1: 2013/07/31(水) 23:30:06.38 ID:KZnSQ/bb0
(小さい頃……。
テレビに出てくる魔法少女達は、
私の憧れだった)

(悪者達から人々を守る、
強くて優しい、正義の味方)

(誰かのために命を懸ける、
華麗なヒロイン……)

(残念ながら、私が思い描いていたのとはちょっと違う形になってしまったけど……。
私も、彼女達のようでありたい)

(……ううん。
そうでなきゃ駄目なの)

(きっと、それが……。
私の最後の……、生きる意味だから……)

夢の中で逢った、ような……


2: 2013/07/31(水) 23:32:04.50 ID:KZnSQ/bb0
・概要

交通事故にあった巴マミさんが、もしもインキュベーターではなく、別の宇宙人に救われていたとしたら……なSSです。

内容としては、前に建てていたスレ(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358518526/)に投下していた文章に加筆修正+αを施した完全版的な感じのものです。

なお、こちらのお話はまどかSS談義スレで話題に出たネタを頂いて作成しました。



※注意事項

こちらのSSには、『まどか☆マギカ』の外伝作品である『かずみ☆マギカ』の重大なネタばれ要素が含まれる為、未見の方はご注意下さい。

また、お話の都合上、終盤で出てくるとある重要キャラクターにかなりの独自設定を付加していますので、併せてそちらの方もご注意下さい。

3: 2013/07/31(水) 23:35:40.73 ID:KZnSQ/bb0
キュゥべえ「助けて……」

まどか「ほむらちゃん……!?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だって、この子怪我してる……。

    だ、駄目だよ、酷いことしないで!」

ほむら「あなたには関係無い」

まどか「だってこの子、わたしを呼んでた。

    聞こえたんだもん!

    助けてって」

ほむら「そう」

まどか「え……?

    えぇ?」

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「こんな時に……」

4: 2013/07/31(水) 23:38:18.17 ID:KZnSQ/bb0
さやか「何よあいつ。

    今度はコスプレで通り魔かよ!

    つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?

    生き物?」

まどか「分かんない。

    分かんないけど……。

    この子、助けなきゃ!」

さやか「あれ、非常口は?

    どこよここ!?」

まどか「変だよ、ここ。

    どんどん広くなってる……」

さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

まどか「やだっ、何かいる……」

さやか「えっ、何だよこいつら!?」

まどか「さやかちゃん、逃げようよ!」

さやか「逃げるったって、あたし達もう囲まれちゃってるよ!

    それにこいつら、どんどん近付いてきてる……」

まどか「そんな……」

さやか「冗談だよね?

    あたし、悪い夢でも見てるんだよね?

    ねえ、まどかぁ!」

まどか「いやぁぁぁー!」

5: 2013/07/31(水) 23:43:17.88 ID:KZnSQ/bb0
さやか「あ、あれっ?」

まどか「これは……?」

マミ「……危なかったわね。

   でももう大丈夫」

―わたし達の目の前には、いつの間にか、まるでテレビに出てくる魔法少女みたいなかっこいい服を着た女の人が立っていました―

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。

   その子は……、私の知り合いなの」

まどか「あの、わたし呼ばれたんです。

    頭の中に直接この子の声が……」

マミ「ふぅん……、なるほどね」

さやか「あの、あなたは……?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね……。

   でも、その前に!

   ……ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら?」

―その女の人はそう言うと、いきなりどこからともなくブーメランみたいなものを取り出して、そこにいたお化けみたいな何かに向けて投げつけました―

マミ「ハッ!」

―そして、沢山いたはずのお化け達は、その女の人のブーメランの攻撃でみんなやっつけられていました―

まどか「す、すごい……」

―やがて、わたし達も元々いたはずの場所に戻っていました―

さやか「も、戻った!」

マミ「あなた達、大丈夫?」

まどか・さやか「は、はい!」

6: 2013/07/31(水) 23:45:42.98 ID:KZnSQ/bb0
マミ「……私は巴マミ。

   あなた達と同じ、見滝原中の三年生。

   そして、その……、魔法少女よ」

まどか・さやか「魔法少女?」

マミ「そういえば、あなた達のお名前を教えてくれるかしら?」

さやか「ええっと、あたしは美樹さやかで、こっちは……」

まどか「鹿目まどかです」

マミ「美樹さんに、鹿目さんね。

   二人とも、二年生?」

さやか「は、はい……。

    それよりマミさん、魔法少女って―」

マミ「そうだわ!

   その子をちょっと私の方へ貸して貰えるかしら?」

まどか「あっ、はい……」

―マミさんがキュゥべえに向かって手をかざすと、キュゥべえの怪我は全く無くなっていました―

さやか「わぁー、すご……!」

キュゥべえ「ううーん」

マミ「お目覚めかしら。

   ……キュゥべえさん?」

キュゥべえ「巴マミ、一体君は―」

マミ「二人とも、恐い目にあって疲れちゃったでしょう?

   今日はもう、帰った方がいいんじゃないかしら?」

まどか「で、でも……」

マミ「……詳しい事情は、明日、私の家で話してあげます。

   だから、今日は二人とも帰った方がいいわ」

さやか「……分かりました。

    まどか、今日は帰ろう?」

まどか「えっ、さやかちゃん?」

さやか「それじゃあ、マミさん。

    さようなら……」

8: 2013/07/31(水) 23:49:00.88 ID:KZnSQ/bb0
まどか「さやかちゃん」

さやか「何、まどか?」

まどか「……あのまま、帰っちゃって本当に良かったのかな?」

さやか「うーん……、あの人にも何か事情があるみたいだし、明日説明してくれるって言ってたんだから、ここは言うことを聞いて帰ってあげようよ。

    それにさ……、あたし達を助けてくれて、しかもキュゥべえの怪我まで直してくれたんだから、多分悪い人じゃないんじゃない?」

まどか「そっか、そうだね……」

さやか「それじゃあ、さっさと帰っちゃおう?

    あっ、もしも怖いんなら、あたしがちゃんと家まで送ってってあげるからさ」

まどか「そ、そんなことないよ!」

さやか「それじゃあ、ここに置いてちゃってもいいのかなー?」

まどか「も、もう!

    さやかちゃんの意地悪!」

さやか「冗談だってば。

    ほら、帰ろう?」

まどか「う、うん……」

9: 2013/07/31(水) 23:56:01.87 ID:KZnSQ/bb0
マミ「さてと……。
そこに隠れているあなたも、そろそろ出てきたらどうかしら?」
 
ほむら「気付いていたのね、巴マミ……」

マミ「あら、私の名前を知っているの?」

ほむら「さっき、あなたがそこで名乗っていたでしょう?」

マミ「ああ、そういえばそうだったわね……。
ところで、あなたの名前は?」

ほむら「暁美……、ほむらよ」

マミ「暁美さん、ね。
まずは一つだけ確認しておきたいのだけど……。
暁美さん、あなた……、魔法少女、なのよね?」

ほむら「ええ、それが何か―」

―巴マミは、私の方まで近づいてくると、いきなり抱きしめてきた―

ほむら「と、巴マミ!?」

マミ「ごめんね。
また、間に合わなかった……」

10: 2013/07/31(水) 23:58:01.88 ID:KZnSQ/bb0
ほむら「あの……。
そろそろ、離して貰えるかしら?」

マミ「あっ、ごめんね。
いきなり、抱きついちゃったりして……」

ほむら「いえ、そのことは別に構わないのだけど……」

キュゥべえ「巴マミ」

―インキュベーターが話しかけてくると、今まで私に向かって話しかけていた時とはまるで別人のように、巴マミの表情は険しくなっていた―

マミ「インキュベーター……。
また、さっきの子達を魔法少女に勧誘しようとしていたわね?」

キュゥべえ「うん。
だって、それが僕の仕事だからね」

マミ「そうでしょうね。
でも……、これ以上、あなた達の思い通りにはさせないんだから……」

ほむら(どういうこと……。
“あの巴マミ”が、インキュベーター達と敵対している!?)

11: 2013/08/01(木) 00:00:14.14 ID:dwODWL1G0
マミ「暁美さん」

ほむら「……」

マミ「暁美さん?」

ほむら「あっ、ごめんなさい。
ちょっと考え事をしていたの。
……それで、何かしら?」

マミ「この後、お時間は空いてるかしら?
ちょっと、私の家で話したいことがあるのだけど……」

ほむら(出来れば私としては、インキュベーターがまどかに契約を迫ることのないように監視をしておきたい。
でも、“この巴マミ”のことも気になる……)

キュゥべえ「お取り込み中のようだね。
それじゃあ、僕はここで失礼させてもらうとするかな」

マミ「待ちなさい。
あなたも、一緒に来てもらうわよ」

キュゥべえ「やれやれ。
昨日警告したばかりだというのに、君はまだ僕達の邪魔をするつもりなのかい?」

マミ「私はあなた達がここから手を引くまで続けるつもりよ」

ほむら「あの……」

マミ「暁美さん。
キュゥべえも一緒に来ることになるのだけど、構わないかしら?」

ほむら(まだ、行くとは言ってないのだけど……)

マミ「それとも、やっぱり二人だけの方がいい?」

ほむら「いえ、私としても、その方が好都合なので」

マミ「なるほどね……。
それじゃあ、私の家に向かいましょうか」

12: 2013/08/01(木) 00:03:03.90 ID:dwODWL1G0

―そして、私とインキュベーターは巴マミに導かれて、彼女が住んでいるマンションへと向かっていた―

マミ「!」

ほむら「どうしたの?
急に立ち止まったりして……」

マミ「暁美さん。
ちょっと申し訳ないのだけど……、先に私の家の前まで行って待ってて貰えるかしら?
場所はキュゥべえに聞けば分かるから」

ほむら「私は別に構わないけど……。
……何かあったの?」

マミ「ちょっともう一仕事だけ、片付けてくるわね!」

ほむら「ああ、ちょっと!」

―そして巴マミは、そのままどこかに向かって走り去っていった―

13: 2013/08/01(木) 00:07:19.63 ID:dwODWL1G0
ほむら「キュゥべえ」

キュゥべえ「何だい?
暁美ほむら」

ほむら「巴マミが何をしに行ったのか、心辺りはある?」

キュゥべえ「おそらく、魔女退治に行ったんじゃないかな」

ほむら「それなら、私も―」

キュゥべえ「彼女は自分の力を使ってかなり遠い場所に行っただろうから、君の得意としている魔法が長距離移動に適したものでなければ、追いかけるのは難しいんじゃないかな?
それに、おそらく彼女は反対すると思うよ。
君が魔女と戦うのを、出来る限り避けさせたいだろうしね」

ほむら「それは、グリーフシードの取り分が減るから?」

キュゥべえ「おそらくそれも違うと思うよ。
そもそも、彼女には必要ないだろうし」

ほむら「……一体、どういうこと?」

キュゥべえ「それは、巴マミが帰って来てから直接聞くといいよ」

ほむら「……」

14: 2013/08/01(木) 00:10:17.49 ID:dwODWL1G0
―そして、私とインキュベーターがマンションに着いてから約10分後に、巴マミがマンションの入り口に現れた―

マミ「待たせちゃってごめんね、暁美さん」

ほむら「いえ……。
それでは、おじゃまします」

マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。
ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

ほむら(ケーキと紅茶……)

マミ「どうしたの、暁美さん?
……もしかして、お口に合わなかったのかしら?」

ほむら「いえ、ちょっと昔のことを思い出してしまって……。
それに、とても美味しいわ」

マミ「ありがとう」

15: 2013/08/01(木) 00:13:57.51 ID:dwODWL1G0
ほむら「……それで、話したいことって何かしら?」

マミ「暁美さん。その、魔女退治のことなんだけど……。
どうか、これからは全て私に任せて欲しいの」

ほむら「それはつまり……。
この見滝原から手を引け、ということ?」

マミ「いえ、そういう意味ではないわ。
あなたもこの街で生活していかなければならないでしょうし、出て行けなんて言うつもりもないわ。
それに、私はあなたと出来る限り協力していきたいとも思っているしね」

ほむら「だったら、どういうつもりでそんなことを言うの?」

マミ「私はただ……、あなたに危険なことをして欲しくないだけなの」

ほむら「でも、私達魔法少女にはグリーフシードが―」

マミ「もちろん、私が手に入れたグリーフシードは全てあなたに譲ってあげる」

ほむら「それじゃあ、あなたが自分で使う分はどうするの?」

マミ「私はね……、グリーフシードを使う必要はないの」

ほむら「……キュゥべえもそう言っていたけど、一体どういうことなの?」

マミ「それについては、まだ詳しく説明することは出来ないのだけど……。
そうね……、私はキュゥべえと契約した魔法少女ではない、とだけ言っておくわ」

ほむら「……キュゥべえ、彼女の言っていることは本当なの?」

キュゥべえ「ああ、訂正するほど間違ってはいないね」

ほむら「そう……。
キュゥべえは“嘘”はつかないから、そこは本当なのでしょうね。
だけど、もしもあなたが先程の約束を守らなかったとしたら、私はグリーフシードを全く得られないわ。
しかも、あなたはろくに事情を話そうとはしない。
そんな状態で……、会ったばかりのあなたのことを信用しろっていうの?」

マミ「お願い、私を信じて」

ほむら「……」

16: 2013/08/01(木) 00:17:37.86 ID:dwODWL1G0
マミ「……暁美さん?」

ほむら「……私は、まだあなたを全面的に信用することは出来ないし、そうでなくても、あなた一人だけでこの街の魔女達全てに対処出来るとは思えない。
だから、全てをあなたに任せる、というわけにはいかないけど、とりあえず、当面の間は出来る限りあなたに譲るようにします」

マミ「ありがとう。
今はまだ、それでも構わないわ」

17: 2013/08/01(木) 00:20:06.61 ID:dwODWL1G0
マミ「それと暁美さん、明日のことなんだけどね。
学校の授業が終わったら、私の家であなたと同じクラスの鹿目さんと美樹さんに今回の事情を説明しようと思っているのだけど……」

ほむら「あなたまさか、あの子達を魔法少女に勧誘するつもり!?」

マミ「そんな、私はあの子達を魔法少女に勧誘するつもりなんてないわよ。
むしろ、もうこれ以上魔法少女を増やしたくないと思っているし……」

ほむら「……そう。
早とちりしてしまってごめんなさい」

マミ「いえ、気にしないで。
それでね、ちょっとあなたに手伝って欲しいことがあるの」

ほむら「何かしら?」

マミ「明日、私が二人に話そうと思っている内容の中には、キュゥべえには聞いて欲しくないこともあって。
だから―」

ほむら「つまり、私にキュゥべえの監視をしておいて欲しいということね?」

マミ「そういうことね。
飲み込みが良くて助かるわ」

キュゥべえ「……」

18: 2013/08/01(木) 00:23:01.10 ID:dwODWL1G0
マミ「……それじゃあ、今日はよろしくね」

ほむら「え?」

マミ「暁美さん、泊まっていってくれるのでしょう?」

ほむら「どうして、私が泊まる必要があるの?」

マミ「もちろん、キュゥべえの監視をするためよ。
私達と違って睡眠はあまり必要ないみたいだし、夜通しで見張っておかなくちゃね。
今までは私一人でやっていたから寝てしまったこともあったけど、暁美さんがいてくれれば助かるわ。
というわけで、3時間ごとの交代制でいいかしら?
睡眠時間が少なくなるのは大変だろうけど、今日だけは我慢してね」

ほむら「ちょっと待って」

マミ「何かしら?
もしかして……、3時間じゃ足りない?
それなら、多少私の時間を減らしても―」

ほむら「いや、それは構わないのだけど……。
ていうかあなた、今までこいつと一緒に暮らしていたの?」

マミ「監視をする為に、仕方なくよ」

ほむら「……本当に?」

マミ「どういう意味?」

ほむら「……いえ、何でもないわ」

マミ「……そう。
それじゃあ、まずは当番を決めちゃいましょうか。
暁美さんは、どちらからがいい?」

ほむら「……とりあえず、先輩のあなたに任せておくわ」

19: 2013/08/01(木) 00:25:13.35 ID:dwODWL1G0
キュゥべえ「巴マミ」

マミ「何かしら?
……インキュベーター」

キュゥべえ「君は僕をその場から遠ざけておけばいいと思っているみたいだけど……。
僕達がその気になれば、この星のどこからだとしても、君達の話を盗み聞きすることくらいは、造作もないことなんだよ?」

マミ「そんなこと、分かっているわ。
私が本当に話を聞かせたくない相手は、あなたじゃない」

キュゥべえ「ふーん、なるほどね」

マミ「もしも、私のいない間に何か余計なことを暁美さんに言ったりしたら……。
今度こそ、ただでは済まさないから」

キュゥべえ「もちろん、言うつもりはないよ。
彼女に聞かれない限りはね」

マミ「……そうならないよう、祈っておくことね」

23: 2013/08/01(木) 08:00:28.57 ID:dwODWL1G0
マミ「おはよう、暁美さん」

ほむら「……おはよう、巴マミ」

マミ「そういえば暁美さん、意外とこういう不規則な生活にも慣れているみたいね。
つい最近まで、入院してたんじゃなかったの?」

ほむら「……そういうあなたは、まだ眠たそうね。
いつもやっていたんじゃなかったの?」

マミ「悪かったわね……、眠たそうに見えるのは元々です!
それに、朝はちょっと弱いのよ……」

ほむら「そう。
まぁ、そんなことはどうでもいいでしょう。
それより、あの子達の説得をあなたに任せて、本当に大丈夫なのよね?」

マミ「任せてちょうだい!
魔法少女にならないよう、ちゃんと説得してみせるから」

ほむら「……頼んだわよ」

マミ「あら、もうこんな時間なのね……。
そうだわ、朝食はここで食べていくわよね?
少しだけ待っててくれれば、すぐに用意しちゃうから」

ほむら「いえ、一旦家に帰っておきたいし、遠慮しておくわ」

マミ「そう……、分かったわ。
それじゃあ暁美さん、また後でね」

ほむら「……ええ、また後で」

25: 2013/08/01(木) 23:48:00.03 ID:dwODWL1G0
 学校の屋上

さやか「まどかはさ……、昨日のこと、どう思う?」

まどか「昨日のって、あのお化けみたいなのとか、マミさん達のこと?」

さやか「うん。
正直あたしは、まだ現実だったのかどうかすらも疑いたくなるような感じでさ―」

まどか「!」

さやか(転校生……)

まどか(ほむらちゃん……)

さやか「昨日の続きかよ」

ほむら「いいえ、そのつもりはないわ」

さやか「じゃあ、一体何の用さ?」

ほむら「巴マミから頼まれた伝言を、あなた達に伝えにきただけよ」

まどか「マミさんに?」

ほむら「ええ」

さやか「それで、内容は?」

ほむら「あなた達を家に招待したいそうよ。
昨日のことについて、詳しく説明するつもりだとか」

さやか「それには、あんたも来るの?」

ほむら「いえ、私は別に用事があるから、同席するつもりはないわ」

さやか「なら、喜んで行くよ」

ほむら「そう……。
それじゃあ、放課後に校門の前で待っていて」

まどか「……」

26: 2013/08/01(木) 23:50:15.78 ID:dwODWL1G0
まどか「……あの、ほむらちゃん?」

ほむら「……何かしら?」

まどか「ほむらちゃんは、マミさんと仲良くなったの?」

ほむら「仲良くというほどではないけれど……、昨日二人で話をした結果、これから協力していくことを約束したわ」

さやか「ふん、一体どうやって取り入ったんだか」

ほむら「別に、何もしてないわ。
……それより、昨日の話は覚えてる?」

まどか「うん」

ほむら「ならいいわ。
私の忠告が無駄にならないよう、祈ってる」

まどか「あの、ほむらちゃん。
あなたも、その……、魔法少女、なんだよね?」

ほむら「ええ、そうよ」

まどか「ほむらちゃんはさ、どうして魔法少女になったの?」

ほむら「……」

まどか「あっ……」

さやか「感じ悪い奴……」

27: 2013/08/01(木) 23:53:00.76 ID:dwODWL1G0
 マミの部屋

まどか「マミさん。
すっごく美味しいです」

さやか「んー、めっちゃうまっすよ」

マミ「ありがとう。
それじゃあ、そろそろ本題に入りましょうか。
まずは、あなた達から質問してもらうという形にするわね。
二人とも、何か聞きたいことはある?」

さやか「じゃあ、まずはあたしから……。
マミさん、昨日は自分のことを魔法少女だって言ってたよね。
でも、魔法少女って何?」

マミ「魔法少女はね、魔法を使って魔女を狩る者達のことよ。
まぁ、厳密に言うと私が使っているのは魔法というよりも超能力だから、エスパー少女、と言った方がいいかもしれないけど」

まどか「え、エスパー?」

マミ「そうよ。
だから、私はエスパーマミ!
……なんてね」

さやか「?」

まどか「それって何ですか?」

マミ「……そっかぁ、私達の世代なら普通は知らないわよね……。
ごめん、忘れてちょうだい……」

まどか「は、はい……」

28: 2013/08/01(木) 23:55:50.39 ID:dwODWL1G0
さやか「それとマミさん、魔女って何なの?
魔法少女とは違うの?」

マミ「魔女というのはね、呪いから産まれた、恐るべき存在。
魔女達は絶望を蒔き散らして、不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種をこの世界にもたらしている。
それにね、理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なの。
形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」

さやか「そんなヤバい奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」

マミ「魔女はね、常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないの。
ちなみに結界というのは、昨日あなた達が迷い込んだ迷路のようなところのことよ。
だから、あなた達は結構危ないところだったのよ?
あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから……」

まどか「……」

マミ「ごめんなさい、怖がらせちゃったかしら?
でも、大事なことだから我慢してね」

まどか「はい、大丈夫です……」

さやか「それじゃあ、昨日あたし達を襲ってきたのが魔女ってことかな?」

マミ「いえ、あれは使い魔よ」

まどか「使い魔?」

マミ「魔女の手下みたいなものね」

さやか「あれで手下なの?
それじゃあ、ボスの魔女は……」

マミ「ええ、とても恐ろしい存在よ」

まどか「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか」

マミ「そう、命懸けでね」

まどか・さやか「……」

29: 2013/08/01(木) 23:58:53.80 ID:dwODWL1G0
さやか「そ、そういえば、マミさん?」

マミ「なぁに、美樹さん?」

さやか「マミさんは、キュゥべえとも知り合いなんですよね?」

マミ「……ええ、そうよ」

さやか「それじゃあ……、キュゥべえって、一体何なの?
別の世界から来た妖精とか、そんな感じ?」

マミ「そういえば、キュゥべえについてはまだ説明してなかったわね……。
実はね……、キュゥべえは、他の星から来た種族なの」

さやか「他の星ってことは……、あいつ、宇宙人なの!?」

マミ「人と言っていいのかは分からないけどね。
それと、彼の仕事はね、この星の人間の少女達と契約して、魔法少女を産み出すことなの」

さやか「契約って?」

マミ「キュゥべえは、彼自身が選んだ女の子達に願い事を何でも一つ叶えてあげると約束し、その代わりに魔法少女になってもらうという内容の契約を結んでいるの」

まどか「そうなんですか……。
でも……、ほむらちゃんも魔法少女なんですよね。
それなのに、どうしてキュゥべえにあんな酷いことをしていたのかな?」

マミ「もしかしたら、新しい魔法少女が産まれることを阻止しようとしていたのかもしれないわ」

まどか「どうしてですか?
魔法少女の仲間が増えるのは、いいことだと思うんだけど……」

さやか「そうだよ。
同じ敵と戦っているなら、仲間は多い方がいいんじゃないの?」

マミ「それが、そうでもないの。
むしろ、競争になることの方が多いのよね」

まどか「そんな……、どうして」

マミ「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。
だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね」

さやか「つまりあいつは、キュゥべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」

マミ「その可能性も、否定は出来ないわ。
ただ……、私にはどうも、彼女にはそれ以外の事情があるようにも思えるの」

さやか「どんな事情が?」

マミ「そうねぇ……。
……二人とも、ここからの話は誰にも言わないって約束出来る?」

まどか「は、はい!」

マミ「美樹さんは?」

さやか「もちろん、あたしも今日聞いたことを誰かに話したりするつもりはないです」

マミ「それじゃあ、言うわね。
実は―」

30: 2013/08/02(金) 00:01:29.22 ID:yf8Ne8Sg0
 魔女の結界の近く

ほむら「巴マミ。
今日は私も一緒に着いていこうと思うのだけど、いいかしら?」

マミ「ええ、別に構わないわよ」

ほむら「ありがとう。
それと、一つ聞いてもいいかしら?」

マミ「何かしら?
暁美さん」

ほむら「どうして、この子達がここにいるの?」

さやか「……な、何だよ、転校生。
あんたはマミさんに付いていくっていうのに、あたし達は駄目ってわけ?」

ほむら「私は魔法少女よ。
あなた達とは違うわ」

マミ(テレパシー:暁美さん!
そんな風に言ったら―)

ほむら(テレパシー:ごめんなさい。
今のは失言だったわね。
でも、どうしてこの子達を連れて来たの?)

マミ(テレパシー:ごめんね。
一通り説明したら帰ってくれると思ってたのだけど……。
一度だけでいいから魔女退治の様子をどうしても見たいって言われて、つい……)

ほむら(テレパシー:ついじゃないでしょう!
あなた、やっぱり自分の活躍を誰かに見せたかったの?)

マミ(テレパシー:やっぱりって、どういうことかしら?)

ほむら(テレパシー:……いいえ、何でもないわ。
でも、あなたに説得を任せたのは失敗だったのかしら……?)

マミ(テレパシー:そんな……)

まどか「あの……。
ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「いえ、着いてきてしまったのならばもう仕方ないわ。
二人とも、私と巴マミのそばを絶対に離れないでちょうだい」

まどか「うん、分かった」

ほむら「美樹さやか。
あなたは?」

さやか「とりあえずは、あんたの言うことに従っておくよ」

31: 2013/08/02(金) 00:05:15.81 ID:yf8Ne8Sg0
 マミの部屋(回想)

さやか「それって……、本当なんですか?」

マミ「ええ、実際にこの目で見たことがあるから間違いないわ」

まどか「でも、どうしてキュゥべえはそんな酷いことを……」

マミ「おそらくだけど、彼は酷いとすらも思っていないでしょうね」

さやか「そんなことって……」

まどか「……もしかして、ほむらちゃんはそのことを知ってて?」

マミ「それはまだ分からないわ。
でも、彼女がそのことを知っている可能性はあると思う」

さやか「だから、マミさんは今日あいつをここに呼ばなかったの?」

マミ「ええ、その通りよ。
もしも私の推測が間違っていたら、彼女に強いショックを与えることになるでしょうから」

まどか「でも……。
どうしてマミさんは、ほむらちゃんが魔法少女の真実を知っているかもしれないと思ったんですか?」

マミ「暁美さんと昨日話した時、あの子はあなた達が契約することに反対していたわ。
でも、必氏で話しているあの子の表情を見ていたら、私利私欲の為に阻止しようとしているようには全く見えなかったのよね。
少なくとも私には、本気であなた達のことを心配しているように思えた。
だから、彼女を信じてみようと思ったの」

さやか「理由はそれだけ?」

マミ「ええ、それだけよ」

さやか「でも、もしもマミさんの考えが間違っていたとしたら……」

マミ「ええ。もしかしたら、あの子がとても演技上手で、私の油断を誘って縄張りを奪おうとしている可能性だってあるかもしれないわね。
でも、だからこそ、それを見極める為にも私は暁美さんと一緒に行動してみようと思っているの」

さやか「あいつが悪い奴だったとしたら、マミさんだって危ないよ!」

マミ「私のことは心配しないで。
こう見えても、結構強いんだから!」

さやか「でも……。
……そうだ、あたしをマミさんの魔女退治に連れていってくれませんか?」

マミ「え?」

まどか「さやかちゃんだけでなく、わたしも一緒に連れていってください」

マミ「二人とも、何を言っているの?」

さやか「あたし達で、転校生のことを見極めるよ。
危ない場所ならあいつの本性も見抜きやすいだろうし、万が一あいつが裏切ろうとした時は、マミさんに忠告だって出来るから」

まどか「それに、マミさんの言っていることが正しかったとしたら、誰かがほむらちゃんについててあげる必要があると思うんです。
……もちろん、マミさんにも」

マミ「!
でも……、あなた達、私の話をちゃんと聞いていたの?
魔女の結界はとっても危ないところなのよ。
あなた達が行くべきところではないわ!」

さやか「もちろん分かってるよ。
でも、マミさんがあたし達を守ってくれるんだよね?」

マミ「それは、そうだけど……」

さやか「それじゃあ、よろしくお願いしますね」

まどか「わたしも、よろしくお願いします」

マミ「全く、あなた達は本当に困った後輩達なのね……。
……ええ、分かったわ。
二人とも、絶対に私のそばを離れないでね!」

32: 2013/08/02(金) 00:07:08.46 ID:yf8Ne8Sg0
―そして、私と巴マミ、まどかと美樹さやかの4人は、魔女の結界のある場所へと向かっていた―

マミ「間違いない、ここよ」

さやか「あ、マミさんあれ!」

―私達が辿り着いた廃墟ビルの屋上には女性が立っていて、今にも飛び降りようとしているところだった―

まどか「きゃあ」

―私は変身しようとしたけど、巴マミの方が素早く動いていて―

マミ「ハッ!」

―巴マミは、制服姿のままで手から能力を発動させ、飛び降りようとしていた女性を受け止めていた―

さやか「ま、間に合った……」

―でも、その時巴マミが手から発したのは、私が良く知っているリボンではなく、まるでテレビ等に出てくる超能力者達が使うような、何らかの念動力のようなものだった―

マミ(魔女の口づけ……、やっぱりね)

まどか「この人は?」

マミ「大丈夫、気を失っているだけ。
それじゃあ、行くわよ!」

33: 2013/08/02(金) 00:10:50.71 ID:yf8Ne8Sg0
―巴マミは、結界に入る直前に魔法少女の姿に変身していた―

マミ「今日こそは、逃がさないわよ」

―でも、巴マミが変身した時の魔法少女の衣装は、“私が知っているもの”と似てはいたものの、細部が異なっており、胸元のリボンや頭のソウルジェムが無く、何より、服の色も変わっていた―

マミ「暁美さん。
この子達のこと、お願い出来る?」

ほむら「ええ、任せて」

―また、使っている武器も“いつものマスケット銃”ではなく、バナナのような形をした長い刃物になっていて、そのまま切りつけたり、時折ブーメランのように投げつけて使用していた―

マミ「ハッ!」

―そして、その戦い方も、“私が知っている巴マミ”のものとは全く違っていた―

マミ「フッ!」

―赤い衣装に、髪を黒いリボンで留めて背中まで垂らしたポニーテール……。
 そう、どちらかといえば、この戦い方はまるで―

マミ「もうすぐで結界の最深部よ。
みんな、準備はいい?」

まどか・さやか「はい!」

マミ「暁美さん?」

ほむら「……ええ、私も大丈夫よ」

34: 2013/08/02(金) 00:13:37.09 ID:yf8Ne8Sg0
―そして私達は、結界の最深部にいた魔女の姿に、驚かされることになった―

ほむら「!」

さやか「グロいし……、でかい!」

―薔薇園の魔女は、いつもの3倍……、いや、5倍ほどの大きさまで巨大化していた―

まどか「いつも、あんなのと戦ってるんですか?」

マミ「いえ、私もあんな大きい魔女とは―
きゃあっ!」

まどか「マミさん!」

ほむら「二人とも、私から離れないで!」

まどか・さやか「は、はい!」

―私は、薔薇園の魔女に向かって軽機関銃【M249】を放った―

ほむら(やはり、こんなものじゃほとんど効き目が無い……。
だったら、RPGなら少しは効くかしら?
でも、まどか達がいるから爆発するのは駄目よね……。
では、一体どうすれば― )

―でも、私が対抗策を考えつく前に、薔薇園の魔女は触手で攻撃してきた―

ほむら「ぐっ!」

まどか「ほむらちゃん!」

35: 2013/08/02(金) 00:15:26.62 ID:yf8Ne8Sg0
―そして薔薇園の魔女は、残されたまどか達に迫ろうとしていた―

さやか「まどか、ここはあたしに任せてあんただけでも逃げて!」

まどか「そ、そんなこと出来る訳ないよっ!」

さやか「いいから!」

まどか「でも!」

―でも、そこに薔薇園の魔女の使い魔が現れ、まどか達の逃げ道を絶ってしまっていた―

さやか「ああ!」

36: 2013/08/02(金) 00:17:01.00 ID:yf8Ne8Sg0
ほむら(そんな……。
まさか、こんなところで私は……)

―その時、私は結界の上の方に人が立っているのを見付けた―

ほむら(あそこに立っているのは、巴マミ!?)

―巴マミは、片足だけを立てた状態で、魔女の方を見下ろしていた―

ほむら(生きていたのね……。
それにしても、あんなところで一体何を―)

―やがて巴マミが、深呼吸をした後、服から何かを取り出して右手に構えると、辺り一面が眩い光に包まれていき―

ほむら(あ、あれは……!)

―そこに現れたのは、赤と銀の光の巨人だった―

37: 2013/08/02(金) 00:20:16.37 ID:yf8Ne8Sg0
まどか「あれっ?
わたし達……、助かった、のかな?」

さやか「そうみたいだね……。
って、うわ!
よく見たら……、でっ、でっかい宇宙人!?」

ほむら(きょ、巨人……?)

―その巨人は、赤と銀の体色に身長は30m程度で、良く見ると、女性的な体型をしていた―

まどか「……もしかして、わたし達を助けに来てくれたのかな?」

さやか「えっと……、そうなの?」

―すると、巨人はまどか達に向かって頷いていた―

まどか「わたし達の言葉、通じてるみたいだね」

―そしてその巨人は、使い魔に向かって振りおろしていた手を上げ、そのまま私達に向かってかざした―

さやか「こいつ!
やっぱりあたし達を……!?」

まどか「違うと思うよ、さやかちゃん。
多分、わたし達を守ろうとしてくれてるみたい」

―巨人は、私達の周りに光の膜のようなものを張って包みこんだ―

さやか「あっ、疑っちゃってゴメン……」

―そして、巨人は魔女に向かってファイティングポーズを取った―

38: 2013/08/02(金) 00:23:05.62 ID:yf8Ne8Sg0
―薔薇園の魔女は、巨人に向かって巨大な椅子を投げつけた―

―巨人はその攻撃をかわすと、手の先から光弾を発射して椅子を破壊した―

―しかし、薔薇園の魔女の使い魔が巨人に近寄っていき、撹乱させた隙に魔女が触手で攻撃すると、そのまま巨人を拘束して吊るしあげた―

―でも、巨人は頭頂部の飾りを念力で外して動かすと、魔女の触手を切断して華麗に着地し―

―そして、巨人は腕を十字に組んだようなポーズを取り、必殺光線【アルティマシュート】を放った―

―その攻撃によって、薔薇園の魔女は一瞬で粉砕されていた―

まどか・さやか「やったぁ~!」

―やがて巨人は、どこかへと飛び去っていった―

ほむら(一体、どうなっているというの……!?)

39: 2013/08/02(金) 00:27:20.33 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「みんな~!」

さやか「あっ、マミさん!」

まどか「マミさん、大丈夫でしたか?」

マミ「ええ、おかげさまでね」

まどか「よ、良かった~」

マミ「それより、あなた達の方こそ大丈夫だった?」

まどか「はい!
実はさっき、巨人さんが来て、わたし達を助けてくれたんです」

マミ「巨人?」

さやか「なんか、見た目はおっきな宇宙人みたいな感じだったかな……?
とにかく、いきなり来たから魔女の仲間か何かと思ったら、それが実はまさかの正義の味方だったみたいで!」

マミ「そう……、良かったわね」

さやか「いや~、それにしても、マミさんにも見せたかったなぁ!
あんな強い“化け物”を、スパッと一瞬でやっつけちゃって―」

マミ「……」

さやか「あっ、マミさん。
ゴメン……」

―巴マミは一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべていたが、美樹さやかはどうやらそれを見逃さなかったようで、慌てて謝罪していた―

マミ「……いえ、美樹さんは別に気にしなくていいのよ」

ほむら(テレパシー:巴マミ!)

マミ(テレパシー:あら、暁美さん。
わざわざテレパシーを使うなんてどうしたの?)

ほむら(テレパシー:とぼけないで!
あれは一体どういうことなの!?
あの巨人は、あなたなのでしょう?)

マミ(テレパシー:暁美さん、あなたは見てしまったのね……。
分かったわ、帰ってから説明してあげるわね)

―そして、巴マミはそこにあったグリーフシードを少しの間見つめた後、それに向かって手を合わせ、それから拾い上げた―

40: 2013/08/02(金) 00:29:59.73 ID:yf8Ne8Sg0
 マミの部屋

ほむら「さっきのことについて、説明して貰える?」

マミ「……ええ、いいわよ。
でも、ちゃんと説明するには私の過去についても話さないといけないから……。
ちょっと長い話になってしまうのだけど、構わない?

ほむら「ええ、問題ないわ」

マミ「それなら、説明を始めるわね。
そうねぇ……、あれはもう、二年くらい前のことになっちゃうのかな?
私は―」

41: 2013/08/02(金) 00:31:47.49 ID:yf8Ne8Sg0
とりあえず、ここまでです。

この続きは、今日の夕方くらいからまた投下する予定です。

43: 2013/08/02(金) 18:30:41.67 ID:yf8Ne8Sg0
【マミの過去】

マミ「じゃあ私、買いに行ってくるね。
行って来ま~す!」

マミ「お買い物に行ったのに、お醤油買って来なかったなんて……。
お母さんも忘れっぽいんだから」

マミ(気のせいかしら……。
誰かが見てる?
違う……、後ろからついてきてる……)

マミ(どうしよう、怖い……。
走って逃げようかな?
でも、追いつかれたら……)

マミ(ここは、思い切って……)

マミ「きゃーーーーー!
ちかーーーーん!!」

キュゥべえ「ひ、酷いなぁ、大声出すなんて……。
僕はただ、君に……」

キュゥべえ「あれ?
走ってどこかに行っちゃったみたいだね」

44: 2013/08/02(金) 18:33:09.87 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「それじゃあ、また明日ね」

女子A「あれ、今日は急ぐの?」

女子B「帰りに、マミに買い物付き合ってもらおうと思ってたのにー」

マミ「ごめんごめん、今日はちょっと用事があるの」

女子A「えーなにぃ?
とうとうマミに彼氏が出来た?

女子B「ひどーい、友情を犠牲にして男をとるんだ!」

マミ「ちょっと、勝手に話つくらないで。
今日は、両親と食事に行くだけ」

マミ「お父さんとお母さんが車で迎えに来てくれてるの。
だから今日はここで。
また明日ね!」

45: 2013/08/02(金) 18:35:13.94 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「えっと……、もう着いてるはずだけど……。
あ、あそこね。
お父さん、お母さん、おまたせ!」

マミ「皆で外食なんて、久しぶりね。
今日行くお店って、あの有名なお店でしょ?
人気店だし行ってみたかったんだ、楽しみー」

マミ(優しいお父さん、お母さん。
学校の友達……。
私、幸せ……。
この幸せが、ずっと続けばいいのに……)

マミ「あっ、お父さん前!」

マミ「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

46: 2013/08/02(金) 18:39:59.63 ID:yf8Ne8Sg0
巴マミは交通事故に遭って瀕氏の重傷を負った。

氏線を彷徨うマミを新しい世界に導いたのは……、ウルトラの兄弟達。

そして今、ウルトラの母が!

ウルトラの母「ウルトラの兄弟達よ。
ウルトラの妹、ウルトラマミが今誕生する姿を見るがよい。
おまえ達は皆、こうして生まれたのです……」

ウルトラの母「見よ、ウルトラの命の誕生を!」

47: 2013/08/02(金) 18:45:57.29 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「……こうして、私はこの光の力を手に入れたの」

ほむら「そういうことだったのね……。
それと、もう一つ。
私や鹿目まどか達の前で、魔法少女のふりをしていたのは何故?」

マミ「みんなに、私の正体を知られるわけにはいかなかったし……。
同じ魔法少女として接した方が、あなたにも信用してもらえるんじゃないかと思ったの。
それに……」

ほむら「それに?」

マミ「いえ、何でもないわ。
それより―」

―その時、巴マミは何かを察知したように頭を上げて、その表情を険しくさせた―

ほむら「……魔女が、現れたんですね」

マミ「ええ、その通りよ。
私が行ってくるから、暁美さんは―」

ほむら「待って、私も一緒に行きます」

マミ「……やっぱり、私は信用出来ないのかしら?」

ほむら「いえ、信用出来ると判断したからこそ、あなたの戦いをちゃんと見ておきたいと思って」

マミ「でも……、暁美さんは、こんな私を信用してくれるというの?
いきなり巨人に変身しちゃうだなんて、気味が悪いとか思ったりしない?」

ほむら「そんなこと、全く思わないわ。
それよりも、私はあなたと一緒に戦っていきたい。
……出来れば、仲間として」

マミ「!
……本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?」

ほむら「ええ、もちろんです。
というわけで、“巴さん”。
これから、よろしくお願いしますね」

マミ「……ええ。
暁美さん、こちらこそよろしくね!」

48: 2013/08/02(金) 18:50:59.09 ID:yf8Ne8Sg0
―それから私達は、本格的に共闘を重ねていくことになった―

ほむら「この魔女と使い魔達は、暗闇の中では力を増幅させることが出来るけど、その分、光に弱い。
つまり……、今のあなたにとっては、もはや敵ではない」

マミ「ええ、分かってるわ。
任せて!」

―巴さんが強力な光を放って巨人に変身すると、その際に生じた光によって使い魔達は一瞬で消え去ってしまい、 同じく魔女の方も、痛手を負ってその場から逃げ去ろうとしていた―

ほむら「巴さん!」

―巴さんはうなずくと、腕をクロスさせて必殺光線【アルティマシュート】を放ち、暗闇の魔女は光線技を浴びて一瞬で消滅していた―

マミ「暁美さんのおかげで、最近の戦いはとても楽になったわ」

ほむら「そう言って貰えるのは光栄だけど、ほとんどの魔女はあなた一人で倒してしまえるじゃない」

マミ「でも、暁美さんのアドバイスはとても役に立ってるのよ?
あなたの分析は、まるでその魔女と戦ったことがあるみたいにいつも的確だしね。
それにね……、こういう時は、隣に誰かがいてくれるだけで心強いものなのよ」

ほむら「……そうですか。
私なんかで良ければ、いつでもあなたのそばにいます」

マミ「……ありがとう、暁美さん」

49: 2013/08/02(金) 18:57:43.40 ID:yf8Ne8Sg0
―そして数日後、いつものように私達は、魔女の結界が出来た場所へと向かっていた―

ほむら「……そういえば、巴さん。
ちょっとあなたに聞いておきたいことがあるのだけど……」

マミ「何かしら?」

ほむら「ここ最近、私達がこの街で遭遇してきた魔女達は、今までに私が倒してきた魔女とは違って、何というか……。
まるで、あなたの変身後の大きさに合わせたかのように巨大な魔女が多いように思えるのだけど……。
ここでは、前からそうだったんですか?」

マミ「いえ、魔女があんなに大きくなっているのを見たのは、私もあの時が初めてよ」

ほむら「そうですか……。
それなら、そのことの原因について何か心当たりはありますか?」

マミ「私もはっきりとは分からないのだけど……。
多分、彼の仕業に違いないんじゃないかしら?」

ほむら「なるほど、そうですね……」

―その時、私達の会話に合わせたかのようなタイミングで、インキュベーターがやって来た―

キュゥべえ「やぁ、巴マミ。
それと、暁美ほむら」

マミ「まさに噂をすれば、という感じね。
……それで、何の用かしら、キュゥべえさん?」

キュゥべえ「今日は君達に、役に立ちそうな情報を持って来たんだよ」

ほむら「一体、何の情報?」

キュゥべえ「今、この街に現われている魔女の居場所に関する情報だよ」

マミ「あいにくだけど、私達は既に魔女の結界を見つけて向かっているところなの。
わざわざ来てくれたのに申し訳ないけど、どうやら無駄足だったんじゃない?」

キュゥべえ「いや、待ってくれ。
君達が見つけた魔女は、一体だけだろう?」

ほむら「もしかして、この近くで一度に二体の魔女が現れた、ということ?」

キュゥべえ「そういうことになるね。
まぁ、正確に言うともう一体の方は、まだグリーフシードが孵化しかけている途中の段階だったはずだけどね」

マミ「……そう。
でも、同時に二か所で魔女が現れるというのは、別に珍しいことではないと思うのだけど……。
あなたがわざわざ知らせにくるということは、何かあるのかしら?」

キュゥべえ「察しがいいね、巴マミ。
今回の魔女の結界には、君達の知り合いが取り込まれているんだ」

ほむら「何ですって!?
まさか……」

キュゥべえ「おそらく君の考えている通りだと思うよ、暁美ほむら。
二つの結界の中には、それぞれ、鹿目まどかと、美樹さやかがいるんだ」

50: 2013/08/02(金) 19:00:21.59 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「何てこと……。
インキュベーター、卑怯な真似をしてくれたわね」

キュゥべえ「彼女達が結界の中にいるのは、僕のせいではないよ。
美樹さやかは自分からグリーフシードを見張っておきたいと言い出したんだし、鹿目まどかが巻き込まれてしまったのも単なる偶然だ。
第一、君達を本当に陥れるつもりだったとしたら、このことは伝えにこないでおくと思うけどね」

マミ「また、そんな戯言を……」

ほむら「……巴さん、ここは二手に分かれましょう。
私はこの先にある近くの結界に向かうので、巴さんは遠くの方へ行って下さい」

マミ「それなら、近い方の結界に二人で行って魔女を倒してから、もう一つの結界に向かった方がいいんじゃないかしら?」

ほむら「それだと、もう片方を助けられないかもしれないし、どちらかを見捨てるというわけにはいかないでしょう?
それに、あなたなら遠い場所でもすぐに向かうことが出来るでしょうし」

マミ「でも……。
もしも魔女が巨大化していたら、あなた自身も危ないわ!」

ほむら「私なら大丈夫。
たとえ魔女を倒せないとしても、時間を稼ぐことくらいは出来るはず。
あなたが戻って来るまでは、何とか粘って見せるわ」

マミ「……分かったわ。
暁美さん、気をつけてね」

ほむら「ええ、あなたも」

キュゥべえ「それじゃあ、僕もこっちへ向かうとするかな」

マミ「それは駄目よ。
あなたは私と一緒に来て、結界まで案内して貰うから」

キュゥべえ「やれやれ、ここは君に従っておくとするよ」

51: 2013/08/02(金) 19:06:03.61 ID:yf8Ne8Sg0
ほむら(この魔女は……)

―私が向かった方の結界には、私が初めて魔女に遭遇した時と同じように芸術家の魔女の使い魔がいて、結界の中に巻き込まれた少女に襲いかかろうとしていた―

まどか「きゃあああ!」

―ただ一つ、その時と異なっていたのは、襲われているのが私ではなく、まどかに変わっていたことだった―

ほむら「まどか!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「もう大丈夫よ。
私は……、あなたを助けに来たの」

まどか「あ、ありがとう……。
でも、気をつけてね」

ほむら「ええ、分かってるわ。
あいつを倒すから、あなたは少し離れた場所で待っていて」

まどか「うん、分かった。
えっと……、あっちの方でいいかな?」

ほむら「いや、少し待って……。
やっぱり私が安全な場所まで誘導するから、あなたは付いてきてくれる?」

まどか「うん、ほむらちゃんの言う通りにするね」

―私はまどかの手を引いて比較的安全な場所まで誘導すると、すぐに時間停止の能力を発動させた―

ほむら(そういえば、私がこの魔女と初めて遭遇した時は魔法少女のまどかと巴さんが助けてくれたんだったよね。
そっか、あの時とは立場がまるで反対になったんだ……)

―そして、私は使い魔達に向かって大型拳銃【デザートイーグル】を撃ち、魔女には自分で作った時限爆弾を取り付けた後、時間停止を解除した―

―能力の解除と同時に魔女は爆破され、すぐに結界も崩壊していった―

まどか「あれ、もう魔女をやっつけちゃったの?」

ほむら「ええ」

ほむら(……私は、これでまどかを守れる私になれたと言えるのかな?
いや、どんなに過程が良かったとしても、あいつを倒せなければ意味が無いよね……。
だから、巴さんが不思議な力を持っていて、しかも友好的でいてくれる、今回のチャンスを生かさないと!)

52: 2013/08/02(金) 19:08:58.43 ID:yf8Ne8Sg0
まどか「……あっ、そうだ!
わたしね、ほむらちゃんにお願いしたいことがあるの……」

ほむら「何かしら?」

まどか「あのね……。
さやかちゃんが病院で、その、グリーフシードを見つけてね―」

ほむら(インキュベーターが言っていた、もう一つの魔女の方ね)

まどか「だから、急いで助けに―」

ほむら「そっちも心配しなくて大丈夫よ。
そちらには、巴さんが向かっているでしょうから」

まどか「あっ、そうなんだ。
それなら、大丈夫かな?」

ほむら「いや、待って。
……病院?」

まどか「ほむらちゃん、どうしたの?」

ほむら(そういえば、この魔女はこれまでと変わらない大きさだった。
と、いうことは……)

ほむら「まさか!?」

まどか「あの、ほむらちゃん?」

ほむら「やっぱり、私も急いで病院の方に向かうことにするわ。
……巴マミが、危ないかもしれない」

55: 2013/08/02(金) 22:35:23.86 ID:yf8Ne8Sg0
マミ「……インキュベーター」

キュゥべえ「何だい?
巴マミ」

マミ「最近、魔女が巨大化しているのはあなたの仕業よね。
あなた達の計画に邪魔な私を倒す為に仕組んだのかしら?」

キュゥべえ「君を倒す為に、というのはあながち間違いでもないけど……。
魔女を巨大化させたのは、僕がやったことではないよ」

マミ「あなたの他に、誰があんなことをするというの?」

キュゥべえ「僕の協力者、といったところかな」

マミ「……協力者? それは一体誰なの?」

キュゥべえ「申し訳ないけど、さすがにそれを言うわけにはいかないよ。
契約違反になってしまうからね」

マミ「……契約違反、ね。
でも、必ず突きとめてみせるわ」

キュゥべえ「そうかい。
ああ、美樹さやかはこの扉の先にいるはずだよ。
どうやら、まだ魔女は孵化してないようだね」

マミ「それなら、早く美樹さんを助けてあげて、暁美さんのところに戻らないとね!」

56: 2013/08/02(金) 22:39:40.58 ID:yf8Ne8Sg0
さやか「あれが、今回の魔女……」

―あたしの目の前に現れた魔女は、まるで、何かのマスコットキャラクターなんじゃないかと一瞬勘違いしてしまう程に、とても可愛らしい姿をしていた―

さやか(あれなら、あたしでも倒せちゃうかも……。
いや、魔女は見た目で判断しちゃ駄目だってマミさんにも言われてたよね……)

―魔女を見つめながらどうしようかとあたしが迷っていたその時、突然大きな音が鳴り響いた―

さやか「うわ、一体何なの!?」

―驚いたあたしが思わず顔を上げると、そこには、前にあたしとまどかを助けてくれた巨人が飛んでくるのが見えた―

さやか「何かと思ったら、あの時の巨人!」

キュゥべえ「さやか、大丈夫だったかい?」

―その時あたしは、キュゥべえが話しかけてきていることにも気付かずに、飛んできた巨人の姿に見入っていた―

さやか「また、あたしを助けに来てくれたの?」

―巨人はあたしに向かってうなずいた後、そのまま魔女の方へと近付いていった―

さやか「頑張れー!」

マミ(Lume Spirale!【キャッチリング】)

―その巨人は体を回しながらうずまきみたいな光を出して、魔女を捕まえていた―

マミ(もう何も恐くない。
……だって、私はもう独りじゃないもの!)

―そして、巨人は魔女に向かって手の先からだした光のビームをいくつか当てた後、そのまま腕を十字に組んで、いつもの必殺光線【アルティマシュート】を放っていた―

さやか「やったぁ!」

―でも、今回の魔女にはその光線技があまり効いてなかったのか、
 攻撃を受けた後に、その可愛らしい小さな体の中からいきなり大きな蛇みたいなのが飛び出して来て、そのまま巨人の体に巻き付いていた―

さやか(もしかして、これがこの魔女の本当の姿だったの!?)

―そして、巨大化したその魔女は、巨人の胸元に付いている黄色く光っている丸い何かに噛みつこうとしていた―

さやか「や、やめろー!」

―直感的にそれを食べられたらまずいと判断したあたしは、思わず魔女に向かって叫んでいた―

―魔女があたしに気付いたことでしめつけが弱くなり、その隙に巨人は逃げようとしていたけど、魔女はすぐに巨人の方に意識を戻していた―

マミ(やっぱり、このままでは逃げられない。
ここは、仕方ないわね……)

―そして、そこにいたはずの巨人の姿が急に消えていき―

さやか「えっ、どういうこと!?」

―巨人の代わりに姿を現したのは、まぎれもなく、マミさんだった―

57: 2013/08/02(金) 22:44:06.50 ID:yf8Ne8Sg0
さやか「ま……、マミさん!?」

マミ「美樹さん、そこを動いては駄目!」

―あたしが隠れていたことに気付いてしまった魔女は、どちらを先に襲うかを考えているかのように、マミさんとあたしを交互に見比べていた―

マミ「はっ!」

―マミさんが手を胸の前で交差させると、何らかの念力のようなものがマミさんの全身から放たれて、魔女の動きを封じていた―

マミ「ここは私が引き留めるから、あなたはその隙に逃げて!」

―でも、マミさんが使っている技は体力をかなり消耗するみたいで、見るからに辛そうな表情をしているのが、あたしにも一目で分かる状態だった―

さやか(このままじゃ、マミさんが……)

―その時あたしは、前にも使い魔との戦いでマミさんが使っていた、バナナみたいな形をした刃物が目の前に落ちていることに気付いた―

―そして、あたしは思わずその武器【マミスラッガー】を拾うと、剣を持つ時のような感じに構えていた―

マミ「美樹さん、何をしているの?
早く逃げて!」

さやか「マミさんを見頃しになんて、出来ない!
こうなったら、あたしも一緒に戦います!!」

マミ「美樹さん……」

―あたしの予想外の行動に驚いたマミさんが思わず一瞬だけ念力を解除した隙に、自由になった魔女があたしに近付いてきた―

さやか「う、うわぁー!」

―あたしはとっさに刃物を投げたけど、魔女はわずかにひるんだだけで、そのままあたしの方へと迫ってきて―

マミ「美樹さん、危ない!」

―マミさんはあたしを突き飛ばすと、あたしをかばうようにして、魔女との間に割って入った―

―そして、あたし達の目の前には、巨大化した魔女がマミさんを丸呑みにしようとしているかのように、口を大きく開けて待ちかまえていた―

さやか「マミさん!」

59: 2013/08/03(土) 00:31:04.65 ID:9/M8O3Kc0
―でも、マミさんがその魔女に食べられてしまうことはなかった―

?「マミ、大丈夫か!?」

マミ「その声は……。
まさか!?」

60: 2013/08/03(土) 00:39:22.61 ID:9/M8O3Kc0
マミ「た、タロウお兄ちゃんなの?」

タロウ「良かった、無事に間に合ったようだな!」

―あたし達の目の前には、変身した時のマミさんと似たような感じの巨人が立っていた―

マミ「……どうして、ここに?」

タロウ「私達は、ちょうど“ある任務”でこの宇宙まで来ていたのだ。
そして―」

マミ「ちょっと待って!
……私達?」

?「ああ。
来たのはタロウだけではないぞ、マミ」

マミ「えっ?」

さやか「うわっ、6人に増えた!?」

マミ「……お、お兄ちゃん達、みんな来ちゃったの?
それも、6重合体までしちゃって……」

エース「お前のことが、心配だったからな!」

ゾフィー「私は、あまり甘やかし過ぎるのは良くないと言ったのだが……」

セブン「ゾフィーは少し厳し過ぎるのではないか?」

新マン「セブン兄さんは、あまり人のことを言えないのでは……」

マン「マミ、とにかくここは私達に任せるんだ」

マミ「う、うん……」

61: 2013/08/03(土) 00:43:45.35 ID:9/M8O3Kc0
―そして、その巨人達は、お菓子の魔女に向かって一斉に攻撃を開始した―

マン「シャッ!【八つ裂き光輪】」

セブン「デュワッ!【アイスラッガー】」

新マン「デアッ!【ウルトラスパーク】」

エース「フゥーン!【バーチカルギロチン】」

さやか「うわぁ、凄っ……!」

62: 2013/08/03(土) 00:45:10.73 ID:9/M8O3Kc0
ゾフィー「よし、最後は私が……」

マミ「待って、ゾフィーお兄ちゃん」

ゾフィー「どうした?
マミ」

マミ「とどめの一撃は、私に撃たせて欲しいの……」

ゾフィー「それには、何か理由でもあるのか?」

マミ「それは、その……。
……詳しいことは、言えないの。
でも、お願い」

タロウ「……ゾフィー兄さん。
ここは、マミの意思を尊重してあげましょう」

ゾフィー「……そうだな。
分かった、お前の好きなようにするといい」

マミ「……ありがとう」

―そして、マミさんはもう一度変身すると、いつものように光線技を撃って、その魔女にとどめをさした―

63: 2013/08/03(土) 00:48:43.14 ID:9/M8O3Kc0
マミ「……」

新マン「マミ、大丈夫か?」

マミ「……うん。
私は……、大丈夫だから心配しないで、ジャックお兄ちゃん」

新マン「……そうか、ならいいんだ」

エース「何かあったら、すぐに俺達に言うんだぞ」

マミ「うん、分かった……」

64: 2013/08/03(土) 00:51:23.68 ID:9/M8O3Kc0
ゾフィー・マン・セブン「マミ」

マミ「えっと……、なぁに?
お兄ちゃん達」

マン「宇宙に今、不穏な空気が流れている」

セブン「とてつもない脅威が、迫ってきているのだ」

ゾフィー「私達は、これからその対処で忙しくなるだろう。
だから、このように助けにくることはおそらく難しくなる」

新マン「その代わりといってはなんだが……。
私達から、マミに渡しておきたいものがある」

マミ「これは?」

セブン「ウルトラブレスレットだ。
もちろん、お前に合わせて作ってある。
これを身につけていれば、あらゆる敵と互角に戦っていけるだろう」

マミ「……ありがとう。
お兄ちゃん達も、頑張ってね」

マン「ああ。
この地球のことは、マミに任せたぞ!」

マミ「うん、任せて!
……この星は、私がしっかり守ってみせるから」

エース「その意気だぞ、マミ!」

セブン「忘れるな。
直接は来れなくとも、私達は常にお前と共にあることを」

タロウ「そうだぞ、マミ。
お前は一人じゃないのだから」

マミ「……うん!」

65: 2013/08/03(土) 00:53:17.07 ID:9/M8O3Kc0
―巨人達が帰っていくと、人間の姿に戻ったマミさんが少し困ったような表情をしながらあたしの方を見た―

マミ「美樹さん……」

さやか「ま、マミさん」

マミ「あなたには、みっともないところを見せちゃったわね……」

さやか「そ、そんな気にすることないって!
……それに、妹しちゃってるマミさんもなかなか可愛かったし」

マミ「もう……。
美樹さんたら、年上をからかわないの!」

さやか「あ、アハハ……」

66: 2013/08/03(土) 00:55:02.61 ID:9/M8O3Kc0
さやか「それにしても、マミさんがあの巨人だったなんてね……」

マミ「……」

さやか「でも、変身したマミさんでも苦戦しちゃうってことは、それだけ魔女達がヤバいってことだよね……。
やっぱり、あたし―」

マミ「美樹さん」

―その時、突然マミさんが真剣な表情になると、あたしの方に近付いてきて―

さやか「ま、マミさん?」

―やがて、マミさんの顔があたしのすぐ近くまで迫って来た―

さやか(えっ!?
何だか、ちょっと顔を近付け過ぎじゃない……?)

マミ「……ごめんね」

―そう言うと、マミさんはあたしの唇に向かって―

さやか「!!」

―そして、あたしの意識はそこで途絶えていた―

67: 2013/08/03(土) 00:57:53.07 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「巴さん!」

マミ「……あら、暁美さん。
そんなに慌てて、どうしたのかしら?」

ほむら「いえ、ちょっと嫌な予感がしたので……。
でも、その様子だと、何もなかったみたいですね」

マミ「まぁ、ちょっと苦戦しちゃったけど、私はご覧の通り大丈夫よ。
美樹さんの方は魔女に襲われた時のショックが強かったみたいで倒れてしまったけど、大きな怪我とかは無いみたいだしね……。
……そういえば、鹿目さんは大丈夫だった?」

ほむら「ええ。
私が助けた後、危ないから家に帰ってもらいました」

マミ「そうねぇ……。
それが良かったと思うわ」

さやか「あれ、あたし……」

マミ「目が覚めたみたいね。
大丈夫、美樹さん?」

さやか「うん……。
って、げっ、転校生!
……どうして、ここに? 」

マミ「暁美さんは、美樹さんを心配してここに来てくれたのよ」

さやか「えっ、そうなの?」

ほむら(テレパシー:巴さん?)

マミ(テレパシー:いいからいいから、そういうことにしておきましょう?)

―巴さんは、テレパシーでそう伝えると、私に向かってウインクしていた―

さやか「そうだったんだ。
何かごめんね、転校生」

ほむら「いえ、別に気にしなくていいのよ」

マミ「美樹さん、そういう時はもっと適切な言葉があるんじゃないかしら?」

さやか「そうだね、マミさん。
……ありがとう、転校生」

マミ(テレパシー:暁美さん?)

ほむら「……ええ、どういたしまして」

マミ「うふふ……。
二人とも、良く出来ました!」

68: 2013/08/03(土) 01:00:47.50 ID:9/M8O3Kc0
さやか「あっ、そういえば……。
マミさん?」

マミ「なぁに?
美樹さん」

さやか「あたし、魔女が孵化した直後までの記憶は何となく残ってるんだけど、その後のことは良く覚えてないんだよね……。
マミさん、どういう状況だったのか教えてくれるかな?」

マミ「ええっとね……。
どうやら、美樹さんは魔女に襲われた時にショックで気絶してしまったみたいね。
でも、ぎりぎりで私が間に合って、その後に暁美さんも来てくれたのよ」

さやか「なるほど……。
でも、あたしの記憶だと、今回の魔女ってそんなに怖くなかったような気がするんだけど……」

マミ「……その、今回の魔女はね、変身するタイプだったのよ。
可愛らしい姿で油断させてから、不意をついて攻撃する感じだったわ」

さやか「へぇー、そんな感じだったんだ……」

ほむら「……」

キュゥべえ「やぁ、みんな。
大丈夫だったかい?」

マミ「あら、キュゥべえ」

さやか「あんた、今までどこにいたのよ?」

マミ「もしかして、結界の中ではぐれちゃった?」

キュゥべえ「いや、僕は―」

マミ「まぁいいわ、早くここを離れちゃいましょうか」

さやか「あっ!」

マミ「どうしたの、美樹さん?」

さやか「あの……。
あたし、ちょっとまだヤボ用があるんで、先に二人で帰っちゃって下さい」

マミ「分かったわ。
それじゃあ行きましょうか、暁美さん」

ほむら「ええ」

マミ「キュゥべえ、もちろんあなたも一緒に来てもらうわよ」

キュゥべえ「仕方ないね、君達の言う通りにするよ」

69: 2013/08/03(土) 01:26:08.85 ID:9/M8O3Kc0
ここまでで一区切りついたので、このSSを書く際に悩んでいたことについて少し書きます。

実は今回の修正版では、ウルトラ兄弟及び光の国の要素を全て削除し、
一部を除いた平成ウルトラシリーズのように、マミさん以外のウルトラ戦士がいない宇宙の話にしようかと考えていました。

その理由としては、他のウルトラ一族がいると何となくイージーモードな雰囲気が漂ってしまう気がしたのと、
まどか本編の魔法少女達やウルトラセブンのダンのように、なるべくマミさんが“独り”で悩み続ける構図にしたかった、というのがあります。

なお、ウルトラなマミさんを既存のウルトラ戦士と融合させずに半オリキャラな存在にしたのも、同じ理由からです。

ですが、やっぱりウルトラ兄弟くらいは出したいという気持ちもあったので、“他の任務”の合間を縫って忙しい中助けに来た、という強引な設定で登場させました。

その為、今後はウルトラ兄弟を登場させる予定はありません。

最後に、次の投下についてですが、今日の朝を予定しています。

72: 2013/08/03(土) 08:25:53.77 ID:9/M8O3Kc0
再開します。

>>70
それはちょっと意識して書いていたので、気付いて下さって嬉しいです!

実は、マミさん役の声優さんが“新マン”好きであるという噂がある(Wiki情報ですが)ことや、どちらも外伝作品の話ですが、二人には少し似たようなエピソードがある
(マミさん:魔女との初戦で力及ばず撤退したが、そのせいで魔女に捕らわれていた子供を救えなかったことが大きなトラウマになり、やがては……。
ジャック兄さん:敵の罠によって人質の子供をスペシウム光線で誤射してしまったことで、やけ酒をするほどショックを受ける)などの理由から、少しだけ特別扱いしています。

なお、本編ではもうウルトラ兄弟を登場させないつもりでいますが、出来れば番外編か何かでもう少しその辺の要素を掘り下げられたらいいなとは思っています。

>>71
その二人は“ウルトラ兄弟”ではないので、もしかしたら……?

ちなみに最初は、アムールとマミさんが融合する話を考えていましたが、>>69に挙げた理由から止めました。

73: 2013/08/03(土) 08:28:22.22 ID:9/M8O3Kc0
 病院

さやか「あっ……」

看護師A「あら、上条君のお見舞い?」

さやか「えっ?
あっ、えぇ……」

看護師A「ああ、ごめんなさいね。
診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」

さやか「あ、そうでしたか。
……どうも」

看護師B「良く来てくれるわよね、あの子」

看護師A「助かるわ、難しい患者さんだしね。
励ましになってくれてるといいんだけど」

看護師B「事故に遭う前は、天才少年だったんでしょ。
バイオリンの」

看護師A「歩けるようになったとしても、指の方はね……。
もう二度と楽器を弾くなんて、無理でしょうね」

74: 2013/08/03(土) 08:30:35.42 ID:9/M8O3Kc0
さやか(……何で恭介なのよ。
あたしの指なんて、いくら動いてたって、何の役にも立たないのに。
何であたしじゃなくて、恭介なの?
でも……、もしもあたしの願い事で、恭介の体が治ったとして、それを恭介はどう思うの?
ありがとうって言われて、それだけ?
……それとも、それ以上のことを言って欲しいの?)

さやか「あたしって……、嫌な子だ」

75: 2013/08/03(土) 08:35:07.12 ID:9/M8O3Kc0
さやか「……何を聴いてるの?」

恭介「亜麻色の髪の乙女」

さやか「ああ、ドビュッシー?
素敵な曲だよね……」

恭介「……」

さやか「あ、あたしってほら、こんなだからさぁ……。
クラシックなんて聴く柄じゃないって皆が思うみたいでさ。
たまに曲名とか言い当てたら、すっごい驚かれるんだよねぇ。
意外すぎて、尊敬されたりしてさ……」

恭介「…………」

76: 2013/08/03(土) 08:37:09.50 ID:9/M8O3Kc0
さやか「……恭介が教えてくれたから。
でなきゃあたし、こういう音楽、ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし……」

恭介「……さやかはさぁ」

さやか「なぁに?」

恭介「さやかは、僕をいじめてるのかい?」

さやか「えっ?」

恭介「なんで今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。
……嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから……」

恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!
自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて……。
僕は……、僕は、ああ!!」

さやか「きょ、恭介!?」

恭介「こんなもの、もういらない! 」

さやか「や、やめてっ!」

恭介「こんな手、どうなってもいいんだ!」

さやか「やめて、恭介! やめてっ!
お願い、やめてーっ!」

恭介「うっ、うう……」

さやか「恭介……。
手から……、血が……。
待ってて、今ナースコールを!」

恭介「いいんだ! もう、いいんだ……。
動かないんだ……、もう、痛みさえ感じない。
こんな手なんて……、もう、どうなってもいいんだ」

さやか「……」

恭介「ごめん、さやかに言っても……。
さやかは何も悪くないのに……」

さやか「ううん、大丈夫……。
恭介の気持ち……。
分かる、つもり……」

恭介「ごめん、ちょっと……。
一人にしてくれない、かな……」

さやか「うん、分かった……」

77: 2013/08/03(土) 08:39:04.25 ID:9/M8O3Kc0
 マミの部屋の玄関前

まどか「あの……、マミさん」

マミ「……あら、鹿目さん。
どうしたのかしら?」

まどか「あの、わたし……。
マミさんに、お願いしたいことがあるんです」

78: 2013/08/03(土) 08:42:07.83 ID:9/M8O3Kc0
 繁華街

まどか(さやかちゃん、今日はちょっと元気が無かったな……。
でも、これできっと―)

まどか「あ、仁美ちゃん……?
仁美ちゃーん!
今日は、お稽古事―」

まどか(あれ……。
これは、あの時の人と同じ印!?)

―仁美ちゃんの首筋には、前にわたしがマミさん達の魔女退治に付いて行った時に見付けた、魔女に魅入られていた女の人にもあった、魔女の口づけがありました―

まどか「仁美ちゃん!
ねぇ、仁美ちゃんってば!」

仁美「あら、“鹿目さん”。
ご機嫌よう」

まどか「ど、どうしちゃったの?
ねぇ、どこ行こうとしてたの?」

仁美「どこって、それは……。
ここよりもずっといい場所、ですわ」

まどか「仁美ちゃん……」

仁美「ああ、そうだ。
鹿目さんもぜひご一緒に。
えぇそうですわ、それが素晴らしいですわ」

まどか(どうしよう、これってまさか……)

79: 2013/08/03(土) 08:43:13.02 ID:9/M8O3Kc0
まどか(そうだ、ほむらちゃんかマミさんに連絡を……。
あぁ駄目だ、こんな時に携帯の電池が切れてるなんて!)

まどか(でも、仁美ちゃんをこのままにしておけないし……。
こわいけど、ここは……)

80: 2013/08/03(土) 08:45:05.83 ID:9/M8O3Kc0
ほむら(ソウルジェムが激しく反応している……。
どうやら、近くに魔女が―)

まどか「きゃあああー!
誰か、助けてぇーっ!!」

ほむら(あの声は……。
まどか!?)

―私は、まどかの悲鳴が聞こえた町工場の中へと入っていった―

ほむら「鹿目さん!」

―そして、そこで私が目にしたのは―

81: 2013/08/03(土) 08:47:21.16 ID:9/M8O3Kc0
お昼頃にまた続きを投下します。

82: 2013/08/03(土) 12:04:03.96 ID:9/M8O3Kc0
ほむら(良かった、巴さんが先に来てくれてたんだ……)

―結界の中では、光の巨人に変身した巴さんが巨大化したハコの魔女と戦っていた―

まどか「あっ、ほむらちゃん。
また私を助けに来てくれたんだね、ありがとう!」

ほむら「……ええ。
それより鹿目さん、怪我はない?」

まどか「うん、大丈夫。
ちょっと危なかったけど、ギリギリで巨人さんも来てくれたしね」

―やがて、巴さんがいつものように必殺光線【アルティマシュート】を放つと、魔女は一瞬にして倒されていた―

83: 2013/08/03(土) 12:05:49.39 ID:9/M8O3Kc0
―少し経ってから、人間の姿に戻った巴さんが私達の元にやってきた―

マミ「鹿目さん、暁美さん、大丈夫?」

まどか「はい!
今日も巨人さんが来てくれて、魔女をやっつけてくれたんです」

マミ「……そう。
私もいつか、その人を見てみたいわ」

ほむら「……」

84: 2013/08/03(土) 12:08:17.88 ID:9/M8O3Kc0
―その時、突然電話の呼び出し音が鳴り響いた―

マミ「あら、私の携帯ね。
ええっと、美樹さんからの着信だわ。
もしもし……。
ええ、鹿目さんなら一緒にいるわよ?
……分かったわ。
鹿目さん、美樹さんが代わって欲しいそうよ」

まどか「もしもし……。
うん、わたしだよ。
あっ、ごめんね。携帯の電池が切れちゃってて……。
うん、そうだよ、わたしからマミさんにお願いしたの。
えっ、今からこっちに?」

ほむら「どうしたの?」

まどか「さやかちゃんがね、今すぐにわたし達と話したいからこっちに来たいんだって」

マミ「そうね……、それなら、私の家に来てもらった方がいいんじゃないかしら?
ここに来てもらうってのは……、ちょっとね」

まどか「そうですね……。
あっ、さやかちゃん?
やっぱり、マミさんのお家に向かってもらえるかな?
わたし達もすぐに向かうから。
うん、それじゃあまた後でねー」

85: 2013/08/03(土) 12:10:07.90 ID:9/M8O3Kc0
マミ「……それじゃあ、私の家に向かいましょうか」

まどか「はい。
あっ……」

ほむら「どうしたの?
鹿目さん」

まどか「えっと、あのね……。
仁美ちゃん達は、このままでも大丈夫かな……?」

ほむら「魔女も倒したし、もう心配ないとは思うけど……。
それに、警察の人が来た時に私達が残っていたら、ちょっと厄介なことになりそうだし」

まどか「あっ、うん。
そうだよね……」

ほむら「……志筑さんのことが心配なら、警察の人が来るまで私が見張っておきましょうか?」

まどか「えっと……、うん!
お願い出来るかな?」

ほむら「ええ、大丈夫よ」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう……」

ほむら「気にしなくていいわ。
それじゃあ私は後から行くから、あなたは巴さんと先に行っててちょうだい」

まどか「分かった。
ほむらちゃん、また後でね!」

86: 2013/08/03(土) 14:28:43.84 ID:9/M8O3Kc0
 上条恭介の病室(回想)

さやか(昨日は、恭介を凄い怒らせちゃったからなぁ……。
早いとこ、仲直りしないとね……)

さやか「恭介、入っていいかな?」

恭介「やぁ、さやか!」

さやか(あれ……、何だか今日は機嫌がいいみたい。
何か良いことでもあったのかな……?)

さやか「恭介、今日は何か嬉しいことでもあったの?」

恭介「そうなんだよ。
実はね……。
僕の手が、治ったんだ!」

さやか「へぇー、そうなんだ……。
って、ええっ!?」

87: 2013/08/03(土) 14:30:54.79 ID:9/M8O3Kc0
恭介「……正確に言うとね、手だけじゃなくて体全体がすっかり良くなってるんだ。
ただ、一体どうして急に治ったのかについては、全く理由が分からないんだってさ。
だからもう少しだけ精密検査をする必要があるらしいんだけど……。
この感じなら、退院までにもそれほど時間がかからなくて済みそうだしね」

さやか(どういうことなの!?
一体、誰が恭介の手を治したっていうの……?)

恭介「さやか、どうしたんだい?」

さやか「……いや、あたしもちょっとびっくりしちゃって。
良かったね、恭介!」

恭介「うん!」

88: 2013/08/03(土) 14:33:30.35 ID:9/M8O3Kc0
さやか「……それにしても、どうして急に怪我が治ったんだろうね……。
恭介、何か心当たりとかはないの?
例えばさ、昨日は普段と比べて何か変わったことがあったとか……」

恭介「うーん、変わったことかぁ……。
そういえば、昨日はさやかの先輩がお見舞いに来てくれたよ」

さやか「!
……その先輩って、どんな人だった?」

恭介「ええっと、名前は……、巴さん、だったかな?
優しそうで大人っぽくて、綺麗な人だったよ」

さやか(やっぱり、マミさんが……)

恭介「そういえば、体の調子が良くなったのは巴先輩が帰った直後からだったような気もする……。
それなのに、僕はずっと投げやりな態度で接してしまって申し訳ないことをしちゃったかな……?
そうだ、出来ればもう一度―」

さやか「……ごめん、恭介!
あたし、ちょっと他に用事を思い出しちゃったから今日はもう帰るね。      
でも、また今度来るから!」

恭介「ああ、うん。
分かったよ」

89: 2013/08/03(土) 14:35:47.95 ID:9/M8O3Kc0
 マミのマンション

―わたし達がマミさんの住んでいるお家の前に着いた頃には、さやかちゃんはもうずっと前から来ていたようでした―

まどか「あ、さやかちゃ―」

さやか「……マミさん。
恭介の怪我、治してくれたのマミさんなんだよね?」

マミ「ええ、そうよ。
鹿目さんに頼―」

さやか「本当に、ありがとうございます」

―さやかちゃんはそう言うと、マミさんに向かってその場で土下座しました―

マミ「美樹さん!?
こんなところで、やめてちょうだい」

さやか「本当に、本当にありがとうございます!」

―マミさんが止めても、さやかちゃんはしばらく立ち上がろうとはしませんでした―

90: 2013/08/03(土) 14:38:55.94 ID:9/M8O3Kc0
―それからしばらくして、わたしは落ち着いたさやかちゃんと一緒に帰っていました―

さやか「……まどか」

まどか「なぁに?
さやかちゃん」

さやか「どうして、マミさんにあんなこと頼んだの?」

まどか「えっ?」

さやか「ごめん、ちょっと聞き方が悪かったかな……。
別に変な意味じゃなくてさ、ただ単純に何でかなーって思ってさ」

まどか「ええっとね……。
あのね、わたし、上条君のことでさやかちゃんが落ち込んでるんじゃないかと思ってたんだけど……。
それでね、マミさんなら酷い怪我でも治せるんじゃないかと思ったから、頼んでみたの」

さやか「……そっか」

まどか「ごめんね。
さやかちゃんに何も言わないで勝手なことしちゃって」

さやか「ううん、いいんだよ。
まどかはあたしのために頼んでくれたんでしょ?
……ありがとね」

―そう言ったさやかちゃんは、何故かどことなく暗い表情をしているように見えました―

まどか「あの、さやかちゃ―」

さやか「あ、それじゃあたしはここで。
まどか、じゃあね」

まどか「う、うん。
さやかちゃん、また あした」

91: 2013/08/03(土) 14:41:10.43 ID:9/M8O3Kc0
まどか(……気のせいかな?
さやかちゃん、何だかちょっと様子がおかしかったような……?
あっ、そうだ!
ほむらちゃんに早く連絡してあげないと……)

92: 2013/08/03(土) 14:43:08.33 ID:9/M8O3Kc0
キュゥべえ「惜しかったなぁ。
上条恭介の怪我の件は、美樹さやかを契約させるにはいいチャンスだと思ってたんだけど……。
まさか、鹿目まどかがあんな行動に出るなんてね」

キュゥべえ「ただ……。
確かに君の言う通り、彼女にはまだ利用価値がありそうだね」

キュゥベえ「いいだろう。
これからしばらくは、君のやり方でやってみるといい」

94: 2013/08/03(土) 20:17:24.40 ID:9/M8O3Kc0
マミ(テレパシー:暁美さん、そちらの様子はどんな感じ?)

ほむら(テレパシー:こっちは使い魔だけみたいですし、私一人でも大丈夫だと思います。
ですから、巴さんはそちらの魔女の方に集中して下さい)

マミ(テレパシー:そう、分かったわ)

ほむら(テレパシー:よろしくお願いしますね。
私も、こちらが片付いたら合流するので)

マミ(テレパシー:ええ、待ってるわね!)

ほむら(テレパシー:では、また後で)

マミ(それじゃあ、私も―)

?「あの……。
巴さん、ですよね?」

マミ「えっ?
……あら、あなたは―」

95: 2013/08/03(土) 20:20:04.10 ID:9/M8O3Kc0
マミ「美樹さんのお友達の……、上条君よね?」

恭介「はい!
お久しぶりです」

マミ「お久しぶり。
ええっと……、上条君は、どうしてここに?」

恭介「さっき、たまたま巴さんが遠くに歩いているのを見かけたんです。
それで、ちょうどこの前お見舞いに来てくれた時のお礼を言っておきたいなと思ってたところだったので……」

マミ「そうだったの……。
あっ、お怪我の方はもう大丈夫?」

恭介「はい!
それはもうすっかり。
もう何というか、事故に遭ったことさえ悪い夢だったように思えてきますよ」

マミ「……そっか。
上条君も、事故にあって怪我をしたんだったよね……」

恭介「えっ……、も?」

マミ「あら、私言ってなかったかしら?
私もね……、前に交通事故に遭って酷い怪我を負ったことがあったの」

恭介「そうだったんですか……。
あっ、もしかしたらお見舞いに来てくれた時は結構やけになってたので、ちゃんと聞けてなかったのかもなぁ。
そういえば、あの時は失礼な態度をとってごめんなさい」

マミ「いえ、別に気にしなくていいわ」

恭介「あっ、そうだ!
巴さんにちょっとお尋ねしたいことがあって」

マミ「あら、何かしら?」

恭介「えっと、僕―」

マミ「!
上条君、危ない!!」

恭介「えっ?」

96: 2013/08/03(土) 20:23:47.33 ID:9/M8O3Kc0
恭介(!?
いつの間にか、周りの景色が変わってる……。
それに、あの化け物みたいなのは、一体……?)

マミ「上条君、絶対に私のそばを離れないで!」

恭介「巴さん!?
一体、何を―」

マミ「いいから、今は私の言う通りにして!」

恭介「は、はい!」

―巴さんは、いつの間にかテレビなんかに出てくる魔法少女みたいな赤い衣装に着替えていて、
 僕の周りをバリアみたいなもので覆い囲んだ後、手にブーメランのような長い刃物を構えて化け物達に立ち向かっていった―

マミ「ハァーーッ!」

―そして、巴さんが沢山いる化け物達に向かってその武器を飛ばすと、触手みたいな体に動物のような顔がついている小さい方の化け物達が一掃され、
 その後、今度は親玉らしき真っ黒な女の子みたいな姿をした化け物の方にそのまま向かっていき、その化け物を真っ二つにした―

恭介(やったかな?)

―でも、その化け物はまだ生きていたみたいで、体を変形させると、巴さんを触手で攻撃した―

マミ「きゃっ!」

恭介「巴さん!」

97: 2013/08/03(土) 20:35:20.95 ID:9/M8O3Kc0
―でも、巴さんはすぐに立ち上がると、また戦う意思を見せていた―

マミ「まさか、さっきの攻撃にも耐えちゃうなんてね……。
だったら……、これはどうかしら?
Tiro del giavellotto !【ウルトラマミランススロー】」

―そして、巴さんは左腕に身に着けていたブレスレットを槍のような形に変形させると、その化け物に向かって投げつけて、今度こそ、トドメを刺していた―

98: 2013/08/03(土) 20:39:05.32 ID:9/M8O3Kc0
恭介「巴さん、大丈夫ですか?」

マミ「……ええ、私は大丈夫よ。
心配しないで」

恭介「良かった……」

マミ「……」

恭介「巴さん」

マミ「なぁに、上条君?」

恭介「今の巴さんの姿を見て確信しました。
巴さんには、不思議な力がある。
そして……、僕の腕を治してくれたのも、巴さんですよね?」

マミ「……ええ、そう。
鹿目さんに頼まれたの。
美樹さんのお友達が大変だから、助けてあげて欲しいって」

恭介「やっぱり……。
それと、巴さんはさっきみたいな化け物といつも戦ってるんですか?」

マミ「…………うん」

恭介「巴さん。
何か悩んでるように見えるんですけど、どうしたんですか?」

マミ「いや、その……。
上条君は、私のことを気味が悪いとか思ったりしないの?」

恭介「えっ、どうしてですか?」

マミ「だって、私……。
さっきみたいに変な技とか使えちゃうんだよ?
それに―」

恭介「僕の手を治してくれた恩人に対して、そんな風に思うわけないじゃないですか。
それに、巴さんが化け物達と戦ってくれるおかげで、僕達は平和に暮らせてるんですよね。
だから、僕はあなたを素晴らしい人だと思いますし、感謝しても、しきれないですよ」

マミ「上条君……」

99: 2013/08/03(土) 20:42:18.27 ID:9/M8O3Kc0
マミ「……ありがとう、上条君。
あなたみたいな人がいてくれるから、私は誇りを持って戦えるわ」

恭介「いえ、そんな……」

マミ「だけど……。
ごめんね」

―巴さんはそう言った後、何故か僕の方に近付いてきた―

恭介「巴さん?」

―そして、その時巴さんが真剣な表情になって、いきなり自分の顔を僕の顔に接触してしまいそうなくらいに近づけてきて―

恭介「!!」

―そして、僕の意識はそこで途絶えた―

100: 2013/08/03(土) 20:47:14.66 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「遅くなってごめんなさい、巴さん!」

マミ「……暁美さん」

ほむら「あれ、誰か人が倒れてる……。
ええっと……、上条君!?
……上条君は、魔女に襲われてたんですか?」

マミ「ええ、美樹さんの時と同じような感じね。
でも、彼も気絶しているだけで大丈夫よ」

ほむら「そうですか……」

恭介「あれ、僕は一体どうしてここに……?
あっ、そこにいるのは、暁美さんと……。
はじめまして、になるのかな?」

ほむら(えっ!?)

101: 2013/08/03(土) 20:50:10.76 ID:9/M8O3Kc0
マミ「……そうそう、自己紹介しないとね。
私は巴マミ、あなた達と同じく見滝原中の3年生よ。
暁美さんとは、お友達なの」

恭介「あっ、あなたは先輩の方でしたか……。
お二人は、どうしてここに?」

マミ「私達は、お茶会の約束をしていたんだけど……。
家に向かっている途中で、倒れているあなたを見かけたの」

ほむら(テレパシー:あの、巴さん?)

マミ(テレパシー:ここは私に話を合わせてくれるかしら?)

ほむら「(テレパシー:……分かりました)
そ、そうなんですよー!
たまたま上条君を見かけて、心配だったので……」

恭介「そうだったんですか、ありがとうございます。
病み上がりなのに、ちょっと無理をし過ぎたのかなぁ……?
(暁美さん、何だかいつもと雰囲気が違う、ような……)」

102: 2013/08/03(土) 20:52:53.64 ID:9/M8O3Kc0
―そして、私達は上条君を家まで見送ることにしました―

恭介「あっ、僕の家はここです。
ここまで気を使わせちゃって、何だか悪いなぁ……」

マミ「いえ、気にしないで」

恭介「それじゃあ、僕はここで。
さようなら」

ほむら「あっ、どうも……」

103: 2013/08/03(土) 20:58:28.18 ID:9/M8O3Kc0
―それから、私は最初から予定していた通りに、巴さんの部屋まで来ていました―

マミ「暁美さん。
今日は、私に話しておきたいことがあるって言ってたわよね?」

ほむら「はい」

マミ「それなら、その内容について教えてくれるかしら?」

ほむら「分かりました。
でも……、その前に一つだけ確認しておきたいことがあるんです」

マミ「ええ、分かってるわ。
暁美さんが確認しておきたいのは、さっきの上条君のことよね?」

ほむら「ええ、そうです。
巴さんは……、前に上条君とも会ったことがあるはずでしたよね?
でも、さっきの上条君は巴さんのことを全く知らない様子でした。
……もしかして、巴さんが上条君の記憶を消したんじゃないですか?」

マミ「ええ、その通りよ」

ほむら「どうして、そんなことを?」

マミ「……私が魔女と戦っているところを、上条君が見てしまったのよ。
たとえ、あなた達のクラスメイトで、美樹さんの幼馴染だとしても、私やあなたの正体を知られてしまうのは良くないでしょう?」

ほむら「……なるほど。
そういうことだったら、納得がいきました。
確かに、無関係な一般人に魔法少女や魔女絡みのことを知られてしまうのは良くないですよね。
それにもしかしたら、そのことが原因で何らかの危険に巻き込んでしまうこともあるかもしれませんしね……」

マミ「そうでしょう?
私もそう思ったから、上条君の記憶を消したの」

104: 2013/08/03(土) 21:00:18.94 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「……それじゃあ、そろそろ本題に入りますね。
今から二週間後、この街にワルプルギスの夜が来ます」

マミ「!
それは本当なの?」

ほむら「はい、間違いなく来るはずです」

マミ「……そう。
でも、暁美さんはどうしてそのことを知っているの?」

ほむら「ごめんなさい。
それについては、言えないんです」

マミ「あら、どうして?」

ほむら「あの、別に巴さんのことを信用していないとかではないんです。
ただ、私の秘密をキュゥべえに知られるわけにはいかないので……」

マミ「なるほど、確かにキュゥべえなら、私達の話を盗み聞きすることも出来そうだしね。
分かった、そういうことならこれ以上の詮索はしないでおくわね」

ほむら「ありがとうございます」

105: 2013/08/03(土) 21:03:09.10 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「それで、巴さんにお願いしたいのは……」

マミ「“私”に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいのよね?」

ほむら「ええ、その通りです。
“私と一緒”に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいんです。
……巴さん、私に協力してくれますか?」

マミ「ええ、もちろんよ!
私の使命は……、この街、いえ、この星のみんなを守ることですもの!」

ほむら「ふふっ。
さすがに巴さんは、私とはスケールが違いますね」

マミ「ちょっと、それはどういう意味なの!?」

ほむら「いえ……、あの、別に変な意味じゃなくって……。
その、なんというか、巴さんはやっぱりすごいなって思ったんです。
……これまでの私は、“たった一人”を守ることしか考えてなかったから。
でも、“今の巴さん”と一緒なら、この世界だって救えそうな気がしてきます」

マミ「暁美さん……。
……そうね。
“二人”なら、きっとどんなことだって出来るはずよね……」

―そう言った時の巴さんの表情は、何故か少しだけ暗くなっていたように思えた―

106: 2013/08/03(土) 21:05:24.52 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「……巴さん、どうしたんですか?」

マミ「……ううん、何でもないの。
それよりも、暁美さん?
あなた、初めて会った時とはずいぶんと雰囲気が変わったわよね」

ほむら「えっ!?
……そ、そうですか?」

マミ「ええ。
何というか……、張り詰めているような感じが無くなって、優しくなったように見えるわ」

ほむら「そ、そんな……。
それなら、もっと気を引き締めなきゃ……」

マミ「あら、どうして?
私は、今のあなたの方が可愛くていいと思うわよ?」

ほむら「も、もう、巴さんたら!
何言ってるんですか///」

マミ「うふふ」

107: 2013/08/03(土) 21:09:38.72 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「あっ!
そういえば、巴さん?」

マミ「あら、なぁに?」

ほむら「巴さんは、どうやって上条君の記憶を消したんですか?」

マミ「……ええっと、私達はね……。
自分の唇を誰かの唇に接触させることで、その人の脳と神経に働きかけて、記憶を消すことが出来るのよ」

ほむら「へぇー、そうなんですか……。
って、ええっ!?
それって、上条君とキスしたってことですか?」

マミ「……まぁ、そういうことになるのかしら。
でも、どうしたの?
あなたがそんなに驚いちゃうなんて、ちょっと珍しいわね……」

ほむら「だって、その……。
そんなに簡単にしちゃうなんて……」

マミ「……記憶を消す為には、仕方なかったのよ。
それにね、誰かの記憶を消すのは別に初めてのことじゃないし……」

ほむら「そ、それじゃあ……。
巴さんは、いつもそんなことをしてるって言うんですか?」

マミ「いつもって程ではないけど……。
たまに、あまり都合の良くないことを誰かに見られちゃった時にはね」

ほむら(あれ……?
それなら、どうして私の時は記憶を消さなかったのかな……)

108: 2013/08/03(土) 21:11:25.77 ID:9/M8O3Kc0
ほむら「あっ、もうこんな時間!
そろそろ私も帰りますね」

マミ「あら、そう」

―巴さんは、私を見送る為に立ちあがろうとした―

ほむら「それでは、また―
っ、巴さん!?」

―巴さんは、ふらついて倒れそうになっていた―

ほむら「巴さん、大丈夫ですか!?」

マミ「ええ、私は大丈夫。
ちょっと立ちくらみがしただけだから、心配しないで」

ほむら「本当ですか?」

マミ「ええ、本当に私は大丈夫だから。
むしろ、後輩のあなたにかっこ悪いところを見せちゃったかな……?」

ほむら「いえ、そんなことは……」

マミ「じゃあ、暁美さん。
また明日ね!」

ほむら「えっ、はい。
また あした……」

109: 2013/08/03(土) 21:15:05.74 ID:9/M8O3Kc0
 ファーストフード店(さやかの回想)

さやか「……それで、話って何?」

仁美「恋の、相談ですわ」

さやか「え?」

仁美「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです。
ずっと前から……、私、上条恭介君のこと、お慕いしてましたの」

さやか「そ、そうなんだ……。
あはは……、まさか仁美がねえ……。
あ、な~んだ、恭介の奴、隅に置けないなあ」

仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」

さやか「あーまあ、その……。
腐れ縁って言うか何て言うか」

仁美「本当にそれだけ?」

さやか「……」

仁美「私、決めたんですの。
もう自分に嘘はつかないって。
……あなたはどうですか?
さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「な、何の話をしてるのさ……」

仁美「あなたは、私の大切なお友達ですわ。
だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの。
上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ。
だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」

さやか「仁美……」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。
丸一日だけお待ちしますわ。
さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。
上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「あ、あたしは……」

―そして仁美は、あたしに向かって軽く頭を下げた後、そのまま帰ってしまった―

110: 2013/08/03(土) 21:18:23.29 ID:9/M8O3Kc0
―仁美と別れた後、あたしはそのまま当てもなく街をうろついていた―

さやか(仁美はああ言ってくれたけど……、本当に、あたしの気持ちを恭介に伝えてちゃってもいいのかな……?
でも、どう考えたってあたしなんかより仁美みたいな子の方がいいに決まってるよね……)

さやか「あたし、どうしたらいいんだろ……?」

―あたしがそんな風に考えていたその時、少し離れたところに見覚えのある制服姿の男女が二人で話しているのを見つけてしまった―

さやか(あれは、恭介と……、マミさん?
二人とも、こんなところで何をしていたんだろ……)

―その時あたしは、自分の中に一つの疑念が生まれていくのを感じていた―

さやか(あっ、そういえば恭介の奴、マミさんにお見舞いに来てくれたお礼がしたいって言ってたっけ……。
多分たまたまパトロール中のマミさんを見かけて、それで声を掛けたって感じかな……?)

―そんな感じですぐにその状況に対するそれっぽい理由を見つけ出して自分を納得させようとしたあたしだったけど、
 次にあたしが目にした光景は、今のあたしにとってはもっとも見たくない類のものだった―

さやか(!!)

―その時あたしが目撃したのは、マミさんが恭介にキスをしている光景だった―

111: 2013/08/03(土) 21:21:09.72 ID:9/M8O3Kc0
―目の前の光景を直視出来なかったあたしは、逃げだすようにその場から走り去っていた―

さやか(そんな、一体どういうことなの……?
まさか、マミさんもだなんて……)

―そして、あたしは自分の中に、マミさんに対して絶対に抱いてはいけないはずの感情が生まれていくのを感じていた―

さやか(駄目だよ……。
マミさんは、あたし達の命を助けてくれた人なのに……。
恭介の腕を治してくれた、恩人なのに……)

―その時のあたしは、マミさんのことを憎いと思ってしまっていた―

さやか(あたし、本当に悪い子だ……。
マミさんのことを、こんな風に思っちゃうなんて……。
こんなんじゃ、もうマミさんに合わせる顔が無いよ……)

?(だったらさ……。
そんなやつ、頃しちゃえば?)

さやか「えっ?」

113: 2013/08/04(日) 00:31:19.54 ID:iTS0cE8R0
 まどかの部屋(朝)

まどか「はぁ~、もう朝かぁ……。
早くママを起こしに行かなくっちゃ!」

まどか(あっ、メールが来てる。
さやかちゃんからだ。
ええっと、今日はお休みするんだ……。
それなら、学校が終わったらお見舞いに行こうかな……?)

114: 2013/08/04(日) 00:33:36.50 ID:iTS0cE8R0
 さやかの家(放課後)

まどか「え、昨日から帰ってないんですか?
……えっと、わかりました。
はい、失礼します」

まどか(さやかちゃん、一体どこにいるんだろ……?)

まどか「とにかく、さやかちゃんを探さなきゃ!」

115: 2013/08/04(日) 00:36:56.51 ID:iTS0cE8R0
 公園(放課後)

上条「志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?
今まで帰り道に見かけたことってないような……」

仁美「ええ。
本当は……、全然逆方向ですわ」

上条「え……、じゃあ、今日はどうして?」

仁美「上条君に……、お話したいことが―」

さやか「やぁ、二人とも」

仁美「さ、さやかさん!?」

恭介「あっ、さやかじゃないか。
……何だか元気そうに見えるけど、今日はどうして学校を休―」

さやか「恭介」

―そしてさやかは、いきなり僕にキスしてきた―

116: 2013/08/04(日) 00:39:14.47 ID:iTS0cE8R0
恭介「さやか!?
どうして、いきなりこんなことを……」

さやか「……別に、あたしの気持ちを伝えたかっただけだよ。
というわけで仁美?
悪いけど、こういうことだから」

―それを聞いた志筑さんは、そこから逃げるように走り去っていった―

恭介「あっ、志筑さん!」

―僕は、そのまま志筑さんを追いかけようとしたけど、それを邪魔するようにさやかは僕の左手を掴んできた―

恭介「痛っ」

さやか「……恭介、どこに行くつもり?」

恭介「どこって……。
志筑さんを追いかけに行くに決まってるじゃないか」

さやか「どうして?
仁美のことなんて、どうだっていいでしょ。
それよりさ、あたしとどこか行こうよ」

恭介「何言ってるんだい、さやか。
志筑さんは君の友達だろ?
心配じゃないのかい?」

さやか「だから、別にどうだっていいってば」

恭介「……さやか、今日の君は何だか変だよ」

さやか「……そうかな?」

恭介「ああ。
僕の知ってるさやかは、友達のことをそんな風に言う子じゃなかったはずだよ」

さやか「……」

恭介「とにかく、僕の手を離してくれないか」

―さやかは、少し躊躇った後に僕の手を離した―

恭介「それじゃあ、僕は志筑さんを探してくる。
さやかはここで待っててくれよ」

さやか「……」

―そして僕は、志筑さんが向かった方向へと走り出した―

117: 2013/08/04(日) 00:47:22.36 ID:iTS0cE8R0
まどか「あっ、さやかちゃん!」

さやか「……まどか」

まどか「……さやかちゃん。
どうして、今日は嘘をついてまで学校を休んだりしたの?
それに、昨日は家にも帰らなかったんでしょ?
みんな、心配してたんだよ。
わたしと一緒に帰ろう?」

さやか「……うるさい」

まどか「えっ?」

さやか「うるさいって言ったのよ」

まどか「さやかちゃん!?
一体どうしちゃったの?
今日のさやかちゃん、ちょっと変だよ……」

さやか「変?
あたしの、どこが変だって!?」

―さやかちゃんはそう言った後、いきなりわたしの首を絞めようとしてきました―

まどか「さ、さやかちゃん……。
どうして……?」

さやか「あんたさえ、あんたさえ余計なことをしなければ……」

まどか「さやかちゃ―」

―そして、だんだんとわたしの意識は薄れていって―

118: 2013/08/04(日) 00:50:30.11 ID:iTS0cE8R0
―美樹さやかに首を絞められているまどかを見つけた私は、すぐに魔法少女に変身すると、時間停止能力を発動させて二人の元に近付いていき、
 そのまま体当たりして突き飛ばし、その影響で投げ出されたまどかの体が地面にぶつかる前に何とか受け止めた―

ほむら「どういうつもりなの、美樹さやか!
まどかを……、頃す気!?」

さやか「……」

ほむら「この子を傷つけるというのなら、私は……」

―私は、盾から拳銃【ベレッタM92FS】を取り出すと、威嚇の意味を込めて構えた―

さやか「……へぇー。
もしかして、それであたしを殺そうっていうの?」

ほむら「そうだといったら?」

さやか「……やれるもんなら、やってみなよ」

―私は、美樹さやかの足元に向けて銃弾を放った―

ほむら「私は、本気よ」

さやか「だったら、さっさとあたしを撃ちなよ」

ほむら「あなた……。
一体、何を考えているの?」

さやか「あたしは、あんたみたいなやつに従いたくなんかないだけだよ。
そうやって、銃で脅せばあたしが言うことを聞くとでも思ってるんでしょ?」

ほむら「……」

119: 2013/08/04(日) 00:53:20.69 ID:iTS0cE8R0
さやか「図星みたいだね。
……それで、次はどうするの?」

ほむら「っ……」

―私がこの状況に対してどのように対処すべきか考えていたその時、遅れてきた巴さんが私達の間に割って入った―

マミ「暁美さん!」

ほむら「……巴さん」

マミ「暁美さん、美樹さんに銃を向けるなんて一体何のつもりなの!?
鹿目さんは……、気絶しちゃってるけど、大きな怪我はないみたいね……」

ほむら「いや、私は……」

―私は、銃を下ろしてこの状況の説明をしようとした―

マミ「言い訳は後で聞きます。
それより……、美樹さん?
あなたも、怪我をしちゃってるじゃない。
大丈夫?」

さやか「……るさい」

マミ「えっ?」

さやか「うるさいって言ってるんだよ、この偽善者女!」

120: 2013/08/04(日) 00:55:14.77 ID:iTS0cE8R0
マミ「み、美樹さん!?
一体、どうしちゃったの?」

さやか「別に、あたしは思ったことをそのまま言ってるだけだよ。
あんたなんか、そうやって誰も彼も救った気になって自己満足に浸ってるだけの偽善者だって」

マミ「……美樹さん。
いくらなんでも、言っていいことと悪いことがあるんじゃないかしら?」

さやか「へぇー、こんな程度で怒っちゃうんだ?
やっぱり、あんたは偽善者だね。
でも……、別にあんたは悪くないよ。
あんたなんか信じちゃった、あたしが馬鹿だったんだから……」

ほむら「……」

121: 2013/08/04(日) 00:58:05.64 ID:iTS0cE8R0
マミ「……美樹さん。
何があったのかは分からないけど……、悩みがあるなら、私に話してちょうだい。
さっき私に言った酷い言葉は、とりあえず聞かなかったことにしてあげるから」

さやか「うるさいうるさいうるさい!
やめろ、あたしに近付いてくるんじゃない!!」

マミ「美樹さん……」

さやか「あんたなんか、あんたなんか……。
あたしが、頃してやる!」

ほむら「!
巴さん、離れて下さい!!」

マミ「えっ?
!!!」

―やがて、美樹さやかの体はだんだんと大きく変化していき、次第に、恐るべき姿へと変貌をとげていた―

122: 2013/08/04(日) 01:00:27.72 ID:iTS0cE8R0
―そして、美樹さやかが変化したその姿は、まるで、“私がよく知っている魔女”のようだった―

123: 2013/08/04(日) 01:01:13.93 ID:iTS0cE8R0
続きはまた朝に投下します。

124: 2013/08/04(日) 09:27:10.04 ID:iTS0cE8R0
ほむら(一体、どうなっているの!?
魔法少女ですらないはずの美樹さやかが、魔女になったなんて……)

―私は、この状況に対する答えを求めるように、隣にいた巴さんの方を見た―

マミ「そんな……。
どうして、美樹さんが?」

―でも、巴さんにとっても今回のような事態が起こるのは予想外かつ初めてのことだったらしく、驚愕の表情を浮かべて固まっていた―

125: 2013/08/04(日) 09:30:12.14 ID:iTS0cE8R0
まどか(あれ、わたし……)

まどか「!
……えっ、嘘でしょ?
さやかちゃんが、そんな……」

―まどかが意識を取り戻したことに気付いた私は、動揺していた気持ちをすぐに切り替えて、まどかを守る為に拳銃を構え直した―

―同じく、巴さんも気持ちを切り替えたようで、身に着けていた腕輪を槍状に変形させると、“目の前の化け物”に向けて構えた―

126: 2013/08/04(日) 09:33:53.88 ID:iTS0cE8R0
―そして、巴さんが攻撃を開始しようとしたその時、まどかが私達の前に立ちはだかった―

マミ「鹿目さん!?」

まどか「お願いします、さやかちゃんを殺さないで下さい!」

マミ「……鹿目さん。
あなたの辛い気持ちは分かるわ。
でもね……、美樹さんは、もう……」

まどか「でっ、でも……」

―そしてまどかは、すがるように私の方を見た―

ほむら(テレパシー:巴さん、ここは一旦退きましょう)

マミ(テレパシー:暁美さん、何を言っているの!?
魔女を放っておくということがどういう事態を招く可能性があるのか、あなたなら分からないはずは無いでしょう?)

ほむら(テレパシー:もちろん、分かってます。
でも、この子の性格を考えると、目の前で親友が殺される光景を見てしまえば、それが原因でキュゥべえとの契約を考えてしまうかもしれません。
ですから……)

マミ(テレパシー:……そうね、分かった。
とりあえず、一旦私の家に行きましょうか……)

127: 2013/08/04(日) 09:36:29.67 ID:iTS0cE8R0
―それから、巴さんの家に向かった私達は、今回の件について駄目元でインキュベーターに聞いてみることにしていた―

マミ「……キュゥべえ。
美樹さんは、どうして魔女になったの?」

キュゥべえ「そうか。
まずは、そこから訂正しなくてはいけないね。
正確に言うと、美樹さやかが変化したのは、魔女ではないんだ」

ほむら「あれが魔女でないというのなら、一体なんだというの?」

キュゥべえ「そうだね……。
あれは、別の街で“魔女モドキ”と呼ばれていた存在に近いと言えるんじゃないかな」

ほむら「……魔女、もどき?」

128: 2013/08/04(日) 09:42:47.34 ID:iTS0cE8R0
マミ「その……、魔女モドキは、もちろん魔女とは違うのよね?」

キュゥべえ「うん、その通りだよ」

マミ「それなら、魔女モドキとは一体どういう存在なの?
魔女との違いを、詳しく教えなさい」

―“魔女もどき”という、これまでに全く聞いたことの無い単語が出てきて戸惑っていた私だったが、
 同じく、初めて聞いたらしい巴さんがインキュベーターに問いただそうとしているのを見て、私はそちらに意識を集中させた―

キュゥべえ「魔女モドキはね。
イーブルナッツと呼ばれる物体を、僕達と契約していない人間に埋め込むことで誕生する、まさに、魔女の模倣品というべき存在だ」

ほむら(イーブルナッツ?)

―再び聞いたことの無い単語が出てきた為、私は思わず顔をしかめていた―

マミ「イーブルナッツというのは何?」

キュゥべえ「イーブルナッツは、魔法によって魔女の力、すなわちグリーフシードを模倣して作られた物で、見た目もグリーフシードに良く似ている。
ただ、グリーフシードに似ているとは言っても、ソウルジェムの浄化能力は持っていないんだ。
あくまでも、ただの模倣品でしかないからね。
それどころか、魔法少女に使った場合は魔女化を促進させる効果がある」

マミ「!」

―その時、突然巴さんが表情を変え、心配そうに私の顔を見た―

129: 2013/08/04(日) 09:45:12.42 ID:iTS0cE8R0
ほむら「巴さん、どうしたんですか?」

マミ「いえ、その……。
暁美さん、大丈夫?」

ほむら「ええ、別に私は大丈夫ですけど……」

―そう言った後、私は巴さんが急に私のことを心配し始めた理由に気がついた―

ほむら(そういえば、“今の巴さん”には、私が魔女の正体について知っていることを教えて無かったんだった……。
“私”の方が真実を知らされて心配されるなんて、何だか変な感じ……)

ほむら「……巴さん」

マミ「……なぁに、暁美さん?」

ほむら「私は……、どんな“真実”を聞いても受け入れる覚悟が出来ています。
ですから、私の事は気にしないで下さい」

マミ「……そう。
分かったわ、暁美さん」

130: 2013/08/04(日) 09:48:30.93 ID:iTS0cE8R0
キュゥべえ「説明を続けさせてもらってもいいかい?」

マミ「ええ、そうしてちょうだい」

キュゥべえ「魔女モドキには、他にも魔女と違う点が沢山ある。
例えば、普通の人の姿に戻って、擬似的な魔女形態の姿と使い分けて行動出来る者もいる。
それとね、本物の魔女と違って、ソウルジェムで探知することは出来ないんだ」

ほむら「何か、弱点のようなものはあるの?」

キュゥべえ「特に弱点と呼べるものは無いけど、本物の魔女と同じように攻撃を加えてある程度のダメージを与えることによって倒すことが出来るはずだよ」

マミ「……それで、倒した場合、魔女モドキはどうなるのかしら?」

キュゥべえ「魔女モドキを倒せば、その素になっていた人間とイーブルナッツが分離される」

マミ「……つまり、その人は氏んでしまうということ?」

キュゥべえ「いや、必ずしもそうなるわけではないよ。
与えたダメージの程度にもよると思うけど、生きたまま元の状態に戻るケースもあるそうだよ」

マミ・ほむら「えっ!?」

131: 2013/08/04(日) 09:50:53.00 ID:iTS0cE8R0
マミ「……それじゃあ、美樹さんを助けることが出来るの?」

キュゥべえ「今まで僕が話していたのは、以前に“ある街で遭遇したことのある魔女モドキ”についての話だ。
確かに、今回美樹さやかが変化したのはその時の魔女モドキに似ているとは思うけど……、全く同質のものであるとは言いきれないよ」

マミ「それでも……。
まだ、助けられる可能性が少しでも残っているなら……。
それだけでも、十分よ」

ほむら「……」

132: 2013/08/04(日) 09:53:09.27 ID:iTS0cE8R0
キュゥべえ「他に、何か聞いておきたいことはあるかい?」

マミ「いいえ、もう無いわ」

キュゥべえ「それなら、僕はこれで失礼させてもらうとするよ。
後は、君達の好きにするといい」

マミ「ええ、そうさせていただくわ」

133: 2013/08/04(日) 09:55:08.53 ID:iTS0cE8R0
マミ「それじゃあ、これから美樹さんを助ける為の計画を立てましょうか」

ほむら「はい」

マミ「それにしても、美樹さんが魔女になってなくて良かったわ……」

ほむら「……そうですね。
助かる可能性があると分かればまど……鹿目さんも安心してくれるはずでしょうし」

マミ「そういえば、鹿目さんがなかなか戻ってこないわねぇ……。   
大丈夫かしら……?
!」

ほむら「……まさか!」

―私は、まどかがいるはずのトイレの方に向かった―

ほむら「鹿目さん?」

―私はトイレの扉を何度もノックしたけど、全く返事は無かった―

ほむら「……鹿目さん、開けるわよ?」

―そして、私がノブを回すと鍵は掛かってなくて、さらに思い切って扉を開けてみると、やはりまどかはいなかった―

ほむら(遅かった……)

マミ「暁美さん、鹿目さんは―」

ほむら「巴さん、出来るだけすぐにここを出てまどかを追いかけましょう!」

134: 2013/08/04(日) 22:22:51.52 ID:iTS0cE8R0
まどか(ほむらちゃんとマミさん、多分二人ともさやかちゃんのことを諦めようとしてた……。
だったら、わたしが何とかしなくちゃ!)

―そしてわたしは、トイレに行くふりをしてこっそりマミさんのお家を出て、さやかちゃんを探す為に走っていました―

まどか(でも、どうしよう……。
二人に黙って出てきちゃったけど、さやかちゃんがどこにいるのか全然分からないや……)

―そうやってわたしが迷っていると、キュゥべえが近付いて来ました―

キュゥべえ「やぁ、まどか」

まどか「キュゥべえ……。
……さやかちゃんがどこにいるか、心当たりは無いよね?」

キュゥべえ「そういえば、君にはまだ説明してなかったけど……。
実は、さやかが変化した魔女モドキというのはね、本来の魔女とは異なる存在だから、僕達の力では正確に検知することは出来ないんだ」

まどか「そうなんだ……」

キュゥべえ「ただ一つだけ言えるのは、魔女モドキは魔女に比べると格段に知性が残っているから、
魔女以上に行動目的がはっきりとしていることが多くて、行動パターンの規則性も比較的見つけやすい。
そして、大体のケースでは、魔女モドキになる前に執着していた人や物などを探して行動することが多い。
だから、さやかが以前から執着していたものが何であったのかを知っているなら、どこへ向かおうとするのかについても容易に推測出来るんじゃないかな」

まどか「あの……、ごめん、キュゥべえ。
執着って、どういう意味なんだっけ?」

キュゥべえ「執着とは、人が何か一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないことだと言われている。
だから、今のケースに照らし合わせて簡単に説明し直すとすれば……。
さやかが心から欲していたものが何なのかが分かれば、さやかの行きそうな場所も分かるかもしれないということだよ」

まどか(さやかちゃんが、本当に欲しいもの……)

135: 2013/08/04(日) 22:25:44.11 ID:iTS0cE8R0
恭介(志筑さん、どこに行っちゃったんだろう……?)

―志筑さんを追いかけていた僕は、病み上がりということもあって追いつく事が出来ずに見失ってしまっていた―

恭介(どうすればいいかな……?
あっ、あそこにいるのは……)

―そして僕は、凄く急いだ様子で走っている鹿目さんを見つけた―

恭介「鹿目さーん!」

まどか「かっ、上条君!?」

恭介「鹿目さん、ちょうどいいタイミングで会ったね。
実は、志筑さんが―」

まどか「そうだっ、上条君、わたしと一緒に来て!
さやかちゃんが大変なの!!」

恭介「ああ……。
ちょっと、鹿目さん!?」

136: 2013/08/04(日) 22:27:11.94 ID:iTS0cE8R0
キュゥべえ(テレパシー:まどか。
もしかして、上条恭介をさやかのところに連れていくつもりなのかい?)

まどか(テレパシー:……うん、そうだよ)

キュゥべえ(テレパシー:でも、彼は一般人じゃないか。
危険なところに連れて行って、何かあったら君はどうするつもりなんだい?)

まどか(……大丈夫。
もしもの時は、わたしが……)

137: 2013/08/04(日) 22:30:17.19 ID:iTS0cE8R0
―そしてわたしは、上条君と一緒にCD屋さんの近くまで来ていました―

恭介「ここは……、確か、さやかがよく来てるCDショップだよね?
でも、今日は定休日で店が閉まっているみたいだけど……。
……鹿目さんは、どうしてこんなところに?」

まどか「ごめん、後でちゃんと説明するから。
上条君は、ここで少し待ってて」

恭介「あっ、鹿目さんっ!」

138: 2013/08/04(日) 22:33:16.20 ID:iTS0cE8R0
―それから少し経って、わたしは“元の姿のさやかちゃん”がお店の近くに近付いて来るのを見付けました―

まどか「さやかちゃーん!」

さやか「……まどか」

まどか「さやかちゃん!
……元に、戻ったんだよね?」

さやか「……うん」

まどか「よ、良かったぁ~!
あっ、そうだ。
さやかちゃん、ちょっとここで待っててね」

さやか「わかった」

139: 2013/08/04(日) 22:36:08.85 ID:iTS0cE8R0
まどか「……上条君、ちょっとこっちに来て」

恭介「鹿目さん、こんどは何―」

―わたしは、上条君を連れてさやかちゃんのところに戻ろうとしました―

まどか「さやかちゃ―
!」

恭介「さやか……?
!」

さやか「きょ、きょうすけ……!?」

―そしてわたしと上条君は、半分だけお化けみたいになっているさやかちゃんを見てしまいました―

まどか「そ、そんな……。
さや―」

恭介「く、来るな!」

さやか「えっ?」

恭介「こっちへ来るんじゃない、化け物!」

さやか「ば、ばけもの……」

恭介「お前は誰だ!?
お前はさやかなんかじゃない!
う、うわああああああああああああああ!!」

まどか「かっ、上条君、違うの!
さやかちゃんは―」

恭介「鹿目さん、君はこいつに騙されてるんだ!
早くここから逃げよう!!」

まどか「上条君、わたしの話を聞いてってば!」

140: 2013/08/04(日) 22:39:13.03 ID:iTS0cE8R0
さやか「……そうだよ」

まどか「えっ?」

さやか「そうだ、あたしはもうばけものなんだ。
だから……」

―さやかちゃんはそう言うと、手を伸ばして上条君の体を掴みました―

まどか「さ、さやかちゃん!?」

恭介「やめろっ!
離せっ、この化け物!!」

さやか「あたしはもうばけものなんだから、なにをしたってかんけいないよね……」

―そして、さやかちゃんは上条君を掴んだまま、今度は完全に魔女のような姿になっていました―

141: 2013/08/04(日) 22:42:58.31 ID:iTS0cE8R0
まどか(どうしよう……。
このままじゃ、上条君が……)

キュゥべえ「やはり、こうなってしまったか」

まどか「キュゥべえ……!」

キュゥべえ「……でも、心配することはないよ。
まどか、君ならこの事態を簡単に解決することが出来る。
そのための力が、君には備わっているんだから」

まどか「……そうだよね。
さやかちゃんの為なら、わたし―」

142: 2013/08/04(日) 22:44:40.71 ID:iTS0cE8R0
「その必要はないわ」

143: 2013/08/04(日) 22:50:18.37 ID:iTS0cE8R0
まどか「ほむらちゃん……。
マミさん!」

マミ「間一髪、ってところね」

まどか「……あの、マミさん。
わたし……」

マミ「無茶し過ぎ、って怒りたいところだけど……、今はやめておくわね。
暁美さん、準備はいい?」

ほむら「ええ、いつでも大丈夫です」

―私は、盾の中から狙撃銃【レミントンM24】を取り出しながら答えた―

まどか「!」

マミ「……大丈夫よ、鹿目さん。
私達は、美樹さんを見捨てようなんて思ってないわ。
むしろ、助けるつもりでここに来たの。
そうよね、暁美さん?」

ほむら「ええ、その通りよ」

まどか「えっ、そうなんですか?
でも、どうやって……」

ほむら「今、それを詳しく説明している時間は無いわ。
あなたは黙って見ていてちょうだい」

まどか「……」

マミ「暁美さん、そんな言い方は無いでしょう?
ごめんね、鹿目さん」

まどか「いえ、わたし……」

マミ「とにかく、私達に任せて!」

―巴さんはそれだけ言うと、魔女もどきの方へ向かっていった―

まどか「あっ、マミさん!
もう行っちゃった……」

144: 2013/08/04(日) 22:53:19.62 ID:iTS0cE8R0
 マミのマンションの前(回想)

―巴さんの家を出た私は、ソウルジェムを出して反応が無いかを確かめていた―

ほむら(一応、駄目元でやってみたけど……。
インキュベーターの言ってた通り、ソウルジェムで魔女もどきを探知することはやっぱり出来ないのね……)

マミ「暁美さん、私に任せて!」

―巴さんはそう言うと、目を閉じて何らかの力を使い、魔女もどきの反応を探っているようだった―

マミ「こっちよ、暁美さん!」

ほむら「え、ええ……」

145: 2013/08/04(日) 22:56:06.62 ID:iTS0cE8R0
ほむら「……巴さん」

マミ「なぁに、暁美さん?」

ほむら「さっきのは……。
どうやって、美樹さやかの居場所を見つけたんですか?」

マミ「私は、美樹さんのマイナスエネルギーを感知したの」

ほむら「マイナスエネルギー?」

マミ「マイナスエネルギーというのは、人の心の闇から生まれる負のエネルギーのことよ。
ちなみに、魔女の力もこれと似たものから出来ているわ。
だからね、私が普段魔女を探す時には、マイナスエネルギーの反応と近いものを探って見つけているのよ?
ただ……、今回の場合は普段の魔女のものとは違う波長だったから、ちょっと時間がかかっちゃったけどね」

ほむら「なるほど……。
それじゃあ、その力を使って美樹さやかの体内にあるイーブルナッツの反応を探ることは出来そうですか?」

マミ「ええ、おそらくそれも出来ると思うわ」

ほむら「それなら、好都合ですね。
……キュゥべえから聞いた情報が確かなら、イーブルナッツだけを上手く取り除くことが出来れば、美樹さやかを元に戻せる可能性が高い。
ですから、巴さんがイーブルナッツを見つけてくれさえすれば、その後に私が取り除きます」

マミ「ええ、それでいいと思うわ。
それじゃあ、私は派手に動いて美樹さんの注意を引きつけておくわね」

ほむら「お願いします」

146: 2013/08/04(日) 23:00:33.91 ID:iTS0cE8R0
―巴さんが魔女もどきに近づいたのを確認した私は、魔女もどきに向けて狙撃銃を構えた―

まどか「待って、ほむらちゃん!
さやかちゃんの中には、上条君がいるの!!」

ほむら「……えっ?」

まどか「あのね……。
さっき、わたしが……」

ほむら「……ごめんなさい、後で聞くわ。
巴さん、イーブルナッツの位置は?」

マミ「それがね、イーブルナッツのある位置は……、美樹さんの胸のあたりなの。
そして、上条君がいるのもほとんど同じところで、少ししか距離が離れていない。
つまり、もしも狙いが少しでもずれてしまったら……」

ほむら「……大丈夫、私は外しません。
巴さん、お願いします」

マミ「……ええ、分かったわ」

―そして私は、巴さんからのテレパシーを受けて視覚情報を共有し、イーブルナッツのある場所を特定した―

ほむら(よし、これで……)

―でもその時、それまでほとんど動かずに大人しくしていた魔女もどきが、急に暴れ出した―

147: 2013/08/04(日) 23:05:18.47 ID:iTS0cE8R0
恭介(あれ、僕は……?)

さやか「目が覚めたんだね」

恭介「……さやか、なのかい?」

さやか「そうだよ、恭介」

恭介「さやか、ここは一体どこなんだい……?」

さやか「恭介は、何も気にする必要なんてないんだよ。
ここなら、誰もあたし達の邪魔なんて出来ないんだから……」

恭介「……さやか、君は―」

さやか「ごめん、ちょっとやることが出来ちゃった。
待ってて!
すぐに片付けちゃってくるから……」

恭介「あっ、さやか!」

148: 2013/08/04(日) 23:08:42.57 ID:iTS0cE8R0
―巴さんに気付いた魔女もどきは、右手に持っている大きな剣を振りおろした―

マミ「くっ!」

―巴さんは腕輪を盾状に変形させてその剣撃を何とか受け止めていたけど、さらに魔女もどきは、ただひたすらに激しく剣を振り下ろし続けた―

さやか「あははは、しねっ!
おまえなんか、しんじゃえ!!」

―どうやら、美樹さやかの魔女もどきは巴さんに恨みがあるらしく、それが原因で暴れ出したようだった―

さやか「きょうすけは……、おまえになんかわたさない!」

マミ「美樹さん、何を言って―

もしかして……?
美樹さん、あれは違うのよ!」

さやか「しねぇー!」

マミ「きゃあっ!」

まどか「マミさんっ!」

ほむら「まどか、そっちへ行っちゃ駄目っ!」

―まどかは、魔女もどきの攻撃をまともに食らって倒れた巴さんの元へ駆け寄り、巴さんをかばうように魔女もどきの前に立ちはだかった―

まどか「さやかちゃん、もう止めてっ!」

さやか「うるさい、じゃまをするな!」

―さらに魔女もどきは、まどかに向かって攻撃してきた―

まどか「!」

149: 2013/08/04(日) 23:11:05.83 ID:iTS0cE8R0
まどか(あれっ……。
わたし、何ともない……?)

ほむら「ぐっ……。
ううっ!」

まどか「!
ほ、ほむらちゃん!?
どうして……」

―ほむらちゃんは、わたしをかばったことで大怪我を負ってしまったようでした―

ほむら「……まどか。
良かった、怪我は無いみたいね……」

まどか「何言ってるの、ほむらちゃん?
早く手当てをしないと……」

ほむら「……私は大丈夫よ。
それよりも、巴さんが……」

まどか「えっ!?
さやかちゃん、駄目っ!」

150: 2013/08/04(日) 23:14:31.66 ID:iTS0cE8R0
―そして、魔女もどきが巴さんに止めを刺そうと手を近づけた瞬間、盾状になっていた腕輪が再び変形し始め、今度は光の鎖となって魔女もどきの体を拘束した―

ほむら(……あの腕輪、とても便利なのね。
私も、ちょっと欲しいかも……)

―魔女もどきが拘束されている今が攻撃のチャンスと判断した私は、再び狙撃銃を構えようとした―

ほむら「痛っ!」

―でも、私の腕は魔女もどきから受けた攻撃によって使い物にならなくなっていた―

ほむら(私の魔力では、これほどの傷をすぐに治すことは出来ない……。
こんな状態では、時間停止能力を使っても正確な射撃を行うのは難しい……。
一体、どうすればいいのかしら……?)

まどか「……ほむらちゃん、大丈夫?」

ほむら「ええ、私は―
!」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」

―その時私は、“ある考え”を思いついていた―

151: 2013/08/04(日) 23:17:18.12 ID:iTS0cE8R0
ほむら「……鹿目さん。
あなたに、ちょっと協力して欲しいことがあるの」

まどか「ほむらちゃん……。
うん、わたしに出来ることなら何でも言って!」

ほむら「まずは、状況を整理しておくわね。
美樹さやかがああなってしまったのは、彼女の体内にあるイーブルナッツという物質のせいなの。
つまり……、それを取り除くことが出来れば、彼女を元の姿に戻せるかもしれない」

まどか「えっ、ほんとに?」

ほむら「あくまでも可能性があるというだけで、100%とは言えないのだけど」

まどか「それでも……。
さやかちゃんを元に戻せる可能性があるなら、やってみるべきだとわたしも思う」

ほむら「……そうね。
ただ、残念ながら私の腕は今、まともに使えそうに無いの。
だから……、言葉通りに、“あなたの手”を貸して欲しい」

まどか「えっ?
それってつまり、わたしがさやかちゃんを―」

ほむら「ええ、おそらくあなたの想像している通りで間違いないわ。
それに、あなたも美樹さやかのことを助けたいのでしょう?」

まどか「うん」

ほむら「だったら、協力してくれるわね?」

まどか「でっ、でも……。
わたし、銃とかって使ったこと無いし……」

ほむら「それについては、心配しなくてもいいわ」

―そして私は、腕の痛みをこらえて何とか盾に手を入れると、中から“ある武器”を出した―

152: 2013/08/04(日) 23:20:24.11 ID:iTS0cE8R0
まどか「それは……。
弓と、矢?」

ほむら「ええ、そうよ。
あなたなら、こちらの方が扱いやすいと思って」

まどか「確かに、銃よりは使いやすそうだけど……。
でも、本当にわたしなんかが―」

ほむら「お願い。
今、美樹さやかを救うことが出来るのは……。
鹿目さん、あなただけなの」

まどか「わたしが、さやかちゃんを……」

ほむら「それに……。
私は、あなたのことを信じてる。
だから、あなたも自分のことを信じて」

まどか「ほむらちゃん……。
……うん、分かった。
わたし、やってみるね!」

153: 2013/08/04(日) 23:23:02.21 ID:iTS0cE8R0
―そして、まどかが弓を構えたのを確認した私は、まどかの手に軽く触れて、時間停止の魔法を作動させた―

まどか「これは……!
ほむらちゃん、どうなってるの?」

ほむら「安心して。
これは、私の魔法の力よ」

まどか「えっ、凄ーい……」

ほむら「私の手を離したら、貴女の時間も止まってしまうから気をつけて」

まどか「うん、分かった……」

ほむら「……大丈夫よ、“まどか”。
あなたなら、絶対に出来るわ」

まどか「ほむらちゃん……」

―そして、私はゆっくりと狙いを定めると、まどかに矢を放つタイミングを指示した―

ほむら「今よ!」

まどか「えいっ!」

―そして、まどかが矢を放ったのとほぼ同時に、私は時間停止の魔法を解除した―

156: 2013/08/09(金) 21:03:57.79 ID:Ux5ViB5L0
まどか「―マミさん」

マミ(あれ、私……)

まどか「マミさん!」

マミ「……鹿目さん?」

まどか「マミさん、無事で良かった……」

マミ「鹿目さん……。
はっ!
そうよ、美樹さんは!?」

ほむら「巴さん」

マミ「暁美さん、その怪我はどうしたの!?
すぐに、私が治し―」

ほむら「私の怪我は、後回しでも大丈夫。
それよりも、あの二人を先にお願いします」

マミ「……ええ、分かったわ。
上条君は……、特に怪我は無いみたいね。
美樹さんも、この程度の怪我ならすぐに治せるわ」

まどか「よ、良かったぁ~!」

157: 2013/08/09(金) 21:09:48.01 ID:Ux5ViB5L0
さやか(何だろ、この暖かい感じ……)

―あたしは、自分の胸にとても暖かくて心地の良い、光のような何かが注ぎ込まれているのを感じていた―

まどか「さやかちゃん?」

さやか(まどか?)

―まどかの声を聞いたあたしは、とりあえず起きてみることにした―

マミ「美樹さん!」

さやか「……えっと、マミさ―」

まどか「さやかちゃんっ!」

―まどかはあたしの名前をもう一度叫んで、いきなり抱きついて来た―

さやか「……あの、まどか?
どうしたのさ、急に……」

ほむら「……あなた、何も覚えてないのね。
でも、その方がいいのかしら……」

さやか「えっ?
転校生、あたしは―」

恭介「さやか……?」

さやか「きょ、恭介……!?」

―その時あたしは、恭介を見た瞬間に自分がやってしまったことを全て思い出していた―

さやか「あ、あたし……」

―そしてあたしは、思わずそこから逃げ出してしまっていた―

恭介「さやか、待ってくれ!」

158: 2013/08/09(金) 21:12:49.23 ID:Ux5ViB5L0
恭介「鹿目さんに、暁美さん。
それと……、巴先輩。
この状況は、一体どういうことなんですか?
説明して下さい!」

まどか「あっ、その……」

ほむら「……」

マミ「……上条君。
詳しい事情は、後でちゃんと話すわ。
だから、今は美樹さんを追いかけてあげて」

恭介「えっ?」

マミ「お願い、上条君」

恭介「……分かりました。
さやかを連れ戻してから、もう一度話を聞きに来ます」

まどか「あっ、私も……」

マミ「鹿目さん。
ここは、上条君に任せておきましょう」

まどか「えっ、でも……」

マミ「うーん、そうねぇ……。
私と暁美さんは今、二人とも怪我人でしょ?」

まどか「えっ、はい……?」

マミ「だからね……。
その、ちょっと誰かに頼りたいかなぁー、なんて」

まどか「あっ……、分かりました!
マミさん、何かして欲しいことはありますか?」

マミ「ありがとう。
でも、先に暁美さんの怪我を治療してあげたいから、ちょっと手伝ってくれるかしら?」

まどか「はい!」

ほむら「……巴さん。
私よりも、自分の怪我を先に治して下さい」

マミ「私の怪我はそんなに大したこと無いから、あなたは気を使わなくていいのよ」

ほむら「でも……」

マミ「いいからいいから。
とりあえず、怪我の具合を見せてくれる?」

ほむら「あっ、はい……」

159: 2013/08/09(金) 21:15:28.12 ID:Ux5ViB5L0
恭介「さやか!」

さやか「恭介……。
……どうして、あたしなんかを追いかけてくるのさ……?」

恭介「さやかに、聞いておきたいことがあるからだよ。
それに、巴先輩にも追いかけてくれって言われたし……」

さやか「マミさんに?」

恭介「うん、そうだよ」

さやか「そっか、そうなんだ……」

恭介「さやか、どうしたんだい?」

さやか「……別に。
何でもないよ。
それより、あたしに聞きたいことって何なの?」

恭介「ああ、そうだね。
さやか、君は―」

仁美「お二人とも、見つけましたわ」

さやか「ひ、仁美!?」

恭介「あっ、志筑さん!
そういえば、君を探してたんだよ。
今まで、どこにいたんだい?」

仁美「私がどこにいたかなんて、お気になさる必要はありませんわ。
それより……、“美樹”さん?」

さやか(えっ?
やっぱり、さっきのことで怒ってるのかな……?)

160: 2013/08/09(金) 21:18:53.52 ID:Ux5ViB5L0
さやか「……仁美」

仁美「あら、何でしょうか?」

さやか「さっきは、ホントにごめん!
あたし、どうかしちゃってたんだよ……」

仁美「ふふっ。
別にあなたは、何も気にしなくていいんですのよ。
というよりも、これからは何も考えられなくなる、と言った方が正しいのかしら?」

恭介「……志筑さん?」

さやか「ひ、仁美?
一体、どうしちゃったの?」

仁美「別に私は、何もおかしくなんてありませんわ。
むしろ、とってもいい気分ですのよ!
だって私、もう何も我慢しなくていいんですもの」

さやか(この、冷たくて何か嫌な感じは……。
まさか!)

―そして仁美は、あたしの時と同じように、目の前で魔女のような恐ろしい姿になっていた―

161: 2013/08/09(金) 21:21:29.60 ID:Ux5ViB5L0
さやか「!
仁美っ!?」

恭介(……これは、さっきのさやかの時と同じ!?
ということは、あれは夢なんかじゃなかったのか……)

仁美「さぁ、上条君。
私と一緒に、素晴らしい世界へ旅に出ましょう!」

恭介「……嫌だ」

仁美「何とおっしゃいましたの?」

恭介「嫌だって言ってるんだ!
そうか、分かったぞ……。
お前達は、仲間なんだな!!」

さやか「きょ、恭介……。
何言ってるの……?」

恭介「もう、お前達なんかには騙されないぞ!
この、化け物め!!」

さやか「そ、そんな……」

仁美「……そうですか。
上条君は、私を拒むんですのね……」

さやか「……仁美?」

仁美「手に入らないというのなら、いっそ……」

恭介「う、うわあああ!!!!!」

―でもその時、僕をかばうように誰かが化け物の前に立ちはだかった―

162: 2013/08/09(金) 21:24:20.25 ID:Ux5ViB5L0
恭介「お、お前……。
一体、何のつもりなんだ!?」

―僕の目の前には、“さやか”が立っていた―

さやか「……仁美、ちょっとでいいからあたしの話を聞いて!
あのさ、誰かを頃したいっていうんなら……、あたしにしなよ。
でも、恭介のことは見逃してあげて」

恭介「!」

仁美「……」

恭介(もしかして、君は……。
本当に、さやかなのか……?)

さやか「……あたしはさ、あんたに恨まれても仕方ない事をしちゃったと思う。
ううん、実は仁美だけじゃないんだ。
大切に思ってたはずの人達みんなに、酷い事をしちゃったんだよね。
だからさ……、正直言うともうみんなに会わせる顔が無いかなって思っちゃうし……。
もういっそのこと、ここで氏んじゃった方が―」

163: 2013/08/09(金) 21:27:17.69 ID:Ux5ViB5L0
―でも、あたしが氏ぬことを覚悟したその時……、恭介が、あたしの前に立っていた―

さやか「……きょ、恭介っ!?
なっ、何してんのさ!?」

恭介「……さやかは、殺さないでくれっ!」

仁美「……」

さやか「そ、そんなことしないでよ!
あたしなんて、もう氏んじゃった方が―」

恭介「……さやか。
確かに、さやかは悪い事をしたのかもしれない。
でも、みんなに謝りもせずに逃げるなんて駄目だよ。
それに、これ以上自分のことを悪く言うのも止めてくれ。
それと……、僕はさやかに酷い事を言ってしまったよね。
その事については、本当に悪いと思ってる。
ごめん、さやか!」

さやか「恭介……」

164: 2013/08/09(金) 21:30:36.34 ID:Ux5ViB5L0
ーそして、あたし達が今度こそ覚悟を決めた、その時―

マミ(テレパシー:美樹さん、今すぐ右に避けて!)

さやか「えっ、マミさん!?」

マミ(テレパシー:早く!)

さやか「は、はい!
恭介っ!!」

恭介「えっ?
あっ!」

―そして、あたしがマミさんの指示通りに動いてみると、いきなり飛んできた光る輪っかみたいなものが仁美の体に巻き付いて動けないようにしていた―

マミ「お待たせっ!」

さやか「ま、マミさん……」

マミ「暁美さん、イーブルナッツの位置は志筑さんのお腹のところよ!」

ほむら「ええ、了解です」

さやか「マミさん!?
まさか、仁美を―」

マミ「安心して、私達は志筑さんを氏なせたりはしないわ。
……暁美さん、お願い!」

―そして、転校生が構えたスナイパーライフルから放たれた銃弾が直撃すると、仁美の体は元の姿に戻っていた―

165: 2013/08/09(金) 21:33:49.38 ID:Ux5ViB5L0
さやか「仁美っ!」

仁美「……さやかさん?」

さやか「ごめん!」

仁美「……」

さやか「ごめん、ほんとにごめん!」

仁美「……何のことですの?」

さやか「えっ、仁美?」

仁美「さやかさんは、私に謝る必要なんてありませんわ。
むしろ、謝らなきゃならないのは私の方です。
ごめんなさい、さやかさん」

さやか「仁美……」

仁美「……上条君にも、ご迷惑を掛けてしまいましたわね。
ごめんなさい、上条君」

恭介「志筑さん……。
僕の方こそ、酷い事を言ってごめん」

仁美「上条君……」

―その後あたし達は、とにかくみんなに謝ることにした―

さやか・仁美「あの、みんな(みなさん)……。
本当に、ごめんなさい!」

166: 2013/08/09(金) 21:36:39.39 ID:Ux5ViB5L0
―それからしばらくして、みんなに一通り謝った後―

さやか「……あの、マミさん」

マミ「あら、何かしら?
美樹さん」

さやか「ちょっと……。
二人だけで話したいかなって」

マミ「ええ、分かったわ」

167: 2013/08/09(金) 21:40:00.85 ID:Ux5ViB5L0
さやか「……マミさん。
あの、本当に……、ごめんなさい!」

マミ「どうしたの、美樹さん?
謝罪なら、さっきみんなの前でもしてくれたじゃない」

さやか「マミさんには、特別酷い事をしちゃったし……、もう一度ちゃんと謝りたかったんだ。
それにさ、もう少しで本当にマミさんを頃しちゃうところだったし……」

マミ「……それは、悪い魔力の影響を受けてしちゃったことなんだし、仕方ないわよ。
それにもう充分謝ったんだし、みんな無事で済んだのだからいいじゃない。
だから、この話は終わりにしましょう?」

さやか「いや、でも……」

マミ「ねっ?」

さやか「……はい。
ただ、その……。
もう一個だけ、マミさんに言っておきたいことがあって……」

マミ「あら、なぁに?」

さやか「……恭介のこと、よろしくお願いします」

マミ「えっ?」

168: 2013/08/09(金) 21:45:32.53 ID:Ux5ViB5L0
マミ「あの……、美樹さん?
それはどういう意味なのかしら?」

さやか「……実はあたし、見ちゃったんだよね。
マミさんが、恭介とキスしてるところ」

マミ「やっぱり、見てたんだ……。
でもね、美樹さん―」

さやか「あたし、恭介の相手がマミさんだったら、諦められるよ。
まぁ、こんなに迷惑かけちゃった後で言っても説得力無いかもしれないけど……。
でも、どっちにしろあたしにはもうそんな資格―」

マミ「美樹さん!」

さやか「えっ、はい!」

マミ「美樹さん、勘違いさせちゃったことについては謝るわ。
……でもね、私と上条君はそういう関係じゃないの」

さやか「えっ?
だって―」

マミ「確かに、私は上条君に、その、キスしちゃったけど……。
あれは、そういうつもりでしたんじゃないのよ」

さやか「いや、だって……。
じゃ、じゃあ!
どういうつもりでしたって言うの!?」

マミ「実は私、キスをした相手の記憶を消すことが出来るのよ」

さやか「えっ?」

マミ「それでね、あの時は……、私が魔女と戦っているところを、上条君が見てしまったのよ。
でも、私は魔女のこととか、魔法少女のことを知られるのは避けたかった。
だから、上条君の記憶を消す為にキスをしたの」

さやか「……そ、そんな。
あたしに、気を使ってるんじゃ―」

マミ「本当のことよ、美樹さん。
信じて」

さやか「……うん、分かった」

169: 2013/08/09(金) 21:48:27.44 ID:Ux5ViB5L0
マミ「でも……。
ちゃんとした理由があったにしても、美樹さんの好きな人にキスをしちゃうなんて良くなかったよね。
……ごめんなさい、美樹さん」

さやか「……いや、その、あたし……。
別に恭介とは、ただの幼馴染だってば。
だから、そんな風に謝らなくても―」

マミ「美樹さん」

さやか「うっ、えっ?
なっ、何、マミさん」

マミ「わたしは、本当のことを言ったわ。
だから、あなたも本当のことを言って」

さやか「いや、えっと……」

マミ「上条君のこと、好きなんでしょう?」

さやか「…………うん」

マミ「だったら……、彼にちゃんと気持ちを伝えるべきよ」

さやか「えっ、でも……」

仁美「私のことなら、気にしなくてもいいんですのよ」

さやか「ひ、仁美?」

マミ「志筑さん?」

仁美「ごめんなさい、盗み聞きなんてはしたない真似をしてしまって。
そのことについては、謝らせていただきますわ。
でも、一つだけ言わせて下さい。
巴さんもおっしゃったように……、さやかさんは、上条君にあなたの本当の気持ちをお伝えするべきですわ」

さやか「仁美……」

170: 2013/08/09(金) 21:51:46.04 ID:Ux5ViB5L0
仁美「……さやかさん。
あなたが上条君をかばって、上条君がさやかさんをかばい返した時に、私は気付いたんです。
お二人の間には、確かな絆があることを」

さやか「でも、それは……」

仁美「だから、私はきっぱりと諦めがつきましたわ!
ですから、細かいことなんか気にしないで早くあなたの気持ちを伝えて来て下さい!!」

さやか「えっ、あっ、仁美!」
ちょ、ちょっと待ってよ!!」

仁美「……さやかさん。
まだ、決心がつかないのですか?」

さやか「いや、そうじゃなくて……。
何て言うか、その……。
……ありがとう、仁美。
それじゃあ、行って来るね!」

171: 2013/08/09(金) 21:54:44.03 ID:Ux5ViB5L0
仁美「もう、行かれたようですわね……。
ですから……。
暁美さんも、そろそろ出てきたらいかがでしょうか?」

マミ「えっ?」

ほむら「あっ……」

マミ「もう!
あなたまで、私達の話を聞いてたの?
そういうのは、関心しないわよ」

ほむら「……ごめんなさい、巴さん」

仁美「私からも、もう一度お詫び申し上げますわ。
はしたない真似をしてしまって、申し訳ありませんでした」

マミ「あっ、その……。
分かってくれたのなら、もういいのよ」

172: 2013/08/09(金) 21:57:22.34 ID:Ux5ViB5L0
ほむら「……それより、巴さん。
今、泣いてませんでしたか?」

マミ「えっ?
何言ってるのよ、暁美さん。
気のせいじゃないかしら?」

ほむら「えっ、でも……。

もしかして、巴さん……」

仁美「……暁美さん。
それ以上は、いけませんわ」

ほむら「えっ?」

マミ「……」

173: 2013/08/09(金) 22:00:18.72 ID:Ux5ViB5L0
マミ「……あの、志筑さん?」

仁美「何でしょうか?」

マミ「この後、お時間は空いてるかしら?
もし良かったら、私の家でお茶会でもどうかと思って」

仁美「あの、私……」

マミ「忙しかったら、無理にとは言わないわ」

仁美「いえ、大丈夫ですわ」

マミ「本当に?」

仁美「ええ。
……今日くらいは、お稽古事を休んだって構いませんわ!」

マミ「ありがとう。
それじゃあ二人とも、私の家に行きましょうか!」

ほむら「えっ?」

マミ「あら、暁美さん。
何か用事でもあるの?」

ほむら「いや、その……。
ええっと、鹿目さんも誘った方がいいんじゃないかと思って……」

マミ「あら、そうね……。
私ったら、鹿目さんのことを誘い忘れちゃうなんて……」

ほむら「それじゃあ私、鹿目さんを呼んできますね!」

174: 2013/08/09(金) 22:05:21.00 ID:Ux5ViB5L0
まどか「あっ、ほむらちゃん!」

ほむら「……鹿目さん。
巴さんから、お茶会のお誘いがあったのだけど……。
あなたは、この後大丈夫?」

まどか「あっ、うん。
ちょっと遅い時間だけど……。
うちのパパとママなら、ちゃんと連絡すれば許してくれると思う」

ほむら「そう。
それなら、この先で巴さん達が待ってるから」

まどか「あれっ、ほむらちゃんは行かないの?」

ほむら「私は、まだちょっとやることがあるの。
その用事を済ませてから行くつもりだから、あなたは先に行ってて」

まどか「うん、分かった。
それじゃあほむらちゃん、また後でね」

ほむら「ええ、また後で」

恭介「それじゃあ、そろそろ僕も帰ろうかな」

ほむら「待って、上条君」

恭介「何だい、暁美さん?」

ほむら「……美樹さんが、あなたに話したいことがあるみたいなの。
だから、彼女が来るまでここで待っててあげて欲しい」

恭介「……さやかが?
うん、分かった」

175: 2013/08/09(金) 22:10:18.22 ID:Ux5ViB5L0
さやか「……あの、恭介」

恭介「……さやか。
話したいことって、何?」

さやか「えっと……、あのね、あたし……。
あたしね……、ずっと前から恭介のこと……。
恭介のこと……、好きだったんだ」

恭介「!」

176: 2013/08/09(金) 22:15:18.17 ID:Ux5ViB5L0
さやか「……ごめんね。
迷惑なら、そう言ってくれていいよ。
あたし、恭介には今日のことも含めて一杯迷惑かけちゃってるし……。
振られるのも、覚悟した上だから……」

恭介「……ううん、迷惑なんかじゃないよ。
というか、やっぱりそうだったんだ……」

さやか「……ええっ!?
恭介、あたしの気持ちに気付いてたの?」

恭介「正直に言うと、今までは全然分かってなかったんだよね……。
でもね、その……、さやかが今日、僕に向かってキスしたよね。
あの時、やっと……」

さやか「いやっ、あれは忘れて!」

恭介「……大丈夫。
巴さん達が説明してくれたから、もう分かってるよ。
あれは、さやかが悪いものの影響を受けてた時のことだったんだろ?
それに、僕もさやかに酷い事を言ってしまった。
だから、その時のことはお互い気にしないことにしよう?」

さやか「う、うん……」

恭介「ただ、そのおかげでやっとさやかの気持ちに気付くことが出来た」

さやか「えっ?」

恭介「……それに、さやかにはすっごく感謝してるんだ。
今までも、一番苦しいときに僕の支えになってくれてたし……。
今回も、必氏で僕をかばおうとしてくれたよね?
あの時、やっと分かったんだ。
僕はさやかに、どれほど大切に思われてるか……。
僕もさやかのこと……、大切に思ってるよ。
だから、君の想いに僕も応えたい」

さやか「恭介……」

177: 2013/08/09(金) 22:20:15.77 ID:Ux5ViB5L0
さやか「ありがとう……。
あたし……、あたし、告白するだけで一杯一杯で……。
嬉し過ぎて……、もう、どうしたらいいのか分からないや……」

恭介「僕も、今まで自分のことだけで一杯一杯で……。
さやかに何もしてあげられなかった。
これからはバイオリンの練習で忙しくなることも多くなっちゃうと思うけど……。
それ以外は、なるべく二人で過ごそう。
二人の時間を、大切にしようね」

さやか「うん。
恭介、これからは毎日一緒に登校しようね!」

恭介「ああ、もちろんだよ」

さやか「えっと、それからね―」

178: 2013/08/09(金) 22:22:21.91 ID:Ux5ViB5L0
ほむら(……よかった、うまくいったみたいね。
これで、美樹さやかの運命は変えられたわ……。
後は、“ワルプルギスの夜”を倒すだけ。
でも、“今回の巴さん”と一緒なら、きっと倒せるはず。
そして、今度こそまどかのことを救ってみせる!)

179: 2013/08/09(金) 22:27:56.04 ID:Ux5ViB5L0
キュゥべえ「残念だけど、魔女モドキを使ったのは失敗だったようだね……」

キュゥべえ「それで、次はどうするつもりだい?」

キュゥベえ「……なるほど、それはいい考えかもしれないね」

183: 2013/08/10(土) 00:15:42.67 ID:54d6vcH70
 マミの部屋

マミ「……はい、暁美さん」

ほむら「ありがとうございます、巴さん」

―私は巴さんからグリーフシードを受け取って、自分のソウルジェムを浄化していた―

ほむら「終わりました」

―そして私は、使い終わったグリーフシードを再び巴さんに返した―

マミ「……」

ほむら「……巴さん?」

マミ「あっ、ごめんね……」

ほむら「……」

184: 2013/08/10(土) 00:18:49.58 ID:54d6vcH70
ほむら「……巴さん。
私が使い終わった後のグリーフシードは、どうやって処理してるんですか?」

マミ「!
……どうして、そのことが気になったのかしら?」

ほむら「……前から、聞こうとは思ってたんです。
ちなみに、巴さんと会う前の私は、それをキュゥべえに渡して処理させていました。
おそらく他の魔法少女達も、普通はそうしているはずです。
でも、この前キュゥべえに聞いてみたら、『僕は巴マミからはグリーフシードを受け取っていないよ』って言っていました。
ということは、巴さんが自分で処理しているはずですよね?
穢れを吸った後の危険なグリーフシードを、巴さんがそのまま放置しておくとは思えないですし……」

マミ「……ごめんなさい。
たとえあなたにでも、それだけは教えることが出来ないの」

ほむら「……どうしてですか?」

マミ「この前、私はあなたにワルプルギスの夜についての情報源を聞こうとしたわよね。
その時の、暁美さんの答えと同じ理由よ」

ほむら「なるほど、そうですか……」

185: 2013/08/10(土) 00:21:32.87 ID:54d6vcH70
ほむら「それと……、もう一つだけ、聞いてもいいですか?」

マミ「ええ、どうぞ」

ほむら「……その、今、巴さんが使っている髪飾りとリボン。
その二つは、どこで手に入れたんですか?」

マミ「えっ?
それは……」

ほむら「教えてください、巴さん」

マミ「……ええ、分かったわ。
実は私、暁美さんの前にも他の魔法少女の子と一緒に戦っていたことがあったの。
その子はね……、家族思いの、とても優しい子だったわ。
それに、変身した私の姿を見ても、あの子は恐がらずに受け入れてくれた。
そして、これはその子のか―
……その子から、もらったものよ」

ほむら(やっぱり……)

186: 2013/08/10(土) 00:24:16.50 ID:54d6vcH70
ほむら「ちなみに……、その子は今、どうしてるんですか?」

マミ「……」

ほむら「巴さん?」

マミ「……その子は、もう―
!」

ほむら「!」

マミ「ここのすぐ近くで、マイナスエネルギーの反応が出たわ!
暁美さん、早く行きましょう!!」

ほむら「あっ……、はい!」

187: 2013/08/10(土) 00:30:28.92 ID:54d6vcH70
ほむら「ここですね」

マミ「この結界は……、使い魔のものね。
暁美さん、私に任せて!」

―巴さんはそう言うと、いつものようにバナナのような形をした長い刃物を取り出して構えた―

マミ「ハッ!」

―そして、巴さんが使い魔に向けて放った攻撃は、いきなり飛んできた“何か”によって阻まれた―

??「ちょっと、ちょっと。
何やってんのさ、アンタ達」

マミ・ほむら「!!」

??「見てわかんないの?
ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。
グリーフシードを持ってるわけないじゃん」

マミ(まさか、そんな……!
でも、この声は―)

??「ああ、そういやアンタ達も、やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かましてる類のバカな奴らだっていう話だったっけ……」

ほむら「……あなたは―」

杏子?「……そうだな、一応アンタ達にも名乗っといてやるか。
アタシの名前は、佐倉杏子。
“初めまして”、巴マミ。
それと、暁美ほむら」

マミ「……えっ!?」

188: 2013/08/10(土) 00:33:16.01 ID:54d6vcH70
マミ「佐倉さん……。
あなた、何を言っているの……?」

杏子「は?」

マミ「私のこと……。
忘れちゃったっていうの?」

杏子「アンタの方こそ、何言ってんのさ?
アタシの知り合いには、アンタみたいな正義の味方を気取ったバカなんかいないっつーの」

マミ「そんな……」

―巴さんは、美樹さやかが魔女もどきになった時よりも動揺しているようだった―

杏子「……まぁ、そんなことはどうでもいいよ。
アンタ達には、これから氏んでもらうことになるんだからさぁ!」

―佐倉杏子はそう言うと、自身の武器を構えた―

マミ「!」

―しかし、“今私達の目の前にいる佐倉杏子”が使おうとしていた武器は、“私がよく知っている佐倉杏子”が使っていた、槍ではなかった―

189: 2013/08/10(土) 00:36:55.54 ID:54d6vcH70
―また、武器以外の戦闘スタイルは似通ってはいたけども、そのスピードは桁違いに速くて―

ほむら「!」

―私は、時間停止の魔法を作動させる前に佐倉杏子の攻撃で吹き飛ばされていた―

ほむら「ぐっ!」

杏子「ハンッ!
まずは、アンタから先に氏んでもらうとするか。
……暁美ほむらっ!」

―そして、佐倉杏子は私に向かって武器を振り下ろそうとしていた―

190: 2013/08/10(土) 00:40:19.74 ID:54d6vcH70
―でもその攻撃は、巴さんの構える盾によって阻まれていた―

マミ「この子は……、殺させないわ!」

―それから巴さんは、盾状にしていた腕輪を今度は槍に変形させた―

杏子「へぇ……。
よりにもよって、このアタシに槍で勝負を挑むとはねぇ……。
上等じゃねぇか、かかって来な!」

191: 2013/08/10(土) 00:42:08.86 ID:54d6vcH70
―でも、巴さんは明らかに防戦一方であり、佐倉杏子の激しい攻撃に圧倒されているようだった―

杏子「ハァ……、アンタさぁ。
動きは悪くないけど、どうも槍の扱い方がいまいちだねぇ……。
なんだったら、アタシがレクチャーしてやろうか?」

マミ「……」

杏子「なぁに、特別にお代は安くしてやってもいいんだよ?
そうだねぇ……、アンタの命だけでいいからさぁ!」

マミ「きゃあっ!」

杏子「……なんだよ。
噂じゃかなり強いって聞いてたから、もっと骨のあるやつだと思ってたのにさ……。
まぁいいや、そろそろ終わりにするか!」

マミ「!」

192: 2013/08/10(土) 00:45:18.41 ID:54d6vcH70
―私は、何とか力を振り絞って起き上がると、すぐに時間停止の魔法を使った―

杏子「なっ!?
テメェ、何しやがった!」

―そして私は、巴さんの手を掴んだ後、再び時間停止の能力を作動させた―

マミ「あっ、暁美さん!?」

ほむら「……安心して下さい、これは私の魔法の力です。
それと、私から手を離したらあなたの時間も止まってしまうので気をつけて下さい」

―それから私は、閃光手榴弾【M84】を投げた後、その場から立ち去った―

杏子「逃がすか―
って、なっ!」

杏子「チッ、やっぱ逃げられちまったか……」

193: 2013/08/10(土) 00:50:42.85 ID:54d6vcH70
―その後私達は、巴さんの家まで避難していた―

マミ「そんな……、ありえないわ……。
だって、あの子はもう……」

―巴さんは、うわ言のように同じ言葉を繰り返していた―

ほむら「……巴さん。
一体、どういう―」

マミ「だって、佐倉さんは、佐倉さんは……。
私が、この手で……。
……この手で、頃してしまったんだもの!」

ほむら「!?」

195: 2013/08/10(土) 10:46:15.52 ID:54d6vcH70
ほむら(どういうこと……?
どう考えても、佐倉杏子は生きているように見えたけど……)

マミ「ありえない、ありえないわ……」

ほむら(本当はすぐにでも事情を聞きたいんだけど、今はそっとしておいてあげた方がいいよね……)

マミ「そうだわ!」

―巴さんは、急にそう言って立ちあがると、何かを探していた―

マミ「……無い、やっぱり無い!
ということは……」

ほむら「巴さ―」

キュゥべえ(テレパシー:暁美ほむら)

ほむら(テレパシー:……何の用?)

キュゥべえ(テレパシー:杏子から、君達に伝えて欲しいことがあると言われて来たんだ。
入っていいかい?)

ほむら(テレパシー:……いや。
私は外で話したいから、そのまま待ってなさい)

キュゥべえ(テレパシー:分かった)

196: 2013/08/10(土) 10:51:41.94 ID:54d6vcH70
キュゥべえ「あれ、君一人かい?」

ほむら「……ええ、そうよ。
それで、佐倉杏子からの伝言の内容は?」

キュゥべえ『鹿目まどかのことは、アタシが預からせてもらったよ。
返して欲しかったら、すぐにさっきの場所まで戻ってきな』

ほむら「なっ、何ですって!?」

197: 2013/08/10(土) 10:56:06.21 ID:54d6vcH70
まどか「あっ、あの……」

杏子「何だよ?」

まどか「いや、やっぱり何でもないです……」

杏子「文句があるんならさ、はっきり言ってくれない?
まぁ、勝手に連れ去られたってのに、文句が無いはずもないだろうけどさー。
とにかく、何か聞きたいことがあるっていうなら、さっさと言いなよ」

まどか「それなら……。
……あなたは、どうしてこんなことをしたの?
わたし、何か―」

杏子「……別に、アンタに恨みがあってこんなことしてるわけじゃないよ。
アンタはね、あくまでアイツらをおびき寄せる為のエサさ」

まどか「それじゃあ、ほむらちゃんと“マミさん”―」

杏子「……止めろ」

まどか「えっ?」

杏子「……何でもない。
それと、アイツらにも恨みなんてねぇよ。
アタシは、頼まれたことをやってるだけさ」

まどか「……それって、誰に―」

???「まどか!」

杏子「ハンッ、思ったより来るのが早かったねぇ……。
……って、誰だテメェ?」

まどか「……えっ、さやかちゃん!?」

さやか「まどか、安心して!
あんたのことは、すぐにこのあたしが助けちゃうからね!!」

198: 2013/08/10(土) 11:00:18.56 ID:54d6vcH70
まどか「……さやかちゃん、どうして―」

さやか「何言ってんだよ、まどか。
困ってる親友を助けに来るのは、当たり前のことでしょ?
それにさ、あんたにはこの前のことで沢山迷惑かけちゃったしさ……」

まどか「さやかちゃん……」

杏子「フン。
なるほどね、テメェはコイツのオトモダチってわけか……。
でも、どうしてここが分かった?」

さやか「お前がまどかを連れていこうとするところを、あたしは見てたんだよね。
それで途中まで追いかけて見失っちゃったけど、その後はキュゥべえに聞いたんだよ」

杏子「チッ!
アイツ、余計なことを……」

さやか「というわけで、まどかを返してもらうよ!」

杏子「……」

199: 2013/08/10(土) 11:09:51.65 ID:54d6vcH70
杏子「……あのさぁ、まさかとは思うけど……。
アンタ、そんなバット一本だけでこのアタシと戦うつもりじゃあないよねぇ?」

さやか「そうだけど……。
だったら、何だって言うのさ!?」

杏子「ハァ……。
悪いけど、アンタみたいなトーシロどころか魔法少女ですらない一般人のバカに構ってる暇は無いんだよねぇ。
だからさ、さっさと帰ってくんない?」

さやか「嫌だね。
それとさ……。
そんなこと言うんだったら、どうして一般人のまどかのことを巻き込もうとするわけ!?」

杏子「フン。
詳しいことは言えないけど、ちょっとワケありでさ。
コイツだけは特別なんだよね」

さやか「……何よそれ。
そんなんであたし達が納得出来ると思ってんの?」

杏子「別にテメェが納得しようがしまいがアタシには関係ねぇんだよ。
いいから早く帰れって」

さやか「そんなわけには行くかぁー!」

―さやかちゃんは、私を誘拐した女の子に向かってバットを当てようとしたけど、その女の子はさやかちゃんのバットをあっさりと避けていました―

杏子「……おいおい、本当にやるつもりかよ」

さやか「当たり前だっての!」

杏子「ったく……。
仕方ないねぇ、ちょっとだけ遊んでやるよ。
そうだねぇ……、コイツを食い終わる前までにアタシを一回でも当てられたら、アンタの勝ちってことでいいや。
なんなら、ハンデとしてアタシからは手を出さないってことにしてやってもいいんだぜ?」

さやか「なっ……、ナメるんじゃないわよ!」

200: 2013/08/10(土) 11:11:25.74 ID:54d6vcH70
―それから、さやかちゃんはその子に向かって何度もバットを振ったけど、一度も当てることが出来ず―

杏子「はい、時間切れー!
……それじゃあ、アンタの負けね」

―その子はそう言うと、さやかちゃんの体を思いっきり蹴飛ばしていました―

さやか「ぐはっ!」

まどか「さやかちゃん!」

201: 2013/08/10(土) 11:15:52.91 ID:54d6vcH70
杏子「……フン。
あんたはそこで寝てなよ」

さやか「まどかは……」

杏子「チッ、まだ意識が残ってやがったか。
まぁいいや、もう一発食らわして眠らしてやるよ」

まどか「!
さや―」

さやか「……まどかのことは、今度こそあたしが守るんだあああ!」

杏子「なっ!?」

―その時、さやかちゃんが全力で振ったバットの一撃が、その子に直撃していました―

202: 2013/08/10(土) 11:18:56.58 ID:54d6vcH70
まどか「さやかちゃん!」

さやか「はは、まどか……。
あたし、まどかのことをちゃんと守れたかな?」

まどか「うん、さやかちゃん……」

さやか「でも、流石に疲れちゃった。
ちょっと肩を貸してくれる?」

まどか「もちろんだよ!」

さやか「ありがと―
!」

まどか「……さやかちゃん?
!!」

杏子「……ウゼェ。
やっぱり、アンタには氏んでもらうしかないみたいだねぇ!」

203: 2013/08/10(土) 11:21:22.48 ID:54d6vcH70
さやか「がっ!」

まどか「さやかちゃんっ!」

キュゥべえ「さやかのことを助けたいのかい?」

まどか「キュゥべえ……!」

―いつの間にか、キュゥべえがわたしの近くにいました―

まどか「お願い、キュゥべえ。
あの子を止めて」

キュゥべえ「僕にはどうしようもない。
ただ、どうしても力づくでも止めたいというのなら、方法がないわけじゃないよ」

まどか「!」

杏子「終わりだよ」

まどか「わたし……」

204: 2013/08/10(土) 11:22:26.98 ID:54d6vcH70
ほむら「それには及ばないわ」

205: 2013/08/10(土) 11:30:39.35 ID:54d6vcH70
さやか「えっ、あたし……。
って、転校生!?」

まどか「ほむらちゃん……」

杏子「フンッ!
まーたテメェの仕業か。
相変わらず、妙な技を使いやがるねぇ……」

ほむら「……佐倉杏子。
鹿目まどかを誘拐するなんて、一体どういうつもり?」

杏子「コイツをおとりに使えばアンタ達は必ず来るはずだって聞いてたんだけど、どうやらソイツは間違ってなかったみたいだねぇ……。
ただ、巴マミのやつが見当たらないが、アンタ一人で来たのか?」

ほむら「……ええ、私一人よ」

―私は自動小銃【AK-47】を盾から取り出すと、佐倉杏子に向けて構えた―

杏子「へっ!
そうこなくっちゃね。
よし、かかってきなよ!!」

ほむら「そういえば、こうやってあなたと戦うのも久しぶりね……」

杏子「ハァ?
……アンタとは、さっき初めて会ったばかりじゃなかったか?」

ほむら「……そうね、そうだったわ。
それじゃあ、最初から全力で行かせてもらうわ!」

―そして私は、佐倉杏子が動き出す前に時間停止の魔法を作動させた―

206: 2013/08/10(土) 11:33:19.55 ID:54d6vcH70
―さらに私は、佐倉杏子の足に向けて自動小銃を掃射した後、時間停止を解除した―

杏子「なっ、うっ!」

ほむら(……佐倉杏子は、私と同じように治癒魔法が苦手だったはず。
だから、これで動きを止めて―)

―でも、佐倉杏子は足に数十発の銃弾を受けたにもかかわらず、すぐに立ち上がって右手に装備された鍵爪状の長い刃が付いた武器で攻撃してきた―

ほむら「!」

―私は何とか盾を使ってその攻撃を受け止めると、右手で再び銃を構えようとしたが―

杏子「させるかよ!」

―佐倉杏子は銃を真っ二つに切り裂き、そのまま私の心臓を狙うように攻撃してきた―

207: 2013/08/10(土) 11:36:11.37 ID:54d6vcH70
―私はとっさに体をそらしてその突きをかわそうとしたけど、素早い攻撃を完璧に避けきることは出来ず、肩を刺されてしまっていた―

ほむら「うっ……」

―そして私は、そのままトドメを刺す為に攻撃してきた佐倉杏子に対して、隠し持っていた別の拳銃【ワルサーP5】を左手で撃って何とか後退させ、その隙に再び時間停止の魔法を作動させた―

杏子「なっ、いつの間に……」

―そして私は、時間停止の魔法を使って佐倉杏子の背後に回り込むと、対魔法少女用に改造を施したスタンガンを使って攻撃した―

杏子「ぐっ……」

―さらに私は、散弾銃【レミントンM870】を佐倉杏子の胸のあたりに向けて構えた―

ほむら「そのまま、動かないで」

208: 2013/08/10(土) 11:39:50.78 ID:54d6vcH70
杏子「……何のつもりだ。
アタシを撃たないのか?」

ほむら「それについては、この後のあなたの出方次第で決めるつもりよ」

杏子「……ソイツはどういう意味だ?」

ほむら「一週間後、この街にワルプルギスの夜が来る。
そして私は、出来ればあなたにもその討伐に参加して欲しいと考えているの。
だから……、もしも私に協力してくれるというのなら、あなたの命は助けてあげてもいいわ」

杏子「くっ、あはははは!
アンタ達のバカみたいな正義の味方ごっこにアタシも協力しろって?
そんな無愛想なツラをしてるわりには意外と面白い冗談も言えるんだね、アンタ」

ほむら「……私は、真面目に話しているのだけど」

杏子「へぇー。
アンタ、マジでそんな甘いこと言ってたんだ」

ほむら「それじゃあ、あなたの答えは私に協力するつもりは無いということでいいのかしら?」

杏子「そうだといったら?」

―私は、脅すように散弾銃を構え直した―

杏子「フンッ、上等じゃねぇか。
やれるもんなら、やってみなよ!
ただ……、そんなちっこい銃じゃあアタシには全く効かないと思うけどさぁ!!」

ほむら「あなた、何を―
!」

209: 2013/08/10(土) 11:42:27.49 ID:54d6vcH70
まどか「えっ、これって……」

さやか「……黒い、巨人?」

212: 2013/08/10(土) 20:03:35.37 ID:54d6vcH70
―いつの間にか私達は、体の色が黒いことを除けば、巴さんと似たような姿の巨人へと変身した佐倉杏子が作り出した魔女の結界にも似ているような特殊な空間の中に入り込んでいて、
 そして私は、まるで子供が人形でも持っているかのように、佐倉杏子の大きな手に掴まれてしまっていた―

ほむら「くっ、離しなさい……!」

杏子「フン、なるほどね。
こんな風にとっ捕まったままだと、あの妙な技も使えないってわけか……」

―私はその拘束を解く為に散弾銃を撃ったけど、ほとんどダメージは無いようだった―

杏子「だからさぁー、さっき言っただろ?
そんなおもちゃみたいな銃で何度攻撃しようと、今のアタシには全く効かないってさぁ!」

ほむら「うっ……、うあああっ!」

まどか・さやか「ほむらちゃん(転校生)!」

マミ「そこまでよ!!」

213: 2013/08/10(土) 20:07:09.48 ID:54d6vcH70
―その言葉と共に、突然何かが飛んできて佐倉杏子の手に当たったことで拘束から解かれた私はそのまま落下しそうになったけど、地面に激突する前に念力で受け止められていた―

まどか・さやか「ま、マミさん!」

ほむら「と、巴さん……」

杏子「……フン、やっと来たか。
来るのが遅いっつーの」
   
マミ「……佐倉さん、あなたはいつからそんな卑怯な手を使うようになったのかしら?
私は、そんな風に教えたつもりは無いのだけど……。
とにかく、少しお仕置きが必要みたいね」

杏子「……ったく、アンタはアタシの何を知ってるってんだよ。
本当にうぜぇやつだね、アンタ」

マミ「佐倉さん……」

214: 2013/08/10(土) 20:10:16.97 ID:54d6vcH70
マミ「……佐倉さん。
あなたの相手は、美樹さんでも、暁美さんでもない。
この、私でしょ?」

杏子「ハン、確かにこの前は中途半端なところで邪魔が入っちまったからねぇ……。
今度こそ、きっちりと決着をつけようじゃねぇか!」

マミ「……そうね。
私は、もう逃げない。
今度こそ、あなたのことを救ってみせるわ。
来なさい、佐倉さん!」

杏子「ハッ、このアタシをアンタが救うだって?
笑わせてくれるじゃんか……。
出来るもんなら、やってみなよ!」

―そして巴さんは、少しの間ためらった後、“私達”の目の前で光の巨人の姿に変身していた―

215: 2013/08/10(土) 20:15:14.93 ID:54d6vcH70
さやか「ま、マミさんが……」

まどか「巨人さんだったの!?」

杏子「……何だよ、アンタ。
コイツらには、まだ教えてなかったのかい?」

マミ「……」

杏子「フン、なるほどね……。
要するにアンタは、自分の正体が“化け物”ってことがばれちまうのが嫌だったってわけか」

マミ「っ……!」

杏子「ハン。
やっぱりね……」

216: 2013/08/10(土) 20:17:50.62 ID:54d6vcH70
杏子「……どうしたってのさ。
だってアンタは、どう考えたってもう“普通の人間”とは言えないだろ?
だからさ、とっとと認めちゃいなよ。
アタシと同じ、ただの“化け物”だってことをさ」

マミ「っ、やめて……」

杏子「……アンタらも、これで分かっただろ?
コイツはもう、アンタらみたいな“普通の人間”とは違う存在なのさ……」

ほむら「……」

217: 2013/08/10(土) 20:20:48.31 ID:54d6vcH70
まどか「そんなことないもん!」

杏子「は?」

まどか「……マミさんは、化け物なんかじゃないよ!
マミさんは、かっこよくて、とっても素敵で、私にとっては憧れの先輩だし……。
いつだって私達、いや、みんなの為に頑張ってくれてる凄い人なんだよ。
それに、たとえマミさんがどんな姿だったとしても、私には関係ない!!」
     
マミ「鹿目さん……」

さやか「ははっ。
あたしの言いたかったこと、まどかに全部言われちゃったな……」

まどか「えっ?」

さやか「……マミさん。
マミさんにいっぱい迷惑かけちゃったあたしなんかが言っても説得力無いかもしれないけど……。
あたしもさ、マミさんのことをすごく尊敬してるし……。
絶対に、マミさんのことを化け物扱いなんかしたりしないから」

マミ「美樹さん……」

218: 2013/08/10(土) 20:22:54.44 ID:54d6vcH70
杏子「はっ、何かしらけちまったねぇ……」

マミ「……あら、佐倉さん。
これから私と戦うっていうのに、そんな調子で大丈夫かしら?」

杏子「は?」

マミ「今の私は、いつもとは一味違うわよ!」

―そう言った巴さんの顔は、確かに、普段とは比べ物にならないほどの自信に満ち溢れているようだった―

219: 2013/08/10(土) 20:25:28.11 ID:54d6vcH70
マミ「Orlo Miracolo ed Infinita !【ミラクルマミスラッガー】」

―巴さんが放った刃物状の武器は、光を放って無数に分裂すると、佐倉杏子に向かって一斉に飛んでいった―

マミ「佐倉さん、あなたの実力はその程度なの?
さっきまでの強気はどこへいったのかしら……」

杏子「チッ……!」

―佐倉杏子は、右手に構えた武器でその攻撃を何とか全て弾くと、闇のエネルギー弾を放って巴さんを攻撃しようとした―

マミ「ハッ!」

―でも、巴さんは腕輪を盾に変形させると、その攻撃を簡単に受け止めていた―

マミ「諦めなさい、佐倉さん。
そんな闇の力なんかに頼っている今のあなたでは、私には勝てないわ!」

杏子「笑わせんじゃねぇぞ……。
このアタシが、テメェなんかに負けるわけねぇんだよ!」

―佐倉杏子がそう言って飛び上がると、巴さんも負けじと飛び上がって追いかけていき、二人の巨人による激しい空中戦が始まった―

220: 2013/08/10(土) 20:28:10.36 ID:54d6vcH70
―やがて、二人はしばらく空中で殴り合いの応酬を繰り広げた後、互いに向けて必殺技を放つと、強力な二つの光線が反発し合い、激しい爆発が起こった―

杏子「……」

マミ「あら、佐倉さん……。
油断している場合かしら?」

杏子「なっ!?」

―巴さんは隙をついて佐倉杏子の背後に回り込むと、強烈なキック【黄金の美脚】を放って佐倉杏子の体を吹き飛ばした―

杏子「グッ!」

―それから、巴さんは盾状にしていた腕輪を今度は槍に変形させ、倒れている佐倉杏子に向けて構えた―

マミ「あなたも分かってるんでしょう?
もうあなたに勝ち目は無い。
だから……、降参しなさい」

杏子「チッ……」

221: 2013/08/10(土) 20:30:42.99 ID:54d6vcH70
マミ「……お願い、佐倉さん。
私は、もうこれ以上あなたを傷つけたくないの。
だから―」

杏子「……やっぱり甘ちゃんだね、アンタ。
そんな調子じゃ、足元すくわれちまうよ?
例えば、こんな風にさぁ!」

マミ「えっ?」

まどか・さやか「えっ!?」

―佐倉杏子は、まどか達に向かっていきなり攻撃をしかけた―

マミ「ハッ!」

―巴さんはすぐに槍をまた盾に変形させてまどか達を守ろうとしたけど、その行動をさせることこそが、佐倉杏子の狙いだった―

杏子「おいおい、隙だらけだぜ……。
先輩!」

マミ「クッ!」

杏子「ハン、アンタも今度こそこれで終わりだ!」

ほむら「!」

―そして佐倉杏子は、巴さんの胸に付いている、どことなくソウルジェムにも似ているような半球状の形をした、おそらく弱点と思われる発光体に向けて攻撃を加えようとしていた―

222: 2013/08/10(土) 20:33:05.10 ID:54d6vcH70
まどか・さやか・ほむら(えっ?)

マミ(あれ、私……)

杏子「チッ、外しちまったか……」

―佐倉杏子は、かなりの至近距離にいたのにもかかわらず、どういうわけか、巴さんへの攻撃を外してしまったようだった―

223: 2013/08/10(土) 20:39:40.28 ID:54d6vcH70
ほむら(どう考えても、佐倉杏子がこの距離で攻撃を外すとは思えない……。
むしろ……、ワザと外した?
でも―)

杏子「こうなったら、あの技を使うしかねぇな……」

ほむら「!」

マミ(こ、これは……)

まどか「えっ!?」

さやか「ふ、増えた!?」

―佐倉杏子は、瞬時に何体もの分身を作り出すと、巴さんの周りを囲い込んでいた―

杏子「驚いたかい?」

マミ「……ロッソ・ファンタズマ?
いえ、この場合はネロ・ファンタズマというべきかしら……」

杏子「さぁーて、どれが本物のアタシか……。
見つけられるものなら、見つけてみなよ!」

224: 2013/08/10(土) 20:42:34.12 ID:54d6vcH70
―そして、幻惑魔法の力で七人に分身した佐倉杏子は、そのまま巴さんの周りを囲んだ―

マミ(幻惑魔法の使い方が、私と一緒にいた頃よりも良くなっている……。
おかげで、どれが本物の佐倉さんなのかが全く分からないわ……)

―巴さんは、どれが本物なのかを見分けることが出来ずに苦戦しているようだった―

杏子「へっ、これでも喰らいな!」

―佐倉杏子の放った闇のエネルギー弾が、巴さんに直撃した―

マミ「きゃあっ!」

杏子「おいおい、そんな声を出してる場合かよ?」

―佐倉杏子は、その後もさらにエネルギー弾を何発も放ち続け、容赦なく巴さんを追い詰めていた―

杏子「ほらほら、早く見つけないとアンタの体が持たないんじゃないの?」

マミ「くっ……」

225: 2013/08/10(土) 20:45:20.57 ID:54d6vcH70
ほむら(このままでは、巴さんが……。
こうなったら、私が何とかするしかない!)

―そして私は、再び時間停止の魔法を発動させると、盾の中から対戦車兵器【RPG-7 & AT-4】をいくつか取り出して、
 まどか達に被害が及ぶことの無いように弾道を計算してから、分身した佐倉杏子達に向けて放った―

杏子「チッ……」

―そこにいた佐倉杏子達の内の六人は、被弾しても全く反応を示さなかったけど、“一人だけ”は明らかに違っていた―

ほむら「巴さん、本物は後ろです!」

杏子「邪魔すんじゃねぇよ!」

―“本物”の佐倉杏子が、今度は私に向かってエネルギー弾を放ってきた―

マミ「暁美さん、危ない!」

226: 2013/08/10(土) 20:47:18.72 ID:54d6vcH70
―巴さんは、私をかばって再び攻撃を受けてしまい、遂に倒れこんでしまっていた―

マミ「うっ!」

杏子「……フン。
アンタってさ、本当に甘ちゃんだよね……。
……まぁいいや、いい加減こんな茶番はもう終わりにしてあげるからさ!」

―佐倉杏子はそういうと、再び必殺光線の構えを取り始めた―

ほむら「!」

227: 2013/08/10(土) 20:50:12.27 ID:54d6vcH70
―そして、佐倉杏子が巴さんに向けて必殺技を放とうとしたその時、
 突然、“分身達”の内の一人が私達の前に立ちはだかり、“もう一人の佐倉杏子”の腕を掴んだ―

杏子(本体?)「なっ……。
テメェ、一体どういうつもりだ!」

杏子(分身?)「そんなこと、絶対に許さない……。
“マミさん”は ……。
この“あたし”が守ってみせるんだ!」

杏子(本体?)「ハァッ!?
テメェ、分身の分際でこのアタシに逆らうつもりなのか?
調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

ほむら(一体、どうなってるのかしら……!?)

228: 2013/08/10(土) 20:52:07.41 ID:54d6vcH70
マミ「さ、佐倉さん……?」

―私達はしばらくの間、二人の佐倉杏子が仲間割れしているという光景を黙って見つめていることしか出来なかった―

杏子(善)「はっ!」

杏子(悪)「テメェ……、離せっ!」

杏子(善)「マミさん、今のうちに早く!」

マミ「えっ?」

229: 2013/08/10(土) 20:55:25.10 ID:54d6vcH70
杏子(善)「こいつを食い止めている間に、あたしごとやっつけちゃってよ!」

マミ「何を言ってるの!?
そんなこと、出来るわけ無いでしょう!」

杏子(善)「いいから、早く!」

杏子(悪)「フン、テメェの狙いはそれか……。
だけどな、テメェの思い通りにはさせねぇよ!」

杏子(善)「ううっ!」

―佐倉杏子は、もう一人の佐倉杏子に闇のエネルギー弾を放ち、一瞬で消し去ってしまった―

230: 2013/08/10(土) 20:57:04.95 ID:54d6vcH70
マミ「佐倉さん!」

杏子「残念だったね……。
生意気な分身には、もう消えてもらったよ。
今度は、アンタらの番―
うっ!」

ほむら「?」

―私達を攻撃しようとしていたはずの佐倉杏子が、急にもがき苦しみ出した―

231: 2013/08/10(土) 21:00:08.52 ID:54d6vcH70
杏子(善)「マミさん、今度こそこいつを!」

マミ「さ、佐倉さん!?」

杏子(悪)「て、テメェ……。
アタシの中から出てけ!」

杏子(善)「嫌だね!
誰が、お前なんかに従うもんか!!」

マミ(やっぱり、あなたにはまだ“正義の心”が残っていたのね……)

232: 2013/08/10(土) 21:03:40.69 ID:54d6vcH70
マミ(だったら、私は―)

杏子(善)「マミさん、早く!」

マミ「……嫌よ」

杏子(善)「ええっ!?
……マミさん、何言ってんのさ?」

杏子(悪)「ハン、仲間割れか?」

マミ「そうじゃないわ」

杏子(善)「じゃあ、どうしてさ?」

マミ「言ったでしょう?
今度こそ、私があなたのことを救ってみせるって」

杏子(善)「マミさん……」

―巴さんはそう言うと、佐倉杏子の背後に回り込み、後ろから抱きしめるようにして押さえつけた―

杏子(悪)「なっ!
テメェ、一体どういうつもりだ!?」

マミ「私の光で、あなたの闇を浄化してみせるわ!」

杏子(悪)「何っ!?
やめろ、やめろぉぉぉぉぉー!」

―そして、突然巴さんの体から眩い光が放たれると、次第に佐倉杏子の全身を包みこんでいった―

234: 2013/08/10(土) 22:07:31.22 ID:54d6vcH70
―やがて、佐倉杏子の全身を包んでいた光の流れが収まった後、二人は“元の姿”に戻っていた―

マミ「うーん……」

ほむら「巴さ―
!」

マミ「暁美さん、どうしたの?」

杏子「……マミ?」

マミ「あら、佐倉さ―
って、ええっ!?」

杏子「いきなりどうしたの―
って、あたし、何でこうなってんのさ!?」

さやか「マミさん、どうしたの?」

まどか「えっ、杏子ちゃん……」

マミ「駄目っ!
二人とも、見ないであげて!!」

―佐倉杏子は、大量のエネルギーを使った影響なのか、何も身に纏っていない状態になっていた―

235: 2013/08/10(土) 22:10:23.17 ID:54d6vcH70
―それから、数分経って―

ほむら「そろそろ、落ち着いた?」

杏子「ああ、あたしはもうとっくに落ち着いてるよ」

ほむら「それじゃあ、まずは状況を整理しておきましょうか」

杏子「……別に必要ないよ。
あたし、さっきまでの記憶も全部残ってるからさ……」

ほむら「そう……」

杏子「だからさ、まずは先に一言謝らせてよ。
あんた達には、色々と迷惑かけちゃったからさ……」

マミ「佐倉さん……」

ほむら「ええ、構わないわ」

杏子「それじゃあ、一回しか言わないからな?
その……、あたし―」

マミ「!」

―でもその時、私達の周りに新しい魔女の結界が出来あがろうとしていた―

236: 2013/08/10(土) 22:28:26.21 ID:54d6vcH70
―そして、そこに現れたのは、私が今までに一度も見たことのなかった魔女だった―

杏子(!
こいつは……)

マミ「みんな、下がって!」

―巴さんは真っ先にその魔女に立ち向かおうとしたけど、先程までの戦いの影響でエネルギーが不足してしまっているのか、変身することが出来ずに倒れこんでいた―

マミ(そんな……。
こんな時に!)

ほむら「!
巴さん、危ない!!」

マミ「!」

―鳥のような姿をしたその魔女は、ほとんど無防備状態の巴さんに襲いかかろうとしていた―

237: 2013/08/10(土) 22:39:51.10 ID:54d6vcH70
―でも、その魔女によって巴さんが傷つけられることはなかった―

マミ(えっ、私……)

杏子「うっ……グハッ!」

―佐倉杏子が、巴さんをかばって魔女の攻撃をまともに食らい、そのダメージの影響で吐血していた―

マミ「佐倉さん!」

―巴さんは、魔女によって投げ出された杏子の元に駆け寄ろうとしたけど、
 佐倉杏子はその前に自分と私達との間に縛鎖結界を作り出して、誰も侵入出来ないようにしていた―

杏子「……はっ、情けないねぇ。
あんたの方こそ、下がってなよ」

マミ「佐倉さん、どうして……!?」

ほむら「“杏子”、一体どういうつもりなの?」

杏子「“この魔女”には、ちょっとばかし借りがあってね……。
だからさ、悪いけどあんた達にも手出しさせるわけにはいかないよ」

マミ「何言ってるのよ、佐倉さん!
そんなに傷だらけのあなたを一人で戦わせられるわけないじゃない!!」

杏子「ていうかさ、それならあんただって人のこと言えないだろ?
そんなボロボロの状態で来られても、かえって足手まといだっつーの」

マミ「そんな……。
でも、私……」

杏子「どのみち、おそらくあたしはもう長くない……。
   だからさ、最後くらいはカッコつけさせてよ」

ほむら「あなた、まさか……」

238: 2013/08/10(土) 22:44:11.21 ID:54d6vcH70
杏子「それにさ……。
あたしはもう、大切な人が氏んでいくのを見たくないんだよね……」

マミ「そんなの、私だって同じよ!
あなたが氏んでいくところなんて、何度も見たいわけなんてないじゃない!!」

杏子「ああ、そいつは悪かったね……。
でもさ、だったらさっさとここから出て行けばいいじゃんか」

マミ「ふざけないで!
とにかく、早くこっちへ戻ってきなさい!!」

杏子「……ったく、今さらそんなの無理だって。
ていうかさ、頑固で融通が利かないところはやっぱり変わってないんだね……」

ほむら「……」

239: 2013/08/10(土) 22:47:08.00 ID:54d6vcH70
杏子「……そうだ、あんた達!」

まどか・ほむら・さやか「……何かな(かしら)?」

杏子「あのさ……、マミのことは、あんた達に任せる。
だから、よろしく頼んだよ」

まどか・ほむら・さやか「……うん(ええ)。
分かったよ(わ)」

杏子「……じゃあね」

―そして佐倉杏子は、私達から離れて魔女のところへ向かっていった―

マミ「待って、佐倉さん!
……駄目よ、駄目ぇぇぇぇぇっ!!」

―必氏で抵抗しようとする巴さんに対して、私達は三人がかりで抑えようとしたけど、
 実際には、私どころかまどか一人でも問題ないと思えるほどに、その力は弱々しくなっていた―

杏子「早く行きな!」

―そして私達は、その結界を後にした―

240: 2013/08/10(土) 22:50:16.19 ID:54d6vcH70
杏子「……ったく、あたしもまさかあの時の生き残りがいたなんて思ってもみなかったけどさ……。
相変わらず、アンタもとことん喰い意地の張ったやつだよね……」

杏子「……あいつらを喰い損ねたのが、そんなに悔しいのかい?
それとも何、まさかとは思うけど……。
前にあたしが倒した仲間の敵討ちをしに来たって言うんじゃないよねぇ?」

杏子「まぁ、そんなことはどうでもいいか。
いい加減さ、お互いこれで終わりにしようぜ?
安心しなよ、この一撃で仲間のいる地獄にきっちりと送ってあげるからさぁ!」

杏子(父さん、母さん、モモ。
もうすぐ、あたしもそっちに行くよ。
いや、やっぱりあたしは行けないのかな……)

―そしてあたしは、残っていたエネルギーを全て一点に集中させた―

杏子(……さよなら、マミさん)

241: 2013/08/10(土) 22:53:56.56 ID:54d6vcH70
―私達が脱出してから数分後、激しい爆発音が鳴り響くと、魔女の結界は一瞬で消滅していた―

さやか「あっ……」

まどか「杏子ちゃん……」

ほむら「……」

242: 2013/08/10(土) 22:55:11.58 ID:54d6vcH70
(私は……、今回もまた、大切な人の命を繋ぎ止めることができなかった……)

243: 2013/08/10(土) 22:57:12.33 ID:54d6vcH70
―魔女の結界が消滅するのを見届けた後、背後で誰かが倒れたような音がしたことに気付いた私は、すぐに音がした方向を見ようとした―

まどか・さやか「マミさん!」

ほむら「……えっ?
巴さん!」

―そして私が後ろを振り向くと、気を失った巴さんが地面に倒れこんでいた―

244: 2013/08/10(土) 23:00:12.25 ID:54d6vcH70
―まどかは、保健係をやっている為か、普段からこういう状況にも慣れているようで、真っ先に反応すると、巴さんの状態を見ていた―

さやか「まどか、マミさんはどんな感じ?」

まどか「すっごい熱……。
早く、病院に連れてってあげないと!」

ほむら「……それは駄目よ」

まどか「えっ!?」

さやか「なっ……。
何言ってんだよ、転校生!」

ほむら「……あなた達も、見てたでしょう?
先程のあなた達の言葉を否定するようで悪いけど、巴さんはもう普通の人間ではないの。
だから……、病院に連れていくというのは、色々と都合が悪い」

まどか「……」

さやか「……で、でも、それじゃあどうしろっていうのさ!
まさか、マミさんのことをこのまま放っておけっていうのかよ!?」

ほむら「そうは言ってないわ。
とりあえずは……。
そうね、私達で巴さんの家まで連れていってあげましょう」

まどか「……う、うん。
そうだね……」

245: 2013/08/10(土) 23:05:25.10 ID:54d6vcH70
ほむら「……巴マミが、目を覚まさない」

キュゥべえ「意外な展開ではないよ、予兆は随分前からあった」

ほむら「えっ?」

キュゥべえ「その様子だと、やっぱり君は気付いてなかったんだね。
まぁ、彼女も君達には感づかれないように気を付けていたみたいだし、無理もないのかもしれないけどね」

ほむら「どういうこと?」

キュゥべえ「巴マミは、この星のあらゆる場所にいる魔女達に対して、可能な限り一人だけで対処しようとしていた。
元々彼女は、魔女の討伐を自らに課せられた使命として捉えている傾向があって、多少の無理をしてでも自分が戦わなければならないと考えていたようだ。
そして、魔法少女が魔女になるということを知ってからは、さらに無理をするようになった。
おそらく、新しい魔法少女が産まれるのを阻止したかったのと、既に魔法少女になった者達の負担を減らして、魔女になるのを少しでも遅らせる目的でそうしていたんだろうね。
だが、当然彼女一人では、全ての魔女を倒すことなんて出来るはずもない。
いくら彼女が、並はずれた力の持ち主だとしてもね。
それでも彼女は、出来る限り一人で魔女と戦うようにしていた。
……それにね、君と組むようになってからも、別の街では一人で戦っていたようだよ。
でも、そうやって無理を重ねていれば、当然いつかは限界が来る。
それが、たまたま今だったというだけのことさ」

ほむら(……そういえば、最近の巴さんは巨人に変身しないことが多かった。
今考えると、それも出来る限りエネルギーの消費を抑える為だったのかしら……)

キュゥべえ「さらに今回は、彼女にとって大切な仲間が氏んでいくのを阻止出来なかったことで、多大な精神的ダメージを受けたはずだ。
加えて、これまでの戦いの影響で肉体的にもかなり消耗している。
だから、再び戦える状態まで回復するのには、おそらくかなりの時間がかかるはずだろうね。
そうなると、彼女はもう脱落したも同然だろう。
つまり……、ワルプルギスの夜に立ち向かえるのは、君だけしか居なくなったということだ」

ほむら「っ……!」

キュゥべえ「もちろん、君一人では勝ち目なんてない。
この街を守るためには、誰かが魔法少女になるしかない訳だ。
当然僕としては、すぐにまどかが魔法少女になってくれるのが一番良いんだけど、別に美樹さやかや他の誰かでも構わないよ。
彼女程度の素質の魔法少女が何人か増えたところで、ワルプルギスの夜には簡単に勝てるわけも無い。
でも、その事実をまどかが知ってくれれば、それだけ彼女が契約してくれる可能性も大きくなるはずだ。
ましてや、まどかの性格から考えると、さやかのような親しい間柄の者が契約して、なおかつ君達が苦戦しているところを見れば―」

ほむら「やらせないわ。
……絶対に!」

246: 2013/08/10(土) 23:08:25.63 ID:54d6vcH70
やっと旧スレの投下分まで終わりましたが、本日はここまで。

新規の投下分に関しては、明日から投下する予定です。

248: 2013/08/12(月) 23:17:14.00 ID:hp5NdL030
【数年前】

マミ「ここに来るのも、久しぶりね……」

(私は、ある調査任務を帯びて、この“地球”へと帰って来ていた)

(……でも、実際には任務とは名ばかりであって、本当のところは、
 緊急事態だったとはいえ、しばらくの間、光の国という見知らぬ星で暮らさざるを得なかった私を気遣ってくれたみんなが、
 何とか私を生まれ故郷の星へ帰してあげたいということで、今回の派遣を決めたらしかった)

(だけど、私は……。
 正直に言うと、本当は帰ってきたくなんてなかった。
 なぜなら、ここに戻ってくるということは、嫌でも私の両親が亡くなったという事実を思い知らされることになるし、
 あちらで新しい仲間と家族を得たことで、何とかそのトラウマを克服しかけていた私にとっても、
 こちらでは独りぼっちであるということを、より強く意識させられることになるからだった)

249: 2013/08/12(月) 23:20:13.07 ID:hp5NdL030
マミ「……」

?「マミ」

マミ「えっと……、何でしょうか?」

?「任務の概要は、ちゃんと頭に入っているわね?」

マミ「もちろんです。
でも……」

?「“でも”、何かしら?」

マミ「やっぱり、私一人でちゃんとこの任務をこなせるかどうかが、少しだけ不安で……」

?「マミ、あなたなら大丈夫よ。
あなたは“あの子”とは違って優秀だし、今回の任務もそれほど難しいものではないはず。
だから、もっと自分に自信を持ちなさい」

マミ「……はい」

?「まぁ、確かにあなた一人をそちらに派遣させることに関しては、私も不安が無いわけではないのだけれど……。
……とにかく、何かあったらすぐに私に報告するのよ?」

マミ「分かってます、先輩」

?「そう……。
それじゃあ、頑張ってね」

マミ「はい、頑張ります!」

250: 2013/08/12(月) 23:23:15.04 ID:hp5NdL030
マミ(……はぁ。
私、本当にこれから一人でやっていけるのかな……?)

マミ(いや、弱気になってる場合じゃないよね……。
だって、みんなが私なら大丈夫って判断してくれたから、私はここに来ているのよ。
だから、ちゃんとみんなの期待に応えられるように、もっとしっかりしないとね!)

マミ(!
これは……、さっそくマイナスエネルギーの反応が出たみたいね。
よし、すぐに現場へ向かいましょう!)

251: 2013/08/12(月) 23:26:19.38 ID:hp5NdL030
―そして、その波動を追って別の街へと向かった私は、辿り着いた先で禍々しい雰囲気を持つ結界のようなものを見つけていた―

マミ(……ここね。
微弱なものではあるけれど、この中から、確かにマイナスエネルギーが発生している)

マミ(でも、少し変ね……。
少し似た感じの波長ではあるけれど、明らかにマイナスエネルギー以外のエネルギーの反応が感じられるわ……)

マミ(……まぁ、ここでずっと考えていても仕方ない、か。
とにかく、中に入ってみましょう)

257: 2013/08/15(木) 21:25:25.31 ID:YlEvQy2q0
―結界の中に入った私は、マイナスエネルギーを発している謎の生命体と、
 それを黙って見つめている、可愛い衣装を着た女の子を見つけていた―

魔法少女「……なーんだ、ここにいるのは使い魔だけですかぁ……。
来たのは時間の無駄でしたかね……」

マミ(……女の子?
どうやらもう一つのエネルギー反応は、あの子から出ているものみたいね……)

魔法少女「いや、待って下さい……。
もしかしたら、ちゃんとグリーフシードを孕んでくれるかもしれませんねぇ……」

男性「うわぁ!
頼む、誰か助けてくれぇ!!」

―よく見ると、結界の中にはもう一人、そこで襲われかけている男の人がいた―

魔法少女「それじゃあ、私は外で待ってるとしますか!」

マミ(えっ、どういうこと……!?)

男性「誰か、誰か助けてくれぇ!」

マミ(……とにかく、あの人を助けないと!)

―そして私は、その人を助ける為に変身した―

258: 2013/08/15(木) 21:27:39.61 ID:YlEvQy2q0
男性「なっ、何が起こったんだ……」

マミ(良かった、間に合っ―)

男性「ひっ、今度はでかい化け物!」

マミ(えっ!?)

男性「ちくしょう、これでも食らえっ!」

マミ「……」

男性「ちくしょう、ちくしょう……」

―私は、黙ってすぐにそこを離れることしか出来なかった―

男性「はぁ、いなくなったか……」

259: 2013/08/15(木) 21:30:55.54 ID:YlEvQy2q0
魔法少女(!
使い魔の結界が……、消えた?
でも、他の魔法少女の魔力も特に感じられなかった……。
……とにかく、あの男に話を聞いてみるか……)

魔法少女「あの、おじさま?」

男性「なっ、何だ君は?
いっ、一体どうなってる!」

魔法少女(ちっ、めんどくさいな……)

魔法少女「……いいから、ここで起こったことを話して下さい【洗脳魔法】」

男性「……はい。
最初はこれくらいの小さい化け物が俺を襲ってこようとして……。
その後に、今度はでっけぇ宇宙人みたいな化け物が出てきやがったから、何とか俺がおっぱらってやったんだ……」

魔法少女(大きい化け物……、魔女のこと?
でも、他に魔力の反応等は無かったはず……)

魔法少女「……ありがとうございます。
あとは、適当に寝てて下さいね」

男性「……はい」

260: 2013/08/15(木) 21:33:19.40 ID:YlEvQy2q0
魔法少女(さぁーて、どうしましょうかね……)

キュゥべえ「やぁ、久しぶりだね」

魔法少女「キュゥべえ……」

キュゥべえ「君がここの使い魔を倒したのかい?」

魔法少女「いえ、私も今ここに来たんです。
それより……。
今、そこで寝ている男に話しを聞いてみたら、結界の中に大きな宇宙人みたいな化け物が現れたって言ってたんですけど……。
キュゥべえ、その化け物のことについて何か情報とかって無いですか?」

キュゥべえ「それは、人型の魔女のことじゃないのかい?」

魔法少女「でも、魔女の反応は特に無かったはずなんですよねぇ……」

キュゥべえ「うーん。
申し訳ないけど、魔女以外でそういう化け物が出たという前例は聞いたことがないんだよね。
だから、あいにくだけど僕にも助言のしようがない」

魔法少女「そうですか……」

キュゥべえ「ただ、今後何か情報を掴んだら、すぐに知らせるよ」

魔法少女「ええ、お願いしますね」

261: 2013/08/15(木) 21:34:47.98 ID:YlEvQy2q0
今回はここまで。

次回は明日の夜の予定です。

265: 2013/08/16(金) 22:27:29.99 ID:zsWYzKU/0
―私はその後も、見滝原とその周辺の街に現れる、
 マイナスエネルギーを発生させている謎の生き物からみんなを助ける為に行動し続けていた、のだけれど―

マミ(はぁ……。
今日も、助けた人に恐がられちゃったなぁ……)

『化け物!』

マミ(……気にしては駄目。
私は、あの人達を助けることが出来た……。
だから……、それで充分じゃない)

マミ「よし、今日はそろそろ家に帰りま―」

キュゥべえ(テレパシー:巴マミ)

マミ「えっ!?
だっ、誰?」

キュゥべえ「良かった。
今でも僕の声は聞こえるみたいだね」

―いつの間にか私の足元には、ウサギや猫に似たような姿の、不思議な生き物が立っていた―

マミ「あなた……。
一体、何なの?」

キュゥべえ「うん、僕の姿もちゃんと見えているようで安心したよ。
ちなみに、僕の名前はキュゥべえ」

マミ「……キュゥべえ?
あっ、そういえば……。
……どうして、私の名前を知っているの?」

キュゥべえ「君のことは、魔法少女の候補生として調査していた時期もあったからね」

マミ「……魔法少女?」

キュゥべえ「魔法少女は、魔女を狩る者達のことだよ。
それより……。
最近、この街の周辺で使い魔を狩っているのは君だよね?」

マミ(今度は魔女?
それに……、使い魔?
うーん……。
もしかすると、あの、マイナスエネルギーの発生源だった生き物のことかしら?
……とにかく、この子に一度話を聞いてみる必要がありそうね……)

マミ「……ねぇ、キュゥべえさん?」

キュゥべえ「何だい?
巴マミ」

マミ「その、魔法少女や魔女のことについて……。
詳しい話を聞かせてもらえるかしら?」

266: 2013/08/16(金) 22:33:17.46 ID:zsWYzKU/0
―そして私は、自分の部屋にキュゥべえを招いて、魔女についての詳しい話を聞いていた―

マミ「……なるほど。
今まで、私が戦ってきたのが使い魔で……。
それよりも強い、親みたいな存在が魔女というわけね」

キュゥべえ「うん、そういう認識で問題ないと思うよ」

マミ「それじゃあ……。
魔法少女は、どういう存在なの?」

キュゥべえ「呪いから産まれるのが魔女だけど、魔法少女は願いから産まれた存在だ。
魔法少女は希望を振りまきながら、絶望を蒔き散らす魔女達と戦っている」

マミ「う~ん、ちょっと難しいけど……。
とにかく、魔法少女は魔女と戦う使命を帯びた、正義の味方ってことでいいのよね?」

キュゥべえ「確かに、そういう風にとらえることも出来るかもしれないね」

マミ「……そうなんだ。
ただ、私はこの一週間で何度も使い魔と戦ってきたけど……。
魔法少女の子が使い魔と戦っているところは、まだ一度も見たことが無いのだけど……」

キュゥべえ「まぁ、そうだろうね」

マミ「えっ?」

キュゥべえ「ほとんどの魔法少女は、使い魔と戦うことを出来る限り避けようとする傾向があるからね」

マミ「どうして!?
だって、使い魔だって人を襲ってるじゃない!
魔法少女の使命は、魔女と戦うことなんでしょう?」

キュゥべえ「確かにそうだけど……。
使い魔と戦っても、グリーフシードを得ることは出来ないからね。
だから、魔女に成長するまで放置するという子が多いよ」

マミ「何ですって!?
成長するまで放置するってことは……。
つまり、人を襲うように待ってるってこと?」

キュゥべえ「うん、その通りだよ」

マミ「どうして、そんなことをするの!?」

キュゥべえ「さっきも言った通り、グリーフシードを得る為だよ」

マミ「……それじゃあ、グリーフシードって一体何なの?
誰かを犠牲にしてまで欲しいと思ってしまう程、大切なものだとでもいうの!?」

キュゥべえ「それについては、個々人の価値観の違いもあるから何とも言えないけど……。
グリーフシードは、魔法少女にとって絶対に必要なものだからね。
グリーフシードが無ければ、魔力を回復することが出来ないから、魔女と戦っていくことも出来ないし……」

マミ「でも、そんなことって……。
……!」

キュゥべえ「どうしたんだい?」

マミ「マイナスエネルギーの反応が出たわ!」

キュゥべえ「マイナスエネルギー?」

マミ「あなたが使い魔と呼んでいた存在から出されている、負のエネルギーのことよ」

キュゥべえ「なるほど」

マミ「とにかく、すぐに現場に向かいましょう!
……それと、話の続きは帰って来てからまた聞かせてね」

キュゥべえ「うん、分かったよ」

267: 2013/08/16(金) 22:36:49.03 ID:zsWYzKU/0
―結界の中に入った私は、全身が錆びついた機械の部品のようなもので構成されている姿の魔女と遭遇していた―

マミ「……あれが、魔女?」

キュゥべえ「ああ、あれは魔女だね。
ただ……。
君が今までに倒してきた使い魔とは、比べようもないほど強いから、気をつけて!」

マミ「大丈夫。
負けるもんですか!」

―そして私は、すぐさまその場で変身すると、
 その魔女に向かって必殺光線【アルティマシュート】を放った―

268: 2013/08/16(金) 22:39:47.40 ID:zsWYzKU/0
―でも……。
 その時私は、取り返しの付かないミスをしてしまっていた―

子供「うわあああん」

マミ「えっ……、お、男の子!?
……駄目っ、間に合わない!」

―そして、私の放った光線は……。
 その“魔女”を、一瞬で消し去っていた―

271: 2013/08/17(土) 22:22:23.42 ID:sxSVac/A0
マミ(わ、私は、なんてことを……)

キュゥべえ「マミ。
君が魔女を倒したから、そろそろこの結界も消えてしまうよ。
早くここから出た方がいいんじゃないのかい?」

マミ「……」

キュゥべえ「マミ、早く出よう」

マミ(……ごめんなさい、ごめんなさい……!)

―そして私は、その結界を後にした―

272: 2013/08/17(土) 22:27:35.60 ID:sxSVac/A0
マミ「はぁ、はぁ……」

キュゥべえ「大丈夫かい、マミ?」

マミ「……私、私……」

キュゥべえ「初めて魔女と戦ったにしては、君は良くやったと思うよ。
今回は、たまたま運が悪かっただけさ」

マミ「でも、私がもっと気をつけていれば……」

キュゥべえ「どのみち、あの子供を助けることは出来なかったと思うよ。
僕達があの結界に侵入した時点で、既にほとんど魔女に取り込まれてしまっていた状態だったからね。
君がぎりぎりまで彼の存在に気付けなかったのも、それが原因だろう」

マミ「でも、でも……。
私は、あの子を氏なせてしまった……」

273: 2013/08/17(土) 22:30:57.37 ID:sxSVac/A0
 マミの部屋

キュゥべえ「……マミ、そろそろ落ち着いた?」

マミ「……ええ」

キュゥべえ「良かった」

マミ「……ねえ、キュゥべえ」

キュゥべえ「何だい、マミ?」

マミ「魔女や使い魔は……。
いつも、ああやって人を襲って成長しているのよね?」

キュゥべえ「うん、そうだよ」

マミ「ということは、魔法少女の子達は……。
そのことを、知った上で放置しているというの?」

キュゥべえ「うん、そういうことになるね。
まぁ、契約したばかりの子の中には、そのことをまだ知らないという子もいるけど……」

マミ「……何とかその子達にも、使い魔を放置しないで倒すようにお願いすることは出来ないかしら……?
みんなで協力すれば、魔女達による被害を最小限に留められるはずでしょう?」

キュゥべえ「うーん、君から彼女達に呼びかけるというのなら、それは別に構わないけど……。
おそらく、そのように説得するのは難しいんじゃないかな?」

マミ「……どうして?」

キュゥべえ「ほとんどの魔法少女は、グリーフシードを得る為には多少の犠牲が出てしまうこともやむを得ないと考えている子が多い。
それどころか、中には積極的に人間を使い魔に襲わせたり、より条件の整った魔女の狩場を得る為に、魔法少女同士で縄張り争いをする子もいるくらいだ。
だから、君が考えているような規模の協力体制を作ることは、ほぼ不可能だろうね」

マミ「そんな……」

274: 2013/08/17(土) 22:33:47.99 ID:sxSVac/A0
マミ(やっぱり、私なんかには無理だったのよ……。
……そうだわ!)

キュゥべえ「マミ、何をしてるんだい?」

マミ「これから、光の国にいる先輩に連絡して……。
今後のことを、相談しようと思って」

キュゥべえ「……光の国?」

マミ「私がここへ来る前に、住んでいた星よ」

キュゥべえ「それじゃあ君は……。
この星の出身ではないというのかい?」

マミ「いえ、確かにこの星が故郷なんだけど……。
色々あって、しばらくその星で暮らしていたの」

キュゥべえ「なるほど……。
それじゃあ、邪魔しないように僕はどこかへ行っていた方がいいのかな?」

マミ「いえ、あなたも一緒にいてくれた方が助かるわ。
その方が、今の状況を説明しやすいでしょうし……」

キュゥべえ「……分かった」

275: 2013/08/17(土) 22:36:12.79 ID:sxSVac/A0
少し休憩を挟んで、深夜0時~1時頃に再開します。

276: 2013/08/18(日) 01:12:01.41 ID:pnDgegG70
?「マミ。
……要件は、何かしら?」

マミ「まずは……、報告から。
“この地球”で発生しているマイナスエネルギーは、“魔女”という生命体から発せられていることが分かりました」

?「魔女?
その、あなたが言っている魔女というのは、その星における伝説や俗信として語り継がれている魔女のこと?」

マミ「いえ、そういうおとぎ話などに出てくるような魔女とは違って……。
私が遭遇した“魔女”は、どちらかといえば“怪獣”に近い存在と言えます」

?「怪獣に?」

マミ「はい。
ただ、大きさ的にはせいぜい10m前後ですし、私でも簡単に倒せる程度の強さです。
それに、魔女に対抗する魔法少女という存在がいることも分かりました」

?「魔法少女?」

マミ「それについては、“彼”に聞いた方が分かりやすいかと思います」

?「彼?」

マミ「ええ、ここにいる彼です」

?「……あの、マミ?
悪いけど、私にはあなた一人しかいないように見えるのだけど……」

マミ「えっ?」

277: 2013/08/18(日) 01:20:20.60 ID:pnDgegG70
マミ(テレパシー:どういうこと、キュゥべえ?)

キュゥべえ(テレパシー:言い忘れていたけど、僕の姿と声は魔法少女としての素質がある者にしか認識出来ないんだ。
だから、おそらく彼女にはもう素質が無いんだと思うよ。
見たところ、君よりも年上みたいだしね)

マミ「……」

?「……マミ、どうしたの?」

マミ「……何でもないです。
では、報告を続けますね……」

?「え、ええ……」

278: 2013/08/18(日) 01:23:34.65 ID:pnDgegG70
―それから、数分後―

マミ「―以上で、報告は終了です。
ですが、先輩に一つ相談したいことがあって……」

?「あら、何かしら?」

マミ「あの、私……。
魔女との交戦中に……、大きな失敗をしてしまいました」

?「失敗?
それはどんな失敗なの?」

マミ「魔女を、攻撃する時に……。
誤って、子どもを光線で撃ってしまいました……」

?「……そう」

279: 2013/08/18(日) 01:32:17.95 ID:pnDgegG70
マミ「……あの、私!
やっぱり、ここで戦っていく資格なんて無いんじゃないでしょうか?」

?「……どうして、あなたはそう思うの?」

マミ「だって……。
私は、取り返しのつかないミスをしてしまいました。
こんな私が戦っても、また同じように誰かを犠牲にしてしまうかもしれない。
ですから、もっと他の誰かに任せた方が―」

?「ミスをすることなんて、誰にでもあるわ。
重要なのは……。
その失敗から何を学んで、この先、それをどういう風に生かしていくかということじゃないのかしら?」

マミ「えっ?」

?「マミ、あなたは任務から外れることでその件に対する責任を取ろうと思っているみたいだけど……。
私に言わせれば、それはただ逃げようとしているだけのようにしか思えない」

マミ「そんな!」

?「もちろん、その子を氏なせてしまったことにあなたが心を痛めているというのは分かるし、自分に資格が無いと思ってしまう気持ちも理解出来る。
でもね……、私なら、二度とその子のような犠牲者を出してしまわないように、もっと強くなろうと努力する道を選ぶわ」

マミ「……」

?「もちろん、あなたがもう止めたいというのなら、強要はしない。
ただ……。
私個人としては、あなたがその任務を続けていくことで責任を果たすという方法を選んで欲しいと思っている」

???「私も、彼女の意見に同意だ」

マミ「!」

?「!!
あなたは……」

280: 2013/08/18(日) 01:40:39.97 ID:pnDgegG70
マミ「セブンお兄ちゃん!」

セブン「久しぶりだな、マミ。
……すまないが、マミと少し話しをさせてもらっても構わないかね?」

?「はい、もちろんです!」

セブン「ありがとう。
……マミ、お前は戦闘中に誤って子どもを氏なせてしまったそうだな」

マミ「……はい」

セブン「確かに、それは取り返しのつかない失敗と言えるかもしれない。
だから、お前はそのことを大いに反省するとともに、その罪をずっと背負っていかなくてはならないだろう。
だが、そうやって罪を背負っているのはお前だけではない。
私も、自分のミスで大切な仲間や人々を救えなかったことは何度もある」

マミ「えっ、本当に!?」

セブン「ああ。
それに……、私だけではない。
お前の先輩達も皆、同じような失敗を犯してしまったことがある。
だが、我々はその失敗をバネにして、二度と同じような過ちを繰り返さない為に、強くあろうとしてきたのだ」

マミ「……」

281: 2013/08/18(日) 01:45:19.90 ID:pnDgegG70
新マン「セブン兄さんの言う通りだ」

マミ「!
ジャックお兄ちゃん……」

新マン「私も、マミと話をさせてもらってもいいですか?」

セブン「ああ、構わないが……。
でも、いいのか?」

新マン「ええ。
私も、いつかはマミに話したいと思っていたことですから」

セブン「ああ、分かった」

282: 2013/08/18(日) 01:56:49.65 ID:pnDgegG70
新マン「―私はとある宇宙人との交戦中、その宇宙人を倒すべくスペシウム光線を放った。
だが、私の考え方は甘かった。
その宇宙人が、人質の子どもを盾にするとは思ってもいなかったのだ。
その結果、私はその子を氏なせてしまった」

マミ「!!」

新マン「その後私は、自棄になって自分の使命を放棄し、酒に溺れた。
だが、兄さん達が私を諫めてくれた……。
そして、再び同じような事態に陥った時、私は誓ったのだ。
二度と同じような悲劇は、繰り返すまいと」

マミ「……」

283: 2013/08/18(日) 02:10:07.63 ID:pnDgegG70
セブン「マミ。
今から言う言葉は、ウルトラマンからの受け売りだが……。
私達は、神ではない。
救えない命もあれば、届かない思いもある。
だが、大切なことは、最後まであきらめず、立ち向かうことだ」

新マン「たとえわずかな希望でも、それを信じて立ち向かう。
信じる心、その心の強さが不可能を可能にする」

マミ「……」

284: 2013/08/18(日) 02:11:29.87 ID:pnDgegG70
?「……マミ。
あなたは、どうしたいの?」

マミ「わ、私は……」

285: 2013/08/18(日) 02:22:29.74 ID:pnDgegG70
キュゥべえ「……マミ。
君の先輩達との話は、もう終わったのかい?」

マミ「……うん」

キュゥべえ「それで、今後はどうしていくことになったんだい?」

マミ「今まで通り、私が“この地球”に残って、魔女達と戦っていくことになったわ」

キュゥべえ「……そうか」

マミ「……」

286: 2013/08/18(日) 02:30:32.55 ID:pnDgegG70
マミ「……そうよ」

キュゥべえ「えっ?」

マミ「そうだわ!」

キュゥべえ「マミ、どうしたんだい?」

マミ「私、変身しないで戦えばいいのよ!」

キュゥべえ「……でも、君はその状態でちゃんと戦うことが出来るのかい?」

マミ「ええ。
変身しなくても、ある程度は身体能力を向上させることが出来るし、いくつか補助的な超能力も使えるから防御面でも問題ないわ。
それに、攻撃にはスラッガーを使えばいいわけだし……」

キュゥべえ「まぁ、君がどういう風に戦おうと僕は構わないけど……。
そうやって戦い方を変えることに、何か意味はあるのかい?」

マミ「分かってないわね、キュゥべえ。
変身しないで戦えば、エネルギーの消費は抑えられるし、小回りもきくから周囲の状況がより把握しやすいはず。
何より……、みんなに恐がられなくて済むじゃない!」

キュゥべえ「……なるほど。
他人からの評価のことはともかく、確かにエネルギーの消費を抑えるということは重要だね」

マミ「そうでしょう?
それに……」

キュゥべえ「まだ、他にも何か理由があるのかい?」

マミ「……いえ、何でもないわ」

キュゥべえ「そうかい」

マミ(それに……。
力を抑えて戦うことが出来れば、もうこの前みたいな失敗も無くなるはずよね……)

287: 2013/08/18(日) 02:34:34.79 ID:pnDgegG70
【一年後】

―そして私は、今日も魔女と戦う為に結界を探していた―

マミ(……うん、ここね)

マミ「……結界が歪んでる。
誰か、いるの……?」

288: 2013/08/18(日) 02:39:06.86 ID:pnDgegG70
杏子「相変わらず……。
なんてバカ力なヤツ!」

杏子「だけど、今回は……。
いつぞやの二の舞にはならないよ!」

杏子「さぁーて、あたしが二人ぃっ!
どっちが本物か、当ててごらんよ!!」

杏子「残念、それは偽物さ!
本物は……、こっちっ!!」

杏子「よしっ、もらったっ!
てゃああっっ!!」

289: 2013/08/18(日) 02:42:56.33 ID:pnDgegG70
杏子「ふぅ……。
やっと、リベンジ果たせたね。
……キュゥべえ」

キュゥべえ「!
杏子、まだだ!!」

杏子「!
うわっ……。
この、離せっ!!」

杏子(あっ、駄目だ……。
このままじゃ、あたし―)

290: 2013/08/18(日) 02:56:19.72 ID:pnDgegG70
マミ「……なるほどね。
幻惑の魔法、面白い力だわ……」

杏子「!?」

マミ「でも……。
魔女の方まで同じ能力だったのは、ちょっとツイてなかったわね……」

杏子(あの人は……。
魔法、少女……?)

マミ「……行くわよ、Grande Coltelleria !【ビッグマミスラッガー】」

291: 2013/08/18(日) 03:00:37.16 ID:pnDgegG70
―それが、佐倉さんと私の出会いだった―

294: 2013/08/18(日) 13:00:40.01 ID:pnDgegG70
※やっぱり、時系列の流れが不自然に感じられる箇所がいくつかあったので、訂正。

>>265~>>286
最後を除いて、全ての出来事が一日の間に起きていることになっていましたが、
キュゥべえとの出会い→魔女との初戦闘、までの間の期間を使い魔との戦闘等で数日経過した後ということに変更し、
逆に、先輩達との会話→戦闘スタイルの変更、の流れは同日中の出来事ということに変えます。

>>287
【一年後】→【数か月後】

他にもまだおかしい箇所があるかもしれませんが、気付いた時点でその都度訂正します。

295: 2013/08/18(日) 13:05:05.31 ID:pnDgegG70
マミ「間に合って良かったわ……。
大丈夫?」

杏子「……うん、ありがと。
ところで、あんたは……?」

マミ「挨拶は後よ。
今はあの魔女を倒さなくちゃ!」

杏子「気をつけて!
あいつ、何度ぶったたいても簡単に復活しちゃうんだ」

マミ「あの魔女の本体は、おそらく大きな斧の方よ。
だから、身体の方を倒しても復活してしまうみたい」

杏子「……なるほど、そういうことだったんだ……」

マミ「……私は、魔女の身体と使い魔を一掃するわ。
あなたは、その隙に斧の方を破壊してくれる?」

杏子「……分かった!」

マミ「それじゃあ、行くわよっ!」

杏子「了解!!」

296: 2013/08/18(日) 13:13:25.46 ID:pnDgegG70
マミ「今よ!」

杏子「はあああぁぁっ!」

マミ「……」

杏子「や……、やったっ!」

マミ「うふふっ、お見事ね!」

297: 2013/08/18(日) 13:18:27.21 ID:pnDgegG70
マミ「―改めまして。
私は、巴マミ」

杏子「あたし、佐倉杏子。
隣町の風見野で魔法少女をやってるんだ。
さっきは……、ありがと。
あんたが来てくれなかったら、あたし、やられてたよ……」

マミ「どういたしまして。
うん、間に合って良かったわ……」

杏子「ほんと助かったよ。
ていうか、見滝原にこんなすごい“魔法少女”がいるなんて知らなかったな……」

マミ「……」

杏子「あれ?
あたし、何か失礼なことでも言っちゃった?」

マミ「……ううん、何でもないわ。
それより……、佐倉さんはどうして見滝原に?」

杏子「あー……。
その、あたし、さっきの魔女を追いかけてきたんだよね。
あの魔女、あたしが魔法少女になって初めて戦った相手なんだけどさ。
一度ヘマして、逃げられちゃったんだ。
自分の縄張りから踏み出すのは、行儀が悪いと思ったんだけど……。
どうしても、落とし前つけたかったから……」

マミ「そう……」

杏子「結局、それであんたに迷惑かけちゃったよね……」

マミ「そんな事、全く気にしなくていいのよ。
大事なのは、一人でも多くの人々の命を守ることなんだもの。
だから……。
やっぱり仲間同士で縄張り争いなんて、本当ならすべきではないはずよ」

杏子「……うん、そうかもね……」

298: 2013/08/18(日) 13:24:26.28 ID:pnDgegG70
杏子「……それじゃあ、お陰で魔女も倒せたし、あたしはこれで……」

マミ「待って」

杏子「何?」

マミ「あなた、結構魔力を消耗しちゃったでしょう?
これでソウルジェムの濁りを浄化しておいた方がいいわ」

杏子「?
でも、今日のあたしにそれを貰う資格は……」

マミ「二人で倒した成果でしょう?」

杏子「……いいの?」

マミ「ええ、もちろんよ!
はい、どうぞ」

杏子「……ありがと」

299: 2013/08/18(日) 13:31:27.01 ID:pnDgegG70
マミ「……ねぇ、佐倉さん
このあとなんだけど、まだお時間は平気かしら?」

杏子「うん、別にあたしは大丈夫だけど……。
何か?」

マミ「うふふ……」

300: 2013/08/18(日) 13:45:38.98 ID:pnDgegG70
 マミの部屋

杏子「うわぁ……!」

マミ「どうぞ、召し上がって?
特製のピーチパイよ」

杏子「うん。
これ、ちょーおいしい!」

マミ「まだまだあるから遠慮しないでね。
私一人じゃ食べきれないし」

杏子「……あ、えっと……」

マミ「なぁに、佐倉さん?」

杏子「助けてもらった上に、ケーキまでご馳走になっちゃって……。
なんだかずうずうしいよね、あたしって」

マミ「いえ、招待したのはこっちなんだし、気にしないで。
それに私も、魔法少女の子と一緒にお茶できてとっても楽しいもの……」

杏子「……そっか。
なら、いいんだけど……」

301: 2013/08/18(日) 13:49:04.45 ID:pnDgegG70
杏子「……ねぇ、マミさん?」

マミ「どうかしたの?」

杏子「こういうのも……。
一目ぼれ、っていうのかな……。
なんて言うか、その……。
まず最初に、マミさんを見た時に……。
すごい、かっこいいと思ったんだ」

マミ「……」

杏子「それと、あたしは魔法少女としてはまだ半人前だからさ……。
こうやって、マミさんとお茶しながら色んな話を聞かせてもらって、ほんとに勉強になったよ。
何も考えずに。ただ闇雲に戦ってたあたしに比べて……。
マミさんは、今までの魔女の戦いを自己分析してちゃんと研究してるし、戦いに必要な心構えもしっかり持ってて……。
その上、実戦においても強くて頼りになる。
こんなにすごい人が隣町にいたなんて、あたし、ほんと驚いたよ!」

マミ「佐倉さん……」

杏子「だから、その……。
マミさんにお願い、っていうか……。
ずうずうしいついでっていうのもなんだけど……」

マミ「?」

302: 2013/08/18(日) 13:50:21.39 ID:pnDgegG70
杏子「……あたしを、マミさんの弟子にしてもらえないかな?」

303: 2013/08/18(日) 14:02:21.13 ID:pnDgegG70
マミ「えっ!?
で……、弟子?」

杏子「そう!
マミさんは、どこをとってもあたしの理想なんだ。
だから、迷惑じゃなかったらって……」

マミ「……」

杏子「……駄目、かな?」

マミ「……その、弟子っていうのとは違うのかもしれないけど……。
……私もずっと前から、魔法少女のお友達がいてくれたらなって、実は思ってたの」

杏子「それって……」

マミ「ええ。
私に出来ることなら、魔法少―
……先輩として、アドバイスさせてもらうわ」

杏子「!
ありがとう、マミさん!!」

マミ「いえ……。
それじゃあ、これからよろしくね!」

杏子「うん、あたしの方こそ、これからよろしくお願いします!
……マミ先輩!!」

マミ「!」

杏子「それじゃあ、また明日!」

マミ「……せ、先輩、かぁ///」

310: 2013/08/18(日) 19:03:37.09 ID:pnDgegG70
(それから私達は、“二人”で協力して、魔女と戦うようになっていた)


(彼女のことは、こちらに来てから常に“独り”で戦ってきた私にとっては、とてもかけがえのない存在になっていった……)

311: 2013/08/18(日) 19:07:57.21 ID:pnDgegG70
杏子「うわぁぁぁっ!
あっ、行っちまった……」

マミ「大丈夫!?
佐倉さん」

杏子「あ、ああ……。
ごめん、あたしのミスで使い魔を逃がしちゃった……」

マミ「気に病むことはないわ。
また、探せばいいんだから。
あなたに怪我さえなければ、それが何より」

杏子「マミさん……」

マミ「……それに、ミスをすることなんて誰にでもあるものよ。
大切なのはね、それをしっかりと反省して、どうやって次に活かせるかを考えていくことだわ」

杏子「うん、そうだね……」

マミ「さ、遠くへ逃げないうちに急いで追いかけましょう!」

杏子(あたしのミスなのに……。
マミさん、なんて優しいんだ……)

312: 2013/08/18(日) 19:10:18.38 ID:pnDgegG70
杏子(何だかマミさん、あたしの本当の“お姉さん”みたいだな……)

313: 2013/08/18(日) 19:19:13.24 ID:pnDgegG70
杏子「……そういえば、マミさん?」

マミ「なぁに?」

杏子「マミさんは、いつもグリーフシードを全部あたしに譲ってくれるけど……。
自分の魔力は、どうやって回復してるの?」

マミ「えっ?」

杏子「だって、魔力を回復しなかったら魔法が使えないから、魔女とも戦えないでしょ?
でも、あたしの前でグリーフシードを使ったことは一度も無いし……。
かといって、こっそり一人で使ってるって様子でもなさそうだから、ちょっと不思議に思って……」

マミ「……」

杏子「あっ……!
もしかして、マズい事聞いちゃった?」

マミ「……いえ、丁度いいわ。
あなたには、いつか言っておかなくちゃいけないって思ってたし……」

杏子「えっ、何を?」

マミ「……実は、私ね?
あなた達のように、キュゥべえと契約した魔法少女ではないの。
だから、グリーフシードを使う必要も無いのよ」

杏子「……えっと、どういうこと?」

マミ「ごめんなさい、それ以上のことは言えないの」

杏子「……そっか」

マミ「……ごめんね、佐倉さん」

杏子「ううん、気にしないでよ。
そりゃ、誰だって他人に教えたくないことの一つや二つはあるもんだろうしさ……」

マミ「……あら。
ということは、あなたにも私に隠してることがあるのかしら?」

杏子「……それはナイショ」

マミ「そういう風に言うってことは、やっぱり隠し事があるってことよね……」

杏子「もう!
それはお互い様なんだからいいでしょ?」

マミ「そうね……。
この話は、もう終わりにしましょうか」

杏子「うん、そうだね……」

マミ「……さ、そろそろ今日も帰ってお茶にしましょう?」

杏子「……あのさ」

マミ「?」

杏子「今日は、マミさんの所じゃなくて……。
良かったら、ウチに来ない?」

マミ「!」

314: 2013/08/18(日) 19:25:06.71 ID:pnDgegG70
モモ「マミおねえちゃーん!
あそんで、あそんでー!」

杏子「こら、モモ!
夕食が終わったばっかりなんだから、あとにしな!!」

モモ「え~!」

佐倉(母)「すみませんね。
下の子は、お客様が来るといつもはしゃいでしまうんですよ」

マミ「賑やかでとても楽しいです。
それに、お食事まで頂いてしまって……。
何だか、すみません」

佐倉(母)「いえ、そんな……。
もう、杏子?
先に言っておいてくれれば、もっと豪華な食事にしたのに……」

杏子「いつもどおりがよかったの!
マミさんだって、来づらくなっちゃうでしょ?」

マミ「こんなに、明るくて楽しい食事は久しぶりで……。
……本当に、感謝してます」

佐倉(父)「喜んでもらえてよかった。
実は我が家も、お客さんを呼んでも恥ずかしくないような食卓になったのは、つい最近のことなんだよ」

マミ「……本当ですか?」

佐倉(父)「ああ。
私は教会で牧師をしていてね。
世の中の幸せのためにと説いてきた私の教えは……。
長年世間には受け入れてもらえず、家族に辛い思いをさせてしまっていたんだ」

マミ「……」

佐倉(父)「ところがある日、私の話を聞いてくれる人が現れ始めたのさ」

マミ「!」

佐倉(父)「……本当に、信じられない光景だったよ。
朝、目が覚めたら……。
私の話を聞かせて欲しいと、大勢の人が集まっていたんだ」

佐倉(母)「自分を信じ、幸せの種を蒔き続けていたのが……。
やっと、花開いたんだって、私は主人に言っているの」

マミ「……そうですか」

佐倉(母)「……そういえば、杏子がお友達を連れてくるなんて初めてよね?」

杏子「あーっ!
それはナイショだってば!!」

佐倉(父)「マミさん、杏子とこれからも仲良くしてやって下さいね」

マミ「……はい!」

315: 2013/08/18(日) 19:32:08.41 ID:pnDgegG70
杏子「ごめんねマミさん。
すっかり遅くなっちゃって……。
でもさ、ウチなんかでよければまた来てよね!」

マミ「ええ……」

杏子「?」

マミ「ねぇ、佐倉さん。
あなたが、魔法少女になった時の願いって……」

杏子「……うん。
あたしは、裕福になりたいとか願ったわけじゃないんだ。
ただ……、『父さんの話をみんなが聞いてくれますように』ってさ」

マミ「……」

杏子「誰一人、父さんの話を理解するどころか耳を傾けさえしなかったのが……。
ずっと、悔しくて。
あたしには、耐えられなかったんだ」

マミ「……そう。
あなたは、お父様のために……」

杏子「あの、マミさん?」

マミ「なぁに?」

杏子「他人の願いを叶えるのって、そんなにおかしい事?」

マミ「……ううん。
ただ、私はね……。
その願い事が、同時に自分の願いを叶えてくれるものだったとしたら、もっと素敵だなって思っただけよ」

杏子「……」

マミ「魔女との戦いは、当然危険を伴うし……、自分を、犠牲にしなくちゃならないこともある。
それが……、自分の願い事の対価なのだと思えれば、我慢も出来るんだろうけど……。
もしも、そうでないとしたら……」

杏子「……だったら、あたしは大丈夫だね。
あたしは、みんなの幸せの為に頑張ってる父さんを、小さい頃からずっと見てて……。
だから、あたしもみんなに幸せになってもらいたいって思ってた。
そして……、その実現の一歩が、父さんを幸せにすることだったんじゃないかな?」

マミ「……」

杏子「うん、そうだよ。
『みんなの幸せを守る』
それが、あたしの願いなんだ!」

マミ「そう……。
あなたなら、大丈夫よね」

杏子「それに……。
これで、あたしとマミさんの戦う理由は同じだよね?」

マミ「えっ?」

杏子「改めて、これからもよろしく!」

マミ「……ええ、よろしくね!」

316: 2013/08/18(日) 19:35:06.03 ID:pnDgegG70
【数週間後】

杏子「はい、一丁上がり!
やっぱりさ……。
あたしとマミさんのコンビなら、向かうところ敵なしだよね!」

マミ「もう……!
油断は禁物よ?」

杏子「分かってるって!
でも、今のあたし達ならさ……。
……“ワルプルギスの夜”だって、倒せるんじゃないかな?」

マミ「えっ……?
……“ワルプルギスの夜”?」

杏子「えっ、もしかしてマミさん……。
知らなかったの?」

マミ「ええ、ごめんなさい」

杏子「いや、謝らないでよ。
ただ、マミさんなら知ってると思ってたから、ちょっと意外だなって」

マミ「もう、私のことを買い被り過ぎよ。
……それで、“ワルプルギスの夜”って?」

杏子「……そいつはね。
魔法少女の間で噂されてる、超弩級の大物魔女なんだ」

マミ「!
……本当に、そんな魔女が存在するの?」

杏子「うーん、あくまでも噂だからね……。
でもさ、こう言っちゃあ大袈裟かもしれないけど……。
あたし達だったら、もしもそんな大物の魔女が来たとしても目じゃないって。
……きっとさ、世界だって救えるんじゃないかって、そう思うんだよね」

マミ「……ふふふ。
あなた、随分と大きく出たわね」

杏子「ちょっと調子に乗り過ぎちゃったかな?」

マミ「ううん、そんなことないわよ。
目標は、大きい方がいいんじゃないかしら?
うふふっ!」

杏子「でも、マミさん笑い過ぎじゃない?」

マミ「ふふっ、そうかしら?」

杏子「やっぱり笑い過ぎだって!」

マミ「あら、ごめんね」

杏子「もう……!」

317: 2013/08/18(日) 19:39:19.68 ID:pnDgegG70
マミ「……でも、本当にそうかもね」

杏子「?」

マミ「私達だったら、きっと倒せると思うわ」

杏子「マミさん……」

マミ「だから……。
もしもいつか、本当にその“ワルプルギスの夜”がやってくる時が来たとしたら……。
その時は、一緒にこの世界を守りましょう」

杏子「うん!
あたし達“二人”で、絶対に守ってみせようよ!!」

320: 2013/08/18(日) 22:22:11.66 ID:pnDgegG70
【一週間後】

―あたしとマミさんは、いつものように魔女の結界を見つけて侵入していた―

杏子「よし、魔女はあそこだね!」

マミ(!?
こ、この魔女は……!)

杏子「……マミさん、どうしたの?」

マミ(間違いない、あの時の……!
でも、どうして……?
この魔女は、私が……)

杏子「?」

マミ「キュゥべえ!」

キュゥべえ「何だい?」

マミ「どうして……、この魔女が生きているの!?
この魔女は、前に私が倒したはずよ!」

キュゥべえ「おそらく、使い魔の生き残りが成長したものか……。
もしくは、君があの時そのままにしていたグリーフシードを誰かが使ってから放置して、それで再び魔女の姿に戻ったかのどちらかだろうね」

マミ「そんな……!
……今更、また出てくるなんて!!」

―今回の魔女は、どうやらマミさんが前に戦ったことのあるやつだったみたいで―

杏子「マミさん」

マミ「……」

杏子「マミさん!」

マミ「えっ?」

杏子「マミさん。
何か良く分かんないけど、早く倒しちゃおうよ!」

マミ「え、ええ。
そ、そうね……」

321: 2013/08/18(日) 22:25:12.03 ID:pnDgegG70
杏子「おし!
マミさん、早くいつもの技を!!」

マミ「分かったわ!」

―でも、マミさんは何故かその魔女に攻撃することをためらっているみたいだった―

杏子「……マミさん?」

マミ「!
きゃあっ!!」

杏子「マミさん!」

322: 2013/08/18(日) 22:30:40.01 ID:pnDgegG70
杏子「……マミさん、一体どうしちゃったのさ?
いつものマミさんらしくないよ……」

キュゥべえ「そうだね、普段の君ならあの程度の魔女を倒すことなんて造作も無いはずだよ」

杏子「キュゥべえはちょっと黙っててよ!」

キュゥべえ「分かった」

マミ「あの、私、私……」

杏子「……仕方ないね。
マミさん、今日はいったん退こう?」

マミ「えっ!?」

杏子「そんな調子で魔女と戦っても、返り討ちにされるだけだよ」

マミ「でも、私……」

杏子「あたしはパートナーとして、マミさんに言ってるんだよ。
それに……、たまにはあたしのアドバイスも聞いてくれたっていいでしょ?」

マミ「……うん、そうだね……」

杏子「それじゃあ、早くここを出よう」

マミ「ええ……」

323: 2013/08/18(日) 22:33:14.51 ID:pnDgegG70
【数日後】

杏子「……マミさん。
今日は、行けそう?」

マミ「ええ、私はもう大丈夫よ」

杏子「それじゃあ、まずは―」

マミ「!」

杏子「……マミさん?」

マミ(……誰かが、私を呼んでいる?)

杏子「マミさん?」

マミ「……ごめんなさい、佐倉さん。
私、ちょっと用事を思い出しちゃったから、行ってくるわね!」

杏子「ああ、ちょっと!」

杏子(あのマミさんが、魔女探索を中断しようとするなんて……。
一体、何の用事かな……?)

324: 2013/08/18(日) 22:44:12.61 ID:pnDgegG70
―そしてあたしは、こっそりとマミさんを追いかけていた―

杏子(……うーん。
マミさんは、何だってこんな人気の無いところに来たんだろう……?
やっぱり魔女を倒しにでも来たのかと思ったけど、特に魔女の痕跡なんかも無いみたいだしさ……)

マミ「……あ、あなただったんですか!?
私を呼んでいたのは……」

杏子(あれ……。
あのおじさん、マミさんの知り合いなのかな……?)

??「マミ……。
光の国以来だな」

マミ「どうして、ここに来たんですか!?」

??「お前と戦う為だ」

マミ「えっ……。
私と、あなたが?」

??「ああ、そうだ」

マミ「そんな……。
私はあなたと戦うことなんて出来ません!」

??「この前お前が“魔女”とやらに負けたように、俺にも勝てないからか?」

マミ「えっ!?
どうして、その事を……」

杏子「おい、おっさん!」

マミ「さ、佐倉さん!?」

杏子「アンタ、黙って聞いていればマミさんのことを好き放題言いやがって!
大体ね、別にマミさんはまだ負けたわけじゃないし!!」

マミ「あの、佐倉さん……。
私をかばってくれるのは嬉しいんだけど、それくらいに……」

??「マミ、この娘は誰だ?」

マミ「あの、その……」

杏子「あたしはね、マミさんの弟子だよ!」

??「ほう、弟子か……」

杏子「ていうか、マミさん。
コイツ、誰なのさ?」

マミ「この人の、名前は……」

325: 2013/08/18(日) 22:45:16.20 ID:pnDgegG70
ゲン「レオーーー!」

332: 2013/08/24(土) 01:51:09.48 ID:Eauollx20
―あたしは、その男が全身真っ赤の宇宙人みたいな姿に変身したのを見て、しばらくの間呆然としていた―

レオ「ここなら、俺たち以外の誰かに見つかることは無いだろう。
さぁ、変身してかかって来い!」

杏子(なっ……!
……一体、何なんだよこいつ!?
ただ、普通の言葉で喋ってるし、どうやら魔女ってわけでもなさそうだよな……)

―そしてあたしは、何とか落ち着きを取り戻して魔法少女に変身し、槍を構えて攻撃しようと思ったんだけど―

マミ「……待って、佐倉さん。
ここは、私に任せてちょうだい」

杏子「えっ?」

―マミさんは、そう言った後も何故だか少しだけ迷っているような感じだったけど、
 やがて、何かを決意したかのような表情を見せると、それから“変身”していた―

333: 2013/08/24(土) 01:54:40.56 ID:Eauollx20
杏子(!
……マミさん、なの……!?)

レオ「やっと変身したか。
まずは、お前の方から攻撃してみろ!」

―私は、相手との距離を慎重に測りながら近付いた後、まずはキック【黄金の美脚】で攻撃した―

レオ「……動きは悪くないが、やはり一撃の重みが足らんな」

―続けて私は、右ストレートを放った後、さらに連続でパンチを何発も繰り出した―

レオ「今度は手数で勝負か。
だが……」

―でも、ウルトラマンレオは私の攻撃を全て受け流すと、遂に反撃してきた―

マミ「きゃっ!」

レオ「どうした?
その程度の連続攻撃では、俺は倒せん!」

マミ(……ウルトラマンレオは、宇宙拳法の使い手で、近接戦闘のスペシャリスト。
それに加えて、間違いなく腕力の差もあるわけだし、どう考えたって接近戦ではこちらが不利よね……。
だったら……、これしかない!)

―そして、私はスラッガーを構えると、ウルトラマンレオに向かって投げつけた―

334: 2013/08/24(土) 01:57:38.48 ID:Eauollx20
―でも……、ウルトラマンレオはいとも簡単に私のスラッガーを弾き返してみせていた―

マミ(嘘!?)

―私は、素早く反対側に回って弾かれたスラッガーを拾った後、今度は思い切って直接的に攻撃しようとした―

レオ「……武器に頼れば、隙が生じる」

―そう言いながら、ウルトラマンレオはスラッガーを真剣白刃取りのような動作で受け止めていた―

レオ「……マミ、お前はそのスラッガーに頼り過ぎている。
そればかりに頼っていては、あらゆる敵と戦っていくことは出来んぞ」

マミ「……」

335: 2013/08/24(土) 02:02:24.46 ID:Eauollx20
マミ(そんな、私の技が全て見切られてしまうなんて……)。

―その時ウルトラマンレオは、既に“必殺技”の体制に入っているようだった―

マミ(……そういえば、ウルトラマンレオは光線技があまり得意ではなかったはず。
こうなったら、私が先に“あの技”を使うしかない!)

―私は、必殺光線【アルティマシュート】を撃とうとした、のだったけれど―

マミ(……やっぱり、撃てない!)

―そして、ウルトラマンレオの“レオキック”が、私に迫ってきていた―

339: 2013/08/26(月) 01:11:49.74 ID:Mzj2M4fH0
マミ(あれっ?
私……)

杏子「……マミさん、大丈夫!?」

マミ「え、ええ……」

ゲン「……やはり、今のお前は光線技が使えなくなっているようだな」

マミ「えっ?
……はい、その通りです。
でも、どうして……?」

ゲン「……俺は、別にお前を打ちのめす為に来たわけではない。
お前に“この宇宙の地球”を託せるかどうか、試めさせてもらっただけだ」

マミ「そうですか……」

ゲン「……兄さん達は許したそうだが……、俺は許さん!」

マミ「!」

杏子「アンタ、いきなり何を言い出すのかと思ったら……。
宇宙がどうとか……、地球を託す、だって?
一体何の話をしてんのさ!?」

ゲン「済まないが、君は少し黙っていてくれないか?
俺は今、マミと話をしている」

杏子「はん、そんなわけにはいかないよ!
あたしは、大切な師匠をここまで侮辱されて、黙ってられるほどいい子じゃないんでね」

マミ「佐倉さん……」

340: 2013/08/26(月) 01:39:31.48 ID:Mzj2M4fH0
ゲン「……まぁ、いいだろう。
とにかく、マミ。
今のお前に、この星を任せることは出来んな」

杏子「は、だから何でさ?
今まであたしとマミさんは、二人で立派に魔女と戦って来たんだ!
まぁ、確かにこの前はちょっと失敗しちゃったけど……。
今度は、必ず―」

ゲン「それは、たまたま運が良かっただけだ。
確かに今までは無事で済んでいたようだが、もっと強い敵が現れたらどうなる?
万全の状態で戦えない者に、勝てるはずがない!」

杏子「こいつ!
言わせておけば―」

マミ「駄目よ、佐倉さん。
……ウルトラマンレオの、言う通りよ」

杏子「でも……」

マミ「ねっ?」

杏子「……分かった」

マミ「……」

341: 2013/08/26(月) 01:51:08.42 ID:Mzj2M4fH0
ゲン「……その顔は何だ?」

マミ(えっ?)

ゲン「その目は!
その涙は何だ!?
そのお前の涙で……、この地球が救えるのか? 」

マミ「……」

ゲン「……まずは、その“魔女”とやらを倒してみろ。
さもなくば、お前には帰還してもらうことになる」

杏子「なっ……」

マミ「でも、私の任務は―」

ゲン「それは、他の誰かが引き継ぐことになるだろう」

マミ「……そうですか」

杏子「何だよそれ!?
そんなんで、あたし達が納得出来るわけ―」

ゲン「いいな、マミ?」

マミ「はい、分かりました……」

342: 2013/08/26(月) 02:00:40.91 ID:Mzj2M4fH0
 マミの部屋

杏子「……ったく。
あのおっさん、一体何様?
急に来たと思ったら、偉そうに色々言ってくれちゃってさ……」

マミ「……」

杏子「……あの、マミさん。
あたしの話、聞いてる?」

マミ「う、うん。
ちゃんと聞いてるわよ」

杏子「なら、いいんだけどさ……」

343: 2013/08/26(月) 02:03:33.76 ID:Mzj2M4fH0
マミ「……あの、佐倉さん?」

杏子「ん、何?」

―気がつくと、マミさんの顔があたしの顔のすぐ隣にあった―

杏子「!
……ま、マミさん?」

マミ「……ごめんね」

―マミさんはそう言った後、あたしの唇に向かって―

杏子「!!」

348: 2013/08/27(火) 00:51:15.20 ID:kC30ef4l0
杏子「……ぷはっ。
ちょ、マミさん!
いきなり何すんのさ!?」

マミ「えっ、どうして……?」

杏子「『どうして』って、それはこっちの台詞だよ!
その……、キスしてくるなんて、一体どういうつもりなの!?」

マミ「……ごめんなさい」

杏子「いや、あたしは謝って欲しいんじゃなくて、事情を聞かせて欲しいんだけど」

マミ「ええっと、その……」

杏子「“お願い”だから、今度はちゃんと教えて」

マミ「……ええ、分かったわ」

349: 2013/08/27(火) 01:17:21.57 ID:kC30ef4l0
―それからあたしは、マミさんの素性とか能力、ここへやってきた目的や、
 さらには“光の国”のこと等、色々な事を説明してもらっていた―

杏子「うーん、話が壮大すぎてちょっとついていけないところはあるけど……。
まぁ、大体のことは理解出来たかな」

マミ「……そう」

杏子「でも、まだ肝心な事を聞かせてもらってないよ」

マミ「なぁに?」

杏子「どうして、あたしの記憶を消そうとしたの?」

マミ「どうしてって……。
あなたに、“私のもう一つの姿”を見られちゃったし……」

杏子「あたしがそれを知ったら、何か問題でもあるの?」

マミ「いや、だって……。
“本当のこと”を知られてしまったら、あなたに嫌われちゃうんじゃないかって思っ―」

杏子「あたしのこと、見くびらないでくれる?」

マミ「えっ?」

杏子「まぁ、確かにちょっとはびっくりしちゃったけどさ……。
例えあんたの正体が何であったとしても、あたしを助けてくれた命の恩人で、大切な師匠だってことに変わりは無い。
それにそんなこと言ったら、あたしだって魔法少女なんだよ?
一般人からしたら、あたしだってもう普通の人間とは言えないだろうし……。
いや、そんな細かいことはどうでもいいんだよ。
とにかく、あたしがそんなことでマミさんを嫌いになるわけないじゃん!」

マミ「さ、佐倉さん……」

350: 2013/08/27(火) 01:23:39.38 ID:kC30ef4l0
杏子「ていうかさ、ちょっとくらいはあたしのことも信じてくれたっていいじゃんか……」

マミ「?
ちょっと良く聞こえなかったのだけど、何て言ったのかしら?」

杏子「いや、何でもない!」

マミ「あら、そう……」

351: 2013/08/27(火) 01:25:11.74 ID:kC30ef4l0
杏子「それじゃああたし、今日はもう帰るからね!」

マミ「えっ、もう?」

杏子「じゃあね!」

マミ「あっ、もう行っちゃった……」

355: 2013/08/31(土) 22:50:23.74 ID:pXaqT1Yr0
―あたしはマミさんの部屋を出てから家へ帰宅する途中で、
 突然、使い魔の反応を見付けて、結界へと向かっていた―

杏子「よし、ここら辺かな……。
!」

―そしてあたしは、結界に“先客”が来ていたことに気付いた―

ゲン「……」

杏子(あれは、さっきの……。
……どうやら、使い魔と戦うつもりのようだね。
まぁ、お手並み拝見といきますか……)

356: 2013/08/31(土) 22:55:42.24 ID:pXaqT1Yr0
―そして、そいつは―

ゲン「ハァッ!」

杏子(なっ!?
……あいつ、変身もせずに素手と蹴り技だけで使い魔を倒しやがった!)

357: 2013/08/31(土) 23:00:47.24 ID:pXaqT1Yr0
杏子「……なかなかやるじゃんか、あんた」

ゲン「……見ていたのか」

杏子「まあね。
とりあえず、口だけ達者なトーシロではない、ってことは分かったよ」

ゲン「そうか」

杏子「うん」

ゲン「……」

358: 2013/08/31(土) 23:11:30.69 ID:pXaqT1Yr0
杏子「……あのさ。
ちょっと、聞いておきたいことがあるんだけど……。

ゲン「何だ?」

杏子「あの、どうしてあんたは、あんなにマミさんに厳しくするのさ?」

ゲン「……そうだな。
マミには、俺と同じような思いをして欲しくないからだ」

杏子「えっ……。
それは、どういうこと?」

ゲン「かつて、俺は……。
邪悪な侵略者達の策略にはまり、大切な人達を守れなかった……」

杏子「……」

359: 2013/09/01(日) 00:20:23.65 ID:U95sho3a0
マミ(……あれは、佐倉さんと、ウルトラマンレオ!?
一体、二人で何の話をしてるのかしら……?)

ゲン「―だが……、俺はその経験から自分の弱さと愚かさを思い知り、人々を守るために戦っていくことの重大さと責任を、本当の意味で学ぶことが出来た。
そしてマミにも、その事を十分に分かっていてもらう必要がある」

杏子「あんたの言いたい事は、何となく分かったけどさ……。
でも、マミさんはそのことをちゃんと分かってるはずだよ!
それに、マミさんはもう充分辛い目にあってて―」

ゲン「確かに、マミはあの年で既に辛い経験を何度もしてきている。
だが、やがてはそれを乗り越えて行かなければ、さらなる困難に直面した時、対処出来なくなってしまうだろう。
だからこそ、あいつには強くなってもらわねばならんのだ!」

マミ(……)

杏子「……そっか。
やり方はちょっとあれな気もするけど、あんたはあんたなりにマミさんの事を考えてくれてたんだね……」

360: 2013/09/01(日) 00:23:48.75 ID:U95sho3a0
杏子「……そういやあたし、まだあんたに名前を教えてなかったよね?」

ゲン「?」

杏子「……あたしの名前は、佐倉杏子」

ゲン「……そうか。
ちなみに俺の名前は、おおとりゲンだ」

杏子「ゲン、か。
まぁ、よろしくね」

ゲン「ああ」

364: 2013/09/05(木) 00:05:13.58 ID:4zHX0z9A0
―結局あたしは次の日も、一人で魔女探索に向かうことにしていた―

杏子(これは……、この前と同じ魔力パターン!
間違いない、あの時の魔女だ……)

―そしてあたしは、すぐにその場で魔法少女に変身した―

杏子(……大丈夫。
こんな魔女、あたし一人でも簡単に―)

マミ「待って、佐倉さん」

杏子「なっ、マミさん!?」

マミ「佐倉さん、お願い。
この魔女とは、私一人で戦わせてくれない?」

杏子「えっ、でも……」

マミ「心配しなくても、ちゃんとグリーフシードはあなたにあげるから」

杏子「いや、あたしはそんな事を心配してるんじゃないってば!」

マミ「……分かってるわ。
でも、私はもう大丈夫だから」

杏子「……本当に?」

マミ「ええ、本当よ」

杏子「……分かった。
あんたを信じるよ」

マミ「……ありがとう」

365: 2013/09/05(木) 00:45:19.13 ID:4zHX0z9A0
―それからあたし達は、結界の中に入ってすぐに魔女を見付けた―

マミ「佐倉さん、あなたは使い魔をお願い!」

杏子「うん、分かった!」

―そしてマミさんは“もう一つの姿”に変身すると、銀の魔女の反応をじっくりと観察していた―

マミ(……今回は、誰かが捕らわれている様子も無いみたい。
だったら、今度こそこれで終わりにしてみせるわ!)

マミ「ハッ!【ミラクルマミスラッガー】」

―マミさんの放った無数の光の刃が、銀の魔女に向かって一斉に降り注いだ―

366: 2013/09/05(木) 01:15:32.93 ID:4zHX0z9A0
杏子「おし!」

マミ「ふぅ……」

杏子「いや……。
マミさん、そいつはまだ生きてる!」

―マミさんの攻撃は、表面のさびみたいなものを削りはしたけど致命傷を与えることは出来なかったらしく、
 しかも、運の悪いことにさびが落ちた後の魔女は、素早い動きの出来るバイクのような形態に変化していた―

マミ「えっ……?
きゃあっ!」

杏子「マミさん!」

―そして、銀の魔女はマミさんを轢いた後、今度はそのままあたしの方に遅いかかってきた―

杏子「ちっ、離せよ!」

―マミさんがやられて動揺していたあたしは、とっさの判断が遅れてしまったせいで魔女に捕まっていた―

杏子「ううっ……!」

マミ(そんな……!
このままでは、佐倉さんが……)

369: 2013/09/06(金) 23:23:21.84 ID:70pkrFsx0
「最後まであきらめるな!」

370: 2013/09/06(金) 23:26:21.14 ID:70pkrFsx0

マミ(えっ?)

レオ「イーヤァァー!」

―ウルトラマンレオが、一点を打ち抜くような正確な攻撃によって魔女の中から佐倉さんだけを切り離し、見事に救い出すことに成功していた―

371: 2013/09/06(金) 23:30:10.62 ID:70pkrFsx0
杏子「あれ、あたし……」

レオ「大丈夫か、杏子?」

杏子「う、うん。
……ありがと」

レオ「よし。
……マミ、ダブルフラッシャーで片を付けるぞ!
出来るな?」

マミ「……はい!」

372: 2013/09/06(金) 23:32:39.35 ID:70pkrFsx0
レオ・マミ「はぁっー・おりゃー!!【レオマミダブルフラッシャー】」

―そして、私とレオさんの二人で放った合体光線が、今度こそ、銀の魔女を完全に撃破していた―

杏子「おし……、やった!」

373: 2013/09/06(金) 23:56:39.37 ID:70pkrFsx0
マミ「あの……、ありがとうございました!」

ゲン「礼を言われるほどの事でもない」

マミ「いえ、あなたのおかげで私は……。
本当の意味で、過去の失敗に向き合うことが出来ました!」

ゲン「そうか……」

杏子「それに……。
あたしも、あんたにはほんとに感謝してるんだ。
あんたが来てくれなかったら、多分あたし達二人ともやられてたかも……」

ゲン「……」

マミ「レオ先輩!
この地球は、私がきっと……!」

ゲン「ああ。
今のお前達になら、ここを託せそうだな」

マミ「ええ、約束します!」

ゲン「それから……、杏子」

杏子「ん、何?」

ゲン「マミのこと……、よろしく頼んだぞ!」

杏子「うん、任せてよ!」

374: 2013/09/07(土) 00:01:40.80 ID:jHgkIze70
―でも……、その後あたしがその約束をちゃんと守ることが出来たのは、ほんのわずかの間だけだった―

375: 2013/09/07(土) 00:03:18.49 ID:jHgkIze70
今回は、ここまで。

叛逆の新情報が発表される度にその要素を反映させたくなってきますが、新キャラとかを出したとしても色々と矛盾しそうですし、
せいぜいほむらちゃんの銃器くらいしか登場させられそうにないのが残念……。

なお、この続きは出来れば土日のどちらかに投下する予定です。

376: 2013/09/07(土) 00:49:47.04 ID:iu9AmJiSo

杏子……
ウルトラマミさん【後編】

引用: ウルトラマミさん