2: 2007/12/24(月) 16:47:31.20 ID:PjMXrIrr0
【警告】
ひぐらしをプレイする予定のある者は、
ここから先を読んではいけない。

シリーズ:岸辺露伴は動かない-雛見沢-

最初から
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter1

前回:岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter3




21: 2007/12/24(月) 17:29:01.42 ID:PjMXrIrr0
  1983年(昭和58年)6月


----××県鹿骨市雛見沢----

羽入「ロハン、起きてくださいなのです。ロハーン?」
露伴「ん・・・?」

露伴が目を覚ますと、そこは古手神社の境内だった。
露伴が壊した扉は直っている。さらに言うなら、社全体が明らかに新しいものになっていた。

露伴「過去に戻ったと言うのは本当のようだな。
   今は昭和58年の何月何日なんだ?」
岸辺露伴は動かない 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

24: 2007/12/24(月) 17:32:14.51 ID:PjMXrIrr0
羽入「ちょっとわからないのです。
   僕がロハンの世界に惹かれたのは6月に入ったときだったのですが、
   そのあと時間を移動している間にどれだけの日数が経過してるかわからないのです。
   あぅあぅ。」
露伴「まずはそれを調べることから始めないといけないな。
   6月26日までにどれだけの余裕があるのかが重要だ。」
羽入「6月26日ですか?たしかに梨花が氏ぬのはその時期ですけど、毎回決まってるわけじゃないのです。」
露伴「そうなのかい?
   とりあえず、今日の日付を確認すること。
   僕が寝泊りする場所を確保すること。
   この二つを最初に済ませなきゃあならない。」

26: 2007/12/24(月) 17:38:30.12 ID:PjMXrIrr0
羽入「日付は梨花に聞けばわかるのですよ。
   泊まる場所も梨花のおうちでいいんじゃないのですか?」
露伴「あぁ、神主夫妻はもう氏んでいるから家族がいないんだったな。
   北条沙都子も同居していると聞いた気がするが、古手梨花が許可してくれればそれでいいか。
   じゃあその古手梨花の家に案内してくれよ。」
羽入「うーん。もし今日が平日なら、梨花は学校にいっちゃってるのです。
   家と学校を見てきますですよ。僕が梨花にお話してきますから、ロハンは待っててほしいのです。」

そう言うと、羽入は露伴の返答を待たずに走り出していった。

27: 2007/12/24(月) 17:40:31.35 ID:PjMXrIrr0
羽入はすぐに戻ってきた。古手梨花が家にいないことを確認してきたらしい。
それを伝えると、またすぐに学校に行くと言って走り去ってしまった。


やれやれ、学校に行ったら学校が終わるまで僕は待ってなきゃいけないじゃあないか。
とりあえず、村の中をいろいろと回らせてもらうかな。

露伴はそう思い、境内の階段を降りるのだった。

おいおい、僕の車がないぞ。
もしかして、僕はこれから大災害までの期間を徒歩ですごさなくっちゃあいけないのか?
時間が余れば生まれたばかりの仗助にイタズラしに行ってやろうと思っていたのにッ!
それに着替えや宿泊道具も全部車の中だ。財布は一応持ってるが、この金使えるのか?
おっと、携帯電話を持っていたと思ったが・・・ふん、やっぱり圏外か。
幸い、地図は持っているしな。とりあえず店でも探すか。

29: 2007/12/24(月) 17:45:19.38 ID:PjMXrIrr0
露伴「もう大分歩いたが・・・、
   喫茶店のひとつも無いって言うのか?この雛見沢って村は。
   くそッ!山と田んぼばっかりで、店なんて何軒かしか見つからなかったぞ・・・。」

露伴は、喫茶店かどこかで時間をつぶしながら店員に取材をしてみよう、そう考えていた。
しかし、露伴が見つけることができたのは豆腐屋や小さな電気屋、日用品を売る雑貨屋等、
露伴が気軽に入れるような店はひとつもなかった。

30: 2007/12/24(月) 17:47:10.92 ID:PjMXrIrr0
露伴は疲れ果て、バス停の椅子に座ることにした。

露伴「おいおい、バスの運行表が嫌に縦長だぜ。
   一時間に1本とか2本の村って、本当にあるもんだな。」

露伴は雛見沢に対する愚痴を考えながら、バス停でしばらく休んでいた。
すると、露伴の来た方向とは逆方向から、地図が正しいとすれば興宮の方角から一台の自転車がやってきた。
露伴は雛見沢に来てから、畑仕事をする爺さん婆さんと店の店員らしき村人にしか出会っていない。
道路を通過するのは自分だけだと思っていた露伴はその自転車を眺めていた。

33: 2007/12/24(月) 17:51:33.48 ID:PjMXrIrr0
自転車が近づくに連れて乗っている人間の性別がわかるようになる。
男だ。それにけっこういい体格をしている。

露伴がそうやって観察をしていると、その男はバス停の前まで来て急停止した。
露伴が不思議そうな顔で見ていると、男は話しかけてきた。
??「こんにちわ。立派なカメラをお持ちですね。
   野鳥の撮影かなにかですか?」
露伴「・・・。(カメラに興味を持ったのか。)
   いや、取材でね。僕は漫画家・・・を目指しているんだ。
   それで取材をしてて、ちょっと休んでるんだよ。」
??「そうなんですか!いやぁ、僕も似たようなものなんですよ。
   僕は富竹。フリーのカメラマンです。まぁ、まだ無名なのでお互い似たようなものですね。」

36: 2007/12/24(月) 17:57:41.62 ID:PjMXrIrr0
露伴「へぇ、富竹さんか。
   僕は岸辺露伴。露伴でいいですよ。
   (こいつが5年目の祟りの被害者、富竹ジロウか。いきなり大物に出会えたな。)」
富竹「露伴さんですか。変わった名前ですね。
   僕の下の名前はジロウと言います。どちらで呼んでくださっても構いませんよ。」
露伴「富竹さんは、何をしに来てるんです?この雛見沢へ。」
富竹「カメラマンって行ったじゃないですか、カメラマン。
   野鳥の撮影をしてるんですよ。他にも動植物を撮ったりしてます。
   この雛見沢は貴重な写真が沢山取れるんですよ。ぜひ、取材してってください。」

37: 2007/12/24(月) 18:01:35.13 ID:PjMXrIrr0
露伴「雛見沢に詳しいようですね。僕の取材、受けてもらえます?」
富竹「えぇ、いいですよ。今日はこのあと予定があるんですが、暇な日なら村を案内しますよ。」
露伴「いえね、僕、オヤシロ様の祟りってやつを取材してるんですよ。
   雛見沢に詳しいんだったら、知ってますよね?オヤシロ様の祟り。」
富竹「・・・。
   あははは、参ったなぁ。漫画家さんってそんな嫌なこと調べるんですか?」
露伴「漫画の題材にしては、おもしろそうじゃないですか?」
富竹「うーん。困った人だなぁ。
   でも、僕はこの地域の人間じゃないんで、あんまり知りませんよ?
   取材で調べられてるのでしたら、僕の知ってることは全部知ってると思うんですが。」
露伴「ふーん。何か知っているかと思ったんだがね・・・。」
富竹「ご期待に添えないようで、申し訳ないですね。
   そろそろ待ち合わせの時間なので、これで失礼します。
   あ、野鳥や自然の取材がしたくなったらいつでも言ってくださいね。雛見沢のいい場所を案内しますよ。」
露伴「あぁ・・・。」

富竹は再び自転車にまたがり、漕ぎ出した。

39: 2007/12/24(月) 18:05:31.54 ID:PjMXrIrr0
露伴「(僕がこんな面白そうな獲物を逃がすわけがないだろうッ!
    天国への扉ッ(ヘブンズ・ドアー)!!!!!!)」
富竹は本になってしまった。

40: 2007/12/24(月) 18:06:50.73 ID:PjMXrIrr0
露伴「この村がいくら人気がないと言っても、ここは道路だ。
   さっさとこいつが5年目の祟りにあう理由を調べちまうか。」

そう言って露伴は富竹のページをめくろうとする。

露伴「ッ!!
   富竹ジロウ、陸上自衛隊調査部所属、階級は二尉。
   現在、雛見沢症候群を研究する入江機関の監査のために雛見沢を訪問中・・・」

露伴が富竹のページを読み始めたとき、人気がなかったにも関わらず露伴を制止する声が聞こえた。

羽入「ロハンッ!富竹に何をしているのですかッ!!」

41: 2007/12/24(月) 18:08:02.62 ID:PjMXrIrr0
露伴「あぁ、ちょうどいいところに来た。
   見えるか?こいつ雛見沢症候群の研究施設を知っているみたいだ。」
羽入「あぅあぅ。そのくらい僕たちも知っているのです。
   富竹は僕たちの仲間なのですよ。だから乱暴しちゃだめなのです。」
露伴「なんだって?それじゃあこいつの情報は役に立たないってのかよ。
   ちッ・・・めんどくさいことになる前に戻してやるか・・・。」



富竹「あれ・・・?僕は?」
露伴「大丈夫かい?富竹さん。
   自転車を漕ぎ出したとたんに倒れたから何事かと思ったよ。
   病院、行ったほうがいいんじゃあないのか?」
富竹「だ、大丈夫ですよ。いやはや、お恥ずかしい。
   おっしゃるとおり一応病院に行くことにします。それじゃあ、また。」

そう言って富竹は再び自転車にまたがり、露伴の元を離れていった。

43: 2007/12/24(月) 18:09:45.15 ID:PjMXrIrr0
露伴「おまえ、普通の人間には見えないのか?」
羽入「あぅあぅ。よくわかったのです。
   僕は梨花以外の人間には見えないのですよ。」
露伴「富竹が起きたとき、僕しかいないような仕草だったんでね。
   それに学校に行ったらこんな早く終わるわけないしな。
   それで、どうだったんだよ。」
羽入「そうなのです。僕は梨花に会ってきたのです。
   今日は昭和58年の6月11日の土曜日なのです。
   梨花はお昼に学校が終わったら帰ってくるので話をしたいと言っていましたのです。」
露伴「そうか。今が何時か知らないが、もう正午近くになるだろうな。
   待ち合わせ場所に行こうか?」
羽入「わかりましたです。
   梨花のおうちに案内しますですよ。」
露伴「北条沙都子も一緒か?」
羽入「沙都子は僕の存在を知らないのです。
   梨花が上手く先に帰ってくると言っていたのです。」

44: 2007/12/24(月) 18:10:38.74 ID:PjMXrIrr0
露伴「オーケー、わかったよ。
   いろいろ聞きたいことがある。歩きながら答えてくれ。」
羽入「僕の知っていることなら、なんでも教えてあげますですよ。」


露伴は羽入と共に来た道を戻り始める。

34号文書の内容は事実なのかもしれない。
そうなると、大石達の推理はあっているのだろうか。
まずは羽入と古手梨花から得られる情報をまとめなくてはならないな。

こりゃあ意外と早く真相に辿り着けるかもしれない、と露伴は上機嫌に羽入から話を聞くのだった。

45: 2007/12/24(月) 18:11:30.36 ID:PjMXrIrr0
さて、チャプ7終わりっす
短いっすね

ちょっと買い物行ってきます
あと、ちゃぷ8書き終わってないんですが、内容は考えてあるので今日中にはなんとか

59: 2007/12/24(月) 19:07:27.86 ID:PjMXrIrr0
■TIPS
----露伴のメモ----
羽入から聞いた情報のメモ
 
・雛見沢症候群
 この病気は雛見沢一帯の人間が感染している
 通常は潜伏したままだが、一定の条件下で偶発的に発病する
 発病する条件として、
  女王感染者(追記)から離れる
  精神的に極度のストレス状態にある
 という2点が発病のための条件らしい
 女王感染者の件はフェロモンのようなものらしく、離れる距離・期間等に影響を受けるようだ
 ストレスに関しては個人差などもあるようである
 この2点のいずれか、または両方の条件の下で、偶発的に発病するのだそうだ
 ちなみに発病した際の症状としては、被害妄想・疑心暗鬼・認識障害などの精神的なものが現れる。
 また、それらによる興奮状態に陥り、自傷行動や近くにいる人間に暴行を行う等、
 手がつけられなくなるらしい

60: 2007/12/24(月) 19:08:23.82 ID:PjMXrIrr0
・女王感染者
 雛見沢症候群の病原菌の女王アリ的なものらしい
 現在は古手梨花が女王感染者されている
 古手梨花が氏亡すると感染者は全員発症すると考えられている
 古手梨花の体調の変化だけでも、他の感染者に影響を及ぼすことが確認されている

62: 2007/12/24(月) 19:09:28.95 ID:PjMXrIrr0
・入江診療所
 雛見沢村唯一の診療所である
 実態は地下の研究施設で雛見沢症候群の研究をする自衛隊管轄の施設
 雛見沢症候群の研究を日々行っており、発症者を保護することもあるらしい
 富竹ジロウはこの施設の監査役らしく、時折雛見沢を訪れる
 なお、この施設の職員は前述の理由で古手梨花の保護も目的としているらしい
 大石さんが鷹野三四もこの施設の職員だと言っていた気がする 

63: 2007/12/24(月) 19:09:48.41 ID:PjMXrIrr0
まさか34号文書に書かれていた病原菌が実在したとは思わなかった
しかもそれを研究しているのが自衛隊とは話が急に大きくなってきたな
大災害の真相は古手梨花が氏亡したことによる村人全員の発症なのか?
その結果バイオテロが引き起こされた?

いや、羽入が知る限り園崎家は入江診療所との関連はないようだ
それが本当なら、発症による暴動の鎮圧ってところだろうか
政府による暴動の鎮圧の結果が住民2000人全滅となると大スキャンダルだぞ?






おもしろくなってきたな

89: 2007/12/24(月) 20:17:54.43 ID:PjMXrIrr0
露伴と羽入はゆっくり話をしながら古手神社に到着した。

古手梨花が住んでいる場所は、古手神社の裏手にある小さな小屋らしい。
露伴と羽入がその小屋へと辿り着いたとき、梨花は小屋の入り口で露伴を待っていた。

梨花「あなたが、ロハンね。」
露伴「おまえが、古手梨花か。
   天国への扉ッ(ヘブンズ・ドアー)!!」

93: 2007/12/24(月) 20:24:36.03 ID:PjMXrIrr0
梨花「な・・・何?その気持ち悪い少年は。」
露伴「やはりスタンドが見えるらしいな。
   気持ち悪いとは、センスのないやつだ。」
羽入「ロハン、それをしまってくださいなのです。」
露伴「わかったよ。僕は歩いて疲れてるんだ。
   中で麦茶でも出してくれ。」
梨花「図々しいやつね。
   まぁいいわ、入りなさい。」
露伴「そういうおまえも、態度がいけ好かないやつだな。」
羽入「あぅあぅ・・・。」

95: 2007/12/24(月) 20:28:54.01 ID:PjMXrIrr0
露伴は部屋に入るなり勝手に座りこみ、狭い部屋だとか、
寝室すらないのか、とか文句を言っていた。
梨花はイライラしながら露伴に麦茶を用意した。

梨花「で?この男が何をしてくれるっていうの?」
羽入「ロハンは僕たちを助けてくれるのですよ。」
露伴「そんな約束はしてないだろう。祟りの真相を探りながら考えるって言ったはずだ。」
梨花「祟りの真相なら、私たちが知ってるわよ。」
露伴「へぇ。おもしろい、教えてもらおうか?
   君の体の記憶でさッ!!!天国へのt(ヘブンズ・d)・・・」
羽入「ロハン!!やめたほうがいいのです!!!」
露伴「なんだよ、別に危害を加えようってわけじゃあないんだぜ?」
羽入「あぅ・・・。僕が言うのが遅れたのが悪いのです。聞いてください。
   ロハンが富竹に能力を使ったとき、僕にははっきりとわかりました。
   ロハンが能力を使うと、僕の能力が乱されているのです。」

96: 2007/12/24(月) 20:34:23.83 ID:PjMXrIrr0
羽入「今、能力を使ったからどうなる、というわけじゃないのですが、
   能力を使いすぎれば僕の能力が消え、ロハンは元の世界に戻ってしまいます。
   なので、あまり能力を使わないほうがいいのです。」
露伴「それは、ハッタリじゃなくて本当だろうな?」
羽入「ロハンの能力は僕たちにとっても有用なのです。
   だからハッタリでこんなことは言わないのですよ。」
露伴「ふむ。あとどのくらい使うとまずいのかはわかるか?」
羽入「あぅあぅ。ちょっとわからないのです。
   それに時間が経てば大丈夫なのかもしれないですし。
   今の段階ではなんとも言えないのです。」
露伴「そういうことなら、喋ってもらおうか。
   オヤシロ様の祟りの真相を。」
梨花「嫌よ。めんどうくさい。」

97: 2007/12/24(月) 20:39:37.53 ID:PjMXrIrr0
露伴「このガキッ!!
   さっきから態度がでかいと思っていたが、もう我慢できないぞ。
   この岸辺露伴が頭を下げて頼んでいるのに、めんどうくさいなんてぬかしやがった。
   いいだろう、やはり天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を使うしかないようだな。
   それに、その失礼な口を二度と開かなくしてやるッ!!!」
羽入「ロハン、やめてくださいなのです。
   二人とも仲良くしないとだめなのです。
   まずは・・・僕の話を聞いてくださいなのです。」
梨花「私は、嫌だと言っただけよ。
   勝手に興奮してるのはその男じゃない。」
露伴「このくそガキがァァァァアアーーーーッ!!!」
梨花「アンタなんかより生きてる時間は長いんじゃあないかしら?」

羽入「やめてくださいなのです。あぅあぅ。」

103: 2007/12/24(月) 20:46:39.35 ID:PjMXrIrr0
「露伴」と「梨花」ッ!この世にこれほど相性の悪いものがあるだろうかッ!
しかし、なんとか羽入が露伴と梨花をなだめ、話し始める。

羽入「まずは梨花。
   露伴は僕のような特殊な能力を持った人間です。
   さっきの少年がその能力を目で見たものだと思ってください。
   普通の人間には見えないので、僕と同じようなものです。」
露伴「君と違って、自我は持ってないがな。
   僕の親友には自我を持つスタンドを扱えるやつがいる。」

107: 2007/12/24(月) 20:53:24.04 ID:PjMXrIrr0
梨花「スタン・・ド・・?」
羽入「ロハンの世界では能力のことをスタンドと言っているみたいなのです。」
露伴「側に立つもの、という意味でスタンドと名付けられたらしい。
   僕のはちょっと違うが、背後霊のように能力者の後や横に出すのが一般的だからな。
   僕は、運命に立ち向かう、という意味での「stand up to」から来ている、と考えている。」
梨花「運命に立ち向かう・・・ね。
   そういう意味ではアナタはスタンドじゃないみたいね、羽入。」
羽入「あぅあぅ。話を元に戻すのです。
   ロハンは非常に強い意志を持っていました。そして僕のように特殊な能力を持っている。
   そのため、すでにロハンの世界を去り、数巡後の世界に来ていた僕にその意思が届いたのです。
   ロハンの強い意志とは、オヤシロ様の祟りの真相を知りたい、ということでした。
   そこで、僕はロハンなら梨花を頃す人間を見つけ出し、梨花を助けてくれると考えたのです。」
梨花「ふぅん。でも、先約があるって言ってたじゃない。」
羽入「僕はそのことはまだ聞いていないのです。あぅあぅ。」

112: 2007/12/24(月) 21:05:54.04 ID:PjMXrIrr0
露伴「大石と、赤坂って知ってるか?二人とも古手梨花と面識があると言っていたが・・・。」
梨花「あ、赤坂って、あの警視庁の!?」
露伴「そう言っていたよ。大災害の後に、彼らは雛見沢で起こった全ての真相を調べていたようだ。
   20年以上経った2007年の時点でも真相にたどり着く事はできていなかったけどね。
   その二人に真相を暴いて教えてくれって頼まれている。」
梨花「そう、赤坂が・・・。」
羽入「大災害って何なのですか?僕たちは知らないのです。」
露伴「あぁ、古手梨花が氏んだら世界を移動しちまうんだっけか。
   僕の世界では、古手梨花が氏んだ日の深夜。雛見沢で火山性のガスが発生。
   村の住人全員が氏亡するという災害が起きるんだよ。
   まぁ、政府の発表が火山性ガスってだけで、真相ではないという説もあるがね。
   さっき羽入の話を聞いた感じ、君が氏んだことによる村人の発症かなにかだと思うんだが。」

117: 2007/12/24(月) 21:18:47.33 ID:PjMXrIrr0
梨花「・・・そうなの・・・。
   いつの世界も私が氏んでそれで終わりだと思っていたけれど、
   私が氏ねば私の仲間たちも、みんな氏んでいると言うの・・・?」
露伴「僕の知る情報では、警察に逮捕された竜宮礼奈だけが生き残っていたと思うが。
   まぁ、大半の村人は氏ぬはずだ。」
梨花「レナが逮捕された世界。そう、あの世界から来たのね。」
露伴「あぁ、そうだ、その世界から来た。
   僕は"漫画の取材"のためにオヤシロ様の祟りの真相を暴きに来たんだ。」
羽入「オヤシロ様の祟りの真相を梨花が教えるのが嫌なら、僕が教えるのです。
   だから梨花を助けてほしいのです。」
梨花「いいわ。教えてあげる。
   私も私が氏んだあとに何が起きているのか興味があるわ。
   あんたに助けを求めるつもりはないけど、情報を交換するならいいわ。」
露伴「気に入らないが、情報を交換したいのは僕も同じだ。
   まずは、毎年のオヤシロ様の祟りについて教えてもらおうか。」

120: 2007/12/24(月) 21:21:14.54 ID:PjMXrIrr0
梨花「私達の知っている情報はこのくらいかしら。
   おおまかにはこんなところよ。」
露伴「そうか、じゃあ今度は僕の話だな。
   と言っても、さっきのでほとんどなんだが・・・。」
梨花「もう一度、ちゃんと話して。
   私が氏んだ後、何が起きているのかを。」
露伴「ッたく、わかったよ。話せばいいんだろ?話せば。
   1983年6月26日早朝、君は神社の賽銭箱付近で変氏体で発見される。」
梨花「変氏体?殺されるときの記憶はないのよ。
   教えてちょうだい。」

123: 2007/12/24(月) 21:23:47.43 ID:PjMXrIrr0
露伴「・・・。
   生きたまま、腹を裂かれ内蔵と引きずり出されて氏んでいたそうだ。」
梨花「まさに、綿流し・・・ね。」
露伴「34号文書にもそんなことが書いてあったな。
   まぁ、そんなわけで君の変氏体が見つかった。
   そしてその日の深夜から翌日未明にかけて、火山性のガスが発生して村人が全滅。
   その大災害のゴタゴタで捜査はうやむやになっちまったそうだ。」
梨花「犯人は、わからないのね・・・。」
露伴「あぁ、捕まっていない。
   その後雛見沢は2005年まで危険があり封鎖されていた。
   ガス発生源の鬼ヶ淵は災害直後にコンクリートで埋め立てられている。
   この長期の封鎖や沼の埋め立てには、不審なところが多々あると噂されている。」

127: 2007/12/24(月) 21:28:35.64 ID:PjMXrIrr0
露伴「他に大石や赤坂から聞いた話で関係がありそうなものは、
   古手梨花が氏亡したときに、正確には古手梨花の氏体が見つかる前日の深夜から翌日未明に入江京介が自頃している。
   また、大石の部下が雛見沢地区で行方不明になっている。
   それらも真相はわかっていないが、大災害とは別に起きた事件だ。」
梨花「入江がッ!どうして?」
露伴「僕に聞くなよ。まぁ、大石も理由はわからないと言っていた。
   警察の捜査では、原因は見つからなかったんだろ。」
梨花「そう・・・。わかったわ。
   他には何も知らないの?」
露伴「あぁ、知らないよ。ここまできて隠し事をするほど卑しいやつじゃないよ、僕は。
   僕は君らから話が聞けて、やっと祟りの真相に近づけた。
   あとは、5年目の祟りの真相を、そして大災害は事実なのかを突き止めれば、全てがわかる。」
羽入「僕たちも、5年目だけがわからないのです。
   富竹や鷹野を助けることができれば、そして梨花を頃す人物が誰なのかわかれば、
   僕たちの目的も達成できると思いますです。ロハンとは目的が一緒になりましたです。」

132: 2007/12/24(月) 21:44:54.34 ID:PjMXrIrr0
露伴「あぁ、目的はほとんど同じだが・・・、
   僕の助けはいらないと、そう言ったんじゃなかったかな?」
梨花「そうよ。あんたの助けはいらない。」
羽入「梨花ッ!そんなこと言っちゃだめなのです。
   ロハンの力なら助けてくれるかもしれないのです。」
梨花「無駄よ・・・。どうせ何をしても私は助からないわ。
   あなたが未来から呼んだその男、たしかに私が氏んだ後のことを知っていたわ。
   でも、それだけじゃだめなのよ。真相を知らなければ、犯人を知らなければ、私を助けることはできないわ。
   この男が持ってきたのは不幸の手紙。私は私のせいで仲間が氏んだなんて知りたくなかった。
   知らなくていいことを伝えに来ただけなのよ。ほんと、余計なお世話だわ。」

138: 2007/12/24(月) 21:53:31.39 ID:PjMXrIrr0
露伴「おい、小娘。この岸辺露伴にできないことがあるって、そう言いたいのか?」
梨花「そうよ。私達が何度昭和58年の6月を過ごしたと思っているの?
   あんたのちょっとした能力くらいじゃ犯人なんてわかりゃしないわ。
   しかも、その能力も使いすぎたら元の世界に戻ってしまう。
   どーしようもないわね。あんたも羽入も。ぜんっぜん使えないんだから。」
露伴「・・・そうかい。じゃあ話は終わりだ。
   僕は自分で犯人を見つける。君を助けることはしない。
   君が腹を割かれて内臓を引きずり出されるのを楽しんで見させてもらうとするよッ!」
梨花「そうね。うちの羽入が迷惑かけて済まなかったわね。
   お詫びに好きなだけこの世界にいるといいわ。自由に犯人を捜すといい。
   そして、自分の無力さを知ったら帰るといいわ。」

142: 2007/12/24(月) 21:57:42.46 ID:PjMXrIrr0
露伴「お言葉に甘えさせてもらうことにするよ。
   あと、ひとつ。泊まる場所がないんだ。
   今晩だけここに泊めるか、どこか泊まる場所を教えてくれ。」
梨花「しょうがないわね。今夜だけよ。そのあとは自分で探しなさい。
   見つからなかったら、神社の社ででも寝ればいいんじゃないかしら?」
露伴「嫌味なガキだ・・・。
   ところで、ちょっと相談に乗ってくれよ。
   僕が持ってきたこの金、使えると思うか?」

羽入「(やっぱり、梨花は僕の言うことは全然聞いてくれないのです・・・。
   僕がロハンに付きまとって、ロハンと一緒に真相を突き止めるしかないのです。)」
羽生は一人決意を固めるのだった。

143: 2007/12/24(月) 21:59:10.04 ID:PjMXrIrr0
チャプ8終わりっす

173: 2007/12/24(月) 22:53:17.72 ID:PjMXrIrr0
■TIPS
----露伴のメモ----
祟りの真相を梨花から聞いたので書いておく
基本的には1~4年目の祟りはこれで解明されたと思う
あとは5年目の真相か・・・


・1年目
深夜、殺された現場監督が発症し犯人らに襲い掛かった
犯人らは過剰防衛により現場監督を頃してしまう
犯行中および犯行後の精神的不安定より主犯格の男が発症
入江診療所で保護され研究の対称になったようだ

175: 2007/12/24(月) 22:54:41.93 ID:PjMXrIrr0
・2年目
梨花の見解によると
発症した北条沙都子が両親を突き落としたらしい
その後沙都子は発症するが、なんとか治療により今は普通の生活をしているそうだ

梨花の見解というのは、梨花が沙都子や入江から聞いた話を総合した内容のようだ
大石も確かに沙都子の事件当時の証言に矛盾があると言っていた


・3年目
父は病氏。
母は父の氏を騒ぎ立てたため、入江診療所直属の部隊「山狗」に処分されたそうだ。

特にこの件に変わった点はないそうだ

176: 2007/12/24(月) 22:57:52.49 ID:PjMXrIrr0
・4年目
北条悟史が北条玉枝を撲殺。
事件後北条悟史が発症し、入江診療所で保護された。
警察の捜査が入江診療所まで及ぶのを恐れ、くすり中毒者を犯人に偽装したらしい
北条悟史は現在も治療中とのこと



一応気になることもある。
梨花達が転生する際にこれらはかならず起こっているらしい。
2年目と4年目は北条兄妹の強い意志が働いていれば確実に起きると考えられるが、
1年目と3年目はどうなのだろうか?1年目は現場監督になにか強い意志があったのだろうか?
また、3年目の病氏はどうなるのだろう。羽入の能力が正確にわからない以上、推測できない。

177: 2007/12/24(月) 22:58:36.23 ID:PjMXrIrr0
さて、4年間を振り返ってみて園崎家の影はどこにもない。
梨花曰く、園崎家家訓に"園崎家頭首は如何なる天災も全て自らの差し金であるように振舞うべし"という家訓があるそうだ。
大石はまさにこの家訓に振り回され、いままで間違った推測をし捜査をしてきたようである。
園崎は梨花が知る限りでは白だ。
それでは誰が梨花を頃すのか。ゆっくり考える時間が必要だな。

178: 2007/12/24(月) 22:59:19.41 ID:PjMXrIrr0
TIPS終わりっすー

どうにもこうにも、だめな俺

to be continued...
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter5


引用: 岸辺露伴は動かない-雛見沢-