1: ◆8AdAXy0jTvVn 2016/03/05(土) 21:58:55.53 ID:3ojj7LV5o
P「……」

P「(なんか最近暖かくなったよなぁ…)」

P「(…もう春が来てるんだな)」

P「(春眠暁を覚えず…)」

P「(…使い方合ってるのか?)」

杏「…ボーっとしてるなんて珍しいじゃん」

P「ん?」

P「おぉ、杏か…」

杏「睡眠が足りてないんじゃない?」

杏「寝不足は仕事の効率が悪くなるよー」

杏「こういう時こそプロデューサーは杏と一緒にお休みするべきだと思うな~」

P「んー…」

P「確かにそんな誘いに乗ってしまいそうな気分ではあるな…」

杏「えっ!?」



2: 2016/03/05(土) 21:59:51.38 ID:3ojj7LV5o
杏「ど、どしたの…?マジで体調悪いの…?」

P「いや…そんな深刻そうな顔をされても困るんだが…」

杏「だ、だってさー…いつもならこのタイミングで次の仕事の話とか振ってくるじゃんか…」

P「振った方が良いか?」

杏「ううん、まだいい」

P「そうか…」

杏「…ホントに大丈夫?なんか調子狂うな~…」

P「確かに少し眠気はあるんだが…」

P「…なぁ、杏?」

杏「ん、なぁに?」

P「杏は春って聞いたら何を思い出す?」

杏「春?」

3: 2016/03/05(土) 22:01:44.55 ID:3ojj7LV5o
杏「心理テストかなにか?」

P「いや、ただの世間話だ」

杏「そうなの?」

杏「そしたら杏は昼寝!って言いたいとこだけど…」

杏「思い出すものって言われると、なんか違うよね」

P「ははっ、杏らしいといえばらしいけどな」

杏「思い出すものかー」

杏「…あー、こういうのってあれかな」

杏「入学式とか卒業式って言えば良いのかな」

P「おっ…?」

杏「ていうか、杏は早いとこアイドルを卒業したいんだけどね!」

P「おいおい…」

4: 2016/03/05(土) 22:02:43.69 ID:3ojj7LV5o
杏「まぁ、アイドル卒業はまだ置いといても良いけど…」

杏「入学式に卒業式かー」

P「杏はどっちの方が思い出深い?」

杏「んー…中学の卒業式はわりと思い出深かったかも」

P「お?良かったら聞かせてくれよ」

杏「いや、期待してもらってるとこ悪いけど杏の思い出だよ?」

杏「卒業式が始まる前に屋上で昼寝してて…」

杏「目が覚めたら卒業式終わってた」

P「…それは、思い出深いと言っていいのか?」

杏「ちょっと甘酸っぱい思い出だったねー」

P「寝る前にレモン飴でも舐めてたのか…」

杏「おお!流石、わかってるー♪」

P「ブレないな、杏は…」

P「(卒業式で、屋上で昼寝とは恐れ入った…)」

P「(でも…)」

P「(ちょっと角度を変えると本当に甘酸っぱい思い出にもなりそうな…)」

5: 2016/03/05(土) 22:03:29.35 ID:3ojj7LV5o
杏『ねぇ、P』

P『ん?どうした?』

杏『杏たち、入学してから今日までさ』

杏『どれだけ二人で屋上でサボったりしてたかな?』

P『難しいな…』

P『たまに保健室でもサボってたからな…』

杏『やーい、不良ー♪』

P『それはお前もだろ』

杏『杏は勉強出来るもーん』

P『うぐっ…』

6: 2016/03/05(土) 22:04:14.39 ID:3ojj7LV5o
杏『でも、内申点はボロボロだったからちょっと受験は苦労したけどねー』

P『それでも俺からすれば立派なとこ受かったじゃないか』

P『俺なんか二次募集でギリギリだったぞ』

杏『だけど、中卒直後にニートならないで良かったじゃん♪』

杏『あと、勉強だけが全てじゃないって!』

P『それを杏に言われてもな…』

杏『……』

杏『うん…そうかもしれないね…』

P『…?』

7: 2016/03/05(土) 22:05:15.62 ID:3ojj7LV5o
杏『なんでPと違う高校を受験しちゃったのかな…』

P『杏…?』

杏『同じ高校なら、また一緒にこうやってサボったりすることも出来たのに…』

杏『もう、出来なくなるんだよね…』

P『…なに、柄にもなくしんみりしてるんだよ』

P『ほら、もうすぐ卒業式始まるぞ』

P『最後ぐらいは…』

杏『杏、卒業式出たくない』

P『…出たくないってお前』

杏『出たくないっ』

P『どうしたんだよ…』

8: 2016/03/05(土) 22:05:58.21 ID:3ojj7LV5o
杏『P…一緒にお昼寝しよ?』

杏『お願いだから…』

P『…卒業式に出るのは前から約束してたじゃないか』

杏『してたけどっ!!』

杏『でもっ…!』

杏『卒業式に出ちゃったら本当にこれっきりになっちゃうから…』

杏『もう二度とPに会えない気がして…』

杏『そんなのは、いやだよ…』

杏『だって杏、Pのことが好きだから…』

P『杏…』

9: 2016/03/05(土) 22:06:54.07 ID:3ojj7LV5o
杏『ぐすっ…ひぐっ…』

P『……』

P『…あー、もうこれ卒業式に間に合わないな』

杏『…P?』

P『しょうがない…終わるまで昼寝でもするか』

杏『え、えっと…』

P『好きな子が隣にいるなら…』

P『卒業式に出るより、もっと良い思い出になるだろ』

杏『あ…』

P『違う高校に行ったって、二度と会えなくなるわけじゃない』

P『今日も…そしてこれからもつくっていこう』

P『二人だけの思い出をさ』

杏『…!』

杏『…うんっ!!』

杏『これからもずーっと…』

杏『杏と一緒にだらだらしてねっ♪』

10: 2016/03/05(土) 22:07:42.61 ID:3ojj7LV5o
P「……」

P「(こんなところだろうか…)」

杏「むにゃ…ぐー…」

P「ぬお!?」

P「(人が仮初めの思い出に浸ってる間に、こいつ寝やがったぞ!)」

杏「すぴー…」

P「……」

P「(でもまぁ…)」

P「(俺も今日はそんなにやる気がないからな…)」

P「(このまま一緒に昼寝させてもらおうかな…)」

11: 2016/03/05(土) 22:10:53.31 ID:3ojj7LV5o
こんな感じでPがアイドルの卒業式の思い出話を聞いて、妄想で自分を登場させるSSです

あと何人か書きたいなと思ってるので、良かったら↓5までアイドルの名前を1人お願いします(小学生組は小学校の卒業式を迎えた場合の妄想になります)

18: 2016/03/05(土) 22:20:06.44 ID:3ojj7LV5o
ありがとです
安価把握しました

また明日からの投下になると思いますが全員きっちり書くつもりなのでのんびり待っててください

23: 2016/03/06(日) 10:32:44.40 ID:OqI77wkGo
幸子「―――それで、お昼休みが終わっても杏さんと一緒に惰眠を貪っていたと」

幸子「それはちひろさんも怒るでしょう…」

P「怒るよな…」

幸子「全く…」

幸子「ボクと一緒の時は、ちょっとは頼りがいのあるプロデューサーなのに…」

幸子「ボクがいないとホントにダメダメなんですね、Pさんは…」

P「今回の件に関しては、言い訳出来ないな…」

幸子「だけど、ボクはカワイイだけじゃなく心も広いので…」

幸子「今回のPさんの失態を許してあげます!」

幸子「感謝してくださいねっ?」

P「…一応ありがとうって言っておくよ」

幸子「どういたしまして♪」

24: 2016/03/06(日) 10:33:43.32 ID:OqI77wkGo
幸子「さて…ボクの優しさでPさんの罪を浄化したのは良いんですけど」

幸子「ちょっと気になりますね…」

P「気になる?何がだ?」

幸子「そんなのPさんと杏さんのことに決まってるでしょう?」

P「…?」

幸子「ぼ、ボクには知る権利があるんですよ!」

幸子「お、同じ部屋で一緒に眠るぐらいの仲のお二人が普段どんな会話をしているのかとか…!」

P「あぁ…」

P「(もしかしてヤキモチ妬いてるのか?)」

幸子「むー…!」

P「(なんて…流石に言葉には出来ないな…)」

25: 2016/03/06(日) 10:34:35.80 ID:OqI77wkGo
P「まぁ杏とは仕事以外じゃ、たまに世間話をするぐらいだよ」

幸子「…そうなんですか?」

P「うん」

P「眠る前にしたのも、卒業式についての話だったし」

幸子「卒業式…ですか?」

P「ほら、もう春だから卒業式とか入学式とかそういうの連想するだろ?」

幸子「あ、あぁ…そっちの方でしたか…」

幸子「てっきり杏さんがアイドルを卒業するお話かと…」

P「本人はまだなんとかやってくれるらしい」

幸子「そうですか…びっくりした…」

幸子「……」

幸子「冷静に考えると、学校の卒業式についてお話している杏さんというのも結構驚きなんですけど」

P「そうだよな、普段は飴くれしか言わないしな」

26: 2016/03/06(日) 10:35:37.19 ID:OqI77wkGo
P「杏がさ、中学の卒業式の思い出を話してくれてな」

幸子「おお…なかなか興味深いじゃないですか…」

P「屋上で昼寝してる間に卒業式終わっちゃったってさ」

幸子「……」

幸子「なんというか…杏さんはその頃から杏さんなんですね…」

P「あぁ、まるでブレていない」

P「幸子はどうだ?卒業式の思い出ってなにかあるか?」

幸子「ボクの思い出ですか?」

幸子「教えてあげても良いですけど、ボクの思い出話は高く付きますよ!」

P「今なら言い値で買おうじゃないか」

幸子「…このボクに対して良い度胸ですね」

幸子「良いでしょう!」

幸子「その度胸を買って、今回だけは特別に無料でお話してあげますよ!!」

P「おっ、それは嬉しいな」

幸子「…フフン♪」

27: 2016/03/06(日) 10:36:51.73 ID:OqI77wkGo
幸子「さて、卒業式の思い出話ってことですけど」

幸子「決して小学校での卒業式のお話をするわけじゃありませんよ?」

P「ん?どういうことだ?」

幸子「わかりませんか?まだ寝坊助さんみたいですね!」

幸子「中学1年生の時でも、先輩のお見送りで卒業式を経験するってことですよ!」

P「おお、なるほど…」

幸子「まぁ…正直良い思い出とは言い難いんですけどね…」

幸子「ボクぐらいカワイイ女の子でも、当時は憧れの先輩って人がいたんです」

P「(なかなかの意外性で攻めてきたな…)」

幸子「それでやっぱりボクもカワイくも優しい女の子の一人なので、卒業式はその先輩の第2ボタンを貰ってあげようと思ったわけだったんです」

幸子「しかし、なんということでしょうか!」

幸子「その先輩は第2ボタンはおろか、ボクの為に一つもボタンを残していなかったんです!!」

P「あー…」

28: 2016/03/06(日) 10:38:21.50 ID:OqI77wkGo
幸子「酷いとは思いませんか!?」

幸子「普通はボクが遅れてくることも予測して、一つはボタンを残しておくべきでしょう!」

幸子「これには流石の慈悲深いボクでも彼を許すことはできませんでした…!」

幸子「まぁ、でも…」

幸子「憧れというだけで、恋愛感情そのものでは無かったので今となってはどうでもいい思い出はありますが…」

P「…一つ聞いて良いか?」

幸子「なんです?」

P「そもそも、その先輩と幸子は面識あったのか?」

幸子「もちろんありません!」

幸子「でも、ボクが認識してあげてるんだから向こうもカワイイボクのことを認識していて当然でしょう!?」

P「……」

P「(幸子も全くブレてないな…)」

P「(さて、この幸子にとっての苦い思い出…)」

P「(妄想でなら甘い思い出に変えてやることも出来そうな…)」

29: 2016/03/06(日) 10:39:30.25 ID:OqI77wkGo
P『(卒業式も終わっちゃったな…)』

P『(あとは仲良かった奴と適当に話して帰るだけか…)』

P『……』

P『(なんだか少し虚しい気もするが…)』

P『(中学の卒業式なんてこんなもんだろう…)』

P『(そもそも中高一貫校だし、卒業したところで大きな変化があるわけでも…)』

ちひろ『あ、あのっ…!』

P『…んっ?』

ちひろ『……』

P『……』

P『(誰だ、この可愛い女の子は!?)』

30: 2016/03/06(日) 10:40:20.90 ID:OqI77wkGo
ちひろ『その…私のことなんか知らないと思うんですけど…』

ちひろ『私、ずっと先輩のことを見てましたっ!』

P『(俺か?俺に話しかけてるのか!?)』

ちひろ『良かったら制服のボタン、貰っても良いですか…?』

P『……』

ちひろ『…ダメですか?』

P『…俺ので良いなら、全部あげるよ』

ちひろ『ええっ!?』

P『(こんな可愛い子にボタンをねだられるなんて…)』

P『(俺の中学3年間…無駄じゃなかったんだ…)』

ちひろ『5つ全部なんて、そんな…!』

ちひろ『4つも貰えたら、もう十分ですっ!』

P『(意外とがめついな…)』

31: 2016/03/06(日) 10:41:19.03 ID:OqI77wkGo
ちひろ『…ありがとうございました♪』

ちひろ『高等部でも頑張ってくださいね!』

ちひろ『私、先輩のこと応援してますからっ!』

P『うん、ありがとう』

ちひろ『それじゃあ、私…そろそろ行かないと…』

P『そっか…じゃあ、またいつか』

ちひろ『はい♪またいつか…!』

ちひろ『失礼しますっ!』タッ…

P『……』

P『(…あれ?)』

P『(そういえば俺、あの子の連絡先って聞いて無くね?)』

P『(そもそも名前すら…)』

P『……』

P『(おいこれ、俺の人生を大きく切なく変えてるんじゃないのか!?)』

32: 2016/03/06(日) 10:42:26.47 ID:OqI77wkGo
P『(くそっ…!今ならまだ間に合うか…!?)』

幸子『はぁはぁ…!』

P『(でも、中高一貫校だしまた偶然会うことも…)』

幸子『あ、あのっ…!』

P『……』

P『えっ?俺?』

幸子『そ、そうです…!』

幸子『そこの呆けた顔をしている、あなたですっ…!』

P『……』

幸子『……』

P『(誰だ、この若干生意気だけどカワイイ外ハネの女の子は!?)』

33: 2016/03/06(日) 10:43:35.61 ID:OqI77wkGo
幸子『そ、その…当然まだ残ってますよね!?』

P『の、残ってるってなにが…?』

幸子『可哀想なのでボクが全部…!』

幸子『……あっ』

P『ど、どうした?』

幸子『ボタン…全部無くなって…』

P『えっ?』

P『…あ』

P『(そういや、さっきの子に全部あげるつもりだったから…)』

幸子『そ、そんな…ボク、せっかく急いで…』

P『…えっとさ?』

幸子『ぐすっ…な、なんです…?』

幸子『慰めの言葉なんて…』

P『俺の勘違いだったらホントに申し訳ない』

P『ボタン…1つだけ残ってるんだけど…』

幸子『えっ…』

34: 2016/03/06(日) 10:44:29.01 ID:OqI77wkGo
幸子『こ、これ…ボクの為に…?』

P『あー…なんていうかその…』

P『もし良かったら貰ってやってくれないかな…?』

幸子『先輩が、ボクの為に…』

幸子『…うれしいです』ギュッ…!

P『……』

P『(なんか凄い喜んでくれてるし、これはこれで…)』

幸子『……』

幸子『…ふ、フフーン!』

幸子『先輩もやり方が回りくどいですね!』

幸子『こんなサプライズで、カワイイボクが動揺するとでも思いましたかっ!!』

P『……』

P『(いや、そもそもお前は誰なんだ)』

35: 2016/03/06(日) 10:46:01.23 ID:OqI77wkGo
幸子『でも、気持ちはわからなくはありません!』

幸子『相手はこんなにもカワイイボクなんですから…』

幸子『やっぱり愛の告白の仕方も、それ相応のものにしたいと思うのが当たり前でしょう!』

幸子『その気持ちも評価に入れて…今回は及第点ってところですかね♪』

P『……』

P『(どうしよう…)』

P『(思ってたよりも、ずっと中身が濃い女の子だった…)』

P『(なんか今更、キミは誰?とか聞けない空気に…)』

幸子『ところで先輩?』

P『は、はい?』

幸子『先輩は今日この瞬間からボクだけの先輩なんですから…』

幸子『高等部に行っても、ちゃんと週に8日はボクの顔を見に来てください!…ねっ♪』

P『……』

P『(まぁ、これだけ中身の濃いカワイイ子なら…)』

P『(そのうち名前もわかるだろう…カワイイし…)』

36: 2016/03/06(日) 10:47:19.85 ID:OqI77wkGo
P「……」

P「(こんなところだろうか…)」

P「(面識が無い状態から、いきなりハッピーエンドに持っていくって難しいな…)」

P「(まぁ、多少強引だけど良いだろう…幸子だし…)」

P「……」

P「…あれ?」

P「(その幸子の姿が見当たらない…)」

P「(…む。俺のデスクに書置きが)」

『門限が近いので帰ります。声をかけてあげたのに無視されて頭にきたんですが、書置きを残して帰るボクってやっぱりカワイくて優しいですよね! 幸子』

P「ぬお!?」

P「(人がせっかく綺麗な思い出に塗り替えてやったのに、あいつ帰りやがったぞ!)」

P「……」

P「(俺も帰って酒でも飲みに行こうかな…)」

P「(この時間なら、まだ誰か捕まるだろうし…)」

37: 2016/03/06(日) 10:48:31.31 ID:OqI77wkGo
幸子編おしまい

次の楓さん編まで今しばらくお待ちを

38: 2016/03/06(日) 10:53:11.65 ID:rEB+dxAdO
幸子ww
甘々な展開かと思ったらさすが芸人気質ww

39: 2016/03/06(日) 12:31:13.67 ID:SLbVbkoNo
やはり幸子には涙目が似合うな…

引用: モバP「卒業式の思い出」