1: 2007/12/21(金) 19:29:12.05 ID:C188nCwF0
【警告】
ひぐらしをプレイする予定のある者は、
ここから先を読んではいけない。

シリーズ:岸辺露伴は動かない-雛見沢-

最初から:
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter1

前回:岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter2



21: 2007/12/21(金) 20:27:16.05 ID:C188nCwF0
----××県鹿骨市興宮某ホテル----
露伴「よし、じゃあこのくらいで十分かな?」
大石「いやはや、長かったですねぇ。
   もうちょっと老体を労わってくださいよぉ。岸辺さん。」

大石がそう言うのも無理はない。
露伴と大石達が出会って2日が過ぎていた。
その間、大石と赤坂は交互に仮眠をとり、露伴の質問に答えた。
当の露伴は出会った日から、次の次の日、つまり今日の夕方まで一睡もせずに話を聞き続けたのだった。
岸辺露伴は動かない 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

2: 2007/12/21(金) 19:30:25.41 ID:C188nCwF0
なんかチャプ5がだいたい書けました
チャプ4とかに比べるとぜんぜん短いんですがね

というわけで今日もやろうと思います

22: 2007/12/21(金) 20:30:47.24 ID:C188nCwF0
露伴「もう今日は遅いし、荷物を置いてあるホテルに行って休むことにするよ。
   明日は雛見沢に取材にいくことにする。」
大石「いやはや、露伴さんはお若いなんてもんじゃぁないですねぇ。
   普段からそんなお忙しくお仕事なさってるんですかぁ?」
露伴「逆だよ。普段は睡眠もたっぷり取るし土日は休日にしてある。
   どこかの漫画家みたいに連載を休むことはないけどね。」
大石「ほーぉ、漫画家さんっていうのは大変なお仕事だと聞いていましたが、
   言われてるほどではないんですねぇ。」
露伴「まぁ、流石に僕も眠いし、さっさとおいとまするよ。
   連絡先は、さっきもらった名刺でいいんだよな?」
大石「えぇえぇ、かまいませんよぉ。
   でも、よかったら地元に帰られる前に、一発どうですかぁ?」

そう言って大石は麻雀の牌を倒すような仕草をする。

25: 2007/12/21(金) 20:40:34.06 ID:C188nCwF0
露伴「時間があれば構わないけど、手を抜くつもりはないよ?」
大石「んっふっふっふっ。こう見えても私達、そこそこイケるんですよぉ?
   連絡が頂けるのを楽しみにしてますよ。
   私達は今月いっぱいは興宮にいるんで、いつでも連絡くださいねぇ。」
赤坂「大石さん、クリスマスは・・・孫に会いに行くって言ってありましたよね?」
大石「おやおや、忘れてましたねぇ。
   そういうことなんで、クリスマス以外にお暇があれば、お願いしますよ。」
露伴「クリスマスまでこっちはいないと思うよ。
   まぁ、暇があったらね。それじゃあ、帰るとするかなぁ。」
大石「私達も眠いんで、もうお休みさせてもらいたいですしねぇ。」

そう言って露伴はドアに向かって歩き出した。が、ドアの前で立ち止まる。
露伴「おっと、危ない危ない、忘れるところだった。」
大石「おんやぁ?忘れ物ですかぁ?」
露伴「いや、君らにすこーしばかりお礼をしようと思ってね。
   いろいろ教えてもらったお礼をさぁ。」

28: 2007/12/21(金) 20:47:41.23 ID:C188nCwF0
大石「お金ならけっこうですよぉ?
   私は年金もらってますし、赤坂さんはお給料いいですからねぇ。」
露伴「そんなもんよりずっと価値のあることなんだけどな。
   いらないって言うなら、帰るよ。」
赤坂「待ってください。私は頂くことにしますよ。そのお礼。」
大石「いやいや、私だって頂きますよぉ。病気以外でしたらなんでもねぇ。」

露伴「じゃあ・・・あんまり"一般の方"には教えちゃあまずいんだが。
   アンタらも大分職務違反して教えてくれたみたいだしね。
   僕の持つ情報をひとつだけ・・・あげることにするよ。」
大石「ひとつだけですかぁ?私達は全部お話したのに。
   ケチな話ですねぇ。んっふっふっふっ。」

露伴「なんと言おうと、ひとつしか教えないよ。
   古手梨花は・・・僕と同じ種類の人間かもしれない。」

31: 2007/12/21(金) 20:55:13.01 ID:C188nCwF0
赤坂「それは・・どういうことですか・・・?」
露伴「古手梨花は奇妙な力を持っていた。
   アンタらは、古手梨花が計画を知っていたと仮定していたが。
   それは実際に予知能力だったのかもしれないってことさ。
   僕に予知能力はないが、君達には信じられないような能力を持っている。」

大石「へぇ。それでそれで?
   疑り深い岸辺さんなら、わかると思いますが・・・。
   私達を納得させること、してくれるんですよねぇ?」

露伴「・・・。
   赤坂さん、コーヒーを1杯淹れてもらえますか?ブラックで。」

35: 2007/12/21(金) 21:04:50.35 ID:C188nCwF0
赤坂「えぇ・・・いいですけど。コーヒーに何か関係が?」

そう言って赤坂はコーヒーを淹れはじめた。
露伴は不敵な笑みを浮かべたまま何も答えない。
赤坂が淹れ終わったコーヒーをテーブルに置いた。

露伴「大石さん、赤坂さん。これから僕はここを一歩も動きません。
   まずは、コーヒーが本物であることを、飲んで確かめてください。
   お二人とも一口はお飲みになるように。」

大石と赤坂は言われたとおりにコーヒーを交互に一口ずつ飲んだ。

37: 2007/12/21(金) 21:08:03.81 ID:C188nCwF0
露伴「お味はどうですか?」
大石「普通のコーヒーですよ?なーんも入ってないブラックの。」
赤坂「えぇ、普通のインスタントコーヒーの味です。」
露伴「・・・。
   お味は・・・どうですか?甘いですか?苦いですか?しょっぱいですか?」
大石「あぁ、そういう意味ですか、苦いですよ。
   このくらいがちょうどいいですけどねぇ。」
赤坂「僕には・・・ちょっと苦すぎますが、苦かったです。」

38: 2007/12/21(金) 21:14:35.97 ID:C188nCwF0
露伴「よろしい。
   ・・・それでは、もう一度飲んでください。」

大石「はぁ・・・何の意味があるんだか・・。」
そう言って大石はカップに口をつけた途端、驚きの表情で赤坂にカップを手渡した。
赤坂もすぐにカップに口をつける。
赤坂「甘いッ!!それも砂糖を入れたコーヒーではなく、甘味だけだ。
   まるでガムシロップのように甘いッ!!!」

露伴「これが僕の能力だよ。別に飲み物の味を変えるってわけじゃないからな。
   君達の感覚を操作させてもらった。今度はしょっぱくしてやるよ。」

天国への扉ッ(ヘブンズ・ドアー)!!!
ドシュシュッ、苦味を塩味に感じる。

41: 2007/12/21(金) 21:20:50.28 ID:C188nCwF0
大石「こりゃぁ・・・今度は海水を舐めてるようだ・・・。」
赤坂「カップに細工をしたような感じはしなかったが・・・。」

露伴「世の中には、こういう特殊な能力を持ったやつがいる。
   僕の知り合いには壊れた物を直したり、時を止めたりするやつがいる。
   古手梨花が僕と同じ種類の人間なら、本当に予知の能力を持っていても不思議ではない。
   もちろんアンタらの推理が正しいって可能性もあるがな。」

43: 2007/12/21(金) 21:26:44.27 ID:C188nCwF0
大石「これは・・・ん・・んっふっふっふっ。
   岸辺さんの能力を信じるしか・・・ないですねぇ。」
赤坂「疑う余地は・・・なさそうです・・・。」

露伴「それじゃあ、僕は本当においとまする。
   じゃあな、僕が真実を暴くまでに氏ぬなよ?じいさんたち。
   おっと、忘れないうちに元に戻さないとな。」

そう言って立ち止まったあと、露伴は部屋から出て行くのだった。
大石と赤坂は別れの言葉を言うのも忘れ、呆然と座り込んでいた。
まるで狐か狸にでも騙された気分だった。

ぼんやりと赤坂がコーヒーを口につけると、コーヒーの苦味は元に戻っていた。

44: 2007/12/21(金) 21:27:37.29 ID:C188nCwF0
チャプ5終わりっす

昨日の予定だとチャプ5は別場面に進むつもりだったんですが、
このシーンを描きたくなって、急遽変更しました。

49: 2007/12/21(金) 21:33:43.31 ID:C188nCwF0
■TIPS
----赤坂は露伴がお好き?----

露伴はすでに部屋を出ていったが、二人は何を話したらいいかわからず黙り込んでいた。
すると、赤坂が思い出したように言った。

赤坂「大石さん、彼に雛見沢の地図を渡すのを忘れていました。
   まだタクシーを待っていると思うので、届けてきます。」

そういうと赤坂は部屋から飛び出していくのだった。

大石「んっふっふっふっふっ。
   やっぱり仲良しさんなんじゃないですかぁ。
   まぁ、彼に託したのは正解だったようですしねぇ・・・。」

52: 2007/12/21(金) 21:39:01.15 ID:C188nCwF0
赤坂「露伴さんッ!」

露伴はフロントのソファーでタクシーを待っている様子だった。

露伴「ん?忘れ物でもしたかい?
   そんなはずはないんだが・・・。」
赤坂「これ、雛見沢の地図です。
   よかったら持って行ってください。」
露伴「馬鹿にするなよ。地図くらいちゃーんと持ってるよ。」
赤坂「いえ、雛見沢の現在の地図は、道路しか乗ってないんですよ。
   大災害で封鎖されたあとは人が住んでいませんでしたからね。
   これ、ぼくらが現在の地図に村の主要な建物等を書き込んだものです。
   よかったら持っていってください。」

54: 2007/12/21(金) 21:44:28.39 ID:C188nCwF0
露伴「そりゃぁ、親切にどうも・・・。
   ありがたくもらっとくことにするよ。」
以外に赤坂はいいやつなのかもしれない、と露伴は思った。

赤坂「それでですね・・・。
   お会いしたときから・・・大石さんの手前もありまして隠していたんですが・・・。
   実は先生のファンなんです。よかったら、サイン頂けませんか・・・?」

57: 2007/12/21(金) 21:50:08.83 ID:C188nCwF0
露伴「あっはっはっはっはっ。
   それでサインもらうためにわざと地図を渡さないでおいたのかい?
   赤坂さん、以外におもしろい人なんだなぁ。あっはっはっはっは。」
露伴は笑い転げたが、赤坂を馬鹿にしているのではない。
自分に敵意を見せていた男が、実は自分のファンだと気づき機嫌がよくなったのだ。

露伴「いいよいいよ、サインくらい何枚でもSPECIAL THANKS!!
   赤坂衛さん、でいいんだよな?」
赤坂「あ、ありがとうございます。
   それで、頼みずらいんですが、もう一枚・・・孫にももらえないですか・・・?
   孫も先生の漫画大好きなんですよ。」
露伴「何枚でもいいって言ってるだろう?
   ほら、描けたよ。」

59: 2007/12/21(金) 21:55:23.12 ID:C188nCwF0
そういうと露伴の手にはすでに描き終えた2枚の色紙があった。
露伴はそれを赤坂に渡す。赤坂は露伴に初めて見せるとびっきりの笑顔で部屋に戻っていくのだった。

露伴はニヤリと笑ってフロントから立ち去る。

「孫のサインには天国への扉(ヘブンズ・ドアー)がしかけてあるけどな。」


今年のクリスマス。赤坂は孫にプレゼントをしたあと、
3回ほど悪戯をされるハメになる。もちろん、露伴のせいである。

60: 2007/12/21(金) 21:55:54.56 ID:C188nCwF0
ちょい休憩しようぜぇ。
チャプタ6も書き終わってないよー。

86: 2007/12/21(金) 23:07:12.16 ID:C188nCwF0
----××県鹿骨市雛見沢----
露伴「こりゃぁ・・・いいなぁ・・・。
   スケッチしとこう・・・。」

大石たちと別れた次の日、露伴は雛見沢を訪れていた。
いま露伴がいるのは鬼ヶ淵と呼ばれる沼だ。
といっても、すでに埋め立てられていて沼ではないのだが。
かなりの面積がコンクリートで埋め立てられており、その上には何もない。
インターネットではUFOの着陸場だとか言われているが、たしかに奇妙な景色だった。
広大なコンクリートの地面、その無機質な景色を露伴は楽しそうにスケッチしていた。どうみても不審者だ。

87: 2007/12/21(金) 23:10:53.44 ID:C188nCwF0
この沼は大災害の初期のころに埋め立てられた。
地質学的にはガスの発生源を埋め立ててもなんら意味はないらしい。
さらに言うなら、ガスの発生を止めるために沼を埋め立てたのに20年も雛見沢を封鎖するのはおかしい。
この埋め立てには何か別に意味があるんじゃあないか?
露伴はそこが気になっていた。

89: 2007/12/21(金) 23:17:39.89 ID:C188nCwF0
露伴「よし、このくらいでいいだろう。
   さーて、次はどこに行こうかなぁ。
   ・・・。この地図からすると、一番近いのは学校。
   いや、道を考えると古手神社を通って学校に行くのがちょうどいいようだな。」

露伴は古手神社にいくことを決め、車を走らせた。
雛見沢に入ってからは道は整備がされておらず、砂利道だった。
本当に雛見沢は昭和の終わりから時を止めたままのような場所なのだ。

90: 2007/12/21(金) 23:21:21.34 ID:C188nCwF0
古手神社の境内へと登る階段に露伴の車が到着した。
車から降りた露伴は、ため息を漏らす。
こんな高い階段の上にあるのかよ・・・。僕は文系なんだから勘弁してくれよなぁ。
露伴はそう思うと、ゆっくりと階段を登り始める。


古手神社は雛見沢の中で最も高い位置にある建築物だ。
古手神社の境内の裏手からは雛見沢を一望できる場所があると赤坂は言っていたが、そんなものに露伴は興味がなかった。
露伴が興味を持っていたのは、古手梨花の氏んだ場所だということだけだった。

94: 2007/12/21(金) 23:30:39.40 ID:C188nCwF0
階段を登りきると、今にも朽ち果てそうな神社があった。
小さな村の神社にしては大きい社だが、それもオヤシロ様信仰が村で重視されていたことの表れなのかもしれない。
露伴は大石から聞いたとおりの梨花が氏んだ場所、社の賽銭箱に近づいていく。

露伴「別に何も変わったところはないよな。
   ん・・・?賽銭箱のこのシミ・・・。血痕じゃあないか?」

クンクン・・・。露伴は匂いを嗅いでみたが、血痕なのかはよくわからなかった。
特に変わったこともなかったため、露伴の興味は賽銭箱から社の中身に移ったようだ。

露伴「あれが・・オヤシロ様か?ただの大仏かなんかにしか見えない・・・。
   ちッ、この扉鍵が掛かってやがる。」

露伴はガチャガチャと社の扉を開けようとする。
しまいにはイライラしたのか、扉を思いっきり蹴飛ばしてしまう。

バキッ!!ミシミシ、ズドォォォンッ!
扉が片方壊れ、自重で倒れてしまった。

98: 2007/12/21(金) 23:34:46.43 ID:C188nCwF0
露伴「こりゃあ、やりすぎたかな・・・。
   まぁ、せっかく開いたんだし中に入るとするか・・・。」

露伴は倒した扉をまたぎ、社の中へと入っていった。
社の中は露伴が倒した扉に巻き上げられた埃が舞っていた。
高い格子から射し込む光が埃を照らし、幻想的な風景にも感じられた。

露伴「オヤシロ様ねぇ・・・・。
   見た目は特に変わったところはないよなぁ。」

露伴が御神像へと近づきながら呟いた。







シャン

そのとき、露伴は背後で鈴の音がしたような気がした。

101: 2007/12/21(金) 23:39:44.49 ID:C188nCwF0
露伴「誰だッ!誰かいるのかッ!!」

露伴はそう叫びながら振り返る。
しかし、露伴の背後には誰もいなかった。
露伴は走り出し、壊した扉も踏みつけて外に出る。

しかし、露伴があたりを見回しても何も見つけることはできない。
見つけるどころか、人の気配などまったく感じられなかった。













シャン

??「人の身には過ぎる力を持ちし者よ・・・。
   なぜこの地を訪れた・・・。」

103: 2007/12/21(金) 23:43:02.86 ID:C188nCwF0
今度は確実に聞き間違えではない。
再び背後から・・・、つまり今度は社の中から鈴の音と人の声が聞こえてきた。

バッ!!

露伴は振り返る。
そこには、小柄な少女が一人いるように見えた。
巫女のような装束に身を包んでいる。
しかし、彼女は本当に少女なのだろうか・・・。
人の心の底まで見透かしてしまうような、そんな恐ろしい瞳で露伴を見据えていた。

104: 2007/12/21(金) 23:46:35.85 ID:C188nCwF0
一瞬露伴は彼女の目に睨まれ、思考を停止してしまった。
しかし、すぐに冷静さを取り戻し、分析する。

彼女は・・・、浮いている!?

そう、その少女は地に足をつけることなく浮いていた。

それに、彼女の体は透けている・・・。
格子から射す日の光も彼女を通り抜けている。影があるべき場所にも影がないッ。
こいつ、スタンドか幽霊か・・・どちらにせよ、危険だッ!!!

露伴「天国への扉ッ(ヘブンズ・ドアー)!!!!!」

110: 2007/12/21(金) 23:49:43.83 ID:C188nCwF0
露伴「・・・何・・・だと・・・。」

過去に露伴のヘブンズ・ドアーが効かないことはなかった。
少なくとも、文字を飛ばせるように成長してからは、一度も攻撃が失敗したことはなかったのだ。
しかし、露伴の飛ばした文字は彼女をすり抜けた。彼女が露伴の攻撃を受け流したのではない。
露伴の攻撃は間違いなく彼女がいる場所を通過した。
そして彼女に触れることなくオヤシロ様の御神像へとぶつかったのだ。
先ほどから彼女を通り抜けている光と同じように。

114: 2007/12/21(金) 23:52:44.63 ID:C188nCwF0
??「愚かな者よ・・・。我が身は既にこの世には無きものであると知れ・・・。
   この姿は貴様の力と想いが引き寄せた幻想・・・。
   まさか既に去った世界から干渉してくるほどの力を持つ者がいるとは思わなかったが・・・。
   なぜこの地を訪れた・・・。貴様の強い想い・・・何を求めているのだ・・・。」
露伴「・・・。
   おまえは、僕の敵なのか?」
??「・・・貴様の力が私に届かぬように、こちらからの干渉もできぬ・・・。
   さぁ、我が問いに答えよ・・・人の子よ・・・。」

115: 2007/12/21(金) 23:57:05.98 ID:C188nCwF0
露伴「・・・。
   雛見沢大災害の、いや、
   正確にはオヤシロ様の祟りの真相を暴きにきた。それが僕の望みだ。」
??「貴様の力なら梨花を助けることができるかもしれない・・・。
   貴様に一度だけ・・・真実を知る機会を与えよう・・・。」



謎の少女がそう言うと、露伴の体が光りだした。
そしてまるで彼女の体のように透けはじめる。

露伴「おいッ!!何をしたッ!!
   僕には干渉できないんじゃなかったのか!?
   う、うわァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

120: 2007/12/22(土) 00:00:39.28 ID:sY7N24Q50
露伴「ここは・・・。どこだ・・・?」
??「ここは、あなたの世界と僕の世界の間なのです。」

先ほどの少女が露伴の横に座っていた。
先ほどまであんなに露伴に恐怖を感じさせた目は、普通の目になっていた。
いまの少女はただの少女にしか見えない。頭に変なものがついているということ以外は。

121: 2007/12/22(土) 00:01:53.95 ID:sY7N24Q50
露伴は体を動かそうとしたが金縛りにあっているかのように指一本も動かせなかった。
しかし、この空間はどこか心地よいものを、
まるで母親にでも見守られているかのような感覚を感じさせていた。
そのため露伴はあまり焦る気持ちや恐怖を抱くことがなかった。

露伴「言ってることがまったくわからない。
   それに動けない・・・。僕はどうなるんだ?」
??「あなたには、これから僕のいた世界、昭和58年の雛見沢に来てほしいのです。
   そこにはあなたの求める真実があるのです。」
露伴「・・・過去に戻すスタンド能力か。」
??「すたん・・・ど・・・?
   何を言っているのかよくわからないのです。あぅあぅ。」

123: 2007/12/22(土) 00:06:07.12 ID:sY7N24Q50
露伴「あぁ、なんでもいい。そういう能力なんだろ?えっと・・・君の・・・。」
??「ちょっと違うのです。あなたの世界の過去ではないのです。
   あなたの世界にそっくりな、もうひとつの世界だとおもってください。
   それと、僕の名前は羽入というのです。よろしくなのですよ。」
露伴「ふむ、違う世界ねぇ。
   違う世界なのに、僕の世界の真実が知れるのかい?」
羽入「あぅあぅ・・・。多分、としか言えないのです。
   少しは変わることもあると思うのですが、オヤシロ様の祟りはちゃんと起こりますですよ。」

露伴「取材にはなるか・・・。僕は露伴だ。岸辺露伴。」
羽入「ロハンですか?初めて聞くかっこいい名前なのです。」

125: 2007/12/22(土) 00:08:34.71 ID:sY7N24Q50
露伴「ところで、僕は、元の世界に戻れるんだろうな?」
羽入「それは心配いらないのです。
   僕に頼めばちゃんと戻してあげますです。
   それと、一応、あなたが僕のいる世界で氏んでしまった時も、元の世界に戻るのです。」
露伴「へぇ。そりゃぁ便利なもんだな。
   いろいろ楽しめそうだ・・・ふふふ。」
羽入「あぅあぅ。あんまりイタズラしちゃいけないのです。
   あなたには頑張ってもらいたいことがあるのです。」
露伴「おいおい、また頼み事かよ。」

127: 2007/12/22(土) 00:13:18.05 ID:sY7N24Q50
露伴は大石と赤坂のことを思い出す。
彼らはこの20年間調べ続けてきたことを全て自分に託してくれた。
2日間の間に、彼らの熱意をヒシヒシと感じたし、彼らのこれまでの努力には尊敬すら感じている。
なにより、一生懸命に露伴に説明をしてくれる彼らに愛着が湧いていたのだ。

露伴「先約がいるんだよなぁ。あんまり変な頼み事は聞けないぜ?」
羽入「あぅあぅ。せっかく過去に連れて行ってあげるんだから約束してほしいのです。」
露伴「いいから言ってみろよ。聞いてみないとわからないだろう?」
羽入「梨花を・・・僕の友人の梨花を助けてほしいのです・・・。」
露伴「・・・。
   それは、オヤシロ様の祟りの真相を探りながら考えさせてくれ。」
羽入「・・・わかったのです・・・。
   さぁ、もうすぐ着きますですよ。
   僕の世界の雛見沢へ。」




羽入がそう言うと、露伴の意識は遠のいていった。

128: 2007/12/22(土) 00:14:14.85 ID:sY7N24Q50
チャプ6終わりっす

ここは僕もwktkしながらで書きやすかったのです
露伴が過去に戻ることは反対の人もいるかもしれませんが、
自分はこの路線でいこうと思うのでよろしくお願いしますです

135: 2007/12/22(土) 00:16:46.02 ID:sY7N24Q50
■TIPS
----露伴のメモ----
すごいことになってきた。
羽入という少女の能力で、昭和58年の雛見沢に着いた
ただ、僕のいた世界の過去というわけではないらしい
彼女の能力について説明を受けたのでメモしておく

136: 2007/12/22(土) 00:18:26.27 ID:sY7N24Q50
彼女の能力は、違う世界の過去に移動するという能力のようだ
彼女自身は、古手梨花を救うためにこの能力を使用しているらしい
古手梨花が氏亡した際に、この能力を使用して古手梨花と自分を過去に戻すのだそうだ

この違う世界というのは、基本的には同じ世界なのだが、細かい部分が違うらしい
同じ部分というのは、強い誰かの意志に基づき起こるものであり、
逆に細かい違いは強い意志が働いていないために揺らいでいる部分なのだそうだ
幸い、オヤシロ様の祟りは必ず起こるらしいので、取材できそうだ

ちなみに彼女の説明が正しいということは、僕自身が証明している
彼女が言うには、他の世界から僕が彼女に影響を及ぼしたことは無いらしい
これは僕がスタンド能力を持ったのは、僕が来た世界だけだということだ
彼女の説明のとおり、僕がスタンド能力を持つのは虹村形兆の気まぐれのようなものであり必然ではない
すると、僕がいくら雛見沢に興味を持っても、彼女に干渉することはできないということだ
なんだか矛盾がなくて気持ち悪いな

137: 2007/12/22(土) 00:19:16.25 ID:sY7N24Q50
なお、過去に戻っても基本的には記憶は残る
能力を使用した付近の記憶は消えてしまうらしいが、僕の場合は過去に戻っても全ての記憶が残っていた
彼女が言うには、古手梨花が氏ぬため、その氏によるノイズで記憶が消えてしまうらしい
それが理由で彼女らは古手梨花を頃す犯人がわからず、氏を回避できないのだと言う



古手梨花は既に数十年分の記憶を持っており、
古手梨花の精神年齢は肉体年齢とはかけ離れたものになっているらしい
ちなみに、この羽入という少女は幽霊のようなものみたいだ
年をとらないため、肉体年齢は関係ない。この少女についてはこのあと記す

古手梨花以外の人間に能力を発動することはできないらしい
僕に能力を発動できたのは、僕がスタンド能力を持っているせいだと彼女は言っていた
すると、古手梨花もスタンドの才能があるのだろう
スタンド使いは惹かれあうとはよく言ったものだ

138: 2007/12/22(土) 00:20:25.37 ID:sY7N24Q50
羽入について
まだ詳しく話を聞いていないが、彼女は幽霊であると考えられる
杉本鈴美との共通点が多々あり、これらから彼女は幽霊であると推測できるのだ
また、本人は自分がオヤシロ様であると言っていた

頭に変なものがついているし、なんなんだろうな
詳しい話は今度聞こう

141: 2007/12/22(土) 00:21:56.39 ID:sY7N24Q50
TIPS終わりっす

今回のTIPSはもう完全なる説明なんで、勘弁してください


今日は終わりにしますっ
やっと雛見沢に来たんで、頑張って続きを考えたいところ

164: 2007/12/22(土) 00:48:01.44 ID:nAjLkV4P0

169: 2007/12/22(土) 01:17:42.93 ID:sY7N24Q50
>>168
一気に全投下のほうがいいっすかねぇ?
下書きはしてあるんだけど、毎回手直ししながら投下してます。
なかには途中で路線変更したものもあったり


to be continued...

岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter4

引用: 岸辺露伴は動かない-雛見沢-