245:◆3QM4YFmpGw 2016/09/25(日) 22:29:11.65 ID:gnJ6FtKW0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ


投下します(生存報告)

246: 2016/09/25(日) 22:32:01.48 ID:gnJ6FtKW0


京華学園の遥か遥か上空、もはや宇宙空間と言って差し支えないほどの上空。

一台の巨大な宇宙船から、ヘレンはそれを見下ろす。

ヘレン「なるほど……あれが地球のフェスティバルね、なかなか賑わっているじゃない」

宇宙酒のグラスを傾け中身を飲み干したヘレンは、パキンと指を鳴らした。

ヘレン「アステリオーズ、メモリック」

アステリオーズ「グルル……」

メモリック「お呼びですか、マム」

ヘレンの呼び出しに応じ、迷宮怪人アステリオーズと記録怪人メモリックが姿を現した。

ヘレン「方法は任せるわ、あのフェスティバルを更に盛り上げていらっしゃい」

アステリオーズ「グオオ!!」

メモリック「御意に」

部屋を去る二体と入れ替わりに、ヘレンの側近であるマシンが入ってきた。

マシン「マム、失礼します」

ヘレン「あら、何かしら?」

マシン「旧友の方から惑星間通信が入っております」

ヘレン「旧友? まあいいわ、繋ぎなさい」

ヘレンの言葉にマシンは「イエス、マム」と短く返し、室内のモニターを点ける。
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それは、なんでもないようなとある日のこと。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



247: 2016/09/25(日) 22:33:44.42 ID:gnJ6FtKW0
??『いっよーぅヘレンちゃーん!! 相変わらず宇宙レベルかぁーい!?』


ヘレン「切りなさい」


マシン「イエス、マム」


??『どおお!? ちょちょちょちょっと待ってくれよヘレンちゃんよぉ! ちょーっとふざけただけだろお?』


モニター越しにおどけてみせる男。


24時間グダグダ煮込んだホウレンソウのようなウェーブの緑髪。


丸々3日履き続けたお父さんの靴下のようにだらしなくくたびれたウサ耳。


そして顔の右半分を覆う、レトロな雰囲気を醸し出す鉄仮面。


ヘレン「……で、一体何の用かしら、UP?」


ヘレンは珍しく少し不機嫌な顔をモニターの男……奴隷商人UPへ向けた。

248: 2016/09/25(日) 22:36:07.61 ID:gnJ6FtKW0
UP『いやあ、ちょっとマルメターノの野郎への復讐と素材の仕入れを兼ねて地球の愁炎絢爛祭っつー祭に来るつもりだったんだがな? うっかり宇宙警察の犬どもに取り囲まれちまって……あ、もちろん俺が勝ったんだぜ? でもちょーっとスレイブニールの方が傷ついちまってな? 困り果てて宇宙図を見たらワァオ! 地球のすぐそばに旧知の仲たるヘレンちゃーんの宇宙船があるじゃないの! これは最早神の思し召しでしてーっつー事で修理用の資材わけてくんねーかなーって通信かけたんだけど……ってあらら? ヘレンちゃん? 聞いてる?』


ヘレン「……ええ、『不幸にも黒塗りの高級宇宙船に追突してしまう』って所まで聞いたわ」


UP『全く聞いちゃいねぇーっ!! ズッコー!!』


往年のギャグマンガのような動きで盛大にズッコケるUP。


よく見ると足の裏に強力なスプリングが仕掛けてある。


この為に追加したのだとしたら、努力の方向音痴と言うほかないだろう。


ヘレン「冗談、ちゃんと聞いていたわ。わけてあげてもいいけど、タダとはいかないわ」


UP『モチのロンだぜ! 俺様特製プロデュースの奴隷五体をロハで……』


ヘレン「いらないわ、あんな悪趣味なオモチャ」


UPの言葉をヘレンが遮る。


UP『へっ?』


ヘレン「その代わり……例のコア、一つもらおうかしら。持っているんでしょう?」


UP『例のコアって……ちょちょっ、マジかよ!? アレは生産終了再販予定無しの激レアもんだぜ!? そもそも何で持ってるって知ってんの!?』


ヘレンの言葉に、UPは身を乗り出し驚いた。


勢いあまって顔面をモニターに激突させたその様は、まるで何とかクリムゾンとかいうロックミュージシャンのCDジャケットのよう。


ヘレン「嫌ならいいわ。そのオンボロ宇宙船で地球まで来ることね」


UP『ぬうう……よーし分かった! その代わり資材はバッチシ頼むぜヘレンちゃん!!』


CPU『マシンちゃん、一応現在座標と故障状況を転送しておくわねぇ』


マシン「助かります、CPU」

249: 2016/09/25(日) 22:40:03.40 ID:gnJ6FtKW0
UP『じゃ、また会おうぜヘレンちゃんよお!!』


謎の決めポーズと共に通信を終了させるUP。


ヘレン「はあ……マシン、奴の宇宙船が地球に到達するまでの時間は?」


軽く溜息をついて、ヘレンがマシンに問いかける。


マシン「CPUから転送されたデータで計算しました。約167時間20分後と推測されます」


ヘレン「6~7日後、ね」


マシン「イエス、マム」


室内に一時の沈黙が流れる。


ヘレン「……間に合わないわね、祭」


マシン「間に合いませんね」


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250: 2016/09/25(日) 22:41:19.36 ID:gnJ6FtKW0
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京華学園、地下通路。


アステリオーズ「グルル……」


メモリック「転送完了。現在座標x581688、y401190、z-15078。京華学園地下と判断」


アステリオーズと共に転送されたメモリックが現在地を照合していた。


メモリック「ではアステリオーズ、早速開始です」


アステリオーズ「グオオン!!」


アステリオーズが両拳を頭上で激しく打ち付けると、そこから青白い火花が舞った。


火花は彼の角の間へ舞い降り、そこで更に大きく、激しく輝きだす。


そして火花が直径1mほどの大きさになった時、アステリオーズは叫んだ。


アステリオーズ「ビルド・ラビリンス!!!」


直後、火花は幾つもの光の筋となって散らばり、地下通路全体を照らしていく。


すると、信じられない事が起こり始めた。


ズズズ……


ゴゴ、ゴゴゴゴゴ……


光の当たった壁が、重低音を響かせながら動き始めたのだ。


やがて重低音は地下通路中を埋め尽くすほどに響き渡り……。


アステリオーズ「グオオ!」


数分と経たない内に、地下通路内部は巨大な迷宮と化した。


メモリック「……申し分ないですね。では続けて御招待を」


アステリオーズ「グルル…グォォォォォォ!!」


続けてアステリオーズは腕組みし、大きな雄叫びを上げた。


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251: 2016/09/25(日) 22:42:55.58 ID:gnJ6FtKW0
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ほたる「あれ? 巴ちゃんいないね……お手洗いかな?」


乃々「で、でも、お好み焼き焦げてますけど……」


エマ「なんか急にパッと消えたみたいな感じだなー」


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部員「ねー、キャプテンいたー?」


部員「いないよー。どこ行ったんだろ?」


部員「スタンプラリーの3ポイント希望してる人結構溜まって来てるのになあ…」


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忍「あ、伊吹ー! 沙紀いた?」


伊吹「こっちにはいなかったよ。どこ行ったのかな……」


忍「ほんの数秒だったよね、沙紀と離れたの……」


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モブヒーロー「ルーキートレーナー? ルーキートレーナー応答しろー?」


モブヒーロー「昼寝でもしてんじゃねえの?」


モブヒーロー「かもな……まあいいや、アイツの仕事料が減るだけだ。俺たちだけで警備に行こうぜ」


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252: 2016/09/25(日) 23:03:54.77 ID:gnJ6FtKW0
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地上で次々と行方不明になる人々。

それが原因となり、学園祭のあちこちで小さな混乱が起こり始めた。

言うまでもなく、犯人は怪人アステリオーズだ。

メモリック「良い調子です、アステリオーズ。景気付けにもう何人か……む?」

言いかけたところでメモリックが振り向く。

『オ゛ォオ……ォア゛……』

そこにいたのは、山羊……のような姿をした怪物だった。

泥の体を引きずって、ゆっくりゆっくりとこちらへ向かってくる。

メモリック「……解析完了。体表の構成物質からカースと断定。交戦による我々へのメリット無し。彼我機動性差、圧倒的」

淡々と分析するメモリック。

メモリック「奴をまきますよ、アステリオーズ。マムから賜った任務、邪魔をされるわけには……」

253: 2016/09/25(日) 23:05:06.45 ID:gnJ6FtKW0
アステリオーズ「グオオオオン!!」

メモリック「アステリオーズ!?」

直後、アステリオーズはメモリックの指示を無視して山羊のカースへと襲いかかった。

右の拳が、固く握り締められている。

メモリック(……まあ、いいでしょう。たかがカース如き、即座に始末して任務に戻れば……)

冷静さを取り戻し、アステリオーズの背中を見守るメモリック。

それがメモリックの誤算だった。

目の前にいるカースを、『たかがカース如き』と判断した、彼にとって最大のミス。

アステリオーズ「グオ……!?」

カースを殴りつけた途端、アステリオーズの体が硬直する。

そして一瞬の後、カースの泥がゴボゴボと湧き出し、みるみるうちにアステリオーズの体を包んでいく。

メモリック「!?」

アステリオーズ「グオ、オオオオオ!!」

メモリックが呆気にとられている間に、アステリオーズの体は完全に泥の中へと消えた。

メモリック「か、解析不能……!」

『ア゛ォオァア……』

そして、アステリオーズを飲み込んだカースがボコボコと姿を変えていく。

それはまるで、漆黒に染まったアステリオーズそのもの。

しかし、頭は山羊のそれという、完全なる異形だ。

『…………』

やがてアステリオーズを飲み込んだカース……『退廃の屍獣』は、ゆっくりとした足取りで何処へともなく歩き出した。

254: 2016/09/25(日) 23:06:56.71 ID:gnJ6FtKW0
メモリック「な、なんという事……」

この迷宮はアステリオーズが造り出したたもの。

すなわち、解除出来るのもアステリオーズのみ。

メモリック「……帰還装置、正常稼動確認出来ず……」

アステリオーズの迷宮は中の者を永遠に閉じ込める。

魔法であろうと科学であろうと、この迷宮の中では意味を成さない。

メモリック「……このままでは……」

戦闘能力を持たないメモリックに、退廃の屍獣をどうにかする事など出来はしない。

彼はただ、祈るしか出来ない。

迷宮内に呼び込まれた者たちが、奴を倒す事を。

完全に制御不能となった、迷宮の番人を……。

続く

255: 2016/09/25(日) 23:14:17.66 ID:gnJ6FtKW0
○イベント追加情報
地下通路が迷宮化し、巴、渚、沙紀、慶をはじめ複数の人間が転移させられました。
アステリオーズを取り込んだ退廃の屍獣を倒せば元に戻ります。

はい、というわけで長らくお待たせしました(白目)
エマ以外全員お借りしました(横着)

256: 2016/09/26(月) 00:47:57.89 ID:JU660YJ5o
おっつし
新イベかー!

257: 2016/09/26(月) 03:14:27.89 ID:wUTs2tK40
おつでして
なんだか大変なことになっちゃってるぞ(恒例)
戦闘能力とは言えない能力持ちの子が不安ですねぇ…
というか絶対強いじゃないですかやだー!



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13