287: ◆6osdZ663So 2014/06/15(日) 18:02:47.77 ID:FRVOrVQHo
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです
前回はコチラ
トウカサセテイタダキマスー
288: 2014/06/15(日) 18:03:14.19 ID:FRVOrVQHo
6月14日(土)
◇某高校◇
美穂「うーん……」
卯月「美穂ちゃんがすっごく悩んでます、どうしたのかな……」
茜「やっぱりさっきの授業難しかったからかな?」
卯月「あ、それは違いますよ、茜ちゃん」
卯月「美穂ちゃんはさっきの授業ぐっすり寝てましたからっ!」
美穂「ふぇっ!?!う、卯月ちゃん、み、見てたのっ!?」
卯月「はいっ、ばっちり!とっても気持ち良さそうでしたよ!」
美穂「うぅう……は、恥ずかしい……」
茜「でも気持ちはわかりますっ!教室の窓から差し込む午後の日差しは、とっても気持ちいいものですからねっ!!」
美穂「分かってくれるんですね!茜ちゃんっ!」 ギュッ
茜「ええ!もちろん!だって私たちは親友ですからね!美穂ちゃん!!」 グッ
卯月「えっ、何だろうこのノリ。わ、私も分かるって言っておいたほうがいいのかなぁ…?」
----------------------------------------
それは、なんでもないようなとある日のこと。
それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
~中略~
「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
289: 2014/06/15(日) 18:03:43.16 ID:FRVOrVQHo
卯月「ところで、美穂ちゃんは何を悩んでたの?」
茜「悩み事があるなら友人として放っては置けませんっ!もし辛いことあるなら相談にのりますよっ!!!」
美穂「えっ?えっと……辛いことで悩んでた訳じゃなくって、その…プレゼントで悩んでて」
卯月、茜「ぷれぜんと?」
美穂「うんっ!お誕生日プレゼントですっ、肇ちゃんへの!」
美穂(6月15日は肇ちゃんのお誕生日です!)
美穂(以前、肇ちゃんには私の誕生日を…とってもとーっても素敵な形でお祝いして貰ったから)
美穂(私も何か素敵な形でお祝いを返したいけど……)
卯月「なるほど、居候の女の子へのプレゼント」
茜「ううーん……それは難題ですね!!!」
美穂「そうなんだ…なかなか素敵なものが思いつかなくって……」
美穂「うぅ……お誕生日はもう明日なのになぁ……」
290: 2014/06/15(日) 18:04:22.28 ID:FRVOrVQHo
美穂「うーん……うーん……」
美穂「あーでもない……こーでもない……」
卯月「……ふふっ」
茜「?」
茜「卯月ちゃん、どうかしましたか?」
卯月「いえ、美穂ちゃん悩んでるけど……それも結構楽しそうですから」
茜「……ですね!!」
茜「その人が喜んでくれる姿を思えば……プレゼント選びはとってもウキウキするものですっ!!」
茜「ならばこうしてはいられません!!美穂ちゃん!私も一緒に悩みますっ!!!」
美穂「えっ」
茜「考える人が2人居ればさらにいい考えが浮かぶはずです!!」
美穂「茜ちゃん……」
卯月「そうですね、1人じゃ思いつかなくても、私達も考えればいい物が思いつくかもしれません」
卯月「三人寄ればかしましいです!」
美穂「卯月ちゃん……」
美穂「たぶん、この場面に適切なのは三人寄れば文殊の知恵じゃないかな?」
卯月「えっ……へ、へごった訳じゃないですからねっ!」
美穂(へご…?)
美穂「ふふっ……でも一緒に考えてくれるって言ってくれて嬉しいな、2人ともありがとうございます!」
卯月「いえいえー」
茜「えへへっ」
――
――
291: 2014/06/15(日) 18:05:12.01 ID:FRVOrVQHo
――
――
美穂「……はい、けど結局何も思いつかないままに学校からの帰り道です」
美穂「色々と案は出してもらえたけれど……なかなかしっくり来なくて……」
美穂「うぅ、2人には申し訳ない……」
美穂「……」
美穂「肇ちゃんの事だからきっとどんな物でも喜んでくれるんだろうけれど……」
肇『美穂さん、私にこんな素敵な贈り物。ありがとうございます』 ニコリ
美穂「……かわいい」
美穂「じゃなくって、真面目に考えなきゃ」
美穂「プレゼントも用意しなきゃだけど……やっぱり演出には拘ったほうがいいのかなあ……」
美穂「となるとサプライズがいいのかな?……私のときはすっごく驚かされたし……」
美穂「うーん……でも上手く出来る気がしない……」
美穂「私がする隠し事って肇ちゃんにはすぐバレちゃいそうだし……」
美穂「うううーーん……悩みどころです」
美穂「……と、そんなこんなで悩んでいたらもうお家です」
美穂「ってあれ?」
美穂「誰か来てるみたい?」
292: 2014/06/15(日) 18:05:50.13 ID:FRVOrVQHo
◇小日向家◇
美穂「ただいまー」
肇「おかえりなさい、美穂さん……」
美穂「……?」
美穂「肇ちゃんどうしたの?なんだかげっそりしてるみたいだけど……」
肇「いえ……少し……ほんの少しですけど、疲れることがあって……」
肇「あ、心配には及びませんよ!すぐに!本当すぐに帰らせますから!」
美穂「帰らせる……?」
「おやおや、帰ってきたようであるな、美穂さん」
肇「あっ」
美穂「……」
美穂(奥の方から、スラリと長身で和服を着た男の人が現れました)
美穂(……もちろん知ってる人なので、今更その人の外見の特徴を描写する必要はないのですが)
美穂(今回はあえてやらせて貰います)
美穂「あの、肇ちゃんのお父さん……突っ込んだほうがいいですか?」
藤原父「ん?何かおかしいかな?」
美穂「なんですか、その頭の……?」
美穂(その男の人の頭の上には……)
美穂(三角錐の形をした背の高いやけにキラキラとした飾りのついてる帽子が乗っていました)
293: 2014/06/15(日) 18:06:33.63 ID:FRVOrVQHo
藤原父「ふむ、やはり美穂さんは良い所に気がつく!」
藤原父「この帽子は、『ぱーてぃーはっと』と呼ばれる物であるそうでな」
藤原父「世間で祝い事があるときは、これを被るのが慣わしなのだろう?」
美穂「……た、確かにそう言う三角錐の帽子を被る事もあるかもしれませんけれど……」
藤原父「いやはや、この帽子は便利でな!」
藤原父「私の頭に生える鬼の角もすっぽりと、それとなく隠せるのだ」
藤原父「おかげで今日、この家をお邪魔するために人里を歩く際も一目を引かずに済んだ」
藤原父「はっはっは!」
美穂(……流石は……鬼の里出身の半妖と言ったところなのかな……)
美穂(疎いっ!!肇ちゃん以上に世間に疎いっ!!!)
美穂(しかも、それを頭に被って外の道を歩いてたなんて……)
美穂(そりゃあ通行人も目を背けますよっ!?)
肇「すみません……なんかもう本当すみません」
294: 2014/06/15(日) 18:07:15.55 ID:FRVOrVQHo
肇「お父さん……私の誕生日の事で…ちょっとはしゃいじゃってるみたいで……」
美穂(ちょっとはしゃいでるで済むのかなぁ……)
美穂「あれ……?と言うか……肇ちゃんの誕生日って15日……つまり明日だったよね?」
藤原父「うむ、そうなのだ。肇の誕生日は明日であった!」
藤原父「どうやら私は一日も早く来すぎてしまったらしい!はっはっは!」
美穂「ねえ、肇ちゃん……もしかしてだけど」
肇「はい、美穂さんが考えてる通りだと思いますが……」
肇「お酒入ってます」
美穂「やっぱり……」
美穂(このめんどくさい感じはそうだよね)
美穂(お酒が入るとめんどくさくなるのは、私のお父さんも一緒だからわかります)
藤原父「ああ、以前知人から大量に頂いた酒が随分と余っていたのでな」
藤原父「小日向殿の家に尋ねる際の手土産にしようと思っていたのだが……」
藤原父「持ってくる前に味見をさせて貰っていたら……いやはや、あまりの旨さに口が進んでな!」
藤原父「気付けばこの通りだ!はっはっは!」
美穂「陽気に笑ってるけど……」
肇「もう……お父さん、一口でも飲んだら妖術が使えなくなるくらいお酒弱いのに……」
美穂(あ、そう言えばこの人普段(素面)なら心を読めるんだったよね……今更だけどかなり失礼な事思ってたかも)
295: 2014/06/15(日) 18:08:10.16 ID:FRVOrVQHo
美穂「とりあえず……肇ちゃんの誕生日のお祝いのために来てくれたんですよね?」
藤原父「その通りだ。肇の様子見もかねてな!」
藤原父「本当は父も来たがっていたのだが……」
肇「流石にお爺ちゃんまで来てたら私も怒るよ」
藤原父「はっはっは!そう睨むな、ちゃんとわかっている!」
藤原父「いくら酔っているとはいえ、そのくらいの分別はあるとも」
藤原父「父の様な大妖怪がその辺をうろうろしていれば、悪戯に人の世を乱すだけであるしな!」
肇「分別ついてるって言うならお酒飲んでから来ないでよ……」
美穂「でも、それなら帰ってもらうのも悪いよ。肇ちゃんのために来てくれたみたいだし」
肇「ですが……」
美穂母「そうよ、肇ちゃん。そんなに気を使わなくたっていいんだから」
美穂「あ、お母さん。ただいま」
美穂母「おかえり、美穂」
296: 2014/06/15(日) 18:08:50.19 ID:FRVOrVQHo
美穂母「藤原さん、客間にお布団敷きましたから、よければ酔いが醒めるまでどうぞ横になっててください」
藤原父「いやいや、そこまでしていただかなくとも、このくらいならば問題は……」
美穂母「いえいえ、お気になさらずどうぞ」
藤原父「心配にはおよば……」
美穂母「お 気 に な さ ら ず ど う ぞ」
藤原父「……」
藤原父「では、お言葉に甘えさせていただくとしよう」
藤原父「この様な酔っ払いに、ここまで気を回していただきかたじけない」
肇「もう、本当だよ」
藤原父「客間は…こちらだったかな?」
肇「お父さん、そっちはトイレだから。……平気そうな顔してるけど足元もフラついてるよ」
肇「ほら、私が支えるから……」
藤原父「ふふっ、済まぬな」
肇「美穂さんのお母さん、私の父の為にわざわざすみません」
美穂母「肇ちゃんのせいじゃないから、気を使わなくってもいいのよ」
肇「……父には言い聞かせておきます」
肇「美穂さんもすみません、父は私がお部屋まで連れて行きますから」
美穂「ううん、私の事は気にしないで」
肇「ありがとうございます。ほら、お父さんこっちだよ」
藤原父「はっはっは、委細承知した!」
肇「もう、どうして楽しそうなの」
297: 2014/06/15(日) 18:09:41.69 ID:FRVOrVQHo
美穂「……」
美穂(肇ちゃんのお父さんが来てるなら、どっちにしてもサプライズでは祝えなかったかな?)
美穂母「……不器用よねえ」
美穂「えっ?」
美穂母「藤原さんの気持ちも分かるけど、あれじゃあ年頃の娘の印象はよくないかな」
美穂「……わかっちゃうんだ……あんな風になっちゃう気持ち」
美穂母「そりゃあ分かるわよ、親だもの」
美穂母「子供が遠く離れちゃって、見えないところに居ると、どうしても心配しちゃうものよ」
美穂「……」
美穂母「でも子供の方は案外平気だったりして……」
美穂母「それが寂しくて、余計に構いたくなっちゃったり、逆に構って欲しくなちゃったりね」
美穂母「ふふっ、意外と親離れよりも子離れの方が難しいのよね」
美穂「……お母さん達も?」
美穂母「ええ、もちろんでしょ」
美穂母「まさか美穂がヒーローだなんて、今でも心配に決まってるじゃない」
美穂「……」
美穂母「でもそれがあなたの決めた道なら、私は見送る覚悟はできてるから」
美穂母「これからも美穂は好きにやっちゃいなさい」
美穂「……うんっ!お母さんありがとう」
美穂母「お礼はいらないわよ、美穂を味方するのは親として当たり前の事だから」
298: 2014/06/15(日) 18:10:23.75 ID:FRVOrVQHo
美穂母「でもそうねえ……代わりってわけじゃないけど、子供としての義務も果たして貰いたいかな?」
美穂「えっ?ぎ、義務?」
美穂母「言っておくけど、あなたのお父さんだって藤原さんに負けず劣らず心配性よ」
美穂「ううっ……想像できちゃうなあ……」
美穂母「だから、ほんのすこしだけでいいから労ってあげてほしいのよ」
美穂「労い?」
美穂母「これよこれ」
美穂「チラシ?……あ、近くの大型デパートの」
美穂「……『父の日感謝祭 大バーゲンセール』」
美穂母「今年は6月15日が父の日なのよ」
美穂「あ、そう言えば……」
美穂母「美穂は肇ちゃんの誕生日のことで頭が一杯で忘れてたんじゃないかしら?」
美穂「え、えっと……うん……完全に忘れてたかも」
美穂母「泣くわよ、お父さん」
299: 2014/06/15(日) 18:11:19.84 ID:FRVOrVQHo
美穂母「まあそう言うわけで、お金は渡すから何かあの人に買ってあげてきてほしいのよ」
美穂「何かって、私が選ぶの?」
美穂母「もちろんよ。あなたが選ぶから意味があるでしょ?」
美穂「……」
美穂母「美穂?」
美穂「うん、わかったお母さん。お父さんへのプレゼントも私に任せて!」
美穂母「ええ、頼んでおくわね」
美穂「それに……サプライズも出来そうになかったから丁度良かったかも」
美穂母「?」
300: 2014/06/15(日) 18:11:58.98 ID:FRVOrVQHo
――
美穂「と言う訳で、肇ちゃん」
美穂「明日なんだけど、一緒にデパートに行かないかな?」
肇「……でぱーとですか?」
美穂「あ、鬼の里にはなかっただろうし……知らないかな?」
肇「いえ、どのような施設かは把握していますよ」
肇「たくさんのお店が入ってる大規模な販売施設のことですよね」
美穂「うん!色んなお店があるから友達と一緒に見て回るだけでも結構楽しいんだよ」
美穂「明日は肇ちゃんのお誕生日だけど、父の日でもあるから」
美穂「お父さん達への贈り物を買いにね」
美穂「肇ちゃんのお父さんも今日は家に泊まって、明日の夜まで居るみたいだし、丁度いいかなって」
肇「お父さんへの贈り物ですか……なるほど、いいですね」
301: 2014/06/15(日) 18:12:38.34 ID:FRVOrVQHo
美穂「それとね、肇ちゃんへのお誕生日プレゼントも一緒に買っちゃおうっ」
肇「えっ?」
美穂「ごめんね、色々考えたんだけど今日までずっとしっくり来るプレゼントが思いつかなくって」
肇「いえ、そんな事…全然構いませんよ。私自身も美穂さんの時は同じく当日まで悩みましたし」
肇(と言うか、その時はお誕生日である事を当日に知ったのですが……)
美穂「それで、せっかくデパートに行くなら……」
美穂「肇ちゃんへのプレゼントも…一緒にお店を見て回って……一緒に決められたらいいんじゃないかなって」
美穂「……どうかな?」
肇「ふふっ、なるほど合理的で良い案だと思います」
肇「是非っ、お供させてください」
美穂「うん!ありがとう!肇ちゃんっ!」
肇「お礼を言うのはこちらですよ」
肇「美穂さん、私へのプレゼントの為に色々と頭を悩ませてもらい本当にありがとうございます」
肇「ふふっ、明日は素敵な日になりそうです」
美穂(うん、絶対肇ちゃんが素敵だったって喜んでくれる日にしなきゃ!)
302: 2014/06/15(日) 18:13:39.96 ID:FRVOrVQHo
――翌日
――6月15日(日)ー
◇ 駅前 櫻屋百貨店前 ◇
肇「で……デカいです」
美穂「こうして外からじっくり見ると……本当にデカいね」
肇「これがデパートですか……もしかすると鬼の城よりも大きいかもしれません」
美穂「冬休みに一緒に行った鬼の里のお城だよね、確かに良い勝負しそうかも」
美穂(ある意味、デパートもダンジョンって言えるかもしれないし)
ガヤガヤ ガヤガヤ
肇「すごいですね……人通りもとても多くて…目を回してしまいそうです」
美穂「今日は日曜日だし、『父の日感謝祭』って事で大バーゲンをやってるみたいだから」
肇「なるほど……だから皆さんこぞってお買い物に来ているわけですね」
美穂(けれど……どうして『父の日感謝祭』をこんなに盛大にやってるんだろう?)
美穂(……櫻屋百貨店は……たしか前に調べた時、櫻井財閥が関わってるらしいって知ったけど……)
美穂(櫻井財閥と父の日が関係あるのかな……?)
303: 2014/06/15(日) 18:14:28.71 ID:FRVOrVQHo
◇1F 集合販売店 ぬいぐるみ店◇
美穂「はぁあ……おっきなクマさんです……ぎゅうう」
肇「ふふっ」
美穂「はっ……ご、ごめんね!肇ちゃんやお父さんのためのお買い物の日なのに真っ先にここに来ちゃって!」
肇「いえ、構いませんよ。ふふっ、それにしても美穂さん本当に熊さんが好きなんですね」
美穂「うんっ!抱いているとなんだか安心しちゃうからっ!えへへっ」
肇「それは買っちゃいますか?」
美穂「うーん、この大きさと抱き心地はとっても捨て難いけれど……」
美穂「家にはプロデューサーくんが居ますからっ」
肇「そうですね。でももし、プロデューサーくんは仲間が増えたら喜ぶのでしょうか?それとも嫉妬しちゃったりするのかな?」
美穂「ふふっ、どっちにしても可愛い姿が目に浮かぶけれどね」
「もふもふ」
美穂「あ、こっちにもおっきなクマさんがっ。ぎゅっ」
仁奈「ふふふ、抱きつかれるクマの気持ちになるですよ!」
美穂「えっ」
304: 2014/06/15(日) 18:15:06.56 ID:FRVOrVQHo
仁奈「好きなだけもふもふするでごぜーます」
美穂「わわっ!き、着ぐるみでした!?ご、ごめんなさいっ」
仁奈「?…もうもふもふはでもうしねーですか?」
美穂「え、えっと…は、はい、満足しました」
仁奈「それなら良かったですよ」
ニナチャーン
仁奈「! お連れが呼んでるので、さらばでごぜーます」
トテ トテ トテ
美穂「……びっくりしちゃったなあ」
肇「あの子は……」
美穂「? どうしたの、肇ちゃん?」
肇「……ふふっ、いえなんでも」
肇「もしかしたら美穂さん、今日は良い事があるかもしれませんよ」
美穂「?」
305: 2014/06/15(日) 18:15:35.88 ID:FRVOrVQHo
◇エスカレーター◇
肇 ソワソワ
美穂「肇ちゃん?」
肇「い、いえ……その……階段が動くのがなんだか落ち着かなくって」
美穂「あ、そうだよね。鬼の里にエスカレーターはなかったし……」
肇「足元が昇っていく感覚はなんだか変な感じです」
肇 ソワソワ
美穂「ふふっ」
肇「あ、も、もう!わ、笑わないでください!」
美穂「ごめんね、ふふふっ」
肇「むぅ……」
306: 2014/06/15(日) 18:16:15.03 ID:FRVOrVQHo
◇2F 婦人服売り場◇
美穂「やっぱり女の子としてはオシャレにも気を使いたいです」
美穂「だから買うお金がなくても、ついつい服を見に来ちゃったりして……」
肇「でも難しいですね……」
肇「世間で今風のファッションと言うと……私は全然からっきしですし」
美穂「うっ……実は私も得意じゃないかな……」
美穂「今日は一応お出かけだから可愛い服を着てきたつもりなんだけど……」
美穂「肇ちゃん、私の着てるこれってどうかな?」
肇「……」
美穂「……」
通りすがりの少女「……あの、やっぱりこんな所にステージ衣装があるなんて安直すぎるんじゃあ……」 スタスタ
通りすがりの水晶『この星には灯台下暗しと言う言葉があるだろう。何事も決め付けてかかるのはよくないぞ」
通りすがりの水晶『それに気配は確かにこの近くに……』
通りすがりの少女『はあ……』 スタスタスタ
肇「……」
美穂「……」
肇「美穂さんらしい可愛い服だと思いますよ」 ニコリ
美穂「……あ、ありがとう」(今の間の意味って一体……)
307: 2014/06/15(日) 18:17:43.59 ID:FRVOrVQHo
◇3F 紳士服売り場◇
肇「見たところ、このフロアは男性用の衣服売り場のようですが?」
美穂「うん、お父さんへのプレゼントは身に付けられる物がいいかなって思って」
美穂「ネクタイとか喜ぶと思うんだ」
肇「なるほど、日常的に使う物ですから、大切な人から貰えたら嬉しいと思いますよ」
美穂「……肇ちゃんも身に付けられる物がいいかな?」
肇「私は、美穂さんが選んでくれるならどんなものでも嬉しいです」
美穂「そ、そう言う事を面と向かって真顔で言われると……な、なんだか恥ずかしいな」
美穂「……あれ?あそこに居るのは…?」
黒衣P「やはりプロデューサーたるものフォーマルな衣装には気を使わなければな」
黒衣P「さて……これと……これと……これ辺りを試着してみるか」
美穂(やっぱりプロデューサーヒーローの……?)
美穂(と言うか黒子衣装にフォーマルなとかあるんだ……)
308: 2014/06/15(日) 18:18:31.75 ID:FRVOrVQHo
◇エレベーター◇
ウィィィン……
肇「……」
美穂「……」
肇「高い……ですね」
美穂「うん、外を見渡せていい景色だね」
肇「はい、きっとこのエレベーターを考えた人はロマンチストだったんでしょうね」
美穂「ふふっ、そうかもしれないね」
肇「ええ、これでもし……」
ギュウギュウ
赤い髪の少女「せ、狭いのう……」
幸薄げな少女「辛いです……」
くるくる髪の少女「もう帰りたいんですけれど……」
ギュウギュウ
肇「これでもし、ぎゅうぎゅう詰めの箱の中で無ければ、本当に素敵だったとおもうのですが……うぅ…」
美穂「大バーゲンで利用するお客さん多いからね……ちょっと苦しいよね…」
309: 2014/06/15(日) 18:19:02.97 ID:FRVOrVQHo
◇9F 催し物フロア 『日本文化展』◇
肇 マジマジ…
肇「……なるほど、いい器ですね」
美穂「わかる?」
肇「はい、刀匠見習いとして詳しいのは刀ですが」
肇「他にも古くからの伝統的な文化と言うのは、鬼の里にもしっかり伝わってますからね」
肇「ふふっ、特に備前の焼き物は、どこか故郷の香りがしますから。私は好きですよ」
美穂「そっか……うん、それならこう言うの買っちゃう?」
肇「えっ…展示品なのでは?」
美穂「展示物もあるけど、買っちゃえるものも幾つかあるみたい」
肇「そうなんですか……では、この辺りでも何か良さそうな物を探してみましょうか」
美穂「うんっ!」
美穂「えーっと……あ、刀も飾ってあるみたいだよ。肇ちゃん」
肇「おや、忍者刀ですね」
美穂「忍者刀……忍者が使う刀って事だよね」
肇「ええ、隠密活動に活かせる様調整された刀です」
肇「具体的には…」
あやめ「ニンッ!普通の刀よりも短く手に馴染みやすい刀でございます!」
美穂「わわっ!?」
310: 2014/06/15(日) 18:19:45.13 ID:FRVOrVQHo
あやめ「短い為に、取り出しや持ち出しはしやすいのですが、切れ味自体は落ちてしまうのです」
あやめ「しかしこれは真っ向勝負するための刀ではありませんが故にそれでも良かったのですね!」
あやめ「忍者は影にて忍ぶ者ですからね。その代わりに刀には色んな仕掛けが仕込まれていますよ!」
あやめ「忍刀の多くは、刃の反りは少なく鍔は大きく頑丈に作られています」
あやめ「これは塀を越えたり屋根を昇る際に、刀を足場代わりに使えるように工夫された作りになっていまして!」
あやめ「他にも鞘は先端まで穴が貫通していて、水中に隠れる際に息を吸うために活用できます」
あやめ「刀を分解して懐に隠せるようになっていたり、取り外した部分に火薬や毒薬を収納して持ち運んだりもできるんですよ!」
美穂「な、なるほど……」
肇「詳しいですね」
あやめ「ええ!忍者ですからね!ニンニン!」
美穂「……」
肇「……」
あやめ「あっ……い、いえ!!違います!!ワタシ忍者ジャアリマセーン!」
美穂「えっ!?ど、どうして急にカタコト!?」
あやめ「さ、さらばです!ドロンッ!!」 タッタッタッタ…
美穂「……急に現れて素早く去っていく様は、確かに忍者っぽかったけど」
肇「忍ぶ者にしては忍び方が甘かったですね……」
美穂「うん……」
311: 2014/06/15(日) 18:20:16.50 ID:FRVOrVQHo
◇11F レストラン街◇
美穂「うーん、これだけお店があるとやっぱり目移りしちゃうよね」
肇「お昼は、おうどんにしましょう」
美穂「え、どうして?」
肇「いえ、器をずっと見ていたからなんとなく食べたくなりまして……」
美穂「じゃあそうしよっか」
肇「はいっ、丁度そこにおうどん屋さんが……」
肇「あっ」
美穂「あっ」
菜帆「あらら~?」
『おやおや~』
美穂「菜帆ちゃんも来てたんだ」
菜帆「ええ、もちろんですよ~。女子としてバーゲンは見逃せませんからね~」
『デパ地下はもう行きましたか~?美味しいものたくさんありましたよ~』
312: 2014/06/15(日) 18:20:50.37 ID:FRVOrVQHo
肇「こちらに並んでいると言う事は、菜帆さんもお昼はおうどん屋さんですか?」
菜帆「そうですね~、と言うより~」
『フロアの端から1件1件回ってる途中ですね~』
肇「……そ、そうですか」
美穂(1件1件って……)
『本当はお友達と一緒に来てたんですけど……』
菜帆「1フロア回るって言ったらどこか行っちゃいましたね~」
美穂「…………うん」(それはそうなるよね……)
菜帆「ところで、肇ちゃん。知ってますか~?」
肇「?」
『ここのうどん屋さんの、蒸篭うどんはですね~』
『30枚以上食べる事ができたら、お食事代がタダになって』
『しかもこのデパートで使える金券まで付いてくるんですよ~』
肇「!!」
肇「……」
肇「なるほど、理解しました……」
肇「つまり、あの時のリベンジマッチですねっ!!」 ゴゴゴ
菜帆「あ、そう捉えますか~?」 ゴゴゴ
『ふふふー、受けて立ちますよ~』 ゴゴゴ
美穂(……おうどん屋さんご愁傷様です………)
313: 2014/06/15(日) 18:21:33.38 ID:FRVOrVQHo
◇B1F 地下食料品売り場◇
肇「菜帆さんは本当に凄いですね」
肇「お腹の限界なんて言葉は、きっと菜帆さんには無縁でしょう。そんな風に思える食べっぷりでした」
美穂「あれだけ食べて、このデパ地下を一通り回った後だって言うんだから」
美穂「すごいを通り越して……なんだかもう言葉では表現できないけれど」
肇「リベンジマッチも負けてしまいましたが、」
肇「それでも、菜帆さんが居てくれたおかげで、私達も金券を手に入れましたから」
肇「これを使って、家族へのお土産を買って帰りましょう」
美穂(うどん屋さんには少し悪いことをしちゃった気もするけれど)
美穂「でもせっかく貰えた物だし、使っちゃおうか」
美穂「何を買っていこう?」
肇「試食もできるみたいですから、実際にいただいてみて選んでもいいかもしれません」
美穂「そうだね、えっと……」
美穂「……あ、あれって」
314: 2014/06/15(日) 18:22:19.94 ID:FRVOrVQHo
櫂「すみません、これ試食させてもらってもいいですか?」
店員「ええ、どうぞ!是非お試しください!」
櫂「やったっ……じゃなくって…それじゃ、いただきます」
星花「私もいただきますわ。もぐっ……まあ、とても美味しいですわね」
店員「ありがとうございます!」
星花「でも今日はもう持ち合わせがなくて……」
星花「また今度来たときには、購入させて頂きますわ」
店員「いつでもお待ちしております!」
櫂「すみませーん、これ試食させてもらっても――――」
星花「まあ、とても美味しそうですわ、でも――――」
美穂「……」
肇「……」
美穂「肇ちゃん、金券あげちゃって良かったの?」
肇「もちろんですよ。フルメタルの亜季さんにはエトランゼではとてもお世話になってますから」
315: 2014/06/15(日) 18:22:51.66 ID:FRVOrVQHo
◇連接施設 シネマ◇
美穂(デパートからすぐに来れる映画館にもやってきました)
美穂(せっかく肇ちゃんとのお出かけなので、色々な事をしておきたいと思って)
美穂(だけど……)
『―――!――!』
『――!』
美穂(うーん……あんまり面白くないかな?)
美穂(いわゆる、外れ映画だったのかもしれません)
美穂 チラリ
肇「……」
美穂(……肇ちゃんは面白いと思ってくれてるかなあ……?)
肇「……」 マジマジ
美穂「……」
美穂(ん……なんだか眠くなってきちゃったかも……)
美穂「…………スー……スー」
316: 2014/06/15(日) 18:23:40.29 ID:FRVOrVQHo
肇「?」
美穂「……スヤスヤ」
肇「美穂さん寝ちゃってますね」
肇「今日は上へ下へ忙しかったですから、疲れていたのかもしれませんね」
美穂「ムニャ……」
肇「……ふふっ、美穂さん。今日は私に付き合ってもらって本当にありがとうございます」
奏「それにしても眠たくなるくらい退屈な映画よね」
肇「!」
奏「いかにも面白そうなを出しておいて、中身がこれなんて正直がっかり」
奏「そっちの子はすっかり寝ちゃってるみたいだけど、あなたもそう思わない?」
肇「えっと……?」
肇(……隣の席に座る方に声を掛けられちゃった)
317: 2014/06/15(日) 18:24:08.11 ID:FRVOrVQHo
奏「ふふっ、そんなに警戒しなくてもいいのよ」
奏「ただ見に来た映画がつまらないから、少し世間話がしたくなっただけで」
奏「何も採って食べようって訳じゃないわ」
奏「あ、それとも食べられたいのかしら?」
肇「……世間話ですか?」
奏「そう、ただの世間話。世間のお話」
奏「ふふっ、私は勝手に喋ってるから貴女は聞いてくれてるだけでもいいわ」
肇「……は、はあ」
奏「今日はとっても素敵な日よね。父の日、大切な家族の1人に贈り物をする日」
奏「恋人達のための日ほどじゃないけれど、それでもこう言う記念日って結構好きなのよ」
肇「……そうですね、素敵な日だと私も思います」
奏「ねえ、人はどうして贈り物をするための日をわざわざたくさん作ると思う?」
奏「バレンタイン、ホワイトデー、母の日、父の日、クリスマス……」
318: 2014/06/15(日) 18:24:45.31 ID:FRVOrVQHo
奏「そして、誕生日」
奏「他にもたくさん、贈り物のための日を作っているわよね」
肇「そうですね……」
肇「贈り物は……感謝の気持ちを伝えることのできる方法の1つです」
肇「大切な人に大切である事を伝えたい」
肇「そして、出来ればその事をちゃんと伝えたおきたいと思う気持ちは皆さん一緒であるはずです」
肇「だから、このような日がたくさんあっても別段不思議ではありませんよ」
奏「そうよね。そうなのかも」
奏「でもそれって、まるで……その絆が本当にそこに存在しているか。疑っているみたいじゃない?」
肇「えっ?」
奏「目に映らないそれが、”嘘”じゃない事を確かめているみたいよ」
肇「……」
319: 2014/06/15(日) 18:25:24.85 ID:FRVOrVQHo
奏「絆は普通は目には見えないもの、とても繊細で不確かなもの」
奏「不確かだから、そこに裏打ちがなければ信じきれないだけなのかも?」
肇「……」
奏「繋がりが無ければ人は生きてはいけないわ」
奏「ううん。人に限らずこの世界に息づくモノはみんなそうなのよね」
奏「だから絆の存在を証明したい。繋がって居る事を確認しておきたい」
奏「そうなんでしょう?だから求めるのよね?」
奏「贈り物と言う形があれば、とりあえずは安心できるもの」
奏「でも、それだって”本当”だって言いきれる?」
奏「例えば、この映画みたいに外側だけ取りつくろって、中身を良い様に見せているだけなのかも」
奏「ソンナモノを貰っただけで、満足してもいいものかしら?」
肇「……」
320: 2014/06/15(日) 18:26:01.69 ID:FRVOrVQHo
肇「……確かに、あなたの言う通りかもしれません」
肇「贈り物を渡したい気持ち……贈り物を貰いたい気持ち……」
肇「それは……おそらく綺麗なだけな物ではないのでしょう」
肇「”本当に”大切にしているのか、”本当に”大切にされているのか」
肇「それは”嘘”ではないか」
肇「確認する為に……確かな形のある物や、それ以上の物を求めてしまうのは、」
肇「もしかすると、相手の事を疑っているからなのかもしれませんが……」
肇「だけど、疑ってしまうのは、やっぱり信じていたい気持ちが強いからなのだとも思います」
肇「私は、傍に居る大切な人たちの事を信じていたいです」
肇「そして……いただいた贈り物から、私が感じたこの心の温もりは確かに本物です」
肇「……物と言う形があるから、疑わずに済むのではなく、」
肇「心に温もりがあるから……相手を信じられるのだと私は思います」
肇「贈り物の中身は……綺麗なだけではないのかもしれませんけれど、」
肇「ふふっ、でも、きっと悪いものではありませんよ」
奏「ふーん」
奏「いいわね♪やっぱりあなた達も面白そうよ」
肇「……?」
奏「とても純粋に相手を信じていて、それでもなお欲していて」
肇「…………貴女は……一体?」
奏「だからとっても」
321: 2014/06/15(日) 18:26:43.77 ID:FRVOrVQHo
奏「めちゃくちゃにしがいがありそう」
肇「っ!」
奏「フフフっ」
肇「美穂さんっ!」
美穂「むにゃ……ふぇっ!?あ、あの!ね、寝てませんっ!」
肇「すぐにここを出ましょう」
美穂「えっ?あれ……?えっ?ちょ、ちょっと……肇ちゃん?」
奏「……」
奏「あら、残念。逃げられちゃった」
奏「あの業突く張りが狙ってるって聞く子達みたいだったから、ほんの少し突いてみるつもりだったけど」
奏「思いのほか、楽しそうな玩具ね」
奏「力強くも繊細で、繋がってるようで綻びの見える糸」
奏「もし手を出しちゃったら、私が『強欲』に目を付けられるのかしら」
奏「それは嫌だけど、でも勿体無いわよね……ふふっ、ほんと悩ましいわ」
奏「……」
奏「……ところでベルの1フロア巡りはそろそろ終わったかしら」
322: 2014/06/15(日) 18:27:24.02 ID:FRVOrVQHo
◇屋上庭園◇
美穂「肇ちゃん、大丈夫?」
肇「……ふぅ」
肇「ええ、ご心配には及びません。もう大丈夫ですから」
美穂「そっか、気分がよくなったみたいで良かったよ」
肇(しかし結局……あの人はいったい何だったんでしょう……?)
肇「あっ。映画……途中で抜け出す事になってしまい、すみません」
美穂「ううん。気にする事はないよ。と言うか……私も途中で寝ちゃってたし……」
肇「……ぐっすりでしたね?」
美穂「め、面目アリマセン……」
美穂(うぅ……やっぱり映画館に寄ったのは失敗だったかも)
肇「ふふっ」
肇「ところで、どうしてデパートの屋上に?」
美穂「えっと、今日は用事はもう済ませちゃったけれど」
美穂「せっかくだし、帰る前にここから見渡せる景色を肇ちゃんにも見てもらいたくて」
肇「……」
肇「……なるほど。確かに……良い眺めですね」
美穂「うん。風もとても気持ちいいから、ここに寄った時はよく来るんだ」
肇「夕刻。まるで空の色の青と赤の境が見えるようです」
肇「寂しさと温かさ。相反する二色が混じりあい、世界の色を変えていくようで……とても綺麗ですね」
美穂「ふふっ、そうだね。綺麗な空です」
323: 2014/06/15(日) 18:28:07.95 ID:FRVOrVQHo
肇「……」
美穂「……」
肇「……」
美穂「……」
肇「あの、美穂さん」
美穂「ねえ、肇ちゃん」
肇「……」(被った)
美穂「……」(このタイミングで被った)
肇「……」(どうしよう)
美穂「……」(ちょっと気まずい)
肇「美穂さんの方からお先にどうぞ」
美穂「ええっと…それじゃあそうさせて貰うね?」
324: 2014/06/15(日) 18:28:40.70 ID:FRVOrVQHo
美穂「肇ちゃんへの誕生日プレゼント、本当にそれでよかったのかな?」
肇「はいっ、もちろんです」
美穂「特別に高いものでもなかったけれど……」
肇「ええ、日常的に使うものですよ」
美穂「それに……故郷の香りのする備前の焼き物でもないし」
肇「そうですね。でも、私はこれがいいのです」
美穂「そっか……まあ、私はそれに書かれたイラスト好きだから」
美穂「肇ちゃんに気に入ってもらえるなら、とても嬉しいな」
肇「このクマのマグカップは、大切に使わせていただきますよ。美穂さん」
美穂「うん、えへへ」
326: 2014/06/15(日) 18:29:24.80 ID:FRVOrVQHo
美穂「それで……肇ちゃんの方は何を言いかけたのかな?」
肇「いえ、今日一日のお礼を言っておきたくて」
肇「本当に素晴らしい一日でした。美穂さん、ありがとうございます」
美穂「ううん。私にはこれくらいしか出来なかったけれど」
美穂「私の誕生日に肇ちゃんがやってくれた事に比べたら大したことは……」
肇「そんな事はありませんよ」
肇「美穂さんが、私の為に時間を割いてくれて一緒に行動してくれた」
肇「それだけでもう、とても素敵な贈り物なんですから」
肇「もしかすると、私の誕生日の方が美穂さんの時よりずっと良い物を貰っているかもしれませんよ」
美穂「えっ、そ、そんな事はっ!私の誕生日の方が肇ちゃんよりずっとずっと良い物を貰ってて……」
肇「うふふっ」
美穂「あっ…」
肇「あははっ」
美穂「…えへへっ」
美穂(肇ちゃんを喜ばせる。本日の一番の目的は達成できたのでしょうか)
肇「ふふっ」
美穂(その答えは……きっと……)
美穂「……それじゃあ、帰ろっか。一緒に」
肇「はい、帰りましょう。美穂さん」
美穂「帰ったらお父さん達にもプレゼント渡さなきゃね」
肇「ええ。間違いなく喜んでくれるはずです」
美穂「うんっ!」
327: 2014/06/15(日) 18:30:56.00 ID:FRVOrVQHo
――
――
◇小日向家◇
藤原父「そう!だから私はその男にそう言ってやったのだ!はっはっは!」 グビグビ
美穂父「いやあ、藤原さんは良い事言いますねえっ!」 ゴクゴク
美穂「……」
肇「……」
美穂、肇(既にお酒入ってる……) ズーン
藤原父「おっ、帰ってきていたか。肇に美穂さん」
美穂父「待っていたぞー、本日の主役ー」
藤原父「肇ー!はっぴーばーすでーだっ!はっはっは!」
美穂父「ちゃんと、ケーキも用意してあるぞー」
肇「ははは……」
美穂(肇ちゃんが乾いた笑いを…っ)
328: 2014/06/15(日) 18:31:27.35 ID:FRVOrVQHo
肇「もう……っ」
肇「本当にもーっ!!!」
美穂「肇ちゃんっ?!」
肇「せっかくお父さんにも父の日の贈り物用意してたのにっ!」
肇「お父さんの馬鹿っ!馬鹿!!」
藤原父「肇っ!?なぜ怒る!?」
肇「知らないっ!!」 ダッ
藤原父「ま、待つのだっ肇っ!せ、せめて言い訳を……」 ダッ
美穂(あんなに怒っちゃう肇ちゃんも珍しいなあ…)
美穂父「そうかぁ、今日は父の日でもあったかぁ」 チラッ チラッ
美穂「うん、お父さんにもプレゼントあるよ」
美穂父「本当かっ?!」
美穂「はい、これっ!」
美穂父「これは……」
美穂「クマさん柄のネクタイですっ!」
329: 2014/06/15(日) 18:32:12.82 ID:FRVOrVQHo
美穂父「……」
美穂「……」
美穂父「美穂……」
美穂父「ありがとう美穂!!お父さんめちゃんこ嬉しいっ!!」 バッ
美穂「……」 サッ
美穂父「ん……どうして避けたの?」
美穂「お酒臭いから抱きつかれるのはちょっと……」
美穂父「!」
美穂父「……」 ズーン
美穂母「はぁ、うちの人はしばらく子離れできそうにないわね……」
おしまい?
330: 2014/06/15(日) 18:32:41.32 ID:FRVOrVQHo
―――
―――
―――
331: 2014/06/15(日) 18:33:09.64 ID:FRVOrVQHo
その日の夜
美穂「……」
肇「スー……スー……」
美穂「眠れないなあ……」
肇「スヤスヤ……」
美穂(……本日も肇ちゃんのお父さんは、お家に泊まっていくらしく)
美穂(客間のお布団は彼が使っているので、)
美穂(いつも客間のお布団で寝ている肇ちゃんは)
美穂(今日は、私の部屋のベッドで寝ています)
肇「クー………クー………」
美穂(はい。一緒のベッドです)
美穂「……」
肇「ムニャムニャ……」
美穂(いえいえ、だからと言って、別段これといって特に何があると言う訳ではないのですけれど。だいたい女の子同士ですしね?)
美穂(普段は私も肇ちゃんも寝付きがいいから、一緒にお布団に入っても3分後には2人ともぐっすり夢の中な自信はあります)
332: 2014/06/15(日) 18:33:45.71 ID:FRVOrVQHo
肇「クースカ……クースカー……」
美穂「……」
美穂(……でもなんだか今日は寝付けなくて)
美穂「……ねえ、肇ちゃん、起きてたりしない?」
肇「むぅ……だからわたし、おうどんキャラじゃ……ないよ……えっ……ううん……きらいでは……ないけど……むにゃ……」
美穂(え、なにその寝言)
美穂(……)
肇「………んん………ふにゃ」
美穂(……)
美穂(水でも飲みに行こうかな、起こしちゃわないようにそーっと)
333: 2014/06/15(日) 18:34:11.90 ID:FRVOrVQHo
――
美穂「お水、お水……」
美穂「?」
美穂「あれ?玄関が空いてる?」
美穂「……」
美穂「誰か外に出てるのかな?」
美穂「……」
美穂「ちょっと様子を見てみよう」
334: 2014/06/15(日) 18:34:37.28 ID:FRVOrVQHo
――
藤原父「……」
美穂(玄関先に立っていたのは、予想通りの人物ではありました)
藤原父「ん……?」
藤原父「おや、こんな夜遅くまで起きていたのかな。美穂さん」
美穂「ええっと……なんとなく寝付けなくて」
藤原父「ふふっ、そうか」
美穂「……」
藤原父「……」
美穂(今はもう酔ってないのかな……?)
藤原父「うむ、この通り。心の声もしっかりと届いてるが故」
藤原父「いやはや、美穂さんにはご迷惑をかけた」
美穂「い、いえ、私は気にしてませんから」
美穂「でも肇ちゃんには……その……」
藤原父「そうであるな、私が一番迷惑をかけているのは実の娘にであった」
藤原父「あの子には……いつも気を使わせてしまっていて、申し訳なく思う」
美穂「?」
藤原父「その事についてな……月を見ながら考えていたのだ」
藤原父「丁度美穂さんと同じく、と言ったところか」
美穂「えっ?」
藤原父「おや、美穂さんも何か考え事があったために眠れなかったのではないのかな?」
335: 2014/06/15(日) 18:35:28.01 ID:FRVOrVQHo
美穂「……」
藤原父「ああ、言いにくいことは言わなくてもよい」
藤原父「まあ言葉は無くとも心で伝わってはしまうのだが……それはただすまないと思う」
美穂「……肇ちゃんのお父さんにも、眠れなくなるくらい考え込んじゃうこともあるんですね」
藤原父「こんな事を言うと、とても意外に思われるかもしれないが」
藤原父「私とて人並みに悩み、眠れなくなることもあるのだ」
藤原父「半分は、人であるが故にかな」
美穂「良かったら、聞かせて貰ってもいいですか?」
藤原父「そうだな、美穂さんには世話になっているし……」
藤原父「私ばかり心の内を見通しているのも面白くは無かろう」
藤原父「公平を期すためにも、私の話もすべきであるか」
美穂「あ、いえ、それだけじゃなくって」
美穂「悩みって、人に話せば……楽になる事もあるかなって思って」
藤原父「……」
美穂「な、なんだか生意気言っちゃってすみません」
藤原父「ふふっ、美穂さんは本当に優しい子だ。感謝する」
336: 2014/06/15(日) 18:36:03.81 ID:FRVOrVQHo
藤原父「……肇は今日、美穂さんから自分への誕生日プレゼントを選ぶ時」
藤原父「美穂さんが好きな柄のマグカップを選んだそうだな」
美穂「はい、かわいいクマさんのマグカップです」
藤原父「……それを聞いたとき、私は思ったのだ」
藤原父「もしかすると、肇は……」
藤原父「美穂さんとの別れを前提に考え、それを選んだのではないかと」
美穂「えっ……?」
藤原父「……思い出とは形があれば思い起こせるものだ」
藤原父「だからあの子は、遠く離れた故郷を感じさせる焼き物が好きであるし……」
藤原父「そして……同じ理由で今日の贈り物に、美穂さんを想起するマグカップを選んだのではないかと考えたのだ」
藤原父「それが傍にあれば、いつか別れ遠く離れた時に、美穂さんの事を思い起こせるだろう?」
美穂「……」
337: 2014/06/15(日) 18:36:50.34 ID:FRVOrVQHo
( 肇「やるべき事を全て果した時」 )
( 肇「そう遠くない未来だと思います……」 )
( 肇「……その時は……鬼の里に戻ります……」 )
美穂(そうだ……使命を果たしたとき、肇ちゃんは……)
美穂「あの、すごく勝手なこと……言ってしまうかもしれませんが」
美穂「肇ちゃん……どうしても帰らないといけませんか?」
藤原父「……」
美穂「……」
藤原父「いいや、そんな事はない」
藤原父「そもそも私の父は……肇の祖父は、『使命が終わるまで里に帰ってくるな』とは言ったが、」
藤原父「全てを終えた後、里に戻って来いとは言っていない」
藤原父「むしろ、望むならば現世に残りこちら側で暮らしても良いと考えているのだ」
藤原父「今は、それが問題なく許される時代であるしな」
美穂「じゃあ……」
藤原父「しかし美穂さん」
藤原父「肇は使命だから、今も美穂さんの傍にいると思うのかな?」
美穂「えっ」
338: 2014/06/15(日) 18:37:44.11 ID:FRVOrVQHo
美穂「えっと、それは……あれ?」
美穂(……そう言えば肇ちゃんの使命は刀配りと材料集めだから……)
美穂(別に私の傍にいる理由に……使命は関係ないんだよね)
藤原父「然り」
藤原父「即ち、美穂さんと傍に居ることも……そして別れを選ぼうとしていることも」
藤原父「使命は関係なく、それは肇の意思と言う事になる」
美穂「そっか…………肇ちゃんは……」
藤原父「あー、待ち給へ。気を落とされるな」
藤原父「誤解を解いておくが、何も肇は美穂さんと別れたいと思っているわけではないのだ」
藤原父「あの子も美穂さんにはよく懐いている。むしろ本当なら別れたくはないはずだ」
美穂(……そうだとするなら)
美穂(別れたくはないけれど、別れなければならない理由があると言う事?)
美穂(それが”使命”じゃないとするなら……?)
藤原父「うむ。この頃は、私に反発しがちな態度を見ている限り、どうやら理由は別にある」
339: 2014/06/15(日) 18:38:26.60 ID:FRVOrVQHo
藤原父「美穂さん。肇が貴女によく懐いているのは……」
藤原父「貴女が初めての同世代の友人だからなのだ」
藤原父「と言うのも……鬼と言う存在は、人よりも寿命が長い為に個体数がずっと少ない」
藤原父「故に、鬼の里には同世代を生きるものなど数えるほどしか居ない……」
藤原父「特に肇は、四分の三は人であるからな……」
藤原父「里の者達も気さくで根は悪い連中ではないから、人に近い肇にも分け隔てなく接していたが……」
藤原父「それでも、真の意味で心を許せる友人は、里の中には1人も居なかったように思う」
藤原父「半妖たる私にも、人の血は混じっている」
藤原父「しかし、割合としては肇の方が人に寄っている」
藤原父「そんなあの子が妖の世に生きるには、必要以上に苦労をかけていたと思うよ」
藤原父「しかし、かと言って……これまでは人の世に移り住むわけにもいかなかった」
藤原父「薄れているとは言えど、やはり我々は鬼なのだから」
美穂「……」
340: 2014/06/15(日) 18:39:17.38 ID:FRVOrVQHo
藤原父「事情が変わったのは”あの日”が境となるか」
藤原父「すべてが一変し、妖達もまた無理をして息を潜める必要がなくなった」
藤原父「だから私と父は、あの子を人の世に送り出すことを決めたのだが……」
藤原父「しかし、それでも……鬼に対するイメージは今も変わらぬ」
藤原父「いや、美穂さん達の様に、受け入れて接してくれる人も多く居るのは知っているとも」
藤原父「それでも、『”鬼”であることは変わらず、人の世を生きるべきでは無い』と肇は思い込んでいるのかもしれない」
美穂「……」
美穂「……だから」
藤原父「そう。だから人の世に生きる美穂さんとの別れを、受け入れるつもりでいるのかもしれないな」
美穂「……」
藤原父「しかし……時が過ぎれば過ぎるほど、別れ難くなる」
藤原父「使命を終えるのを丁度良い区切りとし」
藤原父「いずれ妖の世に戻る腹積もりでいるのだろう」
341: 2014/06/15(日) 18:40:07.19 ID:FRVOrVQHo
美穂(『鬼が混じっているから、人の世に生きるわけにはいかない』……か)
美穂(「そんな事気にしてないよ」とも「そんなに気にしないで」とも、軽々しくは言えないことだろう)
美穂(たぶん、その悩みと苦しみは当事者にしか分からないこと……)
美穂(…………だけど分かってあげたいな)
藤原父「鬼の孫として生まれてしまった以上」
藤原父「あの子はその業と、これからも付き合い続けることとなる」
藤原父「……あの子を育てて16年になるか」
藤原父「時々思ってしまうのだ」
藤原父「私に聞こえるのは心の表層。深層までは除きこめはしない……」
藤原父「だからもしかすると……」
藤原父「私にも見えぬ心の奥底で、娘は生まれを恨んでるのではないかとな……」
美穂(あ……もしかしてそれがこの人の悩みだったのかな)
美穂(なるほど。この人が眠れなくなるほどの悩み……合点がいきます)
美穂(……)
美穂(でも……だったら言わないといけないよね)
美穂「……肇ちゃんのお父さん、それは絶対に違いますっ!」
藤原父「むむ?」
342: 2014/06/15(日) 18:41:34.14 ID:FRVOrVQHo
美穂「肇ちゃん、自分の誕生日のことも父の日のことも」
美穂「とても素敵な日だって言ってましたからっ」
藤原父「……」
美穂「もし、生まれを恨んでいたりなんてしたら」
美穂「そんな風には思えないと思うんです」
美穂「誕生日を祝われてあんなに笑えないと思うし、父の日に贈り物を用意するなんてきっとしないです」
藤原父「……」
美穂「だから……安心してください」
美穂「肇ちゃんは絶対、生まれた事を恨んでなんかいませんからっ」
藤原父「……ふふっ」
藤原父「やはり美穂さんは、優しい人だ」
藤原父「……そのように曇りなき目で言われては、心の陰りも晴れてしまおう」
藤原父「ありがとう美穂さん、私の話を聞いてくれて」
美穂「い、いえ。なんだかまた生意気言っちゃいましたけど……お役に立てたなら良かったです」
343: 2014/06/15(日) 18:42:12.28 ID:FRVOrVQHo
藤原父「……確かに我々は鬼」
藤原父「しかし、人に混じり人と共に生きることは不可能ではないはずだと私は信じている」
藤原父「現に、父も私も人に惹かれ、人と交わる事を決めたのだ」
藤原父「妖の世でできたこと。変わったこの世でできぬ道理はないはず」
藤原父「……美穂さん」
美穂「はい」
藤原父「これから私は、とんでもなく卑怯で身勝手な頼みをする」
藤原父「美穂さんは断らないだろうと知っているし」
藤原父「本来ならば、この様な不躾な頼みを私からするべきでは無いのだろう」
藤原父「しかし、これも親心。なのでどうか許して欲しい」
美穂「……」
藤原父「これからも、肇と良き友人として仲良くしてやってくれないか?」
藤原父「あの子がこれからどのような選択をしたとしても……友であり続けてやって欲しい」
美穂「……はいっ、もちろんです!」
美穂「頼まれなくても、肇ちゃんは私の大切な友達ですから!」
藤原父「……真、恩に着る」
344: 2014/06/15(日) 18:43:04.01 ID:FRVOrVQHo
美穂「……」
藤原父「……」
美穂「…………ふわぁ」
美穂「あ……す、すみません欠伸がでちゃって」
藤原父「いやいや、こちらこそ夜遅くだと言うのに長々と話してしまい悪かった」
藤原父「美穂さんはもう眠れそうかな?」
美穂「……はい。これからの事、色々と考えちゃう事はあるけれど」
美穂「でも……いい答えはなんとなく、出てきそうです」
藤原父「……そうか」
美穂「はいっ」
藤原父「では、もう戻るといい。夜風に当りすぎて、身体を冷やしすぎても良くはない」
美穂「そうさせてもらいます……それじゃあ、肇ちゃんのお父さんおやすみなさい」
藤原父「おやすみ、美穂さん」
345: 2014/06/15(日) 18:43:55.28 ID:FRVOrVQHo
美穂(人と鬼)
美穂(近い未来に、来るかもしれない別れ)
美穂(肇ちゃんの思い)
美穂(考えなくちゃいけないことはたくさんある)
美穂(タイムリミットは、肇ちゃんが使命を果たし終える時)
美穂(その時が来たら、何か答えを出さなくてはいけません)
美穂(私だけじゃなくって、肇ちゃんも)
美穂(……)
美穂(だけど、選択や結末がどうなったとしても)
肇「……んん……おじいちゃん…?」
肇「あのね……みほさんは…わたしの……たいせつな……ともだち…だよ……すぅ」
美穂「うん。私も一緒だよ」
美穂(結局のところ、それは変わらない)
美穂(だから、考えすぎるよりもまず)
美穂(今日みたいに、友達として当たり前の事を一緒にやっていけたらいいかなって思います)
美穂「……」 ウツラ ウツラ
美穂「…………すやすや」
肇「すぅ……すぅ……」
おしまい
346: 2014/06/15(日) 18:44:28.16 ID:FRVOrVQHo
『櫻屋百貨店』
とある街の駅前にある大きな百貨店。創業者の一族が櫻井財閥に名を連ねている。
売り場は充実のラインナップであり、そのため地域の内外問わず利用客は多い。
櫻井に名を連ねてこそいるが、黒い事業への関わりは薄い。クリーンな事を売りにしているためか。
とは言え、現当主の意向には逆らえないらしく、何故か父の日に大バーゲンを行わされたりしている。
人が多く利用する割りには、あの日以降も侵略者などに一度も破壊されることはなかったらしく、
無事に立ち続けている珍しい施設。風水的に立地条件がとてもいいらしい。
『鬼の城』
岡山県が鬼の里から入れる異次元の城。
異次元に存在するため、鬼達の手を借りないと進入さえ出来ない。
鬼達の住まいであり、一種の祟り場。一応ダンジョンとしても登録されている。
住民達はみな親切だが、彼らに礼儀を尽くさない者は、相応の報いを受けるのだとか。
347: 2014/06/15(日) 18:46:24.59 ID:FRVOrVQHo
と言う訳で肇ちゃんのお誕生日のお話でしたー
つまるところデパートデートの話ですね!デパートデート!
卯月、茜、仁奈、むつみ、黒衣P、巴、ほたる、乃々、あやめ、菜帆、カイ、星花、奏
お借りしましたー
登場キャラが多いのはデパートのお話を賑やかにしたかった模様です
ただ時系列的に登場したらまずかった子が居たら……申し訳ない、その時はなんかうまいこと無かった事に……
348: 2014/06/15(日) 20:03:53.90 ID:D5e2UOVl0
乙です、お誕生日おめー!
買い物× デパートデート○ うむ、重要な事だな
いろんな子がいっぱいで見てて楽しーでごぜーますよ
ちょっと不穏な空気を感じないことも無いが友情とラブで乗り越えるしかないね!
買い物× デパートデート○ うむ、重要な事だな
いろんな子がいっぱいで見てて楽しーでごぜーますよ
ちょっと不穏な空気を感じないことも無いが友情とラブで乗り越えるしかないね!
【次回に続く・・・】
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります