1: 2023/12/21(木) 19:39:49.538 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「どうしてもクリスマスを共に過ごしたいわけだ」

千秋(おっ、カレーの妖精だ)

保坂「俺の最愛の人に」

保坂「南春香に!」

千秋「!?」

千秋(今、南春香って言ったか…?)

千秋(今確かに…南春香と言ったぞ)
みなみけ(26) (ヤングマガジンコミックス)

3: 2023/12/21(木) 19:42:41.859 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(どういうことだ…カレーの妖精は春香姉様の事を知っているのか?)

保坂「それは誰か…ふっ…言うまでもない…」

保坂「そうだ…言うまでもない…」

千秋「……」

保坂「南!!!春香に!!!」

千秋(言ったー!)

4: 2023/12/21(木) 19:45:05.339 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「北でも東でも、西でもないのだ」

保坂「南なのだ」

保坂「そして春香」

保坂「合わせて、南春香なのだ」

千秋(…ここまで確認が取れたら間違いない)

千秋(カレーの妖精は春香姉様を知っている!)

千秋(いや、待てよ。「みなみはるか」という同じ名前の別人である可能性もあるな)

5: 2023/12/21(木) 19:46:40.340 ID:BDBI9xxD0.net
10数年くらい時間が戻ったのかと思った

6: 2023/12/21(木) 19:48:08.486 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「クリスマスに食べたいものはなんだ?」

千秋「え?」

保坂「クリスマスといえば…やはりケーキだろう」

千秋「それは…要するにそうかもしれないが…」

保坂「しかし南春香だとどうだ!?」

保坂「南春香の場合を考えなければならない!!!」

千秋「お、おおお…」

8: 2023/12/21(木) 19:51:05.243 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(どうもうちの「みなみはるか」姉様の事を指しているように思える…)

保坂「俺は彼女の好きな食べ物、クリスマスに対する価値観、その他諸々…理解できているのか?」

千秋「……」

千秋(少し試してみるか)

千秋「南春香は…手強い…」

保坂「なにっ?」

千秋「まず南春香は…」

保坂「……」ゴクリ

10: 2023/12/21(木) 19:54:04.726 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「自分でなんでも作るし、なんでもたべる」

保坂「なッッッッ!?」

保坂「自分でなんでも作るし、なんでも食べるだと…!それはつまり、嗜好が存在しないということか…」

保坂「根底から覆されたわけだ。俺は初めから間違えていた」

保坂「"南春香のクリスマス"という固定観念に縛られていたわけだ」

保坂「そして…それはつまり、どういうことなのだ」

千秋(ん…カレーの妖精、どうなんだ?)

千秋(うちの春香姉様の事を知っているならば、もう少しこう…私の知識と交わる形で話が広がるはずだが…)

11: 2023/12/21(木) 19:57:05.347 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(もう少し試してみるか…)

千秋「南春香は…手強い…」

保坂「それはそれは手強い事だろう」

千秋「南春香は…」

保坂「……むぅ」ゴクリ

千秋「あんなに完璧に見えて、実はルーズな一面もある」

保坂「そうだったのか!!!!」

12: 2023/12/21(木) 20:00:05.318 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「それが、ギャップであって、魅力的である」

保坂「どうりで!!!」

千秋「才色兼備とはまさに春香姉様の為にあるような言葉であり…」

千秋「はっ!」

千秋(い、いかん…大好きな春香姉様の事なので自慢げに語り始めてしまった…)

千秋(カレーの妖精を試す為だったのに)

13: 2023/12/21(木) 20:03:18.408 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「そうだ!ルーズな一面も必要不可欠だ…」

保坂「完璧な人間などいない。人間は神ではないのだから」

保坂「ん?いや待てよ…南春香は人間なのか?」

保坂「神…の可能性もある。あらゆる情報を頼りに深く考えるべきだな…」

千秋「お」

千秋(春香姉様は神!いい解釈だ…!)

千秋(やはり「みなみはるか」とは、うちの春香姉様のことなのか!?)

14: 2023/12/21(木) 20:06:04.877 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(むむ…しかし、まだ決め手に欠ける…)

保坂(もし神だとすれば…今年のクリスマス、宗教的に、本格的に行うべきか?)

保坂(ヒヨコ豆のスープ、オニオンスープ、デザートにはトリッハ)

保坂(クリスマスという文化に乗じる以上は、郷に入っては郷に従え…)

保坂(食事だけではなく環境も洋風に従う…石油ファンヒーター、暖房など電化製品はナンセンス)

保坂(レンガ作りに薪ストーブはどうだろう!)

保坂「薪だな」

千秋「マキ…?」

16: 2023/12/21(木) 20:09:05.556 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「薪に頼る事にするか」

千秋(マキ!!!!)

千秋(今確かに!「マキに頼る事にするか」と言った!!!)

千秋(春香姉様の友達だ…)

千秋(カレーの妖精が口にする「南春香」は、うちの春香姉様の事だー!)

保坂「今年のクリスマスを楽しみに待っていろ!南春香!」

千秋(落ち着け…状況を整理しなければ)

17: 2023/12/21(木) 20:12:05.171 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(まずこの大男…カレーの妖精は、何故か春香姉様の事を知っていて…)

千秋(何故か春香姉様のクリスマスに関わろうとしている!)

千秋(どうも聞いた感じ、同じ空間で共に過ごすかのような言い回しであり…)

千秋(雄弁に語っている…春香姉様とのクリスマスが訪れる事を、あたかも決定事項のように!)

保坂「そうと決まれば色々と準備が必要だな、ふはは。やれやれ」スタスタ

千秋「ま、まてー!」

保坂「ん?」

18: 2023/12/21(木) 20:15:06.166 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(何が何だか分からないが)

千秋(カレーの妖精と春香姉様が共にクリスマスを過ごすならば…私と春香姉様のクリスマスはどうなる!?)

千秋「阻止する!」

保坂「なに?」

千秋「阻止だ!そし!!!」

保坂「阻止…か。悪くない展開だ」

保坂「困難があればあるほど、成し遂げた時に、その道程は2人の宝となるのだから!あはは!あはは!あはははは!」スタスタ

千秋「待てー!今阻止すると言っている!」

19: 2023/12/21(木) 20:19:53.402 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「今、阻止するのか?」

千秋「いまそしー!」

保坂「そうか…」

千秋「……」

保坂「……」

千秋「……」

千秋(ん…これは何の時間だ…?)

20: 2023/12/21(木) 20:21:55.886 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(カレーの妖精…黙って突っ立っているが…阻止に成功したということか?)

保坂「阻止されても構わない」

千秋「お…」

保坂「何秒でも、何分でも、いや…何日でも阻止されよう!」

保阪「俺は拒まない、何故ならば…」

保坂「阻止をされても!!!再び挑戦する男だからだ!!!」

千秋「!?」

21: 2023/12/21(木) 20:24:09.302 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「保坂が挑み続ける限り…誰もこの保坂を阻止する事は出来ない!!!」

千秋「おおおお…」

千秋(カレーの妖精…ポップな名前をしているくせに、なかなか大したヤツだ……あ、名付けたの私か)

「…あき〜?」

千秋「ん?」

「ちあきー?」

千秋「この声は…」

22: 2023/12/21(木) 20:27:06.423 ID:dlQTnV5z0.net
春香「千秋〜、おつかいのメモ、忘れていってるわよ」

千秋(この声は春香姉様!?)

千秋(メモ…しまった!直前まであの馬鹿野郎(次女)を相手にしていたからテーブルに置き忘れてしまった)

千秋「カレーの妖精!停戦だ!」タタタタタッ

保坂「停戦…か…。いいだろう」

保坂「今、南春香のような声が聞こえた気がしたが…これもクリスマスが囀る幻聴か」

保坂「まさに聖戦というわけだ…そしてこれは後に『Haruka War』という名で語り継がれ…うんぬんかんぬん」スタスタ

23: 2023/12/21(木) 20:30:07.752 ID:dlQTnV5z0.net
春香「あ、いたいた!千秋、メモ忘れているわよ」

千秋「わざわざ申し訳ありません春香姉様!」

春香「ここまで来たし、せっかくだから一緒にお買い物しよっか」

千秋「はい、春香姉様!」

千秋「あっ!待ってください!」

千秋(まずい!このスーパーには戦争中のカレーの妖精がいる!会わせるわけにはいかない!)

25: 2023/12/21(木) 20:32:07.791 ID:dlQTnV5z0.net
春香「お肉見てこようかしら」カッカッ

千秋「あっ、まだそっちに行っては…!」

千秋「……」

千秋「…あれ?カレーの妖精がいない…」

千秋「帰ったのか?あぶないところだった…」

26: 2023/12/21(木) 20:35:06.246 ID:dlQTnV5z0.net
◎みなみけ◎

千秋「……」ボーッ

夏奈「どーしたんだ千秋?ハトみたいにボーッとして」

千秋「鳥頭のお前に相談しても無駄だ」

夏奈「あのな…私は千秋より数年長く生きている。年長者の知恵は役に立つぞ?」

千秋「ではダメ元で聞くが、春香姉様がクリスマスに男と過ごす事についてどう思う?」

夏奈「は?」

千秋「ほらな、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」

27: 2023/12/21(木) 20:38:10.823 ID:dlQTnV5z0.net
夏奈「うーん…」

千秋「お子様のお前にはまだ早い」

夏奈「それは小学生の千秋が言えるセリフだろうか」

夏奈「なるほどな…では私としては珍しく気を遣って、深入りせずに答えてやろう」

夏奈「春香はもうほぼ大人だし、別に自然な事なんじゃないのか?」

千秋「…なにっ?」

夏奈「高校生にもなると彼氏の1人や2人くらい、いてもおかしくはないでしょう」

28: 2023/12/21(木) 20:41:11.024 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「貴様…もういい…しゃべるな」

夏奈「そして心配するな!クリスマス当日、千秋の相手は私がしてやるから」

千秋「とても心配するよ!」

千秋「はぁ…」

千秋(しかしそうか…春香姉様は大人なんだ)

千秋(大人の女性が大人の男性とクリスマスを過ごす事は…考えてみれば自然な事)

29: 2023/12/21(木) 20:44:04.873 ID:dlQTnV5z0.net
千秋(春香姉様を任せられる男は少ない…しかしカレーの妖精ならば、あるいは…)

千秋(カレーの妖精は決して悪くない男だ…春香姉様を幸せに出来るかもしれない…)

千秋「カレーの妖精、お前の勝ちだ…」

夏奈「かれーのようせい…?」

千秋「カレーの妖精、頼んだぞ…」

夏奈「おい、頭大丈夫か?」

30: 2023/12/21(木) 20:47:08.576 ID:dlQTnV5z0.net
◎高校◎

保坂「マキ、ちょっといいか」

マキ「きも…いや、何でしょうか?」

保坂「南春香とクリスマスを過ごそうと考えているのだが」

マキ(きもちわるい)

マキ「あのー保坂先輩」

保坂「なんだ?」

31: 2023/12/21(木) 20:50:13.007 ID:dlQTnV5z0.net
マキ「保坂先輩は春香と会話した事ないですよね?」

保坂「その話は後で聞こう」

マキ「会話した事ないので、クリスマスを一緒に過ごすのは難しいんじゃないかと…」

保坂「なるほど…それではまず会話をしなくては」

マキ「あ!それと春香は子育てが忙しいので!」

保坂「2人の愛らしい娘達のことか!?」

マキ(何なのよその言い方…)

32: 2023/12/21(木) 20:53:11.999 ID:dlQTnV5z0.net
マキ「ええ!なので春香は子供達とクリスマスを過ごすのではないでしょーか!?」

保坂「……」

マキ「……」

保坂「……」

マキ「あのー……保坂s」

保坂「…ングァハアァ!!!!」

マキ「うわあビックリしたぁ!!!」

33: 2023/12/21(木) 20:57:07.123 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「…何という事だ!!!そうだったのか!!!」

マキ「そ、そーなんです!だから諦めてください!」

保坂「娘達よ…」

マキ「?」

保坂「サンタクロースは、訪れる」

マキ「は?」

保坂「幸せは必ず、この俺!サンタが届ける!」

マキ「ヒェッ…」

保坂「パパが!!必ず!!!」

マキ「ヒエエエエ…!」

35: 2023/12/21(木) 21:00:34.944 ID:dlQTnV5z0.net
◎スーパー◎

千秋(カレーの妖精、今日は来ているだろうか)

保坂「いまさーらーガーラームーマアアアアア」

千秋「いた」

保坂「よし。クリスマスの計画は完璧だ」

千秋「お…」

保坂「クリスマス、絶対に幸せにしてみせる…南春香」

36: 2023/12/21(木) 21:03:55.706 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「カレーの妖精…」

千秋(お前なら…春香姉様を幸せにできるだろう…)

千秋(頼んだぞ…カレーの妖精…)

千秋(そして春香姉様…お幸せに…!泣)

保坂「そして待っていろ…」

千秋「シクシク」

保坂「待っていろ…娘達よ!」

千秋「……」

37: 2023/12/21(木) 21:06:05.595 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「……」

千秋「娘達?」

保坂「俺の愛する!!!」

保坂「娘達よ!!!」

千秋「……」

千秋「俺の愛する…」

千秋「娘達……?」

千秋「……」

千秋「……」

千秋「カレーの妖精!子供がいるのか!?」

38: 2023/12/21(木) 21:09:08.153 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「俺はパパだ。パパと呼べ」

千秋「な、なんだってー!!!」

千秋「ということは…カレーの妖精が言う「みなみはるか」とは、カレーの妖精の妻で…」

千秋「うちの春香姉様ではない、同姓同名の、別の「みなみはるか」だということか!」

保坂「南春香と娘達へ…レンガのお家に薪ストーブ、最高の料理を!最上のクリスマスを!」

千秋「マキって薪ストーブのことかよ!!」

保坂「薪ストーブでなければならない」

千秋「ややこしいんだよバカヤロー!」

保坂「レッツ、クリスマス!!!」

39: 2023/12/21(木) 21:12:06.383 ID:dlQTnV5z0.net
◎クリスマス当日◎

春香「クリスマスチキンよ〜」

夏奈「おいしそ〜!いっただきまーす!」

千秋「春香姉様」

春香「なあに?」

千秋「クリスマスを春香姉様と過ごす事が出来て、私は幸せです」

春香「改まってどうしたの?照れるわねぇ。ありがとう千秋」

40: 2023/12/21(木) 21:15:04.848 ID:dlQTnV5z0.net
夏奈「なーに。コイツは春香に彼氏がいると思い込んで」

千秋「おい、だまれ!」

春香「彼氏だなんて…そんなのまだいないわよ〜」ポッ

千秋「そうです春香姉様。それでいいんです」

夏奈「青春を無駄にしちゃダメだろー」モグモグ

千秋「じゃあお前は高校生になったら秒で彼氏作れよ」

夏奈「えっ」ギクッ

41: 2023/12/21(木) 21:18:06.822 ID:dlQTnV5z0.net
千秋「彼氏の2人や3人作って、はっちゃけろよ!?」

夏奈「そ、それは…その時になってみないと分かんないよ〜…」

春香「はーい、一旦止めて、乾杯しましょう」

千秋「はい…それじゃあ」

夏奈「せーのっ」

春香・夏奈・千秋「「「メリークリスマス!」」」

千秋(そしてカレーの妖精にも…メリークリスマス)

42: 2023/12/21(木) 21:21:07.446 ID:dlQTnV5z0.net
◎どこかの山奥◎

保坂「伝統的なヨーロッパスタイルのレンガ造りに、薪ストーブ…この暖かな部屋…」

保坂「この日の為の伝統的なクリスマスに従った料理の品々…!」

保坂「俺達は最上のクリスマスを過ごし…消灯後は煙突からサンタクロース(保坂)が娘達のもとへ…そしてプレゼントを枕元へ届ける…」

保坂「計画通り!完璧なクリスマスだ!」

保坂「……」

保坂「……」

ストーブの前に座ってるトナカイ「……」

保坂「ところで」

保坂「南春香と娘達は、どこだ?」

44: 2023/12/21(木) 21:26:03.311 ID:dlQTnV5z0.net
保坂「ふっ…聖なる夜のいたずらか」

保坂「全てが予定調和にはいかない。それもまた一興!」

保坂「南春香と娘達よ…今頃、良いクリスマスを過ごしているのだな…」

保坂「お前達が幸せならばNo problem」

保坂「しかし!必要ならばいつでもここに来るといい!」

保坂「いつ来てもいいように、俺はここでお前達のクリスマスを見守ろう…」

保坂「さぁ!聖なる夜を共に過ごそうではないか!あはは!あはは!あはははは!!!」

保坂「メリークリスマス!!!!」





おわり

45: 2023/12/21(木) 21:28:49.307 ID:cqTwpmC3d.net

46: 2023/12/21(木) 21:29:14.464 ID:hnVKtegg0.net
おつ

引用: 保坂「クリスマスは南春香と共に…」千秋(え?今、南春香って言ったか?)