿に落ち着けようぜ?みんなドロドロじゃねぇか」

商人「そうだね足場があんなにぬかるんでるとは思って無かったね」

女戦士「うむ…この恰好で母上に目通りなぞ叶わぬ…着替えを用意せねばならん様じゃ」




『宿屋』


商人「大部屋しか空いてなかった…ベッド3つだってさ」

盗賊「屋根があるだけでマシだ…俺はちと情報仕入れて来る」

商人「僕もちょっと露店見に行きたいな」

情報屋「じゃぁ私達は着替えを仕入れて水浴びでもしておくわ」

盗賊「夕方までには戻るから各自自由だな?」

女戦士「あまり目立つ行動は控えるのじゃぞ?」

盗賊「わーってるわーってる…商人行くぞ!!」



---------------

917: 2020/11/16(月) 11:59:48.81 ID:CUQQsgj40
女戦士「ホムンクルスや…元気が無いように見えるがどうしたのじゃ?」

ホムンクルス「その様に見えてしまいますか?」

女戦士「何もしゃべらぬからのぅ」

ホムンクルス「私は皆さんの様に特技や趣味がありませんので…笑う機会が少ないのだと思います」

女戦士「ふむ…それで元気が無いように見えてしまうのかのぅ」

ホムンクルス「何かお役に立てる事はありませんか?」

女戦士「ちと体をほぐしてもらえぬか?足で踏めば良い」

ホムンクルス「これで良いでしょうか?」フミフミ

女戦士「主は軽いのぅ…もっと強くて良いぞ」

ホムンクルス「はい…」ドスドス

女戦士「何かしておると落ち着くのじゃな?」

ホムンクルス「少しだけドーパミンが放出される様です」

女戦士「主は読書も一瞬で読んでしまうで楽しみが持てんのじゃな」

ホムンクルス「私が持てる楽しみは何かありませんか?」

女戦士「ふむ…賭け事じゃな…このコインの裏と表を当てて見よ」ピーン パチ

ホムンクルス「正面の摩擦抵抗から推測して裏が出る確率が55%です」

女戦士「良いから当てて見よ…どちらじゃ?」

ホムンクルス「裏です」

女戦士「…」ヒラ

ホムンクルス「外れましたね…」

女戦士「もう一度行くぞよ?」ピーン パチ

ホムンクルス「裏です」

女戦士「ほれ?」ヒラ

ホムンクルス「また外れましたね…」

女戦士「…」ピーン パチ

ホムンクルス「表です」

女戦士「むふふ…」ヒラ

ホムンクルス「なぜ外れてばかりなのでしょう?」

女戦士「秘密じゃ」


ピーン パチ  ピーン パチ

918: 2020/11/16(月) 12:00:17.60 ID:CUQQsgj40
『夕方』


商人「ホムンクルスにコインを教えたのは魔女?」

女戦士「そうじゃ?楽しんでおるか?」

商人「みんなにコインを要求しててさ…まぁ良いんだけど自分で言い出すのは珍しいなって」

女戦士「ホムンクルスに他の遊びも教えてやるのじゃ…そうじゃな…頭を使わんやつが良かろう」

商人「なるほどね…」

女戦士「バレん様にズルをした方が喜ぶぞよ?」

商人「わかった…そういうの僕得意なんだ」

女戦士「主はホムンクルスの管理者なのじゃろう?もう少し面倒をみてやれ」

商人「うん…工夫するよ」

盗賊「あぁぁぁぁ久しぶりに水場で体洗ってスッキリしたぜ」

商人「お湯が用意してあるのが良かったね」

盗賊「どっかで湯が沸いてんだろうな…どっぷりつかりてぇわ」

女戦士「主は着替えんのか?」

盗賊「俺は湯でさっと洗い流した…そのうち渇くだろ」

女戦士「気持ち悪う無いんか?」

盗賊「そんなん気にした事無ぇ」

女戦士「ふむ…主は留守番をして居った方が良いな…母上に会わせられぬ」

盗賊「んあ?まぁ俺は用が無いからな…留守番でも構わん…堅苦しいのは御免だ」

商人「ハハハ魔女?盗賊に正装は無理だよ」

女戦士「そうじゃなぁ…人相も良いとは言えんしのぅ」

盗賊「俺が城に行くと衛兵にとっ掴まりそうだから行かん方が良いなヌハハ」

女戦士「明日はわらわと女海賊だけで行くとするかの…その方が動きやすかろうて」

919: 2020/11/16(月) 12:00:43.81 ID:CUQQsgj40
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

イエティの毛皮がやたら高く買い取ってくれんだよ

スノーゴートの角は錬金の素材なんだってさ

おい!ウェアウルフ討伐隊出ていっちまうぞ?

遅れちゃう!早く行かないと

ワイワイ ガヤガヤ


ドゥルルルン♪


吟遊詩人「かつての英雄♪赤い瞳の王~♪えにし森から馬を駆ってやって来た~♪」


盗賊「こりゃ酒場が職業安定所みたいになってんな…」

情報屋「私達場違いな格好しているわね…」

盗賊「ベタベタの装備なんか着てたら酒もマズくなるだろ…気にすんな」

女海賊「ねぇあの吟遊詩人…なんか縁あるね…シャ・バクダに居た人だよ」

商人「君がエンチャントしたリュート使ってるね」

女海賊「あのリュートを普段から使ってるなら悪い人じゃ無いと思う」

女戦士「ふむ…良い魔除けじゃな」

盗賊「まぁ周りに気を付けながら飲もうぜ?腹も減ってんだろ?」


店主「席料はお一人5銀貨ですが…」


盗賊「うわ…高けぇな…だからみんな立ってんのか」

店主「食事と飲み物がバイキング形式で食べ飲み放題となっています…いかがなされますか?」

女戦士「わらわ達が城に行っている間にイエティでも狩れば元を取れるじゃろう…座るぞよ」

盗賊「俺にイエティを狩れってのか?あんなクマみたいなサル一人じゃ無理だ」

商人「まぁ良いじゃ無いか…立ってるのも落ち着かない」

ホムンクルス「一人3銀貨にはなりませんか?店主様」

店主「店主様…え…いや…ここで安くしてしまうと他のお客様にも…」

ホムンクルス「ではこれを差し上げますので…」スッ

店主「コイン?いや困りましたな…では4銀貨でどうでしょう?」

商人「商談成立!はい6人で24銀貨」ジャラリ

店主「ハハ…ではこちらの席までお越しください」



----------------

920: 2020/11/16(月) 12:01:14.70 ID:CUQQsgj40
商人「いやぁホムンクルスが交渉事とは驚いた…あのコインておもちゃのコインだよね?」

ホムンクルス「はい…」ニコ

商人「6銀貨でおもちゃのコインを売った訳だ」

盗賊「おかげで旨い飯にもありつけたんだ食え食えヌハハ」バクバク


吟遊詩人「お久しぶりです…その節はお世話になりました」


女海賊「お?覚えてた?どう?リュートの具合は?」

吟遊詩人「概ね好評ですね…貴族には不評ですがハハ」

女海賊「そっか…なかなか上手く行かないなぁ…」ボソ

吟遊詩人「あれからシャ・バクダの治安が悪くなってしまいまして僕はここに流れて来たんです」

女海賊「稼げてる?」」

吟遊詩人「はい!お陰様で…ところでお願いがありまして」

女海賊「ん?」

吟遊詩人「シン・リーン女王の前で演奏をする事になってしまったのですがリュートが少し地味だなと…」

女海賊「あぁぁ装飾したいのね」

吟遊詩人「お代はお支払いしますのでお願いできませんか?」

女海賊「どんな感じに?」

吟遊詩人「ボデーの部分に何かの紋様を…」

女海賊「おけおけ…1時間くらいで済むから待ってて」

吟遊詩人「はい…僕の人生が掛かっています…よろしくお願いします」ジャラリ

商人「お!20銀貨…すごいじゃない!!」

盗賊「良い仕事してやれよ~」ムシャムシャ


トンテンカン トンテンカン



『宿屋』


ドタドタ


盗賊「結局4銀貨で腹いっぱい飲み食い出来た訳だ…安く済んだなヌハハ」

商人「吟遊詩人も喜んでくれたし良かったね」

情報屋「あの紋様は自分で考えたの?」

女海賊「ん?あれはエクスカリバーの銘と一緒に掘られてた紋様だよ」

情報屋「道理で似てると思ったわ…魔女の塔にも所々に同じ紋様があるわ」

女戦士「わらわは気にもせんかったわい」

商人「また伝説のアイテムの誕生だね」

女海賊「ムフ…」

女戦士「さて明日は早くに城へ向かうよってわらわは休むぞよ?女海賊も早よう休め」

女海賊「へいへい…」

921: 2020/11/16(月) 12:01:43.57 ID:CUQQsgj40
『翌朝』


チュン チュン


女戦士「荷物は最低限じゃ…武器類はホムンクルスに預けておくのじゃ」

ホムンクルス「はい…お預かりします」

盗賊「そういやお前結局パルチザンにはして無ぇのな」

女海賊「長すぎて邪魔…どうせ使わないしスピアヘッドで十分…はいコレも頼むね」

ホムンクルス「はい…軽いのですね」

女海賊「ミスリル銀だし中空だかんね」

ホムンクルス「これなら私でも背負えそうです」

盗賊「ちったぁ冒険者らしいから装備しとけ」

女戦士「直ぐに帰って来ると思うが…戻らん場合は使いを出すで待って居るのじゃ」

盗賊「おう…手ぶらだから注意しろよ?」

女戦士「わらわは魔術師じゃぞ?」

盗賊「そうか要らん心配だったな…まぁ気ぃ付けて行ってこい」




『シン・リーン城門』


門番「止まられーい!!シン・リーン城へ何用で参った?」

女戦士「この顔に見覚えはないか?」

門番「んん?ドワーフの国の王女か?」

女戦士「いかにも…特使として参った…女王に目通りを願う」


ザワザワ ザワザワ

おい!ドワーフの国の王女だってよ

今戦争中だろ?休戦要求か?

王女が直々にっておかしく無いか?

従士付けて無いぞ?偽物だろ…

ザワザワ ザワザワ


女戦士「女王とは面識がある故…早々に面会されたし」

門番「しばし待たれよ…もう一人は何者か?」

女海賊「んぁぁ何かメンドイなぁ…私も王女なんだけど…偉そうな口聞くの止めてくれる?」

門番「これは驚き…第一王女と第二王女が揃って参るとは…」

女海賊「良いから早くしてくんないかなぁ…待つのキライなんだよ」

門番「許可が出るまでこの門を通す訳には行かん…しばし待たれよ」

女戦士「大人しく待つのじゃ」ヒソ


ザワザワ ザワザワ

もう一人の方はなんか手振ってる…

あれも王女だそうな

これは何かあるな

しかし2人とも女にしちゃデカい

ザワザワ ザワザワ

922: 2020/11/16(月) 12:02:16.31 ID:CUQQsgj40
『数刻後』


ガラガラ ガチャーン


女海賊「開いた開いた!!」

執政「これはこれはドワーフ国の王女様お二方…私が案内致しましょう」

女戦士「ふむ…うぬの名を申せ」

執政「わたくしめは政務担当の元老…執政に御座います」

女戦士「知らぬ…政務は女王が見ていたのでは無かったかのぅ」

執政「何年前の話ですかな…内政は他国に干渉されたく無いのですが」

女戦士「まぁ良い…」

女海賊「早く案内してよ…こっちは待たされてイライラしてんだよ」

執政「ほっほっほ…付いて来なさい」テクテク


---------------

---------------

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女海賊「女王に面会すんのにこんなに警備付けんの?20人も付いて来てんじゃん」

執政「一応敵国ですからな…宣戦布告された上に特使を送って来るとは…さすがに無防備とはいきますまい」

女海賊「パパが戦線布告?そんなんする訳無いじゃん」

執政「はて?海戦で先制攻撃をして来たのはドワーフ国だと聞いて居りますが…お二方は知らぬと?」

女海賊「あ!!そうだった…」

執政「そして王女2人が特使で女王に面会とは常識を逸脱しておりますな…ほっほっほ」

女戦士「この先は女王の居城では無い筈じゃが…」

執政「お詳しいですな…まずは元老院にて審査の上女王に面会という流れになりますな」

女戦士「元老になぞ用は無い」


女海賊「これちょっとマズくない?」ヒソ

女戦士「想定内じゃ…大人しくしておれ」ヒソ


執政「何か悪巧みですかな?」

女戦士「言葉を慎め…特使を何と心得て居る!!」

執政「これは失言でしたな…ほっほっほ」


923: 2020/11/16(月) 12:02:43.26 ID:CUQQsgj40
『元老院』


ヒソヒソ ヒソヒソ

誰も面識は無いと言うのか?

しかし報告の容姿とは一致しますな…

8年前の事を知って居る者は居らんのか

焼き殺されてしまいましてな…

まず国王に一報を入れてみては

ヒソヒソ ヒソヒソ



女海賊「ねぇ!まだぁ?」

衛兵「執政殿!!何も持って居ない様です」サワサワ

女海賊「おい!何処触ってんだよ!!」

女戦士「気が済んだかのぅ?何も持って居らんぞ?」

執政「ふむ…誰もドワーフ国の王女であると特定出来ない様だ」

女海賊「そんなん女王と面識あんだからさっさと会わせれば良いじゃん」

執政「何用で参ったのか?」

女海賊「だから女王と面会だって」

執政「政務担当はわたくしめが務めております…外交事でしたらわたくしに交渉という事で」

女戦士「王族同士の話に入ると言うか?うぬは何者じゃ」

執政「んむう…では条件として手枷を付けさせて頂くというのでは?」ニヤ

女海賊「はぁ?他国の王女に手枷?あんた条約分かってんの?」

執政「戦争中で無ければ従いますがな…何か有ってはわたくしめが責任を取る形になりますので…」ニヤニヤ

女戦士「仕方あるまい…付けよ」

女海賊「マジで?屈辱なんだけど…」

女戦士「うぬは責任を取ると言うたな?手枷を付けてみよ」

執政「…」ガチャン カチャリ

女戦士「…」ジロリ

執政「付いて来なさい…」



ヒソヒソ ヒソヒソ


924: 2020/11/16(月) 12:03:11.55 ID:CUQQsgj40
『女王の間』


執政「女王様に目通りをという者を連れて来た」

近衛「この者は!!」

執政「お前は知って居るのか?」

近衛「知って居るも何も姫と行動を共にしていた者に似ている」

執政「それは都合が良い…情報を聞き出せそうだ」

近衛「女王様は休息中なのだが…」

執政「ここで待たせておくから連れて来なさい」

近衛「他の側近が何と言うか…」


女海賊「もう早くしてよ!!この手枷も痛いんだけど…」


側近「女王様…どちらへ行くのですか?」

女王「声がすると思えば…どなたか面会ですね?」

執政「丁度良い所に来られました…ドワーフ国の王女が特使として女王様に面会に参ったのです」

女王「顔を上げなさい」

女戦士「お久しゅう御座います…どうかお話を」

女海賊「女王様!手枷外して欲しいんだけど」

女王「さて?どのような要件で参られたのですか?」

女戦士「まずは人払いを願いたく…」

女王「それは出来ません…あなた達は私の知るドワーフ国の王女ではありませんので」

女海賊「ちょちょ…この顔覚えて無いの?」

女王「王の前です…無礼な物言いは許しませんよ」

女海賊「え?…」

女戦士「さては誰ぞ女王を幻惑しておるな!」スック

近衛「おい!!動くな!!」

側近「無礼者!!女王の御前である!!頭を下げよ」

女戦士「ぐぬぬ…」

女海賊「これやっぱヤバイよね?」

女王「執政がこの者達を連れて来たのですね?元老達に顔を見せたのですか?」

執政「はぁ…しかしこの者達が言うには女王様と面識が有ると…」

女王「余計な混乱を生んでしまいますね…この者達を密偵の容疑で牢へ入れなさい…禁固1年とします」

女海賊「えええええええええ!!ちょちょちょ…マジ?」

女戦士「なんという事か…」

執政「うむぅぅ…」ジロリ

近衛「衛兵!!この者達を捕らえよ!!」

女王「牢は城の地下牢にしなさい…後ほど余罪の追及をさせ魔術師に自白させます」

近衛「ハッ!!」

女海賊「痛いって!!引っ張んなゴラ!!」

衛兵「大人しくしろぉ!!」

925: 2020/11/16(月) 12:03:57.09 ID:CUQQsgj40
『地下牢』


ピチョン ピチョン


看守「ぐへへへへ女2人たぁ俺にも運が回って来た…可愛がってやっからよ」

女戦士「ふんっ」ゴス

看守「うぎゃ…足にも枷が欲しい様だな」

女戦士「ふんっ」ゴス ゴス ゴス

看守「大人しくしやがれぃ…」グイ

近衛「止めろ…後ほど女王と魔術師が来るのだ…見るだけにしておけ」

女海賊「私こん中入んの?」

近衛「女王様の命令だ…入れ」ドン


ガチャリ


近衛「この2人は何も持って居ない様だが一応見張って置くのだ」

看守「見るだけはタダだな?ぐへへへ股開けゴルァ」

近衛「私は持ち場に戻る…お前達!大人しくしているのだぞ?」


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女海賊「こんなんなってどうする気?」ヒソ

女戦士「後ろ手にわらわの手を握るのじゃ」グイ

女海賊「んん?こう?」ギュ


---念話じゃ…そのまま聞いて居れ---

---これは母上の策略じゃ---

---恐らく他の者に見張られて自由に行動出来んのじゃろう---

---直に会いに来る筈じゃけ大人しく待っておれ---


女海賊「なんで分かんの?」ヒソ


---これ!声を出すで無い---

---母上と合図を交わしたのじゃ---

---わらわもちと下手な芝居を打った---

---心配せんでも良いから寝て居っても良いぞ?---

926: 2020/11/16(月) 12:04:29.18 ID:CUQQsgj40
女海賊「おっけ!んじゃ暇だからちと遊ぶ」

女戦士「何をする気じゃ?」

女海賊「おい!看守!!こっち見ろ」パカ

看守「ぬぉ!!」

女海賊「こっち来いよ」フリフリ

看守「ぐへへへ見るのはタダだもんなぁ」

女海賊「トウ!!」ゴス

看守「ぐぁ!!」

女海賊「うっふ~ん」チラ ゴス

看守「ぐぇ!!」


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『宿屋』


盗賊「今日は帰って来ねぇかも知んねぇな」

商人「あんまり長くかかる様ならお金が足りないなぁ…ここは物価高いし」

盗賊「古代の金貨は飛空艇に置きっぱなしだ…取りに帰るとなるとイエティがな…」

情報屋「あなたハイディング出来るじゃない」

盗賊「動物系はハイディング効か無ぇんだよ…匂いかなんかで察知して来やがる」

情報屋「あと何日滞在できそうなの?」

商人「食事代入れて3日かな…」

情報屋「心もとないわね…稼ぎ方考えておかないと」

盗賊「貴族が居ねぇからスリも儲からんしな…リスクが高けぇ」

情報屋「夜にウェアウルフ討伐隊があるみたいだけど行ってみる?」

盗賊「俺一人でか?嫌なこった」

情報屋「魔女が他にも古代遺跡があると言って居たから私は少し外に出て見たいの」

盗賊「んあぁぁそういう事なら付き合っても良いが2人じゃなぁ…」

情報屋「討伐隊に加わって少し様子を見るだけよ?」

商人「行っておいでよ…留守番は僕とホムンクルスで良いよ」

盗賊「ウェアウルフも動物系だよな…ハイディング意味無ぇし俺は弓で戦うか」

商人「それならアダマンタイトを貸してもらえるかな?大事な物を隠しておきたいんだ」

盗賊「ふむ…預かったもん隠した方が良いっちゃ良いな…ほら!」ポイ

情報屋「それじゃぁ私達はちょっと討伐隊の様子見て来るわ…遅くなると思うから先に寝ておいて?」

商人「うん…いってらっしゃい」



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927: 2020/11/16(月) 12:04:56.12 ID:CUQQsgj40
商人「ホムンクルス?おいで」

ホムンクルス「はい…」スルリ

商人「あぁぁ違う違う…サイコロのゲームを教えてあげる」

ホムンクルス「良いのですか?」

商人「それは後で良いよ…折角サイコロ用意したからさ…君と少し遊びたい」

ホムンクルス「どのようなゲームなのでしょう?」

商人「いろんな遊び方があるんだ…まず簡単なやつから行こうか」

ホムンクルス「はい…」

商人「サイコロを3つ用意してグラスの中に入れる…それでね?…」


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ホムンクルス「どうして私ばかり負けるのでしょう?」

商人「フフフフフフ…」

ホムンクルス「サイの目の出る確率から計算しますと何かズルをしているのは明白です…面白くありません」ムッ

商人「お!?その顔その顔!!」

ホムンクルス「タネを明かして下さいませんか?」

商人「実はねぇグラスの方にちょっとした仕掛けがあるのさ?ホラ」

ホムンクルス「ウフフこんな簡単に私は騙されていたのですね」

商人「やってみる?」

ホムンクルス「はい…おねがいします」

商人「じゃぁ先に君がサイコロを入れて…」

ホムンクルス「ハイアンドロー…どちらでしょう?」

商人「ハイ!」

ホムンクルス「パス…もう一度!ハイアンドロー…どちらでしょう?」

商人「ハイ!」

ホムンクルス「ロー!」

商人「…」

ホムンクルス「私の勝ちですね」

商人「ハハやっぱズルされると面白くないね」

ホムンクルス「ウフフ次はズル無しでやってみましょう」


ハイアンドロー!



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928: 2020/11/16(月) 12:05:25.48 ID:CUQQsgj40
商人「君は笑った顔が最高だね…ずっと笑っていて欲しいよ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

商人「そろそろ寝ようか」

ホムンクルス「商人に一つお伝えしたい事があります」

商人「何?」

ホムンクルス「商人は私をずっと愛せると思っていますか?」

商人「え?どうして?」

ホムンクルス「シミュレーションの結果で人間の愛は永遠では無いと結論が出ました」

商人「どういう事?僕は君をずっと好きで居られるよ」

ホムンクルス「今の関係を続けますと私は約4年でドーパミン放出が飽和しその後徐々に低下すると思われます」


個人差は有るとは思いますが人間の脳はその様に構成されており

永遠に一人の人を愛せる様にはなっていません

人間の繁殖能力が極めて高い理由がここにある様です


商人「それはつまり…飽きるという事?」

ホムンクルス「はい…今の所商人は私の体に夢中だと思いますが数年で飽きが来ると思われます」

商人「うーん…痛い事言うねぇ」

ホムンクルス「お気になさらないで下さい…これは人間の本能ですから」

商人「君にも飽きが来るという事だよね?」

ホムンクルス「生体の反応が弱まるのは否めませんが超高度AIでコントロールされた私は管理者を裏切る事はありません」

商人「うーんなんか微妙な話だな」

ホムンクルス「ですが私に飽きた商人の姿を見てしまうと怒りに似た反応が生体に発生してしまうでしょう」

商人「倦怠期ってやつだね…」

ホムンクルス「ですから過去の精霊はその反応を回避する為に精霊の御所にて大半を寝て過ごしていたと推測されます」

商人「寝る?君の寝るというのはどういう事?」

ホムンクルス「生体をエリクサーに浸し超高度AIをスリープ状態にすることで肥大化したドーパミン受容体が徐々に縮小します」

商人「脳をリセットするという解釈で良いのかな?」

ホムンクルス「そうですね…私はこの様な睡眠で回復が可能ですが…商人には出来ませんよね?」

商人「うーん…じゃぁ時の王はどうやって1500年も精霊と一緒に居られたんだろう?」

ホムンクルス「睡眠で徐々に回復しますので寿命が長ければ再会してもう一度愛を育む事も可能でしょう」

商人「なるほど…僕にもっと寿命が在れば良いのか」

ホムンクルス「人間は寿命が短いから愛おしいとも言えると思います」

商人「僕はもっと短そうだなぁ…」

ホムンクルス「時間を大事にしましょう」

929: 2020/11/16(月) 12:05:55.56 ID:CUQQsgj40
『翌日』


盗賊「うはぁぁドロドロだ…」

商人「おかえり!大変だったみたいだね」

情報屋「私水浴びしてから少し休むわ」

盗賊「一晩粘って5銀貨にしかなんねぇ…ウェアウルフ狩りはダメだ」

情報屋「でも発見もあったでしょう?」

盗賊「あぁスノーゴートな…アレなら俺らだけで狩れる」

商人「僕とホムンクルスも手伝おうか?」

盗賊「俺もちっと休みたいからよ…昼過ぎに一回行ってみっか?」

商人「うん!準備しておくよ」

盗賊「汚れても良い格好にしろ…特にホムンクルスな?」

ホムンクルス「はい!」ニコ

盗賊「お!今日は元気そうだな」

ホムンクルス「皆さんと同じ装備でよろしいでしょうか?」

盗賊「おう…あぁそうだ!商人!一応ソリを用意しといてくれ」

商人「ドロの中引っ張って行くの?」

盗賊「荷車よりも多分ソリの方が戦利品を運びやすい…ドロん中荷物なんか持ちたく無ぇだろ?」

商人「分かったよ用意しておく」

盗賊「じゃ俺は寝るな」




『昼過ぎ』


情報屋「私は留守番しておくからクロスボウはホムンクルスが使って?」

ホムンクルス「はい…お預かりします」

情報屋「使い方分かる?」

ホムンクルス「大丈夫です皆さんが使っているところを見ていましたから」

盗賊「まぁ遠くから射かけるだけだから練習のつもりで撃ちゃ良い」

商人「狩りに行く場所は遠いの?」

盗賊「30分ぐらいだな…2~3匹狩って戦利品だけ持ち帰る感じだな…よし!行くぞ」

930: 2020/11/16(月) 12:06:26.55 ID:CUQQsgj40
『山林』


盗賊「居た居た…2匹だな」

商人「うわ…大きいね」

盗賊「クソでかいヤギだ…こっからだと撃ち下ろしになっから当てやすい」

商人「狙うのはどこ?」

盗賊「頭以外だな…頭は売りもんだ」

商人「じゃぁ当てやすそうなお尻かな」

盗賊「ボルトに毒塗るの忘れんな?弱った所で俺が止め刺しに行くから」

ホムンクルス「木の根を食べているのでしょうか?」

盗賊「多分な?あいつが農作物を食い散らかすらしい」

商人「じゃぁ沢山狩らないとね」

盗賊「商人は奥の奴を狙ってくれ…ホムンクルスは手前の奴な?」

ホムンクルス「はい…」

盗賊「撃て!」ギリリ シュン

商人「…」バシュ バシュ

ホムンクルス「…」バシュ バシュ


スノーゴート「グエエエエエエエエ!!」シュタタ


ホムンクルス「当たりました…」

商人「逃げて行くよ?」

盗賊「放っといて良い!すぐに弱る…今の内にクロスボウを引き直しておくんだ」

商人「ホムンクルス分かる?ここの金具を引くんだ」ギリリ

ホムンクルス「…」ギリリ

盗賊「よし!移動すっぞ…来い!」


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931: 2020/11/16(月) 12:06:56.80 ID:CUQQsgj40
『夕方_宿屋』


盗賊「3匹狩って45銀貨…やっぱ狩りは少人数に限るなヌハハ」

情報屋「ホムンクルスは怪我して無い?」

商人「大丈夫!ホムンクルスの方がクロスボウの命中率良いんだよ…なんか悔しいな」

情報屋「それは武器の手入れの差じゃない?」

商人「え!?手入れ?」

情報屋「ほら?あなた調整して居ないでしょう?」

商人「ええええ!?知らなかった」

盗賊「ヌハハお前今まで一度も調整しないで使ってたのか…ちったぁ女海賊を見習え」

情報屋「それしにても45銀貨って結構お金になったわね?」

商人「うん!やっぱり毛皮が高く売れてさ…肉も骨も全部売れるんだよ」

情報屋「へぇ…そんなに儲かるなら討伐隊はどうしてウェアウルフなんか…」

商人「ウェアウルフは血が錬金の材料になってすごい高いらしいよ」

盗賊「集団で狩る苦労に見合わん報酬だがな」

商人「…それで魔女達は戻って無い?」

情報屋「戻ってないわ…2日も帰って来ないとなると…何か有った様ね?」

盗賊「だが待ってろと言われてるからな…」

商人「うーん」

盗賊「今晩俺がハイディングで城ん中ちと見て来るか?」

情報屋「そうね…様子だけでも探れると良いわね」

盗賊「討伐隊なんざもう行く気無ぇし調べて来る」



『夜』


ぐあぁぁゾロ目…僕の負けだ


盗賊「おう…起きていたか」

情報屋「あ…どうだった?」

盗賊「城の方は至って普通だな…何事も起きて無い」

情報屋「今日の昼間に気球が沢山飛んで行った様だけど…」

盗賊「俺達は気付かんかったな」

商人「まさか気球で何処かに?」

盗賊「城の中の方まで見て来たんだが変わった様子が何も無いんだ…神隠しにでも合ったんか?」

商人「これ明日帰って来ない様なら行動した方が良さそうだね」

情報屋「そうね…情報も集めた方が良さそうね」

盗賊「今日はもう遅いから酒場じゃ何も聞き出せん…行くなら明日だな」

商人「あの酒場高いのが…」

盗賊「情報集めなら立ち飲みで十分だ」

情報屋「今日はもう遅いから明日朝から情報を集めましょうか…」

盗賊「うむ…そうだな」


932: 2020/11/16(月) 12:07:36.01 ID:CUQQsgj40
『翌日_酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

おい知ってるか?

ここに居た吟遊詩人が女王様の前で演奏したんだってよ

すごーい!

ワイワイ ガヤガヤ



商人「どうだった?何か情報聞けてない?」

情報屋「ダメね…城の門番は相手にしてくれないわ…あなたの方は?」

商人「全然だよ…城下の衛兵が増えているくらいかな」

情報屋「何も手掛かりが無いなんてやっぱりおかしいわ」

商人「う~んここに来れば何か聞けると思ってたんだけどなぁ」

情報屋「関係の無い話ばかり…」


ドゥルルルン♪


吟遊詩人「メデューサの血を英雄は求む♪来たる来たるは黒の騎士~♪邪なるものは滅び去る時~♪」


盗賊「よう!待ったか?」

情報屋「遅かったじゃない…どう?何か情報ある?」

盗賊「あぁ城ん中に女2人が案内されて行ったのは衛兵が見ているらしい…だがそれ以上情報は聞けて無ぇ」

情報屋「そこから先が知りたいのよね…」

盗賊「お前等も大した情報は無いんだな?」

商人「まぁね…」

情報屋「あそこで歌ってる吟遊詩人が女王の前で演奏したらしいから何か知って居るかもしれないわ?」

盗賊「おぉ!そりゃ良い情報じゃ無ぇか」

商人「聞いてみようか?」



吟遊詩人「次は捕らわれの姫という詩です…この詩は女王様書いた詩に私が作曲しました…聞いてください」


ドゥルルルン♪

古城に幽閉されたるは異国の姫姉妹~♪

隠された塔よりいずるその者を待ちわび

来たる来たるは杖を持つ鍵開け師~♪


情報屋「ちょっと…この詩…」

商人「なるほど…これはやっぱり捕らえられてると考えた方が良いね…こんな方法でしか伝えられないんだ」

盗賊「魔女の塔の地下から助けに来いって事だな?」

商人「そうだね…盗賊に杖を持って来いっていうメッセージだよ」

盗賊「もう直ぐ日が暮れちまう…ウェアウルフが出てくる前に移動すんぞ」

情報屋「貴重品も全部持って帰った方が良さそうね?」

盗賊「そうだな…魔物に襲われる可能性もあるからしっかり装備して行くぞ…来い!」

933: 2020/11/16(月) 12:08:05.96 ID:CUQQsgj40
『追憶の森』


バシュ バシュ


商人「当たった!!」

盗賊「よし!走って奥に逃げろ!!俺が時間稼いでやる」ダダッ

イエティ「ウォーーウォーーー!!」ドスドス

盗賊「こっちだゴルァ!」ブン ザクリ

情報屋「気を付けて!!」バシュ バシュ

盗賊「良いから先に行け!!」

イエティ「ウォーーー!」ブン ドガァ!

盗賊「どわ!…」ズザザ

イエティ「ウホホ!」ドンドンドン ドンドンドン

盗賊「ケッ威嚇してやがる…目ん玉ぶっ潰してやる!食らえ!!」ギリリ シュン グサ!

イエティ「ウォーーー!!」ドタバタ

情報屋「早くこっちへ!!」

盗賊「分かってらぁ!!」ダダ

商人「大丈夫だ!!イエティが逃げてる…」

盗賊「ふぅ…助かったぜ…クマよりでかいじゃ無ぇか!あんなん倒せる訳無ぇ」

情報屋「傷は?」

盗賊「かすり傷だな気にすんな…それより魔女の塔の行き方が分からんのだが…」

ホムンクルス「こちらです…私の指差す方向に一歩づつ進んでください」ユビサシ

商人「僕から行くよ…」

盗賊「本当!分かり辛ぇな…」




『魔女の塔』


盗賊「ふう…ここまで来りゃ安心だ」

情報屋「剣士はどうしてるかしら?」

盗賊「上行って見て来い…俺は穴掘る準備しとく」

商人「僕はどうしよう?」

盗賊「土を運ぶ袋か何か探して来てくれ」

ホムンクルス「壁沿いに穴を掘るのでしたら土を上まで運ばなくても掘り進めるかと思います」

盗賊「んあ…そうか壁があるんだったな…深さはどれぐらいか分かるか?」

ホムンクルス「この場所はシン・リーン城よりも低い位置にありますのでそれほど深くは無い様です…おそらく2メートル程でしょう」

盗賊「横穴を隠す程度にしか埋まって無いってこったな?」

ホムンクルス「はい…方角はこちらです」ユビサシ

盗賊「おっし!スコップ探してくる…」ダダ



----------------

934: 2020/11/16(月) 12:08:33.89 ID:CUQQsgj40
ガッサ ガッサ


盗賊「えっほ…えっほ…どうだ?剣士の様子は?」

情報屋「瞑想中よ」

盗賊「商人!この土をもうちょいそっちの方まで運んでくれ」

商人「うん…よいしょ!」

情報屋「扉が少し見えてるわね?」

盗賊「おう…ホムンクルスの言った通りだった…一人分の穴なら直ぐに掘り終わる」

情報屋「良かったわね全部掘らないで済んで」

盗賊「この穴でも結構重労働なんだぞ?やってみるか?」

情報屋「冗談?」

盗賊「ヌハハまぁ無理だな…腹減ったんだが何か無いか?」

情報屋「干し肉しか無いわ?これでガマンして」ポイ

盗賊「ちぇ…何か食ってくりゃ良かった」

ホムンクルス「小麦がありますのでパンを焼いて来ましょうか?」

商人「僕も欲しいな」

ホムンクルス「はい…少しお待ちください」テクテク



-----------------



盗賊「だはぁぁぁ…やっと掘り終わった」

商人「この扉…鍵掛かってるね」ガチャガチャ

盗賊「鍵開けはどうって事無ぇ…」カチャカチャ カチャリ

商人「中は真っ暗じゃないか」

盗賊「明かりは持ってる」

商人「どうするの?みんなで行く?」

盗賊「いや…ハイディングが出来るのは俺だけだからお前等はココで待ってろ」

商人「ここは狭間の奥だからかなり待つことになっちゃうなぁ…」

盗賊「そうでも無いぞ?俺もハイディングしながら行動するから割と直ぐに戻って来る」

商人「そっか…じゃぁ食べ物無くても良さそうかな」

ホムンクルス「パンをお持ちしました…どうぞ」

盗賊「おうサンキュー」モグ

商人「今の所これが最後の食べ物だから早く戻って来て」

情報屋「もう行く?」

盗賊「うむ…もう3日も経ってんだ…捕らわれなら色々ゲロっちまうから早く助けに行か無ぇと」

情報屋「じゃぁコレ…魔女の杖」

盗賊「危ねぇ忘れる所だった…そうかこれがありゃ衛兵に出会ってもなんとかなるな…」

情報屋「うん…気を付けて」

盗賊「おう!行って来る」タッタッタ

935: 2020/11/16(月) 12:09:17.33 ID:CUQQsgj40
『地下通路』


カチャカチャ カチャリ


盗賊「ったく何枚扉があるってんだ」タッタッタ

盗賊「…」---にしても何処に繋がってんだ?こりゃ---

盗賊「…」---距離的にそろそろ城のあたりだと思うんだが…---


ヒュゥゥ


盗賊「…」---風…上か---

盗賊「…」---なるほどここはセントラルの下水みたいなもんだな?---


あぁぁぁヒマヒマヒマヒマ

おい!看守!寝て無いで仕事しろって!!


盗賊「…」---元気そうじゃねぇか---

盗賊「…」---どっから上行くんだ?…アレか!!あの梯子だな?---


ズルズル パカ


女海賊「あ…」

盗賊「よう!来たぜ?」ヒソ

女海賊「遅すぎんだバカ」ヒソ

盗賊「看守は2人か?」ヒソ

女海賊「今寝てる…早く鍵開けて」

女戦士「杖は?」

盗賊「持ってきた」

女海賊「良いから早く」

盗賊「分かった分かった…」カチャカチャ カチャリ ギー

女海賊「手枷も」

盗賊「慌てんな…」カチャカチャ カチャリ

女戦士「私もお願いします」

盗賊「ん?なんか変だな?」カチャカチャ カチャリ

女海賊「あぁぁぁやっと自由になった!」ゴキ ボキボキ

女戦士「杖を貸してください」

盗賊「ほらよ…」ポイ

女戦士「ふぅぅぅこれで作戦通りですね」

盗賊「…なんか変だが…まぁ良い…逃げるぞ!来い」

女海賊「ちょい待ち」

盗賊「ん?どうすんだ?」


936: 2020/11/16(月) 12:09:46.64 ID:CUQQsgj40
女戦士「看守達!私に従いなさい」スチャ

看守1「ぐぅぅぅすぴーー」

看守2「ぐががががすぴー」

女戦士「変性魔法!変性魔法!」

盗賊「お?お?どういう事よ?なんでお前等に変身させんだ?」

女戦士「この2人を牢の中へ」

盗賊「おぉ!!なるほど…身代わりにすんのか」

女海賊「早く牢の中に入れて」

盗賊「分かった分かった…よっこら!…お前等も手伝え!クソ重いんだよ」ズルズル

女海賊「お姉ぇめちゃ重っ」

女戦士「看守1に命令します…この杖を女王に渡すのです」

看守1「むにゃむにゃ…ぐぅ」

盗賊「これ鍵掛っといて良いんだよな?」

女海賊「うん…掛けといて」

盗賊「よし掛けるぞ?2人共出ろ…」ガチャン!

女海賊「この下?」

盗賊「おう!俺が先に行くから付いて来い」



----------------



盗賊「こっから先は一本道だ…俺は扉の鍵を閉めながら行くから先に行け」

女海賊「おっけ!」

女戦士「この先は魔女の塔ですね?」

盗賊「そうだが…なんかおかしく無いか?話し方も魔女じゃ無い気がすんだが…」

女海賊「話ややこしいから後で!先行くよ」タッタッタ

937: 2020/11/16(月) 12:10:52.64 ID:CUQQsgj40
『魔女の塔』


タッタッタ


女海賊「おい!商人!何呑気に寝てんだよ!!」ドガ

商人「うぅぅ…うーん…はっ!!女海賊!!無事だったんだね?」

女海賊「来るの遅いんだって!!私の荷物は?」

商人「上の部屋でホムンクルスが持ってるよ」

盗賊「鍵掛けんのに邪魔だ!早く上行ってくれ」ガチャリ

情報屋「声がすると思ったら…無事に帰ってきてたのね?上に着替えがあるわ?」

女海賊「うん!すぐに着替えたい」

盗賊「俺らこの扉埋めてから行くからよ…着替えて待っててくれ…商人!今から埋めるぞ」

商人「あ…うん」



『部屋』


カクカク シカジカ


商人「…て事は女戦士の姿をしているのはシン・リーンの女王?」

盗賊「道理で話し方違うと思ったんだ…」

商人「魔女は女王の姿を借りて今玉座に居るんだね?」

女海賊「そゆ事…だから今の所は上手く行ってんの」

盗賊「そうならそうと早く言えよ…こっちは3日音沙汰無くて心配してんだ」

女戦士「そういう訳にも行かないのです…元老院の衛兵達と数名の魔術師に常時見張られて自由が利きません」

女海賊「でもさ…今の所魔女が女王にすり替わってるのバレて無いし魔女の作戦通りな訳よ」

商人「作戦って…祝賀会の事?」

女海賊「そそ…あと10日くらいで元老が全員揃うと思う」

盗賊「ヌハハ大事件が起きそうだな」

女海賊「そん時は私らも呼ぶって言ってたさ」

商人「女王は良く魔女とすり替わるのを許可したね?」

女戦士「いづれ魔女が女王に即位する事を願って国の闇の部分も見せておく必要があると思ったのです」

商人「魔女はアレでやる事が過激だからなぁ」

女戦士「承知の上…昨今の元老院の行いを正す時が来た様です…魔女になら出来るかもしれません」

商人「これで黒の同胞団のあぶり出しになれば良いけどね」

女戦士「黒の同胞団の話はハイエルフから少し話は伺っていました…これほど影響力が及んでいるとは私も知らなかった…」

商人「セントラルもフィン・イッシュも黒の同胞団に荒らされたと言っても良いと思うよ」

女戦士「魔女が言うには不明となった魔術院長が黒の同胞団に居ると…」

商人「そうらしい」

938: 2020/11/16(月) 12:11:22.16 ID:CUQQsgj40
女戦士「我が国が邪の者を生んでしまったのはお恥ずかしい限り」

女海賊「魔女がそこらへん正すって言うんだかららさ私らはちっと外側で見とこう」

盗賊「そうだ…ここには食い物が無いから宿屋に戻ん無ぇか?」

女戦士「城下を見て回りたかったのです…切望した吟遊詩人の歌も聞けて居ませんので案内してください」

女海賊「10日は自由に出来そうだからしばらく魔女に任せて遊んでて良いじゃない?」

盗賊「それなら金貨取りに飛空艇に寄ってから戻るか…ホムンクルスにもクロスボウ持たせておきてぇし」

情報屋「そうね…ホムンクルスにはクロスボウが合って居そうね」

女海賊「おけおけ…ほんじゃ行こっか」



『城下』


タッタッタ


盗賊「ふぅぅやっぱ夜に城下の外歩くのは危ねぇな」

女海賊「今のがウェアウルフ?」

盗賊「そうだ…一匹しか居ない様に見えただろ?実はあいつ等3匹ぐらいの集団で行動してんだよ」

情報屋「勝てると思って戦っちゃダメって事よ」

女海賊「ほんじゃウェアウルフはこっちを挑発してたんだ?」

盗賊「逃げるに限る」

情報屋「酒場にまだ明かりが付いているわ?何か食べて行く?」

盗賊「おー寝る前に一杯飲むか?お前らドロだけ落として行け」

女戦士「吟遊詩人はこの酒場にいらっしゃるのでしょうか?」

盗賊「寝て無きゃ居るんじゃねぇか?行くぞ」


939: 2020/11/16(月) 12:11:54.82 ID:CUQQsgj40
『酒場』


ドゥルルルン♪


盗賊「空いてんな…店主!まだやってるか?」

店主「もう店じまいですよ…余り物なら出せますが?」

盗賊「おぅそれで良い!ちっと一杯飲んで行くだけだからよ」

店主「一人1銀貨頂きますイヒヒヒヒ」

盗賊「ここ置いとくぜぇ!!」

店主「毎度ぉ!!その辺の物は何食べても構いませんぜ?酒もまだボトルに入ってるでしょう」

女海賊「ほとんど貸し切りだね」

情報屋「私達には余り物で十分ね?」

盗賊「肉あるぞ?食え食え」ガブガブ

女戦士「この様な雰囲気の酒場に来るのは30年振りでしょうか…」

女海賊「座ったら?」モグ

女戦士「あの方が噂の吟遊詩人ですね?」

女海賊「あの人のリュートは私が細工してあげたんだ」

女戦士「リュートの音を聴くと若かりし頃の事を思い出します…」


ドゥルルルン♪

吟遊詩人「乾杯をしよう~♪過ぎ去りし日の思い出に♪若き日のあの人と今もう一度~♪」


女戦士「あの吟遊詩人の歌を聞きたかったのです」

盗賊「酒場で朝まで寝てる奴も居るし…ゆっくり聴いて行けば良いんじゃ無ぇか?」

女海賊「ん?泣いてんの?」

女戦士「私はもう少し思い出に浸っていますので皆さんは先に宿屋に帰って良いですよ」

盗賊「俺は疲れたから一杯飲んだら帰って寝る」

女海賊「もうちょい食ってく…帰っていいよ」

940: 2020/11/16(月) 12:12:25.23 ID:CUQQsgj40
『翌日_宿屋』


ガチャガチャ


盗賊「んぁぁぁうるせえな…何買って来たんだ?」

情報屋「もうお昼よ?そろそろ起きたら?」

盗賊「なんだそのボロイ装備は…兜ばっかだな?」

商人「安かったんだよ…捨てるような値段さ」

女海賊「ホムちゃん足元気を付けて…」

ホムンクルス「はい…」ガラガラガラ

情報屋「沢山買って来たのね?」

盗賊「又動物の角買ったんか?どうすんのよそんなに沢山集めて…」

女海賊「私が兜に角を装飾すんの!」

商人「そうそう…それで僕が市場で売って来る訳さ」

女海賊「ホムちゃん!私が加工した兜に樹液の粕塗って磨いて?」

ホムンクルス「はい…かしこまりました」


トンテンカン トンテンカン


盗賊「ほう?磨きゃ割と良さそうな兜に見えんな?」

女海賊「でしょ?持ってみてよ」ポイ

盗賊「角が付いてる割に軽いじゃ無ぇか…あぁ!!この角で首回り守ってんのか!!」

女海賊「そそ!そゆ事!!」

商人「ホムンクルスが言うには動物に角が付いて居るのは急所を守る役目もあるって言うからさ…兜に付けて見ようってなった訳さ」

ホムンクルス「急所を少し守るだけで生存確率が格段に上がります」

女海賊「商人!出来た奴どんどん売って来て」

商人「うん!全部持って行くよ」ガサリ



------------------

941: 2020/11/16(月) 12:13:06.51 ID:CUQQsgj40
女海賊「どう?売れた?」

商人「すごいよ!あっという間に全部売れた…ホラ」ジャラリ ドスン

盗賊「おお!!いくらになったんだ?」

商人「10個売って200銀貨くらい」

女海賊「まだまだあるよ!全部売って!」

盗賊「おいおい俺にも一つくれ」

女海賊「好きな奴使って良いよ」

商人「僕も一つ貰うね」

女海賊「ホムちゃんはこのクルクル角の奴にしよっか」

ホムンクルス「はい…」

盗賊「北方の戦士はやっぱ皆毛皮に角付きの装備になんのな?ヌハハ」

商人「それ装備してて軽いし視界の邪魔にならないから角が付いてるの忘れちゃうね」

盗賊「おぅ全然気になら無ぇ」

商人「じゃぁのこりの兜もう一回売って来るね」

女海賊「もっとぼったくって稼いで!」

情報屋「ウフフなんだか魔物狩りがバカバカしいわ?」

盗賊「だな…アホらしくてやっとれん」

女海賊「女王はまだ帰って来ないの?」

情報屋「酒場で吟遊詩人を待ってるわ…よほど気に入ったのね」

盗賊「放って置いて良いんじゃ無ぇか?身分が違う立場を楽しんでるんだろ」

情報屋「でも一人じゃ心配だから私も後で行って来る」

盗賊「なら俺も昼間から入り浸るか」

女海賊「あと10日程度は暇だから好きにして」



『3日後_酒場』


ドゥルルルン♪


情報屋「みんな角突きの兜装備しているわね?」

盗賊「もう作らないのか?」

女海賊「十分稼いだじゃん?めんどい」

商人「君が作った兜は高騰しているらしいよ?偽物も出回ってるってさ」


吟遊詩人「あ!!見つけた…探していました」


女海賊「ん?私?」

吟遊詩人「はい」

女海賊「またリュートに細工したいの?」

吟遊詩人「いえ…実は今日城から使いが来まして祝賀会に招待されたのです」

女海賊「へぇ~?良かったじゃん」

吟遊詩人「あなた達の紹介状も預かっていまして…これです」パサ

女海賊「おぉ!!…てアレ?明後日だね」

942: 2020/11/16(月) 12:13:41.09 ID:CUQQsgj40
吟遊詩人「そうです明後日の夜ですね…ご一緒に来る様にと伝言を預かりました…あなた達はどういう関係なのですか?」

女海賊「まぁ色々在ってね…」

吟遊詩人「それからあそこに座っていらっしゃる大柄な女性…」

女海賊「あぁ…私のお姉ぇ」

吟遊詩人「そうだったのですか…城で働かないかとか訳の分からない妄言を…」

女海賊「ぶっ…まぁまぁいろいろあんのよ…でも良かったじゃん気に入られて」

吟遊詩人「はぁ…」

盗賊「思ったより早く事が進みそうだな?」

女海賊「剣士どうすっかな?」

情報屋「祝賀会に呼ばれて放って置く訳に行かないでしょう?」

女海賊「だよね?ちっと迎えに行って来る」

盗賊「お前一人でか?夜はウェアウフル出て危ねぇぞ?」

情報屋「あなたが付いて行ったら?」

女海賊「大丈夫!私クモ持ってるからさ…動物近づいて来ないよ」

盗賊「なぬ?」

女海賊「こないだもウェアウルフ襲って来なかったじゃん?クモ持ってるからだって」

盗賊「マジか…」

女海賊「ほんじゃちっと言って来る!すぐ戻るから」ピュー

商人「あぁぁ行っちゃた…即断即行動」

盗賊「本当落ち着き無ぇ女だ…まぁ俺らは飲むぞ!」



『魔女の塔』


ピョン クルクル シュタッ


剣士「はぁ!!」スン スン スン

影「はぁはぁ…」ピョン ズザザ

剣士「…」---見える---

影「ふっ!!」スン スン

剣士「…」ヒラリ スパー

影「…」シュゥゥゥゥ

剣士「くあはぁぁぁ…」ポタポタ

剣士「傷口が溶ける…回復魔法!」ボワー

剣士「くぅぅぅやればやる程自分が傷付く…」


タッタッタ


女海賊「剣士!!ああああああ…あんた血だらけじゃん!!」

剣士「君か…」グタリ

女海賊「なんでこんなんなってんの…エリクサー飲んで!!」

剣士「ありがとう…」ゴクリ

女海賊「これ修行?」

剣士「自分に勝てる様になったら自分に傷が付くんだ」

女海賊「こんなんやってたらその内氏んじゃうよ」

943: 2020/11/16(月) 12:14:12.85 ID:CUQQsgj40
剣士「お腹が減った…水も飲みたい」

女海賊「あんたを迎えに来たんだ…来れる?」

剣士「うん…連れて行って?」ヨロ

女海賊「走れる?」

剣士「大丈夫…」

女海賊「今みんな酒場に行ってるからさ…そこ行ったら何でも食べられるよ」

剣士「木の根が良いな」

女海賊「んな物無い」



『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

黒い騎士を見た奴が居るんだってよ?

それより追憶の森で山火事だとよ

見たぞ?魔法のドンパチだよな?

空飛ぶ魔物も居るって話よ

ワイワイ ガヤガヤ


ドゥルルルン♪


盗賊「おぉ戻って来たな…修行は終わったんか?」

剣士「ハハまぁね…食べ物が欲しい」

盗賊「何でも食え!酒もあるぞ」

情報屋「追憶の森の方で山火事があったって噂みたいだけど大丈夫だったの?」

女海賊「なんかちっと燃えてたね…ウェアウルフ倒すのに誰か魔法でも使ったんじゃないの?」

盗賊「魔法で燃やしたら毛皮が勿体無ぇ」

女海賊「雪でビチャビチャだからそのうち消えるさ」

情報屋「剣士は随分装備が痛んでるわね?修行のせいかしら?」

女海賊「なんか自分と戦ってこんなんなったみたい…行ったら血だらけだったよ」

ホムンクルス「私の近くにいらして下さい…賢者の石がありますので」

剣士「助かるよ…」モグ

盗賊「どんくらい修行してたんだ?こっちはまだ1週間だな」

剣士「もう分からないよ…100日位は経ったと思う」

女海賊「どう?100日振りに私の顔を見た感想は?」

剣士「変わって無いね」

女海賊「そんだけ?あんたの奥さんなんだけどさ…そこらへん分かってんの?」

剣士「ハハそうだったね…ちゃんと覚えてるよ」

女海賊「うむむなんか納得いかないけど…」

盗賊「剣士は事情分からんかも知れんけどな…明後日の夜に祝賀会があるんだ」

剣士「魔女が言ってたやつだね?」

944: 2020/11/16(月) 12:14:43.43 ID:CUQQsgj40
盗賊「うむ…何か起こるかも知れんから体をしっかり休めて置け」

剣士「そうするよ…食べたら宿屋で休む…案内してくれる?」

女海賊「あんたの装備も直すから早く帰ろ」

剣士「うん…少し食べたら落ち着いた」

女海賊「行くよ!!」グイ

剣士「もう?」モグモグ

盗賊「お前とイチャ付きたいんだろ!行ってやれ!!」




『祝賀会当日』


ワイワイ ワイワイ

軍事パレードか?通行制限が城まで続いてる

あれが元老院保有の兵隊らしい

魔術院の大政奉還って聞いたが?

元老院が全体を統治するようになるんかな?

ワイワイ ワイワイ



商人「さてさてどうなる事か…」

情報屋「表向きは魔術院が政権を返納して元老院の一党体制という事よね?」

商人「王権がどうなるかだよね」

女海賊「どうせ魔女が集めた元老をどうにかして絶対王政にするつもりでしょ」

商人「まさか元老はひっくり返されるとは思って無い…魔女は上手いね」

盗賊「その場に俺らが呼ばれてるって事は多分考えあるんだろうな」

女戦士「魔女の命をどうか守って下さい」

女海賊「大丈夫大丈夫!剣士がなんとかすっから」

吟遊詩人「皆さんお集りですね?」

盗賊「おう!」

吟遊詩人「女性の方は銀の仮面を付けて居るのですね…舞踏会用でしょうか?」

商人「まぁそんな所かな」

吟遊詩人「全員白い毛皮のマントで不思議な集団に見えますね」

女海賊「吟遊詩人一行って事になってるから気を使ってんだよ」

吟遊詩人「私にも同じマントは無いでしょうか?」

女海賊「商人!余ってたっけ?」

商人「あるよ…ホラ!」

吟遊詩人「お借りします…」ファサ

女海賊「なかなか似合ってんじゃん」

吟遊詩人「これで皆さんの仲間入りできましたね」

盗賊「ヌハハ仲間入りするつもりなんか…氏ぬほど働かされるぞ?」

女海賊「はいはい…そんなんどうでも良いからもう行くよ」

吟遊詩人「あ…失礼しました…ご案内するので後に付いて来て下さい」


945: 2020/11/16(月) 12:15:13.97 ID:CUQQsgj40
『城門』


門番「止まられーい!!招待状の無きものは通す訳に行かぬ」

吟遊詩人「女王様より招待状を預かっております…これです」パサ

門番「ふむ…女王様お気に入りの吟遊詩人一行か」

吟遊詩人「左様で御座います」

門番「一人づつ紹介状がある筈だが?」

商人「持ってるよ!!…これさ」パサ

門番「ふむふむ…王家の印があるな…間違いなさそうだ」

吟遊詩人「入城してもよろしいでしょうか?」

門番「紹介状によると帯刀も許可されて居るな…お前たちは貴族扱いなのか?」

商人「まぁそういう所かな?」

門番「ふむ…これは失礼…祝賀会はあと1時間後故それまでに城内へ入られよ」

吟遊詩人「ありがとうございます」

門番「門を開けーーーい!!」


ガラガラガラ ガチャーン


門番「ささ…どうそ」

吟遊詩人「さぁ行きましょう!正面です」




『城前』


ワイワイ


盗賊「おぉ!豪華な食事が用意されてんじゃねぇか…これ食って良いのか?」

女戦士「構いませんよ?」

女海賊「ちょちょちょ…まだ仕事終わって無いんだから大人しくして」

盗賊「ちっとぐらい良いだろ…剣士!食え!」モグ

情報屋「ここに居る人たちは元老達の妻子?」

女戦士「そうです」

商人「みんな身なりが貴族みたいだ…」

女戦士「お恥ずかしい限り…私腹を肥やす者の集まりですね」

吟遊詩人「貴族には私の演奏は不評なのですよ…」

女海賊「そんなん気にしなくて良いよ」

盗賊「みんなお抱えの従士付けて来てんだな」

商人「一応何かの警戒はしてるんだろうね」

吟遊詩人「私は女王様の側近に挨拶をしてこようと思いますが…皆さんはどうされますか?」

女海賊「一緒が良さそう」

吟遊詩人「では祝賀会まで少し早いですが中に入っておきましょう」

946: 2020/11/16(月) 12:15:45.04 ID:CUQQsgj40
『城内』


衛兵「これより先は祝賀会の準備中である」

吟遊詩人「女王様に招待されて来ました…演奏について事前に少し話をしておきたいのですが?」

衛兵「紹介状は持って居るな?」

吟遊詩人「これです…」パサ

衛兵「ふむ…演奏の準備をしておきたいと言うのだな?」

吟遊詩人「はい…」

衛兵「よし付いて来い」スタスタ



ヒソヒソ

あの白いのは何なのだ?

女王様お気に入りにの吟遊詩人一行かと

見張りを付けて置け

かしこまりました

ヒソヒソ



衛兵「女王の間への案内は代表一人だ…その他はここで待て」

吟遊詩人「では私が行ってきますので皆さんはお待ちください」スタスタ

盗賊「ヌハハこりゃ気持ちの良い待遇じゃ無ぇな」

女海賊「見て…片足が義足の奴」

盗賊「あいつか…しぶとい奴だな」

商人「元老は20人くらいか…こう囲まれると嫌だねぇ」

盗賊「ヒソヒソ何か話していやがる」

剣士「全部聞こえてるよ」

盗賊「なんて言ってんだ?」

剣士「怪しんでるね」

商人「ハハそれはこんな格好して怪しいだろうね」

剣士「恰好よりも女王が招待したことが気に入らない様だよ」


衛兵「女王の間への入室が許可された…お前達!入れ」

947: 2020/11/16(月) 12:16:15.02 ID:CUQQsgj40
『女王の間』


盗賊「うっは…なんだこの警備は…近衛が全員詰めてるんか」

商人「魔女居ないね?」

吟遊詩人「私達はここに並んで待てとの事だよ」

側近「女王様は奥で調印式の最中だ…終わり次第祝賀会に来られる」

商人「調印式?」

女戦士「魔術院の大政奉還の調印でしょう…立ち合いは元老の執政でしょうね」

盗賊「なんか堅っ苦しいな…王族はこんな式ばっかやってんだろうな」


執政「調印の式が終わりました…女王の祝辞がありますので皆々を招集してください」


衛兵「はっ!!直ちに…」



『数分後』


ゾロゾロ ゾロゾロ

調印が済んだのであればもう良かろう

祝辞があると言うのだ聞くしかあるまい

これで元老院にたてつく者は…


ガチャン ドスン


商人「扉にカンヌキ?…」

盗賊「何か始まるぞ?剣士…気を抜くなよ?」

剣士「分かってる…」


執政「女王様と国王様がお入りになられます…」


ノソノソ ノソノソ


執政「…」チラリ

女王「…」ギロ

執政「では…祝辞を頂きたく…」


女王「皆の者…膝を着けよ」


ザワザワ ザワザワ


女王「図が高い…頭を垂れて蹲え…女王の御前と知っての狼藉か?」


ザワザワ ザワザワ


女王「さて…めでたく魔術院の大政奉還は終えたのじゃが…祝辞の前に来賓を紹介する」

執政「来賓?聞いて居りませんぞ?」

女王「勇者一行…ここに参れ」


ザワザワ ザワザワ

948: 2020/11/16(月) 12:17:01.68 ID:CUQQsgj40
執政「勇者一行とはこれ如何に…」

女王「執行人も入室せよ」

盗賊「うは…氏刑執行人かよ…」


元老「恐れ多くは女王様…祝辞を申されるのでは無かったでしょうか?」

女王「ほう?うぬはわらわに異議を申すと言うか…良い…尋問じゃ…黒の同胞団に繋がりのある者を申せ」

元老「うぐ…元老全員が関わっております…うがぁ!!口がすべっ…」

執政「この元老は嘘を申しておりますな…」アセアセ

女王「執行人!親族諸共全員処刑をせよ」

執行人「ハッ!!」ズンズン


キャァァァァやめてぇぇ ブシュ

おい!!何をする!! ブシュ


------------------

------------------

------------------



女王「今宵の行事は黒の同胞団に関りを持つ者の根絶じゃ…異議のある者は申し出よ」

執政「…なんという暴君か」

女王「うぬはわらわに枷を付けた責任を取ると言うて居ったな?」

執政「まさかお前は…塔の魔女か!!」

女王「執行人!処刑じゃ…ヤレ」

執政「くそう…かくなる上は」ダダ ブス

女王「近衛共…見て居ったな?これが元老院の正体じゃ」

執政「心臓は何処だぁ!!」ブス ブス

執行人「ふんっ」ブン ブシュゥゥ ゴトリ

女王「貝殻を使うものは先に処刑するのじゃ」


わしは違う!助けてくれぇぇぇ ブシュ

嫌ぁぁぁぁぁ ブシュ

子供だけは…子供だけは… ブシュ

えーん えーん ブシュ


------------------

------------------

------------------

949: 2020/11/16(月) 12:17:47.56 ID:CUQQsgj40
『皆頃し後』


女王「さて…次は衛兵共じゃな」

衛兵「あわわ…」ガクブル

女王「わらわの命令に背いた者が居る…処刑じゃ」

衛兵「いや…違う…」

女王「わらわが間違っていると申すのか?わらわの言葉はこの国では絶対じゃ…処刑せよ」

衛兵「やめてくれぇ…違うんだ」ブシュ ボトン

女王「わらわに従う者は地べたに蹲え!頭を垂れよ!」

側近「ははぁ…」

女王「これぐらいにしておくかのぅ…」パンパン


目覚めよ!


元老「はっ…今のは…」キョロ

女王「幻影魔法じゃ…母上…これで誰を処するか分かったじゃろう?」

女戦士「魔女…」

女王「そろそろ交代じゃ…やはり国を治めるのは母上の仕事じゃ…変性魔法!」グングン

側近「姫!!やはり姫であったか…」

魔女「姫と言うのはヤメい!!」

女戦士「では私も…変性魔法!」シュゥ

執政「女王と姫が入れ替わって…」


国王「フッフッフ茶番はそこまでじゃ…」

魔女「主は父上では無いな?リッチであろう?」

国王「いかにも…自爆魔法!」パーン!


キン キン カキーン


執政「ぎゃぁぁぁぁぁ」ドタリ

剣士「魔女!離れて…」

魔女「主は成長したのう?」ノソノソ

国王「自爆魔法を回避する者が居ったとはな…」

魔女「父上をどうしたのじゃ?」

国王「フフフアーッハッハ…それを聞いてどうする?」

女王「やはりあの人が黒の同胞団を…」

国王「国王と魔術院長は旧来の友なのじゃ…どういう事か分からんか?」

魔女「父上が黒の同胞団に居るのじゃな?」

950: 2020/11/16(月) 12:18:23.39 ID:CUQQsgj40
国王「何も知らぬかフッフッフ…しかしさすがは塔の魔女の愛弟子という所か…抜かったわい」

魔女「主は魔術院長じゃな?」

国王「如何にも!!」

魔女「真の姿を見せい!」

国王「正体がバレてしまっては至仕方あるまい…変性魔法!」グングン

魔女「こ奴はわらわよりも魔力が強い…剣士!注意せよ」

剣士「ふぅぅ…」スチャ

リッチ「まとめて成敗してくれよう…爆炎地獄!轟雷天舞!絶対零度!」ゴゴゴ ガガーン カキーン

剣士「…」スン スン スン

リッチ「何ぃ!!反射だと…ぐぅぅ抜かった体が凍る…」カキーン

女海賊「剣士!どいて!!」


シュン パーン


盗賊「おぉ!!砕けた」

女海賊「氷の欠片を切って!!」

剣士「ふぅぅ…」スパスパスパスパ

魔女「爆炎地獄!」ゴゴゴゴゴゴゴ ボゥ

吟遊詩人「…なにが何だか…」アゼン




『玉座』


女王「さて…一連の行いを見ていましたが…元老達よ何か申し開きする事はありますか?」

元老達「むぐぐ…」

女王「ここは慈悲を下しましょう…豚か羊を選びなさい」

魔女「母上…処刑はせぬのじゃな?」

女王「魔女…お前が変性魔法を掛けるのです…生かして償いをさせましょう」

魔女「国家転覆の罪じゃが女王の慈悲により生かされる事になった様じゃ…豚か羊を選ぶのじゃ」

元老「ぐぬぬ…豚」

魔女「変性魔法!」

豚「プギャーー」

魔女「片足の領主…わらわに覚えがあろう?豚か羊のどちらじゃ?」

領主「またもや私の邪魔を…ぐぬぬ」

魔女「豚が似合いじゃ…変性魔法!」

豚「ゲヒゲヒ」

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-------------

-------------

951: 2020/11/16(月) 12:19:25.19 ID:CUQQsgj40
女王「さて…親族に直接の罪はありませんがどうしましょうね…」

側近「ご慈悲を…」

魔女「わらわに任せるのじゃ…」

女王「幻惑魔法ですね?」

魔女「そうじゃ…黒の同胞団と関われん様に命ずる」

女王「許可します…」

魔女「広範囲幻惑魔法!」モクモク

魔女「今後一切黒の同胞団との関りを禁止する!」

女王「ではこれにて大政奉還の儀を終えます…すべての門を開き民を祝賀会に呼びなさい」

側近「はっ!!」



『祝賀会』


ドゥルルルン♪


商人「いやぁぁ一時はどうなるかと思ったよ」

女海賊「あんまり被害無くて良かった」

盗賊「幻惑だが元老の皆頃しを見た衛兵のビビり様は半端なかったぞ?」

商人「魔法って怖いね…アレで一気に衛兵が委縮した」

女海賊「なんか豚と羊食べる気が無くなったよ」

商人「ずっとあのまんまなのかな?」

女海賊「変性魔法で元に戻せるっぽいけどわざわざ豚に変性魔法掛ける人は居らんとか魔女言ってたよ…こわ」

情報屋「あ!魔女が来たわ?少女の恰好になってる…」

魔女「やっと自由になったわい…」

女海賊「なんで小さくなってんの?」

魔女「わらわはこの恰好が一番合っとる様じゃ…動きやすいしのぅ」

女海賊「そういやさぁ?私とお姉ぇに変身させた看守ってあのまんま?」

魔女「牢に行ったらお互い舐め合っとって気持ち悪いで元に戻したぞよ?」

女海賊「あちゃーーーそれ心配してたんだよ」

魔女「ところで主らはここ数日不審な者は見て居らぬか?」

商人「もしかして歴史の修正?」

魔女「気付いて居らんかもしれんが何度も修正された結果が今じゃぞ?」

商人「祝賀会が早まったのもそのせい?」

魔女「その記憶も直に無うなるじゃろ」

商人「なるほど…予定外なのはそういう事か」

情報屋「酒場の噂で黒の騎士がうろついてると言うのは聞いたわ?」

商人「追憶の森の山火事も気になるね」

魔女「ふむ…次の手を打って来て居るかものぅ…」

商人「魔女がここに居るという事は黒の同胞団に知られたと見る?」

魔女「いや…女王の間に居た者は全員幻惑魔法に掛かって居るでまだ知られては居らんと思うな」

952: 2020/11/16(月) 12:20:02.41 ID:CUQQsgj40
商人「なるほど…バレない様に少女の姿になってるんだ?」

魔女「それも理由の一つじゃ…第一王女の顔は知れ渡っとるで」

商人「もうすこし隠れ潜んでおいた方が良さそうだね」

魔女「うむ…」

女海賊「どうする?宿屋帰る?」

魔女「わらわは城はもう飽きた…戻って酒場で噂を聞きたいのぅ」

盗賊「ヌハハ俺らはそっちのが合ってんな…帰るか」



『酒場』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「そこら中でお祭り騒ぎだね…座る所無いじゃん」

魔女「元老院に溜まって居った物資を衛兵が配っておるそうじゃ…母上の計らいじゃな」

盗賊「こらしばらく続きそうだな」

魔女「しかし…剣士は修行を終えて見違える動きになったな?時空を我が物にしたかえ?」

剣士「一瞬だけね」

魔女「その力を魔術用語でラグスイッチと言うのじゃ…」

剣士「魔女の様に時空の先に居るのとは少し違うね」

魔女「わらわの場合魔術用語でピングが良いと言うのじゃがその違いが分かれば入門は卒業じゃのぅ」

女海賊「剣士を迎えに行ったらさ…修行で血だらけだったんだよ」

魔女「そうじゃろう…魔術師も自分と魔法の撃ちあいで火傷するで介添えが居らんと氏んでしまう」

盗賊「そんだけ修行積んだ魔術師でも今日みたいに魔法反射されたら一瞬でやられるんだな」

魔女「剣士の持つ刀の効果を知らんかったのが運の尽きじゃな…至近距離で反射されては避けられぬ」

女海賊「止めを刺したのは私だよ」

魔女「氷を砕くという機転が利いたのはさすがじゃ…バラバラに砕け散って奴は何も出来んかった」

商人「あれが不明になってた魔術院長だったとするともう魔術師をリッチに出来る人が居なくなったと見て良い?」

魔女「そうじゃな…リッチはこれ以上増えんじゃろう」

商人「よし!徐々に追いつめてる…」

魔女「しかし父上が黒幕じゃとは…昔はやさしい父だったのじゃが…」

商人「そうと決まった訳じゃ無いでしょ」

魔女「思い当たる節が有ってのぅ…ハイエルフとなにやら交わし事をして居った事があるのじゃ」

商人「ハイエルフが絡む?」

魔女「師匠が言って居ったんじゃが人間の魔術をハイエルフに教えて何かをしようとして居った…今思えばその交わし事じゃな」

商人「じゃぁ魔術院長が教えたって事になる?」

魔女「恐らくな」

商人「ハイエルフまで絡むって謎が深まるばかりだ…」

魔女「父上はな…元は錬金術師じゃ…状況証拠が揃って居る」



-----------------

953: 2020/11/16(月) 12:20:35.80 ID:CUQQsgj40
ガヤガヤ ガヤガヤ

おい!外見て見ろ!!

おぉぉ魔術師が空に魔法撃ってる…

女王様のパレードがあるらしいわ

見に行って見るか

ガヤガヤ ガヤガヤ



魔女「今晩は大した噂は聴けん様じゃな…わらわは宿屋に帰ってちと横になる」

女海賊「ほんじゃ私と剣士も帰ろっかな」

盗賊「俺らはもうちっと飲んで行くからよ…帰っていいぞ」

情報屋「噂を集めるのは私達に任せておいて?」

魔女「そうじゃな…では行くとするか剣士…」ノソノソ



『街道』


ワイワイ ワイワイ


剣士「…」---なんだろう?---

女海賊「ん?何ボケっとしてんの?」

剣士「空がちょっとね…」

魔女「曇って星が見えんのぅ?」

女海賊「ボケっとしてないで早く帰ってヤルよ!」

魔女「これこれわらわが居るんじゃぞ?大概にせい」

女海賊「うっさいなぁ寝りゃ良いじゃん」

剣士「…」---なんだ?この感じ---

女海賊「あんたぁ!!聞いてんの?」グイ

剣士「おっとっと…」ヨタ

女戦士「ヤルのヤラないのハッキリしな!」カチャリ

剣士「分かった分かった…行くって…」

魔女「ヤレヤレ…」

954: 2020/11/16(月) 12:21:10.68 ID:CUQQsgj40
『宿屋』


zzz…


女海賊「ぐぅ…すぴー…」ムニャ

剣士「…」---やっぱり胸が騒ぐ---


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン パラパラ


剣士「何だ!!?」ガバ

魔女「んんむ…」ゴシゴシ

剣士「魔女!!起きて!!女海賊も!!」

女海賊「んあ?もうダメ…もう逝けない…」

剣士「外で何か起きてる!!起きて!!」グイ


シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ 

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

ドガーーーーーーン!! パラパラ


女海賊「ぐぁぁ…何?」ゴロゴロ ズザザ

魔女「なんじゃ?…屋根が吹き飛んでおる…」

剣士「女海賊!!腕!!」

女海賊「え?あ…なんで?…なんで無いの?」ボタボタ

剣士「腕は何処に行った!?」

女海賊「なんで手が無いの…え?どうなってんの?」ボタボタ

剣士「有った!!ここだ…」グイ

女海賊「はぁはぁ…痛い…」

剣士「腕を出して!」

女海賊「無い…無い…嫌ぁぁぁぁ!!」

剣士「大丈夫…今くっ付ける…早く腕を」グイ

女海賊「助けて…剣士…お願い…」

剣士「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

魔女「それでは蘇生出来ぬ…蘇生魔法!」ゾワワ

女海賊「痛い…痛いよぅ…」

魔女「回復魔法を続けて掛けるのじゃ」

剣士「回復魔法!回復魔法!回復魔法!ボワー


シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ 

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

ドガーーーーーーン!! パラパラ



--------------------

955: 2020/11/16(月) 12:21:36.15 ID:CUQQsgj40
剣士「女海賊…立てるかい?」

女海賊「なんとか…どうなってんの?」

剣士「隕石だ…ここは危ない…君の荷物探して!」

魔女「信じられぬ…城が崩れよる…」アゼン

女海賊「あった!!私の荷物…」ヨロ

魔女「一瞬で滅びよった…これはメテオスウォームじゃ」

剣士「酒場の有った辺りに盗賊達を探しに行こう…魔女!!行くよ!!」グイ

女海賊「手が自由に動かない…」

剣士「まだ隕石が落ちて来る!!伏せて!!」


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン パラパラ



『酒場の付近』


ボウボウ メラメラ


剣士「隕石の直撃受けてる…ダメか…」

女海賊「どの氏体が誰のだか分かんない…ぅぅぅ…どうなってんのよ!」

魔女「よもや…もう取り返しが付かぬ…シャ・バクダの二の舞じゃ…」

剣士「生きている人を探そう…」


セイタイ60%ソンショウ…キノウテイシマデ30ビョウ


女海賊「ホムちゃんの声!!」

剣士「ここだ!!ここに埋もれてる」ガッサ ガッサ

ホムンクルス「トウブニオオキナソンショウガアリマス…ガイブメモリヲハズシテクダサイ」

女海賊「ホムちゃん!?どこ?」

剣士「ダメだ…頭が半分無い」

ホムンクルス「アト10ビョウデセイタイキノウガテイシシマス…ミナサンガイブメモリヲヨロシクオネガイシマス」

女海賊「左耳の後ろ」

剣士「…これか」

女海賊「ホムちゃん…ホムちゃん」

ホムンクルス「オゲンキ…デ…イテクダ…サイ」

剣士「…」

ホムンクルス「…」

剣士「外部メモリを外した…他の人を探そう」



シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ 

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

シュゴーーーーー ドゥーーーーーーーーーモ

ドガーーーーーーン!! パラパラ

956: 2020/11/16(月) 12:22:13.01 ID:CUQQsgj40
『1時間後』


ゴゴゴゴ メラメラ


魔女「地獄じゃな…生きて居るのはわらわ達を入れて数名じゃ」

剣士「こっちもダメだ…損傷が大きすぎて回復魔法が意味ない」

魔女「女海賊の気は確かかえ?」

女海賊「ぁぅぁぅ…ホムちゃん…」

剣士「放心状態だけど体は無事だよ」

魔女「修行で精神を鍛えて居らぬ故仕方の無い事じゃ…しかし…」

剣士「隕石は止んだね…」

魔女「これほどの隕石を落とせるのは師匠しか居らぬ…師匠の亡骸が無うなったと気付いた時にこうなる事を予測せねばイカンかった」

剣士「歴史の塗り替えか」

魔女「強引にひっくり返して来おったのぅ」

剣士「まだ間に合うんじゃない?僕たちも過去へ戻って…」

魔女「そうじゃな…それしか無い様じゃ」

女海賊「ヤルよ…」スック

剣士「女海賊…」

女海賊「ホムちゃんを返してもらう…」

魔女「次元が崩壊するリスクが有るのじゃが…主らは自我を保てるか?」

女海賊「ヤルったらヤル!!」

魔女「では…行くとするか…わらわに付いて参れ」ノソノソ



『追憶の森』


メラメラ パチパチ


剣士「こんな所まで爆風が…」

魔女「地形が完全に変わって居る…わらわの塔まで迷ってしまうのぅ」

女海賊「…案内して」カサカサ

魔女「ほう?クモに案内させる気か…良い案じゃ」

女海賊「こっち…」

剣士「後ろ見て…シン・リーンの火が激しくなってる」

魔女「隕石はしばらく熱を持って周辺を焼き尽くすのじゃ…業火に焼かれすべて灰になるじゃろう」

剣士「僕たちは奇跡的に助かったみたいだね」

魔女「うむ…直ぐに回復魔法出来たのが良かったな」

剣士「魔女も怪我を…」

魔女「エンチャントされた角を持っとるで気にせんで良い」

女海賊「右手が動かしにくいんだけどさ…これ治る?」ニギニギ

魔女「角を常に持っておれ…直に良ぉなる」

剣士「ここだ!あと一歩で狭間に入る」

957: 2020/11/16(月) 12:22:50.52 ID:CUQQsgj40
『魔女の塔』


魔女「こちらに来い…塔の中はマズイで花畑で時限の門を開く」


良く聞くのじゃ

今から開く時限の門はおよそ5日前に戻る門じゃ

その門は剣士が修行で使った門と違うて直ぐに閉じてしまうのじゃ

そうじゃな…約4時間で閉じてしまう寄って必ずそれ迄に戻るのじゃ

戻れん場合は次元に取り残され永遠に戻れぬ

それから過去の自分に出会ってはならぬ…主らでは自我を取り込まれてしまうでな

噂によると黒の騎士が追憶の森をうろついて居るのじゃな?

祖奴が何者か知らぬが師匠の亡骸と関係があるやも知れぬ


女海賊「5日前っていうと…宿屋でゴロゴロしてたぐらいかな」

剣士「僕は魔女の塔で修行を…」

魔女「自我をしっかり保つのじゃぞ?特に女海賊は初めての経験じゃから気を付けい…気を失うてはならん」

女海賊「分かった…もう瞬きしない」

魔女「瞬きは関係無いが…まぁええか…では行くぞよ?開け…時限の門!」


シュワシュワ


魔女「女海賊から光の渦へ入るのじゃ」

女海賊「おっけ!付いて来てね」ソー


----------------

----------------

----------------


女海賊「アレ?通り抜けた?」キョロ

魔女「もう5日前じゃ…違和感無いな?」

剣士「大丈夫…」

魔女「では追憶の森へ戻るぞよ?」ノソノソ

958: 2020/11/16(月) 12:23:23.64 ID:CUQQsgj40
『追憶の森』


ザワザワ ザワザワ


女海賊「元のシン・リーンが見える…戻って来た」

魔女「これ!!自我を保て!!この次元に戻る事を考えると飲み込まれるぞよ?」

女海賊「あぁそういう事か」

剣士「追憶の森には魔女の塔以外に何があるの?」

魔女「精霊の像を安置しておる祠がある」

剣士「祠か…黒の騎士はそこに行こうとしている?」

魔女「それは分からんのぅ…近いで一応見て行くか」

剣士「ん?」クンクン

女海賊「あ!やべ…クモ置いて来ちゃった」

剣士「なにか居る…気を付けて」

女海賊「この辺イエティが居るんだった」


イエティ「ウォーーウォーーー!!」ドスドス


剣士「任せて…」シュン

イエティ「ウォーーー!」ブン ドガァ! ズザザ

女海賊「あああああ!攻撃されてんじゃん!!」


スパ スパ スパ スパ


女海賊「え!?分身?…剣士消えた」

イエティ「ムゴ…ムゴ」ドタリ

魔女「ラグスイッチじゃ時空を飛んだのじゃな」

女海賊「剣士?怪我は?…あれ?」

剣士「ふぅぅ…行こうか」

女海賊「どうなってんの?」

魔女「元の時空の剣士は攻撃されたが剣士の時空の剣士はイエティを切った結果じゃ…意味がわかるか?」

女海賊「ハテ?」

魔女「まぁ良い…主には理解出来ぬ」



-----------------

959: 2020/11/16(月) 12:24:24.05 ID:CUQQsgj40
ベチャ ベチャ


女海賊「ちょっと待って!!馬の足跡」

魔女「むむ!行先は林の向こう側じゃな…」

剣士「足跡を追おう」

女海賊「そっちに何かある?」

魔女「山になって居る…シン・リーンを見下ろせるのぅ」

剣士「…」クンクン

女海賊「何か臭う?」

剣士「なんだろう?女の甘い香り…」

女海賊「私?」クンクン

剣士「君じゃない」

魔女「剣士…幻惑魔法かも知れんで気を付けよ」

剣士「馬の足跡の方向だよ」

女海賊「あんたさぁ…私が居んのに他の女の香りを気にすんの?」

剣士「こんな所で女の香りはおかしい…行こう!」

女海賊「おい!!聞いてんの?」



------------------


ゴゥ ドーン ゴゴゴゴゴ ボゥ


剣士「アレだ!!黒の騎士が何かと戦ってる」

女海賊「空飛んでんじゃん…何アレ…ちっちゃいドラゴン?」

魔女「女海賊…主の望遠鏡を貸すのじゃ」

女海賊「ん?あ…ほい」ガチャ ポイ

剣士「黒の騎士が乗ってる馬は…アンデッドホースかな?」

女海賊「おぉぉ!!でかい剣で魔法撃ち返してるね」

剣士「空飛ばれてるんじゃ黒の騎士に勝ち目が無いよ」

魔女「ぐぬぬ…あれはサキュバスじゃ…師匠の亡骸をサキュバスにして蘇らせておる…ぐぬぬ」

女海賊「じゃぁアレが隕石を落とした犯人?」

剣士「黒の騎士が持ってる剣…もしかしてあれは時の王…」

女海賊「え!!魔女…望遠鏡貸して」グイ

剣士「見える?」

女海賊「黒い甲冑で顔が見えない…でも持ってる剣は時の王が使ってた剣…なんでこんな所に」

魔女「セントラルでデュラハーンの一騎掛けの騒ぎが有ったな?…それじゃな」

女海賊「そうか…私が精霊が生きてるとか言ったから確認しに来てるんだ」

剣士「どうする?このまま時の王の戦いを見守る?」

女海賊「私らの狙いは隕石落としの阻止でしょ?」

魔女「サキュバスを葬らねばならんな…時の王は後じゃ」

剣士「どうして戦ってるんだろう?」

女海賊「今の所敵の敵は味方…そういう事」

魔女「女海賊や…インドラの銃で狙えるかえ?」

女戦士「おっけ!ヤル」ガチャリ

魔女「剣士…やるぞよ?反射を上手く使うのじゃ」

960: 2020/11/16(月) 12:24:53.12 ID:CUQQsgj40
女海賊「撃つよ?」



-----------------


シュン パーン


剣士「サキュバスが落ちた!!」

女海賊「もう一発!!」ガチャコン シュン パーン

魔女「剣士!魔法で畳みかけよ!!火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ

剣士「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ

女海賊「次撃てるまで10分!!耐えて…」

剣士「こっちに気付いた…」

魔女「イカンなサキュバスは回復しよる」

剣士「魔法は跳ね返すから魔女は撃って!」

魔女「火炎魔法!竜巻魔法!ボルケーノ!」ゴゴゴゴゴゴ


時の王「…」パカラッ パカラッ ブルルル


剣士「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ

女海賊「当たってる当たってるぅ」

魔女「効いて居らぬ…耐魔魔法を掛けて居る様じゃ…物理攻撃を当てんとイカン」

女海賊「おっけ!デリンジャー使う…引き寄せて」カチャリ

サキュバス「キャアアアアアアアア」バッサ バッサ

剣士「詠唱始めた…長い!!」

魔女「耐魔魔法!耐魔魔法!耐魔魔法!」シュワワ

剣士「くそう…弓があれば」

魔女「来るぞよ!」


シュン シュン シュン シュン  スト スト グサ グサ

シュン シュン シュン シュン  スト スト グサ グサ


魔女「アローレインか!耐魔魔法に意味が無い…走るのじゃ」ノソノソ

剣士「くぅ…回復魔法!」ボワー

女海賊「くぅぅマジか…あんな魔法あり?」ズリズリ

剣士「矢を抜く」ズボ

女海賊「いだぁぁい!!」

魔女「回復魔法!」ボワー

剣士「次の魔法を詠唱してる…又長い!!」

魔女「木に隠れよ…こっちじゃ女海賊!回復魔法!」ボワー

剣士「魔女も矢を抜く」ズボ

魔女「うぐ…ぅぅぅ」ボタボタ

剣士「回復魔法!」ボワー


シュン シュン シュン シュン  スト スト スト スト

シュン シュン シュン シュン  スト スト スト スト

961: 2020/11/16(月) 12:26:10.86 ID:CUQQsgj40
女海賊「あんにゃろ!」ターン ターン ターン ターン

サキュバス「ギャーーギャーーー」バッサ バッサ

剣士「ダメだ落ちて来ない」

女海賊「こんなんじゃ勝ち目無いね…どしよ?」

魔女「インドラの銃しか無いのぅ…落とした後に剣士が刻むのじゃ」

女海賊「あと3分くらい…くっそ時の王のおっさん何やってんだよ!!」

剣士「次の魔法が来る!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ドーン


剣士「はぁ!」スン スン スン

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「範囲魔法は全部反射しきれない…くぅぅ」

魔女「剣士…木に登るのじゃ…わらわが罠魔法でツタを張る故飛び移って切れ」

剣士「分かった!」ピョン クルクル シュタ

魔女「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワザワ シュルリ

女海賊「私もツタ登る!!」タッタッタ ピョン

剣士「このぉ!!」シュタタ ピョン ブン

女海賊「こっちも!!」ターン ターン ターン ターン

サキュバス「自爆魔法!」パーン

剣士「うがぁ…」ヒュゥゥ ドサ

女海賊「あぁぁ剣士…」グイ

剣士「金属の欠片を抜いて…直撃食らったゲフッ」ボタボタ


時の王「…」パカラッ パカラッ ブン ザクリ


サキュバス「ウキャアァァァ」ドサ

魔女「今じゃ剣士!!切れ!!」

剣士「くぅぅ…」スパ スパ スパ スパ

魔女「回復魔法じゃ凌ぐのじゃ!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「ふぬっ!!」スパ スパ スパ スパ

女海賊「切ってすぐに傷が塞がってる…」

魔女「リリスと同じか…祖奴はキマイラじゃ!!歌うのじゃ」

女海賊「え!?歌…」

女海賊「寝んね~ん寝~♪」

ルルル~♪

ララ~♪


サキュバス「自爆魔法!」パーン


女海賊「はぅぅ…」ガク

魔女「命令じゃ!命令するのじゃ」

女海賊「やめ…て…攻撃しない…で」

サキュバス「…」ピタ

魔女「気を失うてはイカンぞ?回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「ぅぅぅ女海賊…金属を抜くよ」ズボォ

962: 2020/11/16(月) 12:26:40.17 ID:CUQQsgj40
女海賊「いぎゃぁぁ」ビクビク

魔女「回復魔法!」ボワー

剣士「もう一つ」ズボ ズボ

女海賊「ひぃひぃふぅ…」

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女海賊「はぁはぁ…」

魔女「剣士の金属の欠片も抜いてやれ」

女海賊「うぐっ…うぐっ…こんなに痛いなんて…」ズボ ズボ ズボォ

剣士「うぐぐぐ…」

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女海賊「剣士?エリクサー半分こしよ…」ゴクリ

剣士「はぁはぁ…」ゴクリ

魔女「女海賊や…サキュバスに自害するように命じよ…氏んだ後にわらわが焼いて灰にする」

女海賊「サキュバスに命ずる!!自害してぇぇ!!」

サキュバス「…」ズボォ ブチブチ


ドクン ドクン ドクン ブシュ!!


サキュバス「キュゥゥゥ」ドタリ

魔女「師匠…安らかに眠っておくれ…火炎地獄!」ゴゴゴゴゴゴゴ ボウ




----------------



女海賊「…はい袋だよ」

魔女「済まんのぅ…灰を持って帰る」ガサゴソ

女海賊「時の王は何処行っちゃったんだろ?」

魔女「さぁの?いつの間に居らんくなっとった」

女海賊「これで隕石は落ちない未来が来る?」

魔女「これからが勝負じゃ…自我を失うでないぞ?」

女海賊「どういう意味?」

魔女「時限の門をくぐり元の世界へ戻った時に次元の歪みが生じる…主の自我のある世界に入れ替わるのじゃ」

女海賊「隕石が落ちて居ない世界で自我を保つ…そういう事?」

魔女「門をくぐって帰る先は隕石が落ちてしもうた世界じゃ…歪んで入れ替わる時に自我を保て」

女海賊「おっけ!」

魔女「主らは10年かかる修行をたった1日でやろうとしておる…心せよ」

剣士「そろそろ時間が無い」

魔女「そうじゃな時限の門はいつ閉じてしまうか分からんで早う戻ろう」

剣士「行こう…」

963: 2020/11/16(月) 12:27:05.41 ID:CUQQsgj40
『魔女の塔』


シュワシュワ


魔女「では女海賊から時限の門をくぐれ」

女海賊「ちゃんと付いて来てよ」スタスタ


-----------------


女海賊「…もう戻った?」

魔女「うむ…」

剣士「大丈夫…迷って無いよ」

魔女「ちと師匠の灰を埋葬して行きたいで付き合ってくれぬか?」

女海賊「そうだね…」

剣士「ここは何も変化が感じられない…」

魔女「狭間の奥じゃからのぅ」

女海賊「そういえば部屋の中に壺があったな…灰の入った袋は壺に入れた方が良いね」

魔女「持って来てもらえるか?」

女海賊「うん!取って来る」ピュー



『墓』


魔女「むむ!誰ぞ墓に花を添えた者が居るな…」

剣士「ここに誰か入って来る事なんてある?」

魔女「はて?母上じゃろうか?」

剣士「この花は添えられて少し間が空いてるね」

魔女「ふむぅ…情報屋か誰かが気を利かしたのかのぅ…」

女海賊「壺持ってきたよ…」

魔女「よし…袋を壺に入れて…」

剣士「石棺の蓋閉めちゃうよ?」

魔女「うむ…」

剣士「ふんっ」ズリズリ

魔女「これで良い…師匠や…休んでおくれ」人

女海賊「…」人

剣士「…」人

964: 2020/11/16(月) 12:27:31.39 ID:CUQQsgj40
『追憶の森』


魔女「良いか?狭間を出るで次元の歪みに飲み込まれるで無いぞ?

女海賊「剣士!!手を繋いでて」

剣士「あ…うん」ギュ

魔女「出るぞよ?」スゥ

女海賊「どこ?何も見えない」

剣士「手を握り返して…」ギュ

魔女「今わらわ達が見えて居る範囲が自分の時空じゃ…向こう側に他の者が持つ時空がある…そこと繋がるのが分かるか?」

剣士「シン・リーンが燃えて居ない!!」

魔女「繋がった様じゃな?それに早く気付くと言う事がピングが良いという事じゃ」

剣士「分かった…時空の繋がり方が…」

魔女「うむ…主は少しだけ他の者よりも先に気付ける様になった…つまり時空の少し先に居る」

女海賊「この世界は誰の世界?」

魔女「主の物にせよ…主はここに居る!!」

女海賊「私の世界…私が見えている世界が私の世界」

魔女「うむ…街に近づけば近づくほど他の者の時空と繋がる…それに気付け…そして我が物にするのじゃ」

剣士「そうか…時空は人の数だけ有るのか…それらが繋がってる」

魔女「それに気付くまで10年は掛るのじゃぞ?」

剣士「帰ろう…」

魔女「ゆっくり歩け…時空の繋がりを一つ一つ感じて行くのじゃ」

剣士「女海賊?手を離さないで…」ギュ

女海賊「魔女がノソノソ動くのってこういう事か…」

魔女「そうじゃな…物事の変化を人より少し早く感じておるのじゃ」ノソノソ

女海賊「夜明け…太陽が出て来た」

魔女「宿へ戻るかのぅ」




『城下』


女海賊「元通り…やっぱ頭の中で混乱するね」

魔女「自分の知って居る世界と違って居るからのぅ…次元が入れ替わったのじゃ…自我を失うな?」

女海賊「大丈夫!私はしっかりしてるよ」

魔女「それなら良いが…一度寝て起きた時にも混乱するで注意せいよ?」

剣士「これしばらく寝ない方が良いかも」

魔女「そうじゃな…完全に次元を我が物にするまで寝ん方がよかろう」

女海賊「そうだ!!ホムちゃん…ホムちゃんに会いに行かないと」

剣士「もう朝だから宿屋かな」

女戦士「早く行こ!!」

魔女「確かめながらゆっくり行くのじゃ」

女戦士「もう!!」

965: 2020/11/16(月) 12:27:58.45 ID:CUQQsgj40
『宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「んがががが…すぴーーー」

情報屋「あら?何処に行ってたの?心配していたのよ?」

商人「あ!!帰って来たね…何してたのさ」

女海賊「ああああああ!!ホムちゃん!!良かったぁぁぁ!!」ギュゥゥゥ

ホムンクルス「おはようございます…どうされたのですか?」

女海賊「ぅぅぅ…ホムちゃん!!ホムちゃーん」ポロポロ

魔女「いろいろ有ってのぅ…」

剣士「ホムンクルス?…これ」

ホムンクルス「外部メモリですか?」

魔女「剣士…持って帰って来たのか…」

商人「それどうしたの?」

剣士「うん…ちょっと次元の旅をね」

ホムンクルス「私の耳の後ろにもう一つ空きスロットがあります…挿入してください」

剣士「必要ないかな?」

商人「誰の外部メモリ?」

剣士「ホムンクルスだよ」

商人「え?」

剣士「別の次元のね」

ホムンクルス「記憶容量が倍に増えますので超高度AIの処理速度が向上します…挿入してください」

剣士「良いのかな?」

商人「ホムンクルスのなら良いじゃないかな」

剣士「じゃぁ…」スッ

ホムンクルス「新しい記憶領域を確認しました…この記憶は私の記憶とほぼ同一です…重複する記憶を削除します」

商人「なんだ同じ記憶かぁ」

ホムンクルス「一部不整合な記憶が存在します」

商人「お?どんな記憶?」

ホムンクルス「酒場が突然爆発する記憶です…商人は私を命がけで救出しようとしています」

商人「え?どういう事?」

魔女「話せば長いのじゃが…こういう事じゃ…」


カクカク シカジカ

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966: 2020/11/16(月) 12:28:29.27 ID:CUQQsgj40
商人「…驚きだ…次元がいつすり替わったのか分からない…僕はずっとこの次元に居る」

魔女「そういう物じゃ」

商人「外部メモリがあるって言う事は他の次元も実在したって事だ」

魔女「そうじゃな…これは魔術の修行をせんと理解出来んのぅ」

ホムンクルス「この記憶は大切に保存しておきます…商人が私の為に命を張った記憶です」

商人「ハハ僕はその記憶が無いけどね」

魔女「して…剣士や…主に教えるつもりは無かったのじゃが…これが量子転移の原型じゃ」

剣士「え?別の次元から何かを持って帰る事を?」

魔女「物を持って帰ってはイカンと言うのを忘れておったわ…次元の狭間に迷わんで良かった」



量子転移の魔法はな?

空間ごと切り取って我が物にし

自分の持つ時空に置き換える魔法なのじゃ

例えばわらわの魔力を奪って自分の物にし

その時空を固定化させる

さすれば他の者の時空も調和を始め安定化するのじゃ

この魔法は過去の記憶や他の時空からも空間ごと切り取って我が物に出来る

魔術師の最強魔法じゃ…禁呪にしておるがな



魔女「使ってはイカンぞ?次元の狭間に迷う上に次元が崩壊する可能性もある」

剣士「僕には使いこなせないよ」

魔女「既に時空が何なのか習得出来ておる様じゃからやろうと思えば出来る…じゃから間違わん様にせい」

剣士「わかった…注意する」



----------------



剣士「改造出来そう?」

女海賊「女エルフが昔クロスボウ改造して弓にしてたんだ…ちょい待って」カチャカチャ

魔女「何を作って居るんじゃ?」

剣士「サキュバスと戦って僕も弓を使える様にと思ってね…クロスボウを改造してもらってる」

魔女「ふむ…遠隔物理攻撃か…わらわは何も出来んかったのぅ」

剣士「物理攻撃の魔法は何か無い?」

魔女「変性魔法との複合じゃから主にはムリじゃ…わらわでも難しい」

女海賊「出来た!!ちょっと引いてみて」ポイ

剣士「…」ギリリ ブン

967: 2020/11/16(月) 12:29:00.46 ID:CUQQsgj40
女海賊「ありゃ?もっと硬くしないとダメ?」

剣士「そうだね…軽すぎる」

女海賊「女エルフよりも硬い弓にしなきゃダメなんだ…貸して」カチャカチャ

剣士「出来たらちょっと練習したいな…」

魔女「後で精霊の像の安置所へ行って見るかえ?イエティに弓を当てて見れば良い」

剣士「そうだね」

盗賊「なぬ!?イエティ狩るつもりなんか?」

商人「すごいね!!それお金稼げるよ」

剣士「じゃぁ一緒に行って見ようか」

女海賊「…これでどう?」ポイ

剣士「…」ギリリ ブン

女海賊「どう?」

剣士「こんな感じかな?」

女海賊「おけおけ!じゃ後持ち手とか軽く細工する」

盗賊「おし!俺はソリ準備しとくわ」

商人「手伝うよ」

情報屋「ウフフやる気満々ね…私達は留守番しておくわ」




『城下外』


盗賊「ちょい試しに撃ってみろ」

剣士「うん…」ギリリ シュン

盗賊「ほぉぉぉぉ…クロスボウより距離出そうだな」

女海賊「そりゃクロスボウより硬くしてっからさ…ほんで矢はボルトより軽いじゃん?」

剣士「真っ直ぐ飛ぶから狙いやすいよ」

盗賊「普通の弓じゃ軽過ぎたんか?」

剣士「多分ね」

盗賊「やっぱエルフは違うなぁ」

女海賊「そだよ…こんな弓普通に引けないから」

魔女「では準備は良いかの?行くぞよ?」ノソノソ

968: 2020/11/16(月) 12:30:13.27 ID:CUQQsgj40
『精霊の安置所付近』


商人「イエティ見つけた!」

剣士「近づいてきたら僕が囮になるから皆は遠距離から撃って」

盗賊「おう!お前は走りながら弓使うんか?」

剣士「うん…ミドルレンジで撃つ」

盗賊「ヌハハやっぱエルフの戦い方だな」

女海賊「ほんじゃ私はデリンジャーで狙うかな」

剣士「僕に当てないで」

女海賊「はぁ?このデリンジャー調整済みでメチャ命中率高いよ?」

盗賊「やべ!!イエティがこっちに気が付いた…来んぞ!!」


イエティ「ウォーーウォーーー!!」ドスドス


剣士「撃って!!」ギリリ シュン

商人「毒忘れてた…毒」アセアセ

魔女「わらわは見物じゃな…」ヨッコラ

盗賊「当たれ!!」ギリリ シュン

剣士「援護お願い!!」シュタタ ピョン ギリリ シュン

女海賊「私も行く…」タッタッタ

盗賊「マジかよ…2人でミドルレンジか」ギリリ シュン

商人「すごい…剣士の弓がイエティを貫通してる」バシュ バシュ

盗賊「至近距離から撃たれたらそうなるわな」ギリリ シュン


イエティ「ウホホ!」ドンドンドン ドンドンドン


女海賊「…」ターン ターン

盗賊「マジか…頭吹っ飛ばした」

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商人「あっさりイエティ倒しちゃったね…」

盗賊「お前のデリンジャーは火力が反則なんだって」

女海賊「フフフもっと言って」

魔女「ふむ…女海賊や…当てやすかったろう?」

女海賊「うん…これって時空の先に居る効果?」

魔女「そうじゃ…主も少しだけ時空の先に居る…剣士ほどでは無いがの」

女海賊「なるほどね」

盗賊「俺はイエティの毛皮剥いどくからよ精霊の安置所とやらに行って来て良いぞ」

剣士「魔女!!馬の足跡が残ってる」

魔女「ほう…やはり時の王はここに来て居った様じゃな」

商人「時の王?え?どういう事?」

女海賊「そっか…商人に話して無かったね…黒の騎士って時の王なんだよ」

商人「そうだったんだ…そうか辻褄が合うな…一騎駆けのデュラハーンだね?」

女海賊「そうそう」

商人「トアル町でも目撃されてた…ここまで来てたのか」

魔女「中に入るぞよ?」

969: 2020/11/16(月) 12:31:43.50 ID:CUQQsgj40
『精霊の像の安置所』


商人「前に来た時と変わって無い…」

魔女「いや…花が添えてある」

女海賊「やっぱ精霊を確認しに来てんだ…本当バカだなぁあのおっさん」

魔女「愛じゃな…純粋な愛じゃ」

女海賊「これさ…魔女の師匠の墓にも来てたって事だよね」

魔女「うむ…かつての仲間を弔いに来たのじゃな…」

女海賊「…それでサキュバスと戦ってたのか」

剣士「見て…焚火の跡だ」

商人「ここで一晩過ごしたんだろうね」

女海賊「あぁなんか想像すると心が痛いな…精霊が生き返って無いと知って落胆したよね…」

剣士「その焚火の跡か…」

商人「ここに座ったのか」スッ

魔女「1700年愛した人の亡骸と一晩過ごして何を想ったろうのぅ…」

商人「…」

女海賊「…」ポロリ

商人「諸行無常…夢の中に消えて行った過去」


---僕たちの生き方は全部夢の中に消えて行く---

---それが夢幻だ---

970: 2020/11/16(月) 12:32:46.88 ID:CUQQsgj40
『酒場』


盗賊「なんか人だかりになってんな?何かあったんか?」

商人「衛兵が来てるね…聞いてみようか」

盗賊「いやいや関わるな…面倒に首突っ込むな」


衛兵「この酒場は本日より女王様が買い上げ第一王女の所有となった」

衛兵「第一王女の名を取ってルイーダの酒場だ」

衛兵「冒険者へは格安の酒を提供する事となっている」

衛兵「女王様の計らいに感謝しながら利用しろ…以上!!」


魔女「ヤレヤレ…母上は相当この酒場が気に入った様じゃな」

女海賊「これさ?魔女の酒場になんだよね?」

魔女「わらわの姿を見てみぃ…わらわは第三王女じゃ」

女海賊「同じじゃん」

魔女「わらわは面倒じゃで関わりたく無いのぅ」


吟遊詩人「みなさんご一緒で」


女海賊「よっ!!なんか酒場の所有者変わったんだってさ」

吟遊詩人「はい…私はこの酒場の専属吟遊詩人になりました」

女海賊「おぉ!!女王様の命令?」

吟遊詩人「第一王女の従士に任命されて主な任務は酒場での演奏です」

魔女「勝手に従士なぞ付けおって…わらわは知らんぞ!」

吟遊詩人「はて?お嬢様はどちら様で?」

女海賊「アハハ…まぁ良いじゃん!!あんたも酒場行く?」

吟遊詩人「はい!これから演奏をと考えて居ました」

女海賊「おっし!ほんじゃちっと行って見るか!!」

盗賊「おうおう…俺も行くぞ」

女海賊「盗賊はイエティの戦利品売って来てよ」

盗賊「おい!商人!!市場はお前に任せる…俺は酒場に行く」

商人「え?あ…ハハ」

盗賊「俺も酒場行くぞ待てよ!!」



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 次元の旅人編

   完

971: 2020/11/16(月) 12:41:18.47 ID:CUQQsgj40

引用: 勇者「魔王は一体どこにいる?」続編