1: 2016/08/15(月) 18:09:18.34 ID:kuu/8+oI.net
花丸「サンドイッチ……?」

花丸「これ全部、まるのために作って来てくれたの?」

善子「あ、アンタのためだけにわざわざ作るわけないでしょ!」

善子「ついでよついで! 勘違いしないでよね!」

花丸「ふふ、ありがとう」

花丸「まる、明日はお弁当が食べたいなぁ」

善子「へっ?」

花丸「独り言ずら」

善子「……」

13: 2016/08/15(月) 18:43:51.78 ID:kuu/8+oI.net
花丸「お弁当、本当に作ってきてくれたんだ」

善子「た、食べたいって言ったのはアンタでしょ!」

花丸「ありがとう、とってもうれしいずら」

花丸「お揃いのお弁当なんて、まるで恋人みたい……」

善子「な、なななっ!?」

花丸「善子ちゃん、まる、次はハンバーグが食べたいなぁ」

善子「ハンバーグって……そんな気軽に作れるもんじゃ…‥」

花丸「実は今日ね、まるの家、誰もいないの」

善子「へ?」

花丸「夕飯に善子ちゃんの手料理が食べれたら…‥まる、とっても幸せずら」

善子「……」

28: 2016/08/15(月) 20:55:11.82 ID:kuu/8+oI.net
花丸「善子ちゃん、本当にお料理上手だね」

善子「あ、当たり前でしょ。これくらい私の手にかかればちょちょいのちょいよ」

花丸「ハンバーグも、お味噌汁も、サラダも全部美味しい……」

花丸「善子ちゃんは絶対に良いお嫁さんになるずら」

善子「なに言ってるのよ……これくらいずら丸だって作れるくせに……」

花丸「そんなことないよ。こんなにも美味しくて温かい料理、善子ちゃんにしか作れないずら」

善子「そ、そうやって誉めてまた作らせようって魂胆なんでしょ。そうはいかないんだから……」

花丸「ふふ、バレちゃった。残念」

善子「……たまにでいいなら、また作ってあげるわよ」

花丸「本当? じゃあ明日は卵焼きが食べたいなぁ」

善子「アンタね……」

花丸「ふふ、楽しみにしてるね」

29: 2016/08/15(月) 21:14:26.10 ID:kuu/8+oI.net
善子「ってもうこんな時間……早く洗い物しなきゃ……」

花丸「まるがやっておくから、善子ちゃんはゆっくりしてて?」

善子「今更何言ってるのよ……てかゆっくりするような時間もないし」

花丸「作って貰ったのに洗い物までさせるなんて……」

善子「だから今更だって言ってるでしょ。ほら、さっさとお皿持ってきなさい」

花丸「まるも手伝う。2人でやればすぐに終わるずら」

善子「勝手にすれば」

花丸「……一緒に洗い物なんて、まるで恋人みたいずら」

善子「なっ」

花丸「どうしたの善子ちゃん? まる、何か変なこと言ったずら?」

善子「べ、別に……さっさとやるわよ」

花丸「ふふ…‥」

33: 2016/08/15(月) 21:29:47.73 ID:kuu/8+oI.net
花丸「善子ちゃん、お疲れ様。おやつ持ってくるから一緒に食べよ?」

善子「おやつって…‥もう出ないとバス間に合わないんだけど」

花丸「あと10分くらいは大丈夫だよね?」

善子「それはそうだけど……」

花丸「沼津の有名なお店で買ってきたケーキだから、善子ちゃんにも食べて欲しくて」

花丸「最近ご馳走になりっぱなしだから、まるからのお礼のつもり、なんだけど……」

善子「…‥さっさと持ってきなさい」

花丸「うん」

35: 2016/08/15(月) 21:47:09.18 ID:kuu/8+oI.net
善子「……」

花丸「……」

善子「……心配しなくても美味しいわよ」

花丸「それは良かったずら」

善子「これブランデーケーキでしょ。ずら丸がこんな洒落たもの食べるなんて以外だわ」

花丸「ぶら、んでー……? ってなに?」

善子「もしかして、知らないで買ったの?」

花丸「善子ちゃんが好きそうな名前のケーキだったから」

善子「はぁ……とんちんかんっぷりは相変わらずね……」

花丸「どういう意味ずら?」

善子「お子ちゃまなずら丸にはショートケーキの方がお似合いって意味よ」

花丸「まるはチーズケーキの方が好きずら」

善子「はぁ……」

花丸「このケーキ美味しいー」

善子「あんまり食べると気持ち悪くなるわよ」

花丸「甘いものは別腹ずら」

善子「そーゆー意味じゃないんだけど……もういいわ……」

36: 2016/08/15(月) 22:05:42.23 ID:kuu/8+oI.net
善子(しかし本当によく食べるわね……)

花丸「ふふ……」

善子(結局ケーキも花丸がほとんど食べちゃったし……)

善子(あんまり食べさせるとデブ丸になっちゃいそうね……餌付けするにも自重しないと)

善子(ても……)

花丸「美味しいずらー」

善子(食べてるときの顔が一番可愛いのよね、コイツ……)

花丸「♪」

善子(これ以上は目に毒ね……時間も時間も時間だし……)

善子「そろそろ帰るわ」

花丸「?」

善子「ケーキありがとうね、美味しかったわ」

善子「また、親がいないときにでも呼びなさい。……ご飯、作ってあげるから」

花丸「……」

善子「じゃ、また学校でね」

39: 2016/08/15(月) 22:29:48.74 ID:kuu/8+oI.net
善子「…‥」

花丸「……」

善子「……なに?」

花丸「?」

善子「……何もないなら離しなさいよ」

花丸「離す?」

善子「だーかーら、服掴まれてると帰れないでしょ!」

花丸「善子ちゃん、バスの時間大丈夫? 間に合う?」

善子「間に合わないから離せって言ってるんだけど……」 

花丸「もし間に合わないなら言ってね。お布団用意するから」

善子(は、話が絶望的に噛み合わない……これはわざとやってるの……?)

花丸「善子ちゃんはのんびり屋さんずら」

善子(いや、そんな風には……見えないけど……)

43: 2016/08/15(月) 22:54:35.20 ID:kuu/8+oI.net
善子(ってやばっ、もうこんな時間……!?)

善子「バス無くなる! 走らないと……ってだから離しなさいって!?」

花丸「善子ちゃん身体細い……ちゃんと食べてるずら……?」

善子「標準体型! アンタが食べ過ぎなの! 」

花丸「こうしてるとなんだか落ち着くずら……」

善子「はーなーれーろ……!!」

花丸「お腹いっぱいずら……もう動けないずら……」

善子「絶対にわざとでしょ!? 私を家に帰さないつもり!?」

花丸「もう遅いし外は危ないと思うけど、帰れるなら帰った方が良いと思うよ?」

善子「帰れなくしてるのはアンタでしょ!!」

花丸「バス無くなったら泊めてあげるずら。遠慮しないでね」

善子「ずーらーまーるー……!!」

花丸「ふふ……」

44: 2016/08/15(月) 23:06:08.36 ID:kuu/8+oI.net
善子「い、い、加減にしなさい!」

花丸「きゃっ……突き飛ばすなんて酷いずら……」

善子「良くもまあここまで手間取らせてくれたわね!」

善子「この嫌がらせの恨み忘れないわよ! 覚えてなさい!」

花丸「善子ちゃん……」

善子(いける! 今から全力で走ればギリギリ間に合……)

花丸「実はこの部屋の時計、10分ずれてるずら」 

善子「へ?」

花丸「……」

善子「……」

花丸「終バス……無くなっちゃったね……」

善子「ずーらーまーる……!!」

74: 2016/08/17(水) 03:20:14.94 ID:e54LBzxP.net
善子「このっ、このっ!」

花丸「ふぁぅ……よひこひゃんいひゃいふあ……」

善子「どういうつもり! 明日も学校なんだけど!」

花丸「朝ご飯が楽しみずら」

善子「こんのデブ丸ぅ……!」

花丸「ふぇぇ……」

善子「このヨハネをコック扱いなんて良い度胸してるじゃない……!」

花丸「ほんはほとはいふあ……」

善子「そんなことあるでしょ! このっ、このっ!」

花丸「ふあー……」

善子「アホ丸! 朝ご飯なんて絶対に作ってやらないんだからね!」

花丸「別にいいずら」

善子「へ?」

花丸「善子ちゃんと一緒にいられるだけで、まるは幸せだから」

善子「なっ……」

76: 2016/08/17(水) 03:47:24.74 ID:e54LBzxP.net
花丸「朝ご飯はまるが作ってあげるね」

花丸「善子ちゃんはお客様ずら」

善子「い、今更調子良いこと言ったって許してあげないんだから……」

花丸「まるのこと、嫌いになっちゃったずら……?」

善子「そんなことは言ってない」

花丸「じゃあ……好き?」

善子「そ、そーゆー話もしてないでしょ……」

花丸「まるは大好きだよ」

善子「へ……?」

花丸「善子ちゃんの料理」

善子「……」

花丸「いひゃいっ、いひゃいっ」

78: 2016/08/17(水) 04:24:32.45 ID:e54LBzxP.net
善子「デブ丸! 結局食べることしか考えてないじゃない!」

花丸「善子ちゃんなんで怒ってるずら……まるは誉めてるつもりなのに……」 

善子「うるさい! 紛らわしいのよバカ!」

花丸「紛らわしい?」 

善子「っ……な、何もないわよ」

花丸「……」

善子「とにかく、しばらく何も作ってやらないんだからねっ。ヨハネを誑かした罰よ」

花丸「誑かしては無いと思うけど……」

善子「うるさいっ。てかアンタ最近食べ過ぎよ、本当にデブ丸になっても知らないんだから」

花丸「善子ちゃんが美味しいご飯をたくさん食べさせるから……」

善子「せがんでるのはずら丸でしょ」

花丸「作ってくれるのは善子ちゃんずら」

80: 2016/08/17(水) 05:23:36.51 ID:e54LBzxP.net
善子「どっちもどっちね……」

花丸「ねえ善子ちゃん、グリム童話って知ってる?」

善子「知ってるけど……急に何?」

花丸「最近読んだお話なんだけどね、魔女は人間を食べるために……美味しい料理をたくさん振る舞っていたの」

善子「よくある話じゃない。それがどうしたのよ」

花丸「堕天使が人間に料理を振る舞うのは……なんでなのかな、って」

善子「へ……?」

87: 2016/08/17(水) 20:55:40.74 ID:e54LBzxP.net
花丸「気になるずら」

善子「べ、別に……大した理由なんてないわよ……」

善子「ずら丸が食べたいって言うから……その、作ってあげてるだけよ……」

花丸「本当にそれだけ?」
 
善子「それ以外の何があるっていうのよ……!」

花丸「ふぇぇ、ほうろふはんはいふあー」

善子「変なことばっか言うのはこの口ねっ、このっ、このっ」

花丸「いひゃいっ、いひゃいっ」

善子「ふんっ、次変なこと言ったら承知しないんだからっ」

花丸「すぐに手が出るのは善子ちゃんの悪いとこずら……悪子ちゃんずら……」

善子「うるさい、妙なちょっかいかけてくるずら丸が悪いんでしょ」

善子「他のみんなには人畜無害のくせに。私にだけどういうつもりよ」

花丸「好きな子にはいじわるしたくなるずら」

善子「そーゆーのをやめろって言ってるの……!」

花丸「ふあー」

90: 2016/08/17(水) 21:42:11.59 ID:e54LBzxP.net
善子「アホ丸! この話は終わりよ! お、わ、り!」

花丸「そうやってすぐに話を逸らすあたり怪しいずら」

善子「何がどう怪しいって言うのよ」

花丸「言ってもいいの?」

善子「な、何よその意味深な態度……」

花丸「まるには全部お見通しずら」

善子「お見通しって……」

花丸「まるは善子ちゃんになら……食べられてもいいんだよ?」

善子「なっ」

98: 2016/08/19(金) 02:36:59.71 ID:hlmSBMUK.net
花丸「ふふ、善子ちゃん顔が赤くなってる。えOちずら」

善子「っ~~~!?」

花丸「まる、お風呂入ってくるね……善子ちゃんはゆっくりしてて?」

善子「は……? お、お風呂……?」

花丸「一緒に入る?」

善子「ふぇああっ!?」」

花丸「冗談ずら」

善子「な、なな……!」

花丸「覗いちゃだめだよ?」

善子「ず、ずずっ、ずら丸ぅ~!!」

花丸「あははっ」

99: 2016/08/19(金) 02:48:19.48 ID:hlmSBMUK.net
  
   
 『私は善子ちゃんになら……食べられてもいいんだよ?』


善子「……」


 『一緒に入る?』

 『冗談ずら』

 『あははっ』


善子「泣かす……」

善子「絶対に泣かすぅ……!」

善子「このヨハネの純情を弄んだことを後悔させてやるんだからっ……!」

善子(いつも私に対してはからかったような態度取ってるけど、最近は異常すぎる!)

善子(これ以上調子に乗らせないためにも、私と花丸の関係を変えるきっかけが欲しい……)

101: 2016/08/19(金) 03:01:55.73 ID:hlmSBMUK.net
善子(そうだわ! ヨハネ! お風呂に入ってるうちに花丸の部屋を物色するのよ!)

善子(いかがわしい本持ってたり自作の恥ずかしい小説とかあったりするに違いないわ)

善子(弱みを握るのよ、そうすればそれを武器に反撃できる……!)

善子「ふふ、くふふふ……」

善子(覚悟しなさい花丸)

善子(そうやって私をからかえるのも今日までなんだから)

善子(これからは私が花丸の心を弄ぶのよ)

善子(顔真っ赤っかの涙目にさせてやるんだから……くふふ……)

102: 2016/08/19(金) 03:19:20.59 ID:hlmSBMUK.net
善子「……」

善子(質素な部屋ね……)

善子(なによ、勉強机以外にはベッドと本棚しかないじゃない)

善子(部屋っていうより書斎みたいね……家柄のせいなのかしら……)

善子(そりゃパソコンとかゲーム機とか見たら目キラキラさせるわけだわ)

善子「って考え事してる場合じゃないでしょ。早く弱みを探さなきゃ……」

善子「……」

善子(当たり前だけどこの部屋、アイツの甘ったるい匂いがするから全然落ち着かないわ……)

善子(すぐ隣に花丸がいるみたいな……)

善子(花丸に抱きしめられてるみたいな感じで……)

善子「ぼ、煩悩退散! そういう目的じゃないでしょ! しっかりしなさい津島善子!」

善子(いつ戻ってくるか分かんないんだから、さっさと見つけてさっさと出ないと……)

105: 2016/08/19(金) 03:29:03.01 ID:hlmSBMUK.net
善子(本棚は……数が多過ぎるわね)

善子(一冊一冊見てたらキリがないわ)

善子(ベッドもぱっと見何もないし……寝そべってみたくはあるけど……)

善子「ってそうじゃなくて!」

善子(ベッドも本棚も無しとなると、あとは勉強机くらいかしら)

善子(参考書くらいしか見当たるものはないけど……)

善子「……?」

善子(これって……アルバム? しかも幼稚園の頃のヤツだし)

善子(よくもまあこんな昔の物持ってるわね……)

善子(わざわざこんな分かりやすい場所に置いて……)

善子「……?」

善子(付箋が付いてる……卒業アルバムに付箋ってどういうつもりで……)


善子「……」


善子(私……?)

106: 2016/08/19(金) 03:39:41.46 ID:hlmSBMUK.net
善子(ま、まさかね……たまたまでしょ……)

善子(他のページは……)


善子「……」


 『善子ちゃんと一緒にいられるだけで、まるは幸せだから』


善子(全部……私が写ってる……)


 『まるは大好きだよ』


善子(付箋に花丸の印が付いてるページには……)


 『まるは善子ちゃんになら……食べられてもいいんだよ?』


善子(私と花丸の、ツーショット……)

108: 2016/08/19(金) 03:51:15.06 ID:hlmSBMUK.net
善子(や、ヤバい……)

善子(心臓、うるさい……)

善子(ドキドキ、しすぎでしょ……バカじゃないの……)

善子(こんなの……別に……深い意味なんて……)


花丸「よーしこちゃん」


善子「ふひゃあああ!!?」

花丸「なにしてるずら?」

善子「ななななな……!!?」

花丸「人の部屋に勝手に入るなんて、やっぱり悪子ちゃんずら」

善子「こここ、これは、そそ、そのっ」

花丸「アルバム……見ちゃった?」

善子「……ごめん」

花丸「どうして謝るの?」

善子「だ、だって……これ……」

110: 2016/08/19(金) 04:05:26.04 ID:hlmSBMUK.net
花丸「あ、そのページ」

善子「う……」

花丸「まるその写真、大好きずら」

花丸「だからいつでも見れるように、付箋も貼ってるの」

善子「ず、ずら丸……」

花丸「はぁ……やっぱり……すごく可愛いずら……」


花丸「ミケ……」


善子「……は?」

花丸「猫、飼いたいなぁ……」

善子「……」

花丸「どうしたの善子ちゃん? 善子ちゃんもミケのこと思い出してたんだよね?」

善子「そ、その付箋が貼ってあるページって……」

花丸「ミケが写ってるページずらよ?」

111: 2016/08/19(金) 04:14:27.70 ID:hlmSBMUK.net
善子「……」

花丸「ふふっ……」

善子「あ、アンタまさか……」

花丸「さっきも言ったけど、善子ちゃんの考えることは全部お見通しずら」

善子「ず、ら、ま、るーー!!」

花丸「きゃー」

善子「泣かす! 絶対に泣かしてやるんだからっ!!」

花丸「あはは、泣いてるのは善子ちゃんずら。それに顔真っ赤っかずら」

善子「きぃぃぃーーーー!!」

112: 2016/08/19(金) 04:27:48.18 ID:hlmSBMUK.net
善子「許さない! 絶対に許さないんだからっ!」

花丸「痛い、痛いっ。枕をそんな風に使っちゃダメずら」

善子「うるさい! アンタほんっとうにいい加減にしなさいよ!?」

善子「人のことからかって楽しいの!?」

花丸「楽しいずら」

善子「このっ! このっ!」

花丸「きゃっ、暴力反対ずらー」

善子「嫌い嫌い嫌い! ずら丸なんて大ッ嫌い!!」

花丸「まるは善子ちゃんのこと大好きだよ?」

善子「っ! っ!!」

花丸「ふふ、あははっ」

114: 2016/08/19(金) 04:51:28.77 ID:hlmSBMUK.net
善子「はぁ……」

善子「なんでこうなるのよ……」

善子(弱みを握るつもりが逆に弄ばれるなんて……うぅ、悔しい……)

善子(朝ご飯全部わさび入れといてやるんだからっ……花丸のバカ……アホ丸……)

善子(今までの意味深なセリフとかあの手の込んだイタズラから考えるに……)

善子(私の気持ち……バレてるよね……?)

善子(絶対にそうよ……だってそうじゃないとあり得ないもん……!)

善子(ヨハネの純情を知った上であんなこと……! ますます許せない……!)

善子(どうすれば仕返しできるかしら)

善子(いっそのこと押し倒して……)


善子「……」


 「善子ちゃーん」


善子「ふぁひゃあ!?」


 「湯加減大丈夫ー?」


善子「だだ、大丈夫よ!!」

115: 2016/08/19(金) 04:58:29.75 ID:hlmSBMUK.net
    
  
 「背中流す?」

 
善子「いらない!」


 「分かった、じゃあ入るね」


善子「へっ!?」

善子「ちょ、まま、待ちなさい!? こらっ!?」


 「冗談ずら」


善子(お、襲う……)

善子(絶対に襲う……!)

善子(泣きながらやめてくださいヨハネ様って言わせてやるんだから……!)

132: 2016/08/20(土) 05:44:59.50 ID:6ytE7igS.net
  
   
 『よし、こ……ちゃん……?』

 『これは罰よ』

 『堕天使の心を弄んだ、罪深い人間に対する罰……』

 『か、からかったことは謝るずら……だから、こんなことやめよ……? ね…‥?』

 『そんな言葉だけで自分の罪を償えると思っているのかしら』

 『禁断の果実に触れたアダムとイブが地上に堕とされたように……』

 『貴女は自らの純潔をこのヨハネに捧げることで、罪を償うのです』

 『だ、だめ……よしこ、ちゃん……』

 『まだ自分の立場がわかっていないようですね』

 『ぁっ……!』

 『ヨハネ様と呼びなさい。愚かな人間の娘』

 『よ、ヨハネ、さまぁ……!』

 『くく……良い子ね……その賢しさに免じて優しくしてあげましょう……』

 『ぁ……ふぁ……!』

 『存分にお鳴きなさい……それが償いなのだから……』
   
  

134: 2016/08/20(土) 06:12:27.03 ID:6ytE7igS.net
善子「ふふ、くふふ……」

善子(イメージトレーニングは完璧ね)

善子(襲われるなんて思ってもいないだろう花丸の泣きっ面が目に浮かぶわ)

善子(どうせ何もされないと思ってるから好き放題からかってたんでしょうけど?)

善子(そんなの大間違いなんだから。間抜けな花丸、私が本気になったらどうなるか教えてあげるわ)

善子(抱きしめたり……きき、キスとか……してやるんだから……!)

善子「……よ、よし、いくわよ津島善子」

善子(まずそーっと部屋に入って、隙だらけの花丸をベッドに押し倒す……)

善子(動揺してる花丸にイメトレ通りのセリフを言って……そ、それからは……それからは……)

善子「そ、その場の流れね!」

135: 2016/08/20(土) 06:24:13.82 ID:6ytE7igS.net
善子「……」

善子「……」

善子「は、入るわよ!」

善子(ってなんで呼び掛けてるの!? 不意打ちする段取りだったでしょ!?)

善子(絶対に気付かれて……!)


花丸「……」


善子(あ、れ……? 花丸のヤツ、なんでベッドに……)

花丸「……」

善子「ず、ずら丸……?」

花丸「ん……」

善子(もしかして……いや、もしかしなくても……)


花丸「すぅ……」


善子(ね、寝てる……)

147: 2016/08/20(土) 21:35:00.03 ID:6ytE7igS.net
善子「ちょ、ちょっと、人のことほっといてなに勝手に寝てるのよ……」

善子「起きなさいよ、こら、ずら丸……」

花丸「ん……」

善子「……」

善子(こうやって間近で見るとムカつくくらい美人ねコイツ……)

花丸「……」

善子(はぁ……毒気が抜けたわ……)

善子(気持ち良さそうに寝ちゃって……)

善子「って!?」

善子「ちょ、わ、私のキャミっ! どこに行ったと思ったらこんなとこに……!?」

善子「返しなさい、こらっ。なに枕にしてくれちゃってるのよっ」

善子「皺になるでしょ……!」

花丸「ずらぁ……」

善子「て、てかなんでずら丸が持ってるのよ……!?」

149: 2016/08/20(土) 21:55:08.43 ID:6ytE7igS.net
善子(湯加減がどうとか訊いてきたあのタイミングね……!)

善子(おかげでこんなちんちくりんでファンシーなパジャマ着るハメに……!)

善子「返しなさい、こらっ」

花丸「っ……」

善子「ちょ、力強っ!?」

善子「絶対起きてるでしょ!? こらっ、ずら丸っ!」

花丸「んぅ……」

善子「こ、この期に及んで狸寝入りなんていい度胸してるじゃない」

善子「起きないとキスするわよ!」

花丸「っ」

善子「ど、どうせ出来ないとか思ってるんだろうけど……本当に、するから」

花丸「……」

151: 2016/08/20(土) 23:38:37.30 ID:6ytE7igS.net
善子「ほ、ほら、早く起きてキャミ返しなさいよ」

善子「あと私の寝る場所も用意しなさい。布団出すって言ったでしょ」

花丸「……」

善子「10秒以内よ! 10秒以内に返事しないとキスするから!」

善子「じゅー、きゅー、 はち、なな!」

花丸「……」

善子「ろ、ろく、ごー、よん……さん……」

花丸「……」

善子「にー……いち……」

花丸「すぅ………」

善子(こ、コイツぅ……!)

153: 2016/08/20(土) 23:58:45.47 ID:6ytE7igS.net
善子「アホ丸……どうなっても知らないんだから……」

善子「私の気持ち、知ってるくせにっ……いじわるばっか……!」

花丸「……」

善子「アンタなんて、アンタなんて……!」

花丸「っ……」

善子「…………」



善子「っ……!」

155: 2016/08/21(日) 00:04:36.75 ID:ScDkwRj2.net
  
 
 「…………」
  
    

156: 2016/08/21(日) 00:09:18.59 ID:ScDkwRj2.net
 
善子「……」


花丸「……」


善子「……大ッ嫌いなんだからっ」

159: 2016/08/21(日) 00:33:38.79 ID:ScDkwRj2.net
 
 
花丸「……」

 
花丸「……はぁ」

花丸「やっぱり善子ちゃんはへたれずら……」

花丸(唇は無理でも……ほっぺたくらいにはしてくれると思ったのに……)

花丸「……」

花丸(まる、いじわるなのかな……)

花丸(善子ちゃんのことは大好きなんだよ……?)

花丸(でもね、まるの大好きよりも、善子ちゃんの大好きの方が大きくないと嫌なの……)

花丸(まる、我侭なのかな……まるの気持ち、間違ってるのかな……)

164: 2016/08/21(日) 00:54:09.73 ID:ScDkwRj2.net
花丸(我侭、だよね……やっぱりまる、いじわるだよね……)

花丸(泊まって欲しいなら、帰らないでって……)

花丸(一緒に寝たいなら、寝たいって……)

花丸(キスがしたいなら……したいって……)

花丸(全部言葉にして、言えばいいだけだなのに……)

花丸「どうして素直になれないんだろう……」

花丸「はぁ……」

花丸(善子ちゃん、たぶん……リビングのソファで寝てるんだろうな……)

花丸(あとで布団、かけてあげないと……)

花丸(いや、違うよ……まるが謝って、一緒に寝ようって言えば……それで済むのに……)

花丸「…………」

165: 2016/08/21(日) 01:07:30.75 ID:ScDkwRj2.net
花丸「ごめんなさい、善子ちゃん……」

花丸「……」

168: 2016/08/21(日) 01:26:07.19 ID:ScDkwRj2.net
善子「ん……んぅ……」

善子(あれ……私、いつの間に寝たんだろ……)

善子「……」

善子(タオルケット……? 寝たときこんなのあったっけ……)

善子(まあいいわ……てか今何時で……)


花丸「おはよう、善子ちゃん」


善子「……」

花丸「昨日はごめんね。まる、気付いたら寝ちゃってたみたいで……」

善子(白々しいわね……本当は起きてたくせに……)

花丸「もっと言うと、お風呂に入ったあたりからの記憶が無くて」

善子「……へ?」

170: 2016/08/21(日) 01:36:46.90 ID:ScDkwRj2.net
花丸「せっかく泊まったくれたのにソファなんかで寝かせちゃって……」

花丸「本当にごめんなさい……」

善子「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」

善子「昨日の記憶が無いって……」

花丸「お風呂に入る前からそうだったんだけど、なんだか身体がぽかぽかしてね、頭がふわふわーってなってて……」

善子「ま、まさかアンタ……ブランデーケーキで酔ったんじゃ……」

花丸「酔う?」

善子(あのケーキ結構匂いキツかったし、あんだけバカ食いしてたら酔っぱらっても不思議じゃない……)

善子(そっか、そういうことね……だからいつもと様子が違って……)

花丸「……」

善子「はぁ……ずら丸、アンタ金輪際お酒は禁止よ」

花丸「へ? まる、お酒なんて飲んだことないずらよ?」

善子「なら一生飲んだことがないままでいなさい」

花丸「ええっ!? ど、どういうことずら!?」

171: 2016/08/21(日) 01:55:42.84 ID:ScDkwRj2.net
善子「振り回されるのはこりごりってことよ」

花丸「善子ちゃんが何を言ってるのか分からないずら……」

善子「分からなくていいの!」

善子(煽られて危うく手出しそうになったなんて氏んでも言えないっ!)

善子(どうせ花丸も覚えてないんだから、昨日のことは全て闇に葬り去るのよ、ヨハネ……!)

善子(あれが全部酔っぱらっての行動だったら、私が花丸のこと好きってことも気付かれてないだろうし……)

善子「はぁ……なにはともあれ一件落着ね……」

花丸「まる、朝ご飯の支度しておくね」

花丸「善子ちゃんは着替えて学校に行く準備しててね」

善子「はいはい。って着替えで思い出したわ!」

善子「アンタ私のキャミソールどこにやったの!?」

花丸「善子ちゃんの? まるの部屋にあったからアイロンして干してるよ?」

善子「……取って来るわ」

173: 2016/08/21(日) 02:19:16.11 ID:ScDkwRj2.net
善子「良かった……どこも皺になってない……」

善子(かなり強く抱いてたから痛んでないか心配したんだけど……大丈夫そうね)

善子「……」

善子「今さらだけど、花丸はなんで私のキャミを……」

善子(酔っぱらいのしたことだし、考えるだけ無駄そう……)

善子(それにしても……)

善子(改めて見ても殺風景な部屋ね)

善子(あのアルバム……)

善子(思い出すだけで頭が痛くなるわ……酔っぱらいのくせによくもまああんな手の込んだイタズラを……)

174: 2016/08/21(日) 02:30:49.33 ID:ScDkwRj2.net
善子「……」

善子「ミケ、か……そういえばみんなで飼ってたわね……」
 

 『まるその写真、大好きずら』

 『だからいつでも見れるように、付箋も貼ってるの』


善子「このデブ猫のなにがそんなに良いのよ……全然可愛くないと思うんだけど……」

善子「……」

善子(花丸とのツーショット……)

善子(幼稚園の頃の卒業アルバム、家にまだあったかな……)


善子「……?」


善子(あれ? なんか、昨日より付箋の数が増えてるような……)

善子(確か昨日は3つくらいだったはずだけど……今は倍くらいある気が……)

176: 2016/08/21(日) 02:47:13.44 ID:ScDkwRj2.net
善子「……」


善子「…………」


善子(新しく付箋が貼られてあるページ……ミケが写ってない……)

善子(写ってるのは……全部……)

善子(それにこれ……付箋を剥がしたあと、よね……)

善子(ってことは……新しく貼ったんじゃなくて……)

善子(貼り、直した……?)


善子「…………」


花丸「よ、善子ちゃん……?」


善子「っ!?」

花丸「なに、してるの……?」

善子「え、あっと、その……」

177: 2016/08/21(日) 02:51:22.41 ID:ScDkwRj2.net
善子「ミ、ミケ、可愛いなーって……」

花丸「…………」

善子「…………」



おわり

179: 2016/08/21(日) 02:53:47.91 ID:ntbo1Qqt.net


善子誰とでも親和性高すぎ
炭素かよ

180: 2016/08/21(日) 02:53:52.41 ID:NaZXAHbp.net
おわりなん?
ホンマに?

187: 2016/08/21(日) 09:21:26.04 ID:qVJGVsq6.net
さっさとちゅっちゅするずら

引用: 善子「ずら丸……これ、作ってきたから……食べなさいよ」