1: 2023/12/11(月) 18:02:21.82 ID:NQxBFjAm.net
夏美「……」

夏美(……この際はっきり言いますが、家族の話はあんまり聞かれて嬉しい話題ではありませんの)

夏美「……」

鬼塚ママ「夏美!ちょっと夏美!聞いてるの!?」

夏美(15)「……なんですの」

鬼塚ママ「説明しなさい!このテスト!中学生で28点なんて聞いたことがないわよ!」

夏美「たまたま予想してた問題が出題されなかっただけですの」

鬼塚ママ「あなたねぇ!そう言ってこの前のテストでも20点代!もう見飽きたわ!」

夏美「わかってますの。次こそは

鬼塚ママ「次こそは次こそはって、そう言って一体いつになったらその次が訪れてくれるのよ!ほんとに夏美はいつもいつもそうやって口先ばっかり!」

夏美「……」

鬼塚ママ「勉強もダメ、運動もダメ、おまけに可愛げすらないなんて!いったいあなたは何だったらまともに人並み以上に出来るのよ!?」

夏美(そんなのこっちが聞きたいですの)

2: 2023/12/11(月) 18:04:21.19 ID:9YZ/E/Mc.net
鬼塚ママ「だいたいあなたの習い事にこれまでいくらつぎ込んできたと思ってるの!?これじゃあ今までのお金が全部無駄じゃない!わかってるの、夏美!?」

夏美(こっちはつぎ込んでくれだなんてお願いした覚えはありませんの)

鬼塚ママ「約束した通り二学期の成績で半分以上2がついてたら、高校行くの辞めて働いてもらうからね!」

夏美「それくらいこっちもわかってますの」

鬼塚ママ「わかってるならなんでこんなみっともない成績になるの!!?ねえ!!」

夏美「……」

鬼塚ママ「なんとか言ったらどうなの!!?夏美!!」

夏美「……」

4: 2023/12/11(月) 18:05:04.39 ID:9YZ/E/Mc.net
鬼塚ママ「夏美!!」

夏美「……次はクラスの平均点はとれるように、頑張るですの」

鬼塚ママ「はぁ……ほんっと、夏美ってば何をやらせてもてんでダメ。それに比べて……」

夏美「……」

鬼塚ママ「……冬毬」

冬毬(13)「はい」

7: 2023/12/11(月) 18:06:11.58 ID:9YZ/E/Mc.net
夏美(この子は冬毬。夏美の可愛い妹ですの)

夏美(8月生まれの私が夏美で、12月生まれの妹が冬毬。我が親ながら……ほんっと、単細胞な名前のつけ方ですの)

鬼塚ママ「あなたの学年でもテスト返却されているでしょう?見せなさい」

冬毬「……」

鬼塚ママ「冬毬」

冬毬「……はい」

ペラリ

鬼塚ママ「まあ」

9: 2023/12/11(月) 18:07:37.06 ID:9YZ/E/Mc.net
【82】

鬼塚ママ「すごいじゃない!80点もとれるなんて!」

冬毬「運が良かっただけです。たまたま予想してた問題が出題されただけにすぎません」

鬼塚ママ「いいのよ謙遜なんてしなくて~。夏美も見習いなさい!」

夏美「……」

冬毬「けれど、姉者は

鬼塚ママ「夏美!!わかった!!?あなたも冬毬を見習って少しは勉強頑張りなさい!」

夏美「……」

鬼塚ママ「冬毬は勉強だけじゃなくってスポーツもお稽古も表彰されるくらい頑張ってるのよ!!?どうして冬毬に出来て姉のあなたには同じことが出来ないの!!」

夏美(そんなの姉と妹は別の人間だからに決まってますの)

11: 2023/12/11(月) 18:08:18.51 ID:9YZ/E/Mc.net
鬼塚ママ「夏美!!返事は!!?」

夏美「……」

鬼塚ママ「夏美!!」

夏美「……はいですの」

鬼塚ママ「ごめんね冬毬。ダメダメなお姉ちゃんのお勉強すこーし見てあげてくれる?」

冬毬「ええ。もちろんです」

鬼塚ママ「まあ!冬毬も忙しいのに悪いわね~」

夏美(……)

13: 2023/12/11(月) 18:09:40.31 ID:9YZ/E/Mc.net
***

夏美「……」

夏美(はぁ……)

コンコン

冬毬「姉者。今お時間少しよろしいですか?」

夏美「……妹なんだからそんなにかしこまらなくたって大丈夫ですの」

冬毬「承知しました。では」

ガチャリ

冬毬「姉者。この前の定期テ

夏美「冬毬。あなたは自分のことに手を抜くべきではありませんの」

冬毬「えっ……?」

14: 2023/12/11(月) 18:10:45.01 ID:9YZ/E/Mc.net
夏美「優秀な冬毬のことだから、も~っと勉強してれば90点代だって余裕で取れてたはずですの」

冬毬「……」

夏美「でしょう?」

冬毬「……ごめんなさい、姉者。正直……今回は手を抜いてしまいました。ですが、姉者と同じくらいの点数に留めようとしたものの」

夏美「……」

冬毬「姉者のレベルが私の想像を下回ってしまった結果、姉者だけが怒られる事態になってしまいました。申し訳ございません」

夏美(謝られてるようでオニ馬鹿にされてますの)

15: 2023/12/11(月) 18:11:18.84 ID:9YZ/E/Mc.net
冬毬「次回こそは、今回の反省を活かし

ペチン!

冬毬「いっ!」

夏美「いつも言っているでしょう?あなたに心配される筋合いはありませんの」

冬毬「ですが」

夏美「いーい、冬毬。世の中お金。マニーですの」

16: 2023/12/11(月) 18:13:37.83 ID:9YZ/E/Mc.net
夏美「この世で最もマニーを稼いだ人間が、この世で最も偉い人間だと。昔からそう言ってますの」

冬毬「……わかってます」

夏美「でしょう?で、どうやったらマニーをたくさん稼げるのかと言えば、そんなの一流企業に就職をして大出世を遂げることが、一番簡単な近道ですの」

夏美(敷かれたレールの上を走ることが、最もリスクの少ない選択肢。だから、冬毬にはこの選択を誤って欲しくない)

冬毬「……」

夏美「冬毬は夏美と違って、賢くて、要領も良くて、人望もあって。う~んと勉強したら一流大学、ひいては一流の企業へまっしぐらですの!」

冬毬「……」

夏美「冬毬、わかった?だから勉強、頑張るんですの。いつも言っていると思うけど、勉強だけが、この世で最も平等に権利が配られた出世の競争。頑張る才能を冬毬は神様から貰ったんだから、使わないともったいないですの」

夏美(だって夏美が喉から手が出るほどに欲しかった『一番になる才能』を、冬毬はもう既に持っているんですもの)

冬毬「……」

夏美「ねっ、冬毬?」

冬毬「あの……!姉者!私!」

17: 2023/12/11(月) 18:14:34.53 ID:9YZ/E/Mc.net
冬毬「大学には!」

夏美「なーに寝ぼけたこと言ってますの」

冬毬「ですが、お金が!学費とか!」

夏美「それくらい夏美がなんとかしますの。お姉ちゃんに任せなさ~い!」

冬毬「……」

夏美「だから冬毬は心配しなくて大丈夫ですの」

冬毬「……でも、私。姉者と二人で、我が家の家計を支えると」

夏美「こーんなオンボロ商店継いだって一銭のマニーにもなりゃしませんの。そんな下らないことで可愛い妹の人生を棒に振るようなことをしたら、お姉ちゃん一生悔やんでも悔やみきれませんの」

冬毬「姉者……」

18: 2023/12/11(月) 18:15:25.96 ID:9YZ/E/Mc.net
夏美「はい、じゃあこのお話はここでおしまいですの。冬毬、私の次のテストのことも、心配しなくて大丈夫ですの。自分の力だけでなんとかしてみせるから」ニコッ

冬毬「……」

夏美「ねっ、冬毬?」

冬毬「……わかりました、姉者」

夏美「ふふっ、よろしい。冬毬は聞き分けが良くて助かりますの♪」

冬毬(……)

夏美「冬毬。お姉ちゃん応援してるからね。冬毬の夢を、誰よりも」

冬毬「……はい。ありがとうございます。姉者」

夏美「ふふっ♪」

夏美(これでいいんですの。だって夏美には、これくらいしかしてあげられること、ありませんの)

夏美(ああ、ほんっと。ダメダメな姉で、ごめんなさい)

19: 2023/12/11(月) 18:16:02.98 ID:9YZ/E/Mc.net
***

夏美「……」

きな子「夏美ちゃーん!」

夏美「……」

きな子「夏美ちゃんっ!!」

夏美「わっ!?きゅ、急になんですの。びっくりしましたの……」

きな子「急にじゃないっす!さっきからずーっと呼んでたっす~!」

夏美「……」

20: 2023/12/11(月) 18:16:41.22 ID:9YZ/E/Mc.net
きな子「で!夏美ちゃんには姉妹!いるんすか!?いないんすか!?」

夏美「……」

きな子「夏美ちゃん!!」

夏美(……)

夏美「……内緒ですの」

きな子「えぇ~!!?」

夏美「答える答えないは個人の自由ですの。黙秘権ってやつですの」

きな子「でも~!きな子たちはみーんな自分たちのこと答えたっす~!夏美ちゃんだけズルいっす~!」

夏美「それ、そっちが勝手に白状してきただけじゃない。教えろとは一言も言ってないですの」

きな子「む~!」

夏美「……」

21: 2023/12/11(月) 18:17:26.91 ID:9YZ/E/Mc.net
メイ「けどさ。これだけ人数いるんだったら一人くらい兄弟姉妹がいてもおかしくないよなー」

四季「統計上、日本人の5人に4人は、兄弟がいる」

メイ「ということはだろ?1、2、3……」

夏美「……」

メイ「じぃ~……」

夏美「……なにが言いたいんですの」

メイ「なあ。夏美って姉妹とかはいないのか?」

夏美「だからー、答えないって

四季「その反応は、いるって反応」

夏美(う゛!?)

22: 2023/12/11(月) 18:18:31.72 ID:9YZ/E/Mc.net
きな子「えっ!?いるんすか!?夏美ちゃんもしかして姉妹いるんすか!!?」

夏美「いっ、いるともいないとも一言も

きな子「もしかして夏美ちゃんのお姉ちゃんっすか!?ひょっとして夏美ちゃんみたいなスーパーインフルエンサーっすか!!?それともそれとも~……妹ちゃん!?あっ!ひょっとして夏美ちゃんみたいなふわふわで可愛い~子だったりとか!」

夏美「だからー!いるともいないとも一言も言ってないですの~!」

きな子「写真とかないんすか!!?きな子見たいっす!ちょ~見てみたいっす~!」

夏美「絶対にイヤ!!氏んでも見せませんの~!!」

夏美(そう。Liella!では『鬼塚冬毬の姉』ではなくて、『鬼塚夏美』として、パフォーマンスがしたい。妹に頼らなくても自分の価値を証明できると、そう世間に示したい。これは社会への挑戦なのだから)

きな子「夏美ちゃん!スマホ!スマホの写真フォルダ見せて~!」

夏美「イヤ!イヤですの~!!」

夏美(だからこの幸せな空間が、もう少しだけ。長く続いてくれますように)

23: 2023/12/11(月) 18:18:48.08 ID:9YZ/E/Mc.net
終わりです。お読みいただきありがとうございました。

24: 2023/12/11(月) 18:22:39.31 ID:ONrSFnMw.net
頼みの妹が姉を追って底辺高に進学したら親発狂するだろ

引用: きな子「夏美ちゃんは姉妹とかっていないんすか?」夏美(うげ!?)