128: 2017/09/03(日) 23:03:37.90 ID:tjIn0ES/o
まゆ「まゆはプロデューサーさんのためだったらなんだってできます。」
まゆ「いつだって、私はプロデューサーさんのことを想っています…。」
まゆ「時々、『愛が重い』っていう人もいますけど、まゆにとってそんなことはどうでもいいの。」
まゆ「まゆは一番好きな人を想っていればそれだけで…。」
『愛の重さ』
まゆ「いつだって、私はプロデューサーさんのことを想っています…。」
まゆ「時々、『愛が重い』っていう人もいますけど、まゆにとってそんなことはどうでもいいの。」
まゆ「まゆは一番好きな人を想っていればそれだけで…。」
『愛の重さ』
129: 2017/09/03(日) 23:04:31.04 ID:tjIn0ES/o
佐久間まゆはライブツアーの最中である。
たった今、3カ所目の公演を終え、ちょうど折り返し地点というところまできた。
P「まゆ、お疲れさま。今日のライブは今までで最高の出来だ。」
まゆ「ありがとうございます…♪最高のまゆをお届けできました…♪」
気分の高まりか、はたまたライブの疲れか、息が上がっている。
しかしその顔は満面の笑みであった。
P「プレゼントボックスもこんなに来てるぞ。こりゃ全部読むのは大変だなぁ」
まゆ「まあ、うれしい♪ちゃんと読んで、ブログも更新しなきゃですね…♪」
プレゼントボックスの中は色とりどりのファンレターや地元のお菓子など、さまざまなものであふれていた。
P「ほら、これなんて見てみろ。まゆのイメージにぴったりって感じの封筒だぞ。」
まゆ「本当ですね。最近、こういうファンレターが増えましたね…♪」
白のメールに、赤のリボンがぐるぐる巻きにしてある、いかにも『まゆのファン』からのファンレターだ。
P「量が多いから、明日事務所でゆっくり読むといい。とりあえず冷えるから着替えておいで。」
まゆ「はぁい♪」
たった今、3カ所目の公演を終え、ちょうど折り返し地点というところまできた。
P「まゆ、お疲れさま。今日のライブは今までで最高の出来だ。」
まゆ「ありがとうございます…♪最高のまゆをお届けできました…♪」
気分の高まりか、はたまたライブの疲れか、息が上がっている。
しかしその顔は満面の笑みであった。
P「プレゼントボックスもこんなに来てるぞ。こりゃ全部読むのは大変だなぁ」
まゆ「まあ、うれしい♪ちゃんと読んで、ブログも更新しなきゃですね…♪」
プレゼントボックスの中は色とりどりのファンレターや地元のお菓子など、さまざまなものであふれていた。
P「ほら、これなんて見てみろ。まゆのイメージにぴったりって感じの封筒だぞ。」
まゆ「本当ですね。最近、こういうファンレターが増えましたね…♪」
白のメールに、赤のリボンがぐるぐる巻きにしてある、いかにも『まゆのファン』からのファンレターだ。
P「量が多いから、明日事務所でゆっくり読むといい。とりあえず冷えるから着替えておいで。」
まゆ「はぁい♪」
130: 2017/09/03(日) 23:05:02.60 ID:tjIn0ES/o
その夜、まゆは自室で日課になっている日記をつけていた。
まゆ「今日はプロデューサーさんに…うふふ♪」
ご機嫌で日記を書き終え、翌日の持ち物を整理していると、かばんの中から一通の封筒が出てきた。
まゆ(あら、誰からだろう…それにいつの間に…?)
見覚えのある封筒。プロデューサーがプレゼントボックスから取り出して見せた、あのファンレターである。
まゆ「プロデューサーさんったら、おちゃめなんだから…♪」
ぐるぐる巻きのリボンを丁寧にとり、封筒を開ける。
一枚の真っ白な便箋に、まるで印刷したかのようなきれいな明朝体で一言
『まゆすき』
と書かれていた。
まゆ「…?」
この他に何か入っているかもと思い、封筒を逆さにして振ってみたり、中をのぞいてみたりしたが何も出てこない。
四文字のひらがなが書かれた便箋一枚、ただそれだけが入っていたのだ。
まゆ(どういうことかしら…?)
あまりにも唐突で、あまりにも短い愛の告白にまゆは困惑した。
考えてもわからないので、今日は寝て明日プロデューサーに聞いてみよう。そう思い、まゆは就寝することにした。
まゆ「今日はプロデューサーさんに…うふふ♪」
ご機嫌で日記を書き終え、翌日の持ち物を整理していると、かばんの中から一通の封筒が出てきた。
まゆ(あら、誰からだろう…それにいつの間に…?)
見覚えのある封筒。プロデューサーがプレゼントボックスから取り出して見せた、あのファンレターである。
まゆ「プロデューサーさんったら、おちゃめなんだから…♪」
ぐるぐる巻きのリボンを丁寧にとり、封筒を開ける。
一枚の真っ白な便箋に、まるで印刷したかのようなきれいな明朝体で一言
『まゆすき』
と書かれていた。
まゆ「…?」
この他に何か入っているかもと思い、封筒を逆さにして振ってみたり、中をのぞいてみたりしたが何も出てこない。
四文字のひらがなが書かれた便箋一枚、ただそれだけが入っていたのだ。
まゆ(どういうことかしら…?)
あまりにも唐突で、あまりにも短い愛の告白にまゆは困惑した。
考えてもわからないので、今日は寝て明日プロデューサーに聞いてみよう。そう思い、まゆは就寝することにした。
131: 2017/09/03(日) 23:05:29.20 ID:tjIn0ES/o
……
翌日、事務所について真っ先にプロデューサーに聞いた。
まゆ「プロデューサーさん、おはようございます。」
P「おう、おはよう。昨日届いたファンレター、まとめておいたぞ。」
まゆ「ありがとうございます。ところで、昨日まゆのかばんにお手紙入れたりしましたか…?」P「手紙?」
プロデューサーの反応を見て、手紙を入れたのは彼ではないことを悟った。
まゆ「…いえ、何でもありません。」
つまり、『プロデューサーではないだれか』が、かばんの中に手紙を入れたのだ。
いったい誰が、何の目的で入れたのか、皆目見当がつかない。考えすぎると気味が悪くなってしまうので考えるのをやめた。
何かの拍子にいたずらのつもりで入れたファンレターが混じってしまったのだ。そうに違いない。
まゆはそう言い聞かせ、このとは忘れることにした。
『まゆすき』
翌日、事務所について真っ先にプロデューサーに聞いた。
まゆ「プロデューサーさん、おはようございます。」
P「おう、おはよう。昨日届いたファンレター、まとめておいたぞ。」
まゆ「ありがとうございます。ところで、昨日まゆのかばんにお手紙入れたりしましたか…?」P「手紙?」
プロデューサーの反応を見て、手紙を入れたのは彼ではないことを悟った。
まゆ「…いえ、何でもありません。」
つまり、『プロデューサーではないだれか』が、かばんの中に手紙を入れたのだ。
いったい誰が、何の目的で入れたのか、皆目見当がつかない。考えすぎると気味が悪くなってしまうので考えるのをやめた。
何かの拍子にいたずらのつもりで入れたファンレターが混じってしまったのだ。そうに違いない。
まゆはそう言い聞かせ、このとは忘れることにした。
『まゆすき』
132: 2017/09/03(日) 23:06:01.97 ID:tjIn0ES/o
昼
みくと美穂、そしてまゆの3人でランチに行く約束をしていた。
店員「こちら、メニューでございます」
みく「ここ、カルボナーラがすごくおいしいの!」
美穂「すっごいおしゃれなお店…もうちょとおめかししてこればよかったかな…」
まゆ「うふふ…美穂ちゃん、あまり気を張らなくても、とってもかわいいですよ。」
みく「ねえねえ、何頼む?」
美穂「どれもおいしそうで目移りしちゃう~…」
3人でページをめくっていると、メニューの間から何かの紙が落ちた。
みく「あ、なんか落ちたよ?」
美穂「これは…手紙?」
真っ白な便箋に、リボンの形のシールで封がしてある。
ふと、昨晩の出来事が脳裏に浮かぶ。
恐る恐る美穂から手紙を受け取り、封筒を開ける。
中からは花柄のかわいい便箋に、丸くて小さい文字で一言
『まゆすき』
と書かれていた。
みく「まゆチャンそれ何?」
まゆ「さあ…なんでしょうね?さあ、早くメニュー決めましょう」
みくと美穂、そしてまゆの3人でランチに行く約束をしていた。
店員「こちら、メニューでございます」
みく「ここ、カルボナーラがすごくおいしいの!」
美穂「すっごいおしゃれなお店…もうちょとおめかししてこればよかったかな…」
まゆ「うふふ…美穂ちゃん、あまり気を張らなくても、とってもかわいいですよ。」
みく「ねえねえ、何頼む?」
美穂「どれもおいしそうで目移りしちゃう~…」
3人でページをめくっていると、メニューの間から何かの紙が落ちた。
みく「あ、なんか落ちたよ?」
美穂「これは…手紙?」
真っ白な便箋に、リボンの形のシールで封がしてある。
ふと、昨晩の出来事が脳裏に浮かぶ。
恐る恐る美穂から手紙を受け取り、封筒を開ける。
中からは花柄のかわいい便箋に、丸くて小さい文字で一言
『まゆすき』
と書かれていた。
みく「まゆチャンそれ何?」
まゆ「さあ…なんでしょうね?さあ、早くメニュー決めましょう」
133: 2017/09/03(日) 23:06:34.96 ID:tjIn0ES/o
なんとかその場はやり過ごし、食事後二人とは別れ、一度事務所に戻ることにした。
まゆ「プロデューサーさん…」
P「ん?どうした。」
まゆ「これ…」
先ほど店で拾った手紙を渡す。
P「…まゆ宛てのファンレターか?」
まじまじと手紙を見る。
まゆ「…開けてみてください…」
P「なんだおいちょっと怖いな」
プロデューサーが封筒を開ける。
花柄の便箋に件の4文字。
P「…何かのいたずらか?」
まゆ「今朝、プロデューサーさんに話そうとしたことは、それについてなんです…」
昨晩あったこと、先ほど起こったことについて話した。
P「二つ目は店員の小粋なジョークなんじゃないのか?」
Pはどこか抜けていた。
まゆ「だとしたら、なぜ店員さんはまゆがお店に行くのを知っていたのでしょうか…」
P「うん、さっきの撤回。おかしいわ。ちょっと一ノ瀬探してくる。」
まゆ「志希さんですか…?」
P「あいつならDNA鑑定とかさらっとやってくれそうだ。たぶん喜んで飛びついてくるぞ。」
まゆ「プロデューサーさん…」
P「ん?どうした。」
まゆ「これ…」
先ほど店で拾った手紙を渡す。
P「…まゆ宛てのファンレターか?」
まじまじと手紙を見る。
まゆ「…開けてみてください…」
P「なんだおいちょっと怖いな」
プロデューサーが封筒を開ける。
花柄の便箋に件の4文字。
P「…何かのいたずらか?」
まゆ「今朝、プロデューサーさんに話そうとしたことは、それについてなんです…」
昨晩あったこと、先ほど起こったことについて話した。
P「二つ目は店員の小粋なジョークなんじゃないのか?」
Pはどこか抜けていた。
まゆ「だとしたら、なぜ店員さんはまゆがお店に行くのを知っていたのでしょうか…」
P「うん、さっきの撤回。おかしいわ。ちょっと一ノ瀬探してくる。」
まゆ「志希さんですか…?」
P「あいつならDNA鑑定とかさらっとやってくれそうだ。たぶん喜んで飛びついてくるぞ。」
134: 2017/09/03(日) 23:07:03.87 ID:tjIn0ES/o
……
志希「なるほどねー。誰の仕業か調べたいってことねー。」
P「やってくれるか?」
志希「最短でも一日はかかるから、ゆっくり待っててねー。」
まゆ「できるんですね…ありがとうございます、志希さん。」
志希「いやー、こっちとしても久々に面白い材料が見つかってホクホクだよー。」
P「じゃあ、頼むぞ。報酬は弾む。」
志希「期待しないで待ってるよー。にゃははー。」
……
まゆ「……」
P「不安か?」
まゆ「はい…ちょっとだけ、手紙が怖くなりました…」
P「何かあったら頼ってくれていいから、かまわず俺を呼ぶこと。いいな?」
まゆ「はい…ありがとうございます…」
いつでも連絡してくれていい。
いつもならこれほどうれしいことはないのだが、今は不気味さと恐怖があり、喜べるどころではなかった。
P「何なら、今日は収録の打ち合わせだけだから、終わったら送るよ。」
まゆ「プロデューサーさん、すき」
P「とりあえず、終わるまではここで待っててくれればいいぞ。」
まゆ「……はい」
ジョークのつもりで言ったがスルーされてしまい、少し頬を膨らませてみた。
志希「なるほどねー。誰の仕業か調べたいってことねー。」
P「やってくれるか?」
志希「最短でも一日はかかるから、ゆっくり待っててねー。」
まゆ「できるんですね…ありがとうございます、志希さん。」
志希「いやー、こっちとしても久々に面白い材料が見つかってホクホクだよー。」
P「じゃあ、頼むぞ。報酬は弾む。」
志希「期待しないで待ってるよー。にゃははー。」
……
まゆ「……」
P「不安か?」
まゆ「はい…ちょっとだけ、手紙が怖くなりました…」
P「何かあったら頼ってくれていいから、かまわず俺を呼ぶこと。いいな?」
まゆ「はい…ありがとうございます…」
いつでも連絡してくれていい。
いつもならこれほどうれしいことはないのだが、今は不気味さと恐怖があり、喜べるどころではなかった。
P「何なら、今日は収録の打ち合わせだけだから、終わったら送るよ。」
まゆ「プロデューサーさん、すき」
P「とりあえず、終わるまではここで待っててくれればいいぞ。」
まゆ「……はい」
ジョークのつもりで言ったがスルーされてしまい、少し頬を膨らませてみた。
135: 2017/09/03(日) 23:07:35.66 ID:tjIn0ES/o
プロデューサーが打ち合わせに行き、一人になってしまった。
さすがに数時間一人なのは心細かったので、プロジェクトルームに行くことにした。
ルームでは桐生つかさが台本を読んでいた。
つかさ「お、まゆ…どうした?」
まゆ「つかささん、こんにちは。」
つかさ「何があったか話してみろよ。何か手伝えるかもしれないだろ?」
まゆ「…つかささんにはお話しします。実は…」
何かにすがりたかった。つかさは信頼できるので話すことにした。
つかさ「なるほど、知らない間に誰からかわからない手紙か。」
まゆ「ええ…」
つかさ「本当に手紙のほかには何も入ってなかったのか?」
まゆ「はい、手紙だけですけど…」
つかさ「毛髪とかチリとか、本人を特定する材料は?」
まゆ「そこまでは…今志希さんに調べてもらっていますけど…」
つかさ「なんかあってからじゃ遅いから、誰でもいいから頼れよ?」
まゆ「はい…じゃあ、甘えちゃおうかしら。」
つかさ「なんだ?できる範囲なら力になるぞ?」
まゆ「飲み物、一緒に買いに行きませんか?」
『まゆすき 尊い』
さすがに数時間一人なのは心細かったので、プロジェクトルームに行くことにした。
ルームでは桐生つかさが台本を読んでいた。
つかさ「お、まゆ…どうした?」
まゆ「つかささん、こんにちは。」
つかさ「何があったか話してみろよ。何か手伝えるかもしれないだろ?」
まゆ「…つかささんにはお話しします。実は…」
何かにすがりたかった。つかさは信頼できるので話すことにした。
つかさ「なるほど、知らない間に誰からかわからない手紙か。」
まゆ「ええ…」
つかさ「本当に手紙のほかには何も入ってなかったのか?」
まゆ「はい、手紙だけですけど…」
つかさ「毛髪とかチリとか、本人を特定する材料は?」
まゆ「そこまでは…今志希さんに調べてもらっていますけど…」
つかさ「なんかあってからじゃ遅いから、誰でもいいから頼れよ?」
まゆ「はい…じゃあ、甘えちゃおうかしら。」
つかさ「なんだ?できる範囲なら力になるぞ?」
まゆ「飲み物、一緒に買いに行きませんか?」
『まゆすき 尊い』
136: 2017/09/03(日) 23:08:04.66 ID:tjIn0ES/o
……
P「まゆ、お待たせ。打合せ終わった!」
まゆ「…!」
プロデューサーに駆け寄り、強く腕にしがみつく。
つかさ「気をつけて帰りなー」
プロデューサーに連れられてまゆは寮に帰ることにした。
事務所の駐車場。営業用、ロケ用、さまざまな車が止まっている。
最新の車もあるが、各部署に割り当てられている車は異なる。
P「すまんな、ぼろいセダンで」
まゆ「プロデューサーさんとなら、どんな車でも大丈夫です♪」
少しだけ強がってみた。
P「そうかい……」
プロデューサーが助手席に目を落とす。
ドアを開けず、その場で固まってしまった。
まゆ「……プロデューサーさん?」
まゆもプロデューサーの視線の先を見る。
P「……冗談きついぜ…」
助手席に白い封筒が置いてある。
P「車の鍵は適当にとった。まゆと一緒なのは誰も知らない」
まゆ「ここにまゆ達が来るのは誰も知らないはずなのに…」
扉を開け、封筒を手に取る
P「……中身、見るか?」
まゆ「プロデューサーさんが見てください…」
P「開けていいのか?」
まゆ「お願いします…」
封筒をプロデューサーが空ける。
中からはリボンで装飾された便箋。
やや乱雑な文字で一言
『まゆすき 尊い』
とだけ書いてある。
P「少しパターンが違うな。」
まゆ「誰がどうやって仕込んだのでしょうか…」
P「まあ、ここにとどまっていても埒が明かん。」
まゆ「…そうですね…」
車に乗り込み、寮方向へ向かう。
その後は何事もなく、寮についた。
まゆはいつもと同じように日記を書き、就寝。
しかし、手紙の差出人が気がかりでどうにも寝付けなかった。
まゆ(一体だれが何の目的でこんなことをしているんだろう…)
P「まゆ、お待たせ。打合せ終わった!」
まゆ「…!」
プロデューサーに駆け寄り、強く腕にしがみつく。
つかさ「気をつけて帰りなー」
プロデューサーに連れられてまゆは寮に帰ることにした。
事務所の駐車場。営業用、ロケ用、さまざまな車が止まっている。
最新の車もあるが、各部署に割り当てられている車は異なる。
P「すまんな、ぼろいセダンで」
まゆ「プロデューサーさんとなら、どんな車でも大丈夫です♪」
少しだけ強がってみた。
P「そうかい……」
プロデューサーが助手席に目を落とす。
ドアを開けず、その場で固まってしまった。
まゆ「……プロデューサーさん?」
まゆもプロデューサーの視線の先を見る。
P「……冗談きついぜ…」
助手席に白い封筒が置いてある。
P「車の鍵は適当にとった。まゆと一緒なのは誰も知らない」
まゆ「ここにまゆ達が来るのは誰も知らないはずなのに…」
扉を開け、封筒を手に取る
P「……中身、見るか?」
まゆ「プロデューサーさんが見てください…」
P「開けていいのか?」
まゆ「お願いします…」
封筒をプロデューサーが空ける。
中からはリボンで装飾された便箋。
やや乱雑な文字で一言
『まゆすき 尊い』
とだけ書いてある。
P「少しパターンが違うな。」
まゆ「誰がどうやって仕込んだのでしょうか…」
P「まあ、ここにとどまっていても埒が明かん。」
まゆ「…そうですね…」
車に乗り込み、寮方向へ向かう。
その後は何事もなく、寮についた。
まゆはいつもと同じように日記を書き、就寝。
しかし、手紙の差出人が気がかりでどうにも寝付けなかった。
まゆ(一体だれが何の目的でこんなことをしているんだろう…)
137: 2017/09/03(日) 23:08:32.41 ID:tjIn0ES/o
しばらくの間、このようなことが続いた。
ある日は学校の机の中に、ある日は靴箱にぎっしりと、ある日は郵便受けに。
どれも同じような白い封筒。赤で縁取りがしてあったり、シールが貼ってあったりと、少しずつ違った。
ただ、中身はいつも、1枚の便箋に一言
『まゆすき』
とだけ書いてあった。
まゆは不可思議で奇妙な現象によって疲弊していった。
ある日は学校の机の中に、ある日は靴箱にぎっしりと、ある日は郵便受けに。
どれも同じような白い封筒。赤で縁取りがしてあったり、シールが貼ってあったりと、少しずつ違った。
ただ、中身はいつも、1枚の便箋に一言
『まゆすき』
とだけ書いてあった。
まゆは不可思議で奇妙な現象によって疲弊していった。
138: 2017/09/03(日) 23:09:00.42 ID:tjIn0ES/o
……
とある朝
?「まゆチャン早く起きるにゃあ!!」
まゆ(みくちゃん…?)
寝起きの目をこすりながらドアを開ける。
みく「どうしたのこれ!?すごい数のファンレターだけど…」
まゆの顔が青ざめていく。
自室の扉を開けると、山のような手紙が置いてある。
恐怖のあまり腰が抜けてしまった。
まゆ「みくちゃん、今すぐプロデューサーさんを呼んでください…」
みく「ヴェ!?い、いきなりどうして…」
まゆ「お願いです…」
まゆは今にも泣きそうであった。
みく「わかったにゃ。Pチャン呼ぶけど、その前に着替えておこ?」
とある朝
?「まゆチャン早く起きるにゃあ!!」
まゆ(みくちゃん…?)
寝起きの目をこすりながらドアを開ける。
みく「どうしたのこれ!?すごい数のファンレターだけど…」
まゆの顔が青ざめていく。
自室の扉を開けると、山のような手紙が置いてある。
恐怖のあまり腰が抜けてしまった。
まゆ「みくちゃん、今すぐプロデューサーさんを呼んでください…」
みく「ヴェ!?い、いきなりどうして…」
まゆ「お願いです…」
まゆは今にも泣きそうであった。
みく「わかったにゃ。Pチャン呼ぶけど、その前に着替えておこ?」
139: 2017/09/03(日) 23:09:29.02 ID:tjIn0ES/o
しばらくして、プロデューサーが女子寮に駆け付ける。
P「何があった!?」
みく「Pチャン、これ…」
床に散乱した大量の封筒を指さす。
気味が悪くて誰も触らなかったのだ。
プロデューサーはそのうちのいくつかを手に取り、中を確認する。
『まゆすき』
『まゆすき…まゆすき…』
『まゆすき!!!!!』
表記にぶれはあるが、どれも同じ内容。
それが111通。一晩の間に、まゆの部屋の前に置かれたのである。
みく「これ、警察に通報したほうがいいんじゃ…」
P「さっき一ノ瀬から手紙の分析が終わったって連絡があったから、それを聞いてからでも遅くない。」
みく「でも早くしないと…」
P「犯人を刺激しかねないから慎重にやらないといかん。」
みく「それは…そうだけど…」
まゆ「まゆも、通報はちょっと待ったほうがいいと思います…」
みく「まゆチャンも!?」
まゆ「今はまだ実害はないですけど、通報したことがわかったらどんなことをされるかわかりませんから…」
P「とにかく、事務所まで行って、一ノ瀬から結果を聞こう。」
P「何があった!?」
みく「Pチャン、これ…」
床に散乱した大量の封筒を指さす。
気味が悪くて誰も触らなかったのだ。
プロデューサーはそのうちのいくつかを手に取り、中を確認する。
『まゆすき』
『まゆすき…まゆすき…』
『まゆすき!!!!!』
表記にぶれはあるが、どれも同じ内容。
それが111通。一晩の間に、まゆの部屋の前に置かれたのである。
みく「これ、警察に通報したほうがいいんじゃ…」
P「さっき一ノ瀬から手紙の分析が終わったって連絡があったから、それを聞いてからでも遅くない。」
みく「でも早くしないと…」
P「犯人を刺激しかねないから慎重にやらないといかん。」
みく「それは…そうだけど…」
まゆ「まゆも、通報はちょっと待ったほうがいいと思います…」
みく「まゆチャンも!?」
まゆ「今はまだ実害はないですけど、通報したことがわかったらどんなことをされるかわかりませんから…」
P「とにかく、事務所まで行って、一ノ瀬から結果を聞こう。」
140: 2017/09/03(日) 23:09:55.72 ID:tjIn0ES/o
プロデューサーとまゆ、そしてなぜかついてきたみくの3人で、志希が勝手にラボにしている事務所の一室まできた。
P「来たぞー。」
志希「お、よく来たねーふた…3人?」
みく「みくは付き添いだよ?」
志希「まあいっか。じゃあ、分析の結果、教えるねー」
P「ああ、頼む」
志希「まず、手紙と封筒からは、まゆちゃんとプロデューサー以外の指紋や体液の後は見つからなかった。」
P「…マジか」
志希「手紙以外に毛髪とかも見つからなかったよ。」
まゆ「そうですか…」
志希「で、これが一番面白いんだけど…」
志希「この文字、インクとかじゃなくて紙が直接黒くなってるんだよねー」
みく「それ一番わからないにゃ…」
志希「つまり、誰が作ったかも、どうやって作ったかもわからないってこと。」
P「ここまで来て手掛かりなしか…」
まゆ「じゃあ、一晩で111通もの手紙を、誰にも気づかれずにまゆの部屋の前に置くのは…?」
志希「同じ女子寮のだれか、って考えるのが自然だけど、たぶん違うよねー。」
P「車内に手紙置いておくとか普通に考えてできないもんな。」
まゆの瞳からは光が失せている。
P「…まゆの今日のスケジュール、断っとくよ。」
まゆ「いえ、今日のレッスンは合わせの日なので…まゆのわがままを通すわけには…」
志希「うーん、やめといたほうがいい気がするけどー、行くなら止めないよー?」
P「来たぞー。」
志希「お、よく来たねーふた…3人?」
みく「みくは付き添いだよ?」
志希「まあいっか。じゃあ、分析の結果、教えるねー」
P「ああ、頼む」
志希「まず、手紙と封筒からは、まゆちゃんとプロデューサー以外の指紋や体液の後は見つからなかった。」
P「…マジか」
志希「手紙以外に毛髪とかも見つからなかったよ。」
まゆ「そうですか…」
志希「で、これが一番面白いんだけど…」
志希「この文字、インクとかじゃなくて紙が直接黒くなってるんだよねー」
みく「それ一番わからないにゃ…」
志希「つまり、誰が作ったかも、どうやって作ったかもわからないってこと。」
P「ここまで来て手掛かりなしか…」
まゆ「じゃあ、一晩で111通もの手紙を、誰にも気づかれずにまゆの部屋の前に置くのは…?」
志希「同じ女子寮のだれか、って考えるのが自然だけど、たぶん違うよねー。」
P「車内に手紙置いておくとか普通に考えてできないもんな。」
まゆの瞳からは光が失せている。
P「…まゆの今日のスケジュール、断っとくよ。」
まゆ「いえ、今日のレッスンは合わせの日なので…まゆのわがままを通すわけには…」
志希「うーん、やめといたほうがいい気がするけどー、行くなら止めないよー?」
141: 2017/09/03(日) 23:10:24.26 ID:tjIn0ES/o
レッスンルーム
P「レッスン着、持ってたんだな。」
まゆ「予定は変えられませんから…」
P「さすがにロッカー空けて手紙出てきたら引くな。」
まゆ「…プロデューサーさん?」
P「すまん、ジョークのセンスがなさ過ぎた。」
ロッカーの中からは手紙は出てこなかった。
まゆが着替え終わるまで、プロデューサーは暢気にコーヒーを飲んでいた。
しばらくして、付き添っていたみくが出てきた。
みく「Pチャン、やっぱりまゆチャン帰ったほうがいいにゃ…」
P「…まさか」
みく「着替え入れた袋から出てきた…」
P「…トレーナーさんに入っておく。今日はまゆと一緒にいてやってくれ。」
顔面蒼白になったまゆを支えてみくが出てきた。
プロデューサーの運転する車で寮まで戻った。
車の中で、小刻みに震える彼女は、さながら狼に怯えるウサギのようでもあった。
P「レッスン着、持ってたんだな。」
まゆ「予定は変えられませんから…」
P「さすがにロッカー空けて手紙出てきたら引くな。」
まゆ「…プロデューサーさん?」
P「すまん、ジョークのセンスがなさ過ぎた。」
ロッカーの中からは手紙は出てこなかった。
まゆが着替え終わるまで、プロデューサーは暢気にコーヒーを飲んでいた。
しばらくして、付き添っていたみくが出てきた。
みく「Pチャン、やっぱりまゆチャン帰ったほうがいいにゃ…」
P「…まさか」
みく「着替え入れた袋から出てきた…」
P「…トレーナーさんに入っておく。今日はまゆと一緒にいてやってくれ。」
顔面蒼白になったまゆを支えてみくが出てきた。
プロデューサーの運転する車で寮まで戻った。
車の中で、小刻みに震える彼女は、さながら狼に怯えるウサギのようでもあった。
142: 2017/09/03(日) 23:10:51.73 ID:tjIn0ES/o
寮に着き、まゆが落ち着くまで3人はまゆの部屋にいた。
昼前にプロデューサーは打ち合わせのために事務所に戻り、昼過ぎにはみくもレッスンのため事務所に行った。
再びまゆは一人になった。
先ほどの手紙は開封するのが怖くなり、そのままごみ箱へ捨ててしまった。
まゆ(こんなのが毎日続いたら、気がおかしくなっちゃう…)
現時点でも十分に神経は衰弱していた。
食事をとる気にもなれず、自室のベッドの上で数時間座りっぱなしだ。
このままでは、プロデューサーに心配をかけてしまう。明日からは普通にふるまおう。
顔を洗って気分を変えようと立ち上がった時だった。
昼前にプロデューサーは打ち合わせのために事務所に戻り、昼過ぎにはみくもレッスンのため事務所に行った。
再びまゆは一人になった。
先ほどの手紙は開封するのが怖くなり、そのままごみ箱へ捨ててしまった。
まゆ(こんなのが毎日続いたら、気がおかしくなっちゃう…)
現時点でも十分に神経は衰弱していた。
食事をとる気にもなれず、自室のベッドの上で数時間座りっぱなしだ。
このままでは、プロデューサーに心配をかけてしまう。明日からは普通にふるまおう。
顔を洗って気分を変えようと立ち上がった時だった。
143: 2017/09/03(日) 23:11:19.54 ID:tjIn0ES/o
カサッ
机のほうから、紙の擦れる音がした。
先ほど捨てた手紙がごみ箱から出ている。
できればもう触れたくはないが、中身を確認しないとまたごみ箱から出てくるような気がしてならなかった。
恐る恐る手を伸ばし、糊付けされた封を丁寧にはがし、震える手で便箋に書かれた文字を確認する。
机のほうから、紙の擦れる音がした。
先ほど捨てた手紙がごみ箱から出ている。
できればもう触れたくはないが、中身を確認しないとまたごみ箱から出てくるような気がしてならなかった。
恐る恐る手を伸ばし、糊付けされた封を丁寧にはがし、震える手で便箋に書かれた文字を確認する。
144: 2017/09/03(日) 23:12:19.11 ID:tjIn0ES/o
『まゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきまゆすきま文字数』
145: 2017/09/03(日) 23:13:13.22 ID:tjIn0ES/o
まゆ(!!!!!!!!!)
恐怖のあまり手紙を落とす。
それと同時にごみ箱の中から大量の封筒があふれ出してくる。
さながら、大雨の際に行き場をなくし、マンホールから噴き出す雨水のようであった。
まゆ(なに!?なんなのこれ!?)
何が起きているのかわからない。ただ、目の前のごみ箱から出てくる封筒は止まる気配がない。
まゆ(逃げなきゃ!このままじゃ埋もれちゃう!)
慌ててドアを開けようとする。
ドアノブに手をかけると、郵便受けからあふれんばかりの封筒が部屋に投げ込まれてくる。
あっという間に入り口がふさがれてしまった。
まゆ(そんな…ベランダからなら!)
既に封筒が山のようになった机の近く、ベランダに通じる窓を開ける。
しかし今日に限って滑りが悪く、少ししか空かない。
隙間から手紙を外に出してやり過ごそうとするが、それもすぐいっぱいになってしまった。
既に部屋の3割程度が手紙で埋め尽くされている。部屋が埋まるのも時間の問題だ。
まゆ(そうだ!クローゼット…!)
クローゼットに身を隠してやり過ごす。我ながら名案が浮かんだ。
急いでクローゼットを開ける。
まゆ「あっ」
恐怖のあまり手紙を落とす。
それと同時にごみ箱の中から大量の封筒があふれ出してくる。
さながら、大雨の際に行き場をなくし、マンホールから噴き出す雨水のようであった。
まゆ(なに!?なんなのこれ!?)
何が起きているのかわからない。ただ、目の前のごみ箱から出てくる封筒は止まる気配がない。
まゆ(逃げなきゃ!このままじゃ埋もれちゃう!)
慌ててドアを開けようとする。
ドアノブに手をかけると、郵便受けからあふれんばかりの封筒が部屋に投げ込まれてくる。
あっという間に入り口がふさがれてしまった。
まゆ(そんな…ベランダからなら!)
既に封筒が山のようになった机の近く、ベランダに通じる窓を開ける。
しかし今日に限って滑りが悪く、少ししか空かない。
隙間から手紙を外に出してやり過ごそうとするが、それもすぐいっぱいになってしまった。
既に部屋の3割程度が手紙で埋め尽くされている。部屋が埋まるのも時間の問題だ。
まゆ(そうだ!クローゼット…!)
クローゼットに身を隠してやり過ごす。我ながら名案が浮かんだ。
急いでクローゼットを開ける。
まゆ「あっ」
146: 2017/09/03(日) 23:14:12.05 ID:tjIn0ES/o
……
「次のニュースです。人気アイドルの佐久間まゆさんが、寮の自室で大量の手紙の下敷きになっているのを、同じ寮のアイドルによって発見されました。
佐久間さんは病院に搬送されましたが、氏亡が確認されました。
封筒に差出人は書かれておりませんでしたが、手紙の内容からストーカー殺人の可能性もあるとみて、警察では犯人の特定を急いでいます。 次のニュースです…」
「次のニュースです。人気アイドルの佐久間まゆさんが、寮の自室で大量の手紙の下敷きになっているのを、同じ寮のアイドルによって発見されました。
佐久間さんは病院に搬送されましたが、氏亡が確認されました。
封筒に差出人は書かれておりませんでしたが、手紙の内容からストーカー殺人の可能性もあるとみて、警察では犯人の特定を急いでいます。 次のニュースです…」
147: 2017/09/03(日) 23:19:20.81 ID:tjIn0ES/o
後日
つかさ「なあ、ちょっといいか」
P「なんだ…」
つかさ「あの一件の後、アタシなりに調べてみた。」
P「何をだ…」
つかさ「まゆの部屋の前に111通の手紙が置いてあった日、あったろ?」
P「……あったな。」
つかさ「それと、まゆの部屋にあった手紙の中に一枚変なのがあって、もしかしてと思ってマキノに調べてもらった。」
P「…ほう。」
P「あの日、Twitterに投稿された『まゆすき』に関するツイート数が111件だった。」
つかさ「なあ、ちょっといいか」
P「なんだ…」
つかさ「あの一件の後、アタシなりに調べてみた。」
P「何をだ…」
つかさ「まゆの部屋の前に111通の手紙が置いてあった日、あったろ?」
P「……あったな。」
つかさ「それと、まゆの部屋にあった手紙の中に一枚変なのがあって、もしかしてと思ってマキノに調べてもらった。」
P「…ほう。」
P「あの日、Twitterに投稿された『まゆすき』に関するツイート数が111件だった。」
148: 2017/09/03(日) 23:20:23.45 ID:tjIn0ES/o
おわりです。
長くなっちゃいました。
あと、まゆP、ごめんね。
長くなっちゃいました。
あと、まゆP、ごめんね。
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