1: 2016/11/03(木) 22:29:28.64 ID:S+DN8UfO.net
ダイヤ「マリさん!どういうことですの!?」

鞠莉「そんな怖い顔してどうしたの?もしかして硬度でも下がってた?」

ダイヤ「どうしたもこうしたもありませんわ!」

ダイヤ「学校の唯一の自販機が、缶コーヒー専門自販機になってますけど!?」

鞠莉「うん」

ダイヤ「うん……ではなくて!どういうつもり!?」

鞠莉「知ってる?あの紙パックの自販機の中では、コーヒー牛乳が一番人気なのよ?」

ダイヤ「それがなんだっていうんですの?」

鞠莉「私はね、生徒が欲しがるものをそろえる義務があるの!」

鞠莉「リジチョーとして!」

4: 2016/11/03(木) 22:32:27.03 ID:S+DN8UfO.net
ダイヤ「はぁ!?」

鞠莉「つまりね、人気のコーヒーをたっぷりストック☆したってわけなの」

ダイヤ「………………」

鞠莉「おや?あまりの理事長の仕事っぷりに、感動しちゃった?」

ダイヤ「わたくしのどこをどう見たら、そう解釈できますの…………」

鞠莉「えー?だって、凄いことだと思わない?」

鞠莉「人気商品を、とってもお買い求めやすくしたんだよ?」

ダイヤ「全く思いませんわ!そもそも、コーヒー牛乳と缶コーヒーは別物!!」

鞠莉「どっちもコーヒーだよ?」

ダイヤ「ゼンッゼン違いますわぁ!!」

――――――――
――――――

7: 2016/11/03(木) 22:35:16.51 ID:S+DN8UfO.net
―生徒会室


ダイヤ「はぁ…………突然自販機を入れ替え?」

ダイヤ「まったく、鞠莉さんの考えていることがわかりませんわ…………」


 
――ドンドンッ

ダイヤ「どうぞ」

「失礼します!」ガラガラッ


 
善子「ちょっとどういうことなの!?」

ダイヤ「なんです、いきなり」

善子「あの自販機、コーヒーしか売らなくなってるじゃない!」

ダイヤ「…………ええ」

善子「なんでなの!?このヨハネを、干からびさせようって言うの!?」

ダイヤ「そんなこと考えてませんけど」

ダイヤ「そもそも、コーヒー自販機にしたのはマリさんですし……」

善子「そうなの!?」

8: 2016/11/03(木) 22:38:18.40 ID:S+DN8UfO.net
――――――――
――――――


善子「マリー!どういうことなのよぉ!!」

鞠莉「Oh、善子!どうしましたか?」

善子「自販機よ自販機!あと私はヨハネ!」

鞠莉「自販機?ああ、アレね」

善子「そう、アレよアレ!なんで缶コーヒーしか売ってないの!?」

善子「イチゴ牛乳!楽しみにしてたのにぃ!」

善子「どうしてくれるのよ!」

鞠莉「………………」

10: 2016/11/03(木) 22:41:08.44 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「ねえ、善子。あなた、イチゴ牛乳が好きなの?」

善子「好きというか……そうね、学校での楽しみの一つなの」

善子「それをどうして――」

鞠莉「甘い!」

善子「あ、甘い?確かにイチゴ牛乳は甘いけど……」

鞠莉「ちがうちがう」

善子「じ、じゃあ、なんだって言うの!?」

鞠莉「考えてみて?アクマたるヨハネが?イチゴ牛乳?」

鞠莉「ヘソデ チャヲ ワカスとはこのことね!!」

12: 2016/11/03(木) 22:44:17.85 ID:S+DN8UfO.net
善子「なっ…………なにがおかしいのよ?」

鞠莉「だってそうでしょう?あんなピンクでカワイらしい色」

鞠莉「脳をとろけさせるような、甘い香り」

鞠莉「とてもアクマが飲むものじゃあないわ!」

善子「それは…………」

鞠莉「しかも、ストローでおちょぼ口で吸う姿!コッケイ極まりない!」

善子「た、確かに…………」

13: 2016/11/03(木) 22:46:44.45 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「加えて紙パックの、ベコベコへこむ軟弱な様といったら!」

鞠莉「もう、カッコウなんて全くつかないわ!」

鞠莉「ああっ!まったく、どこのアクマがこんなもの飲んでるんでしょう?」

善子「う………………そ、そうね、ヨハネにイチゴ牛乳は合わないかも……」

善子「――って、それとコーヒー一色にするのとは、全く関係ないはずよ!?」

鞠莉「………………」コトン

善子「な、なに?突然缶コーヒーを召喚して……」

鞠莉「知ってる?缶コーヒーを飲むにはね――――」

鞠莉「まずは、この悪魔の爪を解放するところから始まるのよ」カプシュ

善子「悪魔の爪を……解放……!?」

14: 2016/11/03(木) 22:48:54.21 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「それでね。プルタブ――じゃなくて爪を解放すると、中から出てくるのはビターな香り」

善子「ビターな香り……」

鞠莉「それから――ヨハネ、コーヒーの色は黒!すなわち漆黒の闇なの!」

善子「漆黒の闇……」

鞠莉「さらに!ストローなんてヒンジャクなものなしに、飲めるのよ!」ゴクゴク

善子「おおっ!」

鞠莉「さらに――見て、この缶を!いくら飲んでもへこまない、屈強さを!」

善子「すごいわマリー!」

鞠莉「そうでしょうそうでしょう。さあ、ヨハネも始めましょう!」コトン

善子「ええ!」

鞠莉「ちなみにブラックコーヒーはドイツ語で、シュヴァルツァーカフェよ!」

善子「カッ……カッコイイ!!」

16: 2016/11/03(木) 22:51:32.50 ID:S+DN8UfO.net
――ガラガラ


ダイヤ「どうでしたか、善子さん」

善子「ええ、バッチリよ!」コトッ

ダイヤ「……?マリさんを説得しに行ったのですわよね?なぜに缶コーヒーを……」

善子「アクマと言えばコーヒー!」

善子「さあ、コーヒーを飲んで一緒に地獄へ堕ちましょう!」

ダイヤ「はぁ!?」

19: 2016/11/03(木) 22:55:03.73 ID:S+DN8UfO.net
――――――――
――――――


 
千歌「マリさん!どういうことなの!?」

鞠莉「どうしたのチカっち?」

千歌「自動販売機だよ、自動販売機!」

千歌「さっきフルーツオレを買おうと思って行ったら、ビックリだよ!」

千歌「缶コーヒーしか置いてないんだもん!」

鞠莉「それで……?どうして私のもとに?」

千歌「ダイヤさんから聞いたよ!マリさんがコーヒーのやつに替えちゃったんだって!」

21: 2016/11/03(木) 22:57:28.97 ID:S+DN8UfO.net
千歌「なんで、コーヒーのにしちゃったの?」

鞠莉「私、コーヒーが人気だってキキマシタ」

千歌「それはコーヒー牛乳なの!コーヒーじゃないよ!」

鞠莉「先生方には評判いいんだよ?」

千歌「先生がよくても、チカはゼッタイ認めないのだ!」

鞠莉「そっか…………」

鞠莉「まあでも。チカっち一人対、先生複数でしょ?後者が勝ちということで」

千歌「よくない!」

22: 2016/11/03(木) 22:59:37.61 ID:S+DN8UfO.net
千歌「どうしてくれるの!?」

千歌「このチカの右手に握られた、哀れな100円の行き場をどうしてくれるの!?」

鞠莉「………………」コトン

千歌「いらないよ!?缶コーヒーいらないよ!?」

鞠莉「………………」ストッ

千歌「二つでもいらないよ!!?」

23: 2016/11/03(木) 23:01:49.31 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「そっか……いらないのね……」

千歌「いりません!」

鞠莉「………………」


 
鞠莉「――ところでチカっち。缶コーヒーは飲んだことはあるの?」

千歌「へ?ええと……家で缶じゃないやつを飲んで、マズってなって……」

鞠莉「それで苦手になっちゃったから、缶のヤツは飲んだことはない。ちがう?」

千歌「それは……うん、その通りです……」

鞠莉「ねえ、チカっち。経験したことないのに認めないのって、おかしいと思わない?」

千歌「えっ?」

鞠莉「それって、やってもいないのにスクールアイドルを諦めるのと、一緒じゃない!!」

千歌「マリさん、それは全然ちがっ――」

鞠莉「だって、そうでしょう?飲んだことないけど、認めない。受け入れない」

鞠莉「どうして、一度試してみないの?」

鞠莉「どうして、缶コーヒーの可能性を感じてみないの!?」

24: 2016/11/03(木) 23:04:13.45 ID:S+DN8UfO.net
千歌「それは…………えっと……」

鞠莉「チカっちははじめ、ここ、内浦でアイドルみたいに輝くなんてムリだ――」

鞠莉「そう思っていたのでしょう?」カプシュ

千歌「う、うん……」

千歌「だけど、缶コーヒーは関係ないし、今開けるのは、まちがってると思う……」

鞠莉「それでもスクールアイドルを初めてみて…………ん」ゴクゴクゴク

鞠莉「…………ちがうんだって。私たちでも輝けるって」

千歌「!……そう、普通の私でも輝けるんだ。そう思った!」


 
鞠莉「……それなら、なんで缶コーヒーも輝ける。そう信じてあげられないの!?」

鞠莉「缶コーヒーはね!自販機界の私たち。そう、缶コーヒーはAquoursなのよ!?」

千歌「…………そうだったんだ……私、気づいてあげられなかった…………」

鞠莉「大丈夫よチカっち!今からでも遅くないわ!」コトッ

千歌「うん!」

25: 2016/11/03(木) 23:06:15.47 ID:S+DN8UfO.net
――ガラガラ


ダイヤ「ああ、チカさん。マリさんに話は通じましたか?」

千歌「ダイヤさん、キョウガクの事実だよ!」

ダイヤ「はい?」

千歌「なんと!缶コーヒーは自販機界のチカ達だったのだ!」

ダイヤ「………………」

千歌「はい!ダイヤさんも、缶コーヒーを輝かせてあげましょう!」コトッ

ダイヤ「………………」

ダイヤ(あることないこと、吹き込まれましたわね……)

26: 2016/11/03(木) 23:08:19.29 ID:S+DN8UfO.net
――――――――
――――――


 
果南「マリ!ダイヤから聞いたよ!」

果南「理事長だからって、勝手なことするのはダメでしょ!」

鞠莉「オーゥ!カナーン☆」

果南「かなーん、じゃなくて!」

果南「マリさ、紙パック自販機を缶コーヒーのヤツにしたよね?」

鞠莉「なに?果南もイチャモンつけに来たの?」

果南「イチャモンというか……ええと……とにかく、自販機を突然替えるのはよくないよ」

鞠莉「どうして?」

果南「どうしてって……みんな言ってるよ?ジュースや牛乳が飲めなくなって困るって」

28: 2016/11/03(木) 23:10:36.53 ID:S+DN8UfO.net
果南「私だって、今日も牛乳を飲むつもりで自販機まで行ったのに――」

果南「一面、缶コーヒーだったよ!?」

鞠莉「なかなかに壮観だったでしょう?」

果南「いやいやいや!全然だよ!」

鞠莉「人気のコーヒーがずらりよ?」

果南「それはコーヒーじゃなくて、コーヒー牛乳!」

鞠莉「大体一緒じゃない?」

果南「ちがうよ!ワカメとコンブくらい違うよ!?」

29: 2016/11/03(木) 23:12:29.29 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「……まあ多少は違うかもしれないけど」

鞠莉「だけど、生徒の要求するものを導入するのは、理事長のやくめでしょう?」

果南「だからコーヒーじゃなくて、コーヒー牛乳だって言ってるの!」

果南「だいたい、生徒のためにすることが、自販機の変更っておかしいと思う」

果南「マリには他にもやるべきことがたくさんあるでしょ!」

鞠莉「………………」



鞠莉「わかったわ、果南…………」

鞠莉「聞いてほしいことがあるの」

果南「…………なに?」

鞠莉「いい加減話をつけようと思うの」

31: 2016/11/03(木) 23:16:58.97 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「――果南がサザエのことを想うように、私もコーヒーのこと考えているんだから!」

鞠莉「生徒の要望なんて今はどうでもいいの……」

鞠莉「先生の好み?全く興味なかった!」

果南「………………」

鞠莉「あたりまえじゃない!」カプシュ

鞠莉「………………」ゴクゴクゴクゴク

鞠莉「だって、私の身体がコーヒーを求めてるんだよ!?」

鞠莉「………………」カンッ!

鞠莉「放っておけるはずない!」

果南「………………っ!」


 
――――パシンッ

32: 2016/11/03(木) 23:18:34.74 ID:S+DN8UfO.net
鞠莉「私が……私がコーヒーを想う気持ちを甘く見ないで!」

果南「………………」

果南「だったら……素直にそう言ってよ!」

果南「人気商品揃えましたとか、先生にも評判いいとかじゃなく――」

果南「ちゃんと言ってよ!」

鞠莉「…………だよね」



「だから――――」

33: 2016/11/03(木) 23:19:51.19 ID:S+DN8UfO.net
――ガラガラ


ダイヤ「果南さん!うまくいきましたか!?」

果南「うん!ちゃんとハグしてきたよ」

ダイヤ「はい?」

果南「ダイヤもマリの気持ち、受け取って!」コトン

ダイヤ「…………」

ダイヤ「果南さん、あなたまで…………」

34: 2016/11/03(木) 23:22:09.27 ID:S+DN8UfO.net
ダイヤ「あぁ……このままだと、飲み物を買いに外の店まで行く必要が」

ダイヤ「なんとしてでも、マリさんを説得しないといけませんわ……」

ダイヤ「でもどうすれば――――」

―――――――――――
――――――――
――――――


―翌日

ダイヤ「…………!?あれ、自販機が撤去されてますわ!」

ダイヤ「いったいなにが……」

35: 2016/11/03(木) 23:24:15.39 ID:S+DN8UfO.net
ダイヤ「マリさん!どういうことですの!?」

鞠莉「なにダイヤ?アサッパラから、赤熱した炭素みたいな顔色して」

ダイヤ「どうしたもこうしたも……自販機が撤去されてますけど!?」

鞠莉「うん」

ダイヤ「うん……ではなくて!どういう風の吹き回しです!?」

鞠莉「え、えっと…………コーヒーが手軽に飲めるようになって――」

鞠莉「調子よく飲んでたんだけど…………」

ダイヤ「だけど?」

鞠莉「一気に飲んだせいで胃が荒れた☆」

ダイヤ「………………あなた、バカですの?」

鞠莉「まあ、そういうことだから。コーヒー自販機は中止にします」

37: 2016/11/03(木) 23:26:30.64 ID:S+DN8UfO.net
―生徒会室


ダイヤ「まったく……好き勝手するのも、いい加減にしてほしいですわ」

ダイヤ「今まで、どれだけ振り回されたことか…………」

ダイヤ「まあ、今回は結局コーヒーはやめて、代わりの自販機を用意するとおっしゃいましたし」

ダイヤ「特に面倒事もなく解決したから、よいですけど……」


――トントン

ダイヤ「どうぞ」

「失礼します」ガラガラッ

38: 2016/11/03(木) 23:30:13.28 ID:S+DN8UfO.net
ダイヤ「あら、ルビィ。どうしたの?」

ルビィ「あ、あの……お姉ちゃん……自販機が……」

ダイヤ「自販機?ああ、コーヒーしか売ってなかったのね?」

ダイヤ「だけど、それは今朝撤去されて――」

ルビィ「ううん…………そうじゃなくて……」

ダイヤ「……?あっ、自販機がなくなってることですわね?」

ダイヤ「大丈夫。すぐに新しいのを導入すると、マリさんが――」

ルビィ「ち、ちがうの!新しい自販機が、もう来てたみたいなんだけど――――」


 
ルビィ「胃腸に優しい、ビフィズス菌入り飲料専用の自販機になってたよぉ……」

おわり

39: 2016/11/03(木) 23:33:12.80 ID:xNgfDKiB.net

無能かと思ったら有能だった…と思ったら超絶無能だった…
コーヒー牛乳には世話になったなぁ

引用: ダイヤ「学校の紙パック自販機が、缶コーヒー自販機になってますわ!」