1: 2012/06/24(日) 09:28:54 ID:v2KMDOag0



憂「望んだ夢を見る方法?」

純「そ。文字通り夢見る乙女の話題でしょ?」

梓「うまいこと言ってないで勉強しなよ純。あ、憂、ここの公式なんだけど――」

純「で、そのやり方ってのがさ」

梓「ちょっと……」

憂「あはは…純ちゃん、その話、すぐ終わる? 興味はあるんだけど」

純「ああ大丈夫、よくあるやつだから。見たい夢をチャート形式で紙に書いて、暗記して、思い出しながら枕の下に入れて寝るだけ」

憂「へぇ……」

梓「それ暗記したからついつい夢に見ちゃうだけなんじゃないの」

純「梓は夢がないなー。なんであれ望んだ夢を見れるってのはいいものだよ?」

梓「まぁ…それは確かに…いいかも」

純「唯先輩の夢とか」

梓「そ、それは別にっ」

憂「ふふっ」


梓ちゃん、なんだかんだでお姉ちゃんのこと大好きだもんね。
……でも、そっか、お姉ちゃんの夢を見れるんだ。しかもわたしの望むかたちの夢を。

ちょっと、ためしてみたくなったかも。


憂「純ちゃん、試してみたの?」

純「もちろん。ちゃんと見れたよ」

梓「ホントに?」

純「ホントだよ。ドーナツ食べ放題の夢見れたし! 起きて虚しくなったけど……」

梓「………」
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

2: 2012/06/24(日) 09:30:58 ID:v2KMDOag0



憂「――ふう。そろそろ寝ようかな」


受験勉強まで含めて今日やることは全部終わらせて、伸びをして、布団に入る、そのまえに。


憂「……どんな夢にしようかな」


メモ紙を一枚取り出して、もう少し頭を捻ろう。

明日は土曜日。お父さんもお母さんも休みだし、ちょっとだけゆっくり寝ててもいい日。
つまり、ちょっとだけ長い夢を見れる。豪華な夢を見れる。かも。


憂「……ドラマチックなのがいいかな?」


見たい夢は、しばらく会ってないお姉ちゃんの夢に決まってる。
でもせっかくだから、夢ならではのお姉ちゃんとかいいかも。カッコイイお姉ちゃんとか。

カッコイイ……うーん、白馬の王子様、とか?

現代風、リアルな白馬の王子様といえば……こわい人に絡まれている私を颯爽と助けに来るお姉ちゃん、とか?
あ、これはだめかな。夢の中といえど絡まれるのは怖いし、それよりもお姉ちゃんにそんな危険なことさせられないよ、夢の中でも。
じゃあ…トラックに轢かれそうになる私を助けてくれるお姉ちゃんとか? ドラマみたいに飛び出して……


憂「……ううん、これも一緒だよ。夢の中とはいえ、お姉ちゃんを危ない目には遭わせられない……」


……さんざん考えた結果、夢の内容は

【家の廊下で、私がバナナの皮を踏んで滑ってしりもちをつく……直前にお姉ちゃんが抱きとめてくれる】

というものに決定しました。バナナの皮って…と思うけど定番だし、しりもちくらいなら私もお姉ちゃんもあんまり危なくないし。
……ちょっと間の抜けた夢になっちゃってるのは、否定しないけど。

とりあえず、出来上がったメモ紙を枕の下にちゃんと挟んで。あとは思い出しながら……


憂「……よし、おやすみなさいっと」

3: 2012/06/24(日) 09:32:28 ID:v2KMDOag0




――そして。


憂「……んぁ……ふわぁあ……あれ?」

  「……朝?」

  「……夢……見てない……」

  「おかしいなぁ……」


結局、ただの噂だったってことなのかな? それとも、見た夢を忘れちゃった?
夢をすぐに忘れてしまうことは多いけど、今回もそうだったらさすがにもったいないなぁ……


憂「……って、もうこんな時間……さすがにお母さん達を起こさないと……」


――お父さんお母さんを起こして、朝ご飯の準備のために一階へ。


憂「ふわぁ……ぐっすり寝すぎたかなぁ……」


休日の朝らしく、眠い目を擦りながらふらふらと歩く―――のがいけなかった。


グニュッ


憂「………へ?」


半開きの目を見開いた時には、もう遅く。

ゆっくりと天井に向かって傾く視線と、黄色い何かが視界の端に写っていることだけしか認識できなかった。


……黄色い? あれって……


憂「――ばな――」

4: 2012/06/24(日) 09:33:31 ID:v2KMDOag0


  「憂っ!!!」


後ろに倒れ、しりもちをつく直前。誰かが駆けつけて、支えてくれた。
誰か、じゃない。この声と、この腕のあたたかさ、間違えるはずもない……


憂「おねえ…ちゃん?」

唯「……ふー、間に合った。うい、大丈夫だった?」

憂「う、うん……」


どうして?って口にする前に、気づいた。このシチュエーションが私の望んだ夢、そのままだってことに。
ということは……これが夢? 私は夢の中で起きた気になってたってこと?
……ほっぺたをつねったりしてみれば、すぐにわかるのかもしれない。でも、それを急ぐつもりにはなれなかった。

たとえ夢だとしても、こうしてお姉ちゃんに会えたのなら嬉しいし。
それに、夢だとしても伝えておかないといけない言葉があるよね。


憂「ありがと、お姉ちゃん」

唯「うん、どういたしまして」

憂「あと……」

唯「ん?」


憂「……おかえりなさい、お姉ちゃん」

唯「えへへ……ただいま」

5: 2012/06/24(日) 09:35:59 ID:v2KMDOag0




純『――ねぇねぇ梓、昨日のアレ、試した?』

梓「……ためしてない……」

純『えー、つまんないの』

梓「おぼえるの、めんどくさかった……」

純『……っていうか、いい加減起きなさいよ』

梓「……っていうか、そんなことでおこさないで……」

純『いやいや、実は昨日のアレさー、言い忘れたことがあってさー』

梓「……んー…?」

純『実はアレ、枕の下に入れる紙の裏表を逆にすると、夢を届けることが出来る!』

梓「……そうなの…?」

純『だったら面白いよねー』

梓「……りつせんぱいみたいなことを……きるよ」

純『いやいや、夢は大きく持とうよ、夢の話だけに! 私が澪先輩とお近づきになれそうな夢を澪先輩に届けるとか使い道はいろいr』


ピッ


梓「……Zzz……」

6: 2012/06/24(日) 09:37:22 ID:v2KMDOag0
owr

7: 2012/06/24(日) 09:49:27 ID:jjOKCL..0
えっ

10: 2012/06/24(日) 12:03:15 ID:sVohPDzo0
みじかっ

11: 2012/06/25(月) 17:41:49 ID:bV9mAkp60
面白いのに

引用: 憂「お姉ちゃんの夢」