1: 2010/07/10(土) 01:45:34.03 ID:KpEFZgAO
音無「(……ここはどこだ?確か俺は……?)」

?「気がついた?」

音無「…あぁ?」

?「ようこそ、氏んでたまるか戦線へ」

音無「……誰だよ、テメェ。つかいきなりワケのわかんねーことほざいてんじゃねぇよタコ」

?「なっ…誰がタコですって!?」

音無「あ~うるせぇうるせぇ…」

ゆり「こいつ…。まぁいいわ、私の名前はゆりって言うの。突然だけどあなた、うちの部隊に入りなさい」

2: 2010/07/10(土) 01:49:51.83 ID:KpEFZgAO

音無「は?部隊?」

ゆり「そう、私達は神に抗うために日夜戦いを続けるの」

音無「…漫画とゲームのし過ぎだよ、このボケ」

ゆり「…っ!…ゲフン、いい?私達はあんたが思ってるほど子供みたいなことをしてるんじゃないの」

音無「神に抗うため~♪わたしたちたたかいまちゅ♪…ってか?ブフッwwww!」

ゆり「あんたね…さっきから下でに出てりゃ図に乗ってんじゃないわよ!」

日向「おいゆりっぺ!どうしたんだよそんな怒声張り上げて!」

3: 2010/07/10(土) 01:55:42.48 ID:KpEFZgAO

ゆり「日向くん…?」

音無「コイツも部隊とやらのお仲間か」

日向「ん?お前見たことない顔だな。ひょっとしたら新入りとか?」

音無「俺をテメェらみてぇなガキ連中な混ぜんじゃねぇよ。お断りだ」

ゆり「日向くん、コイツはもういいから早く天使をやっちゃいましょ。今グラウンドで一人突っ立ってるわ」

音無「(やる…?)」

日向「あ、ああ…。にしてもお前はこれからどうするんだよ?まだこの世界のこと何にもわかんねぇんだろ?」

音無「テメェらみてぇなイカれた連中に頼まなくても他の奴から縛り聞く」

日向「そうか…(あぶねぇ奴だなぁ)」

4: 2010/07/10(土) 02:00:34.20 ID:KpEFZgAO


―翌日―

NPC1「ひぃっ!だから知りませんってばぁ~!」

NPC2「勘弁してください!」

音無「テメェらここの住人なんだろうが!ならこの世界のことぐらい分かるだろうが、あぁ?」

NPC1「本当に知りませんって!僕達はただ普通に暮らしてるだけで…」

音無「ウラァっ!」バキッ

NPC1「うわぁっ、ゲホッ!」

NPC2「ひぃぃっ!」

音無「逃げんなコラァ!」

6: 2010/07/10(土) 02:05:38.58 ID:KpEFZgAO

?「あんたさ…いい加減止めたらどうだい?」

音無「あぁ?関係ねー奴がしゃしゃり出てくんじゃねーぞ」

?「私がこの世界のことを詳しく説明すればいいんだろう?」

音無「……チッ」ペッ!

岩沢「私は岩沢。あんたは?」

音無「…音無」

岩沢「それで、何からききたい?」

音無「まず…ここはどこだ?」

岩沢「氏後の世界、だよ」

音無「………」

7: 2010/07/10(土) 02:12:12.55 ID:KpEFZgAO

音無「テメェも俺をおちょくってんのか…?お前も制服があのゆりとかいうやつと同じで別の奴と違うしなぁ」

岩沢「私も最初は戸惑ったさ。だけど受け入れるしかないんだ…それと、ゆりと会ったのか?」

音無「……ああ。で、あのアマが言ってたしんでたまるか戦線って何なんだよ」

岩沢「簡潔に言えば、天使を倒してこの世界を手に入れようとしてる部隊ってことだよ」

音無「ふーん…。で?」

岩沢「私はそこの陽動部隊のリーダーをしている」

音無「帰れ」

8: 2010/07/10(土) 02:18:11.09 ID:KpEFZgAO

音無「アホ過ぎて付き合ってられん。百歩譲って俺が氏んだことは認めてやるよ、でもな…」

岩沢「でも?」

音無「天使と戦ってェ~とか、世界を手に入れる~とか、俺はそんなガキくせぇのが一番嫌いなんだよ」

岩沢「…まぁ無理に納得しなくてもいい。聞くより見た方がいいだろうしさ」

音無「お前はまぁまぁ話せる奴かもと思ったが、買いかぶり過ぎたな。あばよ」

岩沢「(…ん?確かそっちは校長室だったような)」

9: 2010/07/10(土) 02:22:45.94 ID:KpEFZgAO

―校長室―

音無「ははっ、初めからこうすりゃよかったぜ」カチャ

ビュン!

音無「うぉっとぉ!」ヒョイ

音無「誰だよトラップなんか設置しやがったカスは…俺じゃなきゃ氏んでたぜ。んじゃ改めて」ガチャ


SSS「「「!!!」」」

音無「…あぁん?」

ゆり「ちょっと、あんた昨日の!どうしてここに?」

野田「コイツか…さっきの話の野郎は」

10: 2010/07/10(土) 02:28:44.55 ID:KpEFZgAO

音無「なんでテメェがいるんだよ…」

ゆり「それはこっちの台詞よ!」

野田「おいテメェ…」

音無「あ?テメェにテメェ呼ばわりされる筋合いねーぞ」

野田「ゆりっぺの勧誘を断った上に、散々俺達を侮辱するとはいい度胸だな」

音無「馬鹿を馬鹿にして何が悪い?」

野田「貴様、[ピーーー]!」

音無「頃してみろよ?今すぐここでやってみろやコラァ!」

11: 2010/07/10(土) 02:33:20.55 ID:KpEFZgAO

日向「落ち着けって二人共!」

大山「そ、そうだよ喧嘩はダメだよ!」

日向「お前は俺達の仲間になるつもりでここに来てくれたんだよな?!」

音無「あぁ?すっとぼけたこと抜かしてんじゃねぇぞ」

ゆり「昨日はまともに話せなかったけど、あんたはこの世界がどんな世界が分かってるの?」

音無「氏後の世界とかいうやつだろ?んで、お前らはこの世界を手に入れる云々ほざいてるんだって?」

ゆり「そこまで知ってるなら話は早いわね」

12: 2010/07/10(土) 02:39:46.80 ID:KpEFZgAO

ゆり「あなた、この戦線に加わりなさい!」

音無「…お前日本語分かんねぇの?さっきから入らねーって言ってるだろ?Do you understand?」

TK「Oh!Yeah!」

藤巻「この坊主、なかなか肝がすわってんじゃねーか。でもちょっとお痛が過ぎるな」

日向「だから喧嘩腰になるなって!…えーと…名前なんだっけ」

音無「…音無だ」

日向「音無、気が向いたらでいいからさ、いつでも来てくれよ。歓迎するぜ」

音無「多分一生こねーけどな」


―――
TK「Good night」

14: 2010/07/10(土) 11:57:48.22 ID:KpEFZgAO


―夕方・校庭―

音無「にしても…このダセェ服なんとかなんねーのか」

音無「福屋らしき店もこの辺りにはねーし、手芸部の奴らにでも作らせるか」

音無「…えーと、どこに手芸部はあんだ?そこの女に聞いてみっか」

音無「おい、そこの白髪女!」

奏「…」ピクッ

音無「手芸部ってどこにあるか知らねぇか?」

奏「手芸部なら…あそこの校舎の三階にあるけど」

音無「そうか、ありがとよ~白髪女!」タッタッタ

奏「……白髪女」

15: 2010/07/10(土) 12:04:33.55 ID:KpEFZgAO

音無「ここが手芸部室か…とうっ!」ガシャン

部員女1「え…なになにっ!」

部員男1「だ、誰だよあんた」

音無「喜べ。今からテメェ等に俺の服を作らせてやる」

部員男1「はぁ…?何ワケの分からないことを言って…」

音無「シッ!」バキッ

部員男1「うわぁぁっ、鼻がぁっ!」

部員男2「ひでぇ…」

部員女2「何なの?一体?」

音無「オラァ!」ガァァン!

部員女1「やめて!それはせっかく作った作品なのに!」

音無「シャァッ!」バリーン!

部員男1「うぅ…わかった…わかったから勘弁してください…」

16: 2010/07/10(土) 12:14:07.83 ID:KpEFZgAO

―夜―

音無「へへ…やっぱ短ランだよな。かっけぇしよぉ」

音無「……昨日は一晩中起きてたからいいが、今日はどこで寝るかな」

?「あなた」

音無「あぁん?…さっきの白髪女か、何のようだ?」

奏「もう下校時間は過ぎてるから…早く帰えらなきゃ」

音無「うるせえ、俺に指図すんなよ。つか、帰る場所なんてねーよ」

奏「寮には戻らないの?」

音無「寮なんかあんのかよ」

奏「…」コクリ

奏「ついてきて…」

17: 2010/07/10(土) 12:14:14.69 ID:KpEFZgAO

―夜―

音無「へへ…やっぱ短ランだよな。かっけぇしよぉ」

音無「……昨日は一晩中起きてたからいいが、今日はどこで寝るかな」

?「あなた」

音無「あぁん?…さっきの白髪女か、何のようだ?」

奏「もう下校時間は過ぎてるから…早く帰えらなきゃ」

音無「うるせえ、俺に指図すんなよ。つか、帰る場所なんてねーよ」

奏「寮には戻らないの?」

音無「寮なんかあんのかよ」

奏「…」コクリ

奏「ついてきて…」

19: 2010/07/11(日) 02:01:58.40 ID:kN2Ly6AO

―男子寮―

音無「ここが俺の寝床か…」

奏「空いてる部屋があったら好きに使っていいから…それじゃ」

音無「ちょっと待ちな」

奏「…何?」

音無「あんたよ、見ず知らずの俺に優しくしても何もでねぇぞ?」

奏「私は生徒会長だから…困ってる生徒のことは見捨てれないだけだから」

音無「ふーん、まぁどうでもいいけどさ。俺は借りを作るのは嫌いなんだよ」

奏「?」

音無「あばよ、俺は空き部屋探してとっとと寝るわ」

21: 2010/07/11(日) 02:06:30.12 ID:kN2Ly6AO
―音無の部屋―

音無「ふぅ…ここに来てから何か色々とありすぎて疲れたな」

音無「ちょっとベッドで一休み…」ガッ

音無「痛って!ケツになんか当たったぞ!」ヒョイッ

音無「ん?何だこれ、DVD?題名は…『Demon Player』?」

音無「Demonっつーことは、PC関係なのか?まぁいいや…どうせDVDだろうPCソフトだろうと本体なきゃ意味ねーし」

音無「……そう言えば、さっきの廊下ですれ違ったキノコ頭」

音無「ノートPC持ってたような気がしたんだが…ちょっくら借りパクしてくるか」

22: 2010/07/11(日) 02:12:56.87 ID:kN2Ly6AO

―とある男子寮の部屋―

ギャーギャー!

ウルセー、シンデロ!

ガタン!バリーン!

…………シーン

音無「ふぅ…ったく手ぇ焼かせやがって!」ガチャ

音無「勢い余って窓ガラスから放り投げちまったぜ、まぁノートPCを『借りれた』からいいけどな」

―音無の部屋―

音無「さて、今から起動させますか…Demon Playerを」カチッ

PC「ジジ…」ウィーン

音無「ここにディスクを入れればいいんだな」カショッ!

PC「ジジ…ジ」ウィィィィン!

23: 2010/07/11(日) 02:22:27.18 ID:kN2Ly6AO

音無「あ、イッケネェ。説明書読んでなかったぜ」パラ…

音無「……」パラ…パラ…

音無「…ふー」パタン

音無「全く持って訳わからんかった…ま、まぁなんくるないさ」

PC「ジジジジ」パッ

音無「お、出た出た。…この図は人体図か?」

音無「上から順に頭、腕、腹、脚に矢印がある空白は何だろう…上にAttack Skillとか書いてるし」

音無「物は試しだ、入力してみっか!えーと…頭には『Genius』と」

音無「んで腕には…『Dark Blade』。ちょっとガキくせぇけど誰にも迷惑かけねーしいいだろ」

24: 2010/07/11(日) 02:32:34.35 ID:kN2Ly6AO

音無「じゃあ、腹には『Metal Steel』で…脚には『Instant』でいいか」

音無「やべぇwwww俺めっちゃTUEEEじゃん!天才頭脳に暗黒剣、鋼の鎧に俊足ってチートじゃねぇか!」

音無「……」プチッ

音無「……さて、寝るか。まぁいい暇つぶしにはなったよ」ドサッ!

音無「……ZZZ」

PC「ジジジ…」パッ


―翌日、連絡橋―


音無「さて、これからどうすっかなー。氏んだ奴らなんたらには入りたくねーし授業なんかかったりぃし」

音無「煙草買いに行こうっと」

25: 2010/07/11(日) 02:39:42.27 ID:kN2Ly6AO

音無「ハァッ…ハァッ、くそっ!何でどこにも煙草売ってねーんだよっ!」ガァァン!

ユイ「ひいっ!」ビクッ

音無「…あぁ?何だ?」

ユイ「い、いえいえ!何でもないですよー!あはは…」

音無「…オイテメェ、その制服は着てるってことはの氏んだなんちゃらの仲間か?」

ユイ「はい、一応…。ガルデモのたんなるおっかけみたいなものですが」

音無「ガル…何だって?いや、今はんなこたぁどうでもいい!今その制服見たらイラつくから消えろや!」

ユイ「はっはいいっ!!」タタタタ…

音無「…くっ、やべぇ。ここんとこ忙しくてニコチン摂取のことすっかり忘れてたぜか」

27: 2010/07/11(日) 02:49:03.42 ID:kN2Ly6AO

音無「やべっ、舌がうはくまわらねへ。…したくは無かったがやひかないか!」

―職員室―

音無「……」ソロッ

音無「よし、先公全員授業に行ってやがるな」

音無「んじゃ…お宝探しの開始だ」

数分後…

音無「うひゃひゃひゃ!いいねいいね、宝がいっぱいだよ」ゴソゴソ

音無「さてと、屋上にでも行くか」ガラッガラッ!

音無「へへ…チョレぇよ、マジ」シュボッ

~♪~♪

音無「(なんだこの騒音…誰だよ授業中にバンドやってる馬鹿共は)」スバー

30: 2010/07/12(月) 02:39:35.60 ID:zdlFEMAO

―空き教室―

ダダダダン♪ダンダン♪

岩沢「…よし、一旦休憩!」

関根「あ~、疲れたなぁ」コキコキ

ひさ子「オペレーションは今日の夜なのに、今から疲れてたら身がもたないよ」

関根「そうは言ってもぉ…」

入江「しおりん、私達は陽動舞台だから仕方ないよ」

岩沢「ま、それが終われば後は楽だからね。もうちょっと」

ガララッ!

入江「へっ?」

関根「ん?」

ひさ子「?」クルッ

岩沢「うん?」

音無「テメェらかぁ?さっきからジャンガジャンガジャンガジャンガやってる奴らは?」

31: 2010/07/12(月) 02:47:12.49 ID:zdlFEMAO

ひさ子「…誰だよ、アンタ?」

岩沢「音無…だったよね。どうしたんだ?」

関根「い、岩沢さんあのヤンキーと知り合いなんですか?」

岩沢「まぁちょっとだけね」

入江「怖いですね…」ボソッ

音無「あぁ?」ギロッ

入江「ううっ!」ビクッ

岩沢「学園内は全禁煙だよ?」

音無「お前らこそ授業中にバンドなんかやって規則破ってんじゃねーか。お互い様だろ?」

ひさ子「分かったから、煙草吸うならよそで吸ってもらおうか。煙たいったらないよ」

33: 2010/07/12(月) 02:52:53.33 ID:zdlFEMAO

音無「お前らの騒音がうるせーから、こうしてわざわざ来たんだよ」

ひさ子「何っ!?」ガタッ

音無「しかもよく見りゃお前ら、揃いも揃って氏んだなんちゃらの制服着てやがるな」

音無「ったくやっぱお前らは馬鹿共の集まりってこったなぁ、ハハハッ!」

岩沢「ちょっと…流石にそれは言い過ぎじゃないか?」

ひさ子「そうだよ。私達を馬鹿って言うアンタもそんな格好してるじゃん」

音無「あぁ?俺のファッションにケチつける気かコラ…女でも容赦しねーぞ!おお?」ギン!

ひさ子「く…(コイツ、まるで悪魔みたいな眼力してるな…)」

入江・関根「……」ガクブル

34: 2010/07/12(月) 02:59:04.36 ID:zdlFEMAO

岩沢「音無……こっち向いてよ」

音無「あぁ?今取り込み中なんだry」バチィン!

ひさ子「!」

入江「あぅ…」

関根「おぉ…」

音無「え?…っ!テメェコラ何しやがんだぁ!」

岩沢「あんたは自分のことしか考えてない大馬鹿だ…そんな奴が、口出ししないでほしいね」

音無「……何だと?」

岩沢「そんだけ度量があるんだったら、もっと他のことに役立てればいい。そうだろう?」

音無「…チッ、興ざめだ」ガララッ

ピシャッ!

関根「…おお、岩沢さんかっこいい!」

ひさ子「やっぱ、流石リーダーだね」

36: 2010/07/12(月) 03:03:45.44 ID:zdlFEMAO

岩沢「う…」ヘナヘナ

入江「岩沢さん?!」

ひさ子「おいおい大丈夫かよ!」

岩沢「どうやら腰が抜けたみたいだ…すまないが手をかしてくれ」

関根「はい。それにしてもあの人一体何だったんでしょうか?」

ひさ子「単なるヤンキーだろ?ほっといてもいいって」

関根「まぁ、ちょっと尖ったナイフみたいで好みだったかな…」

入江「ちょっと、しおりん!」

関根「冗談だよー。みゆきちは心配し過ぎだっての!」

岩沢「…すまない、先に練習始めててくれ。私はあいつの後を追う」

ひさ子「ちょ、何言ってんだ岩沢!」

38: 2010/07/12(月) 03:07:56.46 ID:zdlFEMAO

岩沢「流石にあのままじゃ、ゆり達に八つ当たりしかねないからな」


―校長室付近―

音無「(殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺…殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺)」

音無「(あー…ちょうどいい奴らが居たなー…確か近くだったかぁ?)」

岩沢「ちょっと、待ってくれ音無!」

音無「殺殺殺殺……ん?」

岩沢「さっきはぶったりして悪かったな」ゼェゼェ

音無「…忘れたな。あんなヘナチョコビンタなんか」

岩沢「ふっ、随分都合のいい頭をしてるな。まぁお前の追っかけてきたのは口喧嘩のためじゃないんだ」

39: 2010/07/12(月) 03:14:46.35 ID:zdlFEMAO

音無「あぁ…?」

岩沢「今夜、大食堂にて私達のライブがあるんだ」

音無「だから?」

岩沢「あんたも見にきてくれないか」

音無「(コイツ、さっきあれほど貶されたの忘れてんのか?)…嫌だと言ったら?」

岩沢「とりあえず理由を訊かせてくれ」

音無「はっ…ただ単に人の多いとこが嫌いなだけだよ。話はそんだけか?」

岩沢「ん?ああ、一応」

音無「じゃあもう行く…(チッ、殺戮感情が失せちまったぜ)」スタスタ

岩沢「できたらでいいから、来てくれれば嬉しいぞ」

音無「……気ィ向いたら、な」ボソ

40: 2010/07/12(月) 03:21:20.30 ID:zdlFEMAO

―夜・大食堂前―

ダンダン~~♪ダンダン~~♪

ワーーワーーキャーキャー


音無「……あーあ、来ちまったよ。情けなぇな、俺」

音無「まぁ一人で部屋でPCの画面と向かいあってるよかマシか。あいつらの仲間のメガネキノコから奪ったもんだが…」

音無「ん?橋の入口にいんのは…白髪女?あいつもライブ見に来たのか?」

音無「いや、それは無いな。生徒会長ってんなら粗方注意にでもしに来たんだろうしよ」

バァン!

音無「銃声!?チッ、また鉄砲玉かよ!」ガサッ!

シーン……

音無「あ、そう言えば俺氏んだんだったわ。にして久々に銃声聞いたなぁ…」

41: 2010/07/12(月) 03:29:32.84 ID:zdlFEMAO

音無「いやいや、つか何で銃声なんぞ聞こえたんだよ!」スクッ

奏「……」

音無「白髪女が…撃たれてやがる!」

日向「もう一発、くらえ!」バン

奏「……」ドシュッ

松下「どくんだ日向!」ガショッ!

日向「おう!」

音無「バズーガ?!あんなモンで撃たれちまえば木っ端微塵だぞ?正気かあいつら?」

松下「いくぞ!」バシュゥッ!

奏「…Guard Skill…」

音無「チッ、俺は最悪な奴だが多勢に無勢は一番嫌いなんだよ!」ダダッ!

奏「!」

松下「なっ!」

日向「あいつ…音無か!?」

42: 2010/07/12(月) 03:38:27.04 ID:zdlFEMAO

音無「(いや…待てよ)」

音無「(俺がコイツを庇ったとこでどうなる?相手はバズーガだぞ?銃じゃないんだぞ…?)」

音無「…あ、そういえばさっき」

――――
―――

音無「ん?PCの電源がついてらぁ。あ、昨日遊んだDemon Playerか」

音無「文字が書かれてあるな…えーと、『Perfect』?完璧?」

音無「おっと、そういや岩沢達がライブする時間もうすぐだったな」

音無「…はぁ、行くか」

―――
――――

音無「くそっ、ままよ!」ガシッ!

奏「えっ?」

音無「しっかり捕まってろよ」

44: 2010/07/12(月) 03:46:23.28 ID:zdlFEMAO

音無「飛ぶぞっ!」バッ

奏「…!」

ドガァァン!!

日向「やっべ!音無も巻き添えくっちまったんじゃないのか?」

松下「な、なぜ彼は急に飛び出して来たんだ!」

椎名「…いや、上だ!」

音無「ふぅ…何とか間に合ったな」

奏「あなた…その身体能力」

音無「話は後だ、コイツらは俺が何とかすっからお前は逃げて早く傷の治療をしろよ」スタッ

奏「大丈夫…私は自分で戦えるし、この世界での傷は勝手に癒えるの」

音無「そうか、傷はいいとして戦うのは流石に無理だろ」

45: 2010/07/12(月) 03:53:48.62 ID:zdlFEMAO

奏「…Guard Skill…『Hand Sonic』ジャキン!

音無「こりゃたまげたな…。何モンだテメェは?」

奏「私は立華奏…。あなたは…」

音無「あ、まだ名前言ってなかったか。音無ってんだ。よく覚えとけ」ジャキン!

椎名「おい…何やらあいつも腕から剣を出したぞ?」

日向「音無…お前は」

奏「その黒剣…」

音無「ああ、アレがまさかほんもんだったとはよ」

奏「アレ?」

音無「そんなことよりチャッチャと終わらせっぞ。俺は早く大食堂まで行かんとにゃらんのだ」

47: 2010/07/12(月) 04:02:52.57 ID:zdlFEMAO

椎名「はっ!」ビシュッ!

音無「遅せぇっ!」ガキィン!

椎名「くっ、早過ぎる…」

野田「おおおおっ!」ブオン

バキン!

音無「あぁ?」クルッ

藤巻「おいおい、攻撃した方の野田のハルバードが折れたぞ?」

野田「チッ、化物めが!」

TK「This is horror!」

音無「あーもう面倒くせぇっ!全員吹き飛びやがれ!」ブンブンッ!

ゆり(インカム)「ジジ…ちょっと、みんなどうしたの?!」

高松「それが…天使の他、もう一人の襲撃を受けまして」

ゆり(インカム)「ソイツば誰なの?」

高松「あれは…まさに悪魔です」

49: 2010/07/13(火) 02:11:59.85 ID:o5HlL2AO


―大食堂内―

ダンダン~♪ダンダン~♪

遊佐「…そろそろあちらは限界のようですが?」

ゆり「仕方ないわ、回して」

SSS1「了解しました」カチッ

ブワァァァッ!

―大食堂外―

音無「…あ?何だありゃ?紙吹雪?」

日向「みんな、食券取ったら早く撤退だっ!」ダダッ

音無「あ!逃げんなっ、チャラ僧共!」ダダッ!

奏「待って」ガシ

音無「おい、あいつら行っちまうぞ?いいのかよ!」

奏「もう彼らは戦う意志を見せていないから…放っておいても大丈夫」

50: 2010/07/13(火) 02:17:54.69 ID:o5HlL2AO

~♪~ジャーン!

ワーワーワーーキャーキャー!

パチパチパチ!

奏「ライブも終わったみたいだし」

音無「嘘だろ…アイツに何て顔すりゃいいんだよ」

奏「ごめんなさい」

音無「お前が謝ってもさぁ…俺が勝手にやったことだし」

奏「それでもごめんなさい」

音無「だからいいんだよ!…あーあ、ついてねぇな。これも全部あいつらのせいだ」

奏「…とりあえず、私は先に帰るね」

音無「ああ、じゃあな」

音無「(俺はどうするか…決まってんだろ、そんなこと)」

音無「(いや、しかし今から襲撃するんじゃ岩沢にばれる危険性が…)」

51: 2010/07/13(火) 02:23:55.67 ID:o5HlL2AO

音無「とりあえず煙草、煙草」カチッ

音無「ふー…」スパーッ

音無「じゃあ行くかな」

―大食堂内―

ゆり「はぁ?天使と強力してた悪魔ってあの音無って奴だったの?」

日向「そうなんだよ、でもあいつの強さ尋常じゃ無かったぞ!天使みてーな能力持ってたし」

ゆり「能力?」

野田「何の能力かは知らんが、あいつに当たってはずの俺のハルバードが折られた」

椎名「それに剣速も異常な速さだ。あの速さは私でも防ぐのがやっとだ」

大山「椎名が喋った!」

藤巻「そんだけ強かったんだろ、あの音無って野郎が」

52: 2010/07/13(火) 02:31:28.68 ID:o5HlL2AO

ゆり「音無…か。新たな敵対勢力の誕生ってわけね」

岩沢「音無がどうかしたのか?」

高松「いえ、彼が私達SSSの新たな敵対勢力になるかもしれないと…」

岩沢「何で音無が…」

ギャーッ!

日向「な、何だっ!?」

SSS2「くそっ、ここは通さないぞ」

音無「チッ!もうテメェらみてぇなザコ狩るのも飽きたんだよ!さらし首が嫌ならお前らのリーダー出せコラ!」

岩沢「えっ…?音無!?」

ひさ子「またあいつかよ!」

音無「オラさっさと出てこい!」バキッ!

SSS2「うわっ」ドサッ

ゆり「私に何の用かしら?」

54: 2010/07/13(火) 02:40:42.12 ID:o5HlL2AO

音無「オイコラゆりっ、テメーらのお仲間が立華を蜂の巣にしてたせいで岩沢のライブが見られなかっただろうが!」

ゆり「(立華?)仕方ないじゃない。どっちにしろ天使だってライブを止めに来たんでしょ」

音無「それでもちょっとは見れてたかもしれねーだろっ!テメェらものうのうと飯なんか食いやがって」

岩沢「おい、ちょっと落ち着いてくれ音無」ポン

音無「あぁ!?…岩沢か、んだよ今更」

岩沢「ライブに来てなかったってことだけで私は怒るような奴じゃないよ」

55: 2010/07/13(火) 02:49:03.73 ID:o5HlL2AO

音無「俺が納得いかねーんだよっ!」ドガッ!

日向「げふっ!」

ゆり「はぁ…分かったわ、今回のことは謝っておきましょう…ごめんなさい」

岩沢「音無、ライブはまだ近い内にあるからさ、次は特等席で見せてあげるよ」

入江「え…?いいんですか、あの特等席って」

岩沢「これだけガルデモのライブに執着する奴なんか、いないだろう?」

ひさ子「そうだけどさーコイツは…」

音無「ハッ、安心しろ。テメーのギターなんて聞いちゃねーよ」

ひさ子「んだと!」

ゆり「いいから二人共!…ってことで、今日はお引き取りいただけるかしら、音無くん?」

56: 2010/07/13(火) 03:01:25.54 ID:o5HlL2AO

音無「……チッ、テメェらそいつに感謝しとけよ」スタスタ

ガチャ…バタン!

ザワザワ…ザワザワ…

ゆり「ふぅ、SSSのオシマイかと本気で思ったわ」

高松「今の彼に本気で来られたら間違いなく全員全滅でした」

ゆり「一人を除いて…ね」

岩沢「ん?」

―大食堂外―

音無「はぁ…今日は人生の中で二番目に最悪な日だったぜ」

音無「あ、もう人生じゃねーねか。これからこんな世界で…成仏するまで暮らすのか」

音無「まぁ、この世界じゃ俺の力がハンパないって分かった収穫があっただけいいか」

59: 2010/07/15(木) 00:38:29.02 ID:Yu/nT6AO

―翌日、屋上―

音無「I guess thats just the way the it goes♪」シャカシャカ♪

音無「I ain`t tryin to pleach, I Billieve I can reach…♪」シャカシャカ♪

音無「ん?あれは…」シャカシャカ♪

音無「…あいつらっ!」ガバッ

音無「あんなにワラワラと集団でどこに行ってやがんだ?」

音無「まぁいいや、面白そーだからつけるか」


―体育館―

音無「…何してやがんだ」ソーッ

藤巻「行くぞっ、せーの!」

ガラガラガラ

音無「椅子収納台車なんか出して、卒業式の練習か?」

藤巻「よーし、行くかー」

60: 2010/07/15(木) 00:39:59.12 ID:Yu/nT6AO

音無「何だ何だ…台車を出したかと思えばあった場所に次々と中に入って行きやがった」

音無「……」キョロキョロ

音無「とりあえず一服」カチッ シュボッ

音無「フーッ…」スパー

音無「じゃあ、行くか」

―ギルド連絡通路B1―

音無「チッ、暗いな」カンカン

ビュンッ

音無「…ん?のわっ!」バッ!

ドガンッ!

音無「ちっ、またハンマーかよ!俺がつけて来たのがばれたのか?」

音無「めんどいが一筋縄じゃいかねーな、ここは」

―ギルド連絡通路B3―

音無「何か薄気味悪りぃなー」コッコッ

ズゴゴゴ…

音無「ズゴゴゴ?」

61: 2010/07/15(木) 00:41:02.05 ID:Yu/nT6AO

ズゴゴゴ…

音無「この音は…鉄球か!?しかもサイズXOの」

ズゴゴ…ゴロゴロゴロ!!

音無「やっぱ鉄球かよ。ハッ、でもこの程度なら…」スゥ…

音無「破ッッ!!」ドゴッ!

ピタ…ピシピシピシ…バキャッ!

音無「はははっ、軽い軽い」コキコキッ

―ギルド連絡通路B6―

音無「ここは…何だろうなぁ」

スパッ

音無「…あ?」ブシャッ

音無「うおおっ!肩が切れてやがる!」

音無「クソ、いつの間に…」スパッ

音無「っ、今度は頬か。何かあんなここ…」

音無「(目を瞑り…精神を研ぎ澄まして感じろ、空気の流れを!)」スッ

62: 2010/07/15(木) 00:41:52.06 ID:Yu/nT6AO

ヴィィン

音無「(見えるっ!見えるぞっ、これは…レーザーか!)」バッ

ヴィィン

音無「(次はXか…とうっ!)」バッ

音無「最後はこの扉っ」ガチャッ…ガチャ

音無「クソっロック式かよ!開けろやゴラァッ!オラァッ!」ドガドガドガ!

バキンッ!

音無「っしゃあっ!人間様音無様をなめんなよ」

―ギルド連絡通路B8―

音無「あー、マジでだりーなココ」

ズズズズ…

音無「お次は何だぁっ!」キョロキョロ

音無「…何もねぇな、じゃあこの音は何だ?」

ズズズズ…

音無「そういやさっきから何か太陽が陰ってきてんな」

63: 2010/07/15(木) 00:43:15.20 ID:Yu/nT6AO

音無「いや、地下なのに太陽があるかよ。…まさか」バッ

ズズズズ…

音無「やっぱ迫り来る天井かよ!」

ズズズズ…ズズ

音無「間に合えっ!」ダダダッ

ズズズズ…ドシンッ!

音無「ふふ…は、はは。流石にヤバかったかな」フルフル

音無「おっと、落ち着け。まずここは一服だな」カチッ シュボッ

音無「フーッ…」スパー

音無「何やってんだろうなぁ俺。勝手に氏にそうになってよ」

音無「いや、待てよ…そういや」

――


音無「なぁ、俺は氏んでんだよな」

岩沢「ああ。と言うより氏なないとこの世界にはこれないしな」

64: 2010/07/15(木) 00:44:29.55 ID:Yu/nT6AO

音無「じゃあこの世界で氏んだらどうなんだよ?」

岩沢「それは当然氏ぬ痛みを伴う」

音無「この世界で氏んだら成仏できんのか?」

岩沢「いや、この世界では氏んでも何度でも蘇るんだ。まぁ『氏なない』って言った方がいいかな」


――

音無「この世界では氏なないんだったな。そう考えると何かやる気になったぜ…毛頭氏ぬ気はねーけどな」

―ギルド連絡通路B9―

音無「最初は横、次は縦でさっきは上…つーことは」

ミシミシミシ…

音無「下っ!」バッ

ドゴォンッ!…パラパラ

音無「順番的にやっぱ床が抜けるんだよなー」

65: 2010/07/15(木) 00:45:10.73 ID:Yu/nT6AO

―ギルド連絡通路B13―

ドドド!

音無「水攻めたぁ、無意味だな。俺の肺活量をナメるなよ」

音無「出口を探すか」ジャボンッ

音無「(……)」キョロッ

音無「(…ここか)」ゴボゴボ…

―ギルド連絡通路B15―

音無「ふうっ」ザバァッ!

音無「多分もうすぐだな…最深部」

―ギルド連絡通路B17―

音無「…精神的披露は克服したが、流石に肉体的披露は簡単には癒せないか」

音無「ちょっと一服してくか。よっこらせっと」

ゆり「え?」

音無「ん?」

66: 2010/07/15(木) 00:45:46.51 ID:Yu/nT6AO

ゆり「っ!何であなたがここにいるのよっ!」

音無「だぁーっクソ!尾行してたってことすっかり忘れてたぜ!」

ゆり「尾行?あなたあのトラップをくぐり抜けて来たの?」

音無「何度も氏にかけたぜ。ハンマーにぶつかりそうになるわレーザーに切られそうになるわ潰されそうになるわ」

ゆり「…へぇ、まさか一人で、ね。ちょっとばかし音無君のこと見直したわ」

音無「別に、口先だけじゃねーってこと分かってくれればいい。てかお前何でこんなとこにいんの?お仲間は?」

67: 2010/07/15(木) 00:47:21.63 ID:Yu/nT6AO

ゆり「ちょっと休憩してただけよ。仲間は全滅したわ…」

音無「ハッ、だらしねぇな。あんだけ数集めといて全滅してりゃ世話ねーな」

ゆり「私にはあなたや天使みたいに力は無い…とても無力な存在」

音無「どういう意味だ?」

ゆり「姉弟が居たの」

音無「は?何の話しだ?」

ゆり「あなたには無い記憶の話よ」

音無「………」

そしてゆりの姉弟の壮絶な過去話を聞かされること、数分。

音無「一つ訊かせろよ」カチッ シュボッ

ゆり「何?」

音無「何でお前氏んだの?」スパー

68: 2010/07/15(木) 00:47:49.31 ID:Yu/nT6AO

音無「よくよく考えてみると…ここの最深部にいる奴らはSSSの仲間の可能性が高い」

音無「なら何であえて自分の味方を[ピーーー]ようなトラップを仕掛けたんだ?」

音無「そりゃあ…SSSの奴ら以外の誰かが侵入してきてっからだろうな、俺みたいに」

音無「でもこの世界で俺や犠牲を払ってまでやって来れたゆり以外にこんな深部に来れる奴なんていんのか?」

音無「…いたな、妙な技を使う生徒会長サマが。おおよそココをおさえに来たってとこか」

音無「でも俺には関係ねーし」スクッ

69: 2010/07/15(木) 00:48:29.96 ID:Yu/nT6AO

音無「……(どうしてもさっきの話をするゆりの顔がチラつくな)」

音無「立華の足止めもいいがそれじゃあ、『どっちの味方だよ』ってなるし…」

音無「コイントスで決めっか」ゴソゴソ

音無「表がゆりで…裏が立華」スッ

音無「…いくぜ」ピンッ

チャリンッ!

音無「…なるほど、表か。ならさっさとゆりを追わねーといけねーな」ザッ

ズシィン!

音無「おっと、立華の奴近くまで来てやがる…ここは追うより最深部近くで待ち伏せてる方が得策か?」

音無「あいつのヘンテコな能力もう一回見てみてーし、そいつでいこう」ダッダッ

71: 2010/07/15(木) 02:09:52.77 ID:Yu/nT6AO
ミス
>>67と>>68の間です


ゆり「言っとくけど自殺じゃいわよ」

音無「いや聞いてねーし。そもそも自頃しな奴が神に抗おうなんて考えねーだろ」

ゆり「そりゃそうね」クスッ

音無「何が可笑しい?」

ゆり「いや、私とあなたの思考は似てるなって思ってね」

音無「お前らのガキの頭脳と一緒にするなよ」フッ

ゆり「あ、笑った」

音無「笑ってねーよ」

ゆり「まぁいいわ。…それじゃ私はそろそろ行くから」スクッ

音無「別についてかねーからな」

ゆり「最初から期待はしてないわ…それじゃね」スタスタ

72: 2010/07/15(木) 03:34:58.80 ID:Yu/nT6AO

―ギルド最深部入口―

音無「この下がギルドか…つーことはここで待ってりゃ奴は必ず来る」スパーッ

ドォォンッ!

音無「来たか…」スクッ

奏「………?」

音無「よう、立華」

奏「…なぜあなたが?」

音無「単なる暇つぶしだよ。スリリングで何にも勝る、な」

奏「…そこを退いて」

音無「んじゃ嫌だと言ったら?」

奏「Guard skill『Hand Sonic』」シャキンッ

音無「容赦なし、か」

奏「…」ダダッ

音無「(やはり来るか。昨日のイメージを思い浮かべろ…SSSの奴らとやりあったあの感じを…)」シャキンッ!

73: 2010/07/15(木) 03:35:29.71 ID:Yu/nT6AO

奏「…?!」

音無「ウラァッ!」

キィンッ!

音無「どうだ?テメェのハンドなんたらに似てるだろ?」ブンッ!

奏「…」ガキンッ!

音無「剣だけじゃねーぞ!ホラ、足があいてんぜ?」ガッ

奏「っ…」ヨロッ

音無「隙ありだ!」

奏「Guard skill『Delay』」シュンッ

音無「消えた…?いや、後ろかっ!」キィンッ!

奏「…」ビシュッ!ブン!

音無「チッ、ちょこまかと…」スカッ

奏「…」ダダッ

音無「立華…『止まれっ!』」ギンッ

奏「…?」ビタッ!

音無「まさか本当に効いたのか?ハハ…こりゃ儲けモンだな」

奏「…」ググッ…

74: 2010/07/15(木) 03:36:03.94 ID:Yu/nT6AO

音無「動けねーぜ。今お前の伝達神経は一時的に麻痺しちまってるからな」

奏「…っ」ググ…

音無「何をしたのかって顔してんな。言うなれば、ただ単に『剛』でお前の神経を強制的に麻痺させただけだよ」

奏「…」キッ

音無「そんなに睨まないでくれよ。コイントスで裏が出たらお前に協力してたんだからさ」

バタバタバタ

ゆり「来たわね天使!…ってあれ、音無くん何で天使と一緒に居るの?」

音無「遅かったなゆり。もう終わったぞ」

奏「…」

ゆり「くっ!」ガチャッ!

音無「待て待て、もう終わったって言ったろうが!」

75: 2010/07/15(木) 03:37:42.41 ID:Yu/nT6AO

ゆり「終わったって…何が?」

音無「見ての通り、今立華は動けない。つまり俺がこんまま剣つきたてりゃ勝って終わりってことだ」

ゆり「え、音無くん一人で天使を?」

音無「ああ」

ゆり「へぇ、あなたやっぱりすごいじゃない。…でも何で私達に協力したの?ガキくさいって言ってたのに?」

音無「コイントスして表ならお前、裏ならあいつに協力することにしたんだよ」

ゆり「それで表が出たって訳ね?」

音無「そーだよ。んで、これからどうすんだコイツ?」

ゆり「とりあえず、ギルドごと爆発するわ」

音無「はぁっ!?」

76: 2010/07/15(木) 03:39:02.02 ID:Yu/nT6AO

音無「ちょっとまt」

ダダダッ

ギルド作業員1「ゆりさん、大砲用意できました!」

ゆり「あ、ごめん。もう必要ないかも…」

ギルド作業員「「「えええっ!」」」

ゆり「だって私が来る前にもう終わってたから…」

チャー「あれがゆりの言ってた音無か」ガチャ

ゆり「ん?」

チャー「なるほど…いい眼をしている。血を求める狂犬のような眼を」

音無「オッサン誰よ?」

チャー「オッサンではない。これでも高校生だ」

音無「マジかよ…ヒゲ剃れって。ん?…んなことより!」

77: 2010/07/15(木) 03:39:57.05 ID:Yu/nT6AO

音無「ここを爆破するって何だよ!」

ゆり「そのままの意味よ。ここを天使ごと爆破させるってこと」

音無「…俺が言えた義理じゃねーけどよ」チラ

奏「…」

音無「流石に爆破に巻き込ませては[ピーーー]ってのは可哀想すぎんぞ」

チャー「ゆり、爆破準備が整ったぞ。早くしなければ後数秒で自動爆発してしまうぞ」

ゆり「分かった。あなたも早く準備しなさい。ここから脱出するわよ!」ダダッ

音無「おい、あいつの麻痺を解いてやっていいか?」ピタッ…

ゆり「ちょっ、そんなことしたら一瞬で一刺しにされるわよ!」

78: 2010/07/15(木) 03:40:53.34 ID:Yu/nT6AO

ギルド作業員2「みんな急げ!」

ダダダダダダ…!

チャー「ゆり、音無!お前たちも早くしろ!」

ゆり「音無くん早くっ!」

音無「あー、ちっくしょぉっ!」ダッ

ゆり「え?そっちは反対y!」ガシッ

チャー「もうあいつは間に合わない、行くぞ!」ダッダッ!

ゆり「あっ、ちょっと!」

音無「おいっ」

奏「…?」

音無「お前、麻痺解いたら絶対に俺を刺さないって約束してくるか?」ガシッ

奏「…」コクリ

チャー「ギルドを爆破する!」カチッ

ゆり「音無くん!」

ドゴン!ドゴゴゴゴゴッ!!

音無「『動け』っ!」

79: 2010/07/15(木) 03:41:55.01 ID:Yu/nT6AO

奏「……」スッ

ズドドド!ドドドッ!

音無「地上まで走っから、しっかり捕まってろよ!」ガッ

奏「Guard skill『distortion」ヴゥン

音無「何したんだ?」ダダダッ!

奏「…御守り」

音無「そうか(確かに御守りだな。煙が全く影響されてこねぇ)」ダダダ

奏「…」ギュ

音無「(落ちたらマグマ…落ちたらマグマ…落ちたらマグマ!)」ダダダ

―地上―

ズズズ…モクモク…

音無「ゼーッ、ゼーッ!これが本当の臨氏体験ってヤツか…」ゴホゴホ

奏「…どうして私を助けたの?」

音無「はぁ?」ゼーッゼーッ

奏「あのまま爆破されていてもまたすぐに蘇るのに」

80: 2010/07/15(木) 03:42:24.98 ID:Yu/nT6AO

音無「そりゃテメェ…気の毒だったからだよ」ポリポリ

奏「?」

音無「ワケの分からんとこに一人取り残されて爆破に巻き込まれてマグマに落とされんだぜ?」

奏「…私には、よくわからないけど」

音無「わからんけど?」

奏「ありがとう」

音無「!…いや別に(笑った?…ってこれ俺が言われたことじゃん)」

音無「ちょっとさ、俺行くとこあるから…」

奏「?」

音無「またな、奏」スタスタ

奏「…」コクリ

音無「ゆりにも心配かけちまっし、謝りにいかねーとな」

87: 2010/07/16(金) 02:21:46.99 ID:A4wa2gAO

ギルド作戦から四日後――

音無「もうここに来て一週間なのか…。何か色々あった気がすんな」カチッ シュボッ

音無「そういや俺、自分クラスにゃ一回も入ったこと無いな…」スパー

音無「…いや、俺のクラスってどこだよ?てか何年生なの俺?」スタスタ

―教室前―

音無「もう、ここで良いか」ガラッ

ザワッ!

NPC女1「…音無君が来た」ヒソヒソ

NPC男1「マジかよ…アイツが来たら教室の空気が一気に悪くなんだよな」ヒソヒソ

音無「おい」ガンッ!

NPC男1「痛っ!な、何だよっ!」

音無「空気が一気に悪くなって悪かったなぁ~」ポキポキッ

NPC男1「ひっ?!」

音無「まぁ、言いたいこと色々あるが…とりあえず氏んどけ」ビシュッ

88: 2010/07/16(金) 02:22:33.13 ID:A4wa2gAO

奏「…」グイッ

音無「うおっ!?誰だコラァ!」ビタッ

奏「暴力は駄目」

音無「何だお前かよ…不良に説教タレる気か?」

奏「あなたは…不良なんかじゃない」

音無「こんなナリで不良じゃねぇって方が無茶あんだろ」

教師「いいから早く座れ音無」

音無「あ?誰に口聞いてんだよテメェ」

教師「は、早く座ってくれたら嬉しいかなぁ、なんて」

音無「しっかたねーな、座ってやんよ。テメェどけコラ!」ドカッ

NPC男2「うわっ!そ、そこはボクの席…」

音無「お前には床がお似合いだよ、ヒャハハッ!」

89: 2010/07/16(金) 02:23:08.29 ID:A4wa2gAO

ザワザワ…ヒソヒソ

奏「(結弦の影響で…教室の空気が変わった)」

音無「(Wow♪Wow~♪)」シャカシャカ♪

数十分後――

キーンコーンカーンコーン

音無「ZZZ…」スピー

奏「結弦、起きて…」ユサユサ

音無「ZZ…んっ?授業終わった?」ムク

奏「うん。次は移動教室だから、早く教室から出ないと」

音無「移動教室ぅ?何かめんどクセーからサボるわ」ガタッ

奏「授業には参加しないと…」

音無「不良に説教タレるのはいかんですって言ったろ。んじゃあな」スタスタ

奏「…」

音無「(何か後ろ髪引っ張られる気分だな)」

90: 2010/07/16(金) 02:24:07.70 ID:A4wa2gAO

音無「まだ眠ぃし…気分転換にカフェインでも摂取しに行こ」

音無「…そういや自販機ってどこ?」


―自販機・掲示板前―

音無「やっと見つけたぜぇ、ここにあったのか」

ユイ「んしょっと」ペタ

音無「…何だアレは」

ユイ「よいしょっ、と」ペタ

音無「せいっ」バリッ

ユイ「ほっ、と」ペタ

音無「よっ、と」ビリッ

ユイ「……よいしょ」ペタ

音無「ぬん!」バリッ

ユイ「あー、もう!さっきから何なんですかアナタは!」

音無「何なんですかはお前だ。さっきから同じ紙をペタペタペタペタ張りやがって」

91: 2010/07/16(金) 02:24:37.26 ID:A4wa2gAO

ユイ「あ~っ!あなたは!」

音無「ったく、掲示板使う奴の迷惑を考えろよな」ビリッ

ユイ「この前人に当たり散らしてた人に言われたくないですよっ!」

音無「あ?お前どっかで会ったっけ」

ユイ「…忘れてるならいいですよ。とにかく、ガルデモのライブを大々的に宣伝中なんですから邪魔しないでください」

音無「ガルデモ?食堂の新しいメニューか?」

ユイ「えーっ!?それマジメに言ってるんですか!」

音無「ああ」

ユイ「本当に『Girls dead monster』を知らないんですか?」

音無「知らんし興味もない」キッパリ

ユイ「学内で超有名ですよー!リーダーの岩沢さんのボーカルなんて痺れますよ!」

92: 2010/07/16(金) 02:25:12.96 ID:A4wa2gAO

音無「岩沢?」ピクッ

ユイ「はい!私はCrow Songがs」

音無「岩沢がボーカルやってるバンド名がそのガルデモだってのか?」ガシッ

ユイ「え?そうですけど…(この人急に目つきが変わったけど何で?)」

音無「そうか…それだけ分かりゃいい。んじゃ、あばよ」スタスタ

ユイ「あ、はい」

ユイ「…あの人、一体何だっただろ?」


―空き教室付近―

~♪~♪

音無「この音調…ガリ…ガルデモでもだったか?」

音無「ちょっと様子を拝見…」

93: 2010/07/16(金) 02:25:44.79 ID:A4wa2gAO

―空き教室前―

音無「……」ソローッ

~♪~ブツッ

音無「(音が切れた?)」

ひさ子「あ、悪りぃ。すぐに変える」

岩沢「じゃあ、ちょっと休憩といこう…ん?そこにいるのは音無か?」

音無「…よう」ザッ


―廊下―

音無「ハッ、まぁまぁな音を響かせんじゃねーか」

岩沢「それは誉め言葉か?」

音無「好きに取れ」

岩沢「フッ…あんた、何か変わったね」

音無「変わった?俺がか?」

岩沢「最初見たときとは印象がまるで違うよ。最初は狂犬みたいな奴だと思ったからね」

94: 2010/07/16(金) 02:26:14.80 ID:A4wa2gAO

音無「狂犬ねぇ…そういや、その次会った時にゃお前にぶたれたな」

岩沢「実はぶつのかなり怖かったけどね」

音無「ふーん、お前がそんな臆病には見えねーぞ」カチッ シュボッ

岩沢「あんた…いつも煙草吸ってるけど、生前も吸ってたの?」

音無「記憶が無いうちはなんとも言えねーな…たださ」スパー

岩沢「ただ?」

音無「記憶が無くてもよ、体が覚えてたんだよな…煙草吸いてーってさ」

岩沢「そうか…でも記憶か無いのは、それはそれで幸せかもな」

音無「そうか?」

95: 2010/07/16(金) 02:26:41.30 ID:A4wa2gAO

岩沢「もう誰かの過去は聞いた?」

音無「ああ、ゆりの」

岩沢「ゆりのか…あれは最悪だ」

音無「だろうな」

岩沢「私の生前はそこまで最悪じゃなかったからね」

音無「…そう言うってこたぁお前も生前はそれなりに最悪だったんだろ?」

岩沢「好きな歌が歌えなかった…ってことだけさ」


それから俺は岩沢の両親のこと、初めて聞いた音楽や手に取ったギターのことを訊いた。

そして言葉を失い岩沢の人生がステージにたてないまま終わってしまったということも。

96: 2010/07/16(金) 02:27:11.76 ID:A4wa2gAO

音無「ふーっ…悪かったよ」

岩沢「どうしてお前が謝る?」

音無「いや別に、過去のお前に謝っただけだよ」

岩沢「お前やっぱり変な奴だな」クスッ

音無「…フン」

ガラッ

ひさ子「お~い、岩沢~っ!」

岩沢「あ、ひさ子。オーケー、今行くよ!」スクッ

ひさ子「待ちくたびれてるよー!」

音無「……」クルッ

岩沢「おい、記憶無しヤンキー!」ブン

音無「うぉっと!」パシ

岩沢「それ、やるよ。じゃあ今日の夜に体育館で待ってるからさ」ガラッ

ピシャッ

音無「記憶が無い方が幸せ…か。じゃあ何で俺は不良してんだろうな?」

98: 2010/07/16(金) 03:42:57.50 ID:A4wa2gAO

―18時40分・寮前―

音無「体育館は西の方角…ってことはこっちか」

…ダダダダッ

日向「女子寮はあっちだ!」

ゆり「オペレーション開始までもうすぐよ、急いで!」

ダダダッ…

音無「いつでも元気やなーあいつらは。女子寮っては何の話だ?」

音無「でも確かに時間がねぇのは本当だし、走るか」タッタッ

―18時50分・体育館―

音無「…間に合ったか」ゼェゼェ

音無「岩沢は確かステージの裏方にいるんだったな」スタスタ

99: 2010/07/16(金) 03:43:27.89 ID:A4wa2gAO

―ステージ裏―

シャッ

岩沢「ん?」

音無「よぉ、来たぜ」

岩沢「フッ…待ってたよ」

ひさ子「何だお前か。岩沢の招待だから何も言わないけど、迷惑はかけるなよ」

音無「お前、誰?」

ひさ子「ひさ子だ!忘れるな」

音無「悪ぃ、もう忘れた」

ひさ子「コイツ…」ググッ

関根「やっぱしちょっとだけカッコイイかも…」ジーッ

入江「しおりんっ!」

関根「だから冗談だってばー」

岩沢「あそこが特等席。多分一番よく見える場所だ」

音無「ああ、サンキュ」クルッ

100: 2010/07/16(金) 03:44:26.10 ID:A4wa2gAO

岩沢「あ、音無」

音無「何だ?」

岩沢「特等席にコイツも一緒に置いてやってくれ」スッ

音無「…ギター?」パシ

岩沢「ああ。思い出のギター、だよ」

音無「…ま、健闘を祈るぜ」スタスタ

岩沢「任せた…それじゃ、派手にやろうぜ!」

―同時刻・女子寮の一室―

日向「そういやさっき音無とすれ違わなかったか?」

ゆり「寮のとこに音無君いたの?急いでて気づかなかったわね」

松下「そういえば彼は、ギルドのトラップを一人でクリアした上に天使に勝ったそうじゃないか?」

101: 2010/07/16(金) 03:44:59.71 ID:A4wa2gAO

日向「いくらなんでも嘘っぱちだろ嘘っぱちー」ハハ

ゆり「いいえ、本当よ」

日向「何ィっ!?」ズコッ

ゆり「私は実際にこの眼で見たわ。みんなが全滅した後いきなりふらりと現れたし、戦いじゃ天使の動きも封じてた」

野田「ふん、俺にもそんなことぐらい朝飯前だ」

日向「ギルドに投下して一分後に氏んだ奴が何言ってんだよ」

ゆり「竹山くん、パスワード割り出せた?」

竹山「はい。それと僕のことはクライストとお呼びください」カタカタ

ゆり「(音無君はライブの方に行ってるのかしら?)」

102: 2010/07/16(金) 03:47:11.45 ID:A4wa2gAO

―体育館―

ダンダン~♪ダン~♪

ワーワーキャーキャー!

音無「…(こっからだとよく見えっけど、岩沢の奴…表示が焦りだしてんな)」


岩沢「(どうして、もっと集まってくれ!)」ギャンギャギャ♪

ひさ子「(Alchemy?この序盤で?)」

―体育館外―

女生徒1「ねぇ、Alchemyよ!」

女生徒2「早くいこいこっ!」ダダッ

コッ

奏「……」

奏「……」スタスタ

―体育館内―

ダンダン~♪ギャギャ~♪

音無「!」ピクッ

音無「(NPC達の群れにいる違和感…奏が来たのか?)」

音無「(ここで奏に話をつけに行ったとしても、こんだけ盛大にやってんだからな…)」

音無「(下手したら教師連中がやってくるぞ…)」

105: 2010/07/16(金) 18:44:27.14 ID:Ssb3u/.0

バタァン!

教師A「お前たち、一体何しとる!」バタバタ

音無「…噂をすれば何とやらだ」

教師B「大人しく寮へ戻れっ!」

男子1「やだよ!ぜってーみてーもん!」

女子1「そうよ!お前らこそ帰れ!」

ソウダソウダッ!!カエレ!

奏「……」スッ

岩沢「(現れやがった!みんなもっと盛り上がってくれ!いや、そうさせるのは誰でもない…私達の力なんだ!)」

遊佐「天使、出現しました」ジジッ

ゆり(インカム)「了解」ジジ…

教師A「どけ、お前達!」ドン!

教師B「静かにしろ!」

音無「ここに居ろよ、ギタークン」バッ

シュタッ!

教師C「む?あいつは…」

音無「いやー、どーもどーもセンセー方」ヘラヘラ

教師A「音無…貴様も共犯か!」

音無「いやいや、俺はただ単に一個人のファンとしてライブみにきてるだけっすよー」ニヘ

教師B「嘘をつけ!」

106: 2010/07/16(金) 18:51:20.25 ID:Ssb3u/.0
音無「だからね…」

教師A「かくなる上は貴様も…」

音無「いい加減しつけんだよぉテメェら!」ガス!

教師A「ぐあっ!」

教師B「何をする!」

音無「せいっ!」バキッ

教師B「ぐおっ!」

教師C「…邪魔が入った。応援を非常口から頼む」コソコソ

ザリ…

音無「次は?どいつだ?」

奏「……」

音無「…奏か。まさかお前も邪魔を…」

ダンダン~♪ダン…ダ……

音無「あ…?岩沢の声と楽器音が途切れやがったぞ?」

奏「…」クルッ

ザワザワ…ブーブー!

音無「えらく前が騒がしいな。くそっ、人が邪魔でこっから全然じゃステージが見えん。おい、奏」

音無「っていねぇし…どこ行ったんだ」

ザワザワ…ザワザワ

107: 2010/07/16(金) 18:53:53.39 ID:Ssb3u/.0

男子2「くそっ!ふざけんなよ!」

女子2「やめてあげて!」

男子3「俺たちの為なんだよっ!」

男子4「放してやってくれよ!」

音無「なっ…何で先公共が!入口には俺がいたし、さっきの電話が繋がってなかったハズ…」キョロキョロ

音無「あのドアは…非常口から入ってきたのか!くそっ、フツーは生徒の為に使うもんだろ!」

女子3「彼女たちの歌が支えになってるの!お願い!」

教師D「今までは大目に見てやってただけだ。図に乗るなっ!」

ザワザワ…ブーブー!

教師D「楽器はすべて没収だ。学園祭なしに、二度とこんな真似はさせんぞ!」ガシ

岩沢「っ!」

教師D「これは捨てても構わないな?」

岩沢「…触るな」

教師D「え?」

岩沢「それに…触るなぁぁぁっ!!」ダッ

ドカッ!

教師D「ぐおっ!」

教師E「やめんか!」

ひさ子「チッ!」ドゴッ

教師E「うおっ!…ま、待てぇ!」

遊佐「……」ガッ

教師E「ぬおっ!」ドサッ

108: 2010/07/16(金) 18:56:07.03 ID:Ssb3u/.0

教師D「それをよこせ!」

岩沢「くっ…」

ダダダダ…

教師D「ん?…何だ!」

音無「テンカオォッ!」ドゴオッ

教師D「ぬおわあああっ!」ゴロゴロゴロ

教師E「また音無かっ!」

バン!

音無「……(照明?)」ハーッ、ハーッ

ザワザワ…ザワ……

~~♪~♪

音無「岩沢…?」

岩沢「常識ぶってる奴が笑ってる。次はどんな嘘をつく…」

ユイ「新曲…?」

岩沢「泣いてる君こそ…孤独な君こそ、正しいよ…人間らしいよ…」

音無「…この音調は…バラード?」

岩沢「本当の僕らを…ありがとう…。(これが私の人生なんだ…こうして歌い続けていくことが)」

音無「…!」ゾクッ

岩沢「(それが、生まれてきた意味なんだ。私が救われたように…こうして誰かを救っていくんだ。…やっと…やっと見つけた)」

音無「待て!消えるなぁっ、岩沢ぁぁっ!」ダッ

岩沢「(音無…お前は本当に、すごく不器用でいて…そしてすごく…最高な奴…だったぜ)」フワ…

ゴトッ!

……シーン…

ひさ子「岩…沢?」

114: 2010/07/17(土) 07:23:32.59 ID:1QbXZ2AO

―翌日・屋上―

音無「ふんふーん♪」ジャン♪ジャン♪

音無「ふんふんふーん♪」ジャン♪

音無「ふんふんー…グスッ、岩沢…戻ってきてくれよ」ジャ-ン♪

ガチャッ

音無「はっ!」クルッ

ユイ「あ…えっと…」

音無「…テメェかよ、何の用だ?」

ユイ「いや、上の方からギターの音がきこえたものでしたから」

音無「どーせヘタクソだよ」フン

ユイ「まだ何も言ってないじゃないですか!それに…そのギター」

音無「岩沢が消える前に残したギターだ。ガルデモの奴らに譲ってもらった」

ユイ「何を弾いてたんですか?」

音無「フツーの曲」ジャジャン♪

ユイ「何か一回弾いてみてくださいよーっ」

音無「やだよ、めんどい」

115: 2010/07/17(土) 07:24:25.13 ID:1QbXZ2AO

ユイ「ひょっとしたら、先輩まだギター弾けないんですか?」ニヤ

音無「……」ピク

ユイ「弾けないんですね」

音無「当然だろうがっ!今日の朝チューニング知ったばっかなんだぞ!」

ユイ「それでよく弾こうなんて思いましたね~」ニヒヒ

音無「どうやら真面目に氏にたいらしいな…奴らにお別れは済んだか?」バキボキ

ユイ「申し訳ありませんでした」ドゲザ

音無「…ったく。そう言うテメェは弾けんのかよ」

ユイ「勿論ですよ!これでもガルデモの新しいボーカル候補なんですから!」

音無「じゃあ弾いてもらおじゃねーか…そんで笑ってやらぁ!」

116: 2010/07/17(土) 07:24:55.87 ID:1QbXZ2AO

―空き教室―

ジャンジャン♪ジャーン♪

ユイ「フッ…どうでした?」ジャーン♪

音無「岩沢の120分の1ってところだな」

ユイ「んだぉっコラァ!」ガーッ

音無「……」バキボキ

ユイ「なぜですか音無さん?」

音無「何かさ、魂にズシンと響くモンがねーんだよな」

ユイ「そんなことないですよーっ!」

音無「じゃあ聴かせてやれよ、ガルデモの奴らに」

ユイ「えぇっ、多分まだそれは早いですって」アタフタ

音無「面倒な奴だな…じゃあ、最初はSSSの奴らに聴かせてみろよ」

ユイ「ゆりさん達に?」

音無「お前、ガルデモの新ボーカル候補なんだろ?」

117: 2010/07/17(土) 07:25:33.29 ID:1QbXZ2AO

ユイ「えっ、何で知ってるんですか?」

音無「…お前さっき自分で言ってろ。アホなのか?」ボソ

ユイ「何か呟きましたか?」

音無「ほら、とっとと行くぞ…この機材持ってくのか?」

ユイ「あ、お願いします」

音無「どっこいしょっ、と(意外と重いな、この機材)」ズシッ

ユイ「先輩遅いですよー、早く早く!」

音無「テメェも持つんだよっ!」ゲシッ

ユイ「わ、分かってますって。よいしょっ…と!」ズシッ

音無「落とすなよ」スタスタ

ユイ「分かってますよー」スタスタ

音無「先に訊いとくけど、トラップの解除方法は?」

ユイ「トラップ?」

音無「確かそんまま校長室のドアノブ握るとハンマーが振ってくるだろ?」

118: 2010/07/17(土) 07:26:12.08 ID:1QbXZ2AO

ユイ「……えっ?」

音無「おい」

ユイ「すっかり忘れてましたっ☆」テヘ

音無「よかったな。両手が塞がって無ければ今すぐお前を殺ってたとこだ」

ユイ「だって校長室に行くことなんてあんま無かったんですもん!」

音無「はぁ…もういい。トラップは俺が何とかする」


―校長室前―

音無「慎重、に」カチャ…

ブウンッ!

音無「ほっ!」ヒョイ

ユイ「お~っ!スゴいスゴい」パチパチ

音無「るせぇっ、次はしっかりトラップの解除方法覚えとけっ!」ガチャ

ギィィ…

ゆり「ん?あら、音無君じゃない?ひょっとしたらSSSに入隊する気になったのかしら?」

音無「そんなんじゃねーよ」スタスタ

119: 2010/07/17(土) 07:26:48.84 ID:1QbXZ2AO

大山「その大きな機材何?」

音無「コイツはちょっと置かせてくれ。そっちに置くぞユイ」ゴトッ

ユイ「分かりましたっ」ゴトッ

藤巻「何しに来たんだコイツラは?」

ゆり「音無君、確かその娘ってガルデモの…」

音無「ああ。新ボーカル候補だ」

野田「コイツが岩沢の代わりだと?」

藤巻「ありえねぇ…」

ユイ「ユイって言います!よろしくお願いしまっす☆」

音無「オイ」ビシッ

ユイ「痛っ!何ですか先輩っ!」

音無「自己紹介ぐらい真面目しやがれこのアホ!」

ユイ「これが私の真面目なんですよ!」

日向「ボーカルじゃなくて漫才師の間違いなんじゃねーの?」

120: 2010/07/17(土) 07:27:21.52 ID:1QbXZ2AO

高松「『Girls dead monster』はロックバンドってこと、覚えてますか?』

松下「漫才師でもなけりゃアイドルユニットでもないぞ?」

ユイ「うや、ちゃんと歌えますから!どうか聴いてから判断してください!」ジャジャーン♪

野田「形だけはサマになってるな」

音無「ま、そう言わず聴いてやってやれよ。話はそっからだ」

ゆい「そうね…じゃあ、弾いてもらおうかしら」

ユイ「よいしょ」カチッ

ダンダン~~♪~ダン♪

音無「…(やはり声は悪くない。ただギターとのシンクロがお世辞にも上手とは…)」

ユイ「イェ~イ!みんな、今日は来てくれてありがとうっ、イェryゲフッ」ドカッ

121: 2010/07/17(土) 07:28:49.02 ID:1QbXZ2AO

プラン…プラン…

高松「何かのパフォーマンスですか…」

高松「デスメタルだったのか」

TK「Crazy Baby!」

ユイ「し…氏ぬ」プラン…

音無「何やってんだ、バカ」グイッ

ユイ「ぐへぇ…」ドサッ

ゆい「とんだお転婆娘ね…クールビューティーだった岩沢さんとは正反対」

高松「Girls dead monsterのリードボーカルとしては、いささかな物かと」

松下「別の者を探さないか?」

日向「そーするかっ」

ユイ「コラーァッ、ちゃんと歌えてただろ!これでも岩沢さんの大ファンで全曲歌えるんだからなーっ!」ガバッ

日向「心に訴える物が無かったからな」

高松「ありませんね」

藤巻「ねーな」

122: 2010/07/17(土) 07:29:16.59 ID:1QbXZ2AO

ユイ「コラァ!そんなあいまいな感性で若い芽を摘み取りにかかるなぁ!お前らそれでも先輩かーっ!」

音無「(一々うるせー奴だ。岩沢とクールに話せてた頃に帰りたい…)」

ユイ「音無先輩も何か言ってやってくださいよーっ!」

音無「確かにコイツはうるさいだけだが…」

ユイ「なぬっ?!」バッ

音無「音楽に懸ける情熱は…本物かもしんねーぜ?」

ユイ「そうですよねーっ!流石先輩!」

藤巻「単にミーハーなだけじゃないねーのかぁ?」

ゆり「確かにやる気はありそうね…後はバンドメンバーに任せましょ」

ユイ「本当ですか?!やったぁーっ!ギターのひさ子さんと組めるー!」

音無「(今の内に帰ろ…岩沢の大事なギター置きっぱなしだったし)」

123: 2010/07/17(土) 07:29:51.99 ID:1QbXZ2AO

音無「」コソコソ

ギィィ…バタン

ユイ「あの殺人的なギターたまんないっすよね!頭どうなってんすかね!」キラキラ

藤巻「クビだな」

ユイ「えっ!」

高松「クビですね」

ユイ「え~っ、何か悪いこと言いましたかっ!助けて下さい音無先輩ぃ~!」

ゆり「…あれ?音無君は?」

松下「そう言えばさっきまでいたのにな?」

藤巻「つーかアイツがここにいて俺達と普通に喋ってたこと自体が珍しいんじゃねーのか?」

高松「そう言われてみると…いつも一人でフラフラ歩き回ってるだけでしたし」

ユイ「そんなっ、ユイの味方が全滅しちゃった」

野田「味方も何も元々アイツ俺達の敵だからな」

127: 2010/07/18(日) 02:19:58.97 ID:4htEfIAO

―校舎廊下―

音無「やっぱアイツらのテンションは俺には合わねーな」スタスタ

ドン

音無「痛っ!…オイ、テメェ!」ガッ

直井「何だ貴様は?早く離せ」

音無「ぶつかってきて無視とはいい度胸してんなコラ…治療費置いてけや」

直井「愚民が…フラフラ歩いてるからだ」

音無「テメェみてぇなひょろっちい愚民に愚民とか言われとかねぇな…潰すぞ?」

直井「貴様……僕の目を見てみろ」

音無「あ?」ギロ

直井「いいか…よく訊け…貴様はゴミだ。道端に転がっている誰にも気付かれずに微生物に喰われるゴミなんだ」

音無「……ゴミ?」

直井「そうだ。分かったらはやくどk」ガシッ

128: 2010/07/18(日) 02:20:32.27 ID:4htEfIAO

音無「ぬん!」バッ

直井「え?」

音無「エアプレーンスピン!」グルグルグル

直井「や、やめろっ!目が…目が回っ」グルグルグル

音無「オラァッ!」ブン

直井「ぐはっ!(な…なぜ催眠術が効かないんだ…?)」ドシ-ン!

音無「変な能力使おうとしてたみてーだが、俺を乗っ取ろうなんて無謀な奴だな」

直井「…き…さま」ピクピク

音無「今ので骨の何本からイッたろ。それでさっきの言葉はチャラにしてやっからよ」スタスタ

音無「あーあ、そういや早く岩沢のギター取りに行かんとな」


―空き教室―

音無「……ん?」ガララッ

入江「あっ…」

関根「ん?」

音無「何だ、お前らか。一体こんなとこで何してんだ?」

129: 2010/07/18(日) 02:21:05.61 ID:4htEfIAO

関根「いつもどおりバンドの練習だけど?」

音無「ああ…そういやそうだったな」

入江「ひょっとしてこのギター取りにいらしたんですか?」スッ

音無「そうだ…そういや、あの五月蝿いリードギターの女はどうした?」パシ

関根「ひさ子さんもすぐ来るでしょ。多分お昼を取ってからだと」

音無「そ。じゃ俺はこれで」スタスタ

関根「あ、ちょっと待って」

音無「何だ?背景に溶け込むのがそんにイヤなのか?」

関根「何の話?」

音無「俺ほどの漢になると分かるんだ。最初からいるのに最後までいなかったようなキャラってのが」

関根「この人さり気なく酷いこと言ってるよね、みゆきち」

入江「そうだねしおりん」

130: 2010/07/18(日) 02:21:45.88 ID:4htEfIAO

関根「いいよいいよ。どうせ私達はガルデモでも目立たない存在ですから」プィ

音無「おいおい、悪かったって。そんなに自暴自棄になるなよ。煙草やるからさ」スッ

関根「え?あ、どうも」

入江「しおりん…流石に煙草はマズいんじゃないかな?ひさ子さんに見つかったら叱られるよ」

音無「『BLACK STONE』…手に入れるのに苦労した日本じゃ珍しい煙草だ。お前も吸うか?」

入江「い、いえ私は…」アタフタ

音無「慣れたら甘くなってくるからよ、な?それに既に氏んでるんだから健康もクソもねーじゃん」

入江「あ、あの」

音無「勇気を出せ」

入江「…じゃあ、一本だけ」

音無「その意気だ。じゃあ俺からライター回してくわ」カチッ シュボッ

131: 2010/07/18(日) 02:22:19.64 ID:4htEfIAO

ガララッ

ひさ子「何か煙たいけどいい匂いが外まで匂ったんだけど、なにやって……」

音無「…ゲッ」

関根「あ…」

入江「ひぇ…」

音無「さて、と。俺は学食でラーメンでも食いに行きますかね」スタスタ

ひさ子「…ちょっと待ちな」ゴゴゴ

音無「誰が待つか!」ダッ

ひさ子「待てコラ!入江と関根に変なこと教えやがって!」

ひさ子「それと入江関根!アンタらは罰として日誌書いときな!」ダッ

関根「うう…そんなぁ」

入江「仕方ないよ…しおりん」


―校舎入口―

ひさ子「待てって言ってんだろうが!」ダダダ

音無「だから待たねぇって!(こいつ脚速ぇぇっ!)」ダダダ

ユイ「何か地響きが聞こえてきませんか?」

日向「松下五段が走りまわってたりしてなー」ハハ

132: 2010/07/18(日) 02:22:50.45 ID:4htEfIAO

音無「わぁっ!どけやテメらーッ!」ダダダ

日向&ユイ「へ?…ぬわーーっ!」

ドンガラガッシャーン!

ゴロゴロゴロゴロ

テメーハナセユイコラッ!

イヤデスーッ!

ナニヤッテンダオトナシ!

ゴロゴロゴロゴロ

ひさ子「…見事に階段を転げ落ちたな。やはり音無にバチが当たったのか」

ギャーギャー!

ひさ子「巻き添えくらった日向達には気の毒だけど、氏にゃあしないし大丈夫だろ」スタスタ

ドシャッ!

ユイ「痛いですぅ…」シクシク

日向「俺だって痛ぇーよっ!」シクシク

音無「何だお前ら。あんぐらい受け身とれよな」

日向「いや元はお前が原因だからな?!一体何やってたんだよ!」

音無「いや、ガルデモの入江と関根の個性を目立たせようとして煙草勧めてたらひさ子に見っかった」

日向「…小さな親切大きなお世話ってわけだな」

133: 2010/07/18(日) 02:23:25.90 ID:4htEfIAO

音無「悪かったな。んじゃあばよ」

日向「ちょっと待ってくれ」ガシ

音無「あぁ?」

日向「今俺達は困ってることがあってだな…お前に聞いてほしい話がある」

音無「ほう…聞かせろ」

日向「実はさ、野球の球技大会があるんだけどよー」

音無「参加してくれ、とかほざくなよ」

日向「…あ?分かっちゃった?」ハハッ

音無「ハハッ…じゃねーよ。却下だ却下」

日向「何でだよーっ!俺達親友じゃなかったのかよーっ!」ズイッ

音無「顔が近けぇよるなっ、俺が認めた奴は岩沢以外おらんっ!」グッ

ユイ「あれ?ユイにゃんは?」

音無「誰だよユイにゃんって」

ユイ「私ですよ、私。ユイ、にゃん☆」ニヘ

音無「よし…頃す」ボキバキ

134: 2010/07/18(日) 02:23:57.53 ID:4htEfIAO

ユイ「ストップストーップ!助けて日向先輩!」

日向「自業自得だ。…音無。じゃあこうしようぜ」

音無「あぁ?」

日向「もし俺達のチームに入ってくれて、優勝した暁にはこれから煙草一週間おごりってのは?」

音無「…金には困ってねーし…つかお前に煙草売ってる場所わからねーだろ」

日向「何っ?!…ならこれから食券g」

音無「無理だな」

日向「じゃ…」

音無「だから出ねーっての!そもそも不良が参加する大会ってのは横棒倒しか騎馬戦がお約束なんだよ!」

日向「頼むよ音無ぃ~!一生のお願いだ~!」ガシッ

ユイ「先輩ぃ~!」ガシッ

音無「ちょっ、抱きつくなテメェら!離れろ」ブンブン

日向「お前が首を縦にふるまでは離れん!」ガシ

ユイ「ユイもですー」ガシ

135: 2010/07/18(日) 02:24:47.51 ID:4htEfIAO

NPC女A「見て、あれ…」クスクス

NPC女B「何あれー」クスッ

オォトナシィ-ッ!

セェェンパイィーッ!

ハナレロゴラァ!


数分後――

日向「よっしゃーっ!あの音無をスカウトできたぞー!」ボロボロ

ユイ「でももう疲れました…」ボロボロ

音無「…テメェらの執念にゃ呆れたぜ。イソギンチャクかテメェらは」ゼーッゼーッ

ユイ「音無先輩を手に入れたことですし、次は誰をあたりますか?」

日向「そうだな…椎名っち辺りを当たるか」

音無「椎名?」

日向「まだ会ってなかったっけ?クノ一みたいな感じで頼りにる奴だぜ」

音無「クノ一…(ああ、俺が奏と共闘した時に白兵戦挑んできた奴か)」


―体育館 倉庫―

日向「椎名っちー!どこだー、出てこいよー!椎名っちー!」

スッ

音無「!」バッ

136: 2010/07/18(日) 02:25:46.56 ID:4htEfIAO

椎名「何用だ」

音無「(コイツ…完璧に気配消してやがったな)」

椎名「…出たな」

音無「あぁ?」

椎名「かかって来い、小僧…」

日向「待て待て待て、いきなり何言ってんだよ椎名っち!」

椎名「私はその男に負け続けている理由を考え…そしてある一つの結論に辿り着いた」

音無「俺アンタを負かした記憶なんてねーけど」

椎名「あの時、撤退命令が無ければ私は確実にお前に負けていた…それは集中力の差だ」

音無「集中力だと?」

日向「確かに音無は戦線メンバーを退けギルドを一人で突破しちゃう奴だもんなー」

椎名「お前に負け…ギルドでの武勇伝を訊かされた後…その日から私はこの竹箒を指先の一点で支え続けている」スッ

ユイ「…アホですね」

日向「アホだが戦力だぜ?」

137: 2010/07/18(日) 02:26:18.64 ID:4htEfIAO

椎名「良い頃合いだ…勝負だ小僧」

音無「へぇ…そういやこの世界に来てからのタイマン申し込みは初めてだぜ。いいだろ、表へ出な」ザッ

日向「ちょっと待て!勝負なら野球でs」
椎名「よし。行くぞ」ザッ

ユイ「どうやら聞いてませんよ?」

日向「はぁ…元気良すぎだろアイツら」


―体育館内―

日向「勝負は一回限りだかんなー。先に相手の頭に竹刀打ち込んだ奴の勝ちだ」

椎名「防具をつけなくていいのか?」

音無「お前もな」ニッ

日向「…んじゃあ、始め!」

音無「行くぜっ」ダッ

ユイ「おお、速い速い!」

椎名「…」サ

音無「オラァ!」ブン

椎名「…」スッ

音無「(消えた…?いや…)」

音無「上かっ」ブンッ

ユイ「竹刀を投げた!?」

日向「でも、やっぱはじかれるだろ」

144: 2010/07/18(日) 15:51:07.46 ID:4htEfIAO

椎名「ふっ!」バシッ

日向「ほら、やっぱ弾かれたじゃん」

ユイ「あ~音無さんの作戦失敗しちゃいましたね」

椎名「自らの武器を手放すとは…あさはかなr」ガスッ

音無「……クク」

ユイ「あ…椎名さんバスケットゴールに頭ぶつけましたよ」

日向「ありゃ痛てぇぞ…」

椎名「あさはか…なり」ヒュー

ドサッ

音無「…へへ」ニヤ

椎名「お前、まさか…」ジンジン

音無「ああ。丁度バスケットゴールの上にお前が飛ぶように調節したんだよ」

椎名「竹刀を投げたのは私の気を引くためだったのか…あさはかなり」ガクッ

145: 2010/07/18(日) 15:52:33.74 ID:4htEfIAO

音無「気絶したか。さて、竹刀竹刀っと」ヒョイ

日向「おいおい、もう椎名は戦えないだろ!」

音無「最初に竹刀を相手の頭に打ち込んだ方の勝ちってルールだったろ?」

日向「流石にもういいって、相手が戦えなくなって時点でお前の勝ちだろ?!」

音無「そうかよ」パッ

ユイ「椎名先輩どうします?当分起きそうにないですが」

日向「保健室に連れていくか…」

音無「持っていっときゃその内目覚めんだろ…よっこらしょ」

日向「お前椎名をおぶったままで学校中歩き回れんのかよ?」

音無「当たり前だ、なめんなよ」

ユイ「でも一応これで四人ですよね」

音無「で、次は誰を潰すんだ?」

日向「獲物じゃねーからっ!」

146: 2010/07/18(日) 15:53:02.33 ID:4htEfIAO

日向「仕方ねー、あいつを入れるか」


―第二連絡橋下 河原―

野田「ていいっ!」ブンブンブン

日向「あいつを誘う奴なんていねー。直情的でゆりっぺ以外の指示には従わない」

ユイ「つまりあの人もアホなんですね」

音無「あの人…も?」ベキベキッ

ユイ「あの人はアホなんですねっ☆」

日向「だがアホは利用できる」

ウォーウォー!ブンブンブン!

日向「しかも見ろ。長い棒をふらせたら右に出る奴は居ない」


野田「フッ、ついに来たか」

音無「あぁ?」

野田「決着の時がなぁっ!」

音無「へぇ…またタイマンの申し込みたぁ、俺もナメられたもんだ」

野田「あの変な力は使うなよ。正々堂々の勝負だ」

音無「上等だ、来いコラァ!」

日向「だぁからっ、待て待て!」

147: 2010/07/18(日) 15:53:29.25 ID:4htEfIAO

日向「決着は球技大会でお前とこいつのどちらが運動神経が上か見せてもらおう!」

野田「なぜ?」

日向「強いだけじゃゆりっぺは振り向いてくれないぜ?」

野田「…いいだろう」スッ

日向「よし」グッ

音無「でも俺には関係ねー…行くぜっ!」

日向「だから駄目だって!」ガシッ

音無「テメーゴラァ日向っ!」

日向「まさか野田に野球で負けるのが怖いのか?」

音無「あぁ?誰に言ってんだテメェ?この俺がビビるってか?」

日向「じゃあ、球技大会でビビってねぇってことを証明してくれよ」

音無「ハッ、うまく丸め込んだつもりのようだが…次喧嘩売られたら問答無用で頃す!」

日向「(お前に喧嘩売る奴の方が珍しいっての)」

148: 2010/07/18(日) 15:53:58.65 ID:4htEfIAO

―校舎A・屋上―

SSS1「ひぃっ、音無!?…さん」

音無「何だよテメェ」ギロッ

SSS1「ごめんなさぁぁぁい!」ダダダダ

日向「またかっ、脅してどうすんだよ!?」

ユイ「これで十人目…っと」メモメモ

音無「別に脅したつもりはねぇよ」

椎名「まだ五人だぞ。どうするつもりだ?」

音無「テメェ起きてたんなら自分で歩けやっ!」

椎名「ZZZ…」

音無「コ、コイツ…」フルフル

音無「おい日向、とっと行って終わらせっぞ!」

日向「………」ボーッ

音無「……?(目の焦点が合ってねーな)」

日向「………」

音無「おいっ!」ドカッ

日向「うわっ!…いや、何でもない。ちょっとぼーっとしちまった」

149: 2010/07/18(日) 15:55:05.75 ID:4htEfIAO

日向「仕方ない、後は一般生徒に賄うか」

ユイ「はいはーい!私仲のいい友達連れてきますよ~っ!」

日向「友達?」


―校舎C・廊下―

女子A「私たち、その…」

女子B「ユイにゃんさんのファンって言うかぁ」キャピ

女子「勝手に親衛隊って言うかぁ」キャピ

ユイ「ユイにゃんは才能におごることn」
音無「お帰り願いなさい」

ユイ「えーっ?何でですかーっ!」

音無「足手まといが増えるだけだ」

日向「でも他に当てがいねーし、しっかたねぇさ。センター抜きにしてライトとレフトを中盤よらに守らせれば十分だ」

音無「こんなこと言ってるが…勝てると思うか?」

椎名「実質五人じゃ難しいな」

音無「だな…ってテメェやっぱ起きてんじゃねーか!」

150: 2010/07/18(日) 15:55:42.03 ID:4htEfIAO

―球技大会第一会場 野球場―

ガキィン!

審判「ホームラン!」

藤巻「さっすがだぜTK!氏ぬまで何やってたか謎だらけだぜ」

TK「Don`t stop dancing!」


―球技大会第二会場 グラウンド―

松下「ぬん」ガキン!

SSS1「うっはっ!」

SSS2「一発ホームランだっ!」

竹山「…ふふ」


―対天使用作戦本部―

ゆり「うん。ゲリラ作戦は順調な滑り出しね…さて、天使さんのこ気分はいかがかしら、うふふ」


―球技大会第三会場 第二野球場―

ユイ「おぉーっ、我らが戦線チームはどこも順調に勝ち残ってますよー」

日向「んじゃ、俺らもいっちょ行きますか」

151: 2010/07/18(日) 15:56:18.57 ID:4htEfIAO

男子A「またか」

日向「この先に進むんのは俺達に勝った方ってことで、ジャンケンで決めてくんない?」

男子A「…どんどんチームが増えてきやがる」

音無「あ?文句あんのか?」ギロッ

ユイ「かかってこいやゴラァァ!」

日向「どつかせてどうすんだよ、あぁ!」ガガッ

ユイ「何で私だけ!?関節が砕けますホームランが打てなくなりますぅ!」

日向「んな期待最初からしてねーよっ!」

―――

日向「ここで勝たなきゃ罰ゲーム決定だかんな!」

音無「罰ゲーム…何の話だ?」

日向「初戦は気合い入れねーとな!」

音無「無視すんなオラァ!」ガッ

日向「痛てっ!まぁ悪魔で負けた場合だから心配するなって」

音無「俺はんなもん受けねーからな」

152: 2010/07/18(日) 15:56:49.56 ID:4htEfIAO

日向「とりあえず、一番はお前な」

音無「ハッ、いいだろう」

野田「俺はっ!?」ズイッ

日向「まぁ待て、で二番が俺。三番が椎名」

音無「…で、お前いつまでおぶわれてる気だよ!そろそろ下りろっ!」

椎名「仕方ないな…」バッ

日向「そして四番がお前だ。走者一掃しないとテメーの負けだからな」ポン

野田「ふん。いいだろう…容易いことだ」

日向「七点以上でコールドだ。天使が来る前に片付けちまおうぜ」

音無「(天使…奏も来るのか?)」

日向「よし行くぞぉーっ!ファイトォーッ…!」

…シーン

女子ABC「お、おー」ボソッ

音無「……恥ずかしな、日向」

日向「言うなっ!」

153: 2010/07/18(日) 15:57:23.27 ID:4htEfIAO

音無「そんじゃ……行ってくる」ザッ

日向「頑張れよ、音無!」

ユイ「Rookiesのパワー見せたれぇ!」

審判「プレイボール!」

音無「(ただ単に野球するんじゃ面白くねぇ……あ、いいこと思いついた)」

投手A「ふっ!」ブンッ

音無「ククク…」ガキィン!

日向「まずい、ピッチャーライナーだ!」

投手A「へぶっ!」ドカッ

日向「…え?」

投手A「うう…」ドサッ

ユイ「あ…見事に相手ピッチャーの顔面に直撃しましたね」

音無「やりぃ!」ザッザッ

ユイ「…あんな方法で塁に出たがるのって音無さんだけですよね?」

日向「あれが音無なんだ」

ユイ「やっぱアホですね」

155: 2010/07/19(月) 01:03:12.43 ID:iXwLjsAO

男子A「投手交代!」

――

その後、俺に続き日向と椎名も累に出てノーアウト満塁へ…次の打者は…

野田「フン…ったく。遊びもいいとこだ」ザッザッ

捕手「良いのか(片手だと)?」

野田「何が?」

捕手「くっ…来い!」

投手B「えいっ」ビシュッ

野田「でやっ!」ガキィン

ワーワーッ!

審判「ホームラン!」

捕手「そんなぁ」

野田「フン…」

――

音無「で、何で俺がピッチャー?」

日向「だってお前いつも喧嘩ばっかしてんだから強肩」

音無「関係ねーよ」

日向「それに野田にホームラン打たれたんだから今度はお前が巻き返すしかねーだろ?」

156: 2010/07/19(月) 01:03:59.16 ID:iXwLjsAO

音無「チッ。まぁいい…見てろ」スッ

野田(捕手)「来ぅい!」

音無「うおおおオラァッ!!」」バシュ!

野田(捕手)「ぬぉぉっ!」ドシュ!

審判「ストラーイク!」

野田「(まさか、俺の手が痺れているだと…)」ビリビリ

日向「すっげぇ!今の軽く160はいってたぜ!」

ユイ「そろそろ言いたいんですが、あの人はバケモンですか?」

数十分後――

2回裏・8-0

音無「軽い軽い、圧勝だな」

椎名「何故か途中から相手チームの選手どんどん減っていったが…」

日向「立て続けに相手のピッチャー三人の顔面に打撃する奴がいたからな」

ユイ「要はアホですね」

―対天使用本部―

遊佐(インカム)「日向チーム、二回裏コールド勝ちです」

ゆり「早っ!…みんな氏より怖い罰ゲームとやらを恐れて必氏ね。こっけいだわ」

157: 2010/07/19(月) 01:04:54.27 ID:iXwLjsAO

遊佐(インカム)「戦線ではゆりっぺさんの罰ゲームを受けたものは発狂し人格が変わると有名ですから」

ゆり「そうね…ってどんな罰ゲームよ!」

遊佐(インカム)「いや、私は受けたことありませんので」

ゆり「私だって!…おっと、あぶり出しね成功ね…」

遊佐(インカム)「あれは…天使ですね」

ゆり「こっちは武器も無し、あるのはバットにグローブ。果たしてどんな平和的解決を求めるのかしら?見物だわ」


―グラウンド―

奏「…………」ズゥゥーン

音無「…………」アァン?

直井「(何故コイツが…)」

奏「あなた達のチームは参加登録していない」

音無「文句あるのか?」ギロ

直井「せ、生徒会副会長の直井です。我々は生徒会チームを結成しました」

158: 2010/07/19(月) 01:05:30.13 ID:iXwLjsAO

直井「あなた達が関わるチームは我々が正当な手段で排除していきます」

音無「今ここでテメェらを排除してやろうか?」バキボキ

日向「待て、暴力はダメだ!一発で失格になるぞっ!」

音無「…チッ、試合で顔面にぶちあててやる」ペッ

ユイ「はっ!頭洗って待っとけよなァ!」

日向「お前は三振しかしてねーだろうが!…おっと、洗うのは首だ!頭だったら衛生上の見出し並みだ!」グググ!

ユイ「何で私だけっ!いーたーいですぅぅっ!」ギリギリギリ


―日陰―

音無「暑っつー…ちょいと一服」カチッ シュボッ

奏「結弦…」

音無「うおっ!テメェどっから出てくんだよっ!」

奏「校内での煙草は校則違反よ」

音無「校則破ってるから不良なんだよ」スパー

159: 2010/07/19(月) 01:06:15.78 ID:iXwLjsAO

奏「…結弦はどうして彼らと球技大会に参加したの?」

音無「アイツらが…しつこく勧誘してきたからだよ」

奏「それで…了承?」

音無「最初は断ったさ。アイツと出会って打たれてなきりゃ…多分ボコボコにしてでも断ってたろうけどな」

奏「………」

音無「不良ってのは気まぐれな生き物なんだよ。それでもアイツらとつるむのはゴメンだがな」

奏「そう…」

音無「話は終わりだ、お前もとっとと生徒会チームに戻れ」ザッ

奏「…うん」

音無「あ、そうそう」ピタ

奏「何?」

音無「その格好、似合ってねーぜ。じゃ、あばよ」スタスタ

奏「……」

奏「……?」

160: 2010/07/19(月) 01:06:41.28 ID:iXwLjsAO

―対天使用本部―

遊佐(インカム)「竹山チームに続き、高松チーム、二回コールド負けです」

ゆり「くーっ、あんなの反則じゃない!…残るは一チームか、どこ?」

遊佐(インカム)「日向さんのチームです」

ゆり「ゲ!…あ、でも確か音無君も日向君チームに入ってたのよね?」

遊佐(インカム)「確か音無は居ますが?」

ゆり「天使をギャフンと言わせるには、彼に任せるしかないわね…」


―決勝戦・グラウンド―

日向「ついに来てやったぜ」

直井「あなた方のチームのせいで怪我人が続出していますよ…」

音無「それはコイツのせいだ」ヒョイ

ユイ「アンタだろうがぁっ!」ガーッ

日向「(こんなんで大丈夫かよ…)」

審判「ではこれより決勝戦を始めます!」

161: 2010/07/19(月) 01:07:14.59 ID:iXwLjsAO

審判「プレイボール!」

試合が始まり、当然のごとく俺はピッチャーの顔面に打球を送り込む。

奏「……」

直井「やはり彼でしたか」

音無「ヒャハハッ!」ダダッ

直井「外道め…」

続いて日向、椎名、と出塁し…。

野田「でやぁっ」ガキィン

審判「ホームラン!」

日向「いよっしゃぁ!これで四点」ダダッ

―1回裏―

音無「……」ペッ ベキベキ

奏「(相手ピッチャーは…結弦?)」

音無「…疾っ!!」バシュ

ドシッ

審判「ストラーイク!」

野球部員A「…え?」

直井「速いですね…」

奏「打者交代よ」

ザッ

音無「ん?何だアイツもう下がんのか?」

162: 2010/07/19(月) 01:07:42.16 ID:iXwLjsAO

審判「生徒会チーム、バッターチェンジ!」

日向「打席途中で代打かよ…誰だ?」

ザッ

奏「……」スッ

音無「なっ!?」

日向「ちょっ!代打者って天使かよ!」

審判「プレイボール!」

音無「面白い…俺の全力を打てるもんなら、打ってみろやぁっ!」バシュ

奏「……」ガキィン

音無「?!」

ヒュルルル

ボトッ

審判「ホームラン!」

日向「まさか…音無の豪速球が…」ガクッ
音無「くそっ!…でも今の俺の球を打てるのは奏だけだ」

奏「みんなよく訊いて…結弦の球には弱点がある」

直井「弱点ですか?」

奏「彼は絶対に「真ん中」以外は投げてこない…」

直井「確証は?」

奏「今までの試合で。そして今ので確信した」

直井「もし他にも球を隠しもっていたら?」

163: 2010/07/19(月) 01:08:21.13 ID:iXwLjsAO

奏「それはないわ」

直井「どうして?」

奏「さっき投げる時『俺の全力』って言ってたから」

直井「ああ…」

審判「プレイボール!」

音無「(臆することはねぇ…俺の球は奏以外には打たれねぇ)」

音無「オラァッ!」バシュ

男子部員B「(速くて見えない球でも…コースさえ分かれば…)」ガキィン

音無「な…にっ!」

女子A「きやぁっ!」ヒョイ

ボトッ

セーフ

音無「まさか…もう気づいたのか?」

この後、奏にウィークポイントを気づかれた俺は奴らに三点を取られてしまった。

ホームイン!

野田「ぐぐぐっ…ふんっ!」バシッ

音無「……チッ」ゼェ、ゼェ

日向「ターイム!」

音無「…?」クルッ

日向「まさか天使が選手として参加するなんて聞いてねーよな。内の外野はザルだし…どうすっかな」

164: 2010/07/19(月) 01:08:58.99 ID:iXwLjsAO

日向「せめて外野に松下五段が居てくれれば…」

音無「いねーもん気にしたって仕方がねぇ…俺も守備に回る」

日向「流石にマウンドから外野まで遠すぎるだろ?」

音無「俺の球が通じねー以上俺がやるっきゃねーだろうが!」

日向「音無…。ああ、任せたぜ」

そっからはデスシーソーの始まりだ。打たれては守り、打ち返し…打っては守られ打ち返されの連続。

―対天使用本部―

ゆり「この調子なら勝てるっ!やるじゃない連中!」

遊佐(インカム)「肝心の音無さんは氏にそうな顔してますが?」

ゆり「私は知ってるわ。彼はピンチの時こそ燃え上がるのよ…」

遊佐(インカム)「ゆりっぺさん…かっいいでs」

ゆり「くく…あーっはっはっは!」

遊佐(インカム)「台無しです」

171: 2010/07/20(火) 04:04:14.98 ID:ruXo3sAO

日向「よし……」ザッ

音無「…お前、ひょっとしてさ…この世界に来たのって野球関係か?」

日向「…」ピクッ

――

ったくかける声もねぇな…

あいつ一人で三年間の努力が無駄に…

強烈な疫病神だぜ…

お前に必要なのは…こ う い う の じゃねぇか?

――

日向「…まぁ、な」

音無「分かりやすいんだよテメーは。…大方、エラーか三振ってとこか」

日向「はは、かなわねーな。よく分かったもんだ…」

音無「…お前、もうすぐ消えるんだろ?」

日向「き、消えねーよっ!」

172: 2010/07/20(火) 04:05:28.47 ID:ruXo3sAO

―9回裏・7-6―

日向「(勝てるかもしれない…最終回、一点差…ツーアウトランナー二、三塁…でも次のバッターは)」

奏「……」ザッ

日向「(よりによって天使かよ…ランナーが三塁にいる以上が敬遠はできねーし)」

音無「……」ゼェ、ゼェ

日向「ターイム!…音無」

音無「あぁ?」クルッ

日向「ここでお前が天使を抑えなきゃ確実に負けちまう」

音無「んな事は投手である俺が一番分かってらぁ!」

日向「だから…絶対に抑えてくれ。頼まれてくれるか?」

音無「…ハン、当然だ。誰に言ってやがる?」

日向「後は頼んだぜ。俺らもできる限りプレッシャー与えてくからよ」

173: 2010/07/20(火) 04:06:17.30 ID:ruXo3sAO

音無「まぁお前が消えようが消えまいが…俺には知ったことじゃねぇし」

日向「………」

音無「でもよ…俺は元々はテメーの執念の勧誘で参加してやってんだから、勝った時にゃ礼してもらわねーといけねー」

日向「お前…」

音無「だから、俺に煙草と食券奢るまで消えんな。…そんのは勝手に消えるなり何なり好きにしろ」

日向「…へっ、誰が消えるかよっ!」

――

審判「プレイボール!」

音無「(ここで打たれれば…間違いなく負ける…負けらんねぇ)」ザッ

奏「……」ザリッ

音無「オラアッ!」ブンッ

ギュルルルルル!

奏「無駄……」スッ

音無「……ニヤ」

174: 2010/07/20(火) 04:07:29.96 ID:ruXo3sAO

奏「……!」スカッ

バシィン!

野田(捕手)「ほう…なかなか味のある球を投げる」

審判「ストラーイクッ!」

日向「いよっしゃぁ、あの天使からワンストライク奪ったぜ!」ギリギリ

ユイ「何で何で何でっ、私がっ、いぃたぁぁいっ!」グググ!

音無「クククッ…」パシ

直井「馬鹿な…彼女のバットは確かに真芯をとらえていたはず…」

奏「すり抜けた…」

音無「もう一丁行くぜぇっ!」バシュッ

奏「……」ブンッ!

バシィン

審判「ストライクツーッ!」

奏「……?」

日向「流石音無だぜっ!後一球抑えれば優勝だ!」

音無「へっ、ざっとこんなもんよ」パシ

奏「……」パチ

野田(捕手)「(左目を瞑った?)」

175: 2010/07/20(火) 04:08:08.93 ID:ruXo3sAO

ユイ「何で天使は片目を瞑ってんですか?精神統一?」

日向「普通、精神統一は普通両目閉じるもんだ。しかし何であえて打ちにくくなるようなこと…」

審判「プレイボール!」

音無「(片目瞑ってるってこたぁバレたのか?まぁ…どっちにしろ打たせるわけにはいかねぇ)」

奏「(盲点は片目さえ瞑っていれば意味をなさない…)」

音無「(でもそれじゃ初めみたいに真芯は無理だろうよ…)」

奏「……」グッ

音無「行くぞ…シャァッ!」ビシュ

奏「…っ」キィンッ

野田(捕手)「(なっ、捕らえただと!?)」

音無「(マズい…日向の奴がもしエラーの未練なのだったら…でもこんくらいのフライなら、俺でも取れる)」ダッ

ヒュルル…

日向「(まさか…セカンドフライ?)」

176: 2010/07/20(火) 04:10:40.65 ID:ruXo3sAO

音無「(しかも日向の真上か!)取るんじゃねぇ、日向!」ダダッ

日向「(コイツを取れば…終われるのか……すまん、音無…お前との約束は…果たせそうにねぇかもしんねぇ)」

ユイ「(チャーンス!)」スッ

ガシッ

ユイ「え?」

音無「約束は守れって、母ちゃんに言われなかったのか日向ァッ!」ブン!

ユイ「何で私を投げるですかぁーっ!」

日向「(これを取れたら…そいつは、最高にk)ぬおわっ!」ゴッツーン!

椎名「おい、ボール落ちたぞ」

音無「~~…!だから何だ!?」

椎名「(開き直ったな…)」

音無「元々ゲリラ参戦なんだからルールブックもクソもねーんだよ!」

ユイ「それ言ったらおしまいですよね…って痛い痛いぃぃ!だから何で私だけぇぇ!」ギリギリ

日向「テメーっ、今のは許さんっ!」グググ!

177: 2010/07/20(火) 04:11:30.26 ID:ruXo3sAO

ホームインッ!

ゲームセッツ!

野田「ぬおおっ!!」バシッ

音無「日向テメー、勝手に消えようとしてんじゃねー!取り残された俺が馬鹿みてーだろうがっ!」ドカッ!

日向「痛ってぇっ!」

野田「そういう貴様はなぜ守備を妨害したぁっ!」クワッ

音無「文句あるかゴラァッ!ああしなきゃお前らの戦力が減ってたんだぞ!」

野田「嘘を付け!さては貴様…俺達に近づき内部分裂させる気か!」

音無「このアホが!今回ちったぁお前らのこと見直してたのによぉっ!やっぱテメェらとは合わねぇ、あばよ!」

審判「あの、整列…ぐはっ!」バキッ

音無「邪魔だっ!」スタスタ

椎名「あさはかなり…」


―対天使用本部―

ゆり「もういっそ…みんなセットで…消えてくれ…」

179: 2010/07/20(火) 04:25:36.94 ID:ruXo3sAO
逆なの>>171と>>172だったorz

―グラウンド・日陰―

音無「あーつっかれたつっかれた…よっこらしょ」

音無「また一人で煙草吸う時代に戻っちまったか…まぁ気楽でいいがな」カチッ

遊佐「ナイスプレイでした音無さん」シュタッ

音無「………」シュボッ

遊佐「…驚かないんですね?」

音無「別に木の枝で昼寝して誤って落ちてきたと思えば驚かねぇよ」

遊佐「それにしても残念ですね」

音無「何が?」スパー

遊佐「今回で音無さんも我々の仲間に加わってくれると思いましたが…」

音無「俺は一匹狼だからよ…人と長く付き合うのは無理だ」

遊佐「今自分で言ってカッコイイとか思いましたよね?」

音無「思ってねぇよバカ!…もういい。一人になれるとこ行く」スタスタ

遊佐「…ゆりっぺさん、彼はどうして不良なんでしようか?」ジジ

ゆり(インカム)「くーっ!あの一息だったのに!」ジジ!

遊佐「(ダメですねこれは…)」

180: 2010/07/21(水) 02:00:08.35 ID:HN6vVIAO

数日後――

―体育館裏

音無「ほら、ジャンプしてみろよ」

男子1「い、いや…だから僕は」

音無「いいから飛んでみろ!」

男子1「ひいっ!」ジャリンジャリン

音無「テメェやっぱ金持ってんじゃねーかオイ!早く出せや!」ガンッ

男子1「これは今日のお昼ご飯代で…」

音無「俺に保健室へ送られるのと金渡すのどっちがいいか選べ」

男子1「わ、分かりましたから」スッ

音無「チッ…735円かよ。しけてんな、煙草一箱しか買えやしねぇ」ペッ

男子1「あの、それでいつ返してもらえるんでしょうか?」

音無「何だテメェまだ居たのかよ…とっとと失せろ!」

181: 2010/07/21(水) 02:01:11.16 ID:HN6vVIAO

男子1「ひいいっ!」ダダダ

音無「ったくよぉ…もったいぶってんじゃねーよ」

グイグイッ

音無「あぁ?」クルッ

奏「返してあげて」

音無「生徒会長サマかよ…どっから出てきやがった?」

奏「職員室に書類届けに行くところだから…」

音無「あっそ。じゃあな」

奏「さっきのお金、あの人に返してあげて。きっと困ってる」

音無「やなこった。もう俺のモンだ」

ピンポンパンポーン

放送「3年生の音無くん。3年生の音無くん。至急職員室まで来てください。繰り返します…」

音無「…呼び出し?ついに誰かがチクリやがったかか」

182: 2010/07/21(水) 02:01:51.79 ID:HN6vVIAO

音無「どっちにしろ無視すりゃいいか」

奏「駄目。ちゃんといかなきゃ」ガッ

音無「おい、離せよk」ズルズル

奏「……」スタスタ

音無「ちょ、おま、離せって!(こいつ力強ぇぇっ!)ズルズル


―職員室―

奏「失礼します。書類と彼をお連れしました」ガラッ

音無「……」ホジホジ

担任「立華、すまなかったな。書類は貰っておく…そして音無!」

音無「気安く呼ぶなよ」ピッ

担任「これを見てみろ」バッ

音無「…あんたの通帳か?」

担任「成績表だ!お前の!」

音無「(この世界成績表なんてあるのかよ…)」

担任「ろくに授業は出らんわ問題は起こすわで評定が1未満だぞ?」

183: 2010/07/21(水) 02:02:19.45 ID:HN6vVIAO

音無「良かったな、それじゃ」クルッ

担任「話は終わってないぞ!」

音無「じゃあ何でゆりや日向達には注意しねぇんだよ?」

担任「あいつらには他の先生方が再三に渡り注意を繰り返したが、もうダメだと諦めがついたらしい」

音無「じゃあ俺のことも諦めろよ」

担任「そうはいかん。お前は俺のクラスの生徒だからな…しかも不良は尚更放っておけん」

音無「あの…俺テメェの生徒になった覚えねーんだけど」

担任「何を言ってる。入学式のこと覚えてるぞ。ちょっと注意したらお前いきなり殴りかかってきたよなー」ハハ

音無「(何だそりゃ…)」

184: 2010/07/21(水) 02:02:45.53 ID:HN6vVIAO

担任「と、言うわけで…来週のテストでお前が全教科80点以上を出せば全教科補習は勘弁してやろう」

音無「テストなんか受けるかっ!補習も勝手にやってろよ」

担任「お前は前回もその前も受けなかったろう?」

音無「しかも何だよ80点ってよ」

担任「40点が単位1で80点だと2だからな。ギリギリ補習を逃れられるぞ?」

音無「知るかよそんなもん!」

担任「立華、同じクラスの手本として頼んだぞ」

奏「はい」

音無「待てやゴラァ!勝手に決めんなブッ頃すぞ!」

担任「そのタンカを訊くのも懐かしいなー」

音無「今初めて言ったばっかだ!」

185: 2010/07/21(水) 02:03:25.33 ID:HN6vVIAO

音無「だいたいテメェはさっきから」

奏「失礼しました」ガシッ

音無「ちょっ、テメェまた!」ズルズル

ガラッ…ピシャン

音無「だから離せよお前は!」バッ

奏「結弦、落ち着いて」

音無「落ち着いてられっか!何でこの世界に来て勉強なんぞせねばなんねーんだよ!生前もしてなかろうけどよぉ!」

奏「勉強なら私が見てあげるから」

音無「分かってんだからな…ここで模範的な生活なんぞすると『消滅』しちまうってことぐらいなぁ!」

奏「…」ピタ

音無「『消滅』なんぞしてたまるかってんだ…ったく」

奏「結弦は…」

音無「あぁ?」

奏「結弦は…消えたくないの?」

186: 2010/07/21(水) 02:03:53.46 ID:HN6vVIAO

音無「当たり前だ、記憶を取り戻すまでは絶対に消えねーよ」

奏「記憶が戻ったら?」

音無「………そん時次第だ」

奏「分かった」

音無「(コイツは何を考えてんだ?)…じゃあな」

奏「放課後、教室で待ってるから」

音無「はぁ?」

奏「結弦の勉強…先生に頼まれたから」

音無「消えたくねーのにわざわざするかよ…来ぬ人を待つ気か?」

奏「…」コク

音無「…ワケわかんねーなお前」スタスタ


―翌日の放課後・教室前―

音無「この時間になると人影もまばらだな…まさか流石にいねーだろ」チラッ

奏「……」トントン

音無「いるし…。幸いこっちには気づいてねーみてーだし退散、退散」

187: 2010/07/21(水) 02:05:19.52 ID:HN6vVIAO

―翌翌日の放課後・教室前―

音無「……」ソーッ

奏「……」カキカキ

音無「またか。あいつ俺のためにここまでして何が楽しいんだよ?」


―三日目の放課後・教室前―

音無「流石に三度目の正直…」ソーッ

奏「……」ケシケシ

音無「……あいつは放置フェチなのか?」


―テスト前の放課後・教室前―

音無「…あれから数日たったが。明日テストだしもういねーと思うが…」ソーッ

奏「…」カチカチ

音無「やっぱりか…」ハァ

音無「あいつが勝手にやってることなのに何か罪悪感が…」

音無「…これっきりだからな」ガラッ

奏「あ…やっと来てくれた」

音無「お前不器用すぎ。来なければ呼びにくりゃいいだろ」

奏「忘れてた…。でも、あなたは来てくれた」

音無「…シャーペン貸せ。とっととやって帰るぞ」

191: 2010/07/21(水) 05:51:09.49 ID:HN6vVIAO
>>189
>>190の通りで
音無が不良な理由と共に先で書きたいと思ってます


―テスト当日・教室内―

音無「一夜漬けだが、何とかなるだろ」

奏「大丈夫。落ち着けば点は取れるから」

音無「だといいがな…席はくじ引きか」

男子A「見ろよ、音無の奴がテスト受けに来てるぜ…」ボソ

男子B「本当だ。しかも生徒会長と一緒に来やがったぞ?」

女子A「何で学園一の優等生と不良が一緒にいるんだろうね?」

ザワザワ…

音無「(相変わらず俺を見ればうるせぇ奴らだな)」ゴソゴソ

奏「……」ゴソゴソ

音無「あ、俺30番」

奏「私は37番」

音無「えーと…つーことはお前の左か」

ガララッ

ゆり「テストの席はその日の朝、くじ引きで決定される…これで天使の近くでないと細工は一気に困難になるわ」スタスタ

192: 2010/07/21(水) 05:52:04.28 ID:HN6vVIAO

日向「あれ?あっこにいるの音無じゃん」

高松「どうやら天使と何か話してますね」

大山「まさか勉強…なわけないよね~」

音無「(またうるさい奴らが来た)…ここにX代入すんのか?」

奏「うん」

音無「なるほど、じゃあ次の(4)は」

奏「この公式とグラフを使えば…」

音無「おお!解けた。この調子なら」

ゆり「きゃーっ!一番よー!…ってこのっ!このっ!」」ゲシゲシ

音無「ああもう!そこ、うるせぇっ!」

ゆり「何よあなた!そんなナリして勉強する姿なんて似合わないわよ!」

竹山「天使の一つ前です」

ゆり「よっしゃあっ!」

音無「…何やってんだアイツらは?」

奏「いつものことだから…」

193: 2010/07/21(水) 05:53:33.91 ID:HN6vVIAO

ガララッ

教師A「ほら、始めるぞ。座れー」

―物理―

音無「……(ここはXがこうなってYこうなって。Zでこうか)」カキカキ

キーンコーンカーンコーン

教師A「はい、じゃあ後ろから集めて」

ザワザワ…ザワザワ

ガタン!

日向「な、なんだありゃあ!窓から巨大なタケノコがにょきにょきと~!」

音無「……(何か殺意が目覚めそう)」

ゆり「仕方ないわね…」ポチッ

ドーン!

日向「ぼべらっ!」グシャッ

ドサッ

音無「…おい、何かあいつの椅子が勝手に飛びあがったぞ」

奏「いつものこと…」

音無「なわけねーだろ」

―――

195: 2010/07/22(木) 01:22:51.34 ID:4wyNZx60

日向「お前何てことしてくれんだよぉぉ!」

ゆり「フォローしたんだから逆に感謝してほしいくらいなのに…作戦成功ね、竹山くん」

竹山「ぬかりはありません。あとぼくのことはクライスt」

音無「(作戦?作戦ってなんだ?)」カリカリ

ゆり「次は高松君」

高松「わ、私が何か?」


音無「(さっきのロケットといい、コイツら何たくらんでやがる?)」カリカリ

奏「そこ間違ってる。ゼウスじゃなくてローマ法王」

音無「そうだったな。悪ぃ悪ぃ」ケシケシ

奏「あと、そこ範囲じゃない」

音無「おっと。危ねぇとこだった」

ソッチハ、シンケイツカワナクテイイジャナイデスカ!

奏「世界史は暗記すれば大丈夫だから」

ナンダトテメー!

音無「何かさっきから騒がしいな…」

196: 2010/07/22(木) 01:24:15.67 ID:4wyNZx60

オレガバカッテイッテンノカ?アア!

ゴラァァァァァ!!ケンカスルナァァァァァァァ!!

バン!

音無「だーっ!うるっせえーんだよテメェらは!喧嘩売ってんのか!?」ガタッ

日向「すまん音無!ゆりっぺは今日からアレの日で」

ゆり「バカっ!」ドカッ

日向「フォローしてあげたのに酷っ!」

音無「ったく、次騒いだらマジ窓から放り投げるからな」

ゆり「…そもそも何で音無君が天使と勉強してるの?」コソ

日向「俺に聞くなよ」


―世界史―

音無「……(ローマがこうなって、こうなってこうなった、と)」

キーンコーンカーンコーン

教師B「はい、後ろから集めて」

ガタッ

高松「……」

教師B「どうしたの、そこの君?」

高松「先生、実は私…着やせするタイプなんです!」ヌギッ

197: 2010/07/22(木) 01:25:24.73 ID:4wyNZx60

高松「どうですか?」

教師「分かったから座りなさい」

ゆり「…」ポチ

高松「はi」ドシュゥュュュ

ドゴッ!

高松「ぐはっ!…ああ」ドサ

______


音無「おい、奏」

奏「何?」ペラ

音無「あいつら間違いなく何かたくらんでんぞ」

奏「何かあったら注意するから」カキカキ

ボクハ、ヒナタクントチガッテレンシュウナンカシナイ!

音無「既にその前兆が聞こえてくるな」

ホンキノコイシカシナインダー!

奏「……」ペラッ

ナンダト!オレガウスギタナイコイニソマッテルッテイウノカー!

ゴラァァァァァァァァ!!テメェラケンカスルナァァァァァァァァァァァ!!!

音無「…処刑だな」ガタッ

198: 2010/07/22(木) 01:26:34.04 ID:4wyNZx60
日向「すまん音無!ちょっとゆりっぺが!」

ガシッ

日向「え?」

音無「じゃあ…テメェで責任取れやぁぁっ!」ブンッ!

日向「ええええっ!何で俺がーーーっ!?」ガッシャーーン!


―英語―

音無「(I make an effort to believe oneselfを日本語訳に…)」

キーンコーンカーンコーン

教師C「はい、後ろから集めて」

ザワザワ…

大山「立華さん!」ガタッ

音無「(今度は何だ…)

大山「こんな時に場所も選ばずごめんなさい!あなたのことがずっと好きでした!付き合ってください!」

奏「じゃあ時と場所を選んで」

200: 2010/07/22(木) 01:27:25.15 ID:4wyNZx60
教師C「そこ、座れ」

大山「はい」

日向「あーあ、やっちまった。とーz」ドシューン

ドゴォン!

日向「ぬおぉおっ!」

音無「(本当に何がしたいんだコイツら…)」


―昼休み―

キーンコーンカーンコーン

音無「飯の時間だ。今日はだれにたかろうか…」キョロキョロ

奏「…また?そんなにお金に困ってるの?」

音無「いや、あるにはあるさ。ただ煙草を買うほうに費やしたいだけだ」

奏「お金なら私が借すから」パチ

音無「いらん。自分で金もってそうな奴狩るから」

奏「この学校の生徒を守るのも私の役目だから」

音無「…そうかよ。じゃあ借りとくぜ」スッ

奏「返さなくていいわ…」

201: 2010/07/22(木) 01:28:22.75 ID:4wyNZx60


―大食堂内部―

ザワザワ…ザワザワ

音無「うっわ人多いな。あの群がってる中から食券を買わねーといけないから」

ゆり「ちょっといいかしら」

音無「あ?何だ芋っぺ」

ゆり「はぁ?誰が芋っぺよ!」

音無「分かった分かった…で、何だよ?お仲間は?」

ゆり「日向君達には先に行ってもらったわ。それよりあなたに幾つか質問があるの」

音無「何だ。勧誘ならお断りだそ?」

ゆり「違うわよ…あなたの能力?みたいなもんについてよ」

音無「能力?…ああ、腕から黒剣だしたり身体硬くしたりするやつのこと?」

ゆり「そう。あの力、天使に似てると思ってね。あなた自身は能力使ってなかったから今の今まで忘れてたけどね」

音無「そいつは結構」

ゆり「結局あの力って天使と同じくあなたが開発したものなの?」

202: 2010/07/22(木) 01:32:36.67 ID:4wyNZx60
音無「能力もクソも…俺はただ単に御河童の奴のPC借りて遊んでただけだ」

ゆり「遊んでた、だけ?(確か前に竹山君が見知らぬ不良にPC取られたって言ってたわね)」

音無「つーか自分でもマニュアル解析できてねぇから分かってねぇよ」

ゆり「ふーん…そう、ありがと。時間取らせて悪かったわね」

音無「いや、別に」

ゆり「じゃね」タタタ

音無「…さっきのテストと言い、今の発言といい何だったんだ?」

音無「早く食券買わねーと…ってラーメンもカレーもうどんも売り切れてるし」

音無「唯一残ってるのがライスかよ。あともう一個残ってるのが…【麻婆豆腐¥300】か」

音無「てっきりグリーンピースの詰め合わせ的なもんが売れ残りだと思ったが、麻婆豆腐ならマシだな」ピッ


音無「それじゃ、いただくか」パク

音無「………」

音無「辛い…が、この程度ならうまいに変えられる」パク

音無「イケるなコレ」パクパク

女子A「あれ音無君だよね?」

女子B「あの激辛麻婆豆腐普通に食べてるよー信じらんない」

208: 2010/07/23(金) 01:03:06.86 ID:z1SNXcAO

テスト期間終了後――

―教室―

担任「おし、テスト返すぞーっ!」

エエーッ!

担任「静かに。まず相原からー…」

ザワザワ…

担任「次、音無!…ああ、そう言えば音無は居なかったな」

音無「いや…いるから」ガタッ

担任「何だ居たのか。いつもいないから今日も居ないかと思ったんだよ」

音無「いいからとっとよこせ」バッ

担任「良かったな音無。今回のテストベストテン入りだ。もちろん補習は無しだ」

ザワザワ…ザワザワ

男子A「聞いたか?あのロクに授業でない音無がベストテン入りってよ」ボソ

女子A「じゃあ、いつも真面目に授業受けてる私達って一体…」

音無「当然だ…って言いたいとこだが」

209: 2010/07/23(金) 01:03:57.99 ID:z1SNXcAO

音無「褒めるなら別の奴を褒めろよ」

担任「別の奴?」

音無「ああ、それともうここに用はねーからさ。あばよ」ガララッ

ピシャン

担任「よく分からんが…次、折尾!」

――

担任「次、立華…」

奏「はい」ガタッ

担任「悪いが、今は立華のテストを返すことはできん。後で職員室に来てくれ」

奏「…?。分かりました」


―対天使用本部―

音無「はーははは!見ろやどうだ!」バッ
日向「な、に…?全て90点代…だと?」

野田「貴様、そんな物を見せるな!めまいがする!」

音無「これでようやく分かっただろ?俺とお前達の圧倒的な差って奴がさ」

ゆり「…で、あなたは何しにきたわけ?」

210: 2010/07/23(金) 01:05:14.35 ID:z1SNXcAO

音無「いや、俺の素晴らしき解答をお前ら馬鹿とは違うことを…ってそうじゃねぇっ!」

藤巻「つか何でお前普通に居るんだよ?!」

大山「もう君もSSSに入っちゃえば?」

ゆり「歓迎するわ、音無君」スッ

ヒュー!パチパチパチパチ!

音無「あーウゼェウゼェ!俺はテメェらと手を組む気はねーってんだろ!」

ゆり「何でよ?この際だから入りなさいよ」

音無「最初俺はテメェらみたいなガキみてーな戦隊ごっこはしねーって言わなかったか?」

日向「またまたぁ、俺達と野球で共に戦った仲じゃねぇか?」

音無「思い出したくもねーわ」

ゆり「そもそも何で音無君は一人で戦おうとしてるの?一匹狼って奴?」

211: 2010/07/23(金) 01:05:53.79 ID:z1SNXcAO

音無「そんなんじゃねーよ。ただ群れてワラワラすんのが嫌いなだけだ」

ゆり「ま、あなたならウチに入らなくても消えることはないでしょうけど…」

日向「やっば一人は寂しいぜ?」

音無「俺は寂しくねぇし、独りでも生きていけるんだよ」

ゆり「あなたがそこまでツッパってるのって何か理由があるの?」

音無「何が言いたいんだお前?」

ゆり「記憶があるのはともかく、あなた記憶が無いのに尖っちゃってるから」

音無「知るか。記憶もクソもねぇ元来の性格だろ」

日向「そういやお前この世界に来たときはそりゃ酷かったよなー」

ゆり「そうそう、初対面であれだけコケにされたのは初めてだわ」

212: 2010/07/23(金) 01:07:52.33 ID:z1SNXcAO

日向「話しかけただけでいきなりブラジリアンキックされてたしな」ハハ

ゆり「あ、私はバックドロップされかけたわ。これでも一応女なのに」

音無「んなこと覚えてねーなぁ、芋っぺさんよ」

ゆり「…口が悪いのは相変わらずだけどね」

音無「話がだいぶそれちまったが戻すぞ。テメェらこのテスト期間中に何企んでやがった」

日向「あー…それか。言っていいのかゆりっぺ?」

ゆり「ダメよ」

音無「何だ言えないことか?」

ゆり「仲間になるんだったら、教えてあげてもいいわよ?」

音無「じゃあな」ガチャッ

バタン

ゆり「…そんなにSSSに入るのがイヤなのかしら?」

日向「ヘッ、男にしか分からないことがあんだよ」

ゆり「今ひょっとして、この「台詞かっこええ」って思った?」

213: 2010/07/23(金) 01:08:49.17 ID:z1SNXcAO


―教室棟 職員室前―

音無「もうすぐ日が暮れるな…今日も月見しながら煙草吸うか」

ガミガミガミ

音無「…先公の怒声?職員室からか?」

音無「誰が説教受けてんだ?」ソーッ

ガミガミ…ワカッテルノカ、タチバナ

音無「たちばな?たちばなってどっかで聞いた苗字だな……あぁ、奏か」

音無「え?何でアイツ?」ガチャッ

ギィィ…

校長「うん?」

音無「(やべっ!つい開いちまった)」

奏「…結弦?」

教頭「何だね君は?今取り込み中なんだ。出ていたまえ」

音無「あの…何でそいつ叱ってんのか教えてくんない?」

教師A「君には関係のない話だ。出ていきたまえ」

214: 2010/07/23(金) 01:09:38.64 ID:z1SNXcAO

音無「いや、俺今回のテストでそいつに借り作ってるからさ。何か力になれねーかなと」

教師B「そのテストのことですよ」

音無「は?」

教師A「B先生、関係者以外に話す必要はないかと」

教師B「彼は関係者です。彼女と一緒に勉強してたそうなので」

教師A「…今回のテスト、立華は全教科0点で学年最下位だったことについてだ」

音無「は?全教科0点?奏が?」

校長「そうだ。全くウチの生徒会長がこんな失態をしでかすとはな」

教頭「やはり生徒会長を辞任させるしか…」

バン!

校長「な、なんだねいきなり」

音無「いやさ、勉強教えてもらった俺がベストテン入りで教えたコイツが学年最下位ってありえなくね?!」

215: 2010/07/23(金) 01:10:12.84 ID:z1SNXcAO

教師A「これが事実だ」ピラッ

音無「……」スッ

ピラピラ…ピラッ

音無「……何だ、このふざけた解答?」

教頭「分かっただろう?こんなことは只ではすm」

音無「俺の言ってるのはそういうことじゃねぇ!こんなありえねー解答を本当に奏が書いたって信じてるのか?」

校長「我々にそんなこと言われても、この解答がそのまま提出されたのだから仕方が無いだろう?」

音無「(なわけねぇ…何か裏が…誰かが仕組んだんだ)」

校長「立華君、君は生徒会長を辞任してもらう」

音無「(誰が仕組んだ?……そりゃあアイツら以外に居ねーよな)」

奏「分かりました…」

216: 2010/07/23(金) 01:13:28.61 ID:z1SNXcAO

教頭「生徒会長辞任のことは明日全校集会で皆に発表する」

校長「話は以上だ。君も早く帰りなさい」

音無「…チッ」

奏「失礼しました」ガララッ

ピシャッ

音無「納得いかねぇ…行くぞ」ザッ

奏「どこに?」

音無「決まってんだろ?SSSの奴ら問い詰めにだよ」

奏「大丈夫」ギュッ

音無「…おい離せよ。行けねーだろ」

奏「私は…私は大丈夫だから」

音無「…………」

奏「じゃあ、また」スタスタ

音無「何が大丈夫だ……あれで表情変えてないつもりか?」

音無「そりゃまぁ、今まで勉強してきたモンが水の泡~じゃ…流石に表情おさえろってのが無理か」

222: 2010/07/24(土) 17:17:25.23 ID:CMImHYAO


数日後――

―体育館―

校長「と、言うわけでして…本日をもって立華奏さんは生徒会長を辞任」

音無「……」

校長「つきましては、副会長の直井君が生徒会長代理として…」

ゆり「辞任じゃなく、解任ね」

藤巻「ゆりっぺ…」

ゆり「果たして一般生徒に成り下がり、大義名分を失った彼女に私たちが止められるかしら?」

音無「一言言わせてくれ…お前ら、最悪だな。特にそこの直線上前髪女は」

ゆり「あら、あなたも来てたの?どうせてっきり屋上で煙草でも吸ってるかと思ったわ」

音無「テメェらは奏を生徒会長の座から引きずり下ろして何がしたいんだよ?」

223: 2010/07/24(土) 17:18:47.39 ID:CMImHYAO

ゆり「名誉の失墜…そして天使に精神的なダメージを与えることよ」

音無「…頭沸いてんのか?」

ゆり「前も言ったけど天使は神の創造物なんかじゃなく、人間だってことが分かった」

音無「だから?」

ゆり「どんなアクションを起こすのか見てみるってわけよ」

音無「だから陥れた…ってワケか」

ゆり「そういうこと。後の問題は今夜、オペレーショントルネードを決行して天使がどう動くか…」

音無「…気に入らねー」

ゆり「ん?」

音無「お前の大勢で一人を陥れるってやり方…気に入らねぇんだよ」

ゆり「別に、そう思ってくれても構わないわ」

音無「そうかよ…やっぱお前らの仲間入りしなくて正解だったな」ザッ

224: 2010/07/24(土) 17:19:26.23 ID:CMImHYAO


―夕方・教室―

奏「……」カキカキ

女子A「立華さん、生徒会長辞任させられちゃったんだね」ボソッ

女子B「そりゃあ全教科0点じゃ仕方よね…」ボソ

ガララッ

女子A「あれ…音無君?」

音無「よう」

奏「…?」

音無「今夜あいつらまた大食堂でやらかすつもりらしいぞ…テメェはどうすんだ?」

奏「私はもう生徒会長じゃないから…あの人達を止める権利は無いわ」

音無「あいつらにやり返さないのか?」

奏「…」ケシケシ

音無「信用はもう一度、あいつらをしぼって取り返せばいいだろ?」

奏「…」

音無「当のお前はやり返す気無しか…でも俺は俺で好きにやらせてもらうからな」

奏「…そう」

音無「じゃ、あばよ」ガララッ

ピシャッ

奏「信用…」

225: 2010/07/24(土) 17:20:13.05 ID:CMImHYAO


―夜・学園大食堂―

ジャン~♪ジャン~♪

ワーワーキャーキャー

日向「にしても、天使が来ないってことは誰が来るんだろうな?」

大山「やっぱ生徒会長代理が来るんじゃない?」

日向「生徒会長代理って…NPCじゃねぇか」

大山「そこが問題なんだよね」

音無「だよね」

日向「ですよねー…ん?」

大山「のわぁっ!」

日向「お前、いつの間に来てたんだよ!」

音無「今日の夕方からずっと居た」

日向「俺達が来る前からかよ…んで、どうしたんだ?」

音無「単刀直入に言うが自白する気は?」

大山「自白?天使の解答をすり替えた件?」

226: 2010/07/24(土) 17:20:50.58 ID:CMImHYAO

音無「お前らの内一人が工作してたんならまだ目を瞑ってたけどよ、大勢で一人を陥れるやり方は見過ごせねぇな」

日向「いや…俺達に言われてもな」

大山「オペレーションを仕切ってるのはゆりっぺだから…僕達は勝手なことはできないんだ」

音無「とりあえず、あの女を説得すりゃいいわけだな?」ザッ

日向「あいつはそう簡単に説得に乗るような奴じゃないと思うぞ?」

音無「物は試しだ。行くだけ行ってダメだったさ別の方法を試すだけだ」スタスタ

日向「あ、おい音無!」

大山「日向くん!それより前、前!」

日向「前?…のわっ、天使か!」

227: 2010/07/24(土) 17:21:23.98 ID:CMImHYAO

―学園大食堂内部―

ユイ「いつまでももってたいよ~鋼のような」ダンダン♪

ワーワーキャーキャー

音無「あいつ…正ボーカルに選ばれたんだな。とりあえず、ゆりはどこだ?」キョロキョロ

音無「こんな人混みに紛れ込んでまともに連絡が取れるとは思えない…なるほど、上か」ザッザッ

SSS男1「すみませんが、ここから先はSSSメンバー以外は立ち入り禁止となっています」

SSS男2「見るなら下で見てくれよ」

音無「どけ雑魚共。テメェらに用はねーんだ、ゆりに会わせろよ」

SSS男1「何の用で?」

音無「お前らに言う必要はねぇな」

SSS男2「おい、こいつを外へ連れ出せ!」

SSS男3「話はこちらで聴こうか」ザッ

SSS男4「まずは外に出て」

SSS男5「さぁ、早く」

228: 2010/07/24(土) 17:22:00.15 ID:CMImHYAO

音無「触るなタコが!」バキッ

SSS男5「ぐわあっ!」ドサッ

SSS男4「貴様っ何をs」

音無「テメェらに」バキッ

音無「用事は」ドカッ

音無「ねぇんだよ!」ドスッ

音無「どけや!」ボスッ

高松「…これは大変ですね」クイッ

――

高松(インカム)「階段で張っていた仲間が、何者かによってやられました」

ゆり「やられたって…まさか天使?!」

遊佐「天使は現在大食堂の外で日向さん達と交戦中なのでそれはありません」

高松「あの短ランを着ている男は、間違いなく音無さんと見て間違いないでしょう」

音無「俺がどうしたって?」

遊佐「っ?!」バッ

229: 2010/07/24(土) 17:22:46.25 ID:CMImHYAO

ゆり「音無君…私達に何かご用かしら?」

音無「用があるのはお前だけだ」

ゆり「私に?」

音無「奏の全教科0点の件、自白してもらえねーか?」

ゆり「はぁ?何言ってるのよ?無理に決まってるじゃない!」

音無「(言うと思った…力づくで従わせるのも悪くねーけどそれじゃ後が面倒だな)」

音無「じゃあ…取引しねぇか?」

ゆり「取引?」

音無「お前がもし自白しなければ…俺が今ここでライブを無茶苦茶にしてこの作戦をに台無しにしてやるが?」

ゆり「…っ、それ取引じゃなくて脅迫じゃない!」

音無「俺はお願いしてんじゃねーよ、これは命令だ」

230: 2010/07/24(土) 17:23:33.80 ID:CMImHYAO

ゆり「(どうする…自白するにしてもまだ天使は生徒会長を解任されたばかり)」

音無「さぁ」

ゆり「(でも今ここでライブを無茶苦茶にされては食券が…)」

音無「どうするんだよ?ゆりっぺさん」

ゆり「…悪いけど、まだ自白はできないわ」

音無「なら仕方ないな。俺を恨むなよ」ザッ

ゆり「作戦も無茶苦茶にはさせないわ」

音無「は?」

ゆり「みんな、出てきて」パチン

ザザザザ…

…ザザザザ

SSS達「…」ザザッ

音無「…へぇ(ざっと30人か…どこに隠れてやがったんだよ)」

ゆり「もしも天使が大食堂内部に侵入してきた時の為の遊撃部隊よ。みんな、彼を外へ連れ出して」

SSS達「了解」ザザッ

231: 2010/07/24(土) 17:24:07.89 ID:CMImHYAO

音無「さわんなゴラァ!」バキッ

SSS男6「ふぐぅ!」ドサッ

ゆり「取り押さえてっ!」

音無「チッ(数が多すぎる…一旦外に出るか)」ダダッ

SSS男7「逃げたぞ、追え!」

ゆり「ちょっ、逃げたんなら追う必要はない…って訊いてないか」

―学園大食堂外―

ドンドンドン!

奏「…」キンキンキン!

日向「くそっ、やっぱライフルじゃダメか!」

野田「一気に攻めるぞっ!」

ドドドドドド…

大山「なに…この音?」

松下「大量の足音…のようだな」

音無「どけどけぇ!ひかれたくなければなぁっ!」

SSS男8「待てぇぇぇっ!」

奏「…結弦?」

日向「何だ何だっ、音無お前何しやがった!」

音無「奏…?何でお前ここに居るんだよ!?」

232: 2010/07/24(土) 17:24:45.72 ID:CMImHYAO

奏「麻婆豆腐…」

音無「はぁ?」

奏「麻婆豆腐食べようと思って…そしたら」

音無「…はは。麻婆豆腐食べようと思ってきたら、勘違いされて蜂の巣にされてたってワケね…」

奏「…」コク

SSS男9「もう諦めろ音無、大人しく捕まれ」

音無「ヘッ、誰が捕まるかってんだ」

SSS男8「馬鹿かお前…この人数相手にやり合うって言うのか?」

奏「…」シャキンッ

音無「お前はこれ以上騒ぎを起こすとマズいだろ。とっとと食堂に行け」

奏「でも」

音無「いいから行けっ!それとも本当に信用を失いたいのか?」

奏「…わかった」タタッ

SSS男10「天使を行かせr」バキッ

SSS男10「ぐはっ!」ドサッ

音無「お前らの相手は俺だろ?」

233: 2010/07/24(土) 17:25:31.30 ID:CMImHYAO

日向「音無。お前、本当に何したんだよ…?」

音無「テメェらも巻き込まれたくなけりゃとっとと逃げろよ」

野田「フンッ、丁度いい。ここで決着をつけてやる」

松下「仕方ない、か」

椎名「あさはかなり」

大山「ぼ、僕は…」

音無「チッ、馬鹿共が。テメェら後悔すんなよ」バキボキッ


―学園大食堂内部―

奏「…」テクテク

ゆり「あれは…天使?!外は何をしてるの!」バッ

奏「…」テクテク

高松(インカム)「どうですか?」

ゆり「ちょっと待って!(何だか、様子がおかしい…)」

奏「」ピタ

ゆり「(食券販売機の前で止まった…?あいつ何を…)」

奏「…」ピッ

ゆり「(あれは誰も頼まないことで有名な激辛麻婆豆腐?!どういうこと?あんなものを…)」

234: 2010/07/24(土) 17:25:57.63 ID:CMImHYAO

ゆり「(私達に食わせて一矢報いようっての?)」

遊佐「ゆりっぺさん、盛り上がりは最高潮を迎えていると見受けられますが」

ゆり「えっ?」

イェイ!イェイ!イェイ!イェイ!

ゆり「……」

遊佐「指示を」

ゆり「(どこへ行った?)」キョロキョロ

奏「…」 テクテク

ゆり「…回せ!」

遊佐「回してください」

カチッ

ヴォォォォォォン!

奏「…」テクテク

スルッ

奏「!(…食券が)」


―学園大食堂外―

SSS男30「ぐは…っ」ヨロッ

ドサッ

野田「はーっ、はーっ!コイツ化物かっ!」

大山「ひぃぃぃ」ガタガタ

椎名「あさはか、なり…」ゼェゼェ

音無「ほんなら、そろそろシメといきまひょか」バキボキッ

235: 2010/07/24(土) 17:26:32.99 ID:CMImHYAO

ヒラ…ヒラ

日向「くそっ…ん?」

大山「これ、食券だよね?」

松下「そ、そのようだな…」ゼーッゼーッ

日向「ようし、みんな退散だ!」ダッ

ダダダダッ!

音無「逃がすかテメェら!その首置いてけや!」

椎名「(まずい…追いつかれる)」ブンッ!

音無「おっと!」ヒョイ

ホヴンッ!…モクモク

音無「これは…煙玉か?」

椎名「今の内だ、急げ!」

音無「チッ、今の内だけでも逃げてな。後からブッ頃してやるからよ…」

音無「(…あいつは結局麻婆てやらを買えたのか?)」

238: 2010/07/26(月) 02:35:03.44 ID:30K4PEAO
すみません、夏休みに入って忙しくなったので少し投下量と速さが落ちてしまうことがあります。


―学園大食堂内部―

日向「いやー、また音無のとっつあんがやってくれましたね」イテテ

松下「俺は全身打撲が数カ所だ」

椎名「私は左腕が逆方向に折られた…」グキッ

野田「貴様らはまだいい方だ。俺を見ろ」

藤巻「見事に全身血だらけだな」

日向「てか早く拭いてこいよ!」

ゆり「あれ?あなた達だけ?他のメンバーはどうしたのよ?」

日向「おう、ゆりっぺ」

239: 2010/07/26(月) 02:37:10.01 ID:30K4PEAO

藤巻「他の奴らなら全員外で氏んでるぜ?」

ゆり「なるほど、音無君の仕業ね…あなた達はまだ食券使ってご飯食べないの?」

日向「食べようにもこんだけ怪我してりゃ、ろくに箸も持てねーよ」

ゆり「あらあら、可哀相に」

日向「本当にそう思ってんのかぁ?」

ユイ「せんぱーい」ダダッ

日向「ん?何だユイか」

ユイ「私の歌と、新生ガルデモはどうでしたかー?」

日向「んなもん見てるヒマねーよ」

240: 2010/07/26(月) 02:37:40.77 ID:30K4PEAO

ユイ「えぇ?それって酷くないですか?!」

日向「こっちはそれどころじゃ無かったんだよっ!」

バタン!

ザザザザザザッ!

ゆり「!」

野田「生徒会の奴らか!」バッ

ゆり「野田くん、手を出しては駄目よ…。彼ら一は般生徒だから」

直井「そこまでだ」ザッ

日向「コイツは…直井!?」

直井「用件はあr」ゴイーン!

ドサッ

ゆり「…何がどうなったの?」

藤巻「何か、あの直井って奴の後ろから生徒会員が飛んできてそいつの後頭部に直撃したぞ」

241: 2010/07/26(月) 02:38:40.97 ID:30K4PEAO

直井「くっ、誰だっ!」ヨロッ

ザッザッ

音無「なーんかわんさか群れてやがると思ったら、お前かよガキ」

直井「貴様は…あの愚民か」

音無「だったら何だ?またエアスプレーンかけられてぇのか?」

直井「コイツ共々、ここにいる奴ら全員連れていけ」

生徒会員達「はっ!」ザッ

音無「返り討ちだよボケが」バキボキッ

ゆり「駄目、音無君!」グッ

音無「あぁ?俺はSSSじゃねーし、テメェの引いたルールには従わねぇぞ?」

242: 2010/07/26(月) 02:40:18.95 ID:30K4PEAO

音無「オラァッ!」バキドカ

トリオサエロー!

アバレルナーッ!

日向「ゆりっぺ、この混乱に乗じて逃げるぞ!」グイッ

ゆり「え?」

日向「音無が生徒会員ぶっ飛ばして道をあけてくれてるから急ぐぞ!」

音無「氏ねやゴラァ!」バリーン!

直井「…相変わらず猛獣のような奴だな(催眠術はコイツの意志に負かされ効かない…僕は退散しておくか)」バッ

音無「逃げんな直井ィ!」ダッ

直井「そいつを足止めしておけ!」

243: 2010/07/26(月) 02:40:47.87 ID:30K4PEAO


―学園大食堂外―

ゆり「はぁ、はぁ…。ここまで来れば大丈夫でしょ」

日向「しっかし危なかったなー。音無が来てくれなかったら全員反省室送りだったぜ」

ユイ「あの人って結局敵と味方のどっちなんですか?」

野田「敵だっ!」クワッ

ユイ「でも野球の時はお世話になりましたよね?」

ゆり「ギルド降下作戦の時も助けられたしね」

大山「でもその後は天使を助けたんだよね?」

ゆり「つまり気まぐれなのよ…不良って生き物は」

249: 2010/08/01(日) 02:54:32.33 ID:z/u/3YAO

―学園大食堂内部――


ウウウ…イテェ…

ナオイ…サン…

音無「さ、流石に連戦はきついな。さっきのSSSの連中と合わせて100人はいたか?」ゼェゼェ…

直井「き…さま…。神にこんなことしてただで済むと思うな…よ」

音無「何だ、まだ喋れんのかテメェ。見た目に反してタフだな」

直井「僕は神だ…こんな所で貴様などに負けるわけにはいかないんだっ!」ボタッ

音無「おー可哀想に。口から血がこぼれ落ちてんぜ」ナデナデ

直井「触るなっ」バッ

音無「でもな…そろそろおねむの時間だぜ」グッ

直井「か…は…!(くそっ、ヘッドロックで落とす気か!?)」

音無「と見せかけバックドロップ!」ガシャァーン!

250: 2010/08/01(日) 02:55:16.16 ID:z/u/3YAO


直井「~~ハ!!」ゴロゴロ

直井「…!」ビクッ!

直井「…」ピクンピクン

直井「」ピタ

音無「さて、これで生徒会メンバーは全滅したし…。次はSSSの連中だな」


―学園大食堂外―

ゆり「じゃあ、今日はもう解散ね」

日向「おう。みんな気をつけて帰れよ」

音無「帰らせねーよ」ザッ

SSS「「「!?」」」

音無「テメェらにはまだ礼が残ってたからな…クックック」バキボキ

ユイ「何ですかアレ!音無先輩恐すぎでしょ!しかも顔が血で染まってますよ」ボソッ

ゆり「生徒会は全滅…か」

251: 2010/08/01(日) 02:55:56.48 ID:z/u/3YAO


音無「諦めて全員で出頭しろ。そしたら許してやる」

野田「そんなことできるか!」

椎名「あさはかなり…」

日向「なぁ、音無。俺達いがみ合ってきたけど色々助け合ってきたじゃねぇか!もうこんなことやめようぜ」

音無「俺はお前らに助けられた覚えはない。俺がお前らを助けてやっただけだ」

ゆり「どうしてあなたはあんなに天使を庇うの?」

音無「別にアイツだけ特別ってワケじゃねぇ。ただ俺は一人を大勢で嵌めるってのが嫌いなんだよ!」

252: 2010/08/01(日) 02:56:43.00 ID:z/u/3YAO


ユイ「自分だって不良のくせに…」コ

音無「おいそこのピンク、ちょっと来いよ」クイッ

ユイ「へ?わ、私ですか?」アタフタ

?「諦めて行け」ドン

ユイ「わ、ちょっと、あたっ!」

ポスッ

ユイ「誰だーっ!後ろから押しやがったのは?!」

ザッ

音無「よぉ」

ユイ「…」

音無「はっ!」ドスッ

ユイ「うっ…あ…」ドサッ

日向「ユイ!」タッ

音無「おっと近寄るなよ?近づけばこのピンクの首が飛ぶぜ?」シャキンッ

野田「チッ、クズが…」

253: 2010/08/01(日) 02:59:11.76 ID:z/u/3YAO


ゆり「…不良ってのもたかが知れるわね」

音無「あ?」

ゆり「人質を取ってしか要求を出せないなんて最低ね…クズ、いやそれ以下よ」

音無「…なに言ってんだこのアマ」

ゆり「悔しいなら人質解放して見せなさいよ」

音無「ひっかかるか!それ以前に俺が有利な状況なのにわざわざそんな選択をするバカがいるかよ!」

日向「(確かに。何でそんな発言をしたんだゆりっぺは…?)」

ゆり「…」チラッ

日向「(ゆりっぺ?どこを見て…)」

254: 2010/08/01(日) 03:00:14.71 ID:z/u/3YAO


ゆり「口だけなら何とでも言えるわ。あなた不良やってるの実は弱いからじゃないの?」

日向「ちょ、おま」

ゆり「汚い不良ね」

音無「…そこまでコケにされちゃあな。なら、コイツをテメェらにぶん投げ」バッ

ゆり「隙ありっ!」バン!

ビスッ

音無「くおっ!ぬお…手が!」

日向「ユイ、今の内だ!」

ユイ「…え?あ、はい!」タタッ

大山「へぇー。音無君を煽ってたのは手を動かすアクションを狙ってただけだったんだね」

ゆり「解説はいいから逃げるわよ!」ダダッ

音無「クソが…あの芋め、どっちが汚ぇんだよ」

音無「クックック…あの強情な面、グチャグチャにしてやらぁ」

262: 2010/08/02(月) 00:03:11.44 ID:dVqKQYAO


―翌日・対天使用本部―

ゆり「昨日は危なかったわね。音無君が来てなかったら今頃反省室で一夜を明かすとこだったわ」

日向「でもアイツとは完全に敵対しちまったな…オマエが銃ぶっ放したせいでなっ!」

ゆり「じゃあ他に何かあったの?」

日向「考えてねーが、何かあったかもしれねぇだろ!」

松下「しかし変だな…」

藤巻「何がだよ松下五段?」

松下「いや、仮に音無が身体を硬くする力?のようなものを使っていればゆりっぺの弾丸を防げたんじゃないかと」

263: 2010/08/02(月) 00:03:49.10 ID:dVqKQYAO


大山「音無君そんな力持ってたの!?」

藤巻「いやお前も最初に見ただろうが」

野田「何にせよ、敵となった以上は頃すだけだ」

ゆり「音無君の力については既に手を打ってあるわ」

椎名「…あの生徒会長代理はどうするつもりだ?」

ゆり「直井とか言ったっけ?生徒会の奴らは音無君が大半殺っちゃって当分は動けないでしょ」

日向「で…結局肝心の音無はどうすんだよ?襲ってくるかもだぜ?」

ゆり「まぁ、一つだけ方法があるわ」

日向「あるのか?!」

ゆり「音無君を我らSSSの仲間にすればいいの」

日向「( ゚-゚ )」

264: 2010/08/02(月) 00:04:25.36 ID:dVqKQYAO

ゆり「どう?」キリッ

日向「それができてたら始めっから苦労してねーだろぉがっ!!」

ゆり「やりもしないで始めから諦めるのは一番最低なことよ」

日向「もうやりましたから!てかお前が一番最初にやったんですから!」

ゆり「岩沢さん…」

ユイ「岩沢さんがどうかしました?」ガバッ

ゆり「もし岩沢さんが居たら…説得に成功したかもね」

竹山「そう言えば彼は彼女だけには気を許していたみたいでしたしね」

高松「あれ、アナタ居たんですか?」

竹山「昨日は音無君が怖かったからずっと隠れてましたよ」

265: 2010/08/02(月) 00:05:04.70 ID:dVqKQYAO

日向「それで、まさか岩沢を呼び戻したりすんのか?」

ゆり「言ってみただけよ。もう岩沢さんはいないし」

ユイ「私が岩沢さんの代わりをやってみましょうか☆」

ゆり「あなたじゃボロが出るわ…日向君、やってみなさい」

日向「何で俺なんだよ」

ゆり「一発叩いて説教すれば心を開いてくれるかもよ」

日向「いや、そりゃあ岩沢はなんつーか…カリスマ性があったから何とかなったんだろうけどさ」

ゆり「試しよ試し。命令よ、一度行ってみなさい」

日向「…ハァ。はいはい、分かりましたよ」ザッ

266: 2010/08/02(月) 00:05:55.85 ID:dVqKQYAO


―屋上―

音無「…」カチッ シュボッ

音無「ふーっ」スパー

音無「で?何のようだ。よく俺の前に顔を出せたもんだな」

日向「音無…お前、自分が何したか分かってんのか!」

音無「…ああ。お前らのリーダーに撃たれてやったよ(なに言ってんだコイツ?)」

日向「そうだ!お前よくも……え?撃たれてやった?」

音無「俺があんなヒョロイ弾丸かわすことワケねぇだろ」

日向「でも手に当たってたし」

音無「この世界に来てから『撃たれた痛み』っての味わったことなかったから撃たれてやったんだよ」

267: 2010/08/02(月) 00:07:03.44 ID:dVqKQYAO


日向「そこまで考えてたのによけなかったのかよお前…」

音無「因みに撃たれた瞬間は痛かったが後からはそうでもなかったな。で、用件は何だ?」

日向「…あ、もういいぜ。悪かったな(こんな危ない奴相手してらんね~)」

音無「オイオイ、せっかくこの俺様が僅かな時間を見つけて呼び出されてやったのにそりゃねぇんじゃねぇか?」

日向「そんじゃ理由だけ…ゆりっぺが岩沢の真似をしたらお前がSSSに入ってくれるかもしれないからやってこいってさ」

音無「じゃあお前は俺を殴る気だったのか?いい度胸だな」バキッバキッ

日向「いやだから今のお前の話を訊いてやっぱやめたんだって!」

268: 2010/08/02(月) 00:07:37.03 ID:dVqKQYAO


音無「どっちでもいい…とりあえず氏んどけ」ガシッ

日向「へ?」

音無「屋上からアスファルトまで急転直下だオラァ!」ブン

日向「うわあああぁぁぁぁ!」ゴオオオ

グシャッ

キャー!ヒトガウエカラ!

グロッ!グロイ!

オエエエエ!

音無「主犯はゆりか…丁度いい、あの芋野郎には昨日の借りも返してぇしな」ザ


―1F・渡り廊下―


音無「(この時間帯なら確か校長室にいるはずだよな…)」コッコッ

直井「ちょっと失礼」

音無「(にしても最近Demonなんたらが俺の意志じゃ出にくくなってやがるな…なぜだ?)」コッコッ

直井「あの、聞こえてますか?」

音無「(そういや…前にゆりと食堂で話した時にネタばらし的なもんしてやったが…まさか)」

269: 2010/08/02(月) 00:08:27.76 ID:dVqKQYAO


直井「音無さん!」

音無「さっきからうっせーな山田。何だ今度は何を企んでやがる」

直井「僕は名前は直井です。そして今日はあなたにお話があってきました」

音無「どういう風の吹き回しだ?あん?」ボキボキ

直井「そんなに疑わないでくださいよ」

音無「じゃあ周りに隠れさせてる奴らは何だよ?」

直井「フッ、やはりアナタの目はごまかせませんか…」パチン

ザザザザザ…

…ザザザザザ

音無「ほう。これはまた随分と手下を連れてきたもんだ。ざっと百人ぐらいか?」

270: 2010/08/02(月) 00:09:11.08 ID:dVqKQYAO


直井「彼らは僕の催眠術で僕の言いなりになっています」

音無「で、俺を襲わせるってわけか。いいぜ来いよ」クイックイッ

直井「違いますよ…貴様ら、あの方に跪け!」

NPC達「「「はっ!」」」ザザッ

音無「…何だこりゃ」

直井「僕は昨日確信したんですよ…神になるのはアナタだ、と」

音無「神だと?」

直井「最初は僕が神になるつもりでしたが、僕はアナタのその神をも打ち砕くような悪魔の力に惚れたんですよ」

音無「ほぉ…自らを神と思うお前が俺の力を買ってるってか」

直井「そういうことです」

271: 2010/08/02(月) 00:10:25.72 ID:dVqKQYAO


直井「僕と組みませんか?アナタなら僕が理想とする神をも越えれる存在になれるかもしれない」

音無「神になる、ってのも悪くねぇが…断る」

直井「…それはなぜですか?」

音無「神なんて俺には荷が重すぎるし、俺は自由に行動していたいんだよ」

直井「?」

音無「それに強すぎる力を得ちまったら獲物潰すのが楽しくなくなっちまうからよ…」

直井「そうですか…残念です」

音無「そうだ。あばよ」スタスタ

直井「…」ショボン

音無「…まぁどうしてもって言うんなら」ピタ

直井「!」

音無「SSSのゆりって奴を潰してこい。それができたら神にはなってやらねぇが、お前のことを認めてやってもいい」

直井「…それは本当ですか?」

音無「ツレは連れて行っていいが奴らと同じ人数にしとけよ」スタスタ

275: 2010/08/03(火) 02:44:06.70 ID:t94ADwAO


―夕方・屋上―

音無「潰せたぁ言ったが直井の奴何をやらかす気なんだろうな」

音無「まぁ、SSS全員を検挙して反省室送りぐらいが妥当だろうが…ゆり達が抵抗しないわけない」

音無「(いや…まてよ。あいつらはNPCには手出しできないんだ。そうかそうか)」

音無「でも直井はNPCじゃねーよな、どう考えても。バレてたら最悪マシンガンの撃ち合いとかになってそうだな…」

音無「ちょっくら様子見に行ってみるか」タタッ

276: 2010/08/03(火) 02:44:59.02 ID:t94ADwAO


―1F・反省室前―

直井「…?…あれは」

コッコッ…ピタ

音無「よぉ」

直井「あ、音無さんですか。仕事はこなしましたよ。奴ら全員を反省室にぶち込みました」

音無「そうか…で、何か変わったことは?」

直井「まだ僕とアナタが手を組んでいることはバレていません」

音無「ふーん」

直井「立華さんが生徒会長から失脚した以上、この学校は僕の思い通りです…そしてアナタはこの世界の支配者となる」

音無「オイてめぇ人の話訊いてたのか?俺は神なんかにはならねぇってんだよ」

277: 2010/08/03(火) 02:45:32.81 ID:t94ADwAO


直井「だから神とは言っていません。支配者です」

音無「同じようなもんだろうが」

直井「違いますよ。表向きには出さず裏ではアナタが支配するということです」

音無「だから荷が重いと…」

直井「ただし音無さんはいつも通りに暮らしていただいてありません」

音無「ハッ、なら最初からそうさせてもらうぜ」

直井「ただ、僕達生徒会はアナタの指一つで何時でも動けると言うことをお忘れなく…それでは失礼します」ザッ

音無「…」

278: 2010/08/03(火) 02:46:15.86 ID:t94ADwAO


―教室―

音無「(この世界の支配者…か。だがその支配者とやらになった後は…何をするんだよ)」ザッザッ

奏「…」トントン

音無「…お前は本当に勉強オタだな。生徒会長じゃ無くなったってのによ」

奏「もう習慣付いてるから」トントン

音無「チッ」ドカッ

奏「!」

ガシャーン!

女子A「何々?何の音?!」

女子B「あの音無君が立華さんの机を蹴り飛ばしたのよ」ボソッ

男子A「また音無かよ…」コソッ

奏「あの…どうしたの結弦?私何か悪いこと…」

音無「テメーそんなんだからSSSにも先公にもナメられてんだよ!生徒会長って鎖が消えたならもっとはっちゃけろよ!」

279: 2010/08/03(火) 02:46:50.16 ID:t94ADwAO


奏「鎖…」

音無「確かにお前が今現在も生徒会長ってなら生徒のことを第一に考える必要があるから仕返しはできねぇよ」

奏「私はやり返しなんて…」

音無「お前は本当につらくなかったのか?頼る人が誰一人としておらずただ歩いてるだけでSSSの奴らに狙われる毎日」

奏「…」

音無「友達と言った友達もおらず嵌められ信頼を失い、唯一の心の拠り所である好物まで奪われてよ!」

奏「麻婆豆腐…何で知って…」

音無「奴らに拾われなかった食券を集めてる時に見たんだよ…300円の麻婆豆腐の食券が一枚だけあったのをな」

281: 2010/08/03(火) 02:47:21.18 ID:t94ADwAO


音無「確かそれポッケの中に入れっぱなしだったな…」ゴソゴソ

奏「…」

音無「ほらよ、コレ食いたかったんだろ」ポイ

奏「…あ」パシ

音無「今から食いにでも行くか?」

奏「…」コクリ


―学園大食堂内部―


奏「…」パクパク

音無「辛い…が、この程度なら上手いに変えられる」パク

コッコッコッ

ザッ

音無「…ん?」

直井「何してるんですか?音無さんに…立華さん」

音無「テメェ目付いてんの?飯食ってるんだよ飯」

直井「いえ、音無さんは良いんですが…ただ、立華さん」

283: 2010/08/03(火) 02:49:05.57 ID:t94ADwAO

奏「何?」パクパク

直井「休み時間の食事は校則違反ですよ?」

奏「…そうだったわね…忘れてたわ」

音無「お前…仮にもほんの最近まで生徒会長だったろうが…あと直井」

直井「何でしょうか?」

音無「その点は多めに見てやってくれ。コイツの心の拠り所はその麻婆豆腐しかねぇんだ」

直井「音無さんがそう言うなら…しかし意外ですね」

音無「あ?」

直井「いえ、音無さんともあろう人が立華さんの味方についていたことに驚いただけです」

284: 2010/08/03(火) 02:49:33.11 ID:t94ADwAO


音無「俺は別に誰の味方でもねぇ…ただコイツがいつも独りぼっちだからダチの一人や二人を作ってやるだけだ」

直井「なるほど…勉強になります」

音無「お前も何か食え。俺の余ってる分の食券やるからそれで買ってこいよ」

直井「(同席ご飯!)いえ…流石にそこまでは」

音無「俺の食券じゃ飯が食えないってか?」

直井「わ、分かりました。それじゃ行ってきます」

奏「何で直井君ニヤニヤしてたの?」パク

音無「さぁな。口ではああ言ってもアイツも誰かと飯を食いたかったんだろ」

285: 2010/08/03(火) 02:49:59.19 ID:t94ADwAO


数十分後――

音無「それでよー…あの校長ヅラだったんだよヅラwww」

直井「ププww」

奏「…クス」


SSS男A「お、オイ!あれ見ろよ!」

SSS男B「ん?あ、あれは音無と…元生徒会長の立華さんに…生徒会長代理が一緒に飯食ってる!?」

SSS男C「オイオイオイ、何で気が絶対合いそうのない三人が笑いながら飯食ってんだよ」

SSS男D「ゆりっぺ達に報告だ」

SSS男C「待て待て、今ゆりっぺ達は反省室に閉じ込められてるんだぞ?」

SSS男A「んなもん助けに行きゃいいだろ!行くぞっ」ダッ

289: 2010/08/04(水) 01:30:16.18 ID:T/uQSUAO


―反省室前―


SSS男A「ゆりっぺ!いるのか!」ドンドン

ゆり『ん?その声は…SSS男A?』

SSS男BCD「俺達もいるぞ」

SSS男A「俺達、ゆりっぺ達に伝えたいことがあっていち早く助けに来たんだ!」

ゆり『伝えたいこと?』

SSS男B「まずはそこから出すから待っててくる」

日向『おお、ナイス!そっちから開けられそうか?』

SSS男A「今何とかピッキングで…」ガチャガチャ

ガチャン!

SSS男A「よし、開いたぞ」

290: 2010/08/04(水) 01:31:05.35 ID:T/uQSUAO


SSS男A「今開けるからな」ギィィ

ゾロゾロ

藤巻「ふー、半日ぶりのシャバの空気だぜ」コッコッ

大山「いやー一時はどうなるかと思ったよ」コッコッ

日向「ありがとなお前ら!」

SSS男A「気にするな…それよりゆりっぺ」

ゆり「分かってるわ。…それで話って何かしら?」

SSS男A「お前達を身動きできないように反省室へ閉じ込めた直井文人は…音無と天使と共謀しているんだ」

ゆり「えっ?音無君が何故あの敵対してた生徒会長代理と…それに天使まで」

日向「それ…マジか」

291: 2010/08/04(水) 01:32:11.23 ID:T/uQSUAO


SSS男C「マジだ。俺らも見たからな。奴らが仲良く飯食ってる所をな」

ゆり「確かあの三人が卓を囲むなんて考えられないわね…でもこれで直井文人がNPCでないことが証明されたわね」

ざわ…ざわ…

ゆり「とりあえず、音無君達の所に行ってみましょ。案内頼まれてくれるかしら?」

SSS男A「ああ」ザッ


三分後――


生徒会員A「おい、これ…」

生徒会員B「反省室が開いてる…あいつら脱走しやがったのか!」

生徒会員A「直ちに直井様に電報を」

生徒会員B「おう!」

292: 2010/08/04(水) 01:34:44.38 ID:T/uQSUAO


―学園大食堂―


直井「そして僕は…後一歩と言うところまで来たのに…極めることなく…氏去しました」

音無「…」

奏「…」

音無「そうか…お前にも色々とあったんだな」

奏「…悲惨ね」

直井「でも今の僕には音無さんがいるから大丈夫ですよ。その全てを潰すようなスタイルに僕は惚れましたから」

奏「それは大丈夫って言わないt」

ピピピピ

音無「電報音?お前か直井」

直井「そのようです、ちょっと失礼…」ポチ

293: 2010/08/04(水) 01:35:28.92 ID:T/uQSUAO


直井「どうした?」

(通信機)「SSSの連中が反省室から脱走しました。現在彼らはあなた方の元へ向かっていると思われます」

直井「こちらに向かって来ている?(こんなに早く音無さんとの繋がりがバレたのか?)」

(通信機)「私達も追っていますが気をつけていてください…それでは」プチッ

直井「厄介なことになったな…」

音無「奴らか…」

直井「ええ、こちらに向かってきてるそうですよ。恐らく僕の正体に気づきましたね」

奏「氏んだ…世界なんとかの人達?」

音無「食ったばっかで騒ぎを起こされんのは面倒だな。ちっと場所変えんぞ」

298: 2010/08/05(木) 01:28:19.43 ID:B9OdRcAO

―学園大食堂内部―

タッタッタ…

山田「確かここのテーブルにいたはずだ」ザッ

ゆり「今は誰もいないわね。それじゃ音無君達はどこに…」

日向「ひょっとして先に逃げられたんじゃねぇのか?」

ユイ「えーっ、でも私達が脱走したってまだ知らないはずですよー?」

山田「いや、お前達が脱走したことぐらい既に音無の耳に届いてるだろうな」

藤巻「おいおい!それじゃ追っ手が来るんじゃ――」

299: 2010/08/05(木) 01:32:37.74 ID:B9OdRcAO


ザザザザザ…

…ザザザザザ

ゆり「!?」

野田「コイツら…生徒会の奴らか!」

生徒会員A「あなた方…諦めて反省室へ戻ってくれませんかね?」

生徒会員B「これ以上音無様達の手をわずらわせたくないんですよ」

日向「やっぱり音無は直井とグルだったのか…何を企んでんだテメェ等はよ!」

生徒会員C「我らはただ音無様の命令に従うのみ――」

野田「チッ、頃すか…」ジャキンッ

ゆり「待って!こいつら何か様子がおかしいわ…」


300: 2010/08/05(木) 01:33:43.46 ID:B9OdRcAO


生徒会員A「さぁ、大人しくしてください。さもなくば…実力行使させてもらいます」

藤巻「どこがおかしいってんだよゆりっぺ!」

ゆり「みんな目に生気が無いって言うか…操られてる的な?」

日向「操るって、誰がだよ?」

山田「直井…もしくは天使」

野田「俺は音無が洗脳に一枚噛んでると思うが?」

山田「音無に意味不明な能力があるのは知ってるがアイツは洗脳なんて小細工な真似はしないタイプだ」

ゆり「言われてみると…そうね」

301: 2010/08/05(木) 01:34:14.74 ID:B9OdRcAO


山田「そして天使の能力はまだ未知数なものが多いし謎だらけだ…最後に全員がNPCと思っていた直井文人だが…」

生徒会員A「時間です。連れていけ」クイッ

ザザザザッ!

ゆり「(NPCには手が出せない…どうすれば)」

山田「チッ、直井達のことはお前らで何とかしろ!俺達はコイツらを食い止めてっから!」

ゆり「貴方達も逃げて!NPCに手出しはしてはいけないから――」

山田「なら俺は今日今ここでSSSを辞める。それでいいだろ」

ゆり「ちょっ、何言ってるのよ!」

山田「健闘を祈るぜゆりっぺ。あばよ」ダッ

302: 2010/08/05(木) 01:34:51.47 ID:B9OdRcAO


日向「あいつらが足止めしてる今のうちに逃げるぞゆりっぺ!」

ゆり「でも、山田君達が!」

日向「今ここで俺達も捕まれば山田達が身体張ってる意味がねぇだろ!」

ゆり「…ごめん、そうね。どうかしてたわ。彼らの犠牲は無駄にできないから、早くあの三人を見つけないとね」


―体育館屋根―


直井(双眼鏡)「…すみません、どうやら生徒会の奴ら主要人物の足止めに失敗したようです」ジーッ

音無「すみませんも何も何で俺達はあいつらに追われてんだよ?」

奏「多分、誤解されてる」

303: 2010/08/05(木) 01:35:18.07 ID:B9OdRcAO


音無「誤解?」

奏「結弦と直井君が共謀してると思われてる…私も含めて」

直井「確かに僕は音無さんをこの世界の支配者となってもらいたいが何故あなたまで?そこを説明してもらおうか」

奏「…生徒会長だった時、私は彼らの行動を放っておくことはできなかった」

直井「それがどう関係している?」

音無「話は最後まで訊け」

奏「最初は口論だったけれど…しだいに彼らは武器を持ち始めたわ。だから私も対抗するため頑張って力をつけた」

音無「(それが『Guard Skill』系統の力か)」

316: 2010/08/06(金) 01:48:58.15 ID:8M4t2wAO


奏「でも結局彼らを説得できずに、生徒会長を解任されられた…」

直井「そんな時に丁度、SSSと敵対している音無さんと僕と一緒にいるとこを見られたってことですね?」

奏「うん」

音無「奏が誤解されてるのは連中に復讐するために俺達と組んだと思われてることってのは分かった」

音無「じゃあ何故俺はあいつら全員に直井と共謀してると思われてんだ?」

直井「もう、何言ってるんですか音無さん。SSSを潰せと言ったのは音無さんじゃないですかー」

音無「…『SSSを』じゃなくて『SSSのリーダーを』って言わなかったか?」

317: 2010/08/06(金) 01:51:19.70 ID:8M4t2wAO


音無「…全員から追われるわけだ」

直井「すみません」ペコ

音無「まぁいい。どうせゆりを潰したとこで追われるはめになる。とりあえず、奏の誤解だけは解いとくぞ」

奏「別にいい。信じてもらえないかもしれないから」

音無「おいおい、表向き真面目君な直井と違って俺は不良だぞ?そんなのと連んでると更に誤解されるぞ」

奏「信用は既に失ったわ」

音無「…コイツいつもになくネガティヴだな」ボソ

直井「やはり生徒会長失脚のダメージが大きかったんじゃないんですか?」ボソ

318: 2010/08/06(金) 01:51:51.55 ID:8M4t2wAO


椎名「あさはかなり」

音無「そうそう、あさはかなり…?」

直井「上手いなぁ」ハハ

音無「っ!」バッ

直井「うわっ!」ガ゙ッ

椎名「動くな音無。動けばコイツの首が飛ぶぞ?」チャキ

直井「この女、気配を全く感じなかった…」

椎名「全員このままゆりの所まで来てもらおうか」

音無「お前がいるってこと忘れたな椎名。流石は忍者ってとこだ…俺達だけじゃ危なかった」

椎名「何を言っている?」

奏「動かないで」シャキンッ

椎名「なっ!?天使…」

音無「ゆりから俺達は三人で行動してるって聞かされてなかったか?」

319: 2010/08/06(金) 01:52:29.47 ID:8M4t2wAO


椎名「三人で卓を囲んでいたとは聞いたが…共に行動しているとは知らなかった」

音無「直井を離せ」

椎名「く…」パッ

直井「フン、愚民が」

奏「結弦…このまま逃がす?」

直井「僕はここに縛り付けて奴らへの見せしめにするべきだと思いますが」

音無「いや、コイツの隠密能力は使える…オイ、椎名」

椎名「何だ?」

音無「地獄を見るか…俺達と組むか…選べ」

椎名「ゆり達は仲間だ、裏切るわけにはいかない」

320: 2010/08/06(金) 01:54:28.79 ID:8M4t2wAO


音無「なら…仕方ないな。奏、直井」パチン

奏「ん?」

直井「はい、何ですか?」

音無「椎名を拘束してあっこまで運ぶぞ」


―体育倉庫―


音無「何とかSSSの連中に見つからずに来れたな」

椎名「ここは…私の拠点か?」

音無「直井、そこら辺に子犬のぬいぐるみ落ちてないか?」

直井「たくさん落ちてますよ」

音無「ちょっと拾ってよこしてくれ」

直井「分かりました…はい、どうぞ」ヒョイ

音無「ありがとよ。さて…コイツを」

椎名「貴様っ、彼らに何をする気だ!」

322: 2010/08/06(金) 01:56:07.46 ID:8M4t2wAO


音無「こうするんだよ!」ブチィ!

椎名「いやぁぁ!やめてくれぇぇぇ!」

音無「お前達もやれ」

奏「…私は遠慮しておくわ」

直井「了解しました」ブチィブチィブチィブチィ
椎名「やめろっ!やめてくれぇっ!」

音無「じゃあ…俺の仲間になるか?」ピタ

椎名「そ、それは…」

音無「どうなんだよ、え?」バキョッ!

椎名「分かった!分かったから…もうやめてくれ…」

音無「へっ、そうかそうか」ニヤ

直井「(やはりかなわないな…この人には)」ゾクッ

奏「(結弦が…昔の結弦に戻りかけてる)」

323: 2010/08/06(金) 01:57:31.98 ID:8M4t2wAO


音無「拘束は解いてやるが、変な気を起こした瞬間に頃すからな…子犬を」ガチャ

椎名「分かっている…」

音無「早速だが仕事だ。お前にはスパイをしてもらう」

椎名「スパイ?」

音無「現在直井の生徒会軍団とSSSの様子を見てこい。ゆり達に会っても俺達のことは口外すんなよ?」

椎名「分かった。行ってくる」シャッ

直井「…さて、僕も様子を見に行ってきますよ」

音無「一人で大丈夫なのか?」

324: 2010/08/06(金) 01:58:16.17 ID:8M4t2wAO


直井「安心してください。ちゃんと奴らを潰してきますよ」タッタッ

奏「…結弦はどうするの?」

音無「俺はここにいる。椎名が帰ってきた時の報告を聞かなきゃならんからな。お前も行きたければどこでも行け」

奏「どういうこと?」

音無「別に俺達とお前は組んでるわけじゃねーだろ?ただ単に飯を一緒に食ったってだけだからな」

奏「そうだけど…」

音無「ま、別に居たきゃ居ればいい話だがな」

奏「じゃあ、後ちょっとだけ居る」

325: 2010/08/06(金) 01:58:59.59 ID:8M4t2wAO


――三時間後


音無「遅い…遅すぎにも程があるぞ。何やってんだ椎名も直井も」

奏「……」スヤスヤ

音無「オマケにコイツは寝ちまうし」

ザァァァァ

ピカッ!ゴロゴロ!

音無「外の雨が強くなって来やがった…これから冷えそうだな」

ズドゥゥゥン!!

音無「っ、何の音だ?」バッ

ズドン!グラ…グラ

音無「地響きが半端じゃねぇ…こりゃ殺り合ってんのか」

奏「…」スヤスヤ

326: 2010/08/06(金) 02:00:32.13 ID:8M4t2wAO


音無「俺も出るか…」ザッ

奏「…」ガシ

音無「…起きたのか?」

奏「どこへ行くの?」

音無「ちょっと出てくる」

奏「私も行く」

音無「やめとけ。またSSSの連中に狙われんぞ」

奏「大丈夫、もう慣れてるから」グイッ

音無「お、おい、ちょっと待てって」タッタッ

ガラッ

ザァァァァ…

音無「寒っ」

奏「…」 グイッ

音無「ちょっと、傘か何かさしていきてんだが…」ズルズル

327: 2010/08/06(金) 02:01:09.42 ID:8M4t2wAO


―グラウンド―


ウァ…イテェ…ヨ

タスケ…テ

音無「これ全部血だらけの氏体か…まさに地獄絵図だな」

直井「来ましたか、音無さん」ビチャビチャ
音無「これは…全部お前がやったのか?」

直井「はい。音無さんに逆らう無粋な輩は全て排除しておきましたよ」

日向「く…その声は、音無…なのか?げほっ!」

直井「まだ息があったのか貴様」

音無「日向か…」

338: 2010/08/07(土) 10:25:41.56 ID:VgRPPAAO


音無「あんま喋んなよ…傷口開くぞ?」

日向「お前、どうしてこんなことを…」

音無「俺も流石にここまでやるとは思わなかったが、まぁ前回の借りを返したってとこか」

ゆり「な…にが、借りよ…」ビシャッ

日向「ゆりっぺ…げほっ!」

音無「何だこいつらまだまだ元気なんじゃねーか?」

直井「貴様も…ゴキブリ並みの生命力だな」

ゆり「主犯は…あなたなの?音無くん」

音無「ああ、そうだ(本当は直井が勝手にやったことだけど)」

339: 2010/08/07(土) 10:26:36.62 ID:VgRPPAAO


ゆり「関係のない人まで巻き込んで…あなたは人の風上にも置けない、クズよ」

音無「お前にクズって言われたかぁ…無いなァ!」ガスッ

ゆり「ううっ!」グラッ

直井「おっと、まだ倒れるには早いですよ」パシ

奏「…結弦」

音無「何だ」

奏「私は…あなた達と何をすればいいの?」

音無「愚問だな。SSSの連中に復讐したきゃ勝手にすりゃいいし、いつもの生活に戻りたいなら戻ればいい」

340: 2010/08/07(土) 10:27:16.25 ID:VgRPPAAO


奏「もし、私が普通の生活に戻ったら?」

音無「知るかよ。いつも通り勉強でもしてりゃいい」

ピカッ ゴロゴロ…

ザァァァァァ…

音無「ただ、もうこれからはみんなお前に構う時間が無くなるってことだけは知っておけ」

奏「(もし私が昨日までの私に戻ったら…もう結弦達とはご飯食べられない?また…一人?)」

奏「どうして時間が無いの?」

音無「見りゃわかんだろ。こんだけやらかしてんだ…これからSSSの奴らとの戦争は激しくなるぞ」

341: 2010/08/07(土) 10:29:32.58 ID:VgRPPAAO


直井「音無さん。僕の催眠術で仲村ゆりを成仏させることができますが、どうします?」

音無「いや、それはまだいい。借りはもう返したからな」

直井「分かりました」パッ

ゆり「っ!」ドシャッ

音無「おーし、寒いし撤収するぞ」ザッ

直井「そうしますか…何か暖かい飲み物が飲みたいですね」スタスタ

音無「ブラックとか?」

直井「僕ブラック飲めないんですよ」ハハ

342: 2010/08/07(土) 10:30:34.36 ID:VgRPPAAO


ザァァァァ…

ゆり「…(私達はこんなに無力だったなんて…悔しい)」

奏「…」スッ

ゆり「…天使?」

奏「ごめんなさい」ペコ

ゆり「…何がよ?」

奏「あなた達をこんな目に合わせてしまったこと…」

ゆり「いや…今回あなたは何もしてないでしょ」

奏「でも」

音無「おい奏、早く来い置いてくぞ」

奏「…」スクッ

343: 2010/08/07(土) 10:32:01.83 ID:VgRPPAAO


ゆり「あなたは…音無君の味方なの?」

奏「違うわ」

ゆり「じゃあどうして?」

奏「私の味方になってくれたのが…結弦だけだった」

ゆり「…そういうこと…ね」ガクッ

奏「……」ペコリ

奏「今行くから」タタタタ


―――

すみません、昨日の夜に投稿できませんでした。
今回で物語の前半部分までが終わりました。次から後半に入っていきます。

347: 2010/08/08(日) 03:53:49.08 ID:Zv14skAO


―翌日・旧校舎の一室―


音無「…もう一回言ってみろ」

奏「お手伝い」

直井「なぜ僕達がそんなことをしなければならない」

椎名「あさはかなり…」

奏「今やっておかないと後からだとツタが巻きついちゃうかもしれないから」

音無「別に『花壇の手入れ』なんて園芸部にでも頼みゃいいだろうが」

奏「うちに園芸部は無いわ…それに生徒会長だった時は私がいつもやっていたから」

348: 2010/08/08(日) 03:55:32.46 ID:Zv14skAO


音無「俺はやらないからな」

直井「音無さんに賛成です」

奏「私一人でやるから大丈夫」

椎名「外は暑い。この麦わら帽子をかぶっていけ」スッ

奏「ありがとう。それじゃまたね」ガチャ
バタン

直井「…本当に行きましたね」

音無「まぁほっとけ、それより椎名…」

椎名「ああ、分かっている。見た所SSSは全滅したあの後から私達に対する策を練るようになった」

直井「天使だけじゃなく…僕達もブラックリストに入ったということですね」


349: 2010/08/08(日) 03:59:48.70 ID:Zv14skAO


音無「へぇ…分かった。もうSSSに戻っていいぞ椎名」

直井「えぇっ?もうですか?」

音無「仲間になれってのは別にあの時とっさに思いついたセリフだし、もういいかなってな」

椎名「…無理だ」

音無「はい?」

椎名「私は一度でも仲間を裏切ってしまった…!もう私に…SSSに戻る資格はないんだ」

直井「…どうします?」

音無「別にどうもしねーよ。ここにいたけりゃ居ればいいし、フリーになりたきゃなればいい」

直井「と、音無さんは仰ってるが?」

350: 2010/08/08(日) 04:04:08.39 ID:Zv14skAO


椎名「しばし…」

音無「しば、何だって?」

椎名「しばしの間、貴様とゆり…どちらの策が上回っているか見届けさせてもらう」

音無「どうぞご勝手に」

直井「…(こうやって、音無さんの周りには人が増えていく。やはりアナタはただ者ではないようだ)」

音無「ところで腹が減らねお前ら?」

直井「そう、ですね(こうして見るとチャラチャラしたヤンキーだが)」

椎名「…む」

音無「決まりだな。そんじゃ、食堂に行くぜ」スタスタ

351: 2010/08/08(日) 04:05:17.11 ID:Zv14skAO


―1F・渡り廊下―


音無「今日は何を食おうかなァ~」

直井「僕はもう決めてありますがね」

音無「何だ、お前学食のメニュー全部暗記してんのか?」

椎名「あさはかなり…」

ゆり「話してる所、ちょっとごめんなさい」ザッ

音&椎「「!?」」バッ

直井「なっ…貴様は…」

ゆり「椎名さん、やっぱり音無君の味方になっちゃったのね」

椎名「…すまない」

ゆり「安心して、別にせめたりしないわ…」

360: 2010/08/09(月) 00:37:14.37 ID:DfIgC.AO


音無「で、何か用かよ。復讐にでも来たのか?」

ゆり「別にそんなのじゃないわよ。あなたにちょっとした良い話しを持ってきてあげようと…ね」

音無「そんなもんでなびくと思ってんのか?」

ゆり「勘違いしないで。私には何の得もない話しだから」

音無「…ほう、話してみろ」

ゆり「もしかしたら、あなたの記憶の復元ができるかもしれない」

361: 2010/08/09(月) 00:37:43.33 ID:DfIgC.AO


直井「音無さんの…」

椎名「記憶…か」

音無「俺をクズ呼ばわりしたお前が…何のために?」

ゆり「答えはイエスかノーで答えてちょうだい」

音無「(コイツ…何を企んでやがる)」

ゆり「どっちか決めた?」

音無「ああ…何考えてっか知らねーが乗ってやるよ」

直井「音無さん、いいんですか?」

音無「まぁ、乗るだけ乗ってやろうぜ」

ゆり「決まりね」

362: 2010/08/09(月) 00:38:15.86 ID:DfIgC.AO


―男子寮・とある一室―


ゆり「早速だけど音無くん、あなたのパソコンを起動してくれないかしら」

音無「何でだよ?俺の記憶とどう関係あんだよ」

ゆり「それはついてから説明するわ」

音無「ったく」ポチ

直井「この部屋ハーブの香りがしますね」

椎名「…なかなか綺麗だな」

音無「つか何でお前らまでいるんだよ」

PC「ヴィィィン」

ゆり「電源がついたわ(何かこのPC竹山くんのっぽいわね…)」

363: 2010/08/09(月) 00:39:02.47 ID:DfIgC.AO


ゆり「えーと、あったあったコレよ」カチ

音無「『Demon Player』じゃねぇか。何に使う気だ」

ゆり「私の推測が正しければこれを使えばあなたの記憶を復元できるわ」

音無「推測って…信用できるのか?」

ゆり「見たところ天使の持つ『Angel Player』とあなたが持つ『Demon Player』は酷似してるの」

音無「なるほどね、奏が使ってたのは『Angel Player』ってワケか」

ゆり「正直『Angel』と『Demon』の違いは分からないけど…」

直井「…話し分かる?」ボソ

椎名「あさはかなり」

364: 2010/08/09(月) 00:39:55.32 ID:DfIgC.AO


ゆり「まずは」カチッ

パッ

ゆり「この人体図も同じ…なら」

音無「なら、何だ?」

ゆり「先に音無くんは眠ってくれないかしら?」

音無「は?」

ゆり「今音無くんの意識がある状態で実行したらこれからのあなたに影響が出るかもしれないでしょ?」

音無「そんなこと言ってテメェ寝入ったとこを叩くんじゃ――」

ゆり「しないわよ。それに椎名さん達がいるでしょ」

音無「まぁ、そうだが…ん?待てよ」

365: 2010/08/09(月) 00:40:22.14 ID:DfIgC.AO


音無「オイ直井」

直井「はい」

音無「お前の催眠術ならこんなことしなくても俺の記憶戻せんじゃねぇの?」

直井「そうか!…いや、確か僕の催眠術は音無さんの『意志』が強すぎてはね返されましたよね?」

音無「そうだったな…」

ゆり「そろそろ始めるわよ」

音無「待て待て、こんな真っ昼間から寝られねーよ。椎名…手刀頼むぜ」

椎名「…加減はする」ヒュッ

トンッ!

音無「ぬおっ……」ドサッ

366: 2010/08/09(月) 00:40:49.43 ID:DfIgC.AO


ゆり「気絶したわね…今のうちに片付けちゃいましょう」カタカタ

直井「貴様、変な真似をすれば僕の催眠術で…」

ゆり「ちょっとは信用しなさいよね」

直井「あれだけ痛めつけてやったのにヘロッと顔を出せる奴が信用できるか」

ゆり「私はあんたと違って立ち直り早いのよ」カタカタ

直井「全く…愚民はこれだから困る」

椎名「直井、あとはゆりに任せよう」

直井「チッ…音無さんに何かしたら許さないからな」スタスタ ガチャ

バタン

367: 2010/08/09(月) 00:41:23.73 ID:DfIgC.AO


椎名「ゆり、裏切ってしまったことは本当にすまなかったと思っている」

ゆり「大丈夫よ。あなたが自分から裏切るような人じゃないって分かってるから」

椎名「私が取るべきけじめを取った後…また再び一緒に戦えたらいいな」ガチャ

バタン

ゆり「ふふ…それは遠くない未来かもね」チラッ

音無「…」スヤスヤ

ゆり「…果たして彼はどんな過去を見てるのかしら?」

ゆり「私のように神に見放されたな人生か…はたまた日向君や岩沢さんのように呪われた運命の人生か…」

368: 2010/08/09(月) 00:41:53.26 ID:DfIgC.AO


――音無の生前――

―街の路地裏―

バキッ!ドカッ!

音無「テメェらまだ終わってねぇぞゴラァ!」バキッ

不良A「わ、分かった。俺達の負けだから!」

不良B「もう勘弁してくれよ!」ゲホッ

音無「じゃあ出すもん出して失せろや」

不良A「これで…どうか勘弁」スッ

不良B「お願いします」スッ

音無「…」バッ

音無「イチ…ニイ…サン」

音無「オイ、こんだけかよ?こんだけか?」

不良A「き、今日はそれしかm」

音無「オラァ!」ドゴッ!

不良A「ぐわぁぁぁっ腕がっ!」ゴロゴロ

不良B「ひ、ひぃぃぃ!」ダダダ

音無「…これじゃあロクなもん買えやしねぇ」

369: 2010/08/09(月) 00:42:26.37 ID:DfIgC.AO


―本屋―

音無「これだったかな…」ウーン

男A「見ろよ、ヤンキーが少女漫画漁ってるぜ」

男B「シュールだな」ククク

音無「何か言ったかオイテメェら!」

男A「やべっ、ずらかるぞ!」ダッ

音無「待てコラ!」ダッ

奏「…え?」

音無「うおっ!危ね!」ピタッ

奏「…びっくりした」

音無「いや悪い悪い、ケガはねーか車椅子のお嬢ちゃん?」

奏「大丈夫」

音無「なら良かったぜ。…あんたも少女漫画買いに来たのか」

奏「じゃああなたも?」

音無「妹に買ってやりてーんだけどなぁ…何買ってやりゃいいかぜんっぜん分からん」

370: 2010/08/09(月) 00:44:01.67 ID:DfIgC.AO


奏「私が手伝ってあげようか?」

音無「おお、そりゃ助かるな。あんた妹と同じ年ぐらいだから丁度良さそうだ」


――数分後

店員「ありがとうございましたー」

ガララッ

奏「私の分まで良かったの?」キコキコ

音無「選んでくれたお礼だ」スタスタ

奏「そう…ありがとう」

音無「じゃあ、ここらで。また会ったら本の選択頼むぜ」ザッ

奏「うん、またね」

ポトッ

奏「あ…何か落としたよ」

奏「行っちゃった……学生証?」ヒョイ

奏「名前は音無…結弦。…結弦か」

388: 2010/08/10(火) 02:11:31.75 ID:VrPDagAO


―街の病院の一室―


ガララッ

音無「よう、元気してたか初音」

初音「あ、お兄ちゃん!今日も来てくれたんだ!」

音無「まぁ、いつも暇だからな」ハハ

初音「制服に何か赤いシミがついてるよ?」

音無「あ、ああ。これはちょっとケチャップこぼしちまったんだよ…それよりホラ、土産だ」スッ

初音「わぁ、ありがとうお兄ちゃん!」

音無「丁度お前ぐらいの車椅子の娘がさ、一室に選んでくれたんだ。もしかしたらこの病院の人かもな」

389: 2010/08/10(火) 02:12:16.05 ID:VrPDagAO


初音「車椅子の娘なんていたかな?」

音無「お、バスケットに果物があるな。ちょっと剥いてやるよ」

―二時間後―

音無「そろそろ面会時間も終了か。じゃあまた来れたら来るからな」

初音「うん。またね、お兄ちゃん」

音無「ああ、じゃあな」ガララッ

ピシャッ


―翌日・音無の学校―


音無「で、どうなんだよ実際」

舎弟A「はい。昨日音無さんが潰した渋谷の双子頭も我らの傘下に加わりました」

音無「おーし、後は浅草だけか」

舎弟B「浅草の頭も今日の夕方5時に河原に呼び出してあります」

390: 2010/08/10(火) 02:12:47.15 ID:VrPDagAO


音無「へっ、浅草シメりゃ東京のチームは全部俺の傘下ってわけだな」

舎弟A「でもあんま派手にやるとヤバいっすよ。ポリが出動しますから」

舎弟B「来週に『祭り』があるからそれまでにパクられちまったら元も子もないですからね」

音無「…舎弟A、今から浅草の頭を河原に呼び出せ」

舎弟A「今からですか?」

音無「早めに潰しておいた方がいい。善は急げって言うだろ」

舎弟A「分かりました…」ピホパポ

音無「よっしゃ、行くぞ!」ガタッ

391: 2010/08/10(火) 02:13:13.91 ID:VrPDagAO


教師「音無くん、今は授業中…」

音無「あぁ?」ギロッ

教師「で、この問題はあるからして~」


―五時間後・河原―


音無「おいテメェ、本当に浅草の頭呼んだのかよ!」シュボッ

舎弟A「はい。間違いなく呼び出した筈ですが…」

音無「じゃあ何でこねーんだよ」スパー

キコキコ

音無「遅っせぇぞゴラァ!…?」バッ

奏「……結弦?」

392: 2010/08/10(火) 02:13:35.49 ID:VrPDagAO


音無「何やってんだよ…お前」

奏「散歩中。ここは私のいつもの散歩道だから…」

舎弟A「音無さん、このお嬢ちゃん知り合いなんですか?」

舎弟B「いくら音無さんでもこんな小さな娘に手を出しちゃ犯罪でs」

音無「氏んでろ」ガスッ

舎弟B「冗談でした…スミマセン」

音無「ここにいたら危ねーからとっとと去りな。巻き込まれるぞ」シッシッ

奏「巻き込まれる?」

音無「まぁ基本タイマンだからそんなことはねーと思うけど見せて気持ちのいいモンじゃねーしな」

393: 2010/08/10(火) 02:14:09.59 ID:VrPDagAO


奏「…今日も」

音無「あ?」

奏「今日も本屋さんに行くの?」

音無「…時間がありゃな」

奏「分かった。先に行ってるね」キコキコ

舎弟A「…あの娘、やっぱり脚が悪いんですか?」

音無「俺も昨日会ったばっかで詳しいことは知らねーんだよな」

ザリッ

?「待たせたなゴラァァ!」

音無「あぁん?」

舎弟B「き、来ました、音無さん!奴が浅草の頭です」

音無「へぇ…ガタイいいな。190ぐらいあんじゃねぇの?」

394: 2010/08/10(火) 02:14:34.39 ID:VrPDagAO


浅草頭「テメェか…東京仕切ってるって自称する馬鹿は…」

音無「馬鹿もクソも…実際『渋谷』『新宿』『池袋』の頭だった奴は俺に屈した…つまり俺が最強なんだよ!」

浅草頭「じゃあテメェボコりゃ東京は俺のモンだ」

音無「クックック…やってみろよ」

―――
――

浅草頭「…う…う…」ピクピク

音無「何だよ、イキがってた割に大したことねーじゃん」パッパッ

舎弟A「(いや、あんたが強すぎるんちゃうか…)」

舎弟B「(しかも無傷かよ…)」

395: 2010/08/10(火) 02:15:32.59 ID:VrPDagAO


音無「まぁ、これで東京は俺のモンになったわけだが…」

舎弟B「ついに来週、血で血を洗う『祭り』が始まるんですね」

音無「お前達も来るか?」

舎弟A「いや、俺らが行っても一発で退場ですよ」

舎弟B「関東のナンバーワンを決めるんですからね」

音無「そうか。…今日はこれで解散だ、あばよ」ザッ

舎弟AB「お疲れ様でしたー!」

音無「(意外と早く片づいたし、まだアイツ本屋にいるだろ)」タッタッタ

396: 2010/08/10(火) 02:16:11.35 ID:VrPDagAO


―本屋―


ガララッ

店員「いらっしゃいませー(またこの人少女漫画買いにきたのか)」ジッ

音無「おい店員」

店員「は、はい(やば気づかれた)」

音無「目の下にクマがある。働くのはいいがほどほどにしとけ」スタスタ

店員「…はぁ、気をつけます(そりゃオーディションの為に色々なバイト掛け持ちしてるから仕方ないだろ)」

音無「少女漫画コーナーは、こっちか」ダダッ

奏「…あ」

音無「よう、ずっとここに居たのか?」

奏「うん」

397: 2010/08/10(火) 02:17:29.81 ID:VrPDagAO


音無「今日は何にするかなー」

奏「妹さんはどんなジャンルが好みなの?」

音無「いや…知らん」

奏「じゃあ、とりあえず色々なジャンルを選んでから…」


――数分後

店員「ありがとうございましたー(次は中華料理店でバイトか…ぶっ倒れそうだな)」

音無「今日もすまんかったな、付き合ってもらって」スタスタ

奏「いいの。誘ったのは私だったから」キコキコ

音無「それじゃまた妹の所行くから…じゃな」ザッ

奏「妹さんお大事に…」

奏「……」

奏「学生証返しそびれた」

417: 2010/08/11(水) 03:03:45.50 ID:V0XZyYAO


―街の病院―

音無「すまんな初音。兄ちゃん来週からちょっと来れなくなるんだ」

初音「分かったよお兄ちゃん。ちょっとさびしいけど、我慢してるね」

音無「悪いな。またまとめて雑誌買ってくるからさ」

初音「うん、ありがとう。…そう言えばお兄ちゃん」

音無「ん?何だ?」

初音「今日看護婦さんに聞いたら私と同じ年ぐらいの車椅子の女の子居るって言ってたよ」

音無「へぇ、マジか」

初音「そこのメモに病室の番号書いてあるよ」

音無「サンキューな」スッ

初音「私も『本選んでくれてありがとう』って言ってたって伝えてね」

音無「ああ。じゃあまた来週な」ガララッ

418: 2010/08/11(水) 03:04:28.92 ID:V0XZyYAO


―とある病室―

音無「ここか…個室なんだな」コンコン

「誰ですか?」

音無「音無っつったら分かるか?」

「…どうぞ」

ガララッ

音無「よう、やっぱりお前だったか」

奏「あなたは私がここに入院してるって分かってたの?」

音無「車椅子に点滴付きのパジャマ姿してりゃ分かるわな。入院できる病院はここがポピュラーだしな」

奏「そう…」

音無「下で買ってきたもんだが、花束くれてやるよ」バッ

奏「あっ…どうも」パシ

419: 2010/08/11(水) 03:05:04.65 ID:V0XZyYAO


音無「ついでに初音、俺の妹が本を選んでくれてありがとうってよ」

奏「どういたしまして」

音無「お前…個室ってことは何か重大な病気でも…」

奏「そこまで重大じゃないわ。現に車椅子で散歩されるのが許されてるし」

音無「まぁ、下手に出歩かない方がいいんじゃねぇか?」

奏「…ひょっとして心配してるの?」

音無「別に。来週は来れねーから先に言っておいただけだ」

奏「ご用事?」

音無「まぁ、そんなとこだよ…じゃあ俺は帰るからな」スタスタ

奏「うん。…あ、待って」

音無「あ?」ピタ

420: 2010/08/11(水) 03:06:34.92 ID:V0XZyYAO


奏「これ。お花のお礼」スッ

音無「何だこりゃ…」

奏「髪留めだけど、嫌だったかしら?」

音無「男が髪留めってどうよ…」

奏「だって…あなた私より髪長いわ」

音無「それはお前がショートカットだからだろ。女の子なら伸ばせよ」

奏「やっぱり肩にかかるくらいじゃ短いのね。…分かった、髪の毛伸ばすわ」

音無「そっちのが似合うと思うぜ。…んじゃこの髪の毛は貰っとくわ」

奏「うん」

音無「今度こそあばよ」ガララッ

ピシャッ

421: 2010/08/11(水) 03:07:15.69 ID:V0XZyYAO


―繁華街―

ザワザワ

音無「いよいよ来週か…氏にゃしねーだろがアバラの二、三本は覚悟しとくかな…」スタスタ

ロックヲ~♪

音無「ん?ゲリラライブ…なわけねーか、ストリートの奴か」チラ

店員「いーつもー思うーよ♪」ジャンジャン

音無「あーっ!そのクマのお前本屋の店員か!」ビシィ

店員「な、何だ。びっくりさせないでくれ」

音無「あんた本屋のバイトの餓鬼だろ?バイトはもう終わったのか?」

店員「餓鬼って…私はこれでも16歳なんだけどね」

422: 2010/08/11(水) 03:08:21.85 ID:V0XZyYAO


音無「俺より二歳年下じゃねーか。十分ガキだな」

店員「冷やかしなら散ってくれ。それに本屋のバイトはもう終わったし、次のバイトの合間に弾いてるだけだ」

音無「16にして労働者か。俺は自分で金稼がないからわからんが大変そうだな(大体ぶっ倒した奴の戦利品だからな)」

店員「うちの家族は最悪でさ。だからオーディションに受かったら早く家出て音楽に専念したいんだ」

音無「歌手志望か?」

店員「ああ。どっちかと言うとロックバンドだけどね」

音無「よく分からんが…まぁ頑張れば報われるんじゃね?」

店員「そうだといいがな」

423: 2010/08/11(水) 03:09:21.02 ID:V0XZyYAO


音無「少なくとも本屋で会った時は応援してやるからさ。頑張りな」

店員「フッ、変な奴だな」

音無「来週は無理だが、その次週からまた世話になるからよ。じゃあな」スタスタ

店員「全く面白い奴だ。…名前を聞くべきだったか?」


―――
――



―街の本屋―

店員「あれから三ヶ月もたったが…来ないな、あのヤンキー」

店員「最後に会ったのが三ヶ月前だから、そろそろ来ても良い頃なんだが…」

店員B「岩沢さーん、あっちの棚の本の補充お願ーい!」

岩沢「ああ、ただいま!…」フラッ

岩沢「…っと、めまいが。ちょっと働き過ぎたかな」スタスタ

424: 2010/08/11(水) 03:10:30.99 ID:V0XZyYAO



―とある病院の一室―

初音「あの、看護婦さん…」

看護婦「あら何かしら初音ちゃん?」

初音「お兄ちゃんから連絡来たりしましたか?」

看護婦「…いえ、来てないわね」

初音「それならいいんけど…最近お兄ちゃん来てくれないなぁ」ショボン

看護婦「(お兄さんからの手紙に妹に心配かけさせたくないからシラを切ってくれって書いてたけど…)」

初音「うーん…明日は来てくれるかな」

看護婦「(初音ちゃんのこれからの治療費だけ同梱されてて後は音信不通なんて…お兄さんは一体何をしてるの…?)」

初音「奏ちゃんのとこに遊びに行きたいけど…私身体動かないからなぁ…」シュン

425: 2010/08/11(水) 03:11:02.04 ID:V0XZyYAO


―同病院の個室―

奏「…遅いな、結弦」

奏「また一緒に本屋で初音ちゃんの本を選んであげたいし…髪も伸びてきたから見てもらいたいわ」

奏「…独りきりの世界でやっとできた友達、なのに」

奏「もうあなたは来てくれないの…結弦?」

奏「独りは寂しい……っ!」ギュッ

奏「…う…胸、が…っ!」グッ

奏「助けて…ゆ…づる…」

426: 2010/08/11(水) 03:11:32.09 ID:V0XZyYAO


――


医者「本当に奇跡としか言いようがありません」

奏母「本当にありがとうございました」ペコリ

医者「いえ、俺なら心臓のドナーとなってくださった方に言ってもらいたいのですが…」

奏母「…はい。そのお方のお葬式はいつ頃で」

医者「それが、提供者が不明だったんですよ。我々も気味悪く思いましたが時間が無かったもので…」

奏母「そ、そうですか…でもその人のお方でうちの奏は助かったんです、気味悪いなんて思いません」

427: 2010/08/11(水) 03:12:35.46 ID:V0XZyYAO


医者「…後、二つほど重要な話があります」

奏母「何でしょうか?」

医者「奏さんの記憶に何らかの欠落があります」

奏母「それは何かの記憶喪失で…」

医者「日常的に問題はありません。ただ、欠落した記憶は『意識を失う間際に強く会いたいと願った人』なんです」

奏母「どうしてそんなことが…分かったんですか?」

医者「人の脳には様々な記憶機能がついているのですが…そのうちの一つの対人に関係する記憶の一部がごっそり消えていたんですよ」

428: 2010/08/11(水) 03:13:44.31 ID:V0XZyYAO


奏母「まぁ…その人物って一体?」

医者「それは誰かは分かりませんが…最後に一つ、酷な話なんですが」

奏母「…」ゴク

医者「奏さんは…あと十年も生きられないでしょう」

奏母「…悲しいことですが、それは薄々感じとっていました…一時凌ぎでしかないと」

奏母「でも奏に人並みの青春ぐらいは与えてあげたかったんです」

奏「ん…」

奏母「…奏!目覚めたの?お母さんが分かる!?」

奏「分かるよ、お母さん」

奏母「よ、良かったぁ…」ヘナヘナ

医者「ちょっと、検索の為器具取ってきます!」ダッ

奏母「本当に良かった…」

奏「(あれ…誰か…大事な人…お母さんお父さんの他に誰か…忘れてる)」

奏「(思い…だせない)」

429: 2010/08/11(水) 03:15:40.35 ID:V0XZyYAO


―――
――



音無「……っ!!」バッ

ゆり「どうやらお目覚めのようね…どうだった、自分の過去は?」

音無「…俺は」

ゆり「ん?」

音無「俺はどうなったんだよ!」ガシッ

ゆり「ちょ、痛い!それをあなたが見てきたんじゃないの?!」

直井「どうしました音無さん!まさかこの女が何か」ガチャ バタバタ

ゆり「何もしてないわよ!」

椎名「まずは落ち着け、音無…」ポン

音無「あ、ああ。悪かったな…」

ゆり「何かワケがありそうな過去だったみたいね」

音無「(俺は…一体あれからどうしたんだ?)」

435: 2010/08/12(木) 03:58:55.38 ID:YdwXBMAO

――

ゆり「どんな過去かは聞かないでおくわ…」

音無「(俺は生前、奏によく似た奴…それだけじゃない、あれは岩沢…)」

直井「顔色悪いですよ、音無さん」

音無「ああ…平気だ」

ゆり「安心して音無くん。記憶が戻ればみんな同じような感じだったわ」

音無「…いや、まだ足りない」

直井「え?」

音無「まだ…肝心な部分が思い出せないんだ」

ゆり「…そう。それは残念ね」

436: 2010/08/12(木) 03:59:16.25 ID:YdwXBMAO


音無「そこを思い出さなきゃ、俺がここに来た意味が分からない」

直井「音無さん…」

ゆり「とりあえず、暗い顔してても仕方ないでしょ」

椎名「ゆり?」

ゆり「三人今から時間はあるかしら?」

音無「……」

直井「どうします、音無さん?」

椎名「私もお前に任せる」

音無「…行ってみるだけ行ってみるか。この状況で何か企んでるわけじゃなさそうだし」

437: 2010/08/12(木) 04:00:35.29 ID:YdwXBMAO


―校庭外・花壇―

直井「貴様、一体どこまで連れて行く気なんだ」スタスタ

ゆり「もう少しでつくわよ」

椎名「あさはかなり…」

音無「…ん?おい、あの花壇の中に居るのって」

ゆり「天使!?」バッ

音無「そう身構えるな。おい、奏!」

奏「…結弦?」クルッ

音無「ゆりが面白いこと紹介してくれるってよ。そんな泥くせーことやってねーでお前も来い」

奏「でも、まだ花壇が…」

音無「んなもん後だ後だ」グイ

奏「あっ…」

438: 2010/08/12(木) 04:01:35.50 ID:YdwXBMAO


音無「まぁ、とりあえず謝っとけ直井」

直井「アナタがそう言うなら仕方ないですね。…悪かったですよ」ペコリ

日向「こうして直井も謝ってることだし、もーよくねぇかみんな?」

野田「いや、まだ主犯が頭を下げていない」

藤巻「そうだぜ…元はと言えば全員コイツのせいなんだからな」

音無「…フン」

ゆり「音無君のことは、リーダーである私が許すわ」

藤巻「なっ、いいのかよゆりっぺ!」

野田「俺達はそいつに!」

439: 2010/08/12(木) 04:02:20.33 ID:YdwXBMAO


ゆり「音無君は私を潰せと言っただけで、あなた達を殺せとは言っていなかった…違う?」

藤巻「そうだけどよ…」

ゆり「直井くんもちゃんと謝ったんだし、もういいでしょ?」

野田「ゆりっぺがそこまで言うなら、いいことにするが…貴様はいつか頃す!絶対に頃す!」

音無「…やってみろ」

ゆり「さぁて、みんな仲良く?なったことだし『モンスターストリーム』スタートよ!」

音無「普通に釣りって言えよ」

449: 2010/08/13(金) 03:54:38.31 ID:AE0NC2AO

―――

ワイワイ

ガヤガヤ

音無「何が楽しくて釣りなんぞせねばならんのかねー。しかも晩飯って何だよ」

ゆり「オペレーショントルネードでも良かったけど、それじゃあなたがすっきりしないでしょ?」

音無「しょーじき釣りも釣れなきゃスカッとしねーし」

ゆり「ほら、フィッシュ斎藤くんから釣り竿貰ってきなさいよ」

音無「やだよ、色々めんどい」

ゆり「ただ単に竹竿にルアーつけて水の中に放り込むだけでしょ」

450: 2010/08/13(金) 03:55:02.42 ID:AE0NC2AO


椎名「ならば音無」ヌッ

音無「うわっ、どっからわいてくんだよテメェは!」

椎名「この苦無を使ってみろ」ガシャ

音無「…こんなモンどっから仕入れたんだよ」

椎名「手作りだ」

音無「そっスか」

ゆり「釣り竿が面倒なら使ってみたらいいんじゃない?」

音無「これ、どうやって使うんだ」

椎名「こういう風に使うんだ」シュッ

バシャン ザクッ

魚「……」プカー

音無「…いや、それできるのお前だけださ」

椎名「できない奴にわざわざ渡したりしない」

451: 2010/08/13(金) 03:55:17.52 ID:AE0NC2AO


ゆり「(珍しいわね…椎名さんが自分から誰かを認めるって…)」

音無「チッ、後悔すんなよっ!」シュッ

バシャン!

…シーン…

音無「…ほれみろ、やっぱりなにm」

ザザザザ…

魚?「…」プカー

音無「何あれ?魚?魚なのか?」

ゆり「野田くん!?」

野田「……」ピクピク

音無「俺は悪くない。潜ってたソイツが悪い…だよな直井?」

直井「もちろんでございます」

452: 2010/08/13(金) 03:56:01.74 ID:AE0NC2AO


椎名「ぷっ…あはははは!」

音・直・ゆ「(…え?笑った?)」

椎名「やっぱりおかしいなお前は…」

野田「フッ、流石…俺様」プカー

椎名「お前には言ってない」シュッ

野田「ぐはぁっ」ザクッ

ゆり「それにしても今日の椎名さんはよく喋るわね」

椎名「そうか?」

ゆり「うん。いつもなら『あさはかなり』の一言で済ませちゃうから」

椎名「…飽きないからな」

ゆり「うん?」

椎名「あいつ、音無を見ていたらな。どうしても面白くて表情が緩んでしまう」

453: 2010/08/13(金) 03:56:22.80 ID:AE0NC2AO


ゆり「…やっぱり音無君は、ただの不良なんかじゃないわ」

音無「俺はお前らが思ってるほど、甘い人間じゃねぇ…」スタスタ

ゆり「…あれ一応照れてるのかしら?」

直井「愚民めが、あの硬派な音無が照れなどあるはずないだろ?ねぇ、音無さん…ってあれ?」


音無「…笑い話のネタにされたのは生まれて初めてだ」スタスタ

音無「でも不思議だ、意外と怒りは沸いてこなかった…」スタスタ

音無「何でだろうな?」

奏「…さぁ」ポツン

音無「いや、たまたまお前がそこにいただけで聞いたわけじゃないからよ」

454: 2010/08/13(金) 03:56:45.07 ID:AE0NC2AO


奏「…」

音無「お前は釣りしねぇのかよ?」

奏「あなたは?」

音無「質問を質問で返すな」

奏「私は…どっちでもいい」

音無「面倒くせーなオイ…まぁいいや、連れてきたのは俺なんだし釣りの仕方教えてやるよ」スッ

――


奏「こう?」

音無「そのまま川に糸を投げ込め」

奏「…」ブンッ

チャポン

奏「それから?」

音無「気長に待て」

奏「うん」

音無「(この様子なら放っといても大丈夫だな)」ザッ

455: 2010/08/13(金) 03:59:08.74 ID:AE0NC2AO


奏「ねぇ、結弦」ズルズル

音無「あ?」カチッ シュボッ

奏「何か川の方に引っ張られてるんだけど…」ズルズル

音無「そりゃお前の力が足りな…」クルッ

ズズズズズ…

音無「い…?」ポロッ

奏「これ、凄い力…」ズルズル

ザバーン!

音無「あいつ、落ちやがった!?」ザッ

斎藤「おい!今のは!」ダダッ

音無「え?…誰?」

斎藤「今女の子が釣り竿引っ張られて川に引きずりこまれただろ!?」

音無「ああ、ヤバいのか?」

斎藤「ヤバいも何も…川の主だったらえらいことになるぞ…!」

472: 2010/08/14(土) 01:16:06.90 ID:gJFFOQAO


斎藤「早くみんなに知らせ…」

音無「チッ」ダダッ

バシャーン!

斎藤「おい、お前氏ぬ気かっ!」

――

ゴボゴボ…

音無「(暗いな…一体どこまで潜ってやがんだ?)」

音無「!?」ゴボッ

奏「…」ゴボゴボゴボゴボ

音無「ガボガボガボッ!(釣り竿から手を離せ!)」ゴボゴボ

奏「ゴボッ?ガボガボガボ?(結弦?何て言ってるの?)」ゴボゴボ

音無「ゴボゴボ!ゴボゴボゴボ!(ったく面倒くせー!もう力いっぱい持ち上げろ!)」ガシッ

473: 2010/08/14(土) 01:16:26.81 ID:gJFFOQAO


奏「ゴボゴボ(力いっぱい?)」

音無「ゴボゴボ!(コイツを引き上げんだよ!)」コクリ

奏「ゴボ…(分かった…)」


―陸―

斎藤「遅いなあいつら…まさか主に食われたのか?」

ザッパァァァァァン!

斎藤「ぬおっ!こ、この水しぶきは…」

主「グォォォォォォォォッ!」ヒュルルルル

音無「馬鹿!自分まで引き上げんなよなっ!」ヒュルル

奏「力入れすぎた…」ヒュルル

主「グォォォォッ!」アーン

バクッ

斎藤「…あ、食われた」

バッシャアン!

斎藤「って、まずい!主の奴二人を食ったまま川に戻りやがった!」

474: 2010/08/14(土) 01:16:49.90 ID:gJFFOQAO


―主の腹の中―

音無「食われまったな…」

奏「そうね…」

音無「分かってるなら脱出するぞ、手を貸せ…」シャキンッ!

奏「それ…」

音無「お前のhandsonicみてーな奴だよ。ギルドん時一回見てるだろ?」

奏「うん。でも前見たときと形がちょっと違う」

音無「改良を重ねたV2だからな」

奏「じゃあ…私も」

音無「私も?」

奏「GuardSkill『handsonic』」シャキンッ

音無「それが…何かなったのか?」

奏「『V2』…切れ味とか高速制に特化したフォルム」シュキンッ

475: 2010/08/14(土) 01:17:10.67 ID:gJFFOQAO


音無「へぇ…お前も進化してんのか」

奏「まだ…GuardSkill『harmonics』」ヴヴンッ

音無「…たまげたな。流石に俺も分身まではできなかったよ」

奏(本)「それじゃあ…」

奏(赤)「溶かされる前にとっとと切り刻んでしまわなきゃね」ニコッ

音無「(何かコッチの方の奏は受け付けれないような気がする…)」


―陸―

斎藤「どうする、ゆり!」

ゆり「落ち着いて。別に消化されてしまってもまたしばらくすれば蘇るわ」

日向「胃の中で蘇ってもまた消化されるんじゃ…」

ゆり「今のは一般人の話よ…あの二人がそう簡単に消化されると思う?」

日向「ないな」

476: 2010/08/14(土) 01:17:37.18 ID:gJFFOQAO


ブシャアアアアアッ!

バタバタバタバタ!

ユイ「うぎゃあっ!血しぶきが川から降ってきましたよぉっ!」

ヒュルルルル…ドォォォンッ!

日向「うおお、すげぇ地響きだな…」ビリビリ

ゆり「一体何が落ちて…」

斎藤「それは川の主だ!」

日向「えーっ!こんなデカい魚に食われてたのかよ音無達は!」

ゆり「でも、肝心の音無君たちがいないみたいだけど…」

椎名「いや、川を見ろ」

477: 2010/08/14(土) 01:17:59.89 ID:gJFFOQAO


ザバザバ…

音無「うわ、ひっでぇ…魚の血まみれだぜ」バシャバシャ

奏「…」バシャバシャ

音無「お前白髪だから尚更目立ってんな…」

奏「大丈夫、後で修復しておくから」

音無「あれ?もう一人のお前は…?」

藤巻「おいおい何だありゃあ!」ダダッ

大山「ひょっとして川の主…ってうわっ!何で君たち血まみれなの!」

直井「貴様、音無さんに何をした!」

奏「何も…」

音無「落ち着けお前ら。ちょっとそこのデカい魚狩ってただけなんだからよ」

478: 2010/08/14(土) 01:19:26.19 ID:gJFFOQAO


ゆり「…コレ、どうする?」

音無「いや、川に返すが?」

ゆり「氏んでるのに?」

音無「あ…そうか。そいつのハラワタぶちまけて脱出してきたんだったな」

奏「ここで食べる?」

音無「決定」ポン

椎名「火と牧ならあるぞ?」

日向「ここに居る奴らじゃ食いきれないだろっ!」

音無「チッ、一々人の意見に茶々入れやがって」

日向「お前らの感性がおかしいからだろっ!」

直井「おい貴様…」

椎名「音無を侮辱しているのか?」

日向「何で椎名っちに怒られるの!?」

直井「…僕のセリフ取らないでください…」

479: 2010/08/14(土) 01:19:59.91 ID:gJFFOQAO


―――
――



日向「で、結局全校生徒に配るわけになるのな」トントントン

ユイ「いいじゃないですかー料理面白いし」トントン

直井「貴様ら包丁の手さばきが遅いぞ、もっと早く動かせ」

日向「何もしてねーお前には言われたかねーよ!」

直井「僕は神だぞ?なず神g」ゴイン

音無「馬鹿言ってねーでテメェもやれ」

直井「痛たた…音無さぁん、こんな奴らを手伝うんですか?」

音無「こっちがあのデカい魚の処理を手伝ってもらってんだよ、けじめはつけなきゃなんねーだろ」

480: 2010/08/14(土) 01:21:16.45 ID:gJFFOQAO


直井「はぁい…」スタスタ

音無「はぁ…やれやれ」クルッ

ゆり「音無くん」

音無「何だ?サツマイモならちゃんと揚げてあるから安心しろって」

ゆり「そんなんじゃないわよ!てか何でサツマイモなんてあるのよ!」

音無「裏の畑から取ってきた。魚と揚げた芋を一緒に食うとうまいんだぜ?」

ゆり「そう?じゃあいただこうかしら…っと危ない危ない、あなたのペースに巻き込まれそうだったわ」ブンブン

音無「はいはい、分かったから早く用件を言え」

481: 2010/08/14(土) 01:22:00.16 ID:gJFFOQAO

ゆり「ちょっと校舎の影の所まで来てちょうだい」グイグイ

音無「おい、まだ調理終わってないn」

―校舎の影―

ゆり「おほんっ!…それじゃ言うわよ」

音無「ああ」

ゆり「あのね、音無くん…」

音無「何だ?」

ゆり「私、その…あなたと」

音無「俺と?」

ゆり「二人きりで…一度真面目に勝負s」
奏(赤)「あら、どうどうと不純異性行為?」

ゆり「なっ、天使?」バッ

音無「違う……お前、あいつか」

奏(赤)「…GuardSkill『handsonic』」ニヤ

489: 2010/08/16(月) 02:28:00.69 ID:vg0G96AO
音無は漢なのでシ○ったりはしないとですよ。

―――

奏(赤)「おしおきね…」ザッザッ

ゆり「…音無くん、戦えるわね?」

音無「ああ」シャキンッ

奏(赤)「ふふっ」ダッ!

ゆり「来るわよっ!」

音無「分かってらぁ!」ブンッ

ガキィンッ!

キインッ!

キンッ!

ガァンッ!

音無「どうしたどうしたぁ?んなもんかよぉっ!?」キンッ

奏(赤)「チッ、しぶとい…」ガキィンッ

490: 2010/08/16(月) 02:28:38.83 ID:vg0G96AO


ゆり「隙ありっ!」ドンッ!

奏(赤)「GuardSkill『Delay』」シュンッ

ゆり「…消えっ!?」

奏(赤)「ふふ!」ビシュッ

音無「ラリアットォォッ!」ドゴォッ!

奏(赤)「ゴフッ!」ドサッ ゴロゴロ

ゆり「音無くん!」

音無「戦線メンバーのリーダー様ともあろうアマがだらしねぇな!」

ゆり「ごめんなさい、私もしっかり反撃するわ」

奏(赤)「…生徒会長に対しての暴力行為…あなた達には更なるおしおきが必要なようね」ヨロッ

491: 2010/08/16(月) 02:29:08.85 ID:vg0G96AO


――


音無「…おい、生きてるか?」

ゆり「片足をちょっとやられたわね…いたた」

音無「チッ、しょうがねぇ。肩貸してやるよ」ザッ

ゆり「ごめんなさい…」

奏(赤)「…ゴフッ」ピクピク

サァァァァ…

ァァァ…

ゆり「消えた…」

音無「元々分身だ。いつまでも残ってるほうがおかしい」ザッザッ


―グラウンド隅・洗面場―

ザッザッ

日向「ん?」

直井「あの髪型…音無さんと…仲村?」

藤巻「おいおいゆりっぺ!それに音無、どこに行ってたんだよ!」

492: 2010/08/16(月) 02:29:42.50 ID:vg0G96AO

野田「貴様っ!ゆりっぺとなに肩なんぞ組んで…」

ゆり「ちょっと、色々あったのよ」

日向「うおっ、その傷どうしたんだよっ?」

音無「天使と戦ってたんだよ…」

奏「…私はここにいるわ」

音無「もう一人のお前だよ」

奏「私は二人いるの?」

音無「今日分身した方のお前だよ」

奏「まだ…消えてなかった?」

音無「あぁ、そうd」

ズバッ!

音無「…だ…が…」フラッ

奏(赤)「ふふ…」ニヤ

直井「なっ!?天使!」

ゆり「音無くん!」

音無「心配するんじゃねぇよ…背中を斬られただけだ」

493: 2010/08/16(月) 02:30:20.36 ID:vg0G96AO

ゆり「分身が分身を使ってたのね…」

奏「フフッ」ダダッ

奏「GuardSkill『handsonic』」シュキンッ

奏(赤)「フッ!」ブォンッ

奏「…」ブォンッ


ザシュアァッ!

奏(赤)「…がはっ」ドサッ

音無「…いてぇ」ドクドク

奏「!?」

ゆり「音無くん」ダッ

音無「これで、奏と分身の相打ちは避けれただ、ろ…」ドクドク

ゆり「喋らないで!」

椎名「くそっ、今持ち合わせは傷薬ぐらいしか…!」

奏「…あなた、どうして!」バッ

494: 2010/08/16(月) 02:30:52.59 ID:vg0G96AO


音無「今ここでお前が氏んだら、あの分身を何とかできなくなるだろうが…」

奏「…結弦、ごめん…ごめんなさい!」

椎名「誰か!身体の大きい奴は音無を保健所まで運んでくれ!」

松下「任せろっ!」バッ

TK「O.K.!」バッ

高松「この筋肉、やっと本領が発揮できますね」スッ

ゆり「頼むわよ!松下くん、TK、高松くん」


日向「しっかしこの様子だとまだ天使の分身はいっぱいいんだろーな」

藤巻「そもそも何で分身なんて使ったんだよ?」

495: 2010/08/16(月) 02:32:56.87 ID:vg0G96AO


奏「…さぁ」

藤巻「さぁって!お前なぁ!?」バッ

奏「私にも分からないわ」

日向「音無の前じゃソコソコ話してたのに、やっぱあいつが居なくなったとたん、こうなんだなぁ…」

ゆり「ていうより、元々天使は口数少なかったでしょ?あんなに喋ってた方が不思議なくらいよ」

ゆり「(それにしてもおかしい…天使もこの世界の住人なら氏なない筈なんだけど…どうして音無くんは…)」

日向「…んでほんとこれからどうするよ?」

ゆり「みんな、今日は各自寮に戻って休んでちょうだい。いつまでもフラフラしてたらまた分身の天使に…」

496: 2010/08/16(月) 02:33:36.07 ID:vg0G96AO


椎名「私は朝まで音無のそばに居てやるさ」

ゆり「見張りなら松下くん達が…」

椎名「本当にあのガタイの大きい奴らがあのスピードに対応できると思うか?」

ゆり「無理…ね。でも大丈夫なの?いくら椎名さんとは言えあの凶暴な天使を…」

椎名「案ずるな、自分の身くらい自分で守れる」

奏「じゃあ、私も…私も結弦の看病してあげたい」

直井「それじゃあ僕もおt」

ゆり「あんたは催眠術かける前に氏んでるわよ」グイッ

日向「ほんじゃ…椎名っちと天使以外は解散ということで!」


497: 2010/08/16(月) 02:44:31.13 ID:vg0G96AO
とりあえずここまでです。

最後に音無は○コらない漢です

498: 2010/08/16(月) 02:50:08.82 ID:UB2Q3c2o
乙です!

大事なことだから二回言ったんですね。わかります。

音無「やべ、煙草切らしちまったぜ」【後編】

引用: 音無「やべ、煙草切らしちまったぜ」