389:◆E9ISW1p5PY 2011/12/27(火) 01:48:56.55 ID:zikyzFWa0
皆さん、お疲れ様です。
第7話の序盤が書けましたので、投稿させていただきます。
カプコン モンスターハンター カプコンフィギュアビルダー 本体 クリエイターズモデル 雷狼竜 ジンオウガ 復刻版 約H180×W220×D120mm
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 シリーズ

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第一章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第二章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第三章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第四章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第五章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第六章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」最終章

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その1】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その2】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その3】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【最終話】


イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その1】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その2】

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その3】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その4】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その5】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その6】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【最終話】

ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第1話.~縄張りに侵入するべからず~
ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第2話.~轟竜迎撃戦~
ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第3話.戦慄の進軍
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第4話.今そこにある恐怖
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第5話.フラッシュフラッド
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第6話.青と白の挽歌


390: 2011/12/27(火) 01:49:40.38 ID:zikyzFWa0
7.仄暗い火口の中から

―シュレイド地方、樹海入り口―

ハンマー 「どういうことだ炎帝? 何故俺達を中に入れてくれないんだ?」
テオ・テスカトル 「…………」
太刀 「ちょっとハンマー、不味いんじゃないこれ……何か、少しずつ火を噴いてるし……」
   「あたし、こんなのと戦うのやだよ?」
ハンマー 「もう少し待て。何か理由があるはずだ」
     「くそっ、俺にもモンスターの言葉が分かれば……!!」
弓 「ハンマー、小鉄は?」
  「小鉄はどうしたの? それを聞いて!」

391: 2011/12/27(火) 01:50:23.52 ID:zikyzFWa0
ハンマー 「分かってる。だが少女がいないと、俺はモンスターと意思疎通をすることができない」
     「何故少女は出てこない? 何かあったのか?」
テオ・テスカトル 「…………」
太刀 「駄目ね……これ以上近づけないわ」
   「ハンマー、出直しましょ。ネコートさんに来てもらえば、何か分かるかも……」
テオ・テスカトル 「! そうだ。ネコートさんも、帰化したとはいえ元はアイルーだ」
         「炎帝と意思疎通ができるかもしれない」
弓 (ギリ……)
  (カシャンッ!)

392: 2011/12/27(火) 01:51:01.65 ID:zikyzFWa0
ハンマー 「! 何をしてる、弓、やめるんだ!!」
太刀 「ちょ……あいつに武器を向けるなんて、駄目だよ!!」
弓 「答えなさい! 小鉄をどこにやったの!? 何を隠そうとしてるの!?」
  「この……化け物!!」
テオ・テスカトル 「…………」
ハンマー 「やめろ。こいつとは戦ったことはないが、相当強い。多分、ここで戦り合ったら、このあたりの森が火の海になる」
     「ふもとにはポッケ村もある。無駄な争いは避けるんだ」
弓 「……く……」
ハンマー 「とにかくネコートさんに状況を話そう。話はそれからだ」

393: 2011/12/27(火) 01:51:50.46 ID:zikyzFWa0
―ポッケ村、昼―

ハンマー 「…………ということがあったのです」
ネコート 「ふむ……お前達が樹海に行ったのを見たハンターがいてね」
太刀 「!」
ネコート 「その話は、聞く前から既に知っていた。樹海の入り口に、炎の古龍が立ちふさがっていて、奥に入れないんだろう?」
太刀 「そうなんです。あいつ、少女ちゃんがいる時はすごく協力的だったのに、急に何で……」
ネコート 「分からん。が、それを面白く思っていない者が大半でな」
ハンマー 「やはり……」
ネコート 「炎帝はシュレイド城の防衛線の時、我々を助けてくれた義理がある。が、ハンターは元々モンスターと戦うのが仕事でね」
     「敵としか見ていない者がほとんどなのだよ」
弓 「…………」

394: 2011/12/27(火) 01:52:31.89 ID:zikyzFWa0
ネコート 「お前達のような者がいることも、少女とやらの存在も、皆は知らぬ」
     「だから、お前達が言っている『モンスターとの話し合い』はできそうにもないな」
ハンマー 「そんな……だが、あいつは悪いモンスターではない」
     「それは確かです」
ネコート 「ふむ……」
     「まぁ、樹海が火の海になっても困る。様子を見に行くくらいならいいだろう」
太刀 「良かった。これで何とかなりそうだね」
ハンマー (……妙な胸騒ぎがする)
     (昨晩、俺の武器の、古龍の大宝玉が強く振動していた)
     (不気味な嵐も、突発的に起こって通り過ぎたが、それに少女は巻き込まれたのではないだろうか……)

395: 2011/12/27(火) 01:53:20.40 ID:zikyzFWa0
弓 「ネコートさん、小鉄は……」
ネコート 「すまぬが、私は小鉄とやらの顔を知らぬ。一応頭の片隅にはとどめておくが、あまり期待するな」
     「モンスターにとって、猫はたいした存在ではない」
     「普通なら、もう生きてはいないと考えるのが妥当だが」
弓 「そ、そんな!!!」
ハンマー 「待て、弓。小鉄は生きている。俺が保障する」
弓 「そんなことどうして分かるのよ! 人間のあなたが!!」
ハンマー 「分かる。小鉄は不思議なお守りを持っていた。あいつの身に何かあれば、俺の古龍の大宝玉が、何かしらの反応をするはずだ」
     (その何かがあったのかもしれんが……)
弓 「…………」
ネコート 「何をグズグズしている。出るぞ(スタスタ)」

396: 2011/12/27(火) 01:54:12.95 ID:zikyzFWa0
―樹海、入り口、昼―

ネコート 「ふむ……」
テオ・テスカトル 「…………」
ネコート 「クエストを出す側としては、モンスターと顔を付き合わせることなど、ほとんどないのでね」
     「正直驚いたよ。こんな立派な古龍が、村のすぐ近くまで出てきているとは」
ハンマー 「…………」
ネコート 「お初にお目にかかる。私はネコート。ふもとの人里、ポッケ村の長をしている。貴殿は火山を統べる主と見たが、違うか?」
テオ・テスカトル 「…………」
太刀 「何よ、何にも反応がないじゃない」
ネコート 「いや、言葉は伝わっているはずだ。何か、話したくない訳があるのだろう」

397: 2011/12/27(火) 01:55:18.93 ID:zikyzFWa0
ネコート 「貴殿の心は分からんが、ここはポッケ村に近すぎる」
     「すまぬが、我々の仲間が、中に入ることを許可してはもらえないだろうか」
     「それが呑まれなければ、私は貴殿の討伐命令を出さなければならぬ」
テオ・テスカトル 「…………」
ネコート 「勝てるとは思わぬが、ここを灰にするよりはいいと思うが。どうだろう?」
ハンマー 「ネコートさん、大丈夫なのですか? 炎帝は何と?」
ネコート 「少し黙っておれ」
テオ・テスカトル 「…………」
         「少女は去った。ハンターにそう伝えよ(クルリ)」
 >ズン、ズン……

398: 2011/12/27(火) 01:55:49.36 ID:zikyzFWa0
太刀 「あれ……? 行っちゃった……」
ハンマー 「ネコートさん!?」
ネコート 「…………」
弓 「小鉄は? 小鉄はどうなったの?」
ネコート 「村に帰るぞ。炎帝は争う気はないらしい」
     「ただ、お前に伝えろとのことだ。『少女は去った』とな」
ハンマー 「……何だって……!?」
太刀 「去ったって……どこに!?」
ネコート 「分からん。だが、話したくない訳があるようだ」
     「これ以上追うのは危険だ。帰るぞ」

399: 2011/12/27(火) 01:56:21.91 ID:zikyzFWa0
弓 「……そんな……小鉄…………」
ハンマー 「…………」
     (去ったって……どういうことだ……?)
     (あの子が俺に何も言わずに、どこかに行くとは考えがたい)
     (やはり、昨夜の嵐が原因か!)
ネコート 「しかし、困ったことになった」
太刀 「ネコートさん?」
ネコート 「炎帝は、このあたりをうろついている。人間を拒絶しているようだ。何かを恐れているようにも思える」
太刀 「恐れてるって……何を?」
ネコート 「シュレイド城防衛線前……つまり、ハンマー。お前が少女とやらに遭遇するより前の状況に似ている」
ハンマー 「!」
ネコート 「あの時も、強力なモンスターが人里の近くに出没し、人間を威嚇していた」

400: 2011/12/27(火) 01:56:56.72 ID:zikyzFWa0
ネコート 「炎帝の言葉に嘘はないだろう。少女とやらがいなくなったせいで、あ奴らは人間、つまりハンマー、お前と交信することができなくなった」
     「人間側の情報が入ってこないため、自分達の身を守るために、ハンターからの盾になろうとしているのだ」
     「私はそう思うが」
ハンマー 「…………俺が、そんな重要な役割を果たしていたなんて…………」
ネコート 「とにかく、確認するだけはしたぞ。その上で危険だと判断する。クエストも当分の間控えよう」
     「氏人は増やしたくないからな」
弓 「!!」
ネコート 「行くぞ」
ハンマー 「くそ……」

401: 2011/12/27(火) 01:57:29.80 ID:zikyzFWa0
―シュレイド地方、巨大湖、上空、夕方―

ティガレックス兄 「(バサッ! バサッ!)ファァアア゛ーッ! ア゛ッ!! しかしノリでついてきたが、どこに行くってンだ?」
ティガレックス弟 「(バサッ! バサッ!)全くだぜ。眠くなってきたな」
イャンガルルガ 「(バサッ! バサッ!)文句言うならついてくんな。別にテメェらなんていなくてもいいんだ」
ティガレックス兄 「ンだとテメェコラ」
ティガレックス弟 「ヤんのかコラァ!」
少女 「………………」
イャンガルルガ 「…………その……何だ」
        「悪いことしたか、俺らは……」
ティガレックス兄 「…………」
ティガレックス弟 「…………」

402: 2011/12/27(火) 01:58:03.19 ID:zikyzFWa0
少女 「…………」
   「うぅん……このまま飛んで」
   「もっと遠くに行こう」
イャンガルルガ 「! ああ、そうだな!」
ティガレックス兄 「遠出か! 初めてだな!!」
ティガレックス弟 「考えてみりゃ俺ら、あそこの地方を出たことがねぇからな!」
ティガレックス兄 「そういえば何でだろうな?」
少女 「…………」
   (おじさん……どうしてあんなこと……)
   (私のことを……嫌いになったの……?)
   (どうして……)

403: 2011/12/27(火) 01:58:29.88 ID:zikyzFWa0
イャンガルルガ 「…………」
        「しかし随分飛んだぞ。少し休んでもいいか?」
少女 「え? あ……うん。じゃああそこで休憩しよう」
イャンガルルガ 「だとよ。馬鹿共」
ティガレックス兄 「ヒャァ! 休憩だァ!(バサッ!)」
ティガレックス弟 「馬鹿って言った奴が馬鹿なんだぜ!(バサッ!)」
イャンガルルガ 「何でついてきたんだあいつら……(バサッ!)」

404: 2011/12/27(火) 01:59:33.89 ID:zikyzFWa0
―巨大湖、孤島、夕方―

イャンガルルガ 「カァ! 水が美味ェ!」
ティガレックス兄 「ケェ。ハチミツじゃ腹が膨れねぇ」
ティガレックス弟 「ポポはいねぇのか、ポポは」
イャンガルルガ 「うるせぇ。文句を言うなら消えやがれ」
        (……こんなことになるんなら、ヒプノック達も連れてくりゃ良かった)
少女 「……?」
 >ゴゴゴゴゴ
イャンガルルガ 「おい、何してる!?(グイッ)」
少女 「キャ!」
 >ザッパァァァァンッ!!

405: 2011/12/27(火) 02:00:13.36 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 「あれ? 誰かと思えば、少女じゃないか!」
少女 「トトスさん!!」
イャンガルルガ 「ゲェ。何だ、知った顔かよ」
ガノトトス 「ここは樹海から随分離れてるけど……どうしたんだい? イャンクックは一緒じゃないのかい? (キョロキョロ)」
翠ガノトトス 「ガノス、どうしたの?」
ガノトトス 「翠、少しこっちに来てくれないか? 珍しいお客さんだ」
翠ガノトトス 「あら……もしかして、あなたが少女ちゃん?」
少女 「あなたは、翠トトスさん?」
翠ガノトトス 「そうよ。ガノスから、あなたのことは沢山聞いているわ。今日はどうしたの? 皆さんそろって遠足?」

406: 2011/12/27(火) 02:00:42.59 ID:zikyzFWa0
イャンガルルガ 「テメェらと話すことなんざ何もねぇよ。失せろ」
翠ガノトトス 「な……何て言葉遣い……ハァ、私眩暈が……」
ガノトトス 「翠、大丈夫か!? ガルルガ君、翠にきつい言葉をかけないでくれるか。身重なんだ」
イャンガルルガ 「………………」
少女 「ええ、トトスさん、子供ができたの?」
ガノトトス 「卵がね、もう少しで生まれそうだ。全く、この歳でやっとだよ」
少女 「嬉しい! おじさんにも……」
   「………………」
ガノトトス 「……?」
ティガレックス兄 「あァ? 誰かと思えば魚クンじゃねぇか」
ティガレックス弟 「ポポを出せポポを」
ガノトトス 「地獄兄弟か! 久しぶりだなぁ」

407: 2011/12/27(火) 02:01:25.06 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 「とりあえず、もうじき日が暮れる。ここは危ないから、僕らの洞窟に招待しよう」
ティガレックス兄 「あぁん? 危ねぇって何が?」
ガノトトス 「ここは、休みに来た鳥とか、集まってきた魚を捕る為にみんなが使っている狩場なんだ」
イャンガルルガ 「ああ、だからさっき少女が体を乗り出したら、お前が飛び出してきたわけか」
ガノトトス 「浮島でね。場所も変わる。ついておいで。洞窟は地上に作ってあるから」
ティガレックス兄 「湿ってんだろどーせ」
ティガレックス弟 「だな」
イャンガルルガ 「……とりあえず、俺と少女に食えるものを出せよ。こいつらはどうでもいい」
ティガレックス兄 「ポポを出せ」
ティガレックス弟 「ケルビでもいいぜ」
ガノトトス 「はは、魚でいいならおいで。行くよ(ザパァン!!)」

408: 2011/12/27(火) 02:01:55.94 ID:zikyzFWa0
―ガノトトスの巣、夜―

ガノトトス 「ここだよ、家族が増えるから、少し大きめに作ったんだ」
少女 「うわぁ。広いねえ」
イャンガルルガ 「(ガツガツ)魚が美味ェ!」
ティガレックス兄 「(ガツガツ)ポポはいねぇのか!」
ティガレックス弟 「(ガツガツ)ほら見ろ、やっぱ湿ってるぜ」
翠ガノトトス 「(コソ)あなた……この野蛮な方々は、本当にあなたの知り合いなの……?」
ガノトトス 「(コソ)残念なことにね……まぁ、悪い奴らじゃないから、居間を貸してあげよう」
翠ガノトトス 「(コソ)気乗りはしないけれど……あなたがそう言うなら……」

409: 2011/12/27(火) 02:02:59.81 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 「君ら、僕の家の魚を全て食べつくす気かい?」
ティガレックス兄 「酒を持ってこい酒を!!」
ティガレックス弟 「足りるわけがねーだろ魚で!!」
イャンガルルガ 「肉はねぇのか?」
ガノトトス 「ふぅ。まぁいいだろう。翠、昔この子に教えてもらって、試していた干し肉というものがあるだろう。持ってきてくれ」
翠ガノトトス 「ええ。分かったわ」
ガノトトス 「ここが居間だ。好きなところで寝てくれ」
ティガレックス兄 「しみったれた居間だぜ。湿ってやがる!」
ティガレックス弟 「天井から水滴が垂れてくるぜ……」
イャンガルルガ 「少女、悪ィが少し休ませてもらうぜ。俺らは飛びすぎだ」

410: 2011/12/27(火) 02:03:32.54 ID:zikyzFWa0
少女 「うん、分かった。少しトトスさん達とお話してくる」
イャンガルルガ 「ああ」
ガノトトス 「少女はこっちにおいで。昔見せてくれた、火というものをもう一度見せてくれると嬉しいな」
少女 「うん、もらったマッチがまだあるから起こせるよ」
ガノトトス 「本当かい? 翠に、『温かいもの』というものを食べさせてあげたいんだ。お酒はあるかい?」
少女 「ごめんなさい。急なことだったから、ほとんど何も持ってこれなかったの」
ガノトトス 「そうなのか。とにかく、僕の背中に乗って。奥に行くよ」
少女 「奥って……鍾乳洞? 天井が光ってる」
ガノトトス 「ヒカリゴケでね。奥には水が張ってある。僕達の寝室はその一番奥さ」

411: 2011/12/27(火) 02:04:26.81 ID:zikyzFWa0
―ガノトトスの巣、夜、最奥―

 >パチパチ
ガノトトス 「…………ふぅむ。そんなことがあったのかい」
少女 「…………」
ガノトトス 「まぁ、あまり気を落とさないで。それと、やけにならないようにね」
      「イャンクックも、何か考えがあってのことだと、僕は思うよ」
翠ガノトトス 「あなた、戻ったわ」
ガノトトス 「あぁ、あいつらはどうだい?」
翠ガノトトス 「食べるもの食べたらグーグー眠ってるわ。やっと静かになったわ……」
ガノトトス 「それは良かった。翠もこっちにおいで」
翠ガノトトス 「まぁ、それは何?」
ガノトトス 「これは焚き火さ。人間は、火竜みたいに、自由に火を使うことができるんだ」

412: 2011/12/27(火) 02:04:58.23 ID:zikyzFWa0
翠ガノトトス 「初めて見た……綺麗ね。それに、とても温かい……」
少女 「今魚とかを焼いてるから、少し待ってね」
翠ガノトトス 「焼く? どういうこと?」
少女 「もっとおいしくなるんだよ」
ガノトトス 「ああ。昔少女に食べさせてもらったことがあるんだけど、いい感じなんだ」
翠ガノトトス 「人間って色々知っているのね」
       「……あら、あなた、人間なのに角があるの?」
少女 「…………」
ガノトトス 「こら……」
少女 「うん。生えてきちゃった。綺麗でしょ?」

413: 2011/12/27(火) 02:05:48.04 ID:zikyzFWa0
翠ガノトトス 「ええ、とっても綺麗。私、そういう人間がいてもいいと思うわ」
少女 「…………」
   (人間……)
   (私、人間なのかな……)
ガノトトス 「そうだ、少女。折角来たんだ。色々教えておくれよ。お酒の造り方とかも知りたいな」
少女 「うん、いいよ。色々仕込んでいくね」
ガノトトス 「…………これから、行く宛てはあるのかい?」
少女 「…………」
   「とにかく、もっと東に行ってみようかなって……」
翠ガノトトス 「東には海があるわ。その先は知らないけれど……ここにいたらどうかしら?」

414: 2011/12/27(火) 02:06:19.92 ID:zikyzFWa0
少女 「…………」
ガノトトス 「まぁ、少し頭を整理するといいだろう」
少女 「うん。あ、ほら、こっちは焼けたよ」
翠ガノトトス 「まぁいい匂い」
       「(モグモグ)あら、まぁ! 味が変わってるわ!!」
       「美味しい!!」
少女 「良かった!」
ガノトトス 「どれ、僕も(モグモグ)いやぁこれはイケるね!!」
少女 「どんどんあるから、もっと食べてね」
翠ガノトトス 「魔法みたい。私たちにも、この焚き火というものは起こせないのかしら」
少女 「うーん……どうだろ……?」

415: 2011/12/27(火) 02:06:50.69 ID:zikyzFWa0
―ガノトトスの巣、最奥、深夜―

ガノトトス 「グガァ……グガァ……」
翠ガノトトス 「ガァ……クゥ……」
少女 「…………」
   (眠れないなぁ……)
   (おじさん……)
   「……!!」

>ジ……ジジ…………

少女 「何……この耳鳴り……!!」
   (ハッ!!)

416: 2011/12/27(火) 02:07:36.59 ID:zikyzFWa0
白アイルー 「………………」
少女 「白猫さん!?」
白アイルー (ニコニコ)
少女 「ずっと会いたかったの! こっちの岸に来て! お願い!!」
白アイルー 「………………」
少女 「どうして来てくれないの? 教えて! 私に何が起こってるの?」
   「この角は何? これのせいで、おじさんに嫌われちゃった!!」
   「私……私、人間に戻りたい!!!」
白アイルー (ニコニコ)
少女 「答えて!!」

417: 2011/12/27(火) 02:08:21.44 ID:zikyzFWa0
白アイルー (スッ……)
少女 「……出口を、指差して……」
   (ハッ)
   「ここから、逃げろってこと……?」
白アイルー (コクリ)
少女 「ど、どうして……? 私、誰かに狙われてるの?」
   「ここは安全だよ。トトスさん達もいるし……」
白アイルー (ブンブン)
少女 「待って! お願い待ってよ!!」
白アイルー (フッ)
少女 「………………消えちゃった………………」

418: 2011/12/27(火) 02:08:53.40 ID:zikyzFWa0
少女 「う……っ!」
 >ズキィッ!
少女 「角が……頭が……痛い…………!!」

『…………G…………a……b、e……s、e………………s………………h………………i…………e…………r…………!!!』
 
少女 「声……!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ガノトトス 「……ッ! 何だ!? 地震!?」
翠ガノトトス 「…………!!! 何!?」
ガノトトス 「洞窟が揺れてる! 翠、水の中に避難するんだ!!」
翠ガノトトス 「あなたも一緒に!」
ガノトトス 「僕は少女を連れて行く! お義父さんとお義母さんのところに、早く!!」
翠ガノトトス 「わ、分かったわ!!(ザバァ!!!)」
ガノトトス 「す……すごい揺れだ……!!! 少女!! 早くこっちに!!」

419: 2011/12/27(火) 02:09:29.56 ID:zikyzFWa0
少女 「ト……トトスさん……」
ガノトトス 「大丈夫かい!? 頭が痛むのか!?」
少女 「早く……私を連れて、外に……」
ガノトトス 「分かった!(シュバッ!!)」
      「こっちに避難路があるんだ。地獄兄弟たちは出口に近い。自分たちで脱出するだろう!」
      「少し水に潜るよ。息を大きく吸って、僕の背びれに掴まって!!」
少女 「うん……!!」
 >ザバァッ!!!
 >ゴポゴポ…………

420: 2011/12/27(火) 02:10:42.83 ID:zikyzFWa0
少女 (水の奥に道がある……)
   (こんなに広かったんだ……! 奥に、底が見えないくらい……)
   (!!)
ガノトトス 『な……何だ、あれ……!!!』

ナバルデウス亜種 『……………………』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ガノトトス 『水が揺れてる……! それに、あの巨大な金色の龍は……!!!』
ナバルデウス亜種 『………………ゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!!』
ガノトトス 『うわあああ!!!!』
少女 (……ッ!!!)
 >ガォォォッ!!!!

421: 2011/12/27(火) 02:11:09.93 ID:zikyzFWa0
少女 (トトスさんが……吹き飛ばされた……!!!)
   (私……息が…………!!!)
ガノトトス 『しょ……少女ー!!』
      (少女が、手を離してしまった……!!)
      (くそ……凄まじい水流だ……!!)
      (あのモンスターが発してるのか……!?)
      『く……負けるか…………!!』
      『うおおおおおおお!!!!!!』

428: 2011/12/27(火) 23:12:24.32 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 『これでも喰らえェ!!』
 >バシュゥゥゥゥゥッ!!!
 >シュバッ!!
ガノトトス 『あの巨体で……僕のビームを、避けた……!?』
      (何だあいつ……僕が見たことがないモンスターだぞ!!)
ナバルデウス亜種 『ゴオオオオオオオ!!!!』
 >ドシュゥゥゥゥゥ!!!
ガノトトス 『くっ……突進してきた……!!!』
      (少女……!!)
 >ゴポゴポ
少女 「………………」

429: 2011/12/27(火) 23:13:22.55 ID:zikyzFWa0
ガノトトス (避ければ少女を巻き込む……)
      (受け止めるしか……ない!!)
      『おおおおおおおおお!!!!』
 >ドッガァァァアァァン!!!
ナバルデウス亜種 『キシャァアアアアアアア!!!!』
ガノトトス 『くそ……! 何て……力だ……!!!』
      『いいだろう、お前は今から敵だ! 家族を……仲間を守るために、お前を排除する!!』
      『ガァ!!』
 >ガブゥッ!!
ナバルデウス亜種 『……!!!』

430: 2011/12/27(火) 23:13:52.13 ID:zikyzFWa0
ガノトトス (このままこいつの首を食いちぎってやる……!!!)
      (少女、待ってろ! 今行く!!!)
ナバルデウス亜種 『…………カ……カカカカ……!!!』
ガノトトス 『!?』
ナバルデウス亜種 『カカカカカカカカカ!!!!!』
         『I…………ch…………bi…………n、i…………n…………ter…………essa…………nt!!!』
ガノトトス (何だ!? 何を笑っている!?)
ナバルデウス亜種 『Abe…………rda………………s、Zi………………elist………………ni…………ch、Sie…………』
         『Wur……fel!!!』
ガノトトス (何を言っているのか分からない……!)
      (しかし、このままこいつを……!!)

431: 2011/12/27(火) 23:14:39.96 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 『…………!!』
 >ガブゥゥッッ!!!
ガノトトス 『ガ……ッ!!!』
      (何ィ!? 動けるのか……!?)
      (体を噛まれている……!!!)
      (だがここで、僕が口を離したら、負ける……!!!)
 >ガブゥッ!!!!
 >ガフゥゥゥゥ!!!!
ガノトトス 『ガアアアアアア!!!!(ギリギリギリ)』
ナバルデウス亜種 『カ……カカカッ!!!』
         『カッカッカッカッカッカッカ!!!!!!』
 >ガブゥッッッ!!!!

432: 2011/12/27(火) 23:15:17.40 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 『ぐうおおおおお!!!!(バッ)』
      (しまった……口を…………)
ナバルデウス亜種 『Wurf………………el!!!!』
>ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ガノトトス (くそ……体の傷が深い……)
      (何だ、海水がすごい勢いで、あいつの方に吸い込まれていく……)
少女 「……!! ……!!!!」
ガノトトス 『少女……!!!』
      (少女が流れに巻き込まれた!!)
      『うおおおおお!!!!』

433: 2011/12/27(火) 23:15:39.31 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 『……!!』

  >  ゴ  ッ   !!!!!

ガノトトス 『しまった……! 海水を……吐き出し…………』
      『うわああああああ!!!!!』
  >ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
ガノトトス 『体が……バラバラになる…………!!!』
      (渦を描いた水の流れに抵抗できない……!!!)
      (吹き飛ばされて……捻じ切られる…………!!!!)

434: 2011/12/27(火) 23:16:09.24 ID:zikyzFWa0
少女 「…………(ゴポッ)」
   (トトスさん……!!!)

  >カッ!!!

ナバルデウス亜種 『……?』
少女 「………………」
   (助けなきゃ……!!)
   (大事な人たちを、守らなきゃ……!!!)
   (私……私には、それが……)
   (それができる!!!!)

435: 2011/12/27(火) 23:16:39.40 ID:zikyzFWa0
少女 『Ha……………………lten……………………』
   『S i e  e s  a n !!!!!』

ガノトトス (しょ……少女!?)
      (あの子の体が……白く光って……)
      (背後に何かいる!?)
      (あれは……あの巨大な龍は………………!!!!!?)

436: 2011/12/27(火) 23:17:13.46 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 […………久しいな……白き龍よ……]
少女 (あの金色の龍の声が……分かる!?)
   (もしかして……話ができるの!?)
   [いい加減にして!! トトスさんに何の恨みがあるの!? 狙いは私のはずよ!!!]
ナバルデウス亜種 [記憶を失くしているのか……]
         [だがそれもまた一興]
         [あの時の決着をつけるとしよう……]
         [ミラルーツよ]
少女 [ルーツ!? 何を言っているのか分からないわ!!!]
   (!?)
   (私、水の中で話してる!)
   (それに、全然苦しくない……私どうしちゃったの!?)

437: 2011/12/27(火) 23:17:57.06 ID:zikyzFWa0
少女 (それに、体がすごく軽い……!!)
   (戦えるの……? 私、人間の私が、モンスターと戦うの!?)
   […………ここから退いて!! 私、戦うつもりなんてない!!]
ナバルデウス亜種 [貴様になくとも、私にはあるのだ]
         [幾千年もの積年の恨み。ここにて晴らさせてもらうとする]
 >ゴ ッ !!!!!
ガノトトス 『いけない!! 少女に突進を…………』
      『避けろ!! 少女!!!!』
少女 [ここから退いて!!!!!]
 >ズ ン ッ !!!!

438: 2011/12/27(火) 23:18:39.15 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 『な………………』
      『何……だ……?』
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ガノトトス 『少女が……人間の……小さな女の子が…………』
      『何十倍もの大きさの、龍を…………』
      
      『片手で、止めた!!!!???』

439: 2011/12/27(火) 23:19:05.34 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 [そうだ。戦るのだ。我らは戦わねばならぬ。煌く光は、一つでよい]
         [この海原の主は、金色の我にこそふさわしいと、そう思わんかええ!? 白き龍よ!!!!]
少女 [海は誰のものでもないわ! あなたものでもない! わたしのものでもない!]
   [お願いだから話を聞いて!!]
ナバルデウス亜種 [我らの間に問答など無用……!!!]
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
少女 (う……ッ!!!)
   (吸い…………込まれる…………)

440: 2011/12/27(火) 23:19:35.21 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 [私の潮流砲を、至近距離で浴びても、まだ同じセリフが吐けるか見物だな!!!]
少女 [やめて……争う……つもりは………………]
ガノトトス 『少女ー!!!!』
 >バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
 >ズンッ!!!
ナバルデウス亜種 […………ガッ!!]
少女 (トトスさんのビームが、この人の頭に刺さった!!!)
ナバルデウス亜種 [悪あがきを……]
ガノトトス 『少女! 戻ってくるんだ!!』
      『今ならまだ君は!!』
      『僕たちの、仲間でいられる!!!!!』

441: 2011/12/27(火) 23:20:03.84 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 [煩い蝿だ]
         [先ずあ奴を葬るとするか]
 >グルン
少女 [……!? 駄目ええええ!!!!]
ナバルデウス亜種 [氏ね]
ガノトトス 『………………!!!!』
 >ガッ…………!!!!
ナバルデウス亜種 […………!? な……何だ……!? 私の体が、凄まじい力で引っ張られている……!!!]
少女 [私の仲間を……私の家族を……傷つける人は許さない!!!]
   [許さないんだからああああああ!!!!!]
 >ゴ ゥ ッ !!!!!!
ナバルデウス亜種 [うおおおおおおおお!!!!???]

442: 2011/12/27(火) 23:20:36.91 ID:zikyzFWa0
ガノトトス (少女が……あの少女が……!!!!)
      (龍を、しかも水中で! 投げ飛ばした!!!!!)
 >ズゥゥゥンッ!!!!
ガノトトス 『やめろおおおお!!! 』
      『そんな力を、君が使っちゃいけないんだ!!』
      『やめろおおおおおおお!!!!』
      『!?』
      (くそっ……! 少女の体が……強く光っていて……何も見えない……!!!!)

443: 2011/12/27(火) 23:21:10.74 ID:zikyzFWa0
少女 [……二 度 と]

少女 [二 度 と 復 活 で き な い よ う に]

少女 [粉 微 塵 に]

少女 [二 度 と 相 ま み え る こ と の な い よ う に]

少女 [粉 微 塵 に]

少女 [さ よ な ら]

少女 [懐 か し い 友 人 よ !!!!]

 >  カ   ッ   ! ! ! ! ! 

444: 2011/12/27(火) 23:21:52.16 ID:zikyzFWa0
ナバルデウス亜種 [あああああああああ!!!!!?]
         [何だ!? 私の体が……!!! 光で! 光で塵に!!!!!]
         [何故だ!? アマツマガツチィィィィィィィィィ!!!!!!!]
         [私を……この私を………………捨て石にしおったな!!!!]
         [聞いていない! 聞いていないぞ!!!]
         [力が……白き龍の力が………………!!!!!]
         [前よりも………………]
         [………………つ、よ………………く………………]
 >サラサラサラサラサラサラサラ………………

445: 2011/12/27(火) 23:23:41.67 ID:zikyzFWa0
 >フッ

ガノトトス 『………………』
      『何が……何が起きたんだ…………?』
      『金色の龍が……消えた…………?』
      『(ハッ)少女!!!!』
少女 「………………(ゴポッ)」
   『…………』
   『トトスさん、お話を聞いてくれて、ありがとう』
ガノトトス 『少女!? 水の中でも、話が出来るのか!?』
少女 『私、もう行かなきゃ……』
   『ごめんなさい』
   
   (ニコリ)

   『私、ここにいちゃいけないみたい』

446: 2011/12/27(火) 23:24:19.55 ID:zikyzFWa0
ガノトトス 『…………』
      (少女が……水の上に上がっていく……)
      (僕は……追わなきゃいけないのに…………)
      (体が…………)
翠ガノトトス 『…………あなた!?』
ガノトトス 『翠…………か…………少女を……早く…………』
翠ガノトトス 『少女ちゃんなんてどこにもいないわ……!! あなた、酷い傷……早く手当てしなきゃ…………!!!!』
ガノトトス 『くっ………………』
      (少女…………!!!!)

447: 2011/12/27(火) 23:24:54.74 ID:zikyzFWa0
―浮島、朝方―

少女 「………………」
イャンガルルガ 「あ!!! あんなところにいやがった!!!!」
        「おーい! 少女!!!!!(バサッ! バサッ!!)」
ティガレックス兄 「生きてたか!! 良かった!!!(バサッ!! バサッ!!)」
ティガレックス弟 「何があったんだ!?(バサッ! バサッ!!)」
イャンガルルガ 「少女、無事でよかった! 俺達、地震があってからずっとお前を探してたんだぞ!!」
少女 「………………」
イャンガルルガ 「……? お前、泣いてンのか?」
少女 「(グシグシ)…………」
   「うぅん」
   「すごい地震だったね。トトスさんは、奥さんのところにいるよ」

448: 2011/12/27(火) 23:25:26.21 ID:zikyzFWa0
ティガレックス兄 「マジですげぇ地震だったぜ。どうなるかと思っちまった」
ティガレックス弟 「出口に近かったからいいけどよ、お前はどうやって脱出したんだ?」
少女 「そんなことより……もう、太陽が昇るよ」
   「綺麗な朝日……」
   「…………」
イャンガルルガ 「………………」
        「行くぞ(ガシッ)」
少女 「うん」

449: 2011/12/27(火) 23:25:57.14 ID:zikyzFWa0
ティガレックス兄 「アァ!? もう行くのか!?」
ティガレックス弟 「一応魚クンに礼を言わなきゃいけねぇんじゃねぇの?」
少女 「みんなによろしくって言ってたよ。忙しくて、見送りにはこれないって」
ティガレックス兄 「そうか! なら問題ねぇな!!」
ティガレックス弟 「薄情な奴だぜ」
ティガレックス兄 「で、これからどこに行くんだ?」
少女 「もっと東。海の向こう。何だか、そこに行かなきゃいけないような気がするの」
ティガレックス弟 「ふーん……ま、なるようになるぜ。行くぜ!!(シュバッ!!)」
ティガレックス兄 「あ、おい待てコラ!(シュバッ!!)」

450: 2011/12/27(火) 23:26:28.19 ID:zikyzFWa0
イャンガルルガ 「………………(シュバッ!!)」
        「(バサッ! バサッ!!)…………」
        「お前……それでいいんだな」
少女 「うん……」
イャンガルルガ (少女の角が、更に大きくなってやがる)
        (何かあったんだ……)
        (何かが、こいつを追ってきてる)
        (逃げるんだ、早く……!!!)

454: 2011/12/28(水) 23:18:03.53 ID:CrItWe2H0
―シュレイド地方、樹海、朝―

ラージャン 「で、だ。先生は俺に、この二匹の特訓をしろというわけか」
ナナ・テスカトリ 「ええ。お願いできるでしょうか?」
ラージャン 「話によると、古龍を退けたらしいが……」
小鉄 「…………」
迅雷 「…………」
ラージャン 「とても信じられんな」
小鉄 「な……何を言うニャ! お前なんて、オイラたちにかかれば一捻り半だニャ!!」
迅雷 「兄貴……やめとこうよ……こいつヤバいニオイがするよ……」
小鉄 「け……けど何事も最初が重要だニャ! それに、ビビってたら由緒正しきオトモはいつまで経っても務まらんニャ!」
   「迅雷ももっと胸を張るニャ! お前は、お前が思う以上に強いんだニャ!!」
迅雷 「でも……」

455: 2011/12/28(水) 23:18:40.19 ID:CrItWe2H0
ラージャン 「…………フン、こいつが俺と同じように雷を纏う龍とやらか…………」
迅雷 (ビクッ)
ラージャン 「よく聞け坊主」
      「俺を見てビビってるような奴に、雷を纏うことは許されない」
      「雷は、心を鎮め、自分自身の心でコントロールしなければならない」
      「貴様のような餓鬼に、纏われていいものではないのだ」
迅雷 「…………」
小鉄 「さっきから聞いてれば何を偉そうに! 迅雷をびびらせる奴は成敗だニャ!!」
 >ガシャコン
ラージャン 「ふん……!!(シュッ!!)」

456: 2011/12/28(水) 23:19:05.34 ID:CrItWe2H0
小鉄 「え……」
迅雷 「!!」
   (頭に……こいつの攻撃の軌道が見える……?)
   (こいつは右から兄貴のことを殴りつける……)
   (本気だ!!!!)
   「兄貴、危ない!!!」
 >シュバッ!!!
 >ドッゴォォォォォッン!!!!
小鉄 「………………(パクパク)」
ラージャン 「へぇ……」
      「よく避けたな。頃す気でやったんだが」

457: 2011/12/28(水) 23:19:38.10 ID:CrItWe2H0
ナナ・テスカトリ 「…………」
小鉄 「で……でかい古龍! こいつ、今、オイラを……殺そうとしたニャ!!!」
   「な……な、何をするニャ!!!」
迅雷 「ハァ……ハァ……」
ナナ・テスカトリ 「ええ。授業はもう始まっているのです。これは実戦演習。あなたたちには、これからこの子と戦い、生き延びてもらいます」
小鉄 「はああ!? 何でだニャ!?」
ナナ・テスカトリ 「戦闘技能を伸ばすには、一度氏の恐怖を味わうのが最も手っ取り早い方法です」
         「あなた達には、その一番大事なものが欠けている」
         「特に小鉄さん、あなたにです」
小鉄 「ふざけるなニャ! お前らに教わることなぞ何もないニャ!!!!」

458: 2011/12/28(水) 23:20:04.21 ID:CrItWe2H0
(物陰)剣ニャン丸 (あわわ……とんでもないことになってきたゼヨ…………)

ラージャン 「御託は終わりか? 行くぞ」
 >シュバッ!!
迅雷 (こいつの動き……凄く速いけど、俺……)
   (こいつが何をしようとしてるのか、分かる!?)
   (次は上から飛び掛ってくる……!! あくまで兄貴を頃すつもりだ!!!)
   (戦わないと、兄貴が殺される!!!!)
小鉄 「迅雷、やってられんニャ、逃げるニャ!!!」
迅雷 「駄目だ兄貴、避けて!! 上から来るよ!」
ラージャン 「!?」
 >チュッドォォォォォンッ!!!!!

459: 2011/12/28(水) 23:20:32.45 ID:CrItWe2H0
小鉄 「はぁ……はぁ……(ドキドキ)」
 >プスプス
小鉄 「じ……地面に雷で……でかい穴が開いたニャ……」
   (あとちょっとずれてたら、オイラに直撃してたニャ…………)
ラージャン (スタッ)
      「何だ? 予知能力でも持っているのか?」
ナナ・テスカトリ 「ええ。あの二匹は特別なモンスターです。手加減なしでお願いします」
小鉄 「ちょ……」
ラージャン 「承知した。先生は離れていろ」
迅雷 (キッ)
   「兄貴、戦う! 俺、戦うよ!!」
   「あんな奴に負けない! 俺は、俺は、もっと先に行かなきゃいけないんだ!!」
小鉄 「迅雷……」
   「…………」
   「よく言ったニャ! お前は、それでこそオイラの義弟だニャ!!!」

460: 2011/12/28(水) 23:21:07.55 ID:CrItWe2H0
ラージャン 「本気でと言ったな。お前らにその意味が分かるか?」
      「俺は、無論お前らを頃す気でいくが」
 >バリバリバリバリバリバリ
 >チュッドォォォォォッ!!!!
 >パチ……パチ……
ラージャン(激昂) 「お前らも、俺を頃す気で来いってことだ」
          「それが出来るか? ベビー共」
小鉄 「誰がベビーだニャ! 迅雷、お前の背中を借りるニャ!」
 >シュタッ!
小鉄 「オイラが援護するニャ! 臆することはないニャ!!」
迅雷 「う……うおおおおおおおおお!!!」

461: 2011/12/28(水) 23:21:34.78 ID:CrItWe2H0
 >バリ……バリ…………
 >バチィッ!!
迅雷 「!?」
   「あれ!? 雷が……落ちてこない……!!!」
小鉄 「何してるニャ!? 迅雷、早く変身するニャ!!!!」
迅雷 「くそ! 早く、早く!!!」
ラージャン(激昂) 「………………」
          「興醒めだ。餓鬼は所詮餓鬼か」
          「その様子だと、お前の父母とやらも、たいしたモンスターではなかったようだな」
迅雷 「何……?」
ラージャン(激昂) 「カエルの子はカエルと言うことわざを知っているか? ベビー」
          「子を見れば親も分かる」
          「碌でもないということがな!!」

462: 2011/12/28(水) 23:22:01.52 ID:CrItWe2H0
迅雷 「父さんと母さんは……」
   「と、父さんと母さんは、碌でもないモンスターじゃないぞ!!」
   「そんなモンスターじゃない!!!!」
ラージャン(激昂) 「どうだかな」
 >シュバッ!!
迅雷 「!?」
 >ドゴォッ!!
迅雷 「ゲフッ!」
小鉄 「ギニャ!!」
 >ズザッ!!!!
小鉄 「迅雷、無事かニャ!?」
迅雷 「大丈夫、脇腹を殴られただけだよ!(ズキズキ)」

463: 2011/12/28(水) 23:22:27.81 ID:CrItWe2H0
ラージャン(激昂) 「何だ、向かってこんのか」
          「兄貴とやらがいなくては何も出来ないか。やはり碌でもないな」
          「そんな奴に雷は降りてこない」
          「お前のようなベビーに、雷は纏われたくないと言っているぞ」
          「興奮しているせいで、予知とやらも使えまい」
          「お前は、その程度のベビーなんだよ」
小鉄 「うるさいニャァァァ!!!(ブゥゥゥンッ!)」
 >ガチィィンッ!
小鉄 「ユクモ刀こてっちゃんを喰らうニャ!!」
 >ガチィ!
小鉄 「く……何て硬い奴だニャ!!」
ラージャン(激昂) 「氏ね」
小鉄 「え……」
 >チュッドォォォォォォォォンッ!!!!!
小鉄 「ガ……」

464: 2011/12/28(水) 23:23:01.30 ID:CrItWe2H0
小鉄 (ガクガク)
   (ドサッ)
   「………………」
ラージャン(激昂) 「…………チッ、まだ生きてやがる」
小鉄 「う……うう…………」
ラージャン(激昂) 「俺の雷に至近距離で触れるとは、馬鹿な奴だ。トドメをさしてやろう」
小鉄 「か……体が動かんニャ……何が起きたニャ…………」
迅雷 「はぁ……はぁ……」
   「兄貴……」
   「兄貴ぃぃぃぃいい!!!(ダダダダダッ!!)」
ラージャン(激昂) (ニヤリ)

465: 2011/12/28(水) 23:23:27.40 ID:CrItWe2H0
ラージャン(激昂) 「ふ……はは! そうだ!」
 >ドゴォッ!
迅雷 「ぐふぁ!!」
ラージャン(激昂) 「そうやって向かって来い! 無駄な足掻きをしてみせろ!!」
 >ドゴォォッ!!
迅雷 「ウアアア!!!」
ラージャン(激昂) 「いい顔だベビー! だが氏ね!!」
 >チュッドォォォォォォォンッ!!!!
迅雷 「ギャアアアアアアア!!!!!」
 >ドサッ…………

466: 2011/12/28(水) 23:24:04.31 ID:CrItWe2H0
迅雷 「が……あ……」
 >プスプス……
ラージャン(激昂) 「そこで見ていろ。お前がカスなせいで、あの世に旅立つクソアイルーの姿をな」
 >ズシン、ズシン
迅雷 「や……やめろ…………」
小鉄 「目が見えんニャ……耳も良く聞こえんニャ……」
   「迅雷……迅雷はどこだニャ…………」
ラージャン(激昂) 「……痛みを感じていないのか……? 不気味な猫もいたものだな」
          「だが猫は猫だ。それ以上でもそれ以下でもない」
          「ベビーがベビーなようにな」
 >ガシッ
迅雷 「うわああああああ!!!!!!」
 >ドォォォォォォンッ!!!!
 >バリ……バリ……

467: 2011/12/28(水) 23:24:34.76 ID:CrItWe2H0
迅雷(超帯電) 「はぁ……はぁ…………」
        「兄貴を……離せ…………!!」
ラージャン(激昂) 「遅い。口の前に体を動かせ」
 >ポイッ
小鉄 「…………」
 >ボチャン
ラージャン(激昂) 「早くしないと、あの猫が溺れ氏ぬぞ」
迅雷(超帯電) 「兄貴!!!」
ラージャン(激昂) 「行かせぬよ」
 >ドグォ!!
迅雷(超帯電) 「ギャア!!!」
 >ゴロゴロ

468: 2011/12/28(水) 23:25:01.03 ID:CrItWe2H0
迅雷(超帯電) 「どうして……どうしてこんなに酷いことが出来るんだよ! 俺達が何をしたって言うんだよ!!!」
ラージャン(激昂) (イラッ)
 >シュバッ
迅雷(超帯電) 「!!」
ラージャン(激昂) 「いいかベビー。覚えておけ」
          「俺が一番嫌いなものは、お前が今発した『負け犬の遠吠え』だ」
 >ドスッ!
迅雷(超帯電) 「ウァ!!」
 >ドッゴォォォォォンッ!!

469: 2011/12/28(水) 23:25:35.89 ID:CrItWe2H0
 >ガラガラ……
迅雷(超帯電) (な……何が…………あったんだ…………)
        (体中が痛い……あいつに吹き飛ばされて……岩にぶつかったんだ…………)
        (兄貴は……泉に沈んだままだ……)
        (このままじゃ殺される……俺も、兄貴も…………)
        (やるんだ……)
        (俺、戦うんだ……)
        (父さんも母さんも……カスじゃない……兄貴も…………)
        (俺はそれを……証明するんだ!!)
        (証 明 す る ん だ ! ! !)

470: 2011/12/28(水) 23:26:12.50 ID:CrItWe2H0
ラージャン(激昂) 「どうした、立て」
          「屈した相手を頃すつもりはない」
          「向かって来い」
迅雷(超帯電) 「俺も……お前も、雷を纏ってる……力は、五分と五分なんだ……」
ラージャン(激昂) 「………………」
迅雷(超帯電) 「お前なんか怖くない……」
        「怖くないぞおおおおお!!!!!」
 >バリバリバリバリバリバリ!!!!!!
ラージャン(激昂) 「カァッ!!!」
 >バシュ!!!
迅雷(超帯電) (お……俺の出した雷が、全部気合だけで……)
        (掻き消された!?)
ラージャン(激昂) (スゥ)
          「雷とはこう使うんだ」
 >ゴゥッ!!!!!
迅雷(超帯電) 「うわあああああ!!!」
 >ババババババババババババッ!!!!!!

471: 2011/12/28(水) 23:26:43.42 ID:CrItWe2H0
 >バキボキ……
 >ズゥゥゥゥンッ………………
ラージャン(激昂) 「ふん……少しやりすぎたか……」
          「だいぶ森を破壊してしまった……」
          (あの小僧、氏んだか……?)
          (土煙で見えんが……俺の元気玉を正面から喰らってはひとたまりもあるまい……)
          
迅雷(激帯電) 「………………」
 >バチッ!
 >バチッ!!

472: 2011/12/28(水) 23:27:21.16 ID:CrItWe2H0
ラージャン(激昂) 「……? 何だ、あの白い龍は……?」
          (小僧か……? 俺の雷を吸収したのか!)
迅雷(激帯電) 『オ前…………殺ス』
        『   殺   ス   !!』
 >シュンッ!!
ラージャン(激昂) 「フンッ!」
 >ガガッ!!
 >ギリ……ギリ……
ラージャン(激昂) 「ほう……俺の拳を受け止めるとはな」
          「面白ェじゃねぇか!!!」

473: 2011/12/28(水) 23:27:56.20 ID:CrItWe2H0
迅雷(激帯電) 『取リ消セ……!』
        『俺達ハ、カスジャナイ!!!!』
ラージャン(激昂) 「 嫌 だ ね !!!!!」
 >ズッ! ドォォォォンッ!!
 >ドォォォンッ!!
 >ドォォォンッ!!!
迅雷(激帯電) 『ガアアアアア!!!!!』
ラージャン(激昂) 「俺のデンプシーを全部喰らっても無傷とは……硬くなったな!」
          「だがこれでどうだ!!」
 >ガシッ
 >ダッ!!
 >シュン!!!
迅雷(激帯電) 『クッ…………』

474: 2011/12/28(水) 23:29:52.56 ID:CrItWe2H0
ラージャン(激昂) 「この高さから吹き飛ばされたら、流石に氏ぬかな?」
          「ヒャハ! どうかなァ!?」
迅雷(激帯電) 『(キッ……!!)……!!!!』
 >ガッ
ラージャン(激昂) 「!」
迅雷(激帯電) 『オ前モ落チルンダ! 俺ト一緒ニ!!!』
ラージャン(激昂) 「カカッ! 根競べか!? いいだろう受けてやるよ!!」
 >ヒュルルルルルルルル
 >ドォォォォォォォンッ!!!!

迅雷(激帯電) 「ガァ……!! (ゴロゴロ)」
ラージャン(激昂) 「カ……!! (ゴロゴロ)」

475: 2011/12/28(水) 23:30:23.20 ID:CrItWe2H0
[殺ス]

[コロス]

[コ ロ ス  ! !]

迅雷(激帯電) 『ガアアアアアア!!!!!!』
 >バリバリバリバリバリバリ
 >ド ド ド ド ド ド ド ド
ラージャン(激昂) 「……地鳴り!? 小僧が起こしているのか!!」
 >バリッ!
 >バリッ!!
ラージャン(激昂) (ハッ!!)
          (上か!?)
          (な……何だ、あの巨大な……雷の塊は………………!!!!)

476: 2011/12/28(水) 23:30:52.07 ID:CrItWe2H0
迅雷(激帯電)『 氏 ネ 』
ラージャン(激昂) 「…………!!」

 > カ ッ ! ! ! ! !

 >チュッ………………ドォォォォォォォォォンッ!!!!!!!

 >バチィッ!!

477: 2011/12/28(水) 23:31:17.67 ID:CrItWe2H0
迅雷 「うわああ!」
   「ッ……はあ! はぁ……はぁ……!!!!」
   (何だ……俺、何を……)
   (地面に…………でかい穴が………………)
   (底が見えない…………!)
   (俺がやったの!?)
   (ハッ!)
   (あいつだ、後ろから来る!!!)
 >ガチィッ!!!
ラージャン(激昂) 「ふん……元にもどったようだが、よく俺が後ろから来ると分かったな」
迅雷 「どうして……どうして生きてるんだよ!!」
   「雷に巻き込まれて……粉々になったんじゃ……」
ラージャン(激昂) 「妄想というのは怖いな。幻想を現実だと思わせてしまう」
 >ドッ
迅雷 「ガハァッ!!」

478: 2011/12/28(水) 23:31:48.58 ID:CrItWe2H0
 >バチィッ!
ラージャン 「…………(スゥ…………)」
      「これでお前は一回氏んだ。本気で俺と戦っても、尚氏んだ」
      「カスめ」
迅雷 「と……取り消せ…………!!」
   「俺は……父さんも……母さんも……兄貴も、カスじゃない…………!!!!」
   「取り消せえええ!!!」
ラージャン 「嫌だね(ニヤァリ)」
迅雷 「(ギリ)…………!!」
ラージャン 「いい表情をするようになったじゃないか」
      「面白い。明日、また同じ時間にここに来よう」
      「逃げずにいられるかな、ベビー……」
 >ドス、ドス…………
迅雷 「ま……待て…………」
   「待てよ…………」
   「う…………うう………………」
 >ガクッ

479: 2011/12/28(水) 23:32:15.78 ID:CrItWe2H0
―数時間後、樹海、昼―

剣ニャン丸 「こてっちゃん、しっかりするニャ! 生きてるかニャ!?」
 >ペチペチ
小鉄 「う……うう……?」
   (ハッ!!)
   「ここは……ッ!?」
   「体が……動かんニャ!!」
剣ニャン丸 「はぁ……良かった……ゼヨ。お主を泉から引き上げるのは苦労したゼヨ」
小鉄 「ニャン丸が助けてくれたのかニャ……すまんニャ……」
   「迅雷……それより迅雷はどこだニャ!?」

480: 2011/12/28(水) 23:32:51.98 ID:CrItWe2H0
迅雷 「………………」
小鉄 「迅雷! 無事でよかったニャ!!!」
   「って何だニャァァ!! この焼け野原はアアア!!!」
ナナ・テスカトリ 「迅雷とラージャン君との戦いでこうなったのです。あなたが気絶している間に……」
小鉄 「ニャ!? ニャんだとォ!?」
ナナ・テスカトリ 「あなたは迅雷を守れなかった。迅雷は手ひどく負けました」
         「ラージャン君が『手加減』しなければ、あなた達は二匹とも、今頃氏んでいます」
迅雷 「手加減……?」
   「手加減してたって言うの!?」
ナナ・テスカトリ 「ええ。そうです」
         「…………明日と言っていましたね。逃げてもいいですよ。けれど、あなた達……」
         「ここで逃げたら、一生勝てないと思いなさい」
 >スタスタ……
小鉄 「……く……グ…………」
迅雷 「兄貴…………俺……悔しい………………」
   「悔しいよ……!!!!」
小鉄 「……………………グゥ!(ガッ)」
   「おいらもだニャ……!!!!」

489: 2011/12/30(金) 01:39:17.91 ID:JPU1adH80
―潮島上空、昼―

イャンガルルガ 「……随分飛んだな……ここら辺で一旦休憩しようぜ(バサッ! バサッ!)」
ティガレックス兄 「…………Zzz…………(バサッ! バサッ!)」
ティガレックス弟 「すげぇ! 寝ながら飛んでやがる!!」
イャンガルルガ 「起きろ(ゲシッ)」
ティガレックス兄 「……!! ……!!!!(ヒュルルルル)」
イャンガルルガ 「あ……」
ティガレックス弟 「ギャハハハハハ!! バランス崩して落ちてったぞ!!!」

490: 2011/12/30(金) 01:39:53.02 ID:JPU1adH80
少女 「…………」
ティガレックス弟 「遂に兄者も年貢の納め時か!? (バサァッ!)」
イャンガルルガ 「……? 少女、どうした。さっきから一言もしゃべらねぇな」
少女 「え……あぁ……ううん。大丈夫」
   「お兄さんが落ちたの? でも大丈夫。ここには島があるから……」
イャンガルルガ 「島? こんな海のド真ん中にか?」
        「来たこともねぇのに何で分かる?」
少女 「分かるの。大丈夫だよ」
イャンガルルガ (少女の目の色……こんな、青かったか……?)
        (いや、俺の気のせいだ。光が当たってるせいでそう思うだけだ……)
        「とにかく助けにいくぜ。全く世話を焼かせる馬鹿共だ」

491: 2011/12/30(金) 01:40:18.73 ID:JPU1adH80
―潮島、昼―

ティガレックス兄 (パチリ)
         「ッ……カァ!」
 >ズッ……ウゥゥゥゥゥゥンッ!!!
ティガレックス弟 「出た! 兄者の十八番、『直前で起きる』!!」
 >ズッゥゥゥゥゥンッ!!
イャンガルルガ 「お前ら……もうちょっと静かに着地できねぇのか?」
 >バサッ……
 >スタッ
少女 「お兄さん、大丈夫?」
ティガレックス兄 「何がだ? ここはどこだよ?」

492: 2011/12/30(金) 01:40:51.18 ID:JPU1adH80
少女 「分かんない……でも、ここで一旦休憩しよう」
ティガレックス兄 「ヒャァ! 休憩だァ!!」
ティガレックス弟 「ポポはいねぇのか」
         「……?」
         「お前、目の色が変だぞ」
イャンガルルガ 「…………!」
少女 「……そう? 私は普通だよ」
ティガレックス弟 「そうか、それなら大丈夫だな!」
少女 「…………」
イャンガルルガ 「どうした?」
少女 「誰か来る。変な気配がする」

493: 2011/12/30(金) 01:41:21.17 ID:JPU1adH80
イャンガルルガ (少女を追ってる奴か!?)
        (ブチ頃してやる!!)
        「おい馬鹿共。構えろ。何か来るらしいぞ」
ティガレックス兄 「馬鹿って言った方が馬鹿なんだぜ!」
ティガレックス弟 「バーカ!」
イャンガルルガ (イラッ)
少女 「…………」
イャンガルルガ 「!!」
 >シュバッ!!!
イャンガルルガ (何か飛んできた!! 白い……糸か!?)
 >パチィッ!
イャンガルルガ (木に引っ付いた……?)

494: 2011/12/30(金) 01:41:50.54 ID:JPU1adH80
少女 「来るよ、みんな」
 >ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………!!!!
ゴゴモア 「キシャァァァァ!!!!」
イャンガルルガ 「新手か!? いいぜ相手になるぜ!!」
ティガレックス兄 「何だ!? 見たことねぇ猿が、木の間をすっ飛んでくるぞ」
ティガレックス弟 「丁度いいぜ、飯にするか!!(ガチィッ!!)」
ゴゴモア 「(シャッ)……カァ!」
 >シュバッ!!
イャンガルルガ 「!!」
        (あの猿、糸を引っ張って着地の軌道を変えた……!!)

495: 2011/12/30(金) 01:42:30.11 ID:JPU1adH80
ゴゴモア 「クルゥァァ!!!」
 >ドゴォッ!!!!
ティガレックス兄 「うおおお!!?」
ティガレックス弟 「兄者!?」
         「テメェ……ブッ頃す!!」
 >シャァッ!!
ゴゴモア 「!!!」
 >シュバッ!!!
イャンガルルガ (まただ……糸を木に引っ付けて、自由自在に移動してる)
        (初めて見るモンスターだ!)
        (糸は手から出してンのか!?)
ゴゴモア 「ガァ!!」
 >ド ン ッ ! !
ティガレックス弟 「ウオァ!?」
         「ってェなァ!!!」
         「ひゅんひゅん動き回りやがって!! 何しやがる!?」

496: 2011/12/30(金) 01:43:05.27 ID:JPU1adH80
ゴゴモア 「…………」
 >プラーン……プラーン……
イャンガルルガ (木からぶら下がってやがる……挑発してるのか?)
        (いや、違う……)
少女 「…………」
ゴゴモア 「…………」
イャンガルルガ 「狙いは少女か!? てめぇも少女を狙う奴らの仲間か!?」
ゴゴモア 「…………?」
     「お前ら、何故、人間、連れてる?」
     「それ、人間か? 人間臭くは、ないが」
ティガレックス兄 「あァン!? 少女は食っても美味くねえぞ、多分な!!」
ティガレックス弟 「全くだぜ!!」

497: 2011/12/30(金) 01:43:34.11 ID:JPU1adH80
ゴゴモア 「…………」
     「お前ら、見たこと、ない、奴ら」
     「どうして、ここ、来た?」
     「俺、それ、知りたい」
イャンガルルガ 「敵じゃねぇのか?」
ゴゴモア 「お前ら、島、降りた。音、凄かった。ココ、怖がる」
     「俺、ココ、守る、だから、来た」
イャンガルルガ 「ココ……?」
少女 「あそこにいるよ。小さな……子供だと思う」
イャンガルルガ 「!」
ココモア 「…………(ビクビク)」
イャンガルルガ (こいつの背中に、ちいさいのがくっついてやがる)
        (敵だと勘違いしたわけか)

498: 2011/12/30(金) 01:44:06.52 ID:JPU1adH80
イャンガルルガ 「馬鹿共は黙ってろ。俺が話をする」
ティガレックス兄 「何でテメーにそんなこと命令されなきゃいけねぇんだよ」
ティガレックス弟 「ケケケッ! くたばれバーカ」
イャンガルルガ 「いいから黙ってろ。で……だ。てめーは子供を襲われると勘違いしたわけか」
ゴゴモア 「お前ら、敵、違うのか? 何だ、何故、ここ、来た?」
     「ここ、俺と、ココしかいない……」
     「何しに、来た」
イャンガルルガ 「何しにって……上を飛んでたら、一匹墜落してここに落ちたんだよ」
        「別にてめーのガキを狙ってきたわけじゃねー」
ゴゴモア 「………………」

499: 2011/12/30(金) 01:44:33.86 ID:JPU1adH80
ゴゴモア 『Di…………eW、a…………hrh…………eit…………?』

少女 「!」
イャンガルルガ 「あぁ? ンだってェ?」

少女 [ 本当のことよ。あなた達を脅かしに来たんじゃないの。ごめんなさい。驚かせてしまって ]

500: 2011/12/30(金) 01:45:17.55 ID:JPU1adH80
イャンガルルガ 「!?」
        「少女、何だ、変な言葉だぞお前」
少女 「うぅん。大丈夫。このモンスター、古龍の言葉が分かるみたい……」
イャンガルルガ 「古龍の言葉? お前、いつの間にそんなもの……」
少女 「ちょっと話してみる」

少女 [ あなたは誰? 私は、人間……のようなものよ。でも、あなた達に危害を加えたりはしない ]
   [ 名前があるなら、教えて ]
ゴゴモア [ ゴゴモアと言う。俺とココモアの聖地に、足を踏み入れたことが信じられない ]
     [ お前は何者だ? どうして、俺が島にかけた術を見抜いた? ]
少女 [ 術? 私、ここから不思議な力が発せられてるって感じて、だから安心して降りてきたの ]

501: 2011/12/30(金) 01:45:46.83 ID:JPU1adH80
ティガレックス兄 「何だァ? 人間語かァ?」
イャンガルルガ 「古龍の言葉らしい……」
ティガレックス弟 「古龍の? 何で少女がそんなモン話せるんだよ」
イャンガルルガ 「知るか! 俺の方が知りてェよ」

502: 2011/12/30(金) 01:46:12.45 ID:JPU1adH80
ゴゴモア [ ココが、不思議な者がここに来ると言った。禍いを連れてくると ]
ココモア [ ………… ]
ゴゴモア [ お前がそうか? ]
少女 [ 禍い………… ]
   [ 分からないの…… ]
ゴゴモア [ 分からない? どういうことだ? ]
少女 [ 分からない……本当に分からないの…… ]

503: 2011/12/30(金) 01:46:40.98 ID:JPU1adH80
少女 「う……ひっく……」
 >ポロポロ
イャンガルルガ 「少女!? どうした!」
ティガレックス兄 「あいつ食ってもいいのか!?」
ティガレックス弟 「猿の肉は不味いけどなァ!!」
少女 「違うの! 話してたら、何だか悲しくなっちゃって……」 
ゴゴモア 「…………」
     「……来い。お前たち、疲れている」
     「俺、お前たち、飯、食わせる」
     「奥。家、ある。来い」
 >シュバッ

504: 2011/12/30(金) 01:47:09.79 ID:JPU1adH80
ティガレックス兄 「何ィ!? 飯だと!? 行く行く!!!(ダダダダダッ)」
ティガレックス弟 「ヒャァ! 肉だァ!!(ドドドドド)」
イャンガルルガ 「待てよてめーら!!」
        「ったくしょうがねーな……」
        「少女、あいつ信用できるのか?」
少女 「……分かんない……」
   「でも、悪い人じゃないと思う」
イャンガルルガ 「お前がそう言うなら、信用するぜ」
        (だけどあの言葉……)
        (少女……俺達に何か隠してるな……)

505: 2011/12/30(金) 01:47:43.35 ID:JPU1adH80
―潮島、奥、ゴゴモアの巣、昼―

ゴゴモア 「木、上だ」
イャンガルルガ 「待てよ。少女はともかく、俺達はあんな小せェ木の上の巣に入れねぇよ」
ゴゴモア 「飯、だ。食え」
 >バラバラ
ティガレックス兄 「ヒャァ! 干し肉だァ!!(モグモグ)」
ティガレックス弟 「ヒャッハァーッ!!(モグモグ)」
イャンガルルガ 「…………」
少女 「……ゴゴモアさんと、ココモアさん。ここに住んでるみたい」
イャンガルルガ 「へぇ……(モグモグ)」

506: 2011/12/30(金) 01:48:15.53 ID:JPU1adH80
少女 (……!)
   (何か……嫌な感じ……)
   (ここにも、長くはいられないの……?)
ゴゴモア 「…………」
     「……!?」
ココモア (スッ)
     [ 食べなよ。元気が出るよ ]
少女 「……」
   (にっこり)
   [ ありがとう]
イャンガルルガ 「………………(モグモグ)」

507: 2011/12/30(金) 01:48:43.49 ID:JPU1adH80
―潮島、火山、昼―

アマツマガツチ 「………………」
        「生まれよ……過去の亡霊よ……」
        「生まれ出でよ……怨念纏いし亡霊よ……」
        「我の元に出で、そして我の命を聞け……」
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
 >ズズ……ズッ…………

イビルジョー亜種 「……カ……カァ…………!!!!!」

 > ズ ン ッ ! ! !

508: 2011/12/30(金) 01:49:11.79 ID:JPU1adH80
アマツマガツチ 「…………」
        「我の貴重な手駒が減った」
        「殺せ」
        「殺戮と食欲しか能のないお前を、使うとする」
イビルジョー亜種 「(ブツブツ)腹減った腹減った腹減った腹減った……」
アマツマガツチ 「(ニヤリ)…………」
        「行け。そして頃して来い」
        「氏体も残さず喰らえ! 恐暴竜よ!!!」

509: 2011/12/30(金) 01:52:44.24 ID:JPU1adH80
お疲れ様でした。
第7話は以上です。第8話に続かせていただきます。


524: 2012/01/24(火) 18:26:16.68 ID:OygOdzfAO
楽しみにしてます

引用: ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」