489: 2010/07/31(土) 03:19:53.22 ID:JBsSlO20

490: 2010/07/31(土) 03:24:21.40 ID:JBsSlO20
少女「彼らは今のところは大きな動きを見せておらず、第四位を実行部隊の頂点としていた組織『アイテム』も解体に近い状況です。主要な人員が同じファミリーレストランで時折談合をしている姿が確認できるに過ぎません」

少女「スクールに至ってはそもそも活動している痕跡が残っていません。最も、もみ消されているとしたらそれは完璧な物ですのでそもそも我らでは察知できないかと」

少女「時折全員、又は数人で遠出する事もありますが歓楽街が殆どで、ロストした事も目標に対して距離を詰めて調査しようとした時一度だけでした」

少女「尚、踏み込んで調査を行おうとしたグループに関しては、皆揃って現在病院のベッドの上で魘されています。全員命がある事が奇跡と言わざるをえませんが」

?「回りくどいですわね。もう少し具体的且つ率直に」

少女「……つまり、彼らから集団で何か事を起こそうとしているという予兆は見られませんでした。」

?「…………報告書を」

少女「こちらです。現在の所、私共の側からは指示通りに監視を付けていません」

?「予め言った通り、必要最小限の情報以外末端には与えていませんわね?」

少女「勿論です。抜かりはありませんが」

?「…………嘘は言っていないようですわね、ご苦労様。『忘れてしまっても構わなくてよ』」キィィン

少女「――――――――」

558: 2010/08/23(月) 02:38:37.22 ID:akZSnBc0
どんな話か忘れた諸君(と作者)の為にあらすじだ!


垣根「友達が欲しいんだが」
自分と対等な友達が欲しい、そんな欲求に駆られた『超能力者』垣根帝督は、同じく『超能力者』一方通行にファミレスで声をかける。
なんやかんやで二人の間にあった絆は友情として確立される事となったのである。二郎おいしい。

麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」
超麦野し過ぎた『超能力者』麦野沈利は仲間と顔を会わせ辛くなり家を飛び出る。と、盗んだバイクで走り出した先には我らが一方物質ブラザーズ。
なんやかんやで自分の欲しいものを再発見したむぎのんは、即座に家に取って返すとその足で仲間達と共にブラザーズを強襲。ここに、一未原同盟が結ばれたのであった。二郎おいしい。

心理「私の、大切なお友達」←今ここ
『超能力者』心理掌握に面倒な依頼がよせられた。先日結ばれた一未原同盟を危険視した一部の輩からの監視指令である。
基本的にヒキコの心理掌握だったがしょうがないのでとりあえずトリオの顔を覗きに行ったら色々面倒に巻き込まれて……。二郎は皆に食べさせたい。

では投下開始
とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の未元物質 (電撃コミックスNEXT)

486: 2010/07/31(土) 00:52:23.94 ID:JBsSlO20
今日日が昇るまでに投下する、ZE
来月の頭一週間はPC環境無いので執筆止まるけどあんま大勢に影響はないから勘弁な!

491: 2010/07/31(土) 03:30:06.96 ID:JBsSlO20
少女「――――あ、あれ、私は……あれ?」

?「ありがとう、もう良いわ。お下がりなさい」

少女「め、心理掌握(メンタルアウト)様!? し、失礼しました!」ダッ

心理「…………、ふぅ」キィ





心理(統括理事も、無茶な依頼をなさってきますこと……)

心理(レベル5、三人とその下部組織の動向を調査及び監視、何かの動向が見られた場合に備えての接触、ね)パラッ

心理(いくら彼らに対して顔が割れていない精神系能力者が少なかったとはいえ、ここにお鉢が回ってくるなんて……)

心理(出来うる限り顔を出すことをせずに動いていたのが逆に仇となりました、か)

心理(断りたいものですが……依頼してきた理事は偶々とは言えど数少ないこの心理掌握の顔を知っている方。ああ、面倒この上ない……)

心理(結局相手取らねばならないのは、最悪のパターンですと最高位を含めた超能力者三人に大能力者を擁する組織が二つ)

心理(外部からの調査に限界がある以上――――)

心理「私(わたくし)が動く他ありませんわね……」

492: 2010/07/31(土) 03:35:53.62 ID:JBsSlO20



学園都市。総人口およそ二百三十万を誇るこの都市の名を借りた巨大建造地区は、都会と言うべき発展と活気、そして喧騒で溢れていた
道行く人は様々で、老若男女それぞれがそれぞれの表情を浮かべながら歩みを進めている様子は普通の都市とまるで変わりが無い。
この都市が普通で無い点を挙げるとするならば、八割にも上る住人が『能力者』と呼ばれる異能を持った人間であることだろう。

その『能力者』の最も高い強度、レベル5の『超能力者』の一角たる少女は辺りを気にするような素振りも無く背筋を伸ばし颯爽と歩いていた。
彼女の通り名は、心理掌握。精神系能力と分類される側面において、学園都市二百三十万の頂点に位置する能力者。しかし、彼女の素顔を知る人間は驚くほど少ない。

レベル5と称されている他の六人と彼女、心理掌握の最大の差異は単独での自衛能力を持っているか否かと言っても過言ではない。
精神系能力者の宿命とも言える課題だった。彼らは精神に対して干渉するという通常兵器では困難な異能を持つが、物理的にはまるで一般人に等しいのだ。いかに自身の身を守るか、彼らはそこをまず第一に必要とする。

そこで心理掌握が取っている手法は、『心理掌握』としての彼女を可能な限り隠すというものだった。
それは仕事や依頼等の都合上で対面した相手の『心理掌握』に対する記憶を消去したり、必要の無い時はあまり外に出る事を控えるといった存外に地味なものだ。
しかしこれが大きな効果を発揮している。事実学園都市内で彼女の容姿と通り名が一致している者は殆どいない。
それは常盤台中学内でも同様で、派閥内ですらも極々一部の人間しか彼女に直接会う事が出来ない。
会っている者も、いつそれを忘れるか判らない。最も、これには自衛以外にも大きな理由があるのだが。(心理掌握を知っている、としての拷問を受けさせないようにする為である)

従って逆にコソコソと人目を気にする事が意味を持たない為に、心理掌握は堂々と歩を進めている。
そんな彼女は堂々と外を出歩くのも久しく、凛々しい雰囲気とは裏腹に外の空気を楽しんでいるようだった。
多少つりあがった目尻に日本人にしては彫りの深い顔立ちが人目を引き、既成の制服の首下にあしらわれたの臙脂色で細めのリボンタイが瀟洒な印象を与えるものだ。
陽光を反射して輝く金色の髪には、僅かな癖も枝毛も見当たらない。

能力者という下地を知られていなくとも、彼女は十分に周囲の視線を受けていた。その上で彼女が堂々と歩くのは、その方が逆に余計な者共に声をかけられない事が多い、という事実に基づいた経験則によるものだった。

493: 2010/07/31(土) 03:43:34.45 ID:JBsSlO20
ふと風に靡いていた髪が重力に負けて垂れ下がる。歩みを止めた心理掌握の視線の先には、なんの変哲も無い一軒のファミリーレストランが建っていた。
三時過ぎという時間から見ても、店内は客でにぎわっていることだろう。そして恐らくは彼女の目的の人物達も、そこにいることは間違いない。
学園都市第一位一方通行、第二位未元物質、第四位麦野沈利。彼女がどうにかして接触を取るべき相手は事前の調査通りならばこの時間帯いつもの窓際の席を占拠している筈だった。
見上げる視線の先に、緩くカールした茶髪の女性。間違いなく第四位である事を確認した彼女は視線を水平に戻すと長い睫を伏せて、一つ大きく息を吸って吐いた。

偶然を装うにしろ、何か一芝居打つにしろ、心理掌握には慎重に事を進める必要がある。
彼女の通り名であり固有能力、『心理掌握』は十徳ナイフと称される程に汎用性に長けた能力であるのだが、万能ではあれど決して全能ではない。
表層感情の大まかな読心や念話等は一定の距離があっても行使できるが、心に鍵をかけているとでも言える気構えのある人間に対してや深度の深い記憶の読心、相手の価値観を捻じ曲げるような行使には身体的接触がある状況が望ましい。
そうでなくては、本人にかかる負担が大きすぎて彼女自身が倒れる様を晒してしまう。

また、被能力者が能力者に対して心を開いていない場合あがらうとまではいかずとも、深く能力を行使した場合に被能力者自身が能力の行使を受けていると察知してしまう事もある。
このケースは被能力者側の能力強度が高ければ高い程発生しやすくなるという実験結果が得られてもいた。
つまり、すぐさま能力行使に入れば標的は全員レベル5だ。即座に警戒態勢に入られる可能性が高い。それだけですまず、特定されれば先のグループの様に病院送りで済ましてくれる保証もない。
そもそもが標的の一人、一方通行に対して精神能力が通用したという実例が存在しないのだ。これは実験結果が公表されていないだけで通用自体はするのかもしれないがあくまで仮定だ。自分の安全をBETするには些か短慮が過ぎる。

494: 2010/07/31(土) 03:44:59.88 ID:JBsSlO20
が、勿論無策というものでもなく、護衛も付けずに一人で心理掌握が来たのには訳がある。
彼女自身に標的の彼らに対する敵意は無い上、事前の情報では彼女の面は彼らに割れていない筈だった。

一度自身の目で標的を確認した上で、与し易いであろう『アイテム』という組織の人物達の比較的第四位に近い人間に接触記憶改変でも行い知り合いとして標的に接触するもよし。
まあどちらにしろそもそも心理掌握の顔が割れていては話にならないので、その確認がてらに彼らと一定内の距離に入る。それが今回の彼女の目的で。
今回受けている依頼はリスクが高い為、裏がある程度取れたら即離脱しよう。彼女の最終的な結論がこれだった。



自身の内に埋没し、目的を整理するために行った深呼吸。その呼気を吐ききった刹那、目を開いた彼女は目的地、ファミリーレストランの入り口に向かって歩き出す。
金糸を翻した彼女の表情は、珍しくも緊張で硬くなっているようにも見受けられた。


ファミリーレストランの入り口の扉、その二枚目に心理掌握は手をかける。店内の声が耳に届く。
一人の超能力者が、三人の超能力者と接触する。そんな稀有な出来事からこの物語は始まる――――

495: 2010/07/31(土) 03:49:10.40 ID:JBsSlO20


心理(今回の目的は、あくまで確認のようなもの……。ですが、隣とまでは行かなくとも標的が視界に入る席は確保したい所ですわね……)

店員「いらっしゃいませー、お一人様でしょうかー」

心理「ええ」キョロキョロ

心理(あちらのテーブル席なら座った正面が標的達のテーブルですし、丁度良いかもしれませんわね。第一位が見当らないのは……おトイレかしら?)

心理「席もまばらに空いているようですし、好きな場所に座ってもよろしいかしら?」

店員「わかりました、お好きなお席へどうぞー」

心理「ありがとう」

心理(今の所は順調、と。……さて、まずは)



ドンッ!

496: 2010/07/31(土) 03:49:58.99 ID:JBsSlO20
心理「きゃっ……、失礼しましたわ」スタスタ

男A「――――あ? おいちょっと待てよ」グイッ

心理「(ピクッ)…………なんでしょうか」

男A「人んとこぶつかっといてそんだけかよ?」

心理「謝罪は既に申し上げましたけれど」

男B「お、よく見たらこの娘カワイイじゃん?」

男C「いやよくよく見なくてもカワイイだろwww ぶつかっちゃったのも何かの縁だべ、俺らこれから遊び行くから一緒に行こうぜ?」

心理「私、今ここに入ったばかりですので」

男B「いいじゃんいいじゃん。一人でしょ? 一緒にいた方が楽しいって、カラオケかどっか行こうよ」ニヤニヤ

心理(……馴れ馴れしくも低俗。下心を隠そうともしない下劣。反吐が出るってこのことかしら)

497: 2010/07/31(土) 03:57:55.78 ID:JBsSlO20
男A「良いから来いってんだよ。そしたらいきなりぶつかった事勘弁してやるから」グイッ

心理「――触らないで頂けますか?」パシッ

男B「おいおい、振られてやがんのwwww」

男A「(イラッ)……てめぇ女ぁ、調子乗ってっとマワしちまうぞ?」ガシッ


心理(こういう下種に絡まれてしまうのは顔の割れていない弊害ですわね……)

心理(こんな事ごときの為に……、力を振るわねばならないなんて)

心理(こんなことだから――――)スッ キィン


心理「外出しても碌な事「おーゥおゥおゥ僕ちゃン達、人様の邪魔になるような場所で立ち止まってちゃいけないって学校で習いませンでしたかァ?」――――?」


心理(後ろから……声……?)

男A「んだてめぇ横から口出してくんじゃねえよ引っ込んでろ」

一方「女に腕出してるテメェが言えた事か。きえろォ、ぶっとばされンうちにな」凸

心理(――――一方通行!?)



テメェラノエンザンリョクジャオレガアクセラレーターダトケイサンデキナカッタロウ!!
ウギャアキンニクマーン!!

498: 2010/07/31(土) 03:58:55.88 ID:JBsSlO20
一方「ハッ、まァたつまらン奴をのしちまったァ……。おーい店長ォ」

心理(一瞬で三人を……、まるで見えませんでしたわ、これが第一位の実力なのかしら……)

店長「いらっしゃいませ……、申し訳ありませんでした」

一方「謝るこたァねェよ。それよりコイツらの後片付け頼むぞ」スタスタ


垣根「ん、一方遅かったな。今なんか入り口で騒いでたのお前だったのかよ」

麦野「なに、また店長さんに迷惑かけてたの? いい加減出禁食らうわよ」

一方「違ェよ、変なのが騒いでたからどかしたンだよ。……ダーツ・マスターは?」

麦野「フレンダならさっき帰ったわよ。見たいテレビあるとかで」

一方「げェー! ……一足遅かったか」ガタッ

499: 2010/07/31(土) 03:59:35.79 ID:JBsSlO20

心理「…………」ポカーン

心理(――――――!)タタッ

心理「お待ち頂けますか?」

一方「…………ァあ?」クルッ

心理(この目つきだけ見るとさっきのとどちらがチンピラかわかったものではありませんわね……)

500: 2010/07/31(土) 04:03:33.54 ID:JBsSlO20
心理「礼も聞かずに立ち去ろうとするなんて、逆に失礼じゃありませんこと?」

一方「ンなの知った事か。俺ァ邪魔な木人形をどかしただけだ」

垣根「なんだこの子。お前の知り合いかよ一方?」

一方「知らねェな。とっとと失せろ」

心理「――ッ、そんな言い方は無いのではなくって?」ピクッ


麦野「……え、何これ。リアル修羅場ってやつ?」

垣根「少なくとも俺は女の子の方は知らねえぞ。一方通行は知ってるがな」

麦野「当たり前でしょ馬鹿じゃないの」

垣根「ちょっとボケただけじゃねえか……」

501: 2010/07/31(土) 04:04:14.06 ID:JBsSlO20
麦野(そんなことより、一方に誰かが絡んでるなんてこんな面白そうなシチュエーションをみすみす逃がす筈がなかろうなのだー)

麦野「あー、ちょっとちょっとそこの子ストップ。一人で来てるの? それとも誰かと一緒?」

心理「わ、私ですか? ……一人で来ていますが」

麦野(……聞いといてあれだけど寂しい子なのかしらひょっとして)

垣根「おい麦野、不躾すぎんぞ」ボソボソ

麦野「わ、わかってるわよ」ボソボソ

心理(……ファミリーレストランに一人で来る、ってよく考えたら凄く虚しい事なのかしら)

一方「ケッ」

502: 2010/07/31(土) 04:05:34.63 ID:JBsSlO20
麦野「一方が迷惑かけたわけ? ああ一方ってのはコイツの事だけど、どっちにしろちょっと話聞きたいからさ。相席しない?」

垣根「お、良いね。可愛い子が来てくれるのは大歓迎だ」

一方「おィてめェら勝手に話進めてンじゃねェぞ」

麦野「良いじゃん、どうせ席も空いてるんだからさ。私の隣おいでよ、ほらほら」ススッ

心理「そ、それでは失礼しますわ」ガタッ

垣根「でだけどよ。コイツが何かしでかしたのか?」

一方「なンもしてねェっつっただろォが!」

心理「したではありませんか! しらばっくれないで欲しいですわ!」

麦野「――え? 一方アンタまさか」

垣根「ええ、彼は普段から奇行が目立っていました。いつ何かをしでかすかとは思っていましたが……」

一方「そういうボケいらねェから! ガキ、テメェもややこしい言い方してンじゃねェぞ!」

503: 2010/07/31(土) 04:07:47.40 ID:JBsSlO20

かくかくしかじか



麦野「なぁんだ一方、犯罪者になったんじゃなかったのね」

一方「貴公・・・。真面目にそれ言ってンなら麦野さンとの付き合い方考えるレベルだわ」

垣根「っつーか良い事しただけじゃねえか。妙に隠そうとすんのは紛らわしいぞ」

心理「そういう訳ですから……、その、私はお礼を言おうとしていたのですがつい熱くなってしまいまして……。失礼致しました。それと助けていただいて、ありがとうございました」

一方「礼を言われる為にしたことでもねェのに律儀なこったな」

麦野「そうよ謝る事も礼を言う事も無いわよ、コイツ目付き悪いし挙動不審だし中二病だしね」

一方「おい、なンの言われも無い麦野さンになンでディスられてンだ俺は。しかも何も今の話と関係ねェじゃねェか」

垣根「なあ麦野、一方なんでかこの子にちょっと素っ気無くね? 惚れてんのか?」

麦野「逆じゃない? 助けちゃったけどお礼とか言われんの恥ずかしくて照れてんのよ」

垣根「あー、あー、納得した」

一方「そういう話は本人に聞こえない場所でしてもらいてェもンだが。なァ?」

心理「――――え? そ、そうですわね」

心理(……随分と気軽な方々ですが)

心理(もう既に私の正体を看破されているとか……マフィアは頃す相手を恐ろしいほどまでもてなすと言いますがまさか……)

心理(いえ、まさか、ですわね)

555: 2010/08/23(月) 01:15:17.24 ID:akZSnBc0
全然関係ないけど、上の方で出てた絶体絶命都市3プレイしたんだ
ちょっとボリューム不足感はあったけど、今回は監修付けたり少し需要の層を広げようって考えも感じられたし
相変わらず選択肢は飛ばしてたし、歌も凄く良かった。ストーリーが最後に苦笑する感じなのは前からだからしょうがないけど、下手に壮大すぎるよりは良いかな
4は逆にもっと小物っぽい事故責任の擦り付け合いだけなんかも良いかなって思った。アイレムがんばれまじがんばれ

端的に言うと、暫くしたら投下します

559: 2010/08/23(月) 02:44:07.43 ID:akZSnBc0
麦野「大丈夫、別に取って食われはしないって。こいつら童Oだし」

一方「テメェ声高に何語ってンですかァ!」

垣根「どどどどどどど童Oちゃうわ」

心理「ど、どっ――――?」

麦野「あ、ごめん、下ネタとか駄目な人?」

心理「あ、あまりこの様な場でその様な事を耳にする機会が無いだけですわ」

麦野「他にどんな場所で聞くのよ、かわいいわね。あーこういうの悪くないなー」

垣根「おい麦野、テメェとこの子一緒にすんじゃねえぞ」

一方「麦野さンの口の汚さはビXチ級。どォしてこうなった」

垣根「生まれつきか育ちか両方かだろ?」

一方「野に咲く一輪の花を見つけて微笑むお嬢様麦野さン想像してみ」

垣根「あ、ダメだ。いま花引きちぎって口元歪ませた」

麦野「テメェら氏にたいならもっと直接話法で言ってくんないかな」ビキビキ

心理「あ、あの落ち着いて下さいな」アセ

560: 2010/08/23(月) 02:47:28.99 ID:akZSnBc0
ヤイノヤイノ


麦野「今更かもしんないけど、自己紹介しとくわ。私は麦野沈利、大好物は鮭ね」

垣根「俺は垣根帝督な。帝国の帝に都督の督って書くんだが、よく間違われるんだよなー船とかの提督と。好物って言うかは知らんが甘いものを良く食うぜ」

一方「ややこしい名前してやがンもンな。……俺ァ一方通行だ、名前位は聞いた事あンだろォが別に構えなくても良い。……コーヒーを良く飲むな」


心理(改めてこうやって並べていただくと壮観ですね。超能力者が四人揃うなんて、研究者が見たら発狂するんじゃないかしら)

心理「私は、手之家心(しゅのやこころ)。好きな物は……ええと……、緑茶、でしょうか?」

麦野「へえ、珍しい苗字してるわね。あと無理に合わせて言ってくれなくても良かったのにw」

垣根「何の脈絡も無く好物晒した麦野が言うなよ。……心ちゃんね、良い名前じゃねえか。悪くねえ」

麦野「垣根ぇ、アンタが合わせたから流れができちゃったんでしょ。……後前も同じこと私に言ってたわね、ボキャ貧?」


一方「俺ァ本名ってのが無いしな、好きに呼んでくれて構わねェぞ」

心理「――そう、なのですか。私の事もお好きにお呼び下さいな。助けても頂いた事ですし、ね?」

一方「引っ張ンなァ……。そォいうの意識してた訳じゃねェし、もォ勘弁しろ」

心理「ふふっ、私が思っていたよりも可愛らしい方なのかもしれませんわね、一方通行さんは」

一方「ちっとも嬉しくねェぞ」

心理(私も偽名、みたいなものですけれどね。データベースにも事前に登録してあるので検索されたとしても足は付きませんし)


麦野(んん? 一方に脈あり、なのこれ?)

垣根(ぱっと見の目つきとかも鋭い感じだったが笑うとそうでもないな)

561: 2010/08/23(月) 02:55:34.72 ID:akZSnBc0
麦野「しゅのやってちょっと呼びにくいし、心って呼んじゃうよ。良い?」

心理「ええ。麦野さん、でよろしいですか?」

麦野「ま、駄目っていっても呼んでたんだけどさ。礼儀正しいわねー、そういうの好きよ」

垣根「はいはい麦野麦野」

一方「そういや関係ねェけど、渾名付けやすい名前と付けにくい名前ってあンだろ?」

麦野「あるわねそういうの。譲二とか名前呼ぶだけで既に外人臭くて渾名みたいだしね。ヘイジョージ!」

心理「その側面ですと、垣根さんも個性的なお名前ですから渾名は付きにくい部類に入るのでしょうか」

一方「帝督ンでいいだろていとくンで。くン付けっぽく尚且つ渾名として成り立つ一粒で二度おいしいですってかァ?」

垣根「お前はそもそも能力略するか全然関係ない名前付けるしかねえじゃねえか。一通、一行、方向とかどうだよ」

麦野「あっは、方向と一通とか面白いかも」プププッ

垣根「渾名が一通とかいかにもマージャン強そうじゃねえの? 一通のほにゃらら、みてえなな」

一方「俺のスタイルは鳴き虫だから狙えなくもねェがマジでどォでもいいな」

562: 2010/08/23(月) 03:07:07.61 ID:akZSnBc0
一方「他に何か新しいのは……、シンプルに帝督でてっちゃんとかよォ」

垣根「そんな鉄道マニアみたいな名前はよせ。しかも俺実は電車に乗ったことほとんど無いんだよな」

麦野「そうなの? あー、でも垣根遠出するときも飛べるもんね。こう、ぶわーって」

心理「飛ぶ、と言いますと空をですか?」

一方「ああ、そりゃ驚くよなァ。コイツ背中から羽生えンだよ」

心理「???」

垣根「能力で勝手に出ちまうんだよ。一方も飛ぼうと思えば飛べんだろ? ベクトル変換とかなんだとかでな」

一方「飛ぶっつゥか空に向かって落ちる感じだけどな」

麦野「私も理論上は一応飛べなくもないらしいけど。飛行機雲みたく軌跡に電子撒き散らしながら」

垣根「むぎのんマジ原子……」

563: 2010/08/23(月) 03:13:37.09 ID:akZSnBc0
垣根「しかし、名前のケツにンを付けるのは手法としては理にかなってる。悪くねえ」

一方「むぎのン、しずりン、かきねン、ていとくン、しゅのやン、こころン……ほンとだ、それっぽくなってンな」

麦野「かきねんは無いでしょかきねんは、ちんねんかってのよ。どう聞いてもお坊さんじゃん」

心理「一方通行さんは……アクセランかレータンになるのでしょうか」

垣根「アクセランは完全に特撮ヒーローだな。一方戦士、アクセラン! ……ぜってぇいるだろコイツ。主にデパートの屋上とかに」

麦野「レーたんは逆に可愛すぎるしやっぱりアクセランかなー……。なにちょっとアクセランありかもみたいな顔してんのよwwww」

一方「え、いや、なンかちょっとカッコ良くねェか?」

心理「わ、私に聞かないで下さいな!」

垣根「ほら一方ン、心ちゃんに絡んでんじゃねえぞ」

麦野「うわ、一方のほっこり顔気持ち悪いわ」

心理「――――くすっ」

垣根「ほらほら、心ちゃんも笑ってんだろ」

心理「あ、いえ私は」

一方「別に良いだろォ人がどんな趣味してよォが!」

麦野「一方今度服買いに行きましょ服。趣味で思い出したけどアンタのその服いっつもは無いわ。同じかと思わせといて少しずつ違うけど全部似たようなデザインだし」

垣根「ほれ見ろ、前の俺の発言の焼き直しだ。テメェはココじゃマイノリティなんだよ」

一方「ぐっ……、おい、テメェからもなンか言ってくれよ。このシャツだって別にアリだよなァ?」

心理「え、え? いつもこのようなデザインを? ――――とても個性的、ですわね(苦笑)」


一方「」

一方「俺ァ……孤独で一人ぼっちだァ……」ズゥーン

564: 2010/08/23(月) 03:30:11.00 ID:akZSnBc0
一方「良いンだ良いンだ、いつか判ってくれる奴が現れンだ」

垣根「いつかとか言ってる奴に永遠にいつかは来ねぇよw それより心ちゃん、折角入ってきたんだし何か頼まねえのか? 水しか出てきてねえぞ」

麦野「あー、私もなんか頼むわ。……なにこのオクラのオーブンきってやつ、パッと見明らかにほうれん草みたいね」

一方「麦野さンオクラ食えンのか?」

麦野「別に駄目じゃないけど、なんで?」

垣根「ねばねばが駄目とかぶつぶつが駄目とか、そういう意見も一般的に多いからな。俺も食えるけど」

心理「私はあまり……」

麦野「好き嫌いしてたらあんまり育たないわよ。――――って育ってんのかしら」プニ

心理「ひゃぁん!」ビクッ


垣根「おい麦野、その辺にしとけ」

一方「おい垣根くン、顔にやけてンぞ」

麦野「アンタもね、一方」

心理「もう…………」フゥ


心理(…………現状、こうやって会話を交わす心理的距離ならば、感情の割合比程度の読心であれば気取られる事は無いでしょう)

心理(私という存在がここにいる事に対して、彼らがどのような感情を抱いているのか……)

心理(貴方がたの心を、掌握させて頂きますわよ)

565: 2010/08/23(月) 03:42:06.64 ID:akZSnBc0
心理「――――――」キィィン

垣根「ま、つまむもんなんか頼もうぜ、ちょっと小腹がな」

麦野「私ポテトでいいや。無難極まりないけど」

一方「蒸し鶏のヘルシー和風サラダってのいってみっか」

心理(第二位と第四位は、警戒は二割以下殆どなし。第一位は……警戒が三割、少し用心深い方ならこの位ですわね)

麦野「あれ、一方がサラダとかどうしちゃったの。サラダが似合わない男選手権優勝候補だったのに」

垣根「今流行の草食男子? の真逆いってるよなコイツ。将来絶対やべえ病気併発して氏ぬぜ」

一方「いいンですゥ、反射で体に悪いもンは取り込まないンですゥ」

麦野「うっわ、なにこの近年稀に見る最低野郎」

垣根「それはそうと心ちゃん何か頼む? 腹減ったりとかしてない?」

心理(過剰な警戒が無いとはいえ、深く踏み込むにはまだ――――)


心理「――――あ、私ですか? そ、そうですね、ええと…………BLTサンドにしますわ」

垣根「よしとりあえず頼んじまうぞ」ピッ ピンポーン

566: 2010/08/23(月) 03:50:32.36 ID:akZSnBc0
心理(先程の反応という事は、私が『心理掌握』であるという事はまだ判っていないようですわね。もし判っていたならば、疑問や猜疑の感情が強く出る筈ですもの)

心理(偶発的な出来事でしたが……、偶発故に足が付くこともなく。私に接触した切欠が第一位である以上このことから私が疑われる事はありえません)

心理(結果としてこれ以上無い状況なのではないかしら……、これならばある程度の接触を重ねた後に彼らに後ろ暗い事が無いか調べる事も容易である可能性が高いようですし)

心理(面倒にも程度がある調査でしけれど、存外早く片付きそうかもしれませんね)


店員「ご注文をどうぞ」

垣根「蒸し鶏のヘルシー和風サラダ一つと、ポテト一つ、BLTサンド一つで。あ、あとドリンクバー二つ」

店員「かしこまりました、グラスはあちらに(以下略」スタスタ

垣根「……そういえば心ちゃんは学校帰り?」

心理「え、ええ。そうですが、それが何か?」

567: 2010/08/23(月) 04:18:16.85 ID:akZSnBc0
垣根「いやさ、あんま勉強して無いんじゃないのかってさ」

心理「(……!)どうしてそうお思いに?」

一方「どういうことなンだ、垣根!」

垣根「学生なのにカバンが軽そうということは、置き勉かやる気無し勢! つまり、家では勉強してねえという事だろ!」

麦野「はいはいなんだってなんだって。私も昔そうだったけど、カバンあっても正直勉強道具なんか入ってなかったわよ。それでもなんでかいっぱいになってたけど」

一方「俺正直学校行ってねェからなァ。そのへンよくわからンねェ」

心理「……何故お行きにならないのですか?」

垣根「勉強嫌いだからだって」

一方「違ェよ! 今更学校行っても習うような事もねェ、教師共も逆に対応に困るだけだろォしな」

568: 2010/08/23(月) 04:18:50.43 ID:akZSnBc0
垣根「ま、俺も似たようなもんだがな」

麦野「でも勉強嫌いなんでしょ?」

垣根「判り切ったこと聞いてんじゃねえぞ」

麦野「あ、やっぱり? 私もだけど」

心理(彼らにも、持つ者の悩みや葛藤はあるのですね……)

心理(あと)

心理(勉強が好きでないというのもほぼ万国万人共通の価値観なのかもしれませんね……)


心理「実は私も、余り好きではありませんの」

垣根「ですよねー」

一方「ですよねー」

569: 2010/08/23(月) 04:19:22.84 ID:akZSnBc0
一方「よし、コーヒーでも取りいくかァ」ガタッ

麦野「私待ってるから垣根お願い。ダージリンね」ヒラヒラ

垣根「ティーメーカーにこんもり盛ってきてやるよ」ガタッ

麦野「めっちゃ濃そうwww」

一方「手之家っつったな、テメェも行くか」

心理「ええ、そうします」ガタッ

597: 2010/08/28(土) 02:35:37.06 ID:O/kxFw.0
心理(よく考えれば私、このお店に来るのは初めての事でしたわ)

垣根「今日はメロンソーダにすっかな」カラン

心理(緑茶が飲みたいのですが……、これはいったいどのようなシステムになっているのでしょうか)

一方「氷は二つだったか。……それにしても抹茶ラテにしろそれにしろ緑色好きだなァ垣根くン」

心理(ティーパックは無いようですし…………。このケースの中の茶葉を使うとして一体どこに――――まさか直接?)

垣根「そういうテメェはまたコーヒーだろ。何かここ豆いちいち変わるんだよな、やっぱ味とか違うのか」

心理(――あ、この専用カップに入れるのね。茶葉をとるスプーンはこれかしら)カチャ

一方「ちげェよ。違いがわからない垣根くンはコーヒー牛乳でも飲んでなさいってこった」フフン

心理(どのお茶にしましょうか……。うん、最初は煎茶にしましょう)カパ

垣根「炭酸の入ったやつ入れる時、いっぱいにしようとすると二回に分けて入れなきゃいけねえのが面倒くせえな」

心理(…………中に木のスプーンが入っていましたわ)

600: 2010/08/28(土) 02:40:50.81 ID:O/kxFw.0
一方「炭酸ほとんど飲まねェからわかンねェけどな」

心理(気を取り直しましょう。流石にお湯の出し方はわかります、こうやって上に持ち上げれば……ほら出た)トポポポ

垣根「こないだ炭酸水足りてなかったのかメロンソーダの原液ほぼそのままでよ。むせて鼻から漏れそうになったぜ」

一方「未元物質が?」

心理(この位でしょうか。少しおしゃれですわね、コレ。今度探してみましょうか)トポ

垣根「うっせえ。麦野はダージリンだったな、確か」カパ、サッサッ

心理(手馴れていますわね……)

垣根「おゆゆゆゆ~」トポポポポ

心理(――――――!!)

心理(ツマミを下に押しても出るのですか)

心理(――――うん、無知は恥ではありませんわ。無知であり続けることが恥なのです)ブツブツ

一方「おい、突っ立ってねェで戻ンぞ」

心理「はい」シュン

一方「?」

601: 2010/08/28(土) 02:45:02.06 ID:O/kxFw.0
心理「一方通行さん、先ほども仰ってましたけど本当にコーヒーお好きなのですね」

一方「コーヒー飲まねェと手が震えンだよ」

垣根「くッ……静まれェ俺ン右手よ……!」プルプル

麦野「雰囲気出てるわwwwwwwwwすっごい身内ネタだけどwwwww」ゲラゲラ

一方「おい、そりゃ俺ン事かよ垣根くゥン」ビキビキ

垣根「腕を翼に置き換えると俺の事になるんだぜこれ」

心理(煎茶おいしいですわ)ゴク

602: 2010/08/28(土) 02:48:37.01 ID:O/kxFw.0
一方「そういやなンだが、手之家のその制服常盤台のだろ。通ってンのか?」

麦野「超エリートってやつじゃない? しかもお嬢様」

垣根「どおりで麦野とはそもそも喋りが違うんだな。ますわ、とかもし麦野が言ってたら鳥肌もんだろ」

麦野「ブチコロシ確定ますわ」ニヤァ

一方「そこでニコォって笑えねェ辺りが麦野さンの限界だな――――あ、ゴメンイテェ電子飛ばすのやめて」

麦野「」チリチリチリ

心理「え、ええ、一応は籍を置かせて頂いていますわ」

垣根「お嬢様ねぇ。俺が知ってるパチもんと違ってやっぱモノホンはオーラが違ぇな」

麦野「能力はどんなの使えんの? 確かあそこって最低レベルみたいのあったわよね」

一方「確かレベル3の筈だな」

垣根「なんで即答できるんだテメェは。――――――もしや」

麦野「うわ……常盤台マニアとかドン引きなんだけど……」

垣根「オマエ俺に散々年増好きとか罵倒しといて自分は中学生好きかよ。マジで救えねえ……心ちゃんも下心あって助けたんじゃねえだろうな」

一方「垣根くン今すぐ氏ねますわ」

麦野「気に入ったの? それ」

一方「ちょっとだけ」

垣根「一方のキモさが半端じゃないますわ」

麦野「アンタらwwwww」

心理(内容が無さ過ぎてよくわからない事になってまs……なってるわ)

603: 2010/08/28(土) 02:54:25.35 ID:O/kxFw.0
垣根「だがエリートで言ったら俺たちも負けちゃいねえだろ。なんつっても学園都市が誇る超能力者が面ぁ並べてんだぜ」

一方「エリートねェ……、そこらの学園の大能力者の方がよっぽどエリートらしいと思うンだがな。俺ら結構好き勝手してンだろ」

麦野「まあそいつらは上目指して頑張るぞーみたいな健全な動機で頑張ってるからね、たまに変なのも多いけど」

垣根「多いのか少ないのかわかんねぇよw まぁ俺達は実験付き合ってりゃ金も貰えるしそこそこは好きに動けるし、な。特別心の底から欲しいものがあって、それが上を目指すことでしか手に入らないってんなら……また別だろうが」

麦野「ま、ある程度上にいるからこそ言える台詞なんだろうけどさ。それでも間違っちゃいないと思うよ。ってことは、垣根は今満足してるわけ?」

垣根「別に不満はねえよ。態々張り切ってまで、んで今あるモン捨ててまで、上目指す理由が少なくとも俺には存在しねえ」

一方「俺に散々絡ンでくれたどの口でそォいう事言うかねェ未元物質くンは。下克上の精神はどォこ行ったんだか」

心理「えっ、猫駆除?」

垣根「馬鹿そりゃぁ…………、別に良いんだよ」ハンッ

麦野「あぁらあらあら、垣根ちゃんは素直になれないお年頃かな?」ウフフ

一方「気持ちわりィ煽り方してンじゃねェぞ……」

心理「」

心理(え……? この二人、ひょっとして……、え、でもまさか――――え? BL(ベーコンレタス)?)

604: 2010/08/28(土) 02:56:38.26 ID:O/kxFw.0
垣根「おーい心ちゃーん、今のはこのおばさんの冗談だからねー、真に受けないでねー」

麦野「あ、あはは、かきねぇ、今のも冗談だよねぇ勿論」

垣根「え? そう聞こえっか?」

麦野「頃すますの」ピカー



一方「手之家は緑茶派なのか? 言っちゃ悪ィがパッと見の印象だとそれっぽくねェンだよ。優雅に紅茶っつゥか」

心理「え、ええ。落ち着いた色合いや味が好きなので」

心理(…………深い心理状況を読み取れるようになったら、この二人の関係もついでに読み取ってしまいましょうか。第一位と第二位の関係……需要あるかしらね)

609: 2010/08/28(土) 03:09:57.28 ID:O/kxFw.0
垣根「まあレベル5が三人っつっても別に気後れする事は無いからな、実際。同じ人間だしよ」

心理「(本当は四人なのですけれど、わかるはずも――――)」


麦野「――――いや、四人よね」

心理「――――っ!!!!!」ビクンッ

一本「四人?」

垣根「つまり……どういうことだってばよ……?」

心理(わ、わたくしの正体が看破されている!? そ、そんな、確かにあの時の比率で私が警戒されているということは無かった筈……!)

心理(それとも――――警戒されるまでもなく見通されていたというの、この私が!?)


麦野「あれどうしたのよ心、顔色悪いけど」ニタァ(心理主観

心理(み、見透かされて……)

心理「う、ぁ……。な、なんでもないで――――」ガタンガチャ、ベシャーー

心理「きゃあっ!」

垣根「うおおう! こぼれてるこぼれてる!」オタオタ

一方「垣根くン防水物質防水物質!」ワタワタ

垣根「うなれ、俺の防水物質!」ペカー

麦野「一方アンタもベクトルで水弾かせたりでもしなさいよ! わ、私もなんかした方がいい?」アタフタ

一方「原子崩すんじゃねェぞ! 机が燃えて消えて無くなンぞ!」

611: 2010/08/28(土) 03:22:31.45 ID:O/kxFw.0
店長「どうぞ」スッ

垣根「おお、布巾どーも。……よし、シミになってはねぇな。良い仕事したぜ」ゴシゴシ

一方「あァビビった」

麦野「まあ服にかからなくてよかったって事にしときましょうか」

垣根「あー、一方の激流葬思い出した」

一方「バーストストリーム?」

垣根「それじゃ俺に直撃してんだろ。そしたらテメェ今息してねえぞ。俺がさせてねえ」

心理「と、とんだ失礼を……」シュン

麦野「良いわよ良いわよ。私は何も被害受けてないし……どこまで話したっけ?」

一方「レベル5が四人だな」

垣根「後のレベル5っつったら、三五六七だろ?」

心理「…………」

麦野「ああそれか。いやフレンダが言ってたんだけど、あの超電磁砲もたまーにだけどここのファミレス来てるらしいよ。同年代の友達連れで。だから、正確にはたまーに四人になる、ね」

一方「ダーツマスターが言ってたのか。……俺もよく来るが見たことねェな、時間帯ずれてンのかね」

心理「(……私では、なかったのですか)超電磁砲――――第三位がですか?」ホッ

麦野「そうね。……ああ、心と同じ常盤台だもんね。なんていうか人気あるでしょあの子、出自とか色々あるし」

心理「そう――――――です、わね……。あの方は……」

心理(そう……、私とは、違って)

垣根「弔電時報『アンダーテイカー』……一体何者なんだ……」ゴクリ

一方「いや本当に誰だし」

心理「――――――――」

心理(この方達と話していると気が抜けてしまいますわねえ)ハァァ

612: 2010/08/28(土) 03:30:57.49 ID:O/kxFw.0
麦野「今度会ったら挨拶でもしとく?」

垣根「麦野『ほんの挨拶代わりにこれでも喰らいな!!』 こうか?」

一方「おィ麦野さンレベル5としての品格がたンねェな」

麦野「……原子崩しで電子をパイ状にできないかしら。顔面にこうバボンと張り付いてさ」

垣根「そして辺りに立ち込める肉の焦げる匂い」

一方「ミートパイってレベルじゃねェぞ…………」

麦野「……こーこーろーん、コイツらマジで調子乗ってんだけどー」

垣根「わりぃわりぃ。んで話また戻す兼質問させてもらいましょうか。ずばり心ちゃんって何の能力者よ」

麦野「あ、私も気になってたのよね。常盤台なんでしょ? 使える能力だったりするんじゃない?」

心理「ええと、そんなに大した能力ではないのですが……。レベル3の『間接接触(ウィスパーヴォイス)』ですわ」

心理(偽造認証にそう記載されているだけなのですけれどね)

麦野「『間接接触』? まあ名前だけじゃちょっとわかんないかな」

一方「しっかし能力名だけ見てくとなかなか面白ェ名前も多いンだよなァ」

613: 2010/08/28(土) 03:38:50.23 ID:O/kxFw.0
垣根「例えば?」

一方「木原くン経由で聞いたンだが、『全身爆発(エクスドエンド)』とか『自然現象(ネイチャーメイド)』とか」

麦野「全wwwww身wwww爆www発wwwwwwwなんにつかうのよそれwwwwwwwww」

心理「……どのような能力ですの?」

一方「発火能力者の亜流らしいンだが自分の体ン中でしか能力発現できねェから……使った途端に体がパーン、と予測されたとよ。能力使用を厳重に禁じたっつってた」

麦野「絶対に押すなよ! って書かれたスイッチが常に目の前にぶら下がってるようなもんじゃん……。私なら三日も持たないわ」

垣根「科学の犠牲になったのだ……、もう一つの体に良さそうな名前のは?」

一方「お湯を水にしたりとか……、ま、要は温度操作だな」

心理「便利そうな能力ではないですか?」

一方「放置した時に比べて、沸騰した水が常温になるのが17秒早いらしい」

麦野「oh...自然現象...」

一方「常温の水を沸騰させる、いわゆる加熱は可能かって実験もしたらしいんだが……一瞬でも気ィ抜くと温度が一気に下がるらしくて実験ぶっ続け。周りは周りで感情移入始めたのか頑張れよ! もっと熱くなれよ! のシュプレヒコール」

心理「熱くなれよと言われている方が水を熱く……っく、いえ、笑ってなどいませんわ……」ププッ

麦野「口ゆがんでにやけてるの我慢できてないわよwwww で、結局熱くなったわけ?」

一方「かかった時間は十三時間半。本人は沸騰を見届けた直後に笑顔のまま過労で倒れて病院に運ばれた」

垣根「俺のヘソが茶を沸かす方がはええだろそりゃwwwwwwwww」

心理「不憫な方……」

662: 2010/09/03(金) 00:08:05.06 ID:NNE/2Hk0
垣根「話逸れ出すと止まらねえな……、『間接接触』だったか」

心理「ええ。要するに、離れた場所にいる方へメッセージを送る……実も蓋も無い言い方をしてしまえば念話ですわね」

一方「まあ、ある意味使いやすい能力で良いな。俺は触ンねェと意思疎通できねェし」

垣根「耳元にだけ声を届けるみたいな事ならできなくもねえな」

麦野「え、え? 私? あー、えーと…………文字の形にビームを撃てる、かな?」

一方「ナイアガラかなんかかよそりゃ」

心理「双方向でないのと、能力射程に限界があるのでレベル3となっているらしいのですけれどね」

麦野「……どうせ私はぶっ壊し専門よ。ブレイク工業が天職なのよ」

垣根「電子の扱いをマスターしたらマイナスイオン放出できるじゃねえか。体に良いぞ」

一方「ま、どちらにしろ精神系の能力については俺達全員揃って門外漢だろォ?」

垣根「門前の小僧っても、知識だけじゃ如何ともし難いしなぁ」

麦野「精神系のトップは第五位だよね。会ったことある?」

垣根「ねえよ」

一方「ねェな、そもそも顔も知らねェよ」

心理「私も直接は…………」

心理(鏡越しでしか見たことありませんものね)

麦野「私も無いのよね。同じ学校の心が見て無いとするとさ、女王サマとか言われてるっぽいけど、もしかするとそもそも外に出てきてない説が浮上してきたわ」

663: 2010/09/03(金) 00:10:52.74 ID:NNE/2Hk0
垣根「んだよ、引きこもりか。寂しい奴だな」

心理「……い、いえそれはどうでしょうか」

麦野「根暗なんじゃない? でかい派閥の天辺って聞いたけど持ち上げられるだけ持ち上げられて引っ込みつかないとかさ」

心理「き、きっと色々と事情がおありになるのですよ。超能力者だからこその事情だとか……」

垣根「そうかぁ? 俺らも超能力者だけど最近はこんな感じじゃねえか。加えてここにたまに来てるという超電磁砲も友達連れだ、そいつの性格の問題な気はするぜ」

心理「ですがその――――そう、精神系能力者のレベル5は心理掌握一人ですし思うところがあるのでは……」

麦野「心、やけに庇うじゃない。同じ精神系のよしみってやつ?」

心理(私は引きこもりでも根暗でもありませんわ! ……ああでもそうとは言えないもどかしさ)

一方「ハイハイそこらでやめとけ。そもそも外に一歩も出てない説自体が仮説だろォ」

心理「――――!!」

垣根「そりゃそうか。どんな奴だろうな心理掌握」

麦野「精神能力者は有無も言わさず直接ハジかれたら終わりだしねえ……、それで隠れてるんだろうけど」

心理「一方通行さん…………」ウルウルウル

一方「まあでも女王サマとか言われてンだろ? どっちにしろマトモな人格者とは思えねェけどな」

垣根「女王サマとかドSだろ完全に、人踏んで高笑いしてる感じかよ」チラッ

麦野「おいコラ、なんで今私を見た」ビキ

心理「」

一方「……どうしたンだよ手之家」

心理「なんでもありませんわ!」プイッ

一方「?」

心理(引きこもりじゃないもの。そう、引きこもりなんかじゃないもの)

664: 2010/09/03(金) 00:14:19.72 ID:NNE/2Hk0
店長「お待たせいたしました、蒸し鶏のヘルシー和風サラダのお客様」

一方「ン」

店長「フライドポテトのお客様」

麦野「はーい」

店長「BLTサンドのお客様」

心理「私です」

店長「以上でご注文おそろいでしょうか?」

垣根「ああ、大丈夫す」

店長「かしこまりました、それと先程は妙な連中の処理をお任せしてしまい申し訳ありませんでした。加えて感謝します」

垣根「さっきの……? ああ、一方と心ちゃんのか」

店長「お礼と言ってはおかしいですが、こちらサービスとさせて頂きます」スッ

麦野「あ、ピザにイカだ。良いの?」

店長「この位しかできませんが。今後も当店をご贔屓にお願いしますね。ではごゆっくりどうぞ」スタスタ

一方「別に良いのによォ……、しかも律儀な上にしっかり宣伝していきやがった」

麦野「抜け目無いわよねあの店長。何者かしらねえ」

垣根「店長は店長だろ? それよりこのピザ……テリマヨピザってやつか。イカはイカだな」

一方「毎回頼んでるからな、イカ。マヨネーズまで最初っから付いてるし覚えられてンじゃねェの?」ハハッ

麦野「こういうサンドイッチ系の切り方とか作り方で、キッチンの忙しさとか適当さとかわかるのよね」ツンツン

垣根「この店は基本丁寧じゃねぇの? 当たりってこったな」

心理「よく見たらBLTサンドとフライドポテトでポテトが被ってしまいましたわ……」

一方「被ってしまいましたわ! やっぱ言うよなァソレ! 礼儀っつゥか様式美っつゥか!」

心理「え? な、なんのことですの?」

一方「…………素かよ」ハァ

垣根「一方がマジョリティな所見たことねえわ」

麦野「中二病なんでしょ? マイノリティ(笑)」

一方「しつけェますのクソッタレますの」

666: 2010/09/03(金) 00:27:52.39 ID:NNE/2Hk0
麦野「あ、思い出した。心来てて聞きそびれたけど、一方アンタ絹旗とはどうだった?」

一方「ン? あァ、前よりは進歩してンじゃねェか。相変わらず長さは小指程度だが、今に親指よりはマシになるかもな」

心理「どちらさまですか? その絹旗という方は」

垣根「ああ、麦野の知り合いだ。それがたまたま一方に縁あったらしくてよ、ちょいちょい麦野経由で会ってたんだが能力の訓練に付き合う話になった……んだよな?」

一方「大体はな、負い目も無い訳じゃねェし丁度良いっちゃ丁度良かった」

麦野「一方も難儀な奴よね、アンタが何かしたわけでもないのに」

一方「そっちから頼ンどいてその発言おかしくありませンかァ!? ……まァこっちの話だ、気にすンな」

心理「そう、ですか。それなら……」

垣根「アイテムの方はどうなってる?」

心理「アイテム?」

一方「麦野さンファミリーな。一種の派閥みたいなもンだろ?」

垣根「まあ間違っちゃいねえな」

麦野「今んとこ特に危ない橋渡る理由も無くなったし、八割がた閉店休業。つっても危なくなさそうなのをちょくちょく受けてるけどね。……ただ規模変えたせいでバックアップもガクンと減っちゃったから雑用とか色々面倒くせーんだよねぇ」

一方「雑用っつゥと?」

麦野「車の運転とかフレンダとか私がが使う道具の用意とか情報収集とか色々? 自前でできなくもないけど全部やるっつーと色々しんどいんだわ」

心理「誰かを雇ってみてはいかがでしょうか?」

麦野「ま、垣根とか一方使っても良いんだけど。今度アンタら手伝いなさいよ」

垣根「えー……面倒くせぇんだけど。そもそも俺車の運転できねぇし」

一方「道具っつゥとあの物騒な着火テープかよ。ホームセンターに売ってるようには見えねェな」

麦野「ま、ほんとに困ったらお願いするからそん時は、ね」

垣根「おーう」

一方「ン」

669: 2010/09/03(金) 00:49:31.08 ID:NNE/2Hk0
垣根「最近は何の仕事してんだ?」

麦野「輸送付き添いとかの護衛ばっかかな? ATMの現金輸送手伝った時は楽しかったけど」

一方「まァ麦野さンが勝てない奴なンざ、ざらにはいねェだろうし平気っちゃ平気だろォが」

心理「現金輸送はわかりますけど、他にも何を輸送しているのでしょうね。何かの研究とか……」

麦野「あ、思い出した! こないださぁ、なんかどっかの研究所経由で依頼が来て輸送手伝ったんだけど。聞いた話だと中身がなんと『ピンセット』だったんだけどwwwww」

垣根「……えー、あの物を掴むこういう?」クイクイ

麦野「それそれ」クイクイ

心理「何故そんな物を態々護衛までつけて……」

一方「なんか超色々機能ついてンだろ? 百倍の力で物をつかめるとか」

麦野「何掴む気よそれ。全部押し花みたいにペッタンコじゃんw」

垣根「アレだな、超磁力で触らずに物が掴めるとか面白そうだろ」

一方「天狗じゃ! 天狗の仕業じゃ!」

心理「でも何か凄いものだったんでしょうねぇ……護衛が付くピンセット」

671: 2010/09/03(金) 00:55:54.10 ID:NNE/2Hk0
一方「で、麦野さンは車ン運転できンのか?」

麦野「多少操作ミスしたり多少事故ったりするのに目を瞑ればできるよ」

心理「それ以外にどこに目を瞑るのですか!?」

垣根「っつっても、運転手雇って事故りでもしたらそいつの命が事故んだろ」

麦野「あったりまえじゃん垣根ぇ、世の中にたぁぁくさんある氏ぬより恐ろしい事を順繰りに楽しませてあげるつもり」

垣根「おお怖え、あんま麦野怒らせてっと後がやばそうだな」

心理「学園都市第二位にも怖い物はあるのですか?」

垣根「そりゃあるだろ、人間が恐怖を感じるのは生命の危機だけじゃねえんだからな。今は抹茶ラテが一杯怖い」

一方「自分で取り行けカス。……まァ俺もそォいう意味だと木原くンとかこえェな」

心理「そういえば先程も木原さん、という方出てこられましたわよね。どなたですの?」

麦野「一方の保護者。一言で表すなら、パッと見がチンピラなのよね。……いや、チンピラ束ねてる大ボスって感じかしら」

垣根「一方の育て親だからな、まあ一方に似てたな色々とよ。いや似てんのは一方か」

一方「そォかねェ……、あそこまでとは言わなくてもガタイの良さには憧れンな」

垣根「テメェはもっと運動しろモヤシ(地声」

心理「……一方通行さんの肌、本当に真っ白で綺麗ですわね。女としては複雑ですがうらやましいですわ」

麦野「うっわ、ちょっと一方腕貸してみ」グイッ

一方「な、なンだよ」

麦野「心もごめんねー」グイッ

心理「な、なんですの?」


麦野「………………」シゲシゲ

麦野「太さ一緒なんだけど……」



一方「」
垣根「なん……だと……?」
心理「――――えっ?」

673: 2010/09/03(金) 01:05:59.96 ID:NNE/2Hk0
麦野「精神系能力者の女の子と腕の太さが同じの第一位って(笑)」

垣根「明確な比較対象が現れて尚更際立つ一方のモヤシ具合であった」

心理「あ、あの、能力が能力なので仕方が無いのでは……」

一方「そォ、そォだよなァ! うン、好きで肌白い訳でもねェしなァ」フフン

垣根「能力で言やあ俺もお前に出来ることは大よそだが出来るぞ。しかし刮目しろ、この上腕二頭筋」ムキッ

麦野「言うほど凄いわけでもないけど、一方と比べるとマッチョに見えるわ」

垣根「俺はたまに筋トレするからなあ。どっかの第一位とは違って」

麦野「かいわれ(裏声)」

一方「」

一方「氏ぬ」

心理「い、一方通行さん落ち着いて」アセアセ

674: 2010/09/03(金) 01:13:23.54 ID:NNE/2Hk0
ワイワイガヤガヤ


麦野「――――――あれ、もうこんな時間じゃない」

垣根「今日はこんくらいにしとくか? 晩飯時だが、ちょっと俺見たいテレビあるしな」

一方「ン……そォだな、今日は帰って木原くンと飯食うかァ」

麦野「そう? うーん……私はどうしようかな、心はこの後何か予定ある?」

心理「申し訳ないのですけれど、門限がありますの」

麦野「あ、そっか鬼ババァがいるんだっけ。そりゃ無理して誘えないわね」

垣根「んじゃ出っか。心ちゃんごめんな、今日はこれにてお疲れ様ってやつだ」

心理「いえ、とても楽しい時間が過ごせました……。こちらから感謝したいくらいですわ」

心理(――――そう、こんなの久しぶり……。……ううん、初めて? でも……これも本物では、無いのですわね)

675: 2010/09/03(金) 01:25:08.56 ID:NNE/2Hk0
アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー


麦野「うーん、外はむしあっついなーこの季節」ハァ

垣根「冷房物質でヒンヤリ」ヒヤー

一方「熱ベクトル操作で快適」ヒヤー

心理「不平等ですわね、世の中って」ムシー

麦野「…………電子冷却ってどういうシステムだったかしら」バチバチバチ

一方「手之家は家どこだよ、送ってってやろォか?」

心理「いえ、寄るところもありますし……、ここで結構ですわ。皆様、今日はお邪魔してしまい申し訳ありませんでした」

垣根「そうか? なら気をつけて帰れよ」

麦野「邪魔なんてとんでもなかったわよ。私達あの位の時間あの席のとこによくいるから、外から見えたりしたらまたおいでよ」

垣根「お、麦野良いね。どうせ下らないこと話すばっかで大した事もしてないから良かったらまた、な」

心理「…………よろしい、のですか?」

麦野「よろしいもなにも大歓迎よ。今日は三人だったけど、もっと多い事もあるんだ。私の友達連中にもこころん紹介したいしさ」

垣根「そうそう、遠慮する事なんかねえよ。なあ一方?」

一方「……ま、アレだ。人が多い方がにぎやかでいいしなァ」

心理「…………」

心理「ありがとう……ございます。では、またお会いしましょうね」


垣根「おう、じゃあな」スタスタ
一方「ン、またな」スタスタ
麦野「またねー」スタスタ

676: 2010/09/03(金) 01:25:54.77 ID:NNE/2Hk0
アクセラアイスオゴッテヨー
ナァンデオレガオゴンナキャイケナインデスカァ
アーイースターベーターイー
カキネクンテメェハキモイカラ
ワタシハカワイイッテ?
イッテネェシ




心理(……にぎやかな方たちでしたこと)スタスタ

心理(今日接触した限りでは何か不穏な空気はありませんでしたが……、一度の接触で尻尾を見せるほど与し易い方々でもないでしょうし)スタスタ

心理(今後何度か今日のような接触を繰り返す内に、探ることが出来れば重畳でしょうね)スタスタ

心理(原子崩しもいつでも来ていい、とは仰っていましたが多少は社交辞令も含まれているでしょうし。いきなり明日行くのも警戒されるかもしれませんね……)スタスタ

心理(明後日……いえ明々後日にでも行ってみることにしましょう)スタスタ

心理(それまでは出来うる限り察知されない程度の情報収集だけで十分ですわね)スタスタ   クルッ

心理(…………尾行の気配は、無し。ひとまず疑われてはいないと見て良いでしょうね)

心理(…………)スタスタ

心理(ホッとしているのかしら、わたくし)

693: 2010/09/04(土) 00:51:46.55 ID:tteao7Q0
未元物質は本当に何に使えるんだろうね
俺もちょっと使ってみたい。

風呂入ってきて上がったら投下しまんもす

697: 2010/09/04(土) 01:40:50.88 ID:tteao7Q0
~~~


能力区分レベル5、そして心理掌握という名称は誰でも無い自分自身という個人に与えられた識別だった。

そしてその能力を手に入れた瞬間から、彼女はひたすら孤独と戦い続けてきたのだ。

精神を捻じ曲げられるとは、自己の意思を王として崇めている『人間』にとって、ある意味氏よりも恐ろしい事である。

これまで『己』として認識してきた自我の崩壊の引き金にも成りかねない、そう目されている彼女の能力は、人が人たる所以を犯すが故に単純な殲滅に長けた能力よりも恐れられる側面を持っていた。


だから、彼女はいつも一人だった。

精神に異常をきたさなかったのは奇跡とも呼ぶべき僥倖だったろう。

しかし、だからといってその事実は彼女を癒してくれた訳でもない。

699: 2010/09/04(土) 01:42:53.16 ID:tteao7Q0
昔、まだ心理掌握が幼かった頃。己で生きる術を持っていなかった頃、彼女はそれほど珍しくも無いタイプの精神系能力者だと目されていた。

しかしそもそもの方向性として、精神系能力者はその希少性から宿命的に重度の開発を施される。それでも尚もって、彼女の能力は実用に耐えるものではなかった。

否、正確には少し異なってはいる。彼女は能力が酷く安定していない精神系能力者だったのだ。

読心、感応、操作等、あらゆる分野に対して少しずつ能力を発揮し、それが殆ど役に立たないレベルの内にある、不安定な存在だ。

研究所も持て余し気味だった少女、心理掌握は幼心に自分が周囲の大人にあまり良い目で見られていないという事がわかっていたのだろう。

開発や研究の合間に他の開発対象と一緒くたに纏められていた一室にて、彼女はいつも部屋の片隅で一人膝を抱えて縮こまっていた。

能力さえあれば、自分は幸せになれるのだろうか。そんな彼女の無意識下での仮定は、片方のみが現実のものとなる。



彼女は、能力(ちから)を手に入れたのだ。


~~~



700: 2010/09/04(土) 01:45:02.55 ID:tteao7Q0
心理(――――ふぅ)

心理(あの時、あの方々と別れてから今日で三日目)

心理(その間の報告によれば直接的な動きは殆ど無し……、集まってしていることといえばただただ遊んでいるだけ)

心理(本当にただの学生達のような行動ばかりしていますが……、まだ油断する訳にもいきませんわ)

心理(以前考えた通り、今日は私が向かう日ですから監視は要りませんわね)

心理(…………)

心理(さあ、向かうといたしましょう)

701: 2010/09/04(土) 01:45:49.48 ID:tteao7Q0
心理(………………)テクテク

心理(……あついですわ)テクテク

心理(私も冷房物質の一つや二つ使えれば良かったのに……)テクテク

心理(そうですわ。こんな――――このような能力等ではなく……)テクテク

心理(仮定の話をしても詮無きこと)テクテク

心理(だとしてもあついですわ……自然現象の方が頑張っていらっしゃるのかしら……)グデー




心理(ようやくファミリーレストランに到着、あの方々は……いつもあの窓際の席に座っているならここから見えるかしら)ジーッ

心理(…………あの室内灯を反射する白金の髪は一方通行で間違いないでしょうね)

心理(とりあえず参りましょう。三日越しの再会へ)スタスタ



男A(――――――っ!)

男A(あのガキはこないだの……)

男A(…………)ピッピッ プルルルルル

男A「――――ああ、俺だよ。……いや、ちょっと頼みと良い話があんだけどよ」

702: 2010/09/04(土) 01:51:26.98 ID:tteao7Q0
店員「いらっしゃいませ、一名様でよろしいでしょうか?」スタスタ

心理「ええ、でも知人がいますの」

店員「かしこまりましたごゆっくりどうぞー」

心理「……」スタスタ


心理(一方通行だけが座っていますわね、ケータイでメールでも打っているのかしら。未元物質と原子崩しはどちらに……)

心理「相席、よろしいでしょうか」

一方「ン……、テメェか。構わねェぞ」カチカチ

心理「ふふっ、では失礼しますわ。……垣根さんと麦野さんは今日はいませんのね」

一方「垣根くンは道歩いてたら隕石に当たって麦野さンは大地震に巻き込まれ地割れに落ちちまったァ」

心理「???」

一方「……何でもねェ。ま、今日はアイツらは来ねェよ。さっきまでダーツ・マスターがいたンだが買い物行くとかでどっか行った」カチカチ パタン

心理「ダーツマスター? 未元物質(ダークマター)とは違いますの?」

一方「違うますの。ダーツ神な、ダーツ神」

心理「ダーツ神……と、言うことはダーツがお上手な方なんでしょうね」

一方「ヤバかった。両手投げとか三本投げとかなんつゥか精度とか雰囲気が違った。頃し屋の投げナイフとかのが近ェ」

心理「……私の脳内で随分と物騒な人物像が出来上がってきているのですけれど。太い眉毛とか角刈りの頭とか」

一方「それ、間違いなく後ろに立ったらぶン殴られンだろうな」

703: 2010/09/04(土) 01:55:29.13 ID:tteao7Q0
フレンダ「ハーックション!!」

フレンダ「――――うぅぅ、ここってばクーラー効きすぎじゃない?」ズズッ

フレンダ「それとも誰かに噂話でもされてるのかしら」

フレンダ「…………」

フレンダ「全然関係ないけど、私ってばダーツが上手い訳じゃなくて投擲が上手い訳よ」

フレンダ「能力メインで戦えないけど戦闘要員とか遊撃担当だった以上、投げナイフとか遠距離着火とかする必要に迫られてって感じなのよね」

フレンダ「…………」

フレンダ「とかいきなり説明染みた事を口走ってみちゃったりなんだったり……」



マダムA「あらちょっと見てよ奥様、あそこの女の子さっきから一人でぶつくさ言ってますわよぉ」ヒソォ!

マダムB「あらやだ気味が悪いわぁ、頭の可哀想な子かしらぁ」ヒソヒソォォ!

704: 2010/09/04(土) 02:05:15.83 ID:tteao7Q0
一方「まァ残念だったな」

心理「何がですか?」

一方「折角来たのに俺しかいなくて残念でしたァ」

心理「まあ前もって示し合わせた訳でもないのですから。仕方がありませんわ」

一方「どォすンだ? 俺ァまだ暫くここで時間潰す予定だが」

心理「折角来たんですもの、私も暫くご一緒させて頂いても?」

一方「りょォかい、なンか頼むか?」

心理「……今は飲み物だけで大丈夫ですわ」

一方「ン……」ピッ

心理(一人相手の方が、一つの話題に突っ込みやすいというのもありますもの、ね)

705: 2010/09/04(土) 02:06:53.13 ID:tteao7Q0
店員「かしこまりましたー、グラスはあちらにございますのでご自由にどうぞ」スタスタ

一方「うし、俺もコーヒー切れたとこだァ。汲み行こォぜ」ガタッ

心理「……ええ、そうしましょうか」ガタッ




一方「アイマシンカートゥートゥートゥートゥトゥー」カチッ ゴリゴリゴリ

心理「この間も仰っていましたけれど、コーヒーがお好きなのですか?」

一方「ン? おゥ、大好きだァ。好物らしい好物でコレってのはねェけどコーヒーだけは別格だァな」

心理「何度かは飲んだ事もありますが、あの苦さがどうにも……。正直なところ何が美味しいのか理解しかねますわ」

一方「ンー、そォだなァ。やっぱ味の好みとかは人それぞれだしな、苦いのがいやならミルクと砂糖を山盛れば随分と良くなるだろ」

心理「そこまでしてしまっては、もう別の飲み物ではありませんこと?」トポポポポ

一方「いや、それは違ェ。コーヒー牛乳とカフェオレは同じ比率で作ってたとしても飲む側がそォ思えばそりゃどっちかなンだよ。他人がどォこォ口出そうとな」

心理「……自分だけの現実の原点ですわね」

一方「うし、戻ンぞ」スタスタ

心理「ええ」スタスタ

706: 2010/09/04(土) 02:11:41.15 ID:tteao7Q0
一方「コーヒーうめェなァ……」ズズッ

心理「玄米茶は、このなんというか香ばしさが気に入ってますの」ズズッ

一方「香ばしさは大切だろ、コーヒーも香ばしさありきだしよォ」

心理「先日もコーヒーでしたものね」

一方「飲まいでか。しっかし垣根くンなんかコーヒーなんか全部同じとかふざけた事抜かしやがってよォ」

心理「垣根さんは甘党、でしたわよね」

一方「抹茶ラテマンな。あンまり言うからアメリカンコーヒーとブレンドコーヒー飲み比べさせたンだ」

心理「なんと仰ってました?」

一方「『どっちもにげえ』、ンなの当たり前だろォが。ただ薄いだけがアメリカンじゃねェンだからな」

心理「私も造詣が深い訳でもありませんからコメントし難いですわね」フフッ

一方「おィおィ……。ま、いいけどよ。手之家のダチにコーヒー好きとかいねェのか?」

心理「え、ええ。私の知人にはそういう方は……」

一方「ま、常盤台のお嬢様学校だもンな。コーヒー好きなんてシブいのそうそういねェか」ズズッ

心理(そもそも――――仲の良い友人がいませんものね、私には)

708: 2010/09/04(土) 02:17:47.91 ID:tteao7Q0
一方「…………」ズズッ

心理「…………」ズズッ

心理(監視対象や標的という見方をしていたから意識していませんでしたが……)

心理(良く考えれば殿方と二人きりでファミリーレストラン、というのは……)

一方「おィ」

心理「」ビクッ

心理「どど、どうか致しましたか?」

一方「いやどォか致したのはテメェの方だろ、一人で百面相しやがって」

心理「ひゃ、百面相……?」カァァ

一方(やっぱ百面相だなァ)

709: 2010/09/04(土) 02:21:18.76 ID:tteao7Q0
心理「そういえば……」

一方「ン?」ズズッ

心理「一方通行さんは、以前からこんな風にファミリーレストランにお一人で?」

一方「そォだなァ……、どっちかっつゥと俺ァ暇な方だからな。コーヒー空き缶で一回部屋埋めてから木原くンに怒られてよォ」

一方「そっから喫茶店に行ったり色々……、まあファミレスはここに良く来てた」

心理「最近はもっぱらこちらですの?」

一方「垣根くンとか麦野さンとかダーツマスターとか絹旗とか……、まァ騒げるかンな」

心理「そうなのですか……、私は普段あまりこのようなタイプの店には来ないのですが、様々な種類等あったりするのですか?」

一方「前垣根くンに連れてかれたスタバで見たが基地外じみた種類だったぞォ……、注文が既に記号化されてて意味わからンわありゃ」

心理「あら……、一方通行さんは何をお頼みに?」

一方「圧倒されてたからなァ。垣根くンに任せたらコーヒーフロートの親分みてェのが来た。垣根くンはなんちゃらフラペチーノのとかだったな。なンだよフラペチーノって、アルパチーノかよ」

心理「あら、アルパチーノご存知なのですか? 実は私、あの方嫌いじゃありませんの。とはいっても、映画のイメージしかありませんけれど」

一方「お、ゴッドファーザー見たことあンのか。味方と決めた奴は氏んでも守り、敵と決めれば氏ぬまで頃す。まあ偶像的なダークヒーローの一種だろォがそういうもンとして見りゃカッコイイな」

心理「一般人の方からみれば、何か芯の通った悪党というものは潔いものに見えるのでしょう。命のやり取りから離れた世界では、命の重さも測れないでしょうし」

一方「おィおィ、手之家は一般人じゃねェとでも言いたげだなァ。……あー、常盤台の派閥っつっても下っ端同士はそンなでもねェんだろ?」

心理「え? え、ええまあそうですわね」

心理(身内の内心が判るが故に、信じきることができない……。そんな思いをせずにただ相手を信じる事ができるのは幸せなのでしょうか……)

711: 2010/09/04(土) 02:26:56.88 ID:tteao7Q0
心理「フラペチーノの話でしたわね。実は私それも飲んだことありませんわ、聞いた事だけならありましたけれどね。おいしかったのですか?」

一方「ありゃ飲みもンじゃねェな、デザートだった」

心理「デザート?」

一方「クリームでゴテゴテだった、砂糖舐めてるみてェだった、コーヒーの味なンざしたもんじゃねェ。……普通であれなら甘めの奴とか考えるのも恐ろしィ」

心理「ふぅん……、そうやってお話を聞いているとやっぱり興味が沸いてきますわ」

一方「しっかし手之家も大層な箱入りっぽいなァ、あンま夜遊びとか出歩きとかしない口だろ」

心理「機会が無いとそのようなことはあまり……、一方通行さん達が羨ましいです」ズズッ

一方「……じゃあ今度行くか?」

心理「――――えっ?」

712: 2010/09/04(土) 02:28:46.32 ID:tteao7Q0
一方「垣根くンも喜ぶだろ。そういや絹旗とかも甘いもン好きだっつってたから連れてってもらや良い」

心理「え、そ、そうですわよね!」

一方「ァ?」キョトン

心理(夜遊びな訳ないじゃない……わたくし疲れてるのかしら)

心理「でもあの、良いのですか?」

一方「今更だろ。そもそもテメェ呼んだのは麦野さンや垣根くンだ、会っといてこのままさよならじゃ俺がぶン殴られる」ヒラヒラ

心理「…………」

一方「あ、いや、駄目なら別に良いンだが」

心理「…………貴方は」

一方「ンン?」

心理「一方通行さんはいらっしゃらないのですか?」

一方「さっきも言っただろォが、俺は甘いもン苦手なンだって……」

心理「なら甘くない物を頼めばよろしいですわ。それに、あと一つ」

心理「直接誘って下さった方がいらっしゃらないなんて、私とても悲しいですもの」

一方「そォか?」

心理「そォです。だから来て下さいな」

一方「…………にてねェ」

心理「ふふっ、残念」

714: 2010/09/04(土) 02:34:39.51 ID:tteao7Q0
一方「そォだ。ケータイのアドレスとかまだ教えてねェし教えて貰ってねェだろ。麦野さンがこないだ騒いでてなァ」

心理「あら、そういえばそうですわね」

一方「やっぱ麦野さンも女だからかメール早いわ多いわ疲れンだよな……」

心理「も、なんて言っているのを聞かれたら怒髪天を衝くのではありませんこと?」

一方「たーしかに。も、ついでに言っとくと垣根くンもメール長ェんだよ。オシャレ系気取ってっとなのかなンなのか知らねェけどなァ……、ああ今のオフレコな」

心理「麦野さんも垣根さんもきっと一方通行の事がお好きなのでは?」

一方「悪ィ気はしねェけどメールって面倒くさくねェか……?」

心理(さりげなく混ぜた『垣根さんからの好意』という単語をさらりと流すなんて……もしかして本当にひょっとすると……)もんもんもん

一方「おォい」

心理「――――――はっ」ビクッ

心理「と、とりあえず黙っておく事は貸しひとつですわよ?」

一方「ケッ。あ、こっちから麦野さンと垣根くンのも送信しちまうぞ。アイテムの分は麦野さンに貰ってくれ」カチカチ

心理「え、ええ。こうです、わよね」カチカチカチ

一方「……ゥし、俺のいったか?」

心理「ええと……大丈夫ですわ」カチカチ

一方「なら続けていくぞォ」カチカチカチ

715: 2010/09/04(土) 02:35:49.00 ID:tteao7Q0
一方「よし、これで良いなァ。もし会おうと思う時とか何かあった時やらにメールか電話くれりゃ良い。大抵暇してンからな、俺に限らず」

心理「ええ、では早速麦野さんと垣根さんにメールでも……」カチカチ

心理(ダミーの友人のアドレスではない、初めての知人のアドレス……。垣根さん、麦野さん、それに一方さん。このような人との繋がりも悪くは無いわ)

心理(なんだか少し気分がふわふわしますわね。何故かしら……)


一方「――――――ハッ」

心理「どうかなさいました?」

一方「……さっきも言ったがどォかなさってンのはテメェだよ。今度はいきなりやけに良い笑顔じゃねェの」

心理「わ、わたくしがですか?」

一方「そォだよ。あァ、コーヒー取ってくる」ガタッ

心理「…………」

心理「…………笑顔?」

716: 2010/09/04(土) 02:40:51.26 ID:tteao7Q0



ワイワイガヤガヤ




一方「いやこないだ言いそこねてたが絶対ありゃおンなじ物だって。あのバンバンジー的な鳥肉は完全におンなじだった」

心理「なら今度私も食べさせて頂こうかしら……ヘルシー和風サラダの鶏肉とやらを」

一方「味自体もおいしかったしなァ。ありゃ俺的にはアタリって奴だ。……ン、もォこンな時間かよ」

心理「あら……、随分あっと言う間に日も沈みそう。秋でも無いのに釣瓶落としなんて」

一方「今日は何も言ってねェから木原くンも飯作ってンだろうしな。お開きにすっか」グイッ ズズッ

心理「そう致しましょうか。私も門限がありますし」

一方「なンか飲み物って最後に飲みきりたくならねェか?」

心理「不思議とそんな感じはしますわね」

一方「あ、やっぱりィ? 俺も」

717: 2010/09/04(土) 02:42:02.91 ID:tteao7Q0



アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー



心理「今日は垣根さん達には会えませんでしたが、とても楽しかったですわ。少し名残惜しいくらい」

一方「送ってくか?」

心理「そんなに気を使わなくてもよろしいのに」

一方「ま、一応な。社交辞令って奴だろ、木原くンが言ってたし」

心理「随分と紳士な方ですのね、木原さん。一度お会いしてみたいものです」

一方「紳士ィ? 木原くンがァ!? そりゃねェな」

心理「ふふっ。ではここで失礼しますわね、ごきげんよう」

一方「ン、ごきげンよう。またな」ヒラヒラ

718: 2010/09/04(土) 02:43:54.29 ID:tteao7Q0


心理(本当にあっという間でしたわね……、今日の進展は一方通行さんにお近づきになれた事だけでしょうね)スタスタ

心理(それでも悪くは無い気分ですけれど。なんだかとても良い気分)スタスタ

心理「………………」ピタッ

心理(………………ふぅ)

心理(続かないものですわね――――良いことって)ピタッ



心理「…………何の用でしょうか、先日の非礼を謝罪しに来たのかしら?」

男A「――――っ!」

男A(気付かれてたのか……? まあ良い、こいつがただの念話能力者だっていう裏は取れてるんだ……路地裏にさえ連れ込めれば何とでもなる)

男A「あぁ、そうなんだよ。だから悪いけどちょっとこっちきてくんねえかな、ここ人多くて恥ずくてな」

心理「――――――――」キィィン

心理「……ええ、そうですか。私この後用事がありますので、できれば手早くお願いしたいのですけれど」

男A「ああ、早く来てくれれば早く終わるよ。あの時一緒にいた奴らもいるから」

心理「あらあら、殿方大勢に小娘一人では何をされるかたまったものではなさそうですわね」
男A「そんな事しねえよ、とりあえずこっちな」スタスタ

心理「――――――はぁ」スタスタ

男A(何を考えてるのか知らねえが無理やり連れ込む手間が省けたな。……常盤台はお嬢ばっからしいが頭もユルいもんかねぇ)ニヤリ

719: 2010/09/04(土) 02:46:47.09 ID:tteao7Q0



心理「で、いつまでこんな路地裏を歩かせますの? 私は急いでいると言った筈ですが」

男A「おいてめぇら、連れてきたぞ」


ゾロゾロ


男B「え? マジ? ほんとに来たの?」

心理「下婢た笑い顔を見るに、謝って頂けるという予想は誤りだったのかしら」

男A「こないだはテメェにぶつかられた性でフルボッコボコだよ。クソメスガキが、一人で歩いてたのが運の尽きだ」

男B「いやごめんねー、あんだけ恥かかされてイラついてる所に見つけちゃうんだし、こんなとこまでホイホイ付いて来ちゃった君が悪いからしょうがないよねww」

男E「コイツ? なんや、エエ感じの子やな。ヤッてええん? こんなん」

男B「いいのいいの、その為に俺ら呼ばれたわけだし?wwww」

心理「折角の余韻が――――――台無しですわ。貴方がたのような下種のせいで」ギリッ

男A「ア? 今なんつった? まわり見てもの言えよクソアマァ……、調子こいてっとどうなるか判らせてやろうか?」ビキビキ

720: 2010/09/04(土) 02:47:56.46 ID:tteao7Q0
男C「調子こいてなくても判らせる癖に何言ってんだよw」

男D「こんな上玉前にいつまでお預けさせる気だ、はやいとこやっちまおうぜ」

心理「――――お黙りなさいな」

男E「やけに威勢良い嬢ちゃんやな。好みやわぁ」

男A「頭よええのかこいつ」

心理「あなた達こそ少しは反吐以上のものを口から吐いて頂けます? 正面から相対しているのも煩わしい」

心理「これ以上臭い息を帯びた声を浴びていたくないのではっきりと言いましょう」

心理「私が折り紙を付けて差し上げますわ、この下種共。今すぐ消えなさい」


男達「」ビキビキビキビキ

721: 2010/09/04(土) 02:50:18.42 ID:tteao7Q0
男E「……もう泣き言いうても遅いで。俺実はレベル3の発電能力者やねん」バチバチッ

男B「男Eさん殺さないで下さいよwww氏体とヤんのはちょっとwww」

男A「はっ、その偉そうな上の口を今すぐ塞いでやるよ」ザッ

男C「おい何発か殴っとけよw 抵抗されて千切られたら洒落になんねえってww」

男E「ちぃっとシビれさせりゃ大人しゅうなるやろ」ザッ

心理「あなた達に配慮は必要ないわね」ハァ

男D「はい動かないでねぇ、当たり所悪いと氏んじゃうかもしれないからね」ボキボキ

心理「……低俗。あなた達こそ『動かないで』」キィィン

722: 2010/09/04(土) 02:52:15.23 ID:tteao7Q0
男A「―――――あれ?」グッ グッ

男D「う、動かねえ」

男B「ちょwww能力者とか聞いてねえぞwwww」

男E「あ、あの能力はまさか!」

男C「知っているのか男E!?」

男E「いや、知らへん」

男C「さいで」


心理「……人の体は、意思で動く」

心理「精神の意思も肉体の意思も、そのどちらをも掌握する術があれば人の動きを止める事など容易い事」

723: 2010/09/04(土) 02:53:35.12 ID:tteao7Q0
心理「実は私、お礼参りに来ましたの。貴方達のお陰であの方々にお近づきになれた、感謝していますわ」ニコッ

男D「ふざけてんのかァ! 何しやがったテメェ!」

心理「一度目は終わりですけれど、それともう一度お礼参りをしなければなりませんわね。今一度申しますと、あの方とのおはなしの心地よい余韻が貴方達のせいでまるで台無し」

男E「体が動かんでもなぁ……、電気は飛ばせるんやぞクソアマァ!」バチッバチバチバチ

心理「そう、なら『どうぞお好きなように』」キィィン

男B「ちょwwwwwなんで俺の方あばばばばばばばばばばばば」ビリビリ

男C「うあああばばばばばばばばば」ビリビリ

男D「テメェなにしやがあばばばばばばばばば」ビリビリ


男A「な、な、な、な…………」

男E「な、何しおった! 俺の手がかか勝手に……」

心理「私、精神能力者ですもの。あなたの手は勝手に動いたのではなく、動いてもらったのですわ。私の命令で」

男E「そんなレベルの精神能力者なんてそういてへん筈やぞ! それにオマエは念話能力者の筈……、何もんや!」

心理「ええ『それ』もできますわね。……ああ、あなたも『休んでしまってもよろしくてよ』」キィィン

男E「あばばばばばばばばばばばばば」ビリビリ

724: 2010/09/04(土) 02:57:04.61 ID:tteao7Q0



シュゥゥゥゥゥゥゥゥ


心理「能力の強度も精神力も弱い……、こんなに簡単に掌握できるなんて異能力か低能力級ではありませんこと? 低能に加えて低脳だなんて……なんて救いようの無い」

男A「ぅ、ぅぅぅぅぅぅ…………」

心理「さあ、二人きりですわね。謝ってでもいただけるのかしら?」

男A「!」

男A(し、氏にたくねえ! 何とかここで逃げられれば後は人数でも集めてこいつをぶっ殺せる! 所詮精神能力者だ、認識外の攻撃に弱いはずだ!)

男A「あ、ああ! 悪かった、もうしねえ! 仲間達にも無駄に暴れんなって言っとくよ! だから見逃してくれ!」

心理「あらあら、いきなり態度を変えてしまわれて……、改心というやつかしら」

男A「そうだ改心したよ! だから許してくれ、なあいまさら俺をいたぶってもしょうがないだろ?」

心理「もし私がここで大変な目に合わされていた時にそう言えば許してくれましたの?」

男A「ゆ、許した! 許したよ当たり前だろ! だだ、だから許してくれよ!」

心理「………………」

男A(いけた……か……?)

心理「…………あなたの心は、そうは言っていないみたいですけれど、ね。ふふっ、自分さえも騙しきれないような嘘なんて馬鹿らしいとお思いになりませんか?」キィン

男A「」



心理『――――――嘘つき』キィィン

男A「――――――――ぁ」ドサリ

725: 2010/09/04(土) 02:57:57.81 ID:tteao7Q0



心理「…………」

心理「……頃してなどいませんわ。次に目が覚めたら、私の事を覚えていないだけですべて元通り」

心理「ただ、暫くの間女性に興味が持てなくなっているかもしれませんけれど」スタスタ

男達「」氏ーん

心理「ま、当然の報いですわね。ではごきげんよう、救いようの無い下種の皆様方」スタスタ

男達「」氏ーん

726: 2010/09/04(土) 02:58:56.74 ID:tteao7Q0
心理(…………)スタスタ

心理(……これが、私)

心理(人の精神を喰らう化け物、『心理掌握』)

心理(――――――知られたく、ない。あの方々にだけは今も向けられた悪意と恐怖の篭った視線を、向けられたくない)

心理(……いえまだ、まだ大丈夫)

心理(情報も漏れていない、あの方々にも疑われていない、依頼も順調に順を追ってこなしている)

心理(そうよ、今はまだ大丈夫。今はまだ――――――)

727: 2010/09/04(土) 03:03:40.79 ID:tteao7Q0
?「ろ、路地裏に誰か倒れてる!」

?「大丈夫かおいお前ら、しっかりしろ!」

男B「……うーん」ムクリ

?「男ばっかりだな……能力者にでもやられたのか?」



男C「ぐ……あれ、何で俺こんなとこに……」

男E「ああ、頭もだいぶしっかりしてきおった。兄ちゃん、おおきにな」

?「ああ、俺は何もしてないしな。じゃあこれで……」スタコラサッサダゼィ

男E「待ちや兄ちゃん」ガシッ

?「えっ?」

男E「礼もまだしてへんがな……、よく見たら結構いい男やないかい」ジュル

?「えっ?         えっ?」

男A「それじゃあもう少し奥へ行こうぜ」ガシッ

男B「くんずwwほぐれつwwwwお礼してやんよwwww」ガシッ

?「」

728: 2010/09/04(土) 03:05:51.01 ID:tteao7Q0
?「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」

?「不幸だァああああああああああああああああだれかたすけてくれええええええええええええええええ」

男E「あかんわ兄ちゃん、たまたまかなんでか知らへんけどここは外に声が届きにくい場所やからなー」ンッフ

?「ま、待てよてめぇら!」

?「てめぇら本当にそれでいいのかよ!そんなんでいいのかよ!男同士が絡み合い肉がぶつかり合い汗が飛び散る、そんな光景を目指してお前らは今まで生きてきたのかよ!
  違うだろ!?ツンデレ気味の幼馴染やちょこっと抜けたお姉さん、突然飛び込んできた不思議ちゃんがそれまでの関係を掻き乱す、そんな怖くも楽しい甘酸っぱい思い出を目指して!
  これまでやってきたんだろ!違うか!ちなみに作者は年季の入ったOL以上か世話を焼いてくれるあねさんそれも少し陰のある感じが大好物だ!それをこんな、暗く寂しい路地裏で男同士だと!?
  非生産的にも程がある!わかっちゃいない!お前らは何もわかっちゃいない!何がわかっちゃいないかっていうと俺のこの追い詰められっぷりがだ!くんずほぐれつじゃねぇんだ!
  腐った人たちでも喜ぶもんでもない、いいかげん目覚めろよゴロツキ共!目覚めついでにまず俺を見逃してください!」

男達「だが断る」



アッーーーーーーーーーーー!!!!!



その日、学園都市中のあらゆる生き物が断末魔の如き叫びを耳にしたという。

それをある者は大切なものを失った者の慟哭だとし、またある者は己の不遇を嘆く雄叫びだと表した。


時をほぼ同じくして、とあるツンツン頭の少年が虚ろな目をして町を歩いていた所を目撃されている。

彼がどのような事件に巻き込まれ一体何を失ったのか。敢えて筆をおいておくので推して知るべし。

唯一つはっきりしているのは、彼が紛う事無く不幸だという事実である。

735: 2010/09/04(土) 03:18:05.15 ID:tteao7Q0
あ、ごめん……一つ忘れてた……

メールのやり取りの話が出てくるんだけど、普通にカギカッコでくくるより他の所でやってるみたいな形式をお借りしてメールっぽく作ったほうが良いかなぁ

741: 2010/09/04(土) 03:44:36.27 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub  : 手之家です
――――――――――――――――――

今日、一方通行さんからメールアドレスを
教えて頂いたのでメールさせて頂きました。

今日は麦野さんもいらっしゃらなかったので
残念でしたが、またの機会でお会いできればと
思います。

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub  : わお
――――――――――――――――――

あ、心ちゃんかww
わざわざメールくれちゃってthxな。
じゃあ今日一方と二人っきりだったのか、
何かされなかったか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub  : 大丈夫です
――――――――――――――――――

一方通行さんにそんな心配はいりませんわね。
前回お会いした時と似たような雰囲気でしたわ

――――――――――――――――――

742: 2010/09/04(土) 03:51:51.12 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : マジかよ
――――――――――――――――――

なんだツマンネ。
ま、何かしてたらしてたで友達付き合い
考え直すレベルだけどなwww

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

そういえば、垣根さんと一方通行さんと
麦野さんはお付き合い長いのですか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To :手之家心

Sub : 実はそうでもない
――――――――――――――――――

会ったばっかって訳じゃねえけど長い
わけでもねえな。
俺が知り合った順番は一方→麦野だ

――――――――――――――――――

743: 2010/09/04(土) 03:55:46.20 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そうなのですか
――――――――――――――――――

それにしてはとても仲が
よろしく見えたので……

いえ、他意は無いのですけれど

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 間違いなく悪くはねぇよ
――――――――――――――――――

まああいつらとは趣味が近いしノリも良いし
馬が合うってやつだな

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub :それは……
――――――――――――――――――

妬けてしまいそうですわ
本当に仲が良さそうですもの

――――――――――――――――――

745: 2010/09/04(土) 04:01:00.59 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : そりゃそうと
――――――――――――――――――

ああ、さっき一方からちょっとメール
来てたんだけどスタバ一緒に行くって話だよな。
行こうぜ、空いてる日とかある? 今週来週で

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あら
――――――――――――――――――

今週来週も週末が空いていますわ。
……一方通行さん行動がお早いですわね

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : イイヤツだけど
――――――――――――――――――

アイツそういう細かい所気が利いたり
するからなwwww
基本バカだけどなwwww

しかし一方も来るんだろ?
アイツ甘いもの嫌いだとか言ってなかった?

――――――――――――――――――

746: 2010/09/04(土) 04:05:35.50 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

仰ってましたわね。前回飲んだものが
甘すぎて飲めたものでは無かったと

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : バレてねぇのかwwww
――――――――――――――――――

当たり前だぜ。
アイツが飲んだのオプションゴテゴテな上に
九割がたコーヒーじゃねぇもん

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : 初耳ですわ
――――――――――――――――――

え? 
一方通行さんはコーヒーだったと
仰っていましたが

――――――――――――――――――

747: 2010/09/04(土) 04:08:11.72 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : やっぱり
――――――――――――――――――

その様子だとまだバレてないっぽいな
あれチョコレートクリームの奴だから
全然コーヒーじゃねえよww

あー、次は何を飲ませようかww

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あらあら……
――――――――――――――――――

あんまりからかっていると怒られますわよ。
時折忘れそうになりますけれど、
一方通行さんは『一方通行』ですし

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : いやでも楽しいし
――――――――――――――――――

まあガチでキレさせるとワンチャン
脳みそ飛び散るまであるなww

まあ今週か来週の土日。一方に伝えとくか?

――――――――――――――――――

748: 2010/09/04(土) 04:13:08.71 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : 大丈夫です
――――――――――――――――――

いえ、私から後で今日のお礼のメールも
送りますから私から直接お伝えします。
それと、またメールしてもよろしいですか?

――――――――――――――――――


――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : オッケーオッケー
――――――――――――――――――

むしろガンガンくれよ。
一方と麦野ファミリーの色気無いメール
ばっかしか来ねえからな、
心のオアシスが欲しい

――――――――――――――――――


――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あら
――――――――――――――――――

社交辞令として受け取っておきますわ。
それでは、次は今週末か来週末にでも。

ごきげんよう

――――――――――――――――――


――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : オーライ
――――――――――――――――――

おうお疲れ。
こっちからもメールしたりするけどよろしくな

――――――――――――――――――

749: 2010/09/04(土) 04:14:20.62 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 手之家です
――――――――――――――――――

今日、一方通行さんからメールアドレスを
教えて頂いたのでメールさせて頂きました。

今日は垣根さんもいらっしゃらなかったので
残念でしたが、またの機会でお会いできれば
と思います

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:手之家です
――――――――――――――――――

今日来ちゃったの?
タイミングわっるー。

丁度私がいない日に来るなんて
中々いい度胸じゃない、話したいこと
とかもあったのに

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : でも
――――――――――――――――――

こうやってアドレスを教えて頂いた以上、
そのような事は今後そうそうは起きませんわね。
お話は今でも伺えますけど

――――――――――――――――――

750: 2010/09/04(土) 04:18:20.27 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:でも
――――――――――――――――――

たーしかに。話はまた今度でいいや、
それよりも一方になんかされなかった?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 全くもって
――――――――――――――――――

垣根さんにも同じ事を言われましたわ。
一方通行さんって信用無いのかしら

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 逆に信用はあるけどさw
――――――――――――――――――

まあいまの質問まであわせて
伝統芸能よ伝統芸能。
なんかするとはこっちも思ってないってw

とりあえずスタバ行くんでしょ?

――――――――――――――――――

754: 2010/09/04(土) 04:26:31.42 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : はい
――――――――――――――――――

ええ、今週か来週の土日であれば
都合が良いのですけれどいかがですか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 暇人なめんなー
――――――――――――――――――

へーきへーき。
一昔前ならともかく今や超ベテランの油
売りだからね

その日付ならどっちでもいいから
一方か垣根にでも伝えといてくれる?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 了解しました
――――――――――――――――――

では伝えておきますわ。 
少し気になったのですけれど、
『今は』お暇ってどういうことですの?

――――――――――――――――――

755: 2010/09/04(土) 04:27:13.63 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 話すと長いわよー
――――――――――――――――――

簡単に説明するとねー
詳しくは言えないけど私ちょっと前まで
ややこしい仕事やってたのよ。

危なかったりややこしかったりする仕事を
訳アリでまともな生活しにくい奴等で
集まってね

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : (non title)
――――――――――――――――――

そうなのですか


不躾な質問をして申し訳ありませんでした

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : なんくるなーい
――――――――――――――――――

いいっていいって
今はもうややこしい仕事からは
足洗い気味だし。

前話してた『アイテム』ってやつがそれよ

――――――――――――――――――

756: 2010/09/04(土) 04:29:37.48 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

以前伺いましたわね。
麦野さんの派閥のようなものでしたかしら

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 正確には
――――――――――――――――――

少し違う。
元々は私が一人で現場で動く仕事? 
みたいのやってたんだけどそこで
何人か拾って一緒に仕事させてたのよ。

どっかから割り振られた仕事仲間って
事でもなかったから、
私が仕事しなくなったから
自動的にそいつらも仕事しなくなるわけ

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : つまり
――――――――――――――――――

…………ニートの集まり?

――――――――――――――――――

757: 2010/09/04(土) 04:31:16.24 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 言ってはならないことをwww
――――――――――――――――――

ふざけんなwwwwwwwwwwwww
むしろ今私がアイテム養ってやってんのよ!
レベル5の財力舐めんな!

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 冗談です
――――――――――――――――――

失礼しましたわ

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : wwww
――――――――――――――――――

しれっと言うわねwww
まあ今度会うときに連れてくから
できれば仲良くしてやってよ

――――――――――――――――――

758: 2010/09/04(土) 04:32:24.29 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 喜んで
――――――――――――――――――

こちらこそ是非お願い致します。
では一方通行さんに伝えておきますね。

長々とお時間を取らせてしまって失礼しました

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : もーまんたいね
――――――――――――――――――

いいって。じゃあまた今度だにゃーん

――――――――――――――――――

759: 2010/09/04(土) 04:33:00.48 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 手之家です
――――――――――――――――――

私ですが、ちゃんとこのメール
届いていますか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:手之家です
――――――――――――――――――

オレオレ詐欺は間に合ってます

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 違います
――――――――――――――――――

手之家心です。一方通行さんですわよね?

――――――――――――――――――

760: 2010/09/04(土) 04:35:12.71 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:違います
――――――――――――――――――

半分冗談だ。本気にしないで下さい
あとタイトル見てなかった
悪ィ

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : まったく……
――――――――――――――――――

垣根さんと麦野さんとメールして、
喫茶店の件は今週か来週の土曜日曜の
どこかでという事になりましたが。

一方通行さんのご予定はいかがですか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:まったく……
――――――――――――――――――

俺も行かなきゃ駄目か?

――――――――――――――――――

761: 2010/09/04(土) 04:35:55.17 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 勿論です
――――――――――――――――――

駄目です。来てください

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:勿論です
――――――――――――――――――

今週の日曜か来週の土曜で

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 了解しました
――――――――――――――――――

では来週の日曜日にしましょう。
よろしいですか?

――――――――――――――――――

762: 2010/09/04(土) 04:36:36.00 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:了解しました
――――――――――――――――――

よろしィです

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : では
――――――――――――――――――

私から垣根さん達に送っておきますね

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:では
――――――――――――――――――

頼ンだ

――――――――――――――――――

763: 2010/09/04(土) 04:37:13.49 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : それにしても
――――――――――――――――――

本当にメール短いですわね、
前のお二方と比べると

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:それにしても
――――――――――――――――――

アイツらと比べンなよ。
集合とか時間はまたこっちで決めとく

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : それでは
――――――――――――――――――

お願いいたしますわ。


それでは失礼しますね、
夜に態々ありがとうございました
木原さんにもよろしくお伝えください

――――――――――――――――――

764: 2010/09/04(土) 04:37:47.17 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : とりあえず
――――――――――――――――――

今日はあンがとな

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : (non title)
――――――――――――――――――

こちらこそ

――――――――――――――――――

765: 2010/09/04(土) 04:38:41.66 ID:tteao7Q0



~~~


…………皆様と集まる前に、もう一度会おう。

十中八九。いえ全部が全部で、あの方々が学園都市への叛意を抱いているとは思えない。

そもそも殲滅戦の得意な面子が揃っているのだから、策を弄する必要も無い。でも、あの政治屋達はそれを信じることが出来ない。


……皆様と集まる前に、この危惧を払っておかねば。今一度心を覗かねばならない。

それを態々皆様が集まる日に行わずに前倒すのはなぜだろう。

わからないけれど、そうすれば来週の日曜日。私は皆様と『友達のように』なるのに、一歩近づけるかもしれないから。



~~~



768: 2010/09/04(土) 04:43:10.99 ID:tteao7Q0
>>766
いやぁ可愛いよなw それに、そのままの口調だと違和感MAXすぎるんだよw

>>767

  `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´

769: 2010/09/04(土) 04:44:18.50 ID:tteao7Q0


ある時から突然、彼女の能力は飛躍的な汎用性を見せ始める。

あらゆる分野に対して少しずつ発揮していた能力は、その全てに対して現状見られるほぼ最高レベルの力を発揮し始めたのだ。


当然だが、周囲の反応は一変した。

耳障りの良い言葉で彼女を讃え、褒め、懐柔しようとする彼らだったがしかし、心理掌握の能力は純粋で臆病だった少女に汚らしい大人達の内面を容赦なく見せ付けた。


自分の頭を撫でて褒めてくれるこの人達は、何故自分の事をこんなにも怖がっているのだろうか。

なんで皆、私を見ているのに私の事を何も見ていないのだろうか。


彼女の周囲に碌な研究者がいなかった事も災いした。

言われるがままに彼女は能力開発や実験を重ねていったが、既に研究者達に何の感慨も抱けていなかった彼女は年不相応にただ淡々とカリキュラムをこなしていった。

そしてその果てにレベル5の烙印を押されて尚、心理掌握は一切嬉しいという感情をそこに見出すことが出来なかった。

唯一の希望は、実験漬けの日々が終わりを告げることで自分にも『普通の友達』というものが出来るかもしれない、というものだった。

770: 2010/09/04(土) 04:46:06.58 ID:tteao7Q0


しかしながら。いや、ある意味当然だったが、優秀生として常盤台中学に入学した彼女を見る周囲からの視線は三種類だけだった。好奇、嫉妬、そして恐怖。

接触方法は多様ではあったものの、同級生達との暫しの付き合いを経てから彼女は一つの結論を得る。

彼女達は自分と同じ場所に立っておらず、よって自分を理解してくれる事は多分無い、と。


かといって、能力を行使して友達を作るという行為は、ほとんど意味の無いものだ。

彼女の心理掌握とて万能ではあれ全能ではない。

その本人の思考の根幹に関わる部分を残したまま表面思考を無理やりに変質させようとすると、齟齬が発生するのか対象の精神状況は著しく不安定になり最悪倒れてしまう事は実験で明らかになっていた。

そして、相手の人格を破壊してまで友達という名の人形を作る等と言う行為を心理掌握は頑なに嫌悪して憚らなかった。


彼女は、他人の心を捻じ曲げたくなんて無かった。見たくもなかった。

それでも、決して一人でいたくはなかった。そんな少女の想いは、人が受け入れる自分を形作らせる事を選ばせる。


孤独と孤高は異なっている。彼女は自分の意思で、孤高である事を願った。そう思い込もうとしていた。

その実、遠巻きにでも構わないから人と接していたいと彼女は内心ずっと思い続けていた。

だが自分から近づけば、彼女達は自分を恐れる。いつ自分が自分で無くなるのかと怯えている。そんな様子の他人を見ることが、彼女はたまらなく嫌だった。




771: 2010/09/04(土) 04:47:23.61 ID:tteao7Q0


いつしか、彼女は女王として讃えられ君臨していた。胡散臭い、飄々としている、底が知れない、優雅である。

そんな心理掌握の印象は全て間違ってはいなかったが、同時に全て正しくもない。

親しもうとせず、しかし圧倒的な能力を持ち、人の上に立つ者として振舞っている心理掌握を中心としていつしか巨大な派閥が出来上がっていた。


『見返りを求めない』感情はとんと生まれはしなかったものの、利害と権力を中心とした派閥構造は世の中の『普通の人間』達には理解しやすい構図のようで、彼女は以前ほど孤独にさいなまれはしなかった。

その代償として更に彼女は窮屈となり、それでもまだ心理掌握は周囲の人間を憎もうとはしなかった。


心理掌握は、凛とした趣の内の本人も気付かないような底の底で泣いていた。

誰一人として心を許せる、許してくれる友人も無く孤高なままに。


それでも彼女は耐えていた。ひたすらに耐えていた。

彼女が痛みに感じるのが侮蔑や罵倒なら、その発信源を絶とうとしたかもしれない。恐怖や下心なら、その発信源から離れようとしたかもしれない。

だが、彼女の痛みが湧き出る泉は。ただただ寂しいという感情だったのである。



だから――――――彼女は決して人から離れようとはしなかった。その行為が、更に痛みを加速させると薄々知っていながらも。



772: 2010/09/04(土) 04:48:25.01 ID:tteao7Q0
~~~

~~~

って付け忘れた。脳内保管してくだしあ

773: 2010/09/04(土) 04:51:04.22 ID:tteao7Q0

麦野「それにつけてもさ、どうせ日曜に会うのにフライングかにゃーん?」

垣根「いや、そうでなくても普通にファミレス位来るだろ、そもそも最初もそうだったじゃねえか」

一方「ま、前哨戦ってトコじゃねェの? 俺らも普通に何時も通り集まってるしなァ。なァ手之家?」

心理「そんな所でしょうか。まあ偶然だとしても喜ぶべき偶然ですけれど、ね」

心理(今日の内に、最後の確認を行う。大丈夫、これだけ心理的な距離を縮めれば察知されることも無い筈ですわ)

垣根「お、そのカボチャ食わねぇの? 俺が食ってやるよ」ヒョイパクッ

一方「返事する前に食うなよなァ……、まァ別に良かったけど」

心理(……そしてあわよくばこの二人の関係も)ドキドキ

774: 2010/09/04(土) 04:52:08.55 ID:tteao7Q0

店員「お待たせいたしました」

垣根「あ、オニオングラタンスープ一つ」

麦野「テリマヨピザにヤリイカの唐揚げ。ああマヨネーズ付けてもらえます?」

一方「テリマヨピザマヨ増しってか?」

麦野「んなわけないでしょ。ヤリイカよヤリイカ」

心理「じゃあ私はこのピリ辛チキンというのを」

麦野「新作だね。ほらにゅーって書いてるし」

一方「俺ァ13種類の新鮮彩りサラダで。ドレッシングはァ……垣根くンどれが良い?」

垣根「シーザー食った事ねぇからこれにしようぜ。受け取ってくれーッ!」

一方「じゃあコラーゲン入り野菜で」

店員「かしこまりました」

垣根「あれ? えww俺に聞いた意味はwwww」

775: 2010/09/04(土) 04:55:33.83 ID:tteao7Q0

麦野「まだメールしてなかったけど、集まるのは十二時位に第七学区のモノレールの駅でって事になったから。昼に一方が知ってる超おいしいイタ飯屋があるらしいからそこで食べてー」

垣根「なんか適当に店歩いて買い物しながら腹ごなししたら、お待ちかねのスタバだな。ハジメテなんだって?」

心理「ええ……。あまり、というよりは一度も行った事がありませんの」

一方「俺も実際行ったのは一回だったけどなァ」

垣根「あぁ俺と行ったときだろ? いやーあんときの一方の様子最高だったねーwwww」

麦野「その話そういやまだ聞いてないかな? どんなだったのよ」

垣根「メニュー見て既に混乱してたからな、『垣根くンに全部任せた、コーヒーくれ』っつうから注文したんだよ。それで飲んだんだけどクリーム混ぜないで下から直飲みするもんだから目ン玉白黒させてんのwww赤いけどwww」

麦野「アンタならともかく甘いの苦手な一方によくやるわ。何飲ませたわけ?」

垣根「ハナッから最終兵器はかわいそうだったから、まずは軽くバニラキャラメルキャラメルソースチョコレートクリームチップフラペチーノ」

心理「……何の呪文ですか?」

一方「おィいまキャラメル二回言っただろ」

麦野「バニラキャラメルチョコレートクリーム……、コーヒーじゃないじゃんw」

垣根「ああっ、馬鹿! ……なんか既視感が」


一方「ァ?」

心理「あらあら」

776: 2010/09/04(土) 04:56:44.42 ID:tteao7Q0
一方「どォいうこった、説明しろ麦野さン」

垣根「いやなぁ、心ちゃんがスタバ処O捨てるって事で何を頼むか考えようぜ!」

麦野「垣根が頼んだのはオプションゴテゴテの超甘党が飲むような代物よ。どうひっくり返っても、一方が飲むような代物じゃねーわ。絹旗でも胸焼けするんじゃないかな」

垣根「一度スタバの真髄をだな、ベンティアドショット(略)も悪くねえと…… 」

一方「つまりあのゲロ甘物質は……」

麦野「コーヒーよりココアの方が近いわよきっと」



垣根「聞いてねぇな…………」

心理「悪事はいつの世も最後には暴かれますのよ、きっと」クス

777: 2010/09/04(土) 04:58:31.07 ID:tteao7Q0
一方「――――垣根くゥゥゥゥゥゥン」クルリ ニヤァァァァァ

垣根「これがスタバ流のコーヒーだっつってたが……、スマンありゃウソだった」キリッ

一方「ほゥ。それで?」

垣根「ちょっとしたジョークだ一方。出来心、奸心、魔が差したんだぜ、どんな奴にでもあるだろう突然そういう行動に走っちまう瞬間ってやつも……」

垣根「つまりは不可抗力だろう、あれは大自然の力に俺の意思が屈しただけなんだ。それにお前は特別何かあったわけでもねぇ、ノーカウントだ、ノーカウント!」

一方「それにしてもあの甘さはヤバかったなァ垣根くン」

垣根「ヤバかったのは俺の腹筋だwwww一口飲んで『ンブッ』とか吹くの必氏にこらえてたお前みてこっちまで吹きそうになったじゃねーかwwww」

一方「ほォ」

垣根「oh」


                       ヘ(^o^)ヘ いィぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/
                /(  )
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  ブッ頃す



一方「テメェが! 氏ぬまで! 殴るのをやめない!」

垣根「は、はい氏んだ! はい今垣根氏んだよ!」

一方「さっき氏んだら殴るのやめるっつったが、すまンありゃ嘘だった」

垣根「いてててててててててて」


麦野「騒がしいなぁ……、もう暫く続くようなら止めっかな」

心理「でも……この騒がしさが幸せだと思いませんか?」

麦野「――――――何急にこっ恥ずかしい事言ってんのこの子」

心理「ふふっ」

778: 2010/09/04(土) 05:00:27.69 ID:tteao7Q0

麦野「あ、そうだ。ねえねえ一方、こないだ終わったら言う!終わったら言う! って言ってたのって結局何の話だったの?」

垣根「ああなんか実験の話だろ?」

一方「いやー良くぞ聞いてくれたぜェ。事の始まりはてめェらにさンざもやしよわばりされた事なンですよ」

垣根「だが我々のその発言――――事実」キリッ

麦野「ぷぷぷっ」

心理「――――――っく・・・・・・(笑いをこらえている)」

一方「話す気が無くなってきた」シラー

麦野「嘘だよ嘘嘘! ライ、ライ、ラライ! んで、何の実験だったのよ」

一方「筋トレ」

垣根「は? え、能力開発でバーベルでもあげんの?」

心理「それでは肉体開発では……」

麦野「肉体を開発とか……工口っ」

一方「てめェら話聴く気ねェだろwwww」

781: 2010/09/04(土) 05:01:47.81 ID:tteao7Q0

心理「つまり、『一方通行』で体の動きに大して逆ベクトルに負荷をかける事で筋トレと同じ効果を発揮できるようになったと……」

一方「力の一定比率をな。その名もDBYG」

垣根「見事に子音しかねぇからどうよみゃ良いのかわかんねえよ」

麦野「……あ、わかった。一方、それ木原さんのネーミングでしょ」

一方「ン? あァ、そォだぜ。他の研究員押し切って一方的に決めてたな」

麦野「やっぱwwwww大リーグボール養成ギプスwwwwwwwwwwww」

垣根「あ?  ああー…………そういや巨人の星何故か全巻置いてあったなお前んち」

心理「名前だけで読んだ事無いからわかりませんわ……」

一方「今度読み来るか? そこそこ貴重らしいから現物はあンまし無いらしィぞ」

心理「機会があれば甘えさせて頂きたいですわね」

782: 2010/09/04(土) 05:02:47.27 ID:tteao7Q0

垣根「開発で思い出した。こないだの能力測定の具合はどんなだったよ」

一方「ベクトル操作二重の極みモドキでレベル5認定」

麦野「ビームと……ああ空飛べるようになったよ。たまに落ちるけど」

一方「怖いから飛ぶンじゃねェぞ麦野さン。言いだしっぺの垣根くンはどォだったンだ」

垣根「俺? 十二時間持つ冷房物質大量生産で研究所の皆さん大喜びでレベル5認定だったな。外に出ても涼しいっつって」

一方「買収じゃねェかwwwwwwwwwww」

麦野「なんだかんだで一番便利なのは未元物質よね……」

垣根「心ちゃんはどうだった?」

心理「私は……前と変わらず、でしたわ」

一方「そりゃ残念だが落ち込む事でもねェよ。常盤台に行ってる段階で既に勝ち組だろ手之家は」

麦野「『間接接触』って進化したらどんな能力になると思う? 念話の音量があがるとか音質が向上するとか」

垣根「超クリアの心ちゃんのボイスは聞いてみたいけどそれじゃあレベルあがらねえだろw」

麦野「じゃあ何したら上がんのよ」

一方「距離やら時間やら……」

心理「どんどん携帯電話に近づいていってますわ」

垣根「今に念写機能が付くな、写メ写メ」

784: 2010/09/04(土) 05:04:15.26 ID:tteao7Q0
心理「――それにしても、ここまで学園都市の頂点がそろっていると邪推もしてしまいますわ。何か学園都市に対して行動してしまうのではないかと」

一方「ン、まあ気持ちはわかるけどなァ」

麦野「自分の住んでる街ぶっ壊してもしょうがないしねー」

垣根「そこまで不満もねぇしよ」


心理(――――――っ)キィン


心理「まあ、それもそうですわね。傍から見ればどうしても……そう思ってしまうものですから。失礼しましたわ」

垣根「いやまあな、理事共が群れてたら怪しいって考えんのと一緒だろ」

麦野「うわ、絶対それなんかしそうだよね。政治家とかそういうのってなんか群れ方気持ち悪くない?」

一方「纏めて踏み潰したくなる位にゃァな」

心理「一方通行さんが言っていると洒落に聞こえませんが」

一方「ひでェ…………」

麦野「日ごろの行いってやつね一方ぁ」フフン

垣根「日ごろの行い(笑)」

麦野「…………アンタ何が言いたいわけ?」

785: 2010/09/04(土) 05:06:13.61 ID:tteao7Q0


心理(……学園都市に対する叛意は、無し)

心理(出てしまえばあっけない結論でしたわね)

心理(これで――――――そう、これで)

心理(私がするべきは後、この人たちが何か行動を起こさないかの監視)

心理(でも、この人たちが何かを起こすことはないでしょうし)

心理(これで心おきなく…………)



麦野「ねーこころん、聞いてる?」

心理「あ、え? あ……、すみません少しぼぅっとしていて」

垣根「大丈夫か?」

一方「ま、調子悪ィなら無理すンなよ」

心理「ええ、少し考え事をしていただけですから。問題ありません」


心理(問題ありませんわ。ええ、何も。ふふっ)

786: 2010/09/04(土) 05:07:31.57 ID:tteao7Q0






心理「………………」カタカタカタ

心理「………………」カタ

心理「これでまずはひと段落……」

心理「慣れないパソコンなんていじるから体が痛いですわ……」ゴキゴキ

心理「日曜日……、カレンダーに印など付けて……」

心理「どうなってしまったのかしら、わたくし」


787: 2010/09/04(土) 05:08:56.09 ID:tteao7Q0


ダゼリリマタワザアイイズシーン コーザイミラブウィザインアビーイン



心理(着信……、手之家心の物ではなく心理定規の携帯電話からですわね)

心理(秘匿回線からのみしか受けていないからそうそう着信なんて無い筈なのですが……)

心理(…………)ピッ

心理「もしもし」

?『私だ。さ、先程送られた報告を見たよ』

心理「あら理事殿、つい先程いたしたばかりなのに……随分とお早いこと」

理事『今のところ彼らに叛意が無いという事は理解した。ご苦労』

心理「一度受けた依頼を放り出すのは趣味ではありませんの。ですから依頼の通りに引き続き接触を――――」

理事『いや、その必要は無い』







心理「――――――えっ?」

793: 2010/09/04(土) 05:15:53.41 ID:tteao7Q0

心理「――――――ま」

心理「まだ、叛意が無いというのは確実ではありませんわよ」

理事『む……、どういうことだね?』

心理(監視が、まだまだ続けば良い。そういう事ですもの、ねぇ?)

心理「例を挙げるとするならば、一方通行。彼に読心(リーディング)は通用しても洗脳(ライティング)が通用しないというのは報告の通りですわ」

理事『そう書いてあるな。流石は学園都市第一位と言ったところなのだろうが』

心理「恐らく無意識下ではそうでしょうね。しかし、意識されていた場合読心能力に対しても干渉されている可能性はいなめません」

理事『ふむ…………』

心理「今回の報告は飽く迄中間報告。決定事項では無いという事をご理解くださいますかしら」

理事『――――――』

理事『……わかった。君に任せよう』

心理「ええ、ありがとうございます。以上でよろしいですかしら」

理事『仔細は君に任せよう。以上だ』プツッ ツーッ ツーッ ツーッ

794: 2010/09/04(土) 05:16:54.50 ID:tteao7Q0


心理「…………」ピッ

心理「…………ふ」

心理「……ふふっ」

心理「あははっ」

心理(嘘は、ついていませんもの。言った事は、全て本当の事)

心理(そして私は――――――)



心理(まだ、まだあの方達と一緒にいることができる)



心理「うふふっ、あはっ。あははははっ、ははははは――――」

796: 2010/09/04(土) 05:20:51.28 ID:tteao7Q0

理事「…………」プツッ ツーッ ツーッ ツーッ

理事「こ、これで構わないかね?」

?「ああ。これでどう動くかって所だな」

理事「私は……」

?「お前はもう良い。二度と妙な事を考えず、今あった事さえ忘れればお役御免だ」

理事「わ、わかった」フゥ

?「切欠はこんな下らねえ事にしろ……、今『手之家心』は自分の意思で動いてる、って事だな」

?「うーん……どうする? 大丈夫そうに見えるけど」

?「動くのを待っても良いんだが……もし動かないなら、こっちから仕掛けてれば良い事だ。そうだろ?」

?「そうねえ。もし自分の期待が裏切られたときどんな反応見せてくれるか……楽しみだわ」

?「今週末だったな、動くのは。その時にこちらも動こう」

?「りょーかい」

797: 2010/09/04(土) 05:23:47.41 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : (non title)
――――――――――――――――――

改めて決定事項だけ伝えとく。
十二時に第七の駅出たとこン横の
ニューデイズに集合、
飯を直ぐに食うっつゥ事で

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 仔細承知でしてよ
――――――――――――――――――

わかりましたわ。
楽しみ過ぎて夜寝れなかったらどうしましょう

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:仔細承知でしてよ
――――――――――――――――――

何日間徹夜するンですかァ

――――――――――――――――――

798: 2010/09/04(土) 05:24:58.87 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : たとえば
――――――――――――――――――

そのくらい楽しみ、ということですわ。
一方さん一押しのイタリアンも
大いに興味をそそられますし……

私実はイタリアン大好きなんですの

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:たとえば
――――――――――――――――――

マジで。
まあ俺はオイシイと思ってるけどなァ、
パスタもピザもうめェし

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 困りましたわ
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ピザがおいしいのは得点高いですわね。
スターバックスと重ねて
更に寝れなくなりそうです

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800: 2010/09/04(土) 05:26:41.88 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:困りましたわ
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当日寝ンなよ

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To : 一方通行

Sub : もしも
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寝てしまっても
一方通行さんが起こして下さいな

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To : 手之家心

Sub : 乙ダルヴァ
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そして誰もいなくなった

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801: 2010/09/04(土) 05:27:18.89 ID:tteao7Q0
――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : あら
――――――――――――――――――

首を吊る気はありませんわよ。

ではきたる日の為に、
今日は無理にでも寝ておく事に致しますわ

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To : 手之家心

Sub : Re:あら
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致しとけ。ンじゃオヤスミな

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : では
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おやすみなさい。また、日曜日に

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833: 2010/09/10(金) 23:07:20.20 ID:WRUX4xQ0


~~~


心理掌握は、今回の依頼――第一位、第二位、第四位の動向調査――を本気で断ろうと思ったのならば断ることが出来た。

それを断らなかった、という事に実は純粋な損得勘定以外にももう一つ理由が存在している。そしてそれは、彼女の興味から来るものだった。


彼女が特異な存在として周囲から疎んじられていたという事は先にも述べた通りであるが。それはつまり文字通りに、彼女と同じレベルの存在が周囲にいなかったと言うことに加えて彼女の能力自体にある程度の問題があったことに由来している。

レベルの差から友人が出来ないのであればまだ救いがある、あくまで強度の問題ならば自分は他者の延長線上にいるだけに過ぎないからだ。

それならば、振り返って手を伸ばせば届くかもしれない。『下々の者たち』に対してそういう距離にいる存在としては、超電磁砲が良い例である。


しかし能力そのものへの否定は、存在そのものへの否定に繋がる。何故なら、その力こそが『自分だけの現実』だからだ。

そしてたまたま同じ常盤台に超電磁砲という比較しやすい対象がいた為、心理掌握が内心で感じる寂しさと劣等感は寧ろ際立つものとなっていた。同じ超能力者なのに何故、と。



そんな所に舞い込んできた、件の依頼。心理掌握はこう考えた。

絶対的破壊力を持つ『原子崩し』、底の知れぬ能力である『未元物質』、そしてその全ての上に君臨している『一方通行』。

それぞれが下位互換を大きく引き離した、又は下位互換など持たぬ特異性のある能力者だった。

そんな彼らならば、自分と同じ気持ちを感じているかもしれない。自分と同じ立場に立っているかもしれない。

更に踏み込んで言えば――――自分と同じように苦しんでいてくれるかもしれない。それならば、自分を理解してくれるかもしれない。


彼女はこのような思考を、他人の不幸を望むような唾棄すべき感情だと考えている。しかしそう考えていながらも、彼女は無意識下でそう期待している。

彼女の纏う鎧はそのような惰弱な思考を許そうとはしなかったがそれで尚、期待してしまっている彼女自身を黙頃し切れる気配は一向になかった。

834: 2010/09/10(金) 23:14:24.54 ID:WRUX4xQ0


結果として。心理掌握が見たところの監視対象の彼らと彼女自身は同じように苦しんではいなかった。

はじめは、表面上はさておきその本質は単なる同属同士の傷の舐め合いかと考えた。それならば、彼らも自分と同じような存在だ、とも。

しかし実際は違っていた。彼らは同じ区分の存在であるという意識で繋がってはいたものの、彼らの結束は決してその事だけを絆に結ばれたものではなかったからだ。


過去まで知る由は無いが、今現在も心理掌握と同じ分類にある彼らは今現在彼女と同じ境遇にはいない。

何故なら彼らには、友達と呼べる存在がいるから。



その事を理解した心理掌握は裏切られたというような感情を抱いた。

何故貴方達にはあって、私には無いのだろう。

そして同時に羨望を抱く。

同じ超能力者でありながら、一緒にいる事のできる友達がいてうらやましい。

わたくしも――――――誰かと一緒にいたいのに。


結局、自分が自分である限り。心理掌握が相手の心を掌握する限り、私の今は何も変わらない。これからもずっと。

彼女はそう考え、それでも涙を零さなかった。彼女の纏ったレベル5第五位『心理掌握』の鎧はそのような事を許さない。


だが『心理掌握』はそうだとしても、『手之家心』はそうではなかった。

紛い物でも彼女は、彼女としての友を――それが例え相手の心を探るような下劣な行いを前提としたものであっても――手に入れることができた存在。

彼らとの触れ合いを通じて、心理掌握は奇妙な感情に包まれた。

はじめのうちはそれが何か掴みきれなかったが、それは体が震えるほどの歓喜だった。

渇望していたものが刹那の間我が身を満たし、その熱が心を焦がす。

内心の苦しみを大きく上回る与えられた快楽に彼女は酔う。

欲しかったものは、確かに彼女の掌の内にある。これ以上の幸せがあるだろうか。

836: 2010/09/10(金) 23:18:40.58 ID:WRUX4xQ0


そして今、心理掌握は怯えている。始まりがあれば必ずいつかは訪れる終わり、自分の正体が露見してしまう瞬間に。

自分に笑いかけている彼らが、他の者と同じように負の感情を込めた視線を向けてくる事に。

彼らと過ごせば過ごすほど、いつかきたる絶望が大きくなること位彼女だって理解している。
それでもいつかきたるものならば。それならば、それならばせめて今在る彼らとのこの繋がりに。

心理掌握としてのものではなく、手之家心としての繋がりに縋っていよう。彼女はそう、考えている。

今この関係が偽りのものでも、今感じているこの幸せという感情は本物のものだから。



故に、いつか崩れる砂上の楼閣だと知りながら彼女はそこを離れようとしない。ヒビだらけの鎧を、脱ぐこともない。

絶頂は今で、昇ったのならば落ちなければならない。それでも良いから今この時よ続けと願う。それですら分不相応な幸せだと思っている。自分が自分である以上、本当の幸せは来ないものだとあきらめている。

彼女の『心理掌握』を受け入れてくれる者がいる、そんな可能性など無きものと断じて。



――――――崩壊の日は、すぐそこまで来ている。


~~~


837: 2010/09/10(金) 23:21:30.08 ID:WRUX4xQ0

心理「――――気持ちの良い朝ですわね。良く眠れたし、天気も上々」

心理「絶好のお出かけ日和、って所かしら。ふふっ」

心理「……」


心理(さあ、参りますわよ手之家心)

心理(ずうっと続く、監視の為に)

心理(楽しくて、面白くて、時々意地悪だけれどとても優しい)

心理(貴方の――――『てのうちにこころをもてあそぶ』貴方の、大切なお友達に会いに)

839: 2010/09/10(金) 23:23:18.57 ID:WRUX4xQ0


ガヤガヤガヤ


心理(改札を出て直ぐのニューデイズ……、これですわね)

心理(この傍に皆様が――――まだいらっしゃらないのかしら)

心理(時間は十一時四十分。少し早く着すぎてしまいましたわn)

?「――――わっ!!!」

心理「ひんッッ!」ビクッッ!!

?「あっは、そんなに驚いてくれちゃこっちもやりがいあったってもんね」フフン

心理「む、むむっ、むむむむむ」

麦野「なにがむむむよ! ……落ち着きなさいってw」

フレンダ「ごめんねー、止める間もなく麦野が突っ込んじゃったから。ま、結局麦野のせいなんだけど」

滝壺「きぬはた、人工呼吸したら?」

絹旗「いや超生きてますし……」

840: 2010/09/10(金) 23:25:06.48 ID:WRUX4xQ0

心理「……急に驚かすなんて酷いですわ」ムスッ

麦野「あーほら、悪かったって。ごめんごめん、あんなに驚くなんて思わなかったからさ」

絹旗「貴方が噂に聞いたこころんですか?」

心理「ええ。貴方達が麦野さんの……」

フレンダ「そ、よくぞ聞いてくれた訳よ! アイテム四天王筆頭突撃隊長、私はフレンダ!」バッ

滝壺「ふれんだは四天王最弱」

絹旗「アイテムの超面汚しですね」

フレンダ「あれえええええ打ち合わせと何か違う!?」

麦野「字面だけだと頭突きに見えるわww ま、こいつらが前言ってたアイテムよ。仲良くしてねー」ナデナデ

心理「こ、こちらこそよろしくお願いしますわ」

841: 2010/09/10(金) 23:29:36.96 ID:WRUX4xQ0

絹旗「常盤台のお嬢様って麦野から聞いていましたからどんな超お嬢様お嬢様した人が来るのかと思ったら……」

フレンダ「案外想像通りのお嬢様だったわ。お嬢様に見えなーい! な展開じゃなかったわねww」

滝壺「……レベル3?」

心理「え、わ、私ですか? そうですけれど」

滝壺「わたしもレベル3。おそろい、だね」ムッフー

心理「おそろい? 貴方もレベル3なのですか?」

麦野「レベル3の『能力感知(AIMディテクター)』なのよ、滝壺はね。何か目に見えないような攻撃手段でも能力であれば感じることができるっていうセンサーみたいなもんってわけ」

絹旗「一方なんか、『はァ、カナリアみてェなもンか?』 とか超酷かったですけどね。あ、私は絹旗最愛です。最も愛されるべき、で最愛ですよ」

フレンダ「えー、モアーイ」

絹旗「」グググググ

フレンダ「ぐえ゛っ゛、ぐ、ぐる゛じい゛」

心理「…………フォースグリップ?」

麦野「違うわよww あー、絹旗ぁ、そんくらいにしときなさい」

絹旗「――――気にしてるって何度言えばわかるんですか、超頭悪いですね」

フレンダ「ェホッ、ゴホッ……冗談だってのに、氏ぬかと思った訳よォ……」

滝壺「ちなみに、今持ち上がってたのがふれんだね」

心理「中々に楽しそうな面子ですのね……」

絹旗「今、私達超ディスられませんでした?」

フレンダ「中々に酷いディスりだった訳よww」


一方「ンだよ、もォ皆いるじゃねェの」スタスタ

垣根「出たなショッカー!」バッ

麦野「出たのはアンタらよ」

842: 2010/09/10(金) 23:31:15.22 ID:WRUX4xQ0

垣根「勢ぞろいだな。全員で集まんのは結構久方なんじゃねぇか?」

絹旗「そうですね。前に釣りとソバ食べに遠出した時以来なんじゃないでしょうか」

フレンダ「ダーツ・レーターよ。素振りは欠かさず行っておるか?」

一方「こないだ部屋で扉に向かってやってたら、木原くンが部屋に入って来て目が合って変な顔されたンです」シューコー

フレンダ「まあ扉開けた途端、自分に向かって体傾けながら腕振ってたら私でも笑うかなぁ」

滝壺「めとめがあうーしゅんかーんー」

麦野「何に気付いたのかすっごい気になるんだけど」

心理「言わぬが花とか、知らぬが仏とか、色々と言葉はありますわね」

垣根「コソ練たぁやってくれるじゃねぇか一方ァ……」

843: 2010/09/10(金) 23:33:44.25 ID:WRUX4xQ0

一方「ンじゃ腹も減ったしな。そろそろ行くとすっかァ」

麦野「一方案内よろしくー」ヒラヒラ

フレンダ「苦しゅうない訳よ」

垣根「もし行ってやってなかったとかだったら承知しねぇぞ」

たきつぼ「コンクリート目掛けてチョークスラムだね」

垣根「それするなら最愛ちゃんに任せるわ。俺だと若干マッスルガッツが足りない!」

心理「さっきもなさってましたけど、それだとフォースグリップになってしまいますわ」

一方「それにつけてもクソ暑さよ。あ、そのエスカレーター降りンぞ、少しでも中通ってかなきゃ溶けちまうわ」

垣根「賛成」

フレンダ「異議なーし」


絹旗「あれ、一方温度操作はどうしたんです? 超電池切れですか?」

一方「確かに腹は減ってるけどな。まだ外出て直ぐだしなァ、ヤベェ時以外は能力使わねェようにしてンだ」

麦野「にしちゃ汗かいてなくない?」

一方「今まさにヤベェからな」ヒヤー

心理「やだ、開き直ってますわこの人」

滝壺「あのかっこいい事言ってた過去のあくせらは何処に行ったんだろう」

一方「過去は振り返らねェ……現実も見ねェ。――――そう、輝かしい未来だけを見つめて生きていくンだァ……」

垣根「なんだこの近年稀に見るクソ野郎は」

麦野「百ぺん氏んでワンって言えば良いのに」

845: 2010/09/10(金) 23:35:18.70 ID:WRUX4xQ0
ごめん腹減ったからなんか軽く食べてくるwww

850: 2010/09/10(金) 23:59:09.41 ID:WRUX4xQ0

一方「あ、ヤベェついでにちょっとトイレトイレ」タタタッ

フレンダ「クソ野郎がクソしに行った訳よ」

垣根「そして一方がトイレ行った、次の瞬間! なんと一方を放って皆歩き去ったではないか」

絹旗「丸見え、氏んだりしないのがまあ予定調和の原因ですかね」

麦野「氏んでたら笑い話にならないからねぇ」

滝壺「彼は果たして大丈夫なのだろうか……。数年後――――そこには元気にお墓に入るあくせらの姿が」

フレンダ「結局、あの時は駄目かと思ったよ。もうあんな氏に方はゴメンだね、二度としないよ」

心理「一方通行は二度氏ぬ、って少し語感がわるいかしら」



?「そろそろお昼時だけど、何処入る?」

?「わたくしはお姉様と一緒なら火の中でも水の中でもかまいませんのー!」

?「あれ、ここFKじゃなかったっけ。うどん屋になってる」

?「あ、上の本屋寄っても良いですか? ちょっと買いたい本があるかどうかだけ見たいんです」

?「良いわよ。で、結局どこにしようかなあ……ファミレスはこないだ行ったし――――――」

851: 2010/09/11(土) 00:03:36.12 ID:Zsqx2hA0


垣根「ボンドはやっぱ胸毛だよなぁ」

心理「そこは同意しかねますわ……」

滝壺「あれは一種のフェチズムに通じるものがあると思う」

垣根「たまぁにいる腋毛好きよりは普通だと思うぜ」

滝壺「目くそ鼻くそだよ、それ」



フレンダ「で、やっぱりヨーグレットが一番…………ん? あれ超電磁砲じゃないかな。後ろのかたまりも見たことあるよ」

麦野「あれが? へぇ、ちょっと挨拶がてら声かけてこよっかにゃーん」

絹旗「ついでに喧嘩も売ってくる、みたいな気安さですね」

麦野「んなことしないっつーの。麦野、いっきまーす」タッ




麦野「――――ねーねーそこの女の子」スタスタ

?「だからゲコ太は――――へ?」

麦野「今日はあっついわねー、暑さに負けない元気してる?」

?「なな、ナンパですの?」

?「う、うっわー綺麗な人だなぁ……」

?「……なによ、何か用な訳?」

麦野「違うわよ。噂の超電磁砲を見かけたから思わず声かけちゃった、って感じ」ニコッ

御坂「――――」ピクッ

フレンダ(うわぁ、麦野の笑顔悪巧みにしか見えないんだけど……)

絹旗(どっちにしろ、もう本性知ってる私達からすればどんな顔してても超怖いですよ)

853: 2010/09/11(土) 00:05:45.36 ID:Zsqx2hA0

麦野「そうかたくなんないでよ、別に取って食おうって訳じゃないんだからさ。ちょっとした挨拶しに来たの」

御坂「いきなり知らない奴に挨拶されるようないわれなんて無いと思うけど」

麦野「つれないなー、おんなじレベル5のよしみじゃない」

?「れ、レレレレレベル5!? 御坂さん以外に初めて見たかも!」

麦野「そういう初々しい反応の方がおねーさん嬉しいなぁ。『原子崩し』の麦野沈利よ、よろしくー」ギュ

佐天「わわ、私佐天涙子って言います!」ワタワタ

初春「初春飾利です」

黒子「……白井黒子ですの」

御坂「私の事知ってるみたいだし、自己紹介は必要ないわよね」

麦野「ん……仲良し四人組って感じ?」

黒子「!  ええっ、特にわたくしとお姉様は山よりも高く海よりもふっかーい赤い糸の絆で結ばれておりますのーーー!!」ガバッ

御坂「ち、ちょっこんな所で!」

麦野(…………ああ、そういう趣味の子なのね)

初春(生暖かい視線……これが一般人の反応ですよね、やっぱり)

854: 2010/09/11(土) 00:10:53.17 ID:Zsqx2hA0

黒子「」シュゥゥゥゥ

御坂「で……、原子崩しだかなんだか知らないけどなんでこんなトコにいるの?」

麦野「多分アンタたちと一緒よ。お腹空いたから皆でご飯って感じ」

佐天「皆ですか?」

麦野「あっちで騒いでるでしょ? ――――ほらほら、ちょっとこっちこっち!」ヒラヒラ



垣根「脛毛はゆるされねぇのに胸毛――――ん? どうしたよ麦野」スタスタ

滝壺「でももみあげは正義だと思う」スタスタ

フレンダ「お呼びみたいね」

絹旗「ちょっぴりヒヤヒヤしてましたけど、余計なお世話だったみたいです」

黒子「」シュゥゥゥ

855: 2010/09/11(土) 00:14:18.05 ID:Zsqx2hA0

初春「うわぁ、大所帯ですね……」

麦野「ほんとはもう一人いるんだけど、今そこのトイレ行ってんのよ」

垣根「何このJKの群れは。麦野がフィッシングしたのか?」

フレンダ「まあ間違っちゃいない訳イダッ」

麦野「前話した超電磁ファミリー見かけたから声かけちゃった」

絹旗「今にも超回りだしそうなネーミングじゃないですか」

垣根「へぇ。――――心ちゃん何そんなとこで固まってんだよ。どうした?」

心理「――――――ッあ、ッ……」ブルッ

御坂「なんかパッと見、随分統一感の無い面子ね…………あれ?」





御坂「――――『心理掌握』、久しぶりじゃない。普段全然出歩かないアンタとこんな場所で会うなんて更に驚きだわ」

860: 2010/09/11(土) 00:22:35.99 ID:Zsqx2hA0

聞こえた。

何かが、壊れる音が。

私の何かか、私達の関係か。

佐天「え、『心理掌握』? あのレベル5の!? うわ今日レベル5の大安売りじゃん!」

でもそんな事はいい。

初春「心理、掌握?」

目が。

滝壺「レベル5……?」クルッ

あの人たちの、わたくしを見る目が。


麦野「ん?」


変わる。


垣根「あ?」


変わって、しまう――――――


心理「――――――――」ポウッ

心理「――――――見ない、で……ッ!!!」キィィィン






滝壺「――――――っ、信号が!」

麦野「へ? ――――ぐっ!」

垣根「うおっ、んだこりゃ!?」

初春「あわわわわわわ、せかいがぐるぐるぅぅぅ」

861: 2010/09/11(土) 00:26:33.08 ID:Zsqx2hA0




フレンダ「…………落ち着いた?」

絹旗「と、一緒に手之家さんも消えましたね……」

佐天「なんだったんだろ今の……、まだ頭がクラクラする」

御坂「な、何コレどういうことよ……、あの子アンタらの身内じゃなかったの?」





一方「よォし超スッキリって訳よォ……、待たせて悪かっ…………何がどォした?」キョロキョロ

863: 2010/09/11(土) 00:27:45.08 ID:Zsqx2hA0





タッタッタッタッタッ



心理(知られた! 知られた! 知られた! 知られてしまった――――!) 

心理(もう、もう駄目だ。偽名なんて名乗った理由も、私が何のために近づいたかも、あの方達がその気になれば調べられない筈が無い)

心理(そして一度崩れたものは……もう二度と同じ物には戻らない)

心理(だから…………、手之家心のお友達は。もう、いない)

心理(最後が、最後がこんなのって、こんな事って)

心理(自業自得、だけど…………だけど……っ!)

心理(お願いだから私を――――――その目で見ないで……!)

心理(その恐れるような目を向けないで…………)

865: 2010/09/11(土) 00:36:03.89 ID:Zsqx2hA0



大通りから一つ二つ路地に入った所にある駐車場は、人通りも少なく喧騒も嘘のように消えている。

そんな場所にそぐわぬ少女が、膝を抱えてタイヤ止めに座り込んでいた。

下を向いて額を膝に乗せているため表情を窺うことはできない。服が汚れる事を気にも留めていない様子だった。

車の陰になっている少女の姿は、外からは氏角になっていて見つかる筈が無かった。が、空からはそうでもないようだった。


一方「――――あァ、ゲーセンの裏の方の駐車場にいた。早く来いよ」


敷き詰められた石を飛ばしながら少年が一人、文字通り『降り立った』。

ああ、あの時言っていた空を飛べるっていうの、本当だったみたい。

垂れた前髪ごしに様子を覗き見た少女は、そう考えた後に今はもう手のうちから零れてしまった幸せを思い返して自嘲する。


膝を抱えていた少女と少年の視線が絡む。その僅かな時間の間に、少女は態度をガラリと変えた。

すいと音も無く立ち上がり、少々乱れていた長い髪を手で撫で付ける。少年は、携帯電話をズボンのポケットにしまった体勢のまま動いていない。



心理「もうお聞きになったと思いますが、改めて自己紹介致しましょう。私、学園都市第五位『心理掌握』の名を賜っておりますの」

一方「…………」

868: 2010/09/11(土) 00:40:20.17 ID:Zsqx2hA0

心理掌握の言葉に、一方通行はただ黙って彼女を見ているだけだった。

その視線は恐怖も嫌悪も感じさせるものではなかったが、心理掌握にはそうではなかったのだろう。

毅然とした表情に少しだけ泣きそうな顔が覗く。それは直ぐに引っ込められる。

代わりに浮かんだのは挑発的な笑みだった。


今一度彼女が口を開こうとした時、白い羽をはためかせて垣根帝督が空から現れる。

続いて、走って麦野沈利が登場した。優雅にやってきた二人と違いこの暑い中を動き回ったせいか額には汗ぷつぷつとが浮いていた。

自称、花も恥らう乙女の見せる姿だとはお世辞にもいえなかった。


麦野「あーもう空が飛びたいぞ私はー」


ゼイゼイと荒い息の中からあえぐように発せられた彼女の第一声に、心理掌握を含めた残りの三人が含み笑いを漏らす。

何時もの空気に流されていることに気付いた心理掌握は、俯いて唇をかみ締める。

そして顔を上げるともう彼女の表情は『心理掌握』が常から浮かべている涼しげなアルカイックスマイルに戻っている。


心理「あなたがたが学園都市に対して叛意を持っていないかどうかの調査、そしてもしも持っているようならしかるべき対処をする。それが私の仕事でしたの」

心理「とはいえ、こうまでなってしまっては不可逆ですから……今更どうしようもありませんわね。とりあえず、騙してしまっていた事については謝罪させていただきますわ」


869: 2010/09/11(土) 00:43:18.86 ID:Zsqx2hA0


何か仮面を被ったように様子を一変させている彼女の様子を見てレベル5三人は顔を向き合わせる。

やがて、一方通行が口火を切った。


一方「あー、一つだけ、言っとくことがあンだが」

心理「どうぞ?」


後ろ頭に手を当て、頭をかく一方通行。

『手之家心』には、その仕草が。一方通行が何かとても困っている時のものだとわかる。それが判ってしまう事も、彼女を打ちのめす。




対する三人には、心理掌握が。視線を微塵も揺らす事無く立っているその姿が、何故だか怒られている時に泣くのを必氏で堪えている子供のようにも見えていて。

そしてそれは、それ程的外れなものでもなかった。


やがて心理掌握の鎧を打ち崩す最大の爆弾が、あっけなく投下された。




一方「実はなンだが俺達は途中から、手之家が『心理掌握』だって事は知ってた」







心理「―――――――――え?」

871: 2010/09/11(土) 00:44:43.93 ID:Zsqx2hA0

心理掌握は、第一にその言葉を聴いた己の耳を疑った。そして次に目を見開いたままぽかんと口を開けた。

どの位に驚いたかと言うと、目を開き口も開き瞳孔も開きついでに頭も開いて脳みそがどこかへ飛んでいく程には驚いた。


飛んでいった脳みそが戻ってくるまで多少の時間を要したのちにも、心理掌握はパクパクと口を開けたり閉じたりしている。

尻目に語る一方通行は特に気負った様子も無かった。



一方「お前ン情報統制は能力のせいか悪く無かったが……、依頼主の理事の方がお粗末でなァ。遠巻きに無様な監視してる私兵を垣根くンと麦野さンにシメて貰ったら一発で吐いたンだわ、俺らに接触する奴がいるってなァ」

心理「――――――から」



雑音の少ない空間ですら聞こえない程の蚊の鳴くような心理掌握の声は、聞こえるような大きさになるまで暫くの時間を要した。


心理「――――いつから……ですの?」


俯いているせいか前髪で目は見えない。やっと搾り出した声は隠しようも無く震えていた。

872: 2010/09/11(土) 00:47:07.74 ID:Zsqx2hA0

一方「二回目からはもォ知ってた」

麦野「理事も監視もシメたらぜぇんぜん持たねーでやんのよ。その辺のチンピラのがいくらかマシだったわ」

垣根「まぁそういうこったな、俺達もサプライズじゃねぇけど意趣返しに色々考えてて言い出さなかったんだが……」


口を揃える三人。そうでしたのとこぼして、心理掌握は腕で体をかき抱いて肩を震わせた。


心理「……あ、あはは。と、こ、ここでネタばらし、みたいな、も、ものですのね」

心理「それでは私、まるでピ工口のようでは、ありませんこと……?」


頭を振った彼女に答える声は無い。

髪を梳いている手の動作にも、滑らかさが無い。まるで壊れた人形一歩手前だ。

心理掌握のもはや泣き笑いのような顔から、笑いの成分が失われるまで長くはかからなかった。

873: 2010/09/11(土) 00:48:09.45 ID:Zsqx2hA0



心理「……………………」




心理「………………ぅ」





心理「う、ううう、ぅぅぅぅぅううううううぅ」ポロポロ

875: 2010/09/11(土) 00:49:50.98 ID:Zsqx2hA0


『心理掌握』は、彼女自身の心を掌握できてはいなかった。


依頼の為に。手之家心として。そうして、いくつも張っていた予防線が彼女の過ち。

初めから、己は己として彼らに向かい合っていれば良かったのだ。

勿論彼女の生い立ちからそれが困難であることは判りきっているが、それでも彼女はそうするべきだった。

また、自分でも判っていたのだ。そうすればよかったと。そうしていたら変われていたと。

しかし彼女はそうしておらず自分の気持ちを偽った、その結果のみがある。



そして自分すら騙しきれていなかった嘘でできた鎧が、壊れ。

残ったのは孤独が大嫌いなだけの、ただの一人の少女だった。



心理「わ、わたく、わ、わ、ど、どんなおもいでぇ…………」

心理「そ、それを……み、み、みんな知っていただなんて――――ぇうぅ」ヒック

879: 2010/09/11(土) 00:56:55.11 ID:Zsqx2hA0

困ったように笑う三人は、別段怒っている訳でもない。

切っ掛けがどうであれ、心理掌握が彼らと過ごした時間に嘘は無い。その事を知っているから。蛇足だがそもそも一方通行と垣根帝督の関係は半ば頃し合いから始まり、麦野沈利は売られた喧嘩を買う事から始まったのであるし。



へたり込み、嗚咽を漏らし始めた心理掌握に三人が近寄る。

このような事全般に不器用且つ揃って恥かしがりやな三人は、思い思いの言葉を心理掌握に投げかけた。

曰く、別に怖くなんかは無い。曰く、隠していたのは悪いが、こっちも途中から似たようなものだ。曰く、まあちょっと刺激的で面白かった。曰く、抹茶ラテ十杯飲めば許す、等。

それが心理掌握を励まし慰める為の言葉達で、聖人君子でもない彼らは彼女の『隠し事』に少なからず怒っていた事、そして先ほどの言葉達は完全に額面通りの物では無い事は心を読まずとも彼女は理解できていた。

しかし嬉しかった。彼らが、これまで自分に投げかけられた事のある言葉と同じようなものを発していても、その内面まで過去のそれと同じでないこともわかったから。


そしてそれ以上に怖かった。この期に及んで、と言わざるを得ないがそれでも彼女は『心理掌握』だから。これまで彼女(メンタルアウト)を受け入れた人間はいなかったから。

震えそうになる声を必氏に抑えてもこぼれる涙は抑えきれず。泣いている子供そのものの様相で、彼女は唇を動かす。



心理「でもわたくし……『心理掌握』、ですのよ……?」

一方「それが俺らがつるむのになンか関係あンのか?」

垣根「俺も未元物質なんだぜ実は」

麦野「それこそ今更過ぎるでしょ、どっちもね?」

883: 2010/09/11(土) 01:00:11.26 ID:Zsqx2hA0


鼻水を啜りながら心理掌握が顔を上げる。眼が赤い。


彼女の眼に写った三人の顔は、どれもこれも似たような物だ。




一方通行が表情を崩した。
垣根帝督が口元を緩めていた。
麦野沈利が目を細めていた。



彼らの視線は心理掌握の一身に注がれ、彼女はそれが何を望んでいるものなのかを視線だけで掌握した。


それに応えて、心理掌握は破顔する。


頬を流れる涙よりも、その笑顔は輝いていた。









おわり

885: 2010/09/11(土) 01:01:17.26 ID:xJiJ77Ao
>>883
えっ

890: 2010/09/11(土) 01:03:56.59 ID:Zsqx2hA0

滝壺「おそろいじゃなかった……」シュン

垣根「ほらほら滝壺ちゃん、細かいこと気にしてちゃ駄目だって」

絹旗「ねえ一方、この『カマンベールのフライ』と『モッツァレラの衣揚げ』って、どう違ってどっちがおいしいんですか?」

一方「レラレラレラレラ……。実は来るたンびに俺もそれ考えてンだよなァ……、今日どっちも頼ンでみるか?」

フレンダ「パスタのサイズ……でも運動すればカ口リーも……でも最近太ももが…………」

麦野「サーモン! スモークサーモンのサラダ! これね!」

心理「バジルは匂いというか香味が少し苦手なんですの……」



駅前から少し外れたイタリアンレストランに、七人組が座っている。

一つのテーブルで足りなかったからか、二つ並べられたテーブルごしに数多の会話が飛び交う。

メニューを覗き込みワイワイと騒いでいるその様子には、全員が数年来の友人達だと説明されても納得できる程の一体感があった。

892: 2010/09/11(土) 01:05:14.48 ID:Zsqx2hA0

一方「サラミベーコンオニオンのS三つ、スモークサーモンのサラダL、スパゲティランチが――――なンだっけか」

絹旗「カルボナーラですね」

滝壺「ミートソース」

垣根「チーズカツレツ」

心理「トスカーナピラフを」

麦野「私はねー…………」


あれだこれだと矢継ぎ早に繰り出される言葉の全てに、弾んだような陽気が乗せられていた。

幸いにも、店内には珍しく彼ら以外に客の姿が無い。少しやかましくも微笑ましい光景に、店員はのんびりとした注文を全て受けた後、笑顔を浮かべて厨房へと消えていった。


そして他愛ない話をいくつかこぼしてから、垣根帝督がいかにも加虐的な笑みをこぼす。

896: 2010/09/11(土) 01:10:41.48 ID:Zsqx2hA0

垣根「にしても、手之家心ねえ。こころてのうち、って今考えりゃちょっとストレート過ぎねえか?w」

心理「も、もう! その事はもう言わないで頂けませんかっ!?」

フレンダ「やー、結局でももう心ちゃんって呼ぶけどねー」

麦野「こころんマジこころん」

垣根「おい一方、テメェもなんか名前考えたらどうだ? 何なら俺が名付け親になってやっても構わねえぞ、アクセランよりはカッケェ名前つけてやんぜ」

一方「ァ? 垣念は黙ってろよ」

垣念「」ビキビキビキビキ


絹旗「でも私達にまで内緒にしとくなんて、超徹底してたんですね」

一方「まァ今だから言っちまうが、ここン店員さンに予め手紙渡しといてなァ……。『心理掌握お前の正体は知っているぞ、バラされたくなければ~~』みてェなのを帰り際に手之家に渡してもらう予定だったンだ」

垣念「そんで、ビビりまくってる心ちゃんを俺達がおどかす……っつう筋書きがパァだ」

麦野「残念無念垣念ね。その手紙私にも後で見せてよ」

垣念「おう、良いぜ。……ちげーし! 垣念じゃねーし!」

897: 2010/09/11(土) 01:12:38.92 ID:Zsqx2hA0

フレンダ「そういうのホント好きだよねぇ。私も嫌いじゃないけど」

滝壺「ドッキリでした、に憧れるのは不可避だよふれんだ」



垣念「しかし心ちゃんの事、最初っから最後まで手之家って呼んでたのお前だけだな一方」

麦野「そういやそうね。なんで?」

絹旗「超気になりますね」

心理「…………」



麦野沈利の言葉で、その場の全ての視線が一方通行に集中した。心理掌握のものも含めて。

一瞬、生まれて初めてほんの少しビビった一方通行だったが、直ぐに気を取り直した様子だった。


彼が名を呼ばなかった理由は、別に大層なものでもなんでもない。ただ彼が自分でそうしようと決めた程度のものだ。

だから他人に言うことも吝かではない、筈だった。が、今のように話を振られると突如言い難くなる。一度口を噤むと、更に言い難くなる。ハードル上げの法則である。



一方「いや、そンな大した理由でもねェンだが…………」

垣念「ほうほう、それでそれで」

899: 2010/09/11(土) 01:16:09.90 ID:Zsqx2hA0

何をどう言っても勿体ぶっている事になる、そう気付いた一方通行は、大人しく白旗を上げる事にした。

早目に終わらせてしまう事で、傷を浅くしようとの魂胆であった。


一方「アレだ。心理掌握ってバラして、それを認めたら名前を呼ンでやろォと思ったンだよ」



瞬間、あらゆるベクトルを感知し、操る一方通行はその場の空気が完全に停滞したのを感じた。

そして、停滞した空気が自分の望まぬ方向へ流れ始めているという事も、同時に。

だが勿論、操作する術などあろう筈も無く。


麦野「じゃあさぁぁぁぁ、あぁぁくせらぁぁぁぁ」


麦野沈利が、邪悪極まりない笑顔に顔を歪めている。


心理「――――――」


心理掌握が、何故か頬を染めている。理由は自分でも判ってはいまい。ただただ、雰囲気に押されただけなのだから。


垣根「名前、一発呼んじゃうか! な、一方ちゃぁぁぁぁん」

垣根帝督が、『良ィ』笑顔で一方通行の肩に腕を回した。


すかさず巻き起こる息の合った『な・ま・え!』コール。

ハァ!? とか アァ!? とか言っていた一方通行も次第に勢いを無くして口をパクパクとさせ始める。

コールが途絶え、俯いた一方通行を待って全員が今か今かとその瞬間を待ち構える。厨房の影から、ウェイターとシェフが顔を覗かせていた。

心理掌握と同じくらい赤面した一方通行は大きく深呼吸をして、ええいままよとばかりに口を開き――――――


一方「こ……、こ……、ここrなンだこの空気はァ!!!?? こォいゥ話じゃねェからこれ!!!!」


903: 2010/09/11(土) 01:20:00.14 ID:Zsqx2hA0

空気が一気に弛緩すると同時にほぼ全員の口から笑い声が漏れ出た。そうでない者にも、笑っていない人間はいなかった。


いつの間にやら、ウェイターが料理を持って立っている。皆の笑顔の色が変わった。

鼻と空腹を擽る匂いと彩りに全員が笑みを深めた瞬間、麦野沈利の腹から鳴き声が上がる。


再び上がる笑い声。先ほどのものが漏れ出る笑いだとするなら、今のそれは馬鹿笑いだった。

今や麦野沈利の顔色は、怒りの赤を通り越して蒼白だ。そう、炎は高温で青白く燃え上がるのである。


むぎのん怒りの大爆発が起きるまさに五秒前。心理掌握は幸せだった。

その幸せを細かく分析する事も煩わしい程に幸せだった。

今この瞬間が永遠に続けば良い。なんて、そんな陳腐でありがちな願いに今なら心の底から同意できる。

能力とか、強度とか、実は自分にとってそんなに大切なものでは無かったんだと気付けばただそれまでだった。

そして今の自分には、何よりも大切な物があるから。それだけを心に留めておけば、私はこの先ずうっと幸せだろうと。心理掌握は右から左に顔を向けた。




心理(そうこの方達が……、この方達が『心理掌握』の――――――)

心理(――――私の、大切なお友達)




心理掌握は、そしてその場の友たちは、声を上げて笑う。それに麦野沈利の、乾いた笑いが重なる。

やがて学園都市の一角に響く爆発音。

合わせて。少年少女の断末魔が響いた。

904: 2010/09/11(土) 01:25:10.74 ID:Zsqx2hA0
おしまいケル!!! みんなありがとう!!

完全にオリジナルキャラになる『心理掌握』が出る事で若干万人向けから外れたと……っつうかそもそも結構危ないネタが多いけども、少し心配してたんだよww

この先も大きな話は一応二つある予定なんだけど、少し間空くかもしんないケル。
外伝だったり、本編だったり、頑張るわw あと、書けるかどうかは判らんが絡ませたいキャラの組み合わせあったら少し書いてみてくれー
関係ないけど絡むってなんか工口いね

905: 2010/09/11(土) 01:26:33.43 ID:L67QLU2o
乙!こころんまじこころん!

906: 2010/09/11(土) 01:28:28.71 ID:xJiJ77Ao
お疲れさまっしたァ!
ほのぼのLV5は本当見ててあったまるわぁ
こころんかわいいよこころん

引用: 垣根「友達が欲しいんだが」