1: ◆40t.IUZ/Q2 2012/10/11(木) 22:33:36.53 ID:G191T1udo
恒一「杜王町って、宮城県S市の? お母さんの都合でこっちに?」

仗助「1年間だけなんスけどね。同じ転校生どうし、よろしくッス」ペコリ

恒一「はは、でもすごい服装だね」

勅使河原「ストップ! ヒガシのやつは服装とか髪型のこと言われるとキレるんで、その話題はなしで」アセアセ

望月「勅使河原くん、おもいっきり殴られてたからね。ケガはなかったみたいだけど」

鳴「……」ジー

赤沢「ところで、転校生ふたりには対策係から話しがあるので昼休み時間いい?」



ジョジョ4部とAnotherのキャラ。
なんと「年齢設定が同じ」ゴゴゴゴゴゴ
ということでこんな感じで。



2: 2012/10/11(木) 22:38:21.45 ID:G191T1udo
昼休み

恒一「『現象』ですか?」

赤沢「そう、この夜見北中3年3組には『災厄』が起こる年がある」

赤沢「生徒やその周りの者が、毎月氏んだり大ケガをする」

赤沢「今年はまだ起こってないみたいだけど、油断はできない」キリッ

仗助「で、『いないもの』がその対策。というわけですかァ」

恒一「見崎さんが今年の『いないもの』なんですね」

仗助「なんか、かわいそうだなァ」

赤沢「これは本人も了承済みなの。ふたりとも彼女には関わらないように」

仗助「『現象』ッてヤツの原因をなんとかすることはできないんですかねェ?」

恒一「僕らにやれることはないのかな? 赤沢さん」

赤沢「26年間誰も真相にたどり着けてない難問よ。もちろん『いないもの』なんてないほうがいいんだけど」

仗助「おれみたいなのが、でしゃばるのは場違いかもしれねーがよォ」

仗助「こういう『奇妙』なことは昔からなれてるんで、協力するぜ」

4: 2012/10/11(木) 22:42:02.11 ID:G191T1udo
放課後

仗助「そういえばよぉ、恒一。病気の方は大丈夫なのか? 気胸ってヤツだっけ?」

恒一「ああ、運動とかはまだ無理だけど、大丈夫だよ」

仗助「ちょっといいか?」ドギューン

鳴「……!」

恒一「? 東方君?」

仗助「仗助でいいぜ」

恒一「ん? なんか急に楽になったような」

仗助「そいつはよかった。はやく運動もできるといいな」セナカパンパン

鳴「……」ゴゴゴゴゴゴ

仗助「(なんか視線を感じるぜ)」

仗助「(! あれは見崎鳴? 『いないもの』が、おれをみているのか?)」

勅使河原「おーい。サカキとヒガシー。いっしょに帰ろうぜ」キタクブ

仗助「テッシー悪ィ。ちょっと気になることがあるんで先に帰ってくれ」

勅使河原「お! 付きあおうか?」

仗助「イヤ。コイツはちょっとばかしヘビィになるかもしれねーんで一人で大丈夫だ」

勅使河原「なんだ、イケメン転校生は告白の呼び出しでも受けてんのか?」ヒューヒュー

仗助「恒一、コイツ帰り道殴っていいぞ」

6: 2012/10/11(木) 22:49:56.10 ID:G191T1udo
屋上


仗助(ここにいたか、見崎鳴)

鳴「……」ドドドドドド

仗助(相手は『いないもの』、さてどうするべきか)ゴゴゴゴゴゴ

鳴「これは独り言。私には人に見えないモノが見えるといったら信じる人はいる?」

仗助(その手があったか)「おれもひとりごと、いいたくなったなァー」

仗助「同じ見えるヤツなら信じられるんじゃねェか?」グオン

仗助「今までも何人かそういうヤツはいたし、なんか『引力』というか不思議と巡りあう事が多いッつーかな」バァァァン

鳴「私は人の氏を見ることが出来る。その悪霊も……スタンドと呼んでいる人が多いみたいだけど」

鳴「3年3組の『現象』。この原因はもしかしたらそのスタンドかも知れない」

鳴「そしておそらく、今年の『災厄』は、すでに始まっているッ!」ギリ…

仗助(なんだってェーッ!)

仗助(見崎鳴。おれのスタンドが見えるってことはおそらく、スタンド使い)

仗助(そして夜見北中3年3組に他にもスタンド使いがいる?)

仗助(そいつが『現象』を起こしてるだとーッ!?)

仗助(にわかには信じられねーが、この見崎鳴からはスゴ味を感じるッ!)

鳴「同じ見える人なら。この『現象』に立ち向かうことが出来ると信じてる」

鳴「そう、見える人。例えば転校生のヒ・ガ・シ・カ・タ君とか」ゴゴゴゴゴゴ

7: 2012/10/11(木) 22:53:36.52 ID:G191T1udo
翌日教室

仗助(見崎鳴の衝撃の独り言)

仗助(この3組の中にスタンド使いがいる。そしてそいつが生徒や家族に危害を加える可能性が?)

仗助(いったいどいつがスタンド使いなんだーッ!)

仗助(見崎鳴。彼女自身も怪しいが『いないもの』にされてしまっているし、そのセンは薄い)

仗助「恒一や赤沢に相談するわけにもいかないし。コイツはヤベーかも」

綾野「なにがヤベーって? ジョジョっちゃん!」ダキッ

仗助「うおッ、彩かッ! その呼び方何とかなんねーか?」 

綾野「いいじゃん。それよりなんか悩み事あんの? 相談のるよ?」

仗助「なんか抱きついてくる女子に悩まされている」

綾野「まーまー、堅いこと言わずに! 背も大きいから抱きつきがいがあるんだよね」

猿田「転校生が襲われているぞな」

王子「ちょっとうらやましいね」

8: 2012/10/11(木) 22:57:58.87 ID:G191T1udo
勅使河原「お前はどこ行くんだよ」

風見「西高」チラッ

桜木「……」

勅使河原「えっ、お前そんなに成績良かったっけ?」

風見「がんばっているところさ」フー

仗助「委員長にも悩み事あるんだな?」

恒一「そういえば、仗助くんは高校はS市に戻るんだっけ?」

仗助「ああ、おふくろもこっちの仕事は終わるみたいだしな」

綾野「ええー」

小椋「彩……。東方君にべったりね」

綾野「えへへ」

仗助(こう見回してみても。特にスタンド使いを感じることはできねえ)

仗助(誰かが襲われてからじゃ。おれのスタンドでも助けられるかどうか)

仗助(見崎は……って、今日休みかよッ!)

9: 2012/10/11(木) 23:00:49.02 ID:G191T1udo
放課後教室

仗助(結局、みんな帰宅か部活に行っちまった。今日はこれまでか)

恒一「雨か、まいったな」ウーン

仗助「お、恒一。傘忘れたのか?」

恒一「うん、大丈夫かなあとおもったんだけどね」

仗助「じゃおれの傘に入ってくか? 野郎同士で残念だろうけどよォ」

恒一「さすがにそれは、悪いよ」

仗助「遠慮すんなッて! 同じ転校生なんだからさァ」

恒一「そうだね、ありがとう仗助くん」

仗助「しかしこの学校、なんで修学旅行2年の時なんだよッ! おれも東京行きたかったぜ」

恒一「はは、東京もいいことばかりじゃないよ、人多いし」

仗助「これも『現象』のせいなのかなァ? 昔3年の修学旅行で、事故があったとか……」

恒一「そうかもしれないね。でも『現象』って一体何なんだろう?」

仗助(言えねぇ。スタンドが関わってるなんて一般人の恒一には)アセアセ

10: 2012/10/11(木) 23:03:53.27 ID:G191T1udo
??「榊原君?」ブオン!

仗助「危ねェッ!」ガシッ! カランカラン

恒一「ええっ!?」

仗助「弾いたのは、傘? どこから飛んできやがった?」

仗助「しかも先が鋭利に尖っているッ!(どんな傘だよッ!)」

??「そんなパワーを持っているスタンドがいたとはね」ウィーン

??「榊原君一人の時に狙うべきだったかなあ?」ユラァ

仗助(出やがったッ! コイツがスタンド使いか! でもなんで恒一をッ!)

仗助「恒一! おれの背後に隠れて出てくるなよッ!」ガッ

恒一「桜木さん? 一体これは」

仗助(スタンドを出して恒一を守るッ! 一般人の奴には見ることはできないが)

桜木「転校生のうち、一人は既にスタンド使いか。計算外でしたね」

仗助「委員長……。まさかあんただとはね」

仗助(コイツ、スタンドはまだ出していない? 女の子を殴るのは気が引けるが、ここは先手必勝!)

仗助「ドラァ!」

桜木「ちょっとさ、やめてくれない?」バサッ

仗助「また傘ッ?(開いた傘でおれの攻撃を弾いたッ!)」

12: 2012/10/11(木) 23:08:33.64 ID:G191T1udo
桜木「私のスタンド『アンブレラ』の防御は完璧よ。東方君を倒すまで待っててね榊原君」

恒一「な、なにがどうなって」

仗助「恒一、質問は後だ。今は逃げることを考えろッ」

仗助(とは言うものの、教室の窓側にいるおれ達)

仗助(距離はあるが廊下に逃げるしかないかッ!)

仗助「恒一! ついてこいッ!」ダッ!

桜木「させないよッ!」

仗助(ドアの前で傘がこちらを向いて開く!)

仗助「ドラァ!」

仗助(だめだ、スタンドで殴ってもビクともしねェ! この傘自体がスタンドなのか?)

桜木「ねぇ、東方君。食物連鎖って知ってる? 私達スタンド使いは人間の上に立つべき生物なの」

仗助「何の話だァ?」

桜木「この傘に刺されたものは、選ばれる権利を得られるのよ」

桜木「選ばれたものは『先』に進むことが出来る。私や東方君、あなたのように」

桜木「榊原君は素質がありそう。いえ、素質があるはずよ」

桜木「さあ、私達と一緒に素晴らしい世界へ行きましょう」

13: 2012/10/11(木) 23:12:40.62 ID:G191T1udo
仗助「狂ってやがるぜ。これも『現象』のせいなのかもな?」

仗助「だがッ! 委員長! おめーのひとりよがりで、恒一を危険に晒すわけには」

仗助「いかねェんだよッ!」

仗助「ドララララララララ」

仗助(やったッ! 傘をドアから少しづつだが、どかせる!)

仗助「恒一! 逃げろッ!」

恒一「うん!」ダッ

仗助(よしッ! 恒一はこれで大丈夫だ)

桜木「東方君。うざいですよ」

桜木「言って聞かせてわからない、実力行使をしてもわからないんじゃ」

桜木「頃してしまうしかないですよねッ!」

仗助「ぐあッ!(傘が閉じてこっちの喉をめがけて!)」ガシッ

桜木「うすのろのスタンドでなかったのはよかったですね」

仗助(うッ、傘の表面の水でスタンドの手が滑って)ズルッ

桜木「このまま、喉を貫いてあげます。これで、終わりだよッ!」

15: 2012/10/11(木) 23:16:27.83 ID:G191T1udo
仗助(この傘、やはりスタンドかッ!)

仗助(へし折ろうにも、ものすごい硬さでビクともしねェ!)

仗助(いや、むしろ滑るのを止めるだけで精一杯ッ!)

仗助(遠隔操作と防御に徹したスタンド、といったところか)ズルッ

仗助「委員長ォ~ッ! マジでおれを[ピーーー]気なのかよ」ジリッジリッ

桜木「私は榊原君が好きなのよ。どうしても彼を『こちら側』に迎えたい」

桜木「そのためには多少の犠牲は止む負えないですよね」

仗助「そういう考えならよォ~。おれもあんたに本気出していいよな?」ピタッ

桜木「はっ!?」

仗助「傘返すぜ! 委員長ッ!」バッ

桜木「なッ! 手を放すかッ!」

桜木(いつの間にか東方君は、私に背を向けていた)

桜木(さっきの会話は時間稼ぎと、私がいる方向を確かめるため?)

桜木(そして、スタンドの手を離れた『アンブレラ』は彼の喉に刺さ……らないッ!)

桜木「ゲホッ!」ズブッ

仗助「ふぅ危ねェ、首に切り傷が……って、委員長!」

仗助(紙一重で避けられたが、狙い通り、傘のスタンドは委員長に向かって飛んでいき)

仗助「うわぁ、血がこんなにィー」

16: 2012/10/11(木) 23:20:13.17 ID:G191T1udo
桜木「」ピクピク

仗助「さて、このままだと氏んじまうからなァ。気はすすまないが」ドギューン

仗助(おれのスタンドは傷を治す力を持っているッ!)

桜木「はぁはぁ」グッタリ

仗助「何とか助かったが。気を失ったままか」

仗助「色々聞きたいことはあるが、まずは保健室かな?」

恒一「仗助くん! 大丈夫?」ダッ

仗助「うおっと。恒一! 戻ってきたのか」

仗助(恒一にも、話さなきゃならねーか。しゃーなし、だな)

仗助「恒一、委員長を運ぶの手伝ってくれないか? 話は落ち着いてからだ」

恒一「分かったよ」

仗助(こうして、おれの夜見北中での奇妙な事件は始まった)



19: 2012/10/12(金) 05:19:57.74 ID:AogqB7BOo
数日後、夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の 地下

仗助「うへェ。こういうのちょっと苦手なんだよな。人形って、ブ・キ・ミッて感じで」ゴクリ

恒一「そうかい? 僕は少し興味あるけど」

仗助「マジか! やっぱり芸術とかホラー小説が好きなだけあるぜ」

恒一「でも、ここが見崎の家なんだよね」

仗助「アイツには悪いけど、雰囲気とキャラクターがバッチリだよな」

鳴「なにがバッチリなの?」

仗助「へうあッ! 後ろからいきなり話しかけるなァーッ!」

鳴「東方君。私に話しかけて大丈夫なの?」

仗助「そっちが話しかけてきたんだろうがァーッ!」

恒一「見崎。赤沢さんにはもう『いないもの』をやめることは了承してもらった」

恒一「すでに『現象』は始まってしまっている。君がそう言っていたと仗助くんから聞いた」

恒一「そのかわり、君と仗助くんのこと。それと『現象』のことについて聞かせてもらえるかな?」

鳴「そう。質問ぜめはあまり好きじゃないけど、今日は特別」

鳴「こっちに来て」

仗助「こんなとこにエレベーターかよッ!」

20: 2012/10/12(金) 05:24:06.06 ID:AogqB7BOo
見崎邸2階

鳴「そう。桜木さんがそうだったのね」

仗助「まさか、あのおしとやかな委員長がって感じでよォーッ!」

仗助「襲ってきたときは、別人? って思うほどだったぜ」

恒一「それで、なぜか僕が狙われたんだけど。心あたりがないんだよね」

鳴「彼女、榊原くんに『素質』があるって言ったのね?」

仗助「それってやっぱりアレだよなァ」

鳴「ふたりとも。見せてあげようか?」

恒一「え?」ゴクリ

鳴「この眼帯の下。見せてあげようか?」スルリ

恒一「あ、それか」アセアセ

仗助「それは義眼ッ!」ゴクリ

鳴「私が4歳の時、高熱が出て50日間生氏の境をさまよったことがあるの」

鳴「その時に左目に腫瘍ができて、ある日朝起きたら眼がなくなっていた」

鳴「私が特殊な能力を手に入れたのもその時。今まで見えなかったモノが色々見えるようになった」

鳴「スタンド能力、と言われているそれは同じ能力を持ったものにしか見ることができない」

恒一「それが仗助くんや、桜木さんだったんだね」

21: 2012/10/12(金) 05:27:07.04 ID:AogqB7BOo
仗助「その話を聞いて思い出したが、おれも4歳の時に重病にかかって2ヶ月ぐらい入院したことがあったなァ」

恒一「それって、仗助くんもその時に能力が?」

仗助「いやおれはもっと小さい頃から、だったかも。ポルターガイストを起こす赤ん坊とか言われてたような」

恒一「仗助くんの方が、よっぽどホラー小説っぽいよね」

仗助「端から見るとそうかもなァ」

恒一「で、そのスタンド、だっけ? 僕には全く見ることはできないんだよね?」

仗助「それだけははっきり言えるな。現に今ッ! 恒一の目の前におれのスタンドを出しているッ!」

恒一「なっ! 見崎、本当?」

鳴「榊原くんに覆いかぶさるように、人型のスタンドが出てるよ」

恒一「ヒッ!」

鳴「東方くんて見かけによらず、お茶目だよね」

仗助「悪ィ、恒一。悪気はあった」

鳴「あっ、引っ込んだ」

恒一「自分だけ見えないと、疎外感おぼえるなぁ」

鳴「見えていいものじゃないよ。これは」

恒一「あ、ごめん」

22: 2012/10/12(金) 05:30:28.67 ID:AogqB7BOo
鳴「私には従姉妹がいた」

鳴「藤岡未咲、本当の姉妹のように仲が良かった」

鳴「でも4月に病院で亡くなった」

鳴「『現象』や『災厄』のことは知っていたけど、まさか自分の家族がそれに巻き込まれるとは思わなかった」

鳴「未咲に、欲しがっていた人形を届けた時に病院で何かのスタンドを見かけたの。すぐに見失ってしまったけど」

鳴「それで、スタンドが『現象』に関わっているのではないかと思い立った』

鳴「自分が未咲についてあげていたら守れたかもしれなかったのに」

鳴「だから、私はこの理不尽な『現象』を阻止したい」

鳴「『いないもの』で止められるならそれでも良かった」

鳴「でも、これには立ち向かうしか解決法はないと、今は私も思っている」

鳴「お願い。ふたりとも、私に力を貸してください」ホロリ

23: 2012/10/12(金) 05:39:22.15 ID:AogqB7BOo
帰り道

仗助「あんなふうに頼まれたら、断ることはできないだろうがよォ」

恒一「能力がない僕でも、立ち向かうことが出来るのかな?」

仗助「おれとしては、危ないことに級友を巻き込むのは、気がのらないんだけどなァ」

恒一「でも、3組にいる時点で嫌でも『現象』に巻き込まれているってことだよね」

仗助「そうだよなァ。この間の委員長の時もおれがいなかったら、恒一危なかったし」

恒一「もし、僕が『現象』の次のターゲットだとしたら、狙ってくるスタンド使いがいる、と?」

仗助「決めつけるのもナンだけどね」

仗助「委員長はまだ入院してるんだっけ? 何か聞けるのは当分先のようだし」

恒一「そういえば、見崎の従姉妹だっけ、病院で亡くなったと言っていたけど」

恒一「スタンド使いって、病院にも潜んでいるってことだよね」

仗助「おいおい。それってやばいんじゃないのォ? 委員長もいるし」

恒一「ちょっと、確認してみる」ピポパ

仗助「お! 携帯いいなァ。さすが東京人!」

恒一「結構持ってる人、多いよ。見崎からもさっき番号もらったし」トオゥルルル、トゥルルル

仗助「グ、グレート! おれも携帯持とうかな?」ガチャ

沙苗「お! 久しぶり! ホラー少年。体の調子は大丈夫?」

恒一「水野さん、こんばんは。今、電話大丈夫ですか?」

沙苗「どうしたの? 何か急用でも?」

恒一「いや実は、ちょっとお聞きしたいことがあって」

沙苗「榊原君のお願いかー。同好のよしみで協力するよ!」

恒一「ありがとうございます。実は4月に亡くなった藤岡未咲さんという方についてなんですが……」

24: 2012/10/12(金) 05:45:58.48 ID:AogqB7BOo
夜見山市立病院

仗助「見崎ン家も大概だったけど、夜の病院も不気味だよなァ」ブルブル

恒一「僕はこの間まで入院してたし。大丈夫だよ」

仗助「ほんと怖いもの知らずというか」

恒一「はは。スタンド使いは怖いけどね」

仗助「で、水野さんってどこにいるんだ?」

恒一「ナースステーションにいるって言ってたけど」

仗助「まさか同級生のお姉ちゃん、と知り合いとはねェー。恒一もなかなかやるな」バンゴウゲット

恒一「たまたまだよ。僕もびっくりしたぐらいで」

仗助「とりあえずさっさと用を済ませて、帰ろうぜ」

恒一「桜木さんにはついてなくて大丈夫かな?」

仗助「ずっと病院に張り込むわけにも行かないだろォ。学校のほうが危ないだろうし」

恒一「難しいところだね。あ、エレベーターはこっちだよ」ピッ

仗助「随分と古臭いエレベーターだなォィ。落ちたりしないよな?」ウィーン

恒一「はは。エレベーターは安全装置が何重にもついてるから大丈夫だよ」グォォォン

仗助「そうなんだ。よかったぜ」ホッ

25: 2012/10/12(金) 05:49:42.14 ID:AogqB7BOo
恒一「おかしい。ナースステーションに誰もいない」

仗助「トイレ……。じゃないよな?」オレガトイレイキタイカモ

恒一「携帯に電話してみる」プップップ…オカケニナッタデンワバンゴウハ…

仗助「なんか、イヤな予感がするぜ。恒一、気をつけろ!」

恒一「うん、下に戻ろう」ピポパ

仗助「階段使ったほうがいいかもしんねェ。うぉ!」ガチャン

恒一「照明が落ちた?」トゥルルル、トゥルルル

仗助「非常灯もかよッ! これはやっぱり」

恒一「幽霊じゃなければ、スタンド攻撃だろうね。水野さんや桜木さん大丈夫かな?」

仗助「恒一、まず自分の心配をしたほうがいいぞ! おれの側から離れるな!」

恒一「携帯の明かりで、まわりを見てみるね」ケケケケ

仗助「うぉ! 何だ今の声」

恒一「廊下の向こうから聞こえてきたような」スタスタスタスタ

仗助「走ってくる足音が……」

仗助(敵の罠にまんまと引っかかったのかよォ)

仗助「来るッ! スタンドを出すぞッ!」

仗助(目の前に迫った足音。恒一の携帯にうっすらと照らしだされたのは! 下半身だけのスタンド)

仗助「ドラァッ!」

26: 2012/10/12(金) 05:53:26.84 ID:AogqB7BOo
??「榊原君! 榊原君! 大丈夫?」

恒一「うう、ここは?」

沙苗「榊原君、気がついた?」

恒一「エレベーターの中ですか? 照明は、ついているんですね」

沙苗「わたしもさっきここで気がついて、扉も開かないし一体どうなっているのか」

恒一「はっ! 仗助くんは! 僕と一緒に病院に来た同級生がいるんですが、知りませんか?」

沙苗「あなた以外は誰も……」

恒一「これが、スタンド攻撃?」

恒一(仗助くんはやられてしまったのか? それとも僕らだけ捕まっているのか)

恒一(何とかここを脱出する手段を考えなければ)ガサゴソ

恒一「! 携帯がない」

恒一(水野さんも首を振っている)

恒一(僕はなんと無力なんだ。仗助くんのようなスタンドが使えれば……いや)

恒一(そんなことを考えるのはよそう。いまは)

恒一「助けが来るのを信じましょう」

恒一(不安そうな顔の、水野さんはゆっくり頷いた)

27: 2012/10/12(金) 05:55:30.37 ID:AogqB7BOo
仗助(このスタンド。一体どんな奴なのか)ドドドドドド

仗助(交錯した一瞬。恒一は携帯を残して消えた)

仗助(やられちまった、というのでなく、跡形もなく消えた感じだった)

仗助(人間をどこかに転送するスタンドか?)

??「人ってのはつくづく、不公平だよね。東方君」ケケケケ

仗助「何だとォ!」

??「スタンドを使えるかどうかで、こうも違いがあるとはね」クククク

仗助(この声、本体が近くにいるわけではないのか? スタンドを通して話しているのか)

仗助「恒一を返しやがれェ! といっても素直には返してくれないんだろうなァ」

??「ところでさ、東方君。君のスタンドは君のそばを離れることができないよね」

??「僕のスタンドは違うんだ。こんな遠くの病院まで楽々送ることが出来る」

??「その分パワーはないけど、スピードはなかなかのものだよ」ザシュッ

仗助「ぐおッ!」タラーッ

??「こんなふうにね。痛そうだね」

仗助「ふざけたマネを」

仗助(しかし明かりが全く無くても見えるのか? 直接脇腹をやられたッ、それにスピードッ!)

仗助(恒一の携帯を拾ったところで、大した明かりじゃねェ。それにそんな隙も見せられないぜ)

??「さて、痛いのを長引かせてもかわいそうだから。これで決めさせてもらうよ」ヒュン

仗助(これはまじでヤバイッ! 考えろ! 東方仗助ッ!)

仗助「ドララララララ」

仗助(スタンドを体に密着させて、全方位にラッシュ! 攻撃は最大の防御ッ!)

??「グゲッ」ドッパーン

28: 2012/10/12(金) 06:00:24.43 ID:AogqB7BOo
仗助(当たった! だが弱いッ!)

??「なかなかやるね。でもいつまでそれができるかな?」ブウン

仗助「ぐはッ!」ブシュゥ

仗助(こいつ!、ラッシュの届かない足元を狙ってきやがった)

??「僕も飽きてきたし、おわりにしていいかな?」

仗助「ひとつだけ聞きてェ。藤岡未咲、見崎鳴の従姉妹を手に掛けたのはおめーか?」

??「ふん、最後につまらないことを聞くんだね。そうだよ」

仗助「間違いないなッ!」

??「くどいねえ。じゃ、そろそろさようなら」

仗助「だとよ、見崎。コイツが仇だ」

??「はっ?」

鳴「お前は絶対許さないッ!」ゴゴゴゴゴゴ

仗助「ギリギリセーフだ、助かったぜ」ピッピッピッ


33: 2012/10/12(金) 21:47:11.02 ID:AogqB7BOo
??「携帯をッ、見崎鳴に電話をかけたのか」

仗助「恒一のナイスアシストだな。これで2vs1だぜ」

仗助(見崎、懐中電灯持ってきたのか。これで何とかなりそうだぜッ)

??「フフフ……。アッハッハ!」

仗助「なにがおかしいッ! ストッキングマネキン野郎!」

??「いくら増えても同じ事だよ。どっちが僕の相手になるのかな?」シュッ

鳴「東方君、危ない!」

仗助「それはどうい……」フッ

??「これは意外だね、見崎鳴。君の方が残るとは」

??「どうやら君から片付けなければならないようだ」

34: 2012/10/12(金) 21:49:44.95 ID:AogqB7BOo
エレベータ内

仗助「う、オォォォォッ」ドサッ

恒一「仗助くん!」

沙苗「え、この子。急に現れて」

仗助「痛ェ。ここは……エレベーターの中かよッ」

沙苗「怪我してるわね。今、止血するから」

仗助「看護婦さんがいてよかったぜ。もしかして水野のお姉さん? はじめましてッ!」

沙苗「起き上がらないで! 服ちょっと破るね」

恒一「仗助くんも捕まっちゃったのか」

仗助「面目ねェ。それより見崎が助けに来てくれたんだが、離されちまった」ギリギリ

恒一「ええっ!? 見崎が戦ってるの?」オロオロ

仗助(恒一のヤツ。ムチャクチャうろたえてるな。これってやっぱり……)

仗助(って、おれも心配だがよッ! クソ! 何とかここから抜けださねーと)

沙苗「はい、これでとりえずは大丈夫。ここからでられたらきちんと手当受けてください」

仗助「ありがとうッス! じゃあ、エレベーター脱出作戦始めますかッ」

35: 2012/10/12(金) 21:53:45.63 ID:AogqB7BOo
病院廊下

??「それじゃあ、いくよ」ドドドドドド

鳴「あなたは、誰なの?」

??「正体を教えて欲しいかい? ウーン、このスタンドの名前ぐらいは明かしてあげようか」ヨユウ

??「『ジャスト・ノット・フェア』それが名前だ。能力は教える義理はないけどね」

鳴「よくも、未咲をッ」ギリッ

JNF「僕が憎いかい? 彼女はよく戦ったけど。僕の敵じゃなかったね」

鳴「!?」

JNF「おやおや、知らなかったのかい? 藤岡未咲もスタンド使いだったのさ」

JNF「なんとかいう名前のスタンドだったな。『棺桶』を操る感じの」

鳴「……」ボソッ

JNF「なに?」

鳴「『サティン・ドール』」

鳴「あなたを滅ぼす、私のスタンドの名前よ。決着がつくまでぐらい覚えていなさい」ギロッ

JNF「そうだね、決着はすぐつくと思うよ」ドシュッ

鳴「!」

JNF「手も足も出ないようだね。懐中電灯があってもこのスピードにはついてこれないか」ドシュゥ

鳴「……」ボロッ

JNF「痛くて声も出ないかな? 藤岡未咲はもっと声を上げたけどね」

鳴「貴様ッ!」ギリギリ

JNF「早くスタンドを出して防御しないと、終わっちゃうよ」ドン

36: 2012/10/12(金) 21:57:51.85 ID:AogqB7BOo
鳴「……」ドゴッ

JNF(フン、東方君が飛ばされたからどんなに強いかと思ったら、どうってことなかったな)

JNF(『ジャスト・ノット・フェア』の能力、『最も強い敵以外を排除する』)

JNF(発動条件がきついが、まだまだ僕は成長する! 戦いに勝っていけばッ!)

JNF(見崎鳴、そして東方仗助! ふたりを順番に倒してさらなる高みにッ!)

鳴「不思議だよね」

JNF「?」

鳴「これだけ強いスタンドなのに、なぜ学校で私達を襲わなかったんだろう」

JNF「……」

鳴「遠隔操作のスタンド、と思ったけど実はもっと違うものじゃないかしら」

鳴「未咲と私達が襲われた場所。夜の夜見山市立病院」

鳴「桜木さんも襲われていない。彼女はこの病院だけど違うフロア。未咲は確かのこのフロアの病室だったよね」

JNF(こいつ)ゴクリ

鳴「スタンドは地縛霊のようにこのフロアに取り憑く特性があるとか、かも」

鳴「もしかして、あなたの正体。このフロアに入院したことがある人?」

JNF(なんだ? この女は。スタンドの戦いは初めてじゃないのか?)

JNF(まさか、これがこいつのスタンド能力?)

鳴「さっきまで、おしゃべりが多かったけど、急に黙るんだね」

JNF(『視る』スタンドなのかッ!? 相手の特性を見抜くッ!)ゴゴゴゴゴゴ

37: 2012/10/12(金) 22:03:02.25 ID:AogqB7BOo
JNF「そんなことがわかったから、どうだと言うんだッ!」

JNF「おまえはこのフロアから脱出もできなければ、生き残ることもできないというのにッ!」

鳴「勘違いしないで、あなたはここで滅ぼされる。でも、確認しておきたいことがあるだけ」

鳴「私のクラスメイトは、そんなドス黒い感情を持っているのか」

鳴「少なくとも、私が知っている彼はそんなではなかった」

鳴「これは『現象』の影響なのか? それとも別の何かなのか。勝つ自信があるというなら教えて欲しい」

JNF「なんだ、そんなことかい。その様子だと僕の正体にも気づいた?」

JNF「そう、本体は『高林郁夫』だよ。このフロアには心臓の病気でちょっと入院したことがある」

JNF「本来の彼は、優しい、甘っちょろいほど優しい。運動もできないような子供だった」ケッ

JNF「そのせいで、僕みたいな『走りたい』という願望が形になったようなスタンドが生まれた」

JNF「僕は完全自立型のスタンド、実体もある。ここで、他のスタンドを『食らって』いるだけ」

JNF「こうしている今も『高林郁夫』はふつうに生活している」

JNF「本体の彼の甘さを超越して、好きに生きているのさ。彼にできないようなことをして」

JNF「いずれ、僕は成長し完全に自立するスタンドになる。本体の呪縛も断ち切り勝手に生きられるようになるだろう」

JNF「そうなったら、この病院からも抜け出し、本体も『食って』、街を、世界を食らい尽くしてやる」

鳴「……」

38: 2012/10/12(金) 22:06:23.80 ID:AogqB7BOo
鳴「『ジャスト・ノット・フェア』。やはり、あなたは滅ぼさなければ」

JNF「手も足も出ないくせに言うね。万が一君に負けても僕は完全自立型スタンド」

JNF「また、新たに本体から別の僕が生み出されるだけだ」

鳴「させない」ブオン

JNF(スタンド攻撃が来るかッ!)

鳴「……」ユラリ

JNF(目隠しをした、翼のある天使の様なスタンド? これが見崎鳴の『サティン・ドール』か)

鳴「……」ススス

JNF(距離を取られる!)

JNF「逃がすかッ!」ダッ

鳴「ここ」ピタッ

JNF(ハッ! ここは)ゴゴゴゴゴゴ

JNF(エレベーターの前? そうか! 東方君の援護を期待しているのか)

JNF(しかし、バーカーめェー。『ジャスト・ノット・フェア』の能力は『最も強い敵以外を排除する』ことッ!)

JNF(いくら東方君が出てきても。また『自動的』に別のところに飛ばせばいいだけのこと)

JNF(味方のスタンドが見えているかもしれないのは脅威だが、もう見崎鳴に隙を見せなければッ!)

JNF(先に東方君を飛ばしてから料理してやるッ!)

39: 2012/10/12(金) 22:11:25.48 ID:AogqB7BOo
仗助「ドララララララララァッ!」バッガーン

JNF(なッ! 扉がこっちに飛んできて!)ドゴーン

仗助「見崎!」エレベーターノテンジョウカラコンバンハ

鳴「まだ倒せてない。けど、東方君は直接の援護はさけて」キリッ

仗助「お、おう!」

JNF(く、食らっちまった。実体があるから破片からもダメージが)ボロッ

JNF(だが、まだチャンスはあるッ! 見崎鳴を先に仕留めれば!)ビュウン

仗助「直接は援護できないっていうならよォーッ。こんなのはどうだッ!」ドギューン

JNF(なッ、何ィーッ! 東方君のスタンドで扉が修復されていくッ!)

JNF(飛ばされていた扉が本来の位置へ戻ってきやがったァーッ!)

JNF(よ、避けないとッ! でも避けた先にはーッ!)

鳴「未咲の無念。叩きこんであげる」グッ

鳴「………………………………………………!」ドガドガドガドガドガドガッ!

鳴「………………………………………………!」バコバコバコバコバコバコバコバコッ!

鳴「……………………………………………………………!」ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴッ!

JNF「フェアァァァァァァァァッ!」ドッゴォォォン

鳴「闇の中に消えなさい。『サティン・ドール』!」

40: 2012/10/12(金) 22:17:03.99 ID:AogqB7BOo
JNF(うう、かろうじて生きているッ。『サティン・ドール』の無言ラッシュ、きつかったが致命傷ではないッ!)

JNF(真っ暗だ。ここのフロアの電気。切ったままだったか)

JNF(ん? 僕の目はこのぐらいの暗闇でも見えていたはず。なぜ真っ暗なんだ?)タラーッ

JNF「……」ゴゴゴゴゴゴ

JNF(何かが近づいてくるッ!)ゴーッ

JNF(あ、あれはッ! 藤岡未咲のスタンド! 『棺桶』のスタンドッ!)

JNF(未咲は氏んだはずッ! どーしてッ!)パカッ

JNF(あああ、棺桶が開いて……。アレに飲み込まれたらどうなってしまうんだァーッ)ギューン

JNF(にっ、逃げ……)スポウーン、バタン、ガチャン

鳴「『サティン・ドール』は『視る』スタンドではなく『視せる』スタンド」

鳴「未咲のスタンドに囚われた景色を見せられたまま、永久に苦しむといい」バァァァン

41: 2012/10/12(金) 22:20:36.35 ID:AogqB7BOo
数日後、夜見山市立病院病室

小椋「しっかし、エレベーターに閉じ込められた、榊原君と水野君のお姉さんを助けるために」

小椋「ドアこじ開けて、天井から飛び降りてケガするって、勇敢なんだかマヌケなんだか」

綾野「由美い。そんな事言ったらジョジョっちゃんが、かわいそうだよう」ダキッ

小椋「抱きつかれてるほうが、かわいそうじゃないかな?」イライラ

望月「大したことなくてよかったよ」

勅使河原「すぐ退院できるんだろ?」ニカッ

朋子「こんなのツバつけとけば治ると思うんだけどね」

望月「ねぇねぇ。東方君、あの綺麗な人、お姉さん?///」カァァァ

仗助「な、何、赤くなってやがるッ! おれのおふくろだよッ」

望月「あ、そうなんだ」ガックシ

鳴「……」モグモグ

恒一「見崎。それ、お見舞いのフルーツじゃ?」アセアセ

朋子「仗助も転校早々、こんなに友達できるとはねー。みんな、コイツたまにキレたりするけど、よろしくね!」

一同「はーい」

勅使河原「もっと早く教えてもらいたかった……」

42: 2012/10/12(金) 22:23:28.19 ID:AogqB7BOo
数分後、仗助と恒一、鳴のみ残った病室

仗助「そういえば、高翌林は大丈夫なのか?」

恒一「うん、特に体の具合は問題ないみたいだよ。相変わらず運動とかは無理だけど」

仗助「見崎は、大丈夫か?」

鳴「あのあと、東方君にすぐ治してもらったから」

仗助「いや、そのォ、藤岡さんのことで、高翌林になにか含むことがないかなァと」ドギマギ

鳴「高翌林くんは利用されただけ。むしろ被害者だと思っている」

恒一仗助「……」

恒一「あ、そうだ、仗助くん。桜木さんが退院するそうだよ」

仗助「マジか! おれがいなくて恒一、大丈夫か?」

鳴「私が榊原くんを守るから。それに桜木さんには色々聞きたいこともあるし」

仗助「なるべく穏便に済むといいなァ」ガラッ

沙苗「お! おそろいで! こんにちは」

恒一「水野さん、こんにちは」

鳴「……」プイッ

沙苗「そういえばさ、榊原君。ホラー少年に興味ありそうな噂が最近病院に流れてて」

沙苗「この間、閉じ込められたエレベーターから『出してくれー』って声が聞こえてくるんだって」

沙苗「あまり怖くもないのに。なんでこんな噂流れるんだろうね?」

鳴「……」

恒一仗助(うわぁ……)

恒一(こうして、病院での事件は幕を閉じた。だが『現象』とスタンドの謎はまだ解明されていない)

43: 2012/10/12(金) 22:23:54.01 ID:AogqB7BOo
to be continued.

45: 2012/10/12(金) 22:51:44.95 ID:AogqB7BOo
>>42
ヤバッ「saga」忘れで、高翌林→高翌翌翌林にッ!

49: 2012/10/13(土) 23:25:38.77 ID:hb4tHiAyo
7月、放課後、夜見山北中学校旧校舎第二図書室

仗助「あ、ありのまま今、起こった事を話すぜ!」グググ

仗助「おれは旧校舎の第二図書室に入ったと思ったら、いつの間にか白髪の先生に奇妙なポーズを取らされていた」

仗助「な、何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった」

仗助「頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ」

仗助「もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ……」

千曳「やはり背が高いとポーズも絵になるね。東方君、演劇部、入ってみないか?」グッ

恒一「あの、千曳先生。『現象』について調べたいんですけど」アセアセ

鳴「……」

千曳「そうだったね。これが今までのクラス名簿のコピーだ」

千曳「『災厄』が始まったのは26年前。夜見山岬という生徒が家族と共に亡くなってからだ」ウンヌンウンヌン

仗助「おれはいつまでこの格好でいればいいんだよォーッ!」ジョジョダチ!

50: 2012/10/13(土) 23:26:54.39 ID:hb4tHiAyo
学校廊下

仗助「ひでー目にあった」ゼエゼエ

恒一「氏者の話。本当なのかな? クラスに混じっているという」

仗助「スタンド使いが混じってるぐらいだからな。そういうこともあるかもしんねーけどよォ」

仗助「やっぱり、この『現象』自体がスタンドなのかも」

鳴「ならば、私と東方君なら『現象』を『視る』事ができるかもしれない」

仗助「委員長の話も気になるところではあるが」



回想

桜木「私がスタンドを出せるようになったのは、学校で謎の人物に襲われてから」

桜木「何かに刺され、意識が朦朧として、相手が語りかけてくるのを聞くだけで精一杯だった」

桜木「その人は、私のスタンドに『子守唄』を特別に授けるといった」

桜木「『アンブレラ』の先で突いた相手も、仲間に出来るようになる」

桜木「そして特に素質があるのが榊原君と……」

回想終わり



仗助「もう一人、赤沢とはね」

仗助「委員長も急にスタンドが使えるようになって、情緒不安定になり。恒一を襲ったと」

恒一「今はもう大丈夫だよ、僕にも謝ってくれたしね。むしろ仲間になってくれて心強いというか」

鳴「でも、スタンドを増やすスタンド。そんなものが存在するのかな?」

仗助「そんなのだったら、ゾンビ映画みたいに夜見山の街中がスタンド使いになりそうなもんだしなァ」

恒一「さっきの千曳先生の説明だと、犠牲者は夜見山市内限定のようだし、法則があるのかもしれないね」

51: 2012/10/13(土) 23:28:38.68 ID:hb4tHiAyo
仗助「難しいことは、頭のいい恒一に任せるッ! で、それよりも問題は、赤沢なんだが」

仗助「なァんで、アイツの護衛をおれがしてなくちゃなんないんだよッ!」

鳴「お似合い」ボソッ

仗助「ああーん? 何ふざけたこと言ってんのかなァ?」

仗助「恒一は事情を知ってるからいいけど、赤沢の護衛ってなるとほとんどストーカーまがいになっちまうし」

仗助「何が楽しくて対策係の対策しなくちゃならないんだッ」

鳴「プッ」

仗助「あ、見崎。ケンカ売ってるだろ! いっちょスタンドのラッシュ比べでもすッか?」

鳴「『サティン・ドール』はあなたのスタンドより強いよ? 負けるよ?」ニヤニヤ

仗助「ムッキー、恒一も何とか言ってやってくれよォ」

恒一「はは。見崎も仗助くんといると、よく冗談言うようになったよね」

恒一「そういえば気になったんだけど。仗助くんのスタンドって名前ないの?」

仗助「イヤ。別に考えてないっつーか」

鳴「私が考えてあげようか? 癒しの能力とラッシュの掛け声からとって」

「キュアドラゴン」

鳴「とかどうかな?」ドヤァ

仗助「なんでか知らんが、セーラームーンみたいな響きがあるので却下ッ!」

鳴「……」(´・ω囲`)ショボーン

52: 2012/10/13(土) 23:30:44.60 ID:hb4tHiAyo
恒一「真面目な話。赤沢さんにも事情を話す訳にはいかないかな?」

恒一「僕と赤沢さんが固まっていれば、ふたりの護衛の負担も減るだろうし」

仗助「まぁねェ、赤沢に余計な心配をかけさせたくないってのもあるが」チラッ

鳴「……」

仗助「ハア。おれも恒一について、勉強教えてもらいたいくらいなのに」

恒一「夏休みになったらそのあたりも含めて、どうするか考えようか」

仗助「最近平和なのが逆に不気味だよなァ。『現象』の法則だとそろそろ何か起こりそうだし」

恒一「桜木さんにも、協力してもらおうか?」

鳴「……」ギューン↑

仗助(ヤバイ。見崎の嫉妬ゲージはMAXだッ!)

仗助(もうちょっと気づいてやってくれよォーッ! ああ、スタンドとは関係ない気苦労が……)ゲッソリ

綾野「こういっちゃーん! ジョジョっちゃーん! 鳴ちゃーん!」

仗助「ああ、どこかでトトロのおばあちゃんが呼んでる」

綾野「あんなダミ声じゃないよっ!」

仗助「彩、おれにとどめを刺しに来たんだろ? ひとおもいにやってくれ」

綾野「ウリャー!」チョップ

綾野「じゃなくて、久保寺先生が、ジョジョっちゃんを呼んでたよ」

綾野「なんか補習がどうとか?」

仗助「アアア。この間のテストのかッ! 忘れてたァ」トホホ

綾野「教室で待ってるってさ。早く行ったほうがいいんじゃない?」

仗助「恒一、見崎、すまん!」ダッシュ

恒一「が、頑張ってね」アセアセ

53: 2012/10/13(土) 23:32:42.91 ID:hb4tHiAyo
3年3組教室

仗助「東方仗助! 遅れてすいませんでしたぁッ!」ビシッ

仗助「って、あれッ?」キョロキョロ

仗助(久保寺のヤツ。いないなァ)

仗助(正直、アイツの授業退屈なんだよなァ眠くなるし。そのせいでテストも散々)セキニンテンカ

桜木「あっ、東方君?」

仗助「ゲェッ! 委員長?」

仗助(なんで委員長が? 補習の訳ないよな)

仗助(うう。気まずいッ! ふたりきりで会話するのは! 一応あのあとお互いに和解はしたんだが)

仗助(思いっ切り、やりあった仲だからねェ)

仗助(しかもその時、ちらっと、恒一への告白じみたことも聞いちまったし)

桜木「ゲェッ! って、ひどいですね」

仗助「い、イヤァー、そうじゃなくて、本日はお日柄もよくゥ」

桜木「まだ怒ってるんですか? 本当にごめんなさい」グス

仗助「ワワッ! こちらこそ、ごめんなさいッ!」ペコリッ

仗助「そのなんというか、ちょっと色々意識してしまいましてッ! 変な態度をとってすいませんでしたァーッ!」ヘイシンテイトウ

桜木「いえ、こちらこそ。そういえば、久保寺先生はいらっしゃらないんですか?」キョロキョロ

仗助「おれも呼ばれたんスけどね。補習で」トホホ

桜木「あら、私は学級委員の活動についてらしいんですけど」

仗助「……」ゴゴゴゴゴゴ

仗助(なんか、違和感がッ)

54: 2012/10/13(土) 23:34:44.72 ID:hb4tHiAyo
久保寺「お二人とも、おまたせしました」ユラァ

仗助桜木(ビクッ)

久保寺「とりあえず着席してください。東方君は一番前の風見くんの席でいいですね?」

仗助「はァい」ガシャガシャ

久保寺「……」カバンドサリ

久保寺「今日は私、お二人に謝らなければなりません」ファスナージジジ

久保寺「本当は、みんなで無事に卒業式を……」ゴソゴソ

仗助「……」

桜木「先生?」

久保寺「でも、そんなことはもはやどうでも……」ブツブツ

久保寺「うあああああああああッ!」シャキーン!

桜木(包丁! なんで先生が包丁を構えて!?)

桜木「『アンブレラ』!」バシュゥゥゥゥン

久保寺「ハガッ!」

桜木(傘を開いて、先生の右腕を黒板に押し付けるッ!)グググ

桜木「東方君! 先生から包丁を! 早く!」

仗助「……」

桜木「東方……君?」ドドドドドド

桜木(東方君が、着席したまま、うつむいて動かないッ! これはスタンド攻撃?)

桜木「先生! やめてくださいッ!」

久保寺「あがぅ! ぐげぁ!」ジタバタ

桜木(東方君を助けるためには。一人で戦わねばッ!)ザッ

桜木「うわぁぁッ!」バシィッ

55: 2012/10/13(土) 23:36:21.52 ID:hb4tHiAyo
包丁「……」カランコロン

桜木(よしッ! 凶器はたたき落としたッ!)

桜木「先生、東方くんを開放してください」ゴゴゴゴゴゴ

久保寺「うぎぇ、ひゃげう!」ジタバタ

桜木「言ってわからないなら、倒しちゃうしかないですよね」クイッ

桜木(『アンブレラ』を一旦離して閉じ! 反転ッ! 手元を先生のみぞおちに叩きこむッ!)グウン、ドガッ

久保寺「」ドサッ

桜木「やった! 東方君、大丈夫?」

仗助「……」ハンノウナシ

桜木(先生は気を失ったはず? ハッ)ピコンピコン

桜木(この音は? 先生から聞こえる)

桜木(先生の頭の上に、スタンドが出ている? 5の数字のスタンド?)ピコン

桜木(4になったッ! カウントダウン? 0で攻撃してくるかもッ!)ピコン

桜木(アンブレラを開いて防御ッ!)ピコンピコンピコン……ジャーン

桜木(攻撃はない? スタンドが英語になってる『GAME OVER』? どういうこと?)

桜木(先生も東方君も動かない)

桜木「そんな、なぜ?」

??「先生が東方君を捕らえているのではないからね」ユラァ

桜木(誰かが教室に入ってくるッ!)

桜木(スタンド使いは、こいつ!?)

??「東方君は、今、夢のなかさ。僕が許可しない限り、目覚めることはない」

風見「授業中よく居眠りする彼には、もってこいのスタンドだよね」ドドドドドド

桜木「えっ!? 風見君?」

風見「ゆかり、迎えに来たよ」メガネクイッ

56: 2012/10/13(土) 23:37:13.81 ID:hb4tHiAyo
To Be Continued.

59: 2012/10/14(日) 17:03:44.83 ID:GQ8p8+gNo
桜木「風見君も、スタンド使いになったの?」ワナワナ

風見「最近だけどね。君と同じモノが見えるようになって、うれしいよ」

桜木「なぜこんなことをッ!」

風見「君のためさ、ゆかり。我々『子守唄』のスタンド使いは協力しあうべきだ」

桜木(風見くんは『子守唄』のことを知っているッ!)

風見「せっかく手に入れた力なんだし、有効に使いたいよね」

風見「それに、赤沢さんや榊原君にもこの力を分け与えてあげたいし」フフ

桜木「それで、その邪魔をする東方君を……」

風見「あと、見崎鳴もね。彼らは我々とは、違う」

風見「ゆかりは一度、東方君に倒されているんだろう? それで彼らの言いなりになっている」

風見「君の『アンブレラ』なら、榊原君達の不意をつくことも出来る。仲間のフリをして近づけばね」

桜木「……」

風見「邪魔者には退場してもらって、僕達だけでやっていこう!」

桜木「東方君と見崎さんを犠牲にするのね……」

風見「ああ、彼らの命と引き替えだ。さあ、僕と一緒に来てくれ!」

桜木「だが、お断りします!」

風見「なッ!」

桜木「あなたは以前の私と同じ、何でもかんでも自分の思い通りにしようとしてるだけ」

桜木「過分な力を持てあまし、自分の考えを整理できずに行動に走っている」ドドドドドド

桜木「あなたの行動。それは本当にあなたのしたいことなのかしら?」

桜木「誰ともわからないものに吹きこまれた。上っ面だけの動機じゃない?」

風見「違うッ!」

60: 2012/10/14(日) 17:04:38.18 ID:GQ8p8+gNo
風見「『君のため』といったろうッ! 僕は、僕は……」プルプル

風見「ゆかり、君のことが『好き』なんだッ!」バァーン

風見(言ってしまったッ! とうとう、言ってしまった)

風見(だが、僕の行動原理。これが事実であることには間違いないッ!)

風見(彼女の返事はッ!?)チラッ

桜木「……」ジトーッ

風見(ゆかりの目……。養豚場の豚でも視るかのような冷たい目だ)

風見(『かわいそうだけど、明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね』って感じの!)

桜木「風見君。あなたの今やっていることは、相手にナイフを振り上げながら、『好きだ』と告白しているのと同じ……」

桜木「相手に対して全く敬意を払っていない。いやむしろ最大級の侮辱をしているに等しいッ!」

桜木「そんな最低の人にする返答は、おのずと決まってしまうんじゃない?」

桜木「もしッ! 私に敬意を払い。対等に向きあって、改めて告白したいのであれば!」

桜木「東方君を開放して、スタンドを引っ込めてからにしてもらいましょうかッ!」ゴゴゴゴゴゴ

風見「……」

風見「断る、ということ、なんだね」ドドドドドド

風見「このスタンドを消せ、というのは僕自身を否定されているも同然」

風見「だったら、戦うしかないじゃないかッ! 君と僕はッ!」ナミダボロボロ

61: 2012/10/14(日) 17:05:22.41 ID:GQ8p8+gNo
風見「『イン・メモリー』ッ!」メギャン

桜木(風見君のスタンド!? 彼の手元に半透明の機械のようなものが?)

桜木(あれは? テレビゲーム機のコントローラ?)

桜木(どんなスタンドかわからないけど、こちらも攻撃しなければ!)

桜木「『アンブレラ』! 開いたまま攻撃して風見くんを吹き飛ばして!」

??「ドラッ!」バシッ

桜木(え? 『アンブレラ』が叩き落とされた! 誰?)

仗助「……」ユラァ

桜木「東方君のスタンド? なぜ、風見君を守るの?」

風見「どうする、ゆかり? 彼と戦う覚悟ができていないかな?」

桜木「どういうこと?」

風見「僕の『イン・メモリー』の戦い方が、こういうことというだけさ」カチャカチャ

桜木(手元のスタンド・コントローラ? を操作している? まさか……)

桜木(他人を操るスタンド、なの?)

風見「そっちがこないなら、ちょっと練習させてもらおうか」ポチッ

仗助「ドラッ!」

風見「ふむ、これがパンチか」ポチッ

仗助「……」ビュッ

風見「これがキック。でもパンチのほうが強そうだな」タタタタタジュウロクレンシャ

仗助「ドララララララララ」

風見「これがラッシュか。把握した」

62: 2012/10/14(日) 17:06:27.03 ID:GQ8p8+gNo
桜木「そんな事って……」

桜木(東方君と戦わなければならない?)

桜木(いや、手はある。風見くん本体を倒せば!)

桜木「『アンブレラ』!」

風見「おっと」クイッ

仗助「……」バシッ

風見「危ない危ない。きっちりガードしないとね」

桜木(隙がないッ)ギリギリ

風見「ゆかり、君は東方君と戦って一度負けたんだよなァーッ」

風見「再び戦って、果たして勝てるかなァ?」タタタタタタ

仗助「ドララララララララ」

桜木(う、『アンブレラ』のガードが押されるッ)

桜木(机をかき分けながら突っ込んでくるッ。ムチャクチャね)

風見「そらそら、傘を開きながらでは攻撃できないだろう。降参するんだね」

桜木(確かに前と同じ戦い方では、パワーのある東方君のスタンドには勝てない)

桜木(攻撃をかわす方法を考えなければ)

風見「ほらほら、教室はもう終わりだよ」

桜木「……」

63: 2012/10/14(日) 17:07:13.72 ID:GQ8p8+gNo
桜木(このまま負けたら、東方君も見崎さんも、そしてドス黒く染まってしまっている風見君も救うことができなくなるッ)

桜木(スタンドの力は、意志の力! 不屈の精神で強くなるッ)

桜木(『アンブレラ』! 私の意志を表せッ!)パァァァッ

風見「? おかしい、ラッシュの勢いが削がれている」タタタタタタ

風見「む? あれはッ!」

風見「『アンブレラ』がいつの間にか高速で回転しているッ」

風見「こちらの攻撃が『回転』でそらされてしまっている!」

桜木「……」ギュルギュルギュルギュル

風見「いかん! 逆に押し返される!」

桜木「……」ギャギャギャギャギャギャ

風見「もっと回転が上がるのか! 周りの空気を巻き込んでッ」スパパパパ

風見「これは、『カマイタチ』ってやつなのか? 東方君が傷だらけに!」

風見「そのまま傘が突っ込んできてッ!」ドッギャーン

仗助「……」ガクッ

桜木「東方君ごめんなさい。決着がついたようね」バァァァン

64: 2012/10/14(日) 17:08:26.15 ID:GQ8p8+gNo
桜木「風見君。降参するのはあなたの方になったようね」

風見「……」フフフ

風見「ハッハッハ! 僕の負け? いいや、違うねッ!」ピコンピコン

桜木「この音は」

桜木(東方君の頭の上に数字が、9、8、7とカウントダウンされているッ)

桜木(先生の時と同じ? これはいったい)

風見「コンティニューだァァァッ」マンナカノオオキナボタンポチッ

仗助「ドラッ」ムクリ

桜木「えっ、東方君が起き上がった! しかも無傷ッ!」

風見「ぐぁァァァッ。やっぱり、痛いィィィ」

桜木「風見君が傷だらけに……。あれは東方君についていた傷と同じ」

風見「そうさ、操っているもののダメージを本体が引き受けて『コンティニュー』できる」

風見「それが僕のスタンド『イン・メモリー』だ! しかも東方君を操作すれば」ドギューン

風見「本体の僕の傷も治してもらえるってわけさ」パァァァッ

桜木「なんてこと……」

風見「さあ、お仕置きの時間だよベイビー」

65: 2012/10/14(日) 17:09:48.68 ID:GQ8p8+gNo
仗助「ドララララララララ」

桜木「……」ギャルギャルギャルギャル

桜木(くっ、同じ事の繰り返し! しかも向こうは東方君のスタンドで消耗なし)

桜木(このままでは、どんどんジリ貧にッ)

桜木(どうするッ! 風見君本体を叩くか? でも東方君の治癒能力が)

桜木(あとは、何とかして東方君の操作を解除するしか)

桜木(突破の糸口はない?)

仗助「……」

桜木(最初に先生が操られていた時、すでに東方君は動けなくなっていた)

桜木(操る。のとは独立して、目標を捉える特性があるのかも)

桜木(とすると)アタリヲミマワシ

桜木(いたッ! 天井にスタンドがッ)

桜木(プロペラをいっぱい生やした、おおきなウミウシみたいな形のスタンド)

桜木(これが『イン・メモリー』の本体か。コイツさえ叩ければ!)

桜木「……」ギャギャギャギャギャギャ

桜木(東方君をダウンさせて、風見君がコンティニューするその隙にッ)

仗助「……」ドッギャーン

桜木(いまだッ! 『アンブレラ』を天井に飛ばしてッ!)ドガッ

66: 2012/10/14(日) 17:10:57.86 ID:GQ8p8+gNo
風見「……」

仗助「……」

桜木「……」ダラーッ

桜木(え? 東方君が目の前に……。私どうなってるの?)

桜木(あ、東方君のスタンドの腕が私の体を貫いて……)

桜木「ごふッ」

風見「東方君にダウンする『フリ』をさせることも『イン・メモリー』はできる」

風見「ゆかり。よく戦ったけど、君の負けだ」

桜木(あ、あ……)ガシッ

桜木(東方君……、仗助くんに二度も負けちゃった。やっぱり強いなぁ)ギュゥ

桜木(そういえば私達、最初は頃し合う仲だったっけね)

風見「な、何をしている? 東方君に抱きついて」

桜木(一人ぼっちで氏ぬのは……寂しいけれど、これなら後悔しないかも)ググッ

桜木(背が大きいからなかなか届かないじゃない、もう……)グイッ

桜木&仗助「……」ズキュゥゥゥン

風見「うわぁぁぁっ! ゆかりィーッ! なんでそんな奴にキスしてるんだよォォォ!」ダダッ

桜木「」ドサリ

67: 2012/10/14(日) 17:12:09.51 ID:GQ8p8+gNo
仗助「……」

風見「なんで、どーしてッ! こんな不良みたいな奴に、バカで、おかしな髪型してる奴なのに」ユサユサ

仗助「……」ピクッ

仗助「オイ! てめぇ、今なんつった!」プッツーーーン

風見「えっ? 東方君、なんで……」

仗助「ドラァッ!」

風見「へぶっ」

仗助「おれのヘアースタイルが、魔法少女みてーだとッ!?」

風見「だ、誰もそんな事いってな……」

風見(ハッ! 勅使河原がそういえば言っていた。東方君は温厚だけど、髪型をけなされるとキレてしまうと)

風見(『イン・メモリー』の操作を破るほどの怒りなのかッ! なんで髪型ひとつにッ)

仗助「この自慢の頭をけなされるとムカッ腹が立つぜ!」

仗助「なぜ頭にくるかは、わからねェ。きっと本能ってヤツなんだろうな!」

風見(本能! 本能だからなのかッ! マズイッ!)

仗助「ドララララララララララララララララララララララララララララララララララ」

仗助「ラララララララララララララララララララララララララララララララララララ」

仗助「ドラァァァァッ!」

風見「アニメフグゥゥゥゥーーーーッ!」ガシャーン

68: 2012/10/14(日) 17:13:04.92 ID:GQ8p8+gNo
風見(ああ、窓の外までふっとばされた……)

風見(この高さだと助からないか)

風見(ゆかりにひどいことした罰なんだろうな)

風見(ごめん、ゆかり)

風見「!」ボヨヨーン

風見(えっ、何かが落下を止めて)

風見(これは……白い傘?)

風見(ゆかり、よかった。東方君が治してくれたんだね)ドサリ

69: 2012/10/14(日) 17:13:45.98 ID:GQ8p8+gNo
夜見山市立病院病室

勅使河原「久保寺先生、過労でしばらく休むんだとさ」

勅使河原「代わりに千曳先生がその間3組の担任してくれるそうだ」

風見「……」

勅使河原「おまえも、軽症でよかったな。すぐ夏休みだし勉強も大丈夫だろ」

風見「……」

勅使河原「……。あのさ、進路とか、桜木の事とか色々悩み事はあるんだろけど」

勅使河原「おれってバカだけど。幼馴染のグチぐらいだっらいつでも聞けるからさ」

勅使河原「なんでも相談してくれよな」コンコン、ガラッ

桜木「失礼します。あ、勅使河原君来てたの?」

勅使河原「桜木ィ! 来てくれたかぁ。……。あっ、俺、急用があったんだった」

勅使河原「じゃ、風見のことよろしくー」スタコラサッサ

勅使河原(あとは頼んだぜ、桜木。勅使河原はクールに去るぜ)

桜木「……」

70: 2012/10/14(日) 17:14:43.21 ID:GQ8p8+gNo
風見「……」

桜木「……」

桜木風見「あの」

風見「あ、先にどうぞ」

桜木「休んでた間の、ノートのコピー持ってきたから」

風見「うん、ありがとう」

桜木「……」

風見「いまさら、許してもらえるとは思ってないけど、これだけは言わせてくれるかな?」

風見「本当にごめん、そして助けてくれてありがとう」

風見「あんな自分を見せてしまって、恥ずかしい。償いは必ずするから」

桜木「償いをしてもらえるなら、いつもの風見君に戻って欲しい」

桜木「だれだって、ふとしたことで間違うことがある。私もそうだったんだけど」

桜木「でも、間違ったことを認めて、次に踏み出すのが大切だと思う」

桜木「風見くんなら、それが出来ると私は思ってるよ」

風見「努力はしてみる。でも、また間違ったことをしそうになったら、僕を叱ってくれるかな?」

桜木「考えてみるね」

風見「そういえば、東方君とは、その……」

桜木「///」カァァァ

風見「やっぱり好きなの?」

桜木「よくわからない。実は私、前までは榊原君のことが気になっていたの」

風見「……」

桜木「でも今は、仗助くんもいいかなって」エヘヘ

風見「ちょ! なんで名前で呼んでるの!」

桜木「で、ひとつ聞いていい?」モジモジ

風見「な、なに?」

桜木「『イン・メモリー』で操作されていた人って、その間の記憶あるのかな?」

風見「き、聞いてみないとわからないよッ!」

桜木「あの日依頼、仗助くんがまともに顔を見てくれなくって」

風見「うわぁぁぁぁ」ユルサーン

桜木(夏休み直前の事件はこうして終わった)

桜木(風見君、仗助くんの治療は頑固に拒否してるみたいだけど、休みが終わるまでには退院できるみたい)

桜木(そして、私の気になる人はライバルが多そうで大変です)

72: 2012/10/14(日) 17:15:29.61 ID:GQ8p8+gNo
To Be Continued.

75: 2012/10/17(水) 17:22:11.67 ID:hYfJa5gzo
仗助「『根掘り葉掘り』ってよォ。『根を掘る』ってのはわかる。でも『葉掘り』ってのはどういうことだァーッ」

仗助「葉っぱ掘ったら裏側まで破れちまうじゃないかよーッ」

恒一「ああ、それは植物のことじゃなくて、『根源』から『枝葉末節』」

恒一「つまり物事の大元から細かいところまで『掘る』=追求する」

恒一「って説があるね。まぁ、語呂合わせで出来たって話もあるんだけど」

仗助「オオッ! やっぱ、恒一はスゲーなッ」

赤沢「ちょっと、くだらない質問で榊原君を邪魔しないで」

赤沢「せっかく、榊原君の家にみんなで集まって勉強してるんだから」

仗助「へいへい」カリカリ

鳴「……」カキカキ

仗助(夏休み始め、恒一の家で宿題や受験勉強をする集まりが恒例になっていた)

仗助(赤沢の護衛も目的のひとつだが、さっさと勉強を終わらせて『現象』の解明に力を入れたい)

仗助(ってのが本音なんだが、正直こんなに早く宿題が終わったのは、生まれて初めてだぜッ!)ジマンスルコトジャナイガ

仗助(今日集まったメンバーは、あまりにも大人数なので、二部屋に分けた)

仗助(護衛対象の、恒一、赤沢と、おれと見崎は、一緒にいるとして)

仗助(もう1グループは、委員長に面倒を見てもらうことに)

仗助(おれは委員長と顔合わすと、勉強にならないんでこれでいいな)ハァ

76: 2012/10/17(水) 17:23:01.47 ID:hYfJa5gzo
渡辺「そういえば東方君って、夏でも学ラン着てるんだね、どうして、なのかな?」

有田「あ、それ私も聞いてみたかった」

鳴「……」ピタ…エンピツノウゴキトマル

仗助「特に理由はないんだけどよォ。なんかいつも着てないといけない気がするんだよなァ」

仗助「完成されたスタイルってやつ? ちなみにこれ夏用で生地うすいやつねッ」

有田「そ、そうなんだ」

渡辺「デスメタルにデスヴォイスが必須、みたいな感じのもの、なのかなァ?」

有田「今日みたいに学校以外でも、いつもその格好だもんね」

鳴「……」フタタビカキカキ

多々良「あの、東方君が髪型のことで、ああなっちゃうのってなんか理由あるんですか?」

藤巻「ちょっと、恵! なんてことサラリときいてんのよ!」

鳴「……」ピタ…

仗助「あー、多分子供の頃のおれのあこがれの人が、同じ髪型だったんだと思うっス、多々良ッティさん」

仗助「自分の犠牲を顧みず、俺の命を救ってくれたお兄さん。おれの『生き方の見本』なんだよね」

仗助「なんで、その人を侮辱された気分になっちゃうんだろうなァ」

仗助「詳しいことは、あまり覚えてないんスけど。ごめん」

藤巻「なんかイイ話だね」

多々良「そんな秘密があったんですね」

鳴「……」カキカキ…

77: 2012/10/17(水) 17:23:39.96 ID:hYfJa5gzo
勅使河原「お、サカキ。そっちはもう終わりか?」

恒一「うん、今日はこの辺までにしない? 桜木さん」

桜木「そうね」

水野「ふわぁぁ、やっと終わったか」

前島「でも、だいぶ進められたよね。桜木さん、ありがとう」

仗助「あれ? こっちの部屋には仏壇があるんスね。線香の匂いが」

望月「三神先生にみんなであげたんだ。仗助くんもお線香あげてくれる? 先生も喜ぶと思うよ」

仗助「みんなが1年の時に亡くなった先生だったっけか。恒一の叔母さんだよな」

恒一「……」

望月「美術部の顧問でもあったんで、僕は親しかったんだ」

仗助「そうだったのか、じゃ失礼して」チーン

鳴「……」ツヅイテ…チーン

仗助「あ、見崎も美術部か?」

鳴「うん、そう」

勅使河原「あ、そうだ、サカキと赤沢、ちょっと残ってくれないか。望月から話があるんだが」

恒一「うん、わかった、何?」

勅使河原「ちょっと4人だけで、な」

桜木「……じゃ、私たちはお先に失礼しますね」

鳴「……」

仗助「オイ、見崎さっさと行くぞ! じゃあな、恒一」

78: 2012/10/17(水) 17:24:13.64 ID:hYfJa5gzo
三神家の前

一同「それじゃまたねー」バイバイ

仗助鳴桜木「……」バイバーイ

鳴「二人から離れちゃって大丈夫なの?」

仗助「とりあえず外で待ってるしかないだろ。テッシーとモッチーが話しあるんだから」

鳴「その二人がスタンド使いだったらどうするの?」

仗助「そりゃないだろ? 仮にテッシーがスタンド使いになってようもんなら」

仗助「自分自身のスタンドの攻撃にあたって、リタイア。とかになりそうだしよォ」ゲラゲラ

鳴「桜木さんのそばだからって、余裕あるふりしなくてもいいよ」

桜木「なっ///」

仗助「てッ、てめー。なんてことを///」カァァ

鳴「ワァ、トッテモアカイ」

仗助「コロス」

桜木「私の目の前でスタンド出して、にらみ合わないでほしいな」アセアセ

桜木「まぁ、スタンド使いじゃないにしても、一体どんな話なんでしょうね?」

仗助「聞けるようだったらテッシーあたりから、さりげなく探ってみるか」アイツタンジュンダカラ

鳴「あ、出てきた」

仗助「ん? 恒一まで一緒にいるな」

恒一「あ、待っていてくれたんだ」

桜木「どこかへ行くんですか?」

赤沢「望月くんのお姉さんのお店にいくの。『現象』がらみの話で」

仗助「おれ達も一緒に行って問題ないか?」

恒一「うーん、赤沢さん。3人も同席しちゃダメかな?」

赤沢「桜木さんはいいけど……、これはどちらかと言うと対策係の仕事なのよ」

仗助「前も言ったように、おれも『現象』の対処の手伝いをしたいんスよ」

仗助「見崎も考えは同じだし、赤沢が良ければ協力させてくれ」

79: 2012/10/17(水) 17:24:59.68 ID:hYfJa5gzo
イノヤ店内

仗助「ゥンまああ~いっ!」

仗助「コーヒーのブラックって飲んだことなかったけど、こんなうまいもんだったとはッ!」

仗助「苦味の中の甘みが絶妙! そして豊かな香りも絶品だよォ」

赤沢「お、おすすめを喜んでもらってよかったわ」ケッコウウレシイ

仗助「しかし、ハワイでコーヒーとれるって初めて知ったぜ」

赤沢「ハワイコナはハワイ島のコナ地区で収穫されるのよ、あまり有名じゃないけど」

勅使河原「へー、じゃあブルーハワイってのもハワイのコーヒーか?」

赤沢「……。ブルーマウンテンと間違ってない? ジャマイカのコーヒーねこれは」

鳴「……」アイスティーノンデル

望月「そろそろ本題入っていいかな?」

望月「お姉さんもちょっといい?」

知香「いつも、優矢君がお世話になってます」

勅使河原「詳しい話をみんなにも」

知香「……」コクリ

知香「実は、3年3組のことについて優矢君から詳しい話を聞いて」

知香「色々、お店に来ている人にも聞いてみたの」

知香「それで、松永克巳って人でうちの常連さんなんだけど、以前3年3組だったって知って」

知香「思い切って先日たずねてみたの。そうしたら」

知香「『おれが現象の謎のひとつを解明した』っていったの。すごく酔ってたんだけど」

知香「『それで伝えなくちゃって、残したんだ、アレを教室に』って」

勅使河原「気になるだろ? この話」

桜木「アレって、なんなんでしょう?」

赤沢「教室ってことは、昔の3年3組のことかしらね。旧校舎の」

勅使河原「とりあえず今日は遅いから、明日学校へいってみるか? 勉強会のあとに」

恒一「じゃあここにいる7人で、勉強会に来れない人は終わったら連絡するよ」

仗助「……」

80: 2012/10/17(水) 17:25:37.52 ID:hYfJa5gzo
帰り道

恒一「松永さんって、玲子さん――三神先生の同級生だったんだって。それで僕も呼ばれたんだよ」

仗助「『現象の謎』かァ・・・。これってもしかしたら」

恒一「うん、『スタンド』のことかもしれないね」

仗助「赤沢やテッシーにバレちゃっても問題ないかなァ?」

恒一「まだそう決まったわけじゃないけど、その時は改めて説明すればいいんじゃないかな?」

仗助「赤沢、隠してたの知ったら怒りそうだなぁ。ストーカー行為まがいのこともしてたし」ヤレヤレ

仗助「ま、今日は珍しく見崎のやつが、赤沢を送っていってくれたんで、よかったけど」

恒一「代わりにこっちに付きあわせちゃって、ごめんね」

仗助「いまさら水臭いこと言うなよッ!」

恒一「仗助くんに危ないことやらせてばかりなんで、ちょっと気がひけちゃうっていうか」

仗助「恒一は、そういうところが人気出るんだろうなァ。でも気にするな」

仗助「スタンドの戦いなんて、巻き込まれないほうが平和でいいスよ。これからも」

仗助「……!」

仗助「でも、まてよ。見崎とずっと一緒にいると巻き込まれ続けるのか?」

恒一「な、なにを///」カァァ

仗助「ま、アイツのスタンド、結構無敵みたいなんで、大丈夫だなッ!」ハハハ

恒一「///」

81: 2012/10/17(水) 17:26:34.86 ID:hYfJa5gzo
翌日夕方、旧校舎

恒一「うーん、どこが元3年3組なんだろう」

鳴「真ん中じゃない? 教室5つあるし」

赤沢「立禁止の場所なんでみんなあまり騒がないでね」

勅使河原「了解!」

仗助「お前が一番心配だがな」

桜木「ドア開けますよ」ガラガラ

望月「うわぁ、なんかいっぱい物が置いてあるね、埃だらけだし」

恒一「とりあえず手分けして、探ってみよう」

赤沢「じゃあ男子は机の中やダンボールの中お願い。私たちは外においてある備品を見てみる」

勅使河原「ホイホイ」ガサゴソ

恒一「そういえばこの学校は、旧校舎の七不思議とかないの?」

勅使河原「うちの『災厄』だけでいっぱいいっぱいな気もするけどな」

望月「第二図書室の地下からうめき声が聞こえる、とかあるよ。閉じ込められた司書がいるとかで」

仗助「はは、まさか」

鳴「たまに聞こえるよ、うめき声……」

仗助「!……」ゴクリ

鳴「ウソニキマッテルデショ」

仗助「コロス」

赤沢「はい、そこ静かに探しなさい」

勅使河原「うわっ」ドンガラガッシャーン

桜木「大丈夫? 勅使河原君」

勅使河原「勘弁してくれよ」ゲホゲホ

鳴「ねえ、榊原君、あそこの掃除用具入れ、調べた?」

恒一「ちょっと見てみようか」ガチャ、キョロキョロ

恒一「何だコレ? 用具入れの天井になにか張り付いている」ゴソゴソ、ベリッ

恒一「何か書いてある『将来このクラスで理不尽な災いに苦しめられるであろう後輩たちに』」

勅使河原「グッド! 当たりだな」

恒一「回りのテープを剥がしてみる」ベリベリ

望月「あ、カセットテープだ」

勅使河原「どこかで再生できないかな?」

赤沢「放送室に機材があるかも」

82: 2012/10/17(水) 17:27:26.29 ID:hYfJa5gzo
放送室

望月「このテープレコーダーでいいかな?」

勅使河原「早速聞いてみようぜ」メメタァ

松永〈え~と、俺の名前は松永克巳。1983年度の3年3組の生徒だ〉

松永〈俺がこのテープを残したわけは、3年3組にまつわる出来事について〉

松永〈未来の生徒たちにアドバイスになればと思ったからだ〉

松永〈合宿、があったんだ。8月8日から2泊3日で〉

松永〈この年は幸いにもザザーッなので、参加者は多かった〉

仗助「ん? 何だ今の?」

鳴「シー」

松永〈二日目の夜。俺は……、ザザーッに合宿所の裏に連れ出された〉

松永〈彼女とは親しかったので告白かなんかだろうか。とその時は浮ついた気持ちでついていったんだが〉

松永〈そこで、俺は……〉ガチャン……カツカツカツ

勅使河原「やばい、誰かきた! 隠れろ」テープトリダシ

鳴「大丈夫、みんな動かないで」ガチャリ、ギィィィ

宮本「……誰も居ないか」バタン

仗助「見崎、どうやったんだ?」ボソボソ

鳴「『サティン・ドール』で宮本先生に誰もいない放送室を『視せた』」ボソボソ

鳴「あと勅使河原くん、望月くん、赤沢さんには、閉まったままのドアを」ボソボソ

仗助「『サティン・ドール』恐るべし」ボソボソ

勅使河原「ふう、大丈夫だったな」

望月「ああっ。勅使河原くん、テープが!」

勅使河原「ゲッ、慌てて出した時に」チュミミミーン

鳴「ワカメ……」

赤沢「どうするの! 肝心のところが聞けないじゃない!」

勅使河原「」

仗助「あー、大丈夫っスよ。そういうの直すの得意なんで」

仗助「でも、家に行かないと道具ないんで、テッシー、そのテープあずからせてもらっていいか?」

83: 2012/10/17(水) 17:28:53.96 ID:hYfJa5gzo
帰り道

仗助「フゥ、これであの3人には、スタンドのこと知られなくてすみそうだな」ドギューン、ワカメマキマキ

恒一「そういうのもスタンドで直せるんだね」

仗助「赤沢を護衛できないのがちょっと心配だがねェ」

恒一「で、どうするの?」

仗助「とりあえず、恒一と見崎、委員長は俺んちに来てもらっていいかな?」アパートデセマイケド

鳴「東方君の家って行くのはじめてね」ワクワク

恒一「そうだね、結構付き合い長いのに」

桜木「お、お母様とかいらっしゃるのかしら?///」

仗助「おふくろねェ。この時間なら、いると思うけどね。夏休みだし」

恒一「仗助くんのお母さんも学校の先生なんだよね」

鳴「それなのに息子ときたら、こんなで」

仗助「……」ピキピキ

桜木「この二人って本当は仲いいですよね」

恒一「なんか見てると飽きないよね」ハハ

鳴「……」ゴシゴシ

恒一「ん? どうしたの? 見崎」

鳴「旧校舎の時に眼帯にゴミが付いたみたい。ちょっと外すね」ハラリ

仗助「俺んちでよく洗っとけよ」

84: 2012/10/17(水) 17:29:40.92 ID:hYfJa5gzo
仗助のアパート

朋子「あら、いらっしゃい」

桜木「お、おじゃまします///」

鳴「ドウモ」

恒一「夕飯時にすみません。すぐに帰りますから」

朋子「いえいえ。仗助、ちょっと買い物に行ってくるんで、おもてなししておいてね」ムギチャレイゾウコニハイッテルカラ

仗助「ン、わかった。ちょっとラジカセ借りるぜ」

朋子「いいけど、夜中に大きな音で聞かないでよ」バタン

鳴「……」ガサゴソ

仗助「で、いきなり無言で何をやってるんでしょう、この人は」ゴゴゴゴゴゴ

鳴「家探し」

仗助「だーッ。まぁ、おれも恒一のところでやったからなぁ」

仗助「ラブラブ大全集とかいう本が出てきたときは参ったが」

恒一「ラヴクラフト全集はホラーだよ!///」ウーニャー

鳴「あ、現代兵器事典……」プッ

仗助「い、いいだろがッ! 好きなんだから」

桜木「あの、そろそろテープを」アセアセ

85: 2012/10/17(水) 17:30:27.93 ID:hYfJa5gzo
松永〈二日目の夜。俺は……、ザザーッに合宿所の裏に連れ出された〉

松永〈彼女とは親しかったので告白かなんかだろうか。とその時は浮ついた気持ちでついていったんだが〉

松永〈そこで、俺は彼女から奇妙な話を聞いた。ザザッという生徒を覚えているか? と〉

松永〈もちろん覚えていた。6月に『現象』の影響だと思われる事故で亡くなったクラスメイトだった〉

松永〈彼女はその生徒とたった今まで会っていた。といった〉

松永〈そして彼女がザザッを戦って頃してしまったとも〉

松永〈彼女は『幽波紋』と呼ばれる、一種の超能力のようなものを持っているらしい〉

松永〈記憶を操作できる力を〉

松永〈だが、ザザッは殺された途端。氏体が消えさってしまい〉

松永〈その後記憶が曖昧になったので、自らにその力をかけ〉

松永〈知り合いである俺にザザッの記憶を確かめたんだそうだ〉

松永〈『現象』の記録が改ざんされる。というのは知っているが、そんなに頻繁に起きているとは〉

松永〈彼女の話は信じがたいものだったが、俺にも今の記憶をある程度残せるよう『幽波紋』を使ってくれた〉

松永〈混乱になるからと反対されたが、俺はこのテープを残すことに決めた〉

松永〈忘れてしまわないうちに伝えておく。『現象』の記録改変は人が氏ぬたびに行われている〉

松永〈これが君たちにアドバイスになるといいのだが〉

86: 2012/10/17(水) 17:31:05.27 ID:hYfJa5gzo
恒一「『幽波紋』ってスタンドのことみたいだね」

仗助「そうだろうな。でも何を言ってるのかサッパリなんだが」オレバカナノシヌノ?

鳴「……」

恒一「千曳先生から聞かされたときは、毎年3月、卒業の時に氏者の記録が元に戻る」

恒一「そして4月からの3年3組に、昔、亡くなった生徒が記録ごと紛れこむ」

恒一「って話だったんだけど。他にもその年に亡くなった生徒にも法則があったと」

桜木「こんな話。スタンド使いじゃなければあまり信じられないですよね」

桜木「赤沢さんたちにも聞かせます?」

仗助「ウーン。俺がテープ直せず、ダメにしてしまった。ということにしておくか」

仗助「赤沢からは、殺されそうだけどな」ガクガクブルブル

鳴「……」

恒一「そういえば今年も合宿あったよね? みんな参加するの?」

桜木「私は参加します」

鳴「私も」

仗助「ウッ、俺は希望してなかった」

仗助「このテープの絡みもあるし、今から参加できるか、白髪先生にきいてみるわ」

87: 2012/10/17(水) 17:31:58.96 ID:hYfJa5gzo
帰り道

桜木「じゃ、私はここで」

恒一「うん、気をつけて」

桜木「あら、見崎さんもこっち?」

鳴「榊原君。今日は桜木さんと帰るね。護衛できないけど気をつけて」

恒一「珍しいね。まぁ、今までも変なことはなかったんで大丈夫だろうけど」

鳴「危なくなったらすぐに携帯で呼んでね」

鳴「縛られるのは好きじゃないんだけど、これは別」

恒一「ありがとう、そうするよ」ジャ

鳴桜木「……」

鳴「桜木さん。ちょっと話があるの」

桜木「何? 改まって」

鳴「もし、もしもだけど、私が氏者が誰かわかるといったら信じる?」

桜木「え、それって?」

鳴「もし、桜木さんがこう言われたら、どう思うか聞きたいの」

鳴「『東方仗助が氏者である』としたら」

88: 2012/10/17(水) 17:32:45.13 ID:hYfJa5gzo
To Be Continued.

94: 2012/10/20(土) 15:51:16.51 ID:yK6/NO3eo
夜見山北中放送室

柿沼「こんにちは~。可憐なメガネ文学少女、SSだとなぜか腐女子認定こと、柿沼小百合です」

辻井「こんにちは。ミステリとモップが好きな爽やかメガネ少年、辻井雪人です」

辻井「さて柿沼さん。今回のコレは一体なんなんでしょう? いい加減、僕SSの続き見たいんですけど」

柿沼「シャラッ!」

辻井「」ビクッ

柿沼「ジョジョと言えば、話数の合間にあるスタンド解説でしょうがッ!」

辻井「ああ、あのA超スゴイとかE超ニガテとかいうやつですね」

柿沼「>>1の野郎が、すっ飛ばしたお陰で、全くその点に触れられないまま」

柿沼「オリジナルスタンドがいっぱい出てきてしまったので」

柿沼「この究極生命体柿沼様が、解説してあげようなのだ!」

辻井「なんか余計なお世話のような気も……」

柿沼「」ウィンウィンウィン

辻井「いえ、大変役に立ちそうなので、ぜひお聞かせください」

柿沼「よかろう、心して聞け」

辻井(この人、こんなキャラだったっけ?)

95: 2012/10/20(土) 15:52:31.43 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『アンブレラ』

本体――――― 桜木ゆかり

破壊力――D スピード――B 射程距離――B

持続力――A 精密動作性―C 成長性―――B



辻井「みんな大好き、委員長のスタンドだね」

柿沼「傘のスタンド、ってどんな罰ゲームだよ! と思いきや、まさかの大活躍」

柿沼「オールマイティなパラメータからも、使いやすさがうかがえますね」

辻井「石突が尖ってるはずなのに、みんなにガンガン当てて、危なくないかな?」

柿沼「そのへんはスゴ味で調整していると思われ」

辻井(おい)

柿沼「スタンドの防御力はピカイチなので、無敵のスタープラチナでも壊せないはず」

辻井「よい子はSSの中のマネして、傘を振り回さないようにお願いします」

96: 2012/10/20(土) 15:53:16.37 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『ジャスト・ノット・フェア』

本体――――― 高林郁夫

破壊力――D スピード――A 射程距離――A

持続力――C 精密動作性―D 成長性―――B



柿沼「下半身のみの醜悪なビジュアル、完全自立型、そしてゲロ以下の悪ですね」

高林「フェアじゃないね」

辻本「な、いつの間に!」

高林「いいじゃないか! スタンド出てるのに、本人が登場しないなんて許されることではないよ!」

柿沼「ハイハイ、興奮すると心臓に悪いからさっさと退場してね」

川堀「おい、出ろ!」ガシッ

高林「もっと台詞、話させろ―ォォォ」ズルズル

柿沼「コホン。さて、このスタンドですが、本体にはまったく感知できず、勝手に暴れていました」

柿沼「入院していたフロア内しか動けないという制限もありますが、スペックは高めです」

辻本「コイツ、スタンドを食べて成長するんだよね」

柿沼「下半身だけなのにどうやって食べてるんだ? と私も疑問に思うところです」

辻本(そこを解説しないのかよ、というかこのスタンド喋ってたよな?)

97: 2012/10/20(土) 15:53:53.18 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『ネイリン・ザ・コフィン』

本体――――― 藤岡未咲

破壊力――? スピード――? 射程距離――?

持続力――? 精密動作性―? 成長性―――?


辻本「さっきのJNFの台詞に出てきただけの、棺桶のスタンドだね」

柿沼「一応、名前の設定だけはあるみたい。でもそれ以外は謎のスタンドね」

辻本「藤岡さんって、明るい感じの性格なのになんで棺桶……?」

柿沼「人には、隠された心の闇というものがあるのだよ」

辻本(ここにも痛い人がひとりいます)

98: 2012/10/20(土) 15:54:40.53 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『サティン・ドール』

本体――――― 見崎鳴

破壊力――B スピード――C 射程距離――C

持続力――C 精密動作性―A 成長性―――A



辻本「ヒロインの鳴ちゃんの目隠し天使スタンド。鳴ちゃんマジ天使!」

柿沼「ああん? あんな不思議ちゃんのどこがいいって?」

辻本「解説お願いします」

柿沼「チッ。東方君のスタンドより強い、という設定ですが」

柿沼「パラメータをみる限り、そんなに飛び抜けた感じはしません」

柿沼「ただし、このスタンドは特殊能力が『視せる』。応用が効きそうです」

辻本「自分にもかけられるんですよね」

柿沼「初戦では描写ありませんでしたが、相手を観察しやすくしたり、味方がどこにいるか透視したり」

柿沼「もうやり放題の応用力ですね」

辻本「鳴ちゃんだから許せる! 鳴ちゃんマジLOVE!」

柿沼(ウゼェ)

辻本「無言ラッシュも可愛い! 俺にもラッシュして欲しい!」

柿沼「……」ドスッ

辻本「ガフッ……」ピクピク

柿沼(やっと無言になったか)

99: 2012/10/20(土) 15:55:18.33 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『イン・メモリー』

本体――――― 風見智彦

破壊力――E スピード――E 射程距離――B

持続力――A 精密動作性―D 成長性―――C



辻井「ストーカーじみたメガネ男子、そしてアニメでは途中で忘れ去られ」

辻井「思い出したように最終回で暴れて不評だった。風見委員長のスタンドだね」

柿沼「原作やコミックではそんなことないらしいので」

柿沼「風見くんの活躍を見たい方はそちらも見てみてね」

辻井「で、スタンドですけど。ゲームコントローラ?」

柿沼「本体はラピュタのゴリアテみたいな感じだけどね」

柿沼「ちなみにこのゲームのコントローラはプレステをイメージしてます」

辻井「え? ドリームキャストじゃないの?」

柿沼「まだ発売されてねえよ!」

柿沼「本文中では描写ありませんでしたが、乗っ取る相手は止まってないとダメです」

柿沼「なので戦闘中の相手を乗っ取るのは不可能」

柿沼「パラメータも乗っ取る相手によって変わりますが、基本は上のような感じです」

辻井「ちなみにドリームキャストはこの年の11月に発売になりました」

柿沼(セガ派め)

100: 2012/10/20(土) 15:56:21.29 ID:yK6/NO3eo
スタンド名――『?』

本体――――― 東方仗助

破壊力――A スピード――A 射程距離――D

持続力――B 精密動作性―B 成長性―――C



柿沼「参考までに東方君のスタンドのパラメータも紹介」

辻井「まだスタンドの名前決まってないんだよね」

柿沼「来年の春あたりに、年上の甥に決めてもらえるような気がするわ―。今日2時間しか寝てないわ―」

辻井(○獄の柿沼?)

柿沼「なんでも直すことができるけど、自分自身の傷は治せません」

柿沼「またウィルスなどの病気を治すことも出来ません」

辻井「榊原くんの気胸は病気じゃないの?」

柿沼「肺の傷を修復したんだろ! 多分」

辻井(なぜ、喧嘩腰)

101: 2012/10/20(土) 15:57:13.56 ID:yK6/NO3eo
柿沼「以上! 今まで出てきたスタンドの解説でした」

辻井「そういえば、スタンド関係ないんだけど、まだ出てきてないクラスメイトいるよね」

辻井「これから出てくるのかな?」

柿沼「リクエストとかあれば、人気の人とかもわかるけど、あんまりこのSS読んでる人いなさそうだし」

柿沼「ま、そのへんは、適当じゃない?」

辻井(言い切りやがった)

柿沼「あと1998年のこの期間って、フランスワールドカップとか、和歌山毒物カレー事件がありました」

辻井「全然話題には出てこないですね」

柿沼「そのあたりを考慮したSSとかも、あるのかな? 見てみたい気もします」

柿沼「さてそろそろ、この解説も終わりにしたいと思います」

辻井「次こそ、本編だろうな?」

柿沼「大丈夫かと思います。いつになるやらわかりませんけどね」

辻井「おい」

柿沼「この解説もつなぎみたいなもんだし、次があるかわかりません」

柿沼「あと、こんなのに出てしまった我々の出番は、本編にはもうないと思いますから、よろしくー」

辻井川堀「うわぁぁぁぁ」

102: 2012/10/20(土) 15:57:51.59 ID:yK6/NO3eo
おまけ終了

107: 2012/10/23(火) 19:24:58.13 ID:LUIvQlmYo
中尾(俺の名前は中尾順太)

中尾(夜見北中3年3組の『災厄』対策係の一員だ)

中尾(今日は7月末日、夏休み中だが対策会議を第二図書室で行なっている)

中尾(メンバーは俺と、赤沢さん、杉浦と桜木委員長)

中尾(明日から新しい月、8月になり、『現象』が有効なら新たな犠牲者が出てしまう可能性があるからだ)

杉浦「4月に見崎さんの従姉妹が亡くなって『災厄』が始まり」

杉浦「5月に桜木さん、6月に東方君、7月に風見君がそれぞれ入院」

杉浦「『現象』は収まる気配ないわね」

中尾(杉浦の現状報告が続く。正直『いないもの』対策が空振りに終わった今)

中尾(手の打ちようは、ない気がするのだが、赤沢さんは諦めていない)

赤沢「過去に一度だけ、『災厄』が途中で止まった年があったそうよ」

赤沢「合宿中の事故を最後に止まった、と言うことは、合宿に何らかの意味があった可能性がある」

赤沢「幸い今年は、犠牲者が少なく合宿に参加する生徒も多いので」

赤沢「『止まった年』の状況をよく解析して、出来る限りの対策を行いましょう」

108: 2012/10/23(火) 19:25:23.44 ID:LUIvQlmYo
中尾(そもそも、4月新学期の時点で、『氏者』が紛れ込んでいるか見分ける方法)

中尾(『机の数がひとつ足りない』というのが起こっていなかった)

中尾(そのため、今年は『ない年』だとおもわれていた)

中尾(だが、転校生が二人も転入してくると判明し、慌てて見崎さんを『いないもの』にしたのだが)

中尾(その時にはすでに、見崎さんの従姉妹は亡くなった後だった)

中尾(まるで『現象』が、こちらの対策の隙をついてくるような、そんな悪意を感じる)

中尾(赤沢さんのいう、『止まった年』の対策が判明したとしても、『現象』の悪意で妨害されてしまうのではないか?)

中尾(そんな、あきらめにも似た考えが浮かんできてしまう)

中尾(でも、対策係がなにもしない訳にはいかない。怖いのは3組みんな同じなのだから


中尾(それに、赤沢さんの役に立ちたいし)コレガホンネ

桜木「……」

中尾(そういえば、桜木さん。なんか元気ない?)

中尾(夏休み中に何かあったのかな?)

杉浦「中尾、さっきから黙ったままだけどなにか意見はある?」

中尾「特にはないかな」サラリ

杉浦「……。ちゃんと対策考えてね」

中尾「……」

中尾(いや色々考えては、いるのだ。自分から意見をいうのがあまりないだけで)

中尾(杉浦も、昔からの付き合いなのでそのぐらいわかってくれてもいいと思うが)

中尾(でも、実際口に出さないと、自分の心なんてわかってもらえないままかもな)

109: 2012/10/23(火) 19:25:58.83 ID:LUIvQlmYo
会議終了後、旧校舎廊下

中尾「桜木さん。なんか悩み事でもあるの?」

桜木「えっ?」

中尾(心配したら意外そうな顔された。俺って普段からどんなふうに思われてんだか)

中尾「元気なさそうだったんで」

桜木「顔に出ちゃってたかな? 中尾くんに心配かけさせてしまって」

杉浦「体調不良とか?」

桜木「いえ、個人的な問題なので。ごめんなさい」

杉浦「ムリしないでね」

中尾(ここで、俺も励ますようなこと言ってあげられればいいんだが、何も思いつかず)

中尾(ダメなところだな……)

赤沢「私は演劇部に寄ってから帰るわ。みんな気をつけて帰って」

杉浦「じゃ、またね泉美」

桜木「では、また」

中尾「気をつけてー」バイバイ

中尾(結局、有効な対策は出なかった)

中尾(8月は、ほとんど学校ないので、対策の連絡も滞りがちだ)

中尾(あと、例の合宿。3組が集まるので、ここで事故が起こる可能性も高い)

中尾(なるべく危険な行事は避けるよう。千曳先生に協力はお願いしてるんだが)

中尾(色々考えても実行力ないからな、俺は)

110: 2012/10/23(火) 19:26:29.68 ID:LUIvQlmYo
校舎中庭

小椋「中尾君、今日は対策係の集まり?」

中尾「ああ、もう帰るところだけど」

中尾(小椋由美、演劇部の練習で学校に来てるのか?)

中尾(彼女も杉浦と同じ、昔からの知り合いだ)

小椋「それなら、泉美は見なかった?」

中尾「赤沢さん? 演劇部に顔見せに行くって言ってたから、そっちじゃないか?」

小椋「そう、ありがと」

小椋「ところで、中尾君」ゴゴゴゴゴゴ

中尾(ん?)

小椋「中尾君は、私が何か頼みごとしたら、お願い聞いてくれるかな?」ゴゴゴゴゴゴ

中尾(なんかいつもの小椋と違う感じがするッ!)

中尾「何を言ってるんだ? 小椋」

小椋「たった一つだけで、いいんだけどなぁ。昔からの友達だからかまわないよね?」

中尾(なんだ、この禍々しい雰囲気は! それに自分の体が何かに押さえつけられて動かない)

中尾「何を頼む気だ?」

小椋「いいから、『お願いならなんでも聞くよ』とか『まかせろ』とかいってよ」

中尾(なんか、ヤバイッ! ここで、『お願い』を聞いたら、取り返しのつかないことになりそうな気がするッ!)

中尾「どうしちまったんだ? 小椋。なんかあったのか?」

小椋「言えっていってんだよ! このビチグソ野郎が!」グググ

中尾「イタタ」

中尾(目に見えない何かが、俺を締めあげてる。このままだと骨が折れそうだ)

中尾「わかった! わかったから離してくれ」

中尾(フッ、と何かの力が消える)

小椋「最初からそうしてりゃいいんだよ、ダボがァ」

111: 2012/10/23(火) 19:27:03.36 ID:LUIvQlmYo
中尾(絶体絶命の時、中尾家には家訓がある。それは……)

中尾(逃げるんだよォォォーッ)ダッシュ

中尾「あガッ!」ガシィ

中尾(また見えない何かにつかまれた!)

小椋「なにしてるのかな? 中尾君」ユラァ

中尾「ちょっと急用を思い出して」ジタバタ

小椋「逃げられると思ってんのか! スッタコ!」

中尾「女の子がそんな言葉使っちゃだめだ。小椋、結構可愛いんだから」

小椋「少し、氏んどけ」ドゴォン

中尾(逆効果だった。鳩尾に一撃が)

中尾「ウエップ。おぇぇぇ」ゲロゲロ

小椋「吐いてんじゃねえよ。ゲロ太」

中尾(見えない大きな手のようなものにつかまれ、中庭のベンチに飛ばされた)ドガッ

中尾「げふっ」ボロッ

小椋「中尾君。昔からのよしみで殺さないでおいてあげてるんだからね? 早く私の言うこと聞いて楽になったほうがいいよ」

中尾(まさかコレが『現象』なのか? ここで俺が氏んだら、対策係の名が泣くぜ)

中尾(……?)

中尾(待てよ、コレが『現象』なら他の入院した連中、みんなこんな目にあってるってことだよな?)

中尾(見崎さんの従姉妹、桜木委員長、東方君、風見君。彼らすべてがこんな被害に?)

中尾(でも、赤沢さんや、俺には何も言ってくれなかった……)

中尾(秘密にしなければならない理由とは?)

112: 2012/10/23(火) 19:27:56.25 ID:LUIvQlmYo
綾野「由美、こんなところで何やってるの? 演劇部の方で泉美が待ってるよ」

小椋「!」

中尾(綾野さん? 小椋の異変に気づいていない?)

中尾「だめだ! 綾野さん! ここから離れ」

小椋「うるさいよ」ドガッ

中尾(グッ。見えない手で殴られ……)

綾野「中尾っちもいるの? 大丈夫? なんか様子おかしいけど」

小椋「彩。私達親友よね」

綾野「由美、なんか怖い顔してるよ?」

小椋「親友のあなたに、私からお願いがひとつあるんだけど聞いてくれる?」

綾野「何? 頼みって」

小椋「聞いてもらえるかな?」

綾野「わたしにできることなら」

小椋「『スペシャル・デリバリー』! 私の願いは聞き入れられるッ!」ドドドドドド

綾野「……」ウィンウィン

中尾(小椋の願いを聞くことを承認した綾野さんが、不自然な格好で立ち尽くしている)

小椋「やっと、お願い聞いてもらえた。一人に一回だけしか使えないのがなぁ」

小椋「彩に何をお願いしようかな?」

小椋「『東方君を譲って』は桜木さんへの願いだろうし、『見崎さんを頃して』じゃ彩には無理そう」

小椋「でも、『中尾くんを頃して』ならできそうだよね」ゴゴゴゴゴゴ

中尾(ヤバイ。ものすごくヤバイ)

113: 2012/10/23(火) 19:28:57.14 ID:LUIvQlmYo
中尾(なんでかしらんが、小椋に『願いを聞くことを了承する』と、『必ず従わなければならない』らしい)

小椋「中尾君、最後のチャンスだよ。私の願いを聞いてくれる?」

中尾「おまえ、なんでこんなコトしてるんだよ? 何が目的なんだ?」

小椋「質問を質問で返すなーッ!」

中尾(とりあえず話して時間稼ぎを)

中尾「俺は小椋からの頼みごとだったら、こんな力を使わなくたって断ったりしない」

中尾「綾野さんだって、小椋からの頼みなら、たいていきいてくれるんじゃ?」

中尾「ま、どうしても綾野さんに俺を殺させたいってのなら別だけど」

小椋「……」

小椋「じゃあ、泉美に危害をくわえるような頼みごとでも、きいてくれるの?」

中尾「それは無理だな」ソクトウ

中尾「おまえは、この力を試してみたかったんじゃないか?」

中尾「それとも、どうしても力を使いたい理由でもあるのか?」

114: 2012/10/23(火) 19:29:35.39 ID:LUIvQlmYo
小椋「スーツを買ったんだ」

中尾「?」

小椋「兄貴に、就職の時に使ってもらおうと、オヤジと母さんにお金出してもらって」

小椋「私が、かっこいい色とデザインのネクタイ選んで、スーツと一緒に兄貴にプレゼントしようとしたんだ」

小椋「でも、いらないって、投げ返された。余計なことしやがってって……」ボロボロ

小椋「あんなに優しい兄貴だったのに!」

小椋「だからこの力を使って、お願いして、昔の優しい兄貴に戻って欲しいんだよ!」

中尾(小椋のお兄さん。高校卒業後引きこもっているんだっけ)

中尾「だからって、綾野さんや俺を実験台にしていいってことはないんじゃないか?」

中尾「それにお兄さんだって、普通にきちんとお願いすれば……」

小椋「中尾君もう無駄だよ。無駄無駄。こんな話をしたのはもう『終わっている』から」

中尾「えっ!?」ゴゴゴゴゴゴ

小椋「さっき、『小椋からの頼みごとだったら』『断ったりしない』って言ったよね」ニヤァ

中尾(しまったァァァ!)

小椋「『スペシャル・デリバリー』!」

115: 2012/10/23(火) 19:30:31.26 ID:LUIvQlmYo
中尾(次に気がついたのは、暗闇の中での激痛)

??「『子守唄』のスタンド使いへようこそ」

??「この力は、素晴らしいもの、ぜひ有効に使って」

??「あと、赤沢さんと榊原君にもぜひ同じ仲間になって欲しい」

??「そのために、邪魔をするものを排除してもらう」

中尾「誰だ、そいつらは?」

??「見崎鳴と東方仗助、彼らは邪魔なスタンド使い。我々の敵」

中尾「なるほど、それじゃあ……」

中尾「見崎さんと東方君に味方することにするぜ!」ドドドドドド

??「!」

中尾「おまえが、『災厄』の元凶か!?」

中尾「対策係なめんなよ!」ゴゴゴゴゴゴ

??「この状況になると混乱する者が多いんだが」

??「中尾君は、見かけによらず強靭な精神力を持ってるね」

中尾「赤沢さんに危害を加えようとする奴が許せねえだけだよ」

??「小椋さんも厄介な願い事をしたものだ」

??「これ以上話しても仕方ないので開放するよ」

中尾「まて!」

??「どちらにせよ君の運命はもう決まった」

116: 2012/10/23(火) 19:31:08.97 ID:LUIvQlmYo
校舎中庭

小椋「ノックして、もしもーし」ゲシゲシ

中尾「う……」

小椋「気がついた? じゃあ、泉美のとこへ行こうか」

中尾「……」ガシッ

小椋「なんで、腕を引っ張るのかな?」

中尾「行かせねえ」ドドドドドド

小椋「『わたしと同じ仲間になって』って、お願いしたのになんでこういう事するの?」

中尾「小椋の考えてる『仲間』と俺の考えている『仲間』の意味の違いだな」

中尾「俺は間違ったことをしようとする仲間は、女の子だろうがぶん殴ってでも止めてやる」

小椋「『スペシャル・デリバリー』!」ドガッ

中尾「ぐはっ!」

中尾(これが、小椋の『スタンド』ってか。しかし……)

中尾(でかすぎだろオイ)

中尾(中庭のほとんどを埋めるように、半透明の巨大な重機型スタンドが鎮座していた)

中尾(ふたつの作業用アームが伸びている。あんなので殴られていたのかよッ!)

小椋「お願いきいてくれない『仲間』なんかいらないよ」

中尾「こっちが殴る前に殴るな! そして、赤沢さんに手出しはさせない!」

中尾(さて、『現象』の元凶が言うには、俺も『子守唄』のスタンド使いとやらになったらしいが)

中尾(なんだかわからんが、とりあえず出てきてくれ!)グオン

中尾(でた! これが俺の……)

小椋「……」

中尾「……」

小椋「プッ。なにそれ?」

中尾「」

中尾(俺の目の前に、現れた半透明のビジョン)

中尾(それは、細長いシャフトとその先についた小さな3枚バネ)

中尾(どう見ても、ただの船のスクリューだった)

117: 2012/10/23(火) 19:31:35.64 ID:LUIvQlmYo
To Be Continued.

122: 2012/10/25(木) 18:47:56.35 ID:khvDzRfko
小椋「ずいぶんと、怖そうなスタンドだね、中尾君」クスクス

中尾「こう見えて、無敵の能力を持ってるんだぜ。覚悟しな」

中尾(って、完全にハッタリだが)

中尾(出したばっかりなのに、わかるわけがないだろ)

小椋「じゃあ遠慮なく叩かせてもらうよ!」

中尾(『スペシャル・デリバリー』の右アームが、加速を付けて振り下ろされてくる)

中尾「スタンドで受け止める!」バキィ

小椋「あれ? おかしいなぁ」

中尾(oh……。俺のスタンド。スクリューのシャフトが折れて吹き飛んだ)

小椋「スタンドが真っ二つになったら。中尾君本体も真っ二つになるはずなんだけどなぁ?」

中尾「ゲッ! そうなのか? 危なすぎるだろ!」

小椋「粉々にしないとダメなのかな?」ニタァ

中尾「ちょ」

小椋「撤退的に潰す!」ドガドガドガドガ

中尾「」

小椋「おかしいよ! 完全に破壊しても中尾君なんともないじゃない。どんなからくりを使ってるの?」

中尾(俺が聞きたいぐらいだ)

中尾「む、無敵のスタンドだって言ったろ?」アセアセ

小椋「そっか、でもまぁ防御もできないスタンドなら」

小椋「本体の方、潰しちゃえばいいよね!」ニィ

123: 2012/10/25(木) 18:48:26.68 ID:khvDzRfko
小椋「『スペシャル・デリバリー』前進! 中尾くんを踏みつぶして!」ブオン、ギャラギャラギャラ

中尾(妙に幅の広いキャタピラが回り、巨大なスタンドが突進してくる!)

小椋「さようなら、中尾君。泉美には勇敢だったと伝えてあげるからね」ドグシャァァ

小椋「……」ボロボロ

小椋(私、なんで泣いてるんだろう)

小椋(人頃しをしてしまったから?)

小椋(でも『子守唄』のスタンド使いはこうしなければ生き残れない)

小椋(仕方のなかったことなのよ!)

小椋(あれ? でも、私、中尾くんを頃したこと覚えている……)

中尾「赤沢さんを守れなければ、たとえ勇敢でも、男としては失格だろうなぁ」ドドドドドド

小椋「なッ!」

小椋(中尾君、いつの間に避けた?)

中尾「って、なんで泣いてるんだ?」

小椋「きちんと」

中尾「ん?」

小椋「きちんと氏なないから、泣き損じゃねえか!」ブウン

中尾「危なっ!」ヒュルン

小椋(また避けた!)

中尾「だんだん、俺のスタンドの特性がわかってきた」

中尾「確かに、防御するのは難しいけど」

中尾「攻撃を『避ける』のは得意みたいだ」

124: 2012/10/25(木) 18:49:14.70 ID:khvDzRfko
小椋(中尾君の後ろに、無数のスクリューがならんでる……。コレがスタンド?)

小椋(あんなにいっぱいあったんじゃ、ひとつ潰したぐらいじゃダメージいかないか)

小椋「なんか不気味な感じだよ。そのスタンド」

中尾「見てくれより、使いやすいほうがいい」ヒュルヒュルヒュルヒュル

小椋(あのスタンドで、中尾くんの動きが速くなっている?)

小椋(背後から、風? のようなものを吹きつけて、動きを補佐しているのか)

小椋(私の『スペシャル・デリバリー』の攻撃、一撃は重いけど遅い)

小椋(このままでは、こちらの攻撃は当たりそうにない)

中尾「推力を操るスタンド? 名付けるとしたら『プレッシャー・ドロップ』といったところか」

小椋「でもさ、中尾君」

小椋「こちらの攻撃を避けられるとして、それだけじゃ私を殺せないよ?」

中尾「ん? なんで俺が小椋を殺さなきゃならないんだ?」ポカーン

小椋「……」

中尾「……」

小椋「きかなかったの?」

中尾「なんのことでしょう?」

小椋「知らないのに戦ってるの? その事情を知っているから、泉美をかばってるのかと思ったのに」

中尾(もしかして、とても重要なことじゃないかコレ?)

中尾「良ければ教えてもらえませんか? 由美さん」ニコッ

小椋「聞かんでもいい! 知ることのないまま氏ね!」ガリガリグオングオン

中尾「『プレッシャー・ドロップ』!」ヒュルン

小椋「ちょこまかとォォォ」ドガドガドガッ

125: 2012/10/25(木) 18:49:58.39 ID:khvDzRfko
中尾(中庭がめちゃくちゃになったなぁ)

中尾(でも、小椋の言う通り、今のままでは反撃の手段がない)

中尾(避けに徹するしか)ヒュルヒュルヒュルヒュル

中尾(このスタンド能力、他にないかな? 願い事をきいてもらえるとかそういうやつ)

中尾(それがわからない限りは、今できることをする)

小椋「そろそろ諦めたら?」ドゴドゴドゴッ

中尾「まだまだ大丈夫ですよ、小椋っち」ヒュルヒュル

小椋(なッ! 校舎の壁を走って避けてる!)

小椋(重力も無視できるほどの、推力が出てるのか)

小椋「そんなに頑張ったって、泉美は振り向いてくれないよ」ピタッ

中尾(あー、攻撃止まったが、嫌なこと言い始めたなコイツ)

小椋「泉美は、榊原君が気になってしょうがないってさ」

中尾「そんなこと、赤沢さん見てればわかるって!」

中尾(我ながらキモいこと言ってないか? コレ。非常事態だとしても……)

小椋「じゃあ、なんでそんなに泉美に執着するんだよ」

中尾「仕方ないだろ。俺がそうしたいんだから」

中尾「惚れて欲しいからやってるんじゃない。惚れてるからやってるんだよ!」

中尾(やっぱキモいな。こういう事言うのは)

小椋「じゃあさ、多佳子の気持ちはどうなるの?」

中尾「なんでそこで、杉浦が出てくるんだ?」

小椋「人の気持ちに気付けないやつは、氏んじまえってことだよ」ドガッ

中尾「おまえだって、東方君にご執心だろうが! 綾野さんや、委員長に遠慮してんのか?」ヒュルン

小椋「両方のアームでつかんで引きちぎって頃す! ゆっくり頃す!」ドガドガッ

中尾(ヤバッ。何挑発してんだよ俺!)ヒュルヒュル

126: 2012/10/25(木) 18:50:37.35 ID:khvDzRfko
中尾(女の子と言い合いになったら、どんな理由でも自分が折れろ)

中尾(これも中尾家の家訓だが、ここで折れたら殺される、ってことになるな)ヤレヤレ

中尾(……)

中尾(そういえば、名前出して思い出したが、綾野さんはどこへ行った?)

中尾(考えたくないが、綾野さんまでスタンド使いに?)

中尾「おい! 小椋! 綾野さんはどこ行ったんだ?」

小椋「とっくにお願いきいてもらったよ!」ドガドガッ

中尾「まさか、スタンド使いに?」

小椋「親友をこんなことに巻き込む訳にはいかないでしょう?」

中尾(俺は巻き込んでもいいのかよッ!)

中尾(……。まぁ、最初からぶん殴られたりはしてたか)

小椋「中尾君、頑張ってるけど。あまり時間かけると無駄になるかもね」

中尾(ハッタリか? でも、小椋の性格から虚勢を張るってあまり考えられないな)

中尾「なら、そろそろ攻撃にいかないとダメかな?」

中尾(『プレッシャー・ドロップ』、どこまで出来るものか……)ドドドドドド

小椋「?」ゴゴゴゴゴゴ

小椋「何? 『スペシャル・デリバリー』が傾いて」ゴロン、ドグシャア

小椋(横転した!)

中尾「今だ!」ダッシュ

中尾「捕まえた!」ガシィ

小椋(『スペシャル・デリバリー』の足元から無数のスクリューが! 下から力をかけたのか)

小椋「そのスクリュー、一体いくつ出せるんだよ!」ジタバタ

中尾「さあ? とりあえず、小椋本体を捕まえたぜ? これで勝負あったよな」

中尾「降参してもらおう」

127: 2012/10/25(木) 18:51:09.45 ID:khvDzRfko
中尾「痛ッ!」

小椋「私がスタンドでしか攻撃できないと思ったら大間違いだよ」

中尾(カミソリを隠し持ってたのかよ。うう、ざっくり腕を切られたな)

中尾「『プレッシャー・ドロップ』!」

中尾(カミソリに推力を集中して当てて、小椋の手から吹き飛ばす!)スパァン

中尾「まだ、手は離さんぞ」ボタボタ

小椋「キメェ。でも出血多量で終わりっぽいよ」

中尾「いいや、推力で小椋本体に力をかけることもできる。こう近づいてちゃ重機で攻撃もできないだろ」

中尾「お願いだからもうやめにしてくれ」

小椋「まだ、勝負はついてない! さっき時間をかけすぎるなといったよね」ニヤァ

小椋「彩にしたお願いは『泉美を確保して、私のところに連れてきて欲しい』」

小椋「泉美がここに来たら、中尾君どうする? 私のお願いを阻止できる?」

小椋「そして、そろそろ来たようよ」

中尾(誰かが、中庭に近づく気配が!)

小椋「泉美! 私のお願いをきいてくれる?」

??「……」

中尾「赤沢さん! 小椋の願い事は聞いちゃダメだ!」

??「赤沢さんは来ないよ」ゴゴゴゴゴゴ

中尾「え?」

中尾「誰だ?」

鳴「赤沢さんと綾野さんは、桜木さんに守ってもらっている」

鳴「私が赤沢さんの護衛をしているって、気づかなかったみたいね」

128: 2012/10/25(木) 18:51:47.17 ID:khvDzRfko
中尾(見崎さん、なのか? 眼帯していないから、一瞬わからなかった)

中尾(確か、彼女は『現象』に敵対するスタンド使い。やれやれ、これで勝負あったな)

小椋「見崎さん! 助けて! 中尾君が泉美を襲おうとしてるスタンド使いなの!」

中尾(ゲッ! なんてこと言い出しやがる!)

中尾「ちちちち、違う。見崎さん! 俺は赤沢さんを」

小椋「お願い! 見崎さん。私を信じて! 私のお願いを聞いて!」

中尾(小椋め。さり気なく、『スペシャル・デリバリー』の『お願い』も発動させようとしてやがるッ!)

中尾「見崎さん! お願いを聞くことを認めちゃダメだ!」オロオロ

小椋「うるさいッ! この変態中尾! 手を離せー!」ジタバタ

中尾(なんか、どう見ても俺が悪役っぽく見えてないか? この構図……)タラーッ

鳴「人が『ウソ』をついているかどうかって、表情や汗でわかるっていうよ」

中尾「……」

小椋「……」

鳴「汗の味を見れば、確実に判断できるって人もいるみたい」ドドドドドド

鳴「でも、私のスタンドは『視る』だけでわかる」

鳴「だからどっちがウソをついているか、すぐに判るんだよ、小椋さん」ゴゴゴゴゴゴ

小椋「チッ」

中尾「ホッ」

129: 2012/10/25(木) 18:52:16.77 ID:khvDzRfko
小椋「……せよ」

中尾「ん?」

小椋「早く殺せよ!」

中尾「またその話かよ。なんで俺がおまえを殺さなきゃならないんだ?」

鳴「……」

小椋「どうせみんなもう氏んでるんだ。私を頃すぐらいなんてことないよ、中尾君」

中尾「意味がわからない」

小椋「知らないほうが幸せだよ」

中尾「いいから説明しろ!」

小椋「……」

小椋「私がスタンド使いになった時、元凶? アイツにしつこく説明を求めたの」

小椋「『現象』の元凶ってさ、確か『氏者』がクラスに紛れ込むんだよね」

小椋「それが原因で『災厄』が始まる」

小椋「つまり『氏者』を排除すれば『現象』は起こらない」

小椋「それが『いないもの』対策だったり、『氏者』自体を見つけて排除、つまり『氏者を氏に還し』てしまえば『災厄』は止まる」

中尾(おいおい、そんなの対策係だって知らない情報だぞ)

小椋「『現象』はそれに対抗するため、『いないもの』対策を遅らせるようにしたり」

小椋「『氏者』を途中で『増やす』ようになっていった」

小椋「それが『子守唄』のスタンド使い」

130: 2012/10/25(木) 18:53:02.21 ID:khvDzRfko
小椋「『子守唄』のスタンド使いになった時点でもうその人は氏んでいる」

小椋「つまり、中尾君や私はもう『氏者』なんだよ」

小椋「このまま3月になって卒業すると、『子守唄』のスタンド使いは全員消え、氏んだこととしてみんなの記憶や記録に残る」

小椋「年度の途中で、病気や事故になって氏んだことになって」

中尾「……」

小椋「それを回避するには、他のスタンド使いを一人殺さなければならない」

小椋「一人でも頃した『子守唄』のスタンド使いは、その頃した相手の分の命で『氏者』ではなくなり」

小椋「殺されたスタンド使いは、前に事故や病気で氏んだことになって、誰の記憶にも残らなくなる」

小椋「そして『氏者』でなくなった『子守唄』のスタンドは卒業と同時に、3年3組でなくなった時点で力が消える」

小椋「そういう仕組なんだよ」

中尾「ウソ、だろ?」

鳴「小椋さんは今、ウソはついていない」

小椋「『現象』を完全に止めるには、『氏者』が完全にいなくなるまで頃しあわなければならない」

小椋「それなので、普通のスタンド使いの見崎さんや東方君を『現象』は目の敵にしてたんだろうね」

中尾「これ、他のスタンド使いも知っていることなのか?」

鳴「ここまで、はっきりした内容を知っていたのは、小椋さんが初めて」

鳴「もっとも、今までで倒されて、記憶に残っていない人がいないとも限らないけど」

鳴「二人や、他の『子守唄」のスタンド使いが私の左目に『氏者』として写っていたのは」

鳴「そういう理由だったのね」

131: 2012/10/25(木) 18:53:39.05 ID:khvDzRfko
小椋「中尾君が私を頃す理由がこれでわかったでしょ」

小椋「大丈夫。私を頃しても記憶には残らないから。私は事故氏していた、とかになって」

小椋「でも当然、今言った『現象』の仕組みの記憶も消えちゃうだろうけど」

小椋「自動的に3月に氏ぬよりはいいでしょ?」

中尾「それでも俺は、小椋を頃したりなんかしない」

小椋「殺さなきゃ殺されるよ?」

鳴「小椋さん。そんなに氏にたいの?」

鳴「氏はね、優しくなんかない。暗くて、どこまでも暗くて、どこまでもひとりきりなの」

小椋「……」

鳴「どういうものか『視せて』あげる」グオン

小椋「い、嫌」ビクッ

中尾「お、おい。見崎さん」

小椋「ああああ」ガクガク

鳴「彼女は今、私が昔、氏にかけた時の体験と同じ物を見ている」

中尾「や、やめてやってくれ」

鳴「赤沢さんを、『氏者』にしようとしたのに?」

中尾「小椋だって苦しんだんだろ? もういいよ。どうしてもやめないって言うなら」グオン、ヒュルヒュルヒュルヒュル

中尾「見崎さんと戦うしかない」バァァァン

132: 2012/10/25(木) 18:54:12.77 ID:khvDzRfko
鳴「わかった」スッ

小椋「……」ガクッ

鳴「中尾君も、私達に協力してくれるってことでいいよね?」

中尾「お、おう。そう言って『現象』の元凶の誘いも突っぱねた」

鳴「すごいね。いままでで、私達に最初から敵対しなかった『子守唄』のスタンド使いは、中尾くんが初めてだよ」

中尾「ま、マジ?」

鳴「さっき小椋さんのために戦うって宣言したり、ちょっと、かっこいい、かも」ニコリ

中尾(あ、見崎さんってこんな顔で笑うんだ)

鳴「対策係の人たちに、今まではスタンドのこと隠してたけど、中尾君がなってしまった以上」

鳴「もう、赤沢さんにも協力してもらうしかない」

鳴「他のスタンド使いの人にも説明するけど、中尾君、協力してくれる?」

中尾「おう、なんでもまかせろ!」

中尾(こうして、俺も『現象』に対策係としてではなく、スタンド使いとして戦うことになった)

中尾(勝ち目があるのか、わからないが、この『現象』の理不尽な氏を許すことができない)

中尾(どんなに厳しくとも最後まで『立ち向かって』やる!)

133: 2012/10/25(木) 18:54:38.79 ID:khvDzRfko
To Be Continued.

138: 2012/10/28(日) 18:56:16.39 ID:NciGOMmao
8月8日、咲谷記念館合宿所

仗助「立派な合宿所だなァ。グレートな建物ですぜコイツは」

千曳「地元の企業が使っていた保養所を寄付してくれたんだよ」

千曳「正直なところ、学校では持て余しているようなんだがね」

沼田「ようこそいらっしゃいました」

沼田「お部屋の方は、全部開けてありますからね」

恒一「そういえば、仗助くん。僕達部屋は一緒なんだよね?」

仗助「赤沢が、白髪先生に頼んで、守りにはいい感じに部屋割り決まったな」

仗助「俺達の左隣に風見委員長と中尾っちのスタンド組」

仗助「右隣に赤沢と見崎、更にその隣が委員長と由美になってる」

仗助「なんかすごい組み合わせだが、みんな仲良くしてくれるといいなァ」

恒一「スタンド使い同士なんで、気も合うんじゃない?」

仗助(野郎どもはともかく、女子組が微妙に心配なのだが……)

恒一「風見君はもう退院よかったのかな?」

仗助「俺が強制的に治した。『子守唄』のスタンド使いの仕組みを話したら」

仗助「いてもたってもいられなくなったようだし。(主に桜木委員長がらみでだけど)」

仗助「恒一も、3日間よろしく頼むぜ」

恒一「そうだね。よろしく仗助くん」

139: 2012/10/28(日) 18:56:47.71 ID:NciGOMmao
恒一と仗助の部屋、午後自由時間

赤沢「合宿中に何か動きがある可能性があると?」

恒一「15年前、松永さんの時もスタンド使い同士の戦いがあったようだし、油断はできないと思う」

風見「3組のスタンド使いは、今ここに全員集まっているみたいだけど……」フェアナヒトノゾク

桜木「協力関係にないスタンド使いが他にいる可能性もあるし、新たに生まれるかも」

中尾「ま、その時は戦うだけよ!」

小椋「……」

恒一「スタンド使いが生まれる条件、『氏者』がいることだっけ? それ以外の法則がよくわからないよね」

赤沢「一つ提案があるのだけど。私が囮になるってのはどうかな?」

赤沢「私としゃかきびゃら君……」

鳴(噛んだ)

仗助(噛んだ)

中尾(噛んだ)カワイイッ

赤沢「もう! 恒一君って呼んでいいね? 恒一君と私がどうやら狙われているらしいから」

赤沢「『子守唄』のスタンド使いになるよう接触される時に」

赤沢「『現象』の元凶に直接攻撃を仕掛けられるかもしれない」

鳴「危険な賭けね」

赤沢「でも、そのぐらいしないと『災厄』を完全に終わらせることはできないんじゃない?」

恒一「自分を差し置いて、赤沢さんを危険に晒すのはちょっと」

赤沢「でも対策係として……」

恒一「それになんで、赤沢さんや僕が狙われるかわからない以上。危ないことはできないと思う」

仗助「気になったんだがよォ。恒一と赤沢の共通点ってなんかないのか?」

仗助「それがわかれば、ヒントになるかも」

赤沢「共通点か」

赤沢「以前、恒一君には、言ったかもしれないけど、私達、昔会ったことない?」

恒一「……ごめん。思い出せないんだ。夜見山には何回か来たことはあるんだけど」

赤沢「そう……」ショボーン

140: 2012/10/28(日) 18:57:20.50 ID:NciGOMmao
風見と中尾の部屋、就寝時間直前

中尾「結局今日は、何もなしか」

風見「油断しない方がいい。寝ている間に動きがあるかもしれないからね」

中尾「まぁ、近くの部屋だし、なんかあったら駆けつけりゃ大丈夫!」

風見(その根拠のない自信がうらやましい)

中尾「俺のスタンド、まだうまく使いこなせないんだけど、単純故にそこそこ立ち回れるんで」

中尾「いざというときは、まかせろな!」

風見「頼りにしてるよ」

中尾「と・こ・ろ・で」

風見「……」

中尾「風見委員長は、桜木委員長をまだ諦めてないんですよねェェェ」

風見(ウゼェ)

中尾「これはあれですかな。『災厄』を片付けたら、告白とかのパターンか?」

風見(もう玉砕済みだよッ!)イラッ

風見「そういう中尾君はどうするんだよ。赤沢さん」

中尾「あ、俺? まぁ、かなしいけど、脈なしなんで」

風見「『氏者』だからってことかい?」

中尾「だったらよかったんだけど。そう言うの関係なしでね」

風見「まったく、このままじゃ氏んでしまうってのに脳天気な」

中尾「深刻にしてれば解決出来るんならそうするけど」

中尾「いまは、前向きにできることをやるだけだ」

中尾「とりあえず仲間もいっぱいいるし、頑張ればなんとかなるだろ!」

風見「そうか、そう思ってたほうがいいか」

風見(意外ッ! 中尾君って、実はもててる気するんだけど、話してみるといいやつだからかもね)

中尾「なんで、桜木委員長へのアタック、応援するぜ」マカセロー

風見(前・言・撤・回ッ!)ゴゴゴゴゴゴ

141: 2012/10/28(日) 18:57:50.24 ID:NciGOMmao
桜木と小椋の部屋

小椋「ゆかりって、東方君とスタンドで戦ったことあるんだって?」

桜木「ええ、うん、2回とも負けちゃったけどね」

小椋「それで、なんで仲良くなるんだか」

桜木「///」

小椋「わたしのスタンドじゃ勝てないかなぁ?」

桜木「小椋さんの『スペシャル・デリバリー』って、究極の能力だと思います」

小椋「でも、相手に『お願い』できないとダメだし、一人につき1回だけしか使えないんだよね」

桜木「それでも、スゴイです」

小椋「それに『氏ね』とか、『1億円くれ』とか不可能なお願いはできないっていう」

桜木「そうなんですね」

小椋「スタンド出す場所も限られるし、うまく使わないとね。って、これ女子のトークじゃないよ」

桜木「ふふ」

小椋「……ゆかりは『氏者』って言われて大丈夫だった?」

桜木「そうね、見崎さんからだったんだけど」

桜木「最初ね、聞かれたの、『仗助くんが、氏者だって言われたらどうする?』って」

小椋「……」

142: 2012/10/28(日) 18:58:28.69 ID:NciGOMmao
桜木「びっくりしたけど、彼女なりの気づかいだったのね」

桜木「実際は逆だったんだけど、大事な人に『氏者』だという勇気があるかってことね」

桜木「偶然、彼女は左目で私をみて、私が『氏者』だと気づいた」

小椋「で、東方君には言ったの?」

桜木「見崎さんと一緒にね。まだその時は『子守唄』の仕組が判らなかったのだけど」

桜木「『氏者』が忘れられてしまうかもしれない。というのは今までの例でもあきらかだった」

桜木「自分が氏んだことになる、記憶が改ざんされるってことは、怖いことですよね」

小椋「……」

桜木「でも、私はすでに仗助くんとの戦いで二度氏んでいてもおかしくなかった」

桜木「なので、私も覚悟はできているから、仗助くんも覚悟してくださいと言った」

桜木「忘れられる。忘れてしまう覚悟ですね」

小椋「なんか色々、かなわないな」

桜木「?」

小椋「私も忘れられるのは怖い。でも、半ば諦めかけていた」

小椋「でも、見崎さんに『氏』を視せられて、すごく怖かった」

小椋「おかしいよね。もう『氏者』なのに氏を怖がるなんて」

小椋「こんな怖いこと、もう誰にも味あわせたくないと思った」

小椋「それで、私も少し頑張ってみようと考えなおしたんだよ」

桜木「……」

桜木「いいんじゃないでしょうか?」

桜木「最後に愛と勇気が勝つストーリー、って憧れですよね」

143: 2012/10/28(日) 18:59:46.94 ID:NciGOMmao
恒一と仗助の部屋

仗助「それで、じいちゃんが『お盆は杜王町に帰ってくるんだろうな』とかうるさくてよォ」

仗助「おふくろ一人だと心配だから、夜見山に一緒にいけとか言ッときながら」

仗助「意外とさみしがりや、なんだよなァ」

恒一「おじいさん。一人だとやっぱり辛いんじゃない?」

仗助「みてくれは寂しがるような雰囲気のじいちゃんじゃないんだけどな。強面警察官だし」

恒一「それで、帰省はするの?」

仗助「この『災厄』の一件が片付けばいいんだけど、微妙かも……」

恒一「気にせず、行ってきなよ」

仗助「ま、合宿終わったら、おふくろと相談してみるか」

恒一「僕は東京には誰もいないし、帰省はしないけど」

仗助「親父さん、今、インドにいるんだっけ?」

恒一「うん、夜見山の祖父母だけが身内、みたいな感じかな」

恒一「26年前、『災厄』の始まりの年。千曳先生が3年3組の担任だったんだよね」

仗助「なんか因縁感じるよな」

恒一「実はね、その年、僕のお母さんが3組の生徒だったんだ」

仗助「何! 初耳だぜ」

恒一「そして、15年前。怜子さんも3組の生徒だった」

恒一「その時は、出産のために夜見山に帰っていたお母さんが、僕を産んですぐ……」

仗助「……」

恒一「2年前、怜子さんは3組の担任になった。それで怜子さんも亡くなって」

恒一「そう考えると、僕はこの『災厄』と深い因縁がある」

恒一「『現象』の元凶と何が何でも戦う理由があるってことだよね」

仗助「訳の分からないうちに『氏者』にされる。なんて許せないよなァ」ギリギリ

仗助「俺も、『友達を救うため』だが、きっちりと『現象』にオトシマエをつけてやるぜ」

恒一「そうだね」

144: 2012/10/28(日) 19:00:40.64 ID:NciGOMmao
見崎と赤沢の部屋

赤沢「見崎さんと、ゆっくり話すのってこれが初めてかしらね?」

鳴「……」

鳴「赤沢さん。さっき言ってた、榊原君と昔会ったことあるって話だけど」

赤沢「気になる……わよね、やっぱり」

赤沢「一昨年の10月終わり頃だったと思う。3組の『災厄』でお兄――従兄弟を亡くして」

赤沢「河原で落ち込んでいた時、なぐさめてくれた人がいたの」

鳴「それが……」

赤沢「そう、恒一君だった。転んで助け起こしてくれた手の感触を覚えている」

赤沢「ちょうどその頃、三神先生が亡くなったので、そのお葬式で夜見山に来ていたんだと思う」

鳴「……」

赤沢「でも、恒一君にはその記憶が無いみたい。笑っちゃうわよね、こっちはずっと気になっていたっていうのに」

鳴「榊原君には、詳しく聞いてないの?」

赤沢「詳しく聞いて、本当に覚えてもらえてなかった場合が怖くて」

赤沢「ウソでもいいから『覚えている』って言って欲しいぐらいなのにね」

145: 2012/10/28(日) 19:01:16.76 ID:NciGOMmao
鳴「赤沢さんの従兄弟って、2年前の『災厄』で亡くなっていたんだね」

鳴「榊原君も、お母さんと、三神先生を『災厄』で亡くしている」

鳴「もしかして共通点って、このことかも」

赤沢「でも、見崎さんも従姉妹を……」

鳴「ううん。私は元々スタンド使いだからね。それで除外されているのかもしれない」

鳴「あと本当は未咲、藤岡未咲は私の従姉妹じゃないの」

赤沢「え?」

鳴「双子の姉妹。私が藤岡家から見崎家に養子に出されたの」

鳴「このことは、あまり他の人には言ってない」

鳴「話したくなかったから。でも赤沢さんを信頼するためにも話しておくね」

赤沢「ありがとう。『氏者』が見えるっていうのも」

鳴「それも本当。さらに言えば『子守唄』のスタンド使いが、他のスタンド使いを倒すと」

鳴「『氏者』でなくなる、というのも『視て』確認した」

鳴「高林君はもう『氏者』じゃなくなってた。彼の自立スタンドが未咲を倒したから」

赤沢「そんな……」

赤沢「今まで亡くなった人って。みんなスタンド使い、だったの?」

鳴「その可能性は高い。未咲もスタンドに殺されたはずなのに、病氏の扱いになっていた」

鳴「未咲の場合は、私と同じ、元々スタンド使いだったらしいから」

鳴「記憶の違いが認識できているのかも」

赤沢「じゃあ、お兄や三神先生ももしかしたら……」

鳴「うん」

赤沢「お兄。事故で亡くなったってことになってるのに。私、お兄のことで何か忘れてる事があるのかな?」

鳴「……」

鳴「もう誰も忘れさせない」

赤沢「見崎さん?」

鳴「こんなくだらない『現象』で未咲が氏んだなんて、許さない。必ず止めてみせる」

赤沢「でも『現象』が相手で勝ち目はあるの?」

鳴「『いないもの』なんてのでごまかせるような相手だよ? 私達に何とか出来るチャンスは十分あると思う」

赤沢「そうよ、そうよね。私も対策係なんだから、しっかりしなくちゃ」

146: 2012/10/28(日) 19:02:03.60 ID:NciGOMmao
恒一と仗助の部屋

ドア「コンコン」

仗助「ん? こんな時間に誰だ?」

恒一「どちら様ですか?」

沼田「お休みのところ申し訳ありません。榊原さんに先生から伝言が」

恒一「あ、管理人さんですか、ちょっと待って下さい。今ドア開けますね」

仗助「いや、まて恒一」

仗助「管理人さん! 言伝だけならドア越しでもいいかなァ?」

仗助「ちょっと、パンツ一丁になっちまってるんで」ウソダケド、マダガクランノママダヨ

沼田「……」ガチャガチャ!

仗助「やっぱ、ちょっとおかしいっスね」

沼田「……」ギィィ

恒一「ドアが!」

仗助「マスターキーかなんかで開けたのか?」

沼田「うう」ユラァ

仗助「刃物を持ってる! 恒一、ちょっと下がってろ!」

恒一「他のみんなに連絡するね!」

147: 2012/10/28(日) 19:02:37.56 ID:NciGOMmao
沼田「うばしゃぁぁぁ」ブン!

仗助「廊下まで吹っ飛びな! ドラァッ!」ドッゴーン

沼田「……」ドサッ、カランカラン

中尾「何だ何だ!」

風見「管理人さん? どうして」

仗助「ドア開けて襲ってきやがったんだ」

鳴「大丈夫?」

小椋「『現象』の攻撃なの?」

仗助「どうかなァ?」

桜木「仗助くん、榊原くんは無事?」

仗助「オウ、部屋の中にいるぜ。ほら」ドドドドドド

仗助「な、恒一がいないッ!」

桜木「赤沢さんは?」

仗助「マズイッ!」

??「マーゴ」

鳴「え? 私と赤沢さんの部屋のドアの前に、何かが」

??「ナーゴ」

仗助「これは、ネコ? ネコの形をしたスタンド!」

仗助「ヤバイッ! ドアを早く開けて……」ギィィィ

仗助(なんだこりゃ?)

仗助(ドアの向こうは、一面の雪景色だった)

148: 2012/10/28(日) 19:03:10.56 ID:NciGOMmao
To Be Continued.

154: 2012/10/29(月) 19:33:16.54 ID:LyE/f5ywo
仗助「なんで8月に雪? というか部屋の中のはずなのに、ここ道路じゃねえか!」

仗助「……」

仗助(これもスタンド攻撃か?)

仗助(俺以外の連中はいなくなっている)

仗助(そしてこの異常な事態だが、すでに『1回経験している』気がするッ!)

仗助(エジプト? 過去? なんかそんな言葉が……)

仗助(というか、なんで俺ボロボロに傷ついてるんだァ?)

車「ギャギャギャギャ」

仗助(大雪でタイヤが雪に取られて、動けなくなっている車が目の前にいる)

母親「なんてことッ! 家にいる時、救急車を呼ぶべきだったわ!」

母親「救護の人に『ただのカゼですよ』って言われようとも」

母親「仗助をこの雪の中へつれだすんじゃなかったわ!」

子供「ウーンウーン」

仗助「……」

仗助(病気の子供を、病院に送り届ける途中なのかッ!)

母親「何の用? あっち行きなさいよ」

仗助「その子……病気なんだろう? 車押してやるよ」

母親「え?」

仗助(学ランを、タイヤの下に敷いてと)バッ

仗助(後ろから、全力で押すッ!)ググッ

仗助「さっさとアクセル踏みなよ。走り出したら止まんないでつっ走りなよ」

仗助「また雪にタイヤとられるからな」

車「ギャギャ、ゴゴゴ、グォォォーン」

仗助(雪から脱出できた車の中の子供と、一瞬目があった気がした)

155: 2012/10/29(月) 19:33:44.66 ID:LyE/f5ywo
仗助(さてと、どうするかな?)

仗助(このスタンド攻撃から脱出する方法が、あったはずなんだが。思い出せねぇ)

仗助(このままじゃ凍えちまう)ガクガクブルブル

??「また、迷っているのかい? 面倒なやつだなぁ」

仗助「誰だ!?」

??「そして、さっきと全く同じ反応。代わり映えしないなぁ、東方仗助君」

仗助「ネコ? ネコがしゃべっているッ!」

??「『ドア・イントゥ・サマー』っていう、ちょっとかっこいいスタンド名があるんだけどな」

DIS「まぁ、そんなこと言ってもまた、次には忘れちゃうんだろうけど」

仗助「お前! 俺を攻撃しているのか? これはどういうことだ?」

DIS「また同じ事聞くんだね。仕方ないか」

DIS「ボクは赤沢泉美のスタンドだよ。これは攻撃というかスタンドが暴走しているような状態だ、不本意ながら」

仗助「なんてこった。赤沢も『子守唄』のスタンド使いにされちまったのかよ」

DIS「……今のままだと非常にまずいよ。部屋の周りの人間全て巻き込まれて『こんな』状態になってる」

仗助「どういうことだよおい」

DIS「その人間の『時間』を狂わせて、飛ばしてるんだ」

DIS「具体的には『過去』とか『未来』にね」

仗助「てぇことは、ここは過去か未来ってことか」

DIS「その人間にとって重要な意味のある『過去』か『未来』ってとこだね」

DIS「ボクにも、どこだか――いつだかは、わからない」

仗助「元の時間に戻るには、どーするんだよ!」

DIS「『扉』を探すんだ。ボクはネコみたいな格好しているが、スタンドの本当の本体は扉だ」

DIS「扉をくぐれば、違う時間にいける。もとに戻れるかは運だけどね」

DIS「時間を移動すると、扉をくぐる前の時間の記憶はなくなるから、よろしく」

仗助「こんな、農道のどまんなかで扉なんかあるわけ……」

仗助(目の前に扉がある)バァァァン

DIS「じゃ、がんばって」

156: 2012/10/29(月) 19:34:28.48 ID:LyE/f5ywo
杜王町、コンビニオーソン近くの公園

億泰「仗助! トイレ早かったな?」

仗助(? なんか$とか¥のアクセサリーを学ランにつけた不良が、馴れ馴れしく話しかけてきた)

億泰「おい! どうしたんだよ人のことジロジロみやがって」

仗助「今日は何月何日だっけ?」

億泰「おいおい、頭でも打ったかぁ? 8月2日……あれ? 3日だったかな」オレアタマワルイカラアイマイ

億泰「そういえばお前、なんか怪我してねぇか?」ヤッパコロンダ?

康一「仗助く―ん! 億泰くーん! 大変だよッ!」

仗助(こんどは、見崎や由美よりも背の小さい高校生が来た)

康一「露伴先生が『吉良吉影』の手がかりを見つけたんだよ!」

億泰「何ィーッ! 本当かよ!」

康一「明日の朝8時30分に、この住所で、承太郎さんも含めて待ち合わせする予定なんで」

康一「仗助くんと億泰くんも来てくれるかな?」

仗助(知らない名前ばっかり出てくるな、ここは未来なのか?)

仗助(えーと、なんだっけ? そう、元に戻るには確か扉を)

億泰「おい、仗助? なんかさっきから変だぞ」

仗助「悪ィ。おまえら、俺は赤沢のスタンド攻撃から逃れないとな」

康一「?」

仗助「恒一も行方不明になってるし、すぐに元の時間に戻らないと!」

康一「え? 僕?」

仗助「じゃあな!」

康一「ど、どういうこと? 仗助くん!」

億泰「おい! ちょっとまてよ、おーいッ!」

157: 2012/10/29(月) 19:34:56.84 ID:LyE/f5ywo
地中海、ヴォルガノ島上空5000メートル

仗助「うォォォォォォッ!」

仗助(落ちてるッ! なんか高いところから落ちてるぞ!)

仗助(これは、岩? なんかの岩盤の上に俺はいる)

外国人の男「」

仗助(近くに満身創痍の外人が倒れていやがるぜ。って、コイツの左手なくなってるじゃねーかよ!)

仗助(とりあえず治すッ!)ドギュゥーン

仗助(なんてこった、左手は治らないッ。どこまで吹っ飛んでいっちまったんだ?)

仗助(それに、この高さじゃ、せっかく治しても、ふたりともオダブツだぜ)

岩盤「ヒュルルルル」

仗助(クソーッ! 一か八か、落下直前でこの岩を『直す』しかねえ!)

仗助(岩が元あった場所に戻る力で、なんとか落下の衝撃を和らげる!)

仗助「ドラァッ!!」

岩盤「ギューン」←

仗助「ゲフッ!」ドッポーン

仗助(岩盤が横に移動した! が、衝撃は完全には殺せなかったか)

仗助(外人ともども、岩から投げ出されて海に落ちた)

仗助(体中がきしむように痛い、コレじゃ溺れちまう!)

DIS「扉を探せ……」

仗助(ネコの声が聞こえた気がする)

仗助(ぼんやりとした視界の中、海中に現れた扉のドアノブに右手が届いた)

158: 2012/10/29(月) 19:36:04.82 ID:LyE/f5ywo
夜見山市街

未咲「あれ? 鳴? どうしたの?」

鳴「……」

鳴(未咲? 眼帯している……。これは、前に一緒に買い物に行った帰り?)

未咲「さっき別れたばっかりなのに、なんか忘れ物でもしたのかな?」

鳴「未咲ッ!」ダキッ

未咲「わわわ」

鳴「よかった。また会えた!」

未咲「大げさだなぁ、鳴は。さっきまで一緒にいたじゃない」

鳴「未咲! 未咲ッ!」ボロボロ

未咲「よしよし、大丈夫大丈夫。またすぐ、鳴のうちに泊まりに行くから」ナデナデ

鳴「もう、未咲を一人にしないからね。私が未咲を守ってあげる!」

未咲「そうかそうか、ありがとう、鳴」ニコッ

??「ナーゴ」

鳴「!」

DIS「見崎鳴。ここから戻らないつもりかい?」

鳴「……」

DIS「ずっと、過去の藤岡未咲のそばにいて守ることも出来るだろう」

DIS「でも、それだと『現在』の東方仗助や榊原恒一とはもう会えなくなるんじゃないかな?」

DIS「彼らだけで『現象』と戦わなくてはならない。ボクの本体の赤沢泉美も氏ぬだろうね」

鳴「……」

159: 2012/10/29(月) 19:36:36.79 ID:LyE/f5ywo
DIS「扉をくぐるも残るも、君しだいではある。選択するのは君だ」

DIS「『現在』の仲間と、『過去』の未咲、どちらを取る?」

鳴「……」

未咲「鳴?」

鳴「未咲、ごめんね。私、友達みんなと約束したの。一緒に立ち向かうって、頑張るって」

未咲「お! 鳴にも、大事な友達ができたんだ! よかった」

鳴「うん」

未咲「こんど紹介してね! かっこいい男の子とかもいるのかな?」

鳴「うんうん」ボロボロ

未咲「なんでそこで泣くかなぁ? ま、でも泣きたい時はおもいっきり泣くのもいいよ」

未咲「でも、その分あとで、思いっ切り笑うこと。約束ね」

鳴「うん……うん」ボロボロ

未咲「じゃ、またね。こんど鳴のうちの人形、ゆっくり見せてね」

鳴「未咲……。私もスタン……」

未咲「ん? なに?」

鳴「いえ、なんでもない」

未咲「じゃ気をつけて帰ってね」バイバイ

鳴「さようなら」

鳴(さようなら、未咲)

鳴(私は、振り向いて、『扉』を開けた)

160: 2012/10/29(月) 19:37:17.59 ID:LyE/f5ywo
赤沢邸

和馬「あれ? 泉美ちゃん? 学校早く終わったのかな?」

赤沢「お兄?」

和馬「そんな格好で寒くないかい? 上着羽織ったほうがいいよ」

赤沢「お兄」ボロボロ

和馬「泉美ちゃん、なんかあったの? クラスでケンカしたとか?」

赤沢「いえ、なんでもない。なんでもないよ」

和馬「そっか。僕もあと1週間で卒業。おじさん達にお世話になるのも、もうすぐ終わりだから」

和馬「泉美ちゃん一人でも大丈夫か、ちょっと心配でね」

赤沢「……」

和馬「いつもはこんな事言うと、すぐ怒るのにな。泉美ちゃん、やっぱり調子良くない?」

赤沢(お兄。卒業まで、『生きて』たんだ……)

赤沢(卒業と同時に消えてしまったのね、10月に事故で氏んだことになって……)

赤沢(だから、榊原くんと10月末に会った記憶も、『なかったこと』だったのね)

赤沢「!」

赤沢(いまは、おそらく私もスタンド使いにされてしまった)

赤沢(ならば! お兄が私を倒せば、生きていられる!)

赤沢「お兄。私を」

DIS「おっと、氏なせる訳にはいかないね」

161: 2012/10/29(月) 19:37:58.89 ID:LyE/f5ywo
赤沢「ネコ?」

DIS「君のスタンド『ドア・イントゥ・サマー』だよ」

赤沢「私のスタンドなの?」

DIS「うん、君の意志とは無関係に発動しちゃってるけどね」

DIS「やっと『過去』に飛ばされた君に追いついたところだよ」

赤沢「……」

DIS「君が今ここで氏ぬと、それに巻き込まれて、取り込まれているみんなが抜け出せなくなるよ」

赤沢「それでも!」

DIS「君の他の仲間も、頑張って自分の過去や未来と向き合って『現在』に戻ろうとしている」

DIS「あとは、君が僕を制御できるようになれば、みんなの開放の手助けになれるよ」

赤沢「お兄を、見捨てろっていうの?」

DIS「見崎鳴は、彼女の大事な人と決別したよ」

赤沢「未咲さんのことね……」

DIS「まだ、過去と決別できない者もいるみたいだけど、みんな君を救おうと頑張っている」

DIS「それなのに君が氏んでしまっては、彼らを裏切ることになるよね」

赤沢「スタンドに人の気持ちがわかるっていうの?」

DIS「ボクは君だからね。君の優しさも、弱さも、意志の強さも引き継いでいる」

赤沢「……」

赤沢「お願い。もう少しだけ、お兄と話させてもらっていい?」

DIS「『扉』をくぐると記憶は失われるけど、それでもいいのかい?」

赤沢「うん、すぐ戻るから、必ずみんなのところへ戻るから」

162: 2012/10/29(月) 19:38:50.29 ID:LyE/f5ywo
部屋前廊下

千曳「東方君! 東方君! 大丈夫かい?」

仗助「う、白髪先生か?」

千曳「なんでこんな大ケガを?」

仗助「ここは、合宿所の廊下か。戻ってこれたみたいだな」

千曳「尋常ではないね。今、手当するよ」

仗助「それよりも先生、他の連中を見なかったか?」

千曳「榊原君なら、ホールの方に他の生徒を探しに行くといって出ていったが」

仗助「? 恒一のやつ無事だったのか」

千曳「一体何があったんだ?」

仗助「……管理人さんが、襲ってきたんだ。念のため他の連中も一時避難したほうがいいと思う」

千曳「わかった。じゃあ傷の手当を」

仗助「他の連中の方を優先してもらっていいか? 先生。俺は自分で手当するよ」

千曳「……」

千曳「大丈夫なのかい?」

仗助「こんな傷。大したことないッスよ。はやく避難の方を」

千曳「無理はしないでくれよ」

仗助「……」

仗助(白髪先生、行ったか)

仗助「さーて、赤沢のスタンドから逃れたのは、俺が一番かな?」

仗助「はやく、恒一と合流して、『現象』の攻撃から守らないと」ズルズル

163: 2012/10/29(月) 19:39:27.40 ID:LyE/f5ywo
ホール手前の廊下

中尾「うう……」

仗助「うお、中尾っち。なんで怪我してるんだ?」

仗助(というか、俺よりはやく赤沢のスタンドから回復したのかよ!)

仗助(中尾っち、恐るべし)

中尾「榊原君が……」

仗助「今、治してやるからな」ドギューン

中尾「ス、スマン。榊原君が、スタンドをだして」

仗助「なんだとォ!」

中尾「俺を攻撃してきたんだ」

仗助「恒一も、『子守唄』のスタンド使いになっちまったのかよ!」

恒一「それはちょっと違うね」ゴゴゴゴゴゴ

仗助「!」

恒一「榊原恒一の心は、赤沢泉美のスタンドに囚われたままだ」

恒一「どうやら彼は、過去から戻ってきたくないらしい」ドドドドドド

仗助「てめえ、恒一じゃないな?」

恒一「うん、君たちが『現象』と呼んでいる存在。敵と呼んでいる存在」

恒一「そして、氏を与える存在だよ」

164: 2012/10/29(月) 19:40:05.01 ID:LyE/f5ywo
To Be Continued.

169: 2012/10/31(水) 00:14:30.44 ID:OLEnA7VHo
仗助「てめえが、『現象』か!」ギリギリ

恒一「東方仗助。赤沢泉美のスタンドでだいぶダメージ受けたようだね」

恒一「手間がかからなくなって、よかったよ」

仗助「うるせえ。てめえをぶちのめすぐらいの力は残ってるぜ」

中尾「気をつけろ! 東方君。アイツのスタンドは東方君と同じような近接パワー型だ」

中尾「スピードも早い」

仗助「二人がかりでいくぜ、中尾っち」

中尾「援護はまかせろ! 『プレッシャー・ドロップ』!」

仗助「体が軽くなった。恩に着るぜ!」

恒一「正面から打ち合うつもりか」ユラァ

仗助「そいつがてめえのスタンドか?」

仗助「女性型? のスタンドとは意外だな」

恒一「『アムニージア』と呼んでる」

仗助「なんだろうが、ぶちのめしてやるからよォ!」グオン

仗助「ドラララララァッ!」

恒一「ルアアアアアアァ!」

仗助(コイツ! ラッシュ力は俺のスタンドと互角か?)

仗助(攻撃が当たらないッ!)

中尾「推力をくらえ!」ドンドン

恒一「おっと、危ない」スパパパン

仗助「中尾っちの、スタンド攻撃も弾くか!」

170: 2012/10/31(水) 00:15:29.50 ID:OLEnA7VHo
恒一「やはり、東方仗助のスタンドが一番邪魔だな」

恒一「せっかく、『氏』を与えようとしても、すぐ治されてしまう」

恒一「一番最初に始末するのは、おまえだ」ググン

仗助「ほざいてろォ!」

恒一「そろそろ効いてくるんじゃないかな?」

仗助「?」

仗助(なんだこれは? 自分のスタンドの動きに違和感が……)ルルルル

恒一「ルアッ!」

仗助「ぐあっ」ドッゴーン

恒一「動きづらそうだね、東方仗助。それでは防御するのも難しいかな?」

仗助「クッ! おかしい。スタンドの動作に時間差が」

恒一「それだけじゃない、そうやってしゃべるのも違和感があるだろう?」

恒一「この『アムニージア』のスタンド能力は『記憶操作』」

恒一「榊原恒一の体になじんでないので、本来の力、全ては出せないが」

恒一「記憶を、感覚を0.5秒位遅らせることぐらいなら出来るんだよ」

仗助「自分の動作が、時間差になって伝わってくる! コレじゃまともに動けないぜ」

恒一「それじゃ、改めて」グッ

恒一「ルアアアアアアァ!」ドッゴーン!

仗助「」ドサッ

恒一「ムッ!? 致命傷にならなかった?」

中尾「俺を忘れてねえか? おまえの攻撃を『推力』で減退させた!」

恒一「中尾順太。すぐに氏ぬかと思ったが、しぶといやつだ」

中尾「シンプルな能力は強いんだよ!」

恒一「まあいい、東方仗助はもう再起不能だ。もう治してくれるものはいない」

中尾「うるせえ! 『プレッシャー・ドロップ』!」ドウン

中尾(全推力を叩きこんで吹っ飛ばす!)

恒一「グッ」ドッパーン

中尾(玄関ホールまでふき飛べ! これで、東方君からは離せた)スイリョクダッシュ

171: 2012/10/31(水) 00:16:27.88 ID:OLEnA7VHo
玄関ホール

中尾「すかさず追撃!」

中尾「……」

中尾(消えた!)ヤバイッ

恒一「ルアアッ!」バッ

中尾「上かよ!」ヒュルヒュル

恒一「避けたか」チッ

中尾「そう何度も簡単には捕まらないぜ」ヒュルヒュル

恒一「つくづく、厄介だね君は。やっぱり早めに倒しておくか」

中尾(スタンドの攻撃に当たると、記憶操作、今は感覚遅延か――が起こる)

中尾(離れたま攻撃だ!)ドンドンドン!

恒一「ンー。痛くも痒くもない攻撃だね」パンパンパン

中尾(スタンドの拳で、推力の塊は、はじかれるかッ!)

恒一「そういえば、どうだい? 愛しの赤沢泉美が『氏者』にされた気分は」

中尾(あ、また嫌なこと言い始められたッ。こんなのばっかだよ)

中尾「おまえを倒せば、問題ないな」

恒一「雑魚に、この僕が倒せるとでも?」

中尾(なんか榊原君の姿で言われると、非常にムカツクな)

中尾「いってろ! そんなおまえがわざわざ、俺達の前に姿を表したのには理由があるんだろ?」

中尾「じゃなけりゃ、倒されるリスクを負ってまでこんな事するはずがないからな」

恒一「さすが雑魚の中尾順太君。なかなか鋭いね」

中尾「出てきたタイミングを考えると、赤沢さんがスタンド使いになったからか?」

中尾「赤沢さんのあの能力に何か関係あるんだろ?」

恒一「別に、榊原恒一がスタンド使いになってもよかった。結局同じような能力になっただろうしね」

172: 2012/10/31(水) 00:17:29.85 ID:OLEnA7VHo
中尾「時間操作に関係してるのか?」

中尾「確かに究極の能力だとは思うが」

恒一「それを知ったところで、意味は無い」

中尾「ま、教えてくれるとは思ってなかったけどさ」

中尾「時間さえ稼げればよかったんでな」

恒一「ムッ!?」

中尾(無駄話中に、『プレッシャー・ドロップ』をホール壁全面に配置できた)

中尾(壁が全部スクリューで埋まっている光景は、我ながらちょっとキモいかも)

中尾「これ全部からの攻撃は、『現象』さんにもキツイだろ?」

中尾「くらえ! 360°『プレッシャー・ドロップ』!」ドガガガガガガガガッ

恒一「」ボゴボゴボゴ

シャンデリア「」ガッシャーン

中尾「やったか?」

恒一「スタンドをこれだけ攻撃に使ったということは、回避できなくなったということだよなァーッ」ダラーッ

中尾「ゲッ。まだ動けるのかよ」

恒一「ちょっと痛かったぞ、中尾順太。お返しはたっぷりとしてやる」ゴゴゴゴゴゴ

恒一「『アムニージア』!」

173: 2012/10/31(水) 00:18:30.03 ID:OLEnA7VHo
桜木「『アンブレラ』ーッ!」キンキンキン

中尾「うお! 委員長! 助かったぜ!」

桜木「中尾君。スタンドはそのままで攻撃に徹して!」

桜木「防御は私がやる!」ギュルギュルギュル

恒一「チッ。次から次へと」

桜木「ホール中央へ押し返すッ!」

中尾(よし! もう1回一斉射撃すれば。片がつく!)

中尾「『プレッシャー・ド』……」グサッ

中尾(な、後ろから刺された? 管理人さんが……)ドサッ

中尾「」

沼田「ヒヒヒ」

恒一「よし、スクリューは全て引っ込んだな」

桜木「中尾君! 『アンブレラ』! 管理人さんを吹きとばせ!」

沼田「」ドッゴーン、カラーン

恒一「今のは危なかったな」スタッ

桜木「榊原君……(もう目の前に!)」

恒一「この距離じゃもう『アンブレラ』で防御もできないだろ?」ガシィ

桜木「グッ」ドサッ

恒一「管理人、『剣』を持ってきてくれたか」

恒一「この両刃の小剣が『流子守』っていうんだよ。昔、夜見山に空から降ってきた石で作った剣だ」

恒一「なぜか、コイツに刺されると、スタンド使いになるんだよね。かなり限定的なものだけど」

恒一「そのあたりは君たちのほうが詳しいかな?」

桜木「それで『子守唄』のスタンド……」

恒一「桜木ゆかり、君の『アンブレラ』の先にもこれを少し分けてある。横が欠けてるだろ?」

桜木「あなたはその剣の『何か』なの? 剣のスタンドとか?」

恒一「今となっては『現象』が先だったのか、この剣が先だったのか自分でも曖昧だけどね」

恒一「そうだ、せっかくだから、この剣でとどめを刺してあげよう」

恒一「東方仗助に治されないように首でもはねておいたほうがいいかな?」

174: 2012/10/31(水) 00:19:07.38 ID:OLEnA7VHo
桜木「じゃあ、その剣を壊せば、あなたは消えるのね」ニコリ

恒一「桜木ゆかり、おまえ!」

桜木「『アンブレラ』突撃形態!」グオン

恒一「『アムニージア』!」

桜木「遅い!」ガキィィィィン、バラバラ

恒一「クッ!」

桜木「ぐぅっ! 剣と……同じ材質なら、思い切りぶつければ壊せるでしょう?」ダラダラ

恒一「コイツ! 『アンブレラ』の先が壊れるということは、自分も傷つくということだぞ!」

桜木「わたしの右腕が潰れたみたいね。でも、剣は砕いた。これでもうスタンド使いは増やせない」

桜木「あなたが生きてるのは残念だけど」

恒一「僕は『現象』だ。入れ物が壊れたぐらいじゃ、なくならない」

桜木「でも、『打つ手』は狭まったみたいね」フラッ

恒一「バカなやつだ。無駄氏にだぞ」

桜木「あなたには理解できない? 『氏』をさんざんもてあそんできたなら」

桜木「『氏』に抵抗する人間も、たくさん見てきたはずじゃないの?」

桜木「それとも、あなたは『氏ねない』のかしらね。だから……こん……な……」バタリ

桜木「」

恒一「……」

175: 2012/10/31(水) 00:20:11.35 ID:OLEnA7VHo
鳴「榊原君の体をのっとったのか」

恒一「見崎鳴……僕の正体を『視た』か」

鳴「赤沢さんの、スタンド能力で何をするつもりなの?」

恒一「おまえに教えると思うか?」

赤沢「わたしにも教えてもらえないのかしらね?」

恒一「赤沢泉美、やっと戻ってきたか」

恒一「それなら教えてやってもいいかな」

恒一「僕を『26年前』に戻してくれ」

恒一「そこで、夜見山岬とその家族の運命を変えたい」

鳴「……」

恒一「そもそもの現象の発端は、あの家族が氏んでしまったからだ」

恒一「僕はその運命を変えて、『現象』そのものを無くしたい」

恒一「さっき、桜木ゆかりが言っていたように、僕はなくなることもできないただの『現象』」

恒一「もう、自分の存在が続くことにも飽きた」

恒一「それなら自らの手で、終わりにしたいんだ」

赤沢「……」

赤沢「そのためにみんなを犠牲にしたの?」

恒一「『災厄』として、『氏』を起こすことしかできない僕ができることは限られてる」

恒一「氏がつきまとうのは仕方ないことなんだ」

赤沢「……」

恒一「さぁ、君のスタンドで、僕を過去に送ってくれ!」

176: 2012/10/31(水) 00:20:40.21 ID:OLEnA7VHo
鳴「赤沢さん、私のスタンドは相手のウソを見破ることが出来る」

鳴「あの『現象』の言っていることは……」

鳴「『ウソ』」

赤沢「……!」

恒一「フッ」

鳴「おそらく、過去に行きたいのは本当だろうけど、目的は他にある」

鳴「アイツを過去に連れていってはいけない!」

恒一「『サティン・ドール』。厄介なスタンドだな」

恒一「だが、赤沢泉美にやってもらうことは変わらない」

恒一「荒っぽくなるか、そうじゃないかだけの違いだ」

鳴「……」グオン

恒一「スタンドを出したか! 僕のスタンド特性も見破られているのかな?」

恒一「正面から打ち合ったら、東方仗助の二の舞になるよ」

鳴「わからないよ」ズンズン

恒一「バカめ」スッ

恒一「ルアアアアアアァ!」

鳴「…………………………!」ドゴドゴドゴドゴ!

赤沢「見崎さん!」

恒一「感覚遅延!」

177: 2012/10/31(水) 00:21:32.87 ID:OLEnA7VHo
鳴「クッ…………………!」ドゴドゴドゴドゴ!

恒一「頑張るね」

鳴「そこ!」ドガッ

恒一「グッ! だがそろそろ」

鳴「……………」ルルルル

恒一「ダメだったようだね、見崎鳴。ルアッ!」ドガッ

鳴「!」ドッゴーン

恒一「さて、赤沢泉美。どうする? 僕と戦ってみるかい? それともおとなしく『扉』をだすかい?」

赤沢「……」

鳴「うう」ボロッ

恒一「君がおとなしく、『扉』を出してくれれば、見崎鳴は氏なずにすむんだけどな」

赤沢「ひどい」ギリギリ

恒一「まぁ、見崎鳴を頃したあとでも、無理やりやってもらうけど」

鳴「……」

??「まてよ」

178: 2012/10/31(水) 00:22:08.78 ID:OLEnA7VHo
??「俺を、忘れてねえか?」

恒一「東方仗助、まだ動けたのか?』

仗助「勝手に、再起不能にしてんじゃねーぞ」ボロッ

恒一「いや、どう見ても立ってるだけで精一杯の状態だけどね」

仗助「そう思いたきゃ、そう思っとくんだな」ガクガク

恒一「足元もふらついてるよ。そんなにとどめを刺してもらいたいのか?」

仗助「赤沢には手出しさせねぇ!」カバッテマエニデル

恒一「赤沢泉美はともかく、見崎鳴の助けにもならないと思うけどね」ガシッ

鳴「うっ」ジタバタ

恒一「この状態で何とか出来るかな?」

鳴「東方君……。戦っちゃダメ」

赤沢「お願い! やめて!」

恒一「……」

赤沢「わかった、言うこと聞くから。私のお願いを聞いて」

恒一「やっと『扉』を出す気になったか」

赤沢「出すから、私のお願いを聞いて欲しいの」

恒一「いいだろう。見崎鳴を頃すなということか?」

赤沢「いいや、お願いはこれだ!『榊原君の体から出て正々堂々と勝負しな!』」

179: 2012/10/31(水) 00:23:29.56 ID:OLEnA7VHo
赤沢「『スペシャル・デリバリー』!」ギュイーン

恒一(な! 重機のスタンドが正面玄関から突っ込んで!)

恒一「小椋由美……なんでおまえが!」ウィンウィン

小椋「見崎さんの『サティン・ドール』で、泉美の姿になるようお前に見せてたんだよ!」

小椋「東方君の影に隠れて入れ替わってね!」

恒一「」ドサッ

現象「クソッ! 体が『アムニージア』のスタンド体だけになってしまった!」

仗助「風見委員長! 俺のコンティニュー頼むぜ!」9、8、7…

風見「了解!『イン・メモリー』!」ポチットナ

風見「いてて、東方君、早くゆかりを、みんなを治してくれッ」

仗助「アア、わかってる」ダッシュ

鳴「榊原君……まだ目を覚まさない」

仗助「とりあえずヤツから離してくれ、見崎」

現象(追い詰められているのか? 『氏』を司るこの僕が)

現象(こんな、ガキどもに!)

中尾「おっと、逃さないぜ」ヒュルヒュル

桜木「もう逃げられる『流子守の剣』もない」ギュルギュルギュル

仗助「氏なない存在でも、殴られたらやっぱり痛いだろうなあ」

鳴「…………………」

現象(うわぁぁぁぁ)

180: 2012/10/31(水) 00:24:02.73 ID:OLEnA7VHo
仗助「覚悟はいいか?」ググッ

仗助「ドララララララララララララララララララララララララララララララララララ」

仗助「ラララララララララララララララララララララララララララララララララララ」

仗助「ドラァァァァッ!」

現象「ルアァァァッパアァ―ッ!」ドッゴーン

鳴「……」グッ

鳴「………………………………………………!」ドガドガドガドガドガドガッ!

鳴「………………………………………………!」バコバコバコバコバコバコバコバコッ!

鳴「………………………………………………!」ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴッ!

現象「アッナッズアァァァァァ!」ドグシャァァ

181: 2012/10/31(水) 00:24:42.22 ID:OLEnA7VHo
現象(僕はやられたのか?)

現象(ど、どこか逃げるところはないのか?)

ドア「……」ゴゴゴゴゴゴ

現象(こ、これは赤沢泉美のスタンド!)

現象(なぜ目の前で発動しているんだ?)

現象(このままここにいては、奴らに滅ぼされるだけ)

現象(逃げて、再び『氏』をばらまく存在にッ)ガシッ

ドア「ギィィィィ」ガチャン

182: 2012/10/31(水) 00:25:24.20 ID:OLEnA7VHo
DIS「ようこそ」

現象(ネコ?)

DIS「『ドア・イントゥ・サマー』だよ。扉をくぐったものの案内役」

DIS「君は過去へ行きたがってたんだよね」

現象「過去に戻って、歴史を変え、ルールに縛られない新しい『氏』の『災厄』として生まれ変わりたかった」

現象「26年前でも、何千年前でも、何億年前でもよかった、その時代の生物に氏を与え続ける存在として」

現象「3年3組の中だけで絶対的な存在より、世界で絶対的な存在になるために」

DIS「ボクには理解し難い欲求だね。でもまぁ、やりたいことはそれぞれってことか」

DIS「赤沢泉美は、そんな君を『過去』ではなく『未来』へ飛ばしたよ」

DIS「これは彼女の君に対する攻撃だ」

DIS「よって、ここは君にとって重要な未来なはずだ」

DIS「君の欲求が叶えられるかどうかわからないけど、せいぜい頑張ることだね」

DIS「じゃ、ボクはこの辺でさようなら」

DIS「もう扉も作れなくなるだろうから会うこともないね」

183: 2012/10/31(水) 00:26:15.70 ID:OLEnA7VHo
現象(未来? 未来だって?)

現象(日付を探る……今は、『2012年3月21日』。もうすぐ3年3組の現象が始まる4月だ)

現象(たった14年後の未来か! またこの年から『氏』を振りまけばいいだけだ!)

現象(赤沢泉美め、これで俺を追い払ったつもりか?)

現象(だが、なにか違和感が……)

現象(……おかしい、人間がすべて動かなくなっている!)

現象(人間だけじゃない、ネコも犬も、アリも細菌も!)

現象(4月になった……誰も、動かないまま、誰も夜見山北中3年3組に入ってこない)

現象(10年が過ぎた……誰も、動かない。生物は氏ぬこともなく静止したままだ)

現象(100年が過ぎ……1000年が過ぎても)

現象(生物は皆止まったまま。何も氏なない、何も動かない)

現象(日付だけが過ぎ、虚しい4月が繰り返していく)

現象(僕はあと何年これを繰り返せばいいんだ? 僕はいつまでこうしていればいいんだ?)

現象(誰か教えてくれェェェェッ)

ドア「ギィィィィ」バタン

Stairway to Heaven. Made In Heaven.

184: 2012/10/31(水) 00:26:47.81 ID:OLEnA7VHo
鳴「……ら君、榊原君!」

恒一「見崎?」ウーン

鳴「よかった! 気がついて」ダキッ

恒一「ワワッ。見崎!///」

仗助「まったくよォ。もうちょっと早く気づけよな」

恒一「仗助くん。ごめん」

恒一「みんなが戦っていたの、なんとなく気づいてたんだ」

恒一「でも、目と耳をふさいで。お母さんと怜子さんに会っていたような気がする」

恒一「でも怜子さんに怒られて……」

仗助「ストップ! 恒一、バカ正直にみんな話さなくてもいいぜ!」

仗助「そういう事は、自分の心だけにしまっといていい」

赤沢「恒一君! よかった!」ダキツキ、ボロボロ

鳴「ちょっと!」

恒一「わわわわ///」

仗助「モテル男はうらやましいぜ」ハハハ

中尾「」チーン

小椋「あーあ、氏んでるよ、中尾」

風見「ま、仕方ないね」メガネクイッ

桜木(私も仗助くんに抱きついちゃダメかな?///)

185: 2012/10/31(水) 00:27:22.03 ID:OLEnA7VHo
鳴(合宿は1泊で中止となった。管理人さんはケガもなく何も覚えていないようだった)

鳴(『子守唄』のスタンド使いだった人たちは、みんなスタンドを使えなくなった)

鳴(そのかわり、私の左目には彼らの姿は何も映らなくなった)

鳴(恒一君と私は、恒一君のお母さんと三神先生のお墓参りにいった。あとで未咲の墓参りにもいこう)

鳴(赤沢さん、中尾君はまだ対策係をやめていない。8月が無事に終わるまでは気を抜かないようにしているらしい)

鳴(風見君は桜木さんに、改めて告白したという噂が流れたが、結果は知らない)

鳴(桜木さんは、東方君についてまわっているが、二人の仲が進展したとかは聞かない)

鳴(小椋さんと綾野さんは、千曳先生と演劇部の文化発表会の準備に忙しい。久保寺先生も夏休み明けには学校に戻ってくるそうだ)

鳴(勅使河原くんと望月くんは、私達から『現象』のことについて色々聞きたがっているが、いまだにはぐらかされている)

鳴(お盆休みには、東方君は杜王町に帰省した。久しぶりにおじいさんに会いに行くそうだ)

鳴(こうして、夜見山の1998年の夏は、ほとんどの人々にとって、いつもの夏と同じように過ぎていった)

ゴゴゴゴゴゴ

鳴(夜見山北中3年3組の奇妙な『現象』についての物語はこれまで)

鳴(他の奇妙な出来事については、また別の機会に)




恒一「東方仗助君? 仗助ってジョジョって読めるよね」  完


186: 2012/10/31(水) 00:27:52.72 ID:OLEnA7VHo
物語はこれで完結です

あと、おまけを書いてからHTML化の依頼をしたいと思います
最後まで読んでいただきありがとうございました

188: 2012/10/31(水) 07:19:41.16 ID:B1cx8z3ao
乙!おもしろかった
おまけにも期待してます

190: 2012/10/31(水) 17:43:12.88 ID:OLEnA7VHo
夜見山北中放送室

金木「こんにちは、3年3組で一番の美人、金木杏子です。あんこちゃんって呼んでね」

松井「こんにちは、3年3組で一番のカワイコちゃん、松井亜紀です」

和久井「こんにちは。3年3組で一番の喘息持ち、和久井大輔です」ゲホゲホ

松井「さて、あんこちゃん。ここではSS後半のオリジナルスタンドを前回同様紹介していきます」

金木「おまけの、後半では他にも出演のなかったキャラがいろいろ考察してくれますよ」

和久井「考察といえば、このSSの『子守唄』のスタンド使いってAnother本編で[ピーー]されたキャラばっかりだよね」

金木「そうそう、私と亜紀も[ピーー]されたのに、スタンド使えなかった……」

松井「二人一組で戦うコンビスタイルとかやりたかったのに~」シクシク

金木「良ぉ~し、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよし。泣かないでね~」ナデナデ

和久井「ふ、ふたりとも相変わらず仲いいね」

和久井(というか、スタンド以前に出演がなかったことを悲しんだほうがいいんじゃ?)

191: 2012/10/31(水) 17:43:41.50 ID:OLEnA7VHo
スタンド名――『スペシャル・デリバリー』

本体――――― 小椋由美

破壊力――A スピード――D 射程距離――B

持続力――C 精密動作性―D 成長性―――E


和久井「他人になんでもお願い頼める重機スタンドだね」

松井「なんでもお願いできるっていいよね」

金木「亜紀のお願いだったら私が聞いてあげるよ」

松井「あんこちゃん///」

和久井「……。一番背の小さいキャラが、見崎さんと小椋さんなんだけど」

和久井「かたや最強スタンド、かたや最大スタンドってのが面白いよね」

和久井「ふたつのアームを持っていて、ビジュアルは「双腕重機」でググってみてください」

金木松井「キャッキャウフフ」

和久井(仕事しろ)

192: 2012/10/31(水) 17:44:29.69 ID:OLEnA7VHo
スタンド名――『プレッシャー・ドロップ』

本体――――― 中尾順太

破壊力――C スピード――A 射程距離――B

持続力――C 精密動作性―B 成長性―――C



金木「みんな大好き中尾君のスタンドの解説は、まかせろー。推力を操る、群体スタンドだね」

松井「ビジュアルはスクリューだけど、中尾くんから生えているんじゃなくて、後ろから吹き付けてる感じだね」

金木「他に特殊能力はないんだけど、シンプル=強いのがスタンドだよね」

和久井「中尾君がこんなにかっこいいSSって他にあるんだろうか?」

松井「人気はあるとおもうけど、中尾君」マカセロー

金木「私達なんて他のSSにもほとんど出てないしね」ムスッ

193: 2012/10/31(水) 17:45:13.51 ID:OLEnA7VHo
スタンド名――『ドア・イントゥ・サマー』

本体――――― 赤沢泉美

破壊力――E スピード――E 射程距離――B

持続力――C 精密動作性―E 成長性―――E

松井「ネコかわいい。ねこだいすき」

金木「でも、このネコの喋り方。なんかどっかで聞いた感じなのよね」

和久井「ネコはおまけで、本体は扉のスタンドだね」

和久井「時間を操るスタンドって、ジョジョ本編ではボス級だけど、このスタンドは戦闘能力なし」

和久井「そのかわり未来にも過去にもいけます」

和久井「その人の重要な過去や未来なので、いちいち時間とか覚えてなくてもヨサゲなのがいいね」

松井「ハインラインのSFも面白いよー」ピートカワイイ

194: 2012/10/31(水) 17:46:03.31 ID:OLEnA7VHo
スタンド名――『アムニージア』

本体――――― ?

破壊力――B スピード――A 射程距離――C

持続力――B 精密動作性―A 成長性―――E

和久井「『現象』さんのスタンドだね。相手の記憶を操作する」

金木「Another原作だと『現象』は記録も操作できるのよね。もしかしてその能力もあるのかも」

松井「私の黒歴史ノートもなくして欲しい」

和久井(捨てろよ)

金木「女性型スタンドってことは、『現象』さんて実は女?」

松井「夜見山岬は男だったのにね」

和久井「この呼名って『アムネジア』じゃないの?」

松井「『記憶喪失』ならそっちのほうが一般的だけど、洋楽のタイトル読みだとこっちなんで」

195: 2012/10/31(水) 17:46:52.23 ID:OLEnA7VHo
和久井「以上、スタンド解説終わり」

金木「次は、考察をお願いしまーす」

松井「私たちはここまでで出番終わりです」バイバーイ



江藤「こんにちは、ショートカット水泳部少女の江藤悠です」

中島「こんにちは、先生のあのシーンで一番目立っていた中島幸子です」

佐藤「こんにちは、ポニーテールぐらいしか特徴がない佐藤和江です」

米村「こんにちは、原作、コミックでは氏んだのにアニメではちゃっかり生き残った米村茂樹です」

江藤「だんだん自己紹介がやけくそになってきてるね」ヤレヤレ

米村「これでクラス全員、SSにでたかな?」

佐藤「忘れられてた人がいたら、多分その人が『いないもの』なのかもね」

中島「ここからはこのSS本編の考察をしていきたいと思います」

米村「蛇足にならなきゃいいけどな」

佐藤(オイ)

196: 2012/10/31(水) 17:47:38.63 ID:OLEnA7VHo
佐藤「結局、今年の『氏者』って誰だったの?」

江藤「SS本編では全く、触れられてないですね」

米村「スタンド使いが『氏者』になるって方が、クローズアップされていたからなあ」

中島「つまり、最初の『氏者』ってことね」

中島「これはおそらく、原作と同じなんじゃないかしら?」

中島「あの人もスタンド使いっぽいし、『記憶を操作する』能力を持っていた」

中島「それで、自分が氏者であることに気づいて、人知れず自分を『氏に還した』」

中島「それで誰の記憶にも残ってないんじゃないかなと」

江藤「ほうほう」

中島「あの人だけSSにあからさまに出てこないしね」

佐藤「ただ単に>>1が説明忘れていたという説もある。これも記憶の改ざんか!」

米村(それがオチかよ)

197: 2012/10/31(水) 17:48:09.19 ID:OLEnA7VHo
米村「『現象』を葬り去る方法って、他になかったのかな?」

佐藤「いくらスタンドが出てくる世界でも、災害と同じ扱いの『現象』さんに対抗するのは非常に大変」

佐藤「めちゃくちゃ『過去』に飛ばしちゃう。って手はどうかな?」

江藤「それだと、この『現象』さん。本編でも自分で言ってたけど、別の『災厄』になるんじゃない?」

中島「恐竜が絶滅したのは、実は『現象』さんが原因だった!」

米村「嫌な結末だな」

江藤「やっぱりあの終わり方が一番しっくり来るかな」

米村「吐き気をもよおす邪悪にふさわしい最後だね」

佐藤「もともと、>>1は『現象』さんの擬人化、というかスタンド化をしないで」

佐藤「原作通り『災害』の概念のままにしておきたかったみたい」

江藤「ソッチのほうがより不気味ですからね、杜王町の『決して振り返ってはいけない路地』みたいな」

佐藤「でもやめちゃった」

江藤「なんで?」

佐藤「だって『オラオラ』できないじゃない」

米村「なるほど」

198: 2012/10/31(水) 17:48:45.10 ID:OLEnA7VHo
江藤「そういえば、『流子守』だっけ? あれってなんか唐突じゃない?」

佐藤「一応、富山県の隕石の元ネタあるんですけどね。『流星刀』でググってみてください」

佐藤「『弓と矢』のエピソードで、矢が隕石から作られたというのに合わせてます」

米村「誰がこの剣、持ってたんだろうな? 夜見山岬の家族あたりかな?」

佐藤「あと『子守唄』のスタンド使いには法則があって」

佐藤「全部、人型以外のスタンドになってます」

佐藤「それ以外の天然のスタンド使いは人型が基本になっているのと対照的です」

中島(天然て)

米村「そういえば、見崎さんが4歳の時に重病になったのって……」

米村「まさか、見崎さんもジョースターの血統?」

中島「星型のあざ、探してみる? 通報するけど」

米村「ソレハヤメトキマス」

199: 2012/10/31(水) 17:50:21.31 ID:OLEnA7VHo
中島「さっき上の方で言ってたけど、スタンド使いのキャラって見崎さんを除いて」

中島「全員[ピーー]した人たちだけど。[ピーー]だったのに、スタンド使いにならなかった人もいるね」

米村「綾野さん、杉浦さん、王子君あたりがそうかな?」

江藤(なんか忘れられてる人いるような気もするけど)

米村「特に綾野さんは、実はボツ案があって。本当はクルマのスタンド使いになるはずだった」

米村「夜見山ICから東海北陸道に乗って『スペシャル・デリバリー』とカーチェイスしたりとか」

米村「『子守唄』のスタンドが夜見山から出るとどうなるか、とかの話だったみたい」

佐藤「なんでボツになっちゃったの?」

米村「某三部のスタンドとかぶってたし、中学生がクルマ運転するのは無理あったからね」

米村「小椋さんと綾野さんの出番が減っちゃったのは、残念だけど」

江藤「ボツスタンドといえば、本当はラスト、榊原君もスタンド使いになる予定があった」

佐藤「本編でも『現象』さんのだけど『アムニージア』使ってたけどね」

江藤「やっぱり時間操作系で、『塔』の形をしたスタンド」

江藤「塔の階段を登っていくと壁面に歴史が描いてあって、そこから過去へいける感じ」

米村「でもボツね」

江藤「榊原君、あんまり目立ててなかったから、いっそ最後は敵役にしちゃえと」

中島「ラストの榊原君、生き生きしてたからね」

佐藤「それはそれで、本人的にどうなんだろう」

200: 2012/10/31(水) 17:50:55.38 ID:OLEnA7VHo
中島「以上で考察も終わりです」

江藤「長々としたSSでしたが、ジョジョ好き、Another好きの人に楽しんでもらえたら幸いです」

佐藤「これを機に、元ネタ両方、もしくはどちらか知らない人は原作に興味持ってもらえたらうれしいかな」

米村「誤字や変な文章もあり、すいませんでした」

中島「では機会がありましたら!」

一同「またね~」

201: 2012/10/31(水) 17:51:26.17 ID:OLEnA7VHo
おまけ終了です
お付き合いありがとうございました!

数日後にHTML化、申請します

203: 2012/11/01(木) 07:12:54.77 ID:d98K/JuIO
乙!

面白かったぞ

204: 2012/11/03(土) 17:58:21.84 ID:zF+36kKIO
ドギャ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乙_____ンッッ!!

引用: 恒一「東方仗助君? 仗助ってジョジョって読めるよね」