945:◆6osdZ663So  2015/04/03(金) 15:42:44.15 ID:2ymeu+Jqo



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



 ――――

―――






「ところで芽衣子さんは、何か武器とか持ってきてます?」

とりあえず『鏡』はやって来た同僚の装備を確認する。

よくよく考えれば、この場に居るのは戦闘向きではない能力者が2人。

何らかの自体が発生した場合に、武器の1つでもなければ少々心許ない。


「うん、一応ね」

そう言って、芽衣子は持っていたポシェットの中をごそごそと探り、

そして取り出し足るは、


「9mm拳銃~(だみ声)」

「……なんでドラえもん風なんすか」

「えへへ」


何処かの青タヌキの様な物真似をしながら、芽衣子が取り出したのは一丁の拳銃。

無いよりかは全然マシな武器ではあるが……


「でも……あんまり使った事が無いからヘタクソなんだけどね」

やはり心許ない。

彼女の仕事は主に人の運搬であり、暗殺などは含まれて居らず、

能力の性質上、真っ向から戦闘する事もまず無いので下手なのは仕方ないだろう。


「……良かったら今度使い方教えますよ、手取り足取り」

「本当?それじゃあお願いしちゃおっかな。あ、でも手取り足取りって……もう、やらしい事したらダメだよ?」

「はははっ、大丈夫ですよ。これでもオレけっこー紳士なんで」 (やらしい事をしないとは言ってない)
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



946: 2015/04/03(金) 15:43:55.28 ID:2ymeu+Jqo


さて、『鏡』は自身の持つ武装も改め確認した。


芽衣子と同じく拳銃が1丁。予備の弾層が1つ。

携行用ナイフが数本。

能力を使用するためのコンパクトミラー、予備を含めて5つ。

念のために双眼鏡。

光学迷彩発生装置、ステルスデバイス。

掛ける事で正体を隠すことのできる眼鏡型のマジックアイテム。

魔術抵抗用のお守り(さくら特性)。

エージェント専用の連絡端末。

煙草が2箱。うち1箱は残り3本。とりあえず明日までは持つ。

そして喫煙者には欠かせない、ライターと携帯灰皿。


「ちょーっち心許ないかねえ……」

これでも荒事には慣れてるし、

能力者の一人や二人、並のカース2体か3体を相手するには充分であったが、それ以上は正直しんどい。

まあ、本来であれば、放流した新型カースが消滅するまでの様子を優しく見守ってるだけでいい簡単なお仕事なはずであり、

戦闘が必要となる任務ではないはずなのだが……

『電気』の件聞いていると、やはり万が一を考えてしまう。

947: 2015/04/03(金) 15:44:48.25 ID:2ymeu+Jqo


「いざとなったらさ、ぱぱっと逃げちゃおっか。それはもう脱兎の如くって感じに」

「そうっすね、深追いはしなくてもいいってサクライさんには言われてっし……

 つかぶっちゃけ監視任務の続行自体は、遠くからでも出来ますし」

芽衣子の提案を、『鏡』は了承する。


彼の能力による追跡は、別に彼自身が対象の近くに居る必要は無い。

対象の近くに対象を映す”鏡”が存在していれば、彼は何処からでもそれを確認できるのだから。


監視しているカースが、人里を離れ、鏡の少ない場所ヘ向かった場合や、その他何か変化があった場合に、

すぐに対応が出来るよう、なるべく近くで様子を見てこそ居るが、

監視対象は今のところ”鏡”の能力の適用範囲から出る様子はないし、

これと言った変化さえも、飽き飽きするほどに無い。

万が一があれば、その場から緊急離脱したって構わないだろう。

948: 2015/04/03(金) 15:45:27.49 ID:2ymeu+Jqo

「私はそのためにここに居るんだしね?」

芽衣子の能力ならば、離脱だって一瞬である。

よって、芽衣子の傍に居る限りは、最悪の場合の段取りも特に必要はない。

「頼りにしてます」

「えへへ、芽衣子にお任せだよっ!」

厚い信頼を寄せて居る事を言葉にして伝えれば、

芽衣子は胸を張って、はにかんで答えてくれた。


しかし、まあ……

つまらなかった1人仕事が、可憐な一輪の花が傍にやって来たと言うだけで大違いである。

仕事中だと言うのに不真面目な事ではあるが、

これから過ごす二人きりの時間が、『鏡』は楽しみで仕方ないのであった。


「ははっ、それじゃあ、そう言う事で、楽しいお仕事を続けるとしますか」

さて、そんなこんなでやる気も出てきた彼は、

再びコンパクトミラーを取り出すとパカッと開き……


「……あ?」

そこに映っていた景色に眉を顰めた。

949: 2015/04/03(金) 15:45:59.92 ID:2ymeu+Jqo




”監視対象”が映っていない。



 

950: 2015/04/03(金) 15:46:25.32 ID:2ymeu+Jqo

彼が見ていない間も、

コンパクトミラーは監視対象であるカースを追尾し、

自動的に”それ”の映る鏡の景色を投影するはずであったが……


そこに映っていたのは、

何の変哲も無い、夜の町並みであって、

追っていたカースは、なんと少しの影さえもそこに映ってはいなかった。


「……やべ、しくったか?」

彼が能力を発動し、追尾する対象が鏡に映らない場合、

その理由は大きく分けて2つである。

――監視対象が、彼の能力の適用範囲から出てしまったか。

――監視対象の、存在自体が消えてしまったか。

そのどちらかだ。

951: 2015/04/03(金) 15:47:01.65 ID:2ymeu+Jqo

ただし、後者の場合は、手に持っている鏡は遠景を映す事はなく、普通の鏡に戻って自身の顔を映すはずなので、

今回は前者と言う事になる。

カーブミラーや停止車両の犇く、この都会の中においても、

1つの鏡も映らない空白地帯は少ないながらも存在する。

どうやらカースは、その空白地帯に紛れ込んでしまったのだろう。


「どうしたの?」

芽衣子が不思議そうに、彼の鏡を横から覗き込む。

「……いえ、ちょっと監視対象を見失ってるみたいで」

「えっ」

「あっ!だ、大丈夫っすよ。対象がまたどこかの鏡に映ればすぐに復旧するから」

実際のところ、大して問題ではない。

監視対象が空白地帯から出て来て、また何らかの鏡に映りさえすれば、

再び、彼の能力による自動追尾は開始するのだから。


「それに加えて直接ここからも覗いて、探してみますしね。

 今この鏡に映ってる景色は、対象が最後に映った鏡からの景色なんで……

 この感じだと、そんなに離れてはいないっすよ。ここからも探せば、すぐに見つかりますんで」

首に紐を繋いで引っ掛けていた双眼鏡(暗視機能付)を手に取り、彼は自信を持って答える。

「そう?それなら……いいのかなぁ…」

952: 2015/04/03(金) 15:48:15.78 ID:2ymeu+Jqo


”増援に来た芽衣子さんとたのしくおしゃべりしていたら、対象を見失いました。”

なんて間抜けな形で任務失敗とはいかないだろう。

幾らなんでもちょっと浮かれすぎていたかもしれない。と軽く反省する。

『鏡』は息を吐いて、気を引き締めると、

双眼鏡を通して地上を見下ろし、対象が最後に映った鏡の付近を眺めた。

わざわざビルの屋上に居たのもこんな時のためである。


「さてと、どこに行ったのかね」

地上を見下ろしながら、時折、新しく取り出したコンパクトミラーの景色を切り替えて、

そちらも交互に覗きながら周辺地域一帯をくまなく探る。

目を離してからそれほど時間はたっていないのだ。集中して探せば難なく見つかることだろう。


「任務なんだから監視対象から目を離したらダメだよ?」

「うぐ、それを言われると痛いっすね……けど本当すぐ見つけるんで」

地上を眺める彼の後ろから、芽衣子が注意する。

注意されても当然の凡ミスであったために『鏡』も言い返せずであった。


「次は、目を離さないように……しっかり気をつけなきゃね」

「……りょーかいしてますよー」

双眼鏡から覗く景色に集中しながら、どこか適当な返事を返す彼の背中を、

芽衣子はほんの少しだけ心配そうに見つめながら、小さなため息を吐く。

そして彼女は、手に持っていた拳銃の銃口を、静かに、気づかれないように彼の頭へと向けると、

素早くその引き金を引いた。



――パンッ

953: 2015/04/03(金) 15:49:21.45 ID:2ymeu+Jqo




――

―――

――――



UB「七つの罪を重ね合わせて生まれる『原罪』」

UB「しかし、惜しくもその段階までは至れなかった『劣化原罪』」

UB「『裏切り』のカース」


『英知』の声の響く地下施設。

そこにある機械に繋がれた1つの容器の中は、

奇妙な山吹色の液体に満たされており、

中央には、こぽりこぽりと音を立てて白銀色の核が浮かんでいる。


UB「そなえる”力”は『偽造と偽装』」

UB「なるほど、”偽る”力は、”裏切り”のための刃なのだろう」


突如、液体中に浮かんでいる核がひび割れた。


UB「……私も”これ”の性能を測る実験を、お嬢様とともに行ったが……」

UB「”君”の力の効力は、”劣化”と言えど流石の一言だ」

UB「まさか……」

954: 2015/04/03(金) 15:49:56.22 ID:2ymeu+Jqo






UB「大罪の悪魔さえ騙しきるとはな」


ひび割れ、音も無く砕け散った核は、

徐々に小さくなり山吹色の液体の中へと溶けて消えていった。

955: 2015/04/03(金) 15:50:21.40 ID:2ymeu+Jqo


――――

―――




「っが……あっ?」


自分の身に何が起こったのか理解が遅れた。

すぐ傍で、何か大きな音が鳴った気がする。

あり得ないほどにガンガンと、あり得ないほどにジクジクと。

何かが流れ出ているような。

そして何より

――熱い。


「がぁぁああああ――っ!」

熱い、熱い、熱い。

あまりの熱さに倒れてもがく。


「あー、一発ではダメだったか。やっぱり私ヘタクソかな?」


まるで頭の中に直接響くように、嘘の様な優しい声。


「――な、な、なんでっ…」

震えながら必氏に搾り出したのは、疑問の言葉。

956: 2015/04/03(金) 15:50:55.95 ID:2ymeu+Jqo


「なんでって……変な事聞くんだね?」


ガンガンと、ジクジクと、煩い音が響く頭の中に、

彼女の声はとてもクリアに聞こえていた。


「そんなにおかしいかな?あなたが今、私に殺されようとしていることが?」


まるで日常会話でもしているかのような小気味のよい口調。

それは、今の状況からまるでズレていて……それが、とても不気味で……あまりに、気持ちが悪かった。



「ちが……うっ」

違う。

こいつは違う。


「お前は……だれ…だっ」

「誰って……君もよく知ってるよね?私は…」


「並木芽衣子だよ?」

”それ”はにっこりと笑うと、戸惑うことも無く、当たり前の様にそう答えた。

957: 2015/04/03(金) 15:51:31.66 ID:2ymeu+Jqo

「ちがう……っ、芽衣子さんは……こんなっ……ぐっ」


「もお、違う違うって、駄々を捏ねたってダメだよ?

 私は私なのに……いったい何が違うって言うのかな?」


「……それはっ……」


あり得ない。絶対的にあり得ない。

今、自分の目に映っているそれは、

普段の”芽衣子さん”の様子からは想像もつかない。


「…………あなたの考える”並木芽衣子”からは想像もできない?」

「なっ……」

まるで心を読んだかのように、それは言葉をつむぐ。


「ふーん、そっかぁ……うん♪

 そう思うんだとしたらきっとね――


 今までずっと…――あなたは本当の私を見ていなかったんだよ」


「………何を……言って」

「明るく朗らかで、優しくて、どんな時にでも自分に笑顔を向けてくれる。そんな素敵な女の人……

 なーんて、とっても都合が良いよねえ?

 でも、それって、あなたの理想を私に押し付けてるだけじゃないのかな?」

「なっ……」

「あなたは本当に、”私”を見ていた?」

958: 2015/04/03(金) 15:52:22.44 ID:2ymeu+Jqo


「……」


「芽衣子さんは仲間だから、こんな事をするはずがない、だから目の前に立ってる私が私じゃない。


「……」


「そんな風に思うのは勝手だけれど……でも

 あなたが、”本当の私の何を知ってる”って言うのかな?」


「……」


冷え切っていた。

先ほどまであれほど熱く彼を苦しめていた痛みは、

屋上に吹く風が傷口を通り過ぎるたびに奪われ、今度は凍えそうな程に冷たくなっていた。


「……」


「答えられないんだ?」


「……ち……ち……がう」


長い沈黙の末、震えながら『鏡』がようやく口に出した言葉は先ほどと変わらず。

それは、最後の抵抗であったのだろうか。

959: 2015/04/03(金) 15:52:56.37 ID:2ymeu+Jqo


「でも返事が遅れたよね?それはつまりきっと……やっぱりそう言うことなんだろうね……

 口では仲間だ仲間だって言ってても、結局はそんなもんかぁ、なんだか、がっかり」


「………ちが……うっ」


「はいはい、最後まで言い訳をしながら氏んだらいいと思うよ」


そして、その言葉が彼の耳に届いた最後の言葉だった。



「さよなら、役立たず」



――パンッ

960: 2015/04/03(金) 15:53:27.41 ID:2ymeu+Jqo





今度こそ、心音は止まった。

男はもがくことなく絶命し、ぴくりとも動かなくなった。


芽衣子「……」


その場に残されたのは、拳銃を持つ1人の女。


芽衣子「……」


いや、


芽衣子「……」


芽衣子「……」


芽衣子?「……あはっ」


”それ”は、女の姿を模した”何か別のもの”。

961: 2015/04/03(金) 15:53:56.12 ID:2ymeu+Jqo




芽衣子?「あはははははっ!」



笑う、笑う。それは笑う。

手を大きく広げて、夜空に向けて笑う。

踊るように回りながら子供のように、とても楽しそうに。


芽衣子?「やった、やった!これで……これで自由っ!」

芽衣子?「あんな狭苦しいところからも開放されたし、監視の目もこれで無くなった!」

芽衣子?「自由かぁっ!あはっ!なんって素敵な響きなのかな!」

パキッ

芽?子?「あ……れっ?」


突如、彼女の目元がひび割れた。まるで卵の殻のように。

ひび割れた肌からポロポロと顔が崩れ落ちる。


芽?子?「……あぁ……そっか、『鏡』さんが氏んじゃったから……」

芽?子?「『鏡』さんの記憶から構成していた私の姿がほつれちゃってるんだ……」



顔が崩れた穴の内側からは――


――真っ黒な泥が、こぽこぽと零れ落ちている。


零れ落ちる泥を抑え留めようとするかのように、”それ”は目元を手で押さえた。

962: 2015/04/03(金) 15:54:39.49 ID:2ymeu+Jqo



――

―――

――――



UB「まあ……なんて事は無い」

UB「”君”が偽造と偽装の力を持つことを知った時、私は私の目的のためにちょっとした手回しをすることを決めた」

UB「そう、すり替えだ」

UB「放流する予定だった失敗作のうちの1体と、『劣化原罪』である”君”をただすり替えた」


UB「”君”の力は、他人の記憶から”見せかけの殻”を作り出す」

UB「故に、この実験室に残された失敗作が、お嬢様には『劣化原罪』に見えていたであろうし」

UB「放流された”君”が、監視者には『ただの失敗作』に見えていただろう」


それが、地下施設の箱の中に閉じ込められていた英知が、

自身の自由を得るために打った一手。

『劣化原罪』が備えていた能力を使った、裏切りの一手。


UB「っくっくっくっく、外に出られない私が唯一出来た、半ば博打染みた悪戯のような計画だったが」

UB「しかし、結果としてはこの上ないほど!全てが上手くいった!」


UB「”君”の力でお嬢様を騙しきり……そして、気付かれないままに”君”を外の世界へと連れ出す事ができた」

UB「替え玉作戦は大成功と言ったところかな?」

963: 2015/04/03(金) 15:55:34.49 ID:2ymeu+Jqo



こぽり。

山吹色の液体に満たされた容器の中に、再び白銀の核が浮かび上がった。


UB「さて、この通り。2つ目の『劣化原罪』もと見かけだけはとりあえず整えた」

UB「これでお嬢様が戻ってきても継続して騙し通せるだろう」


先ほど崩れてしまった偽装の核の代わりに、予め作っておいた2つ目を浮かべる。

計画が露呈してしまわないように、機を見てすり替えた偽者は廃棄するつもりであったが、

『強欲』の悪魔が外出が長引くこととなったために、そのチャンスは想定よりも早く巡ってくる事となった。



UB「私の仕事はここでおしまい」

UB「後は、”君”が送ってくる”成果”を待つだけか」


UB「っくっくっくっく!では頼んだぞ、『裏切り』のカース」


己の計画を押し通した知恵持つ呪いは、心底、愉快そうに笑うのだった。

964: 2015/04/03(金) 15:56:20.14 ID:2ymeu+Jqo


――――

―――





芽衣子?「……うん、これで大丈夫かな」


抑えていた手を離すと、崩れていた顔は元通り。

ひび割れていた肌は、綺麗に整っている。


芽衣子?「でも、油断するとまた割れちゃうかも?」

芽衣子?「どうにかしないと……」

芽衣子?「……けど、『記憶』から構成した私の姿を維持するには……」


チラリと、”それ”は、

傍でくたばっているかつて『鏡』と呼ばれていた肉に目を向ける。


芽衣子?「……君から得た”負の感情”、それに付随する『記憶』がこの姿の材料」

芽衣子?「あっちゃー、氏んじゃったらもう”負の感情”を吸い上げられないよねえ……困ったなあ」


大弱りと言った感じに”それ”は頭を抱える。


芽衣子?「…………そう言えば、”私”には一応、『暴食』の力も備わってるんだっけ」

芽衣子?「『暴食』を使えば氏んじゃったお肉からも、『記憶』を吸い上げられるかな?」


『暴食』のカースの中でも、強力なものは、

喰らったものの能力を吸収することがあると言う。

ならば、もし『暴食』の力を使えるのならば、目の前の肉から『記憶』を抽出することもあるいは……

965: 2015/04/03(金) 15:57:02.35 ID:2ymeu+Jqo

芽衣子?「いやいや、ないない」


自らの思い付きを、”それ”はあっさり否定する。


芽衣子?「だってさ……すっごく抵抗あるよ?私自身人間なんだから共食いなんてするわけないし」

芽衣子?「仮にも君は仲間だったんだから、仲間を食べたりするのは絶対に変だと思わない?」


どこか変てこな理屈を並べて、何故か氏体に対してそれは言い訳を述べた。


……

芽衣子?「……」


当然、返事などは返ってくるわけがなく。


芽衣子?「あーっ……もう、このままだと本当ダメかも……」

芽衣子?「殻が解れちゃったせいかなあ……思考もだんだん”それっぽく”なくなってきてる気がする……」


自分の行動があまりにも”らしくなかった”事に気付き、それは落ち込んで項垂れた。

966: 2015/04/03(金) 15:57:36.47 ID:2ymeu+Jqo


芽衣子?「…………そうだね、それじゃあ当面の目標としては」
                  カ ラ
芽衣子?「早急に、次に被る『記憶』を見つけないといけないかな?」

芽衣子?「あはっ、よし、決まりっ♪」


気分を切り替え、立ち上がる。

目指す目標は決めた、後は行動あるのみ。


芽衣子?「まずは何処の誰に会って、誰の”友達になろう”かなあ……」

芽衣子?「ふふっ、外の世界の旅、楽しみだね♪」


さて、帽子を深く被りなおすと、ニンマリと笑って、それは行動を開始する。



外の世界に出た、”その呪い”は果たして何をもたらすのだろう。



おしまい

967: 2015/04/03(金) 15:58:30.56 ID:2ymeu+Jqo


鏡<ミラー>

所属:櫻井財閥『エージェント』、超能力者
属性:年若い遠視能力者
能力:遠視能力『ミラーコネクト』

櫻井財閥のエージェントに属する超能力者の1人。
遠視能力『ミラーコネクト』を用いて、遠くの物を監視・追跡したりするのが彼の主な仕事。
青臭い若者であり、何かと甘っちょろい。喫煙者だが、彼が煙草を吸う理由はもちろんカッコイイから。
仕事に勤勉でない。金銭関係にもルーズ。と、あんまり良い所はない。
しかし彼は、『エージェント』の同僚の事を”仲間”であると考えており、
一緒に仕事する人間それぞれとの関係を大切にし、全員の事をとても信頼していたようだ。
適当で不真面目な男だがどこか憎めない。


『ミラーコネクト』

限定的な遠視能力。触れた鏡に別の鏡に映る景色を映し出すことが出来る力。
1つの鏡に付き映し出せる景色は1つだが、個数に制限は無く、映し出す鏡の切替は自由。
また追尾機能もあり、特定の対象が映る鏡を追うように、自動的に映す景色を切り替える設定にも出来る。
ただし追尾対象に設定できる物は1つまでであり、追尾機能を付加できる鏡も1つだけ。

彼の能力は現段階ではあまり強力な物ではなく、上位互換となる能力者も珍しくはない。
しかし超能力の多くは使えば使うほどに成長するもの。
特に彼の様に若い人間であれば、切欠次第で急激な成長を見せるもので、
サクライPは彼の将来性に期待していたようだ。



並木芽衣子(?)

所属:???
属性:???
能力:???

鏡<ミラー>の大切にしていた同僚の1人。
優しくて、いつも楽しそうで、朗らかな笑顔がとても素敵な理想の女性。

そう思うのは勝手だけど、もしも私が”理想的”で無かったら?
理想を勝手に押し付けておいて、そうじゃなかったら勝手に失望するのかな?
君の見ている”私”は、本当の”私”?

968: 2015/04/03(金) 15:59:27.22 ID:2ymeu+Jqo


劣化原罪/『裏切り』のカース

職業:カース
属性:裏切り
能力:人真似

財閥が作り出した劣化原罪のカース。マンモンによって『裏切り』と名づけられる。
原罪の製造工程の副産物として産まれただけあり、人と変わらないほどの高い知能を持つ。

カースの変形する能力と周囲の感情を受け取る能力を応用して、他人に化ける事が出来る。
特にカースは強い思いを受け取りやすいために、特定の誰かに強く思われる大切な者の姿を借りる。
そしてカースは負の思いを増幅させるために、その誰かにとって非常に都合の悪い姿へとそれを変える。
つまりは大切な人の見たくない姿をまざまざと見せつけてくると言う、存在自体が悪意に満ちている呪い。

付け狙われた者にとっては、大切な人の姿でそこに居るだけでも許しがたく、
一言でも喋ればそれだけで憎い存在となる。許しがたいがために、そこに負の感情さえも芽生えさせてしまう。
「可愛さ余って憎さ100倍」と言う訳ではないが、
大切な存在に関連付けられて生まれる負の感情は強く、「裏切り」はそう言った強い感情を好んで自身の力にする。


『メモリアルイーター』

裏切りのカースの能力。思い出喰い。
カースの多くは周囲から感情、つまり思いを受け取るが、
裏切りのカースはついでとばかりにその感情に付随する思い出も吸い取る。
そのため近くに居るだけで、それは他人の心の内の全てを見透かす。
この能力によって得た情報は、『イマジネーショントレース』と併用して自分を包む殻として利用する。


『イマジネーショントレース』

裏切りのカースの能力。偽造能力。
カースの多くは必要な機関を泥から自力で造り出すが、
裏切りのカースは、特に泥を使ってコピーを造り出す事に特化する。
裏切りのカースの造り出すコピーは『メモリアルイーター』によって吸い取った思い出を使うために精巧であり、
人の記憶から直接コピーするために、”本物よりも本物らしい”を実現する。
この能力は、自身の核の偽者を造ったり、他人を欺くための殻となる身体を造るのに利用したりする。
また他人の所有する道具(銃器など)も、(簡易的なものである限り)偽造して扱える。
偽者を造り出す事に特化する力であるが、反対にゼロから造り出すのは苦手としている。創造主の真似事はできない。

969: 2015/04/03(金) 16:01:30.37 ID:2ymeu+Jqo

以上、アイドル全然登場してねえええええっ
な、お話でございました。
実質的に登場したアイドルは通信先のちゃまだけとかです……

ちゃまに原罪の説明してた頃はとっくに裏切ってたUBちゃんのお話でした
1年以上も前に立てたフラグを今頃回収する奴です
おかげで出てきた『裏切り』ちゃんですが……そのうち、何かできたらいいかなぁ…


ところで途中で登場した酔っ払い、
まるでどこかの誰かみたいですが「他人の空似」です
色々と展開変えたり書き直したりしてる内に、また挟み込むことに決めた時系列的にも、
ピ……おほんっ、とはまったく関係ない人になりました
(この話、書き始めたのがいつ頃かがなんとなく察せるかもしれない)
ピ……どこかの誰かが酔っ払ってた日は悪事の件数少なかったみたいだし、ああーこれは間違いなく関係ない人だわー……
うん……世の中には似たような酔っ払い方してる人もいてもおかしくないしなー……だからセーフセーフ……

……言い訳はこんなところいいでしょう。

と言うわけでピィをお借り……んんっ!じゃなかったわー、関係ない人だよー関係ない人ー(棒読み)
何のことかは分かりませんが、お借りさせていただきました!
ありがとうございます!本当に何のことかは分かりませんが!(某熊○ェット風に)

970: 2015/04/03(金) 23:22:29.55 ID:c+C6lj+M0
乙ですー
鏡さんが割と氏ぬのが惜しい人だった…というか最期が可哀想すぎる
裏切り怖いんですけど…アイドル達がものすごい勢いでヤバイ事になりそうな能力なんですけど…
酔っ払いかー似た酔い方するひとっていっぱいいるんだねぇー(棒)

というわけで自分も投下です
学園祭2日目、そろそろ幕を閉じるぞー



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11