181: ◆wZtGucU..Q 2012/03/19(月) 01:37:02 ID:eAEPwXPIO
純「あぁもう、まったくブラック…」
純梓

182: 2012/03/19(月) 01:39:27 ID:eAEPwXPIO
純「もうすぐホワイトデーか」

梓「そうだねぇ」

純「何ていうかさ、バレンタインと同じじゃんね」

梓「え、なんで?」

純「バレンタインってみんな何かしらお菓子作ってくるでしょ」

梓「うん、それで大交換会だね」

純「ホワイトデーもきっと似たような光景になるかなって」

梓「どうかなぁ。その日のうちにお返ししてるみたいなものだから、もうみんなあんまり作ってこないかも」

純「だったらなおさらつまんないよ。そんなのないに等しいよ」

梓「純はお菓子が食べたいだけじゃん」

純「まぁ、それは…なきにしもあらずだけど」

梓「それだけしかあらずでしょ」

純「ちがっ、くっ…」

梓「そんなにお菓子が食べたいならまたみんなで作ればいいんじゃない?憂に教わって…」

純「だ、だめだよ3人じゃ!」

梓「はっ?」
けいおん! アクリルスタンドコレクション BOX商品

183: 2012/03/19(月) 01:41:14 ID:eAEPwXPIO
純「え、いやあの、私ちょっといいこと思いついたんだけど!」

梓「う、うん」

純「ねぇ梓っ、ホワイトデーがあるならブラックデーがあってもいいと思わない?」

梓「ブラックデーって…何する日になるの」

純「それはーえっと…嫌いな人に超ビターなチョコあげる日にするとか?」

梓「何その嫌味なイベント、絶対流行らないよ」

純「なにぃー!?すごいひらめきだと思ったのに」

梓「それがいいことなの?」

純「え?あ、そうそう!でもこれ憂にはちょっとできないかなぁって…」

梓「うーん…まぁ確かに」

純「でしょ!憂は練習練習言わないしお菓子くれるし、嫌いになるポイントがないっていうかさ」

梓「ふーん…それで私に?」

184: 2012/03/19(月) 01:44:11 ID:eAEPwXPIO
純「そうそう、ってあれ?」

梓「純はそんなに苦いチョコが食べたいんだ」

純「違う違う!あ、梓ならこんなジョークもわかってくれるかなぁなんて思ったり…」

梓「いいよ。受けて立つよ」

純「へ…?」

梓「ホワイトデーまでにどっちがよりお互いを嫌いになれるか勝負だよ」

純「嫌いに…ってえ?え?」

梓「言い出したことを後悔しないようにね」ニコッ

純「いや、目が全然笑ってないよ…」

梓「じゃあね純」スタスタ

純「梓、待ってよーっ!」

185: 2012/03/19(月) 01:46:46 ID:eAEPwXPIO
純「梓行っちゃったよ…」

純「どうしよう…思ってた展開と全然違うんだけど」

純「梓からもらいたかっただけなんだけどなぁ」

純「いや、一応もらえるのか」

純「でもその前に恐ろしく嫌われる…」

純「あぁーもうどうすればー!」

186: 2012/03/19(月) 01:48:51 ID:eAEPwXPIO
―――

憂「でね、お姉ちゃんがね」

純「へーそうなんだー」チラッ

梓「…」

憂「ところで梓ちゃん。さっきから何書いてるの?」

梓「これはね、得点表かな」

憂「なんの得点?」

梓「純の」

純「わ、わたし?」

憂「純ちゃんのかわいいところでもメモしてるの?」

純「ぶっ!?」

梓「汚いなぁ…はい減点だね」

憂「減点ってことは、ダメなとこをチェックしてるのかな」

梓「さすが憂、せいかーい」

憂「でもどうして?」

梓「純に勝負挑まれちゃって。私負けず嫌いだから」

純「それは梓が言い出したんじゃんかー」

梓「そうやって自分の言ったことも守らない、はい減点」

純「う…」

187: 2012/03/19(月) 01:51:10 ID:eAEPwXPIO
憂「変わった勝負してるんだねぇ」

純「梓は手強いんだよう憂ー…」

憂「今は梓ちゃんの方が有利なの、かな?」

梓「とりあえず気は抜いてないつもり」

純「手加減してくれてもいいんだよ?」

梓「何言ってんの、これで勝ったら文句は言わせないんだから」

純「ぶー、今のは減点だー梓」

梓「まぁその調子でがんばりなよ。じゃあね、二人とも」

憂「またね梓ちゃん」

純「ばいばーい…」

188: 2012/03/19(月) 01:53:43 ID:eAEPwXPIO
憂「ねぇ純ちゃん、なにがあったの?」

純「あはは…自分でもよくわかんないけど場のなりゆきというか」

憂「梓ちゃんにチョコもらえそう?」

純「それはもうとびきり苦いのになるかも」

憂「それが梓ちゃんなりの愛情表現…?」

純「いやいや、どストレートに私はあなたが嫌いですーだよ」

憂「ええっ、梓ちゃんに嫌われたらだめだよっ」

純「だよねー…素直にチョコ欲しいって言わなかった自分が悪いんだけど」

憂「でも梓ちゃん本気じゃないと思うんだけどなぁ」

純「今日の梓見たでしょ?私ホワイトデーまで生きられるかな…」

189: 2012/03/19(月) 01:55:52 ID:eAEPwXPIO
憂「私が純ちゃんがかわいそうだからやめてって言おっか」

純「そんなことしたらまた私大減点されるかも」

憂「それじゃ純ちゃんが…」

純「平気平気、私が耐えたらすむんだから、ね?」

憂「でも…」

純「ごめんね憂、結局巻き込んじゃった」

憂「私は全然いいけど、もしかして私おじゃまだった?」

純「そうじゃないよ!第一冗談でも憂のダメなとこは見つからないしね」

憂「嬉しいようなさみしいような…」

純「それにね、ほんとはね」

憂「うん?」

純「梓と二人だけで、ってちょっとうれしかったりして」

憂「なぁんだ、そっか。ふふっ」

190: 2012/03/19(月) 01:58:11 ID:eAEPwXPIO
純「…ただ恐ろしく冷たいんだけどね」

憂「だ、大丈夫だよ純ちゃん!きっとうまくいくよっ」

純「うまくいっても大嫌いになられちゃおしまい…やっぱやめ…」

憂「ええっ!?」

純「うそうそ。しかしどうやって梓に嫌われようかなぁ」

憂「そうだねぇ。でも今日梓ちゃんの様子だと自然に見つけてくれそうだから、いつも通りの純ちゃんで平気かも」

純「いつも通りのダメな私で」

純「って憂それ…励ましになってないよ…」

憂「ごめんね純ちゃん、冗談だよーっ」

191: 2012/03/19(月) 02:00:17 ID:eAEPwXPIO
―――

純「梓、ほんとにチョコくれるかな」

純「この勝負のことどう思ってるのかな…」

純「うー…あずさぁー…」ブーブー

純「ん?メール?」

 『明日話があるから。梓』

純「ひぃっ!?な、なにこれ…」

純「こわいなぁ、また怒られるのかな」

純「は、話ってなに?と」ピッ ブーブー

 『いいから逃げないでよね!』

純「わ、わかりました、っと」ピッ

純「梓はほんと手強いよ…うぅ」

192: 2012/03/19(月) 02:02:27 ID:eAEPwXPIO
―――

梓「あ、やっと来た」

純「いやぁその心の準備が」

梓「逃げたらもう取り返しつかないぐらい減点してあげたのに」

純「かなり負けてる気がするから、私なりの努力なんだよ!」

梓「意外と根気あるんだね、純」クスッ

純「そ、そうでしょー」

梓「なら安心したよ。てっきり放棄したのかと思ってた」

純「え、していいの?」

193: 2012/03/19(月) 02:04:40 ID:eAEPwXPIO
梓「どうなっても知らないよ?」

純「は、八方塞がり…」ガクッ

梓「まぁあと少しだし、もうちょっとがんばって」

純「勝負の相手励ますとか、余裕だね梓…」

梓「言っとくけど、勝ったら文句は言わせないからね」

純「ちゃんと練習します…」

梓「それはもちろん。あと超ビターなチョコ目の前で完食してもらいます」

純「ねぇ私が勝つ可能性は…」

梓「さぁ?」

純「くっそー見てなよ!大どんでん返しを…!」

梓「楽しみにしてるよ」

純「はい…」

194: 2012/03/19(月) 02:07:14 ID:eAEPwXPIO
純「どうやら梓は本気で私に激苦チョコを食べさせるつもりらしい」

純「こうなったらもう…やけくそだ!」

純「梓をびっくりさせてやるんだから!」ゴクゴクッ

純「あぁもうまずいっ!!」ゲホゲホッ

純「…」ジーッ

純「憂に手伝ってもらうしかないかなぁ」ピッ

純「あ、もしもし憂?」

195: 2012/03/19(月) 02:08:58 ID:eAEPwXPIO
―――

憂「純ちゃん、どんなチョコにする?」

純「もうね、とびっきり甘いのにしてやる!」

憂「苦いチョコじゃなくて平気?」

純「梓に一発くらわすにはこれしかない!」

憂「そうだね、きっとびっくりしちゃうね」

純「ほんと?憂もそう思う?」

憂「なんなら形もハートとかにしちゃう?」

純「それはちょっと、恥ずかしいというか」

憂「せっかくだからそのぐらいしちゃおうよ!」

純「やけにノリノリだね憂、ってあれ?」

純「憂もチョコ作ってたの?このボウル」

196: 2012/03/19(月) 02:11:08 ID:eAEPwXPIO
憂「え!?あ、お姉ちゃんにあげようと思ってっ」

純「やけに真っ黒だけど、ってこれ苦っ!」

憂「ち、ちょっと焦げちゃったんだぁ」

純「でもなんかおいしいかも、さすが憂だね」

憂「え…?純ちゃん…?」

純「ん?」ペロッ

憂「ううん、何にも…」

197: 2012/03/19(月) 02:13:21 ID:eAEPwXPIO
―――

純「ついに今日がホワイトデーならぬブラックデーだ…」

純「大丈夫、準備は万端だよね、チョコ持ったしそれに…」

純「トイレ行っといた方がいいかも…うーん」ブツブツ

梓「ちょっとどこ行くの、純」

純「へっ!?げっ!」

梓「この期に及んで逃げようとするなんて…」ハァ

純「ち、違う違う!誤解だからっ!」

梓「まったく…じゃあ勝負の結果ですが」コホン

純「は、はい」

梓「私から発表するよ。純の得点は…」

梓「-50000点ってところかな」

純「うっぷ…」

198: 2012/03/19(月) 02:15:37 ID:eAEPwXPIO
梓「これでも甘く採点したつもりなんだよ」

梓「で、私の得点は?」

純「じゃあ…マイナス…」

純「5点ぐらい?」

梓「はぁ?」

純「しょうがないじゃん、私いちいちメモ取ったりしてないよっ」

梓「…やっぱり真面目にやらなかったんだね」

純「…梓のこと嫌いになれるわけないじゃん」ボソッ

梓「なにか言った?」

純「いや、何にもっ」

梓「何はともあれ私の勝ちだね、はい」

純「これは恐怖の…」

199: 2012/03/19(月) 02:18:15 ID:eAEPwXPIO
梓「あ、私怖くて味見してないから」

純「見事に真っ黒だ…」

梓「ねぇ純。私言ったよね?」

純「はひ?」ポリ

梓「勝ったら文句は言わせないって」

純「にっがー!がああ」ジタバタ

梓「だから、純に選択の余地はないんだよ」

純「あああ…れ」

梓「私と付き合っ…て」

純「…うん、意外といけるや」ポリポリ

梓「…どう?私の気持ち込めたチョコの味は」グググ

200: 2012/03/19(月) 02:20:36 ID:eAEPwXPIO
純「おいしいよ?」

梓「はぁ!?そんなわけないじゃん!」

純「梓も食べる?はい」

梓「ん、いや、にっが、何これ!?」

純「梓が作ったんじゃん」

梓「そうだけど、はー…純はこれがおいしいの?」

純「うん」ポリポリ

梓「…どんだけ盲目なの」

梓「で。返事は?」

純「返事?あぁ!そうだった!」ガサガサ

純「はいこれ!」

201: 2012/03/19(月) 02:22:46 ID:eAEPwXPIO
梓「…食べろってこと?」

純「まぁ食べてみなよー」ワクワク

梓「いただき、ます」パク

純「どう?どう?」

梓「あっま、甘い…」

純「びっくりした?びっくりした?」

梓「どういう意味でこれ作ったの」

純「え、それは…」

梓「何で照れるの…」

純「言っちゃっていい?」

梓「早く言いなよ、苦いチョコ作ってくるはずなのに。わけわかんない」

202: 2012/03/19(月) 02:24:50 ID:eAEPwXPIO
純「梓を嫌いになんてなれるかー!ばーか!大好きだー!って」

梓「っ…ねぇ。さっきの私の話聞いてた?」

純「え?何か言ってたの?」

梓「純なんか…純なんか…」

梓「だいっきらいだーっ!!」

純「なんで?どうして?ほんとに嫌いになっちゃったの…?」ウルウル

梓「そんなバカな純は激苦チョコ食べてればいいよっ」プイッ

純「うん、全部食べるよ?」

梓「あーもうっ!私が勝った意味全然ないじゃん!」ダッ

203: 2012/03/19(月) 02:27:23 ID:eAEPwXPIO
純「!?」ドンッ

梓「…」グスッ

純「あ、梓?」ソー

梓「ちょっと、じっとしてて」グリグリ

純「うん、でも」ギュッ

梓「文句言う権利はないのっ」ギュウウウ

純「そうなんだけどね、えっと」モゾモゾ

梓「…なに」

純「その、私…トイレに、えへへ…」

梓「…」プルプル

梓「さ…さっさと行けーっ!!」ギャー

純「は、はひぃっ!」

204: 2012/03/19(月) 02:30:40 ID:eAEPwXPIO
憂「うふふ、やっぱりうまくいったねっ」

憂「あれ?」

 コロコロコロ…

憂「もー純ちゃん、ゴミはちゃんと捨てなきゃだめだよ」

憂「これでよし、っと」カラン

 『厳選ドリップ ブラック 無糖』

おわり

205: 2012/03/19(月) 02:32:39 ID:eAEPwXPIO
以上です!
ありがとうございました

引用: 唯「バレンタインのお返しだよ!」