1: 2015/10/18(日) 22:02:21 ID:CQypq0xM


ヤムチャ「プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」シリーズです
シリーズ一覧はコチラからどうぞ



前回:ヴァイパー「春麗! PVの第一弾が完成したわよ!」


最初:ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」





ウーロン「なんだなんだぁっ!? 何がどうなってやがるっ!?」

クリリン「これ……次の試合、始まったんじゃねぇかっ!?」

亀仙人「ホッホッホ。どうやら、そのようじゃの。このまま次の試合スタートじゃ」

18号「なるほどなるほど……だから、アイツが暴れてたってわけか……なるほどなるほど……よく出来てるねぇ……」

ウーロン「おうおう、そういう事だったら……あの金髪応援しようぜっ! アイツはヤムチャの仲間なんだろっ!?」

クリリン「よ~しっ! ケン、頑張れ~! やっちまえ~!」

18号「やっちまいな!」

亀仙人「ホッホッホ」
DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件 (ジャンプコミックスDIGITAL)

5: 2015/10/18(日) 22:18:37 ID:CQypq0xM
ワー! ワーワー!

実況「さぁさぁ、その流れのまま二戦目がスタートっ! 二戦目がスタートですっ! 引き続き実況解説はこの私と……」

元「元です、よろしくっ! 水飲む暇もないね、ち~くしょうっ!」


ケン「よしよしよしよしっ……! ほらほら、もっと盛り上がっていこうぜっ! ほらほら、手拍子手拍子っ!」パンパンッ


実況「さぁ、試合開始直後からっ……! おぉ~っと、ケンは大きく大きく手を叩き、場内を煽っていくっ! 元さん、水を飲むなら今のうちかもしれませんよ!?」

元「……うん、じゃあちょっと飲ませてもらうよ。後、よろしくね」

実況「さぁ、解説の元さんが少々休憩へと入られましたっ! しかし、試合は止まらないっ! 動き続けるっ! ノンストップだぁっ!」

6: 2015/10/18(日) 22:26:28 ID:CQypq0xM
ケン「いくぞいくぞいくぞっ……! ほらほら、手拍子手拍子っ……!」パンパンッ

ヤムチャ「ケンさんが言ってるぞっ……! ホラホラ、皆も一緒にっ……!」パンパンッ


パンッ……パンッ……パンッ……パンッ……

実況「さぁさぁ、ケンが大きく大きく手を叩くと……それに合わせるように、場内からも手拍子が響き渡るっ! おぉ~っと、場外にいるヤムチャも同じように手を叩き、煽っているかっ!?」


ケン「よしよし、いいぞいいぞ……この流れのまま、一気にいってやるぜっ……!」ササッ


実況「さぁさぁ、ケンはリング内をぐるっと回りながら……手拍子で場内を煽っていくっ! そして、ロープ際へと近づいて……その足を止めるっ!」

7: 2015/10/18(日) 22:32:39 ID:CQypq0xM
ケン「いくぞいくぞいくぞっ……! ほらほら、手拍子手拍子っ……!」パンパンッ

ヤムチャ「ケンさんが言ってるぞっ……! ホラホラ、皆も一緒にっ……!」パンパンッ


パンッ……パンッ……パンッ……パンッ……

実況「さぁさぁ、ケンが大きく大きく手を叩くと……それに合わせるように、場内からも手拍子が響き渡るっ! おぉ~っと、場外にいるヤムチャも同じように手を叩き、煽っているかっ!?」


ケン「よしよし、いいぞいいぞ……この流れのまま、一気にいってやるぜっ……!」ササッ


実況「さぁさぁ、ケンはリング内をぐるっと回りながら……手拍子で場内を煽っていくっ! そして、ロープ際へと近づいて……その足を止めるっ!」

8: 2015/10/18(日) 22:34:03 ID:CQypq0xM
ケン「オラオラ、もたもたしてんじゃねぇよっ……! 早く起き上がりなっ……! こっちはもうウズウズしてんだよっ!」ズダダダッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁさぁ、ロープ際でケンが激しく地団駄を踏むゥ! その眼中に捉えるはバルログゥ……! 狙っているのでしょうっ!」


バルログ「くっ、くうっ……バイソンめっ……」ググッ


実況「さぁさぁ、そして場外バルログが起き上がるっ! 起き上がって来たぞっ!? バルログがここで復活っ!」

元「よしよし、飛ばせ飛ばせっ! いけいけいけっ!」

実況「おぉ~っと、そしてこのタイミングで解説の元さんも復活してきましたっ! 元さんも飛ばしていきましょうっ!」

元「はいよっ!」

10: 2015/10/18(日) 22:45:03 ID:CQypq0xM
ケン「起き上がったなっ……! それじゃあ、突っ込むぜっ……! うおおおぉぉっ……!」ダダッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁさぁ、そしてそしてっ! 場外のバルログに狙いを定めて、ケンがリング内から一直線に向かっていくっ!」

元「飛べ飛べぇ!」


ケン「美しく、華麗に決めてやるぜっ……! なぁ~んてなっ! うらぁっ!」フワッ


ワー! ワーワー!

実況「おぉ~っと、そしてケンはリング内から前方回転しつつ、トップロープを飛び越え……場外のバルログへと向かっていったぁ!」

元「おぉ~っと、ノータッチだっ!」

11: 2015/10/18(日) 22:53:32 ID:CQypq0xM
ケン「……うるああぁぁっ!」ズガアァッ

バルログ「……ぐっ、ぐわああぁぁっ!」バターンッ


ワー! ワーワー!

実況「そのまま、場外へのバルログへと身体をぶつけていくぅっ!」

元「トペ・コン・ヒーロだね」

実況「ケンのトペ・コン・ヒーロっ! トペ・コン・ヒーロっ! 勢いよく身体をぶつけていったぁ! おぉ~っと、両者が縺れ合うように倒れ込みましたっ!」

元「いやぁ~、綺麗に飛んだねぇ。うん」

12: 2015/10/18(日) 22:58:31 ID:CQypq0xM
ケン「……よっしゃっ!」ムクッ

バルログ「う、うぐぐぐ……」


実況「さぁ、激しく両者の身体がぶつかりましたが……おぉ~っと、しかしここでケンがすぐさま立ち上がっていくっ!」

元「いいねぇいいねぇ、飛ばしてるねぇ」


ケン「オラオラ、今の見たかオラっ……! 一番華やかなのは誰だっ……!? こいつじゃねぇだろ……この俺だろっ! なっ!?」

バルログ「……くううっ」


ワー! ワーワー!

実況「そしてケンは大きく大きく手を広げ、付近の観客にアピールしているかっ!? これはナルシストであるバルログを挑発しているのでしょうかっ!?」

元「そうだね、うん。こういうのはバルログ君が得意だからね。お株取られちゃったよ」


ヤムチャ「ケンさん、いいぞっ! いけいけいけっ!」ブンブン


実況「おぉ~っと、場外にいるヤムチャも大きく握り拳を作った腕を振り回し……この辺り、兄弟子の応援をしていると言った所でしょうかねぇ!?」

元「あら……? ヤムチャ君、まだいたんだ……?」

13: 2015/10/18(日) 23:04:04 ID:CQypq0xM
ーーー


かりん「……あっと言う間に次の試合が始まってしまいましたけど」

ローズ「え~? ヤムチャ君、凄~い。まだ働くんだ……これって、セコンドもするって事なのかしら……?」

かりん「そうじゃありません……? だって、もう参加してますもん……」

ローズ「うわぁ、凄いね……試合が終わった後に、セコンドして……とてもじゃないけど、私はスタミナないわ……」

キャミィ「……バイソンさんも、まだ退場してませんよね?」

ローズ「うん、そうね……バイソンちゃんも、まだ退場してないわ……」

かりん「……場外で伸びてますわ」

14: 2015/10/18(日) 23:08:58 ID:CQypq0xM
キャミィ「やっぱり、バイソンさんもセコンドするんでしょうか?」

ローズ「そりゃ、するでしょ。だって、バイソンちゃんだもの」

かりん「ええ、バイソンさんですもの」

キャミィ「……ですよねぇ」

ローズ「空手軍団とシャドルー……今日、凄いね……完全に本気出してきてるわよ……」

かりん「次のベルト戦……ここまでやらなきゃ、やっぱりダメなんでしょうかねぇ……」

キャミィ「でも、シャドルーさん達も協力してくれんじゃないですかね? ほら、今日だってベガさんが協力してくれたじゃありませんか?」

かりん「それは、女子部と言うより……キャミィに対してだけじゃないかしら……?」

キャミィ「あっ……すいません……」

かりん「怒ってるわけではありませんのよ……? 僻んでるわけでも……」

ローズ「……まぁ、女子部は女子部よ。春麗が帰ってきたら、また盛り上がるわ」


さくら(う~ん……二週間でここまでかぁ……)

15: 2015/10/18(日) 23:13:51 ID:CQypq0xM
ケン「オラオラ、いつまでも寝てんじゃねぇ……起きろっ……!」ググッ

バルログ「くっ、ううっ……」


実況「さぁ、そしてケンはバルログ身体を引き起こしていくっ!」


ケン「俺はてめぇらと違って……場外じゃなくて、リングの中でやる方が好みだ……オラ、来いやっ……!」グイッ

バルログ「うっ……くうっ……」


実況「ケンはバルログの首筋に手を回し……おっと、そのままバルログをリング方向へと連れていくっ!」

元「さっきの一撃もあるけど……バルログ君はバイソン君の誤爆も貰っているからねぇ。もうこれだけでケン君がかなり優位に進めてるよね」

16: 2015/10/18(日) 23:18:40 ID:CQypq0xM
ケン「オラ、続きは……こっちだっ……! 戻りなっ!」

バルログ「……くっ」ゴロンッ


実況「ケンは、サードロープ下から……バルログの身体をリング内へと戻していきますっ!」

元「そうだね。場外戦はこんなものでいいんじゃないかな? 続きはリングの中でやればいいんだよっ!」

実況「下手に場外戦をしていると、いつの間にやらシャドルーペースになっている……なんて事もあり得ますからねっ!?」

元「そうそうそう。今、ケン君が優位に試合動かしているからね……だったら、より自分の得意なフィールドで戦った方が、絶対にいいよ」


ケン「まだまだ、終わんねぇぞ、オイ……今日は色男対決だからな……華やかにいくぜ……」ササッ


実況「さぁ、バルログをリング内へと戻したケンっ……! おっと、そしてここでケンはエプロンサイドへと上がりますっ!」

元「よしよし、いこういこうっ! 今度はリングの中でだっ!」

33: 2015/10/19(月) 22:02:03 ID:kAMbB6Ig
ケン「さぁ、いくぜっ……! そらっ……!」ググッ


実況「ケンはそのままトップロープを掴みつつ、腰を深く落とすっ!」

元「よ~しよし」


ケン「このまま……いくぜっ……! よっとっ……!」シュタッ


実況「ロープが戻る反動を利用しつつ……そのまま、トップロープを飛び越えリングに戻るっ!」

元「よしっ!」


ケン「……オラァっ! 突き刺してやるよっ!」ズドーンッ

バルログ「……ぐ、ぐはああぁっ!」


ワー! ワーワー!

実況「そのままリングへ戻したバルログの背中へと肘を落としていくっ! トップロープを飛び越えての、エルボードロップっ!」

34: 2015/10/19(月) 22:14:20 ID:kAMbB6Ig
ヤムチャ「よ~しよ~しっ! ケンさん、いいぞっ! いけいけいけっ!」

バイソン「あぁ、痛ぇ……ちくしょう、ケンの奴め……しゃしゃり出てきやがって……」ムクッ


実況「さぁ、試合が始まって僅か数分……だがしかし、これは完全にケンのペースになっていると言ってもいいんではないでしょうかねぇ? 元さんっ!?」

元「そうだね、うん。今日はケン君も飛ばしてるね」


ケン「ヘッ、無様にやられて這いつくばって……シャドルーの色男ってのは、情けねぇもんなんだな……」ムクッ

バルログ「……くっ、減らず口を」

ケン「オラオラ、起きろ起きろっ……! も~っとも~っと、お前の情けねぇ姿を……見せてやろうぜ……」ググッ


実況「さぁ、ケンは立ち上がり、そしてそのままバルログの身体を引き起こしていくっ! ケンのペースは止まらないっ! ケンのペースは止まらないっ!」

元「主導権を握り続けるってのは大事な事だからね。このままいっちゃおう!」

35: 2015/10/19(月) 22:19:41 ID:kAMbB6Ig
ケン「……それっ、いくぜっ!」ガシッ

バルログ「……くっ」


実況「さぁ、ケンはバルログの身体を前屈みの状態にして、そしてそのままバルログの頭部を脇に抱え込むっ!」


ケン「ちょっと、位置が悪いな。後退するか……付いて来いっ……!」ググッ

バルログ「くっ……くっ……」


実況「ケンはバルログの頭部を抱え込んだまま……おっと、そのまま後退して、バルログの身体を引き寄せながらリング中央付近へと移動していくっ!」

元「ちょっと、ロープに位置が近かったからね。そうだね、そうしよう」

36: 2015/10/19(月) 22:25:34 ID:kAMbB6Ig
ケン「リングのど真ん中……ここなら問題はねぇ……よし、いくぞっ! うおおぉぉっ!」ググッ

バルログ「……お、おおっ」


イケー! ケーン!

実況「さぁ、そしてケンはバルログの身体を真っ逆さまへと持ち上げていくっ! ブレーンバスターの体勢っ!」

元「いいよいいよ~!」


ケン「さぁ、いきましょうっ……! よっとっ!」クルッ

バルログ「……おおっ!」

ケン「落ちろぉっ……! そぉらっ……!」


実況「そしてケンは、バルログ後方に落としつつも身体を捻り……自身は開脚しながらの形でバルログの身体をマットへと叩きつけるっ!」

37: 2015/10/19(月) 22:33:27 ID:kAMbB6Ig
バルログ「……くあああぁぁ!」ズドーンッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁさぁ、バルログの身体が勢いよくマットへと叩きつけられていったぁ!」

元「ファルコン・アローだね」

実況「ここはケンのファルコン・アローっ! ファルコン・アローっ! おぉ~っと、そしてそして……」


ケン「……おい、レフェリー! フォールしてるぞっ! カウント取ってくれやっ!」

ダン「わかってるよ、そう急かすなっ……! それじゃあ、カウント取るぜっ!」


実況「ケンはそのままフォールの体勢っ! フォールの体勢に入っているっ! さぁ、今レフェリーがやってきたっ! どうだっ!?」

38: 2015/10/19(月) 22:40:50 ID:kAMbB6Ig
ダン「ワンっ……!」

ワー、ワーワー

ダン「ツーっ……!」

ワー、ワーワー

ダン「……スリ」

バルログ「……くっ!」ガバッ

ケン「……おっと」

ダン「カウントはツーだっ! カウントツーだっ! まだ決まっちゃいねぇぞっ!」


実況「おぉ~っと、しかしここはバルログの肩が上がりますっ! ここは返して来ますっ! カウントは2.6と言った所かっ!?」

元「まぁ、返してくるか……でも、結構バルログ君も慌てた部分もあるんじゃないのかな?」

実況「2.6ですっ! カウント2.6でしたっ! 元さんっ!」

元「結構、ギリギリだったんじゃないかな?」

39: 2015/10/19(月) 22:47:19 ID:kAMbB6Ig
ケン「大人しくやられてりゃいいのに……下手に意地張っても、苦しむだけだぞ、おい……」ムクッ


実況「おっと、しかしここはケンもすぐ様、立ち上がってくるっ! この動きを見る限り、ケンもある程度は想定内だったと言う事でしょうかねぇ!?」

元「そうだね。想定内だったと思うよ」


ケン「ヘイヘイっ! こいつは、もう虫の息だぞっ! 見ろよ、この情けねぇ姿をよぉ!」パンパン


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、立ち上がったケンは大きく大きく手を叩き……更に更に場内を煽っていくっ! さぁ、その表情からは余裕の笑みが見れると言った所かっ!?」

元「でも、あんまり余裕見せすぎるのは危険だよ? バルログ君はクイックで仕掛ける技も得意だからね」

40: 2015/10/19(月) 22:56:07 ID:kAMbB6Ig
ケン「ほらほら、もっと盛り上がっていこうぜっ! いつ終わっちまうか、わかんねぇ試合だ……! 次で終わっちまうかもしれねぇぞっ!」パンパン

ヤムチャ「ほらほら、皆も皆もっ!」パンパン


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、ケンは大きく大きく手を叩き、リング内をグルグルと回っていくっ!」


バイソン「……調子乗ってんじゃねぇ、ボケ。オラ」ヒョイッ

ケン「うおっとっとっと……なんだなんだ、オイ……危ねぇぞ……」


実況「さぁ、ケンは場内を煽りながら……おっと、どうしたっ!? ケンが、何かにつまずいたかっ!?」

元「……あ~、バイソン君だ。今、場外から手を伸ばしてケン君の足掴もうとしたね」

実況「おっとおっと……いつの間にやら、バイソンが場外で起き上がっておりますっ!」

元「油断してたらすぐに仕掛けてくるんだね……というか、まだいたんだね、バイソン君……」

41: 2015/10/19(月) 23:06:19 ID:kAMbB6Ig
ケン「……てめぇ、何やってんだ、オラっ! 邪魔してんじゃねぇよっ!」


実況「おっと、これにはケンもご立腹っ! どうやら、ご立腹のようだっ! ロープから身を乗り出し、バイソンに何やら言っておりますっ!」

元「まぁまぁ、水を差されて腹がたつ気持ちはわかるんだけどさぁ……」


バイソン「ノー、ノー。私、何もしてませーん」ニヤニヤ

ケン「今、俺の足引っ張っただろ、ゴラァ!」


実況「おぉ~っとおっとおっとっ! しかし、バイソンは場外で両腕を大きく大きく広げて……完全にしらばっくれているっ! 我知らぬ存じぬと、完全にしらばっくれているっ! 挑発的な態度っ!」

元「……あまり、バイソン君に構うのはよくないっ!」

42: 2015/10/19(月) 23:15:13 ID:kAMbB6Ig
ウーロン「なんだなんだ……金髪の兄ちゃん……戦う相手、間違えてねぇか……?」

クリリン「なぁ……? あの人はヤムチャさんにやられて……終わった人じゃないか……」

亀仙人「ニャハハハ。ヤムチャがしっかりと止めを刺さぬから……こういった事になるのじゃな……」

18号「あいつがそういう事してくれるなら……ヤムチャだって、同じ事やり返してやればいいんだよ……同じように、足引っ張ってやればいいんだよ……」

亀仙人「……あ~、そりゃダメじゃ」

18号「……どうして?」

亀仙人「ヤムチャはな……そういうズルい事、悪い事……しちゃいけないんじゃよ……アイツはヒーローじゃからな……」

ウーロン「でも、アイツ昔盗賊とかしてたんだぜ? 結構、悪い事してたぞ。それは、今更じゃねぇのかなぁ?」

亀仙人「シーっ、シーっ! ウーロン、それは言っちゃダメっ! とにかく、ヤムチャはここでは悪い事しちゃいけないのっ……!」

18号「……う~ん、ややこしいルールなんだね」

43: 2015/10/19(月) 23:21:23 ID:kAMbB6Ig
バイソン「だから、俺じゃねぇって……アレだ……オバケだ、オバケ……多分、その辺に地縛霊がいるんだよ……」

ケン「……あぁ?」

バイソン「ホラ、よく聞くだろ……? 足掴まれただとか、背中に血の手形が付いてたりだとかな……? だから、そこにいるんだよ、きっと……オバケがお前の足を掴んだんだなっ! バイソンちゃん、関係ありましぇ~んっ!」

ケン「……こ、この野郎」ワナワナ


実況「さぁ、ケンはバイソンに対して……何やら強く強く言っておりますっ!」

元「だから、あれはワザと挑発的な態度取って……あっとっとっ!」


バルログ「……ケンの気を引いていてくれてるという事ですか」ムクッ


実況「おぉ~っとおっとおっと……ここでバルログが立ち上がるっ! 立ち上がってくるっ! そしてケンの注意はバイソンへと向いているっ!」

元「あ~、もうっ……! バイソン君は無視しておかなきゃ……!」

44: 2015/10/19(月) 23:26:39 ID:kAMbB6Ig
ケン「おい、ヤムチャっ……!」

ヤムチャ「あっ、はい……」

ケン「おめぇがちゃんと、こいつに止め刺さねぇからだっ! お前、バイソン止めろっ!」

ダン「おいおいおい……待て待てケン……ややこしくなるような事、言うんじゃねぇよっ……!」


ケーン! ウシロー!

バルログ「フフフ、隙だらけですよケンっ……! 貰いましたっ……!」スッ

ケン「……んっ?」

バルログ「……それっ!」ゴロンッ

ケン「うおっ……おおっ……!」


実況「バルログはそのまま気配を消して背後からケンに近づき……股下から手を差し伸ばしケンの足を救いつつ、後方に転がって丸め込んでいくっ!」

元「だから言ったじゃないっ! バルログ君はクイック技も得意なんだってっ!」

45: 2015/10/19(月) 23:32:00 ID:kAMbB6Ig
バルログ「油断大敵っ……! スクールボーイですっ! さぁ、レフェリー、フォールをっ!」

ケン「あ~、くそっ……! なんだなんだ……」モガモガ


実況「この場面、バルログがスクールボーイでの奇襲っ! ケンの身体を丸め込みにかかるっ!」


バイソン「イエーイっ! バルログちゃん、素晴らしいっ……! してやったりって所だなっ! ガハハハハっ!」ググッ

ヤムチャ「助けに行きたい、けど……こ、これ俺がリングに上がるのは……ダ、ダメだよなぁ……?」


実況「バイソンは場外で大きく腕を突き上げ、完全にしてやったりの表情っ!」

元「シャドルーのパターンだよ、これ」


ダン「あぁ、もうなんだなんだ……とりあえず、カウントいくかっ……!」


実況「さぁ、そしてレフェリーが今、カウントを取りにやってきましたぁ!」

46: 2015/10/19(月) 23:37:18 ID:kAMbB6Ig
ダン「ワンっ……!」

ケーン! ケーン!

ダン「ツーっ……!」

ケーン! カエセー!

ダン「……スリ」

ケン「……舐めてんじゃねぇぞっ!」ガバッ

バルログ「……おっと」

ダン「カウントはツーだっ! カウントツーっ! まだ決まっちゃいねぇぞっ!」


オー、オーオー

実況「おぉ~っと、危ない危ない危ないっ! ここは、ケンがなんとか返していきますっ!」

元「も~う、ビックリさせるねぇ」

実況「カウントは2.7と言った所でしょうかっ!? バルログがケンの不意をついた丸め込みでしたが……ここは、ケンっ! 返していきますっ!」

47: 2015/10/19(月) 23:39:20 ID:kAMbB6Ig
今日はここまで

57: 2015/10/20(火) 22:00:56 ID:gEoHXZFc
ケン「お、おっと……危なかったぜ……」

バルログ「チィ……決まりませんでしたか……しかし、ここから取り返していきましょう……」ムクッ


実況「いや~、少々ケンは……バイソンに気を取られていましたかねぇ? バルログはその隙を逃してきませんっ!」

元「気になるだろうけど……やっぱり、対戦相手以外の事に注意がいっちゃうと、こういう事になるからね……まぁ、ケン君には集中してもらいたいねぇ……」

実況「しかし、リング外にいるのはバイソン……気にするなと言うのも……なかなか難しいんじゃないでしょうかねぇ?」

元「まぁ、そうだね」


ヤムチャ「バイソンを止めとけって言われたよなぁ……よ、よしっ……! 行こうっ……!」ササッ


実況「あっとあっと、お待ち下さいっ! 場外にいるヤムチャが……おっと、おっと……これは、バイソンの方に近づく動きを見せていませんかね……?」

元「そうだよ。ヤムチャ君が止めておけばいいんだよ」

58: 2015/10/20(火) 22:08:27 ID:gEoHXZFc
ケン「ったく、バルログもバイソンも……生意気なんだよ……」ググッ

バルログ「さぁ、いきましょう……起き上がりに合わせて……ヒョオオォッ……!」ダダッ


実況「さぁ、しかしっ! リング上では立ち上がるケンに狙いを定めて……ここはバルログがロープへと走ったっ!」

元「おっとぉ、来てるよ来てるよっ!」


ケーン! キテルゾー!

ケン「……んあっ?」

バルログ「さぁ、ケンっ……! いきますよっ……! ヒョオオオォォッ……!」ダダッ


実況「さぁ、バルログはここで一度ロープの反動をつけて……ケンの起き上がりに合わせて、背後から突っ込んでいくっ!」

59: 2015/10/20(火) 22:19:49 ID:gEoHXZFc
バルログ「……いきますっ! ヒャオっ!」ガシッ

ケン「うおっ……! お、おっとっ……!」


実況「さぁっ! そしてバルログは、ケンの肩口に背後から飛び乗っていったぁ!」


バルログ「……スイングしますよっ! ヒョオオォォッ!」ブンッ

ケン「……お、おおっ」


実況「バルログはケンの頭部を両足で挟み込み、ケンの首を軸にして大きく大きく自身の身体をスイングっ! 旋回させていくっ!」

60: 2015/10/20(火) 22:28:04 ID:gEoHXZFc
バルログ「ヒョオオォォッ……! それっ……!」ガシッ

ケン「う、うおっ……!」


実況「背後から飛び乗ったバルログの身体が旋回してケンの正面まで来た所で、バルログは上体を起こしてケンの首に手を回していくっ! 足から手へと持ち替えていったぁ!」

元「おぉおぉ、華麗だねぇ……」

実況「ここはバルログの、コルバタ式のDDTっ!」


バルログ「まだまだっ……! 更に更に、旋回して勢いをつけますよっ……! ヒョオオォォッ……!」ブンッ

ケン「おおっ、おおっ……」


実況「おっとおっとっ! いやっ、バルログの回転は止まらないっ! 足から手に持ち替え……旋回してもう一周かっ!?」

元「おぉ~っとっ!」

61: 2015/10/20(火) 22:35:56 ID:gEoHXZFc
オー、オーオー

バルログ「……ヒャオっ!」ガシッ

ケン「うおっ……!」


実況「勢いそのまま身体をケンの背後まで旋回させていったバルログは、再びケンの頭部を両足で挟み込むっ! 今度は手から足へと持ち替えていったぁ!」

元「いやぁ、足とか手とか……自由自在だねぇ」


バルログ「さぁさぁ、スイングしますよっ! ヒョオオオォォッ!」ブンッ

ケン「……お、おおっ」


実況「再び、バルログはケンの頭部を両足で挟み込み、ケンの首を軸にして大きく大きく自身の身体をスイングっ! 旋回させていくっ!」

元「二回転目に入ったっ!」

実況「バルログの身体がケンの周りを自由自在っ! 何処かで見たような光景が、今再び我々の目の前で行われているっ!」

62: 2015/10/20(火) 22:43:08 ID:gEoHXZFc
バルログ「今度は投げますっ……! ヒャオっ……!」ブンッ

ケン「……う、うおおおぉぉっ!」


オー、オーオー

実況「再びケンの正面まで旋回して来た所で……おぉ~っと、今度は自身の身体を捻って、ケンの身体をホイップさせて投げていったぁ! 二回転式のヘッドシザーズ・ホイップっ!」

元「デジャヴだね」

実況「バルログが華麗でデジャヴを決めていきますっ! デジャヴでケンの身体を吹き飛ばしていくっ! ここはバルログ得意のルチャ殺法っ!」


ケン「……うおおおぉぉっ! ぐわああぁぁっ!」ズドーンッ


実況「ケンの身体が大きく大きく吹き飛びますっ! おぉ~っと、マットに叩きつけられてしまったかっ!?」

元「うん。二回転もすると、そりゃ勢いも出るよ。うん」

63: 2015/10/20(火) 22:53:06 ID:gEoHXZFc
ウーロン「おいおい、なんだなんだっ!? 今のヤツ……どうなってんだ、クリリンっ……!?」

クリリン「いやぁ、俺だってよくわかんねぇよ……なんか、あの人の周りグルグル周りながら、色々やってたなぁ……?」

ウーロン「アイツも結構凄ぇヤツなんじゃねぇのか……なぁ……!?」

クリリン「うん、そうだよな。あの人は結構違うタイプだよな」

18号「……へぇ~、ああいう技もあるんだねぇ」

亀仙人「おう、そうじゃそうじゃ。ああいう技もあるんじゃ……」

18号「……ヤムチャは使わないのかね?」

亀仙人「どうなんじゃろな……? まぁ、アイツもちっと練習したら出来るんようになるんじゃないかの……?」

18号「いいじゃないか。だったら、覚えなよ」

66: 2015/10/20(火) 23:01:45 ID:gEoHXZFc
ケン「……く、くそおおぉぉっ!」ゴロゴロ


実況「おぉ~っと、大きく大きく吹き飛んだケンは……勢いそのまま場外へと転がり落ちてしまいましたっ!」

元「場外は……ちょっと、マズいんじゃないかな……?」


バルログ「……フッ、美しく決まりました」シュタ


実況「一方バルログは……おぉ~っと、リング上で素早く立ち上がりポーズを決めているっ! 相変わらずのナルシストっぷりだっ!」

元「まぁ、でも華麗な技だったとは思うよ、うん」


バルログ「さぁさぁ、美しい私の攻撃はまだまだ続きますよ……皆さん、手拍子をお願いします……」パンパン


実況「そして、ここでバルログは……おっと、リング上で大きく大きく手を叩き、観客を煽っていきますっ!」

元「……狙ってるね」

69: 2015/10/20(火) 23:10:22 ID:gEoHXZFc
パン…………パン…………

バルログ「あらあら、どうしたんですか……? 手拍子が小さくありませんかっ? ホラホラ、もっと美しい私の応援をしてもいいんですよ……?」パンパン


実況「おぉ~っと、しかし返ってくるのは疎らな拍手っ……! バルログも戸惑っているでしょうかっ!? やはり、ナルシストでは場内のハートを掴む事は出来ないのかっ……!?」

元「いや~、そうじゃないでしょ。やっぱりこれはバルログ君がシャドルーだからでしょ?」

実況「……ほう?」

元「やっぱり、シャドルーに団体か取られるか取られないかの状況で……ここで、シャドルーへの声援はねぇ……なかなか、し辛い部分もあるんじゃないかな?」

実況「確かにっ……! ここで、バルログへの声援を送る事はある意味、このストリートプロレスにとっての背徳行為っ……! とも、言えるかもしれませんっ!」

元「でも、拍手が全くの零ってわけじゃないじゃない? そうそう、自分の好きな人を応援すればいいんだよ。バルログ君はファイトスタイルはいいのに……シャドルー軍団のせいで、ちょっと損してるよね?」

実況「顔はいい……ファイトスタイルは華麗……しかし、極悪人っ……! バルログっ……改心しろっ!」

70: 2015/10/20(火) 23:17:07 ID:gEoHXZFc
バイソン「ガハハっ! 相変わらず、おめぇは支持されてねぇなっ!」

バルログ「……むっ?」

バイソン「仕方ねぇな……だったら、バイソンちゃんが百万人分の声援送ってやるよっ! ヘイヘイっ! バールログっ! 頑張れ、頑張れっ! バールログっ!」パンパン


実況「おぉ~っと、しかし場外のバイソンは盛り上がっているかっ!? 大きく大きく手を叩き……バルログを盛り立てていきますっ!」

元「まぁ、バイソン君はシャドルーの仲間だからね」


バイソン「頑張れ、頑張れバールログっ! ファイトだファイトだナルシストっ!」パンパン

バルログ「……バイソン、危ないっ!」

バイソン「……何が?」

ヤムチャ「おいコラ、盛り上がってんじゃねぇぞ……オラァっ……!」ガスッ

バイソン「……痛っ!」


実況「おぉ~っと、しかしそんなバイソンに……ヤムチャ近づいていき……そしてエルボーバットっ!」

元「う~ん。いいんじゃない? あぁいう事続けられて、バルログ君が乗って来ちゃうのも、嫌だからね」

71: 2015/10/20(火) 23:28:01 ID:gEoHXZFc
オー! イイゾー! ヤムチャー!

バイソン「痛ぇなぁ……何しやがる、オラっ……!」ガスッ

ヤムチャ「痛っ……! そりゃ、勿論お前に止めを刺しに来たんだよ、オラっ……!」ガスッ


ヤムチャー! イケー!

実況「おぉ~っと、そしてここでバイソンも反撃に出るっ! おっとおっとおっと……これは場外でヤムチャのバイソンの戦いが始まってしまったかっ!? 先程の延長戦とでも言えばいいのかっ!?」

元「も~う、二人共タフだねぇ……」


ダン「……馬鹿野郎っ! 何、場外でおっ始めてやがるっ!」

バルログ「……ここは、バイソンの手助けに行った方がいいのでしょうかね?」


実況「リングの上以外でも、戦いは起きていますっ! しかし、この試合に関してはケン対バルログっ! ケン対バルログございますっ!」

元「下手にリングの上の人達にちょっかい出されるぐらいなら、もうあそこでやりあっていた方がマシだよ。いいじゃんいいじゃん。やらせておけば。二人共疲れたら帰るでしょ」

72: 2015/10/20(火) 23:34:43 ID:gEoHXZFc
ケン「……ううっ」ムクッ


実況「それでは、ヤムチャとバイソンの動向……引き続き、注意して見ていきましょうかっ!」

元「そうですね。今はやらせておきましょう」

実況「さぁさぁ、そしてそして……ここで場外へと投げ出されたケンが、今ゆっくりと立ち上がるっ……!」


バルログ「あらあら、ケンが起き上がりましたか。なら、バイソンの事はいいでしょう。あくまでターゲットはケンです。いきますよ……ヒョオオオォォッっ……!」ダダッ


実況「さぁ、リング上のバルログはそのケンの姿を捉えたかっ!? 場外のケン目掛けて一直線に突っ込んでいくっ!」

元「ここはバルログ君だっ! 場外ダイブ技……狙ってるんじゃないのっ!?」

73: 2015/10/20(火) 23:42:31 ID:gEoHXZFc
バルログ「いきますっ……! ヒャオっ……!」シュタッ


実況「さぁ、勢いよく突っ込んでいったバルログは、そのままトップロープを掴んで身体を捻りつつ飛ぶっ! そして反転しつつ、エプロンサイドへと着地っ!」

元「おっと」


バルログ「ロープの反動をつけてっ……!」ググッ


実況「更にそこからセカンドロープへと飛び乗るっ! バルログはロープの反動を利用するっ!」

元「おぉっ!」


バルログ「いきますっ……ヒョオオオォォッっ……!」シュタッ

ケン「くっ……! 降ってきやがったっ……!」


オー、オーオー

実況「さぁ、そこから後方宙返りっ! バルログの身体が空中で一回転しながらケンの元に向かっていくゥ!」

74: 2015/10/20(火) 23:49:49 ID:gEoHXZFc
バルログ「……ヒャオっ!」ズガアァッ

ケン「……うぐああぁぁっ!」バターンッ


オー、オーオー

実況「両腕を広げて、上体から真っ逆さまに落ちてくるような独特のフォームのラ・ケブラーダっ!」

元「これはバルログ君の、フライングバルセロナアタックだね」

実況「バルログのフライングバルセロナアタックっ! フライングバルセロナアタックっ! ロープの反動を使い、ケンに自身の身体をぶつけていくっ! 両者は縺れ合うようにダーウンっ!」


ケン「くっ……いててて……」

バルログ「フッ、これも……美しく決まりましたっ……!」ムクッ


実況「得意のルチャ殺法で流れを引き戻していく……と言った感じのバルログかっ……!? さぁ、バルログはすぐ様立ち上がるっ!」

83: 2015/10/21(水) 22:01:07 ID:8Q/YGeR6
亀仙人「お~お~、派手に飛びよるのぉ」

18号「アイツは面白いね。奇天烈な技ばかり使ってるじゃないか」

ウーロン「ん、んっ……? どうしたどうしたっ……!? 何か起きたのかっ!?」キョロキョロ

クリリン「何か起きたって……今、バルログって人が一回転しながら、場外に飛び降りたじゃないか……」

ウーロン「へぇ~、そんな事したのかっ!? くそっ、見逃しちまったっ!」

18号「見逃したって……アンタ、何処見てたんだよ……」

ウーロン「ヤムチャを見てたんだよ、ヤムチャをっ! ヤムチャが何かするのかな~って思ってっ!」

クリリン「あぁ、ヤムチャさんもあっちで戦ってるな」

ウーロン「あ~、くそっ……! なんだよ、見たかったなぁ~!」

18号「……そのうち、またするんじゃない? 大丈夫だよ」

84: 2015/10/21(水) 22:06:53 ID:8Q/YGeR6
ヤムチャ「今度はこっちの番だっ……! オラっ……!」ガスッ

バイソン「ぐおっと……あ~、痛ぇなボケ……いつまでも、おめぇとやり合う趣味はないんだよ……いい加減ウザってぇよ、オイ……フンっ……」ググッ

ヤムチャ「……んっ?」

バイソン「邪魔だ邪魔だ、クソ野郎っ……! てめぇみてぇな野郎は……鉄柵に突っ込んでろっ……! ふんがああぁぁっ!」ブンッ

ヤムチャ「……お、おおおぉぉっ!」ダダッ

バイソン「……よ~し、これで邪魔者は消えた。そんじゃ、バルログちゃんの手助けに行くとしましょうかね」


ヤムチャ「ぐわあああぁぁ……! くそっ……!」ガッシャーンッ

85: 2015/10/21(水) 22:16:27 ID:8Q/YGeR6
バルログ「くたばりなさい、ヒャオっ……! さぁ、ケン……くたばりなさい、ヒャオっ……!」ガスガス

ケン「ぐっ……ぐっ……」


実況「さぁ、立ち上がったバルログは……そのままケンの身体へとストンピングっ! 踏みつけていきますっ!」

元「う~ん……流れが変わっちゃったかな……?」


ダン「あ~、また場外行きやがって……とりあえず、場外カウントだな……1っ……!」


実況「さぁ、そしてここでリング上が、場外カウントを取り始めたっ!」

元「そうだね。リングの上で続けた方がいいんじゃないかな?」

86: 2015/10/21(水) 22:26:26 ID:8Q/YGeR6
ダン「2っ……!」


バイソン「おいコラ、そこのおめぇっ! 立てゴラァ!」

男「……お、俺っ!?」スッ


ダン「3っ……!」


バイソン「そんなに、ビビんじゃねぇよっ! なんだか、悪い事したような気になっちまうじゃねぇか……」

男「いやいや、悪い事するんでしょ、それで……」

バイソン「いいんだよ、いいんだよ……空手軍団相手にだったらいいんだよ……そんじゃあ、椅子借りま~す。ありがとさ~ん。おめぇも前列にいるんだったら、声掛けられてぐらいでビビんなっ! そこはそういう席なんだよ……」ヒョイッ


ダン「4っ……!」

87: 2015/10/21(水) 22:34:51 ID:8Q/YGeR6
バイソン「よ~し、それじゃあ、このパイプ椅子使って……バルログちゃんの助太刀に行くとしましょうか……出陣じゃ~!」ズガズガ

ダン「5っ……! って、おいおいおいっ……! あの野郎、何してやがるっ……! ダァ~っ! ちっくしょうっ……!」ササッ


実況「さぁ、レフェリーの場外カウントが続く中……あっ、いや、おっと……? レフェリーがここでカウントを中断して……どうした、ロープを潜り場外へと向かうっ!」

元「……あ~、バイソン君だっ!」


ダン「おいおい……お前、何持ってやがるっ……! それ、何に使うつもりだっ!? 今から、何処に行く気だ、ええっ!?」

バイソン「……なぁ~んだよ、面倒臭い奴が来やがったなぁ」


実況「おぉ~っと、おっと……これはこれは……場外でいつの間にやらバイソンがパイプ椅子を手にしているっ! そして、バルログの加勢に行こうと言った所かっ!?」

元「……手癖が悪いねぇ。いつの間に、あんな椅子を手にしたんだ」

88: 2015/10/21(水) 22:39:20 ID:8Q/YGeR6
ダン「その椅子、寄越せっ!」

バイソン「……や~だよ、これは俺の椅子だよっ! 欲しいんだったら、自分でその辺から取ってこいよっ!」

ダン「……そういう意味で言ってんじゃねぇよっ! いいから、寄越せっ!」


実況「さぁ、レフェリーは場外カウントを中断して……バイソンから椅子を没収しようとしていますっ! 元さん、これはレフェリーとしては致し方ない事……なんでしょうかねぇ?」

元「このまま、場外カウントをリング上で続けていたら、バイソン君はケン君の所に行っておそらく、あの椅子で攻撃するだろうしねぇ……?」

実況「……ですよねぇ!?」

元「まぁ、仕方がないんじゃないかな……? うん……」

実況「ここで、場外カウントはストップっ! レフェリーは凶器を手にしているバイソンの方を止めに行きましたっ!」

89: 2015/10/21(水) 22:50:19 ID:8Q/YGeR6
バルログ「んっ……? 場外カウントが止まりましたね……? どうなっているんでしょう……?」チラッ


ダン「ほら、寄越せっ……! その椅子、没収だっ……!」ググッ

バイソン「やめろよ、離せよボケっ! 折角貸して貰ったのに使わなかったら、あの兄ちゃんに申し訳ねぇだろっ……! そう思わねぇのかっ……!」ググッ


バルログ「なるほど、バイソンが引きつけてくれているという事ですね。それなら……」ササッ


実況「さぁ、バイソンがレフェリーが、今パイプ椅子を互いに掴みあっての取っ組み合いのような形になっておりますっ! なんとか、ここはあの椅子を没収したいっ!」

元「あ~あ~、今度はバルログ君がっ……!」

実況「おっと、おっと元さんどうされましたっ!? バルログ……あ~、おっとおっとぉっ!」

91: 2015/10/21(水) 22:58:35 ID:8Q/YGeR6
バルログ「え~っと……これでもない……あれでもない……何処だ何処だ……」ゴソゴソ


実況「おっとおっとおっとっ! ここでバルログはエプロン下に上半身を潜り込ませ、リング下の中を探っているっ!」

元「……なぁ~んか、探してるよ」

実況「このリングの下には、例えば場内の客席へとなるパイプ椅子……他には、この我々の実況席である木製テーブル……! いわゆる、備品という物が収納されているのですが……」

元「……シャドルーはそういうのを凶器として使っちゃうんだよ」

実況「リング下から、凶器を物色するバルログっ……! 探している探しているっ! 一体何を取り出すんだっ!?」

92: 2015/10/21(水) 23:06:25 ID:8Q/YGeR6
バルログ「ありましたありました……よし、これを使いましょう……」スーッ


実況「さぁ、そしてリング下に潜り込んでいたバルログが凶器を見つけたかっ! 再び顔を出すっ! 何を取り出したっ!?」

元「……んっ?」


バルログ「さぁ、これを使って……ケンを痛めつけてやるとしますか……」ジャラジャラ


実況「バルログが取り出したのは……おぉ~っと、チェーンですっ! チェーンんですっ! 鎖がハシゴ状に繋がった金属チェーンっ!」

元「……なんで、あんな物がリング下にあるのっ!?」

実況「え~、それは……私にもわかりませんっ……! しかし、バルログがリング下から取り出したのは……紛れもなくチェーンでございますっ!」

元「あれは備品なんかじゃないよねぇ? なんで、あんな物がリング下にあるんだよ?」

93: 2015/10/21(水) 23:12:58 ID:8Q/YGeR6
18号「……へぇ~、あんな所に隠してるんだねぇ」

クリリン「悪知恵が働くって言うか……なぁ……?」

ウーロン「おいおい、いいのかよアレ……反則なんじゃないの……?」

亀仙人「ホッホッホ。勿論、反則じゃ」

ウーロン「……だよなぁ?」

亀仙人「しかし、レフェリーは気づいておらん……まだ、椅子の取り合いをしとるからな……」

18号「使うなら絶好のチャンスってワケだ……う~ん、上手く出来てるねぇ……」

クリリン「凶器なんて卑怯だぞ~! ちゃんと戦え~!」

94: 2015/10/21(水) 23:19:03 ID:8Q/YGeR6
ケン「……ち、ちっくしょう」ムクッ

バルログ「……さぁさぁ、このチェーンを使って」


実況「さぁ、場外でケンが上体を起こすっ……! そしてバルログはチェーンを手にしながらそんなケンへと近づいていくっ!」

元「チェーンは、前もってバルログ君がリング下に隠していたのかな……?」

実況「恐らく、そういう事でしょうかねぇ……? 用意周到言いますか……悪知恵の働く奴と言うべきか……」

元「……僕は、バルログ君はそういう事しなくてもいいんだと思うんだけどねぇ」


バルログ「巻きつけますよっ……! それっ……!」シュルッ

ケン「ガッ、グッ……ゴホっ……!」


実況「確かに、バルログが得意としているのは、華麗な四次元殺法っ! しかし、そんなバルログもやはりシャドルーっ……! こういったシャドルーのやり方、ラフファイトも繰り出してくるっ!」

元「う~ん、悪い仲間の影響かね……?」

実況「さぁ、バルログはケンの背後に周りつつ……その首筋にチェーンを巻きつけていったぁ!」

95: 2015/10/21(水) 23:25:57 ID:8Q/YGeR6
バルログ「それっ……! このまま首を絞めてあげますよっ……!」ググッ

ケン「ガッ……ゴ、ゴホっ……」


ブー! ブーブー!

実況「そしてバルログはケンの背後から力を込めて、チェーンでその首を絞めていくっ!」

元「あ~、もうっ……! あれ、苦しいよっ……!」


ブー! ブーブー!

ダン「おめぇが椅子を手放さねぇから、ブーイング飛んできてるじゃねぇかっ! オラ、とっとと寄越せっ!」グイッ

バイソン「取るんじゃねぇよ、馬鹿っ! これは俺の椅子だ、ボケっ!」グイッ


実況「レフェリーは気づいていないっ! 完全に注意がバイソンにいっているっ! バルログの行為に気づいていないっ!」

元「場外カウントもストップしてるよ……本当、隙あらばすぐにこういう事してくるね……」

96: 2015/10/21(水) 23:31:06 ID:8Q/YGeR6
バルログ「バイソン……貴方が粘れば粘った分だけ、私は続ける事が出来ます……頑張って下さい……」ググッ

ケン「ガッ、グッ……く、くそっ……舐めんじゃねぇぞ……」ググッ


オー、オーオー

実況「おっとぉっ! しかしここでケンが……首を絞められつつも、なんとか立ち上がっていくっ!」

元「……おっ!?」


バルログ「……こいつ」

ケン「チェーンで首締めるなんて……ガッ……芸がねぇぞ、オラァっ……!」ガッ

バルログ「……くっ!」


実況「なんとか立ち上がったケンは……そのまま、背面にいるバルログに……エルボーっ! 腹部に打ち込んでいくっ! 抵抗していくっ!」

元「いいよいいよいいよっ! いけいけ、打ち込め打ち込めっ!」

97: 2015/10/21(水) 23:37:13 ID:8Q/YGeR6
ケン「ちょっと緩んだぞっ……! オラっ……! もう一発っ……!」ガスッ

バルログ「……うぐっ!」


ケーン! ガンバレー!

実況「さぁ、ケンはなんとか逃れようとしているっ! バルログの腹部にもう一撃っ!」

元「いけいけ、押せ押せっ! このままやられて続けるのはマズいっ!」


ケン「いい加減にしろっ……! うるぁっ……!」ガスッ

バルログ「……く、くあっ!」ポロッ

ケン「よしっ……外れたっ……!」


オー! オーオー!

実況「さぁ、ケンが打ち込む打ち込むっ! おっと、そしてここで……いい一撃が入ったかっ!? バルログが手にしたチェーンを落としたぞっ! ケンが解放されるっ!」

元「よしよしっ! ケン君、よく頑張ったっ!」

98: 2015/10/21(水) 23:43:12 ID:8Q/YGeR6
ケン「……くだらねぇ攻撃しやがって、この野郎」クルッ

バルログ「……く、くそっ」

ケン「寝てろ、この野郎っ……! うらああぁぁっ……!」ズガアァァッ

バルログ「あっ……く、くあああぁぁっ……!」バターンッ


オー! オーオー!

実況「ケンはそのまま身体を反転させつつの……ラリアーットっ! 遠心力を利用した一撃をバルログに打ち込むっ!」

元「おぉおぉ、いいねぇ!」

実況「バルログの首を刈ったかっ! さぁ、バルログは場外で大きくダーウンっ!」


ケン「ったく……滅茶苦茶しやがって……ここはちょっと、休ませてもらうか……」フラフラ


実況「あ~っと、しかしやはりケンも苦しいか……? 少々、フラつきながらリングへと向かっていくっ!」

元「凶器攻撃ってのは、短時間でも効くからね。まぁ、でも返せたからいいんじゃないかな?」

110: 2015/10/22(木) 22:00:53 ID:RPgoud2o
ケン「くっ……とりあえず、リングに戻って……」ゴロンッ


実況「そして、ケンはサードロープ下を潜りリングインっ! リング内へと戻っていきますっ!」

元「バルログ君は、まだ倒れているね」


ケン「あ~、くそっ……首絞めやがって、ちくしょう……休憩だ、休憩……」


ケーン! ガンバレー!

実況「おぉ~っと、そしてここでケンは片膝を立てて……スタミナの回復を図っていると言った所かっ!?」

元「まぁ、そうだろうね。ちょっと、場外で痛い目に合わされてたからねぇ。ここは無理して行かず、呼吸を整えるのもいいんじゃない?」

実況「場外戦では何が起こるのかわかりませんっ! ここはケン、リング内へとエスケープっ! 呼吸を整えていきますっ!」

元「リング内にエスケープ……ってのも、皮肉なもんだね」

111: 2015/10/22(木) 22:07:11 ID:RPgoud2o
ダン「オラっ、没収だこの野郎っ……!」グイッ

バイソン「あ~っ……! 何すんだ、取るんじゃねぇよっ……!」

ダン「うるせぇ、馬鹿野郎っ……! 椅子はダメなんだよ、椅子はっ!」ガシャンッ


実況「確かに、場外にはまだ椅子を持ったバイソンがまだうろついておりますっ! あ~っと、いやっ! ここで、レフェリーがバイソンからなんとか椅子を取り上げたかっ!? 椅子を奪い、投げ捨てますっ!」

元「レフェリーがバイソン君に構ってる限り、いつまで経っても場外カウントは取られないからね」

実況「なんとか、レフェリーには……場を落ち着けてもらいたいものですが……」


バイソン「おめぇが、椅子奪うんじゃねぇよっ! なんだなんだ、やっぱりおめぇは空手軍団に依怙贔屓してやがんのか、オイっ!」

ダン「……バイソン、退場っ!」ビシッ


オー! オーオー!

実況「おぉ~っと、少々お待ち下さいっ! これはこれは、元さん……ねぇっ……!?」

元「……おっ!」

112: 2015/10/22(木) 22:12:44 ID:RPgoud2o
バイソン「た、退場って何だよ……退場って、オイっ……!」

ダン「うるせぇ、おめぇがいたらややこしくなるだけだ……オラ、とっとと退場しろ退場……オラっ……!」ドンッ


オー! オーオー!

実況「レフェリーはここで花道の方を大きく指差し……そして、バイソンの身体を押していくっ!」

元「おぉ~っと……これはこれは……退場かな……!?」


バイソン「ちょっと待てよっ……! いくらなんでも、退場って事はねぇだろうがっ! リングにゃ入っていねぇぞ、リングにはっ!」

ダン「場外で椅子持って暴れて……退場する理由にゃ、十分だっ! オラ、とっとと帰れっ!」ドンッ

バイソン「押すなって……それに、まだ暴れてません~! 未遂です、未遂~!」

ダン「屁理屈ゴネるなっ! オラ、帰れっ……!」ドンッ

113: 2015/10/22(木) 22:21:27 ID:RPgoud2o
オー! オーオー!

実況「さぁ、場外ではレフェリーがバイソンに何なら強く言いながら……その身体を押して、退場口へと押しやっていくっ!」

元「ここはレフェリーも強気に行かなきゃダメだよ」


ダン「退場しねぇと……この試合は反則負けだっ! バルログの反則負けになるぞっ! いいのかっ!?」ドンッ

バイソン「百歩譲って、俺に悪かったとしても……バルログちゃんは関係ねぇだろがっ! な~んだ、その反則負けって!」

ダン「セコンドの介入で反則負け……理由にゃ十分すぎるぞ……! ちょっと、やりすぎたなぁ、バイソンっ……! オラ、大人しく帰りなっ!」ドンッ

バイソン「……カァ~! 一々押すんじゃねぇっ! うざってぇなぁっ!」

114: 2015/10/22(木) 22:27:19 ID:RPgoud2o
バイソン「糞がっ! 糞がっ! オイっ、ケンもヤムチャの糞野郎も……覚えておけよっ! レフェリーに救われたなぁ、オイっ! 聞いてんのかぁっ!?」

ダン「……吠えるな馬鹿、オラ。退場だっ!」ドンッ


実況「さぁ、レフェリーによる退去命令っ! 強制送還が始まったっ! おぉ~っと、バイソンも吠えていますっ!」

元「なんか、捨て台詞でも吐いてるんじゃないの?」


ケン「退場か……へへへ、ざまあみろ……バーカ……」チラッ


実況「さぁ、リング上のケンはそんなバイソンを見つめながら……おっと、少しばかり顔から笑みが溢れたような気がしますっ!」

元「まぁ、バイソン君が退場する事によって……ケン君の動きやすい状況が出来てきたんじゃない?」

117: 2015/10/22(木) 22:32:27 ID:RPgoud2o
バイソン「ケーンっ! ケーンっ! 糞野郎ケーンっ! 生意気なんだよ、ケーンっ!」

ダン「……やかましいっ! とっとと退場しろ、オラっ!」ドンッ

ケン「……うるせぇなぁ。大人しく帰ればいいってのに」


実況「さぁ、レフェリーに身体を押され、花道の奥深くまで連行されていくバイソンっ! お~っとおっと、まだ納得していないのかっ!? 大声で何やら叫んでいますっ!」

元「まぁまぁ、もう最後なんだから好きなだけ言わせてあげればいいんじゃないの……?」


バルログ「……バイソン、貴方は最後の最後まで戦士でした。退場する間際までケンの注意を引きつけていてくれるんですからね」ムクッ

118: 2015/10/22(木) 22:38:38 ID:RPgoud2o
ケン「よしよし、バイソンがいなくなれば……バルログに集中できるな……ホラ、帰れ帰れ……」

バルログ「今、ケンの注意はバイソンにいっています……それなら、不意打ちで一撃喰らわせてやれるでしょうっ……!」シュタッ


実況「あ~っとっ! しかししかしっ……! このタイミングでバルログが立ち上がるっ! そして、素早くエプロンサイドに飛び乗るっ!」

元「おいおいおい……嫌なタイミングで来ちゃったよ……ケン君、バルログ君の方、見てるんじゃないっ!?」


バルログ「さぁ、コーナー上から……キツい一撃をお見舞いしていきましょう……ケン、貴方の相手は……私なんですよ、フフ……」ググッ


実況「ケンの注意は退場していくバイソンに向かっているかっ!? そして、その隙を逃さず、バルログはコーナーポストへと昇っていくっ! ケンはバルログに気づいていないっ!」

元「あ~、だからバイソン君は……あんなに叫んでるんだね……? ケン君の注意を引く為に」

119: 2015/10/22(木) 22:45:03 ID:RPgoud2o
ヤムチャ「……」バンバンバンバン

ケン「……んっ?」

ヤムチャ「……」バンバンバンバン

ケン「な、何だよヤムチャ……どうした……?」


オー! オーオー!

実況「おぉ~っと、しかしここはヤムチャがフォローに行くかっ!? リングに近づいて、エプロンサイドを激しく激しく叩くっ! 大きな大きな音を出して、ケンの注意を引くっ!」

元「ケン君、バルログ君に気づいてないからね……教えてあげてっ!」


ヤムチャ「あっち見てっ!」ビシッ

バルログ「チィっ……! ヤムチャが生きていましたか、折角の不意打ちのチャンスを……」


実況「そしてヤムチャは、バルログの方を指差していくっ! ケンにその危機を伝えていくっ!」

120: 2015/10/22(木) 22:52:04 ID:RPgoud2o
ケン「あっち……? って、オイっ……! バルログ……あの野郎、あんな所にっ……!」クルッ


ヤムチャー! イイゾー!

実況「さぁ、ヤムチャの指差す方向を振り向くケンっ! そして、ここでバルログに気づいたっ!」

元「よ~しっ! よくやったっ!」


バルログ「チィ……折角の不意打ちでの一撃でしたのに……しかし、まだいけますっ! ヒョオオォォッ!」シュタッ


実況「この場面、バルログの目論見は外れたかっ……!? あっと、しかしバルログは急いでコーナーポスト上からケンに向かって飛んでいったぁ!」

元「おっと……飛ぶのかっ!?」

121: 2015/10/22(木) 22:56:53 ID:RPgoud2o
バルログ「ミサイルキックですっ……! ヒョオォォッっ……!」シュタッ

ヤムチャ「ケンさん、逃げてっ!」


実況「さぁ、バルログのコーナーポスト上からのミサイルキックっ! ケンに向かっていくっ!」


ケン「不意打ち狙っていたようだが……当てが外れたなぁ、バルログっ……!」ササッ

バルログ「……チィっ!」

ケン「下から、突き上げてやるよっ……! オラっ!」ドスッ

バルログ「……うぐああぁぁっ!」


オー! オーオー!

実況「おぉ~っと、しかしケンはその軌道上から横にそれつつ……そのまま空中のバルログに対してドロップキックっ! 下から突き上げていったぁ!」

元「おぉ~っ! よしよしよしっ! 上手くカウンター決めれたよっ!」

122: 2015/10/22(木) 23:05:13 ID:RPgoud2o
バルログ「……う、うぐああぁぁっ!」ドシーンッ

ケン「……よしっ!」


ワー! ワーワー!

実況「ケンがバルログを撃墜したぁ! ミサイルキックをドロップキックで返していきますっ! 空中戦を得意としているのはバルログだけではないっ!」

元「ケン君も結構得意だからねっ!」


バルログ「く、くそっ……脇腹に入りました……」ゴロゴロ

ヤムチャ「よしっ……! ケンさん、いいですよっ……!」ググッ


実況「おっとこれはこれはバルログの脇腹辺りに入ったかっ!? バルログは脇腹を抱えて悶えておりますっ! そしてヤムチャはガッツポーズっ!」

元「うんうん。ヤムチャ君もよく動いてくれたよっ!」

123: 2015/10/22(木) 23:09:51 ID:RPgoud2o
ウーロン「おぉ~っ! ヤムチャっ! いいんじゃねぇかっ!? いいんじゃねぇかっ!?」

クリリン「よしよしっ! ヤムチャさんだって、負けちゃいねぇんだっ!」

ウーロン「ちょっと、金髪の奴に教えただけだけどな? ハハハ!」

亀仙人「チームプレイも立派な戦略じゃ。ホッホッホ」

18号「この二戦目に関しては、今までいい所なしだったけど……今のはズルい事でも悪い事でもなく……上手くやったんじゃない……? それとも指示すらダメなのかい……?」

亀仙人「今のは、オッケーじゃな!」

18号「アタシにはまだ、ルールがちょっとよくわからない部分がまだあるけど……うん、アイツそのルールの中でよくやってるんじゃない……?」

亀仙人「アイツは器用じゃからな。お前らも見習わんかいっ!」

18号「……はいはい」

124: 2015/10/22(木) 23:15:08 ID:RPgoud2o
ケン「よ~し、ちょっとはスタミナも回復してきたかな……? ここから、攻めていくぜ……!」ムクッ


実況「さぁ、そんなバルログを尻目に……ケンは立ち上がっていくっ!」

元「上手く奇襲攻撃も避けたし……ここから、リズム掴んでいきたいねぇ」


ケン「オラ、バルログ……起きろ……!」ググッ

バルログ「う、ううっ……」


実況「そしてケンは……バルログの身体を引き起こしていくっ……!」

元「さぁ、行こうっ!」


ケン「アレ、そういや……今、レフェリーいねぇな……という事は……」キョロキョロ


実況「さぁ、ここでケンは、辺りを見回すような素振りを見せて……」

125: 2015/10/22(木) 23:20:02 ID:RPgoud2o
ケン「よし、それじゃあ……オイ、ヤムチャっ……!」

ヤムチャ「あっ、はいっ……! 何ですかっ!?」

ケン「リング来い……リングに上がって来い……レフェリーがいねぇんだ……合体攻撃のチャンスなんだよっ……!」クイクイ


オー! オーオー!

実況「おっと、そしてケンはここでリングサイドにいるヤムチャを呼び寄せるっ! 呼び寄せていくっ!」

元「あ~、確かに今リング内にはレフェリーいないねぇ……ヤムチャ君使うなら今がチャンスだよ。ケン君も悪知恵が働くね」


ヤムチャ「俺、行っていいんですか……?」

ケン「レフェリーがいねぇから、バレやしねぇよ……! ほらほら、早く来い早く来い……」クイクイ

ヤムチャ「わ、わかりました……」サッ


オー! オーオー!

実況「この辺りに目には目を……歯には歯をと言った所でしょうかっ!? バルログがバイソンを使ってくるのなら……ケンもヤムチャを使ってきますっ!」

126: 2015/10/22(木) 23:27:30 ID:RPgoud2o
ウーロン「おぉ、なんだなんだっ!? ヤムチャもいくのかっ!?」

クリリン「いくんじゃね? だって、ヤムチャさん呼ばれてるぞ」

ウーロン「お~お~、それならヤムチャもいけいけいけっ!」

18号「……ヤムチャも、参加していいのかい?」

亀仙人「まぁ、厳密に言うと反則じゃ……しかし、今レフェリーはリング上にいないんじゃろ……?」

18号「……いないねぇ」

亀仙人「バレない反則は……反則じゃないのじゃよ……」

18号「……そういう事言う奴って、大抵悪人のような気がするけどね」

亀仙人「ホッホッホ」

18号「……ズルくないのかい?」

亀仙人「ホッホッホ」

18号「いやいや、笑ってんじゃないよ。答えなよ……」

亀仙人「ホッホッホ」

140: 2015/10/23(金) 22:02:47 ID:OAEp35aQ
ダン「よし……なんとか、バイソンは退場させれたな……さぁ、リングに戻らねぇと……レフェリー不在じゃ、試合は出来ねぇからな……」クルッ


ヤムチャ「よし……それじゃあ、合体攻撃を……」

ケン「あ~、待て待て待て待て……ストップっ! ヤムチャ、ヤムチャ……ストップだっ! 入ってくるなっ!」

ヤムチャ「えっ……!?」


実況「おっと、しかしここで、ケンはヤムチャを追い払うような素振りを見せますっ! リングインしようとしていたヤムチャも……これには少々、戸惑っているかっ!?」

元「あ~、レフェリーが帰ってきてるねぇ……残念……」


ケン「レフェリーが帰って来てるんだよ、ちくしょう……これじゃあ、バレちまうだろ……ダメだダメだ……中止だ、中止っ!」

ヤムチャ「……中止って」

ケン「場外戻ってろっ……! 大人しくしておけっ……!」

141: 2015/10/23(金) 22:12:22 ID:OAEp35aQ
ダン「あ~、なんだなんだっ……! 今度はヤムチャの野郎が乱入か……くそっ、急がねぇと……」ダダッ


実況「あ~、確かに今花道からレフェリーが走ってきておりますっ! ちょっと、こういった状況では……コンビネーションは使いにくいかっ!?」

元「レフェリーに目をつけられるのは厄介だからね……まぁ、でもいいんじゃない? 一対一でやれば……そもそも、これはそういう試合なんだし……」


ヤムチャ「そ、それじゃあ場外戻りますよ……とりあえずは、大人しくしておきます……」ササッ

ダン「……あぁ、アイツ、エプロンサイドで何してやがったんだ? 場外戻ったぞ」ダダッ


実況「エプロンサイドに上がっていたヤムチャも……ここは残念っ! 場外へと戻りますっ!」

元「ヤムチャ君も、下手だねぇ……あ~んな、直立不動の姿勢でいたら、逆に怪しいよ……」

実況「おっとおっと、場外に降りたヤムチャは……気をつけっ! いい姿勢だっ! しかし、確かに怪しいっ!」

143: 2015/10/23(金) 22:20:43 ID:OAEp35aQ
ウーロン「馬鹿野郎っ……! なんで、戻るんだよっ……! いけよ、バカっ……!」

クリリン「あ~あ~、ヤムチャさん戻っちゃったよ……」

亀仙人「レフェリーが帰ってきとるから仕方ない……まぁ、賢明な選択じゃな……」

18号「……なる程。レフェリーが帰って来たら、バレる反則になっちまうからね。使えないってワケか」

亀仙人「……そういう事、そういう事」

18号「ハハハ、いいタイミングで帰ってきたじゃないか。あのレフェリー……」

ウーロン「あのレフェリーのせいで、ヤムチャが戻っちまったんだぞっ!? 全然、良くねぇよっ!」

18号「ハハハ、そりゃそうだ」

144: 2015/10/23(金) 22:34:33 ID:OAEp35aQ
ケン「まぁ、ヤムチャは使えねぇが……一人で十分だっ……! それじゃあ、いくぜっ……!」ガシッ

バルログ「……くっ」


実況「さぁ、ヤムチャを下げていったケンは、ここでバルログの頭部を自身の脇にへと抱え込んでいったっ!」

元「ヤムチャ君、使えなかったのは残念だけどね……まぁ、ケン君なら一人で大丈夫だよ」


ケン「そぉ~らっ! 持ち上げるぜ……うおおぉぉっ……!」ググッ

バルログ「……う、うおっと」


実況「さぁさぁ、そのままバルログの身体を真っ逆さまへと抱え上げていくっ!」

元「ブレーンバスターかな……? それとも、ファルコンアローかな……?」

145: 2015/10/23(金) 22:43:03 ID:OAEp35aQ
ケン「そぉら、そぉら……まだ、落とさねぇぞ……」ググッ

バルログ「くっ……くっ……」


オー! オーオー!

実況「おぉ~っと、ケンはバルログを真っ逆さまに持ち上げた状態でそのまま静止っ! バルログを抱え上げたまま、大きく大きく溜めを作っていきますっ!」

元「抱え上げられてる方は、いつ落とされるからわからないからね……受身が取り辛いんだよ……」

実況「ここは溜めて溜めて、滞空時間を伸ばしていくっ! さぁ、バルログの心に恐怖心が芽生えるっ!」


ダン(おうおう、溜めてやがる溜めてやがる……時間稼いでくれてるのね、ありがとさん……早く戻りますからねぇ……)ダダッ

ヤムチャ「規律っ……! 直立不動っ……! 俺は、何も悪い事してませんっ……!」ビシッ

146: 2015/10/23(金) 22:50:42 ID:OAEp35aQ
ケン「ほぉ~ら、ほぉ~ら……まだまだ溜めるぞ……いつ、落とそうかねぇ……」ググッ

バルログ「くっ……! 落とすなら、早く落としなさいっ……!」


オー! オーオー!

実況「長いっ……! 実に長いっ……! おぉ~っと、ケンはまだ落とさないっ! まだ落とさないっ!」

元「おぉ~、凄く溜めてるねぇ……これ、落とされる方も怖いよっ!」


ダン「よっしゃっ! リング到着っ! リングに俺がいねぇと、始まんねぇからなっ!」


ケン「……よっしゃ、落とすぜっ! うおおおぉぉっ!」ズドーンッ

バルログ「……ぐ、ぐわああぁぁっ!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、そしてここでケンが落としたぁ! バルログの身体を後方に落とし、リング中央に叩きつけていきますっ!」

元「いやぁ、随分溜めたねぇ……おぉ~っと、レフェリーも戻ってきたよ」

147: 2015/10/23(金) 23:00:07 ID:OAEp35aQ
バルログ「く、くそっ……変なタイミングで落としましたね……く、くああっ……」モガモガ


実況「おぉ~っと、バルログが腰辺りを抑えて、激しく苦しんでいるっ! 受身の取り辛い状況で背中から大きくマットに叩きつけられ、これは効いたかっ!?」

元「それと、さっきのドロップキックでの撃墜……そのダメージも生きてるんでしょう。あれも腰辺りに打ち込んでたからね」

実況「……なる程っ!」

元「バイソン君がいなくなって、レフェリーも戻ってきたんだし……ここはケン君、一気にいきたいね。チャンスだよ」


ダン「……おい、ヤムチャ?」

ヤムチャ「……ん?」


実況「そうですね、あのバイソンが消えたというのはケンにとってはかなりのアドバンテージになったのではないでしょうかっ!? こちらにはまだ、ヤムチャも生きて……あっ、しかしここでレフェリーは……場外のヤムチャに何やら話しかけておりますっ!」

148: 2015/10/23(金) 23:05:27 ID:OAEp35aQ
ダン「お前、何かよからぬ事企んでるだろ……? なぁ……?」

ヤムチャ「いやいやいやいやっ……! この通り、俺は……何もしてませんよ……ここにずっといましたよ……本当、本当……」

ダン「……さっき、エプロンサイドにいただろ?」

ヤムチャ「いや~、あの~……それはそれは……」


実況「レフェリーは何やらヤムチャに、強い口調で言っておりますっ! おっとおっと、どうしたどうしたっ!?」

元「バカだねぇ! あ~んな、直立不動で姿勢でいたら、怪しまれるに決まってるじゃない!?」

実況「非常に行儀良く、リングサイドで兄弟子ケンの戦いの見守っていたヤムチャ……ですが……」

元「もっと自然体でいなさいよ、自然体で……あこまで行儀がいいと、逆に怪しいってのっ!」

149: 2015/10/23(金) 23:13:11 ID:OAEp35aQ
ケン「ん……? なんで、レフェリーに絡まれてるんだ、アイツ……」ムクッ


ヤムチャ「ちょっと待って下さい……レフェリー……誤解です……多分、何か誤解をしてるんだと、思います……」オロオロ

ダン「……とりあえず、お前も退場だっ! 帰れっ!」ビシッ

ヤムチャ「……えぇっ!? 何でっ!?」


エー? エーエー?

実況「おぉ~っと、そしてここでレフェリーが花道の方を指差して……これは退場宣告かっ!?」

元「あ~あ……ほらほら、も~う……」

実況「この試合……バイソンと違い、ヤムチャは、何もしてはいないのですが……おぉ~っと、ここで退場宣告っ! 退場宣告っ!」

元「……いやぁ、まぁでも未遂はあったよ?」

150: 2015/10/23(金) 23:18:11 ID:OAEp35aQ
ブー! ブーブー!

ヤムチャ「退場は、困ります……退場は……なんとかなりませんかねぇ……?」

ダン「うるせぇっ! お前が退場しなけりゃ、セコンド介入でケンの反則負けだっ! それでもいいのかっ!? ほら、早く帰れっ!」ビシッ

ヤムチャ「……えぇっ!?」

ケン「……お、おいっ!?」


実況「ここはヤムチャも食い下がっていくが……おぉ~っと、しかしレフェリーは止まらないっ! 場内から、レフェリーに対してのブーイングかっ!?」

元「お客さんの気持ちはわかるんだけどね……でも、フェア精神ってので言ったら……まぁ、ヤムチャ君も下がっておくべきなんじゃないかな?」

151: 2015/10/23(金) 23:25:29 ID:OAEp35aQ
ヤムチャ「反則負けは困ります……反則負けは……」オロオロ

ケン「俺だって困るよ、馬鹿野郎……ちくしょう……おい、ヤムチャっ!?」

ヤムチャ「……んっ?」

ケン「まぁ、レフェリーに言われてるんだから、仕方ねぇ……ここから先は一人で大丈夫だ……もうバイソンもいないしな……お前は、退場しろ……」


実況「あっと、ここでケンが……ロープに近づき、リング内からレフェリーに食い下がっているヤムチャに一言二言かけて……」

元「う~んと、これは……なだめてるのかな……?」


ケン「あまりヤムチャに構いすぎてると、また不意打ち喰らっちまうからな……よしよし、とっとと攻めよう……」クルッ


実況「ケンはヤムチャに何か声を掛けた後……そのままクルっと背を向け、そしてダウンしているバルログへと向かっていくっ!」

元「そうだね。今はあくまで試合中だからね。やっぱり、こういった形で試合が止まったり、水を差されたりする事は、僕も良くないと思うよ。バイソン君ももういないんだし……お客さんには申し訳ないけど、ヤムチャ君ももういいんじゃないかな?」

152: 2015/10/23(金) 23:30:08 ID:OAEp35aQ
ケン「さぁて、それじゃあいくか……オラ、バルログ起きろ……」ググッ

バルログ「う、ううっ……」


実況「さぁ、そしてケンはバルログの身体を引き起こしていくっ! 引き起こしていくっ!」

元「ここはね、リズム良く攻めていこう」


ダン「ほら、ケンも言ってるだろが……おめぇのせいで反則負けになってもいいのかっ!? オイ!」

ヤムチャ「そ、それは……困りますけど……」

ダン「……じゃあ、帰れっ!」

ヤムチャ「ううっ……あぁっ……は、はい……」


実況「おっと、場外のヤムチャも……これは渋々と言った感じでしょうかねぇ……? リングを名残惜しい目で見つめながらも……これは、引き下がっていくのでしょうかっ!?」

元「そうだね。まぁ、ケン君が説得でもしたんじゃないかな? ヤムチャ君が引き下がるからって、悪い事になるってワケじゃないんだから……通常のあるべき形に戻るだけなんだから……ただ、それだけだよ」

153: 2015/10/23(金) 23:36:34 ID:OAEp35aQ
ウーロン「あれっ? ヤムチャの奴……帰るのかっ!?」

クリリン「う~ん、そうだな……帰るんじゃないの……? バイソンって人も帰ったんだし……」

ウーロン「な~んだよっ! 何もしてねぇじゃねぇかよっ! ヤムチャ、つまんねぇぞっ!」

クリリン「……さっき試合したじゃねぇかよ」

ウーロン「ソレはソレっ! コレはコレだっ!」

クリリン「……おいおい」

18号「……あらら、アイツの出番はもうお終いかな?」

亀仙人「まぁ、もう終わりじゃないかな……? ところで、お前……ヤムチャの出番が終わったら、帰るとか言っておったが……帰るのか……?」

18号「何、言ってんだい。ここまで見たんだったら……最後まで見るに決まってるじゃないか」

亀仙人「ホッホッホ。そうかそうか」

159: 2015/10/24(土) 22:01:57 ID:d89/nhxw
ケン「それっ……!」ググッ

バルログ「……お、おおっ」


実況「一方ケンはバルログの股下に手を差し伸ばし、ボディスラムの体勢で持ち上げていくっ!」


ケン「それじゃあ、落とすぞ……落とす場所は……」スッ

バルログ「……んあっ?」


実況「おぉ~っと、ケンはバルログの身体を抱え上げたまま、右足を突き出し片膝立ちの状態へ!」


ケン「……俺の膝だっ! それっ!」ドスッ

バルログ「……う、うぐああぁっ!」


実況「そして、その立てた右膝の上へと、バルログの背中を叩きつけるっ!」

元「シュミット式バックブリーカーだね。おっと、腰狙ってきたかな?」

160: 2015/10/24(土) 22:07:47 ID:d89/nhxw
バルログ「く、くそっ……腰が……」ズルッ


実況「ケンのシュミット式バックブリーカー! シュミット式バックブリーカーっ! バルログの腰へと更にダメージを蓄積させていくかっ!? おっと、バルログはケンの膝上から、ズルッと滑り落ちたぁ!」

元「いいんじゃない?」


ヤムチャ「ケンさんにも、レフェリーにも、退場しろって言われちまったかぁ……ちくしょう……」

ダン「おい、何やってんだっ! 早く退場しろっ! ケンを反則負けにしちまうぞっ!」

ヤムチャ「あっ、あっ……わかってますよ……わかってます、わかってます……ちくしょう……」

161: 2015/10/24(土) 22:16:07 ID:d89/nhxw
ケン「おい、レフェリーっ……! 退場する奴なんかに構ってんじゃねぇよっ! それより、こっち見ろっ!」

ダン「……んっ?」


実況「さぁ、ケンは移動してバルログの下半身の方へとポジショニングを写していくっ!」


ケン「これで……決めてやるっ……! 確認取ってやりなっ……! レフェリー……!」ガシッ

バルログ「……おおっ!」


実況「さぁ、そしてケンは……バルログの足を取って、自身の脇下へと抱え込んでいくっ! 左足を右脇の下に……右足は左脇の下に……バルログの両足を捉えたっ!」

元「おっ?」


ケン「いくぜっ……! うおおおぉぉっ……!」ググッ

バルログ「く、くおっ……!」ゴロンッ


実況「さぁ、そしてケンは両足を捉えたまま、バルログの身体を跨いで……バルログの身体を裏返していくっ!」

162: 2015/10/24(土) 22:25:23 ID:d89/nhxw
ケン「シンプル・イズ・ベストっ……! これで終わりだっ……! うおおおぉぉっ!」ググッ

バルログ「……ガ、ガ、ガガ!」


オー! オーオー!

実況「うつ伏せにしたバルログの腰の上にどっしりと構え、捉えた両足を持ち上げ……おぉ~っと、ここでバルログの身体を海老のように反らしていくっ!」

元「その名の通り……逆エビ固めだねっ!」

実況「さぁ、逆エビ固めっ! リバース・ボストンクラブっ! バルログの身体を反らしていくっ! バルログの腰から下をエビの尻尾のように反らしていくっ!」


ケン「おらああぁぁっ……! どうだどうだっ……! ギブアップしちまいなっ!」ググッ

バルログ「クッ……クッ……くうぅっ……!」


ワー、ワーワー

実況「この辺り……ケンはバルログの痛めた腰に、更に更にダメージを蓄積させていこうという魂胆かっ!?」

元「逆エビ固めってねぇ、シンプルに見えるけど……キツい技なんだよ。これは、完全に腰狙いだね、うん」

163: 2015/10/24(土) 22:38:21 ID:d89/nhxw
ワー、ワーワー

ヤムチャ「おっ……? ケンさんが、決めに行ったかな……ま、まぁそうだよな……よくよく、考えたら俺の助けなんて、いらねぇか……」

ワー、ワーワー

ヤムチャ「う~ん……でも、盛り上がり少ないんじゃないかなぁ……? これは、決めにいってるんだよ……皆……」キョロキョロ

ワー、ワーワー

ヤムチャ「よ~し……それじゃあ、一丁俺が煽ってやりますかっ!」

ワー、ワーワー

ヤムチャ「ここで、退場しながら……煽るぐらいだったら、問題はねぇだろっ! うんっ!」

164: 2015/10/24(土) 22:44:20 ID:d89/nhxw
ヤムチャ「おいおいっ! 皆、皆っ!? どうしたどうしたっ!? ケンさんが決めにいってるんだよっ! ほらほら、もっともっとっ!」パンパン

オー! オーオー!

ヤムチャ「手拍子とかっ……」パンパン

ワー! ワーワー!

ヤムチャ「え~っと……ほら、声援とかっ!」パンパン

ケーン! イケイケー!

ヤムチャ「とにかく、盛り上がっていこうよっ!」パンパン


実況「おっと、そしてここでヤムチャが……おっとおっと、退場しつつも大きく大きく手を叩き、そして場内を煽っていくっ!」

元「あらあら、最後の最後まで……全く、ヤムチャ君も大人しくないねぇ……」

実況「まぁ、しかし退場口付近で、手を叩いているだけですっ! こいつは問題のない行為でしょうっ! ヤムチャの置き土産と言った所か!?」

元「こうやって声援が来るのは、やっぱり選手の力になったりするからね……まぁ、そうだね。いい置き土産だね」

165: 2015/10/24(土) 22:54:22 ID:d89/nhxw
ワーワー! ケーン! ワーワー!

ダン(よし、ヤムチャ……お疲れさんっ……!)

ケン(いい具合に声援も、デカくなってきたじゃねぇか……よしよし、それじゃあ、俺も乗っていきますか……!)モゾモゾ


実況「さぁ、ここでケンは……おっと、ここでバルログの捉えた足部分を持ち直していくっ! より、ロックを確実な物としていくっ!」

元「あっ、いや、違うねっ……! これは、さっきまで脛を持っていたのを……太腿に持ち替えているんだよっ!」

実況「ほ~う、太腿に持ち替える……と、いう事は……?」


ケン「うるああぁぁっ! この勢いに乗って、ここまま決めてやるぜっ……! 高角度だっ!」ググッ

バルログ「……ぐああぁぁっ!」


オー! オーオー! イイゾー! ケーン!

実況「おぉ~っと、おっとっ! エビのように反り返っていたバルログの身体が、より急角度にっ! まるでシャチホコのように反り返っていくっ!」

元「そうっ! 腰に近い部分を持てば持つ程……急角度になっていくんだよ!」

166: 2015/10/24(土) 22:59:17 ID:d89/nhxw
ヤムチャ「いいぞいいぞっ! ケンさんっ! そのままやっちまえっ!」パンパンッ


ケ・ン ! ケ・ン !

ケン「おらああぁぁっ……! どうだどうだっ! 早くギブアップしちまいなっ!」ググッ

バルログ「うぐぐ……ガガ……ガガっ……!」

ダン「どうする、バルログっ!? ギブアップかっ!? おい、ギブアップかっ!?」

バルログ「ぐがっ……ガガっ……ノーですっ……! ノー……ノーっ……!」


ケ・ン ! ケ・ン !

実況「これは、痛みの蓄積させるなどと言ったものではないっ! 完全に決めにいったぁ! ケンは完全に決めに行ってるっ!」

元「ウォールズ・オブ・ジェリコだね」

実況「ケンのウォールズ・オブ・ジェリコっ! ウォールズ・オブ・ジェリコっ! バルログの下半身を、高角度に反り返らせていくっ!」

167: 2015/10/24(土) 23:04:20 ID:d89/nhxw
ウーロン「いいぞぉ~! そのまま決めちまえ~!」

クリリン「ケ・ン ! ケ・ン !」

ウーロン「ケ・ン ! ケ・ン !」

18号「……ほ~う」

亀仙人「……お前はコールせんのか?」

18号「いやぁ、流石にそれは恥ずかしい。アタシは遠慮しておくよ。ただでさえ、隣で二人が騒ぎまくってるんだから……」

亀仙人「ニャハハハ」

18号「でも、こうやって盛り上げていくのも、必要なんだね? ヤムチャは……あっ、帰っちまったか……うん、アイツ最後の最後までよくやったじゃないか」

亀仙人「一試合半動いておるからな。うむ、上出来じゃ」

168: 2015/10/24(土) 23:11:23 ID:d89/nhxw
ーーー


プーアル「ヤムチャ様、お疲れ様でした!」

リュウ「……」

ヤムチャ「お~、プーアルお疲れお疲れ……あっ、それにリュウさんも……お疲れ様ですっ!」

リュウ「……」

ヤムチャ「……んっ?」

リュウ「……」

ヤムチャ「あの~、リュウさん……?」

リュウ「……やってくれたなぁ?」

ヤムチャ「……えっ?」

169: 2015/10/24(土) 23:16:06 ID:d89/nhxw
リュウ「この野郎……やってくれたなぁ……オイ……?」ニヤニヤ

ヤムチャ「いやいやいやいや……これは、その……そのね……?」

リュウ「な~んか、四人でチマチマチマチマ話をしてると思ったら……こういう事だったのか、おいおい……」

ヤムチャ「いや~、試合後のマイクアピールどうするって、話になりましてね……そしたら、バイソンさんの提案でこういった形に……」

リュウ「……まぁ、そうだろうな。こういう事言い出すのは多分、バイソンだ」

ヤムチャ「だから、悪いのは……全部バイソンさんなんですよ……バイソンさん……俺は従っただけで……」

リュウ「……うるせぇ!」ニヤニヤ

170: 2015/10/24(土) 23:20:36 ID:YHLwz9Cw
リュウ「盛り上げるのはいい事だけどさぁ……? ちょっと、後の事も考えてくれよ……なぁ……? プレッシャーかかるじゃねぇかよ」

ヤムチャ「いやぁ、その辺は……リュウさんの事を信用して……って、感じです……ナハハ……」

リュウ「うるせぇ、ちくしょうっ!」ニヤニヤ

ヤムチャ「ナ、ナハハハ」

リュウ「でも、よくやったと思うよ、お前は……うん……バイソンとの試合も、よかったよ。うんうん……」

ヤムチャ「あっ、ありがとうございますっ……!」

リュウ「よくやりすぎってのも、問題だけどね……まぁ、そういう話は後にして……とりあえず、ケンの試合見るか……?」

ヤムチャ「そうっすね。この辺からどうなるか、俺もわかんないんですよ。途中まで参加してただけにね……続きが気になります……」

184: 2015/10/26(月) 22:01:42 ID:4GfuaKC2
ケ・ン ! ケ・ン !

ケン「オラオラっ! 意地張ってもいい事ねぇぞっ! どうだどうだぁっ!」ググッ


実況「さぁ、ケンのウォールズ・オブ・ジェリコっ! ここで決まってしまうのかっ! ケンがバルログの身体を高角度に絞り上げるっ!」

元「いけいけっ! 決めちゃえ決めちゃえっ!」


ダン「バルログっ……! どうする、オイっ……! キブかっ!? ギブアップかっ!?」

バルログ「ガガっ……! しつこいですねっ……! ノーです、ノーっ……! くああぁぁっ……!」グイッ

ケン「……んあっ?」


実況「おぉ~っと、しかしここは……バルログは両腕でなんとか自身の上半身を持ち上げいくっ!

元「……おっとっ!」

185: 2015/10/26(月) 22:10:59 ID:4GfuaKC2
バルログ「ガ、ガガっ……! ロープ……」ズシッ

ケン「……おっ?」

バルログ「ググっ……! ロープ……ロープっ……!」ズシッ

ケン「……お、おおっ」


ケーン! キメチマエー!

実況「そして、バルログは手押し車のように、腕の力でなんかとか身体を前へ前へと運んでいくっ!」

元「うん、まぁロープブレイク狙うしかないだろうね、ここは」

実況「一歩一歩と、ロープへ近づいていくバルログっ! ここはロープブレイクを狙っていくっ! なんとか逃れようとしていくっ!」

186: 2015/10/26(月) 22:20:31 ID:4GfuaKC2
バルログ「ロ、ロープ……ロープ、ロープ……」ズシッ

ケン「……しゃらくせぇっ!」ドスッ

バルログ「んあっ……? く、くおっ……!」ベタッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、一歩……そしてまた一歩と、ロープへと近づいていくバルログっ! あ~っと、しかしおっとおっとおっとっ!」

元「おおっ!」

実況「しかし、ここはケンも簡単にロープブレイクさせてくれるような男ではないっ! ここで、ズッシリと腰を落とし……力を再び込めていくっ! 腕の力で持ち上げていたバルログの上体が、再びマットへと張り付いたぁ!」

元「まぁ、そうだよ。みすみす逃れさせる事はないよ。ここはケン君もいかないとね!」

187: 2015/10/26(月) 22:27:35 ID:4GfuaKC2
ケン「ちゃちい抵抗しても……無駄なんだよっ……! うるああぁぁっ!」ググッ

バルログ「ガ、ガガっ……! く、くああぁっ……!」


ケ・ン ! ケ・ン !

実況「ケンは完全に決めに言っているかっ!? さぁ、再びその手に力を込めるっ!」

元「これは決めに言ってるんじゃないっ!? これだけ腰を落とされたら……ちょっと、バイソン君もロープブレイクは難しいんじゃないっ!」

実況「ケンは完全にバルログの腰の上にのし掛かるようにして、絞り上げているっ! ガッチリと決まっているウォールズ・オブ・ジェリコっ! さぁ、どうだっ!?」


ケ・ン ! ケ・ン !

ケン「うるああぁぁっ……! ここで、ギブアップしちまいなっ……!」ググッ

ダン「バルログ、どうするっ……!? ギブかっ!? ギブアップするのかっ!?」

バルログ「ガ、ガガ……ノーですっ……!」

188: 2015/10/26(月) 22:33:15 ID:4GfuaKC2
ーーー


ヤムチャ「……なる程ねぇ」

リュウ「……何が、なる程なんだよ?」

ヤムチャ「あ~、今バルログさんが腕の力で上体持ち上げて……それで、ケンさんが力を込めたら、またマットに倒れ込んじゃったじゃないですか……?」

リュウ「うん」

ヤムチャ「あれも……攻防をしつつ、身体の空いた部分で盛り上げていく方法……って事なんですね。足4の字固めしつつ、殴り合う……みたいな……」

リュウ「しっかり、勉強もしてるじゃねぇか。ハハハ」

ヤムチャ「関節技の方は……サボってたってワケじゃないですけど、まだまだ入門したてですからね、俺も……」

リュウ「今日は使ってたな」

ヤムチャ「今度俺、あの技喰らう時……いい感じにいけると思いますよっ!?」

リュウ「ハハハ! そっちの勉強かよっ!」

189: 2015/10/26(月) 22:39:40 ID:4GfuaKC2
ケ・ン ! ケ・ン !

ケン「もう終わりなんだよっ……! オラ、ギブアップしちまいな、うるああぁぁっ!」ググッ

バルログ「ガ、ガガっ……! くああぁっ……! 負けませんっ……!」グイッ

ケン「……チィ、粘りやがるっ!」


実況「再び力を込めるケンっ! 絞り上げていくっ! あっ、いやしかし……おっとおっとっとっ!?」

元「ん~っ! バルログ君も必氏だねぇ!」

実況「ここでバルログが再び体勢を立て直してくるっ! 再び、腕の力で身体を持ち上げるっ! 腰の上に乗っていたケンごと持ち上げていくっ!」


バルログ「ああっ……! も、もう限界ですっ……! 急がないとっ……!」ドタドタッ

ケン「……お、おおっ!」


実況「おっとおっとそしてっ……!? 今度はペースを上げて、ロープ方向へと向かっていくっ! バルログはロープブレイクを狙うっ!」

元「これ以上続けられたら、もうどうしようもないからねぇ……バルログ君が、力を振り絞るならこの場面しかないよ」

190: 2015/10/26(月) 22:47:30 ID:4GfuaKC2
バルログ「くああぁぁっ……! ロープブレイクですよっ……! ホラ、レフェリーっ……!」ガシッ


実況「バルログもここで残された力を振り絞ってくるっ! さぁ、そしてここでロープブレイクっ! ロープブレイクっ! ここはなんとかバルログが逃げ切ったぁ!」

元「あ~、ケン君、惜しかったね……」


ダン「オイ、ケンっ……! ロープブレイクだ、ロープブレイクっ! 離せ離せっ!」

ケン「……わかってるよ。はいはい」サッ

バルログ「あぁ、ううっ……た、助かった……」


実況「さぁ、ケンもここでその手を離しますっ! 後一歩……と、言った所だったかっ!? しかし、この場面では……決まらないっ!」

元「いやぁ、でも流れはケン君にあるよっ!」

191: 2015/10/26(月) 22:53:38 ID:4GfuaKC2
ケン「まぁ、決まりはしなかったが……」クルッ

バルログ「あ、危ない所でした……しかし、ここからです……」グイッ


実況「その流れに乗っていきたいケンっ! さぁ、ロープを掴んで立ち上がろうとしていますっ! そして……ケンは、そんなバルログを観察しながら……おっと、少々距離とっていくっ!」

元「んっ……? 何か狙ってるのかな……?」


バルログ「くっ、くああっ……立つんです……とりあえず、立たないと……」グイッ

ケン「……どうやら、かなり効いてるみたいだな。こりゃ狙いもつけやすいぜ」ササッ


オー? オーオー?

実況「ケンはなかなか立ち上がる事の出来ないバルログに視線を定めながら……リング中央付近まで……あっ、いやっ! 更に更に、距離を取り逆側のロープ際まで静かに移動したっ!」

元「こりゃ、完全に狙ってるね」

192: 2015/10/26(月) 22:59:06 ID:4GfuaKC2
ケン「よしっ……! いくぞ、今だっ……! 昇龍拳で決めてやるぜっ!」ググッ


オー! オーオー!

実況「おっと、そしてここでケンが右腕を突き上げながら叫ぶっ!」

元「おっ!? ここから、昇龍拳いくのかなっ!?」


ケン「アイツの起き上がりに合わせて……うおおおぉぉっ……!」ググッ


実況「さぁ、ケンはここで一度背後のロープに身を寄せ……そして反動を利用するっ!」

元「よし、いこうっ!」


ケン「止めにしてやるぜっ……! バルログよおぉっ……!」ダダッ

バルログ「……う、ううっ」


実況「そしてバルログへと狙いを定めて突っ込んでいくケンっ! ここは昇龍拳かっ!? 昇龍拳を狙うのかっ!?」

193: 2015/10/26(月) 23:09:14 ID:4GfuaKC2
ケン「これで終わりだあぁぁっ! バルログっ……!」ググッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、そしてケンが拳を構えたっ! どうやら昇龍拳だっ! 狙いは昇龍拳でしょうっ!」

元「よしっ! いけぇっ!」


ケン「うおおおぉぉっ……! 昇龍……」

バルログ「くああっ……させませんよっ……! ヒャオっ……!」ガシッ

ケン「……んあっ!?」


実況「バルログの起き上がりに合わせてその拳を……あ~っと、いやいやいやっ!?」

元「……あらららら」

実況「ここは起き上がりかけていたバルログは素早く身体を沈め、突っ込んできたケンの膝を自身の両膝で挟み込んでいくっ!」

194: 2015/10/26(月) 23:14:28 ID:4GfuaKC2
バルログ「……勢い余って倒れなさいっ!」ガシッ

ケン「く、くそっ……!」グラッ


実況「ここはバルログのカウンターっ! バルログのカニ挟みっ! 膝を挟まれ、下半身の動きを封じられたケンは勢いそのまま、前方へと大きく大きく倒れ……」


ケン「……くおっ!」バターン

バルログ「……チャンスっ!」スッ


ザワ……ザワ……

実況「あっ、いや……前方にはロープがあったっ! ケンの身体はそのまま前のめりに、セカンドロープへと倒れ込んでしまうっ!」

元「おいおいおいっ……! この体勢って……狙ってたんじゃないのっ!?」

実況「今度はバルログが素早く立ち上がるっ……! どうやらどうやら……これは狙っていましたねぇっ!?」

195: 2015/10/26(月) 23:18:49 ID:4GfuaKC2
バルログ「さぁ、いきますよっ……! 619ですっ……!」ダダッ


ザワ……ザワ……

実況「今度はバルログがロープへと走るっ! セカンドロープに倒れ込んでいるケンを尻目に……ロープへと走ったぁ!」

元「こりゃ、狙ってたねぇ……619っ……!」

実況「どうやらどうやら、バルログは狙っていたっ! 619っ! シックス・ワン・ナインを狙っていたっ! クイックのカウンターから狙ってくるっ!」


バルログ「ヒョオオォォ……んっ……? あっ、ああっ……」フラッ


実況「バルログがケンに狙いを定め……あっ、いやおっとおっとおっとっ……!?」

元「……んっ!?」

196: 2015/10/26(月) 23:25:31 ID:4GfuaKC2
バルログ「ああっ……くそっ……腰が……腰が……」フラフラ


オー! オーオー!

実況「おぉ~っとっ! 勢いよくロープへと走っていったバルログでしたが……なんとリング中央付近でストップっ! その動きが止まりましたっ! 腰を抑えて苦しんでいますっ!」

元「やっぱり、ダメージ残ってたんだよっ! やったやったっ!」

実況「蓄積されていたものがここで来たかっ……!? バルログ、いけないっ……! 619にいけないっ……!」


バルログ「く、くそっ……なんでこんな時に……」フラフラ

ケン「……おっとおっと、危ない危ない。助かったぜ」

197: 2015/10/26(月) 23:30:45 ID:4GfuaKC2
ウーロン「おぉっ! なんだなんだっ!? アイツの動きが止まったぞっ!?」

クリリン「腰だっ! 腰をいわしちまったんだっ!」

ウーロン「ハッハッハっ! なぁ~んだ、腰やっちまったのかっ! 残念だなぁ。爺さんも気をつけろよっ!?」

亀仙人「……やかましいっ! ワシは関係ないじゃろっ!」

18号「今、随分ザワめいたいたようだけど……何か、スゴ技みたいなの、狙ってたのかい……?」

亀仙人「そうじゃそうじゃ、あるんじゃあるんじゃ……アイツはスゴ技を狙ってたんじゃ……まぁ、腰の痛みのせいでいけやしなかったがの……」

18号「アタシは、そのスゴ技の方が見たかったけどね。腰いわして苦しんでる姿なんて……見てても面白くないよ……」

亀仙人「そのうち狙ってくれるじゃろ。あの金髪が、ああいうロープにもたれかかるような体勢になるのを……楽しみに待っておれ……」

18号「……でも、腰いわしちまったんだろ? もう、出来ないよ」

亀仙人「そんなモン、ちょっとすれば回復するわ。これは攻撃受けた直後だから……痛みが残っておるだけじゃ……」

18号「ふ~ん……あぁ、そういやヤムチャの試合の時も、そんな感じだったね……」

207: 2015/10/27(火) 22:01:39 ID:yRY0pFGE
ケン「よしっ……! こりゃ、チャンスだっ……!」ムクッ


実況「九氏に一生を得たケンっ! さぁ、倒れかかっていたロープから立ち上がっていきますっ!」

元「まぁ、これは積み重ねでの必然でしょう。腰に狙いを定めてたみたいだしね」


バルログ「く、くそっ……こ、こんな時に……」フラフラ

ケン「へへ、どうやら攻撃にはいけないみたいだな……それじゃあ、続けていかせてもらいましょうかっ……!」クルッ


実況「さぁ、ケンはそのままバルログの方を振り向いて……おぉ~っと、そのまま近づいていくっ! バルログの背後から近づいていくっ!」

元「まだ流れは切れてないよ。いこうっ!」

208: 2015/10/27(火) 22:08:33 ID:yRY0pFGE
ケーン! イケー!

ケン「おい、バルログ……随分と腰を痛めてるみたいだなぁ……?」ガシッ

バルログ「……くっ!」


実況「さぁ、ケンはバルログへと近づいていき、背後から左肩を掴むっ!」


ケン「だけど……俺は容赦しねぇぞっ……! オラァっ!」ガスッ

バルログ「……ぐあっ」


実況「そして、ここでエルボーバーットっ! 腰目掛けて打ち込んでいくっ! 右の肘をバルログの腰へと打ち込んでいったぁ!」

元「おっ、痛めてる所に更に追い討ちだねぇ」


ケン「もう一丁っ……!」ガスッ

バルログ「くあっ……! く、くそっ……いい気になるなよ……醜き者めっ……!」フラッ


実況「痛めた腰に、連続でもう一発っ! ケンが打ち込んでいくっ! おっと、バルログの身体がフラついたかっ!?」

元「よ~しよし、いいよいいよ~」

209: 2015/10/27(火) 22:16:27 ID:yRY0pFGE
ケン「色男は俺の方だって言ってるだろがっ……! さぁ、いくぜっ……!」ガシッ

バルログ「……くっ!」


オー! オーオー!

実況「さぁっ! そしてここでケンが背後からバルログの腰回りを掴むっ! ガッチリ、クラッチしていくっ!」

元「おっ!」


ケン「それじゃあ、ぶん投げて終わりにしましょうか……うおおぉぉっ……!」ググッ

バルログ「……くおおっ」


実況「そのまま後方にバルログの身体を反り投げていくっ!」

元「ジャーマンスープレックスだね」

210: 2015/10/27(火) 22:23:52 ID:yRY0pFGE
バルログ「く、くそっ……! させませんよっ……!」ジタバタ

ケン「お、おっとっとと……あ、暴れんじゃねぇっ……! 魚か、てめぇはっ!」


実況「おっとおっとっ! しかし、ここは少し持ち上げられた上体でバルログも大きく大きく足をバタつかせるっ! 暴れて抵抗していくっ!」

元「……ん~っ! 粘るねぇっ!」


バルログ「はぁっ……はぁっ……危なかった……」スタッ

ケン「抵抗してんじゃねぇよっ!」


実況「身体半分浮き上がりこそしましたが……お~っと、ここはなんとか着地っ! バルログ、耐えますっ!」

元「でも、クラッチは解けてないよっ! いこうっ! もう一回いこうっ!」

211: 2015/10/27(火) 22:34:51 ID:yRY0pFGE
ケーン! キメチマエー!

ケン「無駄なんだよっ……! 抵抗なんぞ、やめちまって大人しく楽になっちまえっ……! うおおおぉぉっ!」ググッ

バルログ「く、くそっ……! 馬鹿力めっ……! このままでは持ちません……ならばっ……!」


実況「しかし、ケンは続けていくっ! さぁ、バルログの身体を再び持ち上げていったぁ!」


ケン「うるああぁぁっ……! んっ……!?」スルッ

バルログ「……ヒャオっ!」クルッ


オー、オーオー

実況「あ~っとっ! しかし、ここはバルログが……ケンの投げるタイミングに合わせて、自ら後方に飛び……おっと、そのまま一回転っ! バク宙で避けていきますっ!」

元「あ~っとっとっと……バルログ君には、これもあるんだったねぇ……」

212: 2015/10/27(火) 22:49:20 ID:yRY0pFGE
ケン「くそっ……! 逃げられたかっ……!」ドシーンッ


実況「ここはバルログが切り返していく切り返していくっ! ケンの身体は後方へと倒れ込みますっ!」

元「……あ~っ!」


バルログ「なんとか、逃げれました……が……」スタッ


実況「切り返したバルログは、そのままバク宙で一回転して後方へ着地っ! 着地していくっ!」

元「この辺りが、バルログ君の持ち味だよね」


バルログ「痛たたた……あぁ、くそっ……無茶しすぎました……」フラフラ


実況「あっと……しかし、バルログ……切り返してのはいいが……やはり、腰へのダメージは深刻なのかっ!? 腰を抑えて苦しんでいますっ!」

元「まぁ、結構無茶な切り返し言っちゃ、そうだからね。運動量が多い分、痛めている腰にきたんじゃない?」

213: 2015/10/27(火) 22:58:02 ID:yRY0pFGE
ケン「チィ、避けられたが……まだまだ、だ……」ムクッ


実況「ここでも、後一歩が出ない……バルログっ! どうやら、ケンの攻撃に対応していく事だけで精一杯かっ!?」

元「そうみたいだね、うん。結構きてるよ」

実況「ならば、攻め続けるだけだっ! さぁ、いけケンっ! ここでケンは上体を起こしますっ!」

元「そうだね。バルログ君、ちょっと動きが悪くなってるみたいだからね」


バルログ「あっ、くっ……! くそっ……マズい……逃げてるだけじゃ、やられるだけですっ……!」ササッ


実況「あ~っと、しかしバルログもその事は重々承知かっ……!? ここは腰の痛みに耐えながらも、上体を起こしているケンの背後へと近づいていくっ!」

元「まぁ、バルログ君サイドからしたら、攻めなきゃやられるだけだからね。切り返したんだから……当然、ここは来るでしょう」

214: 2015/10/27(火) 23:06:05 ID:yRY0pFGE
バルログ「それっ……! それっ……!」ガシッ

ケン「……んっ?」


実況「ここでバルログは上体を起こしているケンの背後から、右手首を右手で掴み……左手首を左手で掴んでいくっ! ケンの両腕を捉えたっ!」


バルログ「……引き伸ばしますよっ! それっ!」ググッ

ケン「……い、いででででで」


実況「そして、その捉えた両腕を折り畳むかのようにケンの背中側へと引き伸ばしていくっ! バルログが背後から捉えたぁっ!」

元「サーフボード・ストレッチですね」

実況「ここは、バルログがサーフボード・ストレッチの形へと捉えたぁ!」

215: 2015/10/27(火) 23:11:15 ID:yRY0pFGE
バルログ「さぁ、引き伸ばしますっ……! あああぁぁっ……!」ググッ

ケン「くっ……いででで……いでぇっての……」


実況「さぁさぁ、バルログがケンの両腕を引き伸ばしていく、サーフボード・ストレッチっ! ケンの両肩辺りに痛みが蓄積されていくっ! この場面、バルログも得意のルチャ殺法ではなく、関節技で攻めてきますっ!」

元「いや、これもルチャ技だよ。バルログ君特有のスピーディな攻撃ではないけど、ルチャ源流の関節技だね」

実況「あら、そうでしたか!? 失礼しましたっ! ならば、ここは目に目を……歯には歯をと言った所かっ!? 自身の腰と同じように、ルチャ殺法で、ケンの肩に痛みを蓄積させていこうという魂胆なのか!?」

元「……いやぁ、それも違うでしょ」

実況「えぇっ……!?」

216: 2015/10/27(火) 23:16:41 ID:yRY0pFGE
バルログ「はぁっ……はぁっ……少し休憩です……時間が経てば、腰の痛みも和らぐでしょう……」ググッ

ケン「いでで……いてぇよ……いてぇよ、おい……」


元「単純に、腰の痛みを回復させる為の……時間稼ぎって所じゃない?」

実況「……あ~、はいはいはい」

元「ちょっと、さっきからバルログ君は後一歩が出ない……って場面が多いからね……多分、腰の痛みからきてるんでしょうね」

実況「あ~、確かに腰を抑えて、後一歩が出ない……なんてのも、ありましたっ!」

元「バルログ君はここはジックリ時間を掛けてでも、流れを取り戻したいからこそ……こういう技をチョイスしたんだと思うよ」

実況「なる程なる程っ! バルログはジックリ攻めて……流れを取り戻していきたいと!?」

元「ただねぇ……バルログ君にも、誤算はあると思う……」

実況「誤算……ほ~う……それはそれは……?」

217: 2015/10/27(火) 23:22:49 ID:yRY0pFGE
ダン「ケンっ! どうするっ! ギブアップかっ!? ギブアップするのかっ!?」

ケン「馬鹿野郎っ……! ちっと、痛いだけだ……ギブはしねぇよ……それに……!」ググッ

バルログ「くっ……立つなっ……! 立つんじゃありませんっ! ケンっ……!」


オー! オーオー!

実況「あっ! おぉ~っと、おぉ~っとっ! ここは……バルログに両腕を捉えられながらも……ケンは、そのまま立ち上がっていくっ! 立ち上がっていくっ!」

元「そう、ここっ!」

実況「ここ……とは!? 元さんっ!?」

元「バルログ君はシャドルーの中ではパワーファイターではないんだよ。サガット君や、バイソン君に比べると、パワーじゃなくスピードで攻めていく所があるよね!」

実況「はいはい、確かに確かにっ!」

元「この程度のパワーだったら……ケン君は大丈夫だよっ! ケン君もパワーはあるしね。僕は力強くで返す事……僕は可能だと思いますっ!」

218: 2015/10/27(火) 23:28:33 ID:yRY0pFGE
ケン「うおおおぉぉっ……! ちゃちい技、仕掛けてるんじゃねぇよ、この野郎っ……!」ググッ

バルログ「くっ……! くっ……! 大人しくしなさいっ……!」


オー! オーオー!

実況「さぁ、ケンは背後から捉えられながらも……力で返していく、力で返していくっ! もう、完全に立ち上がったぁ!」

元「これが、僕も思ってたバルログ君の誤算だ……バルログ君は、もっとスピーディな技で攻めていく事が本質だと思うよ」

実況「しかしそれは、腰の痛みで後一歩が出ない状況が続いているっ! 関節技で時間を稼ごうにも……パワーではケンの方が勝っているかっ!?」


ケン「……オラオラ、いい加減ウザってぇんだよっ!」ググッ

バルログ「くっ……! くっ……! この馬鹿力めっ……!」


実況「さぁ、ケンは折り畳まれた腕を力強くで元に戻そうとしているっ! それをなんとか、抵抗していくバルログ……と、言った所かっ!?」

元「これじゃあ、どっちが攻めてるかわかんないねぇ」

219: 2015/10/27(火) 23:33:51 ID:yRY0pFGE
ケーン! カエセー!

バルログ「くっ、くうっ……! このままでは……このままではっ……!」ググッ

ケン「いい加減、ウザってぇんだよっ……! だったら、こうだっ……! オラっ……!」ガスッ

バルログ「……ぐっ!」


実況「さぁさぁ、ケンが力で振り解くかっ!? あっ! いや、おっとおっとっ! ケンはそのまま……」


ケン「てめぇを蹴りつつ……脱出だっ……!」クルンッ


オー! オーオー!

実況「後方のバルログを両足で蹴りつつ、前方に飛び込みクルッと一回転っ! ここはカンガルーキックっ! カンガルーキックだっ!」

元「ロックが甘くなってたからねぇ。それに、こういうやり方もケン君は負けてはいないよっ!」

実況「ここで、逃れたっ! ケンが返したっ! ケンが力と技で返していったぁ!」

226: 2015/10/28(水) 21:59:56 ID:QNrufo5Q
ケン「……よしっ!」スッ

バルログ「ううっ……くっ……!」

ケン「……決めるぜっ!」クルッ


オー、オーオー

実況「さぁ、バルログの前方に逃れていったケンは、そのまま立ち上がり……そしてバルログの方を振り向くっ!」

元「よぉしっ!」


ケン「いくぜっ……! バルログっ……! うおぉぉぉっ!」ダダッ


イケー! ケーン!

実況「そしてそのままバルログに突っ込んでいったぁ!」

227: 2015/10/28(水) 22:13:52 ID:QNrufo5Q
バルログ「くそっ、来ましたか……パワーでは勝てないのかっ……! だったら……」

ケン「うおおぉぉっ……!」ダダッ

バルログ「技で攻めるしかないでしょうっ……! いきますよ、ヒャオッ……!」クルッ


実況「さぁ、ケンはバルログに……あっ、いやっ! おっとおっとおっとっ!」


バルログ「……捉えたっ!」ガシッ

ケン「ん、んあっ……!?」ピタッ


実況「突っ込んできたケンに……バルログも突っ込んだっ! そして身体を反転させながら、ケンの胴回りを両足で挟み込むっ!」

元「あ~っとっ! カウンターだっ!」

実況「バルログがうつ伏せ状態でケンの腹回りを足で挟み込むっ! カウンターで飛びついていったぁ! ケンの動きが止まるっ!」

228: 2015/10/28(水) 22:22:19 ID:QNrufo5Q
ケン「くっ……カウンターかっ……! だが、高さが足りねぇんじゃないかっ!? バルログよぉっ!」

バルログ「……知っているっ! やかましいっ!」バンッ

ケン「んっ……? ああっ……!?」


実況「バルログの上半身が重力によって、マットへと落ちるっ……! が、バルログは大きく両手でマットを叩き……」


バルログ「うおおぉっ……! この反動でっ……!」ググッ

ケン「あ、上がってきやがった……こいつ……!」


実況「その反動を利用し、バルログの上半身がバウンドっ! 足でケンの胴回りを挟み込んで固定し、身体をエビ反り状に反らしつつ自らの身体を持ち上げていくっ!」

元「おぉ、おぉっ! マット叩いてバウンドした勢いを利用してるけど……こりゃ、背筋の力もいるよっ!」

229: 2015/10/28(水) 22:36:00 ID:QNrufo5Q
バルログ「高さはこれで足りるっ……! ヒャオッ……!」ガシッ

ケン「……んあっ!?」

バルログ「醜いその顔を……」ブンッ


実況「ケンの顔の高さまで上体を持ち上げていったバルログは……ここで足のロック外しつつ、後ろ手でケンの頭部を掴んだっ! オールを漕ぐように、離した両足を前方に振っていって……!」


バルログ「潰して差し上げましょうっ……! ヒャオオォォッ……!」ズドーンッ

ケン「……ぐ、ぐわあああぁぁ!」


実況「再び重力によって持ち上がったバルログの身体が落下っ!背中から飛び込み、そのままケンの顔面をマットへと叩きつけていくっ!」

元「あ~、これはバルログ君らしい返しっていっちゃ返しだ……」

実況「ダイヤモンド・カッターでしょうかっ!? しかし、一つの技を掛けるのにも、バルログ特有のトリッキーな動きを見せていきますっ!」

230: 2015/10/28(水) 22:43:41 ID:QNrufo5Q
バルログ「はぁっ……はぁっ……ようやく、返せました……ざまあみろっ……!」

ケン「く、くそっ……顔面打ち付けやがって……」ゴロゴロ


実況「強烈に顔面を打ち付けられたかっ!? おっと、ケンはここで一度転がりつつ、場外へとエスケープっ!」

元「まぁ、流れるような強烈な一撃入っちゃったからねぇ……間を取るのかな……?」

実況「しかし、バルログには飛び技がありますっ! 元さん、これ……間を取る為に場外に行くと言うのは……これは、逆に危険な行為ではありませんかね?」

元「う~ん……そうかもしれない……」


バルログ「よし……よし……ここからです……ここから巻き返していきましょう……」ムクッ


実況「あ~、ほらほらっ! 元さん元さん、バルログが立ち上がりましたよっ!」

元「う~ん……まぁ、そうだね……」

231: 2015/10/28(水) 22:52:30 ID:QNrufo5Q
バルログ「くっ……あたたた……」ヨロッ


実況「おっとっ……!? しかし、バルログは……腰を押さえて、またも苦しんでいるっ!?」

元「あ~、やっぱりか……よかったよかった」

実況「元さん、やっぱり……と、言いますと?」

元「今の技は、バルログ君も背中から落ちる形だったし、背筋力も使ってたからね。痛めた腰には負担はきてると思うよ。ある意味、自爆技だったね」


ケン「いでで……多分、追撃には来れないと思う……少し、ここで休もう……」ムクッ


元「腰のダメージは結構、深刻なものなんじゃないかな……? だから、ケン君はこの場面、追撃はない……と、読んで間を取りにいったんじゃないかな?」

実況「なる程っ……! この辺りはケンの読みとっ!」

232: 2015/10/28(水) 22:58:25 ID:QNrufo5Q
バルログ「んっ……? くそっ……ケンが、もう立ち上がってるではありませんか……!? くそっ……!」ダダッ


実況「あっと、あっとお待ち下さい、元さんっ! ここでバルログが……ロープに向かって走り始めましたよっ!?」

元「……あれっ?」


バルログ「はぁっ……はぁっ……休む間も与えてくれないというわけですか……くそっ……!」ググッ


実況「ここで、バルログは一度ロープの反動をつけ……そのまま、場外へのケンへと向かっていくっ! 向かっていくっ!」

元「……あ~ららら」

実況「元さんっ……! これ、追撃に来てますよっ!?」

元「うん、追撃に来てるよ」

実況「おぉいっ!」

233: 2015/10/28(水) 23:06:54 ID:QNrufo5Q
ウーロン「おっ、飛ぶのかっ!? アイツ、飛ぶのかっ!? いいぞ、いっちまえっ!」

クリリン「……どっち応援してるんだよ?」

ウーロン「さっき、見逃しちまったんだから……ここぐらいは、いいじゃねぇか……ここぐらいはっ!」

クリリン「……そういう応援方法もあるんのかな?」

18号「……いいじゃないか。派手な技がまた見れるんだから」

クリリン「まぁ、そうだけどさ……アイツは、ヤムチャさんの敵なんだぜ……?」

亀仙人「ホッホッホ、まぁ楽しみ方は人それぞれじゃ」

ウーロン「よ~しっ! バルログ~っ! いけぇ~!」

234: 2015/10/28(水) 23:15:12 ID:QNrufo5Q
バルログ「いきますよ、ケンっ……!」ダダッ

ケン「……んっ!?」


実況「バルログが場外のケン目掛けて突っ込んできているっ! だから、私は言ったのにっ! 場外が危険だとあれだけ言ったのにっ!」

元「……やかましいっ!」


バルログ「……氏になさいっ!」ズザーッ


実況「ここで、バルログは……おっと、スライディングっ! 大きく滑り込むっ!」

元「あ~、なる程……腰に負担を掛けない技……それ、バルログ君だって、一つや二つぐらい持ってるねぇ」


バルログ「……ヒャオっ!」ガスッ

ケン「ぐ、ぐわっ……!」ガッシャーンッ


実況「サードロープ下を潜り抜けつつ……場外のケンに対して、スライディングキックを見舞っていきますっ! おぉ~っと、ケンの身体が吹っ飛び、そのまま鉄柵にぶつかったぁ! ここは読みが外れたかっ……!?」

元「どんな、熟練者だって読みを外す事ぐらいは……ある」

235: 2015/10/28(水) 23:19:35 ID:QNrufo5Q
ウーロン「おい……回転して飛ぶ……だったっけ……?」

クリリン「……うん」

ウーロン「回転してねぇぞっ! 飛んでねぇぞっ!」

18号「……やかましいね。さっきはしたんだよ」

ウーロン「なんだよ、なんだよ、期待してたのによぉっ!」

亀仙人「まぁ、スタミナ切れじゃろうな。ホッホッホ。ドンマイ、ドンマイ」

ウーロン「カァ~、なんだよ……しっかりしろよ、バルログ……疲れてるんじゃねぇよ……」

クリリン「……だから、どっち応援してるんだよ」

18号「アイツ、蹴った勢いのまま……場外に出たねぇ……今度は場外戦か……」

亀仙人「ホッホッホ。そうじゃな……場外戦が、狙いじゃったんだろうな……」

246: 2015/10/29(木) 22:00:35 ID:jrYNe/y2
バルログ「……場外戦ですっ!」スッ

ケン「あ~、いててて……ちくしょう……」


実況「おぉ~っと、バルログはここで場外へっ! サードロープ下を潜り抜けるスライディングキック打ち込みつつ、場外へと降りましたっ!」

元「う~ん……ここで場外戦か……」


バルログ「そこのお嬢さんっ! 椅子を私に下さいっ!」

女「……えっ?」

バルログ「いいから、早くっ……! ホラ、立って下さいっ!」

女「あっ……は、はいっ……!」スッ


実況「そしてバルログはそのままケンに近づいて……あっ、いや、違うっ! これは、狙いは客席ですねっ!? バルログは客席を物色しておりますっ!」

元「あ~、きたかぁ~」

247: 2015/10/29(木) 22:05:44 ID:jrYNe/y2
バルログ「ありがとうございますっ……! これを使わせて頂きますよっ……!」ガシッ

ダン「あっ……! あの野郎、椅子を持ちやがったっ……!」


実況「ここでバルログが椅子を手にしましたっ! その手にパイプ椅子を手にしますたっ!」

元「ダメージが溜まってて、一歩が出ない……って、場面はよくあったけど……! あ~、くそっ……凶器攻撃で手っ取り早く、流れを変えに来たね……」


ケン「や、やべぇ……椅子持ちやがった……ここは、リング内に逃げるか……」スッ

バルログ「遅いっ……! 打ち込みますよ、ヒャオっ……!」バッチーンッ

ケン「……ぐわあああぁぁ!」


実況「慌ててリング内に逃げようとするケンっ……! が、バルログはそれを許さないっ! ここでパイプ椅子攻撃っ! ケンの背中へと打ち込んでいったぁ!」

元「あ~っ! も~うっ!」

248: 2015/10/29(木) 22:18:45 ID:jrYNe/y2
ダン「あ~、打ち込みやがったか……どうする……!? 止めに行くかっ……!?」キョロキョロ

ブー! ブーブー!

ダン「い、いやっ……! ここは、場外カウントだっ……! とにかく、アイツらをリング内に戻さねぇと……1っ……!」


実況「追い詰められて、野獣の本性が出てきたのか、バルログっ!? 華麗なファイトスタイルとは打って変わって、凶器を使ったラフファイトっ! こいつは美しくはないっ!」

元「やっぱり、シャドルーなんだよ、バルログ君は……追い詰められたら、こういう事してくるんだよ」


バルログ「とりあえず……リング内へっ……!」ズザーッ

ダン「2っ……! う、うおっ……なんだなんだっ!? 椅子……!? あの野郎……リングに持ち込むんじゃねぇよっ!」


実況「おぉ~っと、そしてそして……バルログはケンの背中へと打ち込んだパイプ椅子を……リング内へと滑り込ませていったぁ!」

元「なんだなんだっ!? リング内でも使う気かっ!?」

249: 2015/10/29(木) 22:28:26 ID:jrYNe/y2
ダン「椅子片付けるか……場外カウントか……く、くそっ……! どっちだっ……!?」キョロキョロ

ザワ……ザワ……

ダン「くぅぅっ……! 後で片付ければいいっ……! 今は場外カウント続行っ……! 3っ……!」


バルログ「そこのお兄さんっ! あなたも、椅子を貸して下さいっ! ホラ、立ってっ!」

男「えっ……!? 俺も!?」

バルログ「早く立ちなさいっ……! 私、男には容赦しませんよ……ホラ、立ちなさいっ!」

男「わ、わかったよ……」スッ


実況「おっと、そして……!? リング内へとパイプ椅子を滑り込ませたバルログだが……すぐ様、客席から補充するっ! 二つ目のパイプ椅子を手にしたっ!」

元「そりゃ、あの辺は幾らでもパイプ椅子があるけど……おいおいおいおいっ……!」

250: 2015/10/29(木) 22:33:43 ID:jrYNe/y2
ケン「くそっ……逃げろ、逃げるんだ……」フラフラ

バルログ「逃がしませんっ……! ヒャオオォォッ……!」バッチーンッ

ケン「……ぐわあああぁぁっ!」


ブー! ブーブー!

実況「そして再び、そのパイプ椅子をケンの背中へと打ち込んでいくっ! 強烈な一撃ィ! おっと、ブーイングの声が大きくなってきたっ!」

元「ちょっと、場外にいるのはマズいよっ! 早くリング内に戻らないとっ!」


バルログ「この椅子も……リング内へ……!」ズザーッ


ザワ……ザワ……

実況「おっと、そしてバルログはそのパイプ椅子を……再びリング内へと滑り込ませるっ!」

元「おいおい……何個入れるんだ、何個……」

実況「現在、リング上には二つのパイプ椅子が存在しておりますっ! リング内へも凶器を持ち込んでいくバルログっ!」

251: 2015/10/29(木) 22:39:20 ID:jrYNe/y2
ダン「あ~っ! くそっ……! カウント続行っ……! 5っ……!」


元「レフェリーは……あの椅子、片付けないのかねぇ……!?」

実況「う~ん……どうやら、レフェリーは場外カウントを取っているようですっ! リング内の凶器の存在……非常に不気味なところですっ!」


ケン「く、くそっ……いてぇ……椅子打ち込みやがって……ちくしょうっ……!」

バルログ「……逃がしはしませんよっ!」ガシッ

ケン「……んあっ!?」


実況「バルログは背を向けているケンに近づいていき……そして背後から、首筋を掴んでいくっ!」


バルログ「椅子の次は……鉄柱ですっ……! それっ……! ガスッ

ケン「……ぐああぁぁっ!」


実況「おっと、そしてコーナーポストの鉄柱へとケンの身体を押して……顔面を打ち付けていくっ! 今度は鉄柱攻撃っ!」

元「あ~、凶器攻撃のオンパレードだよっ! もう、美しさの欠片もないね」

252: 2015/10/29(木) 22:48:20 ID:jrYNe/y2
ブー! ブーブー!

ケン「ううっ、痛ぇ……」

バルログ「まだまだ、逃がしませんよっ……! 次はこっちですっ……!」ググッ


実況「おっと、バルログはまだまだいくっ! 鉄柱に打ち付けつけたケンの首筋を離さず……身体を押しやって、運んでいくっ!」


バルログ「次は、エプロンサイドですっ! ヒャオっ!」ガスッ

ケン「……ぐええぇっ!」


実況「そしてそのままエプロンサイドへと……ケンの上半身を再び叩きつけていったぁ! マットとは違い、硬い硬いエプロンサイドにケンが打ち付けられるっ!」

元「う~ん……場外にいるのは、ちょっと危険だよ、コレっ!」

実況「しかし、元さんっ……! リング内にも、パイプ椅子がありますよっ!?」

元「ま、まぁ、そうだよねぇ……うんうん……」

253: 2015/10/29(木) 22:55:21 ID:jrYNe/y2
バルログ「そこのお兄さんっ! あなたも椅子を貸して下さいっ! ホラ、早くっ!」

男「俺は、空手軍団ファンだ……お断りだね……」

バルログ「じゃあ、隣のお姉さんっ……! あなたですっ! ホラ、立ちなさいっ!」

女「あっ、はい……!」スッ

男「お、おい……待てよ、冗談だよ……俺の椅子使ってくれよ……お、おい……」

バルログ「緊急事態にくだらない冗談を言うんじゃないっ……! だったら、あなたの椅子を彼女にプレゼントしなさいっ! それじゃあ、椅子借りますっ!」ガシッ


実況「おぉ~っと、そしてそして……ここでバルログは客席から、再びパイプ椅子を補充っ! またも、パイプ椅子を手にしたぞっ!」

元「ほらほら、だって……場外には殆ど無限にああやってパイプ椅子があるじゃない……だったら、リング上の方がまだマシだよっ!」

254: 2015/10/29(木) 23:00:16 ID:jrYNe/y2
バルログ「氏ねええぇぇ、ケンっ……! ヒャオっ……!」バッチーン

ケン「ぐわあああぁぁ……!」


ブー! ブーブー!

実況「三度ケンの背中へと打ち込んでいくっ! パイプ椅子攻撃っ! パイプ椅子攻撃っ! やはり、バルログもシャドルーっ! ラフファイトは止まらないっ!」

元「もう、逃げろ逃げろっ! リング内に逃げろっ! 場外は危険すぎるよっ!」


バルログ「この椅子も……リング内へ……!」ズザーッ

ダン「8っ……! お、おいっ……! あの野郎、いくつ椅子を持ち込む気だ……こりゃ、いくらなんでも多すぎだよっ……!」

ケン「く、くそっ……場外は危険すぎる……ここは、リング内に逃げよう……」ゴロンッ


実況「おっと、バルログはその椅子もリング内に滑り込ませていくっ! リング内のパイプ椅子がどんどんと増えていくっ! 増えていくっ!」

元「おっ、ケン君、リング内に逃げたよっ!? それでいい、それでいい……ここは一旦、逃げようっ!」

実況「場外は危険すぎるっ……! ここはケン……サードロープ下を潜り、リング内へと逃げていくっ!」

255: 2015/10/29(木) 23:05:15 ID:jrYNe/y2
ウーロン「……おいおい、なんだよ。どんどん、凶器が増えていくぜ?」

クリリン「……なぁ?」

18号「フン……蓋を開けりゃ、アイツもただの小悪党だったってワケか……」

亀仙人「まぁ、そもそもアイツは悪い奴じゃからな」

ウーロン「やっぱり、アイツの応援はダメだな。俺、やっぱりあの金髪応援するよ」

クリリン「……最初から、そうしておけよ」

ウーロン「バルログの馬鹿……お、おいっ……! アイツ、何やってるんだ!? 見ろよ」

クリリン「……んっ?」

256: 2015/10/29(木) 23:10:26 ID:jrYNe/y2
ケン「ううっ……くそっ……痛ぇ……」

ダン「と、とりあえずケンは戻って来た事だし……パイプ椅子片付けるか……」ササッ


実況「さぁ、リング内へと戻ったっ! エスケープっ! そして、ここでレフェリー場外カウントを一度中断し……リング内のパイプ椅子を処分しようという事でしょうかねぇ!?」

元「そうそうそうっ! それでいい、それでいいっ! リングに凶器があったら、二の舞だからねっ!」

実況「あ~っ! あ~っ! 元さん、元さん……見て下さいっ……! バルログの姿をっ……!」

元「……んっ?」


バルログ「リングに凶器が増えれば……レフェリーも片付けざるを得ないでしょう……注意はそちらにいきましたね……今がチャンスです……」ササッ


実況「バルログが……エプロン下に身体を潜り込ませて……何やら、探っておりますっ! 探っておりますよっ!?」

元「……おぉいっ!」

257: 2015/10/29(木) 23:15:31 ID:jrYNe/y2
バルログ「先程は、位置を間違えました……本命はこちらの位置でしたね……」ゴソゴソ


実況「リング下には、パイプ椅子や木製テーブルなどの、備品が収納されているのですが……バルログはこの試合、そこからチェーンという、前もって準備してたであろう、凶器を取り出しましたっ!」

元「……って事はこっちにも何か準備されてるのかね!?」

実況「おそらく、その可能性は非常に高いと思われますっ! さぁ、なんだっ!? バルログ、今度は何を出すっ!?」


バルログ「ありましたっ……! これですよ、これこれっ!」スーッ


実況「さぁ、リング下に潜り込んでいたバルログが顔を出すっ! さぁ、手にしている物は何だっ!? 一体、何だっ!?」

元「んんっ…… ? 何だ、あれっ!?」

258: 2015/10/29(木) 23:23:34 ID:jrYNe/y2
実況「バルログが取り出したのは……鉤爪……でしょうかねぇ? 三本の鋭い刃がついた、鉤爪っ! しかし、その刃がまた長いっ! コイツは特注品でしょうかっ!?」

元「あ~んな、特殊な形状の鉤爪が偶然あるワケないよねぇ……絶対、前もって用意してたんだよっ!」


バルログ「フフ……スイッチングクロー……」スチャッ


ザワ……ザワ……

実況「さぁ、そしてバルログはその鉤爪を……手にはめ込み……装備しましたっ! ジャストフィットっ! 特注品か、コレはっ!?」

元「装備出来るようになってるんだねぇ……何だありゃ!?」


バルログ「さぁ、いきますよ……ケンっ……!」スッ


実況「バルログは左手に、その鉤爪をはめ込んで……おぉ~っと、そのままリング内に戻っていったぁ! ケンを狙いにいくっ!」

元「おいおいおいっ……! レフェリーっ……! レフェリー、止めろぉっ!」

259: 2015/10/29(木) 23:27:59 ID:jrYNe/y2
バルログ「これを、装備する事によって、私の戦闘力は2倍っ……!」スリスリ

ダン「あ~、ちくしょうっ……椅子が多いよっ……! 早く片付けねぇと……!」

バルログ「更に、私の跳躍力を加えれば……それの更に2倍っ……!」

実況「ダメですっ! 元さんっ! レフェリーは椅子を片付けていますっ! バルログには気づいていないっ! おっと、バルログはそんなレフェリーを尻目に、悠々と鉤爪に頬擦りしながら、ケンに狙いを定めているっ!」

バルログ「そして、いつもの三倍の回転を加えれば、それの更に3倍っ……!」

元「あ~、ちくしょうっ! リング内に凶器ばら撒いてたのも、そっちに注意を向ける為かっ!」

バルログ「ケン……今の私の戦闘力はあなたを上回る……」

ケン「うっ、ううっ……」ムクッ

バルログ「530000ですっ!」

261: 2015/10/29(木) 23:31:49 ID:jrYNe/y2
バルログ「ヒャオっ……! いきますよ……ケンっ……!」ゴロンッ


ケーン! ニゲロー!

実況「バルログは鉤爪に頬擦りしながら、ケンの起き上がりに狙いを定めて……おっと、その起き上がりに合わせて、前転しつつ距離を詰めていくっ!」

元「おいおいおいおいっ……!」


ケン「くっ、もう来てやがるか……んっ……?」

バルログ「……ヒョオオオォォッ!」シュタッ

ケン「んっ……? 何だ……あの手につけてるの……」

バルログ「ローリングクリスタルフラッシュだっ! 氏ねええぇぇっ!」ドスッ

ケン「……ガッ!」


実況「そして、前転で勢いをつけ、ジャンプして飛び込みつつ……ケンの喉元へと装着した鉤爪を地獄突きのように突き刺していったぁ!」

262: 2015/10/29(木) 23:34:52 ID:jrYNe/y2
バルログ「フフフ、決まりました……」

ケン「ガ、ガガガ……カハっ……」ブルブル


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「ケンが喉を抑えているっ! 抑えて苦しんでいるっ! そして場内からは大・大・大・大・大ブーイングゥゥゥゥっ! ケン、大丈夫かっ!?」

元「鉤爪ってのは、突き刺す物じゃなくて、引っ掻く物なんだけどさ……? やっぱり、あれだけ硬そうな物で喉やられたら……そりゃ、ねぇ……!」


ダン「あん……? 何だ、このブーイング……?」チラッ

バルログ「鉤爪を……レフェリーの氏角に……」スッ

ケン「ガ、ガガ……」ブルブル

ダン「ど、どういう事だ……? 喉抑えてるって事は……地獄突きでもしたのか……?」


実況「尋常ではないブーイングの量に、レフェリーもここでようやく気づいたようですが……あっ、おっとバルログ……左手をレフェリーの氏角に……自らの身体で隠しますっ!」

元「まさか、手にあんな物がついてるだなんて、ちょっと想像つかないよねぇ」

263: 2015/10/29(木) 23:37:45 ID:jrYNe/y2
ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

ダン「お、おい……どうなってんだ……おい、バルログ……?」


実況「しかし、只ならぬブーイングの量に……これはレフェリーも何かを感じているのかっ!?」

元「ここは、ボディチェックをしようっ! ボディチェックをっ! あんな凶器はダメですっ!」


バルログ「なんでも、ありませんよっ……! 醜い空手軍団のファンが、彼のピンチに私にブーイングをしているのでしょうっ! それより、あなたはその椅子を片付けておきなさいっ!」ヒョイッ

ダン「こりゃ、お前が持ち込んだ椅子だろうがっ!」


実況「あっと、しかしここはバルログ……バックステップっ! レフェリーボディチェックをさせないっ! させませんっ!」

元「あ~、ちくしょうっ……! 左手だよっ! 左手っ!」

264: 2015/10/29(木) 23:41:22 ID:jrYNe/y2
ケン「ガ、ガガ……ガ……」ブルブル

バルログ「動きの止まってる今がチャンスですっ……! ヒャオっ……!」ダダッ

ダン「お、おいっ……! バルログっ……!」


実況「さぁ、バレたら一発退場もあり得るこの場面……バルログはボディチェックをさせずに、そのまま即座にケンに突っ込んでいくっ!」

元「あ~っ! ちくしょうっ!」


バルログ「それ、ケンっ……支えなさいっ……!」クルンッ

ケン「ガ、ガガっ……」

バルログ「……ヒャオッ!」ガシッ


実況「バルログはそのまま、ケンの目の前でゆったりとした前方宙返りを見せつつ……その肩口に足を引っ掛け昇っていくっ! ケンの肩に飛び乗っていったぁ!」

265: 2015/10/29(木) 23:45:33 ID:jrYNe/y2
バルログ「……ヒャオっ!」クルンッ

ケン「ガ、ガガ……」


実況「おっと、バルログは身体をクルッと回して……ケンの後方に回るっ! 回っていくっ! ケンの上に肩車の形でバルログが乗っているっ!」


バルログ「フハハハ……それでは、いきますよ……ヒャオッ……!」ガスッ

ケン「……ガッ!」


実況「そして、そこから腕をLの字に折りながら、エルボーバットっ! ケンの頭部へと打ち込んでいくっ!」

元「……あ~、ちくしょうっ!」


バルログ「フハハハ……連続ですっ……! ヒャオっ……! ヒャオっ……!」ガスガス

ケン「ガッ……ガガっ……!」


実況「おぉ~っと、連続だっ! 連続だっ! 右・左とバルログはケンの頭上から連続で打ち込んでいくっ!」

266: 2015/10/29(木) 23:48:17 ID:jrYNe/y2
バルログ「氏になさいっ……! 氏になさいっ……! ヒャオっ、ヒャオっ、ヒャオっ!」ガスガス

ケン「ガ、ガガ……」


ケーン ! ガンバレー!

実況「バルログの頭上からのエルボーの連打、連打っ! これは、苦しいっ……! おっと、おっと、ケンの身体が……徐々に沈んでいくっ!」

元「あ~、くそっ……流れが変わっちゃったかな……?」


バルログ「フフ、随分と弱ってきましたねぇ……それでは、これで止めにしましょうっ!」スルッ


実況「おっと、ここでバルログが……ケンの背後へと、降りますっ!」

267: 2015/10/29(木) 23:51:54 ID:jrYNe/y2
バルログ「……さぁ、いきましょう。私の新技ですっ!」ガシッ


実況「いやっ、違うっ……! バルログは腰の上だっ! 腰の上っ! 肩の上から、腰の上に乗ったっ!」

元「……ケン君が、ちょっと前屈みの体勢になってたからね。ポジショニング移してきたよ」

実況「後ろから、脇を通し、自身の足をケンの内腿にロックして……おっと、バランスを保ったっ!」


バルログ「さぁ、いきましょう……バルログ・スペシャル……略して……」ガシッ


実況「更にバルログは、ケンの両腕を捉えるっ! 腰の上から、ケンの腕を掴み……後方へと引き伸ばしていくっ!」

元「おおっ……!? なんだ、この技はっ……!?」


バルログ「パロ・スペシャルですっ……! ヒョオオオォォッっ!」ググッ

ケン「……ぐ、ぐわあああぁぁ!」

268: 2015/10/29(木) 23:55:00 ID:jrYNe/y2
今日はここまで それと余談

「パロ・スペシャル」は(このお話では)バルログ・スペシャルの略ですが
バルログ・バナナ・バカの『バ』ではなく
パンダ・パイナップル・パンティの『パ』です。『パ』ロ・スペシャルです
これは、そのうち話します

284: 2015/10/30(金) 22:00:14 ID:iuwGjopw
ウーロン「おいっ! 卑怯だぞっ! 凶器なんて使ってんじゃねぇよっ!」

クリリン「ブーブー!」

ウーロン「ちょっとでも、お前を応援してやった俺の気持ちを考えやがれ~! ブーブー!」

18号「ハハハ、またやかましくなってきたよ」

亀仙人「まぁ、あれだけの事をしたんじゃ……ブーイングされるのは、仕方ないじゃろ……あやつだって、わかっておるわい……」

18号「……それは、わかるんだけどさぁ?」

亀仙人「……なんじゃ?」

ウーロン「ブーブー!」

クリリン「ブーブー!」

18号「隣でこんな風にされてちゃ……恥ずかしくないかい……?」

亀仙人「そうか……? 皆、こんな感じじゃぞ?」

285: 2015/10/30(金) 22:10:22 ID:iuwGjopw
実況「さぁ、バルログが見た事もない技を繰り出してきましたっ!」

元「そうだね……新技かな!? これも……準備してきたのかな!?」

実況「背後からケンの両腕を引き伸ばし、後方へと引き伸ばしていっておりますが……元さん、これは肩口辺りを決めていく技と見てもよろしいのでしょうか?」

元「そうですね。こりゃ肩ですね……んっ……?」


バルログ「さぁ、ケンっ……! 情けなく、ギブアップの根をあげなさいっ……! さぁっ……! さぁっ……!」ググッ

ケン「ぐ、ぐぐっ……しねぇよ……ぐぐっ……くそっ……!」


実況「ちょっと待って下さいよ、元さんっ……!? 肩と言う事は……先程、バルログが痛めつけていましたよねぇ!?」

元「……ありゃ、時間稼ぎじゃなかったんだねぇ。この為の布石だったんだよ、きっと」

実況「元さんっ……! 私は貴方が、アレはただの時間稼ぎだと言ったからこそ、安心して、試合を実況……」

元「……うるさぁいっ! 試合を実況しろっ!」

286: 2015/10/30(金) 22:15:56 ID:iuwGjopw
バルログ「ヒョオオオォォッ……!」ググッ

ケン「ぐっ、ぐぐっ……!」


ケーン! ケーン!

実況「さぁ、今日は元さんの読みが冴えませんっ! 外れていきますっ!」

元「やかましいっ……! こんな技、用意してきてるだなんて……僕だって、想像つかなかったんだよっ!」

実況「さぁ、バルログの新技……背後から腰の上に乗り、ケンの腕を引き伸ばし、更に更にその肩にダメージを蓄積させていくっ! 大丈夫かっ!? ケンっ……これは大丈夫なのかっ……!?」

元「とにかく、ね……ロープブレイクだ、ロープブレイク……ロープまで逃げよう……」


バルログ「フッ……この技は、脱出不可能……もがけばもがくほど、深みにはまりますよ……」ググッ

ケン「ぐっ……ぐぐっ……」

287: 2015/10/30(金) 22:22:05 ID:iuwGjopw
実況「しかし、元さん……!? これ、ロープブレイクしようにも……ケンは移動できますかねぇ……!?」

元「う~ん……バルログ君の体重も乗ってるし……それに、同時に足もフックされて封じられ気味だしね……難しいかな?」

実況「足を封じられていると言う事は……先程のように、カンガルーキックで脱出も不可能っ! ましてや、今度はバルログの位置が高いっ!」


ダン「ケンっ……! どうするっ……!? ギブかっ!? ギブアップかっ!?」

ケン「ぐっ……ぐぐっ……ノーだっ……! ノーっ……! ノーっ……!」

バルログ「意地を張っても……いい事はありませんっ……! それ、ヒャオっ……!」ググッ

ケン「……ぐわあああぁぁ!」

289: 2015/10/30(金) 22:29:20 ID:iuwGjopw
ケーン! ケーン!

実況「おぉ~っと、ケンはレフェリーの確認に首を横には振るが……悲痛な叫び声をあげるっ! 腕を捉えられ、足を封じられ、四肢を封じられ……更にバルログの体重がのし掛かるっ! これはどうやって脱出すればいいっ!? どうすればいいんだっ!?」

元「対処法がまだ出来上がってない関節技ってのは……ちょっと苦しいねぇ……う~ん、どうすりゃいいんだっ……!?」


ダン「と、とりあえず椅子だっ……! 椅子を片付けてつつ……確認を取るかっ……!」ズザーッ


実況「さぁ、ケンの悲痛な叫び声っ……! さぁ、レフェリーも……リング上にばら撒かれた椅子を場外に蹴り出しつつ……ケンの意識を確認するっ! ここでリング上が整備されていきますっ!」

元「椅子やってる場合かっ!? あの鉤爪なんとかしろ、あの鉤爪っ! 何時まで装備してんだっ!」

実況「おぉ~っと、元さんがお怒りですっ! しかし、そうです……バルログの左手には、まだ鉤爪が装着されていますっ! これも、また不気味な存在っ……! しかも、レフェリーはまだ気づいていないっ……!」

290: 2015/10/30(金) 22:38:17 ID:iuwGjopw
ケ・ン ! ケ・ン !

ダン「おいっ、ケンっ……! どうするっ……!? ギブアップか……!? ギブアップするのかっ……!?」

ケン「ぐぐっ……するワケ……ねぇだろっ……!」


実況「さぁ、ここで場内からはケンを後押しするような、ケンコールが湧くっ! だがしかし、四肢の封じられたこの状態……移動する事すら出来ないっ! どうすればいいっ!? どうすれば、いいんだっ!?」

元「もう、こうなりゃ力づくだっ! 力づくで外しちゃえっ! それしかないっ!」


ケン「こんな……ナルシスト野郎に負けて、たまるかよっ……! うおおおぉぉっ!」ググッ


オー! オーオー!

実況「おぉ~っとっ! ここで場内と我々の願いが通じたかっ!? ケンは背後に絞りあげられている両腕を……強引に前へ前へと、戻していこうとしているっ!」

元「そうだそうだっ! こんな物、頭考える事じゃないっ! 身体でなんとかしようっ! パワーじゃケン君の方が上なんだからっ!」

291: 2015/10/30(金) 22:47:21 ID:iuwGjopw
カエセー! ケーン!

バルログ「これが……火事場のクソ力と言うワケですか……」

ケン「うおおおぉぉっ……! 無理矢理、引き剥がしてやるっ……! うおおおぉぉっ……!」ググッ

バルログ「だがしかし、これは想定内です……パワーじゃ貴方の方が上ですからね……ならばっ……! ヒャオっ……!」シュタッ

ケン「……んっ?」


実況「さぁ、力尽くで解こうとしていくケンっ! あ~っと、しかししかし……ここでバルログは……足のロックを外し……そして、腰の上から背中の上辺りへと、飛び乗ったっ!」

元「……なんだっ!? これも、用意してたのかっ!?」


バルログ「ヒョオオオォォっ……! いきますよっ……!」ググッ

ケン「や、やばいっ……! このままじゃ、倒れるっ……!」


実況「前方に重心を移した事によって……ケンの身体が、おぉ~っと、おぉ~っと……そのまま前方へと倒れ込んでいくっ!」

元「おいおいおいおいっ……!」

292: 2015/10/30(金) 22:52:59 ID:iuwGjopw
バルログ「ここまで用意していたのですよっ……! パロ・スペシャル・ジ・エンドだあぁっ!」ズドーンッ

ケン「……うぐあああぁぁっ!」


実況「そして、ケンの身体が……前のめりに、顔面からっ……! 顔面からマットへと打ち付けられていったぁ!」

元「……おおっ、なんだなんだなんだぁ!?」

実況「リバース・ペディグリーとでも言えばいいのか……? 腕を完全にロックされた状態で……ケンの身体は顔面から、マットへと叩きつけられましたっ!」

元「おいおいおい……あれじゃあ、受け身取れないよ……」

実況「なんとか、返そうとしたケンでしたが……しかし、バルログ……それをも、封じる戦略を用意してきておりましたっ!」

元「今日は、凶器といい……ちくしょう、用意周到だね……」

293: 2015/10/30(金) 22:59:52 ID:iuwGjopw
ダン「お、おいっ……大丈夫かっ……!? 意識はあるかっ!?」

ケン「……」


実況「さぁ、完全に顔面からいったケンっ! 強く強く叩きつけられたっ! ピクリとも動かないっ! レフェリーも慌てて意識を確認しておりますっ!」

元「あ~、ちくしょうっ……! とりあえず、凶器をなんとかしろっ! あの腕につけてる鉤爪だよっ!」


バルログ「……さぁ、終わりにしましょう」スッ


実況「おぉ~っと、そしてここでバルログが立ち上がり……おっと、コーナーの方へと歩みを進めていくっ! レフェリーはバルログより、ケンの意識を確認しているっ!」

元「違うよっ……! 凶器っ……! あの凶器っ……!」

294: 2015/10/30(金) 23:05:29 ID:iuwGjopw
バルログ「さぁ、これでフィニッシュです……」スッ


実況「さぁ、そしてバルログがリングを背を向けつつ……そのままコーナーポスト上へと昇っていくっ! これは、狙っている……!? 狙っているのかっ!?」

元「立て立てケン君っ! 来るよ、来るよっ!」


バルログ「これは……もう、必要ありませんね……それっ……」ポイッ


ブー! ブーブー!

実況「おっと、コーナーポスト上に昇りきったバルログは……ここで装着していた鉤爪を外し……そして場外へと投げ捨てたぁっ! 証拠隠滅といったところかっ!?」

元「皆、見てたよっ! アレはっ!」

実況「しかし、肝心のレフェリーが……見ていませんでしたっ! ここがケンにとっての不運っ!」

295: 2015/10/30(金) 23:15:05 ID:iuwGjopw
バルログ「シャドルーに……栄光あれっ……!」


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「さぁ、そしてここでバルログがコーナーポスト上で、決めていくっ! 決めていくっ! しかし、これまでの反則行為からなのか……場内の支持は得られていないっ!」

元「そりゃそうだよっ! あんな凶器使ったんだからっ!」


バルログ「とどめですっ……! ヒョオオオォォッ……!」フワッ


実況「そしてここでバルログが飛んだぁっ! リング内でダウンしているケンに向かって……後方宙返りしながら……弧を描いて向かっていくっ!」

元「……あ~、くそっ!」

296: 2015/10/30(金) 23:21:09 ID:iuwGjopw
バルログ「……ヒャオォォっ!」ズドーンッ

ケン「……ぐわあああぁぁっ!」


実況「上体から、真っ逆さまに落ちていく独特のフォームで……うつ伏せに倒れていくケンの背中上へと落ちていったぁ!」

元「……くあ~っ!」

実況「ケンの背骨の軋む音が聞こえるっ! ここはフライングバルセロナアタックっ! フライングバルセロナアタックだっ! これは、バルログも決めにきたかっ!?」


バルログ「終わりですっ! よっと……」

ケン「……ううっ」ゴロン

バルログ「さぁ、レフェリーっ……! フォールをっ……! コイツを楽にさせてあげて下さいっ!」

ダン「お、おうっ……!」


実況「そして、バルログはケンの身体を反転させて仰向けにっ! そして、その上に覆い被さるっ! ここでフォールに入ったっ! フォールに入ったっ! さぁ、どうだっ!? 今、レフェリーがカウントを取りますっ!」

元「くあ~っ……返せっ! 返せっ!」

297: 2015/10/30(金) 23:28:10 ID:iuwGjopw
ダン「ワンっ……!」

ケーン! ケーン!

ダン「ツーっ……!」

ケーン! カエセー!

ダン「……スリイイィィっ!」

バルログ「フッ、私の勝ちです……」

ダン「スリーカウントだっ! スリーカウントっ! ゴングを鳴らせ、ゴングをよぉっ!」


カンカンカーン

実況「ここでカウントスリーっ……! カウントスリーっ……! なんと言う事だぁ! 決まってしまったぁ!」

元「うわぁ……くぅ~っ……!」

実況「バルログのフライングバルセロナアタック……フライングバルセロナアタックで試合は決着ゥ! ここでケンが沈んでしまったぁ!」

311: 2015/10/31(土) 21:59:47 ID:fIdUsxAo
ウーロン「返せっ……! 返せっ……! だぁ~っ!」

クリリン「……あ~、決まっちゃったかぁ」

ウーロン「あ~、ちっくしょうっ……! 卑怯なんだよっ! あんな凶器使うだなんて……聞いてねぇぞぉ!」

クリリン「まぁまぁ、でも最後のヤツは……ちゃんとした技だったじゃねぇか……」

ウーロン「最後はよくても、途中がダメだろっ! ちっくしょうっ~!」

亀仙人「ホッホッホ。負けちまったか……よく頑張った方なんではないか?」

18号「ヤムチャは勝ち……アイツは負け……これで、一勝一敗ってワケか……」

亀仙人「その通りじゃ」

18号「後、一戦あるんだよねぇ……? 次がラストか……なる程なる程……」

亀仙人「ホッホッホ。大将戦に縺れよったな」

312: 2015/10/31(土) 22:11:00 ID:fIdUsxAo
バルログ「フフ……フフフ……私の勝ちです……私の勝ちです……」ムクッ


アー、アーアー

実況「二戦目の勝者は……バルログっ……! バルログですっ……! このシャドルー三連戦の二戦目……これは、ケンが沈んでしまうという結果になってしまいましたっ!」

元「あ~っ! ちくしょうっ……!」

実況「この二戦目も制して……勢いをつけていきたかった空手軍団では、ありましたがっ……! しかし、そうはいかなかったかっ!? 二戦目を制したのはシャドルーっ! シャドルーっ……!」


バルログ「もっと、痛ぶってやりたい所ですが……その前にやる事があります……」ゴロンッ


実況「おっと、勝利したバルログは……起き上がり……おっと、そのまま場外へっ! サードロープ下を潜り、場外へっ!」

元「……退場するのかな?」

313: 2015/10/31(土) 22:18:14 ID:fIdUsxAo
バルログ「え~っと……確か、この辺りに投げたはずなんですが……アレ……? 何処行ったんでしょう……?」キョロキョロ


実況「んんっ……? バルログは場外で何やら辺りを見回して……何をしているんでしょう……?」

元「あっ、アレだっ……! 凶器だっ! あの鉤爪だよっ!」

実況「あぁ、なる程っ……! 確か、バルログはあの辺りに凶器を投げ捨てましたねぇ? ここは勝利の美酒よりも、真っ先に凶器の回収を優先させていくっ!」

元「本当……あんな物、何処で用意したんだろうねぇ……?」


バルログ「アレ……? おかしいですねぇ……? この辺りに投げたはずなのに……無くしましたかね……? あらら、特注品なのに……」キョロキョロ

男「……コレ?」ヒョイ

バルログ「あぁ、それですそれっ……! って、なんで貴方がそれを装備してるんですよ……」

314: 2015/10/31(土) 22:26:47 ID:fIdUsxAo
実況「あ~っと、バルログの用意した鉤爪は……どうやら、客席にいるファンの元まで転がって……拾われたようですね。ファンが手にしています」

元「よっしゃっ! 没収しろ、没収っ! あんな物、没収だっ!」


バルログ「素人がそんな物手にしちゃ、危ないですよ……申し訳ありません……それは、空手軍団にとどめを刺す為に使うのが、正しい使い方なのです……」

男「はいは~い」スチャ

バルログ「あっ、返していただけますかね……?」

男「持って帰りたいけど、これ特注品っぽいし返す事にするよ」サッ

バルログ「あ~、ありがとうございます! これで、次回の試合からも存分に使えますよ……」


実況「あっと、しかし……バルログがファンから回収しましたっ! 凶器の鉤爪を回収しましたっ! 再び、凶器はバルログの手の元へっ!」

元「あ~、あ~あ~……まぁ、仕方ないか……」

315: 2015/10/31(土) 22:36:45 ID:fIdUsxAo
バルログ「折角拾った物を返却していただいて、申し訳ありませんねぇ……あの~、後でね……」

男「……んっ?」

バルログ「サイン色紙と、シャドルーTシャツ持って来させるよう、係員脅しておきますよ……そのうち、来ますと思います……代わりにそれを受け取って下さい……」

男「おっ、やったっ!」


実況「一般の方が、あぁいった凶器を手にするという事は非常に危険でありますっ!」

元「……ただ、シャドルーのバルログ君が持ってるのも危険だけどね」

実況「まぁ、確かに……そうですっ……!」


バルログ「フフ……それでは、再びスイッチングクローっ……」スチャ


実況「さぁ 、そして場外で再び……バルログが特注品の鉤爪を……その左手に装備したぁ!」

317: 2015/10/31(土) 22:46:05 ID:fIdUsxAo
バルログ「フハハ……! これですよ、これこれ……! この凶器のおかげで……この試合、ケンに勝つ事が出来ましたっ……!」ググッ


ブー! ブーブー

実況「そしてバルログは……その鉤爪を装備した左腕を挙げ……おっと、場内へと見せびらかしていくっ!」

元「あ~、あ~」


バルログ「美しい者が使う凶器は……一味違うのですよ……ほらほら、見なさい見なさい……美しいでしょう……私も……そしてこの凶器もっ……!」ウロウロ


ブー! ブーブー!

実況「さぁ、左腕を挙げたまま……場外をうろつくバルログっ! バルログっ! あの凶器でケンの首を掻っ切ったと言わんばかりに、見せつけていくっ!」

元「酷いよねぇ、も~う……」

318: 2015/10/31(土) 22:53:25 ID:fIdUsxAo
バルログ「フハハ、フハハハハ! さぁ、次の標的は誰ですかねぇ……? シャドルーに逆らう者は全て……コレの、餌食ですっ!」


ブー! ブーブー!

実況「さぁ、そしてそのまま花道を退場していくっ! 退場していくっ! バルログが花道を戻り……退場していくっ!」

元「くそぉ、悔しいねぇ」


バルログ「フフ、ケン……」クルッ


実況「おっと……そしてバルログは、花道の中程で他止まり……そして振り返って、リングの方を再び振り向きますっ!」

元「帰れ帰れ、ちくしょう」

319: 2015/10/31(土) 22:58:24 ID:fIdUsxAo
バルログ「そうやって、倒れている貴方の姿が……一番素敵ですよ……フハハハハ……!」スリスリ


ブー! ブーブー!

実況「鉤爪に頬ずりをしつつ……リング上に倒れているケンを見つめ……仕留めたと言わんばかりに、邪悪に微笑むっ! 微笑んでいくっ!」

元「カァ~! 憎たらしいっ!」


ダン「ったく、お前らがアピールしたら荒れるんだから……早く帰れば……んっ……? なんだ、あの手につけてるヤツ……んんっ……? んんっ……?」ジーッ


実況「場内からのブーイングも一段と酷くなって来ますっ! あっと、そしてここで……元さん、レフェリーがバルログの手の凶器に気づいたんじゃないですかねぇ!? 怪訝な目で見つめていますよっ!?」

元「今更気づいたって遅いんだよっ! バカっ!」

321: 2015/10/31(土) 23:07:32 ID:fIdUsxAo
バルログ「ヤムチャは取り逃がしましたが……ケンは仕留めました……そして、次はリュウです……ハハハ、サガット……頼みますよっ……!」クルッ


ブー! ブーブー!

実況「さぁ、そしてバルログが満足気に……ブーイングの中、退場していったぁ!」

元「……ったく、最後の最後まで嫌味ったらしいヤツだ」

実況「まぁ、試合展開に……納得のいかない部分もあったかもしれません、が……繰り返しお伝えしましょうっ! この試合の勝者は……バルログっ……! バルログでございますっ!」

元「……はい」

実況「ケンは、バルログによって沈められてしまいましたっ……! ヤムチャが、勝利していい流れを持ってきてくれていただけに……この敗北は痛いっ……! 痛すぎる敗北ですっ!」

323: 2015/10/31(土) 23:16:00 ID:fIdUsxAo
元「まぁ……うん……バルログ君は、色々準備してきてたよ……」

実況「あの凶器ですねっ!? 全く……あんな特注品、何処で準備したのでしょうかっ!?」

元「いやいや、まぁまぁ……凶器もあるけどね……凶器も……だけど、ホラ……なんか、新しい技も持って来てたじゃない……?」

実況「あぁ~、ありましたねぇ……確かに……ケンの腰の上に乗り……四肢を封じるあの技ですね!?」

元「この一戦はね……うん……バルログ君が、制する為に下準備の段階から、勝つ為に策を色々と練ってきたんじゃないかな……って、僕は思うよ……」

実況「戦う前の駆け引き……まぁ、そういった物もありますからねっ!?」

元「……勿論、凶器は許されざる事です。はい」

実況「その通りでございますっ!」

324: 2015/10/31(土) 23:22:15 ID:fIdUsxAo
元「しかしだっ……!」

実況「はいっ……!」

元「ケン君は、負けてしまったけどね……うん……でも、ヤムチャ君は勝った……勝ったんだよ……」

実況「……はいっ!」

元「という事はだ……シャドルー三連戦……ここまでの結果は……互いに一勝一敗のイーブンってワケですよっ!」

実況「その通りでございますっ!」

元「三連戦って事は……勿論、残り一試合あるんだよねぇ?」

実況「勿論ですっ……! 勿論、ありますよ、元さんっ! 本日はもう一試合、この後に組まれておりますっ!」

元「……カードはっ!?」

実況「リュウ対サガットっ……! リュウ対サガットでございますっ!」

元「それが、メインイベントかぁ!?」

実況「はぁいっ! その通りでございますっ!」

325: 2015/10/31(土) 23:29:28 ID:fIdUsxAo
ケン「く、くそっ……!」ムクッ

ダン「お、おい……ケン……大丈夫か……? 無理に起き上がるんじゃねぇぞ……?」


元「互いに一勝一敗で来たこの流れ……やっぱり、白黒ハッキリ決着はつけたいよねぇっ!?」

実況「はい、そりゃ勿論っ!」

元「だったら、これはもう……リュウ君と……サガット君……この大将戦に全てを託そうじゃないかっ!?」

実況「空手軍団が勝つのか……それとも、シャドルーが勝つのか……を、ですねっ!?」

元「そうですよ。これこそメインイベントに相応しいじゃないの。ねぇ!?」

実況「はぁいっ! その通りでございますっ!」

326: 2015/10/31(土) 23:34:08 ID:fIdUsxAo
ケン「く、くそっ……折角、ヤムチャが勝ったってのに……俺のせいでイーブンに戻されちまった……」フラフラ

ダン「お、お~いっ……! む、無茶するなよ……」


実況「おっと、ここでケンが起き上がり……あ~っと、やはりかなりダメージを受けているっ……! フラついた足取りで、退場していくっ!」

元「大丈夫っ! 後はリュウ君に任せようっ!」

実況「ケンも検討したのですが……惜しくも、敗北っ……! しかし、まだ空手軍団にはリュウがいますっ!」

元「はいっ!」

実況「勿論、シャドルーにもサガットはいますっ……! だがしかし、ここでっ……! リュウがサガットを倒せば……問題なしっ!」

元「次の大将戦だねっ!」

実況「否が応にも期待が高まってきましたが! さぁ、次の一戦どうなるっ!? そして、ここで一旦CMですっ!」

元「はいっ!」

実況「CMの後は、いよいよメインイベントっ! リュウ対サガットっ! リュウ対サガットっ! 引き続き解説は、私達がお送りしますっ!」

338: 2015/11/02(月) 22:01:04 ID:9K0qDF1A
ーーー


プーアル「ケンさん、お疲れ様でした!」

ヤムチャ「お疲れ様です、ケンさん!」

ケン「お~う、お疲れお疲れ……いや~、疲れた疲れた……」

リュウ「おい、ケン……聞いてないぞ……?」ニヤニヤ

ケン「んっ……? 何が……?」

リュウ「何が、じゃないだろ……ヤムチャの試合とくっつけやがって……ちょっと、盛り上げすぎなんじゃないのか……?」

ケン「ハハハ! 大丈夫だよ、大丈夫っ! 俺の試合は入場がピークだったよ、入場がっ!」

リュウ「……ど~だか」ニヤニヤ

339: 2015/11/02(月) 22:09:55 ID:9K0qDF1A
ケン「下手にヤムチャにマイクをやらせるよりかは……もう、試合くっつけちまった方がいいんじゃねぇかって話になってな……こんな形になったんだよ」

リュウ「……ヤムチャのマイクはちょっと不安だからな」

ケン「と、言う事で……今回の件に関しての責任は全て、ヤムチャにあります……俺は、ヤムチャのフォローしてやっただけだな。ハハハ」

ヤムチャ「……えっ、俺のせいですか!?」

ケン「……お前のせいに決まってるだろが。マイク出来ねぇんだから」

ヤムチャ「いや~、まぁそうですけど……で、でも言い出したのはね……バイソンさんですっ! バイソンさんっ!」

ケン「バイソンのせいにするんじゃねぇよ。バイソンだって、お前がマイク出来ねぇから言い出したんだろが……」

ヤムチャ「それを言われちゃ……言い返せませんけど……う~ん、でも俺だけの責任ってワケでは……」

リュウ「……もういいもういい。わかったわかった」

340: 2015/11/02(月) 22:17:01 ID:9K0qDF1A
ケン「まぁ、お前の試合はここまで一勝一敗で持ってこれたんだから、小細工なしでも大丈夫だよ」

ヤムチャ「いや~、なんかケンさん申し訳ありませんねぇ……本当はこういう負けるのって、俺の役目のはずなのに……」

ケン「なぁ~に、構わねぇ構わねぇ……たまには、バルログ相手にだって負けておかなきゃな……連勝が続くってのも、しんどい物なんだよ……」

ヤムチャ「あっ、そうなんですか……」

ケン「……ザンギエフはそうだっただろ?」

ヤムチャ「あ~、はい……」

ケン「お膳立ては、もうとっくに整ってますよ……俺とヤムチャの二人でな……いんや、バルログとバイソンも入れて四人か……」

リュウ「……そうだな、うん」

ケン「よっしゃ、ラスト一戦っ……! 会場盛り上がってんぞっ! 気合入れて、行ってこいやっ!」

ヤムチャ「リュウさん、これでラストっすっ……! 決着つけてきて下さいっ!」

リュウ「よしっ! ラスト一戦か……ザンギエフじゃなく……俺だ、俺っ……! リュウが決めてやるぜっ!」

プーアル「リュウさん、そろそろ出番ですよっ! お願いしますっ!」

341: 2015/11/02(月) 22:31:22 ID:9K0qDF1A
ーーー


ダン「さぁ、それでは皆様っ……! 最終戦っ……! いよいよ、最終戦でございますっ!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、本日の最終戦ですっ……! 改めてここまでの流れをおさらいしておきましょうっ……!」

元「はい」

実況「空手軍団VSシャドルーのシングルマッチ三連戦……初戦は、ヤムチャが勝利し、バイソンが敗れました……」

元「はい」

実況「そして、次戦……こちらは、バルログが勝利し……ケンが敗れてしまいました……」

元「はい」

実況「ここまでの流れは、一勝一敗っ……! しかし、白黒はハッキリつけたいっ! ならば、この最終戦でハッキリ白黒つけて頂こうではありませんかっ!」

342: 2015/11/02(月) 22:37:12 ID:9K0qDF1A
ダン「それでは、最終戦ですっ……! リュウ対サガットっ! 時間無制限一本勝負を行いますっ!」


ワー! ワーワー!

実況「空手軍団が勝つのか、シャドルーが勝つのか……戦いは最終戦まで縺れ込みましたっ! いよいよ、最終戦ですっ! 最・終・戦っ!」

元「これで、ラストかぁ!」

実況「そしてっ……! この戦いは時間無制限一本勝負っ! ドローは存在しませんっ! 最後にリングに立っているのは……リュウかっ……!? それとも、サガットかっ!?」

元「さぁ、どっちだっ!?」

実況「この試合で決まりますっ! どちらが勝者になり、どちらが敗者になるのかっ! この一戦が全てを決まるゥ!」

343: 2015/11/02(月) 22:44:00 ID:9K0qDF1A
ダン「不断の探求者っ……! リュウ選手の入場ですっ……!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、いよいよっ……! いよいよっ……! いよいよ、リュウの登場だっ!」


リュウ「よしっ……! いくぞっ……!」


ワー! ワーワー! リュウー! ワー! ワーワー!

実況「さぁ、今花道の奥からリュウがその姿を現したぁ! 場内が熱気に包まれるっ! 泣いても笑っても……これが最終戦っ! 最終戦ですっ!」

元「いい表情してるんじゃないっ!?」

実況「だがっ……! やはり、終わるならばそこは泣いて終わるよりも、笑って終えた方がいいに決まっているっ! 敢えて、言いましょうっ……! リュウっ……! 勝てっ……! 勝ってくれっ……!」

344: 2015/11/02(月) 22:53:56 ID:9K0qDF1A
ウーロン「いよいよ、これでラストか……よぉ~しっ! いけ~、リュウ~!」

クリリン「応援するのは、こっちの人だな……よぉ~しっ! リュウ~! いけぇ~!」

亀仙人「……ふむ」

18号「んっ……? どうした……? 何、難しい顔しているんだい……?」

亀仙人「……」

18号「おい、どうしたんだい……? 聞いてるのかい……? それとも、具合でも悪いのかい……?」

亀仙人「黄色い声援……羨ましいのぉ……」シクシク

18号「……はぁ?」

345: 2015/11/02(月) 23:03:36 ID:9K0qDF1A
亀仙人「お洒落したワシがナンパしても……ギャル達には振り向かれんと言うのに……なんじゃこの声援は……なんじゃこの声援は……」シクシク

18号「……お洒落って言ったって、カツラ被ってるだけだけどね」

亀仙人「アイツはただ、登場しただけで……ピッチピチのギャル達の声援を浴びておる……ど~なっとるんじゃ……この世界はどうなっとるんじゃ……おかしいぞ……」

18号「……極めて正常な世界だよ。ジジイが相手されるワケないだろう」

亀仙人「……ワシ、傷ついた」

18号「……知らないよ」

亀仙人「……だ・か・ら」

18号「……んっ?」

亀仙人「ワシの傷ついた心を……お前が慰めておくれ~っ! そ~れ、胸に飛び込むぞぉ~いっ! ぱふぱふ……ぱふぱふじゃ~っ!」

18号「あっ……! 様子が変だと思ってたら……やっぱり、助平な事考えてやがったか……この野郎っ……!」

346: 2015/11/02(月) 23:11:39 ID:9K0qDF1A
ゴチンッ


亀仙人「あ、が……かかかっ……」ピクピク

18号「……おっ?」

クリリン「ちょっと目を離すと、すぐコレだ……試合を見ましょうよ……ねっ……?」

亀仙人「か、かかっ……こ、こいつ……師匠に手を挙げよったわ……な、なんという奴じゃ……信じられん……」

クリリン「……弟子の彼女に手を出すのは、師匠としてどうなんでしょう? 武天老師様」

亀仙人「く、くそっ……こいつが、試合に夢中になってる隙に……いいチャンスだと思ったのに……」

18号「……そうだよ。あんた、さっきから試合に熱中しすぎだよ。ちょっとはあたしの事も構ってよ」

クリリン「いや~、ハハハ……ゴメンゴメン……いや~、俺もこういうの久しぶりだから……ちょっとはしゃぎすぎてたよな……ゴメン、ゴメン……」

347: 2015/11/02(月) 23:19:45 ID:9K0qDF1A
リュウー! イケー!

リュウ「……あぁっ!」


実況「さぁ、空手軍団のナンバーワンっ……!」


リュウー! シャドルー、タオセー!

リュウ「……任せておけっ!」


実況「そして、次世代のエース、リュウっ……! いよいよ、最終戦……最終決戦ですっ……!」

元「えぇっ!」

実況「その舞台である、あの四角いリングに向かって歩みを進めていくっ! 最後に立っているのは……この男になるかっ! リュウっ!」

350: 2015/11/02(月) 23:26:40 ID:9K0qDF1A
リュウ「……さぁ、いくぜっ!」スッ


実況「さぁ、リュウがエプロンサイドに上がるっ……! 上がっていくっ!」

元「……いよいよだ」


リュウ「……」ササッ


実況「おっと、リュウはリングインせず……そのまま、エプロンサイドを歩き……コーナー付近へと移動していくっ! そして、ロープに足を掛けたっ!」

元「うんっ!」


リュウ「必ず……勝つぜっ……!」ググッ


ワー! ワーワー! リュウー! ワー! ワーワー!

実況「そのまま、コーナー付近のセカンドロープに足を掛け……そして腕を突き上げるっ! 突き上げていくっ! その腕で勝利を掴む事を、約束してくれっ!」

351: 2015/11/02(月) 23:31:00 ID:9K0qDF1A
リュウ「……よしっ」ストンッ


ワー! ワーワー!

実況「ドーラゴンリングインっ! さぁ、今リュウがコーナーポストから、ストンと降りて……リングに降り立ったっ! 降り立ったっ!」


リュウ「……」ササッ


リュウー! リュウー!

実況「さぁ、リュウは勢いそのままそのまま対角線コーナーの方まで、歩き……そして、コーナーポスト付近のセカンドロープに再び、足を掛けたっ!」


リュウ(ケンとヤムチャ……バルログとバイソンだけじゃなく……皆が、この一戦の為に盛り上げてくれたんだ……必ず、応えてみせるぜっ……!)ググッ


ワーワー! リュウー! ワーワー!

実況「そして、そこで再び右腕を突き上げるっ! さぁ、この男でラストだっ! そして始まりだっ! 新たな時代の扉を開けっ!リュウがリングに現れましたっ!」

364: 2015/11/03(火) 22:02:57 ID:TTBIw0K2
リュウ「……よし」ストン


実況「さぁ、リュウがコーナーから降り……そして、花道の奥深くを見つめますっ! 先に入場したリュウが……サガットがこの舞台に現れるのを待っているっ!」

元「さぁ~、次は……サガット君の入場だね……」


ダン「続きましては……不撓の帝王っ……! サガット選手の入場ですっ……!」


ザワ……ザワ……

実況「さぁ、続けてサガットの名がコールされましたっ! サガットの入場っ……! サガットの入場ですっ!」

365: 2015/11/03(火) 22:08:40 ID:TTBIw0K2
サガット「……フン」


ザワ……ザワ……

実況「さぁ、続けてサガットが花道の奥からその姿を現したっ! 場内がどよめくっ……! 場内がざわめくっ……!」

元「……うん」

実況「帝王、サガットっ……! その巨体が今、姿を現したぁ!」


サガット「……さぁ、行くか」


実況「無言で花道を進んでいくサガットっ……! リュウを倒す為……そして、このストリートプロレスの覇権を手にする為に……戦いの舞台である、リングに進んでいくゥ!」

366: 2015/11/03(火) 22:17:44 ID:TTBIw0K2
サガット「……リュウ」

リュウ「……サガット」


実況「さぁ、その視線にリュウの姿を捉えながら、無言でリングに向かって歩みを進めていくサガットっ……! そして、リュウも同じようにまた……入場してくるサガットの姿を見つめているっ……! いやっ、睨んでいるっ……!」

元「さぁ、いよいよだっ……!」

実況「両者……そして、場内の緊張感が我々にも、ビシバシと伝わってきますっ……! だが、もう後には引けないっ……! 決着がつくまで終わる事は許されない戦いが始まるっ!」


サガット「……フン」ササッ


実況「さぁ、そして……サガットが今、エプロンサイドへと昇ったっ!」

367: 2015/11/03(火) 22:26:32 ID:TTBIw0K2
サガット「……フンっ」ググッ


オー! オーオー!

実況「そして、サガットが今トップロープを跨いで……リングイーンっ! リングインですっ!」


サガット「……」

リュウ「さぁ、始めるぞ……サガット……」


実況「ここで、リングに役者が揃いましたっ! リュウっ……! そして、サガットっ……! 両者が今、相対するゥ!」

元「さぁさぁ、どうなるか」

368: 2015/11/03(火) 22:36:23 ID:TTBIw0K2
サガット「お前も……空手軍団も……」

リュウ「……」

サガット「今日、ここで終わるっ……! 引導を渡すのは、この俺だっ……!」スーッ


ブー! ブーブー!

実況「おぉ~っと、そしてここで……サガットはリュウに向かって……大きく大きくゆっくりと、首を掻っ切るポーズっ! 見せつけていくっ!」


リュウ「……サガット」

サガット「……」

リュウ「終わるのは……お前と……そして、シャドルーだっ……!」ググッ


オー! オーオー!

実況「おぉ~っとっ! しかし、ここは……リュウも構えていくっ! 試合前に威嚇をしてきたとサガットだったが……リュウは微動だにしないっ! そんな安い挑発など屁の屁の河童だぁ!」

元「まぁ、あぁいう事で動揺するようじゃ……トップなんてやれないでしょ」

369: 2015/11/03(火) 22:46:38 ID:TTBIw0K2
ーーー


プーアル「さぁ、これで最後ですねっ……! 僕達も、ここからリュウさんを応援しましょうっ……! 勿論、サガットさんもっ!」

ケン「……意外とサガットの奴のブーイング少なかったねぇ?」

ヤムチャ「これは……最終戦の緊張感みたいな感じですかね……?」

ケン「う~ん……そうなんじゃね……? まぁまぁ、特にブーイングされるような事、してないってのもあるけどね……」

ヤムチャ「あっ……でも、ホラ……今のアピールでブーイング来ましたよ……? ほらほら、ブーイング来てます来てます……アレは、アドリブで入れたんですかね……?」

ケン「う~ん、どうなんでしょ……?」

プーアル「あら……? ヤ、ヤムチャ様……?」

ヤムチャ「おう、どうした、プーアル……?」

370: 2015/11/03(火) 22:53:08 ID:TTBIw0K2
プーアル「な~んか、やけに今日は冷静ですね……? どうしたんですか、ヤムチャ様らしくありませんよ……?」

ヤムチャ「まぁ、それは……これも勉強だからね……うん……冷静に、人の試合を見る……そういった事も大事大事……」

ケン「……ハハ、わかってるじゃねぇか」

プーアル「……そ、そうですか。成長しましたね」

ヤムチャ「でもね……試合が進むに連れて……俺もテンション上がっちゃってね……この冷静さがなくなっちまうんだよ……不思議だねぇ……なんでだろうねぇ……」

ケン「……ハハハ! 自分の欠点もよくわかってんじゃねぇかっ!」

プーアル「……あっ、やっぱり、ヤムチャ様ですね」

ヤムチャ「冷静なのは、きっと今だけだよ……うんうん、今だけ今だけ……おい、俺がはしゃぎすぎてたら……プーアル、ちゃんと止めてくれよ……? お前、マネージャーなんだから……」

プーアル「……は~い」

ケン「根がお調子者なんだろうね、お前は……うんうん……」

372: 2015/11/03(火) 23:09:13 ID:TTBIw0K2
バイソン「おぉ~い、おぉ~いっ! こっちにいたのか……おいおいっ……!」

ケン「……んっ? もう一人のお調子者が来たな」

ヤムチャ「……俺、あそこまではお調子者では思いますよ、多分」

プーアル「あっ、バイソンさんっ! お疲れ様ですっ!」

バイソン「一人で見るのは、寂しいからさ……? 一緒に見ようぜ……? なっ……? バイソンちゃんを一人にしないでよ……」

ケン「気持ち悪い事言ってんじゃねぇよ、バカ……それに、バルログはどうしたんだ……?」

バイソン「バルログちゃん、今……売店行ってるの……もうすぐこっちくるんじゃね……?」

ケン「……なんで、売店?」

バイソン「なんか、ファンにグッズ渡すんだって……それで、係員に連絡して……どうのこうのって言ってた……」

ケン「……ふ~ん」

373: 2015/11/03(火) 23:18:09 ID:TTBIw0K2
バイソン「それで……バイソンちゃん、一人になっちゃったから……寂しくて、こっちに来たってワケですよ……」

ケン「……そうかそうか」

バイソン「今日はな……天下一武道会のチャンピオンまで来てるんだ……あっちは本物だ……しょっぺぇ試合は出来ねぇぞ……サガットちゃんに、リュウよぉ……」

ヤムチャ「……んっ?」

ケン「チャンピオン……? ベスト4じゃねぇのか……? なぁ、ヤムチャ……?」

ヤムチャ「……あっ、そうだっ! 忘れてたっ!」

ケン「……んっ?」

バイソン「それがよぉ……? 俺、場外歩き回ってる時、クリリンって奴、探して……色々客席見てたんだけどよぉ……? そしたら、そこに誰がいたと思うっ!? なんとなんとなんと、ジャッキー・チュンがいたんだよっ! ジャッキー・チュンっ!」

ケン「ジャッキー・チュンって……あの、天下一武道会の、チャンピオンの……?」

バイソン「そうそう、そのジャッキー・チュンだよ! そのジャッキー・チュンっ! 俺、握手して貰ったんだぜっ! 凄ぇだろっ!」

375: 2015/11/03(火) 23:24:05 ID:TTBIw0K2
プーアル「ジャッキー・チュンって……ねぇ……? ヤムチャ様……?」

ヤムチャ「そうそう、プーアル、プーアル……来てんだよ……今日、クリリンだけじゃねぇじゃねぇか……皆で来てるじゃねぇか、オイっ……! 俺も、びっくりしたんだぞっ!」

ケン「……んっ?」

バイソン「……んっ?」

ヤムチャ「18号もいたぞっ……! ウーロンもいたぞっ……! 何で、教えてくれなかったんだっ! 俺、ビックリしたんだからなっ!」

プーアル「いやぁ、僕は電話でクリリンさんが今日来られる……としか聞いてませんでしたから……」

ヤムチャ「ちゃんと、聞いておいてくれよっ! クリリンだけだと思ってたのに……まさか、いるとは思わないよっ! そこ、ちゃんと聞いておいてくれよっ!」

プーアル「そもそもヤムチャ様が、酔っ払ってダウンしてたのが、責任でしょうがっ! なんでもかんでも、僕のせいにしないで下さいよっ!」

378: 2015/11/03(火) 23:30:46 ID:TTBIw0K2
ケン「おい、ヤムチャ……? 揉めてる所、悪ィけどよぉ……?」

バイソン「ひょっとして……ジャッキー・チュンも……ヤムチャ君の知り合いなのか……?」

ヤムチャ「えぇ、まぁ……ハイ……」

バイソン「おいおいおいっ……! そっかそっか、ヤムチャ君の知り合いか……あ~、だから天下一武道会のチャンピオンが来てるんだな……おいおい、ちょっと紹介してくれよ?」

ヤムチャ「え~っ? 今日、戦ったバイソンさんの事……俺が紹介するんですかねぇ……? それ、ちょっとマズくないですかねぇ……?」

バイソン「う~ん、マズいって言えばマズいかもしんねぇなぁ……そこを上手く、ヤムチャ君の力で……」

ケン「こいつに、そんな器用な事出来るわけねぇだろ……無理だよ……握手して貰ったんだったら、それでいいだろ……お前、ちょっとミーハーだぞ……?」

バイソン「いや~、生で見たらそうなるって……」

ケン「でもよぉ、ヤムチャ……? お前の知り合いの……天下一武道会のチャンピオンが、わざわざ見に来てくれてるんだ……お前も、挨拶ぐらいはしておいた方がいいんじゃねぇか?」

ヤムチャ「……あ~、そりゃ確かに」

380: 2015/11/03(火) 23:37:46 ID:TTBIw0K2
ヤムチャ「でも俺が、今から会場行くのは……マズいですよねぇ……?」

ケン「あぁ、またセコンド介入と思われちまうからな」

バイソン「そういう時は人を使え、人を……だから、バルログちゃんは、係員に頼み込みに行ったんだよ……」

ヤムチャ「え~っと、じゃあ……プーアル……」

プーアル「あっ、はいっ!」

ヤムチャ「皆ね……あの辺にいるんだよ……あの辺に……最後に俺が場外で椅子でぶっ叩かれた所って言えば、わかるかな……? あの辺にいるから、ちょっと今日終わったら、話がしたいって言ってきて貰えるかな……?」

プーアル「あ~、わかりましたっ! それじゃあ、試合終わったらすぐに僕が行ってきますね!」

ケン「ヤムチャが、椅子でぶっ叩かれた所……あの辺か……何処だ、何処だ……」マジマジ

バイソン「おめぇも結構、ミーハーじゃねぇかよ、おい……え~っとな、青い髪だ青い髪……青い髪だから、すぐわかるんじゃねぇか……?」

ヤムチャ「あ~っ……! ちょっと二人共……もういいじゃないですか……武天老師様の事は……! あ~っ、ホラっ! 試合始まったっ! 見ましょうよっ!」

381: 2015/11/03(火) 23:52:57 ID:TTBIw0K2
ーーー


ウーロン「よ~しっ……! 組み合ったっ! いけっ! いけっ!」

亀仙人「最終戦、スタートじゃっ!」


リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !

18号「お~、お~……ただ組み合っただけなのに……凄いねぇ……?」キョロキョロ

クリリン「そりゃ、これが最終戦なんだから……盛り上がっていかなきゃっ! ホラ、お前も言えよ……」

18号「いいよいいよ……アタシは……いいよ……」

クリリン「恥ずかしがってちゃ、楽しめねぇぞ……? 声出すのが、嫌なら……ホラ、手拍子ぐらいだったら、大丈夫だろ……ほら……」パンパン

18号「……う~ん、まぁ手拍子ぐらいなら、ね」パンパン

クリリン「そうそう、それでいいっ! それでいいだんだよっ!」パンパン


実況「さぁさぁ、いよいよ始まった最終戦っ! 最終戦っ……! 互いが様子を伺い、そしてここでリング中央で組み合ったっ! 先ずは、ロックアップから入りますっ!」

382: 2015/11/03(火) 23:55:02 ID:TTBIw0K2
今日はここまで

395: 2015/11/04(水) 22:00:30 ID:kU6Hv2Dc
数十分後ーー


リュウ「くっ……ううっ……」

サガット「うおおっ……くそっ……」


ワー! ワーワー!

実況「ダブルノックダウンっ! ダーブルノックダウンっ! ここで、リュウとサガット……共に立てないっ!」

元「う~んっ……! 相打ちかぁっ……!」

実況「昇龍拳とタイガーアッパーカットは相打ちィ! 両者ダウンっ! しかし、ここで今までの疲労が一気にきてしまったかっ!? 両者、ダウンしたまま起き上がる事が出来ませんっ……!」


リュウー! リュウー!

リュウ「う、ううっ……」

サガット「く、くおおっ……」


実況「場内からは、リュウの後押しをするような声援が飛んでいるゥ! ここはリュウ……この声援に応えたいっ……!」

元「辛い状況だけどねぇ……ここは、立ちたいよねっ!」

396: 2015/11/04(水) 22:10:17 ID:kU6Hv2Dc
ダン「あぁ、こりゃ二人共限界かっ……!? 仕方ねぇ、10カウントノックダウンのカウント取るかっ……! 1っ……!」


ザワ……ザワ……

実況「あ~っと、あっとっ……! しかし、ここでレフェリーが……10カウントノックダウンのカウントを取り始めましたかねぇ!? ダウンしているリュウとサガット……その両者の間で、レフェリーは大きく指を立てますっ!」

元「……とりあえず、寝てちゃだめだよっ! 立とうっ!」


ダン「2っ……!」


実況「10カウント以内に起きて……そして、決着をつけたいっ……! さぁ、立てっ! 立ってくれっ! リュウっ……!」

元「う~んっ……! キツいけどねぇ……うん……立て立てっ……!」

397: 2015/11/04(水) 22:19:46 ID:kU6Hv2Dc
ーーー


ヤムチャ「うおぉ……何だか……なぁ……?」

プーアル「……まさに、氏闘って感じですねぇ」

ケン「よしよし、いいぞいいぞ……リュウ……上手くバトンは受け取ってくれたみたいだな……盛り上がってる……盛り上がってるぞ、いいぞいいぞ……」

バルログ「サガットも、ねっ……!」

バイソン「いけいけいけいけ……メインなんだメインなんだ……ド派手にいっちまえっ……!」

ヤムチャ「ケンさん……このカウントは、10カウントノックダウンで、いいんですか……? 10以内ですよね……?」

ケン「そうだよ。10だよ」

398: 2015/11/04(水) 22:26:48 ID:kU6Hv2Dc
ヤムチャ「フォールが3カウント……場外は20カウント……それで、ノックダウンは10カウントか……カウントにも色々あるんだなぁ……」

バルログ「……なんか、それ今更って感じですね?」

ヤムチャ「いや~、今までの試合では10カウントノックダウンは……俺、経験ありませんでしたからね。場外はよくあるんですけど……」

バイソン「そういや、教えてなかったかな……? まぁ、これからの試合で、10カウントノックダウンも有効に使っていけばいいさ……」

ヤムチャ「10カウントノックダウンを有効に使え、か……技より難しいですね、それって」

ケン「……こういう終盤で、お互いがボロボロになった時とかに使うんだよ」

ヤムチャ「なる程なる程……おっ、リュウさん……立つのかなっ……!?」

399: 2015/11/04(水) 22:37:15 ID:kU6Hv2Dc
リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !

ダン「6っ……!」


実況「さぁっ! 場内もリュウを後押しするっ! ここは応えたいっ……! 応えたいぞっ! リュウっ! カウントは6を回ったぁ!」

元「立て立てっ……! 痛み分けなんかで終われないよっ! 今日は決着をつけようっ! 今、ここで決着をつけるんだっ……!」


リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !

リュウ「……おおぉぉっ!」ググッ


ワー! ワーワー!

実況「おぉ~っとっ! そして、ここでっ……! リュウが、動いた、動いたっ! 残された力を振り絞って……立ち上がってきたっ!」

元「よぉ~しっ! よしよしっ……! いいよいいよっ!」

401: 2015/11/04(水) 22:45:23 ID:kU6Hv2Dc
ワー! ワーワー! リュウー! ワーワー!

リュウ「よしっ……お、おっとっ……!」ツルッ


実況「あ~っとととっ! しかし、やはりダメージが大きいのかっ!? リュウはスリップっ! おっと、少し足を滑らしましたっ!」

元「あっとっ……! やっぱり、足にもきてるねぇ」


ダン「7っ……!」

リュウ「お、おっとっ……! 危ないっ……!」ガシッ


実況「しかし、慌ててロープを掴んで体勢を整えますっ! あ~っと、危ない危ないっ……!」

元「よ~し、よしよしっ……!」

実況「さぁ、リュウは立ち上がったっ……! そしてここでサガットが立ち上がらなければっ……! リュウの勝利ですっ……! リュウの勝利ですっ!」

402: 2015/11/04(水) 22:52:11 ID:kU6Hv2Dc
ダン「8っ……!」

サガット「う、ううっ……うおおっ……!」ググッ


ザワ……ザワ……

実況「あ~っとっ! しかし、そうは問屋が卸さないかっ!? ここでサガットも動くっ……! 残された力を振り絞ってきたかっ!?」

元「あ~っ! まぁ、サガット君にも意地はあるだろうからねぇっ……!」


ダン「9っ……!」

サガット「う、うおおぉぉっ……!」ググッ


実況「そしてここでサガットも立ち上がってくるっ! カウントは9っ……! ギリギリの所で起き上がってきたぁ!」

元「お互いに残された体力は少ないねっ……! 次の一手だっ! 次の一手で決まるよっ!」

403: 2015/11/04(水) 22:58:23 ID:kU6Hv2Dc
リュウー! イケー! セメロー!

リュウ「あぁっ……! いくぜっ……!」ズガズガ


実況「両者の身体は限界寸前っ……! しかし、両者は立ち上がるっ……! これぞ、プロレスっ! This is prowresling! さぁ、ここからが踏ん張りどころだっ!」

元「いけいけぇっ!」

実況「さぁ、リュウがサガットへと向かっていくゥ! 10カウントノックダウンなどという結果ではなく……3カウント決着が望みかっ!?」


リュウ「……止めにしてやるぜっ! だあぁっ!」ガスッ

サガット「……ぐっ!」


ワー! ワーワー!

実況「そして、サガットにエルボーバットっ! 残された力を振り絞って……リュウが仕掛けていったぁ!」

404: 2015/11/04(水) 23:05:32 ID:kU6Hv2Dc
サガット「くそっ……なら、こっちもだっ……! おおぉっ……!」ガスッ

リュウ「……ぐっ!」ヨロッ


リュウー! イケー!

実況「あ~っと、しかしここはサガットも黙ってはいないかっ……!? ここはすかさずエルボーバットで反撃に出るっ! おっと、そしてリュウの身体がフラついたかっ!?」

元「あ~っととと……う~ん、打ち下ろし気味に打ってるからねぇ……」


サガット「おおぉっ……!」ガスッ

リュウ「……ぐっ!」

サガット「眠れぇっ……! リュウっ……!」ガスッ

リュウ「……ぐあっ!」


リュウー! リュウー!

実況「サガットが打ち込む打ち込むっ! リュウの顔面目掛けてエルボーバットを打ち込んでいくっ! こちらも、また必氏だっ!」

405: 2015/11/04(水) 23:16:24 ID:kU6Hv2Dc
リュウ「く、くっ……!」ヨロヨロ

サガット「おおおおぉぉっ……! 止めだああぁぁっ……!」ガシッ

リュウ「……うおっとっ!」


ザワ……ザワ……

実況「打ち込まれて少々、リュウの身体がフラついてきたかっ……!? あっとっ! そしてそしてっ……! ここで、サガットがリュウに覆い被さるようにして……その腰回りを掴むっ!」

元「……あぁっ!」


サガット「うおおおぉぉっ……! 止めにしてやるっ……! いくぞ、リュウっ……!」ググッ

リュウ「……くっ!」


実況「強引にリュウの身体を前屈みにして……パワーボムの体勢っ! パワーボムの体勢に持ち込んでいったぁ!」

元「あ~っ! サガット君も決めにきたねぇ……!」

406: 2015/11/04(水) 23:25:21 ID:kU6Hv2Dc
リュウー! リュウー!

実況「ここでサガットも仕留めにくるっ……! 狙いは、スプラッシュマウンテンだろうっ! スプラッシュマウンテンだろうっ! リュウをパワーボムの体勢に捉えっ……!」


サガット「……おおおおぉぉぉっ!」


リュウー! リュウー!

実況「雄叫びをあげるサガットっ……! あ~っと、場内からはリュウを身を案じるような、声が聞こえてくるっ!」


サガット「止めにしてやるっ……! リュウっ……! おおおおぉぉぉっ……!」ググッ

リュウ「ぐっ……! う、うおおおぉぉっ……!」


実況「そしてリュウの身体を……おぉ~っとっ! 頭上を越えて……背中まで持ち上げていったぁ! サガットがここで決めにきたぁ!」

414: 2015/11/05(木) 21:59:57 ID:FCnphUTQ
サガット「くたばれっ……リュウっ……!」

リュウ「そうはさせねぇっ……! サガットっ……!」ガシッ

サガット「……んあっ?」


実況「ここで悪の十字架が完成っ……! あっ……いやっ……!」

元「……おぉっ!?」

実況「サガットに抱え上げられたリュウは……背面にあるサガットの顔面を掴み……そして、肩口へと乗せたっ!」


リュウ「うおおぉぉっ……! 負けねぇっ……!」ズドーンッ

サガット「ガッ……! グッ……! ぐわあああぁぁ……!」


オー! オーオー!

実況「そして勢いそのまま……前方に大きく飛び込みつつ……捉えたサガットの首を自身の肩へと叩きつけていったぁ! ここはリュウが返したっ! リュウが返したっ!」

元「お~っ! よしよしよしっ! よくやったよくやったっ!」

415: 2015/11/05(木) 22:12:37 ID:FCnphUTQ
ワー! ワーワー! リュウー! ワー! ワーワー!

サガット「ぐ、ぐわあああぁぁっ……!」バターンッ

リュウ「よしっ……!」


実況「そしてサガットの身体がここで大きく背中からマットへと倒れ込むっ! リュウが返したっ! リュウの起氏回生の切り返しっ! ここはネックブリーカーの形で切り返していったぁ!」

元「いやぁ~、今のは喰らったら危なかったよ……よかったよかったっ……!」


サガット「あぁっ……く、くそっ……首を打ち付けられたか……くっ……」

リュウ「はぁっ……はぁっ……よしっ……!」ムクッ


ワー! ワーワー!

実況「首筋を抑えて苦しむサガットっ……! さぁっ、そしてそんなサガットを尻目に……リュウが再び立ち上がるっ!」

元「ここチャンスだよっ! 決めるなら、ここだよここっ!」

416: 2015/11/05(木) 22:22:09 ID:FCnphUTQ
リュウ「うおおあああぁぁっ!」ググッ


オー! オーオー! ワー! ワーワー!

実況「おぉ~っとっ! ここでリュウが叫んだっ! 吠えたっ! そして、その右腕を突き上げたぁっ!」

元「おっ……! いくかいくかっ……!?」

実況「ここで狙うかっ……!? ここでリュウも、サガットを仕留めにかかるのかっ!?」


リュウ(前回の試合も……確か真・昇龍拳で決着だったなぁ……だがっ……!)

サガット「う、ううっ……くそっ……俺は……俺は……」ググッ

リュウ(そんな事は関係ないっ……! 関係ないんだっ……! 自分の一番……自分のベストを今、ここでぶつけるんだっ……!)


リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !

実況「さぁっ! ふらりふらりと、起き上がってくるサガットっ……! だがしかし、そんなサガットに対して、リュウはもう構えているっ! 狙いを定めているっ!」

元「いけぇっ!」

417: 2015/11/05(木) 22:29:23 ID:FCnphUTQ
サガット「……負けんぞおおぉぉっ!」ガバッ

リュウ「終わりだああぁぁっ! だああぁぁっ!」ドスッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、ここでサガットが立ち上がりリュウの方を振り向くっ……! だが、そこにリュウがすかさず打ち込んでいくっ! 正拳突きィっ! ボディブローっ! サガットの腹部に打ち込み、その動きを止めるっ!」

元「よ~っしゃっ! いったあぁっ!」


サガット「ガッ……ガハっ……!」

リュウ「正真正銘、最後の一撃だっ……! はああぁぁっ!」ググッ


実況「動きの止まったサガットの前でリュウが拳を握りしめるっ……! そしてそしてそしてっ……!」


リュウ「真・昇龍拳っ……! だああぁぁっ……!」ズガアアァァッ

サガット「……が、があああぁぁっ!」バターンッ


ワー! ワーワー!

実況「そのまま顎へと打ち込んでいくっ! 真・昇龍拳っ……! 真・昇龍拳っ……! リュウの全てを振り絞った一撃ィ! 真・昇龍拳っ!」

418: 2015/11/05(木) 22:37:33 ID:FCnphUTQ
サガット「……ううっ、ああっ」


ワー! ワーワー!

実況「サガットは大の字っ! 大きく大きく大きくっ……! 大の字っ!」


リュウ(どうだっ……!? 満足はしてくれたのかっ……!?)フラフラ


リュウー! フォールダー! フォールニ、イケー!

元「フォールだぁ! フォールにいけぇっ!」

実況「おぉ~っと、しかしここは打ち込んだリュウも、大きくフラつくっ! やはり、もう体力は残っていないのかっ!?」

元「覆い被さるだけだっ! 後、ちょっとだっ!」


リュウ(満足は……してくれるみたいだなっ……! よしっ……!)ガバッ


ワー! ワーワー!

実況「いったぁ! リュウがいったぁっ! ここでサガットの身体に覆い被さるっ! フォールの体勢っ! フォールに入ったぁっ! そして、今レフェリーがカウントを取り始めますっ!」

元「いっただろうっ……! こりゃ、いっただろうっ……!」

419: 2015/11/05(木) 22:47:40 ID:FCnphUTQ
ダン「ワンっ……!」

ワー! ワーワー!

ダン「ツーっ……!」

ワー! ワーワー!

ダン「……スリイイィィっ!」

ワー! ワーワー! ワー! ワーワー!

ダン「スリーカウントだっ! スリーカウントっ! ゴングを鳴らせ、ゴングをよぉっ!」


カンカンカーンッ


ワー! ワーワー! ワー! ワーワー!

実況「決まったあぁっ! ここで試合が決まったぁ! 三つのカウントが決まったぁ! 試合は決着っ! 試合は決着ですっ!」

元「よぉ~しっ!」

実況「ラストは勿論、真・昇龍拳っ! 真・昇龍拳っ! 次世代の拳が……シャドルーの陰謀を打ち砕いたぁ!」

420: 2015/11/05(木) 22:56:06 ID:FCnphUTQ
ーーー


ヤムチャ「ふう……終わった……いやぁ~、俺もドキドキしちまったよ……」

ケン「……よっしゃよっしゃ。上手くやったぞ、リュウっ!」

バルログ「サガットも、上手くやりましたね」

バイソン「……自分の仕事しっかりしたじゃねぇか」

プーアル「ふう、無事に試合が終わってよかったですね。それじゃあ、僕は観客席に行ってくればいいんですかね……?」

ヤムチャ「いや、まだだ……まだだ、プーアル……この後、マイクアピールがある……ねっ、そうですよねぇ……?」

ケン「……あぁ、後はマイクで締めだ」

ヤムチャ「プーアルは、マイクが終わってから行ってくれ……邪魔しちゃいけねぇよ……」

プーアル「あっ、そうですね。マイクがありましたね……わかりました」

421: 2015/11/05(木) 23:05:15 ID:FCnphUTQ
ベガ「どうやら……試合は無事に終わったみたいだな……現場監督代理初日から、失敗されてはかなわんからな……よかったよかった……」

プーアル「あっ、ベガさんお疲れ様です」

ヤムチャ「お、お疲れ様ですっ!」

ベガ「さて……残るは、マイクだけだな……リュウも上手く締めてくれるといいが……シャドルー侵略計画は不発に終わったが……」

ケン「……これから先、どうするんだ?」

ベガ「軽くリュウとサガットとは、話した……まっ、これから発表だよ……」

ヤムチャ(……空手軍団の逆襲とかかな?)

422: 2015/11/05(木) 23:15:42 ID:FCnphUTQ
ワー! ワーワー!

実況「さぁっ! 見事、大団円っ! ハッピーエンドっ! 何度も何度も危うい場面はありましたっ! 追い詰められた場面はありましたっ!」

元「跳ね返したねっ! うんっ!」

実況「そうですっ! それを跳ね返しましたっ! 退けましたっ! 最後の最後にリングに残ったのはリュウっ……! リュウの勝ちだっ! 空手軍団の勝ちだっ! そして、このストリートプロレスの勝利でございますっ!」


リュウ「はぁっ……はぁっ……勝ったぞっ……勝ったぞっ……! だがっ……! レフェリーっ……!」ムクッ

ダン「……んっ?」

リュウ「まだ、終わりじゃないっ……! マイクを貸してくれっ……!」

ダン「お、おうっ……!」


リュウー! リュウー!

実況「おぉ~っと、そしてここでリュウが起き上がり……そしてレフェリーからマイクを受け取りましたっ! さぁ、何を口にするっ……! 何を口にするんだっ!」

423: 2015/11/05(木) 23:19:47 ID:FCnphUTQ
リュウ「勝ったぞっ……! 勝ったぞっ……! 俺達の勝ちだっ……!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、リュウがマイクに向かって語り始めるっ! 勝利を強調していくっ! そうだ、その通りだっ! 勝ったのは空手軍団であり、このストリートプロレスっ! その事実を奴らシャドルーに突きつけろっ!」


リュウ「だけど……完全な勝利じゃないっ……!」

オー? オーオー?

リュウ「今日、俺達空手軍団は、三つの勝利を取るつもりだった……だけど、二つしか取れなかった……一つ、取りこぼしてしまった……」


実況「おぉ~っと……まぁ、確かに……完全勝利とはいかなかったですが……この事をリュウは悔いているのかっ……!? しかし、トータルでは空手軍団の勝ちですっ……! 空手軍団の勝ちでございますっ!」

元「というか、シャドルー側が三つの勝利を奪えなかった時点で……これは、もうこっちの勝ちだと見てもいいんですよ。彼らの狙いは空手軍団の壊滅ですからね」

実況「そうですっ! その通りですっ!」

424: 2015/11/05(木) 23:25:52 ID:FCnphUTQ
リュウ「こんなもんじゃ終われないぜっ……! だったら、残りの一つの勝利を……今から、ここで取ってやろうじゃないかっ……!」

オー! オーオー!

リュウ「もう一戦いくぞっ……! もう一戦っ……! 今日は、三つ取るまでは終われないんだよっ!」

ワー! ワーワー!

リュウ「おいっ……! 何処かで聞いているんだろっ……! 今日、シャドルーに……試合をしてない、一番偉~い奴が……いるはずだよなぁ……? おいっ、何処かで聞いてるんだろっ!?」

ワー! ワーワー!

リュウ「出てこい、ベガァっ……! お前から、勝利を奪って完全勝利は完成するんだよっ! もう一戦だっ! もう一戦っ!」


実況「おぉ~っと、おっとおっとっ! ここでリュウは……ベガを呼び寄せていくっ! 呼び寄せていくっ! おぉ~っと、おっとおっとおっと……まさかまさかの連戦がまだ続くのかっ!?」

元「ファイターズハイとでも言えばいいのかねぇ? おぉ~っと、でもこれは面白いんじゃない?」

425: 2015/11/05(木) 23:32:56 ID:FCnphUTQ
ーーー

ベ・ガ ! ベ・ガ !

ベガ「ふふ、いいねいいね……盛り上がってる盛り上がってる……ベガコールなんて久しぶりだなぁ……」

バルログ「そうですね。我々に来るのはブーイングですからね」

ベガ「しかし、この声援も……私の敗北を望んでいる声援と言うわけだ……ふふ……まぁ、そういう物だろうがね……」

バイソン「……ヒール冥利っすよ。ベガ様」

ベガ「という事で、リュウから私への直々の指名というわけだ……では、行ってくるよ……」

バイソン「あっ、はいっ……! 行ってらっしゃいませっ!」

バルログ「決めてきて下さいっ!」

ベガ「……ふふ、勿論」

426: 2015/11/05(木) 23:41:20 ID:FCnphUTQ
ーーー


ベ・ガ ! ベ・ガ !

実況「さぁ、リュウはサガットの激闘を終えてばかり……では、ありますっ……! だがしかし、止まらないっ! 止まる事を知らないっ! 例え連戦だろうが……シャドルーの真の大将であるベガと戦う事を望んでいるゥ!」

元「ちょっと、こりゃ止まらないかもしれないね……」

実況「そして、場内も……それを望んでいるのかっ!? おぉ~っと、場内からベガコールが鳴り響きますっ!」


ベ・ガ ! ベ・ガ !

リュウ「呼ばれてるぞっ! 出てこいっ! ベガァっ!」


ベガ「……フン」


ワー! ワーワー! ワー! ワーワー!

実況「おぉ~っとっ! そしてそしてそしてっ……! ここで来たっ……! 来た来た来たっ……! 花道の奥からベガがその姿を現したぁ! ベガの登場で……場内が湧いているぅっ!」

元「ハハハ、ある意味、珍しい光景だねぇ」

434: 2015/11/06(金) 22:01:14 ID:d0CckT1A
ベ・ガ ! ベ・ガ !

ウーロン「イエーイっ! ベ・ガ ! ベ・ガ !」

亀仙人「そぉ~れ、早い所ボコボコにされんか~いっ! いけいけぇ~! ニャハハハ」

18号「お~、またアイツが出てきたよ。ボスの登場だ……」

クリリン「お~お~、本当に出てきたよっ!」

18号「アイツが出てきたら……ブーイングしなきゃいけないんじゃなかったのかい……? なんだい、この声援は……さっきと違うじゃないか……」キョロキョロ

クリリン「その辺は、状況によって臨機応変にだよ……」

18号「あのリュウって奴……今から連戦するのか……へぇ、頑張るねぇ……」

435: 2015/11/06(金) 22:11:03 ID:d0CckT1A
ワー! ワーワー!

リュウ「……よし、来たな」

ベガ「……フン」


実況「さぁ、ベガがリングに向かって歩みを進めるっ! 歩みを進めていくっ! その肩にはベルトを抱えておりますっ! 今、ゆっくりとリュウのいるリングに向かって歩みを進めていくっ!」

元「ここから、始まるのかねぇ!?」


ベガ「フン……来てやったぞ、リュウ……」


ワー! ワーワー!

実況「リュウとっては厳しい連戦となってしまいますっ……! だがしかしっ、勢いあるっ! 間違いなく、ここまでの戦いで流れはリュウにありますっ! さぁ、そして今ベガがリングイーンっ! リュウの待つリングへと足を踏み入れたぁ!」

元「おぉっ」

実況「最後の最後の大将戦がここから始まるのかっ……!? リュウ対ベガっ! リュウ対ベガが始まろうとしているっ!」

436: 2015/11/06(金) 22:21:18 ID:d0CckT1A
リュウ「よしっ、それじゃあ始めるぞっ!」ドンッ


ワー! ワーワー!

実況「さぁっ、そしてここでリュウが乱暴にマイクをマットへと叩きつけたぁ!」


リュウ「ラストの勝利はお前からで飾るぜっ……! さぁ、かかって来いっ!」クイクイ


ワー! ワーワー!

実況「腕を伸ばしっ……! 指先をクイクイと動かし、ベガを誘うっ! 来いよ来いよかかって来いよとリュウが態度で示しているゥ!」


リュウ「二戦目だろうが……こっちは関係なしだっ……!」ググッ


ワー! ワーワー!

実況「そしてリュウが構えたぁっ!」

元「おぉ、一戦目の疲労を感じさせないぐらい、気合入ってるんじゃない!?」

437: 2015/11/06(金) 22:29:50 ID:d0CckT1A
ベガ「……フフフフ」ササッ

リュウ「……んっ?」


ザワ……ザワ……

実況「おぉ~っと、おぉ~っとっ……! だがしかし、ここでベガはリュウの誘いには乗らず……」

元「……んんっ!?」

実況「それどころか、両手をあげて……その掌をリュウに見せていますっ! おっとおっと、ベガはリュウの誘いには乗らずっ……!」

元「まさか、降伏のポーズってワケじゃないよねぇ」


リュウ「どうした、ベガァっ!」

ベガ「……フフフフ」スッ


実況「そしてそして……おっと、ここはベガがリュウの投げ捨てたマイクを……拾い上げますっ!」

438: 2015/11/06(金) 22:36:30 ID:d0CckT1A
ベガ「リュウ……そう、いきり立つな……」

リュウ「……あぁっ!?」


ザワ……ザワ……

実況「さぁ、そして……ここでベガが言葉を発しましたっ! おぉ~っと、お~っと、どうしたどうしたっ!? リュウとは対照的に……ベガはやりあう気はない……と、言ったところでしょうかっ!?」

元「う~ん……まぁ、そんな感じはするねぇ……」


ベガ「今日……このストリートプロレス……それは、我々シャドルーの手に堕ちるはずだった……邪魔なお前達を始末して……我々シャドルーの手に堕ちるはずだった……だが……」

リュウ「……」

ベガ「……なんだ、このざまは」


実況「さぁ、ベガは続けますっ……! 続けていきますっ……!」

439: 2015/11/06(金) 22:44:33 ID:d0CckT1A
ベガ「シャドルー侵略計画……フンっ……! 失敗だよ……」


オー!オーオー!

実況「おぉ~っと、そしてここでベガの口から出ましたっ! はっきりと、出ましたっ! 聞きましたねぇ、元さんっ!?」

元「はい、聞きましたよ」

実況「シャドルー侵略計画は……失敗に終わったっ! ベガがっ……! ベガがハッキリと言いましたっ! その口から、ハッキリと言いましたっ!」

元「リュウ君だけじゃなく、空手軍団全員でやりましたねっ! 」


ベガ「忌々しい、お前達空手軍団のおかげでな……フンっ……!」ギロリ


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、恨めしそうにリュウを睨むベガっ! おぉ~っと、こいつは計画が失敗した事に……苛立っているのでしょうかっ!?」

440: 2015/11/06(金) 22:50:31 ID:d0CckT1A
ベガ「今日の三連戦でお前達三人を始末するつもりでいたが……フン……ケンも生きている……ヤムチャも生きている……そして、お前も生きている……」

リュウ「……」

ベガ「今、ここでお前と戦い……潰したところで……残りの二人は生きているのだよ……ここで、お前と戦うのは無意味な事だ……」


タタカエー! ベガー!

リュウ「そっちがそう思ってても……こっちは違うんだよっ……! いくぜっ……!」ググッ


ワー! ワーワー! ワー! ワーワー!

実況「ベガの目論見が外れた今……ここで戦う事は無意味だと言い、ベガはリュウの誘いに乗りませんっ! 乗ってはきませんっ!」

元「でも、リュウ君は……違うみたいだよ……!?」

実況「おぉ~っと、おっとおっとっ! ここでリュウがベガに詰め寄っていきますっ! こうなれば、実力行使と言った所かっ!?」

441: 2015/11/06(金) 22:56:13 ID:d0CckT1A
ベガ「待て待て待て待て……リュウっ……! リュウっ……! くっ……! おいっ、レフェリー、コイツを止めろっ!」

ダン「お、おいっ……! リュウ、落ち着けっ……!」ググッ

リュウ「……なんで止めるだよっ!」

ダン「い、いやぁ……なんか、反射的に……」


ブー! ブーブー!

実況「慌てて後退して距離を取るベガっ! あっと、そしてここでレフェリーにリュウを止める様、指示しましたっ! レフェリーがリュウを落ち着けます!」


ベガ「おい……リュウ……?」

リュウ「……あぁ!?」

ベガ「相変わらず、生意気な奴だ……なんだその態度は……私を誰だと思っている……?」

442: 2015/11/06(金) 23:04:46 ID:d0CckT1A
ベガ「私は王者だぞ……? このストリートプロレスの、チャンピオンベガだ……王者にその態度はないんじゃないのか……? それとも、このベルトが見えんのか……?」ググッ


ブー! ブーブー!

実況「おぉ~っと、そしてここで……ベガが片手でベルトを掲げて……リュウに見せつけていきますっ……!」

元「う~ん、まぁ確かに現段階でベルトを持ってるのはベガ君だからねぇ……だけどねぇ……」


ベガ「王者と言うものは……安い試合は、しない……無意味な試合も、しない……価値のある試合をするものだ……」

リュウ「……」

ベガ「そして……お前も……その方が望みだろう……なぁ、リュウ……?」ニヤニヤ


オー! オーオー!

実況「お~っと、そしてここで……ベガが、ベガがっ!」

元「……おっ!?」

443: 2015/11/06(金) 23:08:09 ID:d0CckT1A
ベガ「さぁ、よく聞けお前達っ! タイトルマッチだっ! タイトルマッチのお知らせだっ!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、ここでベガがベルトを掲げ、そしてリングの四方に見せながら……叫んでいくっ!」


ベガ「王者の試合が見れるぞ、お前達っ……! 価値のある試合が見れるぞ、見れるぞお前達っ……! そして記念すべき私の初防衛戦だっ! 今回は私から防衛戦の相手を指名させて貰おうかっ!」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、そしてここでベガがタイトルマッチでの相手を指名するとっ! 今、この場で発表されますっ!」

元「まぁ、でもそうだよ。今日はリュウ君も連戦になるし……決着はこういった形の方がいいよね」


ベガ「防衛戦の相手……それは……」

リュウ「……」

ベガ「サガットだっ!」

446: 2015/11/06(金) 23:13:55 ID:d0CckT1A
ーーー


バイソン「……今、なんて言った?」

バルログ「サ、サガットですって……」

ケン「お、おいっ……! なんでだよ、なんでサガットなんだよ、おいっ……! これ、リュウとベルト賭けてやる所じゃねぇのかよっ!?」

ヤムチャ「え、え~っと……そうですよねぇ……これは、今日の決着をベルト賭けてやった方がいいですよねぇ……サガットさんは……だって、今日負けたでしょ……?」

ケン「お、おいっ……! これ、会場の空気大丈夫かっ……!?」

ヤムチャ「……いやぁ、ヤバいんじゃないですか!? あっ、ホラホラ、ブーイング始まってますよ?」

447: 2015/11/06(金) 23:17:47 ID:d0CckT1A
ーーー


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「ベガの防衛戦の相手はリュウっ……! では、なくサガットっ! サガットですっ! どうやら、ベガの初防衛戦はサガットですっ! ベガが直々に指名しましたっ!」

元「シャドルー対決って事……? え~、でもさぁ……?」


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

リュウ「おぉいっ……! ベガっ……! 相手間違えてんじゃねぇぞっ……!」

ダン「お、落ち着け……落ち着けってのっ……! リュウっ……!」


実況「少々、場内は納得のいっていない雰囲気を醸し出していますかねぇ、これはっ……! あ~っとっ、そして勿論リュウもっ!」

元「うん。ちょっと僕も、この指名には納得出来ないかな……?」

448: 2015/11/06(金) 23:24:01 ID:d0CckT1A
ベガ「という事だ……私の対戦相手はお前だ……おい、聞いているのか……サガット、起きろ……」ゲシゲシ

サガット「う、ううっ……」


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「あ~っと、あっと……ベガがサガットを足蹴にしながら……おっと、サガットに防衛戦の事を伝えておりますが……」

元「う~ん……こういうのも、自分が指名した挑戦者にする行為ではないんじゃないかなぁ……? それで、対戦相手は……サガット君で、本当にいいのっ!?」


サガット「う、ううっ……」ムクッ

ベガ「フン……今日の試合……お前には期待していたと言うのに……無様に敗北しよって……なんだ、その様は……」

サガット「う、ううっ……申し訳ありません……ベガ様っ……!」


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「ここで、サガットは意識を取り戻したかっ!? 上体を起こしていきますっ……! しかし、そんなサガットに対して……あ~っと、ベガには慈悲がありませんっ!」

449: 2015/11/06(金) 23:28:45 ID:d0CckT1A
ベガ「お前にこんな調子でいられては……困るのだよ……だから、私が一つお前を鍛え直してやるとしよう……」

サガット「は、はいっ……!」

ベガ「ベルト戦だ……なぁ、サガット……? これならお前も気合いが入るんじゃないか……? まぁ、リュウに負けているようでは……私には勝てん……間違いなく勝てん……だからだ……」

サガット「……はい。その通りです」

ベガ「一週間の時間の猶予をやろう……お前に一週間、準備期間を与える……ベルト戦は7日後だ……」

サガット「一週間……はいっ……!」

ベガ「一週間で……私と素晴らしい、王者戦が出来るように準備をしておけ……わかったな……?」

サガット「わかりましたっ……ベガ様っ……!」


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「え~、どうやらベガは……自らの手で、サガットを鍛える……そして、ベルトを賭ける事によって……サガットの……え~、なんと言えばいいのでしょうかね? まぁ、潜在能力を引き出してやろう……と、言った目論見なのでしょうかねぇ……?」

元「まぁ、そういう感じじゃないかな……? う~ん……」

実況「しかし、そう言われてましても……やはり……やはりですねぇ……!?」

元「いや~、うんうん……わかりますよ……」

450: 2015/11/06(金) 23:38:00 ID:d0CckT1A
リュウ「相手間違えてんじゃねぇぞ、ベガっ……! この野郎っ……!」グイッ

ダン「あっ、コラっ……! おいっ……! リュウっ……!」

ベガ「……お、おっと」


ワー! ワーワー! イケー! リュウー! ワー! ワーワー!

実況「あ~っと、やはりこれにはリュウも納得はいっていないようだっ! レフェリーの制止を振り払い……そしてここでベガに掴みかかっていきますっ!」

元「まぁ、そりゃ……こうなるよっ!」

実況「縺れ合う両者っ! あっとあっとっ! ここで始まってしまうかっ!? 大将戦……スタートしてしまうかっ!?」


ベガ「……チィっ! いきりよって、バカがっ!」ササッ

リュウ「ベガっ……! 逃げるなっ……!」

ダン「お、おいっ……! やめろよっ……! やめろよ、リュウっ……!」


実況「あ~っと、しかしここで……ベガがリングから降りますっ……! 逃げるように、場外へと出て行くっ!」

元「あ~っ、逃げたねぇ」

451: 2015/11/06(金) 23:42:05 ID:d0CckT1A
ベガ「リュウっ……! おい、リュウっ……!」


実況「ベガは花道を引き下がりながら……おっとおっと、マイクを握り締め叫んでいくっ!」

元「……ん~っ」


ベガ「お前のそういう所が……気に食わんのだぁ……私は王者だぞ……? 王者相手に、敬意が足りないんじゃないか……? あぁ……?」

リュウ「……あぁっ!?」

ベガ「王者に敬意を払えない奴などに……ベルトへの挑戦権はないのだ、バカめっ……! リュウ、貴様は列の最後尾だっ……! 覚えておくがいいっ!」

リュウ「ベガアアァァっ……!」

ベガ「フハハ、サガットっ……! お前も、そこに立っているマヌケに何か言ってやれっ……! そらっ……!」ポイッ


ブー! ブーブー! ブー! ブーブー!

実況「さぁ、ベガは花道を下りながらリュウを罵っていくっ! 思う存分、罵っていくっ! おぉ~っと、そしてここでリングに向かって……マイクを投げ入れたっ!」

元「敬意を払えって言うけど、これが王者の姿かね?」

実況「あ~っと、そして花道の奥へとベガの姿が消えていきましたっ! 消えていきましたっ! しかし、まだ……ブーイングの音が鳴り止む事はありませんっ!」

452: 2015/11/06(金) 23:44:28 ID:d0CckT1A
今日はここまで

455: 2015/11/07(土) 00:01:58 ID:hDrrnOsU
おつおつー

まさかの展開!!
ベガ様の発想というか1はよくこんなストーリー思いつくな!
爪拾ったくだりを入れ込んだりと、1のセンスに脱帽だわ




次回に続く:ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で悪者と戦うぞ!」【その4】


 

引用: ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で悪者と戦うぞ!!」