1: 2016/10/15(土) 22:30:47.88 ID:lsZ1d4/e.net
千歌「ふんふんふ?ん♪」

ダイヤ「なに鼻歌なんか歌ってるんですか」

千歌「だってダイヤさんと二人っきりなんですもん!」

なんだかデートみたいでウキウキします!
デートじゃないけど…



日曜日、アイドル雑誌を買いに行こうと沼津の本屋さんに出かけ、ちょっと立ち読みしていると後ろから肩を叩かれた


振り向くと、そこには着飾ったダイヤさん
そして、ダイヤさんの指が私の頬を直撃していた

3: 2016/10/15(土) 22:32:22.22 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「まさか引っかかるなんて!」ケラケラ

千歌「ほんとにもう?!ダイヤさんの意地悪?!」

 

私達は本屋を出て街を歩く
ちょっとポツポツと雨粒が落ちてきているけど、気にするほどでは無い


千歌(でも、これがダイヤさんの素なんだろうな…
    そんなお茶目な所も可愛いです!)



 

千歌「な?んて言ったらどう反応されるんだろ」


 

ダイヤ「どう言うんですの?」ズイッ

ダイヤさんの目が急に凛々しくなり私の顔を見つめる

 

千歌「え、なんでもなんでもないです独り言で…」アタフタ

4: 2016/10/15(土) 22:34:34.06 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「…まぁ、独り言を詮索する気はないので、大丈夫ですよ」

千歌(ほっ…)


千歌(もしこれがダイヤさんじゃなくて、曜ちゃんや鞠莉さんなら聞き出すまでは諦めないんだろうな?
   なんて思ったり…)



ダイヤ「そういえば、その雑誌、千歌さんもその本屋で買っていらしたのですね」

千歌「はいっ!ダイヤさんもだったなんて…奇遇ですね?」


ダイヤ「本当奇遇…ちなみに私は中学の時から買っていますよ、その雑誌」フフン

千歌「本当ですか!?見たいです!」キラキラ


私は思わずその話に食いつく。やっぱりスクールアイドルは大好き!

5: 2016/10/15(土) 22:36:01.01 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「では、これから私の部屋に行きますか?」

千歌「え、いいんですか!?」ガバッ!


ダイヤ「は、はい…」ヒキッ



千歌(ダイヤさんの部屋で二人きり…
くぅぅぅ!なんかこれってお家でデートみたいだよね!そーだよね!)

8: 2016/10/15(土) 22:41:00.98 ID:lsZ1d4/e.net
千歌「やったなぁ…デート」ボソッ

嬉しさのあまり顔を緩るませ、口も思わず緩む

 

ダイヤ「え!?千歌さんデートした事ありますの!?」


突然ダイヤさんが大声を上げる


 


千歌「えっ?デート…」

ダイヤ「曜さんですか?梨子さん?それともまさかルビィ…!?いや、中学の時ですか?」

9: 2016/10/15(土) 22:41:26.53 ID:lsZ1d4/e.net
千歌「やったなぁ…デート」ボソッ

嬉しさのあまり顔を緩ませ、口も思わず緩む

 

ダイヤ「え!?千歌さんデートした事ありますの!?」


突然ダイヤさんが大声を上げる


 


千歌「えっ?デート…」

ダイヤ「曜さんですか?梨子さん?それともまさかルビィ…!?いや、中学の時ですか?」

14: 2016/10/15(土) 22:46:43.13 ID:lsZ1d4/e.net
千歌(あぁ、そういうことですか…)

千歌「そんな?曜ちゃんや梨子ちゃんやルビィちゃんとデートした事なんあるわけないですか?」ヘラヘラ


ダイヤ「そうですか…」ホッ

 

千歌(ダイヤさんどうしたのかな?いきなり面相変えて
    私がデートしていたら先を越された?みたいな感じなのかな~)

 


千歌(私がデートしたいのは…ダイヤさんだけなのに…)


 


千歌「でも…」

ダイヤ「!?」



千歌「デートする予定はたった今入りましたよ?」

15: 2016/10/15(土) 22:47:28.74 ID:lsZ1d4/e.net
千歌(あぁ、そういうことですか…)

千歌「そんな~曜ちゃんや梨子ちゃんやルビィちゃんとデートした事なんあるわけないですか?」ヘラヘラ


ダイヤ「そうですか…」ホッ

 

千歌(ダイヤさんどうしたのかな?いきなり面相変えて
    私がデートしていたら先を越された?みたいな感じなのかな~)

 


千歌(私がデートしたいのは…ダイヤさんだけなのに…)


 


千歌「でも…」

ダイヤ「!?」



千歌「デートする予定はたった今入りましたよ?」

16: 2016/10/15(土) 22:53:26.10 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「誰ですの!教えなさい!」


ダイヤさんの両手が私の肩を掴む
ダイヤさんの顔が私の顔の至近距離に来る


 


千歌(あーもうキスしちゃいたい…ちゅっちゅーしたい…)

千歌(キスしたらどんな反応するんだろ…嫌われちゃうかな…)

千歌(まぁ…だからしない…いや、できないんだけどね)


 


ダイヤ「一体!誰と!デート!」

千歌「それはですね…ダイヤさんが一番よく知ってる人ですよ」

ダイヤ「誰ですの…?まさかルビィ…?」

 

千歌「言い直します、
   世界の誰よりもダイヤさんよりその人の事を知っている方はいない!
   っていう人物です!」

 

ダイヤ「だから誰ですの~…」

17: 2016/10/15(土) 23:02:08.77 ID:lsZ1d4/e.net
片手で頭を押さえて人物の特定に勤しむダイヤさん

そう、正解は貴女ですよ、ダイヤさん
私とこれからデートする相手はダイヤさん

そう言えたらどれだけ楽なんだろう

 

千歌(結局、仲の良い先輩後輩の域でしかないんだよね)

 

未だウンウン唸りながら考えているダイヤさんを見ながら
自分の中でそういう結論が出て、一人で勝手に落ち込む


千歌「あの…ダイヤさ…」


言いかけた時、突如として小雨が豪雨に変貌して
私達に襲い掛かってきた

18: 2016/10/15(土) 23:03:29.58 ID:lsZ1d4/e.net
ザァァァァァァァァァ!!!!!

 

ダイヤ「うわっ!冷たいですわ!」

千歌「ひぇ?!」

 

私達は猛ダッシュでバス停の目の前の店まで走る
次のバスを逃したら、その後は1時間も待たなければいけないからね

 

千歌「もう!いきなり雨が降ってくるなんて…ツイてないよ?!」

私はダイヤさんの前に立ち、ダイヤさんに背を向け
外の景色に恨めしい視線を送りながら愚痴る

19: 2016/10/15(土) 23:04:43.61 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「ほんっとツイてないですわね…
全身びっしょびしょですわですわ…」

千歌「私もですよー…」


私は声に応えながら後ろに身体を向ける

振り向いた私はダイヤさんの姿に、しばし見とれてしまった

 

千歌(なんて美しいんだろう…)

20: 2016/10/15(土) 23:10:24.34 ID:lsZ1d4/e.net
雨のせいで肌に張り付く、ダイヤさんのいつもよりも色っぽい黒髪

肌をつたう水滴を煩わしそうに拭く仕草



千歌(いつも綺麗だ綺麗だ思っていけれど…)

千歌(そんないつもの姿が…ダイヤさん的に言えば、「砂利」に思えるな…)

千歌(それ位、今のダイヤさんは絶世の美女に見えるや…)


 

千歌(いつものダイヤさんが砂利なら、私はさぞかし砂粒ってとこかな)

私は自嘲する

21: 2016/10/15(土) 23:17:35.40 ID:lsZ1d4/e.net
タオルを取り出して顔や首元をフキフキするダイヤさんを
私は微動だにせず見つめていた


千歌(そのタオル、欲しい)


雨とは言え、ダイヤさんの身体にこびり付き、汗と混ざりあった液体だ
それを吸ったタオルはさぞかし極上品だろうな、と


そんないやらしい事を考えている自分が少し嫌になる

22: 2016/10/15(土) 23:26:21.93 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「ん?」

ダイヤ「そうだ、千歌さんも吹いて差し上げます」

私の熱視線に気づいたのか、
ダイヤさんは私の顔にさっきまで使っていたタオルを当てる


フキフキ…


ダイヤ「…ちゃんと拭いておかなければ風邪引きますからねっ…」


私のおでこ、ほっぺ、耳の裏、口元、首筋、口元、そして鼻
あらゆる場所がタオルで撫でられる


鼻を吹かれたときなどダイヤさんのスメルを思いっきり堪能した
またさらに熱が上がる

23: 2016/10/15(土) 23:28:21.11 ID:lsZ1d4/e.net
ぴとっ


ダイヤ「んん…ちょっと千歌さん、熱くないですか?」

ダイヤさんは私のおでこに手を当てる、ひんやり。


ダイヤ「んー…やっぱり…どうしましょう、風邪引いてたら…」

そう心配げに話すダイヤさんの顔は
私から数センチの至近距離にあった


千歌(ダイヤさん…私のために心配してくれて…嬉しい…それに…)

 

目の前には雨で湿っているダイヤさんの長いまつ毛と、
プルンと潤った薄紅色の唇

24: 2016/10/15(土) 23:29:05.40 ID:lsZ1d4/e.net
千歌(あっ…ダイヤさんの吐息が顔にかかって…)

 


気がつくと私は顔を前へグイッと突き出し、
ダイヤさんの唇を奪っていた

 


ダイヤ「!?」

目の前に驚愕の表情を浮かべるダイヤさんの顔があった

25: 2016/10/15(土) 23:30:03.29 ID:lsZ1d4/e.net
「ちゅっ…ふっ…」

 


ダイヤさんは抵抗することなく、私の唇を受け入れてくれる、嬉しい

私は、ほんの数十秒だけだけど…
ダイヤさんの柔らかい唇を堪能した後、顔を離した

26: 2016/10/15(土) 23:38:49.00 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「な…な…な…///」

 

ダイヤさんは顔を真っ赤にさせて震えている


ダイヤ「いきなりどうしたんてす!千歌さん…」

 

千歌「どうって…キスですよ…」

ダイヤ「そんな事は百も承知ですわ!
なんでいきなりキスをしたかったってお話で…」



千歌「…」

ダイヤ「黙っていないで答えてください!」

27: 2016/10/15(土) 23:41:17.55 ID:lsZ1d4/e.net
千歌「…したかったから」


ダイヤ「え?」


千歌「雨に濡れて、美しすぎるダイヤさんを見ていたら、
   衝動的にキスしたくなったんです…///」


私は感情的になっているのか
思った事をそのまま言葉にして垂れ流す

正直、かなり恥ずかしいセリフ言ってるよと思いながら

 

ダイヤ「そんな…美しいって///」

 

ペラベラとお世辞を並べ立てられたように聞こえたのだろう

日頃から軽口を叩き合ってる後輩に
改まって言われてらこうなるのは分かる


でもね、ダイヤさん

これはお世辞とかじゃなくて心の底から私が思っている事なんだよ

 

ダイヤ「そう言われて…悪い気はしませんよ」

28: 2016/10/15(土) 23:44:19.76 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤ「それに…私、千歌さんに口付けされている時、とても心がポカポカしていましたもの
     千歌さんからそんな風に思われていたなんて」

ダイヤ「でも…千歌さんは他の方にも『綺麗だから』などという理由で
      突発的に口付けする事はあるのでは?と…想像してしまいましたわ」

 


ダイヤさんが、私のキスを嫌がるどころか嬉しいと思っていた事に、

私の心は最大級に跳ね上がる


でも、後半の話は、ね…

 

千歌「そんな事ありえませんよ…」

千歌「だって私がダイヤさんの事を好きだったからダイヤさんにキスしたんです」


ダイヤ「…私も千歌さんの事を好きですわ」

千歌「でも、それは後輩としてですよね」

 

何言ってるんだろ私
どんどん体温が上がっていくのが分かる
頭がボーッとしているから、思った事は全て口から吐き出されていく

29: 2016/10/15(土) 23:45:56.18 ID:lsZ1d4/e.net
 

ダイヤ「いいえ」


 

ダイヤ「一人の女性として大好きですわ、千歌さんの事が」

 

 

 


その言葉を最後に私の意識は途切れた

30: 2016/10/15(土) 23:47:56.60 ID:lsZ1d4/e.net
くしゅんっ!

 

千歌「う~…」


ピピッ


ダイヤ「37度8分…完全に風邪引きですわね…」

今、私はダイヤさんの部屋のベットに横たわっている

 

ダイヤ「雨に打たれる以前に…ちょっと具合が悪かったんじゃないですの?」

千歌「えへへ…ちょっと…
今日が発売日だからいいや!って沼津へ行って…」


ダイヤ「全く…」

31: 2016/10/15(土) 23:48:53.19 ID:lsZ1d4/e.net
ダイヤさんはため息を一つ

 

ダイヤ「でも…」

ダイヤ「そのおかげで、こうして千歌さんの想い人が、私と分かった事が嬉しいです」

千歌「私もですよ…」



雨に、感謝だな…

 


END

32: 2016/10/15(土) 23:50:25.54 ID:lsZ1d4/e.net

引用: 千歌「ダイヤさんが使ったタオル…(クンカクンカ)」【SS】