1: 2011/08/17(水) 14:10:25.48 ID:hfBrukJb0
 
日常(1) (角川コミックス・エース)

3: 2011/08/17(水) 14:13:15.06 ID:hfBrukJb0
俺「誰ってお前……安中さんだよ。同じクラスの」

ゆっこ「知らない」

俺「え」

ゆっこ「誰だっけ」

俺「ほら、赤いリボンの……」

ゆっこ「知らない」

俺「え」

ゆっこ「知らないから」

4: 2011/08/17(水) 14:14:54.24 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「楽しげに喋ってたよね。何で?」

俺「シャーペン落としたのを拾ってくれたんだよ」

ゆっこ「何で?」

俺「な、何でって……近くにいたからじゃね……?」

ゆっこ「何で私を呼んでくれなかったの?」

俺「……だって、お前遠くにいたし、悪いなと思って……」

ゆっこ「……」

俺「……」

5: 2011/08/17(水) 14:16:26.15 ID:hfBrukJb0
俺「……ゆっこ?」

ゆっこ「……」

ゆっこ「なぁんだぁ、そっかそっか! いやごめんね、勘違いしてたよー!」

俺「……」

ゆっこ「わッ、次って赤城の授業じゃん! やっばいまたゲンコツでグーされる!」

俺「……」

ゆっこ「どしたの?」

俺「いや、別に何も……」

6: 2011/08/17(水) 14:19:21.34 ID:hfBrukJb0
赤城「ほら席につけー。号令かけろー」

麻衣「起立。礼。着セコ」

俺(着セコ!?)

赤城「じゃあ前回の続きから。分かる奴ー」

俺「……」

赤城「じゃあ俺」

俺「ぁっ……ぇ……無理ですごめんなさい……」

赤城「お前減点」

7: 2011/08/17(水) 14:21:50.08 ID:hfBrukJb0
赤城「今日はここまで。宿題忘れるなよ」

安中「あっ。ペンが……」

俺「おっと」

俺「ほれ」

安中「ありがとー」

ゆっこ「ねぇ」

俺「うわっ!」

安中「?」

ゆっこ「何してるの?」

8: 2011/08/17(水) 14:23:39.31 ID:hfBrukJb0
俺「ペンを……拾って……」

ゆっこ「それ、さっきも聞いたよ。まさか、二回ともウソなの?」

俺「違うよ! ね、違うよね安中さん!」

安中「へっ? あ、う、うん。ペン拾ったり拾われたりだよ」

ゆっこ「……」

ゆっこ「あんた、誰?」

安中「」ガーン

俺「だから安中さんだって!」

11: 2011/08/17(水) 14:27:51.35 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「ああ……そういえばいたね。そんな人」

俺「本人を前にしてそんな事言うなよ!」

安中「」

俺「ご、ごめんね安中さん。ゆっこバカだから……」

安中「気にしてないよ、あはは……」

俺(涙出てるよ)

ゆっこ「行こう」グイッ

俺「えっ」

ゆっこ「あっち行こう」グイッ グイッ

12: 2011/08/17(水) 14:30:26.17 ID:hfBrukJb0
俺「なあ、ゆっこ」

ゆっこ「何?」

俺「お前、最近怖い」

ゆっこ「意味分かんない」

俺(怖ッ……)

俺「だってさ、何と言うか、常に俺を責めるような喋り方してくるしさ」

ゆっこ「してない」

俺「してるって! 普段の明るい振る舞いはどこに行ったんだよ!」

ゆっこ「どこにも行ってないから。普段の私だから」

13: 2011/08/17(水) 14:32:04.50 ID:hfBrukJb0
俺「もうやだ、怖い! 別れよう!」

ゆっこ「……え?」

俺「だって、ゆっこは俺の事が嫌いなんだろ? だからそんな冷たくするんだろ?」

ゆっこ「……やだ」

ゆっこ「やだやだやだやだやだやだやだやだ」

俺「ゆっこ!?」

ゆっこ「絶対放さない絶対放さないから絶対に」

15: 2011/08/17(水) 14:34:22.17 ID:hfBrukJb0
俺「うわぁああぁ」

ゆっこ「待ってよ! どこ行くの!!」ギュゥゥゥ

俺「教室だよ!」

ゆっこ「行かせないから! 他の女の子と会うの禁止!!」ギュゥゥゥ

俺「痛ッ……! な、何でだよ!」

ゆっこ「汚れちゃうから! 私以外の女の子を見たら汚れちゃうから!!」

俺「汚れないから!」

ゆっこ「その目、潰した方がいいよね! そしたら他の女の子見なくていいもんね!」

俺「なっ……なに言ってんのお前!?」

18: 2011/08/17(水) 14:36:33.87 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「私、丁度はさみ持ってるんだ。少しの間、ジッとしててね」

俺「いやいやいやいや!!」

ゆっこ「行くよォーっ」

俺「目ぇ潰したらゆっこも見られなくなるだろがッ!!」

ゆっこ「」ピタッ

俺「ッ……」

俺(と、止まった……?)

ゆっこ「……そ」

俺「?」

ゆっこ「そうだよねッ! いやぁ気づかなかったよアハハハ」

20: 2011/08/17(水) 14:38:32.47 ID:hfBrukJb0
俺(九氏に一生を得た……)

ゆっこ「いやぁ危なかった。一生、私の顔を見られなくなるところだったね!」

俺(お前のせいでね……)

ゆっこ「早く教室戻ろうよ!」

俺「……女の子を見てもいいのかよ」

ゆっこ「だって仕方ないし! 私の事を見れば、汚れた目も綺麗になるから!」

俺(……本当、何なのこの人……)

ゆっこ「ほらほら、次の授業始まっちゃうよ!」

23: 2011/08/17(水) 14:40:58.99 ID:hfBrukJb0
高崎「――で、ここがこうなってだな……」

俺(まずいまずいまずい……このままではいずれ殺されてしまう……)

俺(どうしようどうしよう……)

俺(そうだ! みおちゃんにメールを……)カチカチ

『昼休み、相談したい事があります。屋上に来てください』

俺(何で敬語なんだろ……まあいいや。送信)ポチッ

みお「!」

みお(メール……? 俺君からだ……)

25: 2011/08/17(水) 14:43:46.04 ID:hfBrukJb0
みお(ふむふむ、相談……。ゆっこについてかな……)

みお(まあいいや。オッケーで返信……と)

俺(お、来た来た)

俺(わぁい。オッケーだってさ)

高崎「おっと、もう時間だな。号令」

麻衣「起立。礼。着セコ」

俺(だから着セコって何……)

高崎「ふーっ。腹減った」

俺(そして何で皆、スルーなんだ……)

26: 2011/08/17(水) 14:45:46.95 ID:hfBrukJb0
俺「よく来てくれた長野原」

みお「相談って?」

俺「実は、ゆっこの事なんだけど」

みお「ああ、やっぱりか」

俺「やっぱりって……。最近、ゆっこの様子がおかしいからか?」

みお「……うん」

みお「ボーッとして、俺君の名前呟いて……。声をかけても上の空だし」

俺「ふぇぇ怖いよぅ」

みお「確かにちょっと不思議だけど、でも愛されてるんだからいいんじゃないの?」

27: 2011/08/17(水) 14:47:38.75 ID:hfBrukJb0
俺「いやさっき、眼球をはさみで貫かれそうになったし」

みお「えぇ!?」

俺「しかもアイツ、安中さんの事を誰だか分からないって言ってたし」

みお「……そりゃあバカだから」

俺「バカでもクラスメイトの事を忘れる奴はいないだろ、流石に……」

みお「まあ、確かにそうだとは思うけどさ」

ゆっこ「……何してんの」

俺「うわっ!!」

みお「ゆ、ゆっこ!?」

30: 2011/08/17(水) 14:49:36.99 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「俺君……今日……私を避けようとしてる……」

俺「してないから! ないから! ね!」

ゆっこ「じゃあ何で私の知らない間にみおちゃん誘って屋上にいるの?」

ゆっこ「しかも……二人きりで……」

俺「そ、それは……えっと、相談があってね!」

ゆっこ「相談って何? 何で恋人である私に相談しないの? おかしいよね?」

俺「あー……えーっと……」

みお「試験勉強についてだよ!」

33: 2011/08/17(水) 14:51:19.95 ID:hfBrukJb0
俺(えっ……?)

ゆっこ「試験勉強?」

みお「そうっ! ゆっこバカでしょ。俺君はゆっこに訊いても無駄だって思ったんだよ」

俺(なるほど!)

ゆっこ「……」

みお(うっ……ゆっこってバカって言われると怒るからなぁ)ドキドキ

ゆっこ「……」

ゆっこ「なぁんだ、そうだったのかー!」

36: 2011/08/17(水) 14:53:16.62 ID:hfBrukJb0
みお「えっ?」

ゆっこ「うん? どうしたの?」

みお「い、いや、バカって言ったから怒ると思ってた……」

ゆっこ「何言ってるんですかー。そんぐらいじゃあ私は怒りませんって」

みお「いつからそんな心の広い人間に……」

ゆっこ「んー? 俺君に告白されてからだよぅ」

俺「ふぇぇ……恥ずかしいよぅ」

みお「……」

37: 2011/08/17(水) 14:55:05.80 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「じゃあそういう事なら、私は教室戻ってお昼ご飯食べてるね」

みお「うん。ごめんね」

ゆっこ「いいって事よっ! じゃねー」

みお「……」

俺「……」

みお「バカだね。私達、筆記用具とか持ってない上にお弁当食べてるのに」

俺「そだな」

みお「バカでよかった……。殺気を感じたよ」

40: 2011/08/17(水) 14:57:49.50 ID:hfBrukJb0
俺「……で、俺が心配なのは唐突に変貌するゆっこについてなんだが」

みお「さっきみたいな、氏んだ魚みたいな目になってる時の?」

俺「そう。あれマジ怖い」

みお「何かスイッチがあるんじゃないのかな。前のゆっこの、バカって言われたらキレる、みたいな」

俺「なるほど」

俺「アイツが切れる時は……決まって俺が他の女子と話してる時だな」

みお「……」

みお「それ、嫉妬って事じゃん」

42: 2011/08/17(水) 15:00:04.66 ID:hfBrukJb0
俺「嫉妬なのかな」

みお「うん。私も笹はr……、何でもない」

俺「?」

みお「ともかく、ゆっこが近くにいる時は、なるべく女の子と話さない方がいいね」

俺「そうしたいんだけどさ……」

みお「うん」

俺「今だって、わざわざ屋上まで長野原を呼び出して話してたのに、ゆっこ来たじゃんか」

みお「……確かに」

44: 2011/08/17(水) 15:02:30.57 ID:hfBrukJb0
俺「悪魔みたいな嗅覚で嗅ぎつけてくるんですね」

みお「怖いね」

俺「怖い」

みお「もう、なるべく女子には関わらない方がいいかも」

俺「そ、そんな……」

みお「私はほら、試験勉強っていう建前で話し相手になるから」

俺「長野原……」

みお「困った時は頼ってよ」

45: 2011/08/17(水) 15:04:35.13 ID:hfBrukJb0
俺「ありゃっす! マジありゃっす!」

みお「いやいや。大した事じゃないから、頭下げないで」

俺「お前の事、超好きになった」

みお「」

俺「じゃあ、また後でな!」ダダダッ

みお「……」

みお「……」

みお「いやいや……おかしいよ……」

みお「……おかしいよ」

47: 2011/08/17(水) 15:08:19.53 ID:hfBrukJb0
桜井「では、これでHR終わりますね。号令お願いします」

麻衣「起立。礼」

「さようならー」

俺(流石にHRは座る必要ないね)

ゆっこ「俺君っ!」

俺「あ、はい」

ゆっこ「かーえろっ!」

俺「うん」

48: 2011/08/17(水) 15:10:39.23 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「それでねー、麻衣ちゃんったら緑一色でさー」

俺(……普通に可愛い子なのに……)

ゆっこ「あっ! 見て見て、子猫!」

俺「ん」

ゆっこ「にゃあ~っ♪」

子猫「にゃあ~っ」

ゆっこ「かわいー♪」

俺「……」

49: 2011/08/17(水) 15:12:09.60 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「俺君、またねっ!」

俺「うん。また明日」

ゆっこ「~♪」

俺「……」

俺「……はぁ」

みお「あ、あのっ……」

俺「うわっ、ビックリした!」

みお「ごめんなさい……」

俺「な、長野原……? どうしたんだよ」

みお「……あぅ……」

51: 2011/08/17(水) 15:14:48.39 ID:hfBrukJb0
みお「……こんな事……しちゃいけないって分かってる」

俺「へ?」

みお「で、でも……自分の素直な気持ちには逆らえないっ……」

俺「何を――」

みお「好きですっ!!」

俺「」

みお「っ……」

俺「あ、えっと……」

みお「何も言わなくていいっ! ……返事は……分かってるから……」

53: 2011/08/17(水) 15:17:28.20 ID:hfBrukJb0
俺(返事は分かってるって事は……フラれる前提で……)

俺(それにしても、人生にモテ期は必ずあるらしいけど、まさに今がそれだ……)

俺(……ともかく、どうしよう。俺にはゆっこがいる……でも……)

『さっきの女の子、誰?』

『汚れちゃうから! 私以外の女の子を見たら汚れちゃうから!!』

『その目、潰した方がいいよね! そしたら他の女の子見なくていいもんね!』

俺(ううっ……)

みお「……?」

54: 2011/08/17(水) 15:19:13.60 ID:hfBrukJb0
俺「俺もずっと好きでした! 長野原、付き合ってくれ!」

みお「――」

俺「ぐぅ……」

みお「……ほ、ほんとに……?」

俺「本当だよ本当!」

みお「……」

みお「う、う……」

俺「泣くなって」

みお「うん……」

58: 2011/08/17(水) 15:20:41.65 ID:hfBrukJb0
みお「俺君……」ギュゥゥゥ

俺「長野原……」ギュゥゥゥ








ゆっこ「……」ジィィィ

62: 2011/08/17(水) 15:23:01.21 ID:hfBrukJb0
 翌日

安中「おはよー」

俺「おはよ」

俺(……ゆっこは来てない)

みお「あ、あの……俺君……」

俺「あ、長野原。どした」

みお「……お、おお、おはよっ」

俺「おはよーおはよー」

みお「うー……」

安中「?」

63: 2011/08/17(水) 15:25:32.82 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「……」

俺(ゆっこだ。いつも通りに振舞わないと)

俺「ゆっこ、おはよ」

ゆっこ「……おはよう」

俺「……ゆっこ?」

ゆっこ「……」

俺「お、おい」

みお「ゆっこー。おはよー」

ゆっこ「……みおちゃん、あっち行って」

66: 2011/08/17(水) 15:27:03.26 ID:hfBrukJb0
みお「えっ」

ゆっこ「邪魔。どっか行って」

みお「で、でもあんたの前が私の席だし……」

ゆっこ「じゃあ違う席に移りたいって桜井先生に言えばいいじゃん」

俺「おい、ゆっこ」

ゆっこ「何?」

俺「その態度はないだろ……」

ゆっこ「……」

ゆっこ「……」ギロッ

俺「ひッ」

69: 2011/08/17(水) 15:30:05.89 ID:hfBrukJb0
桜井「HR始めますよー」

みお「あっ、先生来ちゃった」ガタッ

ゆっこ「どっか行ってって言ってるでしょ」

みお「そ、そんな無茶だよ」

ゆっこ「桜井せんせーい。みおちゃんが違う席に移りたいって」

桜井「え? そ、そうなんですか長野原さん?」

みお「いえ言ってません! ゆっこが勝手に……」

ゆっこ「みおちゃんが言ってました」

桜井「え? え?」

 ざわざわ ざわざわ

俺(お、おいおい……ヤバイ事になってきたぞ……)

71: 2011/08/17(水) 15:32:29.73 ID:hfBrukJb0
桜井「個人の席替えは難しいので……ごめんなさい」

ゆっこ「……チッ」

みお「……!」ゾクッ

みお(背中に……物凄い寒気が……)

桜井「ではHR終わりますね」

 ざわざわ ざわざわ

ゆっこ「……」

なの「あのっ。相生さんっ」

ゆっこ「……何、なのちゃん」

74: 2011/08/17(水) 15:34:05.26 ID:hfBrukJb0
なの「い、いえあの、何だか顔色良くないですよ……?」

ゆっこ「……そんな事ないよ」

なの「いや、保健室に行った方が……」

ゆっこ「大丈夫って、言ってるでしょ?」ギロッ

なの「ひぃっ!」

なの「ご、ごめんなさいっ……」

ゆっこ「……」

ゆっこ「あっち行って」

なの「え……?」

ゆっこ「邪魔だからあっち行って!」

76: 2011/08/17(水) 15:35:43.82 ID:hfBrukJb0
なの「すみませんっ! すみませんっ!」

ゆっこ「……」

俺「東雲」

なの「えっ……? あ、俺さん……」

俺「こっち来い……」

なの「は、はい」

俺「……」

ゆっこ「……」

78: 2011/08/17(水) 15:38:10.39 ID:hfBrukJb0
みお「なのちゃん、ゆっこに近づいたらダメだよ」

なの「……喧嘩……したんですか?」

俺「いや、喧嘩ではないんだけど……」

みお「今、ゆっこの心は荒んでるから、あまり刺激しない方がいいよ」

みお「そっとしとくのが一番だよ」

なの「分かりました……」

みお「なのちゃんって性格良いからさ。悪い人とかにもついて行っちゃいそうで心配」

俺「全面同意」

81: 2011/08/17(水) 15:41:28.20 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「……」

ゆっこ「……」パカッ

ゆっこ「……」ゴクゴク

ゆっこ「……」

高崎「おっ?」

高崎「おい相生。サイフ落としたぞ」

ゆっこ「……」

高崎「相生?」

ゆっこ「……あ、高崎先生。ありがとうございます……」

82: 2011/08/17(水) 15:42:52.78 ID:hfBrukJb0
高崎「大丈夫か。……何か、相生じゃないみたいだぞ」

ゆっこ「大丈夫です」

高崎「どう見ても大丈夫には見えん。保健室に行った方が……」

ゆっこ「大丈夫です」

高崎「……」

高崎「無理するなよ。辛かったら、すぐ保健室行けよ」

ゆっこ「はい……ありがとうございます……」

高崎「……」

高崎(気になるな……)

84: 2011/08/17(水) 15:44:51.34 ID:hfBrukJb0
みお「でね、麻衣ちゃんが国士無双で」

なの「あっ……相生さん戻ってきた……」

ゆっこ「……」

俺(……みおちゃんに目を向けてる……俺は蚊帳の外なのか?)

みお「……」

みお「ちょっとゆっこ!」

俺「!?」

なの「!?」

85: 2011/08/17(水) 15:47:01.06 ID:hfBrukJb0
みお「何なのよもう! 言いたい事があるなら言いなさいよ!」

俺「長野原……! よせ!」

みお「うっさい! もう堪忍袋の緒が切れてるのよ!」

なの「あわわ……」

ゆっこ「……」

 ざわざわ ざわざわ

みお「早く何か言いなさいよ! だんまりしてんじゃないわよ!」

ゆっこ「……」

ゆっこ「うるさいなぁ……みおちゃんは……」

87: 2011/08/17(水) 15:50:03.57 ID:hfBrukJb0
みお「はぁ? あんたが何も喋らないから声荒げてるんでしょうが!」

ゆっこ「そんな大声出さなくても、聞こえてるよ。バカなんじゃないの?」

みお「こ、こいつッ……!!」

田中「おいやめろよ! ここは戦場じゃねぇんだよ!!」バッ

みお「ッ!」

ゆっこ「田中……!」

田中「何で喧嘩してんのか知らねぇが、お前らみたいな小さな争いの積み重ねが、やがて戦争になるんだよ!」

みお「……」

ゆっこ「……」

92: 2011/08/17(水) 15:53:14.36 ID:hfBrukJb0
田中「分かったか? 分かったなら握手だ! 仲直りの握手!」

みお「……」

ゆっこ「……」

みお「ほらっ」バッ

ゆっこ「……」ギュッ

田中「一件落着だ!」

俺(田中かっけぇ! お前の事DQNだと誤解してた!)

俺(……でも、この件は落着だろうが、実質的には解決になってないんだな……)

93: 2011/08/17(水) 15:55:29.85 ID:hfBrukJb0
 昼休み 屋上

みお「……ごめん」

俺「いや、いいんだよ」

みお「昨日も寝れなくて……凄くイライラするんだ……」

俺「……」

俺「みお……」ナデナデ

みお「ひゃわっ」

みお「……俺君……」ギュゥ

俺「……」

96: 2011/08/17(水) 15:57:57.86 ID:hfBrukJb0
 教室

なの(よかった……二人共仲直りしてくれた)

なの(これで相生さんも……)チラッ

ゆっこ「……」ゴゴゴゴゴ

なの(!? こ、怖いっ!)

なの(何で何で何で!? 仲直りしたのに!)

なの(……ぅう、ちょっと外の景色でも眺めに行こう……)ガタッ

98: 2011/08/17(水) 15:59:52.34 ID:hfBrukJb0
なの(相生さん、一体何があったんだろう……)

なの(こんな時、相談相手がいれば……)

なの(……)

なの(あんまり友達いないから誰に相談したらいいのか分からないよぉ!)

なの(……、あ!)

なの(そうだ! あの人なら!)ダダダッ

100: 2011/08/17(水) 16:01:49.96 ID:hfBrukJb0
 理科準備室

中村「東雲? 何だ、呼んだ覚えはないのだが」

なの「い、いえあの、相談したい事があって……」

中村「相談?」

中村(ま、まさか……身体を隅々まで調べてほしいとか……?)ドキドキ

中村「相談とは、何だ」

なの「はい。えっと、友達の事なんですけど……」

中村(全然違った……)ガックリ

中村「帰ってくれ。私もそこまで暇じゃないんだ」

101: 2011/08/17(水) 16:03:25.61 ID:hfBrukJb0
なの「そ、そんな!」

中村「お前の身体……じゃなかった、えっと、勉強の事なら教えてやらんでもないが」

なの「お願いしますッ! 先生しか頼れる人がいないんですっ!!」

中村「……」

なの「……」ウルウル

中村「……ふぅ。言ってみろ」

なの「! ありがとうございます!!」

104: 2011/08/17(水) 16:07:01.74 ID:hfBrukJb0
中村「……、なるほど」

なの「どうですか……?」

中村「そういう事なら、これを使え」

なの「? 何ですか、これ」

中村「ウソ発見薬『ナンデモザンゲ』だ。これを飲めば、何でも真実を話してしまう」

なの「わおっ」

中村「取り扱いには気をつけろ。あと、この件については私は一切関係ない事にしてくれ」

なの「はいっ! ありがとうございました!」

108: 2011/08/17(水) 16:10:34.63 ID:hfBrukJb0
なの「相生さん!」

ゆっこ「……」

なの「これ、飲んでください!」

ゆっこ「……なにこれ」

なの「え、ええっと、これはアレです! 天ぷらです!」

ゆっこ「え」

なの「早く飲んでください!」

ゆっこ「……うん」ゴクッ

なの(やった!)

113: 2011/08/17(水) 16:17:06.53 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「……」

なの「じゃあ相生さん、お聞きします。何故怒っているんですか?」

ゆっこ「みおちゃんが許せない」

なの「……」

なの「何故ですか?」

ゆっこ「俺君を奪ったから」

なの「……?」

なの「どういう事ですか?」

114: 2011/08/17(水) 16:20:09.57 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「俺君は私の彼氏……」

ゆっこ「俺君に近づく女の子は……皆、邪魔……」

なの「え……え……?」

ゆっこ「俺君と一緒に帰って……帰り道が違うから途中で分かれたら……」

ゆっこ「みおちゃんが……俺君に告白して……」

ゆっこ「奪われ……う……うう……」

なの「相生さん!」

ゆっこ「許さない許さない許さない許さない許さない」

119: 2011/08/17(水) 16:23:56.82 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「なのちゃん」

なの「は、はいっ」ビクッ

ゆっこ「協力してくれる?」

なの「へっ!?」

ゆっこ「みおちゃんへの復讐……」

なの「えっ……えぇと……」

ゆっこ「協力してくれる?」

なの「うっ……は、はいぃ……」

ゆっこ「ありがと」

なの(怖いよぉ……後悔した……)

121: 2011/08/17(水) 16:26:15.76 ID:hfBrukJb0
 屋上

俺「みおっ……」

みお「俺君っ……んっ……」

俺「ずっとこうしていたい」

みお「そうだね」

みお「でも、あんまりしちゃダメだよ。……私達、高校生なんだから」

俺「そうだけどさぁ。でもいいじゃん、うりうり」

みお「ぁっ……だ、だめだってば……」

124: 2011/08/17(水) 16:28:02.91 ID:hfBrukJb0
みお「もう……あんまりアレだと嫌いになっちゃうからね」

俺「ごめんなさい。マジでごめんなさい」

みお「まったく……」

高崎「おい、お前ら」

みお「ひゃあっ!?」

俺「た、高崎っ……!」

高崎「何してんだ、こんな所で」

俺「青春っすよ」

高崎「青春ねぇ。行きすぎた真似はしないようにな」

俺「分かってますって」

127: 2011/08/17(水) 16:30:13.83 ID:hfBrukJb0
高崎「もうチャイム鳴るぞ。早く教室戻れ」

俺「へーい」

みお「……」

高崎「……」

みお「……」

高崎「どうした長野原。行かないのか?」

みお「……高崎先生」

みお「私、今、すっごく迷ってるんです」

高崎「ん?」

131: 2011/08/17(水) 16:33:05.05 ID:hfBrukJb0
みお「高崎先生はゆっこと仲良いですよね」

高崎「……。話す回数は多いが、別段そういう訳じゃ……」

みお「先生を信じて話します」

みお「私……ゆっこと付き合ってた俺君を奪ってしまったんです」

高崎「! ……」

みお「最低ですよね。友達なのに、親友なのに……」

高崎「……いや」

みお「え……?」

高崎「それは一時の気の迷いだろう。今は、こうして打ち明けられたじゃないか」

134: 2011/08/17(水) 16:35:19.46 ID:hfBrukJb0
みお「高崎先生……」

高崎「相生の様子がおかしかったのは、それが原因か」

みお「はい」

高崎「なるほど。とにかく、お前は今すぐ相生に謝るべきだ」

みお「……そうですよね。ありがとうございます、吹っ切れました」

みお「行ってきます!」

高崎「待て」

みお「え?」

高崎「真の憎むべき相手は、相生という恋人がいながらお前を新たな恋人とした男だ」

142: 2011/08/17(水) 16:41:13.52 ID:hfBrukJb0
みお「……でも、俺君は――」

高崎「事情はどうであれ、相生を見捨てたのは事実だろう」

みお「……」

高崎「相生の愛を受け切れるだけの心を持ち合わせておらず、結果逃げてしまったんだ」

高崎「アイツは、ちゃんと相生に話をつけたのか?」

みお「……私の知る限りでは、してません」

高崎「分かったか。そういう奴だったんだよ」

高崎「まあ、この経験は後の人生に生かせ。ちなみに、俺は生かせなかったがな、ははは」

148: 2011/08/17(水) 16:45:12.84 ID:hfBrukJb0
 教室

みお「ゆっこ、ごめんッ!!」

ゆっこ「へ」

 ざわ……

俺「……!?」

みお「いや……ごめんなさいッ!!」

ゆっこ「み、みおちゃん……」

みお「許してくれなくていいよっ! でも、私はあんたに謝りたいのッ!!」

ゆっこ「……」

ゆっこ「みお……ちゃん……」ウルッ

149: 2011/08/17(水) 16:48:31.07 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「みおちゃん! みおちゃんっ!」ギュゥゥゥ

みお「ゆっこ! ゆっこぉお!」ギュゥゥゥ

ゆっこ「ちゃんみお! ちゃんみお!!」

みお「ゆっこぉおおおお!!」

 おおおおおおおおおおおおお パチパチ

俺「な、何だ……何だよ一体……!?」

俺「何なんだよこいつらッ……!」ダダッ

なの「きゃっ!」ポロッ

俺「dkskdgjかそてゃうぇうへらwgwlk」

151: 2011/08/17(水) 16:51:15.16 ID:hfBrukJb0
なの「あわわわ! 相生さんに頼まれて中村先生から貰ってきた硫酸が……」

俺「亜dfさldfkふぁsfかfかあskdふぁんf痛い痛い痛い」

なの「大丈夫ですか!? ど、どうしよう相生さんに殺されちゃうよ!」

俺「あsふぁふぁlggふぁ――ガ……」チーン

なの「あっ……ぁぁああぁ! 俺さぁぁぁん!」

俺「」

なの「え、えっと……」

俺「」

なの「どうしよう!?」

俺「」

160: 2011/08/17(水) 16:56:11.71 ID:hfBrukJb0
ゆっこ「みおちゃーん、スラマッパギー」

みお「あ、ゆっこおはよう」

ゆっこ「えへへー、昨日大三元アガっちゃったー」

みお「わお」

みお「……それにしても、あんた前のゆっこに戻ったね」

ゆっこ「え、何の事?」

みお(本当、見事に俺君の事忘れてるなー)

ゆっこ「早く学校行こうよ、遅刻しちゃうよ」

みお「あ、うん待ってー」

 完

163: 2011/08/17(水) 16:58:04.75 ID:VUl1yPCQO
おわりかよ乙

164: 2011/08/17(水) 16:59:31.90 ID:ZRizBzOe0
お疲れ様楽しかったぜ

引用: 俺「スラマッパギー!」ゆっこ「さっきの女の子、誰?」