190: 2017/02/23(木) 19:14:22.62 ID:bG2n07DL0
投下しまー!
前回:【モバマス】紗南「1/N」

191: 2017/02/23(木) 19:14:50.50 ID:bG2n07DL0
レナ「ここに3つの白い曇りガラスの瓶があるわね」

ありす「ありますね」

仁奈「ごぜーます」

レナ「この3つの瓶の中のうち1つだけに……」

レナ「この通り、イチゴを入れたわ」

ありす「なんと!ありがとうございます。いただきますね」

仁奈「えー!ありすちゃんだけずりーです!」

レナ「待ちなさいまだダメよ」

ありす「えっ」

仁奈「えーっ」

レナ「えーじゃありません」

ありす「B」

レナ「Aじゃない」

仁奈「て」

レナ「いろは唄の後半までよく覚えてるわね」

ありす「ツッコミはいいんで本題行ってもらえませんか」

仁奈「そーですよ」

レナ(えぇ……)
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(3) (電撃コミックスEX)
192: 2017/02/23(木) 19:15:18.47 ID:bG2n07DL0
レナ「今から3つある瓶の中から1つだけ、選んでもらうわ」

レナ「この三つのうち、どれか一つにイチゴが入ってるとすると……」

ありす「なるほど、実は入ってないとおっしゃるのですね?」

レナ「人の話は最後まで聞いて欲しいわね」

仁奈「すげー!さっき入れたのに消えるんでごぜーますか?手品ですね!!」

レナ「置いてかないで」

ありす「タネも仕掛けもありませんでしたね」

レナ「あなた達ねえ、お願いだから話の腰を折らないで」

仁奈「になたちは真剣に聞いてるですよ」

ありす「そうですよ」

レナ「……」




「よ~く見ると奇妙でもなんでもないけどパッと見奇妙なお話」
その1「変えたほうがお得?お得じゃない?どっち?」

193: 2017/02/23(木) 19:15:47.40 ID:bG2n07DL0
~~~~~~~~
レナ「この3つのうちにどれか1つにだけイチゴが入ってるとすると、テキトーに選んだ1つの瓶の中にイチゴが入ってる確率はいくらかしら?」

仁奈「『入ってる』か『入ってない』かの二択でごぜーますから、二分の一じゃねーですかね?」

レナ「なるほどね」

ありす「『3つのうちの1つ』ですから三分の一ですね」

レナ「そうね。この場合はありすちゃんが正解ね。仁奈ちゃんの言ったことも間違いではないのだけど『3つある瓶の中どれか1つだけにイチゴが入っている』『その中から1つだけ選ぶ』という条件があるから、この場合はありすちゃんが正解」

仁奈「にゃーん」

ありす「にゃーん」

レナ「にゃーん」

みく「にゃにゃにゃ?」

仁奈「みゃみゃ!」

みく「みゃみゃみゃみゃみゃみゃ!」
(中略)
仁奈「ねこになちゃた!ww」

ありす「なってません」

レナ「続き行くわよ。いま二人に選んでもらった瓶をAとしましょう。ここで私がBとCのどちらか一つを開けるわ」

キュッポ

レナ「この通り、空ね」

ありす「からですね」

仁奈「からっぽだー」

レナ「ここで問題」

レナ「二人は『瓶を変えるべきか?』」

194: 2017/02/23(木) 19:16:14.91 ID:bG2n07DL0
ありす「どういうことでしょうか」

レナ「私がここで空の瓶を2人に見せた後に、2人にまた瓶の選択をしてもらうわ」

仁奈「変えた方がいいのかそのままの方がいいのかということでごぜーますかね」

レナ「その通り」

ありす「ある種の心理戦ですね」

レナ「ちなみに『私は3つのうちどれがいちご入り瓶なのか知っている』し『誰に対しても同じ提案をする』こととします。『間違ってあたりを開けちゃうこともない』から心理戦ということはないわ」

ありす「ふむ……」

仁奈「んー……さっきありすちゃんが言った『3つのうち1つだから三分の一』というのを使うと、『2つのうち1つだから二分の一』になる気がするですよ」

ありす「普通に考えればそうですけど、かと言って瓶が持っている確率が変動するということは考えづらいのですが」

レナ「2人ともいい線行ってるわよ」

仁奈「になたちが選んだ瓶の中にいちごが入っているかもしれねーじゃねーですか?になはあんまり変えたくねーですよ」

ありす「しかし私たちの選んだ瓶の中にいちごが入っている確率は『依然として三分の一のはず』ですよ?『結局私たちにはどれがいちご入り瓶なのかわかってない』のですから」

195: 2017/02/23(木) 19:16:44.78 ID:bG2n07DL0
仁奈「でも今は『瓶は2つ』しかねーのですよ?」

ありす「それは選んだ後にレナさんがはずれの瓶を一つ除いたからですよ。その操作によって『選んだ瓶の確率が二分の一に変動することはない』はずです」

レナ「うふふ、正解に近づいてるわよ」

仁奈「じゃあ変えた方がいいってことですか?」

ありす「なぜ変えた方がいいのか……ですね」

仁奈「レナおねーさん!質問です!」

レナ「はい、なにかしら?」

仁奈「『選んだ瓶も選ばなかった瓶もいちごが入ってる確率はどれも同じ三分の一なんですか?』」

レナ「『どれも同じ三分の一』よ。いいところに気づいたわね」

ありす「なら『変えた方が得』ですね」

レナ「説明できるかしら?」

196: 2017/02/23(木) 19:17:14.94 ID:bG2n07DL0
解説

ありす「まず瓶を『選んだもの』と『選ばなかったもの』の二つのグループに分けるとします」

ありす「この時『グループごとにいちごが入っている確率』を求めると、『選んだもの』は三分の一、『選ばなかったもの』は三分の二となります」

仁奈「ここまではわかるですよ。『選ばれなかったものは二つの瓶の分だけ確率が足される』ですから、三分の一×2で三分の二です」

レナ「ここまでは問題ないわね」

ありす「ここからですね。『レナさんがハズレの瓶を開封する際、確実にハズレだけを開ける』なら『選ばれなかったもの』の2つの瓶が1つに減るわけです」

仁奈「あ!……え?」

ありす「どうしました」

仁奈「レナおねーさんがハズレの瓶を開けても『『選ばれなかったもの』グループの確率は三分の二のまま』ってことですか?どーしてですか?」

ありす「『レナさんがあたりの瓶を開けることはありえない』からです」

ありす「レナさんが必ずハズレの瓶を引くからこそ……『選ばれなかったもの』グループの確率は三分の二のままなんです」

ありす「レナさんがハズレを開ける前の『選ばれなかったもの』グループの1つの瓶ずつの確率は三分の一ですよね?」

仁奈「そーですね」

197: 2017/02/23(木) 19:17:43.96 ID:bG2n07DL0
ありす「そこでレナさんがハズレの瓶を開けたとしましょうか。『残った1つの瓶にいちごが入ってる確率』はいくらでしょうか?」

仁奈「?……???」

仁奈「あーーーーー!!!!!!!」

仁奈「『レナおねーさんが選んだ瓶がハズレ』だったから、『その瓶があたりである確率はゼロ』なんですね!」

ありす「そういうことです」

ありす「もしこれが『レナさんがあたりの瓶を開けるかもしれない可能性』があったり、『私たちの選んだ瓶によってレナさんが行動を変えるかもしれない可能性』があったりすると話は変わります」

仁奈「なんだこれー!わかんねー!わかったけどわかんねー!」

レナ「ほとんど正解ね。さすがありすちゃん」

仁奈「でもどうして『になたちが選んだ瓶は確率が変わらない』んでごぜーますかね?」

ありす「『レナさんが私たちの選んだ瓶を開けることがない』からでしょう。もしこれで私たちの選んだ瓶もレナさんが開けることがあった場合、そして開けた時に中身がハズレだったとしたら……確率は二分の一になるでしょうね」

レナ「というわけで正解は『変えた方がいい』でした」

ありす「ありがとうございました」

仁奈「ごぜーました!」


198: 2017/02/23(木) 19:18:33.36 ID:bG2n07DL0
ここの>>1が過去に量子力学スレ立ててたからなんか数学か物理かで奇妙っぽいネタを探してたらモンティ・ホール問題にぶち当たった。これすき。
ちなみに『ありになが瓶を選んだ後、レナが残りの二つのうちハズレの方を一つ解放することが決められている』というルールがないと必ずしも変えた方が得とはならない。
例えば『レナもあたり入り瓶がどれかわからない』なら確率は変わらない。

それと『レナがハズレを開封した後に事情を知らない早苗さんに残りの瓶のうちどっちか1つ選ばせる』ことをしてもらうと早苗さんはどっちを選んでも確率は変わらない。

こういう立場とか条件とか次第で確率が変わるのってめっちゃ面白いなと思った。実際の問題でも条件の解釈で答えが割れたらしい。
モンティ・ホール問題の変形はいろいろあるらしいので興味ある人はぐぐってみて。

読んでいただいてありがとうございました。

199: 2017/02/23(木) 19:47:33.92 ID:JBkWUNYE0
うわ確率論とかめっちゃ苦手なやつだったけどこれはわかりやすい乙
立場と認識によって変わるとかいう話聞くと数学のくせに不確定な要素に頼りきりやんけって思ったもんだ

200: 2017/02/24(金) 00:38:17.50 ID:Ad4vBx+u0
これはこれで奇妙な話
どうにも分かりづらいのよな


引用: 世にも奇妙な346プロ