1: 2013/01/30(水) 14:16:45.30 ID:hH3g2FyX0
ジョセフ「『隠者の紫 (ハーミットパープル)』……」ズオォオオ

ジョセフ「フンッ!」ガシァン!

ジョセフ「……」

ジョセフ「……またじゃ、また『写って』いるッ!」

ジョセフ「何度何回、念写をしても何故か『それだけが』写っているッ!」

承太郎「……何が写っていると言うんだ?」

ジョセフ「嬢ちゃんに……嬢ちゃんの背後に、謎の『スタンド』と思しき姿が写りこんでいるんじゃッ!」

ジョセフ「承太郎、わしは恐ろしい予感がしてならない……
     このままでは、嬢ちゃんの身にきっと何かが起こるッ!」

ジョセフ「……頼む、承太郎」

ジョセフ「どうか、わしの代わりに『桜が丘』に行き、嬢ちゃんを助けてやってくれんか?」

承太郎「……」

ジョセフ「何故俺が……という気持ちも分からんでもない。
     本当なら、わしが行くべきなんじゃろう」

ジョセフ「じゃが、これは、こればかりはお前じゃなくてはならん気がするんじゃ。
     わしの長年のカンがそう告げているんじゃ」

ジョセフ「頼むッ!」

承太郎「……」

承太郎「……やれやれ、じじいは引っ込んでな」

承太郎「じじいならじじいらしく、お茶でも飲んでいることだ」

ジョセフ「行ってくれるか、承太郎ッ!」

承太郎「あんたは俺のおじいちゃんで……俺はあんたの孫だからな」



承太郎「(……トンだ休暇になりそうだ)」

けいおん! アクリルスタンドコレクション BOX商品

8: 2013/01/30(水) 15:55:53.50 ID:AGWCLiopo

42: 2013/01/31(木) 02:47:17.15 ID:+V/9S1//0
…………………………



「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」


「オラァッ!!!」


「……ッ!」


「何故だ……何故、攻撃が……」


「~」


「グウッ!?」


「テ、テメー……」


「~」


「……なるほどな、強えーぜ」


「じじい、すまん」


「~」



ドスッ



…………………………

43: 2013/01/31(木) 02:47:50.83 ID:+V/9S1//0
梓「すぅ……すぅ……」

梓「う、うん……ジ、ジョ……さん……」



純「あーずさッ!」バギァッ!



梓「ぶっ!?」

純「何、居眠りしてんの? もう、とっくに授業終わっちゃったよ」

梓「……だからって、起き抜けにタックルしてくるのはどうなのかな」

純「起こしてあげたんでしょー? ほら、部室行こう」

梓「はいはい……」

梓「……」

純「梓?」

梓「何?」

純「ボーッとしてるけど、どうかした? 当たり所悪かった?」

梓「おかげさまでねッ!」

梓「……なんか、変な夢見ちゃってさ。少し、気分悪い」

純「……大丈夫? ねぇねぇ、どんな夢見たの? ベタにお化け?」

梓「それが、全く覚えてないから気分が悪いんだよ」

純「なんだそりゃー……」

梓「純、知らない?」

純「知るかー!」

純「あ、そうだ! お化けと言えば、一つ面白い話があってね」



純「……『音 楽 室 の 仮 面』って、知ってる?」



梓「……なんで、それっぽく声色変えるの」

44: 2013/01/31(木) 02:48:44.04 ID:+V/9S1//0
純「音楽室に楽器とか仕舞ってある物置あるじゃん?」

純「その中にさ、どう見てもその場所には似つかわしくない『仮面』が置いてあるんだって」

梓「『仮面』?」

純「その『仮面』はね……とても恐ろしい表情をしてるんだけど、
  それを見た人は何故か、『仮面』を付けてしまいたくなる衝動に襲われるとかなんとか」

梓「……付けるとどうなるの?」

純「どうなるかって? それはね……」

梓「ゴクリ……」

純「じ……」



憂「……オォオオネエェチャアアアアァン!」バーーーンッ!




純「ギャーッ!?」ビクゥッ!

梓「にゃーッ!?」ビクゥッ!

憂「えへへ、二人とも驚いた?」ニコッ

梓「うっ、うっ、憂~……」

純「心臓、止まるかと思った……」

憂「そんなに?」

梓「う、うん……なんか、真に迫ってた……」

純「私が梓を驚かそうとしてたのにぃ~! 憂の馬鹿ー!」

憂「つい……」

梓「あはは……」

梓「で、純。さっきの話のオチは?」

純「分からないッ!」ビシィッ!

梓「はぁ? 何それ」

純「だって、私も『そういう話があるんだよ~』って、別の子から聞きかじっただけだし」

純「本当は私がオチの所で、『ギャーッ! こわーい!』って、大声出そうとしてたのにな」

梓「あのさぁ……」

45: 2013/01/31(木) 02:50:11.32 ID:+V/9S1//0
憂「ねぇ、お話の続きは部室でしようよ。
  きっと、スミーレちゃんも直ちゃんも、もう先に来て待ってるんじゃない?」

梓「……そうだね。いちいち、純の話に付き合ってたら日が暮れちゃうし」

純「梓、ひどっ!?」

憂「今日はね、おやつにカスタードプリンを作って持ってきたの!」

梓「プリンかぁ。憂は凄いよね、料理でも何でも出来て」

憂「そんなことないよ。本のレシピ通りに作っただけだから」

梓「それでも充分凄いよ。良いお嫁さんになるんだろうなぁ……」

梓「それに比べると私は……むぅ」

憂「お、お姉ちゃんの良いお嫁さんになれるだなんて、そ、そんな……もう梓ちゃんてば//」

梓「ゆ、唯先輩とは言ってないんだけど」

憂「~」

梓「~」



純「ちょっ、待って二人とも! 置いてかないで!」

純「ねぇ聞いてる? ねぇ!」

46: 2013/01/31(木) 02:50:50.12 ID:+V/9S1//0
その頃 桜が丘行きの電車の中



ガタン、ガタン……



承太郎「……」

承太郎「……」

承太郎「……」パチッ

承太郎「……夢か」


承太郎「(……随分、寝ちまったみてーだな)」

承太郎「(しかし、胸糞悪ィ夢を見た気がするぜ……
     これが悪夢って奴か? 初めて体験した気はしないがな)」


承太郎「……最低の寝覚めって気分だ」チッ



『……が丘、次は桜が丘です。お乗り換えの際は足元にご注意して……』



承太郎「(『桜が丘』、か)」


承太郎「『スタンド』の件でもなけりゃあ、
    是非、観光で来たかったトコだな。やれやれだぜ」


承太郎「(何事も無ければ、という訳にはいかないだろうな)」

55: 2013/02/01(金) 03:34:58.02 ID:CkUDhhNg0
部室


梓「皆、いる?」ガチャリ



直「中野先輩」カタカタァ

菫「お、お疲れ様です。今、先輩方のお茶も淹れますね」

純「ありがとー!」

憂「いつもごめんね、スミーレちゃん」

菫「いえ、好きでやっていますから。半分、習性みたいな感じというか……」

憂「それ、分かるなぁ……私もお姉ちゃんが家にいた時はそんな感じだったよ」

梓「憂はいつも、唯先輩を甘やかし過ぎてたよね」

憂「だって、お姉ちゃんの喜ぶ顔がすっごい可愛いんだもん!」

憂「……」

憂「寂しいなぁ……お姉ちゃん、早く帰ってこないかなぁ……ぐす」ポロポロロ


梓「(い、いけないスイッチ入っちゃったァ!?)」


純「泣かないで憂……」スッ

純「そんな時は、私を唯先輩と思ってお世話すれば良いのさッ!」バン!

梓「どうしたら、その結論に至るのか」

憂「それはいいや」スッキリ

純「ですよねー。チャンチャン♪」



菫「あの、お茶が入りました~……」アセアセ

直「これがホントの茶番……」カタカタァ

56: 2013/02/01(金) 03:36:14.10 ID:CkUDhhNg0
――――――

――――

――


直「『音楽室の仮面』ですか? はい、知ってますけど」カタカタァ

直「最近、その噂が広まってるみたいで、よく聞きますね」カタカタァ

梓「へー……結構、有名なんだ?」

菫「私も聞いたことあります。
  確か、その『仮面』を付けると音楽のセンスが良くなるとか……」

純「ふーん、そんなオチだったんだ。呪われるとかそんなんじゃないんだね……つまんないの」


梓「(コイツは……)」


直「あれ? 私が知ってるのとはちょっと違いますね」カタカタァ

憂「違う?」

直「はい。私が聞いたお話だと、その『仮面』をつけたものには、
  まるで人が変わったかのように圧倒的なまでの演奏力が備わると」カタカタァ

梓「情報が錯綜してるね……噂なんて、そんなものだけどさ」

純「……」

純「ちょっと私、音楽室に用事あったの思い出した」ガダアッ

梓「え……純?」



純「皆、私のことは気にしないで! あと、おやつのプリンは残しておいてね!」ダダッ!



憂「純ちゃーん!」

直「なんて、分かりやすい先輩なんでしょう」カタカタァ

菫「お、追いかけた方が良いんでしょうか?」

梓「ああ……ほっといていいよ。どうせ、そんな『仮面』なんて本当にある訳ないし」

梓「それより、憂のプリン食べて練習しちゃおう」

直「ですね」カタカタァ

憂「あ、食べる前に少し待って。まだ、仕上げが残ってるんだ。
  ……ほら! プリンの上に生クリームとチェリー!」

菫「凄い! 凝ってますね!」

憂「あらかじめ乗せちゃうと、学校に持ってくるまでに崩れちゃうからね」

梓「いただきまーす!」

57: 2013/02/01(金) 03:37:44.58 ID:CkUDhhNg0
廊下


純「(うふふふ……まさか、『仮面』にそんな御利益があったなんてね)」

純「(これはもう、付けるしかないっしょ!)」

純「(まぁ、無いだろーけど)」

純「(それはそれで、話のタネになるし?)」

純「(なにより、あわよくば澪先輩のように……という考えが捨てきれないッ!)」



「~」



純「……ん? 下の階から男の人の声がする」タッタッタッ



堀込先生「……分かりました。では、この入校許可証に名前を書くので、名前を伺っても宜しいですか?」

承太郎「……承太郎。空条承太郎です。『空』に条例の『条』。『承』るに『太郎』だ」


純「(うわ、でっかい人だなぁ……誰かのお父さんとかかな?)」


承太郎「……」チラリ

承太郎「君」


純「(君? ……えっ! わ、私!?)」アタフタ


純「はっ、はい?」

承太郎「すまないが、軽音部の部室の場所を教えてほしい。中野……という子に用がある」

純「部室なら、この階段を登っていってすぐですけど……」

純「……梓に何の用ですか?」

承太郎「……」

承太郎「さあな」

純「?」

承太郎「教えてくれて有難う」クルッ



純「待っ……行っちゃった」

純「もしかして、梓の彼氏とか? まさかね……いやいや、まさかね」

純「って、私も私で音楽室に用があるんだった!」ダダッ!

58: 2013/02/01(金) 03:39:25.31 ID:CkUDhhNg0
部室


梓「美味しかった~……グレートだよ憂」

憂「そう言って貰えると嬉しいな」

直「ますます、平沢先輩のロボット説が濃厚になりました」カタカタァ

憂「もお~、まだソレ引っ張るの?
  いい加減にしないと、両腕からマシンガン撃っちゃうよ」

直「撃てるんですか!?」カタカタァ

憂「撃てないよォ」ニコッ

直「……やっぱり平沢先輩には叶いません。お手上げ侍です」カタカタァ


梓「(うーん……本気なのか、冗談なのか……)」


菫「食器、洗ってきますね」カチャカチャ

憂「私がやるよ?」

菫「いえ、これくらい……」



ガチャリ



承太郎「失礼」ヌウッ

菫「ひぃっ!?」ビクゥッ! バラバラバラ……

憂「あっ! お、お皿がッ!?」

承太郎「……」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ドキュ! ドキュ!



承太郎「……っと、気を付けな。驚かせて悪かった」

菫「あ、あれ? お、お皿を落としたと思ったのに……」

憂「す、すみません……スミーレちゃん、大丈夫?」

菫「わ、私はなんともないです」


梓「(い、今のって、『スタンド』!? それに、この人どこかで……)」


梓「……誰ですか?」

59: 2013/02/01(金) 03:40:40.42 ID:CkUDhhNg0
承太郎「……俺は空条承太郎。ジョセフ・ジョースターの孫だ」

梓「ジョセフ……ジョジョさんの孫!?」

承太郎「ああ。そのジョセフ・ジョースターから、君を守るように頼まれた」

梓「私を……? 何からですか?」



承太郎「中野梓、君は『スタンド使い』に狙われている」



梓「!?」ガァーン!

憂 菫 直「?」

承太郎「この写真を見てくれ、じじいが『隠者の紫』で念写したものだ」サッ

梓「な、なんですかコレ……私の背中に変なモノが『居ます』……!」

菫「……」



菫「(……何か、見えますか?)」ヒソヒソ

憂「(ううん、何も……)」ヒソヒソ

直「そのテの人なんですかね?」カタカタァ

菫「な、直ちゃん、声! 声出てるよ!」



承太郎「つまりだ、この学校に君以外の『スタンド使い』が潜んでいる」

承太郎「じじいから話は聞いているが、生憎と君の『スタンド』は戦闘向きじゃあない」

承太郎「そこで、俺が……という訳だ。体のいいボディガードと言った所か」

梓「な、なんで私が狙われてるんですか?」

承太郎「さあな……だが、『スタンド使い同士は惹かれあう』。数奇なことにな」

承太郎「君も面倒な運命に片足をツッコんじまったということだ」

梓「そんなぁ……」

承太郎「やれやれだぜ……」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ドリーム・ドランカー「困ったもんDEATH」



梓「勝手に出てこないでよ。誰のせいだと」


承太郎「(コイツが中野梓の『スタンド』……)」

60: 2013/02/01(金) 04:13:14.15 ID:CkUDhhNg0
憂「あの~……」

承太郎「……ん?」

憂「もっと、分かりやすく教えてくれませんか? ……梓ちゃん、何かに狙われているんですか?」

承太郎「君は……」

憂「平沢憂と言います。梓ちゃんと同じ軽音部の部員です」

菫「さ……斎藤菫です」ペコリ

直「私は奥田直です」カタカタァ

承太郎「そうか。だが、これは君達が関わるような話じゃあない」

承太郎「関われば、関わっただけ、面倒なことになるだけだ」

憂「ッ!」

憂「私は梓ちゃんの友達です。 友達が友達のことを心配するのはおかしいことですか?」

憂「よくは分からなかったですけど、空条さんが梓ちゃんのボディガードを……
  ということは、梓ちゃんが危ない目に合うかもしれないってことですよね」

承太郎「……ああ」

憂「それなのに、『てめーは関係ねーからあっちいけ』なんて酷すぎます」

承太郎「待て。そこまで言ってねえ」

菫「梓先輩……氏んじゃうんですかぁ……?」ウルウル

承太郎「おい……」

直「もしもし、警察ですか? 女子校に変な男の人が……」カタカタァ

承太郎「……!」



承太郎「やかましいッ! うっとおしいぜッ!」



承太郎「……説明すりゃあいいんだろう、説明すりゃあ」

承太郎「言っておくが、これから俺の話すことはもっと荒唐無稽だぜ。
    信じらんねーようなことばかりだ」

憂「梓ちゃんが心配なんです!」ふんす!

梓「憂……」


承太郎「(これだから女は……)」

74: 2013/02/01(金) 10:45:51.44 ID:CkUDhhNg0
自分で書いた設定を自分で忘れるのはいけないよね。
じゃあどうする? 修正するだろう? 誰だってそうする俺もそーする。


承太郎「……俺は空条承太郎。ジョセフ・ジョースターの孫だ」

梓「ジョセフ……ジョジョさんの孫!?」


憂「(ジョジョ? 聞いたことあるような……)」


承太郎「ああ。そのジョセフ・ジョースターから、君を守るように頼まれた」

梓「私を……? 何からですか?」



承太郎「中野梓、君は『スタンド使い』に狙われている」



梓「!?」ガァーン!

憂 菫 直「?」

承太郎「この写真を見てくれ、じじいが『隠者の紫』で念写したものだ」サッ

梓「な、なんですかコレ……私の背中に変なモノが『居ます』……!」

菫「……」



菫「(……何か、見えますか?)」ヒソヒソ

憂「(ううん、何も……)」ヒソヒソ

直「そのテの人なんですかね?」カタカタァ

菫「な、直ちゃん、声! 声出てるよ!」



承太郎「つまりだ、この学校に君以外の『スタンド使い』が潜んでいる」

承太郎「じじいから話は聞いているが、生憎と君の『スタンド』は戦闘向きじゃあない」

承太郎「そこで、俺が……という訳だ。体のいいボディガードと言った所か」

梓「な、なんで私が狙われてるんですか?」

承太郎「さあな……だが、『スタンド使い同士は惹かれあう』。数奇なことにな」

承太郎「君も面倒な運命に片足をツッコんじまったということだ」

梓「そんなぁ……」

承太郎「やれやれだぜ……」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ドリーム・ドランカー「困ったもんDEATH」



梓「勝手に出てこないでよ……誰のせいだと」


承太郎「(コイツが中野梓の『スタンド』……)」

88: 2013/02/02(土) 02:42:31.59 ID:QOEYp6WA0
――――――

――――

――


直「つまり、中野先輩と空条さんはその『スタンド』とやらを持っている『スタンド使い』で、
  その『スタンド』のせいで中野先輩が、別にいるであろう『スタンド使い』に狙われていると」カタカタァ

菫「ええと……ややこしいですね……」

憂「『スタンド』って、どういうものなんですか?」

承太郎「早い話が、ソレを持っている者同士にしか認識出来ない超能力みたいなものだ」

承太郎「能力も千差万別で、例えば俺の持つ『スタンド』、
    『星の白金 (スタープラチナ)』は超スピードと優れたパワー、精密な動きを得意とする」

憂「はぁ……」

承太郎「ピンとこないか? なら、『スタンド』の存在の証明がてら面白いモノを見せよう」

承太郎「このギターを借りるぜ……コイツは楽譜か。どれ」スッ

梓「あ、私のむったん」



承太郎「『スタープラチナ』ッ!」ドギューーーン!



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



スタープラチナ「オラァーッ!」ギュイイイイイインンンンンッ!



梓「こ、この曲はッ! 『ふわふわ時間』ッ!?」

憂「凄い……空条さんはギターをその手に『持っていない』のに、
  まるで、プロのギタリストのように『弾いて』いますッ!」

菫「……」ドキドキ

直「そして何より凄いのは、空条さんはほんの少し前まで、
  『ふわふわ時間』のことを何も知らなかったはずということ……」カタカタァ

承太郎「……とまぁ、俺の『スタンド』ならば、
    このように楽譜をチラッと見ただけでもプロ並みの演奏が出来る」

承太郎「これが『スタンド』だ。紛れもねえ、確かに存在する『力』だ」

承太郎「この『力』を持った奴に、彼女は狙われているんだ」

89: 2013/02/02(土) 02:43:39.16 ID:QOEYp6WA0
菫「……梓先輩、そうなんですか?」

梓「あはは……そう、みたいだね」

承太郎「理解出来たか? なら、もう一度言うぞ」



承太郎「この問題に君達のような子が関わってはいけない」



承太郎「親友が心配で仕方ねえのは分かる。危険なことに巻き込まれているというのなら尚更だろう」

承太郎「だからこそ、首をツッコんではならない」

承太郎「君達まで、その『危険』に巻き込まれてしまったらどうする?」

憂「それは……でも……」

承太郎「その『危険』は常識じゃあ図れない。何が起こるかなんて分かりはしない」

承太郎「俺には、じじいから彼女を守って欲しいと託されたその責任がある」

承太郎「どうか、俺を……いや、私を信用して放っておいてくれ。彼女は私が必ず守る」

菫「……」チラリ

直「……」カタカタァ

梓「……」

梓「皆、あ、あのさ……」



ガチャリ



承太郎「!」



純「……」



菫「あ、純先輩……」

純「……ごめん、遅くなって」

承太郎「君も軽音部員だったのか」

純「ええ……まぁ……」

90: 2013/02/02(土) 02:45:48.41 ID:QOEYp6WA0
純「それより皆、練習しようか……確か、もう学園祭まで時間無いよね?」

純「しっかり練習しないと本番で恥かいちゃうよ」

直「……そういえばそうですね」

菫「先輩達とやれる、最初で最後の学園祭ですもんね……」

梓「あのさ、純。私ね……」

承太郎「待ちな。これ以上、部外者に余計なことは話すな。面倒なことになるだけだぜ」

梓「……はい」

純「……」

憂「……」


憂「(なんだか、空気が少し重い……よしっ)」


憂「そ、そうだ純ちゃん! その前におやつ食べない? ほら、純ちゃんはまだプリン食べてないでしょ?」

憂「とっても美味しかったって、皆に評判だったんだよ」

純「いらない」

憂「えっ?」

純「いらないよ、そんなモノ……」

憂「で、でも……純ちゃん、プリン食べたがってたじゃない」

純「……そうなの? ……それじゃあ、上に申し訳無さそうに乗っかってるチェリーだけ食べるよ」パクッ



純「レロレロレロレロ……ガリッ! ゴクン……」



純「……さ、練習しようか? ねぇ」

憂「……!?」ゾクゥッ

91: 2013/02/02(土) 03:20:03.14 ID:QOEYp6WA0
梓「純……?」

純「何?」

憂「……プ、プリンの気分じゃなかった? ごめんね……」

直「……鈴木先輩、どうかしたんですか?」カタカタァ

純「だから何が?」


承太郎「(……あの子は普段からああなのか?)」ヒソヒソ

菫「(い、いえ……普段はもっと明るいというか……)」ヒソヒソ


純「どうしたの? 皆、変な顔してさぁ……」

純「早く、練習しようよ」


梓「(なんだろう……何故か、純に『違和感』を感じる……)」

梓「(純はこんなにも練習熱心な子だった? 人の好意を蔑ろにするような子だった?)」


純「えーと……そこのおじさん」

承太郎「……」

純「私達、これから部活なんで出て行って貰えますか? 関係無い人がいるのはちょっと」

梓「純、そんな言い方は」

承太郎「……分かった。邪魔したな」ガダアッ



承太郎「梓、くれぐれも自分の身の周りに気を付けろ。また、明日来る」ガチャリ



梓「空条さん!」

純「いいから……練習練習……」

菫「そ、そうですね、学園祭に向けて頑張りましょう」

直「……機材の調整してきます」カタカタァ

憂「どの曲から合わせよっか……?」



梓「……変だよ純」

ドリーム・ドランカー「あからさまですね……」

梓「……」

92: 2013/02/02(土) 04:04:08.71 ID:QOEYp6WA0
――――――

――――

――


梓「……今日の練習はこれくらいにしようか。もう、暗くなっちゃうしさ」

菫「はい」

直「お疲れさまでした」カタカタァ

純「……先に帰る」ガチャリ

憂「あっ! 待って、純ちゃん!」ダダッ!



梓「……」

直「中野先輩? 帰らないんですか?」カタカタァ

梓「私は少し残るよ。戸締まりとかはやっておくから」

直「分かりました。ではお先に……行こう、スミーレ」カタカタァ

菫「うん。さようなら、梓先輩」

梓「バイバイ」



梓「……」



ドリーム・ドランカー「なんで、帰らないんですか?」

梓「音楽室に行く」

梓「純、『音楽室に行く』って言って、戻ってきてから様子がおかしかった」

梓「……音楽室で何かあったのかもしれない」

ドリーム・ドランカー「何かって?」

梓「それを確かめに行くんだよ」

93: 2013/02/02(土) 04:33:48.22 ID:QOEYp6WA0
音楽室


ドリーム・ドランカー「何も無いです」

梓「無いね……普通の音楽室だ」

ドリーム・ドランカー「こっちは何ですかね?」

梓「そっちは物置だよ。授業で使う楽器とか、教材が置いてあるんだ」

ドリーム・ドランカー「これは?」サッ

梓「『仮面』だね。変な顔」

梓「……」

ドリーム・ドランカー「……」

梓「『仮面』!? みっ、見せてソレ!」

梓「うわぁ……なんか不気味……。なんで、こんなトコに『仮面』があるんだろ」

ドリーム・ドランカー「これが噂の『音 楽 室 の 仮 面』でしょうか」

梓「……急に声色変えないでってば」

ドリーム・ドランカー「被ってみますか? 本物だったら、音楽センス良くなること間違い無しDEATH!」

梓「私の音楽センスがもともと悪いみたいに言わないでよ」



純「梓」



梓「にゃっ!?」ビクゥッ!

梓「じ、純か……驚かさないでよ。憂と一緒に帰ったんじゃないの?」

純「その『仮面』に触っちゃ駄目」

梓「か、『仮面』に……?」

純「……」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



梓「(何? こ、この迫力は……!)」ゾクゥッ


ドリーム・ドランカー「……私と同じニオイがします! 離れて!」



純「行こう、『ブラックオアホワイト』!」



ブラックオアホワイト「Black Or White?」ドウゥゥゥウン!



梓「じ、純が『スタンド』出したァ!?」ガァーン!

94: 2013/02/02(土) 04:37:14.48 ID:QOEYp6WA0
『ブラックオアホワイト』

破壊力:B スピード:A 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:A 成長性:E

109: 2013/02/03(日) 01:22:04.93 ID:R1qJVhtv0
ブラックオアホワイト「物事にはさァ……何事も『黒』と『白』があるんだ」

ブラックオアホワイト「今、見えてるモノの裏半分は見えないみてーにさァ」



ブラックオアホワイト「この場合、私はどっちだと思う?
           今、見えてる私が『黒』なのか……それとも『白』なのか」



梓「は……何を言ってるの?」

ブラックオアホワイト「『表』なのか『裏』なのか。『当たり』なのか『外れ』なのか」

ブラックオアホワイト「『永久の二択』を君にプレゼントするよ!」ガオォン!

梓「ひっ!?」

ドリーム・ドランカー「危ないですよ!」ガバァッ!



ドゴォン!



梓「ッ!?」

ブラックオアホワイト「凄い凄い。幾ら軽いジャブとはいえ、よく受けられたよ」

ドリーム・ドランカー「私、こういうの苦手DEATH……」

梓「いっ……たぁ! う、腕が痺れて……」

ドリーム・ドランカー「私のダメージはアナタにも届いちゃいますから……」

梓「ジンジンする……わっ、赤くなってる!?」

純「……」

梓「ねぇ、落ち着いて純! なんでこんなこと……」

ブラックオアホワイト「ノンノン、君の声は彼女には届かない。言うなれば、操り人形状態だからだ」

ブラックオアホワイト「じゃあ、誰が操っていると思う?」

梓 ドリーム・ドランカー「お前」

ブラックオアホワイト「即答ありがとう」

ブラックオアホワイト「だが、それをどうやって確かめる? その術は?」

ブラックオアホワイト「仮に私が『はいそうです』と言ったら、君はそれを信じるのか?
           『嘘』かも『本当』かも分からないのに?」


梓「(なんだろ……凄く面倒臭い)」


ブラックオアホワイト「人生とは『選択』の連続だ。Ifなんぞ有り得ない」

ブラックオアホワイト「だからこそ、目の前の『二択』に真剣にならなくちゃあいけないのだよ」

ブラックオアホワイト「ソレの重要性が分からない子供は見ていて反吐が出る」

ブラックオアホワイト「さて、ここで君に『選択肢』だ」

113: 2013/02/03(日) 02:16:04.55 ID:R1qJVhtv0
僕もびっくりした。

そして何よりびっくりしたのは、今朝の間に少し書き溜めていたテキストがさっき吹き飛んだということだ。

117: 2013/02/03(日) 04:38:58.27 ID:R1qJVhtv0
梓「『選択肢』?」

ブラックオアホワイト「そう」



ブラックオアホワイト「君は『逃げる』? 『逃げない』?」



ブラックオアホワイト「『逃げる』なら、命は助かるかもしれない。
           だが、『逃げない』のであれば、確実に君は氏ぬだろうなァ」

ブラックオアホワイト「私はこういう『二択』を出すのが大好きなんだよ」

純「……」


ドリーム・ドランカー「(……逃げましょう。私じゃ、勝てません)」ヒソヒソ

ドリーム・ドランカー「(さっき、攻撃を受けて実感しました。
            たったのパンチ一発ですが、ハッキリと実力差があります)」ヒソヒソ

梓「(……でも、純がああなってるのはきっと、アイツのせいだよ。
   それを放って自分だけ逃げるなんてッ!)」ヒソヒソ

ドリーム・ドランカー「(……戦うんですか!? 見たでしょう、あのスピードを!
            私がチンタラ『音』を出してる間にノックアウトDEATH)」ヒソヒソ

梓「(そ、それは……確かに承太郎さんも私の『スタンド』は戦闘向けじゃないと言ってたけど)」ヒソヒソ


ブラックオアホワイト「時間切れ」

梓「ええっ! 早いっ!?」

ブラックオアホワイト「『いつまでも あると思うな 選択肢』ン~、至言だなァ」

ブラックオアホワイト「ま、どっちにしろ[ピーーー]つもりだったんだけどさァ」

梓「『選択肢』の意味はァ!?」

ブラックオアホワイト「言ったはずだよ? 私は『二択』を『出すのが』好きなんだよ」

梓「思いきり、屁理屈じゃん……」

ブラックオアホワイト「という訳で、君はここで[ピーーー]」ブゥンッ!


梓「(ス、『スタンド』で防御をッ!)」

ドリーム・ドランカー「(駄目ですッ! 間に合わな……!)」

118: 2013/02/03(日) 04:41:03.29 ID:R1qJVhtv0
ミス


梓「『選択肢』?」

ブラックオアホワイト「そう」



ブラックオアホワイト「君は『逃げる』? 『逃げない』?」



ブラックオアホワイト「『逃げる』なら、命は助かるかもしれない。
           だが、『逃げない』のであれば、確実に君は氏ぬだろうなァ」

ブラックオアホワイト「私はこういう『二択』を出すのが大好きなんだよ」

純「……」


ドリーム・ドランカー「(……逃げましょう。私じゃ、勝てません)」ヒソヒソ

ドリーム・ドランカー「(さっき、攻撃を受けて実感しました。
            たったのパンチ一発ですが、ハッキリと実力差があります)」ヒソヒソ

梓「(……でも、純がああなってるのはきっと、アイツのせいだよ。
   それを放って自分だけ逃げるなんてッ!)」ヒソヒソ

ドリーム・ドランカー「(……戦うんですか!? 見たでしょう、あのスピードを!
            私がチンタラ『音』を出してる間にノックアウトDEATH)」ヒソヒソ

梓「(そ、それは……確かに承太郎さんも私の『スタンド』は戦闘向けじゃないと言ってたけど)」ヒソヒソ


ブラックオアホワイト「時間切れ」

梓「ええっ! 早いっ!?」

ブラックオアホワイト「『いつまでも あると思うな 選択肢』ン~、至言だなァ」

ブラックオアホワイト「ま、どっちにしろ頃すつもりだったんだけどさァ」

梓「『選択肢』の意味はァ!?」

ブラックオアホワイト「言ったはずだよ? 私は『二択』を『出すのが』好きなんだよ」

梓「思いきり、屁理屈じゃん……」

ブラックオアホワイト「という訳で、君はここで氏ね」ブゥンッ!


梓「(ス、『スタンド』で防御をッ!)」

ドリーム・ドランカー「(駄目ですッ! 間に合わな……!)」

119: 2013/02/03(日) 04:42:37.98 ID:R1qJVhtv0

「『スタープラチナ・ザ・ワールド』」

120: 2013/02/03(日) 05:15:20.57 ID:R1qJVhtv0
ブラックオアホワイト「ブラァッ!」シュバァ!

ブラックオアホワイト「!?」


ブラックオアホワイト「(手応えが無い……?)」


梓「……!」ブルブル

梓「……」

梓「……あれ? なんともない」



承太郎「ふむ……今の俺じゃあ、せいぜい『1秒』か」バァーーーンッ!



梓「空条さん!? 帰ったんじゃ……」

ブラックオアホワイト「ど、どこから現れたッ!?」

承太郎「俺は君を守ると言った。それに嫌な予感がしたんでな……戻ってみたら、案の定だぜ」


ブラックオアホワイト「(なんだ……? 気配は感じなかったぞ!?)」


梓「く、空条さん、純が『スタンド使い』だったんです!」

承太郎「……そのようだな。だが、彼女が『スタンド』を制御しているようには見えない」

承太郎「その『仮面』は?」

梓「あ、ここの物置に置いてあったんです。それを眺めてたら、いきなり純が……」


ブラックオアホワイト「(……なんだか知らないが、まとめて叩くッ!)」ドウッ!


承太郎「野郎」



スタープラチナ「オラァーッ!」ガシィン!



ブラックオアホワイト「速いッ!? そして私のパンチをなんなくと受け止めたッ!」

承太郎「見たところ、『スタープラチナ』と同タイプの『スタンド』か。殴り合いなら俺の土俵だぜ」

125: 2013/02/03(日) 05:41:07.42 ID:R1qJVhtv0
梓「な、殴ったら駄目です! 『スタンド』のダメージは『スタンド使い』にもくるんですよね?」

梓「もし、アイツをやっつけたとしても、純が大怪我したら……!」

承太郎「……彼女を怪我一つ負わせずに『スタンド』だけを倒せと?」

梓「……無理ですか?」

承太郎「無理だな……」

承太郎「だが、本体の意識を無くせば『スタンド』も自ずと消えるはずだ」



承太郎「『スタープラチナ・ザ・ワールド』」



純「……」ピタァ

ブラックオアホワイト「……」ピタァ

梓「……」ピタァ


承太郎「(痛みを与えずに本体の首筋への当て身)」

承太郎「(これで上手いこと眠ってくれさえすれば……
     根本的な解決にはならんが、その後はその後だ)」


ブラックオアホワイト「……」ハッ

ブラックオアホワイト「き、消えたッ!? どこだァ!?」

承太郎「ここだぜ」

スタープラチナ「フン!」ヒュン

ブラックオアホワイト「……ニヤッ」



スカッ



承太郎「……外した?」

ブラックオアホワイト「ブラァッ!」シュバァ!

承太郎「ウグゥッ!?」ドゴォ!

梓「空条さん!?」

127: 2013/02/03(日) 06:00:58.05 ID:R1qJVhtv0
ブラックオアホワイト「フゥ~、『二択』は私に味方したようだ」

梓「だ、大丈夫ですか?」

承太郎「大したことはねえ……しかし……」


承太郎「(今、『スタープラチナ』の手刀が不自然な軌道を描いたように見えたぜ……)」

承太郎「(『スタープラチナ』の動きの正確さは機械以上だ。
     意図しない限り、その攻撃を外すなんて有り得ねえ)」


承太郎「……何かしやがったな」

ブラックオアホワイト「『何かしやがったな』? それを言うなら、私は『最初から何かしている』」

ブラックオアホワイト「ようやく『二択』の運が私に向いただけのこと」


承太郎「(……もう一度だ)」



承太郎「『スタープラチナ・ザ・ワールド』」



ブラックオアホワイト「ブララララァーッ!」バギィン!



梓「ま、まるでパンチの雨あられですッ!?」

承太郎「何ッ!?」

スタープラチナ「オラオラオラァ!」ガシィン!

ブラックオアホワイト「チッ……『外した』か」

承太郎「ぐっ……」


承太郎「(どうなっていやがる……今度は『時が止まらない』だと?)」

128: 2013/02/03(日) 06:32:49.92 ID:R1qJVhtv0
ブラックオアホワイト「どうした? 『何が起こってるか分からねー』、そんな面をしているなァ」

承太郎「……」

ブラックオアホワイト「フフフ、呆けてる暇があるのか? 今度はもっと強いラッシュを繰り出すぞ」



ブラックオアホワイト「ブラブラブラブラブラブラブラブラァッ!」ドババババオッ!

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」ガシィン!



承太郎「がはっ!? グウッ!」ズサァッ

梓「く、空条さんがッ!?」

承太郎「大切な帽子を吹き飛ばしやがって……」ヨロォ


承太郎「(お、俺は奴のパンチを全て受け流したと思った……)」

承太郎「(……なのに、幾らか『貰っち』まったのはどういうことだ?)」



ブラックオアホワイト「とったッ! その体勢からではこの蹴りは避けられないッ!」ゴオォオゥ!



承太郎「クソッ……『スタープラチナ・ザ・ワールド』!」



ブラックオアホワイト「……」ピタァ



承太郎「……」

承太郎「止まった……? 急いで動かねーと……」スゥッ


承太郎「(とっさにまた時を止めてみたが、問題無く止まった……)」

承太郎「(さっき、『スタープラチナ・ザ・ワールド』が不発だったのは何故だ?)」


ブラックオアホワイト「ッ!」スカッ

ブラックオアホワイト「また、私の攻撃を消えて避けた……お前も『何かしているな』?」

承太郎「お互い様だぜ」


承太郎「(しかし、分が悪いのはこちらか。俺は奴をブン殴れねえ。奴は俺をブン殴れる。
     歯がゆくて仕方ねーぜ)」

承太郎「(奴の能力は一体……)」

157: 2013/02/04(月) 02:09:29.24 ID:lpFgAt830
ブラックオアホワイト「お前。お前の名前は? 空条……」

承太郎「……承太郎だ」

ブラックオアホワイト「承太郎か。私の名は『ブラックオアホワイト』だ」

ブラックオアホワイト「承太郎、お前はどっちだと思う?」

承太郎「何がだ」

ブラックオアホワイト「そうだなァ……おっ、ここにチョークがある」キョロキョロ

ブラックオアホワイト「この何の変哲もないチョークで人の骨は『折れる』と思うか?
           それとも、『折れない』と思うか?」

承太郎「……さあな。だが、常識的に考えれば、そんなモノでは人の骨は『折れない』のが普通だ」

ブラックオアホワイト「そうかな? 私は『折れる』と思う」

ブラックオアホワイト「ブラァッ!」ブンッ!


承太郎「(俺にチョークをブン投げやがったッ!? 野郎、教師にでもなったつもりか)」


承太郎「その程度のスピードで『スタープラチナ』をすり抜けられると思うなよ」

スタープラチナ「オラァ!」パシッ

ブラックオアホワイト「キャッチされたか。なら、もう一本!」ブンッ!

承太郎「何回投げようと無駄だ」


承太郎「(……意味の分からねー質問といい、コイツは何がしたいんだ?)」


スタープラチナ「オラァー!」



スカッ



スタープラチナ「何ィ!?」

承太郎「『スタープラチナ』がチョークを『掴み損ねた』だとッ!?」

ブラックオアホワイト「そして、承太郎の右腕に命中ッ! シュートッ! さ、結果はァ?」



バキッ! ボキッ! ゴキィッ!



承太郎「……ッ!?」


承太郎「(……『スタープラチナ』が、チョークごときを掴めなかった?
     いや、何より不可解なのはその威力!)」

承太郎「(右腕の骨がバキバキに『折れ』やがった……たかがチョークのダメージじゃあねーぞ)」


ブラックオアホワイト「『折れた』な。私の方が正しかったということだ」

ブラックオアホワイト「これでお前は相当、不利がついた。
           その腕、痛みでまともに動かせやしないだろう?」

梓「あわわ……! 空条さんの腕が曲がってはいけない方向に……!」

承太郎「……マジにやばいな」

158: 2013/02/04(月) 02:13:09.41 ID:lpFgAt830
承太郎「(立て続けに起こる有り得ない現象の数々。恐らくはそれがあの『スタンド』の能力)」

承太郎「(なんとかして、解明したいトコだが……その前にやられそうだぜ)」

承太郎「(ならば、せめて彼女だけでもこの場から逃がす)」


ブラックオアホワイト「……驚いた。その状態で戦意を失わないとは」


承太郎「……」ゴゴゴゴゴ

ブラックオアホワイト「……」ゴゴゴゴゴ


梓「……ッ!」


梓「(……く、空条さんと『スタンド』が睨み合っていますッ!
   例えるならそう、動物の犬と猿が道の曲がり角でウッカリ鉢合わせして、
   そこから一歩も動けずにいるみたいにッ!)」

梓「(でも、形勢は空条さんがダメージの点で圧倒的に不利……それもそのはず、
   空条さんは私と純に遠慮して、『スタンド』に攻撃が出来ないでいます!)」

梓「(わ、私はこうしていて良いの? 空条さんが私の為に必氏で戦ってくれているんだよ?)」

梓「(大切な親友があんな奴なんかにデクの棒のようにされているのに何もしないというの?)」

梓「(傍観者で終わっていいはずがない。私の『力』がアイツを惹き寄せたというなら、
   それは、戦わなくちゃいけない理由となるッ!)」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ドリーム・ドランカー「はれ? なんですか……?」シュー



承太郎「……梓の『スタンド』に変化だと?」



梓「やってやるです……やってやるです……!」ゴゴゴゴゴ



ブラックオアホワイト「な、なんだ……あの『スタンド』の形状は? まるで……」

承太郎「『中野梓』の……巨大な『生首』ィ……?」ゾクゥッ

梓「分かる……分かります! 私の『力』が進化していくのがッ!」

ブラックオアホワイト「な、なんだか、とても恐ろしい気がするぞッ!?」

ブラックオアホワイト「先手必勝だッ! ブララララァーッ!」ドババババオッ!

承太郎「させんッ! 『スタープラチナ・ザ・ワールド』ッ!」


承太郎「(時よ止まりやがれッ……!)」


ブラックオアホワイト「ブラブラブラブラブラブラブラブラァッ!」ゴオォン!


梓「あっ……!?」

承太郎「駄目だ、また止まらねえッ! 梓を守れッ!『スタープラチナ』ッ!」

スタープラチナ「オオオオオオオオオオッ!」ザサアッ!



バシバシビシィンッ! ドゴォ!



159: 2013/02/04(月) 02:56:44.03 ID:lpFgAt830
承太郎「ゲホォッ!」ドタァン!



ブラックオアホワイト「邪魔だッ!」



承太郎「(チッ……もろに食らってしまったか。しかも、その内の何発はかなりやばいトコに入った)」

承太郎「(そのせいか、頭痛が治まらねえ。吐き気もするし、残った左腕までやられている……)」


梓「良くも空条さんをッ……!」

承太郎「今の内に逃げろ……次は庇いきれねえ」

承太郎「君まで殺されてしまっては……俺は恥ずかしくてじじいに顔向け出来ない」

承太郎「早くするんだッ!!!」

梓「……」

梓「……嫌です、逃げません」

承太郎「てめー……!」

梓「戦います! 純も空条さんも……助けてみせますッ!」

ブラックオアホワイト「貧弱な『スタンド』でッ!』」ドウッ!


梓「(感じます……私の『夢』は……)」


梓「夢で終わらないッ!!!」バァーーーンッ!

ドリーム・ドランカー「やってやるDEATH!」バァーーーンッ!



ヒュイイイイイイイイイイン……!



承太郎「『音』……? これは……」

承太郎「!」



ブラックオアホワイト「へし折れろよォォォォォッ!」シュバア!

梓「……!」キッ!



ガシィン!



ブラックオアホワイト「?」

スタープラチナ「ニヤッ」



承太郎「フゥー……なんとか、そのパンチは『受け止められた』か。
    また、受けられないんじゃあねーかとヒヤヒヤしたぜ」

承太郎「その場合は俺の体で受け止めたがな」

ブラックオアホワイト「馬鹿な、動けないくらいに痛めつけたはず……!?」

承太郎「俺も不思議な気分だぜ……あんなに痛かった体が今は何もなかったみたいにスッとしている」

承太郎「『夢』でも見ている気分だ……」

161: 2013/02/04(月) 03:20:51.53 ID:lpFgAt830
ドリーム・ドランカー「対象、『空条承太郎』への『中野梓の夢』の現実移行確認」

ドリーム・ドランカー「移行率99.6%、ほぼクリアー」

ドリーム・ドランカー「続けて、対象を『ブラックオアホワイト』に設定」

ドリーム・ドランカー「『ブラックオアホワイト』が負ったダメージの『鈴木純』への伝道率を『0』に固定」



ヒュイイイイイイイイイイン……



ブラックオアホワイト「こ、この感覚は?」

純「あ……」フラァ



ドリーム・ドランカー「……現実移行確認。移行率100%クリアー」

梓「空条さん」

ブラックオアホワイト「……何をした? 私に何をッ!?」

承太郎「分からねーのか?」

ブラックオアホワイト「何がだッ!」

承太郎「つまり、『てめーを今からボコボコにぶん殴ってもいい』と許可が降りたのさ」



スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」ドゴドゴドゴォ!



ブラックオアホワイト「ゲハァーッ!?」ドダァン!



承太郎「やれやれ。また、てめーの『妙な能力』で『スタープラチナ』のパンチを何発か外しちまった」

承太郎「ま、いくらか気分は晴れたがな」



ブラックオアホワイト「……」ヨロォ

ブラックオアホワイト「オ・マ・エ・ラ・ァ……!!!」

162: 2013/02/04(月) 03:23:59.69 ID:lpFgAt830
『ドリーム・ドランカー Under:Cover』

破壊力:E スピード:B 射程距離:A 持続力:A 精密動作性:A 成長性:E (完成)

173: 2013/02/05(火) 00:57:53.66 ID:K/B1zXAG0
梓「う……」クラッ

承太郎「助かった。感謝する」

梓「ハァー……ハァー……」

梓「……『スタンド』を使うって、結構疲れるんですね」

承太郎「友達を連れてここは下がれ。ここからは、より荒っぽくなりそうだ」

梓「いえ……私も」

承太郎「いいから、今度こそ俺の言うことを聞くんだ。あくまでも俺の目的は君を守ること」

承太郎「俺を案じてくれるなら、逃げてくれた方が嬉しいということだ」

梓「……はい」

ドリーム・ドランカー「私が純ちゃんを運びますよ」ヒョイッ

梓「な、なんか、より変な恰好になったね……そのツインテールとか私のつもり?
  器用に動いてるしさ……」

ドリーム・ドランカー「これ、アナタがイメージしたんDEATHけど」

梓「嘘? ……ちょっとショックかな……ハァー……ハァー……」

承太郎「……」


承太郎「(肩で息を……明らかに体力を消耗しているのが見てとれる)」


ブラックオアホワイト「よくも、私にこんな無様な『結果』を……!」

ブラックオアホワイト「許さんッ!」

承太郎「『スタープラチナ』ッ!」



ブラックオアホワイト「ブララララララララララァーッ!」ダダッ!

スタープラチナ「オオオオオアアアアアァーッ!」ダダッ!



ヒュッ!



スタープラチナ「ッ!」

梓「あ、『仮面』がアイツに取られ……!」

承太郎「何?」



ブラックオアホワイト「なんてな。このままじゃあ、私がやられるのは自明の理」

ブラックオアホワイト「その『力』は面倒だ。とても面倒だ」

ブラックオアホワイト「なので、ここは『戦闘続行』せずに『退散』を選択させてもらうよ」ダダッ!



承太郎「待てッ!」


承太郎「(『スタンド』が『本体』に戻らずにどこかへ去った……?)」

承太郎「(しかも大事そうに、趣味のワリー『仮面』を抱えてだ)」

承太郎「(……どういうことだ)」

174: 2013/02/05(火) 01:07:54.95 ID:K/B1zXAG0
梓「純、純……」

純「うう……ん……梓? あれ、なんで私ここに……」

梓「良かった……元に戻ったんだ」

梓「まさか、純が『スタンド使い』だったとは思わなかっ……たよ」

梓「でも、自分が『スタンド』に操られるなんてこともあるんだね……ハァー……ハァー……」

純「……『スタンド』って、何?」

梓「……分かんないの? ほら、こーゆーのだよ」

ドリーム・ドランカー「どうも、『こーゆーの』DEATH」

純「どれ?」

梓「これだってば」

純「……なーんも、見当たらないけど」

梓「ハァー……ハァー……え?」

梓「『スタンド』……見えないの?」

純「だーかーら、『スタンド』って、そもそもなんなのさ」

承太郎「……君は『スタンド使い』じゃあないのか?」

純「あなたはさっきの……」

承太郎「『スタープラチナ』」



スタープラチナ「……」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



純「な、なんですか? じっと睨んで……」


承太郎「(……心拍数に変化は無し。不自然な視線の移動も無く、発汗の様子も見受けられない)」

承太郎「(この子に『スタープラチナ』は見えていない)」


承太郎「……いや、なんでもない。すまん」


承太郎「(さっきの『スタンド』がこの子の『スタンド』じゃあないとすると、
     『本体』は別にいるということになる)」

承太郎「(遠隔操作するタイプの『スタンド』か? それでいて、あのパワーは厄介だな)」

承太郎「(更に、あの『スタンド』が梓を狙った理由も気になる)」

承太郎「(『狙われている』ということしか、今の所、理由が分からないのはなんとも言い難いな)」

承太郎「(ふむ……)」

175: 2013/02/05(火) 01:46:19.32 ID:K/B1zXAG0
梓「……」

梓「ハァー……ハァー……」

梓「フーッ……フーッ……フーッ……!」

承太郎「……どうした?」



梓「……あう」パタッ



純「梓?」

承太郎「おいッ!」

承太郎「!」


承太郎「(なんて高熱だ……! それに、この症状は見たことがある)」


承太郎「……『スタンド』の力が自信に害を及ぼしている」


梓「うう……」

ドリーム・ドランカー「えっ? えっ?」


承太郎「(……それもそのはずだぜ。よくよく考えて見れば、
     『自信が想像した夢を現実にする』なんざ、半端じゃあない力だ)」

承太郎「(あまりにその力が大きすぎるせいで、逆に体への負担という形でマイナスに働いてしまっているのか)」


承太郎「しっかりするんだ。落ち着いて呼吸を整えろ」

承太郎「ゆっくりと、息を吸って吐いてを繰り返せ。体に無理をかけるな」

純「あ、梓! 大丈夫!?」

梓「あ……」パクパク

承太郎「……なに? 小さくて聞こえない」

梓「――、――」パクパク

承太郎「……?」

梓「――!」パクパク

純「ど、どうしたのさ、ちゃんと喋ってよ」

梓「――! ……」パクパク

承太郎「おい、まさか君……」

176: 2013/02/05(火) 01:51:52.60 ID:K/B1zXAG0



承太郎「……声が出ないのか?」



To Be Continued

177: 2013/02/05(火) 01:52:57.23 ID:K/B1zXAG0

第二部

『岸辺露伴はいちごパフェが止まらない』

187: 2013/02/05(火) 11:29:41.73 ID:K/B1zXAG0
さわ子「まさか、あの『岸辺露伴』先生とお会い出来るなんて……夢みたいです」

露伴「そりゃあ、どうも。こちらこそ、急な取材を受けてくれて感謝しています」

露伴「『ピンクダークの少年』……今度はとある女学校を舞台にする予定なのだが」

露伴「『リアリティ』のある部活動のシーンがどうしても欲しくてね。
   それで、取材を受けてくれる学校を探していたんだ」

さわ子「先生のお役に立てたら、幸いですわ」

露伴「そうだね。僕の役に立って貰わなくちゃあ困る。じゃなきゃあ、ここまで出向いた意味が無いだろ」

さわ子「お、おほほ……」

露伴「この学校の部活動は……ソフトボール、バスケ、合唱部、他……ありきたりだな」

露伴「ま、だからこそ、『リアリティ』が感じられる」

露伴「あちこち、見て回らせて貰うとしよう」


露伴「(『桜が丘女子高等学校』。せいぜい、僕の肥やしになってくれよ)」

188: 2013/02/05(火) 11:30:53.34 ID:K/B1zXAG0
学校のグラウンド


露伴「ソフトボール部……」



姫子「いくよー!」

「はーい!」



露伴「……」

露伴「これはいらないな、次だ」クルッ


学校の体育館


露伴「バスケ部かな」



信代「慶子、こっちこっち!」

慶子「パス!」

信代「とぉーっ! ……良しっ!」



露伴「面白いツラしてるけど、面白くはならなそうだ。次」クルッ


学校の音楽室


露伴「合唱部」



「あ~~~♪ ……げほっ! い、息が……」



露伴「……」

露伴「スケッチだけはしておくか。スケッチだけは」ドシュドシュ!

189: 2013/02/05(火) 11:34:20.38 ID:K/B1zXAG0
露伴「う~ん……『これ』ってのが無いなあ。つまらん」

露伴「そのくせして、全体の顔面偏差値だけは非常に高いときた。
   大体、見て回ったが、ブサイクというブサイクはほぼ居なかったぞ……」

露伴「それに、どの生徒も和気あいあいとしているというか、仲が良すぎるというか」

露伴「女子校って、もっと陰湿でカースト制度みたいなものがあるイメージだったんだけどなあ」

露伴「この学校は『まるでぼくのかんがえたりそうのじょしこう』って感覚だよ」

露伴「僕が描きたいのはこんなものじゃあない。失敗したかな……」

露伴「……ん? 軽音部?」

露伴「ここはまだ見ていないが、どうかな」

191: 2013/02/05(火) 11:36:37.42 ID:K/B1zXAG0
学校の部室


純「はぁ~……」

憂「ふぅ……」

純「スミーレ~……お茶ちょうだい……」

菫「……はい、ただいま」

憂「……マドレーヌ作ってきたんだけど、食べる?」

直「いただきます」カタカタァ

菫「どうぞ、純先輩……」

純「ありがと……んっ!? うぇっ、ぺっぺっ! 何これ苦ッ!?」

菫「あっ! す、すみません……淹れ直してきます」

直「スミーレが下手なお茶を淹れるなんて……」カタカタァ

憂「誰にでも失敗はあるよ……はぁ」



「……」



純 憂 菫 直「『梓……』『梓ちゃん……』『梓先輩……』『中野先輩……』」



菫「……やっぱり、信じられないです。梓先輩が喋ることが出来なくなったなんて」

憂「……私も聞いたときは驚いたよ。空条さんが怖い顔してやってきたから何事かなって」

直「その……『スタンド』が原因なんですよね? 声が出せなくなった理由は。
  原因が分かっているなら、解決法とか無いんでしょうか」カタカタァ

憂「空条さんは『なんとも言えない』って……」

純「……後で空条さんから聞いたんだけどさ。梓、私を助ける為にそうなったって、言ってた」

純「よく分かんないけど、私に梓を狙ってる『スタンド』が取り付いていて、
  そいつをやっつけようとして、梓がそうなっちゃったんだって」

純「空条さんは『君に責任は無い』とか言ってくれたけど……やっぱり、辛いよ」

菫「……今、梓先輩はどうしてるんでしょうか?」

憂「スピードワゴン財団という所の医療施設にいるって聞いたよ」

憂「そこでなら、治療と護衛を両立させられるから……って」

直「学園祭、どうなるんでしょうか……」カタカタァ



純 憂 菫 直「はぁ~……」

192: 2013/02/05(火) 11:38:10.01 ID:K/B1zXAG0
コンコン



憂「……? はい?」



ガチャリ



露伴「失礼するぞ。そして、僕のことは気にせずにそのまま続けていてくれ」

露伴「なるほど、中はこうなってるのか……なんで、食器棚がここにあるんだ?」

露伴「そして、ずいぶん高級なものと見た。この場所には似つかわしくないね」



菫「男の人です……」

直「最近の不審者って、堂々としてるんですね」カタカタァ

憂「あ、あの……どなたですか?」



露伴「どなた? 先生から何も聞いていないのか? 僕は漫画家の岸辺露伴。この学校に取材に来た」

憂「漫画家……あっ、そういえば、さわ子先生から聞いてたような」

憂「『あの超人気漫画家の岸辺露伴がこの学校に取材に来るから、
   会ったらとりあえず、サイン貰っときなさい』って」

直「そうだったんですか……というか、ミーハーですね山中先生」カタカタァ

純「露伴……『ピンクダークの少年』の岸辺露伴先生!?」ガダアッ!

純「あっ、あの! 私、露伴先生の大ファンです! 露伴先生の漫画は全部持ってます!」

露伴「へえ、僕の漫画はやや女性ウケしないんだが……驚いたな」

純「私、兄がいるんですけど、元々兄が露伴先生のファンなんです。その影響で」

露伴「ふーん、理にかなっているね。君にはサインをあげよう」サラサラ

純「じ、純ちゃんへ……って、お願いします!」

露伴「お安い御用だよ。ほら」

純「うわぁ~……感動! あっちゃんに自慢しようッ!」

193: 2013/02/05(火) 11:40:05.80 ID:K/B1zXAG0
憂「純ちゃん、さっきとテンションが……」

露伴「さて、サインをあげたんだ。代わりと言ってはなんだけど、取材に協力して貰うよ」


露伴「(せっかく、こんな所まで来たんだ……手ぶらで帰るようなことはしたくない)」


純「もちろんですっ!」

露伴「じゃあ、そこに座って。スケッチするからさ。今後、女子高生の絵を描くときの参考にしたい」

純「き、緊張しますね」

露伴「君は何年生?」ドシュドシュ!

純「高三です」

露伴「そうか。じゃあ、胸囲は? 腰周りとお尻周りのサイズは? 体重は?」ドシュドシュ!

純「……へっ?」

露伴「分からないかなあ、バスト・ウエスト・ヒップだよ。それと君の体の重さを聞いているんだ」ドシュドシュ!

菫「セ、セクハラです……//」

直「うわあ」カタカタァ

純「な、なななんでそんなこと……//」

露伴「なんで? なんでと聞いたのか君は?」

露伴「僕は漫画を描くときは常に『リアリティ』にこだわっているッ!
   『絵』という二次元のモノに命を吹き込むには、
   描きたいモノを自分の目で見て、聞いて、体験せねばならないッ!」

露伴「何かを表現するのに、そこに嘘があってはならないんだよッ!」

露伴「だから、僕は知りたいのさ。さあ教えろ、B・W・Hッ!」ズイッ

純「ひいいッ!?」

憂「えいっ!」ゴンッ!

露伴「はぎっ!?」ドグシャア!

菫「きゃあー!?」

露伴「……ティーカップ? なるほど、ティーカップで後頭部を殴られると、
   こんな風にタンコブが出来るのかあ……面白いなあ……」

露伴「ぐふっ!?」バタッ

憂「はっ!? お、思わず……」

直「いえ、正解だったかと」カタカタァ

198: 2013/02/05(火) 12:32:50.31 ID:K/B1zXAG0
――――――

――――

――


露伴「……分かった、質問を切り替えよう。この部活動について教えてほしいな」

露伴「もしかしたら、漫画の参考にするかもしれないんでね」

憂「じー……」

露伴「な、なんだよその目は。僕にやましい下心は何もない。
   さっきのだって、純粋な好奇心からだよ」

純「なんとなく、それは分かりましたけど……」

菫 直「じー……」

露伴「……」

露伴「ここは軽音部だよな。ひい、ふう……部員は全部で四人? 部長は誰だ?」

憂「いえ、五人です。今は一人いないですけど……部長もその子が」

露伴「その子はどこに?」

憂「えっと……病気で療養中なんです」

露伴「ふーん……良くなることを願うよ」

露伴「君達の普段の部活動内容はどんな感じだい?」

菫「私はお茶を淹れてます」

直「作曲、編曲を主に」カタカタァ

憂「お菓子を作って持ってきたりしています」

純「お茶を飲んでお菓子を食べてます」

露伴「……一名を除いて、まともに活動してないじゃあないか。ここは『茶飲み部』か?」

純「冗談ですよ! ちゃんと練習もしています! ……ただ」

純「さっき言った部長の……梓って言うんですけど、梓が学校に来なくなってからはあまり……」

純「梓がいないからだらけてる訳じゃなくて、なんていうかその、
  梓のことが心配で何も手につかないというか」

露伴「友達思いなんだな。結構なことだよ」

210: 2013/02/06(水) 14:10:45.82 ID:IFZ5VL/n0
露伴「そこへいくと僕なんかは……ふん、どうでもいいな」

直「……?」

露伴「それより、せっかくこの岸辺露伴がここにいるんだ。ちょいと演奏してみてくれよ」

露伴「学生の腕でどこまで出来るものなのか、非常に興味があるね」

純「いや、それは……」

憂「あの……今はパートが足りないし、演奏してもお聞き苦しいだけかと……」

露伴「あ~そうかい……君達は軽音部なのに楽器を持ちたくはないということか。
   この僕が頭まで下げているというのに」

露伴「そりゃあ、そうだよな。今時の子は人の頼みを無下にすることなんて、屁とも思わないもんなあ」

露伴「いいとも! せいぜいそうやって何もしない理由をいちいちつけて、お茶でも飲んでいるがいいさ」

純「分かりました! 分かりましたよ! 演奏すればいいんですよね?」

露伴「別に無理して弾いてくれなくったっていいんだぜ」

露伴「やる気も無しに手を抜いた演奏を聞かされた所で、なんら得るモノは無いね」

直「……」ムカッ

直「やりましょう、先輩方。ここまで言われても何もしないなんてことになったら、
  わかばガールズを結成して以来、最大の屈辱になります」カタカタァ

菫「直ちゃん、目が怖いです……」

憂「うーん……なんだか、乗せられてる気がするけど」

純「露伴先生、私達にその台詞を吐いたことを後悔させてあげますよ!」

露伴「ふん、やってみろ!」


――――――

――――

――

212: 2013/02/06(水) 14:12:44.54 ID:IFZ5VL/n0
菫「すみません……上手く叩けませんでしたぁ……」

純「全然、リズムとれなかった……」

憂「私も思うように指が動かなかったな」

直「あっ。また、平沢先輩のパートだけ手直しするのを忘れてました……
  このままですと、指が七本ないと弾けませんね」カタカタァ

憂「流石にそれは無理だよぉ……せめて、六本程度ならなんとかなるんだけど」

純「普通はどっちも無理だからね、憂」

露伴「あんまり上手くないな……」

純「うー……//」

直「……ただただ、恥ずかしいですね」カタカタァ

菫「私があそこで間違えなければ~……」


露伴「(……しかしはて? 妙に心にくる何かを感じるぞ……)」

露伴「(上手い下手の理屈じゃあなく、直接心に訴えかけてくると言えばいいのか……面白い感覚だ)」

露伴「(四人でこれならば、五人全員が揃ったらどうなるんだ……?
    ……見たいなあ、聴きたい……そそられるぞ興味がッ!)」


露伴「本当はこんなもんじゃあないんだよな? あ~、わかばガールズだったかな」

純「そ、そうですね……やっぱり、フルメンバーじゃないと」

露伴「梓ちゃん? その子は今どこにいる」

憂「ですから、病気で……」

露伴「それはさっき聞いたよ。僕は居場所を聞いてるんだ」

露伴「病気で療養しているってことは、病院か? それとも自宅か?」


菫「(……言っちゃ駄目ですよね?)」ヒソヒソ

憂「(……うん、空条さんも梓ちゃんのことをあまり他の人に話さないでほしいって、言ってたから)」ヒソヒソ


露伴「……どうして、コソコソ話すんだ。気になるだろう」

憂「すみません。梓ちゃんは……遠くの病院にいるとしか。私達もよく知らなくて」

露伴「知らないだって? そいつはおかしいじゃあないか。
   その子が心配で練習も手につかなくなるほどなのに、どこにいるかも分からないというのかい」

菫「そ、それはそのぉ……」

露伴「……」

214: 2013/02/06(水) 14:50:01.29 ID:IFZ5VL/n0
露伴「……分かった、聞かないよ。僕はもう帰る。邪魔して悪かったね」

露伴「とても参考になった。ありがとう」

憂「い、いえ、こちらこそ……楽しかったです」


露伴「(ウソだ)」


純「サ、サインありがとうございました! 宝物にします」

露伴「そう言ってくれると僕も嬉しいなあ~」

露伴「それじゃあ……うっ!」ガクッ

純「露伴先生?」

露伴「なっ、なんだ……? 何故だか知らんが、急に腹をくだしたみたいだ……」ブルブル

露伴「な、なあ……ここは女子校だが、職員のために男性用のトイレもあるんだろう……」

露伴「どうか、そこまで案内してくれないか……ううっ!」

菫「だ、大丈夫ですか? 確か、正露丸があったような……」

露伴「いいから、早く案内してくれよッ! 僕の醜態を見て楽しいのかッ!?」

露伴「君でいい、頼む!」

純「は、はいっ! こっちです!」



ガチャリ バタンッ!



憂「どうしよう……当たり所が悪かったのかな……」

菫「頭をぶつけてお腹が痛くなったってお話は聞いたことないですけど」


直「(……わざとらしい)」

215: 2013/02/06(水) 15:29:55.47 ID:IFZ5VL/n0
廊下


純「トイレはですね……」

露伴「いや、トイレはもういいよ」

純「え?」



露伴「『天国への扉 (ヘブンズ・ドアー)』!」ズバッ! ズババッ!



純「!」ピシィッ

露伴「聞き出せないなら、見るだけさ」ペラッ

露伴「なになに……名前は鈴木純、恐らく四月八日生まれの牡羊座……恐らく?」

露伴「元ジャズ研で担当楽器はベース。性格はマイペースで明るいが、ややブラコンの気があり……」

露伴「おっと、僕が知りたいのはこんなことじゃあなかった。梓ちゃんとやらの居場所だ」

露伴「どうせ知ってるんだろ……じゃなきゃあ、あんな風に目の前で内緒話なんてするものか」

露伴「あった! ……『中野梓はスピードワゴン財団の医療施設にて保護されている』」

露伴「……スピードワゴン財団だと? なんで、一介の女子高生なんかがスピードワゴン財団で保護されるんだ」

露伴「俄然、気になるな……もっと、詳しい情報は……」ペラッ

露伴「『中野梓はスタンド使いである。現在、理由は不明だが謎のスタンドに狙われている。
    そのスタンドとの戦いにより声を失ったため、
    中野梓のボディーガードをしていた空条承太郎のツテでSPW財団に保護された』」

露伴「……面倒なことになってるんだな。そりゃあ、隠すわけだよ」

230: 2013/02/07(木) 02:53:19.66 ID:lV9kU1JA0
露伴「中野梓はスタンド使い……今更、珍しいとも思わないが」

露伴「それにしても、承太郎さんの名前をここで見るとは思わなかったぜ。
   つくづく、僕は仗助絡みの縁があるらしい」

露伴「他のページから読みとる限り、
   この子が『スタンド使い』ではないのに『スタンド』について知っているのも承太郎さんからだろうな」

露伴「しかし、厄介だ……財団に匿われてるとなると、会うのはとても難しそうだ……」

露伴「中野梓が財団に匿われる理由……要するに、
   『現在、中野梓が正体不明のスタンドに狙われていることによる理由からの、安全を確保する為の保護策。
    また、そのスタンドとの戦闘行為により失った声を財団の科学と知識による治療で取り戻す為』、と」

露伴「つまり、これらの問題が解決されないことには、学校には出てこないんだろう……」

露伴「あ~ッ! 困った……これじゃあ、おいそれとは『わかばガールズ』の真の演奏を聞くに聞けないぞ」

露伴「どうしても聴いてやりたい……いったい、五人が揃ったらどうなるのか! この目と耳で体験したい!」

露伴「諦めないからな……何をしてでも聴いてやるからな……」



露伴「まずは、中野梓にまとわりつく『スタンド』と『スタンド使い』を探し出して、追い出してやる」



露伴「『今、起きたことは全て忘れる』……と」サラサラ

純「……露伴先生? あっ、トイレに行きたいんでしたっけ」

露伴「ハライタなら既に治っている。もう戻りたまえ。僕は帰るから。それじゃあな」

純「? そうですか……?」


露伴「(どう見つけ出してやろうかな……)」

240: 2013/02/08(金) 00:15:18.91 ID:MyZ3yhs20
物凄く申し訳無いお知らせを。


承太郎「オラオラオラオラァ!」梓「ですですですDEATHゥ!」ですが、
これで打ち切らせていただきます。

物語の進行を考えるためにこのスレをたったいま、一から読み直してみたのですが、
ちょいと取り返しのつかないレベルでの設定破綻が見つかってしまいました。

修正をして再投下することも考えたのですが、どうにも僕の未熟な筆力では再構成出来そうにないです。

楽しみだと言ってくれた人には大変申し訳無い気持ちでいっぱいですが、
どうか、理解してもらえることを願う次第です。


本当に、本当にありがとうございました。





追記、前スレの設定を使った『ジョジョ×けいおん!』のSS自体は、
もし皆さんが許していただければ、別の物語という形でいつかまた書きたいです。

241: 2013/02/08(金) 00:23:14.47 ID:j0gL9clu0
う、うそだ!
偽物だろお前!

242: 2013/02/08(金) 00:24:23.54 ID:Pg59xa/Bo
こまけぇこたぁいいんだよ!

243: 2013/02/08(金) 00:30:30.13 ID:MyZ3yhs20
そうですね……酉つけてないので本人と証明しようがないですが、本当ですとしか言えないです。

次があれば、ちゃんと酉つけよう。うん。

245: 2013/02/08(金) 00:36:09.40 ID:DJt7F+Et0
盛り上がってきただけに、打ち切りは惜しいなぁ。
設定等を練り直して、また書いて下さいね。

引用: 承太郎「オラオラオラオラァ!」梓「ですですですDEATHゥ!」