乗客A「あの男は……“国家公認痴O”だ」

乗客B「なんだそれ！？」

乗客A「痴O行為で数々の犯罪を防いできた功績で、国のお墨付きで痴Oができるようになったんだ」

乗客B「ってことは、いくら痴Oしても罪に問われないってことかよ！？　すげえ！」

乗客A「それだけ国はあいつの力を欲してるってことだろうな」



女刑事「……」

などと供述しており動機は未明

女刑事「ちょっとあなた！」

痴O「なんだ」

女刑事「私は刑事よ。いっておくけど、国家公認痴Oなんて私は認めない！　あなたは女の敵よ！」

女刑事「あなたを見てるとムカムカしてくる！」

痴O「といっても、俺の存在は公に認められている。お前が認めなかろうとな」

女刑事「あなたはただの変態よ！　今にそれを証明してやる！」

痴O「どうやって？」

女刑事「これから……あなたとつきっきりになってやる！」

女刑事「それでもし、ただの性欲で痴O行為をしてると分かったら……即逮捕してやる！」

痴O「別にかまわないが……仕事はいいのか？」

女刑事「ええ、ちゃんと許可はもらってるわ」

痴O「ならいい。俺としても人手が欲しかったところだ」

女刑事「……」

課長『国家公認痴Oの正体を暴きたい？　いいだろう。君にとってもいい勉強になるだろうしな』

女刑事（課長ったらなにが勉強よ！　ふざけないで！　こんな奴すぐブタ箱にブチ込んでやるんだから！）

痴O「じゃ、ついてきな」

女刑事「ふん」

痴O「お、さっそくだな」

女刑事「え？」

痴O「あんたはさっき俺を“女の敵”といったが、それは間違いだ」

女刑事「どういうことよ！？」

痴O「俺は――“男の敵”でもある」

女刑事「へ？」

痴O「お尻さわっちゃお！」ﾅﾃﾞｯ

グラサン「ひゃんっ！」

女刑事（ゲ、男のお尻を撫でた！？）

痴O「ドスだな」

グラサン「ぐ……！」

痴O「これで……敵の親分でも刺してこいっていわれたか」

グラサン「そうだよぉ！　そうすればムショ行った後、出世させてくれるってオヤジが……！」

痴O「バカなことしてんじゃねえ……組長に利用されてるだけってことが分からねえのか」

グラサン「うぐ……！」

痴O「お前、故郷に家族は？」

グラサン「田舎に母ちゃんが一人……」

痴O「だったら今すぐ帰ってやれ。これ以上、母親を悲しませるような真似するな」

グラサン「はい……」

痴Oをする必要はあるのか？

痴O「行ったか……真っ当に生きろよ」

女刑事「……！」

痴O「これで分かっただろう？　俺は痴Oで男女区別はしない」

痴O「悪いことしてる奴、しようとしてる奴、全員が俺の敵であり――痴Oの対象だ」

痴O「こういうの、両刀使いっていうんだっけか？」

女刑事「～～～～！」

痴O「分かったら、パトロールを再開するぞ」

女刑事「あっ、待ってよ！」

老婆「えぇと、えぇと……」

老婆「これはどうすればいいのかねえ……」



女刑事「あら、おばあちゃんがATMに手こずってる。お年寄りにはなかなか難しいでしょうね」

痴O「いや、あれは――」ﾀﾞｯ

女刑事「ちょっと！　あんなお年寄りにも痴Oする気！？」

老婆「もしもし、ATMに着いたんだけど、ここからどうすればいいのかねえ？」

電話『ああ、大丈夫。俺にいうとおり操作して、金を振り込んで――』

痴O「おばあちゃん、その電話俺が代わろう」ｻｯ

老婆「へ？」

痴O「もしもし？」

電話『な……誰だてめえ！？』

痴O「ハァハァハァ……」

電話『！？』

痴O「今……どんなパンツはいてるの？」

電話『！？』

痴O「ハァハァハァ……教えてよ……」

電話『白のブリーフだよ、文句あっか！？』

痴O「白ブリーフか……興奮してきちまったぜ……ハァハァハァ」

電話『う……！　あんたの声聞いてたら、俺もなんだか……』

痴O「じゃあ次の質問……今どこにいるの？　君に会いたいな……」

電話『○×ビル三階の事務所にいるけど……』

痴O「ハァハァハァ……ありがとぉ……」

痴O「よし、振り込め詐欺グループのアジトが分かった。今すぐ向かおう」

女刑事「ええっ！？」

変態力パねえ

事務所――

痴O「逮捕する」ﾊﾞｯ

女刑事「あなたたち、全員大人しくしなさい！」ﾊﾞｯ

構成員A「ゲッ、警察！？」

構成員B「なんでここが……！？」

構成員C（しまった、さっきの奴は警察の仲間だったのか……！）


……


痴O「振り込め詐欺グループ壊滅だな」

女刑事（長年捕まらなかった連中をあっさりと……！）

町内を巡回する。

ｽﾀｽﾀ…

女刑事（くうう……本性を暴くどころか手柄立てられてるじゃない！）

痴O「ん」

女刑事「女物の下着が干してあるわね。これがどうしたの？」

痴O「いただき」ｻｯ

女刑事「ちょっと、なにしてるの！？」

痴O「……」ｸﾝｸﾝ

女刑事「匂いまで嗅いで……逮捕よ逮捕！」

痴O「これを破く。すると――」ﾍﾟﾘｯ

女刑事「え」

痴O「見ろ。中に粉が入ってる」

女刑事「これはまさか……！」

痴O「ああ、ヤクだ」

女刑事「ってことはこの家の主人は――」

痴O「おそらく売人だろうな。乗り込むぞ！」

よかった
思ったより人間らしさが残ってた

痴O「なかなかの大物を捕えることができたな。あとの密売ルート摘発はそっちの仕事だ」

女刑事「くっ……！」

痴O「で、どうだった？　俺の仕事ぶりは？」

女刑事「認めない……私はあなたなんか認めない！」

痴O「ならどうする？」

女刑事「まだついていくわ！」

痴O「家まで来るのか？」

女刑事「いけない？」

痴O「別にかまわんが、大したおもてなしはできないぞ」

女刑事「求めてないわよ！」

痴O「お茶でもどうぞ」

女刑事「どうも」

女刑事（こいつは痴O……色仕掛けすれば必ず私に襲いかかってくるはず）

女刑事（そこをすかさずねじ伏せて、逮捕してやる！）

女刑事「今日は疲れたぁ、汗かいちゃった」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

女刑事「上着は脱いじゃおっと」ﾊﾟｻｯ

痴O「……」

女刑事（反応がない！？）

女刑事「うふ～ん、あはぁ～ん」

女刑事（なんで！？　なんで反応しないの！？　襲いかかってきなさいよ！）

痴O「挑発してるところ悪いが、俺はほとんど性欲ってもんがない」

女刑事「え！？」

痴O「だからあんたが期待してるようなシナリオにはならないぞ」

女刑事「……だったらなんで痴Oなんてやってるの！？」

痴O「痴Oが俺にとって、犯罪者と戦う上で一番やりやすいスタイルだったからだ」

痴O「仮にもし、普通に警官するのが一番向いてると思ったら、俺は警官を目指してたさ」

女刑事「……！」

痴O「じゃ、おやすみ」

女刑事（なんなのよこいつ！　ムカムカする！）

次の日からも女刑事は痴Oと行動を共にする。

幼女「うぇ～～ん！」

女刑事「あら、迷子だわ。どうしたの、お嬢ちゃん」

幼女「ひっく、びえぇ～ん！　うぇぇぇぇぇん！」

女刑事「ダメだわ、泣きやまない……」

痴O「俺に任せろ」

女刑事「えっ……」

痴O「くひひひ……お嬢ちゃん。とっても可愛いね」

幼女「……ありがとう」

痴O「おじさんと……いいことしない？」

幼女「する」

痴O「じゃ、一緒に交番行こっか。そうすればお母さんに会えるからね」

幼女「うん！」

女刑事（不審者風の問いかけであっさりと泣きやませた……）

……

ギャル「なにすんのよー！　エOチ！」

痴O「やはり拳銃を持っていたか。ギャルに扮した頃し屋め」

ギャル「くそっ、見破られるとはな！」

女刑事「えええええ！？」

……

痴O「ハグしちゃう！」ｷﾞｭｯ

外国人「No！」

痴O「ダイナマイトを体じゅうに巻きつけていやがったか。こいつは没収させてもらう」ｻｯ

女刑事「自爆されてたら一大事だったわ……」

……

痴O「さて、帰るか」

女刑事（連日のように手柄を立て続けてる……！）

治安悪すぎだろ

米花町ばりの治安

痴O「まだついてくるのか？」

女刑事「ええ、あなたの尻尾を掴むまでは！」

痴O「まあ好きにしたらいい」

女刑事「そっちこそ……私を好きにしてくれていいのよ？」ﾁﾗｯ

痴O「あいにくその手には乗らないよ」

女刑事「ふん！」

ﾜｲﾜｲ…

痴O「ん？」

女刑事「人が集まってる……何かあったのかしら？」

警察官「くっ……どうすれば……」

女刑事「どうしたの？　状況を説明して」

警察官「刃物を持った男が人質を取って、あそこで大声でわめいてまして……」

女刑事「人質？」

警察官「なんでも自分を捨てた彼女を頃して自分も氏ぬ、などといっていて……」

女刑事「色恋沙汰か……厄介ね」

痴O「俺が説得に当たってみよう」

犯人「俺はずっと人に裏切られ続けた！　だから裏切ったこいつを頃して、俺も氏ぬんだぁ！」

若い女「やめて……助けて……」

痴O「待て」

犯人「なんだ、お前！？」

痴O「俺はお前を裏切らない。落ちついて話をしよう」

犯人「信用できるか！　どうせ武器を持ってるんだろ！？」

痴O「持ってない。今からそれを証明してやる」

犯人「どうやって？」

痴O「ほら」ﾊﾞｻｯ

犯人「な……！？　コートの下は……裸だと！？」

女刑事「古きよき伝統的痴Oスタイルだわ！」

痴O「どうだ。武器はないだろう？　俺はお前と話がしたいだけなんだ」

犯人「まだだ……まだ信用できない！」

痴O「どうすれば信用してくれる？」

犯人「もう一人……もう一人お前みたいな奴が出てきたら、大人しく逮捕されてやるよ」

痴O「分かった」

痴O「誰か！　もう一人俺のようにコートに裸スタイルになってくれる者はいないか！？」

ｼｰﾝ…

痴O「誰か！　協力してくれ！」

ｼｰﾝ…

犯人「ほらな！　やっぱり人は信用できねえ！　こいつは頃す！」ｸﾞｲｯ

若い女「きゃあああっ！」

痴O「くっ……！」

痴O（人が大勢いるこの状況で、己の裸を見せる気概のある奴はいないか……！）

女刑事「……」ｽﾞｲｯ

痴O「ん？　どうした？」

女刑事「私……やる！」

痴O「なに！？」

痴O「ちょっと待て！　あんたは女だろ！　やめとけ！」

女刑事「あら、痴Oに男女は関係ないんじゃなかったの？」

痴O「たしかにそういったけど……。しかし、やはり女がやることでは……」

女刑事「それにやっと分かったの。私があなたにムカムカしてた理由」

痴O「？」

女刑事「あなたは私がやりたかったことを堂々とやってる。ずっとそれにムカムカしてたんだわ！」

女刑事「着替えてきたわ。コートの下にはもちろん……」

女刑事「ほいさ！」ﾊﾞｻｯ

痴O「……！」

犯人（本当に二人とも、武器を持ってないことを示すためだけに、コートに裸姿に……！）

犯人（かなわねえ……かなわねえよお……！）ｶﾞｸｯ

犯人「俺の……負けです……。逮捕して下さい……」

女刑事「投降してくれたわね。後は頼んだわよ」

警察官「は、はいっ！　女刑事殿、ご協力感謝します！」ﾋﾞｼｯ

痴O「ありがとう、おかげで犯人を説得できた」

女刑事「ううん、私もやっと自分の気持ちに気づけたわ」

痴O「正直にいおう。さっきのあんたの露出姿には、俺もムラムラしてしまったよ」

女刑事「……もうっ！」

痴O「もし、よかったら……これからも俺とコンビを組んでくれないか」

女刑事「うん……きっと課長も許してくれる。二人でこの世の悪を退治しましょう！」

……

痴O「お尻さわっちゃお！　――これは世界最悪のコンピュータウイルスの入ったUSBだな」

スーツ男「くっ、あと少しで日本の電子マネーを崩壊させられたのに……」

女刑事「胸さわっちゃお！　――やはりテロの計画書を持ってたわね」

金髪女「うぐぐ……国会爆破計画がパーに……！」



通行人A「あの二人は……！」

通行人B「知ってるのか？」

通行人A「ああ……。国のお墨付きで痴Oをする……国家公認痴Oと痴女だ」





＜終わり＞

感動した

乙
面白かった