724: 2021/11/19(金) 22:08:10.87 ID:pYa2Z27w0


勇者「魔王は一体どこにいる?」シリーズです

最初から:勇者「魔王は一体どこにいる?」
前回:勇者「魔王は一体どこにいる?」【月を夢見て編】


 『古都キ・カイ』


フワフワ ドッスン


剣士「どうして海に沢山船が出てる?」

商人「豪族の船だよ…どういう訳か集まってるね…行こうか」

剣士「待って!やっぱり様子がおかしい…人が寄って来る」

商人「え?」

女オーク「剣士!あの二人が居るわ」

剣士「飛ぶ…」グイ フワフワ


シュゴーーーー バサバサ


商人「この飛空艇は目立ち過ぎか…」

剣士「どこか他に降りられる場所は?」

商人「キ・カイの外に降りるしかない…そこで飛空艇を隠そう」

剣士「おっけ!…商人さんと女オークもこれを持って」ジャラ

商人「アダマンタイトと魔方陣のペンダント…」

剣士「僕はデリンジャーを使う所を豪族の関係者に見られて居るんだ…そのせいで付け狙われてるんだと思う」

商人「それで豪族が集まってる?」

剣士「そんな気がする…爺いじも豪族と戦ってるって言ってたから捕獲したいんだよきっと」

商人「君は頭が回るね…よしハイディングして僕だけ商人ギルドに戻る」

剣士「え?渡したい物があるって…」

商人「僕が取りに行けば済む事さ…渡したいのは北の大陸の詳細地図とちょっとした機械さ」

剣士「あー地図があると助かる」

商人「君達は飛空艇で待って居てくれれば良い…すぐに戻るから」

剣士「うん…待ってる」





フワフワ ドッスン


商人「よし!場所は分かったからハイディングで隠しておいて」

剣士「おっけ!ハイディング!」スゥ
725: 2021/11/19(金) 22:09:04.27 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド裏』


タッタッタ

この馬車には戻って来て無ぇか?

見てねぇっすね

くっそ逃げられたか

あの女絶対海賊王の娘だ…変装までやるとは

デカい体は隠し切れて無いっすよ


商人「あぁぁすいません通ります…」

野郎1「おいお前!!コンくらいの背の高さの赤毛の女見て無ぇか?」

商人「赤毛?あー見ました…地下の方にさっき居りて行きましたよ?」

野郎1「なんだと?おい!!チャンスだ地下の入り口張りに行くぞ」

野郎2「やっと金をガッポリ稼ぐチャンスか…」

野郎1「全員で地下を炙りだす…ぐふふふふあの女壊れるまでヤリ尽くしてやるからな」

商人「では…」---こいつ等生きて居たのか---

野郎1「俺は先に地下入り口行くから野郎2は仲間集めて来い」

野郎2「なんでお前が命令するんだ!!俺に借金返してから言えタワケ」

野郎1「まぁそう言うな?金は全部お前にやる…俺はあの女とヤリまくるだけで良い」

野郎2「ちぃぃぃその言葉忘れるなよ?」タッタッタ


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--------------

726: 2021/11/19(金) 22:09:53.78 ID:pYa2Z27w0
『1時間後_キ・カイの外』


タッタッタ


商人「どこだ?分からなくなっちゃったな…」

剣士「リリース」スゥ

商人「うわ!!」

剣士「危なかった…商人さんと重なる所だった」

商人「一回見失うと探せないね」

剣士「うん…そう思ってた」

商人「地図と計算機…それからこれはジャイロ…そして高度計」

剣士「おぉ!!欲しかった奴だ」

商人「速度計は無いから自分で工夫して…女海賊はパイプに水を入れて速度に換算してた」

剣士「やってみる…」

商人「それから豪族達が追ってるのは君じゃ無くて女オークの方だね…どうも海賊王の娘と思ってる様だ」

剣士「アハ…ビッグママに背格好は似てるね」

商人「それはそれで都合が良い…色々利用できるからね」

剣士「戻って来た時に樽をどうやって運び入れよう?」

商人「そのまま名も無き島に持って行ってくれれば良いよ」

剣士「あ!そうか…じゃぁ早速行くね」

商人「もう一つ朗報だよ…影武者に綺麗な髪の毛が生えて来ている…肌はすっかり綺麗になったよ」

剣士「それは良かった…彼女によろしく言っておいて」

商人「フフ伝えておく…じゃぁ気を付けて」

剣士「うん…」スタ

727: 2021/11/19(金) 22:10:43.40 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「女オーク?操舵変わって?」

女オーク「うん…任せて」

剣士「よし改造するぞぉ!!」

女オーク「ウフフ…」ニッコリ


まずジャイロ…これと羽を金属糸で繋いで連動させてバランスさせよう

高度計は下限が来たら上昇するように

速度は連通管を先端と側面で差圧を測る様にしよう


トンテンカン トンテンカン

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『数時間後』


女オーク「どう?」

剣士「時間を測る方法が無いから勘になっちゃうけど大分自動で方向修正出来てると思う」

女オーク「大体羅針盤の方向には向かってるのね?」

剣士「うん…細かいズレはしょうがないかな風向きも変わっちゃうし」

女オーク「高度が下がると変な方向に向いてしまう様ね」

剣士「速度得る為にはしょうがないんだよね…本当は偏西風に乗りっ放しが良いんだけどさ」

女オーク「どのくらいで到着出来そうなの?」

剣士「ママの飛空艇だと狭間に入って5日くらいだったんだ…帆で進むタイプだからジグザグに進む」

女オーク「真っ直ぐだともっと早いでしょう?」

剣士「単純に距離で言ったら半分くらいにはなってると思う…海の上だと何処まで進んでるか分からないんだよ」

女オーク「小舟で海を漂流していたのが昔の事みたい…」

剣士「ハハそうだね?そんなに昔じゃないのに」

女オーク「移動する速さって早くなるほど遅かった時が過去の事に感じる…どうして?」

剣士「ハッ…時空だ…しまった勉強していない」


魔女が言って居たのはコレか

全てを知った後に思い返すと知らなかった時の長さは短い…そして過去に感じる

でも本当は今と同じ長さだった筈…それが短く感じるのは時空がそこにあるからだ

量子転移

分かったぞ

過去はすぐそこにある

6000年前もすぐそこにある…知るか知らないかの差だけなんだ

728: 2021/11/19(金) 22:11:37.42 ID:pYa2Z27w0
『1日後』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「リリース!」スゥ

女オーク「羅針盤の方向はズレて無いわ」

剣士「まだ海の上かぁ…」

女オーク「左後ろに島が見える」

剣士「どこの島だろ…あれ?でも…」クンクン

剣士「花粉が飛んでる…陸地近いぞ?」

剣士「なんで花粉?これ大分東に流されて…」

女オーク「望遠鏡で陸地見えてる…正面は崖ね」

剣士「崖…崖あああここか!!セントラルの上は通れない…東にかなり流れてる」グイ

女オーク「真っ直ぐ飛ぶのはやっぱり難しいのね」

剣士「でも早いよ…この位置だとあと1日かからないでシャ・バクダに着く」

女オーク「右前方に河口…」

剣士「場所把握…ここだ!河口に漁村が有る筈…このまま行けば森だ」

剣士「よし!ハイディング!」スゥ


---------------



『森南部上空』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「右手見て…10年前の隕石跡地だ」

女オーク「月の模様と同じ物?」

剣士「どうかな?丸くなってるね…そこだけ木が薄い」

女オーク「正面にも…」

剣士「昔は森が全部燃えてる様に見えていたけど…よく見るとまだまだ森は大きいなぁ」

女オーク「円の中心に水が溜まってる…湖になっているのね」

剣士「そうだね…ちょっと地図に書き足しておく」

女オーク「場所わかる?」

剣士「大体ね…山の形で追ってる…ここだ」

女オーク「左前方森の切れ目よ」

剣士「おけおけ!切れ目沿いに北上しよう…場所の把握しやすい」グイ


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729: 2021/11/19(金) 22:12:24.38 ID:pYa2Z27w0
『翌朝_シャ・バクダ付近』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「見えた…あれがシャ・バクダだと思う…」

女オーク「廃墟?」

剣士「まだ誰か住んでるんだろうか…」

女オーク「建物が全部破壊されて…あ!シカが飼われてるわ?」

剣士「一応誰か居そうだね」

女オーク「降りるの?」

剣士「ちょっとオアシスの付近の地形だけ確認してから降りよう」

女オーク「オアシスは何処だろう?見えない」

剣士「森になってるのか…降りて聞いた方が早そうだな…降りよう」

女オーク「うん…」


---------------



『廃墟_シャ・バクダ』


ヒュゥゥゥ サラサラ


剣士「…もう町としては機能していないんだ」

女オーク「人が来るわ…気を付けて」


男「お前達!!何処から来た!!」スラーン

女「…」ギリリ


剣士「あ…旅の者だよ…情報屋という人を訪ねに来たんだ」

男「人間か…南から来たんだな?」

剣士「まぁ…南の方だね」

男「魔物が多い…建屋に入れ」

女「ドラゴンが居なくなった…早く」

剣士「ドラゴン?」

男「ここらはしきりにドラゴンが飛び回る…危ないから建屋に」

730: 2021/11/19(金) 22:13:29.59 ID:pYa2Z27w0

『監視所』


ガチャリ バタン


監督「おいおいまた迷い込んで来たのかぁ?」

衛兵1「まぁそこに掛けろ…」

衛兵2「あなた達何処から?」

剣士「キ・カイから来たと言って信じて貰えるのかな?ハハ」

監督「アホか…どうせスプリガン狩りで森に迷い込んだだけだろう…ったく」

衛兵1「情報屋を尋ねに来たと言うのは?」

剣士「うん…遺跡の調査をしている筈なんだ」

監督「アレだ女王お抱えの部隊に調査員が居る…多分そいつだ」

剣士「今何処に?」

衛兵1「オアシス砦の方に部隊が駐留している…どちらにせよ放浪者はそちらに移送するんだが…」

衛兵2「行くしか無いわね…」

監督「ここを空ける訳にはイカン…お前達まで怪我をしては…」

衛兵1「どうします?先に応援要請しましょうか?」

剣士「あの…僕達自分で行けるよ…周辺の地理と場所だけ教えて欲しい」

監督「冒険者気取りかぁ?そう言って何人も担ぎ込まれてる」

剣士「そんなにこの辺は魔物が?」

監督「デザートウルフにスプリガン…リザードマンにミノタウロスまでうろつく…お前等に行けるのか?」

剣士「ハハ大丈夫だよ」

衛兵1「監督…この2人は体格も良くて装備も整ってます…伝令を任せてみては?」

監督「応援要請か…ふ~む」ジロジロ

731: 2021/11/19(金) 22:13:58.40 ID:pYa2Z27w0

衛兵2「シカを貸与すれば割と安全にオアシスまでは行ける筈」

監督「シカに乗って逃げるのがオチだ…伝令は頼めん」

女オーク「シカを買い取るのはどうかしら?」

監督「お前等金持ってるのか?1頭金貨2枚だ…払えんだろう」

女オーク「…」チャリン

監督「うぉ…ここはシカの斡旋所では無いんだが…」

衛兵2「餌も少ないし良いかと…」

監督「まぁ良い…書簡にシカの補給も書留よう」カキカキ

衛兵1「手が掛からんだけ助かる…周辺の地図はコレだ…何かに書き写してくれ」パサ

剣士「ペンが無い…」

衛兵2「ペンよ…ほら」ポイ

剣士「ありがとう…」カキカキ

監督「よし!書簡が出来た…これをオアシス砦の衛兵の誰かに渡せば良い」

剣士「うん…」

衛兵1「夜は魔物が活発になる…移動するなら今の内に行くんだ」

衛兵2「どうしても魔物から逃げられない場合は遺跡に向かえばエルフに助けられる筈…」

剣士「遺跡にエルフが?」

監督「エルフに攻撃はするな!?関係が悪くなると俺達もここには居られなくなる」

剣士「分かったエルフは味方ね」

衛兵2「味方では無くてただのエルフの好意…繋がりは何も無い」

剣士「そっか…じゃぁ行く…ありがとう」スタ

732: 2021/11/19(金) 22:21:01.38 ID:pYa2Z27w0
『森の入り口_星の観測所の有った所』


ドスドスドス 


剣士「有った!!目印の瓦礫だ…ここから森に入れば獣道沿いで遺跡には行けるみたいだ」

女オーク「オアシスの砦には行かないの?」

剣士「うーん…どうしようかなぁ」

女オーク「目的地は遺跡?」

剣士「遺跡に行けば情報屋さんに会えるかなと思ったけど…オアシス砦に向かった方が良いかもなぁ…」

女オーク「剣士!!上」

剣士「え?あ…ドラゴンだったのか」

女オーク「気付いてた?」

剣士「何の匂いだったか気になってたんだ…旋回してるね」

女オーク「呑気にしてて良いの?」

剣士「ドラゴンはエルフに悪さしない限り襲って来ないよ」

女オーク「そうなんだ…」

剣士「でも旋回してるから何か見張ってるんだろうね」

女オーク「私達は平気?」

剣士「心配無いよ…ワームが沢山居る」

女オーク「そう…」

剣士「よし!決めた!!先にオアシス砦に行こう…その後に遺跡だ」

女オーク「うん…」

733: 2021/11/19(金) 22:21:41.80 ID:pYa2Z27w0
『獣道』


アオ~~~ン アオ~~ン


女オーク「ウルフの遠吠え…」

剣士「昼間から遠吠えはおかしい…何かに警戒してる」

女オーク「急ぎましょ」

剣士「そうだね…ウルフとは戦いたくない」


ザワザワ


剣士「む…エルフに見張られてる…」クンクン

女オーク「何処?」

剣士「遠くて分からない…複数」クンクン

女オーク「森に近付くなという事かしら?」

剣士「さぁね?先を急ごう…」


ドスドス ドスドス



『オアシス砦』


おい!誰か来たぞ

監視所の奴らじゃないか?


衛兵「止まれ!!お前達は何者か?」

剣士「監視所から書簡を届けに…これを」パサ

衛兵「ふむふむ…なるほど怪我人が出て人員が居ないのか…それで代わりに」

剣士「僕達は情報屋という人を尋ねに来たんだけどここに居るかな?」

衛兵「一先ず門の中に入れ…話はそこで聞く」

剣士「うん…ありがとう」グイ


ドスドス


女オーク「中は小さな町なんだ…」

衛兵「…それで情報屋を尋ねに来たと言う事だが…まずお前達は誰だ?」

剣士「えーと…どう伝えれば良いかな…シン・リーンの魔女の使いだと言えば信じて貰える?」

衛兵「何!ではお前は魔術師か?」

剣士「うん…照明魔法!」ピカー

衛兵「おぉ!!シン・リーンが要請に応じた訳か…ササこちらへ」

剣士「要請?」

衛兵「聞いて居ないか?魔物が増えて対処し切れなくなっているのだ」

剣士「ゴメン何も聞かされて居ない」

衛兵「怪我人の治癒だけでも随分助かる」

剣士「それなら簡単だよ…どうすれば?」

衛兵「兵舎に居る…流行り病も多い」

剣士「おっけ!任せて」

衛兵「案内する」

734: 2021/11/19(金) 22:22:19.27 ID:pYa2Z27w0
『兵舎』


ぅぅぅぅ…治療師はまだか

毒消しがもう無い…辛抱しろ


衛兵「おい!喜べ!魔術師が来たぞ!」

剣士「うわ…皆毒に掛かってるのか…どうして?」

衛兵「スプリガンとスライムだ…加えて最近はマンイーターという植物の魔物も発生している」

剣士「まとめて一気に治療するよ?驚かない様に?」

衛兵「回復魔法に驚くも何も…」

剣士「線虫!毒を食らえ!」ザワザワ ニョロリ


ワサワサワサ ニョロニョロ


衛兵「虫!!うわぁぁ」タジ

剣士「大丈夫…虫が全部毒を食べて体も癒すから」

衛兵「こ…これで治療は終わりか?」

剣士「うん!直ぐに良くなるから安心して?」


ぎゃぁぁぁ助けてくれぇぇ

ひぃぃぃ虫が…虫がぁぁぁ


衛兵「シン・リーンもまた特殊な魔術師を送って来る…」

剣士「ところで情報屋さんは何処に?」

衛兵「あぁそうだったな…残念だが入れ違いになっている」

剣士「ええ!!もしかして居ない?」

衛兵「随分前にシン・リーンの気球に乗って何処かへ向かった様だ…至急の事で行き先はわからん」

剣士「なんだ無駄足だったかぁ…困ったなぁ」

衛兵「なんなら砦に身を置いて戦力になって貰えると助かるのだが…」

剣士「用事があっていつまでも居る訳には行かないんだ」

衛兵「情報屋を訪ねる以外に用事があると?」

剣士「精霊樹に行きたいんだよ…場所が分からない…情報屋さんに聞こうと思ってたのさ」

衛兵「この辺りの事情を知らない様だな?」

剣士「事情?」

衛兵「精霊樹は遺跡の北西に位置するがエルフの許可が無いと立ち入れないのだ」

剣士「遺跡の北西ね…おけおけ」

衛兵「聞いて居るのか?エルフの許可が…ん?まさか魔女様の許可を得ている?」

剣士「ハハ…まぁそんな感じかな」

衛兵「許可を得ているなら行っても構わんがくれぐれもエルフと揉め事だけは起こさない様に」

剣士「大丈夫だよ」

衛兵「森で野生の動物を倒すのは厳禁だ…クマが相手でも手を出さない様に」


ピーーーーーー ピーーーーーー


衛兵「敵襲!?話はここまでだ」ダダダ

735: 2021/11/19(金) 22:22:50.97 ID:pYa2Z27w0
『中庭』


ガヤガヤ ドタドタ

閉門!!閉門!!

ダメだぁ!!撃つな!!


門番「北側にウルフ20頭…西側にも20頭ほどに囲まれてる」

衛兵「松明を用意しろ!!火で寄せ付けるな」ドタドタ


剣士「…参ったな門を閉じられちゃった」

女オーク「足止めね…」

剣士「今から精霊樹に行っても夜になるから一晩待とうか」

女オーク「上…」

剣士「ドラゴンずっと旋回してるね…なんか思ったより慌ただしいなぁ」

女オーク「夏なのに雪も少しチラついてる」

剣士「寒くなりそうだね…宿あるんだろうか?」

女オーク「寒さ凌ぐのは兵舎で良いのでは?」

剣士「折角だしベッドで寝たいよね」

女オーク「シたいの?」

剣士「ハハずっとシテ無いしね」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あ!そうだ…どうして君が金貨持ってる?」

女オーク「剣士はお金に無頓着だからって商人が私に渡したの」

剣士「なんだ…そういう風に見られてたのか」

女オーク「お金ある?」

剣士「全部飛空艇に置いてきた」

女オーク「ほらね?」

剣士「ハハまさかお金が必要になるとは思ってなかったさ」

女オーク「私はお金の相場が分からないから心配…」

剣士「シカ一匹金貨2枚はちょっと高いかな…でもあの場合は仕方ない」

剣士「それで商人さんから幾ら貰った?」

女オーク「金貨10枚…残り6枚ね」

剣士「なんだケチだなぁ…色々協力した割に…」

女オーク「代わりに地図とか羅針盤を貰ったでしょう?」

剣士「まぁ良いや!宿探そう」スタ

736: 2021/11/19(金) 22:25:51.23 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


オンギャー オンギャー


婆「おやおや…定期便が来ていないのにお客とは珍しい…おぉよしよし」

女オーク「赤ちゃん?珍しい…」

剣士「本当だね…」

婆「騒がしくて済まないねぇ」

剣士「宿空いてる?」

婆「食事の用意は無いが良いかね?」

剣士「寒さ凌げれば良い…一晩いくら?」

婆「一人銀貨5枚だよ」

女オーク「はい…」コロン

婆「あらま?金貨かね…お釣りが用意出来んのだがどこぞで銀貨に変えて来れんか?」

剣士「露店も商人も居なかったんだ…どうしようかな」

女オーク「もう良いじゃない?どうせ使い道無いのだし」

剣士「ハハお金に無頓着は君も同じじゃ無いか」

婆「釣りを用意出来んのは悪いでせめてコレを持ってお行き」ジャラリ ドスン

剣士「銀貨50とお酒かぁ…このお酒は?」

婆「サボテン酒だで?昔はサボテンが沢山あったのだが今はもう無いで貴重な酒なんよ」

剣士「おけおけ!思わぬ楽しみが増えたよ」

婆「ゆっくり休んで行きーな」

赤ちゃん「オギャーオギャー」ヒック

737: 2021/11/19(金) 22:26:24.96 ID:pYa2Z27w0
『部屋』


ガチャリ バタン


女オーク「質素なお部屋…」

剣士「さて!どっちが強いか勝負しようか」

女オーク「もう?ウフフ良いわ」


ドタン バタン ドスドス

-------------

-------------

-------------


剣士「フフフ僕の勝ちだ!」

女オーク「ま…まだ…」ビク ビク


ザワザワ ザワザワ


剣士「外が騒がしいな…」

女オーク「逃げる気?」ガクガク

剣士「ちょっと様子見て来る…君は休んでて良い」ゴソゴソ

女オーク「まだ負けてないから…」グッタリ

剣士「行って来る!」スタタ

738: 2021/11/19(金) 22:33:19.76 ID:pYa2Z27w0
『中庭』


ザワザワ ザワザワ

スライムが入り込んでる!

ダメだここで倒すな!毒が広がる

門が閉まってるんだどうしろってんだ

魔術師が居た筈だ探して来い


剣士「スライム…たった一匹でこの騒ぎか」

衛兵「居た!!良かった…我々ではスライムを焼けない!なんとかしてくれ」

剣士「分かった…火炎魔法!」ボボボボボ


スライム「プギャァァ…」メラメラ


衛兵「破裂するぞ?」

剣士「サンドワーム!従え!スライムを食らえ!」


モゾモゾ ズドーン バクリ


衛兵「サンドワーム…」タジ

剣士「大丈夫!驚かないで…サンドワームを操って居るから」

衛兵「そ…そうか…撃つなぁ!!サンドワームを撃つなぁ!!」

剣士「サンドワーム!地中に潜れ!」


モゾモゾ モゾモゾ


剣士「あと穴を埋めておけばもう戻って来ないよ」

衛兵「助かった…さすがシン・リーンの魔術師」

剣士「北の空で炎が…」

衛兵「アレはドラゴンのブレスだ…精霊樹に近付くスライムを焼いて居る」

剣士「エルフとドラゴンの敵がスライム?」

衛兵「そうだ…エルフとドラゴンは精霊樹を守って居るのだ…敵はスライムにスプリガン…そしてマンイーター」

剣士「なるほど事情が読めて来た…この砦はサンドワームに守らせるから安心して」

衛兵「助かる…しかしサンドワームは我々の主食だ…どうすれば?」

剣士「好きにしたら良い…サンドワームは沢山居るから」

衛兵「ハハ良く分からんが兎に角感謝する」


分かって来たぞ

エルフとドラゴンはドリアードの浸食から精霊樹を守って居るんだ

彼らもドリアードと戦っている

そしてウルフは僕を迎えに来てるんだ

行かなきゃ

739: 2021/11/19(金) 22:33:54.52 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


ガチャリ バタン


女オーク「聞こえていたわ?魔物が進入して来たのね?」

剣士「うん…女オーク聞いて?僕の友達が砦の外で僕を待って居る様なんだ」

女オーク「友達?こんな所で?」

剣士「君には言ってなかったけど…ずっと一緒に過ごして来たウルフが居るんだよ」

女オーク「ウルフ…それで砦が包囲されて居るのね?」

剣士「多分ね」

女オーク「迎えに行くのね?」

剣士「うん…少し離れて待っている様に話してくる」

女オーク「一人で平気?」

剣士「大丈夫…その方が動きやすい」

女オーク「分かったわ…」

剣士「ゴメンね?続きはまた今度」

女オーク「…いいわ」

剣士「じゃぁ行って来る」タッタ


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アオーーーン アオーーーーン

740: 2021/11/19(金) 22:34:20.55 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


チュン チュン


剣士「よし!行こう…遺跡でウルフが待ってる」

女オーク「うん…昨夜は寝て居ないのでしょう?大丈夫?」

剣士「平気さ…君も寝ていない顔をしているよ」

女オーク「平気…癒されたから」

剣士「どんぐり食べる?」ポイ

女オーク「…」モグ


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門番「開門!!開門!!」ガラガラガラ ガシャーン

衛兵「昨夜は世話になった…獣道から逸れると危ないから気を付けて」

剣士「もうウルフが来る事は無いから安心して良いよ?」

衛兵「ウルフも使役するのか?」

剣士「まぁね?」

衛兵「フフさすがシン・リーンの魔術師…協力に感謝する」ビシ

剣士「シカさん行くよ?お願い…」


ドスドスドス  

741: 2021/11/19(金) 22:34:51.60 ID:pYa2Z27w0
『獣道』


バサバサバサ ピュー 


剣士「昼間はうって変わって良い雰囲気の森だ」

女オーク「鳥が沢山…」

剣士「えとね?秘密があるんだよ?あの鳥たちは本当はトロールなのさ」

女オーク「本当に?」

剣士「パパに教えて貰った…トロールっていつも肩に鳥を乗せてるんだって」

女オーク「へぇ?トロールは見た事無いわ」

剣士「南の大陸には居ないもんね…そして夜にしか動かない」

女オーク「じゃぁ森の中にある大きな石は…」

剣士「多分トロールだよ…僕らの話声は全部聞こえてると思う」

女オーク「変なお話出来ないわね?」


グルルル ガウ


女オーク「え!?ウルフ?」

剣士「あぁぁコラコラ!遺跡で待っててって言ったじゃない」

ウルフ「ガウルルルル…」

剣士「え?あぁ僕の奴隷の女オークさ」

女オーク「剣士は私の奴隷よ…」

剣士「まぁどっちでも良いや…彼女強いんだよ?」

ウルフ「ウゥゥゥゥ…」

剣士「大丈夫だって!威嚇しないで?」

女オーク「ウルフとお話出来るんだ…」

剣士「付き合い長いからね…え?毒?そうか…みんな線虫欲しいんだね?おけおけ…向こうに着いたらやってあげる」

女オーク「ウルフたちも毒に?」

剣士「そうらしい…薬草を探すのに随分遠くまで行く必要があるみたい」

女オーク「ウルフも私達と同じなのね」

剣士「そうだよ?言葉が通じないだけで人間と仲良く出来ない…オークと同じだね」

女オーク「私がオークだって分かってる?」

剣士「匂いですぐに分かるさ…ウルフは人間よりずっと鼻が利く」

女オーク「それで直ぐに剣士を見つけたのね」

剣士「いづれこの森に来ると思って待ってたんだって」

女オーク「賢いわね」

剣士「人間と同じくらいにはね?…でもね?物を投げられると反射的に拾いに行く癖がある」

女オーク「フフ…」

剣士「あんまり遊ぶと噛まれるけどねw」

ウルフ「ガウルルルル…」ガブガブ

剣士「分かった分かった秘密にしとくから…」

742: 2021/11/19(金) 22:35:42.49 ID:pYa2Z27w0
『シャ・バクダ遺跡』


ウゥゥゥ ガルルルル


剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

ウルフ「ワオーーーン!」パタパタ

女オーク「喜んでるw」

剣士「さて…折角遺跡に来たからパパとママを最後に見た場所に行って見よう」

女オーク「この遺跡で最後を…」

剣士「直ぐ近くなんだ…どこだっけな」

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ

剣士「そっちか!全然景色が変わってる…」

ウルフ「ガウ…」ココホレワン

剣士「ここだ…この場所だ…」

女オーク「…」

剣士「…」スゥ


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『あの時』


僕「パパ?どうする気?」

パパ「未来…自分の次元を強く持て」

僕「え?どういう事?」

パパ「見ていれば分かる…言う事聞けるな?」

僕「ママも一緒に行っちゃうの?」

ママ「一緒に魔王を倒すからちゃんと見ていなさい」

僕「…うん」

パパ「女戦士!後は頼んだ…エルフ達!援護を頼む!行くぞ」シュタタ

ビッグママ「未来…意味がわかるか?」

僕「…」

ビッグママ「最後まで良く見て置け…勇者の宿命だ」

僕「パパ…ママ…」



パパとママが魔王を封じるのを

ほとんどの人が見ていなかった

こんなにもあっさりと物事が終わって

僕の心にポカンと穴が開いた

大きな変化は何も無いのに

只…目の前から消え去った

その後に光る夜が来た

その時

僕が始まった

僕の物語

743: 2021/11/19(金) 22:36:46.73 ID:pYa2Z27w0
『シャ・バクダ遺跡_地下』


学者「見学ですかね?」

剣士「昔ここに避難してた事があってね…近くまで来たから気になったんだ」

学者「ほう…そうでしたか…散らかって居ますが遺物には触らない様にお願いします」

剣士「うん…書物は読んでも?」

学者「考古学に興味がおありで?」

剣士「僕はシン・リーンの魔術師さ」

学者「これは失礼しました…ご自由にお読みください」

剣士「ありがとう…汚さない様にするよ」


-------------


女オーク「ここも思い出の場所なのね?」

剣士「あんまり良い思い出は無い…情報屋さんの行先が分からないかと思ってさ」

女オーク「難しそうな資料ばかりなのね…分かるの?」

剣士「ハハ全然分からない…」パラパラ


超古代史とウンディーネ伝説との関連

古代史と自転の変化による文明の崩壊と再構築

近代史における魔術介在による文明の変遷

人類行動の進化過程

食料生産と放牧の傾向

超高度AIの発見と発祥の考察


剣士「あれ?ホム姉ちゃんの事が書かれてる…こんな事まで研究してるんだ…へぇぇすごいな」


パサ ヒラヒラ


女オーク「何か紙が落ちたわ?」

剣士「この書物からだ…あ!!これ情報屋さんの日記だ」ヨミヨミ

女オーク「何の絵かしら…」

剣士「あ!!それ僕が書いた書物の写しだ…そうそう確かドリアード遺跡に一人で行こうとしてたんだ」

女オーク「あまり他人のプライベートを見ない方が良いのでは?」

剣士「フフ僕がここで家出した事が書いてある…へぇ?こんな事が合ったのか」ヨミヨミ

女オーク「ダメよそれ以上見たら」グイ

剣士「うんそうだね…僕が蟲使いの道を選んだきっかけだったんだよ」


---あまり思い出せないけど…なんか気になるなぁ---

744: 2021/11/19(金) 22:37:17.55 ID:pYa2Z27w0
『勇者の像』


剣士「この石造は大昔の勇者本人なんだって」

女オーク「どうして石造に?」

剣士「不思議だよね?」


スタスタ


剣士「誰か来る…」クンクン

女オーク「え!?」

剣士「…」クルリ

エルフゾンビ「此処に居たか…勇者の子だな?」

剣士「エルフゾンビさん?」

エルフゾンビ「如何にも…お前を数度しか見たことが無かったが…勇者に瓜二つだ」

剣士「良かった…探さないで済んだ」

エルフゾンビ「精霊樹が呼んで居る…付いて来い」

剣士「え!?…精霊樹が僕を?」

エルフゾンビ「精霊樹に呼ばれる意味は分かるか?」

剣士「まさか僕を勇者にするつもり?」

エルフゾンビ「すでに勇者だ…導きを受けるのだ」

剣士「僕の勇者の眼はママが…」

エルフゾンビ「青い瞳の宿命はお前の母が背負った…それだけだ」

剣士「それだけ?…」

エルフゾンビ「来い…」スタスタ

剣士「あ…女オーク!見学は終わりだ…付いて行こう」

745: 2021/11/19(金) 22:37:59.37 ID:pYa2Z27w0
『精霊樹』


サラサラ サラサラ


剣士「沢山のエルフに囲まれてる…」

エルフ「…」ジーーーー

エルフゾンビ「すべてのエルフがこの森に集っているのだ」

剣士「エルフの森はどうなって?」

エルフゾンビ「浸食され既に氏の森へと化した…この森は最後の砦なのだ」

剣士「知らなかった…」

エルフゾンビ「…これが精霊樹だ導きを受けろ」

剣士「どうやって?声なんか聞こえない」

エルフゾンビ「目を閉じて感じろ…」

剣士「瞑想か…」スッ


---------------

---------------

---------------


女オーク「え!?どうしてエルフが私に跪いて…」

エルフゾンビ「フフどうやら男エルフ達に気に入られた様だ」

女オーク「エルフに興味無いわ…」

エルフゾンビ「只の儀礼だ…気にするな」

女オーク「どうしたら…」

エルフゾンビ「目を合わせてみろ」

女オーク「…」スッ ドキッ

エルフゾンビ「フフ…」

女オーク「止めて…勝手に心を触らないで」


---------------

---------------

---------------

746: 2021/11/19(金) 22:38:35.23 ID:pYa2Z27w0
剣士「…」パチ

エルフゾンビ「導きを聞いたな?」

剣士「ぁ…こ…これはどういう事だ?思い出せって何の事だろう…」

エルフゾンビ「混乱して居るのか?」

剣士「僕には森を統べる力が有ると…導きを思い出せって…何の導きなのか…」

エルフゾンビ「白狼の血脈も受け継いでいるのだ…その記憶の事では無いのか?」

剣士「僕が森を守るという事?」

エルフゾンビ「精霊樹は助けを求めているのだ…恐らくお前にしか出来ない」

剣士「命の種子は夜に運ばれる…闇に光を照らしてって…意味が分からない…どうすれば良いの?」

エルフゾンビ「それはお前が答えを見つける事だ…一つ分かるのは命の種子と言うのは精霊樹の花粉の事」

剣士「花粉は夜に運ばれる…闇に光…月の事か?」

女オーク「剣士?エリクサーの事は伝えた?」

剣士「伝えたよ…でも返事が無い」

エルフゾンビ「ほう?…察するにエリクサーを求めに来たな?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんを蘇らせる為にエリクサーが樽で4~5杯必要なんだ」

エルフゾンビ「今何と言った!?ホムンクルスが蘇るだと…時代の節目はまだ先だと言うか!!」

剣士「えーと話しが掴めない…時代の節目って何?」

エルフゾンビ「お前はアダムという神が復活したのは知って居るな?」

剣士「うん…」


我々エルフはアダムと決別し精霊樹を主として生き永らえている

アダムは新たな森を構築し始め我々エルフは追い出されたのだ

精霊シルフが滅び新たなアダムという神の下

新時代を受け入れたつもりだがアダムはそれを許さなかった

精霊樹の森を侵食し始め我々は窮地に立って居る

その最中お前がこの森へ訪れ…今…精霊を蘇らせると言う

747: 2021/11/19(金) 22:39:02.19 ID:pYa2Z27w0

エルフゾンビ「分かるか?我々の敵はアダムだ…新時代はまだ来ていない」

剣士「僕が思って居る事と同じだ…やっぱりそういう事なんだね…」

エルフゾンビ「お前はそれを知りながらここに訪れたと?」

剣士「今は時期尚早だって僕の爺いじが言ってる」

エルフゾンビ「尚早?何故?」

剣士「あの光る隕石だよ…ミサイルって言ったっけ…あれを封じる事が出来るのはホム姉ちゃんだけさ」

エルフゾンビ「ふむ確かに…」


ズゴゴゴゴ ドーン


エルフゾンビ「聞いたか?御所への通路を精霊樹が開いた…エリクサーの許可が出た様だ」

剣士「ハハやった!!返事が無いからダメかと思った」

エルフゾンビ「樽はどこだ?」

剣士「飛空艇に乗せてある…ここまで乗って来ても良い?」

エルフゾンビ「急げ…日が暮れると森の浸食が始まる」

剣士「女オーク!ここで待ってて?僕一人で走った方が早い」

女オーク「分かったわ…気を付けて」


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748: 2021/11/19(金) 22:39:45.79 ID:pYa2Z27w0
『精霊の御所_入り口』


サラサラ サラサラ


女オーク「エルフの子供まで…」

エルフゾンビ「珍しいだろう?エルフの森以外では滅多に見る事が無い」

女オーク「触っても?」

エルフゾンビ「さぁな?エルフは肌の触れ合いは好まんのだが…」

女オーク「…」ナデナデ

エルフの子供「…」ジー

女オーク「反応が分からない…」

エルフゾンビ「目を合わせて見ろ…感じるんだ」

女オーク「…」スッ ギク

エルフの子供「…」ジー

女オーク「こ…こんにちは」タジ

エルフの子供「…」ジー

エルフゾンビ「フフ性が合わんか?近づいて来るという事は好かれて居るのだぞ?」

女オーク「私はオークよ…どうして?」

エルフゾンビ「匂いだな…エルフは目で物を見ない…空気で物を見る」

女オーク「どんぐり食べる?」スッ

エルフの子供「…」カリ モグ

エルフゾンビ「そういう所が好まれる」

エルフの子供「…」ジー

女オーク「表情で気持ちが読み取れない…」


こういう事なのね

エルフに好かれても私はエルフを好きになれない

オークは人間が好きなのに人間に好かれない

剣士はとっても分かりやすい…だから好き


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ギャオーーーース バッサ バッサ ドッスーーーン


女オーク「ドラゴン…大きい」タジ

エルフゾンビ「初めて見るか?」

749: 2021/11/19(金) 22:40:14.52 ID:pYa2Z27w0
タッタッタ


剣士「飛空艇持って来たよ…途中でドラゴンが寄って来てびっくりした」タッタッタ

エルフゾンビ「もうすぐ日暮れだ…今日はもう飛空艇で飛べないと思え」

剣士「戦いが始まるの?ドラゴンは森を守る為に来た?」

エルフゾンビ「そうだ…我々の戦いを見て行くか?」

剣士「見て行くかって…それしか選択が無いじゃない」


地上はスライムとスプリガン…マンイーター

上空にアルラウネとその種子…他にも幾多の胞子が飛ぶ

それらをすべて焼き払う

特にケシの種子はいつの間にか増えるから完全に焼く必要がある


剣士「飛んで来る種子を全部焼くなんて無理過ぎる気が…」

エルフゾンビ「風を使って巻き上げるのだ…そして焼く」

剣士「ボルケーノか…」

エルフゾンビ「風が止む凪の時に戦いが始まる…その前までにエリクサーを飛空艇に積んでおくんだ」

剣士「フフ…僕達も加わらせるつもりだね?」

エルフゾンビ「森の全域を守る大変さは分かるな?」

剣士「僕に何が出来るかな?…僕は高位のエレメンタル魔法は苦手だ」

エルフゾンビ「マンイーターが大型で厄介なのだ…突然地面から現れる…少しでも戦力になれば助かる」

剣士「おけおけ!地上専門ね」

エルフゾンビ「エルフの戦い方は分かるな?」

剣士「森の声だね?」

エルフゾンビ「それを知って居れば良い…早くエリクサーを運んで備えろ」

剣士「うん!」


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750: 2021/11/19(金) 22:40:48.09 ID:pYa2Z27w0
『浸食』


ドコーーン ドコーーン


剣士「始まった…トロールが動き出した」

女オーク「北東ね…ドラゴンがブレスを吐き始めた」

剣士「走る事になる…付いて来てね?」

女オーク「うん…」

剣士「ウルフ!先導お願い」

ウルフ「ワフ!!」シュタタ

剣士「付いて行くよ…」シュタタ


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剣士「見つけた!スプリガン!」

女オーク「私が行く」ダダダ

剣士「サンドワーム来い!スライムは任せる!」


モゾモゾモゾ バクリ


女オーク「てやぁ!!」ブン ザクリ


スプリガン「キシャァァァ…」ブーン ブンブン


女オーク「虫?」

剣士「蝿虫!従え!」ブーン

剣士「今の内に止めを!」

女オーク「フン!」ブン グサ

剣士「よし!燃やす!火炎魔法!」ボボボボ

女オーク「剣士に虫がどんどん集まって…」

剣士「ハエは全部使役してる…スプリガンはどんどん倒して行こう」

女オーク「私が倒して剣士が燃やすのね?」

剣士「そう…魔石は後で拾う」

女オーク「分かったわ…次のスプリガンを探しましょ」ダダ

剣士「東側!ボルケーノが3つ立ってる」

女オーク「これ朝まで続くのかしら…」

剣士「その様だね…行くよ」シュタタ


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751: 2021/11/19(金) 22:41:24.84 ID:pYa2Z27w0
ギャオーーース ゴゥ ボボボボ


剣士「アレか…あれがマンイーターだ!!」

女オーク「大きい…」フラ

剣士「ん?」クンクン

女オーク「どう…するの?…」フラ

剣士「睡眠の息を吐くのか…ちぃぃ厄介だ!女オーク…一旦下がる」グイ

女オーク「どうし…たの?…」フラ

剣士「だめだもう寝てる…ウルフ!!女オークを守って」

ウルフ「ガウガウ…」グルルル

剣士「…どうする?大きすぎてサンドワームでは食らえない…」


シュンシュンシュン ストストスト


剣士「あれじゃ倒せない…なるほどドラゴン頼みになるから厄介なのか」

剣士「数で行くしか無いな…蟲達よ従え!マンイーターを食らえ」ザワザワ


ブーン ドヨドヨドヨ


剣士「女オーク!起きて!!」ペシペシ

女オーク「ハッ!!…」キョロ

剣士「気は確かかい?」

女オーク「私どうして?」フリフリ

剣士「マンイーター睡眠の息を吸ったんだ」

女オーク「マンイーターは!?」

剣士「まだ倒せて居ない…蟲をけしかけたけど食らうのに時間が掛かりそうだ」

女オーク「剣士のどんぐり銃で木に変えてみては?」

剣士「おおお!!ソレだ…」チャキリ 


ターン ターン


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ

女オーク「干からびたマンイーターだけ燃やせる?」

剣士「根が邪魔だ…切り倒して」

女オーク「任せて!!」ダダダ


コーン コーン メリメリ ドッスーン


剣士「根っこを切って!!」

女オーク「フン!」ザクン ザクン

剣士「火炎魔法!」ボボボボボボ

女オーク「大きな魔石が一つ見えるわ?」

剣士「お!?収穫したい」

女オーク「他のスプリガンは私に任せて…剣士は魔石を」ダダ


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752: 2021/11/19(金) 22:42:33.88 ID:pYa2Z27w0
『暁の空』


ギャオーーース ゴゥ ボボボボボボ


剣士「風向きが変わった…」

女オーク「強い魔物はマンイーターだけでもこれを毎日続けるのは辛そう」

剣士「エルフが沢山居るのに窮地になってる意味が分かった…敵が多すぎる」

女オーク「戻りましょ…」

剣士「あ!魔石拾って行かないと」

女オーク「場所覚えてる?」

剣士「マンイーターの場所だけだね…それだけでも随分な収穫だよ」

女オーク「じゃぁ魔石4つね?」

剣士「うん!取りに行こう」シュタタ


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753: 2021/11/19(金) 22:43:04.13 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


フワフワ


エルフゾンビ「未来!行く前に一つ質問だ」

剣士「ん?何?」

エルフゾンビ「マンイーターにどの様して木を生やす?エルフが知りたがっている」

剣士「あーあれはね…どんぐりをマンイーターに打ち込んで成長魔法で育てるんだよ」

エルフゾンビ「なるほど…エルフにも出来るな」

剣士「弓で打ち込んじゃえば良いね?」

エルフゾンビ「これで持ちこたえられる…我々の厳しさは理解してもらえたな?」

剣士「毎日はさすがにキツイね」

エルフゾンビ「ホムンクルスが蘇った暁には出来るだけ早く導きを貰いたい」

剣士「うんホム姉ちゃんに状況を話しておく」

エルフゾンビ「それから精霊樹の導きも忘れない様にな?」

剣士「分かったよ…一つ僕からも質問が有るんだけど」

エルフゾンビ「何だ?」

剣士「エルフゾンビさんが戦う理由は精霊樹を守る事だけ?」

エルフゾンビ「…」ジロリ

剣士「答えられない?」

エルフゾンビ「何故その質問をするのだ?」

剣士「エルフゾンビさんから何か闇を感じる…不氏者だからと言うのじゃ無くて」

エルフゾンビ「私が戦っている相手はドリアードになった私の弟なのだ…違うな私の分身と戦っている」

剣士「ドリアードになった…か…救いたいんだね?」

エルフゾンビ「フフ聞くな…早く行け」

剣士「理解したよ…じゃ行くね」グイ


シュゴーーーーー バサバサ


エルフゾンビ「…」---そうだよ未来---


私の身代わりとなりすべてを背負った弟を救いたい

私は氏んでも氏に切れないのだ


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754: 2021/11/19(金) 22:44:28.27 ID:pYa2Z27w0
『暁の墓所』


分かった事を時系列で説明するわ…

約4000年前に起きた地軸の移動…この時に壊滅的な破壊が起きて人類はほぼ滅亡

その中で唯一生き残った種が耐環境性のあるオークの種族

それまで彼らは今で言う南の大陸に住んで居たの…恐らくウンディーネと共に

その後北の大陸へと進出を始めこの暁の墓所の東側…未踏の地で一時代を築いた

これが約3500年前…

そしてウンディーネはシルフと名を変え今で言うエルフの森に移り住む

そこでオークの遺伝子と類似したエルフを生み出した

エルフは魔法を巧みに操り森を拠点として繁栄する

エルフの協力を得た精霊シルフは森の北部にドリアードを生成して管理する者として小人のノームを生んだ

ここが約3000年前…

ノームの器用さを用い失われた古代技術を復活させた精霊シルフは

超高度AIを複製してアダムを復活させようとするが

魔王に乗っ取られて失敗し…再び世界は滅亡の危機

ここで危機を救うのがこの地の東に栄えたオーク達

彼らは呪術で虫を操りドリアードを封じる事に成功したがノームは滅びる

恐らく2500年程前ね…

一旦平和になった世界でエルフとオークはそれぞれに繫栄して時代を築く最中

その恩恵を受けたのが温暖な海付近に少しだけ残って居た人間達

彼らは環境の良いエルフの森周辺で新たな文明を築き始め力を付けた

そして事件が起きる…エルフが持つ祈りの指輪を奪い人間の魔術師が台頭

魔術によって人間達が急速な発展をして時の王の時代に至る

ここが約1700年前…

この時代に起きたのが北の大陸の東側に位置していたオーク達が滅んだ事

時の王と暁の使徒が手を組み東のオークを退けた

なぜか?


情報屋「答えは勇者の刀…オーク達が宝具として所持していた刀を奪って聖剣エクスカリバーを生む為」

魔女「…ではオーク達が初めから勇者の刀を持っておったと言う事じゃな?」

情報屋「そう…ここからは憶測だけど勇者2人は4000年前よりさらに過去に遡ってオークに託したと思うわ」

魔女「つまりこの墓所にあった暁の使徒は勇者では無く他人じゃという訳か」

情報屋「多分勇者の命を受けた予言の守り人ね…不明な点が多いから確かな事は言えないわ」

魔女「黄昏の賢者について何も分からんのか?」

情報屋「ここから先は時の王の証言のまとめだから確証は無いけれど…」

755: 2021/11/19(金) 22:45:14.37 ID:pYa2Z27w0
暁の使徒と黄昏の賢者はどうも恋仲だったらしいわ

暁の使徒は人間の男…そして黄昏の賢者はオークの女

暁の使徒が東のオークを攻め立てる最中二人は関係を持った

処Oを失った黄昏の賢者は力を失い

暁の使徒はオークを退け勝者となった

二人は駆け落ちをした形

そして黄昏の賢者はオークを裏切った形

その後暁の使徒は時の王と接触し協力関係を得る

でもこれに黄昏の賢者は猛反発して別れた

ここから第2期と呼ばれる魔王との戦いが始まる


魔女「黄昏の賢者はオークシャーマンの可能性が高かったな?」

情報屋「多分そうね」

魔女「ミイラとなった恋人を連れ去ったと言う事じゃが…何故じゃと思う?」

情報屋「分からない…蘇らせるとしても今になって何故?という疑問が残る」

魔女「わらわはこう思う…失った力を取り戻す為じゃ…氏霊術に屍を食らう術が有るのじゃ」

情報屋「なるほど…話が通りそう…」

魔女「読めたぞよ?黄昏の賢者は3000年前と同じ様に虫を操りドリアードを封じたいのじゃ…力を求めて居る」

情報屋「南の大陸に居るオークがどうして?」

魔女「予言じゃ…予言に従って居るのじゃ」


よう考えてみぃ

勇者らは3000年前のドリアードがどういう惨状を生んだか知って居る

じゃからわらわ達の時代に復活したドリアードを再度封じるための予言を残したのじゃ


情報屋「そういう事ね…ドリアードをどう倒すのか私達は知ってる…それは伝説を通じた予言なのね?」

魔女「イカンな…このままでは未来が先走ってしまうな」

情報屋「未来君が蟲使いの道を選んだのも…」

魔女「勘でどうすれば良いか知って居るからじゃ…何年も前に未来は感じて居る…事の異常に」

情報屋「連絡取れないのがもどかしいわ」

魔女「先回りで待つしか無いのぅ…さてどうするか…」


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756: 2021/11/19(金) 22:45:42.56 ID:pYa2Z27w0
『セントラル海岸』


ザザー ザブン


剣士「よし!飛空艇隠すよ?ハイディング!」

剣士「女オークはセントラル来るの初めてだよね?」

女オーク「初めて…」

剣士「今晩はここの宿で一泊しよう…」

女オーク「どうして寄って行くの?」

剣士「様子を見ておきたいのと…線虫だよ…夜中に僕の蟲を放っておきたい」

女オーク「病を治してあげたいのね?」

剣士「うん…あと昨日は一睡もしていないし…この間の続きもあるじゃない?」

女オーク「続き?…ウフフ」

剣士「あ!そうそうこの国は武器を持ち込めないから飛空艇に置いて行って」ゴトリ

女オーク「わかったわ」

剣士「ウルフ!飛空艇の番をお願い!明日の朝には戻るから食事は自分で何とかして」

ウルフ「ガウ!!」

剣士「じゃぁ行こうか!」

女オーク「本当に武器は要らないの?」

剣士「僕はデリンジャーだけ持って行く…どんぐり銃のおもちゃに見えるからね」

女オーク「じゃぁ私は一応ナイフだけ持って行くわ」

剣士「おけおけ!行こう」グイ


タッタッタ

757: 2021/11/19(金) 22:46:12.09 ID:pYa2Z27w0
『貧民街』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「ここは住まう家の無い人が集ってる区域だよ…ほらみんなテントで横になってる」

女オーク「焚火を囲んで食事するのね」

剣士「ちょっとしたキャンプだね…結構みんな黒氏病に掛かって居そうだなぁ…」

女オーク「そうみたいね…」

剣士「僕のママは昔ここに住んでた事があるらしいよ」

女オーク「剣士はそれを見に来たかったのね?」

剣士「まぁね…」

女オーク「何か感じる?」

剣士「臭いなぁ…下水の匂いと海の匂いが混ざった独特の匂い…行こっか!」グイ



『中央広場』


ガヤガヤ ガヤガヤ

ヤスイヨー カッテネー オイシイヨー

キ・カイ産の謎のアクセサリーお得だぜぃ?ほら買った買ったぁ!

魔石有るよ?秘密ルートの魔石さ…コレ偽物じゃないよ


剣士「…ここは露店が集まってる場所だよ…ちょっと買い物して行こう」

女オーク「うん…」

剣士「僕は種が見たいんだ…君も好きな物買い物してごらん?」

女オーク「私は欲しい物が無いわ…」

剣士「じゃぁコーディネートしようか?このボロ雑巾みたいなフードとマントを変えよう」

女オーク「これで良いのに」

剣士「ダメだよ…金貨5枚あったでしょ?お金は使うために有る…皆生活掛かってるからどんどん使わないと」

女オーク「それもそうね…」

剣士「よーし!どうするかな…白狼の装備にしてみよっか?」

女オーク「目立ち過ぎない?」

剣士「どうせ汚れるからイーのイーの!コレ2つ頂戴!!」

雑貨屋「アイヨー!2つで銀貨20枚!」

剣士「おけおけ…」ジャラリ

雑貨屋「マイドー!要らん装備引き取るよーウヒヒ」

剣士「ホラ?着替えて?」ファサ

女オーク「何の毛皮?」

剣士「何だろね?シーサーかな?他にも見よう!」グイ


こんな風に買い物したっけ

丁度夕方のこれくらいの時間


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758: 2021/11/19(金) 22:46:44.76 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


カラン コロン


店主「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「2階の角の部屋空いてるかな?」

店主「そのお部屋はお高いですがよろしいですか?」

剣士「いくら?」

店主「お二人で銀貨20枚です」

剣士「おっけ!」ジャラリ

店主「ではご案内致します…こちらへ」



『部屋』


ガチャリ バタン


剣士「ふぅぅぅ水浴びしたら後で酒場にでも行こうか」

女オーク「私先に浴びて来るわ…」

剣士「ゆっくりで良いよ…酒場行くにはまだ早いし」

女オーク「うん…じゃ…」ガチャリ バタン

剣士「…」---この部屋だ---


ママと泥棒みたいな生活で

いつも誰かから逃げて

落ち着く場所は無かった

でも充実してた


剣士「…」ファサ


こうやってフードの隙間から隠れて覗く世界

僕はこの世界が好きだ

これが人間の世界

無くしたくない世界

僕が守る世界

人間の中の魔王を許容する世界

バランスした世界

759: 2021/11/19(金) 22:47:25.70 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

ねぇ聞いた?いつもここに来てたあの豪族…殺されたらしいわ?

ええ!?誰に?ヒソヒソヒソ…

お~い!酒くれぇ!!

なんだよ良いだろパフパフさせてくれよ


マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「うん…席は空いてなさそうだね」

マスター「カウンターでよろしければ」

剣士「おけおけ!えーとセントラル名産はエール酒だっけな…2杯お願い」

マスター「かしこまりました」

剣士「あとオリーブとブドウが欲しい」

マスター「合わせて銀貨10枚になります」

女オーク「はい…」ジャラリ

剣士「酒場には女の人が結構居るんだ…」

マスター「手を出すと豪族に目を付けられるのでご注意を…」

女オーク「セントラルは女性がとても少ないわね」

剣士「なんか活気に欠けるよね」

マスター「女性はフィン・イッシュに拉致されたままほとんど帰って居ないのですよ」

剣士「拉致?保護されたんじゃなかったっけ?」

マスター「帰って来ていれば保護だと言われたのかも知れませんがねぇ…」

剣士「そうだったんだ…それもセントラルとフィン・イッシュが関係悪い原因ぽいね」

マスター「お客さんは傭兵か何かで?」

剣士「只の旅人だよ」

マスター「未だに西の国境付近では小競り合いをやって居るそうですので陸路は止めた方が良いですよ」

剣士「ところで港に沢山の船が停泊してるけど何だか分かる?」

マスター「豪族の船ですね…大半は貴族居住区の方で飲んで居られるかと」

剣士「じゃぁこっちに居るのは下っ端ばっかりなのか…道理で」

マスター「ハハ大きな声で言うと聞こえてしまいます」


ワイワイ ガヤガヤ

俺は気に入ら無ぇんだあの好かした豪族がよぅ…どーにかして引きずり降ろしてやりてぇ

貴族側にテコ入れするのはどうだ?

どうやってよ?

ヤクを横流しするんだ…豪族の船に乗せるヤクを横流しすんのよ

ほう?豪族がマイナス1で貴族がプラス1…その差は2って寸法だな?お前賢いな…



剣士「女オーク聞こえてる?」

女オーク「なんかバカな話ね」

剣士「豪族の人達ってどこに行っても同じような文句を言ってるよね…懲りない人達だ」

女オーク「アレはアレで可愛い…」

剣士「ハハハオークにはそう見えるのか…ヤレヤレだよ」

760: 2021/11/19(金) 22:48:20.71 ID:pYa2Z27w0
『路地裏』


ズルズル


乞食「お金を…お金を恵んで下せぇ…銅貨1枚で良いんで」ズルズル

女「薬を…薬を持っていませんか…ひぃぃぃぶたないで」ガクガク

男「はぁぁぁ天国だ…天国が見える…ケシの花が咲く天国がぁぁぁ」バタバタ


剣士「…」チャリン


乞食「ありがとうございます…あなたは神様です…」ヨロ

剣士「…」

女オーク「…」

剣士「ラクにしてあげるからね…線虫!」ザワザワ ニョロ


ザワザワザワ ニョロ


剣士「行こうか…」グイ

女オーク「…」


タッタッタ


-------------

761: 2021/11/19(金) 22:48:56.04 ID:pYa2Z27w0
衛兵「そこの2人待て…止まれ」

剣士「え!?僕?」

衛兵「今何をした?」

剣士「いえ何も…」

衛兵「フードを脱げ…顔を見せろ」

剣士「んぁぁ…」ファサ

衛兵「お前もだ」

女オーク「…」ファサ

衛兵「…」ジロジロ

剣士「僕達何もして居ないよ」

衛兵「くすり密売の現行犯だ…大人しくしろ」

剣士「ちょちょちょ…違うよ」

衛兵「持ち物を見せるんだ」グイ

剣士「ちょっと待って!違うったら…」

衛兵「魔石を大量に所持…種も…これは何だ!」

剣士「返してよ」グイ

衛兵「ピーーーーーーーーー」

剣士「笛?」---マズイなコレ---

衛兵「魔石の密輸容疑で拘束する!!大人しくしろ!!」

剣士「女オーク?」チラ

女オーク「…」コクリ

衛兵「何をする気だ?」

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「迷ってない?」

女オーク「見える…」

剣士「ちょっと遊んで行こう…こっちだおいで」グイ

女オーク「うん…」タッタッタ


ピーーーーーーーーーー

762: 2021/11/19(金) 22:49:25.39 ID:pYa2Z27w0
『貴族居住区』


タッタッタ


剣士「はぁはぁ…ここまで来れば安心だ」

女オーク「剣士まさか泥棒するつもりなの?」

剣士「違うよちょっと様子見たいだけさ…かくれんぼだよ」

女オーク「豪族の様子が知りたいのね?」

剣士「まあね?どんな人が豪族のお偉いさんなのか知りたく無い?」

女オーク「興味無いわ…」

剣士「まぁかくれんぼだと思って付き合ってよ」

女オーク「何処に行くつもり?」

剣士「屋根に上ろう…そこで隠れて遠くから見るだけ」

女オーク「悪い事はダメよ?」

剣士「分かってるって…こっち!」シュタタ




『屋根の上』


剣士「リリースするよ?リリース!」スゥ

女オーク「リリース!」スゥ

剣士「フフ見える見える…」

女オーク「さっきの路地の方で騒いでるわね?」

剣士「あっちは放置だ…貴族居住区は結構女の人居るよ…見て」

女オーク「その様ね…」

剣士「へぇ…あちこちで食事会やってるんだ…こっちの方が楽しそうだ」

女オーク「あの中に入りたいの?」

剣士「そういう訳じゃ無い…皆楽しんでるなってさ」

女オーク「貧富の差ね…」

剣士「うん…豪族が富を持ってる…向こう側も見て見よう…こっち!」シュタタ

763: 2021/11/19(金) 22:49:57.34 ID:pYa2Z27w0
『とある貴族の建屋』


剣士「ここが一番大きそうだ」

女オーク「中庭で食事会…」

剣士「どの人が豪族のお偉いさんなんだろう?」


---------------


助かるでやんすよ…もし捕らえたら高額の報酬を出しやす

何処に潜伏しているか情報は無いのか?

セントラル沖っすね…多分海士島辺りで隠れて補給してると思うでやんすが中々見つからんのです

海賊王の娘も今じゃ落ちぶれだ…噂じゃ殆ど仲間を失ったと聞く

実はですねぇ…海賊王の娘の船には秘密があるんすよ…それを奪えばあっしの出す報酬よりも儲かりやすぜ?

それは頂いて良いんだな?

好きにしてくだせぇ…あっしは海賊王の娘を捕らえたいだけなんでやんす…あの女は最高の体を持ってるすからねぇウヒヒ


---------------


剣士「…」---嫌な事聞いちゃった---

女オーク「剣士?…あの話もしかして…」

剣士「ローグさんは豪族になったんだよ…ビッグママを捕らえようとしてる」

女オーク「…」

剣士「気分が悪くなった…行こう」シュタタ


---------------

764: 2021/11/19(金) 22:51:04.92 ID:pYa2Z27w0
『貴族特区_一番大きな屋敷』



女オーク「この屋敷は?」

剣士「昔ここに泥棒に入った事があるんだ…直ぐに見つかって逃げたんだけど気になる物が一杯あってね」

女オーク「盗むのはダメよ?」

剣士「見るだけ…それなら良いでしょ?」

女オーク「見るだけよ?」

剣士「うん…屋敷には誰も居なさそう…こっち!裏の2階から入れる」シュタタ



『屋敷の中』


剣士「誰も住んでる気配が無い…」

女オーク「でも片付いてるわ?」

剣士「見て…壁に掛かってる画」

女オーク「全部ウンディーネ?」

剣士「ホムンクルスっていうお姉ちゃんだよ…多分ウンディーネと同じ人」

女オーク「これが気になる物?」

剣士「うん…昔はこれが誰だか分からなかったんだよ…今見てホム姉ちゃんだと確信した」


ドスドスドス


剣士「ハッ!!」

ラットマンリーダー「がおおおぉぉ」ドシドシ

剣士「マズイ!見つかった!女オーク逃げるよ!!」

ラットマンリーダー「がうっ!」ブン

女オーク「先に走って!」ガシ

剣士「付いて来て!!窓から飛び降りる」シュタタ

女オーク「…」ダダ


ピョン ガチャーン!!

765: 2021/11/19(金) 22:51:30.66 ID:pYa2Z27w0
剣士「うわ!…もう一体居る!」シュタ

女オーク「走って!!」ピョン スタ

ラットマンリーダー「がおおおぉぉ」ドシドシ

剣士「くそぅ…」チャキリ


ターン!!


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ

女オーク「急いで!!」ダダ


衛兵「泥棒だ!!ピーーーーーーーーーー」


剣士「ハイディングしながら屋根伝いに帰るよ?行けるね?」タッタッタ

女オーク「付いて行くわ!」タッタッタ

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ


衛兵「居住区全域封鎖しろぉ!!ピーーーーーーーーー」


----------------

----------------

----------------

766: 2021/11/19(金) 22:51:57.34 ID:pYa2Z27w0
『宿屋_2階の角部屋』


ガチャリ バタン


剣士「遠回りしたけど無事に帰って来れた…楽しかったね?」

女オーク「いつもこんな事してたの?」

剣士「もう昔話だよ」

女オーク「ウフフ…」

剣士「さて!!この間の続きしよっか」

女オーク「待って…今度は私が上」

剣士「君重いんだよね」

女オーク「これは命令…剣士は私の奴隷なの」

剣士「じゃぁ交代交代で行こう」

女オーク「それから終わっても抜いたらダメ…朝まで繋がりっ放し」

剣士「そんな…終わらないじゃ無いか」

女オーク「命令」

剣士「君はエOチな体してるなぁ…」

女オーク「ウフフ…来て」


ドタン バタン ドスドス

----------------

----------------

----------------

767: 2021/11/19(金) 22:52:30.84 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


チュン チュン


女オーク「剣士!?起きて…」

剣士「んん?」パチ

女オーク「外が騒がしいわ?衛兵がうろついてる…」

剣士「アハハ何も盗んで無いのに」

女オーク「もうすぐこの宿屋にも来る…」

剣士「おっけ!移動しよう…窓開けるからハイディングしたまま飛空艇まで行こう」

女オーク「そうね…」ヨロ

剣士「君フラフラじゃないかw」

女オーク「大丈夫…体力は全快」

剣士「それなら良いけど…じゃぁ窓開けるよ?」


ガラガラ


剣士「ちょっと待ってね服着るから…」ゴソゴソ

女オーク「早く…もう来るわ」

剣士「おっけ!ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「行こう!!」ピョン クルクル シュタ

女オーク「…」ピョン ドスン


タッタッタ

768: 2021/11/19(金) 22:53:57.07 ID:pYa2Z27w0
『海岸』


ウゥゥゥゥ ガルルル


女オーク「近くに誰か居るわ…」

剣士「フード深く被って」

女オーク「どうするの?」

剣士「見つかっちゃったか…あれはローグさんだ」


スタスタ


ローグ「やっぱり未来君だったでやんすね?この辺に気球を隠してると思っていやしたが…」

剣士「…」ジロ

ローグ「あのウルフが居て近づけんでやんすよ」ガルルル

剣士「ローグさん豪族になったんだね…尊敬していたのに残念だよ」

ローグ「いやいやこれには訳があるんす」

剣士「聞きたく無いよ…ビッグママをローグさんに渡さないから」

ローグ「そら誤解っすね」

剣士「ビッグママの体が欲しいんでしょ?聞いちゃったんだ」

ローグ「あらららら…体が欲しいのは本当なんすが…」

剣士「どいて…」チャキリ

ローグ「ちょちょちょ…デリンジャーは反則っす!」ダダダ グイ

剣士「うっ…」タジ

ローグ「こうしないと話聞いてくれやせんよね?」

剣士「撃ちたく無いんだ…僕の事は放って置いて」

ローグ「未来君は甘いっす…その甘さが命取りになりやすぜ?」


ターン


ローグ「おわぁっ!あぶっ」ドタ

剣士「女オーク先に飛空艇に乗って」

女オーク「うん…」タッタ

ローグ「ちっと話を聞いて欲しいんすが…」バサッ ダダ

剣士「うっ!!砂…」チャキリ 


ターン ターン


ローグ「あだっ!!くぅぅぅぅ」

剣士「サヨナラだよ…動かないで…又撃つよ」チャキリ

ローグ「未来君違うんすよ…あっしが豪族になったのには訳があるんす」


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…」---僕知ってるんだ---


ローグさんがビッグママを酔わせて体にイタズラしてた事

今何言われても信用できないんだ

なんか…大事な物を無くした気分だよ

769: 2021/11/19(金) 22:56:14.30 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「女オーク!ナイスタイミングで飛んだね?」

女オーク「剣士の行動が分かるようになって来たから」

剣士「じゃぁ次何処に行きたいか分かる?」

女オーク「当てたら私の奴隷って認める?」

剣士「いやいや…それとこれとは話が別だよ」

女オーク「認めたく無いの?」

剣士「認めるも何も君は僕の奴隷だよ…何回も言うようだけど」

女オーク「当てたら認めてね?…行き先は海士島よ」

剣士「う…」

女オーク「ウフフその顔…」

剣士「違うよ行先は名も無き島さ…」

女オーク「はい!海士島に向かいます」

剣士「行きたいなら行っても良いけどさ…」

女オーク「あなた顔が分かりやすいのウフフ」

剣士「もう何て言うのかな…僕より強いからって偉そうなんだよね」

女オーク「言う事聞いて…奴隷は命令に従えば良いの」

剣士「まぁ良いや君が操縦してね」プイ


--------------

--------------

--------------

770: 2021/11/19(金) 22:58:02.05 ID:pYa2Z27w0
『海士島上空』


シュゴーーーー バサバサ


女オーク「見つけたわ…あの船が停泊してる島よきっと」

剣士「ふ~ん…」

女オーク「剣士まだ拗ねているの?」

剣士「僕は奴隷だから大人しくしてるだけさ」シラー

女オーク「もうあなたって…分かったわ…言う事聞いてあげるから」

剣士「アハハハ言ったね?とうとう僕の奴隷だと認めたね?最初から素直に認めれば良いのさ」ズイ

女オーク「私は大人しくしているわ…」ストン

剣士「おけおけ!操縦は僕やるよ」グイ

女オーク「困った奴隷ね」

剣士「拗ねてる?」

女オーク「拗ねてなんか居ないわ?懲らしめる方法を考えてるの」

剣士「フフよし!あそこの林に飛空艇隠そう」


-----------------


『広場』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「女オーク!フード深く被ってね」ファサ

女オーク「うん…でもどうして?」ファサ

剣士「君の背格好はビッグママにそっくりなんだよ」

女オーク「私を囮にしているの?」

剣士「豪族達がどんな反応をするのか見たいんだ…大丈夫!君は僕の奴隷だからちゃんと守ってあげる」

女オーク「ウフフしっかり守って?」

剣士「今お金いくら持ってる?」

女オーク「金貨3枚よ」

剣士「おけおけ十分…ここの露店色んな物が売ってて面白い…見て行こう」スタ


--------------

771: 2021/11/19(金) 22:58:32.03 ID:pYa2Z27w0

御札屋「らっしゃい!お札に興味あるかい?」

剣士「コレ何?初めて見た…」

御札屋「ご利益のあるオークのお札だ…珍しいだろう?ちぃーっと値が張るがどうする?」

剣士「沢山種類がある…全部同じ?」

御札屋「良い所に気付いたね?コレが魔除け…コレが虫除け…コレが水除け…まぁ色々だ!」

剣士「1枚いくら?」

御札屋「高いぞぉ?1枚銀貨20枚…さぁどうする?」

女オーク「剣士?これ全部本物よ?どうしてこんな物が…」

御札屋「そりゃ本物よ…裏ルートで入手したオークのお札…他では売って無いぜ?」

剣士「研究したい…全種類欲しい」

御札屋「ほぉぉぉこりゃ良いお客さんだ!12枚で銀貨240枚…ええと金貨にすると…」イチニーサン

剣士「女オーク金貨お願い」

女オーク「…」チャリン ジャラジャラ

御札屋「毎度ぉぉ!!ほら持って行きな」パサ

剣士「紙切れに金貨2枚も必要かぁ…高いなぁ」

御札屋「そう言いなさんな…ここでしか売って無い珍しいお札だ…ご利益あるぜぃ?」


---------------


剣士「あと残り金貨1枚と僕の持ってる銀貨20枚…贅沢出来なくなっちゃた」

女オーク「そのお札はオークシャーマンしか作れない物なの」

剣士「そうなんだ?ここで売ってるという事は繋がりがあるんだね」

女オーク「普通は体にタトゥーを入れるのよ?紙だとどのくらい効果あるのか…」

剣士「いや研究したいだけだよ…呪術ってあんまり知らないからさ」

女オーク「それなら良いわ…」

剣士「じゃぁ宿屋取って酒場にでも行こう」

女オーク「うん…」

772: 2021/11/19(金) 22:59:18.58 ID:pYa2Z27w0
『海の酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

見ろ…カウンターに座ってる2人…女の方は多分海賊王の娘だ

なにぃ!!よく確認しろ

あんなデカイ女そうそう居るもんじゃ無い…どうする?

船だ…何処に船を隠してるか後を付けて確認するぞ

しかし…キ・カイに居るという話はデマだったのか?

タイミングが悪いな…向こうに数隻行った後だ

拿捕かけるには人手が足りんか…俺らだけで行っても返り討ちがな

兎に角見張って様子を探るぞ

ワイワイ ガヤガヤ


剣士「いやぁぁ君は人気者だね?」グビ

女オーク「私じゃ無いわ」ゴク

剣士「最近思うんだ…君を独り占め出来てる僕は幸運だなってさ」

女オーク「ウフフそう言って貰えて嬉しい…今晩もする?」

剣士「勿論!その為にわざわざ宿に泊まってるんだ…ウルフに見られたく無いからね」

女オーク「嬉しい…」ニコ

剣士「でも僕達さ?エOチばっかりしてるけど中々赤ちゃん出来ないね…僕の種もダメかもしれない」

女オーク「気にしないで?いつかその内…」

剣士「じゃぁそろそろ帰ろうか…桟橋の方まで散歩してハイディングね?」スタ

女オーク「うん…」スタ

店員「又のお越しを」ペコ



----------------

773: 2021/11/19(金) 23:00:03.87 ID:pYa2Z27w0
『桟橋』


ザブン ザザー


剣士「どの船にしようかなー」スタスタ

女オーク「後を付けて来る人…バレバレなの気付いて無いのね?」

剣士「そうだね…もっと上手く尾行出来ないんだろうか…」

女オーク「あの大き目の船はどう?」

剣士「ハハ商船じゃないな…多分豪族の船だ…まぁ良いか?」

女オーク「面白そう」

剣士「じゃぁ走って船に乗り込んだらハイディングね?」

女オーク「付いて行くわ」

剣士「ゴーー!!」


タッタッタ


見張り「おい!!誰だお前…」

剣士「ちょっと忘れ物」タッタッタ

見張り「待て!!」

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

見張り「あれ!?誰だったんだ?」キョロ


----------------


野郎1「ちぃ!気付きやがった!走って逃げるぞ」タッタ

野郎2「あの船は何処の豪族か分かるか?」

野郎1「後で調べる…にゃろう身内に隠れて居やがったのか」

野郎2「戻って仲間集めるぞ…この船に拿捕かける…俺らをコケにしやがって許せ無ぇ」

野郎1「道理で見つからない訳か…だがここで確保したとなりゃ海賊王を追い詰められる」

野郎2「早く来い!ここで逃げられちゃ意味無ぇ」


タッタッタ

774: 2021/11/19(金) 23:00:44.74 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


チュン チュン


剣士「う~ん」ノビー

女オーク「すぅ」スヤ

剣士「さて!行く準備しようかなー」ゴソゴソ

女オーク「ううん」パチ ガバ

剣士「おはよう…良く寝た?」

女オーク「私どうして寝て…」

剣士「僕が勝ったから…もう行くよ」

女オーク「あ…うん…準備する」ゴソゴソ

剣士「アハ外騒いでるな…巻き込まれないうちにサッサと行こ」

女オーク「豪族達?」

剣士「なんか揉めてる…見つかると厄介だ」

女オーク「行けるわ」

剣士「ハイディングして飛空艇まで行こう」

女オーク「そうね…」

剣士「じゃぁ扉開けてっと…」ガチャリ ギー

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ


タッタッタ

775: 2021/11/19(金) 23:01:47.07 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


剣士「操縦頼むね…南東の方角…高度上げて偏西風に乗って」

女オーク「うん…」

剣士「ん?負けた事気にしてる?」

女オーク「悔しい…朝まで繋がって居られなかった」

剣士「いやずっと繋がってたさ…君が覚えて無いだけだよ」

女オーク「記憶が…」

剣士「やっと勝てて僕は嬉しい」

女オーク「それなら良いわウフフ」

剣士「ちょっと今から呪符の研究するから邪魔しないでね」

女オーク「うん…」---心も体も充実してる…幸せ---

剣士「えーと…これが退魔の呪符だったな…」ブツブツ


アーデモナイ コーデモナイ

---------------

---------------

---------------


剣士「しまったなぁ…魔術書持って来るんだった」

女オーク「何か分かった?」

剣士「オークの呪術は僕達が使う魔術の前身だよ…僕達の言葉で古代魔術」

女オーク「それはスゴイ事なの?」

剣士「そうだね…ねぇオークって文字を使った書物って有るの?」

女オーク「オークシャーマンだけが文字を知ってる…普通のオークは知らない」

剣士「エルフも文字を残す文化が無いんだけど…ここに記されて居るのは多分エルフの言葉を文字にした物だ」

女オーク「え?エルフとは言葉が違うわ?」

剣士「えとね…多分こうだよ」


本来オークは古代文字を使って居たんだよ

でもそれが許されて居るのは一部のオーク…つまりオークシャーマン

それ以外のオークは文字を教えて貰えないから独自の言語に変わって行ったんだ

一方エルフは古代文字をそのまま話す

それをオーブと言う物で知識の伝達をして来たから文字は残らないけど言語はそのまま残った

それが森の声と呼ばれる言語

この呪符には古代文字が記されていて僕達魔術師がずっと昔から研究している物なんだよ

776: 2021/11/19(金) 23:02:21.38 ID:pYa2Z27w0
剣士「そして古代魔術の方が僕達の魔術よりもずっと優れている…オークの呪術は失われた古代魔術なんだ」

女オーク「そう?…私にはあまり興味の無い話」

剣士「どうして君がオークシャーマンの呪いを恐れて居たのかこれで理解出来た…僕が思ってたよりずっと強力なんだ」

女オーク「その呪符は使えそう?」

剣士「これは多分僕達の魔方陣と同じだろうね?退魔の呪符は退魔の魔方陣とピッタリ重なる」

女オーク「剣士にも出来ると言う事ね…」

剣士「出来ない物もある…例えば耐火の呪符…僕達の魔術書には耐火の方陣は記されて居ない…これは大発見なんだ」

女オーク「ウフフ剣士目が輝いてる」

剣士「かわいいって言わないでよ?僕の方が強いんだ…君は僕の奴隷…イイね?」

女オーク「はいはい…」ニコ

剣士「この呪符を体にタトゥーで刻めば耐性を得られるとしたら魔法なんか要らないな」

女オーク「西オークの戦士たちは皆オークシャーマンに強化してもらうのよ」

剣士「魔法は効かないって思った方が良いね」

女オーク「魔法だけじゃなくて力の増強とか筋肉の強化とか色々有るのよ?」

剣士「君はタトゥーが無いね」

女オーク「あなたに処Oを奪われた時に全部消えた…呪いもタトゥーも」

剣士「じゃぁ弱くなったのか」

女オーク「野良オークがひっそり暮らすのは強化されたオークに勝てないからよ」

剣士「なるほどね…大分オークの事が分かって来たぞ」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あのさ?そんな凄いオークシャーマンの首を切り落とす寸前だったのは大変な事だったよね?」

女オーク「そうね…でもオークシャーマンはそれを気にする程小さい器では無い」

剣士「え?どういう事?」

女オーク「本当はとても寛容なの…戦争を起こす悪いオークだけど」

剣士「寛容?…まぁ気にしてないなら良いけど」

女オーク「ほら?人間に処Oを奪われたら呪いを解ける様にしているのよ?追いかけても来ない」

剣士「どうしてそんなヘンテコな呪いなんだろう?」

女オーク「それはオークシャーマン自身が人間と関係を持つ事に肯定的だから」

剣士「つまり人間と結ばれる人は許しますよ…っていう事だね?」

女オーク「寛容でしょう?」

剣士「まぁなんか変だけどねw…なんでそんなヘンテコな呪いにしたんだろうなぁ…」


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777: 2021/11/19(金) 23:03:12.70 ID:pYa2Z27w0
『名も無き島』


フワフワ ドッスン


ウルフ「ガウガウ!!」ピョン シュタタ

女オーク「ウルフが走り去って…」

剣士「体動かしたいんだよ放って置いて良いから…よし!樽を運ぶの手伝って」ヨッコラ

女オーク「遺跡の地下ね?」グイ

剣士「うん…ホム姉ちゃんの部品の所」



『古代遺跡地下』


ヨイショ ドスン


剣士「ふぅ…商人さんを待つよりもう一回僕が精霊樹に行った方が早そうだ」

女オーク「また行く?」

剣士「いや言われた通り待つよ…ちょっと休憩さ」

女オーク「キ・カイへは?」

剣士「う~んどうしようかな…君と立ち合いして疲れたら帰ってエOチして寝て…起きたらまたエOチして寝る」

女オーク「ウフフ…」

剣士「ここならそんな生活も許されるなぁ…なんてね?」

女オーク「私の事好き?」

剣士「もう君以外に興味無い…いつの間にか君の虜になってる」

女オーク「私の奴隷だって認める?」

剣士「ちょ…それは違う」

女オーク「ダメよ…あなたにはやる事が有るから…立ち止まってはダメ」

剣士「ええええ…良いじゃないちょっとくらいさぁ」

女オーク「来て?満足させてあげる…満足したら前に進みましょ?」

剣士「ここホム姉ちゃんが目を覚ましそうだからベッド行こう」グイ

女オーク「ウフフ…」


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778: 2021/11/19(金) 23:04:27.68 ID:pYa2Z27w0
『随分前_暁の墓所』


スタスタ


魔術師「姫様…女戦士殿が到着されました」

魔女「おぉ!やっと来たな?丁度遺跡の調査がひと段落した所じゃ」

女戦士「この墓所は一体…」スタスタ

魔女「まずこれを見よ…」スッ

女戦士「朽ちた刀…」

魔女「主が研いだ刀に間違い無かろう?」

女戦士「…」サワサワ

魔女「どういう事か想像出来るな?」

女戦士「未来はどうした?」

魔女「一人旅じゃ…安心せい!仲間を得て程よく成長しておる」

女戦士「そうか…」

魔女「して?精神と時の門ではどの位過ごしたのじゃ?」

女戦士「もう分からない…30年か…40年か…」

魔女「心の傷は癒えたかいの?」

女戦士「フッ…」

魔女「時空は体得したな?見せてみぃ」

女戦士「…」フラリ ノソ

魔女「ほぅ…わらわと同じ時空に居るか…主は打たれ強いで己に打ち勝つのはしんどかったじゃろう?」

女戦士「私の弱点が良く分かった…」

魔女「うむ…色欲を克服したな?」

女戦士「言わないで欲しい」

779: 2021/11/19(金) 23:05:16.40 ID:pYa2Z27w0
魔女「時空の修行はもう終わりじゃ…時が動き出すで覚悟は良いな?」

女戦士「次は私が未来を守る…もう失わせない」

魔女「良い…じゃが朗報もある…どうやらアダムを滅ぼすのは未来では無さそうじゃ」

女戦士「どういう事だ?」

魔女「黄昏の賢者が目覚めるやも知れぬ…アダムを滅ぼすのは黄昏の賢者じゃと思うとる」

女戦士「誰なのだ?黄昏の賢者とは…」

魔女「恐らくオークシャーマン…3000年前にドリアードを葬ったその本人」

女戦士「では未来は危険を冒さなくて良いと?」

魔女「うむ…じゃが導いてやらねば未来は先走る…故に今から主と共に未来の先回りをするのじゃ」

女戦士「何処へ?」

魔女「思案中なのじゃが…一先ず主の船が動き安かろう」

女戦士「アサシンと連絡は?」

魔女「これからじゃ…一旦シン・リーンへ戻るぞよ?」

女戦士「その前に遺跡の壁画を見て行って良いか?」

魔女「おぉそうじゃったな…勇者ら2人が描かれて居る…ゆっくり見て構わんぞ」

女戦士「…これが…私の妹…」

魔女「生きた証じゃ…奴らはずっと生きて居った…」

女戦士「そうか…良かった…」グッ


---------------

---------------

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780: 2021/11/19(金) 23:05:59.72 ID:pYa2Z27w0
『気球』


ガサゴソ ゴタゴタ

姫様と女戦士殿が帰還される!準備を急げ!


情報屋「ねぇ魔女?女戦士はずっと魔術の修行を?」

魔女「うむ…女戦士は勇者2人の最後を見て心傷してしもうての?己の未熟さを悟ったのじゃ」

情報屋「未来君はそれを知って?」

魔女「いや…未来は知らぬ…未来は未来の道を歩ませばならぬ故…距離を置いたのじゃ」

情報屋「未来君の心傷は?」

魔女「それを乗り越えるのも修行じゃ…心に闇が育たぬ様に注意はしたぞよ?」

情報屋「そう…」

魔女「心配せんでも良い…未来は良い子じゃ…心でしっかり感じて居る」

情報屋「私も未来君みたいな子が欲しかった…」

魔女「悲しいのぅ…産めぬまま時が流れるのはなんと不幸か…」


スタスタ


女戦士「待たせた…行こうか」

魔女「目が腫れて居る」チラ

女戦士「私の妹の苦悩を思うとな…」

魔女「考えすぎじゃ…あの二人は楽しくやって居る」

女戦士「…」トーイメ


-------------

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-------------


へーーーーっぷし!! 

781: 2021/11/19(金) 23:06:47.47 ID:pYa2Z27w0
『剣士の家』


ゴソゴソ ドタドタ


女オーク「ハッ!!」パチ ガバ

女オーク「又…」キョロ

剣士「あ…おはよう」ヨッコラ ヨッコラ

女オーク「ゴメンなさい…満足させてあげるって言いながら私が…」

剣士「ハハ満足したよ…僕は君が意識無くすのを見るとすごく満足だ」ヨイショ ヨイショ

女オーク「又私の負け…」

剣士「そうさ僕は君を征服した…こんなに気持ち良い事は無い」

女オーク「悔しい…」ググ

剣士「急にやる気が出て来たんだ…ハテノ村行って次にキ・カイに行く…君も準備して」

女オーク「うん…」ヨロ ドタリ

剣士「ハーーッハッハ参ったか!?君が気持ちよくて意識失う顔…かわいいよ?アハハハ」

女オーク「かわいいって言わないで!」

剣士「ムフフ急いで準備してね?置いて行くよ?」

女オーク「ムムム…」ギリ



『飛空艇』


フワフワ


剣士「ウルフ!乗って!」

ウルフ「ガウガウ!」シュタタ ピョン

女オーク「あら?水は乗せて無い?」

剣士「ちょっとだけだよ…ほら?」チャプン

女オーク「鉄をハテノ村に持って行くのね?」

剣士「うん…向こうに鉄が無いから色々作れない…水はこれだけ有れば十分」

女オーク「私は何を持って行こう…」

剣士「君は体だけで良いよ…僕の為に」

女オーク「…」ジロ

剣士「はいはい乗って乗って!飛ぶよ!」

女オーク「…」ストン

剣士「怒ってる顔も可愛いよ?フハハハハ」

女オーク「…」プイ

剣士「しゅっぱぁぁぁつ!!」グイ


シュゴーーーーーー バサバサ

782: 2021/11/19(金) 23:07:40.85 ID:pYa2Z27w0
『上空』


剣士「あれ?偏西風が弱い…なんでだ?」

女オーク「逆風が無くて良いのでは?」

剣士「まぁそうなんだけどね…偏西風が無いなんて初めての事だ」

女オーク「下は分厚い雲で現在地が分からないわ?」

剣士「火山の噴煙探そう…雲の下は多分土砂降りだ」

女オーク「水には困らないのねw」

剣士「機嫌直った?」

女オーク「私は機嫌を損ねてなんか居ないわ?」

剣士「そか!ほんじゃちょっと君を改造する…」

女オーク「どうする気?」

剣士「牙を少しだけ生やす…少し見えていた方がかわいい」

女オーク「このままで良いのに…」

剣士「大人しくして…これは命令」

女オーク「フン!好きにして…」

剣士「変性魔法!」ニョキ


よしよし…笑って見て?

おけおけ!少し見える

肌の色はもう少し褐色にしよう

変性魔法!おぉ健康そうだ!


女オーク「あなた好みに変えて居るの?」

剣士「まぁね?どんぐり…食べ辛くない?」ポイ

女オーク「…」カリ モグ

剣士「良さそうだねフフフ完成だ!」キラキラ

女オーク「…」---かわいい---

剣士「ぐぁぁ…ちょちょ…苦しい放して」ギュゥゥ

783: 2021/11/19(金) 23:08:28.92 ID:pYa2Z27w0
『ハテノ村』


ザザー フワフワ ドッスン


剣士「すごい雨だ…急いで荷物降ろそう」バチャバチャ

女オーク「何処へ?」ベチャベチャ

剣士「盗賊さんの飛行船が無いなぁ…教会に持って行こう」

女オーク「分かったわ…よいしょ!」グイ


ハンター「剣士!戻って来たんだね!!」


剣士「丁度良かった…鉄を沢山持って来たんだ…運ぶの手伝って」

ハンター「分かった…教会で良いよね?」

剣士「うん!これお願い」ドサリ ガラガラ

ハンター「うわ…雨に濡れる」

剣士「いそいで運ぼう」ヨッコラ


ザザーー ベチャベチャ

784: 2021/11/19(金) 23:09:28.80 ID:pYa2Z27w0
『教会』


ピチョン ポタン


剣士「ふぅぅベタベタになった…」

僧侶「剣士さんお帰りですぅ!」スタタ

魔法使い「良かった…もう帰って来ないかと」

剣士「すぐ戻るって言ったじゃない…ねぇ僕の爺いじが来てる筈なんだけど…何処行ったの?」

ハンター「上流の遺跡の所に気球降ろしてあの辺り整備してくれてる」

僧侶「沢山人を連れて来てくれたので助かってるでしゅ」

剣士「盗賊さんは硫黄を乗せてキ・カイに飛んだ感じだね?」

僧侶「そうでし」

剣士「状況つかめたよ…それにしてもひどい雨だね」

僧侶「はいー…土砂崩れが心配だと言って海賊王さん達が慌てて何か建築してるです」

剣士「それで人が居ないのか」

ハンター「雨に濡れて良ければ行って見ると良いよ…上流には温泉もあるし」

剣士「お!?温泉か…なるほど爺いじは先に温泉を整備してるんだな?」

ハンター「ハハ察しが良いね…こっちの教会よりも温泉に目を付けたのさ」

剣士「ちょっと行って見ようかな」

785: 2021/11/19(金) 23:10:08.72 ID:pYa2Z27w0
『川沿い』


エッサーホイサー

土砂が流出せん様に土手に板張るんや

砂利を使って上手い事押さえや


剣士「爺いじ!!」

海賊王「おぉぉぉ未来かいな!今忙しい所や…おまんは上で温泉にでも浸かってきぃ」

剣士「僕は何もしなくて良いの?」

海賊王「そやな?おまんは木を生やせられるやろう?土手の土が持って行かれん様に木の根を張れ」

剣士「簡単簡単!」チャキリ

海賊王「何をする気や?その銃で木を生やすんかいな?」

剣士「見てて?」


ターン ターン ターン ターン


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ バサバサ

海賊王「うほほエライ派手な生やし方や…流石ワイの子…もっとヤレ」

剣士「女オークは温泉に入ってきて良いよ…僕は少し作業してから行く」

女オーク「うん…」

海賊王「ほなワイらはこっち側やるで未来は向こうや…頼んだで?」

剣士「おっけ!」ツメツメ チャキリ ターン


---------------

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786: 2021/11/19(金) 23:10:47.79 ID:pYa2Z27w0
『古代遺跡の入り口』


ワイワイ ガヤガヤ


海賊王「居った居った…未来!温泉入ったか?」

剣士「爺いじスゴイね…温泉からここの遺跡から…」

海賊王「ワイらはおまんの友達の邪魔にならん様にこっち側で要塞作っとる」

剣士「もう鍛冶場もある」

海賊王「道具作らなアカンでな?」

剣士「鉄を持って来たよ」

海賊王「おぉぉソラえぇタイミングや…つるはし作らなアカン」

剣士「爺いじの気球は?もう硫黄積んで飛んだ?」

海賊王「そや…至急で欲しいんや…豪族を追い返して村を救わなアカンで」

剣士「そうだよね…豪族に女の人イタズラされちゃうもんね」

海賊王「それはワイの仕事やからおまんは何も考えんでえーわ…ところでおまんの生やした木」

剣士「ん?何かあった?」

海賊王「川沿いにずっと連なって丁度雨除けになっとる」

剣士「あーそれね?下の教会からこっちに来るのに雨に濡れちゃうからさ」

海賊王「やっぱりそうか…友達も呼んできーな…宴会やるで?」

剣士「この雨の中?」

海賊王「細かい事は考えんでえーちゅうねん…濡れたら温泉入ればチャラや」

剣士「ハハそうだね?」

海賊王「おまんの友達は大人の中に中々入り難い様や…全員で宴会するで?」

剣士「おけおけ!呼んでくる…お酒ある?」

海賊王「当たり前や!!早う呼んでこい」

787: 2021/11/19(金) 23:11:28.37 ID:pYa2Z27w0
『川沿いの林道』


ワーイ キャッキャ


僧侶「シスター足元滑るので気を付けるですぅ」

シスター「はいはい済まないねぇ」ノソノソ

神父「こら…えらい変わったな?」ノソ

ハンター「剣士が植えた木は大きく育つんだね」

剣士「たまたまだよ…今日は水が沢山あったし…お陰で良く葉が茂った」

魔法使い「他に秘密が有るんじゃない?教えて欲しいわ」

剣士「う~ん…何だろう?体力かな?」

魔法使い「体力?そうか私達疲れてるのかも…」

剣士「温泉は入った?」

魔法使い「獣が怖くて入れない…」

剣士「なら爺いじが安全にしてくれたから入ると良いよ」

魔法使い「岩場で裸になるのがちょっと…」

剣士「何言ってるのさ…昔は裸で走り回ってたじゃないか」

僧侶「そうでしたねぇ…皆一緒に水浴びしたですねぇ」


海賊王「おーーーい!!早う来いやぁ…みんな待っとるでぇぇ!!」


剣士「アハ…急ごう」スタ

788: 2021/11/19(金) 23:11:59.05 ID:pYa2Z27w0
『祭り騒ぎ』


ワイワイ ガヤガヤ

おいおい水が落ちて来るやんけ!肉に掛かる

布無いか布ぉ!!焚火だけ濡らすな

コップ無いのにどうやって酒汲むんやろう?

その辺の木材くり抜いて入れたらえーやろ


海賊王「おぉぉシスターはんに神父はんよう来なすった…こっちが濡れんでこっちに座りぃ」

シスター「ありがたや…」ノソ

神父「たまげた宴会じゃ…」ノソ

海賊王「ダハハハハおまんらも好きな物食うて好きなだけ飲め!」

魔法使い「は…はい…どうして全員ふんどし一丁な訳?」タジ

海賊王「濡れるからに決まっとるやろ…ビタビタじゃ気持ち悪いんや…えーから飲め」

僧侶「頂くですぅ」スタタ

海賊王「濡れてもすぐそこに温泉や…ビタビタになる宴会もえーやろ!ガハハハハ」

ハンター「ハハ…又グダグダな感じの宴会だ」

海賊王「何を言うとるんや!これが良いんや!生焼けの肉に魚食らって腹壊して酒飲む…お前もふんどし一丁になれ!!」

剣士「ねぇ爺いじ?女オーク知らない?温泉に行った切りなんだけど…」

海賊王「おまんが迎えに行け!あぁそやそや布持ってけ布」

剣士「そうか着替えが無くて戻って来れないのか…」

海賊王「おまんもふんどしでえーやろ」

剣士「そうだね?おけおけ!濡れた服脱いで来る」ダダ

僧侶「私も行くです」スタタ

魔法使い「ちょっと僧侶…」

ハンター「服が濡れると気持ち悪いから僕らも脱ごう」グイ

魔法使い「ええ!?」

海賊王「子供達も全員裸にせい!!濡れた服は炉で乾かしたる」

魔法使い「えーと…じゃぁ子供達!!温泉入るわよ!!おいで!!」

子供達「はーい!!」キャッキャ

789: 2021/11/19(金) 23:13:04.37 ID:pYa2Z27w0
『温泉』


モクモク


剣士「とうっ!!」ダダ ピョン

女オーク「あ!!剣士ソコ…」


ザブーン


剣士「熱っつ!!あっつい!!」バシャ バシャ

女オーク「そこ熱いからコッチに…」

剣士「早く言ってよ…熱っつつ」バタバタ

女オーク「ウフフ…馬鹿ね」

剣士「着替えないから布持って来たんだ…それで隠せば良い」

女オーク「わざわざありがとう…困ってたの」ゴソゴソ

ハンター「とうっ!!」ダダ ピョン

女オーク「あ!!ハンター…」


ザブーン


ハンター「だぁぁぁぁ熱っつい!!」バシャ バシャ

剣士「アハハ…アハハハハ」

女オーク「そこダメ…下の方」

僧侶「私達も来たですぅ…下の方は私達が使うでし」チャポン

子供達「わーい」バシャバシャ

僧侶「ふぃぃぃ」グビグビ

魔法使い「僧侶あなたお酒を持って来たの?」

僧侶「魔法使いさんも飲むでしゅか?」

ハンター「良いなぁ下の方はくつろげそうで…あつつつ」スリスリ

女オーク「これでよし!どう?見えないでしょ?」ギュ ギュ

剣士「良いね!じゃぁ僕もふんどしに…」ゴソゴソ

僧侶「みんなでふんどしパーティー楽しいです」

剣士「ここ温泉近くでスゴイ過ごしやすい…良いなぁ…僕の島にも欲しい」

僧侶「剣士さんもここに住めば良いです」

剣士「ハハそうだね…爺いじが気に入ったのも分かる」


ドドドドド ザブ~~ン!!

790: 2021/11/19(金) 23:13:43.26 ID:pYa2Z27w0
ハンター「どわぁぁぁ熱っつい!!」

海賊王「はぁぁぁぁぁぁええ湯や…真から温まる」

剣士「ハハ爺いじには丁度なんだ」

海賊王「者共!!突撃やぁ!!」


ドドドドド ザブ~~ン!!


魔法使い「ちょちょ…ちょっと!!ここは女が…」

海賊王「小さい事は気にしたらアカン!皆一緒に入ったらええんや!!」

ハンター「とうっ!!」ザブーン

僧侶「お酒がこぼれたでしゅ…」

子供達「わーい」キャッキャ

者共「はぁぁぁぁ温まる…エ~ユダナ…ハハハ~ン」

海賊王「土砂降りの温泉もええなぁ?上がったら肉食うで?」

魔法使い「フフ…皆裸で…何かどうでも良くなっちゃった」

海賊王「おまんは乳がデカいな?」

魔法使い「見ないで!!」ザブ

海賊王「見られて無うなるもんやない!気にすんな気にすんな…はぁぁぁええ湯や」


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791: 2021/11/19(金) 23:14:20.33 ID:pYa2Z27w0
『土砂降りの宴会』


ワイワイ キャッキャ

誰じゃ木を揺らすのは!!水が掛かるやろ!!

どんぐり焼けたぞぉ!食え食え!

おま…これ毒キノコじゃ無いのか?


魔法使い「フフなんか…原始時代みたい」

ハンター「グダグダだと思ったけど全然楽しいや…子供達も泥んこで遊んでる」

僧侶「お酒持って来たです」

ハンター「ありがとう」グビ

魔法使い「もう忘れていたけど…皆で温泉に入るのってすごく癒される」

僧侶「私のペチャパイがバレたです」

ハンター「昔から知ってるよハハ」


ドタドタ ドスン!


海賊王「どや?楽しいやろう?この感じを忘れんなや?」

魔法使い「海賊王さんありがとう…何か色々思い出した」

海賊王「ワイはこの村が気に入った…今日からこの村はドワーフ国の領地や…領主はおまんがヤレ」

魔法使い「え?私?」

海賊王「そや…おまんはなんやかんやで人徳がありそうや…領主でええ」

魔法使い「領主って何をすれば良いのか分からない」

海賊王「この地を治めればええんやが心配すな?ワイが守ったるで…兎に角子供達を守れ」

僧侶「私は何かやる事無いでしゅか?」

海賊王「そやなぁ…おまんは酒場の女将やな…酒場は大事なんやで?宴会で盛り上げなアカンで」

ハンター「ハテノ村の復興だ!」

海賊王「ガハハハ今日はその宴やな!乾杯じゃ乾杯!」チン グビグビ

僧侶「かんぱーい!!」ゴク


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アオーーーン ワオーーーーン

792: 2021/11/19(金) 23:15:18.34 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ザザー ボタボタ


剣士「雨が止む気配が無い…」

海賊王「雨降って地固まるちゅうが…ちと降り過ぎやな」

剣士「建築は大丈夫?」

海賊王「まずはこの遺跡を拠点に建屋作って行くから心配すな…晴れたら下の教会まで行ったる」

女オーク「この雨もしかして…」

剣士「ん?どうしたの?」

女オーク「オークシャーマンの呪術かもしれない」

海賊王「ほう?南方の東オークを洪水で攻め様っちゅう気やな?この雨で下流はエライ洪水が起きとるやろ」

剣士「呪術で天候を操る…それで偏西風が止まってた?」

海賊王「南の空が雷で光っとったわ…オークの難民に備えとった方がええな」

剣士「偏西風を止めるって…この星全体に影響が出るじゃ無いか…そんな事まで出来るのか」

海賊王「未来は知らんやろうがワイらドワーフはオークシャーマンが産んだんやで?」

剣士「ええ?」

海賊王「ワイらにとってオークシャーマンは創造主やな」

剣士「どうやって?」

海賊王「言い伝えではな?ノームちゅう小人とオークの合いの子らしいわ」

剣士「ドワーフは精霊が産んだんじゃ無かったんだ…」

海賊王「正確には精霊がオークシャーマンにやらせたんやろう…ノームの血を引くけぇワイらは器用なんや」

剣士「オークシャーマンってそんなにスゴイ存在だったのか…危うく首を切り落とす所だった」

海賊王「ガハハハ豪快な話やな?神頃しかいな」

剣士「でもね?オークシャーマンはそんなに大きく無い小さなオークの女の子だったよ」

海賊王「ワイは詳しくは知らんがシン・リーンの魔女もそんな感じやろ」

剣士「ハハそうだね…いつも子供の恰好してる…そういう事ね」

海賊王「しかしこの星全体に影響が出るちゅうんは心配な事もあるな?他の地域はどうなっとるんやろう?」

剣士「あ…僕キ・カイまで行くんだった…見て来るよ」

海賊王「ガハハおまんは休むちゅう事を知らん様や…ええぞ?行って来い…前に前に進め」

793: 2021/11/19(金) 23:16:59.21 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


ザザーー ボタボタ


剣士「…うんキ・カイまで行ってまた帰ってくるよ」

魔法使い「昨日帰ったばかりなのに…」

剣士「あと2人乗れるけど一緒に行く?」

僧侶「私行きたいですー盗賊さんとお酒飲みたいでし」

剣士「おけおけ!乗って…あと一人」

魔法使い「私は…」チラリ

ハンター「まぁ3人で行っておいでよ…こっちの事は心配しなくて良い」

剣士「おっけ!じゃぁハンター!ウルフの事お願いね…あんまり世話は掛らないと思うけど」

ハンター「こっちも狩りの相棒が欲しかったんだ…助かるよ」

剣士「じゃぁウルフ!頼むよ」

ウルフ「ガウガウ!」


フワフワ シュゴーーーー

794: 2021/11/19(金) 23:17:28.76 ID:pYa2Z27w0

『上空』


シュゴーーーー バサバサ


僧侶「早いでしゅねぇ!!」

女オーク「僧侶さんは気を使って一緒に?」

僧侶「バレたですか…あの2人をくっつけるには私が少し離れた方が良いです」

剣士「なるほどね~」

僧侶「剣士さんたちの邪魔になってゴメンです」

剣士「ハハ気にしないで…楽しく行こう」

女オーク「僧侶さんも私の膝に乗る?」

僧侶「乗る乗る!!」チョコン

女オーク「かわいい…」ニッコリ

剣士「んんん…体重が何倍違うんだろう」

僧侶「レディの体重を気にするですか?失礼でし!!」

剣士「ゴメンゴメンそんなつもり無いよ」

僧侶「それにしてもこの飛空艇は早いですねぇ」

剣士「偏西風の逆風が吹かないから日が落ちる頃には到着できそうかな」

僧侶「ほえぇぇぇスゴイです」

女オーク「ねぇ剣士?僧侶さんを私のペットにしても良い?」

僧侶「ペット?どういう事でしか?」

剣士「いや…オークの文化は良く分かんない」

女オーク「剣士は私の奴隷なの」

僧侶「奴隷だったのですね…それで私がペット…私の方が上ですね」

剣士「ちょちょ…ちょっと序列が違う…僕の奴隷が女オークで女オークのペットが僧侶だ」

僧侶「こんがらがりますね?じゃぁ私のペットが剣士さんで良いですね?」

剣士「いやちょっと違う…」

僧侶「どうでも良いでし…面倒なので勝手に決めてくだしゃい」

女オーク「ウフフ…」


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795: 2021/11/19(金) 23:18:02.41 ID:pYa2Z27w0
『キ・カイ上空』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…寒すぎる…なんだこの寒さは…」

僧侶「おかしいですねぇ…」

女オーク「あちこちで石炭燃やして暖を取ってる」

剣士「海は暗くて見えないか…」

女オーク「船を気にしているの?」

剣士「まぁね…まぁ良いやキ・カイの外に降りて飛空艇隠しておこう…降りるよ」

僧侶「はいなー!!」


フワフワ ドッスン


剣士「僧侶は一人で商人ギルドへ行けるね?」

僧侶「大丈夫でし!」

剣士「じゃぁ各自商人ギルドの上の部屋へ…大部屋で集合かな」

女オーク「分かったわ…」

剣士「女オークは人に見られない様に」

女オーク「うん…大丈夫」

剣士「行こう!」タッタッタ



『商人ギルド』


ザワザワ ザワザワ

商人ギルドのマスターがさらわれたらしい

取引は一旦停止だそうだ

しょうがねぇなぁ明日又来るかぁ


僧侶「受付さんこりは一体何事でしゅか?」

受付「あ!!盗賊のペットさん…」

僧侶「上の大部屋使っても良いですか?」

受付「上に居るからちょっと話して来て…今ゴタ付いてるの!」

僧侶「はいです!」スタタ

796: 2021/11/19(金) 23:19:32.90 ID:pYa2Z27w0
『大部屋』


ガチャリ バタン


盗賊「誰だ!!勝手に入って来やが…って…おおおお僧侶!!おまどうやって来たのよ!?」

僧侶「こりは何事でしゅか?商人さん居るじゃないですか」

商人「突然入って来てビックリしたよ…鍵閉めておこうか」

僧侶「ダメです…剣士さんと女オークさんも来るです」

盗賊「おい?聞いたか商人…ナイスタイミングだ」


剣士「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ


商人「ハハ役者が揃った…よし!」

剣士「これは何の騒ぎ?」

商人「僕の影武者がさらわれたんだよ…相手は豪族さ」

盗賊「高額取引の商談に行ったまま帰って来ねぇ」

剣士「どの豪族なのか分かってるの?」

商人「勿論…衛兵に対処してもらおうとしたけど豪族から圧力が掛かって船に押入れない」

剣士「おけ!察した…僕が行って救い出す」

僧侶「でもどうしてさらわれたですか?」

商人「どうも僕が海賊王の娘を匿っている様に見えている様なのさ…女オークと一緒の所を見られて居るんだと思う」

女オーク「私のせい…」

商人「それは違う…勝手に向こうが思い込んでる」

盗賊「ハイディング出来るのは俺と剣士…女オークだな?」

商人「僕も出来るけど僕は顔を出さない方が良さそうだね」

盗賊「アダマンタイトを僧侶に渡してくれ…僧侶は盲目魔法が使える」

剣士「それには及ばないよ3人で十分さ…僧侶は商人さんと留守番が良い」

盗賊「そうか?お前がそういうならそれで良い」

剣士「いつ行く?」

797: 2021/11/19(金) 23:20:00.34 ID:pYa2Z27w0
商人「影武者の身が心配なんだ…今すぐ行けるかい?」

剣士「おっけ!盗賊さん…案内して」

盗賊「おう!」

剣士「あ!そうだ…盗賊さんは白狼の装備ある?」

盗賊「なぬ!?」

商人「ハハ白狼で救出かい?」

剣士「昔海賊だった人は白狼の盗賊団がどういう存在だったか知ってるよね?」

商人「面白い…相手に白狼が居ると知らしめる訳か…」

盗賊「商人!お前ん所に置きっぱなしだったな?まだ在るか?」

商人「勿論さ…活躍を期待するよ」

盗賊「よし!派手に行くぞ…来い!!」ダダ


---------------


僧侶「商人さん白狼の盗賊団って盗賊さん達なのでしゅか?」

商人「君は知らなかったか…初代白狼の盗賊団は盗賊なのさ」

僧侶「盗賊さんは伝説の人だったのでしゅね…」

商人「この建屋の上に望遠鏡があるよ…見て居てごらん?」

僧侶「はいです!!」スタタ

798: 2021/11/19(金) 23:21:02.93 ID:pYa2Z27w0
『声』


あぁぁぁぁぁ…はぁはぁ

話せば楽になるぞ?何処に匿った!?んぁぁ聞いてんのかゴラ!!

ダメだ知らないを突き通しやがる…何でヤクが効か無ぇんだ!!

生皮を剥がして塩に漬けてやれ

待ってくれ勿体ないだろ一回ぐらいヤラせろ

黙ってろお前の雇い主は俺だ…命令通り動け

なんだよヤレると思って言う事聞いてたのによ…ちぃぃぃ

ネーちゃん悪いなぁ?気持ちよくするところだったが激痛になっちまった

話せば楽になるぞ?どうする?

んぁぁ仕方無ぇ…

がぁぁぁ…ぎぎぎ…いぎゃぁぁぁぁ



『豪族の船』


シュタタ シュタタ


剣士「…」ギリ

盗賊「この船だ…ん?どうした剣士?」

剣士「盗賊さん…僕に従って」

盗賊「策が有るんだな?分かった先導しろ」

剣士「現場に直行する…こっちだ」シュタタ



--------------


剣士「リリース」スゥ

盗賊「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ


799: 2021/11/19(金) 23:23:32.25 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


豪族の長「なっ!!どっから入って来やがった!!」

野郎1「出て来やがったな?

野郎2「白狼!?」


剣士「睡眠魔法!」

影武者「ぁぅぁぅ…」zzz

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ

剣士「痛かったね…もう大丈夫」


豪族の長「野郎共ぉぉ!!侵入者だ!!殺せ!!」

野郎共「うおぉぉぉ」ドヤドヤ


盗賊「おいおい剣士…真向かよ…数が違い過ぎる」タジ

豪族の長「その女は海賊王の娘だ!そいつだけは捕らえ…」

剣士「…」ダダ スパスパスパ

豪族の長「ひでぶ…」ブシュー

野郎2「バラバラ…だと…」

剣士「僕は今すごく気分が悪い…次は誰だい?」ダダ スパスパスパ

野郎共「ひっぃぃ…だ…誰だこいつは」

盗賊「剣士おま…」

剣士「女オーク?影武者さんを背負って守って?」

女オーク「うん…」ダダ グイ

剣士「盗賊さん…お祭りしよう」フラ

盗賊「祭りだと?」

800: 2021/11/19(金) 23:23:59.18 ID:pYa2Z27w0
剣士「火を付けて人を集めるのさ…火炎魔法!」ボボボ

野郎1「勝手な事を…」チリチリ ポイ

盗賊「爆弾!!」

剣士「量子転移!」スゥ スパ

野郎1「ぐぁぁぁ手が…手がぁぁ」ブシュゥゥ

剣士「爆弾なんか意味無いんだ…爆発しても僕が直ぐに無かった事に出来る」スタスタ

野郎1「くそがぁぁ…」ダダ

剣士「ゴメン…もう見飽きた」スパ

野郎1「!!?」クルクル ゴトン コロコロ

剣士「次は誰?」ダダ スパ

野郎2「はぎゃぁ!!」ドタリ

野郎共「に逃げろ…本物の白狼だ!!」

剣士「逃がさないさ」チャキリ ターン

剣士「成長魔法!」ニョキニョキ


メリメリ ズゴゴーン


野郎共「木で出口が塞がれ…」

剣士「皆頃しだよ」ダダ スパ

野郎共「ひぃぃぃぃ」

盗賊「剣士…」



--------------

801: 2021/11/19(金) 23:25:12.80 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船_外側』


ドタドタ ドタドタ

あの船に海賊王の娘が乗り込んだらしい

全員で取り押さえるぞ

行けゴラ!!


メリメリ ズゴゴーン


他の豪族1「なんだぁ!!木が生えて来やがった」

他の豪族2「良いから乗り込め!」


ドタドタ ドタドタ


剣士「船虫!従え!」カサカサ

剣士「食らえ!」

豪族共「うわぁ何だ…船虫の大群」ブン ブン

剣士「盗賊さんどんどん火を付けて」フラリ

盗賊「お…おう」ダダ

他の豪族1「白狼の…盗賊団なのか?」

剣士「はぁ…そのリアクションも見飽きた…皆頃しだよ?次は誰?」ダダ スパ

他の豪族1「うぎゃぁ…」ポーン ゴロゴロ

剣士「船虫!爆ぜろ」パーン ビチャビチャ

剣士「火炎魔法!」ゴゴゴ


ドカーーーーン  ゴゴゴゴ


盗賊「圧倒的じゃ無ぇか…本当に皆頃しするつもりか?」タジ

女オーク「盗賊さん剣士を止めて…剣士狂ってる」

盗賊「100人以上ぶっ頃しやがった…」

剣士「僕に氏霊術出来るかなぁ…試してみようかな…従え!氏体共!」

ゾンビ「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」

剣士「ハハなんだ蟲と同じか…さて次は誰かな?」フラフラ


ひぃぃぃぃ 逃げろ!逃げろぉぉぉ


女オーク「剣士もう止めて!!もう殺さないで!!」ダダ

剣士「なんか気が済まないんだよね…しょうがないなぁ」

女オーク「お願い!!元の剣士に戻って」

剣士「覚めよ!!」


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802: 2021/11/19(金) 23:26:08.23 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


アワワワ ブクブク


豪族の長「ブクブク…」ガクガク

野郎1「ぁぅぁぅ…」ジョワー

野郎2「ひぃぃぃ…」ブルブル


剣士「もう豪族は無力だから金品全部盗ってばら撒きに行こ!」

盗賊「い…今のは…」キョロ

剣士「幻惑魔法だよ…僕は誰も頃してない」

女オーク「剣士…狂ったのかと思った」ポロリ

剣士「この3人はブタに変性させておこう変性魔法!」シュワ


ブタ1「ブゥ…」ピクピク

ブタ2「ゲヒ…」ピクピク

ブタ3「ブヒ…」ピクピク


盗賊「ヌハハ魔女と同じ技使ったんか…」

剣士「魔女も同じ事を?まぁ幻惑魔法はこうやって使う」

盗賊「よっし!金目の物全部頂くぞ?」

剣士「おっけ!女オークは影武者さんを背負ったままで大丈夫だよね?」

女オーク「平気!」

剣士「おけ!行こ!!」シュタタ


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803: 2021/11/19(金) 23:27:32.40 ID:pYa2Z27w0

『商人ギルド屋上』


商人「見えるかい?」

僧侶「街路でお金をばら撒いて走ってるです」

商人「ハハハ上手く行った様だ」

僧侶「恰好良いでし…私も白狼なりたいでしゅ」

商人「君は小さすぎる…白狼じゃなくてウサギになってしまう」

僧侶「商人さんは白狼の盗賊団じゃないですか?」

商人「ほら?ぼくも体が小さいでしょ?それに屋根に上ってピョンピョン走り回れない」

僧侶「あーーー本当だ…屋根に上ってるですね」

商人「何かに追いかけられてる?」

僧侶「人ですね…お金欲しい人に追いかけられてるです」

商人「なんだ衛兵じゃないのか」

僧侶「はぁぁぁスゴイなぁ…」ウットリ

商人「さて…僕の部屋で影武者を待つとしよう」

僧侶「私は待ってれば良いですかね?」

商人「まぁ一緒に行こうか…おいで」

僧侶「ほい!」

804: 2021/11/19(金) 23:28:07.10 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


スタスタ


僧侶「戻って来たですね?」

盗賊「よう!上手く連れ帰ってきたぜ?」

女オーク「僧侶さん?影武者さんに回復魔法を」

僧侶「はいなー!!」

商人「あぁ…酷いな」

剣士「僧侶?回復魔法は程ほどに…老化してしまう」

僧侶「分かったです傷が塞がる所で止めるです」

商人「影武者は大丈夫かな?」

剣士「睡眠で幻惑されて居るから夢だと思う筈」

商人「良かった…」ホッ

盗賊「何もしゃべっちゃ居なかった様だ…エライ苦痛だったろうな」

商人「悪い事をしたな…」

盗賊「なぁ?しばらくハテノ村で静養ってのはどうよ?」

商人「彼女がどう判断するかだね…自分でやりがいを持ってくれていたんだ」

盗賊「しかし自分で身を守れないのは良く無ぇ」

商人「うん…そうだね…無理をさせていた様だ」

盗賊「まぁ硫黄がやたら高く取引き出来て安定だ…闇取引はもう良いだろ」

商人「分かったよ…硫黄売買に切り替えて行く」

僧侶「ハテノ村で硫黄の取引所を作るのはどうでしゅか?影武者さんに任せる感じで」

盗賊「おーそういう感じよ」

商人「ふむ…今回の事件で商人ギルドマスターは氏んだ事にするか」

盗賊「次のマスターは俺がやる…この部屋は俺のもんだ」

商人「まぁ従業員が盗賊の家族がほとんどだしそれが良いね」

盗賊「決まりだな?告知出して来るわ」タッタ

805: 2021/11/19(金) 23:28:50.28 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


盗賊「何ぃぃそらマジか!!ローグが豪族のお偉いさんになってるだとぅ!?」

商人「剣士はローグに会ったんだね?」

剣士「うん…」コクリ

盗賊「俺ぁってっきり女戦士と一緒に幽霊船乗ってると思ってたわ…」

商人「盗賊…僕が聞いた話では幽霊船にはスケルトンやゾンビが乗って居るらしい」

盗賊「じゃぁ女戦士の船はどっか別の所にあんのか」

商人「さぁ?…只幽霊船で海賊王の娘を目撃したという話もある」

剣士「盗賊さんと商人さんが関わって居なさそうで安心したよ」

盗賊「ローグとはあれっ切り会って無ぇ…しかし信じられん」

剣士「爺いじが言うにはビッグママは誰とも話をしなくなったって…」

盗賊「まぁ海賊が離散したのは分からんでも無いがローグまでとはな」

剣士「済んだ話はもう良いや」

盗賊「うーむ仕方無ぇわな?」

剣士「ところでこの異常な寒さなんだけど…」

商人「2~3日前からなんだよ…流氷が流れているとも聞いた」

剣士「海に流氷?…どこから流れて来るの?」

盗賊「未踏の地からここまで流れて来るのは考えにくいが…」

商人「暖を取りに皆地下に降りちゃって商売あがったりさ」

剣士「偏西風も凄い弱いんだ」

盗賊「そら海が寒いと偏西風が弱くなる…冬だ」

剣士「ハテノ村で大雨も降ってて全体的におかしい」


ドタドタ


僧侶「てーへんだてーへんだ!!」スタタ

商人「ん?どうしたんだい?」

僧侶「海で流氷が沢山西の方に流れてるです」

商人「流氷が沢山?」

僧侶「望遠鏡で見えるでし」

盗賊「ちっと見に行くか」ダダ

806: 2021/11/19(金) 23:29:40.46 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド屋上』


ヒュゥゥゥ


盗賊「寒ぶっ…」

商人「目視でも見える…ありえない」

女オーク「オークシャーマンの呪術で間違いないわ」

剣士「海を冷やして偏西風を止めた?」

女オーク「自然を操る力…海を冷やして南方で雨を降らせている…」

剣士「そうかオークシャーマンは船に乗って居たね…でも海を冷やすなんて…そんなに強力なんだ…」

女オーク「オークシャーマンはもう暁の使徒から力を得たと思う」

剣士「いよいよ西オークが東オークに攻める時が来たと言う事だね?」

商人「対岸の火事だけど…備えないといけないな…物価が一気に変わる」

剣士「商人さん?エリクサーはどうなったの?」

商人「そうだ!樽一杯分は確保出来た」

剣士「早くホム姉ちゃんを目覚めさせてどうすれば良いか聞こう」

商人「そうしよう…その前に盗賊!物資の売買リストを今から作る」

盗賊「んん?寒さに備えるんか?」

商人「そうだよ…石炭の売りは停止買いに回る…それから食料の備蓄だ」

盗賊「分かったまとめて置いてくれ」

剣士「…」---この力---


この力は世界を滅ぼすかもしれない

地軸を移動させたのは多分オークシャーマンだ

そうやって古代文明を封じたんだ

僕達が介在する余地の無い力…怖い

807: 2021/11/19(金) 23:30:17.98 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


剣士「じゃぁ女オーク!エリクサーの樽を先に飛空艇に運んでおいて」

女オーク「任せて」

剣士「直ぐに行くから飛空艇で待ってて」

女オーク「わかったわ…」タッタ


影武者「う~ん…はっ!!」パチ ガバ


商人「あ!目を覚ましたね?気分はどう?」

影武者「僕はどうして寝ている?…あれ?…なんだ?どうなった?」

商人「混乱しているかい?」

影武者「取引は…」

商人「もう良いんだ…ちょっと事情が変わってね…僕の代わりにハテノ村へ行って欲しいんだ」

影武者「え?…はい」

商人「寒冷化の影響が大きく出そうでね…向こうで取引所を君に任せたいんだ」

影武者「分かりました…商人さんはどうされるのですか?」

商人「僕は用事でしばらく留守にする…商人ギルドは一旦盗賊に任せる事になった」

影武者「僕は左遷…ですか」

商人「違うよ…硫黄と石炭の取引が最も重要になる…そっちを上手く取りまとめて欲しい」

僧侶「ハテノ村は人手が足りないです…来て欲しいです」

商人「そういう事なんだよ…そちらへの物資の流通は盗賊が運ぶ…やってくれるね?」

影武者「はい…わかりました」

商人「それから影武者はフードを脱いで活動してくれ…僕は豪族にマークされてしまってね…一旦ターゲットを逸らさせたい」

影武者「なるほど…それで盗賊さんをここに置く訳ですね?」

商人「そういう事だよ…僕も雲隠れする」

影武者「承知しました…任せて下さい」

商人「じゃぁ盗賊にこのメモを渡して置いてくれ…僕は剣士と一緒にしばらく留守にする」

影武者「分かりました…お気を付けて」

商人「じゃぁ剣士!行こうか」

剣士「飛空艇まで案内する…付いて来て」

商人「影武者…あとは頼む」タッタッタ


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808: 2021/11/19(金) 23:30:53.53 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド』


”ギルドマスター交代による売買方針の変更…以下レート”

なんだこの告知…取引レートが変わってるぞ

アレだ昨夜の騒ぎでギルドマスターが氏んだらしい

てことはばら撒かれた金の回収に掛かってるってか?


ザワザワ ザワザワ


受付「盗賊!取引再会するよ?」

盗賊「おう!俺は飛行船に物資乗せに行くから任せたな?」

受付「はいはい邪魔だから早く行って!!はい皆さ~ん取引開始!!」

受付「商船の受付はあっち!商隊はそっち!競売はここに持って来てぇ!!」


ザワザワ ザワザワ

おぉ魔石の売りがある!買いだ買い!

古代の遺物ってのもあるぞ…すげぇ

硫黄がくそ高けぇ…


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809: 2021/11/19(金) 23:31:36.83 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ゲヒゲヒ メェェェ


盗賊「家畜はまだ外に出しといてくれぇ…」

作業員「あいよ!!」

僧侶「盗賊さん何か手伝える事あるですか?」

盗賊「んあ?なんだ影武者も一緒なのか」

影武者「急に仕事が無くなって暇になったのさ…この飛行船でハテノ村に行くんだね?」

盗賊「明日な?」---気丈な嬢ちゃんだこと---

僧侶「私もお酒飲むつもりで来たですけどヒマでし!」

盗賊「ほんなら影武者の服でも新調して来い…商人はマークされてるって言ってただろうが」

僧侶「買い物でしゅね?お金無いです」

盗賊「ほらよ!」ピーン

僧侶「ありーーー」パス

影武者「ハハお金はちゃんと持ってるんだ」

盗賊「じゃ返せよ!今晩の飲み代なんだ」

僧侶「おおお!!じゃ私がおごるでどうでしゅか?」

盗賊「ヌハハそら良いな?」

僧侶「影武者さん!私が服選ぶでし…買い物行きましょう」

影武者「衣類は地下の方が安いんだ…案内してあげるよ」

盗賊「あぁそうだそうだ!チカテツ街道の6番にな?孤児が集まったギャング集団が居んのよ」

影武者「それは僕が出した情報だよ」

盗賊「じゃぁ話が早えぇ…連れて来い」

影武者「彼等と取引するなら対価を用意しないといけない」

盗賊「白狼の盗賊団に入れてやるとでも言え」

影武者「それじゃ空取引になる」

盗賊「うるせぇ!後は自分で考えてくれ…俺は忙しいんだ」ゴソゴソ

影武者「さてどうする…」

僧侶「ピーンと来たでし!私と影武者さんで白狼になるです…そして私がギャンクと勝負するでし」

盗賊「ヌハハ面白れぇ!!ちびっこの白狼だな?俺も見たいぞ」

影武者「賭けで勝つ訳か…う~ん」

盗賊「うだうだ言って無いでさっさと行って来い!荷物積み終わったら俺も見に行く」

僧侶「影武者さん白狼の装備を買いに行きましょう」グイ

影武者「あぁ…」


スタタタ


盗賊「…」ニヤ ---まぁ頑張んな嬢ちゃん---

810: 2021/11/19(金) 23:32:42.22 ID:pYa2Z27w0

『チカテツ街道6番』


ピチョン チューチュー


僧侶「人が少ないでしゅね…」ヒソ

影武者「ここはギャングが幅を利かせていてね…衛兵も手を焼いているらしい」ヒソ

僧侶「怖くないですか?」

影武者「僕は慣れている…なぜなら僕はここに住んで居たから」

僧侶「そうだったんですね」

影武者「僕の居場所はゴミの中さ…ゴミを食べて暮らしていたんだ」

僧侶「誰かくるでし」

影武者「僕が取引をするから君は黙ってて」


少年「おやおや…白狼ごっこかな?舐めた事すんじゃ無ぇよ!」チャキ


影武者「美味い話を持って来たと言ったらどうする?」タジ

少年「うるせぇ!身ぐるみ全部置いて行ってもらう…おい!!囲め!!」


悪ガキ共「逃げ道塞いだよ~ん!へへへへ」スタタタ


少年「さぁその舐めた格好を置いて行ってもらおうか」チャキ

影武者「ハハ話を聞く気は無いか…飛んだ見込み違いだったかな?小僧…」---挑発に乗るか?---

少年「小僧だと!!俺より小さいクセに舐めた口利くんじゃ無ぇ!!」

影武者「ズバリ言う…本物の白狼に興味は無いか?」

悪ガキ共「本物!?」ヒソヒソ

少年「お前みたいなチビが本物な訳無いだろう!おい!!身ぐるみ剥ぐぞ」ダダ ブン

僧侶「…」カキーン

少年「な…武器!」タジ

影武者「ハハハハハ話を聞く気になったかい?僕達は取引をしに来たのさ」---よし!---


少女の声「止めな!!」

811: 2021/11/19(金) 23:33:22.61 ID:pYa2Z27w0
少年「姉御…こいつ等武器持ってる」

影武者「なんだやっと真打の登場か…姿を見せたらどうだい?」

オークの子「私が相手になる…」スタスタ

影武者「…」---ハーフオーク---

僧侶「…」ゴクリ

オークの子「仲間になりたいなら手順が違うよ」スラーン

影武者「逆さ…君達を白狼の一味に誘うつもりなんだ」---不利だ---

オークの子「引き換えに何を?」

影武者「家族」

オークの子「家族なんか要らない!私達はここで生きて行ける!それにあんた達になんか負けない」ダダ ブン

僧侶「あわわ…」カキーン

オークの子「皆!勝てる!!戦って!!」ブン ブン


カキーン カキーン グサ


僧侶「痛っ…」タジ

少年「降参しろぉ!!」ダダ ブン

影武者「うっ…」ガシ

オークの子「今!!」

悪ガキ共「うわぁぁぁ!!」ダダダ


リリース


盗賊「そこまでだ…」チャキリ

オークの子「うぅぅぅ…」ジタバタ

少年「姉御ぉ!!」

オークの子「隠れてるなんて卑怯…」ドン!!

オークの子「はぅぅぅ…」ドタリ

盗賊「おい僧侶!!お前手加減してっと足元すくわれるぞタワケ!」

僧侶「子供相手に戦えないでしゅ…」

盗賊「おい!クソガキ共良く聞け!!お前等の姉御は預かった…助けて欲しけりゃ明日の朝までに一番デカイ飛行船に乗れ」

少年「なにぃ!!」

盗賊「頃しゃし無ぇから黙って従え…」

盗賊「おい!衛兵が来る前に戻るぞ?」タッタッタ

僧侶「はいな!!」スタタ

影武者「分かった…」スタタ


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812: 2021/11/19(金) 23:34:07.85 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「遅せぇなアイツ等…」グビ

店主「いらっしゃいませ…お二人ですか?」

僧侶「盗賊さん居たぁ!」

盗賊「遅せぇよ…酒がマズくて帰ろうかと思った」

店主「お飲み物は?」

僧侶「盗賊さんと同じで良いでし」

店主「かしこまりました」

盗賊「ほんで?例の子はどうだ?落ち着いたか?」

僧侶「やっと理解したです…明日他の子供達来るですかね?」

盗賊「来なきゃ例の子を返すだけよ…まぁ家族愛を試してる」

僧侶「そうだったんですね」

盗賊「もしかすると今晩救出に来るかもな?」

僧侶「そしたらどうするですか?」

盗賊「ほんなもん簡単だ…とっ捕まえて檻の中よ」

僧侶「なんか可哀そうでし」

盗賊「孤児ってのはな…愛が欲しいんだ…お前がかわいがってやれ」

影武者「…僕間違ってた」

盗賊「んん?」

影武者「取引ばっかり考えてた…空取引なんか成功する訳ないと思ってた」

盗賊「あの場合ちっと強引でも良いんだよ…要はあいつらの家族愛を取引に利用したんだ」

影武者「うん…それに気が付けなかったんだ…損得とはちょっと違う」

盗賊「まぁ飲め!!爺いの説教なんかクソくらえだろ?」

影武者「ハハそうだね…でも勉強になったよ」

僧侶「影武者さんはあの子供達と面識無かったのでしゅか?」

影武者「僕は人前に出られなかったんだ…遠目には見て居たけど僕は孤独だったよ」

盗賊「俺も天蓋孤独だったぜ?ガキん頃は」---俺ら皆孤児なんだよな---


似た物同志やっぱ集まるもんだ

俺らもあのギャングと大した変わらん


僧侶「ねぇ聞いてるですか?お金に余裕無いです」

盗賊「金貨お前にやったろうが…もう使っちまったのか?」

影武者「良いよ良いよ僕が出すから…」

盗賊「おぉ!?金持ちが要るじゃ無ぇか…酒だ酒!!お代わりくれぇ!」


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813: 2021/11/19(金) 23:34:48.25 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ヒック シクシク


盗賊「うぃぃ…」ヒック


シュン グサ!


盗賊「うぐっ…にゃろう…やるじゃ無ぇかお前」

少年「うわぁぁぁ!!」ダダダ ブン

盗賊「うむ…お前にゃ見込みがある」グイ

少年「放せぇ!!」バタバタ

盗賊「それで良い…だがな?もうちっと訓練が必要だ」ヒック ヨロヨロ

少年「姉御ぉ!!ゴメン失敗した!!」

盗賊「いやお前は成功した…見ろ…俺の腹にしっかり矢が刺さってる」タラー

少年「くぅっ…」ジタバタ

盗賊「見てろ…こうやって治す」ズボォ ボタボタ

少年「はっ…血が…」

盗賊「コレだ…傷口にこいつを入れてぶっ叩く訳よ…あら不思議…止血の完了」ドン プチ

オークの子「少年!大人しく飛行船に乗って…この人たちは本物…他の大人と違う」

少年「姉御…だったらどうして檻の中に」

盗賊「アホか…簡単に逃げちまうだろうが…痛つつつ」ヨロ

少年「何処に連れて行く気だ!?」

盗賊「秘密のアジトよ…ほんでお前等を鍛える…俺みたいなムキムキの戦士にな?」

少年「姉御信じて良いの?」

盗賊「あぁぁぁうるせぇうるせぇ…お前も檻に入ってろ!」ドン ガチャン

悪ガキ共「あぁぁ少年まで…」シクシク

盗賊「ふぅぅぅ…肉あんぞ?食え」ポイ

悪ガキ共「…」ジュルリ

盗賊「芋の方が良いか?生なんだが…」ポイ

少年「…」ジュルリ

盗賊「ちっと俺は寝る…その辺のもの適当に食って良いぞ…夜が明けたら出発だ」ウトウト

悪ガキ共「姉御…チャンスだよ…逃げよう」ガチャガチャ

オークの子「今の内に皆食べて…お腹一杯」

悪ガキ共「姉御は?」

オークの子「見張ってる…最後で良い」


盗賊「んがぁぁ…んががが…ぐぅ」zzz


悪ガキ共「ひぃ!」ビク

オークの子「大丈夫!寝てるから」


ガブガブ モグモグ ムシャムシャ


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814: 2021/11/19(金) 23:35:21.17 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


チュン チュン


盗賊「んがぁぁ…すぴーーー」zzz

僧侶「盗賊さん…コレどういう状況なんでしゅか?」ユサユサ

影武者「ハハハギャングは全員乗ってる様だね?随分ちらかされたなぁ」

僧侶「寒く無いんですかね?私炉に火を入れるです」カチカチ シュボ

盗賊「んあ?」パチ

僧侶「起きたですね?もうすぐ朝でし…」

盗賊「危ねぇ!寝過ごす所だったぜ…」ガバッ

僧侶「飲みすぎでし」

盗賊「炉は俺がやるからガキ共ちょっと寄せといてくれ…まだ人が乗る」ガッサ シュゴーー

僧侶「はいなー!!」

影武者「じゃぁ移民の人案内してくる」タッタ

盗賊「ガキ共は腹膨れたら寝ちまったみたいだな」

僧侶「もう荷物入れないですか?」

盗賊「おう!扉閉めといてくれ」

僧侶「よいしょー」バタン

影武者「皆さん荷物持って乗って下さい…2階部分が居室になります」


ドタドタ


盗賊「よーし!全員乗ったな?下の階が荷室になってっから要らん荷物はそっちに置いてくれ」ヨロ

盗賊「飛んでる間デッキに出ても構わんが落ちん様にだけ注意してくれな?」フラ

盗賊「目的地はハテノ村…大体2日で到着する」

盗賊「ちっと素行の悪いガキが一緒に乗ってるが出来るだけ問題おこさない様に頼む…じゃ飛ぶぞ?」グイ


フワフワ


盗賊「僧侶!縦帆開いてくれ!分かるな?」

僧侶「はいなーー!!」グイ バサバサ


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815: 2021/11/19(金) 23:36:11.20 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「僧侶!ブタの檻に入ってる2人のガキを出しておいてくれ」

僧侶「ほーい!」スタタ

影武者「あれ?盗賊さん腹から血が…」

盗賊「あぁコレな?昨夜あのガキ共に矢を撃たれてよ…応急処置はしたがちと傷開いたな」

影武者「痛くないの?」

盗賊「こんなもん舐めときゃ治る…あいつら毒使う事も知らん」

影武者「薬草を持ってるよ…処置しようか?」

盗賊「気が利くな?」

影武者「これくらいなら僕にも出来るさ」ガサガサ

盗賊「そろそろお前もフード脱いだらどうだ?」

影武者「髪が生え揃って居ないんだ」

盗賊「バンタナは知ってるな?海賊共が使ってるやつ」

影武者「うん…」

盗賊「荷室のどっかに入ってた筈だ…それ使え」

影武者「あぁ…」

盗賊「まぁ嫌なら良いけどよ…表情分からんと気味が悪い…ガキ共に距離置かれるぞ?」

影武者「自信が無くてね…」

盗賊「少し顔見せてみろ…俺はお前が誰なのか分からん」

影武者「じゃぁ少しだけ…」ファサ

盗賊「何だ普通じゃ無ぇか…顔出しとけ」---心に闇を抱えてるな---

影武者「恥ずかしいよ…」ファサ

盗賊「おい!僧侶!!オークの子を連れて来い」

僧侶「ほーい!!来いだってさ…おいで」グイ スタタ


スタスタ

816: 2021/11/19(金) 23:36:58.10 ID:pYa2Z27w0
オークの子「…」ウツムキ

盗賊「…どう思う?」

影武者「え?どう思うって…普通だよ」

盗賊「そうだな?普通だ…でもよく見ろ」

影武者「え?何?」

盗賊「なんでうつむくと思う?」

影武者「それは…見られたくないから?」

盗賊「そうだお前等は同じなんだ…内に籠るな…さらけ出せ…前を見ろ」

影武者「…」ファサ

オークの子「…」チラ

盗賊「良いか?はっきり言ってお前等2人共俺から見りゃ普通な訳よ」

影武者「いや僕の場合髪の毛がまだ生え揃って…」

盗賊「そりゃバンタナで隠せば良い」

影武者「うん…」

盗賊「それでも見られたくないと思う理由は心ん中になんかトゲが刺さったままなんだ…抜いてみないか?」

影武者「抜く?…」

盗賊「内に籠ってちゃいつまでたっても抜けんぞ?ちっと表に出て見ようぜ?」

影武者「表に…」

盗賊「おい!僧侶!クソガキどもを全員デッキに連れてけ」

僧侶「外寒いですよ?」

盗賊「まだそんな高度上がって無ぇから海が見えんのは今の内だ」

僧侶「分かったでしゅ」スタタ

盗賊「まぁ影武者もちっと風に当たって来い…内に籠るのがアホみたいに感じるぞ?」

影武者「うん…」スタ

盗賊「おいおい一人で行くな!そいつも連れてけ」

オークの子「自分で行ける」スタ

盗賊「なんだ喋れるじゃ無ぇか…まぁ好きにして良いから!トゲ抜いて来い」


うわぁ!雲と同じ高さだ!

火山だ!火山が見える!

あれがキ・カイ?小さい…



ヒュゥゥゥゥ バサバサ

817: 2021/11/19(金) 23:37:27.75 ID:pYa2Z27w0
オークの子「アンタ…取引きしないかい?」

影武者「ハハ面白いじゃないか…何を取引する気だい?」

オークの子「私らの仲間に興味は無いかい?入れてやっても良い」

影武者「因みに聞いておく…引き換えに何を?」

オークの子「バンタナ取って来てやるよ…」

影武者「…」---心を掴まれる---

オークの子「フフ…」

影武者「…」ファサ

オークの子「逃げる気だね?」

影武者「寒いだけさ…」

オークの子「どんぐり居るか?」

影武者「ハハ僕も舐められた物だ…そんな物…」グイ

オークの子「食えよ」グイ

影武者「ムグ…」---ゴミの味---

オークの子「私等それ食って生きてんだ…その味知ってるだろ?」

影武者「君は僕を知って…」

オークの子「仲間になる手順を教えてやる…まずゴミを食ったことが有るか無いかさ」

影武者「ハハ負けたよ…それにしてもマズイ」

オークの子「ごちそうだよ」


盗賊「お~い!!誰か飯作れぇ!!腹減った」

僧侶「はいなー!!皆寒いから中はいるでし!!」ドタドタ

盗賊「…」チラリ


こいつらにはこいつらの物語がある

次の時代の主役だ

俺らはただ魔王を倒せば終わりって訳じゃ無ぇ

こいつらの中に居る魔王も退治し無ぇと意味が無い

まだ氏ね無ぇなぁ…


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818: 2021/11/19(金) 23:38:19.62 ID:pYa2Z27w0
『名もなき島_古代遺跡』


ウィィィン プシューーー ポコポコ


商人「錬金術で組み合わさる訳じゃ無いのか…」

剣士「ホム姉ちゃんの部品が組み合わさった…良いの?これで?皮膚が無い」

商人「皮膚の部品は無かった…もしかすると足りて居ないのかも…」

剣士「このままじゃ可哀そうだよ…」

商人「この手順を記録する」カキカキ メモメモ


通りで錬金術では完全なホムンクルスが造れない訳だ…

生体の完成は多分自己治癒だ


剣士「ゾンビみたい…」

商人「ちょっと思い違いが在ったみたいだ…錬金術ですぐに完成すると思っていたけど…」

剣士「時間が掛かるんだね?」

商人「多分…この状態から自己治癒で皮膚と毛髪が生成されるのはもう少し先だね」

剣士「どのくらい掛かるんだろう?」

商人「ラヴ!どれくらいかかるか分かるかい?」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「一晩間を置いて治癒の具合を見て見ないと推定出来ないな」

商人「でもどれだけ時間が掛かるにせよ…一先ず成功だ!」

819: 2021/11/19(金) 23:39:25.08 ID:pYa2Z27w0
『小舟のある砂浜』


ザザー ザブン


女オーク「剣士!?何処に行ったの?剣士!?」

剣士「あぁ…ここに居るよ」

女オーク「居ないから探したわ…何してるの?」

剣士「星を見てるんだ…おいでよ」

女オーク「望遠鏡で?」

剣士「いや望遠鏡で見るのは意味が無かった…見てよ今日は月が無い…空も澄んでる」

女オーク「本当ね…こんなに星が…」

剣士「それで望遠鏡で見て見たけど星は星のままさ…このまま見て居た方が綺麗だ」

女オーク「海にも星?」

剣士「海の中にもね…沢山の虫が居るんだよ?あの虫は光るんだ…見てて?ほい!従え!」


ユラー キラキラ


女オーク「あなたが操って?」

剣士「すごいでしょ?」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あの星にも誰か住んでるのかな?行ってみたいなぁ」

女オーク「どうして光るのかしら?」

剣士「きっと太陽の反射だよ」

女オーク「こんなに沢山?」

剣士「何個あるんだろうね?」

女オーク「虫の光は何個あるの?」

剣士「ハハハ数え切れない…そうか星も数え切れないね」

女オーク「虫はどうして光を?」

剣士「光を使って他の虫を呼んで居るんだよ…虫は光を目指して飛ぶからね…」

女オーク「水の中で飛ぶっておかしくない?

剣士「水の中でも同じさ…」---あれ?---


光を見て飛んでる…

そうだ花粉…いや命の種を持ったまま飛ぶんだ

命を運ぶのは虫…

…なんか引っかかる

もしかして虫が命を運ばなくなったのか?


女オーク「剣士!じゃぁ先に帰って待ってるから…遅くならないでね」

剣士「ん…うん…もう気が済んだから行くよ」

女オーク「じゃぁ一緒に…ウフフ」

820: 2021/11/19(金) 23:40:16.96 ID:pYa2Z27w0
『翌日_地下』


スタスタ


剣士「商人さん!」ユサユサ

商人「ハッ…」パチ

剣士「書き物しながら寝てたんだw」

商人「ホムンクルスは!?」スタ

剣士「昨日のままだよ…あ!違うコレ神経かな?何か成長してる」

商人「よし!遅いけど確実に成長してる…よしよしこれで僕が居なくなってもホムンクルスは生き延びる」

剣士「え!?商人さんはホム姉ちゃんに会いたいんじゃないの?」

商人「会いたい…でもそれは二の次さ…ホムンクルスが生き延びれば僕はこの命なんか要らない」

剣士「ダメだよ命を要らないなんて言ったら…命は生かされてるんだから」

商人「ハハそうだね…精一杯守るさ」

剣士「それで今日からどうする?」

商人「しばらく間が必要なのは分かった…危険を承知でオークの地まで行こう」

剣士「お?ウンディーネの居る所だね?」

商人「場所は分かってる…まず様子が見たい」

剣士「おけおけ!空から見るだけなら大丈夫さ…ハイディングもあるしね?」

商人「準備するから少し待って」

剣士「うん…」コロン


チャプン


剣士「ん?瓶の中にエリクサー?…そして外部メモリ」

商人「あぁぁそれに触らないで」

剣士「商人さんコレもしかして…」

商人「僕に何か有ってもこれで確実にホムンクルスが蘇る…まぁ保険さ」

剣士「ねぇ止めようよそういうの…氏神はそういうのに敏感なんだよ」

商人「氏ぬ気は無い…只僕達の力ではどうしようも無い事もある…君も見ただろう?海を漂う流氷を」

剣士「商人さんも気付いたんだね…オークシャーマンの力を」

商人「だから保険を掛けてるのさ…氏ぬ気なんか全然無いしもう一度彼女に会いたい…最善を選んでるだけだよ」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「分かってる…さぁ行こう!」


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821: 2021/11/19(金) 23:41:11.54 ID:pYa2Z27w0
『数日後_東オーク領上空』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「大洪水の跡だ…ほとんどの村が水に浸かってる」

商人「セントラルで起きた津波と状況は似て居そうだ…雪が降って居るのもね」

女オーク「酷い…助けないと」

剣士「君は東オークと戦って居たんじゃないの?」

女オーク「オーク同志戦いたいなんて誰も思ってない…命令に背けないだけなの」

商人「東オークにはオークシャーマンは居ないのかい?」

女オーク「オークシャーマンは西オークにだけ居る…オークシャーマンに従わないオークが東オーク」

商人「なるほど…」

剣士「東オークの肌が青いのもオークシャーマンの呪い?」

女オーク「そうよ…命令に従わないオークに呪いが掛かるの…強化も無いから弱い」

商人「弱い?ならどうして勢力が硬結してる?」

女オーク「西オークは数が少ない…東オークはすごく多いわ」

商人「じゃぁほとんどのオークがオークシャーマンに従って居ない訳か」

剣士「どうして?オークシャーマンは寛容なんじゃなかったっけ?」

女オーク「オークシャーマンはオークの裏切り者だから」

商人「ハハーン…力を独り占めして独立って事だ」

女オーク「オークシャーマンがウンディーネを欲しがらなければ戦争は起きない」

商人「逆に東オークはウンディーネを渡したら戦争終わるよね?つまり戦争を起こしてるのは東オークだ」

女オーク「え?」

商人「戦争を終わらせたいならウンディーネを渡せば良いだけ…その判断が出来ないから沢山のオークが犠牲になる」

剣士「東オークがウンディーネを守る理由は?」

女オーク「それは…私は西オークだったから分からない…オークの神を守るのは理由にならないの?」

商人「う~ん…なんか逆な気がするなぁ…勘だけど」

剣士「ねぇどうしてオークシャーマンは自分に従わないオークを従わせる呪いを掛けない?なんかやり方が半端だ」

商人「そうだね…あれだけ力があるなら強制的に従わせれば良いだけだね?おかしい」

女オーク「それは…」

剣士「オークシャーマンは従わないオークも許してる…わざわざ半端な呪いでなにか導いてる」

女オーク「人間と結ばれれば呪いが解ける」

商人「それは人間との交配の促進だ精霊ウンディーネも恐らくそれを支持してる」

剣士「もしかして東オークは純血ばかりなのでは?」

女オーク「そうよ?でも西オークも強いオークはみんな純血…ハーフオークは大体野良オークね」

商人「それだね?交配を推進してるのが西で否定しているのが東だ…でもどちらも人間と結ばれれば呪いが解ける」

剣士「確か純血のオークは体も大きくて強かったね?それを守りたいオークが東なんだね?」

女オーク「大体そうよ?…でもどうしてウンディーネと関係が?」

商人「簡単さ…ウンディーネは交配の促進を加速する…だから渡したく無いんだ…純血を守る為にね」

剣士「人間の生活圏から遠く離れて居るのもそういう理由だろうね」

商人「やっぱりウンディーネのあるべき場所は西オークだね…東オークがそれを邪魔してるんだ」


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822: 2021/11/19(金) 23:42:07.95 ID:pYa2Z27w0
『東オーク砦』


シュゴーーー バサバサ


商人「多分あの砦の何処かに古代遺跡が有る筈だよ…」

剣士「雪のせいで望遠鏡が良く見えない…」

商人「ハイディングしたまま調査出来ないかな?」

剣士「危ないなぁ…オークはエルフと同じで狭間を見破る」

商人「ええ!?そうだったのか…」

剣士「ママは良く爆弾で注意逸らせて調査してたけど必ず時間を決めて行動したんだ」

商人「どれくらいの時間?」

剣士「1分か2分…それ以上かかると気付かれる」

商人「短すぎる…」

剣士「あと商人さんは足が遅すぎるからダメだよ…行くなら僕一人」

女オーク「私は?剣士一人は危ない」

剣士「君もダメ…足音が消せない」

商人「参ったね」

剣士「僕は睡眠魔法が使える…ハイディングと合わせて行けばなんとかなるよ」

商人「それなら僕も行けるじゃ無いか」

剣士「調査にどのくらい掛かるか分からないし…オークにどの程度利くのかも分からないんだ」

女オーク「私の睡眠時間は1時間から2時間ね」

商人「直ぐに起きる可能性が高いんだ…」

剣士「うん…僕が一人で居りて調査終わったら光で知らせる…だから上空で待機しておいて欲しい」

女オーク「飛空艇の操縦は任せて」

商人「じゃぁ僕は見張るかな」

剣士「詠唱を始める…降下して行って合図したらリリースして」

女オーク「うん…」グイ バサバサ

剣士「アブラカタブタチチンプイプイノプイメスメライズ…今!」

女オーク「リリース」スゥ


オーク「ウゴ!?」


剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモクモク

剣士「そのまま高度上げて上空で旋回!僕は飛び降りる!」パカッ ピョン シュタ

女オーク「商人さん扉閉めて!」グイ 


シュゴーーーーー バサバサ


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823: 2021/11/19(金) 23:43:37.45 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


商人「遅いな…ハイディングしたままだったとして数時間は調査してる筈」

女オーク「まだオークに動きがないから大丈夫よ…」

商人「しかし手薄だね…10人程度しか見えない」

女オーク「まさかいきなり攻めて来るなんて思って居ないでしょう?」

商人「こんなに手薄ならオークシャーマンが来れば良いのに」

女オーク「西オークには気球が1台しか無いの…それもフィン・イッシュから貰った物だけ」

商人「あーなるほど…ハイディングも出来ないか」

女オーク「船も1隻しか持って無い」

商人「それもフィン・イッシュからの船?」

女オーク「そうよ…西オークには船を作る技術も何も無いから」

商人「東オークは?」

女オーク「同じ…オークは物を作るのに長けてない」

商人「なるほどね…エルフも同じだな…船も気球も無い」

女オーク「だから人間に憧れる…本当は人間が大好き」

商人「それは西オークの発想なんじゃないの?」

女オーク「そうかもしれない…でも人間が好きなオークは沢山居る」


ドコーーン!!


女オーク「え!?」

商人「ワームだ!!マズイ何か起こってる!!」

女オーク「行く!!」グイ シュゴーーーー バサバサ

商人「剣士が見えない…どこだ!?」

女オーク「オーク達が一斉に動き出した」

商人「西だ!!西方向に向かってる!!」

女オーク「こっちにも気付かれた…」

商人「まさか何か撃って来る?…あのオークでかいな…まるでトロールだ」

女オーク「商人!!ロープ垂らしておいて!!」

商人「分かった!」スルスル


シュン バキバキ!


商人「うわぁぁ!!でかい矢が貫通した…」

女オーク「純潔のオークが使う弓矢は槍よりも大きい」

商人「応射しないとオークの足が止まらない…」

女オーク「オークの足を止めて!剣士が危ない!」

商人「当たれぇ!!」バシュン バシュン

女オーク「居た!!間に合う…」グイ シュゴーーーー

商人「ダメだオークが止まらない…」バシュン バシュン

女オーク「剣士がロープ掴んだら教えて!逃げる!」

商人「もう少し…もう少し…掴んだ!!飛んで!!」

女オーク「上がって!!」グイ バサバサ


シュン グサ!!

824: 2021/11/19(金) 23:44:28.05 ID:pYa2Z27w0
商人「あああああ剣士に当たった…」

女オーク「商人操縦変わって!私が引き上げる!」ダダ グイ グイ

商人「どど…どうすれば?これか?」グイ シュゴーーーー

女オーク「剣士!!剣士!?」グイ グイ

剣士「うぅぅぅ…」ボタボタ

女オーク「掴まって!」グイ ギュゥ

剣士「ハハ…ギリギリせーふ」ハァハァ

女オーク「矢が背中まで貫通してる…どうしよう」オロオロ

剣士「線虫してある…そのまま抜いて…ぅぅぅ」ポタポタ

女オーク「ふんっ!」ズボォ ブシュー

商人「血が噴き出して…」

剣士「強く押さえて置いて?直に塞がる」

女オーク「…」ギュゥゥゥ

商人「エリクサーが少しある…飲んで」クィ

剣士「その味キライなんだぁ…うげぇ」ゴク

女オーク「もう危険な事は禁止!これは命令!」プルプル

剣士「ハハちょっと調子に乗り過ぎた…反省してる」

商人「何があった?」

剣士「これみて?オークの旗印…これ持って帰って来た」バサ

商人「ええ!?」

剣士「ダンゴムシだよ…なんでか分かるよね?」


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825: 2021/11/19(金) 23:46:24.43 ID:pYa2Z27w0
『帰路』


シュゴーーーー バサバサ


商人「…という事はやっぱり石造になってる訳だ」

剣士「器に横たわって石化してた…その他の機械は全部風化しでグズグズだったよ…ガラスの容器も部品も無い」


大きなオークはね…石造に花を添えてお祈りしたまま寝て居たよ

もう分かった…オークは純粋に石造になったウンディーネが蘇るのを信じてる

たったそれだけ…それを単純に奪われたくないその一心だ


商人「純血のオークは石造になったウンディーネを何千年もただ守ってると…」

剣士「うん…それでオークシャーマンも同じように蘇らせたい一心なんだよ…ただ少し噛み合ってない」

商人「それで何年も争い合ってるなんて…」

剣士「きっともうあの石造が蘇らない事を知らないんだよね…なんか無駄な争いだ」

女オーク「教えてあげれば戦争は無くなる?」

剣士「そうだと良い…オークシャーマンは僕達の言う事聞いてくれるかな?」

女オーク「分からない…」

商人「ホムンクルスを直接連れて行けば良いかも知れないけど…なんかまた危険に晒しちゃうな」

剣士「…それと遅くなった理由はね…遺跡の中に石板がいくつかあったんだよ」

商人「何か分かったんだね?」

剣士「オークはね…違う星から来た様だよ」

女オーク「え!?」

剣士「この飛空艇みたいな物に乗って別の星から来た画があった」

商人「オークの起源か」

剣士「東オークが石造を守る理由はさ…そこに帰りたいんじゃないかな?それを信じてるんだと思う」

商人「守り通す動機はそれか?…」

女オーク「知らなかった」

剣士「そしてこの旗印だよ…きっとママが関係してる」グッ

女オーク「西オークの旗印にもダンゴムシが描かれているわ」

剣士「船に旗印あったね…気が付かなかったよ」

商人「オークの起源に絡んでいるとは驚きだね…」

剣士「僕さ…オークシャーマンと話した事あるけど悪いオークだとは感じなかった」

商人「今の話からすると悪意を持って戦争してる訳じゃ無さそうだ」

剣士「僕達と同じ様に結構ギリギリな感じで一人で向き合ってる様な気がする」

商人「そうだ!西オークってどれくらいのオークが居るの?」

女オーク「200人くらいよ」

商人「え!?たったそれだけ?それで戦争なんて…」

女オーク「強化しているから他のオークには負けない」

剣士「ほらね?なんていうかな…魔女が一人で立ち向かってるみたいな感じ…でも肝心な事を知らない」

商人「分かりやすい…なるほどいろいろ秘密が解けてきた」

826: 2021/11/19(金) 23:47:23.86 ID:pYa2Z27w0
西オークは殆ど領土も無いから食料が無い…だから豪族からどんぐりを入手する

戦う戦士が少ないから氏霊術で沢山のゾンビを操る

一方東オークは強い西オークの戦士に対抗する為にフィン・イッシュから武器を入手してる

見返りにフィン・イッシュの戦力としてオークが少し駐留している訳だ

その結果セントラルはフィン・イッシュを攻め切れない

バランスを変える可能性があるのが今や海洋をほぼ支配している豪族だ

豪族の足並みがバラバラなお陰でドワーフの国もフィン・イッシュも攻め切られないでいる



剣士「もうバランスは変わってる…オークシャーマンは古代魔術の力を得た」

商人「そうだったね…」

剣士「それからもう一つ…環境の激変でこれからどう転ぶか予測できない」

商人「それを早く止めさせたいな…北の大陸もどうなってるのか想像もつかないよ」

剣士「オークシャーマンにどうにかして事の真相を伝えたい…」

女オーク「船の行先も知らない…探しようが無いわ」

剣士「そうだ!!念話だ…魔女なら念話が出来るかもしれない…」

商人「魔女の居場所は?」

剣士「千里眼!…ダメだ見えない…多分狭間の中に居る」

商人「一先ず北に向かおうか」



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827: 2021/11/19(金) 23:47:55.81 ID:pYa2Z27w0
『随分前_シン・リーン城』


”…わかった…船を港町の沖へ移動させる…港町で落ち合おう”


魔女「母上…ちぃとわらわは旅に出る」

女王「では近衛を2名同行させない」

魔女「要らぬ…女戦士と情報屋を従士として同行させる故心配は無用じゃ」

女王「行先は何処へ向かうのですか?」

魔女「未だ決定はして居らぬが南の大陸じゃろうのぅ」

女王「貝殻は常に持ち歩いておくのですよ?」

魔女「分かって居る…では行って参る」ノソノソ


---------------


『客室』


ガチャリ バタン


魔女「待たせたのぅ…出立の準備が出来たで港町まで気球で行くぞよ」

女戦士「そこでアサシンと合流だな?」

魔女「うむ…奴も妹の墓参りがしたいそうじゃ…落ち合うのは墓所じゃな」

女戦士「私はこのまま手ぶらで良いか?」

魔女「何も無いとは思うが…一応帯剣を用意させるで持って行け」

女戦士「十分…」

情報屋「あなた達2人…年を取って居なくて羨ましい」

魔女「シワくらいは取ってやっても良いぞ?」

情報屋「お願いしたいわ…なんだか釣り合わないもの」

魔女「変性魔法!」シュワワ

情報屋「副作用とかは?」

魔女「魔力に制限が出るが主には関係なかろう」

情報屋「よーし!やる気が出て来た」

魔女「体力は元のままじゃで無理はせぬ様にな?」

女戦士「フッ…狭間の中での修行で私も得をした様だ」

情報屋「本当羨ましい」

魔女「では行くぞよ…」ノソノソ

828: 2021/11/19(金) 23:48:25.85 ID:pYa2Z27w0
『気球』


フワフワ


近衛「ささっ…お乗りください」スス

魔女「高々港町へ飛ぶのに何台の気球を使う気じゃ…この気球だけで良い!」ノソノソ

近衛「いやしかし…」

魔女「無駄じゃ!他の気球は別の用途へ回せ」

近衛「承知!」

魔女「女戦士と情報屋は寛げい」

女戦士「ふっ…」スタ

情報屋「お言葉に甘えて…スタ

近衛「ではご安全に…出せ!」

操者「はい!!」グイ


フワフワ



『上空』


ビョーーーーウ バサバサ


女戦士「未来は今どうしている?」

魔女「どこぞを旅して居る…良い仲間が居る様じゃで心配無用じゃ…思惑通りキ・カイへ向かえば良いが…」

女戦士「そうか…私はもう10年以上も顔を見て居ない」

魔女「会うのを楽しみにしておれ…資質はわらわ以上じゃで」

情報屋「魔女を超えていると言う事?」

魔女「わらわには思いつかん工夫があるのじゃ…流石女海賊の血を引いとる」

情報屋「爆弾と魔法を組み合わせると言う様な感じなのね?」

魔女「うむ…考えもつかん様な事をやり居る…柔軟なんじゃな」

女戦士「フフ…」トーイメ

829: 2021/11/19(金) 23:49:28.75 ID:pYa2Z27w0
『港町』


フワフワ ドッスン


魔女「ふぅぅやっと自由の身じゃ」

情報屋「今日は領主の砦で休む?」

魔女「否…飽きたで宿で休むぞよ」

情報屋「フフ王室の縛りから逃れたのね…じゃぁ宿を取って来るわ」

魔女「アサシンが現れるまでしばし自由じゃ…宿を拠点に待つとしよう」

女戦士「では降りるぞ?」スタ

魔女「これ待て…主らに金貨を渡しておく…自由にせい」ドサ

情報屋「こんなに…」

魔女「母上に持たされたのじゃがわらわは使い道が無い…主らで自由にせい」

女戦士「頂く…上手く使わせてもらう」ジャラ

情報屋「じゃぁ私も…」ジャラ

魔女「わらわは酒場で飲んで居るでな?」ノソノソ

操者「お気を付けて」ビシ



『広場』


ワイワイ ガヤガヤ

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!キ・カイ産のアクセサリーだよー!!

魔石あるよー!買うなら今の内だぁ!!

ミスリル製の武器に防具見てってくれぇ!!


情報屋「宿取って来たわ…女戦士は何か買うつもり?」

女戦士「いや…見て居るだけだ」

情報屋「金貨沢山貰ったのだから装備品を揃えてみては?」

女戦士「帯刀だけで構わん」

情報屋「そう?…じゃぁ私は少し買い物を…」

女戦士「港に豪族の船が2隻入っているな…騒ぎが起きねば良いが」

情報屋「騒ぎとは?」

女戦士「魔女から何も聞かされて居ない様だな?」

情報屋「え?何?」

女戦士「私は豪族に追われているらしい」

情報屋「らしい…って魔術の修行をしていたのでは?」

女戦士「ドワーフの国の領地を豪族が占領していてな…関係が悪いのだ」

情報屋「それで娘のあなたを捕らえようと…」

女戦士「どうせヘタレ共だ…気にする事でも無い」

情報屋「一応フードで顔は隠しておいた方が良さそうね」

女戦士「隠者を装っておく」

情報屋「買い物で装備を整えられない訳ね…」

女戦士「フフ…本当はもっとおしゃれをしたいのだがな」

830: 2021/11/19(金) 23:50:12.93 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ドゥルルルン♪


おい!金は出すって言ってんだろ…お前女だよな?

何度言ったら分かるのじゃ…売らんと言うとるじゃろう

けっ!!なんだよ思わせ振りやがって

痛い目を見んと分からん様じゃな…去れ!

お!お!お!足が勝手に…おいおい俺は何処に向かって


店主「いらっしゃいませ…2名様で?」

情報屋「連れが先に来ているかと…」

女戦士「カウンターだな」

店主「左様で…お飲み物は如何いたしましょう?」

情報屋「ハチミツ酒で良いわね?」

女戦士「構わん…」

情報屋「2杯お願い…」ジャラリ

店主「すこしお待ちを…」スタ

情報屋「魔女!?来たわ」

魔女「おぉ!主らを待って居った…女に思われて困って居る」

女戦士「目は隠しておいた方が良いのでは?」

魔女「面倒じゃ」

情報屋「魔女は素のままの姿で良いの?」

魔女「構わぬ…誰も気付いて居らん」

女戦士「肝が据わっていると言うか…まぁどうという事も無いな」

店主「ハチミツ酒をお持ちしました…どうぞ」

情報屋「どうも…」クィ プハァ

女戦士「しかし魔女…豪族を自由にさせ過ぎでは無いか?」

魔女「政務は母上じゃ…豪族と関わるなとは進言して居るが仕方ないのぅ」

情報屋「ドワーフの国が侵略を受けているとか?」

魔女「聞いて居る…追撃されぬ様にアサシンが暗躍して居るのじゃ」

情報屋「そうだったの…」

魔女「豪族の叩き過ぎは経済が回らんくなるで中々難しい様じゃ」

女戦士「あの馬鹿共が豪族とはヘドが出そうなのだが…致し方ないという事か」

魔女「詳しくはアサシンに聞いた方がよかろう…わらわは部分的にしか知らんでのぅ」


ワイワイ ガヤガヤ

おい見ろよ…カウンターに3人良い女が居るぞ?

あれは誘われ待ちだな?どうする行って見るか?


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831: 2021/11/19(金) 23:50:59.52 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


ヒソヒソ

これお代だ…又指名するな?

じゃぁ戻るわ…指名するならもっと早い時間に来ないと居ないかもしれないわ…じゃ!


魔女「…」ノソノソ

情報屋「…」スタスタ

女戦士「…」ツカツカ


ガチャリ バタン



『大部屋』


魔女「商売の女が多いのぅ…わらわは肩身が狭いわ」

情報屋「豪族からお金を搾り取るなら体を売るのが早い様ね…」

魔女「フィン・イッシュは更に多いらしいが大丈夫なんかのぅ?」

情報屋「でもお陰で経済が潤ってる所もあるし…悪い事とも言い切れないわね」

女戦士「こう何度も声を掛けられる様では酒場には行きにくい」

魔女「そうじゃな…色目を付けられるのも気色悪いで大人しゅうしとる」


アハ~ン ウフ~ン ドタバタ


情報屋「隣の部屋の声も聞こえて来るし精神衛生に良く無いわね」

魔女「沈黙の魔方陣を張るで待って居れ」ノソノソ

女戦士「さて私は横になる」ドサ

情報屋「2~3日はこれが続くのね…調査記録でも纏めようっと」


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832: 2021/11/19(金) 23:51:55.13 ID:pYa2Z27w0
『数日後』


ガチャリ バタン


情報屋「魔女!」

魔女「んん?」

情報屋「船乗りの噂で沖の方に幽霊船が居るって…アサシンよね?」

魔女「おぉ…やっと来た様じゃな」

女戦士「今し方墓所から戻ったのだが…もう一度行くか?」

魔女「そうじゃな…すれ違ったのやも知れぬ」

女戦士「では行こう」スック


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『街道』


ザワザワ ドタドタ

海賊王の娘が補給に来て居るらしい…手分けして探せ!

船に乗ってる奴ら叩き起こして来い


女戦士「…」スタスタ

魔女「主も肩身が狭かろう」ノソノソ

女戦士「馬鹿共に呆れている」

魔女「少し痛い目を見させてやりたいのぅ…」

女戦士「構うな…馬鹿が移る」

情報屋「宿屋で顔を見られて居るのに気付かなかったのかしら?」

女戦士「だから馬鹿なのだ…下半身で考えて居るからな」


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833: 2021/11/19(金) 23:53:02.91 ID:pYa2Z27w0
『ユートピアの墓』


サワサワ ヒュゥゥゥ


魔女「う~む…まだ来て居なさそうじゃ…」

情報屋「見て!豪族の船が沖に2隻」

魔女「幽霊船を探しておるんじゃろう…狭間に居るで見つかる訳無いじゃろうが…」


アサシン「リリース」スゥ


魔女「おぉ!!隠れて居ったか…」

女戦士「アサシン…私の体は堪能したか?」

アサシン「クックックお前の体に興味は無い…魔女…この体は重い…元に戻してくれ」

魔女「変性魔法!」シュワワ

アサシン「はぁぁぁ何年振りか…」

女戦士「ローグはどうした?」

アサシン「別行動だ…セントラルに潜伏している」

女戦士「私の資産は無事だろうな?」

アサシン「触って居ない…それで魔女?私は状況が読めて居ない…説明して欲しい」

魔女「ここで立ち話ものう…幽霊船に行けぬか?」

アサシン「行っても良いが少し補給もしたい…ワインを調達したいのだ」

情報屋「仕入れて来るわ?何処に持って行けば?」

アサシン「ここの東に入り江が有るのを知って居るか?そこに小舟を置いてある」

情報屋「知ってる…そこに持って行けば良いのね?」

アサシン「樽で二つ程欲しいが運べるか?」

情報屋「ここに荷車が置いてあるから大丈夫よ」

魔女「では先にその入り江へ行ってそこで話を聞かせてやろう」

アサシン「案内する…付いて来い」スタ

834: 2021/11/19(金) 23:53:52.87 ID:pYa2Z27w0
『東の入り江』


ザブン ザザー


魔女「…という訳じゃ…未来の先回りをするのに幽霊船がよかろうと思って居る」

アサシン「では海士島付近が一番動きやすいのだが…」

女戦士「なぜそこに?」

アサシン「船を隠す無人島が有ってな…そこが拠点なのだ」

魔女「まぁ良い…ここに居るよりは余程動き安かろう」

アサシン「それで私から質問なのだが…オークシャーマンだったか?それは西なのか東なのか?」

魔女「西も東も分からぬ…何故その様な質問をするのじゃ?」

アサシン「フィン・イッシュが武器を大量に東オークへ支援している…関連がありそうだ」

魔女「大戦が控えて居ると?」

アサシン「いや分からん…ただ武器の供給元が知れるのはフィン・イッシュが攻められる口実になる」

魔女「オークが攻めて来るとは考えにくいがのぅ」

アサシン「オークシャーマンが西側だった場合武器の供給元を断ちたい思うだろう?」

魔女「ふむ…そういえば暁の墓所に来たオークは気球で移動しとった様じゃ」

アサシン「それからアダムの件…子供が生まれない原因はアダムと見て間違い無いのか?」

魔女「調査はさせて居るが確定では無い…じゃで動き辛いのじゃ」

女戦士「未来はもう行動している」

魔女「そうじゃな…見定める前に先走るのを防ぎたいのじゃ」

アサシン「わかった…状況は大体把握した」

女戦士「ローグとはどう接触するのだ?」

アサシン「船を隠す無人島に定期的に情報を持ってくる…待つしかない」

女戦士「なぜ別働を?」

アサシン「豪族の分散を狙っている…纏まるとドワーフの国は船をすべて失うぞ?」

女戦士「それほど戦況が悪いか…」

アサシン「火薬の保有量が決定的に違う…豪族に指導者が居ないのが救いだ」

女戦士「もしや海賊王の娘が狙われて居るのは…」

アサシン「私が囮になって居たのだ…豪族を散らす為にな…その誘導の為にローグがセントラルに潜伏している」

魔女「では主は逃げ回って居るのじゃな?」

アサシン「場所を変えながらうろつくだけの簡単な仕事だ…どうという事は無い」

女戦士「フフあの馬鹿共め…」

アサシン「ここらで少し知らしめてでも置くか?忙しくなってしまうだろうが」

女戦士「馬鹿は氏んでも治らん…放置だ」

魔女「奴らを骨抜きにするなぞ簡単じゃぞ?女に変性させるだけじゃ」

女戦士「反吐が出るから止めてくれ」

835: 2021/11/19(金) 23:54:54.87 ID:pYa2Z27w0
『小舟』


ドッスン ドッスン


アサシン「さぁ乗ってくれ…幽霊船は少し沖だ」

魔女「わらわ達の食料はあるんじゃろうな?」

アサシン「クックック幽霊船ではな?誰も食料を必要としない…私を含めてな」

情報屋「え!?じゃぁ何も乗って無い?」

アサシン「魚を釣れば良かろう…水は雨水だ」

魔女「しもうたな…何か買って来れば良かったわい」

アサシン「倉庫は10年前から何も触って居ない…探せば何か有るだろう」

情報屋「船には誰が乗ってるの?アサシン一人じゃ動かせないでしょう?」

アサシン「ゾンビを使役して使って居る…肉は削げ落ちてスケルトンになってしまったが」

女戦士「フフ本物の幽霊船をやっていた訳か」

アサシン「補給がワインだけで良いのだ…ラクな物だ」

魔女「10年も経って何が食えるじゃろう…」

アサシン「正確には殆ど狭間の中だ…それほど劣化はしていないと思うが」

情報屋「良かったわね…保存食は残って居そう」

魔女「海士島で補給じゃな」

アサシン「好きにしろ…隠れて逃げ回るのも飽きた所だ」

836: 2021/11/19(金) 23:55:49.63 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


カララン カコンカコン


魔女「船員がすべてスケルトンというのは気味が悪いのぅ…」

アサシン「これ以上ラクな航海は無いぞ?スケルトン!船を出せ」


スケルトン達「カタカタ…カタタタ」ドタドタ


魔女「このスケルトンは何処で使役したのじゃ?このままでは成仏せんが…」

アサシン「クックック…性の悪い豪族の成れの果てだ…海に捨ててもいつの間にか船に戻って居る」

魔女「使役が継続しとるのじゃな」

アサシン「よほどこの船が好きらしい…使われて本望だろう」

女戦士「ゾンビのままよりは衛生的か」

アサシン「さてこのまま海士島に向かって良いのだな?」

魔女「構わぬ…ちとゆるりとしようかのぅ」

アサシン「少し仕事をして行く…折角港町へ来たのだ豪族の足並みを乱すチャンスだ」

女戦士「フフ面白い…お手並み拝見させてもらう」

アサシン「女戦士は着替えて来い…海賊王の娘を見せてやれ」

魔女「わらわは見物じゃな」

情報屋「私も…」


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837: 2021/11/19(金) 23:56:38.13 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船』


ザブ~ン ギシギシ


豪族の頭「幽霊船に追いつけるかぁ!?」

船乗り「こっちの方が早い筈なんすがねぇ…何故か追い付けない」

豪族の頭「船首に大砲移動させろぉ!」

大砲主「こんな距離じゃ当たりやせんぜ」

豪族の頭「黙ってやれぇ!!」

大砲主「へいへい…」

豪族の頭「ぐぬぬスループ船に先を越されるだろが!早く撃てぇ!!」


ドコン ドコーン


大砲主「あのスループ船巻き込んじまいやすぜ?」

船乗り「幽霊船見失いそうだぁ!!見張りは望遠鏡で追ってくれぇぇ!!」

見張り「進路右に回頭してる!!距離詰めるチャンスだ!!」

豪族の頭「面舵!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

豪族の頭「んあ?霧か?」

見張り「あぁぁ何だ暗くなって…こっちも見失いそうだ!!」

野郎共「左舷後方!!海賊船!!」

豪族の頭「何処の船だ?俺らより早い船か?」

野郎共「いや…あれは幽霊船でがす」

豪族の頭「なんだとぅ!?2隻居るのか?面舵いっぱーい!!右舷に大砲移動させろぉ」

船乗り「後ろの幽霊船の前に出るんすか?」

豪族の頭「進路塞げ!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

見張り「左舷後方の幽霊船が遠ざかって行く!!」

豪族の頭「だぁぁぁコケにしやがって!海賊王の娘のヤロウ!」

船乗り「左舷前方にも幽霊船!ニアミスする!」


ザブ~ン ユラ~ ギシギシ

838: 2021/11/19(金) 23:57:21.27 ID:pYa2Z27w0
豪族の頭「なんだ…と?」

野郎共「スケルトンが舵持って居やがる…」

大砲主「大砲の移動が間に合わん…」ドタドタ

見張り「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

豪族の頭「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


シュン ストン


豪族の頭「うお!!撃って来やがった…」

船乗り「逃げろぉぉぉ!爆弾だぁぁ!」ピョン ザブン

豪族の頭「どわぁぁぁ…」ダダダ


ドカーン パラパラ


豪族の頭「…」ボーゼン

野郎共「メインマストが倒れるでがす!!」メリメリ ガッサー

豪族の頭「幽霊船の向かってる方向は!?」

野郎共「セントラル方面でがす…」

豪族の頭「くそぅ…港町まで戻る!飛び降りた奴ら回収しろぉ」

839: 2021/11/19(金) 23:58:07.34 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


ザブ~ン ユラ~ ギシギシ


情報屋「フフ豪族の人達バタ付いてる…」

アサシン「女戦士…一発挨拶でもしてやったらどうだ?」

女戦士「フフ…そうだな?」チリチリ


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馬鹿共「スケルトンが舵持って居やがる…」

馬鹿共「大砲の装填間に合わん…」ドタドタ

馬鹿共「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

馬鹿共「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


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女海賊「食らえ…」ギリリ シュン


ドカーン パラパラ


魔女「翻弄するのは簡単なのじゃな?数回ハイディングしただけじゃ」

アサシン「だろう?こうやって適当に幽霊船を見せておけば豪族は足並みが崩れる」

女戦士「なかなか捕まえられない幽霊船をいつまでも追うとはな」

アサシン「ローグがありもしない高額賞金を懸けているのだ」

女戦士「私を掴まえればか?」

アサシン「クックック本当に豪族は頭が悪い」


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『荷室』


ガチャガチャ


女戦士「どうした?呼んで居ると聞いて来たのだが?」

情報屋「ここに乗せている器具類…これは何処で手に入れた物?」

女戦士「あぁソレか…私は良く知らないのだ…多分黒の同胞団の隠れ家だとは思うのだが?」

情報屋「これシャ・バクダ錬金に用いる器具類よ」ガチャガチャ

女戦士「使えるのか?」

情報屋「部品が全部揃っていれば修復出来るかも知れない」

女戦士「その辺の物はローグが詳しい筈だ…魔石もウラン結晶も全部ローグが回収してきた」

情報屋「この資産で豪族の資産全部を超えていると思うわ」

女戦士「フフそうか…金には興味無いが修復して何か出来そうか?」

情報屋「賢者の石の生成ね…材料が解明できるかもしれない」

女戦士「修復出来ればやっても構わん」

情報屋「破断している個所をどうするかだけど…」

女戦士「魔女に相談してみろ…突き合わせて変性魔法で金属は安定させられた筈だ」

情報屋「わかった…まずバラバラになった器具のパーツを合わせてみる」

女戦士「やる事が出来て良かったな?」

840: 2021/11/19(金) 23:58:54.48 ID:pYa2Z27w0
『甲板』


魔女「そこに横になれ」

アサシン「こうか?」ドタ

魔女「不氏者の体は自己修復せんで不便じゃな…回復させるぞよ?」

アサシン「頼む」

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

アサシン「…」クイ クイ

魔女「どうじゃ?骨は繋がっておりそうか?」

アサシン「ふむ…良いな」

魔女「痛みが無いで折れても気付かんのじゃな」

アサシン「その通り…いつの間に動きが悪くなる」

魔女「エリクサーは足りて居るか?」

アサシン「体液がすべてエリクサーに入れ替わってからは少量で良くなった」

魔女「ほう?」

アサシン「喉の渇きだけ依然と変わらん…ワインが一番必要だ」

魔女「主を絞ればエリクサーが出て来る訳じゃな?」

アサシン「フフまぁそういう事だろう…お陰で体表面からの揮発も少ない」


スタスタ


女戦士「大きな船に一人乗って良く退屈を凌げたな?」

アサシン「クックックその苦痛を想像出来るか?」

女戦士「どうだ?暇つぶしに立ち合いでもやって見るか?」

アサシン「今魔女に治癒してもらったばかりなのだ…また損傷させると心象悪かろう…」

魔女「わらわも暇じゃ…観戦させい」

女戦士「…という事だ」

アサシン「ヤレヤレ…」ノソリ

841: 2021/11/19(金) 23:59:55.11 ID:pYa2Z27w0
『決闘』


カーン カーン キーン


アサシン「余裕そうだな?こうも簡単に凌がれるか」ブン スカ

女戦士「私はどう見えている?」

アサシン「リッチと同じだ…動く先2歩向こう側を狙っても当たらん」

女戦士「切り込んでみて良いか?」

アサシン「降参だ…勝てない相手とは戦わない主義でな」クルリ スタ

魔女「ふむ…女戦士や?主の弱点は決め手が無い事じゃな…守備は満点じゃが攻勢で火力が足りぬ」

女戦士「自覚している…だから妹のデリンジャーを併用しようと思う」

魔女「そうじゃな…ここぞでデリンジャーが良かろう」

アサシン「もう盾は使わんか?」

女戦士「小型のバックラーと肩当で十分だ」

アサシン「もはや氏角無しか…フフ」


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『数日後_無人島』


ザブン ザザ~


魔女「良い隠し場所では無いか…この島には何か有るのかえ?」

アサシン「何も無い…水も湧かないから誰も立ち寄らん」

女戦士「気球はここに隠してあるのか?」

アサシン「そうだ…ちょっとした私の休憩所にしている」

女戦士「ローグはここにどうやって来る?」

アサシン「自前の船だな…割と良い船を持って居るぞ?」

女戦士「それではこの場所が誰かに知られてしまうでは無いか」

アサシン「一人で動かせるスループ船だ」

女戦士「なるほど…あの一番早い奴か」

アサシン「私は気球で海士島へ補給に行こうと思うがお前はどうする?」

女戦士「不用意に顔を出すのはマズかろう?ここでローグを待っておく」

魔女「わらわは買い出しに行きたいのぅ」

アサシン「では2人で行くか」

女戦士「この島でキャンプ出来そうな場所は?」

アサシン「気球を隠して居る場所にちょっとした洞穴がある」

女戦士「よし…少し荷を下ろして過ごせるようにしておく…日光用がしたい」

アサシン「ご自由に…」


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842: 2021/11/20(土) 00:01:06.97 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


アサシン「海士島まで行って2日程で戻る」

魔女「何か欲しい物があれば仕入れて来るが?」

情報屋「羊皮紙とインクが欲しいわ」

魔女「ふむ…女戦士は何も要らんか?」

女戦士「石炭か木炭のどちらかだな…少し鍛冶をしたくてな」

アサシン「どのくらい必要だ?」

女戦士「樽に半分程度で構わん」

アサシン「分かった…では行って来る」


フワフワ バサバサ


女戦士「さて一旦船に戻って少し荷を下ろしに行くが情報屋はここで待つか?」

情報屋「そうするわ…周囲も少し見ておきたいし」

女戦士「野生の生き物が居ても手を出すな?私が後で処理する」

情報屋「わかった」


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『日光浴』


ポカポカ


情報屋「ヤシの実採ってきたわ…要る?」スパ

女戦士「ちょうど喉が渇いた所だ…気が利く」ゴク

情報屋「あなた着やせして見えたけどスゴイ筋肉ね」

女戦士「見ないでくれ…私はこの体が嫌いでな」

情報屋「若々しくて羨ましいわ?」

女戦士「特異体質でな…マッサージでほぐして貰わんとこの様になってしまうのだ」

情報屋「私にほぐせる?」

女戦士「無理だろう…ローグが上手いのだ…だから私は待っている」

情報屋「はぁぁ私も若い体が欲しい…」

女戦士「悩みは同じだな…私は柔らかい体が欲しい」

情報屋「フフ私も日光浴でもしようっと」

女戦士「この島はシン・リーンと違って随分暖かくて気持ちが良い」

情報屋「そうね…」

女戦士「島を散策して来たのだろう?何も無いか?」

情報屋「石を積んだちょっとした祠があったくらいね」

女戦士「という事は誰かが居たのだな…」

情報屋「足跡を残すのはよくある事…歴史的な意味は多分無さそう」

女戦士「水が湧いて居れば良い島なのだがな…」

情報屋「ヤシが沢山生えているから水分はそれほど困らないと思うわ」

女戦士「それは良かった」

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843: 2021/11/20(土) 00:01:42.59 ID:KbfSVIxh0
『数日後』


フワフワ ドッスン


情報屋「アサシン達が戻って来たわ!」

アサシン「フフこの洞窟に居済むつもりなのか?資材を何処に降ろせば良い?船か?

女戦士「スケルトンと一緒では気味が悪いのだ…鍛冶はここでやるからその辺に降ろしてくれ」

アサシン「そうか…」

魔女「女戦士や…未来がキ・カイへたどり着いた様じゃぞ?」

女戦士「ほう?行先は読めそうか?」

魔女「上手く商船に乗れば海士島に寄るじゃろう…ここで待ちじゃな」

アサシン「北の大陸に行くには何処行きでも必ず海士島で補給をする筈だ」

魔女「未来にはシャ・バクダに情報屋を訪ねる様に言うて居るで商船に乗る可能性が高い」

魔女「それからな?水晶玉を買うて来たで主にも見せられるぞよ?」

女戦士「見たいな…見せてくれ」

魔女「そう言うと思うたわ…千里眼!」シュワワ

女戦士「おぉ…しかし未来の視点か…未来が見えんな」

魔女「じゃが安心じゃろう?」

女戦士「一緒にいる女は未来の連れだな?」

魔女「ハーフオークと仲良うなった様じゃな」

女戦士「コバルトの両手剣…もしやオークの子か?」

魔女「ほう?未来の知り合いじゃったのじゃろうか?」

女戦士「フフ再会したのか…マスクで顔が見えんな」

魔女「退屈しのぎにはなりそうじゃな?しばらく覗いておれ」

女戦士「そうさせてもらう」


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845: 2021/11/20(土) 08:03:11.45 ID:KbfSVIxh0
『海辺の祠』


情報屋「ここよ?これが何か分かる?」

魔女「リザードマンがこのように石を積むのぅ…これだけかいな?」

情報屋「他にもいくつかあるわ…大体同じ」

魔女「しかしリザードマンなぞ居る気配が無い…何じゃろうか?」

情報屋「魔女にも分からないかぁ…」

魔女「全部海辺の岩場に在るんけ?」

情報屋「そうよ…いくつもあるから不思議で」

魔女「海の中に何か住んどるやも知れんのぅ…」

情報屋「石を積む知性を持った魔物?」

魔女「人魚はもう絶滅したんかいのぅ?」

情報屋「伝説よ…もう何千年も昔だし」

魔女「人魚の様な水生の魔物はまだ居るかも知れんで一応気を付けて置いた方が良いな」



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846: 2021/11/20(土) 08:03:40.86 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


カーン カンカン ジュゥゥゥ


情報屋「鍛冶始めたのね」

女戦士「例の不足してるパーツを作っている…もう少し待ってくれ」

情報屋「急がなくて良いわ…ちゃんと動くかも分からないし」

女戦士「まぁ暇なのだ」

情報屋「それよりアサシン?海辺に在る小さな祠なんだけど何か知ってる?」

アサシン「石を積んであるやつの事か?」

情報屋「そう…いくつもあるんだけど」

アサシン「それはな…私の友が積んだ物だ…危ない物では無いから心配しなくて良い」

情報屋「共?この島で?」

アサシン「何年前だったか…私がこの島に初めて来た時にな…石化しかけたイルカが横たわって居たのだ」

情報屋「そのイルカが?」

アサシン「うむ…私のエリクサーを与えたら何度も訪れる様になってな…私が不在の時に石を置いて行く様になったのだ」

情報屋「そのイルカは今はどうして?」

アサシン「さぁ?姿を見なくなって1年程か…良い話し相手だったのだが残念だ」

魔女「氏んでしもうたかいな?」

アサシン「だろうな?イルカも人間と同じ様に石化の病気には掛かるのだ…泳げなくなってしまったのだろう」

魔女「リリスがどこぞの海底に沈んどる訳じゃな?」

アサシン「どうにかしてやりたいんだが…」

情報屋「船に積んである器具…その一つが重力炉よ」

魔女「リリスを魔石にするんけ?」

アサシン「リリス程大きな物が入ると思うか?」

情報屋「バラバラに刻めば入るかもしれない」

魔女「そうじゃアサシンは全身エリクサーじゃな?もう石化せんのでは無いか?」

アサシン「私にやらせるつもりか?やっても良いがどの様に刻む?」

魔女「未来の持って居るインドラの刀じゃな…あの光に焼かれた傷口は再生せぬ」

アサシン「ほう?なんとかすれば手はある訳か」

魔女「じゃが肝心のリリスが何処に居るのか分からんのがな…」

アサシン「イルカにでも聞くか?クックック…」

847: 2021/11/20(土) 08:04:17.47 ID:KbfSVIxh0
『夜』


サワサワ


魔女「どうじゃ?未来は?」

女戦士「商人達と共にキ・カイの遺跡を探索している様だ」

魔女「そうか…夜はあまり覗かぬ方が良いぞ?」

女戦士「何故だ?」

魔女「未来のプライベートを覗いてしまうで見ん方が良い」

女戦士「フフそうか…大人になったか」

魔女「しかし見て居ると感心するじゃろう?蟲を上手く使い居る」

女戦士「これが蟲使いか…」

魔女「まだまだ本領を発揮して居らぬ…蟲を自在に爆弾に変えれるで破壊力が測り知れん」

女戦士「金属に変性させるのだな?」

魔女「うむ…後は主のように時空を極めれば勝てる者は居らんじゃろうな」

女戦士「時空の修行はさせて居ないのか?」

魔女「早く勇者らの足跡を追いたかった様じゃで狭間に入るのを嫌がってのぅ…」

女戦士「何十年も自分と向き合うのはもう少し先か…」

魔女「既に勇者らと幾度か氏線を潜って居るからある程度は習得して居る」

女戦士「あの時の森での事か…」

魔女「そうじゃ…あの時に未来は勇者に生き方をすべて学んだ…わらわも自分の限界を知ったわ」

女戦士「私は記憶が無い…」

魔女「そうじゃったな主は倒れて居ったな…森の中で何度も次元の置き換えを経験しとる」

女戦士「それは勇者の力か?」

魔女「次元が崩壊せんのは勇者の力じゃな…主は乱用してはイカン」

女戦士「勇者の眼か…」

848: 2021/11/20(土) 08:04:55.78 ID:KbfSVIxh0
『数日後』


魔女「…商人の気球を改造しておるとな?」

女戦士「そうだ…気球で移動されるとなると何処に行くのか分からなくなる」

アサシン「クックック…こちらは無人島で足止め…どうしようも無いな」

魔女「ローグが戻ればキ・カイに行っても良いのじゃが」

女戦士「下手に移動するとすれ違いが起きる」

アサシン「石の上にも3年と言うが?」

魔女「ローグはいつ戻って来るのじゃろう?」

アサシン「千里眼で見えるだろう?」

魔女「交渉事ばかりで動く気配が無い」

アサシン「ではそういう事だ」

女戦士「動くなら未来が何処へ向かうのか見定めてからだな…こちらに来る可能性もある」

魔女「何かヒントは見えて居らんか?」

女戦士「ううむ…商人が誘導している様なんだが行き先がな…」

魔女「あ奴の行動癖からすると遺跡じゃとは思うんだが」

アサシン「すれ違い覚悟で商人ギルドへ行って見るか?」

女戦士「未来は妹と似てせっかちだ…気球の改造が済んだら直ぐに行動する筈」

魔女「うむ…入れ違いになるのは間違い無かろう」

女戦士「未来に貝殻を渡しておくべきだったな」

魔女「渡したのじゃがワザと置いて行き居った」

女戦士「フフ掴まりたくない訳か…」

魔女「困ったもんじゃ…」

アサシン「自立するという意思表示だ…ここは待つ一択」

女戦士「こうしよう…未来はきっと私を訪ねて来る…幽霊船を動かして呼び寄せよう」

アサシン「ふむ良い案だ…退屈しのぎにはなる」

魔女「そうじゃな…ちと目立って見ても良いな」


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849: 2021/11/20(土) 08:06:06.25 ID:KbfSVIxh0

『南の大陸の何処か上空』


シュゴーーーーー バサバサ


商人「だめだ現在地見失ってる…火山の噴煙も見えない」

女オーク「下は一面の雲…」

商人「ラヴおいで…地図に指さすから座標の近い所で教えて」

機械の犬「ワン!」パタパタ

商人「いくよ?」ツツツツ

機械の犬「ワン!」

商人「ここか…キ・カイの南西か…ハテノ村とは反対側に来てるか」

剣士「見えたぁぁ!!魔女の目が見えた…船に乗ってる」

商人「え!?それじゃ何処なのか分からない」

剣士「なんでスケルトンが船に乗ってる?」

商人「む!それは幽霊船じゃないか?女戦士は見えないかい?」

剣士「暗くなった…もう見えない」

商人「間違い無いな…狭間に出入りしてるんだ」

剣士「それでずっと見えなかったのか…」

商人「幽霊船はセントラルの沖でよく目撃されるらしい」

剣士「そっちに向かう…えーと女オーク!北東1時の方向」

女オーク「うん…」グイ バサバサ

剣士「千里眼!…よし見える…魔女はなかなか首を動かさない…イライラするなぁもう!!」

商人「場所が特定できればね」

剣士「雨は降って居なさそうだ…霧が濃い…どこだ?」

商人「今なら女戦士の目も見えるんじゃ無いかい?」

剣士「そうか…千里眼!…見える!戦ってる…相手は豪族だ」

商人「見方はどのくらい居そうだい?」

剣士「スケルトン以外の味方は見えない…あぁぁ魔女は何やってるんだよ…乗り込まれちゃうじゃないか」

商人「気になるなぁ僕も見たいよ」

剣士「まてよ?魔女が視線を動かさないのは魔女も千里眼使ってるという事だ…僕を見てる!」

商人「わかった…ちょっと待ってノートに書く」カキカキ

商人「これ見て」

剣士「うん…”現在地教えて”」

剣士「よし!千里眼!…よしよし動き始めた…やっぱり僕の行動監視してた」

商人「どう?周り見える?」

剣士「ビッグママが一人で戦ってる…だから魔女が助けに来てくれてるんだ」

剣士「居場所分かったよ…海士島だ!海士島で待つって」

商人「行けるね?」

剣士「大丈夫行った事ある」

850: 2021/11/20(土) 08:06:32.90 ID:KbfSVIxh0
商人「なるほどそういう事だったか…最近の幽霊船の目撃は剣士を呼ぶ為だったのかも知れない」

剣士「ビッグママはずっと僕を呼ぶ為に?」

商人「セントラル沖でよく目撃される様になってるんだ…そこで待って居た可能性がある」

剣士「知らないで素通りしてた」

商人「豪族に狙われているから思う様に上陸出来ないんだろうね」

剣士「可哀そうだ…早く行ってあげないと…ローグさんはビッグママの事情を良く知ってる」

商人「敵だとすると厄介だね」



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『黄昏時_海上空』


シュゴーーーー バサバサ


商人「流氷がやっぱり西の方角に流れてる…」

剣士「なんか現在地がやっぱりズレてる様に思う…北に進んでる筈なのにまだ灯台の光が見えない」

商人「ラヴ…今の座標おしえて?」ツツツツ

機械の犬「ワン!」

商人「本当だ…また西にズレてる」

剣士「偏西風が止まってるからかな?」

商人「今ここの位置だからもっと東に進路変えないと」

剣士「なんでだろう?進路3時の方向に修正」グイ

商人「まてよ…まさか地軸が動いて北の方向が変わって無いか?」

剣士「え!?」

商人「ラヴ!何か分からないか?」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「そうだな情報が足りないか…」

剣士「可能性はある…地図を傾けて使った方が良いかも…」

商人「ゆっくり地軸が変わってるかもしれないんだね?」

剣士「どうやってそれを確認すれば良いだろう…」

商人「陸地が見えないと太陽の沈む方向が分からないね」

女オーク「剣士!東方向に灯台の光!」

剣士「灯台目指す」グイ バサバサ



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851: 2021/11/20(土) 08:07:00.46 ID:KbfSVIxh0
『海士島』


フワフワ ドッスン


剣士「すっかり日が落ちた…今から宿取れるだろうか」

商人「兎に角人が集まってる所に行って見よう」

剣士「商人さんもハイディングの準備は良いよね?」

商人「うん…でもどうして?」

剣士「前にここに来た時も女オークが海賊王の娘に間違われて付け狙われたんだ…一応逃げる心構えは必要」

商人「分かった…でも隠れてばかりだと落ち合うのに手間取るから最小限で」

剣士「そうだね」

商人「万が一バラバラになったら飛空艇に集合で」

剣士「おっけ!行こう」



『広場』


メラメラ パチ

うあぁぁぁ寒ぶっ!なんでこんなに冷えるんだぁ?

暖を取るのに商船に戻った方が良さそうじゃわい

酒場が一杯で入れない!


剣士「…」キョロ

商人「剣士!待たせた…宿の納屋を貸してもらえる…今晩はそこで暖を取ろう」

剣士「大分混乱してそうだね」

商人「うん…今は真夏なのにやっぱり異常すぎる」

剣士「この辺りは年中暖かい筈だよね?」

商人「そうだよ」

852: 2021/11/20(土) 08:07:28.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』


ガラガラ バタン


剣士「よく貸して貰えたね?ここなら個室だ」

商人「僕は闇商人だよ?割と伝手を持ってる」

剣士「宿の方はどうなってるの?」

商人「もう一杯さ…明日商船が出て行ったら部屋が空く…一応確保しておいた」

剣士「酒場も一杯で入れないらしい」

商人「魔女の目は千里眼で見えない?」

剣士「多分狭間の中…見えないよ」

商人「移動してるんだね」

剣士「うん」

商人「まだ寝るには少し早いから少し情報集めてくるよ…剣士はどうする?」

剣士「そうだなぁ…僕は女オークと一緒に船の様子見てこようかな」

商人「じゃぁ僕はなんとか酒場に入ってみる」

剣士「あとでここに集合で」

商人「うん…行って来る」ガラガラ バタン



『桟橋』


ギシギシ


剣士「商船2隻と豪族の船2隻…」

女オーク「沖の方に見える光も船よね?」

剣士「多分ね…3隻かな?待機してるんだね」

女オーク「幽霊船はこの桟橋に入ってくると思う?」

剣士「来ないだろうね…近くに停泊したまま小舟で来るんじゃないかな」

女オーク「それにしても霧が冷たい…」

剣士「君はこの異常気象はオークシャーマンの力だと思う?」

女オーク「多分そう…天候を操るのは見た事有るの」

剣士「地軸を動かせるとか…君が知る訳無いよね?」

女オーク「私は地軸というのが何なのか理解できない」

剣士「まぁ普通はそうだよね…研究者とか魔術に精通して無いとね」

女オーク「その地軸が動くというのは大変な事なの?」

剣士「僕も影響は詳しく分からない…でも4000年前は文明が滅ぶ程の影響が在ったらしいよ」

女オーク「どうやって滅んだのかしら?」

剣士「想像付かないよ…地震とか噴火とか津波かな?」

女オーク「今まで経験した事の無いくらい大きな災害だったのでしょうね?」

剣士「今まで?…そうだな一気に来るとは限らないのか…ゆっくりジワジワ滅んだ可能性もあるな」


もしも何年も冬が続いたら食料が無くなる

病気も冬の方が蔓延しやすい

住みやすい場所に移らないと何年かして衰退するのは考えられそうだ

853: 2021/11/20(土) 08:07:58.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』


ガラガラ バタン 


商人「はぁぁぁ暖かい…」

剣士「ランタンで湯を沸かしてるんだ」

商人「さすが旅慣れてるねぇ」

剣士「なにか情報はあった?」

商人「どうも霧のせいで商船の航海が滞っているらしい」

剣士「急に寒くなったからだね?」

商人「だろうね?海はまだ暖かいんだよ」

剣士「日の出の時間が違うとか方角が違うと言う話は出てない?」

商人「聞いてないなぁ…兎に角ゴタゴタしてる…豪族も内輪で揉めてたりね」

剣士「あーそれか…僕が要らない事をしたからだな」

商人「いつもそんな感じだから豪族はまぁ良いんだ…それよりこの島は燃料不足が深刻だよ」

剣士「え?」

商人「元々暖かいから暖を取るための木材とか石炭が無いんだ」

剣士「広場で燃やして居たのは?」

商人「ヤシの木だね…あっという間に燃えて無くなる」

剣士「寒さがいつまで続くかだよね…」

商人「う~ん」

剣士「凌ぎでいくつかクヌギの木でも育ててこようか?」

商人「豪族が独り占めするのが目に見えてるんだ」

剣士「無いよりはマシでしょ…簡単だから少し植えて来るよ」

商人「そうかい?」

剣士「まぁ夜中に線虫もやりたかった事だし…行って来る」

商人「気を付けて」

854: 2021/11/20(土) 08:08:28.13 ID:KbfSVIxh0
『翌日_広場』


ザワザワ

霧が晴れるまで出港出来ないってよ

そら流氷に当たったら沈没しかねんもんな

どうする?宿が無いぞ?

豪族が占領しちまってるからなぁ…船で過ごすしかあるめぇ


商人「ダメだぁ毛皮が売り切れてる…」

剣士「昨夜は寒かったみたいだね?」

商人「そりゃ一人だと寒いよ…君達は良いね2人でさ?」

剣士「いくら商人さんでも女オークは貸さないよ」

商人「ハハ取る気は無いさ」

剣士「納屋は地べたが冷たかった…今日は宿に泊れそうだよね?」

商人「ダメかもしれない…商船が出て行って無いし」

剣士「今晩も納屋になる様ならヤシの葉でも重ねて休もう」

商人「そうだね…」

剣士「ここでずっと待ってるのもなんか苦痛だね」

商人「うん…千里眼はどう?」

剣士「ずっと狭間のままさ…何か作って商売でもしようかなぁ?」

商人「どうして急に?」

剣士「僕達もう金貨1枚しか持って居ないんだよ」

商人「女オークに渡した分も合わせて?」

剣士「うん…」

商人「僕もあんまり持ち合わせが無い…何が作れる?」

剣士「魔石は沢山持ってるからそれで何か出来ないかなってさ…」

商人「ハハ…あのね魔石を売れば早いと思うんだ…」

剣士「あれ?アハハハすっかり忘れてた…そういえばそうだね」

商人「う~ん…そういう所まで女海賊に似たか…もしかしてカバンの中に虫が入ってたりしないよね?」

剣士「入ってるよダンゴムシ!ワームも居る!見たい?」

商人「えーと…又今度で良いハハハ」


情報屋「商人?あなた未来君ね?」


商人「え!?おおおおおお!!情報屋じゃないか…びっくりだ!いつからこの島に?」

855: 2021/11/20(土) 08:08:54.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「あ…情報屋さん?昔のままだ」

情報屋「フード被ったままだから分からなかったわ…やっと見つけた」

商人「見つけた?」

剣士「もしかして僕の事?」

情報屋「そうよずっと探して居たのよ」

剣士「ゴメン…直ぐにシャ・バクダに行けなかったんだよ…僕も探して居たんだ」

情報屋「え!?何の話?」

剣士「あれ?僕を探してたんじゃ?」

情報屋「そうよ?」

剣士「僕も情報屋さんを探しにシャ・バクダまで行ったんだけどすれ違ったみたい」

情報屋「ええと…ちょっと話が噛み合わないんだけど…兎に角行きましょ」

商人「情報屋ゴメン…僕ら魔女と女戦士を待ってるんだ…良かったら君も会ってみたら?」

情報屋「あの2人は来ないわ?」

剣士「どうして知ってるの?」

情報屋「私が迎えに来たからよ?」

剣士「あれ?もしかして情報屋さんも魔女と一緒に居た?」

情報屋「そう…だから迎えに来たのよ…早く行きましょう」

剣士「ハハなんだ始めからそう言ってくれれば良かったのに…」

商人「てっきり偶然バッタリかと思ったよ」

情報屋「あなた達の気球に私も乗れるわね?」

剣士「乗れる乗れる!」

情報屋「案内して?船まで私が誘導するから」

剣士「おけおけ!こっち」スタ

856: 2021/11/20(土) 08:09:25.86 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


情報屋「やっと合流出来て安心した…宿にも酒場にも居なかったから」

商人「宿屋の納屋を借りて休んで居たんだよ…情報屋はどうやって海士島に?」

情報屋「昨夜遅くに気球で送って貰ったのよ」

商人「なるほど…それからずっと探して居たんだ」

情報屋「そうよ?寒くて皆フード被ってるから分からなかった」

商人「この寒さの原因って何か知ってる?」

情報屋「詳しくは分からない…そうそう未来君が見つけた呪符?魔女はそれを千里眼で見て以来ずっと何か調べてるわ」

剣士「見て居たんだね」

情報屋「私も海士島まで買いに来たのよ?」

剣士「直ぐ近くに居たんだ」

情報屋「未来君は一所に落ち着かないからずっとすれ違いっぱなし…やっと合流できたの」

商人「あ!情報屋?未来君は今剣士って名乗ってるんだ」

情報屋「そうなのね?」

剣士「まぁどっちでも良いよ」

情報屋「それで剣士君と商人に聞きたい事が山ほどあるんだけど…」

商人「話が相当長くなるな…集まってから情報交換した方が良いね」

情報屋「そうね…今は我慢する」

剣士「魔女はどうして幽霊船に乗ってるの?」

情報屋「それも話が長いわ…結論を言うと剣士君の先回りをする為」

剣士「え?どうして?」

情報屋「魔女が渡した貝殻を置いて行ったでしょう?だから捕まえられなかったのよ」

剣士「あーーーなんか貰った気がするなぁ…何処に置いたんだっけなぁ」

商人「興味が無い物はどこかに忘れて来るのは治らないかもねぇ…」

剣士「ハハまぁ良いじゃない合流出来たんだし」

857: 2021/11/20(土) 08:10:01.77 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


ザブン ギシギシ


剣士「ビッグママァ!!」ダダダ

女戦士「未来…」ツカツカ

剣士「ゴメンね…僕を探して居たんでしょ?」

女戦士「フフ…良く帰ったな?眼をよく見せろ」グイ

剣士「うん…」ジー

女戦士「…」ジワリ

剣士「爺いじに眼を舐められたよ…ビッグママも舐める?」

女戦士「その呼び方は止めろろ言っただろう…女戦士で良い」

剣士「そうだったね…ハッ!!これママのデリンジャー…」

女戦士「形見を私が使わせて貰っている」

剣士「見て!?僕も自分で作ったんだ!同じだよ」スチャ

女戦士「そうか…さすが私の妹の子か」

剣士「それから…女オーク来て!?」

女オーク「…」ウツムキ スタスタ

剣士「あの時のオークの子だよ…覚えているよね?」

女戦士「未来が世話になって居る様だな?」

女オーク「はい…あの時は御免なさい…」

女戦士「随分言葉が流暢では無いか?未来が教えたのか?」

剣士「うん!もう普通にお話出来るよ」

女戦士「それは良い…しかし随分たくましくなった」

商人「女戦士!10年振りだね…君は変わって居ないなぁ」

女戦士「お前は中々氏なんな?生きていて何より…」

商人「ハハ…中々氏ねなくてね」

剣士「この幽霊船に乗って居るのは3人?」

女戦士「私と魔女…情報屋にアサシンの4人だ」

剣士「アサシンさんも乗って居たのか…千里眼で見えなかった」

女戦士「豪族達に見られん様にしていてな…」

剣士「魔女は?」

女戦士「魔術の研究で忙しい様だ…折角だから顔を見せて行け」

剣士「うん…」

858: 2021/11/20(土) 08:10:47.76 ID:KbfSVIxh0
『居室』


アブラカタブラ…


魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ

女戦士「魔女!未来を連れて来た…」

魔女「危ないで入って来るな言うたじゃろう…まぁ良い!話もしたかった所じゃ…ちと休憩するわい」

女戦士「幽霊船はフィン・イッシュに向かって良いのだな?」

魔女「うむ…書物がフィン・イッシュに保管してある…急ぎで調べたい」

剣士「例の呪符の事だね?」

魔女「そうじゃ…この異常気象は間違いなく古代魔術の影響じゃ…今の知識では影響が予測できぬ」

剣士「そんなに酷い状況かな?やっぱり…」

魔女「情報屋に話はまだ聞いて居らぬか?」

剣士「え!?何も?」

情報屋「皆揃ってから情報を交換しようと思って何も話して居ないわ…」

魔女「丁度よい!アサシンも呼んで来るのじゃ…ちと今後について話そうぞ」

女戦士「連れて来る…」ツカツカ


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カクカク シカジカ


魔女「…オークの起源が他の星から来たという以外はほぼ情報屋の予測通りじゃな」

情報屋「そうね…精霊が産んだのではなく他の星からの外来者だったなんて…」

魔女「歴史はまず置いておくとしてまず今時点で分かって居る古代魔術の事じゃが…」



大きな特徴として天候を任意に操れるらしいというのが分かって居る

日蝕を起こし太陽を遮ったりも任意で出来る様じゃ

どの様に任意で操ったのかは謎のままだったのじゃが

例の呪符にヒントが在った

重力の魔方陣と時空の魔方陣…これらは現在の魔術書には記されて居らん

恐らく重力の魔方陣にて磁力を操作しているのじゃろうと思われる

859: 2021/11/20(土) 08:11:24.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「その魔方陣は解読できたの?」

魔女「出来て居らん…使う触媒が何なのか分からんのじゃ…方陣の交点も調べにゃイカン」

商人「それで急ぎでフィン・イッシュに…」

魔女「うむ…」

情報屋「4000年前の地軸の移動もオークシャーマンが関わって居そうだから…今の異常気象も同じかも知れない」

商人「影響がどの程度出るのか想像出来ない…」

情報屋「文明が完全に入れ替わるくらいってどう思う?」

剣士「子供が生まれない上に地軸の移動か…」

魔女「幸い状況が急変する程の速さでは無い様じゃでこれから対応を考えねばならぬ」

剣士「例えばどんな?」

情報屋「まず大洪水の備えね…船の確保と山間部への移動とかよ」

剣士「津波じゃなくて洪水?」

情報屋「地軸の移動で未踏の地が温暖になった場合氷が全部溶けるのよ…その結果大洪水になるのはどの伝承でも同じなの」

商人「ハハ海の水が増えるって言うのかい?」

情報屋「数十メートル増えただけでセントラルもキ・カイも水に浸かるわ?波で一気に浸食されて数年で無くなってしまう」

商人「海の水が数十メートル増えるなんてどんな量なんだよ…ありえない」

情報屋「不確かな伝承だけど100メートル程増えるという記録もあるの」

商人「100メートル!!馬鹿な…」

魔女「直ぐ増えるとは思うて居らんがそういうつもりで準備を考えねばならんのじゃ」

商人「だとするとセントラルもキ・カイも壊滅…シン・リーンの港町もだ」

剣士「僕の島も無くなっちゃう」



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860: 2021/11/20(土) 08:12:03.09 ID:KbfSVIxh0
魔女「次にじゃ…ホムンクルスはいつ目覚めそうなのじゃ?」

商人「正直分からない…自己治癒で生体が育って来ているのは確かなんだ」

剣士「そうだ!魔女?…念話でオークシャーマンとお話出来ないの?」

魔女「わらわが知って居る念話は貝殻にエンチャントを掛ける術なのじゃ…貝殻を渡せば通じるとは思うが…」

剣士「居場所が分からない」

魔女「そもそも念話が使えたとして居場所が分からん者に通じるとは思わんが?」

剣士「あー千里眼と同じかぁ…」

魔女「ホムンクルスの存在をオークシャーマンに伝えたいのじゃな?」

剣士「そうだよ…そうすればオーク同士の戦争が回避出来るかも知れない」

魔女「わらわが思うにな?オークシャーマンは別の目的で天候を操って居る様に思うがのぅ…」

女オーク「戦争を有利に進める為では無いと?」

魔女「結果的にそうなって居るじゃろうが規模が大きすぎるとは思わんか?」

商人「地軸の移動ってまだ決まった訳じゃ無いよね?」

魔女「本当に西オークと東オークで争い合って居るんか?」

女オーク「本当よ?西オークは東オークの村を奪っているわ」

魔女「侵略して居るのじゃな?」

女オーク「そう…でもその後奪った村をどうしているのかまでは知らない」

商人「むむ!200人程度じゃ領地奪っても意味無いね…精々略奪か」

魔女「おぉそうじゃ!忘れておった…呪符に光の方陣もあったのじゃ…オークシャーマンは千里眼を使えんのか?」

女オーク「分からない…天候を変えるのは見て分かるからそれしか…」

剣士「まてよ?もし使えるとしたら君の眼を見通す事も出来るな…」

魔女「それが言いたいのじゃ…女オークの事をオークシャーマンは知って居る…じゃからすべて見通して居るやも知れん」

剣士「僕達は泳がされてる?」

魔女「その可能性も考えておいた方が良かろう」

剣士「狭間の外で見た事すべてか…ホム姉ちゃんを知ってるとしたら…」

商人「マズいな名も無き島に向かってる可能性はありそうだ」

剣士「大丈夫!移動の殆どが狭間の中だよ…場所が分かる訳無い」

魔女「ウンディーネが目覚める直前だと知ったして次に何をするじゃろうのぅ?」

剣士「まさかドリアード?」

魔女「そんな気がしてならん…」


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861: 2021/11/20(土) 08:12:31.04 ID:KbfSVIxh0
『荷室』


ガチャガチャ


情報屋「これよ?シャ・バクダ錬金に用いる天秤と重力炉」

商人「スゴイな…女海賊が持ち帰ったものを復元したんだ」

情報屋「でも動かし方が分からない…エネルギーの供給が何なのか謎なの」

商人「キ・カイの古代遺跡で見つけた物の中にウラン結晶を用いたエネルギー元があったんだ」

情報屋「ウラン結晶からどの様にエネルギーを?魔石の充填?」

商人「仕組みは良く分からない…研究すればこの機器にも使えるかも知れないね」

情報屋「そのエネルギー元はこの機器に使え無さそうなの?」

商人「大きすぎる…この機器は多分ここに何か入るんだろうけど…全然大きさが違うから新しいのを作らないとね」

情報屋「はぁぁ…道が長そう」

商人「でも良く組み立てたじゃない…天秤なんかこのまま使えそうだ」

情報屋「やってみたけど意味無いわ?エネルギーが無いと動かないのよ」

商人「この機器で何をしたいの?」

情報屋「賢者の石の生成よ?それがあればホムンクルスの完全な部品が作れる」

商人「僕も研究してるんだけどさ…錬金術で完成させるのはどうやら違うみたい」

情報屋「どの様に?」

商人「エリクサーの中で培養するんだ…錬金術で作るのは培養に必要な臓器の部品だけだよ」

情報屋「じゃぁ賢者の石は不要?」

商人「大量のエリクサーを作るのに必要なのかも…合計でエリクサーは樽で10杯以上必要になる」

情報屋「そういう事か…」

商人「培養させて大きくして…後は自己治癒でゆっくり成長する…だから時間が掛かるんだ」

情報屋「キ・カイ錬金術とはそもそも違う過程なのね…」

商人「僕のノートに生成の過程をメモしてあるから読んでごらんよ」

情報屋「ありがとう…見させてもらうわ」


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862: 2021/11/20(土) 08:13:05.57 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「未来…お前の刀を研いでやる」

剣士「ビッグママ…あ女戦士…なんか恥ずかしいなぁ」

女戦士「刀を貸してみろ」

剣士「うん…」ゴソゴソ

女戦士「ふむ…それほど傷んで居ないな」スラーン サワサワ

剣士「ねぇ女戦士?僕は剣士って名乗ってるんだ」

女戦士「フフ剣士か」

剣士「パパの刀は?持って居るんでしょ?」

女戦士「見たいか?何千年も経つと朽ちてしまう…仕方の無い事だ」

剣士「もう使えない?」

女戦士「打ち直せば使えない事も無いが刀身が折れて半分無く無くなって居てな…欲しのか?」

剣士「うん…そのままでも良い」

女戦士「分かった…出来るだけ形を残して使える様にしてやる」

剣士「パパの形見がそれしか無いからさ」

女戦士「そうだな…刀一本しか持って居なかったな」

剣士「後さぁ…ローグさんの事なんだけど」

女戦士「どうかしたのか?」

剣士「ローグさんて豪族になっちゃったんだよね?」

女戦士「そうだな」

剣士「海賊王の娘を捕らえようとしてるの知ってる?」

女戦士「フフそれを知って居るという事は何処かで会ったのだな?」

剣士「うん…セントラルでバッタリね」

女戦士「まぁそういう事だ…気にするな」


アサシン「女戦士!ちょっと来てくれ」


女戦士「どうした?」

アサシン「海流のせいか進路がどうも西にズレる」

剣士「あ!!アサシンさん…僕の飛空艇でも進路がすこし西にズレて居たんだ…羅針盤はアテにしない方が良いかも」

アサシン「霧が濃くて星が見えん…羅針盤以外に方向を示す物が無いのだが…」

女戦士「どの程度ズレが有るのか分からんが西に流れるなら見越して向かえば良い」

剣士「2時の方向を北と思って行けば大体良い所に行くよ」

女戦士「そんなにズレがあるのか?」

剣士「うん…気付いたら全然違う方向に行ってる」

女戦士「兎に角陸が見えるまではセントラル方面が良さそうだな…西に流されて丁度フィン・イッシュに行けるかもしれん」

アサシン「分かった…セントラル方面に修正する」


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863: 2021/11/20(土) 08:14:02.36 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


ザブ~ン ユラ~


商人「昼間は霧が少し薄い…」

剣士「大きな流氷が流れて来なければ良いね」

商人「アサシン!どうして流氷が西に流れて行くのか知らないかな?」

アサシン「さぁな?外海に繋がる海峡に流れて行っているのではないか?」」

商人「フィン・イッシュの方か…」

アサシン「他に何も無いだろう?」

商人「外海に穴でも開けたんだろうか…」

剣士「僕外海の事あんまり知らないんだけど何があるの?」

商人「ずっと向こう側まで海らしいよ…そのずっとずっと向こう側に未踏の地さ」

アサシン「今航海している内海とは比べ物にならないぐらい広い海だという事だ…」

剣士「海以外に何も無い?」

商人「世界地図を見せてあげるよ…右端と左端をこうやって繋ぐと大きな海になるよね?」パサ

剣士「そういう事か…向こうに未踏の地しか無いから誰も行かないんだ」

商人「ちょっと説明しようか…」


こっちの地図がこの間キ・カイの遺跡で発掘した遺物から分かった地図だよ

この地図の一番北側…その当時の北極に当たる部分が

今僕達が航海している内海だと思われる…ほら陸地の形が類似してるよね?

4000年前の地軸の移動でほぼ90°回転したのが今の地図さ…こっちの地図

西側の海峡を越えてずーーっと向こう側に当時の南極だった島が有る…これが未踏の地

何があるのか誰も知らない


剣士「フィン・イッシュから外海の方面に航海はしないのかな?」

アサシン「龍神の眠りを妨げない様に外海に出るのは禁止しているそうだ」

剣士「龍神…」

アサシン「リヴァイアサンが海に住まうらしいが既に伝説の話だな」

商人「でもこうやって地図を比較してみると温暖になった内海周辺に人間が集まったのは良く分かる」

剣士「なるほど…本当だね陸地が内海に集中してる…」

情報屋「ちょっと口を挟むわ…地軸が変わって遠心力の掛かっている場所が変わって居るのかも知れない」

商人「え?」

情報屋「今までは遠心力が掛かって海水が多い状態…それが変わって海水が別の場所に流れてる」

商人「流氷は一緒に流されてる訳か…辻褄が合うな」

情報屋「もっと言うと偏西風は無くなったのじゃ無くて場所が変わったのね…偏西風が強いのは赤道上よ」

商人「信じたくないけど地軸が変わってる可能性はやっぱり高そうだなぁ」


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864: 2021/11/20(土) 08:14:44.04 ID:KbfSVIxh0
『居室』


…シン・リーンは夏から一転して冬になった様じゃ

エルフゾンビが居るシャ・バクダも冬に変わった様じゃな

その他の地域は?

盗賊が居るハテノ村かいの?ここはあまり変化が無さそうじゃのぅ


情報屋「夏になってる場所が何処にもないのが気にかかる…」

魔女「わらわ達の生活圏がすべて南半球に移動したのじゃろう…それで説明が付く」

情報屋「…海士島辺りが南極に移動したと考えるとそうなるわね」

魔女「その過程じゃと命の泉付近は赤道付近じゃな」

情報屋「ドラゴンの眼は覗けないの!?」

魔女「わらわはドラゴンをあまり知らぬ」

情報屋「もし海士島付近が南極に位置したとしてセントラルもキ・カイも緯度的に深刻な状況じゃ無さそう」

魔女「ちと寒い程度かいな?」

情報屋「これを狙ってやったとするとオークシャーマンはとても賢いかもしれない」

魔女「被害は最小限に抑えたという事かえ?」

情報屋「緯度的に影響が無いのは恐らくシン・リーンとフィン・イッシュ…ここは北半球から南半球に移っただけ」

魔女「シャ・バクダもあまり変化が無さそうじゃ」

情報屋「あそこはもうほとんど人が済んで居ないから除外」

魔女「なぜ地軸の移動をしたのじゃろうのぅ?」

情報屋「未踏の地の氷を解かす?…もしくは偏西風の方向を変える?」

魔女「前者は何か狙いが有るかもしれんな…偏西風の向きが変わると言うのはどういう事じゃ?」

情報屋「北西の風が南西に変わるという感じね?」

剣士「ああああああああ!!それだ…」ガバ

魔女「なんじゃ寝て居ったんじゃ無いんか…たまげたわ」

剣士「精霊樹の森に到達するドリアードの種子の向きを変えてる…」

魔女「なぬ?」

剣士「精霊樹がドリアードに浸食されそうなんだ…エルフ達が飛んで来る種子を全部焼いてる」

情報屋「オークシャーマンはそれを狙ってやってると言う事?」

剣士「千里眼が使えたとすると精霊樹も見てるし僕達がドリアードの種子と戦ってるのも見てる…色々変わり始めたのはその後からだ」

情報屋「冬にすれば種子は飛ばないというのも有りそうね」

剣士「命の泉周辺は雪と氷が沢山あるんだよね?それ溶けたら何処に行く?」

情報屋「多くはエルフの森ね」

剣士「洪水で洗い流すんだよ!種子も毒も全部…オークシャーマンはもうドリアードと戦い始めてる」

情報屋「ちょっと待って…オークシャーマンが戦う動機が分からない…どうして遠方に居るオークシャーマンが?」

剣士「女オークが言うには予言に従ってるって…」

情報屋「何千年も予言に従ってるなんて余程の動機が無いと説明が付かないわ」

魔女「言われてみればそうじゃな…どんな予言なのか知りたいのぅ」



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865: 2021/11/20(土) 08:15:14.66 ID:KbfSVIxh0
魔女「…それで重ねて聞くがオークシャーマンはエレメンタル魔法は使わんのじゃな?」

女オーク「見た事無いわ…呪いや呪符による強化で直接魔法で戦う様な事は一度も見て居ない」

剣士「睡眠魔法は使っていたけどね」

魔女「そういう補助的な術だけなのじゃろうな…能動的な破壊術は使わんのじゃろう」

女オーク「どうしてその様な質問を?」

魔女「エレメンタル魔法を使うエルフとは全く別物じゃで不気味なのじゃよ…何をするか読めんでな」

剣士「何処に居るのかも分からないしね」

魔女「わらわがドリアードの立場じゃったら何処に反撃すれば良いかも分からんで困ると思うのぅ」

剣士「何か他に動きがあると想定してる?」

魔女「うむ…実はな?セントラルでちと動きがあるのじゃ」

剣士「え!?」

魔女「貴族主導で大規模なスプリガン狩りじゃ」

剣士「あまりおかしい事じゃ無いと思うな…シン・リーンでもスプリガン狩りは珍しくない」

魔女「誰が主導しておるかと言う事じゃ…貴族達に主導する程力を持った者は居らんかった筈なのじゃ」

商人「…その話気になるな…確かにまとまった財力持ってる人は居ない筈」

魔女「異常気象で混乱していても指導力を発揮する者が急に現れたのは…おかしいじゃろう?」

剣士「網を張られてる?」

商人「見に行って見たいな…僕の商船もセントラルに来てる筈なんだ」



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866: 2021/11/20(土) 08:16:11.75 ID:KbfSVIxh0
『船首』


ザブン ギシギシ


情報屋「陸地よ!!前方に陸地が見えたわ!!」

女戦士「ふむ…霧が薄くなって来たな」

情報屋「現在地分かる?」

女戦士「海図を確認する…アサシンは何処だ!?」

アサシン「ここだ…メインマストに上がっている」

女戦士「地形で現在地を判断出来そうか?」

アサシン「う~む…羅針盤は北を差しているのがどうにもおかしい…予定通りならセントラル付近の筈なのだが…」

情報屋「雪で陸地の地形が判別しにくいわ」

女戦士「まぁ良い…陸地沿いに西へ進路を変える…行き先はフィン・イッシュで良いな?」

アサシン「魔女はそう言って居たな」

女戦士「帆を60°で張り直して取り舵…スケルトンに命令するのだ」

アサシン「クックック…舵はお前がヤレ…私は見張りを続ける」

情報屋「でも陸地を見つけられて本当良かったわ…遭難しかねない」


タッタッタ


剣士「陸地見えたんだね?どの辺り?」

女戦士「海図と比較しているのだが…海流が逆を向いている」

情報屋「地軸が変わって海流まで変化して居るなら今までの海図は役に立たないかも知れないわ」

女戦士「うむ…私は海図を新しく描けるほど航海術には長けて居ない」

情報屋「盗賊が居れば…」

剣士「ねぇねぇ…おかしいよ?」

女戦士「うん?どうした?」

剣士「硫黄の匂いが風に乗ってる」

情報屋「どういう事?」

剣士「北の大陸の海付近には火山が無い筈」

女戦士「フィン・イッシュ付近は火山帯だ…どこぞの海賊が大砲を撃ったとも考えられるが」

剣士「いや違う…見えている陸地は南の大陸だよ…多分」

女戦士「な…んだと?」

情報屋「ちょ…もしかして」

剣士「これさ…海士島付近が南極点になってたとしたら羅針盤は何処に向かっても北を差すよね?」

情報屋「それね!!この霧も海がまだ暖かいから発生してる」

アサシン「クックック…では私達は行先の反対方向に進んで居たという事か」

剣士「太陽は!?」

アサシン「見ろ…霧の切れ目で明るい方向が分かるだろう」

剣士「…低い…今は朝なのか夕方なのか」

情報屋「時間も方角も分からない…これじゃ航海なんて出来ないわ」

女戦士「一度陸に上がろう…現在地が分からんのでは何処に行くにしても危険だ」

剣士「そうだね…停泊出来る所を探そう」

867: 2021/11/20(土) 08:17:19.66 ID:KbfSVIxh0
『海岸沿い』


ザブーン ユラー


女戦士「これ以上陸に寄るのは座礁の危険がある」

情報屋「十分よ…陸の方は霧が掛かって居なくて視界が開けてる」

剣士「間違いない!ここは南の大陸だよ」

女戦士「どの辺りか分かるか?」

剣士「今まで使ってた地図で言うとキ・カイから大分西にズレた所だと思う」

女戦士「このまま陸地を右手に見ながら進めばキ・カイに着く訳だな?」

剣士「この辺りは海流が強くて船でキ・カイまで行くには沖まで出る必要があるらしいよ」

女戦士「…という事は地床炉村の辺りという事か…遠いな」

剣士「知って居るの?」

女戦士「通常の航路からは除外されている海域だ…海流が複雑で難破しやすいのだ」

情報屋「この状況で沖まで出るのは危険ね…陸地を見失う」

女戦士「そうだな…霧が晴れるまでどこかで停泊した方が良い」

アサシン「小さな島が見えている…そこに船を隠して気球で行動するのはどうだ?」

女戦士「何処だ?」

アサシン「見ろ…正面少し左…岩場もありそうだ…隠すには丁度良い」

女戦士「海図には乗って居ないな…」

アサシン「通常の航路では無いのだろう?あんな小さな島を書き込む意味も無かろう」

女戦士「賊が隠れ家にして居なければ良いが」

アサシン「ほう?隠れ家にしそうな条件が揃って居ると?」

女戦士「危険な海域の孤島…元々この辺りは海賊の縄張りなのだ」

アサシン「あの馬鹿共を恐れて居るのか?」

女戦士「馬鹿にするな…だが航海術は私の上を行く者も居る」

剣士「もう直ぐ日が暮れそうだよ…一先ずあの島で様子を見ようよ」

情報屋「賛成!落ち着いて作戦を練り直した方が良いわ」

女戦士「…」ジロリ

アサシン「何をためらう?こちらには魔女も居るのだ…怖い者なぞ無い」

女戦士「ううむ…どうも勘が働く…気のせいなら良いが…」

868: 2021/11/20(土) 08:17:48.70 ID:KbfSVIxh0
『孤島』


ザザー ザザー


アサシン「スケルトン共!帆を畳んで碇を降ろせ」

剣士「暗くなる前に周りを少し見て来る…小舟降ろすよ」

女戦士「女オーク!お前も付いて行け」

女オーク「はい…」スタ

アサシン「…さて見た感じでは無人島の様だがまだ気になるか?」

女戦士「隠れるには丁度良い…それは海賊にも同じ条件だ」

アサシン「気にし過ぎだ…この霧ではまともに航海も出来ん」

女戦士「ふん!!」ジロリ

アサシン「魔女は居室に籠りっ放しなのか?」

情報屋「そうよ?危険な術を使って居るから居室には入るなと言っていたわ」

アサシン「ヤレヤレこちらの状況は意に介さずか」

女戦士「商人はどうしている?」

情報屋「何かの計算をしてるわ…地図を並べて居たから地軸の移動予測でもして居るのかと」

女戦士「そうか…水を補給しておきたかったのだ…雨が降らないから直に尽きる」

アサシン「それは明日私がやって置こう」

女戦士「孤島にそう簡単に水が有るとでも?」

アサシン「クックック…お前はしばらく見ないうちに冒険の勘が衰えたな?木材があれば海水から蒸留出来る」

女戦士「フン!では任せる」

アサシン「少し休んで居ろ…遭難しかけて気が張って居たのだろう?」

情報屋「そういえば女戦士はしばらく寝て居なかったみたいね」

女戦士「これくらいどうという事は無い」

情報屋「少し休んで?どの道夜が明けないと何も出来ないのだし」

女戦士「では横になって来る」スタ

869: 2021/11/20(土) 08:18:18.56 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』


ザザー ザザー


女戦士「剣士と商人は私と共に気球で出るぞ…用意しろ」

剣士「おっけ!」

女戦士「商人は地図を持って現在地の特定をやるんだ」

商人「ハハ…買い出しには行かないのかい?」

女戦士「地床炉村を見つけたなら買い出しも良いが通貨が使えるものかどうか」

剣士「僕行った事有るんだ…木材が良い取引になる」

商人「それなら剣士の出番だ…木を植えれば良い」

剣士「シーーーーーッ!!ダメダメ…魔女にバレたら怒られる…乱用はダメなんだ」

商人「なんだそうだったのか…分かった…物々交換用に少し物資持って行く」

女戦士「急げ!剣士は早く球皮を膨らませろ」

アサシン「私は水を調達してくる…孤島に木材は有りそうなんだな?」

剣士「うん!!浜辺に沢山燃やせそうな物が打ち上げられてる」

アサシン「女オーク!空の樽を小舟に乗せる…手伝え」

女オーク「はい…」

女戦士「水の確保は任せた…夕刻までには戻るつもりだが船は出来るだけ早めに狭間に隠してくれ」

アサシン「海水の蒸留にすこし時間が掛かってしまうが終わり次第狭間に入る」

情報屋「私と魔女は留守番ね?食事でも用意しておくわ」

剣士「気球飛べるよ!!乗って」

女戦士「では行って来る…アサシン!留守は頼んだ」

870: 2021/11/20(土) 08:18:49.43 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


女戦士「商人!地図と地形の比較はどうだ?」

商人「向こうに見える山が多分この山さ…今居る場所を特定するならもう少し地形を見たい」

女戦士「海岸沿いに飛ばせ…見失うな?」

剣士「分かってる…これ羅針盤の差す方向が東と西が反対だ…頭がこんがらがる」

商人「地図を逆さに見た方が良いね…全然違う地図に見える」

剣士「海側は霧が張ってて何も見えない…目印は遠くの山だけだ」

女戦士「…しかし不毛な地だ…木が無いとはな…」

剣士「低木は雪で隠れてしまっているね」

商人「川だ!!川が見える…だとすると此処ら辺りか?」ドタドタ

剣士「少し進路変えようか?」

商人「大丈夫!このまま海岸沿いに進んで…次の川を見つけたらほぼ位置が断定出来る」

剣士「太陽の位置と方角が合わない…南から太陽が昇る?」

商人「この機械の時計と太陽の位置を記録して欲しい…出来るね?」パサ

剣士「うん…時間は合ってるの?」

商人「合って無い…後で補正するんだ」

剣士「なるなる…緯度を割り出したいんだね?」

商人「太陽の位置がおかしいのは南極に近いからさ…今のままじゃ季節も分からない」

女戦士「ふむ…やはりこの内海が南極に位置したとするともう航海出来る海では無いな」

商人「そうなるね…外海に出ないといけない」

女戦士「目指すは流氷の行く先と言う事か…危険が過ぎるのだが」

商人「幸いフィン・イッシュへは外海から回り込める」

女戦士「内海を横断出来ないとなると相当な長旅になる…補給も宛てに出来んのでは…」

商人「兎に角現在地の確定と食料の確保を急ごう」


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871: 2021/11/20(土) 08:19:48.74 ID:KbfSVIxh0
『先日_洋上』


ザブ~ン ギシギシ


海賊の頭「だぁぁぁ!!補給はまだ来んのか!!」

手下「へ…へい!!そろそろ地床炉村の略奪が終わって戻って来る筈なんすが…」

海賊の頭「あの手漕ぎのガレー船の野郎共…略奪品を手前ぇで持ち逃げしたんじゃあるまいな…ぐぬぬ」

手下「この帆船じゃ海流に逆らえないもんで待機するしか…」

海賊の頭「豪族共は陸でヌクヌクして居やがるだろうに何故俺らだけ酒にも女にもありつけ無ぇんだ!!」ドガッ

手下「それは頭が豪族に上納しないからで…」

海賊の頭「おいお前!!サメの餌になりたい様だな」スラーン

手下「いやいやいや!そろはご勘弁を…おいらが居なくなったら航海に支障が出ますぜ?」

見張り「お~~い!!大型の船が見えるぞぉぉぉ!!」

海賊の頭「何ぃ!!船旗は確認出来るか?」

見張り「海賊旗は立って無ぇ!!船影からすると噂の幽霊船に似てまさぁ!!」

手下「ど…どうしますかね?」

海賊の頭「俺が見る!!」ドタドタ

手下「なんで又この海域に来るんすかね?噂じゃ海賊王の娘はキ・カイに潜伏してるとか」

海賊の頭「知るかボケ!!豪族共の話を真に受けてんじゃ無ぇ!!」

見張り「浅瀬に向かってまさぁ!!甲板で作業しているのは…うお!!スケルトン!?」

手下「うひゃぁ…噂通り…」

海賊の頭「望遠鏡をヨコセ!!」グイ

見張り「大砲を積んで居ない様ですわ」

海賊の頭「間違い無ぇ…あの船にゃ見覚えがある…ちぃぃ気球を積んでいやがる」

手下「噂に聞く彗星の奴っすか?」

海賊の頭「分からん…下手に手出し出来んな…お宝を目の前に動けんとは…ぐぬぬ」

見張り「この霧のお陰でこっちに気付いた様子は無ぇっす」

海賊の頭「さぁ~てどうしたもんか…おい手下!!例のアレ乗せて数人で小舟出せ」

手下「後を付けるんで?」

海賊の頭「手は出すな…チャンスを伺う」

手下「うひょぉ~やる気っすね?」

海賊の頭「あの船にゃ10年前の貴族のお宝がどっさり乗って居る筈なんだ…みすみす見逃すつもりは無ぇ」

見張り「海賊王の娘の懸賞金も破格でしたね?」

海賊の頭「だはは生け捕り出来りゃ豪族共を黙らす事ぐらい出来る」

手下「おいら達だけでやるんすか?」

海賊の頭「いや…手漕ぎ船の野郎共を捨て駒にするつもりだ…奴らの帰りを待って動く…それまでは偵察だ」

手下「分かりやした…例のアレを持って小舟で待機しとくっす」

海賊の頭「合図は大砲だ…着弾を見て動け」

872: 2021/11/20(土) 08:20:38.35 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』


ザブ~ン ユラー


見張り「ガレー船が帰って来やしたぜ?」

海賊の頭「遅せぇんだボケが!!略奪品の載せ替えと伝令を出せ!」

海賊共「へ~い!!」

海賊の頭「幽霊船は見失って居ないだろうな?」

見張り「奴ら霧が晴れた海岸線沿いににある島に向かっているみたいっす…霧の中のこの船に気付いた素振りは無いっすね」

海賊の頭「島だと?何か隠して居たのか?」

見張り「灯台の建築が止まったままの島っすよ」

海賊の頭「遠浅で船が寄れなかった孤島だな?しかし何故あんな孤島に…」

見張り「あの孤島なら霧の中からでも大砲の射程に入りますぜ?」

海賊の頭「ぐふふふ…気付かれない様に射程に入れろ…あの船を落とせばお宝はこっちの物だ」

海賊共「お頭ぁ…今晩やるんで?」

海賊の頭「相手は海賊王の娘だ…まずは様子を伺う」

海賊共「さすがお頭…相手の力量を知ってるんすね?」

海賊の頭「俺は奴らの戦い方を見たことがある…用心するのは気球から撃って来る爆弾と突然変わる天候だ」

見張り「天候が急に変わる?」

海賊の頭「そうだ…嵐に備えろ」

見張り「ガレー船の奴らを捨て駒にするって言うのは?」

海賊の頭「そりゃ簡単な話よ…特攻させて相手が上手なら俺らは逃げる…村の略奪品を持ってな!だはは」

海賊共「ガレー船の奴ら言う事聞きやすかね?」

海賊の頭「あいつ等は北方の海賊だ…女だけ与えておけば満足する阿呆ばかりだ」

見張り「なるほど…海賊王の娘と知ったら勝手に特攻すると…」

海賊の頭「負け戦には点で弱いが…大砲を当てて勝ちを演出すりゃしっかり働くだろうよ」

海賊共「うぉぉぉ!!頭ぁぁ一生付いて行きやすぜ!!」

海賊の頭「ぐっふっふっふ…ダーッハッハ!!兎に角今は略奪品の載せ替えを急げぇぇ!!」

海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ

873: 2021/11/20(土) 08:21:49.76 ID:KbfSVIxh0
『深夜』


シクシク メソメソ

頃しゃし無ぇからよ

大人しくしてりゃ良いんだ!

次は俺の番だ!勝手な事すんじゃ無ぇ!

俺はあいつらと違って優しいぜ?

そんな顔すんなよ…お楽しみはこれからじゃ無ぇか

シクシク メソメソ


海賊共「略奪品の積み替え終わりやした!!」

海賊の頭「シケた村だったがこれで当面の食料は確保出来た訳だ」

海賊共「手漕ぎの男奴隷を50人程と女奴隷の30人程はどう配分するんすか?」

海賊の頭「男奴隷は要らん!女を全員こっちの船に移せ」

海賊共「女はもう手を付けられてますが…」

海賊の頭「あの馬鹿共…奴隷は高く売れるという事を分かって居ないな」

海賊共「どうしやしょう?」

海賊の頭「何度言わせるんだ!連れて来い!傷物じゃ値が下がる」ドガァ

海賊共「ひぃぃぃ…」ドタドタ


『翌朝』


ザブン ザブン


見張り「頭ぁ!!幽霊船に動きがありやした…気球の球皮が膨らんでるっす」

海賊の頭「何ぃ!!動きが早い」

見張り「陸に近付けないもんで気球使って補給かと」

海賊の頭「ようし!!気球が居ないとなれば動きやすい…ガレー船に作戦開始の伝令を出せ」

海賊の頭「お前等ぁぁ!!働けぇぇ大砲をすべて幽霊船に向けるんだぁぁ!!」

海賊の頭「錆びついた砲弾は全部撃ち尽くすぞ!!」

海賊の頭「幽霊船に当てた奴には褒美を出す!!しっかり稼げぇ!!」

海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ

見張り「気球が動き出しやした…ゆっくり陸の方へ向かってるっす」

海賊の頭「1時間待て…1時間もすりゃ地床炉村の異常に気付いてこちらが疎かになる…グフフ俺にツキが回って来た」

海賊共「頭ぁ!!大砲は射程内ですがもう少し近づかないと中々当たりやせんぜ?」

海賊の頭「黙れ何とかして当てろぉ!!嵐に巻き込まれたらそれこそ何も出来んのだ」

見張り「嵐が来る空じゃ無いんすがねぇ…こんな寒い海で嵐が来るとはとても…」ボソ

海賊の頭「俺に意見しようってのか!?この船じゃ俺の言う事が絶対だ!!黙って見張りを続けろボケがぁ!!」


---俺はあの海賊王の娘率いる海賊団で何年も遠目に見て来たんだ---

---奴らの行動は常を逸している---

---これが成功すりゃ下剋上---

---失敗しても霧隠れ---

---こんなチャンスは滅多に無い…逃す物か---


見張り「ガレー船が動き始めやしたぜ?岩場を挟んで幽霊船の氏角から行くんすね?」

海賊の頭「グフフフ奴ら捨て駒とは知らず…すべては俺の予測通り」

874: 2021/11/20(土) 08:22:43.50 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


ザブン ザブン


見張り「ガレー船がそろそろ幽霊船の氏角から出ます」

海賊の頭「気球はもう何処に行ったか分からんな?」

見張り「地床炉村方面に向かったまま雲の中に消えたっす」

海賊の頭「ようし!!開戦だ!!お前等ぁぁ!!撃てぇ!!ガレー船には当てるなぁぁ!!」

海賊共「うおぉぉぉ!!」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「初弾角度浅い!!もう15度くらい上だ!!」

海賊共「15度…えっほ!えっほ!」ガラガラ

海賊の頭「砲弾急げ!!気付かれる前に撃ちまくれ!!」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「一発ヒットぉぉ!!今の角度を維持して少し右!!…ってあれ?目の錯覚か?当たって無い?」

海賊の頭「ちゃんと観測しろボケなす!!」

見張り「いや当たった筈なんすが…被害が無い…なんで?」

海賊の頭「どんどん撃て!」---ううむ…やはり常を逸しているか---


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「ガレー船横切るっす」

海賊の頭「構わん!撃てぇ!!とにかく一発当てろぉ!!」

見張り「ガレー船から火矢を撃ってるっす」

海賊の頭「ほう?奴らも頭を使うか…反撃は無いのか?」

見張り「良く見えないっす…未だ幽霊船は無傷」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「ヒットぉぉ!!アレ?…又被害無し…もしかして実体が無いのか?」

海賊の頭「空の方も良く監視しておけ!大砲は休みなく撃て!!」

海賊共「へ~い!!えっほえっほ」

見張り「ガレー船から小舟投下!乗り込む準備始めやした」

海賊の頭「さすが北方の海賊…だがここから相手が動くぞ?」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「よし!!2発ヒットぉぉ!!よしよし…幽霊船船体に穴が開いたぁ!!」

海賊の頭「撃て撃て~~い!!ガハハハハハ」

見張り「ガレー船の様子がおかしいっす…同士討ちを始めてるみたいっす」

海賊の頭「グフフやはりそうなるか…だがこちらが上手!大砲を休むな!!どんどん撃てぇ!!」

海賊共「うわぁぁぁ…竜巻が…ガレー船が巻き込まれる」

海賊の頭「構うな!!無視界でもそのまま大砲を撃ち続けろ」


ドーン ドーン ドーン ドーン

875: 2021/11/20(土) 08:23:29.03 ID:KbfSVIxh0
見張り「幽霊船!甲板部大破!帆の炎上を確認…あ!!」チュドーン

海賊の頭「何事か!?」

見張り「ガレー船が爆発…何を撃ったんだ」ガクガク

海賊の頭「ええい!爆炎で何も見えん…上から降って来たのか?」

見張り「いえ…幽霊船から何か射出してるっす…これじゃ近づけない」

海賊の頭「例の奴は何をしているのだ…見えんか!?」

見張り「キラーマシンっすね?見当たら無ぇっす…アレ?船尾の方に人影…誰か乗り込んでる」

海賊の頭「よしよし上手く乗り込んだ様だ…大砲を休むな!!竜巻が収まり次第少し寄せる…碇を上げろ!」

海賊共「この船も現場に行くんで?」

海賊の頭「キラーマシンが直に制圧するだろう…ガレー船が撃沈された今この船で行くしかあるまいグフフフ」


ドーン ドーン ドーン ドーン

876: 2021/11/20(土) 08:24:59.00 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


商人「あの煙はやっぱり地床炉村だよ…地図の位置と一致する」

剣士「どうする?降りる?」

女戦士「高度下げろ…上から様子を伺う」

剣士「おけおけ!」グイ バサバサ

商人「家屋の延焼範囲がおかしいな…略奪に有った後じゃないかな」

女戦士「分かって居る…まだ生き残りが居るやも知れん」

剣士「酷いな…オーガに襲われたのかな…」

女戦士「オーガは火を使わん…こんな事をするのは海賊共に決まって居る」

剣士「この村にはハーフオークも居た筈…そんな簡単に略奪されるなんて…」

女戦士「持って居る武器が違う…民兵如きが敵う訳が無い」


”女戦士…聞こえるかえ?”


女戦士「貝殻…何か有ったのか?」


”緊急事態じゃ…海賊から奇襲を受けて居る”

”わらわ一人では押さえ切れぬ故…今すぐに戻って来るのじゃ”


女戦士「なんだと…」ボーゼン


”海賊は巧妙にも霧の中からこちらを捉えて居る様じゃ…数が掴めぬ”


剣士「マズいな…ここからだと1時間くらい掛かる」

女戦士「兎に角引き返せ…魔女…1時間持たせられそうか?」


”早うせい!!わらわの魔力は無限では無いぞよ?」


剣士「くぅ…」ギリリ


”魔女!!通話は私がやるから迎撃を”

”脱出の準備をしておくのじゃ…大砲で狙われては凌ぐのに限界がある”

”分かったわ…女オーク!!来て!!ドーン ガラガラ”

”何度もしつこいのう…量子転移!”

”ザザーーーザザザ”


剣士「量子転移を使って居るのか…マズいよ…時空がズレる」

女戦士「無駄口はもう良い…急いで戻れ」

剣士「しまったぁぁ!!アダマンタイトを船に置いて来てる…狭間に入れない」



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877: 2021/11/20(土) 08:26:24.15 ID:KbfSVIxh0
女戦士「竜巻が2つ…その下に海賊船…ガレー級だな」

剣士「霧の中にも数隻居そうだ…砲弾が霧の中から飛んでる」

女戦士「商人!貝殻での通話は出来ないか?」

商人「応答しないよ…」

女戦士「それどころじゃないという事か…上手く凌いでくれて居れば良いが」

剣士「あああああ!!ダメだ!!そこはダメだよ…早く逃げて」

女戦士「千里眼だな?厳しそうか?」

剣士「砲弾の直撃を受けた…情報屋の眼はもう見えない…女オークも」

女戦士「魔女の眼はどうだ?」

剣士「魔女は視線を動かさないから情報量が少ないんだ…千里眼!」

女戦士「アサシンはどうした!」

剣士「今見てる…なんで水中に居るんだ?船から落ちたのか?みんなバラバラじゃないか…」

商人「霧の中にもう一隻海賊船が少し見える…大きい」

女戦士「ガレオン級…あれはセントラルの軍船を拿捕した物だ…一級装備を艦載している」

商人「あんな大きな船を見落としてたと言う事かい?」

女戦士「しまったな…可能性は考えて居たのだが今の海賊がそれ程動けるとは思って居なかった…乗って居るのは誰なのか」

剣士「やっとアサシンさんが船に戻った…酷い壊され様だ」

女戦士「戦況は?」

剣士「まだ乗り込まれて居ないけど大砲の的になってる…あぁぁ情報屋さんが折れたマストの下敷きになってる」

女戦士「このままいけば後20分で援護出来そうだ…商人!クロスボウの準備をしておけ」

商人「分かったよ」

女戦士「狙いはあのガレオン船だ…剣士!お前は例の爆弾を持って居るか?」

剣士「まだ作って無いよ…こんな事になるなんて思って無かった」

女戦士「お前は幻術が得意だったな?射程に入ったらガレオン船の海賊共を眠らせられるか?」

剣士「触媒を持って来ていない…」

女戦士「ええい!!何が出来る!?」

剣士「船を沈めて良いなら海虫を使役して船を腐らせられる」

女戦士「よし!それで良い…兎に角大砲を撃たせるな」

剣士「高度下げる…海虫の使役なら今できる」

女戦士「ヤレ!!」


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878: 2021/11/20(土) 08:27:58.82 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


ダダダッ


アサシン「魔女!!無事だな?」

魔女「戻るのが遅いわたわけ!船に爆弾は乗って居ないのかえ?」

アサシン「有る」

魔女「爆弾であの海賊船を破壊するのじゃ…わらわは治癒に回る故迎撃は主がヤレ」

アサシン「情報屋はまだ助かりそうだ…女オークは何処だ?」

魔女「分からぬ…砲弾の直撃を受けて居るで無事という事は無いじゃろう」ノソノソ

アサシン「迎撃は任せろ…処置がすんだら援護頼む」ダダダ

魔女「失血が酷いのぅ…急所を痛めたんか…回復魔法!」ボワー

情報屋「…」グター

アサシン「そのマストをどうにかしないと圧迫氏するぞ」

魔女「分かって居る…主は迎撃に専念せい…量子転移!」シュン


メリメリメリ ズドーン


魔女「さて女オークは何処に行ったかいな?」ノソノソ

情報屋「ぅぅぅ…」ピク

魔女「これ動くで無い…ちと安静にして居れ」

情報屋「ど…どうなったの?」

魔女「何とか凌いでおるがもう魔力が枯渇しておる…脱出するぞよ」

アサシン「2人とも伏せろ…あの船を沈める」


シュンシュンシュン ストストスト


情報屋「火矢…」

アサシン「消火してる暇は無い様だ…撃つぞ」チリチリ バシュン!!


ピカーーーーチュドーン!! ザバーーーー


アサシン「クックック…ありえない威力だな…この爆弾は」

魔女「これでこの浜辺に近寄り難くなったじゃろう…今の内に小舟で脱出じゃ」

アサシン「船を捨てるつもりか?」

魔女「仕方あるまい…大砲の的になっておる」ノソノソ


ドコーン!! ドコーン!! パラパラ

879: 2021/11/20(土) 08:29:30.80 ID:KbfSVIxh0
アサシン「…その様だ…情報屋!背負ってやる」

情報屋「女…オークを助けてあげて…多分荷室の方に落ちて行ったから」

魔女「わらわが行くで小舟で待って居れ…」ノソノソ


バシュン! グサリ


魔女「はぅぅぅ…」ガク

アサシン「何ぃ!!船尾から誰か乗り込んで…」

情報屋「キ…キラーマシン…どうして」


キラーマシン「…」ウィーンガチャ


アサシン「ええい!アレは厄介だ…」スラーン チャキリ

魔女「アサシン何とかせい…わらわでは勝てぬ」

アサシン「こいつの弱点は何処だ?関節か?」

魔女「電撃じゃが触媒を用意して居らぬ…10分耐えるのじゃ…魔石と触媒を探して来る」ノソ

アサシン「情報屋…マストの陰に隠れて居るのだ」ドサリ

情報屋「はぁはぁ…」ズリズリ

アサシン「さぁて…一体か」---突き落とすのが一番なんだが…どうする?---

キラーマシン「…」ウィーン バシュン バシュン

アサシン「早い…」ヒラリ ダダ


カーン カーン キーン


キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン

アサシン「流石に機械相手では不利か…バックスタブ!」ジャキン

キラーマシン「プシュー」ブン! ザクリ

アサシン「う…深いな」ヨロ

キラーマシン「ウィーーーン」バシュン バシュン

アサシン「効いて居ないか…」ヒラリ ピョン

キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン

アサシン「スケルトン共ぉ!!来い…こいつを海に突き落とせ」

スケルトン「カタカタカタ…」ドタドタ

キラーマシン「…」ブン ブン

スケルトン「カタカタカタ…」バラバラ ドサリ

アサシン「スケルトンでは力不足か…あの海に浮いている海賊の氏体は使えるか?…動け不氏者共!!我に従え!!」


バシャ バシャ


アサシン「ちぃぃ…従う数が少ない…」

880: 2021/11/20(土) 08:30:31.82 ID:KbfSVIxh0
ドコーン ドコーン パラパラ


アサシン「ナムサン…向こうからは構わず大砲を撃って来るか」タジ

キラーマシン「…」ウィーンガシャ ウィーンガシャ

アサシン「不氏者の使役も宛てに出来ん…どうする?魔女!!まだか?キラーマシンは相性が悪い」

情報屋「お…女オーク?無事だったのね?」

女オーク「ヴヴヴヴヴ…グルルル」

情報屋「え!?まさか…」

アサシン「しまった…女オークが居る事を忘れていた…」

女オーク「ガァァァァ…」ズルズル ズルズル

アサシン「頭部が半分欠損…即氏か」

情報屋「最悪…」

アサシン「魔女はどうした!?返事をするのだ!!」

情報屋「ダメ…魔女も倒れてる」

アサシン「不氏者共ぉ!!キラーマシンを海に突き落とせ!!」

女オーク「ヴヴヴヴヴ!ガァァァァ」ズドドド

情報屋「アサシン!なんて非道を…」

アサシン「黙れ!小舟に落とすぞ?受け身はなんとかしろ」グイ ポイ

情報屋「あぁぁぁぁぁ…」ドサ

アサシン「魔女!!」シュタ

魔女「…」グター

アサシン「失血で気を失ったのか…仕方無いここは一旦引く」グイ ダダダ



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881: 2021/11/20(土) 08:32:03.91 ID:KbfSVIxh0
『小舟』


ジャブジャブ


情報屋「女オークがキラーマシンと素手で戦ってる…素手で勝てる訳…無いのに」ポロポロ

アサシン「見るな…もう女オークは居ない」

情報屋「最悪の展開よ…あぁ!!腕が切り落とされた…」プルプル

アサシン「見るなと言っている…それより魔女の失血が酷い…応急処置をしろ」

情報屋「…」ゴソゴソ

アサシン「急所にボルトが刺さって居る様だが…心臓の位置を変えているのだな…」

情報屋「こんな体の真ん中の傷をどうやって止血するのよ…」

アサシン「私のエリクサーを使え…兎に角出血が収まれば良い」

情報屋「早く気球戻って来て…お願い」プルプル

アサシン「まだ気を抜くな…生きている海賊共が島に上陸しようとしている」


ドーン ドーン ドカーン


情報屋「大砲がキラーマシンに直撃…女オークも何処かに飛んだ」

アサシン「もう良い…浜辺に着いたら岩場まで走れ…行けるか?」

情報屋「無理ヨ…足が折れているわ」

アサシン「這ってでも行くんだ…浜辺で囲まれては戦いにならん」

情報屋「最悪の最悪…急にこんな事になってしまって」

アサシン「私達が平和ボケしていたツケだ…女戦士の勘は正しかったのだ」

情報屋「船はまた買えば良いけど…女オークはもう帰って来ない」

アサシン「まだ言うのか?済んだ事はもう考えるな…これぐらいの氏戦は経験して来ただろう」

情報屋「あ!!見て…霧の向こうから大型の海賊船…」

アサシン「あれが本隊か…中々にやる物だ」


ザワザワザワ ドロロ


アサシン「むむ!!海の下で何か動いている」

情報屋「大砲が止んだ…なにか様子がおかしい」

アサシン「あの海賊船は傾いて居る様に見える…どうした?気球が間に合ったのか?」

情報屋「空にはまだ見えない」

アサシン「あれに掴まる前に身を隠すぞ…船を降りろ…肩を貸す」グイ

情報屋「痛い!!…」

アサシン「ちと辛抱しろ…行くぞ」ジャブジャブ

情報屋「ひぃひぃ…」ヨタヨタ


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882: 2021/11/20(土) 08:33:37.56 ID:KbfSVIxh0
『岩場』


アサシン「この岩陰に身を隠すんだ…むん!!」ドサリ

情報屋「はぁはぁ…もう動けない…おえっ」ゲロゲロ

アサシン「島に上陸した海賊は同士討ちを始めている…どうなって居るのか」

情報屋「きっと魔女の幻術よ…お陰で助かってるわね」

アサシン「あの海賊船も一向にあの位置から動かんな」

情報屋「もうあんなに傾いてる」

アサシン「船底に穴でも開いたか?」

情報屋「望遠鏡は持って居ないの?」

アサシン「持ってくる機転が利かなかった…持ち物は装備一式だけだ」

情報屋「そういえば思い出した事があるわ…」

アサシン「大事な事か?」

情報屋「あなたも聞いて居た筈…10年前の光る夜の時にまだ子供だった未来君が言った言葉」

アサシン「クックックそんな昔話を覚えている訳が無かろう」

情報屋「乗ってた船が壊される夢を見たって…あの時私がなだめたのよ」

アサシン「あぁ…予言の話か…悪い夢でも見たのだろうと思って居たが」

情報屋「他にも沢山意味の分からない事を言っていたわ…ずっと忘れてた」

アサシン「今の状況には適さない話だ…今は生き抜く事を考えろ」

情報屋「あの時の話と附合点が多いからちょっと気になってね」

アサシン「しかし魔女が目を覚まさん事にはどうにも動けんな」

情報屋「気球を待つしか無い様ね」

アサシン「2人はここで隠れて居ろ…私は周囲を警戒する」スック

情報屋「待って!私はもう動けない…一緒に居てくれないとダメよ」

アサシン「そうも言って居られん…キラーマシンを送り込んだ海賊が潜んで居るかも知れんのだ」

情報屋「え!?」

アサシン「キラーマシンが単騎で乗り込む訳が無かろう…何処かに潜んで居る筈だ」

情報屋「海賊の狙いは幽霊船でしょう?逃げた私達を追って来ると?」

アサシン「海賊王の娘にどれだけの懸賞金が掛かっているか知らないのか?」

情報屋「…そうだったわね」

アサシン「ローグの奴も随分高値の懸賞金を掛けた物だ…まったく」

情報屋「あ!!見て…私達の気球よ…海側から来る」

アサシン「おぉ…間に合ったか…奴らが海賊船を止めたんだな?」

情報屋「きっとそうね」

アサシン「私達が逃れて居るのは千里眼で見えて居る筈だ…隠れて待とう」



--------------

883: 2021/11/20(土) 08:34:45.39 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ ドッスン


女戦士「よし!無事だな?早く気球に乗れ」

アサシン「助かった…私も深手を負って体が動かしにくかったのだ」

女戦士「被害甚大だ」

情報屋「剣士は?」

女戦士「勝手に気球から降りて船に居る…」

情報屋「女オークがやられて…」

女戦士「知って居る…剣士はそれきり一言も話をしない」

アサシン「迂闊だった…済まない」

女戦士「済んだ事だ…何も言うまい」

情報屋「これからどうするの?」

女戦士「あの大型の海賊船はもう航海能力が無い…あと数時間で海へ沈む」

アサシン「まさか救助するつもりじゃあるまいな?」

女戦士「恐らく地床炉村の人々が奴隷にされている…捨て置けまい」

アサシン「こっちには動かせる船も無いのだぞ?」

女戦士「気球が有るでは無いか…一先ず救助を優先してこの島でキャンプを張る」

アサシン「…これは休めんな」

女戦士「不氏者が休むなぞたわけた事を言うな…キャンプ構築はお前が使うゾンビにやらせろ」

情報屋「私達の船はもう安全?」

女戦士「剣士が守って居る限り安全な筈だ…既に魔女を超える力を持って居る様だ」

アサシン「大型の海賊船は剣士が沈めた?」

女戦士「それ以外に考えられるか?」

アサシン「それもそうだ…」

女戦士「海賊共はなぜ沈没したのか分かって居ないだろうから次の手を打ってくる事も考えられる…急いで再構築だ」

商人「気球を飛ばすよ…早く乗って」



フワフワ フワフワ

884: 2021/11/20(土) 08:35:50.79 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


フワフワ ドッスン


女戦士「商人!積み荷の確認をして来い…エリクサーの樽が無事なら持ってくるんだ」

商人「おけ分かった…」タッタッタ

アサシン「私は警戒で良いか?まだ近くに海賊が居るかもしれん」

女戦士「見つけ次第頃して使役しろ」

情報屋「大型の海賊船の船首が持ち上がり始めたわ」

女戦士「直に船体が2つに割れて沈没する…小舟に乗った海賊共で溢れるから…それまでに迎撃準備を整える」

情報屋「霧の向こう側に他の海賊船が控えて居ないかしら」

女戦士「居るかもしれんがこちらに近付けばあの海賊船の二の舞だ」

情報屋「そういう事ね…剣士は何処へ?」

女戦士「さぁ?そっとしておいてくれ…海虫の使役で十分仕事はこなしているのだから」

情報屋「海虫…海の中の虫を使役して海賊船を沈没させたのね」

女戦士「海を支配して居ると言っても過言では無いかもしれん」

情報屋「ちょっと剣士を探して来る」

女戦士「…」ジロリ

情報屋「そっとしておくから心配しないで」


885: 2021/11/20(土) 08:36:36.01 ID:KbfSVIxh0
『壊れた居室』


ヴヴヴヴ ドサリ ピチャ


剣士「動いたらダメだよ…方陣の中から出ないで」

女オーク「ガァァァ…」ズルズル

剣士「今楽にしてあげるから…もう少し抱っこさせて」グイ

女オーク「ヴヴヴヴ…」ピクピク

剣士「君の魂は今何処にあるかな?浄化が済んだら僕に掴まってね…」

女オーク「グルルルル…」ノソ

剣士「ダメだって方陣から出たら…」ゴソゴソ


ガチャリ ギーーー


情報屋「…ぁ」---バラバラの体を集めて居るのね---

剣士「情報屋さんかぁ…見て居たんだ君の眼を」

情報屋「そう…助けられなくてゴメン」

剣士「体は大丈夫?」

情報屋「私はもう平気よ…少し足が痛むだけ」

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ

情報屋「ぁ…」ゾワワ

剣士「僕は心配いらないから部屋を出て行ってもらって良いかな?」

情報屋「私も女オークがこんな風になってしまって悲しいわ」

剣士「ゴメン…早く術を唱えてあげたいんだ…出て行って」

情報屋「…」スタ


ガチャリ ギーーー

886: 2021/11/20(土) 08:37:44.48 ID:KbfSVIxh0
剣士「なんでかなぁ?涙が出ない…ただ心が寂しい」

女オーク「ヴヴヴヴ…」ズルズル

剣士「行くよ?しっかり掴まって…浄化魔法!」シュワーーー

女オーク「アガ…」サラサラサラ

剣士「おいで!僕の所へ…」

灰「…」サラサラサラ

剣士「…」

剣士「……」

剣士「楽になったかい?君は何処に行ったんだい?」

灰「…」

剣士「さぁて…僕の仕事は終わった」


---こんなに仲良くなれる人は多分一生現れないと思う---

---なぜなら僕はもう子供の頃に戻れないから---

---あの時を一緒に過ごせたからこんなに仲良くなれたんだ---

---僕はもう失いたくない---


剣士「今から君を救いに行くよ」


---量子転移は使うてはイカン---


剣士「魔女は何回も使っていたじゃないか…僕にだって出来るさ」


---次元の狭間に迷うぞよ?---


剣士「うるさいなぁ…僕の記憶に魔女の言葉が焼き付いてる」

剣士「危険なのは知ってるさ…でも僕は失いたく無いんだよ」

剣士「こんなに仲良くなれる人はもう一生現れない…だから僕は行く」

剣士「魔女に見つかる前に早く行かないと…今行くよ!!」


剣士「あの時のあの時間!!次元は僕の物だ!!量子転移!!」シュン


ガチャリ ドタドタ


情報屋「剣士!?剣士!!?」


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887: 2021/11/20(土) 08:38:15.44 ID:KbfSVIxh0
『光の中』


あれ?…

次元が僕の物にならない

手も…足も無い

ここは何処だ?

僕の意識だけか?

女オーク?何処にいる?

お~い!!誰か居ないのかい?

もう一回…あの時のあの時間!来い!!量子転移!!







マズいなぁ…さてはここは次元の狭間だな?

次元からバンされたのか

せめて君が居たらここでも良いのに…

誰か返事してよ

おーい!!

仕方ないなぁ…ここに居てもしょうがないし歩いてみるかぁ…


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888: 2021/11/20(土) 08:38:44.59 ID:KbfSVIxh0
『次元の狭間』


何処まで行っても果てが無い…

どのくらいの時間が過ぎたのか分からなくなった

僕は只君を失いたく無かっただけなのに

全てを失った様だ

有るのは僕の記憶だけ

確かに覚えてる

只そこにどうやっても行く事が出来ない

はぁぁぁ疲れたな…眠りたい

心の穴も開いたままで辛い

君の無惨な姿の記憶を消してしまいたい

どうやったら消せる?

楽しかった記憶を思い返しても結局最後に君を失う

悲しい…

パパ…助けて


---自分の次元を強く持つんだ---


分かってるよ…でもどうしても記憶にたどり着けない

やり残した事が沢山合ったんだ

そうさ…僕がやらなきゃいけない事を放り出して

この次元の狭間に来てしまった

僕は何処に行けば良いの?


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---------------

889: 2021/11/20(土) 08:39:17.96 ID:KbfSVIxh0
『記憶』


僕「あれ?…ここは…」

僕「パパ?…ここどこ?」

僕「魔女?…何処に居るの?」

僕「あれ?記憶が…」

僕「僕何してたんだっけ…」

僕「誰も居ないの?」


---こっち---


僕「誰?」


---目を覚まして---


僕「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


僕「僕?」


-------------

-------------

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そうだった…僕は何度もこの次元の狭間に迷い込んだ

自我を取り戻すのは記憶の向こう側の僕なんだ

どうすれば思い出させられるんだろう…

記憶の向こう側の僕が思い出さないと意味が無いんだ

僕は僕の次元を放棄して良いのだろうか…

眠りたい…

890: 2021/11/20(土) 08:39:56.82 ID:KbfSVIxh0
『瞑想』



そこに居るのは誰?


”重なって”


見つけた!君は誰?


”僕だよ”


助けて欲しいんだ…ここから出たい


”分かって居るさ…君は僕だろう?”


良かった…僕が迎えに来た


”これで何度目だったかな”


何度目?


”そうかまた忘れてしまったんだ”


覚えて居ない…記憶に無いよ


”今度こそ次元を強く持つんだよ…さぁ”


どうしたら良い?


”重なって…声のする方へ”

891: 2021/11/20(土) 08:40:46.65 ID:KbfSVIxh0
『声』


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??「どうしたの?泣いているのね?」

??「外が騒がしい様じゃ…ちぃと離れるぞよ」

??「これ読ませておいて良いの?」

??「危険は無さそうじゃから良いのでは無いかのぅ」

??「文字が読めない筈なのに内容が分かるのかしら」

??「さぁのぅ…では頼んだぞよ」


僕「ぅぅぅ…僕は…僕は…何処から来たんだ?」

??「どんな物語だったの?」

僕「うわぁぁぁ…頭に記憶が流れて来る」ブルブル

??「ほら落ち着いて…こっちにいらっしゃい」

僕「僕は誰だ!?」


---見つけた---

---あの時の僕に次元を託す---


僕「うわぁぁぁぁ!!嫌だ!!氏んじゃダメだ」バタバタ

??「コラコラ暴れない…皆の迷惑でしょう?」

僕「はぁはぁ…」

??「何を見たのかお話出来る?」

僕「未来の記憶を見た…まだはっきり覚えてる」

??「よしよし…私が聞いて進ぜよう」

僕「ここは何処?今はどの時点?」

??「混乱していそうね…まずゆっくりスープでも飲みましょう…ずっと食事していないでしょう?」

僕「ダメだよ僕にそんな余裕は無い…記憶が在るうちにやれる事を…」

??「ダメよ飲みなさい」グイ

僕「う…うむむ」ズズー ゴクリ

892: 2021/11/20(土) 08:41:50.51 ID:KbfSVIxh0
『あの時の記憶』


ザワザワ ガヤガヤ


情報屋「どう?落ち着いた?」

子供「僕は大丈夫だよ…それよりここはシャ・バクダ遺跡の地下だね?」

情報屋「落ち着いて居ないじゃない…そうここは遺跡の地下よ…皆ここに避難しているの」

子供「そうか思い出したぞ…僕は冒険の書で未来を見たんだった」

情報屋「う~ん…やっぱり混乱している様ね」

子供「どうして今まで忘れて居たんだ?」

情報屋「冒険の書で何を見たのか教えて貰える?」

子供「話すと長いよ…そして複雑なんだ」

情報屋「これもこの冒険の書の調査の一つなのよ…長くても良いからお話してみて?」


これから10年分の僕が経験する記憶のすべてが頭に流れ込んで来た

僕は破壊された僕達の船の中で取り返しの付かない事をしてしまった

そうだ…その直前に情報屋さんとも会って居るんだ


情報屋「え!?10年後の私に会ってる?」

子供「そうだよ最後に情報屋さんの声が聞こえた」

情報屋「へぇ?それは興味心身…もっと詳しく聞かせて?」

子供「何処から話そう…そうだこの10年間で何が起こるか先に話すよ」

情報屋「ふむふむ…あなたが見たのは予言という事ね?…少し待って?メモを取るから」ゴソゴソ

子供「僕はこの後魔女に引き取られる…それから」


カクカク シカジカ

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893: 2021/11/20(土) 08:43:37.97 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


情報屋「ふむふむ…それで次元の狭間という所に幽閉されたという事ね」メモメモ

子供「僕は確信した事がある…この世界は記憶で構成されている…それが多分夢幻なんだ」

情報屋「それは魔女とお話した方が良さそうね」

子供「話したら頭が整理出来たよ」

情報屋「信じられない話ばかりだけど良く出来たお話だわ」

子供「事実だよ」

情報屋「それから未来君の口調も子供とは思えない」

子供「だから事実なんだ…信じられない?」

情報屋「何か裏付けられる事は出来る?」

子供「魔法が使える」

情報屋「それは今まででも使えていたでしょう?」


ノソノソ


魔女「これ未来…情報屋を困らせて居る訳では無いじゃろうな?」ノソノソ

情報屋「あ!!魔女…未来君は冒険の書で予言を見たと言って居るの…このメモを見て?向こう10年間で起こる事を話してくれた」

魔女「ほう?未来を見たとな?どれどれ」

子供「本当の事なんだ…僕は未来に戻って過ちを正したい」

魔女「随分細かい予言なのじゃな…」ヨミヨミ

情報屋「魔女はどう思う?」

魔女「これ未来…主は未来を見たのか?それとも未来から来たのかえ?」

子供「未来で量子転移を使った…次元の狭間に迷って声のする方に来たら僕は冒険の書を読んで居た」

魔女「10年も戻ったという訳じゃな?」

子供「多分そうなる…魔女これを見て!線虫!」ニョロ ポトン

魔女「むむ…」

子供「アレ?どうして成長しない?」

894: 2021/11/20(土) 08:44:41.86 ID:KbfSVIxh0
魔女「その術は何処で覚えたのじゃ?剣士に教わったんか?」

子供「もっと上手に使える筈なんだ」

魔女「幻術の印と訳書をこのメモ書きに記してみよ」パサ

子供「そんなの簡単さ…えーとアレ?文字を思い出せない」

魔女「ふむ…そういう事じゃ…主は未来から来たのでは無い様じゃのう」

子供「…どうして…記憶はハッキリしている」

魔女「主の次元はここに在る…恐らく冒険の書に記された別の次元を見たのじゃろう」

子供「夢だと言ってる?」

魔女「早い話がそうじゃ…じゃがな?蟲使いの素質は認める…良い幻術使いになろうて」

子供「ちょっと待って!僕は元の次元で過ちを正したい」

魔女「こう言えば分かるかの?10年経てば元にも戻るやも知れんな」

子供「そんな…」

魔女「それから言うて置く…その記憶は時が経てば直に無うなる筈じゃ…大事な事は今の内に何かに記せ」

子供「くっ!!僕は僕の次元を守る」

魔女「主は一人じゃぞ?わらわ達皆の次元に調和されるのは時間の問題じゃ」

子供「もう良い!!魔女とは話さない」プン

魔女「精々寝ん事じゃな…それから次元の成り立ちを理解したのは評価してやる」

子供「!!?」


---魔女は僕が未来から来たことを否定していない---

---変えようの無い理に従えと言って居るんだ---

895: 2021/11/20(土) 08:45:52.57 ID:KbfSVIxh0
『勇者の像』


ガヤガヤ ガヤガヤ


気球が無いとどうにも効率悪いでやんす

ソリでも作ってシカに引かせろ

オアシス砦までの往復なら行けるんすが

向こうに避難民は集まって居るのか?

へい…近隣の村から避難して来てるっすね

食料の移送をなんとかせんと餓氏者が出やすぜ?


ガヤガヤ ガヤガヤ


子供「…」ジーーーー

ローグ「未来君は横にならんで良いんすか?」

子供「…」ギロリ

ローグ「おろろ?どうしたんすか怖い顔をして」

子供「ローグさんは味方?」

ローグ「何を言ってるんすか…ずーっと味方でやんすよ」

子供「ビッグママは何処?」

ローグ「頭は外で避難民保護隊を組んで走り回っているっす」

子供「僕に話しかけてくれるのは情報屋さんとローグさんだけだよ」

ローグ「済まんでやんす…皆忙しいもんで…寂しい思いしてるんすね」

子供「僕はいつまで此処に隠れて居るの?」

ローグ「そうっすねぇ…シン・リーンかフィン・イッシュから気球が来れば安全な場所に移動できるかもっすね」

子供「安全な所でヌクヌクするつもりは無いよ」

ローグ「一緒に働きたいでやんすか?」

子供「少し違う…僕がやらなきゃいけない事をやりたい」

ローグ「今はちーっと辛抱っす…食料も後3日で尽きるもんすから力を蓄えて置いて下せぇ」

子供「そうだ…小麦の種が少し欲しい」

ローグ「何に使うでやんすか?」

子供「育てる」

ローグ「外は雪が積もって居るでやんすよ?」

子供「良いんだ…育てて見るから少し持って来て」

ローグ「分かりやした…ちっと待ってて下せえ」


---成長魔法は魔力があれば使える筈---

---回復魔法より簡単さ---

896: 2021/11/20(土) 08:46:47.47 ID:KbfSVIxh0
『遺跡下層_隠し通路』


ピチョン ピチョン


情報屋「…やっぱりこの台座は木の根と癒着してる…どういう仕組みなの?」ゴソゴソ

子供「居た!!」

情報屋「あら?未来君?ダメじゃないここは立ち入り禁止にしているのよ?」

子供「情報屋さんは立ち入ってるじゃない」

情報屋「私は遺跡の調査よ…ここはいつ崩れるか分からないから危険よ?」

子供「大丈夫…10年後もこの場所は健在だよ」

情報屋「フフ調査の邪魔はしない様にね」

子供「この石造…ホム姉ちゃんだよね」

情報屋「信じられないでしょう?未来君の仲良しだった人が石造になるなんて」

子供「頭は何処に行ったの?」

情報屋「行方不明…」

子供「良く探したの?」

情報屋「瓦礫に埋もれているだろうから探すのに人出が必要なのよ…もう瓦礫か石造の一部かの判別も難しいと思うわ」

子供「ホム姉ちゃんの頭の中にある金属片の事だよ」

情報屋「あぁ…超高度AIユニットという奴ね…商人が必氏に探していたけど見つからなかった」

子供「商人さんは見かけないけど何処へ?」

情報屋「何日か前に商隊に混ざってセントラルへ向かったわ…心臓が悪いと言うのに無理してね」

子供「大丈夫さ…10年後も商人さんは生きている」

情報屋「フフそうだったわね」

子供「情報屋さんは僕の言った事信じてる?」

情報屋「勿論信じて居るわよ?」

子供「そう…なら良い」---君も記憶が徐々に無くなって行くんだよ---

情報屋「もう夜の筈よ?寝ていらっしゃい?」

子供「眠れないんだ…ねぇここの台座に記されている文字読める?」

情報屋「文字?あぁぁコレね…古代文字でアーカイブって書いて居るのよ」

子供「どういう意味?」

情報屋「それを解き明かす為に調査しているの…触って壊さない様に」

子供「何の金属で出来ているんだろう」コンコン

情報屋「ああああああ!!ダメダメ!!古い物は崩れやすいから触っちゃダメ」

子供「10年後もこのままだよ」

情報屋「又それか…そうそう10年後を知って居るならこの遺跡の謎も知って居たりしないの?」

子供「他にも沢山秘密の部屋を発見したって言ってた」

情報屋「他には?」

子供「うーん…この遺跡の話はあまり聞いて居ないんだよ…というか僕に興味が無かった」

情報屋「フフ何でも知って居る訳では無い様ね」

897: 2021/11/20(土) 08:47:30.70 ID:KbfSVIxh0
子供「僕が知ってる事以外知らないよ…あれ?おかしな事言ってるな」

情報屋「でも不思議…この間までの未来君とは別人とお話しているみたい」

子供「僕は僕だよ…ちょっと僕もホム姉ちゃんの頭の中を探して見ようかな」

情報屋「怪我しない程度になら良いわ」

子供「ワームを使役出来るかな?…試してみよう」

情報屋「虫を使う気?さすが女海賊の子ね」

子供「ママも不思議と蟲を使役してたよね…出でよワーム!我に従え…この部屋にある金属を探せ…」

情報屋「フフご自由に」---両親を失って少し現実逃避気味なのね---

子供「来た来た…あぁぁ小さいなぁ…今の僕じゃこんなもんか」ニョロリ

子供「ねぇこの部屋ってさ…立ち入り禁止であまり人が来ないんだよね?」

情報屋「そうよ?どうして?」

子供「隅の方で種を植えても良いかな?」

情報屋「種?構わないけど散らかさない様に」

子供「よし!土も水気も良さそうだ…」ゴソゴソ 


ピカー


情報屋「光の石ね?それは明るくて助かる」

子供「種育てるから驚かないで…成長魔法!」ザワザワ グングン

情報屋「えええ!!?未来君…あなた…」

子供「う~ん質はあまり良くないけど食べるには十分か…」

情報屋「スゴイ…剣士はこんな事もあなたに教えて行ったのね」

子供「収穫手伝って貰える?」

情報屋「盗賊かローグを呼んで来るわ…食料難と寝床が同時に解決する」

子供「魔女には内緒でお願い…理を超えた事をしようとすると怒るから」

情報屋「ここで待って居るのよ?」タッタッタ


---分かって来たぞ…今の僕は上位魔法が使えないだけだ---

---基本魔法を工夫すればなんとかなる---


898: 2021/11/20(土) 08:48:09.99 ID:KbfSVIxh0
『数分後』


スタスタ スタスタ


マジっすか?そらスゴイでやんす

秘密は守って…未来君を尊重するのよ?

分かってるでやんすよ…あっしは未来君を信じるでやんす


ローグ「うはぁぁ…黄金色の麦」

情報屋「未来君?ローグを連れて来たわ」

子供「うん!収穫手伝って…それから水が足りなくて良い品質の麦にならないから水が欲しい」

ローグ「雪を溶かした水なら十分あるでやんす…収穫終わったら取って来るっすよ」

子供「おけおけ…さっさと収穫済ませよう」ザクザク

情報屋「遺跡の調査どころじゃ無くなったわ」ザクザク

子供「もう少し広い場所は無いのかな?」

情報屋「通路なら使っても良いわ」

子供「う~ん…まぁ遺跡の中じゃしょうがないかぁ…」

ローグ「いやいやこれでも十分助かるっすよ…脱穀して樽1杯分くらいは有りそうでやんす」

子供「よ~し!今日は麦を沢山収穫しよう」ザクザク


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899: 2021/11/20(土) 08:48:48.42 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


ガヤガヤ ガヤガヤ

今日はパンの配給が有るらしい

うほーそりゃ久しぶりのまともな食い物だ

麦の補給が合ったという事はシン・リーンから物資が届いたのか

さぁな?おい配給が来たぞ…並べ並べ

ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「随分賑やかだな…何か有ったのか?」

情報屋「あら盗賊…狩りから戻って居たのね」

盗賊「おぅ…狩りもラクじゃ無ぇ…ちっと寝るわ」

情報屋「パンとワインが有るわ…食べてから寝て」

盗賊「分かってるじゃ無ぇか…どこで手に入れたんだ?このワイン」

情報屋「オアシス砦に残って居た物よ…大事に飲んで」

ローグ「盗賊さん!!狩りの方はどうっすか?」

盗賊「おぉローグか…いやいやデカい虫の討伐が大変でよ…シカ肉は2頭分しか調達出来んかった」

ローグ「でかい虫とはサンドワームの事っすかね?」

盗賊「サンドワームなら食えるから良いが…残念ながらデカイ毒グモだ…こいつの毒にやられて中々上手く狩りが進まん」

情報屋「それで魔女が呼び出されて行った訳ね」

盗賊「まぁそんな所だ」グビ

ローグ「アサシンさんも頭も忙しそうっすね…何か聞いていやせんか?」

盗賊「俺も顔合わせて無ぇんだ…しかしいつになったら補給が来るのか」

情報屋「フィン・イッシュからはそろそろ来ても良い筈」

ローグ「ちと気になったんすが虫は未だにドリアード目指して北上してるんすかね?」

盗賊「んな事知るか!!」

ローグ「羽虫は全部焼かれたんすよね?」

盗賊「あんま見無ぇな…てか地べたを行く虫しか見て無ぇが…」

情報屋「エルフの森の方はどうなって居るの?」

盗賊「奥の方がどうなってるか知らんが火災が収まる感じは無いな…そこらじゅうで火柱が立ってる」

ローグ「まだ落ち着きそうにないっすね」

盗賊「俺らはハッキリ言って難民な訳よ…シン・リーンかフィン・イッシュからの応援待ちだ」

情報屋「森を挟んで向こう側のシン・リーンから来るとは思えないのだけれど…」

盗賊「来るなら迂回して来るんだろ…ところでよ?未来はどうしてるんだ?」

情報屋「あぁその件なら…例の隠し通路の奥で何かしてるわ」

盗賊「良いのか?あそこは崩れるかも知れんぞ?」

ローグ「姉さんと剣士さんが居なくなって寂しい思いをしてるんすよ…仲の良かったホムンクルスさんの傍に居たいんじゃないすかねぇ…」

情報屋「そうね…言動も急におかしくなって」

盗賊「ちっと心配だな…情報屋!お前が母親役をヤレ」

情報屋「もうやって居るわ…急に大人ぶって居るから少し困惑しているの」

盗賊「まぁそういう年頃か…あぁぁダメだ俺はちと寝る」

情報屋「さて…下に行って未来君の様子を見て来る」スタ

ローグ「何かあったら又呼んで下せぇ…外のキャンプに居るでやんす」

900: 2021/11/20(土) 08:49:51.25 ID:KbfSVIxh0
『隠し部屋』


ガッサ ガッサ


子供「ワームが集まってる…絶対のこの下に埋まってる」ガサゴソ

ワーム「…」ニョロニョロ

子供「…有った!!コレだ」ゴソゴソ

子供「…」---これがホム姉ちゃんの記憶---


いや…精霊の記憶

ずっと昔の精霊は活動を停止する前に夢幻を作ったと聞いた

ホム姉ちゃんも同じ様に夢幻を作った可能性はある

この場所で…

同じ様に…

その夢幻を冒険の書から覗けるのじゃないか?

僕の記憶も

他の人の持つ記憶も全部

本当は夢幻の出来事なんじゃないか?

今のこの瞬間も

本当はホム姉ちゃんが記録している記憶

この小さな金属の中でずっと記録を続けているんじゃないか?


スタスタ


情報屋「未来君居るのぉ~?」

子供「え!?あぁ…居るよ」スック

情報屋「あなた寝て居ないでしょう?少し横になりなさい」

子供「えーと…僕は寝なくても大丈夫なんだ…瞑想出来るから」

情報屋「じゃぁ瞑想して体を少し休めなさい」

子供「平気だよ」

情報屋「ダメ!こっちに来るのよ」グイ

子供「分かった分かった…行くから引っ張らないで」ヨタヨタ


---この体は小さくて大人の女の人にも敵わない---

---でも知ってる…魔力の集中はこの体の方が良い---

901: 2021/11/20(土) 08:50:45.31 ID:KbfSVIxh0
『添い寝』


んががが~すぴ~~


子供「…」ジーーーー

子供「…」---このまま動かないで居れば寝たと思ってくれるだろうか---

子供「…」---でも動くのを我慢するのも中々に苦痛だ---

子供「…」ギンギン パッチリ


モゾモゾ


情報屋「眠れないの?こっちにいらっしゃい?抱っこしてあげるから」

子供「今昼間でしょ?眠れる訳無いじゃ無いか」

情報屋「あなたずっと寝て居ないのよ?」

子供「ねぇ情報屋さん」

情報屋「うん?」

子供「盗賊さんの事好きだよね?」

情報屋「急に何を言い出すのよ」

子供「僕知ってるんだ」

情報屋「知ってるって…何を?」

子供「昨日話したよね?これから子供が生まれ無くなるって」

情報屋「あぁその話ね」

子供「10年経っても情報屋さんには子供が生まれないんだ…悔やんで居たよ」

情報屋「馬鹿な事言わないの!!怒るわよ」

子供「僕が変えてあげる…だから今子供作って」

情報屋「なっ…寝なさい!!」

子供「今しかチャンスが無いんだ…ドリアードが動き出す前に早くしないと…簡単さ…エOチするだけだよ」

情報屋「未来君あなたねぇ…大人の真似事はもう止めなさい」

子供「やっぱり僕を信じていないんだね」

情報屋「あ…そういう意味じゃないの」

子供「僕は眠れないから少し散歩してくるよ」スック

情報屋「ちょっと…」

子供「僕を信じて?僕は向こうに行くから今…子供を作って」

情報屋「そんな事出来る訳…」

子供「僕の魔法の力を見たよね?僕は未来から来たんだ…僕の言葉を信じて」

情報屋「ちょ…それは…」

子供「じゃぁ行くよ…今なら盗賊さんと2人きりだ…上手くやって」スタタ


---こんな方法でしか未来を変えられないのかな---

---変えたとしても元通り修正されてしまうのだろうか---

902: 2021/11/20(土) 08:51:35.33 ID:KbfSVIxh0
『遺跡外_キャンプ』


ガヤガヤ ガヤガヤ

シャ・バクダ街の方はまだ使える資材が残ってる

3班はもう一回シャ・バクダ向かって回収行ってくれぇ

オアシス砦までの整地に応援が欲しい

ダメだ今居る人員でなんとかしろ

ガヤガヤ ガヤガヤ


ローグ「ああ!!未来君…丁度良かった」

子供「ローグさん…やっとみつけた」

ローグ「未来君に回復魔法をお願いしたいんすよ…魔女さんが居ないもんで」

子供「え?あぁぁ困ったな触媒のミネラルが無いんだよ」

ローグ「そうなんすか…エリクサーも薬草も枯渇しちまいやした」

子供「賢者の石はどうしたの?」

ローグ「商人さんが持って行ってしまったんすよ」

子供「じゃぁエンチャントの掛かった角は?飛空艇に沢山乗ってた筈」

ローグ「全部燃えちまいやした」

子供「雪の上じゃ薬草も育たないなぁ…」

ローグ「物資不足で止血用の包帯もまともに確保出来んでやんす」

子供「…」---線虫を試してみるか---

ローグ「困りやしねねぇ…」ウロウロ

子供「僕が出来る事をやってみるよ」

ローグ「そら助かるっす…ほんで何する気なんすか?」

子供「虫を使うんだ…内緒にしてて?皆嫌がるから」

ローグ「傷を癒す虫が居るってこっすか?」

子供「線虫っていう目に見えない位小さな虫だよ…ワームの一種だね」

ローグ「ほええ?付いて来てくだせえ…こっちっす」

子供「皆には僕が何をしてるのか教えなくて良いから」

ローグ「へい!わかりやした」


903: 2021/11/20(土) 08:52:20.32 ID:KbfSVIxh0
『テントの中』


ぅぅぅぅ…血が止まらねぇ

あぁ動かないで強く押さえておいてください

止血用の縄をもっと持って来て!

血が止まらないのは毒のせいですね


看護師「子供がここに入って来てはダメよ!」

ローグ「あぁ済まんです邪魔にはならん様にするんで勘弁して下せぇ」

看護師「誰なんですかこの子は」

ローグ「親の氏に目に合うってのもあるっすよね?」

看護師「う…怪我人に触ってはダメよ?」

子供「うん…何もしないよ」

ローグ「ちーっとお祈りしやすんで目を瞑ってくれやんす」

子供「思ったより状況悪いや…皆毒に掛かってる」ヒソ

ローグ「大型の虫があちらこちらで暴れてるらしいっすわ」ヒソ

子供「虫か…」

ローグ「早い所その線虫って奴を頼んます」

子供「おけおけ…線虫」ニョロニョロ


---なんとか使える---

---質が悪いのはどんぐりのせいだ---

---もっと質の良いどんぐりが必要だ---


子供「終わったよ…行こうか」

ローグ「ええ!?もう?」

子供「これ以上僕には何も出来ない…大丈夫さ…線虫を離しておいたから勝手に毒を食べてくれるよ」

ローグ「未来君がそう言うなら…じゃぁ失礼しやした~」ノシ

看護師「…」ジロジロ



--------------

904: 2021/11/20(土) 08:53:35.90 ID:KbfSVIxh0
ローグ「何かした感じには見えやせんでしたが怪我はこれで治るんで?」

子供「2日くらいで全快すると思うよ…怪我人はあそこに運ばれるんだよね?」

ローグ「そーっすね」

子供「じゃぁ線虫も食べ物に困らない」

ローグ「へぇ?訳が分からんす…」

子供「分からなくても良いさ…結果だけ見て居れば良い」

ローグ「う~ん…やっぱり未来君は剣士さんと森に行ってから人が変わっちまったみたいっすね」

子供「おかしい?」

ローグ「おかしいというか…大人になりやしたねぇ…あっしは嬉しいでやんす」

子供「パパと一緒に森か…ほとんど話をしなかったのに一生分空気で語らったのかな」

ローグ「居なくなって寂しいっすよね?」

子供「そうでも無いよ…僕の記憶の中に確かに居るのを理解したから」

ローグ「そんな言葉が未来君から出て来るのが不思議なんす…やっぱり未来君…」

子供「うん?」

ローグ「未来から来たと言うのは本当なんすね?」

子供「ローグさんにはまだ話して居ない筈…」

ローグ「情報屋さんから詳しく聞きやした…何かを変える為に此処に居るんすね?」

子供「まぁ…そうなるのかな」

ローグ「ロマンっすねぇ…海賊ってのはロマンなんすよ」

子供「ハハ海賊?どうして急に海賊なんて」

ローグ「頭もあっしも…元は海賊…大海原でお宝…いやロマンを追い求める海賊なんす」

子供「海賊は嫌いだよ…僕の未来を奪ったのも海賊さ」

ローグ「取り返しゃ良いんすよ…その為に此処に居るんすよね?」

子供「取り返す…そうか…もう一度やり直すと考えれば良いか」

ローグ「ところで未来君…10年後のあっしはどうなってるんすかね?」

子供「…」ジロリ

905: 2021/11/20(土) 08:54:19.71 ID:KbfSVIxh0
ローグ「ななな…なんすかその眼は」

子供「僕達を裏切って敵になったよ」

ローグ「ええええええええええ!?ちょちょ…詳しく教えて下せぇ」

子供「敵に塩を送っちゃう事になるんだけどなぁ…」

ローグ「本当に敵なんすか?このあっしが…」

子供「…」ジロリ

ローグ「そんな眼で見ないで下せぇ…あっしは裏切ったりしやせんぜ?」

子供「ローグさんはビッグママにエOチな事沢山したよね?」

ローグ「ギクーーーッ」ピタリ

子供「これで分かるでしょ…僕の言ってる事が本当だって」

ローグ「いやいやいや…それとこれとは話が別な訳でして…」

子供「本当に敵になっちゃうんだ…だから話せない」ジロリ

ローグ「あっしは裏切らない事を誓いやす」ビシ

子供「ダメだよ嘘は…僕知ってるんだから」

ローグ「じゃぁこう言うのはどうすか?今話して置けば裏切らなくなるかも知れやせんぜ?」

子供「…」ジロリ


---そうだな…言われてみれば未来を変える可能性はある---

---話したとしてもその内記憶が無くなると言うのもある---

---可能性を試してみるか---

906: 2021/11/20(土) 08:55:15.65 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ詰め所』


カクカク シカジカ

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ローグ「…てことはあっし一人だけ単独で行動してる訳っすね?」

子供「そうだよ…崩壊した貴族達になり替わって豪族として暗躍してる」

ローグ「なんで一人だったのかちっと引っかかりやすが…」

子供「ローグさんはビッグママのエOチな体が大好きなんだよね?」

ローグ「そんな事口に出さ無ぇでくだせぇ」

子供「豪族になったローグさんはビッグママを捉えて自分の物にしようとしてる」

ローグ「ちょちょちょ…本人の前で図星を言わんで欲しいんすが…」

子供「ほらやっぱり」ジロリ

ローグ「ちっと待って下せぇ…こう考えられやせんか?」

子供「何さ…」

ローグ「未来君の話す未来の予言を…あっしだけが信じて行動していやせんか?」

子供「え?どういう事?」


子供が生まれ無くなる事

その原因がドリアードの中に居るアダムに原因がありそうな事

地軸の移動で沿岸部に人が生活できなくなる事

今まで話してくれたこと全部を聞いて今…

あっしが何を考えて居るか分かりやすか?


子供「ローグさんの頭の中の事は分からないよ…言ってよ」


豪族となって資金力を持ったなら

あっしは人流を安全な場所に誘導するっす

シン・リーンとフィン・イッシュは地熱で安全なんすよね?

907: 2021/11/20(土) 08:56:11.08 ID:KbfSVIxh0
子供「じゃぁビッグママを捕らえる為に法外な懸賞金を賭けているのはどう説明するのさ」

ローグ「その豪族っていう輩達のコントロールっすね…こういうのはアサシンさんが上手い」

子供「そんな…僕の思い違いだって言うの?」

ローグ「あっしは誓って裏切りやせん…信じて下せぇ」

子供「じゃぁもうビッグママの体に悪戯しない?」

ローグ「ちょちょちょ…それは違う話しでやんす」

子供「どうやって信用すれば良いのさ…僕は未来を見て来たんだ」

ローグ「あっしの体の中に流れている血は全部…頭の血なんす」

子供「知ってるさ…それが何だって言うんだよ」

ローグ「血の盟約は知らんのですか?あっしは頭に血の盟約で忠誠を誓っているでやんす」

子供「ふ~ん」ジロ

ローグ「それからもう一つ腑に落ちないのが…この話を知って居る情報屋がどうして行動しなかったのか…っすね」

子供「あぁ…それはね…この歴史に抗う記憶はどんどん失われて行くんだ」

ローグ「意味が分からんのですが…」

子供「何日かするとすっかり忘れてしまうんだよ…きっと僕も同じさ…多分それがこの世界の理」

ローグ「何かに書き残して忘れないようにすれば良いんすね?」

子供「その書き残した物が何だったのか忘れてしまわなければね」

ローグ「よ~し…な~んかやる気が出て来やしたぜ?あっしもロマンの一角を握ってるっす」

子供「ハハ…ロマンねぇ」


---何だろう…この人はどうしても悪い人に思えない---

---血が繋がっているからなのか?---

---ドワーフの血…邪心に浸されない血---

908: 2021/11/20(土) 08:58:35.11 ID:KbfSVIxh0
『雪原』


サクサク ギュギュ


子供「なんだ…そんなに深い雪じゃないや」ガッサ ガッサ

ローグ「な~にしてるでやんすか?」

子供「別に?」ザクザク

ローグ「掘ったらすぐに砂が出てくるんすよ」

子供「うん…」

ローグ「何か探し物でやんすか?」

子供「何か植えられないかと思ってさ…」

ローグ「10年後のこの場所はどうなってるんすか?」

子供「森だね…きっと精霊樹の影響で木が生える」

ローグ「10年後を目指して今から何か出来やせんか?」

子供「え…あぁ…」


---そうだ忘れかけてた…何か行動しないと---


子供「10年後はこの辺りが戦場になってる」

ローグ「そんなに戦争が長引くんすね」

子供「あー…セントラルとフィン・イッシュの戦争じゃない…それはもっと南部の方だよ」

ローグ「じゃぁ何の戦争なんすか?」

子供「精霊樹を守る為にエルフ達が戦ってる…僕に今何が出来るだろうか」

ローグ「ドリアードを今なんとか出来んもんすかね?」

子供「そんな…どうやって?又あのミサイルって奴が飛んで来るのが落ちだよ…って」

子供「あああああああああああああ!!」トーイメ

ローグ「どうしたんすか急に…」

909: 2021/11/20(土) 08:59:02.90 ID:KbfSVIxh0
虫達は誰の命令で動いて居るんだ?

オークシャーマンか?

いや…北の大陸に来ているとは思えない

そうだ…フィン・イッシュから船と気球を譲り受けて初めて北の大陸に来る

ならどうして虫が勝手に動き出す?

本能?

いや違う…本能は生存する為の物だ

待て待て…虫にとってドリアードは生存の危機という事か?

でもそんな複雑な因果をどうして虫が知ってるんだ?

待てよ…虫はドリアードを敵とみなす事を大昔に命令されて居たとしたら…

これがオーク族に伝わる予言だとしたら…

予言は成立する

もしかして命令したのは大昔に戻ってドリアードを封じたママとオークシャーマンじゃないのか?

暁の墓所にあった壁画は虫を持ったママらしき人物が記されて居た

もしもそんな事が出来るなら…10年後に向けて僕も虫に命令が出来る筈


ローグ「…聞いていやすか?お~い!!」ペシペシ

子供「ローグさん…僕の友達の子ウルフは見かけて居ない?」

ローグ「精霊樹の森に行ったと思うんすが戻って来んすねぇ…避難民優先で子ウルフを追い出したのはマズかったっすね」

子供「それは良いんだ…ウルフを嫌がる人も多かったみたいだし仕方が無い」

ローグ「戻ってくると良いんすが…」


---よし!旅に出るぞ---

910: 2021/11/20(土) 08:59:55.00 ID:KbfSVIxh0
『遺跡の中』


ガサガサ ゴソゴソ


子供「どんぐりとキノコはこの位で良いか…水は雪が有るから要らないっと」ゴソゴソ

情報屋「居た居た!探したのよ!もう…何をしているの?」

子供「んん?別に?」ゴソゴソ

情報屋「盗賊!!ここの資材置き場に隠れていたわ」

盗賊「おぉこんな所でかくれんぼしてたのか…まぁ無事なら良い…ちと顔見せてみろ」グイ

子供「何さ…」

盗賊「う~む…大分目にクマが張ってんな」

情報屋「でしょ?休んでって言っても言う事聞かないのよ」

盗賊「まぁこれぐらいなら酒飲んで寝りゃ一発で治る…心配すんな」

子供「僕は大丈夫だって言ってるじゃない…それより子供作った?」

盗賊「どわっ…何言い出しやがる」

情報屋「ちょっと未来君!怒るわよ?」

盗賊「まぁズケズケとした態度は母親似って訳かヌハハ気に入った!!お前が心配する程俺らの仲は悪く無ぇぞ?」

情報屋「盗賊!!子供の前で何言うのよ」

盗賊「…ところでお前何やってんだ?」ジロジロ

子供「ちょっとね…」

盗賊「その袋見せてみろ…」グイ

子供「ああ!!」

盗賊「なんだ種ばっかりじゃ無ぇか」

子供「返してよ!!」グイ

盗賊「何か企んでる感じでは無い様だ…情報屋!お前が心配し過ぎなんだ自由にさせてやれ!!」

情報屋「もう!人の気も知らずに…」ブツブツ

盗賊「未来…お前もそろそろ大人だ…大概の事は自分で出来るな?まぁ自由にヤレ!困ったら俺ん所に来い」

子供「うん…ありがとう」

子供「そうだ!情報屋さんの遺跡調査のノート…見たいんだ…見せて貰って良い?」

情報屋「構わないけれど…難しいわよ?」

子供「良いよ…暇つぶしさ」

情報屋「じゃぁこっちにいらっしゃい…」グイ スタスタ


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911: 2021/11/20(土) 09:00:58.01 ID:KbfSVIxh0
情報屋「コレよ?見るのは良いけれど落書きはダメよ?」パサ

子供「僕もメモするから紙とペンが欲しい」

情報屋「壁際の机にあるわ…読み終わったらそのノートも机に置いておいてね」

子供「分かったよ」

情報屋「じゃぁ私は遺跡の調査に行って来るから読み終わったら寝るのよ?」

子供「分かった分かった…うるさいなぁ…」パラパラ


やっぱり読めない…記憶の欠落が起きてる証拠だ

僕があまり気に掛けない記憶から順に無くなって行ってる

あれから2日経った

いつまで記憶を保持できるのか…


子供「あった!!コレだ…良し!!図解が記されている」メモメモ


ドリアード遺跡の場所はシャ・バクダの北か…

確か入り口は狭間に隠されてるとか言っていたな

…なるほど食虫植物特有の形をして居るのか

この形はジャガイモの根だ

中が空洞になっているんだな?その奥に核がある

よしよし…これなら地図に出来る


ローグ「未来く~ん!!」タッタッタ

子供「あ…ローグさん」

ローグ「マズイ事になったっすよ…ウルフ討伐隊が編成中なんす」

子供「どういう事?」

ローグ「どうも燃えているエルフの森から逃れて来たウルフ達がその辺をうろつき始めたらしいんす」

子供「雪の中をウルフがうろつく訳無いよ」

ローグ「ウルフも餌が無いんすよ」

子供「雪の中に餌なんか無いじゃないか」

ローグ「あっしらがソリを引かせてるシカでやんす」

子供「あ~そういう事か…シカが襲われてるのか」

ローグ「未来君のお友達の子ウルフも危ないでやんす」

子供「そんな事言われてもなぁ…」

ローグ「剣士さんみたいに遠吠えで呼んだり出来ないんすか?」

子供「う~ん…やった事無い…まぁでもなんとかするから心配しなくて良いよ」

ローグ「それなら良いっすが…」


---遠吠えなんかで呼ばなくても僕が行ったら向こうが見つけてくれるよ---

912: 2021/11/20(土) 09:01:51.88 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』


ワイワイ ガヤガヤ


情報屋「未来君何処に行ったか知らない?」

盗賊「見て無ぇぞ?その内戻ってくんだろ」モグモグ

情報屋「配給の食事持って来たのに…」

盗賊「心配すんなって!あいつは剣士と同じであんま食わ無ぇんだ」モグモグ グビ

情報屋「私の書物も何か写してやりっ放し…」

盗賊「書物に興味あるなんざ大したもんだ」

情報屋「やりっ放しよ…直ぐに飽きたみたい」

盗賊「ヌハハまぁ男ってのはそんなもんだ…ほんで何を写してたんだ?」

情報屋「多分ドリアード遺跡の地図を作ろうとしてた様ね」

盗賊「なんで又ドリアード遺跡なんかに興味持ったんだろうな?」

情報屋「そっか盗賊は未来君が予言を見たという話を聞いて居ないのね?」

盗賊「なんだそりゃ?」

情報屋「例の冒険の書を読んで未来の予言が記されて居たと言うのよ」

盗賊「ほう?んでどんな予言なんだ?」

情報屋「10年後に起こる大厄災の事とか色々よ」

盗賊「ドリアードがなんか関係すんのか?」

情報屋「未来君はドリアードの中に復活したアダムが真の敵だと思ってるわ」

盗賊「…」モグモグ グビ

情報屋「どうして何も言わないのよ…」

盗賊「俺もそう思って居るからだ」モグモグ

情報屋「盗賊…あなたまで…」

盗賊「あのとち狂った第3皇子のガキ…まだドリアードん中に居んだろ…どう考えてもありゃ正気じゃ無ぇ」

情報屋「それはそうだけど…」

盗賊「もうちっと未来の声を聞いてやれば良かったな…そんな大事な事をなんで俺に隠してんだ?」

情報屋「別に隠して居た訳じゃ無いわ…みんな忙しくてすれ違ってただけよ」

盗賊「さぁて!!飯も食ったし…今晩はウルフ討伐だ」ゲフー

情報屋「うん気を付けて…」

盗賊「まぁ未来の事は心配し過ぎるな…あいつはもう大人で…勇者の血を引く者だ」

情報屋「…忘れてた…特別な何かを持って居たのよね」

盗賊「じゃ…行って来るな」ノシ

913: 2021/11/20(土) 09:02:31.84 ID:KbfSVIxh0
『深夜』


バタバタ ドタドタ


情報屋「どう?居ない?」ハァハァ

ローグ「外にも居ないっす…キャンプは全部確認したでやんす」フゥフゥ

情報屋「遺跡の何処を探しても居ない…他に心当たりは無いの?」

ローグ「ウルフ狩りが編成されてるのを未来君に教えたでやんす…もしかしたら子ウルフを探しに行ってるかもっす」

情報屋「一人で森へ行ったと言うの?しかも徒歩で…」

ローグ「いやいやいやエルフの森じゃなくて精霊樹の森っすよ」

情報屋「ここから結構距離があるじゃない…しかも雪が降ってる」

ローグ「あわわ…マズい事教えちまった様ですわ」

情報屋「足跡辿るのもこの雪じゃもう無理ね…ソリはもう無いの?」

ローグ「ウルフ討伐隊が乗って行ってるっす…シカも一頭も居ないっす」

情報屋「歩いて探しに行くわ…ローグも来て」

ローグ「分かりやした…10分で準備するっす」



『10分後』


シンシン サラサラ


ローグ「遅くなりやした…防寒は完璧っす」

情報屋「じゃぁ行きましょう」サクサク

ローグ「情報屋さん…あっし未来君と少し話したんすがね?未来から来たのは多分本当っすね」

情報屋「…」サクサク

ローグ「未来君は何かを変える為に一人で戦ってるんす」

情報屋「あの子…もう帰らないつもりで出て行った様よ」

ローグ「どういう事っすか?」

情報屋「あの子の荷物が全部無いのと…どんぐりを沢山袋に詰めて居たの」

ローグ「マジっすか…」

情報屋「…もっと話を聞いてあげれば良かった…」ググ

ローグ「未来君は歴史の先回りをしようとしてるっす…行き先は多分ドリアード遺跡」

情報屋「一人じゃ危険過ぎるわ…私達が生還出来たのもエルフの助けがあったお陰なのよ」

ローグ「あっしは行った事無いんすがそんなに危険なんすか?」

情報屋「小さな子供一人がやすやすと冒険できる場所では決して無いの」

ローグ「早まらなきゃ良いんすが…」

情報屋「急ぎましょ…」サクサク


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914: 2021/11/20(土) 09:03:34.04 ID:KbfSVIxh0
『精霊樹の森』


アオ~~ン ワンワン


子供「雪の中じゃ音が吸い込まれて遠くまで届かないや」

子供「ここに来たら匂いで直ぐに見つけて貰えると思ったんだけどなぁ…」


ドスン ドスドス


子供「む!」---枝から雪が落ちた---

子供「…」---エルフだな?僕を伺ってる---

子供「あぁぁぁダメだぁぁぁ凍えるぅぅ…氏ぬぅぅ」キョロ

子供「…」キョロ

子供「な~んか一人芝居するのも馬鹿みたいだ」サクサク

子供「…」クンクン

子供「…」---獣の匂いだ---

子供「ちょっとマズイかも…」スラーン ピカー

子供「何処に居るんだ?僕は怖く無いぞ!?」キョロ


グルルル ゥゥゥゥ


子供「ウルフの群れか…」

ウルフ「ガウルルル」ダダダ

子供「この光る剣が怖いかい?」ブン ブン

ウルフ「ゥゥゥゥ」タジ

子供「ごめんごめん仕舞うよ」スチャ

ウルフ「ガウルルル」ノソノソ

子供「怖がらなくて良い…怪我してるんだろ?おいで」

ウルフ「グルルル…」

子供「こうすれば分かるかい?線虫!」ニョロ モソモソ

ウルフ「ギャフンギャフン」ピョン ダダダ

子供「驚かせたらごめんね…何匹居るのかな?」クンクン

子供「5匹?離れにもう一匹居るな」

子供「君達は家族だね?僕は何もしないよ…僕は友達を探しに来たんだ」

子供「僕は森の言葉があまり分からないから君の言う事も良く分からないんだ」

子供「よっこら」ドッスン

子供「出ておいでよ傷なら治してあげるから」


ワンワン シュタタタ

915: 2021/11/20(土) 09:04:04.54 ID:KbfSVIxh0

子供「ああ!!子ウルフ!!探して居たんだよ…なんで直ぐに出てこないんだよ」

子ウルフ「ワフワフ!!」

子供「群れの言う事に逆らえない?なんだそうだったのか」


ウルフ「ガウルルル…」ノソノソ


子供「おいでおいで!!」

子供「え?毒の治療でこの森に来たんだって?」

子供「精霊樹の恵みが欲しいのか…大丈夫僕が治せるよ」

子供「線虫!」ニョロリ


--------------

--------------

--------------



『ウルフの群れ』


ガウルルル アオ~~~ン


子供「…そうだったんだ…精霊樹の葉には毒消しの効果が合ったんだ…へ~」

子供「エルフが精霊樹を守ってて中々分けて貰えない…な~んだ順番待ちな訳か」

子供「毒に侵されてるのはやっぱり虫のせい?」

子供「なるほど…虫が所構わず暴れ回ってる訳ね…人間の村も同じなんだよ」

子供「食べ物は向こうの森の方が充実して居るよね?」

子供「だから戻るって…ちょちょちょ…もう行くの?」

子供「実はさ…今ウルフ討伐隊が出てて危ないよ?」

子供「知ってるって…だったらわざわざ危ない所に行かなくても良いじゃない」

子供「仲間に順を伝える必要があるって…そうか順番待ちになってるのか」

子供「じゃぁやっぱ虫を何とかしないとコレ終わらないね」

子供「ちょちょ待ってよ…僕もこの森に用が無くなった…虫の所に案内してよ」

子供「ダメって何でさ…良いじゃん毒を治してあげたんだし…」

子供「人間が来る所じゃ無いのは分かってるよ…僕はそこに入った事もあるんだ」

子供「いや本当さ…白狼の血も流れてる」

子供「マジマジ…だから本当だって…じゃなきゃこんなに話せる訳無いじゃない?」

子供「冷たいなぁ…じゃぁ勝手に付いて行くから案内だけして」

子供「大丈夫さ付いて行けるよ…ちょちょ…だから行動が早すぎる…待って待って」


シュタタ シュタタ

916: 2021/11/20(土) 09:05:05.77 ID:KbfSVIxh0
『オアシス砦』


ドスドスドス ズザザー


ヘラジカ「オエッオエッ…ブモモー」

盗賊「おうお前等~ちっと休憩だ」

民兵「へ~い…」ゾロゾロ

アサシン「遅いぞ…」

盗賊「ソリ2台で民兵乗せてウルフ狩りってどういうこった?多すぎだろ」

アサシン「お前はウルフ狩りと聞いて来たのか?」

盗賊「ナヌ?違うのか?」

アサシン「私はウェアウルフ狩りの討伐隊を編成したつもりなのだが…」

盗賊「おいおいおいマジか…全然格が違うじゃ無ぇか…民兵じゃ無理だ」

アサシン「だからお前を指名して呼んだのだ」

盗賊「半端な弓じゃ倒せんぞ?」

アサシン「首を落とせ」

盗賊「待て待て俺にやらせる気か?ウェアウルフは狂犬病も持ってんだぞ?」

アサシン「エンチャントの角は持って来ただろうな?」

盗賊「持って来ちゃ居るがよ…マジで俺が倒す予定でいるんか?」

アサシン「私も居るがそれでは不服か?」

盗賊「お前は病気なぞ怖くないかもしれんが俺は生身だ…ちったぁ考えてくれ」

アサシン「作戦はこうだ…」


民兵には弓でけん制させる

私は正面からウェアウルフと向き合って動きを止めてやる

お前はハイディングからバックスタブで首を落とせ


盗賊「ウェアウルフの首周りは熊並みだぞ?一発で落とせるか自信が無ぇ」

アサシン「落とし損じても私が止めを刺す…問題無かろう」

盗賊「お前簡単に言うけどよ…ウェアウルフはエルフ並みに飛び回るぞ?」

アサシン「手負いだ…私の草薙の剣で石化が進んでいる筈だ」

盗賊「なるほど…今までお前が単騎でやっていた訳か…今晩止めを刺したいんだな?」

アサシン「ウェアウルフは病気の原因にもなって居るのだ…犯された動物は食いたくても食えん」

盗賊「肉が配給されないのはそのせいか…」

アサシン「人員が揃い次第出発する…体を温めて置け」

917: 2021/11/20(土) 09:05:48.68 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』


ドスドスドス スーーー


支給されたのが弓と矢筒だけだ

これでウェアウルフ討伐なんてどうかしてる

お前作戦聞いて居ないのか?

短期戦で即引き上げらしい


盗賊「お前等ちゃんと話聞いてたんか?」

民兵「接近戦は2人でやるんですよね?」

盗賊「まぁそうなる…仕留めそこなった場合は即退却な?」

民兵「成功した場合次の作戦に入ると言ってましたが…何か聞いてますか?」

盗賊「シャ・バクダ経由で巡回だとよ…夜行動物の実態調査らしい」

民兵「あぁ夜中にシカが出て来てるって話聞きますね」

盗賊「だから弓と矢の支給な訳よ…早い話狩りだ狩り」

民兵「あ!!先行のソリが止まった…」

盗賊「うへぇ…なんだありゃ…なんで人骨が吊るされてんだよ」

民兵「ひぃぃぃ…」タジ


---------------


『森の近くの廃村』


アサシン「ここから徒歩で廃村に入る」

アサシン「廃村に到着したら建屋の陰に隠れて合図を待て」

アサシン「ウェアウルフの餌には手を出さない様に」

アサシン「それから何があっても声を出すな…以上行くぞ」スタ


盗賊「ちょっと待て…なんで人骨が吊るされてんのよ」

アサシン「黙れ…もう作戦は開始している」

盗賊「むぐぐ」---何だよあいつ!何も説明しないで---

アサシン「…」--付いて来い---

民兵「…」ガクブル

盗賊「…」---お前等腰抜かすなよ?---

アサシン「…」---配置について待機---

民兵「…」ゴクリ

盗賊「…」---何が起こるってんだ?---


ガチャリ ギー


人「ヴヴヴヴ…」ズルズル

民兵「!!?」---誰か出て来た---

人「ガァァァ…」ヨタヨタ

盗賊「…」---あの野郎ここの犠牲者を使役して餌にしてんな---

民兵「…」---誰か住んで居たのか?---

918: 2021/11/20(土) 09:06:41.68 ID:KbfSVIxh0
『10分後』


民兵「…」タラリ

人「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」ヨタヨタ

盗賊「…」---うーさぶ!!---

アサシン「…」---来るぞ---

盗賊「!?」キョロ


シュタタ シュタタ ピョン


ウェアウルフ「ガウルルル!!」ガブリ

人「ガァァァ…」ズザザ

ウェアウルフ「ガウガウ!!」ガブガブ

民兵「…」---ひえぇぇぇ---

アサシン「撃て!!盗賊行くぞ!!」ダダ

盗賊「お…おう!!ハイディング!」スゥ

民兵「あ…当たれ!!」ギリリ シュン


シュンシュンシュン グサグサグサ


ウェアウルフ「!!?ウガァァァ」シュタタ

アサシン「行かせん!!むん!!」ブン ザクリ

ウェアウルフ「グルルル…」タジ

盗賊「リリース!バックスタブ!!」ジョキリ

ウェアウルフ「!!?」ヨロ

盗賊「浅い!!」スタ

アサシン「ハートブレイク!」ズン!!

ウェアウルフ「ガフガフ…」ピクピク

盗賊「これでも倒れ無ぇか…おら!追撃!!」ブン スパ

アサシン「ふん!!」ブン スパ

盗賊「アサシン下がれ…動き出す前に距離取るぞ」ダダダ

アサシン「民兵!!弓で追撃しろ」ダダダ


シュンシュンシュン グサグサグサ


アサシン「撤収だ!全員ソリまで引け」

民兵「は…はい…」ダダダ

919: 2021/11/20(土) 09:08:18.98 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』


盗賊「出すぞ!!早く乗れぇ」パシン

ヘラジカ「オエッ…ブモモ…ゲヒゲヒ」ドスドスドス

盗賊「お前等後方に弓撃つ準備しておけ…ウェアウルフが追って来るかもしれん」

民兵「ははは…はい」ブルブル

盗賊「おい!アサシン!!行先どうすんだ!?」

アサシン「次の作戦に移る…進路は北だ」

盗賊「こりゃ作戦成功なんか?」

アサシン「首を半分落としているのだ直に氏ぬのは明白」プルプル

盗賊「ん?なんだお前どっか具合おかしいのか?」

アサシン「今倒したウェアウルフはな…私の旧友なのだ…そして吊るされて居た人骨はその娘…お前も知って居る人物だ」

盗賊「なんだと!!?ウェアウルフの知り合いなんか居無ぇぞ?」

アサシン「あの娘は私達の仲間になりえた…エリクサーの効果をもっと早く知って居れば仲間だった筈だ」

盗賊「誰よ?」

アサシン「女海賊に知り合う前の私の助手だったと言えば思い出すか?」

盗賊「シャ・バクダの宿屋の娘か!」

アサシン「ウエァウルフは遺伝性の病気なのだ…そして生きた血肉を食らわないと正気を失う…私と同じだな」

盗賊「宿屋の娘には随分世話になった…あの人骨がそうだったのか」

アサシン「血肉を食らう必要がある故に私と同行出来なかった…代わりに女海賊が同行するようになったのだ」

盗賊「でも何で吊るされてんだよ」

アサシン「簡単な話だ…ウェアウルフだと知られて村人に吊るし上げられたという事だ」

盗賊「なるほど…食料不足で生きた血肉を食えなくなったもんだから人を襲ったんだな?」

アサシン「エリクサーの事さえ知って居れば誰よりも優秀だった筈…そしてその父も優秀な男だった」

盗賊「思い出した…コブラ酒が好きだったな」

アサシン「私がワインを飲むのと同じ…喉の渇きを癒すのに好んだのがコブラ酒だ」

盗賊「宿屋でコブラ酒頼んだら毎回あの娘が持って来たな」

アサシン「身内だった者に手を掛けるのは心苦しい…私が正気を失った時はお前も同じ思いをするだろう」

盗賊「言うな…考えたくも無ぇ」

アサシン「シャ・バクダはもう終わりだ…私が守りたかったものはすべて無くなった」

盗賊「まだだ…まだ民が残って居る」

アサシン「気休めか?少し休みたいと願っては居るが眠る事も出来ない…永遠の命とは残酷だ」

盗賊「言葉も無ぇ…」


ドスドスドス スーーー

920: 2021/11/20(土) 09:08:50.64 ID:KbfSVIxh0
『シャ・バクダ街での記憶』


ワイワイ ガヤガヤ

おい!!イカさますんじゃ無ぇ!!

何言っているの?何処がイカさまなのよ!

勝負は勝負!きっちり払ってもらうわ

だぁぁぁなんだこの女!!


盗賊「だぁぁやっと着いたぜ腰が痛てぇの何の…おい馭者!!俺はここで降りるぜ?」

馭者「へい旦那ぁ!!お疲れぃ!!」

盗賊「荷物は後で別の奴に取りに行かせるからよ…まぁ適当にやってくれ」

馭者「あいよ!!」

盗賊「じゃぁな!!」ピョン スタ


ドン! パシ!!


盗賊「おい何懐探ろうとしてんのよ」グイ

ごろつき「イテテ済まねぇ…そんなつもりじゃ無かったんだ…よそ見しててぶつかった悪い悪い」

盗賊「気を付けろぃ!!」スッ

盗賊「…」---早速酒代が手に入った儲け儲け---

盗賊「ふぅぅぅ…まず飲んでっか」ノッソ ノッソ

921: 2021/11/20(土) 09:09:43.79 ID:KbfSVIxh0
『宿屋』


カラン コロン


店主「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」

盗賊「この風体見て誰だか分からんか?」

店主「ハテ?あ~あの時の…ハハハ」

盗賊「いい加減顔パスじゃ無ぇのか?」

店主「仕事ですので…お一人様でよろしかったですね?」

盗賊「あぁそうだ…まず酒が飲みてぇコブラ酒ボトルで頼む…グラスは一つで良い」

店主「かしこまりました…お部屋でお飲みになりますか?」

盗賊「いや隣の酒場で飯も食って来る…金は有るからよ…誰か女一人付けてくれ」

店主「直ぐに手配しますのでお待ちください…お代は先になりますが…」

盗賊「おうそうだったな」ジャラジャラ

店主「ありがとうございます」

盗賊「じゃ隣行ってるから頼むわ」ノシ



『酒場』


ガヤガヤ ガヤガヤ


マスター「いらっしゃいませ」

盗賊「よーー久しぶりだな…元気してたか?」

マスター「ハハ揉め事はご勘弁…飲んで行きますか?」

盗賊「宿屋で頼んで来たからよ…適当にツマミ頼むわ」

マスター「ハイハイ…他のお客さんの迷惑にならない所に座って下さいね」

盗賊「まぁそう言うなや…カウンターなら問題無いだろ?」ドシ


ポロロン♪ ラララー♪


盗賊「おぉ丁度良かった演奏始まったな…演奏終わったらあの女呼んでくれ」

マスター「はぁ…又揉め事になる気がしますが…」

盗賊「大丈夫だよ…今日の俺は機嫌が良い」


宿屋の娘「コブラ酒をお持ちしました…どうぞ…っておいお前か」ギロ


盗賊「お前は無いだろ…まぁ元気そうだな」

922: 2021/11/20(土) 09:10:22.66 ID:KbfSVIxh0
宿屋の娘「はい!!コレ!!メモ!!酒!!」ドン パサ

盗賊「一人女付けてくれと頼んだんだが…まさかお前か?」

宿屋の娘「お前にお前って呼ばれたく無いんだけど…私で悪いか?」ストン

マスター「あのーー揉め事だけはご勘弁を…ここの所続いてまして」

宿屋の娘「早くメモは隠せよ」

盗賊「そうだったな」ゴソゴソ

宿屋の娘「何してんだよ」

盗賊「何してるってメモを隠してるんだろが」

宿屋の娘「そうじゃ無ぇよ…チップ!!女付けたらチップ払うだろ」

盗賊「宿屋で払ってる」

宿屋の娘「そんなん聞いて無ぇよ!チップ払わないと騒ぐよ?」

マスター「あのーー宿屋の娘さん…分かってますよね?」

宿屋の娘「あらマスターさん…ちゃんと心得て居ますのでお気になさらず…」ニコ

盗賊「なんだお前態度が全然違うじゃ無ぇか…」

宿屋の娘「金持ってんだろ?出せよ…」ズボ ゴソゴソ

盗賊「勝手に懐探るな」

宿屋の娘「…これ何?」

盗賊「だぁぁロックピックだ触るなボケが」グイ


スタスタ


女盗賊「あらあら盗賊?仲が良さそうね?」ズイ

宿屋の娘「あ…これは失礼しました…お騒がせしていたならお許しください」ペコリ

盗賊「やっと帰って来て疲れてんだ…癒してくれい」

女盗賊「帰ってきたならまず初めに私に挨拶に来るのが礼では無くって?」

盗賊「だから来たんだろが…酒用意したぞ…お前も飲め」

女盗賊「まだ演奏があるから控えておくわ…あなたが飲めば良いのよ」キュポン グイ

盗賊「んぐ…んぐ…げふげふ」

宿屋の娘「…」ニマー

盗賊「げふげふ…おま…ゆっくり飲ませろ」ゲフー

女盗賊「説明して貰おうかしら?女性を同伴してどうするつもりだったの?」

盗賊「んあ?そら楽しく飲む為だろ」

女盗賊「私じゃ役不足と言いたいのね」

盗賊「なんでそうなるんだよ…久しぶりに帰って来ていきなり喧嘩売ってんのか?」

マスター「あのーーー困るんですよね…大きな声を出されると」


--------------

--------------

--------------

923: 2021/11/20(土) 09:11:15.84 ID:KbfSVIxh0
『廃墟』


シンシン…


盗賊「…」---屋根がすっ飛んで行ったのか---

盗賊「…」---このカウンターで良く揉め事が起きたな---

盗賊「…」---どっかに酒残って無ぇのか?---

盗賊「…」---何もかも変わっちまった---

盗賊「…」---もう何も残っちゃ居無ぇ---


ドンッ


盗賊「!!?」---瓶?---

アサシン「中身が少し残って居る…これはサボテン酒だ…飲んでみるか?」

盗賊「おぉ!!良い物見つけたな?」

アサシン「…」キュポン

盗賊「グラスは全部割れてる」

アサシン「…」グビ ゴクリ

アサシン「飲め」

盗賊「…」グビグビ プハー

盗賊「何だこの感覚…」

アサシン「痛みだ」

盗賊「こりゃ心が痛いのか?」

アサシン「…」グビ

アサシン「空しいだろう?」

盗賊「そうだな…」

盗賊「お前の妹も…宿屋の娘も…良い女だった」

アサシン「…」グビ ゴクリ

アサシン「酔えん」

盗賊「俺は酔えるだけマシか…」グビグビ


民兵「ウルフだぁ!!ウルフの群れに囲まれて居る!!」


盗賊「何ぃ!!」ガタ

アサシン「ウルフなぞどうという事もあるまい…奴らもシカ狩りなのだよ」スック

盗賊「民兵共!!狩ったシカを早くソリに積め!!」

アサシン「クックック…引き上げるとするか」

924: 2021/11/20(土) 09:12:30.65 ID:KbfSVIxh0
『帰路』


ズルズル ドサリ


盗賊「よし…獲物を積んだな?民兵は徒歩で後方警戒しながら付いて来い」

民兵「ウルフ10匹程に囲まれています」

盗賊「大人数の人間には襲い掛かって来ない筈だ…警戒しながら引き上げる」

民兵「一人ウルフに襲われて怪我をしているのでソリに乗せて下さい」

盗賊「マジか…この人数になんで遅い掛かって来るんだ?」

民兵「一匹白狼が混ざっていて狩ろうとした様です」

盗賊「こっちが仕掛けた訳か…しゃー無ぇ怪我人は乗れぇ!!出発するぞ!!」

盗賊「しかし白狼とは珍しい…エルフの森の深部から出て来てんのか」

民兵「あの毛皮は高級品なんで…」

盗賊「明るくなって来た…お前等ぁ!!急げ…早い所帰って寝るぞ」

民兵「はい…」ハァハァ


------------

------------

------------



『遺跡地下_勇者の像前』


ガヤガヤ ガヤガヤ

シカ肉の配給だぞ?

おぉぉ久しぶりの肉

ダメだ!女子供が先だ

やったぁぁお肉だお肉ぅぅ

ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「…なんだ情報屋も居無ぇのか…何処行っちまったんだ?」

民兵「盗賊さんこれで解散ですね?」

盗賊「そうだ!食って寝ろ…どうせ夜になったら又狩りだ」

民兵「じゃぁ失礼します」タッタッタ

盗賊「ローグも居無ぇって事は未来探してどっか行ってんな…ったく世話の焼ける」

盗賊「寝てる場合じゃ無ぇってか…」モグモグ

盗賊「…しかし行先も分からんのに動き様も無ぇ…寝るか!!」ドタリ

盗賊「…」---いつまでこんな生活をするのか---

盗賊「…」グゥ


んががが すぴー zzz

925: 2021/11/20(土) 09:13:26.79 ID:KbfSVIxh0
『数時間後』


パシン パシン!


情報屋「起きて盗賊!!」ユサユサ

盗賊「んぁ?…んんん…水くれ水」

情報屋「未来君が見つからないの…ウルフ討伐の方では見て居ない?」

盗賊「あぁ昨夜の狩りはウルフ討伐じゃなくてウェアウルフ討伐だった」

情報屋「そう…」ガックリ

盗賊「お前何処行ってたのよ」

情報屋「精霊樹の森を探しに行ってたわ」

盗賊「手がかり無しか?」

情報屋「ウルフの群れの足跡を見つけたわ…ローグが言うにはウルフの群れに混ざってるんじゃないかって」

盗賊「まぁ単独で行動するより安心っちゃ安心だわな」

情報屋「何言ってるのよ!あんな小さな子供いつ食べられてもおかしくないわ」

盗賊「ウルフがエルフを食うなんざ聞いた事無いがな」

情報屋「あの子は人間よ?あなた心配じゃ無いの?」

盗賊「心配っちゃ心配だがよ…俺も未来と同じ年頃から一人でやってきた訳よ…自分で何とかやると思ってる」

情報屋「もう!!一人でドリアードをどうにかしようなんて無茶よ」

盗賊「…」ギロ

情報屋「その眼は何か考えが在る眼…何?」

盗賊「そういや昨夜ウルフの群れに一匹白狼が混ざって居たらしい」

情報屋「それよ!!」

盗賊「場所は旧シャ・バクダの廃墟…白狼に弓を当てた者が居る」

情報屋「えええ!!?」

盗賊「行くぞ」スック タッタッタ

926: 2021/11/20(土) 09:14:06.74 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』


オエッ オイン ブルルルル


ローグ「遅くなりやしたぁぁぁ!!」ダダダ ピョン

盗賊「白狼を射った場所を聞き出せたか?」

ローグ「へい!!養羊場のあった辺りだそうでやんす」

盗賊「よし急いで行くぞ…情報屋はエリクサー持って来たな?」

情報屋「少しだけだけれど…」

ローグ「狩り用の矢で撃たれたとなると子供じゃ氏んでるかも分からんす」

情報屋「嫌な事言わないで」

盗賊「くそでかいヘラジカを麻痺させる毒だ…子供だとどうなるか分からん」

ローグ「未来君は毒消しの魔法を使うんで上手く乗り切ってくれれば良いんすが…」

情報屋「獣じゃ無くてよりにもよって人間にやられるなんて…」


ドスドスドス スーーーー



『養羊場跡地』


情報屋「見て!!血痕と屍…あぁぁぁ」

盗賊「早合点するな…あれは食われた子ジカの亡骸だ」

ローグ「まだ新しいっすね…昨夜食われた感じでやんす」

盗賊「なるほど…ウルフの食事中を民兵が弓を射かけたんだな…この周辺を探せ」

情報屋「別の血痕!!あったわきっとあれよ」サクサク

盗賊「どこだ?」

情報屋「こっちよ…」サクサク

ローグ「ありゃ出血が多いんじゃないすか?」

盗賊「足跡が複数…民兵の出血痕だ…こりゃ違う」

盗賊「ここから弓で狙うとなると20メートルの範囲内…探せ!」

ローグ「向こうの小屋じゃないすかね?」サクサク

情報屋「あったぁ!!小屋の影にも血痕…こっちの方が多いわ」

盗賊「その辺に未来が倒れて居ないか?」

情報屋「探してる…」キョロキョロ

盗賊「ふむ…ウルフの食事中に1匹だけ離れている白狼だけ狩ろうとした訳か…」

ローグ「盗賊さん!!小屋の中にどんぐりの殻がいくつか落ちていやす…未来君に間違い無いっす」

情報屋「居ない…居ない…何処にも居ない…」オロオロ

盗賊「どこかに血痕が続いて居ないか?」

情報屋「無いわ…その小屋の周辺だけよ」

盗賊「未来は回復魔法も使える…そこで処置したという事だ」

盗賊「俺は周囲の建屋の中を見回って来る…お前等2人で足跡探ってくれ」

ローグ「わかりやした…」サクサク

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927: 2021/11/20(土) 09:15:09.07 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』


ドスドスドス スーーーー


ヘラジカ「オエッ ブモモモー」ガフガフ

盗賊「情報屋!もういい加減にしとけ…資材乗せて帰るぞ」

情報屋「…」トボトボ

ローグ「手がかり無しっす…」

盗賊「未来はハイディングを自在に使う…探せると思うか?」

ローグ「無理っすね…」

盗賊「探しても居ないという事は無事って事だ…毒矢もなんとか切り抜けてるだろう」

情報屋「どうして何も言わないで…」プルプル

盗賊「未来が仲間に選んだのは俺達じゃなくてウルフだってだけの話…気にすんない」

情報屋「あの子の事…子ども扱いし過ぎて居たのかしら」シュン

盗賊「だから気にすんなって…早く乗れ」

ローグ「一人でドリアードん所行っちまいやせんかね?」

情報屋「狭間の中にある入り口は探せないと思うわ…それに地図も忘れて行ったみたいだし」

盗賊「じゃぁ行く気ならもう一回戻って来る可能性が高いな」

情報屋「地図は私が預かっておく…」

盗賊「お前昨日からずっと寝て居ないな?一旦戻って寝ろ」

情報屋「眠れる訳無い…ハッ!!あの子…強い動機があって眠らなかったのね…」

盗賊「気付くのが遅せぇよ…もう大人の道を歩いてる…未来の道をな」


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928: 2021/11/20(土) 09:15:34.36 ID:KbfSVIxh0
『夢』


??「あれ?…ここは…」

??「パパ?…ここどこ?」

??「魔女?…何処に居るの?」

??「あれ?記憶が…」

??「僕何してたんだっけ…」

??「誰も居ないの?」


---こっち---


??「誰?」


---目を覚まして---


??「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


??「僕?」

??「僕は…僕は…違う…ここじゃない」


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929: 2021/11/20(土) 09:16:29.57 ID:KbfSVIxh0
『大木の洞』


クーン ペロペロ


子供「ぅぅん…ハッ!!」ガバ

子ウルフ「ワンワン!!キュゥゥン」ペロペロ

子供「ここは…何処?僕はどうして…いてて」スリスリ


…そうだ…ウルフの群れに紛れて森に入ったんだ

出血がひどくて気を失った…なんで洞の中に居るのか記憶が無い

待てよ…思い出せ思い出せ…僕は何の為に此処にいる?

…虫だ…虫に命令しなきゃ

大丈夫…ちゃんと覚えてる…僕は未来から来た


子供「マズいな…寝てしまった…僕の記憶は少し無くなってる筈…何を忘れたのか自分じゃ分からない」

子ウルフ「クーン…」

子供「僕はどれくらい寝てた?」


カサカサ


子供「!!?」クンクン

子供「何か居る…1人…この感じはエルフだ」

子ウルフ「ワン!ハッハッハ」フリフリ

子供「リンゴと木の実…根っこも在る…ごちそうじゃないか」

子供「…そうか僕はエルフに助けられたんだね?」ガブリ モグモグ

子供「遠くから僕を見てるな…とりあえずこの洞なら安全か」モグモグ

子供「子ウルフ?木の実を食べても良いよ…ほら」

子ウルフ「ガフガフ」バクバク


ギャァギャァ バサバサ


子供「鳥が騒いでる…どうしたんだ?…え?森の奥で戦闘してる?」

子ウルフ「クーン…」


そうか…森の外だと分からなかった

エルフ達は森の中でずっと戦っていたんだ

そうだエルフゾンビさんがそんな事言ってたな

これからドリアードに森を侵食されて行く

僕の知らない所で戦いはずっと続いて居たんだ


子供「どうにかしないと…食べ終わったら行こうか」モグモグ


930: 2021/11/20(土) 09:17:41.20 ID:KbfSVIxh0
『エルフの森_浅部』


ヨタヨタ ズルズル


子供「くそう!!右足が動かない…なんで麻痺毒が抜けないんだ…線虫!」ニョロリ

子ウルフ「クーン…」

子供「あのエルフ…遠くからずっと付いて来る…僕を見て助けないなんて絶対性格の悪いエルフだ」プン

子供「ああああああ!!ダメだぁぁぁ!!足が動かないぃぃ!!誰か助けてぇぇぇ!!」

子供「…」

子供「……」

子供「疲れるだけか…行こう」ヨタヨタ


カサカサ キシャーーーッ


子供「うわぁ!!毒グモか!!」ズザザ

毒グモ「シャーーー!!」カサカサ

子供「よしよし良く来たね…探してたんだよフフフフ…毒グモ!我に従え!」

毒グモ「!!?」ピタリ

子供「君にお願いがあるんだ…僕を乗せてよ…」


シュン グサ!!


毒グモ「キシャーーーー!!」ピクピク コテン

子供「あぁぁぁぁ…何するんだ馬鹿エルフ!!あ~あ折角使役したのに…」

毒グモ「シュゥゥ…」ピクピク

子供「矢を抜いてあげる…」ズボ

毒グモ「…」ピクピク

子供「あぁぁどうしよう…虫に線虫は効かない…回復用の触媒も無い」オロオロ

エルフ(危ないからそこを離れなさい!)シュタ シュタ

子供「違うんだ…僕は蟲使いなんだ…余計な事しないで欲しい」

エルフ(…やっぱり…森の言葉を理解できる人間か)

子供「何の話さ…あぁぁ毒グモ氏んじゃったよ!!可哀そうに」

931: 2021/11/20(土) 09:18:50.60 ID:KbfSVIxh0
エルフ(お前は何処から来た?シン・リーンの者か?)

子供「まぁそうなるのかな…蟲使いの魔術師だよ」

エルフ(ではその姿は仮の姿なのだな…何用で森へ?)

子供「虫を使役しに来たのさ…虫が混乱しているから…ねぇ姿を見せてよ」

エルフ(…)ピョン クルクル シュタ

子供「君が僕を助けてくれたんだよね?木の根美味しかったよ…ありがとう」

エルフ(…)ジーーーー

子供「この森が今危険なのは知ってるさ…用が済んだら直ぐに森を出る…」

エルフ(…)ジロジロ

子供「何だよ気持ち悪いなぁ…君は男?女?エルフなのになんで髪の毛無いの?」

エルフ(私はエルフの戦士だ…それだけ)

子供「ふ~ん…まぁ良いか…僕の目的は虫を使役して混乱を治める事だよ…勝手に森に立ち入るけど問題ない?」

エルフ(ある…これより先は激戦区だ…人間が立ち入って生きて帰る事は出来ない)

子供「敵はマンイーターとかスライムとかだね?スプリガンもか…」

エルフ(何故人間がそれを知って居る!まさか密通者が居るのか?…ダークエルフがまだ暗躍していると…)

子供「ちょちょちょ…難しい話は分からない…でもね?僕は蟲を使役して倒したい相手はドリアードなんだよ」

エルフ(…怪しい…お前を拘束する)グイ

子供「いててて…拘束してどうする気?」

エルフ(…会話は終わりだ…大人しくするんだ)

子供「丁度足が動かなくて困ってた所さ…エルフが一緒ならそっちの方が良いや」

エルフ(…)ジロリ

子供「フフおっOいあるね…あ!!子ウルフ置いて行かないで?」

エルフ(…)シュタタ ピョン ピョン

子供「ちょちょ…置いて行かないでって言ってるじゃない!!」

932: 2021/11/20(土) 09:20:28.86 ID:KbfSVIxh0
『少し奥』


シュタタタ


子供「はぁぁ楽ちんだぁ…」グター

エルフ(…)ギロ

子供「あれ?君脇腹を怪我して…線虫!癒せ」ニョロリン

エルフ(!!?)ポイ

子供「うわぁぁぁ…」ゴロゴロ ズザザザ

エルフ(何をした!!大人しくして居ろと…」バタバタ

エルフ(体に虫が…このぉ!!)ビシバシ

子供「大丈夫だよ…その虫は傷を癒してくれる…癒えたら勝手に排泄されるから」

エルフ(私の体を汚すな!)ビシバシ

子供「叩いても無駄さ…分裂して増えるだけだ」

エルフ(本当に傷を癒すだけなんだな?)モゾモゾ

子供「うん…驚かせてゴメンよ…それよりさ?拘束するって…紐か何かで縛ったりしないの?すぐ逃げられちゃうよ?」

エルフ(小さな人間が私から逃れられる物か)

子供「いやいや今逃れたじゃん」

エルフ(…)ジロリ


スプリガン「キシャァァァ…」


エルフ(ハッ!!スプリガンがここまで南下してる…)ピョン クルクル シュタ

子供「そいつは燃やさないとダメだよ…火炎魔法使える?」

エルフ(うるさい!!)シュタタ グイ

子供「あらら?何…逃げるの?」

エルフ(お前を連れ帰るのが優先だ)

子供「ちょい待って!魔石回収したい…僕に任せてみて?逃げたりしないから」

エルフ(…)ジロリ

子供「スプリガンは簡単なんだ…飛び回ってる蝿を使役するだけで何も出来なくなる…蝿虫!我に従え」ブーン ブンブン

エルフ(ぁ…)ポカーン

子供「こいつは自分の周りの蝿を爆発させるしか能が無い…取り上げてしまえば簡単に倒せる」スラーン ブン ザクリ

スプリガン「シュゥゥゥ…」ドサリ

子供「ちょっと待ってて…えーと硫黄は何処にしまったっけな…有った有った…火炎魔法!」ボウ メラメラ

子供「よしよし魔石一個ゲット!!…これで火に困らないヌフフフ」

エルフ(お前…何者か?)

子供「さっき言ったじゃない…シン・リーンの魔術師だって…あぁぁ10年後の話だけど」

子ウルフ「ワンワン!!」シュタタ

子供「おぉぉ追い付いたかヨシヨシ」ナデナデ


------------

933: 2021/11/20(土) 09:21:37.08 ID:KbfSVIxh0
メラメラ パチ


子供「そろそろ消しても良いかな…」ゲシゲシ

エルフ(…)ジーーーー

子供「やっぱり足の調子悪いなぁ…火を消すの手伝ってよ」ヨロ

エルフ(…)スタスタ ガッサ ガッサ

子供「なるほど…濡れた葉っぱ被せた方が早いか」ガッサ ガッサ

エルフ(…)ジーーー

子供「何さ?ちゃんと火は消した…森のルールはしっかり守ってる」


ギャァギャァ バサバサ


子供「む!鳥が落ち着かない様子だ…何か起こる」

エルフ(日が落ちる…トロールの目覚め)

子供「戦いの合図か…君は戦士だったね?行かなくて良いのかい?」

エルフ(…)ジーーーー

子供「そうか…僕をどうするか迷ってるんだね…置いて行っても構わないよ」

エルフ(そこの木の洞から動かないと約束出来るか?)

子供「アハハなんか全然拘束する気無いんだね?置いて行ったらここに止まる訳無いじゃない」

エルフ(…)ジーーーー

子供「木に縛り付けたら?そしたら逃げないよ」

エルフ(その子ウルフを連れて行く…ここに止まって居ない場合子ウルフとはもう会えないと思え)

子供「ええええええ!!卑怯だ!!」

エルフ(お前はどの道足が不自由でこれより先を一人で行くのは危険だ…私が戻るまで木の洞の中で待て)

子供「ちゃんと帰って来る?」

エルフ(フフ…)シュタタ ガシ

子ウルフ「クゥ~ン」ジタバタ

子供「ちょ…待って…」


シュタタタ ピョン ピョン


---------------

934: 2021/11/20(土) 09:22:43.71 ID:KbfSVIxh0
子供「エルフって本当に行動が意味不明だ…何なんだよもう!!」ゲシゲシ

子供「んぁぁぁいつまで記憶があるかも分からないのに時間のムダだぁ!!」

子供「…」ボー

子供「何するかなぁ…」

子供「焚火なんかしたらトロール怒るだろうしなぁ…」ドテ

子供「ててて…でもなんで足動かないんだ?」ドスドス


足に感覚が無い…やっぱ麻痺しか考えられない

どうして線虫で麻痺毒が治せないんだ?

あれ?毒じゃなくてもしかして神経切れた…のか?

矢は背中を抜けて腹まで貫通してた…神経が切れた可能性は在る

だとすると線虫じゃ時間が掛かる…回復魔法で加速しないと

マズいな…切れたまま放置してると壊氏するかもしれない

触媒のミネラルは鉱物…こんな所にある訳無い

変性で物質変換するなら…するなら…


子供「あぁぁぁマズイマズイ…知ってる筈の記憶が欠落してる」

子供「あんまり使わない記憶から消えて行くんだ…」


ブーン ブンブン


子供「うるさいなぁこの蝿!!」シッシッ

子供「あぁゴメン僕が使役してたんだ…そうだ!!ここで虫たちに命令しよう」

子供「蝿虫達!!近くに居る他の虫達を集めて来て…出来るだけ沢山」


ブーン ブンブン

935: 2021/11/20(土) 09:23:39.83 ID:KbfSVIxh0
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命令する!!

羽虫はドリアードの胞子を食らって繁殖しろ

甲虫はスプリガンの樹液を吸って繁殖しろ

蜻蛉はアルラウネを食らって繁殖しろ

蜘虫はマンイーターを腐らせろ

飛蝗はケシの実を食らい尽くせ

線虫はスライムの毒を食らって繁殖しろ


よしよし…ここからが本番だ


ダンゴムシはドリアードの内部の老廃物を食らって繁殖しろ

ワームはドリアードの根を住処とし共存関係を作れ

全ての虫は個体数を増やして僕の命令を待て

この命令は繁殖する子孫にも継続する


子供「フフフフ…今に見てろよ?虫の繁殖サイクルは早いんだ…直にすべての虫が僕の命令どおりに動く」

子供「まだまだ命令するからどんどん虫を連れて来て」


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936: 2021/11/20(土) 09:24:49.77 ID:KbfSVIxh0
『深夜』


ドドドドド ドーン


子供「ボルケーノの音か…そんなに遠く無いな」

子供「森の声が無いからきっとバラバラで戦って居るんだろうなぁ」


良く考えてみるとエルフの森が主戦場になるのは仕方の無い流れだ

人間は子供を産めなくすることで20年もすればほぼ絶滅する

寿命の長いエルフの駆逐を先行させるのは理にかなっった話だ

さすがホム姉ちゃんと同じくらい賢いアダムって所だ

でもね…僕が阻止するよ


シュタタタ ズザザー


子供「ん?あのエルフもう帰ってきたのかな?」ムク

子ウルフ「クゥ~ン」スタタ

エルフ(ハァハァ…ここを移動する…もうここは安全じゃない…ゲフゲフ!!)

子供「うわ…なんでそんな切り傷…毒にも掛かってる」

エルフ(ミノタウロスとオークが加わっての乱戦…マンイータやスプリガンだけが敵じゃない…はぁはぁ…掴まって!)

子供「まず傷の応急処置を…」

エルフ(もうそこまで来てる…早く掴まって!)グイ

子供「あわわ…」ヨロ


ヒュルヒュルヒュル ザクリ!


子供「オークの大斧…」

エルフ(揺れるよ!!…)ピョン ピョン シュタタタ

子供「線虫!エルフの傷を癒せ!」ニョロニョロ モゾモゾ

エルフ(後ろを見てて)シュタタ

子供「茶色のオーク2体!」

エルフ(このままだと掴まる!虫でも何で使え!)

子供「魔石…魔石…よし!!火炎魔法!」ボウ

エルフ(撃ち続けて…)シュタタ

子供「なんだこの魔石!弱いなぁ…火炎魔法!火炎魔法!」ボウ ボウ

エルフ(ちぃぃぃ…距離が開かない)シュタタ

子供「そうだ爆弾があった…火魔法!」チリチリ ポイ


ドーン!! パラパラ

937: 2021/11/20(土) 09:26:25.89 ID:KbfSVIxh0
エルフ(!!よし…オークが止まった…木の上に出る…しっかり掴まって)ピョン ピョン シュタ

子供「片方のオークは爆弾で負傷したみたい」

エルフ(ハァハァ…)フラ

子供「戻って行くよ…諦めたみたいだ」

エルフ(お前は回復魔法は使わないのか?)フラ

子供「触媒が無いから今は使えない…シカの角で作った薬は在る…居るかい?」

エルフ(口の中へ…)フラリ

子供「そうかもう片方の腕が折れてるんだね?ちょっと待って…ほら?」グイ

エルフ(むぐ…雪を口の中に)

子供「…」グイグイ

エルフ(夜明けまで此処に隠れる)

子供「降ろして良いよ…ちゃんと木には掴まっておく」

エルフ(フフ…)ヨッコラ

子供「腕に添え木をしてあげようか?」

エルフ(バランスが取り難くなるから要らない)

子供「でも痛いよね?そのままだと」

エルフ(気にするな…私は戦士だ)

子供「まぁ線虫が癒してくれてるから骨なら2~3日で治るかな」

エルフ(お前の足はどうした?)

子供「これは多分神経が何処かで切れてる…麻痺状態だよ…経験が無いからどのくらいで治癒するか分からない」

エルフ(その足で森の奥に行くのは止めて置け)

子供「あれ?連れて行くんじゃ無かったの?」

エルフ(そういう状況では無くなった)

子供「そっか…じゃぁこれからどうするかなぁ…」

エルフ(虫の使役はもう良いのか?)

子供「う~ん…もっと使役しておきたいんだけど…この状況見たらさすがに危ないかな~なんてさ」

エルフ(私は腕が回復するまで戦線離脱になる…森を出ると言うなら外まで案内する)

子供「お?性格悪いエルフだと思ってたけどそうでも無さそうだね?」

エルフ(…)ギロ

子供「でもそうだなぁ…一回戻って足の治療をした方が良さそうだなぁ」

エルフ(ところでお前はどうして森の言葉を理解できる?)

子供「僕はハーフエルフの子供だよ…ハーフのハーフだから人間の血が濃い」

エルフ(そうか…森で声を聞いた事が在ったのか)

子供「あ!!そうだ…キノコ持ってたんだ…これにも体力回復効果がある…居る?」ゴソゴソ

エルフ(お前は不思議な人間だな…いやクォーターエルフか)

子供「どんぐりもあるよ?」カリ モグ

エルフ(フフ…)

子供「食べなよ」ポイ

エルフ(随分質の悪いどんぐりだ…)カリ モグ

子供「冬なんだからしょうがないさ」モグモグ

938: 2021/11/20(土) 09:28:22.29 ID:KbfSVIxh0
『夜明け』


チュンチュン バサバサ


エルフ(鳥達が安全だと言っている…森の外まで送ろう)グイ

子供「ゴメンね腕痛いのに無理させちゃて」

エルフ(休息して随分ラクになった…さぁ掴まれ…行くぞ)ピョン シュタ

子ウルフ「ワンワン」シュタタ

エルフ(森を出た後はどうするつもりか?私は森の外をこのまま出る訳には行かない)

子供「う~ん…遺跡に帰っても触媒が無いしなぁ」

エルフ(遺跡?)

子供「精霊樹にお願いしてエリクサー少し分けて貰おうかな」

エルフ(お前にそんな事が出来るものか!)

子供「精霊樹の所に知り合いのエルフが居るんだよ…その人に頼んでみる」

エルフ(他に知り合いのエルフが居ると…まぁ良い…私は森の端までだ…その後は自力で行け)

子供「わざわざありがとね…ウルフも僕の友達だから何とかなるよ」

エルフ(フッ…エルフなら当然だ)

子供「この足さえ自由だったらもう少し頑張れたんだけどなぁ…」

エルフ(エルフは足が命だ…足を引きずって森に入る様な事はしない事だ)

子供「気を付けるよ…てか弓で撃たれたのは背中なんだけどね」


エルフ(???)ピタリ キョロ


子供「どうしたの?何か居る?」

939: 2021/11/20(土) 09:28:49.95 ID:KbfSVIxh0
エルフ(静かに…鳥達が居ない)キョロ

子供「…」クンクン

子ウルフ「ガルルル…」シュタタ

子供「風下!!」

エルフ(しまった!!他のオークがまだ居た…掴まって!)シュタタ

子供「子ウルフ!!戻れ!!」

エルフ(昨夜の爆弾を準備しろ!)

子供「あと2個!!」

エルフ(後ろ警戒して!)

子供「見えた…大きな茶色のオーク…武器は持って無い」

エルフ(オークロード…ダメだ!!石を投げて来る)シュタタ

子供「煙玉…あった!!火魔法!」チリチリ ポイ


モクモクモクモク


子供「適当に石投げ始めたよ」

エルフ「当たったら終わりと思って!逃げる方向変える…掴まれ」シュタタ

子供「距離開いた…向こうの方が遅い」


ヒュン ゴツン!!


子供「うがっ…」クラクラ

エルフ「ちぃぃぃ耐えて…ハァハァ」シュタタ

子供「パクパク」---あれ?声が出ない---


---あれ?目の前が赤い---

---あれ?なんで?---

---なんで?---

---何が起きた?---

940: 2021/11/20(土) 09:29:22.98 ID:KbfSVIxh0
『次の記憶』


僕「パクパク」

エルフ「パクパク」

---聞こえないよ…何?---



『その次の記憶』


僕「パクパク」

エルフ「パクパク」

---それだよ…それを精霊樹に届けて---



『最後の記憶』


僕「パクパク」

他のエルフ「パクパク」

---ここは何処だ?---

---僕はどうなった?---


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941: 2021/11/20(土) 09:29:59.16 ID:KbfSVIxh0
『夢の中の声』


御所の中で眠って居たのだ

何故そこに居たのかは聞いて居ない

遺跡から通じる通路が在るのかもしれない

良く調査してみてくれ

眠って居るだけだ…心配しなくても良いだろう

エリクサーは期待しないで欲しい

分かって居るさ

奴の分だけは確保してやる

私も忙しい身だ

済まないがもう戻るとする


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942: 2021/11/20(土) 09:30:48.98 ID:KbfSVIxh0
『気球』


フワフワ バサバサ


子供「ぅぅん」パチ

子供「…」---寒い---

魔女「んん?目を覚ました様じゃな?寒うないか?」

子供「寒い…」ポケー

魔女「これ精鋭兵!暖が足りぬ…もうちっと温くせい」

精鋭兵「ハッ!」ドタドタ

子供「なんか夢を見てた…」

魔女「覚えておるか?」

子供「んんん何だっけな…大事な夢な気がしたんだけどなぁ…」

魔女「それは夢幻を見てるやも知れぬ」

子供「ビッグママは?」

魔女「寝ぼけて居るんか?この間分かれて来たじゃろう」

子供「そうだっけ…頭がボヤボヤする」

魔女「気圧のせいじゃろう…直にシン・リーンじゃから辛抱せい」

精鋭兵「姫様…シン・リーンが見えて参りました」

魔女「姫様はやめいと何度言わせるのじゃ?わらわは魔女じゃ」

精鋭兵「失礼しました…」

子供「んんん…何かおかしいなぁ」

魔女「主は毎日そんな事言うて居るな?何もおかしゅう無いが?」

子供「坊主のエルフと一緒だった気がするんだけど…」

魔女「だから言うたじゃろう…坊主にするエルフなぞ居らん…それはエルフにとって屈辱なのじゃ」

子供「屈辱ねぇ…変な夢だなぁ」


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 夢幻の平行編

   完

943: 2021/11/20(土) 09:37:36.94 ID:KbfSVIxh0

引用: 勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき