1: 2008/01/27(日) 14:41:12.00 ID:txQpUNu50

シリーズ:岸辺露伴は動かない-雛見沢-

最初から
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter1

前回:
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter14


【警告】
ひぐらしをプレイする予定のある者は、
ここから先を読んではいけない。

13: 2008/01/27(日) 15:57:22.16 ID:txQpUNu50
富竹「また、入江機関につきましては、最長3年以内を目処に研究の収束を図ってまいります。
   予算もそれにあわせ、段階的に縮小する方針です。」
入江「ちょっとまってくださいッ!
   近年、雛見沢症候群の解明も進み、たしかに病気の研究としてはかなり好調な部類に入るとは思います。
   ですが、3年という短い期間で確実に完成させられるというお約束はできませんよ・・・。」
富竹「理事会では、入江機関はすでに治療薬について充分な研究を完成させているという認識です。
   治療薬C117が完成し、その臨床データを、」
入江「完成なんてとんでもないッ!!まだまだ臨床試験の段階に過ぎません。
   すべての村人に有効であるという結果もでていません。まだ村人全員を治療できる目処はまったく立っていないんです。
   現時点では研究を完成させるまでの期日を論じることさえ不可能だと考えます。
   それを3年という短い期間に完成させろというのは・・・。」
富竹「なるほど、それでは入江機関は現時点で感染者全員を治療し、
   雛見沢症候群を撲滅することは不可能だということですね?」
入江「そうです。村人全員の治療と雛見沢症候群の撲滅は将来的に不可能ではありません。
   我々もそのために最大限の努力をしてきました、そしてこれからもそれを続けるつもりです。
   しかし、それには充分な時間が必要ですし、予算も少なからず必要となってきます。
   研究というものは常に同じペースで進むものではありませんし、
   費やした時間に比例して必ず成果がでるというものでもありません。
   どうかそこをお考えいただきたいです。」
岸辺露伴は動かない 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

14: 2008/01/27(日) 15:58:07.39 ID:txQpUNu50
鷹野「両親の氏後は親戚がいませんでしたので、施設に引き取られたんですわ。
   同時はまだまだ多かった戦災孤児を集めて補助金を受け取るだけの施設。
   本当にひどいものでした。そこを脱走した時に助けてくださったのが、
   ・・・高野先生でしたの。」

高野先生とは我々雛見沢症候群を知る者にとってはただ一人。
戦時中に雛見沢症候群を予見した高野一二三という人物に他ならない。

入江「それでは、鷹野さんは高野先生と面識がおありで・・・。」
鷹野「高野先生は父の恩師でして、そのあと私を孫として引き取ってくださいました。」
入江「そうですか。しかし、なぜ今までそれを伏せられていたのですか?」
鷹野「大人の事情というやつですわね。」

15: 2008/01/27(日) 15:59:27.35 ID:txQpUNu50
富竹「どうしたんですか?入江所長。
   僕と二人で話したいことがあるなんて。」
入江「先日の、鷹野さんが東京に行った件についてです。
   鷹野さんの元気のない様子から大体のことは察しているのですが、
   さすがにあの様子ですと、詳しい話をお聞きできなくてですね。」
富竹「なるほど、それで僕に聞こうというわけですね。」
入江「えぇ、申し訳ないのですが、ご存知なら伺いたいと思います。」
富竹「・・・。所長のお察しのとおりですよ。
   東京の上層部は鷹野さんの説明を受けても、研究には否定的でした。
   症候群の存在自体は理解して頂けたようですが、
   やはり症候群を撲滅して隠蔽する決定には変わりはないそうです。
   ノーベル賞がとれるかどうかより、世論や他国を敵に回したくないのでしょう。」
入江「そうですか・・・。」
富竹「私も力になりたいのですが、こればっかりはどうも。ははは。」
入江「いえ、富竹さんのおかげでなんとか研究の資金を出してもらっています。
   富竹さんは最大限の努力をしてくださっていますよ・・・。」

16: 2008/01/27(日) 16:00:45.15 ID:txQpUNu50
露伴は入江のページを捲り、鷹野に関すること、雛見沢症候群に関することを次々と読んでいった。
それもほとんど読み終えると、入江という人物に関することも読んでおく。
まずは、梨花への殺意・・・それはない・・・それ以外にも梨花の氏に関わるであろう情報はない。
入江は現時点では梨花を頃す犯人と関係はないようだ。

露伴は他を読むことにする。
彼の研究に対する葛藤や苦悩、沙都子を救うために今までに様々な努力をしてきたこと、彼が医師を目指した理由。
他にも様々な内容を読んだ。やはり人の人生というものはおもしろい。入江は人としてはよくできた人間だろう。
そういう人間の人生は読んでいておもしろいし、漫画へも活かせる内容が多い。 
露伴は時間の経つのも忘れて読みふけってしまう。
日が傾き始め、部屋が薄暗くなってからやっと露伴は自分が必要以上のことを読んでいることに気がついた。

暗くて読みづらいと思ったが、こんな時間か。
露伴は入江を元に戻してやろうと思い、最後に書き込む内容を考える。

17: 2008/01/27(日) 16:01:41.60 ID:txQpUNu50
入江が山狗に露伴のことを話すのは避けばければならない。
では、『岸部露伴の仲間になる』とでも書くか?
いや、入江は実質山狗の監視下にあると言ってもいい。
入江が変に露伴のために行動を起こし、それを山狗に察知される可能性は否定できない。
山狗が梨花頃しの犯人である可能性は消えていないし、そうでなくとも露伴は山狗にとって防諜上排除するべき存在だ。
すると、あまり行動を起こす可能性のあることは書き込めないな・・・。
それじゃあ、こんなところか。

『岸部露伴に不利益な行動をしない。』
露伴はこの一文だけを書き、入江に対して発動していた能力を解除した。
そして、意識を失っている入江を起こす。

露伴「入江先生、起きてください。入江先生。」
入江「ん・・・、ろ、露伴さん?」

露伴が入江の肩を揺らしながら話しかけると、入江は意識が戻ったようだった。

18: 2008/01/27(日) 16:02:32.12 ID:txQpUNu50
露伴「あなたの記憶を読み終えましたよ。
   大丈夫ですか?さっきの話、覚えてます?」
入江「え、えぇ、覚えてます。もうこんな時間ですか?
   私はずっと意識を失っていたんですか?」
露伴「あなたの記憶を呼んでいる間は意識を失わさせてもらいました。
   さきほど能力を解除したところです。」
入江「・・・それでは、私しかしらない記憶を聞かせてくれるんですよね?」
露伴「えぇ、お聞かせしますよ。入江先生が信じてくれるまでね。ふふふ。」
入江「お茶を淹れなおしますね。私のコーヒーももう冷めてしまったようです。」
露伴「あぁ、お願いしますよ。さっきより砂糖一本多く持ってきてください。」

露伴の図々しい要求に入江は返事をすると、台所へと向かっていった。

22: 2008/01/27(日) 16:12:17.62 ID:txQpUNu50
再び入江が紅茶とコーヒーを淹れ戻ってくる。
入江が椅子に着くと露伴は話を始めた。

露伴「入江先生が医師を目指したのは、ご両親の影響ですね。」
入江「もっと具体的に仰ってくださらないと信じられませんよ。
   一般的に可能性の高いことを言って相手を信用させるのは占い師がよく使う手法です。」
露伴「ははは、そういうつもりじゃなかったんですがね・・・。
   あなたの父は、建設関係のお仕事だった。そして建設現場でちょっとした事故で頭を撃った。」
入江「・・・。」
露伴「それ以来、あなたの父は性格がまったく変わってしまい家庭内暴力を振るうようになる。
   それが原因であなたの母は、上京して大学へと通っていたあなたのアパートまで逃げてきた。
   その後、あなたの父は近所などにも迷惑をかけるほど騒ぎを起こしていた。
   ついには、暴走族と揉め事を起こして殺されてしまう。」

入江は何も反論しない。露伴の言っていることがすべて間違っていないからだ。
露伴は一口紅茶に口をつけると、続きを話した。

23: 2008/01/27(日) 16:14:30.01 ID:txQpUNu50
露伴「これをあなたは器質精神病であると考えた。
   だが、当時の医学的知識のない人間はそんなことは信じてくれない。
   あなたの母もそうだった。あなたがいくら説明しても父を恨み続けた。
   そしてそのままお亡くなりになった。あなたは、それ以来、脳に関する医学を勉強するようになる。
   そして神経外科の道を進むようになる。所長室には神経外科の本がいくつかありましたね。
   1975年に日本では神経外科は否定されたので不思議に思っていましたよ。
   おっと、これは医師を目指した理由とはちょっと違いますかね?大学に入ってからの出来事ですから。
   大学に入るまでは、ただ漠然と医者というものに憧れてたんですよね。」
入江「あなたの言うとおりです。ですが、それは私しか知りえない情報ではありません。
   雛見沢に来てから話したことは覚えている限りありませんが、知っている人間がいてもおかしくはありません。
   ですから、あなたがどうにかして知りえる情報だったわけです。」
露伴「なるほど、たしかに探偵か何かに依頼すれば調べられる内容ですね。
   それじゃあ、探偵に調べられない内容がいいですか?」
入江「そうですね。そのほうがいいでしょう・・・。」

入江はすでに動揺していた。
いくら探偵に調べられる可能性のある内容だとしても、具体的過ぎる。
ここまで詳しい話を自分は誰かにしたことがあるだろうか。
そう振り返ると露伴が超能力を使っているとしか思えなかった。
この男は本当に超能力者で未来から来たとでも言うのだろうか?
入江は混乱する頭を落ち着けようとしていると、露伴から不思議な単語が聞こえた気がした。

24: 2008/01/27(日) 16:15:26.82 ID:txQpUNu50
露伴「・・・・・・号。」
入江「え?」

入江はその言葉がなんだったのか認識できなかった。
露伴が知るはずのない言葉を発しているからだ。
だから、露伴からそんな言葉が出たとしても入江には認識できない。

露伴「聞こえなかったですか?入江先生。」
入江「あ・・・、はい、もう一度お願いします・・・。」
露伴「緊急マニュアル第一号。つまり、オヤシロ様の祟りの1年目と4年目の真相ですよ。」

入江は自分の体中の血液が引き抜かれたような気がした。
自分の体の血液を何か冷たい水にでも入れ替えられたような錯覚。
自分たちが行った罪を知るものがいた、その事実が入江の思考を停止させる。
体は血の気が引いて寒い、頭も凍ったように停止した。

25: 2008/01/27(日) 16:16:06.40 ID:txQpUNu50
だが、露伴はやめない、彼らの罪を、彼しか知りえない形で語る。

露伴「緊急マニュアル第一号、自然発生的末期発症者(以下L5と表記)が確認された場合、
   施設長はL5が異常社会行為を起こす前に迅速に事態を収拾しなくてはならない。
   ただし、機密保持に厳重に注意すること。その際、施設長は機密保持部隊に対し応援を要請できるものとする。
   機密保持部隊は、確保に当たり必要と判断した場合は発砲許可を施設長に対し申請することができる。
   L5の確保は極力、生体であることが望ましいが、機密保持上の理由でそれが困難である場合、生氏を問わないものとする、
   全てにおいて機密保持と外部発覚阻止を最優先とすること。ただし、機密保持は外部発覚阻止に優先するものとする。
   一字一句書類と変わらないはずです。これも、探偵ならわかることですか?ふふふ。」
入江「・・・うちの職員に聞けばわかる内容です・・・。」

入江はもうわかっていた。だが、否定したかった。
いや、逆かもしれない。全ての可能性を消して露伴を信じたかったのかもしれない。
そのどちらにしても、次の露伴の返答は入江に否定する余地を残さなかった。

27: 2008/01/27(日) 16:18:14.09 ID:txQpUNu50
露伴「緊急マニュアル第34号、複写厳禁・持出厳禁。本マニュアルの許可なき閲覧はこれを厳禁とする。
   本マニュアルは最高決裁者の決裁を持ってのみ適用される。如何なる簡易決裁もこれを認めない。
   また決裁者は本マニュアル適用の決裁に当たっては可及的速やかに判断すること。
   対応不能な事態が発生し最高決裁者がそれを認められる場合、
   機密保持と外部発覚阻止のため、入江機関(以下、機関と表記)は最終的解決をしなければならない。
   最終的解決とは以下を指す。L2以上の潜在患者全員の処分。機関施設の完全な証拠隠滅。本マニュアル適用の隠蔽。」
入江「・・・もう、結構です。それは、私、富竹さん、鷹野さん、小此木さんくらいしか知らない情報です・・・。」
露伴「信じていただけたようですね。」
入江「超能力・・・ですか。
   超能力というのは、もっとこう、スプーンを曲げたりするものだと思っていましたよ。」
露伴「あぁ、物を浮かせるくらいならできますよ。」

露伴がそう言うと、紅茶の入ったティーカップが宙に持ち上がる。
そして露伴の口元へと運ばれ、露伴が一口飲むと、またゆっくりとテーブルへ戻っていった。
入江は、もう露伴の超能力を疑う余地はなかった。

29: 2008/01/27(日) 16:19:39.84 ID:txQpUNu50
入江「最初からそれをしてくださればよかったのに・・・。」
露伴「いえ、あなたの知る情報を知りたいという意味もあったんですよ。
   あなたが僕の敵じゃあないという確認ができました。」
入江「敵・・・とはどういうことですか?」
露伴「鷹野と富竹を頃した犯人ではないということです。
   そして梨花を頃す犯人でもない。」
入江「梨花さんが殺されるッ!?そ、そんなことッ!!」
露伴「話が元に戻りますね。僕が未来から来たという話をしましょう。」

露伴は入江に説明を始めた。
これから雛見沢で起こること、梨花の氏と雛見沢大災害のことを入江へと伝える。

入江「つまり、梨花さんが氏に緊急マニュアル第34号が適用される、と。」
露伴「そうですね。雛見沢大災害は、その緊急マニュアル第34号の筋書き通りです。
   そのマニュアルが適用されたと考えるのが妥当でしょう。」
入江「し・・・信じられません。未来から来たことも信じられませんし、
   梨花さんが氏ぬというのだって信じられませんよ。彼女は山狗に警護されているんです。」
露伴「だから手紙にも書いたじゃないですか、山狗かそれ以上の組織が関わっていると。」
入江「・・・手紙にあった山狗が関わっている可能性が高いという話をお願いします。」

30: 2008/01/27(日) 16:22:08.74 ID:txQpUNu50
露伴「簡単なことです。さきほど入江先生も仰ったじゃないですか。
   梨花は山狗に警護されている。それを殺せるのは、山狗を越える組織か山狗自身だけです。」
入江「露伴さんの手紙は山狗の可能性が高いように書いてありましたが。その根拠はないのですか?」
露伴「仮に山狗を超える組織が存在した場合。
   その組織と山狗での戦闘またはそれに類する事態に発展すると考えられます。
   もし、陸自の特殊部隊とそれ以上の組織が戦闘すればただ事では済まないでしょう。
   僕の来た未来ではそのような痕跡は見られていない。つまり、山狗自身が梨花を頃すほうが辻褄があうということです。
   (梨花達の転生に関して話しても証明できなければ信じないだう、こんなところでいいか・・・)」
入江「それでは、最後に手紙にあった私が犯人ではないと推理した理由。そしてなぜ私にこの話をしたのか、その2つをお願いします。」
露伴「あなたが犯人でない理由は・・・あなたも氏ぬからです。」
入江「それは、緊急マニュアル第34号の適用の際にでしょうか?」
露伴「いえ、梨花が氏んだ朝、あなたは自頃したとして診療所で発見されます。
   それが梨花の氏を知り責任を感じたことによる自殺なのか、それとも梨花を頃す人間に殺された後の偽装自殺なのか。
   どちらかは僕にはわかりませんが、その時点で殺されるならあなたは梨花の殺害に関与していない可能性が高い。」

32: 2008/01/27(日) 16:23:53.57 ID:txQpUNu50
入江「どういうことでしょうか?」
露伴「もし梨花の殺害に関与しているなら、梨花の氏亡の後に組織に殺されるはずだ。
   梨花の氏亡とほぼ同時刻に頃す意味はあまりないように思います。
   とくに所長という職にあるあなたに責任を負わせるなら、梨花の氏が公になってから頃すほうがいい。
   むしろ、緊急マニュアルの適用を最高責任者に具申するのは所長であることを考えると、
   あなたが梨花殺害やマニュアルの適用に積極的でないから殺されたとも考えられる。
   また、あなたが自らの意思で自頃したとするなら、梨花の氏はあなたにとって突発的な出来事でなくてはならない。
   事前に計画していたなら、梨花を頃した直後に自頃することはあまり考えられません。
   もし、梨花を頃して自分も氏ぬ気なら、梨花を頃してからわざわざ診療所に戻る理由がない。
   以上のことから、入江先生は綿流し直後の時点で梨花の氏について関与していない可能性が高い。
   先生が犯人ではないと考えた理由はこんなところです。」
入江「・・・。」
露伴「次に、なぜこのお話を入江先生にしたか、ということですが。
   ひとつ、お願いがあるんですよ。それを話す上で、僕が未来から来たということが関わってくるんです。」
入江「そのお願いとはなんでしょう?」
露伴「診療所で鷹野三四を見かけたり、鷹野と連絡を取っているであろう人物を見つけたら教えてほしいということです。」
入江「意味がよくわかりません。鷹野さんがお亡くなりになったのはご存知なんですよね?」
露伴「これも未来から来たからわかるとしか言いようがないんですが、
   岐阜山中で発見された鷹野三四はおそらく偽装氏体です。本当の鷹野三四は生きている。
   ですが、診療所の中にいたり、山狗に匿われていたりすると、僕は接触できない。
   だから、入江先生の出番というわけです。」

33: 2008/01/27(日) 16:25:07.85 ID:txQpUNu50
入江「鷹野さんが生きていて、梨花さんを頃すと言いたいのですか?」
露伴「直接的に梨花を頃すかはわかりませんが、関与している可能性は高いかと。」
入江「鷹野さんが梨花さんを頃すなんてことは信じられません。
   梨花さんが氏ぬということがどれほどの惨劇になるのかを鷹野さんは誰よりも理解しています・・・。
   それに偽装殺人だと言われても、警察で検氏が行われたはずですよ・・・。」
露伴「僕も鷹野が梨花を頃す理由がわからないんですよ。だからそれを知るために鷹野に接触したいんです。
   まぁ、これ以上話しても埒があかないですかね。」

露伴のその言葉を入江も理解し、黙りこむ。
しばらくの長考のあと、入江は口を開いた。

入江「露伴さん。あなたの超能力に関しては、信じます。
   そうでなくては説明できませんからね。
   ですが、未来から来たという話や梨花さんの氏、鷹野さんが生きているという話。
   それらは全て根拠がない。あなたの妄想と言っても過言ではないでしょう。」
露伴「僕が今年の祟りで二人が氏ぬのを予言したことはどうなるんですか?」
入江「たしかにあなたは予言し、それが当たりました。
   ですが、あなたがこれから起こるということも100%起こるとは信じられません・・・。」
露伴「ふふふ、それでは今日はこの辺で終わりにしましょうか。
   もう陽も落ちてきてるようですしね。」
入江「そうですか。それでは、雛見沢までお送りしますよ。」

34: 2008/01/27(日) 16:26:10.82 ID:txQpUNu50
その後二人が言葉を交わすことはない。
露伴は何も気にしていないようだったが、入江は気まずい空気を感じながら雛見沢へと車を飛ばした。
入江の車が古手神社へと着く。露伴が車を降りると、入江も車を降りて見送ろうとする。

入江「それでは露伴さん、またお会いしましょう。」
露伴「ふふふ、未来から来たとかイカれたことを言うやつとまた会いたいのかい?」
入江「い、いえ・・・、信じることはできないとは言いましたが、露伴さんを軽蔑したわけではないんですよ。」

露伴は神社の階段を上り始める。
入江は露伴が気を悪くしたのかと思い、引きとめようとする。
そのとき、露伴が入江のほうを振り返り言った。

露伴「僕の目的は達成されている。
   アンタが鷹野の存在に気づいたなら、僕の話を信じざるを得ない。
   そうすればアンタは僕に連絡するしかない。
   あんたが信じようと信じなかろうとどっちでもいいんだよ、僕は。」
入江「・・・。」
露伴「今度はまた友人として沙都子ちゃんの話でもできることを祈ってますよ。入江先生。」

露伴はそれだけを言い残し、再び階段を登っていった。
入江は露伴が神社の境内へと消えるのを見届けると、車に乗り込むのだった。

36: 2008/01/27(日) 16:27:34.48 ID:txQpUNu50
と、チャプ30を〆たいと思います
なんか文字ばっかりで読みずらいっすよね
申し訳ない


4: 2008/02/10(日) 16:26:35.99 ID:aOEIPPP10
  1983年(昭和58年)
       6月21日(火)

沙都子は学校へと向かった。
梨花は体調が優れないと言い学校を休むそうだ。
露伴も家に居座ろうとしたが、病人の近くにいるなと追い出された。
そのため、露伴は今日も神社の境内で一人考え事をする。

入江から得られた鷹野の情報に梨花を殺害する動機となる確定的なものはなかった。
もちろん、露伴の知らない情報も多々得られはしたのだが・・・。

鷹野が雛見沢症候群の発見者の養孫であること。
鷹野が雛見沢症候群の研究に多大な熱意を持っていたこと。
そして近年、雛見沢症候群の研究の規模縮小が決定し、
症候群の撲滅の後にその存在は隠蔽されること。

入江から得られたこれらの点を結びつけると、
鷹野が研究縮小にヒステリックを起こし梨花殺害を計画した。
梨花を頃すだけの動機なら、その程度の動機も十分ありえるだろうか。

5: 2008/02/10(日) 16:27:39.02 ID:aOEIPPP10
だが入江から得られた中でもっとも重要な情報がそれを否定している。

緊急マニュアル第34号
これこそが雛見沢大災害の真相であり、
ある意味露伴が最も知りたかった事実でもある。
あとは梨花を殺害する犯人が誰なのかを知ることができれば露伴の当初の目的は達成されるのだ。
そう考えると、当初の目的の半分は達成したと考えることができるだろう。

鷹野はこのマニュアルの存在を知っていた。
すると、鷹野にとって梨花の殺害は雛見沢住人2000人の殺害と同義であることになる。
2000人の殺害の動機が、熱意を持っていた研究の縮小に対するヒステリック。
もちろん、可能性が0%というわけではないが動機としては不十分に感じる。
そして、梨花の殺害は2000人の殺害と同義だが、鷹野にとってはもう一つの意味を持つ。
梨花と住人2000人の殺害、それは雛見沢症候群の研究の終焉を意味する。
研究対象がいなくなれば研究が続けられないのは当然のことだろう。
症候群の研究に熱意を持つ鷹野が自らの意思で梨花の殺害を計画したとは少し考えずらい。

6: 2008/02/10(日) 16:32:38.05 ID:aOEIPPP10
鷹野には住人2000人が氏亡しても利益はない。
山狗にも住人が氏ぬことによって利益がもたらされるとはあまり考えられないな。
入江の記憶から"東京"という組織の存在は確認できたが、それは山狗や鷹野の上の組織だ。
東京も含めた、鷹野達に梨花と住人2000人を頃して利益があるとは思えない。
なんらかの政治的効果はあるだろうが、2000人を虐頃することのリスクを上回るものがあるとは思えないからだ。
ではやはりそれとは別の組織の存在があるのだろうか。

いや待て、そもそも鷹野は梨花を頃す側の人間なのか?
たしかに鷹野の氏体は偽装氏体の可能性が高い。
僕の直感も、鷹野はあの日に自分が"氏ぬ"のを知っていたと言っている。
だが、鷹野が梨花を頃す側の人間ではない可能性もあるのか・・・。
鷹野が梨花の氏に関わっている可能性は高いが、どちら側の人間なのか・・・。
鷹野に接触することが現時点で最も重要なのは変わらないが、犯人からは遠ざかったような気もしてくる。
最悪、梨花を頃しに来た犯人を直接見つけることになるかもしれない・・・。

「ロハン、聞こえないのですか?ロハーンッ!?」

露伴がその声に気づき、目を開けると羽入が駆け寄ってくるところだった。

7: 2008/02/10(日) 16:33:59.49 ID:aOEIPPP10
羽入「やっと気づきやがったのです。ロハンは耳が悪いのです。」
露伴「うるさいな、考え事をしてたんだよ。
   で、何の用だよ?僕に付きまとうのはやめたんじゃなかったのか?」
羽入「僕だっていつも梨花についているわけじゃないのです。
   たまにはお散歩をしたりもするのですよ。」
露伴「だったら僕に話しかけるなよ。考え事の邪魔だね。」
羽入「あぅあぅ。もちろん、用もあるのですよ。
   やっぱり露伴はボクに冷たいのです。」
露伴「ふん、やっとうるさいやつから解放されて清々しく過ごしてたんだ。
   あんまり騒がないでくれよな。で、何の用だよ?」
羽入「ロハンは昨日、能力を使いましたですね?」
露伴「富竹の時といい、おまえに勘付かれるのは気に触るな。」
羽入「あぅあぅ、ボクだって好きで感じてるわけじゃないのです。
   それで、何があったのですか?」
露伴「入江に能力を使っただけさ。先に言っておくが犯人はわからなかったぞ。
   まぁ、入江が犯人じゃあないってわかったくらいさ。」

8: 2008/02/10(日) 16:35:24.17 ID:aOEIPPP10
羽入「入江が梨花を頃すはずはないのです。」
露伴「そう思い続けてもう何十年と生きてるんだろ?
   何事も疑ってかからないと、あと百年以上はこのままだろうな。」
羽入「あぅあぅ、でもやっぱり入江は犯人じゃなかったのですよね?」
露伴「そういう意味じゃないんだがな。
   そんなことよりだ、僕はあとどれくらい能力を使える?」
羽入「はっきりとはわからないのですが、まだまだ大丈夫だと思います。」
露伴「富竹のときから時間が経ったが、それで影響が薄れたりは?」
羽入「富竹のときからずっと変わっていないのです。
   そして昨日のでボクの能力の歪みが2倍くらいになりましたです。
   だからあまり時間は関係ないと思いますです。」
露伴「・・・今の歪みの何倍まで大丈夫そうなんだ?」
羽入「だから、はっきりとはわからないのですよ。」
露伴「大体でいいんだよ。目安くらいは必要だろう。」
羽入「そうですね、ボクが保障できるのはあと3倍くらいまでとしか・・・。」
露伴「安全なのはあと4回。それ以上はいつ元の世界に戻されるかわからないってことか。」
羽入「ボクの感覚的なものなので、どのくらいあてになるかはわからないのですよ。」

9: 2008/02/10(日) 16:36:13.84 ID:aOEIPPP10
露伴「それでも知らないよりはましだろう。
   よし、用は終わっただろ?まだ用があるのか?」
羽入「あぅあぅ。用がないと一緒にいてはいけないのですか?」
露伴「・・・勝手にしろ。」
羽入「それじゃあシュークリームを買いに行くのはどうですか?」
露伴「なんで僕がシュークリームを買わないといけないんだよ。」
羽入「病気の梨花にお見舞いなのです。さ、自転車に乗るのです。」
露伴「おまえが食べたいだけだろう・・・。
   僕は人を待ってるんだ。だからここからは動かないぞ。」
羽入「誰と約束しているのですか?」
露伴「いや、約束はしてないが・・・。
   ほら、予想通り来たぞ。ふふふ。」

露伴がそう言うので羽入は階段のほうを振り返った。
階段を登り終えた大柄な男がこちらへと歩いてくる。
大石だった。

10: 2008/02/10(日) 16:37:30.73 ID:aOEIPPP10
大石は露伴のすぐ近くまで歩いてくるとわざとらしく話しかける。

大石「おんやぁ?珍しくオヤシロ様にお祈りをしようと思ったんですがね。
   こんなところで何してるんです?漫画家の先生。」
露伴「アンタを待ってたんだよ。僕に会いに来たんだろ?大石さん。」

露伴がそう言うと、大石はなぜか嬉しそうに嫌らしい笑いを見せた。

大石「んっふっふっふっ。お祈りに来たのは本当ですよぅ?」

大石はそう言うと、露伴の横を通り過ぎ賽銭箱へ小銭を投げ入れた。
そして手も合わせずに露伴のところへと戻ってくる。

大石「えぇーと、岸辺さんでしたっけ?
   私の名前どこで知ったんです?挨拶するのは初めてだと思うんですが。」
露伴「祭りの実行委員会の場にいたじゃあないか。名前は村人から聞いたよ。
   間違ってたなら謝るけど、記憶力はいいほうだぜ、僕は。」
大石「そうですかそうですか、それで私に何か用があるんですか?
   待っていてくださったんですよねぇ?」
露伴「待ってたとは言ったが、僕が用があるとは言ってないぜ。」

11: 2008/02/10(日) 16:38:28.68 ID:aOEIPPP10
大石「すると、どういうことです?んっふっふ。」
露伴「アンタが僕に用があるだろうから待っててやったってことさ。」
大石「おやおや、岸辺さん、警察に厄介になるようなことしたんですか?
   それはいけませんねぇ。今なら自首ってことにしときますよ?」
露伴「いいや、何もしてないさ。」
大石「本当ですかぁ?何かやましいこと、あるんじゃないです?」
露伴「じゃあ、アンタは僕に何も用がないんだな?
   それなら、僕はもう行くけど?」

露伴は立ち上がり、神社を去ろうとする素振りを見せる。
大石は露伴にやりずらさを感じたのか、少し不機嫌そうな顔を見せた。
そしてまたわざとらしい演技をしながら言う。

大石「あぁ、そういえばですね。
   別にここに来た理由ってわけじゃないんですがお聞きしたいことがあったんですよ。」
露伴「フン、なんだよ。」
大石「えぇっと、綿流しのお祭りの晩のことです。
   岸辺さん、どうしてましたかぁ?」
露伴「質問を質問で返すようで悪いが、どうしてそんなことを聞くんだい?」
大石「・・・。」

12: 2008/02/10(日) 16:40:32.71 ID:aOEIPPP10
この質問に答えることは大石にとっては少し好ましくない。
綿流しの晩に富竹と鷹野が氏んだことは公表されていない。
もし、露伴の口から5年目のオヤシロ様の祟りを連想させる言葉が出ようものなら、
そこに食いついてやろうと思っていたからだ。

しかしその作戦は上手く行きそうにない。
この岸辺露伴という男は、自分の狙いを理解した上でこの質問をしてきたのだ。
熟年刑事の勘でそれを感じ取った大石は少し考え込んだ。
そして覚悟を決める。

大石「そういえばですねぇ、私、このあとお昼に行こうと思ってたんです。
   よかったらご一緒にいかがです?」
露伴「それが僕に質問した理由かい?」
大石「いえいえ、それはお昼を食べたらお話しますよ。
   今話すと、もしかしたらお昼が美味しくなくなっちゃうかもしれませんからねぇ。」
露伴「やっぱり僕に用があって来たんじゃないか。」
大石「質問とお昼は別ですよぉ?オヤシロ様のお祈りに来たら、漫画家の先生とばったりお会いした。
   お祭りでは大活躍だったみたいですからねぇ。雛見沢じゃ知らない人はいないくらいの有名人です。
   せっかくだからお昼をご一緒にって変です?」
露伴「まぁ、どっちでもいいさ。つき合わせてもらうよ。
   車で来てるんだろう?」
大石「えぇ、下に泊めてあります。興宮にいいお店があるんですよ。」

13: 2008/02/10(日) 16:41:04.93 ID:aOEIPPP10
露伴はスタンドで羽入に話しかける。

露伴「そういうわけだが、おまえはどうするんだ?」
羽入「梨花が飲み過ぎると困るので、僕はここに残るのです。」
露伴「仮病か・・・。」
羽入「梨花は自分の氏が近づくと、昼間からお酒を飲んだり、あぅッ!!
   あぅあぅ・・・痛いのです・・・なんで僕を殴るのですか。」
露伴「自分で考えろ。じゃあな、行ってくる。」

露伴は大石に案内され、階段を下りていく。
残された羽入はしばらく自分の殴られた理由を考えていた。
だが結局理由は思いつかず、梨花の下へと戻ることにした。

38: 2008/02/10(日) 18:57:57.27 ID:aOEIPPP10
露伴と大石は車の中では世間話をする。
といっても、露伴にとってこの世界の世間話はしづらい。
大石の話になんとかあわせているだけだった。

やがて車がファミレスのような建物の1階部分にある駐車場へと入っていく。
露伴はこの店に見覚えがあった。

露伴「いいお店って、ここのことだったのか?」
大石「ありゃ、岸辺さん知ってましたか?」
露伴「一度、来たことがあるが・・・。」
大石「このお店のウェイトレスさんの格好、可愛らしいでしょう?
   署でも大人気なんですよ、このお店。それとも、こういうお店はお嫌いですか?」
露伴「・・・別に料理は普通だった気がするし僕はかまわない。」
大石「料理よりウェイトレスさんが大人気なんですけどねぇ。
   んっふっふっふ。それじゃあ参りましょうか。」

39: 2008/02/10(日) 18:59:14.40 ID:aOEIPPP10
昼食を食べ終えた二人のところに、ウェイトレスがコーヒーのお替りを持ってくる。
二人の席は壁際で、隣の客もいなかった。ウェイトレスがお辞儀をして去るのを確認したあと大石が切り出した。

大石「それじゃあお昼も食べたことですし、本題に入ってもいいですかねぇ?」
露伴「あぁ、僕の質問に答えてくれるんならね。」
大石「岸辺さん、オヤシロ様の祟りって知ってますか?」
露伴「一応知っているつもりだよ。雛見沢に来たのはそれの取材もかねてるからね。」
大石「そいつぁ結構です。
   それじゃあ、綿流しのお祭りの晩に二人お亡くなりになった、
   と言えばわかってもらえますかな。」
露伴「今年もオヤシロ様の祟りが起きたってことになるわけだ。」
大石「そうです、ですから岸辺さんが何か知っていらっしゃらないか、
   不審な人物を見かけなかったか、などお話を聞きたかったわけですよ。
   ただ、事件があったことは秘匿捜査ということで伏せていますので、さっきのような聞き方になったわけです。」
露伴「僕を疑ってるってはっきり言ってくれてかまわないよ。ふふふ。」
大石「いえいえ、岸辺さんを疑ってるわけじゃないんですよ。
   なにか情報をお持ちでないかお聞きしたいんです。
   ただ、岸辺さんが当然だと思っている情報でも警察にとっては有益な情報かもしれません。
   岸辺さんがその夜に見聞きしたことをできるだけお教えくださると助かります。」

40: 2008/02/10(日) 19:01:04.58 ID:aOEIPPP10
露伴「僕は疑ってないけど、僕のアリバイを聞かせろってかい?」
大石「疑ってはいないんですがねぇ。困りましたな。」
露伴「いや、話すよ。アリバイはちゃんとあるわけだしね。」
大石「そうですか。アリバイがあるんでしたら、それが一番ですよ。
   疑ってはいないんですが、身の潔白を証明するつもりでお話をお願いします。んっふっふっふ。」

露伴は出し物のあとから園崎家での宴会までの行動を話した。
露伴が予想以上に詳細な話をしたため、大石は途中からメモを取っていた。

露伴「・・・が園崎家に泊まった人間かな。他は帰っていったと思う。
   それが、1時過ぎだった。そのあとは寝て、魅音ちゃんに起こされるまでは寝ていた。」
大石「なるほどなるほど。うーん、たしかに岸辺さんには犯行は不可能ですなぁ。」
露伴「だから言っただろう。それに二人って誰が氏んだかも知らないんだぜ。
   僕の身近な人間が氏んだなら、もうわかってるとおもうが・・・。」
大石「お亡くなりになったのは、富竹さんと鷹野さんです。
   お二人のことは知っていますかな?」
露伴「あ、あぁ・・・知っている。
   富竹はてっきり雛見沢から帰ったんだと思っていたが・・・。」
大石「・・・。そのご様子だと本当に知らなかったんですかねぇ?」
露伴「あぁ、二人とも普段から会うわけじゃないんでね。」
大石「そうですかぁ、それはちょっと妙なことになりましたねぇ。」
露伴「妙なこと?僕が氏んだのを知らないことがかい?ふふふ。」
大石「んっふっふっふ。
   あ、ウェイトレスさーん、もう1杯お替りもらえますー?
   岸辺さんもお替りもらいますか?」
露伴「あぁ。もらうよ。」

97: 2008/02/10(日) 22:46:27.05 ID:aOEIPPP10
再びコーヒーのお替りをもらう。
ウィトレスがいる間は大石はウェイトレスに夢中なようだった。
ウェイトレスが去っていく様子(というか尻)をまじまじと見つめていた。

露伴「で?何が妙なんだよ。」
大石「おおっと、見とれてましたよ。すみませんねぇ。なっはっは。」
露伴「(この工口狸め。)」
大石「露伴さん、確認してもいいですか?
   あなたはさっき私から話を聞くまで、富竹さんと鷹野さんが氏んだことを知らなかった。
   間違いありませんね?」
露伴「あぁ、さっきアンタから話を聞くまで、誰が氏んだのか知らなかったよ。
   いや、アンタから話を聞くまで氏んだ人間がいるってことすら知らなかった。」
大石「するとですねぇ、妙なことにになっちゃうんですよ。
   ここからは私が独自に手に入れた情報で警察の捜査ではないんですがね。
   岸辺さん、お魎さん宛てにお手紙書いてますよね?園崎お魎さん。ご存知ですよね?」

98: 2008/02/10(日) 22:47:00.06 ID:aOEIPPP10
露伴「あぁ、魅音ちゃんの祖母だろう。」
大石「手紙の内容、覚えてます?」
露伴「・・・。」
大石「岸辺さんがお手紙を書いたのっていつですか?
   さっき私に話を聞いてからお手紙書いたんじゃないと、
   ちょーっと妙なことになっちゃうと思うんですが。」
露伴「ふ・・・ふふふふ。アッハッハッハッハー。」
大石「んっふっふっふ。どうしたんですぅ?
   何かおもしろいことでもありました?」

大石は露伴が負けを認めたと思い、ニヤニヤと露伴を見つめた。
この手紙の話は大石にとって切り札だったからだ。

99: 2008/02/10(日) 22:48:04.39 ID:aOEIPPP10
露伴「いやぁ・・・は、ははは。予定通りに事が進みすぎてね。
   ついおもしろくて笑っちゃったんだよ。」

大石のニヤニヤは一瞬で消え去った。
自分の切り札を見せて、予定通りだと言われれば誰だってそうだろう。

大石「予定通り・・・ですか。何のことですかねぇ?」
露伴「いやいや、こっちの話ですまない。
   で、どこが妙な話なんだい?」
大石「・・・あんた。人を馬鹿にしてんの?
   ここまで言ってわからないって言い訳は苦しくない?うぅん?」

大石は凄んでみせる。
いつもの大石なら、飄々と露伴をかわして追い詰めようとするところだ。
だが露伴の独特の雰囲気に大石は焦りを感じていたのだ。

100: 2008/02/10(日) 22:49:11.96 ID:aOEIPPP10
露伴「言葉遊びになっちまうがね。
   僕は、二人が"氏んだ"のは知らなかったと言ったはずだよ。
   二人が、"氏ぬ"のは知っていたけどね。ふふふ。」
大石「なるほど・・・。岸辺さんは二人が氏ぬことは知っていた。
   だが本当に氏んだかどうかは、私に聞くまで知らなかったと。
   そういうわけですかな。」

すぐに大石は冷静さを取り戻した。
いや、胸の中は逆に興奮していた。露伴の二人が氏ぬのを知っていたという言葉。
大石はこの言葉を聞き出すために露伴に会いに来たといっても過言ではない。
大石は興奮する自分を抑え、できるかぎり冷静なふりをするよう勤めているだけなのだ。

大石「私の勘違いだったようですね。そのことは謝ります。
   ただ、お二人が氏ぬのを知っていたとなると、詳しくお話を聞かないといけませんねぇ。」
露伴「あぁ、詳しく教えてやるよ。いつか、ね。」
大石「ほーぉ、いつ教えてくれるんですかねぇ。
   取調室に来てもらってからということですかぁ?」
露伴「ふふふ、まさか。
   とりあえず、いまアンタに教えるのは僕にとって得じゃないんだ。」

101: 2008/02/10(日) 22:50:36.61 ID:aOEIPPP10
大石「・・・。
   そこまで喋っておいて、ただで帰れると思ってんですか?」
露伴「今すぐ僕を捕まえるっていうのかい?
   お魎への手紙は、押収できてないんだろ?」
大石「押収してないと、思いますか?んっふっふ。」
露伴「ハッタリはやめろよ。あの手紙はアンタを釣るためのものなんだ。
   お魎に渡せば、警察に押収されることはないからな。
   園崎家の情報屋から情報を得ているアンタだけを釣るためのものなのさ。」
大石「・・・。」
露伴「まぁ、そう睨むなって。
   釣りってやつはさ、ちゃんと餌がついてるんだぜ?」
大石「どういうことです?」
露伴「あの手紙は言ってみれば撒き餌。アンタを呼び寄せることはできる。
   だが、あんたという駒を釣り上げて自分の手駒にするにはちょっと役不足だ。
   アンタを釣り上げるための餌は別にちゃんと用意してある。」
大石「・・・私を餌で釣ろうってんですか。」
露伴「おいおい、別に金でなんとかしようってわけじゃあないんだぜ。
   アンタにひとつ情報をやる。それで、僕を信じてほしいんだ。」
大石「どんな情報ですかな?聞いてみないとなんとも。」

103: 2008/02/10(日) 22:51:14.17 ID:aOEIPPP10
露伴「鷹野三四が生きている。」
大石「岸辺さん、あんまり変なことを仰ると捜査妨害になりますよ。
   私はそのほうが助かりますがねぇ。」
露伴「僕の言ってることが嘘だとわかったなら、捜査妨害にでもなんでもしてくれ。
   鷹野三四の氏体は偽装氏体だ。アンタなら確認できるだろう?」
大石「おんやぁ、本気で言ってるんですかぁ?
   確かにあっちの県警にも知り合いはいるんで確認はできると思いますが。」

そう言うと大石はなにやら考え事を始める。
露伴はただ何も言わずに大石の考えがまとまるのを待つだけだった。

大石「・・・コーヒーのお替りもらいますかねぇ。」
露伴「いや、僕はもういいよ。」

105: 2008/02/10(日) 22:51:58.34 ID:aOEIPPP10
大石はウェイトレスを呼び、コーヒーをもらう。
だが、今度はウェイトレスに夢中になることはなかった。
4杯目のコーヒーを口にしてから、大石は口を開く。

大石「岸辺さん。あなたがなんでそんな話を私にしたのか、いくら考えても思いつきません。
   そこは教えてもらえますかねぇ?」
露伴「僕は、鷹野三四に接触したい。鷹野が偽装氏体だとわかれば、アンタは鷹野を探すだろう?」
大石「私を使って鷹野さんを探し出そうっていうことですか。
   鷹野さんに会いたい理由は?」
露伴「それは"まだ"教えない。」



大石「わかりました。信じましょう。」
露伴「信じてはないだろう?」
大石「んっふっふっふ。鋭いですねぇ。」

107: 2008/02/10(日) 22:53:16.52 ID:aOEIPPP10
露伴「捜査妨害なら、僕を逮捕する理由ができる。
   もし鷹野が生きているのが真実なら、鷹野を探さなくてないけない。
   なら偽装氏体であることを知っていた僕は鷹野の仲間かもしれない。
   鷹野が接触してくる可能性も考えて、僕は逮捕せずに泳がせておく。」
大石「あなたには隠し事をしてもお見通しのようですからねぇ。
   その通りです。ですが、お互い利害が一致したんじゃないですかな?」
露伴「あぁ、僕はアンタが鷹野を炙り出してくれれば満足さ。」
大石「このあと、署まで来ていただいていいですかな?
   岐阜のほうに連絡をとって確認しますので。」
露伴「おいおい、岐阜って言っちまっていいのかい?
   僕が岐阜って言ったらそこに突っかかるつもりじゃなかったのかよ。」
大石「んっふっふ。あなたにそういう手は効かないというのはよくわかりましたからねぇ。」
露伴「そりゃ結構。」

大石が残ったコーヒーを一気に飲み干すと、二人は店を出た。

176: 2008/02/11(月) 02:17:50.21 ID:HNkVoWXs0
露伴は小さな会議室で大石を待っていた。
大石が岐阜県警に連絡に行ってからかなりの時間がたった。
途中、署内を取材でもしようかと思ったが、扉を開けると大石の部下が待ち伏せをしていた。
トイレ以外は部屋から出さないと言われたので取材はあきらめる。

それからさらに長い時間が経つ。
露伴は座ったまま寝ていたが、傾き始めた太陽の光が露伴の目を覚まさせた。

露伴「ん・・・、眩しいな。
   もう4時過ぎか・・・。」

ガチャリ。
露伴が目を覚ますのを待っていたかのようなタイミングでドアが開いた。

177: 2008/02/11(月) 02:22:31.02 ID:HNkVoWXs0
大石「いやぁ、すみませんねぇ。お待たせしちゃって。」
露伴「で、どうだったんだよ。」
大石「いやぁ、どうもあちらさん、話が通らなくって長引きましたよ。」
露伴「結論は?」
大石「残念ながら、偽装氏体とは確認できませんでした。」
露伴「・・・そいつは予定外だ。」

露伴がそう言った瞬間、大石は凍りつく。
露伴から今まで感じたこともないプレッシャーを感じたからだ。
いままで大石はいくつもの修羅場を潜り抜けてきた。だがこんなプレッシャーは感じたことがない。
危険が伴うとか、氏ぬ可能性もあるとかそんなもんじゃあない。
いまこの男がその気になれば自分は今すぐに殺される。絶対に殺される。
扉の外に待っている熊谷に助けを求める間もなく。大石はそう思った。

大石「おっとぉ、変な気を起こさないでくださいよぉ?
   まだ私の話は終わっちゃいませんからねぇ。」
露伴「どういうことだ?」

180: 2008/02/11(月) 02:24:07.12 ID:HNkVoWXs0
露伴が大石の話に耳を傾けると、プレッシャーはどこかへ消えた。
露伴が天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を出すのをやめたからだ。

大石「偽装氏体だという確認はできませんでしたが、おもしろい情報が手に入りました。
   私、柔道部の繋がりで知り合いがいましてねぇ。
   その方に聞いたんですが、鷹野の氏亡時刻、あわないそうなんですよ。」
露伴「(・・・危なく能力を無駄に使うところだったな。)」
大石「胃の内容物などからの判定だと、氏後24時間以上経過しているらしいんです。
   ですが、私がお祭りの会場でお会いしちゃってますので、どうも矛盾しちまうんですよ。
   まぁ、岐阜さんは歯型の確認の結果、鷹野の氏体だと言ってるんですがね。」
露伴「なるほど、じゃあ確認ができないだけで、まだ偽装氏体じゃないと決まったわけじゃないんだな。」
大石「えぇ、それでですね、明日私が自分で確認に行ってきます。
   直接会って話さないとケリがつきそうにないですからなぁ。」
露伴「そうしてくれ。僕も捜査妨害で逮捕されるのはごめんだからな。」
大石「それでですね、露伴さんには明日、私が岐阜に行くのに同行してもらいます。」
露伴「・・・なぜだい?」

183: 2008/02/11(月) 02:27:20.71 ID:HNkVoWXs0
大石「逃げられちゃあ困るというのが正直なところです。
   さっきよりはあなたを信じる気になりましたがね。
   これであなたを帰して、明日の間に逃げられたとなっちゃあ笑い者です。」
露伴「いいだろう。すると、今日は僕はここで泊まりかい?」
大石「いえ、雛見沢にお送りしますよ。朝まで部下を神社に張り付かせます。
   さすがに逮捕するまえに拘束することはできませんから。」
露伴「そうかい。逃げる気はないから安心しろよ。」
大石「それじゃあ、部下が車の用意をしてますので、こちらへどうぞ。
   岸辺さんと話す時間は明日もたっぷりありますからねぇ。」
露伴「これ以上の情報は今のアンタには教えないぞ。
   厄介なことになりかねないからな。ふふふ。」
大石「今の私・・・ですか・・・?」
露伴「こっちの話さ。」

185: 2008/02/11(月) 02:28:30.44 ID:HNkVoWXs0
大石は玄関まで露伴を案内する。
露伴が玄関を出るときには、1台の車がすでに玄関前のロータリーで待機していた。
大石は車の後部座席のドアを開け、露伴に乗るように仕草をする。
露伴が車に乗り込むと、大石は扉を閉める前に部下に聞こえないように言った。

大石「そういえば大切なことを聞き忘れてました。
   来年からは祟りは起きないというのは・・・本当ですかねぇ?」
露伴「僕がイエスと言えば信じるのかい?」
大石「オヤシロさまの使いの予言ですからねぇ。んっふっふっふ。」
露伴「園崎家の情報屋っていうのはだいぶ優秀なんだな。」
大石「えぇ、長い付き合いですから。」
露伴「オヤシロさまの使いが予言をはずすと思うのかい?」

露伴はそう言って自分でドアを閉める。
すぐに車は発進して署の敷地から出て行った。
大石は車が見えなくなったのを確認して署内へと戻った。。

大石「(おやっさん・・・祟りは今年で終わりだそうです。
    真相を暴くのも、今年で終わりにしないといけませんねぇ。)」
大石「熊ちゃんッ!明日は岐阜に行きますよぉ!!
   準備お願いします。鑑識のじぃさまはまだ署にいますかぁ?」

187: 2008/02/11(月) 02:30:04.61 ID:HNkVoWXs0
と、蔵ちゃんがやる気を出したところでチャプ31は〆にしようかなーと

なんか書くのおせーよ、俺
ごめんね、みんなごめんね

ルイスもごめんね

188: 2008/02/11(月) 02:30:53.15 ID:f2ZYVD8m0
>>1乙
面白かったぜ


to be continued...
岸辺露伴は動かない-雛見沢-chapter16

引用: 岸辺露伴は動かない-雛見沢-