330: 2011/04/21(木) 00:37:54.06

332: 2011/04/21(木) 00:40:38.43
番外編

【家事】


―――学園都市 上条宅


上条「……ふう、今日から久々の学校だな」

キャーリサ「10日ぶりくらいか?」

上条「だな。上条さんもう一生分の土下座しましたのことよ」

キャーリサ「頭下げて出席何とかなるなら安いものだし」

上条「そりゃそうだ。んじゃ行ってきまーす」

キャーリサ「とーまとーま。んー」

上条「お、おいおい。あっちにインデックスいるんだぞ……」

キャーリサ「だからこっそりだろ……ん」

上条「……しょ、しょうがないな……」

キャーリサ「チュッ……ふふっ、行ってらっしゃい」

上条「あ、ああ……」

キャーリサ「うん、しっかりな」

上条「……おう。出かける時はしっかり戸締りしろよ」

キャーリサ「分かったの」

上条「んじゃな」


ガチャッ バタンッ

とある魔術の禁書目録 5巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

333: 2011/04/21(木) 00:44:31.17

キャーリサ「……ふふふ、我ながら良き妻になれそーだ」

キャーリサ「……さてと何しよー。公務も無いから暇なんだよなー」

禁書「あれ、とうまはもう学校?」

キャーリサ「うむ。とりあえず掃除でもするか? 両親公認の仲となった以上、妻として私はするが」

禁書「あ、私はスフィンクスのお世話をしてるから任せるんだよ」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「なんだ今日もか。仕方ないな、では私は掃除機掃除機……」 ガチャッ


ウィーン… ゴォォ…


キャーリサ「ぬー……学園都市と言えど全自動では無いとは。
        使用人もいないし、自分でやらないと駄目なんだな……」 ゴォォ!

禁書「おそうじろぼっとは個人じゃ高くて買えないんだって。よく分からないけど」

キャーリサ「ふむ……。おいインデックス、ちょっとそこを退け。
       スフィンクスの毛玉でえらいことになっているし」

禁書「冬の毛に生え変わったからだね。まったく、とうまもちゃんとお掃除してほしいんだよ」

キャーリサ「まったくだ……って、お前がやればいいんじゃないのか?
       どーせ日中暇だろ?」

335: 2011/04/21(木) 00:46:53.98

禁書「私はスフィンクスの相手とか、テレビを見たりゲームをしたり、ついでにお祈りをしたりで忙しいんだよ。
    申し訳ないとは思ってるんだよ」

キャーリサ「なら仕方ない……のか? 釈然としないが、動物の世話も大事な仕事か……。
       ところでゲームとはテレビゲームのこと?
       私あんまりやったことないの。日本製のは面白いらしいからな、後でやってみたいし」

禁書「ここに入ってるんだよ」 ガチャッ

キャーリサ「うーん、配線がよく分からんな……」

禁書「これをこうしてこう……それからこうなんだよ!」 サッサッ!

キャーリサ「ほーう、大したものだし」

禁書「えへんっ! ゲームを出しっぱなしにしてるととうまに怒られるからね。
    私がいつも片付けてるんだよ」

キャーリサ「そーかそーか。よし、それで?」

禁書「電源を入れるだけだよ」

キャーリサ「おおっ! 映像が綺麗だな! これはどーやって遊ぶものなの?」

禁書「これは落ちゲーだから、同じ色のぷよを並べて消せばいいんだよ」

キャーリサ「落ち……ゲー? まーいい、やってみるし」 カチカチッ

禁書「せっかくだから対戦するんだよ」

キャーリサ「おっと、いかん。掃除を先に終わらせないと」

禁書「とうまが帰ってくるまでまだ時間もたっぷりあるし、後でいいんだよ」

キャーリサ「ふむ、それもそーか。では少しだけ……」


336: 2011/04/21(木) 00:49:31.92


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーン! 

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「くっ! お、お前強いなっ!!」

禁書「ふふーん、伊達に練習してないんだよ。今やもうとうまより強いんだから」

キャーリサ「負けるのは腹立たしーしっ! もう一度だ!」

禁書「返り討ちにしてやるんだよ!」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「むー……もー一回!」

禁書「負けず嫌いなんだね。望むところなんだよ」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「な、何だ今の連鎖は! ぷよが画面外に消えてたじゃないか!」

禁書「実はあの上にもう一つ積めるんだよ。これが玄人というものなんだよ」

キャーリサ「ぐぬぬ……! もう一回!」

禁書「はいはい、何度やっても同じことなんだよ」


337: 2011/04/21(木) 00:51:27.46


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「むむー……」

禁書「あ、そろそろお昼なんだよ」

キャーリサ「食べながらでいい。もう一回だ」

禁書「え、うん」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「……」

禁書「も、もういいかな?」 ムグムグ

キャーリサ「……」 ピッ!

禁書「む、無言でリトライを押したんだよ……これはまずいかも」


338: 2011/04/21(木) 00:54:55.96


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「…………ギリッ!」 ミシッ

禁書「キャーリサ、さすがに疲れてきたんd」

キャーリサ「……」 ピッ

禁書「……はい」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「何故勝てん……」 グスッ

禁書(な、涙目なんだよ……そろそろ接待プレイでもしてあげたほうがいいかも……)

キャーリサ「言っておくがわざと負けて私を愚弄するような真似は止めておいたほうがいーの。
        ……氏ぬぞ?」

禁書「は、はい……なんだよ」 ビクッ

禁書(じゃあもうちょっと強くなって欲しいんだよ……正直センス無いんだよ……)

339: 2011/04/21(木) 00:58:49.03


ガチャッ!


上条「ただいまー。今日も補習で遅くなっちまって悪いな。
    ん? 二人でゲームか。上条さんも混ぜてもらおうかなーっと」

キャーリサ「ハッ! と、とーまっ!!」

禁書「とうま……おかえりなんだよ……」 ゲソッ

上条「? インデックス何かゲソッとしてるな。お前ゲソはまずいぞゲソは。色んな意味で」

禁書「気にしなくていいでゲs……いいんだよ……」

キャーリサ「しまった……結局ゲームしてただけで一日が終わってしまった……」

上条「どうしたんだキャーリサ。OTLみたいな格好して」

キャーリサ「四つん這いで誘ってるの」

上条「え」

キャーリサ「じょーだんだし……とーま、こんな駄目な私を見捨てないで欲しーの……」

上条「?」

禁書「もうキャーリサとゲームはやりたくないんだよ……」 ゲソッ

340: 2011/04/21(木) 01:01:48.37

―――よくじつ!


上条「んじゃ行ってきまーす」


ガチャッ バタンッ


キャーリサ「と言うわけで今日こそは掃除をする!!」

禁書「がんばるんだよ。応援してるんだよ」

キャーリサ「お前もやるか?」

禁書「私はスフィンクスの相手で忙しくて手伝ってあげられないんだよ。悪いとは思ってるんだよ」

キャーリサ「ふむ、なら仕方ないか……頑張るの」


ウィーン… ゴォォォオ…


『―――では続いてはアイドルの一一一さんの熱愛報道についてですが』


禁書「世の中惚れた腫れたで平和なんだよ」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「掃除機とはどーしてこーも私を振り回すのか……じゃじゃ馬め……ん? 何見てるの?」

禁書「朝のワイドショーなんだよ。これを見ないと世の中の動きについていけないんだよ」

キャーリサ「なるほど、確かにここ最近新聞もロクに読んでないし、よくない傾向だし。
       どれ……私も少し見ておくか」

禁書「あ、お茶とお煎餅がここにあるんだよ」

キャーリサ「気が利くな。もらおー」

341: 2011/04/21(木) 01:04:29.67


『―――最近流行りのスイーツランキングの紹介ではティラミスとナタデココが……』


禁書「おいしそうなんだよ……」 ジュルリ

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「う、うむ……食べてみたいし」

禁書「キャーリサも話せるクチかも」

キャーリサ「まー甘いもの普通に好きだしな」

禁書「じゃあ今度とうまにおねだりしてみるといいんだよ」

キャーリサ「しかしなー……金が無いと常日頃から嘆いてるあいつにそんなことは……。
        私の個人口座も迂闊に使うわけにもいかんし」

禁書「大丈夫なんだよ。キャーリサのお願いならきっととうまは断らないんだよ。
    だから私の分も一緒に頼んでね」

キャーリサ「そうか? ……ん、言うだけ言ってみるし」

禁書「キャーリサはお嫁さんの鑑なんだよ。表札に上条キャーリサって出すべきだね」

キャーリサ「そ、そんなに褒めるな。ほら、煎餅食べろ」

禁書「(計画通りなんだよっ!)」 ニヤッ


343: 2011/04/21(木) 01:06:44.05


『――旦那がずっと家に帰ってこなくって』

『――奥さん、そりゃあんたが悪いよ』


禁書「お昼ご飯を食べながらみのさんを見るのはもはや日本の文化と言ってもいいかも」 ズルズル

スフィンクス「ハムッ! ハフハフッ!」 ガツガツ

キャーリサ「蕎麦が美味いな。にしても、どこの国も夫婦というやつは似たよーなものだし」 ズルズル

禁書「旦那も悪いけど、奥さんも奥さんなんだよ」

キャーリサ「私はこーはならないよーにしよー」


『――この泥棒猫! あの人を返して!』

『――あんたは豚よ! この醜い豚!』


禁書「食後はゴロゴロしながら夕方までドロドロ系の昼ドラを楽しむのが正しい居候の過ごし方なんだよ」 ゴロゴロ

キャーリサ「そーかそーか。この女怖いなー。
        んー、でも何か忘れてるよーな……」 ゴロゴロ


345: 2011/04/21(木) 01:10:00.09


『――本日はご当地美味いもん特集ということで、ここ食い倒れの街大阪に』


禁書「またワイドショーで世の中の情報を集めないとね」

キャーリサ「確かにこれならば世界情勢に遅れを取ることは無いの……か?
        何か違う気がするの」

禁書「気の所為なんだよ。ほら、たこ焼きが美味しそうなんだよ!」

キャーリサ「お、これはこの前食べたの!」

スフィンクス「zzz…」


ガチャッ!


上条「ただいまー」

キャーリサ「あ」

上条「ん?」

キャーリサ「……またやってしまったの……」

上条「どうした? って、掃除機今日も出しっぱなしだぞ。掃除してくれるのはありがたいけど、ちゃんと片付けといてくれよ」

キャーリサ「すまんかった……愚かな私を殴ってくれ。あらん限りの罵倒をぶつけても構わないし」

上条「い、いやそこまでしなくても……」

禁書「おかえりーとうま。お腹が空いたんだよ」

上条「はいよ。すぐ飯作るからなー」 テキパキッ

キャーリサ「! 手慣れているの……」

346: 2011/04/21(木) 01:11:38.77

禁書「あ、キャーリサがデパ地下のスイーツが食べたいって言ってたんだよ」

キャーリサ「! い、いやそれは……違うんd」

上条「そか? また金がある時にでも買ってきてやるよ」

キャーリサ「!?」

禁書「わーい」

キャーリサ「……」 ジー

上条「ん?」

キャーリサ「……」 ジー

上条「な、なんでせうか……」

キャーリサ「尊敬の眼差しだし……惚れ直しているところだ。お前、すごい奴だったんだな……」

上条「え、えー……?」

キャーリサ「明日から本気出すし! 愛してるぞとーま!」

上条「?」

347: 2011/04/21(木) 01:13:28.16


――よくじつ!


キャーリサ「今日こそはやる! 掃除くらいこなせずして何が王女か! 何がキャーリサか!
       風呂場の排水溝まで美しく磨き上げてやるの!」 フンスッ!

禁書「キャーリサー。スフィンクスが公園に散歩に行きたいって言うから行ってくるんだよ」 スタスタ

キャーリサ「待てい」 ワシッ

禁書「わっ! きゅ、急に引っ張らないで欲しいかも……!」

キャーリサ「お前今までシレッとした顔で言ってたがおかしーぞ。
       この私が掃除に励もうと言うのだ。お前も手伝え。同じ居候だろ。
       いーか? 今日の私は本気だ! 今日こそ私と共に」

禁書「公園で近所の奥さま達と情報を交換するのも妻の役目なんだよ」

キャーリサ「なんだとっ!! ぐぬぬ……確かに姉上が市井に紛れてそんなこと言ってたな。
       で、ではその役目はお前では無く妻である私がやる。
       もう一度言うが、偉大なる妻である私がやる」

禁書「じゃあ私は室内でゴロg……スフィンクスの相手をしているからキャーリサにお任せするね」

キャーリサ「任せておけ。行ってくるし!」 ダッ!

348: 2011/04/21(木) 01:16:10.30


――学園都市 公園


キャーリサ「来たはいーが……」


少年A「わーい! 鬼さんこちらー!」

少年B「びえーん!!」

教師「はーいB君泣かないの。男の子でしょー」

幼女C「Dちゃんおままごとしましょー」

幼女D「いいわよー、あたしペット役やるー!」


キャーリサ「幼稚園児しかいないし……よく考えたら学園都市は親許を離れてきてる奴がほとんどなんだから近所の奥さま自体が稀だろー……。
        ちっ! インデックスめ、図ったな。帰って説教してやるし」

幼女E「お姉さん、こんなところで何してるの? がっこーは?」

キャーリサ「ん……?」

少年F「おーいE子何やってんだよー。あれ、このおばさんだれー?」

キャーリサ「おばっ! ……お姉さんだし。まだ一応……一応……」

幼女G「お姉さんがっこー行かなくていいの? あ、分かったちこくしたんでしょー!
     いけないんだー!」

キャーリサ「お、お姉さんは学校には行かなくていーの」

349: 2011/04/21(木) 01:20:12.40

少年H「おまえらばっかでー。このおばさんはけんきゅうしゃなんだよ。
     どう見たって大人だろー」

キャーリサ「だからお姉さんと言え。そこは譲らんぞ……絶対」

少年I「ちげーよ。きっとこれからかれしとデートなんだぜー! 
    よくうちのねーちゃんがっこうサボってデートしてたもん」

幼女E「えー! デート!? すごーい! どんなところ行くのー?!」

キャーリサ「う、うん?」

教師「ああっ! ご、ごめんなさい! ほらあなたたち、お姉さんのご迷惑でしょ。
    すみません、ちょっと目を離した隙に……」

キャーリサ「いや構わないが……この辺りの幼稚園か?」

教師「ええ、すぐそこの」

キャーリサ「そーか」

キャーリサ(……私より全然年下なのに立派に働いているとは……なんだか自己嫌悪だし……)

教師「?」

少年F「ねえねえおばさん! 今からデートなんだろー! 行かなくていいのかよー!
     おとこに逃げられちまうぜー!」

教師「こ、こらっ! す、すみません……ほらみんな行くわよ」

キャーリサ「ほー、何だ少年。 お  姉  さ  ん  に気があるの? いやまあ何だ。
       お  姉  さ  ん  は彼氏に愛されてるから逃げないの」

幼女G「すごーい! ねえねえもっとくわしく教えて!」

キャーリサ「……最近の子供はマセてるな……。
       そ、それより子供らしー遊びをしてろ!」

350: 2011/04/21(木) 01:21:28.60

幼女E「じゃあお姉さんいっしょに遊んでー!」

キャーリサ「わ、私が?」

教師「こらこら。ご迷惑でしょ。いい加減にしなさい」

キャーリサ(待てよ? 考え様によってはこれはチャンスではないの……?
       学園都市は学生の街だ。教師ともなればそれなりに情報も持っているだろーし、
       貴重な話が聴けるかもしれない……
       このまま何事も成さず帰るのもしゃくだしな……よし)

幼女G「えー、お姉さんと遊びたーい」

少年F「しかたねーからおれたちが遊んでやるよ」

教師「だーめ。お姉さんは用事があるの」

キャーリサ「あ、あの……」

教師「はい?」

キャーリサ「実は―――」

351: 2011/04/21(木) 01:22:57.28


―――学園都市 住宅街


上条「~♪」

土御門「カミやんご機嫌だにゃー。今日は補習が無いからか?」

上条「いやまあほら、アレですよ」

土御門「あ分かった。別に聴きたくは無いぜい」

上条「話ふっといてそりゃねえだろ」

土御門「オレはカミやんの惚気話にだけは耳を傾けるなって氏んだ婆ちゃんの遺言で言われてるんだにゃー」

上条「よく分かったな惚気だって」

土御門「そりゃもう。で? 同棲始まってもう何日か経つけど、ヤリまくりか?」

上条「いやインデックスいるし」

土御門「いやいや、そんなのは言い訳に過ぎないぜい。やろうと思えばどこでだって出来る」

上条「どこでも……」 ゴクリ

土御門「うちの寮って壁厚かったかにゃー。声は抑え目で子作りに励むんだぜい」

上条「子作りってそんな……ん? 公園が騒がしいな」

幼女G「ママー! お腹すいたー、ご飯にしましょー」

キャーリサ「パパが帰ってくるまで待つの。お前達、お風呂が沸いているから先に入ってくるといーし」

幼女H「ママと一緒がいい!」

キャーリサ「私はパパと入るの!」

352: 2011/04/21(木) 01:24:19.41

上条「」

土御門「カミやん……いつの間にキャーリサとの間にあんなでかい子供こさえたんだ……?」

上条「し、知らん! 上条さんは身に覚えが無いですのことよ!」

キャーリサ「お、とーまか」

幼女H「ママー、あの人はー?」

キャーリサ「パパだ」

幼女G「パパー!」

幼女H「パパおかえりー!」

上条「知らない子供たちにパパって呼ばれる恐怖ハンパじゃないです……」

土御門「身に覚えがないなら平気だろ?」

上条「そうだけど、こう……周囲の視線が痛い」

キャーリサ「とーま、おかえり。今から帰るところか?」

上条「あ、ああ。お前何やってんの?」

キャーリサ「ん? 実はな、幼稚園の教師に学園都市のことを色々聴いてたんだが……
       気が付くと一日幼稚園でバイトすることになってた」

上条「あ、じゃ今のおままごとだったか……」 ホッ

土御門「そりゃそうだろ」

上条「気づいてたなら言えよ!」

土御門「フツー気付くと思うんだけどにゃー」

353: 2011/04/21(木) 01:25:44.44

幼女G「ママー、もう帰っちゃうの?」

キャーリサ「仕事は五時までだからな。お前達を寮まで届けたらさよならだし」

幼女H「また遊んでくれる?」

キャーリサ「ああいーぞ。今度はパパも一緒だ」

上条「え、上条さんも?」

キャーリサ「いやー、子供はかわいーぞー。私も子供欲しくなってきたなー」 チラッチラッ

上条「っ!」 ドキッ

キャーリサ「とーまとーま」

上条「は、はい?」

キャーリサ「(ふふっ、今夜あたり本当に作るか?)」 ヒソッ…

上条「えっ!」

キャーリサ「なんてな!」

幼女G「あー! ママがないしょ話してるー! いけないんだー!」

幼女H「なんて言ったのー! 教えて教えてー!」

キャーリサ「ふふーん、パパとママの秘密だし」

幼女G「ずるーい」

キャーリサ「ずるくない! よーし帰るぞお前達。門限の時間だし。
       ではなとーま、先に帰っていてくれ」

上条「あ、ああ……」

354: 2011/04/21(木) 01:26:52.66

幼女H「おーてーてつないでー♪」 ブンブン

幼女G「みなかえろー♪」 ブンブン

キャーリサ「カラスが鳴くからかえりましょー♪」

幼女H「あ、お姉さんそのお歌覚えたんだね!」

キャーリサ「お前達に教えてもらったからな。王女の記憶力はロイヤル級だ」

幼女G「お姉さんおひめさまなのー?」

キャーリサ「元な」

幼女H「私もおひめさまになりたーい!」

キャーリサ「お前達はそんなものよりもっといいものになれるさ」

幼女G「えーなにそれー!」

キャーリサ「お嫁さんだし!」

幼女H「なりたーい!」

キャーリサ「おーなれるとも! 私もなりたいし!」


ワイワイッ キャピキャピッ! スタスタスタ…


土御門「な……何なんだ一体」

上条「めちゃくちゃ馴染んでやがる……」

土御門「意外な特技だにゃー……」

355: 2011/04/21(木) 01:28:51.63

―――学園都市 上条宅


バンッ!


キャーリサ「また忘れていたしっっっ!!!!!」

上条「何だ突然帰って来るなり」

禁書「遅いんだよキャーリサ。どこまで行ってたの?」

キャーリサ「そもそも元はと言えばお前が! ……まーいいの。おかげでなかなか得難い体験が出来たし」

上条「お疲れさん。どうしたんだここ3日くらい変だぞ?」

キャーリサ「い、いやその……実はだな――」


かくかくしかじか!


キャーリサ「というわけで居候として本格的に世話になる訳だし、食客としてだらけているのも居心地が悪いので何かしよーかと思ったの……」

上条「キャーリサ、お前……」

キャーリサ「だが駄目だな。どうにも上手くいかなかった……」

上条「いいんだよ、キャーリサ。その気持ちだけで十分だ」

キャーリサ「とーま……」

上条「はは……ま、まあゆっくりがんばっていこうぜ。
    掃除とか洗濯やってもらえると確かに助かるしさ」

キャーリサ「うん……がんばるの……」 ギュッ

356: 2011/04/21(木) 01:31:25.07

禁書「むー……なんだかいい雰囲気なんだよ……」

上条「じゃあ明日からとりあえず掃除はキャーリサとインデックスに任せるよ」

禁書「えっ! 私も!?」

上条「当たり前だろ。お前とキャーリサは同じ居候なんだからさ」

禁書「何だか言い方に差を感じるけど……同じってことなら……まあいいんだよ」

上条「ん?」

禁書「同じ居候ってことは、私もここにいていいんだよねとうま?」

上条「? 当たり前のこと何今更」

禁書「当たり前……」

キャーリサ「何だお前、私達に気ぃ遣ってるの? 慣れないことは止せインデックス」

上条「そうだぞ。いつものふてぶてしさはどうしたんだよ」

禁書「……それは余計なひと言かも。まあでも、そこまで言うなら居てあげてもいいんだよ!」 フンスッ!

上条「その調子その調子」

キャーリサ「単純で可愛いやつだな」

禁書「むぅ……子ども扱いされてる感が否めないかも。
    よし、もう怒ったんだよ! インデックスの本気ってやつを明日から見せてあげるんだから!」

キャーリサ「望むところだし。とーま、家のことは私達に任せて安心して学校へ行くといーの」

上条「ははは、頼りにしてますよ」

上条(インデックスとキャーリサの仲がちょっと心配だったけど、これなら大丈夫そうだぞ。
    しかも家事の負担まで減ってインデックスをお手伝いに目覚めさせるなんて……小さな幸せみつけましたのことよー。
    明日から楽しみだな、うふふ)

キャーリサ・禁書「「?」」


357: 2011/04/21(木) 01:33:30.66
よくじつ!


上条「ただいまー! ……あれ、二人ともいないのか?」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「……」

禁書「……」

上条「あれ、二人とも風呂場で何やって……うっ!」

キャーリサ「とーま、すまんかった」

禁書「わ、悪気はなかったんだよ」

上条「こ、このガレキの山は一体……」

キャーリサ「気合を入れて掃除したら風呂場が空爆後の市街のよーになった」

禁書「が、がんばった結果なんだよ!」

上条「……」 プルプル…

キャーリサ「その……何だ。うん、ちょーど銭湯に行きたいと思ってたころなんだ」

禁書「それいいかも! 私も行きたいんだよ! そうしよう! ね! とうま!」

上条「…………」 プルプル…

キャーリサ「そ、そーだ! 混浴だ! また背中を流してやるぞとーま!」

禁書「そ、そうだね! 私も水着を着てなら構わないんだよ! だから元気出してとうま!」

上条「い、言いたいことは……それだけか……?」

キャーリサ「!」

禁書「!」

キャーリサ「あー……うん、まあアレだし」

禁書「そ、そうだね。アレなんだよ」

キャーリサ「ドンマイとーま!」

禁書「元気出すんだよ!」



上条「不幸だぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



358: 2011/04/21(木) 01:34:19.44
おそまつでした。
ではまた次回!

404: 2011/04/28(木) 21:36:23.41
皆さんこんばんは。番外編その2です。
では投下していきますね

406: 2011/04/28(木) 21:37:53.61

―――第七学区 大通り


ワイワイワイワイ… ガヤガヤガヤガヤ…!

スタスタスタスタ…


上条「えーっと……これで大体買い物は終わったかな」

キャーリサ「うん。今日はじゃがいもが安く買えたな」

上条「キャーリサも特売戦争で安定した戦果をあげられるようになったし、買い物が楽になったよ」

キャーリサ「そ、そーか? ふふっ、私も一人前の戦士という訳だな。王女なのに」

上条「ははは、嬉しそうだな……ん? どーしたキャーリサ」

キャーリサ「ん? あ、い、いや……」

上条「あの服屋がどうかしたか?」

キャーリサ「んー、何でも無い。帰るぞとーま」

上条「見なくていいのか?」

キャーリサ「そんなものに使う金は無いだろー」

上条「いやちょっとくらいなら別に」

キャーリサ「いーったらいーの。インデックスが腹を減らして待ってるし。行くぞ」

上条「? まあいいならいいんだけど」


407: 2011/04/28(木) 21:40:37.40
――よくじつ!!


ペラッ ペラッ


キャーリサ「……」 

禁書「~♪」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「……むー……」 ペラッ…

禁書「ん? ……あれ、何読んでるのキャーリサ?」

キャーリサ「あ、これか? 昨日古本屋で見つけたファッション雑誌だし。
        先月号250円だ。安いの」

禁書「お洋服がいっぱい載ってるね」

キャーリサ「そりゃファッション雑誌だからな」

禁書「とうまあんまりお洋服買ってくれないんだよ。
   まあ私はこの歩く教会があるからいいんだけど」

キャーリサ「壊れてるんだろ?」

禁書「こ、壊れてるけどシスターとして修道服は欠かせないんだよ」

キャーリサ「私もそーいうのがあればなー」

禁書「? 欲しいお洋服でもあるの?」

キャーリサ「んー……まーそーだな。どれが欲しいという訳でも無いけど」

禁書「何だかはっきりしないかも」

キャーリサ「そりゃ欲しいさ。正直買い物は好きだし、化粧品や下着類も消耗品と言っていい。
       でも、言い出せるか? とーまは学生で、両親から仕送りもらってる身だぞ?
       そんな奴に服買ってくれなんて言えるわけが無いだろー」


408: 2011/04/28(木) 21:42:36.53

禁書「それはそうかも……だからその本ベッドの下に隠してたの?」

キャーリサ「これ見よがしに置いてたらイヤミったらしーだろ?
       別に要求してるわけじゃないのに変に気を遣われても嫌だしな」

禁書「なるほどなんだよ」

キャーリサ「別に高級なものじゃなくていーの。前一度連れていってもらったセブンスミストだっけか?
       あそこなんか安くて可愛いのがたくさんあったし……」

禁書「なかなか深刻な悩みだね。ここはシスターとして相談に乗るんだよ」

キャーリサ「お前に金の相談してもなー……」

禁書「むぅ……それは心外かも。私だって人の話を聞いて助言することくらい出来るんだから」

キャーリサ「じゃあお前が私の服買ってくれるの?」

禁書「それは……無理だけど」

キャーリサ「だろー? ……ちょっと学園都市での生活にも慣れてきたし。ここは一つアレやるか」

禁書「アレ?」




キャーリサ「バイトだし」




番外編

【バイト】



409: 2011/04/28(木) 21:49:10.73

―――とある高校 教室


ワイワイワイ…! ガヤガヤガヤ…!

ペラッペラッ…


上条「うーん……」

姫神「上条くん。帰らないの?」

上条「あ? おう、帰る帰る」 ゴソゴソ

姫神「あれ。今のって女の子向けのファッション雑誌じゃない?」

吹寄「姫神さん、一緒に帰りましょ……って上条当麻、貴様がファッション雑誌って本当?
    槍でも降るんじゃないかしら」

上条「どうせ上条さんには似合いませんのことよ。ほら、帰ろうぜ」

姫神「誰かにプレゼントするの?」

上条「ん? 何が?」

姫神「雑誌見てたから」

上条「あー……プレゼントって言うか、やっぱ俺が稼いで買ってやらないと駄目だよなーって」

吹寄「? 何よ貴様。恋人でも出来たの?」

上条「実はそうなんだ。年上でさ」

姫神「そんなの聞いてなかった!!!!」

上条「! え? ご、ごめん……?」 

吹寄「! ……ど、どうしたの……?」

姫神「ごめんなさい。取り乱した」


411: 2011/04/28(木) 21:51:52.49

吹寄「……ゴホンッ、じ、じゃあ貴様はその恋人に渡すプレゼントを雑誌から選ぼうとしてたってこと?」

上条「まあそうなるかな」

吹寄「本人にどれが欲しいか聞けばいいじゃない」

上条「最悪そうしようかなと思うけど、やっぱ内緒で選んだものの方が嬉しくないか?」

姫神「確かに。私のことを考えて選んでくれたんだと思えば。宝物になる」

吹寄「そう? どう使えばいいか分からないようなものを渡されるよりは、この中のどれがいい? みたいな感じで選ばせてもらったほうが嬉しいけど」

上条「かー……これだから吹寄は」

吹寄「な、何よ上条当麻! 貴様にため息つかれる謂れなんてないわよ!」

上条「わ、悪い悪い。で、ちょっと参考までに聴きたいんだけど、女の子って月にどれくらい服買うの?」

姫神「? 平均すれば3000円から5000円くらいかな。でも買わない時もあるし、冬はもう少し高くついたりすることもある」

吹寄「私もそれくらいね。服とか化粧品なんかより通販に使う方が多いけど。女子高生なら高くても10000くらいまでが一般的らしいわよ」

上条「うーん……それくらいなら何とかなるか……?」

吹寄「ちょっと待ちなさい上条当麻。貴様さっき恋人は年上だと言ったわね。その人は何歳なの?」

上条「えーっと……28歳だったかな」

吹寄「28ぃっ!? はぁっ!?」

上条「そんなに驚くことか?」

姫神「正直想像の斜め上だった」

上条「っつかお前らも一回見たろ、この前学校来てたキャーリサだよ」

412: 2011/04/28(木) 21:54:50.81

吹寄「え、あの人なの!?」

姫神「? キャサリンって言ってなかった?」

上条「あ……ま、まあいいじゃねえか。それ間違い。キャーリサキャーリサ」

姫神「?」

上条「で、吹寄。キャーリサの年齢が何か関係あるのか?」

吹寄「おおいにあるわ。言っておくけど、今言った金額は私達女子高生の平均だからね。
    当然社会人である20代の女性ならその額は上がるのよ」

上条「あ」

吹寄「はぁ……まったく、そのくらいのことも考えつかなかったの?」

上条「ち、ちなみにいくらくらい?」

吹寄「まあ倍くらいと考えておけばいいわ。もっとも、ブランド志向の人だと金額はさらに跳ねあがるけど」

上条「やっぱ王室御用達じゃないと駄目なんだろうか……」

吹寄「どこの貴族よ」

上条「王族なんだよ」

吹寄「はぁ?」

上条「い、いや……」

姫神「上条君。さっきの雑誌見せてもらってもいい?」

上条「? ああ、いいよ」

姫神「ありがとう。……あれ。これって」

413: 2011/04/28(木) 21:56:23.95

上条「ん?」

吹寄「なっ! これ5年も前のじゃない! 何なのこれ!」

上条「え、何か問題あったか?」

姫神「ファッションはとてもサイクルが速いの。だから去年のならまだしも。5年も前の商品を参考に選ぶなんてありえない」

上条「そ、そうなのか……」

吹寄「そもそも店頭に無いでしょ」

上条「いやだから似たようなやつをだな」

吹寄「定番化してるものはともかくとして、せめて参考くらいは新しいのにしなさい」

上条「そうだったのか……昨日キャーリサと古本屋行った時こっそり買っといたんだけど、失敗したなぁ……」

吹寄「まったく貴様は……。雑誌なら明日新しいの持ってきてあげるからそれを見なさい」

上条「マジですか」

姫神「よかったら私のも。系統や年齢によっても読む雑誌違うと思うし」

上条「難しいんだな……ま、とにかくありがとな。ちょっと考えてみるよ」

姫神「せっかくだから一緒に選んでもいいよ」

上条「お、本当か? じゃあお願いしようかな。女の子の意見聞いた方が確実だし」

姫神「任せて」

414: 2011/04/28(木) 21:59:35.80
――上条宅


ガチャッ…


上条「ただいまー」

キャーリサ「おー、おかえりとーま!」

禁書「おかえりなんだよ」

上条「ん? 二人で何見てんだ?」

キャーリサ「求人情報誌(タウンワーク)だし」

上条「バイトでもすんのか?」

キャーリサ「うん。ちょっと家事にも慣れてきたしな」

上条「浴槽ぶっ壊した奴が何を言ってんだ……」

キャーリサ「そ、それは結局私じゃなくてガス管の所為だったから無料で直してもらえたじゃない……」

上条「だな。冗談だよ、ごめんごめん。ま、バイトするのは良い事だし、頑張れよ」

キャーリサ「うん。いつまでもお前に養ってもらうだけでは肩身が狭いしな」

禁書「何だか胸に刺さるんだよ……」

上条「インデックスも一緒にやったらどうだ?」

禁書「わ、私はシスターとして天にまします我らが主に生活の全てを捧げないといけないから他のお仕事は出来ないんだよ」

上条「お前が捧げてんのはテレビと飯と猫だろ」

キャーリサ「なー、それでとーま相談なんだが。私もインデックスも正直日本のバイトの待遇や条件には疎い。
       この中で私でもできそーな仕事無いか見てくれないか?」

上条「ああ、いいよ。ちょっと貸してくれ……えーと……」 パラパラ…


415: 2011/04/28(木) 22:03:09.46

キャーリサ「給料が高くて休みが多くて残業が無くて交通費諸々支給の上、ついでに簡単な仕事がいいの」

上条「そんなもんねぇよ」

キャーリサ「分かってるの。言ってみただけだし」

上条「この前ちらっと手伝ってた幼稚園は駄目なのか?」

キャーリサ「いやー、嫌いでは無いんだが、土日も休みがほとんど無いらしーの。
       とーまと休日をゆっくり過ごしたい私としてはちょっとな……」

上条「そっか。じゃあ他の線で探すか」

キャーリサ「むー……そこはもうちょっと感動するところだし」

上条「え?」

キャーリサ「何でもないし!」

上条「?  あ、これなんかどうだ? スーパーのレジ。給料も悪くないし、もしかしたら余った惣菜とかもらえるかも。
    コンビニよりは一人で覚える仕事も少なそうだしな」

キャーリサ「ほーう、家計の助けになるならそれもいーか。よし、早速電話するし!」 ピッ

上条「おう、ってかその携帯って王室の?」

キャーリサ「そーだ。盗聴対策に加え世界中どこに居ても繋がる衛星通信。魔術的手段による電波妨害、傍受等にも対応しているの」

上条「電話代高いんじゃないか」

キャーリサ「……」

上条「やっぱそうか」

キャーリサ「啖呵をきって出てきた以上通話料も自分で払わないと駄目だな……。これは解約しよー……。
       とーま、バイト代入ったら自分で買うから電話貸してくれないか?」

上条「おう。ってか本体なら0円携帯あるから、明日それ買いに行くか」


416: 2011/04/28(木) 22:08:29.34

キャーリサ「う、うん……では気を取り直して」 ピッ


trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr


キャーリサ「あ、タウンワークでバイト採用の情報を見た者だが、担当者はいるか」

禁書「……めちゃくちゃ偉そうなんだよ」

上条「……こりゃ駄目かも……」

キャーリサ「ん? ああ。……ああ。うむ、キャーリサだし。苗字? 
       キャーリサ=ウィンザーだ」

上条「キャーリサってそんな名前だったのか」

禁書「英国王室はとうま達みたいに一般的な意味でのファミリネームとは少し違うんだよ。
    今の王室はウィンザー朝だから、家名のことだね」

キャーリサ「うむ、英国人だが……おい、募集要項に日本人限定など書いてなかったぞ。
       そーだ、臨機応変な兵を私は重用するし。
       うむ……了解したの。ではよろしく頼むし」 ピッ

上条「何だって?」

キャーリサ「明日面接だそーだ」

上条「よくあの口調でいけたな」

キャーリサ「何だかしきりに謝られたし」

禁書「圧倒されただけのような気がするんだよ」

上条「うまくいくといいな。後せめて敬語使えよ。うちの親と喋ってた時は出来てただろ」

キャーリサ「それをお前が言うか。……まーそーだな、いまいち使い慣れないが、善処しよー」


417: 2011/04/28(木) 22:10:19.27

――第七学区 スーパー


ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ…


キャーリサ「とーま! 何とか合格して早速働くことになったの!」

上条「そ、そうか。まさか学校帰りにスーパー寄ったら店員がキャーリサだとは……」

キャーリサ「どーだ、私のエプロン姿は。そそるか?」

上条「とても素敵です」

キャーリサ「よーしよし。お前がいー子にしてたら裸エプロンしてやるからな。
       好きだろ?」

上条「いや好きだけど恥じらいがある方がいいです……」

キャーリサ「う、うん。実際やるとなったら結構ドキドキするから安心せよ」

上条「よく分からんけど、ま、がんばれよ」

キャーリサ「おー! ではまた後でな」

上条「おう」

キャーリサ「おい店長! しっかりと私に仕事を教えよ!」

上条「……大丈夫なのかあれで……」

418: 2011/04/28(木) 22:12:37.75

―――


店長「というわけで、キャーリサさんの教育担当になる絹旗さんだ」

絹旗「どうも、絹旗最愛です。モアイって呼んだら超頃します」

キャーリサ「おー、よろしく頼むぞモアイ」

絹旗「うがぁあ!! 何ですかこの人は!!!」

店長「は、はは……まあ仲良くね。じゃ、あとよろしく」 フラー…

絹旗「? 何だか店長元気なかったですね」

キャーリサ「あまりに非効率的な仕事をしていたから指導してやったの」

絹旗「何モンですかあなたは……」

キャーリサ「部下を持つ管理職と指揮官としての器が知れたな。
       で、モアイ、お前はこのバイトを初めて長いのか?」

絹旗「いえ? 日中超暇なので社会経験にと思って最近始めただけですよ。
    中学生雇ってくれるとこなかなかないですし」

キャーリサ「そーか。なのに教育係とは、優秀なのだな」

絹旗「というか、超すぐ人が辞めていくんですよね……。だから私も入れたんですけど」

キャーリサ「な、何故だ! 陰険なお局やセクハラ上司でもいるのか?
       軽く斬っといてやろーか?」

絹旗「いえ、その程度なら私が超ぶちのめしてます。そうじゃなくて……
    あ、いきなり驚かせるのは止めておいたほうがいいですね。
    とにかく、変わったお客が来てもめげないでください」

キャーリサ「?」

キャーリサ(確かに他のバイトの連中も研修中の札を張ってる奴ばかりだな。
        妙な客でも来るの……?)

絹旗「では早速レジの使い方から教えますよ。まずは私と一緒にレジに入って下さい」

キャーリサ「うむ、頼むし」


419: 2011/04/28(木) 22:14:36.94

―――


絹旗「超ありがとうございましたー」

キャーリサ「また来るがいーの」

絹旗「ふう、キャーリサさんですか。あなた超物覚えがいいですね。
    もう一人でも大丈夫なんじゃないですか?」

キャーリサ「王女の学習能力を甘く見てもらっては困るし。……テレビゲームは苦手だが」

絹旗「? ただ言葉づかいもう少しどうにかなりません? 
    超外人さんなのでお客さんにも許されてるところありますけど……」

キャーリサ「いや使おうという気持ちはあるんだが……なかなかな」

絹旗「はぁ……まあ少しずつでいいので慣れて下さい。じゃあ私超休憩の時間なんで、一時間ほどお一人でお願いします。 
    何かあったらそこの内線で呼んで下さい」

キャーリサ「分かったの。感謝するし」

絹旗「ええ、では」


スタスタスタ…


キャーリサ「うーむ、なかなか小さくて愛らしい先輩だったの。後で飴でも買ってやろー」

「ォい」

キャーリサ「む、いらっしゃいませー☆」 キャピッ

「仕事中によそ見してンじゃねェぞクソったれが」

キャーリサ「ピクッ……し、失礼したの……ん? なんだこれは」

「何って、缶コーヒーだろォが」

キャーリサ「いや、だってこれ……ひぃふぅみぃ……おい、買占めは感心せんぞ」


420: 2011/04/28(木) 22:17:18.74

「あァ? 何ですか何ですか何なンですかこの店はァ?
 客の買い物に口出そォってかァ?
 俺が別に購入制限もねェ定価のコーヒー何本買って帰ろォが勝手じゃねェか」

キャーリサ「まーそーだが……」 シブシブ

「チッ……ごちゃごちゃ言わずにさっさとしやがれババァ。後ろが詰まってンのが見えてねェのかァ?」

キャーリサ「ブチッ」

「あ?」

キャーリサ「なるほどなるほど。変わった客とはお前のことだったか……。
       おい小僧。貴様今言ってはならないことを言ったの。
       斬り捨てるし」 ブォンッ

「っ!!!??」

キャーリサ「ちっ、外したの」

「何だ今のは……」

キャーリサ「案ずるな。抵抗しなければ痛みは無いし。ちょっと薄皮と次元が斬れるだけだ」

「お、ォい……レジ」

キャーリサ「ん?」


バチバチバチ… プスプスプス…


キャーリサ「ああああぁあっ!! レジが壊れているの!?」

「オマエが斬ったンだよオマエが……」

店長「キャ、キャーリサさん……何事かな?」 ビクビク…

キャーリサ「ハッ、て、店長っ! 違うぞこれは! レジが軟弱だっただけだっ」

「どンな言い訳だ……」


421: 2011/04/28(木) 22:20:03.64

―――


絹旗「ふぅ、休憩超頂きました。……? どうかしました?」

キャーリサ「……こっぴどく叱られて凹んでるの」

絹旗「うわ、あっちのレジ真っ二つにしたってマジだったんですか……。
    ってか一方通行相手に喧嘩売ってよく無事でいられましたね」

キャーリサ「誰だそれ」

絹旗「え゛っ!? し、知らないんですか……? あなた超大物ですね……」

キャーリサ「とーま以外の男のことなどどーでもいーし。
       一方通行? 何だその名前。なめてるの?」

絹旗「い、いや知らないならそれでいいです。一応うちのスーパーのブラックリスト入ってるんですよ。
    あの人来るといつも売り場からコーヒー超消えるんで。
    しかも口悪いからバイトの人怖がってすぐ辞めちゃうんですよね」

キャーリサ「あー、そーいや買占めて行ったな。全く、自分さえよければそれでいーとは。
       社会不適合者め」

絹旗「まああなたには言われたくないでしょうね」

キャーリサ「?」

絹旗「いえ何も。では気を取り直してミスを挽回していきましょー。
    もうレジ壊さないで下さいね」

キャーリサ「ふっ、同じミスを繰り返したことなど無いし」

絹旗「そりゃ安心です」

キャーリサ「とーぜんだ。私はアホではないぞ」

絹旗「そうですか。おっと、お客さんですよ」

キャーリサ「いらっしゃいませー☆」 キャピッ

423: 2011/04/28(木) 22:24:06.11
絹旗「……営業スマイルが板についてます」

「はいこれね」 ドンッ

絹旗「あ、麦野」

麦野「あ? あら絹旗。アンタこんなとこでバイトしてんの?」 

絹旗「アイテムもロクに仕事回ってこなくなりましたし」

麦野「そうね。何よ、新人教育中」

キャーリサ「お前の知り合いかモアイ」

絹旗「(ええ……ちなみにブラックリストその2です。麦野が来るとお惣菜コーナーからシャケ弁が消えます。
     ついでにバイトにキレて辞めさせた回数ぶっち切り一位のDQN客なので気を付けて下さい)」 ヒソヒソ

キャーリサ「(むー……そんな風には見えないけど……)」 ヒソヒソ

麦野「プッ、モアイだって」

絹旗「がぁぁっ! いいから買ってさっさと超帰ってください!」 ピッ

麦野「はいはい。いくら?」

キャーリサ「5200円だし。よく食べるな、シャケ弁ばっかり」

麦野「シャケ弁好きなのよ」

キャーリサ「そーかそーか。美味いの?」

麦野「超美味いわよ。バイトだし安くなんないの? 帰りに買って帰れよ」

キャーリサ「そーしてみるか」

麦野「あら、素直ね。なかなか見どころあるじゃない」

キャーリサ「そーか? しかしそー言われると嬉しいの。お前とは良い友人になれるかもしれないな。
       見たところ私と同い年くらいのよーだし」

麦野「ピクッ」

424: 2011/04/28(木) 22:28:03.50

絹旗「あ」

キャーリサ「ん?」

麦野「テメェ今なんつった」 ブルブル…

キャーリサ「ん? いや、私と同じ28歳前後かと尋ねたのだけど」

麦野「んなわけねぇだろぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!
    私はまだ華の10代なんだよぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!
    どこをどう見たらそんな老けて見えんだゴラァァァァアアアアアッ!!」

絹旗「あー……麦野、落ちつ」

キャーリサ「お前! それは暗に私が老けてると言いたいのか!? 氏にたいのか貴様はぁっ!」

絹旗「何で喧嘩買うんですかこの人……。超避難しときましょう……」 コソコソ…

麦野「少なくとも私よりゃババァだろ!!!」

キャーリサ「よーし、分かったの。氏にたいというのはよーく分かったの」

麦野「表出ろよババァ。テメェが小皺の数数えながら命乞いするまで遊んでやるからさぁ」

キャーリサ「王女に皺など無いし。涙で化粧落として群衆にスッピンさらすまで泣かせてやるから覚悟しておけ。
        表など出るまでも無いし、ここで跪け」

麦野「オラァッ!! ブチ頃しカクテイだよババァッ!」 ゴバァッ!

キャーリサ「お姉さんだし間抜けっ!!!」 ズバァッ!




425: 2011/04/28(木) 22:31:11.72

―――上条宅


キャーリサ「クビになった!」

上条「でしょうね。さっきあのスーパーの前通ったら営業してなかったし」

禁書「え、どうして?」

上条「というかスーパーがあったはずの場所が瓦礫の山でした」

禁書「うわ……」

キャーリサ「うう……社会不適合者は私の方だったの……?」 orz

上条「あ、あれ、もしかして結構落ち込んでらっしゃる……?」

キャーリサ「とーま……駄目な妻ですまないの……。
       しかも一日二回もババァと言われたの……私はまだ20代なのに……」 

上条「まあまあ……っつかいつの間にか妻にクラスチェンジしてるし……。
    いやそれは置いといて、一回くらいで音をあげるなんてらしくないぞ」

キャーリサ「とーま……」

上条「失敗したらまたやり直せばいいじゃないか。
    次は同じ失敗しないようにしてさ。キャーリサは頭良いし、性格も明るいからどんな仕事だって大丈夫だよ」

禁書「同じミス繰り返した結果なんだよ……」

上条「(しっ!)」

禁書「そ、そうだよ! 元気出すんだよ! 私もたうんわーく?見るの手伝ってあげるから!」

上条「ってかお前も一緒に探せよ」

禁書「わ、私はシスターという手に職が……モニョモニョ」

上条「あー、はいはい。まあいいけどな、インデックスが働くってのも想像できないし」

キャーリサ「二人とも……。
        ……ああ、そーだな! 分かったの! めげずに探してみるし!」

426: 2011/04/28(木) 22:32:43.16

上条「おう、応援してるからな!」

キャーリサ「ありがとー、とーま……」 モジモジ

上条「ん?」

禁書「む……」

キャーリサ「やっぱりお前が一緒にいてくれてよかったの。
       ……褒美をやろーか?」

上条「い、いやその……」

キャーリサ「とりあえず一緒に風呂に」

上条「お前はそれしかないのか」

禁書「そういうのは私のいないときにやって欲しいんだよ!
    何の為に週末気を遣って二人きりにさせてあげてると思ってるのかな!?」

キャーリサ「むー……おあずけも結構きついし」

禁書「間近で見てる私はもっときついんだよ」

キャーリサ「ならお前も一緒に入るか? 他の女ならアレだが、まーお前ならいーぞ」

禁書「え、い、いーの?」
 
キャーリサ「一つ屋根の下で暮らす家族みたいなもんだしな。
       とーまがお前に欲情してももぐだけだし」

上条「え、何を?」

キャーリサ「聞きたいの?」

上条「結構です……」

禁書「ま、まあ……一回くらいなら入っても構わないんだよ」

キャーリサ「そーか。では早速三人で入るか」

上条「ストップストーップ! さすがにそれはまずいだろ! 
    ダメダメ! そ、それより次の仕事を考えよう。きっと今回は選び方が駄目だったんだよ」

429: 2011/04/28(木) 22:37:06.39

キャーリサ「選び方なー。しかし、私の短気が原因であって条件自体は悪くなかったと思うんだが」

上条「せっかくだからキャーリサのやりたい仕事を探してみたらどうだ?」

キャーリサ「やりたいこと……うーん、金が稼げてお前との時間を削らずに済むなら何でも構わないが……」

上条「キャーリサの得意なことから仕事を探すって言う手もあるけど」

キャーリサ「私に不可能などあるとは思えないが……」

禁書「その自信はどこから来るんだろう……と言うか今のところ不可能だらけなんだよ」

上条「ほら、キャーリサイギリス人だし、英語出来るだろ。そういうの活かしてさ!」

キャーリサ「なるほど。お前頭いーな。なら軍略に優れた私に相応しい仕事を探そー」

上条「そんな仕事あるかな……」

禁書「あ、ねぇとうま。第三学区で国際展示場の案内誘導係っていうのがあるんだよ。
    要英会話スキルだって。これならキャーリサにむいてるんじゃないかな」

キャーリサ「おー、いーなそれ。こっちにはホテルのカフェでのバイトもあるし。
       これも英語が必須だそうだ。なんだ、第三学区では語学力が求められるのか?」

上条「外からお客さんが来るとこだからな。外人も多いんだよ」

禁書「とうまとうま、第三学区はここから近いの?」

上条「いや、ほとんど埼玉だからかなり遠いな……」

キャーリサ「では駄目だな。とーまと一緒にいる時間が減るし」

上条「まあバイトだと通勤補助もあんまり無いだろうしな……。
    けど、こういう探し方は悪く無いぞ。キャーリサは英語以外にも結構色んな言葉話せるだろ」

キャーリサ「英語、フランス語からサンスクリット語やベンガル語までざっと60言語程は使えると思うの」

上条「うわ、すげぇ……何そのスペック」

禁書「私も主要な公用語はそれなりに話せると思うんだよ」

上条「自分がすげぇアホみたいだ……」

キャーリサ「ふーむ、語学か。そー意識したことは無かったが、存外役立つものだな」

上条「正直何故スーパーのレジ打ちを選んだのかが分からない……」

キャーリサ「んー……お、これなんかどーだ?」

上条「どれどれ? ……おお、これは……」

禁書「キャーリサのためにあるような仕事かも……。これにするといいんだよ!」

キャーリサ「よしよし、では早速電話を―――」


430: 2011/04/28(木) 22:40:32.60
―――常盤台中学 某クラス


キャピキャピッ ガヤガヤガヤ ワイワイ


御坂(はぁ……ねむ……。最近あの馬鹿にも会うこと減ったし、暇ねー……)

御坂(べ……別にあいつに会いたいって訳じゃないわよ? でも普段からよく顔合わせてたし?
    ……ちょっと張り合い無いなって思ってるだけなんだから……ったく)

御坂(やっぱあのお姫様と二人で過ごしてんのかしらねー。……いいな……いやいや良くないって。
    たまには家まで押しかけてやろうかしら)

御坂(でもねー……あいつら恋人同士なんだし、部屋に行ったらたまたまベッドの上で……わー!
    ななな何考えてんのよ私は学校で!!! 落ちつけ、落ち着くのよ……!
    今さらあいつらが何してたって関係無い。そう、私には関係ないんだから!) フーフー

生徒A「御坂さん、お疲れの御様子ですね」

御坂「ふぇ!!?? ……あ、ああ……うん。暖房効いてると眠くなっちゃうわよね」

御坂(み、見られてたのかしら……?)

生徒B「うふふ、そうですわね。ところで、次の語学の授業ですけれど、講師の先生が変わられるそうですよ」

御坂「そうなの? ……まあうちの学校授業スピードが尋常じゃ無いみたいだから先生も大変なのかもね……」

生徒A「優しくて素敵な先生でしたのに、残念です」

生徒B「まあまあ。新しい講師の方もきっと素晴らしい方ですわよ。
     何でも、常盤台の講師採用試験にはマナーや身のこなし、ありとあらゆる教養が必要とされるそうですし」

御坂「あー……だといいんだけどねー」

432: 2011/04/28(木) 22:42:11.92

キャッキャッ ウフフッ


御坂(……何か嫌な予感するのよねー……。大体こういう時の予感って当たるのよ……)

生徒A「あら御坂さん、どうかなさいました?」

御坂「あ、ううん、何でも無いの。気にしないで」


キーンコーンカーンコーン


生徒B「チャイムが鳴ってしまいましたわ。ではまた」

御坂「はーい」 

御坂(新しい講師……ねぇ。このタイミングで語学の講師なんて……)


ガララ…!


キャーリサ「皆の者、頭が高いし。王女の入室である」

御坂「うん、やっぱりそうよね」

433: 2011/04/28(木) 22:49:39.81

キャーリサ「うん? おー! 御坂か! ここお前のクラスだったんだな!」


ザワッ!

ヒソヒソヒソ…


御坂(あの馬鹿っ! 親しげに声かけてくんじゃないわよ!
    後々面倒でしょうが! ちゃんと仕事しろっつの!)

生徒D「御坂さん、お知り合いなのですか?」

御坂「う、うん。まあちょっとね」 


キャー! ミサカサンノ オシリアイデスッテー! ステキ…!


御坂「う……周りの視線が……」

キャーリサ「おいそこ。私語を止めよ。ここからは私の時間だし。
       本日よりこの常盤台中学2年の語学を受け持つキャーリサである。
       お前達にはいつ海外へ拉致され戦火の中に放り込まれたり、異国の刺客が現れても困らないレベルの語学力を身に着けさせるつもりだし」

生徒E「あの……先生はどこの国の方なんですか?」

キャーリサ「英国だ。お前達は優秀だと聞いているから期待しているの。
        語学はいつ何時必要となるか分からないし心して学べ。
        海外旅行先でトラブルに巻き込まれて戦争なんてザラにあるからな」

生徒E「え」

御坂「ないわよそんなもん……」

キャーリサ「ではせいぜい励むよーに。早速授業を始めるの」

御坂(な……何のつもりなのよ……こいつ)


434: 2011/04/28(木) 22:52:16.85

―――第七学区 大通り


スタスタスタ…


上条「えーと……後は牛乳買って帰るだけか」


タッタッタッ!


上条「ん?」

御坂「久々に見つけたわよー!!!」 

上条「うわっ! い、今は駄目だ御坂! 上条さんが両手に抱えてる買い物袋が見えないんですかー!?」

御坂「は? 何言ってんの?」

上条「え? いや……久しぶりにビリビリされるのかと」

御坂「今日はそれどころじゃないの!
    例のお姫様がうちの学校の講師になってんだけどどういうこと!?」

上条「早速会ったのか。どうだった? ちゃんとやってたか?」

御坂「ええ……もう初っ端から大人気だったわよ……。
    あんたの彼女女子中学生にモテまくってて引いたわ」

上条「いやいや、それどんな学校だよ」

御坂「しょうがないでしょ、男っ気が無い上にお嬢様学校なんだから。
    あんなサバけて堂々とした女は黙っててもモテるっつの。
    おまけに正真正銘の王女様だから品もあるし、一日で超有名人だったわよ。
    あれじゃ顔バレすんのも時間の問題ね」

上条「へえ。はは、人気があるのはいいことじゃねえか」

御坂「笑ってる場合か! あいつが初っ端から私に絡むから私まで質問攻めにされるし、何だってのよもう……」

上条「俺じゃなくてキャーリサに言えよ」

御坂「言ったわよ。なんかお金が欲しいんだってさ。
    後何回か教師の真似事して楽しかったんだって」

上条「そうなのか? 上条さん家いつもかつかつだからなぁ……ま、楽しんでるなら何よりだけど」

御坂「ったくしっかりしなさいよね。甲斐性無しって思われるわよ」

上条「うぐっ、そ、それはちょっと凹むな」

435: 2011/04/28(木) 22:54:21.87

御坂「学生だから仕方ないけどね。でもやっぱり買い物とかしたいみたいよ」

上条「あー……やっぱりか。苦労させてんのかなー」

御坂「何? 知ってたの? 
   ま、あの女はあんたと違って立派な大人なんだから、働いて自分の生活費くらいどうにかすんのが当たり前でしょ。
    あんたが気にするこっちゃないと思うけど」

上条「そうだけど、そこは上条さんも男として色々と思う所があるわけですよ」

御坂「ふぅん……いっちょ前に彼氏やってんのね」

上条「え?」

御坂「何でもない!」

上条「暇だったら今からキャーリサに会ってくか? そろそろ帰ってくると思うし」

御坂「いや、これから毎日顔合わすしいいわ……。それよりあんたと二人きりで遊びに……そのゴニョゴニョ」

上条「?」

御坂「ううん、やっぱいい。それ確認したかっただけだし、またね」

上条「おう。気をつけてなー」

御坂「はいはい」 ヒラヒラ


スタスタスタ…


上条(上手くやってるみたいだなキャーリサの奴。
    うーん……でもやっぱ思った通り、服とか化粧品とか欲しいんだろうな。
    言ってくれればいいのに)

上条(いやいや、言えないよなー……上条さんだって居候の身分だったらそんなこと言えませんよ)

上条(ま、結果的にはこれで良かったのかもな。キャーリサも家にいるだけじゃつまんねぇだろうし。
    けどこうなったらプレゼントはどうするかだな……うーん……。
    最近炊飯器とか電子レンジの調子も悪いし……また次回ってことで……)

上条「……」

上条(いや、やっぱりあげよう。うん。御坂の話は聞かなかったことにするか。
    せっかく姫神や吹寄も選ぶの手伝うって言ってくれてるし。
    俺もバイトでもしたほうがいいかな……はぁ)


436: 2011/04/28(木) 22:55:47.26

―――上条宅


ガチャッ


キャーリサ「今帰ったの! 疲れたー!」

上条「おう、おかえりー」

禁書「おかえりなんだよ」

上条「どうだった? 常盤台の講師」

キャーリサ「聞いていた通りのお嬢様学校だったし。
       あいつら全員社交界デビューでもするの? 宮内にいるよーだった」

上条「ははは、常盤台はまた特別だよ。結構楽しかったみたいだな」

キャーリサ「給料はそこそこ良いしな。これで私達の生活も多少は潤うんじゃないか」

上条「いや、それはキャーリサが稼いだ金だし、好きに使えばいいよ。
    俺は少ないけど奨学金もあるし、ギリギリ食っていけるからさ」

キャーリサ「そーはいかないし。食費と家賃くらいは収めるの。
       それよりとーま、私が今日受け持ったクラスに御坂がいたぞ」

上条「お、マジか。
    嫌そうな顔してたんじゃないか?」

キャーリサ「うん、してた」

上条「目に浮かぶな」

キャーリサ「知り合いがいたというので私もちょっと安心したの」

上条「そっかそっか。ま、仲良くやれよ」

キャーリサ「うむ。それよりとーま、腹が減ったし」

禁書「あ、私もなんだよ!」

437: 2011/04/28(木) 22:57:17.39

上条「よしよし、すぐ飯にするからな」

キャーリサ「では私は米でも砥ぐか」

上条「よろしくー」

禁書「じゃあ私はスフィンクスと一緒にアニメ見ながら世界情勢について考えてるんだよ!」

上条「よろしくー」

キャーリサ「じゃないだろ。風呂掃除でもしてこい」

禁書「はーい。キャーリサはこっち側だと思ってたのに誤算だったかも……」

キャーリサ「妻だからな」

上条「妻好きだな……ん? あれ?」

キャーリサ「どーしたの?」

上条「いや、電子レンジのスイッチが入らなくて」 ピッピッ!

禁書「あ、それはちょっと叩くといいんだよ」

上条「え、そうなのか?」 ゲシッ

キャーリサ「おー、起動したの」

禁書「伊達にお昼ご飯をチンしてないんだよ!」

上条「最近調子悪いんだよなー。ま、動いたから良いや。
    んじゃじゃがいも投入っと」 ゴトッ

キャーリサ「…………」


438: 2011/04/28(木) 22:59:04.22
一ヶ月後


―――上条宅


キャーリサ「というわけでとーま! 給料日だし! 今日の夕食は私の奢りだ! 心して食すがいーの!」 ビシッ

禁書「お……おお……これは夢にまで見たすき焼きなんだよ……!」

上条「キャーリサが家出してきた時以来か……すげぇ……今日も霜降り肉が神々しいです……。
    写メとっとこ」 パシャッ

禁書「と、とうまとうま! そんなことより早く食べたいんだよ!」

上条「そ、そうだな! キャーリサ、いいのかこんな豪華な晩飯を……!」

キャーリサ「いちいち大げさだな……。白米と卵を準備せよ。早く食べよー」

上条「はいただいまっ!!!」 ダッ

禁書「私も手伝うんだよ! とうま、ご飯大盛りにしてもいい?」

上条「好きなだけ食えインデックス!」

禁書「私十字教からキャーリサに改宗してもいいかも!」

キャーリサ「安いうえに即物的な信仰だなシスター……」

禁書「信仰じゃお腹は膨れないんだよ!」

上条「あ、あれ……?」

禁書「ん? どうしたのとうま?」

上条「炊飯器が……変わってる?」

禁書「うん、電子レンジも変わってるんだよ! お昼荷物が届いて、さっきとうまが帰ってくる前にキャーリサと一緒に設置したんだから」


439: 2011/04/28(木) 23:00:24.87

上条「キャーリサ、まさか……!」

キャーリサ「…………」

上条「お、お前がこれ買ってくれたのか……?」

キャーリサ「……安物だし、気にするな」

上条「い、いやでも……お前自分の買い物するために仕事始めたんじゃ……」

キャーリサ「何だバレてたのか。でもソレだって私も使うんだから自分の買い物じゃない。
       いいからご飯を持ってくるの。空腹で倒れそーだし」

上条「キャーリサ……」

禁書「もうキャーリサに足を向けて寝られないんだよ」

キャーリサ「や、止めよそんな目は! ムズ痒いし!
       礼の一言でももらえればそれでいーの! ほ、ほらさっさと席つけ!」

上条「そ、そか……ありがとなキャーリサ」

禁書「ありがとうなんだよ」

キャーリサ「ふん……」

上条「お礼と言っちゃ何なんだけど、俺も実はキャーリサにプレゼントがあるんだけど……」

キャーリサ「え?」

上条「えーと……はいこれ」 ガサガサ

キャーリサ「? な、何なのこれ」

上条「開けてみてくれ。気に入るか分からないけど……」

キャーリサ「…………あ、服だ」

禁書「真っ赤なワンピースなんだよ」

440: 2011/04/28(木) 23:02:31.71

上条「女物の服なんて全然分からないから、クラスの奴に一緒に選んでもらったんだけど、キャーリサならやっぱり赤かなって……ハハハ」 ポリポリ

キャーリサ「い、いや……でも……いーの?」 チラッ

上条「生活費と病院以外で金使うことなんてあんまり無いしな、よかったらタンスの肥やしにでもしてくれよ」

キャーリサ「いや着る! 着るぞ! 大事にするし……」 ギュッ

上条「そ、そか……」

キャーリサ「ん……ふふっ」 ギュッ

禁書「むぅ……」

上条「ん?」

禁書「キャーリサばっかりずるいんだよ! 私にも日頃の感謝の気持ちを込めた素敵な贈り物とか無いのかな!」

上条「あるぞ」

禁書「もういっつもとうまはそうやって私に意地悪を……って、え? あるの?」

上条「おう。キャーリサだけじゃ不公平だし。ほら」 ズイッ

禁書「え……? で、でも……え?」

上条「何キョトンとしてんだよ。お前が今くれって言ったんじゃねぇか」

禁書「そうだけど……私キャーリサみたいに何もしてないよ?」

上条「そんなことないだろ。最近は掃除も手伝ってくれるしな。これからも頼むぞ。
    いいから受け取っとけって」

禁書「う、うん……ありがと」

キャーリサ「よかったな、インデックス」

禁書「うん……何だろう……」 ゴソゴソ

上条(実はインデックスのは完全に姫神任せだったから何か全然知らないんだけど……でも妙に袋が小さいんだよなー……何だろう)

441: 2011/04/28(木) 23:05:43.68

禁書「あ」

キャーリサ「っ!」

上条「ん? ……げっ!」

禁書「こ……これ……」

キャーリサ「下着……だな」

禁書「可愛い……のかな。よく分かんないけどいやらしいのは確かなんだよ……」

上条(姫神ぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
    やけにいい笑顔で選んできたから何かと思ったら……よりにもよって下着かよ!
    しかも工口いやつ……)

禁書「と、とうま……これは、どういう意味なのかな」 プルプル

上条「ち、違うんだインデックス! これには深いワケが!!」

キャーリサ「おい、とーまぁ……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

上条「ハッ! キャ、キャーリサ! 誤解だ! これには他意は無い!」

禁書「とうまがこれを私に……」 プルプルプル

キャーリサ「この件についてたっぷりじっくりと話を聞かせてもらう必要があるようだし。
       まず手始めにお前は飯抜きだ」

上条「なぁあああああぁああ! それは殺生ですのことよっ!! 頼むから話を聞いてくれっ!!!! 
    俺はインデックスの下着姿になんてこれっぽっちも興味は無いっ!!」

禁書「ブチッ! とうまぁぁ? 興味が無いってどういうことなのかな!
    私だって女の子なんだからそんな風にとうまなんかに眼中無し発言される謂れは無いんだよ!」

上条「ち、違っ! そういう意味じゃなくて!! 助けてキャーリサ!」

キャーリサ「問答無用!! カーテナの錆にしてくれるわっ!!!!」 ゴバァッ!

禁書「許さないんだよとうまぁあああああ!!!!!!!!!」 ガブッ!



上条「ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
    不幸だぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」





442: 2011/04/28(木) 23:07:28.30

姫神「……えっ。私の出番あれだけ?」


というわけで安心と信頼と実績のお約束。不幸オチで今回もお仕舞です。

番外編も次で終わりになるかと。
最後は希望してくれてる方が多いみたいなので工口になるかもしれませんが。
ではまた近々お会いしましょう

491: 2011/05/10(火) 22:04:39.50

番外編



―――英国 バッキンガム宮殿 サロン


ヴィリアン(皆さんこんにちは。英国第三王女、ヴィリアンです。
       姉君のキャーリサが上条当麻と共に英国を飛び立ってからはや一月を過ぎ、
       間もなくクリスマスが訪れようとしています)

ヴィリアン(クリスマスは母君や姉君達、それから宮内の者でささやかなクリスマスパーティを内々に執り行うことが例年のならわしでした。
       しかし、今年は姉君のキャーリサは不在。
       日本ではクリスマスを友人や恋人同士で過ごすのが一般的だということですから、
       きっと姉君もあの少年と素敵なクリスマスの夜を迎えられるのでしょう……はぁ……)

ヴィリアン(失礼いたしました……思わずため息が零れてしまいましたね。
       実は、私には今悩みがあるのです。それは……)

リメエア「あら、ヴィリアン。そんなところで何をしているの?
      元気が無いようだけれど」

ヴィリアン「い、いえ……姉君こそ、お戻りだったのですね」

リメエア「外に出ようとしたら騎士団長に捕まってしまったわ。
      まあ、宮殿の修繕や事後処理で大忙しだから遊んでいる暇も無いのだけどね」

ヴィリアン「そうでしたか……」

ヴィリアン(ここ最近、姉君とは話す機会が増えたように思います。
       先日のクーデターと、結婚式への乱入。二つの事件が連続して起こったので話題にも事欠きません。
       何より、姉君のキャーリサがいなくなったことで私も姉君も寂しいのかも……)

リメエア「別に寂しくはなくてよヴィリアン」

ヴィリアン「っ! よ、よく私が考えていることが分かりましたね……」

リメエア「貴女の考えていることは手に取るように分かるわ。単純だもの」

ヴィリアン「! た、単純はやめてください……」

ヴィリアン(二人の姉君はとても意地悪です。
       子供の頃からずっとこうして私をからかってくるのです。だけど……)

492: 2011/05/10(火) 22:07:07.80

リメエア「うふふ、ごめんなさい。冗談よ」

ヴィリアン(……いつしか誰も信じなくなった第一王女リメエアと、いつしかとても冷徹だった第二王女キャーリサ。  
       お二人とこうして冗談などを交わせる仲に戻れたのは、先日のクーデターがあったからに他なりません。
       あの出来事は、決して悪い事ばかりでも無かったのかもしれませんね)

リメエア「そうね。ウィリアムにも会えたものね」

ヴィリアン「で、ですからどうして!?」

ヴィリアン(はしたなく声を荒げてしまいました……私はやはり単純なのでしょうか……)

リメエア「と言っても彼は世界中を飛び回っている身だし、そうそう会える訳では無いものね」

ヴィリアン「い、いえ別に会いたいと思っているわけでは……」

ヴィリアン(無いとは言いませんが……ウィリアムがこの世界のどこかで生きていると思うだけで私は良いのです……ええ……クスン)

リメエア「キャーリサは元気でやっているかしらね……」

ヴィリアン「……元気ですよ、きっと」

リメエア「ねえ、今からキャーリサに電話してみましょうか」

ヴィリアン「え……ええ? で、ですが……」

リメエア「姉妹の中で今恋人がいるのはキャーリサだけだもの。貴女の相談にも乗ってくれるんじゃないかと思ったのだけど……」

ヴィリアン「相談……ですか」

リメエア「そういうのって、姉妹っぽくなくて? 
      まあ私はキャーリサに腹の内を打ち明けるなんて氏んでもごめんだけれどね、うふふ」

ヴィリアン「…………」


493: 2011/05/10(火) 22:09:44.85

―――バッキンガム宮殿 ヴィリアンの私室


ヴィリアン(……今は朝の10時。……日本時間で19時ですから、さすがにお休み中ということも無いでしょうけど……)

ヴィリアン(い、いえ別に相談をするとかそういうことではないのです……。
       ただ……あれほどまでに情熱的にお互いを想い合うお二人の経験を参考にさせて頂きたいだけで……ああ、どうしよう)

ヴィリアン(ま、まあ意地悪な姉君のことですから……きっとまともに取り合ってもらえませんよね。
       御様子を確認する程度に留めておきましょう。
       で、では……) ピッ


prrrrrrrrrrrrrrrrrrr… prrrrrrrrrrrrrピッ!


キャーリサ『ハロー、私だ。我が声を拝聴出来るとは幸運だな。で、誰だ? 名乗るがいーの』

ヴィリアン(相変わらず姉君は姉君で嬉しいやら心配やら……)

ヴィリアン「あ……姉君、私です。ヴィリアンです。お久しぶりですね……」

キャーリサ『ヴィリア……ン? はて、誰のことだったか……』

ヴィリアン「!!!??」

ヴィリアン(想像の斜め上でした……まさか私のことをお忘れとは……)

キャーリサ『おい、冗談だぞ。絶句するな。可愛い妹のことを忘れるわけないだろー』

ヴィリアン(今日はすこぶる機嫌がよろしいようですね……よかった……) ホッ

ヴィリアン「そ、そうですか……姉君もお人が悪いです……」

キャーリサ『すまないの。で、何の用だ? 言っておくがそっちに戻る予定は無いぞ』

ヴィリアン「い、いえそうではなく……」

キャーリサ『何だ違うの。てっきり姉上やお前が寂しくて私の顔が見たくなったのかと』

ヴィリアン「あ、それはないです」


494: 2011/05/10(火) 22:12:18.63

キャーリサ『言うよーになったな妹』

ヴィリアン「ふふ……姉君はお変わりないようで嬉しいです。
       でも父君は寂しがっておられましたよ……あの少年にも会いたがっておりました」

キャーリサ『父上は式の時国内にいなかったもんなー。最後に会ったのはお前達よりもさらに前か。
        ま、そのうちな。用はそれだけか? こっちは元気でやってるから心配ないと伝えとけ』

ヴィリアン「はい。……あの……」

キャーリサ『ん?』

ヴィリアン「あの少年とは……上条さんとは仲良く過ごしておられますか?」

キャーリサ『もちろんだし。先日ワンピースなんぞをプレゼントしてくれてな。
       着るのがもったいなくて未だに枕元で包装されたままなの』

ヴィリアン(姉君嬉しそう……やはりお二人とも互いに愛し合っておられるのですね……羨ましい)

ヴィリアン「愛に溢れておられるようで、素晴らしいことだと思います」

キャーリサ『ふふふ……どーした、照れるし』

ヴィリアン「母上が、孫の顔を早く見たいとおっしゃっていましたよ」

キャーリサ『っ! ま、孫か……んー……そーか……』

ヴィリアン「あ……姉君は……もう……その……」

キャーリサ『あー? 何なの?』

ヴィリアン「あの少年と……あの……その……」

キャーリサ『だから何だ。言いたいことがあるならはっきり喋れ愚鈍め』

ヴィリアン「か、上条さんと子作りは済ませましたか!?」

キャーリサ『!!!!!???????????』


ガタガタッ! バタンバタンッ! ワー! ドウシタ キャーリサ! ショクタク ガ メチャクチャナンダヨ…


495: 2011/05/10(火) 22:13:55.23

ヴィリアン「?」

ヴィリアン(……い、言ってしまいました……何てはしたないこと……。
       下世話過ぎたでしょうか……で、でもこれは確認しておかないと、家族が増えるかもしれませんし……。
       姉君も子供がいてもおかしくない年齢ですから……) ドキドキ

キャーリサ『んっ……んんっ! ヴィ、ヴィリアン。それは誰かに確認するよーに言われたの……?』

ヴィリアン「いえ……私の興味本位というか……その」

キャーリサ『そ、そーか……ま、まーアレだ』

ヴィリアン「アレ……とは?」

キャーリサ『そ、それは……もーヤリまくりだし! ははははっ……! 
       私はもー少しこの享楽に耽るの! あいつめ、若さに任せて一晩中だからな! 腰が痛いの! は、はは……!』

ヴィリアン「!!?」

キャーリサ『そ、そーいうことだ! 姉の偉大さが分かったか? じゃ、じゃーな!』 ピッ

ヴィリアン「あっ! 姉君……!」

ヴィリアン(す……すごい……さすが姉君です。や、やはりお二人とも……ゴクリ)

ヴィリアン(ど、どうしましょう……こんなこと……誰にも言えない……。
       結局ウィリアムのことも相談できなかったし……ああ……どうしよう……) ドキドキ…

ヴィリアン(と、とりあえず……甥或いは姪の誕生は近いかもしれませんねっ!) ドキドキドキ…


497: 2011/05/10(火) 22:15:59.44

―――上条宅


キャーリサ「ふぅ……ヴィリアンの奴め、何だ急に。性にでも目覚めたかあのムッツリが。
       思わず見栄を張ってしまったし……」

上条「どうしたんだキャーリサ……?」

禁書「テーブルひっくり返さないで欲しいんだよ……」 フキフキ

キャーリサ「す、すまん……。愚妹の所為だ」

上条「ヴィリアンからか。何だって?」

キャーリサ「ああ、それはセッk」

上条「セ?」

キャーリサ「セ……セントジェームスパークに花がたくさん咲いて綺麗だったそーだ!」

上条「どこそれ?」

禁書「バッキンガム宮殿に隣接する公園のことなんだよ」

上条「ふぅん。冬なのにたくさん花咲くのか」

キャーリサ「ま、まーな! それよりとーま、おかわり!」

禁書「私も!」

上条「はいよー」

キャーリサ(ヴィリアンめ……最近あまり考えないよーにしてたのに……何なんだ一体)

上条「はいご飯」

キャーリサ「ひゃっ!」

上条「?」

キャーリサ「う、うむ……ありがとー……」 モソモソ


498: 2011/05/10(火) 22:18:40.42

禁書「そう言えばもうすぐクリスマスなんだよ! とうま達はどこか行くの?」 ガツガツッ!

上条「あー、もう来週か……うーん、どうしようかな……」

禁書「心配しなくても私はあいさやこもえ達とパーティをすることになってるから、二人で楽しんでくるといいんだよ」 モグモグ

キャーリサ「お前いっちょ前に気なんか遣えるんだな」

禁書「当然なんだよ。もっと褒めて欲しいかも。
    まったく、日本人は浮ついてるんだよ。
    クリスマスは家族で教会に行って、粛々と過ごすのが当たり前なのに」 モグモグ

上条「はは、遊ぶには体の良い理由だもんな。
    にしても、クリスマスで神の子の生誕を祝った一週間後にはお寺の除夜の鐘を聞いてその足で神社に初詣だもんな。
    神様にも仏様にも苦笑いされそうだ」

キャーリサ「全くだし。ま、そーいう良いとこどりの感じは嫌いでは無いけど。
       しかし、そーか。インデックスはクリスマスはいないのか……」

禁書「? 居た方が良かった?」

キャーリサ「あーいや。てっきり三人で過ごすものと思っていたからな」

禁書「白状すると本当はこもえに誘われたんだよ」

上条「先生が? ああ……気ぃ遣ってくれたのかな」

禁書「とにかくその日は私はいないから、二人で過ごすといいかも」

上条「分かったよ。ありがとなインデックス」

禁書「でもプレゼントには期待してるんだよ。特に美味しいものがいいかも」

上条「分かった分かった。何か用意しとくよ」

禁書「ふふん、分かってるならいいんだよ」

キャーリサ「クリスマスか……ふむ」


499: 2011/05/10(火) 22:21:20.49
―――第七学区 学舎の園


ワイワイワイ キャッキャッ ウフフフ


キャーリサ「ふーむ……確かにこの学舎の園もクリスマスムード一色という感じだし」

御坂「あ」

キャーリサ「ん? おー、御坂か。どーしたこんなとこで」

御坂「どーしたもこーしたも。帰り道なんだからおかしいことじゃないでしょうが」

キャーリサ「そりゃそーか」

御坂「何見てんの? つかファンシーショップって……あんた年考えなさいよね」

キャーリサ「うるさいし。お前28歳になった時可愛い店に入ってただけでそんな風に言われたらどー思う?
        中学生にもなってカエルのストラップなんて年考えろって言われたらどー思う?」

御坂「……それは、殺意が沸くわね。ごめん」

キャーリサ「だろー? まーたまたま目に留まっただけなんだが」

御坂「ふーん、あいつにプレゼントでも探してるの?」

キャーリサ「それならこんな店には入らん」

御坂「そりゃそうね。なーんだ、何か深刻な顔してたから心配して損したわ」

キャーリサ「ほーう、心配してくれたの? 可愛いとこあるじゃない」

御坂「ッ! べ、別にそんなんじゃないわよ! あんたがうちの教師だから、点数稼ぎよ!」

キャーリサ「ふーん、そーかそーか。知ってるぞ、最近インデックスと一緒に見たアニメでも言ってたの。
       お前みたいのをツンドラとか言うの」

御坂「それを言うならツンデr……誰がツンデレよ! もういい帰る!」

キャーリサ「あー待て待て。お前に訊きたいことがあるの」


500: 2011/05/10(火) 22:23:55.35

御坂「何よ」

キャーリサ「お前、処O?」

御坂「なっ……えっ……ええっ……!?」

キャーリサ「あーもーいい分かった。訊くまでも無か」

白井「お姉様はヴァージンに決まってますのぁあぁあぁぁあぁああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」 シュタッ

キャーリサ「っ! な、何だ急に!! どっから湧いた!」

御坂「黒子じゃない。風紀委員はどうしたのよ」

白井「黒子イヤーは地獄耳ですのー! お姉様を発見したと思ったらいかがわしい会話が聞こえてきたので乱入させていただいたんですの!
    現在も巡回中ですわお姉様」

キャーリサ「そーいやお前学園都市に来た日に会ったな」

白井「そういう貴女は最近常盤台に来られた講師の方ですわね。
    わたくし、お姉様のパートナーにしてルームメイトにしてラブドール、一年の白井黒子ですの」

御坂「ラブッ……!?」

キャーリサ「お前らそーいう関係か……うーん、女子高とはここまで倒錯しているの?」

御坂「ち、違うわよ!」

白井「お姉様とは毎夜ベッドを共にする仲ですもの!」

御坂「あんたはちょっと黙ってなさい!」 ゴツッ

白井「あだっ! もう……ほんの冗談ですのに」

キャーリサ「お前達は悩みなんか無さそーでいいなー」

白井「んま。失礼な方ですわね、わたくし、今日のお姉様の下着の色が何なのか気になって食事もロクに喉を通りませんでしたのに。
    ではちょっと確認を」 ピラッ

御坂「ふんっ!」 ゴツッ!

白井「ぐふっ! 痛い……!」

501: 2011/05/10(火) 22:25:58.99

キャーリサ「白井黒子。お前はヴァージンか?」

白井「当然ですの。わたくしの純潔はお姉様に捧げると誓っているんですもの」

御坂「勝手に捧げんな。いらないわよ」

キャーリサ「そーか……」 ホッ

御坂「何なのよさっきから。同じ女子と言えども恥じらいってもんを持ちなさいよね。
    しかもお嬢様学校の講師が生徒に」

キャーリサ「今のは聞かなかったことにしてくれ。クビにはなりたくないし」

御坂「……? 何なのよもう」

キャーリサ「いやな……そろそろとーまと……しよーかと……」 ボソッ

御坂「!」

白井「!?」

御坂「ちょ、ちょっとあんた……!」

白井「すると言うのは……やはり」

キャーリサ「だ」

御坂「」 ボッ!

白井「っ!!」

キャーリサ「最近の学生は進んでると聞くからな……ちょっと参考にしよーかと思ったの」

御坂「」

白井「あの……つかぬことをお聞きしますが……貴女もその……」

キャーリサ「処Oだし……な、内緒だぞ。御坂を仲間と見込んで訊いているの。
       その愛玩人形のお前も……」

白井「お姉様の愛玩人形! ……何て素敵な響きですの……ハァハァ。 
    お姉様! この人とっても良い人ですわねっ!」

御坂「」

白井「あら?」

キャーリサ「こいつには早かったか」

白井「お姉様はウブな方ですの」

キャーリサ「どーしよー。固まって動かないぞ」

白井「黒子にお任せ下さいですの。部屋でねっとりと介抱いたしますので」

キャーリサ「そーか。では任せるし」

白井「はい。次にお会いする時は、わたくしもお姉様もヴァージンでは無いと思いますが、
    貴女もがんばってくださいまし」

キャーリサ「うむ。ではな」


502: 2011/05/10(火) 22:28:39.63

―――第七学区 大通り


スタスタスタスタ…


キャーリサ(決戦はとりあえずクリスマスか。雑誌にもこの日がねらい目とか書いてあったし。
       ……やはり経験者の話というものは聴いておきたいな。
       シモの話など正直あまり出来なかったから、知識が足りない可能性も否定できないしね)

キャーリサ(しかし周りの連中でそーいうのに詳しそーな奴なんて思い浮かばないし……)

キャーリサ(まーでも途中まではしたことあるしな……勢いに任せるのもアリか……)

キャーリサ(うーん……けど初めてだし、とーまを私の身体に夢中にさせてやりたいという気持ちも捨てきれないし……うーん……)

キャーリサ「電話で聞いてみるか」


カチャッ prrrrrrrrrrrrrrrrrrr… prrrrrrrrrrrrrピッ


『はい』

キャーリサ「五和か? 私だ、キャーリサだ」

五和『え、キャ、キャーリサ様? な、何でしょうか……?』

キャーリサ「うん。お前にちょっと訊きたいことがあってな」

五和『訊きたいこと……?』

キャーリサ「そーだ。実はそろそろとーまと……しよーと思うんだが」

五和『くぁwせdrftgyふじこlp』


プツッ…ツーツーツー…


キャーリサ「? よくあれで伝わったな……やはり発想が工口いのか……?」


prrrrrrrrrrrrrrrrrr…


キャーリサ「お、かけ直してきたか。ハロー」

五和『失礼しました……ちょっとパニックになって……』

キャーリサ「いきなり驚かせたな。で、その辺のことについてタメになる話の一つ二つでも教えてもらえないかと思って電話したの」

五和『タメになる話と言われても……』

503: 2011/05/10(火) 22:30:33.27

キャーリサ「お前工口いことばっか考えてるって土御門が言ってたしな。
       実は経験豊富なの? 是非頼む」

五和『あ、私これから包丁砥ぐので切りますね』

キャーリサ「む、忙しかったか?」

五和『土御門さんを仕留めないといけないので』

キャーリサ「う、うん? そーか、頑張れ」

五和『すみません。ちなみに私はその……未経験ですからっ!』 ピッ!

キャーリサ「……ふむ。当てが外れたな。五和も駄目か。詳しいと思ったんだけど……」

土御門「にゃー、お姫様。こんなとこで何してるにゃー?」

キャーリサ「ん? おー、土御門か。奇遇だな、今帰りか?」

土御門「そうだぜい。カミやんでも待ってるのか? だったらもうすぐクラスの女子と一緒に仲良く現れるはずだにゃー」 ニヤニヤ

キャーリサ「ほう……」 ビキッ

土御門「くくくっ、んじゃまた……」

キャーリサ「待て土御門。ちょっと連絡取って欲しい奴がいるの」 グィッ

土御門「いてっ……だ、誰ですかにゃー?……嫌な予感しかしないぜい……」

キャーリサ「大丈夫だ。どっちにしろ五和がお前を頃すし」

土御門「は?」

キャーリサ「いや何でもない。それより、アイツと連絡取ってくれ」

土御門「アイツぅ? って誰ですたい」

キャーリサ「ゴニョゴニョ……」

土御門「ふむふむ。……え、何でまた」

キャーリサ「個人的な相談だし」

土御門「……まあいいけどにゃー」

キャーリサ「頼むの。では私はとーまを粛清してくる」

土御門「ははは、カミやんざまぁだぜい」

キャーリサ「ではな土御門、来世で会おー」

土御門「?」


504: 2011/05/10(火) 22:33:06.92

よくじつ!

―――第七学区 裏路地 ダイニングバー


カラン… 


オリアナ「はぁい。お久しぶりねお姫様。お姉さんをご指名なんて嬉しいわ」

キャーリサ「うん、わざわざすまないの」

オリアナ「あなた達を送り届けてからしばらく日本にいたし、構わないわよ」

キャーリサ「そーか。……まー好きなものを頼め」

オリアナ「御馳走様。マスター、クランベリージュースを頂戴」

紳士「かしこまりました……」 カランッ

キャーリサ「……お前酒は飲めないの?」

オリアナ「お姉さんは未成年だもの」

紳士「!?」

キャーリサ「そーいやそーか」

オリアナ「それで、お仕事の話?」

キャーリサ「うん……実はな……その……耳かせ」

オリアナ「? ……あら」

キャーリサ「――ということなの……」 ソワソワ

オリアナ「ふふ、それで経験豊富そうなお姉さんにご相談ってわけね?」

キャーリサ「そ、そーだ……お前男を掌で転がしてそーだし……」

オリアナ「……うーん、どうしようかなー」

キャーリサ「そ、そこを何とか頼む!」

オリアナ「というかあなた達ってまだだったのね」

キャーリサ「何かとタイミングが無くてな……普段はインデックスがいるし、私の月のものが重なったりで……」 モジモジ

オリアナ「お姉さんは運び屋よ? わざわざ学園都市まで苦労して入ったかと思えば、そんな話だったなんて。
      ちょっと腰砕けかな」

キャーリサ「拍子抜けだろ」

オリアナ「そうとも言うわね」

505: 2011/05/10(火) 22:37:35.82

キャーリサ「……こんなことを相談できる相手などお前だけなの。頼む」

オリアナ「ふふ、いいよ。お姫様が可愛くてちょっと意地悪しちゃった。
      で、具体的には何を訊きたいの?」

キャーリサ「うむ、その……コトに及ぶための心構えとか作法とか、技術的なこととかだな…… 
       あとは……痛いのかどーか……」

オリアナ「避妊にだけ気を付けておけばいいんじゃないのかしら。
      獣のように欲望のままに貪り合うのもお姉さんは悪いことじゃないと思うし。
      もちろん優しく繊細に扱われるのも嫌いじゃないわよ」

キャーリサ「そーなのか……」

オリアナ「お姫様、もしかして怖いの?」

キャーリサ「!?」

オリアナ「心配しなくても大丈夫よ。坊やにすべて任せてしまえばいいじゃない。
      何も考えず与えられる刺激に没頭した方が余程気持ちよくなれると思うわよ」

キャーリサ「むー……」

オリアナ「お姫様恋してるのね、羨ましい」 クスッ

キャーリサ「恋か……そーだな。一回りも年下の相手にこうも心をかき乱されるとは、正直悔しいけどな」

オリアナ「そうね。坊やの若さを受け止めてあげないと。
      大丈夫よ、あの子はお姫様が傷つくようなことはしないわ」

キャーリサ「うん……が、がんばるの。とーまには一か月も我慢させてしまったからな……」

オリアナ「それはもう滾って仕方ないでしょうね、彼も男の子だし。熱い夜が過ごせそうね」

キャーリサ「ん……うん。と、とにかくお前に相談してよかったし。何か勇気が出てきたぞ!」

オリアナ「それは良かったわ。まあテクニック的なことが不安なら、資料を見てみるのもいいかも知れないわ」

キャーリサ「資料か……前に発見したとーま好みのDVD見てみるか」
       
オリアナ「あくまで参考程度にね。思いやりがあればきっと大丈夫よ。
      何にせよ、お姉さんにもお役にたてるようなアドバイスは無理かな。だって」

キャーリサ「ん?」

オリアナ「お姉さんヴァージンだから」

キャーリサ「」


506: 2011/05/10(火) 22:41:00.67

―――上条宅


キャーリサ「人は見かけによらないとはこのことだし。思わず気を失ったじゃない。
       あんなにアピールの激しい見た目をしているくせに処Oとは……冗談は服だけにしてほしいの……」 トボトボ…

上条「お。おかえりー」

禁書「おかえりなさいなんだよ」

キャーリサ「んー……ただいまー」

上条「遅かったな、どっか行ってたのか?」

キャーリサ「友人とお茶を飲んできた」

上条「キャーリサ友達出来たのか。よかったな」

キャーリサ「え? ああ……騙された気分だがな」

上条「?」

キャーリサ「……」 ジー

上条「どうしたキャーリサ?」

キャーリサ「……いよいよか」

上条「へ?」

キャーリサ「い、いや何でも無いし! それよりとーま、お腹が空いたの!」

禁書「私もなんだよ!」

上条「はいよ、今準備してるからもうちょっと待ってな」 トントンッ

キャーリサ(クリスマスまで後一週間か。
       とーま、忘れられない夜にしてやるから覚悟しておくことだなっ) フンスッ

上条(何だ……? 何かキャーリサが燃えてるぞ……) ゾクッ

キャーリサ(私は偉大なる英国第二王女キャーリサだしっ。全てに於いて万能だしっ!
        性行為に於いても無論隙無しよ!
        ふふふふ……見ていろとーま……私の身体に溺れさせてやるの) ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

禁書「?」

上条(そっとしとくか……)


507: 2011/05/10(火) 22:44:52.58

【ロイヤルロストヴァージン】



一週間後


――――上条宅


キャーリサ(というわけで、あっと言う間に一週間が経過してしまったの……)

キャーリサ(いよいよ本番のクリスマスだが……不安だし)


ガチャッ


上条「ただいまー」

キャーリサ「おー、おかえりとーま」

キャーリサ(ま、ここまで来たらなんとかなるか……)

上条「なんかいい匂いするな」

キャーリサ「うん、晩御飯作ってみたの」

上条「ば、晩御飯ですか……」

キャーリサ「おい。今度は失敗しないよーに本の通りに作ったし。
       余計な真似は一切しなかったんだから失敗は無いぞ」

上条「そ、それならいいんだけど……いや、確かにうまそうだな……」

上条(でもキャーリサの料理はいつも見た目だけは高級感あるし……。
    にしてもこのメニューは一体……)

キャーリサ「どーした? 感動のあまり言葉もないの? いーのいーの、さーたくさん食べろ。
       せっかくクリスマスなのだからたまには贅沢しよーじゃない」

上条「これ全部作ったのか、すごいな」

キャーリサ「学校も冬休み始まって暇だしな」

上条(肉を中心として、うなぎ、山芋、卵、チーズ、にんにく、牡蠣、根菜にチョコレート……?
    こってりしてんなー……)

キャーリサ「七面鳥は残念ながら手に入らなかった。
       今日はワインも買ってあるし。早速食事にしよー」

キャーリサ(とにかく精をつけさせねば。そして酒の力も利用させてもらうし。ここが勝負時だし!) グッ

上条「? あ、そだ。ケーキ買ってきたから後で食おう」

キャーリサ「気が利くの。では私からもクリスマスカードとプレゼントだし。
       お前靴ボロボロだからな、新しいやつだ」

508: 2011/05/10(火) 22:49:00.89

上条「マジか。そりゃありがたい。上条さんの靴底が減る速さはハンパじゃないからな。
    あ、そういやこの前あげたワンピース着てくれてるんだな」

キャーリサ「まーな。似合うか? お前結構工口イの選んだな。胸がザックリだし」

上条「い、いやそんなつもりじゃ……」
       
キャーリサ「ふふ、いーのいーの。お前に見てもらえるしな。
        それより食事にしよー。お腹空いてるだろー?」

上条「食う食う。キャーリサが来てから食生活が豊かになって幸せですのことよ」

キャーリサ「現金な奴め。インデックスのこと言えんし」

上条「いやいや、もちろんキャーリサが家にいてくれるってのが一番嬉しいけどな。
    インデックスと三人で仲良く暮らしていけてるのが上条さんのささやかな幸福なんですよ」

キャーリサ「そ、そーか。そーまで言われると嬉しいものだな……」

上条「いやー、美味そうだな」

キャーリサ「とーぜんだし。私が作ったんだからな」

上条「この前まで壊滅的だったくせに」

キャーリサ「う、うるさいし! 文句は不味かったら受け付けるの!」

上条「はは、冗談だって。いただきまーす」 パクッ

キャーリサ「…………」 ドキドキ

上条「むぐむぐ……ふんふん」

キャーリサ「ど、どーだ?」

上条「おお、美味い」

キャーリサ「そ、そーか! そーなのか! ふふふっ、やはり私ともなると、苦手なこともすぐに克服してしまうらしーな。
       見直したかとーま」

上条「惚れ直したよ」

キャーリサ「へっ!?」 

上条「な……なんてな……はは」

キャーリサ「あぅ…………」 

509: 2011/05/10(火) 22:50:21.73

上条「あ、あれ。どうしたの?」

キャーリサ「……何でもないし……馬鹿者め」 ドキドキドキ

上条「お、おう……?」

キャーリサ(うう……何か恥ずかしーの。顔が熱いし……ハッ! こ、これが料理の効果なの!?
       我が才が恐ろしーし。これからは『軍事』だけでなく『家事』のキャーリサと名乗るのもいーな……) ブツブツ… モグモグ…

上条「うめー、インデックスにも残しといてやるか」

キャーリサ「そーだな。ところでとーま。その……気分はどーだ?」

上条「気分?」

キャーリサ「そーだ。……体が火照るとか……元気が有り余る感じとか……興奮とかモニョモニョ」

上条「そりゃこんな美味いもんいっぱい出て来たら元気にもなるよ。ありがとなキャーリサ」

キャーリサ「い、いやそーじゃなくてだな」

上条「?」

キャーリサ「……むー」

上条「ど、どうしたんだよ?」

キャーリサ「もーいいし! ワイン開けるぞ!」 キュッ…ポンッ!

上条「ああ」

キャーリサ「グビグビグビ」

上条「お、おいおい……そんなに一気に飲んだら……」
       
キャーリサ「私を誰だと思っているの! 英国王女だし!
       酒に飲まれたことなど生まれてこの方一度も無いの!」 ゴキュッゴキュッ!

上条「そうか? じゃあいいけど……」

キャーリサ「っぷはー! ……お前ー、後で覚えてろよ」

上条「上条さん何かしましたか……?」

キャーリサ「これからするのっ!」 ゴキュッゴキュッ!

上条「何なんだ一体……」


510: 2011/05/10(火) 22:55:35.77

―――――


キャーリサ「うう……飲み過ぎたの……」


キャーリサは食後からずっとベットの上で横になって唸っていた。
原因は明らかにワインの飲み過ぎ。
一本をほぼ一人で飲みきり、食事が終わるころには視線も定まっていない状態である。
苦笑していた上条に後片付けを全て任せ、グッタリとベッドに横たわってからおよそ1時間。
上条が風呂に入っている音を聞きながら、キャーリサは自己嫌悪やこの後に待つ待望のイベントを想い、
パタパタとベットの上で忙しなく足をバタつかせている。


キャーリサ(どーする……! どーするの私っ! とーまが出てくればいよいよ決戦だし!
       ボディケアに抜かりなし……避妊の用意も問題無い)


キャーリサはもぞもぞと起き上がり、手近にあった自分の化粧ポーチから表面のパッケージに「safe sex」と書かれた4センチ四方程の薄い物体を取り出した。
所謂避妊具である。
いつ何時上条の理性が失われても構わないように、上条と生活を共にし始めた次の日には購入してポーチに入れておいたのだが、今日まで使われることは無かった。
わざわざネットカフェの個室で使い方を調べた成果を見せる時がついに来たのだと、キャーリサはそれをそっと清潔感ある白い枕の下に忍ばせておく。


キャーリサ(あいつのアレに……これを着けて……アレが私のソレに……むー)


ドキリと鼓動が跳ね上がる。
そんな場面を想像してしまうと、次から次へと妄想は加速を始めていく。
キャーリサはこれまで恋愛映画や恋愛ドラマは好きではなかった。
ヒロインに甘い言葉をかける二枚目俳優の歯の浮くような台詞に悪寒が走るから、キャーリサはそんな作品を見る時いつも鼻で笑い飛ばす。
王室で映画を鑑賞したときも、目を潤ませて感動しているヴィリアンを小馬鹿にしながら、現実の恋愛なんてもっと淡々として味気のないものだと嘯いた。
しかし。
今キャーリサの脳内に投影されているこの後に待つ行為の想像は、これまで見た映像作品のどんなそれよりも甘く熱っぽい。
深く腰掛けたベッドのシーツをキュッとつまみ、自らの頭を駆け巡っていく桃色の妄想を首を振って押しのける。
酔いの所為か時折ズキリと痛む頭と裏腹に、体はどうしようもないほど熱を帯び、ドクドクという拍動は加速を続ける一方だった。


キャーリサ(ああ~……! 悶々とするしっ! 何だこれは腹立たしーぞ!
        これじゃ私の方が期待してるみたいじゃないの……)


511: 2011/05/10(火) 22:58:30.47

まったくもってその通りなのだが、それを認めることはキャーリサのプライドが決して許さない。
先日上条にもらったところどころにレースがあしらわれた大人っぽい赤いワンピースを纏う体を抱くように抱き締めて、赤くなった頬を隠すように枕にポフリと顔を埋める。


上条「ふぅ……さっぱりした」


と、その時脱衣所の扉を開けて上条が室内に戻ってきた。
たまらず飛び上がるキャーリサ。掛布団を抱きかかえて、身を隠すように縮こまる。


上条「……何やってんの?」

キャーリサ「…………」


答えに詰まるキャーリサ。
心の準備が出来ていないのに、急に出て来れられても困ると、的外れな非難と困惑を表情に浮かべて上条を見上げた。


キャーリサ「……も、もーちょっと……待ってくれない?」

上条「何が?」

キャーリサ「だから……その」


何を言っているか分からないと言いたげな素振りで首を傾げる上条から、プィッと顔を背けて口ごもるキャーリサ。
彼に抱かれる覚悟も、女になる覚悟も出来ていたはずなのに。
いざこうして彼を目の前にするとどうにも心臓の動きを抑制することが出来ず、全てに身を委ねる決心がつかずにいた。


キャーリサ(とーまを困らせているかもな……と、とにかくまずは手を握るところから――――)


そんなことを考えていた矢先の出来事だった。
ふわりと、何者かに体を優しく抱きしめられる感触。
力強い温もりを与えてくるそれが誰であるかなど、答えるまでもない。


キャーリサ「とー……ま……」

512: 2011/05/10(火) 23:04:43.04

視線を逸らしたわずかな隙を利用してか、何の考えも無くただそうしたのかは分からないが、キャーリサは今、隣に腰かけた上条に抱き締められていた。


上条「期待してたのはお前だけじゃねえよ……」


ボソボソと、照れたようにぶっきらぼうな口調で上条が囁く。
その言葉に、キャーリサは驚き彼の顔を見ようとするが、それは許されずきつく抱きしめられたままだった。


上条「お前な……俺を誘ってるんですか? 
    お前いちいち可愛いんだよ……今日まで上条さんがどれだけ我慢してきたか」

キャーリサ「さ……誘ってなんか……ないし」


髪に顔を埋めたまま声を出す上条の吐息に、ピクンッと体を跳ね上げてキャーリサは小さく応えた。
風呂上がりの上条からは爽やかな石鹸の顔がふわりと届けられてくる。
その奥から仄かに香る上条自身の匂いと体温に、キャーリサは体が溶けてしまいそうなほどの熱に浮かされていくのを自覚した。
真っ直ぐに上条を見つめることが出来ない。
恥じらいと混乱で、視線は定まらず、口の動きもおぼつかない。
脳の回転などとうに支障をきたしていたのに、ただ上条に触れられた肩や背中だけが妙に熱を持っていることだけは明確に理解できた。



534: 2011/05/11(水) 00:17:58.61

―――英国 バッキンガム宮殿 ヴィリアンの私室


ヴィリアン(ふぅ……姉君のいないクリスマスは初めてでした。
       いつも騒がしいと思っていたけど、いないとやはり少々寂しいものですね……)

ヴィリアン(それにしても、日本から姉君からのプレゼントが送られてくるとは思いませんでした。
       ……私以外のみんな宛てに) クスンッ

ヴィリアン(姉君の意地悪……。プレゼントが欲しいという訳ではありませんけどそんな嫌がらせをしなくたっていいじゃありませんか……。
       あの気まずい空気……皆にも気を遣わせてしまって……はぁ)

ヴィリアン(今度お会いしたらビシッと言って差し上げないと……)


コンコンッ 


ヴィリアン「あら? 誰かしらこんな夜更けに」

ヴィリアン「はい、どなたですか?」


シーン…


ヴィリアン「?」 カチャッ

オリアナ「はぁい、お姫様。あなたのお姉さまからクリスマスプレゼントをお届けに来ちゃった」

ヴィリアン「えっ? え? あ、あの……あなたは……?」

オリアナ「うふぅん、お姉さんが誰かなんてどうでもいいの。お姉さんはただの宅配だから。
      はい、これプレゼント」

アックア「…………」

ヴィリアン「」 ピシッ

オリアナ「んもう、苦労したんだからー。中東の紛争地域まで行ったのよ。お姉さんお肌出し過ぎって怒られちゃった」

アックア「おい……」

オリアナ「はい?」

アックア「どういうことであるか。私はヴィリアン王女が王室派と王室反対派の抗争に巻き込まれる緊急事態であると聞かされていたはずであるが」

オリアナ「ええ。お察しの通り、嘘よ」

535: 2011/05/11(水) 00:19:34.14

アックア「……」 ゴゴゴゴゴゴ…

オリアナ「うふふふ、怖い顔しないで。男前が台無しだよ。
      それに、騎士団長さんや女王様も喜んで協力してくれたしね」

アックア「ギリッ……」

ヴィリアン「ウィリアムがどうしてここに!!」

オリアナ「あら、お目覚め? 後はお二人でごゆっくり。あ、これお姉さまからのクリスマスカード。 
      じゃあね、バァイ」 ヒラヒラ

アックア「……おい」

オリアナ「ふふっ」 ダッ!

アックア「ッ……」

ヴィリアン「……」

アックア「……夜分遅くに失礼いたしました。では……」 

ヴィリアン「ま、待ってください!」

アックア「……」

ヴィリアン「許しません……」

アックア「?」

ヴィリアン「お、王女の寝室にこんな夜更けに訪れるなんて……許せないと言ってるんです」

アックア「ごもっとも。……仕方ありません、あの男の元へ出頭しましょう」

ヴィリアン「で、ですから……命令です! 許して欲しければ、一晩私の話し相手をしなさい!」

アックア「……姫君」

ヴィリアン「た、たまには良いでしょう……あなたには言いたいことが山ほどあるのですから。
       こ、これは命令です! 私がしなさいと言ったらするんですっ!」

アックア「……」

ヴィリアン「あう……」

アックア「まったく……姉妹揃って勝手なものだ」

536: 2011/05/11(水) 00:21:22.64

ヴィリアン「あ……」

アックア「牢獄で無為に過ごすわけにもいかないのである。
      姫君がお休みになるまではお付き合いしましょう」

ヴィリアン「は……はいっ! で、ではこちらに! 今お茶を淹れますからね!」

アックア「……ふむ」

ヴィリアン(うふふふふ……姉君ったら、素敵なプレゼントを用意してくれてたんですね。
       先ほど悪く思ってしまったこと謝罪します。姉君、大好きです……) カチャカチャ

ヴィリアン(あ、そう言えばクリスマスカードがあったんでした。ええと……何ですか) ピラッ

ヴィリアン(『メリークリスマス、愛しい我が妹よ。お前がこれを読んでいる頃、
       私はとーまの子種を注がれていることだろー』)

ヴィリアン「は?」

アックア「……」

ヴィリアン(『この前も言ったが、お前もいつまでもカマトトぶって生娘気取ってないで男の味でも覚えとけ。
        姉は一足先に女となり、母となろー。
        まーロクな相手もいないお前があまりにも不憫だから、姉が特別にウィリアムを派遣してやるし』) ワナワナワナ…

アックア「姫君……?」

ヴィリアン(『多分きっと間違いなく凄まじいモノを持っているだろーから、せいぜい壊されんよーに気をつけることだな。
        追伸  ウィリアムをモノにしたければ生推奨。グッドラック(`・ω・´)b
        偉大なる姉、キャーリサより』)

ヴィリアン「姉君……」 プルプル

アックア「?」

ヴィリアン「大っ嫌いですっっっ!!!!!!!!!」 クシャッ



537: 2011/05/11(水) 00:22:52.32

―――


それから7年後。
すっかりと日の落ちた街並みの一角。
料理の香ばしい匂いを漂わせた一件の家の中から賑やかな声が聞こえてくる。


「よーし、ご飯できたぞー」


美麗な金色の髪を揺らしながら、種々様々な料理を食卓の上に並べていく青い目の女性。
隣のリビングでテレビ番組のニュースを眺めていた20代前半の黒髪の青年がゆっくりと立ち上がり、食卓に並んだ料理を見て感嘆の声をあげた。


「お、美味そうだ。腹減ったー」


皿に盛られたエビフライを一つつまみあげようとした青年の手を、女がピシャリと叩いて呆れたようにため息を漏らす。


「”全員”揃ってからだし。父親のお前がまっさきにつまみ食いしてどーするの」


30代も半ばに差し掛かった女は、かつての美貌に一切の衰えを見せることなく整った顔に苦笑を浮かべた。
キュッと締まった腰に手を当て、リビングに鎮座する”彼ら”の方を向いて言葉を放つ。


「おーい、晩御飯だぞ。お前達ニュースなんて見ても分からないだろー」


言われ、立ち上がったのは男1人、女2人の3人の子供達。
そのうち一人はまだ立ち上がれるようになったばかりなので、少女がよろよろと抱き上げて抱えてくる。
バタバタと騒がしく食卓まで駆けてきて、それぞれの席についた。


「やった、今日はエビフライだー!」

「うむ。一人3個ずつだし、ずるするなよ」

「はーい」

「パパー、マヨネーズちょーだい」

「おう」

「よし、全員そろったな。じゃ、いただきます」

「「「「「いただきまーす!」」」」」


青年と子供3人、手を合わせて食事を始める。
女は一番幼い、まだ赤ん坊と言える年齢の少女の世話をしてやりながら、他の子供達と同じようにエビフライに齧りついている青年を見て笑みを浮かべる。

538: 2011/05/11(水) 00:24:16.48

「な、なんだよ」

「いーや。お前子供とレベルが一緒だな。うまいか?」


口元に着いたご飯粒をとってやり、慈しむような微笑を浮かべた女が微笑んで首を傾げる。


「おう、めっちゃ美味いぞ。すっかり料理上手くなったよなー」

「パパ、ママはご飯つくるのへたくそだったの?」


一番年上の、今年6歳になる少女が口にマヨネーズを付着させたままそう言う。
日本人離れした顔立ちと金色の髪は母親譲りだった。
その口元を拭いてやりながら、青年は悪戯っぽくニッと笑って頭をくしゃくしゃ撫でてやった。


「おう、下手だったぞー。パパなんか、何度ママの料理で泣かされたか分からねえよ」

「こ、こらっ。余計なこと言うな。今は美味いんだからいいだろー!」

「やーい、ママのヘタくそーいてっ!」


今度は間もなく5歳の誕生日を迎える長男が、キャッキャッと茶化すように言う。
彼も顔は日本人離れしているが、髪の色は父親と同じ黒色だった。
言われた女は少年の額に軽くチョップを食らわしてふんと息を吐いた。


「昨日のけっこんしき?のご飯もおいしかったけど、やっぱりママのご飯がいちばんおいしーよ!」

「おー、そーかそーか。うれしーこと言ってくれるなー。よーし、デザートのイチゴを一つ増やしてやろー」

「やったー!」

「あ、ずりー! じゃオレパパのイチゴもらいー!」


ガラスの器に入った青年のイチゴを奪い取って口運んだ少年。


「げっ! なんでだよ! じゃあてめぇのよこせ!」

「あっ!」


お返しとばかりに青年が少年のイチゴを箸で突き刺し奪還する。

539: 2011/05/11(水) 00:27:35.12
「やめよ食卓で。お前達もちゃんと用意してやるから」

「ママ昨日きれーだったよ! 知らないお兄さんとかお姉さんいっぱいいたけど、みんなオトモダチなの?」


白米を貪っている少年とバツが悪そうな青年を横目に、少女が無邪気な笑顔を浮かべて尋ねる。
その問いに、食事の手が止まった青年と女が、優しい視線で互いに微笑みあった。


「ああ、みんなパパ達の友達だ。インデックスとかは会った事あるだろ?」

「うん! インデックスお姉ちゃんはおかしくれるから好きー! ねぇパパ、オトモダチの話もっと聞かせて!」

「えー、そうだなぁ……」


青年はもう一度女に視線を返す。
女はスカイブルーの目を細め、、桜色の唇に笑みを湛えてくすくすと笑う。
何から話せばいいのか、あまりにも濃厚な今日までの日々を思い返して青年も思わず笑みを零す。


「いーじゃない。話すがいーの。お前が私を攫ってくれた話を特にドラマチックにな、とーま」


女は愛を込めて名を呼ぶ。
あれから7年経った今も、二人の関係は変わりなく。
変わったことがあるとすれば、高校を卒業した青年とすぐに籍を入れ、子育ての忙しさが少し落ち着いた最近になってようやく式をあげられたということくらい。
今日まで様々なことがあったが、二人の生活はこれからも続く。
一晩では到底語り尽くせない、二人の恋物語は――




「分かったよ。じゃあまずキャーリサが家出してきたところから―――」



――まだまだ終わりそうもない







―おしまい―


540: 2011/05/11(水) 00:29:25.75

7年後に式をあげているのに子供三人で長女は6歳。
そして二人の初体験の日、キャーリサが用意していたゴムは一つ。あとは分かるな?
という話。

最後はまた最初に戻る。無限ループ突入だし。

これにて上条×キャーリサSS終了です。
また遠からず近からず、お会いしましょう。

そしてもし感想等ありましたらお聞かせ願えれば幸いです。

このスレは1週間程経過後にhtml依頼出します。続けたい方、新しく始めたい方は再利用してもらっても構いません。
ではまたいつかどこかで


628: 2011/05/18(水) 04:28:04.78
―――神奈川県某所


ミーンミンミンミンミン… ジジジジジ… 

ブォォォオオ…


??「ふぅ……」

??「……」


ブォォォォォオオ…


??「日本の夏は暑いな」

??「ええ。クーラーの温度を下げましょうか・」

??「いや、大丈夫だ。しかしあの馬鹿娘に会うのも久方ぶりだな」

??「……間もなく二年ですか。今生の別れともなるかと思っていたのでむしろ早いかと思いますが?」

??「ん? うん、しかしこの手紙がなぁ……と言うか何でお前が着いてくる。
    お忍びなのだから、侍女の一人でもいれば問題無いぞ」

??「私が見張っていないと貴女は絶対にやれ京都だやれ沖縄だとここぞとばかりに日本観光を満喫し始めるでしょう。
    用件が済んだら速やかに帰国しますからそのおつもりで」

??「チッ、バカンスのつもりだったのに。で、まだ着かないのか?」

??「この近辺のはずです。日本の道は狭くて困る」

??「ふふ、しかし楽しみだ。あれからあいつらはどのように変わったのかな」

629: 2011/05/18(水) 04:30:10.22
―――神奈川県某所 上条家 台所


カチャカチャカチャ…


キャーリサ「~♪」


ジャバー…

ペタペタペタペタ…


詩菜「あらあら? キャーリサさん、洗い物なんて私がやっておきますから、向こうでゆっくりしてて下さいな。
    せっかくの夏休みでしょう?」

キャーリサ「いや、充分楽をさせてもらっているし。しーなこそ、とーまやとーやと親子水入らずで休んでいるがいーの」

詩菜「あらあら、でも刀夜さんも当麻さんも、”あの子”に夢中みたいですから」 カチャカチャ

キャーリサ「まったくこれだから男は」

詩菜「私ももうおばあちゃんなのね。嬉しいような、寂しいような不思議な気分だわ」

キャーリサ「何、しーなは私から見ても腹立たしい程に若く見えるから安心しろ。
       というか少し凹むし」

詩菜「あらあらまあまあ、ありがとうキャーリサさん。
せっかくキャーリサさん達が帰ってきてくれたことだし、今晩はお寿司でも頼みましょうか。
    外人さんですけど、生のお魚は平気?」

キャーリサ「うむ、問題無いし。そーいや日本に来て一回も食べてないな」
    
詩菜「うふふ、じゃあ電話しておかないと」

キャーリサ「楽しみだし。……っと、そーいやオムツの替えが残り少なかったな。
       しーな、この辺に売っているところはあるか?」

詩菜「あらあらそれは大変。刀夜さーん、ちょっと車を出して欲しいんですけどー」 パタパタ

キャーリサ「あーいや……近くなら歩いて行ってくるし」 パタパタ…

詩菜「うふふ、いいからいいから。ついでに買ってきてもらいたいものがいっぱいあるの」

630: 2011/05/18(水) 04:31:37.59
―――


上条「んじゃ行ってくるよ」

キャーリサ「頼むの」

刀夜「母さん、オムツだけじゃなかったのかい?
    何やらこのメモ……物凄く文字が書き連ねてあるような……」

詩菜「うふふ、気の所為ですよ刀夜さん。帰りにお寿司屋さんで品物を引き取るのを忘れないで下さいね」

刀夜「わ、分かった。よし当麻、行くぞ」

当麻「おう」


ガチャッ ドンッ


刀夜「おっと!」

??「おわっ!」

??「む」


ドサッ


詩菜「あらあら……」

??いつつ……」

刀夜「し、失礼! そこにおられるとは気付きませんでした。お怪我はありませんか?」

??「ああ、こちらこそ扉の前で考え事をしていたものだから。お気になさらず」

??「全くです。どんな登場がインパクトがあるかなどと思案しているから……お騒がせ致しました」

??「お前な。家臣ならもうちょっと心配しろこの馬鹿者」

??「御冗談を。自業自得ではありませんか」

キャーリサ「あ……」

上条「あ……」

刀夜「それで、うちに何か御用ですか?」

631: 2011/05/18(水) 04:34:00.76

??「これは申し遅れた。ご子息と共にうちの馬鹿娘がこちらに里帰りをしていると伺ったもので、寄らせて頂きました。
    エリザードと申します、そこのキャーリサの母です」

刀夜「ははは、そうでしたか。キャーリサさんの……」

詩菜「あらあらまあまあ。それはそれは遠くから」

キャーリサ「母上、何故ここに……」

刀夜「ははは……は?」

上条「アンタも一緒か、騎士団長」

騎士団長「護衛だ、私のことは気にするな」

刀夜「母ぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!?????????????????????」

詩菜「あらあら、ワンテンポ遅いですよ刀夜さん」

刀夜「だ、だって母って……え? で、では貴女はイギリスの……」

騎士団長「女王にあらせられます。奥様、こちらは英国のお土産です、よろしければご家族でお召し上がり下さい」

詩菜「あらあらまあまあそれはご丁寧に」
    
エリザード「急に押しかけて申し訳ない。どこかへお出かけする途中でしたかな?
       でしたら日を改めますが」

刀夜「めめめめっ! 滅相も無い! どどどど! どうぞ狭い家ですが!!!」

キャーリサ「母上ー、何しに来たの? 言っておくが私を連れ戻そうなどという話なら論外だぞ」

エリザート「ああ違う違う。まあちょっとな」 チラッ

上条「…………」 コクッ

詩菜「さあさあ、立ち話も何ですし、どうぞ中へ」

エリザード「お邪魔します。良い家ですな、住む人間の愛着が感じられる」

詩菜「いえいえそんなそんな。今お茶をお持ちしますので。当麻さん、ご案内して」

上条「ああ、こっちだよ」

キャーリサ「…………?」


632: 2011/05/18(水) 04:36:20.78
―――


赤子「だぅー」 ペチペチ

エリザード「おー! 可愛いなぁ! こんにちわー、おばあちゃんでちゅよー。
       何歳でちゅかー」 

赤子「あー」

キャーリサ「娘のヴィクトリアだ。今9ヶ月だし」

エリザード「いやーお前の小さいころを思い出すな。よく似てるぞ」

キャーリサ「何を言う。私はもっと美しかったぞ。ヴィリアンはぶっさいくだったけどな!」

エリザード「いや赤ん坊のころは二人とも丸々してたぞ」

上条(キャーリサが二人いるみたいだ……やっぱ親子だな)

騎士団長「少年、キャーリサ様に似てよかったな」

上条「どういう意味だよ」

騎士団長「ふっ、そういう意味だ」

上条「テメェ嫌味か……」

刀夜「お、おい当麻どういうことだ……? というか、お前はイギリスの女王様ともお知り合いなのか?
    しかも護衛の人とも知り合いだし、テレビとか来たりするのか?
    父さんポロシャツ姿で大丈夫か?
    晩御飯は近所のお寿司屋の特上程度で大丈夫なのか? これでも奮発したんだぞ?」 ヒソヒソ

上条「質問は一個にしろよ。全部大丈夫だって」

エリザード「御主人、どうぞお気になさらず。
       ああ、もしかしてこの男のスーツ姿が仰々しくていけませんか?
       確かに一家団欒の場には似つかわしくありませんな。
       おい騎士団長。お前車で待ってろ」

騎士団長「かしこまりました」 スタッ

刀夜「ああっ! いいですいいですぅっ! そのままでいてください!!」

騎士団長「はあ……分かりました」

633: 2011/05/18(水) 04:37:54.37
ガララ…


詩菜「うふふ、お待たせしました」 カランッ

エリザード「おいキャーリサ、お前手伝いくらいしたらどうだ?」

キャーリサ「そ、そーだったの。すまないしーな、あ、いや母君」

詩菜「あらあら、いいんですよ。せっかくお休みで帰ってきてくれているのに、朝からずっと家事をやってもらってこちらが申し訳ないくらいですもの。
    冷たい麦茶ですけど、どうぞ」

エリザード「これはどうも。ありがたい、日本の夏の暑さにへばっていたところです。
       さあお母様もこちらへ。家事やその他の雑事はこの男に任せておけばよろしい」

騎士団長「お盆をお預かりします」

詩菜「あらあら、英国紳士さんですね」

刀夜「と、当麻……母さんちょっと嬉しそうだぞ、どうすりゃいい?」

上条「知らねぇよ。まあせっかくだから騎士団長も一緒に聞いてくれ」

騎士団長「私もか。何だ少年」

キャーリサ「とーま? どーいうこと?」

エリザード「ゴクゴク……ふう、生き返った。ん、実はなキャーリサ。私は彼に手紙で呼ばれてここに来たんだ」

刀夜「イギリスの女王様を呼び出すなんて……お前いつからそんな大物に……」 

上条「いや、俺イギリスに正規の手続きじゃ入れないだろうし」

騎士団長「そうだな。間違いなく捕縛されて面倒な事態になるぞ」

刀夜「お前は一体何をやらかしたんだ当麻……」

エリザード「まあまあご主人。私も気分転換に丁度良い機会だったので喜んで馳せ参じたのです。
       娘に子供が生まれたというのもその時伺いました。
       それで、私に話とは?」

634: 2011/05/18(水) 04:39:19.34

上条「……」 グッ

キャーリサ「……?」

上条「女王様っ!」 ドゲザッ!

エリザード「む?」

キャーリサ「?!」




上条「キャーリサと結婚させてくれっ!!!」




キャーリサ「なっ!?」


詩菜「あらあらまあまあ」

刀夜「当麻、お前……」

エリザード「…………」

上条「順番が逆になっちまってるのは分かってる。
    キャーリサを無理矢理連れ出して、こんなことを頼むのはムシのいい話なのかも知れないけど、
    俺がキャーリサを絶対に幸せにするからっ!!
    だから頼む女王様っ!」

キャーリサ「とーま……」

上条「キャーリサを、俺にくれっ!!!!」

キャーリサ「―――――ッッ!?」

635: 2011/05/18(水) 04:41:16.93

エリザード「……」

刀夜「……」

詩菜「……」

騎士団長「エリザード様、何か答えてやったほうがよろしいのでは?」

エリザード「ふむ……少年、面を上げよ」

上条「はい」

エリザード「お前達、今どうやって生活してるんだ?」

上条「今は学校からの紹介で、研究所で能力開発の手伝いをしてる。
    俺の右手はどんな異能の力も打ち消す力を持ってるから、それを利用して能力測定の研究で金をもらってるんだ」

エリザード「キャーリサは女学校の講師だったか?」

キャーリサ「う、うむ、時間短い割に給料良いからその辺りは心配するな母上」

エリザード「ふーむ……一応地に足を着けて生活は出来ているようだな。おい少年」

上条「……」

エリザード「お前のような男に娘はやれんっっ!!!!!!!!!!!!!!!」 ビシィッ!!

上条「ええっ!?」

キャーリサ「は、母上!」

エリザード「って言うの一回やってみたかったんだが、少し胸が痛いな」

上条「おい!」

騎士団長「テメェ! 真面目な話してんのに空気読めこの馬鹿!!」

エリザード「おわっ! じょ、冗談だ! ちょっと場を和ませようとしただけじゃないか!」

騎士団長「まったく……ご両親もいらっしゃるというのに」

636: 2011/05/18(水) 04:43:13.97

エリザード「ははは、すまないすまない。構わないぞ。
       こんな行き遅れのじゃじゃ馬嫁にもらってくれるなら好きなだけ持って行ってくれ」

上条「え、じゃ、じゃあ……」

エリザード「娘を頼む。少年、いや、当麻君」

上条「――――!」

キャーリサ「とーまぁっ!」 ガバッ!

上条「おわっと!」

キャーリサ「ふふっ、そーか! ついにお前と結婚できるのだな……嬉しいし……」

上条「お、俺もだよ。ありがとう、女王様!」

エリザード「いやこのチャンス逃したらもうこいつにまともな貰い手なんて無くなりそうだしな。
       むしろお願いだからもらってやってくれと言いたいくらいだ」

キャーリサ「おい、言い過ぎだし。ま、とーまがもらってくれるからどーでもいいけどなっ」 フンスッ

詩菜「あらあら。何だかおめでたい話になったわね刀夜さん」

刀夜「そ、そうだな母さん。一体何が始まるのかと思ったけど、いやよかったよかった」
       
騎士団長「……」

エリザード「文句はあるまいな?」

騎士団長「文句など。私は一介の従僕に過ぎませんので」 スッ

キャーリサ「おい、どこへ行くの?」

騎士団長「いえ、車に忘れ物をしたので、取りに」

キャーリサ「そーか」


スタスタスタ… パタンッ

637: 2011/05/18(水) 04:46:22.72

上条「なんだろ忘れ物なんて」

キャーリサ「さあ。大方ドアのロックでも気になって見に行ったんだろ。あれで気が小さいからな」

エリザード「ふふ、奴め。さてはキャーリサの結婚が嬉しいやら寂しいやらで男泣きに行ったな。
       まだまだ若造よ」


ピシャッ!


騎士団長「違いますっ!」

刀夜「は、早いですね」

詩菜「あらあら、すごい荷物」

騎士団長「キャーリサ様の嫁入り道具一式……まあ貴女の私物ですが、それをお届けに」

キャーリサ「え……」

エリザード「お前。こんなもの積み込んでたのか。空港で車を出すのにやけに手間取ってると思ったら……」

騎士団長「着の身着のまま飛び出して来られたでしょう。
       エリザード様やリメエア様達の写真一つお持ちで無いのもいかがなものかと思いましたので。
       あとは貴女のお気に入りのテディベアやシャルボネルエウォーカーのチョコレート。
       それから……」

キャーリサ「も、もーいいの。恥ずかしいだろご両親の前で」

騎士団長「失礼いたしました」

詩菜「あらあら、テディベアがお好きなのね。ただのぬいぐるみじゃないところが外国の方という感じかしら」

エリザード「そうなんですよ母君殿。この娘つい2年前まで私の夫にクリスマスプレゼントは毎年ハロッズで限定販売されるテディベアをねだっておりましてな。
       いやお恥ずかしい。いい年をした娘の趣味が熊のぬいぐるみ収集とは」

詩菜「あらあら可愛らしいじゃないですかお母様」

キャーリサ「や、やめよ! もーそんな子供では無いし!」

エリザード「じゃああれはもういらんな? 部屋も空くことだし処分しても」

キャーリサ「私のネルソンやチャーチルに手を着けたら母上でも許さんぞっ!!」

上条「え」

キャーリサ「あ……」 カァァ…

638: 2011/05/18(水) 04:48:50.45

上条「な……名前着けてるんだな」

キャーリサ「いや……その」

エリザード「プッ、馬鹿者め」

上条「ぷっくく……はははははははは!」

キャーリサ「わ、笑うなとーま! ゴホンッ、と、とにかく私物を持ってきてくれたのは感謝するし。
       母上、そんな訳だ。私は嫁に行くぞ」

エリザード「うむ。子供もいることだし、しっかりな。よし、今日はめでたい日だ。
       騎士団長、宴会の手配をしろ」

騎士団長「はっ。英国から超音速旅客機でシェフとスタッフ達を呼び寄せますが、よろしいですか御主人?」

刀夜「あ、実は特上寿司の予約g」

詩菜「あらあら、もちろん構いませんよ。英国王室で振る舞われているお料理なんて楽しみね刀夜さん」 グィッ

刀夜「そ、そうだな母さん」

上条(食べたいんだな)

刀夜(食べたいんだな)

エリザード「ご両親、ふつつかな娘ですが、今後ともよろしくお願いします」

刀夜「とんでもない。こんな素晴らしい娘さんに来て頂けて光栄ですよ」

キャーリサ「とーや……い、いや、義父上……」
       
刀夜「は、はは、照れるな。こんな綺麗な人に義父さんと呼ばれるなんて」

詩菜「……刀夜さん?」 ゴゴゴゴゴ…

刀夜「か、母さんこれは違うぞ! そんなんじゃない!」

詩菜「あらあら? 私はまだ何も言ってないのに、そんなんとはどういうことかしらね刀夜さん」 ゴゴゴゴゴ…

刀夜「ひぃっ!?」

キャーリサ「とーま……これで私達は誰に何の憂いを抱くことも無く、まことの夫婦となるのだな……。
        本当に……これが現実なのだな。幻想でなく」

上条「そう……だな。はは、俺も正直実感無いな」

キャーリサ「うん……あ、あれ……あれ?」 ポロポロ

639: 2011/05/18(水) 04:51:28.39

上条「お、おいおい。何泣いてんだよ……」

キャーリサ「いや違……嬉しくて、おいおい……私そんなキャラじゃないだろー……あはは、待てとーま。
      ちょっとだけこっち見るな……」 グシグシ

上条「キャーリサ……」 ギュッ

キャーリサ「ッッ!」

上条「幸せにするからな」

キャーリサ「……馬鹿者、私と婚約した時点で、お前は至上の幸福を手にしているし……お前ももっと噛みしめよ……」 グスッ

上条「大丈夫だよ。俺も今すごくドキドキしてるんだ……」

キャーリサ「……そーか」

詩菜「あらあらまあまあ」

刀夜「若いころを思い出すな母さん。どうだい今夜は一つ昔に戻って」

上条「おい。それ軽くトラウマになってんだからやめろ馬鹿親父」

エリザード「ところで式はどうする? 若いうちに挙げておいたほうがいいぞ、キャーリサ。
       写真にも残るしな」

キャーリサ「いや、それはいいの」

詩菜「あらあら、どうして? 費用なら心配しなくても大丈夫ですよ」

刀夜「そうだぞ。父さんに任せておくといい。こんなときのためにしっかりと貯えがあるからな」」

キャーリサ「ありがとー。だがそーではない。それはいずれとーまと二人で成し遂げたいの。
       今の私の人生の目標の一つだし。そー易々と達成させてなるものか」

エリザード「ふむ。そういうことなら好きにするといい。私がくたばるまでには見たいものだがな」

キャーリサ「冗談いうな、母上などその調子ならまだ倍は長生きしそーだし。
       ま、とーまも後半年で高校卒業だし、籍は早々に入れたいが」

上条「だな。まさかこの年で子供出来て結婚することになるとは……」

キャーリサ「しかもよりにもよってお前とはね。ふふ、分からないものだ」

上条「そりゃこっちの台詞だよ。
    ……さて、女王様にお許しももらえたことだし、他の連中にも報告しないと」

詩菜「まあまあ当麻さん。そんなに急がなくてもいいじゃない。
    二人ともまだしばらくお盆休みなんでしょう? せっかくだから二人で新婚旅行にでも行ってきたらどうかしら?
    ヴィクトリアちゃんの面倒なら私が見ていますから」

赤子「あぅー?」

刀夜「そりゃいい。ぜひそうしなさい。この子がもう少し大きくなったら、夫婦水入らずで旅行なんて当分出来ないぞ」

640: 2011/05/18(水) 04:57:40.85

キャーリサ「いやそーいう訳には……」

上条「そうだよ。一緒に連れてきゃいいじゃねえか」

刀夜「新婚旅行は二人のものだぞ。適度にガス抜きしながらじゃないとこれからの長い子育てに疲れてしまうからな。
    特にお前達は新婚生活もままならないうちから初めての子育てだろう?
    1泊2泊なら問題ないから行ってきなさい」

上条「そういうもんかな……」

キャーリサ「まーここはご厚意に甘えよーじゃない。
       今後子供増えたら旅行どころじゃなくなるぞ」

騎士団長「そちらも手配致しましょうか?」

キャーリサ「頼むし。ただし国内でな。海外だともし何かあったら戻って来にくいの」

騎士団長「かしこまりました」

上条「ありがとな、父さん、母さん」

詩菜「うふふ、いいのよ当麻さん。ゆっくりしていらっしゃい。
    これでヴィクトリアちゃんを思う存分可愛がれるわー」

刀夜「そうだな母さん。よーし、父さんカメラ買って来ちゃうぞー」

エリザード「それはいいですな。私もよろしいですかな?」

刀夜「もちろんじゃないですかお義母さん。ささ、皆で初孫を愛でようじゃありませんか」

エリザード「よし騎士団長。本国から撮影機材とカメラマンも呼べ!
       あと夫にも連絡を。ふふ、奴め、悔しがって自分で飛行機操縦してくるぞ」

騎士団長「それに関しては既に万端整っております。カメラはこちらに」 スチャッ

上条「……なあキャーリサ」

キャーリサ「ん、うむ……」

上条「もしかして出来るだけ長く孫と戯れたいから俺達旅行に行かされるんじゃ……」

キャーリサ「うん、私もそんな気がしている」

詩菜「うふふふふ、二人とも、 ゆ  っ  く  り    してくるのよ?」

エリザード「早く二人目も見たいぞ」

騎士団長「では新婚夫婦に人気のホテルを手配致しましょう」

刀夜「なあ当麻、父さん達も学園都市に住むのって無理かな?」

上条「無理に決まってんだろ。どうしよう……この人達ノリノリだ」

キャーリサ「待て待て母上。 写真は私と共に写すがいーの!」

上条「お前もか」

エリザード「お前の写真なんぞいらん! 孫のアルバム作るんだから邪魔だぞキャーリサ!」

詩菜「あらあら」

刀夜「よし、私はカメラ買ってくるぞ!」

騎士団長「……苦労が絶えんが、そう悪くも無いと言いたげだな、少年」

上条「……はは、まーな」



641: 2011/05/18(水) 04:58:59.77
その夜

――――神奈川県某所 上条家 寝室



上条「ふぅ……料理滅茶苦茶美味かったな……。
    最終的には近所の人まで集まってきたし。ま、何にせよ上手くいってよかったよ」

キャーリサ「そーだな。とーまのサプライズ、驚いたがとても嬉しかったの。
       ……私は、こんなにもお前に想われて、幸せ者だな……」

上条「キャーリサ……」

キャーリサ「とーま……そっち行ってもいーか?」

上条「お……おう……来いよ」

キャーリサ「ん……」 モゾモゾ

上条「……」

キャーリサ「……ふふ、久しぶりだから緊張してるの?」

上条「い、いや……まあな」

キャーリサ「とーま」

上条「ん?」

キャーリサ「二人目、いっとくか」

上条「え……」

キャーリサ「兄弟姉妹というのも、悪く無いものだぞ……?」

上条「よ、よし。……キャーリサ!」 ガバッ

キャーリサ「きゃっ! ふふ、せっかちな奴め。ヴィクトリアを起こさんよーにな」

上条「わ、分かった……」


ガタガタッ!


上条「……ん?」

キャーリサ「どーしたとーま。……焦らすな……ん?」

上条「…………」


642: 2011/05/18(水) 05:00:07.23

ツカツカツカ… ピシャッ!


刀夜「あ」

詩菜「あらあら」

エリザード「ふむふむ」

上条「何やってんだテメェらは!」

刀夜「こら当麻。ヴィクトリアちゃんが起きてしまうから大きな声を出すな」

詩菜「大丈夫よ当麻さん。本番が始まったらちゃんと帰りますから」

エリザード「義息子よ。キャーリサはああ見えて純情だからもっと愛の言葉を囁いてやるといい。
       さ、気にせず続きを」

キャーリサ「お、おい母上」

エリザード「……ん?」

騎士団長「…………」 ゴゴゴゴゴゴ…

エリザード「む……騎士団長か。何か用うぉあ! な、何をする! 主君を引きずるとはこ、こら!
       やめろ! 民家の中で剣を抜くのはああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

詩菜「あらあら。騎士団長さんにバレてしまっては仕方ないわね。当麻さん、キャーリサさん。
    がんばってくださいね?」

刀夜「はははは、当麻。ちゃんと結果は報告するんだぞ。じゃあな、おやすみ!」

騎士団長「失礼しました……キャーリサ様。どうぞ続きを」


ピシャッ

643: 2011/05/18(水) 05:01:12.28

上条「…………」

キャーリサ「…………」

上条「まあその……」

キャーリサ「不幸、か?」

上条「いや」

キャーリサ「ん?」

上条「キャーリサと一緒なら、いつだって幸せだよ」

キャーリサ「……そーか――」 クスッ







キャーリサ「――私もだし。とーま」





644: 2011/05/18(水) 05:02:42.10
という訳で正真正銘最後のサプライズ。
サプライズになっていたかどうかはともかくとして、一週間経過しましたのでhtml依頼出してきます。
それでは皆様、ごきげんよう。
新婚旅行はまた機会があればそのうちに。
それにしてもキャーリサ様。30歳乙女って……ありなのか?


645: 2011/05/18(水) 05:20:47.13
おつおつ~

朝からニヤニヤできました!
またなにか書いてね!

引用: キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」 2