1: ◆L0dG93FE2w 2012/07/02(月) 22:17:36 ID:lKaRQIbk
男「だいたいさ…」

男「青酸カリだと思うなら、舐めちゃダメだろ!」

男「匂い嗅ぐとか、そう言うのだろ!」

男「舐めたら、氏んじゃうだろ!」

男「自分が氏んで、青酸カリって実証ってか?」

男「って、やかましいわ!」

2: 2012/07/02(月) 22:18:07 ID:lKaRQIbk
男「ていうか一般家庭に青酸カリとか、あるか!」

男「俺、普通の男子高校生だぞ!」

幼「ツッコミが長い。ノリ切れてない」

幼「男、調子悪いの?」

男「別に調子は悪くねーよ!」

男「機嫌はちょっと悪いけど!」

3: 2012/07/02(月) 22:18:36 ID:lKaRQIbk
男「ていうか、素手で食うのをやめろ、幼!」

幼「えー。いいじゃんか、ちょっとくらい」

男「箸を使え!未開の土地の住人か!」

幼「寿司を食べる時に素手で食べるのと同じだよ」

男「全然同じじゃねーよ!」

男「麻婆豆腐丼を素手で食べるなよ!」

4: 2012/07/02(月) 22:19:11 ID:lKaRQIbk
幼「男の作る麻婆豆腐丼、マジ美味しい」

幼「これ、神様が作ったんじゃないかな」

男「おい!つい3秒前に俺が作ったって言ったよな?」

男「ていうか、俺の晩飯なんだよ!食うな!」

幼「まぁまぁ、落ち着いてよ、男」

男「幼が食べるのをやめたら、落ち着くよ!」

5: 2012/07/02(月) 22:21:06 ID:lKaRQIbk
幼「えー、ではここで落ち着いて、一言」

男「何だよ」

幼「…ここらで一膳、お箸が怖い」

男「怖かったら何だよ!お箸なんか、出さないよ?」

幼「え?マジで?」

男「え?なんで驚いてるの?」

幼「しょうがないなぁ、男は」

男「え?なんで俺が悪いみたいな感じ?」

6: 2012/07/02(月) 22:21:49 ID:lKaRQIbk
幼「まんじゅう怖いくらい知らないと」

幼「社会に出た時、困るよ?」

男「まんじゅう怖いは知ってるよ!」

男「だから箸出さないって言っただろ?」

男「て言うか、落語の一席知らない位で」

男「社会は困るように出来てないだろ!」

7: 2012/07/02(月) 22:22:26 ID:lKaRQIbk
幼「知ってたのかー。じゃあここらで一杯、中華スープが怖い?」

男「作ってねーよ?何で中華スープなんだよ!」

幼「え?もちろん中華料理縛りだから?」

男「そんな縛りで晩飯考えてねーから!」

男「ていうか、箸は出さない」

男「だから食べるのを止めろ!」

8: 2012/07/02(月) 22:23:10 ID:lKaRQIbk
幼「フフフ、甘いよ、男!」

男「何がだ?」

幼「こんな事もあろうかと…」

幼「じゃーん!マイ箸!」

男「どんな事があろうかと思ってたの?」

幼「男が箸を出さないって言う展開?」

男「まぁ、普通は出さないよな?」

幼「まぁ、そんな事もあろうかと思ってたわけだよ」

9: 2012/07/02(月) 22:23:57 ID:lKaRQIbk
幼「マイ箸、持ってて良かったー」

幼「エコロジー大切だもんね」

幼「地球環境に優しい、ただ1人の幼馴染。それが私!」

幼「それじゃ、改めて、いただき…」

男「言わせねぇよ?」

幼「まーす!」

男「言っちゃった!俺、今、止めたよね?」

10: 2012/07/02(月) 22:24:42 ID:lKaRQIbk
幼「男の手料理、美味しいなぁ」

男「…」

幼「ガツ!ガツガツ!!」

男「…」

幼「コレ、私だけのフルコースの一品に入れても宜しくってよ?」

男「…何で上から目線?」

幼「お客さんの方が立場が上だから?」

男「…」

11: 2012/07/02(月) 22:25:29 ID:lKaRQIbk
幼「あら?それともここは初期の美食倶楽部的な感じなの?」

男「…」

幼「味のわからん客は帰れ!的な?」

男「…喋りながらも食べるのを止めないんだな、幼」

男「器用だな」

幼「いや、ホント美味しいね、コレ」

男「そうかい」

12: 2012/07/02(月) 22:26:12 ID:lKaRQIbk
幼「っと、ごちそうさまでした!」

男「…お粗末様でした」

幼「お粗末なんて、謙遜しなくて良いよ、男」

幼「もう、高校辞めて、レストランでも開いたら?」

男「それは褒めすぎだろう」

幼「いやいや、ホント。マジホントだYO!」

男「その言い方でわかった。ふざけてるんだな、幼」

幼「テヘペロッ」

男「…」

幼「あ、じゃあ私帰るね!ご馳走様でした!」
バタバタ

13: 2012/07/02(月) 22:27:30 ID:lKaRQIbk
男「ホント、何しに来んだよ…」

男「はぁ…晩飯どうしようか…」

男「白米は炊いてあるから、いいけど…」

男「麻婆は一人分しか作って無かったからなぁ」

男「今日はカップ麺かな…」

男「…ん?このタッパーなんだ?」

男「…筑前煮?」

男「…これ、持ってきてくれたのか」

男「…」

14: 2012/07/02(月) 22:28:10 ID:lKaRQIbk
男「晩飯は麻婆豆腐丼から変更だな」

男「…いただきます」

男「…」

男「普通に美味しいな」

男「ていうか、コレ、2人分だな」


幼「はーぁ。せっかく一緒に食べようと思って作ってきたのに」

幼「大体、男は晩御飯が早いんだよ!」

幼「日曜日、晩御飯の時間が5時半って!」

幼「まったく…はぁ…」

16: 2012/07/02(月) 22:29:54 ID:lKaRQIbk



幼「…これは…し、氏んでる!」

男「…」

幼「部屋の入口には鍵がかかっている…」

幼「これは…密室殺人だ!」

幼「いや、注意深く観察するんだ…」

幼「何か、あるはずだ…」

17: 2012/07/02(月) 22:32:15 ID:lKaRQIbk
幼「動け、私の灰色の脳細胞!」

幼「キィィィィィン!」

幼「わかった!謎は全て解けた!」

幼「犯人はとんでもないヘマをやらかしてやがった!」

幼「この窓際のすり減った様な傷…」

幼「犯人はきっと、この窓から侵入し」

幼「男が就寝するのを待って、殺害」

18: 2012/07/02(月) 22:33:02 ID:lKaRQIbk
幼「その後、窓の鍵に糸を引っ掛けて」

幼「窓から外に出る」

幼「そして、窓を閉めた後、糸を下に引っ張って、鍵をかけた…」

幼「密室トリックの謎は全て解けた!」

幼「そして…」

幼「ズバリ、犯人はこの中に居る!」

幼「それは…私!」

19: 2012/07/02(月) 22:35:16 ID:lKaRQIbk
男「…そうだな、幼」

幼「…おそよう、男」

男「月曜の朝から、お元気ですね」

幼「月曜の朝だから、元気なんだよ!」

幼「昨日たっぷり寝たからね!」

男「…あのな、幼」

幼「何?」

20: 2012/07/02(月) 22:36:39 ID:lKaRQIbk
男「窓から勝手に入ってくるのはな」

男「不法侵入って言うんだぞ…」

幼「知ってるよ、ワトソン君」

男「あぁ、知ってたのか、ホームズ君」

幼「基本だよ、き・ほ・ん!」

男「知っているなら、日本国の法律を守る努力をしろよ!」

幼「お。やっとちゃんと起きたね!」

21: 2012/07/02(月) 22:37:32 ID:lKaRQIbk
男「いや起きてたよ!」

幼「え?いつから?」

男「幼が俺の部屋の窓をガタガタいわせながら開けてる時からだよ!」

幼「え?じゃあ男は最初から氏んでなかったの?」

男「部屋に入って来た時、目、合ったよね?」

男「俺の目が開いてたの、しっかり見てたよね?」

男「氏んでないってわかってたよね?」

22: 2012/07/02(月) 22:38:51 ID:lKaRQIbk
幼「えー。じゃあ何で私の推理劇に付き合ってくれなかったの?」

幼「見事な推理だったでしょ?」

男「起きてもいない、殺人事件の推理に…」

男「俺はツッコミ以外の何をすればいいの?」

幼「適当に頷いとけばいいと思うよ」

男「適当で良いのかよ!」

23: 2012/07/02(月) 22:39:36 ID:lKaRQIbk
幼「…男と、軽妙なトークを繰り広げるのは楽しいけど」

幼「そろそろ準備しないと、時間が…ね?」

男「言っておくけど、9割、お前のせいだからな?」

男「あと、時間って言っても、まだ六時前だからな?」

幼「テヘペロッ」

男「あのさぁ…」

男「起こしに来てくれるのはありがたいんだけどさぁ」

幼「うん」

24: 2012/07/02(月) 22:40:25 ID:lKaRQIbk
男「…玄関の鍵、預かってるんだろ…?」

男「普通に入って来てくれよ…」

幼「普通なんて、クソ喰らえ!だよ」

幼「秩序の無い現代にドロップキックだよ!」

男「…そうか…」

男「とりあえず、着替えるから、外出てくれる?」

幼「朝ごはん作って待っててあげるから!」

25: 2012/07/02(月) 22:41:31 ID:lKaRQIbk
男「…あ、昨日はありがとな」

幼「え?何が?」

男「筑前煮。美味しかったよ」

幼「…ふんっ」
バタバタ


男「照れてた…?」


幼「…しまった、昨日の筑前煮、多すぎたんだ…」

幼「これを温めよう…」

26: 2012/07/02(月) 22:42:56 ID:lKaRQIbk



幼「ねぇ、男」

男「なんだ、幼」

幼「事件って、なかなか身近で起こらないよねぇ」

男「そうだな」

幼「事件なんて、ねぇ?」

男「そうだな」

幼「事件、なんて、ねぇ?」

男「…あぁ、そうだな」

27: 2012/07/02(月) 22:43:35 ID:lKaRQIbk
幼「殺人、事件、なんて、ねぇ?」

男「…なんで物騒な単語足しちゃった?」

幼「起きないよねぇ?」

男「何、幼。何か起きて欲しいの?」

幼「そ、そんな事、言ってナイヨ?」

幼「別にフリとかじゃないよ?」

男「当たり前だ!何も起きねぇよ!」

28: 2012/07/02(月) 22:44:35 ID:lKaRQIbk
幼「…団長、毎日ヒマですねぇ」

男「急に何の話しだ!」

男「俺が何の団体の長なんだ?」

幼「探偵団の団長だよ」

男「いつ就任したんだ?」

幼「今朝?」

男「何で疑問形なんだ?」

30: 2012/07/02(月) 22:45:55 ID:lKaRQIbk
幼「殺人事件を一つ解決したじゃん?」

男「殺人事件なんて、起きてない!」

男「物騒な事を言うな!」

男「それに、色々言ってたのは、お前だ!」

幼「そうかー?」

男「だから、何で疑問形?」

幼「自分自身の事を本当に解っている人間なんて…」

幼「この世には居ないのよ、男…」

男「何をいい感じに話しまとめようとしてるんだよ!」

31: 2012/07/02(月) 22:47:00 ID:lKaRQIbk
幼「フフフ…それはね、ワトソン君…」

男「もうすぐ学校に着くから、だろ?」

幼「エーーー?ここにきて、男の真の力が覚醒?」

男「は?覚醒?」

幼「きっと、銀髪になって、IQが300くらいになるんでしょ?」

男「俺、今、銀髪になってるの?」

男「IQが上がったようにも思えないけど…?」

幼「…ネタバレ最低!男のアホー!」
バタバタ


男「そのまま聞いておいた方が良かったかな…」

32: 2012/07/02(月) 22:47:48 ID:lKaRQIbk



幼「…こ、これは…し、氏んでる!」

男「氏んでねーよ!」

幼「ですよねー」

男「俺、幼が委員会の仕事終わるの待ってたんだよ?」

男「不謹慎過ぎるだろ!」

幼「それじゃ、帰ろうか、男」

男「ん?いやにあっさりと引き下がったな?」

33: 2012/07/02(月) 22:48:31 ID:lKaRQIbk
幼「今日は早く帰りたいんだよー」

男「ん?今日、何かあるのか?」

幼「だって、明日には…」

男「ん?明日?今、今日の話しをしてたんじゃなかったの?」

幼「もう!そう言うのはいいから!」

幼「早く早く!お家に帰ろうよ!」

男「はいはい…」

34: 2012/07/02(月) 22:49:12 ID:lKaRQIbk



幼「ペロッ…これは…青酸カリ?」

男「そうだよ」

幼「ま、マジで!?」

男「アーモンドの匂いと味がしただろ?」

幼「た、確かに…」

男「引っかかったね、幼!」

幼「ま、まさか男が、こんな、こ、と、を…」
バタッ

35: 2012/07/02(月) 22:50:23 ID:lKaRQIbk
男「フフフ、甘いねホームズ先生」

幼「な、何が?」
ムクリ

男「本物の青酸カリはアーモンドの臭いなんて、しないんだぜ?」

幼「マジで!?」

男「ネットで調べた」

幼「やっべー…インターネット、おっかねー…」

36: 2012/07/02(月) 22:51:04 ID:lKaRQIbk
男「で?俺が作った鳥肉とブロッコリーのアーモンド炒めの味はどうだった?」

幼「…美味しかったです」

男「今日はちゃんと2人分あるからな」

幼「え?」

男「箸もちゃんと出すぞ」

幼「ええ?」

幼「男、どうしちゃったの?」

37: 2012/07/02(月) 22:51:56 ID:lKaRQIbk
男「今日と明日、何があるのか、考えてみたんだ」

男「昨日の夜と今朝、幼があんなにはしゃいでた事も」

男「色々考えてみた」

幼「…」

男「ズバリ、ウチの両親が、明日旅行から帰ってくる事に関係ある?」

幼「なななな、何言ってんの?」

38: 2012/07/02(月) 22:53:12 ID:lKaRQIbk
幼「おじさんとおばさんが帰ってくる前に」

幼「男と一線超えちゃおうとか、考えてる訳ないじゃん!」

男「雄弁だな、幼」

幼「…ぅ」

男「な?」

幼「…」

男「…なー?」

39: 2012/07/02(月) 22:53:56 ID:lKaRQIbk
幼「もう!そうだよ!その通りだよ!」

幼「昨日、一緒に晩御飯を食べようと思ってたよ!」

幼「…でも、男はすっごい早い時間から晩御飯食べようとしてたから」

幼「麻婆豆腐丼、私が食べたの!」

幼「今朝だって、窓からこっそり入ろうと思ったよ!」

幼「でも、まさか男が部屋の鍵掛けて寝てると思わなかったんだよ!」

幼「やっと開いたと思ったら、男、起きちゃってるし…」

40: 2012/07/02(月) 22:54:42 ID:lKaRQIbk
幼「だ、だから今夜は…今夜は!」

男「一緒に晩飯食べよう、幼」

男「おかず、持ってきてくれたんだろ?」

幼「!」

男「まぁ、長い付き合いだ」

男「推理するのはそんなに大変じゃなかったよ」

幼「…ぅう」

男「ていうか、別に推理でも何でもないな、これは」

41: 2012/07/02(月) 22:55:33 ID:lKaRQIbk
幼「これ…作ってきた…」

男「お!唐揚げじゃん!美味そう!」

男「てか、この短時間で、よく出来たな?」

幼「昨日の晩、仕込んで置いたの…」

男「マジか?凄いなー、幼!」

幼「それでも、男は色んな事を考えて」

幼「おかずを一品作って…」

幼「私を…待っててくれたんだよね?」

男「あぁ、待ってた」

幼「…」

42: 2012/07/02(月) 22:56:21 ID:lKaRQIbk
男「なぁ、幼」

幼「なに?」

男「長い事一緒に居てさ」

男「わかってるもんだと思ってたけどさ」

男「こう言うのは、ちゃんと言葉にしないとな」

男「想いだけでは伝わらないもんな」

幼「な、何が?」

男「俺は、幼の事が好きだぞ」

幼「!」

43: 2012/07/02(月) 22:57:20 ID:lKaRQIbk
男「もちろん、一緒に育ってきた兄妹的な意味じゃなくて」

男「健全な男女としてだぞ?」

幼「マジで?」

男「マジです」

幼「ぅ、あ…あの…その…」

男「マジですよ?」

男「別に今すぐ返事くれなんて、言わないよ絶対」

幼「え?」

男「とりあえず、ご飯食べよう」

幼「う、うん」

44: 2012/07/02(月) 22:58:16 ID:lKaRQIbk


幼「そこはかとない、敗北感」

男「幼の作った唐揚げ、美味しかったよ?」

幼「今『幼の作った唐揚げ、惜しかったよ?』って聞こえた」

男「卑屈過ぎるだろ!」

男「美味しかったって褒めたのに!」

45: 2012/07/02(月) 22:59:11 ID:lKaRQIbk
幼「男の作ったアーモンド炒めの方が美味しかった…」

男「そんな事ないよ」

男「別々の料理なんだから、比べるのがおかしいよ」

幼「…そ、そうだよね」

幼「食べ物の話しをする時に、別の食べ物で例えるのは」

幼「バカのする事だって、雄山先生も言ってたもんね!」

男「そうそう」

幼「でもいつか!」

男「いつか?」

46: 2012/07/02(月) 22:59:45 ID:lKaRQIbk
幼「男の料理の腕前を超えて見せる!」

男「え?」

幼「じっちゃんの名にかけて!」

男「幼、最初とキャラ違ってない?」

幼「あと、いつか男のハートを逆に盗んでみせる!」

男「探偵から、泥棒になっちゃった?」

幼「もう!恋泥棒なのは、男の方でしょ?」

男「あと、ってついでみたいに返事するなよ!」


おわり

47: 2012/07/02(月) 23:01:21 ID:lKaRQIbk
これで終わりです
読んでくれた人、ありがとうございます

次スレは
幼馴染「…だれ?」男「…」
ってタイトルで立てたいと思います

見かけたら読んでくれると嬉しいです
では。

49: 2012/07/02(月) 23:06:01 ID:rqD91x/E
乙!

引用: 幼馴染「ペロッ…これは…青酸カリ?」男「違うよ」