42: ◆6osdZ663So 2014/02/03(月) 15:36:32.81 ID:A62o/6tRo
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです
前回はコチラ
新スレなので、一応登場アイドル紹介的な
小日向美穂 … アイドルヒーローを目指す女子高生。持ってる刀を抜くとヒーロー「ひなたん星人」になる。
藤原肇 … 鬼の刀匠の孫娘。おじいちゃんの刀を配る為に人里にやってきた。小日向家に居候中。
では、投下ー
43: 2014/02/03(月) 15:37:07.01 ID:A62o/6tRo
2月某日
美穂「うぅ……まだ外は寒いね」
肇「ええ、今日は早くお家に帰りましょう」
肇「身体を冷やして風邪をひいてしまってはいけませんから」
美穂「そうだね、プロデューサーくんも待ってるだろうし」
美穂「急いでお家に帰ってお風呂に入って……その後はこたつで温まりながらみかん食べたいな」
肇「ふふっ、美穂さん途中から願望になってますよ」
美穂「えへへっ」
イワッシャー
肇「っ!?!」 バッ
美穂「?」
美穂「どうしたの、肇ちゃん?」
肇「い、いえその……アレが……」
美穂「?」
鰯頭「……イワッシャー」
美穂「えっとイワッシャー…じゃなくって柊鰯かな?」
美穂「そっか。今日は2月3日、節分だから飾ってるお宅もあるんだね」
美穂「あっ……」
肇「……」
美穂(もしかすると……今日は肇ちゃんにとって大変な日なのかも)
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
~中略~
「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
44: 2014/02/03(月) 15:38:10.96 ID:A62o/6tRo
鬼はーそとー! パラパラー
福はーうちー! パラパラー
美穂(節分…)
美穂(一般的には、季節の変わり目に生じる鬼を払うために、)
美穂(炒り豆を撒いたり食べたりする日本特有の行事です)
肇「毎年の事ではあるのですが……」
肇「鬼の血を引く私にとっては、恐ろしい風習ですね」
美穂「肇ちゃんも、やっぱりお豆苦手なのかな?」
肇「普通のお豆ならそんな事はないのですが」
肇「鬼を払うと言う思いの込められた物は……ちょっと痛いですね」
美穂「意外な弱点」
肇「何より心が傷つきます……」 ションボリ
美穂「うん、それは誰だってそうなんだろうけど……(狙って豆を投げつけられたら)」
肇「とにかく今日はいつも以上に、お外では角を隠すよう気をつけないといけませんね」
美穂「あっ、そうだよね」
美穂(……鬼の刀匠の孫娘である肇ちゃんの頭には、小さくて可愛い2本の鬼の角が生えています)
美穂(しかし、本人はそれを親しい人以外にはあまり見せようとしません)
美穂(以前、その理由を聞いてみたことがあります)
45: 2014/02/03(月) 15:39:02.42 ID:A62o/6tRo
――
――
回想
美穂「そう言えば、肇ちゃん。ほとんどいつも頭に手拭いを巻いてるよね」
肇「はい。……似合いませんか?」
美穂「ううん、似合ってるよ。可愛い花柄だし、肇ちゃんらしくていいと思う」
肇「ふふっ、ありがとうございます」
美穂「でもそれをつけてると、トレードマークの角が見えなくなっちゃわないかなって」
肇「そうですね。ですが、それでいいんです。これは角を隠すために巻いていますから」
肇「人の世に余計な混乱を持ち込まないためにも、”人と違う事をかくすために”です」
美穂「あっ、やっぱりそうだったんだ」
美穂「そうじゃないかなとは、なんとなく思ってたけど……うーん」
肇「……?美穂さん?」
美穂「あっ……えっとね、そこまでして隠さなくても平気じゃないかなって思って…」
美穂「回りを見たら、もっと変わってる…って言っちゃったら失礼だけど」
美穂「ちょっと人とは違った個性を持ってる人達も大勢いるんだし」
美穂「……気を悪くしちゃったらごめんね?」
肇「いえ、構いませんよ。美穂さんが言う事もよくわかりますから」
46: 2014/02/03(月) 15:39:55.40 ID:A62o/6tRo
肇「”あの日”を境に人の世の中は大きく変わったと聞いています」
肇「”あの日”から世界は、異世の住人が平然と道を歩いていても不思議ではないものになりましたから」
肇「例えば魔法使いさんであったり、カラクリ仕掛けのロボットさんであったり、獣人さんであったり」
肇「ふふっ、今ではちょっと人と違っているくらいは全然当たり前ですね」
美穂「うん。だからきっと肇ちゃんも角を隠したりしなくても大丈夫じゃないかなって、私は思ったんだけど」
肇「ええ、もちろん。美穂さん達のように……私の角の事も受け入れてくれる人達がいるのもよくわかっています」
肇「ですが、それでもやっぱり私は”鬼”なんです」
美穂「……肇ちゃん?」
肇「美穂さんは、私の……”鬼の角”を見てどう思いますか?」
美穂「えっと……可愛いと思うな」
肇「そうです、人は”鬼の角”を見て”怖い”と言うイメージを……」
肇「えっ」
美穂「あれ?えっと、小さくって可愛い角だと私は思うけど」
肇「……あ、あのっ……え、えっとからかわないでください。恥ずかしいです…」
美穂(……どうやら角を褒められるのはウィークポイントのようです)
47: 2014/02/03(月) 15:40:52.36 ID:A62o/6tRo
肇「と、とにかくですね」
肇「猫の耳や天使の翼なんかとは違って、鬼の角は人によってはあまり良い印象を受けないものなんです」
美穂「うーん……そうなのかな?」
美穂「でも……確かに。ちょっと悲しいけど、一般的には”鬼”と言えば悪さをするってイメージがあるもんね」
美穂「肇ちゃんと出会ってからは、そうじゃないってわかったけれど」
肇「悲しいですが……きっと、そう思われることは仕方ないことなんです」
美穂「……肇ちゃん?」
肇「そうですね……せっかくだから話しておきたいと思います」
肇「”鬼”の事について」
肇「……美穂さん、”妖”と言う存在は人の畏怖から生まれます」
美穂「畏怖から?」
肇「はい。畏怖と言うのは……そうですね、例えるなら”暗闇の夜道が怖い”と言ったような気持ちなどですね」
肇「”暗闇”は怖い。とても人が及ばないもの」
肇「だってそこには、人知を超える”何か”が居る気がするから……」
肇「……そうして畏れる思いは信仰へと繋がって、やがて人々のイメージは形になります」
肇「そして産まれるのが、”妖”なんです」
肇「……人が恐れを抱く対象は様々です」
肇「獣に対してであったり、炎に対してであったり、人形に対してであったり……」
肇「学校の階段に対してであったり、夜道の公衆電話に対してであったり、ビデオテープに対してであったり……」
肇「今も昔も、自然も文明も関わらず人は何にでも恐れを抱きます」
肇「だから、私たちの国には様々の種類の妖が存在しているんです」
美穂「そうだったんだ……なんだか関心しちゃうお話だね」
48: 2014/02/03(月) 15:42:05.27 ID:A62o/6tRo
美穂「でも、と言うことは……”妖”の一種である”鬼”も何かに対する畏怖から生まれたって事なのかな?」
肇「はい、その通りです。ずばり言ってしまいますと、」
肇「”鬼”は、”人の心、人の精神”に対する畏怖から生まれます」
美穂「……人の心に対する畏怖」
肇「人の思い、人の考え方、人の精神、それらが”とても人とは思えないものだ”と恐れを抱かれたとき、」
肇「そこに”鬼”が生まれるんです」
美穂「えっと……人の思いなのに、それが人とは思えないの?」
肇「そうですね。こう言うと、なんとなく変な話に聞こえるかもしれませんが」
肇「でも世の中では、普通にありえる事なんですよ」
肇「例えば、人を人と思わぬような残酷な行いをする人の事を」
肇「人は恐れて、”鬼畜”と呼んだりしますよね?」
美穂「あっ……そっか、なるほど」
美穂「残酷な事をしちゃうような心も人から生まれたものだけど……」
美穂「みんなそれを怖がるから……そこに鬼が生まれちゃうんだ」
肇「そう言うことです」
肇「もちろん、『残酷さ』ばかりが、恐れられる人の心と言う訳ではないのですけれどね」
肇「例えば、私のおじいちゃんは『刀に対する頑固なまでの情熱』を畏れられて鬼になったと聞いていますから」
49: 2014/02/03(月) 15:43:14.27 ID:A62o/6tRo
肇「ですが、多くの場合は人に畏れられるほどの思いは負に偏っています」
肇「結局のところ……”鬼”は”人から外れている者”の事ですから」
肇「”人から外れている者”には、人の常識がわかりません」
肇「だから人の常識に反した行いをする、つまり悪さをする……」
肇「こう言う訳ですから……鬼に対して、負のイメージが定着してしまうのも仕方ないことなんです」
美穂「……肇ちゃん」
美穂「ごめんね、えっと……辛い話をさせちゃって」
肇「いえ、美穂さんが謝るようなことではありませんよ」
肇「大切な事ですから、話しておく機会ができてよかったです」
美穂「……あのね、肇ちゃん」
美穂「私は、少なくとも肇ちゃんの事を”怖い”とは思わないからね?」
肇「……ふふっ、ありがとうございます」
肇「私は大丈夫です。美穂さんの様に、受け入れてくれる人もちゃんと居るのがわかっていますから」
美穂「……うんっ」
50: 2014/02/03(月) 15:44:17.39 ID:A62o/6tRo
――
――
美穂(以上が、回想です)
美穂(人から外れた人の思いから生まれる物、それが鬼)
美穂(獣人や天使が受け入れられる世の中になっても)
美穂(人から外れた存在であるところの鬼の事を、人はなかなか受け入れにくいのかもしれません)
美穂(だから肇ちゃんは、角を隠します)
美穂(……でもそれは寂しいな、せっかく可愛い角なのに)
鬼はーそとー! パラパラー
福はーうちー! パラパラー
肇「……」
美穂(うん……肇ちゃんの立場からしたら、これは堪えるよね……)
美穂(今年は、お家では豆まき無しかな?)
美穂(……)
美穂(でも……本当にそれが一番いいことなのかな……?)
51: 2014/02/03(月) 15:45:04.84 ID:A62o/6tRo
――
美穂「ただいまー」
肇「ただいま帰りました」
美穂母「おかえりー」
美穂母「早速だけど、美穂。肇ちゃん。」
美穂母「豆まきするわよ!」
肇「……えっ」
美穂「お母さん!?」
52: 2014/02/03(月) 15:45:31.29 ID:A62o/6tRo
母「大切な行事だから、ちゃんとやっておかないとね!」
母「今年も無病息災、家族の幸せを願ってね♪」
母「ほら、福豆。美穂も肇ちゃんもこれ持って」
母「プロデューサーくんはもう豆を撒く準備できてるわよ」
Pくん「もぐもぐ」
美穂「えっ、もう食べてるみたいだけど……」
美穂「ダメだよ、プロデューサーくん。豆を食べる数は年の数だけ……」
美穂「じゃなくって!お母さん、肇ちゃんは……」
母「肇ちゃんは福豆触れる?無理なら手袋があるけれど」
肇「えっ……えっと触るだけなら問題ありませんが……」
母「そう!じゃあ大丈夫ね!」
母「あ、そうそう。豆を撒くときの掛け声だけど、今年はこう」
母「福は内ー!鬼も内ー!」
美穂「!!」
肇「!!」
53: 2014/02/03(月) 15:46:39.48 ID:A62o/6tRo
美穂「お母さん……」
母「……うふふっ、私も今年は豆撒きするかどうか迷ったんだけどね」
母「やっぱり毎年の家族の行事を疎かにするわけにもいかないでしょ」
母「今年は家族も増えたんだから」
肇「家族……」
母「預かってる形だけど、この家に居るなら肇ちゃんも家族です」
母「だったら仲間はずれになんて出来ないでしょ?」
母「『福は内、鬼も内』、調べたらこう言う節分の掛け声もあるそうじゃない」
母「これなら、鬼の血を引く肇ちゃんも一緒にできるわよね?」
肇「は、はいっ!そのっ、ありがとうございます!」
美穂(仲間はずれにせず、一緒に……そうですその手がありました)
美穂「ふふっ、肇ちゃんっ!」
肇「美穂さん!豆撒き、一緒にやりましょう!」
美穂「うんっ!やろう、一緒に!」
美穂(人から外れた人の思いから生まれた存在、”鬼”)
美穂(受け入れる事は、なかなか出来ないのかもしれません)
美穂(ですが互いに寄り合う気持ちがあれば、)
美穂(共に大切な日々を過ごす事は、きっと難しい事ではないはずです)
福は内、鬼も内。
おしまい
54: 2014/02/03(月) 15:47:41.62 ID:A62o/6tRo
美穂「……」
肇「……」
Pくん「……」
美穂「……」
肇「……」
Pくん「……」
美穂「……」 もぐもぐ
肇「……」 もぐもぐ
Pくん「……」 もぐもぐ
美穂(ちなみに本日の夕飯は恵方巻でした)
美穂(今年の恵方は東北東よりやや右です)
おしまい
55: 2014/02/03(月) 15:48:10.72 ID:A62o/6tRo
鬼
我が国に昔から語り継がれる、人知を超える異端の者達。
多種居る妖怪の中でも、すこぶる力強く、人型である者が多い。
多くの妖は、天や自然や文明に対する畏怖を根源にするのに対して、
鬼は、人間の思いや精神に対する畏怖がその存在の根幹であると言われる。
そのため、常に人の隣に居て、人を脅かし、人を守ってきた。
人が鬼に変異する例も多く、神になろうとして失敗した者の成れの果てであったり、
多くの民から呪われたために、呪いに身を包まれて変質した人間であったり、
ただ悪事や禁忌とされる行いを働き続けた結果、いつの間にか姿かたちが変質して鬼になったものもいる。
このように畏怖されるほどの人間の感情と言うのは、多くの場合は負の感情であり、
そのため鬼達も負の存在に近く、負の力の扱いに長けている。
神の領域に近づくため、自ら鬼となった変わった者達も居たとか
と言う訳で、節分と鬼のお話でした。
負のエネルギーを扱える鬼は、カースドヒューマンに近い存在であったりするのかなと思います。
56: 2014/02/03(月) 16:17:49.07 ID:A0aXZgut0
乙です
そりゃこんな鬼なら内に招くよね
鬼になった人間もいる…ふむふむ
そりゃこんな鬼なら内に招くよね
鬼になった人間もいる…ふむふむ
【次回に続く・・・】
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