1: 2014/11/08(土) 23:32:02 ID:hXcuDfuk0
>>63話バレあり

ヒストリア「今更、何? あなたはもう必要ないの」

クリスタ「うん。だから最後に、話をしたくて」

ヒストリア「……」

クリスタ「ここなら誰もいないし、いいでしょ?」

ヒストリア「…勝手にすれば」

クリスタ「ありがとう」
進撃の巨人マガジン15周年号 (週刊少年マガジンコミックス)
2: 2014/11/08(土) 23:32:34 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「色々、あったね」

ヒストリア「……」

クリスタ「私ね、たくさん『いいこと』をしようとしてきたの。あなたなら知ってるよね」

クリスタ「でも…結局、彼には何一つしてあげることができなかった」

3: 2014/11/08(土) 23:33:17 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「私、訓練兵の中じゃ背が低かったから、ちょっと憧れてたんだ」

クリスタ「成績だっていつも上位にいて、すごいなって」

クリスタ「あまり話す方ではなかったけど、真面目だし、お願いしたら手伝ってくれる優しさもあって」

クリスタ「それでいて、誰にも頼ろうとしない。一人を除いてだけど。とにかく自分で何でもやっちゃうの」

4: 2014/11/08(土) 23:33:38 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「だからね、ちょっとだけ…彼に、親近感っていうのかな、感じちゃって」

クリスタ「色々、話そうとしたの。彼のこと知りたくて、でも…」

クリスタ「彼は決して、心を開いてくれなかった。話はしてくれるんだけど」

クリスタ「…私には、出来なかった」

5: 2014/11/08(土) 23:33:56 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「他の人と一緒に誘ったりしたんだけど、それも迷惑だったみたい」

クリスタ「ライナーは喜んでくれてたんだけどな…」

クリスタ「でもそうだよね、親友が自分のこと放って他人と話してたら、あまりいい気分じゃないよね」

クリスタ「だから彼だけ誘ったこともあったの。でも…なんていうのかな、言葉にはしなかったけど、困ってたというか、やっぱり迷惑だったみたい」

6: 2014/11/08(土) 23:34:13 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「彼のこと何か助けてあげたいなって思うようになって」

クリスタ「観察してたら、わかったの。彼、アニのこと気になるんだって」

クリスタ「口下手で奥手なんだって、勝手に解釈して。アニに話しかけた時に彼を呼んだりして」

クリスタ「頑張ったんだけど、いっこうに進展ないから2人きりになった時に聞いたの」

7: 2014/11/08(土) 23:34:32 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「『アニのこと好きなの?』って」

クリスタ「そしたら彼、違うって言うのよ。だから無理に場を作ろうとしないでくれって」

クリスタ「うん、バレてたみたい。でも気にはしてると思ったんだけど」

クリスタ「そりゃ話せないよね。実は一緒に壁を壊した仲間なんです、だなんて」

8: 2014/11/08(土) 23:34:57 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「やることなすこと、どれも迷惑がられちゃって。結局何もしてあげられなかった」

クリスタ「うん…」

クリスタ「だから」

クリスタ「ユミルは、私のかわりに、いいことしてくれてるの」

9: 2014/11/08(土) 23:35:20 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「私にできなかったことを、してくれてるの。お節介だから、ユミルって」

クリスタ「だから…だから、私を、棄てたわけじゃないんだよ。ユミルは、私のかわりに」

ヒストリア「やめてよ!」

ヒストリア「あんたの言い訳なんか聞きたくない! ユミルは! 私を置いてった! 私のかわりになんかじゃない!」

ヒストリア「ベルトルトは壁を壊した悪い人じゃない。そんな人を助ける? 馬鹿みたい」

10: 2014/11/08(土) 23:35:39 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「でも、巨人にもいいところはあるって、ユミルが、だからユミルは、」

ヒストリア「馬鹿よ、あなたは。人はすぐ裏切るものよ。あなたも私なら知ってるでしょう?」

クリスタ「……」

ヒストリア「私を救おうとしてるの? 最後まで、いいことしようとしてる? …馬鹿みたい。あなたはおとぎ話のクリスタ、作られた幻想よ」

クリスタ「……」

11: 2014/11/08(土) 23:36:01 ID:hXcuDfuk0
ヒストリア「消えて」

クリスタ「…ごめんね」

ヒストリア「もう来ないで」

クリスタ「…ごめん」

12: 2014/11/08(土) 23:36:25 ID:hXcuDfuk0
ヒストリア「……」

ヒストリア「ユミル、どうして?」

ヒストリア「どうしてあんなやつ助けようとしたの? 私なんかより、大切だって言うの?」

ヒストリア「馬鹿ユミル。一緒に生きようって言ったのに」

13: 2014/11/08(土) 23:36:57 ID:hXcuDfuk0
ヒストリア「返してよ…私、あなたのこと救えなかったけど、だからってユミルを奪わなくてもいいじゃない」

ヒストリア「一人にしないで。返してよ、ユミルを。返してよ…」

─────

───


14: 2014/11/08(土) 23:37:33 ID:hXcuDfuk0
アルミン「…ヒストリアは?」

ミカサ「屋根裏で見張り。今は…そっとしといてあげよう」

コニー「けどよ、なんでユミルは向こうに行ったんだ?」

アルミン「僕らは知らないことを、ユミルは知ってたんだろうね」

15: 2014/11/08(土) 23:37:51 ID:hXcuDfuk0
コニー「知らないこと?」

アルミン「ユミルとライナーたちは、仲間ではなかった。でも巨人同士として何か思うことはあったんだと思う」

コニー「うーん…でもよ、あいつがクリスタを置いてくってよっぽどだぞ」

アルミン「ヒストリアだよ、コニー。でも…そうだね、僕らはまだ何も知らなすぎる」

16: 2014/11/08(土) 23:38:16 ID:hXcuDfuk0
アルミン(そう…知らなすぎるんだ。彼らのことも、この世界のことも)

アルミン(ユミル、君はどうしてあちら側についたの)

アルミン(今の僕らがやろうとしていることが、間違いだというのだろうか)

アルミン(いや、本当に間違いだったならユミルは彼らを見捨てたはずだ)

17: 2014/11/08(土) 23:38:40 ID:hXcuDfuk0
アルミン(間違いではない、けれども正解だとも言えない、か)

アルミン(もしユミルが、僕らのことを信じて託してくれているのだとすれば)

アルミン(きっと近いうちに再会するとこになる。その時僕らは…)

アルミン(何を知り、何を選択しているだろう)

18: 2014/11/08(土) 23:43:39 ID:hXcuDfuk0
―――――

―――



ヒストリア「何で…今まで忘れてたんだろう…」

ヒストリア「私は一人じゃなかった…私には…あのお姉さんがいた」

19: 2014/11/08(土) 23:44:02 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「こんばんは、ヒストリア」

ヒストリア「来ないでって言ったじゃない」

クリスタ「……」

ヒストリア「私にはあのお姉さんがいた。でも、氏んでしまった」

ヒストリア「殺されて、しまった」

20: 2014/11/08(土) 23:44:22 ID:hXcuDfuk0
クリスタ「…ねぇ、ヒストリア」

ヒストリア「なによ」

クリスタ「ユミルのことは、忘れてしまうの?」

ヒストリア「知らない。もう、知らないの」

21: 2014/11/08(土) 23:51:57 ID:hXcuDfuk0
―――

ロッド「フリーダの記憶はまだ生きている。姉さんに会いたいか?」

ヒストリア「…うん。会いたい」

クリスタ「…ヒストリア。可哀想なヒストリア」

クリスタ「あなたは何も知らなさすぎる」

クリスタ「お願い、誰か…彼女を、助けて」

22: 2014/11/08(土) 23:52:27 ID:hXcuDfuk0
→64話へ続く( ゚Д゚)オワル
特に意味のない小話。クリスタがまだ生きてるといいなぁ。

23: 2014/11/09(日) 00:35:39 ID:1lZa.a.w0

面白かった

しかし、ヒストリアってエレンを食べちゃいそう(食べさせられそう)だよね
別に巨人を用意してるかと思ってたから、ちょっと驚いた

引用: クリスタ「こんばんは、ヒストリア」