354: ◆cKpnvJgP32 2015/07/25(土) 00:30:18.21 ID:4g6m97E0o


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ


どうもみなさん、7月25日ですね、ええ、私だ
今回のSSはちょっと、何というか……アレです
露骨なラブコメ、というレベルを超えた、もはや夢小説のような内容なので注意しましょう

ほぼIFのようなものなので、メタネタスレに投稿しようかとも悩んだけど
「誕生日だし、いっか」精神でこっちに


では『恐らくこんなハッピーエンド ~行くとこまで行っちゃったよ編~』を投稿します

355: 2015/07/25(土) 00:30:48.62 ID:4g6m97E0o
――藍子と出会ってから、何年の月日が流れただろう。


――あれから色々な出来事があった。

――本当に色々あった。

――色々は色々である。一言では言い表せないほど色々だ。


――とにかく、その色々の時間を『プロダクション』で共に過ごすうち、俺と藍子は互いに惹かれ合っていき、

――いつしかその関係は交際へと発展した。

――恋人同士となってからまたしばらく時が経ち、藍子が成人すると、

――そのタイミングに合わせて今度はプロポーズを申し込んだ。

――――俺と藍子は、今では夫婦である。


――結婚式は、ささやかなものを『プロダクション』で挙げた。

――皆の祝福を受けたとても幸せな式だった。

――更に、程なくして藍子が妊娠し、そしてつい先日女の子が産まれた。

――――俺と藍子の子だ。

----------------------------------------


それは、なんでもないようなとある日のこと。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



356: 2015/07/25(土) 00:31:14.77 ID:4g6m97E0o
――今日は『プロダクション』の皆と、この子の初顔合わせの日である。


――事務所に着いた時、何人かはまだ来てないようだったが、

――既に集まっている皆は一様にそわそわした面持ちでスタンバってたようだ。

―― 一同は、俺と藍子……

――というか、藍子の腕に抱かれ、スヤスヤと眠っている赤ん坊を見ると、小さく歓声をあげた。



ピィ「……ということで皆、これがうちの子だ」

赤子「( ?ω? ) スヤァ…」


未央「うわぁ……っ! 可愛い~っ!」

ちひろ「この子が二人の……」

楓「とてもキュートですね……、きゅーっと抱きしめたくなります、ふふっ」

美玲「こ、こんなに小っちゃいのか……」

晶葉「何だか不思議な感じだな……」

愛海「ほわぁぁ……」

アーニャ「プレクラスニー……! 可愛いです!」

薫「もっとよく見せてーっ!」

メアリー「か、カワイすぎるワ……」

千枝「……………………」

357: 2015/07/25(土) 00:34:00.11 ID:4g6m97E0o
ピィ「はい、みんな十人十色の反応ありがとう、しかし一旦落ち着こう」


社長「いいものですな……」

博士「いいものですなぁ……」

ピィ「そこのお二人もしみじみしてないで」


藍子「ふふっ、こんなに喜んでもらえると、私まで嬉しくなっちゃいます」

ピィ「どうだ俺の妻は天使だろう」

未央「爆発しろ!」

ピィ「爆発しない!」

358: 2015/07/25(土) 00:34:40.82 ID:4g6m97E0o
ピィ「えー、こほん……」

ピィ「まだ何人か来てないけど、ひとまず今いる皆」

ピィ「今日はこの子のために集まってくれてありがとうな」

ピィ「皆にはいつも本当に感謝してる」

ピィ「この子が産まれる前も――」

メアリー「ンもう、堅苦しいのはナシにしましょうヨ」

ピィ「……そうか?」


薫「はいはーい! 名前はなんていうのーっ?」

ピィ「ああ、そういえばまだ言ってなかったな」


ピィ「この子の名前は……」

359: 2015/07/25(土) 00:35:07.87 ID:4g6m97E0o
――名前に関して、ずっと決めていたことがある。

――『青は藍より出でて藍より青し』ということわざに倣って、

――藍子から産まれたこの子が、素敵な子に育って欲しいという思いを込め、

――『青』という字を入れたい、と。


――すくすくと、日の光を浴びて元気よく成長して欲しい、

――そして、周りの気持ちも明るくできる、そんな子になって欲しい。

――……という意味で付けた名前。


――この子の名前は。


ピィ「”青葉”っていうんだ」

360: 2015/07/25(土) 00:35:33.86 ID:4g6m97E0o
未央「艦こ――」

ピィ「関係ない、茶化すな」

楓「青葉ちゃんですか」

ピィ「はい」

楓「青葉……、あおば……」

ピィ「人の子供でダジャレを考えないで下さい」

薫「素敵な名前っ!」

ピィ「一番最初にそれが聞きたかった」


晶葉「苗字は高森になるわけか?」

ピィ「……そうなるな」

メアリー「複雑な家庭の子みたいネ」

ピィ「実際に複雑な家庭なんだから仕方ないだろ」

社長「複雑って、キミィ」

ピィ「だいたいアンタのせいだよ!」

361: 2015/07/25(土) 00:36:06.27 ID:4g6m97E0o
ピィ「まぁ、ともかくだ」

――言いながら、俺は、ちら、と藍子に目配せをする。

――それに気づいた藍子が小さく頷き、柔らかく微笑んだ。好きだ。


藍子「未央ちゃんっ」

未央「ん? なになにー?」

藍子「はい、抱いてあげてください」

未央「えっ、ええーっ!?」


ピィ「是非、皆にこの子を抱いてもらいたいんだ」

アーニャ「抱いて回すわけですね」

ピィ「……言い方がちょっとアレだけど、そうだな」

362: 2015/07/25(土) 00:36:38.90 ID:4g6m97E0o
――そういえば、さっきからずっと気になっていたんだが。


周子「……」

沙理奈「……」

ピィ「何でそこの二人はちょっと離れてるんだ?」


周子「やー、ほら、あたし達は属性がさー」

沙理奈「ねぇ、あんまり、良くないでしょ……」

ピィ「なに言ってんだ、二人にはずっと助けられてきたんだから」

周子「そうは言ってもねー……」

沙理奈「アタシの正体知ってるでしょお? 普通は近寄らせないわよ」

ピィ「そんなの気にしないから、こっちに来いって」


藍子「私からもお願いします」

周子「……じゃー、いいけどさ」

沙理奈「あんま縁起は良くないわよ?」

ピィ「縁起が良い奴がいるから平気平気」

363: 2015/07/25(土) 00:37:10.60 ID:4g6m97E0o
未央「ああぁ~……っ(泣)」


周子「その『縁起の良い奴』が、なんか泣いてんだけど」

ピィ「おわっ!? どうした未央!」

藍子「未央ちゃんっ!?」


未央「ピィさんとあーちゃんの子ぉ……っ!」

未央「こんなに……、こんなに尊い命があるなんて……!」

未央「私、二人に会えて良かったぁ~~っ……!」


ピィ「いや、泣くほどのことか……」

藍子「あはは……」

未央「うっ、うっ……、尊い……」

ピィ「……」

――いや、この子が産まれてきた時は俺も泣いたけどさ

364: 2015/07/25(土) 00:37:47.75 ID:4g6m97E0o
ピィ「じゃあ次は、ちひろさん」

ちひろ「あら、いいんですか?」

ピィ「そりゃ勿論」

ちひろ「普段、鬼とか悪魔とか……」

ピィ「今その話しなくていいでしょ」

ちひろ「じゃあお言葉に甘えて」


未央「はい、どうぞ……」グスッグスッ

ちひろ「はい、どうも」

青葉「スヤァ…」


――涙ぐむ未央から、ちひろさんの元へ青葉が渡った。

――しかし、こんだけ喧しい上、色々な人に抱っこされてるのに、眠ったまま全然起きる気配がない。

――我が子ながら、随分と肝が座ってるなぁ。

――……いや、鈍感なのか?

365: 2015/07/25(土) 00:38:17.22 ID:4g6m97E0o
ちひろ「わぁ、可愛いですねぇ」

ちひろ「青葉ちゃんが産まれたのも、私のおかげですよね?」

ピィ「いや何でですか」

ちひろ「えっ、だって一時期私のドリンクを買い込んでた頃がありましたよね?」

ピィ「……ありましたけど」


ちひろ「ハッスル、されたんでしょう……?」

ピィ「下世話な話はやめろォ!!」


ちひろ「下世話ってことは無いでしょう、ハッスルしなきゃ子供はできないんですから」

ピィ「だからそれ今する話じゃないでしょうって、ハッスルハッスル言わんでください」

藍子「求められるのは……、その……、嬉しいんですけど……」モジモジ

藍子「数が多いと、やっぱり、その……、疲れてしまって……」モジモジ

ピィ「藍子、今自分が何言ってるかわかってるか?」


千枝「………………」

周子(あー……)

沙理奈(あー……)

366: 2015/07/25(土) 00:38:49.38 ID:4g6m97E0o
ピィ「はい次! 次は美玲な」

美玲「おッ、おう……!」


ちひろ「じゃあ、はい、こうやって頭を支えるように……」

美玲「う、うん……」

周子「爪出しちゃ駄目だよー」

美玲「出すかッ」



青葉「スヤァ…」

美玲「うわぁー……」

美玲「お前ほんとに小っちゃいな……」

美玲「軽いし、メッチャ弱そうだし……」

美玲「ウチらが守ってやんないとだなッ!?」

周子「落ち着いてー」

367: 2015/07/25(土) 00:39:17.16 ID:4g6m97E0o
ピィ「そのまま次は周子だな」

周子「えー、ほんとに良いの?」

ピィ「良いって言ってるじゃんか」

周子「やめた方がいいと思うんだけどなー、あたしみたいなのがさー」

ピィ「くどいぞ」

周子「はいはい」

美玲「は、早く……」



周子(しかしまぁ、未央ちゃんが泣くのもわかるよ)

周子(なんてったって、あの二人の子なんだもんね)

周子(……小さな命)

周子(戯れに奪ってきたことだって、何度もある)

周子(ピィさんはあー言うけど、やっぱあたしには資格が無いと思うよ)

周子(ああ、でも、やっぱり……)


周子「はー、いいものですなー」

社長「わかる」

博士「わかる」

ピィ「次ー」

368: 2015/07/25(土) 00:40:29.18 ID:4g6m97E0o
周子「ほい、社長」

社長「おお、次は私でいいのかねピィ君」

ピィ「どうぞ」



社長「ううむ、何度体験しても、いいものだな」

社長「新しい命、若い力、次の世代……」

社長「素晴らしいよ、実に嬉しいねぇ……」

ピィ「社長には、本当に感謝しています」

社長「おや、どうしたんだい急に」


ピィ「育児の時間を取りたい、という俺の希望を聞いてくれたじゃないですか」

社長「ああ、そのことかね」


――青葉が産まれたら、俺は育児休暇を貰いたいと考えていた。

――藍子と青葉との一緒の時間を大切にしたいと思っていたのだ。

――しかし、プロデューサーという重要な役職にいる自分には難しいのではないか、という不安もあった。

――実際、社長も難色を示したが……。

369: 2015/07/25(土) 00:40:57.23 ID:4g6m97E0o
社長『いっそ、『プロダクション』に連れてきてあげればいいんじゃないかね?』

ピィ『えっ!?』

社長『勿論、君が良ければ、だがね』

ピィ『というかむしろ、……良いんですか?』

社長『当然だとも、……ああ、他の子たちの同意も必要だがね』

社長『しかし、うちには女の子も多いし、皆にもいい経験になるんじゃないかな』

ピィ『あ、ありがとうございます!』


――なんと、『職場に娘を連れてきてもいい』という許可をくれたのだ。

――他の皆もその提案に快諾してくれて、育児の手伝いまでしてくれるという。

――正直言って申し訳ないくらいの待遇だ。

――本当に感謝しかない。

370: 2015/07/25(土) 00:41:25.72 ID:4g6m97E0o
社長「さて、そろそろ……」

ピィ「そうですね、じゃあ次は博士どうぞ」

博士「おお、私か」

博士「ではピィ君、娘さんをお預かりするよ」



博士「しかし感慨深いものだな……、そうか、ピィ君も父親か」

博士「ふふっ、大変だぞ、子供を育てるというのは」

博士「私も薫を育てるのに随分と苦労してるからな」

ピィ「肝に命じておきます」


薫「先生っ! 薫もう子供じゃないよ!」

博士「そう言ってるうちはまだ子供だよ、薫」

薫「もー!」

371: 2015/07/25(土) 00:41:53.92 ID:4g6m97E0o
ピィ「それじゃ、次は薫ちゃんが抱いてあげてくれるかな?」

薫「はーいっ」



薫「うわぁー、こんなに軽いんだ!」

薫「可愛いなぁー……」

薫「お父さんがピィさんで、お母さんが藍子ちゃんで」

薫「青葉ちゃんってば幸せ者ーっ」

ピィ「そう言われると……」

藍子「なんだか照れちゃいますね……」


メアリー「カオル、いつまで抱っこしてるのヨ、ソロソロ次の順番じゃないカシラ?」

薫「あっ、ごめんね」

メアリー「ま、まぁ、アタシは別にいつでもいいんだけどネ……?」チラッ

薫「そっか! じゃあ次は晶葉ちゃ……」

メアリー「ぁ……」

372: 2015/07/25(土) 00:42:24.95 ID:4g6m97E0o
薫「なんて嘘だよー、メアリーちゃんさっきからずっと抱っこしたそうだったもんね!」ニコニコ

メアリー「チョッ……、いつからそんなにセイカク悪くなったのヨあなた……」

晶葉「別に構わんが、私をダシに使わないでもらいたいな」

薫「じゃあ、はい」

メアリー「う、うん……、こうカシラ……」



メアリー「オゥ……」

メアリー「だめヨ……」

メアリー「だめだワ……」

メアリー「このプリティーさは罪ヨ……」

メアリー「ヤバイワ……」

沙理奈「あの子大丈夫かしら」


ピィ「じゃあ次、沙理奈さんお願いします」

沙理奈「ええ、本気ぃ……?」

周子「ほらほらー、あたしも抱っこしたんだからー」

373: 2015/07/25(土) 00:42:52.03 ID:4g6m97E0o
沙理奈「……普通、悪魔と知ってて自分の子を預ける親なんていないわよ?」

ピィ「さぁ、悪魔と言われても俺にはピンと来ないし」

ピィ「それに、何かあったら天敵がやっつけてくれるんでしょう?」


未央「尊い……」グスッグスッ

藍子「未央ちゃん、大丈夫……?」ナデナデ


沙理奈「その天敵があの状況なのよ」

ピィ「……まぁ、いいから早よ」

沙理奈「知らないわよぉ?」



青葉「スヤァ…」

沙理奈(はぁ……、悪魔に「自分の子を抱っこしてください」なんて……)

沙理奈(とことん変わってるわよねぇ、ピィさん)

沙理奈(赤子を頃すことくらい、アタシには訳無いのよ?)

沙理奈(……って、それも随分昔の話なんだけど)

沙理奈(でも、ま……)

沙理奈「ウフッ、本当に可愛いわ、食べちゃいたいくらい」

未央「食べないでね」

沙理奈「……未央ちゃん、目がマジよ」

374: 2015/07/25(土) 00:43:21.69 ID:4g6m97E0o
沙理奈「さぁて、未央ちゃんにお仕置きされる前に……」

沙理奈「じゃあ、晶葉ちゃん」

晶葉「む……、私か……」

沙理奈「ウフ、落としたりしちゃダメよぉ?」

晶葉「ふ……、天才を舐めてもらっては困るな」



晶葉「ピ、ピィ……、藍子……、抱き方はこれで合ってるか? 間違って無いよな? ねぇ、大丈夫……?」

ピィ「落ち着け晶葉、合ってるし大丈夫だから」

晶葉「そ、そうか、なら問題ないな……」

青葉「スヤァ…」


晶葉「しかし、こう……、改めてつくづく不思議な感覚だな」

晶葉「私がロボットを作る事とは訳が違うんだものな……」

晶葉「今ここには、確かに新しい”命”があって」

晶葉「そしてそれはピィと藍子の”命”を継いでいる」

晶葉「私の立ち位置は対極に居るようで、しかし、だからこそ常々考えるよ」

晶葉「”命”とは何か……、とな」

375: 2015/07/25(土) 00:43:48.59 ID:4g6m97E0o
愛海「……」ジッ

晶葉「ん……? 次はお前が抱くか、愛海?」

愛海「うっひょー! 待ってました!!」

ピィ「師匠」

愛海「ん……? 何かねピィ君?」


ピィ「周子には抱かせる、沙理奈さんにも抱かせる」

ピィ「 愛 海 に は 抱 か せ な い 」

愛海「アイエエエエエッッ!?」


愛海「何で!? ホワイ!? 説明を要求する!!」

ピィ「師匠……、こと”おっOい道”に於いて、俺は君を一番に尊敬している」

藍子「……」

周子(藍子ちゃんのあれは”おっOい道”に関してピィさんと一悶着あった顔だ……)

未央(いや、えっ、”おっOい道”……?)


ピィ「だがな、だからこそ愛海! 貴様に俺の娘を預ける訳にはいかんのだ!!」

愛海「ぬぐぅッ!! 小癪な! 子供が産まれた途端急に父親感を出しおって!!」

376: 2015/07/25(土) 00:44:20.81 ID:4g6m97E0o
ピィ「尊敬はしているがな! それ以上に信頼をしていないんだ!!」

愛海「くっ……、身に覚えがありすぎて何も言い返すことができない……!」

愛海「……でも、浅いね!! 女の子の柔らかい部分がおっOいだけだなんて、あたしは一言も言ってないよ!!」

ピィ「なんだと!?」

愛海「いくらあたしといえど、0歳児に変な事はしないよ!!」

ピィ「それは……、確かにその通りかもしれんが……、だが……」

愛海「ふっ、まあ安心して見ててよ……」


愛海「晶葉ちゃん」

晶葉「……いや、この流れでお前にこの子を渡すのは誰でも躊躇うと思うぞ」

愛海「いいからいいから」

晶葉「……いいのか?」

ピィ「あまりよくないが、まぁ……」

377: 2015/07/25(土) 00:44:47.95 ID:4g6m97E0o
――愛海よ、一応信用はするが、仮に何かあったらグーでいくからな。

――あと娘よ、嫌なら抵抗していいんだからな、泣いて喚いて構わないんだぞ。

――ほら、邪悪なオーラを感じるだろ、君は聡い子だ、わかるだろ?

――……わからんのか? マジでにぶいのか?

――将来変な奴に騙されたりしないだろうな。

――そんなんじゃお父さん心配になっちゃうぞ。


青葉「スヤァ…」

愛海「ふひひ……、可愛いなぁ……」

愛海「ほっぺた……、やぁらかい……」プニプニ

愛海「うひ、うひひ……、うひょへひへは……」プニプニ

青葉「スヤァ…」


ピィ「……確かにほっぺたなら許すが」

ピィ「しかし見るに耐えんな、愛海のあの様子は……」

378: 2015/07/25(土) 00:45:14.98 ID:4g6m97E0o
ピィ「愛海、そろそろ」

愛海「うひひ……、はぁい」

愛海「うーん、名残惜しいけど仕方ないよね」


ピィ「じゃあ次は千枝ちゃん」

千枝「………………はい」

周子(うわぁ……)

沙理奈(うわぁ……)



千枝(みなさんこんにちは、佐々木千枝です)

千枝(今、千枝の腕の中には、好きな人の子供がいます)

千枝(とても可愛いです、まるで天使のようです)

千枝(…………当然、千枝の子ではありません)

千枝(今のこの感情を、どう表せばいいのかわかりません)

千枝(憎いとか、悲しいとか、そういう負の感情では無いと思います)

千枝(二人が付き合った時とか、結婚した時に、色々と心の整理は付けました)

千枝(でも、やっぱり複雑です……)

千枝(この子が、お兄さんと千枝との子だったらな、なんて……)

千枝(……ダメダメ! これからは応援していくって決めたんだから!)

千枝(以上、佐々木千枝でした!)


千枝「とっても可愛いですね」

藍子「ふふっ、ありがとう」

ピィ「千枝ちゃんは優しいなぁ」

千枝「えへへ……」

周子(不憫や……)

沙理奈(強く生きるのよ……)

379: 2015/07/25(土) 00:45:45.32 ID:4g6m97E0o
ピィ「じゃあ次はアーニャ」

アーニャ「ダー、私の番ですね」

千枝「……」

アーニャ「千枝……?」

千枝「あっ、ごめんなさい、ちょっとぼんやりしてて……」



アーニャ「ティオプリー……、温かい……」

アーニャ「こんなに小さくて……、とても大切です……」

アーニャ「沢山の失くなってしまう命があって……」

アーニャ「でもこうやって、新しく生まれてくる命もある」

アーニャ「……ピィさん」

ピィ「ん?」

アーニャ「私、また守りたいものが増えました」

アーニャ「でも……、それが幸せです」

ピィ「そうか、アーニャが守ってくれるなら心強いよ」

380: 2015/07/25(土) 00:46:12.53 ID:4g6m97E0o
ピィ「じゃあ最後は楓さん」

楓「あら、ようやく私の番ですね」

アーニャ「楓、どうぞ」

楓「はい、お預かりします」



ピィ「どうですか?」

楓「重たい、ですね……、ずっしりと」

楓「命の重みを感じます」

楓「でも、今はもうあまり怖くない……」


楓(あの時ピィさんが掛けてくれた魔法のおかげ、かしら)

楓(拳銃を向けられた時、本当なら私の方が怖いはずなのに、そんな恐怖は無かった)

楓(だって、ピィさんを信用してたから、信頼してたから……)

楓(この人が撃つことは絶対に無いって、心の底から信じていたから)

楓(『私の事も、それくらい信用してくれてるのかしら』……って)

楓(そう思ったら、この”力”も、急に怖くなくなった)

楓(ピィさんが私を信用してくれてるのだもの、だったら私も私を信用してみよう)

381: 2015/07/25(土) 00:46:41.92 ID:4g6m97E0o
楓「あ、そういえば、お誕生祝いを持ってきてたんですよ」

ピィ「そんなわざわざ、ありがとうございます」

楓「気が早いかもしれないけれど、赤ちゃんの為にミルクせんべいびーっくりする程……、ふふっ」

ピィ「そんな一杯は……、ん?」

ピィ「……」

ピィ(ミルクせんべいびーっくりする程……)

ピィ(せんべいびーっくり……)

ピィ(せん”ベイビー”っくり……)

ピィ「は、ははは……」

楓「うふふ」


社長「そうだった、お祝いなら私からもあるんだ」

――そう言って、隅にある布の掛けられた大きな物体へと社長が歩を進める。

――事務所に来た時から気になっていたが、あれは俺たちへのプレゼントだったのか。

――本当に何から何までありがたいことである。

382: 2015/07/25(土) 00:47:12.35 ID:4g6m97E0o
社長「勿体ぶって隠す事も無いだろうとも思ったんだが、どうせならサプライズを、とね」

――社長が布に手をかけ、スルスルと回収する。

――そして姿を表したのは……。


藍子「わぁ……」

ピィ「ベビーベッド……、ですか?」

社長「うむ、いかにも」


ピィ「こんな立派な……、ありがとうございます!」

藍子「ありがとうございますっ」

社長「なに、私が言い出したことなのだから、その為の用意くらいはしておかないとな」

ピィ「本当に、何てお礼を言ったらいいか……」

社長「気にすることはないよ、我々も嬉しいんだ」


社長「それよりも、よければ是非寝かせてあげてくれないかな?」

ピィ「勿論です! じゃあ、藍子」

藍子「いえ、青葉は今……」

楓「あ、まだ私が抱っこしてます」

ピィ「そうだった……」

383: 2015/07/25(土) 00:47:42.04 ID:4g6m97E0o
――青葉がベビーベッドに寝かせられ、その周りを皆が囲んだ。

――寝顔を眺めながら、思い思いの感想を口にしている。

――そんな様子を、俺と藍子は一歩後ろから離れて見ていた。

――隣にいる藍子の肩を優しく抱き寄せて、一緒に幸せを噛みしめる。


藍子「ピィさん……」

ピィ「ああ」

藍子「私……、今すごく幸せです」

ピィ「うん、俺もだ」

藍子「……ピィさん」

ピィ「どうした?」

藍子「愛してます」

ピィ「……俺もだよ」

藍子「はっきり言葉に出してほしいな……」

ピィ「……」

ピィ「愛してるよ、藍子」

藍子「うふふっ」

ピィ「あははっ」

384: 2015/07/25(土) 00:48:15.57 ID:4g6m97E0o
はい
えー、以上です

ほら、一年に一回だから、普段と違う特別な日だから、と
リビドーの赴くままに書いてたら、なんか、まぁ……、こんな感じになりました
しかも読み返すと、あんま藍子出てないな

もしもの話ですが、基本的にはこういう結末になると考えています
『プロダクション』がバッドエンドになることは無いと思ってる

古賀家と沢田家が『プロダクション』にやってくる、というお話の予定を聞いていたので
未来の話だし、登場させようかとも思ったけど、一応やめておきました
IFの話、ということで、いるかもしれないし、いないかもしれない的な
今回の話も『何人かはまだ来ていない』という、ふわっとした表現で可能性を残してあります
それ以外の面子がもっと増えてるかもしれないし、ひょっとしたら、減っているかもしれない

386: 2015/07/25(土) 01:24:21.39 ID:oWV52DSd0
乙ですー
いいのよ、シェアワ要素があればなんでもいいのよ(暴論)
ハッピーエンドすぎるしなんだか読んでて幸せになりますな…(千枝ちゃんは不憫だったけども仕方なし)
悪魔も妖狐も師匠も受け入れる、そういう懐のデカさもプロダクションならではというところか



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12