1: 2013/05/06(月) 20:37:27.26 ID:75z5D5BbO
坂本「口当たりがさっぱりとしていて、それでいてべたつかないすっきりとした甘さだ」

リーネ「……」

坂本「葉っぱはブリタニアのものを使用したのか?」

リーネ「あの……坂本少佐」

坂本「ん? お前も飲むか? たくさん買ってあるんだ」

リーネ「冗談やめて下さい。なんでそんな泥水を嬉々として飲んでるのか知りたいだけですよ」

坂本「え?」

リーネ「午後の紅茶……とか聞こえましたけど、気のせいですよね? そんな薄汚れた液体が紅茶なんて、どんなジョークですか」

坂本「……何を言ってるんだ?」

4: 2013/05/06(月) 20:44:40.35 ID:75z5D5BbO
リーネ「まだ分かんないんですか?」バッ

坂本「あっ」

リーネ「くんくん……くっさ! 扶桑じゃこんなものが紅茶として売られてるんですか! かわいそうに」

坂本「なんだ? 扶桑をバカにしてるのか?」

リーネ「哀れんでるんですよ。紅茶といったらこの味しか知らないような扶桑人を」

坂本「貴様!」

リーネ「ちょっと喋んないで下さい、ドブ臭いんで」

坂本「っ……! なら、貴様のいう『紅茶』を見せてみろ! どうせ大したことは無いだろうがな!」

リーネ「仕方ありませんね……いつまでもそんな泥水を持ち歩かれても困りますから」

5: 2013/05/06(月) 20:51:12.46 ID:75z5D5BbO
リーネ「入って、どうぞ」

坂本「さあ早くしろ」

リーネ「焦らないで下さいよ……準備ってものがあるんですから、『紅茶』にはね」

坂本「ぐ……」

リーネ「……それにしても、紅茶の本場であるブリタニア出身の私に張り合うとは驚きですよ。虚勢だとしてもね」

坂本「虚勢ではない。私は午後の紅茶こそ最高にうまい紅茶だと信じている」

リーネ「ふっ、そんな考えはこれを飲めば吹き飛びますよ……」

坂本「こ、これは!」

リーネ「『リプトン』です」

10: 2013/05/06(月) 20:53:55.42 ID:NL2wW76R0
まあ歴史の長い会社だけど…

16: 2013/05/06(月) 20:59:12.50 ID:75z5D5BbO
坂本「はっ。どんなものが出るかと思えば、午後の紅茶と同じ既製品じゃないか。そんなもので……」

リーネ「文句は飲んでからおっしゃって下さい」

坂本「仕方ない……」グビッ


坂本に電流走る――!


坂本「!!」

リーネ「どうです? これが原点にして至高……リプトンの味です」

坂本「……く、ぐっ…」

リーネ「あはははは! 悔しいでしょうねぇ! 自分の見識がいかに狭かったか、自分の舌がどれほど腐っていたかこれで分かったでしょう!」

坂本「……くそぉっ!」ダッ

21: 2013/05/06(月) 21:11:13.02 ID:75z5D5BbO
坂本「くそっ! 私は、午後の紅茶は!」

坂本「しかしあの味……確かに、うまかった……! これがブリタニアの本領か……」

坂本「ならば『Ti-Ha』で対抗……出来はしないだろうな。リプトンに勝てる紅茶は、扶桑には……ない」

坂本「くそぉ、あんな小娘に敗北を喫するなど……! この坂本美緒、こんな屈辱は生まれて初めてだ……」

「なにしてるんですか?」

坂本「宮藤……」

芳佳「坂本さんがひなたぼっこなんて珍しいですね」

坂本「好きでやってる訳ではない」

24: 2013/05/06(月) 21:19:23.29 ID:75z5D5BbO
芳佳「リーネちゃんがそんなことを?」

坂本「ああ」

芳佳「なるべく……それで坂本さんは泣きべそかいてたわけですね」

坂本「泣きべそはかいてない」

芳佳「確かに美味しいですよね、あれ。私もたまにリーネちゃんに貰いますよ」

坂本「午後の紅茶と比べてもか?」

芳佳「うーん……そうかもしれませんね」

坂本「そうか……」

25: 2013/05/06(月) 21:26:56.56 ID:75z5D5BbO
芳佳「でも、扶桑を馬鹿にされるのは悔しいなぁ」

坂本「ああ」

芳佳「……そうだ!」

坂本「どうした?」

芳佳「坂本さん、私にいい考えがあります」

坂本「なに!?」

芳佳「ごにょごにょ……」

坂本「……なるほど。やってみる価値はあるか」

芳佳「さっそく準備しましょう!」

26: 2013/05/06(月) 21:38:19.63 ID:75z5D5BbO
リーネ「芳佳ちゃんにどうしてもと頼まれて坂本少佐の部屋にやってきたけど……」

リーネ「一体なにをしようって言うんですかねぇ。リプトンの前には全てが無駄だというのに」

リーネ「ま、少佐の吠え面を肴に一杯やりますか」

コンコン

リーネ「失礼しまーす」

ガチャッ

リーネ「坂本さんが私に……」

リーネ「!?」

29: 2013/05/06(月) 21:44:55.99 ID:75z5D5BbO
坂本「……」

芳佳「……」

リーネ(なんだこの静寂は……今までの坂本少佐とは別人のようだ)

カコーン…

リーネ(あれは……扶桑のししおどしとかいうオブジェ!? 何を企んで)

坂本「リーネ」

リーネ「な、なんですか」

坂本「先刻は取り乱して申し訳ない。お詫びに『扶桑のお茶』を味わってほしいんだ」

芳佳「座ってよ、リーネちゃん」

リーネ「う、うん」

30: 2013/05/06(月) 21:55:54.88 ID:75z5D5BbO
カコーン

坂本「……」コポコポ

芳佳「……」

リーネ(二人とも黙りこくったままで気まずい……いや、相手のペースに呑まれるなリーネ)

リーネ「ずいぶん時間かかってますけど、早くして貰えますか?」

坂本「……」チャッチャッ

芳佳「……もう少し待ってて。正座が辛かったら崩してもいいからね(ニッコリ」

リーネ(そういう雰囲気じゃあねーだろうがァァーッ)

35: 2013/05/06(月) 22:13:39.15 ID:75z5D5BbO
坂本「……リーネ」

リーネ「はい?」

坂本「私は茶道には疎いが、お前のために一から立てた茶だ。飲んでみてくれ」

リーネ「……まあ、そこまで言うなら一口くらいは…」

坂本「……」

リーネ「ん……」ゴクッ


リーネ「――!」


リーネ「……っ」

芳佳「……正直になっていいんだよ、リーネちゃん」

リーネ「……おいしい、です…!」

坂本「そうか。よかった(ニッコリ」

36: 2013/05/06(月) 22:22:14.60 ID:75z5D5BbO
―数日後―

リーネ「芳佳ちゃん、お茶にしようか」

芳佳「うん。今日はどうする?」

リーネ「いい茶葉が買えたから、坂本少佐と三人で紅茶パーティにしようよ」

芳佳「分かった。じゃあ坂本さん呼んで……」

坂本「その必要はない!」

芳佳「坂本さん!」

坂本「部屋の前を通りかかったら、茶葉の良い香りがしたのでな。やはりだった」

38: 2013/05/06(月) 22:31:06.28 ID:75z5D5BbO
リーネ「今日はスコーンを作ったんですよ」

芳佳「ジャムはどれにしますか? 今日は……」

「まあ、坂本少佐! そんな紅茶なんかより、もっとお似合いのものがございますわ!」

リーネ「は?(威圧)」

ペリーヌ「あなた方、こんなものを少佐におすすめしないで下さる? さ、少佐。私手製のハーブティーですわ」

坂本「……」

リーネ「……」

芳佳「……」

ペリーヌ「? なんですのその目は?」



カコーン

ペリーヌ「なんてことだ……なんてことだ……」



おわり

40: 2013/05/06(月) 22:58:45.24 ID:CJneIZAR0
つまり最終的に選ばれたのは

41: 2013/05/06(月) 23:00:31.06 ID:bZDEkG8sO
午後の紅茶は定期的に飲みたくなる

引用: 坂本「やっぱり午後の紅茶はうまいな」リーネ「え……?」