1: 2016/10/03(月) 20:33:01.284 ID:WKKGelv80.net
― 酒場 ―

美形斧戦士「マスター、ビールを頼むよ」

マスター「かしこまりました、斧戦士様」



キャーキャー!

「斧戦士様だわ!」 「相変わらずかっこいいわね~」 「ステキ!」

4: 2016/10/03(月) 20:36:07.926 ID:WKKGelv80.net
女「斧戦士様……サインくださいっ!」

美形斧戦士「お安い御用さ」サラサラッ

女「ありがとうございます!」

少女「あ、あの……」

美形斧戦士「なんだい?」

少女「斧を振ってもらっていいですか?」

美形斧戦士「いいとも」シュッ



キャァァァァァッ!!!

6: 2016/10/03(月) 20:37:19.494 ID:YZuNN+h6r.net
オーノー

7: 2016/10/03(月) 20:39:13.505 ID:WKKGelv80.net
青年「大変だぁっ!」バタンッ

美形斧戦士「どうしたんだい?」

青年「『ソード・バーバリアン』の奴らがまた大暴れしてるんです!」

美形斧戦士「やれやれ、またか……仕方ない奴らだ」

美形斧戦士「このボクが退治してくれよう」スッ



キャーキャー!

「斧戦士様が戦うところを見られるわ!」 「なんて幸運なのかしら!」 「ステキ!」

8: 2016/10/03(月) 20:42:23.320 ID:WKKGelv80.net
― 町 ―

ブサイク剣士「野郎ども、暴れてやれや!」ガシャーン

ニキビ剣士「オラオラ! 女よこせぇ! 金よこしやがれぇ!」ドカッ

出っ歯剣士「『ソード・バーバリアン』に逆らうと、斬っちまうでゲスよ!」

デブ剣士「ぶひひ、剣は無敵なんだなぁ~」



美形斧戦士「――やめるんだ!」

9: 2016/10/03(月) 20:45:23.018 ID:WKKGelv80.net
美形斧戦士「悪党ども、成敗してくれる!」

ニキビ剣士「ま~たお前か、斧戦士!」

出っ歯剣士「ちょっとツラがいいからって図に乗りやがって!」

デブ剣士「お前、ムカつくんだなぁ~」

美形斧戦士「ボクの顔がいいか悪いかは知らないが、お前たちの心が醜いことだけは間違いないな」フッ

美形斧戦士「いっとくけど、お前たちの剣じゃボクの斧には勝てないよ」

ブサイク剣士「なんだとぉ!?」

美形斧戦士「かかってくるがいい」チャキッ

10: 2016/10/03(月) 20:48:25.656 ID:WKKGelv80.net
ニキビ剣士「くたばりやがれっ!」ブオンッ

美形斧戦士「…………」シュンッ

ニキビ剣士「消えた!?」

美形斧戦士「こっちだ」シュッ

ドカッ!

ニキビ剣士「うげぇ……!」ドサッ

11: 2016/10/03(月) 20:49:20.705 ID:h6kJkQC50.net
バルディッシュ「ほーん」

13: 2016/10/03(月) 20:50:44.941 ID:WKKGelv80.net
出っ歯剣士「ナメやがってぇ!」ブオッ

美形斧戦士「そんな大振りでは、ボクの動きを捉えることは不可能だね」

美形斧戦士「戦闘の極意は……素早く、無駄なく、だよ」シュッ

ガッ!

出っ歯剣士「がはぁ……!」ドサッ

14: 2016/10/03(月) 20:54:46.675 ID:WKKGelv80.net
デブ剣士「うおおおおおっ!」ブオオンッ

美形斧戦士「おっと」ヒョイッ

デブ剣士「うがああああっ!」ブオオンッ

美形斧戦士「よっと」ヒョイッ

デブ剣士「なんで攻撃してこないんだぁ~!? ナメてるのかぁ~?」

美形斧戦士「いや、君がにぶいだけだよ。もうとっくに君のミゾオチに一撃入れてる」

デブ剣士「ウ、ソ……」ドズゥン…

15: 2016/10/03(月) 20:56:27.950 ID:I96al5Vdd.net
槍僕「ほーん」

16: 2016/10/03(月) 20:59:05.288 ID:WKKGelv80.net
ブサイク剣士「てめえ、よくも手下どもを! この剣でぶった斬ってやる!」

美形斧戦士「いつもながら威勢だけはいいね。とっととかかってきなよ」

ブサイク剣士「どおりゃあっ!」ブオンッ

ドゴォンッ!

ブサイク剣士「うおりゃあっ!」ブオンッ

ズガァンッ!

ブサイク剣士「ぐへはははは! どうだ、この破壊力は!?」

美形斧戦士「フッ、どんなに威力があっても、当たらなきゃ無意味だよ」

ブサイク剣士「なんだとぉ!?」

18: 2016/10/03(月) 21:02:57.402 ID:WKKGelv80.net
ブサイク剣士「これならどうだぁ!?」ザバッ

美形斧戦士「うっ……砂で目潰し!? 汚い真似を!」

ブサイク剣士「戦いに汚いもクソもあるけえ!」ブオンッ

ザシュッ!

ブサイク剣士「ぐへへ、斬ったぞ!」

美形斧戦士「フッ、残念ながら痛くもかゆくもないね」

ブサイク剣士「なにぃ!?」

美形斧戦士「そろそろ終わりにするよ……ハァッ!」シュバッ

ズバッ!

ブサイク剣士「ぐ、は……強すぎる……」ドサッ

19: 2016/10/03(月) 21:03:30.985 ID:Qi0xO60a0.net
相撲「どすこい」

20: 2016/10/03(月) 21:05:54.874 ID:WKKGelv80.net
「さっすが斧戦士様!」 「剣なんてダサい武器、相手にならないわ!」 「ステキ!」


キャーキャー! キャーキャー!



美形斧戦士「みんな……応援ありがとう!」

美形斧戦士(今日も俺はモテモテだなぁ……)

美形斧戦士(モテモテモテモテモテモテモテモテモテモテ……)

21: 2016/10/03(月) 21:09:47.635 ID:WKKGelv80.net
…………

……



斧戦士「モテモテ……」ハッ

斧戦士「…………」

斧戦士「夢か……」

斧戦士「どうりで斬られても痛みを感じないわけだ……」

22: 2016/10/03(月) 21:13:05.155 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「いくらモテないからって、斧のイメージがあまりよくないからって」

斧戦士「まさかこんな願望丸出しの夢見るとは思わなかった……」

斧戦士「夢もあそこまでいくと、目が覚めた時かえってミジメになるっつうの」

斧戦士「なんつうか、俺も末期だな……」

斧戦士「さて、顔洗ってメシ食ったら、出かけるとすっか」

23: 2016/10/03(月) 21:13:47.599 ID:4QpKBDW8r.net
まさかの夢オチ

26: 2016/10/03(月) 21:17:44.979 ID:WKKGelv80.net
― 町 ―

美形剣士「おはよう!」

斧戦士「おう」

美形剣士「どこ行くつもりだい?」

斧戦士「今日は戦いの依頼もねえし、木こりやる日でもねえし、訓練所に行くつもりだ」

美形剣士「ふうん、じゃあボクも付き合うよ。いいだろ?」

斧戦士「別にいいけどよ」

斧戦士(こいつと出会ってもう半年ぐらい経つけど、最近よくつるむようになったよな)

28: 2016/10/03(月) 21:22:40.590 ID:WKKGelv80.net
青年「剣士さん、斧戦士さん! 大変です!」

美形剣士「なんだい?」

斧戦士「どうしたんだ?」

青年「向こうで『アックス・バーバリアン』の連中が暴れてるんです!」

美形剣士「ふぅ、またか」

青年「ホントですよ。斧を持ってる連中って、どうしてこう乱暴者が多いんだか――」ハッ

斧戦士「…………」

青年「あ、いや! 斧戦士さんは別ですよ!? ア、アハハハ……」

斧戦士(くそっ、ああいう奴らがいるから斧は乱暴な武器、みたいなイメージがついちまうんだ!)

29: 2016/10/03(月) 21:26:59.968 ID:WKKGelv80.net
……

ニキビ斧使い「あぐぐ……」

出っ歯斧使い「いてえ……」

デブ斧使い「うぅぅ……」

ブサイク斧使い「ち、ちくしょう……覚えてやがれ!」


美形剣士「これに懲りたら、もう悪さするんじゃないぞ」

斧戦士(結局こいつが一人で全員倒しちまいやがった)



キャァァァァッ!


「さっすが剣士様!」 「斧なんてダサい武器、相手にならないわ!」 「ステキ!」

30: 2016/10/03(月) 21:30:12.085 ID:WKKGelv80.net
キャーキャー!

「サインください!」 「私にも!」 「握手してもらっていいですか!?」

美形剣士「じゃあ、そっちに並んでくれる?」


斧戦士(こいつ、さっきの俺の夢を現実のものにしてやがる……! 羨ましい……!)



美形剣士「お待たせ! さ、訓練所に行こう!」

斧戦士「……ああ」

美形剣士「でも、ただ訓練するだけじゃつまらないな」

美形剣士「負けた方は勝った方のいうことを何でも聞くってのはどう?」

斧戦士「おもしれぇ!」

斧戦士(俺はこいつに勝ったことねえけど……今日こそ勝つ!)

斧戦士(勝ったら、斧は素晴らしい武器です、っていわせてやる!)

31: 2016/10/03(月) 21:34:52.566 ID:WKKGelv80.net
― 訓練所 ―

美形剣士「たあっ!」

斧戦士「うおっ!」

キンッ! ガキンッ! キィンッ!

斧戦士「くっ、はええっ!」

――シュバッ!

美形剣士「はい、一本。ボクの勝ちね」

斧戦士「ぐ……!(やっぱ無理か……)」

美形剣士「じゃあ約束通り、いうこと聞いてもらうよ」

斧戦士「ちっ、しかたねえ……なにすりゃいいんだよ? 裸になってダンスでも踊ればいいのか?」

美形剣士「そ、そんなことしなくていいよっ! そうだな、じゃあ……」

34: 2016/10/03(月) 21:39:50.735 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「ボクの家の模様替えを手伝ってもらおうかな」

斧戦士「模様替え?」

美形剣士「うん、家具の位置を少し変えたくなったんだ」

斧戦士「んなもん変えてどうすんだ?」

斧戦士「俺なんて今の家に住んでから、家具の位置なんか一度も変えたことねえぞ」

美形剣士「ボクは君と違ってオシャレだからね」

斧戦士「ケッ、俺には理解できねえぜ」

35: 2016/10/03(月) 21:42:47.480 ID:WKKGelv80.net
― 剣士の家 ―

美形剣士「さ、入って」

斧戦士「おう」

斧戦士「そういや、お前の家に来るの初めてだな」キョロキョロ

斧戦士「へえ~、すっげえシャレてんな」

斧戦士(テーブルにヒラヒラした布なんか乗せてるし)

斧戦士(手鏡なんて置いてあるし、ベッドにはぬいぐるみがあるし……)

斧戦士(とても俺と同じ、武器で戦う稼業の人間の部屋とは思えねえな)

斧戦士(ま、これがモテる男の部屋ってやつなんだろうけどよ)

37: 2016/10/03(月) 21:46:29.638 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「う~ん……」ググッ

斧戦士「なにやってんだ?」

美形剣士「このタンスをそっちにやりたいんだけど、重くて……」ググッ…

美形剣士「悪いけど、そっち持ってくれない?」

斧戦士「ふん、こんぐらい」ヒョイッ

美形剣士「わっ!」

斧戦士「一人で運べるっつうの」

美形剣士「すっごいなぁ……」

斧戦士「お前が力なさすぎるんだよ」

美形剣士「うっさい! 戦いじゃボクに勝てないくせに!」

斧戦士「ぐ……!」

38: 2016/10/03(月) 21:49:33.076 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「ここでいいのか?」ドスンッ

美形剣士「う、うん」

美形剣士「初めて出会った時も、倒れてきた木材の下敷きになりそうだったボクを助けてくれたよね」

斧戦士「ああ、そんなこともあったっけな」

美形剣士「あの時の君は本当にかっこよかったよ。どうもありがとう」

斧戦士「ん……ああ、どうも」

斧戦士(あんなことを未だに覚えてるなんて……こいつも結構いいとこあるのかもな)

39: 2016/10/03(月) 21:53:35.847 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「あ、そうだ!」

斧戦士「どうしたんだよ、突然」

美形剣士「ボク、ちょっとだけ出かけるけど、タンスの中身を絶対見るなよ!」

斧戦士「あたりめーだろ」

美形剣士「じゃ、少しだけ出かけてくる!」タタタッ



斧戦士「…………」

斧戦士(――といわれると、見たくなるんだよな俺って)

斧戦士「見ちゃおう」ガラッ

斧戦士「え!?」

40: 2016/10/03(月) 21:56:35.347 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「な、なんだこりゃ……!?」

斧戦士(ブラジャーとか、女物のパンツばっか入ってやがる!)

斧戦士(なんで!? なんでなの!? どういうことなの!?)

斧戦士(まさか、あいつの正体は――)



斧戦士(重度の……女装好き!?)

41: 2016/10/03(月) 22:00:36.743 ID:WKKGelv80.net
斧戦士(マジかよ……)

斧戦士(あいつのいうとおり、タンスの中身なんか見るんじゃなかった……)

斧戦士(これからどうあいつに接すりゃいいんだ……)

斧戦士(いや……だけど女装癖がなんだってんだ!)

斧戦士(なにも普段から女装してるわけじゃないし、普通に接すればいいんだ! うん!)



美形剣士「ただいま」ガチャ

斧戦士「……お、おう、お帰り」

美形剣士「模様替えの続きを始めようか」

斧戦士「ちゃちゃっとやっちまおうぜ!」

42: 2016/10/03(月) 22:04:39.459 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「今日はありがとう! おかげでボクの思う通りのレイアウトにできたよ!」

斧戦士「そりゃよかったな! ……んじゃな!」スタスタ

美形剣士「うん、またね!」



美形剣士「…………」

美形剣士(あいつの性格なら、ああいっておけば絶対タンスの中身を見たはず)

美形剣士(ってことは私の正体に気づいたはずだけど、特になにもいってこなかった……)

美形剣士(脈なし、なのかな……)

43: 2016/10/03(月) 22:09:44.069 ID:WKKGelv80.net
――ガシッ!

美形剣士「!?」

ブサイク斧使い「よぉ……さっきはよくもやってくれたな」ググッ…

美形剣士(こいつ……『アックス・バーバリアン』の!)

美形剣士「くうっ!」ジタバタ

ブサイク斧使い「無駄だ! 今まで何度もてめえにやられて分かったが、てめえは素手じゃ強くねえ!」

ブサイク斧使い「帯剣してないところを力勝負に持ち込んじまえば怖くねえんだよ!」

44: 2016/10/03(月) 22:13:09.097 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「んーっ! んーっ!」ジタバタ

ブサイク斧使い「ぐへへへ、剣がなきゃまるでガキだな! 全然腕力ねえぞこいつ!」

出っ歯斧使い「さすがでゲス!」

デブ斧使い「ざまあないんだなぁ~」

ニキビ斧使い「こいつ、どうすんです?」

ブサイク斧使い「決まってんだろ! 俺たちのアジトに連れ込んで、ボコボコにしてやんのさ!」

ブサイク斧使い「こいつのファンの女どもが泣き叫ぶようなツラにしてやるぜ……!」





青年「た、大変だ……!」

45: 2016/10/03(月) 22:17:48.526 ID:WKKGelv80.net
― 斧戦士の家 ―

青年「斧戦士さん、大変です!」

斧戦士「またお前かよ……どんだけ大変な目にあってんだ」

青年「いえ、ボクは大変な目にあってないんですけど……」

青年「剣士さんが、『アックス・バーバリアン』の奴らに襲われて……!」

斧戦士「あいつが? あいつなら、あんな連中ぐらい楽勝だろ」

青年「それが、不意打ちで剣を持ってないところを襲われて、連れ去られちゃったんです!」

斧戦士「…………!」

斧戦士「ちっ、あのバカ! 世話焼かせやがって!」ダッ

46: 2016/10/03(月) 22:23:26.720 ID:WKKGelv80.net
― 町外れの廃屋 ―

ニキビ斧使い「マジかよ!?」

出っ歯斧使い「こりゃ驚きでゲス!」

デブ斧使い「ビックリだなぁ~」

ブサイク斧使い「てめえ、女だったのかよ! こいつは傑作だぜ! ぐへははははっ!」

美形剣士「くっ……!」

ブサイク斧使い「ならボコボコにすんのは勘弁してやるよ!」

ブサイク斧使い「その代わり、四人でたっぷり味見させてもらうけどなァ!」

47: 2016/10/03(月) 22:27:48.515 ID:WKKGelv80.net
ブサイク斧使い「おい、お前ら両手足押さえろ」

ニキビ斧使い「へい」ガシッ

ブサイク斧使い「ぐへへへ……まず俺からだ」

美形剣士「や、やめてくれ……」

ブサイク斧使い「ここまできてやめる奴がいると思うかよ?」

美形剣士「お願い、やめてっ! やめてぇぇぇぇぇっ!!!」

ブサイク斧使い「ぐへはははっ、ますます興奮してきたぁっ!」

49: 2016/10/03(月) 22:31:20.780 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「――やめろ!!!」バァンッ



ブサイク斧使い「あん?」

美形剣士「斧戦士……!」

ブサイク斧使い「俺たちゃ今取り込み中なんだよ。なにしにきやがった?」

斧戦士「そりゃこっちのセリフだよ」

斧戦士「俺のダチさらって、なにをしでかそうってんだ?」

斧戦士「お前らみたいのがいるから、斧のイメージが悪くなるんだよ!」

ブサイク斧使い「あぁん? なにがイメージだ、くだらねえ!」

ブサイク斧使い「斧ってのはブン回して、弱え奴らをいたぶるための武器だろがよ!」

50: 2016/10/03(月) 22:36:50.893 ID:WKKGelv80.net
ブサイク斧使い「野郎ども、やっちまえ!」


ニキビ斧使い「へい!」バッ

出っ歯斧使い「おりゃあ!」ババッ

デブ斧使い「覚悟するんだなぁ~」ブオンッ


ガキンッ! キィンッ! キンッ! ガツンッ! キンッ!


斧戦士「ぐっ……!」

斧戦士(こいつら……一対一なら勝てるんだが、三対一だとさすがにキツイ!)


ギィンッ! ガッ! ガァンッ!

51: 2016/10/03(月) 22:39:33.992 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「だりゃあ!」ブオンッ

ニキビ斧使い「うわっ!」ガキッ

出っ歯斧使い「喰らえ!」ブオンッ

斧戦士「ぐっ!」キンッ



ブサイク斧使い「ええい、三人がかりでいつまでグダグダやってやがる!」

ブサイク斧使い「斧戦士如き、とっとと俺が片付けてやるよ!」サッ


斧戦士(剣士から離れた! ――これを待ってたんだ!)

斧戦士「おい、剣だ!」シュパッ


美形剣士「ありがとう!」チャキッ


ブサイク斧使い「ゲ!? し、しまった!」

52: 2016/10/03(月) 22:43:52.011 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「よくもやってくれたな……!」ギロッ

ブサイク斧使い「ま、待てよ……さっきのは軽いジョークで……」

美形剣士「今までは軽いケガで済ませてやってたけど、今日という今日はもう容赦しない!」

美形剣士「たあああっ!」ヒュオッ


シュバッ! ザシュッ! ザンッ! ズシャッ!


ブサイク斧使い「ぐぎゃあああっ……!」ゴロゴロ

ニキビ斧使い「あぎゃぁぁぁ……!」ドタバタ

出っ歯斧使い「いでええっ……!」

デブ斧使い「いたいんだなぁ~」ドザッ

55: 2016/10/03(月) 22:47:18.271 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「ふうっ、スカッとしたよ」

斧戦士「俺が苦戦した奴らをあっさり片付けやがって。やっぱ強いな、お前は」

美形剣士「そんなことないよ……斧戦士が来てくれなかったら今頃……」

斧戦士「ところで、お前服がボロボロだな。あいつら、ひでえことしやが――」

斧戦士「!?」ギョッ

斧戦士(こいつ……胸に膨らみがあるぞ!? 今までは鎧のせいで分からなかったけど……)

斧戦士(まるで女みたいじゃねえか……ってまさか!?)

斧戦士「え!? ええ!? えええええ!?」

56: 2016/10/03(月) 22:51:10.944 ID:WKKGelv80.net
斧戦士「お前……女だったのか!」

美形剣士「なっ!?」

美形剣士「今頃気づいたのか! タンスの中身、見ただろ!?」

斧戦士「見たけど……てっきり女装が好きなんだな、って……」

美形剣士「バカだろ、お前!」ポカポカッ

斧戦士「バカです、俺……」

美形剣士「バカ、バカ、バカ!」ポカポカッ

斧戦士「いや、マジでごめん」

60: 2016/10/03(月) 22:57:28.201 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「あ……」ヘナヘナ…

斧戦士「おい、大丈夫か? どこかケガしてんのか!?」

美形剣士「いや……ホッとしたのと呆れたので、腰が抜けちゃった」

斧戦士「どれ、しょうがねえな」ヒョイッ

美形剣士「あっ、お姫様だっこ……」

斧戦士「へえ、そんな名前あるのか、この持ち上げ方」

美形剣士「重くない?」

斧戦士「バカにしてんのかよ。さ、帰るぜ!」

美形剣士「う、うん」

61: 2016/10/03(月) 23:02:31.680 ID:WKKGelv80.net
美形剣士「助けに来てくれて……本当にありがとう」

斧戦士「いいってことよ。目撃者がいなかったらマジでヤバかったな」

斧戦士「でもお前、なんでずっと男のフリなんかしてたんだ?」

美形剣士「ボクは子供の頃から剣が得意だったけど、やっぱり女だと軽んじられることが多くてね」

美形剣士「自分を守ってくれる男が見つかるまでは、男のフリしようと思ってたんだ」

斧戦士「そうだったのか……お前も大変だったんだな」

美形剣士「うん……。だけど……これでやっと、私は女になれるよ……」

斧戦士「へ? なんで? まさか『アックス・バーバリアン』に守ってもらおうってんじゃねえだろうな!?」

美形剣士「バカじゃないのか、本当にッ!」

64: 2016/10/03(月) 23:07:36.438 ID:WKKGelv80.net
……

……

― 酒場 ―

キャーキャー!

女「剣士様、握手して下さい!」

美形剣士「はい」ギュッ

青年「女性だったなんてビックリだなぁ……サインください!」

美形剣士「はい」サラサラ

ブサイク斧使い「俺たちを殴って下さい!」

美形剣士「はいはい」ボカッ



斧戦士「世間に女だってカミングアウトしたのに、なんで今まで以上にモテてるんだよ」

美形剣士「そんなこと、こっちが知りたいっての」


キャーキャー!

65: 2016/10/03(月) 23:13:34.550 ID:WKKGelv80.net
斧戦士(相変わらず、俺はモテてないけど……)

美形剣士「あ~あ、酔っ払っちゃった。またあの時みたいにお姫様だっこしてくんない?」

斧戦士「なにいってやがる。まだ歩けなくなるほど酔ってねえだろ」

美形剣士「え~、いいじゃん! やってよ! お、ね、が、い!」

斧戦士「ったく、しょうがねえな……」ヒョイッ

斧戦士(とりあえず……一人にはモテるようになったから、よしとするか!)





― 完 ―

66: 2016/10/03(月) 23:15:44.769 ID:CNg0sFoqK.net

斧はイメージだけでワロタ

68: 2016/10/03(月) 23:19:53.703 ID:Qi0xO60a0.net

ファンタジー系TRPGやってる時は斧って意外にお世話になったなあ
鎧とか固めた残りで丁度買えるくらいだったしダメージそれなりだったし
このラインを外すとダガーとかになる(;_;)

引用: 美形斧戦士「剣じゃ斧には勝てないよ」ブサイク剣士「なんだとぉ!?」