1: 2016/10/12(水) 15:32:55.77 ID:s90wwZ2E.net
千歌「次の曲の歌詞について相談したいんだけど、今日練習終わった後いいかな?」

梨子「もちろん。どこで話そうか?」

千歌「いつも私の部屋ばっかりだから、たまには梨子ちゃん家がいいな~」

梨子「ふふ、わかった。待ってるね」

千歌「あ、それから曜ちゃ…あれ?」

梨子「曜ちゃんなら今日は水泳部の方に顔出すから練習には来られないって言ってたよ?」

千歌「…そっか」

2: 2016/10/12(水) 15:33:33.30 ID:s90wwZ2E.net
水泳部 更衣室

曜「…」

曜(何やってるんだ私、これじゃまた…)

曜(千歌ちゃんはちゃんと私を見てくれてるって、わかったじゃないか…)

曜(…千歌ちゃんはスクールアイドルの活動に夢中だ)

曜(千歌ちゃんと梨子ちゃんが曲を作って、皆で聞きながら意見を出し合って、私とルビィちゃんで衣装作って、ライブに向けて練習して…そんな毎日)

曜「…最近千歌ちゃんと二人で話、してないなぁ…」

3: 2016/10/12(水) 15:33:45.46 ID:s90wwZ2E.net
水泳部

顧問「えーそれでは今週末の大会についてだが…」

曜(…そういえば今週の日曜は大会があった)

曜(今の感じならこのままでもそこそこの成績は出せるだろう)

曜(土日もAqoursの練習があるけど、『水泳の大会に出るから休む』なんて言ったらみんな気を使っちゃうかな)

曜(『大会前くらい水泳部の方に力を入れてくれ』なんて言われそうだし、適当な理由をつけて休ませてもらおう)

6: 2016/10/12(水) 15:34:29.25 ID:s90wwZ2E.net
梨子の部屋

梨子「…うん、こんなところかな。今話してたところ直せばかなり良い詩になるはずよ」

千歌「ありがとう!今回もどうにかなりそうだよ~」

梨子「次はもっと余裕をもって完成してもらえると助かるけど…でも、私の方もかなり曲のイメージが固まってきたわ」

千歌「いつもご迷惑をおかけしております」ペコリ

梨子「ところで、もう遅いしうちに泊まらない?いつも千歌ちゃん家でお世話になってるし」

千歌「…んーん。歌詞についても覚えてるうちにまとめたいし。今日は帰るね」

梨子「そう、わかった。じゃあまたね」

千歌「ごめんね。また明日」

7: 2016/10/12(水) 15:34:49.44 ID:s90wwZ2E.net
千歌の部屋

千歌「ふぅ…」

千歌(…最近、曜ちゃんとあんまり会話してない気がする)

千歌(もちろん、Aqoursの練習中やミーティング中に話すことはあるし、授業も曜ちゃんと梨子ちゃんと一緒のことが多いけど)

千歌(なんていうか…前はもっと、曜ちゃんを近くに感じてた)

千歌(今日だって水泳部の方に行くこと、私聞いてなかった…)

千歌(…二人で始めたスクールアイドル部が、今は9人もいるんだもんね)

千歌「…曜ちゃんは、どう思ってるのかな」

11: 2016/10/12(水) 15:35:54.40 ID:s90wwZ2E.net
練習後

曜「ダイヤさん、すみません。ちょっといいですか?」

ダイヤ「はい?」

曜「実は今週の日曜なんですけど、ちょっと用事があって…練習お休みさせてもらってもいいですか?」

ダイヤ「それは構いませんけど…珍しいですね、曜さんがお休みなんて」

曜「あはは…その分、他の日の練習頑張ります!全速前進ヨーソロー!」

ダイヤ「ふふっ。気合が入ってるのは大変結構ですが、無理は禁物ですわよ?」

千歌「…」

12: 2016/10/12(水) 15:36:28.45 ID:s90wwZ2E.net
千歌「曜ちゃん」

曜「ん?どうしたの千歌ちゃん」

千歌「日曜の用事って、なに?」

曜「…ほんとになんでもないの。ちょっとした用でさ」

千歌「…そうなんだ」

曜「地区予選前なのに練習穴あけちゃってごめんね。出られる日は全力で頑張るであります!」

千歌「…うん!練習がんばろうね!」

13: 2016/10/12(水) 15:37:00.69 ID:s90wwZ2E.net
バス内

千歌(今日は梨子ちゃん、お使い頼まれたって言ってたっけ)

千歌(…結局曜ちゃん、話してくれなかったな)

千歌(ちょっと前まで、どんな小さなことでも伝えあってたのに)

ヌッ

千歌(ん?後ろの座席から手が…)

モミッ

千歌(えっ!?)

??「ン~♪果南よりはやや小ぶりなものかなり…というか曜と全くおな…あら?」

千歌「や…」フルフル

??「ん?」モミモミ

千歌「やめて…くだ…さ…」ポロポロ

鞠莉「ノ~~~~!!私よ、マリーよ!ソーリー、泣き止んで、ねっ?」

千歌「ま、鞠莉さん…?」

鞠莉「…ちょっと、寄り道してかない?」

14: 2016/10/12(水) 15:37:32.49 ID:s90wwZ2E.net
千歌「どうしたんですか?こんなところで」

鞠莉「な~んか浮かない顔してたから、チカっち。ラブライブ地区予選前にリーダーがそんなんじゃ心配でしょ?」

千歌「…べ、別にそんなこと

鞠莉「あるわよ。よかったら話して?」

千歌「ほんと、大したことじゃないんです。私の考え過ぎかもしれないし…」

鞠莉「…違ったら悪いんだけど。それって曜とのこと?」

千歌「!?どうして…」

鞠莉「ほんっとわかりやすいわね、アナタ達。見てればわかるよ」

15: 2016/10/12(水) 15:38:16.11 ID:s90wwZ2E.net
鞠莉「…なるほどね」

千歌「もしかしたら本当になんでもないことなのかもしれない。でも、曜ちゃんとは昔からどんなことでも報告し合って、共有し合ってたから」

千歌「なんで私にも話してくれないのかな、って考えたら、ちょっとブルーになっちゃってですね…」

鞠莉「…でもそれは、曜も同じだったんじゃない?」

千歌「え?」

鞠莉「東京でのライブが終わった後や、チカっちが梨子のピアノコンクールのことで考えてた時、曜はいつもアナタのことを気にかけていたはずよ」

鞠莉「多分だけど。その時曜も、今のチカっちと同じことを考えていたんじゃないかしら」

千歌「…」

17: 2016/10/12(水) 15:38:51.27 ID:s90wwZ2E.net
鞠莉「…この間ね、ダイヤの生徒会の仕事を果南と手伝っていたら、チカっちが書いたスクールアイドル部の申請書が出てきたの」

鞠莉「私、意外だった。てっきり今のAqoursは、チカっちと梨子から始まったと思ってたから」

千歌「そんな…!曜ちゃんは水泳部と兼部になっちゃうのに、一番最初に名前を書いてくれて…」

鞠莉「ねぇ、千歌。あれもこれも完璧にこなせる人間なんていないわ。でも今、スクールアイドルに夢中になるあまり、大切な他のものを疎かにしていないかしら?」

鞠莉「もし千歌にとってどちらも本当に大切なものなら、手放しちゃダメだよ。スクールアイドルも、曜のことも」

千歌「…うん。ありがとう、鞠莉さん―――」

18: 2016/10/12(水) 15:39:40.11 ID:s90wwZ2E.net
水泳大会 当日

曜(もうすぐ私の番…今頃みんなは練習中かな)

曜(客席ではママが応援してくれてるはずだ)

曜(…千歌ちゃんも、私が大会に出るって聞くと決まって応援に来てくれてたな)

曜(ダメダメ、変なこと考えちゃ。さぁ本番だ、集ちゅ…)




千歌「よーーーーーちゃーーーーーーん!!!!!」

19: 2016/10/12(水) 15:40:33.04 ID:s90wwZ2E.net
曜(千歌ちゃん!?なんでここに??今日は練習のはずじゃ…)

千歌「がんばれーーーーーー!!!!!!」

曜(…いや。ここは集中しなきゃ。だって)

千歌「よーーーーーーーちゃーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!」

曜(千歌ちゃんが見てるのに、カッコわるいとこみせられないから――!!)

20: 2016/10/12(水) 15:41:37.30 ID:s90wwZ2E.net
大会終了後

千歌「曜ちゃん!お疲れ様!」

曜「千歌ちゃん、どうしてここに!?練習は?」

千歌「えへへ、私も休ませてもらっちゃった」

曜「っていうか、私がこの大会に出るってどうして…」

千歌「水泳部の顧問の先生に聞いちゃった。曜ちゃんの様子ヘンだったから、どうしても気になって」

千歌「でも、やっぱりすごいね曜ちゃん!スクールアイドルと兼部なのに、優勝しちゃうなんて」

曜「…そんなことないよ」

千歌「曜ちゃん?」

21: 2016/10/12(水) 15:42:27.14 ID:s90wwZ2E.net
今なら、思ってることを素直に伝えられる気がする

曜「私ね、水泳部だとか衣装係だとかでカッコつけてるけど、そんな大した人間じゃないんだよ」

曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんが一緒にいると、なんだか話に入っていきづらくて、モヤモヤして…」

曜「…たぶん、梨子ちゃんに嫉妬、してたんだと思う。情けないよね」

曜「梨子ちゃんのことも大好きなのに。なんだか千歌ちゃんを取られたみたいに感じて」

曜「東京から帰ってきた後も、梨子ちゃんがピアノコンクールに行くのを決めたときも、いつも千歌ちゃんの隣には梨子ちゃんがいて」

曜「千歌ちゃんとも、今までみたいに話せなくなっちゃって…」ジワ…

曜「ほんっと、情けないよね…」ポロポロ

22: 2016/10/12(水) 15:44:47.37 ID:s90wwZ2E.net
千歌(曜ちゃん、やっぱり鞠莉さんの言ってた通り…)

千歌「曜ちゃん!」ヒシッ

曜「ち、千歌ちゃん!?」

千歌「ごめんね、私周りが見えてなかった。スクールアイドルを知って、梨子ちゃんが転校してきて、9人も仲間が増えて」

千歌「曲作ったり、ライブしたり、PV撮ったりして、スクールアイドルに夢中になってた」

千歌「でも、最近気付いたの。昔からそばにいるのが当たり前だった曜ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないか、遠くに行っちゃうんじゃないかって思ったら」

千歌「それがどんなに寂しいか。今までいつも一緒だった曜ちゃんが、どれだけ大切な存在だったのか」

千歌「小さい頃から幼馴染の、大好きな曜ちゃんに、代わりなんていないんだって!」

23: 2016/10/12(水) 15:45:50.58 ID:s90wwZ2E.net
千歌「私、これからも曜ちゃんと一緒にいたい。また何かに夢中になって、周りが見えなくなっちゃうことがあるかもしれないけど」

千歌「曜ちゃんが大好きだって気持ち、もう忘れたりしない――!」ギュッ

曜「千歌…ちゃん…」

曜「うわああぁぁあああん…!!」

24: 2016/10/12(水) 15:46:54.35 ID:s90wwZ2E.net
梨子「…そう、そんなことがあったんだ」

曜「梨子ちゃんにはこの間電話でも当たっちゃったりして、申し訳ない…」

千歌「電話?」

曜「ああいや、こっちの話で…」

千歌「ともかく、私ね、この3人が集まれたこと、本当に奇跡だと思ってる。だから、曜ちゃんとも、梨子ちゃんとも、ずっと一緒にいたい」

曜「でも、みんな優しいから、自分が何か困ったことや悩んでることがあっても『なんでもない』って遠慮しちゃうでしょ?」

梨子「だからこの3人の間では、極力隠し事はナシにしよう…ってことね」

千歌「うん、だってそれが『親友』だと思うから。…どうかな?」

梨子「賛成!私だって、二人とずっと一緒にいたいもの。転校してきたばっかりの私に居場所をくれた、千歌ちゃん、曜ちゃん」

梨子「改めて、これからもよろしくね!」

ようちか『うん!』

26: 2016/10/12(水) 15:47:39.88 ID:s90wwZ2E.net
梨子「…曜ちゃん。隠し事ナシってことだから、ひとつ言っておくけれど」

曜「?」

梨子「私は千歌ちゃんのこと、諦めてないからね?」

曜「えっ!?」

梨子「お互い頑張りましょう♪」

29: 2016/10/12(水) 15:48:24.64 ID:s90wwZ2E.net
短いけど終わり
初SSでした

30: 2016/10/12(水) 15:49:53.62 ID:DKVdndJJ.net

ストレートでとてもよかった



引用: 千歌「梨子ちゃーん」 曜「…」