431: 2010/07/25(日) 01:07:46.90 ID:US9DRmI0
わかった! 皆ありがたう! そのまま進めてもし設定違ったらもう一回書くわ!
【禁書目録】垣根「友達が欲しいんだが」
【禁書目録】垣根「友達が欲しいんだが」【その2】


433: 2010/07/25(日) 01:29:48.86 ID:US9DRmI0
宣言してから遅くてごめんなwwwwww
もしかしたらキャラ崩壊を招くかもしれないけど簡便な!

435: 2010/07/25(日) 01:33:04.86 ID:US9DRmI0
男性は、少年の保護者である。これは自称でもあり、他称でもある。つまり、彼と少年の関係を見た人が「ああ、仲の良い親子か兄弟じゃない」と、思う程度にはだ。

少年には家事能力が無い。皆無ではないが、有していると言うと語弊が生じる。多少の料理は可能だが、家事全般は一人でやるとなると絶望的だ。洗剤の場所すらわからないに違いない。
加えて、少年はは自堕落な生活に浸っており朝自分で起きる事すら難しい。所謂、駄目人間といわれる分類だ。
しからば、家事の一切は男性の手に委ねられるのは当然の結果だろう。そして男性の家事能力が二次関数の放物線を描いて上昇したのも予定調和に違いなかった。

そんな彼は常日頃と同じように、朝食の準備をしていた。こわもてに似合わぬカエル柄のエプロンは、少年に贈られた品だった。
朝日というには少し遅いが輝きを増している太陽の光が、室内を照らす。トーストにサラダ、ハムエッグとコーヒー。非の打ち所の無いブレックファストである。
満足げに鼻息を吹いた男性は、いそいそとエプロンを脱いで壁に引っ掛けてると眼つきも鋭くある一室に足を向けた。

そこには、甲斐甲斐しく働く自分と対照的に惰眠を貪る同居人がいるはずだった。
春眠にはもう遅ぇぞ。一言ごちて彼はドアを荒っぽく開いた。バン、という乾いた音と同時に引っかかっていた木の板が盛大に揺れる。そこにはこう刻まれていた。『一方通行』。

見下ろす男性、むにゃむにゃと呟く少年。寮とは名ばかりの高級気味なマンションの一室から、この物語は始まる――――
とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の未元物質 (電撃コミックスNEXT)

436: 2010/07/25(日) 01:34:18.38 ID:US9DRmI0
木原「オラッ、起きやがれ一方通行! 今日は俺が家出んの早ぇっつっただろうこのドカスが!」クワッ

一方「――――ンン、……あと三分待てよォ」グデー

木原「俺だって急いでんだぜぇ? ちぃっと程度はこの配慮に配慮しようって気は無ぇのかな一方通行ちゃァァァン?」

一方「…………起きる……起きるからあと三十秒……」

木原「テメェの三十秒は三十分だろォが! 今日は垣根くん達とどっか出掛けるから早く起こせっつったのはどこのどいつだ?」

一方「…………!!」ガバッ

一方「い、今何時だァ!?」

木原「九時半」

一方「ンだよまだまだじゃねェか……」バタッ

木原「」ビキビキビキ

木原「アタァ!!」バキッ

一方「イデッ!!」

木原「おきろ、ぶっとばされんうちにな」凸

一方「一発ぶっとばしといてから言うセリフかよォ……」ムクリ

木原「いぃから顔洗って来い。メシが冷める」スタスタ

一方「ン……」ノソノソ

437: 2010/07/25(日) 01:38:32.84 ID:US9DRmI0
木原「ンー……、朝のコーヒーはうめぇ」グビリ

一方「悪くねェな」グビリ

木原「態々入れてやった人の前で悪くねぇとは何事だ。入れて欲しくねぇのか?」

一方「とか言って明日も入れてくれる木原くンだったのである」

木原「…………チッ」グビリ

一方「にしてもそろそろあちィしアイスコーヒーの季節だと思うンだが」

木原「そうだな、もう夏か。…………テメェがコーヒー飲み始めたのもこんぐらいの季節だったな」

一方「――――よく覚えてンなそんなこと」

木原「何言ってやがる、散々俺もコーヒー飲むって騒いだ癖に苦いだの暑いだの喚きやがってたじゃねぇか。忘れようにも忘れねぇよ」

一方「あンときはまだガキだったンですゥ、今はこうやってブラックも余裕じゃねェか」フフン

木原「ま、あんま飲みすぎんなよ。胃に優しくねぇんだ、コーヒーは」

一方「俺より飲んでてなァに言っちゃってンだか。……トマトかァ」ススッ

木原「おい、残すんじゃねぇぞ」ギロッ

一方「…………味蕾からの信号ベクトルを操作イデッ」バキッ

木原「能力に頼りきるんじゃねぇぞ。それにな、食い物ってのはな、遺伝子研究所の研究員達が精魂込めて組み替えてんだぞ」

一方「食う気無くすような事言うなよォ……」モグモグ

木原「タコ、昔のままのトマトならテメェは食えちゃいねぇ。昔のトマトは食卓に出た途端に全ての子供がトマトと対照的な真っ青の顔して泣き出す程の食材でなぁ――――」モグモグ

438: 2010/07/25(日) 01:40:47.95 ID:US9DRmI0
一方「ごっそさン」

木原「おぅ、よく食った」ガシガシ

一方「よせやガキじゃねェンだぞ!」バッ

木原「そのガタイでよく言うぜ。ああ、今日でかけんだったな……晩飯は食って来る予定あんのか?」

一方「あー、もしかしたら食うかもしンねェ」

木原「あいまいなのが一番困るっつってんだろ。五時かそこらまでにはメールよこせ」

一方「りょーかい。そっちは遅ェのか?」

木原「どぉだかなぁ。ま、やることっつったら実験の尻拭いだけっぽいからそんなでもねぇだろ。俺は控えめに見て天才だからよ」

一方「木原くン紙一重紙一重」

439: 2010/07/25(日) 01:44:38.90 ID:US9DRmI0
木原「よし、じゃあ俺は出るからな。テメェも気ぃ付けろよ」

一方「鍵だけ閉めてやンよ」

木原「前いっぺん俺が鍵持ってき忘れてえれぇ事になったの思い出したぜ」

一方「えれェ事になったのはマンションの壁だろォが。ちょっとコンビニから帰ってきたらドアの形に穴が開いててぶったまげたわ」

木原「まあ、鍵も持ったから大丈夫だ。ンじゃ行ってくんぞっと」

一方「頑張って来いよォ」ヒラヒラ

440: 2010/07/25(日) 01:49:26.46 ID:US9DRmI0
第十八学区のとある研究所にて



木原「…………」カタカタ

木原(昼前か……、そろそろ一方通行は家でた頃かねぇ)

木原(あのガキ時間にルーズだからな……、さんざ教えてやったのにちっとも直りやがらねぇ……)

木原(ま、最近はそうでもねぇから大丈夫だとは思うが)


コンコンコン


?『失礼。木原さん、いるかな?』

木原「入んな」

研究員「失礼する」ガチャ

441: 2010/07/25(日) 01:52:12.68 ID:US9DRmI0
研究員「木原さん、新しいリストを持ってきたんだが」

木原「お、そこんとこ置いとけや」

研究員「それにしても、このような場所までご足労を願ってしまって面目ない。随分とお久しぶりだというのに」

木原「そう思うんならケツは自分で拭けるようになりな。いくら女んケツでもそぉいうイケナイ趣味は俺にはねぇぞ」

研究員「……しかし色々と理由を付けても来てくれるんだからな。これでも、心底感謝しているよ」

木原「…………やれやれ。そぉいやそっちんガキ共の具合はどうなってる? 俺が『使えそう』なのは育ったか?」

研究員「――――冗談でもそのような事を言わないで欲しいんだが」キッ

木原「なんで冗談だと思う。この俺が冗談言ってるって本気で思ってんのか?」

研究員「………………」


木原「はィはィ俺が悪かったよ……ったく『遊び心』が足んねぇなぁ、一体全体何回目だこのやり取りはよ」

研究員「冗談でも言って欲しくない言葉はある。……そうでなければ、貴方に付いてきた意味が無い」

木原「俺といると目ぇ付けられてんの知ってんのか。ただでさえお偉いのと溝入ってる上に第一位を飼い頃してるとか何とか言われてんだがな」

研究員「知ってるさ、貴方を慕う一方通行の事も。……貴方がいなければ子供達の無事も無かった。私も何をしていたか分からない。その事に関して私達は一生貴方に頭が上がらないな」

442: 2010/07/25(日) 01:53:33.16 ID:US9DRmI0
木原「ジジイが気に食わなかっただけだった、テメェらの事なんざ知ったこっちゃなかった、何度言わせりゃ気が済むんですかァ?」

研究員「関係ないさ。例えどんな理由だったとしても起きた結果は変わらない。だから私達が抱く感情も変わらないよ」

木原「妙な事言ってんじゃねぇぞ……」ユワッショーッ アイデソラガーオチテクールー

研究員「ケータイが鳴っているが」

木原「ん……」ピッ

研究員「(スッ)……噂の一方通行からか。仲睦まじい事だ」

木原「テメェ勝手に覗き見んじゃねぇぞ」

研究員「少しくらい構わないだろう。減るものでもなし」

木原「俺はテメェと違って露出癖はねぇんだよ」

研究員「……そういう言い方はいくら私でも少し傷つく。私は見せたいのではなく見られる事で起きる周囲の反応に興味が無いだけだ」

木原「一緒だろ。……とは言っても今日は随分とあっちいのに脱がねぇとこを見ると治ったみてぇだな」

研究員「い、いや暑いが……貴方に見られるのは恥ずかしいだろう……」

木原「あ?」

443: 2010/07/25(日) 01:55:32.64 ID:US9DRmI0
研究員「そ、そうそう。子供達は貴方に会いたいと言っていた。彼も一緒に連れてきてほしいとも」

木原「一方通行もか。あいつ昔ガキ共に会わせた時に何人か泣かせてただろ確か」

研究員「貴方に殴られて彼自身も泣いていたね、懐かしいな。あの時から数年ぶりだが……子供達もその事を覚えていたんだ。私が貴方と仕事をする事になる、と言ったら『二人に是非会いたい』だそうだ」

木原「ふぅん、まぁ一方通行に後輩ができんのも悪くはねぇか」

研究員「そ、そうだろうそうだろう。そうと決まれば場所はどうしようか。そうだな、どちらにせよ私の所は大所帯だ。こちらに来てもらう方がそちらへ行くより効率的だろう。子供達ももうすぐ夏休みだし予定は空いているだろうから私の予定が空いている時と貴方の予定が空いている時に合わせて――――――」

木原「おい、頭沸いてんぞ。また今度連絡すりゃいいじゃねぇか」

研究員「――――――それもそうだ、見苦しいところをお見せした」シュン

木原「……まあよし、んじゃとっとと仕事終わらせちまうとするかよ」

研究員「……いや、じっくりと進めないか? 何事も慎重にだろう」

木原「? 何でだよ、そんなに危ねぇもんでもねぇだろ」

研究員「いや……その……、すぐに終わってしまっては折角貴方を呼んだ意味が……」モジモジ

木原「いいからほら行くぜ。終わらせてメシだメシ」グイッ

研究員「――――あっ」

444: 2010/07/25(日) 01:56:32.17 ID:US9DRmI0




研究員「今日はお疲れ様。お陰様で随分早く終わったように感じるな、あっと言う間だった」

木原「ほんとに俺の助けがいったのかよ。テメェ一人でできたんじゃねぇのか?」

研究員「あ、それはだね、やはり木原さんがいたお陰だろう。うん」

木原「はぁ?  取りあえず俺は帰るぜ。また何かあれば連絡よこせよ」

研究員「も、もう帰るのか?」

木原「あぁ、さっきのメールで一方通行が外でメシ食ってこないらしいからよ。買いもんして帰るんでな」

研究員「そうか……」

木原「ん、テメェもウチで食うか? 二人分も三人分も大して変わらねぇぞ」

研究員「」

研究員「なんだって?」

445: 2010/07/25(日) 01:57:52.14 ID:US9DRmI0
研究員「いや、私も子供達に食事を用意しなければいけないから断らせてもらおう。たいへん、とても、ひじょうに、残念だが」

木原「そぉか。なら俺は行くぜ」

研究員(あっさりすぎる……せめてもう一度位聞いてくれても……)

研究員「ああ、またこちらから連絡するよ。ではまたね」

木原「次は仕事以外で呼べよ」ヒラヒラ スタスタ

研究員「――――――!!!」




研究員(仕事以外で呼べ、彼は確かにそう言った)

研究員(つまり私と彼の友好関係は仕事仲間という現状から進展したということだろう)

研究員(ああ、子供達に相談してよかった……彼女達が言わなければ仕事を口実に呼び寄せるという発想など浮かばなかっただろうし)

研究員(…………)

研究員「――――それにしても暑いな、彼もいなくなったことだし」ヌギヌギ

研究員B「あ、主任またそんな所で!」ダダダッ

447: 2010/07/25(日) 01:59:07.84 ID:US9DRmI0


木原「今日のメシは何だろな、と」スタスタ

木原「」アァァッタタタタタタタタタタタ ピッ

木原「俺だ」

?『ただいまお受けした電話はァ、現在使われておりませン。番号をお確かめの上、もォ一度』

木原「おい一方通行、さっさと用件を言え」

一方『ンだよつれねェな。もう少し反応しろって』

木原「用がねぇなら切んぞ」

一方『馬鹿待て! 木原くン今どこよ』

木原「十八から帰るとこだよ、仕事終わったし買いもんしてな」

一方『俺ァ六から今帰るとこだから合流しよォぜ』

木原「構わねぇがどこでだ」

一方『どこで買いもンすンだよ?』

木原「七学区のでけぇスーパーで纏めて買いもんしようと思ってる」

一方『おしきた、スーパーの入り口で待ってるか待ってろよォ』

木原「待たせんじゃねーぞ、急げよ」

一方『電車に言ってくれよ、ンじゃ』プツッ

木原「はぁ……、よし行くか」スタスタ

448: 2010/07/25(日) 02:00:25.74 ID:US9DRmI0
一方「木原くゥゥン、お待たせってなァ」スタスタ

木原「遅ぇな一方通行、早すぎんのもよくねぇが遅すぎても嫌われんぞ」

一方「なンの話だそりゃ」

木原「ま、行くぞ」スタスタ

一方「はァ?  ……おゥ」スタスタ




木原「牛乳ポン酢マーガリン……、ゴマダレはまだあったな。無かったのはもうねぇか」

一方「木原くンアイス買おうぜアイス。夏だしよ」

木原「なんか好きなの一箱買って来い」

一方「ヒィィハァァァ!!!」ダッ

木原「何歳だ、走ってンじゃねぇぞ!」

一方「ヒーハー」スタスタスタスタ

木原「ったく競歩じゃねぇんだぞ……、あぁ納豆も買っとくか」

449: 2010/07/25(日) 02:01:35.08 ID:US9DRmI0
一方「おゥ木原くンこれも頼んだ」ガラガラ

木原「んだこのアホみてぇな量の缶コーヒーは」

一方「買いだめが切れちまってたの思い出したンだよ」

木原「全部一緒のじゃねぇか。少しは違うの買ったらどうだ?」

一方「これで良いンだ。むしろこれが良いっつゥかな」

木原「こだわりでもあんのか」

一方「まァ色々とな」

木原「そういやこりゃ俺が昔テメェに初めてやったコーヒーだな、懐かしいぜ」

一方「――――! ……覚えてやがったのか」

木原「元々俺が好きで飲んでた銘柄だ、わからいでかよ。俺にも何本かよこせな」

一方「……ケッ」

450: 2010/07/25(日) 02:02:11.03 ID:US9DRmI0
木原「よし後は今日のメシだけだな」

一方「今日のメシの予定とかあンのか?」

木原「そぉだな……おう一方通行、今日のメシは何が良いとかあるか?」

一方「ハンバーグ」キリッ

木原「よし、麻婆豆腐にすっかな」ガサガサ

一方「おォい!」





一方「あ」

木原「レジの前でなんだ」

一方「ポテトがねェの忘れてた」

木原「ァあ? またスナック菓子か……さっさと取って来い、二袋だけだ」

一方「いってきヤース」スタスタスタスタ

木原「ったく…………」

451: 2010/07/25(日) 02:03:06.57 ID:US9DRmI0
一方「重そォだな」スタスタ

木原「そりゃこんだけ買えばな」

一方「一個持ってやろォか?」

木原「能力使わねぇんなら一袋任せてやる」

一方「げ……パス」

木原「テメェのそのモヤシボディはなんとかなんねぇのか一方通行、自分で情けねぇと思うだろ」

一方「前に木原くンボディ目指して筋トレしようとしたンだけどよォ……、疲れてくっと勝手に能力出ちまうから筋トレにならねェんだ」

木原「負荷に対する反射演算の式を組み替えなきゃ駄目みたいだな、今度の実験の時にでも考えといてやる」

一方「腹筋割れてンな」サスサス

木原「おいくすぐってぇからやめろ。卵落としたら洒落にならん」

一方「俺の腹筋は……割れてるんじゃなくて脂肪が無さ過ぎて筋肉が見えてるだけかァ……」ペタペタ

木原「プロテインでも飲んでみるか?」

一方「まァ木原くンが演算組んでからだなァ。頼むぜェ」

木原「任せろ、俺を誰だと思ってやがる」

452: 2010/07/25(日) 02:03:52.72 ID:US9DRmI0
一方「ただいまァ」

木原「おかいま」

一方「どっちだよwww」

木原「冷凍もんだけ入れといてくれ、ちと先にトイレだ」

一方「ン」ガサガサ

木原「ああ挽肉は出しといて良いぞ」スタスタ




木原「ふぅ……すっきりしたぜぇ……」

木原「ブツはみんな納まりやがったな。よし、よくやった」

一方「ンじゃァ俺ァテレビでも見てンぞ」

木原「メシ前にスナック食うんじゃねぇぞ」

一方「ン」

453: 2010/07/25(日) 02:05:14.95 ID:US9DRmI0
木原「数多の料理道場ォォォォ」

木原「さーってハンバーグちゃん覚悟しちゃってねぇぇぇ」

木原「まぁずはタマネギを粉微塵切りだぜぇ」ドガガガガガガガガガガ

木原「次に刻んだタマネギをフライパンで炒める。油でもバターでもマーガリンでも良いから狐色でやらかくなるまでなぁ」ロォォォォドォォォォォオ

木原「タマネギをのけて冷ましてる内に、挽肉をボウルに叩き込みッッ!」ドグシャァ!

木原「くたばるまで混ぜるッッ! カッコイーッ!!」メメメメメメメメタァ

木原「挽肉が更にグチャグチャのミンチにおなりお遊ばしたらッ! パン粉、牛乳、卵、塩、胡椒、タマネギをぶち込みィィィィィみっくちゅじゅーちゅだハッハァーーーー!!」ドッギャァァ――――z____ン!!


木原「……よし焼くか」ジュージュー

木原「肉汁でソースを作って……」

木原「つけあわせのサラダを……」

木原「できたぞ一方通行ァー」

454: 2010/07/25(日) 02:06:42.90 ID:US9DRmI0



一方「ァー、うまかったうまかった」

木原「ごっそうさん。食い終わったら持ってけ」

一方「わァってるって」ガチャガチャ

木原「明日の予定はなんかあんのか?」ガチャガチャ

一方「明日は特にねェなァ……、木原くンどっか行く予定あンのか?」

木原「実は俺もねぇんだよ。――――あ」

一方「あけっぱなしの口から木原くンどォぞ」

木原「いや、第三学区に安くてうまいっていうステーキハウスがあるらしくてよ。そこにテメェを連れて行ってみっかとか思ってたが……」

一方「おォ、俺はハンバーグ連チャンでも一向にかまわン」

木原「クソガキが、俺の事も考えろ」

一方「あ、そォか……」シュン

木原「………………」

木原「とは言ったものの、別に俺も構わねえから昼飯に行くか、ステーキハウス」

一方「ンだよマジかよンだよ! ビビらせやがって!」バシバシ

木原「俺が聞いた話だと中々らしい。最も、俺が話の出元に担がれてなけりゃの話だがな」

一方「良いじゃン別に、まずけりゃ笑い話にならァな」

木原「それもそうか」

455: 2010/07/25(日) 02:07:30.48 ID:US9DRmI0
木原「ああ、木山に会ったぞ。今日のオシゴトでな」

一方「あの人か。ンで、どォだった?」

木原「どうだったも何もねぇよ。ふっつーにオシゴトしてメシ食ってオシゴトしてしまいだ」

一方「……あの人も苦労しそうだねェ」ハァ

木原「んだその溜息は。五月病には遅ぇぞ」

一方「なンもねェよ。何か言ってたか?」

木原「あぁ、今度メシ食いに来いッつってたぞ。夏休みでガキ共が暇してんだと。テメェも是非だとさ」

一方「お、頑張ったじゃねェの木山さン。いつよ」

木原「あっちから連絡だっつってたから適当に待ってりゃ良いんじゃねえのか?」

一方「…………暫くは連絡こねェンだろォな」ハァ

456: 2010/07/25(日) 02:09:10.32 ID:US9DRmI0
木山「……」カチカチカチ

木山「再来週の週末に、以前話した食事の誘いをさせて頂こうと思います……敬語は気持ちが悪いと前に言われたな」

木山「……」カチカチカチ

木山「今日少し話した食事の件だけど、再来週の週末辺りにでもどうかな?……軽すぎるか?」

木山「……」カチカチカチカチ

木山「この学園都市にてさえ風鈴の涼やかなる音の響く季節となりました。さて、先日に触りのみお伺いした件の話で……あほか」

木山「……」

木山「…………」

木山「ぅぅぅうぅうぅううぅうぅぅぅ」ゴロンゴロン

少年「せんせー、俺腹減ったんだけど……」グゥー

少女「バカ! 今先生は行き遅れるかどうかの瀬戸際なんだから邪魔しちゃ駄目よ!」ボソボソ

457: 2010/07/25(日) 02:11:03.69 ID:US9DRmI0
一方「いやそれにしても、木原くンと外食とか久しぶりだなァ……明日が楽しみだ」

木原「言われりゃそぉか。……ダチ連中はどうだ一方通行、仲良しこよしやれてっか?」

一方「あァそうそう聞いてくれよ木原くゥン、今日垣根くンがクリームソーダ頼んでたンだけどなァ」

木原「どっちかっつーと俺はバラバラに食いてぇ派だな、クリームソーダ。アイスとソーダで」

一方「垣根くン、炭酸を抜く! とか妙なこだわりがあンだがストローでかき混ぜたらクリームと泡がなんかスゲェ事ンなってよwwwwwww」

木原「具体的に一声あげな」

一方「なんつーの? 科学の実験? ビールより大雑把な泡がボコボコいいながら下から湧き出て机がべしゃべしゃwwwww」

木原「愉快な様じゃねーか」ククッ

一方「それ見た麦野さンがまたなァ――――――」


木原(ンだよ、楽しそうじゃねェか、一方通行)

木原(まぁ、そのザマ眺めてる俺もそれなりに楽しいんだがな)

木原(やれやれだ……、友達か。――――俺のお役御免も近ぇかな)


一方「――――ンでダーツマスターが……、木原くン聞いてンのかよ?」

木原「おぉ、聞いてる聞いてる。ダーツマスターがどうしたって?」

458: 2010/07/25(日) 02:13:22.78 ID:US9DRmI0


~~~


少年と、男性が並んで歩いていた。
灰色気味の髪の毛にやけに白い肌をした少年の横、金髪を撫で付け顔の半分に入れたタトゥーが目を引く体格の良い男性だ。
俯きがちに視線を泳がせる少年の向く先は男性の腕、三角巾で首から下げられたギプス。
少年の視線に気づいていた男性だったが、緘口して語らない。何かを待っている様子だった。


「あ、あのっ!」

「ァアン?」

「その、あの……その手……」

「んなもん診たカエル面した医者がヤブでよ、大げさなだけで大した事じゃねェ」


ええいままよ、とばかりに口を開いた少年だったが、鼻を鳴らして威嚇するようにこぼす男性を見て再びうつむいてしょげ返る。

困ったのは男性だ。優しい声のかけ方も知らねば励まし慰め方も知らぬこの男、犬のおまわりさんの気持ちが少しわかった気がした。
困りきった挙句、男性は無事な左手を持ち上げると、おもむろに少年の頭を小突く。激突の瞬間、男性の手が過剰に跳ね返る。

痛っ、と声をあげて頭を抑える少年。世界を見渡せば万物を見通すプロビデンスの目ならずとも見とめることができるだろう、どこにでもありそうな普通の光景。
だがこの少年は普通では無い。彼が持つ異能は未調整の現状ですら、己に向かう許容以上の運動質量の指向性を反転させる、といった稀有な代物だ。

つまりそれは『本来ならば』ありえないはずの現象。
しかしそのありえない現象を受けた少年は、痛みをこらえるような表情をしながら笑っている。何故かとても嬉しそうに。


「殴られて笑うとかドマゾですかぁ? おい、神経通ってんのかテメェ」

「ちが……ちげぇよ! 喜んでねぇよ!」

「じゃあそのにやけ面は何なんだ」

「いや……これは……」

459: 2010/07/25(日) 02:14:56.73 ID:US9DRmI0
再びちらと男性の腕を見上げる少年だったが、決意を新たにしたような面持ちで口を開く。それでも、瞳は落ち着き無く左右している。


「腕……、その、ごめん。俺のせいだ」

「ガキがいっぱしに気ぃ使いやがるたぁ驚きだぜ」


少年の言葉に片側の眉を上げて応じた男性は、呟く。屁でもねぇ。
それを受けて返されるのは尊敬に近い感情を含んだ視線だった。やりにくそうに男性がバリバリと頭を掻き毟った。



そのまま歩いている内、少年は再び男性の方を窺い始める。
先ほどと違って暗さの感じられない表情には照れが見え隠れし、男性の空いた左手をチラチラと見ている。


「な、なぁ木原くん」



暫しの沈黙。
言われ慣れていない名で呼ばれ、男性は少しだけぽかんとしたようだった。
程なくわれに返った男性は眉をハの字にしてため息をつき、更に呆れたように言った。

460: 2010/07/25(日) 02:17:00.33 ID:US9DRmI0
「『木原くん』? さん付けだろ普通はよ。俺は年上で目上で且つ一方通行、テメェの保護者予定者だぜ」

「良いだろ木原くん! 友達には、『くん』付けるもんなんだろ!」


前言ってたじゃねぇか! と胸を張る少年に男性は口を開きかけ、今度は諦めたように口を閉じる。同時に肩が少し落ちた。

何を笑ってやがるガキ。今一度とばかりに言葉と共に放たれた一撃は、素早い動作で少年にかわされた。
得意げな笑みに向かって、大人気ないと知りつつ男性はみたび鉄槌を振り下ろす。
少年の悲鳴が響く。ざまあみろとばかりの男性の笑みがこぼれる。
少年が、左手に飛びついた。何しやがる! い、いいじゃン別に! 暫くその場でもつれていた二人だったが、やがてどちらともなく歩き出す。





夕日を浴びて伸びる二つの影。その距離は、遠くなくむしろ近い。

交わされる違う色の笑顔。ほんの少しだけ悪くなった少年の言葉遣い。そして繋がれて、離されない二つの手。

生まれた時から年上で目上、先刻には研究者と保護者となり、今彼らは友達になった。

そんな絆達。それが、これから始まる彼らの関係の全て。



~~~



461: 2010/07/25(日) 02:18:56.37 ID:US9DRmI0




一方「おォい、早く行こうぜェ」ドンドン

木原「俺に起こして貰った分際でえらそーな口叩きやがる……、ちっと待ってな」

一方「いィや限界だ行くね! 腹減って氏ぬぜェ!」

木原「やれやれ……、うし行くかぁ」

一方「おォ、ステーキ&ハンバーグの園へご招待ってかァ? ヒャッハー! 肉だァ!」

木原「騒ぐなうっせぇぞ。……ったく、うるささだけは変わりやがらねぇ」

一方「何にやけてンだよ、気色悪ィ」

木原「思い出し笑いだよ。じゃ行くぞ一方通行」

一方「いよっしゃァ待ちくたびれたぜ木原くゥン!」








おわり

462: 2010/07/25(日) 02:22:11.41 ID:xiUskGQo
乙だぜ
木原くン、いい親父だな
顔面タトゥーだけど

463: 2010/07/25(日) 02:26:55.35 ID:US9DRmI0
と、言う話だったのさ。夜遅くに唐突ですまそすまそ。顔面タトゥーのパパはかっこいいよな
やっぱたまに恋的表現を書くと楽しいなww 自分で書いたキャラに萌えられれば一人前と聞いたことがあるがその域に達するように頑張るわ

心理掌握の話はもう少し待ってくれ、それではおやすけ!

464: 2010/07/25(日) 02:27:03.37 ID:1RcrFzEo
乙なんだよ!
木原くンと一通さんの仲が良さ過ぎて生きるのがつらい

471: 2010/07/27(火) 01:48:16.55 ID:hSmSUTc0
木原くんが良い親父なのは、一方通行と暮らし始めて暫くしてから『こいつの保護者としてきっちりやってやろう』って思ったからだよ
普通に夫婦の内で父親やってるより、父親になろうとしてやってるからちょっと良い意味でやりすぎたりする傾向がある感じ
まあ木原くんはそういうの向いてないしノウハウも無いわ体晶投与無しのテレスさんに散々吹き込まれるわ色々あって今の関係を構築。一方通行の中の木原語録に奇天烈なのがたまにあるのはそのせい
はじめのうちは木山先生と子育ての意見を交換し合ったりとかもあった、という設定だけ存在する

いやレスしてる暇あれば書き進めろってなwwwwwwwwがんばってるんだぜwwwwwwwwACNXやってたけどwwwwww
今月中、今月中までには最低一度は投下するつもりです。
あと本編以外のサブエピソードかなんかでなんかあればなんか言ってくれ。気抜く時にでも書ければ書いてみるんで

474: 2010/07/27(火) 06:30:23.72 ID:pbnwdNw0
一方さん家に遊びに来た麦のんとていとくんに木原くん遭遇

【禁書目録】垣根「友達が欲しいんだが」【その4】

引用: 垣根「友達が欲しいんだが」