1: 2011/03/05(土) 20:52:10.91 ID:tdtToVHc0
シャロ「晴れましたー!」
4月のある休日です。朝方まで降り続いた雨は上がり、さわやかな午前の空気に木々の雨露が輝いています。
空には虹。野にはたんぽぽ。
シャロ「あ、虹! 虹ですよーかまぼこー」
あたしは足もに寝そべるかまぼこに声をかけました。
みずみずしく黄色い花を咲かせるたんぽぽの中でかまぼこは眠そうに鳴きます。
4月のある休日です。朝方まで降り続いた雨は上がり、さわやかな午前の空気に木々の雨露が輝いています。
空には虹。野にはたんぽぽ。
シャロ「あ、虹! 虹ですよーかまぼこー」
あたしは足もに寝そべるかまぼこに声をかけました。
みずみずしく黄色い花を咲かせるたんぽぽの中でかまぼこは眠そうに鳴きます。
2: 2011/03/05(土) 20:52:57.25 ID:tdtToVHc0
そこにきらきらした声が聞こえました。
小衣「あんた何してんの?」
シャロ「あ! こころちゃん!」
小衣「ココロちゃんゆーな!」
シャロ「雨上がりのこんな時にはなんだか力があふれてきて。トイズが戻りそうな気がするんです!」
あたしが意気込んでそう言うと、トイズねぇ、とこころちゃんはつぶやき、少し笑みを漏らしてから言いました。
小衣「そうだ! トイズを復活させる方法を思いだしたわ!」
シャロ「ほんとですか!?」
小衣「虹がでてるでしょ? あの虹の脚のところにたどり着けたらトイズ復活のヒントが得られるはずよ!」
シャロ「わー! ほんとですか!? ありがとうございます、こころちゃん!」
小衣「ココロちゃんゆーなってばっ!」
あたしたちのトイズ復活に協力してくれるなんて、やっぱりこころちゃんは優しいです!
あたしは早速皆さんを呼びに走りました。
小衣「あんた何してんの?」
シャロ「あ! こころちゃん!」
小衣「ココロちゃんゆーな!」
シャロ「雨上がりのこんな時にはなんだか力があふれてきて。トイズが戻りそうな気がするんです!」
あたしが意気込んでそう言うと、トイズねぇ、とこころちゃんはつぶやき、少し笑みを漏らしてから言いました。
小衣「そうだ! トイズを復活させる方法を思いだしたわ!」
シャロ「ほんとですか!?」
小衣「虹がでてるでしょ? あの虹の脚のところにたどり着けたらトイズ復活のヒントが得られるはずよ!」
シャロ「わー! ほんとですか!? ありがとうございます、こころちゃん!」
小衣「ココロちゃんゆーなってばっ!」
あたしたちのトイズ復活に協力してくれるなんて、やっぱりこころちゃんは優しいです!
あたしは早速皆さんを呼びに走りました。
3: 2011/03/05(土) 20:53:40.74 ID:tdtToVHc0
僕はさっきから動かない釣り糸をぼーっと眺めていた。
魚はさっぱり釣れないけど春の光の中で穏やかな池のみなもを眺めていると不思議に幸福な時間を感じる。
ネロ「んー……さっぱり釣れない……」
そうつぶやいたそばから深緑の水面の奥に動く影が見えた気がした。
ネロ「おっ、きたー」
せっかく近づいた魚が逃げないように声をひそめてひとりつぶやく。
そのとき石畳にぱたぱたと足音を立てて走ってきた。
魚はさっぱり釣れないけど春の光の中で穏やかな池のみなもを眺めていると不思議に幸福な時間を感じる。
ネロ「んー……さっぱり釣れない……」
そうつぶやいたそばから深緑の水面の奥に動く影が見えた気がした。
ネロ「おっ、きたー」
せっかく近づいた魚が逃げないように声をひそめてひとりつぶやく。
そのとき石畳にぱたぱたと足音を立てて走ってきた。
4: 2011/03/05(土) 20:54:27.06 ID:tdtToVHc0
シャロ「おーい! ねーろー!!」
ネロ「んあー! 魚が逃げるー! もー、大声出しちゃだめだってば!」
シャロ「あうー、ごめんなさい……」
ネロ「いいよ。それよりどしたの?」
シャロ「あ、そうでした! トイズ復活のヒントです!」
ネロ「トイズ復活のヒント? 何が?」
シャロ「えとえとえと、あ! こうしちゃいられません! とにかくエリーさんとコーデリアさんも呼んでこないと!」
ネロ「あ、ちょっと! ヒントって何ー!? おーい! ……行っちゃった」
シャロは自分の言いたいことだけ行ってしまうと走り去ってしまった。
よくわかんないけど、釣れそうにもないし、僕は腰を上げると空のバケツを下げてシャロの走っていった方へ歩き出した。
ネロ「んあー! 魚が逃げるー! もー、大声出しちゃだめだってば!」
シャロ「あうー、ごめんなさい……」
ネロ「いいよ。それよりどしたの?」
シャロ「あ、そうでした! トイズ復活のヒントです!」
ネロ「トイズ復活のヒント? 何が?」
シャロ「えとえとえと、あ! こうしちゃいられません! とにかくエリーさんとコーデリアさんも呼んでこないと!」
ネロ「あ、ちょっと! ヒントって何ー!? おーい! ……行っちゃった」
シャロは自分の言いたいことだけ行ってしまうと走り去ってしまった。
よくわかんないけど、釣れそうにもないし、僕は腰を上げると空のバケツを下げてシャロの走っていった方へ歩き出した。
8: 2011/03/05(土) 20:55:13.85 ID:tdtToVHc0
春といえば、新しい芽生えの季節。
冬までそのつぼみを堅く閉ざしていたお花たちが恥じらいながらその花弁を開く季節。
そう、春はお花畑の季節なのよー!
コーデリア「ああ。私のお花畑~」
淡い色の蝶が私の花の冠の周りを舞う。
シャロ「コーデリアさーん!」
コーデリア「あらぁ、シャロぉ。あなたもお花畑に遊びに来たのぉ?」
シャロ「えっと、そうじゃなくって……トイズ復活のヒントなんです!」
コーデリア「トイズ復活のヒント? お花?」
シャロ「とりあえずエリーさんも呼んできますね!」
コーデリア「わかったわぁ~」
冬までそのつぼみを堅く閉ざしていたお花たちが恥じらいながらその花弁を開く季節。
そう、春はお花畑の季節なのよー!
コーデリア「ああ。私のお花畑~」
淡い色の蝶が私の花の冠の周りを舞う。
シャロ「コーデリアさーん!」
コーデリア「あらぁ、シャロぉ。あなたもお花畑に遊びに来たのぉ?」
シャロ「えっと、そうじゃなくって……トイズ復活のヒントなんです!」
コーデリア「トイズ復活のヒント? お花?」
シャロ「とりあえずエリーさんも呼んできますね!」
コーデリア「わかったわぁ~」
9: 2011/03/05(土) 20:56:12.64 ID:tdtToVHc0
私はベッドの上で本を読んでいました。
のどかな午前の空気の中、ひとりだけの部屋で本を読むとなぜだか落ち着きます。
ひとりで読んでるからって、みんなの前じゃ読めない本というわけではありません……///
階段を駆け上がってくる軽い足音。その直後扉を開けて入ってきたのは……
シャロ「エリーさん! トイズ復活のヒントですよ!」
エリー「え!? あの……えっと……なにが?」
シャロ「虹の脚です!」
エリー「虹の脚?」
シャロが指差した窓の外を見ると虹が出ていました。
そういえば朝に雨が降ってたっけ……
シャロ「そうです! 虹の脚にヒントがあるんです! みんなで行きましょう!」
エリー「えっと……でも、外出許可がいるんじゃ……」
シャロ「ああっ! そうでした! ……虹が消える前に急いで生徒会長室に行かないと!」
エリー「あ、シャロ……!」
シャロはそういうと一目散に部屋を飛び出して行きました。
放ってもおけないので、私は本を本棚にしまい、生徒会長室へ向かったのでした。
のどかな午前の空気の中、ひとりだけの部屋で本を読むとなぜだか落ち着きます。
ひとりで読んでるからって、みんなの前じゃ読めない本というわけではありません……///
階段を駆け上がってくる軽い足音。その直後扉を開けて入ってきたのは……
シャロ「エリーさん! トイズ復活のヒントですよ!」
エリー「え!? あの……えっと……なにが?」
シャロ「虹の脚です!」
エリー「虹の脚?」
シャロが指差した窓の外を見ると虹が出ていました。
そういえば朝に雨が降ってたっけ……
シャロ「そうです! 虹の脚にヒントがあるんです! みんなで行きましょう!」
エリー「えっと……でも、外出許可がいるんじゃ……」
シャロ「ああっ! そうでした! ……虹が消える前に急いで生徒会長室に行かないと!」
エリー「あ、シャロ……!」
シャロはそういうと一目散に部屋を飛び出して行きました。
放ってもおけないので、私は本を本棚にしまい、生徒会長室へ向かったのでした。
11: 2011/03/05(土) 20:57:23.94 ID:tdtToVHc0
生徒会長室の窓ガラスの向こうには、雨上がりの春の光の中で木や花が若い光をたたえている。
アンリエット「こんな日は何か、いいことがありそうですわね」
石流「そうですね。いい天気で洗濯日和です」
根津「洗濯はすっかり慣れたもんだもんなー」
20「んー。今日の空も美しいが、僕のほうがもっとビューティフォー!!」
根津「だから脱ぐなっつーの!」
アンリエット「はぁ……」
こんなさわやかな日でもこの人たちは相変わらずですね……
そんな風に思いつつ溜め息をついたとき、何とも言えないかわいらしい足音がしました。
この足音は間違いありません。
シャロ「失礼しまーす!」
そう。わたくしのシャーロックですわ。
アンリエット「どうしましたか?」
こんなのどかな日に現れたものですから天使かと思いましたわよ、シャーロック。
シャロ「あのあのー、外出許可をもらいに来ましたー」
アンリエット「こんな日は何か、いいことがありそうですわね」
石流「そうですね。いい天気で洗濯日和です」
根津「洗濯はすっかり慣れたもんだもんなー」
20「んー。今日の空も美しいが、僕のほうがもっとビューティフォー!!」
根津「だから脱ぐなっつーの!」
アンリエット「はぁ……」
こんなさわやかな日でもこの人たちは相変わらずですね……
そんな風に思いつつ溜め息をついたとき、何とも言えないかわいらしい足音がしました。
この足音は間違いありません。
シャロ「失礼しまーす!」
そう。わたくしのシャーロックですわ。
アンリエット「どうしましたか?」
こんなのどかな日に現れたものですから天使かと思いましたわよ、シャーロック。
シャロ「あのあのー、外出許可をもらいに来ましたー」
12: 2011/03/05(土) 20:58:10.74 ID:tdtToVHc0
アンリエット「何処へ行くのです?」
シャロ「あの虹の脚のところです!そこに、トイズ復活のヒントがあるそうなんです!」
アンリエット「なりません」
シャロ「ええー……」
わたくしはシャーロックが残念そうに落ち込んだ顔をちらりと見るとこう付け加えた。
アンリエット「しかし、トイズを復活させようとする姿勢は勤勉なものと言えなくもありません。ですので、今回は特別に認めましょう」
シャロ「やったー!ありがとうございます、アンリエットさん!」
アンリエット「頑張ってくださいね」
シャロ「はい!! 失礼しましたー!」
シャーロックは相変わらずの天使のような満面の笑顔を見せて部屋を出て行った。
最初に駄目だと言ったのには何ら意味はない。
ただ、一旦落としておいて持ちあげるのは恋の駆け引きにおいては初歩のようなもの。
そういうふうにすると、シャーロックはとびっきりの笑顔を見せてくれるのだからちょっと気の毒ではあるけれど、ついそうしてしまうのだ。
あの笑顔で今日も頑張れそうな気がしますわ……
わたくしは心の中でつぶやくとまぶしい太陽のほうを見た。
シャロ「あの虹の脚のところです!そこに、トイズ復活のヒントがあるそうなんです!」
アンリエット「なりません」
シャロ「ええー……」
わたくしはシャーロックが残念そうに落ち込んだ顔をちらりと見るとこう付け加えた。
アンリエット「しかし、トイズを復活させようとする姿勢は勤勉なものと言えなくもありません。ですので、今回は特別に認めましょう」
シャロ「やったー!ありがとうございます、アンリエットさん!」
アンリエット「頑張ってくださいね」
シャロ「はい!! 失礼しましたー!」
シャーロックは相変わらずの天使のような満面の笑顔を見せて部屋を出て行った。
最初に駄目だと言ったのには何ら意味はない。
ただ、一旦落としておいて持ちあげるのは恋の駆け引きにおいては初歩のようなもの。
そういうふうにすると、シャーロックはとびっきりの笑顔を見せてくれるのだからちょっと気の毒ではあるけれど、ついそうしてしまうのだ。
あの笑顔で今日も頑張れそうな気がしますわ……
わたくしは心の中でつぶやくとまぶしい太陽のほうを見た。
13: 2011/03/05(土) 20:58:57.28 ID:tdtToVHc0
次子「わざわざトイズ復活のヒントを教えてやるなんて小衣もいいやつだなー」
平乃「嘘ですね」
咲「あいつらに無駄足踏ませたいんでしょ」
小衣「あら? あんたたち知らないの? 虹の脚のところにはすてきなものがあるって昔から言うじゃない。
小さい頃に絵本で読んでからずっと気になってたのよねー。
このチャンスを生かしてそれが何なのか、シャーロックたちを利用して見つけさせるのよ!」
次子・平乃・咲「……」
小衣「え? なに?」
平乃「意外と可愛いところもあるんですね、小衣さん」
咲「メルヘンだねー」
小衣「え? ちょっとー、どういうこと?」
次子「いやー? いいんじゃないかと思うよ?」
小衣「何でみんなにやにやしてんのよー! 何なのってばぁー!」
平乃「嘘ですね」
咲「あいつらに無駄足踏ませたいんでしょ」
小衣「あら? あんたたち知らないの? 虹の脚のところにはすてきなものがあるって昔から言うじゃない。
小さい頃に絵本で読んでからずっと気になってたのよねー。
このチャンスを生かしてそれが何なのか、シャーロックたちを利用して見つけさせるのよ!」
次子・平乃・咲「……」
小衣「え? なに?」
平乃「意外と可愛いところもあるんですね、小衣さん」
咲「メルヘンだねー」
小衣「え? ちょっとー、どういうこと?」
次子「いやー? いいんじゃないかと思うよ?」
小衣「何でみんなにやにやしてんのよー! 何なのってばぁー!」
16: 2011/03/05(土) 20:59:43.75 ID:tdtToVHc0
あたしが生徒会長室のある建物を出ると急にうしろから抱きつかれました。
シャロ「ひゃうっ!」
コーデリア「シャロ。急にひとりで走っていかないでよぉ」
シャロ「コーデリアさん……」
コーデリアさんはあたしをうしろから優しく包み込んで、耳元でそっとそう囁きました。
柔らかな花の香りがします。
エリー「一緒にいきましょう……///」
シャロ「エリーさん!」
横にはエリーさんが立っていて、遠慮がちな微笑みをあたしに見せてくれていました。
ネロ「そうそう。ちゃんと信頼してよね!」
シャロ「ネロ!」
あたしの前にネロが躍り出ました。
シャロ「みなさん……」
あたしは何だか胸の中に温かいものがこみ上げてくるようで、声が詰まるのでした。
シャロ「ひゃうっ!」
コーデリア「シャロ。急にひとりで走っていかないでよぉ」
シャロ「コーデリアさん……」
コーデリアさんはあたしをうしろから優しく包み込んで、耳元でそっとそう囁きました。
柔らかな花の香りがします。
エリー「一緒にいきましょう……///」
シャロ「エリーさん!」
横にはエリーさんが立っていて、遠慮がちな微笑みをあたしに見せてくれていました。
ネロ「そうそう。ちゃんと信頼してよね!」
シャロ「ネロ!」
あたしの前にネロが躍り出ました。
シャロ「みなさん……」
あたしは何だか胸の中に温かいものがこみ上げてくるようで、声が詰まるのでした。
17: 2011/03/05(土) 21:00:29.60 ID:tdtToVHc0
コーデリア「さーあ、いくわよぉー!」
MH「ミルキィホームズ、しゅっつどー!!」
あたしたち4人は虹に向かって走りだしました。
あたしたちの横にすっと現れたのは……
シャロ「あ、かまぼこー!」
かまぼこは走りながらこちらを見上げ軽く鳴き声をあげました。
少し強い風があたしたちのうしろから吹きます。
春風はたんぽぽの白い綿毛を巻きあげて空へと舞います。
新しい未来の花を咲かせるたんぽぽの子供たちを連れて真っ白な綿毛は雨上がりの虹がかかる空を羽ばたいてゆくのです。
あたしたちミルキィホームズもそんなふうに虹の向こうの雨上がりの未来に向かってまだまだ走り出したばかりです。
1.たんぽぽ おしまい
MH「ミルキィホームズ、しゅっつどー!!」
あたしたち4人は虹に向かって走りだしました。
あたしたちの横にすっと現れたのは……
シャロ「あ、かまぼこー!」
かまぼこは走りながらこちらを見上げ軽く鳴き声をあげました。
少し強い風があたしたちのうしろから吹きます。
春風はたんぽぽの白い綿毛を巻きあげて空へと舞います。
新しい未来の花を咲かせるたんぽぽの子供たちを連れて真っ白な綿毛は雨上がりの虹がかかる空を羽ばたいてゆくのです。
あたしたちミルキィホームズもそんなふうに虹の向こうの雨上がりの未来に向かってまだまだ走り出したばかりです。
1.たんぽぽ おしまい
引用: シャロ「あたしと5つの物語!」
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