150: ◆svsd2HZT5E 2012/03/18(日) 23:11:39 ID:OBQ0cQ.A0
ムギ律「今年のホワイトデーはクッキーなしの方向で!」
151: 2012/03/18(日) 23:13:28 ID:OBQ0cQ.A0
ホワイトデー前日
寒い寒い寒いったらさみぃ。
りっちゃんが言いました。
私は隣でマフラーに顔半分をうずめて白い息を吐いて遊んでいました。
CDショップは大きな音でレコードを回しています。
紬「私この曲知ってる。たしかボン・ジョヴィよねっ」
律「うん。でも私はあんま好きじゃないなあ」
紬「なんで?」
律「商業ロックって感じでさ。いや別にいいんだけど」
紬「商業は嫌い?」
律「うん。なんかさ、そういういろんな物を金稼ぎに使うってやじゃね?」
そっか。
わたしは言いました。
マフラーしてるから私が悲しい顔したのはりっちゃんにはわからなかったはずです。
寒い寒い寒いったらさみぃ。
りっちゃんが言いました。
私は隣でマフラーに顔半分をうずめて白い息を吐いて遊んでいました。
CDショップは大きな音でレコードを回しています。
紬「私この曲知ってる。たしかボン・ジョヴィよねっ」
律「うん。でも私はあんま好きじゃないなあ」
紬「なんで?」
律「商業ロックって感じでさ。いや別にいいんだけど」
紬「商業は嫌い?」
律「うん。なんかさ、そういういろんな物を金稼ぎに使うってやじゃね?」
そっか。
わたしは言いました。
マフラーしてるから私が悲しい顔したのはりっちゃんにはわからなかったはずです。
152: 2012/03/18(日) 23:14:05 ID:OBQ0cQ.A0
紬「そういえばホワイトデーもそうよね」
律「クッキー屋の販促だっけ?」
紬「うん」
律「何でも記念日になっちゃうもんなー。梓なんて誕生日がポッキーの日だからポッキーばっかもらって困るですです!っていってたぞ」
紬「ふふっ。でもそれはちょっと違うかも」
律「えーまじかよ」
沈黙。
なんとなくさみしいねなんて。
律「クッキー屋の販促だっけ?」
紬「うん」
律「何でも記念日になっちゃうもんなー。梓なんて誕生日がポッキーの日だからポッキーばっかもらって困るですです!っていってたぞ」
紬「ふふっ。でもそれはちょっと違うかも」
律「えーまじかよ」
沈黙。
なんとなくさみしいねなんて。
153: 2012/03/18(日) 23:15:32 ID:OBQ0cQ.A0
律「ホワイトデーってさ勝ち組のための日だよなあ」
紬「そうかしら?」
律「だってチョコもらったやつだけが返せるわけじゃん」
紬「ああたしかにそうね」
律「ムギは誰かにもらえたのかー?」
紬「あずさちゃん」
律「私の勝ちだな」
紬「だれ?」
律「聡……」
紬「あいされてるのねっ」
律「うるせっ」
曲がり角がやってきてりっちゃんが消えました。
わたしは手を振ります。
りっちゃんが小さく手をあげる。
154: 2012/03/18(日) 23:22:48 ID:OBQ0cQ.A0
たしかそうかも。
私は思いました。
チョコを貰わないとクッキーを返せない。
あーあ。
りっちゃんにクッキーあげたかったなあ。
家に帰る。
お母様はニコニコ笑顔。
ためいきはあ。
紬「随分嬉しそうですね」
ムギ母「そりゃあもうあれよ。明日はホワイトデーイーコルクッキーの日よ」
紬「そうでした」
155: 2012/03/18(日) 23:41:36 ID:OBQ0cQ.A0
私の家は今では琴吹グループとかそんなようなうさんくさいような事業をしていますが、もとはといえばわたしのひいおじいちゃん、あれおじいちゃんだっけ?とにかくそのかたがクッキー屋を開業したのが始まりなのです。
さらにこれが今私を悩ましているんですけど、なんとホワイトデーを日本で最初に始めたらしいのです。
しかもそこからどんどん規模を拡大していったとか何とか。
りっちゃんにはホワイトデーはずるいって言われちゃったし。
愛で客を釣ってるのかなあ。
嫌な仕事。
もちろん、お客様には何も悪いとこはないし、微笑ましいことなんですけどね。
まあでも因果応報?っていうのかなあ。
あーあなんでわたしの家族はこんな心苦しいしきたりをつくちゃったのかしら。
この際もう一つ文句を言わせてもらえば、わたしは子供の頃からクッキー職人になることを運命付けられてのも。
夢かあ。
クッキー職人。あはは。
156: 2012/03/18(日) 23:51:07 ID:OBQ0cQ.A0
そんな自分勝手でわがままでくだらない衝動にとりつかれた私は、笑う豚の貯金箱を粉々にして家を飛び出しました。
手始めに近所のクッキー屋を襲撃します。
紬「ここにあるクッキーぜーんぶくださいっ!」
そんな風にして街中のクッキー屋を襲いました。
手一杯の袋とクッキーでいっぱいのお腹をひっさげながら夕暮れの坂道。
私が思ったのは、ばかだなあってことです。
りっちゃんの家が見えたらもっと悲しくなって、りっちゃんだったら絶対にこんなことしないだろうなって思って泣きそうになって幼いなって。
あーあ。
家に帰って寝た。
157: 2012/03/18(日) 23:58:49 ID:OBQ0cQ.A0
ホワイトデー当日!
憂「朝だよ」
唯「はっ!雪降ってない。昨日の天気用は嘘だったのかあ。くそうだまされたあ。ホワイトホワイトデーだと思ったのにそういやあずにゃんにクッキー買ってないや!」
・・・・・・・・・・・・
唯「ええっ!ここもっ?」
人「はいすいません売り切れなんです」
唯「むう。ねぼうしたあ・・・・・・」
唯「みんなはどうしたんだろ?」
憂「朝だよ」
唯「はっ!雪降ってない。昨日の天気用は嘘だったのかあ。くそうだまされたあ。ホワイトホワイトデーだと思ったのにそういやあずにゃんにクッキー買ってないや!」
・・・・・・・・・・・・
唯「ええっ!ここもっ?」
人「はいすいません売り切れなんです」
唯「むう。ねぼうしたあ・・・・・・」
唯「みんなはどうしたんだろ?」
158: 2012/03/19(月) 00:05:30 ID:fN.aBq0M0
学校が終わって今日は部室が使えないので部活もなしでした。
教室でみんなが大騒ぎしてました。
澪ちゃん唯ちゃんりっちゃんは3にんで集まってきっと梓ちゃんへのお返しをどうするのか話し合っていたのでしょうが、あんなことした私が加わっていいとは思えず逃げるように帰ってしまいました。
ごめんね梓ちゃん。
街を歩きます。
今日は寒い。
昨日よりずっと。
マフラーに顔をうずめて寂しい顔をまた隠しました。
159: 2012/03/19(月) 00:17:17 ID:fN.aBq0M0
ぶらぶらぶらぶらしてたらいつの間にかりっちゃんちの家の前にいました。
そこで立ち止まります。
また、あーあ。
「ねえ」
後ろから肩を叩かれました。
振り向く。
ふにゅ。
指がほっぺに当たる。
律「あははっ」
紬「りっちゃんなんで?」
律「なんでってここ私の家だぜ」
紬「そっか」
160: 2012/03/19(月) 00:17:53 ID:fN.aBq0M0
律「それよりさっみぃよ。さむいさむいさむいさむいっ……ほらっ」
紬「さむいさむいさむいさむいっ!」
律「寒い時は?」
紬「寒い時は?」
律「鍋だろっばかっ」
そう言うとりっちゃんは私の頭を小突きます。
へこんだ。
笑う。
161: 2012/03/19(月) 00:26:49 ID:fN.aBq0M0
律「ほらっ材料も買ってあるし」
紬「で、でもクッキー買い占めたのわたしなのっ」
律「へーきだよへーき」
紬「だって」
人「ああ律じゃないか。今日は鍋か」
律「あ、隣の大学生のお兄さん。そうだよホワイトデーだもん」
人「そっかホワイトデーかいいね鍋。クッキーが売ってなくて困ってたけど鍋にするか彼女の家で」
律「リア充爆発しろ!……な、言っただろムギ」
紬「え、うん」
律「今頃唯たちも鍋パしてるって。わたしたちは二人でだ」
りっちゃんはいたずらっぽく笑いました。
162: 2012/03/19(月) 00:34:58 ID:fN.aBq0M0
純「あ、澪センパーイ醤油とってください……えへへ」
梓「なんであんたがいんのよ」
純「それひどい。わたしだってせんぱいにチョコ上げたもん」
唯「ありゃもう肉ないのー?」
憂「まだあるよーとってくるね」
澪「あ、わたしが行くよ」
憂「だいじょうぶわたしがいきますから」
澪「いやいやわたしが」
唯「じゃあ私行こうかなあーなーんて」
憂澪「どうぞどうぞっ」
唯「えーーっ」
163: 2012/03/19(月) 00:38:18 ID:fN.aBq0M0
ムギ母「あなた、今日は鍋にしてみたわ」
ムギ父「おほんっ。我が家は代々この日はクッキーと」
ムギ母「いいじゃないたまには。それに私のクッキーはいつ食べたって美味しいわよ」
ムギ父「それもそうだな」
164: 2012/03/19(月) 00:44:41 ID:fN.aBq0M0
TV「カワッた地域ショー!今日はちょっと変なホワイトデーをしてるという桜が丘にやってきました。あの人に話を聞いてみましょう」
さわこ「あ」
TV「ここではホワイトデーに鍋をするという投稿があったのですが。ほんとですか?」
さわこ「知らないわよっ。それよりA、TV見てるならいますぐわたしにお返しくらいしろぉぉっ」
TV「ひい」
ぷるるっ。
さわこ「……え?唯ちゃんの家でで鍋パ?行くわいますぐっ」
165: 2012/03/19(月) 00:55:23 ID:fN.aBq0M0
りっちゃんが鍋の準備をすると言いはるのでわたしはTVを見ていました。
こちらをちらりと見たりっちゃんが言いました。
律「なんだっていいんだよな別に。大事なのは他にあってさ。まあでもムギの作ったクッキーは食べたいかな。すごそうだし」
紬「ほんと?」
律「マジだって。私クッキーって好きだな」
紬「すこし、クッキー職人になりたくなったわ」
律「じゃあ店でも開く?ムギがクッキーを作ってわたしが鍋を出すんだ。完璧だろ?」
紬「だめよ。それじゃあおたがいのが食べられないじゃない」
律「だなっ」
166: 2012/03/19(月) 01:05:28 ID:fN.aBq0M0
りっちゃんが口笛を吹きながら鍋を持ってきます。
私も真似したけど口笛は苦手で。
りっちゃんが笑う。
紬「ねえ、その曲って」
律「ああ、あのときはむぎのまえでさ、かっこつけちゃったけどいいものはやっぱいいよな」
紬「うん」
コーラのグラスをあわせて乾杯。
鍋を食べる。
紬「あっつっいー」
律「そうそう暑いものを好んで食べるのはにんげんだけなんだってさ。だからどうってわけでもないけどさ。
むぎのあっちって顔が見たくてわざと熱めにしたんだ」
紬「ひどいっ」
私たちは笑いました。
外では雪が降ってたけどそれには気づけなくて。
そんなホワイトホワイトデー。
おわり!
167: 2012/03/19(月) 01:06:41 ID:fN.aBq0M0
思ったより時間かかった。
後の方まじでごめんなさい。
後の方まじでごめんなさい。
引用: 唯「バレンタインのお返しだよ!」
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