250: ◆svsd2HZT5E 2012/07/16(月) 22:57:18 ID:u33d1Eu20
宇宙、それは最後のフロンティア

これは宇宙船「ワカバガールズ号」が、任務を続行し未知なる世界を探索し

新たなる生命と文明を求め

人跡未踏の宇宙に勇敢に航海した物語である!

251: 2012/07/16(月) 22:57:43 ID:u33d1Eu20


宇宙軽音大作戦 『絶体絶命!宇宙生物トンちゃん襲来!』
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)
252: 2012/07/16(月) 22:58:10 ID:u33d1Eu20

ジャージャジャジャーン

ワカバガールズ号 ブリッジ

機関士・純「あー暇だなあ」

船長・梓「なんで機関士の純がブリッジにいるのよ」

純「だっていつもみんなブリッジにいるのに私だけ機関室で寂しいんだもん」

航海士・憂「平和な証拠だよ、梓ちゃん」

操舵手・直「しかし、ここ数ヶ月何の発見もなく平和に航海を続けてるというのは、探査船としてはどうなんでしょうか」カタカタ

通信士・菫「ちょ、ちょっと直ちゃん!」

梓「うう……もっともな意見だけどこればっかりはどうしようもないよ」


ピー ピー ピー

「!?」

253: 2012/07/16(月) 22:58:59 ID:u33d1Eu20
憂「あっ!センサーに反応!」

梓「すぐに分析して!全船緊急配備!」

純「よかったね梓。お望みの非常事態だよ」

梓「いいから早く機関室に戻りなさい!」

憂「この反応は……生物!近くに宇宙生物の群れがいるよ!」

直「宇宙生物。調査のやり甲斐がありそうですね」

菫「ちょっと怖いけど……」

梓「ふふ、これが私たちの任務なんだからだから!
  憂、すぐに正確な位置を割り出して!」

憂「よし、できたよ!」

梓「早い!さすがは憂」

憂「えへへ」

直「位置情報確認。針路を変更していいですよね?」

梓「もちろん!全速力で調査に向かうよ!ワープ準備!」

純『こちら機関室。エンジンの準備はオッケーでーす』

梓「よーし、みんな行くよ!発進!」


シュオオオオ バシュン!!

254: 2012/07/16(月) 22:59:40 ID:u33d1Eu20
直「座標の近くに到着しました」

憂「この距離だったら目視できると思うよ」

梓「モニターに表示してみて」

パッ

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no title     
                          
                         
                         




菫「これは……亀でしょうか?」

憂「可愛いねー」

直「憂先輩の感性は独特ですね」

憂「」ガーン

梓「とりあえず詳細なデータを取るよ!憂、生体スキャンを!菫は波長を解析してみて」

菫「はい!あ、船長!この生き物から大きな音源をキャッチ!鳴き声を出してるみたいです!」

梓「鳴き声?宇宙空間では声なんて聞こえないのに」

憂「もしかしたら、元々は宇宙じゃなくてどこかの星に住んでたのかもしれないね」

梓「菫、その鳴き声をさらに詳しく分析できる?」

菫「やってみます」ピピッピピッ

255: 2012/07/16(月) 23:00:42 ID:u33d1Eu20

菫「こ、これは!」

梓「どうしたの?」

菫「鳴き声を生物データベースに照らし合わせて解析したんですが・・・この鳴き声は『怒り』です!
  この亀さんは怒ってるみたいです!」

梓「そんな!なんで?」

菫「ごめんなさい!さすがに翻訳まではできません……」

梓「いや、謝らなくていいんだけど……」

直「どんな生き物でも怒る理由はだいたい決まっています。一つは自らが攻撃を受けた場合」

憂「私達攻撃なんてしてないよ?」

直「そうですね。他には縄張りを侵された場合」

梓「それだ!この亀は私達が近づきすぎたから怒ってるんだ!もうデータは十分とれたし、離れよう」

直「了解です。進路を逆転し……!?」

梓「直、どうしたの?」

直「本船後方にも生体反応……」

256: 2012/07/16(月) 23:01:08 ID:u33d1Eu20
憂「大変だよ!センサーの範囲を広げたら、この船の周囲に100体以上の亀さんを確認!」

梓「ひゃ、100体!?!?」

直「知らないうちに本船は群れのど真ん中に来てしまったみたいです」

菫「あわわわ……どの亀さんも怒りの鳴き声を発してますっ」

梓「はやく縄張りから出ないとっ!」

憂「あれ?でもおかしいよ……私達に怒ってるなら、なんでどの亀さんもこの船に見向きもしないのかな」

梓「どういうこと?」

憂「センサーで確認できる限り、亀さんはみんな同じ方向を向いて動いてるみたい」

菫「もしかして怒ってるのは私たちと関係ないってことですか?良かった……」ホッ

梓「憂、亀たちがどこに向かってるのかわかる?」

憂「ちょっと待ってね。星図情報にアクセスしてっと……」ピピピピ

憂「そんな!!!!」

菫「ひぃ!」ビクッ

憂「亀さんたちの向かってる方向……300光年先にちょうど地球があるよ!」

「!!!」

257: 2012/07/16(月) 23:01:39 ID:u33d1Eu20
梓「亀の怒りの矛先は、地球?一体どうして」

直「これは推測ですけど……」カタカタ

梓「聞かせて」

直「地球では人類の進歩の代償として、今でも日々生き物が絶滅しています。もちろん亀もたくさん絶滅したでしょう」

菫「この亀さんたちは、仲間が人のせいで絶滅したから怒ってるってこと?」

直「もちろん推測だけどね」

憂「でも大変だよ!こんなに大きい亀さんがたくさん地球に来たらひとたまりもないよ!」

梓「ん?ちょっと待って。そんなに大きいの?」

憂「うん!個体差はあるけど平均で全長200メートルくらいあるよ!」

梓「デカッ!?絶対に止めないと!」

258: 2012/07/16(月) 23:02:18 ID:u33d1Eu20
直「しかし一匹だけでもこの船の何倍もある相手をどうやって止めれば・・・」

梓「菫、とりあえず地球の本部に緊急信号を送って。最悪の場合に備えてね」

菫「了解です」

梓「直、この群れの先頭に向かってくれる?たぶん一番前にいるのがリーダー格だと思うから」

直「了解」カタカタ

梓「純」

純『……』

梓「純!応答して!」

純『えっあっはい!ごめんもう出番ないかと思ってた!』

梓「宇宙服を用意して。それと後部ハッチの解放準備」

純『了解だけど……あんたまさか』

梓「憂!しばらく私の代わりに指揮をお願い」

憂「梓ちゃん……外に出るつもりなの?危険だよ!」

梓「大丈夫だよ。あの亀さんの優しい目を見たでしょ?怒ってても凶暴には見えないし、直接向かい合って対話すれば……
  解決するかはわからないけど、悪い結果にはならないはず」

直「群れの先頭に到着しました。リーダーと思われる個体のすぐ近くです」

梓「じゃ、あとよろしく!」

タタッ カチャカチャカチャ プシュー

259: 2012/07/16(月) 23:03:09 ID:u33d1Eu20
純『後部ハッチ解放。梓、気を付けてね』

梓「もちろんだよ。行ってきます!」

バッ シュゴオオオ


梓「これは……近くで見ると物凄い迫力だ」

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no title

260: 2012/07/16(月) 23:03:51 ID:u33d1Eu20
梓「こ、こんにちは」

亀「ブオオオオオオオオオ」

梓「うっすごい振動……音は聞こえないけどすごい大声で鳴いてるのが伝わってくる」

梓「こちら梓。亀の近くまで来てるけど、まだ私のことが見えてないのかな?もうちょっと近づいてみる」

菫『はい、くれぐれも気を付けてくださいね』

フワーーー

梓「顔の目の前まで来てみたけど……おーい!亀さーん!」ブンブン

亀「!」ギロッ    

梓「あ!こっち向いた!」

亀「ギャオオオオオオオオオ!!」

梓「えっ?」

バシッ

261: 2012/07/16(月) 23:04:22 ID:u33d1Eu20
ビービービービー

菫「たたたた大変です!!梓船長との通信が途絶えました!!!」
                         
憂「え、えええ!梓ちゃん!どうしようどうしよう!」

純「憂!しっかりしなさい!」

憂「純ちゃん……」

純「あんたは副船長でもあるんだから!こういうときしっかりしなくてどうするの!」

憂「そ、そうだね!スミーレちゃん、音波探査を!」

菫「は、はい!」

ドゴォンッ

「!?」

直「亀がこの船に攻撃をしてきました!」

菫「ど、どうしていきなり?」

憂「梓ちゃんとのやりとりで、私たちを敵だと認識したの……?」

262: 2012/07/16(月) 23:04:57 ID:u33d1Eu20
純「左舷シールド損傷!しょうがない、エンジンのパワーをシールドの強化に回すよ!」カタカタ

直「待ってください!それではワープに使うパワーが無くなって退避ができなくなります!」

純「退避?梓を探さなきゃいけないのに退避する必要ないでしょ?!」

直「このまま攻撃を受け続けたら全滅してしまいます!梓船長のためにも一旦群れから離れて万全の態勢で救助を行うべきです!」

純「梓の宇宙服の状態もわからないんだよ!?酸素がもう残ってないかもしれない!そんな悠長なこと……!」

ドゴオォン!!

菫「きゃっ!み、みなさん落ち着いて……」

純「憂!どうするの?」

憂「……わ、私は」

ドゴンッ

菫「!!あ、やりました!梓船長からの信号をキャッチしました!」

憂「良かった!じゃあその位置に全力で向かうよ!」

直「しかし、亀に進路をふさがれてます!」

憂「純ちゃん、メインエンジンを除く船の全パワーを前方シールドに集中させて!」

純「一か八かの賭けってやつね……おし、調整完了!」

憂「発進!」

263: 2012/07/16(月) 23:05:31 ID:u33d1Eu20
ズゴォン! ドゴォン!

純「シールド、残り70%!」

直「目標位置、到達まであと2分です!」

憂「梓ちゃん、がんばって……!」

フドゴン!ボガァン!

純「くそっ頑丈な亀め!シールド残り40%!」

直「到達まであと30秒!」

ビービー!

菫「船体上部に新たな亀さんが!!」

憂「大変!純ちゃん、シールドをすぐに上部に」

ドゴォオオンンバキバキバキバキ!!

憂「きゃあ!」

純「シールド消滅!船体の損傷甚大!」

直「メインエンジン、ワープエンジンともにダウンです!」

菫「生命維持システムも停止!船内の酸素が流出しています!」

264: 2012/07/16(月) 23:06:07 ID:u33d1Eu20
ドガガガ プシュー

憂「うう、ごめんみんな、私の判断ミスでこんなことに」

純「まだあきらめちゃダメだよ!」

直「はい。すぐに修理して救助に向かいましょう」

菫「梓船長は絶対に見失いませんから!」

憂「み、みんな……」

バキバキバキ ドカッァン

純「しかしこのままだとちょっとやばいかも……」



ピコーン ピコーン


純「ん?これは何の音?」

憂「広域センサーに新たな反応だよ!何かがものすごい速度でこっちに近づいてくる!」

直「また亀ですか?」

菫「亀じゃありません、たった識別電波を受信しました!近づいてくるのは味方の船です!
  あれは……ホウカゴティータイム号!!」

265: 2012/07/16(月) 23:06:45 ID:u33d1Eu20
ジャージャジャーン

ドドドドドドド

律『こちらホウカゴティータイム号。ワカバガールズ号応答せよ』

憂「律さん!こちらワカバガールズ号です!」

律『お、繋がった繋がった!みんな大丈夫か?待たせたな!』

憂「実は梓ちゃんが!」

唯『大丈夫だよー』

憂「お姉ちゃん!?」

唯『あずにゃんはわが船が見つけて保護しました!じゃーん!』

梓『みんな、心配かけてごめんね。私は大丈夫だから』

憂「よ、よかったぁ」ヘナヘナ

266: 2012/07/16(月) 23:07:31 ID:u33d1Eu20
澪『私達がたまたま地球上空にいて緊急信号を受信できてよかったよ』

律『本部の指令を待ってたんじゃ遅すぎるからな』

菫「あれ?でも緊急信号は機密扱いで直接本部に送ったはずなんですが」

律『ふっふ、ウチには優秀な通信士がいるのだ!』

紬『信号のセキュリティが甘かったよ?菫』

菫「お、おね、お嬢様!」

律『とにかく、こっちがサポートするからここから脱出するぞ!』

ビービー

律『!?』

澪『た、大変だ!宇宙生物が一斉にこの船に向かってきた!
  しかも遠くにいるやつまでみんな向かってくる!』

267: 2012/07/16(月) 23:08:10 ID:u33d1Eu20
憂「お姉ちゃん!」

直「おかしいですね。私達の仲間とみなされたなら攻撃されるのはわかりますが、
  この船を襲った何十倍もの亀がホウカゴティータイム号に向かってます」

純「まるでターゲットを地球からホウカゴティータイム号に変えたかのような……」

憂「律さんたちはあの亀さんを見たことありますか?」

律『亀?ああ、そういえば宇宙生物の姿をまだ目視してなかったな!亀の姿なのか?』

憂「画像を今そちらに送ります!」

パッ

唯『あ、トンちゃんだ!』

268: 2012/07/16(月) 23:08:48 ID:u33d1Eu20
梓『へ?トンちゃん?』

唯『うん、この前上陸した星で見つけたちっちゃい亀のトンちゃんにそっくり!』

直「すいません、そのトンちゃんとやらは今どこに?」

唯『ほへ?可愛かったからこの船に連れてきて飼ってるけど』

「……」

直「……生き物が怒る理由、攻撃されるか、縄張りを侵されるか、または子供を奪われたか」

憂「ま、まさかそれって」

菫「亀さんたちが怒ってるのは」

純「絶滅とかそういうことじゃなくて、単純に子供を取り返そうとしてるだけで」

梓『先輩達が原因じゃないですか!!!!』

唯澪律紬『ご、ごめんなさい!!』

唯『だ、だって見つけたときは1人で寂しそうだったし』

梓『いいから早くそのトンちゃんを群れに返してください!』

唯『はい!』

269: 2012/07/16(月) 23:09:21 ID:u33d1Eu20
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


紬「亀さんたち、みんな帰って行ったね」

カンカンカン

梓「おかげでひどい目にあった」

唯「ごめんよぉーあずにゃーん」ダキッ

梓「もう!抱き着いてないで船の修理を手伝ってください!」

唯「はーい」

憂「梓ちゃんが亀さんの目の前に出たら襲われたのは、お姉ちゃんと同じ人間だってわかったからだったんだね」

澪「本当にごめん、私たちのせいで船がぼろぼろに」

純「いいですよ澪先輩!こうして修理を手伝ってもらえるだけで十分ですよ!」

菫「お姉ちゃんと久しぶりに会えてうれしいし……」ボソッ

直「菫、聞こえてる」

紬「うふふふ」

270: 2012/07/16(月) 23:11:11 ID:u33d1Eu20
律「あのー梓船長にお願いがあるんですが……」

梓「なんですか律船長。今回の真実を本部に報告するなって言うつもりですか?」

律「さわちゃん提督にこのことが知られでもしたら、わがホウカゴティータイム号は大変なことに……」

梓「いいですよ。原因はともかく助けてもらったのは事実ですから」

唯「わーいありがとう!さすがあずにゃん!」ダキッ

梓「だから唯先輩は修理に集中してください!」

憂「でもこうして久々にみんなと話せて、なんだか楽しいね♪」

梓「ま、まあね」

憂「それに今回、ちょっと指揮をしてみて梓ちゃんが普段どれだけ大変かわかったよ。私は重要な場面で判断が遅れちゃうし、まだまだだね。
  やっぱり船長は梓ちゃんだよ!いつもありがとう」

梓「そ、そんないきなり言われたら照れるから」

律「よーし、さっさと修理を終わらせて、みんなでお茶しようぜー!」

「おー!」


宇宙船ワカバガールズ号の冒険はまだまだ続く




おわり

271: 2012/07/16(月) 23:19:49 ID:pFdJFVpk0
おつかれー
このシリーズはきっと来ると思ってた

引用: 唯「お日様が出ていても全部が明るいわけじゃないんだよ」