1: 2016/09/09(金) 02:14:25.12 ID:rAePaKkD.net
初SS
書き溜めアリ

2: 2016/09/09(金) 02:14:54.68 ID:rAePaKkD.net
――あ、まただ

鞠莉「それで、ドウするつもりデスカ?」

千歌「わたしは、応援してあげたいな、って。梨子ちゃんはコンクールに出るべきだと思うよ」

やっぱり、千歌ちゃんは知ってたんだ

ダイヤ「梨子さんはどうお考えですの?」

梨子「私は、コンクールに出たいです。…ごめんなさい」

やっぱり、打ち合わせ済みなんだ

3: 2016/09/09(金) 02:16:01.66 ID:rAePaKkD.net
ルビィ「そんな…」

善子「じゃあラブライブの予備予選はどーするのよ!?」

千歌「出るよ、8人で。予備予選さえ何とかなれば梨子ちゃんも帰ってこれるし」

なに言ってんのそんな簡単に

果南「…千歌は、本当にそれで良いの?」

千歌「うん。…ダメ、かな?」

なんでこんな時だけ私に

曜「良いんじゃないかな?千歌ちゃんも梨子ちゃんも納得済みなんだよね」

梨子「う、うん…でも、私だけこんな我が儘良いのかな?」

曜「良いんだよ。やりたい気持ちは誰にも止められないんだから。全力前進、ヨーソロー!ってね」

梨子「曜ちゃん…ありがとう」

4: 2016/09/09(金) 02:17:09.60 ID:rAePaKkD.net
ダイヤ「ハァ…仕方ありませんわね。確かに、やりたい事を止める権利は私達にはありませんもの」

鞠莉「やりたい気持ちを押さえつけるツラさはダイヤがいっちばん知ってるもんねー?」

ダイヤ「もう!鞠莉さん!」

果南「まあまあ、じゃあちょっと大変かもしれないけど8人でやってみますか」

善子「仕方ないわね、このヨハネが「みんなで頑張って梨子さんの穴を埋めるずらー!」

善子「最後まで言わせなさいよ!」

千歌「あはは、良かったぁ~みんな反対だったらどうしようかと思ったよ~」

やめて

梨子「そうね」

やめて

10: 2016/09/09(金) 02:34:49.26 ID:n5x2L6/w.net
曜「…ちょっと、いいかな?」

やめて

千歌「なぁに、どしたの曜ちゃん」

やめてよ


曜「私ね…私、スクールアイドル辞めます」


ああ

千歌「え…?」

果南「曜…?」

言っちゃったなぁ

梨子「曜ちゃん…」

11: 2016/09/09(金) 02:35:53.13 ID:n5x2L6/w.net
ダイヤ「どういう事ですの!?」

ねえどんな気持ち

曜「あははダイヤさん怖いよ。あのねちょっと水泳部の方で言われちゃったんだ」

鞠莉「何をデスカ?場合によっては私がセイバイしてくれマス」

ねえ今どんな気持ち

曜「違う違う!そうじゃなくて、部長にね「大会に出るつもりならちゃんと考えろ」って言われちゃってさ」

12: 2016/09/09(金) 02:37:05.34 ID:n5x2L6/w.net
果南「ひょっとしてこっちのトレーニングかキツすぎてあっちに影響してるとか?」

わかる?

曜「あはは…それは否定は出来ないけど、そうじゃないんだ。どっちかっていうと心の問題、かな」

ルビィ「こころ?」

わかるよね

曜「うん、部長にさ「最近集中力が足りないんじゃないか」って、「こんな状態じゃ成績以前に事故がおきかねないぞ」って」

13: 2016/09/09(金) 02:37:58.20 ID:n5x2L6/w.net
ダイヤ「そうでしたか…確かに最近は色々とありましたものね」

ルビィ「東京であんなことがおこったり、帰りにもあんなことが…あっ!ご、ごめんなさい!」

私の気持ち

曜「いいよ。でさ、しばらく水泳部に専念したいなって、いいよね」

善子「そりゃあ、ねぇ」

梨子「私は何にも言えないよ」

ダイヤ「曜さんの飛び込みはマイナーながらも我が校の大事なアピールポイントのひとつですからね、仕方ありませんわ。むしろ本来ならばこちらからお願いしなければならないくらいですもの」

ルビィ「そっか…そうだよね。応援しなきゃだよね」

花丸「ずら」

鞠莉「だとすると予備予選には7人、て事ね」

ダイヤ「相当に気合いを入れてかからねばなりませんわね」

14: 2016/09/09(金) 02:39:12.06 ID:n5x2L6/w.net
千歌「…なんで?」

だよね

千歌「ねぇ、曜ちゃんなんで!?」

だよね

曜「千歌ちゃん、ごめんね」

千歌「…っ!」

わかった?

曜「応援、してくれないの?」

千歌「だって…こんなの、わかんないよぅ…」

ウソ、わかったでしょ

曜「泣かないでよ千歌ちゃん、ね?」

果南「ねぇ曜」

曜「ん?」

果南「「スクールアイドル辞めます」って、もう戻らないって事?」

スルドいなぁ

曜「…わかんない。少なくとも、今は」

果南「…本気?」

曜「うん」

果南「そっか」

ルビィ「そんな…」

16: 2016/09/09(金) 02:40:31.61 ID:n5x2L6/w.net
千歌「ウソ、だよね?」

ちゃんと受けとめてね

曜「嘘じゃないよ。でも、もう行かなきゃ」

千歌「戻ってくるんだよね?」

私の気持ち

曜「…ごめん、またね」

千歌「なんで何にも言ってくれなかったの?!」

何にも言って貰えない気持ち

曜「…じゃ」

千歌「曜ちゃん!」

果南「千歌…」

19: 2016/09/09(金) 02:42:13.00 ID:n5x2L6/w.net
果南「はい!じゃあ今日はここまで!」

7人「お疲れさまでしたー」

鞠莉「ダイヤ!大丈夫ですか!?立てマスカ?」

ダイヤ「そう思うのならどいて下さい!重いですわ!」

鞠莉「ワタシの想いは子泣きグランパより重いのデース」

ルビィ「あわわ…お姉ちゃ~ん」

ダイヤ「ルビィ、私は…もう…」

ルビィ「おねいちゃぁぁああん!!」

21: 2016/09/09(金) 02:43:42.20 ID:n5x2L6/w.net
果南「ほらほら、バカやってないで帰るよー」

鞠莉「はぁい」

善子「はやっ!?」

鞠莉「果南、果南、一緒に帰りまショー」

果南「あ、ごめん、私行くとこあるから先帰ってて」

鞠莉「ガーン」

果南「…付いてきちゃ駄目だからね」

鞠莉「も、もちろんデース」

善子「絶対後付ける気だったわね」

花丸「ずら」

果南「じゃあお疲れー」

善子「…何であの練習の後にあんなに軽やかに走って帰れるのよ」

花丸「未知ずらー」

23: 2016/09/09(金) 02:45:07.96 ID:n5x2L6/w.net
梨子「千歌ちゃん?」

千歌「あ、梨子ちゃん」

梨子「練習終わったよ」

千歌「あ、うん」

梨子「帰ろう?」

千歌「うん」

ダイヤ「…重症、ですわね」

鞠莉「ええ…」

ダイヤ「今は、任せるしかありませんわね」

鞠莉「そうね」

ダイヤ(頼みましたよ、果南さん)

24: 2016/09/09(金) 02:46:16.71 ID:n5x2L6/w.net
曜「いつつ…っ」

あんなこと言うつもりじゃなかったのになぁ

曜「はは、やっぱり集中力足りないじゃん私」

いつもなら

曜「いつもなら下にいたのに」

千歌ちゃんが

曜「「曜ちゃん頑張れー」って」

手をぶんぶん振って

曜「いつも」

いつも

曜「いつもいたのに…っ!」

今は誰の隣に

27: 2016/09/09(金) 02:47:35.39 ID:n5x2L6/w.net
ガラッ


果南「おっ、意外と平気そうだね」

曜「果南ちゃん!?」

果南「水泳部の部長から連絡きてさ「曜が怪我した」って、大丈夫?」

曜「う、うん…ちょっと入水に失敗しちゃって…肩痛めちゃった」

果南「具合は?」

曜「2、3日で」

果南「そっか、不幸中の幸いってヤツだね」

曜「うん…」

果南「…」

曜「…」

果南「…」

曜「それで…」

果南「ん?」

曜「他のみんなは…?」

果南「言ってないよ。連絡貰った時ちょうどロードワーク中で、帰って来てたの私だけだったからね」

曜「そっかぁ」

果南「安心したでしょ」

曜「な、何が?」

果南「「みんなは?」じゃないでしょー?」

曜「…果南ちゃんにはかなわないなぁ」

果南「だてに幼なじみやってないからね」

28: 2016/09/09(金) 02:49:02.26 ID:n5x2L6/w.net
曜「じゃあ…千歌ちゃん、どうだった…?」

果南「う~ん、心ここにあらず、だね」

曜「やっぱり…」

果南「もうひとつ、でしょ」

曜「う…じ、じゃあ…えと、梨子ちゃん、は…?」

果南「よろしい。えっとね…集中してた、かな」

曜「集中?」

果南「うん、というより何も考えないように、必氏に練習の事だけ考えようとしてるみたいだった」

曜「…」

果南「曜」

曜「何?」

果南「スクールアイドル辞めるって、嘘なんでしょ?」

29: 2016/09/09(金) 02:50:05.69 ID:n5x2L6/w.net
曜「…」

果南「…何があったの?」

曜「…言わなきゃ駄目?」

果南「多分、ね」

曜「何で多分?」

果南「多分、私達とおんなじだよ。自分達だけじゃ解決出来ないんじゃないかな、って」

曜「…」

果南「それとも鞠莉あたりに言われたい?「いい加減に、しろぉぉおお!!」って」

曜「あはは、それは勘弁かなぁ」

果南「でしょ?だったら」

曜「うん…」

30: 2016/09/09(金) 02:51:19.73 ID:n5x2L6/w.net
曜「千歌ちゃんさ、最近変わったよね。なんていうかたくましくなった」

果南「うん」

曜「多分あれからだよ。東京行って、惨敗して、果南ちゃん達の話聞いて…」

曜「その後かな、すごく、なんていうかリーダーぽくなった」

曜「だって以前の千歌ちゃんじゃ考えられないもんね。3年生の教室に行って理事長と生徒会長に一喝だよ?凄いよね」

果南「あはは」

曜「…私はさ、千歌ちゃんに一生懸命になれるものを見つけて欲しかったんだ」

曜「千歌ちゃんはちゃんとやれば本当に凄い子なんだって知ってたから」

31: 2016/09/09(金) 02:52:51.89 ID:n5x2L6/w.net
曜「でもそういうのってさ、1回壁にぶつからないと本当の強さって身に付かないと思うんだ」

曜「本気でやって、その全力を叩き潰されてからじゃないとさ」

曜「大抵、小さい頃に経験するんだけど、千歌ちゃんにはそれがなかったから」

曜「そういう人は1回で折れちゃい易いんだよね」

曜「だから私はそうならないように側に居てあげたいと思ってた」

曜「千歌ちゃんが本気で壁にぶつかって、自分1人じゃもう立ち上がれなくなっちゃった時に、手をとって立ち上がるお手伝いをしようと思ってた」

曜「ところがどっこい我らが千歌ちゃんは私なんかの助けがなくともあっさり立ち上がったのであります!」

曜「…もうさ、私が居なくても千歌ちゃんは大丈夫なんだなぁって」

曜「だからさ、私は私に出来ることで統廃合を阻止してみようかな、って思ったんだ」

果南「…だから、飛び込みなんだ?」

曜「そうだよ」

果南「ふぅ~ん」

32: 2016/09/09(金) 02:54:44.33 ID:n5x2L6/w.net
果南「よし!曜!」

曜「な、なに?」

果南「ハグしたげる」

曜「え?なんで?」

果南「いいからいいから」

曜「わっ!?」

果南「よしよし」

曜「果南ちゃん、恥ずかしいよ…」

果南「いいの、曜はもうちょっと素直になんないとね」

曜「…」

果南「甘える相手がいないのも分かるけど、たまには吐き出さないと潰れちゃうよ?」

曜「…うん」

果南「曜は本当にいい子だなぁ」

曜「…」

果南「落ち着いた?」

曜「…うん」

果南「よし!じゃあひとつ聞いていい?」

曜「うん」

果南「さっきの話さぁ…」



果南「全部嘘でしょ?」

33: 2016/09/09(金) 02:56:13.95 ID:n5x2L6/w.net
曜「…!!」

果南「悲しいなぁ、私ってそんなに信用出来なくなっちゃったの?」

曜「ちっ、違っ…」

果南「千歌は、本当に1人で立ち上がったの?」

曜「っ…!!」

果南「曜は、本当に千歌が1人で大丈夫だと思ったの?」

曜「…」

果南「ねえ、本当は何があったの?」

曜「…なかったんだ」

果南「ん?」

曜「何にもなかったんだよ!!!」

34: 2016/09/09(金) 02:57:37.34 ID:n5x2L6/w.net
曜「梨子ちゃんがメンバーになった時も!千歌ちゃんが立ち直った時も!今回のコンクールの時も!!」

曜「何にもなかったんだよぉ…」

曜「私には…何にも…うわぁぁあああ!!!」

曜「何で?何でなの?何で私には何にも言ってくれないの?!」

曜「私はもう要らないの?梨子ちゃんが居るから?梨子ちゃんが居なければ私に相談してくれた?」

曜「もうヤなんだよ!こんなの!私は千歌ちゃんも梨子ちゃんも大好きなのに!」

曜「こんなこと考えたくないよぉ…」

曜「だって…だってAqoursは3人で始めたんだよ?辞めるかどうかとか…3人の誰かが抜けちゃうとか…言わなきゃダメじゃん!」

曜「私と千歌ちゃんと梨子ちゃん3人でAqoursだったんだよぅ」

曜「私だけ除け者なんてやだよぅ…私を置いていかないでよぅ…うわぁぁあああん」

35: 2016/09/09(金) 02:59:09.02 ID:n5x2L6/w.net
果南「…そっか、曜は、寂しかったんだね」

曜「…それもある、けど、一番嫌だったのは千歌ちゃんの成長を喜べない自分」

曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんが仲良くなるのを喜べない自分」

曜「一緒に居たいのに、いつもふたりの後ろ姿見てるみたいで一緒に居るのが辛いの」

曜「ふたりを見てると嬉しいのに、それとおんなじくらいイヤな感情が溢れてくるの」

曜「だから逃げちゃった…ごめんなさい」

果南「…良いんじゃないかな、逃げても」

曜「いい、のかな?」

果南「少しくらいなら、ね。私は2年間逃げちゃったから…鞠莉にもダイヤにも悪いことしちゃった」

曜「ふふっ…そうだね」

果南「おっ?少しはスッキリしたかな?」

曜「うん、ありがとう果南ちゃん」

36: 2016/09/09(金) 03:00:53.33 ID:n5x2L6/w.net
果南「ところで、さ。ちょっと相談なんだけど」

曜「なに?」

果南「さっきから私のスマホがすごいことになってるんだよね…」

曜「ああー」

果南「8割方鞠莉だからそっちは良いとして、ダイヤから20件くらい、千歌から5件くらい…あ、善子からも1件入ってて、全部曜の容態について、なんだけど…どうする?」

曜「今は、誰にも会いたくないかも…」

果南「わかった。じゃ曜は2、3日自宅療養で、失敗のショックがあるからお見舞いはナシって事にしとくよ」

曜「うん、ありがと」

果南「どういたしまして、それでね…」

37: 2016/09/09(金) 03:02:58.88 ID:n5x2L6/w.net
果南「おお~い、こっちこっち」

千歌「お待たせ果南ちゃん」

果南「うん、時間ぴったりだね」

千歌「でもなんでわたしと水族館?」

果南「お店のお得意様にさ、チケットを2枚貰ったんだけど、鞠莉を誘ったらダイヤが拗ねるし、ダイヤを誘ったら鞠莉が拗ねるしでさ」

千歌「ああ~わかるかも」

果南「じゃあいっそふたりで行ってきなよ。って言ったら、声揃えて「果南が行かないなら意味ない」って怒られちゃった」

千歌「ふふっ…果南ちゃんモテモテだね」

果南「だからもういっそ誰かにあげちゃおうと思ってたんだけどね…」

千歌「?」

果南「千歌だったらどうする?」

千歌「え?わたし?」

果南「そ、千歌にチケットあげてたら誰と行くのかなぁ~?って」

千歌「わたしは…梨子ちゃんかな?」

41: 2016/09/09(金) 03:04:12.10 ID:n5x2L6/w.net
果南「へえ~私じゃないのか」

千歌「え?いや、えと、あのその」

果南「冗談だよ、ジョーダン」

千歌「もう…」

果南「曜は?」

千歌「えっ?!」

果南「曜とは行かないの?」

千歌「…だって曜ちゃんとはもう何回も来てるよ?」

果南「…そっか、そうだよね」

43: 2016/09/09(金) 03:05:11.13 ID:n5x2L6/w.net
千歌「…ねぇ果南ちゃん」

果南「んー?」

千歌「曜ちゃん…どうだった?」

果南「2、3日もすればまた練習出来るんだってさ。言わなかったっけ?」

千歌「そうじゃなくて!もう!わかってるクセにー!」

果南「ごめんごめん、んー久しぶりとはいえ、自信のある技での失敗だったからか結構ショックだったみたいだね」

千歌「お見舞いはやっぱり…」

果南「だめ」

千歌「だよね…」

果南「まあ、考えても仕様がない事は考えないでさ、とりあえず今日は楽しもうよ」

千歌「…うん!そうだね!」

45: 2016/09/09(金) 03:06:05.05 ID:n5x2L6/w.net
千歌「っあー楽しかったー!」

果南「久しぶりにはしゃいじゃったかなー」

千歌「ねー」

果南「そうだ千歌、最後にいるかショーのプール行かない?」

千歌「え?もうショーも終わって誰も居ないよ?」

果南「だから良いんだよ。夕日がすっごく綺麗らしいよ」

千歌「そうなの?行く行くー」

果南「あ、ちょっとごめん。私お手洗いに行ってくるから先に行っといてくれないかな?」

千歌「え?わたしも行こうか?」

果南「いいからいいから」

千歌「わ、わかったから押さないでよー」

48: 2016/09/09(金) 03:07:29.53 ID:n5x2L6/w.net
果南「お待たせー」

千歌「お帰りーって、風船?3つも?」

果南「うん、もうこんな時間だからってさっきうちっちーに貰ったんだけど、なんていうか、いい年してって感じだよね」

千歌「そんなこと無いよー風船って嬉しいじゃん」

果南「そう?じゃ千歌にあげる」

千歌「本当?わーどれが良いかな?ピンクと水色とオレ…みかん色!」

果南「それ好きだねー」

千歌「だってわたしの色だもん!…あ、これって…」

果南「…千歌と梨子ちゃんと、曜の色、だね」

49: 2016/09/09(金) 03:08:42.93 ID:n5x2L6/w.net
千歌「…」

果南「ほい千歌、オレンジ」

千歌「わっ!?…もう!みかん色!」

果南「そうだったね。…じゃあ、千歌」

千歌「ん?」

果南「残った風船のうちどっちかしかあげないって言ったらさ、千歌はどっちを選ぶ?」

千歌「え…?」

果南「さあピンクか水色か、梨子か曜か、千歌が選ぶのはどっちかなん?」

千歌「そんな…」

果南「どうする?千歌」

千歌「果南ちゃんやめてよ…そんな風に言われたら選べないよ…」

果南「…ふふっ、ごめんごめん。悪ふざけが過ぎたね」

千歌「まったくだよもう…!」

果南「はいピンク」

千歌「ん」

果南「そしてはい、これが曜」

千歌「っ!?」

50: 2016/09/09(金) 03:09:41.50 ID:n5x2L6/w.net
千歌「あっ…!?」

飛んでいっちゃう

果南「あらら」

曜ちゃんが

千歌「ああっ!!」

あんなに高く小さくなって

千歌「なんで…?」

もう、届かないよ

千歌「なんで手を離したの?!」

果南「違うよ」

また、届かないの?

千歌「なんでよぅ…」

果南「違うよ千歌。飛んでいったんじゃない。千歌が掴まなかったんだよ」

千歌「え…?」

51: 2016/09/09(金) 03:11:07.24 ID:n5x2L6/w.net
果南「千歌はさ、聞いてなかったの?曜が水泳部に戻るって」

千歌「聞いて…なかった」

果南「ふぅん、何かおかしいなー?と思うことはあった?」

千歌「何も、気付かなかったよ」

果南「そっか」

千歌「…」

果南「…」

千歌「ねぇ果南ちゃん」

果南「何?」

千歌「…ホントはこの話をするためにわたしを呼び出したんでしょ?」

果南「!?…まぁね」

千歌「曜ちゃん、何か言ってたの?」

52: 2016/09/09(金) 03:12:03.81 ID:n5x2L6/w.net
果南「ちょっと驚いた」

千歌「?」

果南「曜の言った通りだな、ってさ」

千歌「なんの話?」

果南「千歌がたくましくなったって、リーダーらしく、強くなった。って」

千歌「そんなこと…」

果南「だからもう自分は千歌にとって必要ないんじゃないか?もう自分が居なくても千歌は大丈夫だから。って言ってた」

千歌「…わけ、わかんないよ」

千歌「大丈夫なわけないじゃん!必要って何?必要がないと曜ちゃんはわたしと居てくれないの?」

千歌「また、1人で飛んでっちゃうなんてズルいよ…」

果南「また?」

54: 2016/09/09(金) 03:13:03.31 ID:n5x2L6/w.net
千歌「うん、だって曜ちゃんは小さい頃からずっと何でも出来るスーパーヒーローみたいで、何にもないわたしはそんな曜ちゃんを下からずっと凄いなぁって見上げてたんだ」

千歌「飛び込み台の曜ちゃんは、ホントに雲の上の人みたいで、このままどこまでも飛んでっちゃうんじゃないかって思ってた」

千歌「どんなに手を伸ばしても届かない高さにいる曜ちゃんと何にもないわたしじゃ、一緒に居るのに…隣に居るのになんか周回遅れみたいでさ」

果南「その話、曜には?」

千歌「で、出来るわけないよ!情けないじゃん!」

果南「あーそうかもね」

千歌「…それにね、わたしがこんな気持ちなの知ったら、曜ちゃんは優しいから絶対わたしに歩調を合わせてくれると思うんだ」

果南「うん」

千歌「そんなの、嫌じゃん。幼なじみなのにさ、気を遣われたりしたら対等じゃなくなっちゃうもん」

55: 2016/09/09(金) 03:14:00.85 ID:n5x2L6/w.net
千歌「ホントはね、曜ちゃんがスクールアイドル一緒にやってくれるって言った時、凄く嬉しかったけどちょっぴり怖かったんだ」

千歌「わたしはμ'sをはじめて見た時に、キラッキラの海の中で制服姿の女の子達がキラッキラして踊ってるって思った」

千歌「キラキラの衣装じゃなくても、キラキラのステージじゃなくても、普通の女の子がこんなに輝ける世界があるんだって」

千歌「これだ!わたしはこんな風に輝きたいんだ!って思ったよ」

千歌「これなら曜ちゃんと肩を並べて、堂々と隣を歩けるかも、って」

千歌「だからスーパーヒーローの曜ちゃんと一緒にやっちゃったら、また置いてかれちゃうかもって不安はあったよ」

千歌「もちろん、今まで何かを一緒にやったことない曜ちゃんとはじめて一緒に何かを出来るって喜びも大きかったけど」

57: 2016/09/09(金) 03:14:52.09 ID:n5x2L6/w.net
千歌「…」

果南「…どうしたの?」

千歌「…案の定、曜ちゃんはスーパーヒーローだった」

千歌「チラシを配るだけでたくさんファンを作っちゃうし、衣装や、振り付けのチェック、こないだの海の家なんて曜ちゃんのヨキソバだけで1日の売上ほとんど占めてたもんね」

果南「嫌だった?」

千歌「ううん、そうじゃないの。でもやっぱり曜ちゃん凄すぎるなぁって…」

千歌「わたしもね、頑張ったんだよ?一生懸命歌詞書いて、わたしじゃ見栄えしないからかわいい子勧誘して、PV も作って…」

千歌「それなりにね、自信もあったんだ」

千歌「曜ちゃんだけじゃなくって、素敵な曲を作ってくれた梨子ちゃん、すっごく可愛くてアイドルに詳しいルビィちゃん、歌声が綺麗で優しい雰囲気の花丸ちゃん、尖ったキャラと映像編集が得意な善子ちゃん」

千歌「…そりゃあいきなり優勝なんて考えてなかったけど、それなりに評価はされる自信はあったんだよ」


千歌「でも、0だった」

58: 2016/09/09(金) 03:15:49.46 ID:n5x2L6/w.net
千歌「わたし達は、あんなに頑張って、頑張って頑張って一生懸命やったのに始まってすらなかったんだよ!」

千歌「…だれひとり、わたし達を見てくれなかった…」

千歌「こんなことある?こんなことってあるの?!」

千歌「怖くなって、泣きたくて、逃げたくて」

千歌「でもわたしはリーダーだから、失うものが何もないわたしですらこんなにショックだったんだから、みんなはもっと傷付いてるんだって思ってなるべく暗くならないように励ましてた」

千歌「わたしが不甲斐ないばっかりに情けない結果になって、スクールアイドルそのものを嫌いになっちゃう子が出るんじゃないか、って」

千歌「…そしたら曜ちゃんに言われちゃった」

千歌「くやしくないの?って」

千歌「その時はっきりとわかったんだ」

千歌「ああ、わたしに足りないのはこれなんだって」

59: 2016/09/09(金) 03:16:36.91 ID:n5x2L6/w.net
千歌「目を見たら曜ちゃんが本気で悔しがってるのがわかった。…多分曜ちゃんもわたしが悔しがってるのがわかってたと思う」

千歌「でもわたしは怖かったんだ」

千歌「悔しさを口にするってことは勝つつもりで戦うってことだから」

千歌「あんな凄い人達に、あんな凄い人達でも入賞すら出来ない世界で、曜ちゃんは本気で勝とうとしてるんだ」

千歌「わたしは怖かったんだよ。その世界に飛び込むことよりも、みんなをその世界に連れてくことが」

千歌「…だからわたしは逃げちゃった」

千歌「曜ちゃんはその後何にも言わなかったけど、わたしは曜ちゃんに失望されたんじゃないかって思って何にも考えられなくなっちゃった」

60: 2016/09/09(金) 03:17:29.57 ID:n5x2L6/w.net
千歌「…その後ダイヤさんに慰められて、みんなは少し落ち着いたみたいだった」

千歌「やっぱり人の上に立つ人は凄いなぁって、わたし駄目だなぁって」

千歌「ぼーっとしたまま帰ろうとしたら、曜ちゃんに言われたんだ」

千歌「スクールアイドル、辞める?って」

千歌「…今ならわかる。多分、曜ちゃんも不安だったんだよ」

千歌「わたしがすぐ振り返って「辞めない!」って、そしたら曜ちゃんが「だよね!」って…たったそれだけで曜ちゃんも、みんなも安心出来たんだと思う」

千歌「でもあの時のわたしは…曜ちゃんが怖かった」

千歌「これがいつもの確認じゃなかったらどうしよう、って」

千歌「わたしが「辞めない!」って言っても「ふぅん」って突き放されたらどうしよう」

千歌「振り向いたら曜ちゃんがすっごく軽蔑した顔でわたしを見てたらどうしよう」

千歌「そんなこと無いのに、そんなことばっかり考えてたら怖くなって、逃げるように曜ちゃんを無視して帰っちゃった」

61: 2016/09/09(金) 03:18:15.44 ID:n5x2L6/w.net
果南「…だから梨子だったのか」

千歌「え?なにが?」

果南「ダイヤに聞いたんだ。千歌を立ち直らせたのは梨子だって」

千歌「うん…」

果南「私はさ、不思議だったんだよ。何で曜じゃないんだろう?って」

果南「ふたりは何でも話し合える幼なじみで、だからこそ衝突しながらでもわかりあえる関係だったんじゃないの?って」

千歌「…」

果南「まぁ、私が言えた事じゃ無いんだけどね。とくに千歌には」

千歌「あはは…その節は失礼を」

果南「良いんだよ。おかけで私達3人はまたスクールアイドルに戻れたんだから。感謝してもしきれないよ」

果南「だからね、私は千歌に恩返しがしたい」

62: 2016/09/09(金) 03:19:10.59 ID:n5x2L6/w.net
果南「ねぇ千歌、教えてくれないかな?」

果南「私が聞いたところによると千歌はみんなの前で悔しさも涙も見せなかった」

果南「でも梨子には見せることが出来た。本音を打ち明ける事が出来た」

果南「どうして梨子だったの?」

千歌「…梨子ちゃんはね、ちょっとわたしに似てる気がするんだ」

千歌「もちろん、何にもないわたしと違って梨子ちゃんにはピアノっていう立派な特技があるよ?」

千歌「でも何て言うか…自信がなさそうなんだよね」

千歌「ピアノを小さい時から弾いてたり曲を書いたりあ~んなに凄い特技なのに自信がないなんてもったいないじゃん」

千歌「だから応援しなきゃ、って思ったの」

千歌「そしたらね、何でかはわからないけど梨子ちゃん応援してるとわたしもやんなきゃ!って気持ちになって元気がわいてくるの」

千歌「よし!わたしもやるぞ!って」

千歌「そうやっていろいろやってたらいつの間にか梨子ちゃんが隣にいて、一緒に成長してるような気がしてた。不思議だよね」

63: 2016/09/09(金) 03:20:26.34 ID:n5x2L6/w.net
果南「…その時曜はどうしてたの?」

千歌「一緒にいたよ?…そういえば最初は3人で横並びで手を取り合ってた気がするなあ…」

果南「今は違うの?」

千歌「…いつの間にか、わたしはやっぱりまた置いていかれて曜ちゃんの背中ばっかり見てる気がする…」

果南「それで、居心地の良い梨子に逃げてるわけだ」

千歌「違う!違うよ…わたし、そんなつもりじゃ…」

果南「やっぱり最初言ったとおりだったね」

果南「千歌、曜が飛んでいったんじゃない。千歌が曜を掴まなかったんだよ」

千歌「…」

64: 2016/09/09(金) 03:21:23.35 ID:n5x2L6/w.net
果南「曜がスクールアイドル辞めるって言った時、どう思った?」

千歌「…何で、言ってくれなかったの?って…」

果南「曜もさ、おんなじだったんじゃないの?」

千歌「え…?」

果南「惨敗したのは曜も一緒だよ。だから曜も、千歌と一緒に悔しがって、一緒に泣きたかったんじゃないの?」

千歌「…」

果南「今回の梨子のピアノコンクールの事も、千歌は事前に知ってたんでしょ?」

千歌「うん…」

果南「曜には?」

千歌「…言ってない」

果南「確かに、梨子のピアノコンクールは直接は曜には関係ないかもね」

果南「でもさ、Aqoursは千歌と曜と梨子の3人で始めた事なんでしょ?」

果南「だったら曜は思ったんじゃないかな?」

果南「「何で、私には言ってくれなかったの?」」

千歌「!!!」

千歌「わたし…っ!曜ちゃんに謝らなきゃ!」

65: 2016/09/09(金) 03:22:28.50 ID:n5x2L6/w.net
果南「千歌!」

千歌「あ…お見舞い禁止、だっけ?」

果南「ううん、そうじゃない。それ持ったまま行くつもり?」

千歌「あ…風船…」

果南「…ちょうどそこにうちっちーがいるからさ、貰いなよ」

うちっちー「」

千歌「え?…うわ近っ!?いつの間にこんな近くに!?」

うちっちー「」スッ

千歌「あ、青い風船…ありがと…」

うちっちー「…」

千歌「…ん?」

うちっちー「」フリフリ

千歌「んん?」

うちっちー「」ソソクサ

千歌「…曜ちゃん?」

うちっちー「!」ブンブン

千歌「なに…してるのかなぁ…?」

千歌「こ ん な と こ ろ で !!」

うちっちー「」ダッシュ

千歌「このぉ~!逃がさないよ!!」ガシッ

66: 2016/09/09(金) 03:24:12.88 ID:n5x2L6/w.net
千歌「顔みせろぉ~っ!」グググ

うちっちー「」ジタバタ

千歌「無駄だよ!もう離さないから!…風船も、曜ちゃんも」

うちっちー「!」ピタッ

千歌「あたま…取るよ」スッ

曜「」

千歌「…何で手で顔隠してるの?」

曜「良いでしょ別に」

千歌「往生際が悪いぞ!このぉ!」

曜「やめろバカ千歌!」

千歌「かっちーん!言ったなぁ!このアホヨーソロー!」

曜「うっさい!たかみちかり!」

千歌「あー!そんな古い悪口まで!もー許さない!」

67: 2016/09/09(金) 03:25:35.15 ID:n5x2L6/w.net
千歌「なんで…そんなに…マジなの…?」ハァハァ

曜「だって…」ハァハァ

千歌「あーもーわかったよーそんなに嫌ならもういいよー」

曜「」ホッ

千歌「…と、見せかけてとりゃあ!」ガバッ

曜「あっ!!」

千歌「プッ…曜ちゃん、顔、ぐちゃぐちゃ…」

曜「わかってるよ!だから見せたくなかったんだってば!」バッ

曜「…こんな…カッコ悪いとこ、千歌ちゃんにだけは見せたくなかった…」グスッ

千歌「よーうちゃん」

曜「なによお」

千歌「わたしの顔も見て」

曜「」チラッ

曜「ぷふっ…何その顔、ぶっさいく」

千歌「あー笑ったなー曜ちゃんだって変わんないじゃん!」

曜「少なくとも私は鼻水は垂らしてないもーん」

千歌「うっそ!出てた!?」

68: 2016/09/09(金) 03:26:22.09 ID:n5x2L6/w.net
曜「はーあ、おっかしい。なんか色々考えてたのがバカみたい」

千歌「…うん」

曜「千歌ちゃん?」

千歌「曜ちゃん、あのね、その…果南ちゃんとの話、聞いてた、よね?」

曜「うん…」

千歌「ごめんね曜ちゃん、わたし、曜ちゃんに甘え過ぎてたみたい」

千歌「曜ちゃんなら言わなくてもわかってくれるとか、言わなくても許してくれるとか」

千歌「そんな風に考えて、曜ちゃんの気持ち考えようともしてなかった」

千歌「だから、ごめんなさい」

曜「…バカ千歌」

千歌「ごめん…」

曜「違うの、そんなこと言われたらまた泣いちゃうじゃんかバカ」

千歌「泣いても良いんだよバカ…」

曜「そうだね…私達、お互いにかっこつけようとし過ぎたんだよ、きっと…」

70: 2016/09/09(金) 03:27:05.90 ID:n5x2L6/w.net
曜「千歌ちゃん、私もね、千歌ちゃんに謝んなきゃいけない事があるんだ」

千歌「なに?」

曜「当て付けるみたいにスクールアイドル辞めるなんて言ってごめん」

千歌「ううん…わたしがバカだから気付かせようとしたんだよね?曜ちゃんの気持ち…」

曜「それもある、けどそれだけじゃないんだ」

千歌「え?」

曜「…私ね、私…梨子ちゃんに嫉妬してた」

曜「千歌ちゃんに本音で話して貰える梨子ちゃんが羨ましかった」

曜「ああ勘違いしないでね?私は梨子ちゃん大好きなんだよ」

曜「私と仲良くしてくれる事も、千歌ちゃんと仲良くなってくれた事も、とっても嬉しいし、ずっと3人で仲良くやっていきたいと思う」

71: 2016/09/09(金) 03:28:18.28 ID:n5x2L6/w.net
曜「…でも、ね?最近、千歌ちゃんと、梨子ちゃん、ふたりで居ることが、多い気がする、んだぁ」

曜「千歌ちゃんは…っ、わたっ、私に…相談とかして、くれなくなっちゃった…っし、こっちから、どうかした?って…聞いても、ごまかすっ…し」

曜「私は…っふたりの後ろ姿、ばっかり、見て、たんだよ…っ」

曜「それでも、一緒に、居たかったっ、けど…っ、だんだん梨子ちゃんに…っ、イヤな感情持っちゃっ…て」

曜「そんな自分が…許せ、なくて…っ、私が、私…っでいられなくなるのが、こわ、怖くって」

曜「だから…っ、逃げ、ちゃっ…ふぐううぅぅ~っ」

曜「ご、ごめん…っ千歌、ちゃ…ごめん…」

74: 2016/09/09(金) 03:29:13.28 ID:n5x2L6/w.net
千歌「曜ちゃん…話してくれてありがとう」

千歌「曜ちゃんがそこまで思い詰めてたなんてわたし知らなかった…ごめんね」

千歌「でも、わたし達おんなじだったんだ」

曜「?」

千歌「お互いがお互いの背中ばっかり見て、それで寂しくなっちゃって」

千歌「それが嫌でますます顔背けちゃって…」

曜「うん…」

千歌「でも簡単だったんだよ。簡単な事だったんだ」

千歌「どんなに酷い顔でも、こうやってちゃんと向かい合って話せば良かったんだよ」

曜「ふふっ…そうだね」

千歌「そうしたらどんな事でも、ちゃんとわかりあえるから。…曜ちゃんとなら、わかりあえるから」

曜「うん…うん!」

千歌「私達の友情はそんなことじゃ壊れない!それをちゃんと信じなきゃ!ね?」

曜「千歌ちゃん…はい!了解であります!」ビシッ

千歌「うん!友情ヨーソローであります!!」ビシッ

曜「あはは、何それ」

77: 2016/09/09(金) 03:30:40.85 ID:n5x2L6/w.net
果南「そろそろ私も寂しいぞー!」ガバッ

千歌「わわっ!?」

曜「か、果南ちゃん?!…いたっ!」

果南「あ、ごめん曜」パッ

千歌「あ!そういえば曜ちゃんケガ…!それなのにわたしさっき…」

曜「いいのいいの、その…楽しかったし!1週間くらい安静にしときゃへーきへーき!」

千歌「ちょっと伸びてるじゃん?!」

果南「大丈夫だよ千歌、曜だって自分の体は自分が一番知ってるから。それよりも…」

千歌「なに?」

果南「君たちのお友達はもう一人居るんじゃなかったかなん?」

曜「梨子ちゃんがどうかしたの?」

果南「だから、そろそろ寂しがってるんじゃないかな?って」スッ

曜「スマホ?…さくらうち…って梨子ちゃん?!しかも通話中!?」

千歌「え!?梨子ちゃん聞いてたの!?いつから!?」

果南「え?最初からだよ。向かい合って話せばどんな事でもわかりあえるんでしょ?」ニシシ

曜「そ、そうだけど…」

81: 2016/09/09(金) 03:33:07.42 ID:n5x2L6/w.net
千歌「ズルい!それじゃ梨子ちゃん聞いてるだけじゃん!向かい合ってないよ!」

曜「あ、うんまあ…」

千歌「行くよ!曜ちゃん!」

曜「へ?」

千歌「梨子ちゃんのところまでヨーソローだよ!」

曜「あ、待って千歌ちゃん!梨子ちゃんどこに居るのか知ってるの?!」

果南「梨子は音楽室だよー!」

千歌「ありがと果南ちゃーん!」

曜「もう、置いてかないでよー!離さないとか言ってたクセにー!」

千歌「えー?これくらい追い付けないのー?」

曜「なにをー!千歌ちゃんくらいヨユーだし!」

千歌「じゃあいいじゃん!いっくよー!ゆーじょー」

ようちか「「ヨーソロー!!」」


果南「ふふっ…あ、もしもし?…うん、そっち向かったよ。…うん。…うん、よろしく!じゃあね」

果南(…私のかわいい妹達を宜しくね、梨子)

120: 2016/09/09(金) 20:21:02.11 ID:n5x2L6/w.net
曜「…やっぱり…校門前の坂を…ダッシュで登りきるのは…無謀だったんじゃないの…?」ゼェ…ハァ…

千歌「あれー?…今の…テンションなら…行けると…思ったんだけどな…」ゼェ…ハァ…

曜「…あれ?なにか…ピアノ?この曲ってたしか千歌ちゃんに…」

千歌「μ'sだ!これμ'sの曲だよ!」

曜「だよね!」

千歌「行くよ曜ちゃん」

曜「うん!」


ガラッ

ようちか「梨子ちゃん!」

121: 2016/09/09(金) 20:22:51.84 ID:n5x2L6/w.net
梨子「とりあえず敵は~♪じ~ぶんの~、弱気~かな~?」

梨子「負けないで~♪横に~私~いるんだよ~♪」ニコッ

曜「梨子ちゃん…」

ちかりこ「今はぎゅ~っと~♪こ~ころを~♪抱~いていてあ~げる~♪」

ちかりこ「え~んりょ~♪し~ないで~♪ こ~っち~おいで~♪」ニコッ

曜「千歌ちゃん…」

ちかりこ「だってほ~んき~♪しっかりと~♪か~んじてい~るよ~♪」

ちかりこ「急~に~♪泣いたって~♪気~に~しない~♪」

曜「うん…うん…」

122: 2016/09/09(金) 20:24:36.57 ID:n5x2L6/w.net
ちかりこ「だからしゅ~んと~♪し~ないで~♪ねぇ~は~なし聞くよ~♪」ウィンク

曜「!」


ようちかりこ「ゆ~ぅじょ~うヨーソロー!! だ~いじょうぶだよ~♪」


ようちかりこ「いつもほ~んき~♪そんなのは~♪お~た~がいお~なじ~♪」

ようちかりこ「ず~っと~♪一緒だと~♪お~も~うんだ~♪」

ようちかりこ「そう、だ~いじょうぶだよ~♪」

123: 2016/09/09(金) 20:25:38.71 ID:n5x2L6/w.net
梨子「ふふっ、久しぶりに3人揃ったね」

千歌「うん!嬉しいな」

曜「あはは…そう、だね…」

梨子「?どうしたの?」

曜「いや、だって…梨子ちゃん私達の話聞いてたんでしょ?さすがに気恥ずかしいと言いますか…」

千歌「大丈夫だよ!だって友情ノーチェンジだもん!」

曜「さっきの友情ヨーソローだったじゃん!」

梨子「まあまあ、ヨーソロヨーソロ」

曜「なんかヨーソローの扱い軽くない?!」

124: 2016/09/09(金) 20:27:29.63 ID:n5x2L6/w.net
千歌「でもさ、不公平は不公平だよね?」

曜「だよね?」

梨子「えっ?何が?」

千歌「えーだって梨子ちゃんだけわたし達の秘密の話聞いてるんだよー?」

曜「だったら梨子ちゃんも秘密とか隠してる事話さないとねー?」

梨子「ええっ!?それはちょっと違うんじゃない?!」

千歌「もー諦め悪いなーどうせ何か話さなきゃ許さないよ?」

曜「そうそう、逃げ道なしこなしこだからね?」

梨子「曜ちゃん絶対さっきの根にもってるでしょ!」

125: 2016/09/09(金) 20:32:36.21 ID:n5x2L6/w.net
梨子「あ…ひとつ思い付いたかも、言わなきゃいけないこと」

千歌「なになに?」

梨子「私、曜ちゃんに謝らなきゃいけないの」

曜「おっ、私?いいねいいね」

梨子「私、多分曜ちゃんの様子がおかしい事気付いてた」

千歌「ええーっ!?」

曜「ん?」

梨子「東京から帰ってきた後くらいからかな、曜ちゃんから妙に視線を感じてたの」

梨子「最初は気のせいだと思ってた。けど特に千歌ちゃんと話してる時にじっと見られてる事が何度かあって…」

曜「嘘!?バレてたの!?」

千歌「えっ?私なんにも気づかなかったよー!」

梨子「何も言ってこないからいいんだろうってそのままにしてたけど、その時にちゃんと曜ちゃんと話してたらこんな事にはならなかったのかもしれない」

梨子「曜ちゃん、ごめんなさい」

曜「まってまって!これ私が恥ずかしいヤツじゃん!」

梨子「曜ちゃん、ごめんなさい」キリッ

曜「真顔でごまかすなー!」

126: 2016/09/09(金) 20:35:22.35 ID:n5x2L6/w.net
千歌「でも実際さあ、そこで曜ちゃんに聞いても曜ちゃん素直に答えないと思うよ?」

梨子「そうかな?」

曜「そうかも」

千歌「多分こんな感じじゃないかな?」


梨子『なんでいつもこっち見てるの?』

曜『そっちこそ見てるでしょ!』

梨子『そっちが見るから見るんだってば!』

曜『ほら!やっぱり見てるじゃない!』


千歌「…みたいな!」

梨子「どこのケンカップルの話ですか…」

曜「私そんな逆ギレしないよー」

128: 2016/09/09(金) 20:36:58.81 ID:n5x2L6/w.net
曜「もう私いいからさ、千歌ちゃんになんかないの?不満とか謝りたい事とか」

梨子「うーん、千歌ちゃんにかぁ」

千歌「なんでもどんとこいだよ!」

梨子「なんでも?じゃあひとつだけ」

千歌「こーい!」

梨子「しいたけちゃんとは仲良くなれません!ごめんなさい!!」

千歌「がーん!!」

曜「…相変わらず梨子ちゃんノーダメージだ…」

梨子「てへぺろ」

曜「あれ?この子意外としたたかキャラなのか?」

129: 2016/09/09(金) 20:39:59.09 ID:n5x2L6/w.net
歌「もういい!じゃあ次はこっちが独自に仕入れた情報を元に尋問します!」

梨子「尋問なの!?」

千歌「えー梨子ちゃん、あなた東京でお手洗いと称して謎のお店に行きましたね?」

梨子「ぎくぅっ!!」

千歌「そこで両手いっぱいのお土産を購入して大層ご満悦だった、間違いありませんね?」

梨子「えと、はい…」

千歌「ある有識者の話によると、おそらく漫画だろうとの事ですが、間違いありませんか?」

梨子「ちょっと誰ですか有識者って?!」

千歌「ルビィちゃんだよ」

梨子「なん…ですって?」

千歌「梨子ちゃんが出てきた後、気になったからお店に入ったみようとしたんだ。そしたら…」

130: 2016/09/09(金) 20:43:35.95 ID:n5x2L6/w.net
ルビィ『ひ、冷やかしとか興味本意で入るのはやめといた方がいいと思います…』

千歌『それもそうだね。ん?ルビィちゃんはあの店が何の店か知ってるの?』

ルビィ『ピギ!?えと、あの、多分漫画を売ってるお店、です…』

千歌『漫画?だったら隠すことないのに。どんな漫画なんだろ?』

ルビィ『さ、さぁ…そこまでは…』

千歌『まあ本人に聞けばいっか。おーい!梨子ちゃ…』

ルビィ『今は言わないで…っ!!』

千歌『は、はい』

花丸『うん、みんなに配る用と、家族で食べる用と、マルが食べる用、ちゃんと3個ずつあるずら』


千歌「という具合で肝心なところはわからず仕舞いだったんだよねー」

梨子(ルビィちゃんgj)

曜「あ、私知ってるよ「薄い本」だよね?」

梨子「ぎくぎくぅっ!!」

131: 2016/09/09(金) 20:45:01.96 ID:n5x2L6/w.net
千歌「証人は前へ」

曜「はい裁判長」

梨子「裁判長ってなに!?」

千歌「では証人へ質問します。その「薄い本」とは何ですか?」

曜「詳しくはわかりません。ある消息筋からの情報であります」

千歌「その消息筋とは?」

曜「ヨーシコーであります!」

梨子「よっちゃんが…?!ギルキス安保条約を破ったというの…?これはギルティするしか…っ!」

千歌「ではその時の状態を詳しくお願いします」

曜「はい、あれは東京で宿泊施設に泊まった晩の話であります…」

132: 2016/09/09(金) 20:46:25.56 ID:n5x2L6/w.net
曜『そういえば梨子ちゃんのお土産ってどんなんだろう?ずいぶん買い込んでたみたいだけど…いない隙にちょっと見ちゃおうかな』

善子『や、やめなさいよ!プライバシーの侵害よ?!』

曜『大げさだなぁ、千歌ちゃん言ってたよ、たかが漫画でしょ?』

善子『たかが漫画ですってぇ?!』

曜『あれ?善子中身知ってるの?』ガサゴソ

善子『し、知らないわよ!ってなに漁り始めてんのよ!あと善子ゆーな!!』

曜『ん?なんだこれ?みょーにうっすい本だし、値段も書いてない…?』ポイポイ

善子『ああっ!雑に扱うんじゃないわよ!高いんだから!!』

曜『へ?高いの?てかやっぱり善子これが何か知ってるんじゃないの?』

善子『し、知らないわよ!知らないけど大事にしてるから高いんじゃないの?あと善子ゆーな!』

曜『なぁんだ、堕天使様も大したことないね。知らないんだぁ、そっかそっか』

善子『はぁ?今は依代の能力しか使ってないからなんですけど?!ヨハネが本気で堕天使の力を召喚したら知らない事なんてないし!』

曜『ふぅん…』

133: 2016/09/09(金) 20:47:52.03 ID:n5x2L6/w.net
曜『…ああ堕天使様堕天使様!リトルデーモンの私めに知恵をお授け下さい!』クロイハネトスー

ヨハネ『…ヨハネ、召喚!何かしら私のかわいいリトルデーモンよ』

曜『あの本なに?』

ヨハネ『ずいぶんぞんざいな扱いじゃないかしら?!…まぁいいわ、アレはね「薄い本」と呼ばれるモノよ!』

曜『いや、そんなこと見たらわかるし…はっ!?』フトンモグリー

善子『あっ!ちょっと片付けなさいよ!まったく…』

梨子『……よっちゃん?』

善子『へ?リリー?…あっ!これは違うの!別に…』

梨子『ギルキス安保条約第二条、他人の戦利品を…』

善子『ま、まってまって!これ私じゃなくて!』

梨子『よっちゃん♪ギルティね♪』

善子『なんでよぉぉぉおおお!!!』

花丸『まさか配る用を開けられるとは…こうなりゃヤケずら!家族用も食べてやるずら!!』


曜「…まぁ結局、薄い本って事しかわかんなかったけどね」

梨子(セーフ!セェェェフッ!!まだ大丈夫!まだ真人間でいられる!)

梨子(…でもとりあえずよっちゃんはギルティかな?)

千歌「うーん…じゃあやっぱり梨子ちゃんに話してもらうしかないのかー」

134: 2016/09/09(金) 20:50:12.15 ID:n5x2L6/w.net
梨子「ハァ…わかりました、観念します」

曜「おっ、話してくれる気になった?」

梨子「うん、私達の仲で隠し事なんてなしこなしこだからね」

千歌「あれ?結構動揺してる?」

梨子「コホン、あれはね…」

ようちか「あれは…?」


梨子「作曲の為の資料なの。いわゆる専門書ってやつ」

千歌「漫画じゃないの?」

梨子「違うよ「もしドラ」とかあるじゃない?最近は専門的な本に取っつきやすいようにかわいいイラスト付けたりするから勘違いされやすいんだよね」

曜「じゃあ値段なかったのは?」

梨子「あ、あの店は個人取引メインで値段交渉とかして取引するから」

千歌「だからわたしルビィちゃんに止められたのか…」

梨子「そ、そうそう!下手に冷やかしが来たら店の裏に連れていかれちゃったりするからね!」

曜「ひょっとして薄い本なのに高いのは、難しい本だからって事?」

梨子「うん、だから見ても面白くはないと思うなー」

千歌「なぁんだそっかあ…期待して損したよー」

梨子「ふふっ、ごめんね」

135: 2016/09/09(金) 20:52:31.21 ID:n5x2L6/w.net
曜「あー、外もう暗くなってきたよ?」

梨子「じゃあそろそろ帰ろうか?」

曜「今日は色々あって疲れたなー」

梨子「ふふっ、ほんとにね」

千歌「ちょっと待ってお二人さん!」

ようりこ「?」

千歌「これ、どうするの?」フウセンユビサシ

曜「あれ?千歌ちゃん風船なんて持ってたんだ」

梨子「綺麗な風船ね」

曜「それより今日の晩御飯なにかなぁー?」

梨子「私の家はこの1週間魚の干物。お隣さんに大量に戴いたんですって」

千歌「雑談に戻るなあぁぁ!!」

千歌「持ってたよ!裁判長とかやってる時もずっと持ってたよ!わたしこれ持ったままバス乗るとかヤだからね!?」

曜「千歌ちゃん…もう離さないって約束、ちゃんと守ってくれたんだ…」ウルウル

梨子「ハッピーエンドね…」ウルウル

千歌「…ふたりともわたしに押し付けようとしてるでしょ?」

136: 2016/09/09(金) 20:53:28.53 ID:n5x2L6/w.net
梨子「や、やだなあ千歌ちゃん、そんなことないってば」

千歌「…梨子ちゃんとはおんなじバスに乗るし、同じ所で降りるんだよ?」

梨子「はっ?!」

曜「じ、じゃあ部室に置いとくってのはどう…かな?」

千歌「…明日から果南ちゃんのニヤニヤとマリマルビィの「これなに攻撃」に耐えられるならいいよ?」

曜「はっ?!」

曜「じゃあどうするのー?!」

千歌「わかんないから聞いてるんじゃん!」


梨子「…ねえ、空に飛ばそうか?」

137: 2016/09/09(金) 20:55:57.34 ID:n5x2L6/w.net
千歌「だ、駄目だよ梨子ちゃん!せっかく3つ揃ってるのにそんなことしたらまたバラバラになっちゃう!」

梨子「だからこうやって…ね?」

曜「あー紐を結ぶのか」

梨子「こうしたらずっと一緒だよ」

曜「ふふっ、これ体育館で初めてライブやった時の私達みたいだ」

千歌「そうだね…手に手を取って、あの時は毎日ずっと一緒だったんだよね」

梨子「これからもそうよ。この風船みたいに3人一緒にどこまでも飛んでいっちゃうんだから」


曜「私が水泳部で大会に出ても」

梨子「私がピアノのコンクールに出ても」

千歌「私がその間Aqoursでふたりの帰りを待ってる間も」


ようちかりこ「ダイスキだったらダイジョウブ!」


千歌「もう誰も置いてきぼりにならないもんね!」

梨子「うん、私達はずっと一緒!」

曜「友情ヨーソロー!だからね!」

千歌「よーし!じゃあ飛ばしますか!」

梨子「うん!」

曜「せーの!」

ようちかりこ「サーンシャーイン!!」

138: 2016/09/09(金) 20:58:07.55 ID:n5x2L6/w.net
ふふっ、あの時の梨子ちゃん、絶対ただ持って帰りたくなかっただけだよね

私も千歌ちゃんも簡単に乗せられちゃって

…うん、もう大丈夫


『次は、私立浦の星女学院、渡辺曜』


私は飛べる

どこまでも飛べる

だって

ちょっぴり大きくなった手をぶんぶん降ってくれる

少し控えめに、でも真剣に手を降ってくれる

ふたりの親友が見てくれてるから

私は、どこまでも飛べるんだ

さあいこう

全力前進

ヨーソロー!!


おしまい

139: 2016/09/09(金) 20:58:46.89 ID:n5x2L6/w.net
お疲れ様でした

140: 2016/09/09(金) 21:00:46.21 ID:GQZwfZBL.net

142: 2016/09/09(金) 21:02:16.75 ID:JrZrJxeV.net
メッチャよかった

引用: 【SS】曜「私、スクールアイドル辞めます」