1: 2016/10/09(日) 00:46:48.73 ID:9/WUBORD.net
かきねのかきねのまがりかど~♩

たきびだたきびだおちばたき~♩

あたろうか~あたろうよ~♩



っと、そろそろずら……

アチっ!



それは、ある秋の夕暮れ。

2: 2016/10/09(日) 00:48:37.99 ID:9/WUBORD.net
~教室~


モブ「ねぇねぇ、津島さん」

善子「ん?どうしたの?」

モブ「よかったら、連絡先交換しない?」

善子「えっ?」

モブ「私、津島さんと友達になりたいんだ♩」

善子「い、いいわよ!もちろん!」

モブ「ホント?嬉しいな!」

モブ「今度みんなで一緒にカラオケ行かない?駅前に新しくーー」

3: 2016/10/09(日) 00:49:52.80 ID:9/WUBORD.net
ーー

ルビィ「花丸ちゃん、窓の外なんか見てどうしたの?」

花丸「うん……」

花丸「今日は一日中、雨なのかなって……」

ルビィ「ルビィが今朝見た天気予報でも言ったね」

花丸「ルビィちゃんは、雨は嫌い?」

ルビィ「う~ん。ルビィ、濡れるのは嫌だなぁ……」

花丸「でも、雨の音って……何か心が落ち着くような気がしない?」

ルビィ「その気持ちはちょっとわかるかも。何でだろうね?」

4: 2016/10/09(日) 00:51:04.96 ID:9/WUBORD.net
花丸「マルもわからない」

花丸「でも、言葉で説明出来ない事って……なんか神秘的ずら」

ルビィ「確かに、不思議だよねぇ……」

ルビィ「あっ!ねぇねぇ、花丸ちゃん!アレ見て」

花丸「アレ……?」

ルビィ「善子ちゃん、あれからクラスに溶け込めたみたいだね」

花丸「うん。みんなに囲まれて、嬉しそうずら」

ルビィ「やっぱり、Aqoursに入ってから何か変わったのかな?」

花丸「う~ん……」

花丸「変わったのは善子ちゃんじゃなくて、周りの方なのかも」

ルビィ「周り?」

5: 2016/10/09(日) 00:53:00.16 ID:9/WUBORD.net
花丸「善子ちゃんにとって、堕天使っていうのは自分を表現する術で」

花丸「逆に言えば、それはみんなと仲良くなりたいって事なんだよ」

ルビィ「善子ちゃんって、ちょっと不器用な所あるもんね……」

花丸「それに昔から目立つ事が好きで、美人でスタイルも良いし」

花丸「きっと、クラスのみんなも探してただけなんじゃないかな」

花丸「善子ちゃんと仲良くなるきっかけを……」

ルビィ「それで堕天使キャラを、みんなが受け入れ始めてきたんだね」

花丸「うん。マルはそう思う、かな……」

ルビィ「なるほど。流石、花丸ちゃんは善子ちゃんの理解者だね!」

7: 2016/10/09(日) 00:54:56.98 ID:9/WUBORD.net
ルビィ「でも、そういえば……」

ルビィ「たしか花丸ちゃんって、善子ちゃんの監視係だったよね?」

花丸「そうそう。善子ちゃん、気付いたらすぐ堕天しちゃうし」

ルビィ「その度に止めに入ってたんだよね。懐かしいなぁ~」

花丸「でも、もう善子ちゃんに監視係は必要ないみたい……」

ルビィ「そうだね。今の善子ちゃん、凄く幸せそうだし!」

ルビィ「良かったね!花丸ちゃん♩」

花丸「・・・」

ルビィ「……花丸ちゃん?」

花丸「えっ?あ、うん……」

花丸「マルもこれで良かったと思うずら。アハハ……」

ルビィ「……?」

9: 2016/10/09(日) 00:56:38.98 ID:9/WUBORD.net
~放課後、下駄箱~


ルビィ「今日は雨だから、部活休みだね」

花丸「うん……」

ルビィ「……花丸ちゃん?」

花丸「えっ?」

ルビィ「さっきから元気無いね?何かあったの?」

花丸「そ、そんな事ないずら!別にオラは普通ずらよ……」

ルビィ「ふーん……」

花丸「……あれ?」

ルビィ「どうしたの?」

10: 2016/10/09(日) 00:58:00.54 ID:9/WUBORD.net
花丸「マルの傘が、無い……」

ルビィ「えっ?誰か間違って持ってっちゃったのかな?」

花丸「どうしよう……」

ルビィ「ルビィの傘じゃ、二人が入るにはちょっと小さいね……」

花丸「ううん。ルビィちゃんは気にしないで」

花丸「マルはどうにかして帰るから、大丈夫ずら♩」

ルビィ「花丸ちゃん……」

善子「何してんのよ?ずら丸、ルビィ?」

11: 2016/10/09(日) 00:59:41.85 ID:9/WUBORD.net
花丸「善子ちゃん……」

善子「ん?ずら丸、もしかして傘持ってないの?」

ルビィ「それが花丸ちゃんの傘、無くなっちゃったみたいで……」

善子「ちょっと待ってなさい。よいしょっと……」

花丸「それは?」

善子「予備に持ち歩いてる方の折りたたみ傘よ」

ルビィ「貸してくれるの?」

善子「そりゃ貸すわよ。友達が困ってるんだから」

12: 2016/10/09(日) 01:00:58.93 ID:9/WUBORD.net
花丸「善子ちゃん……」

ルビィ「良かったね!花丸ちゃん!」

善子「いいわよ、別に」

花丸「このお礼は、今度必ずさせてもらうずら♩」

善子「お礼って何よ?」

花丸「実は、今度新しくオープンした喫茶店なんだけど……」

モブ「あっ、津島さん!」

善子「ん?」

13: 2016/10/09(日) 01:02:28.88 ID:9/WUBORD.net
モブ「もうみんな待ってるから、早く喫茶店に行こうだって!」

善子「ごめん、ずら丸。その話は明日聞かせてもらうわ」

花丸「あっ、うん……」

モブ「津島さん?何してるの?」

善子「ううん、なんでもないわ」

善子「じゃあね……花丸、ルビィ!」

ルビィ「バイバイ、善子ちゃん!」

花丸「バイバイ……」

14: 2016/10/09(日) 01:04:49.07 ID:9/WUBORD.net
ーー

ルビィ「善子ちゃん、行っちゃったね」

花丸「うん……」

花丸「善子ちゃん、楽しそうだったずら……」

ルビィ「えっ?花丸ちゃん、何か言った?」

花丸「ううん、何でもない」

ルビィ「とりあえず、ルビィ達も早く帰ろう!」

花丸「うん♩(段々雨が)」

花丸「(強くなってきた)」

15: 2016/10/09(日) 01:06:43.00 ID:9/WUBORD.net
~翌日、昼休み~


花丸「(善子ちゃん、またあの娘と喋ってる)」

花丸「(昨日の喫茶店の事を話してるのかな)」

花丸「(それに善子ちゃんのあんな顔、初めてみた気がする)」

花丸「(でも、オラには別に関係無いし……)」

ルビィ「花丸ちゃん♩」

花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「お昼、食べよう♩」

花丸「……うん♩」

16: 2016/10/09(日) 01:08:48.58 ID:9/WUBORD.net
善子「ちょっと!ずら丸、私も混ぜなさいよ」

花丸「善子ちゃん……」

善子「……何よ?」

花丸「ううん、何でもないずら」

善子「ずら丸。なんか最近、ちょっと変よ?」

花丸「別に、オラは……」

善子「もしかして、体調悪いの?」

モブ「つーしーまーさんっ♩」

19: 2016/10/09(日) 01:11:23.15 ID:9/WUBORD.net
善子「どうしたの?」

モブ「これからみんなと屋上でお昼を食べるんだけど……」

花丸「・・・」

モブ「よかったら、津島さんも一緒に行かない?」

善子「あぁ、ゴメン!その話なら……」

花丸「……善子ちゃん」

善子「ずら丸?」

花丸「行ってあげたら?屋上に」

ルビィ「……花丸ちゃん?」

善子「はぁ?ずら丸、何言ってんのよ?」

20: 2016/10/09(日) 01:14:01.70 ID:9/WUBORD.net
花丸「折角だし。それに、みんな待ってると思うから」

善子「だって、いつもお昼は……」

ルビィ「そうだよ、花丸ちゃん……」

花丸「善子ちゃん、みんなといると楽しそうだし」

善子「・・・」

花丸「それにマルは、ルビィちゃんと食べるから大丈夫ずら♩」

善子「ずら丸、それ本気で言ってるの?」

花丸「ううん。マルはそういうつもりで言ったわけじゃなくて……」

善子「……もういいわ」

ルビィ「あっ、善子ちゃん!ちょっと待って!」

花丸「・・・」

21: 2016/10/09(日) 01:18:24.36 ID:9/WUBORD.net
~放課後、屋上~


果南「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー……」

ーー

曜「ねぇ、千歌ちゃん?」

千歌「どうしたの曜ちゃん?」

曜「なんか今日の一年生組、元気無いと思わない?」

梨子「実は私も、ちょっと感じてた……」

千歌「う~ん?何かあったのかな?例えば……」

梨子「例えば?」

22: 2016/10/09(日) 01:20:35.64 ID:9/WUBORD.net
千歌「返ってきたテストが赤点だった!とか」

曜「それは千歌ちゃんの事だよね。アハハ……」

梨子「たしか、今回は結構簡単な範囲だったハズよね……」

千歌「だって今日の星座占い、最悪だったんだもん!」プンスカ

梨子「しし座、12位だったわね……」

曜「いやいや、それは関係無いと思うよ……」

ドンッ!

千歌「あっ、花丸ちゃん!善子ちゃん!大丈夫!?」

23: 2016/10/09(日) 01:24:04.07 ID:9/WUBORD.net
鞠莉「Oh~!二人とも大丈夫デ~ス?」

ダイヤ「少し休憩ですわ。練習のやり過ぎは良くありませんもの」

善子「イタタタ……」

花丸「ごめん、善子ちゃん……」

善子「・・・」

花丸「全部、オラが……」

果南「……ん?」

花丸「すみません、千歌先輩……」

千歌「へっ?」

24: 2016/10/09(日) 01:26:43.00 ID:9/WUBORD.net
ーー

ルビィ「善子ちゃん、大丈夫だった?」

善子「うん。私は別に平気よ」

ルビィ「花丸ちゃん、途中で帰っちゃったね……」

善子「・・・」

ルビィ「具合悪いって言ってたみたいだけど」

善子「知らないわよ、あんな奴……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「帰るわよ、ルビィ」

ルビィ「うん……」

25: 2016/10/09(日) 01:29:26.77 ID:9/WUBORD.net
~翌日、教室~


ルビィ「(花丸ちゃん、学校休んじゃった……)」

ルビィ「(花丸ちゃんの席には誰もいない……)」

ルビィ「(やっぱり、いつもと違うのは……)」

ルビィ「(……)」

善子「おはよう、ルビィ」

花丸「善子ちゃん、おはよう」

善子「・・・」

ルビィ「・・・」

26: 2016/10/09(日) 01:32:59.30 ID:9/WUBORD.net
ルビィ「花丸ちゃん、今日学校休みなんだって……」

善子「ふーん……」

ルビィ「善子ちゃんは……」

ルビィ「寂しくないの?」

善子「別に……」

ルビィ「そうなんだ……」

善子「・・・」

ルビィ「それと、善子ちゃんに渡したい物があって……」

善子「渡したい物?」

27: 2016/10/09(日) 01:35:22.26 ID:9/WUBORD.net
ルビィ「これなんだけど」

善子「これ、この前ずら丸に貸した傘……」

ルビィ「昨日、花丸ちゃんから善子ちゃんに渡しといてって」

善子「・・・」

ルビィ「でも……」

善子「……?」

ルビィ「花丸ちゃん、言ってたよ」

善子「・・・」



ありがとう、って

28: 2016/10/09(日) 01:37:36.80 ID:9/WUBORD.net
~空き地~


花丸「こうして焚き火を見ていると」

花丸「なんか心が落ち着くずら……」

花丸「でも、何でだろう?」

花丸「言葉で説明出来ない事って」

花丸「なんか神秘的ずら……」

花丸「って、前にルビィちゃんとそんな話をした記憶が。アハハ……」

花丸「ルビィちゃんは元気かな」

花丸「今頃みんな練習してるのかな」

花丸「それに……」

花丸「・・・」

29: 2016/10/09(日) 01:40:30.84 ID:9/WUBORD.net
花丸「言葉で説明出来なくても」

花丸「相手に想いが伝わればいいのに……」

花丸「そうすればきっと」

花丸「こんな気持ちになる事もないのかな……」

花丸「でも、オラはもう……」

花丸「善子ちゃんの、監視係じゃないし……」

花丸「善子ちゃんには、善子ちゃんの……」

花丸「・・・」



善子「ずら丸。ここで、何してんのよ?」

30: 2016/10/09(日) 01:43:09.46 ID:9/WUBORD.net
花丸「善子ちゃん……」

花丸「どうしてここに?」

善子「いいでしょ、何だって」

花丸「・・・」

善子「・・・」

善子「ずら丸、具合は大丈夫なの?」

花丸「それは……」

善子「まぁ、焼き芋焼いてる人に聞くセリフじゃないわよね」

善子「それと、私まだ……」

31: 2016/10/09(日) 01:44:51.98 ID:9/WUBORD.net
善子「ずら丸と一緒に、お昼食べてないんだけど♩」



花丸「・・・」ぎゅーっ

善子「……ずら丸?」

花丸「ごめんね、善子ちゃん」

花丸「マルのせいで、心配掛けちゃたずら」

善子「・・・」

花丸「マル……」

花丸「マルは、善子ちゃんの事が……」

善子「もう気にしてないわよ。それに、私も悪かったわ……」

善子「だから……」

善子「そういうの、やめなさいよ……」

善子「焚き火の火が……」

善子「消えちゃうじゃない……」

32: 2016/10/09(日) 01:46:15.40 ID:9/WUBORD.net
ーー

善子「ずら丸、もしかしてこれ一人で食べる気だったの?」

花丸「うん。でも……」

花丸「マル一人じゃ、食べきれないずら♩」

花丸「だから、善子ちゃんも一緒に……」

善子「馬鹿ねぇ、ずら丸」

花丸「……?」

ルビィ「花丸ちゃーん!善子ちゃーん!」

善子「焼き芋……」



善子「足んないわよ」



ーENDー

33: 2016/10/09(日) 01:49:54.65 ID:Yro84INN.net
おつおつ
いい雰囲気でした

引用: 【SS】国木田花丸「黄昏の理解者」