穂乃果の部屋

ほのか「ねえねえ、きょうはなにしてあそぼっか？」

ことり「うーん…」

うみ「そうですね…」

ほのか「せっかくだからどっかとおくにあそびにいこうよ！みてみて！こどものひだからこんなにいっぱいおこづかいもらっちゃった！」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

うみ「まったく…ほのかはすぐにおこづかいをつかおうとするんですから。すこしはちょきんすることをおぼえてください」

ほのか「うぅー…うみちゃんはおかあさんみたいなことばっかりいうんだからー。ことりちゃんはどうおもう？」

ことり「……」

ことり「……」ｼﾞｰｯ

ほのか「ことりちゃん？」

うみ「ことり？どうかしましたか？」

ことり「あっ…ごめんね、なんでもないよ。ただ…」

ほのか「ただ？」

ことり「ほのかちゃんとうみちゃんがうらやましいなーって…」

ほのか「…なんで？」

ことり「こいのぼりが…あるから」

ほのか、うみ「……？」

ことり「…あのね、うちのおかあさんはあんまりそういうのにきょうみないみたいなの。だから、うちにはむかしからこいのぼりがなくって…」

ほのか「そうなんだ…」

ことり「それでね、うみちゃんのおうちにもほのかちゃんのおうちにもりっぱなこいのぼりがあってすごいなぁ…って」

ほのか「そっか…ほのかもそうだけど、うみちゃんのおうちのこいのぼりはもっとすごいもんね」

うみ「そうですね…うちはおかあさまとおとうさまがねんじゅうぎょうじをおもんじるかたですから…」


ことり「いっかいでいいから、うちにもこいのぼりをかざってみたいなぁ…」

ほのか・うみ「ことり（ちゃん）…」

ほのか「よーしっ！ことりちゃんのためにこいのぼりをよういしよう！」

うみ「しかし…こいのぼりはなかなかねだんがはりますよ？わたしたちのおこづかいをあわせてもたりるかどうか…」

ことり「だめだよそんなの！ことりのためにふたりがおこづかいをつかっちゃうなんて…」

ほのか「だいじょうぶだいじょうぶ、おかねはつかわないから」

うみ「えっ…どうするつもりなんですか？」


ほのか「よーしょくすればいいんだよ！」

うみ「は？よーしょく…？」

ほのか「そう！まぐろとかでやってるじゃん！」


うみ「もしかして…養殖のことですか？それはむりですよ、あれはいきたさかなを…」

ことり「でもうみちゃん、このあいだニュースでやってたよ？にしきのびょういんがせかいではじめてこいのぼりのようしょくにせいこうしたって」

うみ「それほんとうですか？」

ほのか「とにかくやってみようよ！ここにこいのぼりがあるんだから！」

―――――――――――

父鯉のぼり「」

母鯉のぼり「」

子鯉のぼり「」


海未「さて、こいのぼりをゆかにならべてみましたが…」

ことり「どうやったらこどもができるんだろう…？」

ほのか「うーん…キスとかかな？」

うみ「きっ、き…そんなのはれんちです！//」

ほのか「えー、だってキスしないとこどもができないよ？それに、うみちゃんだってしょうらいすきなひととキスするんだよ」

うみ「わたしが…き…あぁぁぁっ///」

ことり「あはは…」

ほのか「うみちゃんはほっといてやってみよう！」

鯉のぼり「ぶちゅー」ﾁｭｯﾁｭ

鯉のぼり「……」

ほのか「あれ、もういっかいやってみよう」

鯉のぼり「ぶちゅー」ﾁｭｯﾁｭｯ

ほのか「……」

鯉のぼり「……」

ほのか「なんにもおこらない…」

うみ「ほのか、やはりわたしたちにはこいのぼりをようしょくするなんてむりですよ」

ほのか「そうだ！にしきのびょういんにやりかたをききにいってみよう！」

うみ「ばしょはわかるんですか？」

ことり「びょういんのばしょはわからないけど、にしきのさんのおうちならしってるよ。おかあさんのしりあいだからいったことあるんだ」



真姫ハウス

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ほのか「すいませーん！」

ｶﾞﾁｬ

まき「あなただれ？なんのよう？」

ことり「あっ、まきちゃんひさしぶり！」

まき「ことり…？」

ほのか「ねえまきちゃん、ほのかたちこいのぼりをようしょくしたいんだけどうまくできなくて…やりかたしってる？」

まき「そんなのかんたんでっしょー！このほんにかいてあるとおりにやればいいのよ」

ことり「なにこれ…」

うみ「鯉のぼり…孕ませ入門？」

まき「そう！うちのパパがかいたのよ！ひゃくまんぶとっぱのだいベストセラーよ！」

ほのか「孕ませって…なんだろう？」

まき「さあ？でもたぶん、こどもができるっていみなんじゃない？」

ことり「だったら…このほんがあればこいのぼりをようしょくできるのかも！」

ほのか「ねえ…このほん、ちょっとかりてもいい？」

まき「ほんとうはひゃくまんえんするんだけど、とくべつにさーびすしてあげるわ。でも、そのかわり…」

ほのか「なに…？」

まき「またうちにきて。こんどは…なにかごちそうをよういするから」

ほのか「うん！ありがとう！」

――――――――――――


公園

鯉のぼり「」ｽﾞﾗｰッ

ほのか「おぉ…うみちゃんちのこいのぼりはやっぱりすごいね」

ことり「うん…ありがとううみちゃん、わざわざもってきてくれて」

うみ「いえ。それよりこの『鯉のぼり孕ませ入門』にあるとおりにやってみましょう」

ことり「そうだね！ええっと…どうすればいいのかな」

うみ「うーん…このほんによると、『はらめ！はらめ！』とさけびながらこいのぼりのおひれをもうかたほうのこいのぼりのくちにぬきさしすればいいらしいです」

ほのか「えっ、それだけでいいの？じゃあほのかはこっちをやるからうみちゃんはそっちでやってみて」

うみ「わかりました」


ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

うみ「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

鯉のぼり「……」

ほのか「おっかしいなー…なんでなんにもおこらないんだろう…」

ことり「あっ！ほのかちゃん！それふたりともおとうさんこいのぼりだよ！」

ほのか「ええっ！？ホントだ！」


父こいのぼり「」ﾋﾟｸﾋﾟｸ


ことり「うみちゃんのおうちのこいのぼりとまざっちゃったんだね…。それじゃあこどもができるわけないよ」

ほのか「そっか…」

うみ「ですが、こちらはこどもができましたよ」


赤ちゃん鯉のぼり「おぎゃあー」

母鯉のぼり「」ﾋﾟｸﾋﾟｸ


ほのか・ことり「！？」

ほのか「うみちゃんのほうはおかあさんどうしなのに…おんなどうしでもこどもができるの？」

ことり「そう…なんだろうね。だってできちゃってるもん…」

ほのか「これはだいはっけんだようみちゃん！！」

うみ「はい」


ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｰ


ほのか「はらめ！はらめ！」

ｵｷﾞｬｰ


ほのか「おぉ…どんどんうまれるよ」

―――――


ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｬ


ほのか「ふぅ…これだけやればじゅうぶんかな…」

うみ「すごいですね…」

ことり「ほのかちゃん、うみちゃん、ありがとう…」

ほのか、うみ「どういたしまして！」

ことり「えへへ…」

うみ「ふふっ…」


ほのか「…ねえうみちゃん、ことりちゃん」

ほのか「おんなのこどうしでこどもができるってことは…もしかして、ほのかたちにもできるんじゃない？」

うみ、ことり「！？」

うみ「ほのか、まさか…」

ほのか「うん！ほのかたちでこいのぼりをはらませよう！」

うみ「しかし、にんげんとこいのぼりのこどもなんてできるわけが…」

ほのか「だいじょうぶ！ほのかきめた！やるったらやる！」


ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

ﾎﾞﾄｯ


ほのぼり「ﾌｧｲﾄﾀﾞﾖ！」


ほのか「できた！」

ほのか「うみちゃんもやってみてよ！」

うみ「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ


うみのぼり「ﾗﾌﾞｱﾛｰ！」


うみ「できました！」


ことり「じゃあことりも！」

ことり「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ


ことのぼり「ﾁｭﾝﾁｭﾝ！」


ことり「できた！」


ﾌｧｲﾄﾀﾞﾖ！　ﾗﾌﾞｱﾛｰ！　ﾁｭﾝﾁｭﾝ！


ことり「すごいよ！おかおはことりたちにそっくりだね！」

うみ「からだはこいのぼりそのものですけどね」

――――


ほのぼり「ﾌｧｲﾄﾀﾞﾖ！」

うみのぼり「ﾗﾌﾞｱﾛｰ！」

ことのぼり「ﾁｭﾝﾁｭﾝ！」

ｷｬｯｷｬｯ


ことり「…あのこたち、もうなかよくなっちゃったんだね」

うみ「はい、まるで…」


うみのぼり「ｺﾄﾘｰ！」

ことのぼり「ﾊﾉｹﾁｪﾝ！」

ほのぼり「ｳﾐﾁｬｰ！」


うみ「わたしたちをみているみたいですね…」

ことり「えへへ」

うみ「ふふっ」

ほのか「うみちゃん…」

うみ「ほのか…」


ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

うみ「ひぃぃぃ！///」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

ことり「ほ、ほのかちゃん！おちついて！」


ほのか「あっ…」ﾋﾟﾀｯ


うみ「な、なにするんですか！//」

ほのか「ごめん、つい…」

うみ「ついでわたしをはらませようとしないでください！」

ほのか「そんなことより、そろそろくらくなってきたね」

うみ「そうですね、そろそろかえりましょうか」


ことり「ふたりとも…きょうはありがとう！」

ほのか、うみ「どういたしまして！」



ほのか「ほのぼりー、かえろうー」

ほのぼり「ﾌｧ…ﾌｧｲﾄ…ﾀﾞﾖ」ﾌﾗﾌﾗ

ほのか「ほのぼり？」


うみのぼり「ﾗ…ﾗﾌﾞｯ…」ﾖﾛﾖﾛ

うみ「うみのぼり！」

ことのぼり「…」ﾊﾞﾀｯ

ことり「み、みんなどうしちゃったの！？」

ﾊﾞﾀｯ　ﾊﾞﾀﾝｯ

ことり「まさかびょうき！？そうだ！『鯉のぼり孕ませ入門』をよめばなにかわかるかも…」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

ことり「……！？」


ほのか「ほのぼり！ほのぼり！」

ほのぼり「…」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

うみ「うみのぼり！」

うみのぼり「…」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

ほのぼり・うみのぼり・ことのぼり「」ｷﾗｷﾗ


ほのか「ほのぼりたちがひかってる…どういうこと？」


ことり「ほのかちゃん、うみちゃん、これをみて」

ほのか「…えっ」

うみ「まさか…」


ことり「うん、こいのぼりのじゅみょうはいちにちだけなの。くらくなるときえちゃうみたい」

ほのか「そ、そんなはずないよ！だってうちのこいのぼりはいままでずっと…」

うみ「そうですよ！うちのこいのぼりだって…」

ことり「あれはやせいのこいのぼりだもん。ことのぼりたちはことりたちがはらませたようしょくのこいのぼり」

ほのか・うみ「そんな…」

ことのぼり「ﾊ…ﾊﾉｹﾁｪﾝ」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

うみのぼり「ﾎ…ﾎﾉｶｧ！」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

ほのぼり「ｳﾐﾁｬｰ…ｺﾄﾘﾁｬｰ…」


ほのか「あのこたち…せっかくなかよくなれたのにもうおわかれなんて…」

うみ「そんな…そんなのかなしすぎます！」


ことり「ことのぼり…」

ことのぼり「」


ことり「…ありがとう」


ｻｧｰｰｯ


ことのぼりたちはおほしさまになりました

――――――――

一年後



ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｰ　ｵｷﾞｬｰ

ほのぼり軍団「「ﾌｧｲﾄﾀﾞﾖ！」」


ほのか「ひゃー！ことしはほうさくだねぇ！」

うみ「それもこれも、きょねんのうみのぼりたちがのこしてくれたおひれのおかげです。すごいはんしょくりょくですね」

ことり「……」

うみ「ことり？どうかしました？」

ことり「いのちって…こうやってつながっていくんだなぁっておもって、ちょっとかんどうしちゃった。うみちゃんもそうおもわない？」

うみ「はい？」

ﾊﾉｹﾁｪﾝ　ｳﾐﾁｬｰ　ｺﾄﾘｰ　ｷｬｯｷｬ

ほのか「よかった…ほのぼりたちもよろこんでるみたいだね」

うみ「はい、それに…」ﾁﾗｯ


まきのぼり「ﾃﾞｯｼｮｰ！」

りんのぼり「ﾆｬ！ﾆｬ！」

はなのぼり「ﾊｸ！ﾏｲ！」

のぞのぼり「ﾔﾝ！ﾔﾝ！」

えりのぼり「絢瀬絵里」

にこのぼり「ﾆｺｯ！」


うみ「あたらしいおともだちも…たくさんできたみたいですね」

ことり「みて！あのこたちみんなでうたってる！」


ほのぼりたち「やねよーりーたーかーい♪こいのーぼーりー♪」


ほのか「……」

ほのか「ほのぼりたちにはいっぱいともだちがいるんだね」

ほのか「なんだかうらやましいな。ほのかも…」

ほのか「…よしっ！」

ほのか「うみちゃん！ことりちゃん！」

ことり「なに？」

うみ「なんですか？」

ほのか「ほのかも…あたらしいおともだちがほしいな」

ことり「えっ！ほのかちゃん…」

うみ「まさか…」


ほのか「はらめ！はらめ！」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

うみ「あひぃぃ//」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ

ことり「おひょぉ//」ｽﾞﾎﾞｽﾞﾎﾞ


ﾎﾞﾄｯ

ほのみ・このか「おぎゃー」


ﾌｧｲﾄｱﾛｰ！　ﾁｭﾝﾀﾞﾖ！


おわり

えりのぼりクソワロタ