136: ◆3QM4YFmpGw 2014/05/21(水) 00:07:47.23 ID:05qgQJtF0

137: 2014/05/21(水) 00:08:37.63 ID:05qgQJtF0

ライラ『みなさーん、今日はライラさんのバースデーライブにお越しいただいて、とてもありがとうございますですよー』

観客「ライラさーん!!」

ライラが客席に手を振ると、大歓声がホール中に響き渡る。

ライラ『次の曲はクールP殿に作詞してもらったわたくしのデビュー曲「アイスクリーム・クライシス」ですよー』

観客「うおおおおおおお!!」

ライラ『合いの手をよろしくお願いしますです。あ、わーんつーすりーふぉー……』

ライラの合図でバックバンドがイントロの演奏を始める。

会場の熱は増すばかりだ。

ライラ『ラ・ラ・ラ・ラ・ラ……♪』

ライラが歌い始めれば、もうボルテージは最高潮。

観客「わぁぁー!!」

そんな光景を、彼女の担当プロデューサーがステージ脇から眺めていた。

クールP「…………」

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



138: 2014/05/21(水) 00:10:09.24 ID:05qgQJtF0
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ライラの楽屋。

ライラ「ふう、おしまいでございます」

シャルク『おつかれさまです、ライラさま。ドリンクがひやしてあります』

ガルブ『ファンからプレゼントがとどいています。もちろん、なかみはスキャンずみです』

シャルクがクーラーボックス、ガルブがいくつかの小箱を抱えながらライラに近寄る。

ライラ「ありがとうですよ。んぐんぐ……ぷはっ。ところでクールP殿はどちらですか?」

ライラが周囲を見回すが、そこにクールPの姿はない。

シャルク『すこしようがあるといって、せきをはずされました』

ガルブ『もどりがおそいようなら、ライラさまのそうげいをまかせる、ともいわれております』

ライラ「……シャルクとガルブがでございますか?」

ライラは二人へきょとんとした表情を向けた。

139: 2014/05/21(水) 00:10:49.32 ID:05qgQJtF0
ガルブ『しんぱいごむようです。クールピーさまよりこれをあずかっております』

ガルブが自慢げに取り出したのは、一冊の手帳。

表紙にはクールPの丁寧な字で『プロデューサーのいろは』と書かれている。

シャルク『こんごは、クールピーさまもおひとりでふたりのアイドルをどうじにアシストすることはむずかしいだろうと……』

ガルブ『われわれが、プロデューサーみならいとしてライラさまにおつきします』

ライラ「それは頼もしいですねー。では、わたくしの次のご予定は何でしょうか?」

ライラに尋ねられ、シャルクはスケジュール帳をパラパラとめくって答えた。

シャルク『つぎはぼうきょくでバラエティばんぐみのしゅうろくです。からだをつかったゲームでしかいチームとたいけつするものですね』

ガルブ『ライラさまはゲストのアイドルチームとして、ようこさまとしのぶさまときょうえんとなっております』

それを聞いたライラは少し考えてから口を開いた。

ライラ「うーん……たしかシノブさんとご一緒のお仕事は初めてでございますね。楽しみです」

んっ、と軽く伸びをして、ライラは椅子から跳ね起きた。

そして率先して楽屋のドアを開けようとした瞬間、ドアの向こうからノックの音が響いてきた。

ライラ「はい、どうぞです」

140: 2014/05/21(水) 00:11:35.36 ID:05qgQJtF0
ドアを開けて入ってきたのはクールPだった。

クールP「やあライラ。もう出発かな?」

ライラ「はいです。クールP殿が送ってくれますですか?」

クールP「いや、悪いけど別の用が入ってしまってね。送迎はシャルクさんとガルブさんにお任せするよ」

ライラ「そうでございますか」

クールP「……ライラ、最近はアイドルヒーローがだいぶ板についてきたね」

クールPがライラの頭を撫でながら微笑んだ。

秋炎絢爛祭でのデビュー発表以降、ライラは大小様々な仕事をこなしてきた。

監視役・APと友達になる懐柔策、先輩アイドルのバックダンサー、奴隷商人に攫われた人々の救出、オールヒーローズフロンティア……。

その下積みがあったからこそ、今日という日にバースデーソロライブを開けるまでに至ったのだ。

ライラ「はい。ライラさん頑張りました」

クールP「うん。これからも頑張ってほしいな」

ライラ「はい。でも……」

クールP「でも?」

クールPの、ライラの頭を撫でる手が止まる。

141: 2014/05/21(水) 00:12:09.64 ID:05qgQJtF0
ライラ「アイドルヒーローだけでなく、ライラさんはお二人の『計画』ももっとお手伝いしたいですよ」

クールP「…………!」

ライラの言葉に、クールPは思わず絶句した。

ライラ「……クールP殿?」

クールP「…………あ、いや、何でもないよ。そうだね……とりあえず今はまだ、APの監視を一身に受けていてほしいかな」

少しだけ慌てた様子で、クールPは口を開いた。

クールP「ほら、それよりも。そろそろ移動しないと間に合わないんじゃないかな?」

シャルク『そうですね。いそぎましょうライラさま』

ライラ「あ、そうでございますね。ではクールP殿、また事務所でですよ」

ガルブ『わたしがくるまをだしましょう』

ライラ「ガルブ、運転免許を持っていたですか?」

ガルブ『ふっ、ライラさま。きかいがきかいをうごかすのに、とくべつなしかくはひつようありませんよ』

142: 2014/05/21(水) 00:13:05.44 ID:05qgQJtF0
三人が慌ただしく出ていった楽屋の中で、クールPは一人立ち尽くす。

クールP「……………………ハハハッ、これは傑作だ。もう笑うしかない…………」

僕がライラを見つけ拾った時、ただ利用するだけの存在としてしか見ていなかった。

それは当然のこと、何故なら僕は立場のみとはいえ『利用派』に属する吸血鬼だからだ。

帝王や御大将だって利用しているに過ぎない、全ては僕が吸血鬼の王となる為に。

だが……彼はライラの言葉で気づかされた。

クールP「彼女に言われるまで……僕は『彼女達を利用している』ということをすっかり忘れていた…………アハハハッ」

担当プロデューサーか、はたまた兄か父親か。

とにかく、そういう目線でライラを見続けていたことに、気づかされたのだ。

いつ頃からそうなったのか、全く覚えがない。

このまま彼女を抱えていては、また同じことが起こるかもしれない。

捨てるか? とも考えるが、すぐに首を横に振る。

クールP「いま彼女を手放せば上層部やAPの疑念はすぐに僕たちへ向かう……それだけは避けないと……」

やがて、クールPは小さく息を吐いてからどこかへ電話を掛けた。

クールP「……ああ、もしもしチナミさん。……いや何、ちょっと声が聴きたくなって…………はは、これは手厳しい」

電話口から飛び出すチナミの嫌味に苦笑しながら、クールPは近くの椅子に掛けた。

クールP「実は偶然この後仕事が空いていてね、良かったら夕飯でもどうかと…………」

気分のリフレッシュ、仄かな恋の攻略、今後の為の情報収集。

三つの目的を同時に進行させようとするクールPの顔は、少しだけ気分よさげに微笑んでいた。

続く

143: 2014/05/21(水) 00:15:31.70 ID:05qgQJtF0

以上、ライラ誕生日&クールP心境の変化
え? 最初が菜々さんとダダ被りだって? しょうがねえだろアイドルヒーローだぜ!?(逆切れ)

名前だけ洋子、忍お借りしました

144: 2014/05/21(水) 01:34:35.50 ID:2MgbAOXB0
乙ー

ライラさん誕生日おめでとう!
クールPはどうするのかね?今後が楽しみ

145: 2014/05/21(水) 07:51:38.95 ID:As04sEZQ0
乙です
ライラさん誕生日おめなのですよー

ちゃんとアイドルやってるなぁと改めて実感。…機械が機械を動かすのにたしかに免許はいらないな、うん
クールPもちょっと複雑な心境になってきた?これからが楽しみだネ



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 part10