142:◆3QM4YFmpGw 2016/05/19(木) 23:52:38.80 ID:QjjYeKu40


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ


 ではではー、学園祭3日目を投下いたしましてー

143: 2016/05/19(木) 23:53:32.14 ID:QjjYeKu40

智香「わあ……人がいっぱい」

《怠惰の災厄》智香は、秋炎絢爛祭を訪れていた。

木を隠すなら森の中という言葉があるように、人型のカースである自分が大勢の人間の中に紛れこめば、発見されにくくなるだろうという企みだった。

まあ、智香はその言葉自体は知らないわけだが。

屋台の生徒「そこのお姉さん! イカ焼き食べてかない?」

智香「えっ?」

突然、屋台でイカ焼きを販売している生徒に声をかけられた。

智香「イカ焼き……ですか?」

屋台の生徒「そう、美味いよ! 一本どう?」

智香「うーん……」

カースである智香に、本来食事は必要無い。

人間が持つ負の感情……彼女の場合は”怠惰"こそが活動の為のエネルギーとなるのだ。
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それは、なんでもないようなとある日のこと。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



144: 2016/05/19(木) 23:54:54.72 ID:QjjYeKu40
しかし……

智香「じゃあ、一本下さいっ」

屋台の生徒「はーいまいどありー!」

智香は食べる事を選んだ。

人間と同じ行動を取る事で、少しでも人間に近付く『何か』を見つけられたら……そう考えた。

屋台の生徒「じゃ、200円ね」

智香「えっと、200円……はいっ」

硬貨を二枚生徒へ差し出し、代わりに竹串に刺さったイカ焼きを受け取る智香。

智香がGDFやヒーローが逃げ回りながら道中で拾い集めた小銭は、もうそこそこの額にまでなっていた。

屋台の生徒「あざっしゃー!」

生徒の声を背にしながら、智香は早速イカ焼きにかぶりつく。

智香「…………」

当然、味など感じはしない。

智香からすれば、ただ「体内に異物が侵入した」だけである。

それでも。

核の中心から、何故だか体全体が温かくなるような感覚を覚えた。

智香(これが……「美味しい」って事なのかな……)

少し首を傾げながらまたイカ焼きをかじり、何処へともなく歩き出した。

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145: 2016/05/19(木) 23:56:16.08 ID:QjjYeKu40
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カイ「な、何あれ……!?」

会場設営の休憩中だったカイは、ふらふらと散策中に「それ」に出会った。

黒い泥の体を滴らせ、這いずるように動く異形……カースだ。

『ア゛……お゛……』

カースはカイなど眼中に無いかのように、呻きながら這いずっていく。

カイ「……よく分かんないけどヤバそう! いくよ、ホージロー!」

『キンキンッ!』

カイ「オリハルコン、セパレイション!!」

カイの掛け声でホージローの体が分離し、カイの体へ装着されていく。

カイ「アビスナイト、ウェイクアァップ!」

叫ぶが早いか、カイはカースへ向けて一直線に駆け出した。

カイ「先手必勝! アームズチェンジ! ソーシャー……」

146: 2016/05/19(木) 23:57:13.36 ID:QjjYeKu40
??「いけません!」

突如、カースとカイの間に何かが落ち、カイの突撃を妨げた。

カイ「おわわっ! ……って、あれ?」

上空からの乱入者、カイはその姿に見覚えがあった。

カイ「ニコちゃん! 久しぶりじゃん!」

ニコ「ええ、お久しぶりですねぇカイさん」

祟り場騒ぎで知り合った仮面の少女……ニコだ。

カイ「元気だった? って……あいつやっつけちゃいけないの? カースだよね?」

カイは再開を喜びつつも、首を傾げる。

ニコ「いえ、やっつけるのは全く問題無いんですけどぉ……問題は『触れる』事なんですよねぇ」

カイ「触れる……?」

2人は改めてカースに目を向けた。

通常のカースとは明らかに異質な体は、見ているだけで心を蝕まれそうになる。

147: 2016/05/19(木) 23:57:59.77 ID:QjjYeKu40
カイ「……気持ち悪いっ」

ニコ「迂闊に触れると、精神を汚染されてしまいますからぁ」

カイ「触れると、か……なら! アームズチェンジ! ハンマーヘッドアームズ!!」

射撃用のアームズに換装したカイの腕が、カースへ向けられる。

カイ「シャークバレット! それそれそれぇっ!!」

そして放たれた弾丸の雨はカースの体表の泥を吹き飛ばし、やがて濁った緑色の核を露わにした。

カイ「トドメにもう一発、シャークバレット!!」

『ア゛おォ……』

カイの弾丸に撃ち抜かれ、核は泥と共に静かに消滅した。

148: 2016/05/19(木) 23:58:50.20 ID:QjjYeKu40
ニコ「お見事です、カイさん」

カイ「えへへ、まあね! ニコちゃん、あのカース探してたの?」

ニコ「ええ。正確には、あれの親玉を、ですけどねぇ」

カイ「親玉かあ……」

ニコ「カイさん、もしよろしければ、ニコを手伝ってもらえませんかぁ?」

腕組みしてカースがいた場所を見つめるカイに、ニコがそっと進言する。

カイ「うん、いいよ」

ニコ「そ、即決ですねぇ……ちょっとくらい考えても……」

カイ「そんな水臭いコト言わないでよ、あたしとニコちゃんの仲じゃん!」

ニカッと笑って、カイはニコの背中をぱんぱんと叩いた。

ニコ「あ、ありがとうございます……」

149: 2016/05/19(木) 23:59:40.34 ID:QjjYeKu40
カイ「で、その親玉をやっつければいいのかな?」

ニコ「はい。この学園の地下……そのどこかにいるはずなんですけどぉ……」

カイ「地下だね、オッケー! んじゃ早速……」

ニコ「あ、待って下さい」

勢いよく地面に飛び込もうとしたカイを、ニコが引き止める。

カイ「おっととと……どうしたの?」

ニコ「迂闊に地面に潜ったりすると、飛び出た拍子にあのカースにぶつかったりしてしまうかもしれませんよぉ?」

カイ「た、確かに……地道に歩いて探すしかないかぁ……」

カイは頭の後ろで腕を組み、残念そうにため息をついた。

150: 2016/05/20(金) 00:00:49.09 ID:4MHH5Bh80
カイ「……ま、仕方ないかっ! 親玉って、パッと見て『親玉だー!』って分かるような外見してる?」

ニコ「そうですねぇ……雰囲気はさっきのカースとほぼ同じで、姿は恐らく、山羊か何かを真似ていると思います」

カイ「ヤギ?」

少し不思議そうな顔で、両手でツノのジェスチャーをするカイ。

ニコ「ええ、ニコは『退廃の屍獣』って呼んでいますけどぉ……」

カイ「退廃の屍獣……なんか物騒な名前だね」

ニコ「それから、退廃の屍獣は体内にある『本』を取り込んでいるので、それを回収してほしいんです」

カイ「本だね、オッケー」

ニコ「あともう一つ、学園の地下道を狼のようなカースがうろついていますけど……それは味方なので、やっつけちゃダメです」

カイ「いいやつなの? カースなのに?」

ニコ「そちらは『孤高の猟獣』と言います。カイさんが退廃の屍獣と戦う時には、加勢してくれるかもしれません」

カイ「孤高の猟獣は倒しちゃダメで、退廃の屍獣を倒せばいいんだね。了解! じゃあニコちゃん、またね!」

カイは理解すると手をブンブンと振って、地下道の入り口へと駆けていった。

ニコ「はぁい。あ、もし孤高の猟獣に危害を加える人がいたら……」

カイ「止めるよう言うか大人しくしてもらうんでしょー? オッケーオッケー!」

151: 2016/05/20(金) 00:01:33.62 ID:4MHH5Bh80
ニコ「…………むふふ」

カイの姿が見えなくなると、ニコは仮面の下の笑顔をさらに歪めた。

ニコ「カイさんは素直で助かりますねぇ……少々単純とも言いますが……」

ニコ「屍獣を狩る狩人としても、申し分ない腕前ですし……」

ニコ「『屍食教典儀』の回収も、そう遠くは無さそうですねぇ……むふふ、むふふふふ……」

笑みを浮かべながら、ニコは歩きだす。

新たな狩人を求めてか、屍獣を追ってか、それとも……。

続く

152: 2016/05/20(金) 00:02:27.88 ID:4MHH5Bh80
○イベント追加情報
智香が学園祭をうろついています。カース関係者は気付くかも…?

カイがニコを手伝い屍獣を探して地下道に入りました。
・基本的に移動には物体潜行を使いません(浮上時に屍獣と接触するのを避ける為)
・もし猟獣を攻撃する場合、カイが停止勧告もしくは攻撃を開始することがあります

153: 2016/05/20(金) 00:03:20.80 ID:4MHH5Bh80
というわけで久しぶりの投下でした
時間掛かったわりに大して動いてなくてごめんなさいねホント
ニコお借りしました



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13