706: ◆AZRIyTG9aM 2014/04/27(日) 00:42:22.46 ID:U/BegzaK0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ


学園祭二日目で投下します

707: 2014/04/27(日) 00:43:01.80 ID:U/BegzaK0
ーーー夢。そう。それは夢。

ーーー小さくなったことも。黒い影に追いかけられたことも。雪に埋れたことも。裸を見られたことも。全部…夢。

『ごめんなさい』

ーーーううん。夢じゃない。これは本当のことで、私が見てる夢は夢じゃない。

ーーーなんでか、知らないけどわかるよ?

ーーーだから、そんな顔しないで?

ーーー■■ちゃん…私…わかってるから……私は……………

ーーー

ーー

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



708: 2014/04/27(日) 00:44:22.35 ID:U/BegzaK0
「はぁ…はぁ…はぁ……」

脳裏に過る映像と思考に、学園祭で混雑する人混みの中、北条加蓮は息を絶え絶えにしながら、ベンチに座り込んでいた。

「……うん。少し思い出したかも…」

完全ではないが、彼女は思い出していた。

祟り場で起こったあの時のこと、毎晩夢でであった寂しがり屋の少女の事、夢で出会ってた子達のこと、そこから聴いた見た奈緒の事。

全部……全部……

そう、そして残酷な真実も…………

709: 2014/04/27(日) 00:44:56.82 ID:U/BegzaK0
「そっか……私は氏ねないんだ…」

自分がもう人ではない事を。氏ねない身体になっている事を。奈緒の一部になっていることを……

よく考えてみれば、そうである。憤怒の街のとき、氏んでもおかしくはない傷を負っていた筈なのに、いつの間にか治っていた。

あの時は、疑問には思っていたが、考えないようにしていた。

だが、思い出したが為に理解してしまった。

普通なら発狂してしまう真実に……

710: 2014/04/27(日) 00:46:00.63 ID:U/BegzaK0
「……よかった」

だが、彼女の口から出た言葉は発狂した言葉でも、怒りの言葉でもなく、心から安心したような言葉だった。

何故?

「奈緒も…■■ちゃんも私がいれば独りにはならないんだ…」

……それは孤独を知っていたから、優しい彼女だから言える言葉だった。

エンヴィーであった時の贖罪の気持ちもあるかもしれない。けど、それは彼女の本心だ。

「それなら、早く■■ちゃんを見つけないと……」

そう言って歩き出そうと、立ち上がろうとした。

だが、立ち上がれなかった。

711: 2014/04/27(日) 00:46:44.39 ID:U/BegzaK0
「……あ……れ?…」

思うように立ち上がれず、加蓮は疑問の声を漏らす。

その顔には疲労が見える。

ズキズキと痛みだす頭。時折起こる目眩。

それの原因は、加蓮にはわからない。

『(……無理させすぎちゃったかな?)』

だが、彼女の《影》はわかっていた。原因は自分にあると…

記憶操作による記憶削除。それを干渉し、無理矢理に徐々に思い出させていたのだから……

712: 2014/04/27(日) 00:47:44.85 ID:U/BegzaK0
『(だけど…このままじゃダメなんでしょ?≪私≫?自分と重ね合わせたあの子を見捨てたくないんだよね?だから、≪アタシ≫はそれを手伝う)』

なんとか立ち上がって、フラフラと歩きだす加蓮の影は静かに揺れる。

『(悪霊の一種だった≪私達≫を≪アタシ≫にしてくれた。だから、コレはせめての御礼)』

……そう。この≪影≫は祟り場の時、加蓮を追いかけていたあの≪影≫である。

本来なら、氏神により消滅させられていた……筈だった。

しかし、加蓮の魂を一時的に吸収していたが為に、彼女の一部となってしまっていたのだ。

だが、どうしてか加蓮に干渉できたり、独立した動きができたりとしている。なにより加蓮の本体(?)である奈緒ではなく、≪加蓮≫の一部になっている。

その為、今は奈緒と独立している≪■■■≫にも、奈緒の中にいる≪わたしたち≫にも認識はされていない。

イレギュラーである加蓮から産まれたイレギュラー。

そもそも影本人にもなんで自分がこうなっているのかも、余りわかってはいない。

果たして、コレはどういうことなのだろうか?

まるで≪悪戯≫のような、この≪イレギュラー≫は……

713: 2014/04/27(日) 00:48:59.66 ID:U/BegzaK0
「あっ……」

フラリフラリと倒れそうなその身体を必氏に耐えながら、歩く彼女の目線は、≪独りの少女≫を見つけた。

「■■…ちゃん…」

見覚えのある後ろ姿。間違いない。

そう思い、名前を呼ぼうとするも、名前が言えない。

「■■……ちゃん……」

彼女に行われた記憶操作の呪縛が、彼女と加蓮を合わせないようにしようと、最後の抵抗をしてくる。

言おうとした名前にノイズが走り、少女の名前が頭から出てこない。

そうこうしてると、少女の姿が人混みに消えて行ってしまう。

もし、ここで見逃してしまったら二度と彼女に会えない気がする。

走って追いかけようにも、足に力が入らず、歩くので精一杯。

714: 2014/04/27(日) 00:50:20.43 ID:U/BegzaK0
「やだ…」

このチャンスを逃したら、あの少女はまた独りぼっちになってしまう。

ダメ……そんなのはダメだ。

独りぼっちの寂しさは自分がよく知っている。ましてや彼女は自分が気づかなかったらずっと独りだった彼女をまた孤独にさせるなんて……

「■■ちゃんっ!…■■ちゃんっ!!!」

なのに名前が出てこない。なんで出てこない。

心が折れそうになってしまう。

悔しい……悔しい……なんで言えないの?私は……私は……

自分の無力さに心が折れかけてしまう。

このまま、また会えなくなってしまうのか?

715: 2014/04/27(日) 00:51:17.57 ID:U/BegzaK0


--

ーーー

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---夢を見た。

---暗い…暗い…一面真っ黒な場所。

(あれ?これって確か……)

----そこに一人の小さな女の子が泣いている。

(そうだ。これは……)

「どうしたの?何処か痛いの?お姉ちゃんに話してみて?」

(■■ちゃんと初めて会った……)

----優しく声をかけると、女の子は顔を上げて………

(忘れるわけないよ。■加ちゃんと初めて会った。大事な……大事な記憶……)

(だから……)

----

ーーー

ーー


716: 2014/04/27(日) 00:52:00.72 ID:U/BegzaK0






「行かないで!!!!仁加ちゃん!!!!!!!!」






717: 2014/04/27(日) 00:53:19.93 ID:U/BegzaK0
仁加「………えっ?」

加蓮の叫び声に、少女ーーー仁加は、彼女の方を向いてしまう。

仁加「加蓮……お姉ちゃん……?」

驚いたように、嬉しそうに、困惑したように、なんとも言えない表情で、恐る恐る声をだす。

フラリフラリと近づく、加蓮のその表情は疲れきってはいるが安心したような表情をしていた。

加蓮「……仁加ちゃん……探したよ?」

仁加「か、加蓮お姉ちゃん……あの…その………」

記憶を消したはずなのに、自分の名前を覚えていた。それどころか自分を探していた事を察した仁加は嬉しかったが、怖かった。

怒られるんじゃないか。嫌われるんじゃないか。会う覚悟はしていたはずなのに、いざ加蓮と会うとなると何を言っていいのかわからない。

何より、覚えているってことは、彼女は自分が人間じゃなくなってるってことを知ってしまってる可能性がある。

だから、怖かった。

だが、仁加はなんて言っていいのかわからない。

「ごめんなさい」と言えばいい事なんだろうが、今の彼女には≪それ≫を言うことができない。

そんな仁加をしりめに、加蓮は彼女に近づき………

加蓮「ごめんね……仁加ちゃん……ごめんね…」

涙を流しながら、彼女を優しく抱きしめた。

718: 2014/04/27(日) 00:54:27.25 ID:U/BegzaK0
仁加「…………えっ?」

二度目の驚きと困惑がこめられた言葉が漏れる。

加蓮「仁加ちゃん…に…また寂しい思いさせちゃって……ごめんね。私の為に記憶を消してくれたんでしょ?…けど、そのせいで独りぼっちにさせちゃって……ごめんね…ごめんねっ……」

困惑する仁加を優しく抱きしめながら、加蓮は疲れと罪悪感で声を震わせていた。

呼吸もどこか苦しそうだ。

仁加「か、加蓮お姉ちゃんは悪くないよ!悪いのは…」

『アタシ』とは言えなかった。罪悪感が欠除した彼女にその言葉が言えなかった。白兎の仕業により「ごめんなさい」を言えなくなった彼女に、たったそれだけのことが言えない。

だから、仁加は困惑する事しかできなかった。

719: 2014/04/27(日) 00:55:49.98 ID:U/BegzaK0
加蓮「……ねえ。仁加ちゃん」

仁加「……なぁに?加蓮お姉ちゃん?」

加蓮は自分の顔を仁加の正面にむけ、優しく声をかける。

加蓮「約束するよ?……私は…仁加ちゃんと……ずっと……一緒にいてあげる。………また仁加ちゃんが何処か行っても……私は必ず……仁加ちゃんを見つけるよ?………仁加ちゃんと色んな所見て回って……遊んで……友達……いっぱい作って………楽しい事……いっぱいしよう?」

仁加「お姉ちゃん……」

声も何処か弱々しくなりながらも、加蓮は仁加の事を思い、これからのことに夢を描き、優しく微笑んでいた。

加蓮「……まずは今日…一緒に…このお祭………見てm」

「まわろう?」と言おうとしたその時、加蓮の意識は途切れ、身体から力が抜けた。

720: 2014/04/27(日) 00:56:55.21 ID:U/BegzaK0
仁加「……お姉ちゃん?お姉ちゃん!?加蓮お姉ちゃん!?しっかりして!?加蓮お姉ちゃん!!!」

突然、崩れた加蓮を支えながら、必氏に加蓮に声をかけた。

『オい、落ち着つきナ?ナニカ』

そんな様子を見て、今まで黙っていた黒兎がナニカに声をかける。

仁加「だって!黒ちゃん!加蓮お姉ちゃんが!!」

『だから、落ち着けヨ?寝てるだけダゾ?』

仁加「………えっ?」

黒兎の冷静な一言により、仁加は某然とした。

よく耳をすませば、加蓮から気持ち良さそうな寝息が聞こえる。

まあ、冷静に考えれば氏ねないのだから当然だ。

仁加「よかった……」

『ホラほら、安心してナイで、加蓮を運ぶゾ?ここじゃそのウチ目立つから』

仁加「うん」

安心してる仁加に、黒兎は人の姿になり加蓮を近くのベンチまで運ぼうとする。

721: 2014/04/27(日) 00:58:08.93 ID:U/BegzaK0
『(だけどドウイウ事だ?加蓮の言葉からして全て思い出してる感じダガ、記憶操作で消した記憶がこんな早く戻るのか?)』

加蓮を仁加と一緒に運ぼうとしながら、黒兎は考えた。

加蓮は仁加を見て思い出したわけではなく、明らかに思い出してたから必氏に仁加を探していたことを……

『(誰かガ加蓮に干渉した?なんの為に?)』

果たしてそれは誰なのか、今の黒兎にはわからない。

加蓮の影が静かに揺らいでいる事も……

そして、加蓮が再び目覚めた時にナニカはいるのか?

それは、ナニカしだいだろう。


終わり

722: 2014/04/27(日) 01:00:34.27 ID:U/BegzaK0
以上です。

ナニカと黒ちゃんお借りしました!

追加

・加蓮は全てを思い出しました。

・加蓮の影は≪影≫でした。敵か?味方か?

・加蓮はナニカと再会できました。果たして二人の運命は?


ところどころ変なところあるかもしれませんが、許してください…
黒兎の口調あってるか不安です

シリアスはやっぱり難しい…

そして、加蓮の台詞に氏亡フラグが沢山立つのはどうして?



【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 part9