506: 2010/08/18(水) 02:51:20.71 ID:EDtLgIAO
訂正とお詫び。
保健所→保健室でした。
音無「やべ、煙草切らしちまったぜ」【前編】
――――
―保健室付近―
椎名「良かったのか?」スタスタ
奏「何が?」スタスタ
椎名「夜中に出歩いたことなど無いんだろう?」
奏「正直眠いけど…私のせいだから」
高松「…うゥン」ウトウト
奏「…」テクテク
高松「はっ!?」バッ
高松「来ましたね偽天使!」ザッ
椎名「コイツは本物だ」
高松「あ、椎名さん…そうでしたか、これは失礼を」
椎名「今日は私と天使が見張りをしておく。お前達は休め」
保健所→保健室でした。
音無「やべ、煙草切らしちまったぜ」【前編】
――――
―保健室付近―
椎名「良かったのか?」スタスタ
奏「何が?」スタスタ
椎名「夜中に出歩いたことなど無いんだろう?」
奏「正直眠いけど…私のせいだから」
高松「…うゥン」ウトウト
奏「…」テクテク
高松「はっ!?」バッ
高松「来ましたね偽天使!」ザッ
椎名「コイツは本物だ」
高松「あ、椎名さん…そうでしたか、これは失礼を」
椎名「今日は私と天使が見張りをしておく。お前達は休め」
507: 2010/08/18(水) 02:51:48.64 ID:EDtLgIAO
―保健室―
TK「…」ガーッガーッ
松下「…」スピー
高松「皆さん、起きてください」ポンポン
TK「…Oh」ハッ
松下「うぉう、高松どうした?」ハッ
高松「今日は椎名さんと天使が見張りをしてくれるそうです」
松下「そうか、すまんな。流石に眠くなってきてな」スッ
椎名「任せておけ」
高松「それでは、後は任せましたよ。私達は失礼いたします」ガララッ ピシャッ
奏「結弦…」スッ
音無「…」
奏「息、してない」
椎名「臆するな。この世界に氏の概念は存在しない」
508: 2010/08/18(水) 02:52:48.83 ID:EDtLgIAO
椎名「それにただでさえコイツだ。すぐに目覚める」
奏「…うん」
音無「…」
奏「結弦、髪の毛が目に入ってる」
椎名「ピンがあればいいんだが、私は髪留めは基本的使わないからな…」
――
―
奏「…」スゥ
椎名「(やはり眠ったか…しかし無理もない、夜更かしなぞしたことなかったろうからな)」
椎名「そろそろ空が明るくなるが…音無、お前はまだ起きないのか?」
音無「…」
椎名「まだお前には子犬達の借りがある早く目覚めろ…いや、目覚めてくれ」
509: 2010/08/18(水) 02:53:28.18 ID:EDtLgIAO
――
ゆり「音無くんは依然眠ったままってわけね」
椎名「ああ。本来なら目覚めてもいい頃合なんだが…」
日向「何で音無は前髪オールバックになってんだ?その髪留めは誰のだよ」
奏「…」
ゆり「あなたのね」
奏「髪が目に入ってて痛そうだったから…」
直井「貴様、音無さんに何もしてないだろうなっ!」
奏「別に何も」
日向「お前は昨日からそればっかだな直井。ひょっとしてコレなのか?」スッ
直井「何だと?貴様氏ぬか?」
ゆり「やめなさいって、病人の前よ」
510: 2010/08/18(水) 02:54:10.06 ID:EDtLgIAO
藤巻「おめー何とかして分身戻せねーのかよ!」
奏「できるならもうしてる」
大山「何で自分の能力なのに戻せないの?」
奏「分からない」
直井「そもそも何故貴様は分身なぞ使った、これは答えられるだろ?」
奏「自分の身を守るためだけど…あの大きな魚から」
大山「血まみれだったのって…ひょっとして食べられてたの!?」
ゆり「その時に攻撃意志の強い分身ができちゃったのかもね」
直井「何にせよ早く貴様には早くアレをどうにかしてもらわなければ困ることに変わりはない」
511: 2010/08/18(水) 02:54:37.75 ID:EDtLgIAO
日向「分身が分身して今にも増殖してるかもな」ハハッ
高松「笑えませんね」
ゆり「それ、冗談めいて言ってるつもりだろうけど多分当たってるわよ」
日向「え…マジ?」
椎名「…あさはかなり」
ユイ「アホですね☆先輩」
日向「お前分かってんのか?陽動ん時にテメーも氏ぬ確率増すんだぞ?」
ユイ「いやいやいや!それ以前に絶対漏らしますから!」
日向「ったく何のための陽動だか…」
512: 2010/08/18(水) 02:55:03.72 ID:EDtLgIAO
直井「全く貴様は無能の極みだな。あの戦闘力を見なかったのか?」
日向「見てたよっ!」
直井「ならば分かるだろう。奴の前では陽動など十秒と持たずに全滅だ」
大山「でも天使はもう生徒会長じゃないはずだよ?」
直井「そんな愚問わざわざ口に出すな」
椎名「問題はあの偽天使が『自分が生徒会長』だと勘違いしているのか、違うと分かっていて演技をしているか、だ」
直井「勘違いならばいいが、もしも気づいていて演技を続けているのならば…何か目的がある筈だ」
513: 2010/08/18(水) 02:55:31.38 ID:EDtLgIAO
藤巻「お前らすげぇな…よくそこまで考えられるモンだ」
日向「くそっ、椎名っちに知的キャラは似合わねーっ!アホに戻ってくれっ!」
椎名「(いや、適当に言ったら的を得ていただけだが…)」
直井「貴様の脳が足りてない証拠だ」
ユイ「隊長!ユイにゃんには何が何だかさっぱり分かりません!」ビシッ
ゆり「とにかく…簡単に纏めると偽天使は何かを企んでいて私達が邪魔、ということね?」
直井「大体あっているが本当に僕達に授業を受けさせたいのか、邪魔だから受けさせたいのかは不明だな」
514: 2010/08/18(水) 02:56:44.29 ID:EDtLgIAO
ゆり「…とりあえず、今日一日みんなは真面目に授業を受けるフリをしてみて」
直井「偽天使の反応を伺うのか?」
ゆり「いいえ、悪魔でフリだからあなた達に一時真面目に見せておく役目を買ってもらいたいのよ」
藤巻「ゆりっぺはどこ行くんだよ?」
ゆり「ちょっとこの子を連れて分身の攻略法を調べようと、ね」スッ
奏「…」
直井「ま、僕は僕で好きにさせてもらいますがね」
ゆり「それじゃあ…オペレーション、スタート!」
521: 2010/08/19(木) 03:42:48.36 ID:0plFY6AO
―保健室―
音無「……ん」
音無「はっ!?」ガバッ
音無「…ああ、そういや俺、氏んだんだったな」
音無「今は誰もいねぇ…のか」キョロキョロ
音無「そうだ、俺の短ランは」
椎名「お前の短ランは穴が空き血まみれだったから処理させてもらった」
音無「もう驚かねぇけどさ。お前、気配消すのやめろ」
椎名「ようやく目覚めたか?」
音無「おかげさまでな…直井達はどこに行った?」ムクッ
椎名「偽天使の目を欺くために授業を受けるフリをしている最中だ」
522: 2010/08/19(木) 03:43:18.58 ID:0plFY6AO
音無「あれ、じゃお前は?」
椎名「お前の警護だ」
音無「ああ、そりゃ悪かったな…よっこらしょ」
椎名「そのパジャマで行く気か?」
音無「他に服がねーだろ。短ランは処理されちまったし、っていつ俺にパジャマ着せたんだよ!」
椎名「一応変わりの服があるが、どうする?」
音無「着れりゃ何でもいい」
椎名「持ってくる…そこで待っていろ」
――
―
音無「確かに何でもいいって言ったけどよ…」
椎名「よく似合ってるじゃないか」
音無「何でSSSの奴らの制服なんだよ!しかもこのブレザー、ダセェェっ!」
523: 2010/08/19(木) 03:45:01.25 ID:0plFY6AO
椎名「私のように改造するか?」
音無「そういやお前の制服も何か露出度高めに改造してやがるな…お前アレなのか?」
椎名「変な勘違いをするな、ただ動きやすくしてあるだけだ」
音無「まぁいい、とっとと改造するぞ」
カンカンカン
チクチクチク
チョキチョキチョキ
ドドドドドド
音無「…できた」
椎名「そのズボン、やけに幅が広くないか?」
524: 2010/08/19(木) 03:45:36.96 ID:0plFY6AO
音無「ドカンってんだよ」
椎名「ほう…そのブレザーの裾を切り刻んでみてはどうだ?」
音無「それカッコよくね?」
椎名「だろ」
音無「ついでにワイシャツも黒に染めちゃおうぜ」チョキチョキチョキ
椎名「ネクタイは赤と黒のボーダーに染めてみろ」
―――
椎名「…もはや、原型を留めていないが、似合っているぞ」
音無「パンクだな」
ガララッ
ゆり「…」
音無「あ」
椎名「あっ……さはかなり」
525: 2010/08/19(木) 03:46:15.68 ID:0plFY6AO
ゆり「それってまさか…SSSの制服?」
音無「ちょっと拝借しただけだ」
ゆり「もう原型留めてないじゃない!…あなたSSSに入る気?」
音無「まさか…短ランが処分されちまったから、新しいの作らせるまでの変わりだ」
ゆり「そう、分かったわ。それより調子はどう?」
音無「すこぶる好調だが?」
ゆり「なら良かったわ、一時はどうなるかと」
音無「あれ?お前は授業に参加しねーのか?」
526: 2010/08/19(木) 03:46:42.88 ID:0plFY6AO
ゆり「私はちょっと天使とすることがあったから」
奏「…」テクテク
音無「奏?」
奏「結弦、ごめんなさい」ペコ
音無「俺が勝手に飛び出してっただげだしお前は関係ねーよ」
奏「でも」
椎名「ん?お前、それは新しい髪留めか?」
奏「あ、うん」
音無「髪留め?」
椎名「今、お前の前髪をあげているものだ」
音無「本当だ…いつの間に?」サッ
椎名「昨日の夜だ」
音無「悪いな、返しとくぜ」スッ
奏「いや…それはいいの。あなたが持っておいて」
527: 2010/08/19(木) 03:47:57.50 ID:0plFY6AO
音無「そうか?…ならいいが」
ゆり「そろそろ授業が終わる時間帯か…みんなのおかげね」
音無「じゃあ、あの偽天使は…」
ゆり「もうみんな消滅したわよ」
椎名「どうやったんだ?」
ゆり「この子がまた『harmonics』を使えば新しいプログラムが作動して分身が元に戻るようにしたの」
音無「ほう、じゃあもう解決したってことだな」
奏「うん」
直井「いや、ちょっと待ってもらおうか」ガララッ
528: 2010/08/19(木) 03:48:35.51 ID:0plFY6AO
音無「直井?」
直井「音無さん、目が覚めたんですね…よかった」
ゆり「待ってって、どういうこと?直井くん」
直井「解散したあとちょっと気になってお前達の後を付けていったんだ」
直井「そこで催眠術を使い女のNPCに天使の部屋での会話を盗聴させ僕も聞かせてもらった」
直井「話はもう一度『harmonics』を使うと分身が全て『消える』のではなく天使自身に『戻る』のだったな?」
ゆり「うん、そうだけど」
直井「じゃあharmonicsを使った時点で天使はどうなった?」
529: 2010/08/19(木) 03:49:28.71 ID:0plFY6AO
ゆり「いや、普通だったわよね?」
奏「…」コク
直井「天使は分身が分身をし増殖していた…この意味が分かるか?」
音無「…おい、まさか」スススッ
直井「さすがです。気づいたようですね、音無さん」
椎名「どういうことだ?」
直井「PCに一つのフォルダがあるとする。このオリジナルフォルダからどんどん別のフォルダをコピーしていく」
直井「最終的にコピーしたフォルダを全てオリジナルのフォルダに戻したらどうなる?」
ゆり「そんなもの、オリジナルフォルダの容量が増えてるに…」
530: 2010/08/19(木) 03:50:55.12 ID:0plFY6AO
ゆり「…え?それってまさか」
奏「…」チッ
椎名「コイツっ!」サッ
直井「やはりな…分身が分身をしていたならば、またその分身も分身をしている筈だ」
直井「それ程多い数の分身が『消える』のではなく一人に『戻る』というのに何の副作用もないとはおかしいですよ」
奏(赤)「正解者に拍手」パチパチ
音無「…いつから入れ替わった?本物の奏はどこにいる?」
奏(赤)「いつどこでしょうね?それはこれから氏ぬあなたたちに答える必要はないわ」シャキンッ
音無「ちっ、病み上がりだってのに…」
537: 2010/08/20(金) 02:31:34.89 ID:1kkS6MAO
奏(赤)「ふふっ」ダッ
ゆり「来るわよ!」
奏(赤)「ふっ」ブォンッ
音無「うおっと(以外に遅いな)」ヒョイ
奏(赤)「…ちっ!」ブンッ
音無「あぶねっ」ブリッジ
奏(赤)「…いい加減に」ビュンッ
音無「おせぇっ…」スッ
音無「カポエイラッ!」ドカドカッ!
奏(赤)「うっ」ゴッ
ガシャァァンッ!
ゆり「…あなた前から思ってたんだけどムエタイか何かしてたの?」
音無「我流だ、我流」
ゆり「本当に我流であの偽天使を圧倒できるものなのかしら?」
538: 2010/08/20(金) 02:32:37.18 ID:1kkS6MAO
椎名「やはり、強いな…音無」
ゆり「あなた、生前はターミネーターだったのかしら?」
音無「人間だったハズだ!」
ウワァァァッ!オトナシサァァァァン!
音無「しまった!直井忘れてたっ!」
直井「助けてください音無さぁん!」
奏(赤)「動かないで…動けば彼がどうなるか」スッ
ゆり「いや、てかこの世界じゃ氏んでも蘇るんだし別にいいんじゃない?」
椎名「だな」
音無「ああ、そうだったな」
539: 2010/08/20(金) 02:33:07.28 ID:1kkS6MAO
直井「それは酷すぎますよ!」
音無「まぁそうだよな。せっかく真実を推理してくれた直井を見捨てるわけにはいかねーよな…」
ゆり「仕方ないわね」
椎名「不覚」
音無「…もう抵抗しねーから、直井を離せよ」
奏(赤)「ふふ、みんないい人ね。それじゃあ…そこのあなたと交換」スッ
音無「オラ、頑張ってこいゆり」
ゆり「指差されてるのはどう見てもあなたでしょうがっ!」
540: 2010/08/20(金) 02:40:41.19 ID:1kkS6MAO
音無「わーってるよ」ザッ
奏(赤)「ふふ」
直井「すいません、音無さん」
音無「お前は立派に務めを果たした…それでいい」
直井「ご迷惑を…おかけします」ギリッ
奏(赤)「あなたにはちょっと来てもらいたい場所があるの…ついてきて」
奏(赤)「それから私の前を歩いて」
音無「へいへい…」ザッ
椎名「音無」コソッ
音無「何だ?」
椎名「必ず後で助けに向かう」ボソボソ
音無「俺は平気だから心配すんなよ」
541: 2010/08/20(金) 02:41:00.64 ID:1kkS6MAO
奏(赤)「何をしてるの?早く行くわよ?」ガラッ
音無「わかったわかった」スタスタ
奏(赤)「あ、ちょっと待って…『harmonics』」ヴンッ
奏(赤2)「…」
ゆり「更に分身した…?」
音無「おいおい、そいつひょっとして監視係かよ」
奏(赤)「あなた達にも動かれて困るから、ここでじっとしててね」ピシャッ
奏(赤2)「ふふ…」
ゆり「…一刻も早くも、戦線メンバーを集めて音無くんを追いかけたいけど」
椎名「この偽天使が邪魔だな」
直井「さて、どうするか」
542: 2010/08/20(金) 02:41:36.77 ID:1kkS6MAO
奏(赤2)「…ここからは出させないからね」シャキンッ
直井「(どうしたものか…この二人は戦闘専門で頭の回転はよくなさそうだしな…)」
ゆり「やっぱり強行突破?」
椎名「隙を見て不意打ちとか…」
直井「(そもそも音無さんが連れて行かれたのは足手まといの僕のせいなんだから)」
直井「(ここは僕がやらなきゃならないんだ!)」
直井「お前達、ちょっといいか?」
ゆり「何?今強行突破の方法考えてたんだけど?」
543: 2010/08/20(金) 02:42:15.00 ID:1kkS6MAO
直井「そんなことしても無駄に生傷を増やすだけだ、もっといい方法がある」
椎名「…見せてもらおうか」
直井「お前達は奴の隙を見たらすぐにトドメをさすんだ」
ゆり「オーケッ」
直井「(やるか…)」スッ
奏(赤2)「何?」
直井「ちょっとそこで顔を洗わせてくたさい」
奏(赤2)「…いいよ」
直井「(よし、当然洗面台には鏡がついているな)」キュッ ジャアアアア
ゆり「顔なんて洗ってどうするつもりかしら?」
544: 2010/08/20(金) 02:42:49.24 ID:1kkS6MAO
奏(赤2)「…」
直井「(鏡越しで分かる…やはり天使は僕を見ている)」バシャバシャ
直井「(やるなら、今!)」キュッ
奏(赤2)「終わった?」
直井「…さぁ気づくんだ。君の脚には骨が無い、その事実に早く」キィィィン
奏(赤2)「!?」ガクッ
直井「……」ニヤ
ゆり「え?偽天使の脚がふにゃふにゃになっちゃった」
椎名「ゆり!」
ゆり「あ、うん!」バッ
ドスッ! バァァンッ!
奏(赤2)「がはっ…」ゴフッ
ドサッ
ゆり「これで見張りは消えたわね」
545: 2010/08/20(金) 02:43:19.78 ID:1kkS6MAO
椎名「しかし…鏡越しにお前の顔みていた偽天使に催眠術をかけるとはな」
ゆり「なかなかやるじゃない」
直井「ただ僕は自分の失態を償っただけだ…それより」
キーンコーンカーンコーン
ゆり「授業が終わったようね」
直井「丁度いい。直ちに戦線メンバーを全員召集して音無さんと偽天使の行方を追う必要がある」
―――
日向「うーっす、音無起きたか?」ガラッ
ユイ「あ、先輩が最後ですよーもう」
日向「おう。あれ…今ここに音無居なくないか?」
ゆり「ん?音無くんなら連れ去れちゃったわよ」
日向「そうか…ってマジかよっ!?」
550: 2010/08/22(日) 01:52:28.20 ID:oKGiZwAO
日向「何でお前らそんな冷静でいられるんだよっ!」
ゆり「他の人ならともかく、だって音無くんだし…」
藤巻「あいつならそう簡単にくたばんねーだろ」
日向「あの偽天使は仮にも天使並の力を持ってるんだぞ!?」
ゆり「ギルドの時、実際オリジナルの天使にも音無くん勝ってるし」
日向「じゃあ何で連れ去れんだよ!」
ゆり「直井くんを人質に取られて代わりに音無くんと交換しろ、って」
日向「お前のせいか」
直井「フン、貴様がいたとしてもどうせ同じだろう…いや役にもたたないな」
551: 2010/08/22(日) 01:53:36.42 ID:oKGiZwAO
日向「なにぃ?」
ゆり「よしなさいよ。それより今から偽天使の動向を探るわよ」
―学習棟A・1F―
TK「Are you know?」シュビッ
女子A「ザッツライト」グッ
―体育館―
ゆり「ここで見た、と言う情報が多数寄せられたわ」
日向「体育館で何するってんだよ」
ゆり「馬鹿ね、ギルドよギルド」
高松「またですか」
大山「僕、さっき森の近くで偽天使を見たんだけど…」
野田「あんな奴の為に行くことないと思うが?」
日向「しょーがねー、面倒くせーけど行ってみっか」
高松「彼なら大丈夫でしょうがオリジナルの天使は…」
大山「みんな聞いて」
552: 2010/08/22(日) 01:54:00.17 ID:oKGiZwAO
―体育館裏・森―
奏(赤)「…」ザッザッ
音無「どこに連れてく気だよ?」ザッザッ
奏(赤)「黙ってあるいてて」
音無「どう連れてくんだろ?ならいいじゃねーかもったいぶんなよ」
奏(赤)「あなたは自分がどういう立場か分かってないようね…いいわ」
音無「…」ピク
奏(赤)「ギルド、だっけ?そこに私達のオリジナルもいる」
音無「そりゃどう…もっ!」クルッ
奏(赤)「!」
553: 2010/08/22(日) 01:54:22.73 ID:oKGiZwAO
音無「ローリングソバッ!」ビシュ
ドカッ!
奏(赤)「うっ…」ドサッ
音無「それさえ聞きゃ用はねぇ。あばよ!」ペッ
奏(赤)「あなた最初からっ…」ズル
音無「オリジナルでもねぇテメェに負けるかってんだ」ザッ
奏(赤)「ふ…ふ、一つ良いことを教えてあげる」ズルズル
音無「あ?」
奏(赤)「そ、そこから真っ直ぐ行った大きな木の下の間から…ギルドに行けるわ…」ズル
音無「体育館の下から以外にもあんのか?」
554: 2010/08/22(日) 01:54:45.87 ID:oKGiZwAO
音無「しっかし何で俺にそんなことを教えるのかね?罠だろテメェ」
奏(赤)「本、当よ…ふふ…」ガクッ
音無「気絶したか…。何考えてんのか知らんが、まぁいいや」クルッ
音無「あばよ」ザッザッ
奏(赤)「……」パチッ
音無「あのーきなんのき♪」ザッザッ
奏(赤)「…」スクッ
音無「あの木だな」
奏「…」ヒタヒタ
音無「さて、堕天使狩りといきますか」
奏「ニヤ」シャキンッ
555: 2010/08/22(日) 01:55:08.83 ID:oKGiZwAO
奏(赤)「ふふっ!」ビシュッ!
音無「首が痛ぇな」コキッ
奏「!」スカッ
音無「ほっ」パシ
音無「変形エアスプレーンッ!」グルグル
奏(赤)「…(眼が回る)」
音無「そぉれぃっ!」ブォンッ!
ドッシィィンッ!
奏(赤)「がはっ!」ゴフッ
音無「男の直井でさえ肋骨が二、三本いっちまった技だ。女でただでさえ体の小さいお前が食らえば…」
奏(赤)「う…ぁ…っ」ズルズル
556: 2010/08/22(日) 01:56:26.42 ID:oKGiZwAO
奏(赤)「いた…い…いたいよ」ズルズル
音無「…」
奏(赤)「う…」ガクッ
音無「…何か気が引けるな。でもやらなきゃ俺が氏んでたし」
音無「つか、またさっきみたいに蘇るかもだし」ツンツン
奏「…」シーン
音無「チッ、こんなの何回もやってられっか。とっととオリジナルの奏連れ帰ってクソして寝るべ」ザッ
―地下通路1F―
奏(赤)「…」
音無「…」
奏(赤)「hands…」
音無「寝てろ」パカンッ
557: 2010/08/22(日) 01:58:19.87 ID:oKGiZwAO
奏(赤)「いた…い…いたいよ」ズルズル
音無「…」
奏(赤)「う…」ガクッ
音無「…何か気が引けるな。でもやらなきゃ俺が氏んでたし」
音無「つか、またさっきみたいに蘇るかもだし」ツンツン
奏「…」シーン
音無「チッ、こんなの何回もやってられっか。とっととオリジナルの奏連れ帰ってクソして寝るべ」ザッ
―地下通路1F―
奏(赤)「…」
音無「…」
奏(赤)「…」
音無「寝てろ」パカンッ
569: 2010/08/23(月) 03:22:08.86 ID:9Z3AS6AO
―地下通路2F―
奏(赤)「ここから先は…」シャキンッ
音無「させねえよ」ガッ
奏(赤)「うっ…ああっ!」ギリギリギリ
音無「どうだ?よく利くだろ、握力140kgのアイアンクローは?」
奏(赤)「それ…あのフリッツ以上…じゃ」ガクッ
音無「フリッツ?誰だよ」パッ
ドサッ
―地下通路10F―
音無「ここまで同じようなやり取りが9回…そろそろ飽きてきたな」
奏(赤)「じゃあ諦めたら?」
音無「抜かせ」パカンッ
570: 2010/08/23(月) 03:22:34.75 ID:9Z3AS6AO
―地下通路?F―
音無「この階にはいないな…。そろそろ本気で飽きてきたから丁度…」
ザワザワ
ザワザワ
音無「あ?こんな地下から人の声?しかも複数…偽天使の大群でもいるのか」
音無「チッ、こうなりゃまとめてバーゲンしてやらぁ」スタスタ
椎名「…足音!そこかっ!」ビシュッ
音無「ぬおっ!」パシッ
椎名「その声…音無なのか?!」
ゆり「そこに音無くんがいるの?」
音無「あぶね、いきなり小太刀投げる奴があるかっ!」
571: 2010/08/23(月) 03:23:27.48 ID:9Z3AS6AO
椎名「すまん」
音無「てか何でお前らもここに…」
ゆり「ギルドに偽天使が一杯居るって聞いたから…あなたここに連れてこられたんじゃないかって」
音無「厳密には自分からここに来たんだけどな」
ゆり「自分から?あなたを拉致った偽天使は?」
音無「エアプレーンで倒した」
ゆり「…相変わらず非常識な人ね」
音無「そういや他の奴らはどうした?直井は?」
572: 2010/08/23(月) 03:23:51.15 ID:9Z3AS6AO
ゆり「尊い犠牲となったわ…」
音無「ああ、大体予想できる」ポン
ゆり「因みに直井君は偽天使が用意した子犬の誘惑に椎名さんが打ち勝つ為の犠牲になったわ…」
椎名「(実はゆりが『この前の恨み』って蹴り飛ばしたんだが…)」
音無「やるな、直井。さすが俺の舎弟」
?「いい加減にどかんかーい!」
音無「床が動いたっ?」トッ
ユイ「床じゃねーっ!」スクッ
音無「俺いつからお前の上にいた?」
ユイ「『ぬおっ!』」
573: 2010/08/23(月) 03:24:22.30 ID:9Z3AS6AO
ユイ「らへんですね」
音無「マジで気づかなかった…」
ユイ「おかげで制服の後ろにくっきり先輩の足跡が!」
音無「わーった、はたいてやるから」バシンバシン!
ユイ「いったぁぁーっ!この馬鹿力、もうちょっと優しくできんのかい!」
音無「ん、何か言ったかい?僕が…馬鹿だって?」グググッ
ユイ「ず、ずみ゛ばぜん゛でした…」ガクガク
ゆり「まるでピクニックね…」
椎名「…」ムスッ
ゆり「どうしたの椎名さん?」
椎名「…何でもない」
574: 2010/08/23(月) 03:26:45.96 ID:9Z3AS6AO
ゆり「(もしかしてもしかすると…椎名さん…)」
音無「お遊びは終わりだ、早く最深部へ行くぞ」ザッ
椎名「アレはどうすんだ?」スッ
ユイ「痛いですぅ…」シクシク
音無「アレはほっとけ」
椎名「そうするか」
ゆり「じゃ、行きましょうか」
ユイ「ちょっと、この扱いあんまりじゃないですか!?」ガバッ
ゆり「この先あなたが来ても足手まといよ。それとも偽天使の囮になる?」
575: 2010/08/23(月) 03:28:04.44 ID:9Z3AS6AO
ユイ「う…それは」
ゆり「悪いことは言わないからここで待ってなさい」
ユイ「でもこんな怖い所で…一人でですか?あの怖い天使も出るかもしれないのに?」
ゆり「だって、音無くんも椎名さんも天使と互角以上に渡り合える重要な人材だし…」
ユイ「じゃあゆりさん残ってくださいよっ!」
ゆり「無理ね…偽天使の新しいガードスキルに対応できるのは私だけだし」
音無「新しいガードスキル?」
576: 2010/08/23(月) 03:28:27.67 ID:9Z3AS6AO
ゆり「『howling』とかいうやつ。ここまで使ってこなかったから恐らく最深部にいる偽天使だけが持っている技」
音無「その対策方法は事前に調べていたお前しか持ってないってワケか」
ゆり「ご名答よ」
音無「なら俺が残る」
ユイ「…へ?」
ゆり「えっ?」
椎名「何故だ?」
音無「最後の偽天使はゆりにしか相手できない…ならその間に椎名がオリジナルの奏を助ければいい」
ゆり「ここでせっかく得たあなたという戦力を失うのは…」
577: 2010/08/23(月) 03:28:50.68 ID:9Z3AS6AO
音無「安心しろ。ここが安全だと分かったらすぐに駆けつけるからよ」
ゆり「…うん、分かったわ」
椎名「…お前が言うなら」
ユイ「先輩…」
ゆり「じゃあ先に行って待ってるわね」タタッ
椎名「一足先に行く。最深部にて待つ」ザザッ
音無「ああ、また後でな」
―――
ユイ「…」
音無「ふわぁ~あ」ボキボキ
ユイ「あの、先輩…」
音無「何だよ?」
ユイ「私、先輩のことちょっと誤解していたかもしれません」
578: 2010/08/23(月) 03:29:13.71 ID:9Z3AS6AO
音無「はぁ?何を今更かしこまって…」
ユイ「前に先輩が私を人質に取ったことありましたよね?」
音無「ああ、何かあったねそんなん」
ユイ「あの時先輩から鳩尾にパンチされましたけど、力が抜けただけで全然痛くなかったし…」
音無「知らねーよ。位置をミスっただけだっつの」
ユイ「あれって絶対パンチに見せかけたツボ押しですよね?」
音無「知らん」
ユイ「それに昔の先輩ならさっさと行っちゃいそうなイメージでしたけど、今も一緒に居てくれてるし」
579: 2010/08/23(月) 03:31:39.37 ID:9Z3AS6AO
音無「さっきから何が言いたい?」
ユイ「何もっ☆」
音無「…もうここらは大丈夫なようだし、行くからな」スクッ
音無「(コイツ一人でも大丈夫だったんじゃね?…骨折り損のくたびれもうけだな)」
ユイ「あ、私も行きます」
音無「足手まといに…」
ユイ「ならないように気をつけます!」
音無「チッ、勝手にしやがれ」
―ギルド最深部―
ガキン!キンキン!
キュインッ!カキィンッ!
ゆり「はぁっ!」シャッ
奏(赤)「ふっ」シュッ
キィィンッ!
音無「おお、やってるやってる」
584: 2010/08/25(水) 02:09:25.46 ID:z2j.cQAO
ゆり「音無くん!来てくれたのねっ」ガキィンッ!
音無「で、俺は何をすればいい?」
ゆり「今椎名さんがオリジナルの天使を探してるから、手伝って」キインッ!
音無「ああ」ダッ
奏(赤)「させない…」
ゆり「おっと、あんたの相手は私でしょ?」ザッ
奏(赤)「邪魔。…Guard Skill『howling』」キィィィィンッ!
音無「(音波攻撃か?でも無敵の三半規管の俺には利かないな)」ダッダッ
ゆり「♪」
奏(赤)「あれ?どうして二人共」
585: 2010/08/25(水) 02:09:47.38 ID:z2j.cQAO
ゆり「え?何?聞こえない(AA略)」
奏(赤)「…」ピキッ
音無「(ゆりの奴、何て顔してやがる…あれが女の顔かと疑いたくなる)」タッタ
音無「おい椎名!どこだ!」タッタッ
キンッ
音無「金属音…?ゆりと偽天使のやり取り、じゃない。もう一つのだ」
カキンッ キンッ
奏「チッ、しぶとい」ザザザ
音無「まだ居たのか?!アレで最後じゃなかったのかよ」スッ
椎名「コイツはオリジナルだ」ザザッ
586: 2010/08/25(水) 02:10:07.96 ID:z2j.cQAO
音無「椎名っ!…ってお前…片腕…」
椎名「私があさはかだっただけだ。それに時期に治る…そんなことより」
奏「また増えた」
音無「アレはオリジナルの奏ってか?」
椎名「分身の奴らとは眼が違う、間違いない」
音無「…何でオリジナルの奏が攻撃してくんのか知らねーが、大人しくさせて吐かせりゃいいか」バキボキ
椎名「そう簡単に言うな。今の奴の戦闘力は元の天使のおそらく倍以上だ…」
音無「何で?」
椎名「いつもは天使と互角の私が全く太刀打ちできない。時間稼ぎで精一杯だ」
587: 2010/08/25(水) 02:10:31.36 ID:z2j.cQAO
音無「まぁいいや、じゃお前は休んでな。俺一人で充分さ」
椎名「無茶だ」
奏「お喋りは終わり?じゃあおしおき再開ね」ダッ
音無「とりあえずお前は休んでろ」ドン
椎名「うおっ!」ドサッ
奏「ふふ」ビシュッ
音無「クロスカウンターッ!」
ドグシャッ!
奏「…かっ」ブパッ
ドサリ
椎名「…」
音無「完」
椎名「…これは夢か。おい音無」
音無「何だよ、弱かったじゃん」カチッ
椎名「私の頬をつねってくれ」
音無「頬を?わーった」シュボッ
588: 2010/08/25(水) 02:10:53.39 ID:z2j.cQAO
ギュゥゥゥ
椎名「痛っ!夢じゃない…」
音無「さっきら何寝ぼけたこと言ってんだよ」スパー
椎名「いや、あの天使をたった一発で倒したお前が信じられなくてな」
音無「確かにいつもの奏より速かったけどよ…速けりゃその分カウンターしやすくなるんだよ」
椎名「化物かお前」
音無「今更だな」
奏「う…あなた…」ボタボタ
椎名「っ!」
音無「驚いた、まだ意識あったのか」
589: 2010/08/25(水) 02:11:40.00 ID:z2j.cQAO
奏「この娘の身体に、平気で攻撃しちゃっていいの?身体はコピーじゃなくオリジナルのものよ?」ボタボタ
音無「やっぱコピーされたテメェが意識を乗っ取ってやがったのか…どおりで身体のリミッター外してたハズだ」
奏「面倒だったわ…無理やりharmonics使わせて予備にコピーした数百もの私で乗っ取ろうとしてるのに、この娘まだ抵抗するんだもの」
音無「あ?何でテメェ奏がharmonics使ったらコピーのお前らが元に戻るって知ってんだよ?」
奏「ゆりと一緒に居た私は私のコピー。コピーはコピー同士で意識を共有できるって言わなかった?」
音無「奏が抵抗したんなら何でテメェらは消えねーんだよ?」
奏「仕方ないから数千に増やしたら、案外あっけなくこの娘の意識を乗っ取ることができたわ」
590: 2010/08/25(水) 02:12:12.79 ID:z2j.cQAO
奏「その時はさぞかし苦しんでたわね、この娘」
椎名「何と冷酷な…」
音無「…」
奏「私をいくら傷つけたところでこの娘の元の意識はもう戻らないわ」
音無「ふん!」ゲシッ
奏「痛っ!だから治ら…」ドサッ
音無「オラオラオラオラ!」ドドドド!
奏「ちょっゴフッ人の話、きいて…」
音無「聞こえるか奏ー?テメェ乗っ取られてんだぞー?」ゴッガッ
奏「聞こグフッ、えるわけ、ガハッ、ない…ゴハッ!」
591: 2010/08/25(水) 02:12:41.14 ID:z2j.cQAO
―――
奏「…」
奏「…あれ?ここどこだっけ?」
奏「私は、誰だったかしら…」
ビキッ
奏「痛っ!」ゴフッ
奏「…何これ。なんで吐血なんか」
…キコエルカー!
ヘンジシロー!
奏「これは誰の声?…でも」
奏「私はこの人の声を知っている…確か生きてた時に私がとても懐いてた人」
オキロォォォ!アサハトックニスギタワァァ!
奏「…」ゴフッ
ボタボタ
奏「私、今ひょっとして殴られてる?」
―――
592: 2010/08/25(水) 02:13:29.42 ID:z2j.cQAO
椎名「流石にやりすぎた!」バッ
音無「止めんじゃねぇ!まだ元の奏の意識が戻るまではやめねぇぞ」グイッ
奏「…痛いよ結弦」
椎名「!」
音無「…」パッ
奏「おかげさまで顔が痣だらけ…すぐに治るからいいけど」
音無「今…元のお前に戻ったのか?」
奏「うん。結弦の声、聞こえてた…よ」フラッ
ポスッ
奏「…」スースー
音無「よく頑張ったよ、お前は」ポン
ゆり「音無くーん!こっちの分身が消えちゃたんだけど。ひょっとしてもう終わっちゃった?」
音無「終わったよ…ユイの奴も上で待ってるだろうし、引き上げよう」
604: 2010/08/26(木) 03:14:26.86 ID:P/eNAEAO
――
音無「て、言うことがあったんだ」
関根「へぇ~」
入江「怖くなかったんですか?」
音無「仮にも俺だからな。てかお前らは何やってたんだよ」
関根「私達は陽動班だからねー」
入江「陽動が必要じゃない時は基本的に休みなんです」
音無「ほぉー」
ひさ子「問題はそこじゃねぇだろ…」
音無「何だお前も来てたなら来てるって言えよ」
ひさ子「ここは『女子寮』だ!!」
605: 2010/08/26(木) 03:15:17.29 ID:P/eNAEAO
音無「…だから?」
ひさ子「『だから?』じゃない!何普通に溶け込んでんだよ!」
音無「だってよぉ、直井と椎名はSSSの奴らと会議中だしよ。奏は目を覚まさないし(俺が殴ったせいもあるが)」
ひさ子「SSSに入ったならお前も会議に参加すればいいだろ」
音無「冗談、いつ入った何て言った?」
ひさ子「既に原型じゃない改造具合だがSSSの制服を着てるじゃないか」
音無「一度は入ろうか、と血迷った時期もあったがやっぱダメだ」
ひさ子「何でだよ?」
音無「実行部隊がカスすぎて笑える」
606: 2010/08/26(木) 03:15:45.17 ID:P/eNAEAO
音無「まぁ、唯一俺から見て使えるのがゆりぐらいだな」
ひさ子「椎名は?」
音無「椎名は俺の仲間だぜ?つまり『俺の仲間=戦力』だ」
関根「音無さんが入りゃ戦力一気に増加したりして?」
音無「足引っ張られるのは御免だ」
ひさ子「そうか…で、どうしてお前はここにいる?」
音無「たまたま一人で飯食ってたらこの二人に会って、その後暇だったから来たんだよ」
関根「うむ」
入江「私達も丁度暇だったしね」
607: 2010/08/26(木) 03:16:13.74 ID:P/eNAEAO
ひさ子「お前らも簡単にホイホイ男を部屋に連れ込むなよな、コイツ何するかわかんねーぞ?」
音無「安心しろ、こんな子供っぽい奴らを襲う気にはならねぇから」
関根「むかっ」
入江「子供じゃないですよっ!」
―夜―
音無「さて、すっかり日が暮れたワケだが…」
関根「…」グオーグオー
入江「…」スースー
音無「直井コラァ!まだ会議終わらねーのかっ!?」ジジッ
直井(インカム)「すみません、まだかかりそうです」ジジッ
音無「はぁ…わーったよ」ブチ
608: 2010/08/26(木) 03:16:41.68 ID:P/eNAEAO
ひさ子「まだ会議続いてるのかよ?」
音無「みてぇだな。今日はもう入江関根寝ちまったし奏の様子見に行ってくるわ。今日一日楽しかったぜ」
ひさ子「ああ。でもあんまり堂々と女子寮に入るなよ、みんなに見つかったら誤解されるぞ?」
音無「俺は気にしない」
ひさ子「あたしは気にするんだよ。ガルデモが男を部屋に連れ込んだ、なんてNPCの奴らに知れ渡ったら厄介だからな」
音無「…へぇ」
ひさ子「特にNPCの女子はミーハーが多いからネットワークはハンパない」
音無「人の噂もなんとやらって言う…」
ひさ子「いや、この世界の時間は無限だからな」
609: 2010/08/26(木) 03:17:14.25 ID:P/eNAEAO
―対天使用本部―
ゆり「直井くん、今のは音無くん?」
直井「そうだ」
ゆり「何て言ってた?」
直井「貴様には関係のないことだ」
野田「何だとっ!」クワッ
直井「なぜ貴様が反応する?」
高松「…とりあえず纏めますと今回の偽天使の件。これはイレギュラーな事態かもしれません」
日向「イレギュラー?偽天使は音無が倒したんだろ?」
高松「確かに天使の意識を乗っ取っていた偽天使は音無さんの手により消えました。しかし…」
610: 2010/08/26(木) 03:17:44.81 ID:P/eNAEAO
日向「しかし…?」
高松「自我の意識を再び取り戻したオリジナルの天使が眠ったままなんです」
椎名「…(それ音無が殴りすぎたからなんじゃないか?)」
ゆり「(ありゃ私から見てもひどかったわ)」
ユイ「(救出された天使を見たときはバイオハザードかと思いましたよ)」
大山「じゃあ、もし目覚めたらその天使は僕達と釣りをした天使なんだよね?」
直井「本当にそうかな…音無さんのおかげで自我意識を取り戻したとは言え一度完全に意識を乗っ取っられている」
藤巻「はぁ?どういうことだよ?」
611: 2010/08/26(木) 03:18:47.22 ID:P/eNAEAO
直井「馬鹿な貴様らに分かるように教えてやる。つまり、再び乗っ取っられやすくなってる状態ということだ」
日向「乗っ取っられるって、もう偽天使はいないんじゃ…」
直井「オリジナルを乗っ取っていた最初の分身は消えたとはいえ、全てが完全に終わったわけじゃない」
直井「天使を乗っ取っていた数千の意識の中の一つが再び目覚めることもある」
直井「次に目覚める天使が再び分身の意
識だったとしてもおかしくはない」
直井「今度こそ自分の力で打ち勝つか再び負けて乗っ取っられるか…それは彼女しだいですがね」
ゆり「(その時はまた音無くんが殴ったらいいかもしれないけど…流石に天使が哀れになってくるわね)」
619: 2010/08/28(土) 00:04:26.45 ID:K4XFFoAO
―保健室―
音無「おい何でテメーまだ寝てんだよコラ。起きとけっつったろ?」
奏「…」スースー
音無「丸一日寝てんじゃねーよニートじゃなしに」
奏「…」スースー
音無「やっぱ殴り過ぎたのか?いや、もう顔の痣は引いてるしな」
音無「やっぱパチモンに乗っ取っられた時の後遺症が…」
音無「ま、でもまた奴が意識を乗っ取って出てきやがったらそん時はそん時でまた殴り飛ばしゃいいか」
音無「また痣だらけにしちまうかもしれんねーが、すまんな。悪く思うなよ…」
620: 2010/08/28(土) 00:05:16.78 ID:K4XFFoAO
音無「ふーっ、俺も一寝入りにすっかなー」ボキゴキ
音無「とりあえず、隣のベッド使わせてもらうか」スタスタ
音無「よっこらせ」ボフッ
―朝―
チュンチュン
チュンチュン
音無「…」グースカグースカ
奏「結弦」ポンポン
音無「…なんだよ、飯はまだいらねーからな」グースカ
奏「床で寝てたら体痛くなるわよ?」
音無「はぁ……?ってのわっ!」ガバッ
奏「起きた?」
音無「ここどこだ?しかも何で床なんかに寝てんだ俺?」キョロキョロ
621: 2010/08/28(土) 00:06:04.60 ID:K4XFFoAO
音無「あ、そうか。お前の様子見に来てそんまま隣のベッドに寝たんだった」
奏「じゃあ何で床で寝てたの?」
音無「落ちた、以外ねーだろ」
奏「床に落ちても眠り続けれるものなのかしら?」
音無「俺は特別なんだよ…いや、そんなことよりだ!お前はどのお前だ?」
奏「…?」
音無「俺と魚に喰われたお前か、俺がタコ殴りにしたお前かだ」ザリッ
奏「大丈夫。もう私の中にあるのは私自身の意識だけだから」
音無「再び乗っ取っられることだけは避けれた、ってことか?」
622: 2010/08/28(土) 00:06:32.56 ID:K4XFFoAO
奏「そうみたい。まだ冷酷な私の意識があるんだったら無理にでも出てこようとするはずだから」
音無「SSSの奴らは知ってんのか?」
奏「私もさっき起きたばかりだから…」
音無「奴らも奴らでお前の心配をしてたからな。ここは報告するべきだ」
奏「あの人達も…?」
音無「お前を助けに行ってくれたんだよ。陥れたり助けたり、全く変な奴らだよな」ハハッ
音無「…ん?ちょっと待て」
音無「陥れたり…?ってなんだっけ」
奏「私のテストの答案がすり替えられたこと?」
623: 2010/08/28(土) 00:07:12.20 ID:K4XFFoAO
音無「ああ、そうだった…そもそもあいつらと和解しかけて再び対立したのはそれが原因だったな」
奏「?」
音無「まぁ、これはお前の返答次第だが…生徒会長に戻りたいか?」
奏「うん」キッパリ
音無「即答か。前から聞きたかったんだがお前がそこまで生徒会長にこだわる理由って何だ?」
奏「その方が色々とみんなのために動きやすいから」
音無「みんなのためってのは『SSS』の連中も入ってるのか?」
奏「うん」
音無「(薄々と分かってきたな。こいつが授業や部活をSSSの連中にやらせたい理由が…)」
624: 2010/08/28(土) 00:07:41.04 ID:K4XFFoAO
音無「ようするにテメェはさ、俺達を成仏させたいんだよな?」
奏「それは前からね」
音無「成仏させるには授業や部活をさせて満足させるしかない」
音無「しかし一般生徒ごときに注意されても口出し無用と言われりゃそこまで」
音無「だから口出しできるように生徒会長になった…職権乱用な気もしなくはないがこんなとこか?」
奏「だいたいあってるわ」
音無「んー、生徒会長という立場を使い奴らを青春させてから成仏させたいと言う気持ちは分かるが…」
625: 2010/08/28(土) 00:08:03.23 ID:K4XFFoAO
音無「『青春』ってのは他人から与えられるものじゃなく自分で見つけなきゃ意味がねーからな…こればっかは」
奏「結弦はこの世界に来る人は青春できなかった、って気づいてたの?」
音無「ギルドの際のゆり、消える前に岩沢、野球大会の時の日向、仲間になって直井の過去の話を聞いた」
音無「この四人に共通して言えることは全員ロクな人生、生活を送ってこなかったってことだ。それはお前も何だろ?」
奏「…私は、みんなほど絶望的な人生じゃなかった。むしろ青春できたほどに」
音無「どういうこった?じゃあ何でお前はこの世界に…」
奏「私は、生前に知り合いだった一人の大事な人のことがどうしても思いだせないの」
626: 2010/08/28(土) 00:08:31.61 ID:K4XFFoAO
音無「お前も記憶喪失か?」
奏「私は記憶喪失じゃないけど…重い病気だったわ」
音無「病気?」ピク
奏「病気で入院していた時に独りきりだった私と一緒に本を選んだり散歩してくれていた人がいたの」
音無「本?散歩?」ピクピク
奏「でも病気が治った後…その人の顔も声も名前も、全て思い出せなくなってたわ」
奏「彼にもう一度会いたい…それが私の心残り」
音無「(待てよ?この前俺が見た過去の内容に似てる…)」
音無「一つ聞きたい」
627: 2010/08/28(土) 00:09:05.80 ID:K4XFFoAO
奏「何?」
音無「お前、今何歳?」
奏「18だけど」
音無「18…俺と同じ年か」
音無「(なら違う。過去に見た『奏』は俺が高3の時、それこそ10歳そこらの子供だったはず…)」
音無「(あのバイトの岩沢にしてもにしてもそうだ。年は16って言ってたが俺の認めた岩沢は確か俺と同い年)
音無「(そっくりさんっているもんだな。多分あの奏や岩沢が成長したらもっとそっくりになるかもな)」
奏「どうしたの結弦?」
音無「俺さ、実は生前の記憶の一部だけ取り戻したんだよ」
奏「…うん」
音無「まだ肝心な部分だけは思いだせねーが、お前そっくりの子供がいた」
632: 2010/08/29(日) 02:12:35.48 ID:ohQ4M2AO
奏「私によく似た子供…?」
音無「あくまで俺の過去に出てきた子だがな。確か年はお前より八つばかり下だったが」
奏「10歳?」
音無「多分そんくらいだ」
奏「10歳は私が病院から退院した年齢だわ」
音無「(あのあと退院したのか、良かった)」
音無「(…いや違う。この奏は違う奏なハズだ)」
音無「(くどいようだが俺が過去に会った奏は10歳前後…しかし今俺の前にいる奏は俺と同い年)」
音無「(偶然にしてはできすぎてるが、それだと8年もの時間差はどこに行ったんだ?)」
633: 2010/08/29(日) 02:13:02.05 ID:ohQ4M2AO
音無「(もしこの世界の仕業ならちょっくら調べる必要があるぞ)」
奏「さっきから、うんうんどうしたの?気分悪い?」
音無「いや…この話しはもう忘れろ、それより話し戻すぞ」
奏「あなた、何か隠してる?」
音無「何も」
奏「そう」
音無「で、生徒会長に復帰したいんだったっよな?」
奏「うん」
音無「とりあえずお前が生徒会長の座に戻る方法はいくらでもあるが…」
奏「例えば?」
音無「一つの例としては、提出したテストの際の筆跡と自分の筆跡を見せて違いを証明する…それか」
奏「それか?」
音無「直井に先公全員に催m」
奏「筆跡でお願いします」
634: 2010/08/29(日) 02:13:33.37 ID:ohQ4M2AO
音無「あと成仏させたいって件についてだが。こればっかはどうしようもない」
奏「…そう」
音無「無理に成仏しろなんて言っても反感買うだけだからな。あいつらが自然に満足するのを待つっきゃねぇ」
奏「もう…随分待ってる」
音無「最初に聞いた話の内容からもう数年は戦ってんだろ?」
奏「そのくらいね。この世界に時間の流れは無いけれど」
音無「俺にはそもそも奴らがなんで成仏したくないのか気持ちは分からんくもない」
音無「だって俺も成仏したくないから」
635: 2010/08/29(日) 02:13:59.33 ID:ohQ4M2AO
奏「あなたには記憶を全て取り戻すという目的がある」
音無「まぁ、な」
奏「あの人たちは一体何を目的にこの世界で居続けているのか分からない」
音無「それゆりがいつも言ってる『神への反逆』じゃなかったのかよ?」
奏「本当は彼女だって気づいてるハズ。この世界に神は存在しないって」
音無「…ま、そんなの本当に居たら俺は一発で三途の川渡らされる。ん?いや、ここが三途の川の途中なのか?」
奏「生前の記憶を背負ったまま成仏できない人にとっては地獄ね」
音無「じゃ天国か?」
奏「元々報われなかった人たちの救済措置がこの世界だから…青春できたなら天国とも取れるわ」
636: 2010/08/29(日) 02:14:24.66 ID:ohQ4M2AO
キーンコーンカーンコーン
音無「おっと、随分と話し込んでしまったな」
奏「うん」
音無「じゃあテストの潔白の証明は勉強見てもらった恩で手伝ってやるが…生徒会長に戻ってからは自分でやれ」
奏「わかった」
―職員室―
奏「………」カリカリ
音無「よく見ろよ。立華が今書いている丸っこい字とテストで提出された字」
教頭「むむ…」
音無「違うだろ?」
教頭「仕方あるまい…学園集会を開いてその旨を説明するか」
音無「んじゃあばよ立華サン。後は自分で頑張りな」ザッ
637: 2010/08/29(日) 02:17:15.10 ID:ohQ4M2AO
奏「…(呼び方が『奏』から『立華』になってる?)」カリ…カリ
教頭「ああ、キミ!」
音無「何だよ?」
教頭「この筆跡の犯人を知らんかね?」
音無「知らん(流石にそこまで教えてやる義理はない)」シラー
教頭「そうか。分かった。この後体育館で学園集会がすぐにあるから早く教室に戻りなさい」
音無「へーへー」ガチャッ
バタン
音無「ん?」
椎名「…」
直井「どうも」
638: 2010/08/29(日) 02:18:46.58 ID:ohQ4M2AO
音無「どうした?」
椎名「生徒会長に戻すということは…天使を再び敵にするのか?」
直井「僕は音無さんの意見には反対しませんが」
音無「あいつの意志を尊重してるだけだ。無理に仲間にしといても意味がない」
ピンポンパンポーン
「ただいまより学園集会を行います。生徒の皆さんは速やかに体育館に――」
直井「おっとすいません、ちょっと生徒会で準備をしなくてはならないのでまた後で」ザッ
音無「ああ…。で、お前はどうする?SSSの奴らと合流するのか?」
椎名「いや、お前についていく」
音無「直井は好きでやってるからいいとして、お前はもう無理に俺についてく必要はないんだぜ?」
639: 2010/08/29(日) 02:19:53.40 ID:ohQ4M2AO
椎名「…」
音無「俺とゆり、どっちが上か…見極めることはできたのか?」
椎名「別に…あの時は勢いでそう言っただけだ」
音無「それは俺が切ったタンカじゃ」
椎名「たまたまだ」
音無「…(そういやこいつ常時クールだから忘れてたがバカキャラの一人なんだった)」
ピンポンパンポーン
「三年生の仲村さん、日向くん、竹山くん、高松くん、大山くん。至急職員室まで起こしに――」
音無「あーあ、もうバレたみてぇだな」
649: 2010/09/01(水) 02:53:45.84 ID:QPHIlcAO
―体育館―
教頭「…そういうわけで、全科目のテストの答案用紙をすり替え、立華を陥れようとした連中がいることが分かった」
教頭「立華自ら筆跡の不一致を証明したことにより」
奏「…」ガタッ
教頭「再び我が校の生徒会長として復帰することになった」
直井「…」ガタッ
教頭「ついては、生徒会長代理として尽力してくれた直井は、副会長に―」
―空き教室―
竹山「あーもう!何で僕がこんな目にぃっ!」
音無「自業自得だメガネ」スパー
竹山「て言うかあなた早く僕のパソコン返してくださいよ!」
650: 2010/09/01(水) 02:54:07.54 ID:QPHIlcAO
日向「音無、お前が天使に何か吹き込んだのかぁぁ!?」
音無「さぁな」
高松「今の天使は一体どっちなのでしょうか」クイッ
日向「そりゃ俺達を先公に売ったんだから凶悪なほうだ!…よな?」
ゆり「だいたい何であなた達がここにいるのよ?」
椎名「私は音無のツレだ」
音無「俺は放送を聞いた後、ここらへんが呼んでる気がしたから来ただけだ」
ゆり「むっちゃくちゃな感性ね」
音無「いいからちゃっちゃと書いちまえよな、その反省文的なやつ」
651: 2010/09/01(水) 02:54:25.98 ID:QPHIlcAO
音無「後さっきの話だが俺はもう天使とは関わらない」
大山「えっ、彼女って音無くんの仲間じゃないの?」
音無「ヴァーカ、独りで可哀想だったから生徒会長に復帰するまで仲間にしてやってただけだっての、なぁ?」
椎名「…む(それは悪態か?本音なのか?)」
日向「うわっ、ひっでぇ!ひっでぇよお前!」
音無「今更何言ってんだテメェ?」
ゆり「…(本当かしら?何か、怪しいわね)」
音無「(悪いが俺はお前らを成仏させるつもりは毛頭ねぇ。幸せは自分で見つけなタコ共)」
音無「(生徒会長に復帰するまでは手伝ってやった。コイツらをどう成仏させるかはテメー次第だぜ、奏)」
652: 2010/09/01(水) 02:54:47.75 ID:QPHIlcAO
コンコン
コンコン
大山「ん?誰かな?」
ゆり「日向くん開けてあげて」
日向「えー何で俺がー!?」
ゆり「ほら、早く」
日向「しっかたねーなぁ」ガタッ
音無「(やべっ、教師共なら煙草が見つかったら面倒だな)」
音無「ちょっとまて日向」ガシッ
日向「ん?」
音無「俺が開けてやるから座ってろ。ついでにこの煙草持ってろ」ポイ
日向「うわっ、火ぃついてるし!」
ガララッ
音無「誰だ?」
ユイ「はーい、ユイにゃんでーす!」
653: 2010/09/01(水) 02:55:10.48 ID:QPHIlcAO
ピシャッ!
日向「ん?誰だったんだ?」
音無「悪いな…煙草の吸いすぎか、幻覚か何かが見えた」
ユイ「ゴルァァァァ!何で閉めんじゃーいぃぃ!」ガラガラカラ
音無「何だよ、ここはテメェのような犯罪とは無縁のちんちくりんが来る場所じゃねぇぞ?」
ユイ「みんな何の犯罪したんですか?」
大山「別に犯罪ってほどじゃ…」
音無「んで何か用事かよ?」
ユイ「そうそう、先輩に用事があるんですよ」
音無「は?俺にか?」
654: 2010/09/01(水) 02:55:36.85 ID:QPHIlcAO
ユイ「ちょっと来てください」グイグイ
音無「お前ら反省文進んでる?」スタスタ
ユイ「ちょっとちょっと!」ズルズル
音無「あんだよ、まだ居たのかよ?はよ体育館行けよ?」
ユイ「だからあんたに用があるんじゃぁっ!」
音無「テメェの用なんてロクな用じゃねーだろ、日向連れてけよ」
日向「今反省文書いてますから!」カリカリ
ユイ「いや別に先輩じゃくてもいいことはいいんですけど…」
音無「校長室にバカとかJKとか藤…何とかもいるだろ?」
ゆり「それ野田くんとTKと藤巻くんのこと?」カリカリ
655: 2010/09/01(水) 02:55:57.42 ID:QPHIlcAO
ユイ「あの人達じゃ絶対不安なんですよー」グイグイ
音無「しつけーなぁ、諦めろよ」
ゆり「行ってやったらどう?」
音無「はぁ?」
ゆり「どうせ暇なんでしょう?」
音無「暇だけどよ…どうせ『私のギターと歌を聞いてっ☆』とか言い出すに決まってらぁ」
ユイ「私の声だ!」
日向「(その強面でユイの声はヤメロっ!)」ゾクッ
ゆり「分かってるなら話は早いでしょ」
大山「この中で唯一手が空いてるのは君だけなんだ」
656: 2010/09/01(水) 02:56:28.09 ID:QPHIlcAO
音無「あぁ?それなら椎名も…」
椎名「すまない、子犬達に餌をあげる時間なんだ」シャッ
日向「うお、逃げたっ!」
音無「餌もクソもよ…その子犬とやらはぬいぐるみじゃねぇのか椎名ゴルァ!」
―学習練A・空き教室―
ひさ子「で、何でコイツなんだよ」
音無「俺だってテメェらの歌を聞きたくて来たわけじゃねぇし!」
ひさ子「何だとぉ?!」
関根「わー、音無さんだー」ピコピコ
入江「…しおりん、その頭のアンテナどうなってんの?」
657: 2010/09/01(水) 02:56:50.91 ID:QPHIlcAO
ユイ「まぁまぁ、ひさ子先輩落ち着いてくださいよ。音無さんも」
ひさ子「お前のギターがヨレヨレなのを認めないから他の奴に聞いてもらうってことになったんだが」
関根「音無さん音楽分かるんですか?」
音無「いや、全く分からん。この尻尾女にに無理やり連れてこられた」グイッ
ユイ「ちょ、尻尾引っ張らないでください!この人セクハラです!」
音無「チッ」パッ
ユイ「うう…。で、でも先輩前に屋上で岩沢さんのギター弾いてましたよね?」
ひさ子「ん?お前ギター弾けるのか?」
658: 2010/09/01(水) 02:57:27.25 ID:QPHIlcAO
音無「バレた?俺さ、実は弾ける……わけねーだろ」
ユイ「うそですよ!前に弾いてたの見ましたよ私ー」
音無「あんな弾いた内に入るか。ただ単に岩沢の真似をしただけにすぎねぇ」
ひさ子「…いや、岩沢の真似をできるだけで充分凄いんだけどさ」
音無「早い話とりあえず聞けゃいいんだろ?じゃあ早く弾いた弾いた」
ユイ「ふー。ったく、やっと聞く気になったか」
音無「あぁ?」ガシッ
ユイ「嘘です。すいませんでした。だから尻尾を引っこ抜こうとしないでください」
664: 2010/09/02(木) 01:36:16.93 ID:eBAy86AO
ひさ子「スタンバイオーケー」ザッ
ユイ「それじゃあ、いきますよ!」
~♪~♪
~♪~♪~♪
音無「(さてはて、ひさ子はユイのギターがヨレヨレと言ってるが俺には全く分からん)」
音無「(て言うかト音記号さえも岩沢に会うまでは知らんかったし)」
ジャジャーン♪
ユイ「どうでしたか先輩?良かったですか?」
音無「ん?あ…(やべぇ、まともに聞いてなかったから応えようがねぇ)」
ひさ子「どうなんだよ?」
音無「相変わらず殺人的なりふ捌きだ」
ひさ子「あたしじゃなくてユイにだよ」
音無「…まぁ、アレだ。お前ギター向いてねーんじゃねーの?」
665: 2010/09/02(木) 01:36:45.62 ID:eBAy86AO
ユイ「えぇー!何で何で!?」
ひさ子「ほら見ろ、コイツもそう言ってる」
関根「へー、やっぱり音無さん音楽分かるんだね」
入江「(本当にそうかなぁ?適当に言っただけのような…)」ジー
音無「100年たったら出直してきな。そしたらまた見てやるよ」
ユイ「わかりましたよっ!ユイにゃんは帰って頭冷やしてきます!」ダッダッ
関根「あっ、ユイ!」
音無「(あらま、風格見せるつもりがマジで帰りやがったよ)」
ひさ子「ほっとけほっとけ。また明日になったらいつもみたいになってるさ」
666: 2010/09/02(木) 01:37:03.77 ID:eBAy86AO
関根「だよね」
入江「でもボーカルのユイがいないとバンド成り立たないよ?」
ひさ子「まぁ、そうだが。今日は天気も良くないし、あんま気分が乗らないから解散しとくか」
関根「やりぃ!」
入江「そうですね。また明日にでも調整していましょう」
関根「音無さん、これからご飯でも…ってあれ?」
入江「音無さんならユイを追いかけてったよ」
関根「あーあ、これからみんなでご飯でもと思ったのに」ガックリ
ひさ子「何だお前、そんなにあのバカ丸だしのヤンキーに入れ込んでるのか?」
関根「え?だって他の人よりカッコいいじゃないですか」
ひさ子「お前の感性がわからない」
667: 2010/09/02(木) 01:37:26.69 ID:eBAy86AO
―学習練B・廊下―
ユイ「音無さんのバカやろー!ろくでなしー!」ダダダ
音無「おい待て、さっきの話だが…。それに人の悪口言いながら走るな」シュタタ
ユイ「うわ来たっ!」ダダダ
音無「にゃろう…俺から逃げ切れると思うなよ!」シュバババ
―夕方・グラウンド階段―
カァー
カァーカァー
音無「くそっ、あのバカに付き合ってたらもう夕方かよ。雨があがったのはいいがユイの奴どこに行きやがった?」
ガシッ
音無「…?」
ユイ「ぬぐぐぐ!」グイグイ
音無「…なにやってんだお前」
ユイ「いや、音無さんにジャーマンスープレックス決めようと」グイグイ
668: 2010/09/02(木) 01:37:51.09 ID:eBAy86AO
音無「いや無理あんだろ」
ユイ「ダメかぁ、ここで音無さんに一矢報いることができると思ったのに」パッ
音無「仮にできたとしてもその後俺がお前にジャイアントスイングしてたからな。命拾いしたぞお前」
ユイ「はいはい…で、私に何か用事があったんですよね?」
音無「そーだよ。ったくちょこまかと逃げやがって」
ユイ「ギターの説教ならもう聞きましたけど?」
音無「いや、あれ実はわかんなかったから全部適当に言ったことだし」
ユイ「はいは…い?」
669: 2010/09/02(木) 01:38:29.78 ID:eBAy86AO
ユイ「はぁっ!?」
音無「あの状況で聞いてませんでしたーとか言えなかったしよ」ポリポリ
ユイ「なんだ、私本当にそこまでギターの才能無いのかと思って内心ショックだったんですよ」
音無「才能があると言ったわけじゃねーよ。少なくともひさ子の言っていたことは本当だろ」
ユイ「でもでも!岩沢さんはギターもボーカルもできてましたよ!」
音無「アホ、岩沢は生前からずっと音楽に打ち込んでたクチだからだろ?それともお前も音楽でもしてたのか?」
ユイ「……ったよ」
音無「あ?」
ユイ「…できなかったよ、音楽なんて」
670: 2010/09/02(木) 01:38:53.98 ID:eBAy86AO
音無「…あー、やっぱりお前も家庭の事情とか言うヤツ?」
ユイ「いいえ、私の家族はどこにでもあるような家庭の一つでしたよ…私を除いては」
音無「お前を除いては?」
ユイ「小さい頃に交通事故にあっちゃって…身体が自由に動かなくなっちゃったんだ」
音無「え?(とてもそんな暗い過去があったようには見えなかったぞ)」
ユイ「お母さんに自分の世話をしてもらうだけで精一杯だったから。とてもじゃないけど音楽なんてできなかった…」
音無「…悪い。過去を聞くつもりはなかった」
671: 2010/09/02(木) 01:39:14.47 ID:eBAy86AO
ユイ「大丈夫!…じゃなかっけど、身体は動かせなくてもテレビとかで音楽番組はよく見てましたから!」
音無「じゃあ、氏ぬ前はバンドに憧れてたのか」
ユイ「いえ。バンドは生前にやりたいことの一つでした」
音無「?」
ユイ「この世界に来たとき、岩沢さんの演奏を聞かせてもらってすっごい感動したんです」
音無「そうだろうな」
ユイ「それでまず、この世界で真っ先にバンドをやろうって思ったんです」
音無「そんであん時はガルデモの追っかけやってたわけか」
ユイ「岩沢さんといつかツインボーカルしたいなぁ、とか思ってたんですけど…流石にそれは贅沢すぎですから」
672: 2010/09/02(木) 01:39:42.54 ID:eBAy86AO
音無「ガルデモに入れただけで満足だったってか?」
ユイ「そうですね。あの時は嬉しくてたまりませんでしたよ」
音無「ほぅ、満腹になったら消えかねないこの世界においてよく成仏しないですんだな」
ユイ「そりゃまだまだ、たーくさんやりたいこと残ってますから!」
音無「身体が動かせんかった分、気持ちは分からんでもないが…例えば?」
ユイ「スポーツ!」
音無「スポーツ?野球とかサッカー?」
ユイ「野球ではホームラン、サッカーではマラドーナの5人抜きが夢なんだ」
673: 2010/09/02(木) 01:40:07.87 ID:eBAy86AO
音無「そうは言ってもお前運動神経ゼロだろ。多分その夢はかなわないぜ」
ユイ「むー」
音無「そうむくれるな。つまりそれまでお前はどんなに幸せな気分になっても消えないってことなんだからよ」
ユイ「スポーツの他にもプロレスとかの格闘技もありますよ」
音無「お前…自分のこと、もう一度よく見直した方がいい」
ユイ「パーフェクトなユイにゃんのどこを見直せと?」
音無「仮にテメェが生前身体を動かせていたとしても、プロレスはお前の体系を考えて常識的に『ムリ』だ」
674: 2010/09/02(木) 01:40:30.98 ID:eBAy86AO
音無「まぁ、女子プロのビギナーコースならなんとかなったんじゃね?」
ユイ「目指してるのはそんなチャチなプロレスじゃありませんよ!さっきみたいなジャーマンスープレックスの応酬…」
音無「無理なもんは無理!ジャーマンスープレックスを使える奴と戦うことになった時点でお前は既に氏んでいる」
ユイ「私もジャーマンスープレックスを使えれば勝機はありますよ」
音無「さっき俺を相手にできなかったじゃねぇか…しかも不意打ちという」
ユイ「音無さんは背が高いからやりにくいんですよ」
音無「(高くなかったらマジで投げてたのか…)」
684: 2010/09/05(日) 08:56:22.60 ID:TLrC3sAO
音無「気長に頑張れや」ザッ
ユイ「ちょっ、どこ行くんですか!」
音無「疲れた。帰る」ザッザッ
ユイ「ジャーマンスープレックスは?」
音無「気長にやれって言っただろ」
ユイ「そんなこと言っても一人でどうしろっていうんですかっ!」
音無「あ?木でも引っこ抜いて練習してろよ」
ユイ「そんな力があるならとっくに音無さんを投げれてますから」
音無「一つ言っていいか?」
ユイ「はい?」
音無「だいたいお前のやりたいことを一個一個消して行ってたらお前いつか消えちまうんだぜ?」
ユイ「うっ…」
音無「その点分かってるか?」
685: 2010/09/05(日) 08:56:47.86 ID:TLrC3sAO
ユイ「そりゃあ…ユイにゃんだって馬鹿じゃありませんし分かってますよ」
音無「いや馬鹿だろ」
ユイ「その辺は置いといて、私だってまだ成仏したくないですよ」
音無「なら…」
ユイ「確かにまだガルデモで演奏したいし先輩達とワッショイしたいです。でもやりたいことをずっとやれないのは…」
音無「苦痛か?」
ユイ「…ちょっと」
音無「バンドだけじゃダメなのかよ」
ユイ「バンドはやりたいことの一つでしたから」
音無「ふー…言っちゃ悪いがワガママだよなぁ、お前」
ユイ「そんなの私が一番分かってます」
686: 2010/09/05(日) 08:58:11.61 ID:TLrC3sAO
ユイ「お母さんには本当に迷惑かけたなー」
音無「本当にそうだな」
ユイ「えっ?」
音無「お前さ、どうせ飯を食わせてもらっては寝るの繰り返しだったんだろ?」
ユイ「そうですけど、そんな言い方…」
音無「答えろ、お前は何のために生きてたんだよ?」
ユイ「それは…生きてれば楽しいことが見つかるかもしれないじゃないですか」
音無「外出するどころか身の回りの世話さえ自分でやれない身体で?」
ユイ「…さっきから何が言いたいんですか?」
音無「はっきり言ってやろうか?ようするにお前は『お荷物』だったんだよ」
ユイ「…っ!」
音無「これは流石のお前でも意味が分かるよな?」
687: 2010/09/05(日) 08:59:07.81 ID:TLrC3sAO
ユイ「先輩の人でなしっ、先輩のかバカぁぁぁぁっ!」ダダダッ
音無「……」
音無「(あー、これで流石にもう俺には近づかないだろ)」
音無「(あいつと居るとあいつのやりたいことをこなしていっちまって結果的にユイを成仏させかねんからな)」
音無「まぁ、もう大丈夫だろ」
?「おいっ!」
音無「あ?誰だよ」クルッ
日向「お前、ユイに何を言ったんだよ…?」
音無「何だお前ずっと居たのかよ?盗み聞きでもしてたのか?」
日向「質問してるのはこっちだ!ユイに何を言ったんだ?…あいつ泣きながら走ってったんだぞ?」
音無「冷たく突き放してやった。以上」
日向「冷たくって…音無、ユイがお前になついてるの知ってたよな?」
688: 2010/09/05(日) 08:59:30.43 ID:TLrC3sAO
音無「知るかそんなモン。五月蝿いのが居なくなってセーセーしたわ」
日向「テメェっ!」ガッ
音無「…俺とやる気か?」
日向「ああ!ぶっ飛ばしてやるよ!」
音無「そうか」クリンッ
日向「うおわっ!」グルンッ
ドシャアッ!
日向「つって…」
音無「じゃ、後百年したら来いよ」スタスタ
日向「ま…待てよ!」ザッ
音無「ま、しつけーのは嫌いじゃねーが…」クルッ
日向「音無ぃ!」
音無「容赦しねーぞ」バキイッ
日向「ぐはっ!」フラッ
ゴロゴロゴロゴロ
ドサッ!
音無「おー、見事に階段落ちてったな」
689: 2010/09/05(日) 08:59:51.84 ID:TLrC3sAO
音無「来いよ。まだやれんだろ」クイクイ
日向「くそっ!やってやんよ!」バッ
奏「何してるの?あなた達」
音無「!」
日向「天使っ!?」
奏「下校時間はとっくに過ぎてるわ。それとも喧嘩でもしてるの?」
音無「テメェには関係ねーよ。失せろ」
奏「生徒同士の喧嘩を止めるのも私の仕事だから」
日向「別に喧嘩じゃねーよ。ちょっとした口論だ」
奏「口論でそんな傷作るのかしら?」
音無「コイツが階段からずっこけたんだよ」
奏「それ、本当?」
日向「ああ」
奏「…分かったわ。じゃあ下校時間過ぎてる早く帰ってね」
音無「お前もな」
690: 2010/09/05(日) 09:01:35.39 ID:TLrC3sAO
日向「おい音無!」
音無「あぁ?」
日向「また話聞きに行くからよ」
音無「ハッ」
日向「あばよ…」ザッ
音無「お前は帰らねーのか?」
奏「結弦を見送ってから帰る」
音無「オイオイ、そこまでおせっかいされなくても大丈夫だっつの」
奏「ダメ」ガシッ
音無「おい掴みむって」
奏「もう日が暮れるから」グイグイ
音無「前から思ってたんだが何でお前こんなに力強ぇの?」ズルズル
奏「…オーバードライブはパッシブだから」
音無「わけわかんねぇこと言いやがって。離せっ!」バッ
奏「…」ピタ
音無「自分のことぐらいできらぁ。んじゃ、あばよ」
699: 2010/09/05(日) 23:12:32.92 ID:TLrC3sAO
―夜―
音無「寮に帰ってもやることねーしなー。かと言って誰かと会いたくはねーし」
鈴虫A「リ-ンリンリン」
鈴虫B「リ-ンリンリン」
音無「…うぜぇ」
鈴虫C「リ-ンリンリン」
鈴虫D「リ-ンリンリン」
音無「だぁーっ!ちくしょっ!待ってろゴミ共が!」ダダッ
十分後――
音無「ははははっ!食らえ!」ドサドサッ
音無「爆竹100連発!」シュボッ
シューーー
シューー
シュー
ドパン!ドパパパパパパン!!
音無「ひゃーほう!ひれ伏せゴミ共!」
ゆり「ちょっとちょっと」
700: 2010/09/05(日) 23:12:56.62 ID:TLrC3sAO
音無「何だ?苦情なら生徒会長のトコ行けよ」
ゆり「何らしくないことやってんの」
音無「お前かよ。真夜中だしとっとと帰れよタコ助」
ゆり「この世界に痴漢は居ないわ…多分ね」
音無「女を襲うことは万に一つもないから安心しろよ」
ゆり「まさかあなたって…」
音無「安心したまえ」グイッ
ゆり「ちょっ!」
音無「そっちの気はないからよ」
ゆり「(顔、近いんだけど)…ん?」
音無「っていうわけだ。にしてもお前、あんだけ動き回ってるわりに汗臭くねーな」パッ
ゆり「なんか、あなたの口からも何か口から良い匂いがしたんだけど」
音無「当然。俺の吸ってる煙草の香りは最高だからな」
701: 2010/09/05(日) 23:13:19.04 ID:TLrC3sAO
ゆり「いつも思ってるんだけど、音無くんその煙草どこで入手してるの?」
音無「お前も吸いたいのか?」
ゆり「ちょっと気になっただけよ」
音無「最初は職員室で先公の奴らのを取ってたけどな…流石に飽きた」
ゆり「そもそも、そんな高級そうな煙草持ってる人いなかったわよ」
音無「しかたねー、教えてやろうか?」
ゆり「うん」
音無「実はよ…自分で作ってんだぜ?」
ゆり「……」
音無「…おい」
ゆり「ねぇ、冗談はいいから早く言いなさいよ」
音無「冗談じゃねぇよ。そもそも煙草ってのはな、元となる植物さえありゃできんだよ」
702: 2010/09/05(日) 23:14:07.97 ID:TLrC3sAO
ゆり「そんな植物ないでしょ?」
音無「それがあったんだよな。あっちの山の奥に」
ゆり「あったのかよ」
音無「最初、何か良い香りがすると思って山に入ってったら…みたいな?」
ゆり「で、それをどうしたの?」
音無「当然全部持って帰って理科室に保管した」
ゆり「何か理科室付近で凄い匂いがするってNPCが言ってたけど、やっぱあなただったのね」
音無「そ。お前も一本吸えよ?」
ゆり「嫌よ、身体に悪そうだし」
音無「この世界じゃ病気にならないんだろ?それともビビってんのか?」
ゆり「違うわよ!何よ、煙草なんて吸えないわけないじゃない!」
703: 2010/09/05(日) 23:14:59.16 ID:TLrC3sAO
音無「ムキになっちゃって…ほらよ、貴重なブラックストーンをくれてやる」
ゆり「ふん。(とは言ったもの煙草なんて吸ったことないし)」
音無「あとジッポ」ポイ
ゆり「…」パシ
音無「レッツトライ」パチン
ゆり「分かってるわよ…」カチッ シュボッ
音無「(初心者なら『ゴホッゴホッ』が基本だが、どうかな?)」
ゆり「……う」
音無「(拒絶反応来たか?)」
ゆり「うまいわね」スパー
音無「おい」ガクッ
ゆり「煙草って案外大したことないじゃない」
音無「いや、普通初心者なら最初は『ゲホッゲホッ』なんだけどよ」
ゆり「そう?別に苦しくなかったしね」
音無「脅威に肺をお持ちのようで…」
704: 2010/09/05(日) 23:15:35.18 ID:TLrC3sAO
ゆり「まぁ…ね」
音無「お前、運動神経も俺には及ばないがケタ外れだよな」
ゆり「そりゃ、私の家族を奪われてからはがむしゃらに力をつけてったわよ。二度と大事な物を失わないためにね」
音無「大事な物ってのはSSSの連中か?」
ゆり「そうなるのかしら」
音無「でも流石にやりすぎた感はあったんじゃねーの」
ゆり「ちょっとはあったかもね。あなたに咎められるまで気づかなかったけど」
音無「(それは勝手に直井がやったことだ)」
ゆり「今日はもう帰るわ。煙草ありがと」スクッ
音無「おう」
ゆり「それじゃね」ザッザッ
音無「…結局何しにきたんだあいつ?煙草貰いにきただけか?」
―――
ゆり「…」ザッザッ
ゆり「本当は前々から彼とは白黒つけたかったんだけどね…やる気が失せちゃったわ」
705: 2010/09/05(日) 23:16:05.37 ID:TLrC3sAO
―――
――
チュンチュン
チュンチュン
音無「グオーグオー…」ゴロゴロ
ユイ「…」
音無「ガーガー…」
ユイ「先輩、先輩」ポンッ
音無「。。あー?」
ユイ「もう朝ですよ。それにこんなとこで寝てたら風邪ひいちゃいますよ」
音無「…ここはドコ?私は誰?」
ユイ「何寝ぼけてるんですかー?髪の毛ボサボサですよー!」
音無「地面が硬い、硬いよ」
ユイ「ダメですねこりゃ。こうなったら…」
音無「しかし草のベッドが心地良い…」
ユイ「どおりゃあっ!」ドシャッ
音無「うおわっ!?何だ地震か?」ガバ
ユイ「地震じゃありませんよ」
音無「あれ、何でこんなとこで寝てたんだ俺は?」
706: 2010/09/05(日) 23:16:41.85 ID:TLrC3sAO
ユイ「せんぱーい、私に気づいてますかー?」ブンブン
音無「ブーンブンシャカブブンブーン」
ユイ「さっきからワザとだろゴルァ!」
音無「とっくに気づいてるっての。てかまだお前俺に何か用かよ?」
ユイ「先輩、もう一度だけ私のやりたいことを手伝ってくれませんか?」
音無「面倒くさいからパスっス」
ユイ「そう言わずに頼みますよ!」
音無「だから分かってるのかお前?未練が消えればお前が…」
ユイ「ぜーったいに消えませんから!」
音無「…根拠は?」
ユイ「ないです☆」
音無「お前、絶対計画たてれないタイプだな」
ユイ「昨日、先輩からあれだけボロクソ言われりゃ成仏なんてそう簡単にできませんよ」
707: 2010/09/05(日) 23:17:11.98 ID:TLrC3sAO
音無「お前立ち直り早すぎじゃん?ギネス乗るんじゃね?」
ユイ「いつまでも落ち込んでても不幸を呼ぶだけですから」
音無「野球の時もそうだったけどよ…負けたぜ、テメェの根性には」
ユイ「それじゃあ…」
音無「早くしねーと登校時間になんぞ。とっとと行くぞ、俺は腹が減った」
ユイ「うっしゃぁ!みたかコラァ!」
音無「どこに言ってんだよ」
ユイ「じゃあ早速食堂へ行きましょ」
音無「ったくゲンキンな奴だな…てかテメェがおごれ」
ユイ「私お金ないですよ?」
音無「じゃあお前は食うなクソピンク」
ユイ「クソピンクって酷いですっ!」
714: 2010/09/08(水) 02:23:21.59 ID:vQtRXEAO
―食堂―
音無「じゃあ、お前は一体何からしたいんだ(うどんうめぇ)」ズズーッ
ユイ「ジャーマンスープレッ…」
音無「それ以外だ!」
ユイ「むむ、仕方ないですね。それじゃまずサッカーからでお願いします」
音無「サッカー、ねぇ。それは試合なのか?」
ユイ「はい。マラドーナの五人抜きを達成してみたいと思います」
音無「ハッ、たかが五人抜き程度かよ」
ユイ「えーっ、マラドーナは偉大なサッカー選手の一人なんですよ?」
音無「だから?ヌルイわ」
ユイ「それじゃ先輩は五人抜きできるんですか?」
音無「五人抜きなんてチャチなモンじゃねえ。…十一人抜きだ」
715: 2010/09/08(水) 02:23:47.52 ID:vQtRXEAO
ユイ「は?」
音無「11人抜きやってみせてやるよ」
ユイ「いや先輩、それがどんだけ無理なことか私でも分かりますから」
音無「あぁ?あの限界突破加速装置ロナウドを超える俺のスピードがありゃ可能だ可能」
ユイ「11人抜きはキックオフと同時に全部の敵をよけながらゴールしなきゃなんないんですよ!?」
音無「別にお前は5人抜きやってりゃいいじゃん。お前はそね度がお似合いさ」
ユイ「む」カチン
音無「ごちそうさま。それじゃあ適当にメンバー集めすっぞ」ガタッ
ユイ「な、ならユイにゃんも11人抜きで…」
音無「5人抜きさえ無理なお前には到底無理」
716: 2010/09/08(水) 02:24:14.54 ID:vQtRXEAO
ユイ「そんなのやってみなきゃ分かりませんよ?」
音無「お前がせめて百メートルを十秒で駆け抜けるスピードがありゃできたかもな(そんな奴滅多にいないが)」
ユイ「言っててください。5人抜きなんてソッコーでかましてあげますから」
音無「はいはい。…今更だがメンバー集めと言っても俺とお前抜いてまだまだ必要なワケだが」
ユイ「…どうしましょう?」
音無「仕方ねぇ、ちょいとアレを使わせてもらうか」ザッ
―対天使用作戦本部―
日向「…」
ゆり「日向くん、昨日からずっとあんなんだわね」スパー
大山「ゆりっぺ…それってまさか」
ゆり「煙草よ。以外に美味しいわね」
野田「あいつ!ゆりっぺになんてものをっ!」ジャキンッ
717: 2010/09/08(水) 02:24:38.68 ID:vQtRXEAO
ゆり「あら、よく音無くんに貰ったって分かったわね」
直井「この世界でその香りの煙草を吸ってるのは音無さん以外いまい」
ピンポンパンポーン
放送「えー。マイクテス、マイクテス」
野田「この声は!?」
放送「今すぐ身体を動かしてーって奴はグラウンドまで来い!人数は限定二十人…」
放送「絶賛募集中なんじゃゴルァ!」
日向「!」
放送「バカやろ、途中から割り込むんじゃねぇ!」ブツッ
ピンポンパンポーン
藤巻「おい…今の放送って音無とユイだよな」
高松「そのようですね。また何か企んでるみたいですが、どうします?」
ゆり「んー、結構面白そうじゃない?」
野田「正気なのかゆりっぺ!」
718: 2010/09/08(水) 02:25:24.04 ID:vQtRXEAO
ゆり「幸い今は授業始まる前だし天使が出てくることもないでしょ」
大山「身体を動かすって何をするんだろうね?」
松下「運動だったなら、俺の山ごもり前のウォーミングアップにはなるかもな」
ゆり「決まりね」
野田「いくらゆりっぺの決定とは言え俺は行かんからな!」
ゆり「あ、そう。じゃ野田くんは置いてみんな早く行きましょ」スタスタ
直井「僕に命令するな」スタスタ
藤巻「正直面倒だが、じっとしてるよかマシか」スタスタ
ゆり「ほら日向くんも」
日向「…お、おう」ザッ
ゆり「それじゃあ野田くん、留守頼んだわよ」ギィィィ
バタン!
野田「……」
719: 2010/09/08(水) 02:26:15.15 ID:vQtRXEAO
―グラウンド―
音無「さぁて何人来るかな」
ユイ「しっかし放送室を乗っ取るなんてよく思いつきましたね」
音無「凡人とはココ(頭)の出来が違うんだよ」
ユイ「前々から言おうと思ってたんですが先輩ナルシスト入ってますよね?」
音無「お前も自分で『ユイにゃん☆』とか言ってる時点でぶりっこ入ってるからな」
ユイ「何で私の声出せるんですか!」
音無「そこにツッコむかよ。ま、お前以外にも…『オペレーション、スタート!』とか『あさはかなり』とかも可能だ」
ユイ「うわすごっ!声帯おかしいんじゃないんですか?」
音無「それ褒めてんのか」
720: 2010/09/08(水) 02:27:04.70 ID:vQtRXEAO
椎名「あさはかなり」
ユイ「もう声真似はいいですって」
音無「あ?別に今俺喋らなかったぞ」
ユイ「だって今、椎名先輩の声で『あさはかなり』って…」
音無「お前の後ろにいる奴だ」
ユイ「え?」
椎名「やはりお前達か」
ユイ「わっ!いつの間に」
音無「あ、お前にも聞こえてたか?」
椎名「体育倉庫にも放送受信機はある…それより何をする気だ?」
音無「それは人がある程度集まったら説明する」
椎名「?」
音無「お、ゾロゾロ来た」
オトナシサーン!
トリアエズキタワヨ-!
ユイ「どうやら、あれはアホ代表の皆さんのようですね」
音無「じゃお前は代表監督か」
721: 2010/09/08(水) 02:27:42.45 ID:vQtRXEAO
藤巻「あの無駄にデケェ奴は音無として…あの飛び跳ねてるのはユイか」
音無「やはりテメェらが来たな」
ゆり「で、身体を動かすって一体何するの?SASUKEのセットでもあるの?」
音無「常識に考えてSASUKEは無理あんだろ…」
ゆり「冗談よ。そのボール持ってるってことはサッカーでしょ」
音無「サッカー部からパクってきた。とりあえず早い話、やろうぜ」
藤巻「つか何でサッカー?」
音無「…無性に超次元なサッカーがしたくなった」
ユイ「(あの、何ですか超次元サッカーって?)」ヒソヒソ
音無「(口から出任せだ)」ヒソヒソ
ゆり「それはいいけど人数足りなくない?双方で22でしょ?」
音無「今ここに何人居るんだったか?」
722: 2010/09/08(水) 02:28:10.98 ID:vQtRXEAO
ゆり「今ここにいるのは、あなたとそこのユイを含めて12人ね」
野田「俺もいるぞ」
ゆり「結局来ちゃったのね野田くん」
音無「それでもまだ9人も足んねーよ。なら諦めてPKで…いやまてよ」
大山「どうするの?」
音無「俺、VSお前ら全員!どうよ!」ババーン
ユイ「……」
ゆり「……」
野田「……」
藤巻「完全にナメてやがるな」
松下「ナメてるな」
高松「ナメてますね」
音無「ナメる?チッチッチ、これは余裕綽々ってヤツだよ」
ゆり「…いつまでそう言ってられるか楽しみね」
ユイ「(ちょっと先輩)」ボソッ
音無「(何だよ、せっかく人が決めてるトコなのによ)」
723: 2010/09/08(水) 02:28:31.74 ID:vQtRXEAO
ユイ「(先輩VS後の全員だと私が5人抜きできないじゃないですか!)」
音無「(お前元からできねーだろ)」
ユイ「(で、できますよ)」
音無「(奇跡に奇跡が重ならない限り無理だろ…まぁいいや)」
音無「やっぱり、更にハンデとして俺はコイツと組む」ポン
ユイ「は?」ポカン
野田「俺達全員を相手にするだけならともかく…」
藤巻「ソイツと組むだと?ナメるのもほどほどにしとけよ」
音無「あぁ?力の差がありすぎっからハンデやるんだっつったろ」
ユイ「私は足手まとい扱いですか」
直井「(チッ、贅沢な。あの音無さんが味方になるんだぞ?文句があるなら僕と代われ)」
724: 2010/09/08(水) 02:29:51.76 ID:vQtRXEAO
音無「2対10、か。何かハンパだな…。オイそこの金次郎!」
NPC男A「うん?」ピタッ
音無「今からサッカーやっけど人数足んねーんだよ。てことで入れ」
NPC男A「あの俺…」
音無「じゃ始めんぞー」
NPC男A「聞いてない、けど別にいいよいいよ」
――
―
「」
音無「せいぜい俺の足は引っ張るなよ」
ユイ「先輩こそ」
音無「ぶっちゃけお前キーパーやってくんね?俺が抜かれたら終わりじゃん」
ユイ「私フォワードがいいです。それに11人先輩抜きできるんでしょう?」
音無「ディフェンスで11人抜きしても仕方ねーだろ」
ユイ「早い話、用はボールを持たせなければいいんですよ」
音無「あのねチミ、それができりゃ苦労しないの。分かる?」
740: 2010/09/11(土) 01:44:32.59 ID:yq8OwcAO
――
―
審判(SSS男A)「えー、試合時間は三十分でより多く点を取ったほうの勝ちとします」
音無「説明はいいからとっとと笛ならせよ」
審判(SSS男A)「はい(何で俺が審判なんか…)」
ユイ「私が先に敵陣に突っ込んでいいですか?」
音無「好きにしろ」
ゆり「あんたたち、やるからには勝つわよ」
野田「分かっている!」
審判「それでは、試合開始」ピーーー
ユイ「うっしゃぁ!行くぞおめぇら!」ドドドド!
TK「Sliding!」ザザッ
ユイ「うぎゃ!」ドシャ
藤巻「いいぜTK!そのまま持ち込め!」
音無「何やってんだバカ!さっそく取られてんじゃねぇよ!」
ユイ「だって~」
TK「Long Shoooooot!」バッ
音無「させっか!」ズザッ
741: 2010/09/11(土) 01:44:55.36 ID:yq8OwcAO
TK「Oh!」ドサッ
大山「TKからボールを取った?!」
ユイ「さっすが先輩!」
音無「さっすが、じゃねぇ!」
ゆり「(あの音無くんの動きは厄介ね…ユイは言わずもがな、ね)」
藤巻「止めろ野田っ!」
野田「こいぃっ!」バン
音無「……」
野田「……」ズゥゥン
音無「ヘイ、パス」ポーイ
大山「あっ!騙されちゃダメだよ野田くん!」
野田「む」パシ
ピッピッピー!
審判「ハンド!」
野田「あ」
藤巻「こんのバカっ!なんで手で取るんだよ!」
野田「勝手に身体が反応してしまった」
ゆり「ったく…日向くん、ちゃんと止めてよね」
742: 2010/09/11(土) 01:45:12.91 ID:yq8OwcAO
日向「……」
ゆり「日向くん?」
日向「ん?あ、すまんゆりっぺ。聞いてなかった」
ゆり「今日ずーっとそんな様子だけど大丈夫なの?」
日向「ああ、審判ないぜ!」
ゆり「ならいいけど…あなたキーパーなんだから音無くんのフリーキックちゃんと止めてよね」
日向「任せろい!」バシッ
審判「ピー!」
音無「…」スッ
日向「……」ゴクリ
音無「オルアッ!」ブンッ
日向「(来るかっ!?)」
音無「なんつって」スカッ
ユイ「うるぁぁっ!」ドカッ
日向「はっ?」
ゆり「ぼーっとしないで、フェイントよ!フェイント!」
日向「つってもキッカーがユイだぞ?入るわけねーだろ!」
音無「…」ダッ
743: 2010/09/11(土) 01:45:35.43 ID:yq8OwcAO
音無「せいっ!」ドカッ
日向「ちょっ」ザッ
ドシュウッ!
審判「ゴール!」ピッピッピー
大山「…何、今のは?」
椎名「ユイがボールを蹴った後で、更に音無がボールを蹴っただけだ」
ゆり「簡単に言うけど、それ普通に考えて無理でしょ?」
藤巻「蹴ったボールに追いつくとかどんだけ速ぇんだよっ!」
音無「ハッ、軽い軽い。これで一点」
ユイ「見たかユイにゃんの力!」
音無「お前はあくまでも囮だからな」
野田「くそっ!何たる屈辱!」
ゆり「野田くん、重大な役目を与えるわ。端っこで動かないでちょうだい」
野田「分かった!任せておけ!」
高松「(事実上の退場だと言うことに気づいてませんね)」ヒソヒソ
日向「(バカ聞こえるぞ!)」ヒソヒソ
744: 2010/09/11(土) 01:45:53.88 ID:yq8OwcAO
ゆり「ま、取られたもんは取り返しゃいいのよ」
高松「確かにあっちは、たった二人ですからね」
ゆり「松下くんと椎名さんはディフェンスをお願いね」
松下「おう」
椎名「分かった」
ゆり「TKは私とフォワードで」
TK「Ok」ビッ
ゆり「後の人達はお好きな位置で」
高松「この美しい筋肉を…何かに使えませんかね?」ヌギッ
ゆり「…とりあえず邪魔にならないようにね」
――
審判「ピーーー!」
ゆり「いくわよ!」ダダダッ
ユイ「ゆり先輩はやっ!」
音無「俺に比べりゃおせぇっ!」ザザッ
ゆり「TK、パス!」ポイ
音無「だろうと思ったぜ」カクッ
TK「Liar…」ニヤ
音無「…(パスが来ない?)」
745: 2010/09/11(土) 01:46:14.09 ID:yq8OwcAO
ユイ「先輩?どうして固まってるんですかー!」チョンチョン
音無「汚ねぇ!芋っぺの野郎、嘘つきやがった!」
ゆり「あはははは!音無くんが騙されてくれちゃってよかった」
音無「テメェ潰す!」バッ
ゆり「そっからじゃ間に合わないでしょ?ほいっ」ドシュ
バスッ!
審判「ゴール!」ピーーー
藤巻「うっしゃ!一点返したぜ!」
音無「チッ!」
ユイ「入れられちゃいましたね~。まぁ、安心してください。これから私が11人抜きで…」
音無「開始早々ボールを取られた奴が何を言ってやがる」
ユイ「そ、それはたまたまかなぁ…と」
音無「精々『5人抜き』までだ。それ以上はフォローができねぇからよ」
ユイ「ん~。それなら何とかなるかも」
746: 2010/09/11(土) 01:46:34.53 ID:yq8OwcAO
――
音無「どけゴラァ!」ドカッ
松下「ぬおわっ!」ドシャッ
藤巻「今のはファウルだろ!」
日向「直井、お前も動け!」
直井「ん?どうやら小鳥がゴミを食べる音がするな?」
――
審判「ゴール!」ピーーー
音無「っしゃあ!」
日向「キックオフからのシュートで入るなんて反則だろ!」
音無「反則もクソもテメェらが反応できなかっただけじゃんかよ」
――
ユイ「5人抜きじゃあ!」
椎名「遅い」ヒュッ
ユイ「うおおお!」ダダダ
音無「おいテメェ!ボールは!?」
ユイ「へっ?あ、あれ?!」ピタッ
747: 2010/09/11(土) 01:46:58.27 ID:yq8OwcAO
審判「残り時間30秒です」
音無「(スコアは9対10か…)やべぇ、負け越してんな」
ユイ「正直に言って、これって馬鹿試合ですよね」
音無「そうだな。ボールを取られたことにすら気づかなかった馬鹿がいたな」
ユイ「うっ」
音無「しかも今日まだ一本もシュート決めてねーだろお前」
ユイ「ふっ…試合は最後まで終わってませんよ?」
音無「じゃあは最後お前が敵陣につっこめよ」
ユイ「それは最初からやってますよ」
音無「俺がポストしてやっから、お前はその隙に抜けてけ」
ユイ「もし私が転んだりしたら…」
音無「…」
ユイ「『てへ☆ごめんなさい』で済みますかね?」
748: 2010/09/11(土) 01:47:49.40 ID:yq8OwcAO
音無「済むかボケ!」ドカッ
ユイ「へぶっ!」バキッ
ゆり「何してんのアレ」
ユイ「痛い…女の子の顔にボールを蹴り込むなんて最低ですよ!」
音無「大丈夫だっての。俺はお前を女として見たことはないからさ」
ユイ「さり気なく酷い事実に今気づきましたよ」
―
審判「ピーーー」
音無「さぁ行け!」パス
ユイ「分かりましたよ」トテトテ
TK「Sliding!」ズザザッ
音無「うわぁ足が滑った!」バキッ
TK「Ouch!」
藤巻「今のは完璧ファウルだろ!おい審判!」
審判「最初からこの試合にファウルはありません」
藤巻「なんだとっ…!」
ゆり「(そういやこっちも野田くんがハルバード持ってても何も言われなかったわね)」
749: 2010/09/11(土) 01:48:14.32 ID:yq8OwcAO
藤巻「クソっ!こうなったら俺g」
音無「邪魔だ藤なんとか!」ガスッ
藤巻「いってぇぇ!」ドサッ
野田「止まれ貴様ァ!」
音無「フッ!」ドゴシャ!
野田「ぬぁぁっ!」ズシャ
大山「うわぁっ!野田くんが地面にめり込んじゃったよ!」
音無「どけ!」
大山「わわわ、わかってますわかってますから!」ササッ
ユイ「すごいすごい、893のお偉いさんが通る時みたいに道ができてきますね」ダッダッダ
高松「(これは予想外ですね…しかしこの筋肉、伊達ではありませんよ!)」
音無「(コイツの筋肉のちっとばかし厄介かもな)」ダッダッ
高松「ふん!」ガッ
音無「チッ!」ガッ
750: 2010/09/11(土) 01:49:02.25 ID:yq8OwcAO
松下「無駄だ!高松の筋力は俺に勝るとも劣らないからな」
ゆり「ま、純粋な力比べね…。松下くん、今の内にユイを抑えて」
松下「おう」ダッ
高松「ぐぬぬぬ!」グググ
音無「邪魔だ…ゴルァ!」ブンッ
高松「無念、でs」ゴシャッ
日向「おいおい、やばいぞ!直井お前も…」
直井「音無さんの動きの研究中なんだ。すまないが後にしてくれ」
日向「だぁーっ!」
ゆり「いや、力では最強の松下くんと速さで最速の椎名さんがまだ残ってるわ」
松下「今度こそ通さん!」ドシン
ユイ「うわっ!」
音無「また倒されにきたか」
751: 2010/09/11(土) 01:50:04.84 ID:yq8OwcAO
松下「先はルールを知らずに倒されたが、今度はそうはいかんぞ」タッタ
音無「へーへー、そうデスか」タッタッ
松下「行くぞ音無ぃ!」バッ
音無「…」バッ
メキィッ!
音無「…」スタッ
松下「…」グラッ
ドスゥゥン!
日向「嘘だろ…まさか、松下五段が」
音無「ははっ、確かに身体のデカい柔道家は厄介だよ。でもそりゃ鳩尾が広いってことでもあんだぜ」
ユイ「(味方ながら外道ですね)」タッタッ
ゆり「(此処までは来ると思ってたわ…でも次はどうかしら?)」
椎名「…」ザッ
音無「(椎名か…前回は立華と直井がいたからどうにかなったが、今回はソロ…じゃなくて+足手まといだったな)」
椎名「悪いな音無。仲間とは言え手加減をする気はない」シュバッ
752: 2010/09/11(土) 01:50:40.42 ID:yq8OwcAO
音無「(一応カウンターで顔面に蹴り込めるだろうが、女の顔を蹴る趣味はねぇし、後ろにはユイがいるし…」
ユイ「先輩!もう椎名先輩が来てます来てます!」
音無「わーってらぁ!(仕方ねぇ…)」
椎名「こい」
音無「あーっ!子犬が野田の下に埋もれているぞー!」
椎名「何だと!?子犬が?」
音無(裏声)「タスケテヨー、クルシイヨー」
椎名「今すぐに行くからな!」ダッ
ゆり「……」ポカーン
音無「さて、最初に勧誘した金次郎みてぇな奴は俺が野田を地中にめり込ました時点で逃げちまったし…後はテメェだ」
ゆり「あーあ、私のとこまでには終わってくれると思ったけど」
753: 2010/09/11(土) 01:51:06.37 ID:yq8OwcAO
審判「残り10秒……9……8」
ユイ「先輩!時間が!」
音無「わりぃな芋ちゃん、テメェのノロケを聞いてるヒマはねーんで」ダッ
ゆり「別にあなたと戦う必要は無いのよ…ユイからさえボールを奪えばね!」シュダッ
音無「うおっ(やべ抜かれた!)」
ユイ「ふぇっ?」アタフタ
ゆり「いただきっ!」
ユイ「先輩!パ、パス」ポーイ
ゆり「あっ」
音無「…っと!」トン
ユイ「最後は日向先輩だけですから!後は任せました!」ガシッ
ゆり「ちょっ、どこ触ってんよユイ!」ジタバタ
音無「お前の犠牲、無駄にはしねぇ!…多分な」
日向「1対1か…」
藤巻「ぜってー止めろよ日向!」ボロッ
754: 2010/09/11(土) 01:51:58.38 ID:yq8OwcAO
音無「……」
日向「……」
音無「……」ニヤ
日向「あれ、ボールは…?」
音無「上を見てみろ」
日向「…上?」スッ
音無「足の後ろに隠してただけだバーカ!」ドシュ
日向「は?おい、ちょっと…!」
バスッ!
審判「ピッピッッピッピー!試合終了~!10-10で引き分けです(やっと登校できる)」
音無「お、丁度終わったみてーだな…満足したか?」
ユイ「はい。何かヒヤヒヤするサッカーでしたが結果的に多人数を抜けたのでおーけーです」
ゆり「今回は同点、ね。また機会があったらやりましょ」
音無「ああ、面白かったしな」
ユイ「(いや怖いですよ。実際にファウルがない危険なサッカーでしたし)」
ゆり「バカども、もう帰るわよ!とっとと起きた起きた!」
769: 2010/09/12(日) 23:40:17.14 ID:GY/GqgAO
藤巻「全身バッキバキだぜ…」
松下「俺の顔面曲がってないか?」
高松「曲がってはいませんが鼻血がダラダラですよ」
日向「そういうお前も流血試合になってんぞ」
椎名「…子犬なんていなかったではないか」
日向「単純だよなお前」
ゆり「私達はとりあえず、もう帰るけどあなた達はどうするの?」
音無「これからユイいじりの続き…」
ユイ「!」ジッ
音無「じゃなくてユイの遊び相手にでもなってやるかな」ハハ
ゆり「遊び相手になる?あなたそんなキャラだったっけ?」
音無「いや別に」
ゆり「ふーん。何か最近ユイと一緒にいることが多いけど、できてんの?」
音無「ひん剥いて屋上から吊してやろうかテメェ?」
ゆり「冗談よ、そんな低い声ださないでちょうだい」
770: 2010/09/12(日) 23:41:10.53 ID:GY/GqgAO
ユイ「先輩、私昼までガルデモのみんなと演奏してますから。昼になったらまた来てください」
音無「いやだよ、もうだりぃし身体のあちこちが痛ぇし」
ユイ「約束ですよー!」タッタッ
音無「…人の話を聞かない子は伸びないんだぞー」
日向「音無」
音無「あ?」クルッ
日向「ユイとは…仲直りしたんだな」
音無「何だ?この前もだったがお前が心配することじゃねぇよ」
ゆり「そう言わないでよ。これでも日向くんユイのこと心配してたんだから」
日向「別に心配なんてしてねーよ!ただ、お前らが仲良くできてりゃそれでいいかなって」
音無「保護者かよ」
771: 2010/09/12(日) 23:41:46.44 ID:GY/GqgAO
音無「まぁ安心したまえ。君の目を付けている子を悩頃したりはしねーからさ」
日向「ばっか、だから違うっての!」
音無「(そもそもあんなガキみたいな奴手を出す気にもなれん)」
音無「あっそ。じゃ、あばよ」クルッ
日向「おい、音無!」
音無「喧嘩ならいつでも買ってやるよ」
ザッザッ
ゆり「喧嘩?ひょっとして日向くんの昨日の傷って…」
日向「ああ。音無と喧嘩した」
ゆり「あちゃー…流石に勝つのは無理だったでしょうに」
日向「傷一個すらつけれなかったよ」
ゆり「あの人、正直あの強さ人間じゃないわよね。Demon Playerの効果なのかしら?」
772: 2010/09/12(日) 23:42:14.76 ID:GY/GqgAO
日向「…Demon Playerって何だったっけな?」
ゆり「もう、忘れたの?昔に音無くんが手から黒い剣だしたり何メートルも跳ね上がったりしたでしょ?」
日向「ああ、アレか!しばらくどころかずっと見なかったから存在自体忘れてたぜ」
ゆり「この前ソフトはあったから捨てたってことないでしょうけど、本当に全然使ってなかったわね」
日向「天使はよく能力使うのにな」
ゆり「天使は能力がなけりゃただのか弱い小さな女の子よ。でも音無くんは能力を使わずとも圧倒的な強さがあるから」
日向「しっかしこの間まではSSSから畏怖の対象でしかなかった音無が俺達とサッカーとはね…」
ゆり「もし、今も敵同士だったら戦ってたのかしら?」
773: 2010/09/12(日) 23:42:58.61 ID:GY/GqgAO
ゆり「今でも味方とは言えないけどね」
野田「今も敵同士だ」クワッ
日向「うおっ、何だこの茶色物体?!」
ゆり「さっきまで地面にめり込んでた人と思うけど」
―昼・空き教室―
キーンコーンカーンコーン
ユイ「遅いな…」ソワソワ
ひさ子「どうしたユイ?今日の練習はもう終わりだぞ?」
ユイ「いや、ちょっと待ってる人が居るもんで」
関根「あ、それってばひょっとして音無さんでしょ?」
ユイ「えっ?よく分かったね」
関根「何となくそんな感じがしたし」
入江「音無さんと用事?」
ユイ「うん」
関根「おやおや~何の用事かな?まさか艶めかしい用事かな?」
ユイ「やめなよ関根、こんなユイにもプライベートってもんがあるのさ」
774: 2010/09/12(日) 23:43:21.99 ID:GY/GqgAO
ユイ「べべ別に、先輩とはそんな間柄じゃないですから!」
関根「動揺するトコが更に怪しい」
入江「よしなよ、しおりん」
ひさ子「そうだぞ。コイツも一応女の子なんだからさ」
関根「ま、仕方ないね」
ユイ「だから違うんじゃ!」
音無「うるせーなタコ共、何騒いでやがる」ガラッ
関根「あ、ヤッホー音無さん」
入江「どうも」ペコリ
ひさ子「よう」
音無「チッ、やっぱりテメーもいたか」
ひさ子「何か文句あんのかよ?」
音無「行くぞユイ」ザッ
ユイ「はーい」タッ
ひさ子「さりげなく無視すんなよ!」
音無「文句言ったらやかましいかと思ったから、わざわざ無視してやったんだよ感謝しろよ」
775: 2010/09/12(日) 23:43:47.85 ID:GY/GqgAO
ひさ子「また意味の分からん理屈を並べやがって…」
音無「はいはい、お菓子あげりから怒らないでねひさ子ちゃん」
ひさ子「なめんなよ」
音無「おおコワッ、逃げろ逃げろ」タッ
ユイ「ちょ、引っ張らないでくださいよ先輩!」
関根「音無さーん、また来てくださいねー!」
ひさ子「もう来んなっ!」
――
ユイ「音無さんはひさ子先輩を怒らせるのが本当に上手いですね」
音無「扱いやすいからな。で、次は何をしたいんだ?野球だったか?」
ユイ「はい、カキーンとホームランを」
音無「今度は人数集めなくてもいいな」
ユイ「集めたところで私はホームランを打ってましたがね」
776: 2010/09/12(日) 23:44:10.31 ID:GY/GqgAO
音無「嘘こけ。前の野球の試合でのミスまだ覚えてっからな」
ユイ「うう…嫌な思い出が。特に先輩に投げられたあの痛みは忘れられない」
音無「まずはボールとバットの用意だな。これは野球部から貰うか」
ユイ「(それ、借りるの間違いじゃないんですか?)」
音無「さ、とっとこ行くぞユイ太郎」
ユイ「押忍」
―グラウンド―
音無「始めるぞ。準備はいいか?」
ユイ「いつでもどうぞ」
音無「行くぞ…ホワタッ!」ビシュ
ドォォォン!
ユイ「……」
音無「何だよ、バットを振るくらいしろよつまらん」
ユイ「あんなん打てるかあっ!」
音無「立華は打てたぞ?」
ユイ「運動音痴な私と万能生徒会長を一緒にしないでください」
777: 2010/09/12(日) 23:44:38.38 ID:GY/GqgAO
音無「(やっぱり自覚あったのか)」
ユイ「もう少し遅めでお願いします」
音無「遅めか…こんくらいか?」シュッ
ドォォォン!
音無「おいおい、遅めに投げたのに打てねーじゃんかよ」
ユイ「遅いって…明らかに今の150はでてましたよ」
音無「一々注文の多い女だな」
ユイ「悪かったですね」
音無「じゃ、すげー遅く投げてやるよ。もしこれでかすりもしなかったら俺はお前の運動神経を疑うな」
ユイ「すごい言われようですね」
音無「じゃ、いくぞ!」ヒョーイ
ユイ「あ、これなら何とか!」スカッ
ポトッ コロコロ
音無「…」
ユイ「えへ、失敗しちゃいました☆」
音無「あばよ。また生まれかわってどこかで会おうな」
ユイ「ちょ、待って待って待って!」
778: 2010/09/12(日) 23:46:12.75 ID:GY/GqgAO
ユイ「今度はちゃんと打ちますから!」
音無「今ので確信した…お前は万に一つもホームランどころかヒットすら打てやしねぇ」
ユイ「えーっ、そんなぁ…」
音無「やるだけ無駄だ無駄」
ユイ「…」ショボン
音無「…と、本来なら帰っていたところだが乗りかかった船だ」
ユイ「え?」
音無「満足するまで協力してやるが、その代わり俺も礼はしてもらうからな」
ユイ「やった!ありがとう先輩!」
音無「じゃあさっさとバット持て」
――
―
カァーカァー
ユイ「次お願いします!」
音無「おい、もう500回目だぞ」
ユイ「数えてたんですか?」
音無「ああ。おかげさまで手がマメだらけだ」
ユイ「そう言えば、そろそろ腕も痺れてきましたね」
783: 2010/09/13(月) 02:01:58.72 ID:1Qg3ocAO
ユイ「今度はちゃんと打ちますから!」
音無「今ので確信した…お前は万に一つもホームランどころかヒットすら打てやしねぇ」
ユイ「えーっ、そんなぁ…」
音無「やるだけ無駄だ無駄」
ユイ「…」ショボン
音無「…と、本来なら帰っていたところだが乗りかかった船だ」
ユイ「え?」
音無「満足するまで協力してやるが、その代わり俺も礼はしてもらうからな」
ユイ「やった!ありがとう先輩!」
音無「じゃあさっさとバット持て」
――
―
カァーカァー
ユイ「次お願いします!」
音無「おい、もう500回目だぞ」
ユイ「数えてたんですか?」
音無「ああ。おかげさまで手がマメだらけだ」
ユイ「そう言えば、そろそろ腕も痺れてきましたね」
784: 2010/09/13(月) 02:02:31.93 ID:1Qg3ocAO
音無「お前気づかなかったのかよ?」
ユイ「夢中だったので」
音無「続きは明日にすっか?」
ユイ「私まだやれますよ?」
音無「明日には手が痺れて動かせなくなっても知らんぞ?」
ユイ「この世界って一日たてば、どんな傷も治るんですよ」
音無「いや…知ってるし(マジかよ、コイツ意外と体力あんな)」
――
―
リンリンリンリン
ユイ「次お願いします!」
音無「おい、もう1000回行ったんじゃねーか?」
ユイ「流石にそこまで来ると曖昧になるんですね」
音無「そうだな。まさかお前が此処までの大物だとはな」
ユイ「いやぁ、大物だなんてそんな」テレ
785: 2010/09/13(月) 02:02:50.80 ID:1Qg3ocAO
音無「…(呆れて声も出ないな)」
ユイ「あれ?音無さん?」
音無「…とりあえず今日は帰れ」ギロ
ユイ「は、はい!」ビクッ
音無「それじゃ」スタスタ
ユイ「…怖かったなぁ、今の音無さん。まるで私と初めて会った時みたい」
―男子寮・一室―
音無「チッ、手が半端なく痛ぇ」ズキッ
音無「甲子園に行ってるピッチャーの奴とかみんなこんなんだろうな」
コンコン
音無「あー、誰だ?」
直井「僕です」
音無「入れよ」
直井「失礼します」ガチャ
音無「で、何だ?」
直井「実はですね…いや、実際に見てもらったほうが早いかと」
音無「あ?」
直井「お手数かけますがロビーまで来ていただけますか」
786: 2010/09/13(月) 02:03:18.07 ID:1Qg3ocAO
―男子寮・入口―
音無「…」
ユイ「あ、お茶のお代わり頂いていいですか?」
音無「説明しろ直井」
直井「女子寮に入れなくなったから音無さんの部屋に泊めてもらいたいとか、ふざけたことを」
音無「女子寮に入れなくなっただぁ?確かあそこの管理者は立華だろ?奴に話を通せよ」
ユイ「その立華さんこと天使は女子寮の中に居るから会うことができなかったんですよ」
音無「そもそも何でお前は締め出されてんの?」
ユイ「寮の門限時間を過ぎたからだと思うんですけど…」
音無「自業自得だバカ。寝るとこが欲しいなら校長室で寝りゃいいだろ」
787: 2010/09/13(月) 02:03:42.95 ID:1Qg3ocAO
ユイ「えー、今日汗かいたしお風呂に入らなきゃ臭くなりますよー」
音無「何と贅沢なヤツ…」
ユイ「それに、何と言ってもあんなトコで一人だなんてコワいですよ!」
直井「貴様には丁度いい場所だ。とっとと行け」
音無「…ん?ちょい待て。オイ、お前手を見せてみろ」
直井「どうぞ」
音無「お前じゃない」
ユイ「どうしてですか?」
音無「いいから!」グイッ
ユイ「痛っ!」
音無「!」
ユイ「痛いですよ先輩!」
音無「手擦り切れまくってんぞ」
ユイ「へ、平気ですよ!明日には治ってるんですから」
音無「治るまでは痛むんだろ?」
788: 2010/09/13(月) 02:04:42.67 ID:1Qg3ocAO
音無「チッ、来いよ」
直井「あげていいんですか音無さん?」
音無「流石に傷だらけの女を放っておいて帰れっつーのは只のカッコ悪い不良になっちまうからよ」
直井「…分かりました。あなたが言うなら僕はもう口出しはしません、それでは失礼します」ザッ
音無「オラ、行くぞ」
ユイ「男子寮って遅くでも開いてるんですね」
音無「管理人が直井だからな。俺が常に開けておくように言ってある」
ユイ「それ、何か物騒ですよ」
音無「この世界で俺より物騒な奴はいねーだろ?」
ユイ「あ、そうでしたね」
音無「本当に肯定すんなよな…」
789: 2010/09/13(月) 02:05:05.52 ID:1Qg3ocAO
―音無の部屋―
ユイ「痛っ!しみる~っ」
音無「我慢してろ」
ユイ「はい」
音無「お前…明日もやる気かよ?」
ユイ「はい、一応」
音無「また手がボロボロになんぜ?次は治療してやらんからな」
ユイ「大丈夫ですよ。明日ほどほどにしておきますから」
音無「終わりだ。乾いたら風呂に入ってとっとと寝ろ」
ユイ「はーい」
――
ユイ「気持ちよかった。せんぱーい、お風呂あがりましたよー」
ユイ「……返事が無い?」テクテク
音無「ZZZ…」
ユイ「(座ったまま寝てるし)」
ユイ「せんぱーい!起きてくださーい風邪ひきますよ」ポンポン
790: 2010/09/13(月) 02:05:26.63 ID:1Qg3ocAO
音無「あ?」ギン!
ユイ「ひっ!」
音無「…」
ユイ「…」
音無「…ZZZ」
ユイ「ビックリした…起こさない方が良さそう」
ユイ「私も寝よ」
ユイ「…この場合、私はベッドで寝ていいんだろ?」
ユイ「まぁ先輩が起きるまでなら」
――
―
ユイ「(眠れない…)」
ユイ「(そう言えば最近日向先輩とあんまり話してないなぁ。音無さんと一緒に居ることが多くなったからだけど)」
音無「ZZZ…」
ユイ「こうして見ると、いつもは怖い音無さんも単なる少年ですね」
791: 2010/09/13(月) 02:06:04.47 ID:1Qg3ocAO
――
―
チュンチュン
音無「ん…」ムクッ
音無「俺、寝ちまってたのか」
ユイ「ZZZ…」
音無「…そうだ。コイツが風呂あがるのおせーから寝ちまったんだ」グゥー
音無「くっ、結局昨日夜食べなかったから腹減ってきたぞ」
音無「面倒だが自炊すっかな」カチャカチャ
―
音無「おい、起きろユイ!」
ユイ「ん、なんですか~?」
音無「ホームラン打つんだろ?早く飯食えよ」
ユイ「ホームラン?なにそれ?」
音無「寝ぼけんなーっ!」バサアッ
ユイ「うわああ!」ドタン!
音無「ほら、座った座った。箸持っていただきますしろ」
ユイ「そのくらい自分でできますよー」
792: 2010/09/13(月) 02:06:40.24 ID:1Qg3ocAO
カチャン
ユイ「あ」
音無「できてねーじゃねーかよ。ったく箸落とすとか小学生か」
ユイ「ごめんなさい」
音無「洗ってやるから、かせよ」
ユイ「先輩…」
音無「あ?」
ユイ「何かいいお嫁さんになれそうですよね」
音無「…」バキッ
ユイ「う、嘘です」
―
ユイ「ごちそうさまでした」
音無「皿を洗ってる間にさっさと着替えてこい。部屋から出るぞ」
ユイ「ふわーい」スタスタ
音無「(自炊なんて久しぶりにやったな…初音に飯を作ってやった以来か?)」バシャバシャ
音無「そういや…俺の記憶ってまだ全部戻ってねーんだよな」キュッ
音無「うーむ、自分のことなのに気になるが…それは後だ」
793: 2010/09/13(月) 02:07:36.49 ID:1Qg3ocAO
―グラウンド―
野田「ふっ…ふっ」
ユイ「何やってるんですかねあの人?」
音無「さぁ?体育祭の練習じゃね?」
ユイ「体育祭の競技に逆立ちでグラウンドで一周なんてありませんよ多分」
野田「修行の邪魔だ。退け貴様ら」
音無「そんな思いつきの修行ごときで強くなるかよ」
野田「何だと?」
音無「怒るなよ、お前に強くなる方法を教えてやるからさ」
―
野田「本当に玉拾いをしていれば強くなるのだな?」
音無「ああ、足腰が鍛えられてスピードが格段にアップするぜ」
野田「よし…来い!」
ユイ「(本当に先輩は人の扱いが上手いですね)」
794: 2010/09/13(月) 02:08:02.73 ID:1Qg3ocAO
―グラウンド外―
モットハヤクバッドヲフレヨ!
ソンナコトイッタッテ…
マダマダタリンゾ!
日向「楽しんでるな、ユイ」
日向「最近あんまり俺に構ってこなくなったけど、あいつが元気ならそれでいいか」クルッ
日向「…何で感傷に浸ってんだ俺?」
日向「これが子が親離れする親の立場ってヤツかな」
ゆり「やっぱりさみしい?」
日向「んや別に。むしろ喧嘩相手が居なくなって清々しいぐらいだ」
ゆり「無理しちゃって」
日向「無理なんかしてねぇって」
ゆり「でも最終的に、きっとユイはまた日向くんと喧嘩するようになるわよ」
日向「気休めはいいって」
ゆり「気休めなんかじゃないわ、音無くんの性格をよく考えてみて」
795: 2010/09/13(月) 02:08:22.78 ID:1Qg3ocAO
日向「音無の性格?」
ゆり「今彼がユイと一緒なのは、あくまで彼女を満足させるため。それは知ってるでしょ?」
日向「ああ」
ゆり「似てると思わない?天使の時と」
日向「…?」
ゆり「今まであんなに一緒に居た音無くんと天使が今じゃ他人のように話さなくなったわよね」
日向「確かに、あんまり見かけねーな」
ゆり「それは天使の目的、つまり『生徒会長復帰』が達成されたから…音無くんは天使と縁を切った」
日向「…それって単に音無は手助けをしていただけで、手助けが終わったら一切関わらなくなるってことか?」
ゆり「そういうことよ。元々音無くんは他人と関わりたがらない性格だったし、関わっても割り切れる人だから」
日向「じゃあユイの目的が達成されたら音無は?」
796: 2010/09/13(月) 02:08:45.83 ID:1Qg3ocAO
ゆり「ユイとは以前のように一切関わらなくなるわね」
日向「そ、そうは言っても音無は直井とか椎名とは一緒にいるぜ?」
ゆり「それはあの人達が音無くんの『懐刀』、悪く言えば『武器』になってるからね」
日向「懐刀?武器?」
ゆり「要するに直井くんや椎名さんは音無くんにとってメリットがあるってこと…だから一緒にいるの。分かった?」
日向「…ああ」
ゆり「音無くんは手助けするだけの立場だったら、何のメリットもないしね。ただ疲れるだけよ」
日向「じゃあ何で今、何のメリットもないユイの手助けをしてるんだよ?」
ゆり「知らないわよ。直接聞けば?」
日向「…そうか」
ゆり「天使は精神力が強いから、音無くんに割り切られても耐えられるでしょうけど…ユイはどうなるかしら」
797: 2010/09/13(月) 02:09:09.06 ID:1Qg3ocAO
日向「…!」
ゆり「今まで慕っていた人に急に割り切られたら…」
日向「くそっ!」ダッ
ゆり「…はーっ、やっと自分から動いたわね」
―グラウンド―
ユイ「いたっ」ペチ
音無「ボールをしっかり見ないからそうなんだよ」
ユイ「次、お願いします」スッ
野田「こi」
日向「タンマ!」タッ
音無「?」
ユイ「…日向先輩?」
野田「む?」
音無「何だ、お前も玉拾いにでも来たのか?」
日向「?あ、ああ」
音無「(ん?日向のはるか後ろにいるのは…)」
ゆり「…(ごめん、日向くんと代わってあげて)」グッ
音無「(ああ…そういうことね)」
音無「あー、何かダルくなってきたなー!(裏声)」
798: 2010/09/13(月) 02:09:47.02 ID:1Qg3ocAO
音無「すまんなー日向、俺の代わりにユイと特訓してやってくれよ(裏声)」
日向「は?」
ユイ「先輩、満足するまで協力してくれるって…」
音無「悪いな、気が変わった」
ユイ「えっ!?」
音無「(お前、気になるんだろユイのことが)」ボソッ
日向「(ち、違ぇよ!)」
音無「(本来今いる俺のポジションはお前の居場所だもんな)」
ユイ「そ、そんなのいきなり酷いじゃないですか!」
音無「うるっせーな…誰がやっても同じなんだしさぁ、別に俺じゃなくてもいいだろ」スタスタ
ユイ「…っ」
日向「(おい、まさかここで突き放すのかよ!)」
音無「(突き放すんじゃねーよ、お前と交代するってんだ)」
809: 2010/09/14(火) 06:28:36.34 ID:reNcF.AO
日向「(はぁ?お前何言って…)」
音無「野田、帰るぞ」
野田「何だもう終いか?だらしない奴だな」
音無「とりあえず、修行の続きをするならこの場から離れてやれ」
野田「ふん…なぜお前から命令されねばならん」
音無「お前とはそろそろ決着をつけたいんでな。もう少し過酷な場所で力をつけてもらわねーと困るんだよ」
野田「ほう…いいだろう。力を付け、貴様を八つ裂きにしてくれるわ」ザッザッ
音無「(これで邪魔者は消えた、と)」
音無「んじゃしっかりやれよーユイ!」
ユイ「……」
日向「何考えてんだ…音無の奴?」
810: 2010/09/14(火) 06:29:04.13 ID:reNcF.AO
―グラウンド外―
ゆり「本当に良かったの?」
音無「代わってくれと頼んだのはお前だろうが」
ゆり「本当に代わってくれるとは思わなかったけどね」
音無「やっぱり気になってたのかよ日向の奴」
ゆり「うん。何か、ユイが居ないと日向くんが凄い弱々しく見えたから」
音無「ひょっとして、俺にユイを取られたとでも思ってたのか?」
ゆり「流石にそれは無いと思うけど…ユイがあなたに惚れるかもとは思ってたのかもね」
音無「いや、惚れられても困るし」
ゆり「あなたって本当に女に興味無いみたいね。実はコレなの?」
音無「お前こそ男に興味は無さそうだが…?」
ゆり「あら、全く無いってワケじゃないわよ」
音無「…」サッ
ゆり「何で避けるのよ」
811: 2010/09/14(火) 06:29:50.54 ID:reNcF.AO
ゆり「まぁ、ほとぼりが冷めたらユイに事情を説明した方がいいわよ」
音無「もうユイと関わる気はねーよ」
ゆり「そう…じゃ後は日向くんがどれだけあの子の傷を癒せてあげれるかね」
音無「別に傷ついてはねーだろよ」
ゆり「…そこまでくると鈍感と言うより神経なのかしら?」
音無「喧嘩売ってんのかコラ」
ゆり「だって実際そうでしょ」
音無「そうもクソもこうなるように日向を誘導したのはお前だろ?」
ゆり「あら、代わるって言ったのはあなたよ」
音無「だからお前が頼んだからだろうが!芋だから耳付いてねーのか!」
ゆり「断れば良かったじゃない」
音無「kill」ピキッ
ゆり「…?」
812: 2010/09/14(火) 06:30:21.75 ID:reNcF.AO
イタイイタイ!ヘンタイセクハラバカヤンキー!
ウルセー!イイムクイダ!
ダレカァァァ!タスケテェェェ!
日向「何やってんだ…あいつら」
ユイ「…」
日向「ユイ?」
ユイ「…あ、どうもすみません日向先輩!ちょっとしめっぽくなっちゃいましたね」
日向「無理すんな」
ユイ「音無さんなんてヤンキー放っておいて早く練習再開しまし…」ガッ
ドタッ
ユイ「うう…」
日向「何で何も無いとこでこけるんだよ…やっぱ集中できてねーからだな」
ユイ「だ、大丈夫ですって!」
日向「…なぁ、ユイ。正直に答えろよ」
ユイ「?」
日向「お前音無と居て楽しかったか?」
ユイ「…はい。ちょっぴり怖い人ですけど、とても素晴らしい人です」
813: 2010/09/14(火) 06:31:35.33 ID:reNcF.AO
日向「だろうな。単なる手助けで1000回もノックに付き合ってんだからな」
ユイ「見てたんですか?」
日向「観客席からな。音無は気づいてたみたいだが」
ユイ「日向先輩は、その後どうしたんですか?」
日向「門限忘れてて速攻で寮に戻ったさ。直井の出迎え付きで」
ユイ「それじゃ私が音無先輩の部屋に行くちょっと前だったんですね」
日向「ああ…あ?お前、あの後音無の部屋に行ったのか?!」
ユイ「だって、門限過ぎて女子寮が閉まってましたから…」
日向「だからって普通、女が男の部屋に行って泊まるもんか?」
ユイ「音無さんなら絶対に大丈夫って信頼できたんですよ。日向先輩のとこも考えましたけど…」
814: 2010/09/14(火) 06:32:01.27 ID:reNcF.AO
日向「けど…?」
ユイ「おそわれそうで」
日向「襲うかっ!」
ユイ「その点、流石の音無は何もしてこないどころか私より先に寝てましたからね」
日向「そりゃ音無だし」
ユイ「まぁ、正直言うとちょっぴり拍子抜けでしたけど」
日向「何だお前、ひょっとして音無に惚れてんのか?」
ユイ「惚れてる…と言うより、私は音無さんに憧れてるんですよ」
日向「スケバンになる気か」
ユイ「そっちの方面じゃなくて…音無さんに褒めてもらいたいって気持ちです」
日向「俺がお前を褒めてやろうか?」
ユイ「日向先輩に褒められても…」
日向「生意気な奴」
815: 2010/09/14(火) 06:32:29.05 ID:reNcF.AO
日向「そもそも音無に褒めてもらうって、ちっとやそっとは無理だろ」
ユイ「でも岩沢さんは認めてもらえていました」
日向「そりゃあアレだ、あいつの音楽はNPCさえ突き動かすrock'n'roll魂があったからだろ」
ユイ「…私にはないものですね」
日向「…」
ユイ「私、今日は帰りますね」ザッ
日向「(「待て」って言いたいけど、止めれねぇよな…そんな顔じゃ)」
日向「(励ましてるつもりなんだが、いつもの元気な姿は見れなかったか)」
日向「ここはやっぱアイツに一肌脱いでもらうしかねーな」
―グラウンド外―
ゆり「バカバカバカ!もうお嫁にいけないかもしれないじゃない!」
音無「俺が貰ってやるよ」
ゆり「えっ?」ドキッ
816: 2010/09/14(火) 06:33:00.86 ID:reNcF.AO
音無「冗談だバカ。何赤くなってやがんだテメェ」ゲラゲラ
ゆり「…」ワナワナ
音無「まさか本当に俺が…」
ゆり「最っっ低!」
音無「最低最悪上等」
ゆり「もう顔も見たくないわ!じゃあね!」ズンズン
音無「いやー、人をからかうのっておもしれーな」
音無「ここいらで煙草、煙草と」スッ
音無「…」カチッ カチッ
音無「クソ、Zippo切れやがった!」
シュボッ
音無「お?サンキュー…」スパー
日向「どう致しましてだ」
音無「…あら?お前ユイとのホームランの練習はどうした?」
日向「ユイがお前の言動にショックを受けてそれどころじゃねーよ」
817: 2010/09/14(火) 06:33:23.26 ID:reNcF.AO
音無「そこをお前がフォローせんとダメだろうが」スパー
日向「俺とアイツは対等な関係だしよ。俺にフォローされたとこで何の効果もねーよ」
音無「はぁ?」
日向「アイツはお前に褒めてもらいたいんだとさ…憧れてるお前に」
音無「ユイが俺に?そんな場面は、今までこれっぽっちも無かったぞオイ」
日向「多分、自由気ままに不良やってるお前に憧れたんだろ。あいつそういう系好みみたいだし」
音無「惚れられるのはマジ勘弁」
日向「惚れてはねーみたいだから、何とかして頼んだぞ」
音無「俺はもうユイと関わる気はねーんだか?」
日向「これは俺を助けると思って『手助け』をしてくれ」
818: 2010/09/14(火) 06:34:09.82 ID:reNcF.AO
音無「断る、めんどくせー」
日向「そこを何とか頼まれてくれ!この通りだ」バッ
音無「おいおい、男が簡単に頭下げんなよ情けねーな」
日向「今回はそれほど価値があるってことなんだよ!」
音無「(そんなにユイのことが気になるならテメェで行け)」
音無「(…と言いたいとこだが)」
音無「いいぜ」
日向「ほんとか!?」
音無「ああ、ただし!」
日向「な…何だ?」ゴクリ
音無「ちょっとお前にやってもらいたいことがある」
日向「俺にできることなら何でもしてやんよ」
音無「小学生でもできることだ」
819: 2010/09/14(火) 06:34:39.65 ID:reNcF.AO
―三十分後・山中―
ゆり「待てゴルァァァ!」ダダッ
椎名「頃す」シュタタ
ひさ子「あんの野郎!首根っこから絞めあげてやる!」
遊佐(インカム)「目標、山の北東へ曲がりました」
日向「(はぁ、はぁ…クソ、音無の奴ぅ!女子のスカート捲りなんか俺にさせて楽しいのかよっ!)」ダッダッ
日向「ユイ!ぜってぇお前は憧れる相手を間違っってんぞ!」ダダッ
―学習練・屋上―
音無「『ビックリするようなことを起こせ』と言っただけで誰もスカートを巻くれなんぞ言ってねーよ」
音無「まぁ…結果的にSSSの女子の全員の脅迫用の写真が出来上がっちまった」
音無「…だいたい、何に使うんだコレ?こんなん持ってたら変態じゃねーか」
音無「馬鹿らし、全部捨てよ」バラッ
820: 2010/09/14(火) 06:35:15.34 ID:reNcF.AO
―校舎裏―
音無「(校舎の中にも、寮にも居なかった…ならここらにいるハズ…)」ガッ
音無「ん?」
ユイ「…」
音無「うおわっ?!(座敷童かよ)」
ユイ「先輩…?」グスッ
音無「だらしねぇ、泣いてんのかよ」
ユイ「な、泣いてなんかないです!」ズビッ
音無「こんな薄暗いとこで泣いてんじゃねーよ。来い」グイッ
ユイ「うわっ!」
―グラウンド付近―
ユイ「ちょっと、どこまで連れて行くんですか?」ズルズル
音無「ホームラン練習の続きだ。そんでホームラン打ってお前が満足したら次こそ本当に終わりだ」グイグイ
ユイ「もういいですよ…どうせ打てないんですから」
音無「たわけもんが」デコピン
ユイ「痛ったーっ!」
821: 2010/09/14(火) 06:36:16.73 ID:reNcF.AO
音無「おれは最初から何もしねー奴が大嫌いだ」
ユイ「…」ショボン
音無「が、下手でも努力くる奴は見ていて嫌いじゃねー…かもな」
ユイ「!」
音無「バッドとボールは置きっぱなしだよな?」
ユイ「…勿論です!」
―グラウンド―
音無「じゃ、始めっぞオラァ!」
ユイ「押忍!」
音無「オラァ!」ビシュッ
ユイ「せいっ!」スカッ
音無「ウルァ!」ビシュッ
ユイ「はあっ!」スカッ
ビシュッ スカッ
ビシュッ スカッ
ビシュッ スカッ…
――
―
カァーカァー
音無「そろそろ打てっ!」ビシュッ
ユイ「ていっ!」カキン
音無「おっ!…ヒットだ!」
ユイ「や、やったぁ…!」
音無「あと一押しだ、まだイケるな?」
ユイ「先輩こそ」
822: 2010/09/14(火) 06:36:37.33 ID:reNcF.AO
ユイ「(やっぱり先輩と居ると、楽しい…けど)」
音無「…どうした?」
ユイ「もし私がホームラン打っちゃったら、先輩はもうユイとは関わらないんですよね?」
音無「そういうのはホームランを打てるポテンシャルを兼ね備えてから言え」
ユイ「はい」
音無「そろそろ視界が悪くなって来た。これでダメだったら次に持ち越しだ」
ユイ「(これ以上、先輩に迷惑をかけるわけには…)」グッ
音無「ほらよっ!」シュッ
ユイ「(いかないんだ!)」カキーン!
音無「おっ?こいつは来たか!」
ユイ「お願い!スタンド枠に入れっ!」
ヒュルルルル
スコーン!
ユイ「…あれは入ったんですかね?」
823: 2010/09/14(火) 06:37:08.15 ID:reNcF.AO
音無「(惜しかったな…スタンドに入ってはいるがあの位置じゃファールだ)」
ユイ「ねぇ先輩!入りましたよ!ついにやりました!」ピョンピョン
音無「ああ…ホームランだ(でも言えねーよなぁ)」
ユイ「ついに叶ったんだ…私のやりたかったことが、全部」
音無「…フッ、まぁあんだけやってりゃな。どんなヘタクソでも一回は入る」
ユイ「え?」
音無「でも、よくやったなユイ。おめでとさん」ワシワシ
ユイ「(やった…やっと先輩に褒めてもらえたんだ)」
ユイ「先輩…ありがとうございました」ペコリ
音無「今どんな気分だ?」
ユイ「そりゃ、とっても満足です。今にも天に昇る気持ちです」
音無「成仏はしねー…って約束だったよな?」
824: 2010/09/14(火) 06:38:01.71 ID:reNcF.AO
ユイ「はい、大丈夫ですよ。約束はちゃんと守りますから!」
音無「お前は目的が達成されても成仏はしないと言った…じゃこれから何に捕らわれてこの世界で生きていくんだ?」
ユイ「…それは」
音無「やりそこねたプロレスか?」
ユイ「いえ、それはもう諦めがつきましたから」
音無「なるほど…なら事実の完成だな」
ユイ「事実?」
音無「お前との特訓期間の時、偶然この世界じゃ未練の無くなった奴はすぐに消えてしまう…ってのを知ったんだよ」
ユイ「…」
音無「じゃあ、お前が最初言った『やりたいこと全部やって満足しても絶対に消えない』と言う発言に矛盾が生じる」
ユイ「矛盾?」
音無「口では絶対に消えないとか言っておいても、未練が消え幸せな気分になればお前の意志に関係なくお前は消える」
831: 2010/09/16(木) 12:26:07.87 ID:RaRemsAO
音無「要するにテメェには、まだ何か未練があるってことだよ」
ユイ「流石に先輩を誤魔化すことはできませんでしたね」
音無「たりめーだ」
ユイ「確かに、まだ一つだけありますよ…未練が」
音無「あえて聞いておくが何だ?」
ユイ「こればっかりは、もうどうしようもないんですが…」
音無「どうしようもないならないでいいだろ。その未練をやったら今度こそお前消えちまうだろうし」
ユイ「…教えてますね」
音無「おい、まさかとは思うが…」
音無・ユイ「「結婚」」
音無「とか言うなよ…」
ユイ「あ」
832: 2010/09/16(木) 12:26:30.08 ID:RaRemsAO
音無「やっぱしなぁ…」
ユイ「分かっちゃいましたか」
音無「だいたい最終的に行き着く女の夢ってのは『綺麗なお嫁さん』だしよ」
ユイ「うん。女の究極の幸せだよね…綺麗なお嫁さん」
音無「結局何だかんだ言っておきながらテメェも普通の女の子だったわけか」
ユイ「そうだよ…ユイだって普通の女の子だったんだよ。神様に幸せを全部奪われるまでは」
音無「シアワセねぇ」
ユイ「先輩が前に言ったとおり、こんなお荷物…誰が貰ってくれるかな」
音無「(こういうシリアスなシチュエーションって苦手なんだよなぁ…)」
ユイ「ねぇ、先輩」
音無「(漫画だとここらで日向が『してやんよ!』って颯爽と登場してくれるものだが…)」
833: 2010/09/16(木) 12:27:23.02 ID:RaRemsAO
―その頃の日向―
日向「だ…だれか…音無を…音無を…俺じゃない…音無だ」ズルズル
ゆり「はぁ?確かに音無くんは無神経な最低大バカクソヤンキーだけどスカート最低な真似は絶対にしないわ!」
ひさ子「同感だ。イラつく奴だが最低限の礼儀はわきまえてる奴だ」
椎名「音無をナメるなよ貴様…観念するんだな」バキボキ
遊佐「ご愁傷様です日向さん」チーン
日向「だぁぁれかぁぁっ!助ぁぁすけてくれぇぇぇっ!!」
――
音無「(何やってんだ日向は…今が一番来なきゃいけねー時じゃねーのか?)」
ユイ「先輩は私を貰ってくれますか?」
音無「あくまでもお前にとって俺は憧れの対象であってソッチの対象じゃなかったハズだ」
834: 2010/09/16(木) 12:27:56.98 ID:RaRemsAO
ユイ「…」
音無「おい」
ユイ「いえ、憧れだけじゃないです」
音無「?」
ユイ「先輩は私にとって特別な人です」
音無「特別?」
ユイ「…はい」
音無「特別って何だ?」
ユイ「あ、あの…」スッ
音無「なぜ急に目線を下げる?」
ユイ「その…」
音無「(いきなりモジモジしやがりやがった…おもしれぇ奴)」
音無「日向はどうしたんだよ?」
ユイ「日向先輩は私から見たらお兄ちゃんみたいな存在で…氏ぬ前に出逢えたら良かったなと思う人です」
音無「ああ、そうか。俺もそう言う意味で言う特別ってことか」
ユイ「…」
音無「…」
ユイ「……」
音無「(何か言えよ)」
835: 2010/09/16(木) 12:28:14.94 ID:RaRemsAO
ユイ「もし仮に…」
音無「あ?」
ユイ「家事も洗濯も一人じゃ何にもできない女から好きだと言われたら、どうしますか?」
音無「そりゃ、振r…」
音無「(…その条件って全部お前に当てはまってるな。試してんのか?)」
音無「(ここは慎重にセリフを選ぶべきか?それとも…)」
音無「…(あー、考えんの面倒くせぇからもうまんまでいい)」ザッ
ユイ「先輩?」
音無「てかよー、ぶっちゃけそれお前のことじゃん?」
ユイ「あ…。うん」
音無「そもそも何でお前来世も身体動かせねーって決めつけてんの?」
ユイ「それは…」
音無「生まれかわった来世も身体が不自由なんて考えじゃねーよ。もっと前向きに考えろ」
836: 2010/09/16(木) 12:28:44.19 ID:RaRemsAO
ユイ「前向きだなんて無理だよ。また身体が動かせなくなったら怖いし」
音無「不安になりそうな時は俺を呼べ。ぶっ飛ばして一喝してやっから」
ユイ「呼べって…無理だよ。絶対に会えませんよ」
音無「だったら俺を探してみな。そん時、もしまた会えたら力になってやる(…覚えてたらの話だがな)」
ユイ「…家から出られない状態だったらどうするんですか?」
音無「さぁな」
ユイ「?」
音無「俺は来世でお前が動ける身体になってるってこと以外は眼中にねーから」
ユイ「ぷっ…何ですかそれ、極端ですね先輩は」クスッ
音無「まぁ、もしどうしても動けない身体だった時はお前の母ちゃんに散歩でも連れてってもらえ」
837: 2010/09/16(木) 12:29:06.14 ID:RaRemsAO
音無「そこでバッタリ、なんてのも有り得なくはねーかもよ?」
ユイ「そうですね…でも、またお母さんに頑張らせちゃうかも」
?「なーに言ってんだよ」
音無「ん?」クルッ
ユイ「日向先輩…」
日向「俺もいるだろ?」ボロッ
ユイ「なんでそんなにボロボロなんですか?」
日向「ちょっとしたゴタゴタに巻き込まれてな」
音無「テメェ遅ぇぞコラ」
日向「音無には後で話があるとして、まずはユイだ」
ユイ「どうしたんですか?」
日向「お前がしっかり音無に自分の気持ち言えてんのかどうか心配になってきたんだよ」
ユイ「ちょっ!」
音無「…話が見えんな。心配?ユイの気持ちって何だ?そりゃ俺に憧れてたってことか?」
838: 2010/09/16(木) 12:29:54.84 ID:RaRemsAO
日向「そっちは違ぇーよ、何だ知らなかったのか?」
音無「?」
日向「全く音無くんは鈍感だなぁ」ハハ
音無「嵌めるぞテメェ」
日向「だってさぁ、ユイってばお前のこと好きなんd」
ユイ「…」ガシッ
日向「ん?何だユイ?」
ユイ「どおりゃぁぁーっ!」ブンッ
日向「ふごおっ!!」ドシンッ
音無「ジャーマンスープレックス…お前いつの間に?」
ユイ「バットを何回も振ってる内に結構力がついてたみたいです」
音無「へぇ…」
ユイ「…ひょっとして、さっき日向先輩が言おうとしたこと聞こえましたか?」
音無「大体は」
ユイ「そっか、ならもう隠す必要もないですよね」
音無「お前…俺がそういう色恋沙汰に興味はねーって知ってんだろ」
839: 2010/09/16(木) 12:30:53.96 ID:RaRemsAO
ユイ「確かにユイにゃんは魅力的ですが、今の先輩を落とそうなんて考えてませんよ」
音無「あ?誰が魅力的?」
ユイ「来世で元気な身体で先輩に会って、その時こそまた」
日向「イテテ…んだよ、ちゃんと言えてんじゃねーか」スクッ
ユイ「日向先輩にも、いろいろと相談に乗ってくれてありがとうございました」
日向「気にすんな。それより…お前来世って」
ユイ「今度こそもう未練は無い、かな」
音無「…消えんのか?」
ユイ「消えるんじゃないよ。次こそ報われた人生を送りに行くんです」
音無「良いこと言うなテメェ」グリグリ
ユイ「痛い痛い!」
840: 2010/09/16(木) 12:31:16.00 ID:RaRemsAO
音無「ま、未練がなくなったってのにいつまでもこの世界に縛りつけておくってのもねーわな」
日向「次、来世で俺達に会ったら真っ先に声かけてこいよ」
ユイ「どっちかと言うと日向先輩は私のお兄さんとして来世で会いたいです」
日向「…お兄さんか、お前の母さんの負担も減らせるし悪くねーかもな」
ユイ「音無さんもできれば、また飾らないあなたのままで会いたいです」
音無「分からんな。悪さしまくってたから生まれ変わったら善人にされてるかもだぜ」
ユイ「大丈夫ですよ、先輩はそんなに悪人じゃないですから」
日向「いや結構な悪人だぞ」
音無「テメェは一言多いんだよ」
ユイ「ふふっ」
音無「何笑ってやがる」
841: 2010/09/16(木) 12:31:59.69 ID:RaRemsAO
ユイ「また次も二人の絡む姿を見たいなと思って」
日向「あんまり俺に迷惑かけんじゃねーぞ音無」
音無「弾き飛ばすぞ」
ユイ「…それでは、ユイにゃんは一足先に行ってくるであります」
日向「ああ。元気でな」
音無「またな」
ユイ「音無さん」
音無「ん?」
ユイ「先輩も早く、この世界で自分の未練を見つけてみてください…きっと楽しい嬉しい気持ちになりますから」
――
―
日向「いったな…」
音無「まさか最後にアイツに説教されるとは思わなんだ」
日向「やかましかったが、いざいなくなってみると寂しくなるな」
音無「やっぱりお前がユイのこと一番心配してたんじゃねーか」
日向「ち、違ぇよっ!」
842: 2010/09/16(木) 12:32:20.10 ID:RaRemsAO
音無「分かってたことだし今更否定すんなよな」
日向「別にそんなんじゃねーよ!」
音無「その顔、実に滑稽だな。ボロボロ感が更に滑稽さを引き立ててるぞ」
日向「あ!お前、よくもスカート捲りなんてさせてくれやがったな!」
音無「誰もスカート捲りをやれなんて言ってねーよ」
日向「その他にもあれやこれやでおかげでコッチは氏にかけたんだからな!」
音無「お前、それユイが居る前で言わなくて良かったな…聞かれてたら軽く失望されたんじゃね?」
日向「ったく、もういい。今日はゆりっぺ達に見つからないように帰るが先だ」
音無「精々見つかんなよ」
日向「おう、あばよ」スタスタ
音無「」
860: 2010/09/19(日) 03:02:47.40 ID:2/EOqYAO
音無「…」
日向「お前も早く帰れよー!」スタスタ
モゾモゾ…
音無「…黒い霧?いや、違うな」
モゾモゾ…
音無「何だあれ…?」
モゾモゾ モゾモゾ
音無「おい、日向!後ろだ後ろ!」
日向「何だ…っておわっ!?何だ、この黒いの!」
音無「ちっ、離れてろ!」シャキンッ
影「…」モゾモゾ
音無「おらっ!」ズバッ
影「!」シュゥゥゥ…
日向「き、消えた?」
音無「今の黒い物体、明らかにお前を喰おうとしてみたいだが…お前、何かして恨まれてんのか?」
日向「それは…ない(多分)」
音無「じゃあ、氏後の世界だけに現れる新種の獣じゃねーか?」
日向「でも、あんなん今までいなかったぞ?」
音無「誰かが意図的に放ったっては?」
日向「いやいやあんなの飼う場所ないでしょ」
861: 2010/09/19(日) 03:03:25.03 ID:2/EOqYAO
音無「とりあえずお前はもう帰れ」
日向「おい、一人にしないでくれよな」
音無「バーカ!テメェも男なら一人で何とかしろよな」
日向「武器も装備ねーのにあんなバケモンどうしろってんだ!」
音無「チッ、仕方ねーな。ならこれ持っとけ」ポイッ
日向「おっと」パシ
音無「取り扱いには十分に注意しとけよ。当たれば跡形もなく消し炭になるぜ」
日向「そんな物騒なヤツ持ってたのか」
音無「前にゆりからパクった銃を遊佐から改造してもらったんだよ」
日向「お前、前から思ってたんだけど顔が広いな。いつの間に遊佐とコンタクト取ってたんだ?」
音無「まぁ色々とあってだな。俺のために命を張れる輩はいるっつーことだよ」
862: 2010/09/19(日) 03:04:11.21 ID:2/EOqYAO
日向「そ、そうか(まさかな)」
音無「じゃあお前は帰れ。さっきみてーな黒いのに食われねーうちにな」
日向「おう。サンキュな、そんじゃ今度こそまたな」スタスタ
音無「ああ」
音無「…さて、と」
音無「俺も今の内にユイのギターを回収しにいきますかね」ザッザッ
―学習練・空き教室―
音無「ふーんふーん♪…ん?」ガララッ
関根「あ」
音無「…おいおい、お前今何時だと思ってんだよ。早く帰れ」
関根「今、ひさ子先輩に反省日誌を書かされてるんだよぉ。それより音無さんはどうしたんですか?」
音無「まぁちょっとな、野暮用だ」
関根「野暮?ってどういう意味だっけ」
863: 2010/09/19(日) 03:04:44.20 ID:2/EOqYAO
音無「よっと」スッ
関根「ユイのギターじゃん?持ってっちゃうんです?」
音無「おう。岩沢のギターと一緒に飾ろうかって思ってな」
関根「岩沢さんのギターと…?あの、それってもしかしてユイが」
音無「何だお前。どんくさそうな割に勘がいいな」
関根「えっ!?まさか本当に?」
音無「最期にゃ良い顔してたぜアイツ」
関根「どうしてユイが…ガルデモのみんなは知ってるんですか?」
音無「知るわきゃねーだろ。ついさっきいっちまったばっかなんだしさ」
関根「…」
音無「怒ってるか?まぁ俺が消しちまったことは事実だし、ビンタくらいは受け入れてやる」
864: 2010/09/19(日) 03:05:12.83 ID:2/EOqYAO
関根「いや、きっとユイが自分で満足したってことなんだから…責めたりするわけないですよ」
音無「そりゃどうも」
関根「事情を話せばみゆきちもきっと許してくれるよ…でも」
音無「問題は…」
音無・関根「ひさ子(先輩)か」
関根「特にひさ子先輩は音無さんを敵視してますからね」
音無「説得する前にぶっ飛ばされるな」
関根「確かに、ひさ子先輩のゲンコツは痛しなぁ…」
音無「いや、俺が心配してんのはとっさにカウンターして逆に殴っちまうかもってことだ」
関根「どんだけ強いんだよ」
音無「てなわけでユイのギターは持ってくぜ」スタスタ
関根「よろしく頼みますね」
865: 2010/09/19(日) 03:05:37.90 ID:2/EOqYAO
―男子寮前―
音無「フッ、今日は何か色々あったしよく眠れそうだな」
音無「…ん?」ピタッ
奏「…」
音無「男子寮に座り込んでるお嬢さん」
奏「あなたを待ってた」スクッ
音無「もう女子寮に鍵がかかる時間だが、帰らなくていいのかいチミ?」
奏「大丈夫…多分」
音無「で、用は?」
奏「…これ」スッ
音無「何だこれ?メリケンサック?」
奏「あの子を成仏させてくれたお礼」
音無「…ユイを成仏させた件か?」
奏「うん。あなたのおかげであの子はきっと報われた気持ちになった」
音無「何でお前が礼を言う?」
奏「私はここに来た人達に報われた気持ちになって成仏してもらいたいから…」
866: 2010/09/19(日) 03:06:14.20 ID:2/EOqYAO
音無「あーあ、結果的に手伝いしちまったワケか」
奏「だからお礼を渡しににきたの」
音無「お礼が何でメリケンサックなんだよ?チョイスおかしいだろ」
奏「あなた好きそうだったから」
音無「あ、そう。まぁいいや、手軽だしあのヘンテコな奴が出てきたらこれで」
奏「…ヘンテコな奴?」
音無「おっと、お前には関係ねー話だ。じゃあな」スタスタ
奏「…」
音無「まぁ、ひょっとするとお前がってのも考えられなくはない」ピタッ
奏「私は何も」
音無「俺もお前が無意味なことするたぁ思えんが、じきに分かることだし」
奏「…何か隠してる?」
音無「さぁね?」スタスタ スタスタ
ガーッ、ピシャン
奏「(…調べてみよっと)」
867: 2010/09/19(日) 03:07:43.92 ID:2/EOqYAO
―天使エリア―
奏「結弦が言ってたように…何かがこの世界で起き始めてる」カタカタ
ギャギャギャ…
奏「(五月蝿いな、誰なのかしら?)」
―音無の部屋―
ギャギャギャギャギャ♪
ドギャギャギャギャギャ♪
音無「うっひゃ、ユイの野郎こんなに良いギター使ってやがったのかよ」ギャギャ
音無「16ビート!…なんつってなぁ!」ギャギャギャ
ガチャッ
音無「あーん?!」ギャギャギャギャギャ
日向「あの、音無…今は午前3時だぜ?」
音無「え?何?聞こえない?」ギャギャ
藤巻「バッカヤロウ!寮中にお前のギターが鳴り響いてみんな迷惑してんだ!」
音無「ん?なんて?」ギャギャギャ
日向「ギター弾くの止めろ!っていつからお前そんなに上手くなったんだよ!」
874: 2010/09/21(火) 02:17:27.74 ID:nyKVisAO
―1階・渡り廊下―
直井「どうしたんですか音無さん?その真紅に染まった目は」スタスタ
椎名「指もボロボロだな。誰かに襲われたなら仕返しに行くか?」スタスタ
音無「気にするなや」スタスタ
奏「ギターの弾きすぎ」スタスタ
音無「そうかもな…」ピタッ
音無「で、テメェはどうしてミー達と一緒に居るんだろうかなぁ?」
奏「私は部屋に帰ろうとしてるだけ」
音無「(コイツ、まさかとは思うが俺が部屋に侵入しようとしてるの感づきやがったのか?)」
ピンポンパンポーン
「生徒会長の立華奏さん、至急生徒会室まで来てください。繰り返します」
奏「?」
椎名「ゆりの声か?」
音無「早く行けよ。あいつ待たすとまたキレんぞ(ラッキー!)」
875: 2010/09/21(火) 02:17:50.84 ID:nyKVisAO
奏「分かった」テクテク
音無「さいなら」
音無「…よし、行ったな」
音無「イッツ・チャンス」ダダッ
直井「ちょっ、どこに行くんですか音無さぁん!」
音無「お前らも来たけりゃこい!」
椎名「女子寮の方向?」
―天使エリア―
カタカタカタ
カタカタカタ
音無「チッ、てっきりまたコイツのPCから派生したモンかと思ったんだがな」
椎名「…影、か」
直井「でもその影ってもう音無さんが倒しちゃったんじゃないんですか?」
音無「最初はそう思ったが、どうやら奴は一つだけの存在じゃないらしい」
椎名「二つ目を倒したのか?」
音無「一つを野田が倒した、ってのは校長室に設置してある盗聴器でゆりから聞いた」
876: 2010/09/21(火) 02:18:12.57 ID:nyKVisAO
直井「いつの間に盗聴器なんてセットしたんですか?」
音無「この世界に来て二日目」
直井「流石音無さん。用意周到ですね」
音無「因みに俺が話した全ての人の部屋に一個ずつ設置してあるからな」
直井「え…それって一体どんくらい前から…」
音無「そういや、椎名は下着じゃなくてサラシ派なのか」
椎名「貴様ッ!」
音無「因みに直井は『※%#』で」
直井「うわぁ!言わないでください!」
音無「椎名とゆりのサイズは結構いい勝負だったが、安心しろ。お前の方がナイスだから」
椎名「…」ピキッ
音無「なーんて冗談だよ冗談!(じゃねーけど)」
直井「何だ脅かさないでくださいよぉ」
877: 2010/09/21(火) 02:18:32.62 ID:nyKVisAO
椎名「…もし本当だったら失望するところだったぞ」
直井「本当にですか?」
音無「下手な詮索はナンセンスだ。それにここにもう用はねー、引きあげだ」
椎名「…」ジー
音無「何だよそのジト目は」
椎名「何かにおうな」
音無「そうか?ブラックストーンの良い香りだと思うが」クンクン
椎名「そっちじゃない。お前の心だ」
音無「だーからね、詮索はいかんとですよ」
椎名「私の目をよく見ろ」
音無「…あ、影!」
椎名「なにっ!」
音無「なわけねーだろ」ダダッ
椎名「貴様やはり…!逃がさん!」ダッ
直井「…」
直井「…行ってしまった」
直井「気乗りしませんが追いますかね」
878: 2010/09/21(火) 02:19:05.64 ID:nyKVisAO
―女子寮・廊下―
音無「邪魔だゴルァ」ドカッ
メガネ「うわあっ」ドシャッ
音無「(丁度いい、このメガネを踏み台に使って窓から…)」ガララッ
椎名「(む…窓から逃げる気か?)」
音無「とうっ」バッ
メガネ「ぐえっ!」
椎名「なめるな。そんな芸当は私にもできる」バッ
メガネ「ぐえぐえっ!」
直井「…」タッタッタッ
直井「…」ゼーゼー
直井「まるで忍者だな」
―生徒会室―
ゆり「本当に何もしらないのね?」
奏「知らない」
ゆり「部屋を調べさせてもらってもいいわね?」
奏「どうぞ」
ゆり「竹山くん、お願い」
竹山(インカム)「…ゲホッゲホッ」
ゆり「あれ?竹山く…」
879: 2010/09/21(火) 02:19:32.05 ID:nyKVisAO
ガッシャーーン!
ゴロゴロゴロ
ゆり「今度はなによ!?」ガタッ
音無「痛ってぇ…流石に女子寮からダイブしてくんのは無理あったか」ガシャッ
ゆり「いや、普通にガラス突き破って入ってきて『痛ってぇ』だけで済まさないでよ」
奏「何してるの結弦?」
音無「椎名のヤツは撒けたかな?」
ゆり「椎名さん?」
音無「おっと、何でもねーよ。それよりテメェはコイツに何を尋問してやがったんだ?」
ゆり「別に何でもないわよ」
音無「おいおい、しらばっくれるなよなぁ?影のことは知ってるんだぜ?」
ゆり「…なーんだ。知ってたの」
音無「日向の野郎から聞いてなかったのかよ?」
ゆり「日向くんの名前を出さないで」
880: 2010/09/21(火) 02:19:51.24 ID:nyKVisAO
音無「昨日の件まだ根に持ってんのか」
ゆり「昨日の件?」ピクッ
音無「あ」
ゆり「どうしてあなたが知ってるのかしらね?」
音無「日向から聞いたんだよ」
ゆり「何か怪しいわね」
ピリッ
音無「…おい、今何かが切られる音がしたぞ?どっかで戦闘勃発中だぜ」
ゆり「何言ってんの。はぐらかそうたって…」
バァァン!
音無「ほら見ろ」
ゆり「耳良すぎでしょ!」
奏「外、見て」ザッ
音無「ほー…影が一杯だ」
ゆり「何であんなに…」
音無「ククッ、だんだん面白くなってきやがったな」スタスタ
ゆり「ちょっとちょっと何処行くの?早く援護に行かないと!」
音無「勝手にやってろ」
881: 2010/09/21(火) 02:20:12.26 ID:nyKVisAO
ゆり「はぁ?」
音無「俺は自分が危ない時にだけ戦う」
奏「……」
ゆり「あなた、そんなんじゃロクな氏に方しないわよ?」
音無「いや氏んでますから」
ゆり「…いいわ。あなたには頼らない」
音無「やけに素直に引き下がったな」
ゆり「これでも音無くんの性格は分かってるつもりよ」
音無「皮肉か?」
ゆり「さぁね?じゃ私は出るから」ダッ
音無「おい、そっちは出口じゃな…」
ゆり「ふっ」バッ
クルクルクル スタッ
タタタタタッ
音無「…やるじゃん。で、お前はどうする?」
奏「私も、出る」スタスタ
音無「行ってらっさい」
奏「あなたは本当に来ないの?」
音無「俺が居なくてもお前が居りゃ何とかなるだろ」
882: 2010/09/21(火) 02:20:37.89 ID:nyKVisAO
奏「あなたが来たほうが効率的だと思うけど?」
音無「相変わらず理論的なヤツだ。お前と口論して勝てる気はせん」スタスタ
奏「どこに行く気?」
音無「俺と話してる暇があったら早く行ってやれよ」
奏「…」
奏「…」ダッ
音無「(感づかれずに済んだ、か)」
音無「そんじゃ…面倒くせーが、この馬鹿げたパーティーの主催者を探しに行きますかね」ザッザッ
―校舎裏―
ザッザッ
遊佐「お待ちしていました音無さん」
音無「例のモンは?」
遊佐「用意できています。どうぞ」スッ
音無「よく作れたもんだな」パシ
遊佐「作れと言ったのはあなたです」
音無「わーってるよ。あの銃を改造してくれたのもお前だしな」
883: 2010/09/21(火) 02:21:03.10 ID:nyKVisAO
音無「ちゃんと感謝してるってーの」
遊佐「別にお礼はいりませんよ」
音無「しっかしお前も変わったヤツだよなー、普通こんなヤンキーみたいな野郎に頼まれて無料でホイホイ作るか?」
遊佐「作ったのは私じゃなくてギルドの方々ですから」
音無「でも設計図書いたのはお前じゃねーの?」
遊佐「…私は人の役に立てればそれで結構ですので。それでは」スタスタ
音無「(確かにあいつだけは初対面の俺を見て嫌な顔をしなかった気がする)」
音無「しっかし影感知器の設計図なんてホントどーやって作ったんだよ」
音無「ま、試して見るか。まずはグラウンドから…」ピッピッ
音無「グラウンドに反応ゼロってことは、あいつら片付いたのか」
884: 2010/09/21(火) 02:21:24.23 ID:nyKVisAO
音無「まぁいい、まずはパーティーの主催者を見つけるのが先決だ」
椎名「見つけた」
音無「いや、まだ見つけてない…ん?」
椎名「また会ったな」ズン
音無「…お前、グラウンドにいる影の迎撃はどうした?」
椎名「私はお前の仲間だ。お前の指示で動く」
音無「(くっそ…これからだってのな、余計なこと言わなきゃよかったぜ)」
椎名「覚悟はいいか?」スチャッ
音無「…いいさ。この際だ、完全に服従させてやるよ」シャキンッ!
―翌日・渡り廊下―
音無「…」スタスタ
椎名「…」スタスタ
ゆり「あ、音無くんと椎名さーん!…ってどうしたのその痣?」
音無・椎名「影にやられた」
ゆり「そ、そう。多分今日中にに治ると思うけど…」
885: 2010/09/21(火) 02:21:46.74 ID:nyKVisAO
?「音無さーん!」
音無「…!。日向、直井、テメェら生きてたのかよ」
直井「勿論でございます」
日向「何回か影に襲われたが、お前に昨日貰った銃が役にたったぜ」
ゆり「それはよかったわね」
日向「ゲッ、ゆりっぺ!」
ゆり「悪いけど今はあなただけに構ってる時間は無いわ。とりあえずみんな今夜体育館に来てもらえるかしら?」
直井「どうします音無さん?」
音無「直井、椎名、日向…お前ら俺の代わりに行っといて」
ゆり「あなたに司会をしてもらいたいんだけどね」
音無「やだよ面倒くせ」
ゆり「あなたにとっても影は嫌なものなんでしょ?」
音無「俺は一人でどうにかできる。話し合う間でもねーよ」
ゆり「そう、なら仕方ないわね」
音無「…いや待て、一言だけ言わせろ」
886: 2010/09/21(火) 02:22:10.21 ID:nyKVisAO
―夜・体育館―
ザワザワ
ヒソヒソ
SSS男A「何で音無の野郎が…」ヒソヒソ
SSS女A「ねぇ、見てよあの殺人鬼みたいな顔」ヒソヒソ
音無「えー、じゃあまずは俺様の話を聞けクソムシ共」
ザワザワ ヒソヒソ
音無「…」ブンッ
バキベキバキイィィッ!
音無「…静かに」
シーーーン
日向「(カカトで床を叩き割るとかどんだけだよ)」
音無「俺のこと良く思ってねー奴らもいるかもしれねーが、よく聞け」
日向「…」ゴクリ
音無「この世界に異変を起こした奴は俺が潰す!だからテメェらはテメェらは手だすなよ?以上!」
日向「あら」ズルッ
藤巻「な、何だよそれ!」
野田「貴様ふざけるてるのか!」
887: 2010/09/21(火) 02:22:38.85 ID:nyKVisAO
ゆり「(…首謀者は自分で見つけるってことなのかしら?でもどうやって)」
音無「じゃあ俺は帰るんで」スタスタ
ゆり「あ、うん。ありがと」
音無「けーるぞ」ザッザッ
椎名「ああ」ザッザッ
日向「帰りますか」ザッザッ
直井「はい。…いや、待て貴様」ガッ
日向「何だよ?」
直井「貴様いつから音無さんの仲間になった?」
日向「そんなん最初からに決まってんじゃねーか」
直井「とか申しておりますが?」
音無「好きにしたらいい」
日向「お、マジか」
直井「なっ…」
椎名「(いつもの音無なら『冗談じゃねぇ』とか言いそうなものだが…)」
音無「(コイツに借してる銃は使えるからな)」
888: 2010/09/21(火) 02:23:54.86 ID:nyKVisAO
―外―
椎名「今日はこのまま解散か?」
音無「いや…これから首謀者の居る場所、叩くぞ」
日向「場所は分かってんのか?」
音無「一つだけ、影が一点に超集団で集中してる場所がある…恐らくそこだ」ピ
日向「何だそれ、GPS?」
音無「影感知器」
直井「感知器って、そんなハイテクなもの一体どこで…」
音無「この場所から…あっちか」ダッ
椎名「図書館の方角か」
―図書館―
ガチャッ
椎名「…」ソーッ
椎名「…」キョロキョロ
椎名「(いいぞ)」チョイチョイ
ダダダッ
日向「…何もいねーな」ダッ
音無「だが、確かに感知器には、この場所に影が集中している」
直井「地下なんてあったりして?」
日向「まさか」
音無「…!」
898: 2010/09/22(水) 02:25:32.59 ID:Sq0QX.AO
音無「ありえなくは無い」
日向「ええっ!?」
椎名「確かに。天井に丸々部屋が一つあるとは考えずらいな」
直井「とりあえず地面をくまなく探しましょう」
音無「いや、そんな面倒くせーことする必要はねーよ。おい日向」
日向「ん?」
音無「今あの改造銃持ってるだろ?あれちょっとよこせ」
日向「おいおい…まさか」
音無「地面に向かってぶっ放つ」
日向「音無が一番威力を分かってるだろ?下手すりゃ自分も吹き飛ぶかも知んねーぞ?」
音無「なめんなよ、飛ばねーよ」
日向「…分かった。そう言うなら任せたぜっ」スッ
音無「お前らは外に出てろ。巻き添え喰らうぞ」パシ
椎名「その銃がどれだけすごいかは知らんが、氏体になって出てくるなよ」
音無「ないない」
899: 2010/09/22(水) 02:26:18.19 ID:Sq0QX.AO
―外―
日向「本当にあいつ大丈夫か?撃った瞬間じゃ逃げれねーだろ」
直井「貴様ちょっとは音無さんを信じたらどうだ?」
日向「あのな、俺は心配して…」
椎名「お前達は自分をしろ。一歩間違えば私達にも被害が来る可能性だって無いことは無い」
日向「…一応耳をふさいどくか」
直井「そろそろですかね…」
椎名「……」
カッ
椎名「(来る!)」
椎名「伏せろお前達!」バッ
日向「えっ?あ、あ」バッ
ガッシャアァァン! ガシャッバリィン!
ドドドッ! ガシャガシャッ!
椎名「なんて爆音だ…」
ガシャガシャン!
日向「うおっ!図書館の窓が全部吹き飛びやがった!」
直井「これ本当に音無さん大丈夫なんですかね?」
椎名「行くぞ、中に入る」ダッ
日向「おいおい、今行ったら危ねーんじゃねぇか?」
直井「音無さぁん!」ダッ
日向「あ、待てよお前ら!」ダッ
900: 2010/09/22(水) 02:26:43.67 ID:Sq0QX.AO
―図書館内―
ガシャッ
音無「ったく…遊佐のヤツ危ねーもん作りだしやがって」ゲホッ
音無「まぁ頼んだのは俺なんだけど」
ダダダッ
椎名「音無、大丈夫か?」
音無「ああ、生きてるぜ。氏んでるが」
日向「煙で見えねーけど、見えてるのか?」
直井「僕にも見えませんね」キョロキョロ
椎名「こっちだ」ザッ
日向「お、居た居た。お前本当に大丈夫だったか?」
音無「流石に爆風は無理だったわな。ま、この通りピンピンしてるがな」
日向「俺はますますお前の生前が気になってきたよ…」
椎名「それは一理ある」
音無「俺だってお前の過去知らねーよ」
椎名「昨日の夜、話しただろ?」
音無「えっ、あれ本当に過去だったのか?てっきりお前がギャグに目覚めたとばかりに」
椎名「…あさはかなり」
直井「音無さん」
音無「あ?」
直井「ありましたよ、地下通路への道」
901: 2010/09/22(水) 02:27:40.49 ID:Sq0QX.AO
音無「ヘッ、ビンゴってワケか」
日向「まさか本当にあるとは…」
直井「だから言ったのだ。神の言葉を信じろ愚民」
日向「まーた、神とかそんなこと言っちゃってるのか」
直井「何だと?」ジロ
椎名「よせお前ら。今からはもっと熾烈な戦闘が待ってる。無駄に体力を使う真似をするな」
日向「…おう、分かった」
直井「フン」
日向「しっかし椎名は、よくまぁ話すようになったな」
椎名「そうか?」
日向「音無と会う前までは喋る事自体がほとんど無かったのに」
椎名「あまり自覚は無いんだが…」
音無「俺と居りゃ嫌でもコミュニケーション能力が成長するだろよ」
日向「やっぱりお前の影響か」
音無「と、まあお喋りは此処までだ…準備良いか?」
直井「僕はいつでも大丈夫ですよ」
日向「俺も行けるぜ」
椎名「ああ」
音無「よし…ちょっとその前にと」
日向「行かねーのか?」
音無「一人一本吸ってけ」スッ
902: 2010/09/22(水) 02:28:18.55 ID:Sq0QX.AO
日向「煙草?」
音無「お前生前吸ったことあんだろ?」
日向「まぁ、一応」
直井「僕はありませんよ」
音無「別に吸わなくてもくわえる仕草だけでいい」
椎名「出発式みたいな物か?」
音無「そんなトコだ。…お前ら全員加えたな?んじゃ火ぃ渡すぞ」
日向「(にしても煙草なんていつ以来だろうな)」シュボッ
直井「(中身はなるべく吸わないように仕草だけ…)」シュボッ
椎名「(煙草か…初めてだな)」シュボッ
音無「最後に俺だ」シュボッ
日向「…ウマい」
椎名「香りもいいな」
直井「(苦しくならない?)これは…咳き込まない煙草ですか?」
音無「ちょっと特殊な煙草だ。そこらで売ってる安物とはワケが違う」スパー
―五分後―
音無「全員吸い終わったな?」
日向「おう」
直井「煙草ってのも悪くないですね」
音無「じゃ、地下に下るぜ」ザッザッ
日向「ちょっと緊張してきたな」ザッザッ
椎名「今更臆してるのか?」
903: 2010/09/22(水) 02:29:45.53 ID:Sq0QX.AO
日向「そりゃあ、この先には沢山敵が居るワケだし」
直井「情けない。それでも音無さんの仲間か?」
音無「おい日向」
日向「ん?」
音無「おらよ」ポイ
日向「おっ、と」パシッ
日向「…これは?」
音無「さっきの改造銃の弾が切れちまったから、もう一つの改造銃だ。流石にさっきより威力は劣るが」
日向「いいのかよ?」
音無「俺は白兵戦じゃ天使にすら勝るってこと忘れたか?」
日向「…そうだったな。じゃ、ありがたく使わせてもらうぜ」
直井「音無さん、僕にも何か」ワクワク
音無「あ?もう手持ちがねー…くはないな」ゴソゴソ
直井「お願いします」ワクワク
音無「ほら」スッ
直井「これ…は?」
音無「使いこなせりゃあ、十分お前の力になるさ…難しいだろうが」
日向「にしてもどうする?この破壊した跡は?」
音無「明日にゃ自然に治ってるさ」
―ギルド連絡通路B1―
日向「ここってまさか」
直井「そうですよ」
音無「これで三度目の…」
椎名「ギルドだな」
904: 2010/09/22(水) 02:30:15.88 ID:Sq0QX.AO
日向「またかよっ!」
音無「それでもまぁ、あの無数の天使の大群を相手取るよりマシなんじゃね?」
日向「得体の知れない奴よりはだいぶ天使のがマシだと思うぞ…」
ズズズ… ズズズ…
影A「…」ズズ
影B「…」ズズ
影CDE…「…」ズズ
音無「ほら、そう言ってるそばから敵さんのご登場ーっ♪」
日向「何でそんな軽ノリなんだよ!」
椎名「来るぞ」チャキ
直井「(この武器…本当に僕に使いこなせるだろうか?)」
―地上・図書館内―
ゆり「…なに、この有り様は?まるで何かが爆発したような後ね」
ゆり「(せっかく敵の本拠地を見つけたと思ったのに、まさか先手を打たれたの?)」バン!
ゆり「…!。これは煙草の吸い殻?」
ゆり「煙草の吸い殻…しかも四つ。四本…ってことは」
ゆり「音無くん椎名さん直井くん日向くん…って考えれば」
ゆり「何か、他な手かがりになるものは落ちてないかしら」
ゆり「…何この大きな穴?」
905: 2010/09/22(水) 02:31:13.16 ID:Sq0QX.AO
―ギルド地下通路B10―
影「…」ヌヌヌ…
音無「オラオラオラオラ!」バシュシュ
椎名「ふっ!」ズバッ
日向「これ、さっき程の威力は無いとしても殺傷力は半端じゃねぇな」ズドンッ!
直井「退け、当たるぞ」ヒュッ
日向「へ?」
チュドーーン!
日向「のわぁっ、頃す気かよ!」
直井「警告しただろう?」
日向「投げてから言うなよっ!」
音無「ハッ、しっかり使いこなせてんじゃねーか直井」
直井「はい、思ったよりも使いやすいですね。火炎瓶って」
椎名「音無、敵の本拠地の位置はわかりそうか?」ズバッ
音無「えー待てよ…。とりあえずこの先のデカい部屋を抜けた先に影が集結してやがるな」シュババッ
椎名「まずはオールドギルドに行くことが先決か」
日向「それまでに体力持ってるかが心配だけどな」
直井「退け、当たるぞ」ヒュッ
日向「だからお前…ってさっきから俺を狙ってんだろテメ!」
914: 2010/09/26(日) 06:17:14.93 ID:5M7p6UAO
―オールドギルド―
音無「へぇ、なかなかいい場所じゃん」
日向「まだ俺達が戦線作って間もない頃使ってた工作場みたいなトコだ」
音無「お前工作員かよ」
日向「いや、俺じゃなくてギルドの奴らだよ。それに工作員の意味違うし」
直井「こんな陽の当たらぬ所で作業する奴らの気が知れんな」
椎名「…おかしい」
日向「何がだ?」
椎名「何故誰も居ないんだ」
日向「…言われてみりゃ、確かに誰もいねぇな。チャー達はどこ行ったんだ?」
チャー「呼んだか?」ヌッ
日向「ぬおっ!どっから出てきてんだよお前は!」
チャー「他の奴らは、もう全員地上にあがらせた」
日向「地上に?」
チャー「先にそこの兄ちゃんが警告しといてくれんたんだよ。そこにいちゃ危ねーってな」
915: 2010/09/26(日) 06:17:35.58 ID:5M7p6UAO
日向「お前いつギルドの奴らに?」
音無「情報ってのは何よりスピーディーなのが大事なんだぜ」
直井「何故貴様は残っている?危ないんじゃないのか?」
チャー「俺は自分の身は自分で守れる。それに、まだ消えるわけにはいかないんでな」ザッザッ
椎名「どこへ行く?」
チャー「ちょいと人を待ちにな」ザッザッ
日向「外は影で溢れてんだぜ!?やめとけって!」
チャー「言っただろ。自分の身は自分で守るとな」
音無「おいテメェ」
チャー「…どうした?」ピタ
音無「餞別くれてやる」シュッ
チャー「…?」パシ
音無「やるよ、その煙草。そのオッサン面なら未成年もクソもねーだろ?」
チャー「ふっ、そうだな。ありがとよ狂犬くん」
音無「最後にゆりに会いに行くんだろ?その隠してる銃を託しによ」
チャー「ははっ、こりゃ参った」
916: 2010/09/26(日) 06:17:53.88 ID:5M7p6UAO
チャー「また次お前と会えば、一度組み手にでも付き合ってもらうか」
音無「上等だよ、ジジィ」
チャー「…それじゃ、またなお前ら」
日向「チャー、今更だが戦線立ち上げの時は本当に助かったぜー!」
――
日向「行ったか。チャーの奴途中で影に喰われなきゃいいんだが」
音無「ありゃ大丈夫だろ」
日向「ところで誰を待つんだろな?」
音無「さぁね」
日向「にしても今地上で言うと夜中か。くっそ、流石に眠くなってきた」ゴシゴシ
音無「おい、椎名と直井。お前達は…」
直井「…」ZZ
音無「(立ったまま寝てやがるし。器用な野郎だこと)」
椎名「私は平気だ」
日向「悪い…俺は平気じゃなさそうだ」
音無「寝ろ。無理に動かれても足手まといになるだけだ」
日向「分かった。敵が来たら起こしてくれ、よ…」ZZZ
917: 2010/09/26(日) 06:18:12.33 ID:5M7p6UAO
―四時間後―
音無「(地上じゃそろそろ日が明けてくる時間帯か)」
椎名「…」
音無「おい、お前本当に大丈夫か?」
椎名「私は眠気に呑まれるほど、あさはかではない」
音無「大丈夫ならいい」
コツーン コツーン
椎名「!」バッ
音無「待て、こりゃ誰かの足音だ」
椎名「…あれは」
音無「…何だテメェだったか」
ゆり「ええ、私よ、やっぱりあなた達が先に首謀者潰しに来てたみたいね」
音無「どうやって知った?」
ゆり「それは話せば長くなるから勘弁してちょうだい」
音無「ふーん。ま、別にそこまで詮索する気はねーよ」
ゆり「…日向くんと直井くん眠ってるみたいね」
音無「そりゃ今は夜明け前だからな。お前は眠くねーのか?」
ゆり「氏ぬほど眠いわ」
椎名「ゆりも一度眠るといい」
ゆり「そうするかしらね。…あー眠っ」
918: 2010/09/26(日) 06:18:37.32 ID:5M7p6UAO
音無「そういや…お前途中でチャーに会わなかったか?」
ゆり「うん…会ったわよ」
音無「何て言ってた?」
ゆり「『戦いが終わるなら自分のやるべきことはもう無い』って」
音無「…なるほど、いっちまったか」
ゆり「チャーはとても頼りになる存在だったわ。それこそ戦線立ち上げ時の時なんて数え切れないくらいに」
音無「俺ぁそん時まだこの世界に来てねーから知らんが、あのオッサン面にも武勇伝があったのな」
ゆり「本当に…色々あったわ…」ZZZ
音無「…寝た?」
椎名「多分な」
音無「…お前も武勇伝とかあんの?」
椎名「いや、ない」
音無「嘘だろ。テメェその身体能力で無活躍ってのはありえねーだろ」
919: 2010/09/26(日) 06:19:04.88 ID:5M7p6UAO
椎名「…最初私とゆり達は敵だった」
音無「へー。何で?」
椎名「何でだろうな?」
音無「お前が知らねーのに俺が知るか」
椎名「そう言うな。今が良ければ、過去なんていいじゃないか」
音無「…かもな」
―更に三時間後―
日向「…ん?」
ゆり「ようやく起きたのね」
音無「やっとかよ。おせーな」
日向「おう、おかげでコンディションばっちしよ。あれ、何でゆりっぺも?」
ゆり「あんた達じゃ不安だからついて来たのよ」
直井「音無さんさえ居れば僕は大丈夫ですけどね」
椎名「目覚めたなら、行くぞ」
日向「行くってどこに?」
音無「敵さんのいるトコへだよ」
―ギルド連絡通路B20―
影ABCD「…」ズズズ
音無「GPS見る限り敵さんの居る場所はこのルートで間違いないな」
日向「でもどうやって突破する?」
直井「あの包囲網は厚いですよ」
音無「おいおい、何のためにお前らに武器持たせたと思ってんだ?」
920: 2010/09/26(日) 06:19:25.91 ID:5M7p6UAO
日向「あれをこんな狭い所でぶっ放すのか!?」
直井「ムチャクチャですよ!」
音無「やれ。やらなきゃ自分がやられんぜ?」
日向「…くっそ、分かったよ!」ジャコン
直井「あなたが言うなら」スッ
音無「こっちはお前らに任せた。…んで、ゆり」
ゆり「何?」
音無「お前は日向と直井が影の足止めしてる間に敵の本拠地を叩け」
ゆり「あなたはどうするの?」
音無「俺は一旦地上に戻る。俺の予想が正しけれりゃ地上でも影は発生してるハズだしな」
椎名「それならば一度戻ろう(子犬達が心配だ)」
ゆり「…みんなのこと、頼んだわよ」
音無「任せときや。行くぞ椎名」ザッ
椎名「ああ」
音無「(上じゃ立華の奴が立ち回ってんだろーけど、やっぱ気になんな)
921: 2010/09/26(日) 06:19:47.22 ID:5M7p6UAO
―地上・グラウンド―
影「…」ウネウネ…ズズズズ
音無「うわっ、すげー数だなこりゃ」
藤巻「この声…音無か!?」ザシュッ
音無「加勢しに来てやったんだよ。ありがたく思え」
野田「加勢なぞいらん!」ズバッ
大山「ここは見栄張ってる場合じゃないよ野田くん」バキュンッ
椎名「百人…いや、千人だ。戦力が増えたと思え」スパスパッ
音無「流石に千人は言い過ぎだぜ。せいぜい九百人にしとけ」ドカドカドカ
奏「…それ、あんまり差ない」シュパパ
音無「あ、これはお待たせしましたね天使サマ」メキメキ
奏「私は天使なんかじゃないわ」シュパン
TK「The Next Stage」パチンッ
音無「つかよ、お前らこの戦いが終わったら消えんのかよ?」バキメキ
藤巻「思い残すことが無けりゃな!」ザシュッザシュッ
野田「俺は最後にゆりっぺの顔を見るまでは消えん!あとコイツ(音無)をズタズタにするまではなぁ!」ドスッ
922: 2010/09/26(日) 06:20:10.23 ID:5M7p6UAO
大山「僕は…もう十分かな」ドンドン!
松下「多分俺もだ」ドスンドスン
椎名「私は…まだだ」ズバッ
奏「私も、思い残すことをやってからしか成仏はできない」
音無「俺は消えるぜ。…記憶を取り戻せたならな」
奏「結弦。やっぱり、まだ記憶が」
音無「こんな祭りはもうねーだろうし、最後の最後に暴れんぜ」ジャキンッ
―――
――
―
大山「影が全部…消えた」
藤巻「何とか、戦いは終わったな」
音無「(ゆりのヤツ…無事に黒幕を倒したのか?いや、多分そうだな)」
藤巻「…と同時に、俺達の居る意味も終わっちまったってことか」
松下「まぁ、そろそろ覚悟を決めんとな。ゆりっぺも言ってたことだ」
大山「僕は楽しかったな。みんなと一緒に戦えて」
音無「お前ら最後にリーダー様に会わなくていいのか?」
大山「会ったら余計に消えづらくなっちゃうからね」
923: 2010/09/26(日) 06:20:32.60 ID:5M7p6UAO
藤巻「おい小僧」ビッ
音無「誰が小僧だコラ」
藤巻「テメェのことは最後まで気に入らなかったが、その鋼の精神力だけは褒めてやるよ」
音無「へいへい、そいつはどうも」
藤巻「んじゃな。お前ら!」
松下「さて、では俺も」
音無「にしても随分痩せたなアンタ」
松下「ちょっと山ごもり中に食料がな」
音無「そっちのがスタイルいいぜ」
松下「音無…サッカーの時の対さばき、見事だった」
音無「あざーす」
松下「またいつか柔道をやろうな!」
音無「いや、それはちょっと勘べ…ってもういねぇし」
大山「じゃあ今度は僕だね」
音無「聞いたぜ。お前随分と古株だったんだな」
大山「僕は何もしてないよ。ゆりっぺと日向くんが頑張ったんだからさ」
音無「テメェはもっと自分を誇れよ。今度は胸張って自分を威張れるようにな」
音無「音無くん…ありがとう」
924: 2010/09/26(日) 06:20:58.38 ID:5M7p6UAO
音無「お前達はまだ残るんだよな?」
椎名「ああ」
奏「…」コクリ
野田「当然だっ!」
音無「じゃあ俺ちょっと行くとこあるから。もし日向達が来たら出迎えてやってくれ」ザッ
椎名「何処へ行く?」
音無「挨拶だよ」ザッザッ
―学習練・空き教室―
音無「まだ生きてるかーっ!」ガララッ
関根「音無さーん!」ピョーンッ
入江「ちょっ、しおりん」
音無「うぁたっ!」ドサッ
関根「無事だったんですね!」
音無「このアホがっ、急に飛びついてくる馬鹿がいるかっ!」
ひさ子「お前を待ってたんだよ」
音無「あ…ひさ子」
ひさ子「ばっかだなぁお前。ユイを成仏させた件で私が怒るって本当に思ったのかい?」
音無「あー…まぁな」
ひさ子「あいつが決めたことだ。何でお前を怒らなきゃならねーんだ」
音無「いや…俺に関わったボーカルって消えてくしさ」
ひさ子「ははっ、それはそうかもな」
925: 2010/09/26(日) 06:21:28.52 ID:5M7p6UAO
ひさ子「でも、岩沢もユイも…きっとお前に感謝してるはずだよ」
音無「だといいがな」
入江「…あの、音無さん」
音無「あ?」
入江「最後に一緒に演奏してみませんか?確かギター弾けるんですよね」
音無「最後って…お前らも消える気か」
ひさ子「ま、もうボーカル居ないしさ…頃合いかなって。んで、するのかしないのか?」
音無「面倒くせーからヤダ…が、最後くらいは付き合ってやらぁ!」
関根「やりいっ!」
ひさ子「フッ、リズムに遅れるなよ!」
――
ズンズン~♪ダンダン~♪
ダンダン♪~ズンズン♪~
音無「…」ギュイーーン
ひさ子「…終わっちまったか、演奏」
関根「永遠に続く伴奏だったらなぁ」
入江「流石にそれは無理だよ」
音無「お前ら…」
ひさ子「お前は、まだやるべきことがあるんだろ?」
関根「ずっと残ってても仕方ないからさ。できればまだ音無さんをまだ見てたいんだけどね」
926: 2010/09/26(日) 06:21:52.62 ID:5M7p6UAO
音無「なんつーかまぁ、世話になった…色々と」
入江「いえ、こちらこそお世話になりました」
ひさ子「ガルデモでまたライブやるよ。だから絶対見にこいよ!」スッ
音無「お前が俺に握手?」
ひさ子「は、早くしろよな!」
関根「(ようやくデレたか…)」
音無「…ああ。絶対に見に行くぜ」パシ
ひさ子「約束だぜっ!」
関根「じゃ…音無さん」
音無「おう」
関根「アディダスっ!」
音無「…アディオスだろバカ」
音無「ったく、全くもって愉快な連中だったよな」
音無「おかげで退屈はしなかったが…」
―学習練・廊下―
音無「(さて、次はあいつに消えられる前に挨拶に行ってみっか)」
高松「少々お待ちを」
音無「あ。お前マッチョマンじゃん」
竹山「僕も居ますよ」
音無「メガネコンビが何の用だ?それにマッチョの方、お前確か…」
927: 2010/09/26(日) 06:22:15.80 ID:5M7p6UAO
高松「あなた方のおかげで自我を取り戻せたんですよ」
音無「おっ、良かったじゃねーか。んじゃあ他の奴らに復活報告すりゃ」
高松「既にあなたと昨日地下に行ったメンバー以外の皆さんは知ってますよ」
音無「あ、そうなの…あぶね、恥かく所だったわ」
高松「あなたは面白い人ですね」
竹山「確かに面白いけど…この人に僕は最新型の自作パソコンを取られたことは忘れてませんよ」
音無「悪かった悪かった、あん時の俺はまだイライラしっぱなしだったからな」
竹山「じゃあ早く返してくださいよ!」
音無「そう言うなよ、クライスト」ポン
竹山「!」
高松「それでは我々は、ここらで退場します」
音無「せっかく戻れたのにか?」
高松「戻れたからですよ。また自我を失わない内にちゃんと成仏しておきたいんです」
音無「…一理あるか」
高松「またお会いしましょう。次もこの筋肉を是非見せてさしあげましょう」
928: 2010/09/26(日) 06:22:49.28 ID:5M7p6UAO
音無「変な奴だった…ま、ウケたからいいか」
竹山「…あの」
音無「はいはい、何だよ?」
竹山「あのPCは差し上げます」
音無「どういう風の吹き回しかは知らんが…サンクス」
竹山「その代わりもう一度、名前で呼んでもらえませんか?」
音無「(そう言うことね…)」
音無「いくらでも呼んでやるよ、クライスト」
竹山「…ようやく呼んでもらえた、僕の名前」
音無「まずいな。俺と話す度に誰かが消えていってる気がする」
音無「屋上に行ってゆり達が帰ってくるのを見てるか」ザッザッ
―屋上―
音無「とりあえず一服でm」ガチャッ
音無「……」ポロッ
遊佐「…どうも」
音無「…ああ、どうも」
遊佐「勝利したんですね」
音無「全員のチームワークのおかげだ。あとお前が作ってくれた武器やGPSの」
遊佐「作ったのはギルドの方です」
音無「このやり取りは一度やった」
遊佐「そうでしたね」クスッ
音無「お前もそんな風に笑えるのか」
929: 2010/09/26(日) 06:24:56.37 ID:5M7p6UAO
遊佐「私は結局誰かのために役にたてたのでしょうか?」
音無「たてたぜ、そいつぁ俺が保証してやるよ」
遊佐「…」
音無「あん?」
遊佐「…人の役にたてるって、こんなに嬉しいことだったんですね」
音無「そのセリフ、人助けが好きになる奴の台詞だな」
遊佐「どうも」
音無「これからも頼むぜ。お前の力は本物なんだからさ」
遊佐「…ごめんなさい、もう私は此処までです」
音無「此処まで?」
遊佐「私はできる限り最大限に自分の得意技を発揮してきましたが…そろそろこの世界で使い続けるのは限界です」
音無「何が限界なんだ?」
遊佐「これ以上私の技術は進化しないと言うことです」
音無「この世界では、か?」
遊佐「はい。私が覚えている技術は全て出し尽くしました。だからまた新しく技術を得るために、次へ旅立とうかと」
音無「旅立ちねぇ…お前が望むんならいいんじゃねーの?」
遊佐「今までありがとうございました」ペコ
音無「礼を言うのは俺だ。面倒かけた」
939: 2010/09/27(月) 01:56:28.41 ID:E/5Ee.AO
―グラウンド―
音無「…」ザッザッ
野田「ん?」
椎名「…挨拶は済ませて来たのか?」
音無「ああ。アイツら全員、最後は自分の意志で去ってったよ」
奏「…」
音無「おい、何暗い顔してんだよ。お前の念願が叶ったんだぜ?」
奏「最初は色々あったけれど…いい人達だったな、って」
TK「Everybady Good Friends…」
音無「そういやお前もまだ居たのか。似非外国人」
TK「Oh Yeah」
オーイ!
オトナシサーン!
音無「この声…」クルッ
野田「むっ!」
日向「戻ってきたぜー!」タッタッ
直井「音無さーーん!」タッタッ
音無「無事だったようだな」
野田「ゆりっぺはどこだ!?」
日向「俺が背中でかるってるよ。心配すんな、ちゃんと無事だ」
ゆり「…」スースー
直井「今は寝てますがね」
野田「ゆりっぺ…よかった、本当に!」
音無「男が泣くなよな」
940: 2010/09/27(月) 01:56:49.08 ID:E/5Ee.AO
野田「泣いてなどいないっ!」ゴシゴシ
音無「へいへい」
日向「みんなは?」
音無「無事、去ってったぜ。最後は全員笑顔でな」
日向「そうか…みんな、いっちまったのか…」ググッ
音無「お前も泣くのかよ」
日向「いや、泣かねーさ。泣いちまったらあいつらに笑われちまうしな!」
音無「だそうだ。ってことでお前も泣き止めよ馬鹿」
野田「だから泣いてなどいないのだ!」
全員「(じゃあその目から落ちてる水滴は何だよ)」
―保健室―
音無「しばらくは寝かせとくか」
日向「ゆりっぺ相当無茶したみてーだしな」
直井「またやりすぎたんでしょ」
野田「…」
日向「何黄昏てんだよ野田?」
野田「最後にゆりっぺの無事が分かったのだ。もう未練は無い」
音無「じゃ…お前もいくのか?」
野田「ああ。だがその前に」
日向「その前に?」
野田「貴様(音無)だけとは決着をつけねばならない!」
日向・直井「は?」
音無「…最後くらいは付き合ってやる。表へ出ろよ」クイッ
941: 2010/09/27(月) 01:57:48.14 ID:E/5Ee.AO
―屋上―
音無「(またここに来ちまった。今日で二回目だよ…)」
直井「あの馬鹿、身の程知らずめ。音無さんに勝てると思っているのか?」
椎名「実にあさはかなり」
日向「いや問題はそこじゃないだろ。いいのかよ生徒会長?」
奏「最後くらいは多目にみる」
日向「はぁ…お前ら完璧に音無に影響されてんな(俺もだが)」
野田「…」ジリッ
音無「来な」スッ
奏「どちらが勝つからしら」
日向「リーチは野田のハルバートのが長いが、音無のあの変な黒剣のが素早そうだし何より負ける姿が想像できん」
野田「せいやぁっ!」ブンッ
音無「ほいっと」スカッ
野田「ぬん!」ブンッブンッ
音無「あらよっとんがり」スカッ
野田「ちょこまかとっ!」ブォンッ
音無「真剣白刃取りならねハルバート取り!」パシ
野田「くっ、ふざけるな!貴様も自分の武器で戦え!」
942: 2010/09/27(月) 01:58:56.39 ID:E/5Ee.AO
音無「テメェの脳みそはカラッポか?」
野田「なに?」
音無「今俺が武器無しで戦えてるってことの意味が分かってねーのか?」
野田「…ナメられてるってことは理解した」
音無「へー、流石にそこまで馬鹿じゃなかったか」
野田「安心しろ、貴様には必ず武器を取らせてやる!」ブォンッ
音無「やって味噌漬け」ヒョインッ
日向「…長くなりそうだな」
――
―
カァーカァー
野田「ぬおらっ!」
音無「きゃもーん」ピョーン
直井「…もう陽が暮れますよ?」
野田「いい加減武器を出せっ!」ブンブン
音無「キープミー」ヒョイッ
日向「TKがお前に乗り移ったみてーだな。てかTKどこ行った?」
――
―
リンリンリンリン
日向「ストォーップ!」ビタッ
野田「…む?」
音無「何だよ。これからじゃねーか」
日向「もう陽が沈んじまってますから!真っ暗ですから!」
943: 2010/09/27(月) 01:59:25.78 ID:E/5Ee.AO
野田「まだだ!コイツかわしてばかりで手を抜かれてる気がしてならんのだ!」
音無「わーったわーった。本気でやればいいんだろが」コキコキ
野田「ようやく来るか」
音無「あ、お前後ろにUFOじゃん」
野田「何だとっ!」クルッ
音無「回し蹴りっ!」ビュンッ
ドカッ!
野田「ぐおっ…」フラッ
音無「(倒れねーか…なら)」
音無「テンカオっ!」ドグシッ
野田「ぐふっ!」ゴハッ
音無「(これでも倒れねーのかよ)」
音無「頑丈なのは褒めてやるよ。だが悪ぃけど、次でラストだ」ザッ
野田「くっ…!」
音無「ユイ直伝、バックドロップ!」グィンッ
野田「ぬぉぉっ!」
ドシィィーーーンッ!
日向「あちゃー…」
直井「これは流石に氏んだでしょ」
野田「…」ムクッ
日向「うおっ、まだ立てんのか!」
直井「まるでゾンビのようだな」
音無「…根性あんなテメェ」
944: 2010/09/27(月) 01:59:48.12 ID:E/5Ee.AO
奏「…」スッ
野田「…!」ドクドク
奏「もう止めたほうがいい」
野田「退け、まだ…終わってない」フラッ
日向「立華の言うとおりだ。もう無茶すんなって、ぶっ倒れんぞ」
音無「おい、野田」
野田「…何だ?」
音無「お前はもう十分強い。普通なら最初の一撃で意識飛んでてもおかしくないんだぜ?」
野田「フン…ナメるな。俺はお前に勝つ気でいるのだぞ?」
音無「俺は誰にも倒せねーよ。例え神もだろうが悪魔だろうがな」
野田「…貴様の強さは、その自信からくるものかなのか?」
音無「本当の強さってのはテメェが見つけなきゃ意味がねーんだぜ。それと強さに見合う器だ」ポン
野田「なるほど…かなわないわけだ」ニッ
音無「ま、次回戦う時は最初っから全力でやってやるよ」
野田「それまでに俺はお前を倒す力をつけてやろう、必ずな」
音無「へっ、期待してんぜ」
野田「…ゆりっぺを頼んだ」
945: 2010/09/27(月) 02:00:25.20 ID:E/5Ee.AO
日向「ついに野生児の野田も素直に成仏しちまったか…」
音無「単なる負け犬じゃなく、根性のある野郎てことは認めてやっかな」
椎名「まぁまぁ、だ」
直井「最後まで馬鹿だっただけじゃないんですか?」
音無「俺ぁ今日はもう帰るぜ。時間もおせーし」スタスタ
奏「…私も帰るわ」ザッ
日向「俺は野田のハルバートを校長室に置いてから戻るな」
直井「それでは僕も帰ります」ザッ
音無「お前は帰らねーのかよ?」
椎名「…もう少しここに居る」
音無「?。んじゃ先に帰るからな」
日向「待たな椎名っちー!」
―学習練・玄関前―
日向「何だかんだで、俺達もついには残るは六人になっちまったか」
音無「お前達は永遠に消えねーよーな気がすんな」
直井「そうですか?」
音無「だってテメェらこの世界に留まってる意味がねーのに消えてねーだろ?」
日向「…そういやそうだな」
946: 2010/09/27(月) 02:00:55.08 ID:E/5Ee.AO
音無「直井は結構昔に成仏しててもおかしくはねーはずなんだが…」
直井「僕は消える時は音無さんと共に旅立ちたいですから」
音無「その何か勘違いされるような発言は止めろ」
日向「確かに俺達何でまだこの世界にいるんだろーな」ハハ
音無「日向は想像できるが…理由としてはお前と椎名が一番気になるな」
奏「…?」
音無「お前って見てると未練もクソもねーように見えっからさ」
奏「私は会って生前のことを聞きたい人がいるから」
日向「へー、誰なんだ?」
奏「生きてる時にとてもお世話になってた人」
日向「何か曖昧だな…」
音無「おいおい、そいつがこの世界に来てるたぁ限らねーんじゃねーの?」
奏「彼は必ずこの世界に来てる」
音無「何でそう言えんだ?」
奏「分からないけど…そう思えるから」
日向「そいつの顔とか知ってるのか?」
奏「思いだせない」
日向「顔も分かんないのかよっ!」ズルッ
音無「前途多難だな」
947: 2010/09/27(月) 02:01:51.44 ID:E/5Ee.AO
>>934
ミスです。大山の台詞でした(..)
ミスです。大山の台詞でした(..)
957: 2010/09/30(木) 03:13:17.96 ID:hNWQCQAO
音無「(何かコイツの言葉の一個一個が引っかかるな…)」
日向「どうした音無?まさかお前がその立華の会いたい人だったのか…?」
音無「あんまりシャレになんねー嘘言うなコラ」
奏「ありえなくはないわ」
音無「テメェもタチが悪ぃな。だいたい俺みてぇな不良とお前みてぇな優等生のどこに接点があんだよ」
日向「ま、それもそうだな。音無と生徒会長じゃ天地の違いか」
直井「おい貴様、音無さん馬鹿にしてるのか?」
日向「お前は関係ねーじゃん」
直井「何ぃ!」
音無「ったくホントテメェらは元気だよな。ちったぁこの先どうすっか考えろよな」
直井「それみろ」
日向「お前もだよ。しっかし、マジでみんな消えちまったんだよな…ゆりっぺも寝っぱなしだしどうするよ?」
音無「だからそれを今考えてんだろうがっ!」ポカッ
日向「痛てっ!」
958: 2010/09/30(木) 03:14:42.96 ID:hNWQCQAO
音無「にしても椎名の奴は降りてこねーな。何してんだ?」
日向「忍者特有の修行とかしてんじゃねぇか?」
音無「今更何の修行だよ」
日向「そりゃあ野田みたいに最後お前に決闘を挑むため…じゃないのか?」
音無「流石にちげーだろよ。椎名はアホだが野田のような馬鹿とは違う」
奏「馬鹿は治るけどアホは一生治らないわ」
音無「…だ、そうだ。すまんかったな日向」
日向「同情すんなよ!」
音無「と、まぁ日向と戯れるのは此処までとして…帰るか」
直井「寮にですか?」
音無「他にねーだろうがよ」
日向「…なぁ、せっかくだから成仏するまでみんな一緒に寝よーぜ?」
音無「その年になってまだ一人で寝れねーのかテメェは」
日向「違うわ!」
奏「いいと思う」
音無「はぁ?」
奏「最後までみんなで一緒に居たほうがきっと暖かい気持ちで成仏できると思うから」
959: 2010/09/30(木) 03:16:47.15 ID:hNWQCQAO
日向「だよなっ!」ビシッ
直井「…どうします音無さん?」
音無「どうせ嫌だってもやるんだろ?」
日向「勿論」
音無「はーっ、なら椎名を呼んでくっから待ってろよ」ザッザッ
日向「さっすが音無!これで酒があれば最高なんだがなー…」
直井「…立華さんが居ることを忘れてるのか?」
奏「酒?」
日向「しまっ!」
奏「私も飲んでみたいわ」
日向・直井「へ?」
―屋上―
ガチャッ
音無「おい椎名ーっ!」ザッザッ
音無「ん?いねーな…もう帰ったのかあいつは?」
音無「いや、玄関にはずっと俺達がいたしな。まさかこっから…」
音無「ま、いくらなんでもそこまではしねーか。多分もう帰ったんだろ」
―体育倉庫―
子犬ABC「ウィンウィン」
子犬DEF「ウィンウィン」
椎名「…お前達ともお別れだ」カチッ
子犬ABCDEF「ウィンウィン…ウィ…ン」ピタッ
椎名「さぁ、門出だ」
960: 2010/09/30(木) 03:19:26.79 ID:hNWQCQAO
音無「…こんなんどこで飲むんだ?」
日向「グラウンドのど真ん中で派手に撒き散らそうぜ!」
音無「それならいいかもな」
奏「服がびしょびしょになりそうね」
直井「(学帽ぬいどこ…)」
日向「んじゃ早速グラウンドへレッツゴーっ!」ダダッ
音無「ちょっとすまん、俺ちょっと忘れもん取りに行ってくるわ」
奏「…早く来てね」
音無「できるだけな」ザッザッ
―体育倉庫―
ガララッ
音無「…(椎名らしい子犬のぬいぐるみがたくさんあるな)」スッ
音無「まだ温かい。やはり椎名は帰ったんじゃなくここに来てた…そして自分の意志で消えた…のか?」
音無「…ん?地面に何か書いてあんな…どれどれ」
――
音無へ。
恐らくこのメッセージに気づくのはお前ぐらいだろう。
だからお前へ宛てておく。
私はお前と言う最高の友を得ることができた。それに長年続いた戦いはようやく終わったんだ。
それだけで満足だ。
だから私はお前に迷惑をかけない内に一足先に旅立つ。また会う日まで
――
961: 2010/09/30(木) 03:20:59.56 ID:hNWQCQAO
音無「…ハッ」
音無「……」スクッ
ガララッ
音無「…またな」
ピシャッ
―外―
音無「!」
TK「ドモ」
音無「お前まだ居たのか…」
TK「ちょっとキエルタイミングがね」
音無「流れに乗れなかったのか」
TK「そんなトコだよ」
音無「いつもの英語はどうしたよ?」
TK「あー、俺実は英語マッタクダメなんスよ」
音無「だとしても俺の前で本来のお前の日本語しゃべっていいのか?」
TK「まぁずっとアナタには信用をオイテマスから」
TK「みんなグラウンドデ酒飲んでるよ。俺も行ってイイかな?」
音無「…ああ。その代わり奴らの前じゃ英語で喋れよ」
967: 2010/10/03(日) 17:58:14.43 ID:Aw7Ol.AO
―グラウンド―
日向「うっはっ!酒じゃ酒じゃっ!」バッシャバッシャ
直井「かけるな貴様!」
奏「お酒…苦い」
日向「そぉれい!」ブンッ
バシャアッ
音無「……」ポタポタ
日向「あ」
直井「あ」
音無「日向…」
日向「すまんすまんすまん!南無ぅぅぅぅっ!許してくれっ!」ドゲザ
音無「椎名は先にいっちまってたよ」
日向「…え?」
音無「つまり原点から終点、また戦線メンバーはお前とゆりの二人に戻っちまったワケだ」
日向「そうか。椎名っちもか…」
音無「あいつも野田やチャー、大山同様に最古参の一人だったんだろ?」
日向「まぁな。椎名は初めて会った時はそりゃ怖かったぜ。天使とも互角だったしよ」
音無「あいつそんなにすげー奴だったのか?」
奏「そうね」
直井「(一体何の話だ?)」
968: 2010/10/03(日) 17:58:43.50 ID:Aw7Ol.AO
音無「コイツはまだ居るけどな」クイッ
TK「Its showtime!」ダンッ
日向「て、TKっ!」
音無「まだ消えてなかったらしいぜ。相変わらず意味不明な男だよな」
日向「素性も生前もぜんっぜん不明だからなぁ、TKは」
直井「そもそも貴様目を見せろ。目を」
TK「OK」グイッ
日向「っ!」
音無「おっ」
直井「…」
奏「…え」
TK「OK?」
音無「ああ。ありがとよ」
日向「(何だ今の)」ボソッ
音無「(見なかったことにしろよ)」ボソボソ
直井「(ちょっ、何ですかあれ)」ボソ
奏「(気にしちゃダメ)」
日向「(でもっ!)」
奏「(気にしちゃダメ)」
日向「わ、分かったよ」
TK「グラッチェ」ゴキュゴキュッ
奏「…」ゴクゴク
音無「…お前が酒飲んでる姿ってなんかイレギュラーだよな」
奏「そうかしら?」
音無「生徒会長だろテメェは」
969: 2010/10/03(日) 18:00:04.94 ID:Aw7Ol.AO
奏「…そうだったわ」
日向「えーっ、それさっき俺も言ったじゃんかよ!」
奏「忘れてた」
直井「立華さん…」
音無「実は馬鹿なのかよ、お前」
奏「…」
――
日向「うー…ひっく」゜゜
直井「も、もうのめまひぇん」゜
TK「※#%∀☆」フラフラ
音無「おいおい、だらしねぇな」
日向「なんだよおとなしぃ…いっつもいっつもつっぱりやがってよぉ」フラフラ
音無「お前酔ってんのか」
奏「ゆづる…ゆづるくん」ペンペン
音無「あ?」
奏「ほんやのひと」フラッ
音無「本屋の…人」
奏「ねる」ドサッ
音無「あ、おいちょっとコラ!」
奏「…」スースー
日向「」グーグー
直井「」スヤスヤ
TK「☆∀%#※」ゴゥゴゥ
音無「全員寝やがった…風邪ひくぞ」
970: 2010/10/03(日) 18:00:34.41 ID:Aw7Ol.AO
音無「俺も人のこと言えねーけど…」
音無「てか『本屋の人』って何だ?」
音無「…あっ」
音無「まさか、コイツあの時のガキ…?いやいや、確か年が違ったハズ」
音無「でも岩沢も俺より二つぐらい年下だったし。どうなってやがんだ?」
音無「この世界に時間の概念が存在しないんだったら説明がいくんだけどよ」
音無「…思考停止」
音無「(そう言えば)」ドサッ
音無「(俺はその場にいなかったのに、初音と奏の様子が分かったのは何でなんだろうな…)」
音無「……」
音無「…」zzz
――
―
親族A「家の中でひっそり氏んでたそうですよ」
親族B「不良の乱闘中に刺されたんでしょ?かわいそうに」
親族C「その乱闘、何でも警察が数十人も出頭したらしいですよ」
親族D「世の中恐いですねぇ…」
初音「ううっ、ひっく、お兄ちゃぁん…嫌だよ…」グスッ
音無「あれっ。俺ココに居るんスけど」
親族A「音無さんのとこ、ホラ、両親が居ないから…」
971: 2010/10/03(日) 18:01:00.22 ID:Aw7Ol.AO
親族C「しばらく行方不明なんて言われてたけど見つかって良かったわよね」
親族D「息子さんやっぱりグレてたんでしょ。娘さんはずっと入院して独りだったから」
音無「誰がグレてるだとクソババァコラァ!」
親族C「あ、お経が始まるわよ。早く葬式場に向かいましょ」タッ
親族B「そうね。一応親族なんだし」タッ
音無「無視かよ…」
親族E「初音ちゃん、行こう」
初音「嫌だよ…お兄ちゃんが氏んじゃったなんて信じたくない…ゴホッ」
親族E「今日だけ特別に病院から許可貰って来てるんだろ?ならお兄ちゃんへの用事を済ませて病院に戻らなきゃ」
音無「おいおい、初音まで…冗談が過ぎるぞ。俺はここに居るだろ?」
初音「うっ…うっ」グスッ
親族E「結弦くん、怖かったけどいい人だったな」
音無「テメェ、あんまりナメてっと痛い目に合わせ…」ザッ
スカッ
音無「……」
音無「すり抜けた?」
音無「…ちくしょうっ!信じねーぞっ」
972: 2010/10/03(日) 18:02:26.74 ID:Aw7Ol.AO
―本屋―
ダダッ
スカッ
音無「岩沢っ!…だっけ?」ザッ
岩沢「あいつ今頃何してんのかなー、最後に会って随分たったけどさ」
音無「…おい」
岩沢「商店街で弾いてりゃいずれ会うだろうし、いっか。あ、いらっしゃいませー」
音無「やっと気づいたk」
客A「これお願いしまーす」スッ
岩沢「えーと、410円です」ピッ
音無「…マジかよ」
―音無の自宅―
音無「血の後。つまり俺はここでチーンしたワケか」
音無「あーあ、夢だと思ってた最近の出来事は全部現実だったのかよ」
音無「俺みてーなヤツを浮遊霊ってんだなぁ…あ、飛べた」フワッ
音無「…」フワフワ
音無「くだらね。とっとと消えるか」
―
――
音無「うおわぁっ!」ガバッ
音無「…保健室?」
ゆり「おはよう。音無くん」
音無「あれ、ゆり?お前もう目が覚めたのか?」
ゆり「そりゃ三日も経てばね」
音無「へぇ、三日…って三日だと?!」
973: 2010/10/03(日) 18:03:39.82 ID:Aw7Ol.AO
ゆり「あなた達お酒を飲んでぶっ倒れてたでしょ?それであなただけみんなよりぐっすりだったのよ」
音無「三日…って」
ゆり「私が寝てる間のことは日向くんから色々聞いたわよ。ありがとね」
音無「何が?」ギロッ
ゆり「何で睨むのよ…」
音無「別に」
ゆり「みんなのこと」
音無「あいつらが自分で決めたことだ、俺は関係ねーよタコ」
ゆり「あとこれTKから」スッ
音無「バンダナ?」
ゆり「『Thank you Otonashi』だって」
音無「何したっけ?」
ゆり「さぁね。でも本人は随分楽しんでたみたいよ、最後は踊りながら消えてったし」
音無「ホント何だったんだあいつぁ」
ゆり「…ところであなた、随分うなされてたみたいだけど」
音無「何でか分からないが、記憶の断片が全部揃ったんだよ。変な終わり方だったけどな」
ゆり「あなたの未練は分かった?」
音無「岩沢の件かアイツの件か迷ったが…岩沢が成仏しちまった今、やっぱアイツが原因みてーだな」
974: 2010/10/03(日) 18:04:12.05 ID:Aw7Ol.AO
―校長室―
ガチャッ
音無「…ん」
日向「お、目が覚めたのか音無ー」
直井「心配したんですよ音無さぁん!」
奏「…」
音無「悪いな」
ゆり「これで、全員揃ったわね」
日向「あんだけ狭かった校長室もたった五人だけになりゃめっちゃ広いな」
音無「俺はあんま関係ねーけどな」
ゆり「そしてみんな朗報よ。音無くんの記憶が戻ったわ」
日向「マジか!?やったじゃねーか音無!」
直井「お、おめでとう…グスッ…ございま…ヒック…す!」
ゆり「何であんたが泣いてんのよ」
直井「う、うるさい下僕め!」
奏「おめでとう。結弦」ザッ
音無「…奏、その伸ばしたロングヘア似合ってるぞ」
奏「…」
音無「?」
奏「…」
日向「もしかして…照れてんのk」
ゆり「馬鹿」バキッ
日向「いてっ、何すんだよゆりっぺ!」
ゆり「あなた本当にデリカシーゼロね」
奏「…嬉しい」
975: 2010/10/03(日) 18:04:41.85 ID:Aw7Ol.AO
日向「じゃあ、そろそろ行きますか」
ゆり「タイミングよく音無くんの未練も消えたわけだし、頃合いかしらね」
直井「チッ、仕方ないか」
奏「いこ、結弦」グイッ
音無「分かった、落ち着け。とりあえず主語を言ってくれねーか?」
ゆり「卒業式よ」
音無「はぁ?」
日向「お前も高校の卒業式は体験したことねーだろ?」
音無「それはお前ら全員同じことだと思うが」
日向「立華の発案だぜ。な」
奏「うん」
ゆり「だから最後に卒業式をしてみんなで成仏しようってことになったのよ」
音無「今からか?」
ゆり「じゃいつするのよ」
音無「唐突だな」
ゆり「順応性を高めなさい。あるがままを受け止めるのよ」
日向「出たな。懐かしい台詞」
音無「ああ、あのいっちばん最初の時に言ったヤツか」
ゆり「てことで、体育館に行くわよ」
音無「待てコラ。準備とかあんじゃねーのかよ」
ゆり「あなたが寝てる間に済ませたわ」
音無「…結局拒否権なしかよ」
976: 2010/10/03(日) 18:05:14.42 ID:Aw7Ol.AO
―道中―
奏「~♪」
音無「おい、奏がいっちょまえに鼻歌歌ってやがるぞ」
直井「何とも奇妙な光景ですね」
ゆり「そんな言い方無いでしょ」
音無「それ岩沢が最後に残した歌か」
奏「うん」
ゆり「『My Song』。いい曲よね」
音無「…ああ」
―体育館―
音無「マジで用意してやがる…」
日向「な、言ったろ?」
音無「じゃあ誰から消える?」
ゆり「ちょっとちょっと、まだ卒業式始まってすらないわよ」
音無「何だ今更怖じ気づいたか」
ゆり「べ、別にそんなんじゃないわよ」
音無「でもちょっとびびってる的な?」
ゆり「もう、うるさいわね!じゃあ早く始めましょう」
日向「やっぱり不安なんだな」ボソ
ゆり「聞こえてるわよ!」
977: 2010/10/03(日) 18:05:42.82 ID:Aw7Ol.AO
――
音無「えーコホン、それでは只今より卒業式みたいなものを始めようか」
音無「卒業生起立」
ガタガタッ
音無「って待てやゴルァッ!」バシン
ゆり「何よ。早く次いってよ」
音無「何で俺が進行役してんだよぉぉっ!キャラが合わねーっての!」
ゆり「もう、分かったから早く」
音無「チッ」
日向「随分と荒れた進行役者だな」
音無「卒業生座れや」
ガタガタッ
音無「校歌斉唱。校歌って何だよ」
ゆり「その点はぬかりないわ、この髪に歌詞は書いてあるわ」スッ
音無「…何だこれは、歌か?」
ゆり「奏ちゃんが考えたのよ」
奏「えっへん」
音無「『えっへん』じゃねーよ、ふざけすぎだろコレ」
ゆり「ユーモラスでいいじゃない」
音無「ったくお前そもそもいつからそんなに奏と仲良くなったんだよ」
奏「ゆりが天の邪鬼だっただけ」
ゆり「ち、違うから!奏ちゃんが…」
音無「まーぼーまーぼー(棒)」
978: 2010/10/03(日) 18:08:26.96 ID:Aw7Ol.AO
ゆり「ちょっ、いきなり歌わないでよ」
音無「とりあえずくっとけーまーぼー豆腐ー(棒)」
奏「歌詞違う…」
――
音無「次は卒業証書授与だ。さっさと立てカス共」
日向「なんか段々態度が悪化してるような気が…」
音無「で、卒業証書は?」
ゆり「壇上の上の台にあるわ」
音無「チッ、仕方ねーな」ズンズン
ゆり「(…やってくれるのかしら?)」
音無「えー…立華奏っ!」
奏「はい」ガタッ
テクテク ピタ
音無「ほらよ、卒業おめでとうさん」スッ
奏「…」ペコリ テクテク
音無「仲村ゆりっ!」
ゆり「はい」ガタッ スタスタ ピタ
音無「卒業グラッチェ」スッ
ゆり「何で英語なのよ」
音無「なんとなくだ」
ゆり「…まぁ、いいわ」スタスタ
音無「直井文人!」
直井「はいっ!!」ガタタンッ ザッザッ ビタ
音無「…」スッ
直井「何か言ってくださいよ!?」
979: 2010/10/03(日) 18:08:54.06 ID:Aw7Ol.AO
音無「…おめでと」
直井「ありがとうございます!」ペコリ
音無「じゃ、次だ…日向秀樹!」
日向「はい」ガタッ ザッザッ ピタッ
音無「卒業おめが」スッ
日向「うーっす」ペコッ
音無「これで全員だろ。よし次行くぞ」
日向「まぁまぁ、まだお前がいるじゃん?」
音無「あん?」
日向「音無結弦!」
音無「…ああ」
日向「卒業おめでとう!」スッ
音無「チッ」パシ
――
音無「次って何だよ?」
ゆり「卒業生答辞」
音無「それも俺がやんのかよ…」
ゆり「ここまで来たらいいじゃない」
音無「へいへい」
日向「バシッとな、バシッと!」
音無「…えー、最初ここに来た時初めて会ったのが、何かワケわからないこと言う女でした」
ゆり「ん?」ピクッ
音無「でもまぁ、そいつは確かに強引だったが面倒見は良かったんじゃね?」
980: 2010/10/03(日) 18:09:31.39 ID:Aw7Ol.AO
音無「で、そいつの腰巾着的で変態みたいな顔したヤツにも出会いました」
日向「(俺のことじゃいだろうな)」
音無「とりあえず、まだ右も左も分からなかったから一見見ると面白い白髪女に声をかけてみました」
奏「…白髪女」
音無「そいつはぁまさか、そんなにデケェ力を持ってるたぁ知るよしもなかったワケよ」
音無「んで変な力を持ってるヤツはもう一人いて、俺に使ってきたヤツもいる」
直井「…」
音無「でもそいつはちったぁ役にたったんじゃねーか?」
音無「まぁ、何だかんだ言いながら俺も楽しんでたってことだと思うわ…以上。卒業生代表、音無結弦」
パチパチパチ
ゆり「なかなかいい答辞だったわよ」
日向「何か罵倒に聞こえたが…ま、いいぜ」
直井「…」ジーン
奏「ふふ」クスッ
――
音無「次は…テメェら仰げば尊しってのを合唱しろ」
ゆり「あなたもよ」
音無「俺歌ったことねーんだけど…」
981: 2010/10/03(日) 18:10:00.24 ID:Aw7Ol.AO
音無「あぉーゲばーとー(棒)」
日向「(分かった…さっきもそうだったが、こいつは音痴なんだ!)」
ゆり「いざーさーらーばー…」
直井「遅いぞ貴様っ!」
音無「俺に言ってんのか?」
直井「え、いや、あなたに言うなんて滅相もございません!」
日向「ははっ」
ゆり「ふふっ」
奏「くす」
直井「笑うな貴様ら!」
――
音無「以上を持って、卒業式を終わる。卒業生退場!」
ガタガタッ
ゆり「無事に終わったわね…」
日向「ついに終わっちまったかー」
音無「この後最後の乱闘パーティーでもするか?」
直井「音無さん…すいませんが、僕は先に行きます」ザッ
音無「…何だ、もう行くのかよ」
直井「はい。いつまでもここにいちゃ、泣いてしまいそうですから」
音無「泣くのかよ」
直井「あなたに男が泣くなって、間違いなく言われますからね」
音無「それもそうか…」
982: 2010/10/03(日) 18:13:37.41 ID:Aw7Ol.AO
直井「音無さんのような仁義のある人に会えて…本当に良かったです。あなたに会っていなければ、僕は!」
音無「お前がお前で選んだことだ。俺は関係ねーんだよ」ポン
直井「お世話に…なりました!」
ゆり「さて、お次は私かしらね」
日向「ゆりっぺ…」
音無「芋っぺもいよいよ見納めか」
ゆり「まったく、音無くんは最初から最後までひねくれてたわね」
音無「はっ」
ゆり「あと、奏ちゃん」
奏「なに?」
ゆり「本当に、今までごめんなさい。つまらない意地を張ってあなたのことを一方的に敵視して」
奏「誤らないで、それは私もだから」
音無「結局どっちも不器用ったってことじゃねーの?」
日向「しっ!静かに」
音無「何だお前、あーいうのが好みなのかよ?」
日向「待て。誤解を招くようなことはやめてくれ」
音無「じゃあ何なんだよ」
日向「あの二人は俺が来る前ずっと前からいた一番の最古参の二人だからだよ」
983: 2010/10/03(日) 18:14:15.84 ID:Aw7Ol.AO
ゆり「もう、お別れだね…」ギュッ
奏「…うん」
音無「湿っぽいねー。もうこうさ、バーンとしめようぜ」
日向「ぶち壊しだよ」
ゆり「音無くん」
音無「なによ?」
ゆり「あなたからは色々と教わったわね。理屈じゃない強さとか勇気を」
音無「弟子を持った覚えはねーよ」
ゆり「最後まで自分を貫く姿勢は評価しようかしら」
音無「まぁ、最後だ。感謝の言葉ぐらいはくれてやる…ありがとよゆり」
ゆり「どういたしまして。それじゃ、みんなのとこに行こうかしらね」
奏「…じゃあね」
日向「リーダー、お疲れさん!」
音無「チャオ」
ゆり「じゃ、またどこかで!」ダッ
音無「…随分静かになったな。そんだけあのリーダーサマの存在感があったんだろうが」
日向「次はもっと静かになるぜ」
音無「そうだな。んじゃ俺も解放されますかね」
日向「おいおい。お前には、まだ奏ちゃんがいるだろ?」
984: 2010/10/03(日) 18:14:52.47 ID:Aw7Ol.AO
日向「俺が先に行くよ」
音無「…ああ。じゃあ最後にタイマンでも」
日向「遠慮しときます」
音無「何だよ、つれねぇな」
日向「でもよ。音無前が来てくれたおかげでみんなが変わった。本当にそこは感謝してる」
音無「実際俺の未練なんてお前らに比べりゃあちっぽけなもんだったがな」
日向「次の世界でも、お前に会って、次こそタイマン勝ってやんよ!」
音無「ほう、それはいい心構えだが…まずはユイと会えよ」
日向「おう!運は残してまくってるはずだからなー。使いまくってやんぜ!」
音無「達者でな」
日向「ああ。んじゃ、あばよっ親友!」
音無「いったか…」
奏「…うん」
音無「じゃあ今度こそ俺も成仏させてもおうか」
奏「待って」
音無「次は何だ?」
奏「一つだけ言わせて」
音無「手短にな」
奏「…私は、あなたにお礼を言いたくて…それだけが心残りでここに来たの」
音無「礼なら何度も聞いてるぜよ」
985: 2010/10/03(日) 18:15:25.67 ID:Aw7Ol.AO
奏「私に、青春と命をくれたことを」
音無「…そんなシーンあったか?」
奏「本当に覚えてない?」
音無「…んー」
――
―
―音無の家―
音無「やっべ…これ致氏量じゃん」
音無「応急手当てだけじゃ、もってあと三日ぐらいか…」
音無「病院行きてーけどこれ以上あいつらに心配させて負担かけるわけにはいかねーし」
音無「…結局俺はぁ何のために生きてたんだろな」
音無「どうせ氏ぬんなら爆弾抱えて東京タワーに突っ込むか?…って馬鹿か」
音無「ま、最後くらい役にたってもいいよな」ゴソゴソ
音無「…あった」
音無「氏んだ後のことなんて分かりやしねーんだし、こんな身体でよけりゃ持ってけ」カキカキ
音無「念のため匿名希望にしとくか」
音無「…ああ、眠い。なんでこんなに瞼が重いんだよ」
―
――
音無「…匿名希望だった筈だが?」
奏「うん…最近まで誰なのか分からなかった。だけどようやくあなただと気づいた」
986: 2010/10/03(日) 18:15:53.63 ID:Aw7Ol.AO
音無「いつ気づいた?」
奏「みんながお酒を飲んで寝ていた時、寝相が色々もみくちゃになって」
音無「まさか俺がお前の上で寝てたなんて言うなよ…」
奏「逆。私が結弦の上で寝てた」
音無「…で、心音が無かったワケね」
音無「(あの時記憶が戻ったのは俺の近くに俺の心臓があったから…って考えるのが一番か?)」
奏「青春をくれた人…あなたにお礼を言えなかったこと」
音無「それがお前の一つの不幸か」
奏「…」コク
音無「まぁ俺は何のために生きてたかさえ分からない存在だったし…役に立てたなら本望だからよ」
奏「…命をくれて、本当にありがとう」
音無「もう思い残すことは?」
奏「ない…いや、あと一つあったわ」
音無「ん?」
奏「絶対に、また会おうね」
音無「できりゃあな」
奏「そのときこそ……」
987: 2010/10/03(日) 18:16:27.73 ID:Aw7Ol.AO
音無「…途中でいくなよ。なんて言いたかったかわからねーじゃねーか」
音無「…」ポツーン
音無「最初から俺が一番最後に来て最後に去ることになってたってのは考えすぎか」
音無「それより煙草を吸うのもいよいよこれがラストか」ゴソゴソ
音無「…あ」
音無「やべ、煙草切らしまったぜ」
――――
―――
――
不良「…」ザッザッ
女の子「ちょっと早いですってばぁ!」
不良「おい、何でコイツまでついてきたんだよ」
青年「仕方ねーだろ。行くってって聞かないんだから」
不良「急がねーとライブのに間に合わねーってのによ…」
少女「でも、大丈夫。まだ時間はあるから」
オカッパ女「あなたはせっかち過ぎなのよ
不良「黙れ芋」
オカッパ女「何かその台詞デシャヴを感じるんだけど…」
不良「知らん」カチッ シュボッ
バッ
不良「あっ、テメ!」
少女「未成年。煙草はダメ」
ツインテ女の子「アホですね」
不良「あ?」
ロングヘア女「あさはかなり」
988: 2010/10/03(日) 18:18:34.65 ID:Aw7Ol.AO
三カ月近くかかりましたがこれで完結になります。
今まで読んでくれていた皆さん、ありがとうございましたm(__)m
今まで読んでくれていた皆さん、ありがとうございましたm(__)m
989: 2010/10/03(日) 18:27:20.63 ID:rkdm4Pco
長い間お疲れ様!
最後はどうなるかと(残りレス的に)思ったが、最後まで楽しませてもらったぜ
それじゃあ、またどこかで
最後はどうなるかと(残りレス的に)思ったが、最後まで楽しませてもらったぜ
それじゃあ、またどこかで
990: 2010/10/03(日) 18:29:04.73 ID:PRttqzoo
おつかれ
面白かったぜ
面白かったぜ
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