41: ◆8AdAXy0jTvVn 2016/03/07(月) 04:33:01.08 ID:VmvMQe8po

前回:モバP「卒業式の思い出」幸子編

P「―――それじゃあ…乾杯」

楓「はい、乾杯です…♪」

楓「…うふふっ」

P「ん?どうしました?」

楓「あ、その…」

楓「こうしてプロデューサーに飲みに誘っていただくなんて久しぶりですから…」

楓「嬉しい気持ちで心がいっぱいで…」

P「あー…確かに俺の方から誘うのって久々かもしれませんね」

楓「急にどうしたんですか?熱燗で、きゅうっとしたくなりました?」

P「んー…確かに飲みたい気分ではあったんですが」

P「どうせなら誰かと一緒に飲みたいなって思って」

P「そんな時に真っ先に思い浮かんだのが楓さんでした」

楓「……」

楓「そういう台詞を不意に言うのはずるいです…」

楓「…キザですよ♪」

P「(意識して言ったわけじゃないんだけど…そういうものなのかな…?)」
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42: 2016/03/07(月) 04:35:33.67 ID:VmvMQe8po
楓「でも、本当に嬉しいです」

楓「お仕事が忙しくなってからは、もう全然誘ってもらえてませんでしたから」

P「まぁ…仕事以外じゃなかなか二人きりっていう状況が作れませんからね」

楓「私、適度に構ってくれないと拗ねちゃいますよ?」

P「拗ねちゃうんですか?」

楓「はい…ぷくーっってなっちゃいます」

P「……」

P「(一々可愛いなこの人は…)」

P「じゃあ今日は楓さんが今後拗ねたりしないように、飲んで語り明かしましょうか?」

楓「…はい♪」

楓「今夜はもう…帰しませんからね?」

43: 2016/03/07(月) 04:36:26.46 ID:VmvMQe8po
楓「でも、本当に二人きりなんて久しぶり…」

楓「話したいことはたくさんあるはずなのに…」

楓「いざ話そうと思うと何から話せば良いかわからなくなっちゃいますね…」

P「それならまず、俺の方から楓さんに質問が」

楓「あ、是非。そういう風に話題を提供していただけた方が嬉しいです」

楓「私、なんでも答えます」

P「まぁ、楓さんにとっては少し前の話題になるんですが…」

楓「…?」

P「学生時代の楓さんってどんな感じだったのかなーって」

楓「学生時代の私…ですか?」

P「ほら、もう卒業式や入学式の季節じゃないですか」

P「そういったイベントでの思い出話とかあったら聞いてみたいなーなんて思ったんですけど…」

楓「卒業式…」

44: 2016/03/07(月) 04:37:17.55 ID:VmvMQe8po
楓「……」

P「…あ、もちろん話したくなければ無理に話してもらわなくても」

楓「…あっ、ごめんなさい」

楓「ちょっと思い出していたら…浸ってしまって…」

楓「話しづらいとか、そういうわけでは無いですよ?」

P「そうですか…?」

楓「はい」

楓「むしろプロデューサーには聞いていただきたいです」

楓「こういう私がいたんだ…ってことを」

楓「今となっては、良い思い出の一つですから…」

P「じゃあ…聞かせてもらっても良いですか…?」

楓「はいっ」

45: 2016/03/07(月) 04:38:17.04 ID:VmvMQe8po
楓「プロデューサーも知っていると思いますけど、昔の私は自分を伝えることが苦手で…」

楓「高校時代の時も、そうだったんです」

楓「最初はみんな、私の瞳の色とかに興味を持って近づいてきてくれるんですが…」

楓「それに対して、私は上手に受け答えをすることが出来なくて…」

楓「そしてただでさえ、ボーっと考え事をしてしまうことも多いから…」

楓「気づいたら私はクラスでは浮いた存在…一人ぼっちになっていました」

P「……」

楓「それでも良かったんです」

楓「私は、一人で静かに考え事とかをしてるのが好きでしたから」

P「(楓さん…)」

楓「でも、高校3年生になった時に少し変化があったんです」

46: 2016/03/07(月) 04:40:14.16 ID:VmvMQe8po
楓「3年生の時の担任の先生は今まで私が出会ってきた人とは少し違いました」

楓「当時は30代そこらだったかしら…?そこまではもう覚えていませんけど…」

楓「話し下手で、いつもボーっとしていて何を考えているのかわからない私…」

楓「だけど、彼はそんな私をイヤにならないでいつも笑顔で話しかけてきてくれました」

楓「最初は私の瞳の色に興味津々なだけな人なのかなって思っていたんですが…」

楓「彼の笑顔や話し方に触れているうちに…」

楓「ああ、この人は私の外見だけじゃなく内面も見て接してくれているんだ」

楓「私は、初めてそういう風に考えることが出来ました」

楓「少しづつでしたが、彼に対しては私も伝えたいことを伝えることが出来ていたと思います」

楓「彼に気持ちを伝えることが楽しくて…嬉しかったんです…」

P「…良い先生だったんですね」

楓「…はい」

47: 2016/03/07(月) 04:41:24.10 ID:VmvMQe8po
楓「そして…いつしか私は、彼のことを好きになってしまいました」

楓「ふふっ…今思い出してみると私の初恋でしたね」

楓「好きだって気持ちもそうですが、何よりも感謝の気持ちを伝えたい…」

楓「そう考えた私は、卒業式が終わったあとに彼に告白をしようと決めたんです」

楓「結果は…可も無く不可も無くって感じでしたけどね」

P「可も無く不可も無く…?」

楓「ありがとうは言えたけど…好きだって気持ちは伝えられませんでした…」

楓「だって彼にはもう、奥さんもお子さんもいたんですから…」

P「あ…」

楓「だけど、これだけははっきりと言えます」

楓「彼を好きになったこと…今も後悔はしていません」

P「楓さん…」

楓「…はい。これで私の学生時代のお話はおしまいです」

P「……」

P「(もしも…)」

P「(もしも、その先生に奥さんもお子さんもいなかったのなら…)」

48: 2016/03/07(月) 04:42:22.46 ID:VmvMQe8po
P『……』

P『(卒業式も、最後のHRも終わっちゃったな…)』

P『(何度か経験はしているが…)』

P『この最後のHRの後の、もぬけの殻になった教室っていうのは未だに慣れないもんだ…)』

P『(けど、4月になればまた新入生たちで賑やかになる)』

P『(感傷にふけてないで気持ちの切り替えをしていかないとな…)』

P『(さて、俺もそろそろ帰るかな…)』

ガラッ…

P『…ん?』

楓『……』

楓『…先生』

P『高垣?』

49: 2016/03/07(月) 04:43:15.92 ID:VmvMQe8po
P『どうしたんだ、高垣?』

P『何か忘れ物でもしたのか?』

楓『忘れ物…』

楓『…そうかも、しれませんね』

P『?』

楓『高校生活の最後の思い出を…』

楓『私は、取りに戻ってきたのかもしれません』

楓『その思い出を忘れたままだと…』

楓『きっと私はこれからも、先生と出会う前の私になってしまうから…』

P『それって…』

楓『だから、先生…』

楓『私の忘れ物探しに、少しだけ付き合ってもらっても大丈夫ですか?』

P『…うん。わかった』

楓『…ありがとうございます』

50: 2016/03/07(月) 04:44:11.08 ID:VmvMQe8po
楓『まず、思い出と言っても…』

楓『私の高校生活の思い出は…全部あなたとの1年間でした』

P『……』

楓『誰とも打ち解けられなくて、一人だった私に…』

楓『先生はこの1年間…いつも私に話しかけてきてくれましたよね』

楓『私が伝えたいことを上手く伝えられない時もイヤにならないで…』

楓『ずっと…聞いていてくれました』

楓『本当に嬉しかったです』

楓『だから…ありがとう、先生』

楓『私、先生のクラスの生徒になれて良かった…』

P『高垣…』

51: 2016/03/07(月) 04:45:12.01 ID:VmvMQe8po
P『…いや、お礼を言うのは俺も同じさ』

P『高垣との会話はいつも楽しかったよ』

P『確かにボーっとしていて、何を考えているのかわからない時もあったけど』

P『ちゃんと話してみると、結構ユニークな子で…』

P『そして、とってもいい子なんだなっていうことが伝わったよ』

P『だから俺にとっても、高垣がいた1年間はかけがえのない思い出だったよ』

P『こちらこそありがとな』

楓『先生…』

楓『……』

楓『う…くっ…』

楓『…ひ、ぐっ』

P『…よしよし』ぽんぽん…

52: 2016/03/07(月) 04:46:16.94 ID:VmvMQe8po
P『頑張ったな、高垣…』

P『最後はちゃんと伝えたいことしっかり伝えられたじゃないか』

P『これで胸を張って、次のステージに進めるな』

楓『うぅ…っ』

楓『……』

楓『…い、いえ』

P『…ん?』

楓『私にはまだ…もう一つだけ伝えたいことがあるんです…』

P『そうなのか?』

楓『はい…』

楓『聞いて、くれますか…?』

P『あぁ、もちろん』

P『なんでも言ってくれよ』

楓『……』

53: 2016/03/07(月) 04:47:46.55 ID:VmvMQe8po
楓『じゃあ…今日だけは…』

楓『今日、この日だけは』

楓『私、少しだけ大胆になっちゃいますからね?』

P『お、おう…?』

楓『私…』

楓『私は…あなたのことが好きです』

P『…!』

P『高垣…それは…』

楓『年上への憧れとかじゃ、ありません』

楓『私の人生を変えてくれた大切な異性として…』

楓『あなたのことが、好きです』

P『……』

P『そうか…』

54: 2016/03/07(月) 04:48:54.04 ID:VmvMQe8po
P『…これからは会える時間はグッと減るぞ?』

楓『我慢します』

P『俺、もう結構いい歳だぞ?』

楓『年齢は関係ないです』

P『これからの人生、まだまだ色んな人と出会うと思うぞ?』

楓『あなたがいないと意味がありません』

P『俺、若い生徒に浮気とかするかもしれないぞ?』

楓『めっ』

P『……』

楓『……』

P『…うん、なら俺の負けだ』

楓『…!』

55: 2016/03/07(月) 04:50:23.61 ID:VmvMQe8po
楓『それじゃあ…?』

P『高垣のいない教室…』

P『俺を呼ぶ高垣の声…』

P『もう…それともお別れだなって思った時に俺も気づいたんだ』

P『ああ…俺は高垣のことが一人の女の子として好きだったんだなって』

楓『先生…!』

P『んー…』

P『これからは、そういう呼び方じゃなくなるのかもしれないな?』

楓『えっ?』

P『…楓』

楓『…!』

楓『はいっ…』

楓『Pさん♪』

56: 2016/03/07(月) 04:51:24.83 ID:VmvMQe8po
P「……」

P「(こんなところだろうか…)」

P「(楓さんを呼び捨てにする俺に思わず嫉妬してしまうな…)」

P「(まぁ、妄想での話だから良いか…)」

P「(…ん?なにか視線を感じる…)」

楓「じーっ」

P「ぬお!?」

P「(俺が全力で妄想してたら、この人は全力で俺を見つめてたぞ!?)」

P「か、楓さん…?」

楓「はい?」

P「なんでそんなに俺のことを見つめてるんですか…?」

楓「あ、えっと…」

57: 2016/03/07(月) 04:52:44.69 ID:VmvMQe8po
楓「何か考え事をしていたみたいだったので…」

楓「ジャマしちゃいけないと思って、見つめていました」

P「……」

楓「うふふっ」

楓「とっても真面目な顔で…ステキでしたよ?」

P「……」

楓「…プロデューサー?」

P「(あぁ…これはヤバい…)」

P「(妄想も相まって本気で楓さんに惚れそうだ…)」

P「(初恋の人も罪深いよな…いや妻子持ちなら仕方ないんだけどさ…)」

楓「……」

楓「(私は後悔していません)」

楓「(高校時代、先生のことを好きになれたからこそ…)」

楓「(今、私の目の前にいる大切な人のことを好きになれた…)」

楓「(そう思えるから…)」

58: 2016/03/07(月) 04:53:41.19 ID:VmvMQe8po
楓さん編おしまい

次回ユッキ編はまた後日に
今しばらくお待ちください

59: 2016/03/07(月) 05:14:20.86 ID:vL43C5Va0
あぁ〜^良いっすね〜^

引用: モバP「卒業式の思い出」